約 579,030 件
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/117.html
憎きドルマゲスを追って旅を続ける一行に、新しい仲間が加わりました。 その名は、元聖堂騎士団員のククールさん。 騎士だけど、戦いよりも回復が得意です。パッと見、派手で軽薄そうですが、これが意外と常識派。パーティーの良きツッコミ役になってくれるでしょう。 今日も5人と1頭は険しい道を進みます。目標はアスカンタ国領にある願いの丘。 その丘で一晩過ごすと、どんな願いも叶うという言い伝えを確かめるためにです。 辺りには、珍しい青い花が咲いています。ゼシカ嬢は、それを見て思いました。 『キレイな花。兄さんのお墓に供えてあげたい。摘んでいって、ルーラでちょっとリーザス村に寄ってもらえるようにお願いしてみよう』 実に女の子らしい考えでした。しかし、それが不運の始まりだったのです。 ようやく山頂まで辿りついた一行。まだ、夜になったばかりです。 ゼシカ嬢は、今のうちにお花を摘んでしまおうと思い、リーダーのエイト君にお願いします。 「ねえ、エイト。私ちょっとお花摘んできたいんだけど、いいかな?」 ところが、それに答えたのはエイト君ではなく、ククールさんでした。 「ダメだ!」 一同はビックリです。 「レディがそんなことしたらダメだ! っていうか、言うのも良くないと思う」 ククールさんは真剣な顔をしています。 「どうして? あ、魔物が出るから? 平気よ、そんなに遠くに行かないから。皆から見える所にいるわ」 「いや、それ大胆すぎるって、ダメダメ。絶対ダメ。そんなに切羽つまってるのか?」 「そりゃあ、後でもいいけど、どうせ一晩中ここにいないといけないんだし・・・」 話がかみ合ってるようで、根本的なところがズレていることに、エイト君だけがようやく気づきました。しかし、少し遅かったようです。 「ああ、そうか。なら仕方ない。レディにそんな事させられない・・・。ルーラ!」 先走ったククールさんは、エイト君が止める間もなく、ルーラの呪文を唱えてしまいました。 アスカンタの城門にルーラさせられ、ククールさんとエイト君を除く一行はポカンとしています。 「まだ大丈夫か、ゼシカ? さあ、早く行ってくるといい」 「・・・どこに?」 ゼシカ嬢には、ククールさんの言っていることがサッパリ理解できません。 「えっ、どこって・・・」 やっとククールさんも、自分が何か勘違いしていたらしいのに気付いたようです。 エイト君が溜め息をつきながら、ゼシカ嬢に何やら耳打ちしました。 『花を摘む』という言葉の、もう一つの意味を教えてあげたのです。 育ちの良すぎるゼシカ嬢や、育ちの悪すぎるヤンガス氏は、この隠語を知らなかったようです。 ゼシカ嬢の顔はみるみるうちに赤くなり、体は怒りに震えています。 「あんた・・・。私が、そんなはしたないマネするように見えるわけ?」 ゼシカ嬢、一気にSHT状態です。はっきり言って顔、怖いです。 でも、ククールさんにも言い分はあります。 彼は結構箱入りだったので、旅することに慣れていません。しかも意外な慎重派。道中は魔物の警戒で精一杯。野に咲く花に目をやる余裕などありませんでした。 それにゼシカ嬢とはまだ知り合ったばかり。彼女がどういう人かなんて、わかるはずがありません。 でも、生き物としての本能でしょうか。ククールさんは逃げ出しました。ゼシカ嬢は、キレたら本当に殺る人だというのはわかったようです。 ゼシカ嬢は当然追います。 さすが、素早さ自慢の二人。速いこと速いこと。あっという間に見えなくなってしまいました。ククールさんは生きて帰ってこられるでしょうか。 エイト君は思いました。 二人、だいぶうちとけたようで良かったと。そして、もう一度最初から、願いの丘に登り直しになった責任をとらせる為、ククールさんのことはシメないといけないな、と。 ちなみに、この件で『花を摘む』という隠語を覚えたヤンガス氏。すっかりこの言葉が気に入って、愛用するようになったそうです。 メデタシメデタシ。 補足:お花摘み=トイレ
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/569.html
酒場できいた会話がいつまでも耳に残って、うっとうしかった。「あの子ブカブカの上着一枚だけしか着てないけど寒くないのかねぇ」「あの上着彼氏のらしくてね。他の貸したんだけど十分暖かいからって断られちまったよ」「なるほどねぇ、それなら納得だ。恋する若者同士の熱々さにはかなわないねぇ」あのなぁ…誰が彼氏だよ…あのバカ、妙な誤解されるようなこと言いやがって…ったく…。……。……ったく……なに言ってんだか…………。…………バカジャネーノ……。…………………………あぁもう、なんか火照るな!ちょっと中庭でも出てくるか。 ☆しんしんと降る一面真っ白の粉雪の中、全身真っ赤なその姿はひときわ目立った。ふわりとしたスカートと、――オレの上着だ。この氷点下で、何をしているのか…ぎゅっと肩をすくめて立ち尽くしている。今にも消えそうなその儚い姿に、オレは不覚にも一瞬みとれていた。だから彼女の小さなくしゃみで、我に返った。コイツなぜこんなところにいるんだろう。「…何やってんだよ。入るぞ」やたらとぶっきらぼうになる自分がくだらないと思う。…意識しすぎだ。「ククール…」「何か用でもあるのか」「え…べ、別に」「じゃあ何やってんだよこのクソ寒いのにバカみたいに突っ立って…」呆れた口調でわざと尊大に言ってやると、案の定ムクれた顔を向けてくる。「アンタに関係ないでしょ。ほっといてよ」「じゃあ面倒かけんな」「じゃあほっとけば?」「…ったく」ため息しか出ない。ほんとにまぁ、なんつーカワイクない女だよ。…わかってて返してるオレもオレだが。ゼシカはブカブカに余った両袖を口元に当てて、うつむいてしまった。…なんだよこれ。オレが悪いことしたみたいじゃねぇか…クソ。そりゃ、本当にほっとけるもんならとっくにこんな寒いとこからオサラバしてるさ。一緒に帰んねぇと不安なんだよ。こいつがこんな薄着でいつまでもここに突っ立てるなんて、想像しただけで頭が痛くなる。さっさと連れ帰って暖炉の前に座らせたい。いつも通り、適当に着せてやっただけの、聖堂騎士団の制服。そんな上着一枚着たところで、たいした防寒にならないのはオレが一番知ってる。…改めて見ると、どう考えても寒い。ソレの下、肩も胸も丸出しの薄い布一枚じゃねぇか。ふいに、さっき酒場で聞いてしまった会話が脳裏に浮かんできて、また落ち着かない気分になった。「…なんでお前、ソレ一枚しか羽織ってねぇの?」なにげなく、ごく無関心を装って、ボソリと訊ねてみる。一瞬ゼシカの身体が強張ったような気配がして、それから俯いたままで小さな声が聞こえた。「…別に…これだけでも、ちゃんとあったかいもの…」「んなワケねーだろ」「私 基礎体温高いの。だから平き…」そしてまた、くしゃみ。気まずい沈黙。オレはわざと大きなため息を吐いてやった。「…何をガキみてーに意地はってんだか…」「い、意地なんか…!!」気がつくと、小さい背中を、何も考えずに抱きしめていた。ひきつけみたいな声が聞こえて笑った。「なら、ずっとこうしててやるよ」「なっ、やっ、ヤダッ…何してんのよこの…!!!」「お前が部屋に帰るって言うまでこうしててやる」「~~~ッッ!!!!!」メラに対する構えはできていたが、ゼシカは絶句したのち、なぜか大人しくなって抵抗しなかった。不思議に思うが(あるいは本当に寒かったのかも)、もちろんオレの方から腕を解く気はない。2人してじっと黙って立っていると、本当の静寂が身体の奥に沁みてくるように感じた。人の声も風の音も聞こえない。雪は音も立てずに舞い降る。雪は音を吸収する。今オレ達だけが、こうしてこの世界で2人きりで抱き合っているんじゃないかとか、柄にもなくロマンチックなことを考えた。…ん?柄にもない?いやいや、色男のお得意技じゃねぇか、ロマンチックな口説き文句は…。あーもう、やっぱり変だ。ゼシカ相手だとオレがオレじゃなくなる。こんなおいしい状況で、それこそロマンチックな台詞の一つも言わずぼーっと呆けてるだけなんて。「……ゼシカ」低く甘い声で呼びかけたつもりだったが、自分的にはイマイチ決まらなかった。ゼシカがもぞもぞと身体を動かすが、オレの腕は後ろから強く抱きしめたままだ。「……クク…ル」照れているような声音で掠れ気味に名を呼ばれ、不覚にも心臓が鳴った。今まで彼女のこんな艶っぽい声を聞いたことがあっただろうか、否。「………………ゼシカ……」腕に自然と力がこもる。抱きしめている肩のあまりの華奢さに、今さらながら気付いて驚く。あんなに生意気で気が強くて戦闘も完璧にこなすコイツは、やっぱり女の子なんだよな。頭ではわかっていたつもりだったが、今、改めて確認させられた。―――オレがゼシカを守る騎士なんだってこと。もうあんな目には合わさないってことを。オレがゼシカを抱きしめたら、彼女の後頭部にキスするくらいの位置になる。まさに頭一つ分、と言ったところだ。髪の綺麗な分け目に口付けて、熱い吐息を吹きこんだ。「ゼシカ…」呼びかけに反応してかすかに震えてるのは、寒いから?それとも、緊張してる?「……帰る気になったか?」「…………ま、だ」「じゃあ、離さないからな」いったん腕を解いて正面を向かせ、俯いたままの彼女の手を取った。ブカブカの袖からぴょこんとのぞいた指先がなんともカワイらしい。オレの上着が、オレの代わりに、彼女の身体を包み込んでいる…そんな風に考えると、思わずニヤけた。「…なに?」「いや…。…それよりお前、ホントにカチカチに冷えてんじゃねぇか」指先は氷のように冷たくて、正直けっこう焦った。「なんでこんなになるまで…」「…じゃああっためてよ」思いがけない言葉を聞いた気がして、目を見開く。ゼシカは気の強い瞳でじっとオレを見つめている。頬が赤いのは…寒さのせい、なのか。その瞳に魅入られるようにして、オレは彼女の両手を包み込んで口元に近付け、何度も何度も熱い息を吹きかけた。そして強く握りしめ、なんとなくホイミを唱えるとゼシカがクスリと笑ったので、オレも笑った。そのまま、細い指の一本一本にキスをする。爪先だけじゃなく、関節や手の平にもまんべんなく。最後に騎士の誓いをその手の甲にゆっくりと落として彼女を見ると、少し困ったような、戸惑ったような、でも決して嫌悪は感じさせない潤んだ瞳が、オレをひたむきに見つめていた。舞い散る粉雪の中、世界が再びオレ達だけのものになっていく錯覚。「……………どうする?」「……まだ、帰りたくない」「……わかった。じゃあ、ずっとこうしてる」今度は正面から強く抱きしめた。二回りできそうなほど細い腰に、また驚く。でも柔らかい。厚着越しでも伝わる豊満な胸の感触。彼女に触れるたびに、気付かされる。もっと触れて知りたい。ストレートにそう考えている自分に焦った。こんな、性欲だけじゃない、下心だけじゃない、こんな気持ちは…。あ~!もう、何やってんだろな、オレ達。ゼシカが部屋に帰りたくないと言い張る理由なんて、ホントはわかってるくせに。こんなに回りくどい真似しないと、抱き合うことも恥ずかしい、オレ達って、なんなんだろう。下がったままだったゼシカの両腕がおずおずとオレの背中に回され、オレ達の距離がより密着した。オレの胸で、ゼシカが白い息と共に微笑む。「…やっぱりこれだけで充分よ」「…これ?」「他の服は、いらないわ」この街は寒い。でも防寒をしなくてもあたたまる方法を、オレ達は知ったらしい。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/53.html
トロデーンの夜景は美しい。 広大な庭園にぽつりぽつりとランプが灯り、着飾った紳士淑女が笑いざわめく。 それは、世界に平和が戻った証だった。 昼間のうちの馬鹿騒ぎもやがておちつき、弦楽の舞踏曲が楽しげに流れてくる。 テラスの精巧な柵に手をついて、ゼシカは曲のテンポに身を任せて軽くリズムを取っていた。少し飲んだワインの酔いが夜風に吹かれて心地よい。 ゼシカは目を閉じた。 ふと背後に人の気配。 「何か御用かしら?」 あまりにも慣れ親しんだ気配だったので、笑い含みに問いかける。すると、やはり苦笑した気配がした。 「こんな素敵な宵に、テラスに佇む美しい女性。お暇でしたら是非ダンスのお相手をと」 「どうしたの、ククール。そのマスク」 キザったらしい台詞廻しに振り返ってやると、その顔に思わず呆れた。 彼は顔の半分をマスクで覆っていたのだ。ファントムマスクというやつである。 普段彼が好きこのんで装備している、見慣れた品だが、こんな夜会の場でその姿は何故か見慣れない。 彼は唇に笑みを浮かべると、ついとゼシカの手を取った。 「今の私はククールではありません。魅力的すぎる貴女に胸を焦がす一人の名も無き男です」 そして手のひらにそっと口づける。 流れてくる曲が終わりを告げた。 不意にしんとなる。 いつもなら、「バカ?」とか言って振り払うのに、今日はなんだか調子が狂う。 「じゃ、一曲だけ」 ゼシカが頷くと、また新しい曲が始まった。 ややスローなワルツだ。 「光栄です」 彼に手を引かれてテラスを降りると、踊る人々の中に紛れ込む。 やさしいリードに導かれ、ステップを踏む。 仮面に隠れた彼の顔がとても真剣な気がして、ゼシカはなんだか切なくなった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/165.html
本当にゼシカは自分の感情に素直だな。 気負ったり、怒ったり、落ち込んだり、張り切ったり。全部背中越しに伝わってくる。 この素直さは、人生のどの辺りでなのか覚えてないけど、オレが置き忘れてきてしまったものだ。今さら取り戻したいとは思わないけど、羨ましいと思う気持ちは少しある。 だけど、やっぱりゼシカは変わってる。 普通の女の子だったら、『君を守る騎士になる』で喜んで『強いから頼りにしてる』なんて言ったら怒りそうなもんなのに、全く逆だ。 機嫌が悪くなるとスパンコールドレスは突っぱねるくせに、どんなに怒っててもグリンガムのムチは受け取る。 まあ、スパンコールドレスはエイトの錬金用にくれてやることになり、今はプリンセスローブになって着てもらえてるからいいけど。 ・・・修道院にいた頃はこうやって誰かに背中を預けられる日がくるなんて、思ってもみなかった。ましてその相手が、か弱いはずの女の子だなんてな。 思えばオレの壁によりかかるクセ。あれは誰かに背後に立たれるのが嫌だっていう、自己防衛の気持ちがあったのかもしれない。 誰も本当には信じようとしないで、感情を表に表すことは、弱みを見せることと同じだと思い込んで、自分で自分を檻の中に閉じ込めてた。 でも、それはもう過去の話だ。 「悪かったよ。サヴェッラへ行くのに、置いてけぼりくらわして。だけど仮にも聖堂騎士団員として行くのに、女連れってのはマズいと思ったんだ。ヤンガスみたいな悪人ヅラの強面と一緒なのもな」 その一件以来、ゼシカはずっと機嫌が悪かった。でも文句の一つも言ってくれれば、こっちだって弁解できるのに、何も言わないもんだから、ついそのままになってた。ついでにスッキリさせとくか。 「・・・それはいいのよ。人助けのために必要なことだったんだから。でも今度から、ああいう時は目的を教えてよ。そうしてくれれば、こっちだってよけいな心配しなくて済むんだから。約束して」 オレはバカだ。 すれば良かったんだ、約束。滅多にあることじゃないんだし、口先だけで簡単に。でもしなかった。 オレは基本的に嘘つきだけど、本音でぶつかってくるゼシカに嘘はつきたくなかった。 「それは約束できない。だいたいあの件は、基本的にゼシカには関係なかったことだしな」 結果は予想通りだ。ゼシカは過去最高レベルにスネちまった。 自分が間違ってるとは思わない。 他のことならともかく、煉獄島のことも、ゴルドの崩壊も、オレの兄貴がやらかしてくれたことだ。 そして、その発端はオレへの憎しみだ。だからオレには責任がある。 特に煉獄島に送られた囚人たちは、暗黒神とは無関係のところで起こってることだ。何とかしたいと思うのは、オレの個人的感情でしかない。 だから万一、嘘がバレて罰せられることになったとしても、それはオレ一人でいい。他のヤツまで巻き込むことはない。 知らずにいてくれれば、それで良かったんだ。知ってて、知らないフリをするなんて芸当、初めから期待してないからな。 やっぱり、エイトも置いてけば良かったんだ。あのヤロウ、案外口の軽いところがありやがるから。 でも一人では行かせないっていう、心配してくれる仲間の気持ちはありがたいと思ったから、つい情にほだされたのが間違いだった。 ・・・中途半端に考えが甘くなってたのが悪かった。 以前のオレなら、皆が起き出す前に黙ってサヴェッラまで行って、一人でサッサと用件済まして、帰ってから問い詰められても適当にごまかして終わらせてたはずだ。 だけど、黙っていなくなって心配させるのは悪いなんて思ったりするから、面倒なことになる。 マルチェロの指輪を利用して、サヴェッラで一芝居打ったことに関しても、オレは何もおかしなことしたとは思ってない。 でもゼシカは帰ってきたオレに、心の底から意外そうに訊いてきた。 『指輪を見つめて考えてたのって、このことだったの?』 ゼシカが一番ひっかかったのは、どうやらそのことらしい。そしてこう続けた。 『私、ククールはマルチェロの心配してるんだと思ってた』 ああ、全く心配してないってことはないさ。でもあいつはいい年した一人前の男で、回復呪文だって使えるんだ。少なくとも生きてはいるだろうから、今は気持ちを切り替えて、自分にできることをしようと考えただけだ。 そのために、あいつから『奪った』んじゃなく、初めて『貰った』物を少しでもまともなことに使って、ちょっとでも罪滅ぼしになってくれればいいって思うことが、そんなにおかしいか? それなのに、あんな別世界のものでも見るような目で見られると、やっぱり結構傷つくんだぞ。根っからの正直者だから仕方ないとは思うけど。 ・・・それとも、やっぱりオレはおかしいんだろうか? 姫様と心ゆくまで話したエイトは、今度は呑気に世界一周を始めた。 パルミドやゲルダの家、寂れたままのトロデーンにリーザス村。それにご丁寧にマイエラ修道院にまで寄ってくれた。 こんなふうに世界を回ったって、何もいいことなんてない。 結構しんどい思いして、命懸けで戦ってるっていうのに、チヤホヤしてもらえるわけでもなく、知名度は限りなくゼロに近い。 パルミドは相変わらず貧乏臭いし、ゲルダとヤンガスの仲は進展しないし、トロデーンは悲惨な光景だし、ゼシカのお袋さんには意味もなく睨まれるし、修道院では自分が品行方正だったと錯覚おこしちまう様な乱痴気騒ぎが繰り広げられてる。 呑気にしてる連中にイラついて意地の悪い気持ちになったりもするし、サッサと空に行ってラプソーンなんて倒しちまいたいのに、エイトの奴が相変わらずの寄り道好きと錬金マニアぶりを発揮してくれるもんだから、そうもいかない。 きりがないから、そろそろ一発殴って、引きずってでもレティスのところへ行くとするか。 『四人全員が祈れた時、賢者の魂はひとつ・・・またひとつとオーブに宿りゆき救いの手を差し伸べるでしょう』 レティスがそう言うのを聞いた時、オレの人生はほんとに皮肉で構成されてると思ったね。 七賢者の命を守ってくれなかった神様に腹立てて、もう二度と祈らないって思った矢先に、七回も祈れだ? 何の嫌がらせだよ。 『暗黒神のもとへ急ぎましょう。すぐに行けますか?』 しかもレティス、気ィはえーし。 盾や兜なんて、四六時中身につけてるわけじゃない。少し時間をもらって装備を整え、エルフの飲み薬やまんげつそうなんかの道具も確認する。 何げなくゼシカの方を見ると、杖を手に深刻な顔をしていた。 鳥だから仕方ないのかもしれないけど、レティスもデリカシーが無い。 ゼシカにとってこの杖は、暗黒神に乗っ取られた時のことを思い出させる最悪のものだっていうのに、そんなものに向かって祈れっていうのは、ずいぶん酷な話だ。 「ゼシカ、大丈夫か?」 今はオレに心配されても嬉しくないだろうとは思うけど、つい訊いちまった。 「え? 何? ごめん、ちょっと考え事してたから、聞いてなかった」 「・・・いや、いい。何でもない」 心配したところで、他の手段を思いつくわけじゃないんだ。これはオレの自己満足でしかない。 「ねえ、この杖でラプソーンを殴っちゃダメかしら?」 「・・・は?」 あまりにも突拍子もないことを言われて、オレはマヌケな声をあげる。 「ほら、あいつって、自分を封じた岩を女神像に変えたご先祖様への当てつけで、私の身体を乗っ取ろうとしたじゃない? そういうイヤミなことする奴には、こっちもそのぐらいのイヤミで返してもいいんじゃないかと思って。この杖で殴られたら、あいつきっと凄く悔しがるわよ」 「・・・いや、ダメだろ、それ。宿ってる七賢者が気の毒だ」 「あ、そっか・・・じゃあ諦めるしかないわね、残念」 ・・・心配して損した。 オレだったらこんな杖、触るのもイヤだと思うだろうに、本当にゼシカは逞しい。そういうところ、半分とまでは言わない。1/10でいいから分けてほしいもんだぜ。 「ねえ、ククール。マルチェロから貰った指輪は?」 また唐突もないことを言われる。 「・・・持ってるよ」 「持ってるのはわかってるわよ。ちょっと出して」 何となく拒否するのも面倒で、オレは言われた通りに騎士団長の指輪を懐から取り出す。 「やっぱり、そういう無造作な持ち方してたのね。落としたりしたらどうするのよ」 「そんなヘマしねえよ。仕方ねえだろ。あいつ手ェごついし、おまけにそれ、手袋の上から嵌めてたんだぜ? ブカブカで、オレの繊細な指に嵌めたらそれこそ絶対落とす」 もうその件に関しては放っといてほしい。マルチェロの話題が出るたびに、ゼシカとの関係は気まずくなるだけだ。いい加減に懲りた。 「そう思って、これ、買っておいたの」 そう言ったゼシカの手には、細い銀の鎖。ゼシカはオレの手から指輪を取り、鎖に通してペンダントにしてくれた。 「こうして首にかけておけば、簡単には無くならないでしょう? はい、どうぞ」 差し出されたペンダントに、オレは手を伸ばさなかった。 「・・・もしかして気にいらなかった? 余計なことだっていうのは承知してるわよ。でもやっぱり口出ししないなんて私には無理。 だって気になるし、心配だし、放っておけないんだもの。この鎖も本当はプラチナとかにしたかったけど、あんまり高いのは手が出なくて・・・」 「いや、こういうのが欲しいと思ってた」 慌てたように弁解するゼシカに、ようやくかける言葉が見つけられた。 「ゼシカにかけてほしいな」 「は?」 今度はゼシカがマヌケな声をあげる番だった。 「何甘えてるのよ、子供じゃあるまいし」 やっぱりな。さすがにそこまではしてくれないか。 「ほら、頭さげて」 「へ?」 「まったくククールときたら、中身がコレなのに背ばっかり高いんだから。届かないのよ、早く」 「あ、ああ」 言われた通りに頭を低くすると、ゼシカが背伸びをして、ペンダントをかけてくれた。 「・・・ありがとう」 何かいいよな、こういうの。 誰かが自分を気にかけてくれて、ささやかな優しさをくれる。世界中探したって、これ以上のものなんて、きっとどこにもない。 「何よ、しまりのない顔して」 かけてくれる言葉には優しさはないけどな。 「いや、この体勢だと、抱き締めてキスしたくなるなぁと」 覚悟はしてたけど、やっぱり殴られた。しかも顔の両側から挟むようなビンタ。痛い上に、見た目にも結構マヌケだ。 「あのねえ、そういう話は帰ってきてからにしてって言ってるでしょう? 何度も言わせないでよ」 ・・・。 帰ってきてからなら・・・いいのか? 「用意できたのなら、サッサと行くわよ。今度こそ本当に終わりにするんだから」 ゼシカはもう戦闘モードに入ってる。いったいどういうつもりで、あんなふうに言ったのか、聞ける雰囲気じゃない。 ・・・とにかくラプソーンを倒してからだ。 思えば杖に宿ってるのは人間だ。神にはごめんだが、かつて頑張った人間になら祈ることに抵抗なんてない。七回でも十回でも祈ってやるさ。 よし、テンション上がってきた! 『ゼシカだけを守る騎士』じゃなく、『一人の男として、ゼシカの大事なもの全てを守る』って、さっきは言いそびれちまったからな。 チャッチャとラプソーンはぶちのめして、泉での話の続きと、『そういう話』の続きをするぜ! <終> ほしかったもの-前編
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/157.html
『チェルス・・・。その名前を聞くと胸が痛むわ・・・』 ゼシカが悲しげに呟いた言葉が、頭から離れない。 空を飛べるようになって、訪れることができるようになった三角谷。 まさかここで、あのチェルスの名前を聞くことになるとは思わなかった。 ゼシカがチェルスの死に、責任を感じてるのは知っている。 だけど何も言ってやれない。 事が起こったばかりの時ならともかく、過ぎてしまったことを気に病んでる人間に『気にするな』という程マヌケな慰め方もないしな。 こんな所からは早く離れた方がいいのに、自由に歩けることにトロデ王が大喜びしちまってるもんだから、ここに一晩泊まるハメになっちまった。 デリカシーの無い奴が揃ってるぜ、まったく。 姫様の相手をするのにゼシカも一緒に連れていってくれるようにエイトに頼み、オレは一人でエルフのラジュさんの所へ向かった。 チェルスの最期の様子を報告するためにだ。 最期を看取ったのがオレたちだと話しただけで、その後は宝物庫を開けてもらうのが先になって、詳しい話は何も出来なかった。 ゼシカのことだ。後で事情を話しに来るに違いない。自分が殺したも同然のように言うかもしれない。 ラジュさんも、あのギガンテスも、そのことでゼシカを責めるようには見えないが、犬に杖で刺し殺されたなんて悲惨な最期を聞いたら、動揺はするだろう。そんな姿を見ることになったら、ゼシカの傷はますます深くなる。 オレが先に話をして、予備知識を持っておいてもらった方がいい。 さすがに何百年も生きてきただけあって、ラジュさんもギガンテスも精神力は強かった。 チェルスの最期の様子を悲しむよりも、そのチェルスが最後まで慕っていたハワードが無事だったこと、チェルスの心がちゃんと通じたことを喜んでくれた。 ゼシカが杖に操られてチェルスの命を狙ったのは不可抗力だってことも、もちろんわかってくれた。 でも、やっぱり悲しみの気配は消しようもなくて、あの時その場にいながら、何もできなかったことが改めて悔やまれる。 ギガンテスがしつこく勧めてくるんで、洞穴の奥の伝承画を見ていくことにした。 かつて暗黒神を封印したという、七賢者について記されている。 随分バリエーションに富んだ面子だったらしい。 それにしても、魔法剣士や呪術師はわかるとして、予言者や学者がどうやって暗黒神なんかと戦ったんだ? その辺りの戦術や暗黒神の弱点なんかも記してくれりゃあいいのに、やることが不親切だよな。 まあどういう戦法を取ったしにろ、七人掛かりで封印するのが精一杯だった暗黒神。それに対して、オレたちは四人で戦ってる。 確かに今の段階で何とかしないと、手に負えなくなるのは間違いない。 だけど、イヤな予感が消えてくれない。 昔からそうだった。期待は裏切られ続けるのに、不吉な予感だけはイヤになる程当たりやがる。特に口に出してしまうと、まるでその瞬間に確定事項になったみたいに外れてくれない。 おかげで、あのマルチェロ以外にも、結構疫病神呼ばわりされたんだよな。明らかにオレがその悪い事態を引き起こしたわけじゃないって、わかる場合でも。 悪い予感が当たるなんて、何の得にもならないことがわかったから、そういうものはなるべく口に出さないようにしてきた。言葉ってやつには、何か現実を引き寄せるような力があるのかもしれないしな。 だけど、この伝承画を見ていると、何かが頭の中で警鐘を鳴らす。 この先起こるロクでもない何かのヒントが、ここにある気がする。 ゼシカの先祖のシャマル=クランバートルやギャリングのように、現在まではっきりと由来が伝わって、結構な名士をやってるところもあれば、長く一緒にいたオレも賢者の末裔だなんて聞いたこともなかった、貧しい粉屋のオディロ院長の血筋。 力だけ他人に渡して、封印はそのままだったクーパスの血統。結局その行為は裏目に出たわけだ。ラプソーンは力じゃなく、封印の方を嗅ぎ付けるんだから、素直に自分の方に力を残しておけば、チェルスは自分の身を守れていたかもしれない。 そして、シャマルが姿を変わらせたという、暗黒神を封じた岩。 ・・・ダメだ。どうにも頭に雑音が鳴り響いて、うまく考えがまとまらない。 何かに別の次元から糸を引かれているようで、苛立ちがつのるだけだ。 ・・・とりあえず戻るか。エイトにゼシカを引き留めさせてることだしな。 そう思って洞穴を出た途端、ゼシカとばったり会ってしまった。 ・・・。 エイトのヤツ、こんな少しの時間も引き留めておけないのかよ! あいつに頼んだオレがバカだったのか? 意外と姫様に頼んでおいた方が良かったのかもしれない。多分、身体を張ってでも止めてくれただろうし、ゼシカもそれを振り払ったりはしないだろうしな。 こんなふうに余計な気を回して、先回りした行動を見られるほどみっともないことはない。こういうのはあくまで、隠れてやるところに意味があるんだ。 「エイトから全部聞いたわよ」 オレが心の中でエイトに悪態ついてる間に、ゼシカが口を開いた。 「気が利いてるようでマヌケなんだから。トロデ王がバーに入り浸りでせっかくエイトとミーティア姫、二人きりなのよ? そんなところでお邪魔虫になんてなりたくないわよ。だからエイトに問い詰めたら白状したわ。『ククールに頼まれたんだ』ってね」 あのヤロウ、当てにならないだけじゃなくて、口まで軽いのかよ。後で覚えてろよ。 「ありがとう、いろいろ気にかけてくれて。でも私、もう大丈夫よ」 ゼシカの真っすぐな視線にドキッとした。 「確かにチェルスの事を考えると胸が痛むわ。私がもっと慎重に行動してれば、彼を死なさずに済んだのかもって・・・胸が痛むの。でも、大丈夫。ただ気に病むだけじゃ、自己満足でしかないもの。 私がやるべきことはレオパルドを倒して杖を封印すること。そうしたからってチェルスの命が戻ってくるわけじゃないけど、それがせめてもの罪滅ぼしだもの、必ずやり遂げてみせる。だからもう心配してくれなくても平気なのよ」 ゼシカの揺るがなさに、オレの方が揺さぶられる。 「だから、せっかく気を遣ってくれたのに悪いんだけど、ラジュさんたちには私の口からちゃんと話したいの。行ってくるわね」 洞穴の中に入っていくゼシカの後ろ姿を、オレは黙って見送るしかできなかった。 ・・・まいった。ゼシカが強いってのは知ってたつもりなのに、つもりだけで何にもわかってなかった。どこかで甘く見てたのかもしれない。 多分、エイトたちの方がゼシカの強さを信じてたんだろう。だから慌てて三角谷を出ようとしなかったのかもしれないな。オレは一人で空回りしてただけか。 ほんとに、どうしてこう何もかもうまくやれないんだろうな。カッコ悪いったら、ありゃしねえや。 だけど、忘れちゃいけないことがあるのは知ってる。 「・・・何で、まだいるの?」 しばらくして洞穴から出てきたゼシカは、オレの姿を見て驚いた顔をする。 「誰も待っててなんて、頼んでないわよ」 虚勢を張ろうとしてるのが、却って痛々しい。一生懸命いつも通りにしようとしてるんだろうけど、声が震えてる。 「おいおい、心外だな。オレがレディを置いて一人で戻るような男に見えるのか?」 ゼシカがスカートのすそを握り締める。泣くのを我慢してる時のクセだ。 オレが近づいて肩に手を置くと、それが引き金になったように、大きな目からポロポロと涙をこぼし始めた。 一応これもオレが泣かせたことになるのかな? 最近、泣かしてばっかりだな。 「気を利かせるつもりなら、一人にしてよ。そのくらいわかってるくせに・・・」 「わかってるから、一人にはしない」 ゼシカの心が強いのは、よくわかった。それには改めて驚かされたけど、だからって大事なことは忘れやしない。 どんなに強くたって傷つくことはあるし、傷つきゃ痛いんだってことはな。 「何よ、バカ。私、ほんとはこんな泣き虫じゃないのに」 「知ってるよ」 ゼシカの額がオレの胸に当たる。その可愛い仕草に思わず抱き締めたくなるけど、そうしたら離したくなくなりそうだ。軽く身体に腕を回すだけで我慢しておく。自分が自制が効く人間で、つくづく良かったと思う。 「ラジュさんたちに、ひどいこと言われたわけじゃないのよ。優しくされちゃったから、かえって辛いのよ」 「ああ、わかってる」 泣いてる姿を可哀想だと思う一方で、たまらなく可愛くて、愛おしくなる。辛いことなんて、全部忘れさせてやれたらいいのに。 「ククールの前でだけよ、こんなふうになっちゃうの。どうしてくれるのよ」 「・・・ゴメン」 今のは殺し文句だよな。結構グラッときた。 「あんたの軽そうな顔と声は、気が抜けるのよ」 「・・・ああ、そうですか」 ・・・こうやって容赦なくトドメを刺してくれるところが、最高にステキだな・・・。 ゼシカに言われて初めて気づいたけど、エイトと姫様は二人きりになる最後のチャンスかもしれなかったんだよな。オレとしたことが、無粋な頼み事しちまったもんだぜ。 ゼシカが宿で眠りについた後、お詫びの印に二人で不思議な泉まで行ってこいと提案しに行った。 エイトがゴチャゴチャ言いやがったんで、ルーラで強制連行して、マホトーンかけてキメラのつばさも取り上げて、オレは一人で三角谷に戻ってきた。 絶対、後でシメられるな。まあいいさ、馬なんかにされても健気に頑張ってる姫様のためだ。 吊り橋の所に馬車は置いていったんで、一応見張っておこうと思ったんだが、バーサーカーが代わりに見ててくれるっていうから、お言葉に甘えることにした。 いい所だよな、ここは。人間の中にもロクでもない奴がいるように、魔物の中にだってイイ奴はいる。大して話をしたわけでもないけど、こういう所で育ったチェルスはやっぱり良い人間だったんだと思う。 何とか助けてやれりゃあ、良かったんだけどな。 明日から本格的に黒犬の追跡に入る。身体を休めておかなきゃならないのはわかってるけど、頭に雑音が鳴り響いて、すぐには眠れそうにない。 何となく歩いている内に、教会の前にきてしまった。何げなく空を見上げるとそこには満月。 この組み合わせはイヤなことを思い出させる。オディロ院長がドルマゲスに殺された夜。 かなり時間は経ったっていうのに、過去のこととは割り切れない。 そうだ。あの時もオレは自分の中の異変にとまどってた。それまで持ってなかった力の意味するものがわからなくて、もしかしたら与えられていたのかもしれないチャンスをつかめなかった。 今オレの中にある、この不可解な現象も、何かのために使える時が来るのか? それともまた、同じ失敗を繰り返すだけなんだろうか・・・。 「ククール」 いつの間にか、ゼシカがすぐ後ろに立っていた。特に気配を殺して近づいたわけではなさそうだ。それなのに声をかけられなきゃ気づかないなんて、普通の状態ならありえない。やっぱり感覚が鈍くなってる。 ・・・それとも自分で思ってる以上に、初めから鈍かったのかもしれない。 次にゼシカが口にした言葉に、オレは本気で驚かされたからだ。 「悩んでることがあるのなら、私に話して」 本当に、ゼシカを甘く見すぎてたんだと思った。 強さ-後編
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/295.html
[[603]] 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/04(月) 21 29 15 ID LjwT1mkn0 ククゼシが結婚したらやはり子沢山家庭になるのだろうか… 605 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/04(月) 22 11 56 ID AtrnCFOx0 603 自分はそんなイメージだ。 どちらかろいうとククがたくさん欲しがりそうな気がする。 でもあの世界は概して子供少ないよね、2人以上でも結構貴重のような 606 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/04(月) 23 15 31 ID diyqyzRv0 旅が終わったあともククから「もらった」騎士団の指輪をずっとつけているゼシカ いつも2人で眺めながら「この指輪がなかったらオレ達今こうしてないんだよな」 「あの時は最高に大嫌いなヤツだって思ったのにね…」「へぇ?じゃあ今は?」 なんてイチャつく為のいい材料に使われている ちなみにククは団長の指輪をはめてはいないが鎖につなげていつも首にさげてる そんな脳内設定 あの指輪はククゼシ的に大変おいしいアイテムだと思うんだ 607 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/05(火) 18 24 08 ID gRZb7msW0 605 子沢山なククゼシ一家想像して和んだw 606 あの指輪は渡すシーンから相当萌えたけど その後も二人を結ぶ絆としてあったらこれ以上ない最強アイテムだね 騎士団の指輪を通して昔語りしながらいちゃつきまくって欲しいw 608 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/05(火) 20 30 24 ID yW5ilu4W0 606 「へぇ?じゃあ今は?」 分かっているくせにわざと聞くといった感じのククが堪らんw もう愛されている自分をはっきり自覚している感じで それまでの道のりが険しそうな二人だから余計に(*´Д`) 609 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/05(火) 22 09 20 ID a2ZMxsSJ0 606 萌え爆弾にやられてしまいました… ttp //www12.uploader.jp/user/kj/images/kj_uljp00004.png 612 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/05(火) 23 25 12 ID /DAG1Xlx0 609 本気で死んだwwwwwwwwあぅあぅ どうせドニの酒場で2人で飲んでたら、ククがふいにあの時みたいに ゼシカの手を引っ張って裏口から連れ出して、こんなことやってんだろ?ったくよぉ ………で、ゼシカが指を見ると、嵌められたのは騎士団の指輪ではなく 輝くダイヤの結婚指輪だった、と… 613 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/06(水) 03 17 09 ID qALhXSEx0 騎士団の指輪ではなく輝くダイヤの結婚指輪だった、と… プロポーズキタ━(゚∀゚)━!! ドニの酒場の裏口でこっそりいちゃついている二人いい! 最初の出会いが出会いなだけに 似たようなシチュエーションで全く違うやり取りをしているというのがねww ククゼシでご飯8杯はいけそうだ 614 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/06(水) 16 15 43 ID AFS9N/yg0 ドニにいるバニーガールの子達が嫉妬しそうだなw それとも案外普通に受け入れたりするのかな 「やっと一人の子に決めたのね、ククール」と ちょっとお姉さん目線で感心してみたりして 615 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/06(水) 20 24 15 ID S4RM+c4f0 むしろククがドニの子達とあまりにも親しげで ちょっとヤキモチ妬いてしまうゼシカとかあってもいいかも 616 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/06(水) 23 04 54 ID gEhVb3qa0 ポルトリンクではククがやきもきし、ドニではゼシカがやきもきするわけですね 個人的にククがプロポーズする際は、絶対に 「…待たせて ごめんな」 と言うと思う。ていうか言え。 呆然としてたゼシカが、そう言われてはじめてボロッと泣く そんなイメージ 617 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/06(水) 23 20 19 ID SAk3b2PZ0 616 それでククは涙を流すゼシカを そのまま黙ってぎゅっと抱きしめそう。 ていうか抱きしめろw 619 617=618[sage]2008/08/06(水) 23 59 37 ID 9fM4HIuK0 ククールがゼシカにプロポーズするまでって やっぱ結構な月日を重ねそうだよね お互いにはっきり想いが通じ合った後でも そう簡単には纏まらないようなイメージがあるw 620 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/07(木) 15 09 16 ID 6CN8Tshq0 617 抱きしめるのもいいけど、個人的に 無言でそっとゼシカの涙を指で拭ってあげるククもいいなあ ゼシカが泣きながら「本当、待たせすぎよ…バカ」なんて言って 自分から抱きついてくれてもいい
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/239.html
「アスカンタにて」 アスカンタ城では、再び変な楽器を手に入れたドン・モグーラの騒音に困っていた。 そこでククール、ゼシカになんとか解決を依頼。 「もう!あの王様ったら、まったく頼りにならないんだから!!!」 「いいじゃないか、お礼はガッポリはずむって言ってたし。」 「エイトとヤンガスも来てくれれば心強かったんだけど・・」 「エイトは城の仕事忙しいらしいし、ヤンガスもゲルダといろいろあるらしいしなあ・・」 そうしてモグラの洞穴に入った2人、しかし以前と違ってすごく穴は小さくなってて 身体がうまくはいらない。 「うんしょ・・・・・キャァ!!!どこさわってるのよ、このH!!!] 「仕方ないじゃないか、せまいんだ(あとおまえのお尻がでかすぎ)」 「これ以上変なことしたら承知しないからね!もう!」 「敵はモグラだ、勘違いしないで仕事に専念しようか」 モグラの集まるところに行くと。案の定とてつもない声が・・ ドン「あsfgづいfうぇpmfこぺwq」 子分「smんじょいwqbvfqぽfvんれ」 ククールはこっそりクリフト経由でトルネコから仕入れてきたさえずりの蜜を ドンに飲ませる。 ドン「あああああああああ?ん?声の調子いいな、サンキュー」 子分「(何とかこれなら聞けるな、助かった)」 これで問題解決・・・・と思いきや、ゼシカはあまりの声のひどさに耳がやられ 調子をおかしくし、MPも全部なくしてしまってリレミトも使えなくなってしまった。 しかたなく洞穴をそのままもどる2人。ゼシカの顔色は真っ青。 「大丈夫か?心配するな、すぐ戻るから」 それでも途中でさすがにダウン、しばらく看病に徹するククール。 「ククール・・・・・・信頼してるから・・・・村に無事に帰れるわよね?」 ゼシカは日頃の強気な顔はどこへやら、声がか弱くなるいっぽう。 「(うわ・・・・めっちゃかわいい・・・)」 そしてゼシカを背負い、洞穴をもどるククール。自分の背中の感触に困る一方であった。 城に戻って歓迎受ける2人、宿に泊まってゼシカも全快。さっそくお礼にたくさんのお金と 宝箱をもらう2人だったが・・・ ククールは銀のタロットをもらって喜んだが ゼシカがもらったのはエッチな下着とグリンガムの鞭。 「なによこれ!!!!!たしかにまあまあの防御力だけど・・・・」 「すっごくにあってるし!(国王GJだわ)」 王「これから帰るなら送って差し上げますが」 「俺はこれからトルネコさんとクリフトさんにお礼言いに行くからいい。 そのあとミネアさんにタロットの使い方聞いてマーニャさんの踊り見・・・」 ズガ!!!!バチ!!!!バン!!!! 下着姿ノゼシカのグリンガムが城内に響き渡るのであった・・・・・
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/47.html
世は3月14日。 この世界でも御多分に漏れず、最愛の女性へ愛を捧げる男達の季節がやって来た。 ホワイトデーという事で、女性への贈り物コーナーが賑わう。 その中の女性防具及び下着コーナーの一角で、思案にくれる銀髪碧眼の男が一人。 あぶないビスチェ…まほうのビキニ…エッチな下着……うーむ…迷うな。 まあオレのハニー、ゼシカは何でも似合うからな。…しかしだからこそ迷うんだがな。 いかん、あまりウロウロしてると変質者に間違えられるかもな。 いや、この絶世の美男子である俺に限ってそんな事はありえないだろ。 しかし優柔不断な男と見られちゃ男のコカ…いやコケンに関わるものな。さて、どうしたものか。 …そうだ。こういうモノよりも、もっと肝心な事があるじゃねーか。 その夜。 海辺の教会の外の裏に、互いに背を向き気味に2人が佇む。 「…えっと…何よ?こんな夜中に呼び出して…」 「ゼシカ…あの時はああだったが…今度こそ、正式に受け取って欲しいんだ」 そう言ってゼシカの方に向き直り、いつになく真剣なまなざしで ククールは聖堂騎士団の指輪を無言で差し出した。 ゼシカはそっと手を差し出し、しばし手を握り見つめ合った。 女性をちょっと口説くのは慣れているはずの彼は声を詰まらせ「…おっ、俺の伴侶になって欲しい…!」 「………うん……」ゼシカは目を潤ませ、震えながら小さく頷いた。 しばらく2人は再び見つめ合い、握り合った手はそのままに、 互いに片方の手を相手の背中に回し、…始めはそっと、それから熱い口付けを交わした。 (いっそ、このまま全てを奪ってやりたい…!) (いっそ、ここで全てを奪われてもいいわ…。) END-
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/201.html
307 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/07/30(月) 21 29 41 ID 2WmfVn1LO 二人で浴衣を着て、屋台が並ぶ夜道を歩く。 最初のうちは、 「ゼシカの浴衣姿は花火よりも星空よりも綺麗だ」とか 屋台の水風船を見て 「ゼシカの胸のほうが大きいよな!」 とかなんとか、はしゃぎ過ぎてゼシカにたしなめられるククールだけど、 時間が経つにつれて、ふと 「…小さい頃はお祈りばっかで、こんな楽しいとこ来たことなかったな」 とボソッと呟く。 その淋しげな横顔を見て、思わず切なくなり、つないだ手に力をこめるゼシカ。 ちょっといいムードになりかけたそんな時、 屋台でやきそば焼いてるヤンガス&ゲルダに遭遇。なしくずし的に屋台を手伝う羽目になる。 ここまで妄想した お祭りで浴衣なら、主人公&ミーティアとのダブルデートもさわやかでいいんじゃないかと自分的には思う。 (そして4人で屋台を手伝う羽目になる) 308 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2007/07/30(月) 23 47 11 ID sUJGJOBw0 あぁいいですね。 そして花火も終わり人混みもまばらになった頃、「結局ゆっくり花火なんか見てられなかったわね」 と苦笑しながらへとへとになった彼らに、ヤンガスがお礼にと手持ち花火を出してくる 盛り上がったあと、最後に残った線香花火をいつのまにか各カップルはそれぞれの場所で静かに楽しんでいる ゼシカ「夏も、終わりね」 ククール「来年の夏も、オレらは相変わらずだと思うぜ」 ゼシカ「そうね、また焼きそばだの綿飴だの林檎飴だの、手伝わされてね」 ククール「そうじゃなくて。…オレとゼシカは、相変わらず、こんな風に一緒にいると思うよ」 ゼシカ「…ケンカとかしながら?」 ククール「そうだな。ケンカとかしながら」 その時2人の線香花火がくっついて、一つになる。 驚いて顔を見合わせ、微笑み合う。どちらからともなくゆっくりと顔を近づけて… なんてな
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/100.html
宴が終わると、城はものすごい勢いで日常を取り戻す。 日の出前の城門、ククールはすでに旅姿であった。 「なに? もう行く気?」 「世界中の美女が俺を待っているのさ、ハニー」 「あっそ。良かったわね」 呆れて肩をすくめるゼシカは、あと数日、ここトロデーンに滞在する予定だった。 そんな彼女にククールは「それじゃな」と軽く笑む。 けれど彼女は、「で、また行方不明になるんだ?」と続けた。 だから、彼はいかにも心外だという顔をした。 「酷いな、ゼシカ」 手慣れたものだ。 「俺にはルーラがあるんだぜ? いつでも君の元へ飛んでいくさ。ゼシカはただ望むだけで良い」 自分が嘘吐きだという自信がある。 可能ならば、二度と会わない。 それがいいのだ。 あきらめるには。 「……。」 彼女の返事は無かった。 ちらっとみた顔に、『喜』も『怒』も『哀』も無くて少し残念な気持ちになったが、それでいい。 ついでだから、親愛の意味を込めて彼女の頬にキスをした。 軽く。 で、さっさと離れる。 つもりが上手くいかなかった。 ゼシカがマントをいつの間にか掴んでいたのだ。 彼女は眉をきゅっと寄せて。 ちょっと下を向いて。 「じゃあちゃんと来なさいよ…」 理解出来ない魔法の言葉。 うっかり空耳かと思い過ごしてしまいそうな。 夜明け前は薄暗い。 彼女の顔はよく見えない。 「ちょっと! 聞いてるの?」 今度は『聞こえた』。 聞き間違いなどではありえない。