約 578,996 件
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/74.html
「内側に跳ね気味。若干癖っ毛。…いや、猫っ毛って言うべきか?」 「…何、冷静にコメント入れてんのよ」 ドルマゲスを倒す目的で集まった筈の一行は今、息抜きも兼ねて不思議な泉に来ていた。 エイトはまず馬姫ことミーティアに泉の水を飲ませ、 トロデ王はそれを微笑ましげに眺めている。 ヤンガスはそれとなく二人の様子を見ながらも、地面に座って寛いでいる。 更にその後ろで腰を掛け、解けかかっていた髪を縛り直そうと 一度髪を解いたゼシカの頭を覗き込みながら、 揶揄するような口調で独り言のように零すククールに、 間髪入れずにゼシカが突っ込んだ。 「まあ、オレとしては別に綺麗なストレートでなくても良いんだけどさ」 突っ込みも然して気にした様子も無く、 胸より下まで伸びたゼシカの長い髪の毛を梳くように撫でた。 すかさずその手の甲をゼシカがパシ、と弾き飛ばすように叩く。 「勝手に触らないでくれる?エイトにギガデインして貰うわよ?」 「おーこわ。エイトは過保護だからなあ」 両腕を広げ、おどけて肩を竦めて見せるククールを、 口に髪ゴムを銜えながらゼシカが睨み付けた。 「どういう意味よそれ。エイトに何か文句でもあるの?」 「いーや別にー」 素っ気無い扱いをされても、ククールは移動しようとはせずに そのままゼシカの斜め後ろに腰を掛け、そっぽを向いて間の抜けた声で答える。 「…あっそ。いいわよ、もう」 何処までも不真面目な態度にゼシカは呆れて嘆息し、 ククールから目を逸らして髪を結び直す。 丁度二つ良い感じに結び終えた所で、 急に後ろから「ねえ」と声を掛けられてゼシカは驚き、思わず腰を浮かせた。 「な、何よ!いきなり話しかけないでよ!」 ドキドキと早鐘を打ち始める胸を押さえて、 首だけ後ろに向け声を掛けた人物を怒鳴り付ける。 けれどそこに見えた表情は、 先程のおどけたものとうって変わって酷く真面目なものだった。 「……なによ、ククー」 「ゼシカは、エイトのことが好きなのか?」 怪訝に思って名前を呼ぶ声を遮られ、唐突に真摯な表情でそんなことを聞かれ、 ゼシカの時間は思考と共に静止した。 数秒後。漸く平静を取り戻したゼシカが口を開く。 「…ば、馬鹿言わないでよ!何であたしがエイトのことなんか…」 「お願い。ちゃんと答えて」 思わず赤くなった頬を隠すように顔を背けた所へ、ククールの顔が近づいた。 ゼシカの顔の少し右側、首筋の辺りにククールの微かな吐息が掛かり、 先程とは違う意味で心臓がドクドクと物凄い勢いで波打つ。 「…ゼシカは、エイトが好きなのか…?」 ククールはそのまま顔をゼシカの、結んだばかりの髪に近づけ、 手袋を嵌めた掌で掬うように押さえて口付けを落とす。 ゼシカは心臓のあまりに早い動きと、間近に感じる気配に眩暈を感じるも、 泉の方から「ゼシカー!ククール!」と自分達を呼ぶエイトの大きな声にハッと我に返った。 瞬間、ゼシカは傍にいたくクールの姿を極力見ないようにして 勢い良く立ちあがり、直ぐ傍の林の中へ猛スピードで逃げ込んだ。 あっと言う間に目の前から消えてしまったゼシカの後ろ姿を呆然と見送って、 ククールは「ハッ」と自嘲的な息を吐く。 どうやら自分の憶測は当たっていたらしい。 図星をさされたのが恥ずかしいからか、悔しいからかはわからないが、 話を続けるのが嫌でゼシカは逃げたのだろう。 「…やっぱり、な。想像はしていたよ」 視線を泉の方へ変えると、 ゼシカの様子を不思議に思って駆け寄って来るエイト達の姿が見える。 「……オレも逃げちまいてえ」 そんな光景を目を細めて眺めながら、周りには聞こえない小さな声でポツリ、 寂しそうに苦しそうにククールは低く呟きを零した。 林に入って少しもしない所にあった大樹に背中を預けるようにして、ゼシカは足を止めた。 ハアハアと荒い呼吸を整えながら、ずるずるとその場に崩れ落ちる。 自分の首筋に、髪の毛に、 まだククールの気配が残っているようで落ち着かなかった。 心臓はまだ頭の中に鼓動の音が聞こえる程に高鳴っているし、 火を噴いてしまいそうな程顔も、身体も熱い。 『エイトのことが好きなのか?』 ククールの真理がわからない。それでも、切なそうに、 真剣な声音で聞いて来た言葉が耳の奥に焼きついて離れなかった。 膝を抱くように蹲って、顔を伏せると酷く泣きたい気分になって、 意味もなく目元を擦った。 「…何よ。そんな所ばっかり鈍感で…馬鹿みたい」 エイトのことが好きか、なんて何処を見てそんなこと言ってんのよ。 落ち着かない呼吸の所為でうまく紡げない言葉の代わりに、心の中で毒づく。 今更、今更過ぎると自分自身に言い聞かせるように繰り返す。 じわりと目尻に濡れた気配を感じて顔を顰めたまま、 立てた自分の膝に押し付けた。 このまま一人で泣いてしまいたい。 今更ククールのことが好きなんて、口が裂けても言える訳がないのに。 un titled2 un titled3 un titled4
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/294.html
4人で暇つぶしに始めたポーカーは、ククールの全戦連勝。すでに夜も深い。エイトとヤンガスは もう寝ると言って部屋に引き上げてしまった。残ったのは、負けず嫌いのお嬢様と煩悩まみれの僧侶。 「…ゼシカ、お誘いは嬉しいけどオレも正直眠い」 「ダメよ、あと一回!あと一回だけつきあいなさい!さっきはいいところまでいったもの、次はいけるわ」 辟易していたククールの顔に、ふいに浮かぶ悪巧みのほほえみ。 「…いいぜ、じゃああと一回だけ。そのかわり、次でゼシカが勝てなかったら、罰ゲームな」 一瞬きょとんとしたゼシカの顔がわずかに赤らみ、キツくククールをにらみつける。 「…………イヤらしいこと考えてるなら燃やすわよ」 「バカだな、紳士は女性の弱味につけこんで手を出すなんて真似しねぇの。単純にその方が楽しいだろ? 罰は…そうだな。じゃあ、”指文字当て”で」 「なに、それ?」 「手の平とか、…背中とか?見えないところに指で文字書いて、なんて書いてるか当てるのさ」 「ふぅん。………別にいいけど、そんなのが罰ゲームになるの?」 「やってみりゃよくわかる」 「で、なんでククールがそんなに嬉しそうなのよ」 「やってみりゃ、よーくわかるよ」 怪訝そうなゼシカに、こみあげる笑いをおさえつつ、ククールはサラリとそう言った。 ククールはソファに腰掛け、長い足を組んで上半身だけを横に向けた。 そこには、ククールに背中を向けてソファの上に乗っているゼシカ。 準備は万端。そう、もちろん最後の勝負に勝ったのはククールだった。イカサマしたかどうかは このさいどうでもいい。目の前には、最高にいい女の剥き出しの背中が無防備にさらけ出されている。 その肌を目を細めて眺めていると、沈黙に耐えかねたのかゼシカがこちらを小さく振り返った。 怒ったような困ったような表情で、無言でククールを見ている。 この状況で、そんな目で、男を見ない方がいいぜ、お嬢さん。内心で苦笑しながら、 ククールは左手の手袋を口でくわえて、わざとゆっくりと外していく。ゼシカはそれをじっと見ている。 「……じゃ、やるぜ?ゼシカ」 「…………もったいつけてないで早くしなさいよ」 明らかに不安を帯びた声音とは裏腹な強気なお誘いに、ククールは小さく吹き出す。 身を乗り出したククールを見てゼシカは慌てて前に向き直ると、無意識に全身を思い切り強張らせた。 はじめは大胆にではなく、羽根のようにそっと指を辿らせる。 きめ細やかですべらかな肌。日に晒されながらも白く美しい背中。なんの警戒心もなく目の前に 差し出されている、そのうなじや、華奢な肩に、ツインテールの後れ毛。 いつも自分の目の前にありながら、触れたことなどほとんどなかった。 文字なんか書いちゃいない。時折ピクリと反応する背中を愛おしく思いながら、その感触を確かめる。 「………わかった?」 「………わかんない」 深夜の部屋に、男と女が2人きり。聞こえるのはもう何度繰り返されたかわからない囁くような問答と、 小さな息づかいだけ。お互い口にはしないものの、明らかに昼間の自分達とは違う濃密な空気に、 ゼシカは戸惑い、ククールは酔っていた。 姿勢を正して座っていられなくて、ゼシカはいつのまにか少しだけ前のめりになり、 手許のクッションをギュッと握っている。背中がくすぐったくて、熱い。ククールの長い指が 自分の背中を這い回っていると思うと、気持ち悪い…のに。気持ち悪いだけじゃない気が、する…。 ゼシカは意を決して声をあげた。 「く、ククール。………もう、やめましょ」 「……なんで?ゼシカまだ当ててないじゃん」 「だ、だからって。こんなのキリがないわ。罰ゲームだっていうなら、他のものにしていいから… ………これ以上、これは、続けたくない」 「………………………ふぅん」 不満気なククールの呟きにゼシカが背中を向けたまま硬直していると、離れていたククールの指が 再び背中に触れてビクッとしてしまう。指先だけじゃない、手の平全体で触れている。 「じゃあ…………。…………今から書くの、全身全霊で、感じて、当てて」 「え…?」 指が、ことさらにゆっくりとゼシカの背中をすべった。しっかりと意味をもつ言葉をつづりながら。 ゼシカは目を見開いた。ククールは、書き終わると無言のまま返答を待っている。 ゼシカの顔が赤いような気がするのは気のせいだろうか?耳も、背中も、ほんのりと染まっている。 「……………………………………………………わかんない」 長い沈黙の末に、ゼシカはそう答えた。 それを聞いたククールは、心底楽しそうにクックッと笑いながら指を離した。 ゼシカは顔どころか全身を赤く染めてうつむいている。 2人の特別な夜もお開きに近づき、ゼシカがようやく肩の力を抜いてため息をついた時。 「…………!!!!!」 最後の戯れとばかりにゼシカの背中に口づけを落としたククールが、背後で囁いた。 「………今のは、わかる?」 「………………………ッッ、~~~~~バカッッッッ!!!!!!!」
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/298.html
652 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/13(水) 19 10 52 ID lvbykkkH0 ここまでイっときながら、EDではくっつかない どころかククは他の女を引き連れて…何かが…何かがあったんだわーー!! ………と妄想するのが楽しくて仕方ないわけで 実際後半のククゼシってなんとなくいつも自然に一緒にいたんじゃないかにゃー 653 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/13(水) 20 00 56 ID 02WNJ7Ve0 後半なんて最初ククを毛嫌いしていたゼシカが 差し出されたククの手を自然に取るし ゲモン戦でもククがナチュラルにゼシカを庇うし、 マルチェロ戦の後はゼシカが心配そうな顔してククに駆け寄るし ムービーとかではいつも隣とか近くにいるし……… だけどククは最後他の女連れてにやにやしていて ゼシカはなんかヤキモチ妬いているっぽくて…… なんか色々ありそうでたまらんこの二人www 654 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/13(水) 23 09 43 ID LbJ6OXR60 多分端から見たら両思いなんだけど本人達だけ気づいていない あるいはクク辺りは気づいていても相手のためを思って 自分なんかは相応しくないと自ら離れようとする。 そんな感じに見えてならないエンディング付近の2人。 ククゼシフィルター常に全開 655 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/14(木) 01 40 31 ID xXyAcJ7l0 ククのゼシカにやきもち妬かせちゃえ大作戦!…とかはないよねw 656 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/14(木) 13 25 39 ID Wwopxiu3O 655 自分はそれもアリだ。 そんでメラくらうクク…ってどMじゃね? 自分は相応しくないからとゼシカから離れようとする自虐的?なククも ヤキモチやかせたいナーなんてお調子者なククもイイ。 ククゼシに関しては節操なしだわ 657 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/14(木) 14 51 18 ID jrRLSapS0 ①ゼシカのためを思い身を引くため敢て嫌われるような行動を取るクク ②ゼシカにヤキモチ妬いてほしいな~なんて感じのお調子者クク ③ゼシカの気持ちが本当に自分にあるのか確かめようとする不安の塊クク どれもあり! ククゼシだったらどんなパターンでも萌えられるw 658 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/14(木) 15 00 42 ID 198/Z7/B0 4・ただ単に「王族の結婚式見たいから連れてって」と頼まれたので、連れてきただけのクク も追加希望。 これは、ゼシカが自分を好きだなんて夢にも思わず、まさかヤキモチやかれるなんて 想像の範囲外で、なぜゼシカが怒ってるのか、わからないってことで。 ゼシカ相手になると、激ニブになってくれるククが好みなもんで。 659 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/14(木) 21 45 39 ID sJTv4SHY0 ①~④の全部有り ④のにぶーいククもいいなw 別の選択として、ゼシカが自分の事を好きという事に気づいていないククの他に そもそも自分自身の恋心すらはっきり自覚していない激にぶククとかも好きだw 660 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/14(木) 23 40 35 ID YKDyr/1U0 さらにそれに輪をかけて自分がヤキモチやいてることにカケラたりとも気付いてない 激・激にぶちんなゼシカww 「何怒ってんだよ?!」 「怒ってなんかないわよ!!」←メラ 「どう見ても怒ってるだろーがッ」←よける 「アンタなんか最低よククールのバカ大っキライッッ!!!!!!」←逃げる 「ちょ、待……… …………………………………………ってお前モシカシテ妬いてんのか!?!?」←追いかける このあとの展開はそれはもうアナタ… 661 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/14(木) 23 57 42 ID r/OvRDVXO 660 ニブカプなククゼシもいける! もう気付くの遅いってククールw(・∀・)ニヤニヤ この後ククールがゼシカの腕を思いっきり掴んで引っ張りそのまま抱き締めて こっ恥ずかしい告白大会とかを繰り広げるのかなw 662 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/15(金) 04 17 27 ID MxKV9Od70 660 まさにそんな感じなんだろう、EDは 主人公視点でストーリーが進んでいたから その辺りやその後の様子はカットされてしまっただけで、 主人公がミーティアといい感じになっている裏で ククゼシの二人はそんなやり取りをしていたに違いない 663 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/15(金) 21 39 47 ID j3klemm+0 くっつきそうでくっつかないカプの王道を行く2人だけど やっぱ最終的にはきっちりくっついて欲しいねw 勿論くっついた後の展開も色々あるんだろうけど 664 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/15(金) 22 48 23 ID ke8dMIjEO 660 ククはここではっきり自覚したんだろうけど ゼシカは相変わらず自分の気持ちに気付いてなさそうだから この後一悶着ありそうw 665 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/16(土) 01 00 16 ID DGdumU6T0 「うぬぼれないでよッッッ!!!!!!!!!!!」 ってやつっスねw うわーハゲ萌えるー 666 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/16(土) 02 58 43 ID /o/OgG5N0 じたばた抵抗するゼシカをそのままぎゅーっときつく抱きしめてくれ>クク 最初は暴れていたゼシカがだんだんに大人しくなってきたら 「ゼシカが妬いてくれるなんて思ってもみなかった」とぽつりと呟いたりして 「なっ…別に妬いてないわよ!」と否定するゼシカを無視し ひたすら「嬉しいなあ」「漸くゼシカも俺に落ちてくれたか」とか肯定し続けて ゼシカ本人も自分の気持ちを認めざるを得ない状況に追い込んでいって欲しいw でもゼシカならどんなに追い込まれてもきっとやられっぱなしじゃない… 667 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/16(土) 08 18 23 ID nG14sboM0 ひたすら「嬉しいなあ」「漸くゼシカも俺に落ちてくれたか」とか肯定し続けて 幸せそうなククを想像すると、萌え和む。 ゼシカがどんなに抵抗しても、絶対敵わない腕力差と、ククールの腕の中に すっぽり入ってしまう体格差が、もうたまらん。 ゼシカが戦士や武闘家タイプじゃなくて、本当に良かったw 668 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/16(土) 16 32 15 ID ZcUNPaXJO ククは普段の気取ったような表情とか作れずに、 本当に幸せ全開といった感じのニヤ~~~って顔で ゼシカを腕の中に閉じ込めているんだろうな 669 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/16(土) 21 15 27 ID r8Pz6KPA0 667 ちょうどすっぽり収まる感じがねww こりゃあゼシカはククに抱きしめられる為に生まれてきたに違いないな 670 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/17(日) 02 12 53 ID nHc09JyB0 660 追いかけっこして あーだこーだして 口論の末ゼシカが 「だから、アンタが好きだって言ってんのよー!!!!」←メラゾーマ 「…ッうおおおおおお!!??」←直撃 「きゅう」 「…あっ、ククール!起きなさいよちょっと!返事してよ!」←ゆさゆさ 「「「………………」」」 そして661ということになるわけだな。脳内補完できた。 この後ククールがゼシカの腕を思いっきり掴んで引っ張りそのまま抱き締めて こっ恥ずかしい告白大会とかを繰り広げるのかなw 671 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/17(日) 16 38 34 ID 2YylZt820 映画「耳をすませば」ばりの見ていてむず痒くなる 青春告白シーンが思い浮かんだw 672 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/17(日) 18 21 17 ID FOXQFDql0 ククがゼシカを力一杯抱きしめながら 「ゼシカ、大好きだ!」と叫ぶんですね、分かります 673 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/17(日) 20 10 51 ID kObudaZqO いいね。あー青春ククゼシ漫画読みたい! 674 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/17(日) 21 47 31 ID en1pVQe00 テレビを見ていたら、とある俳優がとあるアイドルに惚れてなんとか口説き落とそうとし、 一方アイドルの方は(俳優のくせにちゃらちゃらした男!)と 印象最悪だったというエピソードをやっていてついククゼシに重ねて考えてしまったw その俳優とアイドルがドラマ撮影でキスシーンを演る事になり、 キスをした瞬間俳優の方が(やっぱ俺この人のことが好きだ!)と強く思って 演技と現実がごっちゃになり、唇が触れたらすぐ離れるという場面なのに 思わず30秒以上キスしたままだったとか。 後にその俳優とアイドルは結婚したらしいんだけど ずっとククゼシで脳内変換して見てしまったw 675 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/17(日) 23 17 52 ID FLiCr+KXO 最初はちゃらついてて最悪な奴と思っていたのにいつしか恋に…というのは萌えパターンの王道w ククゼシは王道を行く萌えカプだと思います 676 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/17(日) 23 28 23 ID wDNbQn/T0 669 2行目自重しろwwww 腕の中にすっぽり捕らえた状態で 「アンタなんかキライだって言ってるでしょ!!!!」 「うんうん」ニマ~ 「ちょっと!聞いてるの!?」 「聞いてる聞いてる」 「ダイッキライだって言ってるのよ!!」 「わかってるわかってる」 「わかってるなら離しなさいよ~!!!!」 もはやゼシカからの「キライ」が「スキ」にしか聞こえない幸せククールさん やべぇこのネタだけでむこう半年は萌えられる 677 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/17(日) 23 52 40 ID dq8DkI2x0 676 では自分はそのネタで1年は萌えさせてもらおうかw ゼシカはゼシカで離しなさい!とか言いながらも ククの腕の中がどうしようもなく心地良く感じられてしまって 言葉とは裏腹にあまり抵抗できずにいたりしてね。 幸せ絶頂なククさんと、心臓が爆発しそうなくらいに ドキドキいっているゼシさんみたいな感じでお願いしますw 678 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/18(月) 18 48 21 ID EUjF9YAo0 クク本当に幸せ何だろうなーって感じでいいw それにしてもゼシカって抱き心地良さそうだよね 巨乳だしwもち肌なイメージがある ちょうど自分の中にすっぽり納まる感じもあって まさに極上の抱き心地を堪能するククル・・・ 679 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/18(月) 21 05 27 ID Wg562bSv0 676から萌え頂きました やっつけですが ttp //www6.uploader.jp/user/tttupttt/images/tttupttt_uljp00013.png 680 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/18(月) 23 07 08 ID 15a9Ti1G0 679 GJ! なんか告白シーンまで素直になれない感じが可愛いw ゼシカってかなりはっきりした素直な性格していると思うんだけど ククールに対して限定でツンデレっぽくなるのがいいww 逆に普段からツンデレっぽい感じのククールが ゼシカに対してたまにすごーーーく素直になったりするのも萌える
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/16.html
ククール&ゼシカAA ククール&ゼシカAA 2 指輪のシーン 季節のククゼシ チュープリーズ ククゼシインタビュー 寝惚けゼシカ 説教ククール寝惚けゼシカ続編 ククゼシの予感 ククゼシ結婚式 ククゼシスレはsage進行が鉄則です 危険な武器 2009年は丑年だから… 2010年ですね! ゼシカがククールにさらわれた!主人公達は… 豆まき 窺っていました 妹スキル姉スキル ほんわかカップル エイプリルフール 抱き枕になってください 抱き枕になってください2 ハロウィン! 祝・ドラクエ8 5周年!! ククのバレンタイン計画 ククのホワイトデー計画 草食系男子 パターン1 草食系男子 パターン2 お茶の間の二人 コインおもちゃ
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/67.html
「まだ飲み足りないの?私は宿屋に戻って休んでるから。どうぞごゆっくり!」 「そりゃないぜハニー」 そう言うククールの周りには、いつものようにバニーガール。 エイトはやや困った風情で、ヤンガスは「ま、仕方ないでげすね」という表情でこちらを見ている。 ゼシカはそんな仲間たちを見ながら酒場を後にした。 ここはドニの町。宿屋は道を挟んですぐ向かい側…のはずだったが。 「あれ?私酔ってる?」 外は真っ暗だった。町の灯りがあって然るべきなのに。 振り向くと、たった今出て来た酒場の扉すら見えない。 手を伸ばしても何にも触れられない。 「あれ?なにこれ?やだ…ねぇ、みんな…みんな、どこに行っちゃったの!!?」 「!!…夢、だった…のね」 ふぅ、と息をつくことで、ゼシカはようやく今の出来事が夢だったと実感できた。 「随分とうなされてたでげすな」 心配そうに語りかけてくるヤンガスの声を聞き、ゼシカは記憶の整理をする。 「スープか何か貰ってきやす。ちょっとでも食った方がいいでがすよ」 そう言って派手な足音を響かせ受付カウンターへ向かうヤンガスを見送りながら、ゼシカは天井を仰いだ。 (そうだった。私はあの杖に操られてとんでもないことをしちゃって、みんなが助けてくれたんだっけ…) 七賢者によって杖に封じられた暗黒神の魂から放たれる邪気は、想像以上にゼシカの身体を蝕んでいた。 一行は彼女の体力が回復するまでリブルアーチ逗留を余儀なくされてしまっていた。 ゼシカは数日間眠り続け、一度は目を覚ましたものの、仲間の顔を見て安心して再び眠りに落ち、そして今の悪夢に襲われたのだ。 横になっていたら悪夢の続きを見てしまうかもしれない…。 そう思ってゼシカはゆっくりと起き上がった。意図してゆっくりではない。身体が鉛のように重く、思うように動いてくれないのだ。 眠り続けていたゼシカは知らないが、宿屋の従業員はゼシカを恐れて客室に近付こうとはしなかった。 無理もない。ゼシカは町の中であれだけの事をしてしまったのだから。 町で平和な日々を送る人々は、呪いや魔法のなどといった日常からかけ離れた事柄についての知識は無いに等しい。 何かあったところでハワードのようなその道に心得のある者を頼れば良いのだから、なおさらである。 そんな彼らには、ゼシカの見た目以外の違いが分からないのだ。 「良かった。寝てなかったでげすな」 ヤンガスがスープを持って戻って来た。 「ありがとうヤンガス」 ゼシカはスープを受け取り、立ち上る香りを嗅ぎ、口に運ぶ。 スープを味わう。 ただそれだけの事に、ゼシカは幸せを感じずにはいられなかった。 暗黒神に操られていた時は、何を食べても味も香りも感じられなかったのだ。 意識だけを残しておいて他の感覚を全て奪い、操る。 そのことでもたらされる不安と恐怖を糧として、その呪縛は更に強固なものとなる仕組みだったようだ。 暗黒神の呪縛の恐ろしさを、解放されてみて改めて思い知らされる。 スープの熱さと塩味が少し滲みた。口の中と、唇と。 痛かったが、しかしその事がゼシカには心地よくもあった。 「…おいしい」 「そりゃ良かったでがす。ゆっくり食ってくだせえ」 「ねぇ、みんなは何してる?」 時間をかけてスープを半分程に減らしたところでゼシカが切り出した。 「兄貴は馬姫様とおっさんの所に行ってるでがす。ククールは…」 一瞬考え込むポーズをした後、ヤンガスは続けた。 「アッシと交代した時、ちょっとドニの町まで行ってくるって言ってやしたね」 「ドニの町?」 ちくっ、と胸に刺さる地名だった。 ドニの町にはククールの知り合いが何人もいる。 面倒見の良さそうなおばさん。説教をしてくれるおじいさん。気さくな酒場のマスター。 そして、酒場に入ると喜んで駆け寄ってくるバニーガールたち…。 馴染みの顔に逢って嬉しいのは分かる。けど、バニーガールたちにもみくちゃにされているククールの姿を見るのは、何となく嫌だった。 「私が動けないから…暇つぶしに行ったのかな?」 ゼシカの絞り出すような声を耳にして、ヤンガスの頬には一筋の冷や汗が流れる。 「そっ、そんな事は無いと思うんでがすが!酒ならこの町でも飲め…」 しまった!!とヤンガスは思ったが、時既に遅し。 「ふーん。用があって行ったんだ。ドニの町に」 一行の足を止めているのは、他ならぬゼシカ自身だ。 自分の回復を待ってくれているだけでありがたいと思わなければならないのに。 仲間の自由時間の使い方に目くじらを立てるなんて立場ではないのに。 なのに、胸が痛む。 突然、宿屋のドアが乱暴に開けられた。 「あ、すいません、大きな音たてちゃって」 「まぁ大変!転んだりなさったの?!」 「いてて…。ったく、階段多すぎだぜ、この町は」 二人の男の声と宿屋のおかみさんの声が交互に聞こえてくる。 エイトとククールだった。 「お!兄貴たちが来やしたね」 ゼシカにどう声をかけたものかと思案に暮れていたヤンガスが、助かった、とばかりに受付カウンターの方へ向かう。 「ほんとに二人して転んだみてぇでがすなぁ」 笑いながら言うヤンガスの口調で二人が大した事態ではないと、姿を見る前にゼシカには解釈できた。 ほどなく部屋に入って来た二人は、なるほど土ぼこりにまみれている。 ククールがエイトの肩を借りている状態だった。 「馬車の前で陛下と話をしていたら、ククールがルーラで飛んで来たんだ。「そこどけ~!!」って言われたんだけど、避けられなくて…」 「直撃を喰らったでげすか」 うん、とエイトが頷く。 「トロデ王やミーティア姫に当たらなくて良かったじゃない」 「うん。陛下もそう仰ってた」 エイトの言葉で一同は笑い出した。 笑いながらゼシカは思う。 (うん、夢じゃない。私、みんなの所に戻ってこられたんだ…) 「ああ、わりぃ。二人ともちょっと席外してくれねえ?」 ククールのその言葉に、ぴくっとゼシカの肩が一瞬震えた。 ドニの町から帰って来たククールに、一体どう接すればいいのだろう? そんな考えをゼシカが脳裏に巡らせている間に、エイトとヤンガスは宿屋を出て行ってしまった。 先ほどまでヤンガスが座っていた椅子にククールが腰掛ける。 「お酒くさっ!」 ゼシカの一言目は自然に出た。いや、出てしまった。 「参ったな。そんなに匂うか?」 ククールは悪びれもせずに言うと、自分の袖口や肩などの匂いを嗅いでいる。 「ばっかじゃないの?飲んだ本人には分からないわよ」 「スープ」 え?とゼシカは手元を見る。 「スープ、冷めてるぜ。さげとくか?」 酔っているくせに細かい奴、と思いながら、ゼシカはスープ皿をククールに手渡す。 カウンター越しにククールがスープ皿をおかみさんに渡す様子が、ベッドからも伺えた。 「ドニの町に行ってきたんだ」 思いもかけず、直球が飛んできた。 カウンターから戻ってきたククールは、今度は椅子ではなく奥のベッドに腰掛ける。 「知ってる。ヤンガスが教えてくれたわ。バニーさんたちは元気だった?」 咄嗟に返した言葉を反芻してゼシカは、何で私はイヤミ言ってるのよ、これじゃ誰かさんと同じじゃない!と思い、胸の内で頭を抱えてしまった。 「ああ、元気だったぜ。その元気を分けてもらいに行ってきたんだ」 「はぁ?」 「おかげでこんなに飲まされちまった。まったく、酒酔いルーラなんてやるもんじゃないな」 呆れて言葉が出てこない。 ゼシカは、はぁ、と深くため息をついた。 自分が臥せっている間に、馴染みの店で楽しい時間を過ごしてきたと言うのだ。 この男は。臆面も無く。 何故そんな話を聞かせられなければならない?酔った勢いにしても酷すぎではないか。 「ふーん、良かったじゃない。元気を分けてもらえて」 ククールから視線を逸らし、そう言うことしかゼシカにはできなかった。 「あのさ。目、つぶっててくれないか」 まったく、この酔っ払いは唐突に何を言いはじめるのだろう? そう思いながらククールを見やると、その表情はいつもの軽口をたたく時とは明らかに違うものになっていた。 「なっ…なんでよ?」 「秘密。すぐ分かるけどな」 仕方がないのでゼシカは言われた通りにする。 まさかこんな状態の時に変な事しないわよね?と思いつつも、ゼシカの胸の内には様々な感情が交錯する。 わざわざ人払いをしたのだ。何か目的はあるはず…。 手袋を外す音がした。両手分。 それはほんの数秒であるはずなのに、目を閉じているせいかゼシカには長く感じられた。 身体の内から耳の奥に胸の鼓動が直接聞こえる。気付かれたくはなかった。 ほどなくして。 ゼシカの顎にそっとククールの指が触れてきた。 そのままほんの少しだけ上に、ややククールの側に向かせられる。 「なっ…なにす…」 「動かないで、そのまま」 ククールの声は普段とは全く違っていた。深く、重い。 目をつぶったままなので見えはしないが、おそらくは人さし指であろうそれが、ゼシカの唇に触れてきた。 いわゆる「静かに」という、あの動作。 身体が硬直する。頬が熱くなり、胸の鼓動は更に高まる。 (…ずるい。こんなの反則よ…まるで魔法だわ…) その永遠とも思える一瞬の後。 つっ、と、軽く指の腹で唇を撫で付けられた。 (甘い…?) 「もういいぜ」 ククールの声にハッとしてゼシカが目を開けると、いつもの悪戯っぽい表情が飛び込んできた。 ぼーっとするゼシカの手を取り、ククールは持っていたものを手渡す。 それは装飾が施された小さな瓶だった。 「これは?」 「さっき言ったろ?元気を分けてもらいに行ってきたって」 瓶を開けると、中は琥珀色の液体で満たされていた。 「バニーの仕事ってさ、夜遅くまでやってるだろ?」 「う…うん。それが?」 目をぱちくりさせるゼシカを見てククールはにやりと笑い、話し続けた。 「そんな彼女たちの元気のもとが、このハチミツなんだってよ。商売柄、彼女たちはこういうものに金かけててさ。そこらの店で売ってるのとは全然ものが違うんだ」 ククールは手袋をはめ直し、ベッドに腰掛け脚を組む。 完全にいつものスタイルに戻っていた。 「体調が優れない時にお茶に入れて飲んだり、今みたいに唇に塗ったりすると、バッチリ効くんだと。昔そんな話を聞いたのをふと思い出して、な」 と言いながらククールはウィンクをした。 「お酒たくさん飲まされたって、もしかしてこれをもらったから?」 「そ。今度はこっちの頼みを聞きなさいよ、だとさ」 ぷぷっ、と、思わずゼシカは吹き出した。 「なぁんだ」 「ん?なぁんだ、って?」 「あ…えっと………」 ゼシカは視線を逸らし、所在無さげに瓶を玩ぶ。 「もしかして妬いてくれちゃってたりしたのかい?」 「!!!…もう!ご想像にお任せしとくわ!!」 「光栄に存じます、ハニー」 ククールは立ち上がって言うと、旅に合流する時に修道院の入り口で見せたあのポーズをとる。 それを見たゼシカはたまらず膝を立て、そこに顔を埋めてしまった。 膝に顔を埋めたまま、ハチミツが塗られた唇にこっそりと触れる。 ささくれだった唇をハチミツが潤してくれているのが、指先に感じられた。 優しい甘さが残っている。 今度飲むスープは、きっともう滲みないだろう…。 そうだ。 エイトとヤンガスを呼んできてもらって、みんなでお茶を飲もう。 このハチミツを入れて。 トロデ王とミーティア姫には、エイトに届けてきてもらおう。 無くなったら、またドニの町のバニーさんから分けてもらえばいいものね。うん。 「ねえ、ククール。みんなを…」 膝から顔を上げたゼシカの目に映ったのは、隣のベッドで寝息を立てているククールだった。 一瞬あっけに取られたゼシカは、こつん、と、右のこめかみを膝に置き、ククールの寝顔を見ながらひとしきりクスクスと笑った。 「…ありがとう、ね。ククール」 ~ 終 ~
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/309.html
「ゼシカぁ」 草原の中の、大きな大木に背中をあずけて座っていたゼシカは、耳慣れた声に顔を上げた。 少し離れたところからサクサクと草を踏み分けて歩いてくるのは、確かめるまでもなく赤い不良僧侶。 やがて彼はゼシカの傍までやってくると、隣にドサリと音を立てて腰をおろした。 「なぁ、ひざ貸して」 「はぁ?」 思いっ切り怪訝な顔。ククールは眠いのか目をしばたかせながら、ひざ、と顎で示してみせる。 「…あのねぇ、今私が何してるのかわかってる?」 ゼシカのひざには、スカートとは異なる赤い布が広げられていた。そしてその手には針と糸。 「…オレのマント」 「そうよ。いいかげんほつれがひどいから直してるんじゃないの」 言いながらかがり縫いをしていくゼシカの指をしばらくぼーっと見ていたククールだが、 ふいに目が覚めたのかニンマリと笑った。 「ゼシカも縫い物とかできるんだな」 「そりゃあ一応、一通りはね」 「料理はアレなのになぁ」 「うるさいわねッ!誰にでも不得意なものくらいあるでしょ!!」 そりゃそうだけど、アレを不得意の一言で片づけてしまっていいものなのか。 ククールは楽しそうにクックッと笑っている。 「なによッ もう直してあげないわよ!?」 「それだってなぁ、誰かさんのメラだのメラミだのにやられた分がけっこあると思うんだけどなぁ」 「自 業 自 得 よ!バカ」 ほのかに頬を染めてそっぽを向くゼシカに、ククールは笑いを抑えきれない。 ククールは、ゼシカがもたれている木の幹に、彼女に寄り添うようにして自分も背中をもたせかけた。 かなり高い位置から、彼女の意外に手際の良い指の動きと、必然的に視界に入る魅惑の谷間を 眺めて楽しむ。彼女の肩にわざと少し体重をかけてみるが、抗議の声は聞こえてこなかった。 うーん、とククールは小さく唸った。この状況に不足はないが、本来の目的はやはり諦めきれない。 触れ合っている身体を、軽く揺すってみる。 「なー、ひざ貸してって」 「まだ言ってるの?自分の腕でも枕にして寝てなさいよ」 「男のゴツい腕でなんか寝れねぇよ。ゼシカのあったかくて柔らかいひざがいーの」 「じゃあヤンガスのおなか借りたら?あったかくて柔らかいに関してあれを上回るものはきっとないわよ」 「よりによってヤンガスかよ!」 「それがイヤなら、そこらへんでしましまキャットでも捕まえてきなさい」 「…あぁ言えばこう言う…」 はぁ、とククールがため息をつくと、今度はゼシカがクスクスと笑った。 まぁ、この笑顔を見ながらうたた寝するだけでも充分か、とククールが考えた時。 「後ろ向いて」 ゼシカがそう言ったので、なんだよ、と言いつつも大人しく背を向けると、突然背中にふわりとした 感触が降ってきた。慣れた感覚。自分のマントだ。 「前留めて」 言われるままに留め具で固定すると、後ろからゼシカがマントを軽く引っ張って背中に触れる。 「…うん、大丈夫ね。少しはましになったわ」 顔が見えないからか、その声音が妙に優しく聞こえた。 サンキュー、と言いかけたところで、お礼の言葉がうわっ と小さな叫びに変わる。 後ろから思い切りマントを引っ張られ、あったかくて柔らかいものに後頭部がぽすりと包まれる。 気付くとククールはゼシカを見上げていた。 常にはない視点だ。おぉ、とククールは思わず声をもらす。 「少しだけよ」 ゼシカの照れた顔が新鮮に映る。そして至近距離で下から見上げる巨大な2つのふくらみも。 これはこれで最高だな、などと考えながら、ククールは改めて身体をラクにしてゼシカを見上げた。 「…マジに寝てもいい?」 「いいわよ。私はあなたのマヌケな寝顔でも見てるから」 「ひでー。やっぱ起きてよっかなーこの位置最高の眺めだし」 そこでゼシカはククールのニヤける視線に先に気付いたのか、 そのだらしなく垂れ下がった目元を手の平でパシリと覆ってしまった。 「おーい、ゼシカちゃんのかわいい顔が見れねぇんですけど」 「見てるのは別のところでしょ。目を閉じないとラリホーかけちゃうわよ」 起こったフリをしながらも言葉の端で笑っているゼシカに、 はいはい、とおざなりに返しながらククールも笑い、身体の力を抜いた。 「―――おやすみ ククール」 やっぱり顔が見えないからだろうか。とても優しく聞こえたそのささやきに、 ククールは小さく頷いて、たちまち穏やかな眠りに落ちたのだった。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/299.html
711 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/24(日) 23 06 02 ID DCHlnBic0 ゼシカに言い寄ろうとする男は影でククが牽制して近寄らせないようにしていそうだ 712 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/25(月) 00 32 22 ID +85XdPsV0 まぁ十中八九そうだろうねぇ ゼシカの家の前で花束もってうろついてる輩を見つけては ミラクルムーンで遠いお空の彼方にふっ飛ばしてんじゃないの バギマの追加攻撃付きで ガチャッ「ククール?今なんか悲鳴が…」 「悲鳴?あぁオレがゼシカ愛してるって叫んでたの聞こえちゃった?」 「…バカ!!//」 ごまかしかたも慣れたものです。 713 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/25(月) 02 36 28 ID kdvkV9Iw0 712 ワロ萌えたw あぁオレがゼシカ愛してるって叫んでたの聞こえちゃった? 君が好きだ~と叫び~たい♪というフレーズが浮かんだ ククの台詞に「やめてよ、恥ずかしいじゃない」って 顔真っ赤に照れているゼシカを見下ろしながら 可愛いな~とデレているククな情景を妄想してしまった… 714 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/25(月) 18 52 17 ID 80Dhy+qS0 712 そのミラクルムーン&バギマの犠牲者の中には ゼシカの家の前をうろついている垂れ目の男も 含まれているんだろうなぁw 715 名前が無い@ただの名無しのようだ[sage]2008/08/25(月) 23 20 07 ID CpubvF+k0 712 バカップルぶり凄いなw 他の男がゼシカに言い寄るのは絶対阻止だけど 自分はゼシカの前で他の女にもつい良い顔してしまう。 そしてゼシカが怒ると 7年目の浮気 の歌詞のような痴話喧嘩を繰り広げるけど 内心ゼシカのヤキモチが嬉しくて仕方ない。 そんなククさんもありかなと思ったw
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/365.html
アーンの定義 レティスの影を追いかける日々。この土地は暑い。いや、熱い。元々の服装が厚着なうえ(もちろん上着は脱いでいても)そこに防具を身に着け、さらに言えば最初から暑さに弱い不良僧侶は、たったの数日ですでに完全にバテていた。「…ちょっとククール、テーブルに突っ伏さないでよ行儀悪いわね」エイト、ヤンガス、ゼシカがそれぞれ夕食をとる中、オレはその通り死にかけていた。隣に座るゼシカが怪訝な目を向ける。「それにあんた、今日も何も食べないつもり?この前からろくに食べてないじゃない…食欲ないのはわかるけど、少しでいいから何かおなかに入れなさいよ」「…………ぁ~…ぅ~」「あーうーじゃなくって!」ゼシカの困ったような怒ったような声に、無視する方が面倒くさいと悟って、半しかばね状態のオレはのっそりと体を起こし、机に突いた片ひじに顔を乗せて心底ダルそうに、大――きな溜息をはいた。「…むり。今なんか食うとか絶対むり」「少しでいいのよ、いきなりたくさん食べたら胃がびっくりするもの」「マジいらねぇ」「もう!明日もレティスを追うのよ、明日こそ追いついて、それからまた何があるかわからないでしょ?そんなんじゃ体力もたないに決まってるわ、絶対倒れるわよ」「だいじょーぶだって…」「あんたね、気力だけでなんとかなると思ったら大間違いなんだから。かっこつけてる暇があったら、スープの一杯くらい飲みなさいってば」チラ、とゼシカの手元のスープに目をやるが、たちまち顔をゆがませる。「…だめ。本気でむり」「一口くらい!」「あーもしつこいって!」「強情なのはククールでしょ!?」ゼシカの意見が正しいのはわかってるが、いかんせんオレも本気で参っているのでゆずれない。しばらく不毛な言い争いが続き、ただでさえシンドイのにどんどん不快感が募っていく。「…っ、ちょっと食わねぇくらいでなんともなんねぇよ、バカにすんなって」「バカになんかしてないでしょ?!」「あぁもう、ゼシカうるさい」「だって!」「……」オレが顔を覆ってハアッとあからさまな溜息をついたので、ゼシカはグッと押し黙った。沈黙がしばらく続く。ゼシカの心配は痛いほど伝わるのだが、体が参ると心にも余裕がなくなり、いつものようにレディにとるべき態度が取れない。わかっているのだがどうしても先にイライラが募ってしまう。早くこの会話を終わらせて席を立とう――そう考えたとき。「…ッ!」突然目の前に突きつけられた物体に、オレは目を見開いた。「くち開けて」毅然としたゼシカの声。スプーンの上に、野菜の具を乗せたスープが盛られている。咄嗟に拒絶の言葉を返そうとするが、ゼシカのつり上がった眉と泣きそうな瞳にう、と息をつまらせた。「…………騎士が私より先に倒れるなんてかっこ悪すぎるじゃない」ゼシカは口をへの字に曲げてそう言い、「私を守るんでしょ?」だったら、食べて。ほとんど強制的な命令口調で、だけど、その目は最後に お願いだから、と言っているように思えた。―――肩の力が抜ける。長い息が勝手に漏れる。オレは何かを諦めたような気になって、それからゆっくりとスプーンを口にくわえた。わずかに咀嚼し飲み込んだのを見て、ゼシカの顔が花を咲かせたようにほころぶ。「おいしい?」「………うん、まぁ、思ったより」冷たいコンソメスープは案外すんなりと喉を通った。久々の味覚に、かなりやられていた神経が少し復活するのを感じる。「もう少し食べられる?」言いながら再び掬われたスープを、一瞬躊躇したがもう一度口に含み、ゆっくりと飲み込む。おいしい、と素直に感じると、たちまち食欲が正常の機能を取り戻しはじめたようだ。「……もうちょっと」いささかかっこ悪いのを自覚しつつも、食欲に勝てずにボソリと催促すると、ゼシカはからかいもせず嬉しそうに笑い、ホッと安堵の息をついた。「スープはこれで終わり。もうひとつもらう?」三口目を食べさせてもらいながら首を振る。「んー…なんかもう少し、さっぱりしたやつ」「じゃあイチゴは?」「ん」ゼシカはオレが食欲を取り戻したことが本当に嬉しいらしく笑顔が絶えない。白い指で苺をつまみ、オレの口元に運んでくれる。オレはそれをパクリと食べる。熟しきっていない、甘味より酸味の強い苺は、瑞々しくてとてもおいしかった。一つ食べると、もう一つ。まるで雛鳥のように口を開けて、ゼシカが苺を運んでくれるのを待つ。オレがあんまり文句も言わず次々食べるので、ゼシカが思わず苦笑した。「指まで食べないでよ」「バレたか」「バカ」4つあった苺を全て食べると、ゼシカは満面の笑みでいきなりオレの頭をよしよしと撫でてきて、「よく食べられましたーえらいえらい♪」「………………~~園児かオレは…」がっくりと脱力するが、声をあげて笑うゼシカの顔が眩しくて、それ以上何か言い返す気にはなれなかった。オレはまったくゼシカに甘い。…と、思う。いや、女性にはすべからく甘いものであるからして、ゼシカの場合は甘いというか…。そもそも自分がレディに「甘い」のは、彼女たちの言い分を譲り、わがままを通すからだ。でもゼシカにはそうじゃない。正直ゼシカと意見をぶつけ合う時は自分も相当意地を張るし、間違いも正せば、怒る時は怒る。それはもちろん女性ではなく対等な仲間として接するからこそなのだが、結果として…必ず、と言っていいほど、けっきょく最後は彼女に負けている。――――そう、「甘い」んじゃない。オレはゼシカに「弱い」んだ。「明日の朝も、少しでいいから食べるのよ。それから今夜はいっぱい睡眠とって、体力回復させて、ね。そうだ、明日はできるだけ早く支度して、太陽が高く昇る前にレティスを追いかけようよ。――ね!エイト…」上機嫌のゼシカが前にいた…はずのエイトに話しかけるが、返答はなかった。「お連れさんなら、とうの昔に長老さんちに戻られましたよ~」ご飯を出してくれた家の人が、ほがらかにオレたちに声をかける。オレたちは顔を見合せて、またやってしまった、と苦笑した。食器を片してお礼を言って、立ち上がり、ゼシカに手を差し出した。それを取らないで、しばらくの間オレの顔を真顔でじっと見上げている。「…なに」「……顔色、よくなったね」大きな瞳を眇めるように優しく微笑む。ふいうちの笑顔に頬が赤くなったような気がして慌てて、でもさりげなく顔を入口の方に向けた。「いいから、ホラ。…行くぞ」オレの動揺を見抜いたわけじゃないだろうがクスクスと笑いながら、ゼシカの手がオレの手に重ねられる。何度も握ってきた手なのに、どうも気持が落ち着かない。立ち上がったゼシカの手をゆるく掴んだまま歩き出そうとしたら、逆に彼女の華奢な指が、オレの指をキュッと握ってきた。「―――――明日もしっかり守ってね、騎士さん」指先が心臓になったみたいに熱い。気の利いた言葉も返せず、オレは無言で彼女の手を強引に引っ張った。
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/123.html
ゼシカがいなくなった。 ドルマゲスを倒し、一旦サザンビークの宿屋に戻った翌朝、誰にも何も言わずにゼシカは姿を消した。 「やっぱ、むさい男だけのパーティーがイヤになったとか・・・」 「安心しろ。このオレがいるかぎり、断じてそれはない!」 ヤンガスの言葉を、オレは即座に否定する。 そう、あのゼシカがオレに何も言わずにいなくなるはずがない。 あの約束がある限り・・・。 とりあえずゼシカの故郷に行ってみようと、エイトのルーラでリーザス村へ移動する。 素朴でのどかで、小さな村。ここがゼシカの話していたリーザス村・・・。 「ここがゼシカの出身地? でも残念ながら、ここにはゼシカはいなさそうだぜ」 エイトとヤンガスが、怪訝な顔をしてオレを見てる。 「・・・なんでそんなことがわかるかって?」 まあ、当然の疑問だな。 さて、何て答えるかね。 ねえ、ククールはもう聖堂騎士団には戻らないんでしょう? ドルマゲスを倒した後、どうするの?」 太陽のカガミで闇の遺跡の結界を払い、突入前に各自、装備と持ち物の確認をしていた時だ。ゼシカが突然、訊いてきた。 「オレ? オレは世界中の美女の呼ぶ声に応えるさ。もちろん、君が最優せ・・・」 「真面目に訊いてるのよ」 いつも以上に真剣な眼差しに、オレはつい視線をそらしてしまった。 「そうだな、とりあえず修道院には敵討ちの報告だけはして・・・。その後は念願の自由だ。気楽な一人旅でもしてみるさ」 「もし良かったら、ウチに来ない? 住むところだったら、サーベルト兄さんの部屋が空いてるし」 あれには本気でドキッとしたっけ。 「リーザス村っていう小さな村なんだけどね。村の外壁とかも頑丈じゃなくって、安全面で今一つ心配なのよ。以前はサーベルト兄さんが村を守ってくれてたんだけど・・・」 「それって用心棒ってこと? それならゼシカがいるじゃないか。あの大陸の魔物だったら、片手で楽勝だろう?」 「それがダメなのよ。『アルバート家のお嬢様にそんなこと』って止められるのがオチだわ。お母さんだって、猛反対するだろうし」 「それに、アンタみたいなタイプは誰かが見張ってないと、イカサマポーカーとかばっかりで、ロクなことしないわ、絶対」 ズケズケとキツいお嬢様だよな、ホントに。 「別にずっとってわけじゃないのよ? 少しのんびり過ごして、自分が本当にどうしたいのかゆっくり考えてほしいの。それで生き方が決まったら、いつでも出て行ってくれて構わないから」 オレはゼシカの言葉に揺さぶられている自分を悟られないように必死だった。 「どうして、そこまでオレを?」 「だって、なんだか心配なのよ。ほっておけないっていうか・・・」 その時だ。エイトの奴が、オレにまほうのせいすいを寄越してきやがったのは。ああ、まあ、回復役のオレが大事な決戦でMP切れおこすわけにはいかないからな。もっともな判断だとは思うよ、実際役に立ったし。 だけど、何もあのタイミングで・・・。 この借りはいつか返すぜ、エイト。 「準備完了ね」 立ち上がったゼシカの表情には、油断も甘えもなかった。 「返事は帰ってからでいいわ。ちゃんと考えておいてよ、約束だからね」 そう言って、ゼシカは力強い足取りで、闇の遺跡に踏み込んでいった。 首尾よくドルマゲスを倒し、サザンビークに戻った後、ゼシカの口数は少なくなり、オレも疲れてるんだろうと、特に話しかけることもしなかった。 そしてこの通り、ゼシカは突然いなくなり、オレは当然あの時の返事をしていない。 「・・・勘かな」 このおせっかいどもには言えねぇよな、やっぱり。 口をそろえて『そうしろ』って言ってくるに決まってる。 悪いな、ゼシカ。 せっかくのお誘いだけど、答えは『NO』だ。 お前、やっぱりお嬢様だよ。世間知らずだ。 オレみたいな人間を、自分の家に住まわせようだなんて、無邪気にも程がある。 『仲間』として信頼してくれてるんだろうけど、『男』としてのオレに対しては、結構残酷なこと言ってるって、気づいてないだろ? でもな、ゼシカ? オレがあの時、そんなに嬉しかったか、わかるか? きっと、お前には想像もつかないくらいだと思うぜ。 あの時、ゼシカが言ってたことは大正解だ。 オレは一人だったら、ロクなことしやしない。 オヤジのように・・・いや、もっと投げやりな生き方して、どこかで一人、惨めに野垂れ死にするのがオチだ。 でも、もしこの世界に、自分のことを気にかけて、心配してくれる人間が一人でもいてくれたら・・・。 そうしたら、オレは独りぼっちなんかじゃない。 あの時のゼシカの言葉を思い出すだけで、胸の奥が温かくなる。明るい光が射す。 どこでだって、ちゃんと生きていける。 あのゼシカが、自分から口にした約束を果たさずにいなくなるなんて、ありえない。 何か大変なことに巻き込まれてる。それだけは確かだ。 待っててくれ、ゼシカ。 たとえ、それがどんなに困難なことだろうと。 オレが必ずそこから、お前を救い出してみせるから・・・。 < 終 >
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/413.html
ゼシカが珍しく風邪をひいた。しかもかなりひどい風邪だ。もちろん命に別状はないが、高い熱がなかなか引かず食べられないので体力消耗が激しい。ゼシカのベッドの周りに心配そうに集まるエイト、ヤンガス、トロデ王。ひたいの濡れたタオルをこまめに変え、汗をふいて、水を飲ませれば、もうしてやれることはない。薬を飲めば少なくとも熱の苦しさは減るのだが、そのためには何か食べなくてはならない。しかし何か食べられる?と聞いても、ゼシカは力なく首をふる。トロデが、食欲がなくても多少なり食べないと回復が遅れるばかりじゃぞ、と諭しても、ゼシカはどこか子供のように顔をしかめてふるふると首を振るばかり。仲間達はため息をついた。「――――ゼシカ」突然開かれたドアと共に飛び込んできたその声に、ゼシカはうっすらと目を開けた。持ってきた荷物を下ろして、ククールはゼシカのベッドに腰掛ける。「どうだ?なんか食べたか?」ゼシカだけでなく同時に仲間達にも向けられた問い。しかしわずかに顔をそむけたゼシカと苦笑を浮かべる仲間の反応に、ククールはまったく、と呟く。「食いたくねぇのはわかるけど、そのままじゃ しんどくてちゃんと寝ることもできねぇだろ。 せめて薬飲んで熱下げないと」「…ら、ない」「そんなしっかり食べなくていいんだよ。おかゆか何かもらってきてやるから、ちょっとだけでも食べて」頬に手の平を当てて熱さを確かめながら、な?と首をかしげる。ゼシカは不満そうに眉をひそめるものの、黙ってククールを見つめている。「それとも何かリクエストあるか?」汗ばむ額にかかる前髪をそっと後ろに流してやりながら訊くと、しばらくもぞもぞと落ち着かなげにしていたが、やがてかすれた声で答えた。「――――ククー…ルの、…お芋の…甘いの…」一瞬なんのことかわからなくてえ?と聞き返すと、「前、に、作ってくれたの…甘いの…あれが、食べたい」ククールは あぁ、と頷いた。以前野宿の途中に、さつまいもを練乳でやわらかく煮込んだ簡単なおやつを作ったことがある。修道院時代に、幼い修道士たちに何度か作ってやったりした。ゼシカはそれをひどくお気に召して、とってもおいしいこれ大好きありがとうククール!と無邪気に笑ってくれて、ひまつぶしに作っただけだがしてよかった、と思った記憶がある。あんなもんでいいならいくらでも作ってやるよと、ククールは厨房を借りようと立ち上がった。しかし。「………ゼシカ?」ゼシカの手がククールの服の裾をつかんでいる。ハッとしたゼシカはすぐにその手を放したが、表情は何か言いたくてたまらない様子だ。しばらく待っていたが何も言い出さないので、ククールはもう一度ベッドに座り直す。「どした?」伸ばされた手を握ってやる。ゼシカは何度も目線を合わせたりそらせたりしながら、しばらくしてようやく小さな小さな声で囁くように言った。「―――……いっちゃうの?」すがるような弱弱しい視線に、ククールは一瞬目を見開いて、それからクスリと笑った。病気の人間はとかく甘えたで寂しがりと相場は決まっている。「行かないと作れねぇだろ?どうしてほしいんだよ」おかしそうに笑うククールに、ゼシカはうぅ、と唸り、だって、と言い訳するがあとが続かない。「2、30分もあればできるよ。それとも待ってられない?ゼシカがそう言うならオレはここにいるけど」意地悪なフリをした、本当は慈しみと愛しさに満ちた声音。ククールが顔を覗き込むとゼシカは少し躊躇したのち、不満いっぱいの顔で、まってる、とぼそり。よしよしいい子いい子とからかうように頭をなでると、ゼシカは口唇をとがらせ、「……でも…すぐかえってきてよ」「ちゃんといい子でおねんねしてたらな」恨めしそうなゼシカの目線に、ククールは静かな笑みを浮かべた。そっと手を離して立ち上がるとまた寂しげに見上げてくる潤んだ瞳に、捕えられ、そらせず、ククールは苦笑した。シーツに手を付いて身をかがめ、彼女に至近距離で顔を近づける。「…口唇でいい?」その意味を読み取って、ゼシカは頬を赤くする。「…いいわけないでしょ…」「そう?してほしそうに見えたんだけど。…じゃあ、まぁ」こっちで。そう囁きつつ、ちゅっ、と音をたてておでこに落とされるキス。ゼシカは呆れたように赤面しながらもどこか安心したように身体の力を抜いて、去っていくククールを見送った。ククールが部屋を出て行ったあと、ゼシカは再びふっと目を閉じた。しかし彼のせいなのかどうかわからないがかなり喉の渇きを覚えたので、首をめぐらせて水を探す。すると視界のすみから腕が伸びて、エイトが水差しからコップに水を注いでくれた。ゼシカは内心ギョッとする。今の今まで、部屋の中にエイト達がいたことを忘れていたのだ。「水飲む?あ、起き上がるのつらい?よければ吸水もらってくるけど」「あ、…うん、…だ、大丈夫」平静を装い笑って手を振る。起き上がれないほどではない。時間をかけて身体を起こし、ベッドの背にもたれてコップを受け取った。顔が熱い。冷たすぎない水がおいしい。「あとで、もう一つ部屋とれないか聞いてくるよ。多分その方が、治り早いよね?」しばらくしてエイトがにっこり笑ってそう言った。きょとんとしたが、徐々に言葉に隠された含みを読み取って、ゼシカはさらに顔を蒸気させる。(あいつ…、わかってたくせに!バカッ!)今さら、ついさっき仲間達の前で、2人して何をしていたか思い出して腹が立つ。ハメられたような気がして悔しい。にこにこ笑っているエイトに「ここで大丈夫だよ」とぼそぼそ呟いて、もそもそと布団に潜り込んだ。ちがうのに。いつもは私あんなじゃないのに。風邪で弱ってるから心細いだけよ。そばにいてほしいだけ。それだけよ。心の中でひたすら言い訳していると、余裕いっぱいのククールの顔が思い浮かぶ。そして唐突に、やっぱり寂しい と自覚する。ゼシカはポツリと小さく彼の名を呼んで、目を閉じた。15④sage2009/04/22(水) 00 48 28 ID 2XTK2dRe0頭を撫でられている、と思ううちに徐々に意識が上昇し、ふいにパチリと目を開いた。ゼシカの視線にまず天井が映り、すぐにベッドに座って自分のひたいに手を当てているククールの顔を見つける。「…クク…」「まだ寝てていいぜ」いつのまにか寝てたんだ、と思い、ふとただよう甘い匂いに気づく。「………つくってくれた?」「あぁ。食べるか?」こくんと頷く。「起きれるか?」ククールは皿を手にとってゼシカを振り向く。そう聞かれ、なぜかゼシカの頬がほんのりピンクに染まった。ククールが ?と小首を傾げると、ゼシカは彼をじっと見ながら、枕の上で小さく頭を横に振った。吐息だけで口唇が「むり」と告げる。ククールは一瞬 虚をつかれ、それから優しく笑った。とろりとした中身をスプーンでよそって、横になったままのゼシカの口元に近づける。「まだあったかいぜ。ちょっとずつでいいからな」ゼシカは上目づかいにククールを見つめながら、戸惑ったような表情でそれを口にくわえた。少し咀嚼して、ゆっくりと飲み込む。「…おいし…」花がほころぶような笑顔に、ククールも微笑む。ゼシカの表情はたちまち弛緩し、もっと、と素直に甘えた声を出した。はいはい、と答えながら差し出すスプーンをゼシカが躊躇なくパクリとくわえるのに、愛しくも笑いがこみあげる。「皿ごと喰うなよ?」「…そんなことしないもん」クックッと笑われて、ブスッとするゼシカ。それでも、少しずつ皿の中身を胃に入れていく。ククールはそんなゼシカが、心底から可愛くて仕方ないと思った。実は、ゼシカのリクエスト料理を作って部屋に戻る途中、ククールはエイト達と廊下で出会っていた。「僕たちちょっと宿のご主人に部屋のこと聞いてくるね。もし一人部屋でも空いてたらぼくとヤンガスはそっちに移るから、君たちはこのままあそこを使って。トロデ王にはそろそろ姫様のところに戻っていただくし」「ゼシカは?」「大丈夫だよ。自分で起き上がって水飲んでたし、今はそこまで辛くないみたいだ」「起きてた?自分で?そうか…よかった」「今少し寝ちゃったみたい。何かあったら呼んで」「あぁ、サンキュ」仲間のさりげない気遣いに感謝する。…ぶっちゃけオレ達と同じ部屋にいたくなかったのかもしれないが。仕方ない。ゼシカが素直に甘えてくるものだから。しかも犯罪的に可愛く、しかも自覚なしで。今のうちに可愛いゼシカをとくと堪能しておこうと考えてしまうのは、男として当然だ。しかし彼女が自分で起き上がったと聞いて、安堵すると共に心のどこかで期待していた「はい、あ~ん」はできないのか、といささか残念に思ったのも事実。だから。ゼシカが隠し事をしている時のバレバレな表情で首を振り「起きられないから、食べさせて」と意志表示したときは、なんというか猛烈に、言葉にしようのない愛しさを感じた。皿なんか放り投げていきなりキスしたいくらいに可愛かった。しかし、ちゃんと踏みとどまる。ゼシカの可愛すぎる「うそ」に、気づかないふりをしてあげる。ゼシカは3分の2くらいを食べ終えると、ごめんね、もういい、と言った。頭を撫でてよく食べられました、とからかうと、もう、と不満をもらすが笑ってそれをかわして荷物の中から薬を取り出す。「じゃあ最後にこれ飲んで、ちゃんと寝ような」「…にがいの?」「甘いよ」「あまい?」ゼシカは怪訝な目で彼を見上げた。ニッと笑ったククールが皿の中で何かをしていると思ったら、スプーンでそれをすくって自分の口に運んだ。そして突然ゼシカに顔を近づける。「―――や、ちょ…んぅ…」抵抗する間もなく口唇をふさがれた。薄く開いた口唇の間にあたたかいものが入り込んでくる。甘い、甘い、甘いもの。ゼシカは無意識にそれを飲み込み、引き続き口内で優しく動いている彼の舌にされるがままになっていた。(…あまい)甘いおやつより、もっともっと甘い。しだいにゼシカも自分の舌をククールの口内に忍び込ませ、その甘さを味わうことに没頭する。息を紡ぐのが難しくなるくらいに口唇をはみ舌をからめて、やっとそれを解いた時には、熱のせいなのか、薬のせいなのか、ククールのせいなのか、ゼシカの瞳はとろんと溶けていた。「……おいしかった?」「うん…」「オレも」「…………。…………り」「え?」「……おかわり」ククールは目を丸くし、息をとめた。いつもの強気など微塵も感じさせないゼシカのすがるような瞳が、ククールの次の行動を待っている。引力のように引き寄せられながら、再びククールの顔がゆっくり下降していく。「――――――お前、カワイイにもほどがあんだろ……」“おかわり”する直前に抗議のように呟くものの、しかしその威力に逆らえるはずもないのであった。