約 2,670,276 件
https://w.atwiki.jp/fullgenre/pages/222.html
スクライドの参加者の支給品の経過と消費 カズマ ・暗視ゴーグル@現実 ・タバサの杖@ゼロの使い魔 劉鳳 ・不明支給品(未確認)1~3 →【B-2の森に放置】 →【城戸真司@仮面ライダー龍騎】(デイパックごと) 由詫かなみ ・不明支給品(確認済)1~3 ストレイト・クーガー ×軽トラック@バトルロワイアル →【G-10にて破壊】 ・バージニア・メンソール×5箱 →【斎藤一@るろうに剣心】(一本消費) →【次元大介@ルパン三世】(四本消費) ・不明支給品(確認済)0~1 橘あすか ×シザースのデッキ@仮面ライダー龍騎 →【蒼星石@ローゼンメイデン】 →【C-7にて破壊】 ・不明支給品0~2 →【水銀燈@ローゼンメイデン】(デイパックごと)
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/20432.html
登録日:2010/10/16(土) 12 02 59 更新日:2023/07/24 Mon 00 25 47 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 26歳 ALTER B型 アルターに頼るな!! アルター・エイリアス アルター使い ギャラン=ドゥ スクライド マーティン・ジグマール 美形 美形だ!! 老け顔 蟹座 設定年齢19歳 隊長 高田裕司 (例によって、例の如く、例のBGMと例の声で) ホーリー部隊隊長、老練なる男 その男の中にある真実が 劉鳳との対決によって、白日の下に曝される 迸るは慟哭 流れ出ずるは血涙 「さあ、侵攻と攻撃を開始しよう。自覚と覚悟はいいかね。」 マーティン・ジグマール 年齢:26歳 性別:男性 CV 高田裕司 ホーリー部隊の隊長にして、世界で初めて発見されたアルター能力者。 大隆起以前にアルターを発現した。 本来はアメリカ人の家系だったが、ロストグラウンドへの愛着から日本国籍を取った。 本土で精製を受けており、能力は最大限に強化されている。 目的のために手段を選ばない様な一面も見せるが、アルター使いがアルター使いとして差別されることなく、人として生きる場所を作るための行動であり、ロストグラウンド全体の地位向上を望んでいる それ故、ロストグラウンドを蔑ろにする無常や本土に、逆らえないまでも 反抗心を表していた。 我らが兄貴、ストレイト・クーガーを誰よりも正しく理解しており、その行動を予想できる数少ない人物。 その他にも、雲慶や来夏月、立浪のような個性溢れる隊員たちをまとめあげている優秀な人物。 目的のために、有能なアルター使いを求めており、昔からその才能を見込んでいた劉鳳と、類まれな力を持つカズマに目をつける。 『アルター・エイリアス』 融合装着型/自立型 必殺技:エイリアス・プレッシャー ALTER(アルター)という名称の祖となったアルター。 空気の圧力を操ることができる。 融合装着型と自立稼動型に分かれ、それぞれを同時に発現させて独立して稼働させられる珍しいアルター能力。 それぞれが攻守に優れ、隙のない戦闘能力を持つ。 ◇融合装着部◇ 肩から手にかけて融合される、機械アームのようなデザイン。 シリンダーを稼働させて空気を操り、空気弾による射撃を行う事が出来る。しかし、メインとなるのは本体の防御で、空気の圧力を利用したバリアーを生成して物理攻撃に対しては絶対的な防御力を誇る。 ◇自立稼動部◇ ガスマスクをつけ、右腕が無く、フードを被ったバランスの悪そうな人型。 強力な吸引能力を備えていて、空間に真空状態を作り、その格差によって敵を引き寄せて闘う。 格闘能力と跳躍能力にも優れ、垂直落下から繰り出した巨大な左腕の拳による攻撃は絶影すらも打ち砕いた。 ネタバレ ホーリー本部が無常に占拠された際に、 劉凰と敵対。 「ALTER」とはドイツ語で、風化や老化、古い等を表す。 アルトアイゼンと言えば解るだろう。 まだ、向こう側の世界との繋がりが薄い、大隆起前にアルターを発現した事、技術として確立していない初期段階の精製の副作用により、アルターを使用すれば老けていく事が判明。 これまでは隊長として前線に赴かなかった事もあるが、これがジグマールのアルター能力が伏せられていた理由でもあった。 しかし劉凰の更なる成長を促すために、自分のアルターを使い続け、その成長を見届け敗れた。 その結果、劉凰によってアルターを破壊された頃には、既に肉体は老衰によって起き上がる事すらままならなくなっていた。 また、イーリャンが自分の細胞を使ったクローンであり、息子である事。ホーリーを立ち上げた本当の目的を話し、最後はイーリャン、瓜核、劉凰にその思いを託し、息をひきとった。 主な発言 「与えられた目的を完膚なきまでに完遂することこそ、ホーリーの義務であり存在意義だ。その先にこそ平和が訪れる」 「貴様、誰の味方だ。我々か…それとも…人間か?!」 「本土こそアルター使いを人としてみていないのです。だから私は、どんな手段もいとわない。私がホーリーであるために」 「今が選択の時だ」 「ホーリーの隊長ではなく、一人の男として!」 「さあ、侵攻と攻撃を開始しよう。自覚と覚悟はいいかね」 「速さは私になんら危機を与えることは、できない!」 「いざというときにも力をセーブしようとする。中途半端に明日を夢見る。それが敗北を招くのだ!」 漫画版 「設定年齢19歳!蟹座のB型!!」 物語後半にT・Tやメアリーなどと「スーパーホーリー」を組織した。 やっぱり個性的な仲間をまとめるのがうまい。 空間を操り「人間ワープ」「スーパー光線銃」「ジョン・ウー・アタック」などでカズマと劉鳳を苦しめた。 威厳を得るために老け顔(アニメ版と同様の見た目)にしていたが、その正体は設定年齢19歳蟹座のB型(び、美形だ)とかなりぶっ飛んでいる。 ちなみにこの設定はアニメで没になった案である。 ◆ギャラン=ドゥ 漫画版ジグマールのアルターであり、自立型アルター。 アルターが支配するアルターワールドを作るためにジグマールを操りタイムマシン(とゆーかリヴァイアス)を作り上げた。 主な発言 「悲しいァ〜、マーティン・ジグマール……ていうか〜…… アルターに頼るなッ!!」 「カッコイイだろう!!(ギャキィッ)」 「ノーとしか言わないハズ…!?」 「悔しいけれどォ〜俺に夢中かァ?ギャラン=ドゥ〜♪」 「さあ、追記と修正を開始しよう。自覚と覚悟はいいかね。」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 年齢は違うけど、アニメ版もかに座のB型なんだろうか? -- 名無しさん (2014-08-26 21 33 35) ↑あそこまでぶっ壊れた隊長はいやだ! -- 名無しさん (2014-11-16 18 05 54) ドラマCDだかで声付きで美、美形だ!をやられて笑った -- 名無しさん (2016-02-09 23 35 33) 漫画版は色々おかしいが、特におかしい人(ほめ言葉 -- 名無しさん (2018-11-09 10 06 28) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/17.html
>>back >>next 食堂でナニが起きたのか。 まずはそこから説明しよう。 事態は食後の談笑(バカ話とも言う)中にギーシュがポケットから香水の小瓶を落とした事に端を発する。 それを、運の悪い事にデザートの給仕を行っていたシエスタが見てしまったのが2番目のステップ。 シエスタは学院に通う貴族の子弟に奉仕するために働いているわけだから、 当然拾い上げてギーシュへ渡そうとする。それが3番目。 さて、シエスタがやったのは以下の通り。 『貴族が落としたものを使用人が拾った』 以上それだけである。本来何の問題もないこの行動だが、その香水そのものが問題をつれてきた。 ギーシュと会話をしていた中にいたのだ、それが【香水】のモンモランシーが 「自分のために」調合したものであると気づくヤツが。 『女性が、自分が身につけている香りを男に渡し、男がそれを持ち歩いている』 こりゃぁもう完璧だ、ギーシュが付き合っているのはモンモランシーに違いない、 とみんなが思ってもそりゃしょうがない。ぶっちゃけ事実だし。 で、ここで騒ぎが起きる。カズマが聞いたのはまずこれ。 ちなみに、この時点まではまぁ今後ギーシュが標榜する 「薔薇は多くの人を楽しませるために咲く」とかいう行動に差障りが出る以外の問題はないわけで まだよかった。コトが大きくなったのは不幸にも現在進行形で その薔薇とやらに魅せられた者がいたことによる。 一つ下の学年のその少女はせめてもギーシュのそばに居たかったのかギーシュのすぐ後ろの席にいた。 そのせいで今の一部始終が聞こえてしまったのである。 その少女、ケティはギーシュの元に歩いて来たと思うとポロポロと泣き始めてしまった。 「ギーシュ様、やはり、ミス・モンモランシーと…」 「彼らは誤解しているんだ。ケティ。いいかい、僕の心の中に住んでいるのは、君だけ……」 懸命になだめようとするギーシュであるが、ケティには通じなかった。 「その香水があなたのポケットから出てきたのが、何よりの証拠ですわ! さようなら!」 ギーシュを思い切りひっぱたいてそう言うと泣きながら早足で立ち去っていった。 このとき響き渡った平手打ちがカズマが聞いたその2。 同じ学年のモンモランシーにも当然今の騒ぎは伝わり、当たり前だが二股がばれる。 「モンモランシー。誤解だ。彼女とはただ一緒に、ラ・ロシェールの森へ遠乗りをしただけで…」 いやいや、本当に遠乗りに付き合っただけで他意はないのだとしたら、 ケティに「君だけ」とか言わなきゃいいんだが、それができないのがギーシュという男である。 「やっぱり、あの一年生に、手を出していたのね?」 モンモランシーは金髪ロールを揺らしてお怒りである。 「お願いだよ。『香水』のモンモランシー。咲き誇る薔薇のような顔を、そのような怒りでゆがませないでおくれよ。 僕まで悲しくなるじゃないか!」 芝居がかった大きな身振り手振りで言うが、すっかり聞く耳持たずなモンモランシーは テーブルに置かれたワインの瓶をつかむとギーシュの頭にぶちまけ、そして 「うそつき!」 と怒鳴って、食堂から出て行ってしまう。 さて、ギーシュは基本的に女性に優しい。が、あくまで『基本的には』であり、 時と場合によってそれが適用される範囲が変わる。 機嫌が良い時には酒場のお姉ちゃんに声をかけもするが、 都合が悪い時には自分の責任を棚に上げて女性を非難する場合もある。 そう、今回のように。 「そこの君、待ちたまえ。君のせいで二人のレディの名誉に傷がついた。どうしてくれるのかな?」 犠牲というか生贄になったのは香水の瓶を拾ったシエスタだ。 くどいようだが彼女は自分の仕事をしただけである。当然最初自分のこととは思わなかった。だから再度 「そこのメイド、君だよ」 と言われるまで気づかず、そして気づいたときにはそりゃもうびびった。 軽くパニックを起こして、手に持っていたデザート盆をひっくり返すほどに。 (ちなみに、これがカズマが聞いた三つ目) 自分が何を責められているのかわからず、とにかく貴族にとがめられているというだけで ひたすら謝りたおすシエスタと、その態度に溜飲を下げるギーシュ。 その頃になると、周囲の連中も『この平民にどんな罰を与えるのか』に興味がシフトする。 とはいえ、実のところギーシュとしては話題がそらせられればよかったのだ。 そこまで相手を追い込むつもりはなかったのに、 しかし入った横槍のために引っ込みがつかなくなってしまった。 「なによみっともない、二股かけてるアンタが悪いんでしょ」 別にルイズはシエスタをかばおうとしたわけではない。 カズマのことで頭を悩ませていたところに騒がれたのが疎ましかっただけなのだが 今回はタイミングが悪かった。 「なんだねルイズ、このメイドをかばうのかい? 僕は平民に貴族に対する作法を教えていただけだが」 「どこがよ。アンタがさらした恥をその子にすり替えてるだけじゃない」 ギーシュはギーシュで、ルイズの発言で周りが『そうだ二股じゃん』とか騒ぎはじめたので ここで引き下がるわけにはいかなくなる。 「だがね、彼女がもう少し気を利かせてくれればあの二人にこんな不幸が訪れることはなかったのだよ」 「『こんな不幸』ですって? アンタみたいなのに引っかかってる方がよっぽど不幸だわよ」 ルイズの家庭は厳格な『古いタイプ』の貴族である。最初はただうるさいと思っていただけだが、 こうなってくるとギーシュの態度そのものが気に入らなくなってくる。 「あぁ、君も僕という薔薇の価値がわからない不幸な女性なのだね」 「薔薇? あんたなんか水仙で十分よ」 水仙、すなわちナルシスト。これにはギャラリー全体がドッと沸く。 「フン、所詮ゼロでは僕の魅力はわからないようだね」 「今はそんなこと関係ないでしょ」 「良いのだよ? 僕は君が自身とそのメイドの名誉をかけて僕と決闘したいというのなら」 「貴族同士の決闘は禁止されているわ」 「君は“ゼロ”じゃないか。君が『魔法で』決闘できるとは思えないがね」 悔しい! 一瞬その思いにとらわれてルイズの言葉が止まる。その間に会話に割り込んだ者がいた。 「テメー、激しくムカツクぜ」 「「カズマ(さん)!」」 ルイズとシエスタの声がハモった。 自分の胸ぐらをつかんでいる『ルイズの平民の使い魔』を呆れた風に見ながら、 「やれやれ、自分の使い魔のしつけも満足にできないのか? ゼロのルイズ」 と平然と言い放つギーシュ。 「ルイズもシエスタも関係ねぇ。オレはテメーのその女子供をいたぶる態度が気にいらねぇ」 「ふむ、彼女はシエスタというのか。ならば君が受けるかね? 僕との決闘を」 それを聞いてルイズが悲鳴を上げる。 「カズマ、ダメ!」 「いいぜ、受けてやるよ。遠慮無くボコらせてもらう」 「やめて、カズマ。お願いだからギーシュも」 「よろしい、ならばヴェストリの広場で待っている。負けるのが怖くなければ来ればいい」 結局、二人ともルイズの言葉など聞かず、まずギーシュが去っていく。 「このバカ、何勝手な事してるのよ。今からでも頭下げてきなさい」 「断る。オレはアイツにむかついた、だからボコる。ただそれだけだ」 「アンタはメイジの恐ろしさを知らないからそんなことが言えるのよ」 それまでギーシュが去った方を見ていたカズマがルイズの方を向く。 「ルイズ、今お前が考えてるそれは『弱い考え』だ」 「違うわ、ただの事実よ」 「弱い考えに反逆しろ。そうすれば強くなれる。オレが兄貴と慕う男に教わったことだ」 そう言うとカズマはギーシュを追いかけるように立ち去っていく。 「何よそれ、ワケわかんないわよ。もうどうなっても知らないんだからー!」 残されたルイズの声がむなしく響いた。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/13.html
>>next 「宇宙の果てのどこかにいるわたしのシモベよッ。神聖で美しく、そして、強 力な使い魔よッ! わたしは心より求め、訴えるわ……我が導きに、答えなさいッ!!」 少女の叫びにも近いサモン・サーヴァントの呪文が完成する。 メイジが伴侶たる使い魔を呼び出す呪文だ。 そして巻き起こる、本来ありえないはずの爆発。 爆発で舞った土ぼこりが晴れたとき、そこにいたのは少々奇妙なな風体でかが んでいた若者であった。 『なんなのよ、一体!』 その爆発をもたらした、ピンクがかったブロンドの髪を持つ少女“ルイズ・フ ランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール”は、同年代と比べて決し て満足いく発育とはいえないその体に、精一杯の苛立ちと小さじ数杯分の困惑 やら羞恥をごちゃ混ぜにしてその光景を見ていた。 “使い魔を召喚したら人間が現れました”とは一体何の冗談なのかと。 不意に若者が立ち上がり、警戒した風に辺りを見回して口を開く。 「なんなんだ一体!アルター使いがいるなんて聞いてねぇぞ、君島!」 苛立ったような怒鳴り声。よくよく見てみると、ルイズよりは年上のようだが まだ少年と言ってもよい感じだ。 って言うか『あるたー』? なんだそれは。『キミシマ』? ともあれ言葉は通じるらしいことがわかって、ようやくルイズも外見を観察す る余裕ができた。 その若者は、右腕だけのなにやら風変わりかつ悪趣味な色の鎧のようなものを 身につけ、同じ材質らしい三つの飾り羽がどういう理屈だかわからないが右肩 甲骨あたりから【生えて】いる。 ズボンと上着は黒。髪は思いっきり逆立っており、目つきは…、一言で言うと、 悪い。見る物すべてに殴りかかりそうな勢いの目だ。 しかも思い返してみると、現れた時には『まさにたった今地面をぶん殴りまし た』と言わんばかりに右腕を突き出してしゃがんだ状態だったのだ。 どうやら、この、どう見てもタチの悪い(ついでに頭も悪そうな)チンピラが 自分が呼び出した使い魔らしい。 『最悪だわ』 顔に出さない努力はしたももの、正直、ルイズはそう思った。 事ここに至ってギャラリー達にも余裕が出てきた。 ぶっちゃけ 『所詮“ゼロのルイズ”だ、失敗するに決まってる』 『どうせ爆発して終わり』 などと思っていたところに、曲がりなりにも【何か】が【召喚】された驚きで 身動きできずにいたのだ。もちろん爆発はしたのだけれど。 しかし、出てきたのはどう見ても貴族でもない人間である。 そうなってみると、どこかに隠れさせておいて爆発を目くらましにして出てく るように『仕込んで』いた、ようにも思えてくるから先入観というのは恐ろしい。 たちまち嘲笑、あざけり、皮肉のマーチが始まる。 ギャラリーの 1 人に、ルイズとはそのボディー,魔法の腕,召喚された使い魔 などもろもろの点で好対照のキュルケがいる。 この娘、普段はルイズをからかって遊んでいるくせに、こういうようによって たかっていじめるようなまねはあまり好きではないらしく、いささか醒めた目 で見ていた。 「ねぇタバサどう思う? あの使い魔」 隣の、親友である小柄な少女に話しかける。 「人間」 …そりゃそうだろう。 冗談のつもりとも思えないがずっこけそうになる膝に力を込めながら、どうツ ッコんでやろうかとタバサのほうを見ていると、 「でも、召喚に応じたのだから、何らかの意味があるはず」 自分と同じ意見のようだ。 とりあえずはもうしばらく成り行きを見守ることにしよう。 果たしてルイズであるが、 『…成功したのに』 泣きそうになっていた。出てきたのはアレだが、そりゃ確かに爆発はしたが、 召喚に応じたモノがいたのだ。にもかかわらずそれすら否定される。我慢して 泣きこそしなかったものの、あまりにも悔しくて、その悔しさが間違った方向 へ出てしまいそうになる。 「ミスター・コルベール、もう一度やらs 「やかましいぞてめーら!」 と思ったらその原因に途中でさえぎられてしまった。 コイツは貴族=メイジではない。 だから安全に違いないのだが、妙な迫力に辺り一面静まり返ってしまった中、 おもむろに若者がルイズをその奇妙な右手で指さし言う。 「笑われてたのはお前か?」 いきなり地雷を踏んだ。 当然ギャラリーは色めき立つ。 『ルイズが使い魔?にまでバカにされている!』 先ほどに輪をかけた喧騒が起こった。 だがしかし、今度ばかりはルイズも周りの声なんぞ聞いちゃいなかった。 「あああああ、あんた、ご主人様になんてコト言うのよ。私が呼び出した使い 魔のクセに!」 流石にお怒りなのである。 「『使い魔』ってなんだ? 食えるのか?」 “食えねーよッ!” どこかでそんなツッコミが聞こえた気がしたが気にしない。 「アンタは、私が『サモン・サーヴァント』で呼び出したの。だから私の使い魔 なの!」 「こっちはそんなこと知らねーって。そもそもその『さもん』?なんだかって のはなんだ? それがお前のアルター能力ってコトか?」 暖簾に腕押し,糠に釘。というより会話が段違い平行棒で全くかみ合っていな いようだ。 「アルターってなによ?!」 「アルターも知らないってのはどこのお嬢ちゃんなんだ、てめーは」 「トリステイン王家にも連なるヴァリエール公爵家の三女よ! 本当はアンタ なんか一生会話をすることなんてありえない身分なんだからね!」 「トリステインだかトリニトロトルエンだか知らないが、そんなも見たことも ん聞いたこともねー」 「一体どこの田舎者よ!」 「こちとら生まれも育ちもロストグラウンドだ」 「こっちだってそんな場所聞いたことないわよ!」 どんどんヒートアップしてきて、互いに「やんのか、コラ」的な勢いでまさに 一触即発!という場面で割り込む者がいた。 「ミス・ヴァリエール。使い魔と親睦を深めるのは大変結構だが、まず契約を 済ましてしまいなさい」 今まで放置していてなんだが、この生徒が最後で他はみな終了している。いつ まででも時間をかけるわけにもいかないことを思い出した引率のコルベールが ようやく仲裁?に入った。 「ミスター・コルベール、私こんなのと契約したくありません! そもそも親 睦を深めているわけじゃありません」 「使い魔の召喚は神聖なものです。気に入らないという理由で契約をしない、 などと言うことは認められません」 「ですが・・・」 契約には口付けが必要なのだ、当然躊躇するに決まってる。ルイズはチラリと 若者を見るが、『ケンカの邪魔をした』コルベールをそれこそ殺意すら篭って いるんじゃないかという目で睨んでいるではないか。 『ファーストキスの相手がよりによってあんなのだなんて』 心底嫌なようだ。 「ミス・ヴァリエール」 「・・・、はい」 とうとう観念した。 タダでさえ『ゼロ』と言うありがたくない【二つ名】をつけられているのだ。 放校処分などになってはたまったものではない。 諦めて若者の方へ向き直った。 「いい加減に観念して、私の使い魔になってもらうわよ?」 「ほう、どうやってだ?」 ワケのわからないことを言う小娘に何ができる、できるものならやってみろ、 ぐらいにしか思っていない声に対し、 「こうやって」 ルイズは無造作に歩を進めながら唱える。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」 若者は油断していたわけではなかった。ただ、てっきりケンカだと思っていた だけのことで、まさかそうくるとは予想できなかっただけのことだ。 結果、まずルイズの両手が若者の頬を挟み、次いで、ルイズと若者の唇が触れ 合うこととなる 「てめー、なにしやがる」 ヒネた外見のワリには焦っている。意外と純情なのだろうか? などと場違い な感想を抱くルイズ。おかげで、相変わらず『ファーストキスの相手が【これ 】』というのにはげんなり気味ではあるが、ちょっぴり気分的に優位になった 気がした。 「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生な いんだから」 「意味がわかんねー。会話する気あんのか?」 「そのうちわかるわよ。『使い魔のルーン』が刻まれれば、ね」 「なんだと? お、おおおぉぉぉぉぉっ!」 若者の全身が薄く輝き、一瞬その右腕同様の鎧に包まれたように見えた。そし てその光の鎧はおろか右腕の鎧すらも消え、光は左の拳に集まり文字を形作る。 「ふむ、珍しい形のルーンだな。少なくとも知られている文字ではない。早速 調べなければ、では解散」 …研究熱心は感心するが、それで良いのかコルベールさん。 「気がついた?」 若者が痛みではない感覚に意識を『持っていかれていた』のを待っている間に クラスメートたちはすっかりいなくなってしまい、気がついたら二人きり。空 には二つの月までうかんでいるではないか。 「誰だ? お前」 目が覚めての第一声にルイズのこめかみがピクピクと痙攣する。右腕の鎧が消 えたと同時に、なぜか逆立っていた髪がおりていて、顔つきだけ見ると実はち ょっとかわいいのかもしれない、とか思ったというのにこの台詞。 「私は! アンタの! ご主人様で! アンタは! 私の! 使い魔でしょうが!! ルーンまで刻まれたって言うのにそんなこともわからないの!」 こうなると怒鳴ってるんだか悲鳴なんだかわからない。 「知らん。で結局誰なんだ?」 は~~~~~~。 果てしないため息が出た。この使い魔はここまで物分りが悪いのかと、呆れる べきか情けないと嘆くべきか悩むルイズ。 「・・・ルイズよ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエー ル。さっきも言ったように公爵家の三女で、アンタのご主人様なんだから敬意 を払いなさい。 で、そういうアンタはなんていうのよ?」 「公爵だか伯爵だか知らねーが、そんなことはどうでもいい、クソ喰らえだ。 使い魔だかなんだか言うのも興味ないし知ったこっちゃねー。 とりあえず、アンタはルイズ、オレにとっちゃそれだけだ。 オレはカズマ。“反逆者(トリーズナー)”カズマだ。 お前が何かに反逆したいなら、その反逆、オレが背負ってやる」 「と、りー…ずなー? なんだかわからないけどまぁいいわ。 ついてきて、いろいろ教えてあげなきゃいけないみたいだから」 やる気のなさそうにルイズの後ろをついて行くカズマの左手には “s・CRY・ed”の文字が輝いていた。 >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/16.html
>>back >>next 「オールド・オスマン?」 「なんじゃね、ミス・ロングビル」 「お尻を触るのは(以下略)」 さて、本筋ではこの頃に才人に刻まれたルーンが伝説の使い魔“ガンダールヴ”のものらしいと 判明するわけだが、カズマに刻まれたそれは“s・CRY・ed”すなわち【進化の言葉】である。 しかもアルファベットに近い文字こそ有るものの、この言葉を知るものは元の世界にすらほとんどいない。 当然コルベールの努力は今のところ全くの徒労に終わっている。 ということは、オールド・オスマンがこの後セクハラ三昧の末にミス・ロングビルに折檻されまくったところで、 誰も割り込んではくれないというわけだ。 合掌。 ところ変わって、こちらは先ほどルイズが教卓を吹き飛ばした教室。 気絶したミセス・シュヴルーズに代わって解散を命じた教師は、 爆発のせいでとっ散らかった教室の片づけを魔法を使わずに行うようルイズに命じた。 もっとも、魔法を使えば爆発するのだから使ってよいと言われても同じである。 「カズマ、アンタもっとしっかりやりなさいよ」 「断る。自分の始末は自分でつけろ」 「アンタ私の使い魔でしょ。ご主人様がやれと言ったらやるの」 「【反逆】を背負ってやるとは言ったが、使い魔をしてやるとは言ってねぇ」 とまぁ、こんな調子で二人はずっと言い争いをしており、片づけはロクにはかどっていなかった。 まぁ、ありがたいことに基本的には【錬金】による石造りの教室である。さすがにそこまでの被害ではなかった。 もちろん、カズマにしても全く手伝っていないわけではない。明らかにルイズには重そうな木片などは カズマが拾ってやっている。なんだかんだ言っても基本的に女子供には優しいのだ。 子供扱いしているとも言うが。 「アンタがここで生活するのにかかる費用は全部私の家から出ることになるのよ。 だからその分は従いな…って、そういえば朝ごはんどうしたのよ?」 「洗濯頼みに行ったらもらえたぜ? いつでも来ていいとかなんとか」 完全にルイズの手が止まる、と思うと真っ赤になって怒り出した。 「やめなさい。『ヴァリエールはロクに使い魔に食事もさせられない』なんて笑われるのは私なんだからね。 由緒ある公爵家の名前に傷がつくわ。今後一切禁止」 『知ったこっちゃねぇ』 そう言う代わりにでかいゴミをまとめて肩に担ぎ教室を出て行くことにする。 「ちょっと、こら! カズマ! 聞いてるの!?」 「こいつを捨ててくる」 それだけ言って話を打ち切る。教室からはギャーギャー聞こえる気がするが無視を決め込んだ。 「しっかし、ルイズのヤツ褒めてやったのになんで怒ったんだ?」 実は、解散を命じられて最初にルイズの着替えに戻ったのだが、 その際爆発の威力を褒めていたりする。そりゃ怒るのも当たり前なのだがカズマはいまだにわかってない。 残されたルイズはといえば、なんだかんだ言って片付けのかなりの部分を自分でやったわけだが、 反逆がどうのこうの言ってちっとも言うことを聞きやしない使い魔に、 『自分は魔法はおろか使い魔を御すことすらできないダメメイジなのか』 とちょっとへこみかかっていた。 幸いなことに、逃げ出そうとする様子はとりあえず無い。そうなっては笑いものどころではないだろう。 家名を取り上げられて放逐、などという最悪の予想をしてしまい、わずかにゾッとする。 「代わりの教卓持ってきてやったぜ」 空気を読まずに戻ってきたカズマに救われたような気がした。 のだが、当然素直に礼を言えるような性格をルイズがしているわけもないのである。 なんとか昼食の時間までに教室を片づけたルイズは、カズマを伴って食堂に向かいながら悩んでいた。 大見得切ったからにはカズマの食事をなんとかしなければならない。 しかし貴族と同じテーブルにつけるわけにはましてや貴族と同じものを食べさせるわけにはいかない。 手っ取り早いのはカズマ用のものを自分の部屋に運ばせることだが今から頼む時間もなければ そんな特別扱いをしてもらえるかどうかもわからない。 悩むを通り越して途方に暮れそうになって軽く頭を振った。 しかも、ルイズがこんなに悩んでいるというのにカズマはすれ違う給仕係と「今朝はありがとな」とか にこやかに挨拶してたりするのだから当然面白くない。 まったくこの使い魔ったらご主人様をなんだと思ってるのかしら。 周りに愛想振りまくくらいならちゃんまずちゃんとご主人様の言うこと聞かなきゃだわ。 いえいえそうじゃないわ私。使い魔をしつけるのもご主人様の仕事ですものねきっと、うん。 とかなんとか頭の中をぐるぐるさせている内に食堂に着いてしまったではないか。 『結局どうすればいいか思いつかなかった!』 本気で頭を抱えることになり、で思わず口をついたのは、 「ご主人様の言うことを聞かないアンタは今日のお昼抜き! 外で待ってなさい!」 であった。 実は自分でも苦し紛れのその場しのぎなのはわかっていたりするのだが言ってしまったものはしょうがない。 カズマが従うとはまったく思えなかったりするのだがそれでもやっぱりもう言っちゃった後である。 果たして、おそるおそるカズマの方を見てみると、つまらなそうな顔をして中庭の方へ歩いて行くではないか。 はてどういう風の吹き回しなのかしら。それともダメって言ったのに厨房へでも行って何か食べさせてもらうつもりかも。 従うとは言わなかったし、アイツ。でもちゃんと用意してない私も悪いのかもしれないから今回くらいはしょうがないのかな。 それならいっそ床にでも座らせて私が食べるものから何切れかあげた方がありがたみがあったのかもしれないわ。 あぁなんでそれをさっき思いつかなかったんだろう。 また頭がぐるぐるしてきたルイズですが、でもとりあえず肉体労働後の食欲にはかなわなかったのです、まる。 一方カズマの方は『所詮ガキの癇癪』位にしか思っていないので、 とりあえず従うところを見せてやればおとなしくなる、とか考えていたりする。 『そう言えばかなみはむくれることはあってもこういう癇癪起こすことはなかったな』 食堂にほど近い場所に座り込んで、ルイズより年下なのにずっと大人な同居人のことをぼんやり思い出す。 『まぁ寒いからってオレの寝床に潜り込んできたりはしてたか』 「あら、どうかなさいました?」 そのカズマに声をかけるまごう事なきメイド服。言うまでもなく黒髪とそばかすがチャームポイントの “脱いだらすごい”シエスタであるが、もちろんカズマは知りゃぁしない。ついでに言うと、 「そう言えば朝厨房にいらした方でしたっけ。なにやってるんですか?」 とシエスタが覚えているのに、カズマはさっぱり覚えてなかったりする。 「ルイズが癇癪起こしたんでな。アイツの飯が終わるのを待ってる」 「だめですよ、自分が仕えるご主人様のことをそんな風に言っちゃ」 「オレにゃぁ関係ねぇ」 「まぁ」 と言ってコロコロと笑うシエスタ。 「でも、…えぇと、そういえばお名前聞いてませんでしたよね? 私シエスタと言います」 「カズマ」 「カズマさんお昼ご飯は?」 「抜きだとさ。あんたらのところでもらうのも禁止だと」 「そんな…。でも大丈夫ですか?」 「放っときゃ収まるさ。子供の相手は慣れてる」 「だから貴族様にそう言う言い方は…」 「いいんだ。それより仕事中じゃねぇのか?」 「あぁ、いけない。じゃ、私行きますね。そうだ、カズマさんおなか空いちゃうでしょうから 後で何か差し入れします」 気にすんな、と言った風情でシエスタを見送ってまたぼんやりするカズマの耳に飛び込んできたのは、 しばしの喧噪に平手打ちの音、そして何かをひっくり返したような音であった。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/149.html
>>back >>next さて、召喚された次の日にギーシュと決闘なぞをやらかしたカズマではあるが、 それ以降は本人としても実に平穏で、それだけに退屈な日常を繰り返していた。 まず、朝はルイズが大騒ぎをするのを耳にしつつ起床。いつもルイズがぎりぎりにならないと起きないためだ。 起きるたびにカズマになぜちゃんと起こさないのかと文句を言うわけだが、 そもそも召喚の前は1人で起きていたはずだし、普通の動物が使い魔になった場合だって 必ずしも朝起きて夜眠るライフサイクルを持つとは限らないわけなので、 ある意味筋違いとも言える。ついでに言うとカズマは完全に右から左にスルーしている。 ちなみに、着替えを手伝うのは気にしていないらしい。 まさかかなみ(10歳)と同じくらいだといまだに思われていると知ったらどんな癇癪を起こすか。 想像するだけで実に恐ろしい話である。 その後、ルイズが朝食に行くのにあわせて部屋を出て、 前日に脱いだものの洗濯を寮付の使用人に引き渡し自分は厨房で食事。 ルイズは嫌がったが、ギーシュをぶちのめしたことで勝手にカズマの味方についた平民に押し切られた形になる。 『学園の運営費は巡りめぐって貴族の懐から出ているんだから、カズマだってルイズがいなければここで食事ができないのくらいわかるだろう』 ととりなしたためだ。 賄いだけではなくシエスタ特製の一品が追加されるのもいつものことになっている。 食事が終わるとルイズとともに授業へ参加。 マトモに見た最初の魔法がギーシュのワルキューレだったため、 魔法と言うのはアルターの呼び方が違うもの程度に思っていたカズマだが、 初めの何回かで1人のメイジが何種類もの魔法を使えると知ったときはまさに驚愕の連続だったようだ。 まぁ数日で飽きたのか、今では後ろの壁際で床に座り込んで居眠りしているか、他の使い魔にじゃれ付かれていることが多い。 そんなカズマを見て『他人の使い魔と遊んでるんじゃないわよ!』とかお怒りになるルイズであるが、まぁ致し方ない。 放課後はよくギーシュとつるんでいるようだ。というか、 ギーシュが友好を深めようと話しかける→邪険にされる→さらに話しかける→殴られる→ワルキューレで突っかかっては粉砕される、 という流れだが、ギーシュもカズマもどうやらそれなりに楽しんでいるらしい。 ちなみに徐々に全滅までの時間が延びているのは成長と言っていいかもしれない・・・・・・秒単位とはいえ。 余談だが、ギーシュは相変わらず女の子には八方美人なものの、 驕った態度がなくなり使用人たちにも優しくなったため前よりウケはいいそうだ。 貴族嫌いで知られた料理長のマルトーのところまで決闘後にシエスタの件で頭を下げに行ったという話も聞く。 ギーシュに勝ったカズマに擦り寄って腕を絡めるキュルケをうっとうしそうに振りほどく光景もすでにいつものことと化している。 キュルケがいればタバサもいる。この4人+使い魔は一緒にいることが多くなった。 そんな光景を遠くから見ながらルイズは思う。なぜ自分の使い魔は自分の隣ではなくそこにいるのかと。 魔法ではない力を持ち、ドットとはいえメイジを倒した平民。確かに見ようによっては強力な使い魔に違いない。 『メイジの実力は使い魔を見ればわかる』 という言葉がある。 ルイズの勘違いは 『強力な使い魔であるカズマを御することができれば自分も実力あるメイジとしてみてもらえる』 と思っているところだ。 カズマは馴れ合いと甘え、それがもたらす堕落を嫌う。 カズマに依存して己の価値を求めるようなルイズを、反逆する意志のないものを背負うことはない。 微妙なすれ違いはある出来事が起きるまで続いた。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/66.html
>>back >>next 「……すさまじいもんじゃの」 「まさか、ドットとは言えメイジを倒すとは思いもしませんでした」 本塔最上階にある学院長室で『遠見の鏡』をのぞき込む3人。 すなわち部屋の主であるオールド・オスマン、その秘書ミス・ロングビル、 そして教師たちの代表として決闘を止めるために『眠りの鐘』の使用許可をもらいに来たミスタ・コルベールである。 「ミスタ・コルベール。あの使い魔のルーンはわかったのかね?」 「いえ、これがさっぱりでして。何より文字そのものがルーンと言うよりはコモンのものに近く、 どんな資料をあたっても類似したものを見つけられない始末」 「あの『右腕を作り替えた』力、明らかに練金ではないようじゃしのぉ。 あれとミス・ヴァリエールの系統の関わりも気になるところじゃ」 「その通りです、オールド・オスマン。今後もできる限りの調査を続けます」 「頼んだぞ、ミスタ・コルベール。 さて、ミス・ロングビル。そんなところで聞き耳たてとらんで茶を煎れてくれんかな。 ついでに君も一休みしなさい」 とまぁ、とりあえず棚上げすることにしたらしい。 ところ変わってこちらは寮のギーシュの部屋。 とんでもなく派手に吹っ飛んだワリに顔の骨が折れているとか言ったこともなく、 1時間ほどで目を覚ます。もちろん殴られた頬は腫れてるが。 「痛い目にあったわね」 「あぁ、モンモランシー。ついていてくれたのかい?」 「勘違いしないでね、水魔法の練習にちょうどいいかと思っただけで 心配だったとかそう言うんじゃないから…」 確かに、本当なら目もあてられない顔に変形しているはずだったのが、 『冗談みたいに腫れている』レベルですんでいるではないか。 しかしこのモンモランシー、なかなかにツンデレである。 「すまなかった」 突如ギーシュが頭を下げる。 「え、ヤダ。ちょっと、やめてよギーシュ」 そう言いながらもまんざらではないモンモランシー。ちょっと『許しちゃおっかなー』とか思っていたりする。 「あの平民に殴られて目が覚めたよ。と言うかね、モンモランシー。あの拳は僕の心を殴ったのさ」 そう言われてもモンモランシーの頭の中は疑問符だらけだ。 あげく『ちょっと見直そうかと思ったけど、実は頭がかわいそうなことになってたりしないかしら?』などと考え始める。 「殴られた瞬間にね、いろんなものが流れ込んできたんだ。君が僕に香水を渡してくれたときの気持ち、 ケティを気晴らしの遠乗りに誘ったときに彼女がどう思ったか、ルイズが『ゼロ』と言われるたびにどれだけ傷ついているかとか、 あのメイドが貴族に奉仕することをどれだけ誇りにしているか、なんかがね」 『私がいつもそばにいると思ってね』などと考えていたことがバレると言うのは、 本当にそうなら恥ずかしい事だが、まぁまさかそんなことはないだろうと思いながら話を聞く。 「僕は、自分を女性を飾る薔薇などとうそぶいて、実は既に君に手折られていた事に気づかないふりをしていたんだね」 「だから、次から女性に声をかけるときは最初に本命が君であることを告げるようにするよ」 とりあえずぶん殴ったモンモランシーであった。 さて最後にルイズの部屋。 「ところでカズマ、あの右腕何?」 「アルター」 「それって何よ?」 「知らん。物心ついたときには使えたからな」 「そう、わかんないんじゃ聞いてもしょうがないわね…、って、アンタ何やってるのよ」 「コック長からカズマさんへの差し入れです。はい、アーンしてくださ~い」 とまぁこんな調子で『少なくとも退屈はしなくてすみそうだな』とか考えるカズマであった。 【魔法の国】編終了 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/15.html
>>back >>next さて、カズマがルイズたちについて廊下を歩いている時まで時間をちょっぴり戻そう。 カズマは歩きながら考える。 ルイズに【反逆】するのは簡単だ。このまま飛び出しちまえばいい。 【使い魔】とか【契約】など知ったこっちゃねぇ。どんなところででも生きていく自信はある。 ついでに言えばコイツは貴族とか言うものらしい。 ロストグラウンドではアルター使いが爪弾きにされていたのとは反対で『魔法が使える方が偉い』とかいう ふざけた世界だ。生きていくだけで【反逆】に違(ちげ)ぇねぇ。 だがまぁ、俺は『コイツの反逆を背負う』と決めちまった。 「決めちまったからには突き通すしかないよなぁ」 「?」 「なんでもねぇ。ところで、お前洗濯はどうしてるんだ?」 何気なく聞いたつもりだったがいきなり不審なモノを見る目をされてしまった。 チョイチョイと『耳を貸せ』のゼスチャーで ヒソヒソ「ルイズのヤツに洗濯しろとか言われたんだがお前はどうしてるのかと思ってな」 ヒソヒソ「寮の使用人」 ヒソヒソ「なにーッ!じゃぁそもそも俺にやらせる理由なんかねーじぇねぇか」 本当に召使いか奴隷扱いしかしていないらしいことがわかって、 ちょっぴり『反逆しちゃおうか』とか思うカズマなのであった。 さて、まさかルイズがカズマを朝食で躾けようなどと考えているとは露知らず、 洗濯を頼みに行った使用人に「貴族の世話なんてまた厄介なことを押し付けられたもんだな」とか 「貴族の方のお世話をするのでしたら我々と変わりませんから、賄いでよければ食事していきませんか?」 とか言われて、たらふく朝食をいただいちゃったりしたわけであるが、 そういえばその後どうするのか聞いてなかった。 なにしろルイズはキュルケとの言い争いに忙しかったので、 講義についてくるように伝えるのを忘れていたのだ。 もっとも、普通の獣や幻獣の使い魔であればキュルケのフレイムのようにそれほど遠くに行かないか、 または放っておいても呼べば現れただろう。 ある意味、ルイズが失念するのも致し方ないと言えるかもしれない。 結局、することもなく、そもそも建物の配置が良くわかっていないせいでブラブラしていたカズマを ルイズがひっ捕まえて教室に入った時には、すっかり遅刻確定となっていた。 「ミス・ヴァリエール、あまり珍しい使い魔だからと言って甘やかしてはいけませんよ?」 練金の担当教官『赤土』のシュヴルーズである。 「本当に使い魔なのかよ、ゼロのルイズ」 「そこら辺歩いてたのを連れてきたんじゃないのか?」 一斉にヤジが飛ぶのを黙って耐えるルイズに、カズマはここでもはじめと同じ不満を感じていた。 いっそ飛びかかって全員ぶちのめしたいと思うぐらいだ。 だが、連れてこられたときから自分の袖をずっと握りっぱなしのルイズの手が、 真っ白になるほどにきつく握りこまれているのを感じて踏みとどまっている。 不意にシュヴルーズが杖をふるうとヤジを飛ばしていた者たちがおとなしくなる。 見れば、口に粘土が張り付いていた。 「お友達やその使い魔をそんな風に言うものではありません。あなた方はそのまま授業を受けてもらいます」 しかしカズマにとってはこの教師はただうさんくさいだけにしか思えない。 『最初に煽ったのはお前だ』 ルイズがいなければ間違いなくそう言って胸倉をつかんでいただろう。 「さて、ミス・ヴァリエール。あなたは大変学業優秀と聞いております。 遅れてきた罰として前へ来て練金を行っていただけますね」 今度は別の意味で教室が騒がしくなった。 「先生?」 「なんです? ミス・ツェルプストー」 「やめといた方がいいと思いますけど・・・」 「どうしてですか?」 「危険です」 キュルケがそう言ったとたん、教室内が「そうだそうだ」などと言うものや取り乱すもの、 はては始祖ブリミルに祈り始める者たちでいっぱいになる。 騒ぎの中何かを我慢していたかのようなルイズであったが、意を決して 「やります!」 と声を上げると、教室が一瞬静まり返った。 単に意地をはっただけだが、立ち向かう姿勢を見たことで評価を “タダの甘ったれたガキ”からちょっぴり上方修正。 「そうでなきゃ背負う価値もねぇ」 少し楽しそうな声でカズマが一人ごちた。 教卓の上におかれた石を前にして、頭の中で呪文を組み立てる。 理論はきっちり頭の中に入っている、大丈夫だ、私。 緊張は必要だ、だけどリラックスして。 きっとできる、召喚も契約も成功したじゃないか。 ルイズの唇が組みあがった呪文を紡ぐ。 魔力の発動とともにただの石が輝き、そして、例によって爆発した。 廊下まで逃げていたタバサや机の下に避難していた生徒たちはいざ知らず、 至近距離で爆発に巻き込まれたミセス・シュヴルーズは気絶。 が、張本人であるはずのルイズと言えば、確かに顔は煤だらけで服もボロボロ、 ちょっと下着が覗いていたりするものの本人は全くの無傷で立っている。 そりゃそれで一種の魔法かもしれない。 どこから取り出したのかわからないハンカチで顔や髪についた煤をぬぐうと 「ちょっと失敗しちゃった」 なんとな~く『てへっ』と言う擬音語が聞こえてきそうなコケティッシュなはにかみ顔でそう言うルイズだが、 さすがにそんなこっちゃみんな誤魔化されてくれないのであった。 ちなみにカズマであるが、ルイズがわざとやったと思いこんでいるので、 少々被弾したものの実にご機嫌であったことをお伝えしておこう。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/502.html
>>back >>next そのころ、 「コイツはずいぶんと反逆のし甲斐がありそうな相手だな、おい」 大胆不敵にニヤリと笑うと、カズマは高さ30メイルほどもあるゴーレムに突き進んでいた。 「ちぃっ、忌々しい壁だね」 ゴーレムの肩に乗ったフードの人物、すなわちフーケは、 本塔の壁にかけられた固定化の魔法に己の見通しが若干甘かったことを思い知らされた。 事前の下調べで錬金が通用しなかったため、 ゴーレムで力任せに破壊する方法をとったというのに それですら破れないほど強力な固定化とは予想外のことである。 『スクエアクラスのものを複数かけている?』 そう考えざるを得ない。 圧倒的大質量のこのゴーレムで殴っていれば、その内崩せるかもしれないが 今現在品評会に参加している連中が避難してしまえば衛兵が来るのは時間の問題だ。 『潮時を間違えちゃいけないが、もうしばらくなら』 と、3度目の打撃を与えようとしたところでゴーレムがグラついた。 「ルイズの反逆、確かに背負ったぜ。粉砕のシェルブリット!」 カズマの一撃でゴーレムの片足が言葉通り粉みじんになる。 フーケはとっさにゴーレムの手をつき自身の落下を防ぐと何事かと足元を見る。 (ヴァリエールの使い魔! このゴーレムの足を破壊した!?) ギーシュとの決闘を一緒になって見ていたがまさかこれほどとは。 あわてて足を修復しながら考える。 『うまく利用できるかも』 「再再構成、じゃねぇよな」 最初の一撃で破壊したゴーレムの足に再び土が集まり形をなしていく。 だが先ほどの手ごたえでわかった。強度としてはまさに石がくっついた程度でしかない。 「殴っても壊れるのはそこだけかよ」 シェルブリットでは打撃力が強力すぎて殴った周囲だけが崩れてしまい 全体を破壊することはできないのだ。 真上から叩きつければ破砕できるだろうが、いかんせんそこまでの跳躍力はない。 「ずいぶん余裕があるじゃあないか!」 その声とともにゴーレムの右手が迫る。 真正面からのパンチで迎撃。 大質量の腕と人間のパンチの激突の結果、運動エネルギーを無視したかのように 崩れ落ちたのはゴーレムの腕。 しかしフーケの本命はそれではない。 崩れる右腕で視界をふさぎ、残る左腕でカズマを本塔へ殴り飛ばす! 生徒の中でいち早く動いたのはタバサであった。 シルフィードに乗り上空から様子を見ると ちょうどカズマがゴーレムの足を破壊したところに出くわした。 シルフィードが 「お姉様、あの人すごいのね。殴ってゴーレムを壊してるのだわ。きゅいきゅい」 などと言っているがとりあえず無視して品評会会場に戻ると、ルイズを捕まえ 「カズマがゴーレムと戦っている」 と告げる。 さすがカズマね、などとキュルケが快哉をあげるがルイズはとにかく駆け出した。 吹き飛ばされたカズマだが、空中で体制を変えると本塔の壁に着地、 壁を殴りつけた反動で砲弾のようにゴーレムに向かって行く。 「弾丸は、曲がらねぇ!」 カズマとゴーレムの腕が交差する。 しかして、ゴーレムは『先ほどカズマが着地した』本塔の壁をぶん殴って穴を開け、 カズマはゴーレムの胸を突き抜けた。 駆け出したルイズだが、タバサとキュルケに引き止められ、 3人でシルフィードの背に乗り塔へ向かうと、上空から様子をうかがう。 「貫通した? あのサイズのゴーレムを?」 キュルケが目の前の光景に信じられないとばかりに声を漏らす。 「それよりアレ、腕を伝って賊が宝物庫に!」 30メイルもあるゴーレムの胸を突き抜ける勢いで跳んだカズマは 完全にゴーレムから離れてしまっているうえに、カズマが開けた胸の穴も修復されていく。 3人は知らぬことだがさっき破壊された右腕の修復もすでに完了している状態だ。 「私たちで捕まえるわよ」 言うが早いか、ルイズは杖を抜き魔法の詠唱を始めた。 ルイズの失敗魔法やキュルケのフレイムボールがゴーレムの表面を吹き飛ばすが、 サイズ的に象に噛み付いた小犬のようなものだ。 フーケが離れた今は修復こそされないものの、 破壊する前に打ち止めになるほどゴーレムは巨大だった。 「出てきたところを狙った方がいい」 タバサがそう指摘する。 狙いが悟られないように、念のため威嚇程度にどっかんどっかんやっていると、 フーケが何か筒状のものを抱えて穴から顔を出す。 が、3人の思惑を斜め上に吹き飛ばすようにゴーレムはフーケをその腕に握ると、 はるか遠くに『投げ飛ばした』。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/46.html
>>back >>next ギーシュが舞台として指定したヴェストリの広場は『風』と『日』の塔の間にある中庭である。 ここは常に薄暗いところであり、ある意味『雰囲気満点』と言える場所だった。 「諸君! 決闘だ!」 カズマが広場に姿を現したのに気づいたギーシュが芝居がかった言い回しで薔薇の造花を掲げ、 ギャラリーに告げた。貴族の子弟にとっては格好の暇つぶし程度としか考えていないのか、 まさに十重二十重の見物人から歓声が上がる。 「ギーシュが決闘するぞ! 相手はルイズの平民だ!」 声に手を挙げて答えるギーシュをどうでも良い風に見ながら、カズマはメイジの使う魔法とやらがどんなモノか考えていた。 「とりあえず、逃げずに来たことは、ほめてやろうじゃないか」 「口上はいい、ビビってるんじゃなきゃかかってきな」 「フン、その減らず口がいつまでたたけるかな」 「くどい」 「わかったよ、じゃぁ始めようじゃないか」 ギーシュが薔薇の造花を振ると、花びらが一枚落ち、そこが盛り上がって甲冑を着た女性の姿をした青銅の像へと変わる。 「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?」 「いいぜ、そうでなくっちゃ面白くねぇ」 「吠えるな、平民が! 行けワルキューレ!」 正直な話、カズマにとってギーシュのワルキューレは何ら脅威ではなかった。 青銅の乙女は確かに『それなりの』動きはする。 しかし、この程度のシロモノ独立型アルターと何が違うというのだ。 いや、アルター使いにそれぞれによってどれ一つとして同じ能力の存在しないアルターと違って、 あくまで見た目通りの性能しかないこれは、カズマにとって遊びにもならない。 拳をいなし、蹴りを避け、突進をよけて体制の崩れたワルキューレに蹴りをぶち込む。 ゴイィーーーン 鈍い音が響く。倒れはするもののさすがに行動不能になるほどではなくすぐさま立ち上がってくる。 「どうした? よく避けているようだがそれでは僕を倒すことはできないよ?」 ぬるい。おそらくこの坊ちゃんは自分で殴り合いをしたことなど無いのだろう。 そんなヤツがルイズやシエスタを嬲る。カズマは静かに怒りのボルテージを上げていた。 「ふむ、埒があかんな。よかろう、君にもチャンスをあげようじゃないか」 そう言うとギーシュは薔薇の造花を一振りし、一本の剣を練金した。 「僕に勝ちたければそれを取りたまえ。武器、すなわち平民が貴族にかみつくための牙だ」 そう言われ、剣の方へ歩き出すカズマ。勝ち誇ったようなギーシュの顔は、 しかしカズマがその剣を蹴り飛ばしたことで酷くゆがむことになった。 「素手だから負けました、などとはもう言い訳にならんぞ」 「あいにく俺にはこいつがあるんでな、そんなモンはいらねぇのさ。見せてやるぜ、俺の自慢の拳をよ!」 そう言ってカズマは右腕を水平方向に持ち上げた。 >>back >>next