約 2,670,295 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/51.html
>>back >>next 「見せてやるぜ、俺の自慢の拳をよ!」 カズマがそう言ったとたん、その周りに2メイルほどのクレーターがいくつも発生する。 陥没した? イヤ違う、地肌が見えている。じゃぁ何だ。削り取られた? 何が? どうやって? ギャラリーのざわめきが大きくなる。 その中で、カズマの主であるルイズにだけはどう言うわけか何が起こっているのか感じることができた。 地面の一部が分解され、“火”“水”“土”“風”といったものよりも“さらに小さい何か”に還元されて カズマの右腕に集まっているのだ。 そしてその右腕を見る。同じように右腕の一部が還元されて縦に三つに裂ける。 そこへ地面から還元された“何か”が寄り集まっていく。“何か”が“何か”と結びつき、『右腕』を変貌させる。 あるところでは鎧のように硬く、あるところでは筋肉のようにしなやかに、そして拳はすべてを貫く強さへと。 それだけのことをわけもわからぬまま、理解できぬままに知ってしまいルイズは混乱する。 「なんだありゃ!」『私が知りたい』 「錬金なのか?」「メイジだって言うのかよ!」「自分の肉体を変化させる錬金なんて聞いたことないぞ!」『明らかに違う』 「まさか先住魔法?」 「ゼロのルイズは一体何を召喚したんだ?」 『そんなの私にだってわかんないわよ!』 叫びだす寸前であった。 「コイツがオレの“シェルブリット”だ」 スリットからエキゾーストを噴く右腕を掲げ、いつの間にか髪の逆立ったカズマがギーシュに宣言する。 「素直に武器を取ればいいものを、鎧など纏ってどうするつもりだね?」 一瞬何事かと驚いたギーシュだが、所詮右腕だけに鎧を身につけただけとタカをくくる。 それに答えるように、ニタリと笑ってカズマが吠えた。 「行くぜ! 鉄槌のシェルブリット!!」 その声とともにカズマが跳躍する。人にあらざるほどの高さへの跳躍から一直線に振り下ろされた右腕は、 まさに巨大なハンマーのようにワルキューレを真上から叩き潰す! 一瞬で青銅のゴーレムを金属の塊にする光景に広場全体が静寂に包まれる。 その中を悠然とギーシュに向かって歩を進めるカズマ。 「どうした、もう終わりか?」 その声で正気を取り戻したギーシュがあわてて薔薇を振る。 「ワ、ワルキューレ!」 槍、剣、盾で武装した合計6体の青銅乙女が出現、2体がギーシュを守るように立ち、 残り4体がカズマに向かってくる。 待つなんてまどろっこしいことはしねぇ。 口の中でつぶやくとカズマはギーシュに向かい駆け出す。 一番近い剣を持ったヤツを一撃で沈める。すぐその後ろからもう一体が剣を突き出すが、 その剣を真正面からぶん殴り本体ごと吹き飛ばす。槍が来た。懐にもぐりこんでアッパー一閃。 青銅の塊を5メイルほども上空へと舞い上がらせる。残りの一体が突いた槍の上を飛び越え、 その胴体を後ろからぶち抜いた。 『なんだ? 何が起きている? 僕のワルキューレが倒された? 4体も? あっという間に?』 迫り来るカズマという恐怖の中、ギーシュは最後の2体を自分の前で防御させるが、 その2体もカズマのたった一撃で瓦礫となる。 そして、「参った」の声をあげる前に、カズマの右拳が左の頬に到達した。 「悔恨のシェルブリット!」 数メイル吹き飛んだギーシュが一瞬で白目をむいて気絶し、決闘は終了した。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/14.html
>>back >>next 「月が二つあるんだな」 「何当たり前のこと言ってるのよ」 「いや、俺のいたところじゃ一つしか無かったもんでな」 どうやらここがルイズの部屋らしい。学園の寮だけあって質素なモノではあるが、 カズマがかなみと住んでいたうち捨てられた診療所跡に比べれば雲泥の差である。 ルイズはベッドに腰掛け、カズマは床にあぐらをかいて向かい合っていた。 「はぁ、ロストグラウンドって言ったっけ? 一体どんな田舎なんだか」 隆起して本土からは隔絶してしまっていたが、元々は横浜を中心とした 半径約30キロメートル程度の場所であるし、市街の復興具合は本土と変わらないのであるから、 田舎と言われるのは心外である。なんてことをインナー育ちのカズマが知るわけも考えているわけもなく華麗にスルー。 とりあえず、ここまでにカズマが説明されたこととしては、 ここはハルケギニアにあるトリステイン王国のトリステイン魔法学院 魔法が使える貴族と、そうではない平民がいる 学院の生徒は当然魔法の使える貴族の子弟である←のでちゃんと礼儀正しく行動しろ 学院では2年生になるとメイジが一生をともにする使い魔を召喚する儀式を行う 使い魔は主人であるメイジの目となり耳となる存在である それ以外に魔法の触媒を探してきたり、主人の身を守ったりする←前者には期待しないが 後者くらいはヘンテコな鎧を身につけていたくらいだからやってもらう ルイズが儀式を行ったところカズマが召喚された←のでちゃんと使い魔らしく行動しろ 平民が使い魔というのは気に入らないが、契約を解除する方法も、送り返す方法も知らないし、 再度召喚できるのは使い魔が死んだとき などなどであるが、適当な相づちだけを打って右から左に聞き流していたのは言うまでもない。 正直なところカズマが考えていたのは昼間ルイズが笑われていたときのことであった。 『なんでこいつはあの時に【反逆】しなかった』 それがカズマの中にある。だからこそルイズに声をかけたのだ。もうちょっと言い方は 考えた方がよかったと思う人が多いだろうが。 ふとかなみを思い出す。今でこそカズマを尻に敷くほどしっかりしてきたが、 約2年前に拾ったときには反逆するすべなど何も持たずに泣くしかない子供であった。 ルイズはかなみよりは年上らしいにもかかわらず笑われるがまま、 あまつさえ逃げるような行動をとろうとしたように見えた。 カズマはそれが気に入らない。 だからここにいる。【反逆】するために。 さて次の日の朝。 ルイズもカズマもくーかくーか寝ている。もちろん、ルイズはベッドで、カズマは床で。 …ところで、ルイズに起こせと言われなかったのだろうか、カズマさん。 そして、 ドンドンドンドンドン! 扉を叩く者がいた。 「ルイズ、ルイズったら! まだ寝てるの?」 キュルケである。 ツェルプストー家とヴァリエール家の因縁やら何やら有るが、キュルケ個人としては ルイズのことは気に入っている。魔法の成功確率こそ“ゼロ”であるものの、 それを補うために必死で勉強していることは承知しているし評価もしている。 当然当人には言いはしないが。なによりこんなおちょくり甲斐のある遊び相手はいない。 それに昨日召喚された平民をじっくり観察できていないし自分が召喚した使い魔の自慢もしていない。 どんなに悔しがるか見てやろうと思ったのに何の返事もない。 「心配?」 「あのねタバサ、そうじゃなくて」 そのうち、中からドタバタ言う音や、「着替え」だの「下着」だのあまつさえ「手伝え」などと言う声が聞こえてきて、 隣のタバサとチラリと見てやれやれと肩をすくめることになる。 さてさて、部屋の中では大騒ぎがあったものの何とか朝食には間に合うように部屋を出られたようだ。 「ルイズ、あなたってばこの・・・平民?」 「カズマだ」 「カズマに着替え手伝わせたの?」 「使用人がいるのに貴族が自分で着替えるわけないでしょ」 「でも男よ? ヴァリエールのお嬢様ったら慎みが足りないんじゃないですこと?」 「ただの使い魔よ! それにアンタに慎みがどうとか言われたくないわね、ミス・ツェルプストー」 口げんかをしている、と言うよりはじゃれ合っている二人の後ろについていくカズマに、 珍しいことにタバサが話しかける。 「手伝ったの?」 「ん? あぁ。いつもかなみの着替え手伝ってやってたからな、なんてことねぇ」 「かなみ?」 「・・・まぁいいじゃねぇか」 帰る手だてがなければ当然二度と会うこともできない。心配ではあるが考えても詮無いことなので、 かなみのことはできるだけ考えない努力をしていた。 ふと前に目を向けるとルイズとキュルケが二人して振り返っているではないか。そんなに珍しかったのだろうか。 さて、身の回りの世話と言うことで、昨晩洗濯までカズマに押しつけようとしたルイズではあったが、 「やらねぇ」「無理」「破れても知らんぞ」とひたすら拒否されたので、この方法で上下関係をしつけるのはあきらめ、別の方法を考えていた。 「カズマ、ここが食堂。本来は貴族専用なんだけど、アンタは私の使い魔だから、特別にはいることを許可してあげ・・・、あれ?」 「いないわね?」 またも作戦失敗のようだ。 「たぶん、使用人のところ」 「え? なんで? なんでタバサが知ってるの?」 微妙に『言ってもいいのかな?』と言うとまどいがなんとなくにじみ出ている気がするが、 ご主人様の威厳発動失敗状態のルイズはそれに気づかず問いただす。 「・・・洗濯、頼める人を聞かれたから」 なんと。 「ルイズ、あなたに足りないのは慎みだけじゃなくて恥じらいもなんじゃない?」 「大きなお世話よ!」 やはりお怒りなのだった。 ちなみにそのころ、カズマはちゃっかり賄いまでごちそうになっていたそうな。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/368.html
>>back >>next さて、不審者を捕まえて汚名返上しようと決意したルイズなわけだが、 翌朝いきなりもう一つ頭を悩ませる事情を抱えることになってしまった。 すなわち、最初の授業前に発表された【使い魔の品評会】である。 毎年恒例行事なのにこれを忘れていたというのは正直イタい。 しかも今年はアンリエッタ王女殿下がご覧になるというでは無いか。 幼少のみぎりに遊び相手を務めたアンリエッタとは互いに数少ない友達だ。 その目の前で平民を、それもこのカズマを使い魔にしたことをさらすということになる。 かといってお披露目できないとなると、使い魔の召喚もできなかったのかと思われる。 正直、頭を抱えるほか無い。 というわけでその日の最後の授業のあと、いろんな意味で不本意ながらカズマに話しかけることにする。 「ねえカズマ、朝先生が言ったこと覚えてる?」 「んあ?」 やる気のない返事だが、教室から出ようとするところで振り向いてどうにか引止めに成功。 ちなみに、いつもカズマとつるんでいる連中もそっちの対策なのか今日は手を振って去ったようだ。 「まいいわ。部屋まで戻って話すから」 「へいへい」 「返事は一回!」 「知らん」 「で、さっきの話だけど」 ベッドに腰掛けるルイズと、床に胡坐を組んで『何の話だっけ?』という顔をするカズマ。 自分に関わりのあることだと理解していないのかとちょっぴり情けなくなった。 「あのねぇ。朝授業の前に先生が言った事よ。【使い魔の品評会】!」 「そんなことか」 心底興味ない返事である。 「わかってる? アンタは私の使い魔なんだから一緒に出るのよ」 「あぁ? 聞いてねぇぞそんなの」 『あ、頭痛い』まさか本気で頭を抱えることになるとは。 「ちょっと考えたらわかるでしょ。アンタが認めようが認めまいがアンタは私の使い魔なの。 つまり私はアンタをお披露目しなきゃならないってワケ」 「オレには関係ねぇ」 「無いわけないでしょ。私が使ったサモン・サーヴァントの魔法でアンタが召喚された事実は曲がらない。 だからアンタが私の使い魔なの。なにがなんでも出てもらうからね」 「めんどくせぇ」 聞く気がないのか床に寝っころがる。 「めんどくさかろうが関係ないわ。私だってアンタをお披露目するのはイヤよ。 アンタがただの平民じゃないアルター使いとやらで、いくら強くても、 どうせまた平民を召喚しただのなんだの言われるコトぐらいわかってるもの」 「だったら「それでもね、やらなきゃいけないの。私は貴族なんだから」 『姫様から逃げるなんてマネできない』自らに言い聞かせるようにそう言うルイズを、 起き上がって正面から見据えるカズマ。 『なんだか初めてみたいな気がするわね、お互いの顔をちゃんと見るのって』 微妙に場違いなことを思い浮かべるルイズ。 二人してにらみ合うかのように固まることしばし、根負けしたのか、 先に目をそらしたのはルイズの方であった。ついでに言うと頬が少々赤い。 「…なによ」 「…なんにもやんねーぞ」 諦めたようにそう言うとカズマも目をそらした。 「とりあえずはそれでいいわ。ホントはなにか芸の一つでもやらせなきゃいけないんだけど…」 さすがにとてつもなく怖い目で見られたのでそこで言葉を濁す。 「と、とにかく。品評会に出てくれればいいわ。それ以上は妥協するから」 そういえばもう夕食の時間だ。話は打ち切り、とばかりに部屋を出ようとしたら声をかけられた。 「今夜も散歩するんだったら飯の後しばらく寝てろ。起こしてやる」 バレていたらしい。 「大きなお世話よっ!」 先ほどよりさらに赤い顔でルイズはそう怒鳴った。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/408.html
>>back >>next 「おやおやおチビちゃん、張り切ってるねぇ」 カズマを伴って茂みから本塔を見張るルイズを冷ややかにながめるフードの下の目。 口元には嘲笑をたたえたミス・ロングビルこと土くれのフーケは、一瞥をくれてその場を立ち去った。 まさか下調べしているのを見られるとは想定外だったが、 昨晩のような月夜にあのピンクの髪はいくら隠そうとしても所詮素人のやること、相当に目立つ。 彼女がゼロという不名誉な二つ名で呼ばれているのは重々承知していたから、 決定的な証拠さえ見せなければ何もできないと踏んだのは予想通りだったが、 まさか次の晩から張り込みをするとは流石に思ってもみなかった。 もっとも、王女殿下の行幸などというめったにないイベントがあることがわかったのだ、 決行はそっちに変更済みである。警備もそちらに割かざるを得ないから手薄になるし王女の顔に泥もぬれる。 一石二鳥以上だろう。 まぁ、やる気のミス・ヴァリエールにはせいぜい寝不足になってもらおうではないか。 意地の悪いニヤニヤ笑いはしばらく止まらなかったという。 ちなみに、翌朝しっかりルイズは寝過ごしたそうな。 さて、時間は品評会の前日まで進む。 アンリエッタ王女の来訪ということで、学院総出での出迎えが行われた。 ルイズとしてはここ数日間の空振りで体力的にも精神的にもかなりやばいことになっていたが、 ものすごくがんばって、フラフラしながらもなんとかユニコーンが引く馬車が通り過ぎるまで耐えることができた。 直後に立ったまま寝てしまい、苦笑しながらのキュルケに支えられていたことを知ったらどんな顔をするだろうか。 カズマはハナから興味がないので(ルイズは出迎えに参加するように言っていたようだが、 寝てるんだか起きてるんだかあやしい状態だったのでキュルケに押し付けて聞き流した)、 一応一行が見えるあたりで木にもたれて座っていた。隣ではタバサが本を読んでいる。 「いいのか?」と聞いてみたが、「興味ない」「(私は)外国人だから(参加しなくても)問題ない」とかいう答え。 インナー育ちで外国と言う概念が良くわからないカズマにはピンとこなかったが (『縄張り』のようなものか、程度に考えたようだ)、本人がいいならいいのだろうと気にしないことにしている。 タバサの使い魔であるシルフィードも木陰でうたた寝中だ。 妙に平和な空間が形成されていたがそれも終わる。王女が建物に入り生徒が解散となったためだ。 居眠り中のルイズをレビテーションで運びながら、キュルケとギーシュ、さらにモンモランシーがやってきた。 王女の容姿を褒めるギーシュにモンモランシーが頬を膨らませ、私のほうが美人よねぇ等とキュルケが言い、 いやいやあの高貴さは君には真似できないとギーシュが返す。ついでにモンモランシーが自分の胸元に目を下ろしため息をつくエトセトラエトセトラ…。 起きないルイズが微笑ましい。 ふと、君島やかなみとすごした何気ない日を思い出す、こんな空気もごくごくたまには悪くない。 その日の夕食後のこと、ルイズは今晩も張り込むべきか迷っていた。 これまでの空振りのこともあるし、そもそも姫殿下が滞在中ということで 城から連れてきた衛兵も歩哨に立っている。こっちが捕らえられる様なことになったりするかもしれないではないか。 それはまずい。汚名返上はおろか肉親からどんな折檻を受けるか想像をしただけで身震いがする。 「というわけで今晩の張り込みは中止よ」 「そうか」 脳内スキーマを全く説明することなく結論を述べるルイズに、 あまりの手ごたえの無さにすっかり飽きていたカズマは軽く同意する。 とまぁ、そこに長く2回、短く3回のノックの音が響いた。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/728.html
>>back >>next 結局、ゴーレムがフーケを投げ捨てた後もしばらくの間暴れまわったために、 カズマもシルフィードに乗った3人もその場を離れてフーケを追うことはできなかった。 衛士がおっとり刀で駆けつけたときには、 ゴーレムはそのほとんどがカズマによって解体された後だったわけだが。 その後宝物庫に残された『破壊の杖、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』 といういつものメッセージでが発見され、 アンリエッタ王女は王室への報告もあり式典もそこそこに城に戻る。 夜になって教師たちは話し合いを開くが会議は喧々囂々で何の結論も出やしない。 曰く「教師が慌てふためくだけで、なにもしていない」だの「姫様に警備を割きすぎた」だの あげくに「いやそもそもこの行幸は姫殿下の独断と聞く。それさえなければ~」 などと言い出すものもいる始末。 オールド・オスマンは黙って髭をなでているが、 いつもの好々爺然とした表情ではなかったという。 空転しまくった会議に3人+カズマが呼び出されたのは次の日の朝こと。 4人はそのとき初めて、犯行が『土くれのフーケ』によるものだと知ることになる。 当初「みんなを見返してやる」ことにしか頭になかったルイズであったが、 ここへきてアンリエッタの責任問題を示唆される。 “自分を『友達』と呼んでくれる王女の役に立つ”という使命感を以って 破壊の杖奪還を志願するルイズ。 それに対しキュルケとタバサも同行の意思を示す。 カズマにしても『逃げられました』では腹の虫が収まらない。 ルイズの志願は願ったりかなったりであった。 「乗り心地については我慢してくださいね」 馬車の御者台に座るミス・ロングビルが振り向き気味にそう言う。 『街道から外れた森の中の小屋にフーケらしき人物が入って行くのを見た』 という情報を得た、と伝えた彼女は道案内をかねて同行を申し出たのだ。 馬車と言っても、幌もない、言ってしまえば『荷馬車に2列の座席をつけたもの』だが、 襲撃を受けたときとっさに馬車から飛び降りることを考慮したものだ。 退屈しているのか、緊張感も無くキュルケがロングビルに話しかける。 「ところでミス・ロングビル、御者など従者にでもやらせればいいじゃないですか」 「いえ、私は貴族の名を捨てた者ですから」 「え、でもオールド・オスマンの秘書じゃないんですか?」 「あの人はそういうことにこだわらない方ですから」 興がノってきたのか身を乗り出して話を続けるキュルケ。 「その辺り、ぜひ詳しくお聞かせ願いたいですわね、ミス・ロングビル」 「たいして面白い話でもありませんわよ」 言い渋るロングビルに食い下がるキュルケ。カズマとタバサは我関せず、というか、 『自分に話しかけてこないなら好きにやってくれ』 といったところであろうか。 「いい加減に止めなさい。ゲルマニアじゃどうか知らないけど、 トリステインではそう言うのを根掘り葉掘り聞くのは失礼なの」 「つま~んな~い。ねぇ、カズマは聞きたくない?」 水を向けられたが、カズマはチラリとキュルケのほうを見て「興味ねぇ」と一言。 肩をすくめるしかないキュルケと苦笑いするロングビルであった。 しばし後、街道から少々脇に入り馬車を停めることになる。 「ここからは歩いていきます」 徐々に森は深く、鬱蒼としてくる。昼間だというのに薄暗く気味が悪い森を進むと、 少々開けた、森の中の空き地といった風情のところに出た。 真ん中には確かに小屋があり、元は木こりが使っていたのか、朽ちた炭焼き用の窯の跡や 物置小屋だった物が見て取れる。 「あそこにフーケがいるのかしら」 「私が集めた情報からするとそうだと思われます」 ルイズの疑問にロングビルが答える。 「作戦会議」 ボソっとタバサがつぶやいた。 4人は茂みに隠れて、小屋から見えない位置で相談を始めた。 …、4人? 「何やってるのよ、アンタはー!」 既にカズマが小屋の扉をぶち破って殴り込みをかけているではないか。 「ちまちままどころっこしいコトなんかやってられっか! 来いよ、誰もいねぇから」 そう言いながら無造作に小屋の中に踏み込む。 辺りを偵察してくるといったロングビル、外を見張るといったルイズを残し タバサとキュルケの二人が小屋に入ってくるのと入れ違いに、 拍子抜けしたカズマが小屋を出てきた。 しばらくして、タバサが 「あった、破壊の杖」 と筒状の物を抱えて小屋を出てくる。 「ちょっと待て、そんなモンが破壊の杖だってのかよ!」 「何よアンタ、これのこと知ってるの?」 そう、カズマは使ったことこそない、使う必要すらないがよく知っている。 この『破壊の杖』と呼ばれるシロモノを。 そして、その声を掻き消すように再び巨大なゴーレムが小屋の前に出現した。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/483.html
>>back >>next 長く2回、短く3回のノックにルイズがはっとして居住まいを正す。 カズマは床に寝そべったまま興味なし。 ルイズが開いた扉から転がり込むように部屋に入ってきたのは すっぽりと黒いフードをかぶった少女であった。 「…まさかあなたは」 入ってきた少女はしっ、と指先を口元に持ってくると何事かつぶやく。 と、光が部屋の隅々に広がり、消えた。 「ディティクトマジック?」 「どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね」 そういって、ようやくフードを取った下の顔は果たして、 アンリエッタ王女その人であった。 「姫殿下!」 「お久しぶりね。ルイズ・フランソワーズ」 一瞬パッと顔を明るくするルイズ、だがあわてて膝をつく。 そのルイズをアンリエッタはかがんで抱きしめた 「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!」 「姫殿下、いけません。こんな下賤な場所へ、お越しになられるなんて…」 どことなく芝居がかったようなやりとりをよそに、 「ルイズ、知り合いか?」 空気を読まないカズマの一言が炸裂した。 とどのつまり、アンリエッタはルイズがどんな使い魔を召喚したのかをいち早く見たくて こんなところにまで来たらしい・・・・・・表向きは。 おそらく真の目的は『息抜き』だったのだろう。 お飾りの王女で、実質は宰相が国政を動かしているようなものとはいえ 自由に行動できる機会はほとんど無い。 昔の思い出話に話を咲かせてルイズと笑いあう姿は確かに年相応に見えた。 そういえば、かなみもカズマほったらかしで友達と話し込んだりしていたことがあった、 なんてことを思い出していた。 ちなみに、カズマがここで初めてルイズの年齢が16だと知ったというのはご愛敬。 すなわち、ルイズが初めて鞭でカズマを追い回したと言うことでもある、 当たるわけもなかったが。 合掌。 翌日、品評会当日である。 ルイズは昨晩去り際にアンリエッタがもらした 「あなたが羨ましいわ。自由って素敵ね。ルイズ・フランソワーズ」 と言う言葉と、扉が閉まり去った後にカズマがつぶやいた 「自由が欲しいなら抗うしかねぇ。あの姫さんにできるかどうかはわからねぇがな」 との言葉を思い出しながら自分の席で出番を待っていた。 舞台の壇上では級友達がおのおのの使い魔に芸を披露させている。 …中には芸かどうか疑わしいのもいるが。 さて自分の番だ。 自分の使い魔のカズマはすでにアンリエッタに知られている。あきらめて堂々と振る舞ってやればいい。 「紹介いたします。私の使い魔、カズマ。種類は“アルター使い”です」 とたんにヤジが飛ぶ。曰く『タダの人間じゃねーか』『“アルター”ってのは何だよ』などなど。 「やかましい!!」 カズマが叫び、壇上から飛び上がる。 一瞬でアルター化した右腕を地面にたたき込むと、 直径10メイルを超えるクレーターが穿たれ一部の見学者の席が巻き込まれた。 唖然としたルイズを始め、静まりかえった会場。復帰したアンリエッタの拍手に続いてまばらに拍手がおこる。 と、そのとき、離れたところから、ドーン、と言う音が聞こえてきた。 何事かと騒ぐ生徒、衛兵は王女に避難を促す。 コルベールやオスマンなど一部の教師は生徒に避難の指示をするが ほとんどはうろたえておろおろするだけだ。 「あれ、カズマは?」 「知らないわよ、アンタ自分の使い魔でしょ」 そういったとたん、先ほどよりさらに大きな騒音が響き渡った。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2403.html
>>back >>next トリステイン魔法学院にギトーという教師がいる。『疾風』の二つ名を持つ風系統のメイジである。 長い黒髪に漆黒のマント、さらに目つき悪く若干陰険気味と、まだ若いのに正直に言って生徒からの人気は低い。 今日も今日とて 「最強の系統は知っているかね? ミス・ツェルプストー」 この有様だ。 「『虚無』じゃないんですか?」 「伝説の話をしているわけではない。現実的な答えを聞いているんだ」 ある意味、始祖ブリミルにケンカを売っているとも言える台詞である。 ちなみに、ミセス・シュヴルーズと違い一年時から授業があったため、まぁだいたいの意図は生徒の方でも わかっている。すなわち『風』系統の自慢である。 「さぁ?『微熱』といたしましては『火』と答えたいところですが。少なくとも『風』に揺るがぬモノも 世の中にはあるかと思いますわ」 そう言うとキュルケはルイズをちらっと見た後、教室の後ろで退屈そうにしていたカズマに目配せをする。 「ほほぉ、では君がそれを見せてくれるのかね?」 不機嫌を隠しもせずにそういうと杖を向ける。ぶっちゃけ、この時点で【ものを教えるという資質】に 欠けているような気がしないでも無い。 「いえいえ、私がお見せできるのは『火』くらいなもの。 それでもよろしければ受けていただけますか?」 キュルケも挑発的に笑顔を作ると杖を構える。 「よかろう。君の炎、見せてみたまえ」 その言葉を合図にキュルケはルーンの詠唱を始める。即座に目の前に一抱えほども有る火の玉が出現するが、 それでもまだ足りぬとばかりに詠唱は続く。しかし、実はこれはこけおどしなのだ。本命は別のところにあるのを 今は察知されるわけにはいかない。威力はともかくなるたけ大きく、他のモノが何も目に入らないほど 大きくなれとばかりにつむがれる呪文に、生徒たちも机の下に身を隠す。 とうとう女生徒にしては大柄なキュルケの身長ほどの大きさにまで火の玉が膨れ上がると、それを一瞬押さえ込み 教壇へ向かって押し出す。ようやく解放された魔力は、元よりさらに大きな炎へと変化しながらギトーへ向かう。 ギトーは魔力の奔流とも感じられるそれを冷静に見据えながら薙ぎ払うように杖を振るい、果たして、 舞い上がった烈風によって巨大な火の玉ははじけとんだ。そしてそのままキュルケをも襲うかと思われた風は、 しかしその手前で炎の中から現れたゴツイ拳によってかき消されることとなる。 「なんなんだね、君は」 シェルブリットを振りぬいた姿勢でニヤリと笑いを浮かべるカズマにギトーが不機嫌そうに言う。それを見た 一部の生徒から『当てる気満々だったのかよ』的な呆れがこぼれているのに気がつかないのだろうか。 ちなみに、ルイズは「カズマは私の使い魔だって言うのに…」などとぼやいていたりする。まぁ、ギトーの やり方をどう思うかといわれて、どうやっても好意的にはとれないので仕方なく貸しているような心境だ。 「風に揺るがぬ力ですわ、先生」 火の玉、そしてはじける炎を目くらましに、あらかじめアイコンタクトをしておいたカズマの背後に隠れていた キュルケがひょっこりと顔を出して答える。 「私は『最強の系統を知っているか』と聞いたはずだ、ミス・ツェルプストー」 「あら、ご自慢の風は魔法を使えない彼にもかないませんの?」 キュルケはしれっと答えるが効果は抜群であったようだ。 「よかろう。風が最強である証、とくと見せてやろうではないか。 そこのお前、かかって来い」 言うとギトーはルーンを唱え始める。 「ユビキタス・デル・ウインデ…」 しかし、その呪文が完成する前に、たったの一蹴りで教室を縦断したカズマの一撃によりノックダウン することになるのだが。 その後カズマへの喝采で沸く教室にいきなり現れたミスタ・コルベールによってアンリエッタ姫殿下の 行幸とそれに伴う授業の中止が告げられることになるのだが、ギトーのことはすっかり放置されたそうである。 合掌。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/kattenisrc/pages/1956.html
460: 名無しさん(ザコ) :2019/01/17(木) 23 09 02 ID p3ndRVr20 漫画版のスクライドに登場した、ギャラン=ドゥのタイムマシン。 その見た目はどう見ても黒のリヴァイアス。 もちろんネタ枠だが最後の最後でしっかり味方母艦として使われている。 能力は敵としても強く、味方として使うなら超破格な母艦枠。 装甲800と薄いが、HP18000にフィールドLv2(対BはLv4相当)で飛行している。 武装も射程5/威力1700/弾12というバルジキャノンを完備という化け物。 また、カズマを恐竜時代まで送ったタイムビームは、弾1なのだが、 射程5/即属性/CT+50という「なんじゃこりゃ」と言いたくなる性能。 敵として出た場合は、耐久は高いが命中は低いという欠点があるため、 射撃か対空が強い回避型のユニットを動員すれば手間はかかるが完封も可能。 まぐれ当たりで消し飛ぶ危険にだけは注意したい。 味方として出た場合はまずスタメンから外れない。 仮にパイロットが全能力100でSPなしでも、化け物耐久をアイテム1で補強し、 常に安全に使える壁母艦にするだけでも十分に使い道がある。 ネタ的には蒼乃大気にパイロットをしてほしいところだが、 原作的には死んでいるしSP的にも強さが跳ね上がってしまうのが悩みどころ。 まあ、これがまともに味方として使える状況自体がないとは思うが。
https://w.atwiki.jp/niconico3nd/pages/359.html
君島の車 ランサーに支給された。 今亡き君島が愛用していた車。
https://w.atwiki.jp/multiple/pages/157.html
文化的サングラス 支給者 ストレイト・クーガー 所有者の変遷 ストレイト・クーガーの遺体傍に放置 説明 クーガー愛用、濃い紫色のスポーツタイプのサングラス。 初登場話 0025:ストレイト・クーガー 君島邦彦の拳銃 支給者 ドラえもん 所有者の変遷 ドラえもん→カルラ→春日→カズマ→ギルガメッシュとの死闘により消滅 説明 カズマの親友でロストグラウンドで斡旋するフィクサー、君島の拳銃。作中では君島の死後カズマによってアルター化されている。指のないドラえもんに使うことが出来るかどうかは次の書き手にお任せします。また、装填できる球数や予備弾の数も次の書き手にお任せします。 初登場話 0058:ネズミの国 桐生水守のペンダント 支給者 カズマ 所有者の変遷 消滅? 説明 劉鳳が幼少時に形成して水守にプレゼントしたアルターの結晶をペンダントに加工したもの。劉鳳本人とシンクロしており、死線をさまよった際には消滅しかけ、蘇生した際には元通りになったりしていた。劉鳳が死亡したため、今はチェーンの部分しか残っていない。 初登場話 0089:時に絆さえ心を縛る アルター結晶体の肋骨 支給者 ?(カズマの持っていた不明支給品) 所有者の変遷 消滅 説明 原作9話、「シェルブリット」により登場。 カズマがアルター結晶体から引き抜いたものであり、シェルブリット第二形態への進化のきっかけとなった。 初登場話 0167:拳 由詫かなみのリボン 支給者 ?(カズマの持っていた不明支給品) 所有者の変遷 消滅 説明 原作最終話、「夢」により登場。 成長したかなみがアルターの力とともに、大空へ飛ばしたリボン。 リボンがほどける前にかなみの身体からはアルターの光がともり、リボン自体にもアルターの光が宿っていたため、アルターに関係していると思われる。 初登場話 0167:拳