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ある日の午後、俺は地底への入り口にいた。 何があるというわけではない、ただ人を待っていたというだけだ。 遠く、といっても数メートル程度だが、でにとりと萃香が口論をしている。 止めればいいと思うかもしれないが、両者の喧嘩を止められる力量なんて持っていない。 だから俺はそれを黙ってみながら、ただ待っていた。 20分ほど経っただろうか、いつしかにとりと萃香の口論は取っ組み合いに発展していた。 「だからあいつは私と一緒に旧都で酒を呑むんだ」 「いいえ、私と山で道具を作るんです。これは譲れません」 二人で手に手をとって押し合いをしている。 鬼の力に河童が敵うまいと思ったが、パワードスーツのおかげで善戦しているようだ。 二人の勝負をぼんやり眺めていると、穴から誰かが出てくるのが見えた。 その人物はこちらに気付くと、ゆっくりとした足取りで近寄ってくる。勿論喧嘩している二人を避けて。 「早かったじゃない。まだ時間あるよ」 俺もまた近づきながら言う。 「あなたよりも先に来ておこうと思ったのだけど、先を越されたわね」 ちょっと悔しいわ、とやってきた彼女、パルスィが呟く。 「まあ、こっちも狙っていたからねえ」 「むう、ますます悔しいわ」 そう言って膨れ面をしたパルスィの頬を潰しつつ、俺は彼女の気を宥めにかかった。 「ねえ、あれは何をやっているのかしら?」 顔を元に戻したパルスィが言う。視線の先には萃香たちがいた。 「なんだろう。相撲かな」 がっぷりよっつに組んだ二人を見て答える。 「元気ね。こっちは歩いてきたから疲れてるのに。妬ましいわ」 「あれ歩いてたの? 飛んで来ればよかったのに」 「洞窟の天井に頭ぶつけちゃうのよ」 そういうパルスィの頭を見ると、髪の毛に石片のようなものが付いている。 それを手で払いのけてやると、パルスィは目を細めて言った。 「……背の高いあなたが羨ましいわ」 「頭の上はのっぽさんでも見れないんじゃないかなあ」 実際には、俺はそれほど背の高いというわけではないのだが。 「疲れてるなら甘味でも食べてから行こうか」 今まで腰掛けていた岩にパルスィを休ませ、提案する。 「でも温泉が閉まっちゃわないかしら」 「いや、まだ昼過ぎだから。そんなに早くには閉まらないよ」 そう返してやるとパルスィは思案顔をした。 「カップのプリンなら温泉の中でも食べられるらしいよ」 ついでに付け加えてやると、パルスィは驚いた表情でこっちを向いた。 「どうやって持ち込むの?」 「お盆に載せて。お銚子とつまみを持ち込むようにプリンとお茶を持ち込むんだってさ」 実際には試したこと無いけど、とも付け加えてやる。 真昼間から酒を呑む訳には行かない、と女性グループに人気があるそうな。 お前ら風呂入ってろよと言うのは禁句だ。 「甘いものがそんなところでも食べられるなんて、地上は妬ましいわね」 そう言いながらも、パルスィはとても嬉しそうな顔をしている。 「そうね、それならそうしましょうか」 言ってパルスィは立ち上がり、俺の手を掴むとそのまま引っ張っていった。 「そんなに急がないでも逃げやしないよ、温泉は」 「駄目よ、早く行きましょ」 そのまま、二人手をつなぎながら温泉に繋がる道を早足に歩いていった。 後に残ったのは、喧嘩をしていた二人のみ。 「うう、橋姫に嫉妬する日が来るなんて」 「妬ましい、温泉で二人しっぽりなんて、なんて妬ましい」 うpろだ1364 ───────────────────────────────────────────────────────────
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ブルー・カルチャー 水 コモン 1 呪文 ■クリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻す。 作者:匿名 火・光にはないカルチャーシリーズの一つ。 STを引いてコスト論的に1マナになる基本カードシリーズ。 グリーン・カルチャー ブラック・カルチャー 評価 せっかく、スパイラル・ゲートが殿堂入りしたのに これではサイキックが、たった1マナで除去されてしまいます。 mpedm
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『セーフティ・エリア』は、フェルミウム湾?が企画、作成したRPGの名称。完成日は2009年12月29日。本作はRPGツクール2000で制作されている。 概要 ベイ助が主人公になった初めてのRPG。本作は元々ゲームとして制作するつもりではなく、キャラクターを動かしてストーリーを展開するのみのものを作ろうとしていたが、キャラクターを設定しているうちにRPGの要素も取り入れようと考え、アイテムなどを考案しているうちにRPGそのものになってしまった。そのため、アイテムには「寿司」や「オムライス」など、RPGらしくないものが多くある。このような成り行きはいろいろ帝国二戦?のときと似ている。 ストーリー 主人公ベイ助は、どうも暇な毎日を送っていた。ある朝、突然家の前に男が現れ、デイハ城へ持って行くよう謎の玉を渡して消滅してしまう。これを校長のエレイ?や村長に見せると、デイハ城へ旅に出るよう言われ、行くことになる。 デイハ城の王に謎の玉を渡すと、それを守るために遺跡へ保管するよう言われるが、その遺跡で玉を狙う謎の男と遭遇し、奪われてしまう。果たして玉の正体は何なのか。なぜ男はそれを狙うのか? 戦闘システム RPGツクール2000デフォルトの戦闘を使っている。各キャラクターのレベルは50が最高。レベルアップすると主要メンバーは星を手に入れることができる。手に入れた星を使って「技の習得」を選ぶと、攻撃系、防御系、補助系から習得したい技を選ぶことになる。星をいくつか使うと技を習得、次のレベルの技名が確認できるようになる。 また、デイハ城を訪れることで「禁断の書」を受け取ることができ、ボロボロになって読めない字に当たるページのかけらを集めることで、技を習得できるようになる。「禁断の書」による技の習得は、どのキャラクターでも行える。一度習得した技を忘れ、他のメンバーに習得させることも可能。 登場キャラクター ベイ助 本作の主人公。レイユ族?の少年だが、空は飛べない。炎系の攻撃魔法が得意。 ライ太? ベイ助の友達。電気が嫌いだが、戦闘では雷系の攻撃魔法を使う。 ベイ太? ライ太の幼なじみ。体は大きいが、臆病な所がある。 ポン太? もともと村に住んでいたが、突然行方不明になった。泥棒をしている。 レーラ? ベイ助と同じ村に住んでいる。回復魔法を使える。 エレイ ベイ助の村にある学校の校長。かなり強い。 レイベ? ポン太同様行方不明に。実はデイハ城の王と親しい。 バール デイハ城の王。禁断の書をくれる。 ファデイ ベイ助たちを襲い、謎の玉を奪った男。目的は何かは分からない。 フィーア 家に帰れないポン太を助け、村に受け入れさせる。 アルウ? キーア族?の族長。連続攻撃ができる。 クー太 アルウの弟。兄とは対照的な性格。 ポン吉 キーア族。小心者で、あまり積極的に喋らない。 ナイ太 ポン吉の親友で、いつも彼を支えている。 ゲメオン 第4代大地の賢者。亡霊となってキーア族の森を守っている。 アギー 銀色のコインを集めている老人。 ウェレト フルトの王。古代の言葉と現代の言葉を使うことができる。 アクリア ウェレトの妹。凶変したウェレトのことを不思議に思う。 テュラ? ベイ助の父。詳細は不明である。 エルゼラフ 第4代風の賢者。数百年前に死亡した。 リデイン 第4代水の賢者。詳細不明。 地名 第1世界 ハイフィルト ベイ助の住む村。裏山や学校がある。 ラムア ハイフィルトの隣にある村。謎の祠の情報収集を行うことになる。 謎の祠 ラムアの南東にある祠。南の大陸に繋がっている。 アレス レイベが住んでいる村。 デイハ城 物語の最初の目的となる場所。王に会い、謎の玉のことについて聞く。 バンデュー遺跡 古い遺跡。奥には同じような謎の玉が置かれている。 カイフ 小さな村。昔の通路という洞窟がある。 暗闇の洞窟 孤島にある暗い洞窟。 レウト 西の大陸にある町。ここで世界地図を入手できる。 ルイフ神殿 レウト北にある神殿。仕掛けを解くにはレウトで情報を集める必要がある。 第2世界 ケーノラ 大陸の南にある村。 フェムト ポン太がしばらく住んでいた村。 大鳥の巣窟 グリフォンの巣窟。最深部には色々なアイテムがある。 フェムトの水路 フェムトの西にある水路。西の島に繋がっている。 いにしえの祠 最深部に謎の空間が広がっている祠。通り抜けるには何かが必要。 キーア族の森? キーア族が住んでいる森。奥には大地の賢者ゲメオンがいる。 ジャジエール監獄 大きな監獄。地下には空洞があり、金竜が眠っている。 ヘウ神殿? フェムト東の山中にある神殿。複雑な仕掛けがある。 アギーの小屋 銀色のコインを渡すとアイテムをくれる、アギーが住んでいる小屋。 ヘクタ 孤島にある村。現在の村長の祖父が作った。 第3世界 コンウ 謎の廃墟。地下は祠に繋がっており、ワープして西の祠へ行ける。 西の祠 コンウの地下と繋がっている祠。 フルト 第3世界唯一の集落。そこに住む者は古代の言葉を話す。 海底神殿 海底に及ぶ神殿。古代の文明を知ることができる。 リデフ 古代人最期の地。宿屋や道具屋は全部機械。 謎の空洞 リデフの東にある空洞。奥に基地がある。 第4世界 シェーハフ 漁業が盛んな村。ここからイカダに乗って東の大陸へ行く。 ガルデヒ エルゼラフが住んでいる村。 ガルデヒ砂漠 ガルデヒの東にある砂漠。奥に砂漠の遺跡がある。 砂漠の遺跡 最深部に大地の賢者の力が眠っている遺跡。 水の塔 本作で一番高いダンジョン。水の賢者の力が眠っている。 リレータ 大陸の南東にある村。エルゼラフが村長。 ヴェウ火山 洞窟に入ったり出たりを繰り返しながら登っていくことになる山。最深部に炎の賢者の力が眠っている。 風の祠 シンプルな造りをしたダンジョン。最深部に風の賢者の力が眠っている。 第5世界 中心の神殿 すべてのセーフティ・エリアの中心にある神殿。 賢者の遺跡 賢者の力が研究された場所。 セーフティ・エリアについて 本作はセーフティ・エリアというタイトル名であるが、実際に作中にこの名称が登場するのは序盤~中盤にかけてである。ベイ助たちが想像するすべての空間はセーフティ・エリアという、地上から隔離された空間である。それを保っている物質が中心の神殿にある「エアイ」である。 キャラクターの性格 本作のパーティーメンバーの性格や関係は、現在の設定に比べるとかなり異なっている所がある。このことについては、特に理由はなく、こじつけて言うなら、別時間軸のキャラクターである。 標準キャラクターとの主な相違点 共通説明書にある各キャラクターの血液型が現在の設定と違う。 ベイ助高いところが苦手 算数が嫌い(苦手) ライ太ベイ助との関係 ポン太に対して傲慢 妹(ルゥ?)がいない ベイ太4足歩行(こちらを標準とする場合もある) ポン太異常に虐げられる 元気がない レーラベイ助に好意を持っている レイベずいぶん優しい クー太真面目な話に真剣 アルウより目立たない 予告編 本作には紹介用の予告編動画がある。本作のシリアス気味な内容に合わない、大変投げやりな内容である。この動画は、前作にあたるいろいろ帝国二戦散?にて、エンディング後のおまけ特典として見ることができた。 関連項目 レイユ族? キーア族? フェルミウム湾?
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スィエン スラヴ民間伝承の家事の精霊。 家の守護霊。
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autolink KF/S05-039 カード名:ビリー・カーン カテゴリ:キャラクター 色:緑 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:2000 ソウル:1 特徴:《武器》?・《暗黒街》? 【永】他のあなたのキャラが3枚以上なら、このカードのパワーを+1500。 どりゃりゃりゃー レアリティ:C
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パルスィ1 パルスィと温泉 旧うpろだ1364 19スレ目 168 ある日の午後、俺は地底への入り口にいた。 何があるというわけではない、ただ人を待っていたというだけだ。 遠く、といっても数メートル程度だが、でにとりと萃香が口論をしている。 止めればいいと思うかもしれないが、両者の喧嘩を止められる力量なんて持っていない。 だから俺はそれを黙ってみながら、ただ待っていた。 20分ほど経っただろうか、いつしかにとりと萃香の口論は取っ組み合いに発展していた。 「だからあいつは私と一緒に旧都で酒を呑むんだ」 「いいえ、私と山で道具を作るんです。これは譲れません」 二人で手に手をとって押し合いをしている。 鬼の力に河童が敵うまいと思ったが、パワードスーツのおかげで善戦しているようだ。 二人の勝負をぼんやり眺めていると、穴から誰かが出てくるのが見えた。 その人物はこちらに気付くと、ゆっくりとした足取りで近寄ってくる。勿論喧嘩している二人を避けて。 「早かったじゃない。まだ時間あるよ」 俺もまた近づきながら言う。 「あなたよりも先に来ておこうと思ったのだけど、先を越されたわね」 ちょっと悔しいわ、とやってきた彼女、パルスィが呟く。 「まあ、こっちも狙っていたからねえ」 「むう、ますます悔しいわ」 そう言って膨れ面をしたパルスィの頬を潰しつつ、俺は彼女の気を宥めにかかった。 「ねえ、あれは何をやっているのかしら?」 顔を元に戻したパルスィが言う。視線の先には萃香たちがいた。 「なんだろう。相撲かな」 がっぷりよっつに組んだ二人を見て答える。 「元気ね。こっちは歩いてきたから疲れてるのに。妬ましいわ」 「あれ歩いてたの? 飛んで来ればよかったのに」 「洞窟の天井に頭ぶつけちゃうのよ」 そういうパルスィの頭を見ると、髪の毛に石片のようなものが付いている。 それを手で払いのけてやると、パルスィは目を細めて言った。 「……背の高いあなたが羨ましいわ」 「頭の上はのっぽさんでも見れないんじゃないかなあ」 実際には、俺はそれほど背の高いというわけではないのだが。 「疲れてるなら甘味でも食べてから行こうか」 今まで腰掛けていた岩にパルスィを休ませ、提案する。 「でも温泉が閉まっちゃわないかしら」 「いや、まだ昼過ぎだから。そんなに早くには閉まらないよ」 そう返してやるとパルスィは思案顔をした。 「カップのプリンなら温泉の中でも食べられるらしいよ」 ついでに付け加えてやると、パルスィは驚いた表情でこっちを向いた。 「どうやって持ち込むの?」 「お盆に載せて。お銚子とつまみを持ち込むようにプリンとお茶を持ち込むんだってさ」 実際には試したこと無いけど、とも付け加えてやる。 真昼間から酒を呑む訳には行かない、と女性グループに人気があるそうな。 お前ら風呂入ってろよと言うのは禁句だ。 「甘いものがそんなところでも食べられるなんて、地上は妬ましいわね」 そう言いながらも、パルスィはとても嬉しそうな顔をしている。 「そうね、それならそうしましょうか」 言ってパルスィは立ち上がり、俺の手を掴むとそのまま引っ張っていった。 「そんなに急がないでも逃げやしないよ、温泉は」 「駄目よ、早く行きましょ」 そのまま、二人手をつなぎながら温泉に繋がる道を早足に歩いていった。 後に残ったのは、喧嘩をしていた二人のみ。 「うう、橋姫に嫉妬する日が来るなんて」 「妬ましい、温泉で二人しっぽりなんて、なんて妬ましい」 新ろだ735 「で、どういう魂胆なのかしら?」 神無月に、スキマの妖怪さんによる外界ツアーがあるとの事。早速彼女にお誘いをかけてみたのだけれど、いきなり雲行きが怪しい。 「特に君に疑われるような事はしていないけど」 「嘘」 「……じゃあ、何かな?」 「外界に、置いていった女がいるんじゃないの?」 何故そうなるのか。 「そんな事はしないさ」 「嘘」 インディアン嘘つかない。 「この間だって、私に隠れて女と遊んでいたじゃない」 「この間、勤め先のご夫妻の子だって説明したばかりだよ」 少しの時間預かっていただけだ。広いなー、君の守備範囲。 「……別に、私は構わないわよ」 「えっと……」 「浮気は男の甲斐性、でしょ?」 誰に吹き込まれ 「勇儀に言われたわ、もう少し寛大になれって」 星熊テメェ。 「だからって、できるものではないよ、浮気なんて」 「構わないっていってるじゃない。……我慢は良くないわ」 我慢……? 「いつもいつも、私は貴方に嫉妬してばかりでしょう? だから、たまには私の事を忘れて……他の女と寝たらいいわ」 ……。 「でも、必ず帰ってきて。そのまま外へ帰ってしまったらだめよ? もしそうなったら、私……」 ……可愛いな、この娘。 「私、耐えられ……って、何ふざけてるのよ?」 「ぱるちーの胸元あったかーい」 うはー、やっぱいい匂い。安心するわー。 「真剣な話をしている最中だというのに、貴方は……」 「僕の居場所は、ここだけなんだ。他の誰でもない、君の隣だけ。だから……そんな顔しないで、パルスィ」 ぽたりぽたりと。 うなじの辺りに、温かい水滴。 「……う、」 「それにさー、これ、カップルとかじゃないと無理っぽいしさー」 ……あれー? 「うあ、ふ、ぐっ……」 「だからさー……って、今は聞けないか」 気付いちゃったんだけどさ、 「……ぐすっ」 「よしよーし」 普通逆なのではなかろうか、体の位置的には。 「落ち着いた?」 「……うん」 泣き止んで、しばらくぎゅーってしたり、すりーってしたり、たまにちゅーってしたりして。 「じゃあ、もう一度聞くよ?」 「うん」 ようやく落ち着いた彼女に、再度切り出してみた。 「パルスィ、僕と一緒に旅行にいってくれるかい?」 「うん、行く」 ……神無月、超楽しみー!! パルスィと旅行に行きたい(新ろだ738) 午後の一時をぼんやりと過ごしていると、空から新聞が投げ込まれた。 いつもの事ながらもう少し場所を考えてほしいものだ。 生垣の中から新聞を拾い上げると、挟まれた派手な色と大きめの文字で書かれたチラシがするりと地面に落ちた。 「珍しいな」 普段はない鮮やかなチラシはわずかに外の世界のそれを思い起こさせた。 もう見ることもないだろうと思っていただけに、懐かしさが込み上げてくる。 書かれている内容もなんとなく魅惑的に見えた。 「神無月の外界旅行、か」 もうそんな時期になったのかと月日の流れを感じた。 このところ客が多いのもそういうことだったのかと納得しながら、チラシを懐に仕舞い込む。 恋人や親しい者との交流を目的としたそれは去年から始まり、今年で二度目となる。 去年は参加者はさほど多くなかったと聞くが、今年はどうだろうか。 (……親しい、か。彼女に声をかけてみようか) いつもと変わりない様子で、欄干に寄りかかり水面を眺めていた影に橋の手前から声をかける。 「パルスィ」 けだるそうな緑眼がこちらを向いた。……が、すぐに元のように水面に視線を落とす。 そっけない態度だが、普段から割とこんな感じなので気にせず歩み寄る。 「何が見える?」 「淀んだ緑の目をした怪物が見えるわ」 同じ様に欄干に寄りかかり、下を流れる川を覗き込む。 「物憂げなお姫様しか見えないな」 「馬鹿ね、そいつは人を欺くための怪物の仮の姿。踏み込めば、食い殺されるわ」 「それは恐ろしい」 挨拶代わりの問答の後で、パルスィは呆れた様に深く息をついた。 「それで?わざわざ怪物に食い殺されに来た訳でもないんでしょ?」 鋭いな、と懐からチラシを取り出し、手渡す。 折りたたまれたそれを広げ、目を通した彼女が不機嫌そうに呟く。 「相変わらず、人の予定なんて全く考えずにこんなもの持ってくるのね」 「すまん」 「そもそも服とかの準備はどうするつもりなのよ」 「店の売り物で事足りる。足りないならば、香霖堂で支度すればいい」 「在庫のことは頭に入れてるのかしら?」 「大丈夫だろう、外の世界の流行は兎角変わりやすい」 そんな会話がしばらく続き、パルスィがお手上げだという風に視線をこちらへと向ける。今度は逸らさないようだ。 「いいわ、あなたの酔狂に付き合ってあげる。その代わりに他の女に目を奪われたら……分かるわね?」 指で首筋をなぞりながら、恐ろしくも妖艶な笑みを浮かべる。 「安心しろ、自分はお前以外の女なんて眼中にない」 そう言うと、パルスィの顔が見る間に赤く染まっていく。 「なっ、なんでそんな恥ずかしい事を平気で言えるのよ!」 「?事実を言ったまでだが」 「くっ、真面目な顔でそんなこと言えるあなたが妬ましい……!」 ―――――――――――――――――――――――――― もろに被ったけど、書かずにはいられなかったので…反省はしてます でもパルスィかわいいよパルスィ パルスィと旅行に行きたい その2(新ろだ760) 主催者である八雲の号令に集まった参加者たちが各々に散っていく。 「いい旅を~」 封印されている間に、外はずいぶんと様変わりしてしまった。 石と鉄で形作られた町はどこか人に冷たく、パルスィはどこか嫌な気分になっていた。 雑踏、聞いたことのないやかましい音。それら全てが絶え間なく周囲から否応なく聞こえてくる。 チカチカと目が痛くなるような光がそこここに瞬き、ますます気分が沈んでいく気がした。 「ここまで変わってるとまるで異世界ね」 そう呟くパルスィに両手に荷物を抱えた○○が頷く。 「帰ってくるのは一年ぶりになるが……ここまでやかましかったとは思わなかったな」 懐かしむ割に何の抑揚もない声に鼻を鳴らし、構内を行き交う人々を見る。 年を取ったものから幼い子供まで、誰も彼もが慌しく足を進めていく。 「で、私をこれからどこへ連れてこうっていうのかしら?」 「とりあえず、ここから山形のほうへ向かうつもりだ、あそこなら」 ヤマガタ、と聞きなれない名前にパルスィが首をかしげる。 「出羽の国だ、とにかくここから北のほうだと思ってくれればいい」 「ふぅん……ま、ゲテモノ料理が出ないことを祈るわ」 北=未開の地というイメージな彼女に○○はわずかに苦笑し、一歩先へと踏み出す。 「長い旅になりそうね」 「そうでもない」 荷物を揺らしながら歩く○○を人々は不快そうに避け、その空いた隙間をパルスィが続いていく。 蟻の巣のように複雑に入り組んだ通路を進んでいくと、やがて視界が開け、足場の両脇に銀色の巨大な筒状の物体が 鎮座している場所に出た。 「あれに乗るの?」 「ああ、速さに心奪われた先人の作り出した乗り物、新幹線だ」 とても動きそうにないそれを胡散臭そうに眺め、促されるままに入り口を潜る。 お世辞にも広いとは言いがたい内部は似たような椅子が並び、両側に設けられた窓からは光が注ぎ込んでいる。 「こっちだ」 そう声をかける○○の後ろで扉がひとりでに閉じていった。 青年&橋姫移動中…… 「……」 右手をご覧ください、山で御座います。 左手をご覧ください、山沿いの民家で御座います。 「幻想郷よりは進んではいるだろう?」 なんとなく誇らしげな○○とどう反応していいかわからないパルスィ。 駅の周りは高い建物が立ち並んでいたが、進んでいくにつれ、辺りは田んぼと畑が増え始め、 高い建物はひとつも見えなくなっていった。 彼が旅行の間に逗留するといった宿をもう一度見る。 「ここって本当に宿なの?どうみてもただの民家じゃない」 鶏がのんきに歩き回る庭を塀の端から覗き込みながら、うろんな視線を向ける彼女に 平気だと言わんばかりに○○が中へ入っていく。 ふと玄関にかかった表札が目につき、その文字を読み上げる。 「『△×』……ああなるほど、ここは貴方のご自宅って訳ね」 「正確にはだった、だ。今は姉貴が……」 ふと○○の動きが止まる。見れば、玄関の向こうで仁王立ちしている誰かが居た。 なんとなく嫌な予感にパルスィが玄関から離れる。 「言うことは?」 「た、只今帰りました……姉さん」 一瞬の間の後、空を飛んだ○○をパルスィは黙って見送った。 パルスィと旅行に行きたい その3(新ろだ786) 「いやぁ、まさかあんたが女の子を連れてくるなんて思ってなかったからさ」 悪気はなかったと大笑いする女とそれにうろんな視線でこたえる横でパルスィは信じられないと 言わんばかりに目を丸くしていた。 「意外ね、こんなお姉さんがいたなんて、何で話してくれなかったのかしら」 「……人生最大の汚点だから他人に話したくはない」 パルスィの一言に馬鹿を言うなと言わんばかりに肩をすくめて、ため息をつく。 そのやりとりに姉がまた笑う。 「ひっどいわね、小さい頃はお姉ちゃんお姉ちゃんって後ろ引っ付いて来た癖に」 「昼間から酒でも飲んでいるのか」 「素面だよ」 軋む廊下を抜けると、綺麗に片づけられた和室に辿り着いた。 小さい頃、よくここの障子に穴を開けては怒られた覚えがある。 「水橋さんはここの部屋、自由に使っていいからね。ああ、○○、あんたはちょっとやることがあるよ」 「……何させるつもりだ」 荷物を床に下ろすと姉が何かを掴んで横に引くジェスチャーをしてみせる。 首を傾げるともう一度同じようなしぐさを繰り返す。 「なんだそれ」 「相変わらずにぶいわねぇ、あんた。 ……裏の鶏を一匹さばいてきてってやってんのになんでわからないかな」 聞こえないように耳打ちする様子にパルスィの方から何故か痛いほどの視線を浴びる。 わざわざ小声で言う必要のないことを何故内緒話のように言うのだろう? いまいち理解できず、首を傾げながら、部屋を出ようとすると、不意に服が引っ張られる。 視線を向けると、不機嫌そうな顔のパルスィが服の端を掴んでいた。 「一緒に行くわよ」 「別に楽しい事ではないが、いいのか?」 「あんな風にされたら、気になって仕方ないのよ」 何を怒っているのか、棘のある声にますます訳が分からなくなった。 気が付かない内に何かひどい言い間違いでもしたのだろうか。 「……鈍感」 「?何か言ったか?」 「っ、聞こえてないならそれでいいわよ!」 翌朝になってもパルスィの機嫌は相変わらずだった。 観光へ車に乗り込んだ後も、不機嫌だと言わんばかりに流れていく窓の外を睨むように見つめていた。 もしかすると、単に風景を見ているだけなのかもしれない。 そんな事を考えているうちに最初の目的地に辿りついた。 「なにここ」 「海産物の展示場」 「……また生臭そうな所ね」 冗談もそこそこに入口をくぐる。 最後に来たのが随分と前で記憶が朧げだったが、余り変わっていないようで少し安心した。 庄内浜の海水魚と銘打たれた水槽の向こうでのんきに魚が泳ぐ。 「見たことがない魚ばかりね」 「そうなのか?」 ふむ、少し考えてから、下の砂地を歩く蟹と魚をいくつか指さす。 「あれはタラバガニ、あっちの強面がオニオコゼ、角がある斑がカワハギだ」 「物知りね」 「食える魚だからな」 そう言った途端、パルスィが呆れたように頭を振る。 食べられない魚の名前も教えたほうがよかったのだろうか? それとも…… 「パルスィ」 「な、なによ」 真剣なこちらの様子に少し引き気味に答える。 「すまない、気付いてやれなくて」 「今更?それもこ、こんな人目のあるところで言わなくても……」 「厠はすぐそこだ」 「そう、やっと気付いたnって違うわよ!」 スパンと鋭い張り手が飛んできた。女心は相変わらず良く解らない。 陳列してあるクラゲ羊羹を手に固まっているパルスィを横目に店員に籠に山盛りの羊羹を出す。 奇妙な顔をされつつも、合計3万近くの羊羹を箱に詰めてもらう。 「……おいしいの?」 「食べた感じは少し塩味がする普通の羊羹だ、茶請けにはいい塩梅だ」 グロテスクなほどリアルなクラゲの絵なだけに中身もそれっぽいと想像して 開けるのに躊躇したのはいい思い出だ。 レストランのメニューもクラゲだらけなだけに小さい頃は、展示されてるクラゲがこれになってるのだと 思っていた。 ……引き攣っているパルスィの横顔を見ながら、ふとそんな事を思い出していた。 ―クラゲ羊羹の裏― 加茂水族館にお越しの際は、レストランでクラゲ関連を食べてみてください クラゲですから てか、終わるのかこれ ―クラゲ羊羹の裏― パルスィと旅行に行きたい その4(新ろだ803) 泣く子と地頭には勝てぬ、という言葉があるが、そこに酔っ払いと誰か付け加えてくれ。 すっかり出来上がった姉とパルスィが何やら意気投合している。出来るだけ関わらないよう、 つまみの補充に回っていたが、両側から抑え込まれていてはどうしようもない。 「まぁったく!お姉ちゃんを差し置いてこんにゃきゃわいいこをよめにもらうなってよぅ!」 「うふふ、妬ましい?」 姉貴は鬼か何かじゃないかと思える程の速さで酒を空けては、人のコップに容赦なく注ぐ癖はいまだに 治っていないらしい。 それを初めは嫌々ながら受けていたパルスィが出来上がるのはそう時間はかからなかった。 「甘くて飲みやすい」と言われた自家製の果実酒の瓶は既に空になっている。 「ねたましいぞこんにゃろー!ちくしょう!○○、頭に来たから脱げ!」 「妬ましいわ、あなただけ脱ぐなんて妬ましいわ、私も脱ぐわ」 「断固拒否する、それと飲みすぎだ、あと脱ぐな」 服に手をかけるパルスィと脱げ脱げと囃し立てる姉に頭が痛む。 明日は幻想郷に帰るというのに、二日酔いで動けないという失態を晒すわけにはいかない。 ……そうでなくとも、近所や知り合いに大量に持たされた土産類をどうにかしなければならない。 久々にと挨拶に回ったところ、色々な物を大量に頂いた。ラフランスとか。 曰く、春が来たから、らしい。意味がわからない。 「あによぅ、小さい頃はあんなにお姉ちゃんお姉ちゃんって可愛かったのにぃ、ぐすん」 「今はパルスィパルスィって私を呼んでるから、お姉ちゃんはお払い箱よ」 「な、なんだってー!?」 誰かこの二人を止めてくれ。 トイレに行ったままのパルスィが帰ってこないのが気になり、腰を浮かす。 鬼の様に飲んでいた姉も床で大の字になっている。全く、のんきなものだ。 一部屋ずつ様子を見ながら、廊下を進んでいく。 和室を覗き込むと、土産物の山からパルスィが生えていた。……きっとトイレの帰りにここに倒れ込んだに違いない。 荷物の山からパルスィを発掘し、部屋の隅に畳まれた布団の上に横たえる。 そうしてから土産の山に隙間妖怪から預かった紙を張り付ける。 『依頼の地酒、つまみ類。生モノ有り。早急に他参加者に配布されたし ○○』 「○○~…?」 聞いて事のないような甘い声に振り返ると、パルスィが上半身を起こしていた。 酒でほんのり紅くなった頬を緩ませて、楽しそうに笑う彼女に思わず顔が熱くなる、気がした。 「飲みすぎたんじゃないのか?布団h……っ!」 「えへへへ、○○だぁ」 上機嫌そうなパルスィの顔で視界が埋まる。さわさわと背中を触る手と密着状態に近いパルスィの体。 これはいろいろとまずい。忍耐力的に。 そうだ、こういう時は素数を数えるのが一番だと聞いたことがある。早速やってみよう。 (1,3,5,7,11……) 「ねぇ、○○」 落ち着こうとする俺の頬にパルスィが手を添えて、逸らしていた俺の視線を自分のほうを向かせる。 潤んだ瞳に戸惑った俺の顔が映っている。 「私の事、好き?」 「あ、ああ」 聞こえるんじゃないかという位の大音量で脈打つ心臓の音に半ばパニックになりながら頷く。 その答えが不満だったのか、パルスィの顔が悲しげに歪む。 また、変な事を言ってしまったのだろうか。 「ずっと一緒にいてくれる?」 勿論だと言いかけて、少し考え込む。 不安げなパルスィの視線を一身に浴びながら、笑ってみせる。 ……後から思えば、こちらも相当酔っていたのだろう。でなければ、荷物を取りに開いた隙間に気付かない筈がない。 「人間辞めても一緒にいるつもりだ」 柔らかな金髪を撫でれば、彼女は少し擽ったそうに身を捩り、強請るように唇を突き出す。 それに倣うように髪から頬に手を滑らせて、ほんの少し身を屈めて、口づけを交わす。 重ねるだけのそれから徐々に深く、お互いを貪る様に。 そうして、押し倒すようにパルスィの体を抱き締めたまま― 「はぁい、ここまで」 八雲紫が映像を切るとたちどころに会場のあちこちからブーイングの嵐が起きる。 やれ、あんな橋姫は見たことないからもっと見せろだの、どこまでいったか位教えろと、酒が回った 酔っ払いをパルスィは真っ赤になったまま口をパクパクと動かし、隣に座る男と紫とを交互に見る。 ○○はいつもの様に無表情のまま、マイペースに梨をつまんでいる。 「いやぁ、まさかパルスィにも春が来るなんて。鬼生、何が起こるか分らないもんだね」 カラカラと笑う鬼二人とそれぞれの想い人にこれでもかと睨み付けていると、急に視界が塞がれる。 視界を塞いだ手を払うように退けると、いつもと同じ様子の男がそこにいた。 「何よ」 「酔っ払いの言葉だ、耳を貸すな」 「はぁ?こんな状況で何を……まぁいいわ」 辺りから投げかけられる生温い視線の中、○○の言葉に溜め息をつきながら、立ち上がる。 周りが囃し立てる中、「厠よ」と歩いて行ってしまった。 「いいのか?」 鬼の隣にいた青年の言葉に○○は相変わらず無表情に頷く。 「さぁて、お次はこのペアよー」 わっとその場の者たちから拍手と歓声が上がる。 それに隠れるように○○もそっとその場を離れる。 「流石にこんな所では渡せないからな」 手の中に隠した小さな指輪をそっと握りながら、パルスィの後を追うように歩き出した。 ************************************************ やぁ、ようこそ後書きに うん、25日に間に合わなかったんだ 普段は見ているだけの俺にSS書くのは無謀だったけど 見た瞬間にワクテカが止まらなかったんだ でもあんまりにもひどいのでこっそり投下してたんだ、もう一人のパルスィの人ごめんなさい これからは一住人として他の方を応援したいと思います 最後になりましたが、乱文失礼しました 性別なんて関係ねぇ!パルスィは、俺の嫁だぁぁぁぁぁぁぁ! 二人の日記(新ろだ2-118) ■二人の日記 【○○の日記】 1月4日 天気 不明 ああ、俺はなんというまぬけなのだろう。 今日おそろしく美しい娘に出会った。 出会ってしまった。 今思えば俺はその出会いに感謝をし、 もっと慎重になるべきだった。 それなのに俺という馬鹿は不覚にも 「あなたは妖怪ですか?」 などと声をかけてしまった…。 ああ、俺はもうおしまいだ。 彼女は暗い目を伏せ、 どこかへ飛んでいってしまったのだ。 俺が地の底に迷い込んではや3日、 ここで妖怪以外のヤツなんて見た事がない。 なぜそんなことを聞いてしまったのだ。 【パルスィの日記】 一月四日 ようやく新年の宴から開放され自宅に戻る。 途中、ぎこちない動きの人間を見つけた。 人間がこの地下にくるなんてめずらしい。 おそらく迷い込んだ者だろうと思い、呼び止めようとしたら、 お前は妖怪か? と問われた。 一瞬目の前が暗くなり、心に杭を打たれたように痛んだ。 そう、私は妖怪に違いない。 卑しい下賎な妖怪であることは私がよく知っている。 帰りぎわ勇儀に小さな封筒を貰っていたので、 開封みると、数枚の紙幣が入っていた。 彼女は私を子供か何かと勘違いしている。 *** 【○○の日記】 1月5日 天気 不明 昨日の美しい娘に会いたく思って出かけた。 会えない。 ちくしょう! 食料のきのこを採って帰る。 食った後、近くの湧き水で体を洗う。 もう、つめてえのなんのって…。 温泉でもあればいいのに! 【パルスィの日記】 一月五日 私はこの地下へ続く洞穴の番人である以上、 勤めは果たさなければならない。 しばらく番をしたが、 この時期だれも地上と行き来する者などいない。 無駄な時間を過ごした。 だが生きたまま妖となり、 目的もないまま生を重ねる私に 何の意味があるのだろうか。 *** 【○○の日記】 1月6日 天気 不明 今日もあの美しい娘を探した。 会えない。 昨日の赤いカサのきのこはダメだ。 腹が痛い。 いちおう記憶のままに絵を描いておこう。 【パルスィの日記】 一月六日 洞穴の番をした。 途中、ふらふらと頼りないおぼつきで ヤマメが地上に向かった。 きっと勇儀の酒につき合わされたのだろう。 今の彼女には嫉妬どころか、 哀れみの気持ちが芽生える。 そういえば、彼女も小さな封筒を貰ったのだろうか。 *** 【○○の日記】 1月7日 天気 不明 会えた! 彼女に会えた! ようやく俺の努力は報われたのだ! 名前は「みずはしパルスィ」 不思議な名前だが、よく似合っている。 彼女は名前を俺に告げると、 またどこかへ飛んでいってしまったが、 今日は名前を聞けたんだぜ? おい名前を聞けたんだぜ? 嬉しいので、もう一度ここに書いておこう 「みずはしパルスィ」 帰りしなキノコ採る。 キノコうまい! 【パルスィの日記】 一月七日 洞穴の番に向かう途中、先日の人間と会った。 私から話す事は何もないので、通り過ぎようとすると、 大きな声で呼び止められた。 人間は意味のない言葉を発し、 私に何事かを問いかけたが、答える気になれなかった。 ただ、名前だけは教えた。 地下から出るものなし。 地上から降りるものなし。 *** 【○○の日記】 1月8日 天気 不明 今日も会えた。 と、いっても昨日会えた場所で待ち伏せしただけだけど。 もちろん偶然通りかかったようにはした。 待ち伏せしてると思われると嫌だからな。 彼女は特に趣味などはないそうだ。 別れ際、なぜそんなに嬉しそうなのかと聞かれたぜ。 まずいな、そんなに顔に出ていたのだろうか。 次からはクールにしないと。 あの赤いカサのきのこを見つけた。 増えると困るので全て踏み潰す。 【パルスィの日記】 一月八日 今日もあの人間と会った。 自分の名前を名乗っていたようだが、 あまりに平凡な名前で忘れた。 この人間はなぜこんなにも、嬉しそうにしているのか。 嫉ましいことこの上ない。 適当にあしらい洞穴の番をする。 地下から出るものなし。 地上から降りるものなし。 *** 【○○の日記】 1月9日 天気 不明 今日はみずはしさんに会えなかった。 一刻ほどあたりをうろつくが収穫なし。 彼女は花などは嫌いかしら、 などと思い散策するも、花など咲いていなかった。 ここはどこなのだろう。 地下だという事はわかるのだけど。 【パルスィの日記】 一月九日 お燐が家にきた。 とてもあわてており、支離滅裂な事を話す。 空がどうとか言っているが、よくわからない。 落ち着かせて聞いてみると、 空は地上を征服する計画を立てたようだ。 あの程度の妖怪に実現するわけもない。 それができるなら、別の妖怪がすでにやっている。 一応今後警戒すると告げ、 いつもより遅れて家を出る。 地下から出るものなし。 地上から降りるものなし。 *** 【○○の日記】 1月10日 天気 不明 今日は会えた! 水橋さんは、この地下で花など見た事がないという。 やはり太陽の光が届かない場所なので仕方ないのかも。 取り留めのない話をし、別れた。 かなり仲良くなってきている気がする。 【パルスィの日記】 一月十日 今日もあの人間と会った。 会うのはいつも橋の上。 名前の書き方を聞かれたので教えた。 その後、花の話題になったが、 この地下に降りてきてから見たためしがない。 昔はよく見たのだけれど…。 地下から出るものなし。 地上から降りるものなし。 今日はひどい地鳴りがする。 なにかあったのだろうか。 ****** 長くなったので2へ続きます… 二人の日記 2(新ろだ2-119) ■二人の日記2 *** 【○○の日記】 1月11日 天気 不明 水橋さんと話す。 改めてよく見ると耳がとんがっている以外、人間と同じだ。 容姿に関していえば人間よりはるかにいい! と、いう事を何とかして伝えようと思ったのだが、 どうにもうまく伝えられなかった。 恋人とかいるのかな。 馬鹿いねえよ! 馬鹿いねえよ!! 【パルスィの日記】 一月十一日 あの人間と橋で会った。 まじまじと私の顔を見つめるので、嫌な気がした。 私の気持ちなど人間にわかるわけもない。 地鳴りは続いている。 昨日より大きくなっているようだ。 *** 【○○の日記】 1月12日 天気 不明 いくらどこだかわからない洞窟だといっても、 どこかに太陽の光が当たる場所があるのでは? とか思って散策することにした。 しかしここは広い。 妖怪だらけの街もあるようだ。 真っ暗だってのに、 なんでわざわざ地下なんかに住むんだ? とか思いつつうろついていると、背の高い大きな女に会った。 ツノが生えているので妖怪だろう。 だが妖怪は、なんと酒をご馳走してくれるという。 取って食われるかもしれないとも思ったが、 正月に飲み損ねていたこともあり、すごく飲みたかった。 なりより酒の甘いにおいに誘われた。 酒盛りの最中で聞いた話だが、 なんでも地霊殿という所には花が咲くそうだ。 きっと太陽の光が部分的に差し込んでいるに違いない。 引き止める鬼に急用を告げ、ねぐらに戻った。 明日は地霊殿に行ってみようと思う。 【パルスィの日記】 一月十二日 今日も洞穴の番をした。 いつも橋の上にいる人間はいなかった。 きっと地上に戻る方法がわかったのだろう。 ヤマメあたりが教えたのかもしれない。 地鳴りは続いている。 どうやら地霊殿の奥からひびくようだ。 なにかあったのだろうか。 *** 【○○の日記】 1月13日 天気 晴れ! 朝一番で(といっても時間がわからないのだが) 水橋さんと会う。 彼女は俺がいることに驚いているようだった。 もっと驚かせてやりたい。 他愛もない話をして、別れた。 先ほど地霊殿という場所から帰ってきたところだ。 たしかに花は咲いていたが、猛烈に熱かった。 それとなぜか妖怪達がいたるところで倒れていた。 おかげで俺は妖怪の住処に堂々と入り込み、 こうして、名前も知らない花を手に入れることができた。 彼女は喜ぶだろうか。 喜んでくれるだろう。きっと。 ああ、今日は寝れそうにない。 追記 常日頃のクセで天気を書いていたが、 今日は晴れに違いない! だってこんなにいい気分だもの。 明日も晴れだ! 【パルスィの日記】 一月十三日 意味のわからない事を言う巫女が地上から来た。 温泉がどうのと… 生傷が焼けたように痛む。 なぜ地上からあの巫女は来たのだろう。 まさか空の計画とやらが? まさか、そんな。 それと温泉と一体何の関係が。 とにかく今は体を休めないと…。 *** 【○○の日記】 1月14日 天気 雨 会えない。 どこいったんだろう。 一日中橋の上でぼんやりと過ごした。 今日は晴れなかった。 【パルスィの日記】 一月十四日 体が自分の物ではないようだ。 起き上がる事が出来ない。 全てが妬ましい *** 【○○の日記】 1月15日 何てことだ! 水橋さんは地上から来た人間に重症を負わされ、 床に伏していた。 何てことだ! 場所は、あの酒をくれた妖怪に教えてもらった。 家の扉は閉ざされていたが、 酒をくれた妖怪が無理やりこじ開けてくれた。 一晩中見ていて上げたいが、そういうわけにもいかない。 酒の妖怪…(勇儀さんというらしい)が、 俺の代わりに見ていてくれるという。 何度もお礼をいい、家をあとにした。 俺に出来ること、なにかないのか。 【パルスィの日記】 一月十五日 目が覚めると勇儀と、あの人間がいた。 今は看病すると言いながら、 向こうの部屋で酒を飲んでいるようだ。 妬ましい。 人間が帰ると、そのまま勇儀の高いびきが聞こえてきた。 …なんの為にここにきた。 妬ましい。 ふと、かたわらを見るとスミレの花が生けられている。 勇儀が持ってきてくれたのだろうか? まさか。 *** 【○○の日記】 1月16日 今日もお見舞い。 勇儀さんは別の妖怪を見に行っているそうで居なかった。 差し入れも持ってきたけど、 当然きのこしかない。 一応食えるけど。 水橋さんは、まだ体が痛むようで寝続けていた。 寝ているだけでいいのだろうか。 なにかしてあげたいが、俺には薬の知識もなければ、 医術の知識もなにもない。 とにかく今は寝て回復してもらうのが一番なのかも、 と思い、明日も来る事にした。 また来ます、と小さく声をかけたら 彼女は少し頷いたようだった。 【パルスィの日記】 一月十六日 今ようやく人間が帰った。 本当は体は完治しているが、 間が悪くて言い出せずにいた。 結局、私はお礼も言う事が出来なかった。 なぜ言う事ができないのだろう。 やはりスミレの花は彼が持ってきたものだった。 彼はスミレの花言葉を知っているのだろうか。 誠実、 小さな愛、 …それと… 貞節。 *** 【○○の日記】 1月17日 晴れ! 俺が水橋さんの家につくと、彼女が土間で出迎えてくれた。 どうやら立てるくらいまで 回復したようになったみたいで嬉しい。 中に入ると食事を作っている最中で、 米と味噌のうまそうな香りが辺りに充満してた。 もう体はいいのかと聞くと、すっかり良くなったそうだ。 俺はきのこ雑炊にきのこ汁をご馳走になり、 いろいろな事を話した。 そうだ、水橋さんはやめてくれ、と言っていたな。 じゃああれか、パルスィと呼んじゃうぜ、おい。 まあ呼べないんだけどさ。 そういえば彼女は、少し戸惑ったように、 スミレの花言葉を気にしていた。 …花言葉ってなんだ? 【パルスィの日記】 一月十七日 明け方、勇儀がやってきた。 彼がすごい剣幕だったので、 つい家を教えてしまったそうだ。 勇儀に力押しするなんて、本当に面白い人間。 勇儀は、あの人間はお前に惚れている、 などと捨て台詞をはき、 笑いながら去っていった。 あの感じだと二日で傷が癒えていた事はばれている。 妬ましい事この上ない。 彼が来た。 なんだか意識してしまい、うまく会話する事ができない。 あらかじめ作っておいた食事は美味しそうに食べてくれた。 妬ましい。 さらに妬ましい事に、 彼は私に贈ったスミレの花言葉を知らなかった。 どうも花言葉という単語も初めてらしい。 勇儀の勘違いかもしれない。 *** 【○○の日記】 1月18日 うまく書けない。 …涙が止まらない。 どうしたらいい。 どうすれば… 【パルスィの日記】 一月十八日 また信じてみようと思った。 だから話した。 私が妖に堕ちた理由。 そして結果、このような姿になってしまったこと。 彼は終始うつむいたまま私の話を聞いた。 時折小刻みに震えていたようだ。 当然だ。 彼はもうここにこない。 当然の結果。 *** 【○○の日記】 1月19日 晴れ! 悩んでたって仕方ねえ! 俺はパルスィの家に突撃した。 前の野郎がなんだってんだ! そんなもんと俺を一緒にすんな! 話で信用してもらえるわけがないし、 これからの俺を見ていてもらうしかない。 おお、これからだ。 俺たちはこれからなんだぜ。おい。 なんて事を、すらっと言えればよかったんだが、 俺も泣きながら喋ったから、ふにゃふにゃだった。 でも最後、彼女は笑って俺の鼻を拭いてた。 うし、明日からがんばるぞ! 明日からは毎日が晴れだ! 【パルスィの日記】 一月十九日 今後、彼を嫉妬し続けることに決めた。 私は彼の幸福に嫉妬し続ける。 そうすることで、私は自分に嫉妬してる事になる。 *********** 了
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http //shishido-kavka.com/ CDキケンなふたり LiveLive @ Tower Records Shibuya, Tokyo May 26th 2013 sat CD キケンなふたり imageプラグインエラー 画像URLまたは画像ファイル名を指定してください。 May 22nd 2013 初回限定盤 Disc 1 / CD 1. キケンなふたり 2. 月の輝きかた 3. ワンダーガール 4. Hunger X Ange 大西省吾 (g), 平出悟、 大島賢治 Disc 2 / DVD キケンなふたり Live Live @ Tower Records Shibuya, Tokyo May 26th 2013 sat 1. 愛する覚悟 / 2. music / 3. Hunger X Anger / 4. Wonder Girl / 5. 月の輝きかた / 6. キケンなふたり / 7. 無敵のロックスター / 8. Countdown / 9. Day Dream Rider シシド・カフカ (vo,ds), 大西省吾 (g), 平出悟 (b)
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スィムト エジプト神話に登場する王族。 関連: メンチュホテプロクセイ (メンチュホテプ6世、夫)
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スィラージ・ティボル スィリンヤー・バーブリッジ スィルス・カフーリネジャド ページ先頭へ
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スィープ imageプラグインエラー 画像URLまたは画像ファイル名を指定してください。 風属性の、下位魔法。掃除補助の魔法である。この魔法の効果は、部屋の中で術者がこの魔法を行使すると微小な旋風が出現し、術者の目の前の床に部屋の中のゴミや埃を寄せ集めてくれると言う物。 ただしこの魔法は、無造作に床から2cm以内の大きさの物体をかき集めるため、中にはゴミでない物まで集まって来る可能性がある。また大きすぎるゴミは家具などの物品と判断され、集まって来ない。最終的には集められたゴミを清掃人の目で確認してやる必要があるため、これだけで完全に掃除を完了とはいかないのである。 詠唱は「風よ 集めよ スィープ」である。