約 1,924,492 件
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/203.html
真夏の島に咲く花は 真夏の島に咲く花は 題名:真夏の島に咲く花は 作者:垣根涼介 発行:講談社 2006.10.10 初版 価格:\1,700 『ゆりかごで眠れ』に続き、今年二作目の長編となる本書。この二作品の温度差にまず驚いてしまった。同じ作者のものだとは到底思えないほど、異なる二冊。かたや血の抗争を繰り広げるコロンビア・マフィアの血と死闘の生涯。かたや南国フィジーに起こった無血革命の影響下、不安定な状況下で揺れ動く男たち女たちの恋のやりとりをトレンディー・ドラマのように生ぬるく掻き回したようなこの作品。 この作家がクライム・ノベルの書き手だなどという頭がこちら側に最初からなかったら、本書はもしかしたらそう悪くない作品であるのかもしれない。しかし生憎私は垣根涼介という作家をクライム・ノベルの書き手として高く評価しているので、本書は悪くないどころか、あまりにもなまぬるく、退屈極まりない作品だった。女々しさでいっぱいの、こんな小説、何がリゾート地だ、島の反対側の異変だ、などと投げ出したくなるくらいだった。 もちろんこの作家が、クライム小説への愛着心に縛れているなどとは思わない。そういうことは他の作品からも十二分に伝わってくる。むしろ国際化したような顔をしてぬくぬくと日常的ぬるま湯に浸っているニッポン1億聡脳天気な小市民主義に対し、第三世界のカルチャー・ショックを垣根作品という形で手榴弾のように投擲する過激な作家であるということも私はよくわかっている。 本書のテーマだって、異文化交流みたいなところに置かれているのだろうし、そのことがわからないわけでは決してない。特にフィジーの人々の描写は強烈である。巨大な肉体を怠惰な時間の浪費に使用するだけで、細かい悩みも金銭への欲望もなく、豊富な天然資源ゆえ飢えに苦しむことがなく、そも働く必要性も意欲も実に希薄であるというフィジー人についてこの作家が執拗に描写すればするほど、ニッポンや欧米の生活、政治、倫理の圧しつけがましい価値が無意味なものに思えてくるのは確かだ。こんな天国のような場所とニッポンの目指す経済大国主義が絡み合うはずがないという地球規模での理不尽がここに書かれているのだということも理解できないではないのだ。 こんなフィジー人たちに最も似つかわしくないのが「革命」という言葉なのかもしれない。現にここで使われる「革命」の正体は、島内で徐々に増えつつあるインド人人口と働き者であるインド人が、フィジー人の怠惰な楽園をじわじわとその経済力で侵食し、やがては全て乗っ取られてしまうことへのの不安そのものでしかないのだ。主義や論理はどこにもなく、ただ働く者が入国してきたために働かざるフィジー人たちが政治だけは自分たちが司ると息巻いているだけの革命なのだ。 この本を読み終えてしばらく経った2006年11月に、新たな政治革命がフィジーを襲ったそうである。首相官邸は軍隊に取り囲まれ、やっぱり無血革命で政権が交代したところを見ると、本書に書かれていた革命と大差はないのかなと感じる。またインド人フィジー人のバランスを取るだけの、言葉だけ「革命」だったのかなと。 どんな革命であろうと背後には必ず大国という傀儡師がいる。木偶人形たちは自分からは勝手に動き始めやしない。木偶には木偶の幸福があるのだ。彼らががんじがらめに結ばれた糸によって無理矢理立ち上がらされ、動くことを余儀なくされて言葉だけ「革命」を起こした。そんな風土が、多分、フィジーだ。 さて本書は、2000年クーデターの渦中、フィジー人、インド人、ニッポン人と三つの国の四人の男女が入り乱れ、恋と経済のちまちましたあれこれを、延々一冊に渡って繰り広げる、私にとっては退屈なだけだった小説である。こじつけたようなタイトル。あるいはタイトルに合わせたかのような無理矢理なラストシーンなどなど。大アマの御伽噺でも読まされているかのような騙され感が最後まで私の印象としては強かった。私はクライムの書き手してしか、この作家を見ていないから、垣根涼介という人を白紙で見た場合、この作品が果たして一般の読者の目にどう映るのかは到底わかり得ない。だけど、だけどだ、やっぱり私がつまらないと感じた冗長さは、やっぱりそのままつまらないんじゃなかろうか。 それから、最後になるが、本書はなんとネット・ノベルだったのだそうだ。講談社のサイトにそうしたネット小説のコーナーがあって(興味がないので深追いはしていません、きっぱり!)、そんなところでだらだらと大衆のネットお宅たちに向けて書かれた小説なのだろう、きっと。そうでないのかもしれないが、私の目にはこの作品間温度差は、そんな風に映る。 その昔、niftyがまだパソコン通信であった頃、梁石日がネット小説として『断層海流』を書いたのだった。言っておくが、こちらは甘さの欠けらも見られないハード&タフな梁石日そのものだった。今思うに、パソコン通信は情報の垂れ流し時代と違って、ずっとずっと濃密重厚な評価に曝された妥協なき世界だったのだよ、きっと。 (2006/12/17)
https://w.atwiki.jp/reflec_beat/pages/1779.html
リクライム BASIC MEDIUM HARD SPECIAL Level 2 5 8 9 Objects 54 171 344 395 BPM 188 TIME - Artist ROOKiEZ is PUNK D Version VOLZZA2 動画 攻略 名前 コメント ※攻略の際は、文頭に[BASIC] [MEDIUM] [HARD] [SPECIAL] のいずれかを置くと、どの譜面に関する情報かが分かりやすいです。 コメント(感想など) 名前 コメント ↑攻略と無関係の曲に対するコメントはこちらでお願いします。あまりにもかけ離れた内容は削除される場合があります。
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/21006.html
獣人(じゅうじん) ライノー C サイコ・パス(ゼロ)文明 (4) クライム・クリーチャー:ホーン・タウロス 3000 ■マナゾーンに置く時、このカードは裏向きにして置く。(裏向きの時も表向きの時も、このカードはサイコ・パスとして扱われる) ■ガードマン ■サイコ・パス武装3:このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンにサイコ・パスが3枚以上あれば、自分の山札の上から1枚目をマナゾーンに置く。それがサイコ・パスであれば、さらに1枚、山札の上からタップしてマナゾーンに置く。 (コストを支払ってクライム・クリーチャーを召喚するには、自身のマナゾーンにあるサイコ・パスを1枚以上タップしなければならない) 作者:ザ=ガーン フレーバーテキスト モリアーティーたちは「ホームズ」のシンボルである「レイヴン塔」を占拠し、あまつさえ爆弾をしかけたと告げる! DMDC-04「探偵編 最終章 開眼!超探偵!〜ハートに火をつけて!〜」収録のクライム・クリーチャー。とうとう探偵編から登場した種族もクライム化してしまった模様。 サイコ・パスデッキであれば安定した4マナ2ブースト。サイコ・パス武装になっている分、さりげなくガードマンを持っています。 ちなみに、新種族がクライム・クリーチャーになると、元になった種族の冠詞の一部が失われます。 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/1719.html
殺しの接吻 題名:殺しの接吻 原題:No Way To Treat A Lady (1964) 作者:ウィリアム・ゴールドマン William Goldman 訳者:酒井武志 発行:ハヤカワ・ミステリ 2004.06.15 初版 価格:\1,000 【ポケミス名画座】とは未翻訳の映画原作に対する翻訳希望ランキングであるから、ここでランキング入りした作品は、映画作品そのものもそこそこ素晴らしいという想定は容易にできるのだけど、映画はさておいてこいつの原作を読みたいと言う欲求があっても不思議ではないだろう。本作品はサイコ系スリラー映画として売り出したそうだが、原作の方の展開はというと、そもそものゴールドマンが書きたいと思った作品モチーフのところから違っているらしい。 本書はちょうどマクベインの87分署シリーズスタート後8年と、ペーパーバックにおける警察捜査小説も油の乗った時代であり、原作もどこかその匂いを漂わせていることは間違いない。犯罪は連続美女絞殺事件であり、スタイルは警察を挑発するタイプの劇場型犯罪。メディアに自分の犯罪が掲載されることをこよなく楽しむ愉快犯である。映画に描かれていないのは、この連続殺人に対する模倣犯の存在だそうだ。 実際にあったボストン連続殺人事件のさなか「犯人は二人いるのでは?」という報道にヒントを得た作者が、冷酷とコミカルとを綯い混ぜながら作り上げた娯楽クライム小説なのだが、なんと言っても、徐々に描かれてゆくのが犯罪者と刑事の両者の暗黒面である。このあたりあの『グルーム』のヴォートランを思い出させる、黒い喜劇の様相を呈する。 それらの暗黒が骨の軋むような音を響かせながら裂け目を見せるのは、警察らしからぬ犯罪への落とし前の付けかた、つまりラストシーンである。獣ともう一匹の獣の対峙した構図を描くことによって、犯罪者そのものよりも人間の底に潜む破壊的な欲望、残酷さ、狂気そうしたものを抉り出し、ぶちまけている印象がある壮絶な小説。 作者のゴールドマンはシナリオライターとの二足の草鞋を履き、そちらの仕事では『明日に向かって撃て』『動く標的』『ホット・ロック』『マラソンマン』など、よくよく考えればクライムやノワール作品を多々生み出している映画作家である。その一方で、『マジック』『マラソンマン』など原作小説も先に書いているところが異色なのである。とりわけ皮肉なのは『殺しの接吻』が珍しく他者の脚本で映画化されており、ストーリーさえ変えられてしまっていること。それにも関わらず(あるいはそれだから、か?)原作が読みたい映画ランキングに入れられていることであろう。 娯楽小説としては一級でありながら、手触りに何とも違和感が残る。作品が持つ容赦のなさに、ノワールの背骨が通っているせいだろうか。 (2004/12/21)
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/198.html
ワイルド・ソウル ワイルド・ソウル 上 (幻冬舎文庫 か 16-2) ワイルド・ソウル 下 (幻冬舎文庫 か 16-3) ワイルド・ソウル 題名:ワイルド・ソウル 作者:垣根涼介 発行:幻冬舎 2003.08.25 初版 価格:\1,900 アントニオ猪木が、桁外れな人間なのは、ブラジルから帰ってきた男だからというのが、まあプロレス好きな人間の間では通説になっている。島国日本ではなく、広大なブラジルという国に生まれたスケールを運んできた男というわけだ。猪木のやらかしてきたこと、そして猪木の太々しい容貌や、底知れぬ陽気を見ていると、実に信憑性のあるそれは見方だと思ってしまう。 ブラジルをサッカーというスポーツを通じて見る機会の多いぼくには、ブラジルの持つ貧富差のようなものは何となくわかる。またアマゾンを抱え込んでいる南米大陸の手のつけられない野性、といったところには観光趣味での覗き見感覚などは軽くふっとばされそうな予感もある。そうしたすべての意味で、ジャック・ヒギンズいうところの『神の最後の土地』の過酷さをまず物語の端緒において剥き出しにしてみせてくれるのが本書であった。 そしてそれが現代日本でのクライム・ノベルに仕上がってゆく不思議さも味わわせてくれた。圧倒的なスケール。小説の脊柱となっている、反骨と、怒りの重さ。ホットでウェットで人間味たっぷりの恋や、友情。派手な銃撃に、カーアクション。個性ある一人一人の生きざまを、徹底して鋭く抉る容赦ないストーリー展開。クールで、かつヒートする世界。ある意味、これこそ完璧に限りなく近いエンターテインメントではないだろうか。日本にこうした、タイトな作風を引っさげた才気が新たに登場していたことを、ぼくはとても嬉しく頼もしく感じてしまった。 序章ではずっと南米に棄民として送り込まれた移民たちの残酷物語が描かれる。アマゾン流域の歴史についても描写されてゆく。クラウス・キンスキー主演の映画『フィッツカラルド』で有名なオペラハウス建設のエピソードも語られていて、何となく小説の持つコンセプトが背筋に伝わってきた。超辛口な展開であることが感じられる。多くの文明社会がこぞってアマゾン流域にやってきては、原始の森に阻まれてきた歴史。 そして読者は主人公らとともに怒りを沸点にまで持ち上げられる。にっくきは、祖国日本! 政府の犯罪! そして現代日本でのクライム・アクションへの急転とスピードアップ。唸りたくなるほど素晴らしい。ある意味、リベンジ・ストーリーだけが持つ快感。絡まる要素。捜査陣、報道陣、政府、暗黒街、多くの世界を同居させて、そして手抜きなし。ケイと貴子の格好良さ、屈折度については、まるでロドリゲス映画『デスペラード』の如し。 多面多彩な娯楽精神を武器にした垣根涼介。作家の豊かな才気に一撃された感のある嬉しい一作。 (2004.3.27)
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/1661.html
百発百中 狼は走れ豚は食え、人は昼から夢を見ろ 題名:百発百中 作者:矢作俊彦、司城志朗 発行:角川書店 2010.09.30 初版 価格:\1,700 副題は『狼は走れ豚は食え、人は昼から夢を見ろ』。 のっとりに合って、立ち退きを迫られる老人ホームに、ひょいとしたことから二人の古い侠客が立ち寄った。立ち上がる7人のROJIN。おお、西部劇かい、と思いきや、全編これスラップスティックなクライム小説。 そう、和製ウエストレイクとでも言いたくなるような、芯のあるしっかしりたサスペンスであったのだ。 おお、人が集まり、作戦が練られ、ついにクライマックスは、この二人の作家のお手の物であるドンパチ・パーティで、燃え上がってゆく。 ラストに少し涙と痛み。 格好いいなあ、古いヤクザって。 全編初老の男たちと爺様婆様ばかりで繰り広げられる高齢者犯罪喜劇である。 すっごいなあ。 (2010.10.23)
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/381.html
ラム・パンチ ラム・パンチ (角川文庫 レ 4-3) 題名:ラム・パンチ 原題:Rum Punch (1992) 作者:エルモア・レナード Elmore Leonard 訳者:高見 浩 発行:角川文庫 1998.03.25 初刷 価格:\820 タランティーノの映画というだけでそわそわわくわくするくせに、『ジャッキー・ブラウン』の原作小説を今もって読んでいないことに罪悪感を覚えていた。しかも文庫解説によれば、タランティーノが最も敬愛する作家(なんてことも知らなかった)エルモア・レナードの作品を一冊も読んでいないなんて、クライム小説ファンとしてはもぐりに近いか。 とにかく全ての罪悪感とコンプレックスを背中に負う気分に痛めつけられながら、この作品を読んでゆく。読めば読むほどに、痛みは増すばかりだ。こうした傑作小説を読んでいなかった自分が恥ずかしい。レナードという作家に重要さを感じつつ、一冊もここまで読んで来なかった自分は、穴があれば入りたいほどだ。先日、近所の酒場で隣り合わせた兄さんとハードボイルドやクライムの話になりかけたときに、「でもオレはやっぱりエルモア・レナードがいっちゃん好きかもしれねえ」なんてセリフに思い切って相槌を打てなかった自分は今になって赤面の限りだ。 さて、個人的な羞恥の感情はともかくとして……。もう何度目かになる『ジャッキー・ブラウン』を同時並行的に、しかし何年かぶりに見直してみた。映画は、小説の映画化作品としては、非常に原作の味を忠実に出したものだと思う。タランティーノがレナードに映画化の許諾を直接電話で取ったあたりのどきどき感なども文庫解説に詳しいのだが、それだけに原作の味を損なわないように細心の注意を払い、しかも、結局はエグゼクティブ・プロデューサーに名を連ねてしまったレナード自身もこの作品の脚本、出来栄えに満足しているみたいである。 ジャッキー・ブラウンは小説ではジャッキー・バークであり、40台半ばの美人であることは共通しているのだが、なんと言っても細身で華奢な白人女性である。場所は映画ではLAだが、原作はマイアミである。それにも関わらず、この原作中最も活き活きしている悪党オーディル・ロビー(映画ではサミュエル・L・ジャクソン)を初め、多くのキャラが、実に原作と映画の間に違和感を感じさせないのだ。 映画では口を曲げてにやりと微笑む主演のパム・グリアーの美しさはぞくっとするほどクライムの香りが漂っているが、原作の白人女性バークを読んでていてもパムを連想させるくらいに、設定の差を感じさせない。そして映画は映画で、原作は原作で揃いも揃って成功しているという珍しい作品だと思う。 小説の感想を書いているのか、映画の感想を書いているのか、区別がつきにくくなってしまったが、それも二人の職人が別々のメディアで同じ物語を美味しく料理してみせたせいであると言いたい。映画『ジャッキー・ブラウン』を気に入っていて、レナードの原作をまだ読んでいないという方には是非オススメしたい一冊。同じ物語なのに全然飽きがこないし、どきどき感は映画とはまた別物である。難を言うならただいま絶版中につき古書店でしか手に入らないという事実があるけれども(しかしそう見つけにくいほどのものでもないはずです)。 (2005/02/21)
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/2404.html
クライムファイターズ 【くらいむふぁいたーず】 ジャンル ベルトアクション 対応機種 アーケード 発売・開発元 コナミ 稼動開始日 1989年 配信 アーケードアーカイブス【Switch/PS4】2021年3月18日/Switch・838円 PS4・837円(税込) 判定 ゲームバランスが不安定 ポイント 難しい……目押し重要エクストラステージはほぼ無理ゲー 概要 システム 評価点 問題点 総評 移植 余談 その後の展開 概要 犯罪都市シカゴで連続美女誘拐事件が発生。市警は急遽、特捜班「クライムファイターズ」を組織し、救出に向かわせた……という設定のベルトスクロールアクションゲーム。 キャッチコピーは「CITYでは命が100あっても足りない」。 全8面+エクストラステージの全9面、2周エンド。 本作は2P版(汎用筐体)と4P版(ガントレット筐体を流用したコンバージョン仕様)が存在する。 システム 8方向レバー+3ボタン(パンチ、キック、バックキック(*1))で操作。パンチ+キックでジャンプ。 ザコをダウンさせると追い討ち攻撃が可能。素手ならキックで、銃を所持していれば銃でも攻撃できる。 4P版ではライフ表示がゲージから数字になり、制限時間は無いが、時間経過でライフが減少する仕様に変更されている。ライフが0になった時点でゲームオーバー。 特定の敵を倒すと武器が入手できる。ナイフや鉄棒などオーソドックスな殴り武器もあるのだが、中でも特色あるのは「銃」。 威力は低いが射程は無制限で、かつ弾数が無限である。ステージクリアするか攻撃を受けるかしない限りはずっと使えるので、銃を入手すると後は「近寄られるまでパンパン撃ちまくり、寄られたら間合いを離して死ぬまで繰り返す」ゲームに。 評価点 ベルトスクロールアクションの最大プレイ人数を大幅に増加させた点 ジャンルを確立させた『ダブルドラゴン』以降、ベルトスクロールアクションにおけるプレイ人数は多くても2人が限度であったが、本作は筐体を2台繋げる事により最大プレイ人数4人を可能にし、大幅に増加させる事に成功した。 海外では『ガントレット』の筐体を流用した形で稼働されており、「4Pver.」では数値製のライフ表示(これは先述の『ガントレット』のライフ表示方式と同じ)を採用した結果かなりウケたらしい。 故に後続の同ジャンル作品では本作を踏襲したゲームシステムになっているのも少なく無い。ある意味では歴史に残る1作と言えるだろう。 コナミ製ベルトアクションの基礎要素自体は一通り揃っている。 本作はコナミにとってベルトアクションの処女作でありながら、「ダウンした敵への追い打ち攻撃」「海外版のライフ表示は数字制を採用」「基本的にボス戦では雑魚敵の介入が無く1対1のタイマン勝負」等々、意欲的な新機軸を取り入れている。 後の多くの同社製ベルトアクション作品で使用されるシステム群をたった1作で輩出した点は大きい。 SEがかなり良い ドカァ、バキィと、表現するのはやや難しいが爽快な音。ナイフを刺した時の音などもこだわりを感じさせる。 BGM、グラフィック共に質が高い BGMは泉陸奥彦氏と松原健一氏が手掛けており、その出来に関しても高評価。背景グラフィックもかなり凝っている。 ダウンした敵に対し踏みつけ攻撃や銃による追い撃ちが出来るなど、暴力描写のえげつなさ、爽快感も評価が高い。 ナイフを取ると主人公はクルリと宙で一回転させて柄を握る。細かいところの動きもなかなか作り込まれている。 「クライム」を謳っているだけあり、敵はかなり個性的。 ゲイの男(*2)や発情した犬、ムチを持ったSM嬢など、明らかにインモラルな奴らも登場する。しかも結構強敵。 「危ない街」の雰囲気を演出するのに一役買っている。 問題点 難易度の高さ 初期状態のプレイヤーは、リーチも短く威力も無い素手の状態である。本作では『ファイナルファイト』のように一度に複数の敵をパンチで攻撃できるわけではないので、一体ずつコツコツダメージを与えていく必要がある。 連打攻撃を当てている時に縦軸をずらされてしまうことが多いため、敵キャラクター一体一体との戦いに意外に時間がかかることが多い。ダウンさせた後の追い討ち攻撃を上手く使っていく必要がある。 基本的に自機は体力は多いが、攻撃に一癖ある性能で隙が大きめ。その中ではバックキックが使いやすいのだが、上記の通り4Pバージョンだと使用不可。足もあまり速くない。 回復アイテムは一切存在せず、クレジット追加(4Pバージョンのみ)かステージクリアによってのみ体力は回復する。この仕様も難易度の高さの一因。 背景の一部に近づくと、ステージギミックが発動する場合がある。演出的にはなかなか面白いのだが、実はダメージこそ受けないものの強制的に武器を落としてしまうことがあり、ステージによってはその後の展開が非常に苦しくなる。 中でも3面は「道路の縁石より画面上部に移動すると、強制的にギミックが発動してしまう」仕様になっているため、ひっかかったプレイヤーは多いだろう。 強い上に、体力が多めのボス。武器を持っていたりしてリーチの長い奴が多い上、攻撃の出も早い。 真っ向から殴りあおうとすると一方的にボコボコにされるため、確実に勝つには普通にプレイしていては分かりにくい隙や、半安全地帯を見つけないと苦しい。 銃が出るステージならそれで押していけるが、どちらにしろ後述のエクストラステージのためにはパターンを完璧に把握することが必須。 前半面はまだいいのだが、シビアなタイミングで攻撃と回避を要求される6面ボスや7面ボスなどはさすがにしんどい。相当慣れないと武器無しではきつい。 8面をクリアするとエンディング、ネームエントリー……と通常通りのEDの流れだが、その後スコアを継続してのエクストラステージが開始され、その後に2周目をクリアして真のEDとなる。 一旦EDと思わせて……という事かもしれないが、ネームエントリー後に点数継続でのプレイというのはどうなのだろうか。 「エクストラステージ」では1ボスから8ボスまでが一斉に逆襲しに来る展開。そして主人公は丸腰。しかも一人倒すごとに厄介な雑魚が一人追加され、8面ボスが出てくるのは最後の最後。テストプレイをしたのか問いただしたくなるレベルである。 その攻略の糸口は本作独特の「敵があと一撃で倒せる体力になると移動するだけで攻撃してこなくなる」(通称「木偶」)という仕様で、集中攻撃されないように逃げながらボスを一体ずつ木偶状態に追い込んでいき最後にまとめて倒すという攻略方法が確立されている。タイムの関係上、どれだけ上手く立ち回っても1機失うことはほぼ確定だが。 こうして始まる2周目だが、ステージごとのアイテム継続が可能なので、難易度は実は1周目よりは少し低くなっている。 敵の同時出現数を優先したためか、登場キャラクターが小さい。顔もあえて描き込んでいないため、少々寂しい。 よく比較される『ダブルドラゴン』や『ファイナルファイト』が登場キャラクターが大きく、顔の表情も描き込んでいたのとは対照的である。 4P版の筐体ではさらに難易度が上がる。 対4人用を考慮してか、前述の通り「時間経過でライフが減る(代わりに時間制限はなし)」という仕様になっており、さらに難易度が上がる。 加えて、4P版では体力表示が数字に変更されている影響で体力の視認性も悪い。 もちろん筐体自体の差である為、こちらの筐体で1~2Pのみでプレイしても2P筐体の難易度に変わる事はない。 カンフー使いの存在 この敵は5面以降から登場するが、飛び蹴りを使う上に通常投げを受け身で返すのでかなり強い部類の雑魚だし、衣装が中華服なのでアメリカを舞台にした本作の世界観から浮いている。 総評 『ダブルドラゴン』のスマッシュヒット以来、様々な形でベルトスクロールアクションは他社からも出され、試行錯誤されていた。 本作はその中でも単なる亜流に終わろうとしていない、稀有な例である。 キャッチコピー通り『命が100あっても足りない』退廃的で妖しい街の雰囲気、そこに巣食う悪党たち。 そいつらを市警でありながらえげつない追い討ち、武器を使って打ち倒していく主人公の容赦のなさは、独特の、なんとも言えないバイオレンス感を醸し出している。 惜しむらくは、同年末に『ファイナルファイト』というベルトスクロールアクション史上に残る名作品が出てしまったため、本作の印象が薄くなりがちな点だろうか。 もしどこかで見かけたら、一度はプレイしてみるのも悪くはないだろう。 移植 アーケードアーカイブス(ハムスター)Switch/PS4:2021年3月18日 32年越しの初移植。2Pver.と4Pver.に加えてそれぞれの日本版と海外版(敵の耐久力が高い、銃に弾数制限がある代わりに威力が高い、看板等のトラップが削除されているという違いがある)を収録。 余談 実は8面ボスを倒した後で誘拐犯である組織の黒幕が現れて牢の鍵を投げつけてくるのだが、それを拾おうとするとマシンガンを乱射して襲ってくる。それに負けると コンティニュー不可のバッドエンド になってしまう。 後に『出たな!ツインビー』などでキャラクターデザインを担当する、現在はアニメーターのShuzilow.HAこと濱川修二郎氏が本作のデザイナーの1人として参加しており(*3)、これがコナミ入社後の初仕事でもあった。 アーケードアーカイブス配信の報を受け、ツイッターで「デモ画面と1、3、5、7ステージの背景の担当だったと思う。」の他、本作の小ネタをいくつか語っている。 その後の展開 続編として『クライムファイターズ2』が製作されている。こちらも2021年7月21日に、SwitchとPS4のアーケードアーカイブスにて移植配信された。 「2」と銘打っていても実際は「ならず者のビジランテと巨大ギャングの抗争」であってストーリーにつながりはない。 4人の異なる性能を有するキャラクターから選べたり、体力回復アイテムがあったりするので、前作より『ファイナルファイト』に近くなっている。 相変わらず武器や特定の通常攻撃が有利なバランス取りだが、ゲーム全体の難易度は下がっていて、全ボスによるリターンマッチも前作同様に存在するが、2人ずつ登場する形式に修正されており、全体的に丁寧に作られている良作である。 また更なる続編として、タイトルこそクライムファイターズの名を冠しないが『バイオレントストーム』も存在。 ストーリーに繋がりはないが、出せる技が多い、アメコミ調のグラフィック等、本作の路線を引き継いでいる作品である。 本作以降のコナミアーケードについて。 本作以降、発売元のコナミは一時期多人数かつ海外向けのアーケードゲームの制作に力を入れていた。 中でもベルトアクションは『T.M.N.T. スーパー亀忍者』『ザ・シンプソンズ』等の版権タイトルの他に、上記本作の系譜や『メタモルフィックフォース』といったオリジナルタイトルまで様々な作品がリリースされていて、いずれも2Pver.と4Pver.が存在する物も多い。『X-MEN』に至ってはモニター2画面を用いた専用筐体の6Pver.も作られた。 また、ベルトアクション以外の作品としては『サンセットライダーズ』『G.I.ジョー』といったシューティングゲームも本作と同じスタンスでリリースしており、これら海外向け作品群は当時のコナミのアーケードの情勢を物語っていると過言では無いだろう。 + 参考動画 http //www.nicovideo.jp/watch/sm5738787
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/753.html
葬列 題名:葬列 作者:小川勝己 発行:角川書店 2000.5.10 初版 価格:\1,500 何だか『OUT』みたいな始まり方……と思いきや、実はこれそうしたミステリー、サスペンス系ではなく、むしろ乾いたドンパチを主体とした和製では珍しいクライム・アクション。しかもクライムよりも遥かにアクションの方に重点が置かれているという意味で。傑作の噂が高いので後ればせながら手に取ったのだけれど、これは今年の目玉。『このミス』の採点締め切り直前になった今でも自分の最終候補にはしっかりと残っている作品。ま、それほど面白かったのである。 まず、である。キャラクターの書き分けが凄いのだ。だれもかれもがかなり凸凹した癖があり、極度に個性的。その書き分けだけでも十分に楽しめるのに、展開は中盤からいきなりスピーディに様変わりする。そして裏の裏、そのまた裏へと、玉ねぎの皮をむいてゆくような嘘と疑惑の皮を何層にもまとった真実の奥深さ。 映画化するならこの火器弾薬の消費量から言って、ジョン・ウーを置いて他にないとぼくは感じた。まるで『男たちの挽歌』だ。いや、『男たち』じゃない、『女たちの挽歌』だ。とにかく乗り乗りのノワールの凄玉が登場してしまった! 右に倣えで、シリーズ化賛成! 続編に期待したい! (2000.11.04)
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/200.html
君たちに明日はない 題名:君たちに明日はない 作者:垣根涼介 発行:新潮社 2005.3.30 初版 価格:\1,500 今年の長者番付でサラリーマンがトップを獲った話題に関してTVでかまびすしい。年間所得が百億円と、半端ではない数字ゆえに、メディアの取り扱いに対する熱心さも、国民のおそらく平均感情よりはるかに、際立っているみたいだ。 当たり前のことをやっていては決して獲得できない所得を、人並みではない方法により、目の付け所を変えて稼ぐ以外に、サラリーマンがのし上がる可能性は、あまりないだろう。だから、百億円の所得を得るというところに関心があって当たり前だというのが、TV側の言い分なんだろう。 しかし、それ以前にノースーツ姿のホリエモンが、ああしたオタッキーでもてない男との典型みたいな坊ちゃん面を曝け出しながら、野球球団やメディア会社の買収に乗り出すなど(どちらも成功していませんから!)、今の経済界はなんでもあり、という風潮が日本人の中にある程度の嫌悪感や好奇心、驚きとともに浸透し始めている。 当たり前ではないことをやって、社会にそれを認知してもらえなければ、給与などはどこからも入ってこない。 本書は、リストラのアウトソーシングを請け負う会社に勤める主人公が、さまざまな事情により会社から不要の烙印を押されつつある人間たちと丁々発止を繰り広げる話であり、長編でありながら、どこか連作短編小説集のようにも見える、例のスタイルだ。 ただしそれを書いたのが、あの垣根涼介。企業などとはおよそ縁遠い個の経済にこだわってきた作者だからこそ、企業からスポイルアウトされゆく人間たちを、数字の論理と相反するようなそれぞれの事情と、アナログな情緒的部分への思慮により、これでもかというばかりの緊張感で描いている。 人間が、生産ラインの一つの製品であるみたいに、ある部分でより分けられ、選別されることの残酷さをよくわきまえてこそ、書ける小説であり、時代を反映した、行き場のない社会の袋小路に立たされたような、緊張感が全編にみなぎっている。 軽く乾いた描写の裏側に、溢れるほどの人間賛歌をこめるこの小説は、思えば、垣根と言う作家の原点を、これまで以上により明確に匂わせている。ストーリーのどこかに、人生の分岐点を設け、ある種の頑固で明晰な助言を表現する作者の切り口。批判であり、選択であり、独歩であるそれら、アンチテーゼな何か。 反骨がなせる現代の仕組みへの挑戦、というこの作家特有のテーマを、主人公は悩みつつも、ドライに、割り切り、若さを前面に押し出しつつ、打開する。 今までのクライム・ノヴェル的方向とは、かなり違ったわれわれの日常側世界で、クライムの主人公を活き活きと横行させる、作者の新しい試みがここにある。 読み終わって数日後、何と、この作品は本年度の山本周五郎を受賞したとのお知らせ。『ワイルド・ソウル』(日本推理作家協会賞受賞作品)とは、別の意味での、新たな世界を切り開いた、そのヴァイタリティだけは、この作者、やはり只者ではないのである。 (2005/05/22)