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PL:小川(旦那)年齢:29歳■能力■STR:11 DEX:12 INT:13CON:13 APP:14 POW:11SIZ:15 SAN:-- EDU:15アイデア:65 幸運:55 知識:75耐久力 14 ダメージボーナス:+1D4 ■技能■ 回避 40%、母国語(日本語) 75% 跳躍 80%、目星 76%、生物学 70%、説得 70%、登攀 70% ナビゲート 70%、応急手当 60%、隠れる 60%、投擲 55% こぶし 53%、薬学 35%、信用 15%、芸術(絵心) 3% 生物学者。准教授。 フィールドワーク系の学者で、アマゾンの奥地からエベレストの頂上まで調査に赴く。 忍者の家系でもあり、自身も身体を動かすのが好きで、事ある毎にジャンプしたりする。 好奇心の塊で、後先考えずに身体が動くタイプ。
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◆シナリオ◆ 【もっと食べたい(藤田鈴花、佐々木操、坂井涼)】 【もっと食べたい(河合レイ、桜田伸治、阿部川幸村)】 【死の規律(藤田鈴花、佐々木操、坂井涼)】 【少女の悪夢(河合レイ、坂井涼、桜田伸治、佐々木操、藤田鈴音)】 【凍てつく思考】 【とおりゃんせ】 【サーカスの怪人】 【黄金の蝦蟇】 【火野川龍の夢】 【好事家のコレクション(葛西理、小島恵礼希、坂井涼、松沼一二三、黛敬一)】 【地下の幽霊電車】 【ハロウィン・パレード】 【ジャックのランタン】(河合レイ、佐々木操、坂井涼) 【蛇の道は蛇】(河合レイ、佐々木操、坂井涼、片瀬千冬、茶所縁) 【人魚姫の悪夢】(M・F・ルーダー、猿飛・クレイグ・コリィ、月見里ゆき、八星明、北条優一、佐々木操、黛敬一) 【蜘蛛の仮面】(猿飛・クレイグ・コリィ、月見里ゆき、北条優一) 【雛森村のオカルト作家ツアー】 【絡繰り仕掛けの悪夢】 【奇怪侵食】 【雛の孵る頃に】 【美の追求】 ◆旅のすみか◆ 【地下の幽霊電車】
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神代市守崎区の教会。 概要 カトリック系の教会。 30年ほど前までは牧師もいたが、現在は廃教会となっている。 管理する人もなく人は寄り付かない。 所在地 神代市守崎区
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PL:zero年齢:19歳■能力■STR: 6 DEX:11 INT:16CON:10 APP:15 POW: 8SIZ:10 SAN:-- EDU:14アイデア:80 幸運:40 知識:70耐久力 10 ダメージボーナス:-1d4 ■技能■ 回避 32%、母国語(日本語) 70% 心理学 85%、図書館 75%、聞き耳 70%、歴史 60%、応急手当 50% ほかの言語(古語) 46%、説得 30%、目星 35%、オカルト 30%、隠れる 30% 精神分析 26%、マーシャルアーツ(合気道) 26%、舞 25% 薺神社の神主の娘。 人と話すのが苦手で、オドオドした性格。
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スーパーロボット大戦MG:ユニットシート ユニット名:RMX-BC58000 アークトゥルス(MF) プレイヤー名:AsR ユニットタイプ SFリアル ユニットのランク C 初期特徴 飛行形態になれる 補給点 総獲得補給点 0 現保有補給点 0 基本性能 【HP】 60(+00) 【現在HP】 60 【EN】 12(+00) 【現在EN】 12 【パワー】 5(+00) 【装甲】 4(+00) 【運動性】 7(+00) 【イニシアティブ】 11 【装備スロット】 24(+00) 【残りスロット】 0 特殊機能 機能名 スロット 効果 《変形》 4 戦闘中、補助行動によってもうひとつのユニットデータへ変形する事ができる 《弱点:雷》 -2 雷属性の最終ダメージを1.5倍する 武装名称 武装名称 分類 射程 命中 威力 属性 EN 弾数 損傷率による制限 スロット 追加効果 ウルスス・バルカン 射撃 近 15+4 2+9 B 1 ∞ なし 1 なし アルデラミン・ナイフ 格闘 近 13+3 3+7 剣 0 ∞ なし 3 なし CTM-04 バーナード 射撃 中 11+4 6+9 P 0 4/4 なし 2 なし アルフィルク・レールガン 射撃 中 11+4 7+9 銃 0 6/6 なし 3 なし CTM-03 パルサー 射撃 遠 12+4 6+9 弾 0 3/3 なし 6 なし コンバットパターン:FWC 射撃 中 11+4 18+9 超 3 1/1 30%→要HP18以下 7 なし 防御能力 行動名 効果 通常回避 2D6+10 通常防御 6D6 無防備 4D6 ユニット設定 開発コンセプトは『無人での災害救助』であるが、予算獲得のために軍事用でも転用できることを証明するために武装を積んで軍に出向している。 人型であるマリオネットフォルム(MF)と飛行形態であるアヴィエイションフォルム(AF)に現状に応じて変形することができる。 機体の全ての動作を統合AIであるナヴィガトリア(ナヴィ)が管理しており、パイロットの言語命令だけでなく 時によっては自己にて状況を判断して行動に移るというパイロット泣かせの状態となっている。 AIによる機体操作を軍には「S.T.A.R.S」(Supporting Tactical Action and Reconnoiter System:戦術的戦闘および索敵支援機構)として説明している。 ユニット名:RMX-BC58000 アークトゥルス(AF) ユニットタイプ SFリアル ユニットのランク C 初期特徴 人型より運動性が高い 補給点 総獲得補給点 0 現保有補給点 0 基本性能 【HP】 60(+00) 【現在HP】 60 【EN】 12(+00) 【現在EN】 12 【パワー】 4(+00) 【装甲】 4(+00) 【運動性】 8(+00) 【イニシアティブ】 12 【装備スロット】 24(+00) 【残りスロット】 0 特殊機能 機能名 スロット 効果 《変形》 4 戦闘中、補助行動によってもうひとつのユニットデータへ変形する事ができる 《分身》 5 『分身回避』ができるようになる。1ターンに1回のみ使用可能。また、使用時には【EN】を2消費する 《弱点:雷》 -2 雷属性の最終ダメージを1.5倍する 武装名称 武装名称 分類 射程 命中 威力 属性 EN 弾数 損傷率による制限 スロット 追加効果 ウルスス・バルカン 射撃 近 15+4 2+9 B 1 ∞ なし 1 なし CTM-04 バーナード 射撃 中 11+4 6+9 P 0 4/4 なし 2 なし アルフィルク・レールガン 射撃 中 11+4 7+9 銃 0 6/6 なし 3 なし CTM-06 ネヴュラ 射撃 中 10+4 14+9 弾 0 2/2 なし 6 なし CTM-09 エッジワース 射撃 中 11+4 4+9 弾 0 1/1 なし 7 範囲攻撃 防御能力 行動名 効果 通常回避 2D6+11 分身回避 3D6+11 通常防御 6D6 無防備 4D6 ユニット設定 アークフィルスの飛行形態であり、人型よりも機動性がアップした形態である。 この形態でもナヴィガトリアのサポートは欠かせない。 特徴として大型ミサイルのCTM-06ネヴュラやマイクロミサイルであるCTM-09エッジワースが使えることであり 無理やり詰め込んだ形となったこれらの武装は人型になると余剰武装となり破棄されてしまう。
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葛西理 小島恵礼希 坂井涼 松沼一二三 黛敬一 好事家の屋敷 私立探偵の黛敬一と、そのアルバイト松沼一二三はクライアントの下に向かっていた。 宮内喜助。 彼は親から受け継いだ会社の経営に辣腕を振るっていた。 数年前には事業を売却し、その資産で趣味の骨董や希書を蒐集する好事家だ。 黛は以前にも依頼を受けていた。 入り口でチャイムを鳴らすと、しばらくして宮内の声が聞こえた。 宮内 はい、どなたですか? 黛 いつもお世話になっております。 黛探偵事務所の黛です。 依頼の報告に伺いました。 宮内 おお、ご依頼の件ですね。 今ちょうど取り込み中なんで、入って待っていてください。 黛 じゃあ、松沼行くか。 松沼 分かりました先輩!! 2人が応接室に入ると先客がいた。 小田島コウジという人物だ。 小田島 おや、黛さんじゃないですか、お久し振りです。 黛 どうも、お久し振りです。 また宮内さんと骨董品の話ですか? 小田島 いやもうお陰さまで。 あの時の品も高値で引き取って頂きまして。 また、別件でお話があるんですが、今日は彼のコレクションを見せて頂けるということで・・・ アルバイトの松沼くんも一緒かい。 松沼 ど~も、こんにちわ。 黛 (まったく、いけ好かないな・・・) (早く帰ってくれないかな~) 松沼 黛先輩、顔、顔、顔に出てるwww 黛 やべwww 何でもないですッ!! 応接室の3人は雑談をして場を繋ぎながら、主人の宮内を待った。 市内のファミレス。 葛西理と、その後輩の坂井涼、葛西の高校の同級生の小島恵礼希、葛西と坂井の大学の先輩である高瀬みゆき。 その4人が集まっていた。 4人は、みゆきの叔父がオカルトのコレクションを公開するという事で、見せてもらうために集まったのだ。 みゆきが葛西に興味のある人に声をかけてくれるように頼んだら、この3人が集まったという事だ。 みゆき 忙しいところ、みんな悪いわね~来てもらって。 まさか3人も来てくれるなんで。 葛西 大丈夫っすよ先輩。 オカルトとかも興味あるんで~ みゆき 葛西くんは女の子にしか興味ないと思ってたけどwww 葛西 最近流行ってるんで。 みゆき 坂井くんも、あんまり見習っちゃダメよ~ 坂井 あ、はい。 みゆき 小島さんだったかしら、今日は始めまして。 恵礼希 あ、始めまして~ みゆき 今日はわざわざすいませんね。 恵礼希 こちらに修理品とかありましたら是非www みゆき 叔父の家で電子ロックの部屋を作ったみたいなんですが、それくらいですかね・・・ 恵礼希 すごい設備がありますねッwww 御用命の際は是非とも小島電器店へwww みゆき ああ、駅前とかにある大きい電機店ね。 恵礼希 あ、ちが・・・違います違いますッ!! もっとですね、お客様の心と生活に寄り添った、町の商店街の電器屋です。 アナタの心の隙間を電器で埋めますwww みゆき 小島電器さんね、覚えておくわ・・・ 恵礼希 ヨロシクお願い致しマースwww 葛西 ・・・ 坂井 ・・・ みゆき まあ、ここは葛西くんの支払いよね~? 葛西 大丈夫、バイトしてるから。 今度、お店にも来てくれ(但しファミマだがwww)。 みゆき じゃあ、注文しましょうか。 坂井 チョコパフェ。 恵礼希 チョコケーキ。 みゆき 私はこのスペシャルセット(¥9,800)を・・・ 葛西 ・・・ 大丈夫っす・・・ みゆき そー言えば、小島さんはやっぱりコジマデンキで働いてるの? 恵礼希 違います!! 実家の電器屋です。 実家の・・・小島電器店ですッ!! みゆき とにかく葛西くん、ご馳走様でした。 坂井 ご馳走様です先輩。 恵礼希 ご馳走様。 あ、これウチの500円割引券。 葛西 お、おう、えれぽん。 自己紹介と説明を交わした4人はファミレスを出て、みゆきの運転する車で叔父の家に向かった。 40分ほど車に揺られた。 恵礼希 みゆきさんスペシャルセットどーでした? みゆき ただ単に全部のせしただけだったみたいでイマイチだったわね。 坂井 何故、高瀬さん頼んだし・・・ みゆき 来年、社会人になったらマックぐらい奢るからwww 葛西 ・・・アリガトーゴザイマス。 ってか、坂井さっきから静かだな。 坂井 大丈夫っすよ。 みゆき 緊張してる? 坂井 ちょっと・・・ 坂井の緊張もほぐれないままで、目的地に到着した。 庭に車を停めると、ほかの車が何台か停まっている事に気づく。 みゆき あれ? 新田先生の車もあるわ。 今日は問診の日だったのね・・・ ゴメンナサイ、少し応接室で待っててもらう事になりそう。 葛西 はい。 坂井 はい。 恵礼希 はい。 こうして4人は、みゆきの叔父・宮内喜助の家に入っていった。 宮内邸の応接室。 先に待っていた3人が待つ部屋に、到着した4人が入ってきた。 黛 あれ? 坂井くんじゃないか? 坂井 黛さーーん!! 黛 何でこんなところに・・・ 恵礼希 坂井くんが元気になったwww みゆき 黛さんと松沼くんじゃない。 黛 いや~、依頼の報告に来たんだけどね・・・ 松沼 あのイケメン、どっかで見たよ~な・・・ あ、同じ大学の!? 坂井 マユさん久し振りーーー!! 坂井はじゃれついて黛の脚を蹴った。 見事に脛に入り、黛は椅子ごと後ろに引っくり返った。 黛 痛ってーーーー!! 坂井 マユさんだマユさんだwwww 松沼 せ、先輩・・・ 恵礼希 坂井くんがホント元気になって良かったねー 黛 全力でじゃれつきやがって・・・ みゆき 知り合いなんですね。 黛 親族の知り合いで、以前チョットね・・・ 応接室に集まった7人は宮内邸に訪れた理由を話した。 黛と松沼は依頼の報告。 ほかの5人は宮内氏のコレクションの見学だった。 黛 そういうコトなら、僕たちも是非見たいよな、松沼。 松沼 ええ、見たいですね~ オカルト好きなんですよwww 黛 え、マジでww!? 僕も好きなんだよね~ みゆき 見てもらえると叔父も喜びます。 松沼 コレクションって、どんな物があるんですか? みゆき 叔父が集めた古い本とか骨董品の壷とかかな。 3年前にはコレクションルームには電子ロックを付けたんですよ~ 確か、この時は少し離れた場所の山田電器店さんだったかしらww? 恵礼希 はッwwww ライバル店・・・・・ 葛西 えれぽんショックだな。 恵礼希 え、えと、ウチは割引サービスとかもあるんでwww ってか営業口調になっちゃうな~ 部屋の面々は、みゆきに促されて自己紹介をした。 坂井 ども、坂井っす。 こー見えてもイタリア語とか少し話せます。 黛 まあ、探偵やってます黛です。 ここには仕事で来て、ついでって訳じゃないけど、コレクションを見せてもらうことに・・・ なあ~松沼。 松沼 先輩、相変わらずテキトーっすね。 黛 いやいやwww あ、一応、コイツもウチの事務所で働いてるんで。 松沼 オマケ扱いなんすか俺!? 黛 だってお前バイトじゃんwww 恵礼希 貴方の生活のスグ側に冷蔵庫から電子レンジ、貴方の心の隙間も埋めます。 小島電器店の小島恵礼希です。 黛 !? あの・・・もう一度名前を・・・ 恵礼希 小島恵礼希です。 黛 お・・・おぅ・・・ 松沼 (ド、ドキュン・・・!?) 葛西 あだ名は、えれぽんですwww 黛 め、珍しい名前だな・・・ 松沼 黛さんのトコでアルバイト探偵やってます、松沼一二三です。 神代大学の学生です。 葛西 お、俺らと一緒だ!! 松沼 はい、ウワサは色々とwww なんか色々女の子連れてますよねwww 葛西 知ってんの? えっと、葛西理でーす。 オカルトとか、コワイ話とか好きでーす。 みゆき じゃあ、是非ウチのコレクション見て行ってね・・・ 葛西 トークには自信あります。 みゆき チャラ男だもんね。 と、そこに2人の男性が入って来た。 何者かの襲撃 部屋に入って来たのは50代と40代の男性だった。 黛と松沼は、50代の男性は依頼人の宮内喜助だと分かっていた。 2人が応接室に入ると40代の男性は部屋を見渡した。 男性 おやおや、これは大勢を待たせてしまったようですね。 いやぁ、申し訳ない。 そして大きな手振りで皮肉かかったように話した。 みゆき 新田先生、いつもありがとうございます。 新田 いやいや、こちらは然るべき額を貰ってるんで全然構いませんよ。 でも、もっと都会の方に引っ越した方が色々と便利じゃないですかねえ? みゆき ははは・・・ 黛 (カンジの悪い人ばっかだなーwww) みゆきは改めて宮内喜助とその主治医である新田医師を紹介した。 宮内 いやはや、私のコレクションに興味があるとは、若いのに見所がありますなぁwww その前に探偵のお二方には依頼の件で別室に・・・ 黛 はい、じゃあ松沼行くぞ。 松沼 はい。 資料ちゃんと持って来ました? 黛 え、あれ!? あ、大丈夫だ。 宮内 もし宜しかったらお二人も私のコレクションをご覧になっていきませんか? 黛 ええ、もちろん。 さっきも応接室でその話を伺っていたんですよ。 でもホント、松沼もまさかオカルトにそんな興味があったとはなー 松沼 オカルト大好きですよww 黛 いやぁ、親近感沸いたわwwww 松沼 え、そんな親近感持ってなかったんすかwww!? 部屋を出て行こうとする3人に小田島が割って入ってきた。 小田島 どうも宮内さん。 宮内さんのコレクションを見せていただけるということで・・・ 先日の例の品も大変価値のあるものでしたからねぇ~ 今回のコレクションも楽しみですよ。 揉み手をしつつ満面の笑みで宮内に挨拶をする。 黛 (コイツ多分、はじめに死ぬなwww) 3人は別室に行き、依頼の確認をした。 宮内 またしても見つけてくれましたか。 流石は黛さんです。 例によって謝礼のほうは、いつもの口座に振り込んでおきますので。 黛 よろしくお願いします。 宮内 ご苦労様です、色々大変だったでしょう。 黛 まあ、今回はそこまで大変ってことでもありませんでしたよ。 宮内 では、私はコレクションの準備をしているので、もうしばらく応接室で待っていてください。 依頼の話も済ませて黛と松沼が応接室に戻ってきた。 話の流れで新田医師も応接室に留まっていたが、憮然とした様子だった。 黛 ・・・・ 松沼 黛先輩、この空気なんか重くないっすか・・・? 黛 なにがあったんだ・・・ 2人もソファーに座り、松沼は隣の葛西に話しかけた。 松沼 葛西サン、なにかあったんですか? 葛西 あ、えっと、名前・・・なんだったけwww 松沼 (この人覚える気ねーなwww) 松沼です。 松沼一二三です!! 葛西 まつぬま・・・じゃあ、ひふみでいい? ひふみん? 松沼 ちょwwwww まゆき あら可愛くて良いんじゃない? 松沼 男なんで可愛さは要らないです!! しかも俺、ハードボイルド目指してるんで!! 新田 いやはや、若い人は賑やかで良いですね。 黛 宮内さんは、どこか悪いんですかね? 新田 患者の事なんであまり話せないが、私は普段から宮内さんを往診しているんですよ。 などと重苦しい空気の中、会話をして10分ほど経った時。 突然、宮内の叫び声が響き渡った。 いち早く黛と松沼が立ち上がり、悲鳴の聞こえた隣の部屋に向かった。 続いて、坂井、恵礼希、葛西・・・は座ったままだった。 恵礼希 オマエも行くんだよ!! 5人が部屋に駆けつけた。 そして黛と松沼がドアを開けて部屋に入る。 部屋に入った2人の目には獣のようなものが映った。 しかし、すぐに煙のように消え失せてしまった。 立ち尽くしている2人の後ろから新田医師が駆けつける。 新田 宮内さん、宮内さん!! 黛 先生、宮内さんは大丈夫ですか? 新田 特に外傷も見当たりませんね、頭を打っている訳でもないようですし・・・ 取り敢えず、ベッドに寝かせないと・・・ 黛 じゃあ手伝います。 新田 そうですね力を貸してください。 せーの。 黛 よいしょ。 松沼 俺、力も弱いんで布団かけるのくらでも手伝います。 新田医師と一緒に宮内を運んでいた黛には気付かなかったが、松沼、坂井、恵礼希、葛西は部屋の隅に青い泡状の膿のようなものが付着していることに気付いた。 松沼はボールペンの先で取ってみた。 松沼 先輩、コレなんですかね? 黛 ん、うわ!! なんだコレ!? 松沼 先輩気付いてなかったんですか!? 坂井 安定のマユさんだわwww 恵礼希 マユさん? 坂井 黛さんだからマユさんって呼んでる。 黛 許可してない!! 可愛いからやめろ!! 恵礼希 でも、コレ何だろ? ・・・青い。 松沼 何か、部屋に入った時に獣みたいなのが一瞬いたような・・・ 黛 松沼も見えたのか? 部屋にあんな獣がいるとも思えないんだけどな・・・ と、宮内がうわ言を呟いた。 宮内 ま、まさか・・・ ティンダロスの猟犬が・・・ 松沼 ティンダロスの猟犬? 黛 一体なんだ? 宮内のベッドの側に居た黛と松沼はその言葉を聞いた。 そして、小田島もその言葉を聞いていた。 それを聞くと、小田島は明らかに動揺しだした。 黛 ん? 小田島さん? 松沼 どうしました? 小田島 いや、な・・・何でもない・・・ あ、そうだ!! 私、急用を思い出して!! 宮内さんがこんなことになって恐縮なんですが、私はこれで失礼します!! 黛 え!? ちょっと!! 小田島は黛の制止も聞かず、荷物を持って出て行った。 松沼 小田島さん、帰っちゃいましたよ先輩。 何か知ってる感じでしたね・・・ 黛 怪しいな・・・ 坂井 忙しい人っすね~ 新田 なんだ彼は? とにかく、宮内さんは安静にしておいた方が良さそうですね。 みゆき はい、新田先生ありがとうございます。 黛 宮内さんがこんな状態じゃ、今日はお開きですかね。 みゆき みなさんには折角来ていただいたのに申し訳ありません。 みゆきは面々に謝り、5人も帰り支度をしようとした。 その時。 外の方から、今度は小田島の悲鳴が聞こえた。 綴化青鎖竜でろんでろん 悲鳴を聞いた坂井は窓から外を覗いた。 小田島のと思われる車のドアが開いているように見えた。 坂井はすぐさま玄関に駆け出した。 黛 あの声は、小田島さん!? 黛、松沼も玄関に向かう。 坂井が小田島の車に辿り着いたときに見たものは、小田島の遺体だった。 それは獣に引き裂かれたかのような傷で、車の窓は内側から小田島の血がべっとりと付着してスモークガラスのようになっていた。 坂井 う、ぐうぅッ!! 坂井は小田島の車のドアを閉めると玄関に戻った。 追いついた黛、松沼に言い放つ。 坂井 く、来んなあッ!! 黛 何があったんだ? 坂井 小田島さんが、死んでいた。 その後、追いついた新田医師の診断で死亡が確認された。 一旦、状況を落ち着けるために宮内の部屋に戻ることになった。 部屋に戻ると宮内が意識を取り戻していた。 しかしその顔は蒼白になっていた。 黛 宮内さん、大丈夫ですか? 宮内 ああ、なんとか・・・ 新田 こんな時に言うのもなんですが、小田島さんが亡くなりました。 なにか獣のようなものに襲われた様子でした。 宮内 そうか・・・ 黛 何かご存知なんですか? 宮内 ・・・・・・ 信じられないかもしれないが・・・ 私たちの理解を遥かに超えたバケモノの仕業だ・・・・ 黛 バケモノ? さっき、うわ言のように呟いていた“ティンダロスの猟犬”・・・というヤツでしょうか? 宮内 ヤツは・・・人間が太刀打ちできる相手ではないだろう・・・ 例え警察を呼んだところで犠牲者を増やすだけだ。 ヤツはまたすぐにでも襲い掛かってくるだろう・・・ 松沼 と、止める手立てはないんですか!? 坂井 しっかりしてください。 宮内 この屋敷の・・・あの、部屋の・・・ 全てを話す前に宮内は再び意識を失った。 恵礼希 あの部屋ってドコですか!? 新田 キミ、もう止めたまえ!! 宮内を揺さぶる恵礼希を新田医師が止める。 みゆきは宮内を再び寝かせて布団をかける。 その際に、宮内の袖に青い膿のようなものが付着しているコトに新田医師が気付いた。 新田 おや、これは? 黛 どうしました? 新田 袖に何かが付いているんで・・・ 黛 それは、さっき別の部屋にもあったものです。 坂井 触らない方がいいよ。 黛 そりゃあな。 とにかく拭き取った方がいいな。 松沼 じゃあ、ハンカチで拭きますよ。 恵礼希 そのデロンデロンなにかな? Yahoo!とかで調べられない? 黛 え!? 恵礼希はスマホで“青い でろんでろん”と検索する。 Googleの検索には“綴化青鎖竜でろんでろん”という謎のワードが引っかかり、まったく分からなかった。 松沼 小島さん、何か分かりました? 恵礼希 ・・・こんなん出ました。 黛 なんとか青鎖竜でろんでろんwwwww お、おう・・・ 恵礼希 ま、まったく関係ない・・・ 葛西 な、なんだそれは・・・ てか、読めないwww 松沼 コレ・・・じゃ、ないですよね・・・? 黛 これじゃない感ハンパないな・・・ 恵礼希 何か手がかりがないかと・・・ その場を仕切りなおして黛がみゆきに尋ねる。 黛 宮内さんが、「あの部屋」って言っていたんだけど、あの部屋って・・・? みゆき すいません、あまり心当たりがないんです・・・ みゆきの説明によると、屋敷には部屋が10余りあり、書斎として使われているのが2部屋、コレクションルーム、寝室や応接室、客室があるとの事。 この異常な状況と、襲撃者に関して宮内が知っている事は明らかだったが本人が話せる状態ではない。 状況を打開する情報を得るため、5人は宮内の書斎に向かうことにした。 みゆきと新田医師は宮内を看ていることとなった。 部屋の探索 一方の書斎は鍵が掛かっていたので、もう片方の鍵の掛かっていない書斎に入った。 部屋の中は壁3面がほぼ本棚で埋まっていた。 黛と松沼は、並んでいる本を見てオカルトに関連する書物だと分かった。 黛 なんだ、どこかで見たような本だな。 松沼 あ、この本とか書店にも売ってますねww 黛 でも、宮内さん程の好事家が入門書みたいなのを大事にしているのは逆に違和感があるな・・・ GS美神とかないかなwww 恵礼希 本棚自体は動かないよね。 恵礼希が本棚を押してもびくともしない。 黛 仕方ない、鍵の掛かっている部屋に行くか。 松沼 どうやって入るんですか? 黛 松沼も来るんだよ。 コレで開けるからな。 黛は松沼にピッキングツールを見せると、隣の鍵の掛かった書斎に向かった。 それを見て、恵礼希もコレクションルームの部屋の電子ロックを外せないか、見に行ってみた。 本棚の書斎に残った葛西と坂井は部屋を改めて見回した。 すると本棚から1冊、不自然に飛び出している本を見つけた。 取り出して本を開いてみると中がくりぬかれており、鍵が入っていた。 葛西 なんの鍵かな? 一方、コレクションルーム前の恵礼希は電子ロックを眺めていた。 恵礼希 ・・・これは。 う~ん、難しい・・・ 流石ですね、いい仕事しているwww 電子ロックは暗証番号を入力すればロックが外れるタイプだ。 暗証番号は数字とアルファベットの計7ケタ。 入力を間違えてもペナルティーはないように見えた。 しかし単純に順番に入力すると780億通りあり、10秒に1回入力する計算でも1万年かかる。 恵礼希 絶望だ・・・ その頃の鍵の掛かった書斎前の黛と松沼。 松沼 どうですか先輩? 黛 う~ん、予想以上にしっかりした鍵だ・・・ 松沼 本棚の部屋は何か見つけましたかね? 黛 そーだな、坂井くんに電話してみよう。 黛はスマホを取り出して坂井にコールする。 坂井 あぃっす。 黛 そっち何か見つかった? 坂井 あ、うん、なんかでっかい鍵見つけましたよー 黛 今すぐ来い!! 坂井 分かりました~ 葛西さん、なんか呼ばれてるんで行きましょう。 坂井は葛西を引っ張って鍵の書斎に向かった。 と、その葛西に恵礼希から電話が掛かってきた。 恵礼希 葛西ー、コレクションルームの暗証番号7ケタ!! 葛西 え、ええ!?? 坂井 先輩、どうしたんすか? 葛西 えれぽんが・・・ 良く分かんない・・・ 恵礼希 あ、葛西、どこか部屋を見た方がいい? 葛西 あ、じゃ、じゃあ、寝室とか・・・ 恵礼希 うん、分かった。 恵礼希は電話を切ると、寝室に向かった。 葛西たちも宮内氏のコレクションルームの電子ロックに暗証番号があって、それが7ケタだと察した。 葛西から鍵を受け取った黛は、鍵の掛かったドアを開錠して開いた。 この部屋も本棚に囲まれていたが、机があった。 本棚に並ぶ書籍も、先程の部屋のような入門書ではなく、古書や難しい言語で書かれた書物だった。 松沼 黛先輩、超オカルトの本がありますッwwww 黛 マ・ジ・で!? 松沼 すげーありますッ!! 黛 うわー、気になるなww 葛西 俺も気になります。 黛 葛西くんも、実は興味があるのかい? 葛西 オカルトいいっすよねwww 坂井 (なんだこのひとたち・・・) 盛り上がる3人を尻目に坂井は机の引き出しを調べた。 その引き出しには鍵が掛かっていた。 坂井 なかなか開きそうにないな・・・ 葛西 あれ? この本は・・・ 葛西が本棚を眺めて見つけたのは、ティンダロスの猟犬に言及した本だった。 何かの手がかりがあるかも知れないと、葛西はじっくりと本を読み始めた。 一方の恵礼希は、宮内の寝室に入った。 一通り見回した後、おもむろに再び葛西に電話をかけた。 恵礼希 あのさ葛西、寝室に来たんだけど、なに探せばいいか分かんないから、誰かよこして。 葛西 なるほど・・・ (俺は今、本を読んでいる!!) ああ、誰か寝室に行くように言うよ。 そうだな、坂井が行くよ。 葛西が坂井に指示を出している間に、松沼は引き出しの鍵をいじっていた。 すると、カチャっと音を鳴らした。 松沼 あwwww 先輩、開いちゃいましたーwwww 黛 な、なんか悔しい・・・ 引き出しの中には宮内の手記が入っていた。 松沼は黛にも手記を見せて、2人はその手記を読み始めた。 宮内の寝室では坂井と恵礼希が何かないかと調べていた。 寝室にはミステリー小説が何冊かあり、ベッドの脇の引き出しには小さな鍵が入っているのを見つけた。 さらに宮内の書いたものと思しき日記が見つかった。 葛西 読み終わったー これ、ヤバかったっすねー 松沼 ちょ、ちょっと待って、葛西くん。 えと、どうします、先輩? 黛 見るよ!! 葛西 ココっす。 黛と松沼は葛西の示した箇所を読んだ。 ■本の内容■ 読み終わった黛は葛西にも手記の内容を伝えた。 内容は、宮内は小田島から投影機のようなものを購入したと言う。 それは、過去や未来を見ることが出来るものだったが、その映像を見た者はティンダロスの猟犬に襲われてしまうという。 黛 という事で、恐らくその投影機の映像を見た2人が襲われたんじゃないかな。 葛西 ヤバいっすねー、めっちゃオカルトっすねー 松沼 退治するというか、捕まえるには丸い球体のようなものが必要らしくて・・・ 宮内さんは、一応、そんな球体も持っているみたいですね。 コレクションルームにあるんじゃないですかね? 葛西 なるほどー 黛 ってコトは、コレクションルームか・・・ 葛西 でも、暗証番号が・・・ 黛 取り敢えず、向こうにもこの事を知らせるか。 黛はスマホを取り出して坂井に電話をかけた。 坂井 はいはいはい? 黛 軽いなwww 今、取り込み中? 坂井 今ねー、宮内さんの日記見つけて読んでるんだー そっちは、何か見つかったんすかー? 黛 ああ、さっき聞いたティンダロスの猟犬ってヤツの概要と対処法が分かったんだ。 その対処法がコレクションルームにあるみたいなんだけどね。 坂井 ふ~ん。 打っても響かない坂井に代わって恵礼希が電話口に出た。 恵礼希 もしもし小島ですー 黛 あ、どうも黛です。 恵礼希 こっちで宮内さんの日記を見つけたんですけど、その中にですね、パスワードじゃないかと思う記述がアリマシテ・・・ 黛 パスワード? 恵礼希 コレクションルームの電子ロックの暗証番号に入るであろう数字とアルファベットです。 宮内さんは養子を取ってるんですよ。 その養子を引き取った日にちが7ケタなんです。 黛 養子・・・? 恵礼希 養子を引き取った日付を暗証番号にしたと書いてあるんですよ。 坂井 この日だろ。 黛 養子って、みゆきさんじゃないよね? 恵礼希 みゆきさんですー みゆきさんを引き取った日付ですね。 黛 取り敢えず、分かった。 コレクションルームで合流しよう。 いいかな~? 恵礼希 いいとも~!! こうして5人はコレクションルームに向かった。 コレクションルーム 宮内のコレクションルーム。 5人は入手した情報を交換した。 さっそく恵礼希は電子ロックの暗証番号を入力した。 “H200520” ガシャンという音と共に電子ロックが解除された。 コレクションルームの中には様々なものが収められていた。 壷や皿、人形などの骨董品やアンティークに混じり、用途のよく分からないものなども並べられていた。 恵礼希 あれ? 宮内さんの日記に小田島さんが不思議な品物を持って来たって書いてあるんですよ。 ゲーム機のようなタブレットって・・・ 地球の歴史が映像で流れるって書いてあるんですよ。 葛西 それって・・・ 5人がコレクションルームを散策しようとした瞬間、男性の悲鳴が聞こえた。 黛 新田先生!? 聞くと同時に黛と松沼が駆け出した。 宮内の寝ている客室の扉を開くと、そこには先程のバケモノ“ティンダロスの猟犬”がいた。 そこには新田医師が倒れていた。 みゆきも恐怖で立ち尽くしている。 黛 新田先生!! 新田 だ、大丈夫だ・・・ な、なんだあのバケモノは・・・襲われてしまった・・・ 黛 新田先生は“投影機”を見ましたか? 新田 と、投影機・・・? なんだね、それは? 松沼 3人とも狙われているんすかね? 黛 いや・・・恐らく宮内さんが狙われて2人は巻き添えなだけだ。 松沼 取り敢えず、どちらかが残ります・・・? 黛 こうなるとコレクションルームも危険だな・・・ 松沼は、ここに残って3人を見ててくれ!! 松沼 は、はいッ!! (また来たらどーしよう・・・) 松沼はビクビクしながらも、部屋の隅にあった花瓶を抱え込んだ。 這い寄る恐怖 黛は再びコレクションルームに戻って来た。 その間、3人はコレクションルームを調べていた。 小田島のタブレットPCのようなものや、謎の球体のようなものも確認した。 球体は黒く野球ボールくらいの大きさだった。 戻ってきた黛も球体を眺めた。 黛 ひとまず宮内さんは大丈夫だったけど、早くティンダロスの撃退法を見つけないと・・・ この球体って、どうやって使うんだ? 葛西 そういえば、書斎の本の中にも、この球体の挿絵があったような・・・ 黛 書斎!? 戻るか!! 4人は急いで書斎に向かった。 そこで球体の挿絵が書かれている本を探した。 葛西は記憶を辿って見覚えのある本から挿絵の本を探し出した。 しかし、それは英語で書かれていた。 葛西 俺スペイン語なら分かるんだけど・・・ 坂井 俺、イタリア語・・・ 黛 僕は日本語しかできない・・・ 恵礼希 同じく英語分かりませーん 黛 よし、ここで一旦客室に全員集合しよう。 読める人もいるかもしれないし。 葛西 色々、知識を総動員するんですね。 黛 正直、新田先生たたき起こすとかwww 恵礼希 「これ、ちょっと読んでくださーい」ってwww 4人は新田医師を頼りに客室に戻った。 黛 新しい情報を見つけてきたぞ!! 松沼 あわわわわ 戻ってきたー!! 黛 新田先生、申し訳ないんですが、ちょっとこの本を読んでくれませんか? 新田 う~ん、何だって・・・? 恵礼希 新田センセーーー!! 恵礼希は新田医師の肩を掴んで揺さぶった。 松沼 だめーーー!! 黛 ちょ、ちょっと待てッ!! 恵礼希 え? 無理に揺さぶる恵礼希を押しのけて黛が新田医師に話しかける。 黛 新田先生、気分の悪いところ申し訳ないんですが、ちょっと読んでもらいたいものが・・・ 新田 うん? なんだその本は・・・? 英語か、まあ読めるが・・・ 新田医師は片手で頭を抑えながらも、黛が渡した本を読み始めた。 新田 一体、何が書いてあるのかさっぱりだな・・・ 新田医師が本を読み始めてしばらくすると客室の隅から再び煙のようなものが立ち上り始めた。 その煙の中から痩せ細った犬のようなバケモノが姿を現した。 シルエットはまさに犬だが、頭部は骨ばっており肉がほとんどなく、ただその凶悪な顔と醜悪な舌がチロチロと存在感を主張していた。 身体とおぼしき部分も同様に肉がなく、たてがみとも骨ともつかない背中は天に向かって伸びており、その身体は青い膿のようなものに覆われていた。 間違いなく、宮内と小田島はこのバケモノに襲われたのだ。 黛 あ、あれは、さっきのッ!! 松沼 ああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!! 松沼は宮内を守ろうと極度に張り詰めていた緊張を押さえきれなくなった。 そして何もないはずの部屋の隅の角度から現れたバケモノを見た瞬間に思考が焼き切れた。 黛 松沼ぁッ!! 松沼 松沼ぁッ!! 黛 くっそ、どーした!? 松沼 くっそ、どーした!? 黛 メンドくさいわーーー!! 松沼 メンドくさいわーーー!! 葛西 な、何だこいつはッ!? 黛 おい、しっかりしろッ!! 松沼 おい、しっかりしろッ!! 松沼は目の前にいた黛の言葉を繰り返すしか出来なくなっていた。 現れたバケモノ、ティンダロスの猟犬は騒いでいる者には目もくれず、恵礼希に向かっていった。 そしてその前足で襲い掛かった。 黛 小島さん!! 松沼 小島さん!! 恵礼希 きゃあッ!! その爪は恵礼希を引き裂いた。 恵礼希 い、痛いッ!! 葛西 えれぽん!! 坂井 このッ!! 坂井は部屋にあった花瓶をティンダロスの猟犬に投げつけた。 花瓶は見事にティンダロスの猟犬に当たったが、まったく意に介していない様子だった。 黛 効いてないみたいだ・・・ 松沼 効いてないみたいだ・・・ 葛西 ヤベッ、だめだ!! 坂井 効果がない・・・? しかしティンダロスの猟犬は、今度は花瓶を投げた坂井に向きなおした。 坂井 くっそ!! ティンダロスの猟犬の爪は坂井のわき腹を深くえぐった。 痛みに耐え切れなかった坂井は意識を失って崩れ落ちた。 次は誰に襲い掛かってくるのか、残りの者が身構えたが、2人を襲って満足したのかティンダロスの猟犬は再び部屋の隅に消えていった。 葛西 た、助かった・・・ 黛 と、とにかく手当てを・・・ 時間を置いて正気を取り戻した松沼を含め3人は坂井、恵礼希の手当てをした。 再び、新田医師に本を読んでもらい、その内容を訳してもらった。 新田 良く分からんが、書いてある通りに訳すぞ。 「この球体は、内部に広大な空間を持っている。 空間内部も球体になっている。 球体から出るためには内部の空間を破壊するか空間を渡るなど、特殊な手段が必要となる。 現在の地球上の生物では、例えどれほどの強大なものであったとしても、この空間を破ることは出来ないだろう。 尤も、邪悪なる神々の前においては、このようなものは玩具にすぎないだろう。 逆に言えば、邪悪なる神々以外の存在に対しては絶大な力を発揮する。 使用者が自らの精神を捧げ、呪文を唱え、然る後に球体を対象に当てる。 対象に当たれば、たちまち球体の中に取り込まれてしまう。 使用できるのは1度きりである。 但し、使用者が精神を捧げることで中のものを取り出すことも可能であり、その場合は再度使用できる。」 一同 これって『モ○スターボール』じゃんwwwwww 話し合いの結果、黛が球体を持ってティンダロスの猟犬にぶつける役となった。 黛 よし、やってやるぜ!! みんな、角を見張れッwww 松沼 角を見張れー!! 恵礼希 両方向を見張れッ!! 黛 ダッシュには定評あるからなwwww 黛が部屋の中央に陣取り、松沼、葛西、恵礼希、坂井が部屋の四隅を監視した。 しばらくして・・・ 松沼が見張っていた壁際に煙が立ち昇り始めた。 松沼 で、出ましたーーー!! 先輩、出ましたーーーー!! 黛 ま、松沼ッ!! 煙から現れたのは先程のティンダロスの猟犬だった。 正面で向かい合うと、やはり醜悪な相貌のバケモノに黛の足は一瞬すくみかけた。 しかし恐怖に耐え、ティンダロスの猟犬に向かって走り、球体を投げつけた。 その球体はティンダロスの猟犬に当たると、そのバケモノを吸い込んでしまった。 球体はしばらく跳ねるように揺れていたが、やがて動かなくなった。 そこには、本当にバケモノがいたのか信じられないような静寂だけが残った・・・ その後、小田島の遺体はすぐに警察の鑑識が調べた。 明らかに獣の爪などによるものだったので、近隣では野生の動物狩りが行なわれたが、そのような動物は見つからなかった。 ティンダロスの猟犬に襲われた宮内、新田医師共にケガは回復に向かった。 宮内は懲りずに再び怪しげな骨董品の蒐集に精を出しているという。 みゆきも事件後はショックを受けていた様子だったが、すぐに大学でも見かけるようになったという。 こうしてそれぞれの日常が再び動き始めていった。
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次元の落とし子クトゥルヒ C 闇 コスト3 1000 デーモン・コマンド ■このクリーチャーがバトルゾーンに出るか、このクリーチャーに覚醒した時、自分の手札を1枚選び捨てる。 ■スレイヤー ■このクリーチャーで攻撃するかわりに、タップして次のTT能力を使ってもよい。 TT-ループ覚醒-このクリーチャーを《次元の落とし子セイレーヌス》のほうに裏返す。 ↑ループ覚醒↓ 次元の落とし子セイレーヌス C 水 コスト3 1000 デーモン・コマンド ■このクリーチャーがバトルゾーンに出るか、このクリーチャーに覚醒した時、カードを1枚引く。 ■ブロッカー ■このクリーチャーで攻撃するかわりに、タップして次のTT能力を使ってもよい。 TT-ループ覚醒-このクリーチャーを《次元の落とし子クトゥルヒ》のほうに裏返す。 作者:牛乳 ループ覚醒でドローと自分へのハンデスを繰り返す。 また、召喚時にも強制発動してしまう。 クトゥルフを呼びましょう 評価 名前 コメント
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M・F・ルーダー 猿飛・クレイグ・コリィ 月見里ゆき 八星明 北条優一 佐々木操 黛敬一 バカンスへ出発 季節はゴールデンウィークを過ぎた5月の中旬。 神代市内のとあるファミリーレストラン。 日本に滞在中のFBI捜査官であるM・F・ルーダーは、友人である医師・大路正人に呼び出されていた。 大路 わざわざ呼び出してすままいな、ルーダー。 ルーダー No Problemだ、正人。 で、用件は何だ? 大路 実は、一緒に来渕島に行ってほしいんだ。 ルーダー ほう、来渕島ね・・・ 来渕島。 神代市からフェリーで1時間ほどの離島。 風光明媚でリゾート開発が進んでいる。 大路 まあ、私は別の用事があるんだが、バカンス気分で付き合ってほしいんだ。 ルーダー Of Course!! 自分も休暇でこっちに来ているだけだからな。 しかし、何故私なんかを? 大路 いや、最近、夢見が悪くてな。 私の用件と言うのは妻の一周忌の法事なんだが、その妻がしきりに来渕島には来るなという夢を見るんだ・・・ ルーダー ほう・・・ 大路 気味が悪いんだが、それで法事を欠席する訳にもいかなくてね。 それで、せめて誰かに来渕島まで付いてきてほしいってだけなんだ。 ルーダー そういう事か、ではバカンスを楽しむとしようか。 大路 そう言ってくれると助かるよ。 では、詳しい日時は後ほど連絡するよ。 そう言うと大路は席を立った。 来渕島に向かうフェリー乗り場。 待ち合わせ通り、ルーダーは大路と合流してフェリーに乗り込んだ。 その近くで騒ぐ数人の男女がいた。 ショートカットの活発そうな少女がスーツ姿の男性に話している。 少女の後ろには白衣を着た褐色で黒く長い髪の女性が立っている。 操 マユさーん こちら跳躍のすごいコリィさん。 すると褐色の女性は少女の紹介に反応して見事な跳躍を披露する。 紹介されたスーツの男・黛敬一は返答に困った。 黛 (び、美人なのに・・・残念だなぁ・・・・・・) ど、どうも・・・ 操 私たちスゴイでしょwww そう言うとショートカットの少女・佐々木操も、褐色の女性・猿飛・クレイグ・コリィと2人で曲芸染みた跳躍を始める。 操はサーカスの団員をやっている軽業師だ。 コリィはこう見えても大学の准教授。 世界各地を飛び回っている生物学者だが、操のサーカスの公演を見る機会があって意気投合してしまった。 黛は私立探偵。 だいたい姪の操に振り回されている。 黛 ちょ、ちょっと・・・操ちゃん、ちょっと止めようか!! え、えっと、コリィさんも、もういいですから!! 人目ッ!!人目がぁッッ!!! コリィ 私の跳躍に驚くがよいwww 操 そうそう、で、こっちが私の叔父さんのマユさん。 黛 黛と申します・・・ コリィ よろしくお願いいたします。 黛 じゃあ、こっちの紹介もいいですかね・・・ 黛の後ろには、さわやかそうな眼鏡の青年、ボサッとした黒髪の青年、おとなしそうな眼鏡の女性が立っていた。 眼鏡の青年は北条優一。 売り出し中のミステリー作家で、作品の取材に黛の探偵事務所を度々訪れている。 黒髪の青年は八星明。 若いが有能な弁護士で、黛の仕事上の付き合いから親交を深めている。 眼鏡の女性は月見里ゆき。 八星明の大学時代の同期。 現在は実家のブドウ農家を継いではいるものの両親は健在なので、こちらに住んでいる。 そこにもう一人の若者がみんなに話しかける。 操の高校時代の同級生だった秋月仁。 来渕島のリゾートのチケットを操に譲った人物だ。 操が「大勢でバカンスを楽しみたい」と騒ぎ出して、黛が予定の空いている人に声を掛けまくった結果、このメンバーが集まった。 黛 秋月くん、だっけ・・・ なんか、ごめんね・・・ 北条 同級生の男子からリゾートのチケットもらって、これだけ呼ぶのって、ある意味スゴイよねwww 黛 ニブイよねww そうこう騒いでいる間にフェリーが出航する。 騒がしい集団の操、コリィ、北条、八星、月見里、黛、少し距離をとってルーダーと大路、さらに観光客の8人組の男女が乗り合わせていた。 フェリーは沖に出るとやや大きな波を乗り越えていく。 30分ほど波に揺られて八星と秋月の顔色が変わっていく。 八星はそこまでではなかったが、秋月は顔面蒼白だった。 その様子を見た大路が声をかける。 大路 大丈夫ですか? 秋月 ちょっと・・・ 大路 典型的な船酔いだから、座っていた方がいい。 北条 コ、コリィさん・・・!? コリィ くぁw背drftgyふじこlp;@:「」 操と一緒に船上で飛び回ってはしゃいでいたコリィにも異変が出た。 ジャンプしながら胃の中のモノを撒き散らしていた。 黛 ひ、ひどいwwww 八星 ふ、船の中で吐くとかマジやめて・・・ コリィ ふ、船は、あんまり好きじゃないの。 地面に足が付いてないと落ち着かないのよ。 月見里 山が得意な方なんですかね・・・ 八星 吐く時は海に!! ルーダー やれやれ、賑やかだな・・・ みんなを乗せたフェリーは来渕島の船着き場に到着した。 船を降りると、シャボン玉のような泡が宙を漂っていた。 月見里 シャボン玉・・・? 北条 何でしょうね、この泡。 操 あわあわ~www ルーダーはそのシャボンの泡が島の西側から流れてきたように見えた。 コリィ まだ、船酔いが・・・ 大路 しばらく安静にしていれば大丈夫だから。 来渕島には宿泊施設はそんなにないし、私は医者だから困った時には呼んでくれて構わないよ。 北条 ありがとうございます。 ここで、操、コリィ、北条、八星、月見里、黛は秋月に案内されて宿泊先のホテルへ。 ルーダーは大路と共に西側の集落に向かった。 姫野家の法事 ルーダーと大路はフェリー乗り場から西に15分ほど歩いて来渕島の集落に到着した。 そこには大路の妻の実家である姫野家があった。 姫野家は一般的な2階建ての民家。 法事なので礼服の人が出入りしていた。 ルーダーは家の排水溝から泡が立っているのを見て取った。 特に気にせず2人は家に入ろうとするが、ちょうど家から出てくる警察官と入れ違った。 ルーダー (警察・・・?) ルーダーは警察を気にしつつも大路と共に家に上がらせてもらった。 大路を迎えてくれたのは義理の父母だった。 「どうも」と上がる大路と父母の様子はひどくぎこちない雰囲気だった。 ルーダーも過去に何かあったのかと容易に想像できた。 家族席にはもう1人、白い手袋をはめた女子高校生がいた。 ルーダーは女子高生を指して王路に尋ねた。 ルーダー 彼女は誰だい? 大路 ああ、彼女は義理の妹だ。 ルーダー 奥さんの妹さんか。 こんな季節だけど、普段から手袋してるのかい? 大路 そうだな、昔からだったかな。 ルーダー 家族とは何かあったのか? 大路 ああ・・・まあ、色々とな・・・ ルーダー まあ、私が立ち入るトコロではなかったな、Sorry。 私はホテルに行っているよ。 ルーダーは軽く焼香すると席を立った。 すると、女子高生はルーダーが座っていた場所に消毒スプレーのようなものを吹き付けていた。 ルーダーは、そんなに毛嫌いされているのかと、少しヘコみつつ姫野家を出た。 姫野家を出ると、その裏手で事件があった様子で、警察官が現場検証をしていた。 ルーダーは外国人観光客を装って警官に尋ねた。 ルーダー ナニカ、アリマシタカ? 警官 Don’t worry。 一般の方にはお話できません。 警官は現場に張られた“Keep Out”のテープを指差した。 押し問答しても埒が明かないのでルーダーは表の通りに戻った。 そして、排水溝が泡立っている事が気になったが、やはりただの泡のように見えた。 臭いも洗剤のようだ。 一方の観光気分の7人は、来渕アクアリゾートを訪れていた。 宿泊先は来渕リゾートホテル。 ここはアクティビティ施設が充実しており、7人は思い思いに楽しんだ。 とはいっても、秋月は船酔いが酷く、部屋で休んでいるといって6人を送り出した。 黛 アレある? 水圧で飛ぶヤツwwww アレやりたい!!! 黛は早速、フライボード体験に申し込みに走っていった。 月見里 屋内の施設は何かないかしら・・・ 流石に図書館はないんですね・・・ 北条 私は、気分転換にその辺をブラブラ散歩してます。 操とコリィは盛り上がって水上スキーを楽しんでいる。 無駄にアクロバティックな曲芸をキメていた。 6人は各々ビーチを楽しみ日も傾いてきたので部屋に戻ることにした。 「302号室」にコリィ、操、月見里の女性3人。 「303号室」に八星、北条、黛、秋月の男性4人。 秋月 お帰りなさい。 スイマセンね、一緒に出れなくて。 ちょっと気分も戻ってきたんでシャワー浴びてますね。 秋月は部屋のバスルームに入ってシャワーを浴びた。 しかし・・・ あああああああああああああああああッッッッッッ!!!!!! しばらくすると、秋月の悲鳴が響き渡った。 目に見えない脅威 女子部屋。 コリィと操は月見里のブドウの話に興味津々だった。 ガールズトークとは言い難いが、女子部屋ではおしゃべりに花が咲いていた。 一方、秋月の悲鳴が続く男子部屋。 黛 秋月くん!? 何があったッ!? 八星 大丈夫か!? 八星と黛はバスルームに駆けつけ、ドアを叩く。 北条も一歩後ろで様子を見ている。 秋月 ううううッ!! ああああああああああああ!!!! なおも上がり続ける秋月の悲鳴に耐えかねて八星がドアを開ける。 バスルームからはシャワーの熱気があふれ出してきた。 それと共に鉄さびのような臭いが立ち込めていた。 八星 血・・・ッ!? 黛 ううぅッ!! そこには血にまみれた秋月がのたうち回っていた。 よく見ると、秋月の皮膚が溶けるようにただれていた。 北条 傷口に泡が・・・ いや、泡が皮膚を溶かしているのかもしれません!! 北条の言葉に八星と黛は、秋月に付着する泡に注意を払う。 その隙に、備え付けの内線電話でフロントに電話をかける。 北条 すいません、ケガ人がいるので至急医者をお願いします!! 八星 取り敢えず、キレイに洗い流しましょう!! 八星はシャワーで秋月を洗いながし、黛はベッドのシーツを持ってきて秋月を包んでベッドに運んだ。 北条はホテルのスタッフを呼ぶために部屋のドアを開けて待っていた。 そこに、姫野家から戻ったルーダーが通りかかった。 ルーダー キミたちはさっきの・・・ 騒がしいようだが、何かあったんですか? 黛 何かあったとかじゃないですよ!! 北条 大変なんです!! シャワーを浴びていた彼が急に悲鳴を上げて苦しみだしたんです。 傷口には泡が付いていたみたいなんですが・・・ ルーダー 泡? そういえば、ここに到着した時も、西の集落でも泡は見かけたな・・・ 北条は隣の女性陣も呼びに行った。 コリィ、操、月見里もすぐに駆けつけた。 ルーダー 私はFBI捜査官でもあるんだ。 事件性があれば協力できるかもしれない。 彼の状況も確認させてくれ。 ルーダーは身分証を取り出して確認すると、秋月の身体を調べた。 そこにコリィも身を乗り出す。 コリィ 私にも検体を見せなさい。 ふむ・・・普通の薬物の反応ではなさそうね・・・ そうこうする間に警察や救急が到着する。 6人はホテルの一室で警察に事情聴取された。 信じられないような内容だが、すんなり開放された。 八星は、部屋を出るときに「昨日から何でこんなに似たような死体が出てるんだ・・・」という警官の呟きを耳にした。 八星 似たような・・・? 他にも似た事件があったんですかね? 黛 ロビーにある新聞で事件がないか調べれるかな? 事件現場となった男性陣の部屋は使えなくなってしまったため、成り行き上、ルーダーの部屋に泊まらせてもらうこととなった。 ルーダー 折角なんで泊まってください。 北条 ありがとうございます。 ルーダー まあ、こんなガイジンの部屋で良ければねwww HAHAHA 4人と3人で別れたそれぞれは、そのまま部屋にこもって就寝した。 消えた住民 翌朝。 ルーザーは、携帯電話に着信があったことに気付いた。 午前1時半、大路からだった。 ルーダー おや? ルーダーは目を擦りながら大路に電話を掛けた。 電話先では「お掛けになった電話は電波の届かない所にあるか、電源が入っていないため出られません」と繋がらない。 ルーダー う~ん、不安だなぁ・・・ 北条 おはようございます。 どうかしたんですか? ルーダー 一緒に来ていた友人から着信があったんだが折り返しても繋がらないんだ。 北条 もしかして船で一緒だった方ですか? ルーダー Of Course、そうだねぇ。 黛 ああ、あのお医者さんですね。 北条 ウチの同行者を助けてくれた。 八星 盛大に吐いてたからなww ルーダー 私は彼のトコロに行ってみるつもりだが・・・ 八星 何かあったら心配なんで私たちも行きます。 北条 良かったらご一緒しましょうか? 黛 友人にも、何かあったらアレなんで・・・ ルーダー Thanks!! 北条 じゃあ、女性陣も声かけてきますね。 北条は女子部屋のドアをノックした。 操 は~い、おはようございますぅ~ 北条 なんか、死んだ顔してますが・・・ 操 朝弱いんです~ どうしました? 北条 もう、お2人も起きてますか? 操 起きてますよ~ 月見里 はい、私はもう朝は早いので。 ブドウ農家の朝は早い!! 北条 昨晩泊めていただいたルーダーさん、一緒にいた方がいたじゃないですか。 大変お世話になった。 コリィ wwwww 北条 その方と連絡が取れないらしくて探しに行かれるそうなんですよ。 準備をしたルーダーも声を掛けた。 ルーダー 観光がてらどうでしょうか? 操 そうですね。 ルーダー 入院している秋月くんのお見舞いもすれば良いんじゃないかな。 結局、姫野家の様子を見てから秋月の見舞いに行くこととなった。 7人は島の西側の集落に向かった。 すぐに違和感があることに気付く。 辺りは妙な静寂に包まれている。 朝なのに雨戸が締め切られており、生活の臭いがまったくしない。 夜のまま時間が止まったかのようだった。 ルーダー ちょっといいか。 ルーダーは昨日気になった排水溝の様子を見に行った。 昨日と同じく泡立っていた。 八星 何か・・・突っ込んだら溶ける・・・かな? コリィ 分かった。 私が何とかしよう。 コリィは周囲を見回すと、物陰にいたネズミを掴み上げて排水溝に放り込んだ。 ネズミは水に沈んで溺れ死んでしまった。 コリィ ・・・ 北条 溶けなかった・・・ですね・・・ 八星 ひとつの要因だけで、人間が溶けるって現象が起きたのか、それにプラス何かで溶けるのかってトコロが明確じゃないからな・・・ ルーダー 泡の件は良く分からないな・・・ ルーダーは再び大路に電話を掛けるが、やはり出ない。 そして、姫野家の玄関を叩く。 しかし中からは反応がない。 家の中からも何の音もしない。 都市部でないため玄関の鍵も掛かっていない。 ルーダー ごめんくださーい 正人、いないのか!? 家の中は電気が付いたままだった。 部屋の奥からは水が“ジャー”と流れる音が聞こえてくる。 ルーダー 私は中に入るが、他に誰か来るか? 黛 僕も気になるので行きます。 八星 私も行きます。 月見里 私はちょっと・・・他所様のお宅ですし・・・ 操 そーだよね・・・ 北条 状況的に外を見張っています。 ルーダーと八星、黛は姫野家に上がりこんだ。 水の音は居間の奥から聞こえている。 それ以外は何も聞こえない。 ルーダーは居間のふすまを開けて覗き込んだ。 そこには血の混じった泡の塊がいくつかあった。 それは衣服だけが残り、人間だけが泡になったかのようだった。 その泡はテーブルを囲んでいた。 水が流れっぱなしの台所にも流しにもたれ掛かる泡がある。 八星 この泡はどこから・・・? 黛 いや、むしろ人間が泡になった感じだ。 ルーダー 取り敢えず水は止めよう。 八星 う~ん、蛇口から水を出そうとして、その後に何かが起きたのは確実なんだよね・・・ 水道のメーターが回り始めた時間は分かんないかな・・・? っていうか、大路さんから電話あった時間は? ルーダー 1時半頃だったかな。 黛 ってコトは、その時間から明け方にかけて何かがあったということになるな。 この辺にケータイはないよな? ルーダー コールしても鳴らないからな・・・ 黛 この服たちに見覚えは・・・って言ってもな。 居間に散らばっているのは全て喪服だった。 ルーダー ・・・ 女子高生の制服がないな・・・ 取り敢えず3人は手分けして部屋を見て回った。 黛は北条に電話を掛けて中に来るように言った。 外で待っていた4人も家の中に入ったが、操はふと、2階に続く足跡があることに気付いた。 人間の足跡には見えない。 水掻きが付いているように見える。 操 なんか足跡があるよ。 操は一人で2階に上って、足跡の続いている部屋に入った。 ほかの部屋に比べて部屋の中が散らかっている。 というか、荒らされている。 操の声にみんなも集まってきた。 良く見ると、その部屋は女の子の部屋っぽかった。 北条 ここは、少女の部屋だ!! 黛 ワクワクするなww 北条 してない、してないよ!! ルーダー 制服がある・・・ ルーダーは壁にかかっていた制服を見て、大路の義理の妹の部屋だと確信した。 ルーダー ここは正人の義理の妹さん、つまり奥さんの妹さんの部屋だ。 八星 しかも、もう一つ言える事があるね。 下のみんなが喪服を着てた時間帯って、その女子高生も制服を着てたハズなんだ。 その制服が、ここに置いてあるってことは、事件が発生した後に着替えたってことだよね。 その子は無事だってことだ。 黛 そいういや、妹さんの名前ってなんていうんだ? ルーダー ええと、確か・・・姫野真魚という名前だったかな。 7人は姫野真魚の足取りの手がかりがないか部屋を見回した。 操はゴミ箱の中を覗いた。 丸められたメモ帳を広げると「村のはずれの空き地」と書かれていた。 北条、ルーダー、黛は本棚を調べる。 いかにも女の子の本棚で漫画やら雑誌が詰まっている。 その中には1冊、古い本が混じっているのが分かる。 それは童話の本でタイトルは『人魚姫』だった。 残りのコリィ、八星、月見里は学習机の上を確認した。 机の上には姫野真魚のものと思われる日記帳があった。 コリィ 日記帳があったぞ。 八星 どれどれ・・・ ■□■□■□■□■□■□■ お姉ちゃんのお見舞いに病院に行ったら捨て猫を見つけた。 ケガをして、どうしたらいいか困っていたら先生が助けてくれた。 先生が私の潔癖症について聞いてきた。 お姉ちゃんが入院したとき、私は消毒をしないで病室に入ろうとして担当の先生にひどく怒られたことがあって、 それからキレイな状態じゃなきゃ耐えられなくなったと言った。 お姉ちゃんと先生が2人で話しているのを見かけた。 それだけなのに、すごく悔しかった。 先生と先に出会ったのは私なのに・・・ 私のほうが先に先生を好きになったのに・・・ お姉ちゃんと先生が結婚するのだと聞いた。 結婚を決めてお姉ちゃんは少し元気になったようにみえた。 お姉ちゃんが心臓移植のために東京の病院に転院するらしい。 先生の付いて行くんだって。 夫、だから仕方ないよね・・・ だめなのに・・・先生はお姉ちゃんの旦那さんで、もう諦めなくちゃいけないのに・・・ お姉ちゃんが死んだ。 移植手術は成功したのに、術後の経過がよくなかったみたい。 先生は、もう来渕島には来ない。 お姉ちゃんも、もう二度と帰ってこない。 不思議な夢を見た。 黒い影が聞き取れない声で何かをささやく夢。 それは日本語じゃないのに、夢の中の私には分かっているみたいだった。 同じ夢を繰り返して見る。 だんだんと近づいてきているような気がする。 もう少しで、私にも聞き取れるような気がする。 ようやく聞こえた。 カレは私の願いを叶えてくれる存在。 私に“しもべ”を与えてくれた。 明日はお姉ちゃんの一回忌。 先生が帰ってくる。 そして、私の願いを叶える。 泡は全てを洗い流してくれる。 全て無かった事にできる。 このチカラがあれば、きっと・・・ ■□■□■□■□■□■□■ 黛 なにか、事件に関わっていそうな気がする・・・ 月見里 “願い”ってなんだろう・・・ ルーダー 玄関に彼女の靴はなかったな。 黛 じゃあ、メモ帳のしるしの場所に行くしかないか。 八星 そこしかないよね。 北条 取り敢えず、病院にも行ってみますか? 八星 警察にも連絡しとく? ルーダー ああ、じゃあ私が警察の応対をしよう。 その間に病院に行ってきなよ。 病院から出たら合流しよう。 八星 じゃあ、そういう流れで。 ルーダーは姫野家に残って警察に通報し、6人は秋月の搬送された病院へと向かった。 歪んだ祈り しかし、秋月は面会謝絶の重傷だった。 結局6人はルーダーと合流して、真魚のメモの場所を目指した。 そこは来渕島の集落のはずれの空き地だった。 何本かの高い木があるだけで開けた場所だった。 集落の反対側には木立、というか森が広がっている。 コリィ よし、登るか。 私は東を見る。 西は頼んだ!! 操 よし、西を見る!! 他の者が制止する間もなく2人は木に登っていった。 北条 あれ? 北条は足元から大きな足跡が木立の中に続いているのに気付いた。 八星 おーい!! 降りといで!! コリィ ・・・・・ 操 ・・・・・ 木に登った2人はスゴスゴと戻ってきた。 操 お騒がせしました。 7人は足跡を辿って森の中に踏み込んだ。 しばらく進むと、森の中に小屋が建っていた。 小屋の中からは物音はしない。 操はドアをノックする。 返事がない。 ドアノブを引いても鍵が掛かっていたが、操がガチャガチャすると鍵が開いてしまった。 小屋の中に入ると、一面に悪趣味な収集物が並んでいるのが分かる。 古びた本や、謎の模様の刻まれた文鎮のようなもの、触手を象った置物など、いかにも“魔術”といった部屋だ。 黛 重苦しい空気だ・・・ コリィ 珍しい検体ね・・・ 小屋に入った7人は、この部屋の異常さに立ちすくんでいたが、すぐに入り口のドアが開いた。 入って来たのは雨合羽を目深に被った猫背の男性だった。 足元には水が滴っており、水を被った上から雨合羽を着ているように見えた。 雨合羽の男は7人に襲い掛かってきた。 しかし、北条は身を翻して襲い掛かる男にキックした。 走ってきた男に、ちょうどカウンターのようにみぞおちに命中する。 畳み掛けて黛も殴りかかる。 体勢を崩した雨合羽の顔面を床にまで叩きつけるかのような勢いだった。 八星も駄目押しとばかりに殴りかかった。 雨合羽は、たまらず背後に飛びのき、そのまま外へ逃げ出した。 北条 な、なにしに来たのッww!? 黛 くそッ!! 追跡するぞ!! 月見里 追いかけるのは得意ですッ!! 北条 そうなの!? 月見里 一次生産者は大変なんですッ!! イノシシとかww 黛 逃がすかッ!! 月見里と黛は雨合羽を追いかけた。 水の滴る足音はくっきりと残り、木立の奥へと進んでいる。 そして、少し開けた場所に出る。 そこにいたのは、大きな水掻きを持った怪物だった。 しかも、6体。 追う者が一転して追われる者となる。 黛の精神が焼き切れた。 黛 あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!! 宇宙人!!!!! 地球を征服しに来た宇宙人だあああああああああああああああああ!!!!!!! 月見里 ちょ、ちょっとwwwww 黛と、それを追いかける月見里は、再び小屋に戻ってきた。 黛 大変だ!! 宇宙人がいるッ!!! 月見里 え、えっと、追っかけて行ったら、同じような水掻きの怪物が・・・ しかも6体も!! それを見たら、黛さんが変なこと言い出して・・・ 黛 何を言ってるんだ、宇宙人がいたじゃないか!! 地球防衛軍をッ!! 一方その頃。 小屋の中の4人は、机の上には呪文のようなものが書かれた本とレシピのようなものがあったのを発見していた。 北条、八星、ルーダーは覗き込んだ。 ルーダー Oh!Yes!! 北条 これ、何の本ですかね? ネイティブな言い回しなんで、私はちょっと・・・ ルーダー これは、オカルト的にヤバイ・・・ 北条 聞かない方がいいですか・・・? ルーダー これは、オカルトの領域の本だ。 コリィ なんだ私は興味ないね。 ルーダー この本のタイトルは『Cthulhu in the Necronomicon』・・・ 八星 オカルトは専門外なんで。 北条 一級品の魔術書じゃないですか!! ルーダー その方面では超有名な魔術書だ・・・ 八星 魔法・・・って、人を生き返らしたり、そういうヤツ? さっきの日記に「全て無かったことに出来る」って・・・ コリィはもう一つのレシピを手に取った。 コリィ ィネァ グシャナ ェ デイム コトゥリィ セミェリィ ウ レム ニ ィ ナナ ツァァ 読めません!! そこに黛が駆け込んできた。 黛 宇宙人だ!! 北条 ちょ、ちょっと、一体なんなんですか!? 月見里 雨合羽の人物を追って行ったら、大きな水掻きを持った怪物が6匹もいて。 黛さんが駆け出したので、そのまま戻って来ちゃいました・・・ 6人は再び小屋を調べたが、これ以上の情報は出てこなかった。 北条 ほかには何もないか・・・ 黛 結局、真魚ちゃんはいないんだよな・・・ 八星 日記と照らし合わせられないかな? 月見里 でも、その魔術書の言葉が分からないと・・・ 八星 一旦、ホテルに戻るしかないのかな。 北条 そうですね。 魔術書はルーダーが持ち、6人はホテルに戻った。 ちょうど、フロントに到着した瞬間、島中が異様な雰囲気に包まれた。 ホテルの中や外、あちこちから悲鳴が響き渡りはじめる。 見える範囲では、のたうち回っている人の身体には泡が付着していた。 そして、どこおからともなく湧いて出た泡は6人も包み込みはじめた。 泡に触れた部分は焼けるように激痛が走る。 あまりの痛みによって6人の意識は消えてしまった。 消え行く意識の中、目にしたのは海の上に霧が立ち込めている風景だった。 目が覚めると、真っ白な天井があった。 病院のようだった。 全身は傷だらけで身体中が痛い。 6人は、奇跡的に救助され、病院に搬送されていた。 後に知った事だが、来渕島で原因不明の大規模な地殻変動があったという。 来渕島は西側を中心に大半が海に沈み、住民の多くが行方不明となった。 その中には大路正人、姫野真魚の名前もあった。
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1 H・P・ラヴクラフトの時代( ~1937) ロード・ダンセイニやアーサー・マッケン、エドガー・アラン・ポオといった様々な作家の影響を受けたハワード・フィリップス・ラヴクラフトは創作に手を染めるうち、その当時のアメリカにあっては非常識とも言える宇宙観を、いつしか自分の中に構築していきました。この地球にかつて宇宙から飛来した別種の生物たちが君臨していた時代があり、後、爬虫類が進化した生物が天下を取り、やがて哺乳類から進化した人類が天下を取るようになりました。でも、人類滅亡後には蜘蛛の進化した生物が天下を取り、最後は甲虫類が天下を取ります。でも、それも爬虫類の生物たちが天下を取る以前に宇宙から飛来し地球に君臨していたクトゥルーたち強大な力と魔術を駆使する旧支配者が眠りに就いているほんの僅かの間の事なのです。彼等が目覚めた時、この地球は再び彼等のものになるのです。人類の歴史など、地球の歴史から見れば取るに足らないものなのです。 そしてラヴクラフトは、自分の作品に共通の背景をもたらすべく魔道書のネクロノミコンやクトゥルー、ヨグ・ソトース、ニャルラソーテップ、アザトース、ニャルラソーテツプ、ダゴン、シュブ・ニグラス、それにマッケンが創造したノーデンスなどの神名、舞台となるべきアーカム、インスマス、ダンウイッチといった土地を創造し、それらを作中に幾度も登場させました。敏感な読者たちは、やがてその共通性に気づく様になりました。 ラヴクラフトは、多くの人物たちと積極的に手紙を遣り取りし、情報交換に努めました。詩人だったクラーク・アシュトン・スミスはその一人で、ラヴクラフトの影響で小説も書く様になりました。彼は古代大陸のハイパーボリア、中世のアヴェロワーニュ、滅亡寸前の人類が暮らす最後の大陸(遠い未来に海底から隆起して出現する)ゾティークなどのエキゾチックな舞台やエイボンの書といった魔道書、それにツァトゥグァや後にツァトゥグァと同一存在となるゾタクァなどの神々を創造しました。 互いに手紙でアイデアを交換し合った二人は、やがてスミスが自作にクトゥルーの名前を出したりラヴクラフトがツァトゥグァの名前を出したりと、名前の貸し借りを行いました。 但し、これはあくまで名前の貸し借りであって、世界観を貸し借りする事はありませんでした。 作家のロバート・アーウィン・ハワードも名前の貸し借りに参加した一人です。もっともエキゾチックな異世界情緒に重きを置くスミスや独自の宇宙観に基づくラヴクラフトと異なり人間中心だったハワードは、コナンなどで舞台を作る事はあっても、それはあくまでヒーローを縦横無尽に活躍させるためのものであって、自分の作った舞台にラヴクラフトの作品から名前を借りて来る事は無く、付き合いで書いた作品に名前を借りる程度でした。それでも彼は無名祭祀書という魔道書を創造しています。神々にあまり興味が無かったらしい彼も、人の手になる魔道書というものについては手がけてみたかったのかも知れません。 こうしてウィアード・テイルズ三大作家と呼ばれたラヴクラフト、スミス、ハワードの三人はいずれも後にクトゥルー神話作家に数えられる様になりましたが、本人たちにしてみれば遊んでいただけでした。 若き小説家でラヴクラフトと親交のあった[[フランク・ベルナップ・ロング]]も、異次元の生物であるティンダロスの猟犬やチャウグナール・ファウグンを自作で創造しましたが、ラヴクラフトがそれらの名前を自作に取り込んだため、クトゥルー神話作家となりました。 ところでラヴクラフトは添削や代作も仕事として行っていましたが、おそらく彼自身の茶目っ気から、添削の場合でも、脈絡なく神々の名前を入れたりしてしまっていました。勿論、代作に至っては言うに及ばずです。こうしてヘイゼル・ヒールド、ゼリア・ビショップ、アドルフォ・ド・カストロといった名前もクトゥルー神話群に加わる事になりました。 後に映画化もされた小説「サイコ」のロバート・ブロックは矢張りラヴクラフトに魅せられ、少年時代に半ば弟子入りしクトゥルー神話でデビューを果たしました。彼は「妖蛆の秘密」という魔道書を創造しエジプト趣味により、専らニャルラソーテップを中心に作品を展開をしていきました。 ラヴクラフトの世界に魅せられ、ラヴクラフトたちの遊びに加わりたいと願う若者たちは他にも居ました。ヘンリイ・カットナーとオーガスト・ダーレスです。カットナーはキャサリン・L・ムーアと結婚してからのルイス・バジェットという夫婦合作名義と、その名で書かれたSF作品の方が有名ですが、彼もイオドやニョグサといった神々やイオドの書といった魔道書を創造しています。もっとも、彼は自作をラヴクラフトに見せたりはしていたようですが、作品群が陽の目を見たのはラヴクラフトの死後だったようです。 スミスが筆を折り、ハワードが自殺し、ラヴクラフトが志半ばで倒れ、そのままなら時代の中に埋没してしまう筈の作品群を埋もれさせなかったのは、オーガスト・ダーレスでした。 2 オーガスト・ダーレスの時代( ~1971) オーガスト・ダーレスは、そもそもの始めから間違えてしまった人です。 ラヴクラフトは様々な人々と文通していました。その中にハロルド・ファーニーズという人が居ました。その人にラヴクラフトは自分の宇宙観を手紙で説明していました。でも、その人は、キリスト教的な人間中心の世界観を持った常識的な人だったようです。前述の、旧支配者が眠っている間に様々な生物たちによる地球の支配権の交代が行われている・・・などと言う考えは理解出来無かったようで、脳内変換してしまいました。旧支配者たちは禁断の黒魔術を駆使したため眠りに就かせられたと・・・しかも、接触してきたダーレスに、そう説明してしまったのです。かくしてラヴクラフトの作品を理解した積りになったダーレスは、ベテルギウスに住む旧神を考えつきました。クトゥルーたちの天敵とも言うべき存在のアイデアに喜んだラヴクラフトは、ダーレスの誤解を知ってか知らずか現在のベテルギウスがかつてはグリュ・ヴォと呼ばれていた・・・という設定を考えつきました。或いはラヴクラフト自身、何らかの形で旧神に関する言及を自作で行う積りだったのかも知れませんが、それから何年かして、ラヴクラフトは癌で亡くなってしまいました。 ラヴクラフトに対するダーレスの入れ込み方は大変なもので、彼はラヴクラフトと彼の仲間の作品群を出版するべくドナルド・ワンドリイと共にアーカムハウスを興しましたが、第二次大戦が勃発するとワンドリイは従軍してしまい、後は、ダーレスが一人で頑張りました。出版に執筆に。そして、戦後、ダーレスはラヴクラフトと仲間たちの一連の作品群をクトゥルー神話と名づけました。 ラヴクラフトの死以前にハワードは自殺しスミスは筆を折っていて、戦後にはブロックもカットナーも後にクトゥルー神話と呼ばれる作品を手がけなくなりましたが、逆に、生前のラヴクラフトと交流があって超時間の影に登場する魔道書エルトダウン・シャーズのアイデアの提供者だったリチャード・F・シーライトやロバート・シルヴァーバーグ、詩と純文学畑のフレッド・チャペル、互いに交流は無かったもののラヴクラフトと同時代にウィアード・テイルズに書いていたヒュー・B・ケイヴといった人々が書く様になりました。中にはダーレスの指導を受けてアーカムハウスからクトゥルー神話を出す人々も居ました。リン・カーターもその一人です。又、アーカムハウスからクトゥルー神話でデビューした小説家としては、現在、イギリスのホラー界の長老格であるラムジイ・キャンベル、旧神たちの裏切り者がクトゥルーたち旧支配者であり、その首領がクトゥルーであり、最強の旧神がクトゥルーと同型のクタニドであるとしたブライアン・ラムレイ、旧神などおらず、ひ弱な地球の神々がその正体であるとしたゲーリー・メイヤーズ、クトゥルーは架空の存在だが、旧支配者に相当する存在はおり、ラヴクラフトはその事を知っていて警告を自作に混ぜていたのだとしたコリン・ウィルスンといった人々が居ます。又、ダーレスの指導を受けていたもののダーレスが急逝してしまい、デビューしたものの作品の発表の場が失われてしまった気の毒な人々も居ます。「エーリッヒ・ツァンの音楽」の続編とも言うべき作品を書いたジェームズ・ウエイド、イドラやヌグリ・コラスといった神々や魔道書「パオのブラックスートラ」を創造したウォルター・C・デビル2世といったこれらの人々を、後にロバート・M・プライスは「アーカムハウスの失われた世代」と呼んでいます。 クトゥルー神話の後継作家の育成に力を注ぎながらも志半ばで倒れたダーレスでしたが、それでもその時、ラヴクラフトとクトゥルー神話を世に広める事には成功していました。 3 リン・カーターの時代( ~1988) オーガスト・ダーレスの死後、アーカムハウスではクトゥルー神話の後継作家を育成しようとはしなくなりました。しかし、クトゥルー神話の作品集の出版などは続けました。一方、他の出版社からもクトゥルー神話の作品集が出るようになりました。雑誌にもクトゥルー神話作品が掲載されるようになり、同人誌も出されるようになって行きました。 オーガスト・ダーレスはクトゥルー神話をあくまで発表された作品としてしか見ていませんでした。それが、この人物の限界でもありました。ダーレスはラヴクラフトの書簡集も出版しました。でも、その内容には、そこに書かれている作品の背景や神々の設定には注目しなかったのです。そこに注目したのはリン・カーターでした。 リン・カーターは、旧神たちが自分たちに仕える者としてアザトースとウボ・サスラを生み出したものの、両者は旧神たちに叛乱したとし、又、アザトースからクグサクサクルス、ヨグ・ソトース、ニャルラソーテツプが生まれたとしています。ラヴクラフトの書簡にあった設定と、スミスの書簡にあった設定の融合です。そしてヨグ・ソトースからクトゥルー、ハスター、ヴルトゥームが生まれたとし、一方、ウボ・サスラからはアブホースが生まれたとしました。更にガタノトアがクトゥルーの息子であるとし、その弟としてイトグサ、ゾス・オムモグを設定し、三神の母としてイダ・ヤアという名前を用意しました。 カーターは他にも神々や従属生物を、又、シャンタク鳥の首領などの名前を創造して行きました。 しかし、次々と新しいアイデアを加え続けて行ったカーターでしたが、癌で他界してしまいます。志半ばでカーターが倒れた時、クトゥルー神話の中心はゲームと同人誌に移っていました。ロールプレイングゲームのケイオシアム社から出たゲームがヒットしていたのです。 4 現在(2009年) ケイオシアムのゲームは、新しい要素を生み出しました。「外なる神々」と呼ばれる存在です。確かにゲームのルールとしては理に叶っています。たとえばクトゥルーとヨグ・ソトースの場合、神と人間ほども能力に開きがあります。そのための整理だったのでしょう。現在では、この分類は多くの書き手に浸透しています。 又、クトゥルフ神話の書き手たちは、しばしば固有名詞を曖昧なままにしていました。ラヴクラフトはキングスポートで緑の炎を崇める信徒たちとその儀式を描きましたが、対象となる神の名称や呼称は明らかにしませんでした。ジェームズ・ウエイドは「エーリッヒ・ツァンの音楽」の続編をクトゥルー神話として発表しましたが、音楽に係る謎の存在が何者であるか明らかにしませんでした。曖昧なままの方が、より効果的だからです。でもゲームでは、そういう訳にも行きません。緑の炎はトゥルスチャ、音楽に係る存在はトルネムブラという名前の外なる神々であるとされました。正直、名前さえ付ければ良いというものではないのですが、それでも曖昧だった物事が定義付けられたり名前が確定されたりしていき、小説の書き手たちの間にも浸透していきました。 ゲームから出たアイデアなどもあります。デルタグリーンと呼ばれるアメリカの対エイリアン組織は、ゲームにおいて設定された組織ですが、今では小説にも使われています。 良きにつけ悪しきにつけ、ゲームの存在が小説にも影響を与えつつあるのです。 この先、クトゥルフ神話がどの様に変化していくか、それは誰にも判りません。
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イクトゥルソ Iku-Turso このグロテスクなエメラルドの鱗をしたクリーチャーは、ウナギ、ホウライエソ、爪の生えた人型生物の雑種に似ている。 イクトゥルソ 脅威度8 Iku-turso 経験点4,800 NE/中型サイズの異形(水棲) イニシアチブ +7; 感覚 暗視60フィート、非視覚的感知30フィート;〈知覚〉+12 防御 AC 21、接触14、立ちすくみ17(+1回避、+7外皮、+3【敏】) hp 102(12d8+48) 頑健 +8、反応 +9、意志 +11 完全耐性 病気 弱点 光による盲目化 攻撃 移動速度 20フィート、水泳60フィート 近接 噛みつき=+16(1d8+7、加えて“病気”)、爪(×2)=+16(1d6+7) 特殊攻撃 光のルアー 一般データ 【筋】24、【敏】16、【耐】19、【知】7、【判】12、【魅】17 基本攻撃 +9; CMB +16; CMD 30(足払いされない) 特技 《イニシアチブ強化》、《回避》、《クリティカル熟練》、《神速の反応》、《鋼の意志》、《迎え討ち》 技能 〈隠密〉+14、〈水泳〉+15、〈生存〉+12、〈知覚〉+12 言語 アクロ語、水界語、地下共通語 その他の特殊能力 水陸両生 生態 出現環境 寒冷または温暖/水または地下 編成 単体、2体、または小部隊(3~8) 宝物 標準 特殊能力 病気(超常)/Disease イクトゥルソの噛みつきはトゥルサスと呼ばれる奇妙な超自然的な病気をもたらす。この病気は犠牲者の皮膚を苦痛を伴う鱗状のものに変え、奇妙な幻覚を引き起こし、最後には犠牲者をイクトゥルソに変身させる。 トゥルサス/Tursas:噛みつき・致傷型;セーヴ 頑健・DC20;潜伏期間 1分;頻度 1回/日;効果 1d3【判】ダメージおよび1d6【魅】吸収;治癒 2回連続のセーヴ成功。 犠牲者がトゥルサスから何らかの能力値ダメージを被っている限り、水中で呼吸する能力を得る。この病気によって【魅力】が0に減少した犠牲者は完全に成長し健康なイクトゥルソに変身する。それは以前の生活や能力を即座に忘れ、最も近いイクトゥルソの共同体に参加するために目指す。ウィッシュまたはミラクルでこの変身を元に戻すことができる。このセーヴDCは【耐久力】に基づいている。 光のルアー(超常)/Light Lure 標準アクションとして、イクトゥルソは下記を除けばダンシング・ライト呪文(術者レベルはイクトゥルソのヒット・ダイスに等しい)と同様に機能するいくつかの小さな光の点を呼び起すことができる。これらの光点の1つから100フィート以内にいるクリーチャーはそれを見た時にDC19の意志セーヴを行わなければならず、失敗した場合は最も安全で直接的な経路を通じてそれに接近することを強制される。セーヴに成功したクリーチャーは同一のイクトゥルソの光のルアーに24時間の間完全耐性を得る。この効果の下にある者が光に到達するために危険な地形を通過しなければならない場合、犠牲者は危険な地形に入る前に効果を終わらせるための新しいセーヴを行うことができる。この効果はキャラクターが光に到達するか、何らかの種類のダメージを受けた場合に終了する。これは視覚に基づく[精神作用]効果である。セーヴDCは【魅力】に基づいている。 イクトゥルソは深海のぞっとするような住人である。そこでは彼らは疫病と伝染の邪悪な神々を崇め、特別に空気で満たされた拷問部屋で船や海岸からさらってきた犠牲者を苦しめる。病気はイクトゥルソにとって聖なるものであり、病に苦しむものは祝福されたものと考えられる。イクトゥルソはしばしば明らかに病気の犠牲者を捕えようとする代わりに彼らの運命に任せる事を選ぶ。