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【名前】ヴァッシュ・ザ・スタンピード 【出典】トライガン 【種族】「プラント」という生体ユニットの人型の突然変異種。 【性別】男性 【声優】小野坂昌也(テニスの王子様の桃城武、ボボボーボ・ボーボボの首領パッチ、ロワの作品ではBACCANO!のアイザック・ディアン、グレンラガンのリーロン) 【年齢】外見年齢20代(実年齢は150歳以上) 【外見】赤いコートでツンツン頭。 【性格】お人好しで平和主義者。意思が強く頑固者。しかし普段はどこか抜けた天然系。 【口調】 「ラーヴ アーンド ピース!!」 「今そこで人が死のうとしてる 僕にはその方が重い」 【特殊能力】 人知を遥かに超えた戦闘能力、知覚不能なほどの速度の抜撃ち、早撃ちなどの射撃技術 ケタ外れの反応速度と戦闘速度、しぶとさ。 それは天性のものではなく努力の結晶。 【備考】 プラント エネルギー源及び各種生産活動を自然の摂理を超越して行う生体ユニットであり、ヴァッシュはコレの突然変異種。 プラントには「持ってくる力」と「持ってゆく力」がある。 義肢である左腕に仕込んだ隠し銃を持ち、その超絶的な銃捌きで騒ぎを収めようとする。 が、結果として騒ぎを大きくしてしまう男。おかげでついた異名が「人間台風」。賞金首にもなっている。 「決して人を殺すことはなく」がモットーで死者は決して出さない(作中でも本当に出してない)。 たとえその人間が大悪党であっても他人が死ぬのを放っては置けない。 また、右腕にプラントとしての強大な力を発揮する機構「エンジェル・アーム」を秘めている。 プラントとしての自然の摂理を超越したエネルギーが集まる「ゲート」から「持ってゆく力」により異次元追放をする(消滅) 数百万人規模の大都市ジュライを一瞬の内に消し去り、月に地上から肉眼で確認できるほど巨大な穴を穿っている。特に前者は彼の大きなトラウマとなっている。 アニメではマイクロ・プラントが仕込まれた銃と融合して発動とゆう設定 またプラントとしての能力や「持ってくる力」と「持ってゆく力」や超光速を誇る尖翼、ゲート弾なども存在しないし、尖翼よりも体捌きや速い抜撃ちも不可能 【台詞】 ………ウルフウッド… でもやっぱりそれは言葉だ 今そこで人が死のうとしてる 僕にはその方が重い (1巻 第4話) ウルフウッド「一人も殺せん奴に1人も救えるもんかい」という台詞に対して もしもそうなったら 僕は急いで逃げよう そしてまたほとぼりがさめたら 静かに寄りそうよ (7巻) 人間が次元違いの力をもったお前を受け入れる事などありえなうという兄ナイブズの問いに対するヴァッシュの答え。 昨日のことを忘れたいんだ でもね 無理だ この後悔はどうすることもできないけれど 今日 今僕の手はまだ動く 誰かの悲しみを消せた時だけ 少し楽になれる 明日も・・・ 明後日も だから 何にかえても おまえの好きにはさせない ナイブス・・・!! (7巻) 上記の続き ・・・・・・・・・ あのな この男は 僕に命をかけた 人一倍死に怯え・・・ 生きる事に執着したこの男が ・・・・・・勝ち目のあるなしなど関係あるか 理由としちゃこれで十分だ (8巻) 幽閉状態にあったヴァッシュをボロボロになりながらも助け出したウルフウッドに対して 旅が終わる― だけど日々は終わらない 俺が愛した このタフで優しい日々は… (12巻) 今まで出会った人々全てを思い出し 「今 何をした ヴァッシュ」 「ひみつ 暴れるのやめたら教えてやるよ」 (12巻) 地球からの助けの船がナイブズに落とされるのを防いでみせた時のセリフ “力”の使いすぎで髪がほとんど「疲弊の黒」に染まっていながら不適に笑うヴァッシュ 以下、アニメキャラ・バトルロワイヤル 2ndにおけるネタバレを含む + 開示する ヴァッシュ・ザ・スタンピードの本ロワ内における動向 初登場話 031 英霊と台風 死亡話 255 陸でなしと寄せ集めブルース 登場話数 15話 スタンス 対主催 最終状況 二日目の早朝に死亡 キャラとの関係(最新話時点) キャラ名 関係 呼び方 解説 初遭遇話 ランサー 中立 ランサーさん 事故で海に突き落としてしまう。罪悪感 031 英霊と台風 クロ 仲間 クロ 056 黒猫とガンマン クアットロ 仲間 クアットロさん 利用されている 073 飾られた虚実 ロイ・マスタング 敵対 既に交戦。 110 Ashes to ashes 神行太保・戴宗 友好 戴宗さん 165 召喚 スバル・ナカジマ 友好 165 召喚 ドーラ 友好 ドーラさん 165 召喚 藤乃静留 敵対→友好→敵対 シズルさん なんでわかってくれないかなぁ!? 165 召喚 ギルガメッシュ 友好→敵対? ギルガメッシュさん、ギルガメッシュ 臣下扱いでもいい。凶行を止めたい 216 鉄壁の意志、揺るがぬ信念 東方不敗 敵対 231 BACCANO -集合編- ラッド・ルッソ 敵対 凶行を止めたい 231 BACCANO -集合編- 結城奈緒 その他 231 BACCANO -集合編- 衛宮士郎 悔恨 シロウ君 守れなかった 231 BACCANO -集合編- イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 悔恨 イリヤちゃん 守れなかった 231 PRINCESS WALTZ of 『Valkyrja』 (前編) ニコラス・D・ウルフウッド 仲間 ウルフウッド 元世界の仲間。盟友 236 PRINCESS WALTZ of 『Valkyrja』 (後編) ビシャス その他 対峙。凶行を止めたい 236 PRINCESS WALTZ of 『Valkyrja』 (後編) スパイク・スピーゲル 友好 ブルース・リーの言葉を教わる 246 ヴァッシュ・ザ・スタンピードの愛と平和 柊かがみ 中立 殺し合いを止めようと説得する 252 盟友 シータ 敵対 シータちゃん 殺しを止めようと説得するが、殺害される 255 よせあつめブルース 最終状態 2日目の早朝にB-5南西卸売市場にて、シータにより殺害される。 遺体はロボットのレーザーにより首と胴で分かれており、首はシータが所持している。 踏破地域 【G-4】走行中のモノレールの上→【F-5】モノレール駅→【E-5】街周辺→【F-5】下水処理場付近→ 【E-5】頭部・民家→【E-6】デパート前→【C-5】映画館近く→路上→下水道内→ 【B-5】南部瓦礫の山→卸売市場→【A-3・A-4】禁止エリアの境目 1 2 3 4 5 6 7 8 A■■□□■■■■ B■■■■□■■■ C■■■■□□■■ D■■■■■□■■ E■■■■□□■■ F■■■■□■■■ G■■■□■■■■ H■■■■■■■■
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君はこの国の首都を知っているだろうか? おそらく大多数の人が「東京」と答えるだろう。 だが、それは正しくもあり、また間違いでもある。 今のこの国の首都は、「ネオサイタマ」という。 20世紀初頭、世界は謎の侵略者によって滅びの危機に瀕した。 空に突如として巻き起こった黒雲の内より来たるもの。黒鋼の装甲を纏い、既存の兵器を凌駕する圧倒的な火力と機動性を備えた異形の兵器たち。 人類との一切の意思の疎通を拒み、天災のように触れるもの全てを薙ぎ払い始めたソレは、「ネウロイ」と呼称された。 各国は保有する軍事力で応戦を試みるも、核兵器など一部の例外を除いた既存の兵器はネウロイに歯が立たず、次々と壊滅させられていった。 だが……人類は、狩られるのを待つだけの無力な存在ではなかった。 鋼の身体を持たずとも、天駆ける翼を持たずとも、ネウロイに抗う者たちが現れたのである。 古代・平安時代をカラテによって支配した半神的存在「ニンジャ」。 人のカタチをしていながら人にあらざるモノ。都市の闇に潜み人を喰らう「喰種(グール)」。 古来より自然の中に棲まい、様々な伝承にその姿や伝説を残す「妖怪」。 彼らは本来、ネウロイと同じく人に仇成す存在である。だがネウロイは彼らにも容赦なくその牙を剥いた。 対話も通じず、圧倒的な戦力で万物を滅ぼさんとする侵略者を前にして、彼らは本意ならず人間に手を貸す姿勢を見せた。 もちろん、人間も黙って守られていた訳ではない。 幾つかの国がネウロイに滅ぼされ少なからぬ犠牲は出たものの、侵略者との交戦データは生き残った人類に確かに引き継がれた。 そして生み出されたのが、既存の技術体系とは一線を画する超兵器――「ストライカーユニット」、そして「モビルスーツ」である。 ストライカーユニット。人が生み出した機械の箒。 女性にのみ発現する力「魔力」を動力に、大仰な翼やエンジンを必要とせず個人が自在に空を舞うは、「ウィッチ」と呼ばれる魔女。 女たちだけを死地に送り込んでなるものかと、男でも操れるネウロイに通用する兵器も開発された。 それがモビルスーツ。鋼の身体を持つ機械仕掛けの巨人だ。 ストライカーユニットのように極端な小型化はできず、小さなビルほどのスケールが必要とされた。 当初は図体だけのハリボテと揶揄されたものの、実戦投入された72機の試作機――通称「ガンダム・フレーム」のモビルスーツたちは戦場にある変化を齎した。 動力炉であるエイハブ・リアクターから発せられるエイハブ・ウェーブが、ネウロイの瘴気と対消滅を起こすという現象が確認された。 そして、人が本来眠らせている潜在能力を覚醒させ、自在に操る者たちもいた。 修行によって己の生命エネルギー=法力を高め、怪異を滅する法力僧。その一大門派、「光覇明宗」。 表向きは仏門の一派であるが、彼らは長年妖怪やニンジャ、喰種との血で血を洗う闘争を続けてきた生粋の戦闘組織であった。 光覇明宗が対妖怪に特化した組織であるならば、喰種専門の組織もある。それが喰種対策局、通称「CCG」。 法力僧のような特異な力はないが、確保した喰種の赫子を武器として打ち直し、喰種自身の武器で喰種を狩る者たち。 また、生まれついて、あるいは何らかのきっかけにより特異な力を持つ者もいる。 生命エネルギーが作り出すパワーある像(ヴィジョン)、「スタンド」。そして、スタンドを操る「スタンド使い」。 彼らは光覇明宗の法力僧とは違う思想・方法で生命エネルギーを戦う力とし、妖怪の一種とされる吸血鬼との戦いを繰り広げていた。 ここで一つ、補足がある。 来訪者は、ネウロイだけではなかった。 東京湾に突如新たな大陸諸島が出現したのだ。その中の一つの島に形成されていた国家との接触に成功した日本政府は、その国家の便宜上の名を「ヤマト」と決定した。 独立行政区に指定されたヤマトは、人間と酷似していながらも獣の耳や尾を持つ亜人種が治めていた。 亜人たちの文明は人間に比べ非常に原始的であったものの、それ故かその身体能力は人間とは比較にならないほどに高いものであった。 人間社会の協力要請には頑として応じず、ただ自国の防衛のみを行っていたヤマトであるが、それを咎める国は存在しなかった。 何故ならば、ヤマトには「仮面の者(アクルトゥルカ)」と呼ばれる修羅の如き将軍たちがいたからだ。 彼らはときに山を斬り、ときに海を割り、ときにモビルスーツをも凌ぐ巨躯となってネウロイと戦った。 人間と連携こそしなかったものの、人間に牙を剥くこともなく自衛を続けるヤマトに脅威は少なく、また構っている余裕もないと放置されたのだ。 また、ヤマトの近隣には「トゥスクル」という小国家もあったが、ネウロイはなぜかトゥスクルへの侵攻だけは避けていた。 新大陸諸国は独自にネウロイへの応戦を始めていたが、そこで日本政府は交渉に割く余力が尽き、意識を戦争に向けねばならなくなる。 トゥスクルや他の国家との接触を果たせぬまま、日本政府は波濤のような戦争に巻き込まれていった。 「ウィッチ」、「モビルスーツ」、「スタンド使い」、「光覇明宗」、「CCG」、「ニンジャ」、「喰種」、「妖怪」、「アクルトゥルカ」。 集った力は比類なく研ぎ澄まされ、また侵略者を駆逐するという目的のために団結し、巨大な一つの槍と化した。 多種多様な力、意志による猛烈な反撃が始まり、長きに渡る戦いの末、ネウロイに制圧された領土は徐々に奪還されていった。 やがて、残存するネウロイが集結し人類に挑んだ一大決戦が勃発した。 短くも熾烈な、神々の最終戦争を思わせる消耗戦が始まり……終わる。 主力の大部分を喪失したネウロイは人の棲まわぬ海上へと存在圏を押しやられ、人類はついに勝利したのだった。 後の世に「厄災戦」の名で語られる大戦争、人々は勝利に沸いた。だが、一部の賢者たちは気づいていた。ここからが、本当の地獄であると。 各国はこの決戦により深刻な打撃を受け、既存の世界体制は完全に崩壊した。混乱する世界情勢。 その裏には、人間社会の蚕食を狙うニンジャや喰種、妖怪、そして人間でありながら乱を肯とする犯罪者組織……通称「黒の組織」の影があったことが言うまでもない。 激化する権力闘争が全世界的な武力衝突に発展するまで秒読みとされたある日。世界に、高らかに角笛の音色が鳴り響く。 突如として世界にその存在を示した組織の名は「ギャラルホルン」。 厄災戦において活躍した軍人・企業・財力を温存した一部の富裕者などが中心となり、地球の混乱を鎮めるべく結成された武力組織であった。 ギャラルホルンはニンジャでも喰種でも妖怪でもない、人間の組織である。 彼らは個体としてはそれらに及ばずとも、培ってきた智恵と、生み出してきた道具があった。 モビルスーツ。厄災戦においてネウロイに勝利する一因となった力が、今度は同じ人間に向けられたのである。 ギャラルホルンが所有するモビルスーツの戦力は強大だった。これにはさすがの異形存在たちも方針を転換せざるを得なかった。 なお、当初は生き残ったウィッチたちもギャラルホルンに所属していたが、彼女たちは人間に銃を向けることを良しとせず、次々に去っていった。 魔女たちは祖国に帰還し、国防といずれ再来するかもしれないネウロイとの戦いに備え、後進を育て始めた。 武力を以って世界秩序を為さんとするギャラルホルンの方針は、当然ながら大反発を招く。 軍事力を失った各国は民間に国防の任を託し、PMC……民間軍事会社が全世界に勃興した。 中東、前世紀より紛争が続く地域では少年兵たちが中心となって結成された傭兵会社すら存在したという。 日本もまた、その変革の波に呑み込まれる。 ニンジャや喰種を駆逐するという名目で内政干渉を仕掛けてきたギャラルホルンを拒否すべく、日本政府は体制を大幅に改変した。 首都を東京から巨大都市「ネオサイタマ」に遷都し(と言っても、ネオサイタマは旧東京の領域をも内包するものであるが)、徹底的にギャラルホルンと争う姿勢を明確にしたのだ。 日本だけに手を取られている訳にもいかず、ギャラルホルンも強行手段を取ることを断念した。こうして、日本は「扶桑皇国」と名を変え、独自の道を往くこととなる。 ギャラルホルン他、他国の干渉を拒絶した扶桑皇国はネオサイタマに都市機能を集約させた。 杜王町、米花町、納鳴村、ヤマトや未開の諸島国家などの各自治体を飲み込み、移動型都市「学園艦」の母港機能さえも付加し、ネオサイタマは空前の発展を遂げる。 だがこの判断、当然ながら尋常の人間によるものではない。 巨大ニンジャ組織「ソウカイヤ」あるいは「ソウカイ・シンジケート」を率いるニンジャ、「ラオモト・カン」。 武闘派の喰種組織である「アオギリの樹」を統率する「隻眼の喰種」。 日本海の海中に没し、虎視眈々と復活の時を待つ大妖怪、「白面の者」。 各国の裏社会で暗躍する黒の組織のボス、数多くのスパイを身内に抱えるも決して正体を掴んだ者はいない「あのお方」。 彼ら、平和を疎む者達の介入があったことは非公式ながらギャラルホルンの上層部も認めざるを得ない事実である。 ともあれネオサイタマは、扶桑皇国の首都として歴史を刻み始めた。 華やかに発展する都市。順調に業績を伸ばす企業。そして、成功の陰で虐げられる人々……。 民衆の目を負の面から逸らさせるには、手頃な餌を放り投げてやればいい。 戦争に疲れた人々は娯楽に飢えていた。その人々が夢中になったものが、アイドル、そして戦車道である。 年頃の少女たちが歌って踊り、笑顔を振りまく。見ている者は釣られて笑顔になり、彼女たちのファンとなる。 仕事や学業に消耗した人々を癒やし、明日への活力を生み出す存在としてアイドルは聖女のように高貴なものとされた。 特殊装甲技術を用いた戦車やモビルワーカーを用いた実戦さながらの戦車戦は、作り物では得られない臨場感と迫力に満ちていた。 また、精神やチームワークを養うに最適な行程であるため、瞬く間に全国の学び舎で教育として取り入れられもした。 そして、ときは21世紀。 ネウロイの脅威も今は昔。 人々は平和を謳歌し、その裏で繰り広げられる血みどろの暗闘を未だ知らずにいた…… (グググ……フジキド! 起きろ、起きるのだ……!) (む……ナラク……?) 内なる声に促され、フジキド・ケンジ……ニンジャスレイヤーは覚醒した。 はっ、と飛び起きジュー・ジツを構える。フジキドの視界いっぱいに、横たわる数多くの人間たちがいた。 空の見えない巨大なホール。その中心に、フジキドを含め何十人もの人間が打ち捨てられていた。 あまりテレビ番組を見ないフジキドでも名と顔が一致する者が何人もいる。 人気絶頂のアイドル、今年の戦車道大会で優勝を果たした大洗女子学園戦車道チームの隊長、果てはギャラルホルンの名家「セブンスターズ」の御曹司まで。 (なんだ……何が起こった、ナラク!?) (わからぬ、ワシも今しがた目覚めたばかりよ。だが心せよフジキド、この場、尋常ならぬアトモスフィアに満ちておるぞ!) 赤黒のニンジャ装束を纏いしニンジャを殺すニンジャ、それがニンジャスレイヤー。 過日、マルノウチ・スゴイタカイビルにて発生したニンジャの抗争において妻子を失い、復讐を誓った男である。 彼の中にはもう一つ、ナラク・ニンジャという邪悪なニンジャソウルが存在する。 フジキドとナラク、全ニンジャを殺すという目的を共有するこの二人こそがニンジャスレイヤーである。 「ムッハハハ! ようやくお目覚めか、ニンジャスレイヤー=サン!」 「こ……この声は……!」 仰ぎ見る、そこには巨大なスクリーンが今まさに点灯したところだった。 「ラオモト・カン……!」 ニンジャスレイヤーの双眸が限界まで引き絞られ、憎悪の炎を燃やし始める。 ラオモト・カン。ソウカイヤの首領にして、マルノウチ・スゴイタカイビルの抗争を主導したニンジャ。妻子の仇! 「ムッハハハ! ムッハハハ! 良い良い、小虫に相応しい下賤な目よ! 所詮貴様はブッダの掌で踊るモンキーに過ぎぬ!」 「黙れ! ニンジャ殺すべし、今すぐに貴様を殺す、ラオモト=サン!」 「遊んでやりたい気持ちは山々だが、今はそうも言っていられんのでな、少し寝ておるがいいわ!」 「……グワーッ!? これは……麻痺毒!」 突如、ニンジャスレイヤーの頚部を強烈な違和感が襲う! いつの間にか彼の首には、否! 彼だけではなく、この場にいる全員の首に金属製のリングが嵌められている! 首輪から飛び出した針がニンジャスレイヤーの肌を刺し、致命的な毒を流し込む! 「グ……ググ……グワーッ! 動けぬ……!」 「ムッハハハ、安心せいニンジャスレイヤー=サン。その麻痺毒は一度だけの使いきりよ。致死量ほど盛ってはおらん。この場だけオヌシを大人しくさせるものなのでな」 ブザマにも地を這い荒い呼吸を繰り返しながら、フジキドは憎悪と殺意に塗れた目で中空のラオモトの顔を睨みつける。 だが邪悪なニンジャはそれ以上フジキドに構うことなく、眼下で彼らのやり取りを見守っていた群衆へと気を吐いた。 「ワシの名はラオモト=カン! 貴様らにはこれから殺し合いをしてもらう! ムハハハハハハ!」 どよどよと、困惑と恐怖が広がっていく。 この場にいるのはフジキドと同じく、何らかの手段で突如拉致された者ばかりであった。 そして、見るからにヤクザであるラオモトから理不尽なオーダーを下されている。混乱するのも当然であろう。 「おい、アンタ! ふざけたことを言ってるんじゃあないぞ!」 やがて、一人の男が立ち上がってラオモトの映像に拳を振り上げた。 ヒゲを生やしたスーツの男。かつてのフジキドと同じサラリマンのようでもあり、それにしてはだらしない印象を受ける冴えない男。 彼の名を、フジキドは知っている。「毛利小五郎」。幾つもの殺人事件を解決した名探偵だ。 彼の足元には子どもと思しき若い娘と、幼い少年がいた。 どうやら大人ほど投与された薬が抜けて身体の自由を取り戻すのが早いらしく、二人は声も出すのも辛そうだった。、 不安そうな娘を「心配するな、俺がついてる」と勇気づけ、小五郎は声を張り上げる。 「殺し合いだと!? こんなことをしてただで済むと思ってるのか! 今すぐ俺たちを解放しろ!」 「貴様は確か……モウリ・コゴロウ=サンと言ったか。フーゥム、ディテクティブ……探偵とな」 「俺を知ってるなら話が早い。やい、俺を拉致したのならすぐに警察がこの場所を割り出すぞ! 俺は警察に顔が利くってことも当然知ってるだろ!」 「ムハハハ、デッカーどもがいくら束になってこようと物の数ではないわ。ワシを誰だと思っておる」 「誰だろうと知るか! 降りてこい、一発ぶん殴ってやる!」 子どもを危険に晒されているためか、探偵の男は語気も荒くラオモトを挑発した。 そしてニンジャスレイヤーの鋭敏なニンジャ視力は確かに捉えた。ラオモトの眉が不快げに顰められたことを! その瞬間。フジキドの脳裏に、あの夜の光景が蘇った。 ニンジャの軍勢に全てを蹂躙される。妻も、息子も、己の命さえも…… 「モウリ=サン、止せ!」 「まだ立場を理解しておらんようだな。丁度いい、貴様でデモンストレーションをするとしよう」 「ヤメロ! ラオモト=サン、ヤメロー!」 ままならぬ身体に鞭打って何とか立ち上がり、叫ぶニンジャスレイヤー。 だが……一歩遅かった。 パ ァ ン 軽い、風船を割ったような破裂音。 次いで……フジキドの目前で、花が咲いた。 赤い、血の華が。 宙を舞い、フジキドの手の中に落ちたのは。 先ほどまで確かに生きていた、娘を守ろうとした父の残骸。 毛利小五郎の、切断された頭部だった。 「お……おっちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」 小五郎の近くにいたメガネの少年が絶叫した。 いち早く事態を理解した少年の叫びで周囲も何が起こったか悟り、ホールは一気に騒然となった。 悲鳴、怒号、知り合いを呼ぶ叫び声が交錯し、誰が何を言っているのかもわからない。 そんな中フジキドは、手の中にある小五郎の瞳にそっと指を添え、瞳を閉じてやった。顔を上げる。 首から上を失って血を吹き上げる小五郎の身体を呆然と見上げ、不意にこちらに振り向いた少女と、目が合った。 「…………ッ」 フジキドは、掛ける言葉も見つけられず、ただ歯を食い縛るしかなかった。 「ムハハハハハハ! これで分かったであろう、貴様たちはワシの言った通りにするしかないと! 殺し合うのだ、最後の一人になるまで! 生き残った者には褒美をやろう! ワシが何でも望みを叶えてやるぞ! ムッハハハ! ……ふむ、喉が渇いたな。おい、サケを持て。なに、進行? ワシに意見するなど貴様は何様のつもりだ!」 「アバーッ!?」 アワレ主君に提言した執事ニンジャはテウチされて爆発四散! 「貴様らには各自一つ、基本的な道具の入ったバッグを与える! また、中には特別な武器、あるいはドウグを幾つか紛れ込ませておる! それを使ってせいぜい多く殺すことだな! ……後は各自に配布したマキモノを読んでおれ!」 スクリーンはブラックアウトし、ホールに一瞬の沈黙が舞い降りる。 (いかんフジキド、気を散らすな! 何らかのジツを受けておるぞ!) ナラクに言われるまでもなく、ニンジャスレイヤーの指先が0と1の数字に分解され虚空に溶けていく。 ニンジャスレイヤーだけではなく、視界に移る全員が0と1の風となってその姿を崩していく。 痛みはない。フジキドのニンジャ直感力はこれが攻撃ではなく、どこか別の場所へ移動させるためのトランスポーテーションめいた作用であることを看破していた。 故に、ニンジャスレイヤーは恐れることなく、片膝をついた。 そしてニンジャ装束の一部を引きちぎると、手に抱いていた小五郎の首へ恭しく巻きつけていく。 死者への礼儀。かつてのフジキド・ケンジと同じく、父親として家族を守ろうとした男への共感、そして誓い。 「モウリ=サンの娘よ。約束する、ラオモト・カンは必ず私が殺す。モウリ=サンの仇は私が取る。故に、オヌシは……」 フジキドの言葉が末尾を結ぶことなく、毛利小五郎の娘もまた消え去った。 ホールに一人立ち尽くすニンジャスレイヤーは、ヘルファイアめいて燃え上がる憎悪と殺意を双眸に込め、立ち上がる。 「ニンジャ……殺すべし!」 妻子の仇。罪なきモータルを弄ぶ外道。 邪悪なニンジャ、ラオモト・カンを討つという必殺の意志を胸に、ニンジャスレイヤーもまたホールから姿を消した。 ――バトル・ロワイアル……ビギニング―― 【毛利小五郎@名探偵コナン 死亡】 【主催】 【ラオモト・カン@ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン】
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【参加者名】流されやすいRe birth 【トリップ】◆N4mOHcAfck 【所属ロワ】仮面ライダー バトルロワイヤル THE NEXT 【ロワ内性別】 【外見設定】黒いスーツを着た橘朔也@仮面ライダー剣 【特徴その他】 【書き手紹介】 不安要素やシビアな展開の扱いに長けている書き手さん。 燃え展開や派手な仕掛けは少ないが、繋ぎ、バトルとも安定感がある。 決定的な鬱話はまだないのだが、よく見るといろんなキャラに転落への布石を打っていたりする。 【主な作品】 「流されやすい者達」「指し手二人」 【登場話:話】
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阿良々木暦の暴走(前編) ◆1aw4LHSuEI 走る馬の上で、僕たち二人は無言だった。 僕も浅上も馬に乗るのが初めてで慣れていないから緊張しているっていうのもある。 だけど、一番の原因は、ライダーが死亡していたことを知ってしまったことなんだろう。 正直な話、僕自身はライダーに対してあまり良い感情を持ってはいなかった。 当然と言えば当然な事だ。だって、僕にとって彼女は冷酷な殺人者にすぎない。 真田の仇であり、僕自身だって殺されかけた。 浅上から話を聞いても、僕にとっての印象は変わらない。 だけど。きっと浅上にはライダーの、他の一面も見えていたのだろう。 完全に、とはいえないけれど、僕だってそれを理解できないわけじゃない。 他人にとっては、ただの化物かもしれない。 でも、確かに、自分との間に何かを感じた。 そんなやつが、僕にだっていたことがある。 今では見る影もない美しい吸血鬼。 一生をかけて償うと決めた相手。 それを選んだのは責任感だけじゃなく、生きていて欲しいと僕自身が望んだからだ。 きっと、その関係とはまた違うんだろうけど。 でも、同じぐらい浅上はライダーに生きていて欲しかったんだと思う。 背中に感じる感触と腰に回された腕。押さえられた嗚咽の声がそれを痛いほど感じさせた。 だけど、僕には浅上を慰めてやる余裕なんてない。 なんと言葉をかければいいのか分からない、というのが一番の本音ではあるけれど。 思い出してしまったのだ。分かっていたはずのことを。 ここでは、人は本当に簡単に死んでしまう。 千石、八九寺、神原、真田、セイバー。 僕は、それを分かっていたつもりだった。 だけど、そうだ、だけど。 やぱり全然わかっちゃいなかった。 早く合流しなければ、戦場ヶ原が、死んでしまうかも知れない。 やっと、僕はそんな当たり前のことを実感する。 「言葉」でなく「心」で理解できた。 だから、心が急いていた。 だから、気遣いが薄くなる。 前に神原から言われたことがある。 もしも――それでも誰か一人を選ばなくてはならない状況が訪れれば、 そのときは迷わず、戦場ヶ原先輩を選んであげて欲しいな その通りだ。 僕は戦場ヶ原が好きだ。 あいつを守ってやらなきゃならない。 そのために他のすべてを犠牲にするなんて言えないけれど。 それでも、義務でもなく責任でもなく。 ただひとりの男として、僕はあいつを守りたいと思っているのだから。 原村によると戦場ヶ原は僕たちと同じE-5エリアにいるらしい。 だけど、今までの戦場ヶ原の位置から僕して、僕たちから見て対岸にいるってことは想像に難くない。 同じエリアにいることが分かってるのに会えない。遠回りしなくちゃならない。 そう、僕は焦っていた。 尋常じゃないはずの馬に突っ込むことや、背中に当たっているだろう感触への反応を忘れてしまうほどに。 こんなことじゃ、だめだ。 きっといいことにはならない。 だけど、どうしたらいいのか。いい考えは浮かばなくて。 ただひたすらに一心に、馬を走らせることしか今の僕には出来なかった。 「――――――!」 「――――――!?」 そんなときに聞こえてきた声。 何か言い争っているように聞こえる。 馬のハンドルのあたりに据え付けたデバイスを見ると、薬局と書かれた施設の近く。 これまでの経過時間で戦場ヶ原がここに移動してくるとは思えなかったから通りすぎようと思っていたんだけど……。 確かに誰か参加者がいてもおかしくはない。 正直、戦場ヶ原のことを考えると先を急ぎたくもなるけれど。 殺し合いに乗ってない相手なら、情報交換をしておくべきだろう。 「浅上、他の参加者だ。接触しようと思うけど、いいか?」 「…………はい」 少しだけ、僕に話しかけられて驚いたように身を震わせた後、浅上は僕の言葉に同意した。 こんな状態の浅上を他の参加者と出会わせていいのかとも思ったけど、放っていくというわけにも行かない。 何があるかわからないけれど、やぱり接触しておくべきだろう。 揉めているようだし、対応は慎重に考えた方がいいだろうけど。 僕は様子を伺うため、静かに馬を停めてゆっくりとそっちに近づいて―――あれ? ―――馬って、どうやって停めればいいんだ? 「……あの、悪いけど停まってくれないか?」 そう呼びかけると、馬は一鳴きだけして薬局を視認できるぐらいの位置で停まってくれた。 ……最近の馬は賢いんだなあ。乗ったときも要件を伝えたらそのとおりにしてくれたし。 何かトラウマでもあるのかと思わせるぐらいに、こっちの命令から逸脱した行為はとらない。 できた馬もいたもんだ。 でも、停るときの鳴き声で向こうもこっちに気付いたらしい。 聞こえていた声が止んで、静かになった。警戒しているのだろう。 取り敢えず馬から降りて様子を伺ったけど反応はない。 でも、すぐに攻撃してこないってことは、話し合う余地があるってことだろう。 このまま見合っていても仕方ないし、、出来るだけ警戒させないようにこっちから自己紹介する。 「僕の名前は阿良々木暦! こっちは浅上藤乃。どっちも殺し合いには乗ってない。そっちは、どうだ?」 すると少しの間の後、薬局の中から金髪の男が銃を構えながら出てきた。 素人目にだけど、その姿は様になっていて銃の扱いに手馴れていそうに見える。 着てる服からして軍人かなにか、だからだろうか。 それにしても男、か。言い争ってた声は両方共女の子の声っぽかったし、後二人は薬局の中にいるんだろう。 それを守るようにこの人が出てきたってことは……殺し合いには乗ってない、かな。多分。 「私はグラハム・エーカー。君と同じくこの殺し合いのルールに従うつもりはない!」 と、告げた後。 「―――君が、阿良々木暦か。ふむ、聞いていた通りの容姿だな。あまり、時間はないが……。入りたまえ」 僕のことを知っているようだ。一体、どうして僕のことを知っているんだろう。 そんな疑問は浮かぶけど、中で聞いたらいいことだ。 馬にそこで待っててくれと呼びかけて、僕らは薬局へと入ることにした。 ◎ ◎ ◎ 少しばかり時間を巻き戻し薬局の中。 三人の人間がそこにはいた。 一人は白井黒子。ユーフェミアに撃たれ重症を負い、施設サービスにより治療され今は眠っている。 一人は天江衣。黒子を救うために一億ペリカの借金を独りで背負った少女。 一人はグラハム・エーカー。衛宮士郎の救出と二人の安全を天秤にかけた結果、『保留』という選択をした男。 何をしているのか。グラハム・エーカー。早く衛宮士郎を救出に行くべきでないか―――。 いや、彼を見捨てるというのなら、もっと戦場から離れるべきではないのか―――? 今の彼にそれを問うのは酷だろう。 彼の同行者は現在、無力な幼い少女と、致命傷を癒したばかりで眠るこれまた年端もいかぬ少女の二人。 その二人を置いて戦場へ向かうことなど出来るはずもなく。 かと言ってこれ以上逃げるとしても、戦力外二人を連れた上での逃走は危険も大きい。 何よりも、グラハム自身が、少年、衛宮士郎の無事を祈っている。 ここを移動して離れてしまえば、二度と出会うことがないかも知れない。 そんな考えすら浮かんでくる。 だからこその『保留』による待機。 どちらも取り落としたくないからこその、第三の選択肢。 だが、つい考えてしまう。 ひょっとしたら増援に向かうべきだったかも知れない。 ひょっとしたら全力で逃走すべきだったのかも知れない。 ひょっとしたら……どちらも失うかもしれない最悪の選択肢を選んでいるのかも知れない。 グラハム・エーカーはこの男にしては珍しく迷っていた。 本当に、自らの出した決断が正しかったのかを。 「―――すまないな、天江衣。不甲斐ないばかりだ。私としたことが」 「な、何を言うのだグラハム! 人は十全十美というわけにはいかない。完全無欠の選択など見つからないで当然だ! それに、グラハムが千思万考して得た答えなのだから、きっと大丈夫だ! なんとかなる!」 だが、天江衣のまっすぐな言葉を聞いて理解する。 後悔など、迷いなど持っている場合ではないのだ。 こんな子供を死なせていいはずがない。あのような勇敢な少年を見捨てていいはずがない。 ならば、きっと自分の選択は間違っていない。 そう信じるしかないのだから。 「そうだな……。その通りだ。この私が泣き言などを言っている場合では無かった」 グラハム・エーカーは自分の選択を信じる。 そうと決まれば次に考えるべきは、これからのこと。 白井黒子が目覚めれば、どうするのか。 勿論、それまでに衛宮士郎と合流出来ることが理想的だろうが。 彼の位置情報は最早なく、少年自身にもこちらの位置を知る方法が無い以上それは望めない。 つまり、状況が動くこと。 白井黒子の覚醒後にどう動くか。 それまで動けないだろうからこそ、それを今考えるべきだった。 やはり、全員で彼の元へと向かうことが望ましいだろうか。 しかし、此の島にきてから一度も経験していない殺し合い。 それも、想像もつかないような異能をもってしての争い。 自分はいい。グラハム・エーカーはそう考える。 軍人なのだから。弱き者を守るために戦うのは当然のことだ。 だが、天江衣を戦いに巻き込んでもいいのだろうか。 殺し合いなどには縁のない、この可憐な少女を。 とはいえ戦闘力の無い彼女を一人きりにするわけにもいかない。 ある程度戦闘の出来る誰かとともにいてもらわねばならないだろう。 では、自分のみが行き白井黒子と天江衣には待機していてもらう、ということではどうか。 だが、納得するだろうか。白井黒子が。 グラハムの心にまた僅かな迷いが生まれる。 「―――……? ここ、は―――……?」 しかし、それが具体的な形を見せる前に、白井黒子の目が覚める。 疲労も含めて肉体が回復した以上、それほど長く眠りが続くはずも無かった。 「しらい、しらい! 目を覚ましたのか!」 「衣さん……。そう、わたくしは撃たれて……。え? 何故傷がありませんの? それに、士郎さんは……?!」 「落ち着け、白井黒子。ここは薬局だ。傷は施設別サービスで治療した。―――衛宮少年とは、まだ合流出来ていない」 冷静に答えるグラハム。 「では、まだ士郎さんは……―――!」 瞬時に意識がはっきりとする黒子。 一刻も早く駆けつけなければとばかりに勢い良く起き上がる。 「ま、待ってくれ、白井! まだ傷も癒えたばかりでそんな無茶を―――!」 それを留めるは天江衣。 正直な話、彼女は怖かった。 白井黒子が危険な戦場に繰り出そうとすることが。 自分と友達になると言ってくれたものが、また死んでしまうのが。 ―――どうしても、伊藤開司と被って見えてしまい。 「―――もっと、もっと無茶をする人が行ってしまったんですの! だから、わたくしは―――!?」 しかし、それも黒子には通じない。 普段の彼女であれば天江衣相手にここまで怒鳴ることはないだろう。 衛宮士郎という少年が未だ死地にいることが、黒子の頭から冷静な思考を排除していた。 「待て、衣、白井黒子。―――どうやら、他の参加者のようだ」 二人を制しようと口を開きかけたグラハム・エーカーは外から聞こえた馬の声に反応する。 思い出すのは支給品だった馬のこと。 それを考えれば、他の参加者が馬を移動手段としていると言う可能性にはすぐに思い当たった。 どう対応すべきか、わずかに迷い身構える。 すると、向こうもこちらの存在に気がついているようで、声をかけてきた。 「僕の名前は阿良々木暦! こっちは浅上藤乃。どっちも殺し合いには乗ってない。そっちは、どうだ?」 そして時間を巻き戻す。 ◎ ◎ ◎ 情報交換のターン。 筆談等を適時交えて盗聴に備えながら、各自、己の知ったことを伝え合う。 開会式の少女の家族、天江衣。学園都市の風紀委員にしてレベル4のテレポーター白井黒子。ユニオンの軍人にしてフラッグファイターのグラハム・エーカー。人間もどきの吸血鬼未満、阿良々木暦。歪曲と千里眼の少女、浅上藤乃。それぞれの元々の知り合いの名前と容姿、簡単なプロフィール。 ギャンブル船、希望の船、エスポワール。セイバーのマスター、衛宮士郎。蝸牛に迷った少女、八九寺真宵。元帝愛幹部、利根川幸雄。普通の女子高生、秋山澪。ギャンブラー(?)、伊藤開司。戦国武将、明智光秀。エスポワール会議。OZの軍人、ゼクス・マーキス。投影魔術と解析魔術。仲間割れ。そして、日本人を殺す女、ユーフェミア・リ・ブリタニア。世界有数のデジタル派、原村和。『黒子の仮説』。聖杯戦争。ガンダムのパイロット、ヒイロ・ユイ。その同行者の女、ファサリナ。エスポワール・ノート。参加者よりと予想される工作員、忍野メメ。正義の味方、衛宮士郎、首輪解除の鍵となりうる。政庁崩壊。政庁跡での戦闘。狂った女。治療サービス。その際に現れた主催者側の少女、禁書目録。 殺人に乗った少女、平沢憂。牧師のような服を来た少年、デュオ・マックスウェル。中性的な和服の少女、両儀式。ナイトオブゼロ、枢木スザク。熱き戦国武将、真田幸村。気高い少女、セイバー。おくりびと。明智光秀と織田信長は危険な存在。駅襲撃。東横桃子とルルーシュ・ランペルージ、平沢憂と手を結んでの不意打ち。位置ワープ。F-7/ホールと条件入場の扉。USBとパソコン。バトルロワイアルサポート窓口担当、原村和。時間経過により開示されていく情報。ライダーの襲撃。浅上藤乃との合流。ライダーの死亡。位置情報により戦場ヶ原ひたぎと合流するためにここまで来たこと。 まず、初めに加治木ゆみを殺した。琴吹紬と千石撫子を逃した。月詠小萌は藤乃の行動の結果死んだ。ライダーと出会い同盟を結んだ。駅を襲撃して真田幸村を殺した。駅で枢木スザクと銃を持った男、神原駿河、一方通行と戦闘した。アリー・アル・サーシェスと同盟を結んだけれど、即座に別れた。阿良々木暦を殺そうとして殺せなかった。そして、人を殺すことをやめた。 ◎ ◎ ◎ それぞれの情報が開示され、空いていたピースがいくつか埋まる。 僕の情報も彼らの持っていた考察の裏付けや、新しい発見にもなったらしい。 だが、彼らにとってはそれ以上に衝撃だったことは浅上による罪の告白のようだった。 繰り返される謝罪の言葉。自身の罪を隠すこともなくさらけ出した浅上。 でも、三人の反応は分かっていたことだがあまり芳しいものじゃなかった。 白井は不信感を隠そうともしなかった。 「―――正直、阿良々木さんには申し訳有りませんけれど、信用できませんわ。 改心したふりをしている、ということも考えられますし。 それに、改心が偽りで無かったとしても、それをどう償うつもりですの? もし、お姉さまを殺した人間が貴女だったのなら、私は到底許せそうにはありませんわ」 天江は泣いてしまった。加治木ゆみは彼女の知り合いで、友達になれたかもしれない人、だったらしい。 「……すまない。衣は……あさがみを許してもいいものか、分からない……」 グラハムさんは白井ほど感情的ではなかったけれど、やはり信用しきれないようだ。 「―――人を殺したということ。それ自体は仕方ないと許せることかも知れない。 私も軍人だ。戦場で人間を殺したことはなんどもある。この狂った殺し合いを戦場と見立てれば分からない話でも無い。 しかし、ここで相手をするのは死ぬ覚悟のある軍人ではない。殺し合いとは無縁なはずの一般人だ。 しかもそれを享楽的に殺したと言う人間を手放しで信用できるほど、私、グラハム・エーカーは人間が出来てはいないな」 冷たい、いや、当たり前の言葉だった。 浅上がしてきたことは、それだけ罪深く許されざる行為なのだ。 どれほど罵られても償いには決して値しないほどの。 浅上は、それらを聞いて辛そうだった。 泣きそうだった。罪を噛み締めていた。 だけど、泣いてはいなかった。 誤魔化さず、罪と向きあおうとしていた。 そんな彼女を見て僕は思う。 彼らの言っていることはもっともで、許してもらおうなんて図々しいことだと。 浅上は、許して欲しいわけではないだろう。甘んじて責を受けるつもりだろう。 しかし、それすら傲慢なことかもしれない。 なぜなら、意図せずして選択肢を狭めているのだ浅上は。 だって、許せなかったとして、許さなかったとして。 どうすればいい。今まで殺し合いに乗っていなかった人間は。 殺すか? 浅上は殺意を向けられるても受け入れるつもりはあるだろう。 それはそれでひとつの選択肢なのかも知れない。 だが、殺せるわけがない。殺し合いを選ばなかった人間が、無抵抗な人間を殺せるわけがないのだ。 心情的には兎も角、行動としてそうしてしまえば、それはゲームに乗ったものと同じになってしまうのだから。 だからといって、許すことも難しい。殺し合いにのっていない人間は多かれ少なかれ、誰かとの死を乗り越えてきただろう。 今更、それを行っていた人間にごめんなさいと言われても、怒りを抑えることは難しい。 だったら、だったらどうするのか。 決まっている。 「少年、君にも聞きたいことがある。―――どうして、君は浅上藤乃を許せた?」 そう、僕だ。 既に同行している僕が、どうして浅上を許せたのか。 その確認と、理屈の追求。 「聞いてみたところによれば、君の元からの知人二人が死ぬことになった遠因も、浅上藤乃によるもののようだ。 だというのに、何故だ、少年。何故君は浅上藤乃を許したんだ?」 だから、僕は答えた。 「―――許したわけじゃない。……別に僕は浅上がやったことを許したわけじゃないんですよ。 神原も、千石も僕にとって大切な友達でした。―――それを手放しに許せるほどに、僕だって人間が出来ているわけじゃない」 そうだ。 かつて、どうしようも無いほどに敵対した男を殺されて。 それを、許せなかったのが、僕だ。 人を殺した浅上を、それを楽しんでいた浅上を許せるはずが無い。 「……ならば、何故だ。君はどうして彼女と同行している」 訝しげなグラハムさんの顔。 そうだろう。許せないなら、どうして僕は浅上の側にいる? ちらりと浅上を見れば、少し不安そうな顔をしていた。 大丈夫。既に答えは得ている。 そう心の中でつぶやいてグラハムさんに目を向けた。 僕は、覚悟を決める。 ―――いや、覚悟なんて。もっと前に決めていた。 「―――それでも、浅上に生きていて欲しいと思ったからです。 許せなくても、仇でも、あの涙は、後悔は嘘じゃなかった。 僕を殺そうとした浅上も、僕を生かそうとした浅上も、嘘じゃない。 人殺しをしないと誓った彼女は、僕と一緒にここまできた浅上は、普通の女の子だった。 僕は……嫌だ。こんな子が救われないのは、真っ当に生きられないことは嫌だと思った。 浅上藤乃を許せない気持ちは本物です。だけど、それ以上に、僕は浅上に生きていて欲しい。 だから。 僕は浅上を守る。―――ただ、それだけです」 ちゃんとした、誰にでも誇れるような理屈があるじゃない。 こんな、ただの短絡的かもしれない、だけど嘘じゃない。 僕にはそんな感情しか無い。 納得してくれるとも思っていないけれど。 押し付けられるわけも無いけれど。 それが、僕の偽らざる気持ちだった。 「……そうか」 グラハムさんは少し考えていたようだった。 そして、向き帰り、白井、天江のことを見る。 天江は、泣きながらもしっかりとグラハムさんを見据えていた。 白井は僕を少し見た後で、グラハムさんに向かって頷いた。 こちらに顔を向けて、彼は僕らにこう言った。 「では、少年。君のその意志に免じて判断を『保留』することにしよう。 これからの彼女の行動で、私たちが浅上藤乃をどう扱うかが、決まる」 ……それは、この場で出来る最大限の譲歩と言ってもいいものだと思う。 僕も、浅上も驚いて彼を見る。 グラハムさんは少しだけ笑うと言った。 「許さなくてもいい―――か。少年、君はなかなかユニークだな」 こうして僕たちは、本当の意味でグラハムさん達と合流することができた。 ◎ ◎ ◎ さて、こんな心温めるエピソードのあとで非常に心苦しいところではあるんだけれど……。 僕の方からやはりもう一つ提案をしようかと思う。 いや、なんていうか空気読めとか、おいおいさっき言ったことはどうしたんだとか聞かれても困るんだけど。 これから先のことを考えたら。多分、こうすることが一番いいと思うから。 「ふむ、情報も集まったところでこれからどうするかだが―――」 「ごめん、グラハムさん。先に僕からいいですか?」 まとめようとしたグラハムさんの声を遮っての発言。 みんなの視線が僕に集まる。 う。ちょっと緊張。 あまり大勢に注目されたことないしなあ。 「なんですの? 阿良々木さん。わたくし、出来ましたら早く―――」 「うん、僕も早く行動したい理由はあるよ。その上での提案がしたい」 ちょっと苛立を見せた白井。 気持ちは分からないでも無い。 僕だって戦場ヶ原を早く迎えに行きたいのだし。 「僕たちの目的は大きく分けると二つだ。 ここから見て、北東、東方面にいる知り合いの探索と、天江の安全の確保。 ―――勿論、天江以外はどうでもいいってわけじゃないけどさ。 全く戦えないんだし、最優先で安全を確保することに異論があるやつはいないと思う」 見わたせば皆ここまでは特に反論なし。 まあ、当然か。一応、そういうふうに言葉を選んでいる。 「で、それがなんなんですの?」 「慌てるなって。―――うん、だから僕は二手に別れることを提案したい」 この時点でグラハムさんだけが少し反応する。 僕が何を言おうとしているのか大体わかったのかも知れない。 白井、天江、浅上は未だピンときていないようだけど……。 「で、班分けは僕とグラハムさんで政庁の方へ。天江、白井、浅上は安全なところへ行くってことでどうだろう」 ……続く僕の言葉で爆発した。 「…………なっ!」 「…………ふぇ?」 「…………え」 時系列順で読む Back “腹黒の騎士団・バトルロワイヤル・ツアー御一行様”の旅(後編) Next 阿良々木暦の暴走(後編) 投下順で読む Back “腹黒の騎士団・バトルロワイヤル・ツアー御一行様”の旅(後編) Next 阿良々木暦の暴走(後編) 248 アラガミShort Story 阿良々木暦 257 阿良々木暦の暴走(後編) 248 アラガミShort Story 浅上藤乃 257 阿良々木暦の暴走(後編) 249 とある月夜の友情物語 天江衣 257 阿良々木暦の暴走(後編) 249 とある月夜の友情物語 グラハム・エーカー 257 阿良々木暦の暴走(後編) 249 とある月夜の友情物語 白井黒子 257 阿良々木暦の暴走(後編) 248 アラガミShort Story 伊達軍の馬 257 阿良々木暦の暴走(後編)
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任天堂ロワイアル トテスさんのデビュー作! 任天堂キャラでのバトルロワイヤルです。 ただし殺しは無いようなのでそういうの苦手な人もOKです プロローグ マスターハンド「え~、今回、みんなに集まってもらったのは訳がある」 ここはスマデラキャラがよく使うオネットの放送基地、ここに突如スマデラキャラを主に、任天堂のキャラたちが集まったのであった マスターハンド(以下マスド)「先日、FFとDQの合同会議でひとつの問題が発生した、その問題とは・・」 「誰が一番強い?」 マスド「と、いうことになった、なのでみんなには悪いがバトルロワイアル方式で戦ってほしい」 みんな「え~!?」 マリオ「勝手だな!オイ!」 サムス「こっちだって忙しいんだから!」 カービィ「僕だっておなかすいてるんだよぅ!」 ファルコン「腕が鳴るぜ!」 ピカチュウ「別にいいけど・・?」 プリン「ぷにゅ~・・」(寝てる マスド「いい忘れたがこの戦いに勝ち、見事FFやDQの強者を見度と打ち破ったら好きな願いを出来る範囲以内のことならかなえてやる!それに殺し合いじゃなくてただふっ飛ばせばいいだけだからな!」 と、いう事となりみんなはやる気をだしてやることになった ルール書 ルール1 場所はオネットとフォーサイドのみ(場所移動は専用のワープポイントのみ使用、バスや徒歩で違う場所へ移動すると失格) ルール2 ドクターマリオ、シークは参戦しない(2人が同一人物だから。なので変身してはいけない、したら失格) ※ 子供リンクはセーフ、なぜなら時空移動して同一人物ではないから ルール3 アイテムはスマデラアイテムを使用(店での売買は禁止、てか金とか売るものないでしょ?、でも売買したらそのアイテムか資金を募集) ※しかし食品はOK、買えたらの話だが・・ ルール4 殺したりしないこと ルール5 ダメージ計算は基本的にHP方式、しかしボムとかで空高く飛ばすとそれでKO、高さはおおよそ100Mぐらい? ルール6 さっき言い忘れたけどハンマーなしねw ルール7 ドサクサに紛れて民間人の物を盗まない、だまさない、殺さない、この3つのどれか一つでも反則すれば即失格 ルール8 最後の5人残ったらそこで試合終了 ルール9 別に何日で終わらせ、って訳じゃないけどなるべく早く終わらせてね ルール10 参加者はぶっちゃけ測定不能(マテ ルール11 カービィ君とヨッシー君はほおばり状態で30秒間続けたら失格(そのまま食べてしまいそうだから) ルール12 以上のことを守り、楽しくしましょう それとこの開催日は明後日である それとこのルール書はおそらく次の行で終了になる この小説はおそらくギャグの可能性が高いでしょう、おしまい カービィ「・・だって」 クー「ふーん、がんばれよ」 カービィ「がんばれって・・クーたち出ないの?」 リック「ああ、出ないんだ」 クー「あ、でもワドルディとアドレーヌとデデデとリボンが出るんじゃないか?わからんが・・」 カービィ「メタナイトは?」 リック「あいつは・・わからん」 クー「ま、とりあえず、今日は寝て、明日は明後日にあるバトルロワイアルにそないとけ」 カービィ「うん、わかった、おやすみ・・」 第1章 次の日・・ カービィは家でごろごろしていた・・・ 本人いわく 「やること無いじゃん」 らしい しかたがないので他の参加者の所を見ようと思う マリオの家 マリオ「ついに明日だな・・」 ルイージ「そうだね・・・(明日はかならず兄さんをギャフンと言わせてやるぞ・・)」 マリオ「なぁルイージ」 ルイージ「な、なに?」 マリオ「その読んでいる本なんだ?」 ルイージ「えっと・・これは最近噂のナルニア国物語だよ」 マリオ「ああ、あのライオンがアスランの奴か」 ルイージ「う、う~ん・・確かにそうだけど・・・」 マリオ「ナルニアか・・・そういえば見てないな・・」 ルイージ「・・少し出かけてくるね」 マリオ「ああ・・」 クッパ城 クッパ「明日こそ宿敵マリオをコテンパンにする絶好のチャンスだ!」 チビクッパ「でも、父上、毎度毎度マリオに返り討ちにされているんだけど大丈夫なの?」 クッパ「うむ、今回はワリオとワルイージ、そしてガノンドルフと共に行動を共にするからな、さすがのマリオもお手上げだろうな!」 チビクッパ「へぇ~父上っていろいろな人と知り合いなんだね!」 オヤ・マー博士の家 ルイージ「ゲーム&ウォチ、子供リンク、ヨッシー・・来てくれたんだね・・」 ヨッシー「もちろんですよ!同じ色の仲間じゃないですか!」 子供リンク「ま、僕はそれよりなんとなく暇だから来たんだけどね」 ゲーム「オレナンカ、クロクテ平ベッタイノニサソッテクレテ有難ウ・・」 子供リンク「いいじゃん、ゲーム&ウォチ、泣くな」 ルイージ「まぁとにかく!明日はがんばろう!」 3人「おぉ~~~!」 ハイラル城 ゼルダ「で・・どうして一国の王女である彼方達がここに・・・?」 ピーチ「いいじゃないの、そんな事」 デイジュ「そうよ、気にしないの!」 リンク「少し良くないと思いますが・・」 ピーチ「それじゃあ、用件を言うわ、明日バトルロワイアルが始まるわよね?」 ゼルダ「そうですが・・何か?」 ピーチ「あたしたちはチームを組んで出ることにしたわ」 デイジュ「でも美女2人で行動するのって危険だよね?」 ピーチ「そこであなたとリンクと一緒に行動したいんだけど・・いいかしら?」 ゼルダ「(どうしましょう?リンク?」 リンク「(これは参加した方がいいと思います、ガノンドルフもおそらくこの期に応じてトライフォースをうばいに来るかも知れません、ここは参加した方が・・」 ゼルダ「わかりました、協力しましょう」 ピーチ「ありがとう」 「ピーチ姫ぇ~~~!」 ピーチ「あら?あれはキノピオじゃないの、どうしたの?」 キノピオ「キノ爺から、姫をお守りせよ、と・・・言われて・・来ました・・ふぅ・・」 ピーチ「そう、ま、いいわ、これで5人、よし、明日が楽しみね!」 こうしてある者はある者を倒すべくして団結する者もでた大会前日 はたしてカービィは、この団結を超える事が可能か!? カービィ「おいどんはもうだめでごわす・・むにゃむにゃ・・」(寝言 本人いわく無理だってさ(ぉい しかし追加ルールにクリア条件が5人ではなく10人になり想像を絶する戦いとなりそうである
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まよいザワザワ ◆tILxARueaU 蝸牛――迷い牛に行き遭うということ。 迷い牛に遭うための条件は、家に帰りたくないと望んでいること。 家に帰ってもなにもない、ここでなにかを掴んでいかなければ意味がないということ。 地獄の迷路から這い上がってみせろ、人生の勝利者となって底辺から脱出してみせろと――そういうこと。 ◇ ◇ ◇ ――バトルロワイアル……! カイジの人生を狂わせたあの金貸し、遠藤によって宣言された大ギャンブル大会……! ベットするのは自分の命……負ければデッド、即座の死……! 運否天賦に身を寄せるわけにはいかない、泥沼のゲーム……ついに開幕っ……! (バカなっ、バカなっ……! なんで……? なんで……なんでこんなことがっ……!) たたみ一畳分の密室から抜け出し、カイジが降り立ったのは……まるで樹海っ……! 樹海としか言い表しようがないほどの、深く暗い森の中だった……! (どうして……なんでこんなっ……! あってはならないことがっ……!) ゲームが始まって早々、カイジの身に起こったことといえば……慨嘆っ……! なぜ自分がこの場にいるのか、なぜ自分が殺し合いの参加者などに抜擢されているのか、まるでわからない……! (こんな理不尽なことが、オレの身ばかりにっ……!) 故の慨嘆っ……! 不条理ばかりが押し寄せる己が境遇に、カイジは嘆き憤ることしかできないっ……! (いや……嘆いてばかりではいられないっ……! 状況を……状況を見るんだ。 まず、ここはどこだ……地図と……たしかデバイスとかいう道具で位置がわかるんだったか……? 確認……そう、まずは荷物の確認だ……! 慌てない、嘆かない……! まずは確認っ……!) 大木を背にしながら、カイジは白い部屋から持ってきた自分の荷物……黒いデイパックに手をかける。 時刻は夜、それでいて森の奥深くという劣悪な環境……が、しかし! 懐中電灯は使えない……! 不用意に光を求めれば、人が寄ってくる可能性が……誰かがカイジを殺しにやって来る可能性すら……ありうるっ……! (場所は……【A-1】。地図でいうところの最北……そして最西端……! 悪くないっ……! だがなんだ、この地図は……心霊スポット……? この辺りが……? 馬鹿げてるっ……!) カイジを取り囲むように配置された木、木、木……木の群集……! 改めて考えてみれば……出そう……いかにも……出そうではあるっ……! (馬鹿っ……幽霊だと……そんなものにビビっていられるかっ……! 今はそれどころじゃない……! 確認……手持ちの荷物をまず確認っ……!) 怯えを振り払い、黙々と荷物の確認を済ませていくカイジ。 食料……水……時計に……救急箱……そのあたりは基本……皆共通の品……! そして……ついに出てきた武器……カイジだけに与えられた……人を殺すための道具っ……! (きたっ……! 拳銃……! まずまず……まずまずの引き……これならっ……!) カイジが掴み取った、無骨な形をした黒いそれ……! シグザウアーP226という名の……紛れもない拳銃……! 撃ったら人が死ぬ……殺せる武器っ……! (銃なんて撃ったことはない……撃てるかどうかもわからない……が、持っているだけでも牽制にはなるっ……! 言わばこれは保険……武器じゃない……お守りだ……! 引き金を絞るだなんて……ない……ないと信じたい……) このとき、カイジにはまだ覚悟が足りていなかった……! 殺し合いをしろ……他者を蹴落とせ……そう遠藤に言われようとも、決心はつかないっ……! (人が死ぬ……人を殺せ……? もうそんなのはたくさん……こりごりだっ……! 佐原や石田さん……鉄骨から落ちて死んでいった奴ら……オレは誰を押したりもしない……押されもしない……!) そう……! カイジはあの命がけのギャンブル……高層ビルの間にかけられた橋……魔の鉄骨渡りを制覇した男……! その際死んでいった者たち……佐原や石田の無念を受け継ぎ、利根川とのEカードに臨もうとした……矢先っ……! トイレで顔を洗い、賭けの代償として耳を選択したところで……暗転っ……カイジはあの白い密室にいた……! (どういうわけだか知らないが、この名簿ってやつには……あの利根川の名前も入ってる……! そのへんは謎……遠藤が持ってきた別のギャンブルに……オレと利根川は一緒くたになって巻き込まれた……! いや……あるいは利根川は知っているのか……? このゲームの全貌……企ての裏……攻略法にっ……!) カイジにはまだ、そのあたりの事情が見えない……! バトルロワイアルと銘打たれたこのゲーム……否っ……! 賞金がかけられ、命を張った、れっきとしたギャンブル……! 勝利条件が明白だとしても……安易に踏み出せる一歩ではない……! (攻略法か……あるのか……? そんなものが、本当に……! 自分以外の全員を殺せば……まあ勝ちは勝ち……大金を得る……! だが現実的に考えて、不可能……! 人なんて殺せるわけがない……!) カイジに足りていないのは、実力と覚悟……! だが双方を兼ね揃えたとしても、人殺しは容易ではないっ……! (そのへんはやっぱり、遠藤が漏らしていたようにゲームっ……! なにかしら裏道があるはず……! 悲観はまだ早い……早すぎる……! 限定ジャンケンのときのように……必勝の道が……い、いや違う……! 勝ってどうする……勝つってことはつまり……他の奴らが死ぬってこと……あってたまるか、そんな理不尽……! 博愛主義者ってわけじゃないが……なるべく……なるべく人が死なない方向で……できるだけ多くが助かる道を……) カイジ、混乱っ……! 自分が選択すべき道が、まるで見えてこない……! 人は殺したくない、死んで欲しくもない……人間としての心理……が、理想論っ……! 既にここは、蛇の胃袋の中っ……! 抜け出せない……圧倒的な絶望感が、カイジを悩ませるっ……! (あっ……?) しかしそこで……カイジ、気づくっ……! いったいいつから……いつの間にそこにいたのか……! カイジが背にする大木……その向かいに生える、同じ大きさほどの大木……! 隣り合うように、否……向かい合うように、カイジの眼前にそれはいたっ……! (幽霊……いや、馬鹿なっ……なんで気づかなかった……!) 失態っ……! 考えられないほどの失態……! カイジの眼前にはいつの間にか、境遇を同じくする別の参加者がいたっ……! カイジと同様に、大木を背にして荷物を確認しているっ……! カイジ、これには戦慄……顔は青ざめ……立ち上がざるを得ないっ……! (ど、どうする……!? まずは牽制……銃を構えて……馬鹿っ……! よく見ろ……!) 咄嗟に、その手に握っていた拳銃を構えるのではなく……隠すっ……! この出会い、カイジにとっては僥倖……! なぜならば……! (あれはなんだ……銃を向けていい相手じゃない……ただの……ただの女の子じゃないかっ……!) 眼前にいた人物は、無害っ……! そう直感してしまえる……安心してしまえるだけの……可愛らしさっ……! バトルロワイアルの場でカイジが初めて遭遇した人物は……女の子っ…………! ◇ ◇ ◇ 「お、おいっ……」 カイジ、第一声……! バトルロワイアルが始まって、初めて放つその言葉……! 声をかけられた少女は、まるでカイジの存在を訝るように見つめ返す……! 「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」 ―― あ な た の こ と が 嫌 い で す っ……! 痛烈……痛烈な一言っ……! 地獄の賭場とも言うべき樹海で出会った少女に……カイジ、嫌われるっ……! 「なっ……んなっ……な……!?」 考えてみれば……久々っ……久々のことではあるっ……! 女の子と……それも小学生ほどの童女と話し、接する機会など……おそらくは小学校以来っ……! 故にカイジ……続く言葉……フォローの一言が出てこない……! 「なるほど。どうもザワザワするなと思ったら、こんな身近に人がいましたか。迂闊でした」 「ザワザワ……? お、オレが……? まさか……こっちは声も出しちゃいなかったって……!」 「いいえ、してましたよ。ざわ……ざわ……って。ま、その顔を見れば納得できますけど」 「顔っ……? オレの顔が……なに……? なにかあるっての……?」 「ええ。尖った顎に尖った鼻。ザワザワしてても仕方がない人相をしています」 「顎と……鼻……!? 尖ってるって……んなわけあるかっ……! はじめてだ……そんなこと言われたの……!」 「えぇ!? それでは、わたしがあなたのはじめての相手ということに……?」 「は、はじめて……!? ばっ……なに言ってんだ……この、マセガキっ……!」 「マセガキ!? よりにもよってマセガキとか言われました! このヒト怖いですっ!」 「か、勘違いするな……! オレは……い、いや……お兄さんは怖くない……怖くない……ぞ……?」 「怖っ! 笑顔になりきれてない笑顔が逆に怖いですっ! 倍プッシュされてしまいます!」 「倍プッシュだぁ……!? なにを……なにを言ってるんだ……! わからない……意味がわからないぞ……!」 カイジ、再びの混乱っ……! 女の子との会話、不成立……! コミュニケーションがままならないっ……! (くっ……冷静に、冷静になれっ……! こんな状況なんだ……怯えるのは当然……! 別にオレの顔が怖いわけじゃない……! 柔らかく……柔和に……柔和に微笑みかけるんだ……!) にこっ……! にっこぉっ……! にこ……にこっ……! 「ひ、ひぃ……!」 少女、戦慄っ……! カイジ、精一杯の作り笑顔……が、ダメっ……! 逆効果……余計に怖がらせるだけっ……! 「お、怯えるなって……! なにも取って食おうってわけじゃない……無害……オレは無害だっ……!」 「し、信用できませんっ! 人畜無害だと主張するなら、相応の誠意を持って接してください!」 「か~っ……! 誠意だぁ……!? 誠意もなにも……示しようがない……信じてもらうしかないだろっ……!」 「……では、その手に持った拳銃はなんなのでしょう?」 カイジ、そこでハッとする……! 先ほどまで荷物を確認をしていた……だからこそ手に持ったままでいた……シグザウアーP226……! 女の子に見せまいと隠していたそれは……身振り手振りで主張をするうち……露見……! 銃口は、女の子のほうへと向いていたっ……! 「なっ……! ちがっ……これは……ち、違うっ……!」 動転するカイジ……! 思わず……思わず、これを取りこぼす……! 拳銃は足下……生い茂る草むらの中に落ちたっ……! 「どうやら本当に無害のようですね。それでいてヘタレのようです」 「ああ……!?」 カイジ、またもや痛烈なる一言を浴びる……! 女の子の容赦ない発言の数々に、さすがのカイジも辟易……! 思わず、舌打ちせざるを得ない……! 「ちっ……なんだってんだ、おまえは……! 大人をからかいやがって……! いい加減にしろ……!」 「うーん、さながら美女と野獣コンビといったところでしょうか。人気が出るかはイマイチ謎ですねぇ」 「話を聞けっ……! なんていうか……最近の子供ってやつは……みんなこうなのかっ……!」 「相方というなら、阿良々木さんレベルのツッコミスキルを求めたいところですけど……無理っぽいですね」 「過保護に育てられて……礼儀がなってない……! オレが言うのもなんだが……ゆとりっ……!」 「それは仕方がないことですよ。なにしろわたしは、教育を受ける過程で他界してしまいましたから」 「噂に聞くゆとり教育ってやつはっ……! …………は?」 少女の思わぬ一言に……カイジ、唖然……! 口を動かすのをやめ、少女の発言に聞き入る……! 「このあたり、地図だとなんて書いてあるか知ってますか?」 事前に確認しておいた、【A-1】という位置……! 広がる森……鬱蒼とした、いかにも出そうな雰囲気……! カイジの脳裏で、不穏な警鐘が鳴り響くっ……! 「心霊スポット――わたし、幽霊なんですよ。地縛霊だったのですが、この間浮遊霊に昇格しました」 ◇ ◇ ◇ 「ちなみに、名前は八九寺真宵(はちくじまよい)といいます。お父さんとお母さんからもらった、大切な名前です」 浮遊霊……! 生前の名前は、八九寺真宵……! 己の顔が、徐々に凍りついていくのがわかる……! それだけの驚愕……幽霊が目の前で喋っているという、珍事っ……! 「……ば、馬鹿なことを言うな……! 幽霊だ……? そんなもん、ありえない……! オレをからかうためのペテン……子供のイタズラっ……! 信じない……オレは信じないぞ……! だいたいなんだ……幽霊たって、ちゃんと触れる……! たしかにここに存在してるじゃないかっ……!」 八九寺の言動に疑惑を感じずにはいられないカイジ……これを実証……! 手を伸ばし……八九寺の小さな身体に触れ……確かめるっ……! すべすべとした肌の感触……ぷにぷにとしたやわらかさ……天然の少女……霊体などではありえないっ……! 「触りましたね」 「は……?」 「故意に。明らかに。私のカラダ目当てに」 「な、なにを言って……」 「触られました! けがされましたぁ!」 「ばっ……おち、落ち着け……! これはあくまでも確認……! 必要なこと……!」 「痴漢さんはみんなそう言うんです! あ、ちなみにわたしは、この歳では発育のよいほうなんですよ?」 「訊いてねぇ! だいたい……子供のカラダなんて触っても嬉しくもなんとも……!」 「熟れた女のカラダをご所望と仰られますか! それならあと三年待ってください」 「三年程度でどうにかなるかっ……! おまえなら軽く見積もってもあと六年……六年は待てっ……!」 「妙にリアルな数字が飛び出してきましたぁー!? この人、本物です!」 「違う……! 今のは見たままを述べた憶測……客観論だっ……! 変に勘繰るなっ……!」 「あなたこそ勘違いしないでください。あなたはこれで二人目――つまり、セカンドタッチです」 「だからどうした……! ファーストタッチの相手なんぞ知ったことか……興味もない……!」 「略奪愛宣言!? 情熱的に告白されましたー!?」 「そういう意味じゃねぇ……!」 カイジ、またしても会話不成立……! 八九寺真宵が作り出す、この独特の間……会話のペース……それらが一向に掴めないっ……! しかし徐々に……徐々にではあるが、感触は掴めてきた……! (とどのつまり、オレは遊ばれてるだけ……! 真面目に返してちゃ、こっちの身が持たない……! かといって、このまま放っておくのも忍びない……オレにだって、良識ってものはある……! 保護ってわけにはいかないが……せめて安全な場所まで誘導してやれば……! いや……どこよ、その安全な場所って……! あるか、そんな場所……もうちょっと冷静になれ、オレ……!) ……が、まやかし……! 結局は、ペースを乱されっぱなしで……このままだとただの漫才……! 懸命に模索する……流れを変える、逆転の一手を……! (……冷静に考えて、この子はまだ子供……そして自称幽霊だ……! 幽霊ってのは嘘だとしても……やはり危ない……こんな環境に身を置くには、危ういほど無垢……! ここの危険性を……今が人生の窮地だってことを、その幼い身にわからせてやる必要がある……大人として……!) ふと視線を落とすと、先ほどカイジが手から零した拳銃の姿が……! 拳銃……子供でわかる、はっきりとした死の象徴……! 撃たれれば死……向けられれば危ない……それを理解できないほどではない……そう信じて……! (悪く、思うなよ……!) カイジ、拳銃を拾い強攻策に出ようとする……が! 「これがあなたに配られた支給品ですか? はぁー、本物みたいですね」 「あっ……!?」 遅い……! カイジが身を屈め、それに手を伸ばすよりも先に……八九寺が拳銃を拾う……! 「馬鹿っ、子供が持つもんじゃない……! 危ないから……それをそっちに渡せ……!」 「言葉遣いが乱暴です。子供だと思ってあまく見てませんか?」 「実際子供だろうが……! っていうか、本当に危ないから……! さっさとそれを――」 「あ、ところでお名前をまだ聞いていませんでしたね。伺ってもいいですか?」 「伊藤開司……! んなことより、早くそれを――」 「ふむふむ、伊藤さん。いえ、ここはあえてカイジさんとお呼びしてよろしいでしょうか?」 「なんでもいい……! つーか……オレの話を――」 「わたしと取引しませんか、カイジさん?」 カイジの拳銃を所持する少女……八九寺真宵からの不意な誘い……! 「この拳銃はお返しします。その代わりとして……わたしと一緒にいてください」 唖然とするカイジに、素直に差し出される拳銃……! 思ってもみなかったこの行動……カイジ、咄嗟に拳銃を受け取れない……! 「守ってください、じゃありませんよ? 一緒にいてくれるだけでいいです。 たまに話し相手になってくれるだけでもいいので。あ、ただしセクハラはダメですからね?」 ◇ ◇ ◇ 前髪の短い、眉を出したツインテール。 なにが詰まっているのか想像の膨らむ、大きなリュックサック。 それらを象徴とするのが、八九寺真宵という女の子だった。 「――……子供ってのは、もっとこう……素直であるべきなんじゃないのか……?」 「それは偏見というものですよ、カイジさん。それに、わたしはこんなにも素直じゃないですか」 「いや……それは自己分析を大きく誤ってる……。どちらかというと……そう、ひねくれ者……!」 「そんな! それじゃあまるで、わたしがひねくれ者みたいじゃないですか!」 「いや……だからそう言ってるんだけど……」 蝸牛に迷った少女。迷い牛の怪異。地縛霊から二階級特進して浮遊霊。そのあたりは重要じゃない。 ぶっちゃけ、八九寺真宵という少女は幽霊だった。わざわざ殺し合うまでもなく、既に死んでいるのだ。 しかしおかしなことに、この場においては生き返ったようだった。きちんとした生身の体が、そう証明している。 「幽霊だなんて嘘までついて……要はただの寂しがり屋……認めちまえ、そのくらい……!」 「あなたは本当に失礼な人ですね。阿良々木さんのセリフを取ってしまうようであれですが、ここで言ってしまいましょう」 「お……なんだ、今度はなにを言い返してくるって?」 「――――万死に値します!」 帝愛グループとかいう奴らが言っていた話は、あながち嘘ではないのかもしれない。 死んだ人間を蘇らせる。そんな、誰もが夢には見るものの実現なんてできっこない幻想。 それが既に、八九寺真宵という形で証明されてしまっている。真相を知るのは本人だけだったが。 「ところでカイジさん。カイジさんは麻雀と賭野球、どっちのほうが得意なんですか?」 「麻雀はまあ……打てることは打てる。けど、賭野球ってのはなんだ……?」 そんな八九寺真宵が考えることといえば、自分と同じ境遇に置かれた少年少女たちの安否。 阿良々木暦。戦場ヶ原ひたぎ。彼氏彼女の関係。付き合い始めて間もないだろうに、なんて不幸な人たちだろう。 彼と彼女には、特に阿良々木暦のほうには、それなりの恩がある。願うことなら無事に生き残って欲しい。 「阿良々木暦に、戦場ヶ原ひたぎ……この二人が、おまえの知り合いだって……?」 「ええ。阿良々木さんとツンデレの彼女さんです。彼女さんとはあまり親しくありませんが」 「ツンデレ……? よくわかんねぇけど……最近の流行語とか、そういうのか……?」 「まだまだ乳繰り合いたい年頃でしょうし、ここで二人揃って心中というのはあまりにもかわいそうだと思います」 願うだけで、彼と彼女のために自分が特別、なにかをできるわけではないのだが。 八九寺真宵は少女である。もっと記号っぽく言うとロリキャラである。ただそれだけだ。 魔術も使えないし、楽器も弾けないし、麻雀も打てないし、モビルスーツの操縦もできない。 「カイジさんは、誰か知り合いの人はいないんですか? 友達とか、家族とか」 「利根川って奴は……まあ知り合いと言えば知り合い……だがこいつは……」 「ふーん。ひょっとして、友達少ないんですか?」 「なっ……! 馬鹿にするな……! 知ってる名前くらいなら……オレにだってある……!」 「ほほう? それはいったい誰でしょう?」 「……織田信長」 「奇遇ですね。その人ならわたしも知ってます」 だから、特になにかこう……『対主催』だとか『奉仕マーダー』だとか、そういう役割を担えたりはしない。 役を与えるとするならば、家に帰れない迷子。鬱蒼とした物語の清涼剤。賑やかし役。ロリ成分。 ある種達観しているとは思うし、生意気だとも思う。この八九寺真宵という少女は、つまりそういうキャラなのだ。 (実際私はもう死んでいるわけですから、生きることへの執着なんてそんなにありませんけど……。 ただ……浮遊霊はまだやめたくないですよね。阿良々木さんとおしゃべりできなくなるのは、つまらないです) だからまあ、とりあえず。 お約束として、知り合いくらいは捜しておこうかなー、などと思っているに違いない。 ああ、本当におまえは可愛い奴だな八九寺ぃー! 「ときにカイジさん。頼まれてもいない語り部とか、ウザったいと思いません?」 「は? なんの話だ……?」 ウザイって言われたー! さて、僕も本編に戻ろう。 【A-1/心霊スポット周辺/1日目/深夜】 【伊藤開司@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor】 [状態]:健康 [服装]:私服(Eカード挑戦時のもの) [装備]:シグザウアーP226(16/15+1/予備弾倉×3)@現実 [道具]:デイパック、基本支給品、ランダム支給品×0~2 [思考] 基本:人は殺さない……なるべく……なるべく人が死なない方向でっ……! 1:八九寺真宵と一緒に行動する。 2:……で、どうする……? [備考] ※Eカード開始直前、賭けの対象として耳を選択した段階からの参加。 【八九寺真宵@化物語】 [状態]:健康 [服装]:私服、大きなリュックサック [装備]: [道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品×1~3 [思考] 基本:まずはお約束通り、知り合いを探してみることにしましょう。 1:伊藤開司と一緒に行動する。話し相手は欲しいので。 2:阿良々木暦と戦場ヶ原ひたぎを捜す。 [備考] ※「まよいマイマイ」終了後以降からの参加。 【シグザウアーP226@現実】 1983年にシグザウアー社が開発した自動拳銃。P220の改良型である。 長時間水や泥の中に浸けた後でも確実に作動するほど堅牢であり、耐久性は非常に高い。 時系列順で読む Back かしまし~ボーイズ・ミート・バッドガールズ~ Next モンキー&ドラゴン 投下順で読む Back かしまし~ボーイズ・ミート・バッドガールズ~ Next モンキー&ドラゴン 伊藤開司 043 アンチファンタジー/井の中の蛙 八九寺真宵 043 アンチファンタジー/井の中の蛙
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らき☆ロワ 「らき☆すた」の登場キャラ及び、既存のパロロワで「らき☆すた」キャラと深く関わったキャラによるバトルロワイアル。 「らき☆すた」キャラは原作から、それ以外のキャラは各ロワからの参戦となっており、三次、四次創作及びリピーターロワでもある。 参加者のみならず書き手も各ロワから集結しており、序盤から質の高いSSが多く投下されている。 AA(アスキーアート)で進行するやる夫ロワの存在もあり、SS内にAAが貼られることがあるのが特徴。 また、カオスロワ、ニコロワ、書き手ロワ2nd、オールジャンルロワのカオス成分が多めのロワ作品が参戦していることもあり、多少の超展開も許されるロワである。 が、最もカオスである筈のカオスロワからの参加者が、一番シリアスにやっているという、なんとも言えないことになっていたりする。 ちなみに各ロワでの行動が祟り、柊かがみは本人に何の落ち度もないのにかかわらず着々と包囲網が築かれつつある。 主催者 ピエモン ジェネラルシャドウ ??? 参加者リスト 7/7【らき☆すた】 泉こなた / 柊かがみ / 柊つかさ / 高良みゆき 小早川ゆたか / 岩崎みなみ / 黒井ななこ 6/6【アニメキャラ・バトルロワイアル2nd】 相羽シンヤ / アルフォンス・エルリック / 衝撃のアルベルト Dボゥイ / 結城奈緒 / ラッド・ルッソ 7/7【漫画キャラバトルロワイアル】 赤木しげる(19歳) / 桂ヒナギク / 川田章吾 ジョセフ・ジョースター / パピヨン / 三村信史 / 村雨良 9/9【テラカオスバトルロワイアル】 6/氏 / 赤木しげる(13歳) / アナゴ / 朝倉涼子 / 笑天のピンク 真・長門有希 / 南千秋 / 南春香 / 武藤遊戯 6/6【リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル】 シグナム / スバル・ナカジマ / セフィロス / 高町なのは(StS) フェイト・T・ハラオウン(StS) / 遊城十代 7/7【ニコニコ動画バトルロワイアル】 阿部高和 / いさじ / ゴマモン / 涼宮ハルヒ 園崎魅音 / ピッピ / 前原圭一 6/6【書き手ロワイアル2nd】 クールなロリスキー / 静かなる ~Chain-情~ / 素晴らしきフラグビルド 地球破壊爆弾No.V-7 / 熱血王子 / 忘却のウッカリデス 6/6【オールジャンルバトルロワイアル】 6/氏(外見がかがみ) / 6/氏(神) / かえる ランキング作成人 / 竜 / ロアルド・アムンゼン(その3) 6/6【やる夫のバトルロワイヤル】 桂言葉 / キョン / でっていう / 前原圭一 / やる夫 / ルイズ 60/60 外部リンク まとめサイト らき☆ロワ@ウィキ らき☆ロワ専用したらば掲示板(閉鎖) スレッド らき☆ロワ Part1(メディアミックスをしてるラノベでバトルロワイアル) らき☆ロワ Part2(ルイズの使い魔全員でバトルロワイヤルしてみた) らき☆ロワ Part3(ラノベと漫画とアニメとゲームのキャラでバトロワ) らき☆ロワ Part4(漫画作品バトルロワイアル(仮)) らき☆ロワ Part5(巨大ロボット物全般でバトロワやらないか?) らき☆ロワ Part6(特撮作品バトルロワイアル) らき☆ロワ Part7(ノーマルオリジナルバトルロワイアルしようよ) らき☆ロワ Part8(ロボットアニメバトルロワイアル)
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のどかデジタル ◆6lyiPawAAI 状況を概ね把握できた僕が最初にした事は現在地の確認だった。 デバイスによるとここはF-7だそうだ。 地図を見るとF-7の建物はホールしかない。 という事は、ここはホールの中ということになる。 なんで政庁からいきなりホールに飛んでるんだろう? 何が起こっているか全くの理解不能だけど、そこはどこでも○アという事で深く考えないようにした。 「それに、もっと良く分からないのが目の前にあるんだよな……」 僕は部屋の壁際中央辺りに配置された巨神像を見上げる。 「本当になんだろうな、これ」 どうせまたろくでもない代物だろうとは思うけど、調べておく必要がある。 巨神像に近づいてみると、巨神像の正面には見慣れないものがあった。 「パネル、いやコンソールかな?」 そこには用途不明のコンソールがあった。 コンソールが置いてある台の後ろからは ケーブルが数本伸びており、そのケーブルは巨神像に接続されていた。 いかにもこれを使うと巨神像が反応しますよ、といった風情がある。 「もしかして、これを操作するとあれが動いたりするのかな?」 そんなオーバーテクノロジーじみたものが存在するのだろうか? しかし、事実ここにそれはある。 コンソールを念入りに調べると、何かを差し込むような穴を見つけた。 どうも起動に必要な物を差し込むところらしい。 生憎と僕は差し込むのに適した物を持ち合わせてはいなかった。 思い切ってコンソールの1パネルを押してみるけれども、何も反応はなかった。 「ふぅ……」 僕は軽く息を吐く。決して賢者タイムなんかじゃない。緊張していただけだ。 ともかく、どうにも僕の手に負えるものではないらしい。 適した物を差し込めば何かが起こるだろうけど、差し込めない以上どうする事も出来ない。 (一応、他の人に会った際に伝えておこう) 巨神像に見切りをつけ、再度部屋を見回してみる。 するとまた新しい物を見つけた。 僕はそれに近づいていく。 「随分と無造作に置かれてるけど……罠じゃないだろうな?」 そこには一脚の机があった。 3つほど目につくものがあるので、1つずつそれらを見ていこう。 まず1つ目。 机の横に立てかけられた円状の刃物。 ていうか、なんで円状なんだ? こんな使いにくそうな物を好んで使うような奴がいるのか。 ブーメランのように投げるには大きすぎるしな……。 こんな非効率を追求した武器も珍しいと思う。 2つ目はノートパソコン。 これは役に立ちそうな気配がビンビンする。 少なくとも最初に支給された物よりはずっとましだ。 最後はUSBメモリ。 こんな場所に置いてあるってことは中に何か入っているに違いない。 「中に何もありませんよ」なんて事になったらここにある意味がないからな。 以上、3つ。 中々の当たりではないだろうか。 今後の為にも回収しておくのが無難だろう。 「それにしても、パソコンにUSBメモリか……一度中身を確認してみた方がよさそうだ」 ノートパソコンを起動してみると凄まじい速さで立ち上がる。 起動が終了すると、デスクトップ上にはいくつかのアイコンが並んでいた。 「さて、どうしようかな……ん?」 僕はある1つのアイコンに目を留めた。 そこには「バトロワ特設サイト」なる文字が躍っていた。 「特設サイトって……わざわざこんな物まで作るんだな」 帝愛のマメさには恐れ入るところだ。 もっと世の中の為になる事にそのマメさを使うべきだと思う。 他に何かないか見ると「新着メールが1通あります」という吹き出しが表示されていた。 「メールだって?」 僕がその吹き出しをクリックすると、メールソフトが起動される。 すると、そこには確かに新着のメールがあった。 「なになに……『バトルロワイアルサポート窓口へようこそ』か……」 サポートなんていうくらいだから、何かしてくれるのだろうか。 とりあえず、メールの差出人を確認してみる。 差出人の名前は―――原村和。 ◇ ◇ ◇ 飛行船の中のとある一室。そこに彼女はいた。 ピンク色の長い髪を二つに縛ったツインテールと呼ばれる髪型。 そしてほとんどの女性を屈辱に塗れさせるほどに圧倒的な大きさの胸。 原村和。麻雀界に名を轟かせる才女である。 そんな彼女が殺し合いの場の上空を行く飛行船に乗っている理由。 それは主催側の人間であるからだ。 もちろん和という一個人はこんな事を望んでいない。 だが、人質を取られていれば話は別である。 (咲さん……今も無事でいるでしょうか) 宮永咲。 和にとって運命とも言えるような出会いをした少女。 彼女は今、どことも分からぬ場所に捕らえられている。 そんな咲のことを守るため、和は主催陣営として参加することを決めた。 ここで、今までの原村和の動きについて簡単に触れておこう。 和は帝愛グループの手によって咲が捕らわれた事によって主催陣営への参加を余儀なくされた。 その際にこれが異世界の住人を集めたバトルロワイアルであるという事を聞かされている。 開催意図は一切不明。 ただ一方的にこれから行われる事についての説明と自分が担うべき役割を通達された。 主催陣営として和に与えられた仕事は会場で行われる麻雀の統括である。 ただ自分が打つだけではなく、それに用いるCPUのAIの作成なども担当した。 ちなみに、CPUのAIは知っている人間の打ち筋にするようにとの指示が出ている。 和にそこまでの技術はなかったが、帝愛の技術スタッフの指導でそれを可能にした。 そのような手間をかけるならば、技術スタッフをそのまま流用すればいいじゃないかとも思える。 だが、帝愛は人を苦しめる為ならば、手を一切抜かない。 ネット麻雀で人を殺すという事、知人の打ち筋を使うAIが無機質に参加者の血液を搾り取っていく事。 そういった事に対する和の苦悩を見世物として楽しもうというのだ。 現に、和の部屋には監視カメラが備え付けられており、和には一切の行動の自由がない。 ある意味では和も殺し合いの参加者なのだ。 時は流れて開会式が始まる少し前。 和にも参加者と同じく名簿が手渡された。 素早く目を通すと、そこには自分が知っている6人の名前があった。 その中の1人はよく知る人物。 すなわち、清澄高校麻雀部部長・竹井久。 (部長!? ……あぁ、部長までこんな酷い催しに参加させられているなんて) そう、こんな鬼畜外道な所業を考える人間が咲と和だけを狙うなんて事はありえなかったのだ。 打ちひしがれる和に容赦されることはなく、開会式が始まった。 和は遠藤とインデックスが喋る様子をぼんやりと眺める。 その全てが事前に確認済みのルールだった。 ―――ここに疑問を思った者も多いかもしれんが、4億ペリカで死人を復活させることができる。 遠藤が語った中の一部分。死者蘇生について。 これについても和は確認済みではあったが……。 (死者が蘇る。そんなオカルトありえません) 主催陣営で見た限り、意味不明な事が数多くあったが死者蘇生が出来るほどだとは思えなかった。 今の帝愛が出来る事はせいぜい異世界間の移動、もしくは異世界人の召喚くらい。 和はそんな風に考えていた。 (もっとも異世界に移動する事も立派なオカルトですから、どうなんでしょうね……) 現時点で答えを出す事はできない。 所詮、和はただの人間に過ぎない。 魔術だとか魔法だとか、そんなものは否定する事しか出来ないのである。 ―――こんな馬鹿げた茶番劇は、今すぐおやめなさい! ぼんやりとそんな事を考えていた和は聞いた事がある声が耳に届いたことでモニタに集中した。 そこには頭頂部に触覚みたいな物を生やした金髪の少女の姿。 その少女の名は龍門渕透華。 「龍門渕さん? そんな、どうして……」 和の持つ名簿には透華の名前はなかった。 それが意味するもの。 それに思い至った和はハッとした様子で身を乗り出した。 「逃げて! 逃げてください!!」 だが、その声はあまりに遠く、そしてあまりに遅かった。 ―――ボンッ!! 「あ、あぁ……」 龍門渕透華の首から上が飛んだシーンを正面から見てしまった。 真っ赤に染まるカメラ、そして焼き焦げた切断面……。 「う、うぷっ……!!」 吐き気を覚えた和は洗面所に駆け込み、大量に吐いた。 ただただ気持ち悪く、主催陣の狂気が理解できなかった。 「どうして、どうしてこんな事を平然と出来るんですか!!」 和はしばらくそこで泣いていた。 戻った和はモニタを食い入るように見つめていた。 和の部屋には大量のモニタが備え付けられており、それで自由に島内の様子を見る事が出来た。 モニタの数台はネット麻雀が可能な部屋で固定し、他のモニタで主に自分と同じ世界の人間を追っていた。 せめて知り合いだけは死んで欲しくない。 透華は死んでしまったが、他の人間はまだ手遅れではない。 祈るような気持ちで見ていた。 しかし、殺し合いという場において少女の祈りは何の力にもならなかった。 ―――開始から2時間。和が知る中の3人が死んだ。 風越の池田華菜、鶴賀の加治木ゆみ。 そして、部長の竹井久。 部長がいなくては元の世界に戻っても団体戦に出ることはできない。 「もう取り返しのつかないところまで来てしまったんですね……」 部長以外の他の2人も福路美穂子、東横桃子とそれぞれ親しい。 放送の際には深い衝撃を受ける事だろう。 それにしても、わずか2時間で3人。 酷い有様だった。 主催である帝愛が外道の集まりである事は分かっていたが、 まさか参加者の中にこれほど殺し合いに乗る者がいるとは思わなかった。 ただただ、信じられなかった。 その後、和は自らの担当であるネット麻雀のシステムやCPUのAIの最終点検を行っていた。 兵藤和尊が麻雀に挑んできたのはそんな時の事だった。 (兵藤和尊……帝愛グループの元会長……!!) 当然の事ながら、和は帝愛に深い怒りを感じていた。 今は参加者の身分であるとはいえ、帝愛を立ち上げた兵藤和尊という人間。 その人間に怒りの矛先が向くのも無理はなかった。 和はCPUにハギヨシ・UNKNOWNを選択して本気で潰しにかかる事にした。 結果、オーラスに至るまで兵藤以外ほぼノーミス。 もう一押しで兵藤を死に至らしめるところまで来た。 (帝愛を生み出したあなたがいけないんですよ……) 和は止めをさすべく動き出す。 だが、それを止めたのはUNKNOWNだった。 オーラス、UNKNOWNが兵藤に振り込んだことで決着。 兵藤は死なずに済んだのだ。 「咲さん……私に殺しをするなって言うんですか?」 UNKNOWNは宮永咲のAIの1つ。 そんなAIが和に殺しをさせない終わり方をさせた。 もちろん、プログラムで±0を狙う事を組んでいるが、 和にはそれが咲の意思であるように感じられた。 「そうですね……人は殺せない。殺せるはずがないんです。 なにより殺してしまえば、咲さんに合わせる顔がない……」 ここで和は決意した。人は殺さないと。 そんな時だった。新たな乱入者が現れたのは。 「乱入してきたのはトレーズ・クシュリナーダ……」 さっきまで麻雀風呂でCPUに打たせていた相手だ。 結果を見ると全て勝利しているようだった。 油断は出来ない相手、という事になる。 始まる対局。 和はとにかく安く早く和了することを心がけ、プレイヤーに打撃を与えない打ち方をした。 だが、トレーズの打ち方は常人のそれではなかった。 和の早和了に乗っかるようにして南入時に兵藤の血液が搾取されるように仕向ける。 明らかに殺す意図を持った打ち方。 そして、兵藤和尊は死んだ。 (どうしてそんな酷い事ができるんですか……?) 兵藤の支給品を手にして後にするトレーズの姿を見やりながらそんな事を思った。 人は殺せないと決意して臨んだ一局。 しかし、皮肉にも死者を出す結果となった。 和自身が直接の死因となった訳ではないが、殺しに加担したのと同義だった。 「狂ってる……何もかもが」 自分の無力さを感じつつ、その後は淡々と島内の様子を見つめていた。 そして第一回放送。 案の定、放送を機に色々な人間が色々な反応を見せる。 和モニタを合わせているうちの1人である桃子も、今までの消極的な動きから一転して動き始めた。 (これから優勝を目指すのでしょうか……) 和は合宿の時の加治木と桃子の親密ぶりを目撃している。 あそこまでの仲なら死者蘇生に踊らされて優勝を目指す事もありえる。 (私も咲さんが死んだらそうするでしょうね。それよりも……) ちらりと見た先は美穂子を追っているモニタ。 死亡者が読み上げられている途中、いきなり地面に頭を打ち付け始めた。 「風越の福路さん……一体どうしたのでしょうか?」 後輩が亡くなった。それだけにしては少々反応が大きすぎる。 というより、様子がおかしくなったのは「竹井久」と読み上げられてからだった。 「もしかしたら、部長と何か関係を持っていたのかもしれませんね。 部長がどこまで顔が広かったのか知りませんけど」 いずれにせよ、もう何もかもが手遅れ。 狂気に染まった福路美穂子を見るに耐えず、和はそのモニタから目を逸らした。 その後は何もすることがなく食事などをして時を過ごす。 和に再び出番が訪れたのは開始より10時間と少しが経過した頃だった。 ギャンブル船で仲間割れが起き、死者が連鎖的に発生。 その中にいた衣は殺人者の手を振りきってギャンブルルームへ逃げ込んだ。 そして、開始を告げる麻雀。 「どうして殺人者と麻雀を打つという流れになるんでしょうか……」 卓に着く衣と伊藤開司。 どのようなやり取りがあったかは分からない。 和の部屋では映像だけで音声まで捕らえることは出来ないようになっていた。 「1人の人間の死に関わってしまった身ですが、 それでも、友達の為に戦えるならそんな風に戦いたい……」 衣は友達だった。友達になった時の嬉しそうな顔がまだ目に焼きついている。 和はそんな衣を守るため、カイジを徹底的に叩く事に決めた。 その決意通り、カイジを完膚なきまでに叩きのめした。 後一歩でカイジを討てるところまで来たのだが、 他ならぬ衣が紫炎姫を飛ばして終了させたためにそれはできなかった。 (衣さん、いったい何が目的で麻雀をしたんですか?) 和にはいまいち意図がつかめなかったが、その後の様子から和解したのが見て取れた。 とりあえず、一安心という所か。 ふと桃子と美穂子を追っていたモニタを見ると急展開になっていた。 桃子は政庁でジョーカーである荒耶宗蓮を殺していた。 美穂子はカメラが「C-4-1」を映しているので、闘技場から北に向かったらしい。 闘技場のカメラを見たら酷いことになっていたので、逃げていったのだろう。 「どこも酷い事になってますね……」 疑心暗鬼、狂気、欲望。 それらが入り混じり、もう誰も心に余裕は持っていないだろう。 そんな中で行われる第二回放送。 「とはいえ、私には関係ありませんね……」 知り合いが死んでいない以上、特に思うことはない。 和は自分の役割を果たすだけだと呟く。 ところで、和の仕事は麻雀の統括とは別にもう1つあった。 しかし、そのもう1つの方はまだまだ行う事はないだろう。 そう考えながら、それに関係ある部屋をモニタから見やる。 そんな奇跡的なタイミングでその部屋にいきなり現れた人間こそ、阿良々木暦だった。 ◇ ◇ ◇ 「原村和だって?」 原村和って言ったら確かあのペンギンの持ち主だったような。 僕はデイパックからそのペンギン、エトペンを取り出す。 見れば見るほどに丸くて愛らしい形状。 こんなぬいぐるみの持ち主が主催側に参加してるって言うのか? 他の支給品の元々の所有者の名前は名簿の中にあるから、 何らかの形で関わっているかもしれないと思っていたけど、 まさか主催側で働いているとは思わなかった。 「とりあえず、メールの中身を読んでみよう」 件名:バトルロワイアルサポート窓口へようこそ 差出人:原村和 この先は業務用の言葉がずらずらと並んでいるので肝心なところだけを抜き出す事にする。 手抜き? いやいや、読みやすさを考慮した結果さ。 まず、差出人の原村和という人物は「麻雀運営統括及びサポート窓口担当」なんて役割らしい。 サポート窓口はともかく、麻雀? なんで殺し合いの場で麻雀なんて単語が出てくるんだろうか。 まさか炎が出たり槍が降ってきたりして戦うわけでもないだろうし。 次にこのノートパソコンについての説明があった。 このパソコンではいくつかのアプリケーションソフトと バトルロワイアル、この殺し合いの情報が閲覧できるサイトが使えるらしい。 ただし、アプリケーションソフトに関しては用途不明で、サポート窓口で質問しても答えられないそうだ。 ……あれ? 質問? 質問とか出来るのか? そういう訳で、次にサポート窓口についての説明があった。 どうやらこの差出人「原村和」のメールアドレスに質問を送れば、ある程度は回答してくれるそうだ。 ただし、答えられる質問の範囲は最初だとそこまで広くないらしい。 ここで最初って言ったのは、初起動した瞬間から放送を迎えるごとに出来る質問が増えると書いてあるから。 「質問か……とりあえず、何か送ってみようかな」 でも、いきなり質問なんて言われても思い浮かばないよなぁ。 そもそも本当に答えてくれるのかな? 送ってもあっちで「あいつ、こんな質問してきやがったよ、HAHAHA!」とか言って、 何の音沙汰もなかったら送った僕の立場がない。 原村和って人にメールを出すべきか。 それとも、このホール内の探索に戻るべきか。 どちらの行動を取るべきか、今一度良く考えてみよう。 【F-7/ホール内『 』/1日目/午後】 【阿良々木暦@化物語】 [状態]:疲労(中)、全身に打ち身(治癒中)、左手に裂傷(治癒中)、頭に小さなタンコブ(治癒中) [服装]:直江津高校男子制服 [装備]:なし [道具]:デイパック、支給品一式、ギー太@けいおん!、エトペン@咲-Saki- 沢村智紀のノートパソコン@咲-Saki-、毛利元就の輪刀@戦国BASARA、USBメモリ@現実 (政庁で使った物品は適当に回収したため他に何が残っているかは不明、後の書き手にお任せします) [思考] 誰も殺させないし殺さないでゲームから脱出。 基本:知り合いと合流、保護する。 0:原村和にメールを出すか探索に戻るか、どっちにしよう? 1:戦場ヶ原、神原と合流したい。他にも知り合いがいるならそれも探す。 2:憂をこのままにはしない。 3:モモ、ルルーシュを警戒。 4:……死んだあの子の言っていた「家族」も出来れば助けてあげたい。 5:支給品をそれぞれ持ち主(もしくはその関係者)に会えれば渡す。 6:千石……八九寺…… 7:太眉の少女については……? [備考] ※アニメ最終回(12話)終了後よりの参戦です。 ※回復力は制限されていませんが、時間経過により低下します。 ※会場に生まれた綻びは、あくまで偶発的なものであり、今後発生することはありません。 ※巨神像はケーブルでコンソールと繋がっています。コンソールは鍵となる何かを差し込む箇所があります。 ※原村和が主催側にいることを知りました。 ※サポート窓口について知りました。 【沢村智紀のノートパソコン@咲-Saki-】 咲-Saki-世界屈指のネトゲ廃人として知られる沢村智紀のノートパソコン。 ネトゲを快適にプレイできるほどの廃スペックだが、 ロワ仕様にデータを書き換えられているのでその性能をフルに発揮する事はない。 現在、いくつかの用途不明のアプリケーション、「バトロワ特設サイト」ページ、メールソフトが使用可能。 【毛利元就の輪刀@戦国BASARA】 中国地方の雄・毛利元就が用いている刀。 輪刀の名が示すとおり、その形は円状。 取っ手の部分で半分に分割する事が出来る。 ◇ ◇ ◇ 暦が転移してきた時、和は心底から驚いた。 阿良々木暦という人物は桃子を追っていたモニタに映っていたはず。 一体何が起きたらこんな事になるのだろうか。 ともかく、こうなった以上はこちらの仕事も開始されるという事だろう。 和がサポート窓口において質問の回答をするにあたり、運営から回答マニュアルなるものが用意されている。 マニュアルから質問に適応した内容を取り出し、質問者へ回答するシステムになっている。 そのマニュアルの各回答には「起動時から放送○回後」という表記があって それ以降にしか回答してはいけないと指示を受けている。 もとより、そんなつまらない事で逆らって人質である咲を害されてはたまらないので、 和はきちんとそれに基づいて回答するつもりでいる。 ところで、マニュアルがあっても想定していない質問が 来ることもあるんじゃないのかと思う方もいるかもしれない。 それはその通りで、回答マニュアルに記載されていない質問をしてくる者もいるだろう。 そういった場合はどうするのか? 当初の運営の方針ではマニュアルにないものは「お答えできません」の一点張りで通すつもりだった。 だが、主催の協力者の一人である忍野メメがそれを聞きつけてから一気に方針が変わってしまった。 忍野が言うには 『答えられないの一点張りじゃつまらないんじゃないかい? それなら、窓口を担当する彼女の判断で答えてもらうのも面白いんじゃないかな』 との事である。 その際、和が何を書いてもお咎めなしにするとも付け加えた。 最初は渋った運営陣だが、重要な要項に関する回答を用意しておけば問題はなかろうという事で、 重要事項の回答をマニュアルに載せる事、 和が質問以外のことをメールに記載しない事を条件に忍野の提案を受け入れた。 だが、そんな事を勝手に決められた和本人はたまらないと思って、提案した張本人である忍野に詰め寄った。 「どうして私の負担を増やすような事をするんですか!」 「元気良いねぇ。何かいい事でもあったのかい?」 「茶化さないでください!!」 「別に他意はないさ。でも、責任が重くなるという事はそれだけ権利も大きくなる。 ……そうは思わないかい?」 「何が言いたいんですか」 「さて、なんだろうね。それは君自身が考える事だ」 そんなやり取りで有耶無耶にされてしまった記憶が残る。 和から見ると、忍野メメという男はどうにも胡散臭く映る。 何を考えているか全く分からない、というのが現在の印象である。 とにかく、肝心要なのはマニュアル外の質問は和の独断で答えていいことになっているという事だ。 「どんな質問をしてくるのでしょうか、緊張しますね……」 和は膝の上にある偽りを抱え、本物を持つ暦をモニタから見続けていた。 【???/飛行船・原村和の部屋/1日目/午後】 【原村和@咲-Saki-】 [状態]:健康 [服装]:私服 [装備]:エトペン@現実 [道具]:デスクトップPC×数台、会場監視モニタ×数台、質問対応マニュアル(電子ファイル) [思考] 基本:帝愛に従い、咲さんを救う 1:役割(麻雀・サポート窓口)をこなす 2:咲さんが心配。一目だけでも無事な事を確認したい 3:どうせ打つなら守る為の麻雀を打ちたい 4:忍野メメを警戒 5:従ってはいるものの、帝愛は許せない 6:ここにはオカルトが多すぎます…… [備考] ※登場時期は最終回の合宿終了後です。 ※宮永咲は人質としてどこかに捕らわれています。 ※基本的に自分の部屋から離れられません。 ※自分の部屋に監視カメラがついていることは知っています。 ※参加者は異世界を通して集められていると知っています。 ※以下の事柄はSOA!と思っています。 ・死者が蘇る。 【エトペン@現実】 現実において量産されたエトペン。 保温性に優れていて、抱いていると温かいと専らの評判。 【サポート窓口について】 沢村智紀のノートパソコンからサポート窓口(原村和)宛に質問が出来ます。 送られてきたメールは質問対応マニュアルに則って回答されます。 質問未解禁時は「まだ受け付けられません」、マニュアルにない場合は和の独断で回答できます。 放送を迎えるごとに深いところまで質問が出来るようになります。 各放送ごとにどこまで解禁になるか、またどのような質問ができるかは後の書き手にお任せします。 【麻雀について】 プレイヤーが入ってきたら、自分やどのCPUを卓に着かせるかまで全て決めます。 こちらに関しては完全に自分の裁量で動く事が出来ます。 【会場監視モニタについて】 地図に書かれている施設内には相当数のカメラが仕掛けられています。 屋外は重要と思われる特定箇所にカメラが仕掛けられています。 和が監視できる範囲はこの程度ですが、他の主催もこれだけかどうかは不明です。 ◇ ◇ ◇ ここでノートパソコンと質問対応マニュアルについて補足を加えておく事にする。 実はこれらのものが活躍するのは設置する場所の関係上、2日目も半ばに入ってからの事だと想定されていた。 その頃になってからノートパソコンを初起動させても大した放送の回数を迎える事は出来ない。 つまり「救済と見せかけてその実まともに救済する気はない」という帝愛のいつものやり口のはずだった。 しかし、暦が1日目も終わる前からノートパソコンを起動させてしまう。 それが意味するものは「想定よりも早く重要な質問が出来てしまう」という事。 とはいえ、帝愛グループが易々とそれを許すのか? 許さない。許したくはないだろう。 だが、帝愛がいくらそう思ってもどうする事も出来ない。 忍野メメが和を利用する事で帝愛は重要事項を緻密に記載せざるを得なくなった。 二重三重の罠がそこには張り巡らされていた。 暦がルールを守らずに部屋に入ってきたのはイレギュラーだった。 しかし、主催側で作られた小さな綻びを一気に広げるようなこの行為、あるいは必然だったのかもしれない。 かくして主催にとっては遊びに過ぎなかったはずのサポート窓口は参加者にとって有効に機能しうる存在となった。 これだけが唯一ここで起こった事実である。 時系列順で読む Back パンドラを抱きし者 Next 命短し恋せよ乙女(前編) 投下順で読む Back パンドラを抱きし者 Next 命短し恋せよ乙女(前編) 185 メメしい野郎共の詩 阿良々木暦 206 愛物語-閉ざされた空と乙女の心- 原村和 206 愛物語-閉ざされた空と乙女の心-