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遥か昔。 宇宙にはただ混沌があり、テオスはその混沌より生まれ混沌を闇によって黒一色に染め秩序を作った。 そして、星々を闇に浮かばせ光を生んだ―― ???(……ここ、どこだろう……?) 荒廃した大地が延々と続く世界に、少女――鹿目まどかは立っていた。 何故彼女はこんな所にいるのか。それは彼女自身もわからなかった。 まどか「…………」 ぼんやりとあたりを見回してみる。 しかし、彼女の瞳に映る景色は地平線の彼方まで続く大地だけであった。 まどか(何でだろう……? ここにいちゃいけない気がする……) そう思ったまどかは、どこか違う場所へ行こうと足を一歩前へと踏み出した。 ――ぐにゃり。 まどか「えっ――?」 すると、突然まどかの周囲の光景が大きく歪んだ。 いや――周囲などというレベルではない。彼女がいた世界そのものが歪んだのだ。 ――やがて歪みが収まると、そこに広がっていたのは悍ましい光景であった。 まどか「何……? 何なの……?」 ――それは戦いの光景だった。 剣や弓、槍などで武装した人間たちと、見たこともない怪物たちが戦っていた。 怪物は一見動物のようにも見えたが、彼らは皆人間と同様に、2本の足で直立し、かつ手には何か武器を持っていた。 (もちろん、中には何も武器を持ってないものもいたが、そこは割愛する) その戦いは、怪物たちが圧倒的に優勢のようであった。 人間たちの放つ矢は、怪物たちの強靭な肉体に次々と弾かれ、剣や槍も怪物たちの力の前に軽々とへし折られていく。 ――やがて、人間たちはそんな怪物の前に1人、また1人と倒れていき、気がつけば、そこにはまどか以外の人間は誰も立ってはいなかった。 まどか「…………」 呆然と目の前の光景をただ黙って見つめるまどか。 逆に、怪物たちの方はまどかの存在に気づいたのか、徐々に彼女の方へと近づいてくる。 まどか「あ……」 それに気づいたまどかも、すぐさま逃げようと思考するが、身体がその命令をすぐには実行できなかった。 怪物の1体が、まどかを射程内に捉えたのか、持っていた剣状の武器を構え、振り挙げる。 しかし―― まどか「!?」 突然、まどかの視界が白い光に包まれた。 あまりの眩しさに、まどかは思わず目を閉じてしまう。 やがて、光が収まり、まどかが再び目を開くと、そこには怪物たちの姿はなかった。 ――代わりに、1人の青年が彼女の前に立っていた。 少年の装いは白一色。 制服姿であった自身もあまり人のことは言えないが、今自分たちがいる荒廃した大地にはあまり似合わない服装であった。 しかし、まどかはそんな青年の姿を見て、無意識にこう呟いていた。 ――天使だ、と。 ――まどかが目を覚ましたのは、その言葉を言い終えるのとほぼ同時であった。 まどか「……夢オチ……?」 そう言いながら、まどかは自身が眠っていたベッドからゆっくりと身を起こした。 魔法少女まどか☆マギカ AGITΩ ~最初で最後の約束~ 第3話「私たちの相手は魔女じゃないわ」 OP http //www.youtube.com/watch?v=yEXxEny2BvY その日、巴マミが朝教室へやって来ると、自身の机の上に思わぬ来客の姿があった。 キュゥべえ『おはよう、マミ』 マミ『? キュゥべえ?』 そう。キュゥべえである。 その白い姿は、明らかに学校では目立つうえに注目の的となるであろうはずだが、すでに教室にいた他の生徒たちは、まるでキュゥべえの存在などそこにはないかのごとく平然としていた。 それも当然である。なぜなら、本当にキュゥべえが見えていないからだ。 キュゥべえの存在と声を知覚できるのは、キュゥべえ自身と魔法少女、そしてその候補者である女の子だけだと魔法少女たちの間では実しやかに囁かれている。 マミ『おはよう。でも、なんであなたが学校に?』 キュゥべえ『ほら、この間この街で新しい魔法少女の候補者を見つけたって話をしたでしょ?』 マミ『えぇ』 キュゥべえ『あれからその子のことを色々と調べてみたら、なんとその子はこの学校に通う生徒だったんだ』 マミ『えっ!?』 キュゥべえ『もう少し様子を見て、可能なら今日中にもその子と接触してみようと思う。僕が思うに、マミならその子とは絶対に良い魔法少女コンビになれると思うよ?』 マミ『…………』 キュゥべえ『それじゃあ、僕はこのあたりで失礼するよ。マミ、またね』 マミ『え、えぇ。またね』 マミ「…………」 翔一「おはようございます」 マミ「あ……。おはよう、沢野くん」 翔一「? どうしたんですか、巴さん? もしかして、今朝もまた嫌な夢でも見たんですか?」 マミ「いや、今日は違うの。ちょっと……ね……」 以前も説明したが、巴マミは自身が魔法少女である反面、魔法少女という存在が増えることに関しては結構複雑な心境であった。 魔法少女の候補者である女の子には、当然それまでの平穏で幸福な生活がある。 果たして、それを投げ捨てさせてまで魔女と命がけで戦う世界に身を投じさせて良いものなのか――? 翔一「あっ、そうだ。巴さん」 マミ「何?」 翔一「俺、やっぱり魔法や超能力の存在信じることにしました」 マミ「……はい?」 翔一「ほら、巴さん以前聞いてきたじゃないですか、『魔法や超能力はこの世界に存在すると思うか』って?」 マミ「あぁ……」 翔一「あの時俺、『自分が魔法使いでも超能力者でもないから信じない』って言いましたけど、あれ訂正します」 マミ「?」 翔一「実は俺――魔法使いじゃないけど超能力者だったんです!」 マミ「ちょ、超能力者……? 沢野くんが?」 翔一「はい!」 満面の笑みを浮かべて頷く翔一。 その顔は嘘をついているようにはマミには見えなかった。 単に翔一が天然故に、何を考えているのかさっぱりわからないだけという可能性もあったが―― 翔一「あ。でもあれって超能力って言っていいのかな? まぁ、似たようなものだと思いますけど……」 マミ「……それって、今ここで見せてもらえる?」 翔一「あ。それは駄目です」 マミ「何故?」 翔一「いや~、今ここで見せたらきっと巴さんやクラスの皆も驚いちゃうでしょうし……」 マミ「……じゃ、じゃあ、具体的にはどんな力なのかくらいは教えて貰えないかしら?」 翔一「はい! 強くなります!」 マミ「……へ?」 翔一「だから、強くなるんですよ。そして、パンチやキックで相手と戦うんです!」 マミ「……もしかして私のことからかってる?」 翔一「からかってるだなんてとんでもない! マジです!」 マミ「…………」 翔一「……あっ。そういえば、巴さん。話は変わりますけど、さっきそこの廊下でおかしなものを見ましたよ」 マミ「おかしなもの?」 翔一「えぇ。なんか白くて尻尾が長い犬だか猫だかわからない変な生き物が、俺や他の生徒達の足元をぴゅ~っと走り去っていったんです」 マミ「!?」 翔一「なんか俺以外の人は全然驚いた様子じゃなかったけど……。本当にあれなんだったのかな~?」 マミ(キュゥべえが見えている……!? まさか……本当に何か特別な力を持っているの……!?) 授業中、マミはここ数日のことを思い返していた。 突然の転校生・沢野翔一。 その日を境に、自身の前に姿を現すようになった黄金の怪人・アギト。 最初アギトと遭遇した時、その場に落ちていた翔一の生徒手帳。 そして、今日になって急に魔法や超能力を信じると言い始めた翔一。 おまけに、その翔一はキュゥべえを視覚することができた―― マミ(――ということは、やっぱり沢野くんがアギト?) そう思いながら隣の席にチラリと目を向けるマミ。 翔一はいつもどおり授業を受けていた。 マミ(……でも、2度目に遭遇した時、アギトはキュゥべえが見えていなかったようにも見えたわね) マミ(…………) マミ(……駄目だわ。まだ確信までには至れない……) そして昼休み―― 翔一「巴さん、巴さん。聞きしましたか?」 マミ「? 何を?」 翔一「何でも、今日2年生にすんごい子が転校してきたそうです」 マミ「凄い?」 翔一「はい。俺が聞いた話だと、容姿端麗でスポーツ万能、おまけに滅茶苦茶頭も良い女の子だそうですよ」 マミ「ふぅん……」 翔一「あれ? 何かあまり興味なさそうですね?」 マミ「そりゃあ、転校生なら目の前に1人いるし、それに2年生の話だしね……」 翔一「そうですか? 俺は結構興味ありますけど?」 マミ「それはあなたが男の子だからでしょ?」 翔一「ん~……。そうなんですかね~?」 その時、突然教室や廊下がざわめき始める。 翔一「あれ? 何か妙に賑やかになってきましたね?」 マミ「言われてみれば……あら?」 廊下の方へ2人が目を向けると、そこには1人の少女が翔一たちの教室へと入ってくるところであった。 マミ「3年生じゃないわね。下級生……」 翔一「あっ! 昨日の!」 マミ「えっ!?」 声と共に思わず立ち上がる翔一。 それに釣られるように、マミをはじめ、教室やその周囲にいた者の視線が一斉に翔一に向けられる。 当然、教室にやって来た下級生の少女、暁美ほむらの視線も―― ほむら「…………」 無言、かつ無表情で翔一の方へと歩み寄っていくほむら。 彼女の足が一歩一歩進むごとに、教室及び周囲のざわめきが大きくなっていく。 そして、ついにほむらが翔一の前に立ち、その足を止めた。 翔一「やぁ。いや~、驚いたな。君もここの生徒だったんだね」 ほむら「いえ、私は今日ここに転校してきたばかりですから」 周りから向けられる視線に気にすることなく会話を始める2人。 翔一「へぇ~……ん? もしかして、噂の凄い転校生って君のことだったの?」 ほむら「…………」 その質問に対して、ほむらは答えなかったが、翔一はそれを肯定と判断した。 翔一(結構謙虚なのかな?) マミ「えっと……。沢野くん、その子とお知り合いなの?」 翔一「はい。昨日、巴さんが突然病室からいなくなっちゃった後に出会ったんです。……いや、あれは声をかけられたと言ったほうが正しいのかな……?」 ほむら「…………」 マミ「!?」 ほむらがほんの一瞬、チラリとマミの方へと視線を向ける。 マミも瞬時にそれに気づいたが、次の瞬間にはほむらは再び視線を翔一の方へ戻していた。 ――だが、マミは見てしまった。 その少女の左手の中指にはめられていた指輪と、中指の爪に浮かぶタトゥーのような紋章を。 ほむら「……沢野翔一さん、あなたにお話ししておきたいことがあります」 翔一「? 俺に?」 思わず自分自身を指さす翔一。 ちなみに、周囲の者たちは今のほむらの発言から何故か「おぉ!」だの「な、なんだってー!」などと勝手に騒ぎ始めている。 ほむら「……ここでは言えないことなので、場所を移させてもらってもいいでしょうか?」 翔一「あぁ、いいよ」 ほむら「じゃあ、付いてきてください」 そう言って背を向けて歩き出すほむら。 それを見た翔一も、その後に続いて歩き出す。 2人が教室を後にすると、教室は先ほど以上に騒がしくなった。 ――特に男子の方にやたら動揺していたり、狼狽えている様子の者が多い気がする。 マミ(魔法少女……) マミ(――でもわからないわね。何で声をかけたのが私じゃなくて沢野くんなのかしら?) マミ(……ちょっと調べてみる必要がありそうね) そう判断すると、マミは未だに騒ぎが収まらぬ教室からひっそりと外へ出た。 屋上―― ほむら「……ここなら特に人目もつかないわ」 自分たち以外の者が誰もいないことを確認すると、ほむらは先程とは口調を変えて翔一の方に振り返った。 翔一「……えぇと、話の前にひとついいかな?」 ほむら「何……?」 翔一「いや、君の名前をまだ聞いてなかったなと思って……。君は俺の名前知っているのに、なんか不公平だな~と……」 ほむら「……暁美ほむら」 翔一「暁美さんか……。なんか変わった名前だね」 ほむら「…………」 翔一「? どうかした?」 ほむら「別に……。同じことをクラスメイトの子にも言われたなと思っただけよ」 翔一「も、もしかして、気にさわった?」 ほむら「別に……」 翔一「……あ、そうだ! ところで、俺に話したいことって何?」 ほむら「単刀直入にいうわ、沢野翔一。私に協力して欲しい」 翔一「……協力?」 ほむら「えぇ。あなたが私の知る『アギト』と同等のものだと見込んだうえでお願いする」 翔一「えぇと……。具体的にはどんなことを?」 ほむら「私はある存在を倒すためにこの街へ来た。そのためには可能な限りの戦力が欲しい」 翔一「ある存在……? もしかして、俺や巴さんが倒してるあの怪物たちのこと?」 ほむら「……似たようなものね」 翔一「なぁんだ、それならお安いご用だよ。……あ。でも、俺自身まだこの力のこと完全に把握しているわけじゃないけど……それでもいいの?」 ほむら「構わない。その力については、いずれ来るべき時が来れば、あなたも自然と知ることになるはず」 翔一「……なんか、俺よりも暁美さんの方がこの力について詳しそうだね?」 ほむら「そうね……。現時点では確かにあなたよりは……」 翔一「う~ん……。なんかソレってズルいな~。俺は暁美さんのこと全然知らないのに、逆に暁美さんの方は俺のことほとんど知っているのって……」 ほむら「…………」 翔一「? 暁美さん?」 ほむら「……そんな所に隠れていないで、出てきたら? あなたになら聞かれても特に問題ないことだもの」 翔一「えっ? えっ?」 突然そのような言葉を口にするほむらに思わず戸惑う翔一。 すると、翔一の背後――屋上の出入口の影から1人の少女が姿を現した。 他でもなく、巴マミである。 翔一「と、巴さん……?」 マミ「…………」 翔一「えぇと……。巴さん、何時からそこに……?」 マミ「つい今しがた。それよりも……あなた、やっぱり魔法少女なのね?」 ほむら「…………」 マミ「何が目的なの? 確かに沢野くんはキュゥべえを視覚できる。普通の子には無い特別な力があるかもしれない……」 ほむら「…………」 マミ「でもね。沢野くんは私たちとは違う。それ以外はれっきとしたただの人間なのよ」 ほむら「……そうね。確かに、力があることを除けば、沢野翔一はただの人間ということになるわね」 マミ「じゃあ、何故……!?」 ほむら「巴マミ、あなたは何もわかってはいない……」 そう言うと、ほむらは1人屋上から去ってしまった。 翔一「え、えぇと……」 マミ「沢野くん」 翔一「は、はい?」 マミ「あまりこういうことは言いたくないけど、彼女にはこれ以上関わらないほうがいいわ」 翔一「えっ!? どういうことですか? 別に悪い子には見えませんでしたけど……?」 マミ「それは私もわかっているつもりよ。だけど……下手をすればあなたは命を落としかねない」 翔一「命を落とすって……。何言っているんですか、巴さん。今暁美さんと話していたこともそうでしたけど、何か言っていることが滅茶苦茶ですよ?」 マミ「……そうね。今更隠し通すのも無理でしょうし……沢野くんには私たちのことを少しだけ教えるわ」 翔一「はい?」 マミ「――この世界にはね、人間に不幸をもたらす『魔女』と呼ばれる存在がいるの」 翔一「ま、魔女……ですか?」 マミ「そう。そして、魔女は人々の知らないところで世界に呪いを撒き散らし、表向きでは原因不明とされる事故や自殺を人間に引き起こさせて死に追いやる」 翔一「…………」 マミ「そうした魔女を狩るのが『魔法少女』。言ってしまえば、魔女を倒すために選ばれた女の子のことね」 翔一「『魔法少女』? もしかして――」 マミ「えぇ。さっき、あの子との会話を聞いていたならもう言う必要もないと思うけど、私がその『魔法少女』なの」 翔一「そっか~……。だから昨日あそこで……」 マミ「?」 翔一「あ、いや……。つまり、暁美さんも巴さんと同じ『魔法少女』だと言いたいわけですね?」 マミ「えぇ」 翔一「なるほど……。あれ? じゃあ、何で暁美さんは巴さんじゃなくて、俺を呼び出したんでしょう? 同じ魔法少女である巴さんの方が話し易いはずじゃ……?」 マミ「それは……魔法少女にもいろいろと事情があるから……」 翔一「事情……ですか?」 マミ「えぇ。……あ、そろそろお昼休みが終わっちゃうわね。この話の続きはまた放課後にしましょう」 翔一「え? あ、ハイ……」 翔一「…………」 翔一(そうか~、昨日あのよくわからない空間で巴さんと戦ったのが『魔女』ってやつだったのか……) ――ちなみに、この後教室に戻った翔一はクラスの男子たちから質問攻めにあったことは言うまでもない。 翔一「……巴さん、もしかして俺、とんでもない誤解をされているんじゃ……」 マミ「さすがにそれは私に言われてもね……」 放課後―― マミ「……さて、それじゃあ、お昼休みの話の続きといきましょうか」 翔一「あ。それなんですけど、巴さん」 マミ「?」 翔一「もしよかったら、一緒に帰りながら説明してくれませんか? 帰りながら今晩のおかずの材料買って帰りたいんですよ」 マミ「…………」 翔一「――なるほど、それが魔法少女の証であるソウルジェムですか」 マミ「えぇ。普段は指輪として身につけているんだけど、魔女を探すときはこうして本来の形に戻しているの」 翔一「へぇ……。ん? 待ってください。『探す』ってことは、魔女って向こうからは人間の前に姿を現さないんですか?」 マミ「そう。魔女は結界っていう自身の巣に隠れ潜んでいるから、表向きには姿を見せないの。この世界の人間の殆どが魔女の存在を知らないのもそのため」 翔一「……なんか汚いですね。自分は安全な場所にいながら、こっちのことは一方的に攻撃できるなんて……」 マミ「そうね……。だからこうして魔女を探して見つけ次第狩っていかないと、どれだけの被害が出てしまうか……」 その時、マミのソウルジェムが微かに光り始める。 マミ「!? これは――」 翔一「? どうしました? も、もしかして……」 マミ「えぇ。微かだけど、魔力の反応をキャッチしたわ。おそらく、そう遠くないところに魔女がいる……!」 翔一「本当ですか!? じゃあ、俺も手伝い――」 マミ「ダメ!」 翔一「ええっ!? 何でですか!?」 マミ「さっきも言ったけど、沢木くんは魔法少女じゃないでしょ? ここから先は専門家である私に任せて……ね?」 翔一「で、でもやっぱり心配ですよ。それに、俺だって昨日――」 マミ「沢野くん、心配してくれているのは嬉しいけど、私はあまり無関係な人を巻き込みたくないの。それに……」 翔一「それに?」 マミ「女の子の言う事を素直に聞けない男子は嫌われるわよ?」 翔一「む……。巴さん、俺そういうのは何かズルいと思います……」 マミ「ごめんなさい。でも本当に大丈夫だから……。それじゃあ沢野くん、また明日ね」 翔一「…………」 翔一(……やっぱり心配だな) 翔一(――ん? でも変だな。昨日魔女ってやつが現れた時は、確か俺も頭が突然キーンと……) ほむら「沢野翔一」 翔一「うわっ!? あ、暁美さん……?」 ほむら「…………」 翔一「び、びっくりした~……。もう、いきなり背後から声をかけないでよ……。一体何の……」 ほむら「早速で悪いけど、あなたの力を貸してもらうわ」 翔一「俺の力を? ……あっ。そうか、魔女ってやつをやっつけるんだね? やっぱり巴さん1人じゃ心配……」 ほむら「いいえ。私たちの相手は魔女じゃないわ」 翔一「えっ? どういうこと?」 ほむら「今回の魔女は巴マミ1人に任せておいても特に問題はない。私たちは別の存在を討つ」 翔一「別の存在?」 ほむら「えぇ。人によっては、そいつは魔女以上に厄介な『敵』だから……」 ほむらに連れられて翔一がやって来たのは、ショッピングモールの地下だった。 翔一「『改装中につき立ち入り禁止』って看板があったけど……。本当に入って良かったの?」 ほむら「そんなこと気にしている余裕はない。今はこれから討つ『敵』のことだけに集中して」 翔一「あ、うん……。ところで、その魔女とは別の『敵』っていうのは本当にここに現れるの?」 ほむら「えぇ。そいつは今、ある女の子に接触しようとこの近くまで来ている。出来ることならその子に接触する前に仕留めたい」 翔一「どうやって?」 ほむら「私がそいつを上手く誘導する。あなたはここで待機していて、そいつが来たらすぐに『アギト』の力で止めを刺してほしい」 翔一「なるほど……。わかったよ」 ほむら「それじゃあ、私は行くわ。もうあまり時間もないし……。あとは任せるから……」 そう言い残すと、ほむらは地下の薄暗い闇の中へとその姿を消していった。 1人残された翔一は一度深呼吸すると、よしと覚悟を決め、昨日と同じ動作で早速アギトへと変身する。 翔一「変身!」 ほんの一瞬、ショッピングモールの地下が光りに包まれる。 そして、再び闇が地下を覆う頃には、そこには黄金の異形が敵を待ち受ける姿のみがあった。 マミ(……徐々に反応が大きくなってる) マミ(間違いない。やっぱりこのショッピングモールのどこかに結界が……) マミ「……あら?」 さやか「まどか、悪いけどこのままCDショップ付き合ってもらっていい~?」 まどか「いいよ。また上條くんの?」 さやか「へへ……まぁね~」 マミ(見滝原の制服……2年生かしら?) マミ(…………) マミ(私も魔法少女になっていなければ、ああいう普通の学生生活が送れたのかしら……?) そう思った瞬間、はっと我に返る。 マミ(やだ……。今更何考えているのかしら、私……。『あの時』から、そんなもの当に諦めたはずなのに――) 場所は変わってショッピングモール地下のある一通路。 そこでは今、2つの影による壮絶な追走劇が繰り広げられていた。 影の正体のひとつは暁美ほむら。 そして、もうひとつは、ほむらよりも遥かに小さい犬のようにも、猫のようにも見える不思議な白い存在――キュゥべえであった。 追うものは前者、そして終われているのは後者である。 ――そう。ほむらが翔一に言っていた『敵』とは、他でもなくこのキュゥべえであった。 キュゥべえ「!?」 キュゥべえの近くの床が突如として爆発を起こす。 それに吹き飛ばされ、キュゥべえの小さな身体は、まだ改装も終わり切っていないショッピングモールの地下フロアを軽く数十センチメートル程転がり回った。 ほむら「――もう逃がさない……!」 そう呟きながら、じりじりとキュゥべえとの距離を詰めていくほむら。 だが、生命としての本能か、すぐさまキュゥべえも起き上がると再び全速力で逃亡を開始する。 キュゥべえ『助けて――!』 まだ出会ったこともない1人の少女に、届くかどうかもわからぬ助けを求める心の声を上げながら―― アギト「…………」 薄暗い地下に1人佇むアギトは、場の空気が先程までとは変わったことをその身に感じていた。 ほむらが言っていた『敵』がすぐそこまで来ているのだろう。 ならば、こちらも万全の体制をもって、その『敵』に備えなければならない。 アギト「…………!」 昨日の変身の際も見せた、右腕を曲げて肘を前にかざし、左腕を腰の横に引きながら両膝を僅かに曲げて重心をやや下に落とす構え―― アギトの戦闘準備は完全に完了した。 後は、目の前に現れる『敵』に、自身の全身全霊の一撃を叩き込むのみ―― ガシャアアアアアン! アギトの視界に映る一角から土煙が上がる。 それと同時に、彼の目の前に小さな白い存在が姿を現した。 アギト「――!」 アギトはその存在を知っていた。 先日、学校で見かけた謎の生き物―― まさか、こんな愛くるしい存在が、ほむらの言っていた『敵』だというのか――? 無の境地に入っていたはずのアギトに、ほんの一瞬の迷いが生まれる。 だが、すぐさま見かけに惑わされてはならないと己に言い聞かせ、右腕を大きく振り上げ―― ???「止めて!!」 ――振り上げるも、下ろされることはなかった。 突然アギトの背後から響き渡る少女の声。 思わず、アギトも声のした方へと視線を向ける。 そこには、見滝原中学校の制服を見に纏ったツインテールの少女――鹿目まどかの姿があった。 BACK 第2話 Next 第3話 part2
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アルティメット、ドロップ一覧 + 神殿 VR神殿 ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 アラン ガエボルグ [0.47%] ジャスティ-23ST [0.47%] ドラゴンスレイヤー [0.47%] ガエボルグ [0.47%] クロススケア [0.47%] ガエボルグ [0.47%] 勇者のディスカ [0.47%] クロススケア [0.47%] ガエボルグ [0.47%] 勇者のディスカ [0.47%] アラン メラン ヴィクターアクス [0.098%] スタンドスティル [0.03%] フロウウェンの盾 [0.098%] ゴッド/TP [0.06%] 対アンドロイド用ライフル [0.098%] 雷杖「インドラ」 [0.48%] ゴッド/レグス [0.098%] ゴッド/HP [0.06%] カスタムバリアver.00 [0.098%] サイレンスクロー [0.48%] メラン デルディー フレイムビジット [0.095%] ヤスミノコフ2000H [0.095%] マフ [0.47%] サイレンスクロー [0.47%] スピリットガーメント [0.095%] オーラフィールド [0.029%] キュア/スロー [0.095%] ブライトネスサークル [0.029%] サイレンスクロー [0.47%] ヒーロー/アビリティ [0.059%] デルディー エル・ラッピー ファイナルインパクト [1.56%] サプレストガン [0.32%] ジャスティ-23ST [1.56%] サプレストガン [0.32%] サプレストガン [0.32%] スティングティップ [0.32%] サプレストガン [0.32%] エッグパーツ [0.32%] クロススケア [1.56%] DBの剣(3077) [0.009%] エル・ラッピー ラブ・ラッピー アギト(1980) [50%] ゴッド/ラック [87.5%] ハートオブポウム [50%] ラビットウォンド [50%] ゴッド/ラック [50%] ラビットウォンド [50%] ゴッド/ラック [87.5%] 神の吐息 [50%] 神の吐息 [50%] エレクトロフレーム [50%] ラブ・ラッピー オブリリー キュア/ポイズン [0.059%] ジャスティ-23ST [0.47%] ジャスティ-23ST [0.47%] ガエボルグ [0.47%] L K14コンバット [0.095%] 雷杖「インドラ」 [0.47%] ヴィクターアクス [0.095%] ドラゴンスレイヤー [0.47%] フロウウェンの大剣(3084) [0.47%] 勇者のディスカ [0.47%] オブリリー ミルリリー スタンドスティル [50%] カスタムバリアver.00 [87.5%] リジェネレイトギア [50%] ヴィクターアクス [87.5%] ウインドミル [50%] ウインドミル [50%] ウインドミル [50%] オーラフィールド [50%] セキュアフット [50%] キュア/ポイズン [50%] ミルリリー モスバートン ファイナルインパクト [0.063%] ジャスティ-23ST [0.063%] ジャスティ-23ST [0.063%] ガエボルグ [0.063%] L K14コンバット [0.063%] 雷杖「インドラ」 [0.063%] 勇者のディスカ [0.063%] クロススケア [0.063%] ブレイバス [0.063%] L K14コンバット [0.063%] モスバートン ヒルデルト アスカ [0.25%] フロウウェンの大剣(3060) [1.25%] アンシエントセイバー [0.25%] フロウウェンの大剣(3067) [1.25%] カムイ [0.25%] テクニカルクローサー [0.25%] フロウウェンの大剣(3082) [1.25%] ツインブランド [0.25%] アギト(1977) [0.25%] ヴィクターアクス [1.25%] ヒルデルト ヒルデトゥール カムイ [50%] アギト(1983) [87.5%] ゴッド/パワー [50%] ウインドミル [50%] ラビットウォンド [50%] バルディッシュ [50%] ラビットウォンド [50%] ウインドミル [50%] フライトカッター [50%] フライトカッター [37.5%] ヒルデトゥール クリムゾンアサシン ヴィクターアクス [0.13%] 匂う鎧 [0.078%] DBの剣(3064) [0.62%] アンシエントセイバー [0.13%] ヤスミノコフ9000M [0.13%] アングルフィスト [0.62%] ゴッド/テクニック [0.13%] 対アンドロイド用ライフル [0.13%] ツインサイコガン [0.13%] アンシエントセイバー [0.13%] クリムゾンアサシン インディベルラ ツインサイコガン [0.11%] 輝石「ムーラ」 [0.11%] ヤシャ [0.0031%] アングルフィスト [0.55%] サイレンスクロー [0.55%] サイレンスクロー [0.55%] フライトカッター [0.11%] サイレンスクロー [0.55%] ジャスティ-23ST [0.55%] スタンドスティル [0.034%] インディベルラ バルバレイ L&K38コンバット ヘヴンリー/レジスト ツインブランド デロルレの殻 ヘヴンリー/TP デロルレの殻 ツインブランド ヘヴンリー/TP ゴッドハンド ヘヴンリー/HP ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 VR神殿α カラドボルグ ウォルス-MK2 ラストサバイバー ヴィジャヤ H S25ジャスティス 氷杖「ダゴン」 解放者のディスカ ブラッディアート アドスロット 解放者のディスカ VR神殿α VR神殿α メテオスマッシュ - - ゾンデアンプ ゾンデアンプ ゾンデアンプ - ゾンデアンプ - - VR神殿α VR神殿β ヴィジャヤ カラドボルグ カラドボルグ カラドボルグ カラドボルグ ヴィジャヤ カラドボルグ カラドボルグ カラドボルグ カラドボルグ VR神殿β VR神殿β カスタムレイver.00 ブラッディアート ラストサバイバー ヴィジャヤ ブラッディアート 氷杖「ダゴン」 解放者のディスカ ラストサバイバー カスタムレイver.00 解放者のディスカ VR神殿β VR神殿β メテオスマッシュ カスタムレイver.00 カスタムレイver.00 カスタムレイver.00 カスタムレイver.00 バータアンプ カスタムレイver.00 ブラッディアート アダマンの杖 カスタムレイver.00 VR神殿β VR神殿β バータアンプ ウォルス-MK2 ウォルス-MK2 アダマンの杖 H S25ジャスティス - アダマンの杖 カスタムレイver.00 レッドバリア H S25ジャスティス VR神殿β VR神殿β - アダマンの杖 アダマンの杖 ブレイブハンマー アダマンの杖 - アシストバリア アダマンの杖 - アダマンの杖 VR神殿β ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 + 宇宙船 VR宇宙船 |ID| 深緑 | 黄緑 | 空 | 青 | 紫 | 桃 | 赤 | 橙 | 黄 |白|ギルチッチ ファイナルインパクト [0.47%] クロススケア [0.47%] ドラゴンスレイヤー [0.47%] ギルティライト [0.47%] L K14コンバット [0.47%] ガエボルグ [0.47%] エレクトロフレーム [0.095%] スティングティップ [0.095%] ガエボルグ [0.47%] L K14コンバット [0.47%] ギルチッチ ダブチッチ ガエボルグ [0.82%] ジャスティ-23ST [0.47%] チェインソード [0.095%] アライブアクゥー [0.47%] L K14コンバット [0.47%] 雷杖「インドラ」 [0.47%] 輝石「ムーラ」 [0.095%] セキュアフット [0.029%] ドラゴンスレイヤー [0.82%] 勇者のディスカ [0.47%] ダブチッチ グルグス ファイナルインパクト [0.47%] クロススケア [0.47%] ドラゴンスレイヤー [0.47%] アライブアクゥー [0.47%] L K14コンバット [0.47%] 雷杖「インドラ」 [0.47%] アギト(1977) [0.095%] フロウウェンの盾 [0.095%] アンシエントセイバー [0.095%] ゴッド/レグス [0.059%] グルグス グルグス・グー フロウウェンの盾 [0.095%] HP/リバイバル [0.059%] ヴィクターアクス [0.095%] サプレストガン [0.095%] ゴッド/レグス [0.059%] ゴッド/アビリティ [0.059%] アギト(1980) [0.095%] アンシエントセイバー [0.095%] ゴッド/レグス [0.059%] L K14コンバット [0.47%] グルグス・グー パンアームズ サプレストガン [0.16%] エッグパーツ [0.16%] スティングティップ [0.78%] スティングティップ [0.78%] スティングティップ [0.78%] 雷杖「インドラ」 [0.78%] アルティメットフレーム [0.16%] ヴィクターアクス [0.78%] パーフェクト/レジスト [0.16%] 勇者のディスカ [1.37%] パンアームズ ミギウム バルディッシュ [0.14%] ツインサイコガン [0.14%] アギト(1975) [0.004%] マフ [0.7%] 輝石「ムーラ」 [0.14%] 対アンドロイド用ライフル [0.14%] 勇者のディスカ [1.23%] ゴッドハンド [0.14%] 勇者のディスカ [1.23%] アングルフィスト [1.23%] ミギウム ヒドゥーム ゴッド/アーム [0.088%] カムイ [0.14%] コンバットギア [0.7%] 輝石「ムーラ」 [0.14%] ヤスミノコフ2000H [0.14%] 輝石「ムーラ」 [0.14%] PB/クリエイト [0.14%] ヤスミノコフ2000H [0.14%] ヤスミノコフ2000H [0.14%] ヤスミノコフ2000H [0.14%] ヒドゥーム グランソーサラー ブライトネスサークル [0.024%] グリーニルカード [0.0023%] マフ [0.39%] デビル/テクニック [0.079%] ツインサイコガン [0.079%] ゴッド/TP [0.049%] レッドリアカード [0.0023%] ラビットウォンド [0.079%] ブライトネスサークル [0.024%] スティングティップ [0.39%] グランソーサラー デルセイバー アギト(1977) [0.079%] 短銃「ガルド」 [0.0023%] フライトカッター [0.079%] フロウウェンの盾 [0.079%] アギト(1980) [0.079%] 雷杖「インドラ」 [0.39%] フロウウェンの盾 [0.079%] DBの剣(3070) [0.39%] 輝石「ムーラ」 [0.079%] セキュアフット [0.024%] デルセイバー バランゾ パンツァーファースト [0.16%] パンツァーファースト [0.16%] エッグパーツ [0.78%] リジェネレイトギア [0.78%] パンツァーファースト [0.16%] エッグパーツ [0.16%] パンツァーファースト [0.16%] パンツァーファースト [0.16%] エッグパーツ [0.16%] ツインサイコガン [0.16%] バランゾ ゴル・ドラゴン ゴッドハンド メーザービーム メーザービーム メーザービーム フォトンメーザー 迅雷 メーザービーム 土杖ブラウニー ヘヴンリー/HP 灼炎鳳牙 ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 VR宇宙船α アダマンの杖 ウォルス-MK2 ラストサバイバー ヴィジャヤ H S25ジャスティス 氷杖「ダゴン」 解放者のディスカ ブラッディアート レッドバリア 解放者のディスカ VR宇宙船α VR宇宙船α メテオスマッシュ - - - - フォイエアンプ - アドスロット アドスロット ブルーバリア VR宇宙船α VR宇宙船α - - - - - - - - - フォイエアンプ VR宇宙船α VR宇宙船β デュランダル ウォルス-MK2 ラストサバイバー ヴィジャヤ H S25ジャスティス 氷杖「ダゴン」 解放者のディスカ ブラッディアート - 解放者のディスカ VR宇宙船β VR宇宙船β メテオスマッシュ - - - - ギバータアンプ - - - - VR宇宙船β ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 + 中央管理区 中央管理区 ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 メリルリア 匂う鎧 [0.059%] ジャスティ-23ST [0.47%] スタッグカットラリ [0.47%] ガエボルグ [0.47%] クロススケア [0.47%] ピンカルカード [0.0027%] アギト(1991) [0.095%] クロススケア [0.47%] 雷杖「インドラ」 [0.47%] L K14コンバット [0.47%] メリルリア メリルタス キュア/ショック [0.068%] アスカ [0.11%] ヤツデ [0.11%] フロウウェンの鎧 [0.11%] アトリビュートウォル [0.11%] ヤツデ [0.11%] ハッパ [0.11%] ドラゴンスレイヤー [0.55%] ファイナルインパクト [0.55%] ヤツデ [0.11%] メリルタス メリカロル マダムノアマガサ [0.25%] ハッパ [0.25%] ニョイボウ [0.25%] 神の吐息 [0.25%] ヘブンパニッシャー [0.0072%] アスカ [0.25%] アスカ [0.25%] アスカ [0.25%] アスカ [0.25%] アスカ [1.25%] メリカロル メリクル ソウルバニッシュ [0.25%] バルディッシュ [0.25%] バルディッシュ [0.25%] 迅雷 [0.25%] 迅雷 [0.25%] 神の吐息 [0.25%] ツインブレイズ [0.25%] キュア/フリーズ [0.25%] ツインブレイズ [0.25%] ニョイボウ [0.25%] メリクル メリキュス 対アンドロイド用ライフル [0.25%] レッドスコルピオ [0.25%] ヤスミノコフ7000V [0.25%] バルディッシュ [0.25%] アギト(1975) [0.078%] レッドスコルピオ [0.25%] レッドスコルピオ [0.25%] レッドスコルピオ [0.25%] ニョイボウ [0.25%] レッドスコルピオ [1.25%] メリキュス ウル・ギボン ファイナルインパクト [0.47%] ジャスティ-23ST [0.47%] ドラゴンスレイヤー [0.47%] ブルーフルカード [0.0027%] クロススケア [0.47%] ハッパ [0.095%] スタッグカットラリ [0.47%] クロススケア [0.47%] PB/クリエイト [0.059%] 勇者のディスカ [0.47%] ウル・ギボン ゾル・ギボン エレクトロフレーム [0.034%] セキュアフット [0.034%] HP/リバイバル [0.068%] アギト(1983) [0.11%] アギト(1983) [0.11%] セキュアフット [0.034%] ブライトネスサークル [0.047%] ドラゴンスレイヤー [0.55%] スピリットガーメント [0.068%] 勇者のディスカ [0.55%] ゾル・ギボン ギブルス マダムノヒガサ [0.0072%] エンジェルハープ [0.0072%] 迅雷 [0.25%] マダムノアマガサ [0.25%] ゴッド/アビリティ [0.25%] マダムノアマガサ [0.25%] ゴッド/バトル [0.25%] サイコウォンド [0.0072%] ラヴィス=カノン [0.0072%] ラヴィス=カノン [0.0072%] ギブルス ギー ヤツデ [0.095%] キュア/スロー [0.059%] ジャスティ-23ST [0.47%] アライブアクゥー [0.47%] L K14コンバット [0.095%] ガエボルグ [0.47%] ハッパ [0.47%] ドラゴンスレイヤー [0.47%] ファイナルインパクト [0.47%] ヤツデ [0.47%] ギー ギ・グー ギ・グーの腹部 [0.25%] ギ・グーの腹部 [0.25%] 封印ノダチ [0.0072%] ハッパ [1.25%] ギ・グーの腹部 [0.25%] ギ・グーの腹部 [0.25%] ギ・グーの腹部 [0.25%] ギ・グーの腹部 [0.25%] ギ・グーの腹部 [0.25%] ギ・グーの腹部 [0.25%] ギ・グー シノワベリル スティングティップ [0.13%] シノワベリルの両手 [0.13%] シノワベリルの両手 [0.13%] シノワベリルの両手 [0.13%] シノワベリルの両手 [0.13%] シノワベリルの両手 [0.13%] シノワベリルの両手 [0.13%] フライトカッター [0.13%] シノワベリルの両手 [0.13%] マフ [0.62%] シノワベリル シノワスピゲル アギト(1983) [0.14%] ヤスミノコフ3000R [0.14%] ヘブンパニッシャー [0.004%] エレクトロフレーム [0.044%] カスタムバリアver.00 [0.14%] ソウルバニッシュ [0.14%] ソウルバニッシュ [0.14%] トリポリックシールド [0.044%] スタッグカットラリ [0.7%] ツインブランド [0.7%] シノワスピゲル ガルグリフォン 匂う盾 ガルグリフォンの羽 ゴッドハンド ガルグリフォンの羽 ガルグリフォンの羽 ヘヴンリー/HP ガルグリフォンの羽 ガルグリフォンの羽 ガラティーン ヘヴンリー/TP |ID| 深緑 | 黄緑 | 空 | 青 | 紫 | 桃 | 赤 | 橙 | 黄 |白|中央管理区密林地区北 ヴィジャヤ デュランダル デュランダル デュランダル デュランダル ヴィジャヤ デュランダル デュランダル デュランダル デュランダル 中央管理区密林地区北 中央管理区密林地区北 ブレイバス ブラッディアート ドラゴンスレイヤー ガエボルグ ブラッディアート 雷杖「インドラ」 勇者のディスカ ラストサバイバー ブレイバス 勇者のディスカ 中央管理区密林地区北 中央管理区密林地区北 ファイナルインパクト ブレイバス ブレイバス ブレイバス ブレイバス レッドバリア ブレイバス クロススケア ズミウランの杖 ブレイバス 中央管理区密林地区北 中央管理区密林地区北 - ジャスティ-23ST ウォルス-MK2 ズミウランの杖 L K14コンバット ギゾンデアンプ ズミウランの杖 ブレイバス レッドバリア H S25ジャスティス 中央管理区密林地区北 中央管理区密林地区北 - ズミウランの杖 ズミウランの杖 ブレイブハンマー ズミウランの杖 - レッドバリア ズミウランの杖 アドスロット ズミウランの杖 中央管理区密林地区北 中央管理区密林地区北 - - レッドバリア - - - - - - レッドバリア 中央管理区密林地区北 中央管理区密林地区東 デュランダル ジャスティ-23ST ドラゴンスレイヤー ガエボルグ L K14コンバット 雷杖「インドラ」 勇者のディスカ クロススケア イエローバリア 勇者のディスカ 中央管理区密林地区東 中央管理区密林地区東 ファイナルインパクト - - イエローバリア イエローバリア イエローバリア イエローバリア イエローバリア - - 中央管理区密林地区東 中央管理区密林地区東 アドスロット - - - - ギフォイエアンプ - - - - 中央管理区密林地区東 中央管理区高山地区 ヴィジャヤ デュランダル デュランダル デュランダル デュランダル ヴィジャヤ デュランダル デュランダル デュランダル デュランダル 中央管理区高山地区 中央管理区高山地区 ブレイバス ブラッディアート ドラゴンスレイヤー ガエボルグ ブラッディアート 雷杖「インドラ」 勇者のディスカ ラストサバイバー ブレイバス 勇者のディスカ 中央管理区高山地区 中央管理区高山地区 ファイナルインパクト ブレイバス ブレイバス ブレイバス ブレイバス ラゾンデアンプ ブレイバス クロススケア ズミウランの杖 ブレイバス 中央管理区高山地区 中央管理区高山地区 - ジャスティ-23ST ウォルス-MK2 ズミウランの杖 L K14コンバット - ズミウランの杖 ブレイバス - H S25ジャスティス 中央管理区高山地区 中央管理区高山地区 - ズミウランの杖 ズミウランの杖 ブレイブハンマー ズミウランの杖 - - ズミウランの杖 - ズミウランの杖 中央管理区高山地区 中央管理区高山地区 - アドスロット - - - - - - - - 中央管理区高山地区 中央管理区海岸地区 ファイナルインパクト ジャスティ-23ST ドラゴンスレイヤー ガエボルグ L K14コンバット ブルーバリア 勇者のディスカ クロススケア ブルーバリア 勇者のディスカ 中央管理区海岸地区 中央管理区海岸地区 ズミウランの杖 ブルーバリア アドスロット - - ラバータアンプ ブルーバリア - ブルーアンプ - 中央管理区海岸地区 中央管理区海岸地区 ブルーバリア ブルーアンプ - - - ブルーアンプ ブルーアンプ - - - 中央管理区海岸地区 ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 + プラント プラント ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 ドルムオルム サイレンスクロー [0.47%] クロススケア [0.47%] キュア/パラライズ [0.059%] ヤツデ [0.095%] L K14コンバット [0.47%] ガエボルグ [0.47%] ニョイボウ [0.095%] ドラゴンスレイヤー [0.47%] L K14コンバット [0.47%] スピリットガーメント [0.095%] ドルムオルム ドルムダール ギルティライト [0.55%] マフ [0.55%] スタンドスティル [0.034%] インペリアルピック [0.11%] DBの剣(3067) [0.0031%] 雷杖「インドラ」 [0.55%] パーフェクト/レジスト [0.11%] TP/リバイバル [0.068%] 匂う鎧 [0.11%] 匂う鎧 [0.11%] ドルムダール レコン メーザービーム [0.0110%] ジャスティ-23ST [0.16%] ギルティライト [0.032%] ツインブランド [0.0110%] L K14コンバット [0.032%] 雷杖「インドラ」 [0.032%] - [0%] - [0%] ギルティライト [0.032%] L K14コンバット [0.032%] レコン シノワゾア アギト(1991) [0.095%] 対アンドロイド用ライフル [0.095%] サイレンスクロー [0.47%] セキュアフット [0.029%] アギト(1991) [0.095%] フロウウェンの大剣(3077) [0.0027%] アノライフル [0.095%] ツインチャクラム [0.095%] ザンバ [0.095%] 勇者のディスカ [0.47%] シノワゾア シノワゼレ ヤスミノコフ2000H [0.11%] ヤスミノコフ7000V [0.11%] ザンバ [0.11%] ザンバ [0.11%] ヤスミノコフ7000V [0.11%] サイコウォンド [0.00032%] ヘブンパニッシャー [0.00032%] ザンバ [0.11%] ヒトガタ [0.11%] ヤミガラス [0.11%] シノワゼレ モルフォス セキュアフット [0.039%] ラヴィス=カノン [0.0036%] ツインブレイズ [0.13%] TP/リバイバル [0.078%] トリポリックシールド [0.039%] トリポリックシールド [0.039%] 匂う鎧 [0.13%] スタンドスティル [0.038%] ヤスミノコフ7000V [0.13%] 扇舞 [0.13%] モルフォス デルデプス ヤミガラス [0.13%] オーラフィールド [0.039%] ブライトネスサークル [0.039%] ソウルバニッシュ [0.13%] エレクトロフレーム [0.039%] デビル/テクニック [0.078%] オーラフィールド [0.054%] ファルクロー [0.13%] イエローブーズカード [0.0036%] ギルティライト [0.62%] デルデプス デルバイツァ サイコウォンド [0.00072%] ヘブンパニッシャー [0.00072%] ソウルバニッシュ [0.25%] サイコウォンド [0.0072%] 神の吐息 [0.25%] ヒトガタ [0.25%] ヒトガタ [0.25%] ヘブンパニッシャー [0.00072%] マダムノアマガサ [0.25%] ファルクロー [0.25%] デルバイツァ オルガフロウ 侵食遺伝子フロウ Dフォトンコア Dフォトンコア 侵食遺伝子フロウ 侵食遺伝子フロウ 侵食遺伝子フロウ Dフォトンコア 侵食遺伝子フロウ 侵食遺伝子フロウ Dフォトンコア ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 プラント上層 デュランダル ジャスティ-23ST ドラゴンスレイヤー ガエボルグ L K14コンバット 雷杖「インドラ」 勇者のディスカ クロススケア レッドアンプ 勇者のディスカ プラント上層 プラント上層 ファイナルインパクト - レッドアンプ アドスロット - ラフォイエアンプ レッドアンプ - アドスロット - プラント上層 プラント上層 ズミウランの杖 - - - - レッドアンプ - - - - プラント上層 プラント下層 ガエボルグ デュランダル デュランダル デュランダル デュランダル ガエボルグ デュランダル デュランダル デュランダル デュランダル プラント下層 プラント下層 ブレイバス クロススケア ドラゴンスレイヤー ガエボルグ クロススケア 雷杖「インドラ」 勇者のディスカ ドラゴンスレイヤー ブレイバス 勇者のディスカ プラント下層 プラント下層 ファイナルインパクト ブレイバス ブレイバス ブレイバス ブレイバス イエローアンプ ブレイバス クロススケア ズミウランの杖 ブレイバス プラント下層 プラント下層 ズミウランの杖 ジャスティ-23ST ジャスティ-23ST ズミウランの杖 L K14コンバット - ズミウランの杖 ブレイバス イエローアンプ L K14コンバット プラント下層 プラント下層 - ズミウランの杖 ズミウランの杖 アライブアクゥー ズミウランの杖 - イエローアンプ ズミウランの杖 - ズミウランの杖 プラント下層 プラント下層 - - - - アドスロット - - - - - プラント下層 ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 + 管理塔 管理塔 ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 イル・ギル ネイクロー [0.009%] フレイムガーメント [0.097%] ヤミガラス [0.32%] デモニックフォーク [0.32%] デモニックフォーク [0.32%] デモニックフォーク [0.32%] トリポリックシールド [0.32%] デモニックフォーク [0.32%] ヤミガラス [0.32%] ヤミガラス [0.32%] イル・ギル デルリリー 真瑚経書 [0.009%] クロススケア [1.56%] ドラゴンスレイヤー [1.56%] ヒトガタ [0.32%] ヒトガタ [0.32%] ハートオブポウム [0.32%] スタンドスティル [0.32%] ヒトガタ [0.32%] ハートオブポウム [0.32%] サイコウォンド [0.0009%] デルリリー イプシロン ファイナルインパクト [1.56%] アノライフル [0.32%] ファルクロー [0.32%] アギト(1980) [0.32%] ファルクロー [0.32%] ファルクロー [0.32%] セキュアフット [0.32%] アノライフル [0.32%] ズミウランの杖 [1.56%] ファルクロー [0.32%] イプシロン ID 深緑 黄緑 空 青 紫 桃 赤 橙 黄 白 コメント 名前 コメント
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Bを取り戻せ/切り札は俺の手に ◆.ji0E9MT9g ◆ 「……やった、んでしょうか」 「ううん、多分まだだよ。当たったけど、浅かったから」 アギトとカブト、二人の仮面ライダーは、肩で呼吸をしながら再び合流し未だ緊張を緩めぬままにそう呟く。 先ほどキックの寸前にブレイドの身体から光が放たれたのは、その鎧に備わった能力、マグネットの斥力を使用したためのものだ。 完全に合わせるようにして放たれた一撃も、それにより少しばかり間合いを外し彼を戦闘不能にするには至らなかった。 しかしこれまでに与えたダメージを考えれば或いは、とそんな希望を抱きかけたその瞬間。 彼らの身体に、闇が到来する。 「ぐわああぁぁ!?」 この戦いで受けた全てのダメージを帳消しにするかのようなその衝撃に思わず声を上げながら、二人は吹き飛ぶ。 これはまさか、と起き上がりその視線を闇の先に伸ばしたその時、それはその闇の中でも激しく主張する白をしていることを把握した。 「アハハ、アハハハハハ!!!本当に凄いね、仮面ライダー。キングフォームを倒しちゃうなんてさ。……でもあれはただの遊び。ここからが本当の究極の闇、だよ」 言いながら現れたその影が発する声は、紛れもなく先ほどまでブレイドに変じていたダグバのもの。 先ほどのキングフォームが可愛く思えるような威圧を持って立ち上がったその姿に、彼の言葉が嘘ではないことを身を以て実感しつつ、しかし彼らは立ち上がる。 もう誰もこんな奴に傷つけさせない、ただそれだけの行動理由さえあれば、彼らはいつまでも戦えるのだ。 「ハイパークロックアッ――」 「――させないよ」 強敵の登場に自身もその切り札を再度切ろうと腰に手を伸ばしたカブトに対し、ダグバは何の能力も使用していないというのにクロックアップ並の速度で以て肉薄する。 ダメージを一切感じさせないようなその動きに元々スピードの劣る今のアギトが対応仕切れぬ中、カブトは油断なくその手を腰からザンバットソードに移し替えて。 ――瞬間、二人の距離はゼロになる。 しかし、ザンバットソードという間合いの有利があってなお、そんなものは関係ないとばかりにダグバはその刃を左手で掴み取りその右拳をカブトに容赦なく叩きつけた。 オオヒヒイロノカネの硬度が無視されまるでただの鉄のようにひしゃげるのを見やりつつ、カブトはしかしその左ストレートを叩き込む。 それは確かにダグバの身体に着弾したが……しかしその身体はもう揺らぐことすらなかった。 「なッ……!?」 「ふふ、パンチって言うのはね……こうやるんだよ!」 左手に抑えているザンバットの刃をかなぐり捨てながら、ダグバはその拳をカブトに再度叩きつける。 今度は一撃ではない、ハイパーフォームのカブトにすら一切の対処を許さないスピードで、一瞬の間に数十発の拳が一気にその身体を蹂躙していた。 「――やめろッ!」 ことここに至ってようやくその二人の間に割り込む形でその場に現れたのはアギト、パワーに優れるその拳で、しかしダグバの拳を受け止めるのが精一杯という様子ながら、何とかカブトから彼を引き剥がす。 しかしアギトと拳のぶつけ合いになるのは些か分が悪いと判断したのかダグバは一瞬で後方に退き、その代わりとばかりにその掌から闇を照射する。 暗黒掌波動、究極を超えた今のダグバになら問題なく使用できるその力がアギトと、その後方にいるカブトの身体から際限なく火花を散らさせた。 ダグバの響く笑い声をその耳に焼き付けながら、二人の戦士は膝をつく。 この本当の戦いとやらが始まってまだ数秒だというのに、こちらの戦力はもう削られ切っている。 アギトのパワーは奴には通用しないし、頼みの綱のハイパークロックアップも、今の状況では使う前にダグバに押し切られてしまう。 ――これが、グロンギ最強の力か。 自分たちが想定していたそれより遙かに強いその実力にどうしようもない認識の甘さを痛感しながら、二人はそれでも立ち上がろうとする。 しかし敵も、それをすんなりさせるほど生易しくはない。 「じゃあね、仮面ライダー。楽しめたけど、これで終わりだよ」 弱り切った彼らに止めを刺すために、その掌に闇を集めて。 「――ちょっと待ちな。一人、忘れてるぜ。そいつらの仲間をな」 後方から聞こえてきた、キザな声にその身体を翻す。 聞き覚えのあるその声に誰もが注目する中、この場の緊張を理解した上でなお男はそのお気に入りの帽子をクイッと上げて、キザにはにかんでみせる。 その姿に、同時に誰もが驚愕した。 「翔太郎!?」 それは、この場で初めて戦いから離脱することとなった左翔太郎、その人であったのだから。 しかし総司のあげるその声は、決して仲間の無事を喜ぶだけのものではない。 今の翔太郎は、何一つ変身手段を持っていないはず。 それを踏まえて考えれば、生身で今のダグバの前に立つことは無謀としか言い様がない。 どころか、恐らく彼の変身するジョーカー程度であれば一瞬でその身体を消し炭にすることすら可能だろう……と再び立ち上がった仲間に対し、総司は不謹慎にも思う。 「君……何しに来たの?あんなに弱かったのに、僕の楽しみの邪魔しないでよ」 それをダグバも理解しているのか、クスクスと笑いながら、しかし邪魔者として彼を排除しようとする。 その闇が集う掌を向けられながら、しかし翔太郎はその表情を恐怖に染めることはせず。 「無茶だ翔太郎、早く逃げて!」 「ここは俺たちに任せて、早く!」 カブトとアギトが、叫ぶ。 自分たちの体力回復の為にその身を張っているのだとしたら、それは自分たちの望むことではない。 捨て身の戦法をとった彼に対し絶叫する二人に対し、しかし翔太郎は笑う。 それはいつもの彼の余裕を表したような笑みで……決してハッタリには見えなかった。 しかしその一切を無視して、戦いが出来ないなら意味がないとばかりにダグバはその闇を彼に照射する。 それは神速の勢いで以て翔太郎に肉薄し、彼を一瞬で闇に包み込んだ。 「翔太郎ぉぉぉぉ!!!!」 総司の絶叫が響く中、ダグバは笑う。 これで、一人減った。 もしこれで彼らが怒ってくれるなら、もっと楽しめるかもしれない。 事実先ほどまでずっと膝をついていた二人が再度立ち上がっているのだから、それも間違いではないのだろう。 では、改めて楽しいゲゲルを続けよう、とその足を進めようとして。 「――よぉ、ダグバ」 後方から、聞こえるはずのない声が聞こえてきたために、思わず振り返ろうとして、その頬を大きく殴りつけられる。 自身の身体を吹き飛ばしたその腕が見覚えのある金色をしていることに驚愕の声を漏らしながら、ダグバの身体は遂に地を舐め。 「翔太郎、まさか、それって……!」 「あぁ、そのまさかさ」 全身に刻まれた幾つものタペストリー、金色に輝く鎧、スペードの意匠を刻んだそのマスク。 その手に生じた大剣も、今はこれ以上なく心強く見える。 そう、それは先ほどまで悪魔が纏う最悪の敵として君臨していた仮面ライダーブレイドキングフォーム、その勇士が、今正義の名の下に再び降臨した姿であった。 ◆ 時間は数十秒前に遡る。 ダグバの変じたブレイド、その圧倒的な力に敗れ去ったジョーカー、左翔太郎は、その意識を彼方に飛ばしてしまっていた。 或いはそのままであれば、先ほどの紅音也を失った戦いのときのように戦いが終わってからその意識を取り戻し仲間の死に涙する、という展開もあり得たかもしれない。 しかし、今回はとある事情が異なっていた。 「痛ッ――」 突如、その頭に何か金属の塊が到来した。 強く頭にぶつかったそれは、今翔太郎の意識を彼方より呼び戻し、覚醒させる。 「んだよ、ったく。って、俺は一体何して――」 何事が起きたのか、事情を把握しきれぬままに起き上がり辺りを見渡して、翔太郎はすぐに自分が何故ここにいるのかを思い出す。 「そうだ……、ダグバがブレイドに変身して、それで俺は……」 あの時、総司を叩きのめしブレイドの鎧を玩具と嗤ったダグバに怒りを覚え感情に任せ飛び込んだ後……その圧倒的な実力の差に自分はやられたのだ。 音也のときも同じようなことをやったというのに全く俺は半人前だ、と自己嫌悪に至りかけて、今はそんな状況ではないことを思い出す。 「総司、翔一、無事でいろよ……!」 未だ戦いの音が辺りに響いている。 例え変身できなくても自分に出来る何かをするために、例え何も出来なくても仲間のためにその熾烈を極める戦地に赴こうとその足を動かそうとして。 「――ん?」 瞬間、カツリ、とその爪先にぶつかる“何か”に気を取られる。 そう言えば、自分が目覚めたのも何かが頭にぶつかったからだった、と未だ鈍く痛む頭を抑えながら暗闇の中からそれを拾い上げる。 そしてその瞬間、彼にはそれが何なのか、一瞬で理解できた。 「これは、ブレイドの……!」 そう、それはブレイバックル。 辺りに13枚ものスペードのカードも散らばっていることを思えば、どうやら総司と翔一はあのブレイドを打ち破ったらしい。 その功績に思わず跳ね上がりそうになって、しかし今はそれよりも大事なことがあるとそれらを全て拾い上げた。 「剣崎……お前も、あんな奴に自分の力が使われて辛かったんだよな」 ふと思わず、翔太郎はそれに声をかけていた。 この殺し合いに反逆し、そして最後は殺し合いに乗っていた総司の手によってその生を終わらせた、剣崎一真。 彼には直接出会ったことこそないが、彼を大事に思っていた相川始によって、また彼を殺した総司の苦悩によって、その人となりは痛いほど伝わってきた。 それは、自分も見習わなくてはいけないほどの、正義の仮面ライダー像。 この戦いの最中ダグバにその男の鎧が良いようにされていることに、どれほどの憤りを覚えたか。 それを今論じはしないが、しかし彼がダグバなどという非道の手に渡ってまで総司に復讐を誓うような、そんな男ではないことは、既に知っていた。 いやむしろ、今ここにこうしてその力があるということは、その逆。 俺の身体を使って、正義に生きる覚悟を見せた総司を救って見せろ、という彼の言葉なのだろう。 或いはそれは、剣崎の友である相川始に騙され仲間を殺された自分に彼に対する処遇を委ねる為の意味も含まれているのかもしれないが――。 ともかく、今自分に求められているのは、剣崎が願ったのは、あの悪魔を打ち倒すこと。 それだけは、確かだった。 その思いと共に駆け出せば、案外すぐ近くに彼らはいた。 「じゃあね、仮面ライダー。楽しめたけど、これで終わりだよ」 自分も見たことのないほどの威圧を誇る新たな異形が自分のよく知る声を発したことで、翔太郎はそれの正体を察する。 しかし、問題はない。 今の自分の手には“切り札”があるのだ、ダグバを倒す為だけのものではない、この殺し合いの運命を変えるための、切り札が。 「――ちょっと待ちな。一人、忘れてるぜ。そいつらの仲間をな」 そうして、彼は切り出した。 目の前の悪魔に弄ばれた分だけ、その鎧を正義に生かすために使うと、戦えない誰かの為に自分が彼らの盾になるために。 ――ダグバの掌から発生した凄まじい闇の塊をバックルから生じた金色のエネルギーの盾で凌ぎながら、翔太郎はそれに向けて歩み出す。 自分こそが今この惨劇の運命を変えられるジョーカー(切り札)なのだ、とそう確信して。 ◆ 「悪かったな、遅くなっちまって」 「ううん、信じてたから、翔太郎のこと」 キングフォームの鎧を纏ったままカブトに手を差し伸べるブレイドに、総司はその手を取り立ち上がりながらそう返す。 同じくアギトも立ち上がり、今剣崎一真という正義の仮面ライダーの鎧を自分たちの元に取り戻せたことに、三者共に喜びを隠せない様子であった。 しかし、そんな空気に、水を差すものが一人いる。 「それ、僕のだよ。返してよ」 「――お前のだと?」 ダグバだ、子供のような言い草でむすくれているような声を上げた彼に、しかしブレイドは肩を怒らせる。 「――違ぇな。これは剣崎一真って仮面ライダーのもんで……俺たち仮面ライダーに繋がれてきた、剣崎からのバトンなんだよ!てめぇなんかにはもう二度と触らせやしねえよ」 「……ふぅん」 熱く告げたブレイドに対し、ダグバはしかし興味深げに呟く。 それに秘められた感情が何なのか、彼らにはわからなかったが……しかし、分かる必要もないと思った。 今ここで、自分たちがこいつを倒すのだから。 そうして並び立ったカブトとブレイドの前に一歩進み出るは、アギトである。 「――ダグバ、お前は誰かが犠牲になったときに俺たちが強くなる、そう言った。でも、それは違う。俺たちは仲間と一緒に戦って、誰かを守るために強くなるんだ。それを今から俺が証明してみせる!」 言葉と共にアギトはその手を胸の前でクロスさせる。 そのまま再び腰のオルタリングを叩けば、その身体は突如光を放ち出した。 パラパラと今まで彼の身体を強固にしていた体表が剥がれていったかと思えば、その下より白銀の新たな鎧が生み出される。 ――仮面ライダーアギト、シャイニングフォーム。 今までは陽の光なくして変身できなかったその形態。 しかしこの場で多くの仮面ライダーと触れ合い、そして今この場でダグバという、今までの敵を大きく超えるような存在と戦い急速にその身体が進化を促したことによって、翔一は今この闇夜の中で一際輝く白銀の鎧を纏うに至ったのだ。 アギト自身が人類の進化の化身である以上、彼が望み、そして環境がそれを促せば翔一の身体がこうして進化するのは、いわば必然でもあった。 それぞれの最強の形態に変じ思いを新たに大きく構えるアギト、ブレイド、カブト。 それに対するは究極を超えた悪魔、ン・ダグバ・ゼバ。 彼らの戦いは、今ようやく佳境にさしかかろうとしていた。 ◆ 「ハアァッ!!」 かけ声と共に先ほどと形状を変え双剣と化したシャイニングカリバーで以てダグバに斬りかかるのは、白銀のアギト。 それをダグバは難なく躱すが、しかしその先に待っているのはザンバットソードを構えたカブト。 今度は躱しきれずその手で受け止め何とかやり過ごそうとするが、それをブレイドのキングラウザーが許さない。 この身を貫きかねないその刃を、身を捩り掠らせる程度で凌いで、ダグバは大きく後方に飛んだ。 ――強い。 ダグバが抱いた感情は、最早それに尽きる。 先ほどまで戦い強さを認識していたカブトも、先の形態より一撃一撃は軽いものの先を大きく超えるスピードでそれを補うアギトも、黒い仮面ライダーであった時の弱さが嘘のような動きを見せるブレイドも。 どれもがこの場で遭遇したことのないほど凄まじい実力を誇り、或いは理性を保ちその力を振るっていることを思えばクウガよりずっと戦いにくい相手であった。 しかし今のこの万全とはほど遠い体調で、さっきまでの自分なら敗北しただろうこの三人の仮面ライダーを前にしてもなお、ダグバは笑顔を絶やさない。 何故なら今の彼は既にセッティングアルティメット……究極を超えた究極に相応しい実力を持っているのだから。 そんな中、カブトの手が再度ハイパーゼクターに伸びているのを見て、ダグバは突貫する。 流石に今の自分でもあのスピードは目で追うのが精一杯だろう。 あれを許せば自身の敗色は濃厚になってしまう、とそれを防ぐため駆け出した彼に、アギトが立ちはだかる。 気合いと共に放たれた拳を受け止め片手でいなすが、しかしもうダグバに残された時間はなかった。 ――HYPER CLOCK UP 既に、必殺の切り札は切られていたのだから。 ――この戦いで既に三度使用した最強の能力によりもたらされる周囲との時間感覚のズレにようやく慣れながら、カブトはその足をダグバへと進める。 今回で、終わらせる。 剣崎の悲劇も、ダグバが翳した悪夢も、これで終わりなのだ。 そうして必殺技の準備を済ませながら走るカブトがふと前を見やると、ダグバが闇を照射してきていた。 つまり、奴はこの速度にある自分を感覚で捉え攻撃してきたのだ。 本当に恐ろしい敵だ、と感じながら、ハイパークロックアップの最中であるというのに容赦なくこの身に降りかかろうとしたそれをしかし危なげなく回避し、カブトは進む。 後数秒、残った時間で問題なくダグバを仕留めることが出来ると思い――。 背筋を、ゾッとするものが這いずっていく感覚を覚えた。 正体は掴めぬまま、何か恐ろしい思考に支配された彼は、振り返る。 そう、振り返り、見て、そして理解してしまった。 自身が回避した闇が、後間もなくで自身の後ろに直線上にいたブレイドに到達するということを。 それを見た途端、カブトはダグバから踵を返しブレイドの下へ……先ほど完全に回避した闇の下へと向かう。 それは彼にとって、しなくてはいけないことだったから。 翔太郎という仲間を守ること、もそうだが、今はそれ以上に。 (もう……僕のせいでブレイドが倒れるのは嫌だ!) 翔太郎が纏っている鎧、仮面ライダーブレイド。 自分が死なせてしまったその装着者、剣崎一真の分まで戦う覚悟を決めたのだ、もう二度と自分の手が届くところでブレイドが倒されるところを見たくなかった。 だから、闇に向けて剣を立て付け、絶叫する。 ブレイドを守るために、自身が死なせてしまった存在を、二度と殺させぬ為に。 ――HYPER CLOCK OVER 瞬間、世界は通常の時間を流れさせる。 聞こえてくるのは、ダグバの愉悦、仲間たちの驚愕の声。 彼らには悪いことをしたとも思うが、しかしそれ以上に自分が仮面ライダーとしてようやく誰かを守れた自覚があった。 これが僕のなりたかった仮面ライダーだ、と考えるより早く、闇がその鎧に到達して。 それが晴れたとき、総司の身体は生身を晒しその膝を地についたのであった。 「――総司ィィィィ!!!」 翔太郎が、絶叫する。 突然自分の前に闇が迫ったかと思えば、それを総司が受け止めていた。 未だ使い方になれぬこの鎧、ノーラウズでのアンデッド能力の使用についてまだ疎かった為に総司という仲間が自分を守らざるを得なかったとそう考えて、彼は自信の不甲斐なさと、そして何より目の前のダグバに怒りを募らせる。 「ハアァァ……」 そして、それは翔一も同じようで、未だ笑うダグバを蹴り飛ばして、大きく構えを取った。 空中に二つアギトの頭部をそのまま映したような紋章が浮かび上がる中、ブレイドも怒りに身を任せ身体より三枚のカードを生じさせる。 掴み取ったそれらが何を意味するのかさえ感覚的にしか掴めないものの、彼はそれをキングラウザーに読み込ませた。 ――SPADE FIVE SIX NINE ――LIGHTNING SONIC 身体中に力が沸き起こる中、ブレイドは駆け出す。 そのスピードは速く、アギトとの空いた距離を一瞬で無に出来るほどのものであった。 紋章へとアギトが跳び上がるのと同時、加速のついたままブレイドは飛ぶ。 強化シャイニングライダーキックと、ライトニングソニック。 二つの必殺技によるダブルライダーキック。 相当の威力を誇るはずのそれが迫る中、しかしダグバは防御の姿勢を固めるのみであった。 たった二発の蹴りが当たっただけとは到底思えないような爆音が周囲を揺らす中、二人の仮面ライダーは着地する。 今のは完璧に入った、と思うがしかし油断なく後方へと後ずさっていったダグバの方へ視線をやり。 再度その身を襲おうとした闇を回避する。 そうして闇が晴れる中現れるのは、まだ戦えるといった様子で笑い続ける悪魔の姿。 タフが取り柄の翔太郎でさえ疲労を隠しきれない中、しかしまだ戦意を途切れさせぬままに二人は立ち上がって。 ――瞬間、翔一の身体からアギトの力が消失する。 「え――」 時間制限、それもバーニングからシャイニングを経たために時間減少が重なったため起こった、あまりにも早い変身解除であった。 そして、太陽の光が差さない中でのシャイニングに何らかの異常を来したのか、翔一の身体はそのまま大きく後ろに倒れる。 「翔一ッ!」 思わず声をかけるが……しかし翔一は答えない。 その疲労故か、進化の代償故か、彼は気を失っていたからだ。 総司、翔一、ようやく生まれた勝利の希望が摘み取られていく現状にやるせなさを感じつつも、しかしブレイドは一人、その大剣を確かに構えた。 それを見て、心底不思議で仕方がないという様子でダグバは首を傾げる。 「……ずっと気になってたんだ、何で仮面ライダーはそんなになってまで戦うの?君と一緒にいた彼も、最後の最後まで戦おうとしてた。もう僕に勝てないってわかってるのに」 実際には、それは彼の気まぐれで、本当に気がかりなわけではないだろう。 ただガドルがあそこまでの強さを身につけその敵であることを誇りに思うような相手を、少し彼も知ってみたかったのかもしれない。 しかしそんなダグバの言葉にブレイドはただキザにその指をダグバに伸ばして。 「わかってねぇな……仮面ライダーってのはな。人々の希望なんだよ。 その名前を名乗るからには、どんなになってでも、その身体一つグラついてでも悪を倒す、……その心そのものが仮面ライダーなんだ。てめぇが殺した紅も……その一人だったんだ」 ――紅音也。 読めない男で、こんな状況でも女をナンパしたいから俺と行動するのはごめんだ、などとふざけたことを言っていた男だったが、あの名護が尊敬していたことや、こうしてダグバの思考にまで留まっているところを見ると、やはりただものではなかったらしい。 そんな男の仇を取ることを再度強く心に刻みつつ、再度両者が構えた、その時であった。 ブレイドの後方より招来した赤い鞭が、ダグバの身体を一閃したのは。 「何……ッ!?」 突如現れた援軍に思わず振り返り、そしてブレイドは見た。 赤い鞭と、自身も見慣れた友の大剣を持つ闇夜に解ける黒い仮面ライダーの姿を。 ◆ 数分前。 名護の記憶を消し新たに世界のためその歩みを再開した紅渡……キングは、さした苦労もなく次の標的を発見していた。 それは、レンゲルバックルから得た情報にあった、金の鎧を着た仮面ライダーと、三人の仮面ライダーが戦闘する姿。 そう言えばうち一人、銀色のカブトムシのようなライダーは以前ライジングアルティメットと戦っていたライダーと似ている気がする。 或いはそれを受け継いだのだろうか、とも思い、しかしその声まで似ている気がして、彼は首を傾げた。 ……まぁ、今は考えても仕方のないことだ。 デイパックの奥深くに押し込んだはずだというのに逃げろ逃げろとうるさいレンゲルバックルを無視しながら、キングはその余りにも常識外れの戦闘をその目で見届けていた。 「――キング、戦いには赴かないのか?」 「うん、王は挑まれた戦いからは逃げないけど……無駄に消耗するのも得策じゃないからね。彼らが制限で生身を晒した時にそれを狩れば良い」 「……尤もだな」 サガークと共に周囲を飛ぶキバットバットⅡ世にそう返すと、その答えにどこか納得しきっていない様子で彼はその足をキングの肩に乗せた。 今までこの場で一緒にいたという甘ちゃん連中、特に津上翔一と城戸真司という存在に、彼の思考も少し影響されているのだろうか。 と、そこまで考えて、彼はもう一つの可能性に気付く。 「……もしかして、あそこにいるのは君と一緒にいた人?」 「――あぁ」 幾分かの思考を交えたようで、歯切れ悪くキバットは返す。 世界のため戦う王に仕える、そう言っておいて他世界の仲間を心配してしまった自分がいることを、彼もどこか自覚しているのだろう。 「キバットバットⅡ世、一応言っておくけど僕は君の仲間だからって彼らを助ける気は――」 「――当然だ。それがこの殺し合いのルール。それに俺は奴らの仲間ではない、ただ一緒に行動していただけだ。それが殺されることに今更どうこう言うつもりもない」 いざ戦闘になった瞬間にその覚悟が消え変身を解除される、という状況に至らないように彼の覚悟を再確認しようとキングは声をかけるが、キバットは即答する。 それはまるで自分に言い聞かせているようでもあったが、しかし取りあえず裏切る様子はないようだとキングは自分を納得させる。 とは言えかつての親友に似たその身体、そしてその声、揺るぎないとは断言できないその覚悟、とキングにとってサガークほど信頼を寄せるべき相手ではないように思えもしたが。 ともかく、そんな思考を終え再び戦場に目を移すと、そこには先ほどまでとは大きく異なる戦況が現れていた。 黄金の仮面ライダー、銀と赤の仮面ライダーに、銀色のカブトムシのような仮面ライダーは先と変わらないが、一人新たに白と金の装飾を身につけた怪人が現れていた。 一目見てわかるその威圧感に胸を苦しめられながら、しかしキングの脳裏にはそれと同等の威圧を誇る存在が浮かんでいた。 「……まるで、ライジングアルティメットだ」 ぽつり、とそう呟く。 自身が見つけディケイド討伐の為に利用しようとしている存在と同程度の実力を誇ることが伝わってくるそれに視線をやりながら、キングは僅かばかり戦慄した。 ライジングアルティメット一人でもあれほどの災害を起こすというのに、そんな存在がこの場には目の前の怪人を含めまだ一人いると言うのか。 目の前の怪人はともかくもう一人は自信の手中に落とせることに安堵のような感情を抱きながら、その戦闘を見届けようと気付けば思わず前のめりになっていた。 暫くすると、まず銀色のカブトムシのライダーが敗れ、銀と赤の仮面ライダーが倒れ――、自身の変じた黄金のキバ、その真の姿に匹敵するようなライダーが次々と怪人の前に倒れていく。 恐ろしい実力を誇るそれにどうしても抱くことを禁じ得ない戦慄を抱いたまま、残る一人のライダーと怪人を見守って。 『――てめぇが殺した紅も……その一人だったんだ』 黄金のライダーが呟いたその言葉に、思わず意識を集中させられた。 今、なんと言った? あの男が、父を殺したと言ったのか? 瞬間、キングを取り巻く雰囲気は変わった。 標的を見定め漁夫の利を狙うものから、今まさに狩りに赴かんとする王のものに。 「キバットバットⅡ世」 短く指示を飛ばせば、しかし以前の親友とは違いそれはすぐに噛み付きはしない。 何事か、と彼をみやれば、未だ迷うように空を漂っていて。 「どうしたの、キバットバットⅡ世」 「王よ、一つだけ聞きたい。今お前がこの戦いに赴くのは、王としてか?それとも――」 僅かばかり生じた、王の道具としてではなくキバットバットⅡ世としてのこの心が、キングに問うていた。 今この戦場に赴くのは、如何にキングが偉大で、そしてこの闇のキバの鎧が凄まじい能力を持つとは言え褒められたものではない。 故に、聞いておきたかった。 それを成そうとする気持ちが、世界を憂う王としてのものなのか、それとも父の敵を取ろうとする息子のものなのか。 しかし、対するキングは、既に自分の知る音也の息子としての顔は、していなかった。 「――お前は僕に、王に仕えるんだろう?なら、僕に従え」 少し自分でも悩むような顔を浮かべたかと思えば、瞬間それは立ち消え王としての威厳で自分に命令を下してくる。 そう言われてしまえば、もうキバットには何も問うことは出来ない。 ファンガイアの王に仕えるのが自分の仕事。 それに、今自分がこの青年に力を貸すのは彼を王と認めたためだ。 以前三度この鎧の力を授けた男の息子だから……そんな理由など、存在しないのだから。 「お前の言う通りだな、俺に指図をする資格はない。――ガブリッ」 自身に生じた謎の空虚感を打ち消すように、彼は王に自分の魔皇力を注入する。 それと共に彼の全身にステンドグラスのような紋章が浮かび上がり、彼の腰にベルトを生じさせた。 王の手を煩わせることもないとばかりに自分からそのバックル部分にキバットが収まれば、王の身体は一瞬で黒の鎧に包まれた。 装着が完了したことを示すようにその瞳が緑に輝けば、そこにいたのはキバの世界最強の仮面ライダー。 王に仕える従者が、その比類なき力を今新たな若き王に授けた姿。 仮面ライダーダークキバ。 闇のキバの鎧を身につけたキングは、その左手にジャコーダー、その右手にエンジンブレードという、既に使い慣れた両刀を構え、ダグバに攻撃する。 自身の世界を守るため、そして今最後に出来る息子としての父への弔いのために、王はその力を振るうのであった。 120 Bを取り戻せ/フィアー・ペイン 投下順 120 Bを取り戻せ/闇切り開く王の剣 時系列順 津上翔一 擬態天道 左翔太郎 ン・ダグバ・ゼバ 紅渡 名護啓介
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総合名簿(キャンペーン順2020) これまでのキャンペーン(2020)でエントリーされたキャラクターたちです 上に行くほど開催時期の新しいキャンペーンとなります 【創】の欄に○の付いているキャラクターは著作権新規約を満たすものです 2019年についてはこちら 五十音順はこちら プレイヤー順はこちら 総合名簿(キャンペーン順2020)【D.O.N】 【ダンゲロス流血少女 ✿ Girls and Blood】 【D.O.N】 【キャラ名】 【読み】 【創】 【PL】 【陣営】 アンパンマン アンパンマン △ あっちん 番長G 酒々井蘭子 シスイランコ 〇 Range 番長G 雪女 ふぶき ユキメフブキ 〇 アギト 番長G アイラ・ルーデウス アイラルーデウス 〇 雪羽ヒロト 番長G 戸成歩美 トナリアユミ 〇 無銘 番長G 一場春夢 イチバハルム 〇 ルフトライテル 番長G 天鼓 外獨 テンコガイドク 〇 霧切 番長G 鉧川 璞氏 ケラカワハクシ 〇 魚鬼 番長G 星川 海 ホシカワウミ 〇 赤色かませいぬ 番長G 富良搾 香花 フラシボコウカ 〇 ももじ 番長G 鶴巻まかれ ズルマキマカレ 〇 はくぐい 番長G ばいきんまん バイキンマン △ あっちん 生徒会 金田一啓太郎 キンダイチケイタロウ 〇 Range 生徒会 橋姫 狂恋 ハシヒメキョウレン 〇 アギト 生徒会 アンリ・ルーデウス アンリルーデウス 〇 雪羽ヒロト 生徒会 桂木つかさ カツラギツカサ 〇 無銘 生徒会 秋桐一葉 アギリヒトハ 〇 ルフトライテル 生徒会 仁輪 葉擦 ヒトワハズレ 〇 霧切 生徒会 瑶臺 踏殺 ヨウダイフミコ 〇 魚鬼 生徒会 読村 空 ヨムラソラ 〇 赤色かませいぬ 生徒会 ほるひす ホルヒス △ ほるひすだよ 生徒会 福原 還 フクハラメグル 〇 ラピス 生徒会 天地 友綺 アマチユウキ 〇 TASUKU∞ 転校生 【ダンゲロス流血少女 ✿ Girls and Blood】 【キャラ名】 【読み】 【創】 【PL】 【陣営】 女衒・外 ゼゲンアウトサイド ○ 魚鬼 生徒会 葛西希美 カサイノゾミ ○ Range 生徒会 流血少女サヨコ ルーララルーラールララルーラー ○ tasuku 生徒会 涼原 カヤ+絵肌の人魚 スズハラカヤトリュドミラ ○ 東和瞬 生徒会 赤子顔 緋入 アカゴガオヒイル ○ エゴ 生徒会 柿内 萌華 カキウチホウカ ○ 弥嶋少佐 生徒会 朽津忠美 クチヅタダミ ○ ほまりん 生徒会 神龍院 夜々 シンリュウインヨヨ ○ のし 生徒会 彩妃 言葉 アヤサキコトハ ○ D.A. 生徒会 瑠璃原 夢月 ルリハラムツキ ○ ラピス 生徒会 吉村斜音 ヨシムラシャノン ○ ルフトライテル 生徒会 十房ひじり トオフサヒジリ ○ ウィンD 生徒会 カミーラ=ホイコーロ カミーラホイコーロ △ はくぐい 生徒会 天番姉妹(アコとミコ) アマツガイシマイ ○ 味噌小僧 生徒会 4コマ漫画『コボルトの~ ヨンコママンガコボルトノ~ ○ 今日知ろう 生徒会 紅霧 虚 アカギリウツロ ○ 新古兵426番 生徒会 楠木 纏 クスノキマトイ ○ mono 番長G 金 アキカン 与正 キムアキカンヨジュン △ あっちん 番長G 番条 無玲 バンジョウブレイ ○ 夕二 番長G 七号 みさきさん ナナゴウミサキサン ○ トマトまつり 番長G メカ松成美 メカマツナルミ ○ たびびと 番長G 湯都 咲実 ユトエミミ ○ やまいち 番長G 白銀鋼 鉄火 ハクギンコウテッカ ○ 雨宮 番長G 佐々木希未 ササキノゾミ ○ しらなみ 番長G 一 九六 ニノマエココロ ○ minion 番長G 式織 唯織 シキオリイオリ ○ 霧切 番長G 朽火“シアー・ハート・アタック”乂恋 クチビカレン ○ 醜燕 番長G 超紅蓮獅子王 小絵 チョウグレンシシオウサエ ○ しろは 番長G 花咲 もみじ ハナサキモミジ ○ あるびの 番長G 彩×似鳥 イロドリニトリ ○ キャンドル 番長G 鬼姫 殺人 オニヒメアヤト ○ アギト 番長G 鶫 莉緒菜 ツグミリオナ ○ とーすたー 番長G 鮫氷 しゃち サメスガシャチ ○ piera 転校生 蓮柄 円 ハチスガラマドカ ○ piera 転校生 χ キィ ○ piera 転校生
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登録日:2011/09/30Fri 01 59 39 更新日:2023/03/24 Fri 17 06 46NEW! 所要時間:約 2 分で読めます ▽タグ一覧 ひこう むし ショッカー ショッカー怪人 セミ セミミンガ セミンガさん セミンガさん←ではない ミィーン! ライダー怪人 仮面ライダー 仮面ライダー(初代) 怪人 打倒ライダー 改造人間 新1号編 槐柳二 残念な奴 殺人音波 蝉 蝉取り 飛騨 愚かなる人間よ…貴様はセミミンガ様の実験台になるのだ! 出典:仮面ライダー/東映/第64話「怪人セミミンガみな殺しのうた!」/1972年6月17日放送 所属組織 ショッカー モチーフ セミ 登場作品 『仮面ライダー』 話数題名 第64話「怪人セミミンガみな殺しのうた!」 身長:173cm 体重:85kg 出身地:飛騨山中 声:槐柳二 【能力解説】 ショッカーのミンミンゼミ型改造人間。 目を発光させて放つ殺人音波は直撃を受ければ爆発するほどの威力があり、他にも口先を相手の体に突き刺し体液やエネルギーを吸い取る攻撃方法を持つ。 この能力でライダー打倒を誓い、地獄大使からは期待されている。またセミに変身可能でその姿の時にも殺人音波が使用可能。 鳴き声は「ミィーン!」。 本物のセミと同様に殺人音波を増幅するために体内が空洞になっており、そのせいで打撃に対する防御力が低くなっているらしい。 【仮面ライダー】 怪人セミミンガはセミに化けて密かに森で殺人音波の実験を行っていた。子供からセミを取り上げて売ろうとしていた悪い男を実験台にし結果は大成功だったが、その様子をナオキたち子供たちに見られ口封じのため殺人音波で殺害しようとするが本郷と滝に発見され戦闘となる。 ライダーを羽交い絞めにしてエネルギーを吸収しようとするが、滝に妨害され殺人音波で攻撃しようとするも逃げられてしまう。 その後、ライダーが半身不随になって入院したとの報告を受け、その隙に電波塔を占領してショッカータワーにし東京中に殺人音波を流そうとするがそこにライダーと滝が現れ再び戦闘になる。 殺人音波で攻撃するも通用せず、最期は空中で背負い投げを決める1号のライダー返しが炸裂し、止めのライダーキックを受けて爆散した。 音波を発射し打倒仮面ライダーにやっきになっていたが、ショッカー戦闘員でも直撃を受ければ爆発してしまうほどの音波でも、変身前の生身の本郷の身体にはさしたるダメージは与えられず、当然ライダー時にはほとんど通用しなかった。 さらに、半身不随になって入院したとの報告を受け電波塔を利用して全国に殺人音波を発しようとしたのだが、それも実は軽いダメージだったライダーと滝和也によって妨害されるなど、やることなすこと全て上手くいかなかった。 ……色々と残念である。 劇場版『仮面ライダー対じごく大使』にも登場。 採石場では再生ギリーラ、再生ゴキブリ男と共に現れ、1号と対決するがすぐに撤退。その後、ショッカー騎馬隊のリーダーとして再度現れて1号と対決するが、これまた倒されず撤退した。 【ゲーム】 PS2『仮面ライダー 正義の系譜』ではアギト編の敵キャラクターとして登場。担当声優はTVシリーズ同様の槐柳二氏。 ゲーム内で一番最初に戦う怪人で、アギトを見た瞬間「この時代にも仮面ライダーがいるのか!?」と驚いていた。最期はアギトと戦い倒される。 アギト=津上翔一はこの際のセミミンガとのやり取りで、TVシリーズでは言及されなかった「仮面ライダー」という概念を知る事となるため、シナリオ上での存在意義も決して小さくないと言えるだろう。 ―――追記・修正を怠る者には死、あるのみ。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 吸血シーンがリアル -- 名無しさん (2013-12-20 01 02 53) フロシャイム怪人に1文字少ないヤツがいるね -- 名無しさん (2014-04-03 20 35 32) 仮面ライダー初のセミ怪人でウルトラQのセミ人間よりセミらしいようでらしくない外見で羽根はあるが複眼はとび出ていてストロー口はやや前に伸びている。劇中、殺しているのは子供からセミを奪うバカな大人のアホ男ひとり。 -- 名無しさん (2015-05-31 14 22 35) 当時住んでいた団地にロケが来た回がセミミンガの話しでした。リアルタイム世代なのですが、この影響か昭和ライダーの怪人で真っ先に思い浮かぶのはセミミンガです。当時、保育園に通っていた為、ロケ自体は見ていませんが母が弟とお揃いの絵本、2冊にサインを貰って来てくれた事を覚えています。絵本には「仮面ライダー本郷猛」のサインが書かれていました。 -- 名無しさん (2016-01-13 21 36 17) 「正義の系譜」をプレイした人は割と覚えてると思う -- 名無しさん (2023-02-12 17 38 45) 名前 コメント
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【学園都市 都市バイパス】 強烈な風を肌に感じる 風景が認識できない程の速さで前から後ろに流れて行く シャーリー「だっはっはっ!!大口叩いた癖にどいつもこいつも大したことないな!!」 トップを走るのは“最速コンビ”の2人 その命をスピードに売り渡してしまっているかのような操縦はやはり他の追従を許さない マルセイユ「はん!さすがに速いじゃないか“最速コンビ”!! 後ろに迫るのはマルセイユ、パシリ特製のOH‐Cガーランドを繰り カブながらも大型二輪達を引き離し2番手についていた 一体どういった魔改造が施されているのだろうか? 卿「あんまり男子に“はやい”って言うもんじゃないよ!マルちゃん!!」 マルセイユ「その余裕の笑みを今に消し去ってやる!!」 もはや優勝争いはこの2両のどちらかといった所であろう 他の車両は大きく引き離されている バイク乗り達は皆己の速度に酔っている 狂乱の夜に、超速の夜に そんな中、疑問を抱いたのは彼だけだった 卿(おかしいねやっぱり…)ボソ 【芳佳・サーニャ・リーネ ルートC】 校舎のある中央区から繁華街を抜けて港湾地区へと向かうCルートを選択した3人は、義妹を心配する魔人直属の部下である風紀委員達により道を塞がれていた 場所は繁華街の中心地、フミカネタワーのすぐ真下 サーニャ「お願いです、通してください」 リーネ「トビウオ君は1人で戦ってるんです!! 早く海に行かないと!!」 宮藤「どうして邪魔するんですか!? みんなで力を合わせればもっと簡単にトビウオ君を助けられるじゃないですか!!」 3者3様が必死の表情で、心からの言葉で道を塞ぐ風紀委員達に迫る その本気に風紀委員達はただただ圧倒される 風紀委員「そ、そうは言われても…とにかくリドヴャクさんを危険に晒すわけには…」 サーニャ「お義兄ちゃんに伝えてください。 私ももう子供じゃないって、自分の事は自分で決めるって」 風紀委員「と、とにかく!!ここを通すわけにはいきません!!」 言葉による説得は不可能と見た彼等は一斉に手にした銃を構える まだ1年生の少女達、脅せば簡単に引き返すと思ったのだろうか? しかし、彼女達は自分達に向けられた銃口を見てなお風紀委員達に歩み寄る 芳佳「撃つなら撃ってください!そんな脅しには絶対に屈しません リーネちゃんの想いを邪魔するって言うんならそんな銃弾、全部私がシールドで弾きます!!」 目前に強固なシールドを展開させ、歩を進める宮藤 その覚悟に後ずさりする風紀委員 サーニャ「ッ!?」 その時、サーニャの魔導針が恐るべき存在を探知する サーニャ「そんな!今日は予報でも出現しないはずなのに!!」 本来の零時間の主 異形の軍勢 人類の敵 サーニャ「各地に出現!まだ増えてる…50…100……」 彼女の声を聞き、対峙した者達は一斉に標的を変える 【フミカネタワー】 真下に騒がしい声を聞き、彼は道路を一瞥する およそ戦いとは無縁そうな少女3人が武器を構えた風紀委員達に一歩も引かずに対峙している 先頭の黒髪の少女は誰かの想いのためなら銃弾の雨すら怖くないそうだ 忍者「…」 学園都市全体を見渡せる位置、フミカネタワーの先端に彼は立つ 手は忍術発動の印を結び、都市の動脈であるバイパスを見据えている 忍者「魔力切れまで後30分といった所か…」 【ゲルト・試作ペア ルートA】 試作「寒ッ!!」 ゲルト「氷男め、また腕をあげたな」 特活部屈指の武闘派コンビである試作ゲルトペアは思わぬ足止を食らっていた 彼等の走るAルートにはまだ5月だと言うのに路面は凍り、気温は0℃以下をマークしていた 試作の腕には血が滲んでいる 無理に突破しようとした際に凍りついた路面に足を取られ、銃弾をかわしきれなかったのだ ゲルト「怪我は大丈夫か?」 試作「問題無い、かすり傷!」 車の物影に姿を潜め、相手の出方を窺っているのが現状 このままでは突破は厳しそうだ、と言うのがバルクホルンの感想だった 氷男「ごめんトゥルーデ、先に進ませるわけにはいかない これも“約束”のためだ 作戦が終わるまでそこでじっとしていてくれないか?」 彼の言葉を聞き、バルクホルンは過去を思い出す 恥ずかしい約束 カールスラント中学時代の思い出 氷男「このまま戦えばトゥルーデは傷つくかもしれない 前には行かせない、“君の守りたい物”を俺が守る ネウロイは俺達が倒す」 試作「…」 若干、顔をあからめているバルクホルンの方に意味深な視線を送る試作 彼自身は気付いているのだろうか? 己がこれ程までに他人に興味を示す事が初めてだという事に 彼女の過去が気になってしまい、戦闘に集中できていない事に ゲルト「おい試作!聞いているのか!?」 試作「え?あ、すまねぇなんだって?」 ゲルト「だから、このままでは埒があかんと言っているのだ 時間も無い!ここは無理をしてでも突破するぞ!!」 試作「無理にって…どうすんだよ?」 ゲルト「私に名案がある、耳を貸せ」 ニヤリと唇を歪め、バルクホルンが試作に耳打ちをする 試作は目と鼻の先と言う所まで近づくバルクホルンに少しドキリとする そんな甘い空気を彼に感じさせたのは束の間 試作「はぁあ!それ作戦でもなんでもねぇだろ!!」 彼女の作戦と言うにはお粗末すぎる提案に思わずツッコミを入れてしまう ゲルト「大きな声をだすな!!!」 バシリと試作の頭をはたき、バルクホルンが試作より大きな声を出す そんな彼等を風紀委員4番隊員達の銃撃が襲う 試作「うお!」 ゲルト「チッ!」 再び屈み、物影に隠れる2人 試作「確かに埒があかねぇ!ええい!その作戦乗った!!」 ゲルト「いい決断だ!!」 拳をぶつけ合わせる試作とバルクホルン ゲルト「ぐ!どぅおおぉおおおおおおおお!!」 すかさず、バルクホルンは目の前の車を、自慢の怪力で持ち上げる その車に触れる試作、彼の固有魔法である魔力変換により車に爆発力を宿らせる 氷男「!? トゥルーデ!いくら君の怪力でもここまでは届きやしないぞ!! 氷男の判断は正しかった、確かに彼女の怪力を持ってしても約100mはあると思われるこの距離の投擲は無理だ ゲルト「届くさ氷男!貴様のおかげでな!!」 車体をひっくり返し、凍結したアスファルトの上をカーリングのように滑らせる バルクホルンの怪力により、鏡面に近いほど綺麗に固まった氷の上を車は恐ろしい程の速度をもって風紀委員4番隊に迫る 氷男「まずい!!総員退避!!」 リーダーの言葉にすぐさま従う隊員達 しかしもうすでに車型の爆弾はすぐそこ 試作『爆!!』 魔力を集中し、起爆の指令を送る 巻き上がる爆発 氷男「チッ!全員俺の後ろに!!」 氷男はすぐさま己と隊員達の周囲に魔力を展開させ、極低温を作り出し 爆発力の運動エネルギーをも停止させる しかし、そちらに気を取られている間にバルクホルンと試作は陣形の乱れた4番隊の間を走り抜ける ゲルト「約束守ってくれていて、嬉しいよ でも、私も“自分で”守りたいんだ」 氷男「解かった、今日は見逃すよ でも、やっぱり俺はトゥルーデには戦ってほしくない」 ゲルト「…感謝はする」 恥ずかしそうに俯いて、バルクホルンはか細い声で呟く 試作「…」 また面白くなさそうな試作 試作「さ、さぁ!急ごうぜ!!」 ゲルト「あ、あぁ!!」 微妙にきまずそうな雰囲気のまま2人は再び夜の街を駆け抜ける 【坂本・もさなじみ ルートE】 学生寮区から港湾地区へ、曲がりくねり複雑な道が続くEルート 激しい銃撃音と爆発音が轟き、道には黒いコートを着た少年達が所々に伏せっている レイヴン「相手は中型だ!傷ついた者は無理せずに引け!命を粗末にするな!!」 今は亡き少女を脳裏に浮かべ、仲間の身を必要以上に案ずる 手にした長砲身の機関銃を軽々と振り回し、大型ネウロイへと銃撃を嵐のように吹き荒らす バルクホルンのように怪力をもって大型の機関銃を取り扱うのではなく 固有魔法『相殺』を用いてその重量・反動の制約から解き放たれたその動きは重火力と機動性を持ち合わせ、ワンマンアーミーといった様相を示していた 無慈悲な銃撃の雨アラレにさすがの中型ネウロイも己を覆う堅固な装甲を弾き飛ばされコアを晒す レイヴン「このまま押し切る!!」 言葉通り、コアに向け銃弾を撃ち込もうとした彼に対し、ネウロイは前方に収束させた禍々しい赤光を忌々しい黒服へと撃ちこむ レイヴン「チッ!」 シールドを展開させるも多少の遅れが生じ、手にしたMG42が破壊される 怯まずにホルスターから友人により魔改造の施された特製の拳銃を取り出し反撃を試みる しかし先程まで確実にそこに存在していたコアは姿を晦ましていた レイヴン「よりによってコア移動型か!!」 魔力を込めた銃弾を休む暇なく撃ちこみ、苦笑する コアを察知できるタイプの能力持ちの部下は怪我を負い後退している 「コアの位置は天辺付近、まずは足を破壊し敵の高度を下げろ!!」 威風堂々、凛とした声が戦場に響き渡る もさなじみ「いよっしゃ――ッ!!」 気合の入った雄たけびと共に現れた男は4脚装甲戦車型ネウロイの後足の一本に組みつき 肉体強化により強化された馬鹿力で締め上げる エドモンド本田顔負けのサバ折りにネウロイの装甲も軋み、嫌な音を立ててへし折れる ズン!と砂埃を巻きあげて倒れ込むネウロイ レイヴン「なんだか知らないが、好機である事に変わりはないか!!」 2丁のM1911カスタムが火を吹き、先程の言葉通りにネウロイの脚を狙う 奥から順番に装甲の比較的脆い関節部分を狙い打つ 弾切れと同時にネウロイの脚をすべて破壊し終える レイヴン「言葉通りに破壊したぞ!!」 クルリと拳銃を掌で回転させ、さながらウェスタンのガンマンのようにホルスターにしまい込む 坂本「いい腕だ、噂どおりだな」 レイヴンの背後から彼を抜き去ってネウロイへと迫るのは肩に扶桑刀を背負い 右眼の魔眼を煌めかせ、黒髪の髪を後ろで一纏めにした特活部のサムライ 背負った妖刀『烈風丸』に手をかけ、魔力を吸わせる 脚を破壊され達磨状態のネウロイは苦し紛れに前方に赤光を収束させる 「烈!」 煌めく剣閃 「風!」 解放され、ほとばしる魔力 「斬!!!」 彼女の必殺の一撃は収束された赤光もろともネウロイのコアを両断 四散させる ネウロイの白く輝く破片が降り注ぐ中 振り向きざまに烈風丸を鞘に納める坂本 もさなじみ「お見事!!」 傷ついた2番隊の隊員達の応急手当てをすました坂本・もさなじみとレイヴンは対峙する レイヴン「俺はこの道を通る特活部の方達を通さないように命令を受けています」 坂本「そうか」 もさなじみ「ま!しゃーねーわな」 多くは語らない2人 レイヴン「この道は…誰も通りませんでした… 俺達2番隊はネウロイの強襲を受け半壊…この道の防衛を放棄…そうですね?」 坂本「感謝する」 もさなじみ「お前イイ奴だな!!」 軽口を叩き合い、再び風のように2人は港湾地区へと駆けだして行く レイヴン「イイ奴…か…フッ」 どっちがお人よしなんだと、レイヴンは苦笑しながら思う 関係無い戦いにいきなり参戦し、助力 なおかつ道を塞ぎ邪魔しようとした自分達の怪我を案じ応急処置まで手伝ってくれた レイヴン「先程の言葉通りこのポイントを放棄! まだ戦える者は俺について来い!!ネウロイの掃討へ向かうぞ!! 【エイラ・ヘイヘ ルートF】 繁華街の建設により徐々に寂れつつある商店街が真っ直ぐ港湾地区へと長々と続くFルート スタゲ率いる3番隊が港湾地区側から迫りくる小型ネウロイの大群と交戦していた 人間の腰辺りまでの高さの蜘蛛のような形の小型ネウロイを3番隊は纏まっているような、纏まっていないようないい加減な雰囲気ながらも徐々に押し返していた スタゲ「あ~あ、怖い怖い虎さんから逃げ切ったかと思えば今度はネウロイ共かよ…」 などと悪態をつきながらも彼は商店街のアーケードの上に登り 恰好の狙撃ポイントから部下達の陣形を崩そうとする危険なネウロイを確実に撃ち抜き 物質転送によって弾薬などの補充を送るなどまさに八面六臂の動きをしていた 特に特殊な能力も持たず比較的不真面目な3番隊の彼等が攻勢なのは間違いなくこの男の存在が大きいだろう スタゲ「ま、久しぶりのお仕…」 まだ引き金を引いてすらいないのに彼が狙いをつけていたネウロイが弾け飛ぶ スタゲ「おいおい、横取りとは趣味悪いね」 ジロリと横に目をやれば、アーケードの上 反対側に少年と少女が身を屈めて銃を構えている ヘイヘ「チャンスですよね、元全1の実力見るのには…」 言葉と同時に特活部のスナイパーはボルトアクションの銃を体の一部のように利用し、 最前列にいるネウロイ達を次々と撃ち抜いて行く 1分間に実に16発、16匹のネウロイが光の破片となって散る スタゲ「お~、凄い凄い、じゃがんばってね 俺の仕事減って助かるよ」 そう言ってライフル銃から手を離し寝ころぶ体勢に入ろうとするスタゲにヘイヘが声をかける ヘイヘ「アフリカの星…あなたの事眼中にも捉えてなかったですね」 スタゲ「安っすい挑発だなおい」 その言葉とは裏腹に変わる空気 声のトーンもぐっと低くなる 気だるげな、死んだ魚のような眼と形容される瞳は輝きに満ち溢れている ヘイヘ「そうですか?忠告通り練習してきたんですけどね、煽り方」 スタゲ「安いよ、だが的確だ!アスポート!!」 左手が青白く輝き、指先に魔力を集中 ワームホールを展開させそのまま腕を突っ込む 腕を引き抜けば、手には大型のライフル スタゲ「まだ未完成だが…生意気な一年坊主を黙らせるには充分だ!!」 グリップベースに、貫通力に特化させたスコープバレルを装着し 魔導光学式のスコープを覗きこむ そのまま流れるように引き金を引く Nライフルの魔導炉から生み出された疑似魔法力を圧縮し、ネウロイの光学兵器にも似たビームを放つ 群れなすネウロイ達は串刺しに撃ち抜かれていく 一度の射撃で実に7体ものネウロイを光り輝く破片へと変えた スタゲ「有効射程距離が違うぜ!さぁどうする死神君よ!!」 スタゲの言葉通り、Nライフルならば遥か遠く… ネウロイの群れの最後尾にいる個体でも撃ち抜けるであろう ヘイヘ「…」 ヘイヘの体を青白い輝きが包んだと思った瞬間、姿を晦ます まるでそこに存在していなかったかのように 彼が姿を消した後、最高尾のネウロイが弾け飛ぶ 勿論、スタゲは引き金を引いていない スタゲ「てめぇ…スナイパーじゃないのかよ!! ヘイヘが元いた所から遥か前方に眼を向け、スタゲが悪態をつく ヘイヘ「すいません、俺はスナイパーじゃなくて狩人なんです」 固有魔法ステルスを解除し、再び姿を現す ヘイヘ「だから当たらないなら当たるまで近づきます」 スタゲ「インチキも大概にしろよ…」 再び互いに我先にとネウロイを狙いだす2人 エイラ「これって、どうしたら勝ちなんダ…?」 スタゲ「狙い打つ!!」 ヘイヘ「狩り取る!!」 【アギト・ミーナ組 ルートB】 未だ激しい拳撃を放ちあうアギトと槍 アギト「ぜやぁあ!!」 槍「はぁぁあああ!!」 アギトの繰りだす拳はシールドの合間を縫って槍の頬を掠め小さな裂傷を残し血を滲ませる 槍の変則機動から繰り出される超速の突きもアギトの顔面装甲を掠り少々のヒビをいれる 互いに超接近しながらも紙一重で有効打を与えられなかった2人は距離を取る 再び2人の間に走る緊張 言葉を発しない2人が何事かを共有したかのように構えを変える アギト「顎門術式・牙の一閃…」 ランツィーラー 槍「“一番槍”…その名の由来を示す時…」 必殺の一撃、まさに次で雌雄を決さんとする両名 両足に魔力を乗せ、互いが力の限り跳躍しようとした瞬間 『ぎゃあああ』 『ぐわぁぁああああ』 槍の背後から悲鳴が響く ミーナ「は!…ここまで接近されてるなんて!!」 風紀委員1番隊の背後には中型の装甲車型のネウロイ 2人の戦いに気を取られすぎたため、探知系統の固有魔法を持つミーナにも接近を察知できなかったようだ 風紀委員達の制止すら意に介さず、装甲車型のネウロイは対峙する2人を踏みつぶそうと迫る アギト「邪魔をぉ!!」 槍「するなぁああ!!」 前方に展開させたシールドを円錐状に変化させ渾身の力と超速の速度を持って 槍がネウロイの装甲を突き破り大穴を空ける オクスタン 槍「突撃槍」 大穴を穿たれたネウロイは体を軋ませ、嫌な音をたてながらもなおアギトに迫る 槍の空けた穴の上方に赤く輝くコアを視認できる アギト「空氏大八極門…」 顔は異形の鎧で覆われているものの、その声は珍しく怒気をはらんでいるのが理解できる アギト「二十四単操打…」 ネウロイへと駆け寄り、体を低く潜り込ませる しかしネウロイもただの的では無い、破壊の赤光をアギトに向かい打ち出す 槍「ふん…」 アギト「八大招式…」 槍が細長く変形させたシールドをアギトの方へと伸ばし、ネウロイの攻撃を防ぐ アギト「絶招!!!」 ネウロイのビームが弾かれ、後方へと流れて行く中、アギトは右手を虎の爪を象ったような形『虎爪掌』を形成し、コアの真下で右足を大地に突き刺さんばかりの震脚 その反動を利用し、虎爪を渾身の力を込めてコアに叩きこむ アギト「猛虎硬爬山」 コアを破壊するだけには充分すぎる程の破壊力を受けたネウロイはその身を他のネウロイと同様に光り輝く破片となって真下にいたアギトへと降り注がせる 槍「とんだ邪魔が入ったが…」 アギト「続きだ」 再び構えを取る2人 ミーナ「いい加減にしなさい2人共!!」 再び割って入る制止の声 先程までのミーナの戸惑い混じりの声とは違い、はっきりとした意思を内包させた力強い声 ミーナ「まずは怪我人の手当てが先よ」 アギト「しかし…」 ミーナ「早くしなさい!!」 バサリと斬って捨てるミーナにこれ以上の問答は無意味と悟ったのか2人は… アギト「はい…」 槍「はい…」 素直にかつ、迅速に怪我人の手当てを始めた ミーナ「これ以上…眼の前で誰かに死なれてたまるもんですか!!」 【芳佳・サーニャ・リーネ組 ルートC】 彼女達の選んだCルート、先日のライノサウルスとの激戦も記憶に新しいこの地で今夜もまた激しい戦い繰り広げられていた 敵は小型が100に届くか届かないかという程の数 しかもこのルートは商店街のように道が狭いわけではなく片側4車線を誇る非常に広い道 まさに数の暴力に頼るにはうってつけの土地 またこのルートには他の道にいるようなエース級の実力者達がいなかった ネウロイ達への必死の反撃を試みる風紀委員達も、徐々に敵の人海戦術によって傷つき倒れて行く そんな中、サーニャは手にしたフリーガーハマーを用いて応戦 その広い攻撃範囲によって確実にネウロイ達を吹き飛ばしていく リーネは狙撃ポイントにつき、対装甲ライフルの一撃で狙い撃つ 本番に弱いとの噂さだったが、待っているトビウオのためだろうか? その決意の瞳は真っ直ぐに迷いなくネウロイを見据えていた そんな激戦が真下で繰り広げられている中、忍者はフミカネタワー先端で未だにバイパスに向けて幻術を仕掛け続けていた 魔人からの依頼は風紀委員の誰かが港湾地区まで辿りつくまでバイク乗り達に幻覚を見せ続け彼等を妨害する事 それが仕事だ それが最優先事項だ しかし彼の心は酷く揺れていた 真下で繰り広げられる激戦で、敵対していたはずの風紀委員達を守るために最前線に出てシールドを張り 傷ついた者のために治癒魔法をかけ続ける少女が彼の心を揺さぶる 忍者「チッ!」 理屈ではなく、もっと心の奥底で何かが彼女を救いたいと彼に訴えかける これは、純粋に他人のために自己犠牲ができるあの少女への憧憬だろうか? 彼女を救いにいけば幻術は途切れる 忍者「…迷う必要などないはずだ」 シールドを張り続ける宮藤芳佳の目前で風紀委員の少年が1人腹をネウロイのビームに撃ち抜かれる 明らかに致命傷だ、後ろに連れて行って治癒する時間もない シールドを張ったまま宮藤は少年へと駆け寄っていく 側に跪き、銃弾とビームが飛び交う中。目前で消え去りそうな命のために治癒を開始する 芳佳「大丈夫です、絶対に助けますから!!」 柔らかい光が少年の体を包み込み命の炎が再び灯る しかし、そんな彼女達に無慈悲にも異形の軍勢が忍びよる 自分の命が狙われているにも関わらず、なお目前の命を救おうとする宮藤 宮藤「ッ~~~~」 眼を瞑る 鉄の爪が、少女の体を引き裂こうとした瞬間に、カツンと鋭く響く金属音 続いて砕け散るネウロイ達…そう“達” 宮藤が恐る恐る眼を開ければ、そこには噂に聞いていた七不思議の扶桑忍者 己の分身を無数に作りだし、ネウロイ達に音も無く上空から忍びよりクナイによりコアを打ち抜いたようだ 芳佳「フソー…忍者…ホントにいたんだ…」 忍者「死にたくなければ下がっていろ、豆狸」 思いがけない失礼な口を聞く忍者に閉口しながら宮藤芳佳は怪我した少年を連れて後方に下がる 魔人「クッハッハ!幻術解いちゃったんだ」 宮藤達と入れ違いに最前線へと躍り出たのは絶対零度の声を放つ男 優秀な探知能力を用いて義妹の危機を察知して通っていたルートを引き返しCルートまで戻ってきたようだ 忍者「契約料は返す…文句は無いだろう」 魔人「いやいや、大事な義妹の友人の危機を救っていただいて感謝したいくらいさ」 そう言って魔人は義妹の姿を一瞥する そこら中にある裂傷、ビームによる火傷 弾切れのフリーガーハマーを握る手には血が流れていた 魔人「全員このルートを迂回し、別ルートを通れ」 絶対零度より下の温度があると、聞く者に感じさせる冷徹さを感じさせる声が一同の耳に入る サーニャ「お義兄様!まさか!!」 魔人「いいから行きなさいサーニャ」 サーニャ「お義兄様!」 魔人「2度は言わぬぞ」 風紀委員「リドヴャク様…」 風紀委員に体を支えられ、強制的に連れて行かれるサーニャ 忍者はいつの間にか分身と共に姿を消し リーネも狙撃ポイントから降り、後ろに 宮藤は己を狙うネウロイを消滅させたクナイを拾い、握りしめて皆と同じように後方へと下がる 芳佳「あ…お礼言ってないや」 皆が去り、大通りには激闘により半数ほど数を減らしたネウロイと “黒百合の騎士”のみ 彼は固有魔法『置換』を用いて事象を置き換え、手に大型の扶桑刀2振りを出現させる 魔人『エンゲージ』 続いて肉体の超強化 魔人「今日の俺は非常に機嫌が悪い」 迫るネウロイを容易に両断 次々に切り裂いて行く 魔人「前に立つなら神も悪魔も真っ二つだ」 魔人「クッはッh8っはッつは!!」 いや“黒百合の騎士”ではなくもう一つの彼の異名 “狂った魔人” そう呼ぶほうが相応しいのかもしれない なます斬りにされ、周囲にネウロイの破片が散らばる中 月下に魔人は踊り続ける 【虎・パシリ スタゲを追跡中】 フルスロットルで友を追う2人 想いを寄せる少女、マルセイユ以上に彼の事を心配に想い、彼を案じている自分に思わず虎は苦笑してしまう 虎「いつから俺はそっちの趣味に目覚めたんだよ…」 寒い想像に思わず身震いする、天衣無縫・豪快無比な彼にも恐ろしいものがあったようだ パシリ「虎ぁ!かがめ!!」 操縦者であるパシリが急ハンドルを切り、バイクは車体を斜めにしながら急停止 パシリ「ホンットにネウロイさん達は空気読めるのか読めないのか微妙だぜ!!」 虎「ったく次から次へと邪魔者が!温厚な俺もキレちまいそうだ!!」 パシリ「突っ込まないぞ!!絶対に突っ込まないぞ!!」 ジト目でパシリが睨みつける 目前には中型の戦車型一体に、小型が40匹ほど追従していた 虎「ハッハ!さっさと片付けんぞ!!」 パシリ「あいよ!」 虎の周囲に金色の光が炎のように揺らめき夜を照らしだす パシリは腰のホルスターから拳銃を引き抜き、特製魔導カートリッジ弾を装填 臨戦態勢を整えた2人がバイクから降りようとした瞬間 眼の前の中型が轟音と共に弾け飛び、その装甲に大穴を空ける 虎「ハッハ!この威力88mmじゃねぇか!来やがったな!アフリカの誇り高き獣達」 轟く砲音、響くエンジン音 次々と撃ちこまれる砲弾と共にアフリカのバイク隊が現れる 皆が魔改造されたバイクに乗り、まるで陸戦戦車のように扱っている マイルズ「アフリカ自警団陸戦バイク隊マイルズ以下15名只今到着!」 マイルズ「全車両!横隊を組んで虎達の道を切り開け!!」 彼女の掛け声と共にまるで北斗の拳に登場するモヒカン達のようにネウロイ達を蹂躙し始めるバイク隊 マイルズ「チリ!あのデカブツにもう一発ぶち込んでやりなさい!!」 マイルズの命令に、応えるのは土色・草色・枯れ草色に塗装されたバイクに跨る男 異様に長い砲身に、銃弾を装填している チリ「了解!目標敵ネウロイド真ん中!」 照準器を回し、距離表示を丁寧に合わせる チリ「強種徹甲!撃てぇ――――――――――ッ!!!」 狙いたがわず命中した88mmは容易にネウロイの装甲を穿ち、コアを直撃粉砕する バイク隊が切り開いた道をすかさず疾走するパシリ達 チリ「アニキ達!スタゲさんの事頼みましたよ!!」 マイルズ「連れてこなかったらあんた達も土下座よ!!」 「頼みましたよー!」 「アニキー!!」 と言った声が彼等に投げかけられる 虎「ハッ!任せとけ!!」 グッと見せる力瘤に、アフリカの隊員達はいつも安心感を見る だから信じている 我等が王が、愛すべき仲間を必ず連れてくると 【学園都市 都市バイパス終点 ズボン山付近】 シャーリー「だ―――――ッ!意味が解から――――んッ!!!」 彼等は皆戸惑っている 当然である、港湾地区まで真っ直ぐに走っていたはずなのにいつのまにか真逆の方向へと走らされていたのだから 卿「いやー、おかしいとは思ってたんだよね だって港湾地区までなら20分あれば着くのに、もう30分はイッてるしね」 バイパスを逆走しながら2人はなお走る シャーリー「意味解かんないのはともかく!このままじゃマズイぞ!!」 珍しく弱音を吐くシャーリー そんなシャーリーとは対照的に冷静な卿 卿「ねぇシャーリーちゃん、ここから港湾地区まで真っ直ぐ最短距離でイケば3分でいけるんじゃない?」 シャーリー「最短距離って今私達が走ってるのが最短だろ!?」 要領の得ない発言に戸惑うシャーリー 卿「ちがうちがう、“真っ直ぐ”最短距離さ」 と、バイパスの壁沿いに見える港湾地区を指さす シャーリー「って道が無いじゃないか!!」 卿「今日の世界史で習ったんだけどね、 その昔ガリアの王女『マリー・アントワネット』(ドS美女ハァハァ) は食べる物が無くて民が飢えてるって聞いた時、こう言ったらしいよ… 『パンが無いなら道を作ればいいじゃない』ってね」 シャーリー「突っ込まないぞ!!!」 卿「だから先人に習って俺達もイッちゃおう!!」 バイパスの壁に向け、走り出すバイク その先には光り輝く港湾地区 モデリング 卿「魔力造形」 卿の言葉と共に、学園都市の夜に魔力のアーチが架かる その上を“最速コンビ”のバイクが乗り上がり走り出す マルセイユ「あ!ズルいぞお前達!!」 後続のバイク乗り達は次々と文句を叫ぶ 卿「魔力の道が描く放物線は栄光への架け橋ってね!」 シャーリー「行っくぞぉおおおお!!」 バイクを覆うシャーリーの魔力 際限なく超加速をする やがて音を置き去りに、光り輝くゴールへと一直線に駆け抜ける 卿「はっはっは!シャーリーちゃんやっぱり俺達は!」 シャーリー「最前!最速!!」 【学園都市 港湾地区】 荒れ狂う海 轟くネウロイの咆哮 大きな鯨の様な形をした新種の水棲型ネウロイは、一週間ほど前から己を執拗に付け狙う小さな者に対し、明らかな敵意を持っていた その小さな者は、海に満ちた水を自由自在に操作して動きを縛り 水流を操作して水中に水の入り込まない空間を作り出す その中に誘導されたネウロイに対して機銃を用いた攻撃やロケット砲をぶっ放してくる トビウオ「今日こそ落としまえつけてやるぜ!! 逃がす前に陸にあげてやる!!」 ありったけの魔力を振り絞り、高波を引き起こしてネウロイをその波に乗せ港湾地区の港へと吹き飛ばす あまりに大きな高波にのまれ、はるか空高くまで飛ばされるネウロイ トビウオ「よっしゃ!!もう逃がさねぇ!!」 グッとガッツポーズを見せるトビウオ しかし… 残念ながらその渾身の一撃は無効化される… 空高く飛ばされたネウロイはその大きなヒレを展開させ滑空し、海へと帰る そして水面に見える忌々しい小さき者に対し、収束したビームを放つ トビウオ「ちっくしょ!!」 迫るビームを展開させたシールドにより弾くが、その小さな体はあまりにも強力な一撃により弾き飛ばされる 海を超え、遥か上空を舞う 彼を受けとめたのは、豊満な体をした女性 2人乗りでバイクに跨り、魔力で形成された道の上を疾走していた シャーリー「いよぉ!トビウオ君!助けにきたぜ!!」 卿「よし!俺達が1番だね!!」 狂乱の夜、激闘のミッドナイトランを制したのは 特活部の“最速コンビ” まさしく栄光への架け橋を描いた魔力の道が、港湾都市のイルミネーションに輝き、彼等の勝利を祝福していた
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ミッドチルダ。深い森の中に、洞窟が口を開けていた。 「ここで間違いないな」 緑の髪をした青年、アコース査察官が魔力で出来た複数の猟犬を従えながら言った。 「では、突入します。ギンガ、エリオ、キャロ、準備はいい?」 軍服風のバリアジャケットを身にまとい、フェイトが突入部隊の面々を見渡す。ライトニング分隊の他にも、地上部隊の精鋭たちが揃っている。 これまでの地道な捜査が実を結び、ついに広域次元犯罪者ジェイル・スカリエッティのアジトを突き止めたのだ。 「作戦開始!」 フェイトたちはスカリエッティのアジトへと乗り込んで行った。 戦いはそれほど時間をかけずに決着した。敵はガジェット・ドローンのみ。どれだけ警戒を厳重にしても、経験を重ねたフェイトたちを撃退するのは不可能だった。 アジトに仕掛けられていた自爆装置には肝を冷やしたが、解除に成功。大量の証拠物件を押収し、人造魔導師素体の実験体たちも救出した。 アジト襲撃の翌日、フェイトとエリオとキャロは安倍邸を訪れていた。 「お久しぶりです。フェイトさん」 「昌浩君、こんにちは。こっちはエリオとキャロ、仲良くしてあげてね」 「よろしくお願いします。昌浩さん」 竜召喚師、キャロがぺこりと頭を下げる。その肩には小さな白銀の竜が乗っている。 「よろしく、キャロちゃん、エリオ君」 昌浩が右手を差し出す。その手をエリオが両手でがっしりとつかんだ。 「昌浩さん、六課に入っていただけるんですよね?」 「えっ?」 エリオの顔が感激に輝いている。 「よかった。これで男一人じゃなくなる」 「エ、エリオ君?」 昌浩が後ずさるが、エリオは手をつかんだまま離さない。 「仲良くしましょうね、昌浩さん」 エリオは感極まって、とうとう泣き出してしまった。 エリオも六課のみんなは大好きだ。しかし、女の子たちのノリに、時折ついていけなかったのだ。心の慰めは、キャロの連れている白銀の竜、フリードリヒのみ。そんな日々からようやく解放される。 エリオの肩に大きな手が置かれた。 筋肉質な体に、褐色の肌。精悍な顔立ちをしているが、狼の耳と尻尾を生やしている。人間形態になったザフィーラだった。 「すまない、エリオ。苦労をかけた」 「ザフィーラぁぁぁ!!」 同じ苦労を抱えた男たちが、一瞬で友情を芽生えさせていた。 「エリオ君。そんなに辛かったの?」 「ご、ごめんね。気づいてあげられなくて」 キャロとフェイトがおろおろとエリオを慰める。 「しもた。同性から攻めるという手があったか」 そして、はやてが聞こえないように舌打ちしていた。 「うわ―。疲れたー」 朝の訓練を終えた昌浩は、庭に大の字に寝そべる。 日頃から晴明や十二神将たちに鍛えられてはいるが、なのはのトレーニングはこなすのがやっとの厳しいものだった。 「エリオ君もみんなもすごいね。毎日こんなハードメニューをこなして」 「昌浩さんの方が凄いですよ。僕たちは毎日しごかれてやっとここまで来たのに、昌浩さんは始めたばかりで、このメニューについて来れるんですから」 「ほら、あんたたち、ちゃんとクールダウンしなさい。体、壊すわよ」 「はい、ティアナさん」 昌浩とエリオがランニングを始める。 ティアナも祭りの一件以来、随分昌浩に優しくなった。目つきや言動は相変わらずきついままだが。 「お疲れ様です。スバルさん」 「ありがとう。太裳さん」 十二神将、太裳が渡すタオルを、スバルが受け取る。ティアナと昌浩の模擬戦以来、スバルたちの世話は太裳に任されていた。太裳なりの罪滅ぼしらしい。 「どうされました?」 走る昌浩を眺めていたスバルに、太裳が話しかける。 「いや、陰陽師っていいなって」 スバルは両腕に装備されたリボルバーナックルを撫でる。左腕のは姉ギンガの物だ。現在、ギンガはミッドチルダで事後処理に追われている。自分が来られない代わりに、これをスバルに届けてくれたのだ。 「私たちの魔法って、ミッド式もベルカ式も、戦闘に特化したものばかりなんですよね」 攻撃魔法は言うに及ばず、回復魔法も兵隊を効率良く運用するための手段でしかない。 「でも、陰陽師の術は、未来を占ったり、病を治したり、祈願したり、一つ一つの効果は薄くても、人の幸せの為に使える術だと思うんです」 ティアナと兄の再会。あんなことはミッドチルダのどんな魔導師にも出来ないだろう。 「では、スバルさんも目指してみますか? 晴明様ならば、きっと喜んで弟子にしてくれますよ」 「……遠慮しておきます」 昌浩の読んでいた膨大な書物を思い出し、スバルの顔が引きつる。 「うらやむ必要はありません。どんな術も使う者の心次第で、人を不幸にも幸福にもするのですから」 陰陽師の術の中には、人を呪うものも多く存在する。人の心の光と闇を司るのが陰陽師だからだ。 「少なくともスバルさんは、人を助けるために魔法を学んでいるのでしょう?」 太裳がスバルの手の上に自分の手を重ねる。 「……はい」 「なら、それでいいではありませんか」 至近距離で太裳が二コリと笑う。 「わ、私、シャワー浴びてきます!」 スバルがダッシュで安倍邸の中に戻っていく。顔が赤く染まっている。 「おい、太裳」 もっくんが太裳の背後に立つ。 「騰蛇。私はスバルさんに何か失礼なことをしたでしょうか?」 「いや、もういい」 一言言ってやろうと思ったが、その気も失せた。もっくんは昌浩が練習を終えるのを待つことにした。 朝の訓練を終えた後、安倍邸の大広間では、隊長たちが集められ、フェイトからの報告を受けていた。 「大手柄やな、フェイトちゃん」 はやては満足顔で、晴明から借りた扇をあおぐ。 「はやてたちが、スカリエッティを引きつけてくれたおかげだよ」 「それは、昌浩君と十二神将のおかげやな」 「でも、喜んでばかりもいられない。時空管理局は大混乱だから」 押収したデータには厳重なプロテクトがかけられていたが、時間をかけて少しずつ解除されている。ところどころ抜けているデータはあるが、事件の全容をつかむのに不足はない。 そこでわかったのは、時空管理局地上本部の事実上のトップ、レジアス・ゲイズ中将が、スカリエッティの協力者と言うことだった。それだけでなく、最高評議会の三人こそが、スカリエッティ事件の黒幕らしいという真実だった。 彼らは正義の名の元、悪事に手を染めていた。例え何人犠牲にしても、より大勢の人が救われるならそれでいいという傲慢な理屈。 しかし、はやてたちには身につまされる話だった。自分たちもいつ同じ轍を踏むかわからない。 現在、彼らは更迭され、時空管理局は伝説の三提督の元、再編成を急いでいる。だが、しばらくは落ち着かないだろう。 「これで後は、スカリエッティを逮捕すれば、事件は解決。どうやら予言は阻止できたようやね」 スカリエッティがこの世界にいるのは間違いないのだ。押収したデータから、他の施設も次々と制圧できている。逃げ場はない。 「でも、気になることがある。聖王の器と聖王の揺りかご」 押収したデータに、幾度も出てくる名称だ。ただし、名称のみで、データはどこにも見当たらない。その警戒心の高さから、おそらくスカリエッティの最終目標だと思われた。 『そっちは僕が話すよ』 「ユーノ君」 通信画面が開き、眼鏡をかけた青年ユーノ・スクライアが顔を出す。無限書庫の司書長だ。背後には巨大な本棚が映っている。画面の隅では、狼の耳と尻尾を持った幼い少女、フェイトの使い魔アルフが手を振っている。 『あまり多くはなかったけど、情報の抽出に成功した。聖王は先史時代の古代ベルカに存在した偉大な王のことだね。そして、これが聖王の揺りかご』 画面に飛行戦艦の見取り図が映し出される。 『聖王を鍵に起動する超巨大質量兵器。もしこれが動き出していたら、時空管理局の全戦力を持っても、破壊できるかどうか。そんな化け物戦艦だ』 表示される詳細な性能に全員が戦慄する。 『それで聖王に関して、興味深い記述があったんだけど』 ユーノはなのはとフェイトを交互に見る。 『聖王は緑と赤の瞳を持っていたらしいんだ』 「まさか?」 二人の脳裏に、ヴィヴィオの姿が浮かんだ。 『確証はないけど、多分ヴィヴィオは聖王のクローンだ』 ヴィヴィオが古代ベルカ時代の人間のクローンだとは知らされていたが、まさかそんなに重要な存在とは思わなかった。 「こっちに来といてよかったー」 はやてが冷や汗を拭う。もしフォワード部隊が不在の時に、スカリエッティ一味に襲撃されていたら、守り切れたか自信がない。 「でもよ、聖王の揺りかごは、ヴィヴィオがいねぇと起動できねぇんだろ。なら、あたしらがヴィヴィオを守ればいい。それだけだ」 「ヴィータの言う通りや。聖王の揺りかごの発見と破壊は、ミッドチルダの地上部隊に任せるとして、今後はヴィヴィオの護衛を最優先に、スカリエッティ捜索を行う」 「はやてちゃん! 大変よ。魔力反応がこの町に」 シャマルが息せき切って部屋に駆け込んでくる。 「敵か? 数は?」 「反応は二つ。一つは以前戦闘したことがあるわ」 アギト。古代ベルカ式ユニゾンデバイスで、悪魔のような羽と尻尾を持ち、露出の高い恰好をしたリインと同じくらいの背丈の少女。スカリエッティの仲間だ。 「よし、シグナム、ヴィータ、リイン、様子を見てきてくれるか?」 「わかりました。主はやて」 シグナムたちはすぐに出発した。 人気のない裏路地に、敵は潜んでいた。 シグナムとヴィータは用心深く路地を窺う。かすかだが話声がする。かなり切羽詰まっているようだった。ここまで血の臭いが漂ってくる。 シグナムたちは路地に飛び込んだ。 「お前はバッテンチビ!」 「人を変なあだ名で呼ばないでください!」 叫ぶアギトにリインが抗議する。アギトの背後では、ロングコートを着た大柄な男が、壁にもたれかかっていた。男の名はゼスト。血まみれでひどい傷を負っている。 「この際、誰でもいい! 旦那を、旦那を助けてくれ!」 アギトが悲痛な声で叫んだ。 話は今朝にさかのぼる。アギトは仲間の騎士ゼストと召喚魔導師の少女ルーテシアと、スカリエッティの研究所に呼び出された。 出迎えたのは、スカリエッティと十一機のナンバーズだった。 「状況はおおよそ把握している。どうやら尻に火がついたようだな。スカリエッティ」 ゼストが皮肉交じりに言った。一応、協力関係にはあるが、ゼストもアギトもスカリエッティを毛嫌いしている。 「情けない話だが、全くその通りだ。劣勢を挽回したいが、戦力が少々足りなくてね。協力してもらえると助かる」 ゼストは眉を潜める。言葉とは裏腹に、スカリエッティからは余裕が感じられる。 「俺たちがここに来たのは、こちらも聞きたいことがあったからだ」 ゼストたちがスカリエッティに協力していた目的の一つは、ルーテシアの母親だった。 彼女の母親は人造魔導師素体で昏睡状態にあり、特定のレリックがないと目覚めないという話だった。 「どういうことだ? 時空管理局に保護された人造魔導師素体たちは治療を受ければ、レリックなしでも回復する見込みがあると言っているぞ」 現在の混乱した時空管理局から情報を調べるなど、ゼストにしてみれば朝飯前だ。 「ドクター。私たちを騙していたの?」 ルーテシアが悲しげにスカリエッティを見上げる。 「それは誤解だよ、ルーテシア。君の母親を目覚めさせるには、レリックを使うのが一番確実だったんだ」 「ふん。だが、ルーテシアの母親は、時空管理局に保護されてしまった。今の貴様がそれを奪回できるとは、とても思えん。悪いが協力はできんな」 「ガジェットの七割は、すでにこちらに移送済みだ。それでは不服かい?」 「あんなクズ鉄に何ができる。俺は、俺の目的を果たしに行く」 ゼストは一度死に、人造魔導師として蘇った。彼の目的は、かつての友レジアス・ゲイズに会い、自らの死の真相を知ること。時空管理局が混乱している今が、レジアスに会う絶好のチャンスだった。 「そうか。残念だよ。クアットロ」 スカリエッティの指示を受けて、大きな丸眼鏡をかけてケープを羽織ったナンバーズ、クアットロが手もとのコンソールを操作する。 「きゃあああああああ!」 「ルーテシア!?」 突如、悲鳴を上げたルーテシアに、ゼストが駆け寄る。 その前にトーレが滑り込んだ。トーレの一撃をゼストは槍で受け止める。 「ルーテシアに何をした!?」 「何、ちょっと協力的になってもらっただけさ」 ルーテシアはふらふらとした足取りで、スカリエッティの元に歩いていく。その目はうつろで正気ではない。 ルーテシアのデバイス、アスクレピオスはスカリエッティの作った物。洗脳できるよう仕掛けがしてあったのだ。 「アギト!」 ゼストの合図で、アギトがゼストとユニゾンする。ゼストの髪が金色に変わる。 「おや、たった一人で我々と戦うつもりかい?」 スカリエッティが嘲笑う。 「だが、君と戦って、貴重な戦力を消費するわけにはいかないんだ。ああ、お帰り、ドゥーエ」 ゼストの背中から鮮血が吹き出す。 振り返ると、長い金属製の爪ピアッシングネイルを右手にはめた蟲惑的な女が立っていた。女は爪についた血を舌で舐めとる。 それと同時に、正面のナンバーズたちの一斉射撃が、ゼストに襲いかかる。 ゼストは即座にフルドライブを発動。はるか後方に退避する。 「逃がしません」 ゼストの懐に、ドゥーエが飛び込んでくる。ピアッシングネイルがゼストの体を逆袈裟に切り上げる。 『旦那!』 「撤退するぞ、アギト!」 槍でドゥーエを弾き飛ばし、ゼストは研究所から命からがら逃げ出した。 「追跡しますか?」 「放っておけ。もはや何もできん。それにこの研究所の役目も終わった」 「ドゥーエお姉さま!」 「久しぶりね、クアットロ、みんな。それから初めまして新しい妹たち」 ドゥーエはクアットロを抱きしめ、ナンバーズたちを幸せそうに見渡す。ついにすべてのナンバーズが集結した。 「ドゥーエ。長い潜入任務ご苦労。すまなかったね。君の任務の大半を無駄にしてしまったのは、私の落ち度だ」 「いいえ。ドクターの夢が叶うなら、それで十分です」 「ありがとう。さあ、準備は整った。最終ステージを始めるとしよう!」 スカリエッティが両手を広げ、堂々と宣言した。 ゼストとアギトは安倍邸に保護された。 ゼストは重症だったが、シャマルの回復魔法によってどうにか一命を取り留めた。意識はまだ戻っていない。 はやては、大広場に集められた昌浩ともっくん、六課のフォワード部隊を見渡す。 「アギトからの情報で、ついにスカリエッティの所在が判明した。ヴィヴィオの護衛は晴明さんと他の十二神将に任せ、私らは全員でスカリエッティ逮捕に向かう。それでは……」 その時、緊急コールが鳴り響いた。 「もう、誰や、この忙しい時に。ちょっと待っとって」 興を削がれて、はやては不満顔で、隣の部屋に行った。 「うっ」 突然、昌浩が頭を押さえてうずくまる。 「どうしたの? 気分が悪いの?」 隣に座っていたスバルが心配そうに肩を揺する。 「……待って」 昌浩の脳裏に幾つもの光景が浮かぶ。この感覚は前に経験したことがある。直感が未来を指し示す時のものだ。 「なんやて!?」 悲鳴のような叫びが、隣の部屋から響く。 「「海鳴市が滅ぶ!?」」 昌浩とはやてが口にしたのは、まったく同じ言葉だった。 目次へ 次へ
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第12章「鎧に隠された意思」 「ゼルギウス君。居るかね。」 スカリエッティがその名を呼ぶ。 すると、暗闇の中から一人の、黒い鎧を身にまとった男が姿を現した。 「……何の用だろうか。」 「どうやら、かわいいルーテシアとアギトが困っているらしくてね。助けに行ってくれるかい?」 少しの間、男は思慮する。そして、 「断る。私は便利屋ではない。真に仕えるのはセフェラン様その人だけだ。」 「ふぅん…じゃ、これを見ても行かないっていうのかい?」 そう言ってスカリエッティはモニターを映し出す。 そこにはルーテシアとアギト。そして、アイクとセネリオらライトニングとスターズの隊員が映っていた。 「!!」 「彼らは君の求めている人たちなのではないかい?その人たちと接触するチャンスを、ここで捨ててしまうかね?」 「……了解した。そこに行ってやろう。ただし、彼女らを助けるかどうかは、私次第だ。」 「それでいいとも。さあ、行ってやってくれ。」 その言葉を背中で聞き、漆黒の騎士はリワープを使う。 数秒後、部屋にはスカリエッティ一人になった。 「……さて、これだけ手を打っておけば、『やつら』も動き出すに違いなかろう。 私と同じ支配欲に溺れた者よ、どう出るか、期待させてもらうかな。」 「かかってこないのか?それならこっちから行くぜーーーー!!」 大きく吠えて、アギトが周囲に炎を展開させる。 「くっ!」 火をかき消すためにセネリオが風魔法の魔道書を取り出した、その時だった。 「こんなところで一体、何をしている。貴殿らの任務はレリックの回収であり、戦闘、破壊工作ではないのだぞ。」 地面に突然魔法陣が現れる。魔法陣が光りだし、やがて一人の男を映し出す。 その男は発射されたアギトの炎を剣でかき消し、ティアナ達を一瞥する。 「こんなところで時間を使っている余裕はない。早々に引きあげるぞ。」 そう言って、漆黒の騎士は剣を向ける。 「貴殿らに恨みがあるわけでもない。恨みたいのなら恨めばいい。だが、私は恨みや憎しみだけで殺せるほど、甘くはない。」 その言葉にライトニングとスターズの隊員はほぼ全員、戦慄した。 そして同時に、直感で理解した。 この人は潜り抜けた修羅場の数が違いすぎる、と。 「あ…う…」 エリオが呻き声を漏らす。戦場でこの戦士に出会ったことに恐怖しているのだ。 永遠に思える一瞬の静寂を破ったのは、同じく歴戦の勇者だった。 「その通りだ。お前は憎しみなどで殺せるようなら、あの時に決着は着いていたはずだからな。」 「久しぶりだな、アイク。この者たちは新たな仲間か?まだ実戦経験は少ないようだな。」 「そうだな。だが、有望な戦士たちだ。俺が保証する。」 「…何しに来た。」 いったん切れた会話をつなげる。 今度は本題のようだ。 「アイク。お前は気付いているはずだ。私は今、こちら側にいる。つまり……」 ここでまた言葉を切る。当然、アイクはその間黙って漆黒の騎士を見据える。 だが、アイク達が導きの塔でみた鎧の間から覗く、狂気にも似た信念と戦士としての眼光は すでにそこには無かった。 「私は、お前の敵だ。」 そう言って、アイクに剣を向ける。だが、アイクには漆黒の騎士と戦う前にやることがあった。 「セネリオ、エタルドを。」 セネリオはその言葉に従い、アイクにエタルドを渡す。 アイクはエタルドを受け取り、漆黒の騎士の手前の位置に放り投げる。 「この剣を使え。決着をつけてやる。」 「……いいだろう。その気はなかったが、今ここで雌雄を決するのも悪くはない。」 そう言ってエタルドを引き抜く。漆黒の騎士は剣を二振りほどする。 まるで、剣が戻ってきたことを喜ぶようだった。 「…………」 「…………」 まさに、一触即発。何かが動けば、それが合図になる。 それ故に、ライトニングとスターズ、そしてギンガは一歩も動けないでいた。 もし音を立てれば、その瞬間に二人はぶつかり合う。そのことがわかりきっていたからである。 そんな静寂を切り裂いたのは、アギトだった。 「おい、オッサン!熱くなるのはいいけどなぁ、自分が言ったこと忘れてないか?」 そんな愚痴ともとれる言葉をいさめたのは、意外な人物だった。 「…黙れ。」 その声の主は、アイクだった。 「んだとぉ!お前誰に向かって―――――――」 「俺とアイツの決闘の邪魔をするな!!」 その声は大きく響いた。それは、ここが地下だから、ということもあるだろう。 だが、ギンガはともかく、スバル、ティアナ、エリオ、キャロはアイクが怒鳴っているのを初めて見たからだ。 そして、アイクは自身からみなぎる殺気をアギトに向ける。 「っ!!」 アギトが息をのむ。 これほどの殺意を向けられたのは、初めてだったからだろうか、それともアイクをここで只者ではないと感じたからだろうか。 それとも、その両方か。 何であれ、状況が変わらなかったことに変わりはなかった。 (スバル、聞こえる?) ティアナがスバルたちに心話で呼び掛ける。 (聞こえるけど、どうしたの?) (この膠着状態は結構マズイわ。今は動かずにヴィータ副隊長たちが来るのを待ちましょう。) (わかった。ティア、ヴィータ副隊長が突っ込んだら、私も突っ込むから援護よろしく!) 会話し合って、全員は落ち着きを取り戻しつつあった。 (その通りだ。お前ら、なかなか賢明な判断だな。) 何者かが心話に入り込んできた。 (私たちももうすぐで到着するから、それまで持ちこたえててくださいです!) その声の主はヴィータとリィンフォースだった。 もうすぐ、この状況が終わる。 その時、ティアナは気付いた。 天井から小石が落ちてきたのだ。 なるほどここは廃棄居住区だ。それくらい不思議でもなんでもない。 だが、問題は――――――――――― カツーン その音に呼応するように二つの影が動き出す。 直後、刃物が織りなす独特の金属音が辺りに響く。 「おおおっ!」 「はあぁっ!」 ついに始まった。 二人の強者たちの決闘が。 アイクは鍔迫り合いを無理やりはじいた後、衝撃波を2,3発放つ。 漆黒の騎士はうまくひきつけて衝撃波をはじいた。そのまま接近し、アイクの首を撥ねようとする。 それをうまくバク宙でかわし、天井に足ををつける。 次の瞬間、衝撃波を放ちながら、急接近する。 漆黒の騎士が衝撃波をはじき、次の攻撃に備える。 その構えを見て、アイクは渾身の一撃を漆黒の騎士にぶつける。漆黒の騎士もそれを予想しており、それを本気の力で撥ね返す。 それによる大きな衝撃で周囲の支柱が崩れ落ちる。 その次の瞬間、アイク達とは何も関係ない場所の天井が崩れ落ちた。 「ふう、遅くなってすまん。」 「遅くなりましたです!」 ヴィータとリィンの二人が到着した。 その侵入者を見て、ガリューが反応する。 だが、それに反応できても、力では負ける。 ヴィータはガリューを吹き飛ばしてしまった。 一方でリィンもルーテシア達を捕獲する。 「任務完了、です!」 何かがおかしい。 アイクはそう思い始めた。 (何を考えている…一体…?) ほんの少し。だが、決定的な違和感。何がどう、とは言えないが、アイクにとっては明らかな違和感があった。 考えている内にまたつばぜり合いが始まる。 火花を散らすラグネルとエタルドの向こうにあるゼルギウスの瞳を見つける。 戦士としての誇りも、戦うことへの執着もなくしてしまった瞳を。 (やはりおかしい。こんな、カウンターの取りやすい攻撃ばかりを…) 思って、気がついた。 (まさか…) そうとしか考えられない。だが、そうであってほしくない。 かつて、自分が何もかも認めたこの人物がそんな考えに至っているということを。そう思いたくなかった。 だが、そう考えれば、全てつじつまが合う。ホテル・アグスタの森で見たあの瞳。 そして、先ほどからの攻撃。 そう。漆黒の騎士、いや、ゼルギウスは『死にたがっている』。 ラグネルを振りぬき、後退する。 そして、静かにラグネルを降ろす。 「…どういうつもりだ。」 漆黒の騎士が感情の無い声で尋ねる。 「ゼルギウス。なぜだ?なぜ死にたがる!」 大きな声でゼルギウスに問いかける。その問いかけに答えるようにゼルギウスもゆっくりとエタルドを降ろす。 「やはり、隠し事はうまい方ではない、か。」 独り言をつぶやき、自分の心の奥底にある感情を読み取ったアイクに笑いかける。 もっとも、その微笑は鎧に隠れて、誰も見えなかった。 そして笑いを引っ込め、冷たい声を出して言った。 「お前たちにはわかるまい。安息の死をはぎ取られ、仮初めの生を与えられる苦しみが。 今の私は抜け殻だ。信念も、誇りも、あの時に捨ててきてしまった。戦士として生きることができない苦しみが 貴様らには理解できまい。」 その言葉を発した直後、地面に魔法陣が描かれる。 「やめだ。アイク、お前との決着はまた今度にしよう。やつが言ったことも果たしたわけだしな。」 そう言って、漆黒の騎士はリワープしてしまった。 「待て!ゼルギウス!!」 アイクが叫ぶが、もう、届かない。 「アイク、私に戦士としての死に場所を与えてくれ…」 そう言い残し、光に包まれて消え去った。 アイクは呆然としたまま漆黒の騎士が去って行った場所を見つめる。 だが、それも数秒のこと。それは突然にやってきた。 「アイクさん!」 ティアナが駆け寄ってくる。 「どうした?」 「あの小さな子達が……いません!!」 to be continued...... 前へ トップへ 次へ
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