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注:愛で作品につき、虐待成分はいっさい含まれておりません。 どうぞごゆっくりお楽しみください。 ----------------------------------- 太陽の照りつける、暑い夏。 私はこの季節になると、昔出会ったある”ゆっくり”のことを思い出す。 あれはまだ私が幼かった頃。 私は当時病弱で、よく体調を崩していた。 その日も、夏だというのに風邪をひき、憂鬱な気分で家の窓から外を眺めていた。 すると突然、窓の外に見慣れない青い髪の毛のゆっくりが現れた。 ゆっくりは窓の外から私の顔を見るなり、大きな声で言った。 「あつい!」 それが私と彼女の出会いだった。 両親が共働きで、風邪とはいえ日中は一人にされ、退屈をしていた私は、 窓を少し開けてそのゆっくりを招き入れることにした。 「おいで」 私がそう言うと、ゆっくりは力無く跳ねながら家の中に入って来る、どうやら弱っているようだった。 私はその時、”ゆっくりれいむ”や”ゆっくりまりさ”は街でもよく見かけるが、 その”青い髪の毛のゆっくり”は、初めて見るゆっくりだった。 「きみ、お名前は?」 私がそう尋ねると、ゆっくりは顔をあげて言った。 「あたいは”ちるの”だよ!」 ちるのはそう名乗ると、家の中にぽよぽよとはいって行き、クーラーのそばで止まると、体をぷるぷると震わせながら。 「ひんやりー!」 と、言った。 よく見ると、ちるのの通った後には、濡れた雑巾でなぞったかのような水の跡がついていた。 「ねぇちるの、もしかしてきみは、暑いのが苦手なの?」 「ちるのはあついととけちゃうんだよ!」 そこで私はある疑問がわいた。 なぜ暑さが苦手なゆっくりが、暑い日中にわざわざ外にいたのだろうか。 私がそれについて尋ねると、ちるのは眉毛をキリッとさせて、言い放った。 「おなかがへったからどーくつからでたらあつかった!あたいったらうっかりね!」 どうやら珍しいゆっくりとはいえ、ゆっくりはゆっくり、頭はあまり良くないらしい。 せっかくなので、餌付けをしてみようと思い、私はちるのをおいて、冷蔵庫を漁った。 しかしゆっくりが食べるような物は見当たらなかった。 「う~ん…まぁ、暑いと溶けるようなゆっくりだし、これでいいかなぁ?」 私は冷凍庫から2本のアイスキャンディーと取り出すと、一本を自分で咥えながら、ちるのの元に戻った。 ちるのは変わらずクーラーの風のあたる位置で、”ゆっくり”していた。 「食べる?」 私が持っていたもう一本のアイスをちるのの方に向けると、 ちるのは野生のくせに臆することもなく、舌をのばしてアイスを舐めた。 瞬間、ちるのは満面の笑みを咲かせて、 「しあわせー!」 と叫んだ。 ちるのは私の持つアイスをぺろぺろと舐めながら、私に尋ねた。 「ねぇねぇ、コレ、なんていうの!?」 「アイスだよ」 私がそう答えると、ちるのは再び眉をキリッとさせて、 「つめたくてあまあまなんて、あいすったらさいきょーね!」 といった、さいきょーの意味はいまいちよくわからなかったが、どうやらアイスをいたく気に入ったらしい。 私がアイスを食べ終わるより早く、ちるのはアイスをなめ終わってしまった。 それでもどこか物欲しそうに、私のアイスをじーっと見ていたので、私は自分の分もアイスをあげることにした。 ちるのは喜々としてそれを受け取り、再び私の手からアイスをおいしそうに食べ始めた。 この餌付けは思いのほか効果的だったようで、ちるのは私によくなついてくれた。 ちるのは元気よくふよふよと空中を漂うと、私の頭の上に乗っかって、”ゆっくり”しはじめた。 「あたいさいきょー!」 どうやらちるのの言う、”さいきょー!”は、ほかのゆっくりでいうところの”ゆっくり!”みたいなものらしい。 それから私は、気だるい日中を、ちるのとゆっくりと過ごした。 ちるのが頭の上に乗っていることにより、頭の上から伝わってくるひんやりとした感触が心地よく、 思いのほか風邪のだるさを忘れて過ごすことができた。 私が、ちるののことを教えて、というと、ちるのは聞いてもいないことまで延々と一人でしゃべり続けた。 森のこと、お友達のゆっくりのこと、住んでいる洞窟のこと、そして時折、 ちるのは脈絡なく”あたいったらさいきょーね!”と言った。 私は元気に外を走り回ったことなどなかったので、ちるのの話す一つ一つのことが、とても楽しかった。 私とちるのがしばらくそう過ごしていると、突然ちるのが 「あつい!」 といって私の頭の上から飛びのいた。 ちるのが乗っていた私の頭は、ほんの少し湿っていた。 もしやと思い、体温計で熱を計ってみると、やはり熱が上がってしまっていた。 軽度の風邪だと思い込んでいたが、長時間身体を起こしていたのが原因らしい。 わたしは無理をせず、布団の中に入って身体を休めることにした。 するとちるのがやってきて 「すーやすーやするの!?」 と、聞いてきた。 「風邪で熱が上がってきちゃったから、寝なきゃいけないの」 私がそういうと、ちるのは私の言っている意味がわからなかったのか 「むずかしー!」 といって、再び部屋の中をふよふよと漂い始めた。 しかし、私が思っていたよりも、その時引いた風邪はどんどん症状が悪化していった。 しばらくすると私の頭は痛み、咳も出て、なんだかぼーっと、意識が朦朧としてきてしまっていた。 すると私の異変に気づき、クーラーの風にゆられてひとり遊びをしていたちるのが、ゆっくりと私の枕元に戻ってきた。 ちるのは私の顔を覗きこみ、 「だいじょーぶ?」 と頭を傾げながら聞いてきた。 「うん…だいじょうぶ」 私がそう言って手を伸ばし、ちるのの頭をなでると、ちるのは 「あつい!」 と言って私のそばから飛びのいてしまった。 ちるのは私から少し距離を置いて言った。 「どうしてあついの?」 「風邪で熱がでちゃったの…」 ちるのはやはり私の言っていることが理解できなかったらしい、 頭をかしげながら部屋の中を漂い、空中から私に声をかける。 「かぜってなーに?」 「かぜは、お病気のことだよ」 私がそう言うと、ちるのは慌てたように再び私の元に寄ってきた。 「おびょーきなの!?たいへん!」 たいへん!たいへん!と繰り返しながらちるのは私の回りをぐるぐると回った。 その甲高い声が頭痛を刺激したが、不思議と嫌な感じはしなかった。 「なにかできることある?」 「ううん、いいの、そばにいて…」 私はそう言ってから、重たい体を起こし、洗面所に行き、タオルを軽く濡らして絞り、 寝室にもどり、それを額に乗せて再び床に伏せた。 「それなーに!?」 ちるのは私の額の上に乗っている濡れタオルを見て言った。 「これは、濡れタオルっていって、熱が出たら頭に乗せるの、 そしたら冷たくて気持よくて、少し良くなるんだよ、…たぶん」 私がそう言うと、ちるのは 「ぬれたおるさいきょーね!」 といって、嬉しそうにぽよぽよと跳ねた。 私は無邪気に跳ねまわるちるのをそっとなでて、軽く眼を閉じた。 すると私の意識はすぐに闇に落ちてしまった。 どれほど眠っていたのだろう、私が目を閉じたまま気配を探ると、 枕もと以外から物音がしないので、両親はまだ家には帰っていないようだった。 相変わらず私の体調は回復に向かってはいなかった、はぁはぁと荒い息が口から自然に漏れてしまう。 どうやら濡れタオルも、私の額の熱ですっかり乾いてしまったようだった。 しかしその時の私には、動く気力がなく、両親が帰ってくるまで そのまま時がたつのを待っているという選択肢しかなかった。 すると、枕もとでぼふぼふとなにやら動いていたちるのが、ぶつぶつと何かをつぶやき始めた。 「どうしようどうしよう、とってもくるしそう!」 きにしなくていいんだよ、と、安心させてあげたかったが、その時の私にはそんな余裕もなかった。 私がただただ目をとじ、荒い息を吐いていると、突然ちるのが、 「そーだ!つめたくすればいいんだ、あたいったらさいきょーね!」 と言った、そして突然私の額のタオルのある位置に、ぼすんっと何かが乗っかった。 目を開けて確認はしなかったが、おそらくちるのが乗っかったのであろう。 その証拠に、役に立っていなかったタオル越しに、心地よい冷たさが私の火照った頭を冷やしてくれていた。 「ありがとう…」 私はそうつぶやくと、私の意識は再び闇に落ちた。 「あつい!」 私が目を開けると、仕事着のままの姿で私を覗きこむ母親と目が合った。 「あら、起きてたの?」 「ううん、寝てた」 私はその時、自分の体に起こったある異変に気づいた。 頭の痛みも、喉の腫れも、寒気もすっかり無くなってしまっていたのだ。 私が床に伏せたまま不思議そうな顔をしていると。 「やぁね、ちゃんとしぼって乗せなきゃダメじゃない」 と言って母が、私の額に乗っていたタオルをひょいと持ち上げた。 私の記憶では乾ききっていたはずのタオルは、水が滴る程にぬれていた。 私ががばっと布団から体を起こすと、母は目を丸くして 「あら、もう平気なの?」 と言った、しかし私はそれを無視して 「ねぇ、ちるのは?」 と尋ねた。 「なにそれ?夢でも見たの?体調が良くなったなら、ご飯作るから、食べに来なさい」 母はころころと笑いながらそういって部屋を出て行ってしまった。 結局私がどこを探しても、ちるのを見つけることはついに出来なかった。 それ以来私とちるのが再び出会うことはなかった。 しかし私は、あの時額に乗っかってきたちるのに最後に貰った”冷たいぬくもり”を今でもはっきりと覚えている。 当時病弱だったはずの私は、今では風邪ひとつひかない健康体になってしまっていた。 両親は、成長して強くなった、というが、 私には、今だちるのが私のことを見守っていてくれているのではないか、と思えてしかたがないのだ。 今思えば、あの時ちるのは私の熱にやられて溶けてなくなってしまったのかもしれない。 しかし私はそれを見ていないのだ、もしかしたらちるのは今でも元気のどこかの空を飛び回っているのかもしれない。 私はそう信じたい。 太陽の照りつける、暑い夏。 私はこの季節になると、クーラーの聞いた部屋の窓を少しだけ開けておく。 暑さに弱い小さなお客さんが、再びうちにやってくる日を待って… おわり ----------------------------------- あとがき いつかのスレの話題で、ちるのを濡れタオル代わりに~みたいなネタが出てたので拾わせていただきました。 虐待成分一切無しの短編でしたが、楽しんでいただけたでしょうか。 この話を書こうと思った直後に風邪を引き、一週間たった現在でも治らないんですが。 病院に行きたいけどお仕事さんがゆっくりできないぃいいいいいい! せいぜいぶっ倒れないように頑張ります… ばや汁(仮 でした~。 ご意見ご感想、お気軽にお寄せいただければ、ばや汁がとっても喜びます。 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13856/1277315687/ いままでの作品。 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ
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『ふとちゃん』 15KB 愛で 現代 思いつき小ネタです。 春が終わり、梅雨の時期に入ろうかという毎日毎日いつものようにむしむしと不快な、ある一日。 コンビニ帰りにたばこをふかしながら散歩をしていると、湿気で微妙にしけってふにゃふにゃになった段ボールが、 道端に置いてあるのを見つけた。 「なんだこりゃ」 忙しい日なら無視して通り過ぎるようなアイテムだったが、その日暇を持て余していた俺は、 つい興味をひかれて立ち止まってしまう。 「エロ本・・・は、こんなとこに堂々と捨てるわけないし」 辺りを見回すとなんてことない閑静な住宅街、さすがにこんな人目のつくところに、 男の秘密アイテムを処分しにくる勇気のある奴はいないだろう。 むしろそれが快感なのかもしれないな、などとバカなことを考えながら、俺は靴の先で段ボールをコツンと小突いてみた。 すると、中からガタゴトと物音が響き、突然のことに思わず声を上げてしまった。 「うぉっ!なんだっ!?」 段ボールから距離をとってから、思わず予想以上に大声を上げていたことに気付き、気恥ずかしくなって辺りを見回す。 どうやら人影はないらしい、ほっと胸をなでおろし、再び段ボールと向かい合う。 「捨て猫か・・・?」 恐る恐る近づき、軽く締まっているだけの段ボールのふたを覗き込む。 ほんのり開いている隙間から中をうかがい知ることはできなかったが、さっきの反応からするに中身が生き物であることは間違いない。 「手とか噛まれたらやだなぁ、でもかわいそうだし、ええいままよ」 中を確認して、さっさと保健所にでも連れてってやろう。 そうすれば、そのこの中にいる動物がどんな末路をたどろうと、ここで死ぬだけの運命を救ってやったという大義名分が俺の心を救うだろう。 俺はすぐに手を引けるような体勢で、段ボールの口を大きく開けた。 「お、おぬしがわれのあたらしいかいぬしか・・・?」 「ん?」 中にいたのは、生まれたての仔猫でも、腹を空かせた子犬でも無く、 ポニーテールに結んだ灰色の髪の毛に、大きな青い筒状の帽子をのっけたバレーボールくらいの大きさの生首だった。 生首はぷるぷると小刻みに震え、寂しげに潤んだ瞳でこちらを見上げている。 「あ、ああ、ゆっくりか」 一瞬何事かと思ったが、何のことはない、生首饅頭のゆっくりだ。 ゆっくりは昔々から山に居て、今は野良から飼いまでいつでもどこでも見るようになったポピュラーな生き物だ。 その割にはいまだ生態の多くは解明されておらず、未発見の種もたくさんいるらしい。 かくいう俺も、思いつく限りでは、よくみるれいむやまりさ、ありすにぱちゅりー。 ゆうかちぇんらんよーむ…ペットショップやCMで見るのも含めるとこの程度だろうか。 目の前の灰髪のゆっくりは、俺の思いつく限りでは見たことがなかった。 「えーっと、あー、ゆっくりしていってね?」 ゆっくりには『ゆっくりしていってね』というのがあいさつらしい、これも俺の知っている数少ないゆっくり知識の一つだ。 すると灰髪は、ぱっと顔を輝かせて、キラキラとした瞳で俺を見つめてくる。 「お、おお!われとのであいをしゅくふくしてくれるのか!?ゆっくりしていってね!」 「ところでお前、なんて名前なの?」 俺はとりあえずはしゃいでいる反応を無視し、素直な疑問をぶつけてみる。 「うむ、われのなまえは”ふと”だ!よいなまえであろう?」 段ボールをあけたときはおどおどとしていたものだが、何故かこのわずかな時間の間にすっかり馴染んでいて、 えへんというように胸(腹?)を張って名乗りをあげるふと。 「そうか、ふとちゃんか、よしよし」 帽子を避けてわしわしと頭をなでてやると、ふとは目を細めて俺の手を受け入れる。 「んんんんっ!われはおぬしのことがきにいったぞ!おぬし、なはなんという!?」 「え?ああ、健二だけど」 「けんじか!よいなだな!」 「そりゃどうも」 突然名前を聞かれて、とっさに応えてしまった、ふとは段ボールの中から、キラキラとした目でじっと俺の顔を見つめている。 「けんじ!われはおぬしをきにいったぞ!さあ、おうちへかえろう!」 「は?何言ってんの?」 一緒に帰宅する旨の発言をナチュラルにするふと、そういえば最初に段ボールをあけたときに、 飼い主は俺かと聞いていた気がするが、すっかりそれに俺が応じたことに、ふとの中ではなっているらしい。 俺が怪訝そうな顔をしているのがわからないのか、ふとは段ボールの中でぽすんぽすんと小刻みに飛び跳ね、俺に抱っこをせがんでいる。 「さあ、おうちへかえろう、われはあったかいもーふさんにくるまりたいぞ!あとあまあまのみるくさんものみたい!」 図々しくも厚かましいが、まあ動物だからと言ってしまえばそれまでな程度の反応だろう。 最初は保健所に連れて行く気満々だったが、この数分間の間にふとと接して、俺も一目ぼれのような状態になってしまったのか、 むらむらとした愛しい感情が胸の中にぐねぐねと巻き起こってしまっているのを感じていた。 「はやく!はやくぅ!」 小さなふとのジャンプは、自分の身体をすっぽりと包み込む段ボールの高さも越えられない。 俺が抱いてやらなければ、ふとは再び段ボールから出られずに、誰かが目の前を通るのをべそをかきながら待つのだろう。 もう限界だった、こめかみの裏がじんわりとかゆくなる感覚に襲われる。 ああ、ふとちゃん可愛いよぅ。 「ようし、うちペットオッケーだし、仕方ないから飼ってやるか、んもぅ」 陥落されデレデレと緩んでしまう頬を隠せず、俺はふとを抱き上げてしまった。 もうこうすることで俺はふとを保健所に連れて行って手放すということはできないだろう、我ながら甘い性分だ。 「われはうれしいぞ!」 抱え上げてやると、ふとは俺の胸にすりすりと頬ずりをした、その仕草がまた可愛い。 帰り道の道すがら、俺とふとは取り留めもなく他愛ない会話をして、着々と仲良しになっていった。 なんでも前の家の飼い主が大事にしている高級な壺を割ってしまって、家を追い出されたらしい。 ふとは見たこともない種類だし、きっと高級なペットだったのだろう、そして高級な壺、前の飼い主はそうとうなお金持ちだったに違いない。 だが、それにしてはペットへの心の広さというものが足りなかったのではないだろうか。 所詮犬猫のすること、と割り切れないようならペットなど飼うべきではないと俺は思う。 かくいう俺の家は、高級な壺なんてあるわけもなく、ふとが少々のドジや粗相をしたところで俺はそんなことでは腹は立てない。 これからより良い関係を築いていこうという確かな決意と期待を胸に、俺たちは家へと向かった。 が。 「いやだああああ!!やっ、やだあ!やめろ!われにちかづくな!!!」 家に入り、感動に打ち震えながら元気に部屋の奥へと飛び跳ねていったふとの第一声がこれだった。 「ん~・・・そういえば言ってなかったっけ」 「ぎゃあああ!いやだあああ!けんじ!たすけてくれけんじいいいい!!」 今にも恐怖で死にそうな声を張り上げているふと。 それにまとわりついているのは、俺のペットの愛犬、ミニダックスのガッツくんだった。 ガッツはふとを新しいおもちゃか何かだと思ったのだろうか、さっそく抱きつくようにじゃれつきながら、 長い舌でべろべろとふとのほっぺたを嘗め回している。 尻尾はちぎれるほどに左右に振り乱され、実にゴキゲンだ。 「おおよしよしガッツ、ふとだと、仲よくしてやれよ、あ、食うなよ」 俺が背中やら頭やら腹やら、がっしがっしとなでながらふとを紹介する。 ガッツはワンと俺に向かって一声吠えた、どうやら了解してくれたようだ。 俺がペット可のアパート住まいなのは、このガッツの存在があった。 ガッツは俺が独り立ちする前から飼っていた愛犬で、あんまりにも俺との別れを寂しがる、 というか俺もガッツと別れたくなかったので連れてきた人生のパートナーだ。 ガッツもふとを気に入ってくれたようで、さっそく仲よくする気満々のようだ。 しかしふとはそうは感じていないらしく、甘噛みにも一々絶叫を返し、肉球を押し付けられてはこの世の終わりのような顔をして、 なんとかガッツから逃れようとのたうち回っている。 「こらガッツ、あんまりいじめちゃだめだぞ」 俺はあまりに無残な光景に哀れみを感じ、ガッツをひょいと抱え上げた。 遊び足りないガッツは俺の腕の中でジタジタと短い手足を振ってもがく、ぶんぶんと振られた尻尾が腹に当たってくすぐったい。 「ひっ・・・ぐっ・・・うぅう・・・ぐずっ・・・」 ふとはすっかり凌辱されきったかのようにぐったりとしていて、よく見ると床にはふとの垂れ流した小便がひろがっていた。 「あーあー、しっこまでもらして、そんなに怖いかねぇ、ねーガッツ?」 俺はいつでも取れる位置に置いてあるトイレットペーパーを使って、ふとの粗相を片付けながら、 小脇にかかえたガッツをふとに近づける。 「っっっ!!!」 ふとからしたら、つぶらな瞳がキュートなガッツも、牙をむく獰猛な肉食獣にでも見えるのだろう。 近づくだけで声にならない悲鳴を上げて、ずりずりと身体全体で距離をとろうとする。 仲良くなる道は遠そうだ。 ガッツとふとの仲がよろしくないので…というよりもふとがガッツに対して一方的に怯えきっているので、 その日は一日俺がふとを抱え上げて生活を送る羽目になった。 「うむ、われはとってもゆっくりできるぞ」 床は今のところガッツの天下、という理由があることをわかっているのかいないのか、ふとは俺のだっこされて実にご満悦だ。 ついさっき、外でついた身体や髪の毛の汚れを濡れタオルで拭き、 髪の毛をブラッシングしてやったおかげで、ふとからはいい匂いが漂っている。 もともと生まれがいいのだろう、髪の毛もふわふわだ。 本人が水を嫌がったのでシャワーは断念した、どうやらゆっくり自体があまり水気を好まないようだ。 ソファーに座ってテレビをつける、ふとは膝の上。 ふとも俺と一緒になってお笑い番組を見て、時々あははと声を上げて笑っている。 犬のガッツも勿論可愛いが、こういうペットと直接喋って、同じ感覚で笑いあうというのはなかなか、思っていた以上に良いものだった。 俺は今日一日で、ふとを拾って良かったと思えるようになってしまっている、すっかり気持ちはデレデレだ。 ふと気づくと、さっきまで視線をテレビに向けていたはずのふとが妙におとなしい。 寝てしまったかなと思って覗き込んでみると、ふとは何やら床に視線を走らせて、にやにやと嫌らしい顔を浮かべていた。 「何してんの?」 視線を追ってみると、ふとはフローリングの床に寝そべっているガッツを見下ろして、ほくそ笑んでいたのだ。 「ゆっふっふ、いまけんじのおひざはわれのもの、がっつなどあしもとにもおよばぬわ」 さっきは怯えて小便まで漏らしたくせに、俺がちょっと手厚くかまってやっただけでもう増長している。 それはそれでカワイイものだが、しかし先輩としてのガッツの威厳を損なわせてしまうのも忍びない。 「おーい、ガッツ~」 俺が呼ぶと、ガッツはピクリと反応して顔をあげこちらを見る。 それだけでいままでニヤニヤ顔だったふとが頬をこわばらせ、「ひっ」と短く悲鳴をあげた。 「ガッツ、こっちおいで」 「や、やめいけんじ、あっ、や、やだこっちこないでっ」 ガッツは俺が呼ぶとおりにこちらにやってきて、ソファーのそばにきて、ひょいと立ち上がり前足をソファーのヘリにかける。 その姿勢で固まったのを見て、ふとはふたたび余裕をとりもどしたのか、少々緊張した面持ちながらも、減らず口を叩き始めた。 「おぉがっつよ、おぬしここまではあがってこれまい、ざんねんだがけんじはわれのものだ」 調子に乗るふとの言葉をわかっているのかいないのか、ガッツはぐんと反動をつけると、そのまま一足飛びにソファーの上に飛び乗った。 「うわわわわわわわ」 それを見たふとは、一気にガッツとの距離が縮まってしまったためか、もにもにと身体をよじって逃げ出そうとする。 抱えた俺の膝の上でぐねぐねと動くものだから、実にふとももあたりがくすぐったい。 「あっ、こら、暴れるなって」 ゆっくりの身体はすべすべとしていて、かつ引っ掛かりがないので結構抱えづらい。 なんとか固定してやろうと腕を回したが、それでも身をよじるふとの身体を支えきれず、 ふとは俺のひざ上から転げ落ちて、そのまま床へと落下してしまった。 「ゆげっ!」 べちゃりと音を立てて顔面から床にダイブするふと、続けてしくしくというすすり泣きから、 身体を起こして大泣きへのコンボへ移行してしまう。 「ふぇええええええええーーー!!!」 「おーよしよし、痛かったな、ごめんな」 結局それからふとをなだめるためによしよしと頭をなでたり、餌で釣ってみたりしていたら、すっかり夜も更けてしまった。 本日の収穫、ふとに魚肉ソーセージを手渡しで餌付けすると、鼻血でるほど可愛い。 「さて、寝るかあ」 ソファーから立ち上がり、ぐいっと伸びをして大きくあくびをする。 ソファーの上に鎮座していたふとは、そんな俺を見上げてクスクスと笑った。 「うむ、われもねるとしよう、さあしんしつへつれていっておくれ」 ふとが身体を少し伸ばして、抱っこしてくれと催促をする。 俺はそれに応じてひょいとふとを両手で持ち上げ、そのまま床におろした。 「なにをする、べっどさんはここではないだろう?」 ふとは不満げに頬を膨らます、どうやら俺と一緒にベッドで寝ると勘違いしているようだ。 「ごめんな、ペットとベッドに一緒にはねられないんだよ、そうでなくてもただでさえ俺寝相悪いし潰しちゃうぜ?ふとはあっち」 俺が指差す先には、部屋の隅に置いてあるふかふかの毛布だった。 「おおっ!ふかふかもーふさんではないかっ!うむ、ちょっとさみしいが、われはまんぞくだぞ」 現金なもので、ふとは大喜びで毛布へ向かって飛び跳ねていく。 しかしあと数跳ねといったところで止まり、わなわなと身体を震わせてこちらをむいた。 「け、けんじはわれになにかうらみでもあるのか・・・?」 その目には涙がたっぷりとためられている、ふとが目撃したものは、 毛布の中に先にくるまって、トロンとした目で大きな口をあけてあくびをしているガッツの姿だった。 「まあまあ、今度ふとの分も毛布買ってきてやるから、今は仲よく、な?」 「いやだ!われはこわいぃ!」 ぷくぅと頬を膨らませながら、ふとはもにもにと身体をゆすって地団太を踏む。 俺はふとに近づいてひざを折り、やさしく髪の毛をなでてやる。 「まあまあ、今は苦手かもしれないけれど、ガッツだって一緒に暮らす家族なんだからさ、 それにガッツはふとのこと嫌いじゃないみたいだぞ?なあ、ガッツ」 俺が声をかけると、ガッツはちらりとこちらをむいて、毛布の中で尻尾をぱた、ぱた、と数回振った。 「ふとだって嫌われたらいやだろ?最初はガッツだってはしゃいじゃって怖かったかもしれないけど、 今はガッツだって反省してるって、ごめんなさいって言ってるぞ、なあガッツ?」 ガッツはもしかしたら俺に名前を呼ばれて反応しているだけかもしれないが、再び尻尾を数回振る。 しかし俺には分かっていた、ガッツは心優しい犬だ、こうもふとが怯えれば、優しく接してくれることだろう。 というか俺の言った通りファーストコンタクト以外は、今のところ過剰なコミュニケーションはないように思える。 ようは今のところ、ふとが一方的にガッツに怯えているだけなのだ。 ふとはガッツのその様子を見て、言葉の通わないガッツの気持ちを感じたのか、恐る恐るガッツのいる毛布に近づいて行った。 「が、がっつ、われをかんだりしないか?」 尻尾をふるのも面倒になったのか、ガッツは目を閉じてお休みモードに移行している。 「よ、よし、われは、われはこわくなんかないぞ・・・」 一歩また一歩とにじり寄るように毛布に近づいていくふと、俺はその様子を心の中でエールを送って応援した。 そしてついに、ふとの身体が毛布の上に降り立つ。 「う、うむぅ~、ふかふかだぁ」 そのままふとはぱたりと倒れこみ、頬ずりするようにすりすりと身体をこすりつけていく。 だんだんと毛布の中へ身体が沈んでいくと、中でガッツと出会ってしまったらしい、こちらから見える丸いお尻が、ビクリと震えた。 「!!!」 悲鳴を我慢しているのか、ふとはもぞもぞと身体を動かしながらなんとか体勢を入れ替えようとしている。 しばらくすると、突然ふとの動きがやみ、毛布の中がおとなしくなってしまった。 「なんだ?」 つい気になって静かに近づき、そっと毛布の端を持ち上げてみた。 (か・・・可愛いじゃないか・・・) 不意打ちを食らって思わず緩んだ口に手を当てる。 毛布の中では、気を使ったのかガッツがふとに、長い胴体で包み込むように体を寄せていた。 「あたたかいぞ・・・」 ふとはガッツの身体の体温と毛布に負けないくらいふかふかの感触にあてられたのか、 うっとりと目を閉じて枕にするようにガッツに身体を預けている。 あんなに怯えきっていたふとも、こうしてガッツのぬくもりを感じることが出来れば、きっと仲よくすることのできる日も近いだろう。 俺は携帯で写真を撮りたい気持ちをぐっとこらえて、二匹を邪魔しないようにそっと毛布を元に戻した。 そして居間の電気を消し、寝室の扉を開け、そっと毛布に向かって小さく声をかけた。 「おやすみガッツ、おやすみふと」 毛布の中からは、幸せそうな静かな寝息が返ってくる。 俺はそれを聞いて、笑顔で静かに寝室の扉を閉めた。 おしまい。 --------------------------------------------------- ふとちゃんあっまあまに可愛がりたい。ばや汁です。 先日(第一作かみさま製作時のタイムスタンプでは6月4日)二周年を迎えました。 初投稿からなんと二年、最近は更新も滞り気味ですが、長い間続けられたのは、 ひとえに読んでいただき、また、感想や挿絵をいただけたりする皆様のおかげです、本当にありがとうございました。 本当は二周年を迎えたその日にSSを投下したかったのですが、多忙のため叶わず、数日遅れでの投下となってしまいました。 今後も創作活動をする時間がどれくらいとれるかはわからず、頻繁に投稿というわけにもいかないとおもいますが、 細々とでも続けていこうと思いますので、どうぞこれからもよろしくお願いたします。 3周年までには、めざせ100作の気持ちで挑みたいと思います! それではまた次の作品で。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ 過去作はこちら。 ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html ばや汁でした。 挿絵:
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『げすまりさ』 10KB 虐待 観察 小ネタ 思いつき 「ぜっぜっぜ~、ぜぜぜのぜ~」 部屋の中心で、変な歌を歌いながらぽいんぽいんと跳ねている黒い帽子を被った生首饅頭がいる。 こいつはゆっくりまりさというやつで、先日近所の公園にいたのを拾ってきた。 「ゆっくり~のぜ~」 声も丸っこい体つきも、一見すると可愛いもんだが、こいつは紛れも無くゲスというやつだ。 それを分かっていて俺はこいつを拾ってきた。 それはこいつの見事なまでのゲスっぷりに感心さえ覚えてしまったからだ。 「ゆふ~、きょうもじゅうぶんゆっくりしたのぜ、じゃあおにいさん、まりさはかりにいってくるのぜ」 「あぁ、いってらっしゃい」 俺が家の窓を開けてやると、そこからまりさは元気よく飛び出して、ぽいんぽいんと跳ねていってしまう。 拾った、と言っても俺はあいつをペットにしたわけではない。 あいつが俺を楽しませる代わりに、雨風しのぐ場所を提供してやっている、という程度だろうか。 なので基本的にはあいつは自分で食料を調達しにいくし、それがあいつの元々のライフワークなので、 俺が食料を与えてやらないことに関しては、あいつは何一つ文句を言わない。 楽しませる、と言ってもまりさが何か特別なことをするわけではない、俺が勝手に楽しんでいるだけだとは思う。 けれどそれがお互い全く損が無いということで、俺達の関係は実にうまくいっていた。 コツン、コツン。 しばらく本でも読みながら待っていると、窓のほうから小さな音がした。 見るとまりさが庭の適当な小石を口に含み、プッと吐き出し窓にぶつけている。 どうやら狩りが終わったらしい。 俺が窓を開けてやると、まりさのあとに続いて、バスケットボール大の丸々と太ったれいむが部屋に侵入してきた。 みるとその額には茎が生えていて、そこには5つの小さな実ゆっくりが実っていた。 おそらく出来たてほやほやだろう。 「ゆゆ~ん!まりさはさいっこうっのだんなさまだね!」 「ゆふん、ほめるなぜ」 汚らしい顔のれいむは、まりさに頬ずりしながら自分達の世界を作っていた、おそらくれいむには俺のことなど見えてはいない。 「こんなひろいゆっくりぷれいすとにんげんのどれいまでついてるなんて、れいむだいまんぞくだよ」 汚物饅頭がなにやら人の神経をわざと逆なでするような発言をしているが、所詮糞袋の戯言、気にすることじゃない。 「あー、れいむ、おにいさんはどれいじゃないのぜ、そこだけははっきりさせとくのぜ、じゃないとまりさまであぶないのぜ」 まりさは身の程をきちんとわきまえているので、俺のほうを伺いながられいむをたしなめる。 「大丈夫だ、気にするな」 俺が言ってやると、まりさはほっと息をつく。 「それにしても、今日はずいぶん上玉だな」 「そうなのぜ、まりさはかりのめいじんだからねっ!」 まりさは俺の賛辞を素直に受け取って、ゆふんと胸をはった。 「ゆっくり~まったり~れいむはぷーりち~」 あれから小一時間ほど経過して、れいむは部屋の隅においてある、 以前俺がまりさにくれてやった使わない毛布に陣取って、小うるさいBGMを奏でていた。 まりさはというと、れいむに付き合ってれいむのそばでにこにことしているだけだ。 恐らくここにくるまでにれいむを満足させてきたのだろう、れいむは飯だなんだと喚くことも無くゆっくりと過ごし、 額の子供達もすくすくと成長しているようだ。 「おにいさん、おにわのくさをもらってもいいのぜ」 「あぁ、雑草なんていくらでも持ってけ、そうだ、生ごみいるか?」 「ありがたいのぜ」 俺が窓を開けてやるとまりさは再び外にでて、奔放に生えている草を毟って部屋のれいむの前に運び、 実ゆの丁度真下にくるように敷き詰めていった。 俺がキッチンの三角コーナーに溜まっていた生ごみを皿に載せてもっていってやると、まりさがそれを受け取ってれいむの前に持っていく。 まりさがなにやられいむに話しかけると、れいむは笑顔で舌を伸ばして生ごみを口に運んでいった。 「むーしゃむーしゃ!しあわせー!」 口の端から食いカスを飛ばしながら、れいむは実に旨そうに生ごみを平らげていく。 野良生活では手に入りづらい新鮮な生ごみは、やつらにとってはご馳走なんだろう。 れいむが食べ終えるころには、まりさは草のベッドを完成させていて、れいむは涎を垂らしながら夢の世界に旅立っていた。 それからまりさはれいむに付きっ切りであれやこれやと世話をやいていった。 次の日、朝目覚めると、れいむの茎には実ゆの重みでだいぶしなっていて、 実っている実ゆはもうほとんど赤ゆサイズになっていて、今にも生まれそうな状態だった。 「ゆゆ~ん!れいむのあかちゃん!ゆっくりうまれるよぉ~!とってもかぁわいいよぉ~!」 れいむは一人感動に打ち震え、目に涙を浮かべながら感動の瞬間を今か今かと待ちわびていた。 近くで見守るまりさの表情は少し疲れているようにも見えた、俺が寝ている間にも、 れいむが騒いだりしないように満足させることに力を入れていたのだろう。 そして。 ぷよん、ぷよんぷよん… 「ゆにー!」「にゅっ、ゆー」「ゆ~」「ゆち、ゆぶう」「ゆー!」 「ゆわぁ~おちびちゃんゆっくりうまれたよー!ゆっくりしていってね!」 『ゆっきちちちぇちぇにぇ!』 どうやら生まれたようだ、5匹の子ゆっくりは全てまりさの作った草のベッドに着地し、元気な産声をあげた。 れいむは猫なで声を出して赤ゆに頬ずりし、まりさはふぅと息を吐いている。 コーヒーを飲みながらしばらくその様子を見守っていると、まりさがのそりと動き出した。 「じゃ、れいむばいばいなのぜ」 「ゆ?」 きゃいきゃいと騒ぐ子ゆと戯れていたれいむが、まりさの不思議な言葉に怪訝な表情を浮かべる。 次の瞬間、まりさは予備動作もなしに、れいむのもみあげを噛み千切った。 「ゆぎゃあああああああああああ!!!!!!!」 「うごいちゃだめなのぜ、だいじなおちびがつぶれちゃうのぜ」 まりさは子ゆっくりを守るように身体を移動させながられいむの身体を一口また一口を噛み千切り、飲み下していった。 「うーん、やっぱりおとなはあんまりおいしくないのぜ」 「なななななななにじでるのぉぉぉお!?」 頬や口元の傷口から餡子を垂れ流しながら、れいむは必死にまりさを止めようとした。 しかしまりさが止まるはずはない、なぜならまりさは元々これが目的だったのだから。 「まりざはでいぶのだんなざまでじょおおぉおお!?どぼぢでごんなごどずるのおおお!?」 「あー、そんなこともいったかもしれないのぜ、ぜんぶうそだぜ、ごめんのぜ」 「うぞだああああああ!!!うわああああああ!!!」 れいむは自分を喰いに来ているまりさという、自分の中で全くわけの分からない状態に錯乱し、 身体を思い切りよじってその場から逃げようとする。 「もう、だからうごいちゃだめっていってるのぜ、ききわけのないれいむなのぜ」 残念ながらそんなれいむが至って冷静極まりないまりさに敵うはずもなく、 まりさは背中を向けるれいむに後ろからジャンプしてのしかかり、全体重をかけてあっさりとれいむを踏み潰してしまった。 ぶしゃっ!と汚らしい音を立てて、れいむの身体に空いていたいくつもの穴から、れいむの中身がまき散らかされる。 「が…ひゅ…も…ゆ…」 れいむはたいした断末魔を上げることも出来ず、そのまま息絶えた。 「うわ、おにいさんごめんのぜ、あとでちゃんと片付けるのぜ」 「あぁ、そうしてくれ」 まりさは一度こちらを向いて申し訳なさそうにしてから、今度は笑顔で、今の状況を見て怯えきっている子供達のほうに向き直った。 子ゆたちは、それぞれパニック状態に陥り、口から餡子を吐き出す者や泣き叫んでおそろしーしーを垂れ流している者もいた。 「おちょーちゃぁ…」 「そうだぜー、おとうさんだぜ~」 まるで子供をあやす様にまりさは笑顔でゆっくりと子ゆに近づいていく。 「ど…ちて…」 親の殺し合いを見せ付けられてしまった子供の素直な疑問に、まりさはとても真っ直ぐに、残酷に答えをくれてやった。 「どうしてもこうしても、おまえたちもれいむもまりさのごはんなのぜ、ゆっくりたべられてね」 『ゆぴゃああああああああ!!!!』 子ゆ達は泣き叫び、逃げようとするやつもいたけれど、所詮生まれたてで、 はたから見ていてもそれは逃げているというよりはのた打ち回っているだけというような状態だった。 俺はそばに置いてあった箸立てから箸を一本取り出して、まりさのそばに投げてやった。 「お、さんきゅーのぜ」 まりさはそれを咥えて、一匹一匹子ゆを串刺しにしていく。 その箸さばきはなれた物で、殆ど一突きで子ゆ達は声を上げる間もなく絶命していった。 俺とまりさが出会ったとき、こいつはまさにこの狩りの真っ最中だった。 あの時は木の枝を使ってやっていたが、うちに来てからは箸を一本かしてやると、 まりさはその頃を再現するようにこうして鮮やかな箸使いを見せてくれるのだ。 「いやー、うんどうしたらおなかへったのぜ、いただきまーす、むーしゃむーしゃ、うん、うめっ」 まりさは仕留めたばかりの子ゆを一匹まるまま口に入れると、実に美味しそうにむしゃむしゃと租借した。 残りの4匹はまりさの毛布のそばに固めておいてある、どうやら保存食にでもするつもりらしい。 「これだけあればしばらくもつのぜ~」 「それはよかったな、それも片付けといてくれよ」 「まかせるのぜ、あんまりおいしくないけどがまんするのぜ」 俺がれいむの残骸を指差すと、まりさは普段と変わらぬゆっくりとした動きに戻って、ぺろぺろと床を舐め始めた。 仕事から戻ってくる頃には綺麗になっているだろう。 まりさにしっかりやるようにと釘をさして、俺は家を出た。 またまりさは、あの食料達がなくなると、狩りへ出かけるのだろう。 逆らうと殺すと言っているわけではないが、まりさは人間の俺には敵わないことを自覚しているようで、 決してでしゃばったり無駄に逆らったりすることは無い。 まりさは俺の歪んだ趣味を満たす楽しいショーを見せてくれ、俺はまりさに快適な宿を提供する。 まさに理想的な共存といえるだろう。 まりさが次はどんな獲物を捕らえてきて、どんな殺しを見せてくれるのか、俺は今から楽しみでしょうがない。 終わり。 ------------------------------------------------ 思いつき小ネタです。 ゆっくりぬいぐるみの、なんとなくげす~んとしたまりさの顔を見てたら思いつきました。 無理に餌取りに行くよりその辺にあまあまいくらでもころがってるじゃん? という考えにいたって餡黒面に堕ちてしまったイケまりさのお話でした。 ゆっくりが泣き叫びながら死ぬのを見るのが大好きなお兄さんと出会って幸せに暮らしています。 まさに理想ですね、ああまりさ欲しい。 ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ 今までの作品 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは anko1983 はこ anko2001 でぃーおー anko2007 ゆんりつせん anko2023 あるむれ anko2068 おしかけ anko2110 とおりま anko2111 おもちゃ anko2112 ぼくとペット anko2223 まちかどで anko2241 かいゆ anko2304 ぼうけん anko2332 とかいは anko2349 たたかい anko2369 ゆっくぢ anko2413 せんたく anko2427 ぶろてん anko2489 あこがれ 前編 anko2588 ひとりぼっちのまりさ anko2807 母の音 anko2887 僕とれいむと秘密基地 anko2949 野良れいむ anko3047 ぶろてん おまけ anko3058 実験01 クッキーボタン anko3067 わけあり おまけ 餡小話では消えてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html をご活用ください。
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『ちるの時々まりさ』 10KB 愛で 小ネタ 思いつき小ネタです 「う~…さぶっ、しばれるねぇ…」 退屈な休日友達のいない学生には時間ばかりが余っている、 けれど飯を作るのも面倒だったので、コンビニで済ますかと外にでると、 太陽が出ているというのに凍えるほどの気温だった。 小さいころは、ドラゴンだー!などとはしゃぎながら出していた白い息も、 もうこの年になると見るだけで憂鬱な気分になる。 すぐに家に戻ろうかとも思ったが、かといって食う物は無い。 さっさと済ましてしまおうと、身体を縮こまらせながら歩いていると、通り道にある公園で珍しいものを見た。 「あれは…」 「~♪~♪」 公園の真ん中、雪が積もって人はやすやすと入れない位置に、青くて丸い生き物が、ふよふよと漂っていた。 ぬいぐるみのような顔だけの生き物は、ゆっくり、確か名前はちるのと言ったか。 普通野生ではあまりお目にかかれない種類だけど、今日は特別寒いせいか人目に付くところまで遊びにきたみたいだ。 「おーい、ちるの~だよな?」 「あたいはちるのだよ!あたいさいきょー!」 僕が声をかけると、ちるのは元気に声を上げて答えてくれた。 どうやら正解だったらしい、ちるのは一人で地面スレスレのところを楽しげに漂っている。 地面、といっても積もった雪だ、僕から見ると大体胸くらいの高さにいるだろうか、近づきたくてもこれでは近づけない。 軽く手を振ると、キリリとした顔でこちらを向いてくれ、キメ顔に集中しすぎたのか、 ぽすりと音を立てて雪の上に着地すると、再び楽しそうにふよふよと浮き上がる。 まるで空中を散歩しているかのように漂ったり、時に雪の上をスケートでもするかのようにそれなりの早さで飛んだり、実に楽しそうだ。 「ゆっくりは風の子元気な子ってところですか、おぉ寒い寒い」 なんだか微笑ましい気分になったけど寒いものは寒い、僕はコンビニに向かい足を速めた。 コンビニで買い物を済まして元来た道を戻ると、さっきのちるのが雪の上に着地して、ぼーっと空を眺めていた。 「なにしてるの~?」 僕が声をかけると、ちるのはちらとこちらを見てから、再び顔を上げてしまう。 しばらくすると、独り言には聞こえない大声で、ちるのは独り言をつぶやいた。 「あたいつまんない!ひとりぼっち、や!」 そこらへんの汚い野良と違って、珍しいちるのと遊んであげたいのは山々だったが、 僕にはちるのの居る位置までたどり着く気力は無かった。 仕方ないのであきらめて家に向かう、少し歩いたところで、ふといいことを思いつき、 走って家に戻って買ってきたコンビニ弁当を置き、急いでもう一度公園へと足を運ぶ。 その途中で僕は、近所迷惑にならない程度の音量で 「ゆっくりしていってね!」 と、言い続けた。 すると二階建てのアパートの付近で、僕の呼びかけにこたえる声がした。 「ゆっくりしていってね!」 「そこか…ゆっくりしていってね!」 僕がそう声を上げるたび、同じように声が返ってくる、その声を頼りに近づいていくと、 アパートの一号棟と二号棟の間に人一人が通れる程度の隙間があった。 ひょいと覗くと、そこはいくつかの暖房の排気口があるらしく、雪が溶けていてほんのりと暖かかった。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ…ゆっくりしていってね!でもこっちにこないでね!」 明らかに自分達の仲間でないものが近づいてきたのが分かったのだろう。 声の主は、その隙間に無造作においてある、ままさんダンプの影から聞こえてきた。 恐らく除雪用においてあって、あまり普段使われていないのだろう、確かに小動物が隠れるのには丁度いいかもしれない。 近づいていってそれをひっくり返すと、中から一匹の黒い帽子のゆっくりが顔をだした、ゆっくりまりさだ。 「ゆっくりしていってね」 僕が笑顔でそういうと、向こうも挨拶を返してくれた、しかしその顔は引きつっている。 「ゆ、ゆっくりしていってね、おにいさんなんなのぜ、まりさなんにもわるいことしてないのぜ」 まりさはビクビクとしながらこちらの様子を伺っている、隙あらば逃げ出そうという感じが丸出しだが、 僕は先手を打ってひょいとまりさを持ち上げた。 「うあぁあああ!!!はなせーはーなーすーんだぜー!」 「あぁ、こら!暴れるなよ、別にとって喰ったりはしないさ」 「ほんとなのぜ?も、もしかしてまりさをかいゆっくりにしてくれるのぜ?いいこにするのぜ!?」 「やだよ、なんでそんなことしなくちゃいけないのさ」 「しょんぼりぜ…」 まりさを小脇に抱えると、僕はアパートの間を抜けてちるのの居る公園へ向かった。 ちるのはまださっきの位置に居て、ぼんやりと空を眺めていた。 「お~い」 僕が声をかけると、ちるのはこちらをちらと見たけど、またさっきと同じように視線を戻してしまう。 けど今回はさっきとは少し違う、僕はかかえていたまりさを掲げると、ちるのに向かってひょいと投げた。 「おそらをとんっぜっぜっ!いじゃ!いたいのぜ…」 まりさは数回少し固めの雪の上でバウンドしてちるのの目の前でうつぶせで静止する。 それに興味をひかれたちるのと、顔をあげたまりさの目がばっちりと合っていた。 「お友達、つれてきてやったぞー」 「あそぼ!」 ちるのはぱっと笑顔を輝かせて、まりさの周りをくるくると回った。 「のぜ?みたことないゆっくりなのぜ、なんていうなまえなのぜ?」 まりさは突然のことに少々困惑しているらしい。 「あたいちるの!あたいさいきょー!」 ちるのはお友達に会えて嬉しいらしい、跳ねるように飛び回りながら、お得意の叫び声を上げていた。 「さいきょー?ゆへへ、まりささまをおいてさいきょーをなのるなんて、ひゃくおくこーねんはやいのぜー、まりさはとってもつよいのぜ?」 「あたいさいきょー!」 にらみ合いが始まり、まさかケンカか?とも思ったが、始まったのはいたって平和なじゃれあいのようなもので、 僕は少し離れた位置からその様子を微笑ましい気持ちで見守っていた。 小一時間ほど立っただろうか、しばらく眺めていると、どうもまりさの様子がおかしい。 「ぜ…ぜぜ…さむ…いの…ぜ…」 「まりさ!どうした!」 ちるのはまりさの突然の変化に戸惑っているようだった。 まりさは全身をぶるぶると震わせ、その場で固まってしまう。 「うぅ…も…だめなの…ぜ…もっと…ゆっくり…した…か……のぜっ…」 その言葉を最後に、まりさはころりと転がって、ピクリとも動かなくなった。 「ま…まりさああああああああ!!!!あああああーーーーーー!!!!」 「え、うそ、死んだの?」 あぁまりさ、君の尊い犠牲は忘れない、ちるのと遊んでくれてありがとう。 僕が心の中で手を合わせながら見ていると、ちるのはまりさのおさげを咥えて、こちらに飛んできた。 僕の目の前にまりさを置いて、ちるのはその場でわんわんと泣き出してしまう。 「まりさがああああ!!まりさがじんじゃっだーーーーー!!!」 その声は意外と大きい、僕がちるのを片手で撫でてあやしてやりながらまりさの頬を叩くと、数回に一回まりさはぴくりと瞼を動かした。 どうやら生きてはいるらしい、寒すぎて仮死状態になってしまったのだろうか。 しかしわんわん泣くちるの、近くでみるとやっぱりめんこい、非常にめんこい。 「なあちるの、うちの子にならないか?」 「ん…?ぐすっ…」 ちるのは目に涙をためたまま、僕のいっている意味が分からなかったのか顔をかしげてしまう。 「えっと、僕と友達になって、一緒に暮らさない?どう?」 「ともだち!」 ちるのはその響きに瞳を輝かせ、きゃっきゃとはしゃぐ。 さっきまで泣いていたのが嘘のようだ、僕が笑顔をみせると頬をすり寄せてじゃれ付いてきた。 「あははっ、うわっしゃっけ、おいおいやめろって、ははは」 今までずっと外に居たからか、それともそういう性質なのか、ちるのの身体はまるで氷のように冷たかった。 珍しいゆっくりと友達になり、そしてその子を飼えるという興奮で、僕は胸が躍った。 ちるのを従えて家に帰ると、すっかりとお弁当は冷め切ってしまっていた。 「ところで何でキミがここにいるんでしょ」 それから数日、あの時さすがにあの状態で外に放り出すのもかわいそうかと思い、せめて身体が温まるまで、と思い家に入れてやった野良まりさ。 けれどこいつは、いつの間にか僕の家に居ついてしまっていた。 「みっずくさいこといわないでほしいのぜ、まりさもともだちなのぜ!」 「ともだち!あたいさいきょー!」 一度は外に蹴り出したものの、その日は幸か不幸か猛吹雪。 心を鬼にしようと思っても、家の玄関フードにかじりついて切なそうな声を上げるまりさと、僕に瞳で訴えるちるのに、 さすがの僕も折れてしまい、それからずるずると、という感じだ。 「ん~、あったかいしつないにひんやりちるのはきもちーのぜー」 「あたいさいきょー!あそぼ!あそぼ!」 「あそぶのぜ~」 一緒に暮らしてみて分かったのだが、ちるのはかなりおばかな性格で、それにテンションも高く、 可愛いには可愛いのだが、なかなか疲れるゆっくりだった。 そしてこのまりさ、元野良の癖に妙にほんわりとしていて、緊張感が無い。 テンションの高いちるのにまりさをあてがっておくと、僕がかかわらなくても部屋の隅っこで遊んでいたかと思えばいつの間にか寝ていたり、 とにかく勝手にじゃれあってくれているので殆ど手がかからない、そういう点では正解だったのかも知れない。 勝手に飼うことを決めてしまったのでどうなることかと思ったが、家族もすんなりとこの二匹のことを受け入れてくれた。 それどころかもしかしたら僕よりもこの二匹のことを可愛がっているかもしれない。 たまには勉強でもしようかと机にむかっても、後ろから聞こえてくる、のぜのぜあたいあたいが気になってしょうがない。 「あーもー!僕もまぜろよぅ!」 「おー、なにしてあそぶのぜ?」 「まりさっかー、ボールはまりさ、ゴールはゴミ箱」 「ひどいのぜっ」 「あはは!やるー!あたいさいきょー!」 「よーし、ほらまりさ、逃げないとけるぞー」 僕とちるのがずんずんとまりさに迫る、まりさは僕らに背を向けて狭い室内をぴょんぴょんと飛び回る。 「つかまってたまるかなーのぜー」 僕とまりさとちるのの笑い声が部屋に響く。 偶然の出会いだったけど、僕達の絆は、なんとなーく強く結ばれている気がする。 これからも、ずっと一緒。 おしまい。 -------------------------------------------- なんとなくちるのネタ、ということでせっかくだから寒い地方の方言を意図的にほんのちょびっとだけ入れてみました もし意味がわからなければぐーぐる先生にきいてみてください ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ 今までの作品 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは anko1983 はこ anko2001 でぃーおー anko2007 ゆんりつせん anko2023 あるむれ anko2068 おしかけ anko2110 とおりま anko2111 おもちゃ anko2112 ぼくとペット anko2223 まちかどで anko2241 かいゆ anko2304 ぼうけん anko2332 とかいは anko2349 たたかい anko2369 ゆっくぢ anko2413 せんたく anko2427 ぶろてん anko2489 あこがれ 前編 anko2588 ひとりぼっちのまりさ anko2807 母の音 anko2887 僕とれいむと秘密基地 anko2949 野良れいむ anko3047 ぶろてん おまけ anko3058 実験01 クッキーボタン anko3067 わけあり おまけ anko3078 げすまりさ anko3090 てのりれいむ anko3096 雨 anko3107 ゆかりん anko3114 命の価値 餡小話では消えてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html をご活用ください。
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『ゆかりん』 10KB 愛で 小ネタ 独自設定 思いつき 「う、う~~~~ん…いたた…」 全身の穴という穴に泥を塗りたくられたような、なんとも気持ち悪い感覚で目覚める。 頭は痛い、胃はきもちわるい、口の中もカラカラなようなネバネバなようななんとも言えない不快な感触がする。 吐く息がアルコール臭い、完全な二日酔いだ。 昨日ついつい仲間内で飲みすぎてしまった、どうやって帰宅したのかは全く覚えてない。 しかし幸いにも今日は休日、だからこそ思い切り飲んだのだが、だからといって休日を棒に振ってしまうのは少々もったいなきがする。 と、思いつつもやはり身体が動く気がしない、しかたなく布団にもぐりこみ、このムカつきが去るのを待つことにした。 ところが。 がたんっ、がたがたっ。 「な、なんだ?」 酔いはともかく突然の物音に眠気が一瞬で醒める。 音を探ると、どうやら押入れの中から物音がしたようが。 そこには普段使わない来客用の布団と、衣替え用の衣服しか入っていないはずだ。 なのにずいぶん大きな物音がした、居るはずの無いものが居るのかもしれない、サッと血の気が引く。 しかしなおもがたんがたんと揺れるふすまを、俺は勇気を振り絞って横にスライドさせた。 「ゆぅ~~~~」 「はい?」 するとそこには、ふりふりの長いスカートに包まれた小ぶりなお尻が一つあった。 その上半身は布団の隙間に挟まっているらしい。 「なんだこれ?」 思わず指でつついてしまうと、ビクンと震えてから、足をじたばたとさせてそれが布団の間から這い出てきた。 「しょーじょのおしりをつつくなんてしつれいね!」 布団の隙間から出てきた、その軽いウェーブのかかった金色に輝く長い髪の毛の少女は、まん丸の頬を膨らませて俺に抗議する。 「えっと…キミは…」 正直こんな知り合いは居ない、ところでこれって少女誘拐になるんだろうか、 と鈍った頭の隅でぼんやり思っていると、少女はぷりぷりとしたまま自己紹介をしてくれた。 「ゆかりんはゆかりんだよ!どうつきのすごいゆっくりなんだよ!」 「え、ああキミ胴つきゆっくりなの?」 「そうよ!もう、おにいさんがきのうのよる、すてきなすきまをしょーかいしてくれるっていうからついてきたのに! おにいさんったらわたしのことなんてほっといてねちゃうんだもの!ゆっかりできないわ! しかたないからそこのすきまをゆかりのすきまぷれいすにすることにしたからゆっかりさせてね!」 「はぁ…」 女の子…もといゆかりんは、勝手にそうまくし立てると、再び押入れの中に折りたたんである布団の隙間に顔をつっこんで、ゆっくりとし始めた。 「ゆ~ゆ~ゆ~」 どう見ても苦しそうなのだが、本人はご満悦らしい、お尻をふりふりと揺らしながら、楽しそうな声をだしている。 「…寝よう」 酔いが残る俺はなんだかどうでもよくなってしまって、そのまま自分の布団にもぐりこんで、目を閉じた。 ゆさゆさと身体が揺さぶられる感覚で目を覚ます。 「あ…?」 部屋全体が暗い、どうやら寝ているうちに太陽は落ちてしまったらしい。 暗がりにぼんやりとうかんだ、俺を見下ろすゆかりんと目が合った。 「ねーねーおにいさん、ゆかりんおなかへったわ、なにかたべさせて」 「あー、うん」 軽く頭を振ると、もうアルコールは殆ど残ってはいないようだった。 「っていっても何にもないけどなぁ…チャーハンでいい?」 「なんでもいいわ!」 床にぺたりと座りこむゆかりんを置いて、俺はのそのそと立ち上がってキッチンにたった。 二人分のチャーハンを作って皿によそって食卓に置くと、ゆかりんはまってましたと俺の向かい側に座り、スプーンをとって勢いよくかきこんだ。 「はふっはふっ!おいしいわ!」 「そう、ゆっくりたべなよ」 「うん!」 俺もゆかりんに続いてもそもそと米粒を噛んでいると、脳みそが徐々に起きてきて、冷静な疑問が浮かんでくる。 「え、そういえばキミ飼い主とかは?」 「いないわよ?」 「そうなの?」 「ゆかりんはすてられちゃったの、くさいんだって、しつれいよね!」 「臭い…?どれ」 俺はゆかりんに顔を近づけてくんくんと匂いをかぐ。 捨てられてから日にちがたっていたのか、どこか埃臭い匂いがしたが、それ以外は特別きにならなかった。 「でもおにいさんがひろってくれたんでしょ?」 「えっ、いやぁ…」 ゆかりんの真っ直ぐな視線につい目をそらしてしまう。 正直昨日のことは全く覚えていないのだが、酔った勢いとはいえ捨てゆっくりを家まで上げて、覚えてないという理由でまた外に放り出すのは無責任だと思う。 それにきっと昨日出会ったときは、恐らく本気で女の子に声をかけられたとでも思ったのだろう、 どうやら間違いは犯していないようだが、見ず知らずの娘を部屋に連れ込んだりして、それはそれであきれた話だ。 目線をちらと戻すと、ゆかりんはだまって俺の顔をじっと見つめていた。 頬が丸いという程度で、ぱっと見るとゆかりんは美少女に見えないことは無い。 普通のゆっくりなら考えてしまうところだが、胴つきともなるとある程度こちらの言うことは聞いてくれそうだし、 なにより俺が仕事に出て、部屋に一人にしてもそれほど問題はないだろう。 それにこんなに可愛い子を邪険に扱うのも気が引ける、もしも俺の手に余るようなら、飼い手を捜してやればきっとすぐに見つかるだろう。 「まぁ、俺のとこでいいなら、べつに居てもいいよ」 意を決してぶっきらぼうに言うと、ゆかりんはぱっと笑顔になった。 そして再びチャーハンをもりもりと口に運ぶ、ほっぺにご飯粒が付いていようがお構いなしだ。 なんだか小さい妹が出来たような、微笑ましい気分になってしまった。 そうと決まれば早速…とペットのためのあれこれを考えてみたが、ゆかりんに聞いてみても人間の生活に必要なものと殆ど変わらなかった。 強いて言えばあまりしょっぱいものや辛いものはニガテらしい。 服も洗濯して、風呂で身体を洗うように言って、出てきたら俺の服を貸してやった。 小さな身体では俺の服はサイズが合わず、だぼだぼで不釣り合いだったが、我慢してもらうしかない。 折角のペットだ、遊んでやろう!とも思ったけど道具が無い、なにか一緒に楽しめるものはと探しているうちに、 ゆかりんは勝手に押入れを空けて布団の隙間に身体を滑り込ませてしまった。 折り重なった布団の間に頭からつっこんで、下半身が出ているというすごい絵面だが、本人はこれが気に入っているらしい。 手がかからなすぎて正直肩透かしを食らった気分だが、まあ楽といえば楽なので気にしないようにしよう。 その状態でも、俺が話しかけるとちゃんと答えてくれるので、話し相手にはなってくれるようだった。 寂しい一人暮らしには、これが結構ありがたい。 他愛の無いおしゃべりを続けてふと時計をみると、時計の短針が頂点に達しようとしていた。 「いけね、明日も仕事か、あーあ、一日棒にふっちゃったなぁ」 二日酔いにやられて殆どを布団の中で過ごしてしまった、若干の後悔をしつつ、 俺は寝巻きから着替えてもいなかったのを思い出し、電気を消してそのまま布団にもぐりこんだ。 「おやすみゆかりん」 「おやすみなさい!」 短い挨拶を交わして目を閉じると、しばらくしてゆかりんのいる押入れのほうからもぞもぞと物音がした。 眠気に誘われながらそちらに意識を向けていると、俺の布団の足元がそっとめくられて、何かが進入してくる。 目を開けると、俺の首元の布団の隙間から、ゆかりんがひょいと顔を出した。 「こっちのすきまのほうが、あったかいわ」 ゆかりんはクスクスと笑って、そのまま目を閉じてしまう。 「お、おいおい」 「ゆっかりできるわ…」 狭い布団の中で、ゆかりんは俺に身体をすりよせるようにして寝息を立てはじめてしまった。 俺の服に包まれた、やわらかい身体が密着して、なんだか不思議な気分になってしまう。 これが女の子のやわらかさなのかな…などという考えが頭を過ぎってしまい、俺は頭をふってそれを吹き飛ばした。 「まったくゆかりんはあまえんぼだな」 そうさ、ゆかりんはゆっくりなんだ、このぷにぷにもゆっくりのもち肌さ。 そう自分に言い聞かせて、俺はゆかりんを抱き枕代わりにして眠ってしまうことにした。 翌朝、カーテンからもれる朝日が瞼に落ちて意識が覚醒する。 すると俺は自分の鼻にふと違和感を感じて、ぱっと目を開けた。 「な、なんだなんだ異臭騒ぎか!?」 あわてて布団に入ったままあたりを見渡すと、特に何も起こっていないようで、外もいたって静かだった。 俺の目の前には、俺に抱きついたまま大口を開けて眠っているゆかりんがいるだけだ。 ふと、その口の中から、鼻を突く臭いが漂ってきた。 「え、なにこれくっさ」 確かめるためにもう一度ゆかりんの口に鼻を近づけると、確かにゆかりんの口の中から漂ってくる臭いだった。 「あー、くさ、なにこれ、えっと、これは…」 においというものは案外記憶に残りやすい、俺はくんくんと嗅ぎながら記憶をたどっていくと、 その臭いは納豆に近いものだということが分かった、強いて言えばその臭いはスーパーで売っている納豆なんかよりはるかに強い。 初めは突然のことに臭いと思ってしまったが、納豆かと思うとそれほど気になるというものでもなかった。 ちょいとしょうゆをたらしてかき回し、白飯の上にとろっとかけて勢いよくかきこみたい、などというイメージが浮かんできて腹の虫が鳴く。 その音でゆかりんも目を覚ました。 「んぅ~…ふわ…ゆっかりおはよう」 「あ、あぁおはよう」 あくびに乗って再び臭いが俺の鼻を突いたが、そのことは言わないでおいてあげた。 前の飼い主に捨てられた理由がどうやらそれらしいので、可愛そうかなと思ってしまったのだ。 ゆかりんは布団の中で俺に抱きつきながら、朝ご飯をせがむ。 他の飼い主を探したとしても、これではもしかしたら再び捨てられてしまうかもしれないなと、ふと思う。 仕方ないので可能な限り俺が最後まで面倒を見てやるしかないようだ。 外見は可愛い少女なのに、においが臭いなんて、なんて不憫なんだろうと思うと、ふと心の汗が頬をつたってしまう。 ゆかりんはそれに気付かず、隙間はゆっかりできるわとか、ご飯はまだかしらとか、愛嬌のある声で独り言をいっていた。 口を開くたびに、ぷわんぷわんとその顔に似合わない臭いが再び俺の周りを漂い始めた。 大丈夫だよ、安心してくれゆかりん、俺は納豆とか気にしないタイプだからさ… おしまい。 ---------------------------------------- ふとスレを覗くとゆかりんが弄られていたのでノッてみました。 自分も納豆でご飯三杯イケる派だから大丈夫だよゆかりん!(キリッ あとふと餡サイクロペディアを眺めていたところ、自分の名前が載っていることに気付きました。 紹介文を書いてくれた方には、この場を借りてお礼をさせていただきます、ありがとうございます。 それではまた次回作で。 ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ 今までの作品 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは anko1983 はこ anko2001 でぃーおー anko2007 ゆんりつせん anko2023 あるむれ anko2068 おしかけ anko2110 とおりま anko2111 おもちゃ anko2112 ぼくとペット anko2223 まちかどで anko2241 かいゆ anko2304 ぼうけん anko2332 とかいは anko2349 たたかい anko2369 ゆっくぢ anko2413 せんたく anko2427 ぶろてん anko2489 あこがれ 前編 anko2588 ひとりぼっちのまりさ anko2807 母の音 anko2887 僕とれいむと秘密基地 anko2949 野良れいむ anko3047 ぶろてん おまけ anko3058 実験01 クッキーボタン anko3067 わけあり おまけ anko3078 げすまりさ anko3090 てのりれいむ anko3096 雨 餡小話では消えてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html をご活用ください。
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『ぶろてん』 10KB ギャグ パロディ 現代 独自設定 小ネタ、虐待なし 注)このSSには謙虚なナイトのありがたい名言のような表現(パロディ)が非常に多く含まれている しかし作者がにわかなのは確定的に明らかだがこのSSに魅力があるかもと感じてしまっているやつは本能的に長寿タイプ 注意書きの意味を理解しないままこの先に足を踏み入れると諸兄の寿命がストレスでマッハになり 病院で栄養食を食べる事になるかもしれない もしくはこのウィんドウがひっそりと幕を閉じる …以上のことを踏まえたうえでどうぞお楽しみください~ ---------------------------------------------- 今日は念願のゆっくりを飼う! 何ヶ月も前から計画してこつこつとアルバイトでもらったお金をためて数ヶ月。 頻繁にくる友人の遊びの誘いを断ってまで節約し、溜まりにたまった通帳残高。 僕は自然とにやけてしまう頬を押さえながらそれを眺め、ペットショップのある街に繰り出そうとしていた。 「あぁ~、れいむがいいかな、まりさがいいかな、思い切って希少種?それとも胴付き?くぅ~!迷うなぁ!」 貯金は、よほど高いものでない限り大丈夫なはず。 これから起こる素敵な出会いに胸を躍らせながら、僕は鼻歌交じりで上機嫌に歩いていた。 すると前方の道端に、大きめのダンボールが口をあけて転がっていた。 なんだろうと少し気になりながら進んでいると、突然その中からひょっこりと何かが頭を出した。 「あれ…?てんこ?でも髪の毛の色が…」 下膨れの顔、きれいな長い髪と桃の飾りの付いた帽子、それはどうやらまぎれもなくゆっくりてんこの様だったが、 ただ唯一僕の記憶しているてんこと違っていたところは、髪の毛の色だった。 そのてんこは、普通のてんこの青い髪の毛とは違い、銀色に近い薄い灰色だった。 妙に不自然な高さに顔が出ているとおもったら、よく見ると首があった、どうやら胴付きのようだ。 てんこはかわいらしい顔で僕の顔をじっと見つめてくる。 (困ったな…捨てゆなのかな、胴付きてんこなんて超レアなのに、なんで…?) 僕もついてんこを見つめ返してしまう、けれどてんこの視線が妙に力強いので、つい目をそらしてしまう。 (うぅ…いけないいけない、捨てを拾うといろいろと面倒だしなぁ…それになんか問題があって捨てられたのかもしれないし…) これからゆっくりを買いに行こうとしてるところに、確かに捨てゆっくりがいてそれを拾うというのも魅力的かもしれない。 けれど捨てられたからにはなにか問題があるはずだし、病気の心配や登録の問題。 とにかくいろいろと面倒なのだ、なので僕は目をそらしてなるべくてんこのことを考えないようにしながらダンボールの横を通り過ぎようとした。 最後に横を通るとき、ちらりとてんこをみる。 てんこはあいかわらず僕の方をじっと見ている、これが僕の庇護欲を刺激したが、僕は心を鬼にして、ぎゅっと目を瞑って足を速めた。 ところが、僕がてんこの横を通り過ぎてから数歩ほど歩いたところで、背中に 「おいぃ!」 と、声質はかわいらしいけれど、確実に怒気をはらんだ声がぶつけられた。 何いきなり話しかけて来てるわけ?などとおもうはずは無い、出来れば振り返りたくないが、僕は意を決して振り返った。 さっきまでかわいらしかったてんこの眉間にぐぐっと皺がより、歯をぎりぎりときしませながら、てんこはこちらを睨み付けていた。 「おまえいまてんこをさんかいれんぞくみつめただろう!それでこのてんこをむししようなんて!きたないなさすがにんげんさんきたない! そんなのあもりにもひきょうすぎるでしょう?ほとけのかおをさんどまでというめいぜりふをしらないのかよぅ!」 「へ…?」 あまりにも早口に、よくわからない言葉遣いでまくし立てるてんこに、僕は思わず面食らってしまった。 「はかいりょくばつぎゅんのてんこのみりょくでめろめろだろう!?てんこはもてるからな!だからてんこをかえ!」 てんこはゆっくり特有のきりっとした顔でキメて、僕を見つめる。 (なにこいつ、ちょっと…いやかなりウザい…) ゆっくり独特のうざったさのような物は知っていて、それも承知でゆっくりを飼いたいとおもっていた僕だけれど、 このてんこはまた別のタイプのウザさというか、なんともいえない不思議な感覚だ。 「ところで君はどうしてこんなところにいるの?やっぱり捨てられちゃったの?」 僕が疑問におもっていたことを聞いてみると、てんこは実に嫌そうな顔をして 「おいやめろばか!このはなしははやくもしゅーりょーですね!」 と言った、どうやら聞かれたくないらしい。 しかしその様子からやはり捨てられているのだろうということは確定的に明らかだ。 「にんげんさんなんかがいっきゅーゆっくりのてんこにたいしてなめたことばをつかうことでてんこのいかりがうちょーてんになった! このいかりはしばらくおさまることをしらない!」 てんこはダンボールの端をぎゅっと両手で握りながら、僕に向かって頬をぷくーっと膨らませて威嚇してくる。 言葉遣いが相当悪い…というか変だが、仕草は普通のゆっくりとあまり変わらないらしい、微笑ましいものだ。 「あー、ごめんごめん、じゃあお詫びにそこの自販機でジュースを奢ってやるよ」 僕がそういうと、てんこは目をきらきらと輝かせて「きゅーほんでいい!」といった。 なんでだよ。 「ふふん!けんきょなてんこはまんぞくしたぞ!ぐらっとんすうぃふとでばらばらにひきさいてやるところだったがかんべんしてやろう!」 自販機で買ってやった桃ジュースの缶を両手で包むように持って飲んでいるてんこは、とても上機嫌だった。 「ぐらっとん…何?」 僕が聞き返すと、てんこは実に平坦な胸を張って 「なんだおまえ!ぐらっとんをしらないのか!」 と言い、ダンボールの底のほうをごそごそと探って、あるものを取り出した。 そしてそれを高々と掲げて僕に言い放つ。 「これがぐらっとんだ!このとがったところでちめいてきなちめーしょーをあたえられるんだぞ! どうだ!?だーくぱわーっぽいのがやどってそうだろう!これでにんげんさんにもかつる!」 そういいながらてんこがぶんぶんと振り回しているのは、どうみてもただの木の枝だ。 たしかにとがった部分もあるけれど、相手が人間なら普通には致命傷なんてものは与えられっこ無いだろう。 「もー、そんなのふりまわしちゃ危ないだろう」 しかしとりあえず危険があるといけないので、僕はてんこの振り回す腕を押さえ、木の枝を奪ってぽいと横に放った。 「ゆわああああ!あまりちょうしこくとりあるでいたいめをみてびょーいんでえーよーしょくをたべることになるぞ!」 てんこはよほどその木の枝が気に入っているのか、手を伸ばして拾おうとする。 しかしダンボールに体がつかえ、そのままダンボールごと前のめりに転倒して、思い切り顔面を強打してしまった。 「ゆべっ!うぅぅ…おまえにいぢめられててんこはふかいかなしみにつつまれた!…ぐすっ…」 「木の枝一つでそんなに必死になることないじゃないか」 「おまえなんかにてんこのかなしみのなにがわかるってんだよぅ…ぐすんっ…」 ベソをかきながらも手を伸ばして枝を取ろうとするので、僕は後ろからてんこの両脇を持ってひょいとその小さな体を抱え上げる。 「おいやめろばか!はなせ!」 てんこは両手両足をじたばたとさせて僕の手から逃れようとする。 ぺちぺちと僕の体にてんこの手足があたるが、気にするようなものじゃない。 しかしこの言動や木の枝を振り回すような危険な行動を続けていたら、きっとてんこはこのままだと駆除の対象になってしまうだろう。 わずかな時間とはいえ、おとなしくしてれば可愛いだろうし、起こりえる不幸な未来を見てみぬふりをしてしまうのは忍びない。 「なあてんこ、よかったら僕の家にくる?」 「なにほんとうか!?そうぞうをぜっするよろこびがてんこをおそった!」 僕の提案を聞くなりてんこが僕の手の中できゃっきゃとはしゃぎだす。 「てんこは僕の家でもいいの?」 僕がてんこを僕の正面に向かせてもう一度聞くとてんこは 「どちらかというとだいさんせーだな!」 と言い、満面の笑みを見せてくれた。 やはり変には変であるが希少種のてんこだけあって実に可愛い、笑顔の破壊力ばつ牛ンだ。 「笑ったらやっぱりかわいいじゃないか」 「それほどでもない!」 僕の住んでいる市では、元飼いゆっくりであろう野良ゆっくりを拾う時は、保健所に届け出て、 いったん保護という扱いにして元の飼い主を探してもらい 見つからなかった場合その後自分の飼いゆっくりとしての登録をしなくてはいけない。 ゆっくりの場合は自分から家出して野良として生活していたりしていて、飼い主が探しているというようなケースも多いからだ。 とまぁ、少々面倒くさいこともあるが、決まりだからそれは仕方ない。 「うぉぉお!これぞまさにしんのぐらっとん!おまえてんこにみつぎものをするなんてほんのうてきにちょーじゅたいぷだな!」 てんこは、近所にあったおもちゃ屋で、ゆっくりを飼うはずだったけれど運よく浮いたお金をつかって買ってやったおもちゃの剣を 店を出るなり開封し、実にうれしそうに眺め、ぶんぶんと振り回していた。 少々変な口調ではあるが、それもずっと聞いているとなんだか癖になってきてしまったし、口は悪いが愛嬌はあるようだ。 ふと気がつくとどんなゆっくりを飼おうかと考えていた僕が、今はこれから過ごすてんことの日々を想像してしまっている、現金なものである。 僕のおなかくらいまでしかない背の小さなてんこと手をつないで家に続く道を歩いていると、突然てんこがこちらを見上げてにっこりと笑った。 「そーだ!おまえはえらいこだからぴーちをやろう!」 てんこはおもむろにお帽子についている桃の飾りに手を伸ばして、それを引っ張った。 「いてっ…ほらくえ!」 「痛いのかよ…」 ぶちっと音がしてもぎ取られた桃を、誇らしげな顔で僕に差し出してくる。 せっかく痛い思い?をしてまで施してもらったものを邪険にするのも悪いので、僕は恐る恐るそれを口にする。 「あ、おいしい」 口の中にふんわりとした甘みが広がり、素直にそうおもった。 「これでおまえはてんこにめろめろでかってにけらいになるな!もうしょーぶついてるから!」 相変わらずよくわからない言葉遣いのてんこを、僕は空いている手でわしわしとなでてやった。 するとてんこは嬉しそうにはにかんで、僕の手を受け入れた。 僕もなんだか嬉しくなって、自然に笑顔になってしまう。 あぁ、きっとこれから楽しい毎日が始まるんだろうな… おしまい。 ----------------------------------- もう書いたのか!はやい!これで勝つる! とは決していえない小ネタを書き散らしてしまって大変申し訳ないことは確定的に明らか 破壊力ばつ牛ンなSSを期待していた諸君を想像を絶するやるせなさが襲った …にわかブロンティストで申し訳ないです。 誰かブロントネタやってー!って書き込みを見つけてからはや数週間? 忙しさに我を忘れ睡眠時間をがんがん削られながらも 必死にブロントさんについて 調べた結果がこれだよ! 後悔はしていない。 どうも自分はイロモノ系が好きなのかもしれません のうかりん、きめぇ丸、ブロントてんこ… 個性があって大変よろしい! なんだか名言集をむりやり詰め込んだだけみたいなSSになってしまいましたが 楽しんでいただけたなら嬉しいです 楽しめなかったよ!って方は大変申し訳ない、精進します… ブロントてんこネタももうちょっと膨らませれれば楽しそうですがいかんせん発想力がムムム… ついだらだらとあとがきを書いてしまいました、今回はこのへんで ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ 今までの作品 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは anko1983 はこ anko2001 でぃーおー anko2007 ゆんりつせん anko2023 あるむれ anko2068 おしかけ anko2110 とおりま anko2111 おもちゃ anko2112 ぼくとペット anko2223 まちかどで anko2241 かいゆ anko2304 ぼうけん anko2332 とかいは anko2349 たたかい anko2369 ゆっくぢ anko2413 せんたく 餡小話では消されてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html をご活用ください。
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まえがき ・思いつきネタです ・若干独自設定ぎみ ・希少種虐待です それではどうぞ ---------------------------------- 昔々、ある森に2匹のゆっくりがいました。 「えーきさま、あたい、きょうもゆっくりかりにいってきてもいいかな?」 一匹は赤い髪の毛をツインテールにした”ゆっくりこまち” 「しろ!」 こまちの問いかけに元気よくそう答えたのは”ゆっくりえいき” 二匹は生まれたころから常に一緒で、日々をそれはそれはゆっくりと過ごしていました。 そんな二匹のところには、毎日のように悩みを抱えたゆっくりが相談をしに来ます。 こまちが狩りから戻り、二匹がゆっくりとごはんを食べている時、 突然一匹の”ゆっくりれいむ”が二匹の住み家に入ってきました。 「えいきさま!えいきさま!ゆっくりたすけてね!」 こまちとえいきは姿勢を正し、れいむの話に耳を傾けます。 れいむが言うには、 「ゆっくりできないありすにおちびちゃんがひとり れいぷされてえいえんにゆっくりしちゃったよ!このままじゃゆっくりできないよ!」 とのことです。 「ゆぅ、それはひどいね!えいきさま、どうしましょう?」 こまちがそう尋ねると、えいきは少し考え、ゆっくりと結論を出しました。 「くろ!」 えいきの決定を聞き、こまちが頷きます。 「わかりましたえいきさま!せいっさい!ですね!」 その発言に、れいむが感謝の声をあげます。 「ゆゆぅ~!ゆっくりありがとう!これでゆっくりできるよ!」 えいきは喜ぶれいむの顔を見てゆっくりとほほ笑みました。 それをみたこまちもにっこりと笑います。 それからこまちは、れいむに案内され、れいむの群に行き、 れいむがいう”れいぱーありす”をせいっさいし、ゆっくりと巣に戻りました。 次の日も、その次の日も、二匹の元にはさまざまな問題を抱えたゆっくりたちがやってきます。 「となりのむれからでいぶがやってきて、みんなのたべものさんをぜんぶたべちゃったんだぜ!」 「とかいはじゃないゲスのまりさが、わるさをはたらいているわ!」 「さいきんおさのぱちゅりーがぞうっちょうっしてるんだよー、このままじゃむれがどうなっちゃうかわからないよー」 えいきは、皆の悩みをしっかり最後まで聞き、それぞれに的確に判断を下していきます。 近頃”自分勝手なゆっくり”の被害が増え、えいきは悩みながらも「くろ!」と判決し、 こまちはそのたびに、せいっさいっ!に出かけました。 えいきとこまちは、森の皆から感謝され、尊敬されていました。 しかしあるとき、悲劇が起きてしまいます。 「えいき…さま…ごべんだ…ざ…」 今日もわるさをするゆっくりをせいっさいっ!しにいったはずのこまちが、見るも無残な姿で巣に戻ってたのです。 こまちは最後の力をふりしぼり、こまちにすり寄ります、そして必死に言葉を吐き出しました。 「ゆっくり…にげ…て…」 こまちはそれだけいうと、ごろりと前のめりに転がり、それ以降動くことはありませんでした。 えいきが突然のことに声を失っていると、巣の入口にたくさんのゆっくりが現れます。 「いたよ!あいつだぜ!」 ゆっくり達はえいきの姿を確認すると、次々と呪詛を吐き出しました。 「ばりさのゆっくりしたでいぶをがえぜぇぇぇぇ!!!」 「まりさがずっとゆっくりしちゃったからおちびちゃんがごはんをたべれなくてしんじゃったでしょぉおおおお!!!!」 「んほおおおおおおぉぉ!とかいはなありすをころさせたのはあなたねぇぇぇ!?」 巣の入口を固めていたのは、家族や友人をこまちにせいっさいっ!されたゆっくり達でした。 その群の中から一匹のゆっくりが前にでて、えいきにいいました。 「ごめんねー、ほかのこたちにめいわくをかけたこにも、かぞくはいるんだよー、わかるよねー」 もう一匹が前に出て、穏やかに言います。 「でもぱちゅたちもおにじゃあないわ、あのこたちもわるかったし、あやまってくれたらあなたをころしたりはしないわ」 えいきは両目に涙をため、ぶるぶると体を震わせています。 そしてえいきと巣を囲む群の間の緊張が最大になったとき、洞窟全体を震わせるような大声でえいきは言いました。 「くろ!くろぉおおおおお!!!!!」 その大声が、えいきの最後の言葉でした。 声に反応して、巣を囲んでいた大勢のゆっくり達が我先にとえいきの元の詰め寄ります。 『ごめんねもできないゲスはゆっくりしね!!!』 えいきをひき潰した群れが、ゆっくりと満足げにそれぞれの巣に戻っていきます。 しかしこのゆっくり達は、しらなかったのです。 こまちのそばで、無残にもつぶされたこのえいきは、実は”しろ”と”くろ”しか喋れなかったのです。 その言葉の意味する内容は、生まれた時から一緒のこまちしか理解することが出来ませんでした。 えいきの最後の言葉は、 こまちを殺されたことへの慟哭だったのでしょうか。 それとも、 詰めかけたゆっくり達への謝罪だったのでしょうか。 それはもはや、誰にも知ることは出来ません。 昔々、ある森に、静かな巣穴がぽつんとありました。 その巣穴の中にあるのは、寄り添うようについた二つの大きなシミだけでした。 ---------------------------------- あとがき 寝る前にぱっとおもいついたネタを走り書いてみました~。 制裁を望む側もいれば、制裁される側にも家族はいるだろうなぁっていうのと えいきさまって実際しろくろ以外になんかできるのかな・・・?ってふと思い、書きなぐった次第です 特に深い意味はありません。 ご意見ご感想などあれば是非お願いします。 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13856/1276965726/ ばや汁あき(仮 でした。 今までの作品 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん
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『バトル』 11KB 虐待 小ネタ 戦闘 子ゆ 思いつき小ネタ 『ゆっくりしていってね!』 きらきらのお日様の光に誘われて、ぱちりと目をあけた二つの愛らしいゆっくり。 片方はれいむ、もう片方はまりさ、まだ小さな子供だ。 彼らは眠ったときとは違う場所に居ることに気付き、きょろきょろとあたりを見回した。 「ゆゆ~ん?ここはどこなのぜ?」 「まりさ!れいむはれいむだよ!ゆっくりしていってね!」 「ゆっ!?まりさはまりさなのぜ、ゆっくりしていってね!」 自分が置かれている状況を気にしようとするのもつかの間、すぐにお互いを認識しあい挨拶したおかげでゆっくりが始まってしまい、 もう自分が置かれた状況がどうなっているかなんていうことは気にならなくなってしまったようだ。 彼らが居るのは冷たい青い床、どこまでも伸びる青い壁、上を見上げるとお空にはさんさんと太陽が輝いている。 「ゆ~、ゆ~、ゆっくり~♪」 「のぜのぜの~ぜー」 ふいに何かが空をさえぎり、あたりが暗くなる。 しかし二匹は目を閉じて肌をすりよせゆっくりしていたため、それに気がつかなかった。 直後二匹は別々に軽い浮遊感に襲われる。 『おそらをとんでるみたい!』 二匹同時に浮遊感への反射的な言葉が口をつく。 「ゆ?ここはどこなのぜ?まっくらなのぜ?」 「ゆーん、まりさどこー、れいむこわいよー」 この時二匹はそれぞれ目隠しをされていたのだが、頭の弱い子ゆっくりに目隠しをされているか 真っ暗な空間にいるかどうかを見分けることは出来なかった。 『いちゃいっ!』 またも二匹同時に悲鳴。 「いっ、いたいのぜ、まりさのあんよがちくっとしたのぜぇぇ!?」 「あーーーーーーーーん!!!!れいみゅのほっぺがあああああ!!」 すぐさまわんわんと声を出して泣き始めるれいむとまりさ。 直後あんよにひんやりとした感触が触れると、再び視界に光が溢れる。 すると目を開けたお互いの目の前に居たのは、さっきまでいたゆっくり出来るお友達ではなかった。 「ゆあ~ん?なんなのぜ?おかざりのないこはゆっくりできないのぜ?」 「ゆふふ、おかざりのないゆっくりできないこがいるよ、はやくあっちにいってね!」 二匹の頭の上には、当初あった黒い帽子と赤いリボンが乗っておらず、二匹はお互いをゆっくりできない子として認識してしまっていた。 当然目の前に居るのが、さっきまで一緒にゆっくりしていた存在だということには気付かない。 まりさはにらみつけるような視線を、れいむはあざ笑うような視線をお互いに向けている。 先に動いたのはまりさだ。 「ゆっくりできないやつはせいっさいっだぜ!」 不敵な笑みを浮かべながられいむに飛び掛る。 闘争心に火のついたまりさには、あんよについた小さな傷程度はすぐに忘れられるものだった。 「いちゃい!いちゃいい!れいむのうえにのっからないでぇ!いちゃいいい!ゆっくりできないい!」 まりさはれいむの上に飛び乗りその場で何度も跳ね、れいむを自らの体重で押しつぶそうとする。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっくりできないこはまりさのすばらしいせかいにはふようなのぜ!」 「ゆんやあああ!!やじゃやじゃやじゃ!しにたくないいい!」 上からの攻撃から逃れようと、れいむが身をよじって必死の抵抗をする。 まりさはぺちりぺちりとお腹に当たるれいむのもみあげをもろともせず攻撃を続けるも、 やがて丸みのあるれいむの上からバランスを崩し、転げ落ちてしまった。 「いちゃい!ゆぅぅ、なまいきなのぜ!」 すっかり闘争の興奮に酔いしれているまりさは再びれいむをキッと睨み付ける。 しかし今度はれいむも黙ってやられるのを待ってはいなかった。 「いたいいたいするこはゆっくりできないよ!ぷくううう!!」 れいむは涙目になりながら、頬を膨らませてまりさを精一杯威嚇した。 「ゆひっ!?そ、そんなのこわがるまりさじゃないのぜ!」 口ではそういいながらもれいむの膨張率に一瞬同様するまりさ、れいむはその隙を見逃さなかった。 「わるいこはせいっさいっだよ!れいむおこったからね!」 頬を膨らませたまま器用に声をだし、ごろごろと転がってまりさに体当たりをする。 「ゆぎっ!いたいのぜ!」 「いちゃいい!!」 れいむの予想に反して、二匹は同時に痛みの悲鳴をあげることになる。 「どうしてほっぺがいたいの…?ぺーりょぺーりょ…」 れいむは膨らませていた頬をしぼませて、大きな舌を器用に伸ばして痛みの原因を探った。 痛みの原因は先ほど目隠しをされていた時に傷つけられた頬の傷だった。 まりさから受ける暴行の痛みで忘れていたものの、頬の傷を思い出し、れいむは目の端に涙を浮かべてゆんやぁゆんやぁと泣き始める。 少しすると痛みを紛らわせるためにぺろぺろと頬を舐めていたれいむに、ある変化が訪れた。 「ゆ?ゆゆ?なんだかあまあまだよ?」 れいむの頬の傷のそばには、同じくあんよを傷つけられていたまりさの中身の餡子が付着していた。 ゆっくりは、傷ついた自分や同族をぺーろぺーろと舌で舐めて癒すという習性を持っている。 そのため自分や、血縁の近いゆっくりの中身、すなわち餡子を大好物である甘みと認識することは、殆どない。 しかしそれはあくまで近しいもの同士の話であり、れいむやまりさの中身である餡子は、本来ゆっくりの大好物で『あるあま』あまそのものだ。 「ゆゆ?なんなのぜ?」 突然目を輝かせるれいむに、まりさは怪訝そうな表情を浮かべ、何をされるか分からずその場から動くのを躊躇ってしまう。 れいむは自らの頬、そして身体の別の部分の『あまあま』を舐め、そしてそのにおいが点々と青い床を汚していることに気付く。 「あまあま!あまあま!」 すぐにそれを舐め上げて味を確かめると、れいむの口の中に幸せな甘みが広がっていった。 れいむはそのあまあまの大元を探ろうと目をギラギラとさせながらあたりを見回す。 そしてすぐにまりさのあんよから微かに漏れている『あまあま』を発見した。 「あまあまぁああ!」 傷ついたストレスから逃れようとする欲求、そしてれいむ種特有の強い食欲から、れいむはあまあまを求める怪物と化す。 「な、なんなのぜ!!?」 突如勢い良く襲い掛かってきたれいむにまりさは怯えて逃げの体制に入る。 しかし数回跳ねたところで、硬い床によってあんよについた傷がわずかに広がり、 その痛みでまりさはあんよをもつれさせ、べちりと顔面からつっぷしてしまう。 「い、いたいのぜえええ!あんよもおかおもいたいのぜええ!!!」 既に恐怖に支配されてしまったまりさに、傷の痛みを忘れることなど出来なかった。 「あまあま…」 まりさの背後に、ゆっくりとれいむがにじりよる。 床に横たわるまりさに向けられた視線は、もはやゆっくりできる同族を見る目でも、ゆっくりできない哀れな子を見下ろすものでもなく、 ただの美味しい食べ物の塊を見つめるそれだった。 がぶり、れいむの歯がまりさのあんよの傷に齧りつく。 「ゆぎゃああああああああああああ!!!!」 雄たけびにも似た悲鳴がまりさの口から迸る。 しかし食欲の権化と化したれいむがそのような細かいことを気にするはずはなかった。 ものの数分もしないうちに悲鳴は聞こえなくなり、やがてそこには満足そうな顔で寝息を立てる太ったれいむがいるだけとなった。 時間は少し前に戻る。 「おい、あれやろうぜ!」 「いいけどこの前お小遣い削られちゃってさ…」 「わかったわかった、今回は俺が出すからさ、な!」 「まあそれなら、やろう!」 いかにもやんちゃそうな少年二人が、お互いにあれやこれやと喋りながら、おもちゃ屋の前にくりだしていった。 二人が目当てにしていたのは、『がちゃがちゃゆっくり』とポップな字体で書かれたシートが張ってある箱。 少年の一人がそれを前にしてポケットから百円玉を数枚取り出し、箱の中ほどにあるダイヤルの上に挿入し、固めのダイヤルを数回まわす。 するとプラスチックのダイヤルの慣らす小気味良い音と共に取り出し口とかかれた扉の奥に、不透明なプラスチックのカプセルが現れた。 「それお前のな、次は俺!」 そういって少年は扉の中からカプセルを取り出しもう一人に渡す。 少年はもう一度同じようにダイヤルを回し、次に出てきたカプセルを自分のものにした。 「なあ、今日はどうする?」 「最初はとりあえず普通にいこうよ、で、無理そうだったらいつもので」 「いいね~」 二人は手に入ったカプセルを大事そうに抱えながら、一旦片方の自宅へと向かった。 家に着くと一人が中に入り、小さな青いバケツを持って出てくる。 二人は庭に行きバケツを置いて、顔を見合わせた。 「じゃあ、せーのだぞ」 『せーの!』 二人が同時にカプセルをバケツの上で割り開いた。 カプセルの中からカプセルよりふた周り小さい程度の塊が一つずつ、バケツの中に落ちていく。 「俺のはまりさか」 「俺のはれいむ、この二匹じゃ無理っぽいかもね」 少年達はバケツを覗き込みながら、肩を寄せ合い声を潜めて会話をした。 やがてバケツの中ではカプセルから出てきた小さなれいむとまりさが目を覚まし、身体をよせあってゆっくりし始める。 「やっぱりだめだったね、じゃ、アレで」 「オッケー」 二人は二匹に気付かれないようバケツに手を入れて、それぞれ自分のゆっくりを取り出し、 指で目隠しをした状態でゆっくりのおかざりを取り、そして身体の一箇所に小さな傷をつけた。 「あとは、どうなるかな」 「れいむがまりさに勝つわけないって、俺の勝ちだな」 「ジュースかけるか?」 「いいとも」 二人は小さな声でやり取りをしてニヤリと笑いあい、それぞれのゆっくりをそっとバケツの中に戻した。 「うっわキチクー、へへっ、でも俺の勝ちー」 「うっそだろマジかー、あ~…」 「ジュースな、約束だろ?」 「はいはいわかってるよ!」 勝敗が決し、れいむの持ち主だった少年は嬉々とし、まりさの持ち主の少年はがっくりと肩を落としている。 この二人が行ったのは、『がちゃゆっくり対戦』と呼ばれるゲームだった。 ルールは簡単、二人または複数でがちゃがちゃゆっくりを購入し、それを小さな箱の中などの決闘上に入れ、 あとはことの成り行きを観察し、最後に残ったゆっくりの持ち主が勝者となる。 基本的には持ち主の接触一切無しのルールだが、その場合相性が良いゆっくり、たとえばまりさとれいむなど番になりやすいゆっくりだった場合、 殺し合いに発展しづらくなり決闘が無駄に長引いてしまうことがある。 そのときは、今回少年達がやったように、おかざりのないゆっくりを攻撃しあう習性を利用する方法や、 初めから弱点を作っておくなどの措置を取るなどの工夫がされることが多い。 また、最初からゆっくりを起こして互いに状況説明や戦闘方法の指導をしてから戦わせたり、野次を飛ばしながらの対戦、 一体多数、多数対多数の戦いなども楽しまれている。 カプセルには、中に入る程度の子ゆっくり、そして低価格な基本種が入っているが、 その中でもたとえば初めからお飾りがない者、知能や身体能力に欠陥あるいは優秀さがあるものなど様々なゆっくりが入っていて、なかなか奥が深い。 そのシンプルさと安価さ、そして後付けの豊富さから、今大人から子供まで一部の間で密かなブームとなっているのが、 この『がちゃゆっくり対戦』だ。 あなたも是非、一度プレイしてみてはいかがだろうか。 …ちなみに生き残ったゆっくりは当然勝者の所有物になる。 飼ってもよし、殺してもよし、中には食べるという奇特なプレイヤーも居るようだ。 今回の生き残りであるれいむは、勝者の少年が飼うことにしたが、 三日後外に放置して餌をやり忘れたことに気付いた少年がバケツの中を覗いたところ、 壁をよじ登ろうとしていたのか、壁面に顔面を押し付けたまま干からびて死んでいたそうだ、合掌。 終わり -------------------------------------------- 今回は思いつき小ネタでした、ネタ被りがあるとは思いますがあまり気にしない方向で… それでは次の作品でお会いしましょう。 ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは anko1983 はこ anko2001 でぃーおー anko2007 ゆんりつせん anko2023 あるむれ anko2068 おしかけ anko2110 とおりま anko2111 おもちゃ anko2112 ぼくとペット anko2223 まちかどで anko2241 かいゆ anko2304 ぼうけん anko2332 とかいは anko2349 たたかい anko2369 ゆっくぢ anko2413 せんたく anko2427 ぶろてん anko2489 あこがれ 前編 anko2588 ひとりぼっちのまりさ anko2807 母の音 anko2887 僕とれいむと秘密基地 anko2949 野良れいむ anko3047 ぶろてん おまけ anko3058 実験01 クッキーボタン anko3067 わけあり おまけ anko3078 げすまりさ anko3090 てのりれいむ anko3096 雨 anko3107 ゆかりん anko3114 命の価値 anko3125 ちるの時々まりさ anko3129 はるですよ anko3452 れいむが愛したれいむ anko3529 てのりれいむと愉快?な仲間達 anko3625 陽射しの中の… 餡小話では消えてしまった作品も多数ありますので、過去作を読みたいと思っていただけた方は ふたば ゆっくりいじめSS保管庫ミラー-ばや汁ページ- http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/395.html をご活用ください。
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近頃世間では、”ゆっくりいぢめ”というものが流行っているらしい。 いぢめ、と言っても、それはあくまで流行りを作り出すために言葉を濁しただけであって、 実際は、ひどいものなら虐待・殺害行為そのものであった。 しかし流行りというものは恐ろしいもので、あるものは口コミで、あるものはテレビ、新聞などのメディアに踊らされ、 私の回りでは、皆”いぢめ用”のゆっくりというものを家に飼っている。 なんでも、お昼のお茶の間番組曰く、ゆっくりいぢめは、ストレス解消に大変効果があるらしい。 深夜の通販番組などでは、ゆっくりいぢめがダイエットに効果的だと謳っている時もある、何を言っているのやら。 …かくいう私も、一般的な小市民である。 流行りに乗ってみようといった気持ちが無かった訳ではないが、 日々のストレスのはけ口に困り、かつ親しい友人もあまりいない私である、興味を持ってみてもいいではないか。 ただ単純に興味のみで、生き物の命を蔑ろにするような行為をしても良いものか、とも思ったが、 日本人とは恐ろしいもので、皆が生き生きと今日のいぢめの内容で盛り上がっているのを見聞きすると、 なんだ、そんなもんなのか、と軽く思ってしまったりもする。 しかし、実際にゆっくりいぢめ専門グッズショップに行く勇気はなかったので、 私はインターネットの通販サイトでセール品でお手頃な価格だったものを一つ購入してみることにした。 今ならキャンペーン期間中で、いぢめ用のゆっくりが一匹ついてくるらしい。 荷物到着当日、いったいどのような形で郵送されてくるのか気になったが、何のことはない、 グッズはダンボールで、ゆっくりはチルドパックで送られてきた、生き物なのかそうでないのかわからないやつだ。 私はまず購入したグッズを開封して中身をチェックする、どうやら誤配や欠損などはないらしい。 今回私が購入したのは、『しあわせのはこ』という商品名で、なんでも ”中に入ったゆっくりの幸せ度合を感知して天井が下がっていき、設定した幸せ度合に達した時点で中のゆっくりがつぶれる” というものらしい、なかなかに悪趣味である。 縦長の透明な箱に、小さな機械が取り付けられ、それによって天井が下がる仕組みになっている。 箱の側面には空気用の穴と、中からは開かないゆっくりの出入り口、そして餌を与える小窓がついていた。 本当にこんなものでストレス解消になるのだろうか、と思ったが、やはりやってみるのが一番だろう。 商品の箱を開けると、中には『しあわせのはこ』の元になるであろうパーツ類と、 柔らかい素材でできた中にいれるゆっくり用の生活道具が入っていた。 おそらくこれは、ゆっくりが死ぬほど天井が下がったときに、生活道具が天井の稼働の邪魔をしないようにだろう。 私は『しあわせのはこ』を組み立て終わると、チルドパックの発泡スチロールの箱を開けた。 すると中には、たっぷり詰まった梱包材に埋まって幸せそうに寝息を立てている一匹のゆっくりがいた。 黒い髪の毛に真赤なリボン、どうやら”ゆっくりれいむ”という品種らしい。 大きさはちょうど野球ボール程度で、成体ではないらしい。 箱を開けて少しすると、れいむはぷるぷると身体を震わせて、パチリと目を開け 「ゆっくりしていってね!」 と、元気よく挨拶をした。 「ゆっくりしていってね」 私はその挨拶に、返事をしてやった。 するとれいむはにっこりとほほ笑んで、ゆ~ゆ~♪と楽しそうに体を揺らし始めた。 なんだ、可愛いじゃないか。 それが私の素直なれいむへの第一印象だった。 私は本当にこいつを殺すことが出来るんだろうか… 脳裏にそんな疑問がよぎる。 大丈夫、皆やってることじゃないか、ゆっくりなんて勝手にぽこぽこ増えて、 自由気ままに生きて、時には害獣になるような生物らしい。 それにこいつは、”いぢめ用ゆっくり”だ、いじめ殺されるために生まれ、そのために死んでいくのだ。 こいつが死ねば私の日々のストレスがすっきりするのだ、 そのために私は安かったとはいえ自腹を切ってあのはことこいつを買ったのだ。 私は自分にそう言い聞かせて、れいむにそっと手を伸ばした。 「ゆゆっ、おねーしゃんのおてて、あったかいね!すーりすーり!」 するとどうだろう、れいむはこれから自分の身に起こることを全く知らないのだろう、 無邪気に私の指にほほを寄せ、すりすりと頬ずりを始めてしまった。 私の中の良心が、チクリと痛む。 決心が鈍ってしまわないうちに、私はれいむをすくいあげて、箱の前にそっと置いた。 そして箱の入口を開けてれいむを中に導く。 箱の中には、商品についていた小さなクッションや、柔らかいおもちゃ等が入っており、 ゆっくりには魅力的な場所になっていたのだろう。 れいむは入口が空くと、目をきらきらとさせて、 「しゅごーい!ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」 と、元気よく中に入り、お家宣言をした。 ここまでは箱の中に入っているマニュアル通りだ。 ”セッティングを正しく行い、ゆっくりを入れましょう、ゆっくりは中に入り、お家宣言をします” こうも行動を正確に予言されてしまう生き物っていうのも、どうなのだろう。 私はマニュアルを読みながら、出入り口を締め、箱に備え付けられている小さな機械をいじり、 電源を入れる、最初に設定することになる幸せ度合は、なるべく高いものにした。 「むーちゃむーちゃ、しあわせぇ~!ゆ~んゆんゆ~ん♪」 れいむは早速、餌箱に入っているフードを食べ、幸せを感じているようだ。 箱の天井がゆっくりと下がっていく。 けれどれいむはまだそのことに気づいていない、天井はまだれいむの体長の5倍程度の位置にあった。 れいむが幸せな時間を感じるごとに、れいむの命の残り時間は確実に削れていく。 私は、そのれいむが入った箱をオブジェのようなものだと思うことにして、日常生活を送ることにした。 餌箱には、たくさんのフードと水を入れておいた、しばらくは持つだろう。 これだけゆっくりと降下するように設定しておけば、少々目を離した程度では、 見ていない間につぶれていた、ということはないと思う。 けれどれいむは勝手に一人で幸せを感じる…いわゆる、ゆっくりしているというやつのようで、 少しづつではあるが、確実に天井が下がっていくのがわかる。 一抹の不安を抱えながら、私は部屋着から着替え、仕事に出かけることにした。 仕事を片づけて、急いで家に戻ると、なんと天井はれいむの頭の上すれすれまで来ていた。 なんと幸せな生き物なんだろう、どの程度の幸せを感じると天井がこうなるのかは、体験した本人にしかわからないだろう。 しかし、半日少々放置した程度で一匹で勝手にこんなに幸せを感じれるというのは、 まさに脳みそお花畑という状態に他ならないだろう。 私は今日も仕事疲れに、嫌味な上司のいやがらせでストレスが溜まってしまったというのに。 このお天気な生き物が苦しむ姿を見たら、さぞスカッとするだろう。 今の私は、そんな気分になっていた。 「おねーしゃん!ゆっくりおかえりなさい!」 れいむは私の足音に気づくと、あほ面まるだしで眠っていたクッションから体を起こし、私に笑顔を振りまく。 「ゆゆ~ん、れいむのゆっくりぷれいすが、なんだかせませまさんになってきたよぅ」 今まで気づいていなかったのだろうか、そんな悠長なことを言っていた。 私の顔を見て、何故かまた幸せを感じたらしく、ゆっくりと天井が下がっていく。 天井はついにれいむの体長の高さより低くなり、私の目の前でゆっくりとれいむが縦方向につぶれていった。 「ゆゆ!どうしてちゅぶりぇるの!?れいむ、ゆっくりできないよ…」 れいむが悲しそうにぼろぼろと涙を流す、すると今まで下がる一方だった天井が、少しだけ上方向に移動した。 幸せ”度合”と記載されていたのは、つまりそういうことだったのだ。 不幸を感じると天井がせりあがる仕掛けらしい、たしかにこうでもしなければ、最高設定でもこれなのだ、 この中に入れられたゆっくりなど、あっという間に圧死してしまうだろう。 「ゆゆっ!すこしひろくなっちゃね!ゆっくりゆっくり!」 れいむが喜びを体をくねらせて表現すると、また少し天井が下がって、れいむの頭の上に乗っかった。 そしてれいむが、嘆き悲しみ、天井がゆっくりと上に上る。 以降れいむはしばらくこれを繰り返していた。 本人はこのシステムに気づいてはいないのだろう。 そろそろ天井が上下していることに気づき、どういう状況になると圧迫されていくのか理解してもよさそうなものである。 しかしれいむは一々、天井が下がってくると狭くなった、つぶれちゃうと泣き、天井が上がると、ゆっくり出来ると歓喜した。 それをずっと眺めているのはなんだか馬鹿馬鹿しく思えてしまったので、私は疲れた体を癒すために風呂に入ることにした。 風呂からあがると、箱の天井はれいむが通常時の半分くらいの高さになるまで下がってしまっていた。 しかし今度は、天井が上昇する気配はない。 私はその様子を不審に思い、寝間着に着替えてかられいむに近寄った。 「おね…しゃん…」 れいむはつぶれた体に圧迫されて開ききらない目で、私を見つめてきた。 「れい…む、おねーしゃんのおかげで…とっても、ゆっくり…できたよ…」 れいむが言葉を紡ぐごとに、また天井がぐぐっと下がる。 「なにをいっているの?」 私は戸惑った、実際私はれいむに何かしてやった覚えはない、ただ好奇心でれいむを買い、 殺すために箱の中に入れた、それだけだ。 「ゆっくりできる…ゆっくりぷれいすをもらって………ごはんもむーしゃむー…しゃ…して…」 ぐ…ぐぐ…天井がゆっくりとれいむの体を押しつぶしていく。 元の体長の3分の1位の高さまでつぶれてしまったれいむの体には、 ところどころに亀裂が入り、どろりとした黒い塊があふれ出てきていた。 けれど、れいむは”幸せを感じる”ことをやめなかった。 「おうたもうたって…ふかふか…しゃんで…ゆっくりして…」 天井は止まらない。 なぜこいつはこんなことを言っているんだろう。 私はこいつの命を奪おうとしているのだ、憎まれて当然なのに、なぜ。 さっきまで天井が下がってきたら不幸を感じていたのに、今は圧死寸前にもかかわらず、 なぜ私に感謝を述べ、なぜ”幸せを感じている”のだろう。 「れいむは…もうしんじゃうかもしれないけど……」 天井はなおも下がり続け、れいむは圧迫され続ける。 れいむは息も絶え絶えで、けれど私に向って、その小さな言葉をぶつけ続けた。 「さいごに…もういっかい……すーりすーり…しちゃか…」 「もういい!」 ぐいぐいと私の胸が締め付けられる。 私は急いでドアをこじ開けてれいむを取り出そうとした、けれどもうそこは狭すぎて、 私の手ではれいむを取り出すことは出来なかった。 「はやくこっちに出ておいで!」 もうつぶれ過ぎて目もろくに見えていないのだろう、れいむは私の声のする方に向ってずりずりと力無く移動を始める。 「おねーしゃん…いままで…」 その間も天井はぐいぐいとれいむに死を押しつけていく。 天井を止める方法はないかと、私は備え付けてある機械を操作した。 けれど操作方法が分からない、気が動転してしまって、機械の操作もうまくいかなかった。 「ありが…ちょ…」 ぶちゅり 小さな音が私の耳に響き渡る。 どろり…とれいむの中身が、箱の入口から漏れ出した。 「あ…あぁ…」 私は足の力が抜けて、ぺたりとその場に尻もちをついてしまった。 うそつきだ、皆皆うそつきじゃないか。 何がストレス解消だ、なにがスカっとするだ。 こんなにいい子が目の前で無慈悲に死んでしまった。 機械がやったんじゃない、この子を殺したのは私だ。 後に残ったのは、ただただ後悔だけだった。 いつの間にか私は、声を出して泣いていた。 後日、パソコンのメーラーに、あの『しあわせのはこ』を買ったサイトから、謝罪のメールが届いていた。 なんでも、キャンペーン用のゆっくりの一部に、 ”いぢめ用ゆっくり”ではなく”愛玩用ゆっくり”が混入していたというのだ。 恐らくあのれいむはその”愛玩用ゆっくり”というやつだったのだろう。 後で調べて分かったことだが、”いぢめ用ゆっくり”は特殊加工された 人間に嫌悪感を誘うような言葉を吐き散らかしたりするようなゆっくりで、殺しても良心が痛まない、のだそうだ。 本当にそうだろうか、それは分らないが、少なくとも私はもう二度とゆっくりを虐める気にはなれなかった。 私はあのあとすぐに、庭の隅っこに簡単ではあるが、れいむの墓を作った。 あの墓の下でれいむは幸せに眠ってくれているだろうか。 れいむは気づいていなかったのかもしれないが、自分を殺した張本人に弔われて、本当によかったのだろうか。 けれど私にはそれ以外の償いが思いつかなかった。 『しあわせのはこ』は、家に届いた段ボールの中にしまい、押入れの奥にしまってある。 あの箱が再びゆっくりの幸せを吸い取ることは、おそらく二度とない。 終わり。 ----------------------------------- どうも、ばや汁です、なんだか後味の悪い話で申し訳ないです。 職場でぼーっとしてたら思いつきました、思いついたら書きたくなっちゃうんです。 D.Oさん一周年おめでとうございます! 記念SSをUPしたいなぁと思ってはいるんですが、間に合うかしら… ばや汁でした。 いつも多数のご意見ご感想ありがとうございます! この作品へのご意見ご感想も、どうぞお気軽にお寄せください。 個人用感想スレ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278473059/ 今までの作品 anko1748 かみさま Thanks 300 Yukkuri! anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり anko1896 いぢめて anko1906 どうぐ・おかえし anko1911 さくや・いぢめて おまけ anko1915 ゆなほ anko1939 たなばた anko1943 わけあり anko1959 続ゆなほ anko1965 わたしは 挿絵:車田あき
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ある日僕が街を散策していると、ビルとビルの隙間に立っている看板に、目がとまった。 その看板にはこう書いてあった。 『わけありジャンク・格安希少種あります』 丁度暇をもてあまし、ぶらぶらしていただけの僕は、つい興味をそそられ、その看板の指し示す方向に向かってみることにした。 看板を頼りに店を発見すると、そこはいかにもアングラ臭漂う、こぢんまりとした”ゆっくりペットショップ”だった。 僕が恐る恐るドアを開けて中に入ると、薄暗い店の奥から、低い声で 「いらっしゃい…」 と、一言だけ声をかけられた。 品揃えを一通りみてみると、普通のペットショップとそれほど大きな差はないようだった。 確かに安いゆっくりはたくさんいたが、バッジ未取得、躾ナシなど条件が付いていて、気をひかれることはなかった。 まぁ、こんなもんかと思い、店を出ようかとしたころ、 僕は店の奥、店主が座っているカウンターの横にある、ジャンクコーナーというところに目がとまった。 いや、正確に言うと、そのさらに端にある一つのショーケースにだ。 「一万円!?」 僕は思わず声をあげてしまった。 そこにいたのは、滅多にお目にかかれない、売っていたとしても並の給料じゃあ到底手が出せない ”胴つきのゆっくりてんこ” だった。 僕が店主に、本当に一万円なのか、と確認を取ると。 店主はこう言った。 「確かに一万で結構です、ただちょっとわけありで… ノークレームノーリターンでお願いしたいんですが、よろしいですかね」 確かに見たところ、バッジも取得していないようだったし、ジャンク!とだけ書かれた札しかかかっていないので、 訝しげに思い、僕はいくつか質問をしてみることにした。 「わけありって、具体的にどういうワケなの?」 「具体的なことは言えません、希少種の胴つきというだけで一万円いただきますが、 あえていうなら、ペットには向いていない、という所でしょうか」 「それって、ゲスっていうこと?」 「このコは生まれて日が浅いので、そこは躾次第、ということになると思いますが 発見された性質と、それも胴つきだったという理由で、その価格になっています」 「ふぅん…」 いまいちお茶を濁された感はあったが、僕は希少種の胴つきがこんな安く手に入るチャンスということで、つい財布の中身を確認してしまう。 しかししがないフリーターの身である自分にとっては、一万とは言え、ホイホイと出せる金額ではないのは事実だ。 「まぁ…ちょっと飯代をケチれば何とかなるか…」 僕は決心して、店主に言った。 「このてんこ、頂戴。餌とかも買ってくから、すこし負けてよ」 そう言うと店主は、少しだけ笑って。 「まいどあり」 と言った。 なんだか無愛想な店主だったけど、人柄はよく、商売っ気もあったらしく、結局僕は負けてもらったとは言え、 てんこと合わせて、餌・遊び道具・着替えの服など合わせて、結構手痛い出費を食らわされてしまった。 だけど、ショーケースから出されたてんこに 「おにーさん!ゆっくりしていってね!」 と、可愛い笑顔で言われ、懐の寒さなんて吹っ飛んでしまった。 僕がてんこの手を引いて家に連れて帰り、家のことをいろいろと説明すると、 てんこは一つ一つにきちんと返事をし、わからないことがあれば、質問までしてきた。 「なぁんだ、ちゃんとしたいい子じゃないか」 僕が聞き分けのいいてんこの頭をくしゃくしゃと撫でると、てんこはぽっと頬を染めて 「えへへ…」 とはにかんだ。 そんな可愛げもあるてんこに、僕は初日からすっかりはまってしまって、 一緒にご飯を食べ、お風呂に入り、テレビを見てだらだらと過ごし、一緒の布団で眠った。 その一つ一つが、今まで独りで生活してきたよりもぐっと潤いが増した感じがして、 やっぱりペットっていいなぁ、と思いながら、毎日を楽しく過ごしていた。 そんなある日、ふとしたきっかけで、僕はてんこに”ちょっとした違和感”を感じるようになった。 それは僕がてんこから目を離して料理をしていた時。 「あっ!」 てんこが短く声をあげたと同時に、背後から ガシャン! というガラスが割れたような音が聞こえてきた。 「大丈夫か!?」 僕は火を止めて、慌てててんこに近寄ると、てんこは泣きそうな目をして 「ごめんなさい、ごめんなさい」 とただひたすら謝っていた。 僕が現場を確認すると、どうやらテーブルの上に乗っていたコップを誤って倒してしまい、コップが割れたらしい。 「いいんだよ、そんなことより、怪我はないかい?」 コップの破片を片づけながらそう聞くと、てんこは黙ってこくりとうなづいた。 ペットの躾は、粗相をしたその場で出来るだけ早く正すこと、と以前本で読んだことがあった。 なので僕は、ガラスを片付け終わると、てんこの目を見て、優しく 「ガラスは割れると危ないから気をつけるんだよ」 と言った。 するとてんこはうつむいたままもう一度 「ごめんなさい…」 と言った。 どうやらわかってくれたらしいので、僕はてんこの頭をなでてやろうと、すっと手をあげる てんこはそれを見て、俯いたままビクリと身を震わせてしまう。 きっと殴られると勘違いしたのだろう、僕は安心させるように、とびきり優しくてんこの頭をなでてあげた。 「よしよし、わかったら、次からは気をつけてくれればそれでいいよ」 僕が違和感を覚えたのは、この時だ。 てっきり僕は、素直なてんこのことだ、きっとすぐに笑顔になってくれるだろう、と思いそうしたのに 僕の目に映ったてんこは、どこか”残念そうな、がっかりとしたような表情”をしていた。 その時感じた小さな違和感は、日を追うごとにどんどん積み重なっていき、ついに確信に達するまでになった。 あれからもてんこは、僕の目が離れている時に、小さなミスをし続けた。 同じミスはしなかったが、まぁ、せいぜい笑って許せるようなミスばかりだったので、 僕は同じように 「次から気をつけな」 と言って、優しく諭すことを続けていた。 その度にてんこは、”どこか残念そうな”顔をし、日に日にシュンとふさぎ込むようになってしまった。 同じミスを繰り返すことはなかったので、僕の躾は成功していたようだったが、 どんどん元気がなくなっていき、笑顔を見せてくれなくなったてんこを心配し、 僕はてんこを飼ったあのペットショップに行き、相談してみることにした。 僕が事情を説明すると、店主は苦い顔をして 「あぁ、やっぱり…」 と言った。 「一体どういうことなんですか?栄養にだって気を使ってるし、 時間があれば一緒に遊んで健康的な生活をさせてるつもりなんですが…」 僕がそう言うと、店主は観念したようにてんこが”安かった訳”を語ってくれた。 「お客さんはちゃんとペットとして扱ってくれてるみたいだから、ご説明しましょう 元々ああいうタイプの格安胴つきは、まぁ、一部の”特殊な趣味”を持った人の為にジャンクとして扱ってたんですがね ペット用に改良されたのと違って、”あのてんこ”は少し元々のてんこ種の性質が出すぎてたんですよ」 「どういうことなんですか?」 「早い話、人間で言うところの”マゾヒスト”なんですよ、ペット用にはそのへんを薄くしないと向かないんですよね。 特に胴つきは…、要は、躾の時に優しくし続けたのがいけないんでしょうな、思いっきり引っ叩いてやってみてください」 「そんな…」 僕は店主の答えに、すっかり困ってしまった。 確かに店主の言うとおりかもしれない、僕はてんこ種についてあまり知らなかったけれど、 殴ったりするのを本ゆんが喜ぶのであれば、普通の人にとっては、胴つきはさぞやりづらいだろう。 見た目は人間の子供とさほど変わらない、僕だって可愛いてんこを殴ろうなんて思ったことは今まで一度もない。 「まぁ、これもてんこのためとおもって、遊びでもいいんで、スキンシップだとおもって殴ってやってください」 店主はそういうと、サービスです、と言って店の奥から、ゆっくり用の傷薬の瓶を持ってきて、包んでくれた。 僕は釈然としない気持ちを抱えながらそれを受け取った、 店を出るときにふと疑問が頭をよぎり、店主に軽い気持ちで聞いてみた。 「ところでさっき言ってた”特殊な趣味”って…」 店主は少し間をおいてから、表情は変えず 「ゆっくりに”人権”はないですから、つまり”そういうこと”ですよ」 と、答えた。 僕はいやなことを想像してしまい、 「そうですか、じゃあ」 とだけ言って、店を後にした。 僕が家に帰ると、一人でお留守番をさせていたてんこは、寂しそうに部屋の隅っこに座っていた。 店主が言っていたことが本当ならば、おそらく僕の”優しい躾”はまさに効果てきめんだったのだろう。 きっと、本能的に殴ってほしくて、気を引くためにやったミスを優しく諭され、 僕は知らず知らずのうちにてんこの心を深くえぐってしまっていたのだ。 おそらくそれは、てんこにとっては、どなり散らされるよりも効く躾だったと思う。 しかしてんこはめげずに、ゴミ箱を引き倒して、中身を散乱させていた。 犬猫をひとりきりにさせても、それくらいはやるだろう。 僕としては怒る気も起きないような些細なことだったけど、 きっと今まで優しく躾られてきたてんこにとっては、もうこれ以上のミスは考えつくことができなかったのだろう。 僕はてんこの前に立つと、無理やり厳しい声を作って、言った。 「てんこ、これはなんだ」 僕が散乱したゴミを指さしながらそう言うと、てんこはビクッと体をこわばらせて、 「ごめんなさい…」 とだけ言った。 いつも俯いていてわからなかったが、もしかしたらこのときてんこは期待に満ち溢れた表情をしているのかもしれない。 けれど僕にはそれを確かめることができなかった。 僕は犬や猫を育てるような気持ちでてんこを溺愛してきたし、これからもそのつもりだ。 だけどてんこの”性質”を知ってしまった今だからこそ、てんこの”本当の気持ち”を知ってしまったら、 僕たちの関係に何か小さな綻びができてしまいそうで、怖かった。 だから、これは僕の精一杯の優しさ。 僕は無言で手をあげると、それをできるだけ加減して、てんこに振り下ろした。 バシンッ! 手のひら全体を使って、てんこの頬を叩く。 音は激しく鳴ったが、それほど痛みはないはずだ。 けれどてんこはぱっと顔をあげて 「ごめんなさい」 と、”どこか嬉しそうに”言った。 その顔には、今まで僕が躾をしたときに見てきた顔の… いや、一緒に生活してきた中でも一番の”嬉しそうな表情”が浮かんでいた。 僕はてんこの手を取って、ゴミ箱の元に引っ張っていき、腰を下ろす。 「てんこは悪い子だ、僕が何度言ってもこんなことして、反省しなさい!」 僕はてんこを膝に乗せると、てんこのお尻を平手で何度も何度も叩いた。 「ごめんなさい!ごめんなさい!…あぁっ!」 叩く回数が多くなるにつれ、てんこは顔を上気させ、どこか恍惚とした表情になっていった。 ひとしきり叩き終わると、僕はゴミ箱を片づけて 「もうするなよ、わかったな」 と、てんこの目をみて言った。 てんこの目には涙がたっぷりと溜まっていて、うるうると輝いていた。 しかしそれも、悲しそうというよりは、どこか”悦び”を含んでいるようだった。 「はい…」 なんだか居た堪れない気持ちになって、僕がてんこに背を向けると、 てんこは僕に聞こえるか聞こえないかの小さな声で 「ありがとう」 と言った。 なんだか僕はちょっぴり切ない気持ちになってしまった。 それからもてんこは、僕の気を引こうとして、可愛い失敗を繰り返した。 僕はそんなことではちっとも怒る気なんてなかった、けれど、てんこの”性癖”を理解してあげることも、 良い飼い主になるためには必要なことか、と思い、できる限り厳しく、体罰を加えててんこを叱り続けた。 今、てんこは最初僕の家に来た時のように、可愛い笑顔を取り戻し、すっかり僕に懐いてくれたみたいだ。 お互いに良好な関係を築くことが出来ているという実感が湧いてくる。 一緒にごはんを食べて、お風呂に入って、だらだらとテレビを見て、一緒の布団で眠る。 人間の子供とさほど見た目の変わらない、”おしゃべりのできるペット”に、僕は日々癒しを貰っている。 だけど犬猫と違って、ただ衣食住があるだけでは満足できないてんこに、 僕が出来る精一杯のありがとうの気持ちを込めて、 僕はてんこの求めに応じて、てんこに手を上げ続けた。 僕はてんこのことを殴ると、その後すぐに必ず、あの時店主からもらった傷薬でてんこの手当をした。 てんこは恥ずかしそうに僕に体を預けると、軽く目を閉じて、僕の治療を受け入れてくれていた。 この頃僕は、この治療の時間も含めて、叱られて嬉しそうにするてんこのことが、 前より少しづつ好きになってきた気がする。 今日はすこし強く叩き過ぎてしまったかもしれない。 そう思い、念入りに優しくてんこに薬を塗っていると、 てんこは顔を赤くして 「んっ…あっ…」 と時折短く声をあげた。 僕に”その気”はなかったはずなのに、てんことの生活が長くなればなるほどに 僕の中で”何か”がゆっくりと変わっていっているような、そんな気がしてきた。 僕はてんこの事が大好きだ。 てんこも僕に良く懐いてくれている。 だからきっと、二人の関係が変化しようとも、それはきっとお互いにとって、有意義なものに違いない。 瓶に満杯だった傷薬も、少しづつだけど確実に量を減らしていた。 この傷薬がなくなったとき、僕達はどうなっているだろう… それは今の僕にはわからない。 終わり あとがき。 どうも、ばや汁(仮です。 Mなてんこに惹かれてついカッとなってしまいました。 胴つきじゃなかったら、別に迷いなくバシンバシンぶってやれるとおもうんですけど。 胴つきだったらどうかなぁ、っておもったりします。 虐待も大好物だけどね! 今回も短めのネタですみません。 風邪さんがもう二週間もゆっくりしてくれないので、 長編のプロットはあるんですがなかなか手を出せないでいます。 がんばりますので、これからもよろしくお願いします! ご意見ご感想等あれば、是非お願いします~ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13856/1277741176/ ばや汁あき(仮でした。 今までの作品 anko1748 かみさま anko1830-1831 とくべつ anko1837 ぼくのかわいいれいむちゃん anko1847 しろくろ anko1869 ぬくもり