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/__ . - ァ . ´ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .,ヽ、ヽ . . . . . .ヽ、 . . .ヽ .// / . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ヽ //く .ヽ . . . . . . ヽ . . . .i ./´ ./ . . . . . . . ./ . . . . . . . . . . / . . ./ . ., . . | . . . . . . . . . . . . .ヽ | | . . . i . . . . . . . ヘ . . | / . . . , . . . ./ . . . . . . ./ / / . . / . . /ヽ . | . . . . l . . . . . . . .ヘ . ,' . . . .| . . . . . . . .ヘ . ! / . . ./| . . ./ . . . . . . . | . | ,||__|__ l ヽ .⊥_ュ__| . . . . .y . . . . . .| . . . . . . . . ヘ ! i . . / | . . .| . . . .| . . .イ斥ハz≧| . .| ヽ,≦z、ヽ .|` . . .| | . . . . . . | . . . . . . . . . .| | . .i | . . .| . . . .| . . . |||,伝 心ヽ .| ./厶 う、 . | . . . /,' . . . . . . . | . . . . . . . . . ! ヽ | .| . . .| . . . .ヽ . .〃.{ } ヽ { } 》| . . ./.| . . . . . . . . | . . . . . . . . .| ヽ マ . ハ . . . | ヽ . ` 辷 う .込 う ´/ . // ! . . . . . . . . .| . . . . . . . . ! ヽ .| ヽ . N . \` ̄´ ,  ̄´.// . | .| . . . . . . . . . .| . . . . . . . | ヽ \ム . 人ヽ /イ . . . |.| . . . . . . . . . .| . . . . . . | ヽ . .| ヘ、 ` ‐ ´ ,イ | . .| | . . . . . . . . . . . | . . . . . .! | . | z.ト 、 , イヽ .,' ./ | . . . . . . . . . . . . | . . . . .| __,、 r ヽヽ/ | ヽ、` ´_/ | .| 7 /__ . ! . . . . . . . . . . . . .| . . . . ! ,、r "´ `7ヽ | /Vヽ || ヽ´ `ヽ 、_ . . . . . . . . .| . . . ! ,、r "´ / |、 ./`≠ヽ /| ヽ `ヽ 、_ . . .| . . ! / \ , >‐/__ /|∨ 〃|| .∨メ、 ,>ヽ 、 / ヽ . | . | i \ > "゛ > | // || .,' .ヽ、_ `ヽ 、 / i . . | .! | . . . . . . .ヽ l ´ .| ` __" ./ . ` / . . . . . . | . . .| ! .,'7| . . . . . . . . .ヽヽ .∨ .く´ . . `.7 ./ ./ . . . . . . .Y } . . || 範馬勇次郎の娘。現在19歳らしい。刃牙という兄がいる。 レンジャーの局長でもある。相棒はトゲキッス。昔勇次郎に貰った卵から生まれた。 孤児院でヴィヴィオに会った際にやる夫とすれ違ったが、やる夫はヴィヴィオに会っていた人=勇次郎の娘と確証を持っていない段階。 レンジャーの仕事でヴィヴィオを見つけたが、まだ未成年かつ未婚であるため行政から止められて引き取ることができず、やむなく孤児院に預けている。 仕事の合間を縫っては頻繁に会いに来ているようだ。 63スレ目でとうとうやる夫と正式遭遇。ヴィヴィオが「ご主人様」と呼んだのを聞いて激怒、スタイラーで攻撃してきた。 なんとか誤解を解くことができたようで、その後謝罪と電話番号を受け取っている。 トバリシティで再会。やる夫にニャル子を連れ歩く許可を与えると共に、銀河団の起こした事件の事情聴取を行った。 その際に勇次郎が連絡を欲しがっている件を伝えたため、勇次郎からの電話の着信拒否を解除した。 あくまで忙しい最中に頻繁に連絡をしてきたことに対する措置であり、実は結構ファザコン。 勇次郎から誕生日プレゼントとしてメリープのもふもふ抱き枕をもらった時には、素直に喜ぶ様を見せている(モフモフ信者?)。 母親の料理が凄まじいので幼い頃から料理を頑張っていた。 子供のころから勇次郎のポケモンと接しており、里の話やそこで困ってるポケモンがいたりする話を聞いて、自分で駆けつけて助けられるようになりたいとレンジャーを志した。 フェイト、はやての二人とは幼馴染同士でレンジャーの仕事仲間。三人の中では現場の活動を最も得意としている。 大概はトバリシティのレンジャー本部の局長室に詰めている。 好感度40を越えても自分の恋心に無自覚なため、フラグが立っていない状態。 110スレ目(102日目)、リッシ湖の畔のナナリーの別荘へ遊びに来た時、やる夫がフェイトと恋人になったことで心が混乱し、逃亡してしまう。 追いかけてきたやる夫と話したことでようやく自分の恋心を自覚。やる夫に告白し、恋人同士となった。 144スレ目(217日目)、波紋を教える依頼の遅れに対する警告を告げると共に、やる夫がレンジャーとして活動する許可を出した。 145スレ目(219日目)、プリキュアの里への銀星号襲撃事件の不手際に関して葵・喜美から抗議があり、補填として騎士団が受注するクエストにレンジャーを応援に呼べるようになった。 その後レンジャー協会で行われた波紋習得会に自身も参加、喜美の教えを受けて習得に成功した。 終了後行われた懇親会では、7人の催眠被害者たちのパートナーポケモンに話を通しておいて、3回に分けた強襲クエストを組んでいることを内々に伝えてきた。 146スレ目(220日目)、「ダークポケモン研究施設潜入 破壊依頼」でブラダマンテと共にレンジャー枠として同行した。 施設内部ではスタイラーの砲撃によって通路を確保し内部の捜索を助け、ボンドルドを取り逃がすものの施設の自爆完了前に大半の研究データを回収することに成功した。 148スレ目(223日目)、やる夫を招いてもてなした夜、フェイト、はやてと同時に攻略され大人の階段を上る。 この時(S)印の元気ギンギン男気覚醒特製ドリンコを盛られていたやる夫によって強烈な責めを受け、全身くまなく更に敏感にされた上に被虐体質(小)に目覚めてしまった。 148スレ目(224日目)、前日の調教の結果と安価の導きにより、二人きりかフェイト、はやてが同席している時限定でやる夫のことを「ご主人様」と呼ぶようになった。 152スレ目(231日目)、イッシュ地方のレンジャー協会の使者である本多・正純を迎え、書簡を受け取って「月が落ちてくる現象」についての現状認識の共有を行った。 また、イッシュのブルーコスモスという団体の幹部がシンオウに来ていることも伝えられたが、こちらはなのはたちに情報が伝わっておらず、どこかで内通者に握り潰されている可能性が指摘されている。 所持スキル 名称 説明 日本料理人Lv3 料理人として基礎が終った段階。換金する事ができる。 レンジャー能力 ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋┃NAME:なのは 【スキル波紋呼吸法:ダークポケモンにキャプチャダメ*1.5】┣━━━──┃HP:250┣━━━━──┃スタイラー:Lv.9┃【(出目の合計値/2)×(LV+アシスト)=キャプチャダメージ!!】【アシスト威力等倍1・抜群2】┣━━━━━━──┃保有可能ポケモン:10匹┣━━━━━━━───┃レンジャー服特性>┃ 狙い撃ち:一度だけ威力2倍┃ マルチスケイル:HPが満タンの時、攻撃の威力を半減させる┣━━━━━━━───┃【パートナーポケモン】┃> トゲキッス 飛/無┃ [アシスト技]┃・暴風 … 全体に120/ポケモン数分キャプチャダメージ 1/1┃・ ブレイブバード … 1体に100のキャプチャダメージを与え、2ターン足止め╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
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囚人・職員・施設…刑務所の全てを管理する中央管制室は、刑務所の中央部にエレベーターを挟んで 魔力炉と相対する形で配置されている。 普段は静かでまったりとしているこの場は今、警戒レベルの引き上げに伴う人員の配置替えに関する 指示が飛び交い、職員が忙しく行き来する賑やかな場となっていた。 「17区の配置は完了したと報告がありました。エレベーターはどうしますか? と、聞いてきてますが」 浅黒い肌に類人猿の顔立ちをしたオペレーターからの質問に、触角の生えた頭に焦点のない眼と黒い 筋肉質体型の外骨格が特徴的な、一等陸佐の階級章と刑務所の所長である事を示すプレートを付けた 士官は少しの間考え込む。 「まぁ、脱走の心配はないと思うが、念の為上に引き上げておくように伝えてくれ」 オペレーターが指示を受けてモニターに向き直ったのを見届けてから、所長は曇硝子で仕切られた 自分のブースへと足を向ける。 と、その時、右足のつま先に何かを蹴る感触を感じた。 「!?」 怪訝な表情で足元に視線を向けると、折りたたみ式の携帯電話が一個、少し先に落ちているのが目に入った。 所長は電話を拾い上げると、周囲を見回しながら大きな声で言う。 「おーい、誰かこの端末を落としたか?」 その声に部屋の全員が視線を上げて、所長が持つ携帯電話を見るが、誰もが首を横に降った。 「そうか…、まぁ、全員デバイス持ちだしな…」 所長はそう呟きながら携帯片手に自分の席へ戻る。 ドアを閉めて自分の席へ座ると、所長は持っていた電話を前後にひっくり返してじっくりと観察する。 「携帯型の通信端末か、今どき珍しいな…」 書類の作成を始めた所長の傍らでは、“デストロン軍団リアルギア部隊ワイヤータップV20”が音も無く 変形を始めた。 トイレから戻って来た、中央アジア系の顔立ちをしたオペレーターが背伸びをしながら自分の席に座った時、 テーブルの上にポータブルゲームプレーヤーが一台置いてあるのが目に入った。 「!?」 自分が席を立ったときこんな機械は置いていなかった、誰かが間違えて置いたのか? それともいたずらか? 訝しむでオペレーターの目の前で、突然プレーヤーがバラバラ分解を始め、瞬く間に小さな人型機械に姿を変える。 「…!!」 驚きのあまり反射的に後ずさったオペレーターを、機械人形はキョトンとした表情で見上げる。 「おい、どうした?」 オペレーターの様子に不審を感じた、白いあばた肌で毛のない頭の同僚が声をかける。 「み、見ろ! 通信端末が突然小型のロボットに変形を始めて――」 我に返ったオペレーターがそう言いながら自分の席に振り向くと、テーブルの上にはゲームプレーヤーが 置いてあるだけだった。 「はぁ!? 何言ってんだお前?」 唖然としたオペレーターに、同僚は怪訝な表情で言う。 「いや、本当なんだって、つい今しがた――」 必死になって状況を説明しようとするオペレーターに、同僚は頭を振って呆れた様子を見せながら言った。 「ハイハイ分かったから、それより早く仕事に戻れ。な?」 「いや、でも――」 なおも抗弁しようとするオペレーターの耳元で、シュッと何かが掠める音がする。 次の瞬間、自分の席に戻ろうとした同僚の後頭部が弾けて、血と脳漿と肉片をあたりに撒き散らした。 「え!?」 眼前の惨劇に動転したオペレーターが周囲を見回すと、どこから現れたのか似たような姿の多の数ロボット達が、 一斉に管制室の職員達に襲いかかっていた。 あるロボットはミサイルを、またあるロボットは機関砲を乱射し、職員達を次々と血祭りに上げて行く。 オペレーターは所長用のブース目がけて死に物狂いに駆け出し、体当たりでドアを開けて中に転がり込む。 深呼吸して何とか自分を落ち着かせると、オペレーターは周囲を見回す。 ブースはマジックミラーとなっていて、周囲の状況が見て取れる。 管制室はすでに制圧されていて、ここが破られるのももうすぐだが、せめて警報だけでも発する事が出来れば…。 オペレーターはそう考えながらテーブルへ向かおうとすると、床に転がるものに足を取られた。 下を見ると、自分がつまずいたのは頭を潰された所長の遺体である事に気付く。 オペレーターは恐怖に目を見開き、反射的にテーブルの上に視線を向けると、そこにはワイヤータップV20がいて、 空間モニターを開いて色々と弄くりまわしている。 ワイヤータップV20は立ちすくむオペレーターに振り向くと、悪意に満ちた厭味たっぷりな笑みを見せる。 オペレーターが最後に見たものは、ワイヤータップV20がこちらに向けた機関砲の砲口だった。 中央管制室が惨劇に見舞われた直後、エレベーターが何者かによって不正操作されているのを警備システムが検知、 自動的に刑務所の全域へ警報が発令された。 緊急事態を告げるアラームが鳴る廊下を、武装した二十名の魔導師達が慌ただしく駆けて行く。 突然、彼らの眼前に空間モニターが警告音と共に出現した。 “警告! 前方の丁字路左側に正体不明の魔導師集団あり、要注意!” 緑色の肌に皿のような頭頂部と短いくちばしを持つ指揮官が、左手を上げて部下達を止める。 指揮官は後ろを振り向くと、廊下の左右に半分ずつ分かれるよう手振りで指示する。 音を立てないようゆっくりと丁字路の角近くまで来ると、指揮官は右側最前にいる部下へ様子を見るよう 命令を出す。 それを受けて魔導師はおっかなびっくり顔を出そうとした時、前方奥から魔力弾が一発撃ち込まれて右頬を 掠めた。 魔導師は背後に仰向けに倒れ込むと、身振りで“敵”がいる事を示す。 それを受けて指揮官は自分を含む廊下左側の部下たちに突撃を、右側に援護射撃を行うよう指示を出す。 右側が援護射撃を始めるのに都合のいい位置に付き、左側の突撃準備が整ったのを確認すると、指揮官は 手を下げて攻撃開始を合図した。 左手の魔導師たちが様々なデバイスを構え、魔方陣を展開しながら前方に魔力弾を撃ちまくり、続いて 指揮官を先頭に右手の陸士部隊が廊下へと出る。 援護射撃にめげずに雨あられと撃ち込まれる魔力弾に、指揮官たちは床に伏せた。 魔力弾が飛び交う戦場と化した廊下を、指揮官たちは攻撃魔法を撃ち返しながら匍匐前進してじりじりと進む。 交戦中の“敵”の姿が見えるぐらいに距離を詰めた時、指揮官は驚愕で目を見開いた。 「攻撃中止! 攻撃中止だ!!」 指揮官は撃たれる覚悟で立ち上がって、手を振りながら大声で叫ぶ。 「撃つのを止めろ、同士討ちしてるぞ!」 その声に部隊の射撃が止まり、戸惑ったようなざわめきが広がる。 反対側でも攻撃が止み、魔導師たちが立ち上がってこちらを見ると、同じように驚愕の表情を浮かべた。 「一体どういうつもりだ!? 何でいきなり撃ちかけて来たんだ?」 向こう側の魔導師部隊の指揮官を務める、身長二メートル弱のがっしりした体格をした黒人魔導師が抗議すると、 こちら側も負けじと怒鳴り返す。 「そりゃこっちの台詞だ! 最初に撃って来たのはそっちだろ!!」 「侵入者が来ると管制室から連絡があったんだぞ! ちゃんと報告はしたのか!?」 黒人魔導師の言葉に、指揮官は驚きの表情を浮かべる。 「ちょ、ちょっと待て、それは確かなのか? こっちは確かに報告したぞ。ほら」 そう言って指揮官は管制室との通信ログを表示する。 それを見た相手側は、首をひねりながら答えた。 「おかしいな、こっちも確かに指示があったんだが…」 そう言いながら同じく通信ログを表示する、お互いにそれを確認した指揮官たちは首をひねって呟く。 「どういう事だ…?」 その時、丁字路右奥から何とも形容しようのない不気味な唸り声が聞こえてきた。 「!!」 その場にいた全員が、声のした方へ反射的にデバイスを構える。 一分、二分と時間は過ぎて行くが、声はそれっきり途絶え、何の姿も気配も感じられない。 「どう思う?」 指揮官がささやき声で問いかけると、相手側もひそひそと答える。 「何も見えないし聞こえない…空耳か?」 次の瞬間、頭上で先ほどの都唸り声が聞こえると同時に二人の首が胴体から離れる。 「なっ…!!」 何の前触れもなく指揮官が斃された事で、陸士部隊の間に動揺が広がる。 「ど…何処だ!? どこから攻撃――」 左右を見回しながらそう言いかけた猫顔の魔導師の顔が上下に断ち割られる。 その隣にいた、赤い鼻筋に青白い頬と黄色い髭という目立つ顔立ちの魔導師が、天井を指差しながら叫ぶ。 「上だ! 頭上にいるぞ!!」 その声に陸士部隊の全員が、数撃ちゃ当たるとばかりに天井全体をデタラメに掃射する。 そのうちの数発が何もない空間で弾け、リードマンの姿が現れた。 リードマンは飛び回り、身体を素早くひねって、自分目がけて撃ち込まれる魔力弾を次々と避ける。 「全体に弾幕を張れ! 近寄らせるな!!」 陸士部隊は廊下全体に展開し、隈なく掃射する。 いくら回避能力に優れるデストロンと言えども、これでは斬り込むのは不可能だ。 猛烈な弾幕に手を焼いたリードマンは、突然三体に分裂する。 狙うべき標的が三つに分かれて分散した事に魔導師たちは惑わされ、弾幕が薄くなる。 その隙に一体が近くにいた魔導師に飛びかかり、ザクザクめった切りにされた。 「騙されるな! 数が増えても弾幕を張れば奴は動けん!!」 部隊は後退しながら態勢を立て直し、再度魔力弾による弾幕を張ってリードマンの動きを止める。 このままでは一進一退で状況がなかなか動かないと判断したリードマンは、合体を解除して無数の インセクトロンに戻る。 インセクトロン達は雲霞のごとく陸士部隊に迫り、魔導師たちの全身に取りついて針で刺しまくり、 口や鼻から中に入り込んで気道を塞いで窒息させる。 部隊は逃げる間もなく、あっと言う間に殲滅された。 同じような酸鼻を極める光景が、刑務所のあちこちで繰り広げられていた。 なます斬りにされた遺体、口や鼻をインセクトロンに塞がれ、物凄い形相で窒息死した遺体、インセクトロンが 全身を黒く覆い、原子レベルに分解されてエネルギーに変換されている途中の遺体…。 襲撃から30分も経たないうちに、刑務所の職員と魔導師たちは皆殺しにされた。 管制室のリアルギア達は、刑務所を完全に制圧した旨をジャガー報告すると、施設のゲートをすべて 開放してから部屋を出た。 開け放たれたゲートから絶え間なく雪が吹き込み、床にうっすらと降り積もっている。 ジャガーはその上に座り、外をじっと眺めていた。 間もなく、ブリザードの唸りを圧する轟音と共に、小型シャトルが一機、ジャガーの眼前に着陸する。 タラップが下がり、黒いフード付きのローブを全身に包んだ人間が降り立つと、ジャガーは立ち上がって出迎える。 デストロン軍団から“案内人”と呼ばれている人間は、自分の犬を誉める飼い主のように、手を伸ばして ジャガーの頭を優しく撫でる。 すると満足そうに尻尾を振りながら、ジャガーはゴロゴロと喉を鳴らした。 ※※ ※※ ※※ ※※ ※※ エレベーターが開くと、案内人たちの眼前に長さ十メートル弱の、殺風景な監房区画への通路が現れた。 案内人がジャガーの身体に取りついているリアルギア達に視線を向けると、彼らは次々と通路へ降りて行く。 ベチャクチャとやかましく喋繰りながら、リアルギア達は通路を渡って監房区画側のコンソールに飛びつく。 ドアが解錠されたのを確認すると、案内人は通路を渡って監房区画に入って行った。 監房区画は通路同様殺風景な廊下と、左右に二つずつ、奥に一つ、計五つの独房の扉があった。 左右側の独房の扉は総て開け放たれていて、中はベッドすらない空部屋となっている。 案内人が唯一閉じられた廊下一番奥のドアを開けると、奥で揺らめく蝋燭の炎以外明かりのない 暗闇が広がっていた。 目が慣れてくると、ここは他の独房よりも遥かに広く、様々な次元世界の神話に関するレリーフで 埋め尽くされているのが分かった。 独房の中心部には人が五・六人は寝れる大きなベッドが置かれ、周囲の床には脱ぎ棄てられた衣類が 散らばっている。 一糸まとわぬ美女達に囲まれて眠っていた、同じく裸の紫色の長髪の男性“ジェイル・スカリエティ”が 眼を開いて起き上がった。 「見たところ管理局員ではなさそうだが、何者かね?」 案内人がフードを降ろして顔を見せると、スカリエッティは口笛を吹いた。 「これはこれは…二度と会う事もあるまいと思ってたが、どうやって戻ったのかね?」 案内人はスカリエッティの問いかけを無視して、侮蔑の感情を露わにしながら言う。 「呆れたものね、自分が創り上げた娘たちとお楽しみ?」 スカリエッティは悪びれる様子もなく、自分にすがり付いて来る眼鏡をかけた女性のゴールデンロッドの 髪を優しく撫でながら答える。 「こんな鉄と氷だけの場所では、他にやる事もないのでね」 案内人の全身を舐めるような眼で見上げながら、スカリエッティは言葉を続けた。 「君にも一つお相手を願おうかね、プレシア・テスタロッサ」 オリキャラ元ネタ ●浅黒い肌に類人猿の顔立ちをしたオペレーター:ジュヴレン人『星を継ぐもの(J・P・ホーガン/星野之宣)』 ●白いあばた肌で毛のない頭の同僚:ニューカマー『エイリアン・ネイション(1988年 アメリカ)』 ●触角の生えた頭に焦点のない眼と黒い筋肉質体型の外骨格が特徴的な刑務所長:テラフォーマー 『テラフォーマーズ(貴家悠/橘賢一)』 ●緑色の肌に皿のような頭頂部と短いくちばしを持つ指揮官:河童 ●猫顔の魔導師:猫又 ●赤い鼻筋に青白い頬と黄色い髭という目立つ顔立ちの魔導師:マンドリル 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3505.html
建物に入ったゲンヤとギンガは そこで二人の魔人の魔の手からあっさり逃れた赤毛長髪眼鏡の青年を発見する。 「どこに隠れてた?」 応えずに笑うジルグ。 「あんまりあの二人から逃げ続けてると後が怖いですよ?」 「そうか、覚えておく」 表情を崩さずに応えてさっさと宿舎に向かおうとするジルグに ギンガがはやてからもらったお土産のクッキーを渡す。 「ちょっと待ってください。はい、これはやてさんがお土産で持ってきたクッキーですよ 今度会ったらちゃんとお礼を言っておいて下さいね?」 「ああ」 クッキーを受け取り、今度こそ宿舎に消えるジルグ。 実は初対面の際、ゲンヤが「自分達の家に住むか?」という提案をしたのだが 「実の娘を貞操の危機に晒す父親がいるんだな」 とおどけるように言ったジルグにギンガがムキになって反応し ジルグは当初の思惑通り部隊内の個人部屋を得ていたのだった。 「さて、試験は一ヵ月後……か」 部屋に戻り、参考書のテキストを手にするジルグ。 ギンガ個人から借りたり部隊に置いてあるものを借りてきたそれらの中には 明らかにBランク試験とは関係のないものも混じっている。 この数日で数冊の筆記試験用テキストに目を通したジルグだが 筆記の試験に関してはすでに1ヶ月中に合格圏内に入れる目処はついている。 むしろその後必要になるであろう、この世界を構築している歴史 生活観や地理、さらには戦術書やデバイスの専門書など あらゆるジャンルの知識を取り入れる事に行動をシフトさせていた。 たとえ管理局員になったとしても、所詮彼は何のバックホーンも持たない異邦人である。 何かしらの事態が起こって万が一管理局と敵対する事になった場合や 管理局内において”自分が好き勝手をやる”為にも まずは知識が必要である。 八神はやての思惑について、ゲンヤやギンガの言動や自分の扱われ方から おおよの察しはついている。 彼女は若くしてその努力と実力、個人の持ち得る力としては最高の人脈によって 現在の地位を得ている。 だが、どこの世界でも既得の権力を持つものは新興勢力の台頭を喜ばないものだ。 はやての場合も例に漏れず、地上本部との確執が周知の事実となっている。 そして彼女が独立した権限を持つ新設課を作ろうとしていることも 局内においては既に公然の秘密のようなものであった。 対立者との波風を抑えつつ自前の戦力の拡大を図っているならば 自分は格好の獲物である。 彼の立場は事実上、八神はやての手によって握られているも同然だ。 預けられている場所こそ陸士部隊だが ここは数ある陸士部隊の中でも異端の部類に入り レジアス中将の影響を受けにくい。 自分の魔力ランクがどの程度なのか、まだ知らされてはいないが あれだけ性急な勧誘とデバイス起動時の周囲の反応を見れば ある程度高レベルのランクである事は言われなくてもわかる。 時空震の関係者として施設に収監されていた可能性もあるが (もちろんジルグからすればそのようなことに関わった記憶も事実もない) レジアス側からの接触が無いのは 魔力ランクがはやてやその関係者によって隠蔽されている。 もしくはレジアス側の勢力からすればジルグは ”箸にも棒にもかからない存在”と見なされているからだろう。 最終的にどちらにつくにせよ、いずれは自分の力を示す必要はある。 だが…… 「まずは試験、か。まるで学生だな」 そう呟き、ジルグはテキストのページを捲り始めた。 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/89.html
ディバイドエナジー 術者の魔力を相手に供する魔法。分ける量は供与元の意志で決定され、なのははフェイトと半分ずつに分けたようである。 ディバインバスター・フルパワー ディバインバスターの発射形態バリエーション。大幅な魔力消費により、威力を落とさないままバスターの放射範囲を広げている。 チェーンバインド 対象の動きを止める魔法の鎖を発生させ、縛りつける。 鎖の強度や射程・本数は術者の魔力に比例し、これにより一体を強力に固定したり、複数の対象を同時に停止させることも可能。 サンダーフォール 局所的に天候を操る儀式魔法。付近の雷雲から集めた電力を雷球に集中、範囲内に魔力を込めた雷を落とす。 この魔法を、フェイトは海中に魔力流を発生させるために使用している。 サンダーレイジ ロックオン型の範囲攻撃魔法。バインド能力を持つ電光で相手の動きを止め、固定した相手に一斉に雷撃を落とすことで爆砕する。 フェイトの非詠唱魔法としては最大級の威力を誇る、雷撃系の高位魔法。
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砂漠上空をセギノール基地へと急行している、ドロップシップ“LST226”コクピット内では、 二名のパイロットが計器のチェックや機体の姿勢制御を行っていた。 前席に座っているショートカットの二十代前半と思しき女性パイロットが、新しく表示された 空間モニターの情報を読むと、後席の大柄な同年代の男性パイロットへ振り向く。 「ヴァイス曹長。クラウディアより、ここから西南西160キロの村で、セギノール中央基地 の生存者が正体不明の敵と交戦中。 当機に搭乗しているA及びAAランクの魔導師二名と共に、至急援護に向かうようにとの事です」 ヴァイス・グランセリック曹長は、眼前に表示されたクラウディアからの指示に眼を通す。 「あいよ。クロノ提督は人使いが荒いねぇ」 そう独り言を呟くと、ヴァイス曹長はモニターの表示を切り替えながら前席のパイロットに言う。 「アルト、俺は機内のお客様にこの事を伝えるから、機の針路変更を頼む」 アルト・クラエッタ三等陸曹はヴァイスに頷き、デバイスを起動させて自動操縦から手動に切り 換えた。 メガザラックは、じわじわと生き残りの局員たちを追い詰めつつあった。 ブラックアウトの子機で、必要最低限の知能しかないこのデストロンに与えられた目的は、 目撃者の完全なる消去。 その過程で、管理局員だけでなくこの砂漠の惑星に住む現住生物を多数巻き添えにする事と なったが、メガザラックは特に気にかけなかった。 獲物を追う狩人が蟻を踏み潰したとしても、その事気付く者は果たして何人居る? 一方、踏みつぶされる蟻と狩られる獲物――デュラハと魔導師たち――は、後退に次ぐ後退 を強いれながらも、空戦魔導師が来るまでの時間稼ぎにと、時には射撃で、時には身振り 手振りで挑発しながら、必死に奮闘していた。 「北側から進入して下さい、そちらなら視界が綺麗に開けてる!!」 エグゼンダが前線に駆り出された後、その代わりに通信を受け持つのは、応急処置を受けた とは言え重傷のローレンス。 彼は石を積み上げて作られた壁に背を預け、デバイスを通じてクラウディア及びLST226との 連絡を続けていた。 「了解、相手との距離はどうですか!?」 アルトからの質問に、ローレンスは壁から顔を少し出して様子を窺う。 それに気付いたメガザラックが、左腕をこちらへ向けるのが見えた瞬間、ローレンスは怪我を した肩をかばいながら、這って移動した。 ついさっきまで居た場所が、立て続けに撃ち込まれたプラズマ弾で滅茶苦茶に破壊される。 暫くしてこれ以上攻撃が来ない事を確認すると、ローレンスは再びアルトに連絡を入れた。 「ほとんどゼロ距離だが四の五の言ってられない、こっちは全滅寸前なんス!」 ローレンスはそう言うと、エップスに念話で増援が来る事を伝える。 “陸曹、もうすぐ空戦魔導師が来ます!!” エップスは、それを受けて全員に指示を出す。 “空戦魔導師が攻撃に入る前に、全員で一斉にあの敵へバインドを掛けろ。タイミングは 私が指示する” “了解しました!!” 未だ闘っている魔導師三人の念波が、唱和となって彼らの頭の中に響き渡った。 “後二分です” ローレンスからの報告を受けたエップスは、素早く指示を下す。 “攻撃中止、敵を戸惑わせて隙を作れ” 全員攻撃魔法の発射を止め、壊れた壁や崩落した家の陰に隠れてひっそりと移動する。 攻撃が突然止んだ事にメガザラックが気付くまで、10秒程時間を要した。 殲滅した訳でもないのに、周囲が静かになった事に、メガザラックは不審を感じて首を 傾げる。 “今だ” 合図を受けた全員が、瓦礫の中から一斉に飛び出して、バインド魔法を発射する。 メガザラックの周囲に10本近い光の輪が現れて、胴体や腕に巻き付く。 自分の体に貼り付いた光輪を、訝しげに見つめていると、またしても魔導師たちが攻撃を 再開した。 メガザラックは反撃の為に両腕を上げようとする。ところが、まるで石膏でも流し込まれた かのように、両腕が、体が動かない。 魔術を使った一種の拘束具。 そう結論付けると、メガザラックは全身に力を少し加える。 すると、バインドは二・三度点滅した後、光の粒子となって雨散霧消した。 自由の身になったメガザラックは、再び砲撃を再開する。 「畜生! バインドでも数秒止めるのが精一杯か!」 煙と砂埃が舞い上がる中、ロアラルダルがむせながら悪態を付く。 と、突然。フェイトの念話がロアラルダルの頭の中に入って来た。 “皆さん…、目と耳を閉じて…伏せて下さい” “し、執務官!?” ロアラルダルは戸惑いながらも、指示通りに目をつぶり、耳を塞いで身を伏せる。 メガザラックと対峙している全員が伏せたのを確認すると、フェイトはイナーマシュが止める のも聞かず、魔方陣を展開してメガザラックに手を向ける。 ――私の考えが正しければ…―― ブラックアウトと戦った時の事を思い返し、全身を引き裂かんばかりの苦痛と戦いながら、 フェイトは攻撃魔法を放つ。 それが命中した瞬間、意外な事にメガザラックは奇怪な悲鳴を上げて引っくり返った。 モノ自体は、陸士学校で教えるレベルの単純な雷魔法、だが狙った先は頭部の、センサー類 が集中していると覚しき眼の位置だった。 トライデントスマッシャーの直撃を受けたブラックアウトは、無傷だったとは言え少しの間 ふらつき、頭を振っていた。 もしかしたら、センサー類にダメージを受けたからではないか? その推論から、フェイトは映画でよくある、夜間暗視装置を付けた敵に対して、発煙筒の 強烈な光でめくらましをかけるシーンと同じ事を試したのである。 一時的とは言え、視覚を潰されたメガザラックはパニックに陥り、自分の武器を 滅茶苦茶に乱射する。 始めは空や遠くの砂地で炸裂だけだったが、次第に弾着がフェイトの居る場所へと 近付いて来るのが判った。 「まずい…!」 危機を感じたエップスとエグゼンダが、中央広場へと駆け出す。 井戸の袂では、フェイトに点滴を行っているイナーマシュとそれを心配する デュラハがいた。 エップスは、有無を言わさぬ勢いでデュラハに言う。 「デュラハ、ここは危ない。今すぐ離れるんだ!」デュラハが素直に頷いて 走り出すと、エップスはイナーマシュの方を振り向く。 「執務官を至急――」 エップスが言いかけた時、のたうち回るメガザラックを注視していたエグゼンダが、 バリアとフィールドを展開しながら叫ぶ。 「駄目です、間に合いません!」 次の瞬間、プラズマ弾が彼ら四人を襲う。 走っていたデュラハが、皆がどうなったか確認しようと振り向きかけた時、突然起きた 爆発で砂地に叩き付けられ、意識を失った。 エップスたちが攻撃を受けたのと同時に、片翼三メートルの大きい翼を広げて滑空する、 二本の角が生えた頭と鳥のような嘴が特徴の、灰色の羽毛が皮膚を覆う空戦魔導師 マトル・ベラファーバーが、地上とクラウディア、LST226に報告した。 「目標を捕促、これより攻撃に移る」 手持ちの剣型デバイスにカートリッジが裝填されると、両翼にベルカ式魔方陣を展開 される。 「ガトリングフリーゲン発射(シュート)」 その声と共に、一秒間に五十発。一分間では三千発ものシュヴァルベフリーゲンが、 メガザラックのボディに撃ち込まれる。 ブラックアウトなら痛くも痒くもなかったろうが、それより小柄なメガザラックには 効果があった。 間断なく撃ち込まれる強力な魔法弾に、たまらず崩折れたメガザラックに向けて、 次にバルカのヴァースミュラックがドラゴンブレスを放つ。 立て続けに撃ち出された四発のブレスは、全弾メガザラックに命中。 爆発が巻き起こり、その姿が煙と砂埃の中に消えた。 爆風を避けて物陰に隠れていたロアラルダルとローレンスが、戦果を確認する為に 這い出て来る。 煙が晴れ、視界が開けて来ると、メガザラックが居た辺りには竜のブレスによる、 コンテナを積んだ大型トレーラーがスッポリ納まりそうな、大きなクレーターが 出来上がっていた。 完全に破壊された。 二人がそう確信した途端、クレーターの底からメガザラックが姿を現す。 ノックアウト直後のボクサーのようにフラフラとよろめき、穴から這い上がろうとして ひっくり返ったりしているが、それでもまだ動いていた。 「あれだけ喰らってまだ動けるのか!?」 メガザラックのタフさに、ロアラルダルは呆れた口調で言う。 「LST226へ、標的は未だ健在。支援を要請する」 ローレンスからの連絡を、アルトはヴァイスへ伝える。 「曹長、地上部隊から攻撃要請です」 体勢を立て直そうとしているメガザラックを見ながら、ヴァイスも呆れた様子で呟く。 「えらくしぶとい奴だな…」 表情を切り換えると、ローレンスへ通信回路を開いて言った。 「“サンダーフォール”を使用する。近くにいる魔導師は至急離れてくれ」 通信を受けたロアラルダルとローレンスは、急いでメガザラックの居るクレーターから離れる。 彼等が安全圏に退避したのを確認すると、ヴァイスは自身のデバイス“ストームレイダー”に、 攻撃指示を出した。 すると、ドロップシップの下部にミッド式魔方陣が展開され、同時にメガザラックの頭上に 黒雲が拡がる。 黒雲から稲光が2.3度瞬いた後、メガザラック目掛けて雷光が降り掛る。 雷は幾度となくメガザラックを襲い、強烈な電流が強固なボディを徹底的に打ちのめした。 攻撃が終了し、辺りが静かになると、ロアラルダルとローレンスは再び状況を確認する為に、 クレーターへと戻る。 二人は、オゾンの匂いがする煙が立ち込める中を、慎重に歩を進める。 煙が風に吹き散らされ、視界が晴れてくると、先程よりも更に大きいクレーターが出来上がって いるのが分かった。 その底には、もはや見慣れた機械のミノタウロスが依然として存在している。 メガザラックの姿を見た途端、ロアラルダルとローレンスは砂地に伏せるが、応射してくる気配 はない。 いつでも逃げ出せるような姿勢のまま、二人はゆっくりと顔を出してクレーターの底を覗き込む。 二人は、メガザラックは確かにそこに居るが、様子がおかしい事にすぐに気が付いた。 ボディのそこかしこに焼け焦げがあり、電流がパチッと走る度に、痙攣するかのように背を手を バタつかせたり、のけ反ったりしている。 暫くして痙攣が治まったのか、ミノタウロスから蠍に変形して姿勢を立て直すと、両腕の マニピュレーターをドリルのように高速回転させ、穴を掘って姿を消す。 地下から攻撃か!? ローレンスとロアラルダルは一瞬そう考えたが、彼の居る場所とは反対側の 砂地で砂煙が吹き上がると、それがどんどん遠ざかって行くのが見えた。 二人ははクレーターの淵に座り込み、呆けた表情で雲一つない空を見上げた。 ロアラルダルは煙草の箱を取り出すと、ローレンスに箱を差し出す。 ローレンスが一本取るとそれに火を付けてやり、次いで自分の分を取り出す。 煙草と、自分が生きているという実感をじっくり味わいながら、二人は呆けた 表情で空を眺める。 「…ったく、とんでもねぇ化け物だったな」 その声に二人が地上に視線を戻すと、全身ボロボロのグーダと、彼に肩を貸す 砂と煤まみれのデ・カタが居た。 二人が無言で手を挙げると、グーダとデ・カタはその前に座り込む。 ローレンスとロアラルダルが再び天を仰ぎ、グーダとデ・カタが力なく地面に 目を向けるのと同時に、今度は空から声が聞こえてきた。 「おーい! お前達大丈夫か?」 ローレンスが声のした方に顔を向けると、ベラファーバーとバルカが滞空して、 こちらを見下ろしている。 それに応えて返事をしようとした時、グーダが周囲を見回して言った。 「陸曹と執務官は!?」 意識を取り戻したデュラハが、顔に付いた砂を払いながら立ち上がる。 しばらくは後ろを流れる煙を呆然と見つめていたが、何が起きたか思い出すと、 煙の中へと慌てて走って行った。 「陸曹! 執務官!」 デュラハは煙にむせながら、フェイトとエップスを階級で呼ぶ。 やがて、風が出て煙が晴れると、少し先に人間が四人程、土まんじゅうの様に 折り重なっているのが見えた。 「陸曹?」 デュラハが声を掛けるとまんじゅうの一角が崩れ、人が砂地の上にバタバタと 倒れ伏す。 「執務官…ご無事で…?」 イナーマシュが弱々しく話しかけると、フェイトは微かな声で返事をした。 「…私は…大丈夫…それより…皆さんを…」 フェイトがそう言うのと同時に、デュラハが叫びながらエップスへ駆け寄る。 「陸曹!」 仰向けに倒れているエップスの腹部や胸部には、背中から突き抜けた破片による と覚しき創傷が何箇所もあり、そこから流れ出る血が忽ちのうちに服を紅く染め、 砂地にまで及ぶ。 フェイトよりも重傷なのは明らかにだった。 イナーマシュが駆け寄って応急の止血処置を始め、その横でデュラハが 「デュラハ…私はいい…それより…早く…お父さんとお母さんを…探すんだ…!」 苦しい息の中で、エップスは辛うじてそれだけを口にする。 その言葉に、デュラハは一度気遣わしげな表情でエップスを見つめた後、自分の 家の方へと走っていった。 エグゼンダは、あらぬ方向へ曲がった自分の足から目を背け、湧き上がる激痛と 戦いながら、ドロップシップに連絡を取る。 「LST…226へ、敵は…撤退するも…、ハラオウン執務官の他…フューダー・エップス 陸曹も…瀕死の重傷…。 大至急…医療施設へ…の搬送を…!」 「了解、ただちに着陸して収容します」 モニター上のアルトが返答するのと同時に、ドロップシップが彼等の横に降りてきた。 最初にエップスが浮揚式のストレッチャーで機内に運ばれ、次いで足に応急の当て木 を施されたエグゼンダが続く。 全員が収容されるまで残ると言って譲らなかったフェイトは、エップスのと同じ型の ストレッチャーに移され、比較的無傷だったイナーマシュとデ・カタに付き添われながら、 陸士たちが機内へ乗り込んでいくのを見守っている。 そこへ、アルトが駆けて来て、フェイトに敬礼した。 「お久しぶりです、ハラオウン執務官」 フェイトも、アルトに敬礼を返して答える。 「お久しぶり…機動六課以来…かな?」 「そうですね」 微かな微笑を浮かべながら話をした後、フェイトは真面目な表情に変わる。 「アルト…お願いがあるんだけど…」 「何でしょうか?」 フェイトは、空間モニターを出現させてデュラハの顔写真を表示する。 「私たちと一緒に付いてきた…原住民の子が一人いるんだけど…その子が…両親は 無事かどうか探しに行ってるの」 「はい」 「家族と一緒なら…問題はないけど…もし、何かがあった時は…」 そこで一旦言葉を切り、考え込むように空へ視線を向ける。 「…私のところへ連れて来てもらえる?」 “何か”について、アルトは特に何も質問しなかった。 「分かりました、確認してまいります。その子の名前は?」 「デュラハ」 「デュラハ…ですね。では、行って参ります」 再度敬礼すると、アルトは集落の中へと入っていった。 それほど広い集落でもなかったので、デュラハを見つけるのにさほど時間が かからなかった。 アルトが見つけたとき、デュラハは半壊した丸いドーム型の家の門前で 「アイアンマン」や「スーパーヒーロー エッガーム」などといった 別次元世界の漫画本を胸に抱え込み、呆然とした表情で地面を見詰めていた。 その様子に、何か只ならぬものを感じたアルトが声を掛けるのを躊躇していると、 デュラハがアルトを見上げる。 何の表情も見受けられない顔と、遥か遠くを見つめている様な目が、アルトには いつか観たホラー映画に出てきたゾンビを思い起こさせた。 「父さんと…母さんが…」 そう言って、デュラハは自分の後ろに顔を向ける。 その先には、あたり一面に飛び散った血痕と、原型の分からなくなったデュラハの 両親の遺体があった。 アルトは反射的にデュラハを抱き寄せ、その目を手で塞ぐ。 そのまま、デュラハを引き剥がすように立ち上がらせて、ドロップシップの方へ 歩き出す。 「アルト・クラエッタです。ハラオウン執務官より要請のあった原住民の少年を保護。 家族は全員死亡しています、至急魔道師をこちらに派遣してください」 デュラハも抵抗せず、空間モニターを開いてドロップシップへ連絡を取るアルトの 歩調に合わせて歩くだけであった。 前へ 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのはシリーズ 魔法/世界観に関する資料
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このバトルロワイアルには数多の世界から集められた超人達がいる。 魔法少女、ウィッチ、サーヴァント、吸血鬼、イノベイター、キメラアント、超能力者、錬金術師……誰もが誰も常人を遥かに超える力を持つ。 そんな猛者達の中でも、おそらく上位に食い込む実力の存在が、今現在夜の空を飛翔していた。 圧倒的な組織力と軍事力をもって、数多の次元世界を統括する時空管理局。 その時空管理局が誇る最強の魔導師が一人、エース・オブ・エースの異名を冠する少女。 およそ魔導師として最高とも言える才覚と、努力を努力と思わぬ直向さを、少女は持ち合わせていた。 二桁にも届かぬ幼少時から様々な戦線に立ち、あらゆる事件を解決に導き、経験を積み重ねていった。 才覚と努力と経験……その三つの要素を取り込み、己の糧としてきた少女。 それが高町なのは。エース・オブ・エースと数多の新人魔導師に崇拝され、その異名に足る活躍を見せる魔導師である。 高町なのはは、月下の中を飛びながら眼下の地に目を走らせる。 戦闘の気配はないか、他の参加者はいないか。魔力で強化させた五感を用い、周囲の哨戒を行っていた。 既に十数分の時間が経過しているが、その胸中の焦燥とは裏腹に、手応えはない。 戦闘の気配は感じられず、人の姿も見られない。 思わず唇を噛む。現状は明らかに異常であり、今すぐにでも何とかしなければいけない。 高町なのはとは責任感の強い人物である。 なのはは全てを背負い込んでいた。この場にある四十四の命、その全てを。 だが、解決策の取っ掛かりすら掴めず、他の参加者の発見も叶わない現状だ。 焦りがつのり、逸る気持ちだけが身体を動かす。 落ち着かねばと理性では理解していても、そう上手く心境を変えられるものではない。 くっ、と二進も三進も行かない状況に思わず声をもらしてしまう。 (―――ッ) その瞬間になのはは見た。 空の端にて光った黒色の光。禍々しい光は遠く離れたなのはにも視認する事ができた。 見覚えのある光であった。 親友であり上司でもある魔導師が使用する、驚異的な威力を有した最高級の広域型魔法―――ディアボリック・エミッション。 親友がこの場にいるのは既に確認している。だが、その親友はあれほどの術を使用せねばいけぬ状況に追い込まれているのか。 そもそもが理解不能な状況だ。Sランクの魔導師と同等に戦える者がいても不思議ではない。 焦燥が更に高まる。 光が見えた方角へと転進するなのは。 そこで、なのははとある女性と遭遇することとなる。 おそらくは、これ以上ない程の因縁の相手。 先手を打ったのは『なのは』であり―――だが『なのは』ではなかった。 『マスター!』 転進して直進を始めようとしたその刹那に、なのはがいる空より更に上空から攻撃が降り注いだ。 鮮やかな桜色の光が、奔流をもってなのはへと突き進んできた。 直前の相棒から忠告とエース・オブ・エースたる彼女の察知能力により、窮地からの脱出はそう困難なものではなかった。 両足に生えた、魔力で形成された羽が羽ばたくと同時に、なのはの身体が急激な加速を見せる。 射線から易々と抜け出したなのはは、攻撃が飛来した方向へと視界を動かした。 「なっ!?」 そして、なのはは言葉を失った。 そこにいたのは、『なのは』であったからだ。 服装も、容貌も、装備すらも、全てが全て鏡で映しだしたかのように同じ。 なのはを見下ろすように見詰める『なのは』は、自身の相棒と同じ形をとった杖をなのはへと向ける『なのは』は、本当に全てが同じであった 「あはははは! やるねぇ、偽物さん!!」 その声も、同じだ。 だが、声色だけはまるで違う。到底なのはが出すものとは思えない、狂気の入り混じった愉悦の声色であった。 「あ、あなたは……?」 「偽物なんかに名乗る名前はない。偽物は、偽物らしく本物の陰で消えてろぉ!」 混乱するなのはとは対照的に、もう一人の『なのは』は整然としていた。 強烈な殺意をまるで隠そうともせず、ただなのはに向けて狂った微笑みを向ける。 『なのは』は明らかに今の状況を楽しんでいた。 同じ容姿とは思えぬ程に、性格が乖離した存在だ。 「ディバイン……バスター!!」 「くっ! レイジング・ハート!」 それでいて使役する魔法はなのはと同様……いや、こちらも明確になのはのソレとは乖離している。 非殺傷設定の解除。なのはが決して選ぶことはないだろう選択を、それはさも当然のように取っていた。 そして、もう一つ。何よりもなのはの魔法攻撃とは違う事項が存在している。 それは、 「―――え」 ―――単純な攻撃力。 応戦したなのはが放った魔法は、眼前の『なのは』と同様の砲撃魔法であるディバイン・バスター。 目の前の敵がどれだけの力を有しているか分からないのだ。 なのはは手加減なしの全力全開で術を行使した。 なのに、激突した砲撃魔法は一瞬の拮抗を生み出すことすらなかった。 風船が弾けるようになのはのデイバイン・バスターが弾け飛び、『なのは』のディバイン・バスターが直進する。 殺傷設定と非殺傷設定の差はある。 だが、だからといってここまで一方的な結果などありえない。 同等の威力がある砲撃同士であれば、やぶれるにしろ僅かな均衡は生まれる筈である。 答えは明確だ。 なのはと『なのは』の攻撃力は、それほどまでに愕然たる差が存在するのだ。 拮抗も、均衡すらも生み出さない程の圧倒的な差。 生ける伝説とすらされるエース・オブ・エースを全く寄せ付けぬ、人類未踏の位置にそれは君臨しているのだ。 もう一人の『高町なのは』―――またの名をW.D.M.G(ホワイト・デビル・マジシャン・ガール)。 最強にして最恐、最強にして最凶のモンスターカードが具現化したものである。 「くうっ!」 自身の一撃をものともせずに進む奔流を、なのはは寸でのところで回避する。 完全に予期せぬ事態にありながら、それでも直撃を避けたのは、流石のエース・オブ・エースと言えるだろう。 だが、砲撃の余波を喰らったなのはは完全にバランスを失ってしまった。 錐揉み状に回転し、上下左右の方向すら分からなくなる。 「―――消えちゃえ」 W.D.M.Gが攻撃の手を緩める様子はなかった。 クルクルと回転しながら墜落していくなのはへと、レイジングハートの矛先を向け、魔力を溜める。 一瞬で臨界へと至った魔力は、何の躊躇いも感慨もなく放たれた。 そこに殺意以外の何も存在しない。 己と同じ姿をしているというだけで、W.D.M.Gの憤怒を滾らせるには十分で、殺害するに値した。 桜色の極光がエース・オブ・エースへと急迫する。 なのはも、その相棒たるレイジングハートも、だがしかし諦めない。 ぐちゃぐちゃに掻き乱れる視界の中で、それでも砲撃の存在を感知し、己を包むように球状の防御壁を形成する。 レイジングハートに装填されている全てのカートリッジを使用して、ただでさえ強固な防御魔法を更に強化させる。 並大抵の砲撃ではヒビをいれる事すらできないであろう防御魔法であったが、なのはもレイジングハートも思考の端で理解していた。 おそらくは、このバリア魔法をもってしても防御は叶わない。 エース・オブ・エースとしての経験が、冷徹な結論を導きだしていた。 だが、諦める訳にはいかない。 自分は管理局の魔導師だ。人々を助け、悪を捕縛する、魔導師。 この場には救いを求める人々が何人も何十人もいる。 ここで倒れる訳には、死ぬ訳にはいかない。 ありったけの魔力を手中のレイジングハートへと注ぎ込み、少しでも防御力を上昇させる。 そして、シールド魔法に衝撃が走った―――。 結果は、なのはの予想通りであった。 カートリッジと全力全開の魔力をもって形成されたシールド魔法は、またもや一瞬の均衡すらも生むことはなかった。 衝撃とともに発生した爆煙が、空を埋め尽くす。 煙が晴れた後に残るものは何もなかった。 死体すらも残らない、 なのはの姿は影も形もなく、消えていた。 「へぇ……面白いね」 己が破壊の残滓を見詰めながら、W.D.M.Gは楽しげに口角を持ち上げる。 その獣を思わせる微笑みは、なのはを屠った満足感からくるものなのか。 W.D.M.Gが心中を理解できるのはおそらく彼女自身しかいないのだろう。 笑顔を張り付かせたまま、視線を動かし、月夜に照らされる夜天を見回すW.D.M.G。 数秒ほど周囲を見たW.D.M.Gは、唐突に動いた。 眼下の森林へと垂直に落下し、両足で地面を捉える。 息を呑む音が聞こえた。 W.D.M.Gの眼前には一人の少女がいたのだ。 外見からするに小学生程の年齢だろうか、だがその瞳には力強い光が灯っていた。 発見されたことによる幾分かの驚愕と、その驚愕を遥かに上回る戦意があった。 先程の破壊をみて尚も折れる事のない闘志が、その瞳からはありありと見て取れた。 「ここは一体何がどうなってるのかなぁ? 面白いけど、ムカついちゃうねぇ」 恐怖の欠片も感じさせない表情に、W.D.M.Gは苛立ちを隠そうともしない。 粘着くような薄気味悪い笑みを浮かべながら、目は今まで以上の殺意にぎらつく。 「あなたは……誰なの?」 「それは私の台詞だよ。あんた『達』はいったい何なのかな」 W.D.M.Gは目の前の少女に見覚えがあった。 少女はやはりW.D.M.Gとまるで同じ容貌であった。 もっと言うならばW.D.M.Gが取るもう一つの姿と―――幼少時の『高町なのは』の姿と―――まったくの同じである。 三人目の『高町なのは』―――高町なのはが英霊(サーヴァント)として現界したものが、今のこの姿であった。 英霊としての位はアーチャー。第六次聖杯戦争にて、圧倒的な魔力と高等なステータスをもって勝ち進んできたサーヴァントである。 「私は……なのはだよ。高町なのは」 「あんたが持ってる奴もそうみたいだねぇ」 場に現れた三人目の『高町なのは』はその小さな背中に一人の人物を背負っていた。 W.D.M.Gに撃墜され、その死体さえも消滅したかと思われていたなのは。 アーチャーは砲撃が直撃する直前で、なのはを救出していた。 W.D.M.Gのディバイン・バスターへと、自身も全力で砲撃を放ち、威力の減衰を図ったのだ。 アーチャーの力を持ってしても相殺するには至らなかったが、それでもなのはの命を救う事はできた。 なのはが決死の思いで張った防御魔法も功をそうした。 アーチャーの砲撃となのはの全力全開の防御魔法。 その二つの要素が重なることにより、結果としてなのはは生存することができたのだ。 そして、アーチャーは爆煙を目くらましに、気絶し墜落してくるなのはを掴み、森林へと身を隠した。 「横槍を入れてきたのはあんただったんだぁ。まぁ、結構頑張ったみたいだけど……無駄だったねぇ!」 だが、その救出劇に決して代償がなかった訳ではない。 なのはは命は助かったものの意識を失い、アーチャーは魔力の殆どを消費してしまった。 アーチャーもまた全力全開で砲撃を撃ち放ったのだ。 何の考えもなかった。気付けば、なのはを助けねばと身体が動いていた。 後のことも何も考えずに、ただ全力で。アーチャーはなのはの救出に全てを賭けた。 エース・オブ・エースとサーヴァント……言ってしまえば両者の全力全開をもってですら、被害はこれほどに凄惨たる結果であった。 アーチャーは目に見えて疲労困憊といった様子で、顔には薄い汗をかき、肩で息をしている状態だ。 二人の『高町なのは』の力を合わせてさえ、結末は現状の打開にすら至らぬ切迫の窮地であったのだ。 W.D.M.Gはレージングハートを構え、その矛先に魔力の光を渦巻かせる。 アーチャーは切り札たる宝具の使用を思慮するが、魔力の疲弊が大きい今、それでも眼前の魔導師に勝てる見込みは少なく感じていた。 じゃあ、死んじゃえ、とW.D.M.Gが三度死神の鎌を振ろうとする。 このまま死ぬならば、とアーチャーが宝具を使用するべく魔力を高める。 その時であった。 ―――なのはからすれば二度目の、アーチャーからすれば一度目の、救済の手が伸びたのは。 バス、という鈍い音が響いたと同時に、W.D.M.Gの身体が小さく傾いだ。 アーチャーに視認できたのは、闇の中を走った緑色の光線がW.D.M.Gの身体に直撃した瞬間だけであった。 アーチャーから見て右手側の森林あら飛んできた光線は、見事にW.D.M.Gの頭部を穿っていた。 しかしながら、その身に纏ったバリアジャケットは、W.D.M.Gの魔力の高さを示すように堅牢なものであった。 謎の光線のヘッドショットを喰らっていながらも、その体勢を崩すだけに留まっている。 それでも、その隙を見逃すアーチャーではなかった。 なのはを背負ったまま、残る全ての力を振り絞って飛行魔法を発言し、森林を駆け抜ける。 障害物が多く高速の飛行には適さない空間ではあるものの、ただ夜天に無防備な背中をさらすよりは遥かにマシだ。 アーチャーは森林を地面スレスレで疾走しながら、その飛行技術をもって障害物を華麗に避けながらW.D.M.Gとの距離を離す。 「ッ、逃がすか!」 鬱蒼とした森林の中へ身を隠したアーチャー達に、W.D.M.Gは殆ど当てずっぽうで砲撃を飛ばした。 森林が砲撃に震撼し、何十もの木々が桜色の極光にのまれ破片も残さず消え失せる。 直撃を避けた木々であっても、余波の暴風だけでまるで小枝のようにへし折れ、吹き飛ぶ。 光が消えた後に残るのは、数百メートルの先まで抉られた地面と、抉られた地面を中心に広がる惨状であった。 「逃げられちゃった……みたいだね」 W.D.M.Gの表情に宿るは、ただただ純粋な憤りであった。 傍から見ても分かる強烈な憤怒。まるで親の仇でも見たかのような表情だ。 「いいよ、殺してあげる。邪魔者も、『高町なのは』も、全部全部私がメチャクチャにしてあげるよぉ!!」 そう宣言したW.D.M.Gが最初に見たのは緑色の光線が飛んできた方角であった。 おそらくは狙撃。W.D.M.Gのバリアジャケットを貫くには至らなかったものの、その身を怯ませた。 それなりに強力な攻撃なのだろうが、W.D.M.Gにとっては火に油を注ぐだけであった。 W.D.M.Gは狙撃があった方角に、身を隠そうともせずに進み始めた。 最強の白い悪魔が、更なる破壊をもとめて彷徨いだす。 【一日目/深夜/E-3・森林】 【高町なのは(WDMG)@遊戯王なのはMAD】 [状態]健康 [装備]レイジングハート・エクセリオン@遊戯王なのはMAD [道具]基本支給品一式 、ランダム支給品0~2 [思考] 基本:参加者の皆殺し。主催者も殺す 1:狙撃手を殺す 2:二人の『高町なのは』も殺す [備考] ※遊戯王 AIBOvs王様・社長・凡骨・顔芸 【後編Bパート】決着直前、最も強化されている時点からの参戦です ◇ 「突撃砂ですが無害です」 そして、森林の中を全力で走る存在があった。 人間のそれとは大きくかけ離れた、まるで機械のような身体をした不可思議な風貌。 この存在こそがまさにW.D.M.Gへ一矢報い、二人の『高町なのは』を救う切っ掛けを造りだした存在であった。 「ボーダーブレイクかと思った? 可愛いバトロワちゃんでした! 強制バグとはどういうことかね牛マン君!!!?!11!11?」 男は一人で訳の分からぬことを語りながら、ブーストダッシュと屈伸キャンセルを駆使して森林を疾走していた。 プレイヤー名・Tsurugi。視聴者からは突撃砂や凸砂と呼称されることの方が多いか。 ボーダーブレイクのプレイヤーにして狙撃兵装を主として使用する男である。 Tsurugiは夜叉弐脚の高速移動をもって狙撃地点からの離脱を行っていた 芋砂であれば同位置に留まって狙撃を続けていたのだろうが、それが悪手であることはTsurugiも理解していた。 とりあえず場を移動し、本人のいる場所を悟られない。それが重要であった。 「それにしてもヴェスパヘッドショットで死なないとか、汚いなさすがリア重きたない」 児童をペロペロしようとしていた不届き者を撃墜しようと、ヴェスパで狙撃を試みたまでは良い。 凸砂にしては珍しく狙撃は成功し、その頭部に直撃を成功させた。 だがしかし、ペロリストは大したダメージを受けた様子もなく、ちょっとのノックバックで行動を再開していた。 やはりリア重(バリア装備の重火器兵装)は汚いと再認識するTsurugiであった。 Tsurugiは森林を進みながら、周囲を警戒する。 先のリア重はこちらを追跡するのか、児童を追跡するかは分からない。 ともかく余り正面から戦うのは嫌な相手であった。 こちらの最大火力である狙撃銃・ヴェスパインのヘッドショットをもってして、大したダメージは与えられなかった相手だ。 流石に遭遇はゴメンこうむる。選ぶは逃げの一手だけである。 そして、森林を進むTsurugiは視界の先に誰かが寝転んでいるのを発見した。 土にまみれ、身体の所々からは大量に血を流しながら、地面に転がる女性。 Tsurugiにも見覚えのある女性だ。 スコープを通して見た、児童に背負われていた筈の女性である。 「Wow……」 Tsurugiは女性の様子を見て言葉を失った。 女性は傍から見ても酷い傷を負っていた。 左手はあらぬ方向にねじ曲がり、頭部からは大量の鮮血が今も尚流れ続けている。 頭部からの出血はその端整な顔を完全に血塗れにしていた。 ブラストが無惨に破壊される様子は飽きる程に見てきたTsurugiであるが、生身の人間がこんなにも傷ついている姿は見たことがない。 これがブラストであれば、十秒リペアの為にリペアショットⅤをブッパしているところだが、流石に生身の人間に行うことはできない。 支援兵装でも装備していれば、まだ何とかなったのかもしれないが、今のTsurugiの装備は普段通りの狙撃兵装。どうすることもできなかった。 「……とりあえず移動でオナシャス」 女性を背負い、移動を続けようとするTsurugi。 意識を失った状態で、それでも武器らしき派手な杖を離そうとしない辺り相当な意志の強さを感じる。 完全に載積量オーバーであり、目に見えて移動速度は低下したが、この女性を見捨てることはできなかった。 ボーダーブレイクとは違う、本当の生死が掛かった殺し合いだ。 さしものTsurugiもおふざけに走る事はできなかった。 一つの命を抱えながら、突撃砂にしては珍しく、突撃を我慢しながら逃亡していく。 【一日目/深夜/E-2・森林】 【Tsurugi@ボーダーブレイク突撃砂動画エアバースト】 [状態]健康、弐 弐 β 弐 [装備]LZ-ヴェスパイン(9/10)@ボーダーブレイク突撃砂動画エアバースト、マーゲイ・カスタム@ボーダーブレイク突撃砂動画エアバースト セントリーガンAC@ボーダーブレイク突撃砂動画エアバースト、光学迷彩・試作型@ボーダーブレイク突撃砂動画エアバースト [道具]基本支給品一式 [思考] 基本:突撃砂ですが無害です 1:女性と一緒に狙撃地点から離れる。 2:女性を治療する 3:児童ペロリストまじマナー違反。でも戦ったら死ぬんで逃げます^^; 【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 [状態]左手骨折、頭部裂傷、全身ダメージ(大)、気絶中 [装備]レイジングハート・エクセリオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS [道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0~2 [思考] 基本:殺し合いを止める。誰も殺させない 0:気絶中 ◇ カールスラント空軍大尉にて連合軍第501統合戦闘航空団所属のエースウィッチ、ゲルトルート・バルクホルンは暗い森の中を進んでいた。 名誉あるカールスラント軍人としてこのような殺し合いなど許せる訳がなかったし、何よりエイラやサーニャ、そして宮藤までもがこの殺し合いに参加させられている。 殺し合いを止めなければならない。その意志に任せて、バルクホルンは道なき道を進んでいく。 「ム?」 歩き始めて二十分ほどが経過した頃であろうか、バルクホルンは一度立ち止まり、空を見上げた。 小さなものであったが、何か音が聞こえた気がしたのだ。 木々の間から見える空は狭いものでったが、注意深く観察を続けていく。 そんなバルクホルンの視界にて、星や月のものとは違う光が映った。線のような長細い光が一度、二度。 更にはそれなりの規模の爆発が発生する瞬間をも、視界の端で捉えた。 爆発の様子を見たと同時にバルクハルンは走りだしていた。 何らかの戦闘が発生している空域。もしや自分や宮藤たち以外のウイッチもこの殺し合いに巻き込まれているのかもしれない。 そんな思考に従って、鍛え抜かれた痩躯でもって走り出すバルクホルン。 静寂に包まれる森林の中で異変が起こったのは、彼女が走り出してすぐのことであった。 「ッ、マズい―――!?」 今度は明確に見え、聞こえた。 暗い森林の奥の方で発生した、鮮やかでいて暴力的なまでに強烈なピンク色の光。 次いで届くは耳をつんざくような強大な爆音と、森林を根こそぎひっぺ返すような暴風であった。 バルクホルンをもってさえ、その暴風には耐えられなかった。 周囲の木々と同様に、破壊に巻き込まれ宙を舞い、背中から地面へと叩きつけられる。 痛みと息苦しさを盛大に訴える体に、バルクホルンも少しばかりの休息を取らずにはいられなかった。 大の字に寝ころび、痛みに耐えながら、それでも首だけを持ち上げ、何が起きたのか把握しようとする。 周囲の状況は凄惨そのもの。圧し折れた木々が、子供が癇癪を起こした後の遊び部屋のように雑多に散らばっている。 破片に当たらなかっただけ僥倖と見るべきなのだろうか……そんな風にバルクホルンが思ったその時、バルクホルンは空にある奇妙なものを発見した。 空に映る黒色の点。その黒色の点は目に見えて大きくなっていき、空を隠そうとしている。 ……いや、違う。これは点が大きくなっているのではない―――何かが落ちてきているのだ。 事態を察知したバルクホルンは、痛みを圧し殺して立ち上がり、己の固有能力を発動させた。 単純にして協力無比な能力『肉体強化』。本来のウィッチが受ける恩恵を、遙かに越えた身体能力のパワーアップ。 その『肉体強化』の能力をもて、バルクホルンは落下してくるそれを正面から受け止めた。 受け止めると同時に、落ちてきたそれが何だったのか把握する。 「こ、これは……」 落ちてきたものとは、何とも可愛らしい少女であった。 身体の至る所に傷を作りながら、苦悶の表情で意識を失う少女。 それは高町なのはを救おうと逃亡を試みたサーヴァント・アーチャーであった。 W.D.M.Gの視界から逃げ果せるに成功したアーチャーであったが、先の一撃を躱し切るには至らなかった。 直撃こそはしなかったものの、余波により宙へと打ち上げられ、背負っていた高町なのはも手放してしまったのだ。 そして、なのはは突撃砂の元へ、アーチャーはバルクホルンの元へと偶然にも吹き飛ばされた。 幸運なことは、落下した付近に殺し合いに乗っていない参加者がいた事と、どちらも傷を負いながらも命は助かった事だろう。 「お、おい、大丈夫か! くっ、先程の破壊現象に巻き込まれたのか……!?」 何がどうなっているのか今一理解が追い付かないバルクホルンは、慌てながらも冷静な行動に努めた。 少女を抱き上げながらも、ひとまずその場から離れようとする。 先程の破壊現象は明らかに自然的なものではなかった。 おそらくは何者かが何かしらの能力を発動し、あれだけの事象を引き起こしたのだろう。 何もかもが分からないことだらけであったが、怪我人を庇いながら戦える相手でないことだけは察知できる。 今のバルクホルンに選択できる手は、カールスラント軍人としては不甲斐なく感じるものの、逃亡だけであった。 【一日目/深夜/E-4・森林】 【ゲルトルート・バルクホルン@ストライクウイッチーズ】 [状態]健康 [装備]なし [道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1~3 [思考] 基本:殺し合いを打開する 1:この少女の怪我を治療する 2:宮藤達と合流する 【アーチャー(高町なのは)@第六次聖杯戦争】 [状態]身体の各所に負傷、ダメージ(中)、気絶中 [装備]レイジングハート・エクセリオン@第六次聖杯戦争 [道具]基本支給品一式、ランダム支給品×1~3 [思考] 基本:殺し合いを止める。誰も殺させない 0:気絶中 【動画紹介】 ボーダーブレイク突撃砂動画エアバースト ハイスピードロボットチームバトル「BORDER BREAK」のプレイ動画。 遠距離からの狙撃戦法を主とする兵装でありながら、「ヒャア我慢できねえ!突撃だ!」の一言と共に戦線の最前線に突っ込んでいく姿は衝撃的の一言。 魔槍ヴェスパによる竹槍、ベース前芋砂、トイレの(死)神様といったプレイを見せがらも、狙撃兵装で上位ランクたるSランクを維持し続けている。 奇抜かつネタに見えるプレイの数々だが、AIMやQS、交戦時の立ち回りなどの基礎技術に支えられたものであり、その腕前は本物である そのおっぱいを揉みしだく!! ~暗殺者(アサシン)が見た、驚愕の女騎士マーダー撃退法~ 投下順 パロロワだからって無修正はいけないと思いま……こんなこと言ってる場合じゃねぇ!! GAME START 高町なのは [[]] GAME START 高町なのは(WDMG) [[]] GAME START アーチャー(高町なのは) マジメな堅物軍人かと思った? 残念、お姉ちゃんでした!! GAME START Tsurugi [[]] GAME START ゲルトルート・バルクホルン マジメな堅物軍人かと思った? 残念、お姉ちゃんでした!!
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リンカーコア 「連結させる核」の名の通り、魔導師(騎士)の体内にあり、体内で生成される魔力を集結・発露させる働きを持つ器官。 魔導師の資質はそのままリンカーコアの性質であり、魔導師の能力調査などの際にはリンカーコアを調査する。 魔法の資質 一般的に、魔法が認知されてない世界の住人はリンカーコアを持たないか、持っていても極端に小さい。 そのため魔法に触れることができず、念話に反応することもない。なのはやグレアムは生まれつきリンカーコアを持ち合わせていたことになる。 これは遺伝や血筋とは無関係な突然変異的発生であり、なのはたちの世界においては「突然変異体」が生まれる確率は比較的高いようである。 アームドデバイス ベルカの騎士たちの魔法発動体は、ほとんどが武器の形を取っている。 ミッド式デバイスのように魔法のサポートをする性能は低いが、その分武器としての性能は格段に高い。 例外はシャマルのクラールヴィントだが、これは彼女が戦闘要員ではなく、後方支援担当であることが理由。 騎士服 ベルカの騎士たちが纏う、ミッド式魔導師のバリアジャケットに相当する防護服。 通常、ベルカの騎士たちの防護服は「騎士甲冑」と呼ばれ、鎧のような重装であることが多いが、 闇の書の守護騎士一同は、腕部や靴などを除いて装甲部がほとんどない衣服である。 ただし、実用面では騎士甲冑もミッド式魔導師たちと同じように自らの魔力で生成しているため、見た目の材質と防御力・重量などはほとんど一致しない。 ベルカ式カートリッジシステム 圧縮魔力を込めたカートリッジをデバイス内で炸裂させ、術者とデバイスに魔力を満たすことによって爆発的なパワーを得ることができるシステム。 瞬間的に莫大な魔力を扱う分制御が困難であり、使いこなすことのできる術者やデバイスシステムが少ないこと、 さらにはデバイスを破損させる可能性も高いため、現在はほとんど使われていない。
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第9話 【たいせつなこと】 ティアナ「自分の失敗が許せなかった。だから、強くなりたかった。 だけど……やっぱり何にもできなかった。間違ってるって叱られて、きっと幻滅された。 隣を走る相方にも迷惑をかけて、悲しい思いをさせた。私のしてきたことは、 選んできた道は、全部無駄だった……魔法少女リリカルなのはStrikerS、始まります」 シャマル「なのはちゃんの訓練用魔法弾は優秀だから、身体にダメージはないと思うんだけど…」 「凄く熟睡してたわよ。死んでるんじゃないかって思うくらい。 最近、ほとんど寝てなかったでしょ?溜まってた疲れが、一気にきたのよ」 フェイト「さっき、ティアナが目を覚ましてね。スバルと一緒に、オフィスに謝りにきてたよ」 なのは「…そう」 フェイト「なのはは訓練場だから、明日朝一で話したらって伝えちゃったんだけど…」 なのは「うん…ありがとう…。…でも、ごめんね。監督不行き届きで… フェイトちゃんやライトニングの二人まで巻き込んじゃって…」 フェイト「あ、ううん!私は、全然」 なのは「スバルとティアナ、どんな感じだった?」 フェイト「やっぱり…まだちょっと、ご機嫌ななめだったかな」 なのは「……っ。まぁ、明日の朝ちゃんと話すよ。フォワードの皆と…」 フェイト「…うん」 ルーテシア「遠くの空に、ドクターのおもちゃが飛んでるみたいだけど…」 スカリ「じきに綺麗な花火が見れるはずだよ」 ルーテシア「…レリック」 スカリ「だったら、君に真っ先に報告しているさ。私のおもちゃの動作テストなんだよ。 破壊されるまでのデータが欲しくてね」 ルーテシア「壊されちゃうの?」 スカリ「ははは。私はあんな鉄くずに直接戦力は期待してないんだよ。 私の作品たちがより輝くためにデコイとして使うガラクタさ」 ルーテシア「そう。…レリックじゃないなら、私には関係ないけど…。でも、がんばってね、ドクター」 スカリ「ああ、ありがとう。優しいルーテシア」 ルーテシア「じゃあ、ごきげんよう」 スカリ「…ふふふふ。私の作品は、やはり良い出来だな」 はやて「場所は何にもない海上。レリックの反応もなければ、付近には海上施設も、船もない」 グリフィス「まるで、撃ち落しに来いと誘っているような…」 はやて「…そやね。テスタロッサ・ハラオウン執務官。どう見る?」 フェイト「犯人が、スカリエッティなら…こちらの動きとか、航空戦力を探りたいんだと思う」 はやて「うん。この状況なら、こっちは超長距離攻撃を放り込めば済むわけやし…」 リィン「一撃でクリアですよー!」 フェイト「うん。でもだからこそ、奥の手は見せないほうがいいかなって」 はやて「ま、実際。この程度のことで隊長たちのリミッター解除ってわけにもいかへんしな」 はやて「高町教導官はどやろ?」 なのは「こっちの戦力調査が目的なら、なるべく新しい情報を出さずに今までと同じやりかたで片付けちゃう。かな?」 なのは「ああ…。それから、ティアナ?」 ティアナ「……っ」 なのは「ティアナは、出動待機から外れとこうか」 ヴィータ「そのほうがいいな。そうしとけ」 なのは「今夜は体調も魔力も、ベストじゃないだろうし」 ティアナ「……言うことを聞かないやつは」 なのは「…!」 ティアナ「使えないってことですか?」 なのは「…はぁ。…自分で言ってて分からない?当たり前なことだよ、それ」 ティアナ「現場での指示や命令は聞いてます!教導だって、ちゃんとサボらずやってます」 ヴィータ「…っ!」 ヴィータさん、ティアナを叱りに行こうとするけれど、なのはさんに止められます。 ティアナ「それ以外の場所での努力だって、教えられた通りじゃないと駄目なんですか!?私は!! なのはさんたちみたいにエリートじゃないし、スバルやエリオみたいな才能も、 キャロみたいなレアスキルもない!少しくらい無茶したって、 死ぬ気やらなきゃ強くなんてなれないじゃないですか!!」 シグナム「心配するな。加減はした。駄々をこねるだけの馬鹿はなまじ付き合ってやるから付け上がる」 なのは「ティアナ!思いつめちゃってるみたいだけど、戻ってきたらゆっくり話そう!」 ヴィータ「こぉら!もう!だから!付き合うなってのに!!」 シグナム「目障りだ。いつまでも甘ったれてないで、さっさと部屋に戻れ」 エリオ「あ、あの、シグナム副隊長。その辺で」 キャロ「スバルさん…。とりあえずロビーに…」 スバル「シグナム副隊長!!!」 エリオ・キャロ「……」 スバル「だけど!自分なりに強くなろうとすることとか、きつい状況でも何とかしようと頑張るのって、 そんなにいけないことなんでしょうか!!」 シャーリー「昔ね。一人の女の子がいたの。その子は本当に普通の女の子で、魔法なんて知りもしなかったし、 戦いなんてするような子じゃなかった」 シャーリー「友達と一緒に学校へ行って、家族と一緒に幸せに暮らして、そういう一生を送るはずの子だった。 だけど、事件は起こったの。魔法学校に通っていたわけでもなければ、特別なスキルがあったわけでもない。 偶然の出会いで魔法を得て、たまたま魔力が大きかったってだけの、たった九歳の女の子が、 魔法と出会ってわずか数ヶ月で、命がけの実戦を繰り返したの」 エリオ「これ!」 キャロ「フェイトさん!」 シャマル「フェイトちゃんは当時、家族環境が複雑でね。あるロストロギアを巡って、敵同士だったんだって」 シグナム「この事件の中心人物はテスタロッサの母。その名をとってプレシア・テスタロッサ事件。 あるいはジュエルシード事件と呼ばれている」 エリオ「収束砲!?こんな大きな!!」 スバル「九歳の…女の子が…」 キャロ「ただでさえ、大威力砲撃は身体にひどい負担がかかるのに」 シグナム「その後もな、さほど時もおかず戦いは続いた」 シャマル「私たちが深く関わった、闇の書事件」 シグナム「襲撃事件での撃墜未遂と…敗北。それに打ち勝つために選んだのは… 当時はまだ安全性が危うかったカートリッジシステムの使用。 …身体への負担を無視して自身の限界値を超えた質力を無理やり引き出すフルドライブ…エクセリオンモード」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「あー」 シグナム「誰かを救うため、自分の思いを通すための無茶をなのはは続けた」 なのは「こちらスターズ1。中距離火砲支援、いっきまーす!!!」 フェイト「了解」 ヴィータ「おう!」 シグナム「だが、そんなことを繰り返して…身体に負担が生じないはずもなかった」 シャマル「事故が起きたのは…入局二年目の冬。異世界での捜査任務の帰り。 ヴィータちゃんや部隊の仲間たちと一緒に出かけた場所。ふいに現れた未確認物体。 いつものなのはちゃんなら、きっと何の問題もなく味方を守っておとせるはずだった相手。 だけど…溜まっていた疲労、続けてきた無茶が、なのはちゃんの動きを…ほんの少しだけ鈍らせちゃったの」 シャマル「その結果が、これ」 「なのはちゃん…無茶して迷惑かけてごめんなさいって、私たちの前では笑ってたけど…。 もう飛べなくなるかも、とか、立って歩くことさえできなくなるかもって聞かされて……どんな思いだったか…!」 シグナム「無茶をしても、命をかけても譲れぬ場は確かにある。だが、おまえがミスショットをしたあの場面は、 自分の仲間の安全や命をかけてでもどうしても撃たねばならない状況だったか?」 ティアナ「!!」 シグナム「訓練中のあの技は、一体誰のための…なんのための技だ?」 ティアナ「……」 シャーリー「なのはさん。皆にさ…自分と同じ思い、させたくないんだよ。 だから、無茶なんてしなくてもいいように、絶対絶対…皆が元気に帰ってこられるようにって、 ほんとに丁寧に、一生懸命考えて、教えてくれてるんだよ?」 なのは「えー!!」 シャーリー「ご、ごめんなさい!」 なのは「う~ん、駄目だよシャーリー。人の過去、勝手にばらしちゃ」 ヴァイス「駄目だぜ、口の軽い女はよう」 シャーリー「その、何か、見ていられなくて…」 ヴィータ「ま、いずれはばれることだしなぁ」 ティアナ「シャーリーさんやシグナム副隊長に…色々聞きました」 なのは「なのはさんの失敗の記録?」 ティアナ「じゃなくて!…その…」 なのは「無茶すると危ないんだよ、って話だよね?」 ティアナ「すみませんでした…」 なのは「うん」 なのは「じゃあ、分かってくれたところで、少し叱っとこうかな」 なのは「あのね、ティアナは自分のこと凡人で射撃と幻術しかできないって言うけど、 それ、間違ってるからね。ティアナも他の皆も今はまだ、原石の状態。デコボコだらけだし、 本当の価値も分かりづらいけど、だけど、磨いていくうちにどんどん輝く部分が見えてくる。 エリオはスピード。キャロは優しい支援魔法。スバルはクロスレンジの爆発力。 三人を指揮するティアナは射撃と幻術で仲間を守って知恵と勇気でどんな状況でも切り抜ける。 そんなチームが理想系で、ゆっくりだけどその形に近づいていってる。 模擬戦でさぁ、自分で受けてみて気づかなかった?」 なのは「ティアナの射撃魔法ってちゃんと使えば、あんなに避けにくくてあたると痛いんだよ?」 ティアナ「あっ!」 なのは「一番魅力的なところをないがしろにして、慌ててほかのことをやろうとするから、 だからあぶなかっしくなっちゃうんだよ。…って、教えたかったんだけど…」 ティアナ「……」 なのは「まぁ、でもティアナが考えたこと間違ってはいないんだよね。システムリミッター、テストモードリリース」 なのは「ティアナは執務官志望だもんね。ここを出て、執務官を目指すようになったら、 どうしても個人戦が多くなるし将来を考えて用意はしてたんだ」 ティアナ「!!……うっ、うう…」 なのは「クロスもロングももう少ししたら教えようと思ってた。だけど、出動はいますぐにでもあるかもしれないでしょ。 だから、もう使いこなせてる武器をもっともっと確実なものしてあげたかった。 …だけど、私の教導地味だから…。あんまり成果が出てないように感じて、苦しかったんだよね?ごめんね」 フェイト「技術が優れてて、華麗で優秀に戦える魔道師をエースって呼ぶでしょ?その他にも、 優秀な魔道師をあらわす呼び名があるって知ってる?」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「?」 フェイト「その人がいれば、困難な状況を打破できる。どんな厳しい状況でも突破できる。 そういう信頼を持って呼ばれる名前。……ストライカー」 フェイト「なのは、訓練を始めてからすぐの頃から言ってた。うちの四人は全員、一流のストライカーになれるはずだって…、 だからうんと厳しく、だけど大切に丁寧に育てるんだって」 ヴィータ「しかし、教官っつうのも因果な役職だよな。面倒な時期に手ぇかけて育ててやっても、 教導が終わったら皆勝手な道をいっちまうんだから」 なのは「まぁ、一緒にいられる期間があんまり長くないのはちょっと寂しいけどね。 ずっと見ていられるわけじゃないから」 なのは「一緒にいられる間は、できる限りのことを教えてあげたいんだ」 なのは「何があっても、誰がきても、この子達はおとさせない。私の目が届く間はもちろん、 いつか一人で、それぞれの空を飛ぶようになっても…」 次回予告 フェイト「戻ってきた日常。そして、フォワードの皆に嬉しいお知らせ」 なのは「四人揃って一日お休み!次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS第10話」 フェイト「機動六課のある休日(前編)」 なのは「楽しい休日に」 なのは・フェイト「Take off!」
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第7話 【進展】 ティアナ「最初の出動の時も、それなりに上手くはいったけど、ただそれだけだった……。 毎日の訓練も、あんまり強くなってる実感がしない。手の中には、優秀すぎる相棒がいて、 私の周りには天才と、歴戦の勇者ばっかり。今も疑問に思ってる。自分が何でここにいるのか。 あの人は何で、私を部下に選んだのか。魔法少女リリカルなのはStrikerS…始まります」 はやて「これまで謎やったガジェットドローンの製作者、およびレリックの収集者は現状ではこの男、 違法研究で広域指名手配されてる次元犯罪者…ジェイル・スカリエッティの線を中心に捜査を進めている」 フェイト「こっちの捜査は、主に私が進めるんだけど、皆も一応覚えておいてね」 一同「はい!!!」 リイン「で、これから向かう場所がここ。ホテル・アグスタ!」 なのは「骨董美術オークションの会場警備と人員警護。それが今日のお仕事ね」 リイン「取引許可の出ているロストロギアがいくつも出品されるので、 その反応をレリックと誤認したガジェットが出てきちゃう可能性が高い。ということで、私たちが警備に呼ばれたです」 フェイト「この手の大型オークションだと、密輸取引の隠れ蓑にもなったりするし、色々油断も禁物だよ」 キャロ「シャマル先生。その箱、何が入ってるんですか?」 シャマル「隊長たちのお仕事着」 はやて「会場内の警備はさすがに厳重、と」 なのは「一般的なトラブルには十分に対処できるだろうね」 はやて「外は六課の子達が固めてるし、入り口には防災用の非常シャッターもある。 ガジェットがここまで入ってくるんいうんはなさそうやしな」 なのは「うん。油断はできないけど、少し安心」 はやて「ま、どっちにしても私たちの出番は非常事態だけや」 スバル「八神部隊長が使っているデバイスが魔道書型で、それの名前が夜天の書っていうこと。 副隊長たちとシャマル先生、サフィーラは、八神部隊長個人が保有してる特別戦力だって、こと。 で、それにリィン曹長合わせて六人揃えば無敵の戦力…ってこと。 ま、八神部隊長たちの詳しい執事とか能力の詳細とかは極秘事項だから、私も詳しくは知らないけど」 ティアナ「レアスキル持ちの人は皆そうよね」 ティアナ「六課の戦力は、無敵を通りこして明らかに異常だ。八神部隊長がどんな裏技を使ったのかは知らないけど、 隊長格全員がオーバーS…副隊長でもニアSランク。他の隊員たちだって、 前線から管制官まで未来のエリートたちばっかり。あの歳で、もうBランクをとってるエリオと、 レアで竜召還師であるキャロは二人ともフェイトさんの秘蔵っ子。あぶなかっしくあっても、 潜在能力と可能性の塊で、優しい家族のバックアップもあるスバル。 やっぱり、うちの部隊で凡人なのは私だけか。……だけど、そんなの関係ない。 私は、立ち止まるわけにはいかないんだ」 ゼスト「おまえの探し物は、ここにはないのだろ?……何か気になるのか?」 ルーテシア「うん。……ドクターのおもちゃが、近づいてきてるって」 シャマル「前線各員へ。状況は広域防御戦です。ロングアーチ1の総合管制と合わせて私、シャマルが現場指揮を行います」 ヴィータ「新人たちの防衛ラインまでは一機たりともとおさねぇ。速攻でぶっつぶす」 シグナム「おまえも案外過保護だな」 ヴィータ「うるせーよ!」 なのは「フェイトちゃん。主催者さんはなんだって?」 フェイト「外の状況は知らせたんだけど、お客の避難やオークション中止は困るから、開始を少し延ばして様子を見るって」 なのは「そう…」 ティアナ「これで…能力リミッター付き…」 ルーテシア「ゼストやアギトはドクターが嫌うけど、私はドクターのことそこまで嫌いじゃないから」 ヴィータ「急に動きがよくなった」 シグナム「自動機械の動きじゃないな」 シャマル「有人操作に切り替わった」 シャーリー「それが、さっきの召還師の魔法?」 スバル「召還って、こんなこともできるの?」 キャロ「優れた召還師は、転送魔法のエキスパートでもあるんです!」 ティアナ「証明するんだ。特別な才能や凄い魔力がなくたって、一流の隊長たちの部隊でだって、 どんな危険な戦いだって…私の、ランスターの弾丸はちゃんと敵を打ち抜けるんだって!」 ヴィータ「ティアナ!このバカ!無茶やったうえに味方打ってどうすんだ!!」 スバル「あの!ヴィータ副隊長。今のもその、コンビネーションのうちで」 ヴィータ「ふざけろタコ。直撃コースだよ、今のは!」 スバル「違うんです!今のは私がいけないんです!よけ…」 ヴィータ「うるせーバカ共!もういい!後は私がやる!二人まとめて、すっこんでろ!!」 ヴィータ「ティアナは?」 次回予告 スバル「後悔も、悲しみも、立ち上がる力に変えて…。私たちはずっと、そうやって歩いてきた。 次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS…第8話、願い、ふたりで。…私は、ティアのパートナーだから!」