約 2,714,828 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1926.html
恐怖のサンタ クリスマス編 04 12月24日 午後のとある時分 閑散とした廃ビルの一室。 人間が活発に動き回る時間と言う事もあり、ほとんどのサンタは町へと展開していた。 時折聞こえる爆音や叫び声から、彼らの活躍を伺い知る事が出来る。 ――そして一方、部屋に残されたサンタはと言えば…… 「暇だなぁ」 「…………だな」 「契約者も外に出かけてるし……」 「俺らの仕事、ただ定期的にサンタを送り出す事だけだもんなぁ」 「やる事無さ過ぎだろ、この仕事……」 「次の供給まで後30分もあるけど、どうするよ……いやマジで」 「どうするったってなぁ……」 「じゃああれか、第百三十二回ポーカー大会の開催か」 「ポーカーはもういいだろ、いい加減…………」 暇をつぶそうと、互いにだべり始めるサンタたち。 部屋には、外の騒ぎとは対極の穏やかで怠惰な空気が流れていた。 ――――しかし 「う……うぅ…………」 唐突に部屋に入ってきた一人のサンタによって、その空気は壊された。 その姿を見て、室内にいたサンタ達が騒然とする。 「なっ……どうしたっ、サンタ684?!」 「傷だらけじゃないかっ!?」 その身体に刻まれていたのは、全身を覆う痣に、打撲痕。 さらに骨が折れているのか、所々皮膚から突き出たそれが、その姿を一層凄惨なものにしていた。 そんな身体を引きずりながら、サンタが口を開く。 「わ、悪ぃ……契約者の男二人に……やられた…………」 「今はしゃべんなっ。傷が悪化するだろうがっ!」 「今は謝るより治療が先だろ、馬鹿」 傷ついたサンタの側へと、続々と集まっていく別のサンタ達。 みな一様に、その姿を見て顔をしかめた。 「随分と酷くやられたな……」 「骨が数本……いや、数十本はいっちまってるな」 サンタたちの手によって、傷ついたサンタの身体が検分され、手当てされて行く。 ――そんな中、ふと疑念を漏らすサンタが、一人。 「……にしても、『煙突飛行』を使えばすぐに逃げられただろうに……」 「…………確かに」 「いざという時には使っていい事になってたよな、一応」 「でも歩いて帰って来たし……」 「……空間移動に制限でもかけられたのか?」 「いや、そこまでするような奴から逃げるのは無理だろ、普通」 「俺ら弱いもんなぁ……」 口々にサンタは意見を交わし合い、 黙っている傷ついたサンタへと、その視線を向けた。 「……で、そこんとこどうなのよ」 「やっぱりあれか、結界か何かか」 「この町にならいそうだもんな、そういう都市伝説も」 「俺らみたいなローカルな都市伝説がいる位だもんな」 「………………」 向けられた視線に、沈黙する傷ついたサンタ。 しかし、やがて答えなければならない状況を悟ったのか、彼は渋々と口を開けた。 「いや……それが……」 「ああ」 「どうした」 「何があったんだ?」 詰め寄るサンタ達に、彼は言いにくそうに、事実を伝える。 「その…………やられてるうちに、何かほら、段々言い知れぬ快感が――――」 「………………」 「………………」 「………………」 「………………」 「……戻るか」 「ああ」 「全く人騒がせな……」 「――――湧いてきて……ってちょっ、あれっ!? ちょっと治療はっ?! 怪我人放ってどこに行くのさっ、ねぇっ!?」 離れていく仲間達を、傷ついたサンタは慌てて呼び止めた。 しかしサンタ達はそれを無視して、持ち場へと戻っていく。 「自業自得だな……」 「やっぱり『メリー・クリスマス』なんて言ってるからMになったのか……」 「いや待て、それを言えば『サンタ』はSだぞ」 「……ってか、俺らの能力ってまんまSなのに……」 「まさかMが生まれるなんて……」 「いやでも、そういえ俺らやられっぱなしだよなぁ……」 「ねぇ、皆さん? おーい…………」 部屋に入り靴に、ぽつんと一人残されたサンタ。 暖かいはずのその部屋で……しかし彼は小さく身震いをして、呟いた。 「あぁ、何なのこの快感…………これが放置プレイなのかしら……」 【終】 前ページ次ページ連載 - 恐怖のサンタ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/5034.html
「ん……と、確かここだっけか?」 満月の夜 時代を間違えた様なリーゼントの現役中学生・妹尾 賢志は、 黄昏 裂邪という少年に都市伝説の扱いの指導を受ける為、北区の山奥へと来ていた 全ては、妹を守る為 今後現れるかも知れない、強大な力と戦う為 「…しっかし薄気味悪ぃなぁ…月の光しか目の頼りがねぇぞ?」 「なーんだビビってるの? 年上の癖に」 寧ろ突然人の声がしたことに驚いた賢志は咄嗟に振り向いた 肩までの少し長い髪、自分よりも年下らしい背丈と顔立ち 賢志はその少年に見覚えがあった 裂邪に修行を懇願した際に、彼を“師匠”と呼んでいた少年だ 「あん時のガキ! テメェも来やがったのか!」 「お前だってまだガキだろ! ちょっと年上なだけで!」 「ガキじゃねぇ!! 俺ぁ妹尾 賢志だ!」 「俺だって水無月 清太って名前があるんだ!」 「お前等……夜中なんだから静かにしようぜ、な?」 ようやくの聞き慣れた声 いつからいたのだろう、すぐ傍の木の影に、黒尽くめのその少年は立っていた 彼の右目を覆う長い髪は夜風に揺れ、何時かの戦いで負った大きな傷を晒し、 漂う風格と、混沌とした気配と共に2人に僅かながらにプレッシャーを与えるようだった 「せ、先生!? いつの間に!?」 「ハァ…お前は自分の影に同じ事が聞けるか?」 「師匠は「シャドーマン」の契約者。影から影を自由に動けるんだぜ この世に光がある限り、師匠から逃げられる敵なんていないのさ!」 清太の自慢げな解説で納得がいった 彼が満月の夜、暗い山奥を修行場所に選んだこと そしてもう一つ気が付いた 「あれ? 先生と初めて戦った時に影なんて……」 「その辺りも含めて、まずは座学から始めようか 何せ、お前は知らない事が多すぎる…シェイド」 ぱちん、と裂邪が指を鳴らすや否や、彼の傍に黒衣の女性が現れた その女性も、賢志は確かに見覚えがあった 「あ、あの時の……」 「以前はこの馬鹿の遊びに付き合わせてしまって申し訳ない 「シャドーマン」のシェイドだ」 「余計なことは言わんでいい」 裂邪が指を鳴らして指示をしながら、ポケットから出したスマートフォンを己のベルトに翳すと、 シェイドと名乗る女性の姿は黒いローブの人影へ、 そしてその姿も黒い流動体へと変わり、空中に文字を書く その文字は 「都市…伝説……」 「そ。“都市伝説” 俺の「シャドーマン」や「レイヴァテイン」、お前の「賢者の石」、 それにお前が今まで戦ってきた「組織」の黒服達、 さらには有名な「トイレの花子さん」や「口裂け女」…… この世に跋扈する噂や逸話、伝承が具現化したもの…それが“都市伝説”だ」 「…じ、じゃあ、契約ってのは…」 「そもそも都市伝説は、噂が広まる事で人間達の記憶に残る事でその存在が確立される 故に、その噂に忠実に行動する事で、都市伝説達は自分の噂をより広めようとする 例えば…「口裂け女」は自分の素顔を見た者を八つ裂きにして殺す」 「はぁ!? そんなことっ…噂を広めるのは人間なんだろ!? 殺しちまったら元も子もねぇじゃねぇか!」 「お前!師匠に怒鳴っても仕方ないだろ!」 「え、あ、その…」 「ウヒヒヒヒ、まぁその反応が普通だわな 大抵の都市伝説はそうやって馬鹿正直に噂の内容をこなすのさ だがそんな都市伝説の中にも賢い奴がいる たった1人の人間に自分を記憶して貰う事で、自分の存在をより強固に保つ その代わりに、その人間に自分の力を与える それが」 「“契約”、か……」 影が、空中に“契約”の2文字を形作る 「「賢者の石」は物品系だから、余程の物でなければ自分の意思で動いたり、話したりはしない 俺はその瞬間を見た訳じゃないが…賢志の呼びかけや願いに応えて、契約を結んだんだろう そうしてお前は…契約者になった」 「ん? 先生、都市伝説と契約した人間が契約者なんだろ? さっき「組織」の黒服が都市伝説だって」 「あぁ、その通り。あれは人間じゃない 人間が都市伝説になったんだ」 「なっ…」 「誰もが都市伝説と簡単に契約できる訳じゃない 人間にはそれぞれ“器”…限界があるんだ 人によっては、1つの器に都市伝説が幾つも入る事がある、俺みたいにな だが人によっては、ただの1つの都市伝説ですら、限界を超える事がある その器から溢れた奴等の半分は、あの黒服みたいに都市伝説と同化してしまう 人間の姿形のまま、都市伝説になってしまうんだ」 「…もう半分は?」 「消滅。この世から、跡形も無く、な」 ハッとしたような顔をして、賢志は黙ってしまった 言い換えれば、彼はもしかしたら消えていたのかも知れなかった そうなったら妹の魅衣がひとりぼっちに―――いや、それどころかあの状況では殺されていたかも知れなかった 様々な“If”が、賢志を震え上がらせた 「ま、それを乗り越えてお前は晴れて契約者になったんだ 「賢者の石」の力も手に入れた……代償として、お前は“日常”を失った」 「……どういうことだ?」 「都市伝説、及びその契約者は互いに引き付け合う性質があってな お前もそうだったろ? 契約者の日常は、今まで過ごしてきたような生温かいものじゃない 常に死と隣合わせだ…己と、身の回りの人間の」 「っ!? そんなの絶対に―――」 「させねぇよ。その為に俺に弟子入りしたんだろ?」 「ふぁ~あ……やっと俺の出番っすか?」 「もうちょっと待て」 裂邪は影を細長い棒状にすると、その先端を賢志に向けた 顔面すれすれに向かって来た為に、賢志は思わずぎょっとする 「賢志、お前は自分の都市伝説について…「賢者の石」について説明できるか?」 「え? えっと……き、金属が作れて、それで、えっと……」 「ウヒヒ、やっぱあんまし分かってないみたいだな」 「す、すんません…」 「いいよ、偶に都市伝説自身が契約直後に教えてくれたりするらしいんだが、そうじゃなかったみたいだな 最初は必死になって適当にやったら能力が使えたってことも間々ある」 また、影は形を崩して文字を作る “賢者の石”、“錬金術”、“エリクサー”、“パラケルスス” 「「賢者の石」ってのはその昔、現代科学の基礎となった錬金術において、 如何なる卑金属をも貴金属に…すなわち鉄などの安い金属を金みたいな高価なものに変える為のアイテムだと言われている “石”とついてはいるが、実際に石なのかどうかも分からん、粉末だったかも知れないが、 パラケルススが製造に成功した、所持していたと言われ、 「エリクサー」と関連付けて不老不死の薬だの、どんな病気も直す万能薬だのとも言われている」 「…あ」 賢志は思い出した 「賢者の石」と契約した日、「ジーナ・フォイロ」の所為で疲弊していた魅衣が、 抱き上げただけですぐに体調が戻った事を 初めて裂邪と会い、戦った日、自分の怪我を右手で触れて治していた事を 「そ。お前もよく使ってた能力だな あと契約で金属以外の物質も金属に変化できるようになってるようだな いや、寧ろ“創造”か? 何にせよ、その能力はかなり強力だな。「賢者の石」の要と言って良い」 「…それでも、あんたには敵わなかった もっと、強くなれる筈なんだ…いや、強くなんないと、魅衣を守れねぇ…!!」 「魅衣…?」 「ん、ここまでで第一章終わりだな 続いて第二章と行きますか」 ぱちん!と再び指を鳴らすと、影は裂邪の背後に玉座を作り出す 彼はそれに座りこむと、怪しく笑いながら頬杖をついて座った 「都市伝説に関する大体の知識は叩きこんだ…ここからは実戦編だ だがお前は「賢者の石」について知らない事がまだ多い、それは俺も同じだ そこで、」 裂邪は目を見開き、真っ直ぐに賢志の目を見た その突き刺さるような眼差しは、賢志の心を引き込んだ 風の音、虫の声、月の光、全てが何も感じない程に 「賢志。少しの間、お前は自分の身体をコントロールできなくなる しかし安心してくれ。それはお前の手の内を知りたいが為だ お前の身体を悪用したりはしない…信じてくれるな?」 「え…あ、あぁ」 「よし、契約成立だ」 その瞬間 裂邪の身体から七色の怪しげな靄が溢れ出し、賢志の身体に入り込んだ ぎょっとする清太を尻目に、裂邪は眠り、賢志は茫然と立ち尽くす (な、何が起こって―――――――なっ!?) 「あービックリした? まぁ無理も無いか」 賢志は早くも異変に気付いた 自分の意思で話すことが出来ない上に、自分ではない“何か”が代わりに口を開く そして、自分の中に二人いるらしい気配 (まさか……先生!?) 「ウヒヒヒヒヒ、言ったろ? 今のお前は自分の身体を自分の意思で動かせない 主導権は俺が握っている」 「っちょ、嘘だろ、そんなこともできんのか師匠!?」 「さあーて清太、待たせたな! こっからお前の修行だ! お前の相手は手の内がさっぱり分からないこの俺、妹尾賢志!」 (いや賢志は俺だぞ!?) 「人間の最も恐れるもの、それは“知らないこと”と“分からないこと”! もっと強くなりたければ、自ら恐怖を打ち砕け!!」 混乱する清太に対して尚も怪しい笑みを浮かべる賢志―――もとい裂邪は、 その場にしゃがみ込んで地面に右手を触れた 「まずは…『No.26 フェルム』!」 地面に弧を描くように手を動かすと、紅い光が走り、土が鉄で出来た鎌に変化した それを手にとり、彼は清太に向けてその鋭い切っ先を振りかぶった 「うわっ!? 『イーヴィル・ブレイカー』!!」 咄嗟に、右手を水晶化させて鎌を止める 鎌は跡形もなく消え去り、清太は後ろに飛び退いた (き、消えた!?) 「流石に防ぐか…ならこれはどうだ! 『No.80 ヒュドラルギュルム』!」 裂邪の右腕が、銀色の光沢を放つ水に変化する 銀の水は拳を形作り、清太へと向かう 「無駄だぜ師匠! 師匠が敵意を向けてる限り、俺に攻撃は通じない!」 再び水晶の掌を向ける清太 しかし、その寸前で拳は分裂し、三つに分かれて掌を避けた 驚く清太、笑う裂邪 寸でのところで、氷の壁を作り出し、清太は攻撃を逃れた ぼろぼろと、氷が崩れ落ちる (今度は…氷?) 「そういや、海水浴の時も使ってたな、その能力……「水晶は永久に溶けない氷」か?」 「くっそ……水晶と同じ硬さの氷なのに簡単に砕かれた…!」 「そりゃそうだ、水銀は常温では液体だが、質量は鉄以上…防御して正解だったな それにしても面白い能力だな、これも行けるか? 『No.37 ルビディウム』!」 またも裂邪の右腕が変化する 今度は銀色をした金属のようだが、直後に暗い赤色をした炎に包まれた 「ッ!?」 (ぎゃああああああ俺の腕が!?) 「ルビジウムは空気中で激しく酸化し自然発火する! お前が氷なら、俺は炎で勝負だ!」 炎の拳を振り上げ、裂邪は清太に襲い掛かる 「そんな炎、邪気と一緒に跡形もなくぶち殺してやる! 『アヴァランチ・ブレイカー』!!」 清太は両掌を裂邪に向け、冷気の塊を裂邪の拳にぶつけて相殺を図った ところが炎は掻き消えるどころか爆発的に勢いを増し、思わず水晶の手で掴みとった 「あっつ!?」 「冷気で火を消す算段だったか? 残念だったな 空気中で冷えた水蒸気が水へと変わりルビジウムに反応して水素を生み出し、 水素は炎と激しく反応して爆発を繰り返す……この炎は水では消せん!!」 (と、ところで……) 「ん? どうした賢志?」 (さっきから二人が叫んでるのって何すか?) 「何言ってんだ、必殺技に決まってんだろ!」 (えっと、大事なものなんすか?) 「当たり前だ! 都市伝説の力は契約者の“心”に直結する! 方法、効能、威力、契約者が想像すれば都市伝説はそれに応えてくれる! 都市伝説の戦いに必要なのは腕力や脚力じゃない! 想像力だ!!」 (想、像力……) 「師匠! 傍から見たらデカい独り言みたいで不気味だよ!!」 賢志は思い返す 金属バットや剣を作り出し、一方的に殴るだけ それが自分の戦い方だった 裂邪はどうだ 「賢者の石」の、そして生み出したあらゆる金属の性質を理解し、 それを応用して様々な攻撃を繰り出している 裂邪だけではない その相手の清太も、自分の能力で攻撃だけでなく、防御も行なっている 一方的に相手を殴るだけの賢志とは、圧倒的に差があった (これが……都市伝説の戦い方……) 賢志はその時、何を感じただろう 少なくともこの戦闘で、彼は大きく成長したに違いない † † † † † † † 「ただいま、っと………流石に寝てるかな」 深夜 裂邪による世にも奇妙な修行を終え、賢志は静かに帰宅した 妹――魅衣を起こさないよう、静かに 「……じゃ、修行第三章、だな」 今日、彼が学んだこと それは多くを知り、溜めこんだ知識を爆発させること 裂邪が言っていた2つの“恐怖”――“分からない事”と“知らない事”―――は、 己の知識が豊富である程、どんな状況にも対応しやすくなる そして、知識は発展させれば力に―――“想像力”に繋げられる 即ち攻撃と防御、両面をカバーできるということだ 「…ごめんな、親父…ちょっと荒らすぜ」 賢志が入ったのは、生前に父が使っていた書斎 入室したのは今回が初めてだったが、室内は綺麗に整っていた 本棚には、彼の予想していた通りの題名がずらりと並んでいる 『錬金術の歴史』『パラケルススとは』『元素周期表と化学元素』『化学反応を学ぶ』『賢者の石について』 ―――今後の宿題。様々なことを学べ。本、ネット、学校の先生、色んなものから関係ない事まで、全部だ 「やってやるぜ……魅衣を守る為なら、何だって……!!」 書物を取り、賢志の第三の修行が始まった この修行は彼が睡魔に負けるまで続いたのだった ...了 前ページ連載 - 愛妹みぃ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3871.html
学校街内、とある廃ビルの一室にて 黒い影が、ひそひそと話し合っていた 「…A-No.666め、ドジを踏みやがって…」 「どうする?私達まで処分されるかもしれないぞ」 彼らは、「組織」の黒服 強行派、もしくは過激派に所属する者達 彼らが口にした、A-No.666の、非人道的実験に関わっていた者達 …その数、20程 自分達が、一箇所に集まる事は危険だとわかっている それでも、何故、彼らは集まっていたか? ……それは、まだ、A-No.666の企みが判明し…彼が殺された「直後」と呼んで良い時期だったからだ たとえ、自分達がA-No.666の実験に賛同し関わっていたとしても、「組織」が彼らに処分を下す判断が降りるまでには、まだ時間がかかる 穏健派が動いているからには、なおさらだ 穏健派は、その考え方故、非情な判断には時間がかかる事が多いのだから 「とにかく、姿を隠すべきだ」 「サイコメトリー系や思考探知系能力者が尋問を行えば、我々の行いもすぐに知られる」 「「組織」から離れる事も考えた方がいいだろう。いっそ、「アメリカ政府の陰謀論」にでも移って…」 そうやって、今後を話し合っていた黒服達 ふと…一人が、壁の向こう側を、見た 透視能力保持者であったその黒服が、壁の向こうに見たもの それは、外の風景に混じって……こちらに向かって飛んでくる、天使 それも、若い外見の、可愛らしい、ミニスカ天使達で その、天使達が、可愛らしい外見に似合わぬ、ゴツく、物々しい重火器を持っていた、姿で… 直後 彼らのいた部屋は、重火器の一石攻撃を受けて、爆砕した 「…やったか?」 モンスの天使達が、一斉攻撃を仕掛けている様子を、天地はやや離れたところから確認していた 天地の契約しているモンスの天使は、重火器で武装した天使達を召喚するというもの 天地自身は、まったく強化されない よって、戦闘スタイルは、目標からやや離れたところで天使達を召喚 そこから移動させ、攻撃させるというものだ 今、天地の指示を受けたモンスの天使達は、無邪気に、A-No.666の実験に協力していた黒服達が集まっていた廃ビルを攻撃し続けている …上の許可? そんなもの、知るか 自分の派手な攻撃能力では、都市伝説の存在を隠しきれない? 知るか どうせ、自分は始末屋だ 「組織」の始末屋 どうせ、相手は「組織」の意図に反する行為を行っていたのだ 始末しても構うまい どうやら、少しは上の立場らしい女黒服が、責任は自分が取ると言っていたが、それはあまり気にしていない 自分は、勝手にやるだけだ 天使達の一斉攻撃が終わった 片がついたか、と天地が顔をあげると …天使達が攻撃していた、その廃ビルから 黒い影が飛び出したのが…見えた それは、天地のいる方向に向かって、まっすぐに飛んでくる 廃ビルに向けて飛ばした天使を呼び戻しても、間に合わない 素早く、目前に新たな天使を召喚する 召喚されたモンスの天使は、天地の指示を待つことなく、主を護るべく、迫る危険に対して、ロケットランチャーを発射した それは、迫ってきていた黒い影に命中 しかし、その直前に、その背中に乗っていた数名の黒服が飛び降り、地面に着地してくる 「…4人…いや、5人残ったのか」 ロケットランチャーを受けた影は、衝撃に飛ばされたはしたものの、ダメージなし すぐ傍の電柱の天辺に止まり、天地を見下ろしてくる あの20人の、それぞれの都市伝説を思い出す あの攻撃の中、生き残れそうな者の名前をあげていく 目の前に居るのは、そいつらに違いない 「くそ…っ!門条 天地!何故、お前が我々に攻撃する!?」 「わかってるだろ?」 しらばくれさせなどするものか こちらを睨んでくる黒服を、天地は鋭く睨み返す 「「組織」の在り方に反する行為を行ったお前達を、始末する」 「っちぃ……!」 廃ビルへ向かわせていた天使達が、戻ってきた スカートの中を覗かれる事など一切気にする様子なく、上空から、生き残った黒服達相手に攻撃を仕掛けていく べちゃ!!と 銃撃を受け、一体の黒服の体が、ゲル状になって崩れた スライムに飲まれたそれは、ぐじゅぐじゅと不気味に蠢きながら、天地に向かってくる 他の三体と、電信柱の上にいた化け物の姿をしたそれも、驚異的な反射神経で、銃撃を回避 それぞれが、天地に攻撃を仕掛けようと迫ってくる 西洋系の顔立ちの黒服の体の表面に、白い鱗が現れ始め…その顔が変化し、服が破け、白い鰐へと変化する 一人の黒服がスーツの内側から缶のコーラを取り出し、一気に飲み干して身体能力を強化させて駆ける 中学生ほどの顔立ちの女黒服の下半身が消え、地面を高速で這い出した 白い鰐、コーク・ロア、てけてけ それぞれに飲み込まれた黒服達が、一斉に天地に攻撃を仕掛けてくる だが 「甘いんだよっ!」 ばらばらと何かをばら撒き、二人の天使に抱えられ、上空に逃れる天地 直後、ばら撒かれたそれ……自らが召喚したモンスの天使から渡されていた手榴弾が、一斉に爆発した 爆炎の中、コーク・ロアが消滅した様子を確認する 「あぎょうさん、さぎょうご」 聴こえてきた、不気味な声 あの黒い化け物が、ビルの壁を這って、迫ってくる モンスの天使がすかさず銃撃するが、当たってもダメージを受けたようには見えない 「あぎょうさん、さぎょうご」 せまるそれに、天地は叫ぶ 「----嘘!!」 あぎょうさん、さぎょうご あ行3、さ行5 う、そ 嘘 あぎょうさんとは、そのような都市伝説 その正体を、見抜かれれば… 「………ぁ」 化け物の姿が、ただの黒服に、戻った 壁を這う力も失われ、その体は地面に落下していき…そこを容赦なく銃撃され、穴だらけにされて べちゃり、地面に落ちた時には…ただの、肉片へと変わっていた 地面に戻ろうとすれば、ボロボロになったてけてけが、一矢報いようと迫ってくる しかし、傷つきスピードの落ちた体は、天使の攻撃を避けきれず、狙い撃ちされていく あぎょうさんと同じように、それはただの肉片へと姿を変えた (あと2体…!) 白い鰐と、スライム …どこへ逃げた!? 辺りを見回した直後、そばにあったマンホールの蓋が、突然、汚水で押し上げられた 白い鰐が汚水を纏って出現し、大口を開けて天地を飲み込もうと襲い掛かる ----っが!と その攻撃を、一人の天使が阻止した その大口に、つっかえ棒のようにライフル銃を差し入れ、口が閉まらないようにする その口内に…ぽい、と 投げ入れられた、爆弾 天地が離れた直後、白い鰐は体内から爆砕され、消滅していく 残り一体 スライムだけだ どろ ぐちゃり ゲル状のそれは、状況不利、と見たのだろう ずるずると、白い鰐が蓋を開けたマンホールから、下水道へと逃げていこうとしている 逃がさない 懐から小さなペットボトルを取り出し、天地は中身をスライムへとぶちまけた 構わず、マンホールへと入っていく天地 次に取り出したのは……ライター まだ少し中身が残っているそのペットボトルを、天地はそのマンホールから下水道へと投げ捨てて そして、しゅぼ、と ライターを点火して……同じく、投げ入れた 素早く、離れる 直後、そのマンホールの下で、小さな爆発音と、何かが燃やされ、もがき苦しむ絶叫が響き渡った 液体の正体は、ガソリン スライムの強靭な生命力は、しかし、炎など、焼いてくる攻撃には、弱いのだ 標的である20人の黒服達が、どんな都市伝説に飲まれた存在だったか、全て把握していた だから、その対処は完璧にしてきた 誰一人、生かして逃がす気などなかったから 「………ふぅ」 これで 全員、始末し終えた …終わりだ 「お疲れ様ですー!」 「デストロイ終了ですー!」 「皆殺ししましたー!」 「…あぁ、お前らも、ご苦労さん」 天地に褒められ、嬉しそうな天使達 とても、先ほどまで殺戮を繰り広げていたようには見えない、無邪気な笑顔 天地は、天使達の姿を消させると、ふらり、夜の町中に消えていった …この直後 天地は、友人たる直希から連絡を受け、「首塚」の本拠地へと移動 天倉姉妹に、今後の事について、話すこととなる to be … ? 前ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者
https://w.atwiki.jp/legends/pages/760.html
合わせ鏡のアクマ 08 「・・・ねぇ、これでちゃんと放送できてるの?」 「大丈夫だろう・・・たぶん。私も機械にはあまり詳しくないのでな・・・」 「そう、じゃあ始めるわよ。準備はいい?」 「ああ」 「おっけーです」 「ネックと」 「RBの」 「「「ラジオde都市伝説ー!!」」」 「司会進行は私、ネックおばさんと」 「最近看護学校に通い始めた、RBがお送りする」 「いやー、突然始めちゃったこのラジオ番組ですけど。趣旨の説明をRBさんどうぞ」 「この番組は、リスナーから寄せられた質問等に私達二人で答えていくいわえる『メタ』コーナーだ」 「ちなみに電波ジャックの方法だけど、『深夜のラジオ番組に変な声が聞こえる』という怪談に力を借りてるわ」 「どーもー、『ラジオの声』です」 「しかし残念なことに彼女、収録してる我々には声が聞こえないんですよね~」 「まったくだ、本体を探すのに苦労した」 「ちなみに私はいつでもスタジオにいるので気軽に話しかけてくださいねー」 「たぶんリスナーの皆様には『声』が聞こえてるんでしょうね。私達は声を無視しているわけではないですよ」 「なにせ聞こえないんだ、反応しようがない」 「大丈夫ですよー、差しさわりのあることなんて言いませんからー」 「・・・そろそろ始めるか?」 「あ、そうね。始めましょうか!」 * 「まずは最初の質問。P.N『匿名万歳』さんからのお便り 『なんでパー速でやらないの?』 はい、その質問にお答えします!」 「1スレ目の終わり際に、『続行か否か』を皆に問うた時に 『続行』が多かったので、現在パートスレになっている。 その際、一緒に『パー速かVIPか』を聞いたところ、 『VIPがいい』という答えが多数だったのでこういう状態になっている。以上が理由だ」 「このまま続く場合は、またアンケート取るんでしょうかねー?」 「続いては、P.N『通りすがった名無しさん』からのお便り。 『花子と寓話のテラースレだと思った』 はい、これはどうなんでしょうか?」 「以下に読み上げる文章は1スレ目の1のものだ。 1 名前:VIPがお送りします[] 投稿日:2009/06/10(水) 23 31 50.48 ID GN1DYnK+O 花子さんとか美少女切り裂きジャックと契約して闇夜を舞いたい 調べてみたところ、その漫画に切り裂きジャックは出てきていないと見受けられた。 さらに、同じようなレスがされたときも1は反応していない。以上からおそらく1はそのつもりはなかったのではないだろうか?」 「ところで、この後1氏は『ウェルカムだ!ようこそミス、メリー!』などと発言していたとの未確認情報が・・・」 「全体に関する質問は、こんなところかしらね?」 「まぁ、我々が答えるのも筋違いというものだが・・・」 「今更何を言ってるのよ。それじゃあ次は私達の話への質問およびツッコミね」 「まぁ、登場人物からしかそんなお便り届かないんだが・・・」 「それじゃあ、いってみましょう!」 * 「それではこの質問、P.N『家政夫は見た!」さんからのお便り。 『アクマの元の都市伝説は願いを叶えるんだろ?契約者の願いどーなった』との質問が」 「あー、それは悪魔の悪知恵に引っかかってるんだ。あいつは強引に 『合わせ鏡の悪魔を契約したい』という願いを引き出したんだ。だから願いは叶えられてることになっている』 「へー、子供っぽくても悪魔ね」 「契約者さん・・・不憫ですねー」 「続いて、P.N『黒色ガーネット』さんからのお便り。 『最初に彼らが戦った花子さんはどんな都市伝説だったんですの?』ですって」 「あー、これは『子供を便器に引きずり込む』話だったようだな。だから契約者は水を避ければよかったわけだ」 「強かったの?」 「そこまで強くはなかったのではないと思われるな。契約したての彼が初めての戦闘で10分攻撃をこらえたわけだしな」 「・・・当時から契約者の身体能力が高かったという見方はしないんでしょうか?私もそれは違うと思いますけどね」 「おっと、次が最後のお便りよ。P.N『無敵のプリンセス』さんからの質問。 『墓場でかかってくる電話が、女の子の声なのは何故?』ですって、書き手の趣味じゃないの?」 「これはだな、元々町中にある墓場の声はすべて違っているという設定があって・・・まぁ、最終的には趣味だな」 「ハーレム系の話とか好きなんですよね。きっと」 「ちなみに、契約者達とよく話している墓場が、一応町の墓場群の中で一番古く、一番格上だ」 「☆型云々の時に、頂点の一つだって言ってましたからね」 「たぶん、墓場の声は今後もでてきてくれるでしょう。ヒロインルートはありえませんけど」 「それでは、そろそろ時間となりました」 「今日のラジオde都市伝説はここまで」 「「「それではみなさん、またいつか!」」」 「あ、ラジオde都市伝説はゲスト募集中です。気軽に参加しに着てくださいね~!」 前ページ次ページ連載 - 合わせ鏡のアクマ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1895.html
意識が遠ざかっていく 全身に、ナイフが突き刺さっている この出血量、助かるはずもない 「魔除けのお札」の契約者は、静かに死を迎えようとしていた 彼を殺した少女は既に立ち去っていて、代わりに近づいてくるのは「組織」の黒服 「夢の国」騒動以降は珍しくなった、感情を持たない、元から人間ではない黒服 あぁ、くそ、俺はこんな奴に止めを刺されるのか 混濁していく意識の中、その意識が消える直前、彼が見たものは その黒服の背後に近づき……右手を振り上げた、誰かだった -------何かが触れている その手が、酷く暖かいと感じた 感じた、瞬間 意識が、急速に引き上げられる!! 「------がはっ!?」 感じなくなっていた痛覚が、戻ってきた しかし、その痛みはすぐに消えていく 壊された体の組織が、無理矢理に、しかし、確実に修復されていっている感覚 「魔除けのお札」は、ばちり、勢いよく目をあけた 「大丈夫?」 「…!」 そこにいたのは、一人の女 …彼が、「組織」の情報を漏らした相手だ 「仲介者」とか言う、都市伝説事件の被害者たちから都市伝説事件の解決を依頼され、それを有料で請け負っている何者かの関係者であるらしい それ以外、彼は彼女に付いてよく知らない あと、せいぜい知っている事は…彼女が「追撃者」と呼ばれているという事実だけだ 追撃者の左手が、「魔除けのお札」から離れる 「良かった、間に合って」 「あ……え、あ……」 自分に近づいてきていた黒服の姿は、ない …助かった、のか? 「魔除けのお札」が混乱していると、追撃者が、申し訳なさそうな表情を浮かべてきた 「…御免なさい。私のせいで、あなたを危険な目にあわせてしまった」 「い、いや、俺がミスったせいだから…」 その、申し訳無さそうな顔が、あまりにも悲しげなものだから …気のせいだろうか? その表情は、まるで過去に起こった何かと今回の事を重ねて、より、辛く感じているように思えた 「あなたは、もう「組織」にはいられないのね?」 「そりゃ、そうだろうな…」 むくり、と「魔除けのお札」は起き上がった …体中、空から降ってきたナイフでメッタ刺しにされたはずなのだが、傷一つ残っていない 服こそボロボロではあるが、体には傷一つないのだ 追撃者が契約している都市伝説の能力なのだろうか? 一体、どんな都市伝説と契約しているのだろう 「行くアテは?」 「…ないな」 「そう…」 うぅん、と追撃者は考え込む 「…「首塚」辺り、どうかしら?「組織」の情報をもって逃げ込めば、保護してくれるかもしれないわ」 「「首塚」か…」 なるほど、あそこなら、と思う だが、「首塚」の人間と接触できるポイントがわからないと、どうにもならない 先に「組織」に見付かって生きていることが知られたら、改めて消されてしまう そんな、「魔除けのお札」の不安を感じ取ったのか 安心させるように、追撃者は笑みを浮かべてきた 「大丈夫!「首塚」と接触できそうな場所、私たちが探すから!それまでは、私たちがあなたを護ってあげる!」 「…は?」 「おねーさん、こう見えて結構強いのよ?だから、大丈夫!」 自信満々な様子で言い切る追撃者 嘘も、偽りも、一切なく…心から、「魔除けのお札」を護って見せると、そう言いきっている 「ま、待て、俺相手にそこまでするメリット、あんた達にはないはずだ」 「…めりっと??」 きょとん、と 追撃者は首をかしげて…そして、笑った 「そんなの関係ないわ。私のせいで、あなたは死んでしまうところだった。でも、私はギリギリ、あなたを助ける事が出来た…ならば、私はあなたを死なせない。「組織」から護ってみせるわ」 強い言葉 胸を張った拍子に、その見事なバストが揺れた 「…おねーさん、ね。知り合いが自分のせいで傷つくとか死んじゃうとか、あんまり好きじゃないの」 だから護らせてね?と追撃者は笑う その笑みの後ろに見えた…大きな大きな、過去の後悔と懺悔に 「魔除けのお札」は思わず、こくりと頷いたのだった …そして 「魔除けのお札」の契約者が「首塚」に保護され、同じく保護されている者達が住まう無人島へと向かうまで 彼は、追撃者が仲介者と共に暮らす家に同居させてもらえる事になるのだが 所詮、これは小ネタであり突発的な電波である為、続く予定はない 終われ 前ページ次ページ連載 - 仲介者と追撃者と堕天使と
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/1306.html
トワイライトシンドローム 禁じられた都市伝説 part40-271~277,279~284 271 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 15 00 17 ID gxUl+3qk0 サブタイまで入れると名前が長すぎるとの事でDSとしておきます 実際はトワイライトシンドローム 禁じられた都市伝説です はじまりの噂 ある日カナ、メグミ、アリサの3名は最近流行っているナナシという正体不明の人物が送る 都市伝説メールに書かれたこっくりさんを試してみようとメールの内容に従って旧校舎でこっくりさんを実行する。 すると好きな人を聞けば「きつね」、場所を聞けば「あのよ」と不気味なコインの動きに怯え不安が高まる中 アリサが痙攣しながら倒れ、思わず2人は逃げ出してしまう。 脱出しようとするも扉は開かず途方に暮れ、突如現れた霊から逃げていたがついにカナが孤立してしまう そこでナナシからのメールにあった鏡を見ながら背中に「犬」と書けばお守りになると思い出して実行しようとするが 見つかる鏡は全て紫色に塗り潰されているか割られていた。 どこかにないかと探しながらこっくりさんを行った音楽室前にいくとアリサが倒れている。 慌てながらもカナはアリサの背中に「犬」と書く事でアリサを助け脱出しようとしたが背後には霊が迫っていた。 272 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 15 02 20 ID gxUl+3qk0 第1の噂 神隠しメール 母親が単身赴任で1人桐塚へ越してきたミズキはクラスメートからカナとメグミが行方不明で アリサが意識不明のまま道ばたで倒れていたのを保護され入院した事を聞かされる。 試しにとカナに電話するが取る事はない、また昨晩自分に届いたカナからのメールは件のこっくりさんチェーンメールだったのだが 何故か後半が文字化けしており読める部分だけを繋げると「カミカクシ」となっていた。 クラスメートの話ではこっくりさんをやったのではないかと聞かされ何となく不安が残る そんなミズキの携帯にナナシから「屋上で待つ」とメールが届いた。 悪戯だろうかと怪しみながら放課後になって屋上へ行くと誰もいない、少し待ってみようと旧校舎へ目をやると一瞬人影が見えた その時、背後から携帯で撮影する音が聞こえ振り向くと見知らぬ女学生がいた。 まさかナナシ?と思わず呟くと相手は笑いながら「あんたも受け取ったのね」と言いながら自己紹介をした リコと名乗る学生はアリサの友人で都市伝説に興味があって色々と調べているのだという だがミズキには面白半分としか見えずどこか気になるがリコはお構いなしに話してくる そしてカナとメグミの手かがりを得るためにこっくりさんを今からしないかと持ちかけてきた 嫌がるミズキを説得するようにナナシのメールにも「屋上では霊が集まりにくい」とあるから大丈夫だと言って 押し切られる形でこっくりさんをするが反応がない。 何で動かないのかと愚痴をこぼすリコを見ながらミズキは先ほどの人影を思い出しリコにさっきとった写真を見せてもらう事にした すると花壇にメグミの携帯が落ちているのを発見し、調べると履歴にイズミレイカという人物があった リコによれば祖母が占い師をしているらしく色々詳しいと噂という。 何かアドバイスをもらえないかと会いに行ってみたがそっけない態度で相手にもされない。 ミズキが事情を話すと「旧校舎ではなく新校舎屋上でのこっくりさんなら安全だと思う」と言われ 夜になってミズキとリコは屋上でこっくりさんを行うが気を失い、気づくと旧校舎にいた。 せっかくだから探検しようという気楽なリコの反応に呆れながらもカナとメグミを探すために旧校舎を調べる2人 調べていく中でカナが狐の真似をした声が聞こえたり、旧校舎は戦時中に負傷者の収容所であった事が分かり 旧校舎には今も無念の思いを抱いた霊が自縛霊としているのではと考える。 しかし、チェーンメールを行わなかったために「24時間以内に送らなければ霊に襲われる」という都市伝説が現実になり霊に襲われる。 そんな頃、2人にアドバイスしたレイカは新校舎の屋上は鬼門の方角であり そんな場所でこっくりさんをやれば余計に霊を集めてしまう事に気づいた。 気が進まないままに間違った情報を与えた罪悪感から旧校舎へと入るレイカ。 ミズキとリコの声が聞こえるのだが姿が見えない事から時間と空間がズレていて2人は現実と霊界の狭間にいるのだと判断する。 このままでは2人も取り込まれてしまうため助けにいかなければならないが 自分も同じ空間にいくには『鏡を使ってかごめかごめを歌うこと』しかない だが通路の鏡は紫色に塗り潰されたままである。 急いで探し回るとトイレの割れた鏡から破片の大きい物を選んでかごめかごめを実行する。 何とか上手く同じ空間に入る事に成功しミズキとリコの2人と合流する。 そして倒れたメグミを発見し背中に犬の字を書く事でまずは事なきを得たが未だにカナは見つからない。 しかし2人が集めた情報とレイカの知識を使って戦時中に看護婦が飼っていた狐が供養されずにいて自縛霊となっているのではと気づく。 3人はナナシのメールに書かれた「旧校舎の音楽室でこっくりさんをやると好きな人が分かる」を思い出し ひょっとすると音楽室に何かあるのではと考え音楽室を調べると蓄音機の下から狐の遺骸が見つかった。 すぐさま供養を始めたがそれでもカナの行方が分からない、旧校舎に居ないならどこなのか 考えた結果旧校舎同様に霊の集まりやすい場所は新校舎の屋上しか無いと判断する。 すると空間が歪み、気が付くとカナが居なくなった日のその時その場所に移動していた。 レイカが言うには狐のお礼だというがそれよりも今まさに屋上から飛び降りようとしているカナを発見し 落ち着きながら背中に犬の字を書いて何とか救い出した。 やっと終わったと安心した3人の前に狐を抱いた看護婦がお礼を言うような素振りで空へ昇っていくのが見えた。 次の日、事件前後の記憶は無くしているが無事にカナとメグミが発見され神隠しメールは解決したのであった。 273 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 15 04 51 ID gxUl+3qk0 第2の噂 幻のホーム(1/2) あの事件以来、何かと関わる事となったリコから友人が人身事故を見て保健室で休んでいるから見舞いに行こうと誘ってきた。 興味本位で話にいくだけじゃないの、と皮肉を言うミズキを軽く笑って保健室にいくとベッドで休んでいる友人がいた。 話を聞いた所、友人が言うには東桐塚駅で電車を待っていると「落ちろ、落ちろ」と声が聞こえた直後に隣の人がホームから落ちたという。 しかしそんな話をしても誰も信用しないのでどうしたらいいか分からないと話す友人にリコがそれなら私たちが調べてくると提案する。 いきなり言われ気乗りはしないが友人を放っておくのも、という事でミズキも協力する事に。 駅に着いてリコから江戸川線には「時間にない電車がきたり」「拡張工事をしてる際に怪我人が多い」 といった話を聞きながらホームに降りるとクラスメートのマサキに出会った。 どうやら友人のユウタと2人で夕飯を食べる約束をしていたらしいのだが ユウタはまだ来ていないので雑談がてらにマサキへ怪奇現象を調べに来たなどの旨を話してみると マサキたちが小学校の頃から「時刻表に無い電車に乗ると幻のホームに辿り着く」があったといった話を聞かされる。 そのままリコから強引に誘われる形でマサキも調べ物を手伝わされる事になり 3人で階段を登ると老人が係員の待機所でドアを叩いているのを見かけた。 老人の「拡張工事をやめないと大変な事になる」と叫んでいるのが気になり話を聞いてみると 老人はサクマと名乗り昔江戸川線で働いていたと言う。 その頃は拡張工事が盛んで地下にある遺跡を使う事もあったせいか事故も多かったため やむなくルートを大幅に変え、その際に元々あった旧三ツ矢駅を封鎖し新三ツ矢駅を作った事や 昔の駅ではコインロッカーに赤子が捨てられる事件などもあったと話してくれた。 そして幻のホームとは旧三ツ矢駅の事で自分は若い頃そこに行った事があると言う。 その時は時刻表に無い電車が駅に入ってきて気が付いたら幻のホームに着いて 迷路のような洞窟を抜けると祠の前に辿り着いた後引き返したのだが 大事な時計を忘れてきてしまったため老いてからもそれが心残りだと話す。 サクマ老人は恐らく祠が怪奇現象の原因だと話し、最近になって怪奇現象が増えたのは拡張工事のせいだと言った。 そして時刻表に無い電車がきたら乗ってはいけない、乗ってしまったら幻のホームに着く電車にまた乗りなさいと助言してくれた。 サクマ老人と別れホームに降りると丁度電車が着いた所なのだが次の電車まで10分はあるはず まさかこれがとミズキが呟くがマサキはあんなのただの噂だろと相手にしない、そこにユウタも到着したが辺りを見回すとリコがいない。 電車に乗るマサキとユウタをやはり不安に思い降ろそうとするが結局ミズキも乗ったまま電車は出てしまった。 274 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 15 05 53 ID gxUl+3qk0 第2の噂 幻のホーム(2/2) その電車には3名以外に誰もおらずミズキの不安は大きくなる、すると電車が唐突に止まり、この隙にと3人は電車を降りた。 駅も何も無い場所で降りたため、とにかく帰り道を探そうと来た道と逆方向へ歩くと途中で妙な形の石を幾つか拾った。 そうやって先に進むと風の流れがあると気づいたユウタが横道を見つけ、奥へと進むと首の無い地蔵があった。 ふと先ほど拾った3つの石を思い出して取り出すと それは地蔵の頭であり、ひょっとするとこれが原因かもしれないと綺麗に乗せて地蔵を直した。 そしてここでの用は終わったと横道から出て先へ進むと無人駅があり、そこはやはり旧三ツ矢駅であった。 そこにナナシからのメールが届き開いてみると「ホテルなどにある額縁の裏には御札が貼られている」という都市伝説が書かれた内容で 何のことかと思いながら歩いていると柱に貼られたポスターが目に付いた。 ひょっとしてこれの事かと剥がしてみた所、ポスターの後ろには御札が貼られている。 それを何かの役に立つかもしれないと手に入れた所で時計の音が聞こえてきた。 ミズキの頭にサクマ老人の話が浮かび時計がまだあるのではと探すと音は奥にあるロッカーから聞こえてくる。 3人で手分けしてロッカーを開くが時計は全く見つからない、それどころか音も途絶え嘘のように思えてきた。 仕方がないと引き返そうとした時、突然ロッカーから赤子の泣き声が響きガタガタと揺れ始めた。 慌てて扉を押さえる3人だが徐々に揺れが大きくなりもうダメだ という所で背後に気配を感じたミズキが一瞬後ろを振り返ると女性の霊が「私の赤ちゃんを返して」と呟いて消えた。 同時にあれほど揺れていたロッカーも静かになり手を離しても何ともない。 何だったのだろうと訝しむ3人だったが改めてロッカーを調べるとどうやら後ろが空洞になっていると気づき ずらしてみると更に奥へ進む道があった。 その奥にはサクマ老人の時計が落ちており、今もしっかりと動いていた。 持ち帰って渡してあげようとミズキがポケットに入れ先へ進むと頭蓋骨が積まれた祠に辿り着いた。 ユウタが「そうかここは昔の処刑場跡なんだ、だから桐塚という地名なのか」と呟く。 ミズキはここで先ほどの御札を使えば霊が落ち着くのではと祠に御札を貼り、3人が引き返すと無人のホームに電車が到着していた。 慌てて乗り込む3人だが動き出した電車には誰も乗っていない。 しかし暴走する電車をマサキが何とか操作してどうにか東桐塚駅へと帰る事が出来た。 駅に着くとリコが「トイレに行ってる間に一体どこ行ってたのよ」と呑気に文句を言ってきてミズキは脱力してしまう。 階段を上り改札の前にいる駅員へサクマ老人に時計を渡したいので会えないか聞くとサクマ老人は三日前に亡くなったと聞かされる。 そんな馬鹿なと思いながらも時計を駅員に渡して届けてもらうように頼むと マサキが「さっき電車を操作している時に誰かが手を添えて手伝ってくれた」と話した。 ミズキは心の中でサクマ老人に礼を言って4人で駅を去っていった。 275 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 15 07 41 ID gxUl+3qk0 第3の噂 ひとりかくれんぼ(1/2) ある日、ミズキが友人と話しながら「一人暮らしは怖くない?」などと聞かれ 「最近騒がしいかな、昨日も変な酔っぱらいがいたみたいだし」とたわいのない会話をしていると 背後からリコが「あそこのマンションは昔ストーカーの殺人事件があったらしいよ」と脅かしてきた。 引っ越してきたばかりのミズキはその辺の事は分からないため 話をしていた友人にも尋ねてみたが「そんな噂があったような」程度しか分からない。 そこにマサキが現れ小学校の頃にもそんな話が出てたけど何にも無かった、と説明をしてくれた。 その後、自宅に戻ったミズキの携帯にナナシから「○○マンションでは殺人事件があった」といった旨のメールが届く。 薄気味悪いと思いながらメールの墓場(チェーンメールなどを友人に送りたくない人が使うゴミ箱用サイトのアドレス)に送り 気分直しにお風呂に入ろうとした所で玄関でチャイムが鳴った。 出てみるとリコが現れ「今日の話で驚かせたから遊びに来てみたよ」と話してきた。 そして玄関前にこんな物が置かれていたと袋を渡すと中には見覚えのないビデオが入っており、日付は20年ほど前のものだった。 何が写ってるのか気にならない?と話すリコと一緒にリビングでビデオを付けてみると ミズキが今使っている部屋で男が女性の名前を呟いている映像が流れた。 その背後にあるカレンダーはやはりビデオと同じ日付であり、これが話に出てたストーカーなのだろうか?と考えながらビデオを止めた。 本当に霊がいるのだろうか、と心配になるミズキへリコがレイカから教えてもらったというコンパスを使った霊の探知法があると教える。 言われた通りにすると反応の強い所でコップやアルミホイルなどいくつかの品が見つかった。 前に住んでいた住人のものだろうか?と思いながらコンパスでの調査をするが別段それ以上の事はない。 リコが「それならひとりかくれんぼならどうかな」と言うので話を聞いてみると人形を使った一種の降霊術でこっくりさんと似たようなものらしい。 しかしこっくりさんは前回の事で懲りているので「ひとりかくれんぼ」について手順を習ったが やはり1人でやるには不安という事で後回しにする。 276 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 15 08 18 ID gxUl+3qk0 第3の噂 ひとりかくれんぼ(2/2) そして今度は外を調べてみようとリコに提案しマンションの横にある物置を探してみると妙なオカルト本や無数のビデオテープがあった。 そんな事をしていると横からお婆さんに何をしているのか話しかけられ ミズキの前にいた住人について調べていると話した所「倉田裕見子」という人だったと教えられた。 もしやその人が殺されたのではと思ってミズキは母に電話してみたが母は「その人なら引っ越して実家に帰っている」と言われ安心する。 リコにその事を話すと良かったねと言われたのだが突然コンパスが異様な反応を示した。 反応はミズキの部屋からであり、一体なにがと2人で部屋に入った所ミズキはベッドの下に男がいるのを発見する。 慌てないようにリコと一緒に部屋を出て警察に電話し、男は逮捕されたが自分が何故あの部屋にいたのか覚えていないとの事だった。 リコは一度家に戻るとの事で1人部屋に帰ったのだがあまりの異常事態にミズキは「ひとりかくれんぼ」をする決心をした。 リコに教わった通り人形を使い言われた手順を行うミズキ、そして人形が鬼になる手順までこなして急いで押し入れへと隠れる。 すると誰もいないはずなのにテレビの電源が消され、妙な音が聞こえ始めた。 まるで引っ掻くような音と何かを呼ぶような声で徐々に耐えきれなくなるが救いのように玄関のチャイムが鳴った。 同時に気配が消え、急いで押し入れを飛び出し「ひとりかくれんぼ」を終了させる。 それから玄関へ出るとリコとマサキが現れ、何かあったのかと尋ねる2人へ「ひとりかくれんぼ」をやっていたと話した。 マサキが言うには人形は使った後に燃やさなければいけないとの事で コンロを使い燃やしていると徐々に炎は大きくなり小火騒ぎとなった。 最早消すのも間に合わないと判断し逃げようとするがミズキはふと先ほどの「ひとりかくれんぼ」を思い出した。 そしてリコの制止を振り切って自分の部屋に入ると床板がずれている。 慌てて床板を剥がすと中からは胸に包丁の刺さったミイラが埋まっていた。 その服はビデオに出ていた男の物であり、ミズキはそこで確信を得る。 だがのんびり考える暇は無く、急いで窓から飛び出し何とか危機を回避した。 結局、前の住人である倉田裕見子はストーカー男のしつこさから殺人を犯し その遺体を部屋の床下に埋める事で隠蔽していた事が判明し事件は終わりを迎えた。 ミズキは「ひとりかくれんぼ」をした時に聞こえた物音はひょっとすると男の霊で 彼は自分の遺体を見つけて欲しかったのではと1人考えるのであった。 277 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 15 09 37 ID gxUl+3qk0 とりあえず半分まで、続きは明日か明後日くらいに出します 279 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 21 22 49 ID 3b8fBQdl0 第4の噂 こわいテーマパーク(1/2) ミズキは遊園地を歩いていた。 もやがかかったような遊園地を1人彷徨っているとオルゴールのような音とともに風船を持ったピエロが向こうから歩いていくる。 近くにきたピエロから風船を受け取った次の瞬間、ピエロの手にはナイフが握られておりミズキはあっという間に刺され倒れてしまう。 悲鳴と共に目を覚まし今のは夢だったのかと安堵する。 そして学校に登校して遊園地の話をリコに聞くと取り壊し予定になっている ドリームパークという遊園地では幽霊が集まると噂になっているという。 もしやそこが今朝の夢に見た場所ではないだろうか、そう考えるミズキだが 自分はその遊園地に行った記憶はないし夢で見る理由が分からない。 そんなミズキの様子を見て案の定リコが無くなる前に肝試しに行こうと誘いをかけてきた。 ついでにマサキとユウタも誘って4人でいけば大丈夫と話し、2人も強引に誘われる事となった。 深夜、懐中電灯を片手に4人で遊園地に忍び込み心霊スポットとして噂のミラーハウス、ホラーハウス、観覧車を巡る事にする。 ホラーハウスで白いワンピースを着た少女の幻を見たがそれ以外には大した出来事も起こらず 噂は噂だったのだろうかと話していたら後ろから「こらっ!」と呼びかけられた。 振り向くとスーツ姿の男性が立っており何をしているんだと問いつめられる。 男は遊園地を経営していたオーナーの息子ハセガワで幽霊騒ぎが多いため園内を見回っていたという。 早く帰れというハセガワの言葉に従おうとした時メリーゴーランドを無数の霊が楽しそうに遊んでいるのを目撃する。 驚きながらもミズキはレイカへと電話をする、レイカが言うには楽しい記憶を元に霊が集まっているのではとの事。 その時、夢の中で聞こえたメロディが辺りに響いた。 見ると通路の向こうから風船を持ったピエロが軽快にステップしながらこちらへと歩いてくる。 ピエロはハセガワの目の前で止まり風船を差し出したがミズキは夢の出来事を思い出してハセガワを制止して5人一緒にその場から逃げた。 ミズキ、ハセガワ、ユウタの3名はひとまず事務所まで逃げたがリコとマサキははぐれてしまう。 携帯で2人に連絡を取り安否を確認してからハセガワへ心当たりがないか訪ねると「あれは親父かもしれない」とハセガワが話した。 280 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 21 23 43 ID 3b8fBQdl0 第4の噂 こわいテーマパーク(2/2) 生前のオーナーは遊園地にくる子供達へピエロの扮装をして風船を配っていたらしく、中でも赤い風船が好みだったという。 しかしハセガワ自身は遊園地にばかりかまけたオーナーが嫌いで、そういった理由からオーナーの死後は遊園地を閉園したと話す。 ミズキはレイカに連絡しオーナーが生前もっとも気に掛けていたものを探る事で成仏するのではとアドバイスをもらう。 そしてハセガワにオーナーが気に掛けていたものと逃げ道が無いか訪ねると観覧車を気にしていた事と 地下に従業員用の通路があるはずだがどこにあるかは分からないと話した。 事務所内を探すと観覧車の絵が書かれた紙と直筆の手帳が見つかる。 手帳には先が長く無い事、ハセガワが後を継いでくれるだろうかという事、そして遊園地を愛している事が書かれていた。 ミズキは観覧車の絵を見て、これはひょっとすると暗号では?と思い至る。 そこでマサキに連絡し観覧車を指示通り回して貰うと事務所の金庫が開き、中からは赤い風船が出てきた。 ミズキは金庫に入れるほどの物ならばとハセガワに風船を膨らませる事は出来るか聞くと ホラーハウス内には従業員室があるはずなのでそこに風船用のヘリウムが置いてあったように思うと言われる。 そこでリコに連絡しホラーハウス内の従業員室を探して欲しいと伝える。 ホラーハウスは電子ロックがかかっていたが緊急用の電源を事務所で入れる事によりリコは従業員室へ入る事が出来た。 そして無事にヘリウムを見つけるが直後背後からピエロが現れる。 電話の向こうから聞こえる叫び声に事態を把握したミズキはすぐさまホラーハウスの電源を落とす。 それにより電子ロックが再びかかりリコはどうにか危機を乗り越えた。 すると暗闇になった部屋で発光塗料の矢印が浮かび上がり、矢印の示す先には非常階段があった。 それを使いリコはミズキたちと合流し、その後マサキとも合流する。 そしてミズキはオーナーの霊を正気に戻すために遊園地を楽しい雰囲気にすればいいのではと提案した。 ミズキたちはそれぞれ心霊スポットであるホラーハウス、ミラーハウス、観覧車、広場に行きオーナーが現れるのを待つ。 ミズキとハセガワのいる広場へオーナーが現れた時、赤い風船を持ったハセガワがオーナーへ話しかけ リコたち3人はそれぞれ手に持った大量の風船を空へと飛ばした。 霊たちが楽しくはしゃぎ、まるで昔のような雰囲気に包まれるとオーナーは苦しそうに頭を押さえ 次の瞬間にはハセガワとそっくりなスーツ姿の男性が立っていた。 そのままオーナーの姿が消えるのを見送ってからオーナーの思いを守るために ハセガワは再び遊園地を昔のようにしようと決意した。 281 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 21 24 38 ID 3b8fBQdl0 第5の噂 都市伝説百物語(1/2) ナナシのメールが広まる中、ある時こんなメールが届いた 「○○高校のミズキという少女は都市伝説に呪われている」 自分に対する謂われのないメールだったがクラスメートの間ではそこかしこでミズキに対する噂がたっていた。 孤立するミズキは何度も相談していたユカリ先生へ助けてと頼み込む。 しかしユカリ先生は「あなたにはもう私以外の助けてくれる人がいる」と話して立ち去っていった。 そこにマサキが現れあんなメール気にするなよと励ましてくれた。 2人で帰り道を歩きながら昔からあるという木の前に来た時、ミズキは妙な懐かしさを感じた。 そんなミズキを見てマサキは「ここは昔女の子が事故にあったんだ」と話す。 ミズキは「まさか・・・」とどこか心の隅に引っかかり帰宅後、母親へ電話して昔事故にあわなかったかを訪ねた。 母親は「酷い事故だったけど救急車に運ばれている間に傷がみるみる治っていった」と話し 医者も見た目が酷かっただけなんだろうと結論づけたという事があったと伝えた。 ミズキの中でバラバラだった欠片が繋がっていく、遊園地で見た白いワンピースの女の子 事故にあった自分、昔一緒に遊んだ3人の子供、様々な事を思い出しそうになっていたそんな頃。 ミズキとマサキがこっそり付き合っているらしい、そんな話を友人のうわさ話で聞いたリコは言い様のない不安に駆られる。 まさか自分はマサキの事が好きだったのだろうか?そうだとしたらミズキに取られたくない。 そんな思いからナナシのメールにあった「0時に学校で好きな人の持ち物を水に落とし 水をかき混ぜるとその人の好きな相手が分かる」という都市伝説を実行する。 深夜、学校のプールに忍び込み水泳部でもあるマサキのゴーグルを取って プールに落とし水をかき混ぜるとそこに現れたのはミズキ・・・の顔をした口裂け女だった。 リコは狂笑しながら「口裂け女なんだ!」と叫んだ。 次の日、リコが行方不明になったとマサキ、ユウタから聞きクラスメートから情報を集めると例の都市伝説を実行したのではと推測できた。 しかしナナシのメールにはもう1つ「学校のプールには霊が集まる」という都市伝説もありミズキは不安になる。 そこでレイカにも連絡してミズキ、レイカ、マサキ、ユウタの4人は深夜の新校舎屋上へと集まった。 そしてユウタは「ナナシが都市伝説を広めるのは100番目の噂が現実となるから」と話し、すでに98番目まで来ているから時間が無いと話す。 だがレイカはユウタがナナシなのではと疑っておりどこがギクシャクしている。 仕方がないのでミズキとユウタ、レイカとマサキで分かれミズキとユウタはプールへ、レイカとマサキはリコの教室と二階を探索する事にする。 レイカとマサキは学内を探索するがトイレも教室も手がかりは無く、図書室もついでに調べようと中へ入る。 そこでナナシのメールにある「図書室の卒業アルバムには幽霊が出る」という噂を調べるために 卒業アルバムを引っ張り出すと写真の全てに亡くなった校長の姿が写っていた。 その時、背後の気配に振り向くと校長が2人と一緒にアルバムを見ていた。 レイカが自縛霊というより守護霊に近いと呟きながら図書室を後にすると 唐突にマサキがトイレに行きたいと言うのでレイカは用が終わるまで待つことにした。 するとマサキの叫び声が聞こえ驚いたレイカは男子トイレへと調べに行く。 だが中を見てもマサキはいない、それどころか個室に入った所で閉じこめられてしまった。 一体どうなっているのか不安になるレイカの耳に人形のような足音が聞こえてきた。 突然コンコン、と叩かれるドア。 レイカはナナシのメールを思い出しこれが花子さんの都市伝説と気づく。 そこで叩かれた方向の壁へ同じ回数ノックを返す事で難を逃れようとするが 何度かノックした後に回りの壁がドンドン!と激しく揺れ上から人形が襲ってきた。 282 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 21 25 50 ID 3b8fBQdl0 第5の噂 都市伝説百物語(2/2) 一方、プールに着いたミズキとユウタはプール前に落ちているリコの携帯を拾う。 その時、2人の背後から口紅で口が裂けたように見えるリコが現れ「あたしってきれい?」と呟きながらユウタの首を絞めプールへと落とした。 そしてミズキの首も絞めるが「ごめんね・・・リコ・・・」という呟きに反応して苦しみながら気を失った。 だが安心する間もなくプールの方を見るとユウタが溺れている。 慌てて飛び込みユウタを助けようとするが周り中に霊が現れ2人を取り囲んだ。 ユウタが言うにはさっきも霊に足を捕まれ溺れそうになったのだという。 これまでかと諦めそうになるミズキへユウタが話をした。 子供の頃に自分はナナシとして都市伝説を広めた事、100番目の都市伝説を作った その時目の前でミズキが事故にあった事、すぐさま100番目を「この木の前で事故にあった少女が奇跡の生還」に変えた事 そしてこれは都市伝説という闇に深入りし過ぎた自分を迎えに来た霊である事。 そしてユウタは「ナナシとは本来あの世にいる霊の事であり 都市伝説を広めているナナシは正体がばれればナナシでなくなり100番目は無効になる ナナシの正体を知るためにも2つの携帯を使ってにらめっこの都市伝説をするんだ」と言葉を残して水の中へ消えていった。 悲しむミズキだったがユウタの意思を無駄にしないために 「携帯を向かい合わせて4219と打ち込めばナナシと会話出来る」という携帯を使った都市伝説のにらめっこを行う。 その結果、本当のナナシがミズキに伝えたのは「1059」という数字。 4219が死に行くならば1059は天国の語呂合わせだと理解するが天国とは何処なのか。 必死に考えミズキはここで天に一番近い所、つまり新校舎屋上なのではと予想する。 その時ナナシから100番目のメールが送られ「朝、東京で地震が起きる」と書かれているのをみた。 急いで校舎に戻ると二階のトイレ前で物音がする。 何だろうかと入ってみると蛇口から水が噴き出し、その水にレイカが首を絞められている映像が映っていた。 映像はすぐに消えたが、不安を残しながらもミズキは屋上へと向かった。 屋上に辿り着くと辺りは薄暗くてよく見えなかったが壁にレイカが立っているのを見つける。 近づいてよく見るとその首には縄が縛られており助けようと近づいた瞬間レイカが必死の形相で叫びだした。 ミズキが悲鳴をあげると同時、レイカの体がぐったりとしたがよく見れば人形である。 その時、背後から声をかけられ振り向くとマサキが座り込んでいた。 レイカが突然暴れ出し首を絞められた事、気が付けばここにいたと話すのだがミズキはトイレと先ほどの人形を思い返す。 そしてマサキが手を上にあげた時、その手首にアザがついているのを見て後ずさりした。 「まさか・・・」と呟くミズキを他所にマサキは徐々に昇る朝日を見ながら「ついに100番目のメールが実現するな」とミズキに語りかける。 「あなたがナナシだったのね!」と叫ぶミズキにニヤリと笑いながら「そうさ、このために俺は都市伝説を広めた」と話し始めた。 「子供の頃にお前がユウタに助けられたのを見て俺はナナシになると決めた。 だが何度やってもあと一歩で失敗する、それは何故か?俺は気づいた 都市伝説が成立するには都市伝説によって助けられた少女が必要なのだと。だから俺は耐えるようにして待ち望んだ。 そんな俺の願いが届いたのかお前は転校してきたよそして俺の計画は実現する事になった!」 笑いながら話すマサキが「さぁ!最高のショーを見ようじゃないか!!」と叫ぶが一向に地震は起こらない。 「な、何故だ!!」狼狽するマサキへミズキは告げる「ユウタが言っていた正体がばれたナナシはナナシでなくなり都市伝説は無効になると」 「チクショウ!!」叫ぶマサキはミズキへ襲いかかり首を絞めながら屋上から落とそうとする。 首を絞められながらミズキは携帯を取りだし4219と打ち込み「にらめっこ・・・しま・・・しょ」と呟き通話ボタンを押す。 「ははは!狂ったか!!」と叫ぶマサキだったが自分の携帯が鳴るのを見てミズキの意図に気づいた。 そして異様な気配に背後を振り向くと無数の手がマサキへと襲いかかった。 その手に押されマサキは屋上から落下、ミズキが下を見ると木がクッションになり辛うじて無事なマサキが倒れていた。 その後、リコもレイカも無事だったがユウタだけは帰ってこなかった。 けれど今でも時々ナナシからメールが届く。 「君は1人じゃない」 283 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 21 26 24 ID 3b8fBQdl0 最後の噂 心霊写真 100番目のメールを止める事が出来たあの日が終わってもミズキは都市伝説を調べていた。 そんなミズキを見て都市伝説に深入りはするな、と話すレイカ。 だがミズキは1つ気になる事があった。 あの事件の後、ユカリ先生を捜しても見つからないのだ。 それどころか誰に聞いても「そんな先生は居ない」としか言われない。 どういう事なのか分からないミズキは図書室でユカリ先生について調べていた。 すると数年前の新聞記事で「○○高校教師 長谷川ユカリが自殺」という内容を見つける。 ふと何度か携帯で撮った写真を思い出し見てみると 遊園地でのミラーハウス、自分のマンション横にあった物置にユカリ先生の顔が写っている。 「一体どういう事なの・・・」呟くミズキが背後に気配を感じるとユカリ先生の声が耳に届いた。 「都市伝説の闇からは逃げられない・・・そう、私のようにね!!」 ハッ!と気が付くとそこは自分の部屋だった。 どうやら勉強の途中で寝てしまったらしい、すると携帯が鳴り表示された名前を見るとリコだった。 「はい、もしもし」何かの用事だろうか、と思いながら取ると電話の向こうでは焦ったようなリコの声が聞こえてきた。 「早く!早く逃げて!!」 「え?なんのこと?」 「あいつが!マサキが看護士を殺して病院抜け出したって・・・キャーーーーーーーーー!!!」 「リコ!?リコ!どうしたの!!」 ただごとではない悲鳴が聞こえリコの名前を叫ぶと電話の向こうから 「次は・・・お前だァァァ!!!」 マサキの声が届くのであった。 終 284 :トワイライトシンドロームDS◆l1l6Ur354A:2008/08/05(火) 21 27 39 ID 3b8fBQdl0 明日だそうかと思いましたが最後まで書けたので一気に出しておきました。 文章が色々怪しいのといくらか省略した部分などありますが大筋は合ってると思います。
https://w.atwiki.jp/legends/pages/232.html
投稿されたイラスト一覧 お絵かき掲示板も合わせてどうぞ。 投稿イラストについて 幅のサイズが600より上だとwikiページからはみ出してしまう模様です。 600以上のサイズのイラストの場合、こちらで縮小など編集をかけさせてもらうのをご了承下さい。 イラストのアップロードや編集方法が分からない方は避難所wiki専用スレで相談もしくは、依頼を行ってください。変わりにやってくれるヒトがいるらしいですよ。 最新イラスト(2013/11/01更新) Tさんたち イラスト - 22 イラスト - 23 イラスト - 24 イラスト - 25 花子さん 3D-Mesh 花子さん 3D 生命を齎す者 『キブ』 輪 妬見女 疾風 トイレの花ちゃん 口裂けおねーさん おじさん面犬 ロイツマ花子さん 低速 ロイツマ花子さん 高速 無限廊下の少年 赤マント&赤はんてん 花子様と契約者 花子様と契約者 女装少年 闇子さん トイレの花子さん カーバンクル 教授&テケ子 隻腕のカシマ 登場作品 : Tさん キャラ名 : Tさんたち ページ最上部へ 登場作品 : ソニータイマー キャラ名 : 妬見女 疾風 ページ最上部へ 登場作品 : 喫茶ルーモア キャラ名 : :輪 (浴衣ver.) ページ最上部へ 登場作品 : Cup of Aeon キャラ名 : :生命を齎す者 『キブ』 ページ最上部へ 登場作品 : Cup of Aeon キャラ名 : :花子さん 3D ページ最上部へ 登場作品 : Cup of Aeon キャラ名 : :花子さん 3D わいやーふれーむ ページ最上部へ 登場作品 : --- キャラ名 : :ロイツマ花子さん 高速ver. (原画:花子様の人たち) ページ最上部へ 登場作品 : --- キャラ名 : :ロイツマ花子さん 低速ver. (原画:花子様の人たち) ページ最上部へ 登場作品 : ご新規さん向けガイドライン - Q A キャラ名 : :おじさん面犬 ページ最上部へ 登場作品 : ご新規さん向けガイドライン - Q A キャラ名 : :口裂けおねーさん ページ最上部へ 登場作品 : ご新規さん向けガイドライン - Q A キャラ名 : :トイレの花ちゃん ページ最上部へ 登場作品 : 女装少年と愉快な都市伝説 キャラ名 : :女装少年(クリスマスver) ページ最上部へ 登場作品 : トイレの花子様 キャラ名 : :花子様と契約者 ページ最上部へ 登場作品 : トイレの花子様 キャラ名 : :花子様と契約者 ページ最上部へ 登場作品 :赤い二人 キャラ名 :赤マント&赤はんてん ページ最上部へ 登場作品 : 騎士と姫君 キャラ名 : 無限廊下の少年 ページ最上部へ 登場作品 :喫茶ルーモア・隻腕のカシマ キャラ名 :隻腕のカシマ ページ最上部へ 登場作品 :教授とテケ子 キャラ名 : 教授&テケ子 ページ最上部へ 登場作品 : とある組織の構成員の憂鬱 キャラ名 : カーバンクル ※wikiに載せるにあたりサイズ変更など画像編集をさせていただきました。ご了承下さい。 ページ最上部へ 登場作品 : 花子さんと契約した男の話 キャラ名 : トイレの花子さん ページ最上部へ 登場作品 : 闇子さん キャラ名 : 闇子さんと契約者 ページ最上部へ 登場作品 : テンプレート キャラ名 : テンプレート ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2726.html
【上田明也の探偵倶楽部22~宴の準備~】 ~前回までのあらすじ~ 殺人鬼「拝戸直」との激戦を経て自らの異常性に気づいた上田明也。 朝比奈秀雄との戦いで受けた傷もほとんど治癒し、彼は探偵業務を再開したのであった。 そんな彼にスポンサーであるサンジェルマンからの依頼が入る。 ~前回までのあらすじ、終わり~ 「だから言ってやった訳よ、お前それでも人間か!ってさあ。」 「アハハハハハハハ!」 「笛吹さんたらもう、何言ってるのよぉ!」 こんにちわ、私立探偵の笛吹丁だ。 只今事務所のお金を使って綺麗なお姉さんが居る店で豪遊中である。 単に遊んでいるだけのように見えるがこれも立派な仕事の一環だ。 「あ、俺用にウイスキーと……この子達にドンペリ適当にお願い。」 「おやおや笛吹さん、今日は飛ばしますねえ。」 「いやぁ、良いことがあったからね。」 「成る程、それは良かった。ところで今日は私立探偵殿に一件依頼をお願いしたい。」 「それは良いんだけどさ、事務所の帳簿ごまかしてる分、後で建て替えておいてね? 飲みに出たのばれると事務所の女性陣が怖いから。」 俺の前で佇むダンディでヨーロピアンな髭紳士はサンジェルマン伯爵という男だ。 彼は世界中の貴重な都市伝説をコレクションしては人間に配布して回るという妙な趣味を持っている。 ちなみに普段は金髪碧眼の優男なのだが今回は自らの力で姿を変えているらしい。 この姿の時はロイド=マスタングと名乗っているそうだ。 「ありがとうございます。 報酬はいつも通り貴方の口座に振り込んでおきましょう。 依頼の内容を話したいので少し女性陣には席を……。」 「えー、やだー! 普段俺もてないんだからー! こういう時くらいは美人の皆様に囲まれる至福の時間を楽しみたいのー! もうちょっとだけ頼むって!」 「はいはい、後で好きなだけ時間取ってあげますから。 それでは皆さん少々…………。」 「くそーぅ!リンちゃんメアド交換してくれー!」 「笛吹さんたらすぐに新入りの女の子に声かけるんだから!」 「またお話聞かせてね笛吹さん!はいこれメアド!」 「あ、抜け駆けしないでよー!」 「じゃあ私もあげちゃうもん!」 「私も笛吹さんと遊びに行きたーい!」 「ロイドさん、今度はお酒も頼んでね!」 ああ、綺麗なお姉さん達が別の席へ……。 まあ興味ないから別に良いのだけどさ。 「…………で、お仕事って何よ?」 「ええ、もうそろそろ朝比奈秀雄が倒されるらしいんですよ。」 「朝比奈秀雄?俺が戦った竜男かい?」 「そうです、偶然貴方が彼に接触したのがラッキーでした。 そのおかげで橙さんの情報網にもかからない“教会”の情報が手に入った。」 「ふぅん、その情報で朝比奈が倒されるって解ったの?」 「いいえ、それとは別です。」 「別なのかよ!」 まったく、困った奴だ。 人に物を話す時は要点をまとめろというものだ。 「私が確認したのは朝比奈秀雄が契約した都市伝説です。 なんと彼は“教会”が封印していた複数の『竜』の都市伝説と契約していたのですよ。」 「そりゃあ俺だって知ってるよ。俺自身が戦ったんだもの。 まあ複数だったのは俺も知らなかったけどさ。」 「今回大事なのは教会が封印していた竜達だということです。」 俺は少し考え込む。 ……ああ、そういうことか。 俺にはサンジェルマンの言いたいことがよくわかった。 教会が封印していたってことはサンジェルマンには手が出せない。 しかし今、朝比奈秀雄が敗北することになれば……。 「朝比奈秀雄の敗北時に朝比奈が手放すであろう竜を俺が確保すれば良いんだな?」 「その通りです。『組織』に籍を置く私の友人によれば、 Dナンバーの黒服が契約を解除させる類の都市伝説を持ち出しているようです。 おそらくそれで竜は朝比奈秀雄の制御を外れます。」 「成る程、そいつぁ素敵だね。誰も知らないところで暗躍する訳か。中々かっくいいな。」 「でしょう?」 「で、お前のにらむその戦闘の日って何時よ?」 「それについては橙さんがすでに予測を出しています。 三日後、ですね。貴方に確保して頂きたい竜は実はすでに決まっています。」 「いつもながら良い仕事だ。完璧な情報有っての完璧な仕事だよ。」 「才能にも相性が有りますからね。 橙さんの能力で前もって情報を得られていれば、貴方の交渉能力や作戦立案能力は何倍にも輝く。」 「ちなみに確保して欲しい竜の種類は?」 「タラスクス、亀です。詳しいことはまた後から教えましょう。 とりあえず今はまだ飲みたいんでしょう?」 「いや、良い。残りは帰ってからだ。ネタバレなんてあまり面白くないだろう?」 俺はサンジェルマンに会計を任せてさっさと家に帰ることにしよう。 こういう店の雰囲気は苦手だし…… 正直言って大人の女性というのは近くに居るだけで嫌なのだ。 「そういえば気になってたんだけどさ。」 「どうしたんですか?」 「朝比奈秀雄って、本当に悪い奴なのか?」 「……どういうことでしょうか?」 「いや、俺が戦った限りでは確かに悪い奴っぽかったけどさ。 なんていうか、違うんだよなあ? あいつが悪い奴ならもっと楽しようと思うはずなんだよ。 あれじゃあまるで、『組織』が憎いみたいじゃないか。」 「私の頭では貴方の話が理解出来ないようです。」 「いや、悪いことするだけなら『組織』を敵に回さなくたって良い。 俺みたいに自分の我が儘で動くんなら仕方がないけどさ。 ―――――――違うかい?」 「まぁ、別に悪いことだけが目的ならばそもそもこの町に来る必要はない。 というのは正しいですね。」 「じゃあ彼は何をしに来たんだろうか?ここで俺は面白い仮説を一つ立てた。」 「聞かせてもらいましょうか…………。」 「あいつは単に家族が欲しいだけなんじゃないかなあ?」 「え?」 「第一に、家族の為じゃなければ人間にあんな非道な真似はできない。 第二に、家族の為じゃなければそもそもこの町にこだわる必要はない。 第三に、家族、乃至大切な人の為じゃなければ大量の竜との契約など無茶な行為は出来ない。 違うかな?」 「それは………………。」 まあ答え合わせはどうでも良い。 思いつくままに話しただけだ。 サンジェルマンに会計を押しつけると俺は綺麗なお姉さんの居る店を出ることにした。 プルルルルルル プルルルルルルル 電話だ。 明日恋路からの物のようだった。 おおかた明日真の身に何かあったのだろう。 と、なると黒服Hも出張ってきたか? 「はい、こちら笛吹探偵事務所。」 「やぁ所長、これから……」 「これからあまり事務所に行けなくなりそうだ。 何故なら組織、というか黒服Hに止められたから。 違うか?」 「正解。なんで解ったの?」 「声の調子で解る、人間心理なんて所詮パターンだ。 心は無限に変化するなんて綺麗事、俺には通用しないぜ。」 「そうですか、じゃあ理由もわかりますね?」 「おう、お前の主が『組織』と対立せざるを得なくなったら俺に電話しろ。 その時は面白い物を貸してやる。」 「え?」 「俺が只のフリーの契約者だと思うなよっつー話だよん。 これから忙しいから切るぜ、じゃあな。」 通話は早々に切った。 組織が今の通話を利用して俺の位置を特定してくる可能性もある。 俺はとりあえず急いで事務所に帰ることにした。 「組織、教会勢力、首塚、朝比奈秀雄、あと呂布、この町は問題を抱えすぎている。 まあ町なんてどこだって問題を抱えているだろうが……。 いくら何でも多すぎる。 何かに誘われているんじゃないか?」 「さぁて、それはどうでしょう?」 「……誰だお前。」 俺の隣をいつの間にか黒服の女が歩いていた。 とりあえず村正で斬りつけてみる。 見事に直撃。 豊かな胸から鮮血を吹き出して彼女はその場に倒れた。 「まあこれ喰らっちゃえば死ぬんだけどさ。」 「ハーメルンの笛吹きから得た悪魔の能力ですか? 一瞬で心臓を抜き取るなんてそんなことされたら “私死んじゃう”じゃないですかぁー。」 むくりと起き上がる。 黒服の少女はあっけらかんと笑っていた。 「誰だお前?」 「私は『組織』の中でも貴方を快く思っていない人間です。」 「こいつは愉快だ、『組織』に俺を快く思っている人間が居るのか?」 「あはっ、良いこと言いますね!」 「俺は良いことしか言わない、そんなの知っているよ。ついでにお前の能力も知っている。」 「それは嘘ですよー。」 「良いのか?嘘だ、なんて言っちゃって。」 正直に言うと当たりはついているが詳しくは知らない。 今解っているのは『言葉』が発動条件。 そして直接攻撃は出来ないということ。 おそらく何かしらの制限をもうけたタイプの都市伝説で言葉を交わさなければ俺を倒せない。 “私死んじゃう”の所だけ微妙に緊張していた所から推理すると 自分が出した言葉を現実に変える能力だろうか? 「嘘なんて、つくもんじゃないだろう? そういう能力の持ち主ならばなおのことだ。 言葉は選んで使わなきゃ、嘘なんてものも意味はない。 虚しいだけだ。」 キョトンとした顔でこちらを見つめる黒服。 恐ろしい物でも見たかのように顔が引きつっている。 馬鹿め、お前の気持ちなんて丸っとするっとお見通しだ。 「さしずめ黒服になる前に近親者を俺に殺されたってところか。」 黒服の顎に手を当てて顔を傍に引き寄せる。 中学生、高校生、少なくとも二十歳を超えているとは思えない。 「いいや、お前が被害者だったのかもしれないな? 覚えがあるぞ、お前の顔には。 そうだ、あのクラブだったかなあ? 俺が殺戮した少女Aだったかもしれないね。」 「さあどうでしょうかー? そもそも私が元・人間の黒服かどうかさえ…………。」 「純粋な黒服に言葉を介して発動する複雑な都市伝説の発動はできない。」 黒服が腰から銃を抜き放つ。 俺は村正でそれを真っ二つにして彼女の腹を割く。 「駄目だな、暴力で俺に勝てる訳がない。」 「それは、“嘘でしょう”。それにその刀じゃもう私は傷つかないですよー。」 次の瞬間、黒服はすごい勢いで俺を組み伏せた。 さっきまでの子供の何処にこんな力が有ったのだろうか? だがこれで推理は徐々に確信に近づく。 あと少しで、完璧にこいつの正体がわかる。 「お前、沢山の黒服と一緒に来ていたりするんじゃないか?」 「へ?何言ってるんですかー? 憎い仇相手なんだから自分でぶっ殺したいじゃないですかー。」 「そうか、このまま俺は殺される訳か?」 「いやいや、ゆっくり苦しんでから死んでもらいますよ。」 解った。 こいつの能力は嘘を現実にする能力ではない。 現実を嘘にする能力だ。 唯の能力に似ているがネタが割れれば対処しやすい能力だ。 黒服の手が首に掛かる。 「お前の能力、自らの言葉を嘘に出来るわけじゃないな。 俺の言葉しか嘘に出来ていない。 さっきから俺の言ったことが次々覆されている。 更に気になるのが今の俺の台詞は覆せるのか? 出来ないはずだ。 俺の言葉の中で俺とお前の間でだけ成り立つような物のみが現実になる。 まだ使いこなしていないみたいだな、それ。」 袖から取り出した小型の拳銃で黒服を撃つ。 小さな身体が道の中央に転がった。 「こんな攻撃で死ぬなんて……、嘘だ!」 少女の傷が一気にふさがる。 どうやら先ほど俺は余計なことを言ってしまったようだ。 まだつかいこなしていない、などと言えばそれを嘘にすれば彼女がレベルアップする。 あくまで俺との戦いの間だけ、しかもそれなりに代償は払ったのだろうが……。 今だけは彼女は嘘に出来る範囲が広がったらしい。 現実を少しばかりいじれるようになったみたいだ。 だが都市伝説の能力の拡張には限界があると考えて良いだろう。 今の彼女は恐らく自分に関わることならば嘘に出来るに違いない。 「本当に、嘘かな?」 「え?」 「俺には解らないな。」 「えっと……」 「それは事実かもしれないんじゃないか?」 曖昧なことは嘘に出来ない。 疑問は嘘に出来ない。 疑問から暗に込められた真意を読み取るのは人間だ、都市伝説じゃない。 こうすれば、都市伝説による無効化は不可能だ。 黒服の動きが止まる。 攻めるなら今だ。 「俺には解らない。 そして君にさえ解らない。 君が言ったことは本当に嘘なのだろうか? 幸いなのか不幸にしてか此処には君と俺以外誰もいない。 それはすなわち君と俺しか今此処で起きたことに真偽の判定が出来る人間は居ないってことだ。 しかしその二人が解らないのだ。 君が怪我しているかは俺たちに解っているんだろうか? 明快じゃないね、まったく訳がわからないように感じられる。 ところでだ、君とは明日真の居たクラブで出会ったらしいが、君はどうやって俺に殺されたんだ? ワラのように?屑のように?塵芥のようにかな? 惨殺か、斬殺か、銃殺か、重殺か。 一度死んだのに、一度殺されたのに、まだ俺とやりあおうだなんてずいぶん頑張り屋サンだ。 おいおい何か話せよ、君の能力はそういうものだろう?」 ジワリと黒服の傷口から血がにじむ。 少しずつ集中力がそがれているようだ。 物事を嘘にし続けるには集中力が必要らしい。 「そして次にお前はこんな弱い自分は嘘だ、と自己否定を始める。」 「こんな弱い自分は……嘘だ! ――――――!?」 「君は俺を倒すには力が足りないと思ったね? ところで俺に見越されていた程度の自己強化で俺にとどめを刺せると思うかい? 君の乱れた集中力で、君の『あぎょうさん』はどこまで保つんだい?」 黒服はジワジワと後ろに引き下がり始める。逃げ出す気だ。 恐らく俺の言った都市伝説は完全に当たりだったのだろう。 「おい、待てよ。」 黙ってこちらに背を向けて逃げ出す黒服。 仕方がない。 「仕方ないなあ……。」 息を大きく吸ってよく通る声で彼女に語りかける。 否、命令する。 「 ひ れ ふ せ 。」 ベタコーン! 彼女はまるでひれ伏すかのように頭を地面にたたきつけた。 「足がもつれた……?」 「驚いただろう?俺の特技だ。 俺は人間の意志を操ることが出来るんだよ。 元々人と会話する能力に長けていたからね、 少し操作系の都市伝説の影響を受けただけでもここまで特技が強化されたんだろうな。」 「そ、そんなの『組織』でも聞いていない!」 「そりゃあそうだろうさ、俺が独自に見つけた技術なんだから。 都市伝説は人間が本来持っている才能を磨き上げる能力があるのさ。」 俺はゆっくりと地面にひれ伏す黒服に近づく。 まるで自分が王者か何かでもあるように。 「顔をあげて良いぞ。」 再び逃げようとする黒服。 同じことをしても無駄だというのに。 「ひ れ ふ せ 。」 ベチコーン! 再び彼女は頭を打ち付けた。 「誰が逃げて良いと言った?」 「ひ、ひぃ……!」 脅えた少女の目。 良いぞ、ゾクゾクする。 「安心しろ、お前は殺さない、これから一晩かけて俺の話を聞いてもらう。」 まだこの年ならばハーメルンの笛吹きの能力も効くだろう。 契約者、特に黒服といえど此処まで心を折られたならもはや俺の操り人形だ。 俺のような操作系もそうだがこの手の事象に直接干渉する都市伝説は高度な集中力を要する。 もう彼女は俺に抵抗できない。 ところで先ほどの「ひれふせ」だが当然嘘である。 さっき組み伏せられた時、彼女の服の裾などにワイヤーを少し仕込んだだけだ。 それを彼女が逃げだそうとした時にひっぱって転ばせただけである。 無論、彼女は自分が操られていると錯覚したようだがそんなことはない。 言葉をかけるだけで相手を操れるなんて化け物の所行だ。 「一晩かけて俺の話を聞けば多分だけど俺を憎むことは出来なくなるだろうな。 安心しろ、退屈はさせないし殺しもしない。 ただ一瞬だけ、俺の下僕になってもらえるように丁寧にハーメルンの笛吹きの能力で後催眠をかけるだけだ。 まず、組織で俺を討伐する場合積極的に志願すること。 次にお前の目の前で俺を殺そうとした奴をお前がその腰の銃で撃つ。 ただそれだけの行動をお前の精神に嫌と言うほど刻み込んでやる。 お前は俺の下僕になるんだよ。 黒服になったんなら俺に関わらずに生きていれば良かったのにな! アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! フフフハハハハハハハハハハハハ!」 さて、これで少し娯楽が増えそうだ。 ドラゴン退治の前に少しばかり楽しいおもちゃが出来た。 自我を失うまで調教してやることにしよう。 【上田明也の探偵倶楽部22~宴の準備~fin】
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1943.html
同族殺しの口裂け女 01 私は、口裂け女。 日本でならトップレベルの、著名な都市伝説。 ……なのに、何故私はやられ役なのだろう。 100mを3秒で走る俊足。服に忍ばせた無数の凶器。それを扱う剛力。 そこに名をよく知られた事による補正がかかり、私の力はどう考えても最強の部類に入るはずなのに。 そこで、私は考えてみた。 雑魚キャラの条件とは、何か? やられ役の条件とは、何か? 考えて、考えて、考えて―――― ――――一つの結論に、達した。 「ねぇ……私、綺麗?」 だから私は、今日も狩り続ける。 私が、やられ役で無くなる為に。 どんどん、どんどん、殺していく。 「ふふ……同じ顔でこんな事を聞くのも、変よね」 雑魚が雑魚たる由縁は、数が多いせい。 私がやられ役なのは、数が多いせい。 つまり、私が「私」を倒し続れば、きっと……。 「『私』のために死んでね……口裂け女さん」 今日も私は、狩り続ける。 本当の私を、手に入れる為に。 【終】 表紙に戻る 次ページ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4575.html
ゲーム王国編 第四話 【逝存競争】 「さて、今日はこんなところで勘弁してやっか」 「……ありがとうございまし、た……」 「だらしないぞ」 「んなこと言われたって仕方ないだろ。こっちだって逃げるのに必死なんだよ」 至村さんに都市伝説の説明を受けた翌日は都市伝説の能力の判別方法を教えてもらった。 その翌日は都市伝説や契約者との戦い方における注意点を。 さらにその翌日は契約していない非能力者との戦い方を。 そして今日は――実戦。 その辺に落ちていた棒切れを手渡され、ひたすら打ち込まれた。 体中血だらけ痣だらけになったが、至村さんに首筋を叩かれると不思議と痛みも痣も消えた。 「素質も無けりゃも才能も無い。後は鍛錬次第だな」 「どれだけやればいいの?」 「そいつは決まってるだろ、どれだけもこれだけもねえよ。――そうさな、都市伝説と関わらずに過ごしたいなら脚力を鍛えて逃げまくるしかないだろうな」 「そんなあ……そうだ、引きこもるってのは?」 「家の中も危険だけどな。『隙間女』や『ベッドの下の男』、ネットをやってりゃ『赤い部屋』なんてのもいるし。部屋の中で逃げ切れるか?」 「うう……」 「いつも通り生活して危ないのには関わらないってのが上策だろうな」 「逃げる前提の話か」 「あったりまえだろ! 怖いもん! 超怖いもん!」 「都市伝説と都市伝説は惹かれ合うって言ってな。これから先都市伝説に関わらず生活するなんてのは無理な話だぞ」 「マジで?」 「超マジ。『人面犬』、お前さんもここで野良やってたんなら聞いたことくらいあるだろ?」 「ああ。一説によるとこの町が契約している都市伝説って話もあるな」 「ちなみに契約解除して都市伝説の記憶もなくなった人間が再度都市伝説と関わる確率は六割だそうだ。この数字を多いと感じるか少ないと感じるかはお前さん次第だ」 「それは信用できる話なの?」 「さあな、うちのリーダーが言ってた」 「リーダー? そう言えば〈ゲーム王国〉とやらを造ると前に言っていたな」 「俺らのリーダーさ。昔〈組織〉とやりあったらしくてな。その時に聞いた話らしい」 「……〈組織〉とやりあっただと?」 至村さんの言葉に『人面犬』が眉を顰める。 見た目おっさんなのに犬って良く考えればシュールだよなあ。 いつの間にか慣れてしまった自分にもビックリだ。 今でこそ慣れたけど、都市伝説が実在して知らないところで戦ってるって話は眉唾もんだ。もしかしたら同じ工業高校の奴の中にも契約者がいたりして。……流石にそんなことになってたら契約者のバーゲーンセールになっちゃうか。 でもなあ、都市伝説がこんなにメジャーだったとは知らなかった。もしかして妖怪とかも都市伝説の括りに入ってんじゃないの? んなわけないよなあ……いや待て、そう言えば前に『人面犬』がそれっぽい話しをしていたような。 つーか、『人面犬』と契約してまだ六日目だってのにいつの間にか馴染んじゃってるのはどうなんだろう。 「ちょうど良く北海道に転勤になったから〈組織〉の眼を逃れたって聞いたな」 「そいつは運のいい話だな。連中に一度目をつけられたら逃げることはまず難しい」 「〈組織〉と何かあったのか?」 「……昔、少しな」 どうでもいいことを考えていると話は進んでしまっていたらしい。 なんだかシリアスな雰囲気を醸し出してる『人面犬』を意外そうに見る至村さん。 至村さんも謎が多いけどそれ以上に『人面犬』も謎が多い。 謎というか存在自体が不思議世界の住人だけど。 「おい」 「ん?」 「前にてめえを襲った黒服――〈組織〉には関わるなよ」 ◆ □ ◆ □ ◆ 「いつかは関わるとは思ってたけどこんなに早くなるとはね」 「戯けたことを」 A-№103が飛ばす苦無を避けながら錨野が笑う。 雨霰の如く彼らに降りかかる苦無の数、およそ五十。 錨野同様に高城も避け、残りのふたりはその場から動かない。 「――イリアス」 「出番だよ、シルビア!」 嘉藤の背後から現れた鋼鉄の剣を握る優男が、いつの間にか中元の隣に立っていた妙齢の美女が、飛んできた苦無を全て弾き落とす。 「こやつらは敵か?」 「ああ。ぶっ殺してかまわねえぜ、イリアス」 「楽しませてもらおう。いつぞやの黒服のようにすぐに死んでくれるなよ?」 「どうせ『NINJA』あたりだろうが、そんなことはどうでもいい。遠慮も容赦もしなくていいと言われてるんだ。その通りやらせてもらうぜ」 イリアスと呼ばれた男がA-№103へと白刃を振り下ろした瞬間、四人の黒服の中で一番大柄なA-№102が間に割って入る。 白刃を防いだのは成人男性の身長ほどもある大太刀。 「我の剣を防ぐか」 「太郎太刀に防げぬものは無い」 イリアスの鋼鉄の剣を防いだA-№102が笑う。 大太刀の長さをものともせずに振り払い、イリアスとの距離を取る。 その隙にすでにA-№103は後方へと退避を終えている。 「太郎太刀……? 真柄直澄、いや、真柄直隆か?」 「ほお、私を知る者がいるとはな」 「同一人物説か!」 「如何にも。『真柄直隆・真柄直澄同一人物説』。私は真柄直隆でもあり真柄直澄でもある。――さて、イリアスとやら、貴殿はどんな都市伝説だ?」 イリアスから視線を逸らさずにA-№102――朝倉義景が家臣、たったひとりの真柄兄弟は口元に笑みを浮かべる。 袈裟懸けに襲いかかる巨大な太刀の軌道を力任せに剣で逸らし、口から吐き出すは灼熱の炎。 炎に包まれんとするA-№102を救ったのは突如巻き起こった一陣の風。 A-№104の起こした風はA-№102を救うのみならず、鋭利な風の刃となりシルビアと中元を襲う。 シルビアは動じる様子無く、緩慢な動きで上下に開いた両の掌底を風の刃に当て、くるりと時計回りに一回転。 たったそれだけの動きなのに風の刃は霧散した。 中国拳法がひとつ、太極拳の動きである。 中元はその様子を横目で見つつ、忍者刀を持つA-№103に向かう。 逆にシルビアに見向きもせずに走り出したのは嘉藤だ。 狙いはひとつ――動く様子のないA-№109。 「イリアス、武器を貸せ!」 嘉藤の言葉に呼応するかのように嘉藤の足元から赤い刀身の剣が出現した。 走る勢いを殺さず剣を引き抜き、A-№109へと殺到する。 A-№109も落ち着いた様子で懐から玩具のような銃――黒服の標準装備のひとつである光線銃を取り出し乱射する。 右へ左へ避け、一閃。 A-№109の体は両断される――はずであった。 「大体わかりました」 傷ひとつないそのままの姿で静かに告げるA-№109。 「イリアスとシルビアどちらもゲーム系の都市伝説です」 「ゲーム系?」 イリアスの乱撃を大太刀ひとつで振り切ったA-№102が問う。 「一度本部に戻りデータベースで照合する必要がありますが恐らくはガセネタとして扱われていた都市伝説です」 「江良井卓と同種か」 江良井卓の契約している都市伝説『×ターン以内に斃せばエスタークが仲間になる』はゲーム発売後に子供達の間で広まったガセネタである。 能力はその名前通り、エスタークの召喚。 江良井卓との同種。――ゲームのキャラであるイリアスとシルビアの召喚。 「ネタが割れてもどうでもいい」 「バレたからって困ることじゃないしね」 A-№109の指摘に驚く様子も見せず、嘉藤と中元が並ぶ。 その横には契約した都市伝説のイリアスとシルビア。 「俺の契約都市伝説は『ドラクエ8のラスボスは主人公の兄イリアス』」 「こっちは『スパルタンXを24周クリアするとシルビアが襲ってくる』って都市伝説さ」 「能力はイリアスの召喚とシルビアの召喚。それがバレたからといって何ら不都合は無い」 どちらも能力ありきの都市伝説ならば己の契約する都市伝説が割れてしまうと戦闘が不利になるだろう。 だが、どちらの能力もゲームキャラの召喚。 江良井の能力と同じく、戦闘に不利はない。 「そっちは『同一人物説』と『NINJA』がふたり。君は『ラプラスの魔』や『アカシックレコード』ではなさそうだけど検索や知覚に特化した都市伝説っぽいね」 「否」 A-№104の体が闇の中に消える。 同時にA-№103が流水のような動きで中元に迫る。 「遅い!」 A-№104の姿が消失した辺りより左側に剣を突き立てるイリアス。 どこからか聞こえてきた鈍い金属音は剣を防いだ音だろう。 「闇に属する我に闇の攻撃が通じると思うな」 「中国四千年の歴史に流れ水くらいじゃあ勝てると思わないでほしいな」 同じく、左手で忍者刀を防いだ中元。 愉快そうに、子供のように錨野が笑う。 「〈ゲーム王国〉が建国したら王国内に〈日光江戸村〉を造ろう。どうだい、君達も〈組織〉なんか辞めて僕らの仲間にならないか?」 そうすることが当たり前のことのように、勧誘の手を差し伸べる。 嘉藤も、高城も、中元もこの勧誘に手を握り返した。 ある時は喧騒賑わう喫茶店で。 ある時は誰もいない夜道で。 またある時は血に塗れた一室で。 手を握り返さなかったのは江良井卓――ただひとりだけ。 不思議な男だとA-№102は考える。 彼は元人間ではなく都市伝説そのものだ。 彼らA-№100からA-№110までは、A-№100を頭とし、独自に動いている集団だ。 その誰もが元人間ではなく都市伝説そのもの。 『真柄直隆・真柄直澄同一人物説』であるA-№102はもとより、A-№103は『忍者服部半蔵』、A-№104は『忍者猿飛佐助』。 それぞれ元は別のナンバーに所属していたがA-№100が引き抜いてきた。 だからといって忠誠心がないかと言われると答えは否である。 彼らがA-№100に引き抜かれた最大の理由、それはA-№0への絶対の忠誠にある。 まだ誰も顔を見たことがないと言われる〈組織〉のトップであるA-№0――全てはA-№0のために。 総ての都市伝説を〈組織〉の管理下に。 総ての契約者を〈組織〉の力に。 総てを〈組織〉に。 全てはA-№0のためだけに。 非人道的な人体実験も人道的な支援も〈組織〉のために行なう。 A-№0の考えではなく、A-№0のために尽くす。それが全て。 無私。 A-№0のためなら彼らは何も持たない。 主義も主張も時間も空間も。己の姓名も他の生命も。 もしも彼らを分類するなら過激派よりも狂信派と呼ぶに相応しい。 その彼らに対し、仲間になれなどという勧誘。 今まで敵対してきた者達の中にも勧誘してきた者はいた。 命乞いのひとつとして、断わられるであろうことを予想しての勧誘だった。 だが、眼前に立つこの男は。 本気で言っている。 仲間にならないかと。 だが――A-№102の答えはひとつ。 今までの誰にも返した答えを。 「否」 この一言を口にする。 「そうか……残念だよ」 首を振りながら溜息を吐くと、彼らを見据える。 先刻までの愉快そうな笑みは無い。その眼はどこまでも冷酷に、残酷に。 「みんな」 一言一言を静かに。 「彼らを」 告げる。 「殺せ」 イリアスの右手に業火の塊が浮かぶ。 「メラ――ガイアー!」 A-№102へと振り下ろすと同時に立ち昇る狂炎の柱。 先刻と同じくA-№104から起こる突風を防いだのはシルビアの回す両の掌。 突風はきれいな太極図を描き、掻き消えた。 A-№103の手から放たれた苦無をイオで回避し、そのままA-№103へと殺到。 身を躱すべく足に力を入れた瞬間、中元の拳が膝をありえぬ方向へと折る。 そのまま左腕を絡め取り、横へ。 体制を崩したA-№103の右手を槍を手にした嘉藤が貫き、地面に縫いつける。 「まずは一殺」 バイキルトで強化されたイリアスの豪腕がA-№103の身体を――喰らう。 「次はどいつだ?」 地面から引き抜いた槍をそのままA-№103の額に突き刺して動かぬことを確認した嘉藤がA-№102を睨む。 睨まれた当人は眉ひとつ動かさずにまだ手にしていた光線銃を構えて撃ちだす。 「次はてめえか――!」 嘉藤が動くよりも走り出したA-№102。 巨大な刀を二刀――太郎太刀と次郎太刀。 重量をものともせず二刀を構え、そのままイリアスへと斬りかかる。 一刀は防いだが、もう一刀はイリアスの肩を割った。 「グッ……」 思わずイリアスが落とした剣を拾い上げたのは中元。苦し紛れに吐いたイリアスの炎をその剣に纏わせて逆袈裟に一閃。 闇の中から現れたA-№104がその身に棒手裏剣を連射する。 棒手裏剣を受けて威力を失った燃える剣は難なく弾かれ、飛び込んでいったシルビアの行く手を防ぐべく太郎太刀が迫る。 分身の術により嘉藤も行く手を遮られるも、イリアスは左肩を押さえてどうにか距離を取る。 「〈ゲーム王国〉建国者のあなたは動かないのですか?」 「んー、きみが動かないからね。きみ達も聞いての通り、高城くんは今回大事な任務があるから動けない。彼らはあの三人を相手してるし、もしきみが動いたらきみの相手をするのはこの僕ってワケさ」 「あなたが動かないのなら好都合です」 「そんなことよりいいの? きみのお仲間は殺られちゃったよ」 「そうですね」 顔色ひとつ変えず、A-№109はA-№102に呼びかける。 撤退です――と。 「ここいらが潮時か。――退くぞ」 「御意」 「逃げられると思ってるのかよ!」 「無論」 懐から取り出したのは記憶消去装置。 一般人相手にならばその名の通り記憶を消す。 都市伝説、契約者相手には意味をなさないそれを躊躇わず作動。 赤光は目眩ましとなり、彼ら〈ゲーム王国〉の面々の網膜を焼く。 視力が戻ってきた彼らが見たものは地面に突き刺さる苦無と棒手裏剣。そして戦闘の跡を色濃く残す血溜りであった。 「うーん、実に鮮やかな撤退だね」 ◆ □ ◆ □ ◆ 戦闘が行なわれていたのと同刻。 〈ゲーム王国〉建国のメンバーである新居忠は公園にいた。 場所は四日前に高城が江良井と黒服を閉じ込めた場所である。 彼が戦闘に参加しなかった理由――幽閉した異界出入口の監視。 一度能力が発動してしまえば高城には『アメリカ村』で何が起きているかを知ることはできない。せいぜいが出入口が開いたか閉じたかがわかる程度だ。 自らの意思で出入口の開閉は可能だが、開けた場合に江良井が生きていたら出てくる可能性がある。 高城は現実世界の一日が『アメリカ村』内で三年過ぎるように設定した。 幽閉されてから四日。単純に十二年の時を江良井は過ごしていることになる。 都市伝説も封じられ、十二年の月日を異界で過ごせるとは思えないが、万が一ということもある。 江良井卓と相対した者ならば感じる不安――生きて戻るという可能性を完全に否定できない。 とはいえ、すでに四日。 見えぬ異界に何ら変化はない。 ――所詮は杞憂に過ぎないか。 異変が起きたのはそう考えた時である。 空気が――震えた。 どこからか聞こえる何かを叩く音。 頬を振動する空気が叩く。 「まずい!」 そう叫ぶと同時――宙が割れた。 紙を破いたような亀裂。 この世界と異界との裂け目。 「ここは……あの公園か?」 江良井卓が十二年の時を越え、四日振りに学校町の地を踏みしめた。 「ど……どうやって……」 信じられぬものを見た眼で新井が震える。 「あそこに行った時に初めて見たポケモンがホウオウで助かった」 「どういう……」 「『アメリカ村』か『アジア村』か知らんが、あれはレアなポケモンが出てくるという都市伝説――ガセネタだ。ホウオウが飛び立つのを見た俺は、ここなら空間を破る力を持つポケモンがいると踏んだ。お前の年齢ならポケモンは子供のゲームとしか認識していないだろうな。パルキアと呼ばれるポケモンの名を聞いたことはないか? そいつが持つわざ、あくうせつだん――亜空切断。空間を切り裂く技だ。異空間を斬り裂くくらいは容易なことだろう?」 「だが、そう簡単に……」 「時間はかかったがな。見つけてしまえば後は捕らえるだけ。理には適っているはずだ」 あるモンスターが老教授のメガネケースの中に入り込んだことから、衰弱時に縮小して狭いところに隠れるという本能が発見された。そこから試行錯誤の上製作されたのがモンスターボール。また、地方によってはぼんぐりという木の実で捕獲していたこともあり、ぼんぐりをボールに加工する職人も存在する――というのがゲームの設定である。 ゲームの中に入り込んだ江良井は、ゲームの設定に則ってモンスターと徒手空拳で戦い、捕らえることに成功した。 そこから先は異界を切り裂くモンスターを探すだけである。 江良井にとって幸いだったのが高城の都市伝説が子供達の間で伝えられた通りだったことだ。 レアなモンスターが出てくる――子供達の間では何匹までという制限は無い。 伝説と呼ばれるゲーム上では一体しか手に入らないレアなモンスター。それらが一体ではなく数体存在していた。 パルキア以外の伝説クラスのモンスターとも数え切れないほど遭遇している。 正式なモンスターボールを有していない江良井は自生している木の実を加工し、簡易的なボールを作成。数え切れないほどの失敗を繰り返した上、ようやく目的のモンスターの捕獲に成功した。 「捕獲後に行なったことは空間の境界がどこかを見極めることだった。あの世界は延々と広い空間のように見せかけているだけで、ある一点でループしている。もっとも、気がつけたのは偶然だがな」 「だからといって……そんなことできるはずがない!」 「時間は無限にあった。戦うための力を得ることすらもな」 「……力を得る?」 「あれはポケモン同士を戦わせて経験値を得て強くするゲームでもある。何も捕らえるだけがゲームの楽しみだけじゃないということだ。次から次に出てくる仕様のせいで実戦には事欠かなかった。お蔭様で多種多様の敵への攻略法も編み出すことができた」 十二年であり、四日間の時は江良井を強くするための時間となった。 逆境を糧に。 言葉にするのは簡単だが生半可な精神力でできることではない。 「説明はこれで終わりだ。次は俺が質問させてもらおうか。見たところ俺が閉じ込められてからそう時間は経っていないようだが、今は何年の何月何日だ?」 「……今は平成二十三年の――」 問いに答える新居だが、ふと違和感を抱いた。 江良井が過ごした時は年数にして十二年。四日前、彼は三十代だったはずだ。高城の設定通りなら目の前に立つ江良井は少なくとも四十代でなければおかしい。 それなのに、今いる江良井はどう見ても四十代には見えない。 それどころか以前一度だけだが見た時よりも若々しく、まるで二十代のような精悍さではないか。 「その若さは一体……?」 新居は知らない。 一千年に一度目覚め、三つの願いを叶えるモンスターがいることを。 高城の空間を破る直前に江良井が叶えてもらった願い――亜空切断に異界を破る力を与えること、今の記憶をそのままに二十年前の肉体に戻すこと、捕らえたモンスター全てを逃がすこと。 かくして願いは叶えられ、江良井は無事に戻った。 十二年の記憶と技術をそのままに、江良井が二十代の頃の肉体を取り戻して。 「説明は終わりと言ったはずだ。俺からの最後の質問をさせてもらう――お前は敵か?」 諦めたような笑みを口元に浮かべ、問いに応えるように新居は静かに構えた。 江良井への敵対を禁じていた錨野に侘びることはできないだろうとの覚悟を決めて。 続 前ページ次ページ連載 - 葬儀屋と地獄の帝王