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春だ!プールだ!貸切だぁー! 高校生生活最後の1年を控えた春休み。 みゆきさんの紹介で私達4人は普通だったらまず行く事がない様な 超高級スポーツクラブのプールに泳ぎにきてた。 「いやぁ~半年振りに泳げると思うと最高にテンションがあがってくるよね~」 「普通の安い温水プールとかでも実際に行く機会ってあまりないものね」 「夏でもないのに泳ぐのって何だか不思議~」 「しかも凄く広い高級プールですじょ!みゆきさん、誘ってくれてGJ!」 「そう言って頂けるとお誘いしたかいがありました」 そう、ここって入会金だけで100万とか200万かかる様な 普通は高校生なんかじゃまず来れない様なプールだったりするんだよ。 みゆきさんの家のコネで今回だけ無料パスに出来たんだって。 お金持ち恐るべし! 「泉さん先に行ってますね」 「あんたも早くきなさいよねー」 おっと、荷物の整理に手間取ってるうちにみんな先に行ってしまったよ。 まあ、慌てる事もないか。 私はのんびりと整理を済ませてロッカーに鍵をかけるとその場で軽く準備体操をして 5~10分遅れ位でみんなのいるプールに向かった。 …広っ!! 公式試合とかで使うような本格的なプールは、学校とかのプールの倍の幅があるのは知ってたけど 実際に見てみると全然違うものですな… うぬぬ、さすが高級スポーツクラブのプール、恐るべし… 「ちょっとこなたーー!あんたまたスクール水着なのーー!?」 早速みゆきさんと50M勝負して一緒に向こう側にいるかがみが 大声で突っ込みを入れてくる。 ちなみにつかさは手前の方でプカプカ浮いてる。 「いいじゃんいいじゃ~ん!ステータスステータスーー!」 今の時間他に泳いでる人はいなくて 監視員さんもここのプールでは定期的に見回りに来るだけみたいだから 今このプールは完全に私達4人だけのプライベートプールになってる。 そう思うとなんだが凄くウキウキしてきて私は思いっきりプールにダイブした。 ザパァーン! 全身に水の感触を感じて一瞬冷たかったけど数秒ですぐ慣れる。 水中で目を開けると半年振りに見る、やや青っぽくも透き通った世界が広がってて なんだか嬉しくなった私はそのまま水中をデタラメな方向に泳ぎ出した。 プールの底を息継ぎ無しの全力全開で息切れするまでとばして ノリノリだった私は多少苦しくなってきても水面に顔を出そうとはしなかった。 空気なら立ち上がるだけで吸えるんだから慌てる必要なんて全然ないからね。 そう思って調子に乗った私は更に結構な距離を泳いだんだけど… うぐっ!もうダメ、さすがに限界! 苦しさがかなり本格的な物になってきて、その時になって初めて プールの底に足を着けて立ち上がった。 頭のてっぺんが水面から出るのを感じながらもうひと背伸びして 「プハァ!」って大きく深呼吸して久しぶりの空気を存分に味わう…はずだった。 「ボゴォッ!!」 だけど実際に私の口から出た音はそれとはかけ離れた物だった。 な、何!? 顔が水面に届かないよ! ここのプールは思ったより深くて私の身長じゃおでこのあたりまでしか水面から出ない。 いつもの私だったらまた泳いで息継ぎするかピョンピョン跳ねて顔が出た所で息を吸うかして 簡単に難を逃れられるんだろうけど 既に息切れ寸前のかなり苦しい状態だったのにこの完全な不意打ちをモロに喰らってしまって 思いっきり水中で呼吸をしてかなりの水を飲んでしまった上に 驚いて足を滑らせてたせいで水面が一気に遠ざかってしまったせいで 最悪な事に私の頭の中は完全にパニックになってしまってた。 バシャバシャ 「ガボッ!!…ブクブク…ウグッ、ゴボボ…」 バシャバシャバシャバシャ! 自分の意思とは関係なく肺が新鮮な空気を求めて呼吸の動作をして、 更に水を飲んでしまって苦しさが増す。 ああ…目の前が真っ白になって今自分が水の中でどんな状態かも分からなくなってきた… 私このまま溺れ死ぬのかな… とうとう手先の力までが抜けていく感じがして来て、私の頭の中ではうっすらと走馬灯が浮かび始めていた。 …だけどその直後、救いは唐突に訪れた。 「こなちゃん!!!」 ザパァッ 誰かが私の体に両手を回して水面の上まで抱き上げてくれたからだ。 「ゲホ、ゲホゲホ…ゴホ……」 助けられた直後は息を整えるのに必死で周りを見渡す余裕がなくて 誰が助けてくれてるのかも確認出来なかった。 しばらくしてやっと落ち着いた私は改めて今自分を抱っこしてくれてる人を見てみると… 「こなちゃん!!大丈夫!!?」 「つ…つかさ……」 つかさが心配そうに私の顔を覗き込んでた。 「こなちゃん…無事みたいだね…良かった…」 私の持ち直した様子に気が緩んだのか、つかさは涙を滲ませながら抱きしめる力をぎゅっと強める。 「はぁ…はぁ……い…今のは…死んじゃうかと思った…つかさ……ありがとう…」 「こなた!」 「泉さん!」 そこへ遠くにいたかがみとみゆきさんもかけ寄って来る。 「こなたのバカ!!深さを確認しないでいきなり飛び込むからよ! たまたまそばにつかさがいたから良かったけどそうじゃなかったら今頃大変な事に…」 「いいえかがみさん、私のせいです。私が泉さんの事を考慮しきれず こういう所にお連れしてしまったのが失敗でした…本当に申し訳ありません!」 「ち、ちがうよ!みゆきさんのせいじゃないよ!…悪いのはわた…ゴホ!、ゴホゴホ!!」 思わず声を荒げてしまったらむせてしまって、上手くしゃべれないのが凄くもどかしい。 なんでみゆきさんが謝らないといけないのさ…みゆきさんは全然悪くないのに… 「…みんな、とりあえず一旦上がろ…まずはこなちゃんを休ませないと…」 ちょっとした言い合いになりかけた所でつかさがみんなにそう言って 私をしっかりと抱きかかえたまま端っこに設置されてる階段まで歩き出した。 「っと、そうね。こんな所で言い合ってる場合じゃ無かったわ…」 「あ…私とした事がまた… すいません!」 かがみとみゆきさんも心配そうにしながら後ろから付いてきて、 プールから上がったらそこから肩を貸してもらって適当な所で4人で腰を下ろした。 その時になって一度監視員さんが定期見回りに着たけど事情を知らない人が遠くから見る分には ただプールサイドで休んでるだけにしか見えるから、誰も泳いでないのを一目見ると すぐに引き上げていった。 …なんだか緊張が解けてきたら 改めて命の危険に晒された恐怖が蘇ってきて体が震えてしまったけど つかさが無言で後ろから優しくギュって抱きしめてくれてたおかげで すぐに収まってくれた。 落ち着いた私は他の二人の様子を見てみたけど かがみはまだ少し怒ってるみたいだった。 そうだよね…怒ってあたりまえだよね… みゆきさんは明らかに招待した自分のせいだと思い込んでて落ち込んでる。 やめてよみゆきさん…悪いのは私なのに…見ている方が辛いよ… 『……………』 …みんな無言の気まずい雰囲気の中放心してると 不意に私の肩に水滴がポタッって落ちてきた。 不思議の思って後ろを振り返ってみると… …つかさが涙をボロボロと流していた。 「うぅっ…ひっく…えぐっ…」 「…つかさ?」 「あ…ごめんねこなちゃん・・」 そう言って顔をぬぐうけど、すぐにまた新しい涙が流れ落ちてきて顔をクシャクシャにする。 「ちょ、ちょっとつかさ、いきなり何泣いてるのよ!?そんなにさっきの事が怖かったの?」 「ううん、お姉ちゃん…それもあるけど…このままじゃこなちゃんとゆきちゃんが 可愛そうすぎるよ…ひぐぅ…ぐすっ…」 つかさはシャックリを上げながら私の頭を撫でてくる。 「つかささん…?」 みゆきさんは何で私も?っていう不思議そうな表情でつかさを見てる。 「こなちゃんは今日のプールを一番楽しみにしていたのにあんなに苦しい思いをしてしまって…ぐすっ… ゆきちゃんはそれが自分のせいだと思い込んで自分を責めてしまうなんて… そんなの二人とも可哀想だよ…えぐっ…ひっく… ごめんね…泣くのは私じゃないのに…っく…っぅ…ひっく」 つかさはそこまで言うとすぐ隣にいたみゆきさんにそっと手を伸ばして自分の方に寄せると 私と一緒に優しく抱きしめて後はひたすら嗚咽を漏らしていた。 …つかさ…… 高校に入って一番最初に出来た友達… そして今まで生きてきた中で初めて出会った最高の親友… 誰かの為にここまで泣いてくれる心優しい友達なんて中学以前にいただろうか…? ああ…私はみゆきさんにだけじゃなくてそんなつかさにまで悲しい思いをさせてしまったんだ… 「つかさ…ごめんね……っく…ひぐぅっ…」 つかさの優しさが嬉しくて、つかさ達を悲しませてしまったのが悔しくて、 気づいたら私も涙を溢れ出ていた。 「つかささん・・私・・すいません…うぅっ…ぐすっ」 みゆきさんも肩を震わせながらつかさの肩に顔をうずめて声を殺して泣いている。 「…みゆきさんは何にも悪くないんだよ?…悪いのははしゃぎ過ぎて気をつけなかった私だから… 気にしなくていいんだよ…」 「それでも…申し訳ありませんでした…」 「だから二人とも自分を責めないでよ…見ていて可哀想だよ…えぐっ…」 私達3人はそれぞれを抱きしめ合ってお互い謝り合ったり慰め合ったりしながら ひたすら涙を流した。 「こ、こら、3人ともあんまり泣くな!…なんだか私がまで泣けてくるじゃないのよ…」 しばらくすると、さすがに見かねたかがみがロッカーからハンカチとティッシュを持って来て 私達一人一人の鼻にティッシュを押し当ててハンカチで目元を拭いてくれる。 「ほら、次はこなたの番よ、顔を上げて、はい、ちーん」 「ごめんねかがみ…まだ怒ってる…?」 「…ちゃんと反省してるみたいだしもう怒ってないわよ」 そのからしばらく経ってからやっと、私たち3人はかがみの介抱のおかげで落ち着くことが出来た。 「お姉ちゃんありがとう…ぐすっ」 「かがみさん…お手数をおかけします…」 「全く…みんな世話が焼けるんだから…」 かがみ…そう言ってるけど自分も少し涙ぐんでない? 「えへへ…4人みんなで泣いちゃったね」 「はい…そうですね」 あ、つかさとみゆきさんも気づいてるみたい。 「ちょっ!わ、私は泣いてなんかいないわよ!」 そう言って慌てて目元を拭うかがみん萌え♪ 「かがみだけズルいよ~、かがみも涙目になるだけじゃなくて思いっきり泣いちゃおうよぉ~」 「へ、変な事言うなぁ!って言うか涙目になんかなってないわよ!」 『…っぷ…あはははははっ!』 何だか一人意地を張るかがみが面白くて私達3人は声を上げて笑った。 つかさとみゆきさんに笑顔が戻ったみたいだね…よかったぁ 「…っていうかあんた達ぃ~ちょっとお互いの顔見てみなさいよぉ♪ たった今までわんわん泣いてたのに笑っちゃってるせいで みんなかなり変な顔になってるわよぉ。おっかしぃ~、あはははっ」 「うわっ、本当だ、みゆきさん変な顔~」 「泉さんこそ、小さい子供みたいです」 「今3人で睨めっこしたらきっとみんな1秒ももたないよね~」 今までみんなで泣いちゃったのに今度は笑い合ってるのも何だか可笑しくて みんなで笑い止もうとがんばってる内に さっきまでの悲しい雰囲気はいつの間にかどこかに飛んでいってしまったみたいだった。 「それにしてもつかさは命の恩人だよ…本当にありがとうね」 しばらくしてやっと落ち着いた所で改めてつかさにお礼を言う。 「そ、そんな…私はただ夢中で…」 「溺れてる私をさっそうとお姫様抱っこして救い出すつかさは凄く格好よかったよ~」 「こ、こなちゃん、恥ずかしいよぉ…」 水中だったからとはいえ私をあっさりとお姫様抱っこしてから プールの外まで運んでくれた頼もしいつかさと 今の真っ赤になってモジモジしてる可愛いつかさとの 落差がなんだか面白い。 「・・・よし!」 私は気をとりなおすと勢いよく立ち上がった。 「みんな、私はもう十分休んだし大丈夫。せっかく来たんだし今度こそ泳ごう!」 「ちょ、ちょっとこなた!あんたさっきどうなったか忘れたの!?少しは危機感持ちなさいよ!」 「浮き輪とかも無いのに危ないよぉ~!」 「大丈夫だよ。今度は深さの事も知ってるし、それにもう無茶なことはしないから」 「こなちゃん・・」 「泉さん・・」 みんな大分元気が出てきたみたいけど それでもこのままだとせっかくみゆきさんが誘ってくれたプールが みんなの中で苦い思い出として残ってしまいそうなのが嫌だった。 「ほらほら!みんな行くよ!」 困惑するみんなをよそに私は一人プールに向かって歩き出してみると 慌ててみんな後ろからついて来る。 あれ?何か3人でヒソヒソと喋ってるみたい。 少し気になったから何となく耳を傾けてみると… 「とりあえずこなたがさっきみたいな事にならない様に交代で誰かがそばについててあげましょう」 「うん、こなちゃんにはこのプールはちょっと危ないもんね」 「それじゃあ最初は私がついていますね」 …なんていう会話が聞こえてくる。 そしてプールの階段を半分位降りた所で早速… 「泉さん、ちょっと失礼しますね」 「う、うわわっ! ちょっとみゆきさん」 後ろからみゆきさんに抱き上げられてしまった。 「こなた、悪いけど今日はあんた一人では泳がせないわよ。 おとなしく私達にまかせときなさいね」 「…う、うん…」 みんな過保護だなぁ~。 でもまあ、さっきみたいな事があっただけに少し怖い気持ちもあるし ここは素直にみんなのお世話になろうかな。 私はそう思いながら再び、今度はみんなと一緒に水色に透き通った世界へと 舞い降りていった。 「いやぁ~泳いだ泳いだ。やっぱり久しぶりに泳ぐと気持ちいいいよね~」 「私は泳ぎすぎちゃってもうヘトヘトだよ~」 あれから数時間後、トラブルも無く思う存分泳ぎまくった私達は心地よい疲れを感じながら 日の傾き始めた商店街を歩いていた。 「みゆき、今日は本当に楽しかったわ。誘ってくれてありがとね」 「いいえ、みなさんに楽しんでもらえて何よりです」 うんうん、みゆきさんもすっかり元気を取り戻したみたいだね。良かった~ 「それにしてもこなちゃんがまた溺れたりしないで本当に良かったよー」 「私達がしっかり抱っこしてあげてたからね~♪」 「うぅ…正直助かってただけに何もいえない…」 あの後私がプールの中にいる時は常に誰か一人保護者が付いてた。 3人ともちょっと泳ぐのやめただけですぐ抱き上げてくるの。 まあ、一人だったら浮き輪とか無いし息継ぎする為に ずっと体を動かしてないといけないから 誰かに抱かれてるとゆっくり休めるのはかなり助かってたんだけどね。 だけど50M勝負とかしてる時以外で みんなからある程度離れて一人になったりしたら、別に平気なのに 3人とも協力し合いながら凄い勢いで私に向かって泳いできて 1番乗りの人に抱き上げられたりしてたのはちょっと照れくさかった。 「こなちゃん捕まえた♪」とか言われながらね。 深さの事はもう知ってたしちゃんと気をつけてたから問題なかったんだけど 最初が最初だったし無理も無いか。 それにね、さすがにあの出来事でちょっとトラウマになりかけてて怖い気持ちもあったけど 何かあったらすぐに私を助けてくれる、信頼できる人が見守ってくれてると思うと凄く安心出来るんだよ。 「みゆきさんはみんなの中で一番私を高く抱き上げてくれてたよね~」 「えっと…泉さんを出来るだけ水から離したほうが安心して休息できるかと思いまして」 「かがみんはみんなの中で一番私を強く抱きしめてくれたよね~」 「な、何かの拍子にあんたを離してしまったら大変だと思ったからよ」 「つかさはみんなの中で一番私を優しく包むように抱っこしてくれたよね~」 「こ、こなちゃんが怖がらないようにって思うと自然にそうなったんだけど…」 「…私モテモテ~?」 自分で言ってて少し照れくさくなってついおどけてしまう。 「みんな真面目にアンタの事が心配だったのよ。不便にしてるこなたの事を助けてあげたい って思うのは友達として当たり前じゃないのよ」 「泉さんにとってはちょっとおせっかいに感じられたかもしれませんが、あんな事があった 後なのに心配しないでいるなんて私にはとても出来ません。万が一の事を考えると怖くて…」 「嫌だったのならごめんねこなちゃん…でも大切な友達が足もつけないプールで浮き輪も無しで 泳いでるのをずっと見てるだけでいるなんて私にはとても出来ないよ…」 「み、みんな…」 うぐっ…まただ…この前みんなでコンサート言った時と同じ感じだ… なんなんだろうね…この気持ち… 「かがみ!つかさ!みゆきさん!」 私は思わず立ち止まって3人の名前を呼ぶと、3人はキョトンとしながら私を見てくる。 「…み…みんな…今日は……本当にありがとね…」 …うわ…多分今の私の顔真っ赤だ…なんでお礼言うだけなのにこんなに意識してしまうのさ~… 恥ずかしくてみんなの顔見れないよぉ~… 私はうつむいたたままみんなの様子を伺ってたけど3人とも何も喋って来なくて ちょっと不安になった。 その時視界にすっと柔らかそうな手が出てくる。 不思議に思って顔を上げてみると つかさが笑顔で私に向かって手を差し出していた。 「こなちゃん、行こう♪」 後ろの二人も優しい目で私も見ている。 「・・うん♪」 何故だか胸が熱くなるのを感じながら私はつかさの手を取って歩き出した。 「何だか今のこなたって、しおらしくて可愛かったわよね~」 「私とした事が一瞬見とれてしまいました」 「えー!? こなちゃんは普段も凄く可愛いよぉ~。…確かに今のはもっと可愛かったけど」 「も、もうっ…人がせっかく素直にお礼言ってるのに~」 お母さん・・今私、凄く幸せだよ・・ つかさの手から伝わってくる暖かい温もりをかみしめて みんなといつもとかわらないおしゃべりを楽しみながら 私達は夕焼け色に染まった街を歩いていった。 ■作者別保管庫(2スレ目)に戻る コメントフォーム 名前 コメント 何という… みんなかわいすぎる…GJ! -- 名無しさん (2009-01-29 08 20 57)
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dear -Section3 「鉢に植えられた苗木」 ピーンポーン ……日下部達、来たわね。 『こんにちは……』 『二人共、いらっしゃ~い』 『まつりさん、妹、こんちは~』 『まつりさん、妹ちゃん、お邪魔します』 あらっ?今日の担当はいのり姉さんじゃなかったっけ? 『あれっ?ローテーションだと今日はいのりさんですよね?』 『あ~うん、そうなんだけどさ~、何か急に決まった会議に出なきゃいけないんだって~』 『そうなんですか~、大変ですね~』 ふ~ん、そうなんだ~。 ま、私達にしてみれば『好都合』だけどね。 『あ、おじさんこんにちは~』 『お邪魔しています~』 『やぁ、いらっしゃい。『勉強会』かい?かがみも部屋で待っているよ』 ……やっぱり父さんは家に居るのか……。 dear -Section3 「鉢に植えられた苗木」 トントン 『かがみ~、開けるよ~』 「はーい、どうぞー」 「おーっす、日下部に峰岸」 「ちゃーっす、柊~」 「こんにちは、柊ちゃん」 「お姉ちゃん……お邪魔します……」 ……今日はまつり姉さんと一緒だから、昨日よりは元気そうね……。 部屋の定位置(私は机、つかさ&峰岸&日下部はテーブル、姉さんはベッド)に皆が座った所で、いつもの『勉強会』が始まった。 「はい、峰岸」 私は前回のプリントを渡した。 「ありがとう、じゃぁこれが次の」 新しいプリントを受け取る。 「今回は丁寧に書いておいたぜ~、柊~」 日下部がノートを差し出す。 「サンキュー、日下部。」 それを受け取り、自分のノートに書き写す。 「妹ちゃん、はいどうぞ」 「峰岸さん……ありがとうございます」 つかさは峰岸からノートを受け取り、自分のそれに書き写す。 そう、これは決して『勉強会』などではなく、その名を借りただけの『受け渡し&書き写し』である……。 ● あの日、つかさが父さんに『休学』を命じられた日、つかさは泣いていた。 それを見た私は、翌日学校でこなたにその事を話した。 それを聞いたこなたは、つかさを慰めようとして、私に手紙を託した。 それを私は、密かにつかさに渡した。 つかさは、それを読んでとても嬉しそうで……でも哀しそうで……複雑な表情を浮かべていた。 私は……そんなつかさを……黙って……静かに見つめていた。 ―良かった……。 そう、思っていた。 でも、そう上手くはいかなかった。 安心していたから、気付くのに遅れてしまった。 気がついたら、母さんがつかさから手紙を奪い、父さんがそれを破いて捨てていた。 そして……私の右頬に鋭い痛みが走った。 「あんな女との連絡係を務めるとは!!お前にも罰を与える!!暫く『休学』だ!!!」 ● ……その事件があった日から、つかさには常に『介助』が就くようになった。 確かに、情緒不安定になったりするからあながち間違いではない。 だけど、どうみても 『監視』 だ。 ちなみに、『監視』の厳しさは母さんが一番で、次いでいのり姉さん、まつり姉さんの順に緩くなっていく。 元々まつり姉さんは二人の事を認めていたし、応援もしていた。 それに例の一件は姉さんの部屋の前で起こったため、その後こっそりと私達に「立場上、辛く当たる事になるけど、私は三人の味方だよ」と言ってくれた。 だから、父さんが居ない時の『勉強会』は結構楽しみだったりする。 ……でも、残念ながら今日は『在宅』なんだよね……。 『監視』といえば、つかさ程では無いけれど、私にも『手伝い』という名目で、外出時には両親の二人もしくはどちらかが一緒に行く事になった。 母さんと一緒の時は、学校の話題以外で多少なりとも会話が弾むので、ある程度気が晴れる。 でも、父さんは別だ。 毎回必ず 「お前が『休学』しているのは、あの女が悪いからなんだぞ」 「あの女がつかさをたぶらかさなければ、こんな事にはならなかった」 「父さんは、二人の為を思ってこの措置を取ったんだ」 「『復学』しても、あの女とは二度と会うな」 と言ってくる。 明らかに『こなたに対する嫌悪感』を植え付ける為の『会話』。 立場上「解った」とは答えるが、常に『はらわたが煮え繰り返る』状態だ。 だから、私は『決心』した。 ―二人が幸せになるのなら、私が出来る事は何でもする。例え、それが『自らの崩壊』を招いても― ☆ 部屋の中で、ペンを走らせる音だけが響く。 空気がとても重い。 窓から、爽やかな風が流れ込んで来る。 だがしかし、それを以ってしてもこの空気を軽くすることは出来なかった。 ……あぁ、もう! 思わず叫びそうになるのを、何とか抑えた。 もし、今大声を上げたら、即座に父さんがやって来る。 そして、現在の状況を更に悪化させる。 それだけは、避けなくてはならない。 空気が重い、静かすぎる、叫びたい、叫べない……。 貯まってゆくフラストレーション。 この精神状態は、持っても後数分だろう。 「まつりお姉ちゃん」 不意につかさが口を開いた。 「な~に?つかさ」 「トイレ……行きたい」 「そっか、んじゃ、行こうか」 そう言って、つかさを連れて部屋を出た。 再び静まり返る室内。 私は書き写しを再開し……ようとしたら、突然目の前に紙が置かれた。 [黙って、じっとしていて] その紙にはこんな文章が印刷されていた。 横を見上げると、いつの間にか峰岸が立っていた。 よく見ると、まだ数枚の紙を手に持っている。 [絶対に声を出しちゃダメよ] 先程の紙を仕舞い、新しい紙を置いた。 何をするんだろう……?取り敢えず、頷いておく。 [泉ちゃんから、手紙を預かっているの] 「!!」 私は慌てて口を両手で塞いだ。 手紙?預かる?でも二人は私の事で、こなたと仲違いしていたはず……、それもかなり険悪な状態だったはずだ。 それなのに、どうして? 混乱している私の目の前に、一通の封筒が置かれた。 飾り気も何も無い、真っ白な封筒だ。 [この中に入っているから、私達が帰って一人になったら読んで] その紙を見て、思わず峰岸に問いただそうとした。 何で? 今見たらいけないの? どうして私への手紙なの? いつ預かったの? 何が書いて有るの? でも、峰岸は済まなそうな顔をして、余白にこう書いた。 [ごめんね柊ちゃん] [何て書いてあるのかは知らされていないの] あ……そっか……、知っている訳無いよね……。 こなたの事だから、みゆき経由で峰岸に頼み込んで、これを届けてもらったのだろう。 ……あれ? 一つの疑問が、私の中に浮かんできた。 もしそうならば、この『手紙』の事を日下部が知らないはずが無い。 じゃぁ、何でこの『手紙』は無事なの? 今回の『事件』の後、最初に『勉強会』をした時。 原因となった人物であるこなたに、日下部は激しい怒りの感情を顕わにしていた。 あの時の感情を思い返すと、これがここに有るなんて事は、決して有り得ない。 私が難しい顔をして手紙を見つめていると、それを見た峰岸が首を傾げたので、今度は私が書き込んだ。 [二人共 こなたと ケンカ してなかったっけ ?] すると、峰岸は微笑みながら紙を取り出し目の前に置いた。 そこには、 [私も、みさちゃんも、泉ちゃんと、ちゃぁ~んと仲直りしたよ!!] と書いてあった。 ……峰岸……と、日下部……が、こなた……と、仲……直り、した? 思わず紙を手に取り、峰岸に向かってその部分を指で指した。「ほんとに?」と 声を出さずに尋ねると、微笑みながら頷いた。 振り返って日下部にも同様に聞いてみた、すると満面の笑みで左手の親指をグッと起てた。 ホントに……本当に……仲直り……できた……んだ……。 目頭が熱くなる。 視界が歪む。 泣いてはいけない。 泣いて……は、いけ……ない……の……に……。 「我慢しなくて良いんだよ、柊ちゃんは悪くないんだから」 耳……もとで……そんな……こ……ヒック……こと……ささや……ヒック……くなん……てっ……ヒック……は……グスッ……はん……そ……ヒック……く……グスッ……よっ……ウウッ。 「今はさ、この部屋にあたしらしか居ないんだから、好きなだけ泣いておきな」 ヒック……あ……ヒック……あた……ま……グスッ……なで……ヒック……る……な……グスッ……なん……て……ヒック……よけ……よけい……グスッ……なみ……だが……ヒック……と……グスッ……とまら……ない……ウウッ……じゃ……グスッ……ない……のっ……ヒック ☆ 「落ち着いた?」 峰岸が聞いてきた。 「ん……」 私は静かに頷く。 時間にしたら一分程度だろうか、峰岸に頭を抱えられた私は、何とか平常心を取り戻した。 本当は、大声を上げて泣きたかったけれど、それをすると確実に父さんが来るから、それだけは何とか耐えた。 「二人共……ごめんね……ありがとう」 「別に構わないって、柊だって辛いんだしさ」 「みさちゃんの言う通りよ。それに、私達の仲じゃない」 うぅっ……そ……そんな……こと……いわれ……たら……って、ダメダメダメダメ!!! ここは耐えろ、耐えるんだ、私。 「ただいま~……おっ?何かあったの?」 姉さんとつかさが戻ってきた。 「ん?特に何もないけど」 良かった……二人が戻ってくる前に落ち着いて……。 「そっか、んじゃまぁいいや。……所でかがみ~、そろそろ終わりそう?」 「あ、ちょっと待って、あとページ半分だから」 そういや、そろそろ二人が帰る時間だわ、急いで写さないと……。 ☆ 「日下部、峰岸、今日もありがと。じゃ、また明後日よろしくね」 「んじゃ、柊~、また明後日なぁ~」 「柊ちゃん、またね」 そう言って、二人は部屋を出て行った。 つかさとまつり姉さんが追いかける。 『おや、もう帰るのかい?』 『はい、おじさん。お邪魔しました~』 『それでは、失礼します』 『お二人共……今日も……ありがとうございました』 『みさおちゃん、あやのちゃん、またね~』 扉の閉まる音が聞こえる。 親が居る時、私には見送る『権利』が無い。 ……別に、それくらいは良いじゃない……。 これも『こなたに対する嫌悪感』を植え付ける為なんだろう。 ―でもね、父さん、母さん。 あなたたちは、本当に『娘達』の事を理解しているの? 少なくとも、私とまつり姉さんはその『計略』全てを『お見通し』なんだよ― ☆ 「じゃぁ、まつり姉さん。ノート渡しておくから、つかさの事よろしくね」 そう言って、姉さんに私が書き写したノートを渡した。 「ん、頑張ってみる。無理だったら……今日はアンタに手助けしてもらえないか……」 私は「父さんが居るからね」の一言を飲み込んで、小さく「ごめんね」と言った。 「別に、アンタが気にする事じゃ無いって。それに、ほら、あたしも少しはつかさに『姉』っぽい所を見せないとね~」 姉さんは「じゃ~ね~」と手を振って部屋を出た。 扉が閉まるのを見送って、ベッドに倒れ込んだ。 ……ウッ……グスッ…… 顔を枕に埋めて、声を押し殺して泣いた。 ここ最近は何時もそうだ。 二人が帰って、つかさと引き離されて、一人になって、寂しさが一気に込み上げて来る。 ……ウウッ……グスッ……エグゥ…… 何で、私は独りにされなきゃならないの? 『監視』が居れば、つかさと一緒に居たって良いじゃない? ……ヒグゥ……グスッ……エグッ…… 私が何をしたって言うの? つかさとこなたが付き合うのは、そんなにも『人の道を外れた』事なの? ……グスッ……ウウッ……ヒック…… わからない……わからないよ……。 なんでなのか、ぜんぜんわからないよ……。 ……グスッ……ウウゥッ……エグッ……ウウッ……ヒック……ウグッ…… だれか……おしえて……よ…… Section3 「鉢に植えられた苗木」 End ■作者別保管庫(6スレ目)に戻る ■ナハト氏作者ページへ コメントフォーム 名前 コメント
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一覧にない部門の有志も随時募集してます。 有志の方は会議に参加するためSkypeの導入をお願いします。 http //www.skype.com/intl/ja/helloagain.html 主導者 主導者(仮) ◆SOkleJ9WDA NPO法人社員 (最低10人いないと設立できません) wiki編集 wiki-d ◆ft73F6Jf.A 狛江 ◆ofWwxyS6UM wiki編集支援者 ◆6yYUlcuoQg 情報収集 資料集め屋さん ◆bQ4pw3n0hQ 電気 指揮者/電気 ◆DYMrQv2kn2 有志の方々 J鼓舞 ◆PiiTXJ/vKc 趣味的農夫さん ◆VG1QhZDLKY 吉祥寺 ◆iyDVyxBJ/Q チヌーク ◆CHINOOKCaY 酢橘 ◆UeINlLtIaw 綿棒◆12rpq/RZhw 水道 指揮者/ 支援者 食料 指揮者/ 支援者 住居建設 指揮者/ 支援者 ☆有志登録☆ 有志に参加していただける方は板で使用する名前を名前欄に投稿してください。 例 主導者(仮) ◆SOkleJ9WDA wiki編集担当wiki-d ◆ft73F6Jf.A 基本的に 部門名+トリップ(暗号化された後の文字列)でお願いします。 (トリップがわからない方は名前のみでOKです) 有志の方の名前・識別はこちらの投稿欄で管理しています。 有志は自由参加です。 NPOの会員になるのが可能な方はその旨コメント欄にお願いします。 名前 コメント すべてのコメントを見る こんにちは。 トレーニングマンです。健康第一に考えましょう。 -- (トレーニングマン) 2009-01-20 22 29 45 こっちでw -- (会計担当りるたん ◆Z0GAzo5OTc) 2007-09-08 04 33 51 NPOだろうと、出来る範囲で手伝いますよ -- (そと ◆H2Okx64.B6) 2007-09-07 18 02 30
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dear -Section11「苗木を守る人達~柊まつり~」 「お姉ちゃん……ここ……どうやるの?」 「ぅえっ!?えっと……どこ?」 「この問題……」 ぬぅ……数学かぁ……。苦手なんだよなぁ~。 「か、母さんは出来るよね!?」 「えっ!?……こ、こんな風にやれば……って、プリント見れば良いんじゃない!」 「そりゃそうなんだけどさぁ……なんか負けた気がしない?」 「……まつり、それは言わないで……」 dear -Section11「苗木を守る人達~柊まつり~」 我が家での勉強会が無事に終わり、今は私と母さん二人でつかさの勉強を見ている。 本来ならばかがみが教えた方が良いんだけどね、的確だし教え方も上手だから。 だけど、今は残念ながらそれはできない。 なぜなら……。 「母さん、まつり、つかさが勉強しているんだからもう少し静かにしていなさい」 「あ、ごめんなさい。私ってば、つい……」 「……はーい……」 父さんがここで『監視』をしているから。 二人が休学する事になったあの日から 私は何度も父さんと母さんにそれをやめさせるように説得しようとした でも……全く駄目だった せめてこちらの言い分だけでも聞いてくれれば良いのに それすら聞いてくれなかった 「……あ、そっか……じゃぁ、こう解けば良いんだ……。お父さん、お母さん、終わったよ」 「じゃぁ、私はご飯の支度始めるわね」 「あぁ」 「んじゃ、私は部屋に……あ、やっぱ今日は手伝うよ」 「あらめずらしい事。じゃぁ手伝ってもらおうかしら。つかさもお願いね」 「はい……」 家事に関しては父さんもとやかく言わない だから私はこの時間が好きだ ……たまにしか出来ないんだけどね 「今日の晩御飯は何?」 「串カツ、豆腐と海藻のサラダ。茄子とピーマンの揚げ浸しに……あともう一品、おつまみになる物が欲しいんだけどね……」 「お母さん、納豆袋でも作る?材料は揃っているし」 「そうね、そうしましょうか。じゃぁつかさ、そっちはお願いね」 「私は何を手伝う?」 「じゃぁ……串カツの準備をしてもらえる?」 「はーい」 傍から見れば、至って普通な台所の一コマ でも、つかさ……だけでなく、我が家の女性陣からすれば一番落ち着く事が出来る一コマ 実際、つかさは家事をしている時『だけ』生き生きとした表情を見せてくれる だけど、その顔色は日々悪くなっている ……父さんはそれを理解しているのだろうか? そして、もう一人…… 「姉さん、ちょっといい?」 「ん?良いけど。何?」 「かがみ、まつりに話しが有るのなら、後にするかこちらで話しなさい」 「はい……じゃぁ姉さん、後で話すね……」 これだ 例の手紙の一件があってから、父さんは 『勉強会』と『食事』 これ以外でつかさとかがみが近付く事を禁じている ……その結果…… かがみの顔色はつかさ以上に日に日に悪くなっている 何故、これ程までに二人を近付けさせたくないのだろうか? 今はこなたちゃんからの手紙を受け渡す事など出来ないのに ……昨日、姉さんから聞いたみゆきちゃん一家がこの『計画』に参加した理由…… 『子離れ』が出来ていないと思われる それでこんな事をするのかな…… 「納豆袋出来たよ~」 「串カツも出来たよ~。後はパン粉を付けて揚げるだけ~」 「二人ともありがとう。それじゃ、仕上げましょうか」 「は~い。じゃぁ納豆袋炙るね~」 「……ほい、衣の準備出来たよ~」 「じゃぁ揚げるわね。まつり、お皿出してもらえる?」 「は~い」 ……今夜は……ちょっと違った角度から攻めてみようかな? 父さんと母さんが、本当に『子離れ』しているかどうか それを、確かめるために ☆ 「父さん、母さん、ちょっといい?」 「何だ?またいつもの話しか?それなら……」 「あ、違う違う。それじゃない話しなんだけど」 「なら良いぞ。そこに座りなさい」 はぁ、やっぱり警戒してるなぁ…… 「で、何の話しだ?」 「あのね、……父さんと母さんはさ、つかさとこなたちゃんが付き合うのは認めないって言ってたよね」 「あぁ、……結局はいつもの話しじゃないか」 「まぁまぁ、お父さん。最後までちゃんと聞いてあげましょうよ」 「……母さんがそう言うなら仕方が無いな。で、それがどうしたんだ?」 よしよし、先ずは第一段階クリア 「それって『同性だから』って言ってたよね」 「あぁ、そうだ。何度もそう言っているだろう」 「そうなんだけど……。でね、もし、もしもなんだけど……私や姉さんが男の人を連れて来て『この人が恋人なんです!』って言ったら……どうする?」 さぁ、どう出る? 「それは……相手にもよるな」 「母さんは?」 「そうねぇ……私も相手によるかしら。あんまり変な人だと困っちゃうし」 「どうして?私や姉さんが選んだ人だよ?」 「それでも、よ。相手がちゃんとした人かどうかが肝心なんだから」 「そうだな、どこの馬の骨かわからんような奴と付き合われては困るからな」 成る程ねぇ~ それじゃぁ、これはどうかな? 「そっか……。じゃぁさ、私や姉さんが『一人暮らしをしたい』って言ったら?ほら、私だって何もなければ再来年から社会人でしょ?」 「一人暮らしか……まぁ、会社が遠いのなら仕方が無いが……出来ればそれはしてほしくないな」 「そうね、近場なら自宅から通えるんだし。……あなた達が一人で何をしているのかと思うと……お母さん不安で眠れなくなっちゃうわ」 「不安でって……一応私も姉さんも成人してるんだよ?」 「成人していようがいまいが、私達の『娘』である事はかわらないだろう?そういうことだ」 「『娘』の事を心配しない親なんか居ませんよ」 じゃぁ、つかさはどうなのさ…… 「あとさ、今までのとは関係ないんだけど、ゼミで『親離れ・子離れ』についてのディスカッションが今度あるんだよね」 「ふーん、そんな事もやるのね」 「うん。でね、参考までになんだけど、父さんと母さんは『親離れ・子離れ』についてどう思う?」 さぁ、どう答える? 「その質問は明らかに愚問だな」 「え!?そうなの?」 「あぁ。なぜならさっき言った通り『親』にとって『子』は何歳になっても『子』だからだ」 「そうね、『親離れ・子離れ』と言ってもそれは言葉の上だけ、あなたも親になればわかると思うけど、『子』はいつまでも『子』なのよ」 「……つまり、父さんと母さんからすれば『親離れ・子離れ』は有り得ない、と」 「そうだな。有り得ないどころかそんな考えすら無いぞ」 「私もそうよ」 ……これは……手強いなぁ 「そっか、ありがと」 「あまり参考にならなくてすまないな」 「ううん、そういった意見も有るって言えるから大丈夫だよ……あ、そうだ」 最後にもう一度確認しておくか 「さっきの質問……というか言葉なんだけど、もしかがみとつかさが恋人の事とか一人暮らしの事を聞いてきたら……どうする?」 「高校生なんだし、駄目に決まっているだろう」 「あ、今じゃなくてこれから先にって事」 「……駄目だな」 「そうね」 「へっ!?何で?私達は相手によりとか勤め先によりとかでオッケーなんでしょ?」 「いのりとまつりはそれでも構わないが、あの二人は別だ。……まぁ、この先どんな人生経験をするかでさっきの返事は変わるがな」 「まだあの子達は色々な経験が少ないから。だから私も、今のところは駄目としか言えないわ」 「あ、だからといって『同性』は有り得ないからな」 「それだけはいくらあの子達……だけじゃないわ、あなた達の誰かが言ってきても駄目よ」 「まぁ、我が家の娘達はもうそんな事は言わないだろうがな」 「そうね、つかさもかがみも大丈夫みたいだし」 ……言葉だけで実際には娘の事を全然見ていないんだな…… 誰がどう見たって二人ともストレスで潰れそうになってるじゃん…… 「やっぱり『休学』させたのが良かったのかな」 「少しは悟ったんでしょう。自分達の考えが間違っているって事を」 「そうだな。……っと、すまんすまん。それで?まだ聞きたい事が有るのかな?」 「……ううん、大丈夫だよ、ありがと。それじゃおやすみなさ~い」 「おやすみ」 「おやすみなさい」 ☆ ……まさかあそこまで『子離れ』出来ていないとは思わなかったなぁ~ あ、姉さんに一応報告しておかないと ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 姉さん 今日、父さんと母さんに『親離れ・子離れ』について聞いてみた みゆきちゃんの両親が言う通り、全然出来ていない感じだったよ 特にかがみとつかさに対しては全くだね~ 流石の私もビックリだよ それじゃ、残業頑張ってね~ ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ 「……送信っと。……ふぅ……」 『特にかがみとつかさ』……か…… かがみとつかさ 産まれる前からずっと一緒だった二人 そして……私の大切な妹達…… そういや……この間姉さんが言ってたな…… この計画に参加したのは『かがみを守りたいからだ』って…… 私は…… 私は何でこの『計画』に参加しようと思ったんだろう…… こなたちゃんの『計画』を知ったから? ……いや、違う それを見せられる前からずっと…… 父さんのかがみとつかさに対する理不尽極まりない仕打ちに嫌気がさしていたんだ…… そして、私は、そんな父さんに現実を知ってもらいたくて…… そうか…… 私は、父さんと母さんに 自分達の娘の『今』を 見てもらいたかったんだ…… ……父さん……母さん…… 私達はいつまでも『娘』のままじゃないんだよ いずれ私達は自立し、家庭を持ち、『娘』から『親』になるんだよ もしそうなった時…… それでも父さんと母さんは私達を『娘』として見るの? 私は……そんな風に縛られるのは……嫌だよ 私だけじゃない 姉さんも、かがみも、つかさも みんな、そう思っているよ いつまでも『親』で居続ける事は出来ないんだよ いずれ、必ず、『親』でなくなる日がくるんだよ それでも…… あなた達二人は 『子離れ』という現実から目を背け続けるの? 私は、父さんと母さんにその現実をしっかりと見てもらいたい そして……不幸にも引き離されるかわいい双子の妹達…… 私達から離れ行くつかさと残されるかがみを守りたい それが『計画』に参加した私の理由…… 「まつりねーさーん!お風呂空いたよー!!」 あれ?もうそんな時間!? ……ちょっと物思いに耽り過ぎたか…… 「わかったよー!かがみー!!」 さーてと、今日は姉さんも残業だし、ノンビリと入りますか~ 実行日に体調を崩さないように、しっかりと身体を休めないとね! 「ねーさーん!!聞こえたー?」 「はーい!!今行くー!!」 Section11「苗木を守る人達~柊まつり~」 End 実行日まで あと五日 ■作者別保管庫(6スレ目)に戻る ■ナハト氏作者ページへ コメントフォーム 名前 コメント
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前文 泉こなたの誕生日 つ「こなちゃん、お誕生日おめでとう」 こ「ありがと~」 つ「はいこれ……プレゼントだよ」 こ「おぉ~、中身は何かなぁ~」 ガサガサ こ「お、箱の中にはまた箱が」 ガサガサ こ「その中にまた箱?焦らすねぇ~」 ガサガサ こ「え……また?」 ガサガサ こ「ねぇ……あと幾つ開ければ良いのかなぁ?」 ガサガサ こ「なんか、飽きてきた」 ガサガサ こ「あ、なんか違う箱が出てきた」 つ「頑張ったね~、開けて開けて~」 こ「言われ無くても開けますよっと……これって……」 つ「5月の誕生石、エメラルドの指輪だよっ!」 こ「こ、こんな高いの貰えないよぉ~」 つ「……受け取ってほしいなぁ……」 こ「で、でも……」 つ「私、こなちゃんの隣を予約したいんだ……だから……ね」 こ「つ……つかさ……」 本文 ☆二人だけの織り姫と彦星☆ 「よっと……ふぅ。えーっと次は……」 どうも、泉こなたです。ただ今台所で孤軍奮闘中どす。正直辛いっす。でも、愛するつかさのために頑張るでごわす。 「……はぁ、結構疲れてるなぁ~、私……。ちょっとコーヒーでも飲んで一休みするかなぁ~」 今日はつかさとかがみの誕生日、今年は上手い具合にみゆきさんも有休がとれたって言ったから、私のマンションでバースデーパーティーをすることになった。 「インスタントでいいか~、スプーン三杯っと」 みんなが揃うのはかなり久しぶり、だから朝から頑張って料理をいっぱい作っていたんだけど……流石に疲れたなぁ~。 「お・ゆ・を・入・れ・て~……いれて~……いれ……あれ……ぬぉっ!足りないじゃ~ん!!!」 ☆二人だけの織り姫と彦星☆ チーン♪ 「ふぃー」 砂糖を入れてほんのり甘くしたカフェオレを飲んで、やっと一息つけた。 「後は……パンとサラダとマリネはみんなが来てからで良いし、ミートローフは冷ましてるし……、おぉ!なんだかんだでちゃんと出来たじゃん。さっすが私!!」 ぐいっと親指を立て……たところでそれを見ている人は誰も居ないんだけどね……。 「……空しい……早くみゆきさん来ないかなぁ~、今何時だろ……って!もう一時半!?」 あちゃ~、全然気が付かなかったよぉ~。まずいなぁ、スピードアップしないと間に合わないかも。 ピンポーン 不意にインターホンが鳴った。 「はいはいはいはい、いまでますよ~。は~い、あ、みゆきさ~ん、鍵開いてるから勝手に入ってきて~」 よっしゃぁー!助っ人キター!これで何とか間に合うかもー! 「おじゃましまーす、泉さん、お久しぶりです」 「みゆきさ~ん、おひさぁ~。……初詣以来だっけ?」 「そのくらいですね、まぁ積もる話は後にして、取り合えず……ケーキのスポンジ、どこに置きますか?」 「あ、すぐにデコレーションするから、こっちに持ってきてもらえる?」 「それじゃぁ、失礼しますね」 みゆきさんが持ってきたのは、約30cmのスポンジケーキの土台。本当はそれも家で焼きたかったんだけど……、我が家のオーブンじゃどんなに頑張っても20cmが限界だからなぁ~。 「暑かったでしょ?麦茶で良ければあるけど、飲む?」 「あ、お願いします。丁度風が無くなって日差しが出てきたから、とても喉が渇いてしまって」 「そうなんだ~」 冷蔵庫から麦茶を出して、氷の入ったグラスに注ぎみゆきさんに渡した。 「いただきます。……ふぅ、冷たくて美味しいですね」 「そぉ?ありがと。私ケーキ仕上げるから、適当に休んでて良いよ~」 「はい、ありがとうございます」 さて、始めますか。まずは上下に分けてっと。 「麦茶、ありがとうございます。グラス、ここに置いておきますね」 「うん、適当に置いといて~。……えーっと、生クリームとフルーツを混ぜてっと」 「ところで、どんなケーキを作るのですか?」 「ん~とね、『甘さ控えめ七夕チョコケーキ』だよ~」 みゆきさんと話しながらも、手を休めることなくケーキをデコレーションしていく。 スポンジの間に今混ぜた物を塗って、上下を合わせて、周りにチョコクリームを塗って……。 「相変わらずお上手ですね~」 「ん~、まぁそれなりに作っているからね~。だけど、流石につかさには負けるよ~」 「まぁ、つかささんはプロですから、仕方がありませんね」 今、つかさは中規模なレストランの副料理長を任されている。結構繁盛しているらしく、残業をしない日は殆ど無いみたい。 「泉さん、最近つかささんと会いましたか?」 「ん~ん、忙しいみたいだし、休日も上手く合わないからね~。あ、でもほぼ毎日電話はしてるよ。最後に会ったのは私の誕生日かなぁ~。……よっし、取り合えずか~んせ~い」 「……随分とシンプルですね……」 出来上がったのは、飾り付けも何もされていないケーキ。まぁ、確かにシンプルだねぇ~。 「最後の仕上げは食べる直前にするからねぇ。それじゃ、君は冷蔵庫に隠れていてくれたまへ~」 ケーキを冷蔵庫にしまい、部屋の飾り付けを二人でして、気が付いたらもう三時半だった。 「ふぃ~、終わったぁ~、みゆきさん、ありがとぉ~」 「どういたしまして、泉さんも頑張りましたね」 「まぁ~ねぇ~、……一年に一度の誕生日だし。……それに、今年は……」 「泉さん……大丈夫ですよ。私も、かがみさんも応援してますよ」 「うん……ありがとう」 でも、やっぱり不安なんだよね……ちゃんとつかさに伝えられるかなぁ……。 ◆ ピンポーン 「今日の主役が到着したかなぁ~。はいはーい、どうぞ上がって~」 インターホンを置き、みゆきさんに合図を送ろうとしたけれど、もう既に扉の脇にスタンバイしていた。私も慌ててみゆきさんの逆側に立ち、二人が入ってくるのを待った。 「こなちゃん、おまたs」 『つかさ(さん)!!かがみ(さん)!!お誕生日おめでとう(ございます)!!!』 パーンパーンとクラッカーの音が二つ鳴った。部屋に入ってきた二人は茫然としている。 ……まぁ、仕方ないか。いきなりのクラッカー攻撃だもんね。 「……びっくりしたぁ~!心臓が止まるかと思っちゃった」 「つかさ……そこまで驚く事じゃないでしょ。まぁ、私もちょっとはびっくりしたけどね」 「まぁまぁ、立ち話もなんですから、主役のお二人にはテーブルに腰掛けて頂いて……。それじゃ、泉さん」 「よっし、じゃぁみゆきさん手伝ってね~」 「はい!」 冷蔵庫から調理したおかずを取り出し、お皿に盛りつける。 今日のメニューは、ミートローフ、トマトと玉葱のマリネ、シーザーサラダ、それに焼きたてパン。勿論、デザートには特製ケーキがお待ちかねだ。 「泉さん、ワインオープナーはどこですか?」 「あ、そこの……そう、そのしたの真ん中の引き出し。うん、そこの左奥にソムリエナイフが入ってない?」 「んーと、あ、有りました!」 「ごめんね~、出しておくのすっかり忘れてたよ~」 「それじゃ、後はワインを持って行けばオッケーですね」 「うん、じゃぁワイン持っていくから、みゆきさんも座ってて~」 「はーい」 「お待たせ~」 「ん~ん、待ってないよぉ~」 「二人共、相変わらずねぇ~」 「本当ですね」 ナイフを使い、ラッピングを外す。 「えぇ~、そりゃないよぉかがみ~、これでもちょっとは成長しているんだから……」 「どこが成長したのよ?」 「こなちゃん、胸のサイズが大きくなったんだよね~」 「えぇっ!そうなんですか?」 「……みゆきさん、いくらなんでもその台詞は傷付くよ……」 「え、あ、す、すみません……ちょっと以外だったので……つい……」 スクリューをコルクに奥まで捩込む。 「以外って……まぁ、そりゃぁ、私もびっくりしたけどさ……よいしょっと」 ゆっくりと、力を加減しながら慎重にナイフを持ち上げ……。 ポン!!! 心地好い音とともに綺麗にコルクが抜けた。 「さぁ、乾杯しよぉ~」 それぞれのグラスにワインを注ぎ、各々手に持った。 「ケーキは最後に出すからね~。それでは、改めて。つかさ、かがみ誕生日おめでとう!」 「おめでとうございます!」 「ありがとね~」 「ありがとぉ~」 「では」 『かんぱーい!!!』 「みゆきさん、二人に取り分けてあげて、私パン持ってくるから」 「じゃぁ、二人ともお皿を貸して下さい」 「えぇ、良いよぉ~」 「別にそんな改まる必要無いじゃない」 「まぁまぁ、今日はお二人が『主役』なんですから」 「そうそう、気にしない気にしない。あ、でもお代わりは自分で取ってね~」 二人は仕方ないなって顔を見合わせてる。ま、年に一度の事なんだから、このくらいは楽しんでもらわないとね。 「はーい、焼きたてパンだよぉ~」 「おぉー!凄い!あんたこんなのまで作れるの?」 「とても美味しそうですね~」 「こなちゃんのパン、美味しいんだよぉ~」 「へぇ~、つかさがそう言うんだから、間違いは無いわね」 「一応、ピクルスでディップも作ったけど、おかずをサンドして食べてもオッケーだよ」 「ふーん。じゃ、私はマリネをサンドしようかな」 「それでは私はミートローフをサンドしてみますね」 「んじゃぁ私は……、そのディップが気になるからそれを塗ってみるわ」 「じゃぁ私はシーザーサラダを……って、わざわざみんなで別々にしなくても良いじゃーん」 『アハハハハ……』 ◆ 「さてと、そろそろケーキを出すけど……みんな、お腹大丈夫?」 みんなで色々と話ながら食べていて、気が付くと用意した食事があらかた無くなっていた。 「大丈夫だよぉ~」 「私も平気だな」 「結構軽めでしたし、私も大丈夫です」 「んじゃ持ってくるから、ちょっと待ってて~」 食べ終わったお皿をみゆきさんと片付け、ケーキの準備を始める。 「みゆきさ~ん、そこに出してあるお皿とか持ってってもらえる~」 「良いですよ~。……何か仕上げをするんですか?」 私はケーキをお皿に載せて、最後の仕上げをしていた。 「うん……ちょっとね……よし、出来た」 「うわぁ~……素敵ですね~」 「でしょ~。さてと、持って行きますか。よいしょっと」 「お待たせ~。泉こなた特製の『甘さ控えめ七夕チョコケーキ』だよ~」 「はぁ~……これ、あんたが一人で作ったの?」 「いえーす……と言いたいんだけど、ウチのオーブンじゃこの大きさのスポンジ焼けないから、それだけはみゆきさんに作ってもらった」 「えぇ~、でも、じゃぁ、デコレーションは全部こなちゃんがやったんでしょ~、すご~い」 私が作ったケーキは、チョコクリームの上に紛糖で天の川を書き、その周りにアラザンの星を散りばめて、所々に星型の砂糖菓子を載せたケーキだ。 「ねぇ、こなちゃん……このマジパン人形も?」 「つかさとかがみをイメージして作ってみました~」 「へぇ……随分と手が混んでるのね~」 「まぁねぇ~、久しぶりにみんなが集まるから、ちょっとだけ本気出してみました!」 そう言って、親指をぐっと立てた。それを見て、みんなが拍手してくれた。 ……うん!頑張って作った甲斐があったよぉ~! 「じゃぁ、蝋燭に火をつけてっと……じゃぁ、みゆきさん。せーの」 『ハッピーバースデートゥーユー ハッピーバースデートゥーユー ハッピーバースデーディアつかさアンドかがみ~ ハッピーバースデートゥーユー』 歌い終わると同じに、二人で息を合わせて火を消した。 「もう一回、お誕生日おめでとう!!!!!」 「お誕生日おめでとうございます!!!!!」 「何度聞いても、やっぱり嬉しいわね、本当にありがとう!!」 「こなちゃん、ゆきちゃん、本当に、本当にありがとう!!」 「じゃぁ、切り分けるよぉ~」 ◆ 「ふぅ~おなかいっぱ~い」 「私も~、ちょっと食べ過ぎたかも~」 本日の主役は、デザートを食べて満足したみたい。二人でソファーに腰掛けリラックスモードに入っている。 「ちょっとちょっと、そこのお二人さん。何か大切な事を忘れていませんか?」 「大切な事?お姉ちゃん、何かあったっけ?」 「さぁ……何だろ?」 全く、この二人ときたら……。 「誕生日と言ったら、プレゼントでしょ?」 「折角用意したんですし、受け取って頂けませんか?」 そう言いながら、私達は二人の目の前にプレゼントを差し出した。 「あ……ありがとう。あんな素敵なパーティーをやってくれたから、それで満足してたわ」 「私も~、すっかり忘れてた~、ありがとう~」 二人共今までに見たことの無い笑顔で、私達のプレゼントを受け取った。 「開けてみて良い?」 「良いよぉ~」 「どうぞ、開けてみて下さい」 「それじゃ、先ずはゆきちゃんのから……ペリッと……ん?これは……犬?」 「はい、犬型のペーパーウェイトです。つかささんはレシピを見ますよね、その時に使えるかなと思って」 「うん、良く使うよ~。ありがとう~、今までずっと適当な重り使ってたから、嬉しい~」 「私のは……兎のペーパーナイフ……かな?」 「はい。かがみさんは仕事で封筒を開ける事が多いと聞いたので……」 「そうなのよ~、今ではメールっていう便利なモノが有るってのに、お役所とかからの通達は全部封書だからね~。嬉しいなぁ~、ありがとう」 「お二人に喜んで頂けて光栄です」 「じゃぁ、私のも開けてみて~。あ、かがみからおねがいね」 「あ、そう?わかった……んと、あ、ここか……ん?指輪?あ、これってルビー?」 「ちっちゃいけど、ちゃんとルビーが入ったピンキーリングだよ~。かがみさぁ、この前『もっとステップアップしたい』って言ってたでしょ」 「そういえば……そんな事を言ったわね……あんたそれ覚えてたの!?」 「オタクの記憶力をナメちゃぁいけませんぜ~」 「はぁ、あんたって、時々物凄いわね……でも、嬉しいわ、ありがと」 「こなちゃん、私のも開けてみて良い?」 「うん、良いよぉ~」 「えへへ……何かなぁ~……んしょ……えと……ここを開けてっと……あれ?」 つかさが取り出したのは、かがみのよりも大粒のルビーが埋め込んである指輪。 「こなちゃん……これって……」 呆然としているつかさの手元から指輪を取り上げ、つかさの左手を優しく掴んだ。 「この前、私の誕生日の時、つかさ、言ったよね『私の隣を予約したい』って。これが、その答えだよ」 私はそう話しながら、まだ呆然としているつかさの左手薬指に指輪をはめた。 「これから先、ずっと、私の隣に居てもらえますか?」 沈黙が辺りを支配した。時計の時間を刻む音だけが聞こえる。かがみも、みゆきさんも黙ったままだ。 「ウッ……ウウッ……」 「つ、つかさ?泣いてる……の?」 沈黙を破って聞こえてきたのは、つかさの泣き声だった。 「ごめんね……変な事言っちゃって……」 「ううん……グズッ……違うの……嬉しかったの……。私、頑張って……エグッ……こなちゃんに、プロポーズしたのに……ウウッ……それから、ずっと……ヒック……会えなくって、不安で……」 「そっか、ごめんね、返事が遅くなっちゃって」 私はつかさの涙を拭きながら、話しを続けた。 「本当はね、もっと早くに伝えたかったんだ……。だけど、ある日突然『本当に私で良いの?』って思っちゃって……それで……今日まで伝えられなかったんだ……。本当にごめんね……」 「ううん、良いの。私だって、突然あんな事言ったんだもん。……こなちゃんの気持ちも考えずに……」 「うん、突然だったよね。……でもね、私物凄く嬉しかったんだよ、まさかつかさからあんな事を言ってもらえるとは、全然思ってなかったから」 「じゃぁ、おあいこって事で良いじゃない」 「そうですよ、お互いに相手を想った上での行動なんですから、良いも悪いも有りませんよ」 じっと黙って見守っていた二人が、そんな事を言ってくれた。 「お姉ちゃん……ゆきちゃん……そうだよね」 「かがみ……みゆきさん……うん!」 「さてと……じゃぁ、お姉ちゃんから妹とこなたへの、とっておきのプレゼントをあげようかな~」 「もしかして、アレですか?」 「そ、アレよ、ア・レ」 何それ、私そんなの聞いてないよ? 私が前以て二人に話したのは、つかさにプレゼントをあげてプロポーズの返事をするって事だけ……、一体何だろう? そう思って見ていると、鞄の中から封筒を取り出した。 「まぁ、法的効力は無いけれど、持っておくのは自由だから。……ちょっと恥ずかしかったんだけどね。中を見て、それで全てがわかると思うから」 そう言われてつかさが取り出したのは一枚の紙。それを開くと……。 「婚姻届……?」 「そ、ちゃんと見てみなさい」 「ん……えっ……ええっ!!こなちゃん!!これ!!ここ!!!」 つかさが指差すその先は、父母の名前欄そこには既におとーさんとつかさの両親の名前が記入してあった。 「か、かがみ……これって……」 「ん?その通りの意味よ。私の両親も、あんたのお父さんも、二人が一緒に暮らす事を認めているって事。一応確認したら、同性婚が認められていたら、喜んで認めるってどっちも言ってたわよ」 「お姉ちゃん……それ……本当?」 「嘘つく必要ないでしょ~、本当に本当よ」 「じ、じゃぁ、つかさと一生一緒に居ても……」 「構わないって事」 ふぁ……ダメだ……もう我慢出来ないよ……。 「ウゥッ……つかさぁ~!!」 「グスッ……こなちゃ~ん!!」 私達は二人の目の前で思い切り抱き合って泣いた。 知らなかった。嬉しさでこんなにも泣けるなんて。 「泉さん、つかささん、おめでとうございます」 「二人共、ちゃんと幸せになるのよ」 ひとしきり泣いた後に、二人が祝福の言葉を言ってくれた。その二人にも、うっすらと涙の跡が見えた。 ◆ 「こなちゃ~ん」 「なぁ~にぃ~」 「曇ってるねぇ~」 「そだね~」 あの後、かがみとみゆきさんは仕事が有るからと言って帰っていった。 つかさは、明日休みを取ることが出来たので、今日は久しぶりにお泊りだ。 「七夕なのに、織り姫と彦星は見えないねぇ~」 「織り姫と彦星じゃないけど……星なら見えるよぉ~」 「え~?どこに~?」 「ほら、ここに」 私は左手を目の前にゆっくりと差し出した。その薬指にはエメラルドの指輪がはまっている。 「あ~、そっかぁ~」 つかさも同様に差し出した。そこには真新しいルビーの指輪がはまっている。 「……ずっとずっと、おばあちゃんになっても、ずーっと一緒だよ……」 「……うん……」 その時、雲の切れ間から月明かりが漏れ、私達を照らした。 「……幸せになろうね……」 「……うん……」 月明かりに照らされて輝く私達だけの織り姫と彦星。 雲が月を隠すまで、私達はそれをずっと見つめていた。 「お月様、隠れちゃったね……」 「私達に遠慮したんじゃない?」 「……そっかぁ……」 誰も見ていない、二人きりの部屋。 私達は雲の向こうにいる織り姫と彦星に見つからないように、こっそりとキスをした。 ☆おしまい☆ ■作者別保管庫(5スレ目)に戻る コメントフォーム 名前 コメント
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18 名前:913[] 投稿日:2008/07/24(木) 17 24 10 ID jxg+mCSs 「うんうん、最近暑いよねー」 「だからといって結局抱きつきあってるのね、あんたらは」 「そう言うと思って少し趣向を加えてみたのだよかがみんや。ホレ。」 「うっわ氷たんぽ?なんてもん持ってきてるのよ」 「いんや、こうすればホラ、抱きついたほうが涼しいじゃん?」 「こなちゃん冷たくって気持ちいいねー」 「いやいやつかさのほうがヒンヤリで気持ちいいよー」 「どうでもいいけど風邪だけはひくなよ…」 ~後日~ 「うー…」 「バッチリひきますた!」(ビシッ 「やっぱり猛暑中は抱き付き禁止!風邪の時も却下!」 1レスも続けば2レス…って勝手に続かせて申し訳ないですorz 海行ったせいか全身火傷(重度の日焼)+筋肉痛で大事な右手が使えません…( A`; 173 名前:913[] 投稿日:2008/08/25(月) 15 43 05 ID ZOOUSRja 「今からコンビニ行ってくるけど、何か欲しいものある?」 「こなちゃん。」 「売ってねーよ。」 211 名前:913[] 投稿日:2008/09/04(木) 14 05 51 ID TYaMdvks 「いやー、そうか。泉つかさかぁ。娘がもう一人増えたみたいでお父さん嬉しいなぁ。」 「違うよお父さん。つかさは俺の嫁DA。」 「えーっと、ふつつかものですが…。」 「いやぁ~つかさちゃんって可愛いねぇ。昔の私を見てるみたいだぁ!」 「ゆい姉さん、さすがにそれはないと思う。」 (でもお父さん嬉しいぞ。こなた、ゆたか、そしてつかさちゃん…。) (全員お父さん好みのぺったんこじゃないか!!ビバつるぺた!!!) 「おとーさん、やましいこと考えてるのバレバレだから。少し頭冷やそうか。」 「おおぅ!?く、くるかディバインバスtおぶるぁっ」 「あはは、こなちゃんとお父さんって仲良いね~。」 むしろあの家族なら表で縁切られても皆裏ではかなり心配してて一人一人内緒で会ってそうなw 310 名前:913[sage] 投稿日:2008/10/02(木) 22 10 50 ID 28Is8apx 「携帯からもアクセス出来るんだネ、机の下の奥に落ち込んだまま何ヶ月か放置プレイしてたから気づかなかったよ~」 「いつもこなちゃんにメール送ってるのにお返事こないのはそういう理由だったんだね。」 「あーわわ、メールそんなにしてくれてたんだ。ゴメンネつかさ、今見るから―」 メール受信200件 着信受信100件 伝言メッセージ5件 「―なんという限界送信。」 「うう、ごめんね~楽しくってつい…」 「ううん、ありがとねつかさ。今度全部ちゃんと見るからね。」 「つかさの伝言何回聞いても最高だぁ。ハァハァ」 311 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/10/03(金) 07 01 56 ID aiG9ONoJ で、録音されたメッセージの中から『こなちゃん、つかさです』の部分をつかさからの着信音に設定するこなた 312 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/10/04(土) 00 05 32 ID YrjXzlmt それをつかさに聞かれてこなたも録音されるんです 474 名前:913[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 18 42 51 ID LqUAvobg 「そろそろ寒くなってきたね、こなちゃん。」 「…ん、そだね…ふぁぁ…。」 11月の風が頬をつたうそんな季節、私とこなちゃんは縁側でお日様とにらめっこをしていた。 昼間はとても暖かくてふわふわで。でもあの光が沈むにつれ世界は色を変え、陽気な一日が終わる。 すごくすごく寒い世界。こなちゃんのいない世界。 どうして冬はこんなにも日が落ちるのが早いんだろう。どうして夏のお日様はあんなに私を睨むんだろう。 私は暗くなる冬が嫌い。日向ぼっこができない暑い夏も嫌い。 大好きな人と一緒にいれる時間が日に日に少なくなっていくのが、すごく辛いの。 言葉がなくてもいい、私はこうやってこなちゃんが隣にいてくれればそれでいいから。 だから、お日様。 「春が来て、ずっと春だったらいいのに。」 「…つかさ意外と通だネ。」 「冬ってすぐに日が落ちちゃうでしょ?だから私あんまり好きじゃないんだ。」 「んー、冬には冬の良さってのもあるけどネー。(冬コミとか)」 …こなちゃんは私の気持ちに全然気付いてくれない。今こうしているだけでも私はこんなにどきどきしているのに。 学校にいる間はいつもこなちゃんはお姉ちゃんと楽しそうにしてるから。だからこの休日のお日様は私にとってたったひとつの幸せなのに。 鈍感すぎるよ、こなちゃん。 私もお姉ちゃんみたいにいっぱいこなちゃんとお話したい。もっとたくさん一緒にいたいのに。 うあ。はうぅ駄目だぁ…またコンプレッサー抱いちゃったよぉぉ。こんなこと考えても何にもならないのにぃー! 「い、いきなり頭ぐわっしゃしてどったのつかさ。」 「へ、ううん。何でもないよ。」 うそつき。 「…ねぇこなちゃん、こなちゃんはもし恋人が出来るとしたら何でも出来る人と何も出来ない人、どっちがいい?」 「んは、そりゃまたえげつない質問だねー。そりゃまぁ何も出来ない人ってのはかなーり困るネ。」 そうだよね…やっぱり、そうなんだよね。 「でも料理上手いし優しいから良いお母さんになれると思うよ?身長的には逆だけどサ。」 「そうかなぁ。」 でもやっぱり勝ち目ないよ、だって…あれ? 「ふぁぁ…。まだ日が落ちるまで時間あるね、も少し寝よっかな。」 そういってこなちゃんは私の肩へともたれかかる。ぴょこんと生えた毛が私の鼻を何度もかすめて花粉症になりかけた。 「うん、おやすみこなちゃん。」 今日が沈むそのトキまで。 「ん、おやすみー。早く私をタキシード仮面にさせてくれたまへ~…。」 「セーラームーン?」 そう言ったこなちゃんはもう目を閉じていた。こなちゃんはいつも言うことがイキナリだからびっくりする。 私も一緒に寝よう。次目が覚めた時にこなちゃんが隣にいてくれますように。 今日のこなちゃんはいつもより暖かく感じた、そんな11月のハジマリ。 いつか伝わるといいな…。こなちゃん、大好き。 ~~~~~ たまには結ばれる前のお話でも、と( A`* 内容と投入時期に誤差があるのは製作開始時期ってことで…orz ttp //momoiro.s4.dxbeat.com/up/img/momoiro07755.png 476 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 21 18 01 ID IKnUihXQ この名無し、百合ものでは「結ばれる前」というシチュエーションが一番好きだ!! ごちそう様でした!! 477 名前:2-613[sage] 投稿日:2008/11/08(土) 21 43 48 ID Zt5Y/xaq おお…これはいいつか→こな。 コンプレッサーにちょっと笑ったwエアー出してどうするのかつかさww このあたりがとってもつかさらしくてぐっじょぶです。 こなたが鈍いのか鋭いのか微妙なあたりにも萌えました。 …拙者…タキシード仮面ネタがわかりませんから…切腹!! 479 名前:イクシデズタル(元594) ◆P5TPu/OBR2 [sage] 投稿日:2008/11/09(日) 01 41 26 ID LIWBUzxf 913氏 ス・テ・キ つかこな(#)ω・*`) こう寒くなってきた夜に是が日でも暖めあいたくなるような!なんとGJ そんな中にしっかりと甘さが溶け込んでいる、ううん、こっちも溶ける勢い! 一緒に寝てる?もちろん、寝 て ま す お あ、そうだ、暖めあい・・寒い季節になってきた、そうだ! 久しぶりに絵つくろ・・・ (#)ω・`) 776 名前:913[sage] 投稿日:2009/03/01(日) 02 33 09 ID Z+HMRAgb 「おはよー…ふぁ、今何時だろ…。時計見えないや…。携帯携帯。」 「なぁんだまだ2時半かぁ。…あれ、3月1日?ふぇ!?二日も寝てたの!?」 「いや、2月は28で終わりだよつかさ。」 「…そうだっけ。おはようこなちゃん。もう起きてたんだ。」 「えーまだ寝るわけないじゃーん。夜はこれからなのだよ!」 「あ、だから電気消してるんだね。じゃあ早速」 「い、いやいやそっちじゃなくて!ほらネトゲの戦争ってやつがですねちょっまっ敵来るってbアーーーッ!!」 「なんや泉の奴、いきなり動き止まりおって。…まあええわ、アイテム拾って全部売ったろ。」 825 名前:913[sage] 投稿日:2009/03/25(水) 04 41 07 ID AG5063IL 「さーくーらー。さーくーらー。」 「さーくーらーとーいーえーばー。」 「さくらんぼー。」 「yahoo!流石はつかさ、デザートまで用意してるなんて流石だね。」 「桜を見ながら食べるさくらんぼ、ですか。とても風流がありますね。」 「親を目の前にして子を食べてる気分になるわね。」 「とか言って一番真っ先に手が伸びてるじゃん。この人殺しっ。」 「比喩よ、比喩。それに人じゃないし。」 「はい、こなちゃん。あーん。」 「あーーん♪ あんむっ。んまんま。」 「まったく幸せな奴だなあんたは。膝枕してもらって食べさせてもらうなんて…。それなんて…コホン。」 「エロゲ?今エロゲって言おうとした?ニヤニヤ。いやぁいいのだよー今私はエロゲ以上の幸せを手にしてるのDAKARAー。」 「わわ、こなちゃんあんまり動いちゃダメだよくすぐったいよぉ。」 「ここかー、ここがええのんかー。」 「わー、もー…。こなちゃんのくせにー。」 「うふふ、お二人を見ていると何だか不思議と笑みがこぼれてしまいますね。」 「どっちかというと私は恥ずかしいけどね。ほんと、こいつらは…。」 といいつつニコニコしてるかがみんであった。 852 名前:913[sage] 投稿日:2009/04/09(木) 17 53 43 ID 7otoLRTx 「つかさ、耳かきしてー。」 「うん、じゃあこなちゃんこっちきて。」 こりょこりょ… 「あ。」 「んー、おっきいのとれたー?」 「あのね、耳の穴にチョコ入れるとチョココロネみたいだよね。」 「お断りします( ゚ω゚ )」 ■作者別保管庫(4スレ目)に戻る コメントフォーム 名前 コメント
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原語 supporter 和訳 名詞 お手伝いさん、助っ人、味方、輔助、輔佐、後ろ見、後見、応援者、支援者、世話人、支持者、後援者、賛助者、擁護者 支持器、固定具 観衆、観客、観戦者 漢字一字 佐、弼 やまとことば すけ(助) あななひ 備考欄 辞書 説明 廣辭林新訂版 (無記載) 新訂大言海 (無記載) 角川国語辞典新版 名 ①援助者。支持者。②運動選手が保護のため筋肉などにあてるもの。 大英和辭典 〔名〕[一]支ヘル人,支持者,維持者,支援者,掩護者,扶養者.[二]支ヘル物,支ヘ,支持物,維持物,支柱,ツッカヒ.[三]支持帶.[四]【外】ペッサリウム,子宮整復器.[五]【建】支材.[六]【紋】楯ノ左右ニ立ッテヰル動物(人ノコトモアル).[七]【生物】擔架體.[八]〘古〙慰メル人. 名詞欄三箇条目は体育などでの用法の翻訳。 ただ、観衆の英訳は辞書にspectatorsとあり、カタカナ語に於ける「サポーター」が「観衆」を指しているのかは定かでない。 同義等式 原語単位 supporter=支援者 カタカナ語単位 サポーター=後援者 附箋:S サ 英語
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今日はお姉ちゃんがいないから、私の部屋にこなちゃんが遊びに来てる。 二人っきりとは言っても、いつもと同じように こなちゃんはゲームをしていて、私はそれを見ているだけだったんだけど。 「ね、つかさ」 「なあに?」 「何か他のことしよっか」 「ゲーム、飽きちゃった?」 「いや、そうじゃなくて」 「そうじゃなくて」 「まあ今さらこういうこと言うのもなんだけど」 「うん」 「横で見てるだけだとつまらなくない?」 ああ、そんなこと。こなちゃんは、気にしなくていいのに。 「ううん、見てるだけで楽しいよ。こなちゃん上手いし」 それに、ゲーム中のいつもよりちょっぴり真面目な顔のこなちゃんも好きなんだ。 「そんなもんかなあ」 「そうだよ」 「でも、そうだ」 でも、こなちゃんがそう言うなら ちょっとだけ、悪ふざけ。 こなちゃんに近づいて うしろから、うしろから ぎゅっと 「へ?」 抱きついちゃった。 「つかさ?」 「じゃあ今日は、横からじゃなくて、後ろから見てみようかな」 なんて、ちょっと、わざとらしすぎるかも。でも、女の子同士だもん。女の子同士なら、友達でも、これくらい。 「はあ」 「……だめ?」 「だめでは、ないけど」 ごめんね、こなちゃん。でも、こんなこと、二人っきりでもなければ、ぜったいにできないことだもん。 「じゃ、続きやるね」 「うん」 こなちゃんの視線の先にはゲーム画面。肩から顔を出した私の視線の先には……こなちゃん。 画面は…全然見てないや。こなちゃんが、こんなに近くにいるからだよ。 こなちゃんのからだ、ちっちゃい。 こなちゃんの背中、あったかい。 こなちゃんの髪、さらさら。 こなちゃんのにおい…… 「こうしてると」 背中に顔をうずめて 「ん」 「ちょっと、どきどきするね」 今の私には、これだけ言うのが精一杯。 「ふふ、つかさ、どうしたの?」 でも、こなちゃんは、笑ってくれた。 「こうしてると、あったかいよね」 抱きしめた両手に、思わず力が入る。こなちゃん……こなちゃん…… …… 「……つかさ」 「つかさ!」 「え、あ、あ、はい!」 「もうゲーム終わったけど……寝てたの?」 あぶないあぶない……ちょっとぼーっとしちゃってたみたい 「うぅん、ただ、ちょっと、気持ちよくて」 わー私、変なこと言ってるかも。でも、ホントのこと。 「つかさ、眠そうだね」 「んー……そうかも」 「そんなに気持ちよかったんなら、もう少し、このままでいていいけど」 「……いいの?」 「いいよ。私は漫画読んでるから」 「ごめんね、こなちゃん」 「いいって」 静かな部屋、こなちゃんと二人っきりで。 腕の中にはこなちゃんがいて。 こなちゃんの背中で、まどろむ私。 すごく、幸せな時間…… 「こなちゃん」 「ん」 「……こなちゃん」 「なに、つかさ」 「……なんでもない」 「そっか」 いつもと変わらない、やさしい声。 ずるいことかもしれないけど、今がこんなに幸せだから。 そのやさしさに、もうすこしだけ、甘えさせて…… ■作者別保管庫(1スレ目)に戻る コメントフォーム 名前 コメント
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突然だが、私、泉こなた(柊こなたになる予定)は恋と学業と仕事に大忙しの乙女である。 そして私の隣でダースベイダーの格好をしてテレビを見ているバカ……もとい、人は泉そうじろう、生物学的には私の父である。 今日は仮装大賞を見る日だからといってわざわざ張り合っているらしい。 口で「コホーコホー」などといってそれらしくしているつもりらしいが、 コタツにこもってちゃんちゃんこを羽織っているマヌケなダースベイダーなど見た事がない。 そして、台所で料理を作りながら鍋を爆発させているのが従妹のゆーちゃん。 爆発させているのは別に料理の腕がどうのこうのという訳ではない、ゆーちゃんの趣味になってしまっただけだ。 もちろん後片付けはお父さんの役目、仮面をかぶったまま四つんばいになってぞうきんがけをする姿は、言葉では表せない哀愁が漂う。 「お姉ちゃーん、ご飯できたよー」 ゆーちゃんがご飯と味噌汁とサラダと漬物を持ってくる、味噌汁沸騰してるんだけど。 最後にお父さんが鍋を持ってくる。 「今日はキムチ鍋だぞ!!」 お父さんはそう胸を張って鍋をおく、確かにキムチの匂いはするのだが、それ以上になんかこう、異臭が強い。 「あのねお姉ちゃん、普通のチゲじゃ味に新鮮味が無いかなと思って、ちょっと工夫したんだよ♪まずキムチと和のコラボレーションを実現させようと思って、くさやを入れてみたの、 それで次にイタリアンもドッキングさせようと思ってトマトもモッツァレラチーズも投入したよ♪最後にアクセントのつもりでバナナも入れてみたんだけど……」 それじゃ単なる闇鍋だ。 だが本人は改心の出来だと心から思っているらしい、無垢な笑顔からひしひしと伝わってくる。 これは酷い事をいって傷つけるわけにはいかない、「これなんてジャイアンシチュー?」などと決して言ってはならない。 「こなちゃ~~ん、ゆたかちゃ~~~ん、おじさ~~~ん……おひゃようございます~~……」 もう夜になりかけているのに今頃起きてきたのは私の恋人、柊つかさその人である。 寝ぼけまなこで私の隣に着席し、鍋を覗き込む。 「うわあ……ジャイアンシチュもごっ」 「さ、ささっといただきますしようよ」 禁句を言いかけたつかさの口を神速の速さで防ぎ、お父さんにいただきますの合図を送る。 「よし、じゃあ食べるか!いただきます」 仮面を取って言ったお父さんのいただきますに、私たちも習う。 それぞれ自分の前に置いてあるご飯だけを黙々と食べる私たち、ゆーちゃんだけが嬉々として自称キムチチゲに忙しく箸を運んでいる。 「どうしたのみんな?チゲ食べないの?」 嬉しそうに鍋をつっつくきながらゆーちゃんは尋ねる、二人とも青い顔色だった、恐らく私もだろう、そして……。 「「「ちょ、ちょっと私(俺)医者からキムチ止められてて……」」」 よ り に よ っ て 三 人 と も 言 い 訳 一 緒 か よ ! ! 「そうなんだ……残念」 私たちの会心の嘘を信じ込み、本当に残念そうにゆーちゃんは箸を運ぶ、私たちはこうして一命を取り留めた。 「じゃあ明日はキムチを使わないで新しい料理にチャレンジしてみるねっ♪」 「「「……」」」 命あぶない。 朝、鳴っている目覚ましを止める。 隣でつかさが当然の如く寝息をたてている。 私はヘッドホンを取り出して「つかさ……今日は朝まで、いいよ?」と私の声が録音されているテープを装着し、つかさの耳に当てる。 そして、再生。 すると、 がばっ 「えっ、いいの?それじゃごちそうさま……」 「はいおはようつかさ」 「あっ、あれ?こなちゃん……お、おはよう」 はね起きたつかさに私はとびっきりのエンジェルスマイルを向ける。 「もう朝だから早く起きないと、ほれ、準備せい」 「……夢だったのかあ」 がっかりうなだれるつかさ、そんなにがっかりするか。 うれしはずかし……ってこれじゃ単なるノロケじゃないか。 「ほらー、時間ないからいそご?」 「う、うん、それじゃいってきまーす」 「あっ、お姉ちゃん達もういくの?」 途中でゆーちゃんに出くわした。 「うん、遅刻しちゃうからねー」 「朝ご飯位食べればいいのに、私つくっ「「ちょっと医者から朝ご飯止められてて……」」 「泉~!柊~!はよ席つかんかい!」 「は~~~い」 生後27年先生の号令で全員席につく。 「よっしゃ、じゃ出席とるで~、う~~~ん、良し、先生はお前らを信用しとるからもう出席はOKやな!」 そんなに面倒くさいか……出席とるの。 「んでもって、一時間目はウチの授業やから、え~今日は自習、あっ違う、道徳や、お前等最近道徳が欠けとるから先生はお前等がいまいち信用できん、よってお前等を社会で通用する人間に育てる一歩として今日はビデオを流したる!」 さっきと言ってる事が間逆じゃないか。 「え~、これや、「笑う犬の冒○」や、ええか、ここから笑いをしっかり吸収し、立派な社会人の一歩を遂げるんやで」 何か突っ込むのが面倒くさくなってきた……。 「困りましたね」 みゆきさんがため息をついた。 私も同じくみゆきさんに向き直りため息をひとつ。 「全くだよねェ、先生も何考えてんだか、何も考えてないんだろうけど」 「あのシリーズは全巻見つくしてしまっていますので……退屈です」 そっちかよ。 というか全部見たんだ……。 「あとおっぱいのせいもあって最近肩こりも激しいんですよね」 みゆきさんも何かおかしいな……。 「ふふふ、泉さん、もしよろしければ少し揉みガッ!!!!」 みゆきさんが私の手を胸にやろうとした瞬間、後ろから飛んできたシャーペンがみゆきさんの後頭部を直撃した。 「あっごめ~~んゆきちゃん、ちょっとシャーペンが己の意思でそっちに飛んでっちゃったぁ♪」 つかさがニコニコしながらペンを拾いにくる。 普通に「手が滑っちゃった」とかでいいじゃないかつかさ……。 「いえいえ、つかささん、お気になさらずに」 そう言ってつかさに微笑みを投げかけ、ペンを拾い、つかさに渡そうとした。 ……つかさが受け取る瞬間、そのシャーペンがみゆきさんの握力によって「ばきり」と音をたてた後で。 「……ゆきちゃん、何でこれ砕けちゃってるのかなあ?」 「あらあら、それは恐らくシャープペンシルさんご自身の意思によるものと思われますね、きっと破滅願望があったのだと思います」 「あはは」 「うふふ」 ……何か自分の意思とやらで最悪な末路を迎えたシャープペンシルさんが哀れに思えてきた。 でもって二人の間の空気が非常に重い。 挟まれている私は当然きつい。 「ん~?泉、あの二人仲ええな~~~」 この黄白髪教師の目はフシアナか。 いつの間にか私の後ろに立っている黒井せんせー。 「そ、そう見えますか……」 「おお、まあどうでもええけど、そんなことより泉、この次のアイテム交換の件なんやけど……」 授業中にノート持ってそんなこと堂々と聞きにくんな担任教師。 「ああ~~……それじゃ受け渡しは例の洞窟の前で七時に」 んでもって律儀に答えんな私。 「お?チャイムや、っと、どやお前等、ええ勉強になったなぁ、良かった良かった、今日の授業はこれで終わりや」 ビデオ止めてから言ってください先生。 「あはは」 「うふふ」 そんでもって二人ともそろそろ自分の席につかないか。 「ゆきちゃん絶対将来おっぱいたれるよね」 「つかささんこそいい年こいてそのヘアバンドやばいですよ」 「あはは」 「うふふ」 ……もうなんかずっとやってろって感じが。 「おーい、こなたー、つかさー、みゆきー?」 す、救いの女神が!! 「あ、お姉ちゃん、おはよー」 「かがみさん、おはようございます」 二人とも、挨拶のとき位はかがみの方を向いて言おうよ。 「ほらもう二人ともそこまでにしなさいって」 かがみが仲裁に入ると二人の顔がふくれっつらになる。 「だってゆきちゃんが私のこなちゃんに」 「つかささんが私の後頭部に」 ジロリ 「「ごめんなさい」」 かがみのひと睨みですぐ大人しくなる二人、嗚呼、何て頼もしいんだろう、流石はツンデレ・ヴィーナス。 「全く、くだらない事で張り合ってないで、少しは抑える事を覚えなさいよ、子供じゃないんだから」 「そうだね……ごめんね、ゆきちゃん、はい握手」 「ええ、こちらこそすみません、つかささん」 そう言って二人はがっちり握手した、これだけ言えば仲直りの光景だが、何で二人とも迷わずに左手を差し出したんだろう。 しかも握手が終わった二人の手にはガムがべっちゃりくっついていた、二人して考えてる事一緒かよ。 私とつかさ、並んで食堂へ行く。 つかさは肩を怒らせながら歩いている、何か滑稽だが。 「ふんだ、私だって大人になればゆきちゃんのおっぱいの三倍はおっきくなるもん」 それは困る。 ちなみに別れる前にみゆきさんも「私だって大きくなれば、つかささんの三倍の人気投票数を獲得してみせます」などと言っていた、まあそれも無理だ。 「あ、そういえばこなちゃん……」 「んー?」 急に怯え顔になったつかさが私の袖をつかむ。 「きょ、今日もゆたかちゃんがご飯つくるのかな?」 ……。 すっかり忘れていた……。 もはや医者に止められて戦法は通じないだろう、ていうか今まで通用してた事が不思議だ。 「ど、どうしよう、こなちゃん」 「ど、どうしようね」 食堂に行く足を止め、生命に係わるかもしれない料理を忌避する方法を二人で考えていた時、 向こうから、二人の人物が走ってきた。 「しらいし~~~~!!!!やれっつってんのよ~~~~~!!!!!」 「無理に決まってるじゃないすか~~~!!!ガムテープで作ったヒモでバンジージャンプなんて!!!」 一人はアイドル小神あきら、そしてもう一人はそのアシスタント兼クラスメイトのセバスチャン……。 私たちは、ランプがついたように閃いた。 「「 生 贄 だ ! ! ! 」」 私たちがその閃きを口にして叫んだのは同じ時だった。 そして、私とつかさは校庭で生贄を待つ。 「遅いな~生贄」 「うん、もう下校時間過ぎてるのにね~~」 そんな事をつかさと言いながらその場で待っている。 そして暫くすると……。 「WAWAWAあぶれ者っと……」 目的の生贄、もとい白石みのるがやってきた。 「うお~~~~い、セバスチャーン!!」 私が手を振ってセバスチャンを呼び止める。 「んー?泉と柊?何か用か?」 近づいてきたセバスチャンにつかさがもじもじと寄る。 「あのね?セバスチャンの事が気になってるっていう女の子がいるんだけど……」 デタラメを口走るつかさの言葉にセバスチャンが雷にうたれた様に硬直した。 「な、なんだってーーーー!!!」 私も言葉を重ねる。 「そーなんだよねェ、男前なセバスチャンに是非とも愛情料理をふるまいたいって張り切ってるんだよ、しかもその子が何と、私の親戚の子でさー」 セバスチャンが顔を赤くしてもじもじし始めた、正直キモい。 「そ、その子は本当に俺を?」 「間違いないよ、直接聞いたもん!」 「そうそう!もうゾッコンだよゾッコン!!」 そう言って私はゆーちゃんの写真を見せた。 「こ、こんなにロリ……可愛い子が俺を!?」 どうもセバスチャンはロリコン方面歓迎らしい、これは嬉しい(もちろん生贄として) 「う、うん、でね、ゆたかちゃんっていうんだけど、今日にも早速セバスチャンを招いて料理を振舞いたいんだって、かわいーよねー、あはは」 セバスチャンはプルプル震えている。 「おおお……今まで辛い事ばかりでした、理不尽な暴力、そして境遇、弱肉強食の世界に打ち捨てられた子羊……とうとう報われる時がくるのですね……ついにこの俺にも春が!!!」 一人感動に打ち震えるセバスチャンを尻目に私たちはパピコをチューチューしていた。 お父さんには予めコンタクトを取っておく。 全ての事情を話し終えると得心したお父さんが「ゆーちゃんには上手く言っておくから」と言っていたからこちらはもう大丈夫。 「でも良かったねー、セバスチャンが単純で」 「うんうん、他の人にこういう事できないもんねー、罪悪感とかもあるし」 「そうそう、こういう目に合うっていうのは、むしろセバスチャンにとっては名誉な事だと思うんだよ、そう、だから私たちは名誉を作ってあげるんだよ、究極の善行だよね」 私たちが好き勝手言ってる真後ろでセバスチャンは何度も拳を握っては「きめてやんぜみのるん」と自分で自分に気合を入れていた。 そんなにハマったかゆーちゃんに。 「やあいらっしゃい」 ニコニコ顔でセバスチャンを迎え入れるお父さん、それはもう白々しい程に。 「はっ、お邪魔します!!」 「ままっ、それじゃこちらに……」 いそいそとセバスチャンを居間まで連れて行くお父さん、私たちもそれに続く。 台所から既にかすかな異臭がする、既に作っているんだね、ゆーちゃん。 「いやー、来てくれてほんと嬉しいよ、白石君でいいのかい?」 「はっ!みのるであります!!」 おとうさんがセバスチャンのコップにビールを注ぎながら(未成年)ホクホク顔で訪ねる、それを一気に飲み干してからセバスチャンは礼儀正しく受け答える。 「いやーゆーちゃんも喜んでるよ、ただ、そのね、ゆーちゃんは自分の作ったご飯を残されるとか、そういうのに傷ついてしまう性質でね……」 「いえいえ、あんなロ……素敵な子の作ったものを残すなど、大和男児として失格と心得ております!! もし万が一そのような愚行に出た場合この不肖白石みのる、全裸でケツに花火を突っ込んだままスクランブル交差点を駆け抜け、その状態のまま学校の屋上からガムテープバンジー決めてみせます!!!」 気持ちがいい位に自ら墓穴を掘ってゆくセバスチャン。 「お待たせしましたーーー!!」 ゆーちゃんがニコニコ顔でこちらに戻ってくる。 「わざわざありがとうございます、白石さん」 礼儀正しくセバスチャンにお辞儀をするゆーちゃん、私たちがセバスチャンにどう説明したかなどしる由もないだろう。 「い、いやとんでもない!そ、その、返事はもうちょっと考えてから出すさ、と、とにかく今はこのひと時を……」 白石の台詞にゆーちゃんが「?」マークを上に3つ位浮かべている、当たり前か……。 「あのー、出来上がるまでもう少しかかると思うので、お待ち頂いてよろしいですか?」 「あ、ああ!いいとも!ささ、どうぞこちらに!」 セバスチャンが自分の隣の席をパシパシ叩いてゆーちゃんを座らせる、どうやらもうしたたかに酔っている模様。 私たちはボロが出ないか慎重に見守っている。 「俺には夢があるんです!いつかBIGな男になって世界にシャインしてヨーロッパにも羽ばたいて歌手デビューはたしてヨーロッパに羽ばたいて老後はワイハで……」 泥酔しているセバスチャンは意味不明な妄言をゆーちゃんに向かって繰り返ししゃべっている。 ちなみにゆーちゃんはまるで聞いちゃいない。 「あっ、そろそろ出来上がった頃ですね」 ゆーちゃんは、調子こいて肩に手を回してきたセバスチャンの手をつかみ上げると一本背負いの要領で顔面から叩きつけると、そさくさと料理を取りに行った。 冷や汗まじりで私がセバスチャンを見ると、 「ああ~~~ゆたかさんこんなプレイお好みなんですかぁ~癖になるかもぉ」 ……。 今更ながら気づいた、こいつただの変態だ。 「お待たせしましたっ♪」 ゆーちゃんが自慢げに披露した料理はグラタンらしきものだった。 確かに見た目はそれっぽいが、既にこっちにまで強烈な匂いが漂っている。 「ではセバスチャン、どうぞ」 私はセバスチャンを起こし、グラタン?の前に座らせる。 「んん?お、そうでした!!ではいただきます!!!」 ピシッ!と敬礼し、フォークを持って口に取り掛かろうとした瞬間。 「……」 セバスチャンの酔いが見る見る冷めていくのが伝わってくる。 「あ、あのー……」 白石がこっちに説明を求める目を向けてくるが、私もつかさもあさっての方向を向いてスルー。 「こ、これは、そのー」 お父さんも不自然な方向に首を曲げてスルーの意思を示している。 しどろもどろになり始めたセバスチャンに私は、 「ゆーちゃん泣かせたくないならお食べ」 と言っておいた。 「い、いやしかし、こ、これはちょっと……」 「?どうしたんですか?白石さん」 ゆーちゃんのまなざしを真正面から受け止められないセバスチャンは、何とか微笑をゆーちゃんに繰り出す、すごい不自然。 「あ、ちょっとトイレいってきますね」 ゆーちゃんが席を立ち、トイレに向かうと同時に、セバスチャンがこっちを見た。 「お、おい二人とも、こりゃ一体どういうことだ?俺は料理を出されるという話を聞いて……」 「料理には違いないじゃん」 「そうだよ、ゆたかちゃんが一生懸命作った料理だよ」 「い、いや、料理っていうのは普通口に出来るものを指すのであって……」 「でもセバスチャン食べなかったらガムテープでバンジージャンプ……」 「それとこれとはまるで話が別……」 「いや、もういいよ……」 急に私たちの言い争いを途切ったのはお父さんだった、悲しそうな顔を浮かべながら。 「白石君に何も話していなかった俺に一番の責任がある、大黒柱たるこの俺の責任だ、だから……」 お父さんは、一息吸い込むと、 「このグラタンは、お父さんが食べよう」 「ちょ!お父さん、正気なの!?」 「おじさん!そんな」 「え、ええ?食べれるんですか?」 「ああ、ゆーちゃんを悲しませたくないからね、多少は覚悟の上で食べるさ、任せとけ、お父さんは大人だからな」 「ま、待ってお父さん!」 「こなちゃん!?」 「元はといえば……セバスチャンを陥れようとしたのは私だし、元凶は私だよ……なのにお父さんに食べさせて私は見物なんて無理だよ!お父さんに食べさせる位なら私食べるよ、私のせいだもん」 「い、泉」 「待ってこなちゃん!私だって共犯だよ!こなちゃんにだけ食べさせて指くわえて見てるなんて出来ない、そんなの恋人失格だもん、私も食べる!」 「つかさ……」 「え、ええ……」 「三人はまだ若いんだ、辛い思いをするには早すぎる、ここはお父さんに任せてくれ」 「ううん、それはだめ、ケジメをとる意味でも私に食べさせて」 「こなちゃん、たまには私を頼ってほしいな、私がちゃんと食べてみせるよ」 「あ、あの……」 「たまにはお父さんにいい格好させてくれよ、親の背中見せてやりたいしな」 「そう言ってくれただけで充分だヨ、食べる役は私に任せて」 「おじさんにもこなちゃんにも、まだ私格好いいところ見せれたこと無いから……私が食べる!」 「あ、あの、そ、それじゃ乗りかかった船ってことでこの不肖白石が食べ「「「どうぞどうぞどうぞどうぞ」」」 この日、セバスチャンはこの世を去った。 ~Happy End~ ■作者別保管庫(4スレ目)に戻る コメントフォーム 名前 コメント
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リレーSS『かがみの受難』 13 名前:1-724[sage] 投稿日:2008/07/23(水) 20 38 52 ID s6ieSzAK 柊家の縁側で 「暑いね」 「うん暑いね」 「だったらどうして抱きついてるのサ」 「こなちゃんこそ」 「さすがにヤバイってつかさ」 「うんふらふらしてきたね」 「もう離れようよ」 「じゃあ、こなちゃんから手をほどいて」 「やだ、つかさからほどいてよ」 「や、こなちゃんが離さないなら私も放さない」 その後ふたりでダウンしているところを飲み物を持ってきたかがみが見つけて応急処置で事なきを得たが もちろん回復後かがみに大目玉を食らう二人であった 「猛暑日は抱きつき禁止!わかったわね!」 18 名前: 913 [] 投稿日:2008/07/24(木) 17 24 10 ID jxg+mCSs 「うんうん、最近暑いよねー」 「だからといって結局抱きつきあってるのね、あんたらは」 「そう言うと思って少し趣向を加えてみたのだよかがみんや。ホレ。」 「うっわ氷たんぽ?なんてもん持ってきてるのよ」 「いんや、こうすればホラ、抱きついたほうが涼しいじゃん?」 「こなちゃん冷たくって気持ちいいねー」 「いやいやつかさのほうがヒンヤリで気持ちいいよー」 「どうでもいいけど風邪だけはひくなよ…」 ~後日~ 「うー…」 「バッチリひきますた!」(ビシッ 「やっぱり猛暑中は抱き付き禁止!風邪の時も却下!」 108 名前:1-724[] 投稿日:2008/08/12(火) 00 56 20 ID AWSK7veG 「しかし、あんたたちの、汗びっしょりになっても抱き合ってるというのは、理解できないわ」 「これも愛だよ、かがみ」 「そうだねこなちゃん」 「本気で好きでなきゃ、汗びっっしょりの相手となんて」 「うん、くっついてられないよね、こなちゃん」 109 名前:2-613 [sage] 投稿日:2008/08/12(火) 01 41 10 ID ABaJ/peX 「さすがに汗いっぱいかいちゃったからお風呂入ろうか」 「そうだねー。じゃ行こうよこなちゃん」 「待てお前ら一緒に入るのかよ」 「何?」 「どしたの?」 「……………もう突っ込む気力もないわ」 110 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/08/12(火) 11 27 36 ID FBs46InY そしてお風呂から帰ってこないからかがみが覗きに行くと抱き合ってのぼせてるんですね 111 名前:913[] 投稿日:2008/08/12(火) 16 34 31 ID yt8Aints 「猛暑といい風呂の中でといい、あんたら学習能力ないわねぇ…」 「学んだら負けかなと思ってる」 「はいはい。ったく、看病するこっちの身にもなりなさいよ」 「そういえば看病中かがみんに全部見られちゃったんだねー、穢されたっ」 「命の恩人に向かって言う言葉か!」 「大丈夫だよこなちゃん、私はこなちゃんの中まで見てるし」 「中?中って何よ?」 「く、口の中、口の中だよかがみん」 112 名前:1-724[] 投稿日:2008/08/12(火) 19 43 35 ID AWSK7veG 「そだね唇があるから口っていえないこともないよね」 「!」 「わ~!かがみん!って気を失ってるし、 つかさ、いくら何でもからかいすぎ!!」 「おねえちゃんて、ホント乙女だよ~」 114 名前:2-175[sage] 投稿日:2008/08/12(火) 20 59 11 ID yK2kjx7z 『いっせ~のっ』 トサッ 「かがみんのベット運搬完了っと」 「こなちゃんと二人でだけどまさかお姉ちゃんを抱っこするなんて夢にも思わなかったよ」 「それにしてもかがみんは本当に私達より大人な体してますな~」 「同じ双子なのにズルいよねー」 「……クックック かがみんにだけ裸を見られてるのも何だし今のうちに……」 かがみに向かって手をワキワキするこなた 「こ、こらぁ~ こなちゃん浮気禁止~っ それにお姉ちゃんが可哀想だよ~」 こなたからかばう様にかがみに抱きつくつかさ 「じ、冗談だよつかさっ 機嫌直してっ」 「ダメ~ 罰として今日はこなちゃんの見てる前でお姉ちゃんに甘えてやる~」 ギュウ~ 「つ、つかさ……それなら私もかがみんに甘えやるぅっ」 反対側からかがみにギュゥ~ 「こなちゃん離してよぉ~」 チュッ 「はうぅ!? こなちゃん!?」 抱きしめながらも頭をかがみの向こう側に乗り出して、同様に乗り出してたつかさにキスするこなた。 「つかさこそ離さないのなら、離すまでずっとつかさにキスするよ?」 「……絶っ対に離さないも~ん♪」 ギュウウウ! 「つかさぁ~っ お仕置きだぁ~っ」 チュッ チュッ チュッ かがみ(……何……この甘すぎる光景は……起きるタイミング逃がしちゃったじゃないのよ…… っていうか身動き全く取れない上に今度は3人とも汗びっしょりなんですけど) 119 名前:1-724[] 投稿日:2008/08/12(火) 21 52 31 ID AWSK7veG 「あちゃー、つかさキスしてる場合じゃないヨ」 「おねえちゃんも汗びっしょり」 「私たちはもう一度お風呂で汗を流すとしてもサ」 「おねえちゃんこのままじゃ風邪引いちゃう」 「仕方ないヨ、体を拭いて着替えさせるカナ」 ~どうしよう、ますます起きられない!~ 120 名前:2-613 [sage] 投稿日:2008/08/12(火) 22 22 43 ID vtXD1P5y 「じゃあ一回脱がせなきゃだめだよねー」 「そうだね。パジャマべとべとになってるだろうし」 「下着もえらいことになってるかもよ」 (ちょ…待てお前ら何する気だ!) 「それにしてもお姉ちゃんスタイルいいねぇ。いかにも女の人って感じ」 「むぅ…ちょっと凹むかも」 「ほらほらこなちゃん、凹んでないで早いところ脱がせちゃおうよ。汗拭いてあげないと」 「そうだねー。ほんじゃかがみん大人しくしててね。身体拭くだけだから…とブラのホックこっちだったっけ」 「………って待て待て待てーーーー!さすがにもう我慢できんわー!」 「のわっ!」 「きゃっ!」 この後二人はかがみに小一時間怒られますたとさ。 122 名前:2-175[sage] 投稿日:2008/08/12(火) 23 34 25 ID yK2kjx7z 「これからは二人とも少しは見境をつけなさいよ? 分かった?」 「うん…」 「お姉ちゃんごめんね……」 「ま、まぁ……元はといえばあんた達のせいとはいえ、汗をかいた私の世話を しようとしてくれたのは嫌じゃなかったたけどね……」 「お、お姉ちゃん……」 「かがみ…… …よ~し、かがみの説教も終わった所で3人で一緒にお風呂に入ろ~う」 「さんせ~い」 「ちょっ 私もか!? 今見境つけなさいっていったばかり…」 「大丈夫大丈夫~ 今度はのぼせたりしないように自重するからさ」 「こなちゃん、代えの下着が切れたのなら私のを貸してあげるね」 「ありがとつかさ♪ ささ、かがみ~ん」 「こら、脱がすな! 自分でやるわよっ」 126 名前:1-724[] 投稿日:2008/08/13(水) 20 24 01 ID pZlifwjB 122 「こなちゃん、代えの下着が切れたのなら私のを貸してあげるね」 「で、こなちゃんの欲しいのは、こっちの身につけてない新しい方?それとも私のお気に入りの方?」 「もちろんつかさの…」 「いい加減にしろ!」 ■作者別保管庫(4スレ目)に戻る コメントフォーム 名前 コメント かがみん乙wwwwwwww -- 名無しさん (2009-02-01 03 56 27)