約 3,555,322 件
https://w.atwiki.jp/pantagruel/pages/184.html
編集(管理者のみ) ニーチェの誕生と、「悲劇の誕生」のソクラテス像 .
https://w.atwiki.jp/pantagruel/pages/177.html
編集(管理者のみ) 道徳批判 - 諸空間への序章 .
https://w.atwiki.jp/pantagruel/pages/187.html
編集(管理者のみ) 反キリストのイエス像と、ニーチェの終焉 .
https://w.atwiki.jp/yanesure/pages/237.html
3年7ヶ月目 278,280,282,285から抜粋。 278 :名無し募集中。。。:2010/05/16(日) 17 33 07.74 0 (俺-∀-)<よーし今日は天気がいいし庭仕事でもするか!道重手伝ってくれ 从*・ 。.・)<何するんです? (俺-_-)<家庭菜園に苗を植えるんだよ 从*・ 。.・)<まぁいずれはさゆみのお腹に入るものだからタダで手伝ってあげるの (俺-_-)<へいへい。あともう少し人手が欲しいから誰かに声かけといてくれ 从*・ 。.・)<ほーい (俺-∀-)<さぁ植えるぞー 从*・ 。.・)<今年は何を植えるの? (俺-_-)<今年は珍しい野菜をと思ってヤーコンにしてみた 从;・ 。.・)<ヤーコン?こ、これは嫌な予感がするの… ノノ*^ー^)∩<ヤーコンニチハー!ナンツッテwww 从;- 。.-);俺-_-)<来ると思ったよ… 280 :名無し募集中。。。:2010/05/16(日) 17 53 18.23 0 (俺-_-)<そしてこれがミョウガだ 从*・ 。.・)<さゆみはあまり好きじゃないかも ノノ*^ー^)<まぁこればっかりはミョウガナイですねw (+俺-_-)<道重ぇ!コイツ寝かせつけてこい! 三ノノ*^ー^)つ⊂从`・ 。.・)<アイアイサー! 282 :名無し募集中。。。:2010/05/16(日) 18 04 53.01 0 从;・ 。.・)<ちゃんとベッドまで連れてって布団もかけてきたから大丈夫なの (;俺-_-)<それは良かった (俺-∀-)<さて気を取り直して次はサンチュだぞ 从*・ 。.・)<サンチュと聞くだけど焼肉が食べたくなってきたの! ガラガラガラッ (←2階の窓が開く音) ノノn^ー^)η<俺さんとさゆぅー。いつもサンチューベリーマッチィ~www (+俺-_-)<道重ぇ!ヤツが熟睡するまで監視してこい! <从+` 。.´)<アイアイサー! 285 :名無し募集中。。。:2010/05/16(日) 18 31 45.23 0 从*・ 。.・)<ね~んねんころ~り~よ~ ノノ*´ー`)<ぐぅ… 从*・ 。.・)<やっと寝てくれたの (俺n-_-)η<道重~亀井は寝たか~?最後にイモ植えるぞ~ 从*・ 。.・)<は~い今いくの~ ノノ*´ー`)<ぐぅ…ふ~んだ、もういーもーんw.....zzz 从;・ 。.・) ポカーン 俺さゆ+えりの庭仕事編 完 名前
https://w.atwiki.jp/rds_th/pages/73.html
そしていつかまた出逢って 原曲 桜花之恋塚 ~ Japanese Flower 概要 ゆったりとした曲調のアレンジ。 遙の中では、古くから幻想郷を見守ってきた目線としての幽香、といったイメージか。 後に改にてそしていつかまた出逢って ~ Eternal Flowerとしてリアレンジされ、歌詞が付けられることとなる。 考察 サビ後半辺りのピアノが空飛ぶ巫女の不思議な毎日。 2 14辺りのギターが永遠の巫女。 前の二曲との関連を匂わせる。 博麗の巫女は移り変わり、そしていつかまた、過去に先代が退治した妖怪達と出逢ってゆくのか。 小ネタ 終盤に今昔幻想郷のフレーズが確認できる。 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/hakozisyo/pages/245.html
現夢境界-そして繋ぐ道は- GM:杜樹 参加PC:イリアス(PL 麗輝) 登場NPC:コンスタンス、モニカ、ハーヴェイ、テティス 日時:2008. BOSS:《闇》 運命キャンペのプロローグ的ソロ。 予告文 闇が蠢く。 捕らえようと。消そうと。無くそうと。 これは夢か現か、それとも。 イリアスは何もはっきりしたことが分からないまま、ここに降り立つことになった。 これは、その少し前の話──……。 リプレイ
https://w.atwiki.jp/touhourowa/pages/223.html
繋がる夢、想い、そして―― ◆CxB4Q1Bk8I 人里の外れ。 左右に木造の建物が雑然と立ち並ぶ静かな道を、小さな鬼を背負い歩くは秋の神。 金に輝く髪に紅葉の髪飾り。 血とは違う、美しい紅色の服。 顔は大きな悲しみと、小さな決意に満ちている。 その後を、不安げにきょろきょろしながら付いていくのは金髪の妖精。 時折吹く冬の風は、寂しさよりも孤独で、終焉よりも濃い死の香り―― 秋静葉は、立ち止まって大きく息を吐いた。 先ほどまでに、続けざまに銃声を聞いていた。 この小さな人の里で、誰かが誰かを傷つけようとしている。 無視できるはずも無い。だって、そんなこと、罪も無い誰かが傷つけられること、許されては駄目だって思う。 これは、当然の気持ちだ。静葉はそう思っている。 でも、静葉は鬼を背負い、妖精を連れて、銃声と逆の方角へ。 北西の里の外れへ向かい、歩いている。 ルナチャイルドが不安げな目で静葉を見た。 大丈夫よ、と目で合図すると再び歩き出す。 きっと、この小さな妖精も、私と同じように不安で一杯なんだろうと、思った。 幾度と銃声が聞こえても、静葉の行動は何も変わらなかった。 普段の静葉なら怯えて震えているだろうし、もし美鈴ならば、誰かを助けにいくかもしれない。 それでも、今、背中にある一つの命こそが、静葉にとって手の届く唯一の暖かさだったから。 美鈴が救い、静葉がそれを受け継いだ。 どうしても、この命だけは、守らなければならないと、それだけを思っていた。 すぐに治療が出来れば一番良かったのだけど、銃声から遠ざける事を優先させたのだ。 美鈴さんが魂を込めたのだから、きっとこの鬼さんは大丈夫。 だから、自分がそれを守らないと。 穣子は、人里で死んだと、聞いていた。 探したい。会いたい。そんな気持ちだって、強く持っている。 でも、今私に手の届く命は、この背中にある。 落ち葉を拾うよりも、紅葉を見守る方が、穣子だって好きだった。 だから穣子、もうちょっと待っててね。 安全なところまで行って、手当てして、鬼さんがちゃんと動けるようになったら。 叶うなら、会いに行くから。 守りたい、そんな気持ちは、一人では持てなかっただろう。 美鈴さんが、その命を懸けて、私に教えてくれたのかもしれない。 でも。 誰かのために死んでもかまわないとか、そんなのは、悲しすぎる。 だから、精一杯、自分のできることで、誰かを守れればいいんだと思う。 美鈴さんは、格好良かった。自分のできることを、凄く大きく持っていて。 私と会って、赤の他人なのに、私をずっと守ろうとしてくれた。 私はその間、不安に押し潰されそうで、泣いてばかりだったのに。 私も、あんなふうになれるのかな。 「ねぇ、大丈夫?」 不意に、ルナチャイルドが問いかけてきた。 大丈夫じゃないように見えたのかしら、とちょっと考える。 確かに、背中の鬼は小柄だけれど、元々静葉も筋力のある神ではない。 背負って歩くのは、決して楽なことではなかった。 「大丈夫よ、少し疲れたけど」 そう言って微笑む。 少しは明るく見えたかな? ちょっと、穣子っぽく、笑ってみた。 いつも、穣子に笑われるような、寂しそうな顔じゃ、この子を不安にさせると思ったから。 「なら、いいけど。うーん、ちょっと怖かったからねっ」 ルナチャイルドは、邪気なく真意を口にした。 「怖かった?」 「うん。なんか、凄く怖い顔してた」 …そうだよね。わかってる。 こうやって託されたから、目の前のことだけを見てるから、誤魔化してるけど。 穣子が死んだって聞いて、美鈴さんがいなくなって。 泣かないって決めたのを破ってしまって。 涙は枯れるほど泣いたけど、悲しみは全然消えてないから。 「ごめんね」 穣子。美鈴さん。 「あっ、謝ることなんてないよっ」 ルナチャイルドはわたわたと手を振る。 それを見て、少しだけ、ふふっと微笑んだ。 今はこれで精一杯だけど。 自分に与えられた事、悲しいこと、全部終わって、それから、また、笑えたらいいな。 「あっ、ねぇ、あそこで休めそうだよ」 ルナチャイルドが嬉しそうに言った。 静葉が顔を上げると、横切る広い道の向こうに、少し大きめの民家があった。 見たところ人の動きは無さそうだし、裕福そうだから薬の類も置いてあるかもしれない。 歩き続けた疲労はある。これ以上外に居るのも厳しいだろう。 先ほどの銃声からも、悲劇の現場からも、可能な限り離れた筈だ。 「そうね、あそこで、鬼さんの手当てしようかな」 ルナチャイルドに話しかけ、よっと鬼を負ぶさりなおす。 「うんっ。あ、私、見てくるねっ」 ルナチャイルドが走って行く。 「気をつけてね」 それを、一抹すらも、不安を感じぬままに送り出した。 失いすぎて、枯れてしまった心が、余りに初歩的な危険を察知出来なかった。 死角となっていた納屋を過ぎ、十字に走る里の道にその姿を出して―― 「あはははははははっ、見つけたッ!」 響く笑い声。唸る機関銃の発射音。無機質に死に追いやる狂気の音。 ルナチャイルドの小さな身体が、踊るように跳ねた。 真赤な何かが、里の道を紅葉のように染める。 秋よりもっと濃厚に、鈍い死の色に。 身体を撃ち抜かれたルナチャイルドの悲鳴が、静葉の心的恐怖を想起させる。 またも、自分と連れ立った仲間を、目の前で失ってしまうかもしれない。 否定しなければ折れてしまいそうな現実に、心が先走った。 「ルナチャイルドっ!」 背中の鬼を背負ったまま、傷つき倒れて呻く妖精の元へと走る。 納屋の死角から道に飛び出すも、何故か次の攻撃は続いてこない。 その不可解な時間的余裕の間に、静葉はルナチャイルドの元へと駆け寄った。 「やったぁ!今度こそっ、ちゃんとやったよ!」 無邪気で残酷に笑う少女が一人。 古明地こいし。 東から歩いてきた壊れた人形は、南から来た妖精が北へと横切るその姿を偶然その視界に捉えたのだ。 その手に巨大な武器を抱えて。傷だらけの身体を抱えて。 亡霊に撃抜かれた足は、白い布で乱暴にぐるぐると巻かれていた。 既にそれは紅く染まっているが、全く気に留めている様子も無い。 自分の身体が送る情報なんて、必要ない。 意識を閉ざしてしまえば、痛みなど中身の無い信号に過ぎない。 ただ衝動の命ずるままに動いてくれるのならば、何一つ問題など無かった。 大切なのは、アリスとの約束。こいしにはそれだけだった。 「あははっ、あはははははっ!」 こいしは、虚空に笑いかける。 ルナチャイルドの元へ走っていった静葉も、高揚した気持ちの中で目に入らない。 ただ今自分が一人、他者を破壊したという気持ちの昂ぶりを見えぬ何かに誇っていた。 「痛いっ…痛いよ…」 ルナチャイルドの身体は、見ただけでも絶望的なのではないかと静葉に思わせる状態だった。 気絶して無いだけ奇跡なのではないか。いや、何故残酷にも意識を繋ぎとめてしまっているのかと。 右腕は既に機関銃の豪力により、その身体に辛うじて繋がってる以外は原形を留めていない。 それ以外の傷は、相手の照準が悪かったのか、一つ一つは致命傷には至らず傷も多くない。 しかし撃ち込まれた弾丸は確実に妖精の命を傷つけている。 この小さな身体の、どこにこんなに血が流れていたのかと、静葉に思わせるほどに。 土を鈍赤に染める流血は、止まる気配を見せない。 右腕、右脇腹、左足…目を逸らしたくなるような姿だ。 それでも、生かしたい。死なないで、と心から願う。 「しっかりしてっ!すぐ手当てっ…」 「あははっ、まだいたぁっ!」 こいしが、ようやく静葉の存在に気付く。 珍しいものを見つけた子供のように、嬉々とした声で叫んだ。 静葉もまた、叫び声を受け正気に戻り、狙撃手が自分に気付いたことを知る。 こいしは手に持った機関銃を再度構える。 静葉は慌てて片腕でルナチャイルドを抱え、一心不乱に正面の民家の玄関へと飛び込んだ。 静葉に遅れることごく僅か、機関銃の銃弾が壁を掠め、その壁を抉っていく。 飛ばされる木片の勢いが、それが身体に当たれば即ち死に直結することを物語る。 「あはははっ!違うよ? かくれんぼじゃなくて殺し合いだよっ!」 まるで、命の大切さも知らぬ少年が、虫を追い回して叩き潰すのを楽しんでいるかのような、無邪気で壊れた笑い声がした。 民家の入り口の壁を背に、静葉は二三度強く深呼吸する。 どうしよう。 自分が、今、判断しなくてはいけない。最善を考えなくてはならない。 落ち着かないと、落ち着かないと。 腕の中には、荒く息をする重傷の妖精。 横には、背中から下ろした、未だ意識の復調を感じない小さな鬼。 このままでは、全員があの武器の餌食だ。 だから、逃げなければ、いけない。 でも、どこに? あの少女との距離を考えれば、追われないように逃げるのは不可能だ。 ルナチャイルドと鬼を抱え、非力な自分が逃げ切れるとは思えない。 隠れるという選択肢も、同じ理由で危険すぎる。 自分だけ逃げる、そんな思考は浮かぶことすら無かった。 絶望的な思考が静葉を襲う。 外からは、土を踏みしめる音が恐怖を運んでくる。 歩くようなスピードだけれど、確実に相手がこちらに近づいて来ている。 この二人を、守らなきゃいけない。 美鈴さんがそうだったように。 もしかしたら穣子がそうだったように。 でもどうしたらいい? 万に一つだって、勝ち目は無いかもしれない。 あちらは強力な遠距離武器を持っている。 対してこちらは不気味な洋剣一本だ。 それでも、やるしか、ない。あのときの、美鈴さんのように。 私は美鈴さんのような勇気は無い。 今も、怖さで泣き出してしまいそう。 でも、今、私の後ろには、守りたい命がある。 そのためになら武器を持てるって、思える。戦えるって、思える。 妖精を下ろして寝かせると、フランベルジェを握り締める。 きっと及び腰に弱々しい眼、とても戦えるような姿には見えないのかもしれないけれど。 「ルナ、ここで待ってて。すぐ戻るから!我慢してて!」 「わ、私、だいじょう、ぶ、だよ… だから、ぜっ、たい、帰ってきて…」 それでも、守りたい意志だけは、強く持っているから。 静葉は民家の中から、少しだけ外を見た。 攻撃してきた少女は、納屋から10メートル先のところまで、距離を詰めていた。 こいしの手の武器は、先ほどまでの機関銃から、小さな拳銃に代わっていた。 穴に追い詰めた鼠を狩るのに、ダイナマイトなど必要ない。 腕を伸ばしてその身を掴み、爪で身体を切り裂き、牙を首元に突き立てるだけの話なのだから。 静葉にとっては、絶望的な攻撃を一方的に受けないだけ、状況は良くなったと言えるかもしれない。 窮鼠が猫を噛むとしたら、慢心した相手の油断を付けばいい。 静葉は相手の注意を自分に引きつけるように、姿を敵の前に晒す。 フランベルジェを構え、キッとこいしを睨みつける。 「アハハハハハッ」 こいしは足を止めると、高らかに笑った。 「そんな剣じゃ私は殺せないよ、先に私が殺しちゃうから!」 「ま、待って!私の、話を聞いてくださいっ!」 静葉は叫んだ。今出せる全力の声で叫んだ。 聞こえている筈なのに、こいしは、表情を変えない。凍りついたような不気味な笑顔を、崩さない。 「私たちは、戦いたくないんです! 殺し合いなんて、駄目ですっ…! だから、やめましょう…!」 甘えかもしれない。無理だって自分でもどこかでわかっている。 それでも、自分の死も、他人の死も、辛いことだって知っているから。 戦うことが、今、何も生み出さないことを知っているから。 「私達は貴女を傷つけませんっ…! だから…!」 「駄目、だよ。約束だもん」 それでも心の叫びは、まるで相手の心に響かなかった。 他人の声など、何の意味も持たぬ雑音でしかないのだと。 こいしの口の端が、大きく歪んだ。 無邪気で不気味な笑顔が、ただ殺意の具現と化す。 戦うしか、無い。 引けない。 そう思った。 だから。 フランベルジェを、ぎゅっと握り締めて。 全ての恐怖を飲み込んで、全ての勇気を振り絞って、守るために戦うことを選んだ。 「葉符『狂いの落葉』!」 相手が動き出す前に、先手を取って鮮やかな紅葉の弾幕を散らし、敵との間に視界を遮る幕を生成する。 相手の遠距離武器の精度を可能な限り落とすことが第一の目的。 第二に、予想以上に効果がありそうならば、これを盾に二人を連れてここから逃走を計るため。 しかし、第一はまだしも、第二の目的を達することは不可能だと、すぐに考えを改めざるを得なかった。 こいしは、広範囲の弾幕の隙間を縫うように、軽やかに静葉に近づいてくる。 それを身体に喰らうことなど恐れていないかのように。 走るよりは足止めが出来ているものの、逃走するには余裕がなさ過ぎる。 それに、弾幕を放つだけで、力の消費を感じるほど、自分達にかかっている制限は大きいもののようだ。 洋剣は手に持ったままだが、出来れば使いたくなかった。 だが、それ以外に武器は無い。 それ故に、消耗してでも弾幕を休み無く生成し続けて相手の隙を付くしかない。 静葉の放った幾度目かの弾幕の間を縫い、こいしは拳銃を放ってきた。 それは大きく逸れて遠くの民家の屋根に突き刺さるが、静葉がそちらに気を取られた隙にこいしは弾幕を広げる。 「本能『イドの解放』」 こいしを中心に、広範囲にハート型の弾幕が撒かれる。 静葉は辛うじて第一波を回避するものの、すぐに違和感に気付いた。 ハート型の弾幕が、こいしと静葉を囲うように広く円形に停滞したままだった。 「しまっ…!」 静葉を逃がすまいと、その道を封じるように背後に弾幕が迫る。 それを避けながら攻撃出来るほどの判断力も反射神経も、静葉には無い。 必然的に、弾幕をかわしつつ常時動きながら、敵の拳銃に照準を合わせられないようにするのが精一杯だ。 しかし、相手に余裕を与えれば更に弾がばら撒かれてしまい、徐々に自分が追い詰められていくことに繋がる。 「あはははははっ」 気付けば、こいしの手中で踊っているだけのような錯覚に陥る。 追い詰められた穴ではなく、既に檻の中に囚われてしまっているような感覚。 まるで、勝ち目というものが見出せない。 このままでは、どうしようもない。 封じた考えを、再度表に出さざるを得ない。 手元の洋剣を強く握る。 二度と使いたくない。その気持ちは今も変わらない。 それでも、守りたいものをこの武器が守ってくれるのなら。 静葉は強く踏み込むと、弾幕の隙間を縫い、洋剣を構え大きく跳んで間合いを詰める。 静葉が全力で振るったフランベルジェが、こいしが払うように振った銀のナイフと、火花を散らした。 「――!」 遠距離武器だけでなく、やはり近距離用の武器も所持していた。 静葉が不得意とはいえ、まだ相手の実力が未知数だった近距離戦ならば勝ち目はあったかもしれないと考えたのだが、結果は同じだった。 二度、三度と続く剣戟は、手品のように左右に撫ぜるナイフに悉く跳ね返された。 漂っていたハート型の弾は消えていた。先ほどまで手にしていた拳銃は服を括った紐に引っ掛けている。 こいしは、今は右手左手に一本ずつ、銀のナイフを逆手に構えている。 妖なる者を封じるために聖なる刻印の刻まれた武器。 あまり手馴れているとは言えないが先の予測できないトリッキーな動き。 まるで「人形師が人形を操っているかのような」緻密なナイフ捌き。 お互いが慣れない武器とはいえ、根本の戦力差は、明白だった。 力の差。経験の差。そして――殺意の差。 どれをとっても、静葉に有利な点など見つからない。 それでも、相手が休む暇を与えてしまえば、間合いを離されて遠距離戦に持ち込まれるかもしれない。 そうなれば先ほどと同じだ。今以上に不利な状況に追い込まれかねない。 それに、ルナチャイルドの状態からして、時間をかける余裕は無い。 一刻も早く、手当てをしなくてはいけない。 早く相手を敗走させるか、行動不能に陥らせなくては。 焦りのような感情は、静葉の行動を誤らせるように膨れ上がる。 静葉は慣れぬ剣を振るう。既に幾度目かもわからない剣戟。 右から左へ、静葉の可能な限りの速さで振るった剣。 こいしは、それを同じような動作でナイフで払う――事無く、小さなバックステップでかわす。 不意に反発の重力が働かなかった静葉の足がたたらを踏む。 「きゃはははははっ」 狂ったような、しかし明確に自分の優位を意識した笑い声。 前のめりになった静葉は、思わず顔だけを右に振り返らせる。 そこには、こいしの勝ち誇った顔があった。 眼を見開いて、今から起こることを心から楽しみたいのだと、誰かに伝えるような笑顔。 それは随分とスローに、静葉の眼に映りこんだ。 「残念でしたっ」 楽しそうで、満足そうな声だった。 構えたナイフが、妖しくキラリと光った。 それは、静葉の首筋に今にも振り下ろされようとしていた。 「――あれっ?」 こいしの声が、静葉にも不思議とはっきり聞こえた直後。 こいしの表情が、ほんの少しだけ疑問を浮かべた。 本来なら、静葉の首を切り裂くはずだったナイフが、僅かにテンポが遅れ、静葉の右上腕を突き刺した。 「――ッ!」 思考が停止するほどの激痛が走り、手を離れたフランベルジェは遠く前方へ飛ばされた。 そのまま前に倒れこむ。思わず今刺されたばかりの右腕で、顔面からの地面への衝突を回避しようとする。 「ーーーーーーー!!!」 身体を支えようとした右腕に、言葉にならない激痛が二重三重に走る。 即座に左腕を代用して支えにし、地面との衝突は避ける。 ワンクッションの後に側面から倒れこみ、受身など取れずに身体を強くぶつけた。 「あは、あはははっ!」 何が可笑しいのか、こいしが狂ったように笑う。 倒れこんだままの静葉に、いつの間にかまた手にしていた拳銃を突きつけて。 「ねぇっ、妹いるでしょっ!」 どこか楽しそうに、話しかけた。 走る鋭い痛みの中でさえ、こいしの言葉が随分とはっきり聞こえる。 「妹、…どうして…?」 どうして、そんな事を聞くのだろう。 「さぁ?なんとなく。居そうな気がしたの」 まるで、何を考えているかわからない。 不気味に笑う少女を見つめ、ハッと一つの可能性に思い当たる。 もしかしたら、穣子のこと、知っているのかもしれない。 …もし、そうならば、何処で穣子の事を知ったのだろう。 どこかで会ったのだろうか。 鈴仙さんが言っていた、悲劇の場所に居たのかもしれない。 穣子へ繋がる僅かな糸を、自分のことも忘れて掴み取ろうと手を伸ばす。 しかし、静葉がそれを尋ねる前に、こいしは次の言葉を繋ぐ。 「…ねぇ、仲は良かったの?妹は好き?」 意図の読めない笑顔で、こいしは尋ねる。 何かを期待しているような。何かを欲しているような、そんな表情に思えた。 穣子の笑顔が、脳裏に浮かんで消えた。 同時に、楽しかった、平和だった過去が思い返される。 泣いて泣いて、その涙でも流せない、流すことなど出来ない思い出が。 静葉は、噛み締めるように返答する。 「…ええ。私達、とても…仲は良かっ」 次の瞬間、全く何の前触れも見せずに、こいしは引き金を引いた。 静葉の右脚を、弾丸が撃ち抜いた。 一瞬、何が起こったのかわからず、呆けてしまう。 直後、遅れて走った激痛に、静葉は思わず苦痛を叫んだ。 「あはははははっ!そう!よかったね!よかったねっ!」 全くの無意識の中で、本人すら気付かない憎しみの黒き衝動が、こいしを駆り立てた。 「よかったねっ! でも私と―― 私と、アリスさんの絆には適わないかな!あははははっ!」 何も笑うことは無い。面白いことも、楽しいことも無い。 それでも、笑いが狂ったように出てくるのは。 何か心の奥に隠してしまった感情を、出て来させまいとする無意識が、壊れた心から溢れてくるから。 静葉は言葉を失った。 こいしはどこか壊れた笑いを今も続けている。 静葉は必死に立ち上がろうとするが、体中に力が入らない。 少しでも動かすたびに激痛が入る。 目を逸らしたかったが、今の静葉の右足からは、脈打つたびに血が溢れ出てくる。 こいしは、不意に笑い声を止めた。 「うん、アリスさん、わかってるよ。ちょっと遊んだだけ。大丈夫、任せて、私に」 再度、空に話しかける。今度は、空虚でないしっかりとした口調で、笑いの消えた表情で。 そして、静葉の方に向き直ると、流れるように拳銃を構え、引き金に指をかける。 それは決して正しい構えではないかもしれないが、それが引かれた瞬間に静葉は確実に命を失うだろう。 静葉は、その黒い銃口をぼんやりと目で追った。 それが自分を狙い、死の瞬間がすぐ近くまで来ていることを、痛みの中のぼんやりした思考の中で悟った。 …… こいしの動きが、ふと止まった。 静葉が申し訳程度の盾として顔を隠した左腕は、来る筈の銃撃を感知しなかった。 「駄目っ…やめ、ようよっ…」 こいしの脚に、満身創痍のルナチャイルドが抱き付いていた。 右腕はボロボロで、今も血が流れ出ている。それでも、左腕一本だけででも、その脚の動きを止めようと、必死で掴んでいる。 「ルナチャイルドっ…!」 「痛い、よ…。私も、このお姉ちゃんもっ…!あのお姉ちゃんだってっ…きっと、痛かった、よ…! 傷つくの、嫌だよ。死ぬの、嫌だよ…。殺すの、やめようよっ…!」 ここまで這ってでも来たのか、痛々しい流血の道が出来ている。 脚だってマトモに機能せず、動くことすら困難だったというのに、小さな妖精はここまで辿り着いたのだ。 「妖怪とか、人間とかっ、いっぱい、いるけど、いろいろ、あったけど…! でも、こんなのはっ、違うよっ…ちがっ…」 永き命を持つが故に、多くの種族から忘れかけられていた恐怖。 死は、ありとあらゆる生命にとって、存在するだけで戦慄を覚える、嫌悪の最たる対象。 それを、ルナチャイルドは、必死でこの少女に伝えようとしていた。 静葉は、止めなきゃいけないと思った。 今のこの相手には、言葉が伝わらない。それは自分が戦って話した中で、わかったことだから。 だからお願い――!早く、逃げて… でも、それは、言葉にならない。 ルナチャイルドの必死の言葉だけが、響き渡る。 「殺すのっ…おかしい、よっ…!そんな、のっ…皆っ、死にたくなんか、ないのにっ…! 絶対っ…おかしいよっ…!」 こいしは、呆けたような表情を見せると、狂気すら感じない無感情な声で言った。 「おかしく、ないよ。アリスさんが言ったもん」 静葉を捉えていた銃口が向きを変え、 乾いた音と共に、無慈悲な弾丸が、ルナチャイルドの額を撃抜いた。 妖精は、小さな妖精は、勇気を振り絞って心を伝えようとした妖精は―― 血に塗れて、死んだ。 動かない。 静葉の目の前で。 もう誰も失いたくないと思った静葉の前で。 心の悲鳴は、喉に引っかかって、声にならなかった。 酷使された涙腺が悲鳴を上げ、溢れる筈の涙の代わりに痛いくらいに目の奥が熱い。 「アリスさん。大丈夫、私は惑わされないから。ね、アリスさん」 こいしの呟くような声は、この世界のどこにも届かぬかのように、空で消えた。 あの声も届かないほどに、悲しい出来事に負けてしまったのだろうか。 誰かに守られたかもしれないその命を、繋ぐよりも悲しい使い方にしか使えない、 アリスという名の、呪いのような誓いに縛られて。 もし、美鈴さんが、最後に残した言葉が。 穣子が、最後に残した言葉が。 それを望んでしまったのなら。 私だって、わからない。 彼女がどんな経験をして来たのかわからない。 彼女にとって、それがどんなに重いことかなんか、わからない。 でも。 悲しいから。 そんなの、悲しすぎるから。 静葉は、弾幕ではなく、声を絞り出した。ルナチャイルドの気持ちを、そのまま捨てたくはなかった。 「ねぇっ…!奪っても、戻らないっ…。殺したって、何も得られないですよっ…!だから、もうっ…」 「駄目、だよ。アリスさんが望んだことだもん」 「お願いっ…!聞いてッ…!アリスって人が望んだことは、きっとこんな事じゃな…」 「五月蝿いッ!!」 目の前の狂気に染まった顔が、酷く醜く歪んだように見えた。 それは静葉という存在を、今すぐにでも消してしまいそうなほどの怒りに色を変えた。 「アリスさんを!アリスさんを!否定するなぁッ!!」 少女は、もう、聞いていなかった。 無邪気な少女でも、好奇心溢れる少女でもない。純粋な憎悪と殺意がその表情を包んだ。 アリスに囚われた心の錠は、幾重に掛けられた鍵は、それを開こうとするものを全て拒んだ。 それを奪わんとするものを、全て敵と看做した。 こいしは拳銃を構えた。会話も、躊躇いも、アリスとの約束に不要なものだった。 ああ、もう、死ぬのかな。 静葉は、自分へ向こうとする拳銃と、その向こうの怒り狂った表情を呆然と見つめながら、不思議と冷静に、そんな風に考えた。 託された命が、今そこに、あるのに。最後まで守ることが出来なかった。 今ここで散った命を、何かに繋ぐこともできなかった。 穣子、ごめんね。 もしかしたらあなたと、最後に会えたかもしれないのに。 美鈴さん、ごめんなさい。 守ってくれた私の命も、守ろうとしたあの命も、こんなところで―― そして、視界の色が変わった。 最後の一枚、紅葉が散るようにあっさりとした一時だった。 しかし、二度目の最期の瞬間は、またも訪れることは無かった。 「――ッッ!」 何かが凄い勢いで衝突したような。とても生物が出すようには思えない音がした。 こいしが、言葉にならない悲鳴を上げ、静葉の視界から消えた。 静葉の目の前には、 「お、鬼さん…」 先ほどまでは生死の境にいた筈の鬼の背中があった。 「大丈夫、なん、ですか…?」 静葉が小さく声をかけると、鬼は静葉に向き直った。 その表情は元気そうで、ほんの少し笑顔であった。 「ああ、大丈夫。力を吹き込んでくれた人がいたから、今はもう万全だよ。あとは私に任せな」 「よ、か、った…」 ふっ、と静葉にも笑顔が戻る。 悲しい出来事の連鎖の中の、ほんの一瞬の、一つの奇跡に。 私が託された命を、守ることができて。 大切な命を、繋ぐことができて。 終わる秋から冬へ、そして芽吹く春へと繋ぐ命を。 落ちた葉が、土を潤し、新たな命が息吹くまで。 希望を穣らせるもので―― 静葉は安心したように、ふっと力が抜けるように倒れた。 激痛と悲しみに耐えていた、心を支える糸が、切れたように。 ◇ 静葉が目を閉じると、萃香の表情は一瞬にして苦痛に溢れたものとなる。 身体を支えるのがやっと、といった様子で大きく息を吐いた。 その両脚は、折れかける膝をどうにか支えていた。 無理して作った笑顔は、彼女を騙してしまっただろうか。 鬼である自分が嘘をついてしまうなんて。 それが、恩義ある相手に鬼が出来る精一杯の強がりであったとしても。 不鮮明な精神の中で、自分の触れていた紅い背中はただ温かく。 そのときは感謝も言葉にすることが出来ない状態だったけれど、今でははっきりと言える。 守られることになんて慣れていないけれど。 心から自分を守ろうとしてくれたこと、心からありがとうと。 先ほど体当たりで飛ばした相手は、遠くで倒れている。 鬼の一撃をまともに食らったんだ。当分は起きて来られないだろう。 あいつと話したいことは山ほどある。でも、今大事なのはこの神様だ。 萃香は急いで静葉を右腕に、ルナチャイルドの死体を左腕に抱えると、傍の民家に並べて寝かせた。 静葉の腕の傷は、案外出血が酷く無い。脚は重傷だが、銃弾は貫通している。 双方傷は浅くは無いものの、血止めをすれば死ぬことは無いだろう。 ルナチャイルドの服を少し破り、止血用の包帯に使う。 「…間に合わなくてごめん」 物言わぬ妖精に、謝る。 サニーミルクの仲間の妖精だろう。きっと、とても悲しむに違いない。 意識の深霧が晴れるまでは、響く戦闘音すら他の世界の出来事のように聞こえていた。 混濁した意識が正常に戻り、立ち上がれたときにはもう、戦いの場の妖精は動いていなかった。 そして霞がかった記憶の中で自分に手を差し出してくれた神様が、今にも命を奪われようとしていた。 その瞬間、柄にも無く必死に走った。感情というものは予想以上に身体を熱くさせた。 ルナチャイルドの死は自分のせいでは無い、そう人は言うだろう。 むしろ、この秋の神を助けたのを誇っていいと、言われるかもしれない。 しかし、こんなに近くに居たというのに、全く私は守れなかった。 妖精を失い、恩人を傷つけて、それで満足など出来る筈が無い。 情けなくて、不甲斐なくて。鬼失格だね、私は。 ザッ、と地に足を擦る音が聞こえ、次いで先ほどより増した殺気を感じた。 体当たりで吹き飛ばした相手が、今起き上がったようだ。 予想外に早い。 全力の体当たりだった。あれを喰らえば気を失うか、そうでなくとも一刻は立ち上がれないはずだというのに。 その間に、恩人を助け、相手を見極めて、自分が出来る範囲でケリをつけるつもりだったというのに。 本当に、自分が今、その力を全て発揮することが出来ていないんだと実感する。 不甲斐なさの上塗りだよ。情けなくて涙が出るね。 鬼が泣くなんざ、恥ずかしくて誰にも言えないけどさ。 「ごめん、守ってくれた命だけど――私はこれを使ってしまうかもしれない」 意識の無い静葉に、そう語りかける。 「でも、鬼は…戦いを止めたときが、死ぬ時なんだってさ」 長い長い鬼の眠りの間に、亡き親友が伝えてくれた言葉だ。 彼女との最期の約束というに足るそれを、鬼である自分が、反故にするなんて出来る筈も無い。 身体は万全には程遠い。むしろ限界に近い。 それでも、朦朧とした意識の中、誰かが自分に分けてくれた力があった。 誰かを守るために使えと、そう言われたような気がしていた。 そして、動けぬ自分を助けようとしてくれた人が、今ここにいる。 鬼が恩義を返せなかったら、後世までの笑いものだよ。 「酒の一献、鬼の一魂――簡単に捨てられるモノじゃない」 両拳を一つ、強く打ち付ける。 民家の陰から、敵の前に姿を晒す。 立ち上がった妖怪が、こちらを見ていた。 顔は見たことがある気がする。でも、会ったとしても遠い昔の話だろう。 それは、今は大切なことでは無い。 既に命を一つ以上奪い、一人を傷つけ、尚も殺意を纏っている。 相手がそうであるならば、必要なのは意志だけだ。 自分を守ってくれた人に、指1本触れさせるものか。 「伊吹萃香! 鬼の名に誓い、この場は譲るものかぁッ!」 ◇ まるで全速力の象が体当たりをしてきたような。 全身に幾らとも言いがたい衝撃が走った。 無防備だった秋の神の姿が消え、視界は広い地面を高速で滑った。 空、地、空、地、と高速で視界が変わり、こいしは自分が吹き飛ばされたんだとぼんやり気付いた。 随分と長く思える間宙に舞った後、最後に一転し、地面とグレイズしきれず腰を強かに打ちつけた。 「う、ううっ…!」 流石に堪えたか、すぐに起き上がろうとするも身体が動かない。 拳銃は手放さなかったけれど、静葉の血を浴びていたナイフは手から抜け遠くへ飛んでいったようだ。 尤も、そんなことはこいしには関係ない。 暫くの間、動かそうとする意識に反抗する身体と格闘した後、痛みを無意識で無理矢理覆い隠し、立ち上がった。 足が震え体中が悲鳴を上げるが、それらを全て黙殺する。 土の付いた服を払うことも、血の付いた顔を拭うことも無い。 今は不気味な笑顔の欠片もなく、その表情は憎悪に満ちている。 武器は幾らでもある。一刻も早く、自分を攻撃した相手を、殺しに行かないと。 こいしは、ただ敵を見た。 どうやら、二本角の鬼が体当たりを喰らわせてきたようだ。 今再び民家の陰から飛び出してきた鬼は、まるで猛る獣のように自分に怒りの視線を向けてくる。 見えるほどの殺意すら感じるような、強烈な気迫を纏っている。 神と小さな妖精の次は、これまた小さな鬼。見れば見るほど奇妙な取り合わせだ。 こいしがいつもどおりなら、さぞかし楽しそうに笑ったに違いない。 でも、今のこいしには、彼女達は全てただの敵でしかない。 自分とアリスの目的を阻害する、共謀した悪でしかない。 ねぇ、ありすさん。 みんなでよってたかってわたしをいじめるんだよ。 わたしはなにもわるくないのに。 「そんなに、」 ぼんやりとした「また」が頭の中に浮かんで消えた。 思い出せないいつだったかの過去と、今。あの僅かな幸せな時間以外は、自分は一人だったような気がした。 「わたしをきらいなの?」 きっと、わたしがこわくて、きらいで、にくくて、きもちわるくて。 だから、こんなに、わたしに、つらくあたって。 だから、わたしはめをとじた。 めをとじさえすれば、わたしがゆるされるせかいになった。 いままではわたしひとりのせかいだったけれど。 だれもはいってこなかったせかいだったけれど。 いまは、アリスさんとふたりのせかい。 だれも。だれだって。はいれないせかい。 わたしのせかい。 「いいよ、みんながわたしをきらいでも。わたしには、ありすさんがいるから」 ここにいる全てを壊すこと。 アリスの望みをかなえること。 私が嫌われないでいられる場所が、そこにしかないのなら。 それ以外の全てを捨て去ることに何の躊躇いも無い。 それだけのために。全てを失っても構わない。 なぜなら、自分は人形だから。 望まれた、人形だから。 「…アリスさんのために。」 ◇ 囚われた心に従い、少女は堕ちた。 守られた命を繋ぎ、少女は立った。 亡き少女のために。傷ついた少女のために。 譲れぬ想いを抱いた二つの意地がぶつかり合い、冬の人里に、一瞬の熱風を巻き起こした。 【D-4 人里の西側 一日目 午後】 【伊吹萃香】 [状態]重傷 疲労 能力使用により体力低下(底が尽きる時期は不明。戦闘をするほど早くなると思われる) [装備]なし [道具]支給品一式 盃 [思考・状況]基本方針:命ある限り戦う。意味のない殺し合いはしない 1.こいしを倒す。静葉は命をかけてでも守る。 2.鬼の誇りにかけて皆を守る。いざとなったらこの身を盾にしてでも…… 3.紅魔館へ向う。ある程度人が集まったら主催者の本拠地を探す 4.仲間を探して霊夢の目を覚まさせる 5.酒を探したい ※無意識に密の能力を使用中。底が尽きる時期は不明 ※永琳が死ねば全員が死ぬと思っています ※レティと情報交換しました ※美鈴の気功を受けて、自然治癒力が一時的に上昇しています。ですがあまり長続きはしないものと思われます。 【古明地こいし】 [状態]左足銃創(軽い止血処置済、無意識で簡易痛み止め中)、首に切り傷、全身打撲 精神面:狂疾、狂乱 [装備]水色のカーディガン 白のパンツ 防弾チョッキ 銀のナイフ×8 ブローニング・ハイパワー(10/13) [道具]支給品一式*3 MINIMI軽機関銃(55/200) リリカのキーボード こいしの服 予備弾倉1(13) 詳細名簿 空マガジン*2 [思考・状況]基本方針:殺せばアリスさんが褒めてくれた、だから殺す。 1.全てを壊し尽くす。 ※寝過ごした為、第一回の放送の内容をまだ知りません ※地霊殿組も例外ではありませんが、心中から完全に消し去れたわけではありません。 ※フランベルジェ、一本の血塗れの銀のナイフが近くに落ちています。 【D-4 人里の西側民家 一日目 午後】 【秋静葉】 [状態]気絶 右上腕に刺し傷・右ふくらはぎに銃創(双方止血済)精神疲労 [装備]なし [道具]支給品一式、紅美鈴の写真、不明支給品(0~2) [思考・状況]基本方針:妹に会いたい。 1.美鈴が助けようとした命を助ける。 2.萃香に、同行を提案してみる。 3.今の妖怪が穣子の事を何か知っているかもしれない。 4.誰ももう傷つけたくない。 5.幽々子を探すかどうかは保留 ※鈴仙と情報交換をしました。 【ルナチャイルド 死亡】 ※死体は静葉の横に寝かせてあります。 120 伽藍の堂 時系列順 123 射命丸は見た! ~遺されし楽団員に忍び寄る吸血鬼の魔の手、河童達は知る由もなく…~ 120 伽藍の堂 投下順 122 楽園の人間、博麗霊夢 110 赤い相剋、白い慟哭。 伊吹萃香 129 酒鬼薔薇聖戦(前編) 107 幽霊がいるとして人生を操作しているとしたら 古明地こいし 129 酒鬼薔薇聖戦(前編) 110 赤い相剋、白い慟哭。 秋静葉 129 酒鬼薔薇聖戦(前編)
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/11053.html
375 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/29(火) 23 59 32.59 ID VfRXVlxV0 この流れと逆らう流れで恐縮だが俺の入っていたプレイグループでメインのGMが困だったんだ… GMばっかりで悪いと思って俺がGMやると言って集めてPL参加してもらったんだが PL参加時は常時上から目線で「この中で一番慣れてる俺が見定めてやろう」とか言って来る具合 いちいち「俺がGMだったらもっとこうするのになあ…いやよそう、今は報告者さんがGMだからね」と嫌みっぽいのを挟んで来るし 戦闘でも「もうちょっとなあ…バランスがなあ…でも最後まで見ないと分からないか、うん」とわざとらしく言う なおかつ最後に他のPL(Aとする)がお世辞にせよ「楽しかったです」と言ってくれたら「えーこれで?うーんじゃあAさんは報告者さんのGMで満足したようだし俺の卓には入らないって事で良いかな」と言った 他にもBやCに対しても「この卓で本当に満足したならそう言ってくれ。正直に言ってくれないと俺の卓で不当なペナルティがかかるかも知れないね。で、実際どうだった?俺と比べて」と露骨に答えを誘導する BやCが「いや、そこは困さんの方が色々良かったですよそりゃあ」と言ったら嬉しそうにうなずいて「報告者さん、これがみんなの感想だってさ!」とドヤ顔で言って来た この一件以来すごくギクシャクして解散に繋がったんだけど、俺がGM買って出るまでは皆の仲も良かったし 俺が壊したんだろうなと思って鬱い 376 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 00 09 09.23 ID 1htHph2X0 375 乙 お前さんは悪く無いよ 件のGMは自分がGMであることに特別性を感じててそれが壊されそうになったから攻撃してきただけでGMがクズで困だと思うよ多分 377 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 00 09 17.72 ID qxnhwfdQ0 375 乙、あんたは別に悪くねぇよ 腕はあっても人間性がクズな奴に『遊んで(遊ばせて)いただいく』セッションなんざ、ロクなもんじゃねぇよ。 378 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 00 19 19.73 ID OwhWA+53O [1/3] 375 メンバーが全員メインGMの奴隷だったのが、目が醒めただけと思えば・・・ 誰かが(報告者がやらなくても)GMに挑戦した時点でメインGMがやらかして終わるような関係だったのだから 意図的なシナリオブレイクやねじ曲げたルールのごり押しをやらかして、対応しきれなかったこっちを悪し様に言い続けたアレよりも性質が悪い 379 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 00 22 23.04 ID gQXf+5Yo0 遅かれ早かれだよお疲れ様 380 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 00 38 43.78 ID HYPc2Nz80 前にも似たようなGMの報告あったよな PL専がどうこうって話題が出た事あるけど、GM専も歪む奴出てくるのな 381 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 01 24 25.00 ID VFP/uFTW0 一件の後から解散に至るまでの敬意をもうちょっと詳しくお願いしんス 382 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 05 43 41.33 ID xFVkC9g70 380 「どちらか一方しかやろうとしない」のが問題ってことだろうな。 「いつもGM(もしくはPL)ばかりやってもらっているのも悪いから」って気持ちが理解できないやつはGM、PL問わずロクなやつじゃない。 383 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 09 29 55.13 ID X12n5MEz0 381 困が「GMやる時は俺にシナリオ内容や展開を事前申告しろ。やる価値があるかどうか前もって査定してやるから」宣言をして さらに「裁定が人によって変わるとPLが混乱をするんで裁定の基準も統一する。俺が一番良くGMやってるからセッション中はGMではなく俺に裁定を聞いてもらえば良い」発言もしたり 戦闘でも「俺がバランスを見てやらないと変な敵とか出されたらたまらないな」と言い出したり「ストーリーもバッドエンドとか安易に出されたくないからなあ」とか もう最初から自分以外のGMを完全に下に見ている発言を連発 「守って来たGMブランドを崩されたくないんだよな」とかまで言われて、他にGM買って出る人がいる訳ないのに 煽るように「GMやろうって言う挑戦者は出ないのかな?こっちはいつでも喧嘩買う準備できてるんだけど」と言ってファイティングポーズを取ったりして微妙な空気にしたりとか 「報告者さんは身の程知らずだったけど宣戦布告して来る気概があったよ?君らは尻尾巻いちゃうんだ?」とか言って来たり 本当、それまで一切そんな所を見せない人だったのに何故かいつも喧嘩腰になってしまって そんな状況だから困がGMやる時のセッションもどんどんつまらなくなって来るし、セッション中に「この展開は俺くらいしかできないだろう」とか言っちゃう 困以外を呼んでGMをやろうと言う人もいたんだけど誰かが困にチクってセッション前に「そういう誰かを外すのは感心しないな」と言う名目とマスタリング論について数時間説教したとドヤ顔で語るとか しかも「俺の前でGMやるのが嫌だとかそんな理屈通用しない」とか勝ち誇って言っちゃうしチクったのが誰かは言わなかったし まあこの密告事件があったから他のメンツもお互いが信用ならなくなってしまったって事で解散になった 俺も疑われたのが嫌になったし「どうせお前が『俺ばっかり困に批判されるのは癪だ』って言って自爆テロしたんじゃないの?」発言はどうかと思う それを言った本人も「そうやって報告者を犯人って事に早めに確定して本当は自分がチクったのを隠そうとしてんじゃないの?」と言われていたけどね 最後には本当にいがみ合いになってしまって悲しかった 384 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 09 32 26.52 ID GdMaucol0 完全に頭おかしい人だな 385 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 10 05 39.08 ID Y+DEj+1O0 偉そうに言ってるけどどうせ俺程度のゴミGMより戦闘力低いんだろうなぁ 386 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 10 54 17.14 ID OwhWA+53O [2/3] 383 それはPL連中の中にGMの腰巾着が居ただけじゃないのかな? そいつが密告したのだろうし、今まで上手く廻っていたのもそいつがGMのフォローをしていただけで 他の人がGMをやったら同レベルの力があってもフォロー役が居ないから上手く廻らないだろうし、 下手をしたら妨害して「こいつはヘボGMだからやらせる価値が無い」と言い出しかねない 387 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 11 14 40.83 ID DYVGRl5q0 383 いやー気持ち悪いなこれ… 当時の報告者にはダメージでかかったかもしれないが、解散して正解だと思うよ クズの巣窟だったのが、今まであまり見えてなかっただけ 388 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 11 32 58.10 ID 8XQULXsL0 1人だったら誰も相手しないのが手下がいることでおぞましい存在になるのは これだけに限った話じゃないからなあ。恐ろしい。 389 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 11 42 52.30 ID dNr8HcDf0 正直何故こういう行為をしたのかって不思議で仕方ないな 俺のマスタリングすげーとかこの鳥取で俺が一番GM上手いなとか 内心思ってても表に出さずむしろ謙虚な態度取ってる方が 他の面子からはあの人上手いのに驕らないし良い人だみたいに言われれば (本音かおだてられてるかはともかく)より自己満足が得られるのにね 俺TUEEEとかはまだやりたくなる気持ちも理解出来るけど こういうのは異世界人見てるようにしか思えない 390 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 11 54 29.15 ID Jy0N3YDK0 心理学の実験場かなにかだったの?って言いたくなるくらい酷い顛末だなおい 391 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 12 12 33.66 ID itcaCy1O0 本気で俺すげーと思ってたというよりはむしろコンプレックスの裏返しなんだろうな 報告者のGMを見て内心嫉妬したとか、あるいは鳥取でGMして持ち上げてもらう以外に居場所がなかったとか ともかく報告者は乙、なんもお前さんのせいじゃないよ もっといい環境が見つかるといいな 392 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 13 01 20.80 ID LeGFuFV50 383 自分で俺SGEEE言っちゃうなんて、俺からするとカワイイなぁ、って思っちゃうよw 他人から言われてナンボだからなぁ、そんなの よっぽど自己承認欲求が強いけど他では認められない可哀想な奴なんだよな、そういう奴って大抵。その場はたまたま波長が合う奴らが揃ってただけの可能性もあるし、本当に面白いセッションってGMだけでできる訳がない、ってのがわからない辺り経験不足が露呈してるわw それだけで低レベルな奴ってわかる で、そいつはPLに廻ると空気悪くするように動いてるんだから、そりゃ他のGMはうまくいかないに決まってる。そういう状況作り出して妨害してんだから 393 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 13 45 51.88 ID OwhWA+53O [3/3] 392 腰巾着が居ると妨害が2倍、やりにくさが3倍になるからな 394 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2015/12/30(水) 23 03 44.73 ID Si0V9jbF0 383 困が酷過ぎて5行目くらいから先に読み進められないんだが… スレ430
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1350.html
回の02「朔とそして……」 瞼が開く 初めてその瞳に写る世界。 そして初めてその目が認識する一人の顔。 その存在はきっと、お互いにとって尊く…… その神姫は『朔(さく)』と名づけられた。長い髪が風に揺れる。 「『せっちゃん』は複数の神姫をいっぺんに持つようなタイプに見えないのだけど、なぜあたしを起こしたのだ?」 朔は自身のオーナーの名前をもじり、『せっちゃん』と呼ぶ。 オーナーの友人が朔にそう登録し、そしてオーナー自身もそれを了承したのだから、朔にとってオーナーとは『せっちゃん』である。 『せっちゃん』は朔の問いに答えて笑う。そして「だけど」と言葉を紡いだ。 「そうだね。原因はどうあれ、『せっちゃん』があたしをちゃんと大事にしてくれているの判るよ」 『せっちゃん』の言葉に満足し、朔はうれしそうに笑った。 実際、『せっちゃん』は朔と元々いた神姫――姉といっても良い存在――とを隔てることなく接してくれる。 それでいて姉と朔をそれぞれの個性を持った『家族』、『友人』として認識してくれている。 それは『せっっちゃん』が神姫を都合の良い玩具以上の存在と認識してくれている証明だと、姉は言っていた。 確かにお気に入りの玩具に飽きて新しい玩具を購入した、といった空気を朔は感じる事はない。 ただ、それが幸せな事だと言った姉の言葉も、実感は出来なかった。 だから、 「ねーちゃんはそれが幸せだって実感できるのだなぁ」 という感心したような朔の呟きに、姉が複雑な顔をした理由が判らなかった。 初めて自分で神姫を初起動させた晩。僕は変な緊張から来る疲れで、早々にベッドに横になる。 別に眠るわけじゃないけど、とにかく体を横にしたかった。 ティキは初めてできた妹にはしゃいでいたから、今は二人の自由にさせている。 そういえばあの娘が目を開けた時、まるで計ったかのようなタイミングで式部敦詞が家に来た。 すでにもう当たり前になっていて、今更怒る気にもなれないけど、無断で家に侵入。 あの娘が初起動するのを見てなぜか大興奮。よりにもよってオーナー呼称を勝手に登録しちゃうし。いや、まあ、僕もそれでかまわないって言ったわけだから、敦詞を責めるのはお門違いもいいところなんだけど。 いや、アイツにしては許容範囲な呼称だった、って言うのが大きいんだけどね。 「マスタ、寝てしまったのですかぁ?」 ティキの声がすぐそばで聞こえた。色々思い出していて、ティキが近づくのにまるで気が付かなかった。 それにどうやら僕は目を瞑っていたらしい。 「いや、まだ寝てないよ」 そう言うと僕はゆっくりと瞼を開く。 目の前に、僕を至近で覗き込む二つの顔が、悪戯めいた笑みでそこにあった。 「へ?」 その二人の表情が何を意味するか僕が理解する前に…… 「「むぎゅー」」 二人は声を合わせて僕の顔に飛び乗る。 「ちょ、ちょ、ちょっと待てーーー!!」 神姫の体って、当たり前に女の子を連想されるくらいに柔らかいんだよ!? 「「ぎゅーーーーー」」 「?○×△☆※□¥!~~~」 だから、抱きついたり、したら、ダメーーー!!! 朔にとって『せっちゃん』の部屋はとても広く感じられる。 それがこの家全体だと、それは途方も無いほどに。 「あたしの『世界』がまだ狭いから……かな?」 部屋の中を行ったり来たりしながら朔は呟く。 姉の言葉を信じるなら、やはりこの部屋は広いらしい。 しかし朔にはそれがまだ実感として感じられない。 比べるべき対象がまだ朔の内に存在していないから。 『せっちゃん』は明日になれば外に連れて行ってあげる、と言っていた。 「外にでたら、あたしの『世界』も広がるのかな?」 そう呟くと、なんだかそれがとてもうれしい事のように感じて。 朔は笑う。 何とか天国のような地獄から抜け出した僕は、心底疲れを感じて少し早めの就寝を決意。 だって、ティキたちのはしゃぎっぷりは無理やりにでもクレイドルに寝かせなければ収まりそうに無かったし、何よりあのテンションについていけるほどのバイタリティーは今の僕には無い。 ようやくおとなしくなった二人の、鮮やかな緑色の髪とつややかな乳白色のポニーテールをなでてから、僕は部屋の電気を消し再びベッドに横になった。 目を瞑ると、今日あったことが自然と脳裏に浮かぶ。 そういえば夕方、結城さんが焔と新しい神姫をつれて店に来たっけ。 結城さんの新しい神姫は白いストラーフで起動したばかりらしい。 「まさか藤原君も新しい神姫を起動していたなんて。しかも、ウチの娘と対になっている黒いアーンヴァルかぁ」 そう言って、結城さんはうれしそうな顔をした。 綺麗という印象が強いその顔が、とても可愛く見える。 けど。 なんて言うか、今は結城さんが僕の事でうれしそうにするのはマズイ気がする。 僕だって鈍感じゃないし、ある程度人から寄せられる好意は判るつもりだから、結城さんが抱いているだろう好意は、ちょっと困る。 結城さんだからって訳じゃない。いや、ある意味では結城さんだから、ダメなんだ。 ただそれは、どうしようもないくらいに自分本位なだけの、そんな理由で。 さりとて避けるわけにもいかず、何より友人としてはこれからだって付き合っていきたいわけで…… そんな自分のエゴに、さすがに嫌悪する。 「ハァ~」 大きくため息をつく。 ヤメヤメ。もう、寝ちまえ。 考える事を放棄して、僕は今日から二つ並んだクレイドルに向かって声をかける。 もちろん、二人はすでにスリープしてるんだけど。 「おやすみティキ、そして――」 「朔、そろそろ寝るわよー」 『せっちゃん』の声が聞こえる。 「今行くよー」 朔は元気に返事をする。クレイドルのそばに居る姉が優しい顔で朔を見た。 「ねー『せっちゃん』、あたし焔ねーちゃんと一緒に寝たいのだよ」 朔のその言葉に焔は少し頬を染め、『せっちゃん』と呼ばれた結城セツナは苦笑する。 「ゴメンね、朔。ウチにあるクレイドル、二人用の無いのよ」 「「えーーーー」」 セツナの言葉に、焔と朔は落胆の声をあげた。 「――ティキ、そしてユーラ」 そう言って、僕はまどろみに身をゆだねた。 トップ / 前回 / 次回
https://w.atwiki.jp/galgerowa2/pages/361.html
絶望と救い、そして憎悪 (後編) ◆S71MbhUMlM 放送で、呼ばれた名は14人。 その中で、俺が殺したのは四人。 言葉と鈴という二人の少女に、秋生とかいう男が一人。 そして、名も知らぬ少女が一人。 …特に、思うべきところは無い。 先ほどの電話越しの会話も、特に意味があるものではない。 その一方で、気になるのは真アサシンという名前。 連想されるのは……あの時遭遇した、信じがたい能力を持った暗殺者。 無論、別人の可能性もある、というか高い。 だから、安堵はしない。 強敵は未だ健在と心に刻む。 だが……仮に、あの怪人が死んだと仮定した場合、殺した相手がいる、という事になる。 そして、もう一つ (……アイン) …死んだ。 あのアインが死んだ。 まあ、そもそも生きていた事自体が不思議ではあったんだが…死んだ。 一瞬あの女の言っていた蘇生という単語が頭を過ぎるが…直に打ち消す。 「……」 思い出すのは、決して楽しい記憶なんかじゃ無い。 苦痛とか恐怖とか絶望に満ちたものが殆どだ。 だが、 だが、それでも、 彼女との記憶は、俺の中で多くの比重を秘めているのは事実だ。 そして、付け加えるなら、俺の記憶の中で輝くものがあるとすれば、それはキャロと居た時間か、彼女と居た時間にのみ存在している。 「…………」 神に祈る資格など無い。 そもそも神など信じてもいない。 だから、何の意味も無い行為、唯の自己満足に過ぎない。 ……だが、それでも。 「……Amen」 どうか、彼女がその血と苦痛に塗れた生の終わりに、安らぎを得られた事を。 …無意味な黙祷は終わり、思考は現実に戻る。 アインが死んだというならば、やはり殺した相手がいるという事になる。 能力的に俺と同等かそれ以上な相手が死んでいる以上、俺自身いつ屍に変わるとも解らない訳だ。 …だが、簡単に死んでやるつもりは無い。 少なくとも、キャルに会うまでは死ぬわけにはいかないのだから。 目的を確認する傍らで、もう一つ思考する。 あの二人がどのように死んだのかは不明。 武器、状況、相手、人数、怪我、何一つ不明。 ならば、最大限に悪い状況を考えておくべきだろう。 まず、今の俺の武装で白兵戦を挑んだとして、あの二人を殺せるか? アイン…同じ装備での戦闘として、成功率は半々といったところ。 真アサシン…銃があっても分は悪い。 良いとこ三割程度の確率か。 つまり、あの二人が仮に白兵戦で敗北していた場合、俺がその相手に勝てる確率は、四分の一程度かそれに満たない。 ならば、遠距離からの狙撃を挑んだ場合。 アイン…彼女の装備によるが、今持っているM16の有効射程では、彼女に気付かれる可能性は八割…何しろ、俺に戦闘を教えたのは彼女なのだから。 真アサシン…あの男の戦闘スタイルから鑑みるに、狙撃前に気付かれる可能性は三割以下。但し、狙撃成功率は半々と見るべきだろう。 加えて、単独の場合は追撃、捕捉される恐れがある。 成功率はそれほど高くないが、それでも此方から一方的に攻撃出来る以上、俺が生還できる可能性は八割を越す。 故に戦闘は避け、人通りの多い町の近くに陣取り、狙撃するのが正解ではあるのだが… (…キャル) そういう訳にも行かないわけだ。 俺にはそもそもキャルを守るという大前提が存在する。 その為には、ある程度の積極性を持って、他人を捜索しなければならない。 今までは山中にいた時間が多かったが、これからは町の方にも出てみるべきなのかもしれない。 だが、同時に街中となるとトラップの可能性も否定できない。 山中であれば効率が悪すぎて使用できないトラップも、街中、それも場所を選べば十分な確率で人を殺傷するだろう。 …そして同時に、俺はトラップの類を仕掛ける事は出来ない。 彼女が引っかかる可能性があるからだ。 元より、分のよい殺し会いでは無いが……今更そんな事はどうでもいい。 と、そこまで考えた所で、 “ピロピロピロピロ~♪” 電話が、鳴った。 「………………」 マナーモードにしておかなかった事に後悔しつつ、町に入る前に気付けたことは僥倖であるとも考え、電話をとる。 相手は、先ほど話した女か、と考えた所で、 「あんたが、ファントムか?」 聞いた事の無い男の声がした。 ◇ “トゥルルルルルルル” “トゥルルルルルルル” “トゥルルルルルルル” コール音が、長い。 恐らく、人生で最も長いと感じる電話の待ち時間だろう。 見ると、他の皆も多少不安な表情をしている。 最も、今現在はトルタから筆談でさまざまな情報を伝えている最中なので、此方をそこまでは気にしていないが。 羽藤桂と、アル・アジフ。 桂にお人好しだ何だと言っているが、アル自身も大したお人好しだと思う。 細かい素性は聞いてないが、桂の表情だと何かを隠してはいるようである。 やたらと老獪な雰囲気が漂うが、同時に子供っぽい、わりとバランスの悪い思考の持ち主のようだ。 何でも二人揃うと魔術とかいいう力が使えるらしいが… 一応双七が言うには事実らしい。 その双七も、彼女達と出あっていらいどこか不自然な気がする。 一目ぼれでもしたのだろうか? 俺としてはもう少し胸の……ゲフンゲフン…… とにかく、彼女達が言うには、これから出るファントムという男は、本人曰く鈴の仲間らしい。 もっとも、仲間になって時間が浅いので、鈴には余り信用されていなかったと本人は言っているが… 彼が言うには、共に行動していた、桂言葉という少女と共に、トラップに殺されたそうだ。 何しろトラップがどれだけあるかも判らない以上、鈴達の死体を放置せざるを得なかったとも話している。 もっとも、男の話には、矛盾が多い。 まず、ファントムなんていう名前の参加者は存在しない。 次に、いくら鈴が他人に懐かないといっても、何の言及も無いというのはおかしい。 そして、あまりにもタイミングが良すぎる。 以上の事実から考えると、彼が鈴達の殺害犯である可能性は高い。 無論、事実という可能性もあるが…… そして、電話は繋がった。 ◇ 「…誰だ、お前は?」 男の声に、僅かに眉をひそめるツヴァイ。 ホンの数分前に出たときは、女の声であったし、彼女が言うには男の仲間は居ないという。 彼女らから得られた情報は、それほど有益ではない。 念の為に聞いたキャルの情報にも、心辺りは無いらしい。 強いていうなら、最初の時に見た怪物は何か得体の知れない力の持ち主であるということだけか。 「羽藤桂と、アル・アジフの仲間だ」 「彼女達がいうには男の仲間は現在居ないらしいが?」 「ホンの数分前に、知り合った」 おめでたい連中だなと思う。 出会って数分で、仲良くなれるとは。 念の為にと羽藤桂の声を聞かせてもらったが、どうやら本当に仲間のようだ。 「それで、何の用だ?」 「……聞きたい、事がある」 「先に、名前くらいは名乗ったらどうだ?」 「そっちも偽名だろ、ファントムなんて名前は名簿には無い」 まあ、それもそうか。 「ふむ、まあいいか。……それで聞きたい事とは?」 「ああ、まず“設計図”を知らないか?」 「……“設計図”だと?」 何だそれは? そもそも何の設計図だ? 「いや、知らないならいいんだ」 「……そうか」 「じゃあ、その、ベルカの事なんだが…」 「……ベルカ?」 再び、意味が分からない。 「何だ?それは?」 「……本当に、知らないのか? ……ストレルカの事は?」 「……知らん」 「……そうか」 何だって言うんだ一体? 「アンタが、鈴を殺したんだな」 「……は?」 いきなり何だ? 確かにその通りだが、それでもいきなり何だ? ……暗号? 「鈴と言葉が一緒にいて、その名前を口にしないはずが無い! あの親友同士の二人がいつも元気付ける為に言っていた犬の名前が、出ない筈は無い!」 ……まずったか。 別に本名を言っている訳ではないし、人殺しである事をいまさら責められる所以もないが、 先ほどの会話でキャルの事を説明している以上、敵対されるのは不都合ではある。 「…ああ、そういえばそんな事を聞いたような気もするが…犬がどうたらと」 「えっ? そ、そうなのか?」 「ん、…ああ」 ……何だか、割とあっさり何とかなった、という思考は、 「じゃあ、やっぱりお前だな。 元々の知り合いではないし、猫好きな鈴が、好んで犬の名前を出すものか」 次の瞬間、驚愕と共に断ち切られる。 少なくとも、コイツは油断してよい相手ではない。 そう、理解した。 「…………」 切るか。 一瞬、そのように考える。 これ以上話を続ければ、不都合がある可能性はある。 ……だが、 「……ああ、そうだ、俺が殺した」 ここで、退く訳には行かない。 ここで切れば、男はキャルの事を狙うだろう。 少なくとも、どんな相手が敵なのかだけでも、知っておかなければ。 「それで、何が聞きたい? 断末魔の表情か? 苦悶の声か? 何だったら下着の色から胸の発育、経験の有無だって答えてやるぞ?」 知り合い、というならこの手の侮蔑には、耐え切れないはずだ。 別に全てを話してもらう必要は無い。 僅かにでも感情を乱せれば、そこからヒントが漏れてくるかもしれない。 「ちなみに死因は腹部の損傷。 最後の言葉は、長かったので全部は省略。 今頃はカラスがその眼球をついばみ、腹の傷から腸を引きずりだしている頃か」 故に、続ける。 さて、どんな反応を見せる? 「……くくくくく」 ん? 「ははははははっ! そうかそんな風に死んだのかアイツは」 何だって言うんだ一体? 「礼は言わないが…まあ感謝くらいはするさ。 俺は鈴とは同級生だが仲がそれほど良くなくてな 別にその事をどうこう言うつもりは無い」 「…………」 「ただ、知りたかったんだ、つまり、アンタは殺し合いに積極的に乗っていて、恐らく目的はキャルという少女の生還、そんなところか」 「…………」 「おっと、切らないでくれよ」 心中を察せられたようで、思わず舌打ちする。 どういうつもりだ? 「……取引しないか」 「…………何?」 「だから、取引だ。 実は、俺たちも似たような集まりなんだよ。 おっと、言い忘れた、俺の名前は井ノ原真人だ」 ……成る程 言いたい事は大体理解した。 「だが、保護は出来ない。 お前たちの話を…優勝狙いという部分は隠して、その理樹とクリスという相手に伝えて、見逃すのが限度だ」 「ああ、わかったそれで良い。 俺たちは、そのキャルという少女を保護する。 そのために……あんたの名前を教えてくれないか?」 「それは意味が無い。 彼女は俺の本名など知らない。 ファントムとだけ言えば理解出来る筈だ」 「…………そうか」 ああ、そうか。 「……直枝、理樹……か…」 「……何だ?」 「……いや、理樹、って名前なら、そいつは男…だよな?」 とりあえず、僅かにでも情報を渡しておこう。 特徴自体はありふれているが、それでも見覚えがある……のだが だがなあ…… 「…………女装している可能性も無いとは言えない……」 「…………」 「…………」 「黒い髪で女顔、身長は…くらいか」 「ああ」 どうやら、一つ前の会話はなかった事にされたようだ。 あんまり気にしたくは無いのだろう。 「知っているぞ」 「………本当か?」 「ただし、無事かまでは知らんがな」 「……どういう事だ?」 「本当にそいつ本人かまでは不明だが…そいつには同行者が居た。 凄腕の暗殺者だったが、今の放送で呼ばれた」 「……!」 “呼ばれた人間が本当にそいつかは解らない” その重要な一文をあえて省かれた情報に、恭介は心を揺さぶられる。 凄腕の暗殺者。 具体的にどのような相手なのかは不明だが、かなりの強さを持っているだろう存在。 それが理樹の同行者で、死んだというのなら、それはすなわち理樹本人の身に何かしらの危険が存在したという事になる。 「……信じるのか? 証拠はないぞ」 「信じるさ…」 「そうか……」 「ああ……」 「…………なら、俺も信じよう、キャルを探してくれている以上、その二人には手を出さない」 「取引は成立……だな」 「ああ、それじゃあ、な」 そうして、電話は終了した。 ◇ 「恭介……」 「ああ、大丈夫だ……」 電話は終わり、カジノは平穏を取り戻す。 疲労した恭介にトルタが駆け寄り、手を握る。 トルタにより筆談は、概ね終了していた。 全てでは無いが、トルタたちの持つ情報。 そして、アル達自身の事を除く情報が、交換される。 携帯電話が二台になった事で、これからは劇的に情報が集めやすくなるだろう。 もっとも、桂達の持っていたほうは、電池が二個に減ってしまったが…… 今後は、仮の本拠地をこのカジノに置き、情報を探って行くことになるだろう。 だが、その内容も、トルタの耳を素通りしていく。 (……恭介) 彼の行動は、完璧だったはずだ。 その後の会話で、設計図の事はたわいも無い情報として消え、少なくとも積極的に利用はされない。 偽名を名乗った事も演技。 それ故にあの取引は相手を縛るだけのものと双七達は思っている。 ああ、だが、 完璧であるなら、彼はどれだけの自制心を持って電話に望んだのであろうか? 恭介が、その内に秘めた憎しみは、いかなるものであったのだろうか? トルタには、判らない。 だから、彼女は嘆く。 恭介に苦しんで欲しくないから。 彼の事を、守りたいと願うから。 ◇ (あやつ…?) 何かが、おかしい。 その身の内に憎悪を秘めているのは間違い無い。 むしろ、そうで無いほうが不自然なのだから。 だが、それにしても。 (感情が、見えなさ過ぎる) 如月双七は、どう見ても善良な人間だ。 どこか、大十字九郎と同じ匂いすらする(ロリコン的な意味にあらず) トルティニタ・フィーネも、善良な人間だ。 何かしらの感情を秘めてはいるが、危険な感覚では無い。 心に秘めているのは、恐らく棗恭介への恋心だろうか? だが、棗恭介は、中身が見えなさ過ぎる。 己を殺すのが、上手い。 少なくとも、出会ってすぐのアルに看過できるものでは無い。 表にでている態度と、何処か異なるものを内に秘めている。 その内には少なくともファントムへの憎悪を宿しているのは確かなのだが…それすら表に見えない。 だが、 彼は、ティトゥスを殺したという。 人を殺すということは、即ち変わる事だ。 いかなる人間であれ、人を殺すという事は、それまでの自分との別れを強いられる行為だ。 望む、望まないに関わらず、人を殺せば人は変わる。 強くなるか弱くなるかは人によっても変わるし、見る人間の価値観にもよるだろうが。 変化しないという事は…すなわち人として何処か『壊れている』という事になる。 無論、内に秘めているだけで、外に出さないだけなのかもしれないが… ◇ (殺して、やる) 殺す。 その、キャルという少女を殺す。 無論、直には殺さない。 キャルから、ファントムに関する情報を得てからだ。 だから、直には殺さない。 でも、殺す。 ファントムの、目の前で殺してやる。 鈴を、殺した事を地獄で後悔させてやる。 恐らく、俺はこの後この場に留まる事は出来ない。 何かしていなければ、耐え切れなくなるから。 …あの時、本当は耳を塞ぎたかった。 聞いていたくなんてなかった。 想像したくなくても、頭は正確に再現していた。 鈴の、死に様を、表情を、その死体が、あんな男に玩ばれた事を。 その亡骸が、鳥の餌にされるところまで… 憎悪のあまり、携帯電話を握り潰してしまいそうだった。 だけど、耐えた。 復讐の為に。 そして、これからも耐え続ける。 そして、最後の瞬間まで隠し通して見せる。 無力な少女を人質にとる? それがどうした。 何だって、してやるよ。 鈴を殺した。 孤独と絶望の内に死んだ鈴と…同じ目にあわせてやる。 その為に、どんな事だってしてやる。 ああ…でも、 トルタ… 仮初のパートナー 彼女の手の温もりが、俺の心を暖める/弱くする 彼女の心遣いが、酷く嬉しい/邪魔だ ……トルタの暖かさが、凄く……だ/……だ ああ、だからトルタ……俺の事を…… 【G-6/カジノのセキュリティコントロールルーム/1日目 日中】 【チーム:BOY DOESN'T CRY MEETS LIAR GIRL&天然契約&その他】 共通方針、(数字)は恭介とトルタのみの方針 1:カジノを拠点として近郊の施設を探索。 2:他の対主催のメンバーと接触。 3:そこから情報を得る。 4:自分に危害が出ないように、相手のプロファイリングを元に他の対主催の悪評、もしくは真実を伝える。 (5):十分な情報を得たらそのメンバーと別れる。もし理樹、クリスがいるメンバーなら合流。その後隠れながら邪魔な対主催メンバーを排除。 6:もし中々合流できない場合、もっとも安全だと思われるチームに合流。(戦力の面で、信頼関係も含め) (7):序盤は積極的には人を殺さない。基本同士討ちを狙う。情報最優先。終盤は対主催の中心になりなるべくマーダー排除。のち疲労した対主催から狙う。 (8):最悪クリス、理樹がどちらかが死亡した場合は片方のサポートに徹する。両方死亡した場合は互いに優勝を狙う。二人になった場合一騎打ち。 (9):ただし、完璧に脱出ができる状況になったらそのまま対主催に変更。 (10):また、主催の動向や信憑性次第でも対主催に変更。 11:カジノ近郊を行動範囲にしていることを信頼できる人間に託し、理樹、クリスに伝えてもらう。 12:脱出や首輪、主催者の目的についても真剣に考察する。 13:信頼できる対主催を見つけた場合、カジノに集め、絶対の信頼関係を築く。 14:携帯電話を利用し、不認知の参加者と接触。その際はカジノを拠点にしている事は告げない。 (15):双七を斥候及び護衛として上手く利用。思惑を悟られないようにする。 16:双七と恭介が3時間ごとに交代しつつ、周辺地域探索を行なう。なお、上記の2~5は恭介の探索時のみ実行。 17:カジノの景品の確保。特にUSBメモリを狙う。 【備考】 ※トルタと恭介が特定人物の優勝狙いであることと、アルと桂と双七の素性以外の情報交換済み。 ※異なる世界等の理解に時間の掛かる情報は未だ交換していません。 ※首輪のカメラの存在について知りました。 ※黒幕がいると思ってます。 ※監視は『上空』『重要施設』『首輪』の3つから、カメラ及び盗聴器によって行なわれていると考えました。 ※神宮寺奏、プッチャンの細かい特徴を認識しています。 【棗恭介@リトルバスターズ!】 【装備】SIG SAUER P226(15/15)@現実、トンプソンコンテンダー(弾数1/1) 【所持品】:支給品一式×3、SIG SAUER P226の予備弾3@現実、コンテンダーの弾44発、デジタルカメラ@リトルバスターズ!、アサシンの腕、首輪(ティトゥス)、カジノの見取り図、ゲーム用のメダル(500枚) 【状態】:ツヴァイへの強い憎しみ、脇腹に深い切り傷(処置済み)、胸部に軽い打撲、肉体的疲労(大) 【思考・行動】 基本方針:共通方針の通りに行動し理樹、鈴を優勝させる。トルタの生存に力を尽くす。ただし慎重に慎重を期す。 0:絶対に、殺す……。 1:しばらく休息、カジノのセキュリティを利用して周辺を警戒。景品の確保。 2:3時頃から双七と偵察を交替、他の参加者と交流する。近郊の施設を探索する。 3:筆談などを用いて殺し合いや首輪についてトルタと考察する。 4:トルタの過去に興味。 5:『トルタの好意に気付いている』フリをし、親密にしても怪しまれないようにする。 6:トルタを見捨てない。 7:『首輪の設計図』をとりあえず集める。その為にデジタルカメラやUSBメモリを閲覧できる機器を探す。 【備考】 ※トルタを信頼し、共感を抱いてます。 ※トルタとの間に符丁をいくつか作りました。 『時間』と『動詞』の組み合わせで意思疎通を行います。 (『分』:名簿の番号の人間、『待つ』:怪しい など。 『秒』や『時間』、その他の動詞の意味については詳細不明です) ※トルタとはぐれた場合の合言葉は『トルタの知り合い全員の名前』です。 ※参戦時期は鈴ルートの謙吾との野球対決後、リフレイン以前です。 故に、リトルバスターズメンバー、特に謙吾に申し訳なさを感じています。 ※参加者によっては連れてこられた世界や時代が違うと思ってます。 ※この殺し合いは、『神々のゲーム』であり、自分達はその駒であると考えました。 ゲームの終了は、『優勝』『優勝以外の何か』を満たした時だと推測しています。 ただしゲーム終了後の駒の扱いについては疑念を持っています。 ある程度の信憑性を得るまで、これを誰かに話すつもりは今のところありません。 ※デジタルカメラに収められた画像データのうちの一つは、『首輪の設計図-A』です。 外見から分かる範囲での首輪の解説が記されていますが、内部構造については一切言及はありません。 また、デジタルカメラで閲覧した場合画像が縮小され、文字の殆どが潰れて見えます。拡大はできません。 記されたデータの信憑性は不明です。 他に首輪の設計図があるかどうかは不明です。 【トルティニタ=フィーネ@シンフォニック=レイン】 【装備】:Sturm Ruger GP100(6/6)@現実 【所持品】:支給品一式、Sturm Ruger GP100の予備弾4@現実、刹那の携帯電話@School Days L×H、医療品一式 、恭介の機械操作指南メモ、カジノの見取り図 【状態】:肉体的疲労(中)、右脚に貫通射創(処置済み)、左脚に盲管射創(処置済み)、モルヒネによる下半身の感覚の麻痺 【思考・行動】 基本方針:共通方針の通りに行動し、クリスを優勝させる。恭介のサポートに徹する。ただし慎重に慎重を期す。 0:……恭介。 1:カジノで待機し、セキュリティを利用して周辺を警戒。景品の確保。 2:双七を含めた参加者から信頼を勝ち取れるように演技する。 3:道中、筆談などを用いて殺し合いや首輪について恭介と考察する。 4:恭介に対して――――? 5:『恭介に好意を抱いている』フリをし、親密にしても怪しまれないようにする。 6:恭介を見捨てない。 【備考】 ※恭介を信頼し、共感してます。 ※恭介との間に符丁をいくつか作りました。 『時間』と『動詞』の組み合わせで意思疎通を行います。 (『分』:名簿の番号の人間、『待つ』:怪しい など。 『秒』や『時間』、その他の動詞の意味については詳細不明です) ※恭介とはぐれた場合の合言葉は『恭介の知り合い全員の名前』です。 ※登場時期はアルルートのアルが復活した頃です。 ※神宮寺奏、プッチャンの細かい特徴を認識しています。 ※参加者によっては連れてこられた世界や時代が違うと思ってます。 ※怪我の為に走る事はできませんが、時間がたてば多少は歩けるようになる可能性があります。 ※携帯電話とコントロールルームの操作方法を恭介から聞きました。 ※刹那の携帯電話には禁止エリア進入アプリがインストールされています。 ※恭介の過去の話を聞きました。 【刹那の携帯電話@School Days L×H】 清浦刹那の持つ携帯電話。何人かの人間の電話番号が登録されている他、禁止エリア進入アプリがインストールされている。 このアプリを作動させた場合、このアプリがインストールされた携帯電話から 半径2mまでに存在する首輪は禁止エリアに反応しなくなる。 ただし、効果の持続時間は1時間、3時間、6時間の3種類あるが、それぞれ1回ずつしか使用できない。 【如月双七@あやかしびと -幻妖異聞録-】 【装備】:クサナギ@舞-HiME 運命の系統樹、双身螺旋刀@あやかしびと -幻妖異聞録- 【所持品】:支給品一式×3(食料-2)、予備弾丸18、首輪(リセ)、刹那の制服と下着、ファルの首飾り@シンフォニック=レイン、良月@アカイイト 【状態】:強い決意、肉体疲労(中)、精神疲労(中)、右膝と右肩に貫通射創(処置済み)、左肩裂傷(処置済み)、桂の血に惹かれている。 【思考・行動】 基本方針:仲間の確保と保護。 0:俺は変態?……ああでも…… 1:恭介たちと同行、とりあえず提案は受け入れる。 2:九鬼先生と合流する。 3:向かってくる敵は迎撃。必要なら手を血で汚すことにも迷いはない。 【備考】 ※双七の能力の制限は使い続けると頭痛がする程度です。 ※贄の血に焦がれています。 見える範囲に居なければ大丈夫です 【羽藤桂@アカイイト】 【装備】:今虎徹@CROSS†CHANNEL ~to all people~ 【所持品】:支給品一式、アル・アジフの断片(アトラック=ナチャ) 魔除けの呪符×6@アカイイト、古河パン詰め合わせ27個@CLANNAD、誠の携帯電話(電池二個)@School Days L×H 【状態】:強い決意、全身に擦り傷、鬼、アル・アジフと契約、サクヤの血を摂取、微妙にふらふら(数時間で回復) 【思考・行動】 1:尾花の行方が心配。 2:烏月を説得したい。 【備考】 ※古河パン詰め合わせには様々な古河パンが入っています。もちろん、早苗さんのパンも混じってます。 ※魔除けの護符は霊体に効果を発揮する札です。直接叩き付けて攻撃する事も可能ですし、四角形の形に配置して結界を張る事も出来ます。 但し普通の人間相手には全く効果がありません。人外キャラに効果があるのかどうか、また威力の程度は後続任せ。 ※マギウススタイル時の桂は、黒いボディコンスーツに歪な翼という格好です。肌の変色等は見られません。 使用可能な魔術がどれだけあるのか、身体能力の向上度合いがどの程度かは、後続の書き手氏にお任せします。 ※制限によりデモンベインは召喚できません。 ※B-7の駅改札に、桂達の書いたメモが残されています。 ※桂はサクヤEDからの参戦です。 ※桂は、士郎の名前を知りません(外見的特徴と声のみ認識) ※桂はサクヤの血を摂取したお陰で、生命の危機を乗り越えました。 ※サクヤの血を摂取した影響で鬼になりました。身体能力が向上しています。 ※失った右腕にサクヤの右腕を移植しましたが、まだ満足に動かせる状態ではありません。 ※憎しみに囚われかけていましたが、今は安定しています。しかし、今後どうなるかはわかりません。 ※桂の右腕はサクヤと遺体とともにG-6に埋められています。 【アル・アジフ@機神咆哮デモンベイン】 【装備】:サバイバルナイフ 【所持品】:支給品一式、ランダムアイテム×1 【状態】:魔力回復、肉体的回復、羽藤桂と契約、微妙につやつや、恭介を微妙に警戒 基本方針:大十字九郎と合流し主催を打倒する 1:桂と協力する 2:九郎と再契約する 3:戦闘時は桂をマギウススタイルにして戦わせ、自身は援護 4:信頼できる仲間を探す 5:時間があれば桂に魔術の鍛錬を行いたい 【備考】 ※制限によりデモンベインは召喚できません。 ※B-7の駅改札に、桂達の書いたメモが残されています。 ※アルは士郎の名前を知りません(外見的特徴と声のみ認識) ※アルからはナイアルラトホテップに関する記述が削除されています。アルは削除されていることも気がついていません。 ※アルはサクヤと情報交換を行いました。 ※桂の右腕はサクヤと遺体とともにG-6に埋められています。 ◇ (嘘……だな) 井ノ原真人と名乗った男が、棗鈴に敵意を持っていた。 そうして、取引を持ちかけてきた。 一応矛盾は無い。 ……だが、 (一瞬、あの時の叫び) あれは、紛れも無い憎悪。 鈴を殺したツヴァイに対する、隠しがたい憎しみだった。 本当に、気付けない程度の僅かな感情。 だが、ツヴァイはそれに気付けた。 なぜなら…ツヴァイも同じなのだから。 キャルの時に抱いた憎悪。 あの時のツヴァイと、同じ。 間違いなく、あの男はツヴァイに復讐を考えている。 だが、その事は構わない。 むしろ…復讐しようと考えるのであれば、なおさらキャルを殺そうとはしない筈だ。 そう、ツヴァイの、目の前で殺す為に。 そうなると、男の名前に関して気になるところだが…… 生憎と、まさとという名前は、鈴が断末魔の時に呼んでいた名前に含まれている。 あの時の名前の内、ことのは、ちはや、けんごに関しては、既に名前が呼ばれている。 そして、りきに関しても恐らく違うだろう。 そうなると、残るのは二人、まさととばかあにきになる。 井ノ原真人という可能性も否定は出来ないが、あそこまで用心深い人物が本名を言う可能性はそれほど高く無い。 十中八九、兄貴…つまり名簿にある棗恭介。 それが、今考えられる限りで、最悪の敵の名前だという事だ。 そうだ、敵…… 余計な感情はこの場に、この石の前に置いていけ。 余分な行動を起こす余力も、考えないようにしろ。 俺には、もう他に何も無いのだから。 そして、亡霊は去る。 その場に残るのは……盛り上がった地面と、そこに突き立つ石のみ。 【C-4/森林南西部/1日目/日中】 【吾妻玲二(ツヴァイ)@PHANTOM OF INFERNO】 【装備】:コルトM16A2(11/20)@Phantom-PHANTOM OF INFERNO-、スナイパースコープ(M16に取り付けられている、夜間用電池残量30時間)@現実 【所持品】:『袋1』コンバットナイフ、レザーソー@School Days L×H、コルト・ローマンの予備弾(21/36) 、ダイナマイト@現実×10、ハルバード@現実 小鳥丸@あやかしびと-幻妖異聞録-、コルト M1917(6/6)、コルトM1917の予備弾23、 ニューナンブM60(5/5)、ニューナンブM60の予備弾10発、支給品一式 『袋2』支給品一式×6、おにぎりx30、野球道具一式(18人分、バット2本喪失)コンポジットボウ(0/20)、木彫りのヒトデ1/64@CLANNAD、ハンドブレーカー(電源残量5時間半)@現実 草壁優季のくずかごノート@To Heart2、秋生のバット、桂の携帯(電池2つ)@アカイイト Love Spanner@CLANNAD、、アルのページ断片(シャンタク)@機神咆哮デモンベイン、首輪(杏)、 【状態】:疲労(大)、右手に小さな蚯蚓腫れ、右腕の骨にヒビ、頭部から出血 【思考・行動】 基本:キャルを見つけ出して保護する。不要な交戦は避け、狙撃で安全かつ確実に敵を仕留める。 1:棗恭介(井ノ原真人?)を警戒 2:理樹とクリスに関しては、情報だけは伝える。 殺すかは場合による。 3:周囲に人がいなければ、狙撃した参加者の死体から武器を奪う。 4:弾薬の消費は最低限にし、出来る限り1発で確実に仕留める。 【備考】 ※身体に微妙な違和感を感じています。 ※アインが生きていることに疑問。 ※時間軸はキャルBADENDです。 ※真アサシン(外見のみ)を強く警戒しています。 ※理樹を女だと勘違いしてます。 ※静留を警戒しています。 ※くずかごノートには様々な情報が書かれています。現在判明している文は、 『みんなの知ってる博物館。そこには昔の道具さん達がいっぱい住んでいて、夜に人がいなくなると使って欲しいなあと呟いているのです』 『今にも政略結婚が行われようとしたその時、秘密の抜け穴を通って王子様は大聖堂からお姫様を連れ出すことに成功したのでした』 ※M16A2の癖を完全に把握しました。外的要因がない限り、狙撃の精度は極めて高いものです。 ※移動中です。移動先は後続の書き手さんにお任せします。 ※アーチャーの騎士服@Fate/stay night[Realta Nua]は言葉が着たままです ※C-4採石場付近に、言葉と鈴の埋められた墓があります。 150 絶望と救い、そして憎悪 (前編) 投下順 151 羊の方舟 時系列順 153 ハジマリとオワリへのプレリュード 吾妻玲二(ツヴァイ) 162 すれ違うイト 棗恭介 165 日ハ沈ム、駒ハ踊ル トルティニタ・フィーネ アル・アジフ 羽藤桂 如月双七