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lei e miir /// / ミールの書 \ seren(12)『ミールの書』の制アルカ題 \ [ vest ] \ seren(12)『ミールの書』 \ [ kirs ] \ 『ミールの書』は小説で、12歳の少女ミールが、セルフィッシュガーデンという場所で見知らぬ学問「論議学」を学び、それを通して自分の存在の秘密を解き明かすという話。実名小説でもあり、ミール以外の登場人物は全てセレンを始めとするアシェットの関係者ばかりである。実名小説にしたのはそうすれば皆が読みやすいだろうと判断してのことだ。『ミールの書』はアシェットの論理力向上の為に生まれたから、その点は重要であった。尚、タイトルにあるミールの書とは、作品中でミールが手にする魔法のノートのことである \
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俺がハルヒと出会ってもうすぐ1年が経とうとしていた3月の話だ。 春休みを目前にして北高生徒たちはほんのり余裕のある毎日を送っていた。 だが俺にとっては一生悔いの残る春だった。 今日は10日。あと一週間ほどで春休みだ。 短縮授業が始まったことにより、部活動に所属していないほとんどの生徒は午前中の授業が終わると足早に下校を始める。 部活動には所属していない俺だが生徒会非公認の部活(部活と呼べるものでもないが)SOS団に所属していたため授業後は下校せずに部室に向かった。 部室と言っても正確には文芸部なのだがハルヒによって乗っ取られ、今となってはSOS団の根城となっている。 部室のドアを開けるとそこにはやはり椅子に座って本を読んでいる長門がいた。 「よう、長門。」 長門は俺を一瞥すると再び本に目を落とす。 これが長門流のあいさつ。いつもの光景だ。 俺はパイプ椅子を引き寄せ、腰掛けた。 時間は12時か。 腹が減ったな。弁当食うか。 俺は腹の虫を黙らせるため鞄の中の弁当を取り出して机に広げた。 なかなかうまいぜお袋。 弁当をかき込みながらふと思った。 やっぱり長門は宇宙人なんだから食べなくても平気なのだろうか? 以前長門のマンションに行ったときレトルトのカレーを出されたことがあったな。 あのときは気づかなかったが長門でも家ではメシは食ってんだな。 だが学内で食べてるところをほとんど見たことはない。 長門は昼はいつも部室で本を読んでいる。 万能な長門のことだからその気になれば一流シェフ並の料理ができそうな気もするんだがな。 聞いてみようか。 「長門。お前は料理とかしないのか?」 長門は無表情で俺を見ると、 「・・・・・しない。」 「いつぞやお前のマンションに行ったときに出してきたようなレトルトをいつも食べてるのか?」 「・・・そう。・・・手間がかからないので余計な行動をしないで済む。」 「レトルトだけじゃ栄養偏るぞ!」 「・・心配いらない。私はあなたたち人間とは違う。基本的に食べなくても活動自体に支障はない。」 やはり長門は食べなくても平気なのか。 それでも食べるってことは一応長門にも食欲はあるんだな。 長門には日頃から世話になりっぱなしだからな。今度どこかうまい店に連れてってやろうか。 「たまには自分で料理してみればいいさ。お前ならできるよ。」 長門はすこし考えこんだように沈黙すると、 「・・・・・承知した。」 そう言って再び本に目を落とした。 俺が弁当を食い終わり空の弁当箱を片付けていたとき部屋がノックされた。 「どうぞ。」 開かれたドアの向こうには憎らしいほどのハンサムフェイスを持った古泉が立っていた。 古泉は俺と長門を見て、 「おや?まだお二人だけですか。涼宮さんと朝比奈さんはまだのようですね。」 微笑面を浮かべながらいけすかない超能力野郎は俺の隣に座った。 こいつは料理とかするんだろうか? まぁ長門よりは可能性はありそうだが。 「なぁ古泉。お前は料理とかするのか?」 古泉は相変わらずの微笑面で俺の顔を見て、 「なんですか藪から棒に。珍しいですね。」 「で、どうなんだ?」 「えぇ、料理だけでなく洗濯や掃除などもしていますよ♪」 「男のお前がか?」 「僕も機関の指示で家族と離れてこちらでは一人で生活してますからね。全部一人でやってますよ。」 「ご苦労なこった。」 「まさかあなたから労いの言葉がもらえるとは思いませんでしたよ。なにか良いことでもあったのですか?」 「いや、聞いてみただけだ。大した理由はない。」 「あなたも料理くらいしてみたらどうですか?楽しいですよ♪」 「悪いが俺の中学のときの家庭科の成績は1だ。お前のように器用じゃない。」 古泉は俺に顔を近づけ、 「そんなこと練習次第でどうとでもなりますよ。なんなら僕が一から手とり足とりお教えしましょうか?」 古泉よ、目の前に長門がいることを忘れてないか?人がいる前でそこまで顔を近づけるのはやめてくれないか?いや、二人のときに言われたらもっと嫌だが… 「断る。俺の性分に合わねーよ。」 俺が古泉から離れながら言うと古泉はふふっと微笑みながら、 「それは残念です。」 何が残念なんだ? まぁいい。 すると再び部室のドアが小さな音でコンコン鳴った。 この小鳥がつついたような叩きかたはあの方しかいない。 古泉が応える。 「どうぞ。開いておりますよ。」 ドアが開くと廊下に立っていた人は頭をペコリと下げながら、 「ご、ごめんなさい。遅くなっちゃいました。」 この朝比奈さんの愛くるしい仕草は俺の目の保養だね。 あなたがいくら遅れても俺は怒りませんし、あなた待っててと言うならいつまでも待ちますよ。 朝比奈さんは顔を上げて部室内を見回すと、 「涼宮さんはまだ来てないんですかぁ?よかったぁ。」 朝比奈さん今のは少し問題発言ですよ。ハルヒに聞かれてたらまたあなたは悲劇のヒロインを演じてしまう。 「ハルヒならまだ来てませんよ。」 朝比奈さんは机の上に鞄を置き俺たちを見ると、 「キョン君、古泉君」 とニコリと微笑んだ。 これは今から朝比奈さんが着替える合図である。 いつまで愚直にハルヒの命令を守るつもりなのか。 まぁ俺としてはいろんな衣装の朝比奈さんを見れるわけで嬉しいんだが。 「おい。古泉。」 「はい。」 俺と古泉は部室の外に出てドアを閉めた。 今この中の光景を目にできないのは残念でならないね。 数分後ドアが開くとメイド服姿の朝比奈さんが、 「お待たせしちゃってごめんなさい。」 「いえいえ。」 別に謝らなくて結構ですよ。 あなたの迷惑ならいくらでも受けましょう。 「あ、お茶いれますね♪」 朝比奈さんはそのままお茶をいれる用意をしていた。 格好も行動もまさにメイドさんだ。 わざわざ先ほど長門と古泉に聞いた料理のことは朝比奈さんに聞くまでもないな。 朝比奈さんは既に実証済みだ。 同じ理由でハルヒもね。 そういえばハルヒはまだ来てなかったな。 学食にでも行ってるのか? まぁあいつがいないと平和でいいぜ。 することもないので古泉とチェスをすることになった。 口では偉そうにチェスの魅力を語っておきながら実力は相変わらずだ。 朝比奈さんはお茶をいれるためお湯を沸かし、長門は黙って本を読んでいる。 すると突然、バタンとドアが開き、 「遅れちゃったわ!」 とハルヒが現れた。 ハルヒは団長の席に座ると満面の笑みを浮かべて、 「みんな聞いて!SOS団に朗報よ!とうとうSOS団の名が全国に知れ渡るときが来たわ!」 またわけのわからないことを言い出しやがった。 「頼むから最初から説明してくれよ。」 ハルヒは立ち上がると俺の前に来て一枚のチラシを突きつけた。 『ミス女子高生日本一決定戦・予選受付開始』 なんだこれ? 「見ればわかるでしょ!ミス女子高生日本一を決める大会のチラシよ!」 「それは見ればわかる!お前は何が言いたいんだ!?」 ハルヒは腕を組み、 「あんたホントにバカね。この大会に出場して日本一になればSOS団の名も全国区に鰻登りよ!」 わかってはいたが一応ハルヒに聞いてみる。 「で、誰が出るんだ?」 ハルヒは朝比奈さんに抱きつくと、 「もちろんみくるちゃんよ!みくるちゃんならグランプリ間違いなしだわ!」 朝比奈さんはハルヒに抱きつかれ戸惑っている。 「えぇ~!?私が出るんですかぁ~?む、無理ですぅ~。」 「大丈夫よみくるちゃん!あたしが必ずグランプリにしてやるわ!」 「そ、そんなぁ~!」 またハルヒの横暴が始まった。 「おいハルヒ。朝比奈さんばかりに頼ってないでお前が出たらどうだ。たまには団長らしいとこ見せてくれよ。」 ハルヒは俺を睨み、 「なんで団長のあたしが出なくちゃならないのよ!団員なら団長の言うことに黙って従いなさい!」 「だったらお前も団長なら団員のことを少しは気遣ったらどうだ!少しは他人の迷惑も考えろよ!」 ハルヒは俺のそばに寄ると、 「迷惑?みくるちゃんはあたしのオモチャなのよ!あんたにそんなこと言われる筋合いはないわ!」 オモチャ? こいつが以前同じような発言をして俺が殴りかかろうとしたことがある。 あれから半年近くが経ってこいつも少しはマシになっていたかと思ったがちっとも変わっちゃいなかった。 「ふざけんな!朝比奈さんはお前のオモチャでも奴隷でもないんだよ!いつまでも子供みたいなこと言ってんじゃねえよ!」 俺は怒りに震えハルヒを怒鳴りつけた。 古泉が俺を止めようと俺の肩に手を置く。 ハルヒは一瞬驚いたような表情を見せたがすぐに俺を睨みつけ、 「そんなにあたしが嫌なら出て行きなさいよ!あんた一人いなくてもSOS団の活動になんら支障はないわ!」 この言葉を耳にして俺の中の何かが音をたてて切れた。 「や、やめてくださぁい。私なら大丈夫ですから喧嘩しないで下さぁ~い。」 そんな朝比奈さんの言葉も今の俺には届かなかった。 気がつくと俺はハルヒの頬を平手でひっぱたいていた。 パチンと渇いた音が部室内に広がる。 その音で俺は我に帰った。 しばらくの沈黙が流れハルヒが、 「なにすんのよ!」 と怒りだした。 「すまんハルヒ。つい・・・」 ハルヒは怒り顔のまま、 「あんたの考えはよくわかったわ!もうここには来なくていいわよ!破門よあんたなんか!死んじゃえバカ!」 ハルヒは鞄を取ると、怒っているのか泣いているのかなんとも言えない表情で走って部室を出ていってしまった。 やっちまった… あのハルヒとは言え俺は女に手をあげてしまった。 それもハルヒの心を深く傷つけてしまったらしい。 男として俺は最低だった。 「・・・キョン君。」 朝比奈さんは今にも泣きそうな顔で俺を見ている。 古泉がいつになく真剣な顔で俺を見ると、 「正気ですか!?男性であるあなたが女性に手をあげるなどとは!」 流石の古泉も今回の俺の行動には怒っているようだ。 古泉は真剣な顔で続ける。 「これは涼宮さんの性格や能力以前の問題です!あなたは涼宮さんの心を深く傷つけた!」 わかってはいるんだ古泉。だがあのときの俺は止めようがなかった。 「手をあげる気なんてなかったんだ・・・」 「それでもあなたが涼宮さんに手をあげてしまったのは事実です。すぐにでも謝るべきでしょう!」 「ああ、わかってる。」 泣きそうな顔の朝比奈さんは、 「ごめんなさいキョン君。・・・あたしのせいで。」 「朝比奈さんのせいじゃありませんよ。悪いのは俺なんです。」 「わ、私が言うのもなんなんですが涼宮さんには謝ってほしいです。涼宮さんきっと傷ついてます・・・」 「はい。わかってます。」 俺はハルヒを追うため部室を出た。 急いで校門に向かい坂道を下りるがハルヒの姿はない。 もう帰っちまったのか… 俺は携帯を取り出すとハルヒの番号にかけた。 「おかけになった電話は電波の届かないところにあるか電源が入っていないためかかりません。」 聴こえてきたのはハルヒの声ではなかった。 自力で探すしかないな… 結局その後夜まで不思議探索ツアーで行った場所やSOS団が活動した場所を探したがハルヒを見つけることは出来なかった。 諦めて帰ろうとしたとき背後から、 「キョン君。」 俺を呼び止める声がした。 振り返るとそこにはいつもより大人びた格好をした朝比奈さんがいた。 いや違う。これはさっきまでの朝比奈さんじゃない。 「ふふ♪またお会いしましたねキョン君。」 それは今まで何度も助けてくれた朝比奈さん(大)だった。 「朝比奈さん。また何か厄介事でもあるんですか?」 朝比奈さんは優しく微笑むと、 「今まさにキョン君が遭遇してるじゃないですか。」 ああ、そうか。この朝比奈さんもそれを体験済みなのか。 「キョン君。詳しくは禁則事項なので言えませんが明日世界にとってとても良くないことが起こります。この時間の私はそれに気づきません。そして長門さんでさえも。」 朝比奈さんは俺の手を取ると長方形のお守りを渡してくれた。 「このお守りはあなたを守ってくれます。今日は肌身離さず持って寝て下さい。」 「詳しくは教えてもらえないんですね。」 「ごめんなさい禁則事項です。ほんとはもっと早い時間に来るべきだったのですがどうしてもこの時間軸より前に遡行することができませんでした。」 「ハルヒの力ですか?」 「はい。とにかく明日涼宮さんに素直に謝ってあげて下さい。」 「わかってます。」 朝比奈さんはニコリと笑うと、 「それでは私は戻ります。涼宮さんのことを大切にしてあげてね。」 そのまま足早に俺の前から姿を消した。 とりあえず帰るか。 すっかり暗くなった空を見上げて俺は家路についた。 俺は家でシャワーを浴び、朝比奈さん(大)の言うとおりお守りをポケットに入れたまま床についた。 翌日になると俺はメシも食べずにいつもより早く家を出た。 早くハルヒに謝りたい。 俺のしちまったことは許されることじゃないかもしれないが、もしハルヒが許してくれるなら俺はなんだってする。 教室に着くとまだ誰もいなかった。 俺は自分の席に座りハルヒを待つことにする。 どうやってハルヒ謝ろうか? ハルヒは許してくれるだろうか? 俺にはハルヒを待つ1秒1秒がとても長く感じた。 どれくらい経っただろうか。 クラスに人が増え始める。 俺は教室の扉を見つめながらハルヒを待った。 予鈴が鳴りほとんどのやつらが席につき始めたときあいつはやってきた。 ハルヒは俺の顔を見ると俺の後ろの席に座った。 今俺の心臓は緊張で爆発寸前だ。 だがこのまま放っておくわけにはいかない。朝比奈さんとも約束したしな。 俺は勇気を出してハルヒに話しかけた。 「な、なぁハルヒ。昨日のことなんだが。お前に謝りたいんだ。」 ハルヒは眠たそうな顔で、 「なに?昨日のこと?どうゆうこと?」 良かった。 一応口は聞いてくれるみたいだ。 「昨日は俺もどうかしてたんだ。あんなことするつもりじゃなかった。悪いのは全部俺だ。本当にすまん。」 ハルヒは、 「だから昨日のことってなによ。なんで謝ってんのよ!あんた寝ぼけてんの?それとも夢であたしに変なことしたんじゃないでしょうね?」 「い、いやだからお前の顔に平手打ちをしてしまったことだ。許してくれとは言わん。お前の気の済むまで俺を殴ってくれても構わん。」 ハルヒは俺を睨みつけると、 「あんた夢の中であたしにそんなことしてんの?あたしになんの恨みがあんのよ!」 夢?さっきからなに言ってるんだハルヒは。 「夢じゃないだろ!」 「あたしはそんなことされた覚えないわよ!もしあたしにそんなことしたら死刑にしてやるから!」 覚えがないだって? 俺が叩いたせいでハルヒの記憶が飛んじまったのか? 「夢でもあんたに平手打ちくらったなんて気分悪いわね。放課後たっぷりお仕置きしてあげるから部室から逃げるんじゃないわよ!」 「俺はSOS団破門じゃないのか?」 「なに?あんた辞めたいわけ?いい度胸じゃない!あんたの罰ゲームが増えたわ!」 さっきからハルヒと話が噛み合わないのは何故だろうか? ハルヒは昨日のことを忘れようとしてくれてるのか? まぁいい。ハルヒが許してくれるならどんな罰だって受けてやる。 「放課後部室に行っていいんだな?」 「当たり前じゃない!来なきゃ死刑よ!」 俺とハルヒがそんな話をしていると担任の岡部が現れHRが始まった。 岡部の話を聞いてると話してる内容が昨日と同じである。 ハンドボールのやりすぎでとうとうボケたのか? 「なぁハルヒ。岡部のやつ昨日と同じこと言ってないか?」 頬杖をついたハルヒは、 「知らないわよ。いつも聞いてないから。」 それもそうか。 まぁいい。ハルヒの機嫌は悪くないしな。 そして岡部の話が終わると授業が始まった。 一時限目は昨日と同じ数学だった。 数学?今日は物理のはずだ。 時間割に変更でもあったのか? だが授業を聞いてると内容が昨日と全く同じだった。 ハルヒの不可解な言動といい、岡部の話といいさっきからおかしいぞ? 昨日の出来事はハルヒの言うとおり夢だったわけか? いや、違う。 俺のポケットには確かに朝比奈さん(大)から貰ったお守りがある。 朝比奈さんは俺に気づかせるためにこのお守りを持たせてくれたのか。 じゃあ一体どういうことなんだ? 俺だけが昨日にタイムスリップしちまったのか? 長門なら何かわかるかも知れない。 俺は午前の授業が終わると急いで部室に向かった。 俺が部室のドアを開けると昨日同様本を読んでいる長門がいた。 俺は座っている長門の両肩を掴み、 「一体これはどういうことなんだ長門!お前ならわかるだろう!」 長門は俺を見ると、 「あなたの言ってることは理解できない。」 俺は絶望した。 いや、待て。昨日の朝比奈さんの言葉を思い出せ。 確か長門さえも気づかないと言っていた。 じゃあ何故俺だけ? すると部室のドアがノックされた。 開いたドアの向こうにはやはり古泉がいた。 俺は古泉に向かって、 「おい古泉!今日は何日だ!」 古泉は微笑面で、 「今日は10日ですよ。今日もいい天気ですね。」 やはりこれは昨日だ。 もはや頼みの綱はこの2人に昨日のことと朝比奈さん(大)のことを話すしかない。 「古泉、長門。信じられないかもしれないが聞いてくれ。」 俺は二人に全てを話した。 「ってことなんだ。信じてくれるか?」 長門は俺を見て、 「あなたは嘘をつかない。私は信じる。」 よかった。 「ありがとう長門。それとこれがなんだかわかるか?」 俺はポケットから朝比奈さん(大)から貰ったお守りを長門に見せた。 長門はお守りに手をかざすと、 「この物体には時空振動に対しての防御シールドが展開されている。これを持っているといかなる時空振動の影響も受けない。」 …なるほど。 これが朝比奈さん(大)のお守りの正体か。 どうりで俺だけ昨日の記憶があるはずだ。 俺と長門の話を黙って聞いていた古泉が、 「あなたの話は本当でしょう。涼宮さんの力によって時空操作が行われたに違いありません。」 「古泉お前にはわかるのか?」 「ええ、8月の時間ループのことを思い出して下さい。いまおそらくあの時と同じことが起きてるんですよ。」 「なんでこんなことになったんだ?」 「簡単なことです。涼宮さんもあなたと同じように自分の行為を後悔していたのですよ。それにあなたに平手打ちされて気づいたのです。だから時間を戻せないかと考えてしまい、それが現実に起こってしまったのです。」 …そういうことか。 だが俺が謝りたいのはこの時間のハルヒじゃない。昨日のハルヒに俺は謝りたいんだ。 「もとに戻すことはできないのか?」 すると長門は、 「・・・可能。私が涼宮ハルヒの力の仲介となり時空操作を行う。」 「できるのか?じゃあやってくれ!」 「あなたにとっての昨日の何時に戻せばいいのか教えてほしい。」 何時?確かあれは12時を30分ほど過ぎたころだ。 「12時30分頃だ。頼む長門。」 長門は少し沈黙すると、 「了解した。これよりあなたの記憶の中にある時間に合わせて時空操作を行う。」 長門は立ち上がり手を上にかざした。 古泉が、 「むこうの僕にもよろしくお願いしますね。」 と微笑んだ。 長門は、 「あなたのいるべき時間はここじゃない。あなたはあなたの世界に帰るべき。あなたには帰る場所がある。」 「ありがとな。長門。古泉。」 「目を瞑って。」 俺が目を瞑ると頭の中が回転したように感じ、光の中へ飛び込んで行った。 俺が目を開けると目の前にはハルヒがいた。 ここは部室。 ハルヒは走って部室を出ていった。 なるほど…ドンピシャだぜ長門。 前に見たときは気づかなかったがハルヒはあの時怒っていたのではなく泣いていたんだ。 追わなければ。 これでハルヒを見失ってしまったら時間遡行してきた意味がなくなる。また同じことの繰り返しだ。 俺は急いでハルヒのあとを追った。 ハルヒに謝りたい。ただそれだけなんだ。 俺の前を走るハルヒは1年5組の教室に飛び込んでいった。 あの時ハルヒは教室にいたのか。街で発見できないはずだ。 俺は覚悟を決めて教室に入った。 ハルヒは自分の席に腕をついて顔を伏せている。 「・・・ハルヒ」 ハルヒはなおも顔を伏せている。 「ハルヒ。俺が悪かった。お前の気持ちも考えずに手を上げちまったことを謝る。すまん。」 ハルヒはなおもうつむきながら、 「・・・ぇっぐ・・あ・・あんたは私のこと迷惑だと思ってるんでしょ?」 ハルヒは明らかに涙声だ。 「確かに毎回お前に振り回されて迷惑することもある。だがお前を嫌いになったことなど一度もねぇよ!」 「・・・ぅっぐ・・・・ホントに?」 「ああ。お前が俺たちを勝手に振り回してるのになぜ俺たちがお前と一緒にいるかわかるか?」 ハルヒは黙りこんでしまった。 「それはなハルヒ。お前のことが好きだからだよ!俺も古泉も長門も朝比奈さんもみんな好きだから一緒にいるんだ。」 ハルヒは顔を上げると立ち上がり俺を見た。 やはりハルヒの目には涙が流れてる。 俺のしちまったことは重大だな。 「・・・その言葉信じていいの?」 ハルヒは涙を流しながら真剣に俺を見ている。 「同じSOS団だろ?団長なら団員の言葉を信じろよ!まぁ今の俺はお前に破門されちまったから団員じゃないがな。」 ハルヒは涙を服の袖で拭うと、 「有希とみくるちゃんと古泉君の3人に免じて破門だけは撤回してあげるわ。」 「ごめんなハルヒ。今の俺をお前の気の済むまで好きに殴ってもらっても構わん。これからどんな罰ゲームでも受ける覚悟はできてる。」 ハルヒは俺に近づきながら、 「そんなことするわけないでしょ。あんたを殴ってもあたしの気はおさまんないわよ!」 「じゃあどうしたらお前の気が済むんだ?俺に出来る範囲ならなんでもするつもりだ!」 「・・・なんでも?それは本当ね?」 「ああ。男に二言はねえ!」 ハルヒは俺のすぐ前まで来て俺の顔を見る、 「だったらあたしのこと抱きしめなさい!」 抱きしめる?なんでそんなこと。 「なんでも言うこと聞くんでしょ?早くしなさい!」 ハルヒの考えてることはよくわからんがそれでハルヒの気が済むなら… 俺はハルヒを抱きしめた。 今俺の胸の中にいるハルヒがどんな顔をしているのかわからない。 怒っているのか、泣いているのか、笑っているのか、照れているのか。 だがハルヒがどんな顔をしていたとしても俺は全てを受け入れるつもりだ。 そのまましばらく沈黙が続きハルヒが俺の胸から離れると 「今日はこれで許してやるわよ。そのかわり今度からあんたにはいっぱい償ってもらうからね!」 「わかってるよ。」 その後のハルヒとの会話は覚えていない。 俺たち二人は部室に戻り、他の団員に和解を伝えた。 なんとか全て丸く納まり俺たち5人は今下校のため坂道を下っている。 俺がハルヒに謝れたのはお守りをくれた朝比奈さん。状況を理解して俺に教えてくれた古泉。俺のことを信じてこの時間へ送ってくれた長門。 この3人のおかげだ。 この3人はそのことを知らないだろうが… 「朝比奈さん、古泉、長門。・・・・・ありがとな。」 朝比奈さんは頭に?マークを浮かべて、 「なんのことですかぁ~?」 古泉は得意の微笑を浮かべて、 「おや?僕に料理を教わる気になったのですか?」 長門は不思議な顔で俺を見つめていた。 「じゃあ僕たちはこの辺で。」 朝比奈さん、古泉、長門はそれぞれ違う方向に帰っていった。 残った俺とハルヒは二人で街中を歩いている。 俺たちは途中で見つけた雑貨屋に何気なく入った。 雑貨屋の中を歩き回っているとハルヒが足を止め、ある商品を見ている。 そこにはピンク色のリボンつきのカチューシャが飾ってあった。 そういえばハルヒはカチューシャが好きだったな。 「なぁハルヒ。今日のお詫びにこれをお前にプレゼントするよ。」 ハルヒはいらないと言っていたが俺はすぐさま購入し、ハルヒに無理やり押しつけた。 ハルヒは戸惑いながら、 「あ、あんたが勝手に渡してきたんだから礼なんて言わないわよ!」 「礼なんていらんよ。俺のお詫びだ。ここでつけていけよ。」 「い、嫌よ!あたしはこっちのほうが気に入ってるの!」 と頭を指差す。 まぁなんでもいいさ。 ハルヒが俺を許してくれたみたいだからな。 俺の背中を後押ししてくれた朝比奈さん・古泉・長門。 そして目の前にいるハルヒ。 改めて思ったよ。 みんな俺にとってかけがえのない存在だってことをな。 今なら胸を張って言えるぜ。 「俺はSOS団団員その1だ!」 ってな… ◆エピローグ◆ 日曜日の話だ。 俺たちSOS団は今日も駅前に集合し不思議探索を始める予定だった。 だが当日になって朝比奈さんと古泉と長門が揃って欠席した。 俺は仕方なく駅に向かうとハルヒがすでに待っていた。 ハルヒは意外と機嫌は悪くなく笑顔で、 「さ~て今日の欠席の罰ゲームは何にしてやろうかしら!」 またなにやらよからぬことを考えてるらしい。 「さぁ行くわよキョン!」 俺の手をひいて歩くハルヒの頭には俺がプレゼントしたピンク色のカチューシャが掛かっていた。 「…似合ってるぜハルヒ。」
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ジャイアントパンダの作り方 材料1 材料2 材料3 合成物 くま ジャングル ジャイアントパンダ
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/ヽ _,.,./ 'i, く ̄ ̄`゙""~ ̄ / 'i, ヽ、 i!+ ,i' 'i, . + i i!.. + . l ● ● i!. + 'i, (_●__) ,/ . ヽ., |∪| /' + ゙''ァ ヽノ "ヽ, /i, 'i, /,/' `i, 'i, i/' 'i, 'i, _,.,./' 'i, 'i γ´ ̄ γ⌒ヽ ヽ,_,.ノ i, _,.,,.,._,i' ,i' ヽ.,_.,., -''" ,l, / ゲーム 鬼武者1、3の主人公 本名 明智左馬介秀満 さらわれた従兄妹を救うため稲葉山城に行った際 鬼に力を与えられ鬼武者になる 一回目の幻魔界へのカチ込みで幻魔王の命とると言う快挙を成し遂げた 現在 北に行っては幻魔を殺し 南に行っては幻魔を殺す ぶらり皆殺し行脚の旅の途中 作中最強武器 毘沙門剣の鍵は彼が持っている 幻魔絡みじゃなければいい人 幻魔絡みじゃなければ どう見てもクマだが、本人曰くパンダらしい 19スレ目にやる夫と邂逅 中身 ,、‐ ''"  ̄ ``'' ‐- 、 /イハ/レ /V\∧ド\ / ^'´ i、 \ ‐'7 ハ ハ |ヽ ;、 丶 / /!i /|/ ! ヾ リハ |;!、 l /´7 〃|!/_,,、 ''"゛_^`''`‐ly ト /|;ィ N,、‐'゛_,,.\ ´''""'ヽ !;K ! |ハト〈 ,r''"゛ , リイ)| `y't ヽ' // ! ぃ、 、; ==ヲ 〃 `'' へ、 ` ‐ '゜ .イ `i;、 / l 〉 ` ‐ ´ l`ヽ / ! レ' ヽ_ _,、‐7 i| i´ l `' ‐ 、_ ,、-‐''"´ ノ,、-、 / 、,_ ,.、- {,ヘ '、_ `ヽ、_ / i ,、イ ∨ l.j__,,、..-‐ - ;」,ハ、 '、` ‐、_ ,`ヽ / l ,、‐'´ // ',/! ;、--ァ' / `` ‐ `'7゛ ', 使用AA:碇シンジ(新世紀エヴァンゲリオン)
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「あぁ~」 【名前】 シャチパンダヤミー 【読み方】 しゃちぱんだやみー 【声】 不明(オーズ/OOO)高塚正也(超バトルDVD) 【登場作品】 仮面ライダーオーズ/OOO など 【登場話】 第29話「姉と博士(ドクター)とアンクの真実」第30話「王とパンダと炎の記憶」 【分類】 ヤミー/合成系成長ヤミー 【創生者】 カザリ 【宿主】 真木清人 【欲望の種類】 慈愛、母性愛 【モチーフ】 シャチ、パンダ 【詳細】 カザリがメズールのコアメダルを吸収して作り出した水棲系と猫系の合成系ヤミー。 水棲系が主体なのだがパンダ自体が猫系と重量系の中間のような扱いなのか、合成系にあった宿主に寄生及び卵から孵る描写がない。 怪力によるベアハッグ、右手から伸びる鋭い爪を武器とし、空中に複数のシャチのヒレが出現し回転させ回転ノコギリのように相手に向けて飛ばす能力を有する。 カザリと結託している事が鴻上光生にバレた真木清人がカザリに残りのコアメダルを吸収するよう急かすも逆にセルメダルを投入されてしまい、白ヤミーから成長、幼少時に死に別れた真木の姉「仁美」の墓に抱きつくなどの行動を取り、カザリに「世界を終わらせるんじゃなかったの?」と言われるが、道行く女性に手当たり次第抱きつき、成長するが駆けつけたバースに邪魔される。 真木本人はヤミーの行動が自身の「慈愛と母性への欲求」から来ているものだと自己分析。 後に語られた過去から推測すると、過剰に抱き締めていたのは単に怪力からだけでなく、「姉への憎悪」も含まれていたのかもしれない。 交戦中にバースのクレーンアームによる打撃に翻弄されるが、偶然逃げ遅れたカップルに当たりそうになり慌てて止めたクレーンを逆に利用してバースを投げ飛ばし、逃走。 仁美に瓜二つの白石知世子に目をつけクスクシエに向かうが、宿主の真木清人がプテラカンドロイドを使って邪魔してカンドロイドを破壊しつつ彼さえも手にかけようとしたが、寸前でバースが駆けつけて再びバースとの戦いになる。 怪力による爪や抱きつきでバースを苦しめるがドリルアームに抉られ、陸橋下を走っていたトラックの屋根に乗って逃走。 その後も執拗に知世子を狙うが、伊達に邪魔されてバースと戦闘。 されに駆け付けたオーズも加わり1対2の戦いになるが、伊達が「パンダ拳か!?」とツッコんだ中国拳法のような奇怪な動きやシャチカッターで両ライダーを苦しめる。 オーズがタカジャバにフォームチェンジした事で形勢逆転、シャチカッターをタジャスピナーからの火炎弾で相殺され、格闘戦でもバッタレッグの連続キックに押され、その隙にフルチャージを完了したブレストキャノンシュートを受け爆散した。 パンダの部分が多いが左腕がシャチの頭部、耳がヒレとなっている他、パンダの頭部の黒目の部分に人間の顔があるなど愛らしくもおぞましい姿をしている。 遠目から見れば確かにパンダの着ぐるみに見えなくもないデザインで、歩くときもキグルミが歩くかのような音がする。 鳴き声も上記のようなもので、稀に「バーイ」と人語を話すが、声を担当している人は不明。 伊達明はヤミーに逃走を許してしまった際に「かわいいから油断しちまった」と発言しており、以降も「パンダちゃん」と呼んでいた。 作中のメインキャラクターが宿主になったのは同個体が唯一。 【余談】 超バトルDVDで声を演じる高塚正也氏は『救急戦隊ゴーゴーファイブ』以来、12年振りに特撮作品の怪人の声を演じている。平成仮面ライダーシリーズでの出演は初となる。
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DL ◆KSx0eFBGDkが開催・集計を行ったみんなで決めるダウンロードゲームランキングベスト100です。 ルール 【投票期間】 2014年5月2日~2014年5月31日23 59 59まで ※投票数が100票に満たない場合は、 2014年6月30日23 59 59まで、もしくは100票に達するまで延長します。 【対象楽曲】 コンシューマー(CS)機において、ダウンロード(DL)専用配信タイトル、及び内蔵タイトル、 スマホやタブレット端末などのスマートデバイスで配信されているゲームアプリが対象となります。 投票期間中に配信されるタイトルも対象となります。 海外で配信されているタイトルも、投票対象となります。 CS機専用タイトルがいずれかの国でパッケージ版として販売されている場合は、日本でDL専用タイトルであっても非対象となります。 投票期間中に配信された場合は、その時点で対象に含まれます。 後発のパッケージ版が存在するタイトルは、そのままDL専用タイトルとして扱います。 基本的にDL専用タイトルであり、初回限定版のみパッケージ版が存在するタイトルは、投票対象となります。 Steamで配信されているタイトルについては、いずれかの対象機種でDL専用タイトルとして配信されている場合に限り、対象となります。 PC(ブラウザ、Flash、フリーゲーム含む)ゲームは投票対象外ですが、CS機にDL専用タイトルとして移植された場合のみ、投票対象になります。 過去作の移植及びリメイク作品は基本的に投票対象外となりますが、新規曲が存在する場合はその曲のみ対象となります。 バーチャルコンソールやPSアーカイブスなど、過去作の配信に関してはすべて対象外となります。 ゲーム性のないアプリに関しては全て対象外となります。 投票対象機種は以下の通りです。 -DSi,3DS,PSV,PS3,PS4,360,XBO,Wii,WiiU,iOS(iPhone/iPad/iPodTouch),Android,Kindle,mob(携帯端末),SAT(サテラビュー) 【投票方法】 1人1回、各部門1位~15位まで投票(15位まで埋まらなくても可)。 両方の部門に投票可能。どちらか片方への投票でも可。 同じ作品の曲は3曲まで。 間違えて4曲以上投票した場合は、オーバーした分の曲のみ別の曲への修正を認めます。 投票の際には、最低3曲以上の感想または最後のコメントのいずれかを必ず記入して下さい。 コメントが足りない場合は、コメントの追加をすることができます。 上記のような場合の修正期間は、投票から3日間となります。 【集計方法】 順位は票数で決定します。同票数の場合は投票された平均順位が高い方を上位とします。 以下の端末からの投票は原則NGとなります。 -携帯電話 -ネットカフェ・漫画喫茶等 -学校や会社等 -イー・モバイル、UQ WiMAX等 これらの端末からの投票は、無効とします 多重投票が発覚したときは、最初の有効票1票以外は無効にします。 結果 順位 曲名 ゲームタイトル 機種 票数 平均順位 1 Another Winter SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD THE GAME PS3,360 12 7.083333333 2 ENDING PiCOPiCT DSi 11 5.818181818 3 頂点への挑戦 ソリティ馬 3DS 8 5.625 4 FLASH IN THE DARK ロックマン9 野望の復活!! Wii,PS3,360 7 9.142857143 5 Departure パズル&ドラゴンズ iOS,And,Kindle 7 9.571428571 6 Winterbliss Castle Crashers 360,PS3,Win 6 4 7 タイトル ひらり 桜侍 3DS 6 5.166666667 8 ラストゴースト すれちがいMii広場 3DS 6 6.833333333 9 Love You Love You Love Mighty Switch Force! 3DS,WiiU 6 7.166666667 9 タイトル画面BGM いきものづくり クリエイトーイ 3DS 6 7.166666667 11 やみの王 すれちがいMii広場 3DS 6 7.833333333 12 砂漠はつづくよどこまでも ラビXラビ えぴそーど3 3DS 5 2.2 13 トンネルシーン X-RETURNS DSi 5 6.2 14 WE RE THE ROBOTS ロックマン9 野望の復活!! Wii,PS3,360 5 6.4 15 THE LEGEND OF ZELDA PART 2 PiCOPiCT DSi 5 7.2 16 タイトル ファミコンリミックス WiiU 5 12.8 17 通常戦闘 神界のヴァルキリー iOS 4 2.5 18 The Road of Trials 風ノ旅ビト PS3 4 4.5 19 Rock Club SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD THE GAME PS3,360 4 5 20 Fearless Challenger LA-MULANA Wii 4 6 21 じゅもんをあげるよ ことばのパズル もじぴったんWii Wii 4 7 22 Courtesy Super Hexagon iOS,And,Win 4 7.25 22 A New Journey パズル&ドラゴンズ iOS,And,Kindle 4 7.25 24 Computer Lightstream Wii 4 7.5 25 Wind BSファイアーエムブレム アカネイア戦記 SAT 4 8.25 26 秘められし幻惑の園 ラビXラビ えぴそーど3 3DS 3 2 27 すれちがい伝説II 世界を救え!勇者よ! すれちがいMii広場 3DS 3 2.333333333 27 旧校舎の少女 テーマソング 脱出アドベンチャー 旧校舎の少女 3DS 3 2.333333333 29 The Challenge from Beyond 邪聖剣ネクロマンサー NIGHTMARE REBORN DSi 3 3 30 Skate or Live SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD THE GAME PS3,360 3 3.333333333 31 Trine 2 Main Theme TRINE2 三つの力と不可思議の森 WiiU 3 5.333333333 31 I was Born for This 風ノ旅ビト PS3 3 5.333333333 33 SAVANOIA DIGIDRIVE DSi 3 5.666666667 34 カンナンシンク ダライアスバースト セカンドプロローグ iOS 3 6.333333333 35 Jazz Racing Jam ソリティ馬 3DS 3 7 36 GAME BGM(Type A) ああ無情 刹那 DSi 3 7.666666667 36 NO TURNING BACK ロックマン10 宇宙からの脅威!! Wii,PS3,360 3 7.666666667 36 立ちふさがる強敵 聖剣伝説 RISE of MANA iOS 3 7.666666667 39 Waltz of the Temple Forest Elves TRINE2 三つの力と不可思議の森 WiiU 3 8 40 Apotheosis 風ノ旅ビト PS3 3 8.333333333 41 Pascal Shower ドーパミックス 3DS 3 8.666666667 41 AWAKE~マッスル目覚めのテーマ~ マッスル行進曲 Wii 3 8.666666667 43 Blackout City BIT.TRIP RUNNER ~リズム星人の激走~ Wii 3 9.333333333 44 Departure -Remix- パズル&ドラゴンズ iOS,And,Kindle 3 10.66666667 45 ステージ5 ラストバトル CHAIN BLASTER 3DS 3 11.33333333 46 これがあのきみなのか 魔女と勇者 3DS,iOS 3 12.66666667 47 Subboss Theme SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD THE GAME PS3,360 2 1 47 Twin Dragons SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD THE GAME PS3,360 2 1 49 Boss Battle Child of Light PS4,PS3,WiiU,360 2 2 49 Break Up Take Down Mighty Switch Force! 3DS,WiiU 2 2 49 ボス戦 神界のヴァルキリー iOS 2 2 52 Kappore Lightstream Wii 2 2.5 53 街 神界のヴァルキリー iOS 2 3 54 SiLent ErRors - Theme - VECTROS iOS 2 4 55 Stage 5 ゴミ箱 -GOMIBAKO- PS3 2 4.5 55 生命の戦い ファイナルファンタジーIV ジ・アフター mob,Wii,iOS 2 4.5 55 HORNET DANCE ロックマン9 野望の復活!! Wii,PS3,360 2 4.5 55 Nadir 風ノ旅ビト PS3 2 4.5 59 Aurora s Theme Child of Light PS4,PS3,WiiU,360 2 5 59 1,6面 ラビラビ外伝 Witch s Cat 3DS 2 5 59 NITRO RIDER ロックマン10 宇宙からの脅威!! Wii,PS3,360 2 5 62 Spike in a Rail Bastion Win,360,iOS 2 5.5 62 Downstream Braid 360,PS3,Win 2 5.5 62 Simple Sight Castle Crashers 360,PS3,Win 2 5.5 62 Purification of the City Flowery PS3 2 5.5 62 Frostfang Footslip TowerFall Ascension OUYA,PS4 2 5.5 62 Cowboy in Town ガンマンストーリー iOS,And,3DS 2 5.5 62 GALAXY FANTASY ロックマン9 野望の復活!! Wii,PS3,360 2 5.5 69 Mr.Explorer LA-MULANA Wii 2 6 69 Searock Castle TRINE2 三つの力と不可思議の森 WiiU 2 6 69 Twister Crossover すばらしきこのせかい-Solo Remix- iOS 2 6 69 日本 珍道中!!ポールの大冒険 Wii 2 6 73 奪われた幻獣たち~Minudes~ ファイナルファンタジーIV ジ・アフター mob,Wii,iOS 2 6.5 73 しんぴの森 マップ・ステージ選択 ポケモンスクランブルU WiiU 2 6.5 73 ギッチョマンステージ 実写でちびロボ! 3DS 2 6.5 76 GAME BGM(Type B) ああ無情 刹那 DSi 2 7 76 Rejoicing Flag チャリ走DX 3DS 2 7 76 CRIMSON BLOOD 悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair PS3,360 2 7 76 夜まで待てない 悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair PS3,360 2 7 80 Sailing on the Wind Flowery PS3 2 8 80 雨が映し出す物語 rain PS3 2 8 80 Burning Town Shantae Risky s Revenge DSi 2 8 80 UTOPIAN TOYBOX ドーパミックス 3DS 2 8 84 The Lives We Left Behind Skullgirls PS3,360,Win 2 8.5 84 Heavy Blow グラディウス リバース Wii 2 8.5 84 The Whirling Infinite スキタイのムスメ:音響的冒剣劇 iOS,And,Win 2 8.5 87 Cruising Line 3D アウトラン 3DS 2 9 87 Bowy Lightstream Wii 2 9 87 メインメニュー ドリフトスピリッツ iOS 2 9 87 Premonition of a Breeze パズルボブルWii Wii 2 9 87 タイトル ブラッディヴァンパイア 3DS 2 9 87 PaPaPa Love ~マッスル喜びのテーマ~ マッスル行進曲 Wii 2 9 87 スーパーブロック 引ク落ツ 3DS 2 9 94 How We Get Old スキタイのムスメ:音響的冒剣劇 iOS,And,Win 2 9.5 95 Sleepwalker Lightstream Wii 2 10.5 95 シティエクスプレス リズムハンター ハーモナイト 3DS 2 10.5 97 Chaoz Japan Castle Crashers 360,PS3,Win 2 11 97 FIREBALL STRIKE ロックマン10 宇宙からの脅威!! Wii,PS3,360 2 11 99 夜桜の祭,亡霊の森 疾風のうさぎ丸 -恵みの珠と封魔の印- 3DS 2 12 100 初陣 燐光のランツェ 3DS 2 12.5 101 希望のうまれる場所 ソリティ馬 3DS 2 13 102 BASEBALL+ PiCOPiCT DSi 2 14.5 103 Ververg Cytus iOS,And 1 1 103 Wings of piano Deemo iOS,And 1 1 103 櫻花色的夢 Deemo iOS,And 1 1 103 Castle Moonrabbit FANTASY × RUNNERS iOS 1 1 103 Music Plot Type Three GROOVE COASTER ZERO iOS 1 1 103 Superplay Lightstream Wii 1 1 103 637 volpe PixelJunk Eden PS3,Win 1 1 103 アルカ・アレーナ ケイオスリングス iOS,And 1 1 103 Chapter1-MainBGM コープスパーティー New Chapter mob 1 1 103 野郎どもの襲撃 ザ・ローリング・ウエスタン 最後の用心棒 3DS 1 1 103 Knock You Out ストリートファイターIII 3rd ONLINE EDITION PS3,xbox360 1 1 103 タイトル ソリティ馬 3DS 1 1 103 対魔将戦 ナゾのミニゲーム DSi 1 1 103 セカイノユクエ ファイナルファンタジー レジェンズ 光と闇の戦士 iOS,And 1 1 103 光放つ刃 ファイナルファンタジー レジェンズ 光と闇の戦士 iOS,And 1 1 103 ボス ブラッディヴァンパイア 3DS 1 1 103 Engraved Mark ポップン リズミン/jubeat plus/REFLEC BEAT plus iOS 1 1 103 名刺ショップ 洋服屋さん みんなといっしょ PSV 1 1 103 事件解決 レイトンブラザーズ・ミステリールーム iOS,And 1 1 103 現代編ステージ 桜花爛漫 PSV 1 1 103 ラスボス 魔神戦 電波人間のRPG2 3DS 1 1 103 Battle for the last 怒首領蜂大復活 for iOS iOS 1 1 それ以下の順位 https //ux.getuploader.com/gamebgmrank_result_001/download/19 PASS:gamebgmrankdl
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すれ違う理想と友情 その出来事は、『放送』が始まるより前まで遡る。 「はい皆、一旦きゅうけーい!」 南の街の、とある民家。 そこにぞろぞろと、5人もの少女達が入ってきた。 当然、そこに住人はいない。ただ、空き家というわけでもなく、ある程度家具も置かれている。 まるで、前に誰かが住んでいたのかと思わせるかのような雰囲気があったが、推測するにはそれ以上の証拠がなかった。 「結構立派な家ね……」 「私、ちょっとキッチン見てくるね!」 先ほど、声を張り上げたのはこの集団を先導する、所恵美。 部屋の広さに関心しているのは如月千早、我先にと奥へ向かったのは佐竹美奈子。 その後ろからは、松田亜利沙と高槻やよいが浮かない表情を浮かべ、ついてくる。 皆、思い思いに行動していく。そこに、殺伐としたものはない。 ここにいた少女達は皆、この『殺し合いの場』において、そんな行為に反抗する意思を持っていた。 (……まだ、油断できないです…チャンスを、待たないと……) ――少なくとも、表面上は。 やよいが浮かべた、苦々しい表情を見たものは、誰もいない。 それぞれの内に秘めた思いは、誰も知る事はない。 「所さん…ここでしばらく休憩って、言っていたけど」 「皆、結構疲れてるでしょ? それに、うちらが知ってる事も整理しなくちゃって思ってね」 一旦、民家に入って休もうと提案したのは恵美だった。 街までの道で合流した美奈子とやよい、そして市民プール前で合流した亜利沙。 特に亜利沙に言えたことだが、この異常な状況下で、皆疲労の色が見え隠れしている。 それに彼女達も、ここに至るまでに誰かと会い、何か経験したかもしれない。 一度どこかで腰を落ち着けて、そんな情報を共有するべきだと、彼女は考えていた。 「それに……もうすぐ、なんか発表とかあるらしいじゃん。備えとかないと」 そして、懸念していたのはそれだけではない。 恵美の言葉に、皆がぴくりと反応を示す。 「えっと……6時間ごとに、って言ってましたから、あと30分ぐらい…ですよねー」 「確か…死んだ人を発表する、って……」 場に、重苦しい雰囲気が漂う。 こうしている間にも、このイベントは進行している。 自分達のように反抗するものだけならいいのだが、正直、嫌な想像の方がいくらでもできる。 そんな事を考えてしまう状況、誰しも心中穏やかではない。 「………っ」 そしてここには、唯一それを現実として目の当たりにしている少女がいた。 俯く少女、松田亜利沙の顔色は悪く、ここに来てから何も喋れていない。 これからの事を考えるなら、自分の知る事を皆に言うべきなのだろう。 けれど、今に至るまでできないでいた。 市民プールの前で、4人に合流した時、ひどく消耗していた彼女に対し皆は気にかけた。 ここに来るまで、何かあったのか。誰か、出会ったのか、と。 そんな問いにさえも、口を開けられていなかった。 それだけ、彼女の知っている現実は、あまりにも残酷で。 「………?」 何より、彼女の前で言う事がはばかられた。 思わず彼女――如月千早と目があって、あわてて目を逸らす。 亜利沙が未だ自分が今までの事を話せないのは、彼女がいるからに他ならない。 自らが知っている『彼女の死』に、一番動揺するであろう人物は彼女だから。 それだけ2人は仲が良くて。彼女の中で、大きな存在になっている。 アイドル達の事をよく見ていた彼女には、それが辛い程によくわかっていた。 結局、合流したその時は口を閉ざす亜利沙を見て、主に恵美の提案の元、一旦保留という事になった。 薄汚れた制服。不自然な恰好。挙動不審に近い態度。 不信感を抱いてもおかしくなかっただろうに、そうせずに皆は彼女を気遣って。 亜利沙は、そんな皆に感謝の気持ちと、一種の負い目を抱いていた。 「松田さん」 そんな中、いきなり声がかけられる。 ハッとして顔を上げると、そこにはさっきまである程度距離があった筈の人の姿。 千早が、目の前にまで来ていた。 「あっ、あの」 「隣、失礼するわね」 慌てて何か声をかけようとする亜利沙を横目に、千早は彼女が座るソファの横に腰掛ける。 そして、流れる気まずい沈黙。 ここに来るまで、随分と挙動不審だった。 何を聞かれても、何を言われても。不思議じゃない。 「一つだけ、聞いてもいい?」 そして、言葉をかけられる。 優しく言い聞かせるかのような、穏やかな声。 あたりを見ても、美奈子はまだ帰っておらず、恵美とやよいは互いに何か話している。 2人は2人で、情報交換でもしているのだろう。他に、誰かが聞いているという事はなさそうだった。 亜利沙は意を決し、「はい」と返事を返す。 何を聞かれるのかは、分からないけれど。 「……春香に、会ったの?」 その言葉を聞いた瞬間、心臓をわしづかみにされたかのような感覚を受けた。 「っ!?」 「図星、みたいね」 突然言い当てられ、びくりと体が跳ね狼狽える亜利沙を見て、千早は息を吐く。 その表情は、憂いを帯びていた。 一体、何故分かったのか。息は自然と荒くなり、心臓はばくばくと暴れる。 「なっ、な……」 「確証があったわけじゃないのだけれど……。 少し、それに見覚えがあって。もしかしたら……って」 驚いて呂律も回らない亜利沙の事を、見つめる。 その視線は、彼女の顔よりも少し上を向いていて、それで気付いた。 (……あっ) 彼女は長い髪を束ねてはいるが、いつもは簡素な髪留めで済ます事が多い。 こうして、リボンを使う事自体まれで、可愛げのある赤いリボンが、目についたのだろうか。 決意の為につけていた、彼女の形見。 そうして、自らその形見を手にふれ。 「―――――!」 血の気が、さっと引いた。 そのリボンに、赤黒くにじんでいた――血にふれて。 「ちっ、違います千早さん!これは……っ!!」 思わずがたりと立ち上がって、弁解する。 その物音に、蚊帳の外にいた恵美とやよいがこちらに気付く。 言葉が、続かない。否定しようとしても、何も言えない。 血に染まった友人のリボンを見て、想像する事。 それは、違ってなどいないのだから。どう取り繕っても、言い訳にしかならない。 「……その……」 一転して、場がしんと静まりかえる。 気まずい雰囲気が、流れる。 何も喋ってはいないが、この態度と状況を見れば嫌でも察するだろう。 天海春香は、どうしたのか。出会ったとして、何故今ここにいないのか。 そして、こんな態度では勘違いされてもおかしくはない。 松田亜利沙が、天海春香を――― 「心配しなくても、疑ってなんかないわ」 そんな心を、見透かしたかのように。 挙動不審に狼狽える彼女に、千早は声をかける。 「あなたが……アイドルの事が大好きなあなたが、アイドルに手をかけるはずないもの」 「……っ!」 そして穏やかに紡いだ言葉は、亜利沙の言葉を詰まらせる。 当たり前、とでも言う程に彼女はあっさりと言いのけていた。 そんなの、この異常な状況ではどうとでもなるかも分からないのに。 「ねえ……話して、もらえないかしら」 そして、千早は口を開く。 彼女の方でも、最悪の可能性が頭を過り、それが否定したくても、否定できないでいて。 亜利沙の知る事が、残酷な事であるというのも薄々分かっていても。 「何が起きたのか……知りたいから」 大切な人の事から、目を逸らしたくはなかった。 「……!」 透き通るような、まっすぐな瞳を向けられて、亜利沙はぴくりと体をこわばらせる。 彼女の決意が、目の前に突き付けられているかのような。そんな錯覚を起こす。 「教えてもらったの。諦めない事、逃げない事を」 ちらりと、千早は横を見やる。 そこには、まだ2人が何を話しているのか理解しきれていない恵美の姿があった。 ここで終わろうと――逃げようとした自分を、止めた人。 彼女に感化されて生きると決意した以上、どんな現実でも受け止めて、それでも前へ進まないといけない。 「だから……教えて。あなたの、知っている事……春香に、何があったのか」 瞳が、より近づけられる。 千早の言った、『春香』という名前に、見ていた2人もぴくりと反応する。 まだ亜利沙は、直接春香にあったと明言したわけじゃない。 ただ、その反応は確実に何かを知っている。 「………ッ」 そして、それが言いづらいような、とても辛い事だと知るには十分すぎた。 恵美もやよいも、神妙な面持ちでそちらの方に目を向けている。 「ただいま~……あれ? 皆、どうしたの?」 そんなタイミングで、家の中の探索を終えた美奈子が戻ってくる。 妙に緊迫した場の雰囲気に、戸惑う。 話すべき仲間、4人はここに集まり、丁度良く舞台は整った。 「……分かりました」 そして彼女は、閉ざしていた口を、開く。 * * * 亜利沙が話し終えて、静まり返る。 彼女が見た事、全てを話し終えた。 とは言っても、そこまで多いわけじゃない。 ただ―――天海春香の死体を見た、それだけの事。 「そんな……っ」 不意に声を漏らしたのは、佐竹美奈子だった。 アイドルが、天海春香が、死んでいた。誰に、殺されたかも分からずに。 殺し合いなんてありえない。誰もしないんだと言う甘い考えを、淡々と打ち砕かれて。 息も震えるほどの、衝撃を受けていた。 「………」 恵美とやよいも、実際に死人が出たと聞いて何も感じないわけじゃない。 かつて仲間だった子が、仲間を殺した。 実際にそれを見たわけじゃなくとも、現状はそうとしか考えられず。 突きつけられた現実は、場を重くする。 けれど、彼女達はそれ以上に。 「……そう」 その事実を。 友人の死を聞かされた彼女の事を気にかけていた。 「千早……」 恵美が、ちらりとそちらの方をみやる。 気持ちうつむいていた彼女の表情は、思っていたよりは落ち着いている。 けれど、腕を握る手はぎゅっと強く絞められていて、震えていた。 「……誰が、というのは……」 「ありさが見た時には、もう……だから、分からないです…」 自殺なんていうのは、ありえない。 となれば、確実に殺した誰かがいるという事だ。 けれど、亜利沙は誰が手をかけたかというのまでは分からなかった。 どこかも分からない場所で親友が死に、誰のせいかも分からない。 その心中を深くまで察する事なんて、できやしない。 「……話してくれて、ありがとう」 それでも、取り乱す事はなく話し終えた亜利沙に声をかける。 そんな彼女の姿に、亜利沙は言葉を返すでもなく不安気な表情を浮かべる。 彼女もまた、親友が死んでしまった千早の心中ばかりが気にかかっていた。 表面上は冷静を保っているように見えるからこそ、不安を感じずにはいられない。 「……あのっ」 ふと、亜利沙は声を上げる。 そして、自らの髪を結んでいたリボンを解いた。 血で汚れてはいるが、まだところどころに鮮やかな赤は残っている。 「これっ、もしよかったら、千早さん、に…」 「私はいいわ」 これは千早にとって、親友の形見となるもの。 だから、彼女に託した方がいいと手渡そうとして、しかし彼女はそれを首を振って拒否する。 「あなたの、決意の表れなんでしょう? なら、あなたに使ってくれた方が……」 どこかぎこちない笑みを浮かべて、彼女にそのリボンをぎゅっと握らせる。 千早にとっても、亜利沙が説明をする中で、強い決意の元、それを持ち出した事は分かっていた。 その形見が、彼女に力を与えているのなら。それは、彼女に託していた方がいいのだろう。 「千早さん……」 「……っ」 その方が、あの子も良いと思ってくれるだろうから。 そう思った瞬間に、言葉に、詰まる。 彼女はもう、この世にいないのだと。 段々と、実感しつつある自身を感じていて。 「……ごめんなさい。すこし、外の空気を吸ってくるわね」 やがて彼女は、逃げだすように振り向き、去っていく。 「あ……っ」 それを止められる者は、誰もいない。 彼女がどれだけ辛いか、それを止めて、慰められもしない。 誰も、かけられる言葉も、呼び止める声さえも出せなかった。 そして、理由は単純にそれだけではない。 仲間が殺されていた。おそらく、かつての仲間の手によって。 それは千早ほどでないにしても、他の皆にも少なからず衝撃を与えていた。 千早がいなくなって、気まずい沈黙が流れる。 誰も何も、言葉を発する事すらできない。 先ほどまでの、仲間と共にいるが故のある程度希望に満ちていた雰囲気はどこにもない。 この先、どうなってしまうのだろう。自分達も、いずれそうなってしまうのだろうか。 誰が口に出すでもなく、そんな不安を感じずにはいられない。 「……ごめんね、亜利沙」 そんな空気の中で、一人声を出す。 「えっ?」 「辛かったでしょ、話すの。 それに、千早の事。気遣って、ずっと背負ってて、さ」 突然声をかけられて困惑する亜利沙をよそに、恵美は語る。 情報を伝えられて、皆、ショックを受けただろう。 けれど、それで心に傷を負ったのは伝えられた皆、だけじゃない。 この中で唯一、実際にそれを見て『しまった』子。 一番近くで、その絶望を見て。 合流して、ずっと悩んでいて。 「…ありがと。よく頑張ったね、亜利沙」 そうして今にも崩れ落ちそうな、彼女の頭を、撫でた。 「………っ」 俯いていた彼女の姿が、震える。 ここに至るまで、ずっと気張っていた精神がゆれる。 違う、褒められる事なんかじゃない。 「そ、そんな……ちがいます、ありさ、は、なにも……!!」 そう思いながら、視界がにじんでいく。 触れた優しさ、何もできなかった自分への不甲斐なさ。 色んな思いがまじりあって、胸の奥底からこみあげるものを押えきれない。 じわりと視界がにじんで、そしてぼろぼろと涙がこぼれだした。 「なにも、できなくて……っ! うぅ、うあぁぁぁっ…!! えぐっ、ひぐっ……!」 「おー、よしよしよし。ごめんね、そこまで思い詰めさせちゃって…」 止まらず、泣きじゃくる彼女を抱きしめる。 これからどうするか、なんて恵美にも分からない。 けれど、それでもなお目の前で思い詰めている仲間の事を見過ごす事はできなかった。 落ち着くまで、少しの間でも一緒にいてあげる。 やがて嗚咽も落ち着いてきた頃、恵美はちらりと美奈子の方を見た。 「よーし……ねぇ、美奈子」 「えっ、あ、何?」 「ごめん、ちょっと亜利沙とやよいの事任せていい?」 胸にうずくまる亜利沙の頭をポンとたたいて、美奈子にお願いをする。 この場では、美奈子が一番の年長者だ。頼るなら、彼女になるだろう。 まだショックの余韻の抜けない美奈子は、少し上の空といったようにうなずく。 それを見た恵美は、亜利沙を優しく座らせる。 「千早の事も、ほっとけないからさ。それじゃ、よろしくね!」 一人席を外した千早の事も、彼女はもちろん心配だった。 何と声をかければよいのか分からない、というのは彼女も一緒である。 けれど、だからと言って放っておくわけにもいかない。 一旦ここを置いて、千早の元へいこうとする。 「……恵美ちゃん」 「ん、何?」 それを、美奈子は呼び止める。 振り返ると、彼女は不安気な表情を浮かべていた。 確かに、今ここの一番の年長者は彼女だ。 年上として、少しはみんなの事を見ているつもりだった。 「無理、しないでね?」 だからこそ、そうやって、皆を気に掛けすぎる彼女の事が心配になった。 「………ん」 そんな美奈子の言葉に、はっきりとしない返答をする。 無理をするな。そういわれても、分かったとはっきり言えない。 今、無理をしてないといえば嘘になる。けれど、だからと言って仲間を放ってはおけない。 少しだけばつの悪そうな表情を浮かべた後、恵美も千早の行った方向へと向かっていった。 「……」 それを見送ると、美奈子は振り返り、この場に残った子達をみやる。 亜利沙は落ち着いたとはいえ、まだ情緒が不安定な部分がある。 やよいも、あれから険しい表情を崩せない。 そして、現実を伝えられて衝撃を受けているのは美奈子も同じだ。 (……ううん、私がしっかりしないと) そんな弱い心を、首をぶんぶんと振って追い払おうとする。 みんな、不安なんだ。 私が一番お姉さんなんだから、しっかりしないと。 そんな風に、自分を鼓舞する。 なによりも、このどんよりとした雰囲気が耐えられない。 このままじゃ、認めたくなかった『何か』を、認めてしまう。 いつも通りで、いないといけない。こんなのは、嫌だ。 ……いつも通りとは、何だろう。こんな時、『佐竹美奈子』はどうやって、皆を元気づけるだろうか。 重い空気の中で、何か焦りのようなものも感じる中、 ぴーんぽーんぱーんぽーん。 追い打ちをかけるように、それを始まった。 * * * 放送が流れ終わり、部屋の中にいる3人は一様に黙り込んでいた。 「うそ…なんで…そんな……!」 しんとした中で声が響いて、やよいは少し顔を上げてちらりとあたりを見渡す。 亜利沙はがたがたと震えて、頭を抱えている。 瞳は揺れて、唇まで真っ青に染まっている。 対して美奈子の方も、目の焦点が合っていないように思えた。 どちらも、精神的にかなり動揺しているようだ。 当然だろう。この事実には、彼女も驚愕を隠せないでいたのだから。 12人。この6時間の間に、死んだ人数。 おおよそ、全体の4分の1。考えていた以上に、早いペースだ。 やよいの思っていた以上に、このイベントに積極的になり、仲間を殺した人がいるのかもしれない。 かつての、仲間が。その事に哀しみを覚え、そして自分もそうである事に負い目を感じる。 けれど、その考えをやよいはすぐに振り払った。 たった1人生き残ると決めた以上、そんな事を思ってる暇はない、と。 口に出すこともせず、決意を固める。 「………ね、ねぇ」 ふと、誰かが口を開いた 何事かと俯いていた顔を上げると、美奈子が一歩前に踏み出していた。 ぎこちない笑顔で、額に浮かぶ汗をぬぐおうともしない。 無理に、自身を鼓舞しているようにも見える。 「皆……そんな、落ち込まないで、ね?」 こんな状況で励まそうとしているのだろうか。 けれど、それでどうにかなるような状態でないのは明らかだ。 事実、彼女自身も相当狼狽えている。 とすれば、彼女はどうするだろうか……。 そこまで考えて、はっとする。 ここにいる皆を元気づけようと、世話焼きの彼女が起こす行動。 丁度ここは民家で、時間も時間。なら、もしかすると。 運命の時は、近づいている。やよいは、心の中ではやる気持ちを抑え。 「……そうだ! もうお昼だし、何か食べようよ!私が作ってあげるから! お腹いっぱいになったら、きっと元気がでるよっ!」 ――来た。 その瞬間、やよいの心臓はどくりと反応した。 食材も、場所もある。時間も丁度、正午。こんな提案をするのは、必然だったのかもしれない。 そして、それは同時にやよいの持つ『武器』が使える、その瞬間でもあって。 「…そう、ですよねっ!私もお手伝いしますから、元気出してくださいー!」 やよいも声を上げ、その提案に呼応する。 その瞬間に、心がちくりと痛んだ。 自らの信念、家族の掟を、破る瞬間が近づいてきている。 信頼してくれている皆の事を、裏切る瞬間が近づいてきている。 それでも、やりとげる為に。偽りの言葉と、偽りの笑顔を浮かべる。 亜利沙は相変わらず、反応らしい反応がない。 12人もの、仲間が死んだのだ。 アイドルが、仲間が大好きだった彼女への、追い打ちをかけるかのような衝撃は、痛いぐらいによくわかる。 けれど、今はその方が都合がいい。 目ざとい彼女が万全な状態だったなら、こうやって自分を偽る事も見破られてしまいそうだったから。 「じゃあ、2人が帰ってくる前に食材の下ごしらえでもしよっか! さっき探してたら、ちゃんと色々あったんだよ! 腕、振るわないとね!」 やよいが同調してくれた事で、美奈子はぱぁっと笑顔を見せた。 焦っているか、錯乱しているかのような。 その姿は、やよいにもわかる程に無理をしている。 先ほど彼女自身が恵美に指摘した事が、そのまま今の彼女のような状態で。 けれど、それを指摘する事はない。それもまた、都合がいいから。 仲間の心配すべき状態を、都合がいいからという理由で、切り捨てる。 それだけじゃない。最終的には、殺すのだ。 食事に毒を仕込むという、一番、彼女の思い出を穢す方法で。 どれだけ、どれだけの罪を重ねても、彼女の悲痛な歩みは止まらない。 アイドルと、笑顔と、仲間を信じ抜こうとする松田亜利沙。 危うい中でいつも通りに執着し、そうあろうとする佐竹美奈子。 そして、たった一人生き残る為、心の内でその時を伺う高槻やよい。 彼女達がそれぞれ抱く『理想』は、致命的な程にすれ違う。 【一日目/日中/G-4 民家】 【松田亜利沙】 [状態]健康 、深い悲しみ [装備]天海春香のリボン、競泳水着 [所持品]基本支給品一式、不明支給品1~2 [思考・行動] 基本:笑顔の力を信じる。 1:??? 【高槻やよい】 [状態]健康 [装備]なし [所持品]支給品一式、ランダム支給品(0~1)、青酸カリ [思考・行動] 基本:最後の一人になる。 1:焦燥。絶対に死ねない。 2:料理に、毒を仕込む……? 3:とにかく機会を窺い、慎重に動く。 【佐竹美奈子】 [状態]健康 [装備]なし [所持品]支給品一式、ランダム支給品(1~2) [思考・行動] 基本:仲間と一緒に脱出っ、わっほ~い! 1:皆を元気づけるために、料理を振る舞おう! 2:不安。誰かと接していないと押し潰されそう。 3:みんなと一緒ならきっと何とかなるよね……? * * * 真上の太陽が照らす街中で、恵美は追いかける事も忘れ立ち尽くしていた。 彼女も、千早を探す道中ですぐに放送によって足を止められていた。 放送、12人の名前、死亡、禁止エリア。たくさんの情報が、頭の中で浮かんでは消えていく。 頭を抱えた。楽観的に考えていたつもりはなかったのだが、まさかここまで、だなんて。 「………?」 そんな中、恵美の耳に何かひきつるかのような声が聞こえた。 泣き声、だろうか。それが何か、すぐに思い当たる。 その瞬間に、恵美はその方向へと駆け出す。 まだ、整理はつかないが、今は近くの仲間の方が優先だ。 「……っ、う………」 走っているうちに、探し人はすぐに見つかった。 5人が入った民家から、そう遠くない道で。 千早は、へたりこんでいた。声をかけようと、後ろから近づく。 「どうして……あなたまで私を、おいて……っ!」 けれど、その伸ばした手が触れられる事はなかった。 後ろにいる恵美の事も気づく事なく、彼女は誰に言うでもなく泣き崩れている。 それに、かける言葉が見つからなかった。 「……っ」 伸ばした手が下ろされ、恵美は目を逸らす。 彼女が大切な人に先立たれる、という事は、これが初めてではなかった。 それは、彼女の中でも特に深刻な問題で、フラッシュバックしてしまえば、その衝撃は大きい。 他人の言葉で、癒せるものではない程に。 (…何やってんの、アタシ) 下ろした手を、ぎゅっと握りしめる。 沢山の仲間が死んで、目の前で仲間が悲しんでいて。 そんな中で、一体彼女は何ができた? この6時間の間、ただ殺し合いの実感も十分にないまま歩いていただけ。 それが自分の無力さを、まじまじと見せつけられているようで。ただ、歯痒さと自己嫌悪が頭の中を支配する。 かなしみに暮れる彼女の後ろで、今もこうして、何もできずに立ち尽くして。 かつて信じていた『友情』さえも、哀しい程にすれ違う。 【一日目/日中/G-4】 【如月千早】 [状態]健康 [装備]なし [所持品]支給品一式、プラスチックのスティック [思考・行動] 基本:最後まで諦めない。皆で脱出する。 1:春香…… 【所恵美】 [状態]健康 [装備]灰皿 [所持品]支給品一式、ランダム支給品(0~1) [思考・行動] 基本:最後まで諦めない。皆で脱出する。 1:落ち着いたなら、千早を連れ戻したい、けど…… 2:自身に疑問と、嫌悪。 刻まれてる誓い 時系列順に読む かざはな 刻まれてる誓い 投下順に読む かざはな The Trojan Horse 如月千早 紳士の昼食会 松田亜利沙 佐竹美奈子 高槻やよい 所恵美 ▲上へ戻る
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Mii剣術で使えるテクニック、技等 DS 下スマッシュ攻撃。S君に背中を向けて密着して当てることで2段ヒットさせることが可能。 Utilt 上強攻撃。 Dtilt 下強攻撃。止め技として使われる。 Ftilt 横強攻撃。 FB3 チャクラム。倒し入力で繰り出すものはS君の吹っ飛びを抑えるのに使われる。 NB3 ラピッドラッシュ。セカンドFinのフィニッシュ技として使われる。 DB3 ジェットスタッブ。地上で繰り出すものと空中で繰り出すものとで形態が変わる。空中で繰り出すものは刺突と着地が別々に判定があり、最大で25%のダメージを与えられるが基本的にDSの下位互換。 shBDBTDBD Mii剣術で主力となるバット行動。後述のテクニックを成立させるためには高さが出ないようにする必要がある。 shBDBTDBD-Utilt フィニッシュ直前で使われる止め技。後述のテクニックの下位互換。 shBDBTDBD-Dtilt フィニッシュ直前に使われる止め技。高さが出ていると下強が当たらない。 ファイター別ページ
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Mii射撃で使えるテクニック、技等 DB2 グラウンドボム。触れるか時間経過で起爆する。DS2段ヒットやバット行動中にS君の吹っ飛びを抑えるのにも使える。 FB3 ミサイル。威力が高く隙も少なめ。 NB3 グレネードランチャー。ヒットストップの長さを利用して横強等の発生が早めの技を当てるコンボにも繋げられる。 DS 下スマッシュ攻撃。2段ヒットさせるには事前にS君を吹っ飛びで動かす等する必要がある。 Dtilt 下強攻撃。 Ftilt 横強攻撃。 ABA 空中後攻撃。最速djから繰り出すと着地までにABAが間に合う。 ANA 空中ニュートラル攻撃。フィニッシュ直前の技として使われる。 shBDBTDBD Mii射撃で主力となるバット行動。完全固定は出来ない。 BTDBDANA フィニッシュ直前で使われる。 BDrjBDBTDBDANA フィニッシュ直前で使われる止め技。247%を超えている場合はBD位置やBDのタイミング等が非常にシビアになる。 ファイター別ページ
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俺がハルヒと出会ってもうすぐ1年が経とうとしていた3月の話だ。 春休みを目前にして北高生徒たちはほんのり余裕のある毎日を送っていた。 だが俺にとっては一生悔いの残る春だった。 今日は10日。あと一週間ほどで春休みだ。 短縮授業が始まったことにより、部活動に所属していないほとんどの生徒は午前中の授業が終わると足早に下校を始める。 部活動には所属していない俺だが生徒会非公認の部活(部活と呼べるものでもないが)SOS団に所属していたため授業後は下校せずに部室に向かった。 部室と言っても正確には文芸部なのだがハルヒによって乗っ取られ、今となってはSOS団の根城となっている。 部室のドアを開けるとそこにはやはり椅子に座って本を読んでいる長門がいた。 「よう、長門。」 長門は俺を一瞥すると再び本に目を落とす。 これが長門流のあいさつ。いつもの光景だ。 俺はパイプ椅子を引き寄せ、腰掛けた。 時間は12時か。 腹が減ったな。弁当食うか。 俺は腹の虫を黙らせるため鞄の中の弁当を取り出して机に広げた。 なかなかうまいぜお袋。 弁当をかき込みながらふと思った。 やっぱり長門は宇宙人なんだから食べなくても平気なのだろうか? 以前長門のマンションに行ったときレトルトのカレーを出されたことがあったな。 あのときは気づかなかったが長門でも家ではメシは食ってんだな。 だが学内で食べてるところをほとんど見たことはない。 長門は昼はいつも部室で本を読んでいる。 万能な長門のことだからその気になれば一流シェフ並の料理ができそうな気もするんだがな。 聞いてみようか。 「長門。お前は料理とかしないのか?」 長門は無表情で俺を見ると、 「・・・・・しない。」 「いつぞやお前のマンションに行ったときに出してきたようなレトルトをいつも食べてるのか?」 「・・・そう。・・・手間がかからないので余計な行動をしないで済む。」 「レトルトだけじゃ栄養偏るぞ!」 「・・心配いらない。私はあなたたち人間とは違う。基本的に食べなくても活動自体に支障はない。」 やはり長門は食べなくても平気なのか。 それでも食べるってことは一応長門にも食欲はあるんだな。 長門には日頃から世話になりっぱなしだからな。今度どこかうまい店に連れてってやろうか。 「たまには自分で料理してみればいいさ。お前ならできるよ。」 長門はすこし考えこんだように沈黙すると、 「・・・・・承知した。」 そう言って再び本に目を落とした。 俺が弁当を食い終わり空の弁当箱を片付けていたとき部屋がノックされた。 「どうぞ。」 開かれたドアの向こうには憎らしいほどのハンサムフェイスを持った古泉が立っていた。 古泉は俺と長門を見て、 「おや?まだお二人だけですか。涼宮さんと朝比奈さんはまだのようですね。」 微笑面を浮かべながらいけすかない超能力野郎は俺の隣に座った。 こいつは料理とかするんだろうか? まぁ長門よりは可能性はありそうだが。 「なぁ古泉。お前は料理とかするのか?」 古泉は相変わらずの微笑面で俺の顔を見て、 「なんですか藪から棒に。珍しいですね。」 「で、どうなんだ?」 「えぇ、料理だけでなく洗濯や掃除などもしていますよ♪」 「男のお前がか?」 「僕も機関の指示で家族と離れてこちらでは一人で生活してますからね。全部一人でやってますよ。」 「ご苦労なこった。」 「まさかあなたから労いの言葉がもらえるとは思いませんでしたよ。なにか良いことでもあったのですか?」 「いや、聞いてみただけだ。大した理由はない。」 「あなたも料理くらいしてみたらどうですか?楽しいですよ♪」 「悪いが俺の中学のときの家庭科の成績は1だ。お前のように器用じゃない。」 古泉は俺に顔を近づけ、 「そんなこと練習次第でどうとでもなりますよ。なんなら僕が一から手とり足とりお教えしましょうか?」 古泉よ、目の前に長門がいることを忘れてないか?人がいる前でそこまで顔を近づけるのはやめてくれないか?いや、二人のときに言われたらもっと嫌だが… 「断る。俺の性分に合わねーよ。」 俺が古泉から離れながら言うと古泉はふふっと微笑みながら、 「それは残念です。」 何が残念なんだ? まぁいい。 すると再び部室のドアが小さな音でコンコン鳴った。 この小鳥がつついたような叩きかたはあの方しかいない。 古泉が応える。 「どうぞ。開いておりますよ。」 ドアが開くと廊下に立っていた人は頭をペコリと下げながら、 「ご、ごめんなさい。遅くなっちゃいました。」 この朝比奈さんの愛くるしい仕草は俺の目の保養だね。 あなたがいくら遅れても俺は怒りませんし、あなた待っててと言うならいつまでも待ちますよ。 朝比奈さんは顔を上げて部室内を見回すと、 「涼宮さんはまだ来てないんですかぁ?よかったぁ。」 朝比奈さん今のは少し問題発言ですよ。ハルヒに聞かれてたらまたあなたは悲劇のヒロインを演じてしまう。 「ハルヒならまだ来てませんよ。」 朝比奈さんは机の上に鞄を置き俺たちを見ると、 「キョン君、古泉君」 とニコリと微笑んだ。 これは今から朝比奈さんが着替える合図である。 いつまで愚直にハルヒの命令を守るつもりなのか。 まぁ俺としてはいろんな衣装の朝比奈さんを見れるわけで嬉しいんだが。 「おい。古泉。」 「はい。」 俺と古泉は部室の外に出てドアを閉めた。 今この中の光景を目にできないのは残念でならないね。 数分後ドアが開くとメイド服姿の朝比奈さんが、 「お待たせしちゃってごめんなさい。」 「いえいえ。」 別に謝らなくて結構ですよ。 あなたの迷惑ならいくらでも受けましょう。 「あ、お茶いれますね♪」 朝比奈さんはそのままお茶をいれる用意をしていた。 格好も行動もまさにメイドさんだ。 わざわざ先ほど長門と古泉に聞いた料理のことは朝比奈さんに聞くまでもないな。 朝比奈さんは既に実証済みだ。 同じ理由でハルヒもね。 そういえばハルヒはまだ来てなかったな。 学食にでも行ってるのか? まぁあいつがいないと平和でいいぜ。 することもないので古泉とチェスをすることになった。 口では偉そうにチェスの魅力を語っておきながら実力は相変わらずだ。 朝比奈さんはお茶をいれるためお湯を沸かし、長門は黙って本を読んでいる。 すると突然、バタンとドアが開き、 「遅れちゃったわ!」 とハルヒが現れた。 ハルヒは団長の席に座ると満面の笑みを浮かべて、 「みんな聞いて!SOS団に朗報よ!とうとうSOS団の名が全国に知れ渡るときが来たわ!」 またわけのわからないことを言い出しやがった。 「頼むから最初から説明してくれよ。」 ハルヒは立ち上がると俺の前に来て一枚のチラシを突きつけた。 『ミス女子高生日本一決定戦・予選受付開始』 なんだこれ? 「見ればわかるでしょ!ミス女子高生日本一を決める大会のチラシよ!」 「それは見ればわかる!お前は何が言いたいんだ!?」 ハルヒは腕を組み、 「あんたホントにバカね。この大会に出場して日本一になればSOS団の名も全国区に鰻登りよ!」 わかってはいたが一応ハルヒに聞いてみる。 「で、誰が出るんだ?」 ハルヒは朝比奈さんに抱きつくと、 「もちろんみくるちゃんよ!みくるちゃんならグランプリ間違いなしだわ!」 朝比奈さんはハルヒに抱きつかれ戸惑っている。 「えぇ~!?私が出るんですかぁ~?む、無理ですぅ~。」 「大丈夫よみくるちゃん!あたしが必ずグランプリにしてやるわ!」 「そ、そんなぁ~!」 またハルヒの横暴が始まった。 「おいハルヒ。朝比奈さんばかりに頼ってないでお前が出たらどうだ。たまには団長らしいとこ見せてくれよ。」 ハルヒは俺を睨み、 「なんで団長のあたしが出なくちゃならないのよ!団員なら団長の言うことに黙って従いなさい!」 「だったらお前も団長なら団員のことを少しは気遣ったらどうだ!少しは他人の迷惑も考えろよ!」 ハルヒは俺のそばに寄ると、 「迷惑?みくるちゃんはあたしのオモチャなのよ!あんたにそんなこと言われる筋合いはないわ!」 オモチャ? こいつが以前同じような発言をして俺が殴りかかろうとしたことがある。 あれから半年近くが経ってこいつも少しはマシになっていたかと思ったがちっとも変わっちゃいなかった。 「ふざけんな!朝比奈さんはお前のオモチャでも奴隷でもないんだよ!いつまでも子供みたいなこと言ってんじゃねえよ!」 俺は怒りに震えハルヒを怒鳴りつけた。 古泉が俺を止めようと俺の肩に手を置く。 ハルヒは一瞬驚いたような表情を見せたがすぐに俺を睨みつけ、 「そんなにあたしが嫌なら出て行きなさいよ!あんた一人いなくてもSOS団の活動になんら支障はないわ!」 この言葉を耳にして俺の中の何かが音をたてて切れた。 「や、やめてくださぁい。私なら大丈夫ですから喧嘩しないで下さぁ~い。」 そんな朝比奈さんの言葉も今の俺には届かなかった。 気がつくと俺はハルヒの頬を平手でひっぱたいていた。 パチンと渇いた音が部室内に広がる。 その音で俺は我に帰った。 しばらくの沈黙が流れハルヒが、 「なにすんのよ!」 と怒りだした。 「すまんハルヒ。つい・・・」 ハルヒは怒り顔のまま、 「あんたの考えはよくわかったわ!もうここには来なくていいわよ!破門よあんたなんか!死んじゃえバカ!」 ハルヒは鞄を取ると、怒っているのか泣いているのかなんとも言えない表情で走って部室を出ていってしまった。 やっちまった… あのハルヒとは言え俺は女に手をあげてしまった。 それもハルヒの心を深く傷つけてしまったらしい。 男として俺は最低だった。 「・・・キョン君。」 朝比奈さんは今にも泣きそうな顔で俺を見ている。 古泉がいつになく真剣な顔で俺を見ると、 「正気ですか!?男性であるあなたが女性に手をあげるなどとは!」 流石の古泉も今回の俺の行動には怒っているようだ。 古泉は真剣な顔で続ける。 「これは涼宮さんの性格や能力以前の問題です!あなたは涼宮さんの心を深く傷つけた!」 わかってはいるんだ古泉。だがあのときの俺は止めようがなかった。 「手をあげる気なんてなかったんだ・・・」 「それでもあなたが涼宮さんに手をあげてしまったのは事実です。すぐにでも謝るべきでしょう!」 「ああ、わかってる。」 泣きそうな顔の朝比奈さんは、 「ごめんなさいキョン君。・・・あたしのせいで。」 「朝比奈さんのせいじゃありませんよ。悪いのは俺なんです。」 「わ、私が言うのもなんなんですが涼宮さんには謝ってほしいです。涼宮さんきっと傷ついてます・・・」 「はい。わかってます。」 俺はハルヒを追うため部室を出た。 急いで校門に向かい坂道を下りるがハルヒの姿はない。 もう帰っちまったのか… 俺は携帯を取り出すとハルヒの番号にかけた。 「おかけになった電話は電波の届かないところにあるか電源が入っていないためかかりません。」 聴こえてきたのはハルヒの声ではなかった。 自力で探すしかないな… 結局その後夜まで不思議探索ツアーで行った場所やSOS団が活動した場所を探したがハルヒを見つけることは出来なかった。 諦めて帰ろうとしたとき背後から、 「キョン君。」 俺を呼び止める声がした。 振り返るとそこにはいつもより大人びた格好をした朝比奈さんがいた。 いや違う。これはさっきまでの朝比奈さんじゃない。 「ふふ♪またお会いしましたねキョン君。」 それは今まで何度も助けてくれた朝比奈さん(大)だった。 「朝比奈さん。また何か厄介事でもあるんですか?」 朝比奈さんは優しく微笑むと、 「今まさにキョン君が遭遇してるじゃないですか。」 ああ、そうか。この朝比奈さんもそれを体験済みなのか。 「キョン君。詳しくは禁則事項なので言えませんが明日世界にとってとても良くないことが起こります。この時間の私はそれに気づきません。そして長門さんでさえも。」 朝比奈さんは俺の手を取ると長方形のお守りを渡してくれた。 「このお守りはあなたを守ってくれます。今日は肌身離さず持って寝て下さい。」 「詳しくは教えてもらえないんですね。」 「ごめんなさい禁則事項です。ほんとはもっと早い時間に来るべきだったのですがどうしてもこの時間軸より前に遡行することができませんでした。」 「ハルヒの力ですか?」 「はい。とにかく明日涼宮さんに素直に謝ってあげて下さい。」 「わかってます。」 朝比奈さんはニコリと笑うと、 「それでは私は戻ります。涼宮さんのことを大切にしてあげてね。」 そのまま足早に俺の前から姿を消した。 とりあえず帰るか。 すっかり暗くなった空を見上げて俺は家路についた。 俺は家でシャワーを浴び、朝比奈さん(大)の言うとおりお守りをポケットに入れたまま床についた。 翌日になると俺はメシも食べずにいつもより早く家を出た。 早くハルヒに謝りたい。 俺のしちまったことは許されることじゃないかもしれないが、もしハルヒが許してくれるなら俺はなんだってする。 教室に着くとまだ誰もいなかった。 俺は自分の席に座りハルヒを待つことにする。 どうやってハルヒ謝ろうか? ハルヒは許してくれるだろうか? 俺にはハルヒを待つ1秒1秒がとても長く感じた。 どれくらい経っただろうか。 クラスに人が増え始める。 俺は教室の扉を見つめながらハルヒを待った。 予鈴が鳴りほとんどのやつらが席につき始めたときあいつはやってきた。 ハルヒは俺の顔を見ると俺の後ろの席に座った。 今俺の心臓は緊張で爆発寸前だ。 だがこのまま放っておくわけにはいかない。朝比奈さんとも約束したしな。 俺は勇気を出してハルヒに話しかけた。 「な、なぁハルヒ。昨日のことなんだが。お前に謝りたいんだ。」 ハルヒは眠たそうな顔で、 「なに?昨日のこと?どうゆうこと?」 良かった。 一応口は聞いてくれるみたいだ。 「昨日は俺もどうかしてたんだ。あんなことするつもりじゃなかった。悪いのは全部俺だ。本当にすまん。」 ハルヒは、 「だから昨日のことってなによ。なんで謝ってんのよ!あんた寝ぼけてんの?それとも夢であたしに変なことしたんじゃないでしょうね?」 「い、いやだからお前の顔に平手打ちをしてしまったことだ。許してくれとは言わん。お前の気の済むまで俺を殴ってくれても構わん。」 ハルヒは俺を睨みつけると、 「あんた夢の中であたしにそんなことしてんの?あたしになんの恨みがあんのよ!」 夢?さっきからなに言ってるんだハルヒは。 「夢じゃないだろ!」 「あたしはそんなことされた覚えないわよ!もしあたしにそんなことしたら死刑にしてやるから!」 覚えがないだって? 俺が叩いたせいでハルヒの記憶が飛んじまったのか? 「夢でもあんたに平手打ちくらったなんて気分悪いわね。放課後たっぷりお仕置きしてあげるから部室から逃げるんじゃないわよ!」 「俺はSOS団破門じゃないのか?」 「なに?あんた辞めたいわけ?いい度胸じゃない!あんたの罰ゲームが増えたわ!」 さっきからハルヒと話が噛み合わないのは何故だろうか? ハルヒは昨日のことを忘れようとしてくれてるのか? まぁいい。ハルヒが許してくれるならどんな罰だって受けてやる。 「放課後部室に行っていいんだな?」 「当たり前じゃない!来なきゃ死刑よ!」 俺とハルヒがそんな話をしていると担任の岡部が現れHRが始まった。 岡部の話を聞いてると話してる内容が昨日と同じである。 ハンドボールのやりすぎでとうとうボケたのか? 「なぁハルヒ。岡部のやつ昨日と同じこと言ってないか?」 頬杖をついたハルヒは、 「知らないわよ。いつも聞いてないから。」 それもそうか。 まぁいい。ハルヒの機嫌は悪くないしな。 そして岡部の話が終わると授業が始まった。 一時限目は昨日と同じ数学だった。 数学?今日は物理のはずだ。 時間割に変更でもあったのか? だが授業を聞いてると内容が昨日と全く同じだった。 ハルヒの不可解な言動といい、岡部の話といいさっきからおかしいぞ? 昨日の出来事はハルヒの言うとおり夢だったわけか? いや、違う。 俺のポケットには確かに朝比奈さん(大)から貰ったお守りがある。 朝比奈さんは俺に気づかせるためにこのお守りを持たせてくれたのか。 じゃあ一体どういうことなんだ? 俺だけが昨日にタイムスリップしちまったのか? 長門なら何かわかるかも知れない。 俺は午前の授業が終わると急いで部室に向かった。 俺が部室のドアを開けると昨日同様本を読んでいる長門がいた。 俺は座っている長門の両肩を掴み、 「一体これはどういうことなんだ長門!お前ならわかるだろう!」 長門は俺を見ると、 「あなたの言ってることは理解できない。」 俺は絶望した。 いや、待て。昨日の朝比奈さんの言葉を思い出せ。 確か長門さえも気づかないと言っていた。 じゃあ何故俺だけ? すると部室のドアがノックされた。 開いたドアの向こうにはやはり古泉がいた。 俺は古泉に向かって、 「おい古泉!今日は何日だ!」 古泉は微笑面で、 「今日は10日ですよ。今日もいい天気ですね。」 やはりこれは昨日だ。 もはや頼みの綱はこの2人に昨日のことと朝比奈さん(大)のことを話すしかない。 「古泉、長門。信じられないかもしれないが聞いてくれ。」 俺は二人に全てを話した。 「ってことなんだ。信じてくれるか?」 長門は俺を見て、 「あなたは嘘をつかない。私は信じる。」 よかった。 「ありがとう長門。それとこれがなんだかわかるか?」 俺はポケットから朝比奈さん(大)から貰ったお守りを長門に見せた。 長門はお守りに手をかざすと、 「この物体には時空振動に対しての防御シールドが展開されている。これを持っているといかなる時空振動の影響も受けない。」 …なるほど。 これが朝比奈さん(大)のお守りの正体か。 どうりで俺だけ昨日の記憶があるはずだ。 俺と長門の話を黙って聞いていた古泉が、 「あなたの話は本当でしょう。涼宮さんの力によって時空操作が行われたに違いありません。」 「古泉お前にはわかるのか?」 「ええ、8月の時間ループのことを思い出して下さい。いまおそらくあの時と同じことが起きてるんですよ。」 「なんでこんなことになったんだ?」 「簡単なことです。涼宮さんもあなたと同じように自分の行為を後悔していたのですよ。それにあなたに平手打ちされて気づいたのです。だから時間を戻せないかと考えてしまい、それが現実に起こってしまったのです。」 …そういうことか。 だが俺が謝りたいのはこの時間のハルヒじゃない。昨日のハルヒに俺は謝りたいんだ。 「もとに戻すことはできないのか?」 すると長門は、 「・・・可能。私が涼宮ハルヒの力の仲介となり時空操作を行う。」 「できるのか?じゃあやってくれ!」 「あなたにとっての昨日の何時に戻せばいいのか教えてほしい。」 何時?確かあれは12時を30分ほど過ぎたころだ。 「12時30分頃だ。頼む長門。」 長門は少し沈黙すると、 「了解した。これよりあなたの記憶の中にある時間に合わせて時空操作を行う。」 長門は立ち上がり手を上にかざした。 古泉が、 「むこうの僕にもよろしくお願いしますね。」 と微笑んだ。 長門は、 「あなたのいるべき時間はここじゃない。あなたはあなたの世界に帰るべき。あなたには帰る場所がある。」 「ありがとな。長門。古泉。」 「目を瞑って。」 俺が目を瞑ると頭の中が回転したように感じ、光の中へ飛び込んで行った。 俺が目を開けると目の前にはハルヒがいた。 ここは部室。 ハルヒは走って部室を出ていった。 なるほど…ドンピシャだぜ長門。 前に見たときは気づかなかったがハルヒはあの時怒っていたのではなく泣いていたんだ。 追わなければ。 これでハルヒを見失ってしまったら時間遡行してきた意味がなくなる。また同じことの繰り返しだ。 俺は急いでハルヒのあとを追った。 ハルヒに謝りたい。ただそれだけなんだ。 俺の前を走るハルヒは1年5組の教室に飛び込んでいった。 あの時ハルヒは教室にいたのか。街で発見できないはずだ。 俺は覚悟を決めて教室に入った。 ハルヒは自分の席に腕をついて顔を伏せている。 「・・・ハルヒ」 ハルヒはなおも顔を伏せている。 「ハルヒ。俺が悪かった。お前の気持ちも考えずに手を上げちまったことを謝る。すまん。」 ハルヒはなおもうつむきながら、 「・・・ぇっぐ・・あ・・あんたは私のこと迷惑だと思ってるんでしょ?」 ハルヒは明らかに涙声だ。 「確かに毎回お前に振り回されて迷惑することもある。だがお前を嫌いになったことなど一度もねぇよ!」 「・・・ぅっぐ・・・・ホントに?」 「ああ。お前が俺たちを勝手に振り回してるのになぜ俺たちがお前と一緒にいるかわかるか?」 ハルヒは黙りこんでしまった。 「それはなハルヒ。お前のことが好きだからだよ!俺も古泉も長門も朝比奈さんもみんな好きだから一緒にいるんだ。」 ハルヒは顔を上げると立ち上がり俺を見た。 やはりハルヒの目には涙が流れてる。 俺のしちまったことは重大だな。 「・・・その言葉信じていいの?」 ハルヒは涙を流しながら真剣に俺を見ている。 「同じSOS団だろ?団長なら団員の言葉を信じろよ!まぁ今の俺はお前に破門されちまったから団員じゃないがな。」 ハルヒは涙を服の袖で拭うと、 「有希とみくるちゃんと古泉君の3人に免じて破門だけは撤回してあげるわ。」 「ごめんなハルヒ。今の俺をお前の気の済むまで好きに殴ってもらっても構わん。これからどんな罰ゲームでも受ける覚悟はできてる。」 ハルヒは俺に近づきながら、 「そんなことするわけないでしょ。あんたを殴ってもあたしの気はおさまんないわよ!」 「じゃあどうしたらお前の気が済むんだ?俺に出来る範囲ならなんでもするつもりだ!」 「・・・なんでも?それは本当ね?」 「ああ。男に二言はねえ!」 ハルヒは俺のすぐ前まで来て俺の顔を見る、 「だったらあたしのこと抱きしめなさい!」 抱きしめる?なんでそんなこと。 「なんでも言うこと聞くんでしょ?早くしなさい!」 ハルヒの考えてることはよくわからんがそれでハルヒの気が済むなら… 俺はハルヒを抱きしめた。 今俺の胸の中にいるハルヒがどんな顔をしているのかわからない。 怒っているのか、泣いているのか、笑っているのか、照れているのか。 だがハルヒがどんな顔をしていたとしても俺は全てを受け入れるつもりだ。 そのまましばらく沈黙が続きハルヒが俺の胸から離れると 「今日はこれで許してやるわよ。そのかわり今度からあんたにはいっぱい償ってもらうからね!」 「わかってるよ。」 その後のハルヒとの会話は覚えていない。 俺たち二人は部室に戻り、他の団員に和解を伝えた。 なんとか全て丸く納まり俺たち5人は今下校のため坂道を下っている。 俺がハルヒに謝れたのはお守りをくれた朝比奈さん。状況を理解して俺に教えてくれた古泉。俺のことを信じてこの時間へ送ってくれた長門。 この3人のおかげだ。 この3人はそのことを知らないだろうが… 「朝比奈さん、古泉、長門。・・・・・ありがとな。」 朝比奈さんは頭に?マークを浮かべて、 「なんのことですかぁ~?」 古泉は得意の微笑を浮かべて、 「おや?僕に料理を教わる気になったのですか?」 長門は不思議な顔で俺を見つめていた。 「じゃあ僕たちはこの辺で。」 朝比奈さん、古泉、長門はそれぞれ違う方向に帰っていった。 残った俺とハルヒは二人で街中を歩いている。 俺たちは途中で見つけた雑貨屋に何気なく入った。 雑貨屋の中を歩き回っているとハルヒが足を止め、ある商品を見ている。 そこにはピンク色のリボンつきのカチューシャが飾ってあった。 そういえばハルヒはカチューシャが好きだったな。 「なぁハルヒ。今日のお詫びにこれをお前にプレゼントするよ。」 ハルヒはいらないと言っていたが俺はすぐさま購入し、ハルヒに無理やり押しつけた。 ハルヒは戸惑いながら、 「あ、あんたが勝手に渡してきたんだから礼なんて言わないわよ!」 「礼なんていらんよ。俺のお詫びだ。ここでつけていけよ。」 「い、嫌よ!あたしはこっちのほうが気に入ってるの!」 と頭を指差す。 まぁなんでもいいさ。 ハルヒが俺を許してくれたみたいだからな。 俺の背中を後押ししてくれた朝比奈さん・古泉・長門。 そして目の前にいるハルヒ。 改めて思ったよ。 みんな俺にとってかけがえのない存在だってことをな。 今なら胸を張って言えるぜ。 「俺はSOS団団員その1だ!」 ってな… ◆エピローグ◆ 日曜日の話だ。 俺たちSOS団は今日も駅前に集合し不思議探索を始める予定だった。 だが当日になって朝比奈さんと古泉と長門が揃って欠席した。 俺は仕方なく駅に向かうとハルヒがすでに待っていた。 ハルヒは意外と機嫌は悪くなく笑顔で、 「さ~て今日の欠席の罰ゲームは何にしてやろうかしら!」 またなにやらよからぬことを考えてるらしい。 「さぁ行くわよキョン!」 俺の手をひいて歩くハルヒの頭には俺がプレゼントしたピンク色のカチューシャが掛かっていた。 「…似合ってるぜハルヒ。」