約 1,325,064 件
https://w.atwiki.jp/kakiterowa/pages/386.html
ネコミミストの視るコ・ホンブックの悪夢に、全く別の記憶が流れ込む。 流れ込む風景は明らかに違う誰かの物だった。 「全く持って愚かな事よ。 あやつらは書き手として殺し合いを描く内に、己もその中に取り込まれていたというのか」 (幻夜の声……それにこれは……幻夜の思考? 記憶まで……) そしてこれまでに無かった記憶と、思考を伴う物だった。 シャリダムにはコ・ホンブックそのものが残されていなかった。 だが幻夜の死体には幻夜そのものも残されていたのだ。 (このバトルロワイアルへの憂い……それを感じているのに有効な手が無い悔しさ……) 幻夜はホテルに現れた神行太保のDIE/SOULと話す。 「そうだ。我達は貴様の……、いやここに来た全員の姿と振る舞いを見ていたのだ」 (多くを見ていたという傲慢……それに伴う強さと自信……落ち着き……)) 「それよりも気になるのは貴様の先程の発言だ。 『縁起が悪い』とはなんのことだ? そして何故、貴様はこの『縁起の悪い』と言う場所に来た?」 「……俺のいたロワ。それはアニロワ1stの事だが。 そこにあったホテルは跡形も無く破壊され、そこで13人の人間が死んだ……」 「よろこべ古強者よ。お前が当たりをつけた通りに事は運んでおる」 (興味……疑問……理解……祝福……) 死地に赴く激動のトウカリョウ。 「……解っている。 だが、俺は見せたいんだ。2nd最初の書き手が1st最強の書き手と戦えるということを! 俺……いや、俺達2ndの書き手の実力をあの時の、そして今のLX氏に見せたい。 それが、俺を『激動のカワラザキ』と言うポジションに据えてくれた紹介者への酬いになると思うし、 この会場の中で悪戦苦闘している同じロワの仲間達への励みになると思う……」 (別れ……仲間の残した意志……) 「仕方あらへんな……。幻夜さん、コレ持って行き」 そしてゲドー・ザ・マジシャンが言う。 「オレにつきあって一緒に死ぬ必要はあらへんやろ? コレ持って自分だけで行きぃや」 フラグを残せと言う言葉。 「……『書き手』という者は、本当に救いがたい業の持ち主ぞ。アイツも貴様も……そして我も」 書き手としての同胞達と自分を自覚する想い。 「最後に、言うとくわ。……恨むなよ。読み手を、な。 酷いこと言う時もあるかもしれん……し、こないな、けったいなことやらかすこともある……けど。 どんな時でも、……恨むな。あれは、あかん。……辛いのは、自分だけやで。いーこと無しの損しっぱなし、や。 それにな―― ――大事なもんも、いっぱいもらったやろ?」 ゲドー・ザ・マジシャンの言葉に噴き上がる想いと。 「……貴様は、……貴様という奴は!」 「なんや? ……めっちゃ、いい……書き手……か?」 固まった、意志。 「――どうしようもなく、どこまでも『書き手』だったよ」 (ああ、そうか) ネコミミストは知った。 自分達を護った幻夜・フォン・ボーツスレーの力の源を。 幻夜とて非力だった。多くを助けられず見殺してきた。 それでも多くの者達に多くの者を与えられた事。 (それが、弱い私達を前に進めてくれる……) 「わたしにはまだ……多くが残っている……」 それはネコミミストの言葉。 幻夜に教えられた真実だと思っていた。だけど幻夜の記憶は違う事を教えてくれる。 その時まで、幻夜の笑いは強がりだった。 死んでいく事が認められずに強がっていた。 ゲドー達、仲間のフラグが断ち切られる事を、成就できなかった事を悔やんでいた。 せめて仲間を生き残らせようという、妥協の末の成果があの勝利だった。 だけどネコミミストの言葉が、その強がりに実を与えていたのだ。 (はは、そうだ、我達にはまだ多くのものが残っている。 バトルロワイアルで多くを失い、だが同時に多くを託された。 ゲドーの首輪フラグも……きっとこやつが成就してくれよう……! はは、はははは! 感謝するぞネコミミスト! 貴様のおかげで我はこんなにも――――) 「そうだたわけめ……だから我らは、上を向いて笑えばいいのだ…………」 だからこそ幻夜はここに勝者有りと傲慢に。 「くはっ、はは……はははははは……ははは…………はは……は……」 高らかに笑いながら、逝けたのだ。 ――風景は戻る。 全ては痛みへと引き戻される。 激痛の檻に連れ戻される。 「が、あが、あぎぎぎあ、あ、あぁあぁあああああかっ、はあ…………!!」 戻った風景はシャリダムの軌跡。 コ・ホンブックが狂い行く地獄の最中。 だけど。 「いたい……いた……いた…………まけ……な……い…………!!」 一歩歩く毎に痛かった。 風が吹く毎に視界が真っ赤に染まって音が消えた。 かと思いきや次の瞬間には胸から腹から激痛が走りボロボロと涙が零れた。 「ぁ……あ…………あぁ…………」 それでも必死にこらえる。 理性を、正気のタガを手放すまいと掴み続ける。 (狂っちゃ……ダ……メ…………こわれ…………たら……!) 屈してはいけないのだ。 命のリレーはネコミミストへ繋がれたのだから……ネコミミストが壊れてはいけないのだ。 そんな事になれば幻夜の死も、ゲドーの死も。 体がスクライドで出来ている書き手の死も、666の負傷も、サプライズパーティーの殺害も。 「いた……いたい……イタイ…………いた……ぁ…………」 全ては無駄に。いや。 一人のマーダーに繋がる悲劇として片づけられてしまうのだから。 * * * 「少しは、持ち直したか」 666は呟く。ネコミミストの発狂は彼女にとっても避けたかった。 派手好き地獄紳士『666』は完全なる崩壊など望んでいないのだから。 「だが、これでも足りない。ネコミミストの決意と幻夜の遺志をもってしても、まだ」 666はネコミミストを見つめながら、考えていた。 * * * 「う……ぐ…………うぐっ……うぅ…………ひっく……ぅ…………」 一歩歩くだけで、痛かった。腕を振るうだけで、痛かった。 罪を犯していくのもたまらなく辛かった。 よく判らないスーツを来ている漆黒の、と呼ばれた書き手をエアで吹き飛ばした。 仮面ライダーカブトに変身した吉良吉影には戦いになるも漆黒を連れて逃げられた。 コ・ホンブックの体もバラバラに引き裂かれ、再生して歩き出した。 「イダイイダイイダイイダイイダアアイタッイタイダアアア…………」 次は前原圭一の姿をした書き手だった。激戦の末、ネコミミストは心臓を抉られた。 激痛に血の涙を流しながらエアを振るい、真名を解放するのではなく突き刺した。 だけど飛んできた何かに目を眩まされ、気が付くと相手の書き手は居なくなっていた。 「痛い……イタイ……いたい……イタイ、イタイ、イダイ、イダ……メェ…………」 四人組のチームに向けて威力を押さえたエアを解放した。 そしてばらけた一人、朝倉音夢の姿をした書き手の左目に、エアを突き刺した。 (いた……ダメ……イタイ……ヤダ……痛い……止めて……ダメ痛い痛いおねがいいたいやめ) 降り注いだ瓦礫に潰され、トドメを刺すことはなかった。 だけどその直後、通りすがりに居たディス・アストラナガンの姿をした書き手を、全く無造作に、 唐突に、何もさせる事無く、無数の紙の槍で貫き、引き裂いた。 「ァ……ま……た…………痛い、いたい、いたいイタイいたい痛痛痛痛痛いたいたいたたいいイイイ」 更なる罪と激痛に心が黒く染まる。 そこを救ったのは。 「――『痛い』んだね? その『痛み』、私なら治せるよ。『みんなを殺す』以外の方法もあるよ。 少し手間と時間はかかるけど、私は、私だけが、貴女を救うことができる」 (あなたは……ボマ………) 「あ…………」 ネコミミストが一度見た、LSロワの書き手。 彼女の言葉はブックの軌跡の中で、数少ない救いだった。 * * * 「しかしまさか、彼女が関わっているとは思わなかったな」 666は悲しげに。そして愛しげに悼みながら、想いを零した。 ボマー。第一回放送の時点で唯一残っていたLSロワの同胞。 第二回放送の時には既に死んでいた、仲間。 「私にだって仲間意識くらいは有る。ああ、愛とは別にね。 だけど何かを為そうとするならばそれは、コ・ホンブックに対してするべきだろうし」 666は手を握り締め、触手の電流に痺れていた握力が回復した事を確認すると。 ネコミミストを。その右掌に呑み込まれていくシャリダムを見つめた。 「この抜け殻は単なる怪物ロリと扱って構わないだろう」 * * * 「たすけて……くれるの…………?」 「うん。大丈夫だから……。絶対、助けてあげるから……」 その痛みの地獄に現れた一筋の救いすら。 「ご縁がありますね。コ・ホンブックさん」 現れたあの怪人、ドSの手によって。 「――その人は。――あなたを助けようとしたので。――私が。――殺しました」 断ち切られた。 「――死ねっ、化物! 死ねっ、人殺し! いなくなれっ、化物! 消えてなくなれっ、人殺し!」 ネコミミストはコ・ホンブックの絶望を知った。 コ・ホンブックの地獄を見た。 コ・ホンブックが……狂った理由を知った。 「あ……ああ…………あああぁああぁあああああぁああぁあぁああっああああああああぁぁぁぁああ」 それに対してネコミミストはただ、絶叫した。 吼えた。 嘆きを。世界への悲しみを、怒りを、喪失を叫んだ。 ただ咆哮した。 全身に浸透した地獄を感じながら、ネコミミストが思ったのはただ――――。 * * * 『私が思うに不幸とは、『途中』であることだと思います。 終わりでなく途中。途中を維持すること。中途半端なままになってしまうこと――それこそが不幸だと』 666は浄玻璃の鏡に映し出された、ブックが意識を失っていた時の言葉を反芻する。 (それにしてもドS氏、私と貴方は本当に似ていたよ。違うのは少しだけだ。 ただ一つ、やり方だけが貴方とは違う) 666はドラゴンころしを握り締めた。 そしてそれをゆっくりと、振り上げて――。 * * * 全てを塗り潰した物があった。 ネコミミストを支える想いさえも押し潰した物があった。 それは負の極地、ドS氏が積み上げたコ・ホンブックの地獄。 ――では、なかった。 「だから言え!!おまえの本当の願いを!!お前の味方はここにいる。俺は死なない、負けない、放っていかない。 ずっと、一緒にいてやるから!!」 それは希望の極地、承の放ったスパロボ展開。 ――それ自体でも、なかった。 そのどちらでもあり、どちらでもなかった。 ネコミミストは信じる。 (ようやく、救われる) コ・ホンブックの地獄の末で、思う。 (悪夢が終わる。痛みが終わる。悲しみも罪も終わる。もう痛くない、いたくなくなる……) 承のもたらした希望に手を伸ばして、感じた。 (この結末に……辿り着けたのなら…………) 救いは有ったのだと、そう考えて。 それでも痛みが収まらなかった瞬間。 自分ではない誰か、傷一つ無いブックの姿が自分以外の自分ではない場所に誕生した時。 ネコミミストの心は決壊した。 『どうして! どうして終わらないの!? どうして痛いの! どうして、いやだ痛い、いたい! いたいよ、イタイイタイ痛いいたいぃっ、あ、うっ、ヤダ、ヤダイヤダもうやめておねがっ、ああああ!? イヤだ助かったとおもったのにたすかってもうおねがいイヤだイヤイヤイヤイヤアアアアアアアアアァッ! たすかるとおもってがまんしたのに! 耐えられたのに! やだ、もうヤだあ、やあ! イタイイタイイタイタスケテオネガイイヤダタスケイタイイタイタイイィイィイィイイィイィ――――』 「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」 喉から出たのは悪魔的な咆哮だけだった。 種明かしを、しよう。 これはブックの軌跡であって、ブックの軌跡ではない。 ブックが味わった苦痛そのものの軌跡だ。 それが分離されてシャリダムが生まれた。 ネコミミストが喰らったのはシャリダムなのだから、まだ続きがあるのは当然だった。 ここに来てネコミミストの感情移入はブックからシャリダムに切り替わる。 シャリダムは思う。全ての生ある者が憎いのだと。 ネコミミストは思う。全ての生ある者が憎いのだと。 シャリダムは願う。全て死んでしまえばいいと。 ネコミミストは願う。全て死んでしまえばいいと。 シャリダムは殺意を向ける。全ての生ある者に。 ネコミミストは殺意を向ける。全ての生ある者に。 ネコミミストは目の前の敵に―――― 斬。 視界が、激変した。 痛みがあった。右腕が根本から切り落とされていた。 分厚い鉄板がその先とを遮断していた。 それをした者は目の前にいて、ネコミミストの残る左手には剣が握られていた。 ネコミミストは当然のように剣を突きだして――。 「………………………………あっ」 悪夢が終わっていた事と。 悪夢を始まった事を、知った。 「ネコ……ミミス…………ト……」 666の口から夥しい量の血が吐き出された。 茫然とそれを見つめる。 666の口から溢れた血は顎を垂れ、喉を伝い垂れていく。 溶解液により露わになった白い裸体を伝っていって。 胸の途中の、刃が突き立っている所の別の赤い流れと合流した。 その血はそのまま胸を伝い、腹を伝い、脚を伝い、地面に真っ赤な水たまりを作った。 「あ…………」 茫然と、一歩下がった。 ネコミミストの後退と共に胸に突き立っていた刃が引っ張られて、抜けた。 開いた穴から更なる血が噴き出した。 刃の先は赤い液体で濡れていた。666の、血。 誰がこんなひどい事を? 刃の根本はどこにある? 遡ったその先には震える左手が待っている。 だれの左手? 震えているのはだれ? それはネコミミストの左手。 どうして震えているのかは――。 「あ……ああ…………あ……あ……あああ…………ああああ………………」 壊れた機械のように母音だけが吐き出される。 何をした? 何をしてしまった? 殺意に任せて何をした? 悪夢に流されて何をしてしまった? 「わ、わたし、わた……ころ……し…………」 カラン。 滑稽なくらい小気味よい音を立てて、剣が落ちた。 「…………あ………………は…………」 心が軋んで、ヒビが入る。 表情が、壊れた。 「あは…………あ……はは…………あははっ、あははははははは……………」 (もう、おしまいだ……) 犯してしまった罪に潰されてネコミミストは乾いた笑いを―― パァンと、本当に綺麗な音がした。 「あ…………」 「う…………ぐ……っ」 666の呻く声。 血を撒き散らして苦痛に顔を歪めながらも振るった掌が、ネコミミストの顔を叩いていた。 「666…………」 動揺し戸惑いながらもネコミミストは666を見つめる。 666は苦しげに顔を歪めながら、ネコミミストを見つめる。 目が合う。 そして666はホッと、安堵の溜息を吐いた。 「良かった……君が、壊れなくて……」 「え…………痛っ」 麻痺していた右肩に一瞬だけ鋭い痛みが走る。 切り飛ばされた右腕が不死者の再生力によりずるずると引き戻されて、接合したのだ。 腕が飛んできた方を見るとそこには。 「ONII…………CHAAAAAA……………!!」 ドラゴンころしで右腕が断たれた為に食い残された、デビル・シャリダムが蠢いていた。 「え……な…………あ…………」 「君が壊れてしまわなくて……ほんとうによかった……」 ネコミミストは理解した。 シャリダムを喰らうネコミミストの様子を見て危険だと判断した666は、 ネコミミストが不死者であり死なない事を逆手に取り右腕を切り落とす事で、 不死者の捕食を強制的に中断させ、ネコミミストを救ったのだ。 「ふふ……それに奴もあそこまで弱れば、消し炭にすれば倒せるだろうしね……」 666はそう言うとデビル・シャリダムに歩み寄る。 地面を赤く染めあげながら歩いていく。 その背後の空間が揺らいだかと思うと、無数の爆薬がシャリダムと666の周囲に転げ出た。 「ろ……666……?」 まるで川の様に大地を染めた夥しい量の血の海。 確実な致命傷を負った666は、ネコミミストを振り返って微笑んだ。 「ああそうだ……そこに置いてある幻夜のデイパックには、デバイスも入っていた。 君の服はもう着れないし、あれでバリアジャケットを作ると良い……うぐっ」 「666!!」 「来るな」 駆け寄ろうとするネコミミストを手で制した。 「ふふ……そうだ、リクエストでもしておこう……。 リボンだ。 君には、きっとリボンがよく似合う。 色は、君の元の服と同じ白かな……うん、きっとよく似合うさ……」 「怪我を……666、あなたの傷の治療をっ」 ネコミミストも判っている。 666の傷は間違いなく致命傷で、助ける術など何も無いのだと。 それでも666は笑っていった。 「さっきは済まない……これは私のミスなのに君を叩いてしまったな……」 「ち、違う! わたしのせいだ! ぜんぶわたしの! わたしのせいで、わたしが、わたしがあなたをころ……」 「それは違うよ、ネコミミスト……私は殺されなん……ぐっ……」 666は導火線に火を点けた爆薬を一つ、爆薬で囲った中に放り出した。 ジジジジと音を立て、火が爆薬に近づいていく。 666とその足下で蠢くシャリダムを爆炎に包み込むために。 666はこみ上げた血の塊を呑み込んだ。 そしてまるでどこかに旅立つような軽やかな笑顔を浮かべて。 「生き続けたまえ、ネコミミスト。いつか、また会おう」 「666――――――――!」 閃光が全てを包み込んだ。 爆風がネコミミストに吹き寄せる。 思わず目を瞑り地面に伏せた。 そして煙が晴れた時、そこには。 666の居た痕跡も、シャリダムの居た痕跡も、綺麗さっぱり残っていなかった。 「あ……ああぁあああぁああぁあああぁああぁああああああぁあああああああああああああぁっ」 慟哭が天を衝いた。 * * * 学校より少し東のビル街。 そこに有る高層ビルを直上。詰まるところ屋上。 その更に少し上空。 「……おやー?」 緊張感の無い声が響いた。 リリカルなのはのヴィータの姿をしたその少女は、首を傾げた。 クマのプー太さん。 書き手ではない、パロロワの有名絵師。主催側からの監視者。 同行していた転が優勝狙いに転向した様に、殺し合いが極めて円滑に進むのを見てとった彼女は、 転移により主催の本拠地に帰還しようとした。 その直前にふと、上空からゲーム会場を一望していこうと思ったのだ。 ただそれだけの事。 何て事はない、どうでもいい気まぐれだ。そうまでしなくとも彼女は監視を実現できる。 だからそこで彼女に出会ったのは偶然に近かった。 「何してるんですかー?」 彼女は屋上に居た人影に訊ねた。 無数のリボンがはためいていた。 * * * 出しっぱなしのシャワー。虚ろな瞳。 傷一つ無い肌。肌を伝い流れ落ちていく水滴。 響き続ける水音。動く様子のない、少女。 あまり長くない黒髪は、だけども深みのある艶を取り戻していく。 瞳は依然、虚ろなままだった。 それでも少女は、唐突に動いた。 きゅぅっと、シャワーの蛇口を捻って止めた。 それからシャワー室の中でも身につけていた右手薬指の指輪を掲げて、呟く。 「クラールヴィント。バリアジャケットを」 ベルカ式のこのデバイスでは騎士甲冑というのが正しいのだが、 デバイスはそんな差異を咎める程に狭量ではなかった。 まるで蛹から蝶が生まれるように、デバイスからリボンが溢れ出る。 真っ白なリボン。純白という色の線。 (あの人が望んだカタチに――) 無数のリボンが絡みつく。 中指の付け根にリボンが絡み、そこから手の甲を覆って手首に結び、 編み上げるように二の腕までを包み込んでいく。 衝撃波を制御しやすくする為に、指と掌が露出したフィンガーレスグローブ。 ウェディンググローブにも使われる優美なデザイン。 (白い、リボンで――) 足指にもリボンが絡む。指先からまるで壊れやすい物を包むように繊細に、しっかりと。 まるでトゥシューズ。 足首に達したリボンはそこから絡み合うように溶け合って、足を薄く広く包み込む。 タイツかストッキングかソックスか。見る人により意見の異なる曖昧さ。 (タイトに、抱いて) 胸を、胴を、腹部を、股関節を。 強く深く抱き締める、貞節の白い帯。所により締め上げて、所により僅かなゆとりを残す。 「フッ…………」 吐息を漏らす。 震えていた小さな肢体を、もう震えないようにしっかりと締めくくるレオタード。 体にピッタリと吸い付く白い鎧。 その上でまたもリボンが踊り、白い上着が飾られる。 リボンが踊る。 汚されて捨てた白い鉢巻に代わって、新たなリボンが頭部を締める。 新たな鉢巻。前に進む決意を持てるように。 美しくも華奢なヘッドドレスではなく、 「わたしを……護って。わたしがみんなを……護れる…………ように………………」 それからまたもリボンが踊った。 手首で、足首で、首もと、胸元で白いリボンが舞い踊る。 それらは優しく結ばれた。 彼女を飾り、祝福する為に。 零れた水滴はシャワーの水滴の残り水か、決意と悲しみの涙か。 「わたしが……あの人の。 あの人とみんなの想いを無駄にしない為に」 それが残った願い。 体はスクライドで出来ている書き手は、牙無き者の剣として想いに殉じ果てた。 幻夜・フォン・ボーツスレーは死の連鎖の中でも何かを遺し繋がれる事を願った。 そして派手好き地獄紳士『666』は――ネコミミストが壊れず、正しく生き続ける事を望んだのだ。 「わたしがあなたに出来る事は、それだけだから……」 故にネコミミストが彼女達の為に彼女の想いを汲もうとするならば、 死ぬ事も、狂気に逃げる事も、何もせず鬱ぎ込む事さえ許されはしないのだ。 罪の意識はネコミミストを前に向けて引きずる。 悲しみは絆に応えなければいけないと急き立てる。 ネコミミストには未来への一方通行しか遺っていない。 「だから……」 シャワー室から出たネコミミストは、入り口に立て掛けておいた双剣を手に取った。 ゲドー・ザ・マジシャンの支給品から出てきた、マテリアルブレード。 テイルズシリーズ出展の炎と氷の属性を持ったこの二刀は、 例えばアニロワに登場するFateの干将莫耶のように、二本で一組の剣なのだ。 だが馴染み薄いアニロワの住人には別々の武器に思えたのだろう。 それは炎上するホテルにおいて、四次元デイパックの奥の奥に有った不死の酒が見落とされた一因だった。 ただでさえ支給品が三つ有るかは判らない。 だからグルメテーブルかけとこの双刀で三つだと思ってしまった。 ……ネコミミストには関係の薄い話だった。 ネコミミストがこの双剣を握るのは、666を刺してしまったあの刀を使いたくないからだ。 その双剣を、ジャケットの一部に形成した白亜の鞘へと滑り込ませる。 新たな武器と白いリボンに身を固めて、ネコミミストは歩き出した。 未来へ向けて。 「だからわたしを………………」 ――気高き白猫は歩き出した。 * * * 「何をしているか? そんなもの、あの子を愛しているに決まっているじゃないか」 黒いリボンがはためいている。 衝撃のネコミミストが纏ったバリアジャケットとそっくり同じデザインのリボンドレス。 ただ全ての色が、黒かった。 それ以外に違う所が有るとすれば、背中から黒い翼が無数に伸びている事ぐらいか。 その手にはメタルイーターMXから取り外された狙撃スコープ、つまり望遠鏡が握られている。 「愛して覗きですか? えへへ、変態さんですね」 「覗きとは人聞きが悪い。見守っていたのだよ。うん、辛うじて前向きなようで何より」 彼女はスコープをしまい込むと、プー太へと振り返った。 特に警戒する様子もなく、言う。 「丁度良い話し相手が出来たな。何かな、プー太くん」 プー太は彼女に聞き返す。 「そうじゃなくて、どうして生きているんですか? あの子には死んだって思われてるみたいですよ……ええっと、何て呼びましょう?」 「そうだな……君なら666で良いだろう。更に偽名を名乗ろうかと考えてはいるけれど、まだ良い」 派手好き地獄紳士『666』は、答えた。 「私がまだ生きている理由はそう、一言で言えば悔恨だ」 「悔恨ですか?」 ああと頷いて続ける。 「私は彼女に随分と色々な物を与え、教え、変えてきた。沢山の事を。 その結果、あの子は私の望む理想像を叶えてくれたと言えるだろう。 私を殺すのがあの子だとしたら、それ以上を望むべくもない位だ」 666はそう言うと、どこかしら愁いを感じる表情を浮かべた。 「だけど私は見落としていたんだ。 ならば私は、あの子に殺されるに足る存在だろうか? という事をね。 私はあの子に多くを求めながら、その実、ネコミミストに釣り合う存在ではなかったんだ。 まったくもってひどい話だ」 「えー……すごく悼まれてるみたいですよ?」 「ああ、それだけでしかない」 666は言う。 「私は心底からネコミミストの事を愛している。ネコミミストも私の事を大切に思ってくれていた。 あのまま死ぬのは本当に至福だった。 私はネコミミストの喪失した大切な物として、彼女の心にずっと居座り続ける事が出来ただろう。 愛し、愛してくれる者の心に永遠に残る事ほど幸せな事なんて無い。 ――だけど」 涙さえ零しながら話す。 「それではダメなんだ。そんな事ではダメなんだ!」 666は本当に心の底から、ネコミミストのために泣いていた。 「まだ先があるはずなんだ! あれより先が! もっと上があるはずなんだ! あれより高みが! 更に底があるはずなんだ! あれより深みが! だから私は、私が愛させてくれたネコミミストに続きを与えようと思う。 そう、その為に――」 それはほんとうに純粋な愛の涙で。 「――ネコミミストから私への愛がそっくり憎しみに変わるとしても」 寒気がするほどに真摯な、人から外れた感情だった。 「うーん、つまりあなたは何をするつもりなんですか?」 「やる事は簡単だ。私は、極悪人になる」 666は微笑みすら浮かべて言った。 「あれ、殺し合いに乗ってくれるんですか?」 「そういう事になるな。とにかく私は憎まれる事にした。悪のカリスマでも、下衆な鬼畜生でも良い。 このバトルロワイアルに参加する全ての者から悪鬼の如く憎まれるようになれたら尚良い。 最も望ましい事は、それを暴露した末にネコミミストの手によって――『喰われる』事だ」 「喰われる……」 「そう、私の想いの全てをネコミミストにぶつける。それが私の望む最高のクライマックスだ。 そしてネコミミストが、全ては自分への愛によるものだった事を知ってなお立ち上がろうと足掻く事を願っている。 そうでなければ――悼みも苦しみも悲しみも全て終わってしまうのだからね」 クマのプー太は気付いた。 「ところで666さん。あなた主にLSロワの書き手じゃないですか」 「ああ、そうだとも。絵板では何時も貴方に素晴らしい絵を描いてもらっている幸せなLSロワの書き手だ」 「でもその黒い羽ってもしかすると、アレを取り込みました?」 「ああ、そうだとも」 666は不敵に笑った。 「あれも私が出した支給品には変わりないからな、出せない理由なんて何も無い」 「やっぱり。えへへ、予想はしていたんですよ、その時が来るのは」 プー太も平然と笑って見せた。 「やっぱり使っちゃいましたか。――“闇の書”を」 「使ったとも。――“闇の書”を」 666はアニロワ1stでも、序盤に数話だけ執筆していた。 その時に出したアイテムは、やはり彼女の異名通り良くも悪くも強烈だ。 BLOOD+からディーヴァの剣とルルゥの斧。 ドラえもんからマイクロ補聴器。 魔法騎士レイアースから鳳凰寺風の弓と矢、それと剣。 ――そう、シャリダムの触手に向けて放たれた矢はこの矢に他ならない。 Fate/stay nightから凛の宝石十個 ――シャリダムに操られる幻夜の死体に放たれた石はこの宝石に他ならない。 そしてなにより、闇の書。 これで全てだ。 融合型デバイス闇の書。アニロワ1stにおいて重要な役回りを果たし大ボスの一つとなった危険物。 このアイテムは闇の書と融合する事で制御される。 666の髪は白髪に染まり、お下げは解かれて後ろに流されていた。 更にずっと付けていた丸眼鏡を外した事で、外見の印象は大きく様変わりしている。 「私があの状況で生き残れたのはこの闇の書のおかげだ。 シルバースキン・アナザーで爆風を防ぎ、闇の書とユニゾンして強大な魔力と高演算能力を獲得し、 強化した能力に加えて凛の宝石を一個使って懐中時計型航時機カシオペヤを瞬時に起動して疑似空間転移。 その後にもう一本だけ残っていたエリクシールで傷を癒す。いやはや危ないところだった」 「うわあ、チートですねえ」 「ラス1補正と言ってくれたまえ。なに、このロワではこれでようやく中堅だろうさ」 あながち間違いとは言えないのが怖ろしい。 「だけどそのバリアジャケットは“闇の書”で生成した物でもない」 「その通り。どっちで作っても同じなら、ネコミミストとお揃いにしたかったのでね」 その全身を包むのはネコミミストの白リボンバリアジャケットを丸々黒く染め変えたもの。 そして666の右手薬指には、“クラールヴィントがはめられていた”。 「クラールヴィントは情報戦に強い。 同じクラールヴィントでジャミングをかけておかないと、ネコミミストはすぐに私の生存に気付いてしまう。 物事にはタイミングという物が大事だ、今はまだ知られるわけにはいかない」 「じゃあ、そのクラールヴィントはどこから出てきたんでしょう? あなたのアイテムは全て、あなた自身がどこかのロワで登場させた支給品です。 アニロワ1stで出したのはあなたじゃありませんし、LSでは出てません。 では他のロワでしょうか?」 666の笑みに一瞬、狡猾な邪悪さが混じった。 「さあ、どこのロワだろうね。ふふふ」 「どこのロワでしょうねえ? えへへ」 顔を見合わせて笑い合う。そしてプー太は言った。 「その事実だけであなたは十分に鬼畜だと思いますよ?」 「ありがとう、素晴らしい誉め言葉だ。話し相手になってくれたお礼に、これをあげよう」 666はエリクシールの瓶を一本手渡した。 プー太は怪訝な様子で瓶を受け取る。 「エリクシールですかあ? いえ、でもこれは……」 「アレの分泌したイケナイ触手汁だ」 「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」 指差した先、隣のビルの屋上で咆哮が上がる。 そこに居たのは言うまでもない。ようやく再生を終えた、デビル・シャリダム。 殆ど崩壊したものを、666が連れ去っておいたのだ。 「正確にはそれを被ったネコミミストが脱ぎ捨てた服から搾り取ったものだ」 「うわ、なんともフェチズム溢れますねえ」 「何か変わった展開に使えるかなと思って、エリクシールの瓶2本に詰めておいた。 持って帰りたまえ」 「はい、ありがたく……ってどうするんですかこんなの! エロ展開以外の何に使えと!?」 「ハハハ、主催側の書き手に渡せば頭を絞ってシリアス展開にも使ってくれるさ。多分。 では、さらばだ!」 666はばさりと六枚の黒翼を広げて、舞い上がる。 凄惨で救われないのに前に足掻こうとしてしまう残酷極まりない美しき悲劇を、ネコミミストにプレゼントする為に。 ――禍々しき黒天使は飛び立った。 【午後/E-5/学校跡地】 【衝撃のネコミミスト@アニ2nd】 【装備】:マテリアルブレード@テイルズロワ、クラールヴィント@アニロワ1st、バリアジャケット 【所持品】:支給品一式、拡声器 【状態】:精神的に消耗。不死者化。 【外見】:バリアジャケットの白いリボンドレス。 【思考・行動】666…………… 基本:前に……進む………… 1:スクライドの遺志を継ぎ、牙なき人の剣になる。積極的にマーダーキラー路線。 2:熱血王子と再会したら、今度こそ彼を止める。 ※衝撃波を使えます。掌からだけでなく、足の裏からも出せるようになりました。 ※「大あばれ鉄槌」を幼女好きの変態と勘違いしています。 ※シャリダムを通じて幻夜の死体を喰い、その記憶と知識と経験を得ました。 また、ブックがロワに来てからシャリダムが生まれるまでの経緯を体験しました。 ※血塗られた、永遠神剣第六位『冥加』は学校跡に残されました。 【午後/E-6/ビル屋上】 【派手好き地獄紳士666@LSロワ】 【装備】:ゲート・オブ・バビロン@アニロワ2nd(※特殊仕様)、闇の書@アニロワ1st、 クラールヴィント@アニロワ1st(ネコミミストと同じ物)、バリアジャケット 【所持品】:支給品一式、エリクシール瓶に入ったシャリダムのイケナイ触手汁 【状態】:闇の書発動。不死者化? 【外見】:黒いリボンドレス、背中から黒い六翼。長い髪は白く染まり後ろに降ろしている。眼鏡外し。 【思考・行動】 基本:極悪外道になった後、ネコミミストの前に敵として再会。ネコミミスト心から愛してる。 1:マーダーとして悪行を積む。 2:ネコミミストの前に敵として現れ、最終的に喰われる。 ※ゲート・オブ・バビロンで出せるアイテムをどれも『一応は何とか使いこなせ』ます。 エリクシールと爆薬は使い切りました。 浄玻璃の鏡の回数制限は残二回。凛の宝石は残り八個。風の矢は残量不明。 ※「大あばれ鉄槌」を(ロリ的に)危険人物と断定しました。 ※ゲート・オブ・バビロンで出せる新たに判明した物及び追加された物。 アニロワ1stからディーヴァの剣、ルルゥの斧、マイクロ補聴器、 鳳凰寺風の弓と矢、鳳凰寺風の剣、凛の宝石×10、闇の書。 加えて――マテリアルブレード@テイルズロワ@XXX、クラールヴィント@アニロワ1st@XXX、 不死の酒@アニロワ2nd(既に使用済み?)@XXX。 ※闇の書と融合しているため、その内に言うまでもなく―― ※クマのプー太氏に【エリクシール瓶に入ったシャリダムのイケナイ触手汁】が渡されました。 エリクシールはバビロンのアイテムですが、中身が代わっている為、666以外でも使えるようです。 【午後/E-6/別のビル屋上】 【デビルシャリダム】 【状態】:酢飯細胞侵食、不死者分大幅減量、胸に12の傷(※)、腹に10の刺し傷(※) 【装備】:乖離剣・エア@Fate※ 【道具】:なし 【思考】: 基本:ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!! 1:全てを飲み込む ※不死者化する前に出来た傷は治りません。ずっと、痛いままです。 ※エアは取り込まれていますが、過負荷により機能停止中です。 このままでは再起動しません ※シャリダムはこの後、204話『我輩は――……』に続きます。 220 さよならは言わないで。だって――(前編) 投下順に読む 221 したらば孔明の陰謀 220 さよならは言わないで。だって――(前編) 時系列順に読む 204 我輩は――…… 220 さよならは言わないで。だって――(前編) 衝撃のネコミミスト 232 傷だらけの天使たち 220 さよならは言わないで。だって――(前編) 派手好き地獄紳士666 223 エロス頂上決戦、決着……?! 220 さよならは言わないで。だって――(前編) デビルシャリダム 204 我輩は――……
https://w.atwiki.jp/sinsedai/pages/144.html
今日にさよなら、明日におはよう。 ◆1GiZbsHFZI 雲は優雅に紺碧の海を泳いで、大地には葦が気持ち良さそうにそよぐ。 懐かしい土の匂いが鼻をくすぐって、琥珀色に輝く太陽は目の奥にじんじんと染みた。 風が吹いた。髪をさらって、肌を掠めて、遥か彼方へ吹き抜ける。心地良かった。 清々しい青空の下、青年は土を蹴り上げ地を駆ける。気温はほどほど、湿度は低い。 踊る肩、切れる息。額の汗は滑り落ち、シャツは生傷の多い肌に張り付く。足は浮かぶ雲の様に軽い。 何処にだって行けそうだった。何だって出来そうだった。 そこには、全てがあった。 「リッド! おっそーい!」 聞こえた声に、青年は足を止めて辺りを見渡す。さして苦労もせず声の主は見つかった。 目が痛くなる様な橙色のラシュアン染めのワンピースは、鬱蒼と茂る木々に映え過ぎるくらいだ。 少女――ファラ=エルステッド――は、背を木に預け、青年をじとりと睨んでいた。 「わ、わりぃ……ちょっと寝ててよ」 そう言って頭をぼりぼりと掻く青年へ向けられるのは疑いの眼差し。 「 ぁ ゃ ι ぃ 」 「いやいや嘘じゃねぇって!」 慌てて諸手をあげてリアクション。そう、嘘ではない。いや……厳密には嘘になるのかもしれないが。 なにせ自分は“起きてはいた”のだから。 いたのだが……不思議な事にこちらでは“寝ていた”らしい。 どうにも腑に落ちないし矛盾してはいるが、頭のリボンがそれを真実と言うのだから仕方がない。 青年は眉間に皺を寄せる。難しい理屈は分からないが、とにかくどうやら“寝ていた間に違う世界で起きていた”らしかった。 「……しっかりしてよね」 「わーってるよ。行こうぜ」 怪訝そうな顔を向ける少女へ適当な返事を投げ、青年は踵を返す。 「皆が来てんだって?」 暫く歩いて、ふと思い出したように青年は尋ねた。 「うん」少女が頷く。「暇が出来たから遊びに来たみたい」 青年は口をへの字に曲げた。“一体今はいつだ?”浮かぶ疑問に応える者はいない。 参ったな、と青年は舌を巻いた。何故って―――――彼には記憶がなかったからだ。 この世界に飛ばされた影響かは判らないが、正確な日時把握が出来ないようだった。 今がいつ、どのタイミングなのかが脳内ではっきりとしなかったのだ。 「……セレスティアからか?」 故に青年は足を進めながら恐る恐る尋ねる。自分の世界のことなのに、分かることは何もない。奇妙な感覚だった。 「? それ以外どこから来るのよ?」 少女は小首を傾げて言った。青年は何かを取り繕う様に頭をぼりぼりと掻く。 「え? いや、あはは! そ、そうだよなぁ。わざわざご苦労なこって。 ……チャットとフォッグも一緒なのか?」 「チャットは一緒だけどフォッグは領主の仕事が忙しいみたいでお留守番だよ」少女は再び首を傾げた。「三日前に手紙きてなかったっけ?」 「あ? あー、ああ! そそそそうだったな! うん、そうだった!!」 訝しげな表情を見て苦笑い。当然、手紙なんて貰った覚えはない。 間違いなかった。此所は確かにエターニアで、インフェリアで……しかし自分の知らない世界だ。 記憶はネレイドを倒した辺りで途切れている。 フォッグがセレスティアの総領主になっているという事は、おそらくそう遠くない未来なのだろう。 「……ちょっと大丈夫? なんだか変だよ」 少女が心配そうな表情でこちらを覗き込む。ごくりと喉が鳴った。 「お、おう! 大丈夫、大丈夫」 「ならいいけど……それよりリッド」 なんだよ、とぶっきらぼうに青年が言った、その瞬間だった。 「そのリボン……何?」 石化する思考。どっと毛穴から噴き出す汗。無邪気な表情から飛ばされたあまりにも素朴な質問に、思わずぎょっとする。 しまったと舌を巻くがもう後の祭りだ。迂闊だった。取るのを忘れていた。 「……。……ああ、これはなぁ」 「“これは”?」 少女は繰り返す。その後一拍、ほんの一拍だけ間を開けて青年は口を開いた。 真っ直ぐな瞳だった。そこには僅かな曇りすらなかった。 「……友達がくれたんだ」 青年は頬を赤らめ微笑む。 「ナニソレ」少女はつられて控えめに笑った。「変なリッド」 「だろ」青年は苦笑を浮かべる。「俺も変だと思う」 ーーーーー嘘を吐くことだって、出来た筈だった。 むしろ変に友達だとか言うくらいなら、イメチェンだとかなんとか言った方が自然だったのかもしれない。 下手に突っ込まれて、いい言い訳が思いつく自信もない。 だけど。だけれど、そうはしなかった。したくなかった。 嘘を吐けばこのリボンごとおもいでも絆も決意も、なにもかもが消えてなくなってしまう気がしたから。 風車が回っていた。小鳥が唄を歌っていた。金色の波が麦畑に満ちていた。 故郷ラシュアンはいつもと変わらずそこにあって、世界はのんびりと欠伸をしながら正常に廻っている。 「よう、リッド。……。 …………………。 ……おい、なんだその戯けたリボンは。王都の仮装パーティにでも行くつもりか?」 当たり前の日常。約束された平和と、呆れるくらいの自由。 いつも通りの皮肉。紺碧色の髪を弄りつつ、肩を竦める友人は相変わらずだった。 青年はほっと胸を撫で下ろす。そうだ。どうしようもないくらいに、ここが自分の居る世界なのだ。 「うっせーな。どうせ似合ってねーよ」 青年が嬉しそうに頬を膨らませると、学士はハン、と鼻で嗤い後ろの少女を一瞥する。 「聞いたかメルディ。まったくこいつときたらとことん馬鹿だ。 似合ってない自覚があるなら外せばいいだけの話だろう? 違うか?」 「なんだとお?」 額に血管を浮かべ、青年は学士へと足を踏み出す。 前言撤回。誰がほっとなんかするもんか。まったくもってこいつはいつも挑発が過ぎる。 「なんだ?」学士が言って、 足を踏み出した。「暴力で訴える気か? これだから野蛮な猟師は困る」 「お、おま。猟師を馬鹿にすると肉に祟られるぜ、キール!」 「ふん、馬鹿馬鹿しいな。祟りという迷信に近い概念が胡散臭くていかにも田舎らしい。 よし。まずお前には霊魂について話す必要があるようだな」 学士は大きく息を吸うと、人差し指を立てて捲し立てる。 「いいか、そもそもレオノア百科全書第三巻生命学第六十三項よると霊魂というやつはだな、生命体の約三分の二を構成する水晶霊が、 宿主である肉体が失われた事により空間に拡散せねばならない時、ある特異条件下によって拡散せず収束結合する現象によって生まれるものとされている」 「お、おい……ややややめろよ霊とか怖ぇって!!」 青年は怯えた声で叫ぶ。学士はそれを馬鹿にするかの様に溜息を吐いた。 「怖いものか。今からそれを説明するんだ」 「ワイール! キールがお話、面白いけどちょっと長いな。短くお願い!」 げ、と眉を顰める青年。どうやら乗り切らしい晶霊技師を尻目に視線だけで後ろの少女へ助けを求めるが、首をふって肩を竦めるだけだ。 諦めろ、ということらしい。そんな殺生な……。 「いや面白かねぇしだいぶ長ぇよ……なぁ、怖い話はもうやめようぜ?」 「黙って聞け。ここから先は僕の持論だが、これにはファキュラ説とそれに伴うカロリック流動が密接な関係にあると言えるだろう。 仮にファキュラ説が正しく、晶霊群に意思があるとするならば、肉体を構成するそれらは当然宿主に依存する。自然物とは逆にな。 さてここで問題だ。肉体的な死により宿主を無くした水晶霊群はどうなると思う?」 「んー、消えちゃうか?」 晶霊技師が小首を傾げて言った。学士は頷く。 「うん、まぁ正解に近いが少し違うな。答えは拡散だ。水晶霊群は肉体から乖離し大気を漂う。 しかしファキュラ説が正しいならば、そこにイレギュラーが発生する。 宿主の記憶を持つ晶霊群が元の形を取ろうと意識的に集合し、晶霊圧を増加させるケースがあるからだ。カロリック流動がこれには関係している。 仮に肉体の晶霊の群ないしは単体側に意思があるならば、僕達の意思が否定される事になりかねないから、この論は兼ね正しいと言っていい」 「ねぇメルディ、チャットは?」 「船でお留守番だよ。整備とか言ってたな」 「そっか。後でチャットも呼んで皆でご飯食べよ?」 「ワイール! ファラがお料理久しぶり!」 「オムレツ! ファラ、俺オムレツ食いてぇよ!」 「しかしながら、霊体は半透明で消える事や乗り移る事も可能だと言うし、だいいち目視可能というのは肉体がない前提からいくと不可解だ。 そこでカロリック流動を持ち出すのだが、その前に第一条件として水晶霊と光晶霊は相性が良い。水晶霊は光晶霊が生む屈折、反射、吸収、全反射といった反応を全てやってのけるからだ。 さて、カロリック流動はグロビュール歪曲にも関係するのは周知の事実だが、霊体によくある大昔の人物という設定や、半透明、消失などといった能力はこれで説明がつく事くらいはもう分かるな? そう、グロビュール歪曲による長期スパンでの特定場においての晶霊圧力場の発生と、カロリック流動と水晶霊群の反応による蜃気楼の発生だ。 分かるかリッド?」 「いや……“そう”とか自信満々に言われても全然わかんねぇよ」 さっぱりだね、と溜息を吐く青年。学士は眉を潜めたが、直ぐにこほんと咳払いを入れて話を続けた。 「馬鹿は置いといてーーー「おい、バカって言ったかバカって!?」ーーー卵と鶏どちらが先かという話はここでは捨て置くが、 つまるところ霊魂というものは残留思念体に似たものだと考えられ、晶霊学で説明がついてしまうんだ。 これを元に考えれば、モンスターの肉体に水晶霊が含まれていない事や、 水晶霊が飽和して霧状になり現界しているいざないの密林などにおいて、霊魂、ひいては幽霊の類の目撃例が数多くあるのも頷ける。 即ちファキュラ説の立証は晶霊学の発展のみならず生態学やオカルト現象の解明においても欠いてはならない課題であり、一刻も早く取り組む必要があるのだが、 アカデミーや王立天文学会の頭が固いプライドだらけの老害連中は、自分達が支持してきた今までの常識が覆される事に強い反感を持っているため、 ドカターク効果の検証やオリナシ方程式の虚数解においても未だにーーー……」 目尻に涙を浮かべて大きな欠伸をする青年と、腕を組んで偉そうにふんぞり返る学士。 その間へ、半ば呆れたように少女が割って入った。 「ストップスト~ップ! そこまでだよ二人共! 久し振りの再会なんだからそのへんにしておきなさい!」 「いや二人ともって……明らかにキールが悪いだろ」 「つべこべ言わないの!」 ぼそりと零れた愚痴にぴしゃりと激が飛ばされ、へいへいと青年は溜息を吐く。 そこへ追い打ちをかけるように、 「そうだ落ち着け、情けないぞリッド」 と煽る声。青年はむっとして学士を睨みつける。 「……てめぇなぁ」 「こら! キールもいちいちつっかからないの!」 「そうだよぅ。リッドが可哀相。キールが意地悪な!」 「わ、悪かったよ……」 手が出る前に咎める少女達は流石というべきか。青年はしょぼくれる学士を一瞥し、やれやれと首の骨を鳴らした。 「……ったく。どいつもこいつも似合ってねー似合ってねーって言いやがって」 学士に説教する少女から離れ、青年は頭のリボンを弄りながら一人呟いた。似合ってないことくらい、分かっているのだ。 暁美ほむら。どちらでも良かったが、今考えてみれば彼女の一言が十中八九世辞だった事くらい、馬鹿な自分でも想像がつく。 でも。 「ワイール! そんな事ないよリッド! そのリボン、メルディがとっても好き!」 ……でも、それがどうした。不満も怒りも、何もかもを吹き飛ばす様なとびっきりの笑顔でそう言ってくれる仲間が、一人だけ此処に居た。 「めるでぃ」 無意識だった。口をついて出た彼女の名は呆れるくらい間抜けな音で、自分でも吹き出してしまいそうだった。 「はいな」彼女はそんな気持ちを知ってか知らずか、儚げに笑って青年の手を取った。「メルディは此処に居るよ」 青年の掌に、柔らかな肉の感触と共に熱が染み込む。彼女の手はほんのり暖かかった。 当たり前だった。だって、彼女は“生”きているのだから。血潮が流れているのだから。この世界に立っているのだから。 「メルディ」青年は繰り返し、彼女の手を強く握り返す。声は情けなく震えていた。「ごめん、ごめんな……ごめん」 彼女を見ないようにしていた。何処か喋りかけられないように祈ってしまう自分がいた。 こちらで起きてから、青年は自分なりに考えたのだ。ノアを倒す為にワープさせられた人数は四人。うち二人がプログラムである自分と暁美ほむら。 世界が崩れる瞬間、元のマスターデータに返されたのは自分だけ。メルディやクレス=アルベインは居なかった。 そして元のマスターデータに触れる事が出来たのは暁美ほむらただ一人。 つまりーーーあの世界のメルディは、もしかしなくとも。 だから、罪悪感が拭えなかった。あっちではきっと救えなかったから。 誰かを守る為に極光術を覚えたのに、おそらくそれすら嘲笑して世界は彼女を奪っていった。そしてあの時の自分はそれすら知らなかった。 それがどうしても喉に引っかかって、後ろ髪を引っ張って、しようがなかった。 結果的に彼女は生きている。それでよかったのだけれど、良いわけがなかった。 許しを乞いたいわけじゃない。これはけじめだった。もう二度と大切な誰かを喪ってしまわないよう、自分に課す戒めの楔だった。 「なんで謝るか?」しかし、彼女は言うのだ。「メルディはリッドにいっぱいいっぱい、ありがとう言いたいよ」 「でも、俺は」 「リッド」 彼女の手が両頬に確りと添えられる。情けなく歪んだ顔が彼女の双眸に映っていた。 「そのリボンーーーーーーーーーーーとっても似合ってるな」 はっとした。熱い何かが青年の胸にこみ上げる。全身が震えるようだった。 リフレインする記憶。フラッシュバックする台詞。ふと頭に過ぎる奇跡に近い可能性。 その言葉をトリガーにして、雪崩の様に全てが押し寄せた。 「メルディ、お前、まさか」 騒がしく高鳴る心音。焦点の合わぬ瞳。青年の言葉は赤子の様に辿々しかった。 目の前の彼女は、やはり笑って頷く。 「うん。全部、リッドが“おもいで”な」 「へへ……なんだよ、ったく」 青年は気の抜けた表情で嬉しそうにそう呟くと、小さく鼻を啜った。 「アリガト、リッド。この世界を守ってくれて」 少女は青年の顔から両手を離すと、くるりと回った。髪が微風に揺れて、桃色のワンピースががふわりとバルーンを作る。 「メルディ、幸せだよ」 嗚呼、なんてことはなかったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーその一言で、充分過ぎたのだ。 「おいお前ら、こそこそと何の話だ?」 無粋な奴の無粋な一言にあっと言う間に現実に戻され、青年は苦笑した。ぶちこわしだっつーの。 「知らない! 意地悪キールには内緒だよう」 「うぐ。な、なんだよそれ……」 あかんべえをする晶霊技師にあからさまに動揺する学士を見て、青年は思わず吹き出した。 嗚呼、成る程これは確かにぶちこわしだ。でもーーーーーーそれも悪くないと思うのは、なんでだろう。 「お? なんだキール傷付いたのかよ?」 「だ、黙れ!」 「ちょっと二人共!」 「キール走ったらあぶないよぅ。また今朝みたいにこけちゃうよ」 「おい聞いたかファラ。今朝みたいに、だってよ。ぷぷぷ」 「よ、余計な事は言うなお前! こいつが調子に乗rだぶべっ」 「「「……あ」」」 それから船の整備に精を出す海賊と合流して、青年達は少女の家で沢山話した。 学士の転け方があんまりだったとか、セレスティアは今異常気象が多発して大変だとか、宇宙が綺麗だとかなんだとか。 暫くして、海賊の少女が今日インフェリアに来た理由を青年達に告げた。近況報告ともう一つ、歓喜の町ジイニへ皆で行くからなのだと。 「しかしなんでまたジイニなんだ?」 青年が肉を頬張りながら尋ねる。 わざわざジイニへ行くだなんてそんな物好き、ギャンブラーくらいしかいないと思っていたからだ。 どうやらそう思っていたのは青年だけではなかったらしく、学士がうんざりした顔でパンヤ麺から箸を離した。 「まったくだよ。でもチャットが行きたいと聞かなくてな……。 一人で行けと言ったんだが、なんでもジイニでは12才以下は同伴が要るらしいんだ。 で、どうせ遊ぶならリッド達も誘うとメルディとチャットが言い出した」 「でもちゃんと公平にするよう多数決にしたじゃないですか」 「多数決!」海賊の茶々に学士が裏返った声を張り上げた。「多数決だって!?」 何が公平なもんかと眉間に皺を寄せると、学士は続けた。 「あれを多数決と言おうもんなら戦争が起きるね。いいかチャット、ああいう結果が分かりきってるのは“数の暴力”と言うんだ。 当然の様に僕が負ける。まったくもって始末が悪い茶番だ」 肩を竦ませ学士が悪態を吐く横で、けれども海賊はにかりと笑った。 「いいじゃないですか。キールさんもなんだかんだで皆さんと会いたがってましたよね?」 「……ほぉ~?」 「なぁにキール、私達にそんなに会いたかったの?」 「そうだよぅ。キールが素直じゃないな!」 「ば、ばばっ、馬鹿を言えっ。だだ誰がお前らなんかにああああ会いたいもんかっ」 嫌らしい笑みを浮かべた青年達を尻目に、学士は苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべ、咳払いを一つ。 「ごほん。ま、まぁそれは置いといてだ。 ティンシアからジイニへ、サイグローグという人物からあるアーケードゲームが輸出されたそうなんだ。それが目当てだよ。 世界で初だから見たいそうだ。サーバーという新技術を使った珍しいシステムらしくてな、プログラムが気になるんだと」 へぇ、と少女が呟くと、隣の海賊が銀色のフォークをくるくると回しながら口を開いた。 「そのアーケードゲームの開発元はアークシステムワークスと言うのですが、ぱっと出の企業で誰も知らないっていうのも気になるんです。 信じられますか? ティンシアから輸出されたくせに、街の裏の顔でもあるフォッグさんやアイラさんも知らなかったんですよ!? 一体誰が資金援助して、誰があそこまで高度なものを完成させたのか……下手をすれば軍事用にも使えるとの噂ですし」 ぐんじよう、と少女は繰り返す。それが本当ならぞっとしない話だ。 「どうでもいいけどよ、あぁけぇど……なんだって?」 青年が皿の上のオムレツをかっさらいながら尋ねる。学士はやれやれとかぶりを振った。 「ふん。“アーケードゲーム”だ。世界を旅した癖にそんな事も知らないのか? この程度セレスティアでは常識だぞ。雷晶霊に謝れ」 「お前はいちいち嫌味な奴だなぁ……ゲームくらい知ってら。ウィスみたいなもんだろ?」 覚束ない動きで肉を切り分けながら青年が言ったが、学士は呆れた表情で黙り込む。 確かにウィスはゲームだが、カードゲームであってアーケードゲームではない。 「……。聞いたかメルディ。こいつジイニのカジノに行った事があるくせに、ゲームのなんたるかを何も理解してないぞ」 「メルディもダンスしか覚えてないよ?」 「俺はインドアな遊びは苦手なんだよ」 青年がナイフを片手に肩を竦ませた。学士はふぅと息を吐いて箸を置くと、ナプキンで丁寧に口を拭き水を飲んだ。 その動作が何を意味するのか青年は理解すると、逃げるように隣の少女へ視線を配る。 「おいおい、こりゃぁまた始まるぜファラ」 「知らない。リッドが悪いんだもん」 「勘弁してくれよ……」 しかし少女はどこ吹く風。すまし顏でソディを自分の料理へ振りかける。 「いいかリッド。アーケードゲームというのはだな、雷晶霊の力を地晶霊を利用して制作された基盤に流す事で起きる反応を利用した、業務用ゲーム機器の事だ。 そもそもここで言う“ゲーム機器”という単語が何かというのを一から説明すると、セレスティアの文化と歴史に言及しなければならなくなる」 「いや、もういいからメシ食おうぜ……」 「いいや駄目だ。そう言って逃げるのはお前の十八番だからな。空腹など後で満たせばいいだろう? ……そうだな、先ずはお前にも理解できる様にティンシアを中心にして起きた産業革命と、ジイニがその特異な文化を守る為に独自に築いた交易ルートについて話そう。 そもそも何故ティンシアが職人の街と呼ばれ栄えているかだが、これは意外にも歴史は新しく、自由軍シルエシカ発足の際に多額のーーー……」 「ワイール! ゲームゲーム! みんなでやったらきっと楽しい!」 「きっとそうでしょうね!」 「気分乗らねぇなぁ……」 「大丈夫! イケるイケる!」 胸元のペットを抱きながら晶霊技師の少女がハミングすると、それに合わせて胸元で小動物、クィッキーも踊り出す。 青い毛並みが震えると海賊の少女は泣き出して、青年はそれを好機と海賊の皿からオムレツを盗んだ。 話を聞け、と怒る学士に行儀の悪い青年を怒る少女。夜のラシュアンに響く歌い声と泣き声と、罵声と食器の音。 宴はいつまでも続いて、夢のような時間が流れてゆく。窓の外には満点の星、台所からはシチューの匂い。 遠く森から梟が鳴いた。少し冷たい風が吹いて、暖炉の炎はぱちりと揺れる。 桃色のリボンが揺れて、遠く遠く、笑い声がこだまする。 それでいい。それが青年の守りたかった景色なのだから。 何処にだって行けそうだった。何だって出来そうだった。そこには全てがあった。 18歳の俺達には世界は広すぎて、けれど世界の何もかもを知ってしまった。 ーーーそう思っていた。 そしてそれは作られたものなのだと彼女は言った。でもそれが真実だろうがそうでなかろうが、何も変わらない。 目の前の笑顔は、空は、風は、光は……嘘じゃないから。 俺達は此処で生きて、生きて、生き続ける。明日は誰にも分からない。未来は誰にも見えやしない。だから、生きてゆく。 あの地平線の向こうには、何がある? 海の底は? 宇宙の向こうは? 答えはきっと、セイファートにだって分からない。 俺達は世界を知った気になっていただけで、まだ何も知らないちっぽけな人だった。 地に足を立て、息を吸ってーーーーーーーーー俺達はこの世界を歩いてゆく。 【リッド・ハーシェル 生還】 ┌┤´д`├┐ オレハモウネル <前 次> [[]]
https://w.atwiki.jp/changerowa/pages/357.html
← 少女が一人横たわっている。 クリーム色の柔らかな髪が夜風にそよぎ、一つまた一つと顔を覗かせる星々に照らされる。 自然が生み出したステージ上で、少女が立つ様子は一向に見られない。 ここは彼/彼女が輝ける舞台に非ず。 終焉を迎える、箱庭の一幕に過ぎない。 ダグバの体から粒子が放出される。 ネビュラガスを注入された者に終わりの時が訪れた証拠だ。 たとえスマッシュから元に戻っても、全員が無事でいられる訳ではない。 小倉香澄のように元々虚弱な体の持ち主なら、ネビュラガスを注入した時点で死に至る。 蓮達との戦闘で重傷を負ったダグバもその例に漏れず、スマッシュにされた時既にその命は消滅が確定した。 「……」 刻一刻と迫る死を前にしてもダグバは笑う。 作り笑いではない、本当に楽しくて嬉しかったと言わんばかりに微笑む。 アークワンという最高の玩具で遊べた。 圧倒的な力を行使し胸が弾む光景を幾つも作った。 グロンギの頂点に立つ自分でさえ、命の危機が迫る瞬間があった。 互いに痛みと死をぶつけ合い、同じ力を持つ者同士でしか見れない世界を見れた。 これを喜ばずにどうするという。 ――…… 真乃もまた笑みを浮かべる。 あれだけ自分の心を蝕んだ悪意は今やどこにも感じられない。 死へ近付いてようやく消え去ったのは、流石に遅過ぎると思うけど。 それでも、安堵と諦観を抱き静かに微笑む。 きっと、これで良かったのだろう。 生きていれば、自分の体を動かす彼はもっと多くの人を傷付ける。 今より沢山の人が悲しみ、怒り、死んでいく。 子供の頃から憧れたアイドルが笑顔を届けるのとは違う。 彼の作り出す世界で笑顔になれるのは、彼一人だけ。 だからこれで良い、これが正しい。 これ以上、誰かが命を落とす前に。 これ以上、誰かの笑顔が奪われる前に。 自分が自分で無くなり、彼と同じ笑顔を消し去る存在になる前に。 ここで終わった方が、きっと誰にとっても良いことなんだと思う。 ああ、だけど。 未練というやつはどうしたって顔を出す。 自分と同じ究極の闇をもたらす者となったクウガと、ゲゲルをやりたかった。 そうしてまた一つ、笑顔になりたかった。 帰りたい場所がある。 内気な自分を変えたくて飛び込んだ世界は、想像の何倍も輝いていて。 失敗続きのレッスンから始まった、胸を張ってお互いが大好きだと言える、真乃達三人の居場所。 どこまでも羽ばたきたいと思えたイルミネーションスターズに。 だからやっぱり 「まだ、死にたくないな」 一字一句同じ言葉を口にして、ここに二人の物語は終わりを迎える。 現代に蘇った古代種族の王は永遠の眠りにつき。 色鮮やかに輝く星々の一つは、誰にも知られず舞台を降りた。 最後の時まで彼/彼女を象徴する笑みを、決して失わないまま。 【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ(身体:櫻木真乃@アイドルマスター シャイニーカラーズ) 死亡】 ◆ 生体反応が完全に消失。 死体は髪の毛一本、服の切れ端すら残さず、あるのは首輪が一つだけ。 視覚センサーで周囲を警戒しても、動体反応はゼロ。 本当に終わったと分かり、ようやっとブラッドスタークの変身を解除。 気怠さをこれでもかと籠めたため息を吐き、首輪と支給品を回収。 やることを終え、地面へ大の字に横たわる。 アイドルの体でやるには余りにだらしない仕草だが、エボルトを咎める他の参加者は皆無。 隣に転がしたままの共犯者は未だ気絶中だ。 スマッシュに変えたダグバを使ってオリジナル態の気を引き、隙を見て纏めて攻撃。 ダグバが落としたミニ八卦炉の砲撃は大した威力だった。 これなら自分のエネルギーを流し込んで使う、エターナルソードの代わりの媒介に丁度良い。 ただ砲撃の餌食となったのはアイススマッシュ一体のみ。 オリジナル態の方は発射を察知し即座に逃走を選び、あっという間に視界から消え去った。 理性がないとはいえ生きるという本能に従うのがオリジナル態だ。 危機察知能力は高く、単に暴れ回るだけのスマシュとは違うらしい。 「プラマイゼロってとこか」 面倒な参加者が死に、そいつが使っていた道具も手に入った。 それは良いがアルフォンスは暴走したまま行方を眩ませている。 首輪解除に役立つかもしれないと踏んで同行を反対しなかったが、迂闊な判断だったと今更ながらに思う。 暴走の頻度が街に居た時より悪化しており、これでは戦兎の元へ連れて行ってもいらぬ火種になるのではないか。 先の砲撃はこれでも意識を奪う程度で済ませるくらいには加減した。 蓮からスパイダーショックを借りて拘束、処遇をどうするかは追々考えるつもりだったが結果はこれだ。 一つ良い事があれば面倒ごとも同じ分やって来る。 何時になったら気を抜けるのやらと呆れを口にし、 「……で、そろそろ元気出せよ。千雪」 (…っ!!) 己の内から怒りを向けられた。 お世辞にも機嫌が良いとは言えない体の持ち主へ、エボルトは大袈裟に肩を竦める。 それが却って、千雪の神経を逆撫ですると分かった上でやっているのだろう。 (どうして、ですか…どうしてあなたは…!) 「どうしてどうしてと言われてもねぇ?仕方なかったってやつだろ?」 (っ!あなたなら真乃ちゃんを、殺さないでどうにかする事だって……!) 「買い被ってくれてありがとよ。だが良いのか?愛しのプロデューサー以外の男に目移りするなんざ、尻軽と思われるぞ?」 (ふざけないで!あなたは…!) この期に及んで軽薄な態度を引っ込めようともしないエボルトへ、抑え切れずに声を荒げる。 千雪を知る者がいたらさぞ驚くだろう。 ここまで怒気を露わにする彼女は余程のことでもない限り見れない。 同じ事務所に所属するアイドルの少女を怪人に変貌させ、トドメを刺すというその余程の事態が起きたのだが。 「殺さないで済まして、それで?」 怒りのままに続けようとした言葉は、淡々としたエボルトの声色で押し留められた。 ダグバをスマッシュに変えず、尚且つ殺さずに捕え、蓮を庇ったままオリジナル態を大人しくさせる。 難易度は上がるが絶対に出来ない訳ではない。 問題は、それをやって何の意味があるのかということ。 「まさか、忘れちまったとは言わねぇよな?体は人気のアイドルだろうと中身は別物。そいつをわざわざ生け捕りにして、それでめでたく解決だと本気で思ってるのか?」 (っ……) 反論の言葉が出ず、吐息が漏れた。 千雪の様子を気の毒だと思うこともなく、やはり温度を感じさせない声で続ける。 「大体アイツは相棒から恨みを買い過ぎてる。お前だって知ってるだろ?それとも、体の女がかわいそうだから水に流してやれなんて言う気か?」 (そ、れは……) エボルトにしてみれば、ダグバを生かす意味は全く無かった。 もしダグバが優勝し願いを叶える為や、一刻も早く帰還する為に殺し合いに乗ったなら。 交渉次第で難波重工のように利害関係で繋がることも出来ただろう。 だが現実にダグバは優勝と言う結果ではなく、参加者と殺し合う過程に価値を見出す者。 まともな話の通じる手合いではない。 仮にダグバが気まぐれを起こし、共にボンドルド達を倒すのに協力すると言い出したとしてもだ。 千雪に言った通り、ダグバは殺し合いで他者からのヘイトを集め過ぎている。 確認出来るだけでも5人、蓮は仲間を殺された。 お人好しであれど判断力は悪くない蓮でも、流石に仲間の命を奪った奴と一時的に手を組むと言われれば納得などできないだろう。 蓮だけではない。 交戦経験からダグバを危険視するキャメロットや、同行者であったいろはを殺されたジューダス。 彼らとて承諾しかねるに違いない。 ダグバを生かすメリットと言えば、真乃と元々知り合いだった千雪や大崎甜花からエボルトへの印象を多少マシに出来る程度。 リスクとリターンがまるで釣り合っていない。 ディケイドや暴走中の康一は生きており、主催者との直接対決も控えている現状で抱え込むには厄介にも程がある。 そのような相手にまで手を差し伸べるような博愛主義者ではない。 真乃を気の毒に思う参加者はそれなりにいるだろうが、エボルトがやったのは果たして責められる内容なのか。 複数人の善良な参加者を殺した危険な者を利用し、トドメを刺した。 打算とはいえ蓮を守り、アルフォンスの暴走はそもそもエボルトの責任ではない。 感情論を抜きにすれば別に間違った行動ではなかった。 「ま、そういうこった。怒り足りないなら原因を作った連中を恨むんだな」 話はこれで終わりとばかりに立ち上がる。 唇を噛み俯く女の姿がありありと浮かぶも、所詮は些事だ。 それより今の戦闘を見て、他の殺し合いに乗った者がやって来る方に警戒すべき。 気絶中の蓮は元より、エボルトも消耗が大きい。 面倒な輩とぶつかる前に移動し、さっさと戦兎に合流するに限る。 ダグバのデイパックを漁り魔法のじゅうたんを取り出す。 これなら蓮を寝かせたまま移動できるし、余計な体力を使わずに済む。 「とんだ寄り道になっちまったが、そろそろ行くとしますかね」 道を阻むものは現れず、西を目指して飛んで行く。 あっという間に橋へ到達すれば、最早戦場には何も残らない。 王と偶像が生きた証も、何一つとして。 ○○○ 『千翼…お前を殺しに来た』 赤い獣が笑う。 『千ィ翼ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』 緑の獣が怒る。 『千翼ォ!逃げろぉ!!』 少年が自分を逃がそうとする。 『やがて、星が降る……星が降る……頃……』 そして少女が、あの娘が、 イユ、が―――― 「―――――ッ!!!!!!!!!」 記憶の中の人々が、幾つもの痛みが浮かんでは消えて。 本能という濁流に流され、木っ端微塵に散らばる。 獣は咆える。生きる邪魔をするなと。 獣は咆える。生きる為に喰わせろと。 獣は哭く。誰か自分を止めてくれとでも言うように。 そんな獣を憐れむように、慈しむように。 星は静かに見下ろしていた。 【C-4と5の境界 橋/夜】 【雨宮蓮@ペルソナ5】 [身体]:左翔太郎@仮面ライダーW [状態]:ダメージ(大)、疲労(絶大)、SP消費(大)、体力消耗(特大)、怒りと悲しみ(極大)、ぶつけ所の無い悔しさ、メタモンを殺した事への複雑な感情、じゅうたんに乗って移動中、気絶中 [装備]:煙幕@ペルソナ5、T2ジョーカーメモリ+T2サイクロンメモリ+ロストドライバー@仮面ライダーW、三十年式銃剣@ゴールデンカムイ [道具]:基本支給品×6、ハードボイルダー@仮面ライダーW、ダブルドライバー@仮面ライダーW、スパイダーショック@仮面ライダーW、新八のメガネ@銀魂、ラーの鏡@ドラゴンクエストシリーズ、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、2つ前の放送時点の参加者配置図(身体)@オリジナル、耀哉の首輪、ジューダスのメモ、大人用の傘 [思考・状況]基本方針:主催を打倒し、この催しを終わらせる。 0:…… 1:西側のエリアに向かい、しんのすけや協力出来る一団やと合流する。 2:仲間を集めたい。 3:エボルトは信用した訳ではないが、共闘を受け入れる。 4:今は別行動だが、しんのすけの力になってやりたい。フリーザの宇宙船にいるみたいだ。 5:どうして双葉がボンドルド達の所にいるんだ?助け出さないと。 6:体の持ち主に対して少し申し訳なさを感じている。元の体に戻れたら無茶をした事を謝りたい。 7:ディケイド(JUDO)はまだ倒せていない気がする…。 8:新たなペルソナと仮面ライダー。この力で今度こそ巻き込まれた人を守りたい。 9:推定殺害人数というのは気になるが、ミチルは無害だと思う。 [備考] ※参戦時期については少なくとも心の怪盗団を結成し、既に何人か改心させた後です。フタバパレスまでは攻略済み。 ※スキルカード@ペルソナ5を使用した事で、アルセーヌがラクンダを習得しました。 ※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。 ※翔太郎の記憶から仮面ライダーダブル、仮面ライダージョーカーの知識を得ました。 ※ベルベットルームを訪れましたが、再び行けるかは不明です。また悪魔合体や囚人名簿などの利用は一切不可能となっています。 ※エボルトとのコープ発生により「道化師」のペルソナ「マガツイザナギ」を獲得しました。燃費は劣悪です。 ※しんのすけとのコープ発生により「太陽」のペルソナ「ケツアルカトル」を獲得しました。 ※ミチルとのコープ発生により「信念」のペルソナ「ホウオウ」を獲得しました。 ※アルフォンスとのコープ発生により「塔」のペルソナ「セト」を獲得しました。 【エボルト@仮面ライダービルド】 [身体]:桑山千雪@アイドルマスター シャイニーカラーズ [状態]:ダメージ(大)、疲労(絶大)、千雪の意識が復活、じゅうたんに乗って移動中 [装備]:トランスチームガン+コブラロストフルボトル+ロケットフルボトル@仮面ライダービルド、グレートドラゴンエボルボトル@仮面ライダービルド、魔法のじゅうたん@ドラゴンクエストシリーズ、スマートフォン@オリジナル [道具]:基本支給品×4、フリーガーハマー(9/9、ミサイル×9)@ストライクウィッチーズシリーズ、ゲネシスドライバー+メロンエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武、アークドライバーワン+アークワンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン、ミニ八卦炉@東方project、ランダム支給品0~1(シロの分)、累の母の首輪、アーマージャックの首輪、ダグバの首輪、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、大人用の傘 [思考・状況]基本方針:主催者の持つ力を奪い、完全復活を果たす。 1:西側のエリアに向かう。ようやく会えそうだな戦兎ォ? 2:ナビからの連絡を待つ。トラブルでもあったのかね。 3:蓮達を戦力として利用。アルフォンスの奴は…どうしたもんかねぇ。 4:首輪を外す為に戦兎を探す。会えたら首輪を渡してやる。 5:有益な情報を持つ参加者と接触する。戦力になる者は引き入れたい。 6:自身の状態に疑問。 7:このエボルボトルは何だ?俺の知らない未来からのプレゼント、ってやつか? 8:ほとんど期待はしていないが、エボルドライバーがあったら取り戻す。 9:柊ナナにも接触しておきたい。 10:今の所殺し合いに乗る気は無いが、他に手段が無いなら優勝狙いに切り替える。 11:推定殺害人数が何かは分からないが…まあ多分ミチルはシロだろうな(シャレじゃねえぜ?) 12:ジューダスの作戦には協力せず、主催者の持つ時空に干渉する力はできれば排除しておきたい。 13:千雪を利用すりゃ主催者をおびき寄せれるんじゃねぇか? [備考] ※参戦時期は33話以前のどこか。 ※他者の顔を変える、エネルギー波の放射などの能力は使えますが、他者への憑依は不可能となっています。 またブラッドスタークに変身できるだけのハザードレベルはありますが、エボルドライバーを使っての変身はできません。 ※自身の状態を、精神だけを千雪の身体に移されたのではなく、千雪の身体にブラッド族の能力で憑依させられたまま固定されていると考えています。 また理由については主催者のミスか、何か目的があってのものと推測しています。 エボルトの考えが正しいか否かは後続の書き手にお任せします。 ※ブラッドスタークに変身時は変声機能(若しくは自前の能力)により声を変えるかもしれません。(CV:芝崎典子→CV:金尾哲夫) ※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。 ※主催者は最初から柊ナナが「未来を切り開く鍵」を手に入れられるよう仕組んだと推測しています。 ※制限で千雪に身体の主導権を明け渡せなくなっている可能性を考えています。 ※自分と戦兎がそれぞれ別の時間軸から参加していると考えています。 【C-5/夜】 【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】 [身体]:千翼@仮面ライダーアマゾンズ [状態]:疲労(絶大)、空腹感(極大)、食人衝動(大)、自分自身への不安、目の前で死者が出て助けられなかったことに対する悲しみ、暴走中 [装備]:ネオアマゾンズレジスター@仮面ライダーアマゾンズ、ネオアマゾンズドライバー@仮面ライダーアマゾンズ [道具]:基本支給品、銀時のスクーター@銀魂、グレーテ・ザムザの首輪 [思考・状況]基本方針:元の体には戻りたいが、殺し合うつもりはない。 0:生きる 1:西側のエリアに行き神楽さん達と合流する。 2:暴走を抑える方法も考えないと…。 3:グリードは一先ず大丈夫、かな? 4:産屋敷さん、じゃなくて無惨って人は殺し合いに乗ってたんだ…。ミーティの体、元に戻してあげられなかった… 5:殺し合いに乗っていない人がいたら協力したい。 6:もしこの空腹に耐えられなくなったら… 7:千翼はやっぱりアマゾンだったのか… 8:機械に強い人を探す。 [備考] ※参戦時期は少なくともジェルソ、ザンパノ(体をキメラにされた軍人さん)が仲間になって以降です。 ※ミーティを合成獣だと思っています。 ※千翼はアマゾンではないのかとほぼ確信を抱いています。 ※支給された身体の持ち主のプロフィールにはアマゾンの詳しい生態、千翼の正体に関する情報は書かれていません。 ※千翼同様、通常の食事を取ろうとすると激しい拒否感が現れるようです。 ※無惨の名を「産屋敷耀哉」と思っていました。 ※首輪に錬金術を使おうとすると無効化されるようです。 ※ダグバの放送を聞き取りました。(遠坂経由で) ※Fate/stay nightの世界観および聖杯戦争について知りました。 ※千翼の記憶を断片的に見ました。 ※アマゾンネオ及びオリジナル態に変身しました。 ※久しぶりの生身の肉体の為、痛みや疲れが普通よりも大きく感じられるようです。 139 Jの奇妙な冒険/懐玉 投下順に読む 141 自由の代償(前編) 時系列順に読む 137 瞬間センチメンタル 雨宮蓮 142LOST COLORS -桃源郷エイリアン- エボルト アルフォンス・エルリック 148 AMAZONZ 134 悔いなき選択 -傷痕- ン・ダグバ・ゼバ GAME OVER
https://w.atwiki.jp/musasino/pages/495.html
#blognavi 友達の引っ越しを手伝った。 彼は雨男だし。僕も雨男だし。引っ越しの日に晴れるわけがない。予想通り、打ち上げの時に雨になった。 自分も何度か引っ越したし、友達の引っ越しを手伝ったことも何回もあるんだけど。 引っ越しは切ない。 やたらハイになってダンボール運んで。わいわい家電運んで。打ち上げでお酒飲んで。焼肉食べたりして。メチャクチャ楽しいんだけど。 僕は思ってしまったんだ。 家に帰ってひとりになった時の静寂。愕然とするほどの孤独感を。 あれだよ。ドラえもんが未来に帰ってしまって、がらんとした部屋で膝を抱えるのび太君ですよ(笑) さよならドラえもん(笑) 「これからはひとに頼って生きる」と友達は宣言した。 「正解」僕は言った。「俺はそうやって生き抜いてきたんだから」 彼女が苦笑した。 「あなたはもう少し自立しないと」 もう少し自立しないと(笑) これからはご近所だから、一緒にいっぱいいっぱいサッカーを見よう。 カテゴリ [2009年05月] - trackback- 2009年05月16日 23 19 47 #blognavi
https://w.atwiki.jp/recklesstide/pages/187.html
【十代】【誰てめえ】賽: 5T ENELIS「抱きしめたいな、ガンダム!!」 N.ノワール「ま た あ な た で す か」 あえて言おう! グラハム・エーカーであるとッ! 8T 雲國齊「ティモン、肛門、見えたもん!」 賽「烏合の衆どもめ……奴らは私を狂ってると言い、私は奴らを狂ってると言ったが、畜生め。ヤツらの方が私より賛同が多かった」 世の中狂ってる 62T N.ノワール「お断りします。厄介なことは嫌いですから。」 龍凪 しずく「あらあらまあまあ。」 怖いです 63T ICE「・・・・お帰りくださいませ、ご主人様」 雲國齊「オレはアレか!」「どれや!」 ご主人様です 65T 成美「次に人格が変わる時には『鳴海Z』とかでもいいかも…… 時節柄ってやつ?」 柾木 智樹「・・・おれではまだ拡声器を使いこなせないのか。」 多重人格になってそれぞれの人格に名前をつけて名前の後ろにZをつけようとか拡声器で高らかに公言すれば使いこなせるよ! 69T 龍凪 零慈「いい眼だな。そういうの嫌いじゃないぜ」 龍凪 しずく「はいはい。」 扱いに慣れていると見える 72T アル・アジフ「くっ、もう持たんか!?いや、まだ諦めるわけには…いかんのだぁーーーー!!」 ENELIS「今日の私は!阿修羅すら凌駕する存在だ!!」 ネクロノミコンすら凌駕する存在だ! 82T 成美「巫女も良いかなって思ったんですよぉ。でもでもぉ、やっぱりぃ、メイドも捨てがたいと思うんですよねぇ~」 ENELIS「そんな道理、私の無理でこじ開ける!」 ENELIS「巫女コスを求めるこの気持ち…… ま さ し く 愛 だ ァ ッ !」 84T N.ノワール「・・・・Topazを使いこなせるなんて・・・!」 正宗「主役を思い知らせてやる」 ガチ分補給 活躍回ですね、解ります 87T Christine V「Ξガンダム……いい加減……!!目の前……からっ……消えろォっ!!」 クリティカル!! 雲國齊「悪魔の人形・・・・・・あくまの人形・・・・・・・あっ、熊の人形ww」 初戦で動転しているハイランダーに冗談は通じない 96T 正宗「そいつは武者震いか?」 龍凪 零慈「どうした……?俺が怖いのか?」 かみ合ってません 97T 成美「鳴海や鳴神なんかと一緒にしないでよね? 私は舌なんて噛ままい……痛い……」 蒔寺 楓「絶対に強いね!」 弱ほうです ……失礼、噛みました 103T 成美「正直、鳴海はプリンよりバナナ。バナナよりヒトデ。ヒトデよりお米が好きらしいわよ? だからどうしたって話ではあるんだけどね?」 龍凪 しずく「はいはい。」 ご飯にする? ライスにする? それとも、お・こ・め? 108T N.ノワール「それは困りましたねぇ・・・・・。」 大貫善治「だが断る」 確かに困る 122T 大貫善治「だが断る」 龍凪 零慈「……ああ。決着はここでつける」 台無しです 154T 龍凪 零慈「貴様は……殺す。生きて帰れると思うな」 賽「まだ解らないのか? お前の目の前にいる私って奴は、何処までも向こう見ずな女なのだ。誰もが絶望する中で唯一人、駄々を捏ね続ける我侭な女だ」 ガチ分補給2 162T 賽「不完全なものしか作れないのは知ってるさ。だが、完全であろうとする気概を捨てるつもりはない。到達できないからと言って歩みを止める諦観なんてな、面白くないだろうが」 龍凪 しずく「しーん。」賽「・・・・・・・。」 最早慣れっこだ 164T 雲國齊「川崎麻世ネーズ・・・・ぃゃ庄野真代ネーズ・・・飛んでイスタンブール~・・・・古っw」 柾木 智樹「くっ、あのΞガンダム動きが違うな・・・拡声器をうまく使いこなしてる。」 駄洒落を連発していれば使いこなせるよ! 192T 正宗「限界か?リミッターをはずせよ。あんたのその常識とかいうリミッターを! 」 成美「巫女も良いかなって思ったんですよぉ。でもでもぉ、やっぱりぃ、メイドも捨てがたいと思うんですよねぇ~」 魔法使い! 魔法使いが良いと思うわ! 208T 雄皇・ハリス「全弾防げるもんなら防いでみやがれ!」 蒔寺 楓「勝負に負けて人気で勝つ!特にあたしの!」 蒔寺 楓「由紀っちぃー、め鐘ぇーーー!」鐘「なんですか、蒔寺部長」楓「ううう、ゴメンよー」 勝者:雄皇・ハリス 「俺の旗の下で俺は自由に生きる」 雄皇・ハリス、1機撃破!! 人気投票に囚われない振る舞いをしたっていい。それが自由というものだ。 217T ENELIS「今日の私は!阿修羅すら凌駕する存在だ!!」 正宗「限界か?リミッターをはずせよ。あんたのその常識とかいうリミッターを! 」 凌駕してもまだ足りないのか!? 235T クラーケンバイオ「幸福とは何でしょうか。このように戦いの日々を送ることでしょうか。……愛する人を失っても尚、戦い続けるその未来に間違いなく待つものなのでしょうか。 」 ENELIS「まさに、眠り姫だ!!」 クラーケンバイオ「あらあらあら~」 勝者:ENELIS 「軍人に戦いの意味を問うとは、ナンセンスだな! 」 ENELIS、1機撃破!! グラハムさんかっこいいです 238T 龍凪 零慈「全力を出せそうだな……!」 クリティカル!! 賽は攻撃をかわした!! 賽「なあ、何で朝と夕は対義語なのに朝昼晩ってのが定着してて夕方だけハブられてるんだろうな。面白い解答を期待するぞ龍凪 零慈、そして必死に頭使ってる間にどーん、だ!」 クリティカル!! 龍凪 零慈「虚しいな……こんな結末は」 勝者:賽 「御苦労様、だな。戦闘評価に付きあって貰ったことに感謝するぞ、龍凪 零慈」 賽、1機撃破!! 虚しいっていうかなんていうか……コント? 240T 成美「あぁ~ 憧れの~ ツッコミマスターに~ なれるかな~ なりたいな~ 絶対なってやる~♪」 正宗「限界か?リミッターをはずせよ。あんたのその常識とかいうリミッターを! 」 無茶振りです 243T 雲國齊「おいらのハートはデリケートでバリケードなんやからww」 ICE「裏切られるほうが悪いのよ。 要するに、相手の本質を見抜いていなかったって事だからね。」 真面目に執りあう貴方が素敵 279T ICE「・・・・お帰りくださいませ、ご主人様」 クリティカル!! ヒ デ ヨ シは攻撃をかわした!! ヒ デ ヨ シ「絶対に撤退なんかしねーぞォ、オレにはなしがあるんだ。よーしストライクルージュIWSP、ストライクノワールを成敗いたせっ」 はいそうですかとは言えない 287T 龍凪 しずく「...zzZ」 ICE「・・・・お帰りくださいませ、ご主人様」 クリティカル!! ごもっとも 288T ヒ デ ヨ シ「ジャーン、なし。ほ~ら早いとこ降参しないと、このなしぶっぱなしちゃうわよ~っ」 龍凪 しずく「...zzZ」 虚しいな…… 評 一回目のハジけには足りなかったような気がするけど二回目よりはハジけていたような気がする! この大感謝ぷろむは予告通りこれでラスト。 でも奇跡的にコメントが10人以上から集まったらもう1回、15人以上で2回、20人以上で3回みたいな感じ。 参加者人数を見る限り15、10もなかなか怪しい、だがそれで良い!
https://w.atwiki.jp/ooorowa/pages/180.html
Cにさよなら/トゥー・ザ・ビギニング ◆qp1M9UH9gw 【1】 実のところ、アンクは端からオーズに勝利する気などなかった。 まだ装備もコアメダルも不十分な今の彼では、プトティラコンボを打倒するなど到底不可能である。 故にアンクは、どうにかして赤のコアメダルをオーズから奪還して、とっととこの場から撤退しようとしていた。 そう、「勝ち目がないから」こそ逃げるのである。 断じて「火野映司と戦いたくない」などという、甘ったれた理由で逃走するのではないのだ。 (だが……どうやってコイツから逃げる?) 考えるのは簡単だが、実際にそれを行動に移すとなると、話は変わってくる。 果たしてこの不完全なグリードは、自身を傷つける事無くオーズからコアメダルを奪えるのか? 使えそうな武器は、弥子の支給品を含めても拳銃一丁のみ。 杏子がいれば話は違っただろうが、生憎彼女は「オリムライチカ」と交戦中である。 つまり、アンクは己の身体能力と拳銃だけで、あの暴君と張り合わなければならないのだ。 これ程までに「絶望的」という言葉がお似合いな状況など、そうはお目にかかれないだろう。 だが、それでもアンクは引くわけにはいかない。 何しろ目の前にいるのは、今まで行動を共にしてきた者であり、同時に最大の宿敵なのだ。 ここで何もしないで逃げるのは、アンクのプライドが許さない。 「オオオオオオオオオオオッ!」 紫の暴君が吼え、アンクに向けて走り出す。 これに対し、アンクは回避という形で攻撃の直撃を阻止する。 メダガブリューの一撃を食い止めれる武装がない以上、避けるしかないのだ。 数歩引いて斧の斬撃を避けると同時に、アンクはシュラウドマグナムのトリガーを引く。 銃口から発射されたエネルギー弾は、真っ直ぐ飛んでオーズに着弾し、僅かに彼を仰け反らせた。 しかし、暴君は倒れる事無く、またすぐに雄叫びをあげて襲い掛かってくる。 このやり取りを、二人は数回繰り返している。 攻撃の仕方などに違いはあれど、大まかな流れはどれも同じだ。 オーズがその気になれば、すぐにこの拮抗状態を破壊できるというのに、彼はそれをしようとはしない。 一体どうして、グリードには一切の容赦をしない筈の男が、ここまで止めを刺すのを渋るのか。 「オイ、どうした映司」 一旦手を止め、聞いているのかも分からぬかつての仲間に問いかける。 変身しているせいで、その男の表情を読む事はできない。 「やる気のなさが滲み出てんだよ。テメェ舐めてるのか」 「……」 挑発するように言っても、オーズは答えない。 脳内で答えを構成しているのか、それとも答える気が最初からないからか。 どちらにせよ、今のオーズの様子は、アンクをさらに苛立たせるには十分すぎた。 「ふざけやがって……!」 怒りを露にしながら、アンクは銃口をオーズに向ける。 それに反応するかのように、オーズもまた、アンクへと駆け出した。 これまでと何ら変わらない始まり方――また同じ様に弄ぶつもりなのかと心中で毒づきながら、 近づきつつあるオーズに向けて、拳銃の引き金を絞ろうとした、その時。 「なっ――――!?」 突如、アンクの視界が大きく揺れた。 バランス感覚が崩れ、身体は重力に従って地面へと落下する。 オーズの狙いが"足払いによる転倒"だと気付いた頃には、もう遅い。 メダガブリューが、アンクの目前へと迫る。 「おりゃああああああああああああッ!!」 その時、威勢のいい掛け声がしたかと思えば、オーズが突如吹き飛ばされた。 いや、この場合なら「弾き飛ばされた」というのが妥当だろう。 アンクが顔をあげると、そこにはさながら天使の様な格好の少女が、あのオーズを力ずくで止めているではないか。 さらに別の方向には、二人組みの青年達と、その傍らにいる弥子の姿があった。 【2】 本音を言うと、弥子は今すぐここから逃げ出したかった。 だが、それはアンクを見捨てるという行為と同義である。 そんな事をしてしまえば、これから先ずっと後悔が付き纏うだろう。 だからできない――見捨てるなんて度胸の必要な行いは、弥子には不可能だった。 だが、助けを求めるという名目でなら。 必ずここに戻ってくるという前提があるのであれば、ここを離れられるのではないか。 そう思った途端に、足は動き出していた。 アンクと共に戦ってくれる仲間を求めて、弥子は走り始めていた。 それが、否定していた筈の「逃げる」という要素を含んでいるのは、自分自身が一番よく分かっている。 しかしそれでも、無力感と自己嫌悪を背に乗せて、彼女はその場から「逃げ出した」。 程なくして、助けに応えてくれる人が見つかった。 サイドカー付きのバイクに乗った二人の青年と、宙に浮いていた少女の三人。 人間が空を飛んでいたのには流石の弥子も面食らったが、しかし今はそれを気にしている場合ではない。 すぐに同行者が危機に瀕している事を伝えると、彼らは何の戸惑いもなく救助を承認した。 安心感を得るのと同時に、弥子は彼らに羨望の眼差しを送らざるおえなかった。 この三人は、怖気づいて逃げ出したような自分とは違い、逆境に立ち向かえるだけの勇気を持っている。 それが、弥子には羨ましくて仕方がなかった。 さて、結果として弥子の行動は正しかった。 助太刀が無ければ、間違いなくアンクは殺されていたし、弥子も同様に絶命していただろう。 間一髪の所で男を救えた三人も、後悔せずに済んだという訳である。 しかし、それが万人にとって気分のいい事とは限らない。 攻撃を妨害されたオーズは勿論のこと、戦いに水を差されたアンクも不快感を示さずにはいられなかった。 「……なんで助けた」 「アンタの連れに頼まれてな。助太刀に来たぜ」 「いい迷惑だな。邪魔だからとっとと失せろ」 「悪いけどそれはで無理な相談だ。君を放っておく訳にはいかない」 アンクの拒絶を、フィリップが否定する。 「それに、僕達は『仮面ライダー』なんだ。救える命は救うのが使命だからね」 「……また仮面ライダーか」 「仮面ライダー」という言葉を聞いた瞬間、剣崎の姿が想起される。 この二人も、あの男と同じ様な正義感を持っているのだろう。 「行くぞ、弥子」 これ以上拒絶しても、あの三人は言って聞かないだろう。 そう考えたアンクは、踵を返し何処へと去って行く。 弥子もまた、彼が去った方向へと向けて走り出した。 O O O 「――――よくも」 乱入者に怒りの入り混じった言葉を投げつけたのは、他でもないオーズだった。 彼の恨みの篭ったそれは、火野映司が発したものとは思えない。 いや、そもそも彼は火野映司ではないのだから、違って当然なのだろう。 オーズの姿が歪み、瞬く間に別の姿――白い人形のような形態に変貌する。 その醜い姿を、翔太郎達が知らない訳がない。 「あ、アンタさっきの……!」 アストレアが驚愕の声をあげる。 いくら馬鹿と貶されていようが、数十分前の記憶を忘却するほど彼女の知能は低下していない。 イカロスと織斑千冬を嵌めた張本人が、今まさに彼女らの前に姿を現していたのだ。 「計画が全部ムチャクチャだよ。どうしてくれるのさ」 「計画って……!?まさかまた誰かをハメるつもりだったの!?」 「そうだよ。それ以外に何するのさ」 「……ッ!」 あっけらかんとした態度で答えるアンクに、アストレアの表情が怒りで歪む。 この怪人は打ちのめされて反省するどころ、またしてもダミーメモリで陥れようとしていたのだ。 この悪魔の如き所業に、彼女の怒りは大きく燃え上がる。 様子こそ変わっていないものの、翔太郎とも同じ思いを抱いただろう。 「観念しな偽者野郎。お前のメモリはここで砕かせてもらうぜ」 帽子を深く被り直し、翔太郎がドーパントに宣戦布告する。 彼の目には、あの外道を打倒してみせるという覚悟が宿っていた。 「行くぜ、フィリップ」 「ああ、翔太郎」 翔太郎がダブルドライバーを装着し、懐から一本のメモリを取り出す。 同様にフィリップもまた、メモリを取り出した。 フィリップの腰に複製されたダブルドライバーが出現し、彼はそれにメモリを挿入する。 そのメモリは翔太郎のドライバーへと転送され――変身の準備が整った。 翔太郎も手にしたメモリを挿入し、そしてバックルを展開する。 《――CYCLONE――》《――JOKER――》 二つのガイアウィスパーが流れた瞬間、翔太郎の姿は変化した。 一瞬の内に、彼は人間からガイアメモリの戦士――仮面ライダーダブルへと変貌を遂げる。 それと同時に倒れ込んだフィリップは、彼自身が用意したカンドロイド達に運ばれて何処へと去っていく。 これで障害は無くなった――これからが、本当の戦いの始まりなのだ。 「『さあ、お前の罪を数えろ――――!』」 【3】 「佐倉杏子」に擬態したXが目にしたのは、二人の天使による空中戦である。 デイパックを背負った金髪の方は、以前黒騎士に襲われた際に助けてくれた少女だと理解できた。 もう片方は見た事もないが、姿からして恐らくは交戦している相手と同種だろう。 「すっげぇ……神話みたいだ」 目を輝かせながら、Xが呟く。 さながら天上から舞い降りたかのような麗しさを有した二人による戦いは、Xに強い好奇心を植えつけるのには十分だった。 だからと言って、Xがその戦闘に介入する事はないだろう。 佐倉杏子との戦闘によってメダルも減っているし、戦ってばかりいると「殺し合いに乗った者」と思われそうだからだ。 自分のルーツのヒントになりそうな参加者を集めた真木清人には一応感謝しているが、 だからと言って殺し合いに乗って彼の言いなりになるつもりもない。 自分は好きなように歩き回って、好きなように"箱"を作るだけだ。 それの邪魔をするのなら、例え主催者であっても彼は牙を剥くであろう。 「ああでも、真木やグリードって奴らの中身も見てみたいなぁ……」 「佐倉杏子」の声色で呟いたそこ言葉は、誰にも聞かれる事なく宙へと消えていく。 【4】 ダミー・ダーパントは、言ってしまえば最強クラスの怪人と言っていい。 何しろ、相手の知る中で最強の存在にそっくりそのまま擬態できるのだ。 最大の敵にも、最愛の味方にもなれるこの能力を、一体誰が弱いと一蹴できようか。 さて、今のダミー・ドーパントは、アストレアの記憶から複製したイカロスの姿で戦っていた。 先の戦闘のように大道克己に変化すれば、ダブルだけは無力化できるものの、 空中を自在に移動できるアストレアが相手では、エターナルでは苦戦を強いられる。 故に、ここは彼女と同じく飛行戦が可能かつ強力な、エンジェロイドに擬態せざるおえないのだ。 相手となるアストレアは、こと接近戦においてはエンジェロイドの中でも最強だ。 手にした剣はイカロスのシールドすら砕き、身を護る盾はあらゆる砲撃を無力化する。 そんな武器を持つアストレアに接近戦を挑むのは、あまりに無謀と言えるだろう。 しかし逆に言えば、距離を置いて戦えばこちらにも十分勝算はあるという事だ。 となると、一旦アストレアから離れ、遠距離からの砲撃を繰り出すのが、この戦闘において最も有効な戦法だろう。 その事は『イカロス』とて十分承知していたので、彼女もそういう戦法を取ろうとしている。 しかし、それなのに、どうしてなのか。 (遅い……イカロスがどうしてここまで遅い……!?) 神速とも言えるエンジェロイドに擬態しているのにも関わらず、その速度は予想以上に遅い。 それ故に、機動性なら最速を誇るアストレアに簡単に追いつかれてしまい、 遠距離からの蹂躙がかなり厳しくなっているのだ。 それどころか、「Artemis(アルテミス)」の威力も心なしか低くなっているように思える。 完全に擬態ができているのなら、こんな事態などありえない筈なのだが。 これには、先ほどの戦闘によるダメージがまだ完全に癒えていなかったのもあるが、 何よりもガイアメモリとアンク自身との相性が大きいだろう。 いくら人の形をしているからと言っても、所詮アンクはメダルの塊に過ぎないのだ。 本来人間用に造られたガイアメモリをグリードが使用するのは、 言ってしまえばロボットがビタミン剤を使うようなものなのである。 主催側の尽力によって、一応外見はそっくりに擬態できるようにメモリを「騙している」ものの、 それでも戦闘面での再現度は、人間が使用した際よりも大きく劣るのだ。 アンクがそれを知らないのは、彼自身が戦闘の際に手を抜いていたからだろう。 エターナルに擬態した時も、アンクは全力を出さずに「相手を嬲る事」を常に頭に入れていた。 相手を生かさず殺さず痛めつけようとしたが故に、彼は己とメモリの相性の悪さに気付けず、 ぼろぼろの状態のクウガ一人に互角の戦いをするどころか、打ち負けてしまったのである。 ――とどのつまり、彼は新たに目覚めた快楽によって、自分の首を絞める羽目になったのだ。 「やっぱり偽者ね!先輩はもっと速いもの!」 「グッ――――黙れェ!」 激情に駆られて、『イカロス』が再び「Artemis」を発射した。 今回は数発だけではない――今回はメダルの使用量を度外視し、10発以上は放っている。 「Artemis」は自在に軌道を変えられるが故、相手がどこに居ようが、自由な箇所に着弾させられる。 対して、アストレアが持つ盾――「aegis=L」は、鉄壁の防御を誇るものの一方向しか守れない。 単純に考えれば、ここでダメージを負うのはアストレアなのだが――。 ―― Trigger! Maximum Drive! ―― 「『トリガーッ!フルバーストッ!!』」 突如別方向から発射された光弾が、アストレアへと襲い掛かる攻撃を尽く相殺する。 悲しいかな、メモリとの相性の悪さが原因で、「Artemis」の威力も無残なまでに弱体化しているのだ。 誰が『イカロス』の邪魔をしたかなど、もう検討がついている――アストレアと共にいた、あの二人組だ。 「仮面、ライダァァァ……ッ!」 「危ねえ危ねえ……さっきのは流石に肝が冷えたぜ」 仮面ライダーダブルの援護によって、全力の一撃は無意味となった。 さっきから何もかもが上手くいっていない――この時、アンクの苛立ちは限界に達していた。 「よくもよくもよくもォ!ナメるのもいい加減に――」 「隙あり!いっけえええええええええええ!!」 掛け声に反応した『イカロス』が、咄嗟に防御壁「Aesis(イージス)」を展開する。 そしてその直後、予想通りアストレアが剣を片手に突っ込んできた。 しかし、直後で『イカロス』は気付く――これは悪手であるという事実に。 クリュサオルは、あらゆる防御を粉砕する最強の剣なのだ。 『イカロス』が張った「Aesis」など、容易く破壊されるだろう。 アンクがもう少し冷静だったのなら、アストレアにも別の方法で対処できた筈だ。 しかし、激昂により冷静さが欠如した今の彼には、そのまま斬劇を受け止めるという選択肢しか思い浮かばなかったのだ。 故に――――彼は敗北する。 「そんな……ッ!こんな事、が……ッ!」 「いっけえええええええええええええッッ!!」 クリュサオルの刃が、『イカロス』の防御壁を打ち破り、そのまま彼女の身体を切り裂いた。 これが『イカロス』――否、ダミー・ドーパントの呆気ない最期であった。 【5】 無愛想な表情を崩さぬまま、アンクは歩みを進める。 まるで親鳥に着いていく小鳥のように、弥子も彼と同じ道を歩いていた。 彼女の前を歩くアンクは終始不機嫌そうで、気軽に声をかけれるような雰囲気ではない。 しかし、弥子は意を決して彼に質問をぶつけてみた。 「あの……やっぱり迷惑だった、よね?」 「ああ、大迷惑だ」 即答だった。 あまりにも素早い切り返しは、普通に言われる以上に心に響く。 僅かながらも後悔の念が弥子の心中に生まれるが、しかし彼女は別の問いを投げかける。 「あの映司って人……アンクの友達なの?」 「アホか、アイツと馴れ合った覚えはねえ。第一、そんな事聞いてどうするつもりだ」 「だって気になったから……」 弥子のその言葉を最後に、会話は途絶えた。 それから聞こえるのは、二人の靴が地面を叩く音だけである。 しかし、それからしばらくして、三人目の足音が聞こえてきた。 それに気付いた弥子が辺りを見回すと、見知った顔が視界に入ってきた。 「あっ……杏子さん!」 あの赤い髪をした釣り目の少女は、間違いなく佐倉杏子だ。 弥子は彼女へ駆け寄り、再会の喜びを分かち合おうとする。 「無事だったんですね……良かった……」 「あ、ああ。何とかな」 ぎこちない口調で返事をするものの、その声色は紛れも無く杏子のものだ。 無事に仲間が戻ってきた事に、弥子は深く安堵する。 しかし、その再会を手放しに喜ばない男が、一人だけいた。 「……オイちょっと待て。首輪がおかしいぞ、ソイツ」 アンクの知る限り、佐倉杏子の首輪の光は"赤色"だった筈だ。 それなのに、今の彼女の首輪の光は"緑色"をしている。 それがどうにも不可解だ――ルールには、陣営の変更は無所属にしかできない筈なのに。 「本当に杏子なのか、お前」 「なに言ってるのよアンク!どっからどう見ても杏子さんじゃない!」 「そうさ!今更疑うつもりかよ!」 「シラ切るつもりか。だったら、俺がお前に渡したアイスの本数を言ってみろ。食った本人なら分かるだろ」 「…………ッ!!」 突然、杏子の顔が苦悶に染まる。 食べたアイスの本数などという"本人にしか分からない問題"を出されたせいだろう。 それを見たアンクは確信した――この女は「佐倉杏子」ではない。 「もう一度聞くぞ。誰だお前」 そう問いかけた頃には、既に杏子の姿はなかった。 何故なら、かつて杏子がいた場所には、人の形をした怪物が存在していたからである。 顔の右半分が別人に変貌しているその者を、弥子は知っていた。 「そんな……嘘……!」 「結構上手くできてたと思ったんだけどなぁ……。 けどよく見抜けたね。褒めてあげるよ」 声色も、既に杏子のものではない――それは間違いなく、「怪物強盗X」のそれだった。 【6】 見事宿敵を打ち倒し、地上に舞い降りたアストレアを、ダブルが出迎える。 したり顔をした彼女の姿を見た彼らは、そこで「少し前までの彼女」との相違点に気付いた。 「アストレア……お前デイパックどうしたんだ?」 「えっ……あ、あれ!?……ない……何処にもない!」 アストレアは戦闘の際に、邪魔にならないようにデイパックを背負っていたが、 今の彼女の背中には、あるべきそれが何処にも見当たらないではないか。 アストレアも言われてから気付いたようで、あちこちを見回して自分のデイパックを探している。 「ど、どうしよう!どこかに落としちゃった!探さないと!」 「……いや、探す必要はないぜ」 何かに気付いた翔太郎が指差した方向には、赤い怪人が直立していた。 メモリを砕かれた事に怒りを覚えたのか、彼の視線は射抜くように鋭い。 そして彼のすぐ近くには、アストレアの探し物がうち捨てられていた。 『メモリブレイクを受けてもまだ立ち上がるとはね……』 「ああ、流石グリードってわけか」 恐らくは、クリュサオルが直撃する直前に、アストレアがらデイパックを無理やりもぎ取ったのだろう。 その証拠に、デイパックの肩掛けは引きちぎられてしまっている。 「……許さない――――殺してやる」 その言葉には、ぞっとするような殺意が篭っていた。 しかし、アストレアとダブルはそれに怖気づくことなく、再び臨戦態勢を整える。 それに対しアンクは、いつの間にか手にしていたバックルを腰に当てる。 そうすることでベルトが出現――バックルがアンクに装備される。 「変身」 ――Open up―― そう宣言して、バックルの右側を展開する。 そこから放出された光の壁がアンクを通過すると、既にその姿は別人のものへと変化していた。 鳥類を擬人化したような怪人態から、「A」をモチーフとした鎧の騎士へ。 ベルトを使用する変身には、ダブルの二人にも覚えがあった。 『あれは、仮面ライダー!?』 「嘘だろ……!?」 鎧の騎士――グレイブは、変身するやいなやラウザーから一枚のカードを取り出した。 それを察知したアストレアとダブルが、彼の行動を阻止しようと妨害を試みる。 『TIME』 その電子音と共に、グレイブがその場から消失する。 そしてその直後、「ドシュリ」という鈍い音がアストレアの腹部から聞こえてきた。 見ると、一本の光り輝く刃が、彼女を貫いているではないか。 彼女の真後ろには、ついさっきまで向こう側にいた筈の仮面ライダーの姿があった。 「………………ぇ?」 数刻ほど遅れて、アストレアの口元から、嗚咽と共に鮮血が漏れ出した。 その時、アストレアは刺されたという事実すら咄嗟には理解できなかっただろう。 グレイブが剣を引き抜くと、そこから赤い液体が滝のように湧き出てくる。 致命傷を受けたアストレアの身体は、糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちた。 肉体を貫いた刃が何を意味するのかも解らぬまま、彼女はその場に倒れ伏したのだ。 ダブルは一刻ほど、呆然としたまま目の前の惨状を見つめていた。 しかし数秒もすれば全てを理解し、やがて怒りがふつふつと沸き起こってくる。 そしてそれが最大に達した時、ダブルの――翔太郎とフィリップの感情が爆発した。 「てめええええええええええええッ!!」 怒りに任せて、グレイブに向けて拳を叩きこもうとする。 しかし、彼は冷静にグレイブラウザーからカードを抜き取り、それをスキャンする。 『ABSORB』 『MACH』 高速移動が可能になったグレイブは、すぐさまダブルの攻撃をかわし、そして後ろに回りこんで斬撃を加える。 くぐもった声と共に、ダブルは仰け反った。 直前に『ABSORB』のカードを使用し、AP――ラウズカードのコストを回復することにより、 グレイブは何の心配もいらずに別のラウズカードを使用できるのだ。 『高速移動……!?翔太郎、ここはサイクロンジョーカーだ!』 「ああ、分かっ――」 「させないよ」 『TIME』 またしてもグレイブが消失したかと思えば、突如目の前に現れてダブルにまた一撃を与える。 その衝撃によって、翔太郎は使用しようとしていたジョーカーのガイアメモリを落としてしまう。 すぐに取りに行こうと手を伸ばすが、それよりも先にグレイブの足がメモリを踏み砕いた。 「なっ……テメェ……!」 「絶体絶命だね、仮面ライダー……フフッ」 まるでこの状況を楽しむかのように、グレイブが嗤った。 NEXT Cにさよなら/空は高く風は歌う
https://w.atwiki.jp/trpgken/pages/1427.html
ガイラス・オズワルト/"Black-Magician" (つきよな) 「堅いなぁお前」 「お前たちのためでも、世界のためでもない。 奈落の支配下で俺が暮らせるようには見えないから、協力しているまでだ。」 「俺は生き延びるために父親を盾にした男だ!」 クラス クラス Lv 加護 コンダクター 20Lv イドゥン ベテラン 20Lv ミューズ ストライカー 20Lv ブラギ×2 消費経験点:たくさん。サクセション済 ライフパス 出自:天涯孤独 経験:戦火 邂逅:あこがれ:金剛リョウジ ミッション:平和を守る、戦争を止める ライフスタイル:富豪 住宅:大型施設(なお月) 能力値 (あとで変更します。さき設定だけ。) 能力値 体力 反射 知覚 理知 意志 幸運 基本値 7 21 21 21 18 21 ボーナス 2 7 7 7 6 7 戦闘値 未搭乗 搭乗時 命中 43 50 回避 43 54 砲撃 43 46 防壁 41 49 行動 52 61 力場 413 505 耐久 204 243 感応 200 229 近主攻 49 斬62 近副攻 49 斬59 遠主攻 49 炎67 遠副攻 49 炎60 防御修正 斬 刺 殴 炎 30 24 26 26 上にない 神 以外の属性…20 移動力 戦闘移動 全力移動 2 4 特技 excelファイルだよー できることに関してはカスタムをみればちょっとはみやすい。基本倒れるだけだよー。 耐久力もとうとうみんなに負け、申し訳程度のナックル機能が付いた。火力はまぁ、お察し。 敵の攻撃、避けたいなぁ。 装備 一般アイテム 未定 名前 種別 タイミング 効果 人間用装備 名前 種別 効果 GPS エキストラ なおサブパイロット ガーディアン装備 名前 種別 部位 効果 アハゲリス 格闘戦向き量産型。だが9レベル必要 メタルダガー 白兵主 回避+1 エンタングルワイヤー 白兵副 命中+1 ハイエンドバズ バズ 砲撃主 2回で弾切れ 手榴弾 グレ 砲撃副 1発のみ AL粒子エンラージャー カバーアップの射程+2 『ディメンジョン・ウォール』EN10消費し、被ダメ決定後に発動。受けたダメージ分の実ダメージを相手にも与える。シナリオ1回 ブラックマジシャンは予備機が自己生成される…テータ的には乗り換えても装備などがすべて1機目のものを参照する。 ??? 設定・その他 一旦更新。あとで書き足す。 さっぱり系軍人。割りきりがすごいのか現実を見てないのか、非常に割り切った考え方をする。逃げることさえも容易に許容するどころか促すそぶりすら見せるため、叩き上げでない上級の士官にはいい顔をされず、長年のキャリアと戦場の(生存・ひいては偵察)実績と稼ぎがあるが、少尉から一向に昇進しない。「次の昇進は二階級特進だな」などといわれており、本人も自分で言っている。本人にとっての最重要事項は「死なないこと」であり、仁王立ちよりは撤退を選ぶ。「先にいけ」といわれたら迷わず撤退する。 その論理が逆転しうる時は来るのか。どうするんだPL。 イゾルテ達とは士官学校においてだいたい同期。同期ではあるが、根本的に思想や主義に興味がないため、物量や補給の面で長けた既存勢力を離れることはしなかった。そのためイゾルテ達とは基本的に考え方は合わなかった。しかしながら、演習で同じチームになった際、リーダーの失策で他のチームメイトが一日目に全員脱落する中、3人(3機)で5日間持たせた上に拠点攻略を成し遂げるという事件があった。それ以来たまにこのメンバーで集まっているところが目撃されており、仲はそんなに悪くなかったのかもしれない。もっとも、喧嘩してたといううわさも聞くが。 悠久とも思える奈落との戦。その中において、ガイラスはどう立ち回ればよかったのだろうか。正解はわからないが、ガイラスは持てるすべてを発揮しなければいけなくなった。それは、幼少のゲリラ時代に学ばされた、研ぎ澄ました一撃で相手を絶命させる死の 、そして自身で嫌悪し、アーロン・オズワルトが禁止した「殺し」の精神である。 非情にも数々の戦いや殺しをその目で『観察』してきたガイラスであるがゆえに、そしてブラックマジシャンという機体が空間を操るという攻撃転用が可能な特性をもったがゆえに、武器をもった彼の機体は、恐るべき白兵能力を発揮してしまった。「生き残る」ためとはいえ、これはガイラス自身が「戦争の中で生きる」宿命を負ったと自分では考えざるを得なくなったということ。さて、彼自身は戦争を望んでいたであろうか。 機体 旧機体;踊る棺桶 +... 機体は長年の愛機「歩く棺桶」、と思いきや最新ミーレスのアハゲリス。しかしその装甲の下には色違いのアハゲリスの外部装甲がまたあり、実際のところマトリョーシカのような3段構えの外部装甲を有している。また機体がドラクエよろしく数個の棺桶を引きずっており、離れた味方を庇う際に棺桶を投げつけ攻撃を誘導する。曰く「思い通りには死んでやらない・殺させない」という彼なりの決意・執念の現れだとか。攻撃性能はお世辞にも高いとはいえないが、耐久性が非常に高く、また彼の回避技術も相まって、生半可な部隊の攻撃では彼を倒すよりも先に弾薬が切れてしまい、撤退を余儀なくされる。その舞うような回避性能と引きずっている棺桶から、「おどる棺桶」と呼ぶ兵士もいるとかいないとか。 「あえて量産機に見せることで敵の焦りや油断を誘う。あえて棺桶を引きずることで下っ端たちの戦意を挫く」とは本人の弁。 本人は「よくあるミーレス」としか説明しないが、改造したにしても胡散臭い性能のアハゲリス改。それもそのはず、このアハゲリス改にはとんでもない試作品が搭載されていた。それは「擬似AL粒子」。ガーディアンをガーディアン足らしめるAL粒子を、あろう事か人工で模造したものを搭載している。時折みせる重装甲な見た目にそぐわぬ瞬発的な高速機動、そしてアハゲリスの装甲を3倍にしただけでは説明のつかない防御力がそれを証明するだろう。ただし100%の性能ではないのか、他人の(本当の)AL粒子を活性化させる方向(データ的には「ミューズ」や「ブラキ」)では引けを取らないのだが、直接的な離脱力や火力、火器管制には応用していない(できない?)ようである。 なおガイラス機は激戦に巻き込まれやすい割には機体が無事に帰還する確率が高く、殿を務めるため戦場に留まる時間も長い。そのため耐久テストや実戦データの収集などの目的で変な試作品を積まれることが多いようだ。擬似AL粒子は失敗時の危険性が予測不可能であったため、最新ミーレスのアハゲリスが支給される。その後、ガイラスの注文によって、元のアハゲリスから大きな改造が行なわれ、現在のアハゲリス改に落ち着いたとされる。 なお自身の機体に試作品を積まれる事については、相応の謝礼金を受け取っており、階級が上がらないながらも彼の生活(生活スタイルは裕福)を楽にしているため、彼は進んで協力している。しかし逆に、彼が試作品テスターとして優秀に働くが故に、前線に立たない上級士官への彼の昇格は、軍内部のみならず技術部などからの圧力も合わさって揉み消されているという噂もある。 12/27更新 敵の奇襲によりもともと乗っていた機体(アハゲリス)が致命傷を受ける。予備機の発進が間に合わずこれまでかと思われたが、マイスターが調整中だった、ヒルコと共に放棄されていたミーレスをマイスターが緊急発進、とっさにガイラスはそれに乗り込んで危機を免れる。 黒いローブ・黒い三角帽、取り回しの良い杖(短剣相当)を備えた魔導師のような外見、そして転移や複製など奇術師のような挙動を持つ機体で、ガイラスによって『ブラック・マジシャン』と命名される。 ガイラスからの評価としては『量産機にしてはトリッキーすぎる』とされる。同じ場所に廃棄してあったヒルコの性能を考慮すれば、おそらくヒルコの突貫を成功させるために先んじて場所取りを行い、転移による急速接近をすると共に、防衛能力に劣るヒルコへの攻撃を自身に引き付ける役目を担っていたと思われる。正面火力や火力支援にはあまり長けたとは言い切れないこの型が量産されたところをかんがみると、開発者のヒルコの攻撃能力への絶大な信頼と、脆さへの意識があったことは推察可能である。 謎の魔術の技術が使われており、機体そのものの空間転移や自己増殖が特徴。どこからともなく箱をだし、その中に格納することができる。呼び出した箱には元の機体のコピーが積まれてることがあり、ガイラス曰く「コクピットごと転移して乗り換えが可能」とのことだが、技術班は首をかしげている。また機体の位置を瞬時に取り換えたり、任意の場所に移動することが可能であり、ミーレスとは思えない挙動ばかりである。また装甲そのものは別段厚くないのだが、起動時に魔法陣が敷かれ、そこから力場が発生しているため、見た目以上に耐久力が高く、戦艦と同レベルともいわれる。また限定的な反撃機構が備わっており、量産が可能であれば非常に強力な戦力ではあっただろうと推測される。 以上より、尖ったコンセプトの機体でありポテンシャルはすごいのだが、消耗戦においては一方的に不利になる対奈落戦において殲滅戦に壊滅的なまでに向かないため、ヒルコともども凍結されたのもわからなくもない機体である。 という話だった。しかし戦況は変化し、予断を許さない。そこで運悪く、ガイラスは考えた。 「なぜヒルコではなくこんな汎用性の低い護衛機を量産したのか、そしてこの量産機まで凍結したのか」という本質的な謎である。月夜見の反応を見るに、性能自体は一定の評価を得られており、なにより量産が容易ゆえ戦力の爆発的な水増しがみこめるのだ。 ガイラスはこう結論付けた。『この機体は”人間魚雷”としても使えるよう設計された可能性があり、それをしようとする者達を止めるために凍結された』。観客の歓声のために火の中に飛び込み、生還する。失敗すれば死。それこそが”奇術師”なのかもしれない。 (以下、死に設定) +... 実は彼は月生まれではなく、政府軍と反政府ゲリラが争う紛争地域の街で生まれる。生まれてまもなくその街が戦場になり、物心がついたときには既に街は崩れ、両親家族はおらず、ゲリラ側に拾われた彼は少年兵として戦場に駆りだされていた。 そんなある日、彼の目の前に政府軍の指揮官機が姿をあらわす。その指揮官機は圧倒的な技量と機動力でゲリラ側の攻撃をすべていなしたため、弾を撃ちつくしたゲリラ達は彼に逃げることを禁じ、それを身代わりに撤退した。元々戦意の低かった彼はすぐに投降。その指揮官機を操っていた傭兵団長アーロン・オズワルトの好意により、「ガイラス・オズワルト」と命名され、彼の養子となる。 この戦いの一件、およびその後のアーロンの指導方針により、「弾が有限である以上、防御能力にすべてを掛ければ自ら撃たずとも決着はつく」という考え方にくわえて、「命あっての物種」的な、忠誠にとらわれない傭兵的な価値観が形成され、彼の機体改造の傾向に大きな影響を与えている。 その数年後、ミーレス乗りとしての才覚があったこと、およびアーロンを慕っていたこともあり15才にて傭兵団に参加。殺意や覚悟の不足や過去のフラッシュバックなどのため射撃や格闘はからっきしだったが、鍛えられた確かな危機回避能力から、サブパイロットとして傭兵たちに評判になる。その腕を買われ、アーロンは自身の実の娘(つまりガイラスの義理の妹にあたる)が初陣のさい、機体を改造して無理やり複座にし、16歳だったガイラスをサブパイロットに据えた。しかし、その初陣が、大きな転機になってしまう。 傭兵団に指示を下す、味方であるはずの国、ヴォルフ共和国側の指揮官に内通者がいたのだ。 圧倒的戦力差で囲まれ、しかも本体から救援がない絶望的な状況の下、あれほど生き延びることを重視していたアーロンが娘の制止を聞かず囮として陽動、その意図を悟ったガイラスは独断で操縦系統を切り替え、彼一人しか操縦できないようにした上で全力で包囲網を突破。生き残った他1機と共に逃走した。 彼が現場から戻ったことで裏切りは露見し、国にとっての最悪の事態は免れることはできたが、この一件により傭兵団は事実上壊滅、また娘はショックで正常なコミュニケーションが取れなくなってしまった。そこでガイラスはこの事件の功績を楯に取り、ヴォルフ共和国の正規軍への自分たちの編入を要求し、強固な意志によってそれを勝ち取る。 上等兵から再スタートしたガイラスは、その後もエースたちの撃墜数争いに参加することこそなかったが、絶対に帰ってくる斥候として、敵前線の偵察や陽動、撤退時の殿として特に真価を発揮し、最終的にはその戦術眼と「持ちこたえさせる」技術を買われて月の基地の守備隊長となり、三話にいたる。 彼のサブパイロットは一切通信をつながない・しゃべらない・表情を変えない・人前に出ない、ため、3話では未登場。お蔵入りも辞さない。ああ、なんか、黒幕になっちゃってたらごめんな。 というわけで実のところ非常にドライな見方をする生粋の軍人。だがまぁ「殺られる前に殺れ」ではなく、「お前に俺は殺せない(物理的に)」のタイプなので、軍人ぽくない感はすごい。ある種究極の自己中。ただまぁ、3話の様子だと思い悩んでる場合じゃなかったとかいろいろあった。「生き残る」ために「生き残る」。 彼自身、クエスト通り平和を求めてはいるのだろう。だが戦争の中で生まれ、戦争で育ち、戦争によって奪われ、戦争で生計を立てるガイラスは、この戦争の歯車は止められないし、壊せないし、どころか自身も歯車となって抜け出せないどころか組み込まれてしまっている。そんなすべてを飲み込む戦争に対する彼のささやかな抵抗、それが彼の生への執着なのだろう、か。もし彼が自分の命以外のものを優先するとしたら、それをさせるのは彼の罪悪感か、それとも。 「死ぬ奴には3種類いる。天寿を果たす者、現実を見ない者、そして死の向こうに何かを見出した者、だ。」 彼の妹、ベルメール・オズワルトとガイラスは別行動である。一説によれば、ベルメールはガイラスを親の仇だと考え、命を狙っているとかいないとか。もしベルメールが戦場に現れた時、彼はベルメールへの攻撃を制止する可能性はある。罪悪感がないわけではないのかもしれない。 ガイラス・オズワルトは、いまや自身の機体やその武装が戦争の火種になりうることを知った。彼の持つ機体は特攻向きで、誰でも乗れて、乗り手が望めば無限に増えるのだ。存在も広まり、無事に凍結できるとも思えない。なれば。 PLより スポット参戦キャラ。パーティの穴を埋めるという目的で作ったものの、性能がアレすぎて浮くどころかパーティの角になってしまったキャラクター。攻撃・支援能力を極限まで削ることで避けて耐えるという矛盾をなんとか両立、ぎりぎり実用品に仕上がる。エンディングを譲ってもらったため綺麗に去れたのはとても感謝。性能把握のタイミング的にGMのイライラ度は確実に稼いだはず。 戦術指南 最初のイニシアチブに戦術指揮をかける。なぜか自分にもかかる攻撃防御+2なので絶対に忘れない。カバー延長装備+Ⅱもあるので、なるべく射程3~4マスを意識。 アタックエクステンションは言ってることがおかしいので味方攻撃時には気を配る。 射程視界のワープカバーがシナリオ2回撃てる上に、イニシアチブで麻痺が治る。ついでにいえば攻撃特技がないおかげでHPとENはほぼ切れない。これらの特性上、ブレイクすると逆に何の役に立たなくなるのが最大の要注意ポイント。今思ったが、GM側で出てきたらこいつマジうぜえな。 高レベル故にとくに見るべき強みもなくなってきた気はするが、一応復活回数はライトニングに次ぐ。ダブルブロックが2回できる。自分は判定をふってから出目を7にするか達成値+2するか選べる。など地道な叩き合いなら若干光る。のか。 白兵戦では妙なダメージを積めるが、基本的にはリスクリターンが噛み合ってないので方針は変わらず。たぶん端っこで座ってる感じになるかと思います。 一話限りのキャラで説明不足ゆえに黒い噂の絶えないガイラス。コメント欄に好き勝手噂を書くと、一部本当になるかも? というわけで意見・感想・黒い噂・白い噂などお好きにどうぞ。 でてこないであろう過去設定を並べてレギュラー偽装の構え -- kowata (2013-08-17 09 46 57) PLがTwitter上で盛り上がったので、”AL粒子”が人工の試作品、いわば”擬似AL粒子”である可能性が出てきました。 -- kowata (2013-08-21 18 31 18) なお疑似AL粒子の場合、設定回収もされる模様。ガイラスさん居ない時になりそうだけど。 -- kinosi@GM (2013-08-21 23 31 46) 回収するされないは別として、とりあえず3話時点でのAL粒子は擬似AL粒子にしました。 -- kowata (2013-08-23 20 35 45) オッケイ!(メイトリックス声 -- kinosi@GM (2013-08-23 21 55 56) カタリナに余裕がなさそうだし、イゾルテ大丈夫かなぁと思わなくもない。シェーレンベルグ博士復活させたことに必要以上に責任を感じてるとしたら、フォローに回れたらいいなー。あとダークワン設定はオミットで。 -- kowata (2013-12-27 19 42 29) 期待してる。まあダークワンに関してはそもそも案の一つって感じの話だったしねえ。 -- kinosi@GM (2013-12-28 04 26 34) メモ:シナリオ限定兵装:実ダメージ算出後に受けたダメージと同じだけ相手にも実ダメージ。ただし喰らう前のFPが限度。シナリオ1回。 -- kowata (2014-04-20 22 46 00) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/galgerowa/pages/257.html
瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(後編) ◆guAWf4RW62 「―――――――――っ」 風を受けて靡く水色の髪に、美しく澄み通った青い瞳。 アセリアは一心不乱に、博物館目指して駆けていた。 制限されているとは言え、スピリットであるアセリアの身体能力は常人とは桁が違う。 その優れた聴覚が、博物館の方角から聞こえてきた銃声を拾い上げたのだ。 恐らくは、アルルゥ達が何者かに襲撃されているのだろう。 体力を相当消耗してしまったが、それでも急がねばならない。 自分はまだ、あの時の気持ちが何なのか確かめていない。 アルルゥのつぶらな瞳で見つめられた時に感じたものは、一体何だったのだろうか。 アルルゥや瑞穂、蟹沢きぬと一緒に蜂の巣を食べた時、自分は何を思ったのか。 どうして戦いに関係の無い事が、こんなにも気になるのか。 「……ん、分からない」 戦う事しか知らぬ筈の自分が、初めて戦い以外に興味を持てた。 だから自分はアルルゥとまた会って、確かめねばならないのだ。 それまで誰にも、アルルゥを殺させたりはしない。 アセリアは生い茂る雑木林を抜け、新市街の一帯に足を踏み入れる。 すると大きな博物館の姿が目に入った。 周囲に点在する建物などには一瞥もくれず、博物館の中に飛び込む。 それとほぼ同時にすぐ近くから銃声が鳴り響いた。 アセリアは展示場への扉を蹴破って――大きく目を見開いた。 「ミズホ…………アル……ルゥ………?」 「アセリア……さん…………アルルゥちゃんが…………私を、庇ってっ……!」 アセリアの視線の先で、瑞穂が泣いていた。 その腕の中で、血塗れとなったアルルゥが眠るように瞳を閉じている。 まだ呼吸はしているものの、その吐息はひどく弱々しい。 そこから少し離れた所で、見知らぬ男がこちらに向けて銃を構えていた。 考えるまでも無い。 あの男――国崎往人が、アルルゥを撃ったのだ。 その事実を正しく認識した瞬間、アセリアに激しい変化が訪れた。 永遠神剣に戦いを求められた時とは比べ物にならぬ程、激しい破壊の衝動が湧き上がってくる。 この気持ちが何なのか、分からない。 だが一つだけ、分かる事がある。 目の前の男は、確実に敵なのだ――ならば、破壊の衝動を抑える必要など無い。 アセリアの視線と往人の視線が衝突した。 「……敵。それなら倒すだけ」 体格が違う。 往人とアセリアは、身長にすれば実に30センチ近い差がある。 それに加えてアセリアは、此処に来るまでの過程で体力を大幅に消耗している。 得物が違う。 一撃で人を殺し切れるコルトM1917と、何時壊れても可笑しくない鉄串では、そもそも勝負にすらならない。 起こり得るのは一方的な虐殺だけの筈だ。 だというのに。 アセリアは何の迷いも無く、眼前の死神に斬りかかった。 「……せやあああああっ!!」 「何ッ――――!?」 突風が渦巻き、展示場内の空気が振動する。 既にボロボロとなっている鉄串を手に、青い剣士が疾駆する。 余りにも現実離れした、有り得ない速度での突撃。 往人が照準を定めるよりも早く、アセリアはその懐へと潜り込んだ。 恐るべき勢いで鉄串が突き出される。 驚愕に顔を歪めた往人が必死に上体を傾けるが、遅い。 心臓目掛けて繰り出された刺突は、往人の左肩を掠めていた。 「ぐっ、ああああ……!」 アセリアは素早く鉄串を引き戻し、第二撃の準備に入る。 戻りの隙など何処にも存在しない。 圧倒的な身体能力と洗練された技術を持つアセリアは、間違いなくこの島で最速の剣士だ。 往人が銃を構えるよりも早く、それどころか呼吸をするよりも早く、アセリアの体勢は整った。 そして先の一撃が躱された以上、同じ方法で攻め続けなどしない。 刺突はその性質上、連続して攻撃を仕掛けるのは難しい。 故にアセリアは、剣を扱うかのように鉄串を振り回す。 「ハアアアァァァッ!!」 「うあっ、ぐっ、ガッ――――」 一発、二発、三発、四発――秒に満たぬ時間で繰り出された連撃は、全て往人の身体を捉えていた。 先の刺突が敵を仕留める為のものならば、今放たれた殴打は敵を弱め、後への布石とする為のもの。 たたらを踏んで後退する往人に対し、アセリアは鉄串を横凪ぎに振るう。 「……ガ、ハ――――」 胴体部を強打された往人は、後方へと大きく弾かれる。 往人の顔は激痛に歪んでおり、余裕など欠片も無いのが窺い知れる。 その機を外さず、青い影が往人に飛び掛る。 往人の横を疾風が通過するのと同時に、往人の左足に鈍痛が走った。 アセリアが目にも止まらぬ動作で、鉄串による殴打を繰り出したのだ。 続けてアセリアは横一文字に鉄串を振るったが、往人はぎりぎりのタイミングで後ろに飛び退いた。 「う……アアアアッ!!」 往人は激痛を噛み殺し、アセリアに向かって銃弾を放つ。 近距離で放たれる銃弾は、スピリットと言えど制限されている現状では回避不可能。 だがそれは、見てから躱そうとすればの話。 戦いに生きてきたアセリアが、優勢に慢心し、拳銃への警戒を怠るなど有り得ない。 往人が引き金を絞った瞬間にはもう、アセリアは横に飛び跳ねて、銃の射線から身を外していた。 「クソ……化け物めッ!」 往人は大きく間合いを取り、心底忌々しげに歯軋りした。 人外の実力を持った敵と対峙したのは、今回が初めてではない。 往人は鉄乙女と互角の戦いを繰り広げ、一度敗れたとは言えエスペリアだって倒してみせた。 その往人ですら、まるで手も足も出ない。 それ程に、アセリアは圧倒的だった。 まだ自覚していないとはいえ、流されるのではなく、己の意志で戦い始めた彼女に敵う人間など存在しない。 スピリットにはスピリットでしか対抗し得ない。 だが――余りにも得物の状態が、そして自身の体の状態が悪過ぎた。 傷付いた往人を仕留めるべく、アセリアが前傾姿勢を取った時に、それは起こった。 「え……?」 戦いの顛末を見守っていた瑞穂が、呆然と声を洩らす。 アセリアの手にしていた鉄串が、突如音も立てずに砕け散った。 度重なる苦行の所為で、とうとう鉄串の耐久力が限界を迎えたのだ。 更に、不幸は連続して訪れた。 「…………う、ッ―――」 アセリアが僅かに顔を歪め、その身体が力無く傾く。 糸が切れた操り人形のような、ガソリンが切れた自動車のような、そんな様子だった。 アセリアの変調を察知した往人は、間髪置かずに銃弾を放った。 狙いは一番面積が広い、胴体部だ。 アセリアは刹那の判断で、身体を横に半回転させた。 的を失った銃弾は、アセリアの脇腹真横を通過してゆく。 だが、その程度で往人の攻撃は終わらない。 「……食らえっ!」 「ク――――!?」 今度は続け様に二回、銃声が鳴り響いた。 今まで初めての、連続攻撃。 一発目はともかく二発目の銃弾は、軌道を見切れなかった――故に、最低限の動作で躱すのは危険過ぎる。 アセリアは懸命に地面へと転がり込んで、何とか命を繋ぐ。 明らかに余裕の無い、綱渡り的な回避だった。 (おかしい……アセリアさんに何が……?) 瑞穂の脳裏に、大きな疑問が浮かび上がる。 傍目から見ても、先程までのアセリアに比べ、大きく動きが落ちてしまっている。 一体何故――瑞穂は少し考えたが、乱れるアセリアの呼吸を見て取って、一つの答えに辿り着いた。 「アセリアさん…………まさか此処まで、一度も休まずに走ってきたの?」 「…………ん」 アセリアの返事は要領を得ないが、その頬を伝う汗が瑞穂の言葉を肯定していた。 此処に来た時点で既に、アセリアには長期戦に耐え切れる程の体力が残っていなかった。 そして一気に勝負を決めれなかった所為で、遂に体力が底をついてしまったのだ。 「……もう良いわっ! 此処は私が食い止めるから、アセリアさんだけでも逃げて!」 瑞穂がナイフを手に立ち上がり、アセリアに逃亡を促す。 これ以上仲間を死なせたくなった――たとえ自分の身を、犠牲にしてでも。 銃を持った往人に勝てる可能性など1%にも満たぬが、それでも戦うつもりだった。 「ミズホは私を……守る気?」 「ええ、そうよ――だから早く逃げて!」 「どうして、ミズホが戦う? ミズホ……スピリットじゃない」 アセリアには分からなかった。 瑞穂はどう見ても只の人間であり、高嶺悠人のようなエトランジェでは無い。 この場にはスピリットの自分がいる以上、人間が直々に戦う事など有り得ない。 少なくとも、自分が生きてきた世界ではそうだった。 しかし次の瞬間瑞穂が発した言葉は、アセリアの常識からは考えられぬような内容だった。 「スピリットだとか、人間だとかよく分からないけど……貴女は私やアルルゥちゃんの大切な仲間! 守ろうとするのは当たり前じゃない!」 「私が……仲間……?」 そこまで言われてようやくアセリアは、自分がこれまで感じていた気持ちの正体を、少しだけ理解した。 この島の人間は、自分が元々暮らしていた世界の連中とはまるで違う。 アルルゥや瑞穂は、自分を対等な存在として、仲間として、大切にしてくれたのだ。 そんな彼女達と一緒に居ると、心が安らいだのだ。 だからこそ――アセリアは明確な意思を以って、瑞穂の言葉に抗う。 「ありがとう、ミズホ……。でも、消滅する時まで戦う……それが私だから、逃げる訳にはいかない」 「アセリアさんっ……!」 アセリアは傍に落ちていた巨大な鉄パイプ――陽平が捨てていったもの――を拾い上げた。 それは万全の状態ならばともかく、疲弊している今のアセリアでは扱い切れぬ得物だった。 試し切りと言わんばかりに数回振るったが、その速度は常人の剣戟にも劣る。 瑞穂とアセリアのやり取りを傍観していた往人が、すっとコルトM1917の銃身を持ち上げる。 「……まだやるつもりなのか。良いだろう――俺が全てを終わらせてやる」 往人の乱れていた呼吸は既に落ち着いており、銃に新たな弾丸だって装填した。 全身に鈍痛が残っているが、戦いに支障が出る程では無い。 最早往人とアセリアの戦力比は、完全に逆転していた。 対峙する二人の戦士。 巨大な鉄パイプを構えた少女と、圧倒的な死を運ぶコルトM1917により武装した男。 アセリアの残体力を考慮に入れると、次の一合が最後の戦いとなるだろう。 次の一合で仕留め切れねば、間違いなくアセリアは倒される。 ――――――これが正真正銘、最後の衝突。 「ヤアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」 裂帛の気合を乗せた戦叫を上げ、アセリアが前方に駆けた。 間合いを詰められる事を防ぐべく、往人がコルトM1917のトリガーを絞る。 アセリアは地面に手を付き、上体を屈めてやり過ごした。 先程まではただの一飛びで躱せていたのに、今の状態ではそれが限界なのだ。 その動きは最早スピリットのソレでは無く、普通の人間と何ら変わらぬものだった。 対する往人は、幾ら相手が疲弊しているとは言え、一撃で勝負が決めれるなどとは思っていない。 体勢の崩れたアセリアに向けて、続けざまに二発の銃弾が放たれる。 アセリアは強引に地面を蹴り飛ばし、横に飛び跳ねる事で、迫る死からどうにか身を躱した。 だが往人は残酷なまでの冷静さで、その動きを予見していた。 「――――フィニッシュだ」 無茶な動きを繰り返した所為で、次の動作に移れないアセリアに、冷たい銃口が合わされる。 銃声が鳴り響き、勝負が決すると思われたその直前。 「アセリアさん――――!」 「…………っ!?」 アセリアの身体を抱き抱えて、瑞穂が跳躍した。 そのまま瑞穂は、アセリアの手の上から鉄パイプを握り締める。 「私も戦うわっ!」 「…………ん!」 二人は疾風と化して、目の前の強敵に向け突撃する。 「何だ、と――!?」 先の一撃で勝負が決まると確信していた往人は、反応が大きく遅れてしまっていた。 たちまち瑞穂とアセリアは、往人を射程範囲内に捉えた。 「……あああああああああああああっっ!!!」 アセリアの叫び。 ようやく分かってきた――自分はアルルゥ達と一緒に居たかったのだ。 アルルゥ達と一緒にいると、心が暖かくなってくるのだ。 だから、これからは守る為に戦う。 「……このおおおおおおおおおおおおおっ!!!」 瑞穂の叫び。 アルルゥはもう助からないかも知れない――けれどこれ以上、仲間を失いたくない。 自分の安全などどうでも良い。 何としてでも、残った仲間は守りきってみせる。 仲間を守りたい――今、二人の気持ちが重なった。 恐るべき勢いで、鉄パイプが横一文字に振るわれる。 往人が左腕でそれを受け止めようとしていたが、そんなものは関係無い。 往人がどれだけ強い想いを秘めていようとも、二人分の想いには敵わない――――! 「……ぐがああああああっっ!!」 鉄パイプは防御して尚、十分過ぎる程の威力を発揮した。 往人の左腕の骨は砕かれ、且つ脇腹の骨にまで罅を刻み込まれた。 そして、それ程の衝撃ならば、その場で踏み止まれる筈が無い。 往人は大きく後ろに弾かれて、地下室へと通じる階段を転げ落ちてゆく。 常人なら戦意を失うどころか、意識を手放してしまっても不思議でない程の一撃。 それでも往人は、恐るべき執念を発揮する――右手に握ったコルトM1917だけは、未だ手放していなかった。 瑞穂は僅か数秒間で、次に何を為すべきか理解した。 一瞬の判断で、地面に落ちている首輪――朝倉音夢の物――を拾い上げてから、叫ぶ。 「アセリアさん、今よ! アルルゥちゃん達を連れて逃げましょう!」 「…………ん。分かった」 今追撃を仕掛ければ往人を倒せるかも知れないが、返り討ちにされる危険性も残っている。 そしてこの戦いは、敵を殺す為ではなく、仲間を守る為のものだ。 ならば無理にリスクを犯す必要は無い。 体力を消耗しきったアセリアでも、小柄なアルルゥ程度なら何とか持ち上げられる。 アセリアはアルルゥを抱き抱え、瑞穂は茜を抱き上げて、素早く駆け出した。 まずは安全な場所に避難して、それからアルルゥの治療を試みるのだ。 ◇ ◇ ◇ ◇ 「――――ぐあ、くぅ……盛大にやられたな…………」 瑞穂達が逃亡してから五分後に、ようやく往人は階段の上まで昇って来ていた。 正直な話、瑞穂達が逃げてくれて助かった。 先程追撃を仕掛けられていたら、自分は間違いなく敗北していただろう。 銃を握り締めた右腕だけは無事だったものの、骨を砕かれた左腕はもう碌に動かせない。 階段を転がり落ちた衝撃で、身体の至る所に打撲も負っている。 それでも、休んでいる暇などありはしない。 今この瞬間も、観鈴が危険に晒されている可能性があるのだ。 一刻も早く見つけ出し、保護してやらなければならないだろう。 その道中で見つけた人間は、全員殺す。 自分がどれだけ傷付いても構わない。 どれだけこの手を汚そうとも構わない。 観鈴が罪の意識に苛まれようとも、戦い続ける。 それが自分の決意――そしてこれまで殺してきた者達への、最低限の礼儀だから。 今更後戻りは許されない。 手を取り合って生きていくなど、許容される筈が無い。 自分は最期まで修羅として在り続けるのだ。 ◇ ◇ ◇ ◇ 「アルルゥちゃん、しっかりして!」 博物館から数百メートル程離れた民家の中で、瑞穂の悲痛な声が木霊する。 ベッドの上で寝そべるアルルゥを、瑞穂とアセリアと、意識を取り戻した茜が、看取ろうとしている。 簡単な治療道具は見付かったものの、アルルゥの怪我は最早手の施しようが無い状態だった。 銃弾は、アルルゥの腹部の中央辺りを貫いていた――誰がどう見ても、致命傷だ。 「茜……お姉ちゃん…………」 アルルゥが弱々しい声で呼び掛ける。 茜はアルルゥの手を握り締める事で、その呼び掛けに応えた。 「茜お姉ちゃんとは、あまりお話出来なかったけど……。アルルゥ、茜お姉ちゃんに死んで欲しくない。 茜お姉ちゃんが死んだら、瑞穂お姉ちゃんもきっと悲しむ。……だから、頑張って生きる」 「うん。有り難う――私、頑張るからね。たとえ泥水を啜ってでも、絶対に生き残ってやるんだから……!」 言葉を返す茜の瞳は涙で滲んでいたが、同時に強い意志の光も宿していた。 涼宮遥は死んでしまったし、鳴海孝之は狂気に飲まれてしまったが、それでも尚茜は正気を保っていた。 この島で出会った仲間達のおかげで、何とか耐え凌ぐ事が出来たのだ。 次にアルルゥは、アセリアの方へと首を動かした。 「アセっち、余り人を殺しちゃ駄目。アセっちがそんな事するのやだ」 「アルルゥ……。アルルゥは、私に人を殺さないでいて欲しいのか? 私は戦う為に生まれてきたスピリット――それでも、戦わないで欲しいのか?」 「生きてればきっと、戦い以外にもやる事見つかる。だから、戦う為だけに生きるの駄目」 「……ん、分かった。アルルゥがそう言うなら、努力してみる。クニサキユキトや敵は倒すけれど、それ以外は襲わない」 応えるアセリアの顔は相変わらずの仏頂面で、何の変化も無いようにすら見える。 だが注意して見れば、気づく事が出来るだろう――その瞳の奥底に、はっきりとした悲しみの色が宿っているのを。 それは少し前までのアセリアなら、絶対に起こり得ない変化だった。 アルルゥは最後に、瑞穂へと声を投げ掛ける。 「瑞穂、お姉ちゃん……」 「アルルゥちゃん……もうお別れ、なの……?」 瑞穂が訊ねると、アルルゥは小さく――しかし確かに頷いた。 瑞穂は大きな瞳から涙を零しながら、胸が張り裂けるような声で呟いた。 「……私、貴女に……ひっく、何もしてあげられ、ぐすっ、……なかった」 「そんな事無い。……お姉ちゃんは、アルルゥと一緒に居てくれた。エルルゥお姉ちゃんが死んじゃった時に、慰めてくれた。 お姉ちゃんのお陰で、アルルゥ、これまで生きてこられた」 「そんな……」 瑞穂は思う――それは違うと。 自分はこれまで、アルルゥの為に何もしてあげられなかった。 アルルゥの知人は見つけられなかったし、守ってあげる事も出来なかった。 それどころか、逆に自分が守られている始末だ。 瑞穂はアルルゥの身体を抱き起こし、力の限り抱き締めた。 「アルルゥちゃん、……ひっく、ごめん、なさいっ……。私が……ひっく……もっとしっかり、していれば、こんな事には、ぐすっ……ならなかったのに……!」 憎かった――不甲斐無い自分が。 情けなかった――こんな時まで、逆に励まされている自分が。 いっその事、思い切り罵られたいくらいだった。 だというのに、アルルゥは言った。 「泣くのダメ、瑞穂お姉ちゃん……。アルルゥは瑞穂お姉ちゃんが好きだから、笑ってないとやだ」 「アルルゥ、ちゃん……」 そう言われても、瑞穂の涙が止まる事は無い。 寧ろ益々勢いを増して、瑞穂の頬を、そして胸元にいるアルルゥの顔を塗らしてゆく。 悲しみの結晶が、次々と瑞穂の瞳から零れ落ちる。 そんな時だった――突如アセリアが、凛とした声で歌い始めたのは。 「暖かく、清らかな、母なる光………すべては再生の剣より生まれ マナへと帰る」 「――アセリアさん、その歌は?」 涙で塗れた目を丸くして、茜が問い掛ける。 少なくとも茜が今まで生きてきた中では、聞いた事の無い歌だった。 「……ん。スピリット達の間に伝わる祈りの歌」 短く返事すると、アセリアは再び歌を歌い始めた。 「たとえどんな暗い道を歩むとしても……精霊光は必ず わたしたちの足元を照らしてくれる」 ――瑞穂の嗚咽を伴奏として、アセリアは歌う。 「清らかな水、暖かな大地、命の炎、闇夜を照らす月……」 ――綺麗な歌声が、部屋の中に染みこんでゆく。 「すべては再生の剣より生まれ マナへと帰る」 ――スピリットの紡ぐ、祈りの歌。 ――美しいけれど、少し悲しい歌。 「どうか私たちを導きますよう……マナの光が私たちを導きますよう……」 ――その歌には、アセリアに芽生えた感情がたっぷりと籠められているから。 ――きっと、アルルゥを天国まで導いてくれる。 【アルルゥ@うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄 死亡】 【C-3 博物館付近 /1日目 昼】 【春原陽平@CLANNAD】 【装備:投げナイフ2本】 【所持品:支給品一式 ipod(岡崎のラップ以外にもなにか入ってるかも……?)】 【状態:肉体的には中度の疲労、精神的疲労大、混乱、激しい怯え。右手首に手錠、上はTシャツ、下はジーンズを着用】 【思考・行動】 基本:死にたくない 1:もっと離れた所まで逃げる 2:岡崎を探し出して、助けて貰いたい 3:知り合いを探す 4:国崎往人に対する極度の恐怖 【c-3 博物館 /1日目 昼】 【国崎往人@AIR】 【装備:コルトM1917(残り6/6発)】 【所持品:支給品一式×2、コルトM1917の予備弾40、木刀、たいやき(3/3)@KANNON】 【状態:精神的疲労・肉体疲労大。右腕と左膝を打撲・右手の甲に水脹れ・左腕上腕部粉砕骨折・左肩軽傷・脇腹に亀裂骨折一本・全身の至る所に打撲】 【思考・行動】 1:観鈴を探して護る 2:観鈴以外全員殺して最後に自害、説得に応じるつもりも無い 3:朝倉音夢・仮面の男(ハクオロ)・長髪の少女(二見瑛理子)・青い瞳と水色の髪の少女(アセリア)を危険人物と認識 4:状況が許せば観鈴の情報を得てから殺す 【B-3 民家 /1日目 昼】 【涼宮茜@君が望む永遠】 【装備:国崎最高ボタン、投げナイフ2本】 【所持品:支給品一式、手製の廃坑内部の地図(全体の2~3割ほど完成)、左手首に手錠】 【状態:嗚咽、腹部打撲】 【思考・行動】 基本:ゲームには乗らない 1:アセリア、瑞穂と共に行動する 2:諦めずに、必ず生き残る 3:鳴海さんとは二度と会いたくない 4:国崎往人を強く警戒 【アセリア@永遠のアセリア】 【装備:鉄パイプ(頑丈だがかなり重い、長さ二メートル程、太さは手で握れるくらい)】 【所持品:支給品一式 鉄串(短)x1、ひぐらし@ひぐらしのなく頃に、フカヒレのコンドーム(12/12)@つよきす-Mighty Heart-】 【状態:肉体的疲労極大。右耳損失(応急手当済み)。軽い頭痛。ガラスの破片による裂傷(応急手当済み)。殴られたことによる打撲】 【思考・行動】 基本:ゲームには乗らない 1 仲間を守る 2 無闇に人を殺さない(但し、クニサキユキトと襲撃者は殺す) 3 ハクオロと戦う(ただし殺さない) 4 強者と戦う 5 永遠神剣を探す 6 もっと使い勝手の良い武器を手に入れる ※フカヒレのコンドーム アレでナニをする時に使う道具。12個入り。 パッケージの外側に鮫菅新一と名前が油性ペンで記してある。 レオがエリカルートの屋上でフカヒレから手渡された思い出の品。 薄型がウリでフィット感が凄い、らしい。 ※ひぐらし 雛見沢に生息するひぐらしを瓶に無理やり詰め込んだもの。 全て生きています。 【宮小路瑞穂@乙女はお姉さまに恋してる】 【装備:投げナイフ1本】 【所持品:支給品一式、フカヒレのギャルゲー@つよきす-Mighty Heart-、爆弾付きの首輪(朝倉音夢が装着させられていた物)】 【状態:号泣、中度の肉体的疲労】 【思考・行動】 基本 ゲームには乗らない。 1 まずはもう少し休憩する。 2 可能ならば博物館で蟹沢きぬを待ち、合流(挑戦するかどうか、その際の方法などは後続の書き手さん任せ)。 3 自分達の知人、アルルゥの知人を探す。 4:国崎往人を強く警戒 【備考】 ※陽平には男であることを隠し続けることにしました。 ※アルルゥにも男性であることは話していません。 ※蟹沢きぬにも男性であることは話していません。 ※アセリアにも男性であることは話していません。他の人にどうするかはお任せ ※アセリアに対する警戒は完全に消えました ※フカヒレのギャルゲー@つよきす について プラスチックケースと中のディスクでセットです。 ケースの外側に鮫菅新一と名前が油性ペンで記してあります。 ディスクの内容は不明です。 094 瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(前編) 投下順に読む 095 忘れていた感情 094 瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(前編) 時系列順に読む 097 静かな湖畔? 073 陽のあたる場所(後編) 国崎往人 114 This is the Painkiller 090 無垢なる刃 アセリア 117 歩き出す 090 無垢なる刃 宮小路瑞穂 117 歩き出す 082 Crazy innocence 涼宮茜 117 歩き出す 082 Crazy innocence 春原陽平 107 たとえ、愚かな考えだとしても 090 無垢なる刃 アルルゥ
https://w.atwiki.jp/vocaloidchly/pages/6354.html
作詞:ねこぼーろ 作曲:ねこぼーろ 編曲:ねこぼーろ 唄:初音ミク 翻譯:a050107231/Birpig/バーピッグ (使用翻譯請附此網址與譯者名, 請別對翻譯作任何更動而自行修改,謝謝!! 最後修改於2014/04/06 02 56) 再見了4月的分身(*) 我阿 偶爾會與 「我」 進行對話 雖然我看不見他的身影。 當4月的風吹起之時 就會拉近我與我的距離 明明就如往常一樣。 你就在一旁。 當我倆 相會之際 即使有一方會隨之消逝 還是想與你見上一面的想法 那該怎麼辦 那該怎麼辦呢。 「若非得說誰才是真貨 誰又才是冒牌貨的話 那不如就讓我消失吧」 那麼就 再見囉。 「當4月的風止息之時」 我的聲音也逐漸遠去 哪一方的存在 才是錯誤阿。 我們倆 要是沒有 成為朋友的話就好了 為何我們的相遇是不被允許 是又為什麼 是又為什麼阿。 「非要說誰才是真貨 誰又才是冒牌貨的區別 根本沒有真偽之分 你說是吧 那麼就 掰掰了。」 像是避開著人群前進一般 我那不踏足於地的生存方式 即使是這樣的我若有個唯一 生存理由的話 那我就能說出 「我什麼都不需要了」 「僅僅如此就能支撐我活下去」 但我卻沒有 那種冠冕堂皇的理由 就隨著我一起消逝於世吧。 當我倆 相會之際 即使有一方會隨之消逝 還是想與你見上一面的想法 那該怎麼辦 那該怎麼辦呢。 若非得說誰才是真貨 誰又才是冒牌貨的話 那我會選擇消失 當我倆 相遇之時 我們將交織重疊 會合而為一 想要著消失的昨天 是怎麼了 是怎麼了。 哪邊是真實的自我 另一邊若像櫻花的話 那麼我想 總有一天會再相逢的。 那麼就 再見了。 (*)歌名的ドッペルさん就是德語的Doppelgänger,可以說是另一個自己(分身),轉載自中文維基"本意是指某一生者在二地同時出現,由第三者目睹另一個自己的現象。該存在與本人長得一模一樣,但不限定為善或惡。民間傳說當自己見到自己的分身,代表「其人壽命將盡」。"詳細請去查閱中文維基「分身」 翻譯:kyroslee 再見了4月的分身 我 時而會 與「我」 對話 即使我看不見他的實體。 4月的風吹拂之時 我們的距離亦會變近 明明應該是一如以往。 有着你在。 當我們 相遇之後 會有其中一方 消失於世上 但我還是有着想要見你的這念頭 吶該怎麼辦 吶該怎麼辦 「若其中一方 才是真貨 而另一方 就是冒牌貨的話 那就讓我消失吧 說笑的呢」 再見 拜拜了 「4月的風不再吹拂之時」 我的聲音隨之遠去 其中一方的存在 就是一個錯誤。 明明我們 要是沒有 成為朋友 就好了呢 我們是不能相見的 吶到底為何呢 吶到底為何呢。 「其中一方 才是真貨 而另一方 就是冒牌貨什麼的 不可能的吧 你說對吧 再見 拜拜了。」 就如避開人群前進似的 彷徨飄蕩而活的我的生存之道 那般的我唯一的 生存理由就是那樣的話 已經 「其他一切都不需要了啊」 「只要如此就能活下去」 那般不值一提的 那般的漂亮話 就與我一起消失於世上吧 當我們 相遇之後 會有其中一方 消失於世上 但我還是有着想要見你的這念頭 吶該怎麼辦 吶該怎麼辦 「若其中一方 才是真貨 而另一方 就是冒牌貨的話 我會消失於世上的」 當我們 相遇了 就會融為一體 彼此交疊 曾想要消失於世上的昨天 吶那是怎麼了 吶那是怎麼了 若其中一方 繼續做回自己 而另一方 就是櫻花的話 大概終有一天會能相遇的吧 說笑的呢。 再見 拜拜了
https://w.atwiki.jp/jubeat_memo/pages/588.html
LV 9 Notes 654 BPM 133 1⑤③④⑥ |①-②-|□③□⑥ |③-④-|⑦□②□ |⑤-⑥-|□①□⑧ |⑦-⑧-|2□□④④ |①-②-|□③□□ |③-④-|□①②□ □①□□ ⑤□□□ □□⑥⑥ ⑦⑦□□ |⑤-⑥-|□□□⑧ |⑦-⑧-|3⑤③④⑥ |①-②-|□③□⑥ |③-④-|⑦□②□ |⑤-⑥-|①①□⑧ |⑦-⑧-|4⑤□④□ |①-②-|⑦③④⑥ |③-④-|⑦①②□ |⑤-⑥-|□①□⑧ |⑦-⑧-|5⑤③④⑥ |①-②-|⑤③③⑥ |③-④-|⑦□②□ |⑤-⑥-|⑦①①⑧ |⑦-⑧-|6□③④④ |①-②-|□③□□ |③-④-|□①②□ □①①□ ⑤□□□ ⑤□⑥⑥ ⑦⑦□⑦ |⑤-⑥-|□□□⑧ |⑦-⑧-|7□③④□ |①-②-|□③③□ |③-④-|□□②□ ①①①□ ⑤□□⑥ ⑤□□⑥ ⑦□□□ |⑤-⑥-|⑦□□⑧ |⑦-⑧-|8□③④□ |①-②-|□③④□ |③-④-|□①②□ □①①□ ⑤⑧□□ ⑤□□⑥ ⑦□□⑦ |⑤-⑥-|⑦□⑧□ |⑦-⑧-|9④□①□ |①---|②□□③ |--②-|③□□② |③---|□①□④ |--④-|10□□④① |①---|□②③□ |--②-|④③②□ |③---|①□□□ |--④-|11③④□□ |①---|⑤②□① |②-③-|□□②⑤ |④-⑤-|⑥①④③ |--⑥-|12□□□③ |①-②-|□□②③ |③---|□①②□ □①□□ □□□□ □□□□ ④□□□ |----|□④□□ |--④-|13□□□□ |①---|①□□□ |--②-|□①□② □□②□ □□□□④□□③□④③□ |③---|□□□□ |--④-|14①□□③ |①---|□①③② |--②-|④□②□ |③---|□□□□ |--④-|15□□□□ |①---|□□□□ |②-③-|□②③① □③②□ □□□④ □□⑤□ □⑤□□ |----|④□□□ |④-⑤-|16②③⑤□ |①-②-|④①□□ |③-④-|⑤□①④ |----|□□③② |--⑤-|17□□□① |①---|③②④□ |--②-|□①□□ |③---|④□③② |--④-|18③②□④ |①---|□□④① |--②-|□□③② |③---|□①□□ |--④-|19□□□□ |①---|①□□□ |②---|□①□□ ②□□② ③④□③ □□④□ ③④□③ |③-④-|□□④□ |----|20④□④□ |①-②-|③③□□ |③-④-|②□②□ ①□□① □□□□□□□□□□□□ |----|⑤⑤□□ |--⑤-|21③③①① |①---|□□□④ |--②-|④□□□ |③---|□□②② |--④-|22□□□□ |①---|②①③□ |--②-|□③①② |③---|□④④□ |--④-|23□□□□ |①-②-|②③③① |--③-|□②①□ □□□□ ④□□④□□□□□⑤□□ |----|□□□□ |④-⑤-|24□□□□ |①-②-|④②③□ |③-④-|①□①□ |----|③②④□ |----|25□□□□ |----|□④②□ |①-②-|□⑤⑤□ |③-④-|①□□③ |--⑤-|26⑨□□⑤ |①-②-|①⑩⑥② |③-④-|③⑦⑪④ |⑤⑥⑦⑧|⑧□□⑫ |⑨⑩⑪⑫|27□□□□ |----|⑤③②⑥ |①-②-|□□□□ |③-④-|□①④□ |⑤-⑥-|28⑤□□⑨ |①-②-|□⑥⑩□ |③-④-|①⑪⑦② |⑤⑥⑦⑧|⑫③④⑧ |⑨⑩⑪⑫|29□□□⑥ |----|③□□② |①-②-|①□□④ |③-④-|⑤□□□ |⑤-⑥-|30①□④□ |①-②-|□□□□ |③-④-|□□□□ □③□② ⑨□□⑤ □⑩⑥□ □⑦⑪□ |⑤⑥⑦⑧|⑧□□⑫ |⑨⑩⑪⑫|31□①①□ |----|①⑤④① |①---|②□□③ |②-③-|④②③⑤ |④-⑤-|32②□□② |①-②-|③□□③ |③-④-|□①①□ |----|□④④□ |----|33⑤⑧⑧⑤ |①-②-|③④②① |③-④-|⑦⑥⑥⑦ |⑤-⑥-|②①③④ |⑦-⑧-|34□□□② |①---|①③②① |②-③-|③□□□ □①①□ □④④□ ⑤□□⑤ □⑥⑥□ |④-⑤-|⑦□□⑦ |⑥-⑦-|35□□□□ |①---|③□□③ |②-③-|①□□① □②②□ ⑤⑥⑥④ □□□□ ⑦④⑤⑦ |④-⑤-|□□□□ |⑥-⑦-|36③□□③ |①-②-|□②①□ |③---|□③③□ |----|□①②□ |----|37①③③② |①-②-|①④□② |③-④-|④□□□ □□□□ □□□⑦ □□⑤□ □⑥⑥⑤ |⑤---|⑦□□□ |⑥-⑦-|38③②①□ |①-②-|④□□□ |③-④-|□□□④ □①②③ ⑧□□□ □⑦⑥⑤ ⑤⑥⑦□ |⑤-⑥-|□□□⑧ |⑦-⑧-|39□①②③ |①-②-|□⑤④□ |③-④-|□④⑤□ ③②①□ □□□⑧ ⑥□□⑦ ⑦□□⑥ |⑤-⑥-|⑧□□□ |⑦-⑧-|40□②①□ |①-②-|□③④□ |③-④-|□④③□ |----|□①②□ |----|41⑨⑦⑧⑬ |①②③④|⑤⑩⑭⑥ |⑤⑥⑦⑧|③⑮⑪④ |⑨⑩⑪⑫|⑯①②⑫ |⑬⑭⑮⑯|42⑬⑧⑦⑨ |①②③④|⑥⑭⑩⑤ |⑤⑥⑦⑧|④⑪⑮③ |⑨⑩⑪⑫|⑫②①⑯ |⑬⑭⑮⑯|43⑨⑦⑧⑬ |①②③④|⑤⑩⑭⑥ |⑤⑥⑦⑧|③⑮⑪④ |⑨⑩⑪⑫|⑯①②⑫ |⑬⑭⑮⑯|44⑬⑧⑦⑨ |①②③④|⑥⑭⑩⑤ |⑤⑥⑦⑧|④⑪⑮③ |⑨⑩⑪⑫|⑫②①⑯ |⑬⑭⑮⑯|45⑨⑦⑧⑬ |①②③④|⑤⑩⑭⑥ |⑤⑥⑦⑧|③⑮⑪④ |⑨⑩⑪⑫|⑯①②⑫ |⑬⑭⑮⑯|46⑬⑧⑦⑨ |①②③④|⑥⑭⑩⑤ |⑤⑥⑦⑧|④⑪⑮③ |⑨⑩⑪⑫|⑫②①⑯ |⑬⑭⑮⑯|47⑨⑦⑧⑬ |①②③④|⑤⑩⑭⑥ |⑤⑥⑦⑧|③⑮⑪④ |⑨⑩⑪⑫|⑯①②⑫ |⑬⑭⑮⑯|48□⑧⑦□ |①②③④|⑥□□⑤ |⑤⑥⑦⑧|④□□③ □②①□ □□□⑨ □□⑩□ □⑪□□ |⑨⑩⑪-|□⑫⑫□ |⑫---|49□□②③ |①---|①□□① |②-③-|□②③□ □□□□ □④□□ ④□⑤⑤ ⑥□□□ |--④-|□⑥□□ |⑤-⑥-|50□□□□ |①---|□②③□ |②-③-|□□①① □□②③ □⑥⑤⑥ □□□□ □④⑤④ |--④-|□□□□ |⑤-⑥-|51①□□□ |①---|□③②□ |②-③-|①□□□ ③②□□ ④□□□ □□□□ □④□□ |----|□□□□ |--④-|52□②□□ |①-②-|□□③① |③-④-|④□②④ |----|⑤③①⑤ |⑤---|53③②□□ |①---|□①①□ |②-③-|□③②□ □□□□ □□④□ ⑤⑤□④ □□□⑥ |--④-|□□⑥□ |⑤-⑥-|54□□□□ |①---|□③②□ |②-③-|①①□□ ③②□□ ⑥⑤⑥□ □□□□ ④⑤④□ |--④-|□□□□ |⑤-⑥-|55□□□① |①---|□②③□ |②-③-|□□□① □□②③ □□□⑤ ④⑥□□ □□⑤□ |--④-|□④⑥□ |⑤-⑥-|56④③①④ |①-②-|④□②④ |③-④-|③①□□ |----|□□□② |----|57□□①□ |①---|□①□① |----|□□①□ |----|□□□□ |----|58□□□□ |①---|□①□□ |----|①□①□ |----|□①□□ |----|59□①①□ |①---|①□□① |----|①□□① |----|□□□□ |----|60□□□□ |----|□□□□ |----|□□□□ |----|□□□□ |----|