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009.お約束 ♂アルケミストは迷っていた。 戦わなければ死ぬ、それは判っていた。 しかし生き残り故郷に帰り着いたとして、自分に何がある? 伝承の中の人工生命を操る錬金術師に憧れ、来る日も来る日もただひたすらに知識を追い求めた。 だが人工生命ホムンクルスの実験は幾度と無く失敗し、彼を信じてくれるものはもう居なかった。 更に王国から直々に人工生命の創造は不可能である、と発表された日の絶望を彼は忘れていない。 生きるも絶望、死ぬも絶望。ならばその絶望の道に誰かを道連れにしてやろうか。 街中で商売をすることが主な商人や、非力なアコライトなら自分でもなんとかなるだろう。 だが職業暗殺者や狡猾な狩人を前にして自分が生き残る確率は? ほぼゼロ。 それがホムンクルスが世に広まる日を信じて知力を高め続けた彼の結論だった。 ならば他人と組み少しでも生存率を上げるということは可能だろうか? 1対1ならば死ぬことがあっても、2対1なら少しだけ生き残る確率は高くなる。 しかし、もし信用して背中を預けていた相手に刺されたら? ありえない話ではない。ここは殺し合いの場なのだからむしろそうなって当然だろう。 何処へ向かってもあるのは絶望だけ。それならば。 自らの運命を懐に忍ばせていた金貨に託し、瞳を閉じると彼はそれを放り投げた。 表と、裏と、背中合わせの絶望がくるくると宙を舞い手のひらに落ちる。 ゆっくりと目を開き、手のひらに収まったコインを見て彼は決めた。 戦って死ぬか、人を信じて死ぬか、を。 ♂アルケミ装備:不明 選択肢 投票 校正はこれで良し (1) 直すところがある (0)
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今自分が見ている光景…それは常に現実…するとこの光景も現実なのだろう。暗闇で悲鳴と銃声が混じり、物は破壊され、そして人が人を食うことも… 「ワング大丈夫か?」 「うん…なんとか」 メリア・トライアンファル、ブラックストーン・タクヤ、カトシカス・ワングの3人は自分達のおかれた状況を必死に把握しようとしていた。 暗闇の中、狂った人間が町を歩いている、人が人を貪り、悲鳴が当たりに漂う。自分に何回も問い詰めた、これが現実かと。暗闇の中、狂った人間が町を歩いている、人が人を貪り、悲鳴が当たりに漂う… これが自分達が見て、聴いている。 「しかし…この町はどうなってしまったのか」 「ここからどう脱出する?」 「ここはお兄さん達に任せるよ」 この町からの脱出方法…それはいったいなんなのだろうか?まずあるのだろうか? 外に出れば、狂気の人間にやられる。しかしここもどうなるのか… 「ねえ…お母さんとお父さんどうしたかな?」 「ワング…今はその話は、なしだ。今は一番年上のメリアに従おう。悲しむのはいつだってできる」 「と言われてもねぇ…どうしようか?武器なんてあるかな?」 こうなっては戦うしかない、あたりを見渡すといいものがあった 「バットだ、まぁ使えるだろう。お前らそこで待っておけよ?」 「あぁ」 立ち上がるメリア、バットを持ち軽く素振りをする。 「使えるな…人を殴るようには使いたくないが…」 …これからいったいどうなるんだろう、俺はあと1年で大人の仲間入りだ。この2人を誘導できる自信はあるが、守れるだろうか? 母さん、父さん…無事か?…無事でいてくれよ… 「大統領!57便は山脈に墜落しました。機体は爆発炎上、乗員乗客全員死亡したと考えられます」 「そうか…200人の犠牲が出たが、何万という人が助かったんだ…これでよかったんだ」 「大統領!た、大変です!」 場の空気が変わった…そのような感覚だ。一息つこうとしたところに慌しく入ってきた彼…いったどうしたのか 「アークレイ山脈の近くの町の警察官からの電話なのですが…」 「私だ…どうした?」 「大統領!…至急軍をこちらへ向かわせてください!町が…町がたいへ…」 「おい?どうした!? 切れたぞ」 場にいた者、皆が動きを止めたかのようだった。もしかすると…まだ終わっていないのかもしれない 「大統領は?なんて言った?」 「くそっ!繋がらなくなった…まぁでも軍の要求はした。すぐくるだろう」 「来たぞ!」 この町のアルベルト、シュタイナー、ゴーマンは生きるために必死に戦っていた。警察所に突然入ってきた男に近づいた警察官が噛まれ、警察署はパニックになった。 必死に逃げ出した3人だが、町の姿に絶望した。正気を失った人間が数人ではなかったのだ、町全体が正気を失っていた。 武器も元々所持しているハンドガンしかない。 「もう弾は無いぞ…シュタイナー、武器を売っている店を知らないか?」 「ああ…そうだ、この道路を下っていたところにあるぜ」 「ならそこに行こうぜアルベルト」 「そうだな、よし行こう。いいか。敵は遅くて頭が悪い、相手の動きをよく見てなるべく弾を使わず相手を避けるんだ」 生きるためには戦うしかない、武器屋にさえ行けば、なにかはあるだろう。それまでは弾を残しておく必要がある。 「大統領からの直接命令とはなぁ…一体何が起きたんだ?」 「さぁ…どうやら町で大きな暴動事件が起きているらしい」 「被害はどうなんだ?」 「分からんが…俺達がすることは町を守ることだ。撃つことも許されている」 アッシュ、ダラス、パーカー、ヒックス、ハドソンの5人を中心に約30人の兵士がヘリで町へと向かっている。 大統領の直接命令であり、全員が気合を入れていた。しかしその反面、大きな事件だということが分かる。今まで多くの仕事をこなしてきたが、今回も上手くいくのか、不安になる人も少なからずいた。 「町が見えてきた」 数分が経ち、町が見えてきた。だが状態はよくない…所々火の手が見える。自分達の任務の重大さをここで気づくこととなった。
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絶望の城 ◆QmnDyrAS0E 朝陽も昇り始め街が照らされていく中、無人の駅前商店街を歩く3人組。 茶髪の青年と青髪の少女が隣に並び、後ろに長髪の青年が2人の後を付いて来ている形だ。 そんな陣形で枢木スザク、神原駿河、レイ・ラングレンは歩いていた。 陣形というよりはスザクと駿河が同じ位の歩幅で、レイはそれよりもやや狭い足取りで歩いているだけなのだが、 3人同じ視点にいては奇襲に対応できないというそれなりに合理的な考えもある。 「そろそろ駅が見えてくる頃ですね。」 「おお、あの線路だな。ようやく阿良々木先輩に会えるのか」 駿河の言う通りここから1キロ程の距離に朧げながらも線路が見える。念願の捜し人の1人に会えるのを待ちきれないのか駿河は少しソワソワしている。……落ち着かないのには別の理由があるが。 「神原さん、焦りは禁物です。集合にはまだ時間があります。」 「分かっている。すぐさま阿良々木先輩の元へ馳せ参じたいのが本音だが焦らしプレイは私の大好物だ、捨て置く手はない。 手を伸ばせば届きそうなのに決して届かないもどかしさ、オルガズムの直前に動きを止められる感覚は忘れようのない快楽だ。 そうは思わないかレイ殿」 「貴様は何を言ってるんだ」 相も変わらずの駿河の前からの振りに冷たい対応で返すレイ。先程までは完全無視だったが駿河のしつこさに遂に折れたのか、 返事をしなければいつまでも話を振ってくると悟ったのか、恐らくは両方なのだろう。 「……ようやく言葉を返してくれたな。私は嬉しいぞ」 むしろ銃を突き付けられた男と行動を共にして5分も経たずに対話を試みた駿河を賞賛するべきか。 「だが無理に返す必要はないぞ。あそこまで放置プレイを喰らったのはここにきて初めてのことでな。 筆頭はとやかく言いつつも激しく突いてくれるし枢木殿は切なくなる程優しくしてくれる。 返事をしてくれたのが嬉しいのは本当だが正直な所、このまま黙秘権を行使してくれていた方が私的にはとても助かるんだ、需要的に」 「だから貴様は何を言っているんだ」 無論レイには駿河の性癖に付き合ってやる気など毛頭ない。言葉を出したのは純粋に「コイツは何を言っているんだ」と思ったに過ぎない。 「はっ!こ…この男の目…養豚場の豚でも見るかのような冷たい目だ。残酷な目だ… “明日の朝には肉屋の店先に並ぶ運命だろうが俺には心底どうでもいいことだな”って感じの!」 「……………………」 以前の復讐者としてのレイなら初めて話しかけられた時点で腰の銃を抜き放っていてもおかしくはないのだが、 結局レイには目の前の女に対して微塵の殺意も抱けなかった。 元来レイは望んで争いなどする人種ではない。妻と弟、3人で穏やかに、ささやかに暮らす時間を幸福と思える優しき人間だった。 それを、奪われた。自分に協力しないという理由のみで妻を引き裂いた、あの男に。 それ以来、レイは復讐に生きる鬼となった。過去を捨て、心を修羅に変え、1人の男を殺すためにあらゆるものを犠牲にしてきた。 人であろうと物であろうと、邪魔をするものは全て切り捨てた。身体を鍛えたのも技術を磨いたのも物を壊すのも人を殺すことも全ては奴を殺すため。 だが「カギ爪」は死んだ。自分が手を下すことなく死んだ。断末魔の瞬間を見届けることさえ叶わなかった。 復讐の対象を失ったからといって昔のレイに戻ることはできない。 盆からこぼれた水は二度と戻ることのないように、今のレイはかつての自分とはどうしようもないほど隔絶されてしまっていた。 だからレイは駿河に殺意を抱かない。全てを捨てて復讐を成そうとした男は、最後に残った復讐の念すらも失った。 それでも今こうして生きているのは命じられたから。見届けろと、あれだけの事を吐いたのなら自分の『結果』を見届けろと。自分と似た男から。 何故生きてみようと思ったのか。逆らう理由がないだけだ。何もないからこそ、すんなりと聞き入れてしまったのだろう。 この様で殺し合いを勝ち進み最後の勝利者になれると思うほどにはレイの判断力は死んでいない。 仮に会場を脱出し生き残れたとしても自分には何も残されていない。 新しいものを集める気力すらない。いわばカギ爪の死亡を聞いた時点でレイはこのゲームを脱落したも同然だ。 そんな心の虚無とは裏腹に幾度も戦闘を積み上げてきた体は路地裏に潜む気配を瞬時に感じ取っていた。 「……そこにいるのは分かっている、出てこい」 半ば反射的に銃を抜き取る。一瞬遅れてスザクも反応する。 「神原さん、そこの家に隠れていて下さい。合図があるまで外に出ないように」 「……了解した。気を付けてくれ2人共」 スザクの指示通り民家へと手を伸ばす。先程の一戦で自分が戦いにおいて足でまといなのは痛感済みだ。 今までもあの時の戦慄が体を抜け切らず、 恐怖を払拭しようと積極的に会話を進めるが些か口が回らない。支給品にも銃や剣といった分かり易い武器もはない。 あるといえば虎柄の布に包まれた竹刀ぐらいだ。おとなしく隠れるしか今の自分には出来ない。それが酷く歯痒い。 2人共銃を構え戦闘態勢を整える。一纏めにならず程よく分散して相手の出方を待つ。未だ気配は消えない。 一瞬の静寂の後、 「少し緩めただけで感づかれるとはな……私もまだまだということか」 相手にではなく自分の迂闊さを嘆く言葉と共に現われたのは白髪に浅黒い肌、 そして見るものに強烈な印象を与える赤色の外套。 「私の名はアーチャー、君達と同様にこの殺し合いには賛同しない者だ。こちらに敵意はない、銃を下ろしてくれないか。」 interlude...... ◇――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 朝の日差しよりなお鮮烈な赤の装束を纏う弓兵、アーチャーはビル郡を駆け抜けていた。 E-5の民家にC.C.を匿い周囲を探り始めてから十数分。その間に、アーチャーはE-5内の探索をほぼ完了させた。 彼のクラス名でもあるアーチャーは単独行動に適したクラスでもある。 他のサーヴァントよりもやや見劣りするとはいえ人間よりも遥かに優れた身体能力を持つことは元より、 遠距離からの狙撃に、契約者たるマスターとの魔力供給を断っていても暫くの自立現界を可能にする「単独行動」、 透視には届かないまでも遠く離れた大橋のタイルの数まで把握できる「千里眼」による視力の向上、 そしてアーチャー自身の経験に裏打ちされた数々の知識、戦術、魔術、料理、掃除、etc...... それらの多彩なスキルと強大な「宝具」を活用して戦局を有利に進め、勝利するのがアーチャーの基本戦術だ。 ―――もっとも、このアーチャーは固有の宝具を所持しておらず、その代用としている「ある魔術」も能力の制限下にあるこの会場では発動は厳しいだろうが――― 無駄を省き、身を潜めるのに最適な要点となり得る箇所を重点的に探る。最小の浪費で最大の成果を。 少なくとも現時点で立ち並ぶ市街地には自分達以外の参加者がいないことはほぼ確認できた。 オフィス街においても一際高いビルの屋上に降り立ち周囲を一瞥する。C.C.のいる民家の方向には何か異常があればすぐに駆けつけられるよう意識を張り巡らせながら、地図を取り出す。 ここより2ブロック程北にある【死者の眠る場所】に目がいく。名称からして墓地の可能性が高い。 民家には安置されている御坂美琴を弔ってやりたい所だが、ここからC-6まで遺体を担いでいくにはリスクが高すぎる。 もし道中に戦闘が発生したら遺体を損壊させかねない。酷な様だが近場で埋葬るのに適した場所を見繕う方が吉だろう。 ちなみにアーチャーは支給品が収納されているデイパックが質量を無視してどこまでも詰められることに既に気付いていた。 中からトランク1つが丸々出てくるなど明らかに物理法則を無視した造りだったが、 だからといって御坂美琴の遺体をデイパックに詰め込むような真似を行う気になどなれなかった。 そんなモノのような扱いは最後まで生を放棄せず、目の前の命を救うことに全力を賭した少女への侮辱にしからないと思えたからだ。 続いて目を付けたのは【政庁】、【団地】、そして【D-6駅】。 放送にあったD-6の駅は安全を確認した後に調べるつもりでいる、今気になるのは団地だった。 理由はある。高層の住宅が密集している団地は監視や拠点にするにはうってつけだ。 それにこれ程に大きな施設には何らかの仕掛けがある可能性があると踏んでのことだ。 今までアーチャーが出遭った参加者は、電撃超能力者に主催者の一味を名乗る魔術師、自分と同じサーヴァント、 (元)不死の魔女に戦争屋。いずれも異能者、もしくは戦闘慣れした者だったが、 何の自衛手段を持たない一般人も少なからず参加しているだろう。 主催者に1人立ち向かい、呆気なくその命を散らした少女のように。 名簿に記されていない、この殺し合いをより円滑に進行させる贄とされたであろう者達のように。 主催者が「ゲーム」と銘打った以上、弱者には少ないながらにも逆転のチャンスを与えてある筈だ。ただの殺し合いを見たいのなら紛争地にでも行けばいい。 そんなものは地球上の何処にでも起こっている。そう、どんなに失くしても、決して終わることのない地獄の光景は。 身体的、能力的差を一気に埋められる手段、一番手っ取り早いのは強力な武器だろう。 地図に点在している施設はみな何らかの武器、もしくはそれに準ずる、戦局を有利に進められる装置、情報等が存在するとアーチャーは考えている。 その考えに至る参加者は他にもいるだろう。そうして施設へと赴き、同じ思考に行き着いた参加者に出遭うこともある筈だ。 殺し合いに賛同しない者同士ならまだいいが、その逆も然りだ。 殺し合いに乗った者、親しい人が死んで行く事態に錯乱した一般人も他者への不信感から武器の取り合いになり、 そこでまた殺し合いに発展する。主催者もそれが狙いなのだろう。 団地を目指しアーチャーは無人の市街を駆けた。武器の要素を抜きにしても広大な団地は身を隠す場としても最適だ。既に何者かが潜伏している可能性も高い。 団地の調査に関してはひとまず下見程度にしておく。C.Cの安全を確保した後、時間をかけていけばいい。 重要なのはそこに人がいるかどうかだ。 戦う術を持たぬ一般人がいたならば、なるべくは保護する方針だ。だが先の男のような殺人に愉悦を感じる者には容赦しない。あらゆる慈悲と容赦を捨て殺す。 その思考に憎悪はない。あるのは必殺を誓う決意と、僅かな後悔の念。 ■ 目的地へは数分と経たぬ内に着いた。 遠方で眺めていた通りの四角い建造物が数棟立ち並んでいる。棟の数、高さ共に典型的な住宅団地だ。人の気配は、今のところ感じられない。 まず向かったのは敷地内の中心に据えられる公園。C.C.がライダーに襲撃を受けたという場所だ。 そこは木々に囲まれた公園であった。中央は開けており遊具は1つもない。申し訳程度にベンチと外灯が僅かに置かれているだけだ。 静けさと異様さが混じった空間、この場所には見覚えがある。アーチャーのサーヴァントとしてマスターに呼び寄せられて巡回中に眺めた光景。 「冬木市の……自然公園か?」 自分達サーヴァントが元いた土地、冬木市。そこで行われる、この状況とも近似した魔術師達の殺し合い―――聖杯戦争。 幾度となく行われる闘争、自分が呼び寄せられた5度目の戦いより10年前に行われた第4次聖杯戦争決着の地に酷似していた。 外観が似通っているだけではない。それだけなら軽く流せる。それを出来ないのはこの場の空気すらもあまりに似通っているからだ。 4度目の戦い、その最後は1人のマスターがサーヴァントに「聖杯の器」を破壊させたことにより無効となっている。 正確には既に願いは受け取られていたのだが、それが果たされるよりも前にマスターが器を破棄するようにサーヴァントに命じたのだ。 英霊への絶対命令権、令呪を使って。 「その結果」、聖杯が降臨した当時開発中の市民館、及び周囲の新興住宅街が壊滅し、 500名超の被害者、134棟の建物の焼失という未曾有の大災害を引き起こすことになった。この意味を量るのはその当事者達にしか知り得ない事である。 その後復興計画により一帯が自然公園として生まれ変わったのだが、犠牲者達の怨念がその土地に染み付き、霊体であるサーヴァント、魔術師はおろか ただの一般人にさえも異常を感じる程の異界となっているため、市民も滅多に寄り付かない地となっている。この場にはそれと同種の怨念を纏わり付いている。 冷静にこの土地の戦略性を値踏みする。簡潔に言って、ここを守りの陣地とする利点はゼロだ。負の部分しか見当たらない。 地脈としては本物同様優れた地点のようだがこれだけの怨念に侵されていては魔術師の研究所、工房には成り得ない。汚染された魔力が身体に変調をきたすだけだ。 キャスター及び他のサーヴァントがここを拠点にする可能性は皆無といって差し支えない。 そうでなくともただの人間でも気分を害するのだから進んで訪れるものは少ないだろう。それもまた狙いなのかもしれないが。 次いで住宅地の探索を行う。 物質の解析、構造・設計把握の魔術は自身の得意分野だ。手に直接触れて術を行使すればその物質の構成要素、内部の造りをたちどころに解明出来る。 全て調べるのは少々骨が折れたがそれも10分足らずで完了した。 構造は至って普通。特に隠し部屋らしき箇所や不自然な空間は発見されず。生命反応もない。 「ここが当たりと踏んでいたのだがな、見当違いだったか」 そう呟くアーチャーの手にあるのは一個の鍵。名札には「405 臙条」と書かれていた。どうやらマンションの鍵らしい。 これがアーチャーが団地を目指すことにした1番の理由である。 支給品の1つにあったその鍵を、アーチャーは疑問を抱いた。この会場の殆どの建造物は鍵がかけられていない。 民家にも簡単に進入できる。事実今もC.Cは一般の民家に匿っている。他の施設も恐らく同様なのだろう。ならばこの鍵は一体何処の鍵か。 各地に点在するいくつかの施設の中で施錠されてる部屋を開けるもので、人名の名札があることから、 この団地のいずれかの部屋のものだとアーチャーは考えていた。 そしてわざわざ鍵をかける以上そこには何らかの武器か、設備が置かれているものだと推測した。 だが管理室のコンピュータを起動させ入居者名簿を見たが臙条の名はなく、念のために直接調べた405号室の部屋も鍵は掛かっておらず、中も何の変哲もない部屋だった。 まさか無数にあるビル郡から探し出せというのか。そうとは思えないがすくなくとも今この鍵の所在を把握することは困難となった。 ひとまずこの団地で調べられるものは調べた。判明したのはここは一時の安息の場でなく、更なる混沌を起こすための施設だということだ。 これだけの怨念が集まる場所、自然と殺し合いを望む者や、心に闇を抱える者、親しい人の死などにより錯乱状態へと陥った人間を引き寄せる可能性がある。 もしこの場に力関係を逆転させるような超兵器がありそれがそんな危険人物の手に渡った場合、戦局は最悪の方向へと突き進む。 やはりC.Cの安全を確保した後今一度調査せねばなるまい。 そう判断して背を向けるアーチャー。だがその前に、この団地の名が書かれた看板を見るため振り返る。 帝愛団地 絶望の城 この場に如何なる絶望が潜んでいるか、知るのはまだ1人だけ。 ■ アーチャーが駅に向かう人影を捉えたのは団地を後にした直後だった。 向こうからは補足し様のない、だがアーチャーにとっては充分な距離で対象を観察する。 数は3人。茶髪と長髪の男2人に学生と思しき女1人、自分の向かう予定だったD-6の駅へと歩いていく。 一瞬迷った後出来るだけ接近することに決めた。ここにきて自分に情報が圧倒的に足りないことに気付き、 多少のリスクは冒してでも他の参加者の動向を調べておきたかった。 会話を聞き取れば大体の人柄や行動の指針を計れる。殺し合いに乗っていない者達なら接触、情報を交換する。そうでない場合は撤退すればいい。 気付かれても戦闘に入る気はない。この一帯の地形は調べつくしてある、地の利を活かして相手を撒くことに専念する。 そうして3人が歩く街道の路地裏に身を潜め会話を拾い聞きする。正確に聞くにはまだ少し遠いが近づこうとはしない。いや出来ない。 これ以上の接近は確実に悟られると長年の経験が訴えてきた。 神原という少女はともかく2人の男はどちらもかなりの手練だ。特に長髪の男、レイと呼ばれた男は生気が抜けかかったような顔と裏腹に周囲に警戒網を張り巡らしている。今この距離がギリギリ引っかからないラインだ。 少女がやたら積極的に2人に話しかける姿は若干の恐怖が混じっているが、それに押し潰されない芯を持っているのが分かる。 男達も警戒こそ解かないもののそれ以上のもの―――殺意や憎悪などは感じ取れない。 比較的白に近い―――生命の危機や親しい者の死が無い限りは積極的に殺しに踏み切らない者達、そう判断するアーチャー。 それならば接触も可能か、そう考えた瞬間、 「……そこにいるのは分かっている、出てこい」 ……ほんの少し気を抜いただけでこれか。自分もまだまだ未熟と感じる他ない。 まあ向こうから切っ掛けを作ってくれたのはありがたい。遠慮なく乗り込ませてもらおう。 Interlude out...... ◇――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 軽い自己紹介を行い双方が持つ情報を提示し終えたスザク、駿河、レイ、アーチャー。 全員にとって意義のある時間だったが特にスザクとアーチャーにとっては大きな意味を持つものだった。 「良かったな枢木殿、アーチャー殿。お互いの捜し人が見つかって」 珍しくストレートな表現をする駿河。自分も含め3人が捜している人間が一度に見つかったのだ。 自分も阿良々木先輩が見つかったと聞いたときの安堵と喜びを2人共感じているのだ。そこに余計な言葉の装飾など必要ない。 「ええ、確かに進展にはなりました」 「そうだな、今後の方針を決める要素だ」 だが簡潔に感想を述べるスザクとアーチャーの表情は安堵こそあれ喜びとは別の感情が渦巻いていた。 スザクとC.C.の関係は敵視するほど険悪でもないが親しいというほどに良好でもない。 あの気まぐれで倣岸不遜な魔女が折角組み上げられたチームに余計な不和をもたらすのではないかと危惧していた。 だがこの殺し合いの場からの脱出、何よりゼロレクイエムの完遂という点で目的は一致してるはずだ。 上手い事自分がコントロールする必要があるかもしれない。そう思考の片隅に置いておいた。 対してアーチャーは、スザクとは全く別種のそれだ。 安堵はある。喜びもある。だがそんなものよりも真っ先に去来した感情は、自分自身にしか窺い知ることは出来ないだろう。 「ところで神原駿河といったか、その腕は大丈夫かね?」 話を切り替えるように駿河の包帯の巻かれた左腕を訊ねる。スザクと同じように怪我をしたのかと思ったのだろう。 「おお、アーチャー殿まで私の身を案じてくれるのか。見に余る光栄だが心配は―――」 そこまで言い出したところで言葉が途切れた。遮らせたのはアーチャーの視線。 鷹のような鋭い目を見た瞬間、心を丸裸にされた感触が駿河を包んでいた。 ―――この人は、自分の腕に気付いている。 そんな直感が駿河にあった。何故かは分からない。過去に怪異に触れたことがあるのか、彼には何か異常なものに見えたのか。 ただ漠然と分かるのは、彼は、答えを求めているということ。その腕が、自己の意思のままに操れるのか、制御が利かないのか。 「……大丈夫だ。枢木殿にも言ったがこれは別に怪我ではない。正確には怪我はしていたが今はもう直ったものなのだ。 それでも何だかカッコイイものだから身に付けたままなのだ。といっても別に『っぐわ!…くそ!…また暴れ出しやがった…』とか 『っは…!し、静まれ…私の左腕よ…怒りを静めろ!』とかなることはない。安心してくれ」 「―――そうか、精々暴れ出さないように気をつけてくれたまえ」 真意を知るものにしか分からない程度の意味合いで話す。それが自分の言を信じてくれたのか、あるいは見捨てられたものなのか、駿河には判断が付かない。 「……うむ、心がけよう。しかし枢木殿といいここには私の身を案じてくれる紳士が多くて非常に痛み入る。 それなのに私には貴方に捧げられるものは何もない。あなたの好意に応えるにはやはりこの身を捧げる他ないだろう。是非奪ってくれ、さあ!」 「恐縮だが慎んでお返ししよう。欲しいものなら先程存分に頂いている。この場において情報はなにより重要なものだからな」 駿河の過激アプローチをさらりと受け流すアーチャー。事実収穫は予想以上だった。 駅に集結しつつある対主催チーム、そこにセイバーがいること、殺し合いを扇動する仮面の男ゼロ、 いずれも情報が不足していたアーチャーには福音だ。 「……そうだ、支給品の1つに君に合いそうな物があった。渡しておこう」 思い出したようにデイパックからそれを取り出そうと中を探る。幾らでも詰められるのは構わんが お陰で目当てのものを出すのに1苦労だ。 「そ、そんな、ここにきて貢物など……っ! 確かに私は突くより突かれるタイプだがそんなに立て続けに攻められてはさすがに身が……保つか。だがしかし……!」 「遠慮することは無い。というより私にはどうあがいてもこれを有効に使える手立ては存在しない。君の方が余程上手く扱えるだろう」 取り出したのは、ちょっとした小旅行にでも使えそうなトランク。施錠を外し中身を開くと、そこには彼女の今1番望むものが入っていた。 「……アーチャー殿。貴方はよもや神の御遣いか?これほど都合の良いことばかりが起きるとさしもの私も不安に思えてくる」 余りにもタイミングの合い過ぎた、尋常じゃない空気の読みっぷりに駿河も懐疑的になる。 まさか無意識に左腕の悪魔を開放してしまったのではないかとさえ思った。悪魔がいるのだ、天使がいたって不思議ではない。 「生憎神とも天使とも無縁の身だ。その反応だと余程コレを求めていた事態ということかね?」 皮肉な笑みで駿河に応えるアーチャー。 もったいぶった説明は必要あるまい。それは下着だ。数え切れないほどの下着の山だった。 トランクの中身は様々な色彩に包まれていた。純白があり、黒がある。赤緑青の三原色があり、 それらを組み合わせた虹色の花畑がそこにはあった。 色だけでなく種類も様々であった。およそあらゆる趣向の女性に対応し得るデザインの数々。 飾りつけも質素から豪奢まで完全網羅、触り心地は正に天使の羽。 そんな老若問わずオシャレに気を使う女性なら目を輝かせずにはいられない宝箱を前にして、神原駿河の決断は一瞬だった。 「―――そうか、つまりここで今すぐ着替えるべきなのだな。分かっている、皆までいうな。 ここまで来て私が空気を読み外すわけにはいかないからな」 「待て、何故そうなる。こら上着を脱ぐなスパッツに手をかけるなせめて家に入れたわけーーー!!!」 先程の余裕ある態度は何処へやら、目の前の状況への混乱も困惑も置き捨てアーチャーの絶叫が響いた。 ■ 「さて、それでは私はそろそろ行かせてもらおう。そろそろ我が儘な姫君が退屈している頃だ」 この場で得られるものは全て得た。途中なにか非常に無駄なロスがあったが忘れた。 手にした情報と、駅に向かう手間が省けた分を差し引けばイーブンだろう。 「―――アーチャーさんは、これからどうするつもりですか?」 やや紅潮が抜けていない顔で問いかけるスザク。だが質問そのものは真剣だ。 「まずはC.C.を駅まで送り届ける。その後はしばらく単独行動に移るつもりだ。調べておきたいものもあるしな」 御坂美琴を弔い、それから各施設へ足を運ぶ。特に混沌を呼び込む可能性のあるあの団地は入念に調査し直さなければならない。 「12時までならD-6駅、3回目の放送なら象の像だったな。戦場ヶ原ひたぎ、ルルーシュ・ランペルージ、アーニャ・アールストレイム、 それとユーフェミア・リ・ブリタニアに会ったらそこに集うよう知らせておこう」 「―――お願いします」 最後の人物を強調した言い方にスザクの心が騒ぐ。 情報交換の際スザクは今まで隠していたユフィのことを話した。ルルーシュとの合流を優先したい自分にとってアーチャーの単独行動は有り難い。 今まで思い悩んでいた重みが僅かに軽くなった気がする。 都合のいい言い訳なのは分かっている。結局の所ユフィの捜索は二の次であることに変わりは無いのだから。 この人はそれに気付いているのだろうか。外見と名前程度しか話してないのにそこまで把握できるとは思えない。 だがアーチャーの目はそんな動揺を見透かしたかのように自分を貫いていた。 「頼んだぞアーチャー殿、あと素敵な下着をありがとう。あの宝物の対価にはやはりこの操を捧げる他ないと思うのだが、 本当にそんなスパンキングにしか使えそうもない竹刀でよかったのか?」 駿河は自分ばかり施しを受けていては忍びないと感じ様々な提案―――主に駿河の趣向的な方向で――― を持ちかけ、最終的に支給品と交換というところで落ち着いたのだが、 アーチャーが選んだのは銃といった武器でなく何の変哲も無い一本の竹刀だった。 「ああ、元々私にそれほど武装は必要ない。君たちが渡してくれた情報だけで充分な対価だ」 あくまで竹刀は余計なものだというアーチャー。だが駿河は気付いている。虎のストラップが付いたその竹刀を目にした瞬間、 アーチャーが見せた表情を。そこにいかなる感情があったか、自分が入り込む余地など微塵も無いだろう。 この御仁は他人に対して異様に気が利くというのに自己のことは決して悟られようとはしない。それが尊くもあり、寂しくも思う。 「分かった、ならば私からは何も言うまい。だが一言だけ告げさせてもらおう―――気を付けてくれ」 「承知した。お互い無事を祈るとしよう」 印象的な赤い背中を見せ付けてまるでそこにバネ仕掛けでもあるかのようにビルへと跳躍するアーチャー。なるほどあれほどの脚力なら偵察にも不自由はないだろう。 「では僕達も行きましょう。後十分も歩けば着きますよ」 「承知した。しかし枢木殿も人が悪い。何故私たちにユフィ殿のことを教えてくれなかったのだ?城へ向かった筆頭が見付けるかもしれなかったのに」 駿河の指摘は最もだ。ユフィとの合流を考えるのならば政庁で出遭い、自分達とは別方向へと進んだ伊達政宗にもそのことを教えておくのは当然だ。 それをしなかったのは、その時点でスザクにはユフィと会う資格を放棄していたからだ。この先の未来の自分かも知れない男と出会うまでは。 「……すみません、言いそびれてしまいまして……」 適当にあしらうスザク。今は彼女を駅へと送る。そして少ししたら来るであろうC.C.と合流し、ルルーシュを、ユフィを捜す。 ルルーシュは彼女の存在をどう捉えるだろうか。優先順位はどうあれ彼女を探し出すだろうか。 だが既に世界の歴史にユフィは『虐殺皇女』としての悪名を刻まれている。 仮にルルーシュとユフィ、3人共この会場を脱出でき元の場所へ戻ったとしてもユフィの居場所が果たしてあるのか――― (まだだ、まだその先を考える時じゃない―――今はルルーシュと、会うことが、先決だ―――) 一刻も早くルルーシュかユフィ、どちらか一方でも会いたかった。 自分の中で彼女の存在が大きくなっているのが実感できる。このままでは天秤がユフィの方へと傾きかけない。 それだけはあってはならない。ルルーシュの剣としての責務を全うせねばならない自分には。 そして僅かでも、ほんの一瞬とはいえ―――『彼女が自分の知らない所で死ねば全て丸く収まる』と考えた自分に失望感を覚える。 自分の気持ちを整理する時間が欲しい。駅に着いたら休息を取る必要がある。少なくとも別行動を取った者達が戻るまでに決意を固めておかねばならない。 そう心に留め、スザクは前を向き歩いていった。 ■ その目指す駅がライダーの操る電車の吶喊により間もなく瓦礫の山と化すことをスザク達は知る由もない。 身体を休める間も、自己を思い直す機会もなくスザクは新たな戦いを強いられることになる。 バトルロワイヤルは、続くのだ。―――胸に葛藤など懐く暇など、与えられることもなく。 [D-6/駅前商店街/一日目/朝] 【アーチャー@Fate/stay night】 [状態]:健康 魔力消費(小) 空気を読み過ぎた [服装]:赤い外套、黒い服 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、不明支給品×1(確認済み)、臙条家の鍵@空の境界、虎竹刀@Fate/stay night [思考] 基本:本当の“答え”を見つけ出す。 1:C.Cの元に戻り『D-6・駅』へと送り届ける。 2:『E-6』付近で御坂美琴を弔える場所を見繕う。 3:この場において過去の改竄は無駄。 4:単独行動を取り情報を集めながら衛宮士郎を捜し出す。【絶望の城】を優先的に調べる。 5:3の過程でルルーシュ、アーニャ、ユーフェミア、戦場ヶ原を見付けたら12時までならD-6駅、3回目の放送なら象の像へ集うよう伝える。 6:臙条家の鍵の合う場所を探す。 7:荒耶、赤毛の男(サーシェス)、に対し敵意。 [備考] ※参戦時期は衛宮士郎と同じ第12話『空を裂く』の直後から ※凛の令呪の効果は途切れています ※参加者は平行世界。またはそれに類する異界から集められたと考えています。 ※デイパックの容量に限界が無いことに気付きました。 ※「死者の眠る場所」を墓地と捉え、そこに御坂美琴を弔うのが望ましいと思っています。ただしそこまで運ぶのは困難とも認識しています。 ※「絶望の城」は殺し合いを促進させるための舞台と考えています。 ※「臙条家の鍵」は何らかの重要施設、武器が隠されている扉を開けるものと考えています。 ※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。 ※スザク、駿河、レイと情報交換を行いました。「絶望の城」については伏せてあります。 ※駿河の左腕のレイニーデビルに気付きました。名称や詳細は知りませんが暴走の危険性はないものとひとまず判断しました。 【臙条家の鍵@空の境界】 小川マンションの住人、臙条巴の部屋の鍵。「405 臙条」と書かれた名札付き。 エレベーターの仕掛けにより実際の「臙条巴」の部屋は410室なのだがその仕掛けがこの場で適用されてるかは不明。 【虎竹刀@Fate/stay night】 藤村組組長の一人娘にして穂群原学園英語教師にして2■歳でありながら剣道5段の猛者にして虎でタイガーで ヒロイン候補ですらない衛宮士郎の姉貴分、藤村大河の愛用する竹刀。 鍔に虎のストラップが付いておりおかげで公式試合に出られないこと数度。 これさえなければ剣道界にタイガーの名が全国に轟いたであろう曰くつきの品。 何の変哲も無い竹刀だが担い手である大河が手にすると大地震を防いだり巨大隕石を弾いたり ミカン一個分の魔力で固有結界を発動するなど縦横無尽、八面六臂の活躍をする、らしい。 【帝愛団地 絶望の城】 E‐6にある典型的な住宅団地。敷地内の真ん中に冬木中央公園がある。 建築物に特殊な仕掛けや不自然な空間はないが、内部に武器や何らかの設備が置かれている可能性がある。 中央公園の影響で精神に異常をきたした者を引きよせやすい地となっている。 建物の数や内部の正確な構造、設備については次の書き手に一任します。 【冬木中央公園@Fate/stay night】 冬木市新都方面にある自然公園。娯楽施設はなく申し訳程度にベンチと外灯が僅かに置かれている殺風景な広場。 第四次聖杯戦争決着の地でその際の犠牲者の怨念が渦巻いており、一般人でも異常を感じ不快感を覚える程の異界と化している。 地脈としては優れているようだが怨念の汚染により魔術師の工房には向かない。 C.C.はすぐさま公園を後にし、ライダーは地脈に気付いたが戦略的価値は無いものとして特に調べていない。 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:疲労(小)、精神的疲労(小)「生きろ」ギアス継続中 [服装]:ナイトオブゼロの服とマント [装備]:ベレッタM1934(8/8) [道具]:基本支給品一式、湿布@現地調達 ノートパソコン@現地調達、ランダム支給品0~2(確認済み) 赤ハロ@機動戦士ガンダムOO、9mmショート弾(57発) [思考] 基本:この『ゲーム』を破壊し、ゼロレクイエムを完遂する。 1:神原駿河を連れていったん『D-6・駅』に戻る。幸村に政宗からの伝言を伝える。 2:少し休みたい。自分の気持ちを整理しながらアーチャーとC.C.の到着を待つ。 3:明智光秀、織田信長、平沢憂、アーチャー、セイバー以外のサーヴァントには用心する。 4:ルルーシュに危険が及ぶ可能性のある要素は排除する。 5:確実に生きて帰る為の方法、首輪を外す方法を探す。 6:政宗がルルーシュたちを連れてくる可能性があるので、12時までは『D-6・駅』にチームを組んだメンバーの誰かがいる状態にし、 三回放送時には『E-3・象の像』へと向かう。 [備考] ※ラウンズ撃破以降~最終決戦前の時期から参戦。 ※主催がある程度の不思議な力を持っている可能性は認めていますが、死者蘇生が可能という点は全く信じていません。 ※参加者が異世界から集められている可能性、別の時間軸から集められた可能性を、僅かですが考えています。 ※もしかしたら『敵のアジト』が『黒の騎士団のアジト』ではないかと少し疑っています。 ※三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランを政宗と神原から聞きました。 ※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。また、ビデオメールの送信元と受信時間を確認しました。 ※放送で遠藤が話していた内容は把握していません。 ※アーチャーと情報を交換しました。アーチャーとC.C.が行動を共にしてることを知りました。 ◇――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3人のやりとりをレイは無言で眺めていた。 情報交換をする上で最低限の言葉は交わしたがそれ以上はずっと押し黙ったままだ。 必要な情報のみを思考の片隅に置き今しがた去っていった男を思い浮かべる。 あの男も、自分に似ている。夢を失い、生きる意味を見失った迷い人。 だがどこか決定的な所が違う。その理由は判らない。考える気もない。人が違えば事情も異なる。ただそれだけのことだろう。 今レイが考える必要があるのは一つだけだ。カギ爪が死んでからそれは初めてまとまった思考かもしれない。 「ところでレイ殿、この下着を見てくれ。こいつをどう思う?とりあえず今はTバックを付けているが余りに色と種類がバラエティに富み過ぎて選択に困る。ここは一つ殿方の意見も参考にすべきかと」 「そろそろ黙れ、撃つぞ」 この変態を黙らせる手段を。 【レイ・ラングレン@ガン×ソード】 [状態]:疲労(中) 肋骨を数本骨折 左肩に銃創(処置済み) 脇腹に浅い銃創 ツッコミ属性獲得? [服装]:武士のような民族衣装(所々破損) [装備]:レイ・ラングレンの銃@ガン×ソード [道具]:基本支給品一式×1、デイパック、ドラグノフ@現実(3/10)、ドラグノフの弾丸(20発)、 GN首輪探知機@オリジナル、麻雀牌@咲×31個、平バール@現実 [思考] 基本:もう少し生きてみる。 1:この変態(駿河)を黙らせる。 2:枢木スザクの『結果』を見届ける。 [備考] ※参戦時期は第8話~第12話のどこかです。 ※ブラッドチップ・3ヶ@空の境界は円形闘技場に置いてきました。 ※麻雀牌@咲×1個は回収しました。 ※三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランをスザクから聞きました。 ※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。 ※アーチャーと情報交換をしました。アーチャーに自分と近いものを感じています。 【神原駿河@化物語】 [状態]:健康、若干の恐怖 [服装]:私立直江津高校女子制服、ミズーギー王国製下着 [装備]:縄@現実 [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1(一般的な武器ではない)、神原駿河のBL本セット 、下着セット、しみパン [思考] 基本:戦場ヶ原ひたぎと阿良々木暦を守りたい。が、殺し合いはしたくない。 1:枢木スザク、レイ・ラングレンと共に『D-6・駅』へ行き、阿良々木暦に会う 2:戦場ヶ原ひたぎに会いたい 3:真田幸村に出会ったら、政宗からの伝言を伝える 4:伊達政宗、アーチャーのことが心配 [備考] ※アニメ最終回(12話)より後からの参戦です ※左腕の状態やレイニーデビルに関する情報は誰にも話していませんが、アーチャーには感付かれたと思っています。 ※政宗を戦国武将の怪異のようなもの、と考えています。 ※知り合いに関する情報をゼクス、一方通行、プリシラと交換済み。 ※三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、信頼出来る人間が集まる、というゼクスのプランに同意しています。 ※政庁で五飛が演じるゼロの映像を見ました。映像データをスザクが消したことは知りません。 ※スザク、幸村、暦、セイバー、デュオ、式の六人がチームを組んでいることを知りました。 ※アーチャーと情報交換をし、アーチャーの持っていた下着セットと虎竹刀を交換しました。 【下着セット@オリジナル】 その名の通り下着の詰め合わせ。ブラジャーとパンツのセット。水着もあり。全て女性用。小旅行用のトランクケースに積まれている。 一般的なものからからヒモパン、白からシースルーまで考え得るあらゆる種類と色の下着が揃っている。素材も肌に優しい親切設計。 一部特殊な繊維で組まれた超が付くほど際どいミズーギー王国製下着@ガン×ソードもある。 時系列順で読む Back ぶっ生き返す/ふわふわタイム(後編) Next 狂気の拠り所 投下順で読む Back ぶっ生き返す/ふわふわタイム(後編) Next 矛盾螺旋 120 Parallel insistence アーチャー 150 神浄の恋せぬ幻想郷(前編) 126 サクラ(イ)大戦 枢木スザク 164 疾走する本能(前編) 126 サクラ(イ)大戦 レイ・ラングレン 164 疾走する本能(前編) 126 サクラ(イ)大戦 神原駿河 164 疾走する本能(前編)
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その名は絶望 ◆h8c9tcxOcc 「なるほど、事情はだいたいわかりました。本当にだいたいですが」 勘違い少女カレンの身の上話をひととおり聞き終え、糸色は腕組みをしたまま大きく頷いた。 慣れない仮面の重量を勘定に入れ忘れ、そのまま前のめりになる。 「掻い摘むと、貴女はブリタニアにアンチテーゼを唱える、黒の騎士団なるレジスタンスグループの一員。 そしてゼロは、組織をまとめるリーダー兼斬込隊長的存在、というわけですね」 「はい。ですが……」 カレンはどうしていいかわからないといった表情で糸色へと詰め寄る。 「本当に、何も覚えていないんですか? ブリタニアのことも、黒の騎士団のことも……私のことも」 「覚えてないもヘッタクレもありません。私はもともと何も知らないんですから。貴女とお会いするのも、正真正銘これが初めてです」 「……なんてことなの」 深い溜息を吐きだし、カレンは傍のフェンスにしがみついてぐりぐりと額を擦り付けた。 「信じられません。ゼロともあろう方が、自分の名前すら忘れてしまうなんて。 相当強力な薬を盛られたんでしょう……ブリタニアめ。あいかわらず卑劣な真似を!」 「人を勝手に薬物中毒者扱いするのはやめてください!」 まったく。自分の思い込みを正当化するために他人をこき下ろすだなんて、迷惑きわまりない。 うちのクラスの生徒といい勝負です……いや、それはさすがに言いすぎでしょうか。 とはいえ、それだけ深刻な事情があるのでしょう。しかもこの環境ですから、余計に判断力を欠かせてしまっている。 仮面の奥にいる人間を、背格好や声で判別することもできなくなってしまうほどに…… まぁ背格好は描写されていないし、媒体からして声を聞き分けることは不可能ではありますが。 ……おっと、登場人物にあるまじき思考をしてしまいました。以後自重しましょう。 それにしても、ブリタニアとは一体何なのでしょうか。おそらくブリテンと関係する地名でしょうが、聞いたことがありませんね。 もっとも、センモンの違う私がいくら考えたところで仕方のないことではありますが。 知らない情報を思い出そうとしたところで、無意味な堂々巡りをするだけですから。 それから、黒の騎士団というのは……こちらは、聞いたことこそ無くともある程度の憶測は浮かびますね。 彼女の年齢や団体名の稚拙さを見るに、体制に不平をぶつけることしか知らない愚直な学生運動家サークルといったところでしょうか。 気持ちはわかります。私もかつて、わけのわからないサークルで青春をひたすら浪費していた身ですからね…… ……いけません! 危うくまた状況に流されるところでした。 彼女の言い分を疑うつもりは毛頭ありませんし、その勘違いぶりにはいよいよ同情の念すら浮かびます。 しかし。今の私に彼女の立場を考えてやる義理も余裕も無いんです。ええ、これっぽっちも。 そう、私にはしなければならないことがある。一刻も早くこの悪夢から逃れろと、本能が命じているのです……! 「カレンさん」 糸色はカレンへ向き直り、姿勢を正す。 「なんでしょう」 カレンもまた、フェンスから手を離して糸色を見遣った。 「ゼロという方について、もう一度確認しておきたいのですが」 「……構いませんが」 カレンはあからさまに怪訝な表情を見せる。しかし構うことなく、軽く一呼吸を置いて糸色は続けた。 「ゼロは貴女たち黒の騎士団を率いるリーダー、でしたね」 「さっき言ったばかりじゃないですか」 「つまり、ゼロとは智略に長け」 「はい」 「行動力に満ち溢れ」 「ええ」 「カリスマ性を兼ね備えた」 「そう思います」 「すばらしく前向きな人物なのですね」 「それはまぁ、反国家組織を立ち上げるほどですから」 真顔で答えるカレン。それを見て、糸色は微笑を浮かべる。 「ではこれから、私がゼロでないことを身をもって証明しましょう。一度しかできませんので、よく見ていてください」 「……は?」 言うが早いか、糸色はフェンスへ手を掛けると、慣れた手つきで一気によじ登った。 大人四人分ほどの高さはあろうかというフェンス。その頂に片脚を乗せ、半身を捻ってカレンを見下ろす。 「ゼロ、何をしてるんですか!?」 「下を見てください」 糸色の指差す先には、川が流れている。 特に濁ってもいなければ、澄んでいるともいえず。流れは激しくもなく、緩やかというわけでもない。 なんのことはない、ごくごく普通の川である。 「下って……まさか」 問題は、その位置関係。彼らの居る場所はかなりの高地であり、フェンスの向こうは切り立った崖になっている。 糸色の指した川は、その姿がかすかに滲んで見えるほど、遥か下方に存在していたのである。 「こんな手段でしか自分がゼロでないことを証明できなくてすみません……でも、私にできることはこれしかないのです」 「な、なにを言ってるんです!?」 「おっと、遺言を忘れるところでした。いいですか。このゲームで生き延びたければ、 ・脇役な流れなのにいきなり出しゃばったり、 ・別れ際に再会を誓ったり、 ・『生きて帰ったら結婚するんだ』と婚約をカミングアウトしたりしては、絶対にいけませんよ……!」 「えっ、いや、意味がわかりませんが!」 「では、お元気で……」 「冗談でしょう、ゼロ! ゼロっ!!」 「さよなら」 糸色の足が、フェンスの頂を後ろへ向かって軽く蹴る。 全身が重力の赴くままゆっくりと傾き、水平になり、やがて頭からスムーズに落下を始める。 「あ……ああっ…………!!」 黒一色の影が、フェンス越しに見つめるカレンの目の前を素通りし、崖の下へ呆気無く消えた。 「シッ、シッ! ああ、くそっ!」 ルルーシュ・ランペルージは、全身各所の僅かな露出部に群がる蚊の大群を払いながら、癇癪を起こしていた。 癇癪の理由には、しつこく付き纏うこれに対する苛立ちも含まれてはいたが、大局的には無論、違う。 当面の目的地、H-2の学校へ向かうにあたって、雑木林を真っ直ぐ西へ進むのが最短距離かつ安全なのだが、同時に最も労力を要する。 移動に時間を掛ける場合ではないと考え、林を出て東西をはしる道の南脇を行くことにしたのである。 しかし、あてが外れてしまった。いま居る南側の低地は一面が雑草で覆われており、その丈が胸の高さにも達するから始末が悪い。 これを掻き分けて進むとなると、労力は林を縫って歩くのといい勝負だろう。 そのうえ、絶えず蚊どもの強襲を受け続ける破目になるとあらば、いよいよ発狂しかねない。 まずはこの劣悪な環境から逃れるべく、ルルーシュは引き続き北へと歩を進めた。 蚊柱との格闘を続けること半時間。ルルーシュはようやく堤防へと辿り着いた。気が付けば、朝日の差す時刻である。 急斜面を駆け上がり、固いアスファルトの道を踏みしめる。その無粋な足触りに、異様な懐かしさを感じた。 そう感じられるほど、ここまでの道中は悲惨なものだったのである。 しかしながら、辺りが陽光に包まれ始めている今、この場に留まっているわけにはいかない。 三六〇度開けたパノラマの、どこから凶弾が飛んでくるやら知れたものではないのだから。 道路を横切り、川のある北側の様子をざっと眺める。辺りは川の側まで短い芝の生えた河川敷になっていた。 少し東に砂利敷きの簡易な駐車場と、ほぼ正面に青塗りで縦長の四角柱をした個人用トイレらしきものが設置されている。 あとはほぼ何もなく……川岸に人影が見えたくらいのものだった。 水のせせらぎと、そよぐ風の音が鼓膜を優しく刺激し、時折吹く強い風がそれに絶妙なアクセントを添える。 背中に触れるのは、硬い凹凸。対照的に、胸から下腹部にかけての前面には、温かく柔らかな、どこか懐かしい感触が…… ……感触? いや、自分はたしか死んだはずでは…… 「……ん、うぅ……ハッ!」 目を開くと、そこには紛うことなき現世の風景が映し出された。 空はいつの間にか薄明るくなっている。つがいの小さな鳥が、視界を横切ってひよひよと囀りながら通り過ぎていった。 固い地面に触れた右の手を、そっと握ってみる。小石である。見回すと、掌に収まる程度の石が無数に転がっていた。 どうやらあの後、川の流れに乗って岸に打ち上げられたらしい。つまるところ、身投げは失敗に終わったのだ。 溜息を吐こうと深く息を吸ったそのとき、横隔膜に強い抵抗を覚えた。 そういえば、先ほどから腹部に圧力を感じる。早い話、体の上に重石が乗っかっているようだ。 謎の重石を除けるため、左手をゆっくりと腹のほうへ動かす。すると、指先に柔らかい何かが触れた。 これは一体何なのか。真相を確かめるべく、頭を持ち上げて恐る恐る腹の上を見遣る。 目線の先に現れたもの。それはうら若い女性の肢体であった。自分の体に折り重なるように、俯せに覆い被さっているのだ。 そして左手が握り締めたそれは、彼女の豊満な…… 「ななな、なんですかこのベタなシチュエーションは―――っ!! ……ではなくて、どうして彼女がここに居るんですか―――っ!!」 「んっ……」 糸色の絶叫を聴き、カレンが目を覚ました。 「え?」 不味いと思ったときには遅く、糸色の全身は金縛りに遭ったかのようにぴくりとも動かなくなる。 当然ながら、乳房を掴んだ左手も微動だにしない。糸色は『セオリー通り』という一方通行の袋小路に迷い込んでしまったのだ。 カレンは小さな呻きを上げながら、釈然としない様子でしょぼつく目を擦っている。 ここで脳が覚醒してきたのか、状況確認を始めたようだ。鞄がちゃんと背負われているのに安堵の息を吐き、 ずぶ濡れになった髪や服に眉を顰め、自分が置かれている状況を認識して、あっと驚きの声を漏らすと、徐々に顔色が変わり… 目が合った。 「ごごごごめんなさいぃ! こ、これは不可抗力なんです、慰謝料は払いますから訴えないでくださぁいっ!!」 カレンの下からするりと這い出し、石に仮面をぶつけながら糸色は必死に土下座をし始めた。 「すすすすみません、圧し掛かってしまって。重かったですよね? 重かったですよねぇっ!?」 カレンは慌てて立ち上がり、九〇度より深く腰を折って、何度もペコペコと頭を下げる。 ん? この感覚……デジャヴ? いやはや、私としたことが。一度は消化したはずの加害妄想にまたも翻弄されてしまうとは。 いけませんね、過去の回に頼ってばかりいては。世捨て人たるもの、常に新たな絶望のありかたを追求しなくては。 「いやぁ、お互い無事で本当に良かったですね。私なんか、もう死んだつもりでいましたよ」 それにしても危ないところでした。一歩間違えば、リストに載せてもいない方と心中してしまうところです。 心中とは、絶望的な人間同士で行ってこそ意義があるものなのですから。 ……おや、返事がありませんね。見ると、彼女は俯いて肩を震わせているではありませんか。 もしや濡れたまま気を失っていたせいで、風邪でもひかれたのでしょうか。これは心配ですね。 「あの、カレンさん?」 「どうして」 「……はい?」 「どうしてあんな馬鹿な真似をしたんですかっ!!」 「ど、どうしたんですか、藪から棒に……まさか」 彼女はゲイ・ボルグのような視線をこちらに向けています。やはり、先ほどのことを怒っているのでしょうか。 ヤバイです、このままでは確実に法廷画にされてしまいますよ……!! 「どうして、あんな高さから川に飛び込んだりしたんですか! 何か考えがあって早く移動をしたかったんでしょうが、あれは無謀すぎます! 南へ行きたいなら、道はいくらでもあるじゃないですか。 貴方は、自分の立場が分かっているんですか? 少しは自重してください!!」 「……な、な、なんですと!?」 じょ、冗談じゃありませんよ。命を張ってまでゼロでないことを証明しようとしたというのに、これはあまりに酷い。 それなら私は、どうやってアイデンティティを主張すれば良いのです!? ……いや、あのときも結局、自分が自分であることを証明できずじまいでしたか…… ああ、なんと無常であることか。このまま私は、名簿に載っている名前で呼ばれることもなく、 孤独と無力感に精神を蝕まれながら生涯を終えるしかないのですか……ッ!!! 「 絶 望 し 」 「もし、ゼロを亡くしたら……」 酷い……否、酷すぎるッ! 決め台詞すら容赦なくカットする作者に絶望し……ん? 「ゼロを亡くしたら……私は、何を信じて生きていけば良いかわからなくなります……!!」 「……泣いて、いるのですか」 彼女は両手でハーフパンツの裾を握り締めながら、声にならない嗚咽を漏らしていました。 噛み締めた唇からは今にも血が噴き出しそうで、濡れた前髪に隠れた眼からは、とめどなく涙が溢れ…… 「……まったく。どうも貴女には、逐一調子を狂わされますね。 これだから、やたら他人と関わりあいになるのは嫌いなんですがねぇ」 私は仮面の後頭部を掻きながら、棘のある口調で言った。 貴女に興味はない。貴女がどうなろうと責任は一切負わない。貴女が死んでもエアーズロックには赴かない。 短い台詞の中に、世の中に絶望した男の持てる、目一杯の皮肉の気持ちを込めて。 ――彼女の勘違いは、まさに絶望的なものと言えるでしょう。 私のようなダメ人間を、命を賭して守るべき自分達のリーダーと間違えるなんて、致命的すぎます。 しかしながら、それは偽りの絶望。螺旋王の作り出したまやかしの恐怖に打ち震え、自分自身を見失ってしまっているのです。 ゼロという柱に縋り付くことで、ブレてしまった自分を誤魔化そうとしているだけなのです。 彼女は、まっすぐな心を持っています。生来的に、私のような者と一緒に居るべき人間ではありません…… 「……わかりました。貴女の目的に力をお貸しすることにしましょう。お役に立てるかどうかは、保証しかねますけど」 ですが。彼女はもはや手遅れでしょう。 ゼロが居なくては何もできない。そういう一方的な依存関係が、既に確立されてしまっている。 今こんな状態で依存対象を失えば、どんな事態になるかわかったものではない。 最悪の場合、自殺に走ってしまう可能性すら否めない…… そんなことは許せません。他人によって恣意的に与えられた絶望で自殺するなんて、悲しすぎます。 それに、ベテランの私より先に死ぬなんてことを、看過できようはずがない。 だから、私はゼロになりすますことで、彼女を支えることにしました。 彼女を正しい絶望に導くために…… 「ありがとうございます……ゼロ」 そして私は、彼女の手を強く握り締めたのでした―― 「馬鹿が……」 無意識下で思考が口を突く。目の前で繰り広げられているあまりに滑稽な事実には、頭痛すら沸き起こる始末だ。 公衆トイレの陰から事の始終を窺っていたルルーシュは、その長い五指で顔面を覆った。 どこまで使えないんだ、あのテロリストは。頭蓋にメロンでも詰まっているのか? 声。体格。口調。志向性。そして、マントの隙間から覗く袴……どう見ても本人と間違える要素がないだろうが。 そして、あの偽物。おそらくゼロのコスチュームを支給品として与えられたのだろうが、 何の因果でそれを着用し、どういった目的でカレンを騙し付き従わせているのか。 いずれにせよ、あのままにしていては何らかの不都合が生じるだろう。 “ゼロ”の被る仮面を、剥ぎ取ってやらねばならない。男の被る、裏に秘めた目論見を包み隠す真の仮面を…… 「おっと。どこか適当な場所を探して、衣服を乾かしたほうがいいですね。殺し合いの舞台で病死などしては、いい笑い者です。 ちなみに、私は遠慮しておきますよ。同じ竿に下着を干したりしたら、セクハラで訴えられかねませんから」 【G-5/河川敷-川のほとり/一日目-早朝】 【糸色望@さよなら絶望先生】 [状態]:絶望(デフォルト)、ずぶ濡れ [装備]:ゼロの仮面とマント [道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品(0~2個) [思考]:カレンがあまりに不憫なので、ゼロとして支えながら正しい絶望へ導く 【カレン・シュタットフェルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [状態]:ずぶ濡れ [装備]:なし [道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品(1~3個) [思考]:ゼロを守る 【G-5/河川敷-トイレ裏/一日目-早朝】 【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】 [状態]:やや疲労、苛立ち、頭部及び手先・足首に痒み [装備]:なし [道具]:デイパック、支給品一式、メロン×11 [思考]1:“ゼロ”に対処する 2:スザクとの合流を果たすべくまずはH-2の学校へ向かう 3:このゲームをぶっ壊すための駒と情報を集める [備考]:参戦時期は第13話以前。スザクがランスロットの搭乗者であること、マオの存在を知りません。 時系列順で読む Back 瀬戸の文鎮 Next ただ撃ち貫くのみ 投下順で読む Back 本を取り戻せ Next 睡蓮-あまねく花 003 嗚呼川の流れのように 糸色望 101 三つの心が一つにならない 003 嗚呼川の流れのように カレン・シュタットフェルト 101 三つの心が一つにならない 012 主催者打倒宣言! ルルーシュ・ランペルージ 101 三つの心が一つにならない
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もう行き場がないよ この黒い感情 赤色の雨 気がついた山中 死体は消えて 乗ってきた車埋まっている 所在を聞かれて それでも冷静でいられるかなんて わかってる けどどうすればいいか 「とりあえず 病院に。」 サドだな… 俺は 首絞めるよ これは美奈だ あの女しつこすぎるなんて! ストーキング それは罪 見せてやるよ ネイルの威力を 叫んでみた 屍人達こっち来たよ どれだけ熱望したって 君の立場に変われない 嗚呼、いつの間にか二人きり 会話が続かない 気まずい空気流れ出し どうしたら どうすれば 殺意なんか沸いてないからね 大嫌い 「宮田」を消すよ 頭を撃て 手段なんて選んでられない 拳銃カチャリ 見せ付けるんだ 君の役目代わってみせるよ 宇理炎装備 人々は未だ苦しんでる 村は絶望 君の姿で救済するよ 原曲▲恋は戦争/ryo 元動画▲http //www.nicovideo.jp/watch/sm5268394
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ヤガミと絶望~小笠原ゲームログ(10/15) <あらすじ> 舞踏子に振られ、自殺したヤガミ。奇跡の治療で復活させるも、彼は未だ自分の死を望んでいた。 復活後の自殺を止めることには成功したが、ヤガミは記憶を壊す副作用のある、自殺を止める薬を定期投与されることになった。 <鍋@ふぁん小笠原ゲーム歴> ①鍋の国の慰安(にならなかった)旅行 (鍋の国で行った3時間旅行) ②鍋ヤガミ復活~小笠原ログ(9/18) (奇跡の治療後、ヤガミの自殺を止める) ヤガミ⇒鍋@ふぁん評価 : 友情-1 / 愛情+2 中の人 >鍋@ふぁんさん、こんにちは *鍋@ふぁん> どきどき。入室しておきます 中の人 >芝村さん、こんにちは *鍋@ふぁん> こんばんは。よろしくお願いします。 *芝村> こんばんはお願いします*鍋@ふぁん> ヤ、ヤガミは今どんな感じなのでしょう?(どきどき)イベントを迷っています。 *芝村> 今の状況は、かなり安定してるが、時間が空きすぎた。*芝村> 廃人だよ。 *鍋@ふぁん> 一ヶ月で廃人ですか@@うう、自分的には急いだんですが遅かったですか・・・・。 *鍋@ふぁん> 夜明けの船でも寝たきりとかなのでしょうか? *芝村> ま、頭壊れてるだけだ。死んではいない。 *芝村> これ以上の薬の使用は命にかかわる。だから薬はもう使えない。そんな状況だ。*鍋@ふぁん> な、なんとーーー。ヤガミ・・・ごめん。 夜明けの船で会おうかと思っていたのですが、小笠原の風に当てたほうが気分がよくなりそうですかね。 *芝村> イベントはどうする?*鍋@ふぁん> ごはんを持ってきたので、お昼時が良いので、お昼休みでお願いします。 *鍋@ふぁん> どこか風が気持ちよくて、安全な場所で。 *芝村> 崖の上があるよ*鍋@ふぁん> 言われる気がしました!!崖は安全じゃないですーーーーーー *芝村> 砂浜 *鍋@ふぁん> 入水が心配なので(心配性)どこか、公園とかありませんか? *鍋@ふぁん> (好き放題言ってすみません) *芝村> ミーアの泉公園があるよ*鍋@ふぁん> ミーア?が何かわからないのですが、落ち着いた場所でしたらそちらで *芝村> OK *芝村> では2分ほどお待ちください *鍋@ふぁん> はい。 *芝村> /*/ *芝村> こんこんと湧き出す泉の近くに、貴方は車椅子を押してきた。*鍋@ふぁん> そっとヤガミをみつめて様子を見ます。 *芝村> ヤガミは、動きがない。人形のようだ。*鍋@ふぁん> 「いい天気でよかった。風が気持ちいいね」(ヤガミを見つめて、微笑みながらはなしかけます) *芝村> ヤガミは動かない。その瞳は、木と泉を映している。*鍋@ふぁん> 「泉がある。きれいな水・・・。もっと近づいてみようか?木漏れ日も気持ちがいいね。」(やはり微笑んで話しかけます) *芝村> ヤガミは反応がない。*鍋@ふぁん> 「・・・・ヤガミ。来るのが遅くなっちゃってごめん。ごめんね。」(耐え切れなくなってぎゅーします。) *鍋@ふぁん> 「 *芝村> ヤガミの体がガクガク震えだした。*鍋@ふぁん> 力強くぎゅーします。 *芝村> 攻略本が震えている。 *芝村> 10 *芝村> 9 *芝村> 8 *芝村> 7 *鍋@ふぁん> さらにぎゅーーーー *鍋@ふぁん> 攻略本はなんとーーーー *鍋@ふぁん> 「ヤガミ大好きだよ。大好きだよ!!」 *芝村> ここで抱きしめるとヤガミは死にます。 *芝村> 攻略本は壊れた。*鍋@ふぁん> ぎゅーを取り消します *芝村> もう、おそい。 *芝村> だがふぁんの必死の声は、ある程度の力は発揮されたようだった。*鍋@ふぁん> 「ヤガミ大丈夫。ごめん。ごめんね。」(ヤガミから離れます)*芝村> ヤガミの目が、動いている *鍋@ふぁん> (ヤガミの目を見つめます) *芝村> ヤガミから離れると。*鍋@ふぁん> 「ヤガミ、大丈夫?ごめん、遅れてきたくせに、ヤガミの気持ちわかってあげられなくて。好きなのに。こんなに好きなのに。」*芝村> 攻略本。またつかってもいいよ *鍋@ふぁん> 今、一冊消費したのでしょうか? *芝村> ええ。>消費*鍋@ふぁん> あう・・・ミサさんがお許ししてくださいました。も一冊使わせていただきます>国のみんな使いまくってごめん!! *芝村> 使いました。*芝村> 現在自殺防止用に、脳と体の機能を、切り離してるらしいね。*鍋@ふぁん> ???体は自由に動かないということでしょうか? *芝村> ええ。今ヤガミは、体が自由に動かない。*鍋@ふぁん> ぎゅーすることで、体が自由に動くようになって、自殺しようとしたのでしょうか? *芝村> 攻略本にはそこまで書いてないね。さて、どうしよう。*鍋@ふぁん> ヤガミは話すこともできないのでしょうか?瞳の様子から感情を読み取ることは可能ですか? *芝村> 話せもしないね。舌噛むから。 *芝村> 瞳を見ることは出来る。*鍋@ふぁん> 瞳を見ます。どんな様子でしょう? *芝村> 意思はありそうだね。 *芝村> 悲しくはありそうだが。それがなぜかは分からない*鍋@ふぁん> 「ヤガミさっきは急に抱きついてごめん。驚かせちゃったね。ヤガミに会えて嬉しくて・・・切なくて・・・。気を取り直して、泉のほうにいってみようか?」(瞳を見ながら話しかけます) *芝村> ヤガミは何か言いたそうにも見る。*芝村> じゃあなぜ、1ヶ月こなかったのかと、そう言ってる気もする。 *鍋@ふぁん> (瞳の意思を読みつつ)「遅くなってごめん。一ヶ月もかかっちゃったけど、これが私の最速だったの。ごめん。のろまでごめん!!」 *鍋@ふぁん> (リアルで今日が最速ですよーーー@@) *鍋@ふぁん> 「もっと早くこれたらよかったのに。私もヤガミに会いたかったのに・・・!!」 *芝村> ヤガミは答えない。*鍋@ふぁん> 「ヤガミは私のこと、待っててくれたんだね。ありがとう。早くにこられなくて、ごめん。ごめんね。」(瞳をしっかり見て、誠意を持って話しかけます) *芝村> ”だれかとおなじだ”*鍋@ふぁん> 「ううん、私は誰とも同じじゃないよ。私は私。今回自分の気持ちを行動で示せなかったのは私のせい。」 *鍋@ふぁん> 「でも待って。待って。私、私、ヤガミが好きで。今目の前にいるヤガミだけが大事で、その気持ちだけは誰にも負けない。比べないで。」 *芝村> ヤガミからは、反応がない。 *芝村> もう駄目かもしれないね。ヤガミは目を伏せた。*鍋@ふぁん> 「誰と比べられようと、私はヤガミを一番大事に想ってる。何度でも言う。好きだよ。大好きだよ。」(目をまっすぐ見つめて言います)*鍋@ふぁん> 攻略本は何か言ってますか@@*芝村> 攻略本にはなにもない。 *鍋@ふぁん> (ヤガミの伏せた目を下から覗いて、想いを込めて見つめます) *芝村> 見詰めている。 *芝村> 10 *芝村> 9*鍋@ふぁん> 「ヤガミ、私会い来る。なんどでも。私の精一杯で。」 *芝村> 5 *芝村> 4 *芝村> 3 *芝村> 2 *芝村> 1*鍋@ふぁん> 「今回精一杯が足りなかったなら、次はもっと頑張る。約束。」 *鍋@ふぁん> ヤガミの手を握ります *芝村> ヤガミの手は冷たい。 *芝村> 0 *鍋@ふぁん> ヤガミの手をさすってあたためます。 *鍋@ふぁん> 手を自分の頬に当てます *芝村> ヤガミの目が何か語っているのに気付いた。*鍋@ふぁん> (じっと瞳を見て、それを読み取ります) *芝村> ヤガミの目は、爆笑している、なにかがおかしくておかしくて仕方がないように。*鍋@ふぁん> !?(笑ってくれるのは嬉しいけど、一体!?) *鍋@ふぁん> さらに瞳の奥を読み取ろうとします *芝村> 絶望して、もうどうでもいいやと思ってる気がする。*鍋@ふぁん> 「待って。ヤガミ。お願いチャンスをちょうだい。」 *鍋@ふぁん> 「私、口ばっかりで、何の力もないけど、想いだけは本物だから。」 *芝村> ヤガミは身体を動かせという目で、貴方を見ている。*鍋@ふぁん> それはヤガミの体でしょうか?どう動かしたいのでしょう? *鍋@ふぁん> (私に行動で示せという意味でしょうか?) *芝村> スイッチがあるのかもしれないね。ヤガミの体のどこかを動かす*鍋@ふぁん> 攻略本は何か言ってませんか?(心配) *鍋@ふぁん> ヤガミが何で体を動かしたいのか、瞳をじっと見つめます *芝村> ヤガミは動かしても死ぬことはありませんとある>攻略本 *鍋@ふぁん> 自殺もしないということでしょうか?>攻略本(心配性) *芝村> ええ。自殺はない。*鍋@ふぁん> ヤガミを信じて、ヤガミの意思を尊重したいです。もしヤガミが不穏な動きに出たら全力でとめます。自分に何かされてもいい。 *芝村> OK.*鍋@ふぁん> スイッチを探します。ヤガミを信じて、覚悟を決めて(スイッチを探しつつもヤガミを見つめます) *芝村> 貴方は神経の接続を回復させた。 *芝村>ヤガミ:「……」*芝村>ヤガミ:「ありがとうというべきだな」 *鍋@ふぁん> 「・・・気分は大丈夫?」 *鍋@ふぁん> (一応スイッチから手を離しません) *芝村>ヤガミ:「ああ。爽快だ。すっきりした」 *鍋@ふぁん> 「大丈夫?ヤガミ。」 *鍋@ふぁん> (心配でみつめます) *鍋@ふぁん> 「体、大丈夫?」 *鍋@ふぁん> (ヤガミの様子を観察します) *芝村>ヤガミ:「大丈夫だ、問題ない」*鍋@ふぁん> 「どこも痛くない?」 *芝村> ヤガミの瞳は絶望の色を讃えているが、もはや死ぬ気はないようだ*鍋@ふぁん> (ヤガミを支えるように側に立ちます) *芝村> ヤガミは貴方を無視した。*鍋@ふぁん> 「ヤガミ。私、こんなダメな私だけど。あなたの側にいたい。力足らずだけどささえたい。」 *芝村>ヤガミ:「必要ない」 *鍋@ふぁん> (無視をされても、側にいます) *芝村>ヤガミ:「だが、礼だけは。ありがとう。俺は何か色々勘違いをしていた。滑稽だな。本当に。現実に気付いていい気分だ」*鍋@ふぁん> 「私にはヤガミが必要です。そして、あなたがみんなの星であるように。あなたの星になりたい。あなたに必要とされなくても」 *鍋@ふぁん> 「ううん。勘違いなんてしていない!!私の力が足りなかったの。でも、でも、私・・・、今よりもっと頑張る。」*鍋@ふぁん> 「ヤガミを傷つけないように強くなる。」 *芝村> ヤガミは耳を貸さないで、ゆっくり歩き出した。何かを考えながら。*鍋@ふぁん> 「今は力が足りなくても。私は、私は、あなたを支えたい。」 *鍋@ふぁん> (ついていきます) *芝村> 貴方の声は、むなしく響いた。 *芝村> /*/ *芝村> おめでとう。ヤガミは復活した。もはや誰の力も必要ない。*鍋@ふぁん> orz *鍋@ふぁん> 絶望をひどくしてしまいました・・・。 *鍋@ふぁん> ヤガミの心に星をともしたかったのに・・・。何でもぎゅーすりゃいいってもんじゃないんですね・・・。 *鍋@ふぁん> 攻略本も教えてくれたのに・・・。死ぬ気もしないほどの絶望って・・・。ヤガミーーー *芝村> まあ。いいんじゃないかな。*芝村> 愛情はかせゲルけど、死んだらどうしようもない *鍋@ふぁん> そう言ってもらえると・・・、でも心がひどいことに・・・!! *鍋@ふぁん> このヤガミはもう自殺することはないのでしょうか?*鍋@ふぁん> (次になにかやらかしそうで、心配です) *芝村> ええ。もう自殺はないね。脱藩はした。*鍋@ふぁん> 鍋の国からいなくなっちゃったんですか!? *芝村> ええ>ふぁん *鍋@ふぁん> 攻略本バンバン使っておいて、国のみんなになんて謝れば・・・orz *鍋@ふぁん> 呼べばまた会えますか? *芝村> あえるね。 *芝村> 友情、愛情はあらゆるキャラに-4-4だ。別のよんだほうがいいんじゃない。*鍋@ふぁん> その時は、余分に10マイル・・・かかるんですよね?(ヤガミを呼ぶたびマイルすっからかん)*鍋@ふぁん> あらゆるキャラ!?みんなごめん・・・!!これは、他国の方が呼んでいるヤガミにも関係ありますか? *鍋@ふぁん> 会いに行くと自分勝手に約束したのに、会いにいきます。このままじゃ、ヤガミがあんまりだ・・・。 *芝村> これは、他国の方が呼んでいるヤガミにも関係ありますか?>いいえ*鍋@ふぁん> ほっ *芝村> まあ、でも、喪失感で胸は一杯だけど、いい気分だとは思うよ。後は、強くなるだけだ。 *鍋@ふぁん> ど、どんなヤガミになるんだろう・・・。き、嫌われていても良いので、陰からサポートしたいです。 *鍋@ふぁん> 今回の-4で、私、友情-5、愛情-2になるんですが、-のマックスも4ですか?@@ *芝村> -のマックスも4 *芝村> -4-2*鍋@ふぁん> おお!!でもすごく嫌われていることに変わりなし・・・・。 *鍋@ふぁん> 今回の敗因は、来るのに1ヶ月もかかってしまったことでしょうか?ゲームでもやってはいけないことをやってしまってましたか?(教えていただけるなら、今後の参考に)*芝村> 1月かかったのはたしかに。最初に愛情高い奴とか色々いってたんだけどね。 *芝村> ゲーム中の発言は空虚に響いてよかったよ。*鍋@ふぁん> 空虚・・・・orz *鍋@ふぁん> 次回このヤガミに会うには20マイル必要なんですよね? *芝村> ええ。20マイル。 (以下はゲーム外の話になるので割愛) 現在のヤガミ⇒鍋@ふぁん評価 : 友情-4 / 愛情-2
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戻る 実験台にするとか、むぎ最低すぎんだろ -- (名無しさん) 2010-08-30 16 30 19 ↓まあそういうなよ・・・wいいオチが考え付かなかったんだろ>< -- (真・けいおん厨) 2010-10-08 02 38 25 ムギその薬やばいだろ。 どう使うかだな。 -- (通りすがり) 2010-10-08 16 57 51 ムギの薬所持率は異常 -- (名無しさん) 2011-01-21 21 26 56 さわ子www -- (名無しさん) 2011-01-21 21 31 45 ムギさん・・・w -- (ねむねむ) 2011-05-21 22 16 14 おい、なんで唯が薬が切れた後も和と一緒にいたがったかの 伏線が回収されてないまま終わるなよ -- (名無しさん) 2011-08-19 00 19 08
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\トリプル! スキャニングチャージ!/ 「セイヤァァァァァ!!」 そんな掛け声と共に博麗霊夢は自動改札機を切断した。 一旦、その空間ごと切れたような気がしたが、恐らく気のせいであろう。 「まさか、suicaの翳すところにも対応しているとは恐るべしね ……鴻上ファウンデーションの科学力……」 そんな感じで都営地下鉄の無賃乗車を完遂した霊夢。 ちなみにセルメダルは襲ってきた第二のジロリアン・ネコヤミーをぶっ殺して奪った。 そして 大量のセルメダルを確保した。 「セルメダルもお賽銭よね……きっと! お賽銭を集めるのも巫女の仕事!」 そんな彼女が降り立ったのは、赤羽根駅。 皆さんもご存じ、ラーメン二郎三田本店の最寄駅である。 「さて、行列を探すとしますか……」 そして、霊夢は二郎名物行列を探すことにした。 最低でも一時間は並ぶことは覚悟していた。 だが、行列に並ぶのもまた二郎の魅力の一つなのだ。 なので、そんなのはあまり気にしないことにした。 【一日目・5時30分/日本・東京都港区】 【博麗霊夢@東方Project】 【状態】健康、やさぐれ 【装備】メダジャリバー 【道具】支給品一式、ラーメン二郎の無料券、大量のセルメダル 【思考】 1:ラーメン二郎(三田本店)に向かう 【ネコヤミー@仮面ライダーオーズ 死亡確認】 死因:封魔陣 一方、その頃、ラーメン二郎三田本店の前では…… 「……それにしても、腹が空いたなぁ……」 あの男がすでに先頭でスタンバっていた。 さらには……。 「とりあえず、ここで飯にしようか……」 「ラーメンか、何故我々がこんなところで……」 「ラーメンではない……『二郎』だ!」 「その意見に賛成するのも私だ」 「ふっ、たまらんな!」 新たな仲間を引き連れた皇帝軍団が行列にならんだ。 【井坂深紅郎@仮面ライダーW】 【状態】健康、空腹 【装備】ガイアメモリ『WEATHER』 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】 基本:主催者の力を我が物にする 1:だが、その前に二郎だ。 【ザンギャック皇帝@海賊戦隊ゴーカイジャー】 【状態】健康 【装備】なし 【道具】基本支給品一式、不明支給品 【思考】 基本:地球を侵略する 1:暴走皇帝エグゾス、クライシス皇帝、ズール皇帝、真田と組む 【暴走皇帝エグゾス@激走戦隊カーレンジャー】 【状態】健康、怪人サイズ 【装備】芋長の芋羊羹 【道具】基本支給品一式、不明支給品 【思考】 基本;大宇宙ハイウェイのS・Aを地球に建設する 1:ザンギャック皇帝、クライシス皇帝、ズール皇帝、真田と組む 【クライシス皇帝@仮面ライダーBLACKRX】 【状態】健康、デスマター大佐状態 【装備】サタンサーベル 【道具】基本支給品一式、その他不明 【思考】基本:地球人類を抹殺する 1:南光太郎他仮面ライダーを倒すのも私だ 2:ザンギャック皇帝、暴走皇帝エグゾス、ズール皇帝、真田と組むのも私だ ※今までとは別人です。 ※真田のことを地球人だと思っていません。 【ズール皇帝@六神合体ゴッドマーズ】 【状態】健康 【装備】なし 【道具】基本支給品一式、不明支給品 【思考】 基本:全宇宙の征服 1:ザンギャック皇帝、暴走皇帝エグゾス、クライシス皇帝、真田と組む 【真田弦一郎@新テニスの王子様】 【状態】左目に眼帯 【装備】黒いジャージ テニスボール テニスラケット@新テニスの王子様 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】 基本:ただ勝つのみ 1: 皇帝たちと共に勝利を狙う
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希望。そして、成功や成長の象徴でもある登り続ける午前の太陽。 それがある方角――東へと向って温かくなってきた路の上を真っ直ぐに進む二人の少女がいた。 正義と規律、秩序の象徴であるHOLYの制服をまとい、長い黄金のツインテールを揺らしているのはボマー。 今回の騒動の発端となった人物であり、狂気と正気の境界線上をなぞり歩く名前の通りに危うい少女。 そして、彼女の手に引かれ、淡く綿菓子の様なピンク色の髪の毛を揺らしている幼子はコ・ホンブック。 身を包む薄い空色の制服の中に20以上の永遠に癒えぬ傷を抱え、熱く無明の絶望の中を往く少女だ。 フラリフラリと身体を揺らし、足取り覚束無いコ・ホンブックを励ましながらボマーは一路、東へと道を邁進する。 ◆ ◆ ◆ 「……ねぇ、おねえちゃん。――ッ、ほ、ホんとぉ……うに、たぁ、すかるのぉ……ッ?」 「ええ、本当よ。助けてあげるから、少しだけお姉ちゃんに強力してね」 空いた方の手で痛む腹を押さえ、嗚咽と涙まじりに言葉を吐くコ・ホンブックであったが、 彼女につい先程までの狂気、狂乱は見られない。 それをなしたボマー自身はまだ気づいていないが、彼女の手にアレがないことこそがその原因であった。 ――人喰い。希望に見せかけた絶望。禁忌の財宝。呪われた支給品――『乖離剣・エア』。 アニロワ2ndにて彼女に心的外傷を刻み、また数多くの読み手の怨嗟の声を浴び、吸い取った悪魔のアイテム。 それこそが、傷ついて意思の手綱を放した彼女の心を乗っ取り、暴走させた原因だったのである。 煌びやかなれど血を誘う黄金の剣はここには無い。 起き上がったコ・ホンブックに危害を加えられることを怖れたボマーが、瓦礫の山の中に隠してしまったからだ。 「脱出エンドに向う為には、首輪解除フラグの積み重ねが最も重要――解るでしょう? あなたも書き手なんだから」 対主催の障害となるマーダーの残りは神の意思をもって調整される為、参加者自身が考慮するのは無意味。 また、主催者への道程や出し抜く方法なども、その目的や戦力、ネタが明らかにならない内は考えなくてもいい。 序盤から中盤へと移行しようとしている現在。最も必要なのは首輪――その解除フラグの積み重ねだ。 「……ぅ。あ、あ……、あたし……、――ッ。よぉ……く、わかん――ッ、ない……よぉ……」 ポロポロと大粒の涙を零しながら、ピンクの髪の可哀相な子供は頭を振る。 境界線を越え、狂気から正気の側へと戻ってきたものの、まだ言葉の意味を組み立てられる程には回復していなかった。 「そう。……じゃあ、お姉ちゃんの言うことだけをよく聞いてね。そうすれば助かる――から」 自分の言葉に首肯し、涙を地面へと叩きつける少女を見て、ボマーは少しの戸惑いと罪悪感を覚える。 幾度と無く繰り返してきたことだが、書き手として文を綴るのと実際にその手を下すとのではやはり明確な違いがあった。 「――ウッ! エぅ……、ひぐっ。たすけてえぇ……。たすけ、ってぇ……。おねえちゃん……!」 「うん。大丈夫だから……。絶対、助けてあげるから……」 彼女が戻ってきたら。もし彼女が禁止区域の向うから戻って来れたのなら……。 絶対に。――絶対に、彼女とだけはその最後まで一緒でいてあげよう。どちらが先に死んでしまうとしても。 そう、贖罪の少女は心の中で密かに誓いを立てる。 それが、危ういフラグ立ての一つであることを意識しながらも……。 ◆ ◆ ◆ 「――止まらないで! 真っ直ぐ。真っ直ぐに、……そう。そのまま前に進んで!」 禁止エリアであるF-9。その西端の境界線のすぐ手前。F-8のエリアの東端へと、二人の少女は到達していた。 一人の少女は立ち止まり、もう一人の不幸な少女をその先へと導く。 結んだ小さな掌を離すことに抵抗し、むずがっては何度もこちらへと振り返る少女を宥め、死地へと追いやっている。 死を――少なくともそれに等しい苦痛をその子供に強要している。 そのまま死ぬことができたならこれ以上は不幸にならぬと、もし死ななければ絶対に助けてみせると思っても。 たった独り。何も解らずぽつんと立っているその少女が、泣いている少女の姿が――、 ――居た堪れなかった。 「こ、こわいよぅ! こわいよぉ……、おねえちゃん――! ひ、ひぐぅ……っ。えぐっ、ぅ――!」 「大丈夫だから! お姉ちゃんの言うことを聞いて! ――そう。そうよ、いい子だから、ね?」 一歩……一歩と、不幸な少女はたどたどしく足を進める。 重苦しい痛みを堪え、押し潰されそうな不安に耐え、瞼を震わせ、歯を鳴らし、涙と血を零し、竦む脚で進む。 どこまで進めばよいのか解らない。どうして進まなければならないのかもよく解らない。 でも、進めば助かる。助けてもらえる。そう信じて、それが本当であることを願って、不幸な少女はゆっくりと進む。 「(…………………………………………)」 そこで死んでしまえばよいのか。それとも戻ってきて欲しいのか。ボマーには、もうそれがよく解らない。 何が幸せで、何が不幸せなのか。どこまでが正気で、どこまでが狂気なのか。そして、自分はまだ正気なのか? 自分はものすごく惨いことを強いているのではないだろうか。それは今ここで許されることなのか……。 私は書き手なのか。それともここでは不幸を演出するための駒でしかないのか。人間ではないのか――? 「(…………………………………………)」 危うい所まで来ている。……と、ボマーは自覚する。 正気と狂気の境界線――その線上に自分は足を掛けていると。 ここまで来たのは自分の意思か。それとも運命の悪戯か。それとも、誰か――他の書き手の意思ではなかろうか? 書き手であり――参加者であり――また書き手でもある。 このメタフィクショナルな入れ子構造。 『私』は――、『私』は――……、 ――『私』は一体誰だ? 『私』は一体何者だ? 『私』は人間か? それとも駒か? ――書き手なのか? ――『私』を書いているこいつは一体誰だ? ◆ ◆ ◆ ――パンッ、という手を打ち鳴らした様な乾いた音で、ボマーは思索の迷宮から現実へと帰還した。 「――コ・ホンブック?」 目は前を見据えたままで、彼女の姿はずっと映していた。だが、見てはいなかった。 ボマーは意識の焦点をそこへと合わせ、その瞬間から現在までを脳内で再生し目の前の光景へとつなぐ。 それは唐突だった。怯える少女にとっては幸か不幸か、一切の警告なしに首輪は爆破された。 火も煙も立たず爆破と言うには些か迫力不足であったもののその威力は申し分なく、ピンクの頭は宙へと舞った。 一切の悲鳴も、表情すら変えることなくそれは宙から地へと落ち、少しだけ転がり僅かに遅れて血が降り注ぐ。 ここまでが記憶の中から掬い出せた映像。そして、ここからが決して止まることなく進行する現実――。 アスファルトの上に広がった血は順逆の流れで少女の傷口へと殺到し、血は再び注がれ直される。 欠けた骨。肉の一部を集めながら怯えた表情のままの少女の首が転がり、ぴたりと分かれた部分は貼り付けあう。 程無くして、不幸な少女はやはり不幸なままに生を取り戻した。そして、そんな彼女を――、 ――黒い影が抱き上げた。 ◆ ◆ ◆ 「誰――なの?」 「影――ですよ」 回答はその影ではなく、少女の後ろに現れた一人の男より与えられた。 その男の名前は――マスク・ザ・ドS。愛しき想いで希望を断つ男。袋小路に立つ者を愛でる者。 「アレは私の――簡単に言うとスタンドやアルターの様なものでしてね。 ああやって禁止エリアの中にも自由に入り込めたりできるんですよ。理解できましたか?」 それと、忘れ物です――と言って、ドSはボマーの目の前に一本の『剣』を転がす。 ガランと楽器の様な音を立て、日を跳ね返して黄金に輝くそれは隠してきたはずの乖離剣・エアだった。 「生きた人間を使っての爆破実験とは……、さすがは『ボマー』と名乗られるだけのことはあります。 ……ですが、ちょっとお優しすぎやしませんか?」 「何……ですって?」 突如現れた怪しい男に、ボマーは緊張を高め姿勢をそれとなく戦闘のためのものへと移す。 「あわよく死んでしまえば……いや、私の手で殺してしまおう。とは、優しすぎると言ったんです」 「……私があの子を殺そうと、してた?」 少なくとも変化を齎せるつもりではあった。そうでしょう? ――と、男は言う。 「私が『ここ』にいることで、彼女は死なずにすみましたが……、ええ本当に幸いなことです」 「――お前がっ!?」 その口振りに、ボマーは目の前の男こそがコ・ホンブックを堕とした張本人であると気付き、そして確信する。 「お前は、またあの子を――」 「ええ、そのつもりです。そして、人を奈落に落とし続けたあなたにも――本当の絶望というものをお見せいたしましょう」 ――ひうんひうん。ひうんひうん。と、絶望が音を立てて少女達を包み込んだ。 ◆ ◆ ◆ 「持ち上げて――落とす。落とすために、持ち上げる。――セオリーですよね? ボマーさん」 暗い笑みを浮かべる男。それに寄り添う無言の影。 その背後には縛り上げられた不幸な少女。そして、彼らに対峙するのは贖罪の少女。 「では、この場合。どうすればより皆が不幸になれるのか? 皆――とは、勿論。私を含む、参加者全員のことです。 その場における幸不幸というのは、あまり重要ではない。重要なのは、全員が揃って絶望できるのかということ。 皆が皆、手を取り合って地獄の底に飛び込んでゆく――そんな方法を、私達は考えなくてはならない。 なぜなら――」 ――それこそが、バトルロワイアルなのだから。 「では、不幸ってなんでしょう――? 死んだら不幸? ――違います。死なれたら不幸? ――それもまた違う。 私が思うに不幸とは、『途中』であることだと思います。 終わりでなく途中。途中を維持すること。中途半端なままになってしまうこと――それこそが不幸だと」 自分勝手に弁舌を振るう男を前に、贖罪の少女は動けないでいた。 気を呑まれたという訳ではない。単純に、物理的に動くことができないでいたのだ。 男の隣りに立つ影――仮面を被った女が操る鋼糸が彼女の皮膚の中に侵入し、神経の一本一本を絡め取っている。 激痛に苛まれながらも悲鳴を上げることもできず、ただ男の絶望論を聞かされ続けていた。 「不幸であることは幸せであることよりもなお幸せである。なにせ幸せでないのだから」 誰の言葉であろうか? 男はいくつもの矛盾を孕んだ言葉を嬉しそうに吐く。 「さぁ、では皆で手を取り合って仲良く奈落の穴へと飛び込もうではありませんか。 夢は見れても希望は無い。後悔はあっても懺悔は許されない。罰はあっても罪は無い。そんな世界へ――」 ――絶望の世界へ、往こうじゃありませんか。 ◆ ◆ ◆ 再開された舞台。その上には再び少女だけが二人――。 「――おねーちゃんっ! おねーちゃんっ! な、な……っで、……んで? 行っちゃうの――?」 目を覚ましたコ・ホンブック。彼女の前で、彼女を救うはずだった少女はゆっくりと後ずさって行く。 恐怖に顔を引き攣らせ、おぞましいものを見る目つきで、涙を流し、ガクガクと震える足で遠ざかって行く。 無論。それは本意ではない。全ては舞台袖に控え、采配を振るう男の仕業である。 「待って! ねぇ……、ぅえ、……ぃやだ。――ッ! たすけて、くれるって……、いった。たすけてくれるって、いった……」 可哀相な少女は追いすがろうとする。だが、男の仕業により腱は断たれており、立ち上がることができない。 しかしそれでも、腕だけを使い、激痛を訴える胸と腹を地に擦り、救いを求めて這いずり進もうとする。 頭の中にはどのような考えも無く。謀などとは全く気付くこともなく。ひたすらに、ただ一生懸命に、救いを求めて。 「お願い、だからっ! ひっ……っく、は! み、みすてないで――ッ! おねーちゃんっ! おねーちゃんっ!」 後ずさる先は、先刻目の前の憐れな少女が飛び込んだ禁止エリア。そこで自分は死ぬとボマーは理解している。 だが、なんということか。男の言うとおり、今恐怖を感じているのは死ぬことにではない。 恐ろしいのは、――この子の目の前で死んでしまうということ。しかも、何も言い残せず。誤解されたままで。 「いやぁ――ッ! だめぇえぇぇぇええ――ッ! いっちゃいやだ――ッ! うわあぁぁああぁあん……!」 どれだけ足掻こうとも、どれだけ抵抗しようとも、少女と少女の間は縮まらない。ただ、少しずつ離れてゆくのみ。 一人の少女は、目の前に現れたたった一つの救いを意味も無く奪い取られ、 一人の少女は、何を成すことも無く全くの無為に死す事を強要されている。 望みを絶つと書いて――絶望。少女と少女の間に生まれかけた希望。それを踏み躙り、絶望先生は暗く哂う。 どうせなら、人形にされてしまうなら、耳も目も塞いでくれればよかったのにと贖罪の少女は思う。 そうならば、彼女の泣き顔を見ずにすんだのに。彼女の悲鳴を聞かずにすんだのに。 だが、これも全ては男の計算通りなのだと少女は悟る。これがあの男のやり口なのだと。 そうと言う資格はなかったかもしれないが、せめて一人は救いたかった――こう思わせるのも全部合わせて。 恐ろしい男だと、そう彼女が思った瞬間に、――頭が爆ぜた。 ◆ ◆ ◆ 「ひぎゃああぁぁぁあああぁぁ――ッ! おねえぇちゃあ――ん! いやだッ! やあぁあぁだあぁぁ――ッ!!」 独り残された少女は、訳も解らず泣き叫ぶ。 血を零すだけの皮袋となったそれに追い縋り、叫び、叫び、叫び、叫び、――泣いて、――啼く。 泣くことにも叫ぶことにも意味はない。少女は意味など考えてはいない。ただ泣き叫ぶだけだ。 だが、その涙に悪意を持って意味を与えようとする男がいる。 ◆ ◆ ◆ 「ご縁がありますね。コ・ホンブックさん」 不幸な少女の前に、再び風浦可符香の姿をした影が立つ。もう一度、今度はより深く少女を堕そうと……。 「――その人は。――あなたを助けようとしたので。――私が。――殺しました」 泣き腫らし、呆然とした顔を上げる少女へ、影は彼女が理解できるようゆっくりと言葉を区切り――ぶつける。 そして、ゆっくりと待つ。壊れた少女がその意味を解し、再び歪な心を転がし始めるまで。 「……ろした? おねーちゃんを、……ろした、の……?」 少女が言葉の意味を解するのに、どれぐらいの時間が過ぎたろうか……。 何時の間に陽は頂上へと昇っていた。 そして、その青い空に浮かぶ真っ白な太陽めがけて、真っ赤な螺旋が立ち昇る。 螺旋に紛れ、空にばら撒かれる黒い破片は、ドSの影だった者の成れの果てだ。 「……っく。ひぐ……っ。えっ、えぅ……」 不幸な少女は今度は自らの意思で剣を手に取った。これで、彼女の不幸は完成したのだろうか? ――いや、そうではない。こんなものでは、まだ足りない。これじゃあ、皆が不幸になるにはまだ足りない。 男は、不幸な少女をより美しく不吉な存在とすべく、自ら舞台の上へと立つ。 己の望みさえ断ち、この後誰も彼もが等しく不幸になれることを想い、自らを最後の供物とすべく――。 ◆ ◆ ◆ おねーちゃんを殺したヤツを――恨みがあるからを殺した。では足りない。 誰も彼をも殺す。でなくてはならない。誰も彼をも問答無用で殺す。そんな化物。不幸の顕現でなくてはならない。 化物であり。化物と認められ。また自身も化物と認め。決して行く先の無い者。そんな者に仕上げてやらねばならぬ。 「――死ねっ、化物! 死ねっ、人殺し! いなくなれっ、化物! 消えてなくなれっ、人殺し!」 ひうんひうん。ひうんひうん。 鋼糸を振るい、男は少女の身体を削ぎ、血を流させ、骨を抉り、心を解体し、人であることを剥奪してゆく。 再生し続ける少女の身体をバラバラの部品に分解しながら、その隙間に悪意を流し込み丁寧に化物を仕上げてゆく。 絶望を抱えるだけの自我を保ちながらも、決してそこからは逃れられないような言霊を少女の魂に吹き込む。 己が不幸を呪い。人生を呪い。神を呪い。世界を呪い。敵を呪い。味方を呪い。隣人を呪い。そうでない者も呪う。 そんな恐ろしい化物に。そんな憐れな化物に。そんな可哀相な化物に。男は少女を組み替える。 ◆ ◆ ◆ 「(……次の放送には、間に合いましたか)」 腕に嵌めた時計を見れば、12時はもう目前だった。 マスク・ザ・ドSは視線を時計から外すと、今度は目の前のそれを感慨深げに見つめる。 そこにあったソレは、彼の理想通りの、醜く、身の毛も弥立つ様なおぞましい――化物だった。 「――それが、あなたの選択した答えなんですね」 再びその身の全てを曝した少女の片手にはあの黄金の剣が、そしてもう片方にはそれとそっくりな真白い剣があった。 自らを殺し、不幸な運命を刻みつけたソレこそが、彼女の攻撃性の象徴であり、自分を守るために選んだ武器だったのだ。 不幸な少女は目の前の者に対し、両方の剣を並べて突きつけその力を解放する。 破壊と復讐の衝動。怨みと呪いの疾風。苦痛と悔恨の波動。紅と白の暴風がドSを襲い、彼をこの世から居なくしてゆく。 「(――二本の螺旋剣から生まれる破壊の小宇宙はさながら、神砂嵐ではなく紙砂嵐といったところですか)」 死の淵に立ち己が存在の消滅を前に、男は絶望の微笑を顔に浮かべる。 彼の目の前。紅く怨念に満ちた死眼を持った少女だったもの。自分の作り上げたモノの美しさに満足する様に。 だが、その完全な完成形は決して見ることができない。なぜなら、それは彼の死を持って成されるからだ。 男はそれだけを未練にこの世から去ってゆく――、 「(私を殺しても、あなたは決して救われない。あなたは私を殺して、初めてその事に気付き、絶望するのです)」 ――そして、化物が完成した。 頂上に登った太陽の下に、白くて小さい、決して救われ無いが――美しい。そんな化物が完成していた。 【マスク・ザ・ドS@アニ2nd】死亡 【ボマー@LSロワ】死亡 【昼】【F-8 市街地】 【コ・ホンブック@アニロワ2nd】 【状態】:不死者化、絶望、胸に12の傷(※)、腹に10の刺し傷(※)、 【装備】:乖離剣・エア@Fate、乖離剣・エア(白) 【道具】:なし 【思考】: 基本:生きているモノを呪う 1:殺す ※容姿はアニタ・キング@R.O.Dです。 ※不死者化する前に出来た傷は治りません。ずっと、痛いままです。 ※嵌めていた首輪は爆発してなくなりました。 【乖離剣・エア(白)】 絶望へと追い詰められたコ・ホンブックが、自分を護るために紙使いの力で作り出したエアの模造品。 威力や性能は本物と同様で、二本同時発動させることで奥義『紙砂嵐』を繰り出すことができる。 ※紙砂嵐によって、近くにあったボマー、ドSの遺体や所持品は木っ端微塵に吹き飛びました。 162 岸田洋一の誇り 投下順に読む 165 混ぜるな自然 161 仮面ライダーよ永遠に/THE FIRSTは二度死ぬ。 時系列順に読む 164 混ぜるな自然 158 「狂」 コ・ホンブック 178 シリアスの次に来るのがシリアスとは限らない 152 薔薇のように、萌えキャラにだって棘はあるものさ マスク・ザ・ドS 287 D(前編) 158 「狂」 ボマー 182 シゴフミ
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#blognavi 2週間ぶり。 空白の時間がふえてるなぁ。 さてA代表の総括。 監督が素人。 なんぼ選手で実績があっても監督業は素人。 普段から代表が向かうべき方向性をもっと示すべきだった。 自由を与えるのは良いとして、大きな戦術の枠組みがわからんままだった。 何処を強化してどういうサッカーをしていくのかとか。 監督引退会見で「フィジカルが弱い」とか今さら言われてもなぁ…… フィジカル強化して流行の前線にボールを放り込むサッカーをやれと? あとは最後の最後にやり方を変えちゃったことかな。 なりふりかまわず勝ちに行くってんなら最初からそうすべきで。 選手も入れ替えてるしなー。最初のスタメンで使ってた選手を信用できてないわけじゃん。 試合中の采配については不満もあるけどそれ以前のお話。 まー、あとは選手個人の問題ですから。 こればっかりはサッカー文化がもっと根付かないとだめだろうなぇ。 とりあえずみんな海外でもまれてこないとダメみたいですな。 4年後はアジア枠減ると思うけど予選落ちしないで欲しいな。 カテゴリ [日記] - trackback- 2006年06月27日 20 42 29 #blognavi