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ユルジンと魔法のランプ ある日、ゆっくりありすの一家が食料庫を作るために巣穴の中を掘っていました。 すると、土の下から黄金に輝くランプが出てきました。 「ゆゆ、これはとかいはにふさわしいかみかざりね」 「しょうだね、おかーしゃん」 「うほほほほほほほほおおおおおおーーー」 数分後には、そのランプに体をこすり付けて発情しているありすの一家の姿がありました。 「ゆっゆゆゆゆゆゆゆゆ」 「ゆふふふふふうふんほおおおおおおおおおおおおおお!!!すっきりー♪」 最後に、親ゆっくりありすがひときわ大きく体をのばして一気にこすりつけ、すっきりー♪(笑)すると、 どうでしょう。ランプからもくもくと煙が湧き上がり、大男があらわれました。 『ご主人様』 その大男はランプの魔人でした。魔人は、揉み手をしながら 『今から3つの願いを叶えて差し上げましょう』 と言いました。 「ゆゆ、ゆっくりしていってね」 「「「ゆっきゅりしていっちぇね」」」 『はい、かしこまりました』 (残り2つ) 『それで、続いての願いは何でしょう。』 「ゆ?なんのこと?どういうこと?ゆっくりせつめいしてね!」 「「「せつめいしてね!」」」 『はい、分かりました。』 (残り1つ) 『わーーーーーーたーーーーーーーしーーーーーーはーーーーーーー、ラーーーーーーーンーーーー』 「意味が分からないよ!ゆっくりできないおじんはゆっくりでていってね!!ぷんぷん!」 「「「ぷんぷん」」」 『分ーーーーかーーーーーーーりーーーーーーーまーーーーーーーーしーーーーーたーーーーーー』 そう言うと、魔人は巣穴の外に向かって本当にゆっくりと歩き出しました。 「ゆゆ、ふざけてないでさっさとありすたちのいえからでていってね!!」 しかし、魔人はもう、3つの願いを叶えてしまっているのでゆっくりたちの言葉には全く答えません。 「ゆ、おじさん、むししないでね」 「そして、さっさとでていってね」 「「「でていっちぇね!」」」 そう言いながら、ありすたちは魔人に体当たりを繰り返しましたが、人間と比べても大男である魔人相手に、ゆっくりごときがどうにかできる訳ありません。 そうしている内に、ゆっくりたちは巣の入り口が魔人で塞がっている事に気が付きました。 「ゆゆゆ!これじゃあおそとにでられないよ、おじさん、さっさとどいてね!」 「どいてね!」 しかし、とても『ゆっくりと』出て行っている魔人は、意に介さずに『ゆっくりと』動いています。 「ゆっくりどけ!ゆっくりどけ!」 「どけ!どけ!」 「「「じょけ、じょけ!」」」 「ゆぅぅぅぅ~」 「おかあしゃんおなかすいたよぉ」 「「おながずいだぁぁぁ!!!」 」 あれから一週間たってもまだ魔人は巣の入り口にいました。 いえ、動いていないわけではありません。本当に『ゆっくり』出て行ってるんですよ。 1[μm/day]ぐらいで。 「ゆっくりおきてねっ」 「・・・」 「ゆ"っぎゅりおぎでよ"ぉぉ!」 「・・・」 とうとう、あかちゃんゆっくりの一匹が動かなくなりました。 周りがいくら呼びかけても起き上がりません。 その事を理解すると生きているゆっくりたちも絶望に広がっていきます。 「じに"だぐな"いいいいい!!」「い"っい"や"だああああ!!」 それでも、魔人はゆっくりと出て行きます。 ある日、ゆっくりありすは動かなくなった赤ちゃんゆっくりをじっと見つめていました。 親子だからなのでしょう、残った赤ちゃん達はすぐに理解したようで、叫びました。 「「おきゃあしゃん、たべちゃだめだよ!」」 しかし、とうとう、ゆっくりありすは動き始めました。 「むーしゃむーしゃ」 「「お"があ"じゃん、な"んでぇぇぇぇぇ!!」」 ある朝、ゆっくりが目を覚ますと、あかちゃんゆっくりが一匹もいません。 一方で自分の空腹がだいぶましになっている事に気が付きました。 しかし、ゆっくりは落ち着いていました。 決して諦めたわけではありません、その証拠に、目には決意がみなぎっていました。 「いつか、かならずここからでて、いなくなったあのこたちのぶんまでゆっくりするよ!」 食べたのは自分だというのに、相変わらず自分に都合の良い餡子脳です。 きっと、ありすのなかではお兄さんに連れて行かれたか大雨に流された事になっているのでしょう。 それから、ありすは幾日も幾日も恐ろしい飢餓を忍ばなければなりませんでした。 どこにも食料がなく、万策尽きてしまったとき、ありすは、自分の足を食べ始めました。 ひとかけら、またひとかけらと。 それらが無くなってからは、今度は胴を裏返して、餡子の一部を食べ始めました。 少しずつ少しずつ。 こうして、ありすは自分の体をすっかり食べ尽くしてしまいました。 餡子から、髪飾り、そして皮に至るまで完全に。 外の世界では、とても、とても長い年月が経ちました。 いくつもの国が栄えては滅び、そして滅んでは栄えました。 何千人ものお兄さんがゆっくり達を”かわいがり”、そして、地獄に落とされ、地獄でも持て余され、再びお兄さんに転生しました。 ある日、一人のお兄さんが山でゆっくり狩りをしていると、ゆっくりの巣を見つけました。 もう、入り口には魔人はいません。 今日の収穫に心躍らせながら巣穴を覗き込むと、しかし、お兄さんは落胆しました。 中には、すすけたランプ以外何もありませんでした。 朽ち果てた家具の跡があったので、大昔にはゆっくりが住んでいたのでしょう。 お兄さんはランプを持って帰りました。 巣穴の中は本当にいつまでも空っぽでした。 いつまでも、いつまでも… けれども、ありすはまだそこに居ました。 ありすが消えてしまった後ですらも、永遠にそこに生きていました。 薄暗い、湿った穴の中で、 誰からも忘れられた巣穴の中で、 永遠に―――――――――――― おそらく、幾千の時を超えて ―――人の目に見えないモノが生きていました。 (END) あとがき こんな良く分からない駄文を最後まで読んでいただき、まことにありがとうございます。 畑で集団自滅モノを書いていたのですが、 気分転換に思いついたネタをメモしていたつもりがいつの間にかこんな事に…。 そして、世界の名作の小ネタパロディーの詰め合わせをいくつか書くつもりが、こんな事に…。 ゆっくりたちを絶望させて終わらせるはずが、いつの間にか「死なない蛸」(萩原朔太郎)に……… 世の中とは儘ならぬものです。ゆっくりした結果がこれだよ! しかし、巣穴の中の土は食料庫を掘れる位に柔らかいのだから、別の入り口を掘れば助かったのに。 結局、餡子脳ということでしょうか。 ちなみに、1[μm/day]だと、1m進むのに2738年弱かかる事になりますね。 さすが、虐待お兄さんは永遠に不滅です! これまでに書いた作品 少年と木ゆっくり by.アールグレイ このSSに感想を付ける
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fuku5629.txt『重箱の隅』?の続きです。 豆れみりゃと二重人格お兄さん by ”ゆ虐の友”従業員 俺は豆れみりゃ一家の入った重箱を、家事の邪魔にならないよう台所の片隅に移動させる。 それから通常サイズのれみりゃの入ったガラス箱も、同じように移動させた。 そうした上で、その一角を手製の柵で囲い、さらに蚊帳を張ってれみりゃが勝手に飛び出ないようにする。 かつて、台所全体を我が物顔に飛び回っていたころからは想像もできないほどの都落ち―― 豆れみりゃ用のこーまかん(重箱)、通常れみりゃ用ガラス箱、それと豆れみりゃ数匹が踊れる程度の面積の床。 それが、俺がれみりゃ達に与えたあたらしい住処だ。 「こんなせまいとごろやだどぉー」 「おぞどにでだいどぉーー!!」 俺は通常れみりゃに、あることを言い聞かせた。 「これからは、お前がこのおちびちゃんたちをきちんと世話してやること。いいね」 通常れみりゃは豆れみりゃ達を見ると、元気よく頷く。 「わかったどぉ~!」 なかなかものわかりがいい。 「餌もすべてお前にまかせるからな、きちんとわけてあげるんだぞ」 「う~わかってるどぉ!おぜうさまはりっぱなおねーさまだどー」 * * * * それから数日が過ぎた。 「うっう~おちびぢゃんたち~ごはんだどぉ~」 「うー!」 「ぷっでぃんー!」 俺が通常れみりゃのガラス箱に与えた餌を、通常れみりゃはきちんと豆れみりゃ達に分け与えている。 親豆れみりゃはというと… 「おっきいおちびちゃんはぁ、いっぱいたべなきゃだめだどぉ!」 相変わらず子ども扱いされている。無理もない。通常種のれみりゃから見れば親豆れみりゃも子豆れみりゃも小さいことには 変わりないのだ。 「おぜうさまはまんまぁなの~!おちびちゃんじゃないどぉ~!」 おちびちゃん扱いされてぐずる親豆れみりゃだが、不承不承に餌の施しを受ける。 親豆れみりゃが泣こうがわめこうが、俺は通常れみりゃにしか餌を与えていないからだ。 「ぐやじいどぉー!でもおながずいだがらごはんたべるんだどぉー!」 「うー!でっかいおぜうさまのおうち、とってもえれがんとだどぉ~」 一匹の豆れみりゃが、通常れみりゃのガラス箱を見てそう言った。 今や、豆れみりゃだけに与えられた空間は”こーまかん”重箱と、数匹の豆れみりゃが踊ることができる程度の 床の広さしかない。 それに比べ、通常れみりゃのガラス箱は体に比例して大きく居住区全体の半分以上の場所を取っている。 新しいれみりゃ居住区はそれほどに狭いのだ。 通常れみりゃは胸を張って答える。 「おぜうさまのこーまかんだどぉー!えれがんとなのはあたりまえだっどぅ♪」 「おぜうさまたちのこーまかんのなんばいもおっきくてりっぱだどぉー」 他のれみりゃも追従する。 「ぴかぴかしてきれーだどぉー」 「いっぱいうーできるどぉー!」 気をよくした通常れみりゃ。 「そうだっどぉ!いいことかんがえたど♪ おちびちゃんたちぃ、おぜうさまのこーまかんのおちびちゃんになるどぉ♪ おぜうさまをまんまぁだとおもっていいどぉ~♪」 当然怒るのが親豆れみりゃだ。 「あうー!もうゆるざないどー!」 何倍も大きい通常れみりゃに飛びかかり、ぽかぽかと打ち据える。 「あう?おっきいおちびちゃん、おいたはだめだどぉ♪」 「うううーーー!!」 はっはっは、ぜんぜん相手にされてないでやんの。 と、そのとき、俺は脳の奥が疼くのを感じる。それは俺と”もうひとり”が人格交代する前兆だ。 「まったく、いいところで……」 しかし、考えようによってはむしろいいタイミングかもしれない。 この状況を見れば、俺が”もうひとり”の仕掛けたゲームに乗ったということは一目瞭然のはず。 ここから”もうひとり”がどうするのか。お手並み拝見といこう。 「あとは、任せた――」 次に戻ってくるのが楽しみだ。 * * * * ――数日して”戻ってくる”。 いつものように”もうひとり”が散らかした部屋を掃除すると、俺は台所へと向かった。 台所の隅のれみりゃ居住区の外観は変わっておらず、れみりゃの数や状態にも変化はない。 しかし、 「うあー!うあー!」 「まんまぁ~」 「うー!おぜうざまのおっきいおちびぢゃん~~」 「おぢびぢゃん~まんまぁをだずげでぇ~!!」 蚊帳で手狭に囲われた居住区の中で一匹のハエが親豆れみりゃを追い回している。 大きさからいえばいい勝負だが、鈍重なれみりゃと俊敏なハエでは勝負にならない。 すでにババくさい衣服はぼろぼろに食い破られ、ところどころから肉餡がはみ出ている。 「あっ、まんまぁのじゅうしゃだどぉー!まんまぁをはやくたすけるんだどぉー!!」 「まんまぁはつよいんだろう?ハエぐらいどうとでもなるんじゃないのか?」 「つべごべいわずにだずげなきゃだめなのーーー!!!」 親豆れみりゃは手をばたつかせてハエを追い払うが、すぐさまハエは舞い戻ってきてれみりゃに食らいつく。 「うんぎゃーー!!ぶんぶんいやだどぉーー!!」 俺は通常れみりゃにハエ叩きを握らせた。 「これでぶんぶんをやっつけるんだ」 「わかったどぉ!おっきいおちびちゃん、いまたすけるどぉーー!」 すっかり豆れみりゃを自分の所属物と思っている通常れみりゃである。発奮してハエを追い回し始める。 (やっぱりゆっくりしてるけど) 「いっくどぉー!」 大きく振りかぶって、べちん。 「いだいどぉぉぉぉ!!!」 思いっきりハエ叩きを振り下ろされた親豆れみりゃの悲鳴が上がった。 しかし、ハエはとっくに飛び立ってしまっている。 「うー!?おちびちゃんごめんだどぉ!こんどこそ……うー!」 「うっぎゃーーー!!」 「どーじでぶんぶんにげるんだどぉーー!ずるいどぉーー!」 「もうやだどぉーー!!」 「まんまぁ~!まんまぁ~!」 やると思ったぜ……期待通りだ、通常れみりゃ。 むきになってハエ叩きを振り回しながら親豆れみりゃを追い回す通常れみりゃ。子豆れみりゃはぴーぴーと泣きながら それをみまもることしかできない。 「びゃぶぅぅぅ!!!」 「またしっぱいだどぉ!だけどだいじょうぶだどぉ♪」 何が大丈夫なのかわからないが、大した自信だ。 「つぎこそほんとーにまちがいなくほんきのふるぱわーでぇ、いちげきひっさつだどぉ! おねーさまに、お☆ま☆か☆せ☆だっどぉ♪」 「いだいのやぁぁぁぁ!!!!」 * * * * 「さて」 通常れみりゃからハエ叩きを奪い取り、ハエを始末してやる。 すでに親豆れみりゃは全身打撲状態で、虫食いよりもハエ叩きのダメージの方が深刻というありさまだ。 通常れみりゃはというと、悪びれる様子もなく親豆れみりゃをなでている。 「う~おっきいおぢびちゃんごめんだどぉ。でもでもぉ、けっかよければすべてよしだっどぉ♪」 「ぜんぜんよぐないどぉぉぉぉぉ!!!ぞれにおぜうざまはおちびちゃんじゃないどぉぉぉ!!! でっかいおぜうざまなんがぎらいだどぉぉぉぉぉ!!!!」 「これからどうしたものか……」 思案するが、すでに十分痛めつけられたれみりゃをどうするか判断に迷う。 「あう?おふろだどぉ♪きもちいいどぉー♪」 とりあえず鍋にお湯にを入れ、そこに親豆れみりゃを入れてみた。通常種のゆっくりに与えるオレンジジュースとやらの代わりだ。 ひょっとしたら出汁が取れるかもしれないしな…… そのまま火にかけ、ことこと煮込む。 「あう~?ひかげんがあつすぎるどぉ!きのきかないじゅうしゃだどぉ!もっとぬるくするどぉ~」 蓋の下から何か声がするが、気にしない気にしない。 「~♪~♪~♪」 「あぢゅいぃぃぃぃぃ!!!!!!」 「本当に、これからどうしよう……」 折角”もうひとり”がいるのだから、たまには手抜きもいいかもしれないという結論に達した。 れみりゃ居住区を区切っている蚊帳を広げ、れみりゃ達の行動可能な空間を倍ほどに広げてやる。 「うっうー!ごーじゃすだっどぉ~」 「ひろびろ~だっどぉ~!」 早速うれしそうに飛び回る豆れみりゃ。 ほんの少し前まで、この台所すべてを勝手気ままに飛んでいたのだが……そんなことはもう忘れているのかもしれない。 通常れみりゃの方は、このぐらいの空間ではまだ飛ぶには手狭なようで、床に座り込んで豆れみりゃ達を応援している。 「うーみんなかわいいどぉ♪とってもえれがんとだどぉ♪」 ひとしきり飛び回った後、豆れみりゃ達は床に降り立って踊り始めた。 どうせならここで邪魔してやりたいところだが、今日は安息日だ。 (命拾いしたな……) 「うっうーうあうあ☆」 「じょーずだどぉー!」 「うあ☆うあ☆」 「せくしぃだどぉー!」 こんなときばかり手際のいいことに、順番に列を抜けて声援を送る役に回っている。 「……」 通常れみりゃが音頭を取り、手足をばたばた、翼をぱたぱた。 「れみ☆りゃ☆」 「しびれるどぉー!」 「う……」 「しゃおらぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 その瞬間、俺は沸かせていたお湯を蚊帳の向こうへぶち撒けていた。 「うびぃぃぃぃぃ!!??」 「あうあーーー!!」 「まんまぁ~!まんまぁ~!」 「あ、ご、ごめ、つい」 まったく無意識に体が動いていた。 そうか、何で湯なんか沸かせていたのか自分でも不思議だったんだが、こういうことだったのか。 「大変だ、大変だ」 俺はいそいそと床を拭き始めた。 「それじゃあ、俺は一旦出て行くからゆっくりしていってね!」 「うー!ばいばいだどぉ!もうもどってこなくていいどぉー!」 「ぽーいだどぉー!どっかいっちゃえだどぉー!」 「そういうなって。俺がいなくなったら、お前ら飢え死にだぞ☆」 「とっととでていくどぉー!」 「わかったよ、ばいばい」 俺はそっと引き戸を引く。……少し待ってまた開ける。顔だけを出して、 「ゆっくりしていってね!」 「うざいどぉぉぉぉぉぉ!!!!」 もう一回。 「……ゆっくりしていってね!」 「ゆっぐぢでぎないどぉぉぉぉ!!!!」 * * * * しばらくして台所へ戻る。 「うーおなかすいだどぉ~」 「ぷっでぃんー」 いつものようにわめくれみりゃ達に餌を用意する。 「安息日、安息日……」 そうだ、今日は特別に親豆れみりゃにも餌をくれてやろう。結果については責任持たないけど。 「うっうー!おぜうさまのかり☆すまにやっときづいたんだっどぅ? と☆く☆べ☆つ☆にゆるしてやるんだどぉ♪もうわるいことをしてはだめだどぉ♪」 重ねて言うが、結果については特に責任持たない。それに”もうひとり”が俺のあとを引き継いでどうするかは なおさら知ったことじゃないのだが…まあ安息日だしな、いい気にさせておいてやろう。 俺から餌を得た親豆れみりゃは、両手にそれを抱えて子れみりゃのもとへと飛ぶ。 「うっうー!まんまぁがでぃなーをもってきたどぉー♪おちびちゃんたちいっぱいたべてえれがんとにそだつんだどぉ♪」 威信回復をかけて、目いっぱい餌を抱えてきた親豆れみりゃだが、子豆れみりゃたちの反応は今ひとつ。 「うー?」 「おぜうさまはおっきいおぜうさまからもらうからいらないどぉ?」 「どーじでーー!!!???」 (尺が違うんだよ) 親豆れみりゃが一生懸命に餌を抱えたところで、その量はたかが知れている。 それよりも通常れみりゃ用の――豆れみりゃには巨大な――皿に群がって餌を食む方が手っ取り早いのは当然だ。 それに、長い習慣づけによって『おっきいおぜうさま=ごはんをくれる』という風に記憶が上書きされているのだろう。 「まんまぁがまんまぁなのーーーー!!!」 * * * * それからまた”もうひとり”と交代し、戻ってくると、何やられみりゃ居住区にみょんな植物がしげっている。 百日紅(さるすべり)のようにつるつるとした幹。枝からはまばらに葉が茂り、いたるところに棘が生えている。 れみりゃ達はそれに絡まって遊んでいるように見えたのだが、 「いだいどぉーー!!」 「だじでーー!だじでーー!」 「?」 居間の机の上に紙切れが置いてあった。 「何々……?」 <カザリガリノキ カザリガリノキは、ゆっくりの髪飾りを取るよう開発された植物です。 庭に植えるなどして防ゆっくりにどうぞ。 棘があり、外部からの刺激によってオジギソウのような就眠運動を誘発します。お手を触れる際にはご注意ください> 「世の中にはいろいろなものがあるものだなぁ……」 俺は感心した。 そういうことなら。俺は早速台所へもどって観察を始める。 「いぢゃいぃ~~!!」 「だずげでぇ~まんまぁ~」 子豆れみりゃはすっかり枝と枝の間に入り込んでしまっている。出ようとしても翼や手足が枝のどこかしらにひっかかり、 その度に枝はよじれて豆れみりゃを刺す。 今やいっぱしの虐待お兄さんとなった俺には、こうなった経緯が容易に想像できた。 「えれがんとないんてりあだどぉー!」 「おぜうさまがじきじきにたんっけんしてあげるどぉ~!」 意気揚々と、生い茂るカザリガリノキの突っ込んでいく豆れみりゃ。しかし豆れみりゃに触れられ動き出した木に捕らわれ、 そのうちにれみりゃが大事にしているお帽子を取られてしまう。 「おぜうさまのおぼうしかえすんだどぉー!」 「かえさないとたーべちゃーうどー!」 腹を立てた豆れみりゃ達は、茂みのより奥へと進んで行き―― 「どーじででられないんだどぉーー!!??」 そして現在にいたる、と。 「じゅうしゃー!なんとかずるんだどぉー!」 俺は適当に返事をする。 「自分でしなさい、まんまぁでしょ」 「うー!そうだどぉ!まんまぁがいまたすけてあげるどぉー! うっうー!」 こいつら本当に面白いな。 「うー!……あう?」 先ほどの俺の想像通りに木に突っ込み、絡まってもがく親豆れみりゃを見て俺は心からそう思ったのだった…… 「だれが~!!まんまぁをだずげでぇ~!!」 * * * * それにしても、最近床が汚れてきたな…… もちろん台所のこちら側は俺が掃除している。問題なのはれみりゃ居住区の床である。 「自分のこーまかんは、自分できれいになさい」 俺はれみりゃ達に布きれをやり、そう言い渡す。 「う~?なにばかなこといってるんだどぉ~?」 「おそうじはぁ、じゅうしゃのしごとだどぉ☆」 「あ、そ。 お兄さんは言うこと聞かない子にはご飯あげないよ?」 「そんなのめっだどぉー」 それから最初の食事の時間が来た。 「うっうー!おぜうさまはおなかがすいたどぉ♪」 「ぷっでぃーんはやくぅ☆」 昨日までと同じくそう命令してくるが、無視。 「おながずいだどぉー!!」 「ぷっでぃんたべたいどぉー!!」 れみりゃ達はその次の食事にも、そのまた次の食事にもありつけなかった。 うおんうおん泣くその声がいくらか鬼気迫ってきた。それでも掃除に取り掛かる気配はない。 こちらとしては一匹生き残れば繁殖させられるのだから譲歩するつもりはない。全滅という一線を越えなければいいだけなのだ。 三日目に入って、通常れみりゃが布切れを使って自分のガラス箱をのろのろと掃除し始める。 しかし、やはり気が進まないようですぐに投げ出してしまう。 「う゛ーづまんないどぉー!」 「そろそろ昼飯だどー……じゃなかった、昼飯だぞー。お掃除終わらさないとご飯抜きだぞー」 「ううー!」 俺の言葉で、ようやく豆れみりゃどもも通常れみりゃを真似て掃除を始める。 「うー!ごんなのえれがんとじゃないどぉー」 「づがれだどぉー!!」 飛び回るには狭くとも、むらなく拭くのには広すぎる空間だ。しかもれみりゃ達は統率を図るでもなく、 それぞれ思うがままに動いて頭をぶつけ合ったりしている。 俺は料理に取り掛かった。今日は豪勢に肉饂飩だ。 「えれがんとならんちだどぉー!」 「はやくたべたいどぉー♪」 どうやら飯にありつくつもりらしい。今までの流れでどうやったらそう思えるのか、不思議でならない。 「いいにおいだどぉー」 「……」 深く考えるのも馬鹿らしい。俺は気にせず料理に集中しよう。 近所の猟師からもらった肉を取り出し、普段はあまり使わない香辛料類もふんだんに使って調理を進めていく。 俺が葱を切る包丁の音が、れみりゃ達の物音をかき消して台所に響く。 「うっうー!まちきれないどー!」 「はやくつくってほしーどぉ-!」 「……」 「よし、完成だ!」 テーレッテー 「奥義・肉煮込み饂飩みそ風」 品名の前に奥義を付けたことにより味わいと風格がそなわり最強に見える。 「はやくはやくぅ、おぜうさまにちょーだいだどぉー!」 「おなかすいたどぉー!」 何だ、早速いただこうと思ったのに麺が延びてしまうじゃないか。 俺は一応床を一瞥するが、もちろん掃除が終わっているはずもない。 「お前ら、掃除、終わってない、以上」 簡潔に切って捨て、居間へと向かう。 「あうーー!!やだどぉーーー!!」 「おなかぺこぺこだどぉぉぉぉぉ!!!」 俺は少し考えたあと、丼を持ったまま台所へ戻る。 「あう!」 「いじわるしないで、はやくたべさせるどぉー!」 「いや、俺ここで食うことにしただけなんだけど。何勘違いしてるの?馬鹿なの?死ぬの? ……うっめ!これめっちゃうっめ!」 「あうーーー!!!!」 半ば錯乱状態なのか、仰向けになってごろごろ転がりだすものまでいる。いいぞもっとやれ。 「しばらく、料理に凝ってみようかね……」 俺はやけに美味く感じる饂飩をすすりながら、そう思ったのだった。 END □ ■ □ ■ ”もうひとり”視点からとか、野生で生活したら?とかは書ききれないのでいったん締め。 豆れみりゃは初心者向けな一方ダイナミックないじめができないので結構ストレスなのぜ…… ぬるいじめ用ゆっくりってことで。 読了ありがとうございました。
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fuku5629.txt『重箱の隅』の続きです。 豆れみりゃと二重人格お兄さん by ”ゆ虐の友”従業員 俺は豆れみりゃ一家の入った重箱を、家事の邪魔にならないよう台所の片隅に移動させる。 それから通常サイズのれみりゃの入ったガラス箱も、同じように移動させた。 そうした上で、その一角を手製の柵で囲い、さらに蚊帳を張ってれみりゃが勝手に飛び出ないようにする。 かつて、台所全体を我が物顔に飛び回っていたころからは想像もできないほどの都落ち―― 豆れみりゃ用のこーまかん(重箱)、通常れみりゃ用ガラス箱、それと豆れみりゃ数匹が踊れる程度の面積の床。 それが、俺がれみりゃ達に与えたあたらしい住処だ。 「こんなせまいとごろやだどぉー」 「おぞどにでだいどぉーー!!」 俺は通常れみりゃに、あることを言い聞かせた。 「これからは、お前がこのおちびちゃんたちをきちんと世話してやること。いいね」 通常れみりゃは豆れみりゃ達を見ると、元気よく頷く。 「わかったどぉ~!」 なかなかものわかりがいい。 「餌もすべてお前にまかせるからな、きちんとわけてあげるんだぞ」 「う~わかってるどぉ!おぜうさまはりっぱなおねーさまだどー」 * * * * それから数日が過ぎた。 「うっう~おちびぢゃんたち~ごはんだどぉ~」 「うー!」 「ぷっでぃんー!」 俺が通常れみりゃのガラス箱に与えた餌を、通常れみりゃはきちんと豆れみりゃ達に分け与えている。 親豆れみりゃはというと… 「おっきいおちびちゃんはぁ、いっぱいたべなきゃだめだどぉ!」 相変わらず子ども扱いされている。無理もない。通常種のれみりゃから見れば親豆れみりゃも子豆れみりゃも小さいことには 変わりないのだ。 「おぜうさまはまんまぁなの~!おちびちゃんじゃないどぉ~!」 おちびちゃん扱いされてぐずる親豆れみりゃだが、不承不承に餌の施しを受ける。 親豆れみりゃが泣こうがわめこうが、俺は通常れみりゃにしか餌を与えていないからだ。 「ぐやじいどぉー!でもおながずいだがらごはんたべるんだどぉー!」 「うー!でっかいおぜうさまのおうち、とってもえれがんとだどぉ~」 一匹の豆れみりゃが、通常れみりゃのガラス箱を見てそう言った。 今や、豆れみりゃだけに与えられた空間は”こーまかん”重箱と、数匹の豆れみりゃが踊ることができる程度の 床の広さしかない。 それに比べ、通常れみりゃのガラス箱は体に比例して大きく居住区全体の半分以上の場所を取っている。 新しいれみりゃ居住区はそれほどに狭いのだ。 通常れみりゃは胸を張って答える。 「おぜうさまのこーまかんだどぉー!えれがんとなのはあたりまえだっどぅ♪」 「おぜうさまたちのこーまかんのなんばいもおっきくてりっぱだどぉー」 他のれみりゃも追従する。 「ぴかぴかしてきれーだどぉー」 「いっぱいうーできるどぉー!」 気をよくした通常れみりゃ。 「そうだっどぉ!いいことかんがえたど♪ おちびちゃんたちぃ、おぜうさまのこーまかんのおちびちゃんになるどぉ♪ おぜうさまをまんまぁだとおもっていいどぉ~♪」 当然怒るのが親豆れみりゃだ。 「あうー!もうゆるざないどー!」 何倍も大きい通常れみりゃに飛びかかり、ぽかぽかと打ち据える。 「あう?おっきいおちびちゃん、おいたはだめだどぉ♪」 「うううーーー!!」 はっはっは、ぜんぜん相手にされてないでやんの。 と、そのとき、俺は脳の奥が疼くのを感じる。それは俺と”もうひとり”が人格交代する前兆だ。 「まったく、いいところで……」 しかし、考えようによってはむしろいいタイミングかもしれない。 この状況を見れば、俺が”もうひとり”の仕掛けたゲームに乗ったということは一目瞭然のはず。 ここから”もうひとり”がどうするのか。お手並み拝見といこう。 「あとは、任せた――」 次に戻ってくるのが楽しみだ。 * * * * ――数日して”戻ってくる”。 いつものように”もうひとり”が散らかした部屋を掃除すると、俺は台所へと向かった。 台所の隅のれみりゃ居住区の外観は変わっておらず、れみりゃの数や状態にも変化はない。 しかし、 「うあー!うあー!」 「まんまぁ~」 「うー!おぜうざまのおっきいおちびぢゃん~~」 「おぢびぢゃん~まんまぁをだずげでぇ~!!」 蚊帳で手狭に囲われた居住区の中で一匹のハエが親豆れみりゃを追い回している。 大きさからいえばいい勝負だが、鈍重なれみりゃと俊敏なハエでは勝負にならない。 すでにババくさい衣服はぼろぼろに食い破られ、ところどころから肉餡がはみ出ている。 「あっ、まんまぁのじゅうしゃだどぉー!まんまぁをはやくたすけるんだどぉー!!」 「まんまぁはつよいんだろう?ハエぐらいどうとでもなるんじゃないのか?」 「つべごべいわずにだずげなきゃだめなのーーー!!!」 親豆れみりゃは手をばたつかせてハエを追い払うが、すぐさまハエは舞い戻ってきてれみりゃに食らいつく。 「うんぎゃーー!!ぶんぶんいやだどぉーー!!」 俺は通常れみりゃにハエ叩きを握らせた。 「これでぶんぶんをやっつけるんだ」 「わかったどぉ!おっきいおちびちゃん、いまたすけるどぉーー!」 すっかり豆れみりゃを自分の所属物と思っている通常れみりゃである。発奮してハエを追い回し始める。 (やっぱりゆっくりしてるけど) 「いっくどぉー!」 大きく振りかぶって、べちん。 「いだいどぉぉぉぉ!!!」 思いっきりハエ叩きを振り下ろされた親豆れみりゃの悲鳴が上がった。 しかし、ハエはとっくに飛び立ってしまっている。 「うー!?おちびちゃんごめんだどぉ!こんどこそ……うー!」 「うっぎゃーーー!!」 「どーじでぶんぶんにげるんだどぉーー!ずるいどぉーー!」 「もうやだどぉーー!!」 「まんまぁ~!まんまぁ~!」 やると思ったぜ……期待通りだ、通常れみりゃ。 むきになってハエ叩きを振り回しながら親豆れみりゃを追い回す通常れみりゃ。子豆れみりゃはぴーぴーと泣きながら それをみまもることしかできない。 「びゃぶぅぅぅ!!!」 「またしっぱいだどぉ!だけどだいじょうぶだどぉ♪」 何が大丈夫なのかわからないが、大した自信だ。 「つぎこそほんとーにまちがいなくほんきのふるぱわーでぇ、いちげきひっさつだどぉ! おねーさまに、お☆ま☆か☆せ☆だっどぉ♪」 「いだいのやぁぁぁぁ!!!!」 * * * * 「さて」 通常れみりゃからハエ叩きを奪い取り、ハエを始末してやる。 すでに親豆れみりゃは全身打撲状態で、虫食いよりもハエ叩きのダメージの方が深刻というありさまだ。 通常れみりゃはというと、悪びれる様子もなく親豆れみりゃをなでている。 「う~おっきいおぢびちゃんごめんだどぉ。でもでもぉ、けっかよければすべてよしだっどぉ♪」 「ぜんぜんよぐないどぉぉぉぉぉ!!!ぞれにおぜうざまはおちびちゃんじゃないどぉぉぉ!!! でっかいおぜうざまなんがぎらいだどぉぉぉぉぉ!!!!」 「これからどうしたものか……」 思案するが、すでに十分痛めつけられたれみりゃをどうするか判断に迷う。 「あう?おふろだどぉ♪きもちいいどぉー♪」 とりあえず鍋にお湯にを入れ、そこに親豆れみりゃを入れてみた。通常種のゆっくりに与えるオレンジジュースとやらの代わりだ。 ひょっとしたら出汁が取れるかもしれないしな…… そのまま火にかけ、ことこと煮込む。 「あう~?ひかげんがあつすぎるどぉ!きのきかないじゅうしゃだどぉ!もっとぬるくするどぉ~」 蓋の下から何か声がするが、気にしない気にしない。 「~♪~♪~♪」 「あぢゅいぃぃぃぃぃ!!!!!!」 「本当に、これからどうしよう……」 折角”もうひとり”がいるのだから、たまには手抜きもいいかもしれないという結論に達した。 れみりゃ居住区を区切っている蚊帳を広げ、れみりゃ達の行動可能な空間を倍ほどに広げてやる。 「うっうー!ごーじゃすだっどぉ~」 「ひろびろ~だっどぉ~!」 早速うれしそうに飛び回る豆れみりゃ。 ほんの少し前まで、この台所すべてを勝手気ままに飛んでいたのだが……そんなことはもう忘れているのかもしれない。 通常れみりゃの方は、このぐらいの空間ではまだ飛ぶには手狭なようで、床に座り込んで豆れみりゃ達を応援している。 「うーみんなかわいいどぉ♪とってもえれがんとだどぉ♪」 ひとしきり飛び回った後、豆れみりゃ達は床に降り立って踊り始めた。 どうせならここで邪魔してやりたいところだが、今日は安息日だ。 (命拾いしたな……) 「うっうーうあうあ☆」 「じょーずだどぉー!」 「うあ☆うあ☆」 「せくしぃだどぉー!」 こんなときばかり手際のいいことに、順番に列を抜けて声援を送る役に回っている。 「……」 通常れみりゃが音頭を取り、手足をばたばた、翼をぱたぱた。 「れみ☆りゃ☆」 「しびれるどぉー!」 「う……」 「しゃおらぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 その瞬間、俺は沸かせていたお湯を蚊帳の向こうへぶち撒けていた。 「うびぃぃぃぃぃ!!??」 「あうあーーー!!」 「まんまぁ~!まんまぁ~!」 「あ、ご、ごめ、つい」 まったく無意識に体が動いていた。 そうか、何で湯なんか沸かせていたのか自分でも不思議だったんだが、こういうことだったのか。 「大変だ、大変だ」 俺はいそいそと床を拭き始めた。 「それじゃあ、俺は一旦出て行くからゆっくりしていってね!」 「うー!ばいばいだどぉ!もうもどってこなくていいどぉー!」 「ぽーいだどぉー!どっかいっちゃえだどぉー!」 「そういうなって。俺がいなくなったら、お前ら飢え死にだぞ☆」 「とっととでていくどぉー!」 「わかったよ、ばいばい」 俺はそっと引き戸を引く。……少し待ってまた開ける。顔だけを出して、 「ゆっくりしていってね!」 「うざいどぉぉぉぉぉぉ!!!!」 もう一回。 「……ゆっくりしていってね!」 「ゆっぐぢでぎないどぉぉぉぉ!!!!」 * * * * しばらくして台所へ戻る。 「うーおなかすいだどぉ~」 「ぷっでぃんー」 いつものようにわめくれみりゃ達に餌を用意する。 「安息日、安息日……」 そうだ、今日は特別に親豆れみりゃにも餌をくれてやろう。結果については責任持たないけど。 「うっうー!おぜうさまのかり☆すまにやっときづいたんだっどぅ? と☆く☆べ☆つ☆にゆるしてやるんだどぉ♪もうわるいことをしてはだめだどぉ♪」 重ねて言うが、結果については特に責任持たない。それに”もうひとり”が俺のあとを引き継いでどうするかは なおさら知ったことじゃないのだが…まあ安息日だしな、いい気にさせておいてやろう。 俺から餌を得た親豆れみりゃは、両手にそれを抱えて子れみりゃのもとへと飛ぶ。 「うっうー!まんまぁがでぃなーをもってきたどぉー♪おちびちゃんたちいっぱいたべてえれがんとにそだつんだどぉ♪」 威信回復をかけて、目いっぱい餌を抱えてきた親豆れみりゃだが、子豆れみりゃたちの反応は今ひとつ。 「うー?」 「おぜうさまはおっきいおぜうさまからもらうからいらないどぉ?」 「どーじでーー!!!???」 (尺が違うんだよ) 親豆れみりゃが一生懸命に餌を抱えたところで、その量はたかが知れている。 それよりも通常れみりゃ用の――豆れみりゃには巨大な――皿に群がって餌を食む方が手っ取り早いのは当然だ。 それに、長い習慣づけによって『おっきいおぜうさま=ごはんをくれる』という風に記憶が上書きされているのだろう。 「まんまぁがまんまぁなのーーーー!!!」 * * * * それからまた”もうひとり”と交代し、戻ってくると、何やられみりゃ居住区にみょんな植物がしげっている。 百日紅(さるすべり)のようにつるつるとした幹。枝からはまばらに葉が茂り、いたるところに棘が生えている。 れみりゃ達はそれに絡まって遊んでいるように見えたのだが、 「いだいどぉーー!!」 「だじでーー!だじでーー!」 「?」 居間の机の上に紙切れが置いてあった。 「何々……?」 <カザリガリノキ カザリガリノキは、ゆっくりの髪飾りを取るよう開発された植物です。 庭に植えるなどして防ゆっくりにどうぞ。 棘があり、外部からの刺激によってオジギソウのような就眠運動を誘発します。お手を触れる際にはご注意ください> 「世の中にはいろいろなものがあるものだなぁ……」 俺は感心した。 そういうことなら。俺は早速台所へもどって観察を始める。 「いぢゃいぃ~~!!」 「だずげでぇ~まんまぁ~」 子豆れみりゃはすっかり枝と枝の間に入り込んでしまっている。出ようとしても翼や手足が枝のどこかしらにひっかかり、 その度に枝はよじれて豆れみりゃを刺す。 今やいっぱしの虐待お兄さんとなった俺には、こうなった経緯が容易に想像できた。 「えれがんとないんてりあだどぉー!」 「おぜうさまがじきじきにたんっけんしてあげるどぉ~!」 意気揚々と、生い茂るカザリガリノキの突っ込んでいく豆れみりゃ。しかし豆れみりゃに触れられ動き出した木に捕らわれ、 そのうちにれみりゃが大事にしているお帽子を取られてしまう。 「おぜうさまのおぼうしかえすんだどぉー!」 「かえさないとたーべちゃーうどー!」 腹を立てた豆れみりゃ達は、茂みのより奥へと進んで行き―― 「どーじででられないんだどぉーー!!??」 そして現在にいたる、と。 「じゅうしゃー!なんとかずるんだどぉー!」 俺は適当に返事をする。 「自分でしなさい、まんまぁでしょ」 「うー!そうだどぉ!まんまぁがいまたすけてあげるどぉー! うっうー!」 こいつら本当に面白いな。 「うー!……あう?」 先ほどの俺の想像通りに木に突っ込み、絡まってもがく親豆れみりゃを見て俺は心からそう思ったのだった…… 「だれが~!!まんまぁをだずげでぇ~!!」 * * * * それにしても、最近床が汚れてきたな…… もちろん台所のこちら側は俺が掃除している。問題なのはれみりゃ居住区の床である。 「自分のこーまかんは、自分できれいになさい」 俺はれみりゃ達に布きれをやり、そう言い渡す。 「う~?なにばかなこといってるんだどぉ~?」 「おそうじはぁ、じゅうしゃのしごとだどぉ☆」 「あ、そ。 お兄さんは言うこと聞かない子にはご飯あげないよ?」 「そんなのめっだどぉー」 それから最初の食事の時間が来た。 「うっうー!おぜうさまはおなかがすいたどぉ♪」 「ぷっでぃーんはやくぅ☆」 昨日までと同じくそう命令してくるが、無視。 「おながずいだどぉー!!」 「ぷっでぃんたべたいどぉー!!」 れみりゃ達はその次の食事にも、そのまた次の食事にもありつけなかった。 うおんうおん泣くその声がいくらか鬼気迫ってきた。それでも掃除に取り掛かる気配はない。 こちらとしては一匹生き残れば繁殖させられるのだから譲歩するつもりはない。全滅という一線を越えなければいいだけなのだ。 三日目に入って、通常れみりゃが布切れを使って自分のガラス箱をのろのろと掃除し始める。 しかし、やはり気が進まないようですぐに投げ出してしまう。 「う゛ーづまんないどぉー!」 「そろそろ昼飯だどー……じゃなかった、昼飯だぞー。お掃除終わらさないとご飯抜きだぞー」 「ううー!」 俺の言葉で、ようやく豆れみりゃどもも通常れみりゃを真似て掃除を始める。 「うー!ごんなのえれがんとじゃないどぉー」 「づがれだどぉー!!」 飛び回るには狭くとも、むらなく拭くのには広すぎる空間だ。しかもれみりゃ達は統率を図るでもなく、 それぞれ思うがままに動いて頭をぶつけ合ったりしている。 俺は料理に取り掛かった。今日は豪勢に肉饂飩だ。 「えれがんとならんちだどぉー!」 「はやくたべたいどぉー♪」 どうやら飯にありつくつもりらしい。今までの流れでどうやったらそう思えるのか、不思議でならない。 「いいにおいだどぉー」 「……」 深く考えるのも馬鹿らしい。俺は気にせず料理に集中しよう。 近所の猟師からもらった肉を取り出し、普段はあまり使わない香辛料類もふんだんに使って調理を進めていく。 俺が葱を切る包丁の音が、れみりゃ達の物音をかき消して台所に響く。 「うっうー!まちきれないどー!」 「はやくつくってほしーどぉ-!」 「……」 「よし、完成だ!」 テーレッテー 「奥義・肉煮込み饂飩みそ風」 品名の前に奥義を付けたことにより味わいと風格がそなわり最強に見える。 「はやくはやくぅ、おぜうさまにちょーだいだどぉー!」 「おなかすいたどぉー!」 何だ、早速いただこうと思ったのに麺が延びてしまうじゃないか。 俺は一応床を一瞥するが、もちろん掃除が終わっているはずもない。 「お前ら、掃除、終わってない、以上」 簡潔に切って捨て、居間へと向かう。 「あうーー!!やだどぉーーー!!」 「おなかぺこぺこだどぉぉぉぉぉ!!!」 俺は少し考えたあと、丼を持ったまま台所へ戻る。 「あう!」 「いじわるしないで、はやくたべさせるどぉー!」 「いや、俺ここで食うことにしただけなんだけど。何勘違いしてるの?馬鹿なの?死ぬの? ……うっめ!これめっちゃうっめ!」 「あうーーー!!!!」 半ば錯乱状態なのか、仰向けになってごろごろ転がりだすものまでいる。いいぞもっとやれ。 「しばらく、料理に凝ってみようかね……」 俺はやけに美味く感じる饂飩をすすりながら、そう思ったのだった。 END □ ■ □ ■ ”もうひとり”視点からとか、野生で生活したら?とかは書ききれないのでいったん締め。 豆れみりゃは初心者向けな一方ダイナミックないじめができないので結構ストレスなのぜ…… ぬるいじめ用ゆっくりってことで。 読了ありがとうございました。
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ユルジンと魔法のランプ ある日、ゆっくりありすの一家が食料庫を作るために巣穴の中を掘っていました。 すると、土の下から黄金に輝くランプが出てきました。 「ゆゆ、これはとかいはにふさわしいかみかざりね」 「しょうだね、おかーしゃん」 「うほほほほほほほほおおおおおおーーー」 数分後には、そのランプに体をこすり付けて発情しているありすの一家の姿がありました。 「ゆっゆゆゆゆゆゆゆゆ」 「ゆふふふふふうふんほおおおおおおおおおおおおおお!!!すっきりー♪」 最後に、親ゆっくりありすがひときわ大きく体をのばして一気にこすりつけ、すっきりー♪(笑)すると、 どうでしょう。ランプからもくもくと煙が湧き上がり、大男があらわれました。 『ご主人様』 その大男はランプの魔人でした。魔人は、揉み手をしながら 『今から3つの願いを叶えて差し上げましょう』 と言いました。 「ゆゆ、ゆっくりしていってね」 「「「ゆっきゅりしていっちぇね」」」 『はい、かしこまりました』 (残り2つ) 『それで、続いての願いは何でしょう。』 「ゆ?なんのこと?どういうこと?ゆっくりせつめいしてね!」 「「「せつめいしてね!」」」 『はい、分かりました。』 (残り1つ) 『わーーーーーーたーーーーーーーしーーーーーーはーーーーーーー、ラーーーーーーーンーーーー』 「意味が分からないよ!ゆっくりできないおじんはゆっくりでていってね!!ぷんぷん!」 「「「ぷんぷん」」」 『分ーーーーかーーーーーーーりーーーーーーーまーーーーーーーーしーーーーーたーーーーーー』 そう言うと、魔人は巣穴の外に向かって本当にゆっくりと歩き出しました。 「ゆゆ、ふざけてないでさっさとありすたちのいえからでていってね!!」 しかし、魔人はもう、3つの願いを叶えてしまっているのでゆっくりたちの言葉には全く答えません。 「ゆ、おじさん、むししないでね」 「そして、さっさとでていってね」 「「「でていっちぇね!」」」 そう言いながら、ありすたちは魔人に体当たりを繰り返しましたが、人間と比べても大男である魔人相手に、ゆっくりごときがどうにかできる訳ありません。 そうしている内に、ゆっくりたちは巣の入り口が魔人で塞がっている事に気が付きました。 「ゆゆゆ!これじゃあおそとにでられないよ、おじさん、さっさとどいてね!」 「どいてね!」 しかし、とても『ゆっくりと』出て行っている魔人は、意に介さずに『ゆっくりと』動いています。 「ゆっくりどけ!ゆっくりどけ!」 「どけ!どけ!」 「「「じょけ、じょけ!」」」 「ゆぅぅぅぅ~」 「おかあしゃんおなかすいたよぉ」 「「おながずいだぁぁぁ!!!」 」 あれから一週間たってもまだ魔人は巣の入り口にいました。 いえ、動いていないわけではありません。本当に『ゆっくり』出て行ってるんですよ。 1[μm/day]ぐらいで。 「ゆっくりおきてねっ」 「・・・」 「ゆ"っぎゅりおぎでよ"ぉぉ!」 「・・・」 とうとう、あかちゃんゆっくりの一匹が動かなくなりました。 周りがいくら呼びかけても起き上がりません。 その事を理解すると生きているゆっくりたちも絶望に広がっていきます。 「じに"だぐな"いいいいい!!」「い"っい"や"だああああ!!」 それでも、魔人はゆっくりと出て行きます。 ある日、ゆっくりありすは動かなくなった赤ちゃんゆっくりをじっと見つめていました。 親子だからなのでしょう、残った赤ちゃん達はすぐに理解したようで、叫びました。 「「おきゃあしゃん、たべちゃだめだよ!」」 しかし、とうとう、ゆっくりありすは動き始めました。 「むーしゃむーしゃ」 「「お"があ"じゃん、な"んでぇぇぇぇぇ!!」」 ある朝、ゆっくりが目を覚ますと、あかちゃんゆっくりが一匹もいません。 一方で自分の空腹がだいぶましになっている事に気が付きました。 しかし、ゆっくりは落ち着いていました。 決して諦めたわけではありません、その証拠に、目には決意がみなぎっていました。 「いつか、かならずここからでて、いなくなったあのこたちのぶんまでゆっくりするよ!」 食べたのは自分だというのに、相変わらず自分に都合の良い餡子脳です。 きっと、ありすのなかではお兄さんに連れて行かれたか大雨に流された事になっているのでしょう。 それから、ありすは幾日も幾日も恐ろしい飢餓を忍ばなければなりませんでした。 どこにも食料がなく、万策尽きてしまったとき、ありすは、自分の足を食べ始めました。 ひとかけら、またひとかけらと。 それらが無くなってからは、今度は胴を裏返して、餡子の一部を食べ始めました。 少しずつ少しずつ。 こうして、ありすは自分の体をすっかり食べ尽くしてしまいました。 餡子から、髪飾り、そして皮に至るまで完全に。 外の世界では、とても、とても長い年月が経ちました。 いくつもの国が栄えては滅び、そして滅んでは栄えました。 何千人ものお兄さんがゆっくり達を”かわいがり”、そして、地獄に落とされ、地獄でも持て余され、再びお兄さんに転生しました。 ある日、一人のお兄さんが山でゆっくり狩りをしていると、ゆっくりの巣を見つけました。 もう、入り口には魔人はいません。 今日の収穫に心躍らせながら巣穴を覗き込むと、しかし、お兄さんは落胆しました。 中には、すすけたランプ以外何もありませんでした。 朽ち果てた家具の跡があったので、大昔にはゆっくりが住んでいたのでしょう。 お兄さんはランプを持って帰りました。 巣穴の中は本当にいつまでも空っぽでした。 いつまでも、いつまでも… けれども、ありすはまだそこに居ました。 ありすが消えてしまった後ですらも、永遠にそこに生きていました。 薄暗い、湿った穴の中で、 誰からも忘れられた巣穴の中で、 永遠に―――――――――――― おそらく、幾千の時を超えて ―――人の目に見えないモノが生きていました。 (END) あとがき こんな良く分からない駄文を最後まで読んでいただき、まことにありがとうございます。 畑で集団自滅モノを書いていたのですが、 気分転換に思いついたネタをメモしていたつもりがいつの間にかこんな事に…。 そして、世界の名作の小ネタパロディーの詰め合わせをいくつか書くつもりが、こんな事に…。 ゆっくりたちを絶望させて終わらせるはずが、いつの間にか「死なない蛸」(萩原朔太郎)に……… 世の中とは儘ならぬものです。ゆっくりした結果がこれだよ! しかし、巣穴の中の土は食料庫を掘れる位に柔らかいのだから、別の入り口を掘れば助かったのに。 結局、餡子脳ということでしょうか。 ちなみに、1[μm/day]だと、1m進むのに2738年弱かかる事になりますね。 さすが、虐待お兄さんは永遠に不滅です! これまでに書いた作品 少年と木ゆっくり by.アールグレイ このSSに感想を付ける
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現代ネタです。 文系が想像した理工系大学が舞台なので、あんまりつっこまないでね!! リアル弾幕ごっこ ”自機狙い偶数弾”についてご存知だろうか。 シューティングゲームの用語で、 「自機座標に対して左右対称に偶数撃たれる」弾を指すことばだ。 たとえば自機狙い2WAY弾なら、自機座標の右斜めと左斜めに一発ずつ撃たれることになる。 つまり、自機狙いとは呼ぶものの、自機座標そのものを狙うわけではない。 弾幕が偶数弾だけで構成されている場合、自機を動かさないことによって弾は左右へとすり抜けていくことになる。 「ということだから、お前ら動くなよ」 別の学部の友人から借りてきた装置をセットし、水の無いプールに放り込んだゆっくり達に声をかける。 装置は『センサー』と『スプリンクラー』で構成され……もうお分かりだろう。 「どうしてうごいちゃいけないの?ぴょんぴょんしなくちゃゆっくりできないよ?」 「このゆっくりぷれいすはひろくてきにいったぜ!まりささまのおうちにするんだぜ!」 「ゆっきゅりしていってにぇ!!ゆっきゅりしていってにぇ!!」 「やれやれ……」 話を理解しない奴、そもそも聞いてもいないやつ。俺はプールの底を一瞥するとスイッチを入れた。 スプリンクラーが強烈な放水を開始する。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃ!!!???」 「なっなんだぜ!!??なにがおこったんだぜ!!!??」 「ゆぴぃぃぃ!!ゆぴぃぃぃ!!!!」 鉄砲水のような放水は、プールの中心部に身を寄せ合ったゆっくり達の真横をかすめる。 轟音が耳を劈き、ゆっくり達をおびえさせる。 「おにいざん!!!ゆっぐりたすけてね!!!」 「そうだぜ!!かわいいまりさたちがどうなってもいいのかだぜ!!??!」 「ゆっきゅりできないよぉぉぉぉぉ!!!!」 「お前ら、自分のしたことを忘れたのか……」 俺はため息を付いた。 さかのぼること二日。 俺は研究室に鞄を置いたまま学食へ行き、帰ってくると、研究室が荒らされていた。 「なんじゃこりゃ……」 その時、ガサッという物音を聞いて俺は硬直した。 「!!」 部屋を荒らした賊が潜んでいるのかと思い、反射的に扉を閉めそうになった俺の耳に声が聞こえてくる。 「むそーふーいん!!」 「ますたーすぱーく!!」 「?……まさか……」 俺は扉を押し開き、部屋へと踏み込んだ。 散乱した部屋の中に、俺のレポートや教科書を引き裂いてあそぶゆっくりの一団がいた。 ゆっくりはこちらを向くと、口々に勝手なことを言う。 「ゆゆ?れいむのおうちになにかよう?」 「まりさのおうちにくるときには、てみやげをもってくるのがれいぎだぜ!」 「ゆゆー!」 とりあえずゆっくり共を捕らえ、部屋を整理する。 <被害総額> 教科書……………3冊 \7000 レポート…………ほとんど全部(ただしPCは無事だったので問題なし) ペットのお茶……1本(机や床が大変なことに)\150 泣きたいような気分だった。 「ここからだしてね!れいむのだんまくごっこをじゃましないでね!!」 「まりささまをおこらせるとあとがこわいんだぜ!!」 「ゆっきゅり!ゆっきゅり!」 諭してみてもまったく悪びれる様子もないゆっくり達。だんだんむかついてきたぞ…。 「そうだ」 俺はそのとき、ある友人のことを思い出した。 その友人はセンサー機能と多目的スプリンクラーのモニターを探していたのだ。 「おいお前ら、甘い顔してれば付け上がりやがって。 この俺がお前らに本当の弾幕ごっこのやり方を教えてやる……」 というわけで今に至る。 「どうだ?弾幕ごっこ楽しいか?」 俺は聞いてみる。 「だのしくないいいいい!!!!おうぢかえるぅぅぅぅう!!!」 「ま、ゆっくりかすっていってね」 俺はプールサイドに寝そべった。 「おみずさんこないでね!!ゆっくりあっちいってね!!」 ゆっくり達は水の直撃を受けてはいないが、降りかかるしぶきを避けようと限られたスペースの中を移動する。 しかし、ゆっくりに仕込んだセンサーによって、スプリンクラーはゆっくりの周囲”だけ”を確実に狙い撃つ。 どんなに逃げても無駄だ。 「ゆ!ゆぅぅぅぅ!!!!」 「おちびぢゃああああんんんん!!!」 一匹の子ゆっくりが足(?)を滑らせるがスプリンクラーはその場所を避ける。 「ゆ?ゆっきゅりたすかったよ?」 「おちびぢゃん!よがっだねぇぇぇ!!!!」 しかし、状況は変わらない。相変わらずゆっくりは周囲を脅かされている。 「……だけどやっぱりゆっきゅりできないよぉぉぉぉ!!!おみずいやだよぉぉぉぉ!!!」 プールの栓は抜いてあり、流れ去った水はタンクを経由して再びスプリンクラーに戻る。 装置のバッテリーも充分なことを確認した俺は、ゆっくり達に言った。 「俺はご飯食べてくるから、お前らはゆっくりしていってね!」 「でいぶもおながずいだ!!ごばんちょうだいぃぃぃ!!」 「ゆっぐりでぎない!!だじて!まりざをだじで!!」 「ゆびゅうぅぅ!!ゆぶぅぅぅぅ!!」 飯を食って帰って来ると、ゆっくり達は動かないで一箇所に固まっていた。 「ゆああーんん!!ゆっぐりできないよぉぉぉぉ!!!」 「がまんしておちびちゃん!!」 「つべだいぜ!!いやなんだぜ!!! だけどしにだぐないんだぜぇぇぇ!!!」 「うーん……」 あまりにも可哀相に思えてきたので、俺は聞いてみた。 「おい、お前達反省したか?」 「じまじた!!れいぶがわるかったでず!!」 「れいびゅもあやまるよぉぉぉ!!!」 「まりざもあやまっでやるんだぜ!!!ごめんなざいでじたぁぁぁ!!!」 まりさの発言が若干気にかかるものの、俺は装置を止めてやる。 「ゆゆ?おみずさんとまってくれたよ!!」 俺が止めたんだっつーの。 「たしゅかったよぉぉぉ……」 「ゆ!まったくしょうのないおにいさんだぜ! かわいいまりさをいじめるなんて、おにいさんはどうかしてたんだぜ! とくべつにゆるしてやるから、ゆっくりあやまるといいんだぜ?」 「………」 あっという間に態度を翻し、偉そうにふくれたり飛び跳ねたりするゆっくり。 「なにやってるの?れいむをはやくおそとにだすのもわからないの?ばかなの?しぬの?」 「ばかにゃの?しにゅにょ?」 「おにいさん!まりさはおなかすいたんだぜ! こうきゅうすいーつでゆるしてやるんだぜ!!」 駄目だ。やっぱむかつく。 第一、俺の被った被害が、現金出費だけで7000円オーバーだぞ。こんな機械のモニター1時間程度で済んだら、 こいつら超高給取りじゃねえか。パネェ!俺のやるせなさマジパネェっすよ!! 「しかし、頼まれてたセンサーやスプリンクラーの動作確認もしたし、もうすることもないよなぁ……」 俺は装置を回収すると、出せ出せとうるさいゆっくり達を放置してプールを出た。 ゆっくり達は自力でプールを出ることができないが、どうなろうと俺の知ったことではない。 帰って、提出期限の近いレポートから再プリントアウトしなければならないのだ。 大学を出ると、もとから良くなかった天気がとうとう雨となった。 「おっ、雨だ。 そういや、こんな弾幕のゲームもあったっけなあ……」 どっかにエスプレイド置いてあるゲーセンないかなあ。そんなことを思いながら、俺は家へと帰った。 * * * * ゆっくり達はプールから出られなかったが、別に気にしていなかった。 「ここをあたらしいゆっくりぷれいすにしようね!」 「とってもひろくて、まりささまにふさわしいんだぜ!」 「ゆっきゅりーー!!」 広々とした空間でゆっくりしだすゆっくり達。 その時、雨が降ってきた。 「ゆゆ!?またおみずさんだよぉ!!?? おみずはもういやだよぉぉぉぉ!!!」 さっきの事がトラウマになっているのか泣き出すれいむ。一方、まりさはといえば得意顔だ。 「れいむはばかだぜ!さっきにみたいにうごかずにいればもんだいなしなのぜ!」 「まりさおかあしゃんあたまいい! せっかくのあたらしいゆっきゅりぷれいすでゆっきゅりするよ!! ゆ~♪ゆ~♪ゆ~♪」 その場を動かずにゆっくりするゆっくり達だが、もちろん雨は降り注ぐ。 「おみずやだ!おみずごわいいいい!!!」 「おかしいぜ!?どうじてあたるんだぜぇぇぇぇ!!!???」 「おみじゅさん!!ゆっきゅりさせてよぉぉぉ!!!!」 雨は次第に強くなる。 「ゆっくりよけるよ!!ゆっゆっゆっゆっゆ!!」 「しかたないからまりささまのかれいなかいひをみせてやるんだぜ!ゆっ!」 「ゆゆー!!」 必死で上を見ながら避けても、雨は無数に降ってきてゆっくりの体を駄目にしていく。 「ゆふっ…ゆふぅっ…!こんなのむりだよぉぉぉぉ!!!!」 「だずけてぇぇぇぇ!!!ぼねがいぃぃぃ!!!まりざだけでもぉぉぉぉ!!!!」 「もっと……ゆっきゅり……したかったよぉぉぉ……」 雨音がゆっくり達の叫びを飲み込んだ。 おしまい。 書いた人:”ゆ虐の友”従業員 このSSに感想を付ける
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現代ネタです。 文系が想像した理工系大学が舞台なので、あんまりつっこまないでね!! リアル弾幕ごっこ ”自機狙い偶数弾”についてご存知だろうか。 シューティングゲームの用語で、 「自機座標に対して左右対称に偶数撃たれる」弾を指すことばだ。 たとえば自機狙い2WAY弾なら、自機座標の右斜めと左斜めに一発ずつ撃たれることになる。 つまり、自機狙いとは呼ぶものの、自機座標そのものを狙うわけではない。 弾幕が偶数弾だけで構成されている場合、自機を動かさないことによって弾は左右へとすり抜けていくことになる。 「ということだから、お前ら動くなよ」 別の学部の友人から借りてきた装置をセットし、水の無いプールに放り込んだゆっくり達に声をかける。 装置は『センサー』と『スプリンクラー』で構成され……もうお分かりだろう。 「どうしてうごいちゃいけないの?ぴょんぴょんしなくちゃゆっくりできないよ?」 「このゆっくりぷれいすはひろくてきにいったぜ!まりささまのおうちにするんだぜ!」 「ゆっきゅりしていってにぇ!!ゆっきゅりしていってにぇ!!」 「やれやれ……」 話を理解しない奴、そもそも聞いてもいないやつ。俺はプールの底を一瞥するとスイッチを入れた。 スプリンクラーが強烈な放水を開始する。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃ!!!???」 「なっなんだぜ!!??なにがおこったんだぜ!!!??」 「ゆぴぃぃぃ!!ゆぴぃぃぃ!!!!」 鉄砲水のような放水は、プールの中心部に身を寄せ合ったゆっくり達の真横をかすめる。 轟音が耳を劈き、ゆっくり達をおびえさせる。 「おにいざん!!!ゆっぐりたすけてね!!!」 「そうだぜ!!かわいいまりさたちがどうなってもいいのかだぜ!!??!」 「ゆっきゅりできないよぉぉぉぉぉ!!!!」 「お前ら、自分のしたことを忘れたのか……」 俺はため息を付いた。 さかのぼること二日。 俺は研究室に鞄を置いたまま学食へ行き、帰ってくると、研究室が荒らされていた。 「なんじゃこりゃ……」 その時、ガサッという物音を聞いて俺は硬直した。 「!!」 部屋を荒らした賊が潜んでいるのかと思い、反射的に扉を閉めそうになった俺の耳に声が聞こえてくる。 「むそーふーいん!!」 「ますたーすぱーく!!」 「?……まさか……」 俺は扉を押し開き、部屋へと踏み込んだ。 散乱した部屋の中に、俺のレポートや教科書を引き裂いてあそぶゆっくりの一団がいた。 ゆっくりはこちらを向くと、口々に勝手なことを言う。 「ゆゆ?れいむのおうちになにかよう?」 「まりさのおうちにくるときには、てみやげをもってくるのがれいぎだぜ!」 「ゆゆー!」 とりあえずゆっくり共を捕らえ、部屋を整理する。 <被害総額> 教科書……………3冊 \7000 レポート…………ほとんど全部(ただしPCは無事だったので問題なし) ペットのお茶……1本(机や床が大変なことに)\150 泣きたいような気分だった。 「ここからだしてね!れいむのだんまくごっこをじゃましないでね!!」 「まりささまをおこらせるとあとがこわいんだぜ!!」 「ゆっきゅり!ゆっきゅり!」 諭してみてもまったく悪びれる様子もないゆっくり達。だんだんむかついてきたぞ…。 「そうだ」 俺はそのとき、ある友人のことを思い出した。 その友人はセンサー機能と多目的スプリンクラーのモニターを探していたのだ。 「おいお前ら、甘い顔してれば付け上がりやがって。 この俺がお前らに本当の弾幕ごっこのやり方を教えてやる……」 というわけで今に至る。 「どうだ?弾幕ごっこ楽しいか?」 俺は聞いてみる。 「だのしくないいいいい!!!!おうぢかえるぅぅぅぅう!!!」 「ま、ゆっくりかすっていってね」 俺はプールサイドに寝そべった。 「おみずさんこないでね!!ゆっくりあっちいってね!!」 ゆっくり達は水の直撃を受けてはいないが、降りかかるしぶきを避けようと限られたスペースの中を移動する。 しかし、ゆっくりに仕込んだセンサーによって、スプリンクラーはゆっくりの周囲”だけ”を確実に狙い撃つ。 どんなに逃げても無駄だ。 「ゆ!ゆぅぅぅぅ!!!!」 「おちびぢゃああああんんんん!!!」 一匹の子ゆっくりが足(?)を滑らせるがスプリンクラーはその場所を避ける。 「ゆ?ゆっきゅりたすかったよ?」 「おちびぢゃん!よがっだねぇぇぇ!!!!」 しかし、状況は変わらない。相変わらずゆっくりは周囲を脅かされている。 「……だけどやっぱりゆっきゅりできないよぉぉぉぉ!!!おみずいやだよぉぉぉぉ!!!」 プールの栓は抜いてあり、流れ去った水はタンクを経由して再びスプリンクラーに戻る。 装置のバッテリーも充分なことを確認した俺は、ゆっくり達に言った。 「俺はご飯食べてくるから、お前らはゆっくりしていってね!」 「でいぶもおながずいだ!!ごばんちょうだいぃぃぃ!!」 「ゆっぐりでぎない!!だじて!まりざをだじで!!」 「ゆびゅうぅぅ!!ゆぶぅぅぅぅ!!」 飯を食って帰って来ると、ゆっくり達は動かないで一箇所に固まっていた。 「ゆああーんん!!ゆっぐりできないよぉぉぉぉ!!!」 「がまんしておちびちゃん!!」 「つべだいぜ!!いやなんだぜ!!! だけどしにだぐないんだぜぇぇぇ!!!」 「うーん……」 あまりにも可哀相に思えてきたので、俺は聞いてみた。 「おい、お前達反省したか?」 「じまじた!!れいぶがわるかったでず!!」 「れいびゅもあやまるよぉぉぉ!!!」 「まりざもあやまっでやるんだぜ!!!ごめんなざいでじたぁぁぁ!!!」 まりさの発言が若干気にかかるものの、俺は装置を止めてやる。 「ゆゆ?おみずさんとまってくれたよ!!」 俺が止めたんだっつーの。 「たしゅかったよぉぉぉ……」 「ゆ!まったくしょうのないおにいさんだぜ! かわいいまりさをいじめるなんて、おにいさんはどうかしてたんだぜ! とくべつにゆるしてやるから、ゆっくりあやまるといいんだぜ?」 「………」 あっという間に態度を翻し、偉そうにふくれたり飛び跳ねたりするゆっくり。 「なにやってるの?れいむをはやくおそとにだすのもわからないの?ばかなの?しぬの?」 「ばかにゃの?しにゅにょ?」 「おにいさん!まりさはおなかすいたんだぜ! こうきゅうすいーつでゆるしてやるんだぜ!!」 駄目だ。やっぱむかつく。 第一、俺の被った被害が、現金出費だけで7000円オーバーだぞ。こんな機械のモニター1時間程度で済んだら、 こいつら超高給取りじゃねえか。パネェ!俺のやるせなさマジパネェっすよ!! 「しかし、頼まれてたセンサーやスプリンクラーの動作確認もしたし、もうすることもないよなぁ……」 俺は装置を回収すると、出せ出せとうるさいゆっくり達を放置してプールを出た。 ゆっくり達は自力でプールを出ることができないが、どうなろうと俺の知ったことではない。 帰って、提出期限の近いレポートから再プリントアウトしなければならないのだ。 大学を出ると、もとから良くなかった天気がとうとう雨となった。 「おっ、雨だ。 そういや、こんな弾幕のゲームもあったっけなあ……」 どっかにエスプレイド置いてあるゲーセンないかなあ。そんなことを思いながら、俺は家へと帰った。 * * * * ゆっくり達はプールから出られなかったが、別に気にしていなかった。 「ここをあたらしいゆっくりぷれいすにしようね!」 「とってもひろくて、まりささまにふさわしいんだぜ!」 「ゆっきゅりーー!!」 広々とした空間でゆっくりしだすゆっくり達。 その時、雨が降ってきた。 「ゆゆ!?またおみずさんだよぉ!!?? おみずはもういやだよぉぉぉぉ!!!」 さっきの事がトラウマになっているのか泣き出すれいむ。一方、まりさはといえば得意顔だ。 「れいむはばかだぜ!さっきにみたいにうごかずにいればもんだいなしなのぜ!」 「まりさおかあしゃんあたまいい! せっかくのあたらしいゆっきゅりぷれいすでゆっきゅりするよ!! ゆ~♪ゆ~♪ゆ~♪」 その場を動かずにゆっくりするゆっくり達だが、もちろん雨は降り注ぐ。 「おみずやだ!おみずごわいいいい!!!」 「おかしいぜ!?どうじてあたるんだぜぇぇぇぇ!!!???」 「おみじゅさん!!ゆっきゅりさせてよぉぉぉ!!!!」 雨は次第に強くなる。 「ゆっくりよけるよ!!ゆっゆっゆっゆっゆ!!」 「しかたないからまりささまのかれいなかいひをみせてやるんだぜ!ゆっ!」 「ゆゆー!!」 必死で上を見ながら避けても、雨は無数に降ってきてゆっくりの体を駄目にしていく。 「ゆふっ…ゆふぅっ…!こんなのむりだよぉぉぉぉ!!!!」 「だずけてぇぇぇぇ!!!ぼねがいぃぃぃ!!!まりざだけでもぉぉぉぉ!!!!」 「もっと……ゆっきゅり……したかったよぉぉぉ……」 雨音がゆっくり達の叫びを飲み込んだ。 おしまい。 書いた人:”ゆ虐の友”従業員 このSSに感想を付ける
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ゆっくり生長していってね!! 男がゆっくりの入った透明箱を眺めている。 ゆっくりはれいむ種で、その頭には木の芽のようなものがわずかに出ている。もうすぐ子供ができる証拠だ。 「もうすぐあかちゃんがうまれるよ、はやくあいたいね」 男は無表情に握り飯を頬張る。 部屋の中には数え切れないほどの食料がある。男とれいむが一月は暮らせそうな量だ。 「おにいさん!れいむはおなかすいたよ! かわいいれいむとあかちゃんのためにいっぱいごはんちょうだいね!」 男は答えない。 「どうしてむしするの?ばかなの?しぬの?」 ゆっくりの挑発的な口調もどこ吹く風と、男は書架から本を取り出し読み始める。 「はやくごはんちょうだい!あかちゃんがゆっくりできないよ!れいむもぷんぷんだよ!」 ゆっくりは膨らんで威嚇したり、飛び跳ねたりするが男は気にする様子もない。 「おながずいだぁぁぁ!!!ごはんをくれないおにーざんはゆっぐりじねぇぇぇぇ!!」 無反応。 それからしばらくして、とうとうれいむは疲れ果てて動けなくなった。 「どうじてむしずるのおおおおお!!!???ごはんちょうだいぃぃぃ!!!!」 しかし、やはり要求は通らなかった。 部屋の時計が10時を少し回ったとき、男は書き物をしていた手を止めて、手近な食料を箱に放り込んだ。 「おそいよ!あんまりおそいと、おなかとせなかがゆっくりできなくなっちゃうよ! だけどれいむはやさしいおかあさんになるんだから、きげんをなおしてたべてあげるね! むーしゃ、むーしゃ……しあわしぇぇぇぇぇぇ……!! だけど、ちょっとすくないよ!あかちゃんのぶんもむーしゃむーしゃさせてね!」 男は「さて、寝るか」と口の中で呟くと、寝床の支度をしてすぐに就寝した。 「いじわるしないでもっとちょうだいね!そしたらゆっくりしてもいいよ!」 「えいようがだいじなんだよ!わかってるの!!おにーざん!!ねちゃだめぇぇぇ!!!!」 男が明かりを消したので周囲は暗い。しかし、そこらじゅうにある食べ物の匂いがれいむを眠らせなかった。 「おなかすいたよ……ばかなおにいさんのせいでごはんがすくなくてごめんね……」 「あかちゃん、ゆっくりそだってね……」 「おなかすいた……」 れいむはまんじりともせず朝を迎えた。 「ん……おおっ……」 男が大きく伸びをするのと同時にれいむは挨拶をした。 「ゆ…ゆっくりしていってね!」 昨日は自分の言葉が乱暴すぎたのかもしれない、と思ったれいむなりの譲歩だった。 きちんとゆっくりさせれば、人間が自分のようなかわいらしいゆっくりにご飯をくれないわけがないという 打算も働いている。色々と間違えた打算だが。 「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね! それで……ゆっくりしたら、れいむにあさごはんちょうだいね!」 男は昨日読みかけにした本の続きを読み始め、れいむのことなど気にかける様子もない。 「おにいざああああんんん!!!! じぶんばっがりゆっぐりじてずるいよぉぉぉぉぉ!!!!!」 ふと、れいむは自分の頭上を見上げた。 視界の端でたよりなく揺れる”ゆ木(ぼく)”は、少し貧弱になってしまったように思える。 まだ実は膨らみ始めたばかりだが、これでは先が思いやられる。れいむは半狂乱になって叫んだ。 「おにーざんんんん!!!!おねがい!ごばんをぢょうだいぃぃぃぃぃ!!!!」 結局その日も、夜の10時まで食料を与えられることはなかった。そして次の日も、そのまた次の日も…… 食事は夜10時に一度、決まった量を与えられるきりだった。 * * * * 四日後。 「おかしいよ……?あかちゃん……うまれないよ……?」 ひょろひょろと背ばかりが伸びた”ゆ木”には小さな実が二つ付いている。 だが、本来なら今頃はゆっくりとしたあかちゃんとして言葉を発しているはずのそれは何も言ってくれない。 「あかちゃん……?れいむににてとってもかわいい、れいむのはじめてのあかちゃん……?」 このままでは大切なあかちゃんが死んでしまう。 「おにいざあああんんんん!!!」 「どぼじてごはんたぐさんぐれないのおおおおお!!??」 * * * * それからさらに数日。 れいむのゆ木は、なよなよとしなって顔の前へ垂れてくるようになった。 まだ喋ることのできない、ゆ木の先端の二つのつぼみ。それを見るたび、れいむの心は不安に張り裂けそうになる。 * * * * ちょうど二週間目の朝だった。 「ゆ……ゆっくちちていってね……」 「おきゃあしゃん……?」 気づくと二つのつぼみだったものには目と口が出来ていて、小さな、とても小さな声でれいむへと話しかけている。 れいむは感激した。 「ゆゆぅぅぅーーーーーん!!!!れいむのあかちゃぁぁぁんんんん!!!! ゆっくちしていってねぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」 * * * * 十六日目。 二匹の子れいむはいまだゆ木から切り離していない。 なぜかお兄さんが食事をわずかしか与えてくれない現状では、切り離すのは危険と親れいむが判断したのだ。 「おきゃあしゃん……ごはんさえあれば、れいみゅたちじぶんでゆっくちできるよ……?」 「ごはんもっとたべたい……おきゃあしゃん……もっとたくさんちょうだいね…」 「おにいさんが……おにいさんがわるいんだよ…… さあ、きょうもゆっくりしようね!」 わが子を励ますため、箱の真ん中で歌を歌う親れいむ。 「ゆ~♪ゆ~♪ゆ~♪」 「ゆ……ゆ……」 「ゆ……ゆ……」 子供たちも歌うが元気がない。 れいむは不憫でならなかった。 本当ならば、今頃は元気なゆっくりとした子として生まれてきて、みんなでとてもゆっくりしているはずなのに。 ちびちゃん達だって、自分で飛んだり跳ねたりして、ゆっくりしたいだろうに。 「おかあさんも、つらいんだよ……ほんとは、ちびちゃんたちをゆっくりさせてあげたいんだよ……」 その日の昼過ぎ。 「ゆ……!」 「ゆ……!」 二匹の子れいむは体をゆすり、自分でゆ木から落ちようとし始めた。 「おちびちゃんたち!だめだよ!ゆっくりできなくなるよ!!」 「おきゃあしゃん!れいむはじめんでゆっきゅりしたいんだよ!」 「おきゃあしゃんがゆっきゅりさせてくれにゃいなら、じぶんでゆっきゅりしゅるよ!」 「どぼじてぞんなごどいうのぉぉぉぉぉ!!??」 親れいむは沸き上がる感情のままに跳ねる、その衝撃がまずかった。 萎えたゆ木に負荷がかかり、子れいむ達はついに切り離される。 「ゆゆっ!もうしゅぐおちゆよ!」 「これからはじぶんでゆっきゅりーしゅるよー!!」 夢にまで見た”親とのすーりすーり”や”自分ひとりでのゆっくり”への期待がふくらむ。 「おちゆよー!!」 「ゆっきゅりー!!」 ぷちん。ころころころ…… 「おっ……おぢびぢゃああああんんんん!!??」 れいむは地面に転がったわが子へと駆け寄る。 どうか無事でいてほしい。れいむの餡子はその思いで埋め尽くされた。 「おちび……ちゃん……?ゆっくり……して……いってね……?」 二匹の子れいむは、もう動かなかった。 「おちびちゃん……」 やはり弱すぎたのだ。ゆ木からの栄養が断たれたその瞬間、二匹はすでに物言わぬ饅頭となっていた。 「ゆああああああんんん!!!!!おぢびぢゃああああんんんん!!!!」 泣いているれいむの元へ男がやってくるが、悲しみに打ちひしがれるれいむは気づかない。 男はれいむの額の細長いゆ木に手をかけると、ぶちんと引き抜いた。 「ゆ……」 わずかな痛みと喪失感を額に感じ、我にかえるれいむ。 「おにいさん!それはあかちゃんのたべるはずだったものだよ!かえしてね!!」 こんな状況を作り出したお兄さんへの恨みよりも、わが子の遺品を持っていかれることに抗議の声を上げる。 男はやはり聞きもせず、通常の倍ほどの長さのあるゆ木を丁寧に戸棚にしまうと、れいむの元へ再びやってくる。 「じゃあな。……悪く思うな」 「ゆ?………ゅぅ?」 れいむは男の手で二つに割られた。断末魔を上げる暇もなかった。 男はそれをごみ入れに投げ捨てると、両の耳から、この二週間着けっぱなしだった耳栓を引き抜いた。 「あー、耳かゆかった……」 * * * * このようにして作られた、にんっしんゆっくりのひょろ長いゆ木は滋味に富み歯ごたえも良いので珍重される。 子の栄養がゆ木に逆流するためとも、あるいは単に生長期間が長いためとも言われているが、真相は定かでない。 恵まれぬ子が、生まれて初めて母親と一緒にむーちゃ♪むーちゃ♪するはずだったゆ木。 そこに懸けられた思い――生への渇望や期待が、その味わいをもたらすのかもしれない。 おしまい。 書いた人:”ゆ虐の友”従業員 このSSに感想を付ける
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※ぬるい ※うんうん 「おかーしゃん!れいむ、うんうんちたいよ!」 「ゆっくりりかいしたよ!でも、おうちではしないでね!」 「ゆっくちりかいちたよ!おそとでうんうんしゅるね!」 今、そんなやり取りをしていたのは成体れいむと子れいむ。 彼女達は野良で、他にも子れいむが1匹と子まりさが1匹と一緒に暮らしている。 うんうんとはいわゆる排便のことで、ねぐらの中にあるとゆっくり出来ない。 そのため、うんうんをする時は自動販売機の隣のダンボールから這い出して行くことになっていた。 「ゆゆっ、うんうんしゅるよ!」 「ちょっと待った!!」 いつものように外に出て行った子れいむがうんうんをしようと力んだ時、それを阻止しようと一人の青年が走ってきた。 彼は子れいむを捕まえると即座にあにゃるに指をねじ込んだ。 「ゆびぃ!?やめぢぇええええ!う゛んう゛んでぎに゛ぁいよ!?」 「ゴメンよ。しかしそのうんうんをそこらへんにせずに俺に食べさせて欲しいんだ!」 「ゆっぐぢりがいぢだよぉ!だがらはやぐう゛んう゛んざぜぢぇね!?」 「よし来た!・・・・・・むーしゃむーしゃ、うめー!」 青年はさっそく子れいむのあにゃるの口をつけるとズズーッと一気にうんうんを啜った。 うんうんを食べ終えた青年はとてもゆっくりした表情をしている。 「さあ、れいむ。これはほんのお礼だ!」 彼が取り出したのはコンビニで売っているメロンパン。 パンを袋から取り出し、子れいむの前に差し出した青年は悠然とした足取りでその場を後にした。 「っていっておにーしゃんがうんうんとこうかんしてくりぇたんだよ!」 「ゆゆっ!ぱんさんよりもうんうんがいいなんてへんなおにーさんだね!」 「むーしゃむーしゃ、ちあわせ〜!」 何とかメロンパンを奪われずにねぐらまで持って帰った子れいむは、家族全員でご馳走に舌鼓を打ちながらそんな経緯を話した。 こんなゆっくりしたものとうんうんを交換するなんて、人間はわからないと首をかしげるゆっくり一家。 しかし、美味しいものが食べられるならそれで良いと結論付け、それ以上は考えなかった。 「ゆゆっ!まりしゃ、しゅごいことおもいちゅいたよ!」 「ゆぅ、すごいこと?」 「にんげんしゃんにうんうんをあげちゃらきっともっちょあまあましゃんがもらえりゅよ!」 「「「ゆゆっ!?」」」 子まりさの一言はほかの家族に衝撃を与えた。 それから長い話し合いの末、ものは試しでとりあえず人間と交渉をしてみようという結論に達した。 「今日は、ファ○タにするか・・・っと」 「ゆゆっ!おにーしゃん、まりしゃのうんうんとそのあまあましゃんをこうかんちてね!」 「へ・・・?うんうんとファ○タをか?別に構わないけど・・・」 そう言って、いとも簡単に甘いジュースとうんうんを交換してくれた。 彼女達は知る由もないことだが、人間の間では今ゆっくりのうんうんブームが巻き起こっていたのだ。 「えーっと・・・何飲もうかな?」 「おねーさん、れいむのうんうんとあまあまさんをこうかんしてね!」 「え・・・?あまあまさんなら、チョコレートがあったかな?」 またしても、簡単に美味しいチョコレートを手に入れてしまった。 こうしてうんうんトレードに味をしめたれいむ達はしばらくこれによって何もせずにゆっくりすることが出来た。 しかし、そんな平和な日常はある日を境に終わりを告げる。 崩壊の始まりは母れいむのお出かけ中に子まりさが不意に口にした言葉。 「あれだけあまあまさんをたべてるにんげんさんがうんうんさんでゆっくちできるなら、うんうんはゆっくちちてるの?」 その一言によって、ゆっくり出来るあまあまさんよりも人間が好むうんうんは美味しいのかもしれないという認識が出来上がってしまったのだ。 そして、母れいむがいない間に子ゆっくり達はこっそりとうんうんをして、それを口に含んでみた。 「「「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇえええええええええ!!」」」 信じられないことにとても美味しかった。 それが思い込みによるものなのか事実なのかを知る術はないが、間違いなくゆっくり出来る味だった。 チョコレートよりも、ジュースよりも、メロンパンよりも、母れいむの持ってくるどんな食べ物よりも。 その日から、子ゆっくり達はこっそりとうんうんを食べるようになり、それと引き換えに人間と交換で得られる食べ物の量が減った。 「ゆぅ・・・さいきんなんだかゆっくりできないよ・・・」 母れいむは内心何かおかしいと思いながらも我が子のうんうん事情にあることが理解できず困り果てた。 減った食料を補うためにしばらく怠けていた餌探しを再開せねばならず、それが一層彼女をゆっくり出来なくさせる。 その上、必死の思いで食べ物を取ってきても贅沢に慣れた上に極上の甘味を知った子ども達は食べ物二口をつけようとしない。 「こんにゃゆっくちできないものたべらりぇないよ!」 「しょーだよ!ぷんぷんっ!」 「ちゃんとあまあましゃんもってきてね!」 が、子ども達も食事のグレードの低下の原因が自分たちの行いであることに気づく様子は無い。 結局、れいむは苦労と、それに見合わない罵倒を受けながらゆっくり出来ない日々を過ごすことになった。 1週間後。その原因が子ども達のうんうん事情にあることに気付くその日まで。 「「「ゆっぐ・・・おにーさん」」」 ある日、子ゆっくり達は久し振りにうんうんを交換しに自動販売機の前にやってきた。 本当はとても美味しいうんうんを別のものと交換したくは無い。 とはいえ、うんうんだけではお腹が膨れない。 「ま、まりしゃのうんうんとあまあましゃんをこうかんちてね!」 それに全てを知った母れいむは怒り狂って、もう食べ物を持ってこないと宣言してしまった。 自分の努力の結晶が排泄物以下だといわれればそうなるのも仕方ないことだろう。 それでも子ゆっくり達は現状を楽観視していた。うんうんがあれば何とかなるだろう、と。 しかし・・・ 「お前らの糞なんかいらん」 話しかけた青年はそう言い残して立ち去った。 それからも、道行く人に何度もうんうんとの交換を持ちかけたが、全然上手くいかない。 女性も、子ども達も、老人も誰ひとりとして子ゆっくり達の交渉に応じてはくれなかった。 「ゆぅ、どうちてこうかんちてくれないのぉ・・・」 「ゆっくちできないよ・・・」 「ゆっくちちたいよー」 日が暮れるまで子ども達は必死に交渉を続けたが、結局誰ひとりとして交換してくれなかった。 「ゆぅ・・・ぜんぜんあまあましゃんもらえなかったよ・・・」 「しかたないよ。でも、まりしゃたちにはうんうんがありゅよ!」 「ゆゆっ!しょーだね、うんうんたべりゅよ!」 ねぐらに戻り、ひもじさを誤魔化すようにうんうんの風味を思い出す。 そして、むりっとひり出したそれに満面の笑みを浮かべたまま飛びついた。 「ゆっ!?」 「なにごれええええええ!?」 「ぜんぜんゆっぐぢぢでないよおおおお!?」 何故かうんうんの味が酷く劣化してしまっていた。 味は舌ではなく脳で感じると言うが、どうやら子ゆっくり達がうんうんが美味しいと感じたのはまさにそれだったらしい。 人間があまあまさんと交換してくれるものならきっと美味しいに違いない。 うんうんの味を支えていたその思い込みが、今日の徒労で崩れ去ってしまっていた。 「ゆぅ・・・おかーしゃあん、おながずいだよぉ・・・」 「ゆゆっ!うんうんをたべるようなゆっくりできないこはれいむのこどもじゃないよ!」 「ゆっぐ・・・ほどぢでぞんなこぢょいうのおおおおおお!?」 こうして子ゆっくり達は母れいむの機嫌が直るまで美味しくない上に満腹感うんうんを食べ続けることになった。 −−−あとがき−−− しかし、越冬の時なんかは喰えたほうが良いような気もする byゆっくりボールマン
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現代ネタです。 文系が想像した理工系大学が舞台なので、あんまりつっこまないでね!! リアル弾幕ごっこ ”自機狙い偶数弾”についてご存知だろうか。 シューティングゲームの用語で、 「自機座標に対して左右対称に偶数撃たれる」弾を指すことばだ。 たとえば自機狙い2WAY弾なら、自機座標の右斜めと左斜めに一発ずつ撃たれることになる。 つまり、自機狙いとは呼ぶものの、自機座標そのものを狙うわけではない。 弾幕が偶数弾だけで構成されている場合、自機を動かさないことによって弾は左右へとすり抜けていくことになる。 「ということだから、お前ら動くなよ」 別の学部の友人から借りてきた装置をセットし、水の無いプールに放り込んだゆっくり達に声をかける。 装置は『センサー』と『スプリンクラー』で構成され……もうお分かりだろう。 「どうしてうごいちゃいけないの?ぴょんぴょんしなくちゃゆっくりできないよ?」 「このゆっくりぷれいすはひろくてきにいったぜ!まりささまのおうちにするんだぜ!」 「ゆっきゅりしていってにぇ!!ゆっきゅりしていってにぇ!!」 「やれやれ……」 話を理解しない奴、そもそも聞いてもいないやつ。俺はプールの底を一瞥するとスイッチを入れた。 スプリンクラーが強烈な放水を開始する。 「ゆぎぃぃぃぃぃぃぃ!!!???」 「なっなんだぜ!!??なにがおこったんだぜ!!!??」 「ゆぴぃぃぃ!!ゆぴぃぃぃ!!!!」 鉄砲水のような放水は、プールの中心部に身を寄せ合ったゆっくり達の真横をかすめる。 轟音が耳を劈き、ゆっくり達をおびえさせる。 「おにいざん!!!ゆっぐりたすけてね!!!」 「そうだぜ!!かわいいまりさたちがどうなってもいいのかだぜ!!??!」 「ゆっきゅりできないよぉぉぉぉぉ!!!!」 「お前ら、自分のしたことを忘れたのか……」 俺はため息を付いた。 さかのぼること二日。 俺は研究室に鞄を置いたまま学食へ行き、帰ってくると、研究室が荒らされていた。 「なんじゃこりゃ……」 その時、ガサッという物音を聞いて俺は硬直した。 「!!」 部屋を荒らした賊が潜んでいるのかと思い、反射的に扉を閉めそうになった俺の耳に声が聞こえてくる。 「むそーふーいん!!」 「ますたーすぱーく!!」 「?……まさか……」 俺は扉を押し開き、部屋へと踏み込んだ。 散乱した部屋の中に、俺のレポートや教科書を引き裂いてあそぶゆっくりの一団がいた。 ゆっくりはこちらを向くと、口々に勝手なことを言う。 「ゆゆ?れいむのおうちになにかよう?」 「まりさのおうちにくるときには、てみやげをもってくるのがれいぎだぜ!」 「ゆゆー!」 とりあえずゆっくり共を捕らえ、部屋を整理する。 <被害総額> 教科書……………3冊 \7000 レポート…………ほとんど全部(ただしPCは無事だったので問題なし) ペットのお茶……1本(机や床が大変なことに)\150 泣きたいような気分だった。 「ここからだしてね!れいむのだんまくごっこをじゃましないでね!!」 「まりささまをおこらせるとあとがこわいんだぜ!!」 「ゆっきゅり!ゆっきゅり!」 諭してみてもまったく悪びれる様子もないゆっくり達。だんだんむかついてきたぞ…。 「そうだ」 俺はそのとき、ある友人のことを思い出した。 その友人はセンサー機能と多目的スプリンクラーのモニターを探していたのだ。 「おいお前ら、甘い顔してれば付け上がりやがって。 この俺がお前らに本当の弾幕ごっこのやり方を教えてやる……」 というわけで今に至る。 「どうだ?弾幕ごっこ楽しいか?」 俺は聞いてみる。 「だのしくないいいいい!!!!おうぢかえるぅぅぅぅう!!!」 「ま、ゆっくりかすっていってね」 俺はプールサイドに寝そべった。 「おみずさんこないでね!!ゆっくりあっちいってね!!」 ゆっくり達は水の直撃を受けてはいないが、降りかかるしぶきを避けようと限られたスペースの中を移動する。 しかし、ゆっくりに仕込んだセンサーによって、スプリンクラーはゆっくりの周囲”だけ”を確実に狙い撃つ。 どんなに逃げても無駄だ。 「ゆ!ゆぅぅぅぅ!!!!」 「おちびぢゃああああんんんん!!!」 一匹の子ゆっくりが足(?)を滑らせるがスプリンクラーはその場所を避ける。 「ゆ?ゆっきゅりたすかったよ?」 「おちびぢゃん!よがっだねぇぇぇ!!!!」 しかし、状況は変わらない。相変わらずゆっくりは周囲を脅かされている。 「……だけどやっぱりゆっきゅりできないよぉぉぉぉ!!!おみずいやだよぉぉぉぉ!!!」 プールの栓は抜いてあり、流れ去った水はタンクを経由して再びスプリンクラーに戻る。 装置のバッテリーも充分なことを確認した俺は、ゆっくり達に言った。 「俺はご飯食べてくるから、お前らはゆっくりしていってね!」 「でいぶもおながずいだ!!ごばんちょうだいぃぃぃ!!」 「ゆっぐりでぎない!!だじて!まりざをだじで!!」 「ゆびゅうぅぅ!!ゆぶぅぅぅぅ!!」 飯を食って帰って来ると、ゆっくり達は動かないで一箇所に固まっていた。 「ゆああーんん!!ゆっぐりできないよぉぉぉぉ!!!」 「がまんしておちびちゃん!!」 「つべだいぜ!!いやなんだぜ!!! だけどしにだぐないんだぜぇぇぇ!!!」 「うーん……」 あまりにも可哀相に思えてきたので、俺は聞いてみた。 「おい、お前達反省したか?」 「じまじた!!れいぶがわるかったでず!!」 「れいびゅもあやまるよぉぉぉ!!!」 「まりざもあやまっでやるんだぜ!!!ごめんなざいでじたぁぁぁ!!!」 まりさの発言が若干気にかかるものの、俺は装置を止めてやる。 「ゆゆ?おみずさんとまってくれたよ!!」 俺が止めたんだっつーの。 「たしゅかったよぉぉぉ……」 「ゆ!まったくしょうのないおにいさんだぜ! かわいいまりさをいじめるなんて、おにいさんはどうかしてたんだぜ! とくべつにゆるしてやるから、ゆっくりあやまるといいんだぜ?」 「………」 あっという間に態度を翻し、偉そうにふくれたり飛び跳ねたりするゆっくり。 「なにやってるの?れいむをはやくおそとにだすのもわからないの?ばかなの?しぬの?」 「ばかにゃの?しにゅにょ?」 「おにいさん!まりさはおなかすいたんだぜ! こうきゅうすいーつでゆるしてやるんだぜ!!」 駄目だ。やっぱむかつく。 第一、俺の被った被害が、現金出費だけで7000円オーバーだぞ。こんな機械のモニター1時間程度で済んだら、 こいつら超高給取りじゃねえか。パネェ!俺のやるせなさマジパネェっすよ!! 「しかし、頼まれてたセンサーやスプリンクラーの動作確認もしたし、もうすることもないよなぁ……」 俺は装置を回収すると、出せ出せとうるさいゆっくり達を放置してプールを出た。 ゆっくり達は自力でプールを出ることができないが、どうなろうと俺の知ったことではない。 帰って、提出期限の近いレポートから再プリントアウトしなければならないのだ。 大学を出ると、もとから良くなかった天気がとうとう雨となった。 「おっ、雨だ。 そういや、こんな弾幕のゲームもあったっけなあ……」 どっかにエスプレイド置いてあるゲーセンないかなあ。そんなことを思いながら、俺は家へと帰った。 * * * * ゆっくり達はプールから出られなかったが、別に気にしていなかった。 「ここをあたらしいゆっくりぷれいすにしようね!」 「とってもひろくて、まりささまにふさわしいんだぜ!」 「ゆっきゅりーー!!」 広々とした空間でゆっくりしだすゆっくり達。 その時、雨が降ってきた。 「ゆゆ!?またおみずさんだよぉ!!?? おみずはもういやだよぉぉぉぉ!!!」 さっきの事がトラウマになっているのか泣き出すれいむ。一方、まりさはといえば得意顔だ。 「れいむはばかだぜ!さっきにみたいにうごかずにいればもんだいなしなのぜ!」 「まりさおかあしゃんあたまいい! せっかくのあたらしいゆっきゅりぷれいすでゆっきゅりするよ!! ゆ~♪ゆ~♪ゆ~♪」 その場を動かずにゆっくりするゆっくり達だが、もちろん雨は降り注ぐ。 「おみずやだ!おみずごわいいいい!!!」 「おかしいぜ!?どうじてあたるんだぜぇぇぇぇ!!!???」 「おみじゅさん!!ゆっきゅりさせてよぉぉぉ!!!!」 雨は次第に強くなる。 「ゆっくりよけるよ!!ゆっゆっゆっゆっゆ!!」 「しかたないからまりささまのかれいなかいひをみせてやるんだぜ!ゆっ!」 「ゆゆー!!」 必死で上を見ながら避けても、雨は無数に降ってきてゆっくりの体を駄目にしていく。 「ゆふっ…ゆふぅっ…!こんなのむりだよぉぉぉぉ!!!!」 「だずけてぇぇぇぇ!!!ぼねがいぃぃぃ!!!まりざだけでもぉぉぉぉ!!!!」 「もっと……ゆっきゅり……したかったよぉぉぉ……」 雨音がゆっくり達の叫びを飲み込んだ。 おしまい。 書いた人:”ゆ虐の友”従業員 このSSに感想を付ける
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「ここが今日からお前のおうちだよ」 「ゆっ!(キョロキョロ……)ちょっとせまいけどゆっくりしたおうちだね! きょうからここがれいむのおうちだよ!! ゆゆ?おじさん!このおあなはなあに?」 「そこが今日からお前のおうちだよ」 「ゆゆ?ばかだね!おじさん!!こんなところでゆっくりできるわけないよ!!」 (ガシッ!) 「ゆゆゆっ??はなしてね!はやくはなしてね!!」(ぷらんぷらんぷん……) 「ゆーーーーーーーーーーーーーー!!」(ビタン!) 「ゆぐぐ……なにするのおじさん!はやくたすけてね!じゃないとゆっくりしてるれいむでもゆっくりおこるよ!!」 「まぁまぁ、そんなに怒るなよ。そこに居ればれみりやにも襲われないし、食べ物にも困らないぞ」 「ゆゆっ!ほんとう?おじさんいいひとだね!ゆっくりしていってね!!」 「じゃあ、ちょっとゆっくりしようかな」(ジィー、ポロッ) 「ゆっ?」 (ジョッジョボボボボボボボボボ) 「ほーら、オレンジジュースだよ」 「ゆー♪ゆっくりのませてね!ゆっくりのませてね!!」 (ジョボボボボボボボボボ) 「ご~く♪ご~く♪ぎゃぼ!!な゛に゛こ゛れ゛!!!!」 「なにってオレンジジュースじゃないか」 「ち゛か゛う゛よ゛!!こんなのおれんじじゅーすじゃないよ!!ぜんぜんゆっぐりじでないよ!!!!」 「おかしいな、あっ!お前、嬉しいからってゆっくり味あわずに飲んだんだろ」 「ゆっ!それだね!!れいむったらゆっかりしてたよ!もう!れいむのゆばかさん!!」 「「………………………………」」 「……かわいくってごめんね!!!」 「……ぁあ、そっ!そうだな。オレンジジュースはまだあるから残りも飲むだろ?」 「ゆっくりのませてね!!!!!」 (ジョボボボボボボボ)「な゛に゛こ゛れ゛!!!」「オレンジジュースだよ」「ゆっくりのませてね!」 (ジョボボボボボボボ)「な゛に゛こ゛れ゛!!!」「オレンジジュースだよ」「ゆっくりのませてね!」 (ジョボボボボボボボ)「な゛に゛こ゛れ゛!!!」「オレンジジュースだよ」「ゆっくりのませてね!」 「ふー、さすがにもう出ないな。それじゃあ、そこで思う存分ゆっくりしていってね」 「ゆ?おじさんどこいくの?……………………どごいぐの?……どごいぐのーーーーーー!!!」 (3日後……) 「……おながずいだよ…………ゆっぐりでぎないよ…………ゆっぐり……ゆっぐり」 「うートイレトイレ、こんな所にあるとはまさに天の恵み。俺の便意が有頂天!」 「……ゆ゛っ……く゛り゛……し゛て゛い゛って゛……ね゛……」 「おわ!ビックリした!!……って、なんだゆっくりか」 「……おじさん……はやぐ……はやぐ……ごはんちょうだい……」 「うるせぇ!これでも喰らえ!!」(ブリュ!!ビチビチッ!ビチャアー) 「ゆっ……ごはん……ごはん……」(ずーり……ずーり……) 「おい……まじかよ」 「む~しゃ……む~しゃ……これ……めっちゃうめぇ……」 (10日後……) (ガチャ……) 「ゆっくりしていってね!」 「うおっと」 「ゆっくりしていってね!!」 「ほー、下にゆっくりがいるのう」 「ゆっくりしていってね!!!」 「おまいさん、そんなところでなにしとるんじゃ?」 「ここはれいむのおうちだよ!はやくごはんをちょうだいね!!」 「ごはん?はて、何のことか…」 「おじさんのうんうんだよ!!おじさんもするんでしょ!!ゆっくりしてってね!!」 「これはこのまま用をたしていいのかのう」 「ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪」 「まあ、よいか」 (ブリュリュ……) 「む~しゃ♪む~しゃ♪……ゆっ!おじさん!おやさいたべてないね!! おやさいたべなきゃだめだよ!!おやさいたべないとれみりやみたいになっちゃうんだからね!ぷんぷん!」 「おお、そんな事もわかるのかい」 「ぷんぷん!ゆっくりおやさいたべてきてね!!」 (20日後……) (ガチャ……) 「ふぃー」 「ゆっくりしていってね!!」 「おー、今日も来たぞー」 「ゆっくりしていってね!!!」 「昨日は宴会だったからなー、いいもん一杯食ったし、一杯でっぞ」 「ゆー♪ゆー♪」 (ブリュブリュリュリュリュ) 「わあい♪おかしのおうちにいるみた~い♪ む~しゃ♪む~しゃ♪……しあわせ~~~♪」 「ほー…良く食うわい、そんなに旨いもんかのー」 「おじさんの!(ムシャムシャ…)うんうん!(ムシャムシャ…)とってもおいしいよ!!!」 「ほー、そーかそーか」 (一ヶ月後……) 「う~いたたたた、なんでこんな時に急にくるのよ……」 「ゆっくりしていってね!」 「っ!……な、なによ、ゆっくりじゃない。驚いて損したわ!」 「ゆっくりしていってね!!」 「うー…和式便器だしぃ、これだから田舎は嫌なのよね」 「ゆっくりしていってね!!」 「ふん!ゆっくりしていけですって?こんな所でゆっくり出来るわけないでしょ?大体、わたっ!!」 (ぐ~ぎゅるぎゅる) 「おねぇさんはゆっくりしないひと?」 「ううう、せにはらは変えられないし…、もう!いいわよ!ここでするわよ!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ふーんっ!!!」 「ゆっ?おねえさんのここぴくぴくしてるよ?」 「うるさい!!どこみてんのよ!」 「ゆー…ゆっくりしていってね!」 「何処に話しかけてんの!!」 「おねえさんはゆっくりしたいひと?……だったられいむがてつだってあげるね!」 「え?手伝う?……ひゃっ!!」 「ぺ~ろ♪ぺ~ろ♪」 「くぅ……んっ……ん、んほぉぉぉおおおおおおお!!!」 「すっきり~♪」 (5年後……) 「先輩、これっすか?」 「ああ、それだ。間違いない」 「さすがにボロボロッすねー」 「5年も野ざらしにしていればボロボロにもなる。さっさと取り替えるぞ」 「うぃーす、あっそのまえにちょっと中見てもいいっすか?」 「ん?かまわんが……」 (ガチャ……) 「へー、すごいな。あんまり臭くないし、便器も結構綺麗だ」 「ゆぅ?ゆっくりしていってね!!」 「うっわ~、凄いでかさだなー。(クルッ…)凄いッすよ!先輩!」 「ああ、5年も何不自由せず暮らせばそれぐらいにはなるさ」 「おにいさんはゆっくりできるひと?」 「んー、あんまりゆっくり出来ないかな。仕事が…」 「ゆゆんっ!」 「あー!嘘嘘ゆっくりできる!ゆっくりできるから泣きそうになるなって」 「ゆっ♪ゆっ♪ゆっくりできるおにいさんはゆっくりしていってね!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 「おにいさん!れいむおなかすいたよ!!はやくごはんをだしてね!」 「えっ?ごはん?…………あっ、これでいいなか、ほらビスケットだよ」 「ゆ?」 「ほら」(ポイ) 「ゆ!」(ぱく) 「美味しいだろ?うちで飼ってるれいむもこれが大好きなんだ!」 「む~しゃ♪む~しゃ♪…な゛に゛こ゛れ゛!!!!」 「えっ?」 「な゛に゛こ゛れ゛!!!!ぜんぜんゆっぐりできないよ!!!!!!!」 「えっ?えっ?そんな馬鹿な」 「ぷく~!ぷんぷん!おにいさんはゆっくりできないひとだね!れいむのことばかにしたね! ゆっくりできないおにいさんはとっととでてってね!!ぷんぷん!」 「ごめん、ごめん、良く判らないけど謝るから許してくれよ」 「ぷんぷん!」 「ごめん!れいむ」 「ぷんぷん!」 「ほんとーにごめん!」 「ぷんぷん!」 「ごめんったら」 「おーい、そろそろ始めるぞー!」 「あ、はーい」 「じゃあ、もう行くよ?れいむ」 「ゆっくりでてってね!!!!」 「まったく!ゆっくりできないおにいさんだったね!! おにいさんのごはんのせいでおくちのなかがゆっくりできてないよ!! こんなときはおくちなおしがひつようだね!!! こんなこともあろうかととっておいてよかったね!!いちねんもののうんう~ん!(ゆっゆ~ん!!) ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪このうんうんはほんとうにゆっくりしてるね!! れいむもゆっくりするね!!いっしょにゆっくりしようね!!!!!」 む~しゃ♪む~しゃ♪しあわせ~~~~~~♪♪♪」 「先輩、中のれいむ、どうするんですか?」 「れいむ?」 「あっ、ゆっくりの事です。」 「ああ、あれか、……もちろん決まってるじゃないか」 「汚物は消毒だー!!!!」 「ヒャァッ!!!!」 おしまい 「れいむうんこかわいいよ。まじで」 このSSに感想を付ける