約 2,957,172 件
https://w.atwiki.jp/darkness00/pages/317.html
いつかの青服 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 【来れない日時や曜日、時間帯等】 【称号/階級】 【好きなカード】 【使用デッキ】 【自己紹介】
https://w.atwiki.jp/animelonif/pages/313.html
134 いつも心に太陽を ◆BLovELIVE. 音ノ木坂学院。 かつて生徒数の減少によって統廃合の危機にあった伝統校。 μ sの活躍によって廃校自体は免れたものではあったが、しかし現状のあまり多くない生徒数自体が増えるわけではない。 だけど、いくら生徒数が少ないといっても、例え休日であったとしても生徒は誰かしら学校内にいるはずのものだ。 部活だったり、何かしらの校内活動だったり。もしそういったことがなかった場合でも、先生はいる。 人の気配が全く感じられないことなどそうあるはずがない場所だ。それこそ夜遅く、などでもない限りは。 だから、その音ノ木坂学院に通う生徒の一人である穂乃果がそこに到着した時、最初に感じたのは不気味さだった。 殺し合いをさせられているという異常な場所に存在する、自分にとって日常の象徴のような空間。 だけど外面は気持ち悪いほどに似せられているのに、蓋を開けばその内側は空っぽのような。 学校であるのに人一人いない、びっくりするほど静かな空間というのがそれを如実に表わしていた。 穂乃果、そして黒子を抱えた黒。 3人は、まずまだ目を覚まさぬ黒子の介抱のために保健室へと向かっていた。 傷の様子も視認できる範囲では回復しているようにも見えるが、それが本当に完治しているものなのかも分からない。 そうして校内を自分の知識通りに案内し、保健室へとたどり着いた穂乃果。 部屋の配置も自分の知る音ノ木坂学院と全く同じだった。 真姫に会いたい気持ちを抑え、室内の棚から包帯やガーゼ、消毒薬を取り出す穂乃果。 一介の学校の保健室にあるもので重傷を処置することなどできない。 だが、後藤の斬られたはずの傷はほぼ完治している、と黒は言っていた。 きっとあの時のクロエという子の治療が功を奏したということだろう。 あの時何かをされたような気がするが、記憶が朧げになっていて思い出すことができなかったが。 「…そういえば、黒さん。さっきの放送ですけど……」 「…………」 穂乃果の言わんとしていることが分かったのか、黒は目を細めた。 放送で名前を呼ばれた12人。 戸塚彩加やキリト、婚后光子、クロエ・フォン・アインツベルン。 目の前で死んでいった者達の名前は確かに呼ばれていた。 黒は銀の、穂乃果は真姫や花陽の名が呼ばれなかったことに安堵し。 しかし、その中には呼ばれるはずの後藤の名前は入っていなかった。 確かに後藤は倒したはずだった。 あるいは見逃しただけで、放送時点ではかろうじて生き延びていた、という可能性もないわけではない。 だが、この場合は最悪のケース――何かしらの能力か、あるいは支給品の力で生き延び、未だそれまでと変わることなく人を襲い続けている、という前提で動いた方がいいだろう、と黒は言った。 キリトの顛末はここに来るまでの間に穂乃果から黒へと話していた。 殺してしまったモモカという少女の知り合いであるアンジュと向き合い、そして自分達をサリアという女から守って死んでいった、と。 すると黒は「そうか」と呟いたっきりそのことに触れることはなくなっていた。 そして今も、彼は特にそのことには触れなかった。 「とにかく、お前はここで白井黒子を見ていろ。俺は建物内に他の誰かがいないか見てくる」 もしこの音ノ木坂学院に誰かがいるとすればそれはアンジュの言っていた田村玲子、西木野真姫、初春飾利と考えるのが自然。 しかしそれ以外の何者かが先にここに来ている可能性もないわけではない。 黒が口にすることはなかったが、この静けさには穂乃果にとっては嫌な可能性を考えざるを得ないものだ。 特にイリヤは当初音ノ木坂学院に向おうとしていたという。もしこの場で彼女と遭遇することがあれば、そしてあの出来事の後で正気を失っていれば。 そんな気配を微かに感じ取ったのか、穂乃果は黒の言葉に静かに頷いて保健室に座り続け。 黒はそのまま保健室から静かに出て行く。 足音を立てぬよう静かに、しかし迅速に。 ◇ (銀は……ここにはいないか) 部屋を一つ一つ見て回る黒。しかしそこには人の気配のある場所はなかった。 もし銀がいるのであれば、誰かしらと共にいるはずだ。盲目の彼女が一人で行動できるような場所ではない。 この中で銀の死体を見つけてしまう、という可能性はこの際考えていない。あの放送からのこの短時間で、目的とした場所で殺される可能性はゼロではないがかなり低い。 「………?」 と、校内を駆ける黒の嗅覚がふと何かを嗅ぎ取った。 空気中に漂う錆びた鉄を連想させる微かな臭い。 それが何なのか、多くの死に関わってきた黒は知っている。 その元となる部屋の一室だろう場所まで進む。 人の気配は感じられない。中には”生きている”者は誰もいないのか、あるいは気配を感じさせないほどの者が潜んでいるか。 この部屋一つに意識を裂く必要もないだろうが、しかし他と比べて中を確かめる前から異常な部屋はここだけだ。 後者であればこの場から離れるほどなのだろうが、しかしならばなおさら放置しておくのも危険だ。確かめる必要はある。 友切包丁を構えたまま、気配を殺して扉に近づき。 一気にその扉を開く。 中を確かめるが、誰もいない。 少なくとも何かが潜んでいるということはなかったようだ。 あるのは、地面に置かれた3つの布、そしてその下で盛り上がった何か。 気を緩め、その布の端を掴んだ黒は。 静かにその下に置かれているものを確かめた。 全身を剣のようなもので貫かれ、切り裂かれた小学生ほどの少女の死体。 真っ黒に焦げて生前の面影を確かめることもできなくなった死体。 そして、全身が裂けて真っ赤に染まり、そして首が体から離れた長髪の少女の死体。 首が離されている死体はおそらく死後に首輪を外すために切断したものだろう。 そして残りの2つの死体には首輪が残っている。 「…ここには今誰もいない、ということか」 もし放送を聞いた後にもこの建物内に何者かがいたのだとしたら、首輪をそのままにしておくことは考えられない。 放送で明かされた首輪交換。もしそのつもりがないとしても、放っておけば殺し合いに乗った者の手に渡りその者の強化に繋がる。そのままにしておくメリットはない。 放送前にこの一人分の首輪だけを回収し、そしてどこかに立ち去ったと考えるのが自然だろう。 そして放送後にここを訪れた危険人物がいないことも確かだ。 通りかかるだけでも感じるこの臭い、それを確かめぬまま出て行く者なら警戒する必要もない。 だがもし中を確かめ寄った者がいるならば首輪がそのままになっていることもまた考え辛い。 一旦布を戻した黒は、緩めた気を張り直して部屋を退出、来た道を戻り始めた。 ◇ 「……………」 剥がれた布の下にあったものを静かに見つめる穂乃果。 保健室で眠り続ける黒子は未だに目を覚ましていないが故にその傍にはいない。 黒は部屋の外にある窓の影から門付近の様子を伺うように警戒している。 そして穂乃果がいる場所は、黒が3つの死体を見つけた一室。 彼女が見つめているのは、首が離れた死体。 制服は血に濡れ、生きている頃は端正な顔立ちだったであろう、しかしその面影をうっすらとしか感じられない程に傷だらけの少女の躯。 「………」 ことりと並んで幼い頃からずっと共にいた少女。 園田海未。その変わり果てた姿。 本来ならば、その無残な光景には気分を悪くして吐き気を催していただろう。 だが、不思議とそんな感覚が襲ってくることはなかった。 天城雪子、キリト、婚后光子、クロエ・フォン・アインツベルン、そして変わり果てた南ことり。 多くの人の死を目の当たりにしてきた穂乃果の中で、大切な親友の死もまた、少なくとも結果を見るだけならばその中の一つとして認識される程には慣れてしまったのだろうか。 ただ、それでも。 改めてその死を目の当たりにした時、せり上がってきた感覚だけは慣れることはなかった。 放送で名を聞いて、そして海未を死に追いやったサリアとも向き合って、だけど感覚は全く違った。 最初は喪失感、そして次は怒り、ならば今感じているこの感情は。 ゆっくりとそのモノ言わぬ塊となった親友の、体から切り離された首に触れる。 顔に流れたであろう真っ赤な血は水分を失い固まり、その温度はマネキンに触れているかのように冷たかった。 そのまま首を胸の内に抱きかかえ、その冷たさと重さに失った彼女の命をはっきりと認識した瞬間。 視界に靄がかかったかのようにかすみ始め。 声を上げることもなく静かに、肩を振るわせ続けた。 ◇ 「ん……。ここは……」 意識を取り戻した時、視界に広がったのは見知らぬ天井。 周囲を見回すとカーテンとベッドがいくつか視界に入る。そして鼻についたのは軽いアルコールの臭い。 どこかの学校の保健室だろうか。 「………後藤は…、高坂さんは…イリヤさんは……」 記憶は空間転移の演算を後藤の一撃で中断されたところで途切れている。 ふと斬られたはずの腹に手をやる。 服は斬られておりその周辺には血が乾いている。ガーゼが貼られた奥には痛みも僅かに感じられる。しかし傷そのものが残っている様子はなかった。 ベッドから起き上がった黒子はズキンと鈍い痛みを放つ頭を抑えた。 どうやらあの時演算を途切れさせられた影響が僅かに残っているようだ。 時計を見ると、既に定時放送の時間を過ぎている。 少なくとも自分がここにいるということは後藤は撒いたのだと思う。だが共にいたはずの二人の同行者がいないことは不安を駆り立てていた。 もしかしたら、ということがあったら。 慌てるように保健室を出た黒子。 外の壁に貼られていたポスターからここが音ノ木坂学院だということを悟る。 ならば高坂さんはどこかにいるはず。 静かな廊下を走る。本来であれば廊下を走るという行為は咎められるものなのだろうが、それを叱る者はこの場にはいない。 人の気配がある場所はない。テレポートを駆使して周囲を駆けまわった黒子の耳に、やがて一つの物音が響いてきた。 地面に向けて何かを突き刺して土を巻き上げるような音。 それが穴を掘っているものだということに気付いた時、黒子は一気に走り出した。 もしもの時のために保健室より拝借した一本のポールペンを握りしめながら。 ◇ 「その、…ありがとうございます。こんなこと手伝ってもらって」 「気にするな」 地面を掘り進めている穂乃果と黒。 短時間でもある程度の広さと深さをの穴を作ることができるような土の柔らかい場所を探し、校舎の裏の木々が立ち並ぶ一角を選ぶことになった。 その穴が何のためのものかと問われれば、穂乃果達の後ろに横たえられている4つの死体が答えを示すだろう。 美遊・エーデルフェルト。 巴マミ。 サリアとの情報交換で聞いた、穂乃果の親友を守ろうとした少女。 その親友を殺した相手からのものではあるが、アンジュはその情報自体は誤りがないと言っていた。 婚后光子。 後藤と戦って、そしてイリヤの暴走を受けて命を落とした白井黒子の友人。 そして、園田海未。 この4人を埋葬するためのものだ。 うち、巴マミ、美遊・エーデルフェルトの二人の死体からは首が切り離され、首輪が外されていた。 婚后光子のみ首輪は未だ残っているが、それはあくまでも埋葬するまでの間だけ白井黒子が目を覚ますのを待つためのものだ。 ザクッ、ザクッと。 スコップと土の鳴る音と共に少しずつ後ろの土が盛り上がり、そして穴は広がり深まっていく。 (……重いな………) 黒の横で、彼と比べれば少しずつのペースだが確実に手を進めていく穂乃果。 掘り返していく土の重さはこれまで生きてきた人生に感じたものの中で、最も重く感じられた。 「…高坂さん?」 そんな時、後ろから足音と共に声が届く。 校舎の角、建物の影から、壁に手を付き頭を抑えながらこちらを見ている黒子の姿があった。 「白井さん……」 彼女が無事に目を覚ましたことは本来喜ぶべきことのはず。しかし穂乃果は曇った表情のまま、黒子の呼びかけに応える。 何故なら、今ここで掘っている穴は。 「そちらの方はどなたですの?」 「この人は黒さんっていって…後藤と戦ってる時に助けてくれた人で…」 「そうですの…、ありがとうございます。それで、イリヤさんはどちらに……、……?」 と、こちらに向かって歩を進める黒子は。 視界の端に映ったそれを横切ろうとして、思わず顔をその何かに向けて動かした。 そこに横たえられているものは、4つの死体。首が体から離されたものが3つ、もう一人は黒子と同じ服を纏った、長髪の少女。 「…婚后、光子……?」 表情を固まらせたままその名を呟いて歩み寄る。 体には大きな袈裟懸けの傷がつくられ、常盤台中学の制服を真っ赤に染めている。 死体を見慣れているわけではない黒子の素人目にも、それが生きている人間のものではないことは分かる。 「お待ちなさい…、あなたは、…何故……」 それでも、近寄ればあの小憎らしく頭に響く高笑いを聞かせてくれるのではないかと。 目を覚まして『引っかかりましたわね白井さん!』などと言って起き上がってくれるのではないかと。 そんなことをする人間ではないことはよく分かっているはずだったのに、そんなことがあり得る状態ではないと分かっていたはずだったのに。 ありもしないそのような期待をせざるを得なかった。 しかし手をその体に触れさせた時の冷たさが、認識を黒子の中にはっきりと定着させてしまっていた。 もう婚后光子は死んでいるのだと。 「その……白井さん…あのね…」 説明しようと呼びかけた穂乃果。 しかし、その声に刺激されたかのように黒子は立ち上がっていた。 「……私も、手伝いますわ」 壁に立てかけられていたスコップを手に取り、黒と穂乃果が掘り進めてる穴の中に入り、地面に勢い良く突き刺した。 見ている穂乃果も驚くような勢いで穴を掘っていく。 しかし黒子とそれなりの間共にいた穂乃果はおろか黒ですらも気付いていた。 その顔に写っている淀んだ表情が、ずっと張り付いていることに。 穂乃果はその顔に、かつてキング・ブラッドレイに黒子の仲間である御坂美琴が殺し合いに乗った、という事実を知った時と同じようなものを感じていた。 ◇ 女手2つとはいえ、3人の人手で掘り進めた埋葬のための穴はそう時間がかかりはしなかった。 4人の体を完全に覆うことができるほどの深さになった辺りで、黒は一つずつ、その死体を穴の中に置いていく。 美遊・エーデルフェルト。巴マミ。園田海未。 「白井黒子。少しいいか?」 そして最後の婚后光子の死体の番になった時に、黒は黒子に呼びかけた。 その意味を、そして彼の言わんとすることを穂乃果は察していた。 「首輪は今後のための貴重なサンプルになる。加えて、詳しくは後で説明するがさっきの放送の追加ルールで首輪が非常に重要な価値を持つことになった。 ここまで言えば、分かるな?」 「……私もそこまで分からず屋ではありませんわ。 でも一つだけ。…私にも見届けさせていただきませんか?同じ学び舎にいた同志として」 「分かった」 黒が思っていた以上に手も無く黒子はそれを了承した。 穂乃果もその現場に立ち会うべきかと思い近寄ったが、足音を聞いた黒子がこちらに背を向けたまま手を向けた。その場で静止しろと言いたい手振りだろう。 サクリ、と。 そうして静止した穂乃果の耳に届いた音。 既に二度耳にしたものだが、何度聞いても慣れることはない。 そのまましゃがみ込んだ黒は、しばらく手を動かした後黒子の元に寄って手を差し出し。 それを無言のまま受け取った後光子の体と首を担ぎ、穴に向けて運び横たえた。 「……………」 黒に差し出されたもの、婚后光子の首輪をその手に抱いたままじっと動かぬ黒子。 彼女の復帰を待つことなく、4人の死体には土が被せられていく。 視界から土の色の染まって見えなくなっていくその姿を見据えながら、穂乃果は呟いた。 「……美遊・エーデルフェルトさん…、海未ちゃんを守ってくれて、ありがとう…」 一つの感謝は最も小さな矮躯の、体中を貫かれた少女に向けて。 「……巴マミさん…、海未ちゃんと真姫ちゃんを守るために戦ってくれて、ありがとう…」 もう一つの感謝は原型を留めぬほどに焼け焦げた少女に向けて。 「……婚后光子さん…、あそこで私と白井さんを守ってくれて、ありがとう…」 更にもう一つの感謝は自分のすぐ傍で命を奪われた、ほんの短い間の邂逅だった白井黒子の友人である少女に向けて。 いずれの人となりも穂乃果は詳しくは知らない。 だけど、きっと出会いさえ違えば仲良くすることもできた人達なのだと思う。 こんな場所でさえ、なければ。 「…海未ちゃん……」 そして最後。 土はほぼ被せ終えられ、下にあるものの様子を探ることも難しくなっている中で。 「…さようなら」 穂乃果は静かに、己の親友に向けて、別れを告げた。 ◇ 「…あった」 4人の埋葬が終わった後、一旦校舎内に戻った3人。 いるはずの初春や真姫もどこにいったのかを探る必要があり、さらに目が覚めた黒子に対して放送や気絶して以降何があったのかも説明しておく必要がある。 そんな時、ふと穂乃果は自分の格好を見下ろす。 練習着は穴掘りを手伝った時の汗でかなり湿っており、ここに来るまでにあった様々な出来事もあって汚れもかなりついている。 動きやすい服ではあったが、ここまで汚れるとあまり着ていて気分のいいものではない。 (そういえば、花陽ちゃんも海未ちゃんも制服だったよね…。どうして穂乃果だけ練習着だったんだろ…?) 穂乃果が思い出したのは道中で会ったアンジュの服装。彼女が纏っていたのは自分の通う学校の指定する制服だった。 聞いたところではそれは音ノ木坂学院で拝借したという。なら自分が着替える分くらいはあるだろう。 そうして探してみた結果、売店の中においてある制服を見つけることができた。 その一着分を拝借、誰もいない教室の一室で着替えを済ませた。 白い半袖のブラウスに赤と青のスカートを着用し、その上にベージュのベストとリボンを重ねる。 この場所できっちりと見繕う必要はないのだが、それでも中途半端にしておくのも落ち着かなかった。 いつも着ていた服であったし、最後に着替えて丸一日も経っていないはず。 だというのに、これを着るのに随分と間が空いたような、そんな感覚に陥っていた。 畳んだ練習着をデイパックに仕舞い、二人のいる場所へと戻ろうと歩き始めて。 その道中、ふと目に入った一室。 『アイドル研究部』と標識が貼り付けられた扉はとても慣れ親しんだ場所だ。 「………」 静かに取っ手を回し、ゆっくりとドアを押す。 ――――遅いですよ、穂乃果 ――――待ちくたびれたにゃ 「……!」 その時、聞こえるはずのない声が耳に届いた気がした。 思わず勢いをつけて扉を開いて部屋へと飛び込む。 だが、そこには誰もいない。 「…空耳、だよね」 そう、いるはずがないのだ。ことりちゃんも、海未ちゃんも、凛ちゃんも。 二度とこの部屋の中で会うことはない。 それに改めて気付いた時、部屋の中が随分と広くなったように感じられた。 μ s。 希ちゃんがつけてくれた、9人の女神を意味するグループ名。 だけど、もう6人しかいない。 考えたくなどないけど、もしかしたら自分や花陽ちゃん、真姫ちゃんもいつかどこかで。 (真姫ちゃんは…どこに行っちゃったの…) 失うことの恐怖と共に、会いたいという想いが心の中に膨れ上がってくる。 いない理由を考えれば嫌な方向にばかり思考が向いていく。 「…あれ?」 ふと、部屋の奥に目をやる。 その机の上には一枚の紙が置いてあった。 「何だろう、これ」 拾い上げると、そこには文字が書かれている。どうやら書き置きのようだ。 しばらくここから離れた施設へと移る、もし戻らなかったら闘技場で待ち合わせをしている者がいるから先に行っていて欲しい、とのことだった。 「そっか…。真姫ちゃん、ここにはいないんだ…」 槙島からその所在を聞いてから会えると思っていた相手は今別の場所にいるという。 いなくなった理由が分かり無事だということも確認できたことでホッとしたような、それでもいなかった事実に少し気の抜けてしまったような、複雑な気分だった。 ともあれ、いつまでもここにいるわけにはいかない。 このことを二人に告げて今後どうするかを話し合わねばならない。 離れていったというイリヤのことも気にはなっている。 誰もいない部室に背を向けて扉の前に立ち。 ドアノブを回そうとして、一瞬手が止まる。 チラリと一度だけ、その教室の中を振り返って。 そのまま部屋の外へと出て行った。 ◇ アルコール臭のする部屋。黒子が目を覚ました場所。 机の上に置かれた3つの首輪の一つをニシキヘビのエカテリーナがチロチロと舌を出して舐めている。 黒子としてはあまり好きな生き物ではなかったが、今は亡き婚后光子の飼い蛇とあれば邪険に扱えるはずもなく。 彼女がいつも持ち歩いていた扇子と共に預かることとなっていた。 穂乃果が着替えに出ている間、一旦怪我の詳細な確認も兼ねて保健室に戻った黒子は黒から気絶している間にあった出来事を聞いていた。 まず放送の内容。禁止エリアと死亡者、そして首輪交換のルール。 名前を呼ばれた数は12人。 一回目放送と比べると人数比でいえば同じほどの死者が出ている。 その中に初春や御坂美琴、そして朝に別れたウェイブや小泉花陽、ロイ・マスタングの名がないことに胸を撫で下ろす。 しかしその一方で食蜂操祈が死亡したということには少し思うところがあった。 付き合いのあった相手ではないが同じ常盤台の学生。そして、もしかするとキリトの話していたイリヤの変貌の原因かもしれない者。 特に後者の問題は彼女が死んだとなっては確かめる術も減ってしまったと言える。 そして首輪交換ルール。 埋葬した遺体が婚后光子のものも含めて全ての首が切り離されていたのはそれが理由なのだろう。 実際に黒が切り落としたのは美遊、マミの二人だけであり園田海未の首輪は到着した時点では既になかったらしい。 これはおそらくこの場にいた初春達によるものだろうと黒子は推測する。放送前に首輪を一つ分回収してどこかに移動したのだろう。 また、このルールを追加したという広川の思惑も気になるところだ。 死人が増えて首輪を得る機会も増したということから可能な限りそのサンプルとなるものを手元に戻しておきたいということなのか、それとも本当にただのテコ入れなのか。 あるいは、どうしてもその首輪の中に回収しておきたいものが混じっているのか。 「…そういえばキリトさんが亡くなられる直前言われていました。自分の首輪をヒースクリフという人物に渡せば何か分かるかもしれない、と」 「ヒースクリフ…、そいつは信用できるのか?」 「それは分かりませんわ。むしろ警戒する必要があるとも言われていましたし、ただの善人ではない様子みたいでした」 「ちなみにその首輪は?」 「今はアンジュさんという方がお持ちになられています。エンブリヲを探すと言われていましたし、私達がサリアと戦った辺りにいるのかもしれません」 「入れ違いか…」 黒としては、そうなってくると一旦あの場所に戻るべきだと思い始めていた。 元々この場所に付いてきた理由の一つには探す予定であったイリヤの目的地ということもあった。 だが、この場所にもいないとなれば、きっと別方向、後藤と戦った場所近くをもう一度探索する必要がある。 そこにはきっと、死に損なった後藤もいるかもしれない。 エンブリヲ、後藤、イリヤスフィール。 いずれも放置することはできない者達だ。 「それで、婚后光子のことですが」 「………」 「やはり彼女を殺したのは後藤、ということですのよね?」 友の死に対する怒りのようなものを滲ませながら、そう黒に問いかける黒子。 その口調にはその推測をほぼ断定に近いものとして考えているようだ。 実際、彼女の死因は体を斬られたことによる傷が原因。後藤の攻撃と一致する。 無論、後藤のせいにすることも可能ではあった。 そうしておけば彼女の受ける心理的なダメージは幾分か減らすことができるだろう。 だが。 「いや、違う」 それでも黒は真実を話す。 「あいつを殺したのは、イリヤスフィール。お前達が保護した少女だ」 ◇ 「認められませんわ」 「………」 穂乃果が保健室まで戻ってきた時、そこには黒子が厳しい表情で黒に対して睨みつけていた光景があった。 「だったらどうする?お前ならあの子を助けられる、とでも言うのか?」 「助けられるか、ではありません。助けるのですわ。 説明したはずです。彼女は、ただ洗脳によって自分の意志に反した行動を取らされているだけなのだと」 「ど、どうしたの二人とも…?」 部屋に入った穂乃果は恐る恐る声をかける。 一瞬黒はこちらを見たが、黒子は聞こえていないのか黒の方を向いたままだ。 「別に俺も彼女を出会い頭に殺そうと思っているわけじゃない。 もし、あの子が自分の罪に耐え切れずに道を踏み外したなら、それも視野に入れておかないといけないと言っているだけだ」 「あの子…って、イリヤちゃんのこと?」 「確かにあの子は自分の意志で殺したわけじゃないのかもしれない。 人殺しとは無縁の世界を生きてきた、精神的にはただの女の子なんだろう。 だが、だからこそ危険だ」 確かにイリヤの精神は人殺しのものではない、ただの歳相応の女の子のものだ。 偶然そんな子が戦うこともできる力を得てしまっただけの話。 だが、一般人だからこそ、人を殺したという罪に耐えられるかどうかが分からない。 そう黒は言う。 「俺は戸塚に頼まれた。だから仇を打とうとか、そういう思いはない。 お前もその様子だと婚后光子のことを責めるつもりはないんだろう。 だが、それをあいつ本人が許せるかどうかは別だ」 特に、彼女が死なせた者の中にはクロエ・フォン・アインツベルン、イリヤの姉もいた。 その罪を許すことができるものは、今この場ではイリヤ自身だけだ。 黒が思い出す一人の少女。 かつて契約者として多くの人を殺し、その対価として更に多くの人を死に至らしめた少女を。 彼女は喪失者として契約者の能力を失い人の心を取り戻し。 そしてそれまでの罪を自覚し、能力を取り戻すことでまた人を殺すのではないかと強く恐れるようになっていた。 そういった世界で生きてきた人間でも、ひとたび人の心を取り戻すだけでそれほどまでに怯えるものなのだ。 人殺しの罪がどれほど重く人の心にのしかかるのか。 それに、彼女が耐えられない可能性もあるし、そうなれば相応の対処が必要になるのは明白。 「だからこそ、彼女を救わねばならないのですか。その罪にあの子が押し潰されてしまう前に」 「そうしている間も、もしイリヤスフィールが道を踏み外していれば更に犠牲は増える」 「殺すことが解決になるのですか?!」 「少なくともこれ以上の犠牲が出ることは防げる」 「…分かりましたわ。では私も付いて参ります」 「駄目だ。お前達はここに残れ。あの場所に戻るのは危険だ」 言っても噛み合わないと感じた黒子は自分も黒に同行することでイリヤを自分の手で止めるという選択肢を選ぼうとするが、黒は承諾しない。 もし”その時”に直面した際に今のようなぶつかり合いが再度勃発すれば機会を逃してしまう。 それに黒が向おうとしている場所にはエンブリヲや後藤を始めとする者達が居たはずの場所。もしかするとキリトを殺したサリアもあの付近にいる可能性がある。 「お前達は仲間と合流してその首輪の解析をしろ。 俺はあいつらを探す」 「そのことですけど…、真姫ちゃん達は別の施設に移動したから戻ってくるまではしばらく会えないって」 「ならなおさらだ。その時にはその首輪の解析が可能な者がいるんだろう。今はそっち側を優先しろ」 穂乃果が戻ってきたのを確認すると、黒は立ち上がる。 情報交換も終わった以上もうこの場ですることはない。 「お待ち下さい、まだ話は―――」 「言っただろう。受け入れるだけでは、救えないこともあると。 婚后光子が命を落としたのは、ある意味ではお前の責任でもある」 「……っ」 その言葉自体は黒の本心ではない。 彼女が命を落としたのも、あくまで偶然が重なった末に最悪の結果を導いてしまったというだけのこと。 後藤との戦いがあったあの場ではあれが最善のやり方、とはいえないがベターではあったし、イリヤを処分する、ないし見捨てる選択肢を彼女に選ばせるのも酷なことだ。 黒子の選ぶ選択肢が間違っているとは思わない。 だが、それでもどうしようもないことは確かに存在する。 「それにあの付近にはエンブリヲも後藤もいる。もしかすると他の誰かが寄ってくるかもしれない。 そんな場所に、高坂穂乃果を連れていくのか?それともここに一人放置していくのか?」 「それ…は……」 引き合いに出された穂乃果はビクリと肩を震わせる。 少なくとも現状のこの場所は安全であり、もしかすると初春達との合流も叶うかもしれない。 だが、ここから黒子が離れるのであればどちらの選択にしても高坂穂乃果もまた危険に晒される可能性が上がる。 つまりは、イリヤを追うために黒に同行するのであれば、穂乃果をなお危険に晒すことになる。 「安心しろ。言ったとおり俺もそれを前提に動くつもりはない。 ただ、最後の手段として視野に入れておくという、それだけだ」 それだけを言った後、黒は首輪の一つを持っていく。 美遊・エーデルフェルトの首輪。元々はこれのために婚后光子の他の3人の死体の埋葬を手伝ったといってもいい。 一箇所に多数固めておくよりはある程度数を分けておいた方が解析をする効率は上がる。 それにこれはイリヤスフィールの友人の首輪。もしかすると彼女との対話、ないしは戦闘の際に使うことができるかもしれない。 そのまま退室した黒は入り口から出ることなく窓を開いて外に飛び出して去っていった。 「白井さん、私のことは…」 「…………」 心配そうに呼びかける穂乃果の横で、ふと黒子は地面に落ちていたボールペンを握り、転移させた。 数メートル移動した場所に移動して地面を転がる。 しかしその転移座標は自分が認識した座標から幾分かのズレが生じていた。 更にもう一度使おうとすると、今度はタイムラグが発生していた。 現状で能力を使っても万全ではない。 確かに今追っていってもまともに戦うことはできないだろう。 そう、穂乃果の前では情けない自分を見せられないと思って光子の死の悲しみを必死に押し殺して強がってみせて。 だけど所詮は強がりでしかなかった。これが、今の自分の限界だった。 「…別に驕っていたつもりはなかったのですが…、それでも私はこの場所ではただの一参加者でしかないことを思い知らされますわね…」 美琴やイリヤスフィールが凶行に走るのを止められず。 佐天や婚后光子が自分の近く、まだ手の届く場所にいた仲間が死に逝くことを止められず。 目の前、手を伸ばせる場所にいながら目の前で死んでいった者達、天城雪子やキリトといった者もいる。 自分の力が全てを救うことができるものだなどとは思っていない。 だけど、今は目の前にいる者、手が届く場所にいる者達にも届いてはいなかった。 それでも普段の黒子であれば、まだ黒の言うことにももっと反論することができたかもしれない。 だが、今は婚后光子の死を目の当たりにしたばかりであった。 それも見知らぬところでそれが起こったわけではない。すぐ傍の、自分の手が届く場所で彼女は死んだ。自分が問題があると判断し保護した少女の手で。 積み重なったそれらの要素は彼女の心に重く伸し掛かっていた。 それでも白井黒子の心は折れることはないだろう。 今もまだ黒のやり方だけが解決策とは決して受け入れてはいない。 ただそれでも、今の彼女には。 心を落ち着けるための時間が必要だった。 婚后光子、仲間とも呼べる者を自分の手の届く場所で失ってしまったことに対する心の穴を癒やすための時間が。 ◇ (イリヤちゃん…) 穂乃果はほんの短い間共に行動しただけではある、あの白い少女に思いを馳せる。 あの子が光子やクロエの二人を殺したと言われてもその光景が浮かぶことはない。 それほどまでに、あの子と婚后光子の死体の絵は乖離したものだった。 (私も、もしあそこでサリアを殺してたらそうなってたのかな…) 結局放送で名前を呼ばれなかったサリア。今の彼女の所在は分からない。 親友を殺したことは今も決して許せてはいない。 だけど、どうしてあの時黒子やアンジュがあそこまでして自分のことを止めたのか、ほんの少しだが理解できたような気がした。 (もし、私がことりちゃんと会ってたら…、人を殺したことりちゃんを受け入れられたのかな…?) セリューは言った。ことりは殺人に手を染めたと。 槇島は言った。友達のために人を殺そうとした決意、それ自体は間違ったものではない、と。 狡噛ですらも、ことりが凶行に走った事実そのものを否定することはなかった。 だけど。 (私は、ことりちゃんに人殺しになって欲しくなんかなかった…) その時の彼女がどんな心境だったのかはもはや知る術がない。 だけど、もしその手や服を真っ赤な血で染めた親友と再会するようなことがあったら。 自分だったらどうしただろうか。 セリューのことは許せない。 ことりを殺し、その亡骸を弄び、あまつさえ南ことりという存在そのものを侮辱した彼女を。 それでも。 ことりに殺人者になって欲しくはなかった。 この思いだけははっきりと、自分の中で受け止めなければならないものではないのだろうか。 ◇ 音ノ木坂学院を振り返る黒。 確かにこちらの方が安全、とは言ったがあくまでも比較した際の話であり、この場所がこの先ずっと安全である保証はない。 だが、黒は正義の味方ではない。なることはできない。 できるのは自分の守るべきものや手の届くものを守ることだけ。 そしてその中心にいるのが銀であるのだから。 それでも、契約者の力を持ちつつも契約者ではない黒の判断は契約者のような合理的判断などには程遠いものだ。 戸塚の言い残した言葉を元に、まだイリヤを殺すことを一旦保留としている辺りがその象徴だろう。 (正義、か) 契約者にも似た能力を持ちながら、子供が信じるような正義の味方像にも思える志を貫こうとする少女。 とても非合理で、理想論じみたものを。 黒にしてみればそれはとうに失ったはずのもの、だが嫌いではなかった。 だからこそ、この音ノ木坂学院に彼女を残していった。 きっと彼女はまだ立ち上がる術を、己の道標を持っているはずなのだから。 (ならば守ってみせろ。お前なりのやり方で) 汚れ仕事は自分が背負えばいい。 小さく、心の中で黒子に激励の言葉を投げながら、黒は静かに走り始めた。 【G-6/音ノ木坂学院/一日目/日中】 【黒@DARKER THAN BLACK 黒の契約者】 [状態]:疲労(中)、右腕に刺し傷、腹部打撲(共に処置済み) [装備]:友切包丁(メイトチョッパー)@ソードアート・オンライン、黒のワイヤー@DARKER THAN BLACK 黒の契約者、包丁@現地調達×2、首輪(美遊・エーデルフェルト) [道具]:基本支給品、ディパック×1、不明支給品1(婚后光子に支給)、完二のシャドウが出したローション@PERSONA4 the Animation [思考] 基本:殺し合いから脱出する。 1:銀や戸塚の知り合いを探しながら地獄門へ向かう。銀優先。 2:後藤、槙島、エンブリヲを警戒。 3:魏志軍を殺す。 4:地獄門へと向かう道中で後藤と戦った場所付近を通りイリヤを捜索。もしどうしようもない状態ならば殺すことも視野に入れる。 5:二年後の銀に対する不安。 6:雪ノ下雪乃とも合流しておく。 [備考] ※『超電磁砲』『鋼の錬金術師』『サイコパス』『クロスアンジュ』『アカメが斬る!』の各世界の一般常識レベルの知識を得ました。 ※戸塚の知り合いの名前と容姿を聞きました。 ※イリヤと情報交換しました。 ※クロエとキリト、黒子、穂乃果とは情報交換済みです。 ※二年後の知識を得ました。 ※参加者の呼ばれた時間が違っていることを認識しました。 【高坂穂乃果@ラブライブ!】 [状態]:疲労(大) [装備]:音ノ木坂学院の制服、トカレフTT-33(3/8)@現実、トカレフTT-33の予備マガジン×3 [道具]:練習着 [思考・行動] 基本方針:強くなる 0:白井さん… 1:音ノ木坂学院で真姫ちゃん達が戻るのを待ってみる。 2:花陽ちゃん、マスタングさん、ウェイブさんが気がかり 3:セリュー・ユビキタス、サリア、イリヤに対して――――― 4:もししばらく経って戻らないようなら書き置き通りに闘技場に向かう [備考] ※参戦時期は少なくともμ sが9人揃ってからです。 ※ウェイブの知り合いを把握しました。 ※セリュー・ユビキタスに対して強い拒絶感を持っています。が、サリアとの対面を通じて何か変わりつつあるかもしれません 【白井黒子@とある科学の超電磁砲】 [状態]:疲労(中)、精神的疲労(大)、悲しみと無力感 [道具]:デイパック、基本支給品(穂乃果の分も含む)、幻想御手入りの音楽プレーヤー@とある科学の超電磁砲、首輪×2(婚后光子、巴マミ)、扇子@とある科学の超電磁砲、エカテリーナちゃん@とある科学の超電磁砲 [思考・行動] 基本方針:お姉様や初春などの友人を探す。 0:お姉さまやイリヤさんを… 1:穂乃果と共に音ノ木坂学院で初春達を待つ? 2:初春と合流したらレベルアッパーの解析を頼みたい。 [備考] ※参戦時期は不明。 ※御坂美琴が殺し合いに乗っているということを確信しました。 ※槙島が出会った人物を全て把握しました。 ※アンジュ、キリト、黒と情報交換しました ※美遊・エーデルフェルト、巴マミ、園田海未、婚后光子の死体は音ノ木坂学院にて埋葬されました 時系列順に読む Back 汚れた指先で Next PSI-missing 投下順に読む Back 汚れた指先で Next PSI-missing 124 世界の片隅であなたたちの名を 高坂穂乃果 142 決意 白井黒子 黒 141 銀を求めた黒は赤と会う
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/3876.html
このページはこちらに移転しました そんな事言うなよ、あいつだって生きてるんだぜ 作詞/103スレ352 誰もがみんな 時につまづきながら スタートラインにまた立ち尽くしてる 誰もがみんな 時に傷付きながら 癒えぬ想いを胸に仕舞いこんでる 言葉の暴力は ナイフで手首を切るよりも痛く くだらない妄想で決め付けては いけない事もある 生まれ方にどんな違いがあるって言うんだ? 泣きながら母から出てきたんだろう? 暮らし方にどんな違いがあるって言うんだ? 寝て起きては食べてその一日を過ごしてる 肌の色や 血の繋がりなんて ちっぽけな事なのに 何故気付かない
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2437.html
どうやら自分はクビではない、という事が解ったのは、翌週火曜日の事だった。 そして、エレベーターが動き始めたのが翌日の夕方ごろだった。 腕力・妖力が全てであろうが、弱肉強食であろうが、社会ならば暦はつきまとう。 その年の5月は、水橋も忙しかった。 橋の改修自体は2か月も前に予定されていたが、肝心の土蜘蛛一派への連絡が全く 成されていなかった様で、スケジュールの大幅な変更と調整・見積もりの打ち合わせ で不眠不休の日が続いた。果ては貴重品棚の解体と移動から、各帳簿の名札の変更 と新規での作成まで全てを一人で背負わされた。 2日ほど休日(その週のシフトは木曜と月曜午前)を返上して何とか終わらせ、水橋 は床に突っ伏した。 無償で手伝ってくれたのは勇儀とお燐だけだった。ヤマメは立場上動いてくれたが、 報酬を支払っている分、慌てている水橋を見てニマニマ笑い続けているのが彼女の 神経を逆なでし続けた。 「おのれおのれおのれおのれおのれ」 労働は労働。 職があるのかどうかさえ怪しい地底の連中の中にあって、明確な役職に就いている 水橋は、それだけで周囲を嫉み続ける事ができた。 現場で力仕事をしている鬼や土蜘蛛には、「頭脳労働のこちらと違って、単純作業 で気楽なものね」と嫉み、連中が休憩している隙を狙って棚を直したり小物を運んだり して、「そもそも力仕事に向いていないから、休憩時間を割いて苦手な作業を続けな ければならない」 と嫉む。 そうした自家発電によって力を蓄えようとしたが、3日程で限界が来た。 周りはそんな彼女を別段蔑みも嫉妬もしなくなっていた。 「あぁ。こうしている間にも、地上の連中は……何かしら……を謳歌しているに違いない」 「まあ何かしらはしてるだろうね」 「長い長い休みが欲しいわ」 最後に行ったのはいつだっただろうか。白黒の魔法使いが先日事もあろうに勇儀に 誘われて飲みにやってきた他、頻繁に訪れるのは山の神様とたまにどこぞの住職くらい のもの。 水橋自身、地上自体にはさして興味は無かったが、隣接して実際に見聞きしていない 他者の生活空間を、嫉まない訳にはいかないので、定期的にこうした呪詛を口に出して いたが、職場の中で何日も寝泊りが続くと本心で他人の庭が青く見える。 「もう、旧都へ飲みに行こう」 「またあの白黒と勇儀が一緒に飲んでる所を見そうだから 嫌だわ」 「あの人間はきっともう来ないよ」 最後の総点検を終え、大の字に寝そべるなどという事はせず、欄干の隅でお燐と膝を 抱えてぼそぼそと話した。 「色々やったんだ。さとり様には話してみるよ。少し長めに休みでもとらせてもらったら?」 その日の内に、水橋は休日届を提出し――――思い切って外出許可証も貰ってきた。 色々手続きを済ませ、詰所に戻ると不自然に蜘蛛の糸が絡まった人里観光案内の本と、 古びた人骨が卓上に置かれていた。 「あいつら…………」 糸は読みにくくされただけだし、人骨は普通に意味が解らない。また神経は逆なでされるの だった。 そうした訳で地上に出てから真っ先に向かったのが、人里。 「素晴らしい店があるものね」 二日程滞在する予定だったが、もうこのまま帰ってもよいほどの感動を、その夜水橋は早くも 味わった。 「地上も捨てたもんじゃないわ」 注目の店として付箋がつけられていたのは蕎麦屋だったが、その向かいの団子屋に、躊躇なく 水橋は入った。 古くとも清潔で内装も悪くは無い良店。 だが、それを補って有り余る程の陰気さ 経営している老夫婦の愛想の悪さ。 向かいの店の繁盛の眩い輝きを一身に遮蔽して生まれた、深い闇の様な延々と続く二人の愚痴。 光ある所に影あり。 こうも純度の高い嫉妬が生まれるとは、人間も変わってはいない。 (あああ、唾液が、唾液が止まらない…………) 気前よく団子を追加注文し、「頑張っていたのが馬鹿みたいだ」「もっと楽になりたい」と、 能力を使うまでも無く生活が崩れていく様子に、食欲は促進され、体は産声をあげるようだった。 支払い時、思わず笑顔を振りまくのを必死にこらえたほどだ。 うきうきしながら、水橋は人里を巡り始めた。 そうして繁盛している店の近くにいけば、簡単に渦巻く嫉妬を目の当たりにできるだろう。 勿論、低レベルで能力は発動させたままである。 まき散らした、小さな嫉妬の種はどんな花を咲かせるか…………? 想像すると口の端が吊り上る。 民宿の一間を借りて荷物を下ろした後、寝る前に一杯と、深夜に水橋は宿を出た。 妖怪向けに、こうした時間も営業している店があるとは、これは嫌味や皮肉では無しに素晴らしい。 「こうまで来ると、この気遣いが嫉ましいほどだわ」 店内には、嬉しい事に人間客も多くいた。 妖怪連中と楽しげに飲んでいる。 酒は確かに万人をこうして幸せにするかもしれないが、ここまでの有様では、なるほど確かに 人間よりも妖怪が平和ボケしていると苦言があがるのもうなづける。 「やりがいがあるなあ」 種類に限らず、とにかく異質な要素のある者同士が集うだけで嫉妬はすくすくと育つのだ。 楽しげな地上の妖怪も人間も、嫉妬心が煽り続けられれば会話もおかしくなり、いがみあい そして生活も破綻をきたすだろう。 そこまで付き合わなくても、その予兆を感じさせる事前の雰囲気に浸りながら飲む酒は、さぞや 美味しいに違いない。 不自然にも、開いているのに隣のテーブルに腰を下ろすと、一同会話が一瞬止まった。 (しめしめ) 「あ、こんばんはー」 「こんばんはあ」 丁寧に、人間達は頭を下げる。 「………誰?」 「橋姫」 「おお、噂の」 知られているのか。小声で訪ねる妖怪達が知らなかったという事は、人間の間で何かしらの 資料が流れているのか。 だとするとやりづらい。 客達は、何か空気が変わるのを微妙に感じ取った様だったが、特に動じる事も無く話を続けて いる。わきまえて、能力が使われていない――――という態度で来たわけだ。 「―――ふん」 内心は皆穏やかではないのかもしれないが、表情に出さない客達に、水橋は愛想を尽かした。 鬼達もこうした対策が気に食わなくて地上を去ったのだ。 一杯飲んだだけで水橋は店を後にし―――その後も何軒か梯子をした。 行く先々で、客達は挨拶はするし、こちらが話しかけても返事は二言三言するも、それ以上は 向こうが続けてくれない 「おのれおのれおのれおのれおのれ」 どこのどいつが自分の悪評(事実だが)を流したのか。 少なくとも地底に来てしまったような相手には優しく接していたはずだ。 情報を流したと言えば、丑の刻参りも伝わっているはずだった。 しかし「人に見られてはいけない」などと言うルールを設定してしまったから、そこら辺で 行われているはずはないし、どこか目立たない場所でやっているかもしれないが、それを探す 手間を考えると面倒くささで悶絶しそうになる。 やはり地上は地上。 人里は人里で、妖怪は妖怪で、嫌われ者は嫌われ者という訳だ。 素直にもう宿で眠り、適当に玄武の沢でも見てから帰ろうと考えて会計を済ませた時―――― 店主が、初めて話しかけてきた。 「折角外に出たんでしたら、お寺にでも行かれてはどうですかね」 「寺?」 「『怪談大会』が妖怪の衆に絶賛されてまさあ」 元より、人間の恐怖を煽るために編まれた話の事 妖怪が何故それを楽しむというのか。 しかも、悪名高き地底の妖怪が 「まあ、土産話に」 「馬鹿にしなさんな。こう見えて、何年地獄の橋渡しやってると思ってるんだい」 妖怪が、今更怖がる怪談話なんてあるか 「死ぬかと思った」 比喩と事実を含め、2度ほど死んだようなものなのだけど。 あれを楽しめるというのは、平和ボケの反動か、元より肝の据わった連中が多いのか……・・ 「何が色即是空よ」 あの住職、紅白巫女よりも凶悪ではないか? 生死のかかった(程度に見せかけた)適度なスリリングさを楽しむ趣向だという事は解る。 人間が怪談を楽しむのはそういう事。 妖怪も、身の危険に晒される様な話を安全な場所で聞くのも一興という事も解る。 だが――――自己の否定から始まる解脱とか目的の一つだそうだが、あれはそんな生易しいもの ではなかった。 僧侶だって、性欲や食欲を削ろうとはしても、突然それを奪われる訳では無かろう。 最終的に両方を捨てる事はできても(それも人生の終末に臨み)、睡眠欲まで捨てられる奴はいまい。 橋姫から、嫉妬を捨てろとは、そういう事。 スリルとかそういう問題では無い。 兎に角、つまらない事この上ないはずの仏法会は、水橋にトラウマも残しかねないものとなった。 初日にして、楽園と地獄を味わった。 いや、上げて、落とされた気分だった。 最初に入ったのが良い店過ぎた。いや今となっては後のこの嫌がらせのための布石だとすら思えて きた。大体、人里の連中は行儀が良すぎる。町中で妖怪が殺戮に走るとは思っていない安心感と、 怒らせまいとする謙虚さが入り混じっているのかもしれないが、どいつもこいつも自らきちんと挨拶 をしてくるのだ。 殺伐とした地底とは真逆である。 付け入る隙があまりない。 この空気は少し受け入れがたい。 だが人里全体を観光した訳ではないし、湖の方や竹林、妖怪の山付近など、行ってみるべしと言わ れた名所はまだまだある。せっかく数日間の休みももらったし、実に久方ぶりの地上である。 帰ってしまえばそれはそれで後悔が残るだろう。 それに、元々地底への穴もそこそこ遠いのだ。 宿で風呂に入って眠り、朝食を近くで済ませ、二泊と言った所を一泊に変える手続きをして身支度を し、キスメ・黒谷・勇儀・お燐・お空・さとり、あとチビゆっくりとこいし用とその他補佐の橋守役に にお土産を吟味して帰り、それを抱えてちょっと先の穴まで帰り、帳簿もつけねばなるまい そこまで想像して、あまりの面倒くささに水橋は膝をつきそうになった。 というか、無人の人里内の街道の隅で、一度腰を下ろした。 月も出ていない。 きっと、幻想郷内で一番カッコ悪い妖怪は自分であろうと思うと、またぞろ暫く会っていない人妖や 地底の連中の顔を思い出して、嫉ましさがこみ上げるのだった。そうすると気分は悪いままだが、 体力面では多少元気になる。 とりあえず宿で寝てから考えようと立ち上がると、無人だと街道に、影が二つあった。 生首だった。 薄暗いので、色まではよく解らない。 さて物騒なものだと―――――転がる生首以上に、ここが人里だという事と、気が付かなかったことが ショックだったが―――よく見ると、見知った顔かもしれなかった。 長い髪を左右にまとめているので、一瞬キスメかと思ったが、何となく首をちぎる事はやってもキスメ がちぎられることは無いはずだと頭からそれを否定した。一度呼ばれた宴会で、天狗の中に似たような奴 がいた覚えがある。あいつか?もう一人似たような髪型の大柄な奴も見た気がするが、思い出せなかった。 もう一人は、色素の非常に薄い髪型なので暗がりでも何となく解った。 十六夜咲夜さんである。 あの吸血鬼の事を連想して、この場に立ち会ってる事の面倒くささに卒倒しそうになった時、生首1頭が、 喋った。 「ゆっくりしていってね!!!」 なんだ。ゆっくりか。 しかし、喋ったのはキスメか知らない天狗っぽい奴の方だった。顔も声も、ゆっくりは大体が同じだから 区別はつかなかった。対して、十六夜咲夜さんの方は押しだったままで――――顔も、普通のゆっくりとは 違っていた。 何と言うか、酷く不気味なコケにしたような笑顔だった。口元も目の下もそれだけなら気持ちよく大いに 笑っている部分だが、どうにも不自然で、斜め上から見ている様だった。 「………何だい……?」 「パルさん、お帰りかえ?」 まあ、色々な意味で帰りたくはある。 「見た所良い休日は過ごせていない様だねえ」 「うるさいな、生首が何よ」 「こっちは今から休みだよ! ゆっくりすごそうよ!」 ゆっくり――――確かに、時間だけはまだ余裕があるのだから、先程考えた手続きだって、ゆっくりと 行えば問題はないのかもしれない。 ただ、地底でもそうした過ごし方をしたことはあった。それで、結局時間を無駄にした気がしたものだ。 有意義な休みの過ごし方とはやはり難しい。 どんなに休みがあっても、終りは必ず来る。 必ず働かなくてはならない日がやって来る。 短い休みを満喫するために働いてるのか、働くために短い休みを満喫しようとしているのか? やはり、前者が望ましい。 どちらにせよ、満喫などは難しいが。 どうあっても休みの方が短いのだし。 「実は旅行で地霊殿に行こうと思ってるんだけど、帰るんなら一緒に行かない?」 「地霊殿に?」 鼻が鳴ってしまう 「あそこは、あんたらみたいなお饅頭の行く所じゃないよ」 「大丈夫だよ。怖くない所まで行くから!」 「最初にヤマメの奴にいじめられちまうよ?」 「パルさんは通してくれないの?」 「仕事ならそのまま帰ってもらうところだけどねえ」 まあ、殺しても死ぬような連中でも無し。今更身を心配するほどでも無いか? 加えて、地底においては害も無かろう。 事実上は今は休日中。 行きたいと言うのなら行かせてやろう。 「でも少し遠いよ?」 「近道を知ってるんだよ!」 知らないと言うだけで、どこかに入口があるのだろうか? だとすれば仕事が増えそうな話だ。 「詳しく聞かせてもらおうかい」 「じゃあ、ゆっくり仕度してね!!!」 ゆっくり達は水橋についてきた。 連中は宿には入らず、宿の先で待っていた。結局戻って風呂だけ浴びてひと眠りした 水橋は、明け方も二人の姿の詳細を見る事は出来なかった。 手続きを済ませると、早朝水橋は宿を後にした。 「で、近道って?」 「ゆっくりついてきてね」 「あー……お土産どうしようか」 今はどこの店も開いていない。 「お土産なら、腐るほど買えるところがあるよ!」 「どこよ」 「ほら、そこに」 宿の向かい側に、掘立小屋が立っていた。 木造の、不気味な程正確な立法体だった。 昨日までは無かったのに。 それも、かなり大きい。 往来に迷惑にも程があると思ったし、早く断ち除かねばという義務感さえ芽生えかけ たが、良く見ると植物の様に根深く地面から生える様に立っている。 全体的に土を被っていて―――まるで、地中から登って来たかのよう。 ガラリ、と障子が空いた。 洋間だった。 これは地霊殿の内装に近い。 白黒の清潔なタイルに、角には観葉植物、天井からは高そうなシャンデリア。 くつろげそうな大きな椅子が3脚。 可愛いテーブルが一つ。 あと棚。 窓は無い。 「何これ」 「地底まで直通のエレベーターだよ!」 「えれ………?」 「釣瓶みたいなもんだと思ってね!!!」 動力は解らないが、地底と地上の間を行き来する桶に当たるのがこの部屋か。 それで本当に地霊殿に行けるかどうかは別として、入って調べてみる必要はあると思った。 足を踏み入れると、空調は非常に良かった。 柑橘系の良い匂いまでした。 もう一歩踏み込んで、棚を見ると酒が少し。 あと花札やトランプなどのカード類の玩具が軒並みと、ルールは解らないが中々面白そうな 玩具が数種。 その時、障子がしまった。 重たげな音を立てて、部屋ごと、すでに地球の中心へ向かって進んで言っている事が解った。 障子の外が見る間に暗くなり、地上が遠ざかるのが解る。 焦って声を上げそうになりながら振り向いた。 何だか変な笑顔のゆっくり咲夜さんと並んで、うやうやしく、キスメか知らない天狗っぽい ゆっくりは、うやうやしく頭(全身)を下げた。 真っ赤な髪が翻る。 よく見ると、部屋の隅には大きな鎌が置かれていた。物騒な。 「ゆっくりゴールデン………■■…………を楽しんで言ってね!!!」 「ゴールデン、何だって?」 「次は地下2階、果物売り場でございますー」 鐘の様な音が聞こえ、部屋は動きが止まった。 そして、ひとりでに障子が開く。 「は?」 そこには、見渡す限りの果物市が広がっていた。 『――――で、今どこにいるのさ?』 「”ぷらもでる屋”って所」 あれから、4ヶ月が経った。 一日一階か、下手をすれば一週間のペースで、「エレベーター」は地底に潜っていく。 地上からどの程度の深さになったのかは想像がつかない。 そもそも、既に何階分降りたのかが解らない。 「エレベーター」が停止すると障子が開き、その先にはいつも広い市場が広がっていた。 果物市 お菓子市 肉市 魚市 弁当市 本屋 家具屋 着物屋 たまに、同じ様な市がまたあったりして混乱する。 全部を見渡すのに最低2時間はかかった。エレベーターの内装同様、非常に清潔な場所で、 従業員は全員人間。 客はちらほら妖怪らしきものも見受けられたが、ただ暇そうにうろついていたり、隅の休憩 場所の長椅子に寝そべっていたりした。それ以外は人間だった。 ところどころに、ゆっくりもいたが、大抵はなぜか胴体が生えていて、安らかな顔で 眠りについて動こうとしなかった。 客も従業員も、それを器用に避けて通る。 出口は、どこにも無かった。 窓も無い。 休憩所とトイレだけは隅にあった。 業務員用の扉は、各階にあったが、水橋は、その中に入るのが、とんでもない恐怖に思えた。 そういう訳で、一日一回か、下手をすると3日に一度動くエレベーターに乗って、下を目指す しかないのだった。 ゆっくり達や従業員の人間達に質問すると、確かにいつかは必ず地霊殿に到着すると言うので、 それを信じるしかない。 お酒を初めとして、市場でお土産は十分買った。 どれも外の世界のもので、購買欲・探究欲は大いに促進された。 正直、楽しい。 2時間かけていた物色も、今は一日ゆっくりと、あの奇妙なゆっくり咲夜さんと見て回っている。 更に、4日目に、途中で「電話」という真っ黒な機械を紹介された。 僅かな小銭を払うと、その機械の先から、まずヤマメの声がした 「―――という訳で、休み明けまでに帰れそうにない」 『―――じゃ、さとり様には伝えとくよ』 小銭を払って、指定のボタンを押すと、その度に、地霊殿の連中と会話ができた。 仕組みは全く持って解らなかったが、単純に話せることだけでこんなに自分が喜べるとは 思わなかった。 2回目は勇儀。キスメ・お空と出て、翌週火曜日に、さとりが出た。 『長旅になってしまいましたねえ』 「すみません」 『反省しているのは伝わってきますがね。―――帰ったら頼みたいこともあるんですから』 「はあ」 『見本棚の組立とか』 「………また壊れたんですかあ!?」 各階で、思わず買ってしまうお土産 通話代 そして、長旅における食費。 定期的に、浴場がしつらえられた階もあるので、そこで体を洗うが勿論有料だ(しかも高い) 見る間に所持金は底を突き始めた。 財布を見て焦る水橋に、ゆっくり達はしごく真っ当な意見を忠告をする。 「稼ぐが勝ち だよ!!!」 そういう訳で、着いた階の従業員と話したところ、買い物籠の整理を手伝わせてくれた。 あまり興味の無い市場に着いた時を狙って、水橋は大いに働いた。 買い物もそこそこに、水橋は籠を片付けていった。 階によっては、迷子をあやしたり、車椅子の客の介助や、ゆっくり達を籠の横に積み上げる という謎の仕事も、地味に地味に続けた。 たまに、ゆっくり達をまとめて段ボールに収納する仕事があったり、逆に様々な位置に「風水」 だとか言って配置する謎の作業も多くあった。 その度に小銭をもらったが、一日働くとかなりの額になった。 5.6日は飲み食いして買い物もできるほどに。 そうして、「よせばいいのに」と自分でもうんざりしながら、土産物を買い、市場をくまなく 足を棒にして見て回り、そして何か変わった部分はないかとその階を探検して、「ここでしか 食べられない」と半ば義務感に駆られて、その階の飲食店で食事をとり、徒労感とともに エレベーターに戻る。 そして買ってきてそろそろ古くなりそうなものをおやつ代わりにして、ゆっくりゆっくりと 下降するエレベーターの中、真っ赤な髪のゆっくりと花札をしたり、たまに賭け事をして遊ぶが 大抵は負けた。 電話をかけて、地霊殿とも連絡をとった。これも生甲斐の一つになっていた。 そんな生活が、かれこれ5年程続いた。 電話先では、色々な話を見な聞かせてくれた。キスメが新聞の記事として載っている本が発見 されたとか、ヤマメとお燐がかの地上のお寺へ入門しようとして断られたとか(幸いな事である)、 こいしが本当に在家だが入門してしまったとか、話題には事欠かない。 近頃では、水橋は頑張って貯金をしている。 来る日も来る日も、ゆっくりを片付けたり、積んだり、まとめたり。 「この階しか食えない」とは言っても、似たような店があるはずだと、なるべく抑え、お土産 の吟味や計算にも時間をかけている。 そして、何か豪華な物でも見つけたら買おうとしているが――――まあ、地霊殿に到着する前 に傷んで、自分で食べる事になるだろうか。 『ああ、そうそう。貴重品棚も壊れてしまいましたから、帰ったら直して置いて下さいね』 「またですか…………」 5年間も職場に顔を出せていない訳だが、とりあえず解雇はされていないことを、さとりとの 会話で確認している。 6年目にして、ようやくエレベーターの止まる階や速度にもある程度のリズムがある事に気が ついた。 正月の飾りつけを、エレベーターの中で片付けている時だった。この発見に思わず手を打った。 5.6日に二度の割合で、今いち水橋の購買欲にひっかからない階に止まるのだ。この時、水橋は 一気に働く。 それはもう、今までのダラダラ具合を取り返すように。 非常に充実した2日間だ。 そして、十分な賃金を得る。 翌日からは、また自分にうんざりしながら購買欲と知識欲と好奇心を満たすための行軍が始まる のだが、これはもうどうしても止められない。 本当に止められない。 「ゆっくりしなよー」 「そうもいかないの」 「休日と、ゆっくりと、どっちが大切なの!!?」 「ばっか、おめえら、休日とゆっくりを比べられる訳がないじゃない!」 エレベーターの中で、一緒にくつろごうというゆっくり達をふりきって、毎日水橋はその階を 物色してしまう。仕方ないのだ。帰りばかりが最近めっきり遅くなる。 そして、待ちに待った稼ぐ日がやってくる。 「こんな時だけうきうきしちゃってー」 「うるさいね。ゆっくりに、稼ぐ良さが解るもんかい!」 8年目には、大体この「エレベーター」に乗った時期にあたる時期に、長期にわたって稼げる週が ある事を把握していた。 今では、もうその一週間から二週ほど前から水橋はそわそわしている。 毎日、うんざりしながら市場を満喫してはその週を待ち、そしてその週に突入すると、顔を輝かせ ながら作業にあたるのだった。 あと、年末年始と秋と、お盆の頃にもそれはあった。 地霊殿に帰れば、さとりに頼まれた直さなければいけない棚の数や橋の修繕箇所・付けなければ いけない帳簿などが膨大な量で詰まれているはずだが、もう、気にならなくなっていた。 了 遭難先で生きるために工夫をしていたら意外と住み心地が良くなったので そのまま生活をしていた的な感じかしら パルスィはこれから先どうなるのだろうか? きっと氏の別の作品で明かされるに違いない にしても、何年も顔を出していないのにクビにされないなんていろんな意味で凄い職場だことw -- 名無しさん (2012-06-01 23 44 04) ところどころ笑える箇所もありますが、 いつ着くのかわからないエレベーター。 何も解決しないままの幕引き。 延々と続く、一見したら普通だけどよく考えたら不気味な地下市。 そして、それをさしたる疑問もなく受け入れているパルスィ。 静かで隠れてはいるけど、確実にそこにあるホラーの存在を感じました -- 名無しさん (2012-06-02 23 06 22) 途中で一頭身の饅頭が現れるまで、これがゆっくりSSということを忘れてましたw ところどころに求聞口授ネタが使われててお見事。何か不気味な雰囲気ですが、パルパルが幸せそうで何よりです -- 名無しさん (2012-06-03 00 06 02) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/comedy-magicpowers/pages/41.html
菊地 秀則 石 ツァボライト(正式にはグリーン・グロッシュラー・ガーネット。美しい緑色) アイオライト(鮮やかなスミレに似た青紫の石。「ウォーターサファイア」の別称を持つ) 能力 ツァボライト/具現化。大体のイメージが出来れば、生き物以外なら何でも出現させられる。 アイオライト/水操作。水に限らず、液体なら何でも。 凍結、沸騰、蒸発のほか、多少の傷なら治癒も可能。 武器にも盾にも転用できる。 条件 ツァボライト/瞬間移動ではないので、「その場所に存在する可能性が極めて低い物 (例:テレビ局にロケットランチャー等の大型銃火器)」は出現不可能。 具現化するためにその物の絵を描かなくてはいけない。 ある程度細部まで細かく描かなくてはいけない。絵の完成度と性能が比例する。 アイオライト/使い過ぎると高熱が出る。また、液体を操れるが操る水と同じ量の水を自分が飲まなくてはいけない。 (コップ一杯の水を操る場合、コップ一杯飲まないといけない) ただし、飲んだ水は手から作り出して操ることが出来る。なので自然と毒水や血液などは操れない。 飲む水の限界量は普段と同じなので大量の水を操る場合、大量に飲まなくてはいけない。 川の水など汚い水はコップに汲めば浄水することができるので飲める。 山田 一成 石 グリーンフローライト(和名:蛍石。紫外線を当てると蛍光を発することが由来) 能力 風操作。硬化させて刃として飛ばしたり、 小さく渦巻かせれば物を運べる。 単独であれば空を飛ぶことも、 ちょっとした傷の治癒も可能。 誰かを伴っての飛行だと、集中しなければ高度を保てない。故に、その間攻撃などの操作は全く出来なくなる。 条件 屋外か窓が開いている状態である程度の風が吹いていないと使えない。密室や無風状態では使えない。 その時の風力と力が比例するため、台風の時はある意味最強かもw 空を飛ぶときはやや滑空(飛行機)に近いのでホバリング (空中停止)はできない。 滑走路のように助走をつけなくてはいけない。 所属 菊地/黒 山田/ 登場作品 ◆SparrowTBE「陰と陽」/◆ekt663D/rE「Black Coral White Coral(菊地)」 新参者 ◆2dC8hbcvNA「いつここ編」「ラーメンズ編(菊地)」「いつここ編2」「ラーメンズ編2(菊地)」
https://w.atwiki.jp/detteiuwiki/pages/17.html
#
https://w.atwiki.jp/kyogokurowa/pages/32.html
エリアA-2 海が近くにあり、月光煌めく海面が見えるこの場所 「災禍の顕主一行……ですか」 「……ええ。まさかやつらまで巻き込まれていたとは思わなかった」 そう話す二人のうちの一人、金髪の青年はオスカー・ドラゴニア。聖寮所属の一等対魔士 彼のここに来る前の最後の記憶は、まさに『死』の感覚だ。 自らの立場すら投げ売って自分の救おうとした姉テレサ・リナリス、彼女を救うためメルキオルから授けられた神衣を用いベルベットらに戦いを挑むも、その最中に神衣そのものが暴走、その結果としてベルベットに貫かれ、意識が途切れた途端に目覚めればこれだ わけもわからないし、名簿を見れば特等対魔士であるシグレ・ランゲツ以外、知っている名前が全員災禍の顕主一味の面々だ。流石に彼も参ってた所に出会ったのが兎耳の女性、鈴仙・優曇華院・イナバである 「……鈴仙と言ったか。さっきはすまなかったな」 「いいえ、いいんです。おかげで私の『能力』に制限がかかっていることもわかりましたし」 鈴仙・優曇華院・イナバは月の兎である。故にその兎耳を見たオスカーは当初彼女のことを業魔か何かと勘違い。慌てた鈴仙は『狂気を操る程度の能力』を行使しようとしたが、なぜか不発と言うか発動せず。そのため少々テンパった姿にオスカーも戦う気を削がれ、冷静に話をしたことで誤解が解け今に至る 最も鈴仙の能力の根幹たる『波長を操る程度の能力』はある程度行使可能。制限されているのは狂気を操る事のみであったが 「それで、その災禍の顕主一行というのは」 「アルトリウス様率いる聖寮に歯向かう悪逆非道の輩です。リーダーにして『災禍の顕主』であるベルベット・クラウを中心にロクロウ・ランゲツ、マギルゥ、ここにはいないですがアイフリード海賊団のアイゼン、そして聖隷でありながら業魔側に付いたライフィセットと、……同じ一等対魔士でありながら裏切ったエレノア・ヒューム」 「裏切った……?」 「はい。何故彼女が裏切って災禍の顕主側に付いたのは私にもわからない。だけどこの状況だ、『災禍の顕主』はともかく彼女もこの殺し合いを止める方向で動いてくれているとは思っている。ただ、もし出会ってしまった時は」 「……裏切り、かぁ」 オスカーの話に、鈴仙が思い浮かんだのは自分が戦争から逃げるために月を裏切った過去。エレノアという『人間』がどういう経緯で聖寮を裏切ったのかは知らないが、自分なんかよりもまともな理由で裏切ったのかな、と思ってしまう 「……どうしましたか?」 「いや、なんでも無いです。……あ、オスカーさん、あれが確か地図にも載っていた『映画館』という建物ですよ」 「ではあれが、『エイガカン』というものなのだな」 「まあ、私は『外の世界』には行ったことがないから実物は初めて見るんですけどね」 「………」 「オスカーさん?」 オスカーの言葉に、鈴仙がオスカーが見据える先を同じく見ると、一人の大男と、その大男に拳を向けられている一人の女性 「……誰かが襲われてる。急ぐぞ」 「……!」 オスカーの言葉に従い、鈴仙もまた駆け出すのであった ◯ ◯ ◯ 所変わって映画館の内部。ホールの中で談笑する二人の男女 「いやぁ、琵琶坂さんみたいな良い人に出会えて本当によかったです」 「いえいえ、僕なんか大した力になんてなりませんよ」 『琵琶坂さんと』いう男と会話している女性の名は『傘木希美』、北宇治高等学校3年生、吹奏楽部所属 目が覚めた時にはこの有様。そんな最中で出会ったのがこの琵琶坂永至なる男である 「でもその楽士って人たちは危ないんですよね?」 「ああ、変装能力で女子を覗く変態とかがいる変人集団さ」 「……もうその時点で変人集団って感じがにじみ出まくれなんですけど」 琵琶坂から聞いた楽士という存在の話に多少ドン引きする希美 事実、琵琶坂から聞かされた楽士なる存在は、今回の殺し合いにも関係しているμの手駒だという ならば尚更警戒せざる得ない 「それで、琵琶坂さんはこれからどこに行くんですか?」 「そうだね、……と言ってもこっちはあまり行く宛がないから希美さんの……北宇治高等学校、だっけ? そこに向かおうかな、もしかしたら希美さんの知り合いもそこにいるかも知れないし」 「いいんですか? ありがとうございます。多分あそこならみぞれや久美子ちゃん達も向かってるかもしれませんし」 そんな事を話していたら、外から轟音が聞こえる 「……何やら外が騒がしいようですね、ここは収まるまでここに居たほうが……?」 琵琶坂がそう口にした途端、バァン!と扉が開いたような音、そして誰かが走る音 身構える二人の前に現れたのは 「はぁ……はぁ……希美!?」 一人の少女……傘木希美が探していた友人の一人、鎧塚みぞれであった ◯ ◯ ◯ B-2 映画館の近く、アスファルトが続く大地にて、ヤマト八柱将が一人、剛腕のヴライはいた ご覧の有様だ。皇女に帝の器など無く、帝無き今、力ある自分こそが帝に相応しいとそうなることを望んだ だが、負けた。3度負けた。オシュトルに そして。このザマだ。八柱将などと呼ばれた自分が、今ではあのテミスなる女を愉しませる一介の闘奴と同じだ 既に名簿には目を通した、ルールも憶えている 名簿にはかつて自分を3度も倒したオシュトルの名があった。他にも皇女や他の八柱将の名前、それにあのクオンなる女もまた おそらく、皇女もオシュトルも攫われた後のヤマトは混迷を極めているであろう。ライコウ、ウォシス、デコポンポは呼ばれていないが、あれらにヤマトの帝を継ぐ資格など無い ならば、我が、それともオシュトルか、そのどちらかが相応しいのだ ゆえに殺す、殺す、殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺し尽くし、その内にオシュトルとの決着を着け、帰還しヤマトの帝となろう。邪魔をするのなら殺す、誰であろうと殺す、女子供であろうと、殺す 「――ぁ」 女がいた、まるで無機質な人形のような女。だが、関係無い。 「……ひっ」 ――ただ、殺すだけだ ヴライが振るうはただの拳。だが、その拳は数多の敵を殺し尽くしてきた豪腕であり、ただの一般人が受け止めるには余りにも強大過ぎる代物である。その拳が今まさに目の前の少女の命を儚く打ち砕こうとしていたその時 一発の銃弾が高速でヴライの顔面に飛んでいき、直撃。多少の爆発ではあったがヴライの身体に傷は付かず 「……ほう」 少女の守るように現れたのは一人の男と一人の女 「――名も知らない方よ、今はここから逃げてください」 「あ……」 「ここはオスカーさんと私に任せて。あなたを守りながらではあの男相手は厳しいです」 二人の言葉に、少女は素直に従い駆け出す そしてこの場に残ったのは、豪腕と、騎士と、地上の兎 「――小僧一人と小娘一人。我の邪魔をするか」 「……もちろんです。あなたのような地上人は流石に始めてみましたよ、だったら容赦はしませんよ。さぁ、その身で月の狂気を味わいなさい!(今は狂気使えないんですけどね)」 「『非情の戦いには非情を以って制すべし』。お前のような女子供にすら手をかけようとする暴虐の輩相手であればなおさらだ!」 「――ほう。ならば精々、抗い、我を愉しませろ!」 ヴライのその言葉を皮切りに、火蓋は切られる。 ここに騎士と兎による、豪腕の修羅への挑戦は始まった ◯ ◯ ◯ 何が起こっているのかわからなかった。3年生になって、コンクールシーズンになって、自由曲「リズと青い鳥」を希美と一緒に演奏することになって、私はその自由曲(ものがたり)のリズの想いを理解できずに思い悩んで、それでなんとかいい形を模索しようと考えて そんな時に新山先生に曲に対するアプローチを変えて見るようにって提案されて、それでなんとかいい感じになって、……その途端にこんな所に巻き込まれた あまりにも突拍子で、あまりにも衝撃的で現実とは思わなかった気がします。だけど、いつの間にか下げていたデイバッグとその中身で現実をまじまじと直視されられた 入っていたのは、コインと、変な石と、『週間真実』なる一冊の雑誌。そこに書かれていたそれは、とある横領事件についての記事、犯人の名は琵琶坂永至 さらに言えば、彼の横領が発覚するきっかけになった帳簿のあった弓野家が、その数日前に家が火事によって修学旅行に行っていた娘を残して家族全員死亡。火事に関しては琵琶坂永至自身にアリバイがあり無関係として罪には問われなかったが、おそらくは……などと思ってしまった その記事に夢中になっていたら変な男の人が襲いかかってきて、男の人とうさ耳……?の女の人に助けられて、慌てて逃げ出して駆け込んだ映画館の中で 「はぁ……はぁ……希美!?」 「みぞれ!? よかった、無事で!」 不幸中の幸いだった、まさかこんなに早く希美と出会えるなんて、だけど 「……どうやら彼女が例の鎧塚みぞれさんですか。始めまして」 「あ、紹介するね。この人は琵琶坂永至さんって言う人で……」 「………!」 「……みぞれ? どうしたの? そんなに顔青くして?」 最悪だった、せっかく希美に会えたのに、その隣にいた男が、紛れもない琵琶坂永至だったことに 「……どうしたんだい?」 「あ、みぞれは人見知りな所があるから……」 「……あ」 震えが止まらなくて、その雑誌を落としてしまう 「みぞれさん、だっけ? あっ、何か落として……―――――」 それを、よりによって琵琶坂永至に拾われた 雑誌の記事を見た琵琶坂永至の顔が止まった 「……琵琶坂、さん?」 「―――――」 琵琶坂永至の硬直した顔が気になり、希美もまたその記事を見る そして希美もまた、私と同じ用に顔を青ざめ、琵琶坂永至の方を向く 「……ええと、嘘、だよね、琵琶坂さん?」 「―――――」 琵琶坂永至は硬直した顔のままだ 「……の、希美」 「……逃げようみぞれ、なんだか嫌な予感が……」 何か危機を感じたが希美が、駆け寄り私の手を取ろうとした時 「ぁ―――――――」 何かが、希美の身体を貫通していた。――鞭だ。黒い鞭だ。鞭が希美から引き抜かれる。希美の身体は糸が切れた人形の如く倒れ伏した。その目に光はなかった 「――ちっ、俺もつくづく運が悪い。まさかこんな形でバレるなんぞ思わなかった」 そこには、今までの優しさの仮面を脱ぎ捨て、そう吐き捨てる琵琶坂永至の姿が見えた 「希美っ、嘘だよね? 返事をしてよ、希美っ!」 私は必死に希美の身体を揺らす。だけど血溜まりだけがドクドクと広がっていく。現実を受け止めたくなかった 逃げないといけないと思っていたのに、それ以上に希美が死んだことを信じたくなかった ガチャっという音に振り向くと、琵琶坂永至が私に向けて銃を向けていた 「……その心配はないさ、君も直ぐに彼女の元へ行くんだからな。――これの試し打ちのために、な」 ダァン!という音と共に、私の意識は闇に消えた ◯ ◯ ◯ 目を覚ました鎧塚みぞれが視たのは部室、吹奏楽部の部室だ だが、そこには彼女が知っている光景とはまるで違っていた 氷、氷、氷。壁も床も天井も、机も楽器も何もかも氷に包まれた冷たい世界 まるで、あの時の自分自身を表すような、そんな寒い世界、ロボットみたいな、無機質な 「―――みぞれ」 瞬きの間に、いつのまにか少女が黒板の位置にもたれ掛かっていた。その部分だけ、氷が溶けて熱に帯びていた 「―――希美っ!」 傘木希美、鎧塚みぞれにとって友達以上の'特別'な存在 だが、もう傘木希美はどこにもいない。いや、もうすぐ『どこにもいなくなってしまう』のだ 「ごめん、ちょっとしくじっちゃったかな……」 「………なんで」 ここがどこなのか、なぜ氷に覆われた部室なのか、なぜ自分と希美しかいないのかはわからなかった だけど、みぞれには、希美が『いなくなってしまう』という予感がしたのだ 「行かないでよ、希美……」 「……あの時も言ったと思うけど。私はみぞれのオーボエが好き。府大会の時もソロであんなにかっこよく演奏してたし。……そんなみぞれに私は憧れてもいたし、嫉妬もしていた」 「全体合奏のときのみぞれの演奏聴いて、胸になんかグサッってきて、なんというかショックだった」 「……え」 「最初からわかってたの、みぞれの方が才能あるって。それに私のために無理に合わせてくれたことも」 「それ、は……」 わかっていた。自分の演奏に希美がついていけないことはわかっていて、そのために私の方から合わせていた。 「ごめん、本当は、みぞれとは違う学校に行くことにしたの。……今だと、そんな事ももうなにかも関係なくなっちゃったんだけど……みぞれは、私より才能があるんだから、みぞれの才能、努力を私のためってだけで片付けないで欲しい」 「……違う、私には、希美が重すぎるの……。たとえ希美にとって私がどんな存在であっても、私にとっては特別だったから……だから、行かないでよ。いなくならないでよ……! そんなの……!」 「……みぞれ、もう、来ちゃったみたい。お迎えが」 希美のその一言が引き金になって、希美の身体が透けていく。消える、傘木希美という存在が私の目の前から消えていく 「希美……!」 一歩踏み出し、両腕を広げ、鎧塚みぞれは傘木希美の身体を抱きしめる 「……懐かしいね、それ」 私の行動をただ受け入れ、彼女の背中に腕を回す その行動の間にも、傘木希美の身体は霧散し始めている。既に下半身は向こう側が見える程に透けている 「……いか、ないで」 「私はみぞれになにもしていない。みぞれの音は、今までみぞれが頑張ってきてた証」 私は、ただ傘木希美のためにオーボエを頑張ってきた、それが理由だった。が、鎧塚みぞれの旋律は、鎧塚みぞれがそれまで培ってきた努力の結晶。傘木希美にとって、それこそが本当に尊いものだった そして、傘木希美の全身は景色と同化してもおかしくないほどに、透けて、溶けて――― 「変な気、起こさないでね、みぞれ。……でも、私は信じてるから、みぞれが、いつまでも私の知っている、綺麗な音を奏でてくれる、私の大好きな鎧塚みぞれのままでいてくれる事」 希美の身体が、私の手を、身体をすり抜けて、落ちていって 「嫌だ、希美……! 私、私っ………!」 手をのばす、それが無駄だとわかっていても伸ばさないといけなかった 嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ――― 「……ごめん。―――さよなら。わたし、みぞれのオーボエが大好きだったよ」 その言葉を最後に、私のいちばん大切な人は、どこにもいなくなった その手は、届かなかった。そして、永遠に届くことも、なかった ~ 「――――――ぁ」 空っぽだった、何もかもが空っぽになってしまった。私の中から何かがすっぽり抜け落ちてしまったようだ 「――――ぁぁぁ」 虚ろ、余りにも虚ろだ。今までオーボエを頑張ってきた意味も、何もかもが抜け落ちてしまいそうだ 「――ぁ―――ぁ……?」 視界まで虚ろになって、前が見えなくなりそうな時に、光が見えた。見えた先には、何かがあった 煌めく、蒼く輝く、細長い何か 『……それはお前の運命を変えかねないものだ』 誰かの声が聞こえた、その声に虚ろだった意識が戻る 「ぁ……だ、れ?」 振り返ってもそこには誰もいなかった。ただ、声だけが静寂の中に響いていた 『■■■■。……どうやら、お前が持っていたコインが呼び水だったんだろうな、尤も、何で俺がこんな所にいるのかすらわからん、それに俺からすればここは何かしら夢のようなものだと思っている。要するに俺は他人の夢に迷い込んだ感覚だ』 言ってる事はわからないけど、ここが夢だとして、この男の人は私の夢の中に迷い込んだ、ということなのかもしれない。私にもわけがわからない 『それと、あれはお前の中にあった霊力……のようなのがお前の中で増幅して、それが形をなった。そのぐらいしか俺にもわからん。だが、おそらくはそれがお前の"力"なのだろうな』 わからない。本当にわからない。 『戻れば、あの娘の所へ行けるだろうが、二度と戻れなくなる。だが、あれを手にするならば現実に戻ることが出来る――どうする?』 「……」 "力"なんて言うのなら、それは"戦う力"なんだろう。恐ろしい代物で、選択を間違えたら終わる 琵琶坂永至が憎い。私(青い鳥)から希美(リズ)を奪ったあの人の形をした怪物が憎い。殺したいとも思った。だけどそんな事をしても希美は戻ってこない 殺し合いに乗って希美を蘇らせるという選択肢があった。だけどそんな事をしても希美が喜んでくれるわけもない。そんな事をして希美と一緒に帰った所で、私は二度とオーボエを吹くことは出来ないだろう 本当は希美と一緒に行ってしまいたかった。希美と一緒ならそれでよかった。……そうしたかった でも、やっぱり、それでも、死にたくないとは思った。私が戻ってこなかったら優子はもちろん、両親や、他のみんなは何だかんだで悲しむんだと思う 私が青い鳥だった、リズは希美だった。だがリズは永遠に失われた。 じゃあ鳥はどうすればいいの? 答えはそこにあった。目の前にあった。傲慢だ、けれども、それは私が選択したことだ。 ――私はこの殺し合いのフィナーレを演奏する(を必ず止める)。 青い鳥は翼を持つから飛び立たなければならないんじゃない。自分が選んだ選択で、空を飛ぶ たとえそれがどんなに傲慢で、愚かな選択だとしても 『どうやら覚悟を決めたようだな』 "覚悟"はとうに決めた。素質なんて無い、そもそもこんな訳のわからない奇跡なんてそもそも私にとって不相応だ。―――『それでも』 『……一つ忠告だ。女神と魔王が向く確率は誰にもわからん。最も、俺の場合は死神に愛されちまったようだがな』 わかっている。そもそもこうなったのも、希美が死んでしまったからだ。幸運と不運が両確率だというのは、苦しいほどに理解してしまったから 誰かを傷つけるのはしたくない。でも、もしそうでしか誰かを守れないと、生き残れないとでも言うんだったら、私は―― 『お前が決めた舵切りだ、最後まで貫いてみせろ』 そして私は、『それ』をその手に掴み、温かい光に包まれた ――琵琶坂永至が鎧塚みぞれを殺そうとして使った銃の名は『ジークフリード』 ある世界における、大海賊バン・アイフリードが所有していた遺物。その本質は『特殊能力付加装置』 内蔵された術式によって"霊力の操作"を可能とし、一般的には、撃ち抜いた対象の霊力を操作し、"増幅"する装置。もっとも、これは本来の機能を起動・制御するための基本装置に過ぎないのだが、今はその説明は割愛する。 本来、霊力などという概念が一切関係ない、まさに『通常』の世界という枠組みでの存在たる鎧塚みぞれ。然し、他の世界の存在であり、霊力の概念が存在しない世界の住人であっても、それは本当にその力が存在しないと言い切れるのだろうか? いや、存在しないというのなら何らかのきっかけで宿せばいい。霊力ではなくとも、『魔力』であれば 琵琶坂永至のその一撃は、鎧塚みぞれを胸元を、彼女がポケットに入れておいたある『魔石』ごと撃ち貫いた。この『魔力を宿す石』というのは、本来とある実技試験に舞台である、かつて大魔法使いが暮らしていたという遺跡の奥にある代物で、文字通り魔力を宿している そして、琵琶坂の一撃によって結果として砕かれた魔石は、鎧塚みぞれの中に『染み込み』、そして『増幅』した そこからは所謂、彼女次第というやつだ――― ◯ ◯ ◯ 「……全く、手間を掛けさせてくれる」 まさかこんな事になるなんて、と当初こそ焦ったが二人共マヌケだったおかげで難を逃れたと安堵する これが琵琶坂永至という男の本性。自分のためなら他人を陥れ殺すことすら厭わないサイコパスである 帰宅部という都合のいい隠れ蓑を手に入れたがいいが、その部長によって正体を掴まされ追放されるという体たらく。そんな最中に呼ばれたのがこの理由のわからない殺し合い。憤慨しないわけでもなかったが、それはそれでチャンスではあった ――優勝すれば何でも願いが叶うというテミスなる女の言葉 何故あの女がμをこき使えているのかはわからない。だが、逆説的にμすらも自由にできる力、彼女はそれを持っている。他人に媚びへつらうはあまり気分がいいものではない、が―― 願うべきはシンプルに田所の始末。邪魔な奴は殺してしまえばいい。残った帰宅部も財力か田所のような使える駒を使って潰せばいい。そうだ、願うのなら権力と財力でもいい。そっちの方が後々楽になる そのためには奴らの、特に帰宅部や楽士の悪評をばらまきながら、利用できるカモを利用することだ。幸いにも帰宅部はクソレズ、楽士は覗き魔と陰気臭い女。悪評のネタとしては十分だ それで最初に出会ったのが、傘木希美なる女だ。いいカモになりそうな所で鎧塚みぞれという第二のカモもやって来たがここで、俺の過去の汚点が乗った週間雑誌が鎧塚みぞれに支給されていたなんぞ予想できるわけがない 結果として二人を始末せざる得なくなってしまったが、すんなり済ませられたのは不幸中の幸いだ。証拠の雑誌も無事に消せたし、二人揃って死ねただけ俺に感謝すべきだ。琵琶坂永至の思考はこれであった 「何はともあれ、こいつは使えそうだな」 先程みぞれを撃ち抜いた銃を眺め満足する。銃弾のようなものが出ていない気がしたのは気になるが、銃痕も出血痕も無く殺せるというのは便利なものだ 「さて、巻き込まれる前に支給品の回収だけ済ませて早く退散すべきか」 そう言い、琵琶坂が既に事切れた希美の身体に触れようとした瞬間である ――急に琵琶坂の周囲の空気、いや、このエリア全体の空気が冷えたように感じた 「――その汚い手で希美に触れないで」 声をした方を振り向けば、その琵琶坂の目線の先にはのは一人の少女 「……は?」 その姿は紛れもなく、鎧塚みぞれだ。だが、何かが違う。その長髪の先端部分はまるで雪の如く銀色に染まっている。その瞳は南国の海の如く蒼く、冷たく、そして温かい 「おい、なんだ、これは……」 琵琶坂永至は、目の前の異常を受け入れられずにいた。心臓を貫かれれば人は死ぬ。銃で心臓を撃ち抜かれれば人は死ぬ。全身を焼き尽くされれば人は死ぬ、例外はあれど、ただの人間であれば其れが『理』だ だが、現実はどうだ。撃ち殺したと思い込んでいた鎧塚みぞれは琵琶坂の目の前に立っている。 「……なんで生きてるんだ、お前」 「――――」 「……まあいい、どんなマジックを使ったのか知らないが、だったらもう一度殺してやるだけだ。今度は心臓を直接抉ってな!」 ならばもう一度殺せばいい、と考え、今度は銃ではなく自らのカタルシスエフェクトを展開。彼の醜悪な本性を形としたかのような、炎を纏った鞭の不規則な軌道がみぞれに襲いかかる 「―――」 だが、みぞれは冷静に、いつも行っていたオーボエの練習を行うように、何も動揺すること無く。『右手を高速に振り上げる』 「―――あ、れ?」 その途端であった、琵琶坂のカタルシスエフェクトたるその炎を纏った鞭は、その炎ごと凍り付き、砕けた。あまりにも突拍子なことに琵琶坂の思考は一瞬停止する。 琵琶坂は、改めて振り上げられたみぞれの右手を見た。――それは剣だ。柄も鍔も刀身も、何もかもが透き通った氷で構成された『氷の剣』。その振りかざされた『氷の剣』で、自分のカタルシスエフェクトが凍り付かされた――琵琶坂永至がそれに気づいた時にはもう手遅れだった ――斬られていた。琵琶坂のその顔に、先の氷の剣で切り裂かれたような、傷が 「―――あ、あ、あああああああああああああああああっっ!! 痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいいいいいいいいいいいいっっっっ!?」 顔面に痛みが走り、琵琶坂が今まで生きてきて味わったことのない苦しみに顔を片手で傷を抑え、悶え苦しむ 「クソがクソがクソがクソがクソがクソがぁぁぁっっっ!! よくも、よくもこの俺の顔に傷をぉぉぉっ!! 許さねぇ、許さねぇぞクソアマてめぇは絶対にころ――」 その苦痛の顔のまま、まともな思考も出来ないままカタルシスエフェクト無しで殴りかかる だが、今度は左手を静かに琵琶坂の方に向けるみぞれ。そしてその左手に何かが集っている 氷だ――氷が彼女の左手に収縮し、氷の塊が出来上がる、そして 「――フリーズ・バレット」 その言葉と共に、琵琶坂の胸元に向けて氷塊の弾は正面に向けて放たれ、琵琶坂永至の腹部に直撃 「ガッバアアアアアァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」 氷弾が砕けたと同時に琵琶坂永至の身体も映画館の入り口を貫通し大きく吹き飛ばされ、みぞれの視界からは消え去るのであった ◯ 「………」 冷風が肌に染みる、外の喧騒が静かに聞こえる。剣を握った手の感覚が、とにかく冷たく感じる 意識を通常へと戻すと、氷の剣は霧散する。少しだけ疲れたような気がしたけど、すぐにでも戻る程で支障はない 落ちていた銃を拾う。あの憎い男の支給品だったが、これのおかげで私の運命が変わってしまったというならば複雑な気分だ 「本当に、希美はいつもいつも勝手なんだから……」 物言わぬ最愛の人に、ただ言葉を紡ぐ 「希美。私、絶対に帰るから。帰ったら、その時は―――」 紡ごうとして、口が止まる。脳裏の過るのは、二度と戻ることはない大切な思い出 《わたし、みぞれのオーボエが大好きだったよ》 「その時、は……ううっ、うああああああああああっっ!!!」 感情を、抑えきれなくて、泣いた その涙は、籠から飛んでいってしまった青い鳥のようだった ◯ どれだけ泣いたのかわからない。だけど、目元が赤く腫れているのは見なくてもわかっている 「………行かなきゃ」 ――悲しむのは一旦これで打ち止め 「……またね、希美」 ――前奏曲(プレリュード)はまだ始まったばかり 【傘木希美@響け!ユーフォニアム 死亡】 ◯ ◯ ◯ 「がぁ………畜生、何で俺がこんな目に……」 B-1 ノルミン島と本島を繋ぐ橋の上。琵琶坂永至は、あの時吹き飛ばされた後にここまで逃げてきていた 「許さねぇ、あの女……」 琵琶坂の脳内によぎるのは自分に恥をかかせここまでの苦痛を与えた鎧塚みぞれという女。ふざけるな、痛めつけるのは俺の方だと怒りが湧く (それでもあのカタルシスエフェクトの様な力は厄介だ、忌々しい) 一番の壁になるのはあの謎の力だ。一体どういう経緯であんな力を手に入れたのかわからない。だが、いくらでもやりようはある。顔を傷つけられたのは憎たらしいが、逆にこれを利用しやつの悪評を撒き散らし追い詰める方向性で行くのもありだ それに今は利用できるカモも欲しい。傘木希美は惜しかったが、最低限、彼女の言っていた久美子なる女も何かしら使えそうだ 「……しかし、ノルミン島とは地図に書いてはいたが……なんだこれ」 最も、今琵琶坂永至の目前に映る、ノルミン島と言う名の意味がわからない光景に、少々困惑するのであった 【B-1/深夜/一日目】 【琵琶坂永至@作品名】 [状態]:顔に傷、腹部にダメージ(中)、鎧塚みぞれに対する強い憎悪 [服装]:いつもの服装 [装備]: [道具]:基本支給品一式、不明支給品2 [思考] 基本:優勝してさっさと元の世界に戻りたい 1:鎧塚みぞれは絶対に殺してやる。そのために鎧塚みぞれの悪評をばら撒き、彼女を追い詰める 2:他の帰宅部や楽士に関しては保留 3:他に利用できそうなカモを探してそいつを利用する [備考] ※帰宅部を追放された後からの参戦です 前話 次話 護るべきもの 投下順 Light&Shade 前話 キャラクター 次話 GAME START 琵琶坂永至 この情熱、この衝動は自分を壊して火がつきそうさ GAME START ヴライ 奇跡はいつだって不幸から -Liz et l oiseau bleu- GAME START 鎧塚みぞれ 奇跡はいつだって不幸から -Liz et l oiseau bleu- GAME START 傘木希美 GAME OVER GAME START オスカー・ドラゴニア 奇跡はいつだって不幸から -Liz et l oiseau bleu- GAME START 鈴仙・優曇華院・イナバ 奇跡はいつだって不幸から -Liz et l oiseau bleu-
https://w.atwiki.jp/olesia/
友達と和歌山へ行ってきたよ~! 先週の日曜日、友達と一緒に大阪市内から和歌山まで日帰りでぶらりと電車の旅に行ってきました。 かなり朝早くに出発したので、電車はとても空いていました。 関西空港行きだったら赤いガンダム仕様のラピートに乗ってみたかったな~と思いつつ、特急サザンの自由席に着席。 電車の旅と言うのはいいですね。 車だと緊張してしまってかなり疲れますが、電車の中はのんびりとしたものです。 和歌山へつき、駅前のロッテリアで朝食をとり、そこからどうするか相談してポルトヨーロッパ行きのバスに乗りました。 ポルトヨーロッパの近くのホテルのラウンジでケーキを頂いたりしての~んびり。 黒潮市場で沢山お土産を買って帰りました。 水着 スタート♪ 唐突ですが 首のこりってどうやったららくになるんでしょう (・Θ・;)アセアセ… 役立つ番組でも探してみるかな お願いしますわたしに愛の手を 応援よろしくお願いします
https://w.atwiki.jp/sk_rexi/pages/442.html
名称:いつも寝てる アイテム種類 行動(行動) レア度 C+ 詳細 行動の設定。ヒマがあれば寝ている。 ★
https://w.atwiki.jp/teletext/pages/61.html
みいつけた! 色 出演者 備考 黄色 スイちゃん (増田梨沙) 水色 コッシー (声:高橋茂雄) 緑色 サボさん (声:佐藤貴史)