約 2,890,743 件
https://w.atwiki.jp/actors/pages/7093.html
ジャック・キホーをお気に入りに追加 ジャック・キホーのリンク #blogsearch2 ジャック・キホーとは ジャック・キホーの63%はハッタリで出来ています。ジャック・キホーの27%は勢いで出来ています。ジャック・キホーの5%は白い何かで出来ています。ジャック・キホーの4%はカテキンで出来ています。ジャック・キホーの1%は時間で出来ています。 ジャック・キホー@ウィキペディア ジャック・キホー ジャック・キホーの報道 gnewプラグインエラー「ジャック・キホー」は見つからないか、接続エラーです。 冬のソナタ またでるよ 冬のソナタ 韓国KBSノーカット完全版 DVD BOX(初回限定 豪華フォトブックレット&スペシャル特典ディスク付) 本当に長い間、待たせてごめんなさい。「冬のソナタ」韓国KBSノーカット完全版をいよいよお届けします。 映像は韓国KBSのオリジナルそのままに、音楽に関してもユン・ソクホ監督が想いを込めて監修し、一部楽曲を変更しました。初回限定特典にはぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/ユン・ソクホ監督&田中美里の対談スペシャルDVDの他、DVDオリジナルポストカード、シリアルNo付 豪華フォトブックレット(20P)を封入しております。 今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!)に加えて、映像特典の【スペシャル短編集】には、ペ・ヨンジュンのスノーボードシーンの撮影風景も収録しています。 【ここが違う!8つのポイント】 ◆今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!) ◆ファン待望の「ダンシング・クィーン」「白い恋人たち」をついに収録。 ◆日本語吹替を再収録。萩原聖人さん、田中美里さんが担当、その他主要人物もなつかしいあの声で。 ◆本編は日本語字幕に加えて韓国語字幕も収録 ◆一部変更した楽曲をユン・ソクホ監督が想いを込めて監修!(一部BGMはオリジナル版より変更されています) ◆<初回限定特典1>スペシャルDVD:★ぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/★ユン・ソクホ監督&田中美里の対談 ◆<初回限定特典2>豪華フォトブックレット:シリアルNo付(20p) ◆<初回限定特典3>DVDオリジナルポストカード3枚 ジャック・キホーのキャッシュ 使い方 サイト名 URL ジャック・キホーの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ ジャック・キホー このページについて このページはジャック・キホーのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるジャック・キホーに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1619.html
使い魔は手に入れたい Can t Stop? 『音声のみ』お楽しみください。 「変態ー!顔をにやけさして半裸で剣を担いだ男がーーーー!しかもなんか汗しっとり!」 「ちょっと待てぇえええええええ!」 「ひぃいいいいいいいい!なんか追ってきたー!誰かー!」 「なに叫んでやがる!?」 「誰かー!助けてー!」 「クソッ!誤解だ!俺は変態じゃない!」 「きゃあああああああああああ!」 「半裸で剣を担いでにやけていたし汗でしっとりしていたかもしれないが決して変態じゃない!」 「それのどこが変態じゃないのよ!」 「とにかく誤解だ!」 「あたしに自分の性癖をばらされたくなくて始末するつもりなのね!?」 「どうしてそうなる!?」 「なんであたしがこんな目にー!」 「だから誤解だ!」 「つかまるもんですか!どこまでも逃げてやる!」 「あの女!チクショウッ!どうしてあそこまで足が速いんだ!」 「どうせ始末されるぐらいなら村中にあんたのこと叫びまわってやるわ!」 「なんだとぉおおおおおおおおお!」 「向かいの爺さんの耳に入ったら最後、あんたのことなんか城下町まで知れ渡るんだから!あの爺スケベで口の軽さは天下一品よ!」 「チッ!デルフを抜くしかない!」 「あ!剣に手かけてる!誤解とか言いながらやっぱり始末するつもりね!」 「ち、違う!」 「なんか腹が立ってきたわ!このまま逃げ切ってあることないこと言いふらしてあんたの人生破滅させてやる!」 「なんでそうなるだ!ふざけてんじゃねえええええ!」 「あたしは本気よ!」 「なお悪いわ!」 「あ、なんか気持ちよくなってきた。もうすぐで風になそう!」 「さらに加速!?」 「あたしは風になる!」 「もういい!抜く!」 「大変なことになってんな相棒」 「きゃああああああああああああ!マジで抜いた!」 「待てやこらああああ!」
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/698.html
ルイズとDIOは、お互いに背中合わせに立ち、 腕を組んでいる。 鏡に合わせたように同じポーズだが、生憎とルイズの身長は、 DIOの腰よりちょっと上の辺りまでしかない。 傍から見たら、背伸びをした子供が、 父親の真似をしているようにも見えるかもしれない。 「ご苦労様。 でもちょっと遅いわよ、DIO」 背中を合わせたまま、ルイズはふてくされたようにDIOに言った。 本当は、DIOが来てくれたことに安心していたし、 ちょっぴり………ほんのちょっぴりだけ嬉しかったりしたのだが、 ルイズは決してそれを態度には出さなかった。 ルイズのセリフに、DIOが肩をすくめた。 「せっかく助けてやったというのにそれか。 君はもう少し、感謝という言葉を覚えた方がいい」 言葉だけとってみれば、不満を漏らしたようにも聞こえるが、 その口調はどこか楽しげだった。 それを受けてルイズは、 やはり振り向きもしないままで軽口を叩いた。 「使い魔が御主人様を助けるのは当然なのよ? "ありがとう"なんて言葉は、あんたにはもったいないわ」 直ぐ目の前に巨大なゴーレムがいるにもかかわらず、 2人は声もなく、静かに笑った。 ―――と、2人が会話をしていると、 空から無数の氷の槍が、ゴーレム目掛けて飛来した。 ゴーレムは、肩に乗っているフーケを庇うように、 両腕を頭上でクロスした。 ルイズは弾かれたように上を見た。 シルフィードに乗ったキュルケとタバサが見えた。 どうやら先程の攻撃は、 タバサの風魔法によるものらしかった。 ゴーレムに気付いた2人が、駆けつけてきたのだ。 タバサの魔法のレベルの高さに、ルイズは一瞬だけ舌を巻いたが、 直ぐに気を取り直して、DIOの方を向いた。 「DIO! 『破壊の杖』、ちゃんと持ってきてるでしょうね!?」 DIOは無言で頷いた。 ルイズは慌てた様子で先を続けた。 「私に貸しなさい!」 ルイズの命令に、DIOはどこからともなく ズルリと『破壊の杖』を取り出した。 一体どこに仕舞っていたのか、ルイズは激しく疑問に思ったが、 残念ながら気にしている暇はない。 ルイズはDIOから『破壊の杖』をもぎ取ると、 一つ質問をした。 「爆発するって言ったわね。 どれくらいの規模なの?」 「…………少なくとも、十数メートル……おっと、 十数『メイル』は離れることをおすすめする。 細かい距離までは、分からんよ。 ……あのゴーレムに使うのか?」 何かを確かめるように『破壊の杖』の表面を撫でていたルイズは、 DIOの質問を、首を横に振って否定した。 その目は、フーケに対する憎悪で満ち満ちていた。 途端にルイズの声のトーンが下がる。 「そんな…もったいないこと……するわけないじゃない。 こいつの出番は、もう少し後よ。 ゴーレムは、あんたに任せるわ。 何が何でも倒してもらうから」 ルイズの空恐ろしい狙いを汲み取ったDIOは、 フフフ…、と笑った。 「これはこれは……フーケとやらに同情せざるを得ないな。 ……いいだろう。 可愛い『マスター』の願いを、叶えてやろうじゃあないか」 ルイズは、DIOを向いたまま、ニッコリと笑った。 そしてルイズは、ゴーレムに対して一瞥もくれずに、 笑顔のままゴーレム目掛けて杖を振り下ろした。 それに際して、ルイズは詠唱を行わなかった。 にもかかわらず、ゴーレムの足下で爆発が起こり、 ゴーレムの片足が吹き飛んだ。 バランスを崩したゴーレムは、片膝をついた。 詠唱を行う素振りを見せなかったルイズに、 DIOは興味津々といった表情を浮かべた。 そんなDIOの様子に気づいたのか、 ルイズは頭の傷を押さえながら、ぶっきらぼうに言った。 もうおおかた塞がってはいるが、未だに血が滲んでいる。 「戦闘経験を積んだメイジともなればね……、 詠唱しながらお喋りすることだって出来るのよ」 それは、以前フーケが、ルイズに向けて言った言葉だった。 ルイズは、フーケが使った技法をそっくり吸収していたのだ。 あのとき受けた屈辱を思い出し、 ルイズは唇をきつく噛み締めた。 血がつぅーと垂れて、血涙痕と相まって、ルイズの顔に新たなアクセントが加わる。 ゴーレムがバランスを崩したのを好機と見たのか、 キュルケとタバサを乗せたシルフィードが、2人の近くに降り立った。 「乗って!」 風竜に跨ったタバサが叫んだ。 ルイズは、後は任せたとばかりに"ポンッ"と DIOの胸を軽く叩いて、風竜に駆け寄り、跨った。 「あなたも早く!」 タバサが珍しく、焦った調子でDIOに言った。 しかし、DIOは風竜に乗らずに、 体勢を整えつつあるゴーレムに向き直った。 「私はいい」 短くそう告げるDIOを、タバサは無表情に見つめていたが、 ゴーレムをチラリと見やり、やむなく風竜を飛び上がらせた。 それとほぼ時を同じくして、 足の再生を終えたゴーレムが、ゆっくりと立ち上がった。 肩に乗るフーケが、空に舞い上がるシルフィードを見て、 忌々しげに呟いた。 「まったくどいつもこいつも…… ハエみたいに人を怒らせるのが得意だね!」 それから、ただ一人地表に残ったDIOに視線を向けた。 「あらあら、あなたご主人様に見捨てられちゃったみたいね。 捨て駒にされた気分はどう? 同情はするけど、容赦はしないわよ、私」 矛先をDIOに向けたフーケは、残酷な笑みを浮かべた。 しかし、DIOはフーケの言葉を華麗に無視して、 逆に質問をした。 「お前が欲しい物は?」 DIOの肩の後ろにある星形のアザが、鈍く輝いた。 人の内面を深く抉るDIOの言葉に、 フーケの体が硬直した。 鎧でガチガチに固められたはずの心に、 そのわずかな隙間を縫って針が突き立てられたような衝撃を、 フーケは感じていた。 自分の大切な部分に土足で入り込まれて、 思わず激昂する。 「!!………ッッぶっ殺してやる!!!」 心に忍び寄る闇を振り払うように吐き捨てたフーケは、 ゴーレムの左手を鋼鉄に変え、DIOめがけて振り下ろした。 DIOはつまらなさそうに、フンッと呟き、片手を振った。 それに応じたように、DIOの体から半透明の人影が浮き出てきて、 迫るゴーレムの拳を、殴りつけた。 "ゴワァアアアン!!" と、クラクラするような轟音があたりに響き、 次の瞬間、ゴーレムの拳にヒビが入り、 やがてガラガラと崩れ落ちた。 「何!?」 フーケは、自分の予想とは全く異なる展開に、 ひきつった声を上げた。 フーケは以前、オスマン達とともに、DIOの戦いを見たことがあった。 そのときの……ルーンが怪しい光を放つまでのDIOは、 先程の幽霊のような物を使役していた。 その存在にフーケは少し驚きはしたものの、 その幽霊の腕力は、せいぜい青銅を凹ませる程度だったのだ。 フーケはその時のデータを参考にした上で、ゴーレムの拳を鋼鉄に変えたのだった。 しかし、これでは話が違うではないか…! 以前よりも強力になった幽霊に、 フーケは少し浮き足立った。 その隙を狙う形で、DIOは剣を2本、 やはりどこからともなくズルリと取り出した。 デルフリンガと、シュペー卿の剣だった。 一体どこに仕舞っていたというのだろうか? 「まぁ……すごい! DIOのズボンって、魔法のズボンみたいね。 何でも出てくるもの!」 上空から、キュルケの感心したような声が聞こえた。 勢いを削がれたDIOは、いかんともしがたい表情を 上空のシルフィードに向けた。 to be continued…… 43へ
https://w.atwiki.jp/holycon/pages/37.html
No. タイトル マスター クラス 真名 作者 01 結城夏野&アーチャー 結城夏野 アーチャー 須田恭也 ◆0080sQ2ZQQ 02 ドンキホーテ・ロシナンテ&アーチャー ドンキホーテ・ロシナンテ アーチャー ゼオン・ベル ◆bPGe9Z0T/6 03 野獣死すべし 朝倉哲也 アーチャー 朝倉涼子 ◆yYcNedCd82 04 柴来人&アーチャー 柴来人 アーチャー 大和 ◆bPGe9Z0T/6 05 君島邦彦&アーチャー 君島邦彦 アーチャー シーザー・A・ツェペリ ◆0080sQ2ZQQ 06 暁&アーチャー 暁 アーチャー アカツキ ◆ZjW0Ah9nuU 07 アイハラ・リュウ&アーチャー アイハラ・リュウ アーチャー 陽炎 ◆BNxC/Vtkps
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2452.html
夜半、ロマリアの大聖堂では大きな異変が静かに起こっていた。 聖エイジス三十二世の体がぐらりと揺れる。その体にできた傷の痛みというよりも、彼の身に起こった事実に対する衝撃が大きい。そもそも教皇自身に傷など無かった。 教皇の着る法衣の胸に、正面から男の腕が触れられているだけである。だが、それでも教皇の心臓はまさにいまその働きを止めようとしていた。 「あなたがまさか、この私を裏切るなんてね……」 「裏切るだと? 私は、最初から本心でお前につかえたつもりはない」 教皇の瞳孔が弛緩したまま、ピクリとも動かなくなっていった。 彼を殺した張本人、かつて自身をジュリオ・チェザーレと名乗った男はいう。 「この波紋、もはや人に大して使うまいと思っていたが……私が絶頂時の力を維持できるのであれば話は別だ」 「なぜそこまで……」 「お前の知ったことではない」 教皇の瞳孔から光が完全に失われる。 前もって、あの男と約束した場所に集ったジュリオは、自分の握り拳を確かめるように、握り締めた。 「思ったより生の充実を感じないな……」 彼の胸に去来した心境はいったい何か。それは誰にもわからない。 ようやく彼が現れた。 「うまくやってくれたようですね。これが報酬の『セト神のDISC』です。これがあれば、あなたは永遠に若い姿のままでいられる」 「うむ。確かに受け取った」 男は音もなく去っていく。 「ジョセフよ、ジョナサンよ。俺は永遠の絶頂を、永遠の若さを手に入れた。だが、俺の心は充実してはいない。この世界では、お前たちのような人間に会わなかったせいか」 そうして、かつて『ストレイツォ』と呼ばれた男もまた、人知れず闇の彼方へと消え去って行ったのだった…… 時の教皇、聖エイジス三十二世が暗殺された、との報はハルケギニア中を瞬く間に駆け巡った。無論、トリステイン魔法学院も例外ではない。 「その教皇とやらはそんなに影響力があったのか?」 以前、教会の告解室を良心の呵責なしに無断撮影した岸辺露伴にとって、宗教の禁忌ほど己の実感としてわからぬものはない。 「ええ、暗殺した犯人はハルケギニアじゅうの人間を仇敵に回したといっても言いすぎではないわ」 ルイズの言うとおり、少なくとも学生の間では、暗殺犯許すまじ、との怒りの声で学院中が充満している。 また、教皇の死の報と同時に、とあるうわさが飛び交っていた。 それは、犯人はガリア王ジョゼフの手のもの、というものである。 「タバサ親子に続いて、教皇までとは……ガリア王はどこまでやるつもりだ?」 ブチャラティの言うことももっともだ。タバサがこれに続く。 「あの王は、ガリアがどうなろうとも、彼の知ったことじゃない。それがあの王の本質」 今、ガリアは内戦下にある。 かつてシャルル派であった勢力が、ジョゼフを国家の敵とみなし、叛旗を翻したのだ。というか、その勢力からの密使がひっきりなしにタバサの元にやってきていた。 タバサ、もといシャルロット姫にガリア女王になってほしい、とのことであった。 「タバサはその頼み、引き受けるつもりなのか?」露伴が聞く。 「いまさら国王の位などには興味はない」 「でも、ガリアの王軍が相打つのは見ていられないんでしょう?」キュルケが言う。 彼女の言うとおり、タバサは一人でガリアからの使者に結論を伝えようとしていた。諾、の方向で。それに気づき、嫌がる彼女を無理やり露伴たちの下につれてきたのがキュルケである。 「どうして国王の位に興味がないのに引き受けようなんて思ったの?」 ルイズの質問にタバサは、悪びれたようにつぶやいた。 「ガリアの国内では、シャルル派以外にも現国王に反感を持つものが少なくない」 だから、自分が女王の宣言をすれば、現在国王についているものの中からも離反するものが出てくるに違いない。と。 「なるほど、君が王の位を名乗り、皆が自発的にシャルル派と合流するようにしむければ、内戦も速く終わる……か」 「でも、それはシャルル派が勝つ、という前提のもとだろう。現時点において、内戦はどちらが勝つかわからない。いや、むしろシャルル派が若干劣勢に立っている」露伴がそう分析して見せた。 「そうなんだが、この機はジョゼフを打倒する絶好のチャンスでもある」ブチャラティは言った。 ジョゼフはガリア王である。普段ならば、護衛が常時付きっ切りで警護しており、彼をブチャラティたちのような、少数の郎党で打倒するのは不可能に近い。だが、内戦下の今ならば護衛は少ないかもしれない。そのあたりはブチャラティの言うとおりである。 「うん。それは同時に、以前アルビオンを襲ったジョゼフの使い魔、ドッピオとの決着をつける、ということも意味している」 「ブチャラティの、因縁のケリをつけるわけね」キュルケが言う。 そのとおりであった。ジョゼフとタバサの決着は、ブチャラティとドッピオとの因縁の決着でもあるのだ。 「で、どうするの? どっちみち私たちはガリア王に指名手配されているのよ」 「ああ、そのことなんだが。状況を整理したい」 現在、タバサをも含めたルイズたちは、ガリア国内で犯罪人扱いされている。ジョゼフの意に反して、タバサの親子をトリステインに奪還したためであるが、それによって指名手配をされてしまったのであった。 幸い、アーハンブラからの帰り道では、タバサの竜が使えたためにリュティスからの指名手配が届くよりも先に、ガリアとの国境を越えることができた。 「だが、今ガリアで戦争が始まった。反乱軍は僕たちのことなんかそもそも捕まえないし、国王の側も戦争どころで気にしないだろう」 「だから、シャルル側に渡りをつけて、ガリアにこっそりと入国してしまえばよい」 「その後は――?」 「出たとこ勝負、だな」 ガリアの首都、リュティスには戦災の被害は及んではいなかった。 少なくとも王宮から見下ろすジョゼフの視点では、現時点において、難民の類は発生していないように見えた。 「この内戦、突発的に発生した割には出来がよすぎるな」 「今のところ王軍と互角に戦っていますしね」 ジョゼフの、若干嘲りを含んだ台詞にドッピオが平然と答える。 「裏を引いたのはシャルロットか? いや、違うな」 「では、誰です?」 「教皇暗殺犯の、うわさを流した人物だ。お前がヴィンダールヴに接触をしたのを知っている人物。イザベラあたりか? いずれにせよこの余の側近に裏切り者がいることは確かだ」 「探し出して始末しますか?」 「それはおいおい考える。それよりもだ。あの子が攻めてくるぞ。我々としても極上に歓待の準備をしてやろうではないか」 「わかりました、王様」 ドッピオはそういって立ち去った。残るジョゼフは笑いながら独り言を続ける。 「シャルル。いよいよお前の娘が攻め立ててくるぞ。怒りか、哀しみか。どんな表情で向かってくるのだろうな! 俺にはどんな感情をくれるのだろうか。楽しみだ。実に楽しみだ。今からゾクゾクするぞ」 国王の笑いは続く。 とぅるるるる…… とぅるる…… 「はい、僕です。ボス」 「良くごまかしおおせた、ドッピオ」 「でも、何であんなことさせたんですか?」 「それはだな……この気に乗じてシャルロット達をジョゼフにぶつけるためだ……」 「何でまた?」 「……ジョゼフに対する当て球だ。つぶれればそれでよし。つぶれないでも、やつがどこまでやれるのか、十二分に試してやれるからだ」 「御武運を」 と、シャルル派のカステルモールと名乗る騎士に、そういわれて分かれたのは半日も前のことか。タバサたちは夜明けの光の中、ようやくリュティスの町に到着した。シャルル派とは別の、単独での行動である。霧に朝の光が反射して、微妙に視界が悪い。 「この街は静かね」 ルイズの言うとおり、リュティスの朝に人影は見られなかった。結果から言えば、一行は、グラン・トロワの城まで、誰にも会うことなく進出することができた。 だが、おかしい。あまりにも平穏すぎる。 「城の警備の兵すらいないとはどういうことだ?」 「わからない、でも気をつけるべき」 「言われなくとも!」ルイズが意気込む。 「ああ、よそ見したりしている暇はないぞ」 「露伴。それは取材鞄ごとスケッチブックを持ち込んでいる男のセリフじゃないな」 タバサたちは慎重に城の中に入った。 その広さがトリスタニア中に知れ渡っている、グラントロワの大広間に達しても、ガリアは衛兵の影すら見せない。 ルイズたち自身の、呼吸音を意識させるほどの不気味な沈黙は、果てしなくルイズたちを困惑させ、いつもよりも十二分にあたりを警戒しなければならなかった。 平時であれば、奥面の、中庭に通じる窓から歌いゆく小鳥たちを愛でる事もできたであろうが、今のルイズたちにそのような余裕はない。それに、なぜだか、一羽の小鳥のさえずりも聞こえなかった。沈黙。 と、そのとき。柱の物陰からナイフを持ったメイドが姿を現したのをルイズは目撃した。無言で一行に切りかかってくる。 「危ないッ!」 集団が二つに割れた。 不自然な体勢のまま切りかかるメイドは、終始無言のまま。そして、さらにメイドの後ろには、埋め尽くさんばかりに兵士や衛士が武器を手にひしめいていた。 「露伴、ブチャラティ。これはアルビオンのときと同じよ!」ルイズが気づき、叫ぶ。 いつの間にか城の中は霧で覆われていた。さては、イザベラか! 「ひとまず逃げるぞ!」 「ええ、でもそれは敵本体へ近づくため!」 頷いたルイズとタバサ、キュルケは西へ。露伴とブチャラティは東へ。 それぞれ、別の廊下へと足を踏み出し、走り出した。 襲い掛かってきたメイド達は、一瞬誰をターゲットにするか決めかねた様子だった。 その一瞬の隙を利用して、みなそれぞれ距離を広げる。そして、メイドの視線の中には、誰の姿も消えてなくなっていた。 「……」 東に逃げたブチャラティと露伴は、息をつく暇もなかった。 ほとんどの追っ手が、彼ら二人のほうを追いかけていたからである。 「く、これでは体力を消耗する一方だ」 露伴が叫ぶ。ヒットアンドアウェイの要領で、要所要所で反撃をし、敵の頭数を減らしてはいたが、何しろ数が多すぎる。このままでは二人の走る体力のほうが先になくなりそうであった。 「露伴! アレを利用するぞ!」 ブチャラティが指差した先には、石造りの登り階段がある。 二人はそれをいち早く上り、そして、ブチャラティはジッパーで今上ったばかりの階段を完全に崩した。 「これで、あの亡霊じみた連中の心配をしなくてすむ」 だが、退路も絶たれてしまった格好でもある。二人は慎重に歩み始めた。 「どうやら逃げ切った見たいね」 西の館の、二階に逃げたキュルケは辺りを見回した。だが、充満した霧で視界はひどく悪い。 窓からところどころ日光がさしているが、あまり明るくはない。 「ルイズ、タバサ。近くにいる?」 「私はここにいるわ」ルイズの声がする。すぐ近くのようだ。 が、タバサの姿が見えない。 「タバサ。どこ?」 答えるものはいない。だが、代わりに人の影が見えた。その影は杖を振り、霧の一部を凍らせているように見える。 「ああよかった、タバサ――」そう話しかけるキュルケの腹に、 「くぅっ?!」氷柱が突き刺さっていた。 キュルケは痛みのため、思わずうずくまってしまう。 「キュルケ!」 「ガーゴイルと同じ、水使いだから安心したってわけかい?」 その声の主はイザベラ。 「あなた、この国の王女ね。ジョゼフはどこよ!」 気丈に言うキュルケ。だが、痛みは容赦なく彼女を襲う。 「さあねえ。この近くにはいないんじゃないかい?」 「大変、キュルケ!」 あわててキュルケを見やるルイズであったが、もはや手遅れ。キュルケの腹にできた傷が綺麗な円形に広がり、そこに大量の霧が吸い込まれていく。 「ルイズ。この私のスタンド能力を忘れたのかい」 「なにこれ!」キュルケが叫ぶ。 「霧を操るスタンドだよ。これからあんたを私が操るのさ。人形見たくね」 イザベラがさっと腕を振ると、キュルケは座り込んだ体勢で跳躍した。 「キャッ――」 「早く解除しないと――」 ルイズはディスペルの魔法を唱え始めたが、 「甘いさッ」 イザベラがルイズの杖を奪う。 「このイザベラ様が同じ手に何度も引っかかると思わないでもらいたいね」 ルイズの杖は、イザベラの手の元に。イザベラはルイズの杖と自分の杖を重ねるように持ち、杖の先端を意地悪くルイズたちの方向へ向け直した。 「これで、ルイズ。虚無の使い手とやら。あんたは何も打つ手がなくなった」 ルイズの額に一筋の汗が流れ落ちる。ぎゅっと握り締めたこぶしはぶるぶると震えた。 「チェックメイト、さ」 「違うわ。たかが魔法が使えなくなっただけじゃない!」 ルイズはしかし、ここで格闘の体勢を整えた。右足を半歩前に出し。こぶしは垂直にイザベラの元に向ける。素人考えの、だが、ルイズが今までのブチャラティや露伴をみて彼女なりに編み出した構えであった。 これにはイザベラも文字通りぎょっとした。メイジが、よりにもよってメイジ相手に、魔法もなしに格闘で決闘するなんて聞いたこともない。まるでやけくそになった平民である。 「何を強がりをいってんだい。ここにはあんたの強力な使い魔もいないんだよ」 「私はあいつらを召喚するまで無力だった! 魔法も何も使えなくて、仲間も誰もいなかった。でも、今は違う! 頼もしい仲間がいる。それに、私だってもう使い魔に頼りきりじゃあないわ! 私だって仲間とともに冒険してきた! 他人を操ってばかりで、自分自身の身を危険に晒さないあんたとは違うのよッ!」 ギリッ。 イザベラの歯茎に力が入る。 「そうかい、気に入らないねえ。その生意気がいつまで持つか、試してやろうじゃないか」 イザベラがそう言うが早いか、キュルケがルイズに向かって杖を振った。詠唱も無理やりさせられている。 「ファイアー……ボール」 周りの霧を包み込んで、直径二メイルの火球が出来上がる。 速度も一級品のそれは、ルイズに向かって飛んできた。 「くっ……」 ぎりぎりのタイミングで、反復横とびの要領でよけるルイズ。だが、直撃は避けられても、周りの熱でルイズの白い肌が焼かれた。髪の毛も幾分か焼かれたようで、いやな臭いが周囲にまとわりつく。以前のルイズならば嫌悪感のあまり棒立ちしていただろう。だが、今の彼女の精神は、それでもなお自分自身に動き続けることを強要していた。 「ウル……カーノ……」 次々とルイズの姿に向かって大小の火炎球が高速で投げつけられる。 ――落ち着くのよ、私。パニックになっちゃ駄目。 ルイズは心の中でそう言い聞かせながら、自分に向かってくる火の玉を一つ一つ、確認するように、最小の横移動で避けていった。 ――冷静に。タイミングを待つのよッ! ルイズが一歩一歩横に移動するタイミングで、さまざまな大きさの火球がルイズの回りをまとわりつくように、彼女の装飾品を焦がし、高速で後方へと駆け抜けていった。 ルイズの自慢のロングヘアが、破らないように毎日清潔に洗濯していた絹の服が、なくさないようにこっそりと自分の名前を刺繍していた魔法学院のマントが、ちい姉さまにかわいいとほめてもらえたお気に入りの黒い靴が、ところどころあっという間に黒ずんでゆく。熱で徐々に体力も失われていく。 「小賢しいねッ! ならば、これでどうだいッ」 イザベラがいらだったように言うが早いか、キュルケ今までより二回り程大きな火球を作り出し、大きく杖を振りかぶって、ルイズに向かって振り下ろした。 ――スキありッ!!! 「今よッ――」 なんと、この場面で、ルイズはキュルケに向かって突進した。今の彼女の持つ最大の力を振り絞って。 今までの横移動に比べての、急な縦移動。キュルケの動作も、急な制動の変化についていけない。ルイズの右耳のそばを巨大な火球が高速ですり抜ける。枝毛を作らぬよう、気をつけて手入れをしていた長いピンクブロンドの髪が一際焦げ臭い香りを放った。 だが。 「甘いって言ってんだろ?」 「また、体が勝手に――」 キュルケは不自然な体勢ながらも、ルイズの突進を上回る速度で上に跳躍する。 さらに続けて、 「フレイム・ボール!」 得意の、望まぬ呪文を口にさせられたのだった。 「きゃあッ!」 ほぼ真上から、直下に降り注ぐ業火の魔法に、ルイズはよけるまもなく直撃する。火炎が渦巻く中、ルイズは思わず倒れこんでしまった。体中火傷だらけだ。体力も消耗した。動くことも辛い。 「いい加減に降参しなッ!」イザベラはうんざりした様子でそう叫んだ。 「断るわ! キュルケの魔法は火。だから、あんたのお得意の、霧スタンドとの併用はできないってわけよ! それに、本気のキュルケならともかく、あんたが操っている今のキュルケなんて、私の魔法を使うまでもなく、いなして見せるわ!」 イザベラの眉間から血の気が消えた。 「あんたも私を馬鹿にしてッ!」 イザベラの表情の変化を無視するルイズ。 「こうなったら根性合戦よ。私が倒れるのが早いか、キュルケから杖を奪うのが早いか、勝負よ!」 そういいつつも、ルイズの体はこげたにおいが包まれ始めていた。本人は気がついていなかったが、黒煙を発する左足が、大きく痙攣を始めている。 イザベラの見るところ、もはや普通の人間には立つ体力はないのでは、とおもわせる程、ルイズの火傷は進行していた。 「降参すれば許してやるよ。私とガーゴイルとの仲は、あんたは関係ないだろう?」 「イザベラ。あなた、自分が人間的に成長したなって自覚、したことある?」 「急に何の話だい」 「私はあるわ。自分を対等に扱ってくれる仲間がいる……そんな、大切な仲間を決して見捨てたりしないって決意、使い魔を召喚するまではそんな考えはこれっぽっちもなかった……でもね、今の私にはある。そんな気持ちがね!」 「くだらないことをごちゃごちゃと!」 「くだらない? タバサを見下したいとか考える、あんたのその見栄のほうが最もくだらないわ!」 「見栄だと? あんたに、ガーゴイルと比べられる私のつらさがわかるものか!」 イザベラは思わず反論した。内心では流せばいいとわかっていながら。 「わかるわ。私もずっとエレオノール姉さまやカリン母さまと比べられてきたから」 ルイズはここに来て、なんとイザベラに微笑んだ。 イザベラはたまらないほどの恥かしさと屈辱感にさいなまされる。 その結果、イザベラがとっさに出せた言葉が、 「くだらないお話はここまでさ。もういい。さっさと死にな!」 その瞬間、まとわりついてきた霧がさっと二手に分かれた。 そこにすさまじいまでの冷気が入り込んでくる。 「させない」 声の主はタバサであった。 「ようやく本命の登場ってわけかい。ガーゴイル」 「ルイズ、下がって」 イザベラを見据えたまま、タバサが言う。 「五分で片をつける」 「私もなめられたもんだね。こいつの手数もあるのを忘れたのかい?」 キュルケの腕が、不自然に縦に振られる。 炎の塊がタバサに襲い掛かったが、瞬間、氷の壁に包まれて熱気は霧散した。 「私の友達を弄んだな」 「あんたに友達? ハッ、人形のあんたには友達なんて似合わないさ。それ以上に、私たち王族には友達なんて必要ない。誰も彼も私たちを利用しようとするからね」 タバサは慈悲の目でイザベラを見すえる。 「憐れな人……」 「そんな目で私を見るなぁ!」 イザベラの杖が振られる。 タバサに水の柱が向かっていったが、これも凍らされ、進路をつぶされた。 「まだまだッ!」 キュルケが炎の壁を作る。そこにイザベラが風を送り、タバサの周囲に炎の旋風を形作った。 「タバサッ――」ルイズが悲鳴を上げる。ルイズとタバサの間に炎の壁ができている。 「どうッ? この炎の壁は突破できないでしょう!」 イザベラは、にやっと笑い、杖を振る。 炎の渦はタバサを中心点とし、徐々に火球の大きさを濃縮していった。 タバサは氷の風を送るが、キュルケが炎の源を送り続けているために、炎を消すことができない。 「なら、私がッ!」 ルイズが傍らにいるキュルケに抱きついた。 キュルケは相変わらず炎を出し続けているので、ルイズの肉体が焼かれる。 「熱い……でも、離さないッ!」 ルイズは焼け付く空気の中、渾身の力でキュルケから杖をもぎ取った。 「な、馬鹿なッ! ここまでの火傷で動けるだって?」 イザベラの顔が驚愕にゆがむ。 ルイズが身を挺してキュルケの魔法を防いだおかげで、炎の旋風は消え去っていた。 一瞬の隙を突いて、タバサがイザベラのもとへつめより、イザベラののど元に自分の杖を突きつける。 「これで、終わり」 イザベラは全身を脱力させながらも、なおも王者らしく見せようとしたのか、震える声で気丈にも、 「そうかい、なら、さっさと殺しな!」そう叫び倒した。 「最初にキュルケを元に戻して」 「……」 一瞬の沈黙の後、あたりに立ち込めた霧が霧散した。 「キュルケ!」ルイズはキュルケの元に走りよる。どうやら命に別状はないらしい。 「これで、よし」 タバサはそういい、イザベラを攻撃することなく、自分の杖を納めた。 「あんた、バカじゃないのかい? なぜ私を始末しない?」 「同じ」 「……は?」 「あなたも、私と同じ」 「私が、ガーゴイルと同じ……?」 「そう。友達がいなくて、誰も信用できなくて……本当の孤独の中にいる」 「ハン、馬鹿いってんじゃないわよ」 「口ではそういっても、心では叫んでいる。寂しいよ……って――」 「……」 「あら、タバサ。私達という友達がいながら、ずいぶんな言い草じゃあないの」 二人の下に、ルイズに肩を支えられたキュルケがやってくる。 「今のはあなたたちと会う前の話」 「何か話が見えないけど、私達でよければ友達になってあげるわよ。イザベラ」 ルイズの提案に、イザベラは顔を真っ赤にして怒る。 「だ、誰が、あんたたちなんかと――」 その一瞬の間に、イザベラの顔に、奇妙な面がかぶせられた。 それをかぶせた犯人は、いつの間にか出現していたビダーシャルである。 「エルフ?」キュルケが驚く。彼女は、エルフがいるなんて聞いていない。 「それはガリア王からの罰だ。イザベラ王女。ガリアの内戦を扇動したのはお前だな」 淡々と告げるエルフに、タバサが襲い掛かる。 「無駄だ」 雪風は、エルフの反射の魔法によっていとも容易に防がれた。 「くっ……!」 「おああッ!」 急にイザベラがもがき苦しむ。 「どうしたの?」 駆け寄るルイズに向かって、イザベラは勢い良く押し倒した。 「かハッ」 ルイズは背に強い衝撃を感じた。吐血する。 「なんだい、これは。不気味にすがすがしい気分だよ……」 「そこのエルフッ! イザベラに何をしたの?」 「この石仮面をかぶせ、血を与えて作動させたのだ。それで吸血鬼になる」 ビダーシャルは興味なさげに言う。 「吸血鬼?」 「そう、これは処刑だ。イザベラ姫。私もこんな野蛮なことはしたくないのだが、あのジョゼフの趣味だ。仕方がない」 「なんだい……妙に血がすいたくなってきた……あぁ、内臓も食べたい」 さらに、イザベラの肉体から煙が出始めてきていた。 「これで吸血鬼になったものは、日光で蒸発死するらしい。この部屋程度の薄明かりでも、生存は不可能なようだな」 部屋は暗がりであったが、ところどころ弱い明かりが差し込んでいる。 だが、イザベラは自分自身の、その傷の痛みに気がついていないようだ。 そのような中、ビダーシャルが宣言する。 「イザベラ姫よ。王への最後の奉仕だ。見事この者らを討ち取ってみせよ」 その言葉は果たしてイザベラにとどいたのか? もはや彼女に自意識はないようであった。 イザベラはタバサに襲い掛かる。 タバサはとっさにイザベラの足を凍らせて、止めようとしたが。 イザベラは氷付けになった、自分の脛から下を力ずくで引きちぎり、その勢いでなおもタバサに攻め寄せてくる。 「GYAOOOOOOOOOO!!!」 石仮面をかぶらされたままのイザベラは、真直線にタバサに襲い掛かる。 彼女の、かつて脛であった部分からは、体の部位が体液と一緒になり、霧状となって霧散し始めていた。 「クッ――」 イザベラがタバサに襲い掛からんとしたまさにそのとき。 「やめてッ!」 イザベラに背後から抱きつくものがいた。 キュルケである。 彼女は腹部からの出血をものともせずに、吸血鬼の強大な腕力に対抗していた。 「AAAAAAAAAA!!!」 ぶんぶんと腕を振り回すイザベラ。 それを抑えようとするキュルケ。 イザベラの一挙動ごとに、キュルケの肉体が、骨が、関節が、ミシミシと悲鳴をあげる。キュルケはそれでも暴れまわるイザベラを押さえ込み続けた。 しかし、ついに、イザベラの腕力がキュルケのそれを圧倒的に上回る時が来る。 キュルケは石壁にたたきつけられた。 イザベラは、倒れたキュルケに近づき、彼女の腹から出ている血をなめた。その瞬間、彼女は勢いよく床に倒れこんだのだった。 「あれ? わ、私はいったい……」 「よかった。正気に戻ったのね」キュルケはそこまでいい、意識を失った。 「あんた、何でここまで……」 「まだわからないの、イザベラ」ルイズは叫んだ。 「何だって?」 「キュルケはあんたに友達になってあげるって言った。だから、友達であるあんたを救おうとしたんじゃないの!」 「だって、私たちは出会ったばかりじゃないの……」 「友達に長いも短いもないのよ!」 その言葉に、イザベラははっとしたようであった。 「そこまでだ」 ビダーシャルが言う。 「いや、まったく予想外だった。吸血鬼と化したイザベラ姫が君たちを皆殺しにするとばかりに思っていたので、私自身は戦いの用意はしていなかった」 タバサが杖を構える。 「とはいえ、このままお前たちを見過ごすわけには行かないようだ」 ルイズも拾ったばかりの自分の杖を構える。 「タバサ、勝算はあるの?」 「正直、全く無い」 「今度は我が相手だ――」 ビダーシャルは先住魔法を使い始めた。 彼の周囲の石床が円状にせりあがってゆく。と、そのような彼の元に、イザベラが這いよってきていた。 もはや彼女の足は蒸発してしまっている。 「私は死ぬのかい、エルフ?」 「ああ、イザベラ姫」 「あんた、ガーゴイルを殺すつもりかい?」 「その通りだ」 「なら、私が死ぬ前に、ガーゴイルを殺してくれないか。私の目の前で」 「ふむ……悪い趣味だな。さすがはジョゼフ王の娘というところか。だが、せめてもの情けだ。良いだろう」 ビダーシャルはそういうと、タバサの方向に向き直り、 「せめて苦しまずに逝くがいい」 彼の周囲に競りあがった石の床がいっせいにタバサの方角に向かって槍状に変形していった。 絶体絶命である。 と、そのとき。 「隙ありだよ!」 イザベラがビダーシャルに組み付いた。片手に石仮面を持って。 「何をする!」 ビダーシャルにかぶせられ、イザベラの血で作動する白い石仮面。 「いまだよ、ガーゴイル!」 とっさの出来事に我を忘れたタバサはしかし、一瞬で自我を取り戻し、魔法を唱えた。 周りの水蒸気を氷の鏡にし、部屋中の明かりをビダーシャルの元へ集める。 「ごああああああっ!」 強烈な日光の収束は、確実に、そこにいた耳長のエルフを一瞬で蒸発させる。 エルフは塵になった。 イザベラは足を完全に失って、どう、と床に倒れた。 タバサを方ひざを突き、彼女を抱き上げる。 「どうして……」 「直前に、私に情けをかけたあんたがそういうのかい……」 タバサはイザベラの行った行動が理解できないでいた。 今まで、イザベラがタバサにした数々の仕打ち。数々の嘲笑。 それを考えるならば。イザベラがタバサを救うなど、とても予測できなかった。 「だって……」 「フフフ、あたしこそ、正真正銘の、正当なガリア国の王女だよ……なめないでもらいたいね……」 「……」 「ほんとうはね……あたし、おまえがうらやましかったのさ……人形でしかないくせに、みんなに褒められて……あたしなんか、おやじにだって一度もほめられたことなんてないのに……」 イザベラの肉体の蒸発は今も続いている。 「……で、も。あんたもさびしかったんだねえ……」 イザベラはとっさに笑いかけた。蒸発のラインは、彼女の腹部の線まで達している。 「こいつを……もっていきな……」 懐から取り出したのは、一枚のDISC。 「あんたの父親……シャルルの魔法のDISCだ。親父は、これを、使って、水の麻薬を……」 「もういい。もういいから」 「そいつを使う姿を……この私に見せておくれ……私では、使いこなせなかったDISCを……」 タバサは頭にDISCを差し込んだ。瞬間、タバサの体内に懐かしい魔力の回路が流れ込んでくる。 「痛みが、急になくなったわ……ガーゴイル、ひょっとして……治療の魔法をかけてくれたのかい?」 そんなことはない! 「あんたは優しい人ね、エレーヌ……」 イザベラは、完全に蒸発した。タバサの腕の中で。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6895.html
ルイズ「7万の兵士なんて無理よ、みんな死ぬんだわ」 使い魔「無理ではない、あなたはフーケやワルドと戦ってきたではないか」 ルイズ「何か方法はあるっていうの?」 使い魔「アルビオンの兵士達はライン以上のメイジを倒されると、自動的に撤退措置をするように命令されています」 ルイズ「なるほど…蛇の頭を潰すのね」 … ルイズ「やっぱりダメじゃない~~!」 使い魔「こうなったら奥の手を出すしかありませんな」 ♪キュ~ンキュ~ン キュ~ンキュ~ン わたしの彼は~パイロット~ (*オチ2) 使い魔「歌ってくれますかな?、ルイズさん」 ルイズ「こ…この…バカ犬~!…ちゃんとそばにいて~~…」 マクロスよりエキセドル召喚
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/878.html
第1章 後編 やっぱり”ここ”はヤバイところだぜ? ティッツァーノ……。 「ほんとに知らないの?」 それは魔法のことか?それとも「ハルケギニア」のことか? 両方シラネェヨ! しかし、納得せざるを得ない。ここはオレの居た世界じゃないのだから。 …夜空に輝く月に、ここまで心奪われたことはない。 月が ”仲良く” 浮かんでる……。 美人の姉妹が互いを優しく、守るように照らしあっていた…。 ”月は 『二つ』 あったッ!” バァアァァーーz___ン! 「オレの世界では”luna”もッ! ”palla”もッ! 一つあれば十分なんだよ!」 『luna』(伊:月) 『palla』(伊:サッカーボール) 「月が一つしか見えない”国”なんて聞いたこともない!」 「だから”国”じゃない! ”世界”が違うんだッ!」 また話が同じところに戻ってきてる……。 さすがに無限ループはルイズも嫌なようで、無理やり終わらせることにしたらしい。 「わかったわよッ! 違う”世界”から来たってことは認めるわよ!(納得いかないけど・・・)」 「グラッツェ、シニョリータ(ありがとう。お嬢さん)。 ついでに”元の世界”に還してもらえませんか? シ・ニョ・リ・イ・タ?」 「……無理。そんな魔法聞いたことないもの」 彼女は召喚する魔法は知ってても、帰還させる魔法は知らないらしい。だが……。 「…オレは帰らなくてはいけない。 …なんとしてもッ!」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ (相棒をッ!… 一人でッ!眠らせるわけにはいかないッ! ヤツラには償わせてるッ!全員だッ!) 目の前にいる平民から、”凄み” を感じ、思わずブルっちまいそうになるルイズ。 (…こ、この使い魔には帰ってもらって、新しく ”私に相応しい使い魔!” を召喚しなおすのも、わ、悪くないわよね・・・?) (それがお互いの為ってもんよね?) 「と、とりあえず、すぐに帰れるワケじゃないってことはわかるわよね?」 「…そこは理解してるつもりだ。『帰る方法が、存在するかさえわからない』状態なんだろ?」 「グッド! だから、私が帰る方法を探してあげる。 あんたはその間、忠実な使い魔として私に仕える。」 「…つまりこういうことか? 『オレたちは、帰る方法が見つからないかぎり ”取引” をしなくてはならない』……」 「Exactly(そのとおりでございます)♪」 by 釘宮ボイス 「……」 「でも、あんたじゃ使い魔の仕事は無理そうね……」 どうやら使い魔とは、主人と視覚や聴覚をリンクさせ、トレジャーハントしたり、ボディガードするそうだ。 「あんたにできそうなこと……。 掃除、洗濯、その他雑用ってとこかしら?」 「御主人様が寂しくないよう、夜のお相手もできると思いますが?」 さっきの ”凄み” はどこへやら。軽~い調子になった使い魔の顎に右フックを叩き込む。 使い魔は崩れるように床に倒れこむ。 ルイズは知らない。コイツはギャングのエリート、『親衛隊』だったことを。…今の現状からはわかるまい。 「もし、平民でしかも使い魔のあんたが、貴族であり御主人様である私に、手を出したら……」 「……だ、出したら?」 「……… ”削りとる” わよ?」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ …こいつにはやると言ったらやる 『スゴm(ry やっぱり、”腕”が鈍ってんな……。 ティッツァと組んでからは、口説く役はティッツァの仕事だったからな……。 顎をいたわりながら起きると、貴族であり御主人様であるルイズ様がベッドの上で脱ぎだした。 「ルイズさん? 言ってることと、やってることがオカシイですよ?」 「…なにが?」 「男の前で脱ぐってことは ”OK” てことで……」 物凄い速さでゴツイ装飾がされた本が飛んできた。 頭に当たれば脳漿ぶちまけること必至! …だったので、さすがに避けた。 「あんたは使い魔なの。犬、猫、その他もろもろと同然なの」 「…犬や猫だって愛の営みはしますよ?」 ……なんでさっきからコイツ敬語なのよ? 「犬同士、猫同士はね。でも、メイジと使い魔は、人間と犬の関係なの! 犬に裸見られたって、全然恥ずかしくないわ!」 …かなりへこんだ。 男のプライドは地に落ち、泥にまみれ、アリがたかっていた。 「だから使い魔は床に寝なさい。そんで、(あんたはスケベだから)朝起こすとき以外はベッドに近づかないこと!」 変なことしたら、只じゃおかないからッ!と厳しく言いつけらた。床を見つめるスクアーロ。 ルイズはキャミソールに着替え終わると、下着をスクアーロに投げ渡し、ベッドに潜りこんだ。 洗濯しときなさい。変なことしたら―――。最後まで言い終えないまま、ルイズは夢の世界へ入っていった。 どうやらかなり疲れていたようだ。無理もない。彼女の手に負えないことばかり起こる日だったのだから。 スクアーロは、(御主人様の御慈悲である)毛布に包まりながら、壁にもたれかかる。 とんでもないことになってるぜ? ティッツァーノ……。 目をつむり、”この世界「ハルケギニア」”について想う……。 とにかく…… 帰る方法が見つかるまで ”馬鹿で使えない” 使い魔を ”演じる” しかない。 こっちのことは何もわからねぇ。 だから、情報を得るまで動かないほうが良い。 このオレが、ギャングだとか、スタンド使いってことはできれば……一切知られたくない。(ギャングだとか、スタンドって概念があればだけどな……) …ルイズって娘には悪いが…… …本当に可哀想だが… 利用させてもらう……。 精々ルイズの前では ”スケベな軟派男” で通すか…… ほぼ”地”でイケるし……。 …”元の世界”のことを考える。相棒のこと。裏切り者どものこと。ボスのこと。組織のこと―――。 必ず帰る! 何をしてでも帰って見せる! おまえのためにもッ!オレのためにもッ!必ず帰るッ! 心配するなよ?ティッツァ…… 復讐だけに囚われているわけじゃねぇ…… もちろん償いはさせる! だが…ナランチャの…ヤツラの見せた『精神力』は何なのだ? あれほどの『精神力』を持ちえた人間を、オレは知らない。今はそれが知りたい…。 オレとおまえでも、掴み得なかったものが…… ヤツラを動かしてたのかなぁ……。 だから… 必ず帰って…… 手に入れような…… あの…輝くような…… そう… まるで… 『黄金のような精神』を……。 きっと… 二人で…… すぐに… できるさ…… オレとおまえなら… きっと―――。 まどろむの意識の中、隣で相棒が笑った気がした。 鮫技男と桃髪女 「The Story of the "Clash and Zero"」 第1章 オレは使い魔 後編終了 To Be Continued ==
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1270.html
「嘘・・・どうしてフーケが!?」 岩石を切り抜いて作られたラ・ロシェールそのものを素材にして錬金された 巨大ゴーレム。突如出現したそれの肩に長い緑髪をなびかせて座っている女は、 忘れもしない土くれのフーケだった。自分の言葉を中断されて少し助かったと 思ってしまい、ルイズはぶんぶんと首を振る。フーケは端正な顔を不機嫌に 歪めてルイズに答えた。 「実に親切なお方がいらっしゃってねぇ わたしみたいな美人はもっと世の中に 貢献しなくちゃいけないっておっしゃってね 牢から出してくれたのよ」 皮肉たっぷりにそう言って、フーケはじろりと隣を睨む。彼女の刺すような視線の 先にいたのは、白い仮面をつけた黒マントの貴族の男だった。フーケの言動に 一切の反応を示さず、腕を組んで冷厳とルイズ達を見下ろしている。 「個人的にはあんた達なんかとは二度と関わりたくないんだけどね これも仕事よ、恨まないことね!」 言うが早いか、ゴーレムの柱を束ねたような腕が高速で振り下ろされた。いつの 間にか己の剣を握っていたギアッチョは、ルイズを小脇に抱えるとベランダの 手すりを踏み台にルーンの力で数メイルを飛び上がった。直後岩で出来た ベランダを粉々に破壊したその拳に見事に着地して、ギアッチョはピクリとも 動かない表情のまま口を開く。 「やっぱりよォォ~~ オレは戦うのが性に合ってるみてーだなァァ」 「ちょ、ちょっと!どどど、どこ触ってんのよこのバカ!離しなさいよ!」 小脇に抱えられたままルイズがじたばたと騒ぐ。 「どこ触ろうと同じだろーがてめーの身体は 黙ってねーと舌噛むぞ」 「おなっ・・・!?」 ルイズの頭にガーンという音が響き渡った。心に深いダメージを負ったルイズの ことなどつゆ知らず、ギアッチョは戦闘態勢に入った眼でフーケ達を睨む。 足場にしている拳に振り落とされる前に、「ガンダールヴ」の脚力で一瞬のうちに 肩へと駆け上がる。デルフリンガーを持つ方向に身体をひねり二人まとめて 横薙ぎにブッた切るつもりだったが、 「チィッ!」 仮面の男が一瞬の機転でフーケの首根っこを掴んで後方へ落下した為、 デルフリンガーは虚しく宙を切った。ギアッチョは特にイラだった顔も見せずに 地面を覗き込む。レビテーションをかけたのか、男とフーケは無事に地上に 降り立っていた。フーケと結託しているのなら、仮面の男とその仲間には当然 ホワイト・アルバムのことは知られているだろう。もはや隠す必要もないと考えて ギアッチョはゴーレムを凍結しようとするが――下のほうから聞こえてきた怒声や 物音がそれを中断させた。 「どうやら・・・あいつらも襲われてるみてーだな」 放っておくべきか一瞬迷ったが、酒を飲んでいるならマトモに戦えていないかも 知れないと考え、ギアッチョは助けに行くことを選択した。もはや抵抗もしない ルイズを小脇にかかえたまま、見るも無残に破壊されたベランダから部屋に 飛び込み、扉を蹴破って廊下を走り、手すりを乗り越えて階段を飛び降りる。 果たしてギーシュ達は、全員無事に揃っていた。もっとも、テーブルを盾にして いる彼らの頭上では無数の矢が飛び交っていたが。 ギーシュ達と共にワルドがいたのを見て、ギアッチョはピクリと眉を上げる。 背格好といいタイミングといいあの仮面の男がワルドだとギアッチョは殆ど確信 していたのだが、どうやら自分の推理は間違っていたらしい。考え込む彼に 気付いて、ギーシュが声を上げる。 「ギアッチョ!無事だったのかい!」 その声でキュルケ達は一斉にギアッチョを見た。ギアッチョはフンと鼻を鳴らすと、 ルイズを引っ張ってキュルケ達の後ろに身を伏せる。 ギアッチョはフーケがいることを伝えたが、どうやらその必要はなかったらしい。 戸口からは思いっきりゴーレムの足が覗いていた。「それはともかく」と前置きして、 キュルケは鬱オーラ全開で俯くルイズを見る。 「ルイズ、あなた大丈夫?」 「・・・・・・尊厳を汚された・・・」 「は?」 意味が分からずに怪訝な声を上げるキュルケだったが、「一年後に後悔しても 許してあげないんだから」だの「まだ変身を三回残してるのよ きっとそうよ」だのと 肩を震わせながらブツブツと呟いているルイズを見てなんとなく事情を察した。 とりあえずルイズは放置することに決めて、彼女はギアッチョに向き直る。 「どうするの?ギアッチョ」 言外に「魔法を使うのか」と尋ねるキュルケに、ギアッチョは思案顔で黙り込んだ。 しかしギアッチョが結論を下す前に、ワルドが口を開く。 「諸君、このような任務は半数が目的地に辿り着けば成功とされる」 周りの状況などおかまいなしに本を読んでいたタバサが、それを受けてワルドを 見る。ぱたりと本を閉じると、キュルケ、ギーシュ、そして自分を指差して「囮」と 呟いた。ワルドは重々しく頷いて後を引き継ぐ。 「彼女達が派手に暴れて敵を引きつける 僕らはその隙に、裏口から出て 桟橋へ向かう」 その言葉に、ルイズが弾かれたように顔を上げた。 「ダメよそんなの!フーケもいるのよ!?死んじゃったらどうするのよ!」 「いざとなれば逃げるわよ それにわたし、今ちょっと暴れたい気分なのよね」 キュルケは余裕の笑みでそう嘯く。それに追従してタバサが「問題ない」と言い、 ギーシュは相変わらずガタガタ震えていたが、「いいい行きたまえよ君達! ぼ、ぼぼ僕はフーケのゴーレムに勝った男だぜ!」 と誰が見ても明らかに分かる虚勢を張り上げてルイズ達を促した。 「行って」というタバサの声と、「行きなさい」というキュルケの声が重なる。 ルイズはそれでも二の足を踏んでいたが、 「別にルイズの為にやるわけじゃないんだからね 勘違いされちゃ困るわよ」 というキュルケの発破で、何とか行く決心がついたようだった。「わ、分かって るわよ!」とキュルケを睨むと、「おーおー、素晴らしきは友情だね」と笑う デルフリンガーに二人で蹴りを叩き込んで走って行った。それを追ってワルドも 裏口へ去って行く。去り際ルイズが小さく呟いた「ありがとう」という言葉に 意表を突かれて一瞬顔が赤くなったキュルケだったが、コホンと一つ咳をすると すぐいつもの顔に戻った。 「それで、今度はどんなお言葉を下さるのかしら?」 未だ動かないギアッチョに余裕の仕草で笑いかける。ギアッチョは溜息を一つ つくと、彼女達に向き直って口を開いた。 「このまま死なれちゃ寝覚めが悪いんで忠告しといてやる ・・・命を賭けてまで戦おうとするんじゃあねーぞ」 慈悲の欠片も見当たらないような表情で、しかしギアッチョはそう言った。 「無理を悟ったらとっとと逃げろ 桟橋とやらで追いつかれたところでどうせ オレが何とか出来るんだからな」 一見どうでもいいような口調でそう言って、ギアッチョはガシガシと頭を掻く。 そうならない為に今まで隠して来たんじゃないのか、等と言う気は誰にも なかった。一様に真剣な顔で頷く三人に一瞥を向けると、彼は無言で ルイズ達の後を追った。 音を立てずに駆け去るギアッチョの後姿を見送って、キュルケはふぅと 溜息をつく。 「全く、この主にしてこの使い魔ありって感じよねぇ」 やれやれといった風に笑うキュルケに、タバサはこくりと頷いて杖を握った。 大きな音を立てて自分の顔を叩いて、ギーシュは一つ気合を入れる。 「よ、よし!行こうじゃないか二人とも!」 「ええ、火傷しない程度にね」 二人して杖を抜き放ち、ニヤリと笑いあった。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2077.html
零戦がその空域にたどり着いたとき、すでにトリステイン軍とアルビオン軍が戦っ ていた。 状況はトリステイン軍の劣勢。 上空にはアルビオン側の竜と船しかない。 「ブチャラティさん! 私の町がっ!」 全部座席に座ったシエスタが絶句する。 この序の見下ろすその先。 タルブ村があるはずの場所に。 いくつもの黒煙が見えた。 アルビオンの竜使いたちは、タルブの村を放火したのだ! 許せない。 シエスタの心に暗い炎が滾っていく。 「落ち着くんだ、シエスタ。気持ちはわかるが。まずは、あの竜からやろう。 一騎ずつ、確実にだ」 「っはい! ブチャラティさん」 復座式零戦がその機動の本領を発揮する。 シエスタはタルブ村の上空を旋回するのをやめ、タルブ村郊外の、アルビオン艦隊が 浮遊している草原へと進路を変えた。 九八式照準器越しに、一人のアルビオン竜騎士をにらめつける。 彼はシエスタの存在に、鉄の竜の存在にまだ気づいてはいないようだ。 だが、そんなこともかまわず、シエスタは竜との距離をつめていく。 彼女の中には、冷たい怒りの炎が渦巻いていた。 シエスタの脳裏に、異世界の戦場のルールが語られる。 ――これが、曾おじいちゃんの戦争…… 戦場の空では、階級や貴賎など関係ない。 交戦規定はただひとつ。 『生き残れ』 ――大丈夫。私には―― 露伴の、ヘブンズドアーの能力の結果だった。 ――露伴さんがいる―― シエスタに狙われた竜が、まず最初に彼女に気づいた。 その竜は、異常を乗り手に伝える。 だが、乗り手が気づいたときにはすべてが手遅れ。 哀れな竜が、その乗り手と諸共7.7mm機銃に貫かれた。 ――曾おじいちゃんがついている―― 「どうしたんだっ!」 「トリステインの新手か?」 怒号とともに、アルビオンの竜たちは散会し、『鉄の竜』の元へと飛行する。 飛行しようとした。 だが、最強であるはずの彼らアルビオン竜騎士団が、まったく追いつけない。 「どういうことだ?」 「鉄の鳥か?」 そういうまま、ひとつの竜が、零戦の後ろにつき、魔法を唱えようとする。 だが、それはかなわない。 なぜなら、彼はすでに反撃を受けてしまっているから。 アルビオンの竜騎士は、ひとつ、またひとつと鉄の暴力になぎ倒される。 「慎重に、だが、大胆にだ。シエスタ」 「はいっ!!!」 ――ブチャラティさんがいる―― 急激な旋回機動と低速、低高度での格闘戦。 それが零戦の得意の戦法だと、露伴の書いた文字は教えていた。 シエスタはそれに従い、竜騎士の魔法攻撃をヨーで左右にかわす。 さらに旋回で竜の背につき、7.7mmの機銃で刺す。 彼女の動きに、一片の無駄もない。 「ちょっと!!! あんた、もうちょっと安全にとばしなさいよ!!!」 ――ルイズさんもいる……? 「おい、ルイズ! お前なんで!」 「うるさい!あんたは私の使い魔なんだから、私が監督しなきゃ!」 ブチャラティの座席のさらに後ろに、ルイズがいた。 後部座席に気を取られたとき、右翼に馬鹿でかい風の塊が襲い掛かった。 その直後、かつてないゆさぶりが機内の三人を襲った。 「ちょ、ちょっと、シエスタ!右の翼!」 ルイズの言うとおり、右翼が根元から一メイルほど残して、なくなってしまっている。 そしてそこから、ガソリンが漏れ出している。 シエスタは使用燃料を翼内タンクから胴体内タンクへとすばやく切り替えると、叫んだ! 「ブチャラティさん! 引火するかもです!」 「わかった、任せろ!」 ブチャラティはそう叫び返すと、スタンドのみ外に出し、ガソリンがもれ出ている ところへ『ジッパー』を取り付けた。その直後に、新たな魔法が気体を襲った。 今度は電撃だ。降り注いでいたガソリンが赤い火柱を形作った。間一髪。 シエスタは後ろを思いっきり振り返る。 同時に、ルイズも振り返った。 「ワルドさま――いいえ、ワルド!」 そこには、見知った優男と、青白い肌をした風竜がいた。 「やあ、我が元婚約者じゃあないか。奇遇だね」 タバサが竜に乗ってやってきたとき、地上の軍隊同士の戦いは、決着がつきそうに 見えた。 トリステイン軍が負けるほうに。 それを作っていた要因が、タバサの向かう先にあった。 「アレでは、制空権をほしいがままにされているな」 タバサの隣にいるコルベールがつぶやく。 彼の言うとおり、竜の向かう先には、大小二十隻程の戦列艦が空を埋め尽くしていた。 すべてアルビオンの軍旗をはためかせている。 いや、ただひとつ。 アルビオンでないものが、この空中にいた。 「あ、あれ!」 キュルケが叫ぶ。その指差す方向には、あの零戦がいた。 方翼をやられ、フラフラだ。 今にも堕ちそうにみえる。 それをいたぶるがごとく、一匹のアルビオンの竜騎士が追いすがり、魔法を放っている。 「す、すごい!」 タバサも、そのキュルケの言葉には同感だ。 竜騎士は、『ウインディ・アイシクル』や『ライトニング・クラウド』など、高度 な魔法を至近距離から繰り出している。 なのに、あの、鉄の竜は、それをぎりぎりまでひきつけ、身体全体をひねるように 回避している。上下に動き、左右によける。 だが、それも時間の問題。 どんなによけていても、竜騎士に背後を取られている。 そして徐々にだが、鉄の竜に、敵の魔法があたってきている気がする。 そんななか、タバサは、自分が何かできないかと感じたとき。 不意に、竜の羽衣と、それを追うアルビオンの竜騎士がこちらのほうに飛んできた。 「危ない!」 よけるまもなく。 二つの巨大な影は、タバサたちの頭上を過ぎ去っていった。 すさまじい速さで。 アルビオンの竜騎士も、タバサたちにかまう余裕はないようであった。 しかし、キュルケは『それ』に気づいた。 とっさに自分の杖を取り出し、頭上の『それ』にレビテーションをかける。 「~~~~~~きィゃぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!」 『それ』は、ルイズだった。 ルイズはシルフィードの背にゆっくりと軟着陸した。 「ルイズ、おかえり」 「ミス・ヴァリエール、大丈夫ですか?!」 コルベールに抱えられたルイズはなきそうな顔で怒鳴り散らした。 「ブチャラティ、あんなやつ! 危険だからとかいって、私を荷物みたいに 『ジッパー』で放り出して!」 「なるほど、さっきこちらに近づいたのはわざとか」 変に納得する露伴に対し、ルイズは言いたい放題のことを言い始めた。 「シエスタのことは何も言わなかったくせに!」 ルイズはもはや涙声になっている。でも、自分ではそれに気づけない。 「それに、直前になってウェールズ様の指輪を渡してよこすなんて。 まるで形見みたいじゃない!」 そういうルイズの薬指には、しっかりと指輪がはめられている。 「だが、見ろ。零戦の機動が増したぞ」 露伴の言葉に、全員が上空を見る。 なるほど、零戦は先ほどまでよりもすばやい動きをしている。 時々、竜の後ろを取るまでに運動性があがっている。 そのとき時間にして三分。 空中での、竜との攻防は終わった。 零戦が、竜の羽を機銃で打ち抜くことに成功したのだ。 しかし、次の瞬間! 零戦の、右翼から大量の金属片が飛び散った。 あまりの運動に、ダメージを受けた翼が耐えられないようだ。 しかも、アルビオンの戦列艦から、大量の散弾が、零戦に向けて発射される。 その空域にアルビオン勢がいないせいか、射撃は熾烈を極めていくのみだ。 「わ、私のせいだわ……」 ルイズが元気なく口ずさむ。 私があの時口を出さなければ、ワルドなんかにシエスタたちが負けるはずなんかな かったのよ! そして、あんな傷を竜の羽衣に負わせることもなかった…… 「くそっ! ここまで来て、何もできないのか?」 露伴の言葉が、ルイズには自分に向けられたように感じられた。 自分じゃ何もできない。自分じゃ誰も救えない。 「ほんとうに、私は何もできないゼロのままでいいの?……」 ルイズはそうおもって、始祖ブリミルに祈り始めた。 気休めに、ここまで持ってきた始祖の書のページをめくりながら…… シエスタは、眼下のそれを見たとき、単純に、なんだろうと思った。 なに、あれ。 タバサの風竜の、背にある人影から時おり、炎が発せられる。 たぶんコルベールだろう。 「ブチャラティさん! あそこ!」 ブチャラティも、シエスタと同時期に、それに気がついていた。 「ああ、アレはモールス信号だな」 ブチャラティはそれを見ながら、スティッキィ・フィンガーズの指でリズムを取り、 符号をそのまま、前部座席にいるシエスタに教える。 -・-・・ -・-- ・-・-・ -・ ・- --・・- ・---・ -- -・- --- ---- ・・- -・-- ・・ -・-・・ ---・- シエスタの脳内に、異国の文字列が生成され、重要な意味を成した電文と変換された。 (危険、退避セヨ。我攻撃ス) 露伴が彼女の脳に『書き込んだ』効果が如実に現れていた。 彼女の脳のシナプス細胞が、異常な速度で危険の気配を認識した。 「何かにつかまってください! この空域を離脱します! 地上でなにかするようです!」 ブチャラティの返事を待たずに、シエスタは零戦を急旋回させた。 眼前の戦列艦群に機体の腹を見せながら空域を離脱する。 見る見るうちに地表がせまっていく。 「いいぞッ!ルイズ!早くしろ!」 露伴がそうせかす中。 ルイズはすでに詠唱を始めていた。 ……オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド…… その間にゼロ戦は敵艦群と距離をとった。 しかし、そのおかげで、機体は敵の調律射撃のよい演習目標になっている。 ……ジュラ・イサウンジュー・ハガル・ベオーグン・イル…… 誰もが、一秒を一時間ほどに感じていたとき。 彼女の永い呪文が完成した。 狙いは敵艦隊中央。 かける魔法は、虚無の魔法『エクスプロージョン』。 敵艦隊の、浮力のみを奪うことが可能な魔法だ。 『虚無』ならば、『ルイズ』ならばできる芸当。 ルイズしかできない芸当。 彼女は杖を振り下ろした。 その瞬間、戦列艦群は白い、巨大な光に包まれた。 遊弋していた艦隊の帆が一斉に燃え出していく。 戦列艦が、一つ、また一つと地面に滑り落ちる。 その白い輝きが消えたとき、すべての戦列艦が機能を停止していた。 いや、ただひとつ、『レキシントン』号はいまだ空中にその威容を誇っていた。 「今が好機だ!全軍進撃!」 マザリーニ枢機卿が地上で声を張り上げていた。 今の爆発で、地上軍の優劣は逆転した。後は追い詰めるだけだ。 アルビオン軍は壊滅し始めた。 地上では。 アルビオン軍旗艦『レキシントン』は、満身創痍になりながらも、なおも制空権を 手放していなかった。アルビオン帝国の、クロムウェルの威信であった。 「ブチャラティさん。私に案があります」 シエスタが『レキシントン』を上方に見ながら話しかけた。 彼女は、まったくもって単純な策をブチャラティに示した。 「私たちの持つ最大の『攻撃力』の全てを、あの船の機関部に叩き込みます」 ブチャラティは一瞬で彼女の作戦を理解した。 「覚悟は……できてるようだな…………いいだろう」 零戦は優雅なまでに完全なインメルマンターンをとって、速度を高度に換え、その 機位を『レキシントン』と正対する位置に置き、直進を始めた。 「接触まで機体の護衛をお願いします!」 「やれやれ、 『ルイズを守る』 『任務を遂行する』 両方やらなくちゃならないのが『使い魔』のつらいところだな……」 デルフリンガーを鞘から解放する。とたんに、機内を珍妙な空気が支配した。 「……マヂ?」 「お前も『覚悟』を決めてくれ。すまないとは思っているが、どうしようもない」 「チッ。しょーがねーな。お前ェとはなかなかいい付き合いだったぜ。 こうやって人生……いや、剣生を終えるのも良いかもしれねェな、『相棒』」 ブチャラティに刻まれたルーンが、これまでにないほど光り輝いていく。 ブチャラティはジッパーで機外に出た。体を固定しながら前進し、エンジンカウル の真上、回転するプロペラの真後にたった。 「っと!危ないな」 「速度落としますか?!」 よろけたブチャラティを見たシエスタが叫んだ。 「いや、必要ない!君はこの機体を安定させて目標に向かうだけでいい!最高速度だ!」 『レキシントン』艦長、ホレイショ・ボーウッドは敵の運動の変化にもっとも早く 気がついた一人だった。彼は思わず思ったことをそのまま口に出す。 「まさか、体当たりするつもりか?」 鉄の竜にむかって、鉄砲と矢が無数に放たれる。 魔法もいくらかは放たれるが、まともな狙いがつけられていない。 その上、『鉄竜』の首に立つ男により、すべての有効な攻撃が防がれる。 間に合わない! そう判断した彼は、すばやく決断した。 「総員、対衝突体勢をとれ!」 何時間にも思えた寸秒が過ぎた後、艦全体を揺るがす衝撃が彼を襲った。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/30915.html
登録日:2015/01/01 Thu 00 00 01 更新日:2024/01/30 Tue 18 55 56NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 ONE PIECE ONE PIECE故人キャラ ONE PIECE登場人物項目 いい人 しー…ん カナヅチ コラさん コラソン サイレント スパイ ドジっ子 ドンキホーテファミリー ドンキホーテ・ドフラミンゴ ドンキホーテ・ロシナンテ ドンキホーテ海賊団 ナギナギの実 ピエロ モグラ ロシナンテ ロー ワンピース 世界政府 中佐 二代目 享年26歳 全世界人気投票13位 凪 出番の割に人気 初登場がドレスローザ編 同人誌のエース 夢女子ホイホイ 天竜人 将校 山寺宏一 幹部 広橋涼 弟 悪魔の実 故人 本当はいい人 歩く放送事故 殉職 海兵 海賊 海軍 海軍本部 海軍本部中佐 涙腺崩壊 潜入捜査官 無言 無音 無音人間 聖地マリージョア 能力者 自己犠牲 裏切り 超人系 金髪 だってお前… いつかおれを思い出して貰うなら 笑顔の方がいいもんな コラソンは『ONE PIECE』の登場人物。 CV 山寺宏一(幼少期は広橋涼) 【データ】 本名:ドンキホーテ・ロシナンテ 年齢:享年26歳(生きていればこの人と同い年) 身長:293cm 所属:世界貴族→海軍本部中佐 →ドンキホーテ海賊団最高幹部(潜入任務) 種族:元天竜人 悪魔の実:ナギナギの実(超人系) 出身地:聖地マリージョア 所属船:ヌマンシア・フラミンゴ号 誕生日:7月15日 星座:蟹座 初登場:単行本76巻・第761話・『オペオペの実』 血液型:S型(現実だとO型) 主な上司:センゴク 好きな食べ物レタス、キャベツ、うめぼし 嫌いな食べ物パン、ピザ 【概要】 16年前のドンキホーテファミリーの幹部の一人(*1)。 コラソンの名前はファミリー内でのコードネーム。 本名はドンキホーテ・ロシナンテ。ドフラミンゴの実の弟である。 マリージョアから「堕ちた」天竜人として父ドンキホーテ・ホーミング聖とドフラミンゴと共に数々の暴行を受けた過去があり、現在はそのショックで言葉を話すことができない。 ちなみに相当のドジ。歩けば転び、お茶を飲めば舌を火傷し、タバコに火をつければマントが一緒に燃える具合。 しかし幹部だけあって腕は立つらしい。 そして子供嫌い。バッファローやベビー5、そしてローは日常的に暴力を振るわれていた。 そんな扱いもあって、コラソンを「生きてる価値のないクズ」として敵視したローにナイフで腹を刺されたが、何故かその事をドフラミンゴに報告しなかった。 以下ネタバレ ローがファミリーに加わって2年が経ったある時、ローが自分の隠し名である“D”をバッファローとベビー5の二人に明かすのを聞いたコラソンは 突然血相を変えローに語る。 隠し名“D”…それが本当なら出て行け ドフィから離れろ!! ロー、お前は…!!あいつと一緒にいちゃいけねぇ人間だ!!! 実は喋れる事が判明。 ローに対して自らの故郷であるマリージョアに伝わる“D”の伝承と、「“D”はまた必ず嵐を呼ぶ」という言葉を伝えた。 その正体は海軍本部の中佐。 ドンキホーテファミリーには密命を受けスパイとして潜入しており、彼らの位置を随時本部に報告していた。 ドフラミンゴに目の前で父を殺されたことで兄の凶暴性を危険視し、ドンキホーテファミリーを止めるために秘密裏に活動していたのである。 父の死後、兄の下から逃げ出し路頭に迷った際、当時海軍本部中将であったセンゴクに保護され、その養子になった。 センゴクとの関係は良好で、当のセンゴクが「あいつの事を本当の息子の様に思っていた」と言うなど、親子同然の関係を築いていた。 養父センゴクに影響されて海軍へ入隊したと思われる。 ちなみにコラソンがローに自分が喋れる事を明かしたのは、 “D”の名を持つローがドフラミンゴの側にいれば何をされるか分からないからという完全な善意。 要するに子供嫌いというのも嘘。単にイジワルをしてドフラミンゴの元を離れさせようとしていただけ。 特にローに対しては過去の自分達と重なる境遇や、残り少ない命と世界への憎悪から(ドフラミンゴと同じ)狂気に染まりつつある彼の行く末を心から心配している。 そして当然ドジも… じゃあまさか!!いつもバカみてぇにドジ踏んでるのも…!! ふふ。ーーーああ…当然…… 全部演技だ ボオォォォォ……!! 嘘つけ!!!肩燃えてるよ!!! ドジっ子なのは本当でした。 【能力】 悪魔の実の能力者であり、超人系悪魔の実「ナギナギの実」の無音人間。 攻撃力にも機動力にも直結しないためぶっちゃけ今まで登場した悪魔の実の中でもダントツに地味な能力だが、 能力を発動させれば壺を割ろうがバズーカをぶっ放そうが一切の音を発さず、また外からの音も内からの音も遮断させる事ができる。 潜入や暗殺、密談等の隠密行動、そして安眠においては相当に便利な能力でもある。 とはいえコラソンも地味な能力な事については自覚はあるのか、ローに「何の役に立つんだそんな能力」と言われた時にはグサリときていた。 …のだが、後にやたら「音」や「声」が重要になる能力・技が出てきており、発言したローもなんだかんだで「再現」し効果を見せるなど、 後々の展開で「音」に関する能力が出て来る度に、それを一方的に無力化できる事からその株も上がりつつある。 …今、「ハナハナ」「スケスケ」「ドアドア」「ギロギロ」などと同じくサンジ的な発想をした人は正直に名乗り出なさい。 まあ使い方の差はあるが、サンジ的想像の面にしても、上記能力に比べれば劣る気もする。 その一方、件のサンジは変身スーツを手に入れたため(*2)、もしナギナギの実を食べれば「見えない」「音がしない」と見聞色の覇気さえなければ覗き抜きで厄介極まりない存在に成り果てるのだが。 技 サイレント 周囲に内部からの音が外に一切漏れず、外からの音が内部には全く聞こえなくなるドーム状の不可視の結界「防音壁」を展開する。 ただし防音壁自体は物理強度は無いため誰でも自由に出入りできるし、姿も隠せる訳ではない。 あくまで音を消す為だけの結界だが、密談には最適の技。 凪(カーム) “お前の影響で出る音は全て消えるの術”だ! 自分が触れた人間が発するあらゆる音を消し去る。 例えば自分に触れて発動すると、その後どれだけ自分が叫ぼうが暴れようが一切その音は周囲には伝わらない。 大量の爆弾を用意して建物を吹き飛ばそうとも、「凪」の影響下の者がそれを行えば、傍から見れば音も無く突然建物が爆散したように見える。 アニメ版でもしっかり再現されており、「凪」発動中はBGM以外の一切のSEが聞こえなくなる演出が為された。 【活躍】 元々は聖地マリージョアで、ドンキホーテ・ホーミング聖の次男(天竜人)として生活していたが、父の考えにより、一家揃って、地上に降りて生活することになる。 しかし民衆から元天竜人であることがバレてしまい、一家揃って天竜人に憎悪を抱く民衆から家族揃って迫害を受ける事になってしまう。 凄まじい迫害の中、不衛生な環境で生活してした事が仇となり、母が病死してしまう。 その後、磔にされ処刑寸前まで追いつめられるという壮絶な経験をしながらも、同じく共に磔にされた兄・ドフラミンゴが覇王色の覇気を偶然放ったことで難を逃れる。 父・ホーミングの行動が結果的に、家族揃って地獄に追い込むことになってしまった事で、遂にドフラミンゴが激怒し、父親であるホーミング聖を殺害する事態が発生してしまう。 それでもロシナンテ自身はドフラミンゴと異なり、父親に恨みを抱くことはなく、最後まで兄・ドフラミンゴの父の殺害を必死で制止していた。それを躊躇なく振り切って父を殺害したドフラミンゴを見て、『優しい両親から何故あんなバケモノが生まれたのかわからない』と考えるようになり、恐怖心と警戒心を抱くようになる。 この一件で、兄の元から逃げ出す決意をして、露頭に迷っていた所、当時海軍本部中将であったセンゴクに保護される。 それからセンゴクに育てられ、海軍に入隊し、直属の部下になり、海軍本部中佐まで昇格する。 ドンキホーテファミリーの危険性を鑑みて、船長の弟であることを利用して、自ら志願し、兄・ドフラミンゴの暴走を止める為、ドンキホーテファミリーに潜入する。 その後、珀鉛病の中毒に冒され、自暴自棄になってドンキホーテファミリーに入団してきた少年時代のローに出会い、子供嫌いを装ってローに暴力を振るい、ファミリーから逃げ出すように仕向けていた為、当初のローからの印象は最悪だった。 ある日、ローがベビー5達との会話で、Dの名を持つ者だと知ると、血相を変えて、『お前はあいつ(ドフラミンゴ)と一緒にいちゃいけねえ人間だ』とローに警告し、ローに自身の事を語る。当初はローにドフラミンゴに自身の秘密をチクってやると言われたが、ローは「2年前に自分がコラソンを刺した事を黙っていてもらった借りがある」としてコラソンの秘密を口外しない事を決め、自身もドンキホーテファミリーから離れる決意をして、コラソンはローの「珀鉛病」を治すためにローを連れて医者探しの旅に出る。 しかし「珀鉛病」は世界政府の情報操作によって「不治の伝染病」ということになっていた(実際は「珀鉛」という架空の金属による中毒)ために、 行く先々でローは「ホワイトモンスター」と呼ばれ迫害され、その度に医者をコラソンがボコボコにし(兄ほどではないにしろ激昂しやすい面もあったのかもしれない)、ローを連れて次の医者を探しにいく…。 しかしそんな事を繰り返してもローと向き合ってくれる医者はおらず、あまりにも酷すぎる仕打ちにコラソンはローに対してこう嘆く。 あん時、お前おれを刺したけど…痛くもなかった…痛ェのはお前の方だったよな… 可哀想によぉ…ロー…!! しかしコラソンの純粋な善意はローの心を開き、ローが彼を「コラさん」と呼ぶきっかけになった。 ローの寿命のタイムリミットが近づき焦りを感じていたある時、2人はドフラミンゴからの情報で、海軍と海賊による「オペオペの実」の取引を知る。 この情報を得たコラソンは、ドフラミンゴを出し抜きオペオペの実を奪い取ってローに食べさせることで彼を救おうと考え、 ナギナギの実の能力を最大限に利用することで海賊からオペオペの実を奪い取ることに成功する。 しかしその途中でまたしてもドジを踏み、海賊たちに銃撃されて重傷を負ってしまう。 コラソンはローにオペオペの実を食わせて秘密文書(*3)を託し、海軍の元に向かわせる。 ローはその文書を海兵に渡し、コラソンの治療を頼み込んだ。それを海兵は受け入れ、共にコラソンの下に向かったのだが… その海兵とは、ドンキホーテファミリーの幹部、ヴェルゴだったのである。 この時までコラソンはヴェルゴが海軍に潜入していた事を知らず、ローにもヴェルゴに関して詳しい事を伝えてはいなかった事が仇になってしまった。(*4) 結果的に裏切りの決定的な証拠をヴェルゴに直接渡してしまうことになり、激怒したヴェルゴの手によって、コラソンとローはズタボロにされ、命からがら逃げ出したものの2人の裏切りを知ったドフラミンゴに島を鳥カゴで覆われてしまい、逃げ道を絶たれてしまう。 そしてコラソンはローに「凪」を使って宝箱の中に隠し、「自分が殺されることはない」と嘘をついてドフラミンゴと対峙。 …ローはお前にゃ従わねえぞドフィ 3年後に死ぬって“運命”にあいつは勝ったんだ…!!自分を見失い…“狂気の海賊”の元に迷い込んだあの日のローじゃねぇ 破壊の申し子の様なお前から得るものは何もない!! もう放っといてやれ!!!あいつは自由だ!!! その言葉と同時にドフラミンゴに銃撃され、次の瞬間には死んでいてもおかしくない程の傷を受けながら、 ローが逃げる時間を少しでも稼ぐために気合で命を保ち能力を維持。 (歩けロー。気付かれず…静かに…遠くへ…遠くへ…!!) (もうお前を縛るものは何もない…“白い町”の鉄の国境も…短かった寿命も、誰もお前を制限しない) (お前はもう自由なんだ………) そうしてコラソンは最後までローのことを想いながら息を引き取る。 彼が稼いだ時間がおつるの軍艦の到着を間に合わせ、 コラソンが力尽きた事で能力が解除され、辺りに響き渡るローの泣き声を砲撃の音が隠して逃げ延びさせた。 コラソンが死亡した報告を知らされたセンゴクは涙を流しその死を悼んだ。 その後、ローはドフラミンゴを止め、コラさんの本懐を遂げるために行動を始めた。 自分が自由になれる事を願ってくれた人の想いを遂げるために。全てにケジメをつけ、真に自由になるために。 彼が結成した「ハートの海賊団」もコラさんに由来している(コラソンはスペイン語で心臓やハートを意味している)。 また彼のタトゥーもコラさんへの想いが込められたものとなっている。 ドフラミンゴ討伐後、ローがセンゴクに対し、彼の任務から離れた後の行動を伝えた。 センゴクはロシナンテ生涯唯一の命令違反を許し、ローを捕まえず、 ロシナンテの思い出を唯一共有するローに、ロシナンテがDの一族とは関係なく純粋な好意でローを守り抜いたことを伝え、2人でロシナンテを忘れないでいることを誓った。 【余談】 出番はローの過去編やセンゴクの回想のみと多くはない中、キャラ設定の濃さやアニメでの山寺氏のキャスティングも相まって、キャラ人気はかなり高い上にグッズ化の機会にも恵まれている。本編では故人であるため、当然、主人公のルフィをはじめとしたメインキャラとの絡みは皆無の中、2021年に行われた全世界人気投票では13位となり、記念の見開き扉絵でローと共演を果たした。過去キャラでは初の快挙。 スピンオフの『ワンピースパーティー』でもローの回想などで度々登場するがオカン気質だったり何故かローに相撲を教えていたりする。 名前の由来は小説『ドン・キホーテ』の主人公が乗る馬「ロシナンテ」。 追記・修正は静かにお願いします…… てなわけでサイレントしておきますね △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] コメント欄が長くなってきたのでリセットしました -- 名無しさん (2017-02-28 21 45 12) 前回は時期が悪かったが今回の人気投票はどこまでいくのだろうか -- 名無しさん (2017-05-15 22 16 42) 何となくジョジョ5部のリゾット・ネエロに似てる気がする。被り物が。 -- 名無しさん (2018-05-16 20 51 13) 最期の死に様は5部のプロシュート兄貴に似てるよね -- 名無しさん (2018-05-19 01 55 03) スケスケの能力者と組めば凶悪だな。いつか無臭を扱う能力者が現れたら「見えない、静か、匂わない」地味ながら最凶の戦力になりうる -- 名無しさん (2018-06-26 00 32 35) ↑でもばれるやつには覇気でばれそうな気も -- 名無しさん (2018-08-08 12 24 46) ナギナギの現在の保有者がきになる -- 名無しさん (2018-10-29 05 09 47) 暴力ふるってたのはやっぱり子供をファミリーから抜けさせるためかな。 -- 名無しさん (2019-01-28 08 23 51) 四皇にも海軍のスパイって潜り込んでそうだな -- 名無しさん (2019-03-14 19 23 17) ↑多分だけどドレークやクザンは十中八九海軍のスパイだと思う。シャンクスは分からないけど少なくとも世界政府となんらかの繋がりがあるのは確実 -- 名無しさん (2019-03-19 03 15 56) 四皇にスパイはいるのか→シャンクスは政府と繋がりがある……スパイじゃなくて四皇本人のマッチポンプで草 -- 名無しさん (2019-03-19 10 43 34) ワンピース世界の海軍って戦死したら二階級特進とかあるのかな? -- 名無しさん (2019-04-24 00 28 31) 超音波や骨伝導も防げるんかな -- 名無しさん (2020-11-18 20 55 29) 先日アニメのクイズで海軍所属は誰だ?って問題があってこの人を選択したら誤答扱いされた -- 名無しさん (2020-11-18 21 02 17) もしも覚醒したらナギナギの力ってどう作用するのか。周囲への作用も個人への作用も既にできるし。 -- 名無しさん (2021-01-05 15 46 27) ↑ガシャガシャあたりを見るに元々周囲を対象とする能力が覚醒すると効果範囲が大きく広がる。だからナギナギも覚醒したら島ひとつまるまる無音にしたらできると思う -- 名無しさん (2021-01-14 13 23 07) 何の役に立つんだ?って言われたナギナギの実が、最後にローを救うってのが泣ける。 -- 名無しさん (2021-10-30 08 36 45) ↑3『波動』全般に効果が適用されるとか? そうなるとグラグラやピカピカにも刺さりそう -- 名無しさん (2021-11-15 16 42 56) 何年もワンピース読んでて初めてガチで泣いたのがコラさん活躍回でした -- 名無しさん (2022-03-10 10 21 10) ローがビッグマムとの闘いで使った凪がコラさんの凪から来てるんだとなると感慨深いし命をかけて守った子はめっちゃ成長したんだよとなる -- 名無しさん (2022-06-28 22 31 24) 劇場版ボスのエルドラゴには強気に戦えるな…能力的に。 -- 名無しさん (2022-07-31 13 28 03) 音属性でヤバい奴が出てるく度に株が上がるナギナギの実 -- 名無しさん (2022-08-15 16 52 14) ある考察と先週号の中の台詞でコラソンさん生存説が浮上しているらしい....!? -- 名無しさん (2022-08-15 17 49 54) ビッグマムにトドメを刺す際に、かつての恩人の技を使うシーン、メッチャ感慨深いものがあるなぁ -- 名無しさん (2023-02-17 19 35 32) 本編開始以前にドフラミンゴに殺されたけど、自身の素性が公に明かされる事なく人間らしい人生を過ごせたロシナンテはある意味「運が良かった」と思う -- 名無しさん (2023-06-15 23 22 19) トキトキの実もだけど作中で出てきた能力者が本編開始時点で故人なら新しく能力者が出てきてもおかしくはないが最終章言ってるしそんな余裕ないか -- 名無しさん (2024-01-10 04 37 16) 名前 コメント