約 2,510,512 件
https://w.atwiki.jp/ranoberowa/pages/491.html
第537話:No Mercy 2:King's Howling(後編) 作:◆l8jfhXC/BA 「もう一度、言ってあげるわ」 荒い息を抑え、ダナティアはパイフウへと声を投げる。 彼女の脇腹は“運命”に浅く貫かれ、加えてその身体を空気の檻が拘束している。 ベルガーは重傷を負い、メフィストも未だ壁にもたれたままだ。ダナティア自身もかなりきつい。 まともに動けるのは終のみという状態だが、それでも彼女の命は完全にこちらが握っていた。 「あたくしは、あたくしの道を遮るものを許さない。障害は踏み潰して突き進むわ」 もはや裏の意図もない率直な言葉を、彼女に向かって告げる。 「これでもまだ、あなたが主催者側につくというのなら」 「あたくしがあなたを殺すわ」 「それは困るんじゃないですか?」 唐突に挟まれた緊張感のない声に、思わず息を呑んで振り向いた。 そこにいたのは、パイフウの同行者の古泉だった。何をするでもなく、ただ部屋の隅に立っている。 戦闘能力がなく、素性が明らかな彼が援護に回ることはないだろうと、彼にはほとんど注意を払っていなかった。 「ダナティアさんが殺すのは、止めた方がいいと思いますよ」 「……どういう意味かしら」 「簡単なことです。どうせ同じことなら、より溜飲を下げる方法を取った方がいいかと思いまして」 もったいぶった言い方に、わずかな苛立ちを覚える。 時間稼ぎを疑ったが、彼にもパイフウにもこれ以上抗う術はないはずだ。 と、よく見ればその左手には、没収して近くに置いていた彼の荷物があった。しかしそばにあったはずのナイフはどこにもない。 「何が言いたいんだよ!」 「あなたは、“終くん”ですよね?」 「……だからなんだよ!」 奇妙な質問に、終が声を荒げる。 まるで誰かの口調を真似るような言い方だった。 そんな呼び方をするのは、ここではメフィストか保胤だけだが、わざわざ似せる理由がわからない。 (……ちょっと待って) ふと、何かが引っかかった。 二人以外の別の誰かが、そんな呼び方をしていた気がした。 おぼろげな記憶に残っているのは、見知らぬ女の声。 「やはり“終くん”でしたか。ならばやはり、ご自分でやった方がいいと思いますよ」 「何をだよ!」 「もちろん、仇討ちです」 「な……」 当然のように言い返す古泉に、終が絶句する。 その瞬間、ダナティアの疑問は氷解した。 『いや…やめて…こないで…始さん…聞こえているんでしょう? なんできてくれないのよお! 始さんっ! 続さん! 終くん! 余くんっ!』 「仇討ちって、誰の……」 「それはもちろん」 「やめなさい!」 最悪の符合に気づいて割り込むが、パイフウの拘束に割かれて魔術は使えない。 ただの叫びを気にも留めず、古泉はあっさりと事実を告げた。 「午前にここで放送をかけた、あなたの仲間です」 「なんだって……?」 こぼれた言葉は、ダナティア達以上に愕然としていた。 肩を震わせながら、ゆっくりとパイフウの方へと視線を向ける。 「あんたが、茉理ちゃんを……?」 「落ち着け終!」 その表情が驚愕から憤怒に変わるのは、ものの数秒もかからなかった。 しかし糾弾された当人はやはり平然としたまま、肯定も否定もせずに黙り込んでいる。 その反応にますます怒りを強め、終はパイフウへと歩み寄る。 「終……!?」 そこから先の変化は劇的だった。 彼の露出した部分の肌が真珠色に輝き、爬虫類のそれに変わっていく。 憎悪に近い怒気が溢れ出し、人のものではない瞳孔がパイフウを射抜く。 (こんなときに……!) 終の正体は当人から聞いていた。 兄の死を告げられた直後、数時間意識を失い、その力が暴走していたことも知らされていた。 今の彼の状態は、まさにその再現だ。 「茉理ちゃんを、あんな風に……!」 絞り出すように呟くと、終は勢いよく床を蹴った。 直後、人外の咆哮が部屋中に響き渡った。 《運命は暴走を許さない》 その叫びをかき消すように、ふたたび虚空から声が発された。 ベルガーの手首がひねられ、パイフウの脇腹にあった長い黒刃が、彼女と終の間の床から天井を一気に走った。 “接近”という運命を斬られ、終の軌道が外れる。 しかし、それだけだった。 すれ違って数歩走ると、即座に彼は反転する。一層勢いをまして、パイフウの元へと駆けた。 その結果に歯噛みするベルガーに、しかし“運命”はそれ以上答えなかった。 竜王を一時的にでも妨げた刃は、跡形もなく消えていた。 精燃槽を再装填する暇はない。もはや彼らの間に障害は存在しなかった。 このままいけば、回避できずにパイフウは死ぬ。 (……いけない!) 確かにダナティアは、パイフウの態度が変わらなければ本当に殺すつもりだった。 結果から見れば同じだろう。しかし、意味は大きく違う。 復讐で繋がる恨みの連鎖こそ、ダナティアが一番止めたいものだ。 彼をこんな形で、殺人者にしてはいけない。 「……っ!」 一瞬の逡巡の後、ダナティアはパイフウの拘束を解いた。 突然の解放に体勢を崩しながらも、彼女は肉薄する終を横に転がってかわす。 彼の全力の一撃は、壁にめり込んで終わった。 確実に当たるはずだった攻撃がはずれ、その表情に驚愕が浮かぶ。 鱗の輝きが徐々に収まっていく中、ゆっくりとこちらに視線を向けた。 「…………」 そこには、復讐を阻止された恨みの感情はなかった。 助けを求める手をはたかれた子供のような、ひどく悲しそうな視線がダナティアを射抜いていた。 「おい、何を──!」 ゆえに、すべての原因である少年から、完全に注意がそれていた。 振り向いたときには、古泉がポケットから出した何かを投げた後だった。 (あれは……?) 風でさらう暇もなく、ただ思考を走らせることしかできない。 それは、ベルガーの持っていた精燃槽によく似ていた。 放物線を描いて飛ぶそれの一方の端には、短く切られた針金がついている。 落ちる先には誰もいない。ただ、他とは離して置かれていたベルガーのデイパックがあるだけだ。 ──開いた口から弾薬の山が見える、デイパックが。 「……!」 その意図を理解したときには遅かった。 ばち、と音がした刹那、デイパックから閃光が煌めき、耳を突き破らんばかりの爆音が響いた。 「この──!」 膨大な熱量が迫る瞬間、ダナティアは左手を伸ばし、力の限りの魔術を放った。 灼熱が仲間に届く前に、周囲の風の精霊を逃がして真空状態にし、勢いを殺す。 消火はダナティアの得手だ。普段ならばこれほどの勢いでも数秒で消せる。 そう、普段ならば。 (ぐぅっ……) 思い通りに働かない魔術に歯噛みしながら、耐える。 杖の不所持。能力制限。疲労。失血。腕の痛み。 積み重なった不利な条件が負担になり、文字通り身を削っていく。 (……それでも、あたくしだけの犠牲で助けられるのなら安いものよ!) 手の届くすべてを救い出す。そのためならば、自分の命などいくらでも支払える。 爆風と逃がした空気の衝撃に、誰かがうめく声が聞こえた。時間をかけてはいられない。 ──言葉の持つ力を高めなさい。 一番最初に師からもらった助言を噛みしめ、叫んだ。 「道をお開けっ!!」 意志と魔力をこめた声が、爆音を遮るように響き渡った。 声に押されたように急激に炎が縮まると、やがて爆発は収まった。 後にはただ、視界を塞ぐ熱と煙だけが残った。 (よかった……) 呟きは声にならず、ただ大きな息が漏れた。 目がかすんでいる。意識は間もなく途切れるだろう。 それでもまだ生きていられると、ダナティアは確信していた。 ここにいる彼らならば、きっと助けてくれる。 心から安堵したまま、前方へと身体が崩れ落ちる。視界に床が迫り、 突然それが天井に変わった。 (え……) やはり声は出せず、短い吐息だけが漏れた。 何が起きたのかわからない。ただ、身体が何かに抱えられている感覚だけを理解する。 「貴様──」 アラストールの声だけが、何か切羽詰まった状況を知らせていた。 それに抗うことはもはや出来なかった。ただ緩慢に、先を見つめる。 上を向いていた視界は瞬く間に下がり、黒い壁が眼前に迫る。 (……黒?) 新たな疑問が浮かんだ直後。 ガラスの割れる鋭い音と共に、ダナティアの身体は夜の空気に投げ出されていた。 「──ぐぅぅっ!」 マンション下の緑地に叩きつけられ、それでも勢いを殺せず芝生の上を転がった。 その衝撃と痛みに、ダナティアの意識は強制的に覚醒された。 「……!」 少し遅れて落ちてきた二人組を見て、初めて投げ落とされたと理解できた。 古泉を抱きかかえたままきれいに着地を決めたパイフウは、こちらに目もくれずに夜の闇へと消えていく。 「皇女!」 ペンダントから焦燥に満ちた声が響く。 喘ぎながら芝生を握りしめて意志を示すと、今度はわずかな安堵が漏れた。 まだ大丈夫だ。まだ死なない。まだ死ねるものか。 待機側で起こった出来事を解決しなければならない。 逃げた二人を追わなければならない。 終の心を救わなければならない。いや、彼だけでなく、手の届くすべての者達を。 歯を食いしばって、生き抜く意地だけで這い上がる。 と。 「ねえ」 ダナティアでも、アラストールのものでもない声が響いた。 ざっ、と芝生を踏み進む音がする。 視線を上げると、こちらに歩いてくる人影があった。 マンションの明かりに照らされて見えるのは、短い茶髪にマントを羽織り──全身を血で濡らし、左眼が白く染まった少女の姿。 「……ぁ」 パイフウの姿が消えた直後、外を透視したときに見かけた少女だった。 その時はまだ、マンションからある程度離れた場所にいたのだが、明かりを頼りにここまで歩いてきたらしい。 ──先程の爆発を恐れもせずに。 「あなた、さっきの放送をかけた人?」 ある程度近づくと、彼女は足を止めて問いかけてきた。 明らかに瀕死のダナティアを見ても驚きもしない。ただ疑問に対しての応答を、じっと待っている。 不審を抱きながらも、ダナティアは首を縦に振って答えた。 「よかった。あたし、伝えたいことがあってここに来たの」 少女は微笑みを浮かべた。 そして諭すように、どこか嬉しそうに語り出す。 「ルールなんてないの。 もしかしたらあったかもしれないし、さっきあなたが言った瞬間に生まれたのかもしれないけど、ないのと同じなの。 どんなに頑張っても、全部無駄になっちゃう」 笑んだまま、一息ついて、 「だって、あたしが全部壊すから」 同時に何かが虚空から放たれ、ダナティアの首に巻き付いた。 「貴様は、パイフウが言っていた……」 眼前に張られた銀の糸を見て、アラストールが代弁する。 それはメフィストの診察時にパイフウが述べた、自らに大怪我を負わせた少女の能力だった。今思えば、特徴もまったく同じだ。 だがその力よりも、ダナティアは彼女自体に寒気を感じていた。 その話し方は、まるで── 「あなたは、何?」 「え?」 会話を終わらせまいと、頭に浮かんだ問いを放った。 質問を受けた少女は不思議な顔をした。小首をかしげて眉根を寄せ、考え込む。 その隙に、文字通り力を振り絞って魔術を練る。 こんな状態でも確実に成功できる、使い慣れた転移の術を。 痛みに耐えて土を掻き、最後に見た黒煙混じりの光景を強く思い浮かべ、 「教えてあげない」 素っ気ない拒絶が、その意志を捻り切った。 叫ぶ男の声をかき消すように、ねじ切れた女の首から大量の血液が噴き出した。 脚にかかったそれを不快に思いながらも、フリウは死体へとゆっくりと近づく。 止め処なく溢れる鮮血の中から、声を響かせ続けるペンダントを見つけると、それにも念糸を伸ばす。 「貴様──っ」 しかし意志を込めたところで、全身に痛みを覚えて咄嗟にほどいた。 精霊相手に使ったときのような、強い抵抗。 どうやらこのペンダントの中には、それに類する力が働いているらしい。 (……いいや、どうせ後で壊れるし) すぐに思考を打ち切ると、フリウは死体に背を向ける。 声はまだ聞こえていたが、すべて無視する。 新たに眼前に映ったのは、かなりの高さを誇る、五棟の建造物。 うち一棟を見据えて、フリウは開門式を唱えだした。 嬉々として、唄うように。 ○ (まったく……ここでなら少しはゆっくり休めると思ったのになぁ) 部屋の隅で、臨也は胸中で溜め息をついていた。 一連の騒動が終わった待機側の一室は、未だに重い空気に包まれていた。 騒乱の原因の少女は、あの直後に正面の窓から飛び降りて既にいないが、彼女の爪痕はあまりにも大きすぎた。 何かを延々と呟き続ける千絵と、それを宥めながら携帯でずっと連絡を試みる保胤。 先程音信不通にしびれを切らしたリナは、様子を見るために武器だけ持って、地下経由でダナティア達のマンションへと向かっていた。 そして足下には、横たえられた二つの死体。 (……あーあ。まさかあんなにあっさりやられるなんてなぁ。君まで予想を裏切らなくたっていいのに) その一方──影を失った肌をシーツで隠されたセルティの方をみて、今度は本当に息を吐く。 彼女が過剰な疑念を持った末に死んでしまったことは、臨也にとって大きな損失だった。 互いの性質をよく理解しているため、彼女が行動の障害になる可能性は確かにあった。 だがそれを差し引いても、状況によっては全幅の信頼が置ける、付き合いの長い人間を失ったことは痛すぎる。 (セルティの心理状態を甘く見た俺のミスが大きいけど、元はと言えば……くそ、なんで死んでも俺を煩わせるかなあいつは) 静雄の疑念を利用してセルティを扱いやすくしたつもりが、逆に死に至らしめてしまった。 死体になっていようが、彼に関わるとろくなことがないのは変わらないらしい。 彼の死亡により生まれていた高揚感は、今では苛立ちに変わっていた。 (まぁ、慶滋保胤への対抗策は、一応残ってるけどさ) もう一方の死体──藤堂志摩子の方へと視線を向ける。 彼女も身体をシーツで覆われ、苦悶の表情はハンカチで隠されていた。 (めった差しにされた上に最後にあんなもん飲まされたんだから、苦しかったろうねぇ) 疑心暗鬼の末に殺された少女には、若干の哀れみがあった。 止めを刺したのは、他でもない臨也自身だったが。 あの時“不死の酒”と聞いて、臨也は咄嗟に自分のデイパックに入っていた“酒”──アルコール度数九十六度のウォッカ、スピリタスを転がしていた。 取り出した際には、保胤の注意は完全に志摩子に向いていた。 そして焦燥に駆られる彼に、よく似た形の酒瓶のラベルを確かめる余裕などない。 もちろん彼女が苦しみ出して、彼が酒に疑問を持てばすぐに発覚するだろう。 ゆえに、コート下に“本物”を忍ばせて近づき、注意が向く前に“偽物”を回収、“本物”と持ち替えた。 (“不死の酒”なんて言う貴重なもの、ただの足手まといに使えるわけないじゃないか) 彼の言からすれば、相当な大怪我でも治せてしまうものなのだろう。 ならばもっと有力な人材に使うべきだと考え、咄嗟に入れ替えを思いついた。 唯一の懸念材料は保胤の霊能力だったが、いくら幽霊になっても失血と高アルコールに苦しむ最中の出来事など説明できないと踏んでいた。 この結果とシャナの情報をうまく利用できれば、うまく彼を追いつめられるだろう。 後者のために、セルティとの静雄関連の筆談に使った紙も回収してあった。 もちろん、今回の失敗をふまえてより慎重に立ち回るべきだが。 (……でも、この集団自体雲行きが怪しそうなんだよねぇ) ダナティア達のいるマンションから爆音が響いたのは、リナが出ていった直後だった。 万全の戦力を集めた“舞台”があの程度で沈むとは思えなかったが、何か不穏な事態が起こったのは確かだろう。 (牽制は無意味だったみたいだね。元からあまり期待してなかったけど) 情報交換の際、訪問者の片割れである古泉一樹に対して、互いに手を汚す覚悟があることを言外に伝えていた。 彼は臨也が公民館にいたことに反応し、自分も訪れたことを発言した。 しかし、その場所──死体が六つもある状況については一切触れなかった。 その示唆に対し、臨也がナイフ──“あえて放置した”ナイフを“置き忘れた”と言い替えることで返しても、彼は何ら不審を示さなかった。 死体に刺さっているナイフを、“置き”忘れたとは絶対に言わないにもかかわらず。 それをふまえて、集団に手を出さないようそれとなく釘を打っておいたのだが、どうやら無駄だったらしい。 このことがダナティア側にばらされてなければいいのだが。 (相方ともども、電話越しに伝えられた情報は覚えてる。 ……まぁ、再会しても、その時の状況次第では水に流すことも必要だね) あくまで柔軟に対応しなければ、この島では生き残れない。場合によっては組むことも考慮に入れるべきだ。 (既にこっちは二人減ってる。あっちに起きたこと次第では、逃げることも考えた方がいいかもね。 ……確かに面白いことになってきたけど、もう少し平穏に行きたいなぁ。何せ自分の命がかかってるし) カーテンをわずかにめくって見えた黒煙は、未だに不穏の象徴のように湧き上がっていた。 ○ 市街地北の林の中で、茉衣子は身を縮めて潜伏していた。 緑地へと飛び降りた後慣れない衝撃に数分はうずくまっていたが、幸い追手は来ず、怪我もしなかった。 そして用事を済ませた後に、ここまで逃げて来た。 ひとまずは休息を兼ねて放送を待ち、次の禁止エリアの情報を掴むつもりだった。 『しかし……本当によかったのか?』 「何がでしょう」 ぼんやりとしていると、首にかけ直したエンブリオから声が響いた。 『あんなことして出ていってよ。 オレはずっと雑談してたが、あいつらがあの女の仲間だとはまったく思えなかったぞ』 「あの騎士のことを知っていて、しかも弁護していたのです。間違いありません。 おまけにあんな、班長の……っ」 『あの男……いや女か? は単にああいう種族なんじゃねえか? オレと普通に筆談出来てたぞ』 「筆談出来るくらいが何だというのですか? わたくしに嘘を伝えて隙を作った男だって、とても穏やかな方だったじゃないですか」 (そう、あんな言葉……嘘に決まっています) 動揺した瞬間にあの首無しが来たことから、時間稼ぎの嘘だったことは確信していた。 元々あの女の下僕なのだ。信用できるわけがない。 そう強く自分に言い聞かせ、手元にある口の開いたデイパックに視線を移す。 (……班長が前言を翻すことなんて、ありえませんものね?) 見慣れた頭部が返事をすることはなかったが、そこにあるだけで安心できた。 緑地へと飛び降りたのは、宮野の遺体を掘り返すためというのもあった。 あの女の仲間の近くに、彼を埋葬しておくなど我慢出来なかった。 しかし全身を掘り起こす余裕はないため、切り離された頭部だけを回収していた。 安心して埋葬できるところは、この先見つかりそうにない。このまま持っているしかないだろう。 デイパックは、眼前に転がる死体のそばにあったものだ。 さすがに抱きかかえたままでは動きづらかったので、ちょうどよかった。 (食料も残っていましたし、抵抗できる武器も手元にあります。生き延びられる時間が増えました) 同じくそばにあったスタンロッドらしきものはデイパックに収めてあり、さらに先程の短剣を右手に握っている。 後者は首無しの化け物すら屠れた代物だ。切れ味が非常によく、何より軽くて使いやすい。 先程の無力な状態よりも、生存の可能性がはるかに高くなっていた。 (……これを使えば、帰れる?) 諦めたはずの夢物語にも、わずかな希望が見えてきた。 もちろんそれを叶えるには、不必要な殺人に手を染めなければならないが── 『もしかしてお前、誰も信じられないから皆殺しにするつもりなのか?』 「……出来るわけないでしょう」 突然思考を指摘され、わずかに言い淀む。 精神を自在に操れる者の暗躍を知った今では、とても赤の他人を信用する気にはなれなかった。 確実に信頼できるのは自分自身。 それと、喋ることしかできず、操っても意味がないエンブリオだけだ。 「信用できるかどうかは、実際に会ってから判断します。彼らが敵なのは明確でした。 ……それにしても、先程からあなたにしては妙に絡んできますね」 『ラジオの旦那ほどじゃねえが、オレにも情ってもんぐらいあるからな。 ……目の前で破滅されんのは寝覚めが悪いんだよ』 「…………」 意外な言葉に、二の句が継げなくなる。 言い方はどうであれ、気を遣われるのには慣れていない。 だからあの少女にあんなことを言われたとき、心を許しそうになってしまった。 彼女には、日頃若菜に対して感じているものと似た、暖かさがあった気がした。 (でも、そんな方でさえあの女の人形になっているんです。もう二度と油断はしません) 「……あなたの考えがどうであろうと、判断するのはわたくしです。 いちいち口を挟む必要はありません」 『あー、そうかい。ならいっそ、早く消した方が静かになるんじゃねえか?』 「あなたは誰にも殺させません」 数時間前と同じように即答し、しかし少し考えて言葉を加える。 「でももし、またあなたがあの女の手に渡りそうになったのなら……そのときは、わたくしがあなたを殺します」 『……そりゃ楽しみだ』 呆れが混じった声を最後に、十字架は喋るのを止めた。 途端に、周囲が沈黙に包まれる。木々の音だけがやけに大きく耳に響いた。 一人だけこの世界に取り残されたような錯覚を覚え、茉衣子は強くデイパックを抱いた。 血が染みついた生乾きの布地が肌に張り付いて、ひどく寒かった。 ○ 時間を稼ぐためにダナティアを投げ落とし、自らも飛び降りた後、パイフウは西にあった長い石段の前まで逃亡していた。 そこで抱えていた古泉を下ろすと、彼のデイパックからナイフを取り出し、石段に座り込む。 右脚に念入りに気を当て、埋め込まれた針金を探ると、そのナイフで躊躇無く抉り出した。 痛みはあるがそれだけだ。思いを巡らせる余裕さえある。 (迷いが取れても、あれだけ苦戦するなんて最悪ね) “以前の仕事”でよく使っていた発勁は、やはりかなり制限されていた。 微妙な力加減が不可能なため、以前のように心臓麻痺を狙うことも出来ない。殺気を消せないのも痛すぎる。 思ったよりも消耗が激しかったこともあり、結局一度しか使わなかった。 (それでも、ほのちゃんのために……いえ、結局はわたし自身のためなんでしょうね) ダナティアに宣言したとおり、確かに彼女に背負わせたくないというのもあった。 だがそれ以上に、彼女に自分の殺人を知られるのが怖かった。 過去に二度、火乃香はパイフウのために人を殺していた。どちらの時も、彼女は泣いていた。 二度目のときには、本当にどうすればいいかわからなかった。文字通り彼女に合わせる顔がなかった。 それが逆の立場になれば、火乃香はどう思うか。 きっと、その二度以上に強い感情を抱くだろう。どんな感情かは想像できなかった。したくなかった。 (それでもわたしは……あの子を、エンポリウムを取り戻したい。あの子に、知られる前に) 動揺は内心だけに抑え、淡々と作業を続ける。 両腕からも針金を抜き出すと、気で二つに断ち切った後、西の森辺りに投げ捨てた。 次に外套の下に羽織っていたジャケットを脱いで、ナイフで切り裂く。 細く裂いたそれを、抉った部分と脇腹の怪我に縛って止血した。 どれもそれほど深い怪我ではない。気を練ればすぐに治る。 これとは別に両腕の骨に若干ヒビが入っていたが、同じだ。 最後に穴が空いてしまった外套の動作を確認するが、迷彩は起動しなかった。 再起動に必要な十分が経っていないためか、穴のため使用不能になったのかは今のところ不明だ。 どちらにしろ血痕がついてしまっているため、使う機会は限られる。 なにより、起動までの十分を稼ぐのが面倒だ。 それさえなければ、あの時紙を破り捨てて注意を引き、心情を吐露する必要など無かった。 しかし、防刃と防弾、加えて耐熱の機能は役に立つだろう。 結局、怪我の上からふたたび着込んだ。フードだけは邪魔なので垂らしておく。 すべての行程を手際よく終わらせると、横から手を叩く音が聞こえた。 「さすがですね。文字通り僕とは住む世界が違うようです」 称賛の言葉を放つ古泉の表情は、マンションに入る前と変わらぬ爽やかな笑みだった。 あの放送が終了した直後から、マンションへ行くことは決めていた。 彼には特に何も話すつもりはなかったのだが──同じ場所で行われた、十一時の放送のことをぽつりと呟いたのがまずかった。 (いえ、今となっては、幸運と言えるんでしょうね) 彼にその情報が伝わっていなければ、今パイフウはここに立っていない。 どうやら彼は、あの男女の放送をまったく聞いていなかったらしい。 しつこく食い下がるのが鬱陶しかったので、適当にその内容と、自分がその二人を殺害したことを告げてやると、彼はわずかに驚いた。 古泉とまともに会話をしたのは、その放送のことくらいだ。無論管理者のことなど話してない。 後は潜伏状態から殺戮に移る際の合図を“やれやれ”にすることを彼が一方的に告げ、実際そうなってしまったが、了承した覚えはない。 一方的と言えば、機転の後の行動もそうだ。 (あの状況であんなものを投げられたときには、一瞬自棄になったのかとも思ったけど) 彼が弾薬の詰まったデイパックに向かって投げたのは、片方の端子に針金を繋いだ、支給品の懐中電灯に取り付けられていた乾電池だった。 金属に端子が強く擦られ、さらに針金で金属越しに両端子が繋がれば、ショートして過大な電流がそれに流れ込む。 不自然に膨らんだ──懐中電灯などに逆装填して、発熱するまで過充電したらしいものならばなおさらだ。 ──金属である弾薬の薬莢を利用して、内部の火薬を爆発させ、それをあえて防がせることによって隙をつくる。 今思えばそのような作戦だったのだろう。もちろん事前説明などない。 銃弾を何度も防いだ技術があるのは放送で確実なため、今思い返せばそれほど無謀な策ではなかった。 あの状況でならば、賭ける価値は確かにある。 (自分を殺そうとした人間に協力を持ちかける無謀に見合う、度胸と頭はあるってことね) 文字通りの“暗殺”が行いにくいこの場では、彼のような見た目無害な人間がそばにいた方が楽かもしれない。 そう考えたことも、彼を助けた理由の一つだった。 ただし、あくまで一つだ。 「ところで、一つ疑問があるのですが、お聞きしてもいいですか?」 黙り込んだまま座っていると、ふたたび声が掛けられた。 特に答えずにいると、それを肯定と取ったらしく言葉を続ける。 「なぜあなたは僕を助けたんですか?」 「なぜあなたはわたしを助けたの?」 予想していた質問に、即座に質問で答えを返した。 その答えを知りたかったというのが、古泉の問いに対する一番の答えだった。 ただ単に、なぜあんな状況で自分の側についたのかが気になった。言うなれば気まぐれの割合が多い。 問い返された彼は、わずかに驚きを見せて黙り込んだ後──郷愁のような感情をわずかに含ませて、ぽつりと呟いた。 「共感したものですから」 「え?」 意外すぎる言葉に、あっけにとられる。 咄嗟に何に、と聞こうとして、 「まぁもちろん、あなたのように割り切っている方のほうが利用しやすそうというような利己的判断や、 大人数は何かと問題が多そうだからという消去法的な判断もあるかもしれませんがね?」 「…………」 爽やかな笑みを浮かべたまま、そんな言葉が加えられた。 先程とは別の意味で唖然とし、今度はすぐに気を取り直すとすと、嫌なものを払うように髪をかき分けた。 彼の言葉は、考えるだけ無駄だ。 「……あんな風に助けるのは今回だけよ。男を抱きかかえるなんて二度としたくないわ」 「ということは、“あんな風”でなければ今後も助けて下さるのですか?」 「揚げ足を取ったところでわたしの感情は変わらないわ。男はみんな嫌いなの」 「……心に留めておきます」 一方的に告げても、帰ってきたのは苦笑だけだった。 「少し休んだ後、零時の放送が終わったら動くわ」 「怪我の方は大丈夫なんですか?」 「そのうち治るからどうでもいいわ。狙撃くらいは出来るもの」 「あのマンション自体もそうですが、どこかにいるもう一方の集団にも立ち寄らない方がいいですよ」 「言われなくても、もうあの同盟には関わりたくないわ」 矢継ぎ早に紡がれる言葉に、短く淡々と答えを返す。 行動を共にしてまだ短いが、彼は無視した方がうるさくなることを既に理解していた。 適当にあしらうと強制的に会話を打ち切るために、立ち上がって行動で示し、 「……!」 「? 何か……!」 見回した視界に、嫌と言うほど見てきた白い影が映った。 逃げてきた市街地の中心、すべての明かりが灯ったマンションの隣に、音もなくそれは現れていた。 「どうやら僕達は、かなりタイミングがよかったようですね」 「……行動を変更するわ。ここであれから逃げてきた人間を狙撃する」 一瞬強張った身体を振り切るように、彼の荷物からライフルを引き抜いて歩き出す。 「視界と足場が……いえ、あなたには杞憂でしたね」 彼の言葉を最後まで聞かずに、石段を登り始めた。 歩くたびに刃で抉った脚が痛んだが、いくらでも我慢できる。 (わたしは、あれと同じものにならなければならない) もう一度白銀の塊を振り返り、改めて決意する。 すべての行動を殺人のみに帰結させなければ、火乃香を守ることは出来ない。彼女に再会することも諦めた方がいいだろう。 ただ脳裏に浮かんだ彼女の笑顔を強く心に刻んで、パイフウは眼前の闇を踏み締めた。 そして、破壊の王の咆哮が、市街地全域に響き渡った。 【117 ダナティア・アリール・アンクルージュ 死亡】 【残り 49人】 【C-6/マンション2・2F室内/1日目・23 30】 【大集団/舞台組】 【ダウゲ・ベルガー】 [状態]:右肺損傷(一応傷は塞がったが、激しい運動は不可能) [装備]:強臓式武剣“運命”(ゲレーゲンハイト)、単二式精燃槽(フロギストンタンク)(残り四つ)、黒い卵(天人の緊急避難装置) [道具]:なし [思考]:現状の把握を最優先。シャナを助けたいが…… [備考]:天人の緊急避難装置:所持者の身に危険が及ぶと、最も近い親類の所へと転移させる。 【Dr メフィスト】 [状態]:物語に感染 [装備]:支給品不明、針金 [道具]:デイパック(支給品一式・パン5食分・水1700ml) [思考]:現状の把握を最優先。病める人々の治療(見込みなしは安楽死) 【竜堂終】 [状態]:激しい動揺 [装備]:なし [道具]:なし [思考]:不明 ※黒煙が部屋に充満しています。 コンバットナイフ、騎士剣“紅蓮”、鈍ら刀、PSG-1(残弾20)、メガホン ダナティアのデイパック(支給品一式・パン4食分・水1000ml) が、部屋の隅にあります。 携帯電話(呼び出し中)が机の上に置かれています。 【C-6/マンション1・2F室内/1日目・23 30】 【大集団/待機組】 【慶滋保胤】 [状態]:かなりの精神的ダメージ。不死化(不完全) ボロボロの着物を包帯のように巻きつけている [装備]:携帯電話(呼び出し中) [道具]:デイパック(支給品一式(パン6食分・水2000ml))、不死の酒(未完成、残り半分) [思考]:舞台組の連絡を待つ。千絵を落ち着かせたい。 静雄の捜索及び味方になる者の捜索。シャナの吸血鬼化の進行が気になる。 【海野千絵】 [状態]:物語に感染。錯乱中。かなり精神不安定 [装備]:なし [道具]:なし [思考]:不明 [備考]:吸血鬼だった時の記憶は全て鮮明に残っている。 【折原臨也】 [状態]:不機嫌(表には出さない) [装備]:なし [道具]:デイパック(支給品一式・パン6食分・水2000ml)、 ジッポーライター、救急箱、スピリタス1本(少し減った)、 セルティとの静雄関連の筆談に使った紙 [思考]:保胤を集団内で孤立させたい。危なくなれば集団から抜ける。 クエロに何らかの対処を。人間観察(あくまで保身優先)。 ゲームからの脱出(利用出来るものは利用、邪魔なものは排除)。 残り人数が少なくなったら勝ち残りを目指す [備考]:クエロの演技に気づいている。 コート下の服に血が付着+肩口の部分が少し焦げている。 ※ 悠二のレポートその1(異界化について)、 悠二のレポートその3(黒幕関連の情報(未読?)) 刻印研究をまとめた紙束 探知機 が、机の上に置いてあります。 セルティの死体のそばに静雄のサングラス(破損)があります。 リナのデイパック(支給品二式・パン12食分・水3000ml) 志摩子のデイパック(支給品一式・パン3食分、水2000ml) が、部屋の隅にあります。 【C-6/マンション・地下駐車場/1日目・23 30】 【リナ・インバース】 [状態]:疲労困憊。魔法は一切使えない。 [装備]:光の剣(柄のみ) [道具]:なし [思考]:舞台側と接触する。千絵が心配 美姫に苦手意識(姉の面影を重ねています) 仲間集め及び複数人数での生存。管理者を殺害する。美姫を許す気はない 【C-6/マンション前/1日目・23 30】 【フリウ・ハリスコー】 [状態]:全身血塗れ。右腕にヒビ。正常な判断が出来ていない [装備]:水晶眼(眼帯なし、ウルトプライド召喚中)、右腕と胸部に包帯 [道具]:デイパック(支給品一式・パン5食分・水1500ml)、缶詰などの食糧 [思考]:全部壊す。 ※コキュートスがダナティアの血に埋もれています。 UCAT戦闘服(右腕部分に裂傷、胸元部分破損をメフィストの針金で修復)はダナティアが着用したままです。 【C-5/石段/1日目・23 30】 【古泉一樹】 [状態]:左肩・右足に銃創(縫合し包帯が巻いてある) [装備]:グルカナイフ [道具]:デイパック(支給品一式・パン10食分・水1800ml) [思考]:ひとまずパイフウと共闘。出来れば学校に行きたい。 手段を問わず生き残り、主催者に自らの世界への不干渉と、 (参加者がコピーではなかった場合)SOS団の復活を交渉。 [備考]:学校にハルヒの力による空間があることに気づいている(中身の詳細は知らない) 【パイフウ】 [状態]:両腕・右脚・脇腹に浅い刺し傷(すべて止血済)。 両腕にヒビ(ヒーリングによる治療中) [装備]:ライフル(残弾29) 外套(数カ所に小さな血痕が付着。脇腹辺りに穴が空いている。 偏光迷彩に支障があるかは次の人におまかせ) [道具]:なし [思考]:ウルトプライドから逃げてきた人間を狙撃する。 ひとまず古泉と共闘。主催側の犬として火乃香を守るために殺戮を。 [備考]:外套の偏光迷彩は起動時間十分、再起動までに十分必要。 さらに高速で運動したり、水や塵をかぶると迷彩に歪みが出来ます。 【B-6/林の中/1日目・23 30】 【光明寺茉衣子】 [状態]:体温低下。服が生乾き。強い疑心暗鬼。精神面にかなりの歪み [装備]:銀の短剣、エンブリオ [道具]:デイパック(支給品一式・パン4食分・水1500ml)、スタンロッド、宮野の首 [思考]:ひとまず放送を待つ。 エンブリオを死守(美姫の仲間とおぼしき人物に取られそうになった場合は壊す)。 帰りたい。 [備考]:夢(478話)の内容と現実とを一部混同させています。 2006/12/23 修正スレ286-287 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第537話 第537話 第538話 第537話 時系列順 第567話 第537話 海野千絵 第541話 第537話 フリウ 第541話 第537話 パイフウ 第541話 第537話 リナ 第541話 第537話 折原臨也 第541話 第537話 慶滋保胤 第541話 第537話 光明寺茉衣子 第542話 第537話 ベルガー 第541話 第537話 古泉一樹 第541話 第537話 竜堂終 第541話 第537話 メフィスト 第541話 第537話 ダナティア - 第537話 ウルトプライド 第541話 第537話 エンブリオ 第542話 第537話 アラストール 第541話
https://w.atwiki.jp/team-slowlife/pages/13.html
現在のメンバーの出会ったきっかけの場所がここ。 それぞれ駅前で歌ってました。(今も時々‥) その延長線でいつの間にか「Team SlowLife」となっていました。
https://w.atwiki.jp/howlingsword/
HOWLINGSWORD(ハウリングソード)攻略wiki ハウリングソード攻略wiki まずはこちらをご覧ください。 @wikiの基本操作 用途別のオススメ機能紹介 @wikiの設定/管理 分からないことは? @wiki ご利用ガイド よくある質問 無料で会員登録できるSNS内の@wiki助け合いコミュニティ @wiki更新情報 @wikiへのお問合せフォーム 等をご活用ください @wiki助け合いコミュニティの掲示板スレッド一覧 #atfb_bbs_list その他お勧めサービスについて 大容量1G、PHP/CGI、MySQL、FTPが使える無料ホームページは@PAGES 無料ブログ作成は@WORDをご利用ください 2ch型の無料掲示板は@chsをご利用ください フォーラム型の無料掲示板は@bbをご利用ください お絵かき掲示板は@paintをご利用ください その他の無料掲示板は@bbsをご利用ください 無料ソーシャルプロフィールサービス @flabo(アットフラボ) おすすめ機能 気になるニュースをチェック 関連するブログ一覧を表示 その他にもいろいろな機能満載!! @wikiプラグイン @wiki便利ツール @wiki構文 @wikiプラグイン一覧 まとめサイト作成支援ツール そのたの攻略wiki http //wiki.mmo-station.com/wiki/hsonline/ http //www.hs-wiki.jp/ http //howlingsword.wiki.fc2.com/ バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、メールでお問い合わせください。
https://w.atwiki.jp/xboxonescore/pages/1191.html
Brunswick Pro Bowling 項目数:10 総ポイント:1000 難易度:★☆☆☆☆ 北米版リージョンフリー 非常に簡単なボーリングのゲーム 腕前によって4-5時間ほどで解除可能、最初からスコア200以上を意識していると早い。 Bowling Legend Bowl 300 200 Gutter King Throw over 100 gutter balls 50 Amateur League Hero Thrown over 50 100+ games 100 Rival Destroyer Beat 20 Rivals 100 Tournament Destroyer Win 10 tournaments 100 Professional Bowler Bowl over 50 200+ Games 100 Spare Champion Bowl Over 10 games with at least 1 spare 50 Strike King Bowl at least 50 games with a strike 50 Double Trouble Bowl at least 50 games with a double strike 100 Winner Winner Turkey Dinner Bowl at least 50 games with a triple strike 150 実績解除全般 非常に簡単なボーリングゲーム。 慣れは必要だが、少し右にずらして右スティック少し傾けて投げることによりストライクが取れる。 参考動画:https //www.youtube.com/watch?v=2_I6gwBqVSQ スコア200以上で50ゲームが時間がかかるのでそれ意識すると多少早い。 ライバル20勝>トーナメント10勝と消化して残った部分は トーナメントなりクイックプレイにして消化する。 ライバル20勝の進捗はセーブデータを消しても累積される可能性があり ただ慣れたら300が簡単に出せるので苦戦しないかもしれない。 スコア300はオールストライクだがコツをつかむまでは少し辛いかもしれない。 15トークンを使うことにより100%ストライクができる(ボールチェンジでBlast ballを選択) 全投球をトークン使ってもよいし、ここぞという時に使用するのもあり。 強化要素として、装備+最大2アビリティがつけれる。 ただなくてもストライクは連発することが出来る。 強化の手順としてはシューズの2枠のを購入し、ストライクごとにお金が増えるようにすることから始めると良い。 帽子などの装備で玉の強さ・フック・精密性などを向上させることができる。
https://w.atwiki.jp/satoschi/pages/2472.html
コーリッツ語 |Salishan languages| 言語類型 消滅言語 使用文字 type extinct language writing system ISO 639-3 【cow】 言語名別称 alternate names Lower Cowlitz ロワ・コウリッツ語 方言名 dialect names 参考文献 references WEB ISO 639-3 Registration Authority - SIL International the LINGUIST List Ethnologue
https://w.atwiki.jp/jpops/pages/13340.html
HOWLIN’MOON DOGGIESをお気に入りに追加 HOWLIN’MOON DOGGIESのリンク #bf Amazon.co.jp ウィジェット HOWLIN’MOON DOGGIESの報道 gnewプラグインエラー「HOWLIN’MOON DOGGIES」は見つからないか、接続エラーです。 HOWLIN’MOON DOGGIESとは HOWLIN’MOON DOGGIESの53%は罠で出来ています。HOWLIN’MOON DOGGIESの25%は呪詛で出来ています。HOWLIN’MOON DOGGIESの9%は蛇の抜け殻で出来ています。HOWLIN’MOON DOGGIESの7%は着色料で出来ています。HOWLIN’MOON DOGGIESの4%は元気玉で出来ています。HOWLIN’MOON DOGGIESの1%は黒インクで出来ています。HOWLIN’MOON DOGGIESの1%は毒物で出来ています。 HOWLIN’MOON DOGGIES@ウィキペディア HOWLIN’MOON DOGGIES Amazon.co.jp ウィジェット 掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ HOWLIN’MOON DOGGIES このページについて このページはHOWLIN’MOON DOGGIESのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるHOWLIN’MOON DOGGIESに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
https://w.atwiki.jp/sssc/pages/52.html
216のプレイレポート PlayReport/ScourgeOfTheHowlingHorde-1(216) PlayReport/ScourgeOfTheHowlingHorde-2(216) PlayReport/ScourgeOfTheHowlingHorde-3(216) その他のレポートは こちら 「誰がために君は哭く」 第一回 初心者の初心者による初心者のためのサークルin東京 第6回 2007/3/10 ショートキャンペーン: 「誰がために君は哭く」 (原題 「Scourge of the Howling Horde(鬼哭き穴に潜む罠)」) 詳しくはまとめページを参照のこと →ShortCampaign/ScourgeOfTheHowlingHorde 参加者 マスター … No.12 今回のパーティ構成は、以下。 ゲオルグ 人間/ファイターLv1 植埜 ホルグ ハーフオーク/バーバリアンLv1 ひらた サミオル 人間/ローグLv1 エノン ゼコビ ノーム/ソーサラーLv1 216 ジョウゼン 人間/クレリックLv1 NPC 次回メンバーの誰かが参加できなくなったりして回復役が欠けると困るので、 回復役はクレリックのNPCにして始めることになりました。 レポート 街の酒場で 季節は初春。 シナリオは、ここから南にある"静寂の森"と呼ばれる森の奥深くの村、 バローズエッジで雑貨屋を営むハーフリングのステン嬢が、 このパーティたちのいる町での買い出しを終えて、村に帰るところから始まった。 知人であるステン嬢を見送ったパーティは、町の酒場で職探し。 最近、静寂の森方面からの人が来なくなっている噂を耳にする。 「親分!てぇへんだ!」ばりに、威勢良く酒場に入って来た 仲間のクレリックのNPC、ジョウゼン。 聞けば、ジョウゼンの友人のドルイドのところに、 今朝、バローズエッジから「助けて!」という手紙を携えた伝書鳩が来て、 村がどうなってるのかちょっとした騒ぎになってるらしいのだ。 ちょうど今朝、その村へ帰った知人のステンが気になりつつも、 帰る際にエルフの護衛も雇っていたし、たぶん大丈夫なんじゃない? ということになり、一日が経過する。 翌日、町の広場にバローズエッジへの調査隊の募集が…。 なんだか大変なことになっている。 さっそく募集を出していたタウンホールを訪問し、 役人から事情を聞いた後、少ないが報酬がでるということで パーティは調査しに出発することになる。 出発 次の日の朝、出発。友人のステンが気がかりなので、 村まで5日ほどかかる道を"速歩"で追いかけるパーティ。 さすがに限界まで歩く"強行軍"では、疲労による"非致傷ダメージ"だけで、 HPの低いソーサラーのゼコビは死ねるので、 追い付いたのは3日後になった。 "速歩" 一時間あたりの移動距離を増やすことができる。 一日一時間ならノーペナルティ。さらに一時間なら1非致傷ダメージ。 以後一時間毎にダメージは倍々。 "強行軍" 一日8時間以上歩く場合、一時間毎に[難易度10+余分に歩いた時間] の 【耐久力】判定。失敗すると1d6の非致傷ダメージ+疲労状態。 よく考えると、ゼコビのHPは4なので、一日8時間のうち、 速歩に3時間(0,1,2→計3ダメージで限界)か割り当てられないですね。 一時間毎にダメージが倍々になることを見落として4時間あるいてました。^^; その日の昼、道中の前方で戦いの音が聞こえる。 急いで向かうと、 7匹のゴブリンの一団にに襲われてるステンの一行 4体の護衛のエルフはすでに一人 3体のゴブリンの死体も ここで最初の戦闘開始。 まず護衛の生き残りのエルフが倒れた。 張り切って、つっこむバーバリアンのホルグ。 弓で援護するローグのサミオル。 ゼコビは冷静に奥の弓ゴブリンに魔法の矢マジックミサイル! つっこんだホルグ、ゴブリンのジャベリンの蜂の巣にされて、 HPがマイナスに…。いきなり"瀕死"で戦闘不能。 駆けつけるクレリックのジョウゼン、後を追うファイターのゲオルグ。 ゼコビは冷静にマジックミサイル。 "瀕死" HPが0だと"満身創痍"状態で立ってるだけで精一杯。HPが-1~-9の状態で "瀕死"状態となり、気絶。<治療>しなければ、10%の確率で1ダメージ /ラウンド。HPが-10になると死亡。チーン。 ジョウセンの治癒呪文キュアライトウーンズで回復したホルグ、 援護に入るゲオルグ、ジョウゼンでゴブリンたちと接近戦。 ゼコビは冷静にマジックミサイル。これで3機撃墜。 ゲオルグも"瀕死"になって倒れたりしながら、 なんとかゴブリンの一団の撃退に成功。 キャンペーン最初の戦闘にしては、戦闘不能前衛2名ということで、 かなりハードでした。 戦闘が終了し、隠れていたステンと生き残ったエルフの護衛に事情を聞く。 かくかくしかじか。いきなり襲われてこんな状態に。 伝書鳩のメッセージに関しても、村のことについても知らないらしい。 今度は捕虜にしたゴブリンから情報を集める。 ファイターのくせに何故かパーティ唯一の博識家だったゲオルグが 流暢にゴブリン語で尋問を始めた。 ゴブリンはこのへんの部族でおとなしい方だったが、族長がかわって攻撃的になったらしい ここから東に半日。丘にある洞窟に巣があるらしい 仲間はバグベア、狼に乗った奴や、ボスや幹部数匹。ウォーグかウィンターウルフなど、部族含めて30匹くらいいるらしい 今日はここで休憩。 次の日、村に向かって出発。 夕方には村に着く。 …そのはずが、もう村まで1マイルのところで、 待ち構えていたウルフ3匹を操るゴブリンドルイドと遭遇し戦闘開始。 ウルフが倒されて、ゴブリンは逃走。 今回はジョウゼンが"瀕死"で倒れただけで撃退成功。 野外での冒険は、ダンジョンと違って、特技や呪文のリソースは、 すぐに翌日になれば回復することもあって、危険の少なそうな場所では、 みんな全力攻撃です。でも敵もそれなりに強いのか、ガチの戦闘になりがち。 今回もHPがマイナスになった者が出ました。 村 バローズエッジ 村に着く。ゴブリン撃退対策のため、村は物々しい。 さっそく村のボス?である宿屋の女将マリーマーチェスに話を聞きに行く。 手紙を出したのはこの女将 最近活動が活発になったゴブリン 交渉しにいった夫や若い衆が戻って来ない 助けて欲しくて伝書鳩を送った 後から店に入ってきた村の白髭ドワーフからも、 村として報酬500gpでゴブリンを撃退してくれと頼まれる。 いざ!敵のねぐらへ ステンから100gp相当の雑貨屋のお買いもの券を貰ったり、 いくらか報酬の前借りをして、変わり者の魔法使いの店や、 ステンの雑貨屋で装備を整えて出発。 二日後に巣に到着。 切り立った崖の裂け目に風が共鳴し、何かのうめき声のように聞こえる。 ここはハウリングケーヴというと場所だと、 やっぱりファイターの癖に何故か博学のゲオルグ。 入り口にウルフが二匹、見張り。パーティ皆で<忍び足>。 近づくと、やっぱり重装備のゲオルグのせいで気付かれてしまい、戦闘開始。 出てくるウルフに向かっていくホルグとゲオルグ。 奥にいた2匹の弓ゴブリンの攻撃。 以前捕り逃したゴブリンドイルドまで出てくる。 ガシガシ殴っていくホルグ。 ゲオルグはウルフと《足ばらい》合戦。 ゼコビはゲオルグをエンラージパーソンの呪文で巨大化させつつ、 マジックミサイル。 一掃して入口から覗くと、奥の段差に新手のゴブリン達が! ここぞとばかりに、変わり者の魔法使いのお店で買った スリープの呪文のスクロールを使うゼコビ。 数匹を眠らせた隙に巨大化したゲオルグを先頭に(盾に)入口から侵入。 巨大化すると攻撃範囲も広がるので、段差のペナルティをものともせず、 どんどん片付けていくゲオルグ。 スロープを段差に駆け上がりつつ攻撃を仕掛けるホルグ。 結果、2匹のゴブリンが逃走し、今日はここで時間がきて中断。 次回に続く! PlayReport/ScourgeOfTheHowlingHorde-1(216) PlayReport/ScourgeOfTheHowlingHorde-2(216) PlayReport/ScourgeOfTheHowlingHorde-3(216)
https://w.atwiki.jp/mtgflavortext/pages/4109.html
人狼たちの新たなる雄叫びが、呪い黙らせの終わりを告げていた。それはまた、アヴァシンの狂気の始まりでもあった。 The renewed howling of werewolves announced the end of the Cursemute—and the beginning of Avacyn s madness. イニストラードを覆う影 【M TG Wiki】 名前
https://w.atwiki.jp/team-slowlife/pages/14.html
始まりの場所がここ。 幹部4人は駅前で歌ってました!(今も時々‥) その延長線でいつの間にか「Team SlowLife」となってました。 メンバー ご紹介 へっぽこリーダー 1月23日生まれ いすみ市在住 愛車はH-D FLSTC 99 custom そして、おとんに買ってあげた俺名義(税金払いたくないらしい)のマジェスティ250C これが前の相棒、漢(おとこ)のKawasaki バルカン1500クラシックツアラー。冬場は大活躍!!カローラフィールダー1800S 4WD。 バックにドラマ「ビーチボーイズ」、「水曜どうでしょう」、「ハーレーダビッドソン」、「TEAM Slow Life」のステッカー貼ってあるので分かる人には分かります。 ビン 8月12日生まれ 都内在住 愛車はイントルーダークラシック400 もんたさんとのタンデムがすごく絵になる! もんた ビンさんの大切な彼女さん。 しろ 8月18日生まれ 茂原市在住 愛車はSR400 管理人も愛着のある1995年2000台限定車! 管理人 1981年6月14日生まれ 茂原市在住 愛車はSR400 25周年記念500台限定車! チーム拡大を願ってHP更新し続けます!初めての旅人さんお待ちしてます! ちぃ 7月14日生まれ 千葉市在住 「路上以外の輪」での初参加メンバー! 愛車はイントルーダークラシック250 軽さとデザインがオススメ! みきお 9月19日生まれ 成田市在住 愛車はSR400 キャブ仕様車の最終型! オシャレで奇麗な1台! レオ 5月15日生まれ 東金市在住 愛車はSR400 みきおさんと同じキャブ仕様車の最終型! きれいな青!上品な音!いい! かめ 8月31日生まれ 船橋市在住 愛車はドラッグスター250 ちぃさん共々250に見えない! 車高低っ!足つき抜群!ロングもバッチリ?!
https://w.atwiki.jp/bakiss/pages/1032.html
葛西に火傷を負わされた蛭の頬は、時間が経つにしたがい引き攣れて痛み出した。 浅達性の第Ⅱ度熱傷。一見派手に発赤してはいるが、真皮にまでは達していない。新陳代謝の早い 若い体なら、跡も残らず一週間程度で完治するものだ。 もっとも今の蛭にとって、火傷の程度などどうでもいいことだった。 面積の広い眉間に、刻印のごとく深い皺。普段は利発さと気の弱さを半分ずつ覗かせる黒瞳は、 今は鋭く研ぎ澄まされて一枚の紙片に吸い寄せられている。 白い無地の便箋だった。惚れ惚れするような見事な筆跡で、万年筆による文章が並んでいる。 文字サイズも字間も完璧そのもの、市販の仮名手本とまごわんばかりだ。だが注意深く観察すれば、 跳ねや払いといった細かい部分に微少なブレが見てとれる。筆記者の手の震えによるものに相違ない。 アイの字だった。 『蛭へ あなたがこれを目にするとき、私は既にこの世にいないか、 サイの命によって彼の元を去った後かのいずれかでしょう。 いずれにせよ、今後私が彼の力になることは極めて困難であると予想します』 字が乾ききる前に折り畳まれたものと見え、青いインクは随所で掠れている。相当に急いで 書かれたものと容易に知れた。 恐らくはアジトに戻ってきてから、サイが帰還するまでの短時間に記されたもの。 『上記の予想を踏まえた上で、あなたに託さなければならないことが幾つかあります。 身勝手と憤られるかもしれませんが、志潰えた哀れな女の最後の願いと、 寛大な心をもって聞き届けていただければ幸いです』 ここで一行、行間が空く。 『私はあなたが思っている以上に、あなたを高く評価しています。 単純に能力や技術のみをいえば、あなたを遥かに上回る協力者は少なくありません。 ですがあなたには、それを補って余りあるだけのサイへの忠誠があります。 あなたなら決してサイを裏切らない、そう確信するからこその今回のお願いです』 目で追う文章は脳内で、耳元に語りかける声となって再生される。 イントネーション、単語と単語の切れ目、息遣いまでリアルに感じられる。 『サイの傍を離れないでください。 彼の杖となって彼を支え、盾となって彼を守ってください。 彼は無限の可能性を秘めてはいますが、決して無敵の存在ではありません。 悩みも傷つきも倒れもする一人の人間です。 彼に与する協力者たちの大半は、この単純な事実を知らず、 誇張された偶像としての≪怪盗X≫を崇拝しています。 彼の真の姿を目の当たりにすれば、彼らは失望して離れていくでしょう。 最悪の場合は反逆すら試みるかもしれません。 精神状態が極めて不安定な今の彼に、それを抑えることは極めて困難です。 忘れないでください。 今この状況でサイを支えられる人間は、世界にあなた一人しかいないということを』 また一行、空行。 『≪我鬼≫の一件で荒れたサイが、こちらの思いもよらぬ行動に出るかもしれません。 葛西の動向も同様に気にかかります。 この先何が起こったとしても動じず、サイの傍に控え、彼を守ってくださるようお願いします。 そのために必要と思われるものを託します。 齧りついてでもその場所を手放さないでいてください。 私の分まで、サイのことを宜しくお願い致します』 最後の一行は特に急いていたらしく、ほとんど走り書きに近い状態だった。 「これって……」 サイに殺されるおそれを織り込んだに留まらない。破れた夢を前に彼女はこれを書いたのだ。 この文章は蛭に宛てたメッセージであると同時に、ある種の訣別文でもある。 サイの元で彼の望みを共に追い続けた、自分自身への離別の手紙だった。 受け止めるべき、なのだろう。本来は。涙を拭いて奮い立ち、この文面にある通りアイの分まで サイを支えると、心に誓うのがあるべき姿だろう。しかし今の蛭にはそれができなかった。 アイの意思自体は理解できる。 だがサイに仕えていられる時間がほとんど残されていない今の自分が、彼女の期待にどれだけ 応えられるというのか。 蛭は奥歯を食いしばった。 節くれだった無骨な手に力がこもり、白の便箋に縒れを作った。 深淵に沈むサイの精神を浮上させたのは、風の唸りにも似た遠い吼え声だった。 るぉぉおぉぉぉん るぉぉぉぉおおぉぉおん 大きくはない。耳を塞げばそれで遮断できる程度の声音だ。遠吠えの主は力の限り吼えているに 違いないが、隔たる距離が大気の震えを微細なものにしている。 それでもなお咆哮はサイの神経を逆撫でした。 ある種の肉食獣を想起させるこの遠吼えは、今の彼が最も聞きたくないものだった。 やかましい。 俺にその声を聞かせるな。 苛立ちが湧き上がる。心臓の激痛がいつの間にか消えたことも、腹から胸へ、胸から喉へと せりあがっていた嘔吐感の消滅も、じわじわと沸点に迫る意識が掻き乱してうやむやにしてしまう。 「黙れ……」 低く呻く。 サイの都合などおかまいなしに、遠きにありて吼えるなにかは更に高々と咆哮する。 るぉぉん るぉぉおぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉん 「黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れっ!」 跳ね起きると同時の絶叫は、闇に閉ざされた空間に残響とともに響きわたった。 空気が振動した。肺の酸素を全て吐ききったとき、冷えきった見えざる手が顔を撫でた。周囲の 温度は明らかに、日本の冬の平均気温をはるかに下回っていた。 その低すぎるまでの気温が、逆上しきったサイを我に返らせた。 おかしい。 この尋常でない寒さは何だ。まるで北の異国にいるような。 全身の神経を研ぎ澄ませながら、サイはもうひとつの違和感に思い至った。 何も見えないことだ。 常識を超えた知覚を持つ彼に、暗闇は何の障害にもならない。≪我鬼≫との戦闘においてそうだった ように、夜の底でも昼同然の視界が得られる。本来であれば。 しかし今眼前に広がっているのは暗黒だった。 「何、これ……何、が」 細胞の異常が続いているのか、それとも。 分からない。何ひとつとして理解できない。 身を強張らせるサイの耳に、さっきの咆哮が再び届いた。 聴覚への刺激は、視覚をシャットアウトされた脳をひときわ激しく揺さぶる。 るぉぉぉぉん るぉぉおぉぉぉおぉぉぉぉぉぉぉおおん…… 恐慌がまた襲ってきた。耳を塞いで声の限りに喚いた。 「うるさい、うるさい、うるさい、うるさいっ!」 しかし耳朶をなぶる遠吼えは、次第に変化を呈しはじめた。 るぉ……おおぉん おぉぉぉぉおおおおおん おおおおぉぉおおぁあああぁああん あぁぁあ………ぁぁん ああぁあぁああぁぁぁぁあぁあああぁぁぁぁぁん 咽喉を噴き上がり響く力強い咆哮が、すすり泣くような声へと変じていく。 横隔膜を痙攣させ、涙と鼻水を垂れ流しながら泣きじゃくる人間のそれへと。ドップラー効果に しては異様すぎる変化。 耳を塞ぐ手を放し、サイは周囲の気配をまさぐる。 視界が明るく開けたのはそのときだった。 毛の短い絨毯のような、朱金色の野が目の前に広がった。 夕日を浴びて赤く輝く、刈り込まれたあとの麦畑。 あああぁぁああぁん あぁぁん…… ああーん…… あーん…… 弾かれたように振り返る。 子供がそこにいた。 まだ十にもなるまい薄汚れた少年が、地に置かれた棺に取りすがり、全身全霊で泣きじゃくっていた。 ――これは? 神経を尖らせるサイの脇に、フッと新たな気配が湧く。 霧のように浮かび上がるのは、一様に純白の服を着た、十数人の人の群れ。 『かわいそうに』 『人食い虎に襲われるなんて……まだ冬にもなっていないのに』 『骨しか残らなかったって話だぞ』 『あの家の息子、確かまだ八つでしょう? これからどうするのかしら』 『どうも何も……誰かが引き取るしかないだろう』 『誰かって誰よ。どこの家もそんな余裕ないわよ……』 しばらく日本を拠点に活動していたせいで、脳が日本語漬けになっていた。そのため彼らが囁きあう 言葉が何語か、把握するのに数秒を要した。 中国語、それも東北官話と呼ばれる北東部の方言。 サイは顔をしかめた。 何かと思えばくだらない、ただの夢か。 よくあることだ。他人の中身を覗くことでトレースした彼らの断片が、おもむろに浮かび上がって 脳の一部を占拠する。恐れることも懸念することもない。いずれ脳細胞とともに変異し崩れて 消し尽くされる情景だ。 さて、これは誰の中身だろう。 記憶の主とおぼしき泣き喚く子供を、サイは観察者の目で注視した。 汚らしく涙と鼻汁にまみれた顔は、よく見れば日焼けと垢とで黒々としている。骨格にそって 健康的に肉がつけば、それなりに愛らしい少年であるに違いない。だが悲しいかな栄養不足でこけた 頬が、その顔から愛嬌を奪っていた。 ――貧乏農家の倅(せがれ)か。たぶん、黒竜江省か吉林省あたりの。 ――あの白服は中国の喪服……早死にした親の葬式ってとこだな。 本人の容貌、周囲の状況、そしてさっき耳にした会話から、サイはそう結論を下した。 彼の記憶の中にそのプロフィールに合致する人物はいなかったが、どうでもいいことを忘れてしまうのは いつものことだ。 ――誰だっけ、本当。全然思い出せない…… そう考えたとき自嘲の笑みがこみ上げた。 ――はッ、馬鹿馬鹿しい。こんなこと思い出そうとしてどうなるっていうんだ。 ――どうせいずれ全部忘れてしまうのに。 ――忘れて化物になり果てるのに。 白の喪服の群れの中に一人ぶかぶかの貫頭衣で立つサイは、普通に考えれば相当目立つはずだが、 気に留めるそぶりを見せる者はない。 誰の目にも映らぬ傍観者。それがこの場におけるサイの立場らしい。 棺にすがりつく少年を冷めた目で見つめていると、 『新生(シンシェン)!』 白喪服の林をかき分けて、小さな影が走り出た。 『新生、新生、なかないで。かおをあげて』 現れたのは少女だった。 泣きじゃくる少年とさして変わらぬ年の。 『ほら、なみだをふいて。ね、てぬぐいをあげるから。かおをふいたらわたしをみて、新生。 わたしのめをみて』 この退屈な情景は、いつになったら終わるのだろう。 ため息をついたサイは何の気なしに少女の顔に視線を投げ、そして息を呑んだ。 ――アイ。 似ていた。あの女に。 体のわりには長くすらりと伸びた手足。決して派手でも華やかでもないが、パーツひとつひとつが 精緻に造形され、バランスよく整えられた品のよい顔。まだ幼いが、もう二十年ほど待ちさえすれば、 彼女によく似た涼しげな印象の美女ができあがるだろう。 硬直するサイを尻目に、少女は言葉を続ける。 『だいじょうぶよ、新生。なかなくても。だって新生はひとりじゃない。わたしがいるわ』 脂気がなくぱさついた少年の髪を、この上なく愛おしいもののように少女は梳いた。 『わたし、新生のそばにいる。なにがあってもずっとずっと、ずうっと新生のそばにいるわ。 だから新生、ないちゃだめ』 涙と鼻水で汚れた少年の顔を、少女は手にした布で何の気後れもなく拭った。 『わたしは、月亮(ユエリャン)。新生のそばの月亮よ。いままでも、これからも、ずっと……』 少年の体をきつく抱き締める、アイによく似た少女。 サイは呆然と立ち尽くしたまま、目の前の光景をただ眺めていた。 『――それは面白いことになったね葛西』 携帯の通話口から漏れる声が、クク、と低い笑いを漏らした。 『この目でその光景を見られないのが残念だよ。隠しカメラでも預けておけばよかった』 「どうですかねえ、お預けいただいても満足いただける画(え)が撮れたかどうか。 ビデオ撮影しながら猫かぶれるほど、俺ぁ器用じゃないもんで」 『やってやれないことはないだろうさ』 軽く言い放つ電話相手に、葛西は小さくため息をつく。 好き勝手言いやがって、こっちの苦労も知らないで。 吐く息に滲んだ疲労は、幸いにも主人の耳には届かなかった。あるいは届いたにもかかわらず 無視された。唇の間に覗く白い歯が、ありありと思い浮かぶような声で主人は続けた。 『随分と悪あがきを重ねてきたようだが、これで≪あの子≫も思い知るだろう。自分が一匹の怪物に 他ならないとね』 「また突き放したことを仰いますねえ、ご自分のお子様に向かって」 『突き放すも何も事実だからね。≪あの子≫は元々そういう存在として産み出されたんだ、本来の 自分の正体(なかみ)を悟るだけのことさ。如何ともしがたい現実を受け容れるのは、子供が大人に なるのに必要な儀式だよ』 「ひっでぇ父親だ」 『厳格な教育方針と言ってもらいたいね』 お子様と葛西は口にしたが、厳密には≪改造を施したクローン体≫だ。つまり電話口の向こうに いる男と、子供じみた癇癪で周囲を振り回すあの少年は、この世で最も互いに近しい存在といえる。 しかし両者を比べてのこの違いはどうだ。 ――DNAってのは当てにならないねぇ全く。 携帯を耳に押し当てながら、葛西は肩を竦める。 「……お子様の確保に関しては、これで障害は無くなったと考えていいと思います。もともとあの女さえ いなけりゃ楽に運んだはずの任務でしたからね。で、どうなさいます? 何なら例の虎モドキの 始末より、そっちを優先するって手もありますが……」 『いや、≪あの子≫の捕獲は後回しでいい』 声は言下に否定した。 その即断ぶりに葛西は瞬く。 「虎モドキの処理が最優先ってことですか。まさかとは思いますが焦ってらっしゃるんですか? あなたらしくもない……」 『そういうわけでもないんだがね』 ククク、とまた笑い声。 『今は泳がせておいた方が、あの子が苦しむ様をより長く楽しめるじゃないか』 葛西は思わず携帯を耳から離した。受話口から何かが溢れ出してくる錯覚にとらわれたからだった。 どす黒いもの。どろどろと粘っこく、耳から侵入して内側から蝕むもの。 『どうした、葛西?』 「いえ」 知らず知らずのうちに唇が歪んでいた。携帯を再び耳に押し当て、湧き上がる喜びを率直に言葉で示した。 「今改めて思ったんですが……俺ぁ本当に、あなたってお人について来て良かったですよ」 『それは良かった』 当然のように、声。 怪盗"X"のようなまがいものとは違う。この男こそは真の悪。 磨かれた吐き気を催す思考回路。いかなることにも揺らがぬ黒い脳細胞。 死に場所を探していた自分に、生まれて初めて心から『生きたい』と思わせた男。 『ところで葛西。話は変わるがね』 「は……」 名前を呼ばれて我に返った。 『そちらに戻ってから、≪あの子≫の様子に何か変化はないかい? 何でもいい、どんな些細なことでも構わない』 「変化?」 思い当たらない。普段以上に激しく怒りを爆発させてはいたが、それも所詮そこまでのことでしか ない。あの怪盗の不安定な精神を思えば充分に想定可能な範囲だ。 『そうか。いや、≪あの子≫が≪あれ≫の細胞を取り込んだと聞いてね』 「取り込んだっつうか潜り込まれたって感じですけどね。それがどうかしましたか?」 『拒否反応だよ』 声が答えた。 『二種類の異なる強化細胞が同一肉体内で接触すると、激しく反発しあって互いを拒絶する。反応は 一方がもう一方を制するまで続き、決して共存しあうことはない。少なくとも、実験によれば そういうデータが出ている』 葛西は首をかしげた。彼は火の扱いには卓越しているが、こうした方面には門外漢の域を出ない。 そもそも強化細胞自体にまるで興味がないから尚更だ。 「はぁ。どうもよく分かりませんが……俺が見た限りは全く」 『ふむ、残念だ。興味があったんだがね』 髭の生えた顎を撫でさすったらしい間があった。 『怪物として生を享けた細胞同士、果たしてどちらが勝つのか……』