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新HIGHLIGHT カードNo TEAM 選手名 詳細 C09H001 巨人 オビスポ 2009年9月23日 リーグ3連覇決定の瞬間、真っ先にベンチを飛び出すオビスポ選手(左端) C09H002 中日 藤井 淳志 2009年6月30日 鮮やかな逆転満塁ホームラン C09H003 ヤクルト 青木 宣親 2009年10月9日 4番とエースがお立ち台。球団初のCS進出決定 C09H004 阪神 久保 康友 2009年5月25日 8試合目にして移籍後初勝利 C09H005 広島 末永 真史 2009年9月10日 劇的逆転3ランホームラン C09H006 横浜 金城 龍彦 2009年9月22日 本塁打を含む3安打5打点の活躍 C09H007 日本ハム 金子 誠 2009年10月6日 優勝を勝利で飾ったサヨナラ犠牲フライ C09H008 楽天 リンデン 2009年9月1日 2度目のサヨナラタイムリー C09H009 ソフトバンク 小久保 裕紀 2009年9月4日 サヨナラタイムリー C09H010 西武 石井 義人 2009年7月15日 先制タイムリー二塁打でお立ち台 C09H011 ロッテ 今江 敏晃 2009年8月26日 わずか1安打1本塁打で競り勝つ C09H012 オリックス 下山 真二 2009年8月29日 サヨナラ打を放つもお約束の手荒い祝福を受ける
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ART OF FIGHTING 龍虎の拳外伝 / THE PATH OF THE WARRIOR -ART OF FIGHTING 3- 機種:AC, NG, NGCD, PS2, NS, PS4, Xbox1, Win10/11 作曲者:新世界楽曲雑技団(山田泰正,幡谷正彦,PEARL SHIBAKICHI) 開発元:SNK 発売元:SNK 発売年:1996年 音源 タイトル 音源 ART OF FIGHTING 龍虎の拳外伝 AC,NG NGCD ※PS2…『龍虎の拳~天・地・人~』の収録作品の1つで、ネオジオ版と同一 概要 「龍虎の拳」シリーズの外伝作品。 ゲームシステムが本編から大幅に改変されている。 2D格闘ゲームだが、モーションキャプチャを元にドットがおこされ、当時の3D格闘ブームを意識している。 ただ、その影響でネオジオCD版は読み込み時間が死ぬほど長くなっており、マトモに遊べるシロモノではない。 ただしCD媒体なので音楽は生音で、評価は高い。 ちなみにネオジオ版はROMカセットなのでアーケードとまったく同じ音源。 収録曲 曲名 作・編曲者 補足 順位 BACK FIGHT AGAIN Theme Of Art Of Fighting PLAYER SELECT キャラクターセレクト HERE COMES A NEW CHALLENGER 新規参戦 START DEMO (1day~8day) 試合開始前デモ GET HIGH PRELUDE 最終日デモ (VSリョウ) GET HIGH Theme Of RYOCatus GAS STATION (夕方) ステージ GET HIGH [Rage Groove Mix] TRAIN YARD (昼) ステージ GET HIGH [B-Mix] TRAIN YARD (夜) ステージ GET HIGH [Goa Trance] Quixotec Temple ステージ ULTIMATE K.O. アルティメットKO CLEAR ステージクリア TRAVELER マップ MOJO PRELUDE 最終日デモ (VSロバート) MOJO Theme Of ROBERTSIESTE Cafe (対戦) ステージ 格闘ゲーム154位 MOJO [MOJO BOOGIE] Catus GAS STATION (夜) ステージ MOJO [MOJO RAMBLE] SIESTE Cafe (CPU戦) ステージ STONE IN SANTANA (A Bass Groover) BAR SANTANA ステージ CIHCO DE MAYO Cihco de Mayo ステージ MUZIKA JUNGLE PRELUDE 最終日デモ (VSワイラー) MUZIKA JUNGLE [Edition1] Theme Of ??CEMETERY ステージ ラストバトル182位格闘ゲーム334位(AC)格闘ゲーム334位(NGCD) MUZIKA JUNGLE [Edition2] Wyler Mansion ステージ LIBERATION HALLUCINATION [Piano Ver] エンディング LIBERATION HALLUCINATION Theme Of FREIAスタッフロール エンディング127位 CON-TIN-UE コンティニュー GAME Over Over Over ゲームオーバー サウンドトラック ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝 ART OF FIGHTING 龍虎の拳 外伝 アレンジ・サウンドトラックス SNK ARCADE SOUND DIGITAL COLLECTION Vol.3
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6th 自己紹介観月・輝 自己紹介が始まったみたいだ。 正直俺には関係ない。 は?俺は誰かって? 俺は霊詞…あー、まあ自己紹介の時にわかるだろう。 「……です」 どうやらようやく35人位終わったようだ。 多分ここから何人かはさっきまで集まって話をしていたみたいだからきっと、友達かなんかなんだろう。 まずは髪の長い女の子が自己紹介をするようだ。 「はい、次は三条観月さん」 「は、はい!はじめまして、私の名前は三条観月(さんじょうみつき)といいます。 え、と…よろしくお願いします」 名前だけじゃないか。 それでも自己紹介なのか? 「じゃあ、次の君は荒木輝君だね」 すぐ後ろに座っていた金髪の奴も入れ替わりに立って自己紹介をしはじめた。 「うぃーす、俺の名前は荒木輝(あらきてる)。皆よろしくな! 得意教科は体育で苦手教科はその他だ。 この後に陸上部に入部届けを出しに行く絶賛予定中!だ」 絶賛予定中って何だよ!? 文法オカシイだろ? 「うーん、荒木君、勉強せめて僕の教科だけでも好きになって頂戴ね」 「うぃ、努力はしまーす。 ちなみに、コバちゃんの教える教科何?」 いきなりコバちゃんって馴れ馴れし過ぎるだろ。 「僕かい?僕は古典・漢文だよ」 「あ、漢文は好き好き! 俺、漢字だけはできるから」 なんか、こいつのノリは疲れる…な。 「そうかい?そりゃよかった。 えっと、じゃあ次は水季透君」 <戻る> <次へ> <章選択>
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動画(youtube) @wikiのwikiモードでは #video(動画のURL) と入力することで、動画を貼り付けることが出来ます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_209_ja.html また動画のURLはYoutubeのURLをご利用ください。 =>http //www.youtube.com/ たとえば、#video(http //youtube.com/watch?v=kTV1CcS53JQ)と入力すると以下のように表示されます。
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姫雪 椿 名前/姫雪椿 フリガナ/ヒメユキツバキ 呼称/ツバキ等 性別/女の子や 年齢/15歳やで 誕生日/8月21日やな 身長/んなもん気にするな 職/学生やなぁ 得意教科/音楽・体育 苦手教科/数学・理化学 特技/陸上は得意やよ 趣味/ウインドウショッピングやね 外見的特長/明るい茶髪・オレンジ色の瞳 性格/チャラチャラ?・軽い・ノリはいい 兄、快晴と両親の4人暮らし。 兄とは仲がよく、よく一緒にスケボーやスノボーをしにいってる。 兄妹仲はかなり良好。兄は妹が超大事!? 彼氏はいないが、作りたいかな?位は考えている。 メモ(ネタバレ注意) □兄とはかなり仲がいい。てか、軽くシスコン □中2に引っ越してきた □愛犬のジャック・ラッセルに『めん』(ラーメン)と名付けた。 (観月に貰ったときラーメンが食べたかったから) □服装はボーイッシュ キュートスタイルが好き □迷彩柄や青色を好む □授業中は熟睡。モチロン赤点大量。輝と二人で『オールレッド』と言われてる □めんは中学生のとき観月のジャックが産んだ 「兄貴、友達と遊んでええ?」 「おお、ツバキ。はっ!もしかして男か!男なのかっ!」 「あほか、ミツキやミツキ、兄貴もやるか?ゲーム」 「なんや、ミツキちゃんか、ならええねん。何のゲームやるん?」 「ぷよ●よ、兄貴はそのBGMな」 「なんでやーっ!!」
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5th 1―Dにて 「あー、眠かったあ」 「椿ちゃん、大きな欠伸だね」 「まあ、しゃーねーよ。あれは皆寝てたじゃん」 私達は教室に移動して適当な席に座って会話をしていました。 「そうかな?僕は平気だったけどなぁ」 「ウルセぇ、この優等生が!」 皆のあははははという笑い声の中、私達の輪の中にいながら机に顔を突っ伏してした少年がようやく顔をあげた。 「……透、あれ」 「ん?どうしたんだ?奏多?」 寝呆けた感じに話すこの人は、南奏多(みなみかなた)いつも眠たそうにしています。 「あの子、高1?」 そう言って奏多君が指したのは例の少年。 本当に何なんだろ? 一人で隅の方にいて黙々と本を読んでいる。 「さあ、誰かの弟さんかと思っていたのですがねぇ。 どうやら違うようですね…」 皆が透君の考えに同意しようとした時に先生が来てしまった。 「コレでこのクラスは全員いるかい?」 先生が来てみんなが座ったので、先生は見渡してヨシと言った。 あれ?当たり前な顔してるけれど、あの少年はいてもいいのかな? 「んじゃあ、自己紹介しようか。 まず、僕は担任の古林一真(こばやしかずま)まあ、呼びやすいように呼んでくれたらいいよ。 ちなみに、29歳新婚で今年の9月に妻と結婚したばっかりと、まだ若いからオジサン扱いは止めて欲しいな。 それじゃあ、こんな感じて左端から自己紹介していってくれ」 先生が簡単な自己紹介を済ましてから皆に自己紹介を促しました。 <戻る> <次へ> <章選択>
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目次 概要 楽曲情報、クレジット 動画 収録CD/配信、(or 別バージョン) 配信情報iTunes Apple Music Spotify Amazon Music mora mora ハイレゾ 概要 「HIGHEST」は2022年10月26日に発売されたOxTのシングル『HIGHEST』の楽曲。レーベルはKADOKAWA。 TVアニメ『陰の実力者になりたくて!』OP主題歌として起用された。 他、2022年10月6日にノンクレジットOPがYouTubeで公開された。 以下、インタビュー記事等。・2022年10月26日公開のOxTインタビュー記事→リスアニ・同日公開OxTインタビュー記事→アニメイト 2023年11月29日、アプリゲーム『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』の1周年を記念したカゲマスアニバーサリー特番にて、OxTがゲスト出演し、スペシャルライブも行われた(YouTube)。 楽曲情報、クレジット HIGHEST 歌:OxT 作詞:hotaru作曲:Tom-H@ck編曲:KanadeYUK guitar: Tom-H@ck(F.M.F) bass: さと all other instruments programming by KanadeYUK(F.M.F) mixed by 藤巻兄将(studio MSR) mixed at studio MSR music product directed by 木村優詞(F.M.F) mastered by 森崎雅人 mastered at Artisans Mastering(TinyVoice,Production) artist managed by 石井由紀子 山本真吾(CAT entertainment) produced by 若林豪(KADOKAWA) executive produced by 工藤丈夫(KADOKAWA) 動画 収録CD/配信、(or 別バージョン) 発売日 タイトル 曲名 歌 形態 相違 2022年10月26日 HIGHEST HIGHEST OxT CD HIGHEST(instrumental) 配信情報 iTunes Apple Music Spotify Amazon Music mora mora ハイレゾ
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ハイウィザード (High Wizard) ●剣士系 ソードマン―― ナイト―― クルセイダー―― ロードナイト―― パラディン ●マジシャン系 マジシャン―― ウィザード―― セージ―― ハイウィザード―― プロフェッサー ●アーチャー系 アーチャー―― ハンター―― バード/ダンサー―― スナイパー―― クラウン/ジプシー ●商人系 マーチャント―― ブラックスミス―― アルケミスト―― ホワイトスミス―― クリエイター ●シーフ系 シーフ―― アサシン―― ローグ―― アサシンクロス―― チェイサー ●アコライト系 アコライト―― プリースト―― モンク―― ハイプリースト―― チャンピオン ●テコン系 テコンキッド―― ケンセイ―― ソウルリンカー ●拡張1次職 スーパーノービス―― ニンジャ―― ガンスリンガー ●その他 ホムンクルス―― 共通追加スキル ハイウィザード (High Wizard) [#n758d57f] ナパームバルカン-最大Lv.5 [#p217521b] グラビテーションフィールド-最大Lv.5 [#w0c0b80b] マジッククラッシャー-最大Lv.1 [#ga4fdfb2] ソウルドレイン-最大Lv.10 [#r6fbed92] 魔法力増幅-最大Lv.10 [#mfdf8be4] ガンバンテイン-最大Lv.1 [#f2f4eb03] ナパームバルカン-最大Lv.5 種別: アクティブ /範囲攻撃/対象指定-必要な他職の証: マジシャン-前提スキル: ナパームビート(Lv.3)-効果:--(説明文)|~Lv|~1|~2|~3|~4|~5|h 基本詠唱時間(ms) 1000 ディレイ(ms) 1000 MATK倍率(%) 80 100 120 140 160 ダメージ倍率 1 2 3 4 5 基本呪い付与確率(%) 5 10 15 20 25 消費SP 10 25 40 55 70 効果範囲 3*3 備考:--念属性攻撃--ダメージ分散しない。 グラビテーションフィールド-最大Lv.5 種別: アクティブ /範囲攻撃/地面指定-必要な他職の証: マジシャン ウィザード-前提スキル: クァグマイア(Lv.1) 魔法力増幅(Lv.5) マジッククラッシャー(Lv.1)-効果:--(説明文)|~Lv|~1|~2|~3|~4|~5|h 基本詠唱時間(ms) 5000 ディレイ(ms) 2000 秒間固定ダメージ 400 600 800 1000 1200 攻撃速度減少率(%) 5 10 15 20 25 持続時間(秒) 5 6 7 8 9 消費SP 20 40 60 80 100 射程距離 15 効果範囲 5*5 備考:--青ジェムストーン1つ消費--範囲内の敵に毎秒ごとの固定ダメージ、攻撃速度低下の効果がある。 マジッククラッシャー-最大Lv.1 種別: アクティブ /単体攻撃/対象指定-必要な他職の証: マジシャンorプリースト-前提スキル: SP回復向上(マジシャン・プリースト)(Lv.1)--(説明文)|~効果|~修練効果|~武器属性|~付与属性|~%UP系効果|~ATKUP系効果|~状態異常効果|h 特性 - ○ ○ ○ - ○ Lv 1 基本詠唱時間(ms) 300 ディレイ(ms) 300 MATK倍率(%) 100 消費SP 8 備考:--MATKにより遠距離物理攻撃を行う。--DEXによる命中率、対象DEF等の影響を受ける。 ソウルドレイン-最大Lv.10 種別: パッシブ /補助-必要な他職の証: マジシャン-前提スキル: SP回復向上(マジシャン・プリースト)(Lv.3) ソウルストライク(Lv.4)--(説明文)|~Lv|~1|~2|~3|~4|~5|~6|~7|~8|~9|~10|h MSP増加率(%) 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 SP吸収率(%) 110 125 140 155 170 185 200 215 230 245 備考:--吸収SP量は、敵レベル*SP吸収率。--SP吸収は対象指定魔法のみ発動。--重量が50%を超えていてもSP吸収は発動する。 魔法力増幅-最大Lv.10 種別: アクティブ /補助/指定不要-必要な他職の証: --前提スキル: ---(説明文)|~Lv|~1|~2|~3|~4|~5|~6|~7|~8|~9|~10|h MSP増加率(%) 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 SP吸収率(%) 110 125 140 155 170 185 200 215 230 245 消費SP 14 18 22 26 30 34 38 42 46 50 効果回数 1 備考:--DEXで詠唱時間短縮可能。--魔法扱いのスキルを使用すると効果が切れる(サイト、テレポ除く)--装備のcによるASやセージのスキル"オートスペル"にも効果がかかり消費してしまうので注意。 ガンバンテイン-最大Lv.1 種別: アクティブ /補助/地面指定-必要な他職の証: マジシャン ウィザード-前提スキル: モンスター情報(ウィザード・セージ)(Lv.1) アイスウォール(Lv.1)--(説明文)|~Lv|~1|h 基本詠唱時間(ms) 3000 ディレイ(ms) 5000 成功率(%) 80 消費SP 40 攻撃射程 15 攻撃範囲 3*3 備考:--・ブルージェムストーン、イエロージェムストーンを1個ずつ消費して地面設置オブジェクト等を無効化する。
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2th 三条観月 今日は私が入学する高校の入学式です。 「みっちゃん、そろそろ行ったらどう?」 お母さんが私に叫んでいる。 私の名前は三条観月(さんじょうみつき)15歳です。 今日から高校生です。 「はーい、行ってきまーす!」 家の玄関から飛び出して体力をつける為に小走りで学校に向かい、桜並木を通り抜けていく。 桜が舞い散る中、左手の腕時計を見ると早く出過ぎたのか、まだ幾ばくか早い。 「ちょっと寄り道しょっかなぁ……」 そういう訳で今、私は学校の真近くにある桜の木が大量にあるところで少し森林(?)浴をしています。 「うわっ、何でこんなに花びらが飛んでくるかなあ」 さっきから何回も顔に張り付いたりしてくる。 失敗…したかなあ? ちょっと後悔しながら学校の方を見ると、桜に混ざって見え隠れしる白い校舎が見えた。 その景色は綺麗でさっきまでの後悔は消えてしまった直後… 「いよっ、と!」 桜の木の回りにある緑色のフェンスを越えて来たのはよく見知った顔だった。 「あれ、観月じゃん。何してんだ?こんなとこで」 「輝君…あなたこそ何でフェンス越えて来てるの?」 この人物は天城輝(あまぎてる)私の同級生で小学校からの友達です。 「あれ、観月気付いてなかった?俺んちこのフェンスの大体裏っかわだぜ」 「え、そうなの…?」 うわ、ひっでーとかいってふざけながらも時間も時間なので私たちは学校に向かいました。 <戻る> <次へ> <章選択>
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High tension! スクールライフ 燃えろ! 熱血ドッヂボール編 http //rano.jp/2395 「よーくん・・・・・・。ほんとに、ほんとにごめんね・・・・・・」 謝ったって、絶対に許さねえ。 だってさ、こんなのってないよ。みんなみんな俺に意地悪だ! 「私もね、ずっとよーくんといたかった。好き。好き・・・・・・!」 「俺も好きだから・・・・・・行かないで!」 こんなことを最後の最後に言いやがるんだもの。 言い出す前に、そういうことは言ってくれよ! 「東京に転校する」とかさぁ! そうだったら俺だってさ、いつものように意地悪しないでさ、あさひちゃんにもっともっと優しくしたのに。もっともっとたくさん遊んだのに。もっともっと一緒にいたかったのに! 「私は『特別なちから』を持ってたの。だから、そういう人が行かなければならない学校に行かなくちゃいけないの」 「意味わかんねーよ!」 辛すぎて、泣き声ばかりが喉の奥からあふれ返ってきて、上手に怒鳴ることすらできない。理解できたのは、この別れは俺たちにとって、どうしても避けられないものだということ。 特別な力って何だよ! そういう人って何だよ! まるでRPGみたいな、そんな無茶苦茶な話などあるわけがない。そうだ、これは夢なんだ。これはとっても悪い夢なんだ! 「だったら俺も連れていけ!」 だからそう、俺も無茶苦茶なことを言ってやったんだ。 「俺だってあさひちゃんのことが好き! せっかく仲良くなれたのにお別れなんて、絶対に認めねえ!」 そう、あさひちゃんにとんでもないワガママをぶつけてやったんだ。大切なものを、みすみす手放してしまうようなことはしたくなかった。あさひちゃんのためなら、俺はどこまでも図々しくなってやるんだ。 あさひちゃんは下を向いて、しばらく黙りこくっている。それを見た俺はハッとして冷静になる。この期に及んで何てバカなことを言ってしまったのだと、謝ろうとした。 しかし。 「・・・・・・うん。わかった」 「え?」 何が「わかった」と言うのか、もちろん俺にはわからない。 「よーくんも一緒に転校しようか」 「・・・・・・え? は?」 「そこまで言ってもらっちゃったら、もう、私、よーくんと離れ離れになれないよ。よーくん無しじゃ寂しくて生きていけないよ。好き! だから、一緒に行こ?」 あさひちゃんは顔を赤くして、ちらちら俺のことを見ながらそう言った。俺はポカンとしてしまい、散々ぼろぼろあふれ出てきた涙が、すっかり止まってしまっていた。 「よーくんも双葉島においでよ」 差し出された手のひら。 その手を、俺は握ってしまった。 「・・・・・・よーくん、朝だよ。ほら、起きて」 爆睡していたところを起こされた俺は、眠気のあまり何も返事ができない。表情ひとつ変えることすらできない。まぶたがすごく重い・・・・・・。 俺は目覚まし時計を手に取る。長針は、アラームが鳴動する三十分の前の時刻を指している。 「おやすみなさい」 「ダメだよ」 頭から被ろうとしたふとんを、全てはがされてしまった。 「そんなぁ・・・・・・」 冗談じゃない。可能な限り眠ることの、何が悪いんだ! こちとら一般人学生として、一生懸命遅くまで勉強に励んでいるというのに・・・・・・! 「早寝早起きは森野家の鉄則です! ささ、ごはん出来てるから起きて起きて」 双葉学園のブレザーにエプロンを着けた女の子は、そう言った。どうかその規則だけは免除していただけませんか。死んでしまいます。 「もう! よーくんは甘やかすとすぐダメになるんだから、そういうわけにはいきません!」 そう、あさひはほっぺをぷくっと膨らませた。 この子が幼なじみの、『森野あさひ』だ。どうしてあさひがこんな朝っぱらから俺の部屋にいるのかというと、それはこの子が俺の家にいるというわけではなくて・・・・・・うーん。とにかく、それなりの事情があるの。 そのとき、携帯の着信メロディが俺の部屋を駆け抜けた。俺とあさひは同時に、勉強机の上でぴかぴか光っている携帯電話のほうを向いた。 「よーくんにお電話? こんな時間に誰だろうね?」 あさひは机に近づき、二つ折りにたたまれた俺の携帯を手に取る。 はて、こんな朝早くから誰だろうなぁ? ・・・・・・そう、頭上に疑問符を浮かべたときだ。みるみるうちに顔が真っ青になっていくのを、俺は感じた。マズい! それだけはマズい! 「あさひ! 俺が電話取るから取らなくていい!」 俺は慌てて立ち上がり、それをよこせと手を出す。あさひはいったんきょとんとした顔を向けるが、「くすっ」と可愛らしく笑ってこう言った。 「無理しなくてもいいよ、よーくん。よくよく考えたら、起こすのちょっと早かったものね。やっぱり横になってていいよ」 ダメだ! 今のは優しくてちょっとキュンときたけど、それでもダメなんだ! ピッという音が鳴る。着信を取ったのだ。俺は「ひいっ」と泣きそうな悲鳴を上げる。 『・・・・・・やっほー、おっはよーん先輩! 今日は部活の朝練だよぉ、起きたー? この気配りの利いてぇ、優しくてぇ、美人の後輩がねぇ、カワイイ先輩にモーニングコールです! ・・・・・・って、聞いてるぅー? もしもし? 谷繁先輩? もしもー』 ぴっと、柔らかな手つきで静かに電話を切る動作が、むしろ怖い。 あさひがこちらを振り向く。栗色のセミロングをぱっと翻す。小学生のころから変わらない、生まれたての子犬みたいに可愛らしい童顔。にこにこと、いつもこの子は天使のような笑顔を俺に向けてくれる。そんな俺は世界で一番幸せなのかもしれない。 そして、あさひはこう言った。 「だぁれ? 今の女」 昔から変わらない子供っぽい声が、妙に物々しい台詞を言った。 「こ、後輩だ! 部活の後輩だ! あの子とはそれだけの関係だって!」 朝っぱらからガタガタ慌てふためきながら、俺はあさひから携帯を取り上げようとする。しかし、あさひは優しい笑みをたたえたまま、真後ろにポイと携帯を放り投げた。 ガコンと壁面に激しく衝突した。乱雑していた教科書や参考書の山に直撃し、書物もろともドサドサ大きな音を立てて床に落っこちる。 「よーくん。私を怒らせたね・・・・・・」 その台詞が俺に対する死刑宣告だった。 「待ってくださいあさひさん! あの子とはそういう関係ではありませんッ! 俺は異性と不純な交友関係など持っていませんからッ! どうかその拳を、拳を下ろしてくださ」 「さよならよーくん、かつて私の愛した人」 俺はあさひにぶん殴られ、窓ガラスを突き破って空へと飛ばされていった。 双葉学園には、恒例の「球技大会」がある。 五月の半ばに春季、九月の終わりに秋季と、年に二度開催される大きな学校行事だ。特に春季の大会は新しいクラスになって最初の行事なので、クラスの仲を深めるのにちょうどいいイベントとなる。 俺は自転車の荷台にあさひを乗せて、住宅街を駆け抜ける。これが俺たちの登校スタイルだ。 ざっと説明しておこう。俺は谷繁陽太郎。後ろの子は森野あさひ。あさひが「異能力者」であることが判明したため、こうして双葉島に暮らしているのだ。 で、何で一般人の俺までもが双葉学園にいるのか、という話。それは・・・・・・その・・・・・・。過去にちょっとした恥ずかしい出来事があったおかげで、俺はあさひと一緒に転校し、森野家の居候になっている、そういうわけなのだっ! 両親には、森野家の人間がじきじきにやってきて説明をしていった。俺の両親は少しもものを考えたりすることなく、「いいよッ! 一緒に転校しても!」などと言いやがった。「面白そうだからいいじゃんッ!」とか親指を立てながら言われたことを、今でもはっきり覚えている。一生忘れられっかい。とんでもねえ親の子に生まれちまったもんだわ。 「よーくん、もうすぐ球技大会だねぇ」 「はい? 何か言ったかぇ?」 「球技大会」 「あー、そういえば、あったねぇ」 すっかり忘れていた。クラス活動や学校行事にはとんと興味が沸かない。 「今年は何やるんだろーねー」 「さーなー?」 「去年みたいにバレーがいいなぁ」 「退屈」 「バスケもやりたい」 「億劫」 「もう! よーくんったら、今年もそんな調子なの?」 「たぶん」 別に孤独を好んでいるとか、性格的にひねくれている俺カッコイイ! と主張しているからとか、そんな理由ではない。ただなんとなく「めどい」と感じるからである。もしも森野家の世話になっていなかったら、きっとためらうことなく欠席してごろごろしていただろう。 「今年ぐらいは頑張ろうよぅ」 「うーん・・・・・・」 あさひに何と言われようが、かったるいものはかったるい。例えば放課後に残って練習とか、そういったものは本当にやりたくない。とっとと家に帰してほしいと思うのだ。夕方アニメが始まっちまうだろうが・・・・・・。 ちなみに森野あさひさんは、外見こそ、長い髪の毛をふりふり揺らしてにこにこ微笑んでいるようなヒロインタイプの女の子である。が、その実態はかなり恐ろしく、とても俺の口から表現できそうもない。ガラスを突き破って空中散歩させられた傷が、まだ痛む。 「どうしたの、よーくん。急に黙り込んじゃって。考え事?」 「いいえ、何でもありません」 察する能力が尋常でないあたり、恐ろしい子である。やきもちを焼かせたら天下一品だ。将来この子と結婚したとしたら、安定して幸せな暮らしと引き換えに、ゴリゴリ寿命を減らされていく日常が待っていることだろう。 あさひは小学生のころから球技が得意で、少年野球のチームに参加していたほどだった。双葉島に来る前の大会では、何と全球ストレートで完全試合を三回も達成しやがり、異能者であることが判明したきっかけとなった。座右の銘は「弱気は最大の敵」とか。 やがて俺たちは双葉学園の正門に滑り込み、自転車から降りた。構内は自転車を降りないと、風紀委員に殺される。 頬をつたった汗を、横からあさひが拭ってくれた。 ふっと俺も笑顔になる。こういう優しいところは、今でも好き。 ――球技大会まで、あと九日であった。 ぜーぜー息を立てながら、俺は階段を上りきった。高等部二年生の教室はけっこう高い階層にあるので、朝から体力を激しく消耗させるのだ。五月にもなると体ができてくるので、ちょっとは楽になるのだが。 からからと戸を引いて教室に入ったとき。 「!?」 アゴが外れるかと思った。 『来る双葉学園春季球技大会、我々新生二年P組は一致団結し、必ず優勝旗を手中にする』 黒板にでっかく横一直線に、赤のチョークで書かれた文字。よくよく周りを見渡すと、「全校制覇」「天下無敵」「連勝街道一直線」とゲバ字で書かれたビラがたくさん、窓やロッカー、各人の机にまで、いたるところにベタベタと貼りめぐらされている。 「革命でも起こったか・・・・・・?」 まるで数十年前の国鉄電車のような有様だ。 「いったい誰がこんなことを」 思わずそうつぶやいたとき、俺は犯人を見つけてしまった。 ビラの束を手にし、嬉々として破壊工作に勤しむ男。「ふっふっふ」などと、こちらを背にして不敵な笑い声を上げている。 「おい」 「ヨータ。ついに来たぜ、球技大会がよぉ・・・・・・!」 「やはりお前だったか・・・・・・」 わなわな興奮を隠し通せない様子なのは、こういった学校行事大好き男・新井亮太だ。 「ヨータぁ、やるしかないぜ! 目指すはもちろん、優勝だ! 学園ナンバーワンだぁ!」 どうしてこう、この男はバカ騒ぎが大好きなのだろう。俺とは鮮やかなぐらい対照的な男だ。小学生に島にやってきてからの付き合いだが、今更ながらため息が出てきてしまう。 「・・・・・・知るかいな。一人でやってくれ」 「そーはいかん。P組優勝のためにはクラス全員が団結せねば」 このあと次々とクラスメートが教室にやってきた。誰もが教室内の変貌ぶりに度肝を抜かされていた。教室が生徒やかばんで埋まる頃、髪の毛を肩の辺りで二つに結んでいる女の子が、大声を張り上げた。 「席につきなさ――――――――――――――――――――――――――――いッ」 あちらこちらで雑談に興じていたり、ふざけあっていたりしていた生徒たちは、収まりかえるように自分の席についた。P組でもっとも真面目な女子・小池こまちの声で、P組の朝は始まる。 しかしP組の学級委員は、小柄で女の子みたいな顔の男子・岡田実であった。 「きりーつ、れーい」 『おはよーございまーす!』 がたがたと椅子を引き、クラスメートは着席する。担任はまだ到着していない。 女子の圧倒的支持を得て見事学級委員に当選した岡田は、教壇に立ち、先日行われた学年会の報告を始めた。 「球技大会についてです」 あさひや亮太も言っているように、球技大会が近くなったので学年会も慌しくなっていた。 「今度の球技大会の種目は、ドッヂボールに決定しました」 ドッヂを種目に選ぶなんてどんな高校だ。危なっかしい。 「今回顔面ヒット有効という、大変スリリングなルールが採用されました」 「あはは」 笑うしかない。 「題して、『無差別級ドッヂボール武闘会』です!」 頭が混乱してきた。わけがわからなくなってきた。果たしてこれはスポーツ大会なのか、格闘大会なのか。 「A組からZ組まで二十六クラス、そして三学年。計七十八クラストーナメント制で、近辺の運動公園も借りて行われるかつてない大規模なスケールの大会です」 「いよっ。待ってましたー」 亮太が何か言っている。俺はずるずると前のめりになり、ため息を全て出し切ってしまった。 本年度はどうも、やけに気合が入っているように見受けられる。何かあったのだろうが、いい迷惑である。 そのまま机に突っ伏して寝てしまおうと思ったとき、彼は現れた。 「いよう」 「あ、鉄雅先生。おはようございます」 岡田がぴょこんと頭を下げた。のっしのっしと、筋肉ムキムキな大男が近づいてきたのだ。 「おーおー、やっとるやっとる」 球技大会についての報告がなされていることに、満足しているようだ。 この丸刈りの大男は一見ヤクザのようである。しかし、彼こそがP組の担任である「堂上鉄雅」だ。双葉学園が目をつけて引っこ抜いてきた、「伝説の教師」らしい。詳細は不明。知りたくもない。 「野郎ども」 生徒をそう呼ぶ教師も、彼ぐらいだろう。 「もう球技大会が近いんだが」 ランニングシャツと、隆起したこげ茶色の上腕二頭筋が気になる。 「俺たちは選ばれた人間だ。勝つために編成された。それはわかってるな? 絶対優勝するぞ」 そんなん初めて聞いたわ。 「ときに、野郎ども」 ここで、教室の空気が一変する。クラスメートがみんな呼吸を止めてしまったかと思ってしまうぐらい、ずっしりとした沈黙が降りてきたのだ。P組名物「天声仁語」の時間だ。 鉄雅は窓辺に寄り、暖かな日差しを浴びながらサングラス越しにその目を細め、クラスメートにこう告げた。 「・・・・・・忘れるな。サッカーは蹴球、テニスは庭球。ドッヂボールは、『闘球』だ・・・・・・!」 その瞬間だった。誰もが雷のごとき衝撃を喰らい、強い快感の向こうに宇宙の心理を垣間見た。気づけば皆、涙を流して感動しているではないか。 「さすが鉄雅先生だ!」 「神か仏のようなお方だ!」 「私、このクラスで本当によかった!」 周りの生徒が次々に起ち上がる。スタンディングオベーションを始める。俺は何がなんだかわけがわからず、ただ一人座って精神的に取り残されていた。 堂上鉄雅。聞くところによると、彼の言葉には『生徒の心を動かす力』があるらしい。これまでいくつもの荒れ果てたクラスをその異能で更正させてきたという、数多くの教師伝説を持っているとか。 「さすが・・・・・・! さすが鉄雅センセだぁ! 素晴らしすぎますぅううう!」 亮太。頼むからお前は黙っててくれ。 優勝! 優勝! とクラスが手を叩きながら盛り上がる様は、さながら新興宗教のよう。鉄雅先生は教卓をバーンと叩き、こう叫ぶ。 「そうだぁ! 野郎ども、目指すは優勝だ、気合入れてけぇい!」 「ウース!」 「掛け声いくぞぉおおお!」 「ウゥウウウウッス!」 「俺たちはぁ、強――――――い!」 「強――――――――――――い!」 どこかで聞いたような掛け声が、廊下にまで響き渡る。 もうお分かりだろう。俺はどうやら、メガトン級に変なクラスにあてがわれてしまったようなのだ。この担任といい、面子といい、何だっていうんだ。 「陰謀だ・・・・・・」 掛け声は、一限目の授業を少し削ってまで続いた。 ああ、ついにこの日が来てしまった。 制服に着替えてから、がっくりベッドに座り込む。結局、今日一日サボることはできなさそうだ。 「よーくん、今日は頑張ろうね!」 そんな俺の目の前には、左腕をぶんぶん振り回して気合を入れている子がいる。一試合、二十奪三振を記録した豪腕がうなるに違いない。そんな想像をしただけで、俺はどんより気持ちが沈んでいった。 時計に目をやると、登校の時間になっていた。俺は困惑した表情のまま、あさひに話しかける。 「おい、あさひさん」 「なーにー?」 「あんまり意味がないことはわかってる。でも、一応聞いてみるな」 「うん」 「お前、何だその格好」 「たいそうふく」 「・・・・・・まあ、そりゃそうだな」 今朝目を覚ましたら、カーテン越しに降り注ぐ柔らかな光のシャワーの中、形のいいお尻をぴっちり包み込んだ「ブルマ+エプロン姿」の女の子がたたずんでいるのを見た。 別に俺に対してご奉仕云々とか、そういうわけではない。彼女はただやる気満々なだけだと思われる。ただ、その・・・・・・。俺はこんな格好をした子を後ろに乗せて、学校まで自転車を走らせなければならないというのか。 「参ったなぁ」 好きな男は、泣いて喜ぶのだろうか? 2019年度・春季球技大会が幕を開けた。暇な地元住民が、朝から応援や店を出しにやってくる一大イベントである。「双葉島やきそば」なる屋台を出している大将に、お店は大丈夫なのかと聞いてみたが、「面白そうだからいいじゃんッ!」とビッと親指を出された。 高等部の校庭には、すでにドッヂボールのコートがいくつも引かれていた。総勢七十八チームの、ガチンコトーナメントバトル。今日中に終わるんだろうか、コレ。 総合グラウンドのすみからすみまで、双葉学園高等部の生徒が全員集結する。朝礼台に長身のイケメンが上がった。茶髪なのはまぁいいとして、あのワインレッドの制服はなんなんだ? 何がしたいんだヤツは? 頭おかしいとしか言いようがない・・・・・・。 「やあみんな、体育委員長の討状だよ。今日は頑張ろうねぇ。特に女の子には優しくしてあげてねぇ。僕はいつでも女子たちの味方だよぉ」 主に女子陣から、「うるせえ!」「討状帰れや!」「キモいんですけどぉ――ッ?」という、乱暴極まりない野次が上がっていた。何あの人嫌われすぎ。 そんなけったいな開会式が終わったあと、俺は試合開始時間まで、亮太の練習に付き合わせることとなった。 校舎裏にて。 「とおりゃあああ!」 真っ直ぐ伸びてきた球を、俺はキャッチする。ドスンと胸に直撃し、軽くせきこんでしまう。キレ、威力ともに申し分のない一球だった。 「はいはい、ナイスボールナイスボール」 「フッ。どうだ」 俺からボールを受け取った亮太は、ニッと笑って見せた。 「いいんじゃねえの?」 「なんだぁお前? その覇気のなさは」 「だってなぁー・・・・・・」 「だって、何だ?」 「・・・・・・あそこまでやるかねぇ、フツー」 「・・・・・・ふっふっふ。今日は楽しくなりそうだなぁ、ヨータ!」 不敵に笑う。それもそのはずだろう、ゴールデンウィークを返上してまで決行された、P組秘密特訓の成果が日の目を見るのだから! さぁ、戦後まれに見る殺戮劇の始まりだ。 こういった学校行事では、クラスの性格というものがはっきりと露呈する。 ひとつは、見ていて呆れてしまうぐらいスポーツ行事に命をかけて臨む熱血クラス。こういうクラスはたいてい、担任の存在感や声が大きいものだ。 もうひとつは、協調性という言葉などもはや意味を持たない、やる気もクソも無いクラス。だいたい、このような感じに大分されるのだろう。 「勝つぞぉー」 「おー」 体操着に、カラフルでコミカルなシールをたくさん貼り付けた、お祭り気分のクラスがやってきた。男女問わず、誰も彼も笑顔でいっぱいである。三年生のクラスだ。 「最初どことぉー?」 「二年生だってさー」 「手加減しなきゃねー」 「そーだねー!」 今日はめいっぱい楽しんじゃえ☆といったスタンスの、ノリノリなクラスだ。気合を入れすぎず、抜きすぎず。絶妙なやる気のバランスを保った、新感覚の集団である。 彼らがきゃっきゃと小突きあって遊んでいるなか、相手となる二年P組が登場した。集中しているのだろうか、皆、真っ直ぐ前を向き、無言でコートに集まってきた。 三年生のクラスは「きゃ、あの子かわいい!」「私たちもあんな頃があったのねん」などと、なおも雑談に興じていた。そこに体育委員の審判がやってきて、「始めますよー?」と呼びかける。間もなく、試合は始まろうとしていた。 このあと彼らは、かつてない地獄を体感する。 荒らしは過ぎ去ったようだ。コートには、三年生の亡骸が多数転がっていた。 このたび鉄雅率いるP組は、血の滲むような激しい修行を積んできた。バスで高速に乗り、長野県かそこらの奥地に入ると「ドッヂサンクチュアリ」と呼ばれる伝説の修行場にたどり着く。そこで何人かが究極奥義を身につけ、島に帰ってきたのだ。今回有効となった顔面ヒットで、男女関係なく笑顔の花々を蹂躙し、もぎ取って散らかしてやった。 「チッ。肩慣らしにもならん」 「八分で全滅なんて、笑止千万ね」 哀れ、三年生のみなさん。 大会は滞りなく進行していった。「無差別級」と冠が付いているだけあり、もちろん異能も有効である。あまりにもその方向に特化しすぎたちからを持つ生徒は、自分から空気を読み、加減してくれるのがふたがくクオリティ。 しかし、空気も加減も関係ないバカ正直な直球勝負が、P組クオリティ。生ぬるい連中は、先制攻撃で息の根を止めてしまう。圧倒的な強さで勝ち進んでいった。次々と試合を終わらせるたび、コートが赤く染まる。先ほどから救急車の到着回数が多いのだが、これはどうしたことカナ? そして非常にアホらしい話なのだが、俺たちはついに準々々々・・・・・・々決勝まで勝ち進んだ。どれだけ勝ち上がってきたのかすっかりわからなくなっていたが、亮太によれば、十分優勝の狙える位置までやってきたという。 「よっしゃあああ! 我らP組最強伝説が現実味を帯びてきたぞおおおおおお!」 亮太はもう絶好調である。俺としては、もうこんなの早く終わってほしい。 「さて聞きたまえ、谷繁同志!」 「誰が同志だ、誰が!」 「次の相手は文系のQ組だそうだぞ」 「きゅ、Q組だってぇ?」 耳を疑った。あの森野あさひさんや、亮太の幼なじみである「清水奈月」のいるクラスじゃないか! 「そうだ! ふっふっふ、これであのにっくき奈月に、一泡ふかすことができるぞぉ・・・・・・!」 清水奈月は俺と同じ部活の子で、なおかつ亮太の嫁(こうからかうとビンタを喰らう)である。いくらハイテンションでやかましい亮太でも、あの女には決して頭が上がらない。きっと将来は結婚して、尻に敷かれることだろうなと思う。 そんな奈月と対戦すると知って、亮太はいっそう燃え上がっていた。どっちも自分の感情に素直になれない、難しいお年頃なのだ。俺はあさひといつも、そんな話をしている。 だが、俺は今、不安で仕方ない。何なんだろうか、この胸騒ぎは。 これから、とてつもなく恐ろしい何かが起こりそうなのだ。 準々々々・・・・・・々決勝からは場所を移し、メイングラウンドで行われる。敗退したクラスや住人がぞろぞろと集まり、小さなコートを囲んでいる。初等部の子や、地元町内会のおばちゃんまでやってきた。 トーナメントの性質上、敗退して暇をしているクラスは多いはずだ。しかし、俺の思っていた以上に観客が集まらない。地元の住人といった、学園とは関係のない人たちのほうが多かった。まあ、生徒の約半数は自分たちが病院送りにしてしまったのだが。 それでもこの数は少なすぎる。俺は亮太に相談してみるが。 「負けたから、もう家に帰っちまったか部活行ったんだろ?」 お祭り騒ぎ大好き男は、そんな楽観的なことを言っていた。 そんなことでいいのだろうか? 少なくとも俺は、今こうして対峙しているQ組の連中から、ただならぬものを感じているのだが・・・・・・。 体育委員の審判が、ボールを持ってコート中央にやってきた。 「それでは、二年P組と二年Q組の試合を始めます」 ボールかコートか。コイントスの結果、まずQ組がボールを持つことになった。一方P組は制限時間いっぱいに作戦タイムを取り、真剣な話し合いや綿密なシミュレーションの結果、正門側のコートを選択する。そんなんどっちでもいいだろうが! 「はじめ!」 試合開始だ。Q組の男子は助走をつけ、勢いよく振りかぶった。 (まずは外野へパスか!) 誰しもがそう思った。ところが。 ばきぃ。 「えっ・・・・・・!?」 いきなり鈍い音がしたのだ。音のしたほうを向くと、誰かが「うぇあ」とうめいて前のめりにズンと倒れた。 「し、島田――ッ?」 P組は驚愕した。なんと、開始早々一人殺されたのだ。それはあまりにも一瞬の出来事であった。 そして、不敵にくすくす笑っているQ組の面々。そのとき、誰もが同じことを思ったことだろう。「こいつら、できる――!」 島田康弘は重度の脳震盪を起こして病院行きとなった。転がっていたボールをぐっと掴むと、怒りに震える亮太はQ組の連中を睥睨する。 「いくぜ・・・・・・!」 キザったらしい笑みを相手に見せると、スッとボールを真上に放つ。それから自身も天空へと飛翔、片手でボールを掴み、そのまま振り下ろす! 「スカイ・ショット!」 十数年前のコロコロ読者にとって懐かしい技が炸裂した。ボールは男子生徒と女子生徒の顔面にバキバキ直撃し、ダブルヒットとなった。スーパープレーに観客が沸く。 それから亮太に続き、アックスショットだの五芒星フォーメーションだの、スピントルネードショットだのマニアックな必殺奥義が次々と決まり、P組がガンガンQ組を攻め立てていった。 かに、思われた。 「えい!」 可愛い顔して実は強肩キャッチャーの、岡田実の速球が放たれた。 が。 ずばぁんと強い炸裂音がグラウンドを揺さぶる。ところが砂煙が散ったあとの光景に、一同激震が走る。 清水奈月があれほどの剛速球を、何と右手一本で掴んでいたのだ。 「ば、馬鹿な・・・・・・!」 うろたえる亮太。奈月はニンマリ笑う。 「・・・・・・そう! そうよ! そうこなくっちゃ! サイコーよP組ぃ! さすが私たちのライバルねぇ!」 彼女は手のひらで顔を覆い、大笑いをする。心から笑い狂う。 やがて、笑うのを止めた。 「さて・・・・・・死になさい」 彼女はびゅんと飛び上がる。先ほどの亮太なんかよりも、もっともっと遥かな高みを目指して。 そこで、誰もが我が目を疑った。なんと、奈月の右手が燃え上がっているのだ! 「あ、あれは!?」まさかの大技を前にし、亮太が恐れおののく。 「はぁあああああああああああああ!」 奈月の咆哮とともにボール、否、地獄の業火が放たれた! 「うっ、うそぉ! 何で? 何であの子があんな伝説の――――――」 おどおどと困惑している可愛らしい岡田を目掛けて、火の玉は容赦なく突き進み、 爆発が起こった。 「どわあああああ!?」 俺はびっくりして、両腕で目を覆った。激しい突風と、砂煙に襲われたからだ。周りが落ち着いて腕を下ろしたときには、岡田実の小柄な体はどこにも「無い」。 空気と肉が焼け焦げたような匂い。そんな物々しい香りが充満するなか、俺は、岡田の体が大の字になって、後方の正門にめり込まれているのを見た。 「あ・・・・・・あ・・・・・・」 シンと、校庭の学生や、観客である島の住人が静まり返ってしまった。奈月は、ころころ転がって戻ってきたボール――鮮血に染まっている――を拾い上げ、P組にこう言った。 「さぁ。どこからでもかかってきなさぁい・・・・・・」 そして、にたりを口角を上げる。 「殺してあげるから」 地獄絵図なんてもの、リアルの世界でお目にかかるとは夢にも思わない。 ドッヂボールのコートは乾かない血で真紅に染まり、P組のクラスメートがただの肉塊と化して散乱している。肉塊とはさすがに誇張であるが、誰もかもが物言わぬ骸となっていたのは、事実である。 奈月は鬼畜であった。あの圧倒的破壊力を誇るショットで、P組を徹底的に駆逐した。 だがP組も、奈月による反撃を覚悟してでも、最低一人は殺して死んでやろうという涙ぐましい特攻隊戦略に出ていた。それにより、ここまで両チーム互角に渡り合っている。 そのような決死の覚悟もむなしく、奈月の勢いは衰えるところを知らない。 ばきっ。ぼきっ。ぐちゃ。ぐちゃ。 惨殺真最中といった感じの、この上なく嫌な音がお昼過ぎのグラウンドに響き渡る。 死屍累々、死体がゴミのように積みあがっていく。さっきから救急車が学園と病院の間をピストン運用されていた。 俺は全てを理解する。観戦に来る生徒が少ないのは、こいつらQ組が無慈悲にも病院送りにしてしまったからなのだ! ・・・・・・まぁ、俺たちP組も同罪だよな。 「奈月ぃ!」 「あら、こまちちゃん」 「あなた、それでも人の心をもってるのッ!」 「まー。相も変わらず、かわいいこと言うわねぇー」 清水奈月と小池こまちは「いとこ」の関係にある。性格は全然違うが、顔つきがどことなくそっくりだ。 「でもね、こまっちゃん」 奈月が顔を下に向け、こまちに語りかける。 「いいこと教えたげるね」 顔の下半分がにたにた笑っていた。そのまま彼女は飛び上がる。この女、自分の親戚もその手にかける気か! 「所詮この世は弱肉強食。強ければ生き弱ければ死ね」 そのとき、こまちの脳内にさる包帯男が浮かんだかどうかは定かでない。でも、生真面目な彼女は迫り来る「死」を前にしてでも、こう突っ込まずにはいられなかった。 「いや、弱ければ死ねじゃあなかったでしょうが」 ばきゃん。眼鏡のパーツや鮮血とともに、華奢な体が宙を舞った。 「はい、いっちょあがりー」 怖いよこの女。ヤバいよこの女。あっという間にP組は、俺と亮太を含めて残り三人になってしまっていた。 俺は強く後悔した。やっぱりこんなふざけた大会、出るべきじゃなかったのだ。 「げ! あさひ!」 「あ! よーくん!」 「くすっ。まぁさかいつもの面々が残るとはねー!」 「あさひちゃん、君のブルマ姿なかなかそそるねぇ」 「うわーん! 亮太さんのばかー! へんたいー!」 俺たちは試合そっちのけで、内輪話で盛り上がった。 「・・・・・・ま、たとえ親友が相手になろうと、手加減なしだけど?」奈月の顔が阿修羅に戻った。「後はあんたたちだけね。己の血というものを見せてあげるわ!」 そして、奈月はこの日いちばんの飛翔をみんなに見せ付ける。燃え盛る太陽をバックにし、火山のような野獣の咆哮を轟かせた。 「双葉学園の天下をもぎ取るのはわれわれQ組なのよ! 貴様ら下等生物ではな――い! 死ねぇええええええ――――――!」 俺はやはり清水奈月たる女は、とある戦闘民族の星を滅ぼした某エイリアンの生まれ変わりだと確信した。てか誰か助けて! 助けてよ! まだ死ぬには早いって! 絶体絶命を直感し、俺はぎゅっと顔を背けて両目を瞑った。 死んだと思った。でも、生きている。 俺は恐る恐る目を開き、前を向いた。 「なっ・・・・・・!」 信じられない光景だった。誰かが俺の前にいたのだ。 そいつは奈月の残虐なボールを受け止めていた。 そいつは激しく回転し続けて暴れるボールを、抱きしめていた。 もちろん、それは亮太などではない。 「森岡あけみ」。最後まで残ったP組の戦士。女子の中でもひときわ存在感のある、スポーツ万能の女の子。 想定外の光景を前にして、あの奈月が激しく動揺している。 「ありえない! 私の『炎のシュート』を受け止めるやつがいるなんて! 絶対にありえない!」 森岡は、奈月に向かってフンと笑って見せる。口元から血を垂らしながら。 「よくも、ここまでやりたい放題やってくれたね。何も球技に向いた能力を持っているのは、あなただけじゃないんだよ・・・・・・!」 と、ここで森岡の背後に何者かが現れた。そいつは青白く発光した、うす透明の体をしている。 それは、病院送りとなった島田康弘であった。同じく救急車で運ばれていった岡田実の姿もある。さらに、今さっきやられてしまった小池こまちまでもが、生霊みたいな存在になって森岡の傍らに並んでいるではないか。てか、何なのこの光景! 何なのこの幻想! 「これは、P組のみんなのお返しだよ・・・・・・!」 ユーレイみたいになったクラスメートがぞろぞろと集まり、森岡の肩に触れる。その瞬間、彼女に抱きしめられているボールが、ドムンと青いオーラをまとって燃え上がった。クラスメートの魂源力が一つのボールに込められたのだ。森岡はそれを右手に握り、しっかり構えて奈月と対峙する。 「たかが理系の凡愚めが! こしゃくなぁああああああ!」 「・・・・・・コレで終わりだよ! でやぁああああああああああああ!」 柔らかい体をしなやかに使いきった、伸びのある球が放られた。ボールはぐんぐん伸びていき、ぎゅるぎゅると強い回転運動を起こしてホップした。空気の壁を突き破り、奈月に襲い掛かる。蒼くて巨大な竜が具現し、奈月を喰らいにかかったのを誰もが目撃する! 「ひいいっ!」 奈月が両手を前に差し出す。激しい衝突音とともに、あちらこちらに閃光が走った。 「く・・・・・・くぅっ・・・・・・ああっ・・・・・・!」 奈月はボールを真正面から受け止めた。しかし、ボールの勢いはまるで収まらない。 「こんなもの、こんなもの私には利かないんだからぁ――――――――――――――ッ!」 そう大声を上げた瞬間、ずぎゃぎゃとドライブ回転が増し、彼女の顔面にボールがめり込んだ。 ギャオオオオオオン! ドラゴンが叫ぶ。巨大な口をぱっくり開けて、悪しき清水奈月を呑み込まんとばかりに突っ込んでいく。 甲高い奈月の悲鳴とともに、大爆発が起こったのであった。 俺は倒れていた。うつぶせになって気を失っていた。 「うう・・・・・・」 ぱんぱんと、体操服に着いていた砂を払う。相手コートのほうを見るが、奈月の姿がない。彼女のいたところが、深く陥没していた。 「これは本当にドッヂボールの大会なのか・・・・・・?」 もう唖然とするしかない。 渾身の一撃を叩き込んだ森岡あけみは、そのまま立ち尽くしていた。真っ白に燃え尽きた状態で立ち尽くしていた。そのまま、がくりと前に倒れる。 「も、森岡ぁ――!?」 慌てて俺は森岡のところに近寄り、正面から彼女の体を受け止めた。こんなにも小さくて軽い体なのに、あのようなものすごい球を投げ込んだのが信じられない。 「谷繁くん、怪我ない・・・・・・?」 それは、とても爽やかで美しい笑顔だった。 「ああ。森岡が守ってくれたからな・・・・・・!」 「そう、良かったぁ・・・・・・」そうにっこり微笑んでくれる。「Q組はあと、残り一人だね。・・・・・・うぐっ!」 突然、森岡はごほごほと咳き込んだ。俺の胸元におびただしい量の血が付着し、思わず悲鳴を上げてしまった。 「森岡! おい、しっかりしろぉ!」 「あはは・・・・・・。あたし、もーだめ。後は頼んだよ・・・・・・っ」 最後、彼女は「ちゅっ」と俺の頬にキスをしてくれた。そのまま、がくりと右腕を垂らす。 「森岡? おい、森岡!」もう、どれだけ声をかけても森岡はその目を開かない。 「森岡ぁ―――――――――――――――――ッ!」 俺は両膝を地に着いて、慟哭を上げた。激しく泣き喚いた。 俺がわんわん泣いているなか、鉄雅先生がやってきた。森岡の亡骸を抱き上げ、しみじみと教え子の表情を直視しながら、こう零す。 「えー顔だ。人は誰かさんのためならな、たとえ自分の命を捧げても後悔しないもんなんだ」 鉄雅先生は森岡を戦場から離してやる。もう二度と彼女が戦うことのないよう、ぐっすり眠れる場所へと運んでやるのだ。亮太は感動的光景を前にして号泣していた。 こうして、最後まで残ったP組の戦士・森岡あけみは深い眠りについたのであった。ぐっすり、すやすや、気持ちよさそうに。魂源力を使い切り、口元が深く切れていて出血を起こしていたので、鉄雅先生は彼女を保健室に運んでやったそうだ。 「さあヨータ。残りはもう一人だ。俺たちは森岡のぶんも戦わなくちゃならねえ・・・・・・!」 「ああ、そうだな・・・・・・!」 こんなひねくれた自分を守ってくれた森岡。アイツのおかげで俺は目が覚めた。 本当に馬鹿だった。俺も森岡みたいに、全てをかけて戦いに臨むべきであったのだ! 「絶対に俺たちは勝つぞ! リョータぁ!」 「ようやくお目覚めかぁ? へっ、そうこなくっちゃあな、相棒!」 ところが、最後に残っていた人物が何者であったかを思い出すと、うって変わって戦意が逃げていった。袋に穴が開いて水がピューと抜けていくかのように。 「あとは、あさひちゃんだけだから楽勝だぜ!」 亮太はそう言った。当のあさひは無言のまま、ぽーんぽーんとボールをついている。 やべ。ちょー不機嫌じゃねえか。どうしよ。 「相変わらずいいケツしてんなぁ? アレにボンと当てて、おしまいにしちまうか!」 オヤジのセクハラか。俺は冷や汗をいっぱい流しながら、こう亮太に言った。 「亮太・・・・・・」 「あん? どうした?」 「死ぬぞ・・・・・・?」 何を隠そう、Q組の中で本当に恐ろしいのは、奈月などではなく「森野あさひ」だからだ。 「何言ってんだよ? あんなエロゲに出てくるような可憐な子が、どうして」 と、亮太が最期に見たのは、すでに百八十度ぐらいに上体を捻じ曲げて、ボール片手に振りかぶっていたあさひの勇姿であった。 どがあああん。 試合会場のはるか後ろにある、小さなテニスコートのあたりに爆音が上がる。砂煙が空高く舞い上がる。亮太はあさひの一球で屠られたのだ。 森野あさひ。異能は「嫉妬力」。やきもちから己の魂源力をぎゅんぎゅん高め、馬鹿力に繋げてしまうというとんでもない女の子だったのだ。 「よーくーん・・・・・・?」 「あ、はい。何でしょう」 「さっき、何かいやらしいことしてたでしょう」 「さっき? ・・・・・・あ、森岡! 森岡の件か!」 「よーくん・・・・・・。私を怒らせたね・・・・・・」 どうやら俺の死刑判決が出たようだ。 「さよならよーくんかつて私の愛した人」 白球が弾丸となり、俺の顔面に飛んできた。 耳元に強い衝撃があったと思うと・・・・・・。お、双葉湯の煙突だ。んで、あの建物が中華料理の「大車輪」。んで、あれが双葉川。そしてあのあたりに見える赤い屋根の家が、俺の世話になっている森野家というわけだ。 「俺、飛んでるよ――」 そのまま真っ逆さまになり、俺は墜落していった。 こうして、熱き春季球技大会は幕を下ろした。 P組は宿命のライバルQ組に敗北したが、Q組のメンバーもあさひ以外が戦闘不能に追い込まれたので、結局次の試合に進めなかった。聞いたところ、決勝戦は変態集団こと二年C組と、春奈・C・クラウディウス監督率いる一年B組の直接対決になったとか、ならなかったとか。 PとQの双方で発生した、死亡すれすれの重傷者。 また、そいつらが破壊の限りを尽くしてもたらした、大量のけが人。 あまりの凄惨な試合内容に、次々と倒れていった地元の観客。 しまいには、壮絶な稼動で過労死寸前までいった救急隊員までもが病院送りとなり、被害者の一人として数に加えられる。 その数、述べ、六百七十八人。 ちなみに意識不明の重態一名とは、俺のことだ。 トップに戻る 作品保管庫に戻る