約 1,300,629 件
https://w.atwiki.jp/wiki1_test/pages/5426.html
https://w.atwiki.jp/ogasawara/pages/721.html
船橋鷹大さんからのご依頼品 空歌ちゃんが頑張ってたり照れてたり とっても可愛くて描くのが楽しかったです。 空歌ちゃんほんとすごく可愛いですねー ご依頼有難うございました~ 作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) 名前 コメント ご発注元:船橋鷹大@キノウツン藩国様 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/cbbs_om/cbbs.cgi?mode=one namber=134 type=123 space=15 no= 製作:三つ実@羅幻王国 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=857;id=UP_ita 引渡し日:2008/03/11 counter: - yesterday: -
https://w.atwiki.jp/zatchbell/pages/1655.html
S-222 バベルガ・グラビドン 術 上級 MP10 +7000 ダメージ3 重力 バトル攻撃 相手の魔本にダメージ。 相手の魔本か魔物にダメージあたえたとき、相手の魔力4000以下の魔物をいくつでも選び、捨て札にする。 ブラゴ第8の術 広範囲に強力な重力をかけ、敵を一掃する。 LEVEL 7 シク自販機 RE シク 魔力が平均以下の魔物は、すべて捨て札にする。 消費MPも最高レベルだ。 原作で石版魔物を一掃したシーンがモチーフとなっているだけに、相手の魔物複数を捨て札にする事が見込める。 相手の使用魔物次第では、この効果で一掃して勝利というのも夢ではない。 現在だと魔物の魔力はインフレしているので、より効果を確実なものとするならS-033 グラビレイやダルモス《見はり》等で魔力を下げてから使うのも良いだろう。 このカードを使う上で注意すべき点はやや多い。 まずはやはりウォンレイ《愛のために》等の捨て札メタへの対策だろう。 PR-065 バトルロイヤルやゼオン《絶望へのスタート》といった捨て札メタ効果を使用できなくするカードが存在するので、それらの併用を検討したいところ。 「相手の魔本か魔物」にダメージを与えなければならないので、V-002 バルカン四代目によるかばうも天敵。 除去効果等で確実に対策しておきたい。 そしてMP10という大きなコスト、最終ページ用という点ではブラゴには他にも強力な術がある事も考慮に入れるべき点となる。 「効果による捨て札」を狙うのであればこのカードは高い性能を誇る一方で、「ダメージによる捨て札」を狙うならS-313 バベルガ・グラビドンといったカードが存在、他にも最終ページ前にS-400 ディオガ・グラビドンを駆使して「ダメージによる捨て札」を狙うといった手段も存在する。 また、魔本へのダメージであれば全ヒットで8ダメージとなるS-366 バベルガ・グラビドンも存在するので、こちらならではの強みを活かして勝利に繋げたい。 よって、このカードを最終ページで使うなら「効果で魔物を全滅させて勝利」できるように、それ以前のタイミングで使うならコスト軽減や早い段階で使えるようにする効果を用いて「確実なアドバンテージを作る」という事を目指すべきだろう。 ちなみに原作のこのシーンに登場していた石版魔物の殆どは魔力4000以下なので、この効果で捨て札にできる。 しかし、イバリスとエルジョのカードは魔力4000を上回っているので、それらに対して原作再現とするには魔力を下げるカードとのコンボが必要である。 収録パック LEVEL:7 蒼き斥石の光芒 REVISED EDITION タグ:MP10 ダメージ3 バトル攻撃 ブラゴ 上級 術 重力 魔物破壊 +7000
https://w.atwiki.jp/rsfrta/pages/247.html
←221日目 222日目 223日目→ 本編 実施日 2022年1月30日 トークテーマ 昔の自分に一言伝えるなら BGM 題名 ヒダマリトロニカ 作曲者 しゃろう リンク https //youtu.be/_T-JMKRjQSY 統計 項目 詳細 記録 試行回数 累計 94500回 今回分 650回 前日比 ±0回 平均 425.6757回 週平均 650.0000回 経過時間 累計 371 39 48 今回分 1 59 46 前日比 +0 08 53 平均 1 40 27 週平均 1 52 00 平均試行時間 今回分 11.056秒 前日比 +0.820秒 平均 14.159秒 週平均 10.339秒 達成率 累計 14.5443% 今回分 0.1000% 100%まで残り 854.2154日 近況 気狂いの有志達によるWikiができました。ありがとう、そしてありがとう。 https //w.atwiki.jp/rsfrta/ 備考 主な役・テンパイ スーパーチャット 時間 金額 内容 総額 -- -- ¥----- ----- ¥------ タグ
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/1252.html
1 不完全な静寂が延々と続く。僅かに聞こえるのは、か細い呼吸音と足音。 日の光が完全に遮断され、黒ずんだ壁に囲まれたこの部屋で一人の少年が 落ち着かない様子で、コツコツと乱れた拍子を現代的なデザインの杖で奏でながら 右往左往していた。頭頂から靴の末端まで白一色に染まっている彼は この一室では浮いて見える。 少年の名は一方通行。その整った顔からは嫌悪、焦燥の表情が絶え間なく 作り出されていた。動揺が隠せないからだろうか、寒気を感じる。 (……結果はまだ出ねェのか?) その目線の先には、少し薄汚れたベッドで眠りにつく少女があった。 少女の名は打ち止め。かつての天真爛漫で、元気を振りまく姿は 一切その様子からは想像出来ない。以前の衰弱しきった病態から抜け出せたのが せめてもの幸いだったが。 (やはり畑違いの人間じゃこの苦痛を取り除く手段はわからねェってワケか) 仮の答えを弾き出した一方通行は自分の考えを整理していく。 あのヒーロー……いや、あの『上条当麻』との再戦に破れた後、 奴が打ち止めに右手で触れた瞬間、打ち止めとエイワスの繋がりは一時 断ち切られた。少なくとも生命の危機からは辛くも逃れられたようだ。 その後二人は上条達が率いる軍用車の群から離れ、金髪碧眼の男と同行することと なった。その者はオッレルスと名乗り、打ち止めの体を検査してみようと 提案した。一瞬罠かと頭をよぎったが、例えそうだとしても、 打ち止めに害意を加えない限りは利用出来ると踏んで、一方通行はそれを承諾した。 第一、あの上条達に誘導され出会った人物だ。おそらく学園都市の傘下に属す者では無い。 そしてそのままこの建物に辿り着いた。外観からしても相当老朽化した建造物とわかる。 今、オッレルスは席を外している。おそらく別室で文献を漁っているのだろう。 (だとしても、俺のやるべき事はもう決まってる。このガキのためなら……) あの一戦から一方通行の思考はより尖っていった。今までの自分との剥離、 根源とも云うべき心の主柱の変化を自分自身でも確かに感じていた。電流が走ったかの様だった。 これまでの彼は『自分がこうあるべき』、『自分が果たさねばならない事』といった 義務感、使命感、自分勝手で自己満足的な、まるで子供が思念する目標を掲げ 動いているだけだった。あの少女が突きつけた言葉の通りに。 それだけでは結局は何も変わらない。身勝手な理想論を無理矢理描き、その実現に 走り続けるだけではこれより先に控える試練は絶対に乗り超えられない。 (だったらどォする?) ならば、『自分がなりたいもの』、『自分が本当に成し遂げたい事』と心が叫ぶ 直接な願いや直感に従えばいい。無粋な言葉で語れば、夢、などとも言おうか。 そうすればもはや心身は揺るがない。もう心がどんな残虐な所行に引き裂かれても、 体の四肢を全て捻り切られようとも、どんな痛みにも耐えられる。突き進められる。 偶然にも、この理念はあのツンツン頭の少年の行動指針と重なる一面があった。 それに気づかない一方通行だったが、その転換に確実な手応えを感じていた。 ーーそうしてその後、彼は気怠そうに、明らかに意識してふと何気なく振り向き、こう呟いた。 「で、何でオマエがここにいンだァ?」 その背後には、かつて彼の心を打ち砕いた茶髪の少女が微笑みながらちょこんと座っていた。 少女の名は番外個体。第三次製造計画によって生み出された、新たな『妹達』の一人だ。 2 「やっほう。やっとミサカの存在を受け入れてくれたね。第一位。ずっと後ろで ひたすらアピールを繰り返してた努力が実って嬉し涙が出そうだよ」 愛想を振りまく天使の様な笑顔を見せつけながら番外個体は少年に抱きつこうと迫って来る。 一方通行は溜息をつかざるを得なかった。何せ自分と打ち止めを殺しに馳せ参じたはずの 人物が、背後から吐息を吹きかけたり、体に触れて微弱な電流を流してきたりするのだ。 逆に関わりたくなくなるのが当然の反応だろう。 「あのなァ、オマエが抱えてた任務とかが頭からスッパリ抜け落ちてンならまだしも、 どうして俺の側に平然といられンだ?俺がオマエにナニやったか覚えてねェのか?」 当然の疑問をこのアバズレ少女に投げかけてみるが、その回答はまたおかしな物だった。 番外個体が、その意外と膨らみがある胸を張って答える。 「もちろん覚えてるよ。第一位がミサカのこの美顔に何度も豪打したのも、ミサカの使命も。 でもそれらの事情はこの番外個体における現在の行動には全く干渉しない」 どういうことだ?今一不透明で番外個体の本心が読み取れない。話を続けて聞くと、 「ミサカは超能力者第一位の一方通行と、ミサカネットワークの統制者である打ち止めを抹殺し その後ミサカ自身も『セレクター』によって処分されるはずだった。でも第一位の『温情』に よって偶然生き延びてしまった。破壊された『セレクター』には学園都市がミサカを監視、 制御する機関が備わっている。それが無くなった今、もはや誰もミサカを縛る事は出来ない」 『温情』という言葉に引っかかりがあった。一方通行は確かにあの瞬間だけは番外個体を救おうと した。しかしその感情と行動は、この世界への憎悪で全て吹き飛んでしまったわけだが…… 「つまり、ミサカは第一位の手によって自由になった。だからもうミサカはかつての目的を捨て、 新たに築かれた欲求に従って動く事にした」 ピクン、と一方通行の心臓が反応した。何か嫌な予感がする。 「ミサカは、あなたに興味が湧いた!」 番外個体の顔が彼の唇に触れそうになるまで近づき、そう言い放った。 「打ち止めというちっぽけな存在のために学園都市に逆らい、妹達という恨まれてもおかしくない 群衆のために奔走し続ける、論理的に考えてもおかしいあなたはもうミサカの目を釘付けにした。 だからずっと着いていく。ミサカが第一位を寸分まで理解するまで。 あ、こんな可愛いミサカを傷物にしてくれた責任も取ってもらおうかな。だからミサカの事も 大事に扱ってよ。そこで寝てるあの打ち止めの様にね!」 そう熱弁した直後にまたもや番外個体は一方通行を抱擁しようとダイブしてくる。 これは、好意からくる行動とは、違う、と思う。負の感情が芽生えやすい番外個体が ここまで自分を好くのには、どうしても違和感を感じる。自分を憎んでいたのではないのか。 ……とつい勘ぐってしまう。裏があるんじゃないか、そんな気がしてどうもこいつを 受け入れられない。うざそうにあしらってから、話題を変えた。 「そォいや俺はオマエをさんざん痛めつけたンだったな。なら何で外傷が一つも 残ってねェんだ?『肉体再生』なンざ使えるワケでもねェし、俺はそこまで 治療した覚えは無いンだが」 確かに今の番外個体は不思議な事に一方通行が負わせた傷も一切無く、健康そのものだ。 叩き折ったはずの腕の骨すら完治している。そんな状態で傷物とか言われても釈然としない。 ニヤニヤしながら、艶かしく手で全身を伝わせつつ答えてきた。 「『暗闇の五月計画』を覚えてるよね?第一位の演算パターンを元に自らの『自分だけの現実』を 最適化させる実験があったんだけど、その中には第一位のベクトル変換能力を応用して 生体電気を制御し、自分の細胞復元速度を早める能力データが残されていた。 あなたを殺す際に『書庫』にアクセスする機会があったから、それを知って流用したの。 体内の電子情報を操れるミサカなら、あなたとほぼ同じ精度で体を癒せる。 理論上なら他の妹達にも実行可能だったろうけど、大能力者であるミサカ以外は 実戦投入は無理だったかもね。そもそも絶対能力進化実験の障害になるから 知らされていなかっただけかも」 「ほォ。ちゃんと理由があったンだな。だったらこのガキも類似した事が可能なワケだ。 そいつを引用してこいつの中の異変を取り除けねェのか?」 そろそろ余興とも言える会話は打ち切るべきだろう。時間は待ってくれない。 ここで一方通行は核心に触れられるよう、また話を移行させた。番外個体も重要だが、 それより優先すべき事は山積みだ。何より打ち止めを救う可能性があるなら何でも試す必要があるからだ。 だが、番外個体は返答せずに頬をぷくーと膨らまし、そっぽを向いた。 自分より打ち止めを重く扱った事に不満があるらしい。面倒な奴だな、と思いつつ 番外個体に正誤を問おうとした瞬間、 一方通行の腹下部に重圧が掛かった。 3 この合図はここに来た、いやこの男にあった瞬間にもあった。明らかに異質な反応。 かつて一方通行が海原と接触した時に感じた物と同じだ。 オッレルス。打ち止めと一方通行(と番外個体)を迎えいれた人物だ。 胡散臭さは感じない。むしろあらゆる人生の困難を全て切り抜けてきた経験がその肌に 刻み付いているかの様だった。その威厳はそこらの一般人ではまず発揮出来ないだろう。 そんな彼が羊皮紙の束を抱えてこの部屋に飛び込んできていた。待ちわびた。 「やっとこの子を治癒する手だてを思いつき、術式を構築出来たよ。君達に説明すべきだろうから 包み隠さず話そうと思うが、いいかな?」 術式などとあまり耳に入った記憶の無い言葉を聴いた気がしたが、もはやどうでもよい。 このロシアまで渡って来た目的がやっと成就するのだ。一瞬の歓喜と焦りを感じた。 一方通行はその餌に食らいつく。 「ああ、よろしく頼む。さっさとこのガキを楽にしてやりてェからな」 「まぁ待て。その前に俺は君達の名前も抱えてる事情も完璧には把握出来てない。 順序が逆になったが、そこら辺の背景を大雑把に教えてくれ」 確かに出会ったすぐからオッレルスは検査と思案に入ってしまったせいで説明不足に なってしまった。この男の、人を救うのを優先する気質が先行したからだろうか。 とにかく解説を早く済ませて打ち止めを直して欲しかったが、 「はい!ミサカとこの人、一方通行は夫婦でこの子を助けたくてここまで来たんです」 (…………は?) 横槍が入った。いつの間にか番外個体が一方通行の片腕を抱きしめつつ懇願していた。 「学園都市の医療技術でも、ミサカとこの人の間に生まれたこの子の命を持たせられないのが わかって、どうしていいかわからなくて全国を経由してこの辺境まで行き着いたんです。 お願いです!ミサカ達はどうなってもいいから、何でもしますからこの子を苦痛から 解放してやって下さい!」 涙ぐむ仕草まで仕込んである。傍目にみれば本当に番外個体や一方通行と、打ち止めが 親子だと誤解してしまいそうな程の迫真の演技だった。 (……こ、こいつ人が黙ってりゃ嘘をペチャクチャ吐きやがって……!?) ある事無い事吹き込む番外個体のデマカセを正そうと、声を荒げようとする一方通行だったが そこで異変に気づく。 声が出ないのだ。 妙だ。まるで人為的に喉が働かなくなった感じがする。何かがおかしい。思わず番外個体の 方を向くと、オッレルスに見えないように、小悪魔的な含みを持つ笑顔を一方通行に見せつけていた。 そこで原因がわかった。こいつのせいだ。体内に残留した『シート』で一方通行の首元に 装着されている電極を強制的に誤作動させているのだ。 (な……言語機能を俺から奪いやがったのか!?器用なマネしやがって!) といっても、常識的に観察すればこんな虚言などすぐにバレる。普通は信じるワケが無い。 常人なら「いや、それはありえない」と即座に突っ込む程度のウソだ。 と、オッレルスの反応に期待する一方通行だったが、 「そうか!それは難儀だったね。大丈夫だ。君たち親子の平穏が再び訪れるよう、俺も全力を尽くすよ!」 本気で信じちゃったよこの人。そういう変人だったのか。 こんな奴に打ち止めを預けた俺が間違ってたのか。いや、馬鹿だからこそ上条はこいつを推薦したのか? 歪曲した首肯があまりにも馴染みすぎている。もう訂正するのも諦め、事態が好転するのを待つ事にした。 自分が滑稽な扱いを受けてそれで済むなら大歓迎だ。今日までもそういった色眼鏡で見られてきた。 そうしている内にオッレルスが口火を切った。 「よし。必要な情報は揃ったし、本題に戻るとしよう。……申し訳ないが、 奥さんは席を外してくれると有難い。君が娘さんを心配しているのは重々理解してる。 しかし、先に彼だけに述べておくべき事が少しだけあるんだ。短時間で済む。いいかな?」 想定外の滑り出しだった。同時に危機感が一方通行の脳裏に行き渡った。これは艱難の暗喩だ。 打ち止めの治療に何らかのデメリットがあると、暗に示している。考え過ぎであってほしい。 そうとも知らず、口車に乗せられた番外個体は意外にもすんなりと申し出を受け入れ、 「そうですか!確かに懸念が残りますけど、どうしてもと言うなら指示に従うまでです。 この子を頼みます……」 と着飾った決まり文句を漏らしながら、ドアを開けて廊下に出た。同時に妨害電波も 次第に減退していき、一方通行は平常に戻った。ここからが本番だ。固唾を飲んで、宣告を急かした。 「アイツが漏らした通り、このガキは科学の枠に留まる技術じゃどォにもならねェ。 この病状自体が学園都市の差し金で惹起したからだがな。それで俺達は奴らと反目した。 そこで『全く別の法則』とやらが必要になると聞いた。それを求めてここまで来たワケだ」 「先刻までの戯言は彼女に真実を知らせない為の詭弁だよ。混乱を招くからな。 君の抱える問題も学園都市の策謀もこの子に降り懸ってる異常の根源も承知している。 あのアレイスターの聖守護天使がこの子を踏み台にして顕現したんだろう。 正確にはミサカネットワークによってAIM拡散力場を前導させるのを 強引に打ち止めを『始動キー』として、持続させている」 一方通行は目と耳を疑った。この男は今、打ち止めの病状の原因を明かすどころか、 学園都市が抱える闇そのものの正鵠を射った。門外漢かと思いきや、一方通行以上に現状を理解している。 どこからそれほどにまで正確な情報を知り得たのか、疑問は残るが、 ならば話は早い。先程の発言に引っかかりと底知れぬ不安を感じるが、今は前に進むしかない。 「そこまで把握してンのなら、さっき口走った『治癒』も的確なンだよなァ。 だったら、ここまで焦らす必要は毛頭無ェはずだ。……何を隠してやがる?」 一番の不安材料にメスを入れた。打ち止めの『治癒』に弊害があるならば、全て排除するまでだ。 だが、その弊害についてはこの男は黙ったままだ。まさか、そこまで事態は深刻なのか? オッレルスは重い口を開いた。 「『治癒』の方法は二つある。一つは最終信号をミサカネットワークから断絶させる事だ」 何? 「聖守護天使は最終信号を『始動キー』としているが、本来なら顕現した時点でミサカネットワークを 間借りするだけでAIM拡散力場を永続的に連結し続ける事が可能だ。 しかし、どうやらアレイスターは念には念を入れて『始動キー』を常に待機状態に設定し、 万一聖守護天使が崩壊したとしても、すぐまた現世に回帰できる体制を取っているようだ。 故に最終信号に、極難解で不安定な演算を常に無意識の内に反芻させるような仕組みを植え込んだ」 つまり、エイワスとの戦闘時に奴の『核』を弾いたにも拘らず平然と復活したのは、 打ち止めに『始動キー』を埋め込まれた証拠だという事か。 それが理由。最終信号としての役割を果たすため、望んだ訳でもない不条理な重荷を背負わせ続ける。 彼女は何も悪い事をしていないのに。一人の人間なのに?どうして道具としてしか彼女を扱わない? 「……じゃァ、その仕組みを解けばいいんだろォ?どうしてこのガキをミサカネットワークから 切り離すなんて解決法が取られるんだ?」 打ち止めがミサカネットワークから外される。即ち、ミサカという大脳からの脱却とは 妹達との意識疎通がされなくなり、情報や記憶の共有が途切れる事を指す。 いや、ミサカネットワークの司令塔である彼女がいなくなれば、学園都市は同機能を持つ新たな個体を 刷新するはずだ。それか、それこそが伴う痛み、なのか? 「『始動キー』は、最終信号個人の脳だけではとても抱えきれないほどのヘッダを持つ。 つまりこの子の頭で処理出来ない部分は他の妹達に分割され、代理演算をさせるように 最終信号が上位命令文を妹達に送りつけているんだ。即ち、最終信号が上位命令文を出せない状況に なれば『始動キー』は不完全な計算式の固まりと化し、最終信号に埋め込まれた『始動キー』そのもの も自然と意味をなさなくなる。こうなれば後は学習装置で治療出来るレベルまで落ちる」 ここまで判明しているなら、問題は解決したと同義ではないか。一方通行はここでようやく 心のしがらみが和らぐのを自覚した。 しかし、現実はまだ一方通行と打ち止めを許さない。 「ミサカネットワークと最終信号を切り離すにあたって、俺の術式を施すわけだが、 ここで一つの欠点があるんだよ。最終信号の超能力を人為的に消し去る必要があるんだ」 ……つまり、科学以外の手で能力を消滅させる。 電流を操れなくなれば打ち止めはミサカネットワークと繋がらずに済む。 『全く別の法則』に乗っ取って。 それは、その結果が齎すデメリットは、 「……彼女の言語機能と計算能力を削ぎ落とす。今の君の様に、だ」 4 死角からの残酷な事実。覚悟を背負ってここまで来た。打ち止めのためなら、 自分の信念も生き様もプライドも、自己の破壊に当て嵌まる犠牲なら、それらを受け入れる覚悟を。 だが、実際の代償は覚悟だけでは足りなかった。 つまりは、打ち止めを救うなら打ち止めそのものを犠牲にしろと言っているのだ。 一方通行は嘲った。打ち止めを敵に回してでも戦う決意があろうとも、 打ち止めの属する世界をぶち殺してまで、打ち止めを守り抜く手腕が無かった自分を。 言語機能、計算能力への後遺症。その重みは苦渋を洩らすほどわかる。 一方通行本人も、あのカエル顔の医者に与えられたチョーカー型電極によって ミサカネットワークの補助を受けなければ廃人に限りなく近い存在になってしまう。 打ち止めがそうなったら?もう光は途絶える。彼女をミサカネットワークから切り離す為の処方だ。 一方通行と同じ埋め合わせは不可能。待つのは物事を楽しみに笑う彼女、 自分にだけ向けてくれる、無邪気で、バカらしくて、こっちも笑い飛ばしたくなる太陽の様な笑顔、 それらが抉りとられた灰色の世界だ。 絶望が境界線を逸脱して光の世界にまで浸食してくる。その光の中心にいるはずの打ち止めに向かって。 だが、頭の中は驚愕するほど冷静だった一方通行はどうしても拭えない考えに至っていた。 (イイじゃねェか。簡単だ。この『治癒』が終われば、少なくとも学園都市のクソったれどもは もう打ち止めを奪ったり、始末しようとはしねェはずだ。打ち止め本来の役割が白紙になるからな。 言語機能?計算能力の低下?それだけの犠牲で済むなら大満足のハッピーエンドで終幕だ) そう、自分が頷いてしまえば。もう終わるのだ。戦いも、打ち止めの災難も。 自分の脳裏に焼き切れるまで刻み付けた、打ち止めのいる光の世界を守るはずの、自分の覚悟さえも。 「どうするんだい?この『治癒』なら10分で準備できる。やるなら今しかないだろう。 学園都市にこの末路を漏洩させないためなら、ここで打ち止めの『自分だけの現実』を無くすんだ」 オッレルスが何かほざいている。学園都市?そんなものもあったっけ? 放心状態だった。だが理性はこれに従えと煩く後押ししてくる。やれ、やってしまえ。 でも、でも、それでいいのか?一方通行は自分の脳、心、魂に真義を問うた。 自分の本心。未来の夢。それは、 「ォ断りだ」 はっきりと言い放った。誰かに命令されたワケでもない。熟孝して導いた論理的に正しい結論でもない。 「……このガキの生涯まではオマエも片耳でしか聴いた事ねェだろォ?こいつはな、 本来なら本当に小せェ存在のはずだったんだ。普通に大きくなって、ダチ見つけて遊んで、 黄泉川や芳川に恋愛相談なんかして、騒がしいモンには野次馬気分で覗きにいって、 それで最後に自分から笑う。そんなどこにでもいるただのクソったれの子供でいられたはずなんだ」 一方通行は信じていた。あらゆる闇や暗躍するクソ共を駆逐しきれば、打ち止めもただの少女として 生きられる。そんな純朴な幻想を。 それが本心だった。そうしたかった。ウソは無い。本当にそうしてやると無意識に願い続けていた。 だから、引き下がれない。善人だろうが悪党だろうが関係ない。 一方通行という個人のみが持つ、譲れない思いだった。 「そいつを乱すようじゃァ、納得出来ねェンだよ。言語機能?計算能力?ンなモン捨てなくても 門は開いてゆく筈だ。もし無かったとしても、俺が学園都市最強の力で風穴開けてやる。 ……だからオマエの申し出は受けられねェ。すまなかったな」 一方通行は頭を下げた。オッレルスも打ち止めの心配の末に この『治癒』を提案したのだ。無下にはできない。本来なら人に会釈する一方通行などありえないはず。 それを実感して、オッレルスは深い笑みを浮かべて頭を上げてくれと言い、 「そう決断すると予想してたよ。そうだ。どうせ未来を切り開くのなら より輝かしい方が良いに決まってる」 未来か。 「ンじゃ、俺らはここにはもう用は無ェな。夜が更けたら出てくが、それでイイよなァ? こっちもか細いヒントを幾つか持ってるしな。そいつを手がかりに動くさ。世話になった」 「ふむ……君らしくない。少し前の要点を忘れてないか?」 少し前?第一『治癒』の壮絶さに戦慄したせいか、些細な情報を抜け落としたかもしれない。 が、ここで前の記憶を取り戻した。打ち止めを救う手段は『治癒』だけではない。それは、 「第二の手段だ。禁書目録を呪縛から解放し、彼女から完璧な治療法を聞き出すんだ」
https://w.atwiki.jp/saki_nodoka/pages/41.html
明日から定期テスト。 私は早めにテスト勉強を始めていたので今日は夜更かしせずに済みそうだ。 「テストを気にせず麻雀が出来そうですね」 そう思いながら部室の扉を開けた。 「ああ、和。今日はもう終わりじゃ」 「え?何故ですか?」 「テスト勉強にするわ。赤点3つ以上はIHには出られないからね」 部長が優希を一瞥する。 「東京に行けないなんでやだじょ~」 ああ、なるほど… 優希を見て納得した。また準備を怠ったのだろう。 IHは合宿と違い、誰一人欠けることは許されない。 これは優希に頑張ってもらわないと… 「優希、頑張りましょう」 「そうだよ、優希ちゃん!私も手伝うから!」 「咲ちゃん…ありがとうだじょ~!」 ?!宮永さんと優希が2人で勉強?! させません!!! 「優希!私も手伝います」 「のどちゃんまで…皆ありがとうだじょ! よーし、タコス仕入れて勉強だじょ!」 「では…どこで勉強しましょうか?」 「そうだねえ…図書館じゃ静かすぎるし…」 「私はタコスさえあればどこでもいいじょ!」 適当なところを考えていると、ある場所を思いついた。 (いやでも…いけません!まだそんな…) (でも、ここで悩んでいても始まりませんね…) 「わ…私の家はどうですか?」 つ…ついに宮永さんを家に誘ってしまった…!! 顔から火が出そうです… 「私はOKだじぇ!」 「あ、そうでした」 「ん?」 優希がいるのを忘れていた。 安心したような、がっかりしたような… 「い、いえ!宮永さんはいかがですか?」 「うん!原村さんの家、行ってみたいな」 嬉しすぎです…優希がいてよかったかもしれません。 2人きりだと心臓がもちません… 「じゃあタコスを買ってのどちゃんちに行くじぇー!」 私たちは優希のタコスを買い、家へと向かった。 部屋につくと早速勉強を開始する。 「まずは英語だじょ!」 「数学は大丈夫なんですか?」 「数学は捨てるから大丈夫だじぇー!赤点は2つまで取れるから数学は諦めるんだじぇ!」 「まったく…では英語をやりましょう」 でも明日に迫った今、その作戦の方がいいかもしれない。 「あ、あのー原村さん…」 「?なんですか?宮永さん」 「英語は私も苦手なんだ。だから…私も優希ちゃんと一緒に教わっていいかなあ?」 「も…もちろんです!」 私が宮永さんに勉強を教える…夢にまでみたシチュエーションです! 「では、私が言う英文を日本語に訳してくださいね。」 「わかったじょ!」 「わかったよ、原村さん!」 「では…I have a pen.」 「私はペンを持ってるじぇ!」 「テストではじぇって書いちゃ駄目ですよ… The girl standing over there is cute.」 「えと…向こうに立ってる女の子は可愛い…かな?」 「正解です。宮永さん、そんな苦手じゃないじゃないですか」 「そんなことないよ~」 しばらくこれを続けていると、私は名案を思いついた。 良心が咎めやめようかとも思ったけど…少しくらいならいいですよね… 「で、では宮永さん…I love you.」 「私はあなたを愛してます」 生きててよかったです…! 「なんか咲ちゃんの問題簡単だじょ」 「そんなことありません。優希、I can t distinguish a frog from a toad.」 「さ…さっぱりだじょ…」 「カエルとヒキガエルの区別ができない、です。宮永さん、ノ…Nodoka is my wife.」 「のどかは私の嫁です」 ああ、もう死んでも悔いはありません! 宮永さんの口からそんな言葉を聞けるなんて… それからはまた普通に3人で勉強して、今日はお開きとゆうことになりました。 2人を玄関まで送り、部屋を片付けていると… ピンポーン こんな時間に誰でしょうか…パタパタと玄関へ向かいドアを開けると、宮永さんが立っていた。 「宮永さん?!どうしたんですか?忘れ物ですか?」 「ううん…そうゆうんじゃないんだけど…」 「では…どうしたんです?」 私は宮永さんの言葉を待った。 宮永さんはしばらくして、真っ直ぐ私を見て口を開いた。 「I love you,Nodoka.」 私が驚きと嬉しさで黙っていると宮永さんは顔を赤くして言った。 「は、原村さんみたいに上手く発音できないけど…」 「……して……さい……」 「え?なに?」 「さっきの英文…日本語に…訳してください…」 ちゃんと聞きたかった。宮永さんの気持ちを。 宮永さんは少し笑みを浮かべていた。 「…原村さんの方が英語得意でしょ?」 「…意地悪ですね」 「私はもういっぱい言わされたもん♪」 「~~!!!……お願いしますから…」 ほとんど涙目だった。多分顔は真っ赤だろう。 そして宮永さんは優しい声で言った。 「あなたを、愛しています。和。」 「私も…私もです」 涙がこみあげ、気づいたら宮永さんに抱きついていた。 「け…結構恥ずかしいね、これ…」 「いっぱい言えば大丈夫です」 「もう…」 私も、愛しています。…咲さん おしまい
https://w.atwiki.jp/catnap222/pages/317.html
Legacy run by catnap222 part1 感想・コメントなど 名前 コメント plugin_back is not found. please feed back @wiki.
https://w.atwiki.jp/catnap222/pages/341.html
Legacy run by catnap222 part17 感想・コメントなど 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/moemonss/pages/607.html
月が輝く寒空―― 夜空に忽然と輝く月に負けぬようにと、散りばめられた彩が輝きを放つ。 澄み切った冷たい空気によって、輝きは一層の美しさを得る。 そんな、ありふれた冬の一夜。 だが、ここ、トキワの森の郊外の草原では、異質な空気が漂っていた。 「いい月夜だ。このような夜に彩るのは、やはり鮮血の紅が一番似合う。 そうは思わぬか?」 流れ者の萌えもんである彼女――ハブネークは、愛刀に頬擦りをしながら不適に笑う。 対峙するのは甲冑に身を包んだ一体の萌えもん。 数十年に一度、特別なビードルから進化する森の守護者。スピアーの突然変異亜種である、ラスピアス。 余談ではあるが、特別なビードルはトキワの森でしか生まれない。 だから、長い間旅をしてきたハブネークにとっても、これは思いがけない邂逅であった。 だが、そんなハブネークとは対照的に、ラスピアスは両手に携えた槍を不機嫌そうに揺らした。 「ご高尚なご趣味ですこと。私には理解できないわ」 皮肉というスパイスをふんだんに振りかけた一言だったが、ハブネークには効果が無い。 ふむ、と思案顔になると真剣に考え込んだ。 「お主はよき理解者になれると思うのだがな。 私の趣味を高尚だと称するのであれば、お主にも理解できるはずだ」 自分で辿り着いた結果に満足したのだろう。ハブネークは、その顔に喜びを湛えていた。 そんなハブネークに呆れたように溜息を吐く。 妙な性格をしているが、こいつは曲者だ。ラスピアスは、直感でそう感じていた。 そうでなければ、ホウエン地方から旅をしてカントーに到着するなど不可能だからだ。 「まぁ、折角の理解者も無駄か」 心底残念そうに言葉を吐くハブネーク。 頭に疑問を浮かべながらラスピアスは次の言葉を待つ。 「理解していようといまいと関係ないからな。――どうせ死ぬ」 平然と、淡々と。ただそれが事実だと言わんばかりに言葉を吐き捨てるハブネーク。 ラスピアスの背筋を震えが走った。それは、恐怖ではない。 「つまらない冗談ね」 それは純粋な怒り。久しく忘れていた熱い激情に、ラスピアスの封印されていた闘争本能が開放される。 ビリビリと大気を震わすそれを、ハブネークは心地良さそうに受け止めた。 「まいったな……。私は冗談を言える性格ではないのだ」 それは、紛れも無いハブネークの本心である。 だが、言われているラスピアスからすればそうではない。 彼女は、それを完全な侮辱であると受け取った。 ここまでコケにされて黙っていられる性分ではないラスピアスは、返答代わりに槍を鳴らした。 チャリ、と金属的な音が、耳に非常に心地いい。 「そうだ、それでいい」 ハブネーク自身も、かつてないほどに高揚していた。 感じる闘気は比肩する者が見当たらず、またそれの透明さにハブネークは満足気な笑みを浮かべた。 これは楽しみだ。 ハブネークの面には、愉悦がありありと浮かんでいた。 その愉悦を快く思わないのが、彼女と対峙しているラスピアスだ。 その面には、不快という二文字がでかでかと書かれている。 「あんたの掌の上で踊らされてるっていうのが気に食わないわ」 「私は踊らせたつもりではない」 ハブネークの言葉にムッとするラスピアスだが、次の言葉を聞いてその不機嫌さも吹き飛ばした。 「踊らせるのではなく、共に踊ろうではないか。 さぁ、私をしっかりエスコートしてくれ」 「私、女をエスコートする趣味は持ってないのよねぇ……。 ――でも、貴女だけは特別よ。存分にエスコートしてあげるわ。 ただし気を付けなさい。付いてこれないなら、肉塊に成り下がるだけよ」 皮肉気にニヤリと笑うラスピアス。 それを見て、ククと喉を鳴らすハブネーク。 二人の間を一陣の風が吹き抜けた。 二人の空気を感じとったのだろうか。風は足早に駆け抜けていった。 風に誘われるように足下の草も忙しそうに揺れる。 これより演じられるのは二人の舞踊。 命を賭け、互いの獲物が火花を散らす――荒々しくも美しい戦い。 立会人は夜空に浮かぶ十五夜の月。観客は夜空を彩る星星。 ハブネークは鯉口を切り、ラスピアスは槍をしっかりと握り締める。 緊張は止まることも無く高まり続ける。 火蓋を切るのはラスピアスか、はたまたハブネークか。 互いに切欠を掴めず、相手を伺いながら、じりじりと間合いを計る。 そして、ラスピアスの足が地を蹴り――法螺貝が高らかに鳴り響いた。 ラスピアスの動きは、喩えるならば閃光のそれ。 そこから放たれる強烈な一撃もまた、閃光の如し。 ゴウ、と暴風を纏って繰り出された突きを、ハブネークは刀身に滑らせ、いなす。 決して、真っ向から受け止める愚は犯さない。 強烈な点の攻撃を受け止めれば、彼女の愛刀は脆くも折れてしまうからだ。 だからこそ、点の位置をずらすに止め、ギリギリの位置で身体を捻らせて閃光をかわす。 そして、身体を捻らせた力を余すところなく刀に伝え、宙に真一文字を描く。 ラスピアスは、追撃用にとっておいたもう一本の槍を防御に回して、事なきを得た。槍と刀が衝突し、火花が夜空に散った。 その状態で、二人はしばらく停止する。互いの顔が引っ付きそうな至近距離である。 お互いが、退くに退けない。下手に退けば、相手の間合いに支配されかねないからだ。 だが、そうもいってられない事態となった。 「――ッフ!」 ハブネークの背中から生えた尻尾がラスピアスを襲う。滴る液体は、恐らく毒。 ポイズンテール、と呼ばれるハブネークの代表的な技である。 もっとも、彼女はこの技――考えようによってはハブネークの代名詞でもあるそれ――を均衡状態からの不意打ちにしか使わない。 この技を受けた相手は大抵、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をする。 己の武器と武器での真剣勝負の最中に、このような技が飛んでくるのだ。意表をつくどころの騒ぎではない。 そして、それはラスピアスも同じだった。 突然の不意打ちではあったが、彼女は無事であった。 超人的――人と定義してよいのか甚だ疑問ではあるが――な第六感で、何らかの襲来を察知した彼女は、慌てて身を退いていた。 そして、彼女の目と鼻の先を、毒を滴らせながら、鞭と化した尻尾が疾走した。 背筋が凍った。ラスピアスの心境は正にこれだったに違いない。 次に湧き上がったのは純粋な怒り。 己の武を以って打ち勝とうという気概の相手だと思っていたのに……。その怒りの中には、失望が見え隠れしている。 ラスピアスの無言のプレッシャーを感じ取ったハブネークは、飄々としていた。このような反応には、最早慣れっこだった。 気にしないどころか、ラスピアスの事を益々気に入ったようだ。 それは当然のことながら、ラスピアスの言葉の背景にある失望を感じ取ったためであろう。 失望という事は、己に期待してくれていた、という事とイコールである。ハブネークは、それが嬉しかった。 「そう怒るな。あの状態ではアレしか手がなかった。当たらなかったから良かったではないか」 いけしゃあしゃあと対応するハブネークに、ラスピアスも矛を収めた。 そもそも、これは萌えもん同士の戦いであり、武器以外の使用もあって然るべきである。 彼女とて、意表をつく技を一つも二つも所有している。 ならば怒りを感じるのは筋違いだ。ラスピアスはこう結論した。 「まぁ、それもそうよね。……いいわ、こっちにだって考えがあるから」 そうでなくては、とハブネークは気を引き締めなおした。 先ほどの攻防。 一瞬の攻防であったが、それは二人の特性を如実に物語っていた。 瞬発的な速さに優れたラスピアス。 神業的な技巧を持つハブネーク。 この二人の打ち合いは、一撃必殺の様相を呈してきた。たった一つの傷が、お互いの技を鈍らせかねないからだ。 それを悟ってか、二人は動かない、いや動けない。 「来ないのか?」 挑発的なハブネークの笑み。 ここは一つ乗ってやろう。これがラスピアスの判断であった。 「じゃあ、お言葉に――甘えて!」 言葉と共に、閃光が草原を駆ける。 右へ左へとジグザグに動き、ハブネークに狙いを付けさせない。 そして右に振れ、更に加速して直進し、ハブネークの左方向から刺突を繰り出す。 ハブネークは危な気もなく回避して、一太刀。先ほどの一閃とは違い、優雅に円の軌道を描く一振りである。 その趣の異なる太刀を受けるのではなくかわして、ラスピアスの二撃目が奔る。 いや、それだけではない。 両手に持った槍を、引く素振りさえ見せずに突きまくる。 ハブネークも、これには参った。 繰り出された技はみだれづき。ラスピアスの十八番であるこの苛烈な攻めは、確実にハブネークを追い込んでいく。 (これは少々旗色が悪いか……) ハブネークは持ち前の七色の太刀筋を以って辛うじていなし、かわしてはいるものの、いつ攻撃が当たるかは分からない。 並みの武人のみだれづきであれば、いくら手数が多くてもそれは下手な鉄砲に過ぎない。いつかは当たるであろうが、そこまで恐れるものではない。 だが、ラスピアスの技量は、ハブネークの想像を超えていた。 このような攻めを行いながらも、そこには急所を狙う正確さがきちんと存在していたのだ。 どちらにしても、このままではジリ貧になり喘ぐだけだ。 ハブネークは慎重に機会を伺う。 起死回生の一手ではあるが、これが失敗すれば自分の命は夜空に散る。 かつてないほどの緊張感にハブネークの顔に喜悦が浮かぶ。自分が望んだこの状況に陥ったのは何度目か。 過去の死闘を思い出し、それが更にハブネークを昂らせる。 そして、見つけた一瞬の隙。僅かながら、槍を大きく引いた瞬間に、烈火の気合を浴びせかける。 ドクン、とラスピアスの心臓が高鳴った。次いで、冷や汗が溢れてくる。 (身体が……動かない) 困惑するラスピアスを他所に置き、ハブネークは飛び退いて大きく息を吐く。 放った技はへびにらみ。強烈な気合を浴びせる事で、相手を呑み込んで行動を束縛する技。 極度の集中力を必要とするため、あれが外れたり気合で返されれば、ハブネークの身体には風穴が開いていただろう。 緊張で疲弊した精神を労わるように息を吐き、ラスピアスを見やるハブネーク。 困惑から帰還したラスピアスは、自分の身体を取り戻していた。 「やってくれたわね……」 「ああせざるを得なかった。ギリギリだったのだぞ」 そう言ってお互いに笑いあう。 お互いの体力も限界に近い。命を取り合うこのやり取りは、二人の精神を明らかに削っていた。 恐らく、次の攻防で勝負がつくであろう。二人もそれを察している。 ハブネークは刀を逆手に持ち、地面に限りなく身体を寄せる。 ラスピアスは両手の槍を引き絞り、いつでも放てるような構えを取る。 「いくぞ――!」 「こい――!」 お互いが地を蹴り、一気に距離が詰まる。 直線的なラスピアスと跳ねるような動きのハブネーク。 「ダブル――」 「かみ――」 暴風を纏った槍と、逆手の構えから振り下ろされる牙と化した太刀が衝突し、お互いの攻撃が逸れる。 「――ニードル!」 ラスピアスから放たれるのは必殺の二撃目。 引き絞った左腕から放たれたその一撃は、過たずハブネークを襲う。 「――くだく!」 萌えもんだからこそ出来る、逆手の構えを捻って繰り出す、天への一撃。 下降で噛みつき、上昇でくだくこの一連のコンビネーションは、ラスピアスの命を奪わんと迫る。 その槍と刀が、はたと止まった。 槍はハブネークの腹部の一歩手前で止まり、刀はラスピアスの喉を食いちぎるには今一歩足りなかった。 「惜しかった……」 「惜しいわね……」 二人は同時に呟いた。 「後一歩踏み込んでいればお主の喉を食い千切られたのだが……」 「貴女が後一歩こちらに踏み込んでいれば、お腹に風穴を開けてあげられたのに……」 二人はお互いが呟いた事が可笑しかったのか、ククと笑った。 そしてお互いに武器を収めて腰を下ろした。 ハブネークは、懐から徳利とお猪口を取り出して酒を入れる。 それをラスピアスにも進め、二人で杯を交し合った。 「月見酒も悪くはないな」 「そうね……」 満足気に頷くハブネークと、疲れたように同意するラスピアス。 二人の背後を、穏やかな風が吹きぬけた。 ――了――
https://w.atwiki.jp/sindame/pages/816.html
はじめまして。たつきくん可愛くてしかたないです。 -- あづち (2013-03-02 15 11 06) たつきくん可愛い…ゲフンゲフンかっこいいです!画風可愛い… -- 星音 (2013-03-02 17 56 23) 綺麗‥ そしてやっぱりかわ‥げふんかっこいいなぁ -- 白谷 (2013-03-21 00 58 00) 名前 コメント