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・「お受験あき」と命名させていただきましたので、ちょっと気合を入れて長編作品に挑戦してみました ・登場する団体等は全て架空又は作者オリジナルの設定です _____________________________________________________________ ある夏の日、町から野良ゆっくりが消えた。 町の人間はゆっくりの被害が無くなったと喜んだ。 しばらくして、野生のゆっくりも姿を消した。 山に入っても空の巣穴があるだけで、ゆっくりの姿はどこにも見えない。 人々は不思議に思った。 だが、数日でその疑問も忘れられた。 野生のゆっくりがいてもいなくても人間の生活に変わりはないから…… ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 日本一大きな山、富士山。 そのふもとに広がる樹海の中に、巨大な洞窟があった。 どこからともなくゆっくりが現れて、その洞窟へと入っていく。 ザワザワ ガヤガヤ 洞窟の中には巨大な地下空間が広がっていて、大量のゆっくりが中を移動している。 「長旅ご苦労だった!一般ゆ民は奥の住居スペースへ! 戦闘ゆ隊は手前の通路を左へ!」 係りのゆっくりが入ってきた群れをさばいている。 その洞窟の奥の奥、最深層にぱちゅりー、ドスまりさ、みょんがいた。 それぞれ金色のバッヂをつけていたが、認定所や国の支給しているバッヂとは違う形である。 「むきゅ、現在の集合状況は?」 「みょん!移動状況ですが、東北が60%、関東が80%、中部が70%、中国が50%完了しています。 あと1ヶ月程でほぼ全ての群れの移動が終了すると思われます。 北海道、四国及び九州は和平路線を望む、武装蜂起には協力できない、との事です。」 「へんっ!あの腰抜けども、一生人間の飼い物で満足してるつもりなのか?」 「ドス、落ち着いて。人間に逆らえない彼らを解放するのも私達の役目なのよ。」 「わかってるぜ……。訓練の様子を見てくる。」 ドスまりさが部屋から出て行った。 「……なんだか落ち着かない様子でしたね。」 「ドスの気持ちもわかるわ。この計画に全ゆっくりの未来がかかってるんだもの。 ドスの事は攻めないであげて。」 「わかってますよ、ぱちゅりーさん。」 「…みょん、あなたがいてくれて本当に助かるわ。」 「わたしもですよ。」 ドスまりさはある部屋へと入った。 「状況はどうだ?」 入り口に立っていたちぇんが答える。 「訓練は順調です。4割程ならすぐに実戦へ投入できます。」 ドスまりさが部屋の奥にあるガラス窓を覗く。 《《《《 セイッ!!!!ハァッ!!!! 》》》》 ガラスの向こうでは、1000を超えるだろう大量のゆっくりが整列して、竹や木の枝を持って素振りをしている。 「ちゃんと休息もとらせているだろうな?」 「はい、健康管理はきっちりと行っています。」 「よし、春には全ての兵士を使えるようにしてくれ。」 「はい!」 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 人間は、たまにゆっくりの集団失踪についてテレビ等で議論した。 「本州のゆっくりだけがいなくなった」 「生存能力が弱まって消滅した」 「飼いゆっくりの被害が減ったからいい事だ」 所詮はワイドショーの話のタネ。 ゆっくりが全国から消えた現象。 人々はこの怪現象をほとんど気にしなかった。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 「みょん!報告します! 群れの移動が98%完了しました!残り2%は事故等で到着できなかった数だと思われます。」 「むきゅ、現時点で移動作業を終了。 一般ゆ民には冬に備えて食料の調達作業を。」 「俺も報告するぜ。 通常戦闘ゆ隊は80%が使用可能。 特殊ゆ隊は即出動可能。でも、数が少ないから気をつけるんだぜ。 すぃーゆ隊は何も問題なく、いつでも出撃可能だぜ。 レンジャーゆ隊は装備の調達が遅れてるけど、実戦には出せるぜ。 コマンドーゆ隊は、熟練部隊は使用可能。新兵はまだまだ鍛える必要があるぜ。」 「わかったわ。春が来る頃には全勢力が使えるのね。 みょん!全てのゆっくりを広場に集めて!」 「了解しました!」 「…ついにこの時が来たんだな。」 「ええ、この戦いでゆっくりは真の自由を得るのよ。」 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 広場にはとてつもない数のゆっくりが集まっていた。 その数は軽く見積もっても数万匹、いやそれ以上にいるかもしれない。 「むきゅ、みんな!今回の呼びかけに応えてくれてありがとう! ぱちゅりーはとってもうれしいわ! 最近、ゆっくりを虐待する人間さんが増えて、ぱちゅりーはとっても悲しかったわ。 どうして何も悪い事をしてないゆっくりを一方的にいじめるの? 時には無差別に殺傷して群れを全滅させたりもする人間さんに、ぱちゅりーはとっても怒ってるわ! ゆっくりがゆっくりしていて何がいけないの! そんな人間さんとは一緒に暮らしていけないわ! だから、ぱちゅりーは決めたの! ゆっくりのゆっくりによるゆっくりの為の独立国家を設立する事を! 今回の作戦で、とっても多くのゆっくりが犠牲になるかも知れないわ。 でも、このままずっと人間さんの奴隷でいるのはいけないわ! だから、みんな!ぱちゅりーと一緒に戦って! ゆっくりできる未来を共に勝ち取るのよ!! ゆっくりできる未来を!!!」 《《《ゆっくりできるみらいをぉー!!!》》》 広場に集まったゆっくりは、ぱちゅりーの演説によって興奮していた。 やっと人間から開放されて、自由なゆっくりになれる。 もう人間におびえる事もないんだ、と。 みんな、思い思いに明るい未来を想像していた。 「これからゆっくり頑張ろうね!」 ガヤガヤ 「うん!もちろんだよ!!」 ガヤガヤ ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 「お疲れさまだみょん。」 「むきゅ…もう後戻りはできないわ。このまま前に進むしかないわね。」 「途中で止まっちゃいけないぜ。絶対に勝って、自由を勝ち取るんだぜ。」 「むきゅ、ドスやみょんがいてくれると心強いわ。」 「……それで、行動はいつごろ開始しますか?」 「冬の終わり……春が来たら一斉に攻撃を開始するわ。 とにかくまず、一つでも人間の村を奪わないと…。」 「春…か。早く戦いを終わらせて、ゆっくりしたいぜ…。」 「そうなるように私達が行動するんですよ。」 「むきゅ、この作戦がここまで来るのにたくさんの時間がかかったわ。 何が何でも人間から自由を勝ち取って、ゆっくりできる世界を造るのよ。」 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 野良ゆっくりが街から消えて半年。 加工所を初めとする対ゆっくり行政機関は予算が下りずに苦しんでいた。 彼らの主な事業である「”有害な”ゆっくりの一斉駆除」の仕事がここ半年、まるっきり無くなってしまったのだ。 メディアでは加工所への補正予算を打ち切れという声が上がり、職員は自分の首が切られる事を心配していた。 人間は、ゆっくりへの対処方法を少しずつ忘れていった。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 雪が溶け、春がやって来た。 洞窟の奥の部屋に、ぱちゅりーと数匹のゆっくりの姿があった。 「むきゅ、偵察ゆ隊からの報告を。」 「報告します。北にある人間の村についてですが…。 人間の数は多く見て50人以下、畑には野菜がたくさんあるとの事です。 天候ですが、これから数日は晴れが続くとの事です。 一斉攻撃を仕掛けるなら数日以内がよろしいかと。」 「一般ゆ民の状況は?」 「食料庫を荒らしていたグループを捕獲、処刑しました。 それ以外は問題はありません。」 「戦闘ゆ隊はどうなってるの?」 「全ゆ隊の出撃準備が完了。 いつでも出れるぜ。」 「むきゅ、わかったわ…。 明日の朝、北の村に一斉攻撃を仕掛けるわ!!」 「「「了解!!!」」」 集まっていたゆっくりが次々と部屋から出て行く。 「ついに始まるのですね。」 「ええ、明日がゆっくりにとって新たなる一日になるのよ。」 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 富士山のふもとに広がる樹海。 その近くに小さな農村があった。 いや、正確には農村だった村だ。 ほとんどの住民は他の地域へと移り、残っているのは農家の住民と市役所の役員だけだ。 市役所の中に若い男性と中年の男性、2人の役人がいる。 『この村もほとんど人がいなくなりましたね。』 『今の時代、こんな何も無い村に住むメリットなんて無いからな。』 『加工所も取り壊し決まっちゃいましたしね……この村、あとどれ位で潰されちゃうんでしょうね。』 『まあそう言うな。おかげで俺達は座ってるだけで給料がもらえるんだからさ。』 『はは、そうですね…。』 と、一人の男性が役所に入ってきた。近所の農家の人だ。 『あいつらがまた畑を荒らして困ってるんですよ。急いで来てください。』 『またあいつらか。しつこいやつらだな……行くぞ。』 『はい。』 車で男性の畑へ向かう三人。 畑に着くと、数匹のゆっくりが作物を荒らしていた。 「ゆゆっ!にんげんさんがきたんだぜ!」 「さくせんどおりにこうどうするんだよ!」 「しくじるんじゃないぜ!」 人間に気づいたゆっくり達は近くに停めてあったすぃーに乗って逃げ始めた。 『最近どんどん調子に乗ってきてるな…。おい、ちょっとこらしめてやれ。』 『わかりました。』 逃げたゆっくりを車で追う若い役員。 「ちゃんとついてきてるよ!」 「よし、あそこまでにげきるんだぜ!」 林道に逃げ込むゆっくり達。 『日本中でゆっくりが消えてるのに、どうしてこの村には野良ゆっくりがいるんだ…。 今度加工所に一斉駆除を依頼しないとな…。』 役員が林道に差し掛かったその時 ズガガガガ…ドゴォ!!! 『!?』 走っていた道路に突然穴が開き、車が落ちてしまった。 エアバッグが作動し、役員を衝撃から守る。 突然の出来事に、一時思考が停止する役員。 『いってぇ…何が起きたんだ!?』 車から出ると、車が落とし穴に落ちていた。 この状態では車を動かす事はできない。 『なんだこの穴は……地盤か?』 役員が原因を考えていると 「警告する!人間さんはただちにこの村から出て行ってね!!」 と、どこからか声が聞こえてきた。 この声はゆっくりの声だ。 『お前らの仕業か!こんな事して、どうなるかわかってるんだろうな!』 「もう一度警告する!人間はすぐに村から出て行け!!」 『いい加減にしろ!あんまり調子に乗ってんじゃねーぞ!!』 「警告はした!これより攻撃を開始する!!ドススパーク、発射!!!」 ドススパークだと? 役員が辺りを見回す。 ゴオオォォォ…… 横の方から空気が割れるような音が急速に近づいてくる。 何かヤバイ、 直感で役員は走って車から離れた 次の瞬間 キイィン ドゴオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!! レーザーのような強力な光が車に命中し、大爆発を起こした。 役員は爆風で数メートル吹き飛ばされた。 『……いってぇ……、…何なんだ!?』 ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ 起き上がって周囲を見回すと、林道の奥からゆっくりの大行進がやって来た。 4列に並んだ大部隊は、その隊列を崩さずにこちらへとやって来る。 その配列はテレビ等で見る軍隊の行進とよく似ていた。 『なんだあれ……あれがゆっくりだってのかよ………』 役員があっけに取られていると 「みょーーーん!!!」 木に紐をくくりつけたゆっくりが、ターザンのようにこちらへと飛んでくる。 口にはカッターの刃が加えられていた。 慌てて避けようとする役員。 スパッ 『っ…!!』 顔を切られる役員。 頬から血が流れているのがわかる。 「みょん!!」 「みょーん!」 「みょんっ!」 周囲から次々とカッターを加えたゆっくりが飛んでくる。 こいつら、本気で俺を殺しにかかってきてる…! 役員は慌てて村へと走っていった。 村では、先ほどの二人が待っていた。 『役人さんや、大丈夫かい!』 『おい、さっき爆発があったけどどうしたんだ!』 若い役員は息を切らしながら話す。 『武装したゆっくりの集団がこの村にやってきます!!警報を鳴らして、住民を避難させてください!!』 『ゆっくりだと!?そんな事で警報を鳴らすのか!』 『普通のゆっくりじゃないんです!!まるで軍隊のような…いや、ヤツらは軍隊そのものです!!』 走ってきた役員の顔からは血が流れている。 さっきの爆発といい、普通のゆっくりにここまで派手な攻撃はできない。 『……よし、俺は市役所に戻る!お前は住民を非難させろ!!』 中年の役員が市役所へと走り、警報を鳴らした。 《緊急事態です!武装した凶悪な集団がこの村にやってきます!ただちに避難してください!》 混乱する住民に、若い役員が非難を指示していく。 血を流す役員の必死な形相に、住民は次々と避難していった。 幸い、山中にあるこの村では、一家に最低一台は車があったので全住民が非難するのに時間はかからなかった。 そして全ての住民が避難した頃、林道の方からゆっくりの軍隊が姿を現した。 『ヤツらが来ました!住民は全員避難しましたから、早く逃げましょう!!』 若い役員が中年の役員をトラックに乗せて走り出す。 「ゆっ!まだ人間がいたか!石投ゆ隊、用意!!」 銀色のバッヂをつけたゆっくりが隊列に指示する。 「目標、前方の車!狙え!……打てぇーっ!」 銀バッヂの声で、一斉に石が投げつけられる。 ビシッ ガツッ パシッ 幾つか石がトラックに当たり、フロントガラスにヒビが入る。 『あれがゆっくりなのか!?なんだこの統率の良さは!!』 『だから言ったでしょう!アイツらは軍隊だって!!』 『とにかく逃げるんだ!』 アクセルを強く踏み込み、更に速度を上げる。 『只事じゃないぞこれは……県庁に連絡する必要がありそうだ。下手したら警察予備隊まで……』 ブロロロロロロ……… 「投石、やめ!」 車が離れていくのを確認して、銀バッヂが指示を出す。 「人間は全ていなくなりました。指示を。」 銀バッヂが金バッジをつけたドスに指示を求める。 「一般ゆ隊は全部の家を調べろ。食料は見つけても食べるな。 もし食べたゆっくりがいた場合は、その場で制裁してかまわん。 司令部に伝達、人間の掃討に成功。本部からの指示を待つ、と。 周囲の警戒、怠るなよ。」 「了解。ちぇん、今の内容を本部に伝えてくれ。」 「りょうかいっ!」 銅バッヂをつけたゆっくりがすぃーに乗って森の奥へと走っていく。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 富士樹海の中にある洞窟。 その中に銅バッヂを付けたゆっくりが入ってきた。 「先攻ゆ隊より連絡! ドスドスドス、ワレ奇襲ニ成功セリ!」 「むきゅ!それは本当なのね!」 部屋に集まった幹部ゆっくり達の顔に笑顔が浮かぶ。 「はい!本部より指示を待つとの事です。」 「わかったわ。ちぇんは村に戻ってすぃーゆ隊をこっちに回して。 みょん!すぃーゆ隊到着と同時に一般ゆ民を村へ移動させるわ。準備させておいて。 私はちぇんと一緒に村へ行って向こうに本部を立てるわ。」 「わかりました。…やりましたね!ぱちゅりーさん!」 「ええ!…でもこれからが大変よ。」 「そうですね……。総員、ただちに一般ゆ民の移送準備にかかれ!」 みょんの掛け声と同時に、全てのゆっくりが部屋から出て行った。 総司令ぱちゅりーはちぇんのすぃーに乗って村へと向かった。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 『……つまり、高度に組織化されたゆっくりが村を襲った……と。』 『はい、その通りです。』 ザワザワ…… ゆっくりの攻撃に合った二人の役員は、県庁の会議室にいた。 その中には、県警のトップや県知事の顔まである。 『しかし、君が動揺していてただのゆっくりを大げさに捕らえたのではないのかね?』 70代と思われる県議会員が若い役員に対して疑問の声を上げた。 『いいえ、私は確かに見ました。あの統率されたゆっくりの集団は、通常のゆっくりとは明らかに異なります。』 『しかし、そんなゆっくりの話なんて聞いた事がない。 車で事故を起こした時の衝撃で、どこか頭を打ち付けたんじゃないかい?』 ハハハハハ…… 会議室の数名が笑う。 『私は冗談など話していません!知事、警察あるいは警察予備隊の出動要請を提言します。』 『予備隊だと!?冗談を言うな!』 先ほどの県議会員が大声を上げる。 『落ち着きなさい。いきなり予備隊を動かすのには動機が不十分すぎる。 まず、県から職員をその村に派遣する。それから今後の対応を決めよう。何か異議は?』 県知事は落ち着いた口調で提案をした。 『……誰も異論は無いようだね。これで会議を終了とする。』 会議室から次々と人が出て行く。 若い役員は悔しそうな顔をしている。 『くそっ!いつも後手後手の対応をしやがって…!』 『落ち着け。知事の言う事ももっともだ。 普通、ゆっくりに襲われたなんて言っても誰も信じないだろ?』 『そうですけど……!』 『俺もあのゆっくりには危険性を感じてる。 知事はしっかりした人だ。冷静に状況を見てくれるだろう。』 『……。』 県庁の廊下で、二人は窓から空を見つめた。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 村は、すっかりと様変わりしていた。 ありす種によるゆっくり専用のコーディネートによって、村はゆっくり専用の村と化した。 廃屋はそれぞれのゆっくりが住める家に。 扉の付いている倉庫や空き家は食料庫として使われている。 村の周囲には武装したゆっくりが外敵を警戒している。 ゆっくりにとって、人間のいないこの村は楽園そのものだった。 村の市役所には、数千匹のゆっくりがつめかけていた。 広場の壇上に、ぱちゅりー、みょん、ドスまりさが立っている。 「まず、私からいいたい事があるわ!ありがとう!! みんなが力を貸してくれたおかげで、遂に私達ゆっくりの町を手に入れる事ができたわ! ここは、人間さんからいじめられたりする事もない、ゆっくりがゆっくりできる最高の場所よ! 宣言するわ!この町を、ゆっくり史上初の町”ゆっくりシティ”と命名するわ!」 キャーキャー ワーワー 「ありがとう! でも、これからも人間さん達は私達のゆっくりプレイスを狙って攻撃してくるかも知れないわ。 だから、みんな一致団結してこの町を守りましょう!!」 《《《《賢将ぱちゅりーと共にあれーーー!!!!》》》》 ゆっくりシティに、ゆっくり達の歓喜の声が響いた。 「ドスからも話がある! ぱちゅりーが言ったように、人間が攻めてくる可能性が大きい! この町を守る為には、もっとたくさんのゆっくりの力が必要だ! 町を守ろうという勇気あるゆっくりは、是非戦闘ゆ隊に入隊してもらいたい!!」 《《《猛将ドスに忠誠をぉーーー!!!》》》 若いゆっくり達が雄叫びを上げる。 「むきゅ!みんな、明日からまた忙しい日が続くわ! 今日はゆっくり休んでちょうだい! これでぱちゅりーのお話をおしまいにするわ!」 ガヤガヤ 「ぱちゅりーさんはすごいね!ほんとうににんげんにかったよ!」 ガヤガヤ 「これからずっとゆっくりできるね!!」 ……… 騒ぎが落ち着いたゆっくりシティの司令部(市役所)に、銀バッヂと金バッヂをつけたゆっくりが集まっていた。 「…幹部はみんな集まったわね。」 「俺から説明するぜ。 これから、人間による反撃行動が予想される。 人間はゆっくりを弱いと思ってるから、最初の反撃は少人数で来るだろう。 その人間を徹底的に打ちのめす! そうすれば人間はゆっくりの恐ろしさを知って、反撃をしなくなるはずだ。」 「そこで、今回は人間がこの村に入る前に攻撃を仕掛けます。 この村に入ってくるには、2ヶ所の道路を通るしかありません。 人間は南側の道からすぃーを使って侵入してくると予想されます。」 「この道には、両側が崖になった部分がある。 ここで人間のすぃーを止めて、一気に攻撃を仕掛けるんだ。 具体的に説明すると、まず落とし穴を作ってすぃーを動けなくする。 人間がすぃーから出てきたら投石ゆ隊の一斉攻撃。 崖があるから人間はこちらに攻撃をする事はできないだろう。 人間が来た道を逃げ始めたら、特殊ゆ隊による斬撃で、人間の体に深手を負わせる。 人間がボロボロになったら、攻撃をやめて人間の群れに逃がすんだ。 人間を永遠にゆっくりさせてはいけない。あくまでも深手を負わせるだけだ。」 「むきゅ、この作戦が成功すれば人間は私達を恐れて攻撃をしなくなるわ。 そうすればその先の村も、私達の町にできるわよ!!」 「絶対に成功させるんだぜ!!」 「「「「了解!」」」」 幹部ゆっくり達は自分の持ち場へと向かった。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… ブゥーーーン…… 森の中を、一台の公用車が走り抜ける。 中には三人の人間が乗っていた。 『あと数分で目的地に着きます。』 『うむ。』 『しかし県知事、ご自身が視察に行かれるのは危険だと思うのですが…。』 『あの若者の訴え、県議会にはない純粋な気持ちに聞こえたんだよ。 それにそのゆっくりとやらをこの目で見たいもんでな。』 『ですが……』 『なあに、ワシだって体力には自信がある。そこらの若者にも負けんよ。』 運転手と調査員、そして県知事を乗せた車はゆっくりに占領された村へと向かう。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… 「警戒中のコマンドーゆ隊より連絡! こちらに向かってくる人間のすぃーがあるとの事!」 「数はいくつだ。」 「…一台です!」 「ついに来たか。 総員、配置に着け!人間がこちらへやってくるぞ!」 《《《《りょうっかいっ!》》》》 山の中には数百のゆっくりがうごめいていた。 指示を出しているのは金バッヂを付けたドスまりさ。ゆっくりの中では”猛将”と呼ばれている。 「すぃーが落とし穴に落ちるまで…5、4、3、2、1…」 ガゴガゴゴッ!! 『!?』 車に異様な振動が走る。 『どうしたんだ?』 『道路が所々陥没しているようです。走行には影響ありませんので、ご安心を。』 落とし穴の上を通過して車は走り続ける。 どうしたことか、落とし穴がちゃんと作動しなかったのである。 「!?どういう事なんだぜ!!」 「むきゅう!?落とし穴に落ちなかったのね。これは想定外だわ…」 「ぱちゅりー、どうするんだぜ!!」 ドスまりさがぱちゅりーをせかす。 「落ち着いて! 私達の目的は”人間に深手を負わす”事よ! ドス!あのすぃーをドススパークで撃って!」 「よし!わかったぜ!!」 ドスが何かを口に入れてモゴモゴすると、ドスの体が輝いてゆく。 「モグモグ……当たれぇーーーーー!!!!」 ドスが車の方向に向かって口を開いた 瞬間 カッ ズガアアアアアアアァァァァァァ………………… ドスの口から閃光が走り、県知事の乗る車に直撃した。 車は炎上し、灼熱の炎に包まれている。 ガギャッ 車の扉を蹴り飛ばして、中から人間が出てきた。 『知事!!しっかりしてください!!!』 『…ぅう……』 二人の男が、年老いた男性を担いで車外へと脱出する。 全員腕や頭から血を流しているが、特に老人はぐったりとしていて重傷のようだ。 『このままじゃ知事が危ない!早く病院に!!』 老人を担いで、二人の男が走り出す。 「ぱちゅりー、これで良かったのか……?」 「ええ、想定通りの結果よ。 これ以上攻撃する必要はもう無い。 このまま人間が群れに帰れば、全て予定通りになるわ。」 ぱちゅりーの話を聞いて、近くにいた幹部ゆっくりの顔が少し明るくなる。 「攻撃用意!!!」 少し離れた場所から、特殊ゆ隊隊長、銀バッヂみょんの声が聞こえた。 「ちょっと!もうあれ以上攻撃は……」 「かかれぇーーーーーッ!!!!」 ぱちゅりーの呼びかけが聞こえる前に、隊長みょんは命令を下した。 《《《みょーーーん!!!》》》 隊長の号令と共に、特殊ゆ隊が一斉に人間目掛けて攻撃を仕掛ける。 『なんだコイツら!!』 『刃物を加えてるぞ!!!気をつけろ!!』 みょんの攻撃で更に出血量が多くなる人間達。 『知事だけは何が何でもお守りするんだ!!』 二人の人間は老人をかばいながら必死に走る。 『逃がさないみょん!!!』 『ここはみょん達のゆっくりプレイスだみょん!』 『”ゆっくりシティ”を奪おうとする人間は…死ねぇ!!』 特殊ゆ隊の攻撃は止まない。 彼らは極度の興奮状態となり、すでに暴走しかけていた。 人間はどんどん傷つき、弱っていく。 『やめろォ!!!!』 森の中に、ドスの声が鳴り響く。 特殊ゆ隊をはじめ、その場にいた全てのゆっくりがドスの方を見た。 『目的を忘れるな!! ゆっくりシティ防衛が最優先事項!!! 人間は生かして群れに帰す!!! お前ら、わかったか!!!』 ドスの鬼気迫る怒鳴り声で、全てのゆっくりが平常心を取り戻した。 人間達はいつの間にかいなくなっている。おそらく群れへと帰ったのだろう。 『むきゅ、人間は帰ったわ。 現時点をもって作戦を終了。総員、速やかに撤収。』 ぱちゅりーをはじめ、幹部ゆっくりの顔には少し陰があった。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… ダンッ!! 『バカモン!!』 県庁の会議室に、怒鳴り声が響く。 『落ち着いてください、副知事。』 『知事をはじめ、全員命に別状はないと言っていたじゃないですか。』 『そうですよ、これは不幸中の幸い…』 『そういう事を言ってるのではないっ!!!』 なだめようとする連中に一括を浴びせる副知事。 『いいか!たかがゆっくりに車2台!人間が4人もケガを負わされているんだぞ!! これが民間人だったらどうしていたんだ!!! しかもヤツら、村を強奪して”ゆっくりシティ”などと名前まで付けてるそうじゃないか! こんなバカげた事が今まであったか!!どうだ!!!!』 副知事が近くの連中を睨み付ける。誰も返事をする事ができない。 『本庁に警察予備隊の緊急出動を要請しろ!これ以上人的被害を増やすわけにはいかん!!』 その頃、病院では… 『知事!大丈夫でしたか!!』 『ああ、この通り元気だよ。』 ベッドの上で横たわる知事の姿を見て、若い役員が足早に駆け寄る。 『確かにあのゆっくり達は普通じゃなかったな。もっとも、被害を受けたのが私で良かったがね。』 『そんな、重傷なのに何言ってるんですか…!』 『はっはっは…。しかし、君の言った通りだ…。今の高齢化した議会では決断が遅すぎる…。 …いや、私が老いただけなのかも知れないな。』 『そんな事はありません!知事は危険な場所へ自ら赴きになられました。 そんな度胸のある人間が、この県議にたくさんいるとは思えません。知事は私達が誇れる知事です…。』 『若者にそう言ってもらえるとうれしいねぇ、はっはっは…。』 県知事まで重傷を負った今回の事件。 各メディアはこの事件を”ゆっくりシティの攻撃”としてトップニュースで取り扱った。 世論はゆっくりシティの攻撃、殲滅を支持した。 ……………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………… ………………………………………… ………………………… _____________________________________________________________ _____________________________________________________________ ・後編「ゆっくりシティの攻防」に続きます
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※触発あき様著「ふたば系ゆっくりいじめ 534 ラストれいむロストホープ」よりインスパイアをいただきました。 インスパイアというかネタパクリに近いです。感謝と謝罪を同時にささげます。本当にごめんなさい。 ※anko334「ゆっくりできない理由」の続編になりますが、読んでいなくてもなんとかなります。 ※独自設定垂れ流し。 ※ご都合主義も垂れ流し。 ※相変わらず直接虐待皆無です。ゴメン。 ドスまりさは喜んでいた。有頂天といってもいい。 やっと、ほんとうにやっと知ることができる。 喜びに満たされながら、ドスまりさは街へと跳ねて行った。 ついに知ることができるんだ。どうしてまりさ達ゆっくりはゆっくりできないのかを。 「真実を知るということ」 必殺引篭り人 そのドスまりさはなかなか有能だった。群れのゆっくりもゲスがとても少なく、ドスまりさによく 従っていた。 近くの村で農作業を手伝い、野菜を分けてもらう日々。山の幸を集めてあまあまと交換してもらう 喜び。群れはじつにゆっくりできていた。ゆっくり達はそんなしあわせー!をもたらしてくれた ドスまりさに大いに感謝していたのだ。 しかしドスまりさは満足できなかった。ドスまりさから見ればそれは完璧なゆっくりではなかったのだ。 群れを養える限界を見極め、すっきりー制限を設けた。冬篭りのためにご飯を節約させた。雨が降れば 表に出ていたゆっくりを助けるため、いそいでお帽子を使って自分が傘になった。 それだけがんばっても、仲間は死んでいった。 春のうららかさの中、溜まっていた性欲を満たそうと黒ずんだ番がいた。 夏の暑さで水を飲む前に力尽きた子ゆっくりがいた。 秋の収穫を喜び、うかれすぎて鋭い石につまづき、あんよを大きく切り裂いたゆっくりがいた。 冬の寒さに耐え切れず、冷凍饅頭になってしまった赤ゆっくりがいた。 ありとあらゆることに負け、命を落としていく仲間達がいた。 群れは悲しみと喜びを行ったり来たりしていた。死を悲しみ、それを乗り越えようと赤ゆっくりを 作って喜んだ。赤ゆっくりが死んでまた悲しみが訪れた。それを埋め合わせようと必死に山の幸を 探し、あまあまと交換してしあわせー!を感じた。 ドスまりさはいつも考えていた。どうしたらゆっくりはゆっくりできるだろう。ひと時のしあわせー! では無く、ずっと続くゆっくりが欲しい。それを願うのは欲が深すぎるのだろうか? 群れのゆっくり達はドスまりさのつぶやきに首をかしげていた。今の生活でどうして満足できないのか と聞くゆっくりさえいた。人間さんと仲良くできているし、時々はあまあまも食べられるし、死んじゃう 子もいるけど、それでも群れはしあわせー!だよ?そう言ってくれるゆっくりもいた。 でもドスまりさは満足できなかった。欲が深かったのではない。ただ、知りたかったのだ。 どうして自分達ゆっくりは、ずっとゆっくりできないのか? なんで自分達にはふしあわせー、が訪れるのか? どうしたら、ふしあわせー、を避けられるのか。 ずっと、ずっと考えていた。 そしてある時、村でうわさを聞いた。街の研究所で働くお兄さんが「ゆっくりが不幸になるのは 理由がある」と発表したというのだ。 これだ!ドスまりさは思った。不幸になる理由を聞けば、ふしあわせー、を避けることができる。 そうすれば自分達ゆっくりはずっとゆっくりできるに違いない。 ついに夢がかなう。ドスまりさは街へ向かった。 「へえ、君が哲学兄ィの言っていたドスまりさ?まあゆっくりしていきなよ。」 ゆっくりしている暇は無い。はやく研究のことを教えてほしいとドスまりさは言った。 「ゆっくりのくせにゆっくりできない奴だね。まあいいけど。哲学兄ィの言ったとおり、本当に ゆっくりできない理由について貪欲なんだねえ。」 当然だ。自分はゆっくりだ。ゆっくりするためならどんなにゆっくりできなくても頑張る。そう ドスまりさは答えた。 「…まあ今の答えに矛盾を感じないんだから、それだけでもう答えみたいなものだけどね。 でも本当にいいのかい?」 何が? 「真実を知ることが、本当に幸せかな?よく言われることだけど、知らなかった方がよかったなんて 後で言われても困るんだけど。」 知った方がいいに決まってる。理由がわかればそれを避けることもできるから。 「…本当にそうかな?避けられることの方が少ないとは思わないのかい? まあいいか。知ろうが知るまいが変わらない事なんだしね。 あのね、ゆっくりがゆっくりできない理由、それはね…。」 ついに知ることができるんだ。ドスまりさは身を乗り出した。 「…ゆっくりは苦しみを食べる生き物だからだよ。」 …?何を、言っているの? 「ゆっくりはさ、絶望とか悲しみとか苦しさとか、そういうものを食べて生きているのさ。」 何を言っているの?ゆっくりはいもむしさんや木の実さん、きのこさんなんかを食べて生きている んだよ?馬鹿なの?死ぬの? からかわれたと思ったドスまりさは怒って言う。 「これは比喩表現さ。もう少し正確に言うと、繁殖するためにそういうものが必要ってこと。 僕の実験はね、完璧なゆっくりをゆっくりに与えるとどうなるのか、っていうもの。 衣食住、そして生存環境。すべてをゆっくりにとってゆっくりできるものに整えたんだ。 そうしたらどうなったと思う?」 きっと大きな群れに成長したはず。そしてその群れではれいむが歌い、まりさが踊り、ありすは 素敵な宝物をつくり、ぱちゅりーが賢者として振舞っているはず。 ドスまりさの夢、それが実現しているはずだと、そう研究お兄さんに言う。 「いやいや。それがまったく逆。なんとさ、群れが全滅!これには僕も驚いたね。 僕もね、君と同じようにきっと群れが大繁殖で大きくなると思ったんだ。確かに1世代目はそう だった。子供をたくさん作って群れを大きくしたよ。でもね…。 その次の世代は子供を作らなかったんだ。」 …わからない。どうしてゆっくりできるおちびちゃんを作らなかったの? そんなこと、ありえない。 「よく考えれば当たり前のことだったんだ。君達ゆっくりはゆっくりすることが至上命題。だから ゆっくりできる赤ゆっくりを求める。…ここまではいいよね? じゃあ全てがゆっくりできる場所では、果たして赤ゆっくりは必要なのかな?」 おちびちゃんは絶対に必要に決まってる!ドスまりさは言い切る。 「それがね、赤ゆっくりは必要ないのさ。考えてもみなよ。赤ゆっくりを育てるためにはとても 労力が要るんだ。赤ゆっくりはあまり動けないから食べ物を運ばなきゃいけない。ゆっくりできる ように手間をかけてやらなきゃいけない。それってさ、親はゆっくりできるのかい? 親がゆっくりできない努力をしてやらなきゃ生きられないのが赤ゆっくりなのさ。」 …ウソだ。おちびちゃんは一番ゆっくりできるゆっくりなんだ。ドスまりさの声が震える。 「ああそのとおり。でもそれはゆっくりできない場所での話さ。 ゆっくりできない場所では、赤ゆっくりの可愛さは物凄いゆっくり成分だ。それは認めるよ? でもね。 …本当のゆっくりプレイスではさ、赤ゆっくりってゆっくりできないものになるんだよ?」 ウソだウソだウソだ!ドスまりさは反抗した。心の中では認め始めていたけれども、反抗するしか なかった。 「ウソじゃないよ。だって親がゆっくりできないほど努力しないといけないんだよ?そんなの親に とってはゆっくりできないじゃないか。 ゆっくりプレイスの2世代目はさ、真の意味でゆっくりしている存在なんだよ。いままで ゆっくりできない事を一切感じたことが無い。そんな、本当の意味でゆっくりしているゆっくり なんだ。 そんなゆっくりがさ、赤ゆっくりなんてゆっくりできなくなるもの、欲しがるかい? もちろん答えはノーだよ。本当にゆっくりしたゆっくりは、赤ゆっくりなんていらないんだ。」 …じゃあなんで1世代目は2世代目を産んだの?ドスまりさは反撃の糸口を探す。 「お、いい質問だね。それはね、1世代目がゆっくりできない事を経験していたから。 ゆっくりプレイスにいたとしても以前に経験したゆっくりできない事が心の底に残っていたんだね。 だからそれを埋め合わせようとして、2世代目を産んだ。 つまりさ。」 つまり…? 「君達ゆっくりはさ、ゆっくりできない事を経験しないと赤ゆっくりを産めないってこと。 悲しみ、絶望、苦しみ、痛み。そんな事を経験するから子孫が産まれるのさ。 それを僕は『苦しみを食べる生き物』と形容している。」 ウソだ…。そんなはずは、ない…。ドスまりさは信じそうになる心を必死に食い止める。 「ウソなものか。何度追試しても同じ結果だもの。君達はさ、苦しみがなきゃ全滅するのさ。 もっと言えば苦しめば苦しむほどたくさん子孫を作るんだ。まあ当然だよね、全滅するかもって ほどの苦しみだもの、子孫を増やして対抗しようとするよね。 だから今まで僕ら人間がやってきたゆっくりの掃討って実は逆効果なんだよね。苦しませる と増えちゃうんだから。あ、ゆっくりにとっては増えるために必要だから良かったことなのかな?」 あはは、と悪気なく笑う研究お兄さん。ドスまりさの餡子が冷える。この人間さんは、何を笑って いるのだろう…? 「その考えを推し進めると虐待鬼威惨ってのもゆっくりにとっては必要なものなのかもね。 鬼威惨がいればいるほど増えるんだからさ。」 深いよねー、とうんうんうなずく研究お兄さん。その姿は無邪気そのものだ。 「…あれー、どうしたの?もしかして信じないの?」 …信じられるわけが無い。自分達が、苦しみを必要とするなんて。そう怒気をはらませて言う ドスまりさ。 「…じゃあさ、君が試せばいいよ。それなら信じるだろう?」 研究お兄さんは注射器とアンプルを取り出してそう言った。 「これはさ、君の寿命を延ばす薬。で、こっちは君の『ゆっくりオーラ』を強化する薬。 これがあれば群れをずっと率いていける。そうして君がゆっくりプレイスを作るんだ。 それと君のゆっくりオーラはさ、実は植物にも効くんだよ。それを強化すれば成長促進になる。 強化されたオーラでゆっくりと植物、両者をゆっくりさせてやるといい。 そして君自身の目で、実験の結果を見ればいい。」 さあ、どうする?無邪気な目でドスまりさを見る研究お兄さん。 「…どうしたの?真実を知るのが怖い? まりさ、君が思うことが正しいと信じるなら、僕の提案を受けられるはずだ。 もちろん断ってもいいよ。でもそのときはさ。」 どうなるの…?ドスまりさは怯えながらも聞く。 「…僕の言ったことがずっと心に棘として刺さるのさ。そして事あるたびに君の心が痛みを感じる。 そして後悔するのさ。僕の提案を受けていたら、本当のことを知れたのにってさ?」 その言葉に悪意はなかった。そしてもちろん善意もなかった。…だから怖かった。 …怖かった、だがドスまりさは…。 「ねえ、あっちのむれにドスがいるんだって!そのどすはすごーくゆうのうで、どんなゆっくり でもゆっくりさせてくれるってきいたよ!」 「すごいんだぜ!れいむ、まりさといっしょにそのどすのむれにいくんだぜ!」 2匹のゆっくりがドスまりさの群れへと向かう。 「ようこそ、ドスのゆっくりプレイスへ!ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!」」 そして群れは繁栄した。だが10年後、そこに群れはなかった。全滅していた。 (どうだい、結果は?) そこにいないはずの研究お兄さんの声が聞こえる。 (僕の言ったとおりだろう?信じる気になったかい?) …信じない。これは何か失敗しただけ。次は違う。 (そうかい。じゃあもう一回試してみることだね。…まだ自分を信じられるなら、ね?) そうして数十年が過ぎる。 「ねえ、むこうのやまにとってもとかいはなドスがいるらしいわ。すごくゆうのうでどんなゆっくり でもゆっくりさせてくれるって。 でも、そのドスはいつもないてるんですって。なんでかしらね?」 「わからないみょん。でも、ドスのいるむれならゆっくりできるみょん。さっそくいってみるみょん!」 2匹のゆっくりがドスまりさのいる山へと向かう。 「まりさのむれに、ぐすっ、ようこそ!ぐすん…。ゆっぐり、じでいっでねっ、ゆわーん!」 「「ゆ、ゆっくり、していってね…?」」 泣き虫のドスまりさのうわさは瞬く間に広がり、群れは繁栄した。ドスは確かに有能で、その山は 豊富なえさに恵まれたゆっくりプレイスだった。 しかし10年後、そこに群れはなかった。 (それにしてもさ。哲学兄ィも無責任だよね。ゆっくりが変化すればいいとか言っちゃってさ。) そうだ。それがある。ゆっくりの体が強ければ死ななくてすむ。そうすれば、そうすれば…。 (それってさ、つまりはゆっくりできるってことでしょ?完璧にゆっくりできたら赤ゆっくり なんて作らなくなるのに。哲学兄ィは間違ってるよ。) 間違ってなんか無い。きっとお兄さんの言うとおりなんだ。まりさ達ゆっくりが変化すれば きっと…。 (あのさ、変化のためにはさ、進化が要るよ?でも進化ってさ、積み重ねでね。以前の特質も 受け継ぐんだ。つまりはさ、君達は苦しみを必要とする特質をさ、ずっと引きずるんだよ) 違う、違う、違う…。 ドスまりさは頑張った。みんなをゆっくりさせるために力を振り絞った。 ありとあらゆる災害から身を守る方法を教えた。自分で穴を掘ったこともある。 捕食種を掃討した。ゆっくりオーラで植物を豊富に育てた。 ゆっくりプレイスを作った。そう、完璧なゆっくりプレイスを。 「なあ、あっちのもりにドスがいるらしいぞ。そのドスはとてもゆうのうなんだそうだ。 らんといっしょにいかないか?」 「らんしゃまとなら、ちぇんはどこへでもいくよー。ちぇんもそのおはなしきいたけど、どすは とってもつんでれさんだっていうよー。まりさなのになんでだろうねー。わからないよー。」 2匹のゆっくりがドスまりさの森へと向かう。 「なんでまりさのところにくるのっ!?まりさは、まりさはむれなんかもちたくないのに! ゆっくりしていってねっ!?」 「「ゆっくりつんでれっていってね!」」 ドスまりさはプリプリ怒りながらも、求めてくるゆっくりを受け入れていった。 群れは繁栄し、そして10年後には滅びていった。 何度やっても同じだった。群れははじめは繁栄した。そして2世代目が産まれると急速に 衰退していった。 ゆっくりプレイスがゆっくりできればできるほど、衰退は早かった。 そう、研究お兄さんの言うことは真実だった。 そしてあっという間に100年が過ぎた。ゆっくりにとっては気の遠くなるような長い年月だ。 「ドスは…、もう疲れたよ…。」 幾度もの興亡を見たドスまりさは完全に衰弱していた。信じていた『完璧なゆっくり』。それは 幻だった。幻どころが悪夢だった。…どうして、どうしてこんなことに。 ゆっくりは何もしていない。何も悪いことをしていないのに、どうしてこんな酷いことになるんだ。 ドスまりさは考える。考えに考えて、そして答えを見つけられずに絶望した。 崖の上でドスまりさは考える。こんな時、あの研究お兄さんはなんて言うだろう? (…それはね、まりさ。意味なんてないんだよ。) …意味なんて、無い…?そんなはずは…。 (どうして意味があるなんて考えるのかなあ?僕にはわからないよ。 意味が無くて、どうしてダメなんだい?君は人間が投げた石が三角形に落ちたからって、それに 意味を求めるのかい?…そんなの無駄だよ。たまたまそうなっただけ。 どうしてそんな答えで満足しないのさ?) だって…、意味はきっとあるはずだもの…。理由があって、それを避ける方法があって…。 (無いよ。避ける方法なんて無い。そんなのがあるほうが少ないんだ。 同じように意味だってない。意味の無いことの方が多いのさ。 確かに生き物はさ、意味を考えるよ?だってそうしないと失敗を繰り返すからね。 因果関係を掴むことのできない生き物は死ぬしかない。だから君も、人間も、意味をもとめる。 でもさ、それに振り回されちゃダメだよ。意味の無いことも存在するんだ。 …君の悩みもそれと同じだよ。) 意味が無いこともある…? それはドスまりさの胸を突く言葉だった。そうだ、意味なんて最初から無かったんだ。 ゆっくりが、繁殖するのに苦しみが必要なこと。それには、意味はないんだ。 あるとすれば、それが必要だから、というただそれだけのことなんだ。 (そうだよまりさ。苦しみがあるから増える。それはさ、人間の言葉で言えば進化の過程で得た 特質さ。進化ってのはさ、でたらめさのことでさ。でたらめに掴み取ったものの積み重ねが進化 なんだよ。だからさ、もう苦しまなくていいんだ。君の悩みはさ、悩みじゃないんだ。 ただ、進化が選んだ道筋ってだけなんだ。) そうだね、きっと意味なんてない。でたらめなんだ。自分達ゆっくりはでたらめ。 それでいいよね。 ドスまりさは答えを得た。そして、高い崖からお空を飛んだ。 朝、犬が求めるままに4時間半も散歩をすると、こういうワケワカメな考えが頭に浮かびます。 5時半に起きて朝メシ喰わずに歩いて、家に着くと10時。アッタマおかしくなるっつーの! 過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 544 モチモチを生かして ふたば系ゆっくりいじめ 509 おかされいむ ふたば系ゆっくりいじめ 464 ゆ身売買 ふたば系ゆっくりいじめ 387 れいむはよげんしゃ ふたば系ゆっくりいじめ 248 ゆっくりできない理由 ふたば系ゆっくりいじめ 220 ゆっくりスクール【ゲス更正編】 ふたば系ゆっくりいじめ 216 子まりさの反乱 ふたば系ゆっくりいじめ 182 どすすぱーくをうつよ! ふたば系ゆっくりいじめ 177 人間の畑だと説得してみよう ふたば系ゆっくりいじめ 147 陰口 ふたば系ゆっくりいじめ 111 効率化の道
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295話 1/2 2/2
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ストーリーモード 話 タイトル 制限 クリア条件 WAVE数 EXP サマ$ 初期MP 備考 第15話 迫り来る水音 捕獲不可 ライフ1以上で全ウェーブをクリアする 16 240 4 30 水中ルート有り ※水中ルートは水属性のモンスターのみ移動可能 第1ウェーブ 名前 HP 属性 備考 スライム×15 10 地上 無 第2ウェーブ 名前 HP 属性 備考 スライム×10 10 地上 無 スライム×10 10 地上 無 第3ウェーブ 名前 HP 属性 備考 ファイアール×10 100 地上 火 第4ウェーブ 名前 HP 属性 備考 ファイアール×6 100 地上 火 ファイアール×8 100 地上 火 第5ウェーブ 名前 HP 属性 備考 アクアラット×3 150 水中 水 第6ウェーブ 名前 HP 属性 備考 アクアラット×3 150 水中 水 アクアラット×3 150 水中 水 第7ウェーブ 名前 HP 属性 備考 ゴブスピア×4 300 地上 無 第8ウェーブ 名前 HP 属性 備考 ゴブスピア×3 300 地上 無 ゴブスピア×5 300 地上 無 第9ウェーブ 名前 HP 属性 備考 ストンリー×3 550 地上 地 毒無効物理攻撃50%減 第10ウェーブ 名前 HP 属性 備考 ストンリー×2 550 地上 地 毒無効物理攻撃50%減 ストンリー×4 550 地上 地 毒無効物理攻撃50%減 第11ウェーブ 名前 HP 属性 備考 イグニスラ×2 450 地上 火 アクアスラ×2 450 水中 水 第12ウェーブ 名前 HP 属性 備考 イグニスラ×2 450 地上 火 アクアスラ×2 450 水中 水 イグニスラ×2 450 地上 火 アクアスラ×2 450 水中 水 第13ウェーブ 名前 HP 属性 備考 半漁人×1 1800 水中 水 第14ウェーブ 名前 HP 属性 備考 半漁人×1 1800 水中 水 半漁人×1 1800 水中 水 第15ウェーブ 名前 HP 属性 備考 半漁人×2 1800 水中 水 半漁人×2 1800 水中 水 第16ウェーブ 名前 HP 属性 備考 半漁人×3 1800 水中 水 半漁人×3 1800 水中 水 攻略動画 +puru http //www.nicovideo.jp/watch/sm10905367 +デッキ固定 http //www.nicovideo.jp/watch/sm11745050
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ゆっくり風船 by ”ゆ虐の友”従業員 家のれいむが、どこで覚えたのか 「ゆゆ!れいむにふーせんちょうだい!」 と言ってきた。 「どうして風船が欲しいんだい?」 俺は聞いてみる。まあ聞くまでもないことだが…… 「ゆゆ!ふーせんさんはとってもゆっくりしてるよ!」 例のごとくだ。 「……たまにはゆっくり以外のこと考えられないのか?お前ら……」 つんつんと突っつく。 「ゆぶ!やめでね!ゆっぐりざぜでね!」 俺はふとあることを思いつき、れいむにこう話を切り出した。 「ふーせんさんだって、色々大変なんだぞ」 れいむはそれをふーせんを買ってくれない口実と察知し、ぽよんぽよんと飛び跳ねて抗議する。 「そんなことないよ!ふーせんさんはとってもゆっくりしてるよ!」 まったく、話が通じづらいことこの上ない。 「それじゃあ聞くが……れいむはゆっくりしてるか?」 何言ってるの、という表情で、体をかしげるれいむ。 「もちろんだよ?れいむはゆっくりしたゆっくりだよ?」 「何が、”れいむはゆっくりしたゆっくり”だ。そのセリフは聞き飽きたぜ」 俺はさっきよりも少しだけ強く、れいむを上からべんべんと叩く。 「い、ち、い、ち、ゆ、っ、く、り、を、主、張、し、す、ぎ、な、ん、だ、よ、 第、一、ゆ、っ、く、り、し、た、ゆ、っ、く、り、っ、て、の、は、形、容、詞、的、用、法、で、 俺、が、聞、い、て、る、の、は、今、ゆ、っ、く、り、し、て、る、の、か、ど、う、か、っ、て、 い、う、動、詞、的、な、意、味、合、い、の、ゆ、っ、く、り、な、ん、だ、よ、 曲、解、し、て、ん、じ、ゃ、ね、ー、ぞ」 「ゆっ!やべ……!やめで……!ゆぶっ!! うばあああああんん!!!どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉ!!!!!」 「なんでもてめーに都合よく解釈するからだ。 ……それにほら、ぜんぜんゆっくりできてないだろ?」 俺は言ってやった。 「おにーざんのぜいでじょおおおおお!!??」 「それはそうだが、たった今ゆっくりできてなかったのは事実だ。だろう? ……つまり、それと同じでふーせんさんにも色んな苦労があるってこった。 れいむみたいにゆっくりできないゆっくりには買ってあげられないな」 「ゆぐうううんん!!!がっでよぉぉぉ!!!ふーせんがっでぇぇぇぇ!!!!」 * * * * 工房でちょっとした工作をして戻ってくる。 「おにーさん!かわいいれいむにふーせんちょうだいね!」 まだ言うのか。……いやしかし、この場合好都合だ。 俺は早速取り付けにかかった。 れいむを箱から出し、片手で底部を支え持ち上げる。 「ゆゆー!おそらをとんでるみたい……!」 実はこうやって下から眺めると、あんよ部分がうねうねと動いて若干気持ち悪い。 俺はそのあんよの中心に、ビーカーを突き立てる。 「ゆぐっ!!!!いだいよぉぉぉ!!!!おにーざんなにじだのぉぉぉぉ!!??」 ビーカーはかなり長く大きい。れいむの餡子を収納するためだ。 「おぢるぅぅぅぅぅ!!!でいぶのあんごがおぢぢゃうよぉぉぉぉ!!!! ぎぼぢわるいぃぃぃぃ!!!!!」 「安心しろ、てめーのあんよのがよっぽど気持ちわるいから」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおお!!!」 程なく餡子がビーカーに落ちきると、俺はれいむの頬に穴を開け、ガスボンベから水素を注入する。 「ゆゆゆぃ……おしょらを……とんでりゅみたいぃ……?」 「そーら、ふーせんさんだぞ」 「ゆ?ふーせんさんどこ?」 「れいむがふーせんさんになったんだよ。ほら、浮いてるだろう?」 れいむはビーカーを尻尾のように垂らして、床からわずかのところを浮いている。 「ゆゆーーふーせんさんだよーー」 俺が浮いていることを指摘したとたん、れいむはふわふわと漂いはじめる。”思い込み”によるもので、 驚くほどではないというか、まあよくあることだ。 「ゆっくりしてるかい?」 「ゆーっくりしてるよー!」 れいむは気持ちよさげに漂う。 「れいむふーせんさんになったよー! ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 俺はお菓子を取り出した。 「ゆゆーー!れいむにあまあまちょうだいねー!!」 「いいとも、取りにおいで」 俺はお菓子を手に持ち、待つ。 「ゆっゆっゆっゆっゆ!……ゆゆ? ゆゆゆゆゆゆゆ!!!ゆゆゆゆゆゆゆ!!!」 れいむは顔をしかめたり、膨らんだりしぼんだりするがこちらへ来る気配はない。 「やっぱりな……」 俺はほくそえんだ。 「お菓子はいらないんだね、じゃあお兄さんが食べちゃうよ」 「ゆっぐりまっでね!でいぶにぢょうだいねぇぇぇぇ!!!!」 俺は口元まで運んだクッキーを一度袋に戻す。 「しょうがないな、じゃあ10秒だけ待つよ。いーち、にーぃ……」 「ゆぐん!ゆぐん!」 れいむは鬼のような形相でへこんだり膨らんだりを繰り返す。 「さーん、しーぃ……」 「まっでね!!ゆっぐりじでよぉぉぉぉ!!!!」 やっと推進力を得たようで、ほんの少しずつこっちへ向かってくる。 だがその移動速度はきわめて遅く、とても間に合いそうにはない。 「ごーぉ、ろーく、しーち、はーち」 「ゆー!ゆー!ゆゆーー!!!」 涙を流しながら、へこへこと伸縮するれいむ。 (やっぱきめぇわ……) 「きゅーう、じゅう!!はい食べたー!今お兄さんお菓子食べたよー!!」 「でいぶのあまあまぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 おしまい。
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[名前]シャドームーン [出典]仮面ライダーBLACK [声優]寺杣昌紀 [性別]男 [年齢] 19(人間時) [一人称]私 [二人称]呼び捨て、お前 [三人称]奴 『仮面ライダーBLACK』35話から登場。 ゴルゴムのメンバーである秋月総一郎教授の息子・信彦が改造された、ゴルゴムのもう一人の世紀王。 BLACK最強の敵としてブラックサンこと南光太郎の前に立ちはだかる、キングストーン「月の石」を体内に持つ銀色の戦士。 もともとは光太郎と同様の手術を行われた同種の改造人間となるはずであったが、仮面ライダーBLACKことブラックサンの脱出の際に負傷し、再生のために強化手術を施される。 再生後は秋月信彦であった記憶を消すかのように、その力をBLACKを倒すために使う。 創世王がシャドームーンの変身機能を操作しており、仮面ライダーBLACKの様に変身解除が出来ず死ぬまで信彦の姿に戻る事は不可能である。 [能力] 身長197・4cm、体重90kg、ジャンプ力は40m、水中での活動時間は60分。 BLACKの強化皮膚・リプラスフォーム以上の硬度を誇る強化皮膚を持ち、両肘の強化装具エルボートリガー、両足の強化装具レッグトリガーはパンチやキックの効果を上げる働きがあり、相手を切り裂く武器としても使用可能である(トリガー自体も超振動する為、触れるだけで岩石をも砕くことが可能)。 マイティアイは、BLACKのマルチアイの能力に加え、透視能力を備えている。また、人間の精神や天候を操る能力も有する。 その戦闘力はBLACKと同等、或いはそれ以上である。 ビルゲニアから奪った、世紀王専用の武器であるサタンサーベルを扱う。 主な必殺技 シャドーパンチ BLACKのライダーパンチと同等の威力を誇る技。 シャドーキック BLACKのライダーキックと同等の威力を誇る技。 シャドーフラッシュ BLACKのキングストーンフラッシュに相当する技。 シャドービーム ベルトシャドーチャージャー内部に埋め込まれているキングストーンのエネルギーを利用して、両手から破壊光線を発射する技。 [性格] 性格は冷静かつ非情。 脳改造まで施されているため、自分が信彦だったという記憶はあるもののその意識はない。 ただし妹と恋人への愛情だけは若干残っている。 以下、多ジャンルバトルロワイアルにおけるネタバレを含む +開示する シャドームーンの本ロワにおける動向 登場話 009 045 065 070a 070b 094 104a 104b 120a 120b 128 129 144a 144b 144c 154 158 160a 160b 160c 160d 160e 160f 163a 163b 163c 164a 164b 165a 165b 168a 168b 170b 170c 173a 173b 173c 173d 173e 173f 174 175 176a 176b 176c 登場話数 22 スタンス マーダー→危険対主催 初期支給品 不明支給品0~2、サバイブ(疾風)@仮面ライダー龍騎 キャラとの関係 キャラ名 状態 呼び方 二人称 関係・認識 関係話 南光太郎 敵対 南光太郎、ブラックサン 貴様 宿敵 未遭遇 銭形警部 殺害する 009 上田次郎 敵対→中立→敵対 上田次郎 貴様 65話から70話までF-5公園で、158話、160話にてF-8で戦闘、164話から同行、174話より戦闘 065 070a 070b 158 160a 160b 160c 160d 160e 160f 164a 164b 165a 165b 168a 168b 170b 174 175 176a 176b 176c 由詑かなみ 敵対 殺意を抱く 065 070a 070b ミハエル・ギャレット F-5公園にて戦闘 065 070a 070b 東條悟 70話にてF-5公園で、104話にてF-1で戦闘→殺害する 065 070a 070b 104a 104b 亀山薫 人間 貴様 殺害する。敵に値する男 070b 稲田瑞穂 目視のみ 070b C.C. 104話にてF-1で戦闘、128話にて会話、158話にてF-8で戦闘 104a 104b 128 158 160a 160b 160c 160d 160e 160f ヴァン ヴァン お前、貴様 104話にてF-1で戦闘、128話にて会話、158話、160話にてF-8で戦闘、164話から同行、173話にて???で戦闘、殺害する 104a 104b 128 158 160a 160b 160c 160d 160e 160f 164a 164b 165a 165b 168a 168b 170b 173a 173b 173c 173d 173e 173f 雪代縁 F-1で戦闘 104a 104b 蒼嶋駿朔 104a 104b 千草貴子 104a 104b 竜宮レナ 104a 104b 泉新一 F-1にて戦闘、殺害する 120a 120b 城戸真司 120話にてF-1で、158話よりF-8で戦闘 120a 120b 158 160a 160b 160c 160d 160e 翠星石 120話にてF-1で、158話にてF-8で戦闘、163話まで同行、168話、173話にて戦闘、殺害する 120a 120b 158 160a 160b 160c 160d 160e 160f 163a 163b 163c 168a 168b 170b 173a 173b 173c 173d 173e 173f 174 175 176a 杉下右京 目視のみ 120b 岩崎みなみ 120b 夜神月 D-5で戦闘、殺害する 144a 144b 144c 水銀燈 D-5で戦闘、屈服させる 144a 144b 144c ラプラスの魔 E-6で戦闘、消滅させる 154 狭間偉出夫 中立→敵対 貴様 160話にて契約し同行、174話より戦闘 160c 160d 160e 160f 163a 163b 163c 164a 164b 165a 165b 168a 168b 170b 174 175 176a 176b 176c 北岡秀一 160話にて契約し164話まで同行、173話より戦闘 160d 160e 160f 163a 163b 163c 164a 164b 170b 173a 173b 173c 173d 173e 173f 174 175 176a 176b 176c ジェレミア・ゴットバルト 中立 160話にて契約し164話まで同行 160d 160e 160f 163a 163b 163c 164a 164b 柊つかさ 中立→敵対 柊つかさ 160話にて契約し164話まで同行、173話より戦闘、殺害される 160d 160e 160f 163a 163b 163c 164a 164b 170b 173a 173b 173c 173d 173e 173f 174 175 176a 176b 176c 薔薇水晶 敵対 160話、163話、164話にてF-8で戦闘 160e 163a 163b 163c 164a ストレイト・クーガー 中立→敵対 契約し同行 163a 163b 163c 164a 164b 165a 165b 168a 168b 170b 173a 173b 173c 173d 173e 173f 志々雄真実 敵対 貴様 163話、164話にてF-8で戦闘 163a 163b 163c 164a 173a 173b 173c 173d 173e 173f 踏破地域 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 A B C D E F G H I J ??? F-7図書館→F-6東部→F-5公園→F-3道→F-1→F-1最北端→D-1分岐点→D-5山中→E-5展望台→D-5山中→E-6山中→F-8市街地→F-10沿岸部→???
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『「餡子ンペ09」胴付きにしてやったぞ』 「にんげんさん!!まりさを"どうつき"にしてほしいよ!!」 ある日青年がまりさからこんなことを言われた。 「はぁ?胴付きだって?何言ってんだ?」 休日を自宅で過ごしていたらどうも玄関が五月蝿い。外へ出てみればまりさとれいむ、そしてその子であろうゆっくりが数匹いた。 「まりさは"どうつき"になりたいよ!!おかねはらうから!!」 まりさはそう言うと帽子の中からチャリーンとお金を落とした。何円硬貨かと思えば10円玉だった。 「何で胴付きになりたいんだ?お前にそんなもん必要ないだろ」 「おちょうしゃんはちゅよくなりゅんだよ!!」 「しょうだよ!!ちゅよくなっちぇお……」 「ゆ!!…しぃっ!!お…おとうさんがいまはなすからね」 青年の質問に赤ゆっくり達が答えようとしたが姉であろう子ゆっくりがそれを制した。 「強くなる?何だ?誰かと喧嘩でもしたいのか?」 「ち…ちがうよ…そ…そうじゃなくて…れ…れみりゃにかちたいんだよ!!」 「そうだよ!!れいむのまりさはれみりゃからみんなをまもりたくてつよくなりたいんだよ!!」 「ふーん」 話は数時間前に遡る。 『まりさ!!どうするの…これじゃふゆさんこせないよ…』 『ゆぅ……こ…こんなはずじゃなかったんだぜ…』 『おちょうしゃん…しゃむいよぉ…』 季節は晩秋。もうじき冬がやってくる。都会のゆっくりも農村のゆっくり同様に冬篭りをするのだ。 このまりさ達家族も冬に向けて準備をしていた。しかし予想外の出来事が起きた。何と巣にしていたダンボールが無くなってしまったのだ。 ダンボールは違うゆっくりに取られてしまったのだろうか?いや、持っていったのは加工所の人間であった。 ゆっくりをそのまま生かすほど人間も甘くない。ゆっくりは越冬出来なければ死んでしまう。 冬の間に一気に数を減らそうと越冬の妨害をしているのだ。まずは住処を潰す。どんなに食料があっても寒さには勝てないのだ。 『ど…どうするの…これじゃ…れいむたちしんじゃうよぉ…』 『しょんなのやぢゃよぉ!!ゆっくちちたいよぉ!!』 『おかあさん…すりすりしてよぉ……ゆひゃぁ!!…さむいぃ!!』 一家の大黒柱であるまりさは悩んでいた。どうしたらいいのだろうか…。 『いいにゃぁ……あのゆっくち…しゅっごくゆっくちちてるよ…』 『ほんとだぁ…いいなぁ…いいなぁ…』 家族の目線の先には人間とそのペットであろうまりさ。しかもまりさは通常の黒い帽子ではなく毛糸で編んだ赤い帽子を被っていた。 『おにいさん!!このぼうしさんすっごくゆっくりしてるね!!まるでさんたさんみたい!!』 『暖かいだろ?』 『うん!すっごくあったかいよ!!おにいさんありがとう!!』 人間とまりさは住宅の中へ消えていった。 『いいにゃあ!!いいにゃあ!!まりちゃもあっちゃかいぼうちしゃんほしいよぉ!!』 『れいむもあったかいおうちがいいいよぉ!!』 『ゆぅぅぅ…さむいぃ!!!かぜさん!!さむいのはゆっくりできないよ!!』 子供達の表情が段々悲しそうになった。 『ゆえぇぇぇん!!!!ゆっくちちたいよぉ!!』 『おうち!!!おうぢぃ!!!あったかいおうちぃ!!』 『おきゃあしゃん…りぇいみゅは…ゆっくちできにゃいの?ゆっくち…ぅ…ちたい…ゅぇぇぇん…』 母親であるれいむも悲しそうな顔をしていた。 『まりさ!!こうなったらにんげんさんのおうちをもらおうよ!!』 れいむがこう切り出した。 『しょうだよ!!おちょうしゃん!!にんげんしゃんのおうちがいいよ!!』 『おちょうしゃんだったらにんげんにだってかてりゅよ!!』 子供達も乗り気だ。 『む…むりだぜ…にんげんはまりさよりも…ずっとつよいんだぜ…』 まりさは力の差を分かっていた。人間になんか敵うわけが無い。これが分かっているかどうかで野良ゆっくりの寿命は違ってくる。 『じゃあどうするの…このままじゃゆっくりできないでしょ!!!!』 れいむが少し怒った。 『れいむ…むちゃいわないでほしいんだぜ!にんげんはつよいんだぜ!!まりさがしんじゃってもいいの!!?』 道端で夫婦喧嘩が起きてしまった。その時だった。 『お…おとうさん!!おかあさん!!れみりゃ!!れみりゃがくるよおぉ!!』 『『『『『『『ゆ!!!』』』』』』』 前から人間とれみりゃがやってきた。こちらも買い物帰りか、れみりゃも毛糸で出来た帽子を被っていた。 『『『『ゆぅ…』』』』 『『『『あっぢいっでぇ…』』』』 まりさ達は近くにあったゴミ捨て場に身を潜めた。 『いった…?』 『も…もうだいじょうぶ?』 天敵がいなくなったことを確認してまりさ達が出て来た。 『おとうさん!!おとうさん!!』 子れいむが少々興奮気味に言った。 『わかったよ!!おとうさん!!"どうつき"になればつよくなれるよ!!!』 "胴付き"。一般的にゆっくりは球体であるが一部のゆっくり、例えばれみりゃやふらんは人間と同様胴体を持っている。 まんま胴体が付いているゆっくりを"胴付き"と言うのだ。 『まりさ!!そうだよ!!れみりゃがつよいのは"どうつき"だからだよ!!』 『"どうちゅき"になればにんげんなんきゃいちきょろだよ!!』 『まりちゃも"どうちゅき"になりちゃいよ!!』 確かに胴体があれば今よりも強くなれるだろう。新たに殴る蹴るという攻撃方法が加わるのだ。回避能力も上がる。 『なんだかできるきがしてきたんだぜ!!まりさは"どうつき"になるんだぜ!!そしたられみりゃみたいになれるんだぜ!! にんげんにだってかてるんだぜ!!』 家族の顔に生気が戻った。だが1つ問題がある。どうやって胴付きになればいいのだろうか…。 『どうやって…"どうつき"になればいいんだぜ…。にんげんだったら…できそうなんだぜ…でも…』 『しんぱいいらないよ!!まりさ!!れいむとまりさにはかわいいおちびちゃんがいっぱいいるんだよ!! にんげんにかわいいおちびちゃんをみせてめろめろにしたら"どうつき"にしてくれるよ!!』 結局他力本願。しかもご都合主義な展開。こういう思考が餡子脳なのだ。 『ゆ!!おもいだしたんだぜ!!』 まりさは帽子から10円玉を取り出した。 『これはおかねなんだぜ!!これで"どうつき"にしてもらうんだぜ!!』 早くもまりさ家族は人間に勝利し暖かいおうちとごはんに囲まれた生活を手にした絵を浮かべていた。 『ぜんはいそげなんだぜ!!さっそくにんげんに"どうつき"にしてもらうよ!!そしたらそのにんげんをやっつけるんだぜ!!』 『おちょうしゃんかっきょいい!!』 『まりちゃはいっぴゃいぽんでしゃんがたべちゃいよ!!』 『おちびちゃん、にんげんをゆだんさせるんだよ!だからいいこにするんだよ!』 『れいむはゆっくりしてるよ!!』 『まりしゃもゆっくちちてるかりゃだいじょうぶなんだじぇ!!』 こうして住宅地を歩き回り気に入った物件を見つけ門の前で騒いでいたのだ。 「にんげんさん!!おねがいだよ!!まりさを"どうつき"にして!!」 まりさは必死にお願いしていた。理由は簡単、このおうちがとっても気に入ったからだ。 「ふーん…」 青年は家族をジロジロ見回した。まりさ達の企みを看破できなかったが何か違和感を感じていた。 "もうじき冬だってのに何でこんなに餓鬼がいるんだ?" 何と6匹も子供がいた。越冬で一番の関門は食料だ。親併せて8匹分の食事の調達は困難なはずだ。というか普通ここまで増やさない。 "れみりゃ?この辺りじゃ野良れみりゃはあまり見ないぞ…" そういう場所なんです。 "つぅかゆっくりだろ…なんか怪しいな" 「なぁ、お前を胴付きとやらにする間このチビとれいむはどうするつもりだ?」 「ゆ!!しんぱいしないで!!れいむたちちゃんとごはんもってきたよ!!」 「えりゃいでしょ!!」 「みちぇみちぇ!!」 「おにいさんのところのおにわでいいからおいてあげて!それいがいはなにもいらないから!!」 まりさや子まりさ、赤まりさの帽子の中に食料が入っていた。帽子を取ってどうだと言わんばかりに見せ付けた。 "ますます怪しい…" ここまでゆっくりの知能が働くときは大抵何か企んでいる。それ以前に頭の良いゆっくりなら越冬前に多くの子供なんかいないはずだ。 しかも何だか様子がおかしい。 "何か企んでやがるな…。まぁいいや。少し楽しませてもらうか…" 「まぁいいだろう。ちょっと待ってろ」 青年は家に戻った。 「まりさぁ!!!」 「まだなんだぜ…あとは"どうつき"になるだけなんだぜ」 まりさ達に笑みがこぼれた。 「じゃあこの箱の中に入ってくれ」 青年は透明な箱を持ってきた。1匹ずつ箱の中に入れられた。 「ゆっくりしないで"どうつき"にしてね!!」 まりさ達が騒いだ。 「まぁ待て。焦るな」 実は青年、どうやって胴付きにしてやるかまだ思い付かないでいた。 "胴付きって…れみりゃとか?" と、青年に何か閃いた。 「ちょっと待ってろ。支度してくる」 箱を1室に置き青年は家を出た。行き先は菓子屋だった。 「よっ!!」 「何だお前か。何でもいいから買ってけよ」 ここは青年の友人が経営している菓子屋だ。 「ちょっと話聞いてよ。実はさ……………」 「はぁ、胴付きねぇ…………」 「俺いい事思いついてさ。乗ってくれないか?」 「どうすんのさ?」 「実はな…………」 「あぁ。確かにお前1人じゃ無理だ。でもそれならいけるかもな。考えもしなかったよ」 「でしょ。お前の趣味の幅も広がるぞ」 「丁度今やってみたい虐待があるんだよ。それに応用できそうだな」 この菓子屋さんは虐待お兄さんだ。ゆっくりを虐めて楽しんでいるうちに饅頭そのものに興味が湧き菓子屋を構えたのだ。 元々料理は得意であり店の評判も良い。ゆっくりを上手く活用したお菓子も有りこちらも結構売れているらしい。 「じゃあ情報料差し引いて…これぐらいで…」 「ふざけるな。もう少し寄越せ」 「はいはい。じゃこんなもんね」 「妥当だよ。待ってろ、今丁度作ってるところなんだ。持ってくるから」 数分後が生地が運ばれてきた。 「どうなったか教えてくれよ」 「ああ。サンキュー」 青年は店を出た。 "どうして今まで思いつかなかったかな…" 考案はこうだ。この生地を胴体の形に整える。そしてまりさ本体をくっつければいい。たったそれだけだ。 青年は帰宅してから早速台所で生地を人型に整えた。 "指まで細かくやるこたぁねぇな。とりあえず形になれば充分さ" すぐに人の形になった。あとはまりさ本体と合体すればいいだけだ。 「おーい!胴付けてやるぞ」 皿の上に首の無い人型をした生地を載せてまりさ達を入れた箱のもとへ戻った。 「ゆ!ゆ!!ついにまりさも"どうつき"になれるんだね!!」 「おちょうしゃんのかっきょいいちょこりょをはやくみちゃいよ!!」 「まりさ!!!がんばってね!!」 まりさを箱から出した。まりさの大きさからだと胴体が随分と小さい気がするがまぁいいだろう。今更追加の生地を買う気にもなれない。 「じゃ、痛いけど我慢しろよ」 彼の手には包丁。包丁でまりさの底部を切断した。 「ゆぎゃあああぁぁぁ!!!!あんよざん!!!ばりざのあんよざんがあぁぁぁ!!!!!ゆぎぃいぃいぃ!!!!!!」 突然の悲鳴に箱の中の家族が騒ぎ出した。 「おちょうじゃん!!!!おぢょうじゃぁん!!!」 「ばりざああぁぁ!!!!どぼじでえぇぇ!!!れいむだぢなにもわるいごどじでないのにいいぃぃ!!!!」 「ゆああぁぁ!!!ごわいよぉぉ!!!まりざはわるいごどじでない!!!いっでないいぃぃ!!!!」 まりさの底部は餡子を丸出しにしていた。 「ゆぎぃい!!ゆぎぃ!!!いだい!!いだい!!!どぼじで……まりざの…ゆっぐりじだ…あんよがぁ……」 青年は説明してやろうかと思ったが面倒くさいのでそのまま作業を続けた。 「な…なにずるんだ…ぜ……」 人型の首の辺りにまりさの底部をくっ付けた。後は小麦粉を溶いた水で接合部分を塗りたぐった。 「これで完了だ。まだ動くなよ。動いたら死ぬ。明日までそのまま寝てろ」 「ゆ…っゆっぐり…りがい…じだよぉ…」 まりさはまだ痛みが退いていないらしい。急に動き出したりしたら色々面倒なので仰向けの状態で箱の中に戻した。 「まりさにあまり触れない方がいいぞ。下手したら死ぬからな。そしたら責任は取れん」 「ゆ…ゆっくりりかいしたよ…」 触れているうちに首がもげたりしたら意味が無い。青年は部屋を出た。 「ま…まりざ…だいじょうぶ?」 「おちょうしゃん!!ちんじゃやぢゃあぁぁ!!!」 「だ…だいじょうぶ…だよ。まだ…ちょっとだけ…いたいけど…」 まりさが無事であることを確認すると家族はほっと安心しゆっくりし始めた。 「あしたがたのしみだね!おとうさん!!」 「あちかりゃもっちょゆっくちできりゅよ!!」 「しっ!!にんげんにきこえちゃうよ…」 箱は庭には出されずそのまま室内に保管された。夜になり暗くなってからぶつぶつと何か楽しそうに話していた。 「あしたからは…ゆふふ…」 「あのじじいをどりぇいにするんだじぇ…」 まりさ達は期待に胸躍らせながら眠りに付いた。 次の日 「よう。調子はどうだ?」 青年がやってきた。 「いたくないよ!!もうどうつきになれたかな?」 青年はまりさを見つめた。手足の辺りが微かに動いている。神経っぽいのが繋がったのだろうか。 「どうだ?」 青年はまりさの胴体部分を軽く突いた。 「ゆ!わかるよ!!」 どうやら感覚があるようだ。ということはこの生地はまりさと同化したしたことになる。 「に…にんげんさん…どうなの?」 「おちょうしゃんはちゅよくなっちゃよにぇ?」 家族が青年の方をじっと見つめていた。 「おめでとう。胴付きになれたよ」 「ほんと!!!まりさはどうつきになれたの!!?」 「ああ。成功だよ」 「「「「やっちゃああ!!!!おちょうしゃん!!!」」」」 「まりさ!!!これで…これでゆっくりできるね!!」 「「おとうさん!!!ゆっくりしないでじじいをやっつけてね!!」」 箱の中で歓喜をあげるまりさ達。企みまでつい口走ってしまった。 「やっぱな…。どうせそんなことだろうと思ったよ」 口走ってしまった子ゆっくり達は"しまった!"という顔をした。 「だいじょうぶだよ!!まりさがやっつけてくれるよ!!」 れいむがそう言った。 「やい!!きゅじゅ!!!まりちゃちゃまにぽんでしゃんもっちぇこい!!」 「じじいはりぇーみゅのどりぇいにしちぇあげるよ!!かんしゃちてね!!」 早くも赤ゆっくり達がゲス化した。 「ゆっへっへ…ばかなじじいなんだぜ!!!どうつきになったまりささまはむてきなんだぜ!!」 「へーへ。で、どうするの?」 「こうさんするならいまのうちなんだぜ!!でないといたいめにあうんだぜ!!」 言っていることは勇ましいがこのまりさ、まだ箱の中で仰向けに寝転んでいる。 「御託はいいからさ…かかってこいよ」 「まりささまにかなうとでもおもってるのかだぜ?やめたほうがいいんだぜ!!」 「早くしろよ。生地代分遊んでやるからよ」 「まりさ!!!このじじいをせいさいしてね!!!」 「おちょうしゃん!!がんばっちぇね!!」 家族がまりさにやんやの喝采を送った。 「ゆん!!こうかいするんだぜ!!」 まりさは体に力を入れた。立ち上がってから高くジャンプして箱を飛び出し新技のキックや必殺技の体当たりを喰らわせて…… 「………」 青年は黙ったままだ。肝心のまりさがまだ立ち上がろうとしていない。 「?」 青年は眉をひそめた。 「ゆぐ……ゆぅぅぅ…??…ゆううぅ!!!」 一方のまりさは必死だ。歯を食いしばって思いっきり力を入れている。 「ま…まりさ…ゆっくりしすぎだよ!」 「おちょうしゃん?えんりょにゃんかしにゃいでいいんだよ!」 「おとうさん?」 「ゆがあああぁ!!!!!どぼじでだでないのおおおぉ!!!!!?」 まりさが叫んだ。立ち上がろうとしていなかったのではなく立ち上がれなかったのだ。 "あれ?失敗した?" ちゃんと胴体の感覚はある。しかも胴体の所々が動いておりまりさが力を入れていることが分かる。何が悪かったのだろう? すぐに理由が分かった。 "餡子入れてないわ…" れみりゃを例にしよう。れみりゃの中身は肉だ。その肉は指先まで詰まっているのだ。つまり胴付きにするには末端まで中身が必要なのだ。 今回は餡子は一切入っておらず生地だけで胴体を作った。動物で言えば骨が無いのと同じなのだ。 "そりゃ…売ってないわな…" 生地で胴体作ってくっ付けるなんて方法は多分誰もが思いついたんだろう。しかしこの方法だと意外とコストが掛かる。 わざわざ胴体の形の饅頭を作るだけで本体のゆっくりよりも高いかもしれない。しかも先っぽまで餡子を詰めないといけないのだ。 それにちゃんと動けるようにするにはそれなりの大きさや厚さも必要だ。体を支えるにはどれくらいの大きさがいいのだろうか……。 馬鹿馬鹿しくてそこから先は考えたくも無い。ペットショップに売っていないわけだ。 "どうしよう?餡子詰めてやるか?" コスト度外視して試してみようかと思ったがわざわざ胴体の中を刳り貫いて餡子を詰める作業が面倒くさそうなので止めた。 そもそもこの胴体、まりさの大きさから考えると体を支えきれずに潰れそうだ。 「ゆぎぎぎぎ!!!!どぼじでえぇ!!!!う…うごげえええぇぇ!!!うごいでええぇ!!!」 「まりざ!!!まりざぁ!!!どぼじでなにもじないのおおぉ!!!?」 「ど…どうにゃってりゅの!??」 「おちょうしゃん!!じじいがゆだんしちぇるよ!!いみゃがちゃんしゅだよ!!」 まりさは立ち上がれそうに無い。大地に立ってくれないと話が始まらないじゃないか…。 "感覚はあるんだよね…" 青年はニヤリとした。それならそれで少し楽しませてもらおう。青年はまりさに手を伸ばした。 「ゆがあああぁぁ!!!はなぜええぇぇ!!!はなぜえええぇぇ!!!!」 まりさを持ち上げた。取り合えず胴体が付いて人型になってるのでまりさの頭を掴んで持ち上げている。 「ゆぐ!!!はなぜええぇ!!!!まりざざまどじょうぶずるんだぜえええぇ!!!」 この状況でまだ負けを認めないまりさ。ぶら下がっている状態で手足をバタつかせてもがいていた。 「放してやるよ。ほれ」 青年はまりさを放した。 「ゆううぅ!!!おぢ…ゆびぇ!!!」 中身のある頭が思いせいかまりさは床に顔面からダイブした。 「ま…まりざああぁ!!!じっがりじでええぇ!!!!」 「おとうざぁん!!!どうなっでるのおぉ!!!??」 「ゆ…ゆぅ…おかしいんだじぇ…」 「おちょうしゃん!!!ゆっくちちないでほんきをだしゅんだよ!!」 さてそのまりさだが床にうつ伏せになって倒れたままだ。 「ゆぎぎぎ……ゆぅぅぅぅ……」 どうやら起き上がることも寝返ることも出来ないようだ。 "こりゃ完全に失敗だな" 失敗したとか言うとまりさが五月蝿くなりそうなのでこのまま黙っておこう。 「ほーら、どうした?早く勝負しようぜ。倒れたまんまってのはな、負けなんだよ」 「ゆぎいいい!!!!まげでなんがないい!!!ゆがああぁ!!!うごげえええぇぇ!!!うごげええぇ!!!」 精々顔を上げることぐらいしか出来ない。しかも長時間顔を上げたままに出来ない。すぐに顔を床にうずめてしまった。 「どうなっでるのおおぉぉ!!!ばりざああぁぁ!!!はなじがちがうでじょおおお!!!!」 「ゆあああ!!!おうぢぃ!!!!おうぢ!!!!」 「おちょうしゃん!!!たってよおぉ!!!!」 「ゆっくちししゅぎだよぉ!!!!まけぢゃやぢゃあああ!!!」 箱の中からまりさを応援するがまりさはうつ伏せのまま。どっかの元力士みたい。 「さてと…少し腹が減ったなぁ…」 青年は箱の中を覗きながら呟いた。 「ゆうう……」 「おちびちゃんは…れいむがまもるよ!!!ぷくぅ!!!!」 「ぴゅきゅう!!!」 「じじいはあっちいきぇ!!!」 内訳は子ゆっくり2匹と赤ゆっくり4匹、それに番のれいむ。青年の手が子れいむに伸びた。 「ゆあ!!!お…おそらをとんでるよ!!」 子れいむを摘み上げた。 「ゆがああ!!!はなぜええぇ!!!おちびぢゃんをがえぜええぇ!!!」 青年は子れいむを持ったまままだ床にうつ伏せているまりさの前でしゃがみ込んだ。 「まりさぁ~。今からゆっくりできる音楽をプレゼントしてあげるね」 子れいむの目の前で中指を内側に丸めそれを親指で抑えた。 「ゆぅ?」 何が起こるのかと子れいむが覗き込んだ。 「ゆ?…ゆぴぃ!!!ゆびっ!!!!いだいい!!!いだいい!!!」 数発子れいむにでこピンを喰らわせた。 「ゆうう!!!!ばりざの…おちびぢゃん!!!!やべろおぉぉ!!!」 「ゆわああああ!!!やべろおぉ!!!じじいいぃぃ!!!!おちびぢゃんをはなぜええええぇぇ!!!」 箱の中と外から怒りの声がした。 「ゆびっ!!!!いぢゃ!!!!ゆあぁぁあ!!!!いぢゃいよおお!!!!ゆぴぃ!!!!!」 まりさの頭上で子れいむが泣いていた。 「ほら、まりさ。強いんだろ?強かったら助けてみろよ」 「ゆがああああ!!!!ばりざあああぁ!!!!ゆっくりじないでおちびぢゃんをだずげでねぇぇ!!!!!」 れいむは箱の中にいて助けに来れない。まりさは目の前にいる。いつもならまりさがここで抵抗しているはずだ。 「ゆぎぎぎぎ!!!!!だっでええぇぇ!!!たっでよおおぉぉ!!!!ゆぎぎぎいぃぃぃ!!!!!」 だが残念。まりさは床とキスをしている方が楽しいらしい。 「おどうざ…ゆぴっ!!だずげでええぇ!!!!いぢゃいのやだあああぁ!!!ゆびぇ!!!!ゆ…ゆわあぁぁん!!!」 「ゆぐぐぐ!!!!まりざは…どうづきなのにぃ……どぼじでぇ…」 このままでは面白くない。 「まりさ!!はやく立ち上がらないとこの子食べちゃうよ。美味しそうだなぁ!!!」 青年が大きく口を開けた。 「いやあああぁぁ!!!やぢゃああぁぁ!!!じにだぐない!!!だじゅげでええぇ!!!!!おどおざぁん!!!おがあざぁん!!」 あんぐりと開いた青年の口を見て子れいむが悲鳴を上げた。 「ばりざあああぁ!!!!!なにじでるのおぉ!!!!どうづぎなんでじょおおぉ!!!!」 「ゆぎぃいい!!!うごいでよおおぉ!!!!うごいでえぇ!!!おちびぢゃんがあぁぁ!!!!おちびぢゃんがじんじゃうぅ!!!」 まりさが涙を流しながら必死に力を込めた。顔は上がるがそこから下はびくともしない。 「ゆぎぎぎ!!!!どぼじでえええぇぇ!!!!」 なんと奇跡が起きてまりさは大地に立ったのだ、なんてことにはならない。 「あーあ。おかしいよね。胴付きになったのに助けてくれないんだよ」 「やぢゃああぁぁ!!!たべないでえぇ!!!じにだぐないいぃ!!!だじゅげでええぇ!!!!」 「見てよ、あの寝相。お前なんかよりも寝てる方がゆっくりできるみたいよ。お前嫌われてんだろ」 「ちがうぅ!!!!でいぶはぎらわれでなんがないぃ!!!!おどうざあん!!!おどおざあん!!おぎでええぇ!!!おぎでえぇぇ!!」 「無理無理。起きないよ。じゃあ食べちゃうね」 「ゆぎゃあああ!!!ゆっぐじじだい!!!ゆっぐじじだいぃぃ!!!」 子れいむを口に咥えた。まだ噛まない。 「ゆぐぐぐ!!!ゆ?おそらをういてるよ!!!」 願いが通じたのか!!まりさは宙を浮かんでる感覚がした。 「これでなんとかなるんだぜ!!!!…ゆが!!!ど…どぼじでえええぇぇ!!!」 自らの意思で宙に浮いたと勘違いしていたようだ。実際は青年がまりさを持ち上げたのだ。そして青年の口には子れいむが納まっている。 「ゆああああ!!!おちびぢゃん!!!!おちびぢゃああん!!!!」 「おどうざんのばがあああ!!!!どぼじでだずげでぐれながっだのおぉ!!!!」 「い…いまがらだずげるがらあ!!!!じ…じじい!!!!おちびぢゃんをはなずんだぜえ!!!!!」 青年はまりさも子れいむも放さず歯をゆっくりと子れいむに食い込ませた。 「ゆぎいい!!!!たべないでええ!!!たべぢゃやぢゃあああぁぁ!!!!」 子れいむが悲鳴を上げた。 「やべでえええぇぇ!!!!おちびぢゃんをはなじでええぇぇ!!!!!ゆっ!!!…こ…この!!!このおぉ!!!!」 まりさは手足をバタつかせながら抵抗した。 「ゆぎ!!!ゆぎぃ!!いだいい!!いだいい!!!ゆぎいい!!!じぬう!!!じぬううぅぅ!!!」 そのまま子れいむは青年の口の中に消えていった。 「ゆあああぁぁ!!!!おちびぢゃああん!!!おちびぢゃああん!!!!」 「ゆぎ!!いだ!!!ゆぎゃああ!!だず…ゆぎぇ!!おぢょう…ゆぎぎぃ!!」 まりさの目の前で子れいむがミンチにされた。 「お前の餓鬼美味しかったよ。また食わせてくれよな」 青年が口を開けた。子れいむはもういなかった。 「ゆぎぃ!!!ゆっぐりじだおぢびぢゃんだっだのにぃ!!!じねええぇぇ!!!!じねえええぇぇ!!!!」 青年はまりさを箱の前で放した。 「ゆぎぇ!!!!!ま…まだゆがざん!!!!うごいでえええぇ!!!うごいでよぉ!!!!」 箱の中の家族が見てる目の前で無様にまりさはうつ伏せに倒れた。 「ばりざああぁ!!!!じっがりじでえぇ!!!!じじいをやっづけるんでじょおぉ!!!!」 「おにぇえぢゃんがぁ!!!!おにぇえぢゃぁぁん!!!!ゆわああぁあぁあん!!!」 「おぢょうぢゃんのばきゃ!!!ぜんぜんゆっくちできにゃいよ!!!」 まりさは家族に罵倒された。 「さて、俺は今から買い物に行ってくる。逃げられるもんなら逃げてみな。ま、立ち上がれればの話だがね」 青年はまりさをそのままに放置して家を出た。 1時間程して青年は帰ってきた。 「何だ、まだ寝てんじゃねえか。そんなに床が好きなのか?」 「ゆぎぃ……おぎでぇ…おぎでよぉ……」 元いた位置から全く動いていなかった。 「今から面白いことしようぜ」 青年は買い物袋から木の板、釘、粘土べらを出した。 「いやぁ、最近の100円ショップは凄いね。こんなものまで売ってるんだから」 本当の話です。最近の100円ショップは何でも揃ってていいね。 「あとは…」 青年は金槌を取り出した。これで準備万端。 「ゆぐぐ……な…なにずるんだぜ……」 まりさを木の板に乗せて体を十字架の形にする。 「そ…それは……なんなんだぜ…」 青年の左手には釘、右手には金槌。 「ゆぎゃああああぁぁ!!!!いだい!!!いぢゃいいぃぃ!!!やべでえええぇぇ!!!!」 まりさの手を釘で打ち付けた。 「ゆぎ!!!ゆぎ!!ゆ…ゆるじで!!!ゆるじでぐだざいい!!!わるがっだでず!!!ばりざが…ゆぎゃあああ!!!」 漸くまりさが降参した。が、これで終わらない。残る手と足も打ち付けられた。 「よっと」 板を立てた。まりさは磔にされていた。元気が無いのか頭が重くて支えきれないのか頭がだらりと下がっていた。 「いぢゃい…いだいよぉ…ゆるじ…ゆぎょおお!!!やべ…やべでえええ!!!!」 板を寝かせまりさの両頬の端っこを釘で打ち付けた。これならば頭を上げてくれるだろう。 「そら……どうだ?お前らのお父さんとやらは」 再び板を立て箱の中の家族によく見えるようにした。 「ゆああああぁぁ!!!まりざああぁぁ!!!まりざああぁ!!!」 「なにごれええぇ!!!!ごわいよおおぉ!!!」 「お…おぢょうじゃん!!!おぢょうじゃんがちんじゃううぅ!!!」 「ゆええぇえん!!!!きょわいよぉ!!!やぢゃああ!!!まりちゃゆっくちちだいぃ!!!」 今までにゆっくりが磔にされるなんてことがあっただろうか。初見でも家族には恐怖を与えることが出来たようだ。 「ゆ…ゆるじでぐだざいぃ……まりざが…まりざがわるがっだでず…ゆるじでぐだざいぃ……」 まりさは涙を流しながら謝った。 「流石に7日もかけれないよなぁ…」 青年は粘土べらを取り出した。粘土を切るのに使うあのカラフルなプラスチック製のナイフだ。 「ゆるじでぇ…ゆるじでぇ……ゆ!!…も…もういだいのは…やぢゃよぉ……」 青年はへらをまりさの手首にあてがった。そして手首を切断し始めた。 「ゆぎ!!!ゆぎいぃぃ!!!!いだいいぃぃぃ!!!ゆぎゃああぁぁぁ!!!!」 普通のナイフならスパッと切れるだろうがこのナイフはプラスチック製。そう簡単には切断できない。切れ味も悪い。 「ゆぎゃ!!!い…いぢゃい!!!!ゆるじでええぇぇ!!!!ゆるじでぐだざいいぃぃ!!!!!」 元ネタは竹鋸で首を1週間かけて切断という酷い処刑だ。 「ゆぎゃああ!!!!ゆがああああ!!!!!っぎ!!………ゆぅ…ゆぅ……ご…ごべんな…ざい…」 手首が切断された。2、3分ほどだったがまりさにはとてつもなく長い時間に感じられたことだろう。 「まだあと3ヶ所あるな。あ、3は分かるよな。3だぞ。あと3回痛い痛い我慢しような」 「ぼうやぢゃあああ!!!ゆるじでえぇぇ!!!あやばりばずがらぁ!!!!ゆるじでぐだざいぃ!!!」 青年の手がもう片方の手に触れた。 「やべで!!!やべでえぇぇぇ!!!ごべんなざいぃぃ!!!!ごべんなざいぃぃ!!ゆるじでぐだざいいぃぃ!!!」 へらが触れた。 「ゆぎゃああああぁぁ!!!!やべでええええぇぇ!!!!!ゆがあああああぁぁぁ!!!」 まだ1mmも切ってないのにこの悲鳴。 「きょ…きょわいよぉ…」 「ゆ…ゆっくちできにゃい……ゆっくち…ちたい…」 「ま…まりざがじんじゃう!!も…もうやめで!!やべであげでよぉ!!!!」 「おどうじゃんがじんじゃうう!!やみぇでえええ!!!!」 残りの家族もまりさの尋常ではない表情と悲鳴から一気に恐怖のどん底に突き落とされたようだ。 「ゆぎっ!!!ゆぎゃああああぁぁぁ!!!!どれだぁ!!!なんがどれぢゃっだぁぁぁ!!!!」 もう片方の手も切断された。ゆっくりには手の概念が無いためか未知なる痛みが走ったようだ。 「ゆぎぃぃぃ!!いぢゃい…いぢゃいよぉ…」 残るは足2ヶ所。足をちょんちょんと突いた。 「いやああぁぁぁぁ!!!!あんよじゃん!!!あんよじゃんはやべでえええぇぇぇぇ!!!!」 足の概念はあるためか足の感覚はあるらしい。 「ゆ…ゆぎっ!!!!ゆぎぎぎぃぃぃぃぃ!!!いだいぃ!!!やべでぇぇぇ!!!ぼうやべでぇぇぇぇ!!!!」 両足も切断されまりさは床に倒れた。両頬の端を釘で打ち込んでいたが体の重さに耐えきれず頬の一部の皮を残してまりさが床に沈んだ。 「おきゃあしゃん……まりちゃ…どうにゃっちゃうにょ…」 「きょ…きょわいよぉ……ちにちゃくにゃいよぉ……」 「いちゃいのやぢゃぁ!!みょうどうちゅきなんちぇやぢゃあああぁ!!!!」 赤ゆっくり達はれいむにぴったりとくっ付いてブルブル震えていた。 「ゆ…ゆるじ……ごべんなざいぃ…ぼう……さがらっだり…じば……」 青年は床に這いつくばっていたまりさを持ち上げた。 「この形態だったら出来るよね」 まりさの胴体を捻った。 「ゆぎっ!!!ぽ…ぽんぼんがぁぁぁ!!!!やべっ!!!…ぎゅる…ぎゅるいじぃ……ゆっぎぇぇぇぇぇ……」 まりさの腹部が1回転した。 「ゆぎゅ……っぎぇ……お…ぎょ……ぎゅぇぇぇぇぇぇぇぇ………」 まりさが餡子を吐き出した。あまり捻りすぎると胴体が破れてしまう。まだやってみたいことがあるのだ。 「ぇぇぇぇぇ………ゆ……ゆぅぅぅ……ゆひゅぅ……ゆひゅぅ……」 胴体を元に戻した。まりさは餡子を吐かなくなった。 「楽しいね。まりさ」 「だのじ…ぐなん…がないぃぃ……ゆるじでぇ……もどに…もどじでぐだざいぃ……」 「何だよ。お望み通り折角胴付きにしてやったんだよ」 「どうづぎはもうやだぁぁぁ!!もどにもどじで!!!これじゃうごげないぃ!!!」 「ふふ。まだ遊び足りないよ。もっと遊んでくれよ」 「やぢゃぁ…もうやだぁ…ゆるじで…まりざが…わるがっだで……ゆああああ!!!やべでえ!!!!もちあげないでええぇ!!!」 青年はまりさを抱きかかえると庭へ向かった。 「あったあった」 シャベルを手にするとまりさを地面に置き庭に穴を掘った。 「ごべんなざい!!ゆるじでぐだざい!!!まりざがわるがっだでずぅ!!!ぼうじまぜんがらぁ!!だずげでぇ!!!!」 まりさが仰向けに倒れながら謝り続けた。 「おっし。これで入るか」 ある程度の深さの穴が出来上がった。 「ゆああああ!!!!ぼうやだあぁ!!!どうづぎなんがやだああぁ!!!!もどじでえぇぇ!!!もどじでええぇぇ!!!」 まりさを穴の中に入れた。 「だじでええぇぇ!!!だじでぐだざいい!!!ゆぎいいぃぃ!!!!まりざをだずげでええええぇぇ!!!」 まりさは胴体を付けたまま庭に埋められた。頭部だけは地面から出ている。一見普通のまりさが庭に立っているように思える。 青年は一旦家に戻った。 「だぜぇぇ!!!!ごごがらだぜぇぇ!!」 「さみゅいよぉ!!!ゆっくちできにゃいよぉ!!」 「ゆぴぃぃぃ!!!おしょとはやぢゃああ!!!」 「おきゃあしゃぁん!!!さみゅいよおお!!しゅりしゅりじでぇ!!」 「おうぢぃ!!!おうぢぃ!!あっだがいおうぢぃぃ!!!」 箱の中にいた家族も箱ごと庭に出された。外は寒い。蓋をしたが箱の中も直に寒くなるだろう。 「おでがじばず!!!ばりざをだずげでぐだざいい!!!!だじでぐだざい!!!!…ゆううう!!!!」 まりさは必死に嘆願した。箱の中より外の方が寒い。時折吹く寒風にまりさは縮こまった。 「そぉら、お前の大好きなあまあまだぞぉ」 まりさから50cm程離れた場所に皿を置いた。お饅頭が5つ並べられていた。 「ゆああああ!!!!!だじでええぇぇ!!!!こごがらだじでぇぇ!!!ゆっぐりでぎないいぃぃ!!!!」 「食べられるもんなら食べてみな。ま、そこから出られたらの話だがな。じゃあな」 青年は家の中に戻ってしまった。 まりさ家族の地獄が始まった。 「ゆぎぃ!!!!ゆぎぃぃぃぃ!!!!」 まりさは必死にもがいた。もがけばもがくほど体力は消耗しやがて腹が空いた。 「ゆがああぁ!!!あまあま!!!!あばあばぁぁ!!!!たべざぜでええぇ!!!まりざにたべざぜでよぉぉ!!!」 そして空腹のまりさの目の前には大好物の甘い饅頭。しかしまりさは動けない。 「ゆぎぃいい!!!うごいでえええぇ!!!!あんよざんうごいでえええ!!!!…ゆぴゅううう!!!!!」 冷たい風がまりさを襲う。疲労と空腹と寒気がまりさを容赦なく攻め続けた。 「ゆぴゅううう!!!さぶいい!!!ゆ…ゆっぐぢ…ゆっぐりざぜでよぉぉ!!!!」 箱の中は外に比べれば何倍もマシだった。 「さみゅよぉぉぉ!!!おきゃあしゃん!!しゅりしゅりしちぇぇ!!」 「りぇいみゅがさきだよ!!りぇいみゅがさきにしゅりしゅりすりゅんだよ!!」 「おにゃかしゅいちゃよぉぉ!!!ゆっくちちたいよぉ!!」 「おうぢは?あっちゃかいおうぢぃ!!!!」 「ゆ…ゆぅ…ど…どうじだら…どうじだらいいのぉ……ごれじゃ…ゆっぐりでぎないよぉ…」 「ぼうやだああ!!おうぢがえりだいい!!!!」 箱の中も寒いが外に比べればずっといい。だが食べるものは何も無い。昨日持ち込んだ食料は昨日のうちに全部食べてしまった。 「おにゃかしゅいちゃああ!!あみゃあみゃ!!!あみゃあみゃしゃんたべちゃいよぉ!!」 「おまんじゅうしゃん!!おにぇがいだきゃられいみゅにたべらりぇてにぇ!!!」 「おきゃあしゃぁん!!!あにょあみゃあみゃちょっちぇきちぇ!!!」 「ごべんねぇ…ごべんねぇ…むりだよぉ…ここからでられないから…むりだよぉ…」 「かべしゃん!!まりちゃにいじわりゅしにゃいでね!!あみゃあみゃたべさしぇちぇね!!」 外に置いてある饅頭を見て赤ゆっくり達が箱から出ようとジャンプしたり透明な壁を壊そうと体当たりした。 「ゆえぇえぇん!!!!いじわりゅじないでええ!!!あまあましゃん!!たべちゃいよぉ!!!」 「ゆわあぁあぁん!!!!ゆっくちちたい!!ゆっくちちたいよぉ!!!」 箱が防音タイプでよかった。そうでなかったら赤ゆっくりの泣き声で近所からクレームが来るところだった。 夜になると更に冷え込む。 「ゆぴぃぃぃぃぃ……もうやぢゃぁ……さむいよぉ……ゆぅぅぅぅ……」 何よりも辛いのは寒気。いつもだったら今頃はダンボールハウスで家族揃ってすやすや寝ていたことだろう。 運良くゴミ捨て場から拾った毛布に包まってれいむや子供達と暖を取っていた一昨日までのことを思い出し涙が溢れてきた。 「ゆっぐ……ゅぇぇん……っぐ…ゆぴゅうう!!!!!」 まだまだ夜は明けない。眠気も空腹も涙も冷たい風で吹き飛んでしまった。 「ゆぅぅ……さみゅ…ぃ……」 「ゆっくち……ゆっくち…ちたいよぉ…」 「おうぢぃ……かえりたい…よぉ…」 箱の中では残りの家族が眠っていた。寒いことは寒いが皆で固まれば多少の温もりが感じられる。 「ゆぅぅぅ……ゆぅぅ…」 「あみゃあみゃしゃん…まっでぇ……」 ゆっくりした表情で眠るゆっくりはいなかった。 夜が明けた。明けてもまだまだ寒い。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぎ………」 まりさは歯をガチガチならしていた。結局一睡も出来なかった。 「ゆぅ…ゆぅ…」 「ゆぴっ!…ゆぅぅぅ…」 「しゃみゅいよぉ……」 箱の中では残りの家族が時折ブルブル震えながら眠っていた。 「それ!!空気の循環しないとな!!」 青年がやってきて箱の蓋を取り払った。冷たい空気が箱の中に入ってきた。 「ゆぴ!!!!!さむい!!!ゆっぐりでぎない!!」 「さみゅいよおぉ!!!!ゆぴぃぃぃぃ!!!」 「ゆぅぅぅぅ!!!!しゃむくちぇ…ゆっくちできにゃいいぃ!!!」 突然の寒気に箱の中のゆっくりが起き出した。 「も…もうゆるじでぇ……ゆぶっ!!!さむぐで…ゆっぐり…ゆあああ!!!まっでえぇぇ!!!!」 青年は庭に埋まっているまりさを無視して家の中に帰ってしまった。 「どぼじでこんなにさぶいのぉぉぉ!!!!?ゆびぃぃぃ!!!」 「さみゅい!!さみゅいよぉぉ!!!!」 「ゆっくちちちゃいぃ!!!ゆっくちさしぇちぇぇぇ!!!!」 青年は中々戻ってこなかった。 「おにゃかしゅいちゃよぉ……ごはんしゃんは?ごはん!!!ごはん!!」 「きにょうきゃらにゃにもたびぇてにゃいよぉ……ゆっくちできにゃいよぉ……」 「あっちゃかいごはんがたべちゃいよぉ!!!!おきゃあしゃん!!」 赤ゆっくり達はお腹が空いたとれいむに詰め寄った。 「む…むりだよ……ここには…なにもないよ…おねがいだがら…ゆっくり…りがいじで…ぅぅ……ね…」 れいむは涙を流しながらそう言った。 「しょんなぁ!!しょんなのやぢゃあぁ!!」 「おにゃかしゅいちゃぁ!!ゆっくちちたいよぉ!!!ゆっくちぃ!!!ゆっくぢぃ!!」 すっかり箱の中のゆっくり達が冷え切ったところで青年が戻ってきた。 「おでがじばず!!!ごはんぐだざい!!!おちびぢゃんになにがぐだざいぃ!!!!」 れいむが必死に嘆願した。 「これでも食ってろ」 青年は箱の中に庭に落ちていた落ち葉を落とした。 「こ…こんなの…たべられないよぉ…」 「こんにゃのいらにゃいよ!!もっちょおいちいのもっちぇきちぇね!!」 「あみゃあみゃがたべちゃいよ!!もっちぇきちぇね!!」 昨日の処刑をもう忘れているのか赤ゆっくり達が文句を言った。 「だ…だべだよ!!おちびぢゃん!!ゆっくりできなぐなっぢゃう!!」 れいむは力の差を分かったようだ。 「ふん」 青年は壁に立てかけていたシャベルを持ち出すとれいむの頬に突き刺した。 「ゆぎゃああ!!!いだいい!!!いぢゃいいぃぃ!!!!」 「お…おがあざん!!!」 「おぎゃあじゃんがじんじゃうぅぅ!!!」 「やぢゃあ!!!おぎゃあじゃんじんじゃやぢゃあぁ!!」 青年はシャベルを引っこ抜き蓋を閉めた。 「おにいざん!!!!ばりざにも!!ばりざにもなにがぐだざい!!!」 庭に埋められたまりさが懇願した。 「目の前にあるじゃないか」 「とどがないよぉ!!おでがじばず!!!なにがくだざい!!ばりざになにかめぐんでぐだざいぃ!!!」 「いやだから、あるじゃん目の前に。まだ枯れてなくて良かったな」 まりさの目の前にあるのはくたびれた草だ。 「そ…ぞんなぁ……こんなの…たべられないよぉ……」 「やなら食わなくていいぞ。何もやらないから。そこで死ねばいい」 「ゆ……ゆぅぅぅ……ゆっぐりじだい…ゆっぐりじだいよぉ…」 青年は一旦家に戻った。 「ゆぅぅぅぅ!!!さぶいぃぃ!!!!」 まりさは身を縮めた。 「まりさ。お前にいいものやるよ」 「ほ…ほんどぅ……ごはん?ごはんがほじぃよぉ…」 「寒いんだろ。暖めてやるよ」 青年の手には薬缶。薬缶を傾けた。 「ゆ…ゆがっ!!!ゆぎゃあああぁぁぁ!!!あぢいいいいいいいぃぃぃぃ!!!!!!!」 薬缶の中身は沸騰したお湯。流石にここで溶けてしまっては面白くないので湯呑み一杯分だけぶっかけた。 「あづい!!!あづい!!!!じぬううぅぅ!!!ゆぎゃああああぁぁぁ!!!」 「じゃあな。俺は仕事なんで」 青年は仕事に出かけた。 「むーぢゃ…むーぢゃ……ゅぅぅ…」 「にぎゃい……まじゅいよぉ…」 「きょれ…あじがにゃいよぉ……おいちくにゃい……」 箱の中ではゆっくり達が落ち葉を食べていた。これ以外何も無い。。 「いぢゃいよぉ……。れいぶの…ゆっぐりじだほっべざんがぁ……いだいよぉ…いだいぃ……」 れいむの片頬から痛々しく餡子が毀れている。 「ゆぎぇぇ……まじゅい……」 「にぎゃいよぉ……ゆぇぇ…」 赤ゆっくり達は無理して落ち葉を飲み込んでいるが不味くて吐き出してしまうのもいる。 「こんにゃのゆっくちできにゃいぃ!!」 「どびょじでゆっぐぢぢじゃいぎぇないにょ!!?りぇいむはゆっくちちたいのにぃ!!」 「ゆぇぇぇぇん!!!!ゆえぇえぇえん!!!にゃんで…にゃんでこんにゃのたべにゃいちょいきぇにゃいのぉ!!」 赤ゆっくり達はゆっくりできないと泣き出したが箱の外のまりさに比べれば遥かにマシだ。 「ゆぎぃぃぃ!!!ゆがぁぁぁ!!」 沸騰したお湯をぶっかけられ悲鳴をあげるまりさ。だがそのお湯も外の冷気に触れてすぐに冷めていく。 「ゆぶっ!!!!さぶい!!!!さぶいぃぃぃぃ!!!!ゆぴぃぃぃぃぃ!!!!!」 まりさはブルブル震えた。まりさの震えが止まったのはお昼過ぎだった。 「ゆ……ゆぅ……ゆぅ……。も…もうさぶいのは…やだぁ……」 季節は晩秋でも太陽が出ていれば温かい日もある。運良く今日はその日だった。 「むーぢゃ……むーぢゃ……」 寒気が止まってからは空腹であることを思い出した。目の前にある饅頭には届きそうに無い。饅頭は諦めて草を食べ始めた。 「にがいよぉ……まずいよぉ……これじゃ…ゆっぐりでぎないぃ…」 まりさの口が届く範囲の草なんて微々たる物。必死に首を振ったり伸ばしたりして草を食べた。 「おなが…へったよぉ……たりないよぉ……」 晩秋ともなれば草なんて枯れてしまう。まりさの口に入ったのはほんの数口だった。 「ゆぅぅぅぅ………」 それでも何も食べないよりはマシだ。 「ゆ……ゆ…ゆぅ………」 まりさは一睡もしていない。ある程度温かいのでこっくりこっくりと舟を漕ぎ始めた。 「ゆぅ………ゆぅ……」 まりさは漸く少しばかりゆっくりすることが出来た。 「おちょうしゃん……」 「まりざぁ……これがら…どうしたら…いいのぉ……」 「ゆっくちちちゃいよぉ……おいちいもにょ…いっぴゃい…たべちゃいよぉ……」 日が暮れればまた寒くなる。昨夜の繰り返しだ。気が付けばまりさの帽子がどこかへ飛んでいっていた。 風で飛ばされたようだ。取りに行こうにもまりさは庭に埋められて動けない。 「おぼうじぃ……まりざのゆっぐりじだ…おぼうじざぁん!!!!もどっでぎでよぉぉぉ!!!」 こんな日が3日続いた。 「ゆがああぁぁぁ!!!!あめ!!!あめざんがふっでぎだあああ!!!!」 4日目の朝、まりさが叫んだ。ゆっくりは長時間水に浸かってしまうと溶けてしまう。雨は脅威でもあるのだ。 「どげぢゃうううぅぅ!!!!どげぢゃうううぅぅ!!!!だずげでええぇぇ!!!だじでえええぇぇ!!!」 箱の中のゆっくりもまりさの悲鳴に目を覚ました。 「ゆ!!!あ…あめさん!!!!」 「あみぇしゃんはゆっくちできにゃいよ!!!」 「おぢょうじゃんがじんじゃううぅぅ!!やぢゃあああ!!!」 「どぼじだらいいのおお!!!!ばりざああ!!!ばりざあああ!!!」 箱の中は蓋をしているため安全だがこのままでは外にいるまりさが死んでしまう。 「おぢょうじゃんをいじみぇりゅにゃああ!!!!ゆわあぁあぁあん!!!!」 「あみぇじゃん!!!ゆっぐぢぢないでやんでよぉぉ!!!!」 「おぢょうじゃあぁん!!!おぢょうじゃあぁん!!!」 雨が止む気配は無い。更に雨は強くなった。 「うわぁ…こりゃスゲエな」 身支度をしていた青年が庭に出た。 「にんげんさん!!!まりざをたずげであげで!!!!おでがいじまず!!!おでがいじばず!!」 「おぢょうじゃんをだじゅげでよぉ!!!!」 箱の中のゆっくり達は皆青年の方を向いていた。 「へいへい。何言ってるかわかんないがまりさを助けてくれって言ってるんだろ」 青年は蓋を外した。箱を持ち上げ中のゆっくりを庭に放り出した。 「さみゅいいい!!!!!ゆっくちでぎにゃいい!!!!」 「ゆああああ!!!あめざん!!!まりさとげぢゃううう!!!」 「お…おちびぢゃん!!!おかあさんのおくちのなかにはいってね!!!!」 一斉に赤ゆっくり達がれいむの口の中に避難した。 「どげるうう!!!!どげるうう!!!!ぼうゆるじでええ!!!!じにだぐないい!!!!」 ずっと外にいたまりさが少し溶け始めてきている。 「面倒な奴らだなぁ」 れいむをまりさの隣に蹴り転がし、2匹を囲むように箱をひっくり返して置いた。 「ゆ!!あ…あめさんが…やんだよ……」 「ま…まりさ!!!まりさ!!しっがりじでぇ!!!」 青年は箱の上にブロックを置いて会社に行ってしまった。 「お…おどうざん!!!」 「おぢょうじゃん!!!ゆっぐぢぢでいっちぇね!!じんじゃやぢゃああ!!!!」 れいむの口の中から赤ゆっくり達が飛び出した。 「ゆぴぃぃぃ!!!!さみゅい!!!さみゅいよぉぉ!!!」 れいむの口の中にいたため濡れてしまった。そのため外に出ると凄まじく寒かった。 「ゆぅぅぅぅ!!!!」 「しゃむい!!!ちんじゃうぅぅぅ!!!」 「お…おちびちゃん…おかあさんと…すりすりしようね…」 「お…おどうざんど……すりすり…しようね…すりすり…してね…」 赤ゆっくり達は一斉に親の元へ動いた。 「おがぁじゃん…しゅりしゅりぃ……」 「しゃむい……ゆぅぅぅ…」 「ゆ!おちょうしゃん…ゆっくちできにゃいよぉ…」 「しゅりしゅり……ゆぅ…ゆっくちできにゃい…」 まりさに頬擦りした赤ゆっくり達はすぐに離れていった。寒い中外に晒され続け肌はボロボロ。しかも雨でグショグショ。 こんな皮にすりすりしても不快になるだけだ。 「ぞんなぁ……ごっぢぎでぇ……いっじょに…ゆっぐりじようよぉ……」 「やぢゃよぉ……ゆっぐぢ…できにゃい…」 「おきゃあしゃんのほうがゆっくちできりゅよ」 「ゆぅぅぅぅぅ……ごっぢ…ぎでよぉ…」 まりさの周りには誰もいない。見るに見かねたれいむが傍に寄ろうとするが赤ゆっくり達が寒い寒いと泣くので動けなかった。 「おちびぢゃん……す~りす~り……」 「まりちゃにもしゅりしゅりちちぇね!」 「ゆぅ…す~りす……」 「りぇいむにもちちぇよぉぉ!!」 「ゆぅぅぅ…す……」 「れいみゅも!!さみゅくちぇゆっくちできにゃいよぉぉぉ!!」 「ゆぅぅぅぅぅぅ!!!!ゆっぐりでぎないぃぃぃぃぃ!!!!」 子まりさにすりすり赤まりさにすりすり赤れいむにすりすり……れいむは右往左往した。そしてついに何かが爆発してしまった。 「ゆぅぅぅ……」 「きょ…きょわいよぉ!!」 「ゆえぇえぇん!!ゆっくちできにゃいよぉぉ!!」 「しゅ…しゅりしゅりじでよぉ……」 「うるさい!!!もうがまんできないよ!!!れいむはひとりでゆっくりするからね!!!!」 この中で何とかゆっくりできそうなのはれいむだけだった。 「お…おでがい……れい…ぶ……ま…まりさ…ど……す…りすり…じでぇ……」 まりさが弱々しく呻いた。まりさが今一番欲しいのは温もりだった。 「うるさいよ!!!ゆ……わがっだよ……もとはといえばまりさがわるいんでじょぉぉ!!!!」 「な…なんで……どぼ…じで……」 「どうつぎになっだらにんげんにだってかてるっでいっだでじょぉぉ!!!!」 「ゆ…ゆるじで……ゆるじでぇ……」 「ゆるさないよ!!!ゆっぐりでぎないのはまりざのせいだがらね!!!もうしらない!!!れいむはひとりでゆっくりするよ!!!」 れいむはぷいっとそっぽを向いてしまった。 「そ…そんなぁ……だ…だれがぁ……まりざど……」 まりさは赤ゆっくり達を見回した。 「しょうだよ!!おちょうしゃんがわりゅいんだ!!!」 「ほんちょだったらいまごりょはあっちゃかいおうちでゆっくちできちゃのにぃ!!」 「もうおちょうしゃんにゃんかだいっきりゃいだよ!!」 赤ゆっくり達もまりさに罵声を浴びせかけた。 「そ…ぞんなぁ…お…おちびぢゃん……そんな…ひどいごど…いわないでぇ…」 「うりゅしゃいよ!!まりちゃはみょうおちょうしゃんのこぢょもぢゃないよ!!!」 「くじゅなゆっくちはしょこでちぬといいよ!!!」 「だまりぇげしゅ!!!おまえのしぇいでこうなっちゃんだ!!!」 「のりょまにゃゆっくちはしぇいしゃいすりゅよ!!」 一部の赤ゆっくりがまりさに体当たりをした。まりさは避けられない。ガードも出来ない。ただただ攻撃を受けるだけだ。 「ま…まっで……いだぃ……おちびぢゃん……おちびぢゃん…ゆるじ…でぇ…」 「おちびぢゃん!!!」 急にれいむが叫んだ。赤ゆっくり達は一瞬ビクッとなって止まった。 「れ…れいぶぅ……」 まりさに微かな希望が沸いた。やっぱり…れいむは…れいむはゆる…… 「そんなくずなゆっくりにかかわっちゃだめだよ!!!おかあさんのところにきてね!!!!」 1人よりも子供と一緒の方がゆっくりできると判断したのかれいむが子供達を呼んだ。 「ゆ!おきゃあしゃん!!」 「やっぴゃりおきゃあしゃんがゆっくちできりゅよ!」 まりさの希望は崩壊した。赤ゆっくり達は1発ずつまりさに体当たりをしてれいむのところに行ってしまった。 「ぞ…ぞんなぁ……ぼうゆるじでよぉ……ゆるじでぇ……」 まりさは1匹ぽつんと残された。他の家族は1ヶ所に集まり身を寄せ合って暖を取っていた。 「しゅこしだけゆっくちできりゅよ」 「おきゃあしゃんのもみあぎぇしゃんはあっちゃかいにぇ」 「ちょっちょだきぇあっちゃきゃいよ」 箱とはいえまりさにとっては久々の屋内だ。だが地面は冷たい雨を吸っていつまで経っても冷たいままだ。 「ゆぎぃぃぃぃ………つべだいよぉ……さぶいよぉ……」 残りの家族がほんの少しだけでもゆっくりしているのをまざまざと見せ付けられた。まりさにとっての最大の地獄はこの瞬間だろう。 そして6日目の朝になった。 「……ゆ……ゆぐっ………ゆっ……ゆぴっ……」 まりさは落武者のようだった。帽子は無く髪の毛はぐっしゃぐしゃ。肌はボロボロで顔色も青を通り越して黒かった。 満足に食事も出来ずゲッソリと痩せていた。もうほとんど動かない。風が吹く度に少しブルっと震えるだけだ。 まりさの目の前にあった饅頭は雨風に晒されぐちゃぐちゃになっていたので捨ててしまった。 青年は窓から庭の様子を眺めていた。 "まさかまりさで再現できるとはねぇ" 狗神、という呪術が元ネタだ。犬を頭部のみを出して生き埋めにし、目の前に食物を見せて置く。 餓死しようとするときにその頸を切ると……というものだ。結果として狗の霊が憑いてどうのこうのらしい。 そもそもこのネタはどこぞの方が既にれみりゃかふらんで試している。そのお話を読んで"れいむとまりさでやってみてぇ!" と考えていたのだ。意外なところで実現してしまった。 "んじゃ仕上げと行くか" 青年は庭に出た。まず箱の蓋を開けた。 「もうだじぢぇぇ!!!おうぢかえりちゃいよぉぉ!!!」 「おでがじばず!!!おちびぢゃんだけでぼ!!おちびぢゃんだげでもだじでぐだざいぃぃ!!」 「ゆっぐぢさしぇでよぉぉぉ!!」 「おにゃかしゅいちゃよぉぉ!!!」 蓋を開けた途端五月蝿くなった。青年は子まりさを摘みあげた 「ゆ!?…だ…だじでぐれるの!!!?」 「ま…まりちゃも!!まりちゃもだじでぇ!!」 「よ…ようやくだじでぐれるんだね!!あ…あとごはんもたべたいよ!!」 子まりさが箱から出されたことで一気に顔色が良くなった。本当の単純な生き物である。 「ま…まりさはゆっくり…してもいいの?」 子まりさの問いには答えず青年はニヤリと笑って子まりさの帽子を指で弾き飛ばした。 「ゆがっ!!まりざのおぼうじぃぃ!!!なにずるのぉ!!?」 青年の手は止まらない。子まりさの髪の毛を千切り始めた。 「ゆぎゃああぁぁぁ!!!!まりざのかみのげさんがぁぁぁぁ!!!いぢゃい!!!やべぢぇえ!!!ひっばらないぢぇぇぇ!!! ブチブチっと子まりさの金髪が引っこ抜かれていく。 「どぼじでぞんなごどじでるのぉぉ!!!おちびぢゃんのゆっぐりじだきんぱつざんがぁぁ!!!!」 「ゆっくちできにゃいぃ!!!ゆっくちさしぇでくりぇりゅんじゃにゃいのぉぉ!!!?」 「ゆえぇえぇぇん!!!やぢゃよぉぉ!!!きょわいよぉぉ!!!」 子まりさの金髪はほぼ抜き取られてしまった。丁寧に引っ張らなかったので所々皮が破けて餡子が見えていた。 「ぅぅ…ゆっぐ……いぢゃいよぉ………いぢゃいよぉ……っぐ…」 青年はチャッカマンを取り出した。火を点け子まりさの足をじっくりと焼いた。 「あぢゅいぃぃぃ!!!!あぢゅぃぃぃぃ!!!あんよがぁぁ!!!ばりざのゆっぐりじだあんよじゃんがぁぁ!!!」 子まりさの足が真っ黒になったところで火を止め皿に乗っけた。 「いぢゃいよぉ……う…うごげない……うごげないよぉぉ……」 子まりさは逃げようとしたが皿から一歩も動けなかった。 「いぢゃいぃぃぃ!!!やびぇぢぇぇぇ!!!」 「あぢゅいぃぃ!!!!あんよぎゃぁぁ!!!いぢゃいよぉぉぉ!!!」 「りぇいみゅのきゃわいいかみのきぇしゃんぎゃぁぁぁ!!!ゆぎぃぃぃぃ!!!」 「あぢゅいのはゆっぐぢでぎにゃいぃぃ!!!ゆぎゃあああぁぁ!!!」 残りの赤ゆっくり4匹も髪の毛を抜かれ足を焼かれた。 「おちびぢゃん!!おちびぢゃぁぁぁん!!どぼじでぇ…どぼじでぞんなごどずるのぉぉ!!じねぇぇぇ!!!じじいはじねぇぇ!!!」 赤ゆっくり4匹子まりさ1匹計5匹は皿の上に1列になって並ばされた。 「ゆぎぃぃぃぃ……う…うぎょきぇにゃい……あんよじゃん……うぎょいでぇぇぇぇ……」 「こりぇじゃみょう……ゆっぐぢできにゃいよぉ……」 「もっちょ…はちりちゃかっちゃのにぃぃ……」 「さぶいよぉぉ…いだいよぉ……どぼじで…こんなめにあわなぎゃならないのぉぉ……」 「おぎゃぁぁじゃぁぁぁん……だじゅげぢぇぇ……だじゅぎぇぢぇぇ……」 皿はまりさから50cm離れた所に置いた。前と同じ場所だ。5匹はまりさから見ると後ろを向いている。飾りも無く顔も見えない。 足が焼かれ動けない5匹は遠くから見ると饅頭そのものだ。 「まりさ、アレ何だか分かる?」 青年はまりさの頭を少し引っ張りながら言った。 「ゆ……ゆ……」 「ほらアレだって。前にあるだろ。アレなんだと思う?」 まりさの首が少し地上に現れた。 「あ……あれは……ゆ……お…おまん…じゅうさん?」 「そう。お饅頭だよ。美味しそうだね」 「た…たべたい…たべたいよ……」 「食べたいか。いいぞ。食べていい」 「で…でぼぉ……うごけないよ……まりざ……うごけない……」 「思いっきり力を入れな。そしたら動けるさ。何、俺が手伝ってやるよ」 「ゆぎっ!ゆぎっ!うごいでぇぇぇ!うごいでぇぇぇ……」 まりさが最後の力を振り絞って力を入れた。 「う…うごいた…すこし…うごいたよ!」 首が少しだけ地上に出られたせいかまりさの頭が微妙に動いた。 「そうそう。その意気だよ。もっと力を入れな」 青年はピアノ線を取り出しまりさの首にピアノ線を巻きつけた。 「ゆぅぅぅぅ!!!うごいでぇぇ!!たべるんだぁ!!たべざぜでぇ!!」 まりさの目が血走ってきた。さっきまで死んだ魚のような目とは大違いだ。 「そらっ!!これでどうだ!!」 青年はピアノ線を左右に引っ張った。まりさの首が切られまりさ本来の体が勢い良く前に飛び出した。 「ゆがああぁぁぁ!!あばあばぁぁ!!!」 勢い良く飛び出したせいか皿にぶつかり5匹の赤ゆっくり達が吹っ飛ばされてしまった。 「ゆぎゃぁ!!」 「おじょらを…ゆびぇっ!」 「いだいよぉ!」 「ゆ?お…おぢょうじゃん…」 「な…なんきゃ…きょわいよぉ…」 まりさの目付きは獲物を狙うハイエナのような目付きだった。 「あばあばぁぁ!!ま…まりざがぜんぶたべるよぉぉ!!!」 最早まりさの目には饅頭にしか映っていない。早速齧り付いた。 「いちばんおおぎいぃぃのぉぉ!!!はふっ!!はふっ!!!」 この中では一番大きい子まりさが齧られた。 「ゆぎゃあああぁぁ!!!なにじでるのぉぉ!!!おどうざん!!!まりざだよ!!!まりざぁぁぁ!!ゆぎぇ!!やべでええぇぇ!!」 「うめえぇぇ!!!ぢょううべぇぇ!!!!はふっ!!!はふっ!!!」 「た…だべないでぇぇ!!ゆぎゃっ!!べ…おべべがぁぁ!!ばりざのおべべぇぇ!!!ゆぎぃいい!!!!」 まりさは子まりさを残さず飲み込んだ。 「ど…どびょじでぇ……どびょじでぇ……」 「お…おぢょうじゃん……りぇ…りぇいぶは…たべにゃいよ…にぇ…」 「お…おぢょうじゃん…ご…ごびぇんなじゃい……ひぢょい…ごぢょいっぢぇ…ごべん…ひっ!!」 まりさが1匹の赤れいむと目が合った。いや、まりさは目を合わせたつもりは無かったのかもしれない。 「おいじぞうぅぅ!!!いだだぎばずぅ!!!!」 「ゆぎぇえあああぁぁあ!!!!やびぇぢぇええぇぇ!!!たびぇもにょじゃないよぉぉ!!!」 「うびぇぇ!!あまぐでっ!!ぢょううめぇぇ!!!!」 あっという間に赤れいむも食われた。 「じょ…じょんなぁ……」 「う…うぎょいぢぇ!!うぎょいぢぇよぉぉ!!ゆぅぅぅ!!!やぢゃあああぁぁ!!!たびぇられぢゃぐにゃいよぉぉ!!」 「おぎゃぁじゃぁぁん!!!だぢゅぎぇでぇぇ!!! 残りの3匹は動けないまま親であるまりさに食べられていった。 「ゆはぁぁぁ!!!うまがっだんだぜぇぇ!!!」 いつものだぜ口調に戻った。5匹ともなるとかなりの食い応えがあったのだろう。 「まりざぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 怨念のような声。まりさが振り返ると阿修羅のような顔をしたれいむがこちらへ向かっていた。 「よぐぼぉぉ……よぐぼおちびぢゃんをたべだなぁぁぁぁぁ!!!!じねぇぇぇぇぇぇ!!!!」 れいむはまりさが我が子を全部食べたところで箱から出されたのだ。れいむはまりさに一直線に突進した。 「ゆぎょおぉぉ!!!な…なにずるんだぜ!!!」 「うるざい!!!おばえなんがじねぇぇ!!」 「ど…どうなっでるんだぜ!!?ま…まりざがなにじだっでいうんだぜ!!?ゆぎぇっ!!!」 「おばえがぁぁ!!おばえがおちびぢゃんをぜんぶだべぢゃっだんでじょぉぉぉ!!!このぐず!!!ごろじでやるぅぅ!!」 まりさは突っ込んでくるれいむを避けた。れいむもあまり食事をしていない。まりさと五十歩百歩な状態なのだ。 「も…もどはどいえば…もどはどいえば…でいぶが…でいぶがわるいんでじょぉぉぉ!!!」 「うるざいぃぃ!!!つべごべいわずにじねぇぇ!!!」 2匹は同時に突進した。 「へいへい。そこまで」 お互いに正面衝突して地面に倒れこんだ2匹を青年が箱の中に回収した。 「ゆがぁぁぁぁぁぁぁ!!!だぜぇぇぇ!!!ごごがらだすんだぜぇぇぇ!!!!」 「おばえもごろじでやるぅぅぅ!!!じじいぃぃぃ!!!だぜぇぇ!!!!」 「おお、怖い怖い」 青年は蓋をして箱を家に運び込んだ。 次回『裏表』に続く あとがき:もうちょっと早く投稿したかったな…。ちなみにこの後は胴体が付いてるか否かは無関係なのでここで切りました。 あと狗神ネタのSSは確かに読んだのですがどこにあったのか失念しました…。作者様すいません。 現在執筆中『売れるゆっくりを開発せよ!! まりさつむり量産計画』 『売れるゆっくりを開発せよ!! お馬鹿なゆっくり開発計画』 『売れるゆっくりを開発せよ!! ミニゆっくり開発計画』 現在思案中『越えられるものなら越えてみな!!』 『れいぱーありすの上手い活用法』 by エルダーあき
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記事URL 太元書式 太元数値 アイドレス3コンバートデータ ブラックマーケットで購入したアイテム(個人所有の場合) なし
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第5話 夜 あらすじ 呼び出しの貼り紙を掲示板に貼る長谷川。樹先生は何やら黒塗りの車に迎えられて帰って行くようだ。 一方、酒盛りをしていた連中はすっかり潰れていた。沢木が目を覚ますと、外はもう真っ暗になっていた。 先に起きていた蛍はカバンを取りに樹研究室へ。 沢木は先輩二人組が自分の能力を全く試さなかったことに気付き、好意を覚える。やはり子供の頃から偏見にあって来たようだ。 風邪の菌が川浜の口に入るのを見てしまうが、とりあえず忘れ、子供の時以来久々に菌達と遊ぶことにする。菌と話し、操っている所を美里に目撃されるも、美里は酒のせいだと思ったようだ。 研究室に戻った蛍は長谷川に出くわし、沢木について忠告をされる。長谷川に言わせれば、沢木の能力は3億の価値があるらしい。 登場キャラクター 長谷川遥 樹慶蔵 沢木直保 結城蛍 川浜拓馬 美里薫 S.セレビシエ A.オリゼー A.ニガー P.クリソゲヌム M.ムセド R.ジャバニクス A.ソーエ ライノウイルス セリフ集 「この二人……長谷川さんや樹教授みたいに俺を試したりしなかったな 逆に不思議な気もするけど嬉しかったなァ……」 -沢木直保 「あの子の力を知られたら 利用しようとする人間は樹先生やヒゲやデブだけでは済まないわよ」 -長谷川遥 「スンマセン……なんかスンマセン……」 -沢木直保 感想 沢木の能力を本当に、全く疑うそぶりすらしなかった二人には、沢木だけでなく読者も好意を持ったはず! -- 管理人 名前 コメント
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第05話「デジャビュ」 (第04話←→第06話) 【種別】サブタイトル ゼーガペイン FILE.02 [DVD] 「これが、現実」という言葉を残して立ち去っていくシズノ その意味を問いただそうとした途端、舞浜市に戻ってきてしまうキョウ そこでハヤセと出会い、「水泳部に戻ってきてほしい」と頼むが断られてしまう シズノの言葉が頭から離れないキョウだが、ゼーガペインでの戦闘が「現実」だとは思えず、舞浜市での生活の方が本物なんだと自分に言い聞かせる 折しも、ミズサワのカウンセリングも受けたキョウは、「どちらかが現実なら、もう一方は必ず虚構なの」という彼女の言葉が耳に残る ふだんの生活を送っている世界と、シズノたちがいる世界 キョウは、この2つの世界を行き来するうちに、どちらの世界が実在する世界なのか分からなくなってしまったのだ 帰宅すると、テーブルの上に連夜の残業で帰宅から遅い母のいつもの手紙が それを見た瞬間、突如キョウの脳裏に「自分はいつから1人で食事をしていたのか?」という疑問が浮かび、同時に激しい頭痛が彼を襲う そんな折、セレブラムの飛行母艦オケアノスは、キョウたちの世界を滅ぼそうとする組織“ナーガ”のガルズオルムの待ち伏せに遭い苦境に立つ 不吉な感じを受けるキョウの脳裏に見る見るうちに廃墟と化していく舞浜のイメージがよぎる 脚本:村井さだゆき 絵コンテ:日高政光 演出:三好正人 作画監督:牧孝雄(キャラ)、福嶋秀機(メカ) 主人公キョウにも現実の舞浜が崩壊状態であることが知らされ、いろいろと伏線解消への道が開けてきた感じ ガルズオルム側にも幻体がいることも判明 しかし「魔戦士」つー通り名も今時どうかと シマさん そしてほぼ半裸のコスチュームもセンス的にどうかと アビスさん 今回はリョーコのミニスカ四つんばいで、次回は水泳大会っすか なんか「展開のたるさを色気でカバーして視聴者の興味を無理やりつないでる」みたいな批判があったけど、これは言われてもしかたないかも 18時台としてはなかなか掟破りな基本設定なので、真相が主人公にバレた時点で鬱展開確定なのだが、この内容でどうハッピーエンドに持っていくのか非常に気になる コメント 名前 コメント