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咆哮! 貴族の誇りと黄金の精神 その① 真っ先に動いたのはタバサだった。さすがはシュヴァリエといったところか、焦りが無い。 落ち着いた口調でルーンを唱え杖を振る。 「エア・ストーム」 風のトライアングルスペルが巨大な竜巻を構成しゴーレムを包む、しかし効果は薄い。 続いてキュルケも胸に差した杖を引き抜き詠唱をしていた。 「ファイヤーボール!」 火球がゴーレムの頭に直撃したがゴーレムはまったく意に介さない。 「無理よこんなの!」 キュルケが叫び、 「退却」 タバサがうなずいて口笛を吹いた。 すると森の向こうからタバサの使い魔シルフィードが飛んで来る。 それを確認した承太郎は、あえてゴーレムの方向へと踏み出した。 「俺が時間を稼ぐ。おめー等はあいつに乗って逃げな」 「了解」 タバサとキュルケはゴーレムから逃げるように走り出し、シルフィードと合流しようとする。 だが、ルイズの姿が見えない。 「……? ルイズ?」 承太郎が周囲を見回すと、意外ッ、何を血迷ったのかルイズはゴーレムの横に回り込んでいた。 杖を掲げてルーンを詠唱し、魔法を放つ。ゴーレムの表面が傷ひとつ負う事なく爆ぜた。 「何してる! 引っ込んでろッ!」 「いやよ! あいつを捕まえれば、誰ももう、私をゼロのルイズとは呼ばないでしょ!」 正面の承太郎、右のルイズ、左に逃げているタバサとキュルケ。 ゴーレムは左に向かった。獲物が多いからか、破壊の杖を持っているからか。 「させるか!」 承太郎がゴーレムの足に肉薄し『腕』で足首を粉砕しようとする。 だが半ばまでえぐられたところで、これ以上はたまらないとばかりにゴーレムは足を引いた。 それをチャンスとばかりにルイズがさらに詠唱を開始し、ゴレームが腰を回して狙いを変更。 「ルイズ!」 ゴーレムの手がルイズに伸ばされる。失敗魔法の爆発がゴーレムの手のひらを焼いたが、その程度の衝撃で止まるほどやわではなかった。 承太郎はルイズを守るべく大股で走り出す。 『脚』を使えばビルを飛び越すようなジャンプが可能だが、 脚力が強すぎて移動力は『縦方向』に特化している。よくて斜め方向へのジャンプ。 『横方向』の移動は壁などを殴ったり蹴ったりといった『反動』で飛ばねばならない。 ゆえに、承太郎は走るしかない。己の健脚で。 「伏せろ!」 ルイズに向かって伸びた指を、承太郎の『右腕』が殴って真ん中からへし折った。 走ってきた勢いそのままに承太郎はルイズのマントを引っ掴んで、ゴーレムから距離を取るべくそのまま走り抜ける。 「馬鹿野郎ッ! てめーの魔法でどうこうなる相手じゃねー、引っ込んでな!」 走りながら怒鳴ると、ルイズも負けるものかと怒鳴り返してきた。 「やってみなくちゃ、わかんないじゃない!」 「敵の強さを正確に判断できねーようじゃ……死ぬぜッ」 「でも!」 ゴーレムの拳が承太郎達を狙う。いつまでも逃げ回ってる訳にもいかない。 さて、どうしたものか。 一方、シルフィードはタバサ達を乗せて飛び上がった。 「タバサ! 二人を『レビテーション』で拾うわよ!」 キュルケが宣言し、二人を拾えるようゴーレムを迂回して近づきほぼ真上に到達する。 「ジョータロー!」 キュルケが叫ぶと、承太郎が視線を上げた。気づいてくれた、チャンスだ。 「今から『レビテーション』で二人を……」 「キュルケ! 『レビテーション』で『こいつ』を拾えッ!」 『こいつ』って何? とキュルケが疑問に思うと同時に、承太郎の『腕』がルイズの胴体を掴んで……空中にぶん投げる! 「ヒィィィヤァァァアアア~~~~ッ!?」 「ルイズだぜ。ほれほれ、早く拾われねーと地面に墜落して再起不能になるぜ」 それにしてもこの承太郎、実に外道である。 ルイズはほぼ垂直に投げられ、ゴーレムの頭を追い抜いく勢いを見せる。 これは承太郎の想像以上にルイズの体重が軽かった事にも問題があった。 「この圧倒的パワー、まずい! 激突するわッ!」 「退避」 うろたえるキュルケの横で、あくまで冷静なタバサが指示を出す。 ギューンと空気を切ってルイズはシルフィードの横を上空に向かってすっ飛んでいった。 そして次第に上昇速度が低下し、一瞬だけ空中で停止し、落下開始。 「イィィィヤアァァァァァァァァァッ!!」 悲鳴を二連続で上げて落下するルイズにタバサが杖を向けレビテーションを唱える。 一度上空で停止して勢いを無くしたため、今度は拾うのも容易というものだ。 「確保」 そう呟いてタバサはルイズをシルフィードの背中に乗せた。 ルイズは顔を真っ青にして胸を押さえている。投げられたのが相当怖かったらしい。 「ちょっと、大丈夫?」 「ししし、死ぬかと思った」 「スリル満天」 タバサのクールなボケに苦笑しつつ、キュルケは地面を見下ろした。 丁度承太郎がゴーレムの手首から先を破壊したところだった。 「さすがジョータロー。あれなら楽勝じゃない」 「そ、そーもいかないわ。あいつ再生するから」 嫌々キュルケに持たれかかりながら、ルイズは口を苦くして言った。 ゴーレムは承太郎から数歩後ずさりつつ、手首で地面を擦って土を吸収する。 「やれやれ……このままいたちごっこを続けるとなると、ちと骨が折れるか」 スタンドと違い、ゴーレムをいくら攻撃してもフーケにダメージは与えられない。 ゴーレムを再生させるのに魔力やら精神力やらを消費しているかもしれないが、そんないつ切れるか解らないものに期待してもいられない。 一番手っ取り早いのはフーケ本体を叩く事。 承太郎の推測では恐らく自分とゴーレムを視認できる位置から、 ゴーレムを操作して戦っているのだろう。そしてそれは『森の中』の可能性が高い。 「森の中に投げ飛ばされた『ロングビル』を探せ!」 低く太い承太郎の声はしっかりとルイズ達に届いた。 「そ、そういえばまだミス・ロングビルが……早く助けないと!」 「彼女が投げ込まれたのって、どの辺りだっけ? タバサ、解る?」 「……違う。彼は彼女を『助けろ』とは言っていない」 タバサは目つきをほんの少しだけ鋭くして、森を上空から見下ろした。 生い茂る枝と葉が邪魔でほとんど何も見えない。 仕方ないとばかりにタバサはルーンを唱え、大慌てのキュルケに口をふさがれた。 「ちょっ、ちょっとタバサ! 今唱えようとしたの、エア・ストームじゃない!」 「モゴモゴ」 「いったい何を考えてるのよ! ミス・ロングビルが危ないじゃないの!」 「モゴモゴ」 「あ、ゴメン。喋っていいわよ。でも魔法禁止だから」 キュルケが手を放すと、タバサは森を見下ろしたまま理由を話した。 「風で葉っぱを吹き飛ばせば見つけやすい」 「でも! それじゃミス・ロングビルまで吹き飛ばされるでしょう!」 「構わない」 「えっ、ええ!? ちょっと、どーしちゃったのよタバサ!?」 「彼の推理が正しいとすれば――」 バゴォン! 巨大な破壊音にタバサ達の視線がゴーレムへと向けられる。 ゴーレムの右腕が地面を叩いたのだ。承太郎は、その腕の上を駆け上がっている! それを鷲掴みにしようとゴーレムの左手が伸びる。タバサが素早く呪文を唱えた。 「エア・ハンマー」 空気の塊がゴーレムの左腕を弾き返す。その隙に承太郎はさらに走る! 「効果があるかどうかは解らねーが……てめーの頭を叩き潰させてもらう」 肩に到達した承太郎は『両腕』で拳の弾幕を作りゴーレムの顔面を破壊する。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」 ゴーレムが後ろにのけぞりながら、頭の土を森の中にまで吹っ飛ばされる。 だが、頭部を破壊し尽くされて背中から倒れようとした直後、 ゴーレムはグンッと身体を起こして承太郎を前方に振り落とす。 「仕方ねえ。こうなったら再生する時間を与えず粉々に粉砕するしかねーようだな」 落下中の承太郎に、ゴーレムの左拳が迫る。 当然承太郎は『両腕』をクロスさせてガードの体勢になった。 しかし! 簡単に防げると思ったその一撃に変化が起こる! 「何ッ!?」 左拳の表面が見る見る色を変えていった、鈍い鉄の色に。 「錬金ですってッ!」 キュルケが叫ぶとほぼ同時に承太郎は廃屋まで殴り飛ばされ、 天井を突き破って中に落ちてしまった。 ゴーレムは鉄と化した拳を握りしめ、廃屋に向かって歩き出す。 承太郎は無事だろうか? いくら『腕』が強力でも鉄となったゴーレムの拳を受けてはひとたまりもないのでは。 不安がキュルケの胸の中で爆発しそうになった時、キュルケよりも一足早くルイズの不安が爆発し行動を起こさせた。 「タバサ! それを!」 タバサはうなずいて、ルイズに『破壊の杖』の入った箱を渡す。 箱から『破壊の杖』を取り出し、改めて全体の形を見やる。 奇妙な形のマジックアイテムで、とても杖には見えない。 しかしこれを使うしか、承太郎を助ける手立てはないとルイズは思った。 「ジョータロォー!」 叫びながらルイズは風竜の上から飛び降りた。 ゴーレムの手の届かない高度から、魔法の使えないメイジが。 タバサは即座に『レビテーション』をかけ、ルイズを安全に着地させる。 「ゴーレム! あんたの相手はこっちよ!」 そう叫んでルイズは破壊の杖を振った。
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システム:クトゥルフ タイトル:黄金のエプロンはどこ? 優勝賞品は黄金に輝くエプロンという、とある料理大会が行われた。 そのエプロンを目当てにやって来たあなた達。 しかし、何者かによってエプロンが盗まれてしまう。 会場全体が騒然となっている中、あなた達の目の前に裸の人がやってきた。 その人が言うには、知らないうちに服を盗られていたらしい。 わけが分からないと困惑していると、気づけば自分たちも裸にされ、 しかもエプロンだけを着させられていた。 この場でエプロンを身に着けているのはあなた達だけ。 つまり、周囲の人間が黄金のエプロンを求めてあなた達に襲いかかるというわけで…… あなた達無事、この場から脱出することができるのだろうか。 条件 ルールで黄金のエプロンはPCの誰かが知らない間に着ていてその人がエプロンを取られるとBADで何かが召喚される。 [裸エプロンに全員なる] [黄金のエプロンに特殊な魔術があるためそれを狙った人物がいたがしかしその黄金のエプロンは普通のエプロンに偽装されて取ってくる人がいる。] 目的 [エプロンを取られず帰る]
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+No.Mlas!salmon サカサマ! ルナ 年齢:2 タイプ:女型 身長 150cm 体重:150kg 座高:81cm メイン:マグス サブ:魔道博士 エクストラ:伝承術士(ルーン) 種族:人造人間 イメージアイコン:パテマ(サカサマのパテマ) イメージCV:高畑充希 紋章:神秘 所属:夜明け2016卓/水の都卓 コミュニティ:カルム財団 キャラクターテーマ:煌き サカサマ PL:炙り鮭 「ルナ?んーん。ルナ!」 外見 人造人間。碧髪で赤目。洗濯で色落ちしたとか、充血してるわけではない。 外見も十分幼いが、中身はちょっと幼い。空飛ぶ箒を体内にいれてサカサマに浮くのが好き。 おなかに冷蔵庫がついてる。最近人前で開けるのは恥ずかしいことだと知った。 人格 天真爛漫。見るもの、触れるもの。なんだって新しくて楽しい。 生まれて数年しか立っていないため知らないこと以上に見たことないものが多く、 目を離すとそこら中に散歩に行く。安志を近くに置いておくこと比較的大人しくなるので推奨。 精神 『話相手』 それが彼女の生まれた理由。 相手を。場所を。内容を。求められるままに。妥当と判断した通りに。学習し変化し提供する機構。 彼女の精神は求められるものに染まりやすい、無地の布とでもいうのが妥当だろう。 素体の彼女は天真爛漫で何処までも無邪気な子供そのもの。 ……がたっぷりの愛情を吸ったため今は安志まっしぐら。 回路の8割がラブ波動に包まれてるほんわかっぱっぱ。 現状 ヴェスペリアに所属したこともカルム財団にとって驚きだったが 一年足らずで同棲相手を見つけ入籍したいと希望してきたことは予想外の他なかった。 あっちからしてみれば保護下にあった2歳の赤ん坊が一年足らずで結婚相手を連れて挨拶に来たのだ。 何してきたの!?誰か説明してくれというやつである。わけがわからない……。 だが保護をしていた以上、自立するとなればその助けをするべきではある。 でも2歳で結婚って……いやでも外見は結婚できる年に見えるし……人造人間にも人権はあるし……でも2歳…… と日夜これでいいのか……?カルム財団の研究員たちを悩ませている。 +旧ページ 四じょう半だけのいかい。 わたしの生まれたせかい。 お父さんの、しんだせかい。 わたし(お墓)のほこりをはらうのがすきだった。 きらきら。きらきら。かがやくの。 ある日。外のせかいからきた人にほごされた。 外のせかいをはじめてみた。 はじめてみた、水は。空は。星は! ほこりよりもずっとずっときれいで。 わたしは、せかいがかがやいているって知ったんだ! +来歴 2014年。奇跡とも呼べる偶然の連続の末、並行世界の存在に気づいた錬金術師がいた。 しかし、並行世界の存在は有力者の間で審議が行われている最中。 錬金術師の存在を察知したカルム財団は、情報を得た者を野放しに出来ないと保護を働きかけた。 だが、それに呼応するように。錬金術師は逃げた。 並行世界の実在は、まさに世界を揺るがす事実だからだ。 "情報秘匿のため、殺されるかもしれない" ただひとつの疑念。 周囲の目が変わって見えた。狙っているのではないかと。 周囲の声が変わって聞こえた。追っているのではないかと。 人が怖くて。ただただ死ぬのが怖くて。彼は逃げた。 逃げ込んだ先は四畳半の小さな異界。 そこでは空腹にもならず、どんな傷でもすぐに癒えてしまう("どんな傷"でさえも) 理想とも言える逃げ道に彼は安堵する。 だが男はやがて嘆き始める。 そこはどうしても孤独だけは癒してくれなかったのだ。 人を恐れ逃げ出した男が最後に絶望したのは人恋しさゆえだった。 No.Mlasは魔法使いが孤独に耐えかねて作り上げた人造人間である。 しかして忘れてはならない。 人造人間を製作できる者が狂人であることを。 忘れてはならない。 はじまりの人造人間。フランケンシュタインの怪物の素材がなんであったかを。 彼女の名はEmbalm Urns。『防腐処理した骨壺』、生ける墓標。 父の屍肉が彼女の素材であり、彼女自身が父の墓標である。 どんな傷が癒される異界。けれど癒えない心。 孤独を埋めるため、彼は自身の体を刻み、素材とし人造人間を作り上げた。 知識や人格が再生のたびに薄れていけどかまいもせず。 彼女に”部品”を与え続け一年たつ頃には有機生命体と呼べるような父はもういなかった。 それでも話し相手が、そばにいるだけで満足だった。 彼は満足だったのだ。 最後の肉片となろうとも、自分は孤独を癒せたのだから。 彼は満足だったのだ。 娘をたった一人の孤独に追いやったことに、気付けなかったのだから。 彼は満足だったのだ。 愛し合う二人はいつも一緒。それを体現できたのだから。 ルナ 年齢:2 タイプ:女型 身長 150cm 体重:150kg 座高:81cm メイン:マグス サブ:魔道博士 エクストラ:伝承術士(ルーン) 種族:人造人間 イメージアイコン:パテマ(サカサマのパテマ) イメージCV:高畑充希 紋章:神秘 所属:夜明け2016卓/水の都卓 コミュニティ:カルム財団 キャラクターテーマ:煌き PL:炙り鮭 「マース?んーん。ルナ!」 外見 人造人間。碧髪で赤目。洗濯で色落ちしたとか、充血してるわけではない。 外見も十分幼いが、中身はもっと幼い。空飛ぶ箒を体内にいれてさかさまに浮くのが好き。 おなかに冷蔵庫がついてる。セブンルナブン いい気分。現在カルム財団の庇護下にある。 人格 天真爛漫。見るもの、触れるもの。なんだって新しくて楽しい。 一生懸命の頑張り屋。 生みの親が遺した、「この世には、どう頑張っても。逆立ちしても無理なことがあるんだ」 という言葉に反発してよく逆立ちしてる。さかさま大好きっ娘。 唯一、悪口を聞くのは嫌い 「だって、本人が聞いたら嫌がっちゃうよ」 精神 『話相手』 それが彼女の生まれた理由。 相手を。場所を。内容を。求められるままに。妥当と判断した通りに。学習し変化し提供する機構。 彼女の精神は求められるものに染まりやすい、無地の布とでもいうのが妥当だろう。 素体の彼女は天真爛漫で何処までも無邪気な子供そのもの。 善意どころか悪意すらない。話相手に合わせて精神年齢がころころ変わる。 本名はEmbalm Urns。 お父さんがつけてくれたかなしい名前。 女の子には向いてないと。名前を組みかえてNumberMlas……No.Mlasに私はなった。 今の名はルナ。友達がつけてくれた、うれしい名前。 No.Mlas108つの機能! 説明しよう!No.Mlasは人造人間であるっ! その身体には108つの特殊機能が備えられていると自称している! 正直役にたつ機能は少ない No. 機能 概要 01 マジックリーン 喉奥からマジックリンを噴出できるゾ!窓もこれでぴかぴか! 05 ミススペル 名前をよくMalsと間違われるゾ!PLもよく間違うゾ! 06 虹彩型カメラ 目で撮影できるゾ!手ぶれ補正付きだが現像はできないので注意だ! 12 アイデンティファイ 造物主が魔道博士にして錬金術師だった影響か。目が利く 23 冷蔵庫 お腹についてるゾ!常に10度以下の超低温だ! 33 DNA鑑定 どんなDNAでも採取から最短1週間で照合可能だゾ! 41 魔法研究 父さんは錬金術師だった。見よう見まねで私も使うよ。それが、命を削るとしても 68 検索機能 脳内でctrl+fを使って記憶を探れるゾ!何気に便利だ! 74 高速思考 視覚情報をカテゴリ別に変換。戦闘データとして解析、接収 89 ホワイトボード 100均で買ってきたゾ!ただしペンは油性だ(間違って買った) +参加セッション 05/05 梅酒 メコノプシス・ホリドゥラ 黎守 玖羽/澪標海斗/宿曜安志/レヴィ/No.Mlas ◯ 05/08 はきの 酒が飲める酒が飲める酒が飲めるぞ 秋城つばき/エレノーア/百末/No.Mlas/朝東風 竜巻 ◯ 05/14 梅酒 フレアソング No.Mlas/小金丸/シュウ・スバル/紫城桜 ◯ 05/22 そま 『デッドエンドの女王』第二話 ターニア/No.Mlas/幸神瑠璃/シャオ/D ◯ 5/28 21 30~22:00 ポポカ FEマン◎/ken/鮭/スネコ(レヴィ)/レジィ/) 当日20 00 『下水道探索』※変更する可能性あり 5/29 フラー あたい/びゃー/炙り鮭/メイト/梅酒 +友人関係 宿曜安志 「付き合っちゃえばいいのにって誰かいってくんないかなぁ」「冷やかされたらどんな顔するんだろ」「えへへ」 おねえちゃん (……お姉ちゃんのブラどこ置いてきたっけな?) テラ 「“世界は輝いている”」「貴女はきっと、その証左になれる」 フリット・シュトロハイム 「牛乳パックから直で飲んで冷蔵庫に戻しそう」 澪標海斗 「ねぇねぇ」「それ、疲れない?」 AAフレンド 「友達の友達の擬人化」「うん?」「怪異でいいのか」 隊列 火力 命中 耐久 回避 支援 妨害 行動 便益 燃費 罠探 罠解 探索 情報 識別 鑑定 中 E E B E C D E C C - - E B B A 《基本データ》 性別:女型 身長:150 体重:150 座高:81 ML7 /HP96/MP0/LP10/行動値4/信仰3 筋4/知8/器5/敏2/感2/精4 2D+2 (回避)2D+8+2(識別)3D+8 (鑑定) 2D+5 (命中)2D+4(魔法判定) 2D+10(物理)2D+17 (魔法) 結界2/物防0(2)/魔防0(2) 【プリプレイ】 研究成果 工房SL3 免罪符 【パッシブ】 伝承術(ルーン) 不死不滅SL5 アイデンティファイ マーヴェリック 魔法研究(プロテク) 【セットアップ】 高速思考 無限の力SL5 【メジャー】 ティワズ・ルーンSL2 アンサズ・ルーンSL3 キュア 【ダメージ後】 プロテクションSL3 【判定】 ヴォルテックスSL2 【装備】 武器:グランテピエ+障壁補助*4 装飾:狐の覗き窓 【持ち物】 大魔石*3 工房大魔石*3 魔法の箒 黄金の鉄の塊
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黄金の太陽シリーズ 攻略まとめwiki 検索 DS用カートリッジ 1人用RPG CERO A 2010年10月28日 (木) 4800円 (税込) セーブデータスロット 3 公式サイト 開発 キャメロット 発売 任天堂 ゲームボーイアドバンス用カートリッジ 1人用RPG CERO A バーチャルコンソール配信 WiiU (各715円(税込))(*1) Nintendo Switch Online+追加パック 2024年1月17日より配信開始
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おいィ?お前らよく来たな このオエrンジジュスはサんビスだからまず飲んで落ち着くべきそうすべき 9杯でいい うん、「ミラnジ」なんだ。住まない 仏の顔を三度までという名セリフをある事だし誤って許しを請うとも思っていないみたいだった だがこのサイとを見たとき、君は遅rく言葉で言い表すこと不可能な 「謙虚」みたいなものを鋭く直感することにしたと思う(推測) 流石汚い世の中で、そういう黄金の鉄の気持ちを忘却を彼方に去ることgないように そう考えて、このekiンiを立てたに至るらしいぞ? じゃあ、注文を聞こうか(この謙虚さが長寿の秘訣) 只今の時刻は2021-12-05 01 34 58 (Sun)です。 Caution! This page is BRONTISH ONLY. If you cannot read BRONTISH, please back page. メニュー 裏ミラジの方は更新が滞ってますね -- 名無しさん (2009-04-30 20 39 19) 名前 コメント
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週刊東方ランキング 11年5月第1週 【集計期間】 4/30(土) 0 00 - 5/7(土) 0 00 【集計方法】 (再生数÷20)+マイリスト数 【集計対象】 東方タグがある作品、タイトルに東方が入っている作品 【エンドカード担当】 JACK 氏 結果(動画内では38位~100位は結果のみ紹介) ※動画名は集計時のものを使用しています。 ※自動的に次の作品にとぶようになっている一連の作品は一つの作品とみなします。 ※釣り動画、ZIP配布作品(自作の配布は除く)、東方と全く関係ない作品は除外しています。 順位 Pts 動画サムネイル 動画詳細 1 8800 動画名 【東方】東方スクール【PV】 前回順位 動画ID sm14354036 備考 2 6519 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 動画名 こいしちゃんうふふふふ 前回順位 動画ID sm14343055 備考 3 4805 動画名 【東方】アニメ幻想万華鏡 新動画 OP ED 満福神社×幽閉サテライト 前回順位 動画ID sm14256744 備考 4 4714 動画名 【東方】レミリアお嬢様とパチュリーロード☆【手書き】 前回順位 動画ID nm14335411 備考 5 4562 動画名 妖精大戦争:工作に命をかけて【東方餡掛炒飯】 前回順位 動画ID sm14358525 備考 6 4112 動画名 東方紅魔郷Ultraモード 2周目突入 Stage1~4 前回順位 動画ID sm6091554 備考 7 3966 動画名 【東方】Bad Apple!! PV【影絵】 前回順位 動画ID sm8628149 備考 8 3840 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 動画名 【高音質】東方スイーツ!~鬼畜姉妹と受難メイド~【フルFull】 前回順位 動画ID sm3457794 備考 ユーザー削除済み 9 3643 動画名 【東方】妖怪大戦争あふたー【妖精大戦争】 前回順位 動画ID sm14361185 備考 10 3480 動画名 【東方4コマ】エクステンドラッシュ+ 前回順位 動画ID nm14312359 備考 11 3374 動画名 【東方】いやいやスカーレット姉妹っ! ドーンとお届け【手書き】 前回順位 動画ID nm14292175 備考 12 3339 動画名 東方紅魔郷Ultraモード 2周目突入 Stage5~6 前回順位 動画ID sm6091731 備考 13 3270 動画名 東方紅魔郷Ex 裏2周目突入 前回順位 動画ID sm8508923 備考 14 2932 動画名 東方中身無 前回順位 動画ID nm14312747 備考 15 2746 動画名 【完成版】東方アニメを作ってみた【声優さん付き】 前回順位 動画ID sm14358009 備考 16 2526 動画名 【松岡修造】シジッミパラダイス【東方激励廟】 前回順位 動画ID sm14297403 備考 17 2448 動画名 MIDIアニメで見る≪東方神霊廟 ~ Ten Desires.≫(体験版) 前回順位 動画ID sm14300874 備考 18 2423 動画名 おいしい東方4コマ 前回順位 動画ID sm14368162 備考 19 2246 動画名 【東方】東方ガマン大会 その4【手書き】 前回順位 動画ID sm14332151 備考 20 2232 動画名 東方手抜き劇場ロスタイム『そして地下室へ』 前回順位 動画ID nm14322688 備考 21 2187 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 動画名 霧雨魔理沙 微エロ画像集 前回順位 動画ID sm14355052 備考 22 2081 動画名 ちぇんちぇんミニ東方その125 前回順位 動画ID sm14314962 備考 23 1990 動画名 【東方手書き劇場】びっくこあ! レギュ3.00 前回順位 動画ID sm14303095 備考 24 1924 動画名 鯉のぼり見るよ 前回順位 動画ID sm14324295 備考 25 1915 動画名 【東方手書き】賽銭戦士ミコレイム15【サンレッド】 前回順位 動画ID sm14289710 備考 26 1851 動画名 寅丸三等兵の戦争 バッドカンパニー2編 Part3 (ゆっくり実況) 前回順位 動画ID sm14359937 備考 27 1798 動画名 【東方】霊夢と幻想郷第1話後編を動かしてみた【手書き】 前回順位 動画ID sm14340745 備考 28 1789 動画名 【東方】絶対に笑ってはいけない巫女さん24時 part7 前回順位 動画ID sm14371428 備考 29 1751 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 動画名 霊烏路空で『パッパラ』 前回順位 動画ID nm14301973 備考 ユーザー削除済み 30 1576 動画名 失踪人十六夜咲夜 Search2 前回順位 動画ID sm14337637 備考 31 1544 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 動画名 【手書き】東方店番帳OP【耽美郷】 前回順位 動画ID sm14352171 備考 ユーザー削除済み 32 1442 動画名 【東方】パワプロクンポケット 幻想郷編その25【パワポケ】 前回順位 動画ID sm14360763 備考 33 1393 動画名 東方人気曲 神アレンジメドレー 【作業用BGM】 前回順位 動画ID sm3246348 備考 34 1393 動画名 れーしんぐ東方【音MAD】 前回順位 動画ID sm14317878 備考 35 1382 動画名 【東方】アールグレイラジオすぺしゃる!第6回 前回順位 動画ID sm14289323 備考 36 1359 動画名 幽閉サテライト【例大祭8】小悪魔りんご原曲Bad Apple!!『日本語版高音質 前回順位 動画ID sm13989973 備考 37 1304 動画名 フランとウォッカ 前回順位 動画ID sm14362360 備考 +38位~100位のサムネイルも展開する 順位 Pts 動画サムネイル 動画詳細 38 1286 動画名 カッコイイ曲メドレー『★ 2nd 2011 ☆』 東方Vocalアレンジ 良曲 前回順位 動画ID sm14262070 備考 39 1247 動画名 東方手書き劇場ができなかった 3rd 前回順位 動画ID sm14348937 備考 40 1148 動画名 【東方MAD】 劇場版 東方紅魔郷 予告PV 【嘘字幕】 前回順位 動画ID sm14308965 備考 41 1136 動画名 【東方】幻想郷探訪録【その18】 前回順位 動画ID sm14323014 備考 42 1087 動画名 来るべくして来た世界PVフル 前回順位 動画ID sm14336598 備考 43 1087 動画名 【東方手描き】星に願いを 前回順位 動画ID sm14262923 備考 44 1064 動画名 【 Silver Forest × U.N.オーエンは彼女なのか? 】 −sweet little sister− 前回順位 動画ID sm2049295 備考 45 1014 動画名 【東方手書き劇場】壊しちゃった☆【REVENGE】 前回順位 動画ID sm14303058 備考 46 1005 動画名 【東方4コマ】 小傘とぬえ part 1 前回順位 動画ID nm14289154 備考 47 956 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 動画名 究極焼肉レストラン!えびす! 前回順位 動画ID sm14351081 備考 48 910 動画名 【東方手書き】逆行東方!番外編だぜ! 前回順位 動画ID sm14357803 備考 49 899 動画名 【東方】生焼け妹とカニの秋 前回順位 動画ID sm8716121 備考 50 891 動画名 コープス東方 part 12 前回順位 動画ID sm14348722 備考 51 888 動画名 グングン作業が進む東方アレンジメドレー【作業用BGM】 前回順位 動画ID sm14329268 備考 52 854 動画名 【東方】百合四コマ集2【手書き劇場】 前回順位 動画ID sm14324118 備考 53 843 動画名 [MUGEN/東方]妹紅を作れるかな?4 前回順位 動画ID sm14312398 備考 54 838 動画名 東方鉄花婿 ~ブロントクエストⅤ 黄金の鉄の塊で出来た花婿~ 40 前回順位 動画ID sm14332148 備考 55 818 動画名 Bad Apple!!をガスバーナーでやってみた 前回順位 動画ID sm14078098 備考 56 781 動画名 【東方】霊夢のえんがわ13 前回順位 動画ID sm14355154 備考 57 760 動画名 東方4コマ物語5.4 前回順位 動画ID sm14315160 備考 58 744 動画名 妖夢がひたすら“つるぎのまい”を踊る動画 前回順位 動画ID sm14370237 備考 59 717 動画名 博麗神社例大祭参加者心得 古明地姉妹編(2011年版)【EG Ver.】 前回順位 動画ID sm14365777 備考 60 713 動画名 【東方MMD】 ゆうかりんがヒマワリを配布してくれるよー(^o^) 前回順位 動画ID sm14326338 備考 61 706 動画名 【MMD-OMF】幽々子様が発狂BMSのOverjoy★7に挑戦 前回順位 動画ID sm14369354 備考 62 680 動画名 東方主4コマ 前回順位 動画ID sm14341449 備考 63 675 動画名 コープス東方 part 11 前回順位 動画ID sm14326719 備考 64 667 動画名 藍様でエルシャダイPVだが大丈夫か?【完成版】 前回順位 動画ID sm14286778 備考 65 662 動画名 [IOSYS]桜の記憶【PV風】 前回順位 動画ID sm14323447 備考 66 654 動画名 チルノのパーフェクトさんすう教室(高画質・高音質版)H264 前回順位 動画ID sm5054636 備考 67 639 動画名 【MMD】東方モデルをミニスカで【ハッピーシンセサイザ】 前回順位 動画ID sm14316300 備考 68 609 動画名 魔法少女リラメル☆ひじりんの変身シーン【魔法少女まどか☆マギカ】 前回順位 動画ID sm14304764 備考 69 569 動画名 幻想万華鏡 1920x1080 (FHD) (修正版) 前回順位 動画ID sm12297558 備考 70 566 動画名 東方日常 2話 『アリスの七色コークスクリュー』 前回順位 動画ID sm14284337 備考 71 553 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 動画名 【現代入り】四季映姫の事件簿第九話【ミステリ?】 前回順位 動画ID sm14338696 備考 72 548 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 動画名 Bad Apple!!をヴァイオリンで弾いてみた 前回順位 動画ID sm13302126 備考 73 538 動画名 幻想郷⑨学王決定戦! 前回順位 動画ID sm13650405 備考 74 536 動画名 【東方4コマ】 東方下デジャネイロ ③ 前回順位 動画ID sm14329963 備考 75 529 動画名 【東方GTA】 十六夜咲夜の御使い 第22話「十六夜 咲夜危うし!?」 前回順位 動画ID sm14319148 備考 ピックアップ P1 動画名 [東方手描き]にとぉーりーをさがせ! 動画ID sm14312111 備考 P2 動画名 【東方】まりさまりまり!【手書き】 動画ID sm14330598 備考 P3 動画名 【東方4コマ】 小傘とぬえ part 1 動画ID nm14289154 備考
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前ページ次ページ神の左手は黄金の腕 決して広くない寮の一室で二人の間に沈黙が流れた。 今日の試合やキュルケとのPK勝負の事を話している間は気にも留めなかった。 しかし話題が尽きてしまうと、そこで会話は途切れてしまう。 組んだ手を頭の後ろに回した仰向けの姿勢で彼は黙って私の話を聞いていた。 下は硬い石床のみだというのに、この待遇に関して文句を言われた事は一度もない。 “武者修行の旅を続けていた頃は雨露を凌げるだけでもマシだったぜ” それが唯一、スポーツ以外の事で彼が明かしてくれた過去の話。 彼は自ら進んで自分の事を話そうとはしなかった。 そこに私はゴールドアームとの心の壁を感じていた。 「……なあ」 不意にゴールドアームが口を開く。 彼から語り掛けてくる事は非常に珍しく、私は期待に胸を膨らませて彼の言葉に耳を傾けた。 それがたとえ自分の過去でなくても、彼が何を言うのか興味があった。 ほんの小さな切欠であろうと分かり合えると思っていた。 しかし、その彼の問い掛けは私を酷く失望させる物だった。 「何でクラスの連中はシエスタ達を試合に誘わねえんだ…?」 まるで当然の事のように彼はそれを口にした。 ゴールドアームが遠い所から来たのは知っている。 最初は魔法さえも知らなかったのだから余程の物だろう。 だけど貴族と平民の格の違いぐらいは子供だって判る事じゃない。 そんな事も知らない彼に呆れるように私は答えた。 「平民なんかが貴族と一緒に試合できる訳ないじゃない」 平民は食事さえも同席する事は許されない。 それが試合になど参加して、運悪く貴族に怪我をさせたらどうなるか。 個人の不始末では決して済まされない、家族も一緒に罰を受ける事になる。 お互いの立場が違いすぎる。そんな両者が一堂に集って試合など夢物語もいい所だ。 これはハルケギニアの常識と言ってもいい。 だけどゴールドアームが人前で言い出さなくて良かった。 そんな事になっていたら私はいい笑い者になっていただろう。 刹那。鈍い音と衝撃が部屋中に響き渡った。 見ればゴールドアームの拳が壁に食い込み、そこに亀裂を走らせていた。 見上げた彼の視線は睨むかの如く鋭く、自分の呼吸さえも儘ならない。 まるで彼の手で心臓を鷲掴みにされた気分だった。 「……それは、本気で言っているのか?」 「あ、当たり前じゃないっ! 平民と貴族は違うのよ!」 「同じ人間じゃねえか。どこが違うって言うんだ?」 「生まれが違うのよ! 平民に生まれたら一生平民のままなのよ!」 それに抵抗するように必死で言葉を紡ぐ。 自分の使い魔に脅かされたのでは主人としての立場はない。 そもそも、こんな話でどうして彼が怒るのか理解さえ出来なかった。 だけど彼女の想像は確信に到った。 それは決して交じり合う事はなく永久に並び続ける平行線。 たとえ、彼の言うように互いの全力をぶつけ合っても埋まらない溝。 ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールとゴールドアームの『世界』は決定的に違う物なのだ…。 烈火の如く怒り狂うかと思われたゴールドアームは静かに立ち上がった。 彼女を一瞥した後、部屋の扉をゆっくりと押し開ける。 そしてルイズに諭すように一言呟いてから部屋を後にした。 「何よ、もうっ!!」 ゴールドアームが去ってしばらくしてから、彼女は扉に枕を投げつけた。 やり場のない怒りをぶつけられた枕が音も立てずに床へと落ちる。 最後に彼が向けた視線に込められていたのは怒りではなく失望だった。 それが叱責されるよりも何よりも彼女には辛かった。 私は何も間違っていない。 ゴールドアームの考え方がおかしいのだ。 それに過去の話を聞かせてもくれないのに、何でシエスタの話なんてするのか。 いずれは頭を冷やして戻ってくるに違いない。 彼女の耳にゴールドアームが呟いた言葉が反響する。 しかし、その意味など彼女に分かる筈も無い。 確かめるように彼女はゴールドアームの言葉を反芻する。 「……“生まれは選べなくても生き方ぐらいは選べるはずだ”」 ゴールドアームは屋外で風の鳴る音に耳を済ませていた。 頭に上ったオイルを冷ますのには外は丁度良い冷たさだった。 ルイズに悪意はない。そのいう社会で生きていたのだから当然の事だ。 この世界にだって問題がある訳じゃない。 社会制度が正常に機能しているなら、それは文句を言うべき事じゃない。 ……ただ自分の信条とは噛み合わなかった、それだけの事だ。 立場も生まれも考えも全てが関係なく、どんな奴とでも全力でぶつかり合う。 そんな場所さえも提供されない事に憤りと悲しみを感じる。 しかし、それだけではない。 彼は“ある疑念”により心の平静を欠いていた。 それが故に、激昂する自身を抑える事が出来なかったのだ。 ゴールドアームが降り立った地は彼等が“聖地”と呼ぶ場所だった。 そこにはハルケギニアの技術では考えられない産物が多数存在していた。 恐らくは自分と同様に別の世界から召喚された物だと大凡の検討はついた。 しかし、何の脈絡もなく喚び出されたのではない。 そこにあったものは例外なく全てが『兵器』だった。 彼の脳裏に甦るのは兵器として改造された、かつての自分の姿。 強制引退させられたアイアンリーガーの末路であるアイアンソルジャー。 その呪縛から解放され、俺はアイアンリーガーとして再起した。 …俺は兵器なんかじゃないと心から信じている。 それなのに、あの“聖地”での光景が頭から離れない。 数多の兵器の中に埋もれた自分の姿を…。 「俺の名前はゴールドアームだ! くだらねえコードネームで呼ぶんじゃねえ…!」 雄叫びのようにゴールドアームは叫んだ。 ルイズの言葉が焼き付いたようにメモリーから離れない。 そうなるように生まれた者はそのようにしか生きられないのか。 兵器の素体として造られた俺は兵器でしかないのか。 自分がアイアンリーガーだと思い込んでいるだけの、ただの殺戮道具なのか。 「…………」 迷いを振り切るように彼は立ち上がり、セットポジションを取る。 あの時の事をゴールドアームは生涯忘れないだろう。 自分がずっと投げたいと思っていた球を投げた、あの瞬間を。 決してアイアンソルジャーには投げる事の出来ない、真のアイアンリーガーの球。 それを投げられれば彼はもう一度確信できるのだ、自分がアイアンリーガーであると。 ワイルドアップの体勢から全身に迸るエネルギーを腕に集中させる。 魂を込めて放たれた直球が夜の闇を切り裂いて飛んでいく。 しかし、それはゴールドアームの投げたい球ではなかった。 球威も速度も彼の全力の投球とは程遠く、 人間相手ならまだしも並のアイアンリーガーには通用さえしないだろう。 彼の性能の低下は急速に進んでいた。 磨耗した部品の交換は勿論の事、精製されたオイルさえも満足に手に入らない。 軋む駆動系の音が耳障りなノイズとなって残響する。 いつかはアイツ等との野球さえも出来なくなるだろう。 残された時間をどのようにして過ごすべきか、彼は決断に迫られていた…。 「えいっ!」 深夜、彼女は日課にも似た魔法の練習を行っていた。 ゴールドアームが戻ってくる気配もなく、居た堪れなくなった事も原因の一つだ。 幾度となく失敗し爆発が起きようとも彼女は杖を振るい続ける。 それは胸に渦巻く感情を吐き出す作業のようにも感じられた。 ゴールドアームの言葉を何度反芻しようとも答えは出ない。 生まれの時点で人の生き方は決まってしまう。 魔法を使えない私がヴァリエール公爵家の三女として生まれたのが良い例。 それでも貴族を辞める訳にはいかず、せめて気概だけでも誇り高くあろうと足掻くのみ。 ちい姉さまだって病弱に生まれたが故に、家を離れる事さえ出来ない。 ゴールドアームが言っているのは夢物語でしかない。 人は定められた轍の中しか走れない荷馬車のようなもの。 決して運命という枠から外れる事は出来ない。 だけど、心のどこかでは僅かな期待もしていた。 ゴールドアームなら運命さえも打ち壊せるかもしれないと。 あの日、眼に焼き付いた閃光がそう思わせるのかもしれない。 ギーシュとの決闘で見せた輝きを放つ直球。 ストライクコースを全て塞いだ鉄板のようなバットをワルキューレごと打ち砕いた力強さ。 血を一滴も流す事なく終わらせた誇り高き決闘として語り継がれる伝説の魔球。 あれ以降、彼は二度とその魔球を見せてくれなかった。 きっと受け止められるキャッチャーがいないから。 だけど、もう一度だけこの目で見てみたい。 そして叶うならば自分の手で投げてみたい。 それが出来たなら、きっと私は変われるような気がした。 そんな余計な事を考えていたのが悪かったのか。 杖を振り下ろした瞬間、頭上に聳える塔で爆発が巻き起こった。 全く見当違いの方向で起きた爆発に、驚く前に呆れてしまう。 だけど被害が塔で済んだのは幸いだった。 何重にも魔法を掛けてある上に頑丈に作られているのだ。 ちょっとやそっとの衝撃では物ともしない。 これがコルベール先生の研究室だったら大事になっていた。 しかし安堵したのも束の間、彼女の頭に砂にも似た何かが掛かった。 それを拭い取ったルイズが指先で摺り合せる。 瞬間。彼女は事実に驚愕した。 手に触れた物は間違いなく塔の外壁、その残骸。 トライアングルのメイジでさえも傷付ける事さえ叶わないと言われた、 宝物庫の外壁が私の失敗魔法で損傷したのだ。 理由などは判らない。 喜ぶべき事かどうかも判らない。 だけど、それよりも今すぐに先生に知らせないと…。 走り出そうとした少女の背後に影が落ちる。 月光を遮る巨大な土人形。 それはルイズなどには目もくれずに亀裂の走った外壁に拳を打ち込んだ。 たちまち音を立てて崩落する塔の外壁。 そして、その直下にいるルイズへとその破片が雨霰と降り注ぐ。 その瞬間、私は死ぬのだと理解した。 まるで運命であったかのように当然のように事実を受け止めた。 拳大でも死に至るというのに瓦礫は私の身体さえも大きい。 魔法も使えない私にはどうする事だって出来はしない。 直後、一陣の風が吹いた。 私がいた場所の石床が瓦礫に押し潰されて砕け散る。 巻き上がった砂埃の中、私は誰かに抱えられている事に気付く。 鎧のような金属の冷たさが衣服越しに伝わってきた。 「バカ野郎! 簡単に諦めるんじゃねえ! 試合で見せたテメエのガッツは偽物か!?」 耳元で響く怒号に思わず耳を塞ぐ。 砂埃が収まっていく中で浮かび上がる特徴的なシルエット。 銅像のようでありながら生命の炎を宿す瞳。 彼は私の窮地に駆けつけてくれた。 それがチームメイトとしてなのか、使い魔としてなのかは判らない。 …けれど、私の目には知らず涙が溢れていた。 私を下ろし、ゴールドアームは真っ向からゴーレムを睨み見上げる。 背番号を背負ったその後ろ姿は、巨人よりも遥かに大きく力強いものに見えた…! 前ページ次ページ神の左手は黄金の腕
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「この幽霊小道に入ったら、出るまで決して振り向いてはいけない」 誰が決めたかなど分からない。 昔からそうだったのだろうし、これからだって変わらないのだろう。 『この世』と『あの世』を繋ぐ大原則は。 「驚かせてごめんなさい。私は杉本鈴美。幽霊です」 杜王町の守人と言うには、頼りない少女。 無限回廊に迷い込んだ男に対して、慇懃な態度で接する。 杉本鈴美は、仕事が増えた。 これからの彼女の使命は、かつての犯罪者を相手取るより困難な道だ。 行方知れず、足取りさえ追えないし、伝えたところで見えざる恐怖に怯えるのがオチかもしれない。 「この小道に案内したのには、訳があるの」 それでも、病のように静かに、そして深く人々を傷つけた怪奇に挑んだ時も、条件はほとんど同じだったのだから。 具体的な方法は見当たらないが、どんな人だって、立ち向かうことは出来るはずだ。 『平和』と『誇り』は、きっと太陽が星を照らすように染みわたっていくもの。 彼女が、そして『彼』が杜王町の住人であるならば。 「夢物語と笑うかもしれませんが、どうか、語り継いでください。私がこの目で見てきた悲劇と……希望を」 彼女が後ろを振り向き、天に召されるのは、もう少し後の話。 ★ 「返事を聞かせてくれ、徐倫」 答えなら、前々から決まりきってる。 ただ、何というか、個人個人で決められることは限られていると思うの。 私一人で生きているわけじゃあないと分かったから、なおさら。 「あたしのお父さんのこと、知ってる?」 「仕事、相当に忙しいらしいな」 「隠れて付き合ってるみたいになるし……父さん自身、気難しいところがあるからどう思うか」 帰ってこれないわけじゃあないけど、世間話だってロクにできない忙しさ。 それでも、以前は海外出張ばかりだったことを考えれば、今はまだマシな方。 常日頃から仕事ばかりで、家族にかまってあげられないのを父さん自身気にしているのは知っている。 気にしているからこそ、あたしたち家族を大切に思っているのは確かな事。 そこに秘密にしていた彼氏の話を持ちかけるのは、正直、気が引ける。 「俺は真剣だ。結婚だって考えてる。君のお父さんがどう思うかは分からないが……恥じるような真似は絶対にしない」 あたしの手を取り、思いの丈をぶつけてきた。 一世一代の覚悟が見せる、眩しいくらいの生真面目さが、屈強な手のひらからも感じられた。 「ありがとう。ファザコンって言われると思ったわ」 「誰だって親は大切さ」 何だか恥ずかしい。 告白されたこともだけど、何より見識の狭い自分自身が恥ずかしかった。 ……ああ、あたしは何を気負っていたんだろう。 誰だって、他人なしでは生きられない。彼もいっしょだ。 『他人』が指す範囲は広がっていくかもしれないけど、別に広がった分狭くなるわけじゃあない。 いつも通りね。家族を大事にしてこその、あたしだもの。 「いいわ……申し込んで、結婚。近い将来でなくても良い。いつか、絶対に」 「ああ、約束するよ」 口づけ。 何より強い、契約の証。 「改めて、これからもよろしくね。アナキス」 ★ 潮風が髪をなびかせる。 鼻孔を満たす香りは、どこか懐かしい。 「うずくまっておじちゃん、オナカ痛いの?」 暫し思い出に浸っていたせいか、子供に余計な心配をかけられる。 別に腹を痛めたわけでも、足を怪我したわけでもない。 ……足は以前に負傷したものの、もう大分経った。 それ抜きでも、穴だらけの黒いコートを着ているのだ、それはもう奇怪に移ることだろう。 石碑に刻まれた“COSTA SMERALDA”の文字を右手の指先でなぞりつつ、行動の真意を説く。 「いや……花を添えてただけさ」 花屋でコーディネートしたような、立派な花束ではないが。 そこらの道端に咲いていた、ともすれば踏んでも意に介さないような、一輪の花でしかない。 風が吹けば飛ばされてしまうだろうし、誰かが捨ててしまうかもしれないし、何もしなくともいつかは枯れる。 この花は、俺以外の記憶に残ることなく、消えることだろう。 きっと――自己満足だ。 「でも、そこお墓じゃないよ?」 「大切な人が……好きな場所だったんだ。今はもういない、どこにいるかも分からない」 「ふーん」 笑いもしなければ、讃えたりもしない。 無関心――死に触れていないであろう子どもなら、それが当然だろう。 それでいい。死に近づくのは、人間を越えようと過ぎた望みを抱える奴だけで十分だ。 死を間近にするには早すぎる。 「おいッ、早く戻ってこいよー!」 「今行くよー」 生きている人間が得ていくべきは、時を通じて積み重ねられていく、記憶。 それを伝えていくことだ。受け継がれたものなしで、時代は巡らない。 遺伝情報を記録する二重螺旋だって、次の代が生まれなければその連続は途切れる。 「行くぞオラッ」 「ちゃんと蹴れよちゃんとーッ」 記憶――俺は、刻めただろうか? ★ 何故元の世界に帰れたのか――と最初のうちは考えた。 実際は、そんなことはなかったのだが。 ジョルノがディオに止めを刺した後、辿り着いた世界。どうやら2012年のローマのようだった。 現状把握をしたのち、せめてもの詫びと、まずはカラブリアでドナテラ・ウナの墓を探しまわることに。 トリッシュを保護する一環で住所は把握していたから、周辺の墓地もほどなくして見つかったのだが。 ドナテラ・ウナという女性の墓は、一切見られなかった。 悔しい気持ちはあったが、しかし、発見もあった。 墓地に、ドナテラ・ウナと同姓、しかも享年もほぼ一致する『ジャンナ・ウナ』という女性の墓が存在したのだ。 親族かと思ったが、彼女の家系にそのような人物がいたとは記憶していない。 これはどういうことか? 俺の考察をまとめてみようと思う。 『メイド・イン・ヘブン』による宇宙の一巡は、運命を固定し、あらゆる可能性を一点に絞ってしまう。 これは言い換えるならば、可能性の未来――並行世界の否定だ。 しかし、『メイド・イン・ヘブン』の本体、ディオ・ブランドーの死亡によって、完全な宇宙の一巡は果たせなくなる。 その結果、『完全な一巡を果たすまでの過程』には無限の可能性が生まれた。 ディオ・ブランドーの死により、ドミノ式に数多の可能性が生まれたことだろう。 つまり簡単にまとめるならば―― 『ディオ・ブランドーの一巡を果たさないままの死亡によって並行世界が爆発的に生まれ、俺たちはそのうちの一つに飛ばされた』 以上が俺の推測だ。 空条徐倫も、その世界のうちの一つに飛ばされたと見ていい。 或いは同じ世界に飛ばされた可能性もある。 どちらにせよ、俺たちが元いた世界とほとんど同様の歴史を辿った世界だろう。 『ほとんど』と形容したのは訳がある。 ディオ・ブランドーの死亡によって、並行世界の歴史はある一点が大きく改変されたのだ。 『固定された運命を覆せるのは、『メイド・イン・ヘブン』の本体のみ』とのこと。 そして、本体ディオ・ブランドーの死亡――それらを踏まえると、こういうことではないだろうか? 『『ディオ・ブランドーが存在する』という運命を、自分の死によって変えてしまった』 おそらく、1989年まで死なないはずのディオ・ブランドーの運命は、己が死によって覆されたのだ。 だからこそ、この世界に吸血鬼になったディオが――ひいてはDIOが生まれることはない。 いや、あらゆる並行世界においても同様だろう。並行世界で、ほとんど同じ運命が展開されるのならば。 DIOが生み出した百余年の因縁も、同時に消え果たことになる。 そして、どこかにいる荒木飛呂彦は、争いを生み出せそうにない俺たちを殺し合いのためにと寄せ集めようとしないのだろう。 ジョースター家とDIOの闘争が、歴史上からほとんどなくなったのだから。 でなければ、俺と空条徐倫が辿り着く場所は再び殺し合いの最中だったはず。 『ディオ・ブランドーが存在しない歴史』『殺し合いが行われなかった歴史』が、ここに再編されたのだ。 では何故、ディオが消えたと、ここまで言い切れるのか。 ディオの消失を知ったのは、同時にある決定的な事実を孕んでいたからだ。 全ては、ジョルノが通っていた学生寮で『金髪で、首筋に星型の痣がある学生がいなかったか』と質問したことに始まった。 並行世界の仮説を証明する意味合いで、この世界がどういうものか、俺のいた世界・時代なのかを知るためにしたこと。 清掃員、学生、ありとあらゆる者に問いただしてもそれらしい反応はなく。 寮の使用履歴を調べてみても、似ても似つかぬ別人が住んでいるのみだった。 ギャングのボスとなったから、過去の経歴を完全に消した――と考えるのは難しい。 俺のように村からほとんど出なかったならまだしも、奴は組織を乗っ取る一週間前まで普通の学生として過ごしていた。 もっと言うなら、空港で白タクシーの運転も行っていたとのこと、表も裏も俺とは比べられないほど顔が広い。 過去の経歴を白紙にしようとすれば、かえって不自然。 ボスになっても表の顔を持っていると考えるのが自然な見解だ。 ディオ・ブランドーの存在抹消による運命の改竄、それに気づけた理由―― 『ディオ・ブランドーの消失と同時に、ジョルノ・ジョバァーナに類する人間は、あらゆる世界において存在しなくなった』からに他ならない。 実は、ジョルノの『能力の限界によって死ぬ』という考察は外れていた。 ジョルノの親、ディオ・ブランドーはあらゆる世界から姿を消したのはさっきの通り。 そして生じたタイムパラドックス――ディオがいなくなれば、子であるジョルノも生まれなかったことになる。 ディオの肉体がジョナサンのものであっても、DIOと日本人女性のハーフ、イタリア育ちという環境がジョルノをジョルノ足らしめているのだろうから。 最終決戦時のジョルノ・ジョバァーナの消滅は、『ゴールド・エクスペリエンス』の限界のせいではなかったのだ。 勘違いも無理ない。奴に『メイド・イン・ヘブン』の全容など、知れぬことだったろうから。 復活の代償と言えば、悪意を絶やす犠牲と言えば、それらしいのかもしれない。 「だが、それでも俺は……みすみすジョルノを見殺しにするような真似をしてしまった……!」 骨も残らず消えたのだ、親に詫びを入れることさえできない。 この罪は、俺が墓まで秘匿しなければならないだろう。 奴は命を犠牲にして、自身が自身である証を立てた。満足したのは確か、だと思いたい。 ならば、残されたものはどうしたらよいのだろう。 奴とて、家族はいただろう。円満ではなかったと聞くが、その出会いには意味があったはずだ。 奴には、チームという縁を超えた仲間がいる。太陽のように照らし、共に輝いた者たちが。 奴が、これから紡いでいく未来もきっとあったはず。ギャングのボスとしてだけでなく、いち少年としての将来も。 俺は、彼らに何一つ与えてやれない。 零れ落ちてしまったからには、拾い上げることもできない。 「残されたもの、か。『これ』もそうなんだろうな」 ふと手に取るは、偶然引き継ぐことになった日記。 ディオが荒木を気絶させ、その直後スタンドによる拘束が解かれた。 束縛が緩んだところでポロリと転がり落ちたそれを、俺が拾い上げたというわけだ。 いろいろ思うところはあるが、結局開いていない。 正直、燃やそうと思っている。これは存在してはいけないものだ。 歴史を繋いでいくのは俺たち。ただの記録に、歴史を左右される筋合いはない。 そう宣言したのだから。 「根本的な解決には、なっていないかもしれんがな……」 荒木が燃やすという提案を聞こうものなら、「自己満足でしかないよね?」と、憎らしい正論を聞かせてくれることだろう。 だが、俺が持っていたところで、どうなるというものでもあるまい。 所有者が俺である以上、どう処分しようが俺の勝手。 捨てたり破いたりするよりも確実に、葬っておきたい。 しかし、人目に付く場所で燃やして放火魔と思われたら厄介だ。 何せ戸籍も住所もないのだから、通報されでもしたら二重に困る。 どうせなら目立たない場所へ、と、裏道に入ると―― 「こっこっ このダボがぁああーッ!! オッ…オレッちのコッコッコッコートを!! こっそり近づいて盗ろォ~~~ったってそうはさせねぇえぞッ―――ッ うへへへ」 ――薄汚い浮浪者と目が合った。 「ナメんなよォ―――ッ! コラーッ あっあっあっ ウヒヒ 相手になるぜッ! かかってきやがれッ! え?」 どこかで聞いたような台詞。 もう、台詞と言って良いのかどうかも怪しい。 意味を繕っただけの、発声。そんな表現がお似合いだ。 「うケケケ このコートを盗れるもんなら盗ってみやがれ―――――ッ このドチンポ野郎があーッ!」 ヤク中のゴロツキに絡まれてしまうとは。 涎をダラダラ垂らし、焦点もロクに俺に合っていない。 右手の刃物を振り回し、よたよた、ふらふらと近寄ってくる。 ぼうっとしているわけにもいくまい。 「『キング……』」 そこまで言って、気が付いた。 俺は、自ら望んでスタンドを手放したことに。 何を言っているんだと聞き返すこともなく、気にも留めず、ゴロツキは距離を縮める。 刃物、対、素手。そりゃあ不利だ。 おまけに『死の記憶』がデジャヴする。 「来いッ!!! かかってきやがれ―――ッ」 これが、俺が望んだ結果? 俺が望んだ未来? 麻薬を売りさばいたツケが、巡り巡って、ようやく振りかかろうとしているのか? 鎮魂歌は、ここでその奏でを終えるのか? ――それがどうした。 ふざけるな。 誰が認めてやるものか。 俺は生き残るために戦ってきたんだ。 ここで死んでやる道理はないな。 血塗れのコートを脱いで、瞥見する。 俺を『ブッ殺した』のはリゾットだ。そして、鎮魂歌を終わらせたのも、奴の一撃。 どれだけ重ねてきた罪でも、俺は背負ってやる。 だから、無為に死ぬことだけはしない。俺は――抗う! ――ドゥン 「あ……ぐぇ?」 「麻薬はよくねぇよなあ。人間やめるようなもんだ。あんたもそう思うだろ?」 浮浪者の片頬にぽっかり穴が空き、顎がだらりと外れる。 あの傷は考えるまでもない、銃撃だ。当然ギャングで無くなった俺がそんなものを持っているはずもなく。 フヒフヒ言いながら、傷口を抑えて走り去る浮浪者を、俺はぽかんとして見届けていた。 遅れて、問いを向けられたことを思い出し、振り返る。助けられた礼もある。 息が詰まった。 「ちょっとボス! こんなところで拳銃ぶっ放さないでよ!」 「いいじゃあねえかよ、こちとらギャングだぜ。てゆーかこんな裏道入って、何するつもりだったんだよオッサン」 たまたま近くを通りかかったのが射撃の名手だったから、俺は助かったとしよう。 ならば何度、そんな神に愛されたかのような偶然が続くだろうか。 いや、こればかりは偶然だとかで割り切れるもんじゃあない。 もはやこれは『引力』だ。『出会い』という名の。 俺は彼らを知っている! いや! 彼らの眼差しと、今もって行動してみせた『勇気』を知っている! 「立ちションでもするつもりだったのか?」 「だったらやめときなさい。こういうとこはヤク中の格好のたまり場だし、ヘナチンちょん切られるかもしれないからオススメしないわ」 そうだ、俺は知っている。 陽気で、直情的な拳銃使いのこの男を! 勝気で、言葉遣いに芯の強さを感じさせるこの女を――! 「あたしの顔になんかついてる?」 二人をじっと見つめてしまうほどに、俺は我を忘れていた。 ああ、彼も彼女もきっと、そうなんだろう。 ドナテラ、君は怒るかもしれないが、こればかりは率直な感想だ。 似ている。彼女は確かに俺の娘に似ているんだ。 俺と、君の娘に。 「いいや……」 恥ずかしいことに、声も、五体も、震えていた。 だが、俺は笑った。この世界に辿り着いて、初めて笑った。 「いきなり銃声したからビビっちまったかも、ってのは杞憂だったな。腰抜かしてねえし、チビってもいねえ。 とりあえずは合格だ。オッサン、裏の世界に関わったからには、俺たち『パッショーネ』に協力してもらうぜ」 「あんたがやったんでしょ」 「俺の立場をばらしたのはテメーだ。いい加減俺のこと名前で呼べって」 「自覚がないからよ!」 「……ともかく、どうせ行くあてないんだろ、オッサン? 名前は?」 痛いところ突かれたからって無視しないでよ、という少女の抗議を無視して、男が質問してくる。 だが俺は、仮にもギャングのボスの前で無礼な事なのだろうが、思い出に浸っていた。 ――生き残るのはこの世の『真実』だけだ……。真実から出た『誠の行動』は……決して滅びはしない……。 ――ブチャラティは死んだ……アバッキオも…ナランチャも…。しかし彼らの行動や意志は滅んでいない……。 かつて、ジョルノが俺に言い放った言葉だ。 ジョルノは『真実から出た誠の行動』を、自身の正義をこうやって形に残すことが出来た。 ならば俺も、これから誠の行動を為さなければならない。 今まで重ねた罪の贖罪として。ジョルノを死なせてしまった贖罪として。 いや、ジョルノは生きている。この言葉と共に、勝ち取った平和と共に。 俺たちは、彼の努力を無駄にしてはいけない。 「ディアボロ……。俺の名前は、ディアボロだ」 日記は燃やすことにした。 その前に、一言だけ記すことにする。 ――彼らが託した『黄金の精神』は此処にあり、と。 【ディアボロ 生還】 【空条徐倫 生還】 【杉本鈴美 (幽霊なのに『生きて』『還る』とはおかしいが)生還】 【ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd ―― 完】 ★ 「ここはどこなの……? アンタは……いったい何者なのよ!?」 「はあ……。何度も言うようだけど、何で君を呼んだか、なんてどうでもいいだろ? 実際、僕自身わかっていないんだよ」 盗聴器越しに聞こえてくる、会場内のざわめきがやかましい。 さらに、矢継ぎ早に質疑を投げかけてくる杉本鈴美……とは似ても似つかない女も煩わしい。 言葉と言葉、雑音と騒音のダブルパンチだ。 辿り着いた世界は、このクソアマの態度から察せた。 ……いや、正直なところ、僕だって『察する』なんてレベルじゃあなく分かるんだ。 けど、実際のところ認めたくない。 参加者全員の首輪を爆破しに行くことも、きっとシステムの違いか何かで無理なのだろうし。 直々に皆殺しにしようとしても、スタンドがないのならどこかで力尽きてしまうのだろうし。 スタンドの再誕を目論んでも、テレンスの保存した魂は存在しないし、『ザ・ワールド』のDISCもない。 並行世界からの介入という僅かな可能性にすがろうにも、これでは利用価値がないと切り捨てられるのが関の山だ。 『メイド・イン・ヘブン』を失った今、固定された運命を改変する手段は存在しない。 過程を大事にしないわけじゃあない。 後先考えないでちょっかい出したり、余計なお世話焼いてみたりするのはしょっちゅうさ。 報われるか否かにかかわらず、人が必死になってあがいたりする様を見るのは最高だね。 でも結局僕は、勝つのが好きなのさ。 勝たなきゃ、何の意味もないじゃあないか。 『箱庭の中で運命になる』ことなんざ、バトル・ロワイアルの完遂に比べればちっぽけな目標だもの。 確かに僕は、身に降りかかる運命が手に取るように分かるよ。 けどね、不思議な事にプッチ神父の言ったような『幸福』はどこにも存在しないんだ。 いくら『覚悟』したところで、結果が見えるという『絶望』は吹き飛ばせない。 これから訪れる運命を理解しているのが、僕以外に誰もいないというのがなおさら不愉快だ。 今後、杉本鈴美は勝利を伝える『語り部』として誰より機能することだろうね。 何たる皮肉だ。 何もかも分かってる。 負けだ。始まる前から、完全敗北だ。 「……せいぜい見せてもらうとするよ。皆の『運命』を。『人間賛歌』を」 期待に満ちた言葉を紡いでみせても。 その後は乾いた笑いしか出てこない。 ★ 薄暗いホールの中、舞台の一点にスポットライトを集める。 笑みを絶やさない主賓は、ただの道化と化した。 動揺にざわめく観客は、知らず立ち向かう力を手にした。 あらゆる困難も。 あらゆる辛苦も。 あらゆる不幸も。 何者かが乗り越えるだろう。乗り越えることが出来るだろう。 『黄金の精神』を以ってして。 「これから君達に、殺し合いをしてもらうよ」 【主催者・荒木飛呂彦 ――『完遂不可能なバトル・ロワイアル』に、再び挑む】
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いままで書いたもの とかいはコーディネイター 植物型ゆっくり 蒼い空。雲ひとつ無い空。 清々しいまでに澄みきったその空で、箒に跨り黒の山高帽から金色の 長髪をたなびかせながら、魔法使い霧雨魔理沙は飛んでいた。 「いやぁ最近ずっと自分の部屋でキノコ弄ってたから久しぶりに霊夢 の所で酒盛りでもしたくなって飛び出して来ちゃったぜー。ちなみに アポイントメントはない」 まるで誰かに説明するような事を口走り、手に持った一升瓶をぶんぶ んと振り回しときたま近くを飛んでいる毛玉や妖精を殴って落としな がら魔理沙は空を征く。ちなみにキノコを弄るというのはいやらしい 意味合いは含まない。 「そんなこんなで神社に着いたんだぜ。うぉーい霊夢ー」 縁側で横になっている霊夢の後頭部に向かって手を振りながら、魔理 沙は地面に降り立った。 霊夢の後頭部は魔理沙の声に反応し、その場で縦に半回転、横に4/1 回転して、魔理沙の方に振り向いてずりずりと魔理沙の方へと這いよ ってきた。 手を上げた状態のまま魔理沙は凍りつく。 その間も霊夢の顔は魔理沙の膝元まで近付いてくる。 そして、とうとう縁側の縁までたどり着き、その奇妙に変形している 顔を更に歪ませて、ぴょいんと魔理沙の眼前まで跳ね上がり、歓迎の 言葉を口にした。 「ゆっくりしていってね!」 魔理沙は何も言えず咄嗟に手に持っていた箒で、飛んできたその霊夢 の膨れた生首を全身全霊の力を込めて打ち返した。 「で、何か言う事は?」 やや不機嫌そうな顔で、頭に×形の絆創膏を貼って瞳に涙を浮かべな がらも決してふてぶてしい表情を崩さない霊夢の生首を抱えながら、 不自然に腋を露出した紅白の巫女装束に身を包んだ博麗の巫女博麗霊 夢は、畳の上で正座して俯く魔理沙を見下ろしながらそう言った。 「悪気は無かった。出来心だった。ごめんねだぜ」 「だそうよゆっくり」 「次は気をつけてね!」 『ゆっくり』と呼ばれた生首が魔理沙を見下ろしながら元気良く言う。 魔理沙は内心「次もあるのか」と鬱くしい気分になったが、それを悟 られないように下げたくもない頭を下げる事で難を逃れた。 「で、それは一体何なんだ? 私は最近ずっと家に篭ってたから世情 に疎くて困るんだぜ?」 「れいむはれいむだよ! ゆっくり理解してね!」 「だそうよ」 「わけわからん」 魔理沙がそう言うと、そのゆっくりとやらは霊夢の腕の中でニヤリと 不敵な笑みを浮かべる。「お前の無知にはほとほと呆れて一週回って 笑いすらこみあげてくるよHahaha」とでも言いたげな、一発こ づいてやりたくなる面である。 「で結局それは何なんだぜ霊夢」 が、そこを黄金の鉄の塊でできた精神力でなんとか堪え、ゆっくりの 頭をべちんべちんと叩きながら霊夢に問う。 「まぁ簡単に言うと、喋るこれね」 霊夢は背後から白い饅頭の乗った皿を取り出してそう言った。魔理沙 はその饅頭に指を伸ばし、そのうちの一本を霊夢に掴まれれて反対側 に捻じ曲げられごぎりと嫌な音を立てた。 霊夢は綺麗に曲った指を放して一言。 「人のものを取ったら泥棒!」 「ゆ、指の骨が折れた……」 「人間には206本の骨があるのよ。一本くらい何よ」 どこか非現実的な自らの掌を眺めながら魔理沙はそう呟いた。そんな 魔理沙の事など放って霊夢はかいつまんだゆっくりの説明を始めた。 「ゆっくりっていうのは最近になって現れた、妖怪なんだか妖精なん だかよくわからない生き物の総称よ。なんだか知らないけどどこかで 見た顔を潰したような顔をしてるらしいわ」 「なぁ霊夢、この指の曲ってる所がなんかじんじんしてきたんだけど」 手元のゆっくりの頬をぐにぐにと弄りながら熱弁する霊夢の袖をくい くいと引っぱりながら魔理沙は言う。霊夢は、そんな魔理沙を華麗に スルーして説明を続けた。 「ほら、こいつもなんだかカラーリングが私に似てるでしょ。私はこ れしか見たことないけど、色々な種類がいるらしいわよ。アリスに似 た奴とかパチュリーに似た奴とかレミリアに似た奴とか。ちなみにこ の皿に乗ってる饅頭はこいつのほっぺを千切ったものよ。私でも食べ ないようなものを食べて饅頭をくれるってんだから本当に便利よね」 「えっぐ、指が痛いよぉ……ひぐ、うぇぇ……」 「あぁもう五月蝿い。ていっ」 霊夢は、嗚咽を漏らす魔理沙の異様に曲った指を掴むとそのままぐり んと捻り、コキャッという小気味のいい音を響かせた。すると、激し い痛みが一瞬襲ったが、すぐに痛みが引き、指も動くようになった。 「ほら、もう痛くないでしょ」 「ぐすっ、うん」 「ゆっくり泣き止んでね!」 「お前は黙れ」 見上げてくるゆっくりにびしっと言ってやると、ゆっくりは薄笑いを 浮かべたままおぉこわいこわいと呟いた。 「まぁアレだろ。要するに喋って食べれる面白生物って事だろ」 「ああ、それ良いわね。次から説明ではそう言うわ。うぇっぷ」 魔理沙が持ってきた一升瓶の中身を空にしながら霊夢はそう言う。普 段なら人の物を取ったら泥棒とか、自分の事を棚に上げた物言いをす る所だが別の物に興味が移っている今では、たかだか酒のひとつやふ たつなど、魔理沙にはどうでもいい事だった。 魔理沙は昼間っから堂々と酒を飲んで頬を赤く染めている酔いどれ巫 女に向かって、こう言った。 「そいつって何処にいけば見つかるんだ?」 「そんなわけで捕まえてみた」 「やめてね! やめてね! まりさをはなしてね!」 手の中でうぞうぞと動く面白生物を抱え、満面の笑みを浮かべながら 魔理沙は高らかに声を上げた。 魔理沙は手の中でもがく金髪のゆっくりを今一度眺める。 その饅頭は霊夢の所で見たそれよりもやや色白で、ぐずぐずと惨めに 涙を零しているが、どこかふてぶてしかったあの饅頭と比べると少し だけ愛嬌がある顔をしているのがわかる。 「きっと私に似てるからだな。やっぱり冷血巫女よりやはり魔法使い だな」 「へんなこといってないでまりさをはなしてね! おうちかえる!」 「しかし良く泣くなぁこいつ」 手の中でひたすらに涙と泣き言を垂れ流すそいつを見ながら魔理沙は そう呟いた。 どうして魔理沙がこのような生き物を手に入れようと思ったのか。 どこぞの巫女のように今日の糧にも困る生活を送っているからではな い。ただ単純になんだか面白そうだと思ったからだ。いわゆる知的好 奇心という奴である。 しかし、それにしてもこれは五月蝿すぎる。魔理沙は耳に突っ込んで いた指を抜いて、それの頭目掛けて軽く振り下ろした。 「泣き止めー!」 「ゆびぇ?!」 先刻、神社で霊夢のゆっくりに放った箒の一撃に比べれば余りに弱い 一撃。「そんなチョップじゃ蚊も殺せないよ」と薄笑いを浮かべられ るであろう一発であった。 が、 「ゆ゛あ゛ーーーーーー! いだいよーーーーーー!」 その金髪のゆっくりは、瞳に溜めた涙を一気に溢れさせて更に大袈裟 に泣き出した。 「どぼじでごんなごどずるのー?! ばりざなにもわるいごどじでな いのにー?!」 「あ、そ、その……ごめんなさい」 予想だにしない展開に思わずそのゆっくりを放して頭を下げて丁寧語 で謝ってしまう。 「ゆっ、おねーさんがはなしてくれたよ! いまのうちにゆっくりに げるよ!」 その隙に背を向けて逃げ出すゆっくり。魔理沙はすぐに正気に返りゆ っくりの後を追おうとするが、ある事を思いつき、慌ててその場に踏 みとどまった。 「そうか、ここでアホ面下げて追いかけた所を罠にハメる作戦だった んだな! その手は食わないんだぜ!」 そんな事を言ってる間にゆっくりは茂みの中へと潜っていった。 「フフフ、さぁ何処だ……何処から来る!」 魔理沙は全神経を集中させて相手の出方を伺う。 一分、二分。三分。 五分ほどが経ち、魔理沙は黙って足元の草を掻き分け、ゆっくりが飛 びこんだ茂みを上から覗き込んだ。 「ここならゆっくりできるよ~♪」 そこには、魔理沙から逃げ切れたと信じて疑わないゆっくりが嬉しそ うにぐねぐねと動いていた。 「本気で逃げてたんかいー!」 「ゆぐぇ?!」 乙女の純情を弄ばれ深く傷ついた魔理沙の憤りのストンピングがゆっ くりの脳天に突き刺さり、ゆっくりは潰れたカエルのような声を上げ た。 「どぼじでおねーざんごごにいるのー?!」 「五月蝿い! 私の期待を裏切りやがって! くぬっくぬっ!」 「やべでー! ばりざにひどいごどじないでねー?!」 魔理沙は地面に這い蹲るゆっくりを箒の先っちょでちくちくする地味 な嫌がらせを敢行する。ゆっくりが逃げようとするたびその方向に先 周りして移動の勢いを利用したカウンターちくちくを喰らわせる。 「ゆ、ゆっぐ」 逃げようとする度に顔面を凄まじい激痛が襲う。かと言って動かなけ ればこの責め苦から逃れられない。一体どうすればいいのかわからず にただひたすら涙を流す。 そのゆっくりの様子を見ていると、魔理沙はなんだかちょっと胸の奥 がむずむずするような感覚を覚えて、箒に込める力を強めてしまう。 ゆっくりが跳ぶ、魔理沙が箒で叩き落してつつく。 ゆっくりが這う。魔理沙が足で上から押さえつけてつつく。 ゆっくりが泣く。魔理沙の心が躍る。 どうやっても魔理沙からは逃れられない。数十分の足掻きの末、それ を理解したゆっくりは。 「ゆっぐりでぎなっ……エレエレエレ!」 口から黒々とした餡子を吐き、見る見るうちに黒ずんで。 「もっど、ゆっぐりじだがっだ……」 最後に一言だけを残して、この世を去った。 ゆっくりの遺体を前にした魔理沙の心に後悔は無かった。ただ自分は ちゃんとやり遂げたという爽やかな清々しさがあった。 おわれ 後日談。 「というわけで全然楽しくなかったんだぜ」 「それは弱い方のゆっくりね」 「弱い方?」 「なんだかこいつらにも種類があるみたいで、あんたが見つけたのは たぶん饅頭の癖に交尾とか出産とかするやたらと弱い奴ね。なんでも ちょっと殴っただけでも死ぬらしいわよ」 「ふーん。ところでまた指が痛くなってきたんだけど」 「え、まさか病院(永遠亭)行かなかったの?」 「え、まさか饅頭取ろうとしたくらいで病院行かなくちゃならないよ うな怪我させたの?」 このSSに感想をつける