約 1,355 件
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/581.html
「あー冷えるなあ、さすがに屋上は」 「そうだね。でも。人が少なめだから」 昼休みのチャイムが鳴ってすぐ。 クラスメイト達は誰も上条たちを追いかけてこなかった。 姫神のものと思わしき茶巾袋にちょうど二人ぶん位の弁当が入っていそうなのを見れば、 追求する気も失せてしまったのだろう。 「女子の連中に何か言われたか?」 「……うん。仲のいい子達は控えめにだけど。おめでとうって」 控えめだったのは、同じクラスにいるもう一人の上条を好きだった女の子に遠慮したからだ。 姫神はそれを暗に上条に伝えたが、そういう複雑なことは伝わらなかった。 「そうか。ま、大騒ぎされると色々面倒だしな」 「当麻君は。あんまりみんなに知られたくない?」 「そういうわけじゃないって。ただ、休み時間に追い掛け回されたりすると、 秋沙とこうやって昼飯を食べたりは出来なくなっちまうだろ?」 「そうだね。それは。嫌だね」 「だろ? でさ、どういう風に座ればいいんだ? こう、対面になるようにすればいいのか?」 「ううん。壁に二人でもたれて、並んで食べたい」 「わかった。けどこれじゃあ、秋沙の顔を見て食べれないな」 「だからだよ。食べてるところを見られるのは。恥ずかしいし」 「いやでも教室で弁当食べてる秋沙を見たこと、何度もあるぞ?」 「それはいいの。……お付き合いしてる当麻君に見られると。恥ずかしいだけだから」 「秋沙の食べ方は綺麗だから、別に恥ずかしがることはないと思うけどな」 「恥ずかしいよ。それと。並びたい理由はもう一つある」 「ん?」 とすんと二人で壁際に腰掛ける。 膝上に置いた茶巾袋の口を緩めるより先に、姫神が体を傾けて、隣にいる上条の肩に頭を乗せた。 「対面に座っちゃうと。こういうこと。出来ないよね?」 「……だな」 上条は他意なく姫神との間に開けていた距離をぐっと詰めて、体の側面を姫神とぴったりくっつけた。 そして姫神の腰に手を回した。 「このままじゃ。お昼ごはんを食べられないね」 「飽きるまでやってから、食べ始めればいいんじゃないか?」 「駄目だよ。そんなことしたら。お昼ご飯食べる時間がなくなるから」 「秋沙」 「当麻君」 お互いに用事がないのを分かった上で、何の意味もなく名前を呼び合う。 目線を合わせると、柔らかく微笑む恋人の顔と、その瞳の中で笑う自分の顔が見えた。 「時間もなくなるし、弁当食べようぜ」 「うん。あんまり。美味しくないかもしれないけど」 「その心配はしてない」 「しておいて欲しい。期待以下で失望されるのが。一番辛いから」 ややためらう仕草を見せながら、姫神が弁当箱を取り出した。 蓋を止めるバンドを外して中を開くと、一段目のご飯は綺麗な鮭弁だった。 自分がこれを作ると、多分白米を詰めた上から鮭の切り身をドン、だと思う。 だが姫神は鮭の身を丁寧にほぐして骨を取って、ご飯の上に満遍なく散らしていた。 中央には彩りにほうれん草が乗せてあって、いかにも美しい。 二段目のおかずもとにかく綺麗だった。 まずブロッコリーのおかか和え。色がまったく褪せていない。 玉子焼きも上条が作れば不ぞろいになったり箱のサイズにあわないものを強引にブチ込むが、 姫神お手製のそれは優しい黄色で形もまとまっている。 その隣にあるカップに入ってるのは、大豆とひじきの煮物だろうか。 荒く豆が潰してあるのが上条家とは流儀が違った。豆粒が躍り出たりしない分、合理的かもしれない。 たこさんウインナーはどうも開き方がいびつで不慣れな感じがするが、 そりゃあ自分用の弁当でわざわざウインナーの整形なんてしない。 慣れてないけど、多分自分以外の人に出すものだからと、頑張ったのだろうと思う。 一家の主夫、上条当麻として評価した姫神の弁当は。 「完璧だ……」 その一言に尽きた。 姫神は少し笑ったが、不安のほうが大きいのか晴れやかな顔にはならなかった。 「お弁当は見た目より味だから。口に合わなかったら。ごめんね」 「いやいや、これどう見ても美味そうだろ。じゃ、遠慮なくいただくな」 「うん。召し上がれ」 「いただきます」 上条はブロッコリーをつまんで、口に入れた。姫神が固唾を呑んでそれを見守る。 じゅわ、と口の中に旨みが広がった。 鰹節と醤油の組み合わせかと思いきや、実はブロッコリーの煮びたしだったらしい。 出汁の優しい味わいと硬めに茹でてザクザクとした歯ごたえを残すブロッコリーの食感の組み合わせがいい。 コメントするより先に、ご飯に箸を伸ばした。 「どう。かな?」 「なんか普通で悪いんだけど……めちゃくちゃ美味い」 「本当? お世辞は。別にいらないよ」 「お世辞なんかじゃないって。ホントに美味いから」 「うん。……美味しくないのがあったら無理しないでいいから」 「そんなに心配することないと思うけどな」 それほど多かったわけではないので、上条はあっという間に弁当を平らげた。 一品一品が非常に丁寧に作られているのがわかる出来だった。 「ごちそうさまでした。美味しかったです。ありがとな、秋沙」 「お粗末さまでした。良かった。食べてもらえて」 自分も少し遅れて食べ終えた姫神が、弁当箱を仕舞いなおした。 ふと視線に気づく。上条が、ちょっと不思議な感じの目をこちらに向けていた。 僅かに首をかしげて意図を伝える。 「あ、いや。なんかさ、いいなって思って」 「いい?」 「一人の女の子と付き合って、こうやって二人っきりで弁当食ったりするのって、なんか新鮮でさ」 「うん。私にとってもそうだよ」 「嬉しくなるな」 「嬉しくなるね」 上条が頭を姫神の肩に預けた。隣の彼氏の重み。 ちょっと支えるのが大変だけど、それもまた嬉しかった。 なんとなくその仕草の意図が分かった気がしたので、膝の上の弁当箱を退けて、ぽんぽんと軽く太ももを叩いてみた。 ピクリと、上条が反応した。 「……秋沙」 「したい?」 「したいって、その」 「膝枕」 「う。したいっちゃそりゃものすごくしたいけど、一応周りにも人いるし」 「私は。あんまり気にしないよ。当麻君こそ見られたら困る女の人がいるの?」 「何言ってるんだよ。そんなのいないって。……ほんとにお邪魔しても?」 「いいよ。でも。気持ち良いものかどうかは知らない」 「秋沙の膝枕だから大丈夫だ」 「もう」 上条はおずおずと姫神のスカートへと向かってダイブした。 学校の方針もあってここの女子生徒のスカートはそこそこ長い。 なるべく膝よりのほうに頭を持っていって、そっと置いてみた。 「あったかい。あと秋沙の匂いがする」 「もう。恥ずかしいから言わないで欲しい」 上を見上げると、秋晴れの空と照れた表情の姫神の顔が映る。 そこに姫神の手がかざされた。 「気持ちいい。かな?」 「ん。授業サボって寝ても良いくらいには気持ち良い」 「そういうのはよくないよ」 そう言いながら、姫神は撫でるのをやめなかった。 「当麻君。放課後。どうする?」 「あー……。知ってるだろ? さっき小萌先生に呼び出されたの」 「あ。そうだったね」 「秋沙は補習ないだろ?」 「うん。別に私は。成績は悪くないから」 「俺だって真面目に授業に出さえすれば大丈夫なんだって」 「……学業がおろそかになるくらい。あちこちに首を突っ込むのは良くないよ」 「いやいや、上条さんは決して首を突っ込んでるわけじゃなくってですね、 トラブルのほうからこっちにやってくるのですよ」 「なんでもいいけど。怪我をしたら。いやだよ」 「……ん。なるべく、秋沙に心配かけないようにするよ」 ふう、と姫神がため息をついた。 「あの子も毎度毎度心配してるんだろうね」 「毎回噛み付かれてるよ」 「え?」 「あいつ怒ると噛みつく癖があるんだよ。頭のてっぺんとかでもお構い無しに」 「ほっぺたとか。唇は?」 上条の髪を梳く手を止めて、拗ねた顔でそんなことを聞いてきた。 あやすような意味を込めて、撫でてくれる腕に軽く触れる。 「唇とか、そういうのはないって。ほっぺたは……」 「あるの?」 「……事故で、一度だけ」 「これからは。事故でも起こしたら許せないかも」 「うん、まあ。気をつける」 そこで不意に、姫神が撫でるのを辞めて腕を取った。 持ち上げて、軽く袖をまくる。 上条が疑問を込めた視線を投げかけると、手首をぐっと握られた。 「手首。やっぱり太いね」 「そりゃ、秋沙よりはな」 「噛みついてもいい?」 「はい?」 姫神は最後まで諒解を取り付けなかった。 そっと口を開いて手首の辺りの骨がゴツゴツしたところに軽く歯を立てる。 せいぜいがハンバーグを頬張る時の開き具合程度だったから、インデックスみたいにがぶりとはいかない。 そのまま数秒間。姫神の歯の硬い感触と、僅かに感じるぬるりとした感触と、熱い吐息がゾクゾクする。 「秋沙?」 その言葉でハッとしたかのように、噛み付きが止んだ。 姫神が顔を赤らめ、そっぽを向いていた。勿論膝枕の状態から見上げているのでそれでも表情は丸見えだ。 照れているようで、すこし拗ねているような、そんな表情だった。 「えっと」 「……あの子がしたのなら。私もする」 「え?」 「なんでもない。ちょっと焼きもちを焼いただけ。嫌だった?」 「嫌、って事はないさ。むしろドキドキした」 「私もすごくドキドキした」 甘噛みは、恋人同士なら意味合いがずいぶんと変わってくる。 インデックスとのやり取りでは感じないような緊張感が、そこにはあった。 姫神も、それを感じていたのだろう。 「当麻君のを咥えるには。結構口が大きくないと駄目かも」 ぽつりと、そんな表裏ない感想がこぼれた。 「う、あ、はは。そうか。」 「……?」 「な、なんでもないって」 「……!?」 自分の言った言葉の迂遠な意味に気づいたらしい。 ぽん、と顔が赤くはじけた。 「私べつに変な意味じゃ」 「だ、大丈夫! 分かってる!」 「当麻君のえっち」 「否定は出来ないけどさ」 「お付き合いしてすぐなのに」 「ごめん。……あれ、付き合いが長ければ、ありって事?」 「もう! 知らない」 つかんでいた上条の腕を少し乱暴に姫神は突き返した。 軽く拗ねた感じの姫神に声をかけるのが少しためらわれて、ケータイを取り出して時刻を見た。 「もう、いい時間だな」 「えっ? 嘘」 「嘘じゃないって。ほら」 「あ……。嫌だな。楽しい時間って。あっという間だね」 「だな。放課後、一緒に帰ろうと思ったらかなり待たせることになると思う」 「それは良いんだけど。でも。お付き合いしてる彼氏が出来たからって友達付き合いが悪くなるのはちょっと」 「じゃあ、秋沙は友達と帰るか?」 「うん。ごめんね当麻君。それでいいかな?」 「むしろ補習を受ける羽目になった俺が悪いんだしさ。さて、それじゃ戻りますか」 校舎の中までと屋上へいたる階段の短い間だけ、二人は手を繋いだ。 放課後。小萌先生にこってり絞られて、ようやく開放された。 完全下校時刻という制度がこの時だけは有難い。 「にしても、どんだけ頑張ったって上条さんに超能力なんて使えるはずがないのですよっと」 得体の知れない右手のせいだというのは分かりきっていることだ。 頑張りすぎて軽い頭痛のする脳みそを揺らしながら、上条は階段を下りた。 姫神は先に帰ったので、帰りは一人。 小萌先生が今日はいつもに増して頑張ったのは、姫神と無関係ではないだろう。 ちょっと気味が悪いくらいにこやかに授業中に微笑みかけられた。 「当分は先生からも言われるのか。……あれ、なんだあのでかい車」 階段を折りきって公道に出たところ。そこに黒塗りのリムジンが止まっていた。 常盤台クラスのお嬢様学校なら、似つかわしいかもしれない。 どこにでもある弱小高校には、明らかに不似合いだった。 係わり合いにならないで済むよう、なるべく車から離れて歩く。 無意識に車がバックするときのランプが光ったりしないか気をつけながら歩ける辺りが不幸慣れの証だった。 「奇遇だな、上条」 不幸は常に予想外のところから飛んでくる。 今回は後部座席の、少し開いた窓の隙間からだった。 「奇遇なんですか? 先輩」 「まあ実を言うとお前を待ってたんだけど」 「……そうですか、それじゃあまた」 「連れないな。家まで送ってやるぞ?」 「いやいいです。自分で帰れますから」 「こないだ連れまわしたのをまだ根に持ってるのか? まあ随分笑わせてもらったけど」 「え?」 こないだ? その言葉に上条はドキリとした。夏休みに入ってからは、そんな覚えはない。 「なんだ、忘れたのか? 私の胸を鷲づかみにしておきながらその態度というのは許しがたいけど」 「い、いやべつに……」 雲川のは上条の手のサイズで鷲づかみに出来るか怪しいくらいの大きさだ。 そんなことを、上条はやらかしたのだろうか。 「責任を感じているのなら乗れ。今日もパーティのエスコート役を調達し忘れた。 ……断るなら、あの転校生にこないだの話を丁寧に説明してやるけど?」 「そ、それは困ります! 分かりましたよ! 付き合えばいいんでしょう?!」 「なんだ、姫神を捨てて私と付き合う気なのか? それならもう少し男振りを上げて欲しいんだけど」 「そういう意味じゃないです!」 どんな話を姫神に吹き込まれるのか、分かったものではない。この人は嘘も平気で言う人だ。 泣く泣く上条は、リムジンに近づいた。 運転手をしていた壮年の男性が降りてきて、扉を開いた。 軽くお礼を言って乗り込もうとしたところで、中の雲川の服装にようやく目が行った。 「……かなり本気の服装じゃないですか」 「そうだけど? 面倒だがパーティだから仕方ない」 「俺、制服ですよ?」 「大丈夫だ、問題ないけど。お前のサイズに合わせたタキシードをきちんと用意してある」 良いから乗れといわんばかりに、手を雲川に引かれた。 「せ、先輩危ないです……って! ちょ、うわわわわっ!!」 「……こんなベタな誘いでもお前は引っかかるんだな」 とにかく、柔らかい。 三人が悠々と座れる広い後部座席シート。その真ん中に座った雲川の胸元へと上条はダイブした。 明らかに雲川はそれを誘い、そして冗談みたいに非常事態が発生した。 「なんか、謝って損した気分です。つーかこのままついていっても不幸にしかならないような」 「食事代は全額負担だし、お前は大型のペットを買っていると風の噂に聞いたからな。ちゃんと土産もつけてやろう」 「……ちょっとラッキーって思った自分が情けない」 「ラッキー以外の何者だというんだ。お前は私の胸に今日も顔をうずめた訳だけど?」 「先輩。あんまりそういうこと、やらないほうが良いですよ」 「相手も時と場合も選んでいるけど。実を言うと、私はお前以外の男に胸を触れさせたことなどないよ」 「え?」 思わせぶりな意図を感じて上条は言葉に詰まる。 「お前ほど面白い人間は、今のところ片手で数えられる程度しか知らないからな。 遊びの対価にこの程度は悪くないと思うけど」 ぐっと、雲川が胸を押し上げるように腕を組んだ。 胸元の大きく開いたベージュのドレスは、抜群のスタイルをもつ雲川が着ると破滅的なまでに男の視線を釘付けにする。 上条もその魔力に抗うことは出来なかった。 「ふふ。彼女に今のお前は見せられんな」 「う」 「捨てられんように一途でいることだな」 「ええ、まあ。忠告ありがとうございます」 「さてそれじゃあ、ここにタキシードがあるんだけど」 「はあ」 「着替えろ」 「……まさかここで、ですか?」 「お前はそんなみっともない姿で私を会場にエスコートする気なのか?」 「いやでも」 「広さは充分だろう。お前の家より広いんじゃないか? それに、私はお前の下着姿が晒されても特に気にしないけど」 「俺が恥ずかしいんですよ! それと車内よりはいくらなんでもうちのほうが広いです!」 「ほう、恥ずかしがるのか? それなら、見てやってもいいかと思えてきたんだけど」 「ああもう、先輩アンタぜったい面白がってるだろ!」 「だからそう言っているだろう。ほら、私に恥をかかすな。さっさと着替えろ」 雲川はこれっぽっちも容赦がなかった。 そろそろと、制服を脱ぐ。隣のニヤニヤとした視線が絡みつくのが分かった。 制服の下には肌着代わりのTシャツを着込んでいる。 さすがにそれを脱ぐのは躊躇われるのだが、脱がずに許してはもらえなさそうだ。 腹からシャツをめくり上げて、少し強引に頭から引き抜いた。 「……ふむ。悪くないな」 「趣味が悪いですよ。性格もですけど」 「そんなことを言われると、もっと嬲りたくなるけど?」 「くそ、最悪だ」 「バッグの中のカメラを取り出しても良いんだぞ?」 「ちょ、それは洒落にならねぇって!」 口喧嘩でとても勝てる相手ではない。上条はさっさとシャツに袖を通した。 スーツの下に着るフォーマルなシャツを肌の上から直接着るのには少し抵抗があった。 そして次は。 「……」 「お願いですから視線を外してはいただけませんか、位は言えないのか?」 「言ったらどうするんですか?」 「さあ。言い方によっては聞いてやってもいいと思ってるけど」 「ちなみに、俺が普通の言い方でお願いしたら?」 「肌理を矯(た)めつ眇(すが)めつ出来る距離で堪能してやる」 「ああもう、勝手にしろこのバカ先輩」 上条は自棄になって、ベルトをカチャカチャと外してズボンをずり下げた。 「ひっ。か、上条。私はそんな覚悟、できてない、けど」 「なんで被害者みたいな声上げるんですか!」 「お前はどう思っているか知らないが、私は……処女なんだ。そんな乱暴なのは、いやだ、けど」 恥をかいてるのはコッチだチクショウと呟きながら、上条は必死にタキシードの下を身に着ける。 「ふう。とりあえず難関は乗り切った」 「つまらんな」 「先輩を楽しませるためにやってるんじゃないです」 「じゃあどうして、パーティに付き合ってくれたんだ」 「脅したじゃないですか」 「そうだったかな?」 「そうでしたよ!」 言いたいことを山ほど抱えながら、袖口を留めようとする。 だが、ボタンとは別に立体的な留め金みたいなのがついていて、何がなんだかよくわからない。 「カフスも知らんのか?」 「え、いや、そういえばメイド学校の子が」 「こうやってつけるんだ」 クスリと笑って、雲川が上条の手首に触れた。 「腕をこのままに」 「あ、はい」 袖にあいたボタン孔をあわせて、カフスを通す。 雲川の、少しかがんで谷間のよく見える胸元にドキリとした。 上手く出来たのか、人を食ったような笑みの中に満足げな色を浮かべて、雲川が離れた。 「うん。お前にはあんまり華美なのは似合わないと思ったからな。我ながら、いいチョイスだった」 「まあ分かってますけど。カッコつけても仕方ないことくらい」 「何を言う。お前は優男じゃない、というだけだよ。お洒落は誰にだって必要だ。 何人の客が、お前のカフスと私のイヤリングの意匠が同じことに気づくかな?」 「えっ?」 よく見ると、髪に隠れたイヤリングがあった。イヤリングは宝石を咥えているから別物に見えたが、 上条のカフスと確かに類似性があった。 「これ、絶対誰も気づかないんじゃ」 「そうかもな。それでいいけど」 「はあ」 「深遠な意味は、深遠なままだからいいんだ。ほら、さっさと着替えろ。もうじき着くぞ」 ニヤリと笑った雲川が、蝶ネクタイに手を伸ばした。 じっとしていろ、と告げて上条の首筋に腕を回した。 「あっ!」 雲川が突然、声を上げた。 シートに普通に座った上条と違い、少し体を浮かしていたせいでカーブの遠心力に振り回されたようだった。 ぽふりと、上条の胸元に雲川が覆いかぶさった。 柔らかい。とにかく柔らかい。 「ちょ、あの」 「ふ、ふふふふふふ。あはは」 「先輩?」 「本当に、お前といると退屈しないよ。今のはどこが不幸なんだ?」 上条の胸板で双球を潰しながら上目遣いで雲川が覗き込んでくる。 雲川は重たくなどないが、なぜか息が出来なかった。 「あの、先輩。この姿勢は……」 「うん? エスコート役なのだからこれくらいは役得だけど?」 「い、いいから早くネクタイつけてください」 「ふふ。わかったよ」 くすくすと笑う雲川の息が耳にくすぐったい。 思ったより器用に他人の蝶ネクタイをしめて、雲川がそっと体を離した。 「あとはそのベストとジャケットを着れば終わりだな。ふう、楽しかった」 その言葉に悪態の一つでもついてやろうと思ったのに、なぜか言い返せなかった。 リムジンがスピードを落とし、大きな建物の前のロータリーへと入っていった。 居心地が、とにかく悪い。 ホールの片隅でそっと奏でられるカルテットの弦楽と、さざめくような談笑。 パーティというものを楽しむ人たちの高尚さが庶民の上条には辛かった。 「……で、どうすりゃいいんですか」 上条の腕には、軽く雲川の手が絡められている。エスコート役の典型的な所作だった。 何をしていいか分からない上条にしてみればひたすら憂鬱だった。 あと何時間やるんだコレ。 「なに、お前が人脈を持っていて私の元に誰かを紹介してくれる、なんてのは期待していないからな。 お前は飾りだから、ちょっと挨拶を済ませたらあとは料理でも貪っていろ。 私にも泥を塗られるほどの顔の広さはないものでね、いくら無作法をしても構わないけど」 「……言われるまでもなく腹だけは満たして帰る気でしたけど」 「そうするといい。ああ、お前が持ち前の女運と不運で面白い展開を引っ張ってきてくれるのを、実は期待している」 「俺はお断りです。目立たないように壁際で食ってますよ」 「ふふ。まあ、とりあえずはついてきてもらうけど。ほら、あちらへ私をエスコートしろ」 「先輩が俺をエスコートしたほうが早いじゃないですか」 「私が男性にエスコートされたいと思ってはいけないのか? それと……ねえ当麻。先輩なんて名前の呼び方は寂しいのだけど?」 耳元で、雲川の声が急に甘えた響きを伴った。 その拍子に胸が僅かに押し付けられ、いい匂いがした。 「な、なんですかいきなり」 「こんな場所に学校の後輩を連れてきたって思われるのは嫌なのだけど。 先輩って呼び名をやめて、芹亜と呼んでほしい」 それは、ちょっとマズい提案だった。姫神以外を名前で呼ぶのは、姫神との約束に反する。 ……外人さんの知り合いは下の名前で呼んでいるのだが。 「雲川さん、とかじゃ駄目ですか」 「つまらない」 「問題がないみたいですしじゃあ雲川さんで」 「つまらない、と言った」 「いいじゃないですか雲川さん」 「なんで頑ななんだ」 「姫神以外の女の人を、下の名前で呼ぶのってよくないと思うんですよ」 「そうか」 あっさりと、雲川が引き下がった。 「恋人ごっこを満喫するのが駄目だというなら、姫神からお前を寝取るほうの遊びをやるだけだけど」 なんて、言葉を口にした。冗談めいた態度と口調が、本当に冗談であることを上条は願った。 「まったく。不愉快だわ」 エスコート役の同僚がパーティが始まって早々、どこかに姿をくらましたためだった。 理事の息子だかなんだかの化けの皮をかぶった同僚がいないと、声をかけてくる男が増えて鬱陶しい。 あの優男の顔を見るのも愉快ではないが、下心丸出しの顔を向けてくる豚よりはマシだ。 結標はため息をついて、手にしたグラスの炭酸水をあおった。 「すみませんね、知り合いの顔が見えたもので」 不意に隣から、二十代の後半くらいと思わしき男性に声をかけられた。 「ああ、驚かないで下さい。海原です、というと本名ではないのでおかしな気分ですが」 「便利な能力ね」 「ええ。開始早々に酔っ払ってしまった客がいて助かりましたよ。おかげで素早く顔を『貸して』もらえました」 「それで仕事に支障はないの?」 「……素性の調べが足りない人間に化けていますからね、不測の事態はあり得ます」 「使えないわね」 「返す言葉もありません。ですがこの仕事は座標移動の貴女がメイン。私は助手ですから」 海原光貴としてであれば、数人いる護衛対象の一人、雲川芹亜と楽に接触できたのだが。 隣に『彼』がいる状況ではそれは難しかった。 ついでに言えば何故隣に御坂美琴以外の女性がいるのかと一言くらい言ってやりたいのだが、それも叶わない。 「にしても、統括理事会の一員のブレインともあろう人が、まさか『幻想殺し』をつれまわすなんてね。 魔除けの護符代わりなのか、それとも政治的な意図のあるカードなのか。彼も随分と苦労をする」 「あのツンツン頭は有名人なの?」 「一部の業界では。ご存知ありませんでしたか?」 「ええ。特に興味にある男じゃないし」 「そうでしょうね」 「……随分と含みのあるに聞こえるのだけど?」 「売り言葉に買い言葉はやめておきますよ。 さて、顔くらいは覚えてもらわないと動きにくいので、ちょっと護衛対象を口説いてきます」 「似合っているわ。その顔の軽薄さに」 「僕もそう思います」 『魅力たっぷり』なんて感じに作ったスマイルを結標に向けてから、海原と名乗る同僚は歩き出した。 「はー、やっと終わった。腹いっぱいメシ食わないと割に合わないな」 なぜか雲川に擦り寄ってくるお偉いさん達が多くて困った。 そりゃあ先輩は綺麗だけど、声かけてくるのが40代以上って。ぶっちゃけ先輩も困ってたんだろうな。 ……もしかして、あの人ああ見えてものすごい年上好みなのか? そんなことを内心で思いながら、スモークサーモンやら鶏肉の煮込み料理など、 値段が高いか手間隙が掛かっているか、そういう感じのする料理を皿に盛っていく。 ジュースを配るウエイトレスからオレンジジュースを貰って、辺りを見渡す。 「あの辺でいいか。人少ないし」 料理から程近い位置。ぽつんと同年代くらいの女の人が立っているのは気になるが、こちらも一人身だ。 目線が一瞬絡んで、上条は少し違和感を感じた。 敵意というほどでもないが、どことなく視線に自分を値踏みするような意図を感じたのだ。 ドン、と背中に衝撃。 話が盛り上がっていたグループの一人が、ぶつかったらしかった。 「あっ、すまない!」 「へっ?」 両手がふさがった上条は、なすすべなく前のめりに倒れていった。 結標は冷静に、対象物の位置を測る。 品のない乗せ方で料理が山盛りになった皿と、幸いにグラスから飛び散ってはいないジュース、 そしてこちらに向かって倒れてくる例のツンツン頭。 結標に接触してこようとするきっかけは偶然のようにしか見えなかったが、もちろんそうとは限らない。 それに、不可抗力であっても自分に触れようとする男を避けない手などない。まあ自分ではなく、相手が避けるのだが。 軽いものから順に。皿とジュースは丁寧に位置と角度を気遣って離れたテーブルに置いた。 誰だか知らないけど。貴方が突っ込むのは私じゃなくて、隣の壁で充分よ。 1メートルほど、結標はその男を横に『座標移動』させようとして―――― むにゅりと、柔らかい感触がした。 肌の露出の少ないドレスだから分からなかったのだが、どうも、この感触はブラを隔てていないような。 サラシでも巻いているだけなのか、なんというかやけにダイレクトな感じのする手触りだった。 「ひっ」 「ごごごごめんげほぶ!」 目の前の気の強そうな女の子は、顔を真っ赤に染めて、驚いたような傷ついたような顔をした。 ……かと思いきや、一瞬で獰猛な睨み顔になって、懐にあった懐中電灯みたいな棒で上条の腹を思いっきり殴り飛ばした。 「おいおい。人の連れにそういう露骨な手出しをしないでほしいなあ。 というか君にも美人の連れがいるじゃないか。 この子は見かけどおりの気の強さだからね、殺されても知らないよ?」 20代半ばくらいの軽薄そうな男が、その女の子の傍に寄り添って肩に手をかけた。 忌々しそうにその手を振り払う仕草は、とても仲良さげには見えない。 「ほんとすみません」 上条は自分に非があるので謝った。殴られてから謝るとちょっとやるせなかった。 そしてよく見ると、目の前の少女にはなんとなく会ったことのあるような気がした。 「何かしら?」 「あ、いやなんでも」 「……」 「その、どっかで会ったことがあったような?」 「ないわね」 睨まれる。だから自分でもためらったのだが、ナンパの前口上としても陳腐すぎた。 「あ、そうだ! たしか御坂妹に呼び出されて白井を助けに行ったときの! なんかボッコボコにされて屋上に引っかかってたから救急車呼んだんだっけ」 「なっ!」 その一言で、結標はようやく知った。 あの時、座標移動で白井を押し潰すはずだった大質量がなぜ誰も殺さなかったか。 そして今、なぜ目の前の男が自分の能力に従わず、突っ込んできたのか。 「……そう、私も貴方と無関係ではなかったということね」 「みたいだな。ま、元気そうで良かった」 「おかげでパーティに出られるくらいにはね」 ふと見ると、隣の男が困った顔をしていた。 傍には雲川が立っていた。 「また、別の女性に声をかけているの?」 「人聞きの悪い」 「貴方には私というものがあるはずなんだけど」 「はあ」 むすっとした表情を露骨に作った雲川がそんな風に愚痴を言った。 この会場で賓客たちと柔らかい口調と表情で談笑する雲川は、普段とは別人といってよかった。 今も物憂げな顔立ちと危険すぎる肢体に幼い感じのする嫉妬を載せて、いつもと違う破壊力を秘めていた。 「おっと。もしかしてこの女性とはかなり親しいのかな?」 「ええ。ですから軽薄な声をかけるのはやめていただきたいのですけど」 にこやかに雲川がその軟派な青年にノーを突きつける。 これは失礼と言って青年が上条を見た。その視線に、なぜだがやけに強い隔意を感じる。 「実は君の事は少し知っていてね」 「はあ」 「君は、常盤台の女の子と付き合ったりしては、いなかったかな?」 「常盤台の? 勘違いされるとしたら御坂か白井か……」 「勘違いということは、付き合ってはいない、と?」 「え、ええまあ」 「ふうん。そうか」 ふんふんと頷く。コイツもしかして御坂か白井に気があるのか? 20代もそこそこの、この人が? それって。 「ロリコンね」 「おおい。随分な言い様じゃないか結標君」 「そんな見た目で中学生と付き合いたいって言うのを、ロリコンと言って何が悪いのよ」 結標という少女は冷たい目で青年を見下した。 上条はロリコンという意見に完全に同意する気分だった。 中学生くらいの女の子を自分も匿っていることは完全に棚に上げていた。 「それで、当麻。あなたはこちらの女性に気があるの?」 「は? いや、単にこれは事故で」 「事故で何をしたの?」 「……つい、胸元に飛び込んでしまいまして」 「ふうん。恋人を、そんなに泣かせたいの?」 「そんなつもりじゃ」 「貴女も、事故だという認識で間違いない?」 「ええ」 「彼に気はないのね?」 「ええ。人の恋人をけなして悪いけれど、私は彼に興味はないわ」 「そう。それじゃあ、もっと気をつけて彼に首輪をつけておくわ」 「え、あの」 こちらに興味を失ったらしい結標と、にこやかに手を振る青年を置いて、 上条は雲川に腕をつかまれて会場の別の隅へと引っ張られていった。 「ふふ。一体この会場の何人が、お前と私の仲を信じるだろうな?」 「やめてくださいよ。その、姫神に悪いですから」 「なら私の面子を潰してでもここで振りほどくといい」 「本当にやりますよ?」 「……いやだ」 「え?」 「私はお前と腕を組みたいんだけど。嫌か?」 「い、嫌って訳じゃ」 そうやって雲川にはぐらかされてる隙に次から次へと雲川に声をかける客が現れて、 パーティの間中ずっと、上条は言い寄ってくる男避けの弾幕としていいようにこき使われた。 「ふう、ルーティンワークはこれで終了だな。 あとは面倒だから壁際でお前と睦みあっているつもりなんだけど」 「なんかもう、それでいいです」 業務用スマイルを貼り付けて雲川に付き合うこと一時間。 詳しいことは聞けなかったが、雲川が学園都市のお偉いさん方と面識があるらしいことはよく分かった。 性質の悪いことに、偉い人たちは学生である上条と雲川に何のためらいもなくアルコールを勧めてくる。 勿論酒を楽しむというほどのきついのではなく、ジュースみたいなカクテルばかりだったが、 助けになってほしい雲川自身が面白がって上条に勧めてきたせいですでにどこか足元が覚束なかった。 「ずいぶんと弱っているな」 「俺もよくわかってなかったですけど、酒には弱いみたいです」 「外から見ても分からんけど」 「正直言って、気をつけないとふらついて酔ってるのがばれそうで困ります」 「別に他人にばれてもこの場じゃ困らんけど」 「なんか恥ずかしいじゃないですか。未成年なのに酒を飲んでフラフラしてるって」 「そうだな」 「他人事ですね」 「そのとおりだと突き放すことも出来るけど。でも、連れてきた責任は確かにあるな。 ……それじゃあ、休憩するか」 雲川が給仕をしていた女性を呼び止める。 二、三言話すと、給仕係が頷いてインカムでどこかに連絡を取った。 「休憩って」 「長いパーティだからな。人ごみが嫌いで寛げない人のための休憩用個室があるんだよ。 水を飲んで酔いを醒ますくらいの時間を休憩に当てるのもいいじゃないか。私も疲れた」 渋いスーツに身を包んだ年配の男性がこちらに来た。部屋を案内してくれるらしい。 その男性と雲川に先導されて、隅の視線を集めにくいところから上条はホールを出た。 その2へ
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1229.html
【 第一回戦第二試合・六谷純子VS蛇蝎兇次郎 】 「生きる」ということは、戦いと勝利の繰り返しである。 決して大げさな話ではない。食事ひとつをとっても、それを受容出来る自分は特別な存在であるのだ。 しかしそれは生物としての優位を奢るエゴではなく、他の命を糧に生き延びることの責任感を示す。 他者の命それを取り込んだ瞬間から、己の命は自分だけ物ではなくなる。 食してしまった、如いては殺めてしまった命がその後に辿った筈であろう時間と役割とを、食した者は背負う義務があるのだ。 それを果たさずして、身勝手に己の生き死にを決めようなどそれこそエゴというものであろう。 食するとは――すなわち「生きる」ということは本来それほどまでに特別で、かつ荘厳なことであるのだ。 そう考えるからこそ、六谷純子は双葉学園生徒の身を憂あわずにはいられない。 学園生徒とあっては常に、ラルヴァとの戦いの中に身を置く。言うなればラルヴァの命を狩る者である。 その使命、時としてはその義務に対する生徒の心の在り様はどのようなものなのか? ――純子は考える。 他者の命を奪う行為に苦悩するものだろうか、はたまた生殺与奪を決定できることへの錯覚に心を歪ませはしないものか――不安定な10代の歪みを、学園OBであり元・風紀委員であるところの純子は心配せずにはいられないのだ。 かくいう己とて、学生の時分には大いに迷ったものである。そして同期の生徒には、他の命を奪うことに快楽を見出し……いつしか外道へと落ちていった者とていた。 だからこそそんな生徒の苦悩に自分が向き合えるのならば、もしくは知らずに歪み始めているその心へ警鐘を鳴らせることが出来るならば、と純子は常日頃憂いていた。 そんな折に耳に入ったのが、かの双葉学園・大料理会の開催それである。 食を通じてそれら、生徒たちの生きる意味とラルヴァと立ち合うことの意味を教えられるのではないかと純子はその参加を決意した。 OBという己の在り方が、後の生徒達の『未来の規範』となることが出来るのならばと、純粋な想いから純子はこの一大イベントに望むのであった。 かくして彼女は今、その想いをかなえるべくここ双葉学園グラウンドに設けられた大料理闘技場にその身を預けている。 純子の登場に会場からは大歓声が上がる。学園OBの登場と言うことも然ることながら、何よりも彼女のその、一見冷徹とまで思えるほどの美貌に会場の生徒達(主に男子学生)は惜しみない声援を送っているのであった。 「ふふ、いつの時代もやかましい場所だなココは」 そんな会場の空気に身をさらして微笑む純子。しかしながらそんな言葉とは裏腹に嫌な気分はしない。さながら、学生の時に戻ったような気分でいた。 心はどこまでも若く、そして弾むようでさえあった。 そんな時である――。 うなじに憶えた痛痒感それに、純子は首をすくませる。 勘違い、などという曖昧なものではない。それこそは明らかな外意を感じたがゆえに憶える感触それであった。 それこそは――殺気。学生時代、ラルヴァと立ち合った時に感じたものと変わらないピリピリとした剥き出しの敵意それであった。 そしてそれが飛ばされたであろう彼方を確認し、純子は眼を見開かせる。 そこには――黒衣の生徒が一人いた。 その身を包む学生服自体は学園支給の物であろうが、それでも純子の眼に映るそれはひどく禍々しいものに思えた。 竹の如き痩躯と後ろへ流すよう纏められた黒髪、己の体を抱くように腕組みしたその生徒は、蛇のような切れ長の三白眼で、上目に対岸の純子を見据えているのであった。 ――確かこいつは、蛇蝎兇次郎……高等部の3年生であったはずだが 改めて目の前の蛇蝎が今日の対戦相手であったことを思い出す。しかしながら純子の眼にはその一瞬、その蛇蝎がラルヴァにも思えていた。 否――その一瞬、目の前の生徒からはラルヴァ以上に禍々しくそして黒く重たい何かが感じられたのだ。 学園生時代には風紀委員として、そして長じて社会人となった今では鉄道員として鍛えた純子の眼は、そんな蛇蝎の異常性を敏感に感じ取ったのであった。 それをさらに確かめるべく蛇蝎の眼に己の視線も定めたその時である。 『お待たせいたしましたァ!! それでは第二回戦! 蛇蝎兇次郎選手と六谷純子選手によります一戦を執り行います!!』 実況・赤穂の声に純子は我に返る。気付けば勝負の刻が迫っていた。結局、蛇蝎の正体を見極めるには至らなかった。 ――気のせいかもしれない、な。あの手のタイプはいつの時代にもいたもんだ ともあれ気持ちを入れ替えると、純子は今の勝負に意識を集中させる。 『それでは二回戦ンンンッ!! 始めェ!!』 改めて開始の声が響き渡るや否や、純子はキッチンから食材広場へとダッシュをする。 先に執り行われたアシュラマンレディと龍河弾の一戦からも察せられるよう、開始直後の食材選びは、勝負の明暗を大きく分ける。 いかに早く、そしていかに相手よりも新鮮な素材を集められるかということもまた、この戦いの重要なファクターであるのだ。 しかし――食材調達の最中、純子はその異変に気付く。 ――蛇蝎……あいつ、何をしている? それこそは誰でもない、対戦相手である蛇蝎の挙動であった。 食材選びに余念がない純子とは裏腹に――蛇蝎は動かない。 開始前と変わらぬ腕組みの姿勢のまま、蛇蝎は自キッチンに佇み続けるのみであった。 ――出遅れた、という感じでもない。何か考えがあるのか? その動向に注意を払いつつも、純子は己の食材選択を終えるとキッチンに戻る。 ――ともあれ、私は私で全力を尽くさせてもらうまでだ。 今はあいつのことなんてどうでもいい かくして腕まくりに、そして髪を纏めて身支度をすると、純子は烈火のごとく調理に取り掛かった。 調達してきた食材は、ジャガイモ・人参・たんねぎの野菜三種に、肉と白滝。そしてさらには白菜キムチが一缶。 手早く皮をむいて下準備をした野菜と肉を炒めていくとともに、同時進行で白滝のアク抜きを始める。 肉に火が通りその色合いが褐色に変わる頃、純子はアク抜きの完了した白滝もまた投入し、調味料を加えていく。 割り下となる調味料は醤油とみりんをメインに、さらには酒・ごく少量のしょうがとニンニク、そして砂糖を一さじ加えた。 立ちこめる甘い匂いのそれは肉じゃがのそれである。しかしながら「肉じゃが」だけで留まらないのが純子流だ。具材全体に味が染みわたり始めた頃合いを見計ると、純子はそこへキムチも投入した。 言うなればこれは、「豚キムチ」と「肉じゃが」の折衷と言うべき料理である。醤油と同量のみりんで充分に甘くなった割り下をさらに砂糖で甘く整えたのには、後に投入されるキムチの辛みと中和させる目的があるからだった。 「――よし。あとはこのまま煮込んで煮締めればいい」 もはや九割方料理を完成させて純子は鼻を鳴らす。 そしてその時になって、再び純子は蛇蝎を見る。 そこには――開始前と全く変わらぬ姿勢の蛇蝎がいた。 変化のないキッチン上と微動だにしない蛇蝎。調理が行われた形跡は全く見られない。 ――何を考えてるんだ、アイツは? 持ち時間だってもう10分を切った。 今からじゃ調理したって間に合わない そんな蛇蝎の思惑が全く読めない純子は、ただ彼の人のエキセントリックさに首をひねるばかりであった。 そして純子の料理が仕上がろうとしたその時―― 「……そろそろ、か」 蛇蝎が呟く――事件は、起こった。 『もはや六谷選手の独走状態です!! このまま勝負は――え? ……あ、はい……はい……ッこ、ここで緊急報道いたします!!』 立て板に水とばかりに二人の勝負を実況していた赤穂の声が、明らかに緊張を含んだ別のものへと変わった。 『えー、先ほどラルヴァと思わしき巨大生物が双葉学園前駅を襲撃したとのことです!』 「な、なんだとッ!?」 その赤穂の声に眼を剥いたのは誰でもない純子であった。 そんな赤穂の速報と並列して、同会場に設置された大型ビジョンには現在の駅周辺の状況が映し出される。 目の前の光景に誰もが息を飲んだ。映し出されるそこにはジェットコースターのレールのよう逆さに丸く湾曲させられた線路軌条が映し出されたからであった。 『幸いにも怪我人や脱線事故はなかった模様です。しかしながら鉄道交通は完全に機能を停止しており、駅周辺では混乱が生じているようです!』 次いで報告される赤穂の報道に続いて映し出されたものは、イモ洗いに込み合う学園前駅ホームの様子と、そして詰め寄る乗客に対応しかねている鉄道員・小松ゆうなの姿であった。 「小松ァ! 何やってんだ!! 本社に連絡を取って臨時バスの用意とその案内をしろ!」 すでに混乱の極みから泣きが入り始めている後輩同僚の様子につい熱くなる純子。 そんな純子を前に、 「……そういうあんたは、ここで料理大会などに興じている場合か?」 開始から初めて――蛇蝎が純子へと声をかけた。 重く抑えられてはいながらも高く通るその声。さながらコントラバスの弦を一本、引き弾いたかのよう重みを持った蛇蝎の声が純子を捕らえる。 「あの小松なる鉄道員では、この状況を乗り越えることは叶うまい。それをあんたは見過ごすというのかな?」 「くッ……!」 「あんたの職務における責任と誇りとは、この程度のものなのか?」 語りかけてくる蛇蝎と視線が合う。 顎をかしげ、捻らせた視軸を見上げるように向けてくるその様はさながら、蛇が獲物に狙いをつけんと鎌首をひねる姿まさにそのものであった。 そしてこの時になって、純子は悟る。 純子の眼は――全てを見抜いた。 風紀委員時代にはタバコを隠し持つ生徒を見抜き、そして鉄道員となってからはキセル乗車の乗客を漏れなく見抜いた純子の眼(ほんのう)は――一連の事件の犯人が誰でもないこの、目の前の蛇蝎(おとこ)であることを告げていた。 「お前、か……ッ!」 こみ上げる怒りに身を震わせる。一方ではそんな視線を受けながらも、蛇蝎は止水のごとく動じない。 やがてはそんな蛇蝎を見据えていた視線を振り切ると、 「……このままで済むと思うなよ。いつか、落とし前は付けさせるッ」 純子は怒りに震える声でそれだけを振り絞ると――後は放たれた矢のごとく会場を後にするのであった。 『あ、あぁ!? ど、どうしました六谷選手ッ? まだ試合が終わっていませんよ!!』 一方、そんな純子の行動に慌てふためいたのは実況・赤穂である。その言葉の通り、試合途中での純子の退場に対応しかねてなんとも狼狽した声を上げる。 そんな赤穂に応えたのは、 「どうもこうもない。向こうは棄権退場、勝負は決したのだ」 誰でもない蛇蝎であった。 『し、勝負あり……ですか? あ。そ、それでは蛇蝎選手の料理だけでも審査員席へお願いします』 そうして蛇蝎の応えに何とか対応しようとする赤穂であるが、 「私の勝利が決まった以上、もはや私の料理などは必要あるまい」 冷静に答えながら蛇蝎は純子のキッチンへと歩を進める。 さらには依然として火にかかったままである鍋に目を落とすと、蛇蝎はその中で良い頃合いに煮転がったジャガイモを一摘み取り上げる。 そしてそれを口に放り、咀嚼後に飲み込んで鼻を一つ鳴らしたかと思うと、 「終了だ」 さも退屈げに呟き――コンロのスイッチを消すのであった。 【 一回戦第二試合 】 ○ 蛇蝎兇次郎 [20分20秒・棄権退場] 六谷純子 × 【 第一回戦第三試合・拍手敬VS笑乃坂導花 】 大料理闘技場にて六谷純子と蛇蝎兇次郎との一戦が行われていたその頃――会場から遠く離れた、学園校舎最果ての女子トイレに笑乃坂導花は、居た。 洗面化粧台を前に何やら黙々と作業をこなす彼女――正面の化粧鏡に映るその表情はどこまでも無表情で、端麗な目鼻立ちゆえにそんな表情の欠落は、なんとも彼女の面立ちを造り物めいた冷たさに満たしている。 そんな導花が先ほどより執り行っている行為――それこそはハッピータンをセラフィン紙から取り出し、その粉・ハッピーパウダーを油紙の上に集める作業それであった。 慎重に、まるで爆薬でも扱うかのよう彼女の白い指先は丁寧にその粉を集めていく。やがては二袋分・40個分のハッピーパウダーを集め終わると導花は次なる作業に移る。 取り出したるは500mlサイズのビーカーとチョコレート各種。今度はビーカーの中にそれらチョコレートをばらしていく。 マーブルチョコ・チョコボール・ごえんチョコ・チロルチョコ・タカオカいちごむぎ……それらをビーカーの口きりいっぱいまで満たし、導花は次なる作業に移る。 続いては1000mlサイズの三角フラスコ。そこへファンタグレープを注ぐ。その後もドクターペッパー・カルピス・なっちゃん(りんご)・マミー・野菜生活・牛乳、を次々と投入し――見るも毒々しい液体をそこに造り出した。 それら三種を前にしてようやく手の動きを止める導花。それを見下ろす表情はこれらを取り分ける作業をしていた時と微塵も変わらない。 やがてはそんな面持ちのまま――導花は最初に解したハッピーパウダーの油紙を慎重に持ち上げ、それを開いた口中に流し込んだ。 おそらく口内には、過度の塩分とそして糖質による過剰反応で大量の唾液が分泌されていることであろう。それでも導花は眉ひとつ動かすことなくそれを口中に留めると、続いてはチョコの満載されたビーカーを手に取る。 そして水でも煽るかのようその淵に口をつけたかと思うと、今度はそのチョコを一気に流し込んでいく。 時折咀嚼しながらそれを食していく導花。それら全て完食すると、最後にジュース各種がミックスされた三角フラスコを取り、まだチョコとハッピーパウダーの残る口内へと流し込んで――全てを飲み下していく。 一口ごとに口中から逃げた気泡がフラスコ内の液体をごぼりごぼりと泡立てる。そうしてそれすらもすべて飲み干すと、導花は俯けていた顔を上げ、正面の鏡に映った己を確認する。 無表情に見守り続ける導花のこめかみに、目視できるほどに大きく血管が浮き上がる。数種にわたる駄菓子の過剰摂取により、導花の体内では今、想像を絶する化学反応が起こっていた。 血流は速まり、瞳孔は闇に蠢く猫科動物のごとく大きく肥大して広がる。額やこめかみ、さらには前頭全体に浮き上がった血管は一本に留まらず、さながらメロンの筋のよう導花の頭皮顔面を歪めて膨らむ。 傍から見るその様相はもはや、人間の物ではなくなっていた。 それでもしかし――それを見つめる導花の眼は、笑っていた。 その瞳が見据えるものは己が今の姿か、それともそれを超越したさらなる美をそこに見出しているのか……。 全ては闇の中にある。 全ての答えは、導花という闇の中に深く沈み、そして存在している。 ★ ★ ★ 第一回戦も第三試合となる頃には、会場のボルテージも最高潮に達していた。 そんな興奮の坩堝の中、 「へへ、すげーなオイ」 大料理闘技場の中央にて、拍手敬はまんざらでもない様子で鼻を鳴らすのであった。 本来乗りやすく、また祭り好きな柏手である。今日のような大会とあっては、緊張に委縮するどころか、ますます以て自身も発奮し、そして発散させてしまう男なのだ。 「柏木さん! またロクでもないこと考えてるでしょ? 勝負に集中してくださいよッ」 と、そんな悦に入っている拍手を窘めたのは、キッチン後方にてセコンドを務める神楽二礼その人であった。 「馬鹿なこというんじゃねーよ、俺は俺なりに感慨深くなってんだぜ。この晴れ舞台に立てるっつーことに何も感じねーのか、お前は?」 「私は別に出場選手じゃないっすからねー。それよりも、柏手さんにはしっかり優勝してもらって賞金を獲得してもらわないと困りますから」 「んがくっく」 神楽の言葉に途端に柏手は現実に戻されて息を飲む。 柏手は学校に通うその傍らで己が学費を自分で捻出しなければならないほどの苦学生でもあった。働かなければならないその身分ゆえ、柏手には一般の同級生達のような青春時代を過ごすことは許されなかった。 もっとも柏手自体ざっくばらんとした性格であるからそんな己の身の上に嘆くようなことは無かったが、それでも今回の大会の賞金が10億ドルと聞いた時には、胸の奥深くにくすぶる野心に身を震わせた。 10億ドル――日本円にして約1150億円。それだけあれば今までの学費と一生分の生活費はもとより、実家の神社の立て直しだって思いのままだ。さらには世界中の女の子とだって仲良くなれる! あのオッパイこのオッパイ、日本人をはじめとしたアジア人はもとより、ネグロイド・コーカソイド・オーストラロイド・牛、よりどりみどりのオッパイが―― 「――屋台のチャーハンだったら、2億5555万5555杯っすよ」 突如として横から入れられる神楽の茶々に、柏手の中で溢れていたオッパイは途端にチャーハンに姿を変えて四散する。 「このやろ! 急につまんねーこと言うんじゃねー! それにどうやって俺の心の中を覗きこみやがった?」 「覗くも何もオッパイオッパイ漏らしてましたよ。それよりもホラ、対戦相手が来ましたって」 儚い夢からの眼覚めに柏手は大きくため息をつく。そして神楽の指差す対戦側キッチンを望み――そこにて柏手は再び眼を剥いた。 その目に飛び込んできたのは巨大なおっぱいが二つ――今日の対戦相手である笑乃坂導花の姿であった。 うなじから肩甲骨をなぞり、その胸元までが大きく見えるよう艶やかに制服とワイシャツの着肌蹴た胸元には、見るも眩しい乳房が大きくその谷間を覗かせていている。 さらには濡れるような黒髪の前髪をしだらせて、その奥から微笑みを浮かべるとあっては、その怪しいまでの美貌にたちどころに柏手などは魅了されてしまうのであった。 「初めまして、柏手さん。今日はよろしくお願いします」 「お~願いしちゃう、お願いしちゃう♪ おーれ、今日はがんばっちゃうよ~」 柏手と視線を絡ませ、そう柔らかく挨拶をしてくる導花に、一方の柏手はというと猿のよう鼻の下を伸ばしてベロベロ舌舐めずりをするのであった。 「ほらほら、油断しない! 相手は対戦者なんっすから。手とか緩めちゃダメっすよ」 「んいでででででッ、そらないぜー!」 そんな、今にも着ている衣服を脱いで導花にダイブしそうな柏手を神楽はその頬をつねって窘める。 「おっしゃー! テンション上がってきた! あのカワイコちゃんのハート(オッパイ)、しっかりゲットするぜ~」 「勝利ゲットを最優先してくださいっす」 ともあれ、選手双方の準備が整うのを見定めると実況・赤穂により開始の合図が告げられる。 かくして始まる第一回戦第三回戦ではあったがしかし――柏手達はまだ気付かない。 「ふふふふ……お前には二回戦進出どころか、活躍の場すらないよ」 かの妖女・導花の姦計が企まれていることを。 開始とともに柏手・導花の双方は食材広場へと走る。 一足先にたどり着いた柏手がいの一番に手にしたものは――玉ねぎ。それから卵、豚肉、冷や飯の順でチョイスしていく、言わずもがなこの第一回戦において柏木が作ろうとしているものはチャーハンそれである。 もし対戦者である導花が柏手の研究をしてきているというのであるならば、間違いなく彼の『チャーハン潰し』に対して何らかの対処を考えてきているであろう。斯様に手の内を読まれてしまうということは、不利以外の何物でもない。 しかしながらそれでも柏手はチャーハンを選択した。 絶対の自信を持つ料理であるからこそ、そしてこの料理こそが今の己が生き様であるからこそ、柏手はあえて逃げることなくこの料理を選択したのだ。 戦うべき相手は導花だけではない――自分自身も然りだ。 ちゃらんぽらんとした今風の若者ではあるがしかし、そんな柏手の根には確固たる自己を主張する強さが眠っている。 食材広場において各種具材を選択し、キッチンに戻るのもまた同時であった。 ――食材選びは同時……ならば、調理にて挽回する! 中華鍋を火にかけ即座に卵6個を右掌ひとつの中に収めると、指々に挟み込んだそれを瞬く間に割って撹拌していく。 さらには高橋秀樹の剣客劇のよう鮮やかな手並みで包丁を駆ると、大きさも均等に揃えられた玉ねぎのみじん切りが白い山となってまな板の上に作り上げられていくのであった。 ――良いペースだ、さすが俺! このまま、調理記録更新しちまうか? わずかな緊張感が身の動きをいつも以上にシャープにしていた。そんな己の絶好調に我ながら頷いたその時である。 『おぉーっと! 笑乃坂選手が動いたァ―!! 今回先に審査員席へと料理を運んだのは笑乃坂選手だー!!』 「ッ!? な、何だと!」 突如として響き渡る赤穂の実況に思わず柏手は顔を上げる。そうして巡らせる視線の中に導花を捜せば――すでに何らかの料理を盆に載せ、審査員席へと赴いている彼女の姿が視界に入った。 ――開始から5分も経ってねーぞ? 何作りがった? 思わず導花の手にされた料理に凝視し、柏手は審査の様子を見守る。 「お待たせいたしました審査員の皆様方。この勝負、先手はこの私が勤めさせていただきます」 慇懃に審査員席の3人へと頭を垂れて差し出されたものは――雅に盛りつけられた、ハクサイの漬物であった。 「これが……おぬしの料理か?」 そのあまりのシンプルさに審査員長であるところの醒徒会会長・藤神門御鈴などは、それを見下ろして呆気にとられるばかり。 「もちろんこればかりはありませんわ。ここで、最後の仕上げをさせていただきます」 予想通りの反応に微笑みながら、導花は何やら白い粉をそのハクサイの上に振りまぶす。そしてさらにそこへ花カツオをあえて醤油をかけると、それを一同の前へ差し出した。 いかに最後で手が加わったとはいえ、それでも所詮はハクサイの漬物である。やはり、導花の思惑を計り損ねて首をかしげる一同は、半信半疑にその料理を口に運んだ。 そしてその一口目を噛み締めた瞬間―― 「おぉ!」 「これは、すごい」 口中に広がるのその味わいに先の御鈴はもとより、審査員の一人である成宮金太郎もまた思わず声を上げた。 奥歯にてそれを噛み締めた瞬間、わずかに苦みを含んだハクサイの果汁が弾けると同時、口の中には得も言えぬ深い味わいが広がった。 それこそは単純な甘みでありそして複雑な辛みであり、さらには鰹節の風味が加わってとあっては、見た目以上の味のインパクトを金太郎達に覚えさせるのであった。 そんな審査員達の反応に内心でほくそ笑む導花。さらに攻める手を緩めない。 「今回は二品用意してございます。続いては、こちらをお試しくださいな」 さらに出されたものは、四辺に切り分けられ盛りつけられたゆで卵。それを進めながら、やはり導花は先ほど同様の『白い粉』を振りかけ、その上に紅ショウガを添えた。 それを同じくに実食し、 「これまた何と鮮烈な!」 「こんなにも卵って甘いもんだったのか?」 またも御鈴と金太郎は驚きに目を剥いた。 紅ショウガの酸味と辛みとが、卵の黄身の甘味を引き立て、さらにはしょうがの繊維質の食感を加えさせるより印象的に白身の食感も演出している。 「こちらのお兄さんには私がお世話させていただきますわ」 一方で導花はというと、前回からロープで踏ん縛られている審査員・早瀬速人の前に立ち己の巨乳の谷間に挟み込んだゆで卵を彼の顔に近づける。 「たんと……おあがりなさいな」 「うはー、これこれ―!! ようやく俺にも無敵の未来が見えてきたよーッ♪」 卵と言うよりはむしろ、彼女の胸に食いつく速人を胸に――導花は完全なる勝利を確信してほくそ笑む。 「なにアレ? まさか色仕掛けで勝とうって気なの? あんなの料理の味には反映されないっすよ。柏手さん、とっとと引導渡してやりましょ?」 それをセコンド席から見守っていた神楽などは、その導花のあまりのあざとさに、あからさまな嫌悪を表しているようであった。 そして気にせず調理の続行を柏手に促す神楽は―― 「か、柏手さんッ?」 そこにて何時になく真剣に、そして強く眉元をこわばらせる柏手の表情に息を飲んだ。 「アイツ……やりやがった」 「え? やりやがったって――ただの漬物とゆで卵っすよ?」 神楽には柏手の表情の意味が判らない。そしてそんな柏手の表情を、一方の審査員席から確認した導花は――これ以上になく勝利を確信した笑みを浮かべた。 漬物とゆで卵。そんな料理とも言えないような品目で勝負を挑んできた導花の思惑とはすなわち―― 「あの女、審査員の味覚を壊しやがった」 柏手のつぶやき、まさにそれであった。 「味覚を壊すぅ? ハクサイと卵がなんでそんな?」 「食材に仕掛けはねぇ。問題はその直前に振りまぶした粉――化学調味料さ」 柏手はそのカラクリを説明していく。 導花の思惑とはハクサイと卵を食べさせることではなく、化学調味料で口中を支配することにより一切の味覚を壊してしまうことにあった。 最初の科学調味料は漬物の果汁に乗ることで口中の隅々にまで行きわたり、さらには二品目となる卵の黄身と合わさることで、さらに頬の内側や歯間に定着する。そうとなってはもはや何を食べようとも、まともな味覚などは審査員の脳に伝わらないのだ。 「人間のベロにゃ『舌苔(ぜったい)』っつー、味を確かめる器官がある。それは無数に並んだ味覚の穴に物質が触れることで味を確認させる訳だが……今の審査員の口の中のそれは、あいつの化学調味料のせいで塞がれちまってまともに機能しなくなっちまってるんだよ」 「なら、食べる前に口とかゆすいでもらえばいいじゃないですか」 「ゆすいだ程度で取れるようなもんじゃねぇよ」 「だ、だったら柏手さんも化学調味料で対抗すればいいんですよ! あの女以上に濃く味付けしてやればきっと――」 「同じ種類の物質じゃどんなんに量増やしたって意味ねーよ。この作戦は先手を取られた時点で負けなんだ。それに――そんな化学調味料まみれの料理なんか、俺は人間に対して食わせようとは思わねぇ」 もはや絶望的と思われた状況――誰しもが敗北を疑わない状況ではあるがしかし、 「今から間に合うか……? まさか、『コレ』をこんな形で使う羽目になろうとはな」 しかし、柏手は諦めない。 塩チャーハンを作る傍ら、今回自分で持ち込んだ『ある食材』を詰めん込んだタッパを取り出すと、そこから取り出したそれにて新たな料理を作りだす。 ――ふふふ、せいぜい足掻くことだねぇ。もはや、どんな料理を作ろうと、 こいつらの味覚はまともに反応しやしないさ。お前はその哀れさで、 私を喜ばせるだけなのさ。 最後の最後まで希望を捨てぬそんな柏手を審査員席から見下ろしながら、導花は胸に抱いた速人を猫のようあやしながらほくそ笑む。 かくして柏手の料理も完成を果たす。 そして導花に遅れること実に七分――柏手は自身の作ったそれを審査員達の前に並べた。 と――その後の試合内容を、当時アナウンサーとしてにて実況していた赤穂永矩(高等部一年生)は後にこう述懐している。 「まぁ普通ならね、笑乃坂選手のあの料理が出された時点で『勝負あり』ですよ。柏手選手も言ってましたけど、化学調味料による味覚破壊って想像以上に恐ろしいもんなんです。『チャイナレストラン・シンドローム』って知ってますか? 中華料理を食べた後に体調を崩してしまう現象のことをいうものなんですがね、それこそ化学調味料の過剰摂取によって引き起こされる現象なんです」 ならばもう導花の勝利は揺るがなかった訳か、とインタビュアーはその時の赤穂に同調する。この話を聞くに至ってはもう、ここからの柏手の逆転など予想もつかなかったからだ。 しかし、 「えぇ? 『柏木で選手が負ける』ですって?」 そんなインタビュアーの声に、赤穂はさも驚いたよう眼を丸く聞き返した。そして乗り出させていた体をソファーに沈め、どこか困ったよう唸ったかと思うと、 「いやいや、あなた。あなたは『柏手敬』と言う男のことを何も判っちゃいない」 頭を掻きながら、そんな言葉を返してくるのであった。 「最初に言ったでしょ? 『普通なら』って。あの柏木選手に関しては、『普通』なんて言葉や概念なんか当てはまらないんですよ」 次から次へと話の内容が変わる展開にインタビュアーは混乱を隠しきれない。 ならば勝利の行方はどうなったというのだ? まさか―― 「そうです。あの一戦、見事に柏木選手が勝ちを納めているんですよ」 そんなインタビュアーの困惑を楽しむかのよう、赤穂はあの結末の詳細を語りだした。 「柏木選手は結局、あの一戦において『麻婆豆腐チャーハン』で勝負を挑んできたんです。しかもその麻婆豆腐っていうのがですね――ふふふ、『杏仁豆腐』を豆腐に使用した奴だったんです」 赤穂から語られるその料理の正体にインタビュアーは驚きを隠しえない。 なぜならば『杏仁豆腐』と言えば、デザートとして使用される食材であるはずなのだ。それを調理に、ましてや『麻婆豆腐』のそれに使用してくるなど想像すら及ばない。 「まぁ、確かに普通ならばこれほどの邪道料理も無い訳ですよ。しかしですね、審査員の『味覚障害』が起きているこの一戦に限っては、これがとんでもない料理に化けた訳です」 遂に赤穂は全ての核心に至る、柏手の料理の真相について語っていく。 「杏仁豆腐に使われている『杏仁(きょうにん)』っていうのはあんずの種のことで、元は歴とした漢方薬なんです。効能は鎮咳作用と去痰作用ってことで、喉や舌に作用する薬効を持ってる訳ですよ」 得意げに語る赤穂の説明に、インタビュアーもまた真相の片鱗を掴みかける。そしてそれに気付いた赤穂もまた、 「気付いたようですね♪ そうなんです――柏手選手の麻婆豆腐は、審査員の味覚障害を治す効果があった訳です」 遂にはその真相を語り、赤穂は満足げに頷いた。 「しかもね、あの料理の効果はそれだけじゃなかったんですよ。味覚が洗い流されることによって、より柏木選手の料理の味が鮮烈に審査員に届いたんです。皮肉にも笑乃坂選手の料理は、とんだ柏木選手の引き立て役になっちゃったわけです。――もちろんその判定は言うまでもありません。2―1で柏木選手の勝利です。ちなみに笑乃坂選手に一票を入れたのは早瀬審査員だった訳ですが」 事の真相の全てを聞き終えて思わずインタビュアーはため息をつく。なんとも壮絶な戦いだった訳である。 しかしながら疑問はまだあった。 それこそは残された導花のことである。果たして彼女はその勝利を受け入れられたものなのだろうか? そんな疑問を投げかけると、遂には赤穂は笑い出してしまうのだった。 「すいませんスイマセン。いや、ついあの時のことを思い出してしまって♪ ――確かにね、笑乃坂選手は納得しませんでしたよ。それどころか凄い剣幕で怒りだしましてねぇ」 あの導花が? と、インタビュアーは尋ね返す。かねてよりその美貌を知る彼にとって、赤穂の言う『凄い剣幕の導花』など想像できなかったのだ。 「そりゃあもう凄いもんでしたよ。あの石楠花のような端正な顔つきが般若に一変したかと思うと、審査員達を前にして『このウジ虫野郎!』って怒鳴りつけたんですから」 呵々と笑う赤穂とは対称的に、話を聞くインタビュアーはその時の鉄火場を想像して思わず血の気が引く。 「もう、すごい暴れようでね。今まで胸に抱いていた早瀬審査員の顔に爪を立てて八つ裂きにしたかと思うと、今度は御鈴会長に躍りかかったんです。――その時、そんな笑乃坂選手の前に立ったのが、これまた対戦相手であった柏手選手だった訳です」 いったい柏手は、どのようにこの状況に対処したのだろう? 双葉学園に通う以上、彼とて何らかしらの異能者ではあるはずだが、それでも彼が女性に対して暴力をふるう姿は想像できなかった。 「もっとも、柏手選手も暴力で対抗した訳じゃないんです。荒ぶる笑乃坂選手の前にね、自分の作ったあのチャーハンを差し出したんですよ。『自分の舌でたしかみてみろ』って」 『たしかみてみろ』ですか? 「公衆面前の前でしたから緊張してたんでしょうね。噛んじゃったみたいです。――ともあれ、笑乃坂選手もそれを口に含んだんです。そしたらその瞬間――彼女、気絶しちゃったんですよ」 赤穂の説明する展開についていけずに首をかしげるインタビュアー。なぜチャーハンを食べた程度でそうなるのかが判らない。 「さっきも言ったでしょ? 柏木選手のあの料理は味覚破壊が進んでいるほど効果がある訳です。そしてかくいう笑乃坂選手は自他共に認める『ハッピータンユーザー』……すなわちはこの大会において誰よりも『化学調味料に犯された人物』だった訳です」 その瞬間、インタビュアーは全ての真相を知るにいたった。 皮肉にも柏手の料理が一番効果をもたらせたのは、誰も無い対戦相手の導花であったという訳であった。結局のところ、最後の最後において導花は自分自身に敗れてしまったのだ。 かくして第一回戦第三試合は、柏手敬の勝利により幕を納めた訳である。 しかしながらその後、柏木と導花はどうなったのであろう? そんなことを問うインタビュアーに、赤穂はこの日一番の興奮を以て応えたのであった。 「その後なんですけどね、失神した笑乃坂選手を柏木選手が背負って退場したんです。もちろんその光景に会場からは拍手万雷ですよ。でもね、なぜ彼女をおぶったかっていうと柏木選手――笑乃坂選手のオッパイを背中で感じたかったからって言うんですから笑わせてくれるじゃないですか♪ チョット憧れちゃいますね、男として」 【 一回戦第三試合 】 ○ 拍手敬 [10分41秒・麻婆炒飯] 笑乃坂導花 × NEXT BATTLE!! 【第一回戦・第二試合】 山口・デリンジャー・慧海 VS アダムス 【セミファイナル・第一試合】 龍河弾 VS 蛇蝎兇次郎 トップに戻る 作品保管庫に戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2661.html
8ページ目『剣の墓場』 ◆―◇―◆―◇―◆―◇―◆―◇―◆ 前回までのあらすじ 世界中の神姫が、ただのフィギュアになっちゃったみたいです。 なんで? とは聞かないでください。 私だって、キャッツアイを名乗る3バカ神姫に出会うまで、イルミのことをすっかり忘れてしまっていたんです。 かと思いきや、ただのフィギュアから目を覚ましたイルミはすぐにいなくなって、代わりに現れたのは射美と名乗る、私と瓜二つの小さな女の子。 しかも射美ちゃんは、自分は私と弧域くんの子供だと言い張り、押し切られるように私達は一緒に住むことになってしまいました。 何が何やらサッパリなまま、私のことをママと呼ぶ射美ちゃんと一緒に、一晩を過ごすのでした。 ◆―◇―◆―◇―◆―◇―◆―◇―◆ 「天才子役っているじゃない、小さいのにテレビに出てる子。すっごくチヤホヤされて持ち上げられるけど、あたしは子供をドラマに起用するのは無理があると思うの。嫉妬してるんじゃないよ、別に役者さんになりたいとか、思ったことないわけじゃないけど、どうでもいいし。そういう子の演技見てると、すぐ泣けたりするのはすごいけど、台詞は全部棒読みじゃない。しかもヘタに演技しようとして声が不協和音っぽくなってる子までいるし」 「その点、小説なら役者がいらないから大丈夫かなって思ったんだけどね、やっぱり難しいみたい。作家さんが文字を並べるだけだから、特攻服着たヤンキーがしんみりして哲学的なこと言ってたりするんだもん。って、あたしも人のこと言えないかな? 小説家目指してるママなら分かると思うけど、難しいよね」 「『一ノ傘』って苗字も好きなんだけどね、あたし、『雲呑(くものみ)』って苗字に憧れててたんだ。なんか響きがカワイイでしょ、ママもそう思わない? 将来は雲呑って苗字の男の人と結婚しようって考えてたくらいなの」 「でもね、にゃふー知恵袋で聞くと、雲呑って『ワンタン』って読むんだって分かって、すごくショックだったの。あたしのあだ名は絶対『ワンタン麺』に決まっちゃうじゃない。でもワンタン麺って食べたことないんだけど、おいしいのかな? ママは食べたことある?」 「武装神姫で日本一強い人って知ってる? 竹姫葉月っていうお姉さんなんだよ。神姫はアルテミスっていうアーンヴァルなんだけどね、悪い改造した神姫でも簡単にやっつけちゃうんだって。『もう死んでもいいから勝ちたい』って覚悟して違法な改造した神姫でも、全然勝負にならなくてあっさり負けちゃうんだってよ。神姫の世界も世知辛いよね」 「そんなに強い神姫でも、インターネットの対戦でなかなか勝てないところがあるらしいよ。そこに集まる神姫は悪い改造はしてないんだけどね、へんてこな神姫ばっかりなんだって。レーザーで魔法陣を描くシュメッターリングとか、ワープできるバイクに乗ったエストリルとか、12人の神姫を糸で操るクーフランとか、自分は硬い箱にこもったまま毒ガス攻撃するズルいマリーセレスなんてのもいるんだって。聞いてるだけでもすごそうだけど、たぶんその神姫達のバトルって、極端すぎて見ててもあんまり面白くないよね。でも今は世界中の神姫がただのフィギュアになってるから、関係無いか」 慌ただしかった昼間が嘘のように、夜の色に落ち着いた姫乃の部屋。母と娘二人の、布団の中から聞こえてくるおしゃべりは、明け方になるまで続いた。といっても話のほとんどは射美が一方的にしゃべるばかりで、姫乃は専ら相槌をうつだけだったが、射美にとってはかけがえのない時間だった。 ママと同じ布団に入っていれば、悪夢に怯える心配なんてしなくていい。どんな話でも聞いてくれるママがいてくれれば、明日もきっといい一日になる。 射美が信頼を寄せる姫乃と弧域は、最初こそ少し難色を示しても警察に突き出すような心ないことをせず、たとえ様子見であっても、射美のための居場所を作った。愛情を求める子が心安らかにいられる、大切な場所を。 弧域と姫乃の部屋は別れているから「今日はね、う~ん……ママと寝る!」と射美は選んだ。隠し切れないほどのショックを受けた弧域は、射美と明日一緒にお風呂に入ると約束をした。当然姫乃が却下したが。 夕食を弧域の部屋でとり、姫乃の部屋に戻った母子二人、女の子同士の夜は、いつまでもいつまでも、幸福に満ちていた。 結果、姫乃は体調を崩した。 弧域との喧嘩。 心を取り戻した神姫。 そして射美の登場。 それらをたったの数時間の中で経験し、さらに機嫌を持ち直した射美は姫乃と二人でベッドに潜った後も睡魔を尽く退け、姫乃は夜通し娘(仮)の話に付き合う運びとなったのである。 途中で(あ、これ明日はダメかも)と軽い絶望を感じつつも、ついに射美の笑顔を崩すことなく明け方まで耐え切った姫乃は、早くも一人の母としての偉業を成し遂げたと言っても過言ではない。翌朝、体温が38.2度を記録したことからも、いかに姫乃が頑張ったかが伺える。 「ダメだよ、弧域くんはちゃんと学校行かないと。それより、今日の代返お願、ケホッ、ご、ごめん…………う、うん、なんとか大丈夫、かな」 「射美ちゃん? まだ私の横で寝てるよ。寝顔は天使みたい。私達の子供だからね……にはは、冗談よ」 「世話を任せたいのは山々なんだけど、たぶん昼過ぎまで起きないわよ。昨日からず~っとおしゃべりしてたもん。だから3限目の最後の講義が終わったらすぐに帰ってきてくれると嬉しい、かな。射美ちゃんが起きると思うから、二人で下着とか買ってきてくれると……無理? でも私のお下がりってわけにもいかないし……そうそう、頑張ってカワイイのを見繕ってあげてね、パパ」 「じゃあ帰りに風邪薬、お願いね。……うん、弧域くんも風邪をもらってこないように、ね」 通話を切ると、携帯が姫乃の手から枕元に滑り落ちた。拾い直す気も力もない姫乃は射美と自分の布団をかけ直し、目を閉じた。 看病のために学校を休むと弧域が頑なに主張するのは、姫乃が体調を崩す度のことだった。そして姫乃の部屋に入ろうとする弧域と、意地でも禁断の部屋に入らせまいとする姫乃の電話での応酬も、これまたいつも通りである。 普段ならば妥協案として、姫乃が弧域の部屋のベッドを使うことにしている。やつれた顔を見られることにかなりの抵抗があっても、体調を崩した時はどうしても気が弱くなり、独りきりでいることが心細くなってしまうからだ。 隣に射美がいるから寂しくはない、と言えるには言えたが、姫乃にとって射美はあくまで面倒を見るべき子供であり、ましてや自分の看病をさせるなどもっての外である。 すやすやと安らかに眠る少女は、普通ならばこの時間は学校に行く支度を済ませていなければならない。しかし射美にその記憶がない以上、弧域と姫乃は射美を送り出すことすらできないでいる。 (警察に行くのが正しいかどうか分かんないけど、どこかに相談しなくちゃ……身元が分かるまでここにいてもいい、って言えば、射美ちゃんも分かってくれる、よね) やむを得ないとはいえ、子供の大切な時間を自分の部屋に閉じ込めてしまうことに負い目を感じている姫乃は、風邪のせいで射美と始めた家族生活が早くもつまづいたことと相まって、かなり気を滅入らせてしまっていた。 カーテンの外は、昼も雲ひとつ無い青空を約束してくれそうな快晴。ボロアパート前の狭い道を、数分間隔で車が通っていく。そんな外の天気など知ったことではなく、静かに意識をまどろみの中に落としたい姫乃だったが、残念ながら、そうは問屋が卸さない。 何の前触れもなく、カラカラと窓が勝手に開いた。鍵は確かに閉まっていたはずだが、どうやって開錠されたのかは定かではない。カーテンが揺れて、眩しい光と新鮮かつ極寒の冷気が室内に容赦無く入り込む。 自分の空間から外部との繋がりを断ちたい時ほど、狙いすましたように宅配が届いたりセールスマンの襲撃にあいやすくなるものである。姫乃が体調を崩した原因のひとつである迷惑極まりない3匹の来訪はきっと、そういうことだった。 「おんやぁ? ホシはどうやらまだおネムのご様子。ここは一発、ワガハイの寝起きバズーカで目覚めさせてやるってのはどうにゃ」 寝起きバズーカやりたいんだったら静かに入ったらどうなのよ、と少々的外れなことを考える姫乃だった。 2日連続、しかも最悪のタイミングで無断侵入してきたキャッツアイの3匹、カグラ、ホムラ、アマティに対して、姫乃には怒る気力すら持てなかった。しかし、さすがに部屋の中で、小型とはいえ本気でバズーカなど構えられては無視するわけにもいかず、姫乃は渋々話しかけざるを得なかった。 「ゴホッ……お願い、今日はちょっと、静かにしてくれない、かな」 「なんにゃ、起きてたのにゃ。オマエが寝てる間に箪笥の中を物色するイベントとどっちをやろうか迷ったんにゃが、両方無駄になったにゃ。ヒロインを張るにゃら、朝はちょいエロイベントのひとつもこなしてほしいもんにゃ。ところで、そっちのロリはオマエの隠し子かにゃ?」 「そんなこと言ってる場合ですか。姫乃さん死ぬほど体調悪そうですよ」 アマティだけは姫乃の容態にいち早く気付き、気遣おうとする。できるならば部屋に侵入する前に気遣いをしてほしいと思う姫乃だった。 「あの、本当にごめんなさい。また出直します」 「今日の用事は隣室だろう、さっさと済ませて引き上げるぞ」 姫乃の懇願を聞いてか聞かずか、3人はあっさりと引き下がっていった。パタン、と窓が閉まり、部屋に再び平和が戻った。 ほんの短いやりとりではあったが、昨日のことを思えばあの3人が何をやらかしてくれるか分かったものではなく、姫乃の精神がさらにすり減ってしまった。 (あの3人もいなくなったし、弧域くんに……だめね。あの3人、弧域くんのエルを目覚めさせるんだっけ) 昨日、弧域は一度動く武装神姫――キャッツアイの3人を見ても信じようとせず、現実逃避してしまった。そのことを気にかけていた姫乃は、弧域に余計な心配をさせまいとして、今朝の弧域の看病を泣く泣く断ったのだ。弧域にしてみれば射美との顔合わせにより耐性がついていたのだが、事情を知らない弧域と朦朧とした姫乃には知る由もない。 「んん……なぁに? なにか言った?」 姫乃の隣で幸せそうに寝息を立てていた射美が目をこすり、開いた薄目が母親の顔を見つけた。 「あ、ごめん。起こしちゃった、かな」 「にはは。ママ、おはようのチュー」と姫乃のおでこに唇をつけた射美は「あっちぃ!」とすぐに離れた。 「ママ熱々! うわ、顔は真っ赤なのに唇は真っ青だよ!?」 「ごめんね、情けないママで、ケホッ、あんまり近づくと風邪うつっちゃ――」 「大丈夫!? どこも痛くない!? バイキンが悪いの? ママを体内からいじめるバイキンが悪いの? あたしが吸い取ってあげれば治る? じゃあもう一回チュー」 「んむっ!?」 姫乃に待てとすら言わせない電光石火の技だった。瞬きの間に合わされた唇、そこから全身でしがみつくように射美は手足を姫乃の体に回った。 誰もが羨む美少女、瓜二つの母娘がベッドの中でもつれ合う。乱れた髪が朱い頬を流れ、互いのすべてを奪い合うような口づけは、傍目に見れば燃え上がる恋人のそれに近い。 姫乃にとっては勿論、そこに情熱などあったものではない。 弧域にすらされたことがないほど強烈に吸い付かれ、バイキンどころか僅かに残っていた気力を奪い尽くされた姫乃は、もうされるがまま、時折ビクッと全身が硬直する以外は小指の一本すら動かせなかった。 「んむ……んふふ♪」 口づけ、いやもはや吸血に近いそれを続けていくほど、射美の表情は艶を増し、姫乃の表情からは生気が抜けていった。 (もう好きにして……あ、あれ? この感覚……) 無闇矢鱈な射美の愛情表現に快感すら見出し始めた時だった。薄れ行く意識の中で姫乃が覚えた感覚は、つい最近味わったものに似ていた。 ベッドのシーツが湖になったかのような、底へ底へと沈んでいく感覚。確かなものは射美と繋がる唇だけ。 いっそ心中とでも錯覚しようか、二人は暗い場所へと落ちていった。 「うっひゃあ、いきなり目の毒です! ――じゃなくて姫乃さん!? あなたは何が楽しくてまた自ら異空間に飛び込んできたんですか!」 「隣室だったからな。恐らく異空間の発生時、その神姫のマスターであるなしに関わらず、物理的に近い人間も巻き込まれるのだろう」 「ワガハイ、オマエのことを誤解してたにゃ。こんな時まで青少年育成条例に背を向けておんにゃの子に手を出すにゃんて……その意気やヨシ! オマエのただれた趣味はワガハイがメモリー(HDD)に永久保存してやるにゃ!」 パシャパシャと神姫サイズのカメラ(カグラが盗撮のために開発したもの)のシャッターが切られる音に気付いた射美は、あわてて姫乃を解放して立ち上がった。ブカブカの姫乃のパジャマの袖を振り回しての猛抗議である。 「ちょっとー! あたしとママのキスはあたしたちだけの宝物なんだからね! 勝手に撮っちゃダメ!」 「い、今ママって……姫乃さん、イチ神姫として勉強させてもらいました、ごちそうさまです」 「オイ、その姫乃が三途の川で溺死する寸前の顔をしているぞ。大丈夫か」 ホムラに言われ、アマティ、カグラ、それに射美は未だ倒れたままの姫乃の顔を覗き込み、息を呑んだ。 射美が着ているものとは色違いのパジャマのまま、姫乃はフローリングの床に倒れていた。 熱があるのだろう、顔が部分的に赤い。 しかし体力は底をついているのだろう、生気がない。 何か悲しいことがあったのだろう、目は充血して涙が漏れている。 寒いのだろう、鼻水が出放題である。 射美と愛を確かめ合いすぎたのだろう、口元がヨダレまみれである。 キスの最中で舌を噛まれたのだろう、だらしなく覗く舌に歯形がついている。 大学構内ですれ違えば誰もが振り向く、弧域一人のモノとしておくにはあまりに惜しい美貌。「にはは」と見せてくれる笑顔は太陽よりも眩しく光り輝く向日葵のよう。 大学1年の時、学園祭で開かれた美少女コンテストにわけもわからず出場させられ、観客の視線を独占してしまい、横に並んだ諸先輩方に睨まれたことがあった。 それほどである。それほどの面影は、もはやどこにもなかった。 「ママ、涙はいいけど、ハナミズとヨダレはヒロイン的にアウトだよ」 「そういう問題か?」 「しっかりしてください!どこか隅っこに運びましょう、ここは本当に危ないです!」 「せっかくにゃから、このベッドに寝かせたらどうにゃ。ちょっとデカいにゃが」 カグラ達はサッカーコートほどの広さの天井の下にいた。その天井こそベッドの裏面なのだが、たとえ姫乃の体調が良好であったとしても、それが弧域のベッドであると理解するには少し迷ったかもしれない。 ベッドを縦方向に二分して、片側は薄暗く、もう片側は明るい。 薄暗い方に見えるのは、姫乃の部屋にあるものと同じ机や本が散らかった本棚など、弧域の部屋そのものだった。 明るい方はといえば、まず床がフローリングではなく光を反射する色とりどりのタイル敷きだ。そして棚が整然と並んでおり、武装神姫の箱やパーツが陳列されている。姫乃達のいるベッドは、弧域の部屋と、どこかの神姫ショップ店内の中間にあった。 それだけでも異様といえる空間だが、さらにこの空間には特徴といえるモノに溢れている。 「やだ、なにこれ……全部お墓?」 「フン、言われてみれば墓にも見えるな。だがこれらはすべて剣だ」 硬いはずの床から本棚の本、ショップの商品にまで、ベッドの下以外の見える範囲すべてに、乱雑に大小形状様々の剣がびっしり突き立っている。その数は見える範囲だけでも千本を優に超えている。 剣の多くに鍔があり十字に見えるので、射美は西洋風の墓と勘違いしたのだ。あるいはここは、剣そのものの墓場なのかもしれない。 「ここがあの、エルさんの創る世界……なんだかエルさんの印象と違って、不気味ですね」 「にゃんてったってアルトレーネだからにゃ。性根が歪んでるのは想定の範囲内にゃ」 「殴りますよ」 「貴様ら、巫山戯るのはここでお終いだ」 身長以上に柄の長いハンマーを水平に構え、ホムラはフローリングとタイルの境目を跨ぐように立った。その境目の先、ベッドの天井から出たところにいつの間にか現れていたのは、金色の長髪、鉛色のロングコート、そして白く武骨な機械仕掛けの脚が特徴的な、戦乙女型アルトレーネ、エル。 俯いているため前髪が影になり、その表情をうかがい知ることはできない。 彼女も武装神姫ではあるが、ロングコートと脚の機械以外には何も持っていない。空いた両手が、側に突き刺さっている二本の剣を掴む。片方は装飾過多と見える大剣、もう片方は逆にシンプルなロングソード。その二本を構えるでもなく、これからジャグリングでも始めるかのように、真上より少し前方に放り投げた。そしてサッカーのボレーシュートよろしく、落下してきた剣を二本まとめて蹴り放った。 滅茶苦茶な軌道だが、その速さはライフル弾にも匹敵する。 「ぬっ!? うおおおおおおっ!」 飛ぶ剣にホムラはハンマーを合わせた。が、叩き落せたのはロングソードだけで、もう一本はホムラの背後へと飛んでいく。 「にゃほぁあ!? け、剣がいまワガハイの首元を通ったにゃ! 九匹に一鰹節にゃ!」 「まさか九死に一生って言いたかったんですか?」 「アマティの背面だ! 次が来るぞ!」 射美と姫乃を挟んでホムラの反対側にいるアマティは、ホムラの言うことを信じるどころか考えもしなかった。たった今、剣はアマティの正面から飛んできたばかりである。だからアマティは、ホムラが「俺の背面」と言い間違えたものとして、自らの剣を抜いて正面へ躍り出ようとした。 その瞬間、アマティの視界に火花が飛んだ。前のめりに体が倒れそうになり、床に手をついて姫乃を押し潰すことだけは回避できたものの、背中に走る激痛が堪えさせてはくれず、姫乃の隣に崩れ落ちた。 「きゃあっ!? だ、大丈夫……?」 慌てて近寄ろうとする射美を手で制したアマティは、未だ視界が安定しない中、背後を確認する。そこには【やはり、既に誰もいなかった】。 「わけわからんにゃ、アイツはアルトレーネじゃなかったのにゃ!? サイキッカー型が東京の立川以外の町にいるなんて聞いて無いにゃ!」 「アレはテレポートしているわけではない。一度見た神姫の技くらい覚えておけ、剣を周囲に叩きつけて得られる推進力を脚力に加える奴がいただろう」 解説しつつホムラは、再び別の方向から飛来した剣を弾いた。目の焦点を剣に合わせる間に、エルは姿を消してしまう。 「このベッドの上を移動しているのだろう。信じ難いスピードでな」 「アイツ一人に囲まれてるようなもんにゃ、ここにいたら格好の的じゃにゃいか! 早いとこベッドから出るにゃ!」 「だがな、このベッドの下だけ剣がない分、安全だぞ。奴が剣を使い捨てられるのは剣が突き立っている場所だけだからな。それに――」 側面から回転しながら飛んで来た二本の剣を、ホムラ、カグラがそれぞれ弾いた。ホムラは難なく防いだが、カグラは尻餅をついてしまう。 「奴は、この小娘二人を巻き込むことに対して、まったく躊躇を持ち合わせていないらしい」 言いつつホムラはチラリと射美と姫乃を伺った。 姫乃の状態は最悪だった。見て取れるほど体を震えさせ、縮こまってしまい移動どころか立ち上がることすら困難になっている。神姫云々よりも、一刻も早く適切な処置が必要だった。 「射美のパジャマも着てよママ……まだ寒い? ママ、ママ……うわああああああんママ死んじゃやだあああああ……」 上着はキャミソール一枚だけになり、泣きながら姫乃の体を懸命にこすってやっている射美も、動ける状態にはない。 「あ、今ネコ的な勘がビビビッときたにゃ。ほむほむ、ワガハイ達が置かれてる状況は【絶体絶命】じゃにゃいか」 「ホムラと呼べ。貴様はそのネコ的な勘とやらでようやく真っ当な状況判断ができるんだな。しかし今更愚痴も言ってられまい。アマティ、そろそろ起きろ」 「ランキングがなんぼのもんじゃーい!!」と叫びながら、うずくまっていたアマティが飛び上がった。 モード・オブ・アマテラスが発動し、スカート状のアーマーが左右に大きく展開された。先端の鋏のように開閉可能な部分は左右どちらもガッチリと、迫っていた剣を掴んでいる。 「ちょっと私より戦績がいいからってあの戦乙女、図に乗ってんじゃないわよ! つーかロングコートなんか着ちゃった戦乙女が世界のどこにいんのよ! ミ○キーもキングダムハーツでコート着てたって? 知らないわよクソがっ! アルトレーネは、こ、の、装備一式揃えてはじめて戦乙女だっつーの!」 「アマティ、児童ポルノが怯えてるにゃ」 「ああ? 何よ、児童ポルノって」 ほれ、とカグラに指差された射美は、あんまりなあだ名を付けられたことにも構わず、姫乃を覆い隠すように体を広げて抱きつき、まるでチェーンソーを持ったジェイソンに追い詰められたような目でアマティのことを見ている。 コホン、と咳をして気を落ち着けたアマティは、児童ポルノもとい射美に向かってとびっきりの笑顔を作った。 「にぱー☆」 「ひぃっ!?」 頭を抱えてうずくまってしまった射美と笑顔を引きつらせたアマティの間に、修復不能に近い溝ができてしまった。射美にとって長い人生(そんなものが射美にあったかどうかはともかく)の中でもっとも多感な時期である今、【突然豹変する金髪のお姉さん】というトラウマを植えつけたアマティの罪は重い。 「子供に嫌われるのって、結構ヘコむわね……」 「アマティはアマテラスを維持したまま姫乃と射美を守れ。アイツは俺とカグラで狩る」 「倒すならさっさと倒しちゃってよね。これ以上時間をかけて姫乃さんが危なくなったら、私はもっと射美ちゃんに嫌われそうだし」 「ほむほむと一緒にバトるのは久しぶりだにゃあ。二人でこの町のネコ大将を倒した時のことを思い出さにゃいか?」 「二人で? ……ああ、そういえば貴様が漫画を真似て作ったビッグプチマスィーンが自爆したせいで、その場にいた全員が死にかけたんだったな。思い出したら腹が立ってきたぞ、貴様後で――」 「な、なんのことかサッパリ分からないにゃあ。ワガハイとほむほむって実はまだ一緒にバトったことがないんじゃにゃいか、きっとそうにゃ! よーし今こそコンビネーションのお披露目の時にゃ! あのネコミミのないギュウドンを血祭りにあげてやるにゃー!」 カグラがホムラから逃げるように走りだしたことで、状況が動いた。これまでエルは大雑把にカグラ達の集団を狙って剣を蹴っていたが、今度はベッドの下から外に出ようとするカグラに的を絞った。 「誰もベッドの下から出さないつもりか? フン、確かにこちらに火器持ちはいないからな、一方的な今の状況を崩したくないのか」 ホムラの推理は実はまったく的を射ておらず、エルは単純に集団から外れて目についたものをターゲットとしただけだった。頻繁に位置を変えて遠くから剣を放つのも、エルが考えた戦術ではない。 剣を蹴り飛ばす技を持っていて、いくら使っても使い切れないほどの剣があり、ターゲットが一箇所に固まっていて狙いやすく、遠距離攻撃を想定した神姫の本能として頻繁に回避行動を取る。この4点だけがエルの行動基準になっていた。 アマティ達が最初に姫乃に説明した通り、心を持たないフィギュアの状態から目覚めて異空間に閉じこもる神姫は、それほどまでに正気を失っていた。 なぜ正気を失い、異空間を作り出し、誰彼構わず襲いかかるのかは分からない。しかし、不明確なことが多かろうが推理が外れようが、ホムラにとってそんなことは関係無かった。 「フィギュアになっていたせいか、丁度体がなまっていたところだ。リハビリがてら狩らせてもらうぞ、戦乙女」 カグラは毎度の如く囮の役目を十分に果たしている。ベッドから出ることも忘れ、連続して放たれる剣の弾丸からひたすら逃げ惑っている。 カグラを執拗に狙うあまり、エルはあまりに隙だらけだった。エルに向かって、ホムラは音を立てずに走り出した。 「誰がデコイをやるって言ったにゃ! ワガハイの強靭かつフカフカな肉球は刃物とは相性が悪ぃにゃほぁっ!? い、今モミアゲを持ってかれたにゃ! コレ死ヌマジ死ヌ助ケテほむほむぅ!」 「俺の名はホムラだと言ってるだろォ!」 助走をつけたハンマーのフルスイング、『グレーゾーンメガリス』がエルを真横から撃ち抜いた。 カグラしか見ていなかったエルは、まったく無防備にホムラが持つ最大威力の技を受けてしまった。鈍い打撃音と共に水平に吹っ飛び、床に突き立った剣を数本なぎ倒す。 『グレーゾーンメガリス』はあまりに大振りで隙だらけの技なので、普通のバトルで使用されることはほとんどない。ホムラが覚えている限り、公式ルールのバトルで使用したのは対戦相手が障害物に隠れて出てこなかった時に、その障害物ごと打ち砕いた一度きりだった。 稀に見るクリーンヒットの感触がホムラの両手に伝わる。ピッチャーが投げたストレートをフルスイングで返すような爽快感に、ホムラは顔に出すことなく酔い痴れた。 「ひぇ~ほむほむ超こえぇ~。今のはやりすぎにゃろ、正気に戻る前にジャンク屋行きになっちゃうにゃ。ほむほむは手加減ってものを知らにゃいのか」 「不要な心配だな」 ホムラは剣がなぎ倒されてできた道を走り出した。その先でエルは、カグラの予想に反して、剣を支えにして立ち上がった。 ハンマーが振り下ろされる瞬間、エルは髪を掠るギリギリのタイミングで床を転がることで逃れた。立て続けにホムラが踏みつけようとするのを再び転がって回避し、落ちていた剣を拾ってホムラから距離を取った。 剣を構えたエルは明らかに満身創痍だが、理性を失っているせいか、その戦意は衰えを見せない。 「神姫はあの程度で壊れるほどヤワじゃない。軽装の神姫とはいえ、一撃で沈めるのは不可能だな。しかし、コイツはあと弱パンチ一発といったところだが」 「パンチならワガハイの出番にゃ。見るにゃこの鍛え抜かれた肉球を。プニプニした感触から繰り出される百裂肉球はどんな神姫であろうと癒されるのにゃ」 「癒してどうする」 カグラがシャドーボクシングしながらエルの背後に回り、ホムラと挟み込んだ。 「行くにゃよネコ拳法――『にゃんぷしーろーる Ver.B!』」 「さっさと正気に戻れ――『パワフルメガマン!』」 ホムラは反対側から向かってくるカグラを巻き込むことにいささかの躊躇いもなかった。ウネウネとあまりにキモい動きで迫ってくるカグラが腹立たしかったのもあるが、カグラを気遣ったせいでエルまで仕留め損なっては挟み撃ちの意味が無い。 (神姫は頑丈だが……カグラなら少々壊れたくらいが丁度いいだろう) 柄を短く持つ手に力を込め、渾身の力で打ち出した。ハンマーの重量によりそれは破城槌となり、エルを目覚めさせる気付けの一撃となる。 「うおおおおおおおおおっ!」 「にゃにゃにゃにゃにゃっ!」 なる、はずだった。 「にゃぷぎゅっ!?」 カグラの豚を捻ったような声が聞こえるのと同時、ホムラの頬にプニッとした感触があった。カグラの肉球に殴られたのだ。 ハンマーを顔の中心にめり込ませているのは金髪の戦乙女ではなく、見慣れたケモテック製の猫だった。 エルは二人の間から姿を消していた。 「ワガハイ……こんな役ばっかり……にゃ(がくり)」 ホムラとカグラは長年一緒にいただけあって、息の合ったクロスカウンターは狂いなく互いに決まった。ホムラのハンマーはカグラを完璧に捉えて沈め、カグラの肉球はホムラを少しだけ癒したのだった。 ■キャラ紹介(8) コタマ 【ドールマスター爆誕】 「オイ、誰が3.5頭身の殺虫人形買って来いっつったよ」 十二体もの神姫を操るマシロを参考にして、コタマは自分では武装を身につけず、人形を操ることにしたのだ。 ただし、マシロのようにケンタウロスの胴体でデータ処理の容量を稼ぐことができないため、一度に操れる人形はコタマの両手でそれぞれ一体ずつが限度らしい。 その点については、「少数精鋭のほうがイイに決まってんだろ」とコタマに不満はないらしかった。 兄貴の武装神姫ストックに余りがなかっため、ベースとなる人形を近くのヨドマルカメラまで買いに走り、帰ってきたのがつい先程のこと。 ヨドマルに神姫を連れ込んではならないため、私が二体を適当に見繕ってきた。 でもコタマは私に感謝するどころか、箱に入ったホイホイさんを見るなり喧嘩腰で不満を垂れた。 「大学生にもなって読み書きもできねぇのか? どう見ても『武装神姫』じゃなくて『一撃殺虫!!ホイホイさん』って箱に書いてあるだろうが」 「だって、こっちのほうが可愛いやん」 「可愛いやん、じゃねぇよ! アタシの武装に可愛さとかいらねぇよ!」 「レラカムイからハーモニーグレイスに乗り換えて可愛げを無くしたんやから、せめて武器くらいは可愛くないといかんやろ」 「なんだその意味不明な理屈は! じゃあオマエはアレか、リクルートスーツがゴスロリドレスになっても文句言わねぇんだな?」 「やれやれ……コタマ、遊びとそうじゃないものの区別くらいつけんといかんよ」 「博多湾に沈めてやらぁ!!」 射場の順番待ちをしている間、コタマのことを背比に相談してみた。 背比は武装神姫を持っていないから、相談する相手を間違っているような気もするけど……相談ほど、話しかける口実に適したものはない。 背比は弓掛けをはめた手をニギニギしながら、たいして考えるでもなく答えた。 「そりゃあ、竹さんが悪い」 「なんでよ。だって武装神姫っていっても女の子なんよ。背比は知らんかもしらんけど、フリフリのドレスとか着た神姫もおるんやから。私のコタマだって傘姫が作った修道服着とるし。それやったら武器も可愛いほうがいいやん?」 「そうじゃないから、そのコタマと喧嘩したんだろ?」 そうだった。 またひとつ、背比に頭の悪いところを見せてしまった。 「ホイホイさん返品して、新しいの買い直したほうがいいんじゃないか? 竹さんだってその弓――」 背比が指さしたのは、私が高校の時から使っている『直心Ⅱ』だ。 手入れをあまりしなかったため、大きく歪んでしまっているが、今更ほかの弓を使う気にはなれない。 愛着以上に、この『直心Ⅱ』は弓の道を一緒に歩く相棒なのだ。 ……ああ、そういうことか。 「――を使うのを禁止されて、聞いたこともない弓を渡されたら、相手が範士の爺さんでもキレるだろ」 「うん、キレる。暴れる」 「俺だってキレる。武具ってのはそれくらい愛着がわきやすいものだぜ。だからさ、竹さんに考えがあったとしても、武装くらいはコタマの好きにさせてやろうぜ。ホイホイさん返品して、新しいの買ってやんなきゃな」 「あー……でも、買ってきたホイホイさん、もう兄貴が改造してしまったんよ。どうしよう、お金も無い」 「じゃあせめて、ホイホイさんの見た目とか性能くらいは好きにさせてやらないと」 背比からありがたく頂戴した提案は、今晩さっそく実行することにした。 クレイドルで不貞寝するシスターに、ホイホイさんの写真が載ったチラシとペンを渡した。 「んだよ、アタシは殺虫人形なんざ使わないからな」 「じゃあ、どうしたら使ってくれる?」 「ああ?」と私のことを睨みながらコタマは体を起こした。 その不満タラタラな顔にチラシとペンを突きつけた。 人形の買い直しがダメなら、せめてホイホイさんのデザインを、コタマの思い通りにさせる。 改造は兄貴にやってもらうとして、パーツが必要になれば、ホイホイさんを買ったお金の余りで補うし、それでもダメなら兄貴の持ってるパーツを貰うか、お父さんお母さんにお小遣いを前借りしてもらう。 この竹櫛鉄子、明日から日中の食事をチーズ蒸しパン一個で済ませる覚悟だ。 「いきなり素直になりやがったな。オイ、何を企んでやがる」 「なんも企んでないっての。ちょっと背比にアドバイス貰っただけ」 「またその背比かよ。オマエ、さっさと股開かねぇと他のアマに盗られるぜ」 「バカッ、そ、そんな下品なこと……でも、まだ傘姫とも付き合っとらんはずやし……もう少し仲良くなってからでも……」 葛藤する私を無視したコタマはチラシとペンを奪い取り、写真の中でポーズを取るホイホイさんにサラサラとペンを走らせ、デコレーションしていった。 「隆仁も言ってたけどよ、武装の有効距離を遠近どっちかに特化させちまったらつまんねぇだろ? バトルをジャンケンと勘違いしちゃいけねえ。遠くのカカシはブチ抜く、近くのネズミはブン殴る、ただそれだけだ。人間様と違ってアタシら神姫にはそれができる。唯一、人間様と同じデメリットの【身体は一人一つしかない】をアタシはクリアしちまったんだ。だったら話は簡単だぜ鉄子、コイツらの役割はもう決まったも同然だろ?」 好き勝手に書きすぎて、小学生の教科書の落書きのようになってしまったホイホイさんを、コタマはペンでコンコンと突いた。 一転して上機嫌になったコタマの笑みは、しばらく見ていないものだった。 「仮に名前でもつけとくか。近距離用の人形はファースト、遠距離用はセカンドな。ここからはオマエと隆仁の仕事だぜ。気合入れて、この設計図通りに仕上げてみせろよ」 次ページ『凶刃』 15cm程度の死闘トップへ
https://w.atwiki.jp/schwarze-katze/pages/581.html
太陽と月と星がある 第十五話 どこまでも広がる砂漠の海原、太陽に焼かれ、月に追われ、砂から生まれ、砂に戻る。 照りつける太陽の下、砂塵色のネズミ達。 サバクブッフーに荷物を載せ、先頭を行くのは壮年の男達、次に荷台に乗った体の弱い者と幼い家畜、最後尾に若者が警戒しながら道を進む。 子供は周囲で遊びながら燃料や今夜の食事となる小動物を捕らえ、荷台に載せる。 時々、声に自信のある者が伝統的な歌や、山羊の旅団の歌を口ずさみはじめると、皆は黙ってそれに耳を傾ける。 敵に見つかると困るから、合唱にはならない。 先頭で前を見つめる父さんの尻尾が無いのは町で暇を持て余したネコの魔法で焼かれたから。 荷台で大きなおなかを擦る叔母さんの頬傷は、ヘビの脱走兵に斬られたから。 いつも隣に居た姉さんが居ないのは―――。 欠けた家族同士が寄り集まって、砂漠の隅でひっそりと暮らす。 それがスナネズミ。 二つの月に照らされた砂漠はいつまでも明るいから、みんなで夜通し穴を掘る。 それから天幕を張ると砂色の大きな家ができる。 夜が明ける前に家畜に食事をさせ、周囲を警戒しながら交代でみんなそこで休む。 今回は運がいい。 昔ヘビの村があった所だから地盤が固くて、建物もいくつか残っていた。 恐ろしいものが居ないかどうか、みんなで探検。 大きなケモノいると、祖霊が知らせてくれたから兄さんが弓で追い、伯父さんが短槍でとどめを刺した。 みんなで伯母さんに大急ぎで渡しに行き、神様と祖霊達、最後にケモノにお礼を言ってから捌きはじめる。 今夜はご馳走だ。 一番滋養のある所を怪我人に。 二番目にいい所は戦う人と妊婦に。 肉はそのまま炙り、骨は砕いて香草や穀物と一緒に煮込み、スープになった。 残りは毒消しと合わせて保存食にする。 毛皮はなめして次の行商役が市場へ売りに行けば、代わりに薬やお祝いのお酒が買える。 近くの岩場へ穴蔵作りに行った父さん達も帰ってきた。 今回は運がいい。 岩場の近くでとても高く売れる花が咲いていたから、みんなが覚えるように少し採ってきたと、お爺ちゃんが嬉しそうだ。 ネコの国でも使う、痛み止めやお祭りのときに使う香料になるらしい。 小さな花びらの紫色の鮮やかな花。 いいにおいがする。 夜、お祖母ちゃんの一人から神様の話を聞いた。 あの星神様は、太陽の神様や月の神様よりも弱くて小さいからすぐに姿が見えなくなってしまうけど、一番頑固だからいつも同じ所にいる。 だから迷子になったらそのお星様を探す事。 死んだ良いネズミや、昨日死んだ妹や半月前に死んだ曾爺も従弟一家もみんなそのお星様の所へ行ってるから、心配しなくていい事。 悪い事をすると、星を見つけられずに迷子になって血塗れの美女の姿をしたお化けや、大きな角のオニに食べられるてしまうから気をつけること。 真剣に怯える姿に従姉妹が噴出して、はとこに小突かれる。 誰かが笑い出して、つられてみんな笑った。 * * * * * * * いつもの夕食。 ただ普段と違うのは、チェルがパジャマ姿で、私の方はまだ御飯に手をつけていないって事ぐらいでしょうか。 「はい、あーん」 さじで掬って口元へ運ぶも、上手く食べられず口元を汚してしまいました。 難しい……。 「チェル、もう少しお塩入れる?」 「だいじょうぶ」 熱で潤んだ瞳に頬を上気させ、いつものふわふわの髪の毛は寝癖がついたまま。 関節にも熱があるのか匙を握るのも辛そう。 いつもは常にピコピコしている尻尾や耳も力がなく、心が痛みます。 川遊びから帰ったのが昨日。 今朝になって熱があるのに気がつき、思いつく限りの事はしているのですが……。 なんでもっと早く気がつかなかったんだろう。 帰り道もやけにむずがってたのに。 「無理しないでね」 こっくりと頷く彼女の頭を撫でて、おかゆを口に運びます。 お粥はジャックさんのアドバイスに従って、ニラの親戚みたいな野菜と雑穀、卵が入っています。 ベジタリアンな中華風と言えばいいんでしょうか。 「じゃ、つぎいきますよーあー……」 ……チェル以外の人は、一緒に口開かなくていいです。 ネズミの成長は、ヒトよりほんの少し、早い。 「ネズミって魔力抵抗低いから、あんまり薬使うのも考えモノなんだよねぇーこういう生薬系ならいいんだけど」 そういってジャックさんが懐から取り出したのは、小さな壜に入った緑の粉。 「これは干して潰しただけだから不純物とか多くてさー、効果も緩いからネズミとかキヨちゃんみたいな抵抗低いコにいいわけ」 横のポケットから更に緑色に輝く結晶の入った壜。 「これを精製するとこうなるんだけど、ここまですると手間掛かるから高いし効果覿面過ぎてねぇ~ワリにあわない訳よ。ハイ、もし凄く熱が上がったら飲ませてね」 私は頷いて、緑の粉を受け取り机の上に置くと、代わりに濡らした手拭を手に取りました。 汗ばんだチェルの体をざっと拭き新しい寝巻きに着替えさせ、新しい氷枕を首の下に潜り込ませます。 脱がせた服の後始末をしていると、戸が開かれひょっこりと顔を覗かしたのはふわふわワンコのサフ。 「アフア買って来てくれましたか?」 私の大嫌いなアフアですが、子供には人気のジュースです。 これにレモンと砕いた氷を入れるとかなり飲みやすくなる…とのジャックさん談。 たしかにビタミンたっぷりという感じです。 私は飲まないので味がわかりませんが……。 「あっち置いてきたけどさー、キヨカ甘やかしすぎじゃん?」 なんか、不満そうです。 「病気なんだから、仕方ないでしょう?」 「サフのケモジャバカー」 「チェルは、寝なきゃ駄目」 起き上がろうとしたのを押しとどめ、改めて布団を掛けなおします。 不満そうな表情を浮かべた熱い頬を撫で、汗ばみ始めたおでこにお絞りをのせて……あと、何すればいいんだろう。 「キヨちゃん、オレもなんかちょっと熱っぽいみたい」 全力で倒れこんでくるジャックさんをそのまま床に放置。 私の部屋に毛を散らさないで欲しいものです。 「そうですか、お気をつけてお帰り下さいね」 ああ、そうだ。 お皿洗わないと。 「フサわあぁぁぁぁぁあんっ!!キヨちゃんがいじめるぅーっ」 「キモイ」 全力ですがり付こうとしたジャックさんを一言で切り捨てたサフが私の方を見ました。 「なに?」 「キヨカも無理したら駄目だよ。僕もがっくんもいるんだからね」 そう言って、ぽふぽふな手で私の頬の湿布を軽く撫でるサフ。 ……ちょっと寂しい…いえ、 「ありがと」 サフの眼が丸くなって表情がそのまま固まりました。 ……どこかで見たような表情です。 記憶の中を検索していると、いきなり押し倒されました。 ジャックさんに。 ……重い。 「もうそんな笑顔されたらモッフモフにすぎゃっ」 ジャックさんのうわ言は、そのあとの肉を叩く音で中断されました。 …サフの眼が怖いです。 床の上で蠢きながら私の足にかじりつこうとする手を、抜群のタイミングで踏みつけています。もぐらたたきのようです。 あ、逆に足を引っ張られてサフが転びました。 ジャックさんが馬乗りになってサフの首や脇の下を全力でくすぐりサフが笑い転げています。 バフバフと舞い飛ぶ毛。 二人のはしゃぎっぷりにチェルが参加したそうに、体をもぞもぞさせ始めます。 私が目で制するとチェルはしぶしぶ布団に戻りました。 所でここは私の部屋です。 普段はサフと同じ部屋のチェルですが、今回は私の部屋で寝る事になります。 でないとサフが夜寝れませんからね。 まぁ…それはそれとして……。 「二人とも、今の状況わかってますか?」 ハァハァと舌を口からはみださせたサフの薄青の瞳と、なんとも楽しそうなジャックさんの深緑の瞳がこちらを向き、引き攣りました。 「チェルの具合が悪いって判っています?こんな小さい子が寝込んでいるっていうのに、何考えているんですか?病人の近くでは騒がないって常識ですよね?」 「ハイすみませんすぐ帰ります!!」 「ごめんなさいもうしませんっ!!」 「わかって貰えたなら、結構です」 ……なんで、二人で抱き合って震えているのでしょうか。 * * * * * * * ―― ネズミ ―― 平均寿命80代 矮躯 体力魔力、共に微弱 世界各地で群生 雑食 ……こんだけかい。 私は無言で本をぶん投げました。 使えないにも程があります。 私はヒトですから、ネズミの事を何も知りません。 サフだって、一緒に暮らしているチェルの食べ物の好みや好きな遊びは知っていても、ネズミの事は知りません。 意外と博識なジャックさんだって、一般的な知識以上のことは知りませんし、残念ながら医院にもネズミの患者さんはいません。 残る希望の星は同じ砂漠出身である御主人様だけですが、御主人様はお風呂に入ると一時間以上出てきません。 時折チェルの様子を伺いつつ食器を片付け、明日の朝食の準備を済ませてから、そわそわしながら御主人様を待ちます。 お風呂から出た御主人様は、いつものようにソファーに腰を下ろし尻尾を床に伸ばしました。 すかさず近寄る私に一瞬戸惑ったような表情を浮かべる御主人様。 「珍しい」 ぽつりと洩れた言葉に内心首を捻りつつ尻尾の近くに座ると眉間に皺を寄せて一言。 「どうせなら、こっちに座れ」 ……私はネズミの事を聞きたいだけなんですが。 しぶしぶ隣に座ろうとすると腰に手を回され尻尾の上に乗せられました。 重くないんでしょうか。 いや、そうじゃなくて。 風呂上りの御主人様の鱗は普段より少し柔らかめです。 いやそうじゃなくて。 「ちょっと伺いたい事が」 昨日捻った足首に尻尾が触れて、一瞬体が引き攣った。 「あの、ネズミの知り合いの方、いらっしゃいませんか?」 指でなぞられる背中の擦り傷と、日焼けした肌が少し痛い。 「こっちはもういいか?」 頬の湿布を剥がそうとする指先を押し止めると、不満そうな表情をされました。 「もう治っただろう」 口の中だって切れててまだ痛いのに、ってそうじゃない。 「ネズミの人かネズミに詳しい方、いないんですか?」 「いない」 顔が近過ぎるので咄嗟に口を手で覆うと、眉間に皺が寄りました。 「チェルの身内の方は?」 手を掴まないで下さい。爪が刺さります。 「おい」 尻尾巻きつき過ぎです。服の中にもぐりこんでますよ。判ってますか? 結構、そこ痛いんですけど。 「どかせ」 命令なのでしぶしぶ手を下ろすとかぷりと下唇を噛まれた。 ちらちらと細い舌が這うので、顔を反らす。 汚いから、やめて欲しい。 「知らないなら、結構です」 どうにか尻尾の上から降りて、絡まった指を外した。 御主人様の爪が当たった所が赤く痕がついている。 「失礼します」 エプロンを引っ張られ、バランスを崩してこけた。 ……足痛い。 御主人様が何か声を掛けてきたけど、聞こえないフリをして部屋に戻る事にする。 うろ覚えの知識だけど、昔は子供の死亡率はとても高かった、らしい。 この世界では「風邪で子供が死ぬ」というのは「普通に暮らしていればまず無い」そうですが、 魔法はあるし、魔洸という技術があって、なまじ寿命が長くて体が丈夫なだけに衛生観念には欠ける事の多いこの世界で 「普通」の範疇にネズミが含まれているのか。という疑問があります。 予防注射とか…。 しかもよりにもよって小さな女の子では、病気に対する抵抗力が低いんじゃないかと、思う。 望みの綱だった御主人様は全然頼りにならないし……。 熱いのか、羽散らかされた毛布を拾い上げて畳む。 氷枕はまだ大丈夫、すっかり体温と同じくらいになったお絞りを洗面器に戻して漱いで顔を拭いた。 「おかあさん」 熱で潤んだ眼が苦しい。 「おかあさん、どこ?」 返事が出来なくて、汗ばんだ小さな手をそっと握る。 胸が、詰まる。 「おとうさん」 「二人とも、すぐ帰ってくるから」 私は何でチェルがここに居るのか知らない。 「おかあさん、いなきゃやだ」 チェルは夜中、時々泣いている。 部屋の外に出るのが怖くて蹲っていた私に、不思議そうな顔で話しかけてくれたのはチェルだった。 外に出られないような大雪が続いた日に、彼女は絵本を持って部屋にやって来た。 字が読めずに途方に暮れた私は、うろおぼえのヘンゼルとグレーテルの話しをした。 お菓子の家と、うちに帰れた兄妹の幸せきいて、チェルはとても嬉しそうな顔をした。 私も、それまでとは違う使われ方をされた事が嬉しかった。 無邪気な声で話しかけられるのが楽しくなって、色々な話をした。 それなのに、私は何も知らない。 ネズミの事も、チェルの家族の事も、もっとちゃんと訊けばよかった。 苦しげな息遣いが悲しくて、自分の愚かさが悔しくて私は唇を噛む。 * * * * * * * 太陽も月も居ない薄闇の時間 ネズミ達は祈りを捧げる。 腹でこなれていくケモノの魂が再び地に戻るように 星に昇る前の魂が迷わぬように ――― の光を見失わないように ――― 朝御飯にパンとサラダと目玉焼き、ついでに人参を炒めて添えた。 御主人様好みの苦くて濃いコーヒー、サフにはグラスにミルク。 リンゴより大きくて青い色をしたスモモをナイフを添えてテーブルにセットしてから次は洗濯物。 「キヨカ御飯は?」 「先どうぞ。私、今日お休みだから」 チェルが寝てる間に終わらせておきたい。 洗濯籠に濡れた衣類を詰め込んでいると背後からやってきたサフはまだ何か言いたげな表情です。 「チェルまだ寝てるし、あとであの子と食べるから大丈夫」 どうせ食欲ないし。 そういうと、更に複雑そうな表情になるサフ。 もしかしたら、ちょっと言い方が素っ気無かったかもしれない。今度は気をつけよう。 今日も夏らしく晴れているから、洗濯物がすぐ乾きそうだと思いながらベランダに干していると腰を撫でられ、驚いて振り返ると出勤準備を整えた御主人様(トカゲ男)。 「行ってくる」 「お気をつけて」 そう返して再び洗濯物を干す作業へ。 なにせ昨日サボった分、大量にありますから一回では終わりません。 チェルもお粥ばかりじゃ飽きるだろうから、何か考えないと。 籠の分が終わったので戻ろうとしたらまだ御主人様が立っていました。 「遅刻しますよ」 放置しそのまま作業を続けていると、何故かついてくる御主人様。 「何か」 「行ってくる」 「いってらっしゃい」 リンゴは今の時期季節じゃないから…スイカ…はおなか冷やしそうだから駄目かなー…買い物ついでにジャックさんに聞いてみようかな。 顔を上げると御主人様の顔がなんだか物凄く近かったので手でそっと逸らし、私はその横をすり抜けました。 遅刻するって言ってるのに、何考えているのでしょうか。 「キヨカー」 「はい、あーん」 「あーんっ」 私の隣に座り、ぺったりと体を寄り添わすパジャマ姿のチェル。 少し良くなったのか、昨日ほど辛くはなさそうですが油断禁物です。 一口サイズの卵焼きを口に運ぶとチェルがびっくりした顔になりました。 「たまご甘いよ?」 「嫌い?」 「すきー!」 そういえば、初めてお汁粉作った時もこんな感じでした。 こちらでは豆とか卵は塩で味付けるのが基本みたいなので、意表をついたようです。 それにしても、チェルは何でも食べてくれるのでこちらとしても作り甲斐があります。 猫舌だからあまり食べてくれない御主人様や好き嫌いの多いサフやベジタリアンなジャックさんとは雲泥の差です。 みんな見習うべき。 「おはしって、使いにくいよね」 「練習すれば、出来るようになるから」 私の箸をじっと見つめてるチェルに行儀悪いのですが、ハムをつまんだまま目の前でくるくると回して見せてから口元へ運びます。 「あーん」 頬を膨らませ、毛の生えた細い尻尾を震わせて食べている姿を見るとこちらまで嬉しくなります。 「美味しい?」 「おいしい」 「もうちょっと、食べる?」 「食べるー!」 食欲も出てきたようで何よりです。 「あとで買い物行ってくるけど、一人で留守番できる?」 「ちーね、プリン食べたいな」 耳をパタパタさせておねだりしてくる姿があまりに微笑ましくて思わず笑みが零れます。 良くなって、よかった。 「ちゃんと寝ててね」 「はーいっ」 ……右手を上げて元気な返事です。 でも昨日あんなに熱出していたんですから油断は禁物……。 「キヨカ、これおかわりー!」 お粥の入ったどんぶりが気がつけば空っぽ……。 え、えっと…… 「あらチェルちゃん熱下がったの、良かったわね」 ほよよんとした雰囲気で優しい言葉を掛けてくれたのは、八百屋の奥さんである茶トラのフューリーさんです。 「ウチの子、ちーちゃんと遊べなくて昨日ふて腐れてたのよ」 フューリーさんの所にはチェルより少し年嵩に見える息子さんがいます。 チェルの遊び友達の一人です。 「私、小さい子の事よく判らなくて……ありがとうございます」 「困ったらいつでもいらっしゃい」 そういってフューリーさんはニコニコと笑いました。 貫禄あるお母さんという感じです。お母さん、生きてたらこんな感じで相談に乗ったりしてくれたんでしょうか…。 「あ」 不意に変な声を上げるフューリーさんに緊張する私。垂耳、ずれたりしてないよね…? 咄嗟に耳を押さえる私の顔をぐっと曲げ、フューリーさんは空の一点を指差しました。 「落ちモノ」 「え?どこですか?え」 「ほら、あっちあっち」 懸命に指された方に目を凝らしても何も見えず、なんだかちょっとがっかり。 フューリーさんは暑いのか僅かに顔に汗をかいています。 「気のせいだったみたいね、ごめんなさいうふふ」 「あー、そうですか」 ……なんなんだろ。 フューリーさんの奇妙な態度に困惑しつつ私は八百屋さんを後にしました。 「今日のお勧めはこの乾麺よ」 作務衣のキツネさんが背後から取り出したのは見紛う事なきうどんです。 「おまけにこの乾し椎茸をつけてくれるなら二つ買います」 「五つならこっちの乾し海老もつけるよ」 「三つ買いますから、こっちの緑豆を一升付けて下さい」 「それじゃこっちが赤字よ」 大袈裟に肩を竦めるキツネさんに背後から現れた丸い耳にふわふわ尻尾が可愛らしい浴衣姿のタヌキの女性が失笑を浮かべています。 この雑貨屋さんは狐国からの輸入品を取り扱う、和食大好きの私としては命綱とも言える大切なお店です。 「そういえば、この前お願いしたおぼろ昆布はどうなりましたか?」 「アレは今、品薄で生産待ちよ。季節モノだから仕方ないよ」 残念。 「キヨカさんは、ウサギなのに好みが変わってるね」 そういいながら豆を枡で量ると布袋に流し入れ、うどん四つと乾し椎茸を差し出すタヌキさん。 「うどん四つにおまけ、毎度ありー」 「わ、ありがとうございますー!」 「ちょ!お前何やってるよ!」 慌てて食って掛かるキツネさんにタヌキさんはどこ吹く風と取り合う様子もありません。 うどん四個分の代金をカウンターに並べ、私が店を出ると背後から響く炸裂音。 ……この国では珍しいものを扱ってるのにお客さんが来ないのは、あの壮絶な夫婦喧嘩のせいなんだろうな……。 さてと、今日はビールを買って帰らないと。 「最近、タイヤキの売れ行きが良くないんスよ」 しみじみと言うのは、ねじり鉢巻の虎縞さん、タイヤキ屋台の店主さんです。 「暑いですからね」 私はそういって、ハンカチで額の汗を拭いました。 鉄板の上ではタイヤキがじゅうじゅうといい音を立てています。 「やっぱり冷たいものがって、みんな思うんじゃないですか」 このタイヤキ屋さんはリクエストに答えてハムマヨやチョコもメニューに加えてくれたいい人です。 ジャックさんによると、メニュー増加に伴って売れ行きが三割増加したとか。 そのせいかわかりませんが、ちょっと焦げてしまったものや、欠けてしまった分をよくおまけでくれたりします。 「ウチはそういうわけにはいかねぇからなァ」 手際よくタイヤキをひっくり返す動作はさすがです。 「餡子の代わりにアイス入れてみたらどうです?タイヤキアイスってありましたけど…」 「皮の熱で溶けちまうでしょ」 カリカリと型をつつくといい色に焼き上がったタイヤキが姿を表わしました。 「大体、アイス屋みたいに冷蔵庫かかえるのもナンですぜ」 確かに、タイヤキ屋さんの1メニューにそんな手間をかけるもの大変です。 「最初に作り貯めしてえーっと…氷晶石と一緒に箱に入れて皮も冷やしておくとか」 氷晶石とは…ドライアイスみたいなものです。ただ、大きさと価格がちょっと使いにくいのが……。 アイスボックスのような軽くて密封できる箱がなく、ビニールで防水出来るわけでもありませんから、これぐらいが限界なんですが…。 「それはアトシャーマでやってんスか?」 私は一瞬息を飲み、必死で頭を回転させました。 アトシャーマは極寒の地らしいです。 そんな所でアイス製品が人気なのかと問われると凄く謎です。食べるのかな、アイス。 コタツでアイスなら判りますけど、どうだろ…でもお風呂上りにアイスとか知らなかったら不幸ですよね、人生損してます。 しかしもしも無かったらジャックさんが口裏を合わす必要があります。 ジャックさんのことです。どこでぼろが出るとも限りません。 「落ちモノの雑誌に載ってたんですよー」 「ほー」 嘘ですが、厳密には嘘ではありません。 私はこっそりと滴る汗を拭いました。 「キヨちゃんは、落ちモノに詳しいスねー」 「ええまあ、以前勉強していましたから……」 まぁ中卒ですけど、ね…。 カキ氷はじめました というのぼりがちらつく喫茶店を横目で眺めつつ、大通りを進む私。 今度、リーィエさん誘ってお茶とかしたいなぁ…試合、まだ行ってないし。御主人様に許可貰ってないけど……。 テラスでは、パラソルの下色鮮やかで涼しげな服装の女性が楽しそうにお茶を楽しんでいる姿が目につきます。 ……いいなぁ。 ちょっと汗で塩っぽい気がする垂耳を撫でようとした瞬間、前方に見えたものに驚愕し、わき道に飛び込む私。 御主人様(トカゲ男)が、背が高くて二等辺三角形な耳にブルネットの髪をした巨乳でデキるオンナって感じの眼鏡スーツ女性となにやら熱心に話しながら歩いています。 尻尾から察するに恐らくイヌ科。 そして反対側には、私よりも小柄で全体的にぷにっとしていそうな体型で、所々はね気味の赤毛ショートの童顔ネコ美人(巨乳)がいます。 思わず身を隠しつつガン見です。 御主人様の背後には三人に隠れてしまい判りませんでしたが、ほっそりとしつつ出る所が出ている黒ネコ女性と、中東っぽいベール姿の女性が……! ベールの人以外、夏らしい涼しそうだったり流行っぽい可愛い服装です。 ていうか、みんな可愛らしいですよね。ベールの人も僅かに見えた目元が涼しげでした。 多分、時間的に同僚の方とか、生徒さんだと思いますけど。 ……思いたいですけど。 …ああっ赤毛の人が御主人様に背後から抱きついてなにやら話しています。ちょっと接近しすぎではありませんか? イヌ科な女性も笑いながら顔を寄せて何か話してます。とても親密な気がします。 ベールの人と黒ネコの人も御主人様の服の裾を両方から引っ張り笑ってます。物凄く楽しそうですね。 ……仲、いいんですね。 五人はそのまま角を曲がり、姿を消しました。 そっちの方は確か、古本屋やよく判らない物をぶら下げた謎のお店がたくさんある、私には縁の無さそうな通りです。 縁がないので私はジャックさんに連れられて一回しか行った事がない通りです。 ……別に、羨ましいわけじゃありませんけど。 何故かさっきよりも重い気がする荷物を持ち直し、私は通りを後にしました。 「ただいまー」 しんと静まり返った家の中。 チェルは寝ているのか、何の物音もしません。 なんだか不安になって荷物もそこそこに寝室に急ぐと、予想通り……。 自分で着替えたのか、出る前とは違う寝巻きになっているものの、それもびっしょりになっています。 思ったより顔色は悪くありませんが、この汗は異様です。 悪いと思いつつそっと体にさわると、ぱちりと目を開くチェル。 「プリンは?」 ……食欲があって何よりです。 今日の晩御飯は冷やしうどん。 たっぷりの薬味に錦糸卵、焼き豚煮、山菜のあえもの、漬物各種と非常に夏らしいチョイスです。 チェルはもうおなかが大丈夫みたいなのでこれにしたのですが、どうやら評判は最悪のようで…… 「フォーク使かって構わないんですが」 必死な男性三人とは対照的に小さなお箸で容赦なくうどんを奪い去るチェル。 「チェル、この漬物も食べてみて。はいあーん」 「あーんっ」 かわいい。 「オレにもーあー」 「お箸使わないと巧くなりませんよ。はいチェルあーん」 「あーんっ」 口一杯に頬張る姿にキュンキュンします。 「キヨちゃん、なんか怒ってる?」 「え?」 ジャックさんの言葉に首を傾げる私。 「なんかタレ黒いよ…体に悪いよコレ」 一本掴んでは逃げられるサフがぐったりした口調で呟きました。 しょうゆと鰹節に昆布で作ったダシですから、結構いい味だと思うんですけど。 「なんかさ…めんしゆ…だっけ?一回食べたアレはもうちょっと透明っぽかったんだけどなぁ…生臭かったけど」 「関西風ですかね?」 諦めたのか、パスタの要領でうどんをフォークに絡め始めるジャックさん。 麺が太いのでやりにくそうです。 きしめんとかの方が、いっそ取りやすいかもしれません。 「でも夏だし、冷たいから食べやすいですよね?」 フォークで麺を突き刺し親の敵のように頬張る御主人様を見ないようにしながら、つつがなく食事は進みました。 砂に混ざる魔素のニオイ 静寂が掻き乱され、誰の声も聴こえない 紫煙に悶える姿に恍惚とした表情を浮かべた―――が――― 具合の良くなったチェルは、寝相が悪いです。 どれ位悪いかというと、寝惚けて蹴りを入れて私をベットから落とすぐらい悪いです。 そして自分も落ちて転がって私の隣に収まるぐらい悪いです。 思わずお餅の様な頬をちょっと引っ張りたくなっても仕方ありません。 ――― 超、プニプニッ!!! ……まぁ、床で寝ればこれ以上落ちる心配はないわけだし。 ベットに置き去りにされた毛布を引っ張り落として掛けると、うにゃうにゃ言いながらチェルがしがみ付いてきました。 爪が腕に刺さります。……痛い。 あくびをしようとしたら御主人様(トカゲ男)に見られ、慌ててかみ殺しました。 ……眠い。 眼を瞬かせ、眠気を振り払おうとしてもそう簡単にはいきません。頭、重い。 「看病は結構だが、二の舞はやめろよ」 「体調管理は、バッチリです」 体壊したら、今度こそ捨てられるかもしれないし。 チェルとサフがもうちょっと大きくなるまでは、傍にいてあげたい。 玄関の前で服装を正す御主人様の前に回り、襟を直す。 「行ってくる」 「お気をつけて」 不意に頬を撫でられて、昨日の光景を思い出した。 「そういえば、赤毛のネコさんとスーツのイヌさん、どちらが好みなんですか?どちらも仲良さそうですよね。でも二股は良くないと思いますよ?」 ぴたりと御主人様の動きが固まる。 なんか、腕が変な位置にありますね。 眼が鬱金色になってます。図星ですか、そうですか…ふぅーん…。 「じゃあ、頑張って下さい。早く行かないと、遅刻してしまいますよ」 動かない御主人様をどうにか押し出して、私は玄関の鍵を閉めた。 「キヨカ、今日はお買い物行かないの?」 掃除する私についてまわるチェル。 本当は、もう外に出ても大丈夫なんだろうけど、昨日の事を考えると不安で仕方ありません。 撫でるとチェルは嬉しそうな顔をします。 多分、……寂しいんだと思う。 この位の歳の子には煩がられるくらい構わなきゃ、だめだ。 その点、御主人様はちょっとダメかも知れません。なんというか、気配りが足らないというか……。 自分で育ててる子なんだから、ちゃんとお父さんらしくしないと。 ヒゲ生やせとは言わないけど、具合悪い時にはお菓子とか、果物とか好きなもの買って来て欲しいものです。 ましてや女の人と……、まあそれは関係ないけど……無いけど……。 昼御飯を済ませると後は特にやる事もなく。 居間でチェルがメロドラマを見ていたので隣に座ってぼんやりとしていると瞼が重くなってきました。 ……まぁ、ちょっとだけ。 TVではドラマのエンドロールが流れていた。 あまり時間が経ったわけではないらしいのですが、隣にいた筈のチェルの姿が見えなくて不安になります。 探しても姿が見つからず、ふと思いついてベットの下を覗き込んでみる。 あの子、こういう所好きだから…と思ったものの、見つかったのは昨日着ていたはずの寝巻き。 ……なんで一日中ウチの中にいたはずなのに、泥だらけなんでしょうか。 よく見れば、ベランダの隅に泥が付いています。 なんだか、物凄い倦怠感が体を占めてきました。 どうやら戸締りの意味を考え直す必要がありそうです。 涼しくなってきた頃、サフが不安そうな眼をして帰宅しました。 「キヨカ…ただいま」 「おかえりなさい。お風呂沸いてるから、入ってね」 最近、サフがどんどん大きくなってきた気がします。大きな手足が体に似合ってきたというべきか。 毛も黒い部分が減り、灰色と白が目立ちます。 「今日、晩御飯なに?」 何故かちょっと怯えた風なので、作り途中の分を見せると凄く安堵した表情になりました、 「じゃあ、もう怒ってないんだ。よかったー」 どういう意味だろうかと首を捻りつつ、出来たばかりのコロッケ(砂漠風)をあげるとサフは足取りも軽く去っていきました。 ……なんなんだろう。 次に帰ってきたのはジャックさんでした。 ジャックさんは私がいないので雑用が増えて大変なのか、ちょっと疲れたような表情です。 背後でごそごそしている小さな影には気がつかないフリをしておきます。 「お口に合うか判りませんけど、この豆、枝豆そっくりの味なんで良かったら試してみて下さい」 冷えたビールに昨日買った緑豆を茹でたものをお皿に盛って差し出すと、何故かサフのように怯えた表情になりました。 僅かに震えた黒くて大きな手が豆を一粒口に運びます。 「あ、意外と美味しい」 意外は余計ですけど。 美味しいという言葉に反応したのか、毛に覆われたほっそりした泥だらけの尻尾がジャックさんの背後からはみ出てふるふると揺れています。 「チェルに食べさせてあげたいですよね」 「そーだねーちーちゃん豆結構好きだしね」 ジャックさんの横からつぶらな瞳がこちらを見ているのは、気がつかないふりをします。 「キヨちゃん、今怒ってない系?」 「怒っていませんよ。自分で汚した所掃除してくれるなら」 「だそうだけど、ちーちゃん」 口の端っこが笑いそうになるのを必死で堪えます。 ジャックさんは爆笑寸前です。 凄い事になっています。 どこでどうやったのか、頭から尻尾の先まで泥だらけ。 床にも点々と泥がついています。 スナネズミじゃなくて、ドロネズミに改名した方がいいんじゃないでしょうか。 「もしかして、昨日は泥落として水拭かないでパジャマ着たの?」 「……うん」 耐え切れずにジャックさんが噴きだし、こちらにまで豆の破片が飛んできました。 絶えるのが辛いくらい、頬が痛いです。 「取り合えず、 サフ お風 呂だから、一緒に 入 って き て」 顔を見たら負けだと思いつつ眼が離せません。 まるでウルトラクイズです。 「次、こういうことしたら、一週間ピーマンサラダだから」 「ごめんなさい」 道化な姿とは正反対の殊勝な返事に耐え切れず、噴きだしてしまいました。 御主人様は普段よりやや遅くなって帰宅しました。 こちらとしても、初めて作る「タブル」(クスクスという小さなパスタを使った料理)や「ナスとトマトと肉の煮込み(砂漠風)」に苦戦していたので丁度良かったわけですが。 「おかえりなさい」 御主人様は玄関を背にしたまま挙動不審な動きです。 「どうかしましたか」 背後から現れたのは、白い箱。お菓子のようです。 「あ、わざわざ買ってきたんですか?!」 驚いて語尾が上ずってしまった。早速受け取ります。これ、ちょっと高いやつです。 なんだ、ちゃんと心配してたんじゃないですか。 「でも、あの子もう全快しちゃって、勝手に遊びに行ってたんですよ。でも喜びますよ。ありがとうございます。また病気になったら今度はもっと早く買ってきてあげて下さいね?」 御主人様口が半開きですよ。…何か言いたい事でもあったんだろうか。 「何か?」 ああとかうんとか言いながら、落ち着かない御主人様。 「ここの所落ち着かなかったのは…心配だったからか?」 「当たり前じゃありませんか」 何を言ってるんだろうか。みんなして奇妙な事を言っています 御主人様は忙しなく細い舌を出し入れし、爬虫類な眼を宙に彷徨わせた。 「やる」 鞄を受け取るために差し出した手に花束を載せられました。 思わず交互に見つめ、相変わらず空ろさを宿した眼を見つめてしまいます。 「誰かに渡そうとしたら、断られたんですか?」 「最初からオマエ用だ」 え、えっと……。 「餞別用?」 背中を寒気が走り、指先が震えるので、握り締めて誤魔化します。 イヌの人かネコの人と上手く行ったから、私はこの家に要らなくなる…のかな。 「何の話だ」 溜息交じりの言葉に安心する。 どうやらイヌの人ともネコの人とも順調というわけではないらしいです。 「御主人様からお花を戴くのは二回目ですね」 理由はわからないけど、ありがたく戴く。 薔薇とカスミソウと知らない花。 顔がにやけて仕方ないので花束に顔を埋める。 御主人様が、私に花だって。 もうちょっと浸ってもいいかな、二度とないだろうし。 ……花だって、私なんかに。 「ねぇーごはんまだー?」 サフの声にはっとして頭を上げると、でこがご主人様のあごに激突して物凄く痛くて涙がでた。 何でそんなに近くにいるんですか、御主人様。
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/541.html
太陽と月と星がある 第十五話 どこまでも広がる砂漠の海原、太陽に焼かれ、月に追われ、砂から生まれ、砂に戻る。 照りつける太陽の下、砂塵色のネズミ達。 サバクブッフーに荷物を載せ、先頭を行くのは壮年の男達、次に荷台に乗った体の弱い者と幼い家畜、最後尾に若者が警戒しながら道を進む。 子供は周囲で遊びながら燃料や今夜の食事となる小動物を捕らえ、荷台に載せる。 時々、声に自信のある者が伝統的な歌や、山羊の旅団の歌を口ずさみはじめると、皆は黙ってそれに耳を傾ける。 敵に見つかると困るから、合唱にはならない。 先頭で前を見つめる父さんの尻尾が無いのは町で暇を持て余したネコの魔法で焼かれたから。 荷台で大きなおなかを擦る叔母さんの頬傷は、ヘビの脱走兵に斬られたから。 いつも隣に居た姉さんが居ないのは―――。 欠けた家族同士が寄り集まって、砂漠の隅でひっそりと暮らす。 それがスナネズミ。 二つの月に照らされた砂漠はいつまでも明るいから、みんなで夜通し穴を掘る。 それから天幕を張ると砂色の大きな家ができる。 夜が明ける前に家畜に食事をさせ、周囲を警戒しながら交代でみんなそこで休む。 今回は運がいい。 昔ヘビの村があった所だから地盤が固くて、建物もいくつか残っていた。 恐ろしいものが居ないかどうか、みんなで探検。 大きなケモノいると、祖霊が知らせてくれたから兄さんが弓で追い、伯父さんが短槍でとどめを刺した。 みんなで伯母さんに大急ぎで渡しに行き、神様と祖霊達、最後にケモノにお礼を言ってから捌きはじめる。 今夜はご馳走だ。 一番滋養のある所を怪我人に。 二番目にいい所は戦う人と妊婦に。 肉はそのまま炙り、骨は砕いて香草や穀物と一緒に煮込み、スープになった。 残りは毒消しと合わせて保存食にする。 毛皮はなめして次の行商役が市場へ売りに行けば、代わりに薬やお祝いのお酒が買える。 近くの岩場へ穴蔵作りに行った父さん達も帰ってきた。 今回は運がいい。 岩場の近くでとても高く売れる花が咲いていたから、みんなが覚えるように少し採ってきたと、お爺ちゃんが嬉しそうだ。 ネコの国でも使う、痛み止めやお祭りのときに使う香料になるらしい。 小さな花びらの紫色の鮮やかな花。 いいにおいがする。 夜、お祖母ちゃんの一人から神様の話を聞いた。 あの星神様は、太陽の神様や月の神様よりも弱くて小さいからすぐに姿が見えなくなってしまうけど、一番頑固だからいつも同じ所にいる。 だから迷子になったらそのお星様を探す事。 死んだ良いネズミや、昨日死んだ妹や半月前に死んだ曾爺も従弟一家もみんなそのお星様の所へ行ってるから、心配しなくていい事。 悪い事をすると、星を見つけられずに迷子になって血塗れの美女の姿をしたお化けや、大きな角のオニに食べられるてしまうから気をつけること。 真剣に怯える姿に従姉妹が噴出して、はとこに小突かれる。 誰かが笑い出して、つられてみんな笑った。 *** いつもの夕食。 ただ普段と違うのは、チェルがパジャマ姿で、私の方はまだ御飯に手をつけていないって事ぐらいでしょうか。 「はい、あーん」 さじで掬って口元へ運ぶも、上手く食べられず口元を汚してしまいました。 難しい……。 「チェル、もう少しお塩入れる?」 「だいじょうぶ」 熱で潤んだ瞳に頬を上気させ、いつものふわふわの髪の毛は寝癖がついたまま。 関節にも熱があるのか匙を握るのも辛そう。 いつもは常にピコピコしている尻尾や耳も力がなく、心が痛みます。 川遊びから帰ったのが昨日。 今朝になって熱があるのに気がつき、思いつく限りの事はしているのですが……。 なんでもっと早く気がつかなかったんだろう。 帰り道もやけにむずがってたのに。 「無理しないでね」 こっくりと頷く彼女の頭を撫でて、おかゆを口に運びます。 お粥はジャックさんのアドバイスに従って、ニラの親戚みたいな野菜と雑穀、卵が入っています。 ベジタリアンな中華風と言えばいいんでしょうか。 「じゃ、つぎいきますよーあー……」 ……チェル以外の人は、一緒に口開かなくていいです。 ネズミの成長は、ヒトよりほんの少し、早い。 「ネズミって魔力抵抗低いから、あんまり薬使うのも考えモノなんだよねぇーこういう生薬系ならいいんだけど」 そういってジャックさんが懐から取り出したのは、小さな壜に入った緑の粉。 「これは干して潰しただけだから不純物とか多くてさー、効果も緩いからネズミとかキヨちゃんみたいな抵抗低いコにいいわけ。もっとも、ネズミの方が丈夫だけどね」 横のポケットから更に緑色に輝く結晶の入った壜。 「これを精製するとこうなるんだけど、ここまですると手間掛かるから高いし効果覿面過ぎてねぇ~ワリにあわない訳よ。ハイ、もし凄く熱が上がったら飲ませてね」 私は頷いて、緑の粉を受け取り机の上に置くと、代わりに濡らした手拭を手に取りました。 汗ばんだチェルの体をざっと拭き新しい寝巻きに着替えさせ、新しい氷枕を首の下に潜り込ませます。 脱がせた服の後始末をしていると、戸が開かれひょっこりと顔を覗かしたのはふわふわワンコのサフ。 「アフア買って来てくれましたか?」 私の大嫌いなアフアですが、子供には人気のジュースです。 これにレモンと砕いた氷を入れるとかなり飲みやすくなる…とのジャックさん談。 たしかにビタミンたっぷりという感じです。 私は飲まないので味がわかりませんが……。 「あっち置いてきたけどさー、キヨカ甘やかしすぎじゃん?」 なんか、不満そうです。 「病気なんだから、仕方ないでしょう?」 「サフのケモジャバカー」 「チェルは、寝なきゃ駄目」 起き上がろうとしたのを押しとどめ、改めて布団を掛けなおします。 不満そうな表情を浮かべた熱い頬を撫で、汗ばみ始めたおでこにお絞りをのせて……あと、何すればいいんだろう。 「キヨちゃん、オレもなんかちょっと熱っぽいみたい」 全力で倒れこんでくるジャックさんをそのまま床に放置。 私の部屋に毛を散らさないで欲しいものです。 「そうですか、お気をつけてお帰り下さいね」 ああ、そうだ。 お皿洗わないと。 「フサわあぁぁぁぁぁあんっ!!キヨちゃんがいじめるぅーっ」 「キモイ」 全力ですがり付こうとしたジャックさんを一言で切り捨てたサフが私の方を見ました。 「なに?」 「キヨカも無理したら駄目だよ。僕もがっくんもいるんだからね」 そう言って、ぽふぽふな手で私の頬の湿布を軽く撫でるサフ。 ……ちょっと寂しい…いえ、 「ありがと」 サフの眼が丸くなって表情がそのまま固まりました。 ……どこかで見たような表情です。 記憶の中を検索していると、いきなり押し倒されました。 ジャックさんに。 ……重い。 「もうそんな笑顔されたらモッフモフにすぎゃっ」 ジャックさんのうわ言は、そのあとの肉を叩く音で中断されました。 …サフの眼が怖いです。 床の上で蠢きながら私の足にかじりつこうとする手を、抜群のタイミングで踏みつけています。もぐらたたきのようです。 あ、逆に足を引っ張られてサフが転びました。 ジャックさんが馬乗りになってサフの首や脇の下を全力でくすぐりサフが笑い転げています。 バフバフと舞い飛ぶ毛。 二人のはしゃぎっぷりにチェルが参加したそうに、体をもぞもぞさせ始めます。 私が目で制するとチェルはしぶしぶ布団に戻りました。 所でここは私の部屋です。 普段はサフと同じ部屋のチェルですが、今回は私の部屋で寝る事になります。 でないとサフが夜寝れませんからね。 まぁ…それはそれとして……。 「二人とも、今の状況わかってますか?」 ハァハァと舌を口からはみださせたサフの薄青の瞳と、なんとも楽しそうなジャックさんの深緑の瞳がこちらを向き、引き攣りました。 「チェルの具合が悪いって判っています?こんな小さい子が寝込んでいるっていうのに、何考えているんですか?病人の近くでは騒がないって常識ですよね?」 「ハイすみませんすぐ帰ります!!」 「ごめんなさいもうしませんっ!!」 「わかって貰えたなら、結構です」 ……なんで、二人で抱き合って震えているのでしょうか。 *** ―― ネズミ ―― 平均寿命80代 矮躯 体力魔力、共に微弱 世界各地で群生 雑食 ……こんだけかい。 私は無言で本をぶん投げました。 使えないにも程があります。 私はヒトですから、ネズミの事を何も知りません。 サフだって、一緒に暮らしているチェルの食べ物の好みや好きな遊びは知っていても、ネズミの事は知りません。 意外と博識なジャックさんだって、一般的な知識以上のことは知りませんし、残念ながら医院にもネズミの患者さんはいません。 残る希望の星は同じ砂漠出身である御主人様だけですが、御主人様はお風呂に入ると一時間以上出てきません。 時折チェルの様子を伺いつつ食器を片付け、明日の朝食の準備を済ませてから、そわそわしながら御主人様を待ちます。 お風呂から出た御主人様は、いつものようにソファーに腰を下ろし尻尾を床に伸ばしました。 すかさず近寄る私に一瞬戸惑ったような表情を浮かべる御主人様。 「珍しい」 ぽつりと洩れた言葉に内心首を捻りつつ尻尾の近くに座ると眉間に皺を寄せて一言。 「どうせなら、こっちに座れ」 ……私はネズミの事を聞きたいだけなんですが。 しぶしぶ隣に座ろうとすると腰に手を回され尻尾の上に乗せられました。 重くないんでしょうか。 いや、そうじゃなくて。 風呂上りの御主人様の鱗は普段より少し柔らかめです。 いやそうじゃなくて。 「ちょっと伺いたい事が」 昨日捻った足首に尻尾が触れて、一瞬体が引き攣った。 「あの、ネズミの知り合いの方、いらっしゃいませんか?」 指でなぞられる背中の擦り傷と、日焼けした肌が少し痛い。 「こっちはもういいか?」 頬の湿布を剥がそうとする指先を押し止めると、不満そうな表情をされました。 「もう治っただろう」 口の中だって切れててまだ痛いのに、ってそうじゃない。 「ネズミの人かネズミに詳しい方、いないんですか?」 「いない」 顔が近過ぎるので咄嗟に口を手で覆うと、眉間に皺が寄りました。 「チェルの身内の方は?」 手を掴まないで下さい。爪が刺さります。 「おい」 尻尾巻きつき過ぎです。服の中にもぐりこんでますよ。判ってますか? 結構、そこ痛いんですけど。 「どかせ」 命令なのでしぶしぶ手を下ろすとかぷりと下唇を噛まれた。 ちらちらと細い舌が這うので、顔を反らす。 汚いから、やめて欲しい。 「知らないなら、結構です」 どうにか尻尾の上から降りて、絡まった指を外した。 御主人様の爪が当たった所が赤く痕がついている。 「失礼します」 エプロンを引っ張られ、バランスを崩してこけた。 ……足痛い。 御主人様が何か声を掛けてきたけど、聞こえないフリをして部屋に戻る事にする。 うろ覚えの知識だけど、昔は子供の死亡率はとても高かった、らしい。 この世界では「風邪で子供が死ぬ」というのは「普通に暮らしていればまず無い」そうですが、 魔法はあるし、魔洸という技術があって、なまじ寿命が長くて体が丈夫なだけに衛生観念には欠ける事の多いこの世界で「普通」の範疇にネズミが含まれているのか。という疑問があります。 予防注射とか……。 しかもよりにもよって小さな女の子では、病気に対する抵抗力が低いんじゃないかと、思う。 望みの綱だった御主人様は全然頼りにならないし……。 熱いのか、羽散らかされた毛布を拾い上げて畳む。 氷枕はまだ大丈夫、すっかり体温と同じくらいになったお絞りを洗面器に戻して漱いで顔を拭いた。 「おかあさん」 熱で潤んだ眼が苦しい。 「おかあさん、どこ?」 返事が出来なくて、汗ばんだ小さな手をそっと握る。 胸が、詰まる。 「おとうさん」 「二人とも、すぐ帰ってくるから」 私は何でチェルがここに居るのか知らない。 「おかあさん、いなきゃやだ」 チェルは夜中、時々泣いている。 部屋の外に出るのが怖くて蹲っていた私に、不思議そうな顔で話しかけてくれたのはチェルだった。 外に出られないような大雪が続いた日に、彼女は絵本を持って部屋にやって来た。 字が読めずに途方に暮れた私は、うろおぼえのヘンゼルとグレーテルの話しをした。 お菓子の家と、うちに帰れた兄妹の幸せきいて、チェルはとても嬉しそうな顔をした。 私も、それまでとは違う使われ方をされた事が嬉しかった。 無邪気な声で話しかけられるのが楽しくなって、色々な話をした。 それなのに、私は何も知らない。 ネズミの事も、チェルの家族の事も、もっとちゃんと訊けばよかった。 苦しげな息遣いが悲しくて、自分の愚かさが悔しくて私は唇を噛む。 *** 太陽も月も居ない薄闇の時間 ネズミ達は祈りを捧げる。 腹でこなれていくケモノの魂が再び地に戻るように 星に昇る前の魂が迷わぬように ――― の光を見失わないように ――― 朝御飯にパンとサラダと目玉焼き、ついでに人参を炒めて添えた。 御主人様好みの苦くて濃いコーヒー、サフにはグラスにミルク。 リンゴより大きくて青い色をしたスモモをナイフを添えてテーブルにセットしてから次は洗濯物。 「キヨカ御飯は?」 「先どうぞ。私、今日お休みだから」 チェルが寝てる間に終わらせておきたい。 洗濯籠に濡れた衣類を詰め込んでいると背後からやってきたサフはまだ何か言いたげな表情です。 「チェルまだ寝てるし、あとであの子と食べるから大丈夫」 どうせ食欲ないし。 そういうと、更に複雑そうな表情になるサフ。 もしかしたら、ちょっと言い方が素っ気無かったかもしれない。今度は気をつけよう。 今日も夏らしく晴れているから、洗濯物がすぐ乾きそうだと思いながらベランダに干していると腰を撫でられ、驚いて振り返ると出勤準備を整えた御主人様(トカゲ男)。 「行ってくる」 「お気をつけて」 そう返して再び洗濯物を干す作業へ。 なにせ昨日サボった分、大量にありますから一回では終わりません。 チェルもお粥ばかりじゃ飽きるだろうから、何か考えないと。 籠の分が終わったので戻ろうとしたらまだ御主人様が立っていました。 「遅刻しますよ」 放置しそのまま作業を続けていると、何故かついてくる御主人様。 「何か」 「行ってくる」 「いってらっしゃい」 リンゴは今の時期季節じゃないから…スイカ…はおなか冷やしそうだから駄目かなー…買い物ついでにジャックさんに聞いてみようかな。 顔を上げると御主人様の顔がなんだか物凄く近かったので手でそっと逸らし、私はその横をすり抜けました。 遅刻するって言ってるのに、何考えているのでしょうか。 「キヨカー」 「はい、あーん」 「あーんっ」 私の隣に座り、ぺったりと体を寄り添わすパジャマ姿のチェル。 少し良くなったのか、昨日ほど辛くはなさそうですが油断禁物です。 一口サイズの卵焼きを口に運ぶとチェルがびっくりした顔になりました。 「たまご甘いよ?」 「嫌い?」 「すきー!」 そういえば、初めてお汁粉作った時もこんな感じでした。 こちらでは豆とか卵は塩で味付けるのが基本みたいなので、意表をついたようです。 それにしても、チェルは何でも食べてくれるのでこちらとしても作り甲斐があります。 猫舌だからあまり食べてくれない御主人様や好き嫌いの多いサフやベジタリアンなジャックさんとは雲泥の差です。 みんな見習うべき。 「おはしって、使いにくいよね」 「練習すれば、出来るようになるから」 私の箸をじっと見つめてるチェルに行儀悪いのですが、ハムをつまんだまま目の前でくるくると回して見せてから口元へ運びます。 「あーん」 頬を膨らませ、毛の生えた細い尻尾を震わせて食べている姿を見るとこちらまで嬉しくなります。 「美味しい?」 「おいしい」 「もうちょっと、食べる?」 「食べるー!」 食欲も出てきたようで何よりです。 「あとで買い物行ってくるけど、一人で留守番できる?」 「ちーね、プリン食べたいな」 耳をパタパタさせておねだりしてくる姿があまりに微笑ましくて思わず笑みが零れます。 良くなって、よかった。 「ちゃんと寝ててね」 「はーいっ」 ……右手を上げて元気な返事です。 でも昨日あんなに熱出していたんですから油断は禁物……。 「キヨカ、これおかわりー!」 お粥の入ったどんぶりが気がつけば空っぽ……。 え、えっと…… 「あらチェルちゃん熱下がったの、良かったわね」 ほよよんとした雰囲気で優しい言葉を掛けてくれたのは、八百屋の奥さんである茶トラのフューリーさんです。 「ウチの子、ちーちゃんと遊べなくて昨日ふて腐れてたのよ」 フューリーさんの所にはチェルより少し年嵩に見える息子さんがいます。 チェルの遊び友達の一人です。 「私、小さい子の事よく判らなくて……ありがとうございます」 「困ったらいつでもいらっしゃい」 そういってフューリーさんはニコニコと笑いました。 貫禄あるお母さんという感じです。お母さん、生きてたらこんな感じで相談に乗ったりしてくれたんでしょうか……。 「あ」 不意に変な声を上げるフューリーさんに緊張する私。垂耳、ずれたりしてないよね…? 咄嗟に耳を押さえる私の顔をぐっと曲げ、フューリーさんは空の一点を指差しました。 「落ちモノ」 「え?どこですか?え」 「ほら、あっちあっち」 懸命に指された方に目を凝らしても何も見えず、なんだかちょっとがっかり。 フューリーさんは暑いのか僅かに顔に汗をかいています。 「気のせいだったみたいね、ごめんなさいうふふ」 「あー、そうですか」 ……なんなんだろ。 フューリーさんの奇妙な態度に困惑しつつ私は八百屋さんを後にしました。 「今日のお勧めはこの乾麺よ」 作務衣のキツネさんが背後から取り出したのは見紛う事なきうどんです。 「おまけにこの乾し椎茸をつけてくれるなら二つ買います」 「五つならこっちの乾し海老もつけるよ」 「三つ買いますから、こっちの緑豆を一升付けて下さい」 「それじゃこっちが赤字よ」 大袈裟に肩を竦めるキツネさんに背後から現れた丸い耳にふわふわ尻尾が可愛らしい浴衣姿のタヌキの女性が失笑を浮かべています。 この雑貨屋さんは狐国からの輸入品を取り扱う、和食大好きの私としては命綱とも言える大切なお店です。 「そういえば、この前お願いしたおぼろ昆布はどうなりましたか?」 「アレは今、品薄で生産待ちよ。季節モノだから仕方ないよ」 残念。 「キヨカさんは、ウサギなのに好みが変わってるね」 そういいながら豆を枡で量ると布袋に流し入れ、うどん四つと乾し椎茸を差し出すタヌキさん。 「うどん四つにおまけ、毎度ありー」 「わ、ありがとうございますー!」 「ちょ!お前何やってるよ!」 慌てて食って掛かるキツネさんにタヌキさんはどこ吹く風と取り合う様子もありません。 うどん四個分の代金をカウンターに並べ、私が店を出ると背後から響く炸裂音。 ……この国では珍しいものを扱ってるのにお客さんが来ないのは、あの壮絶な夫婦喧嘩のせいなんだろうな……。 さてと、今日はビールを買って帰らないと。 「最近、タイヤキの売れ行きが良くないんスよ」 しみじみと言うのは、ねじり鉢巻の虎縞さん、タイヤキ屋台の店主さんです。 「暑いですからね」 私はそういって、ハンカチで額の汗を拭いました。 鉄板の上ではタイヤキがじゅうじゅうといい音を立てています。 「やっぱり冷たいものがって、みんな思うんじゃないですか」 このタイヤキ屋さんはリクエストに答えてハムマヨやチョコもメニューに加えてくれたいい人です。 ジャックさんによると、メニュー増加に伴って売れ行きが三割増加したとか。 そのせいかわかりませんが、ちょっと焦げてしまったものや、欠けてしまった分をよくおまけでくれたりします。 「ウチはそういうわけにはいかねぇからなァ」 手際よくタイヤキをひっくり返す動作はさすがです。 「餡子の代わりにアイス入れてみたらどうです?タイヤキアイスってありましたけど…」 「皮の熱で溶けちまうでしょ」 カリカリと型をつつくといい色に焼き上がったタイヤキが姿を表わしました。 「大体、アイス屋みたいに冷蔵庫かかえるのもナンですぜ」 確かに、タイヤキ屋さんの1メニューにそんな手間をかけるもの大変です。 「最初に作り貯めしてえーっと…氷晶石と一緒に箱に入れておくとか」 氷晶石とは…ドライアイスみたいなものです。ただ、大きさと価格がちょっと使いにくいのが……。 アイスボックスのような軽くて密封できる箱がなく、ビニールで防水出来るわけでもありませんから、これぐらいが限界なんですが…。 「それはアトシャーマでやってんスか?」 私は一瞬息を飲み、必死で頭を回転させました。 アトシャーマは極寒の地らしいです。 そんな所でアイス製品が人気なのかと問われると凄く謎です。食べるのかな、アイス。 コタツでアイスなら判りますけど、どうだろ…でもお風呂上りにアイスとか知らなかったら不幸ですよね、人生損してます。 しかしもしも無かったらジャックさんが口裏を合わす必要があります。 ジャックさんのことです。どこでぼろが出るとも限りません。 「落ちモノの雑誌に載ってたんですよー」 「ほー」 嘘ですが、厳密には嘘ではありません。 私はこっそりと滴る汗を拭いました。 「キヨちゃんは、落ちモノに詳しいスねー」 「ええまあ、以前勉強していましたから……」 まぁ中卒ですけど、ね…。 カキ氷はじめました というのぼりがちらつく喫茶店を横目で眺めつつ、大通りを進む私。 今度、リーィエさん誘ってお茶とかしたいなぁ…試合、まだ行ってないし。 御主人様に許可貰ってないけど……。 テラスでは、パラソルの下色鮮やかで涼しげな服装の女性が楽しそうにお茶を楽しんでいる姿が目につきます。 ……いいなぁ。 ちょっと汗で塩っぽい気がする垂耳を撫でようとした瞬間、前方に見えたものに驚愕し、わき道に飛び込む私。 御主人様(トカゲ男)が、背が高くて二等辺三角形な耳にブルネットの髪をした巨乳でデキるオンナって感じの眼鏡スーツ女性となにやら熱心に話しながら歩いています。 尻尾から察するに恐らくイヌ科。 そして反対側には、私よりも小柄で全体的にぷにっとしていそうな体型で、所々はね気味の赤毛ショートの童顔ネコ美人(巨乳)がいます。 思わず身を隠しつつガン見です。 御主人様の背後には三人に隠れてしまい判りませんでしたが、ほっそりとしつつ出る所が出ている黒ネコ女性と、中東っぽいベール姿の女性が……! ベールの人以外、夏らしい涼しそうだったり流行っぽい可愛い服装です。 ていうか、みんな可愛らしいですよね。ベールの人も僅かに見えた目元が涼しげでした。 多分、時間的に同僚の方とか、生徒さんだと思いますけど。 ……思いたいですけど。 …ああっ赤毛の人が御主人様に背後から抱きついてなにやら話しています。 ちょっと接近しすぎではありませんか? イヌ科な女性も笑いながら顔を寄せて何か話してます。とても親密な気がします。 ベールの人と黒ネコの人も御主人様の服の裾を両方から引っ張り笑ってます。物凄く楽しそうですね。 ……仲、いいんですね。 五人はそのまま角を曲がり、姿を消しました。 そっちの方は確か、古本屋やよく判らない物をぶら下げた謎のお店がたくさんある、私には縁の無さそうな通りです。 縁がないので私はジャックさんに連れられて一回しか行った事がない通りです。 ……別に、羨ましいわけじゃありませんけど。 何故かさっきよりも重い気がする荷物を持ち直し、私は通りを後にしました。 「ただいまー」 しんと静まり返った家の中。 チェルは寝ているのか、何の物音もしません。 なんだか不安になって荷物もそこそこに寝室に急ぐと、予想通り……。 自分で着替えたのか、出る前とは違う寝巻きになっているものの、それもびっしょりになっています。 思ったより顔色は悪くありませんが、この汗は異様です。 悪いと思いつつそっと体にさわると、ぱちりと目を開くチェル。 「プリンは?」 ……食欲があって何よりです。 今日の晩御飯は冷やしうどん。 たっぷりの薬味に錦糸卵、焼き豚煮、山菜のあえもの、漬物各種と非常に夏らしいチョイスです。 チェルはもうおなかが大丈夫みたいなのでこれにしたのですが、どうやら評判は最悪のようで…… 「フォーク使かって構わないんですが」 必死な男性三人とは対照的に小さなお箸で容赦なくうどんを奪い去るチェル。 「チェル、この漬物も食べてみて。はいあーん」 「あーんっ」 かわいい。 「オレにもーあー」 「お箸使わないと巧くなりませんよ。はいチェルあーん」 「あーんっ」 口一杯に頬張る姿にキュンキュンします。 「キヨちゃん、なんか怒ってる?」 「え?」 ジャックさんの言葉に首を傾げる私。 「なんかタレ黒いよ…体に悪いよコレ」 一本掴んでは逃げられるサフがぐったりした口調で呟きました。 しょうゆと鰹節に昆布で作ったダシですから、結構いい味だと思うんですけど。 「なんかさ…めんしゆ…だっけ?一回食べたアレはもうちょっと透明っぽかったんだけどなぁ…生臭かったけど」 「関西風ですかね?」 諦めたのか、パスタの要領でうどんをフォークに絡め始めるジャックさん。 麺が太いのでやりにくそうです。 きしめんとかの方が、いっそ取りやすいかもしれません。 「でも夏だし、冷たいから食べやすいですよね?」 フォークで麺を突き刺し親の敵のように頬張る御主人様を見ないようにしながら、つつがなく食事は進みました。 砂に混ざる魔素のニオイ 静寂が掻き乱され、誰の声も聴こえない 紫煙に悶える姿に恍惚とした表情を浮かべた―――が――― 具合の良くなったチェルは、寝相が悪いです。 どれ位悪いかというと、寝惚けて蹴りを入れて私をベットから落とすぐらい悪いです。 そして自分も落ちて転がって私の隣に収まるぐらい悪いです。 思わずお餅の様な頬をちょっと引っ張りたくなっても仕方ありません。 ――― 超、プニプニッ!!! ……まぁ、床で寝ればこれ以上落ちる心配はないわけだし。 ベットに置き去りにされた毛布を引っ張り落として掛けると、うにゃうにゃ言いながらチェルがしがみ付いてきました。 爪が腕に刺さります。……痛い。 あくびをしようとしたら御主人様(トカゲ男)に見られ、慌ててかみ殺しました。 ……眠い。 眼を瞬かせ、眠気を振り払おうとしてもそう簡単にはいきません。頭、重い。 「看病は結構だが、二の舞はやめろよ」 「体調管理は、バッチリです」 体壊したら、今度こそ捨てられるかもしれないし。 チェルとサフがもうちょっと大きくなるまでは、傍にいてあげたい。 玄関の前で服装を正す御主人様の前に回り、襟を直す。 「行ってくる」 「お気をつけて」 不意に頬を撫でられて、昨日の光景を思い出した。 「そういえば、赤毛のネコさんとスーツのイヌさん、どちらが好みなんですか?どちらも仲良さそうですよね。でも二股は良くないと思いますよ?」 ぴたりと御主人様の動きが固まる。 なんか、腕が変な位置にありますね。 眼が鬱金色になってます。図星ですか、そうですか…ふぅーん…。 「じゃあ、頑張って下さい。早く行かないと、遅刻してしまいますよ」 動かない御主人様をどうにか押し出して、私は玄関の鍵を閉めた。 *** 「キヨカ、今日はお買い物行かないの?」 掃除する私についてまわるチェル。 本当は、もう外に出ても大丈夫なんだろうけど、昨日の事を考えると不安で仕方ありません。 撫でるとチェルは嬉しそうな顔をします。 多分、……寂しいんだと思う。 この位の歳の子には煩がられるくらい構わなきゃ、だめだ。 その点、御主人様はちょっとダメかも知れません。 なんというか、気配りが足らないというか……。 自分で育ててる子なんだから、ちゃんとお父さんらしくしないと。 ヒゲ生やせとは言わないけど、具合悪い時にはお菓子とか、果物とか好きなもの買って来て欲しいものです。 ましてや女の人と……、まあそれは関係ないけど……無いけど……。 昼御飯を済ませると後は特にやる事もなく。 居間でチェルがメロドラマを見ていたので隣に座ってぼんやりとしていると瞼が重くなってきました。 ……まぁ、ちょっとだけ。 TVではドラマのエンドロールが流れていた。 あまり時間が経ったわけではないらしいのですが、隣にいた筈のチェルの姿が見えなくて不安になります。 探しても姿が見つからず、ふと思いついてベットの下を覗き込んでみる。 あの子、こういう所好きだから…と思ったものの、見つかったのは昨日着ていたはずの寝巻き。 ……なんで一日中ウチの中にいたはずなのに、泥だらけなんでしょうか。 よく見れば、ベランダの隅に泥が付いています。 なんだか、物凄い倦怠感が体を占めてきました。 どうやら戸締りの意味を考え直す必要がありそうです。 涼しくなってきた頃、サフが不安そうな眼をして帰宅しました。 「キヨカ…ただいま」 「おかえりなさい。お風呂沸いてるから、入ってね」 最近、サフがどんどん大きくなってきた気がします。 大きな手足が体に似合ってきたというべきか。 毛も黒い部分が減り、灰色と白が目立ちます。 「今日、晩御飯なに?」 何故かちょっと怯えた風なので、作り途中の分を見せると凄く安堵した表情になりました、 「じゃあ、もう怒ってないんだ。よかったー」 どういう意味だろうかと首を捻りつつ、出来たばかりのコロッケ(砂漠風)をあげるとサフは足取りも軽く去っていきました。 ……なんなんだろう。 次に帰ってきたのはジャックさんでした。 ジャックさんは私がいないので雑用が増えて大変なのか、ちょっと疲れたような表情です。 背後でごそごそしている小さな影には気がつかないフリをしておきます。 「お口に合うか判りませんけど、この豆、枝豆そっくりの味なんで良かったら試してみて下さい」 冷えたビールに昨日買った緑豆を茹でたものをお皿に盛って差し出すと、何故かサフのように怯えた表情になりました。 僅かに震えた黒くて大きな手が豆を一粒口に運びます。 「あ、意外と美味しい」 意外は余計ですけど。 美味しいという言葉に反応したのか、毛に覆われたほっそりした泥だらけの尻尾がジャックさんの背後からはみ出てふるふると揺れています。 「チェルに食べさせてあげたいですよね」 「そーだねーちーちゃん豆結構好きだしね」 ジャックさんの横からつぶらな瞳がこちらを見ているのは、気がつかないふりをします。 「キヨちゃん、今怒ってない系?」 「怒っていませんよ。自分で汚した所掃除してくれるなら」 「だそうだけど、ちーちゃん」 口の端っこが笑いそうになるのを必死で堪えます。 ジャックさんは爆笑寸前です。 凄い事になっています。 どこでどうやったのか、頭から尻尾の先まで泥だらけ。 床にも点々と泥がついています。 スナネズミじゃなくて、ドロネズミに改名した方がいいんじゃないでしょうか。 「もしかして、昨日は泥落として水拭かないでパジャマ着たの?」 「……うん」 「昨日もベランダから外でて遊んだの?」 「……うん」 耐え切れずにジャックさんが噴きだし、こちらにまで豆の破片が飛んできました。 絶えるのが辛いくらい、頬が痛いです。 「取り合えず、 サフ お風 呂だから、一緒に 入 って き て」 顔を見たら負けだと思いつつ眼が離せません。 まるでウルトラクイズです。 「次、こういうことしたら、一週間ピーマンサラダだから」 「ごめんなさい」 道化な姿とは正反対の殊勝な返事に耐え切れず、噴きだしてしまいました。 *** 御主人様は普段よりやや遅くなって帰宅しました。 こちらとしても、初めて作る「タブル」(クスクスという小さなパスタを使った料理)や「ナスとトマトと肉の煮込み(砂漠風)」に苦戦していたので丁度良かったわけですが。 「おかえりなさい」 御主人様は玄関を背にしたまま挙動不審な動きです。 「どうかしましたか」 背後から現れたのは、白い箱。お菓子のようです。 「あ、わざわざ買ってきたんですか?!」 驚いて語尾が上ずってしまった。早速受け取ります。これ、ちょっと高いやつです。 なんだ、ちゃんと心配してたんじゃないですか。 「でも、あの子もう全快しちゃって、勝手に遊びに行ってたんですよ。でも喜びますよ。ありがとうございます。また病気になったら今度はもっと早く買ってきてあげて下さいね?」 御主人様口が半開きですよ。…何か言いたい事でもあったんだろうか。 「何か?」 ああとかうんとか言いながら、落ち着かない御主人様。 「ここの所落ち着かなかったのは…心配だったからか?」 「当たり前じゃありませんか」 何を言ってるんだろうか。みんなして奇妙な事を言っています 御主人様は忙しなく細い舌を出し入れし、爬虫類な眼を宙に彷徨わせた。 「やる」 鞄を受け取るために差し出した手に花束を載せられました。 思わず交互に見つめ、空ろさな眼を見つめてしまいます。 「誰かに渡そうとしたら、断られたんですか?」 「最初からオマエ用だ」 え、えっと……。 「餞別用?」 背中を寒気が走り、指先が震えるので、握り締めて誤魔化します。 イヌの人かネコの人と上手く行ったから、私はこの家に要らなくなる…のかな。 「何の話だ」 溜息交じりの言葉に安心する。 どうやらイヌの人ともネコの人とも、順調というわけではないらしいです。 「御主人様からお花を戴くのは二回目ですね」 理由はわからないけど、ありがたく戴く。 薔薇とカスミソウと知らない花。 顔がにやけて仕方ないので花束に顔を埋める。 御主人様が、私に花だって。 もうちょっと浸ってもいいかな、二度とないだろうし。 ……花だって、私なんかに。 なんか、まるでちゃんとした女の子みたいだ。 「ねぇーごはんまだー?」 サフの声にはっとして頭を上げると、でこがご主人様のあごに激突して物凄く痛くて涙がでた。 何でそんなに近くにいるんですか、御主人様。
https://w.atwiki.jp/bokenote/pages/213.html
【Page44】 IQ300の金魚はこんなにすごい! (手の鳴る方へ) 結果発表日時:2005-06-22 01 52 26 総ボケ数:155 [ 1位 ] 一揆通関 探偵「社長殺人事件の犯人はこの中にいます!」 警部「!」 会長「!」 秘書「!」 金魚「!!!」 [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 9 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 8 | 芭蕉 10 | デカ丸 6 | 草食 4 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 7 | 赤Qチップ 6] [計60点] [笑率100] コメント:[ おもしろい 芭蕉 ] [ 2位 ] 輪になつて 槍投げの着地点でよく串刺しになっている [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 5 | ゴーヤベイベー 7 | 芭蕉 2 | デカ丸 6 | 草食 8 | ヴァギマ 8 | 喫茶ロケット 8 | 赤Qチップ 7] [計59点] [笑率98] コメント:[ ] [ 2位 ] 犬son犬 記者会見の際には、苦しくても水面から顔を出しハキハキ答える [辞めたハバデブ 8 | 虎ぽん 10 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 8 | デカ丸 6 | 草食 5 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 7] [計59点] [笑率98] コメント:[ ] [ 4位 ] 乳の介 お尻からニュース速報が電光掲示板のように流れる [辞めたハバデブ 6 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 6 | デカ丸 4 | 草食 8 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 7 | 赤Qチップ 6] [計57点] [笑率95] コメント:[ ] [ 5位 ] 虫こない 交通調査バイトの前を通過するとサムライとしてカウントされる [辞めたハバデブ 6 | 虎ぽん 9 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 6 | デカ丸 6 | 草食 6 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 8] [計56点] [笑率93] コメント:[ ] [ 5位 ] クニオ 魚屋の親父と寝たときは布団に魚拓を残して嫁に嫉妬させる [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 10 | 芭蕉 2 | デカ丸 3 | 草食 5 | ヴァギマ 6 | 喫茶ロケット 7 | 赤Qチップ 10] [計56点] [笑率93] コメント:[ ] [ 7位 ] ホワトー 毎朝水温計を見て産卵日を決めている [辞めたハバデブ 8 | 虎ぽん 8 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 8 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 7 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 6] [計53点] [笑率88] コメント:[ ] [ 7位 ] HAxAHAxA 泳ぎがルネッサンス [辞めたハバデブ 7 | 虎ぽん 4 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 8 | デカ丸 6 | 草食 5 | ヴァギマ 6 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 5] [計53点] [笑率88] コメント:[ ] [ 7位 ] オルガン キム・ギョの雰囲気も出せる [辞めたハバデブ 2 | 虎ぽん 9 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 6 | 草食 6 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 6 | 赤Qチップ 9] [計53点] [笑率88] コメント:[ ] [ 10位 ] 笑わない男 月に一度だけ態度が大きい [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 10 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 7 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 8 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 6 | 赤Qチップ 5] [計52点] [笑率87] コメント:[ ] [ 10位 ] ヴァギマ ムツゴロウのへこまし方を知っている [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 6 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 8 | 赤Qチップ 7] [計52点] [笑率87] コメント:[ ] [ 12位 ] オリンピア斉藤 わざと魚臭い [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 1 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 6 | デカ丸 10 | 草食 7 | ヴァギマ 8 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 5] [計51点] [笑率85] コメント:[ けっきょくさかなくさい ] [ 12位 ] デカ丸 ヒント8まで出しても、まだ全員外人の名前を書く [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 6 | デカ丸 5 | 草食 8 | ヴァギマ 7 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 6] [計51点] [笑率85] コメント:[ ] [ 12位 ] 風shi 政治家のエサに食いつかない [辞めたハバデブ 7 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 5 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 2 | デカ丸 6 | 草食 6 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 4] [計51点] [笑率85] コメント:[ ] [ 15位 ] ぺ 嫁がオチた [辞めたハバデブ 2 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 7 | 芭蕉 4 | デカ丸 7 | 草食 8 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 4] [計50点] [笑率83] コメント:[ ] [ 15位 ] ハッピーララバイ 金魚すくいの網でひとしきり尻を拭いた後、突き破って落ちていくだけの余裕 [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 8 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 8] [計50点] [笑率83] コメント:[ ] [ 15位 ] てん 金魚鉢から誤って跳ね出てしまって干からびそうな時に口パクで遺言を残す [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 5 | ゴーヤベイベー 10 | 芭蕉 8 | デカ丸 4 | 草食 4 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 4] [計50点] [笑率83] コメント:[ ] [ 18位 ] てくのろ 鯉とすれ違うときの 「私がちょっと左にずれます」 という意志表示が群を抜いてわかりやすい [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 9 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 8] [計49点] [笑率82] コメント:[ 鯉に食われそうな気もするが | ありがたい 草@上 ] [ 18位 ] カマンベール氏 ガンを気にして餌の焦げている部分は残す [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 4 | デカ丸 7 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 6] [計49点] [笑率82] コメント:[ ] [ 18位 ] 腋 尾ぐされ病スレスレのチラリズム [辞めたハバデブ 9 | 虎ぽん 1 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 10 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 4 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 5] [計49点] [笑率82] コメント:[ ] [ 18位 ] そこどけグランパ サッカーのシュミレーションで『一瞬あぶられた』の抗議が成立した [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 6 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 10] [計49点] [笑率82] コメント:[ ] [ 18位 ] 双六 写真を撮ってもブレない [辞めたハバデブ 6 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 2 | デカ丸 7 | 草食 3 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 7 | 赤Qチップ 7] [計49点] [笑率82] コメント:[ ] [ 23位 ] case3 猫との対戦成績が5戦2勝3分(1TKO) [辞めたハバデブ 7 | 虎ぽん 4 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 7 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 7] [計48点] [笑率80] コメント:[ ] [ 23位 ] かす 五分おきに撮った写真を並べてみると、 動きが四コマまんがとして成立している [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 10 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 7] [計48点] [笑率80] コメント:[ ] [ 23位 ] ピカキー ハードオフに売れる [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 4 | デカ丸 6 | 草食 10 | ヴァギマ 6 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 5] [計48点] [笑率80] コメント:[ ヒット 草@特上 ] [ 23位 ] がちゃpin 藻の影でほくそ笑む [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 10 | 耳鳴り豆腐館 5 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 7 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 3] [計48点] [笑率80] コメント:[ うざい! ] [ 23位 ] いとはん 熱帯魚には南部訛りで話しかける [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 9 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 6] [計48点] [笑率80] コメント:[ アカゲラさんチック 草@上 ] [ 23位 ] 苺☆ミサイル 鰹節を棺桶に入れ、海へと向かう鰹の大群の先頭が金魚 [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 6 | デカ丸 6 | 草食 6 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 8] [計48点] [笑率80] コメント:[ ] [ 23位 ] プレパラート 同じ水槽で優雅に泳いでいる熱帯魚を見て「癒されるわ~・・・」 [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 8 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 7 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 6] [計48点] [笑率80] コメント:[ ] [ 23位 ] 仮トン コーンフレークの栄養パラメータより断然上回る [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 6 | デカ丸 6 | 草食 7 | ヴァギマ 6 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 5] [計48点] [笑率80] コメント:[ ] [ 31位 ] ゴーヤベイベー 夜のオカズは明太子 [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 4 | ヴァギマ 8 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 6] [計47点] [笑率78] コメント:[ ] [ 31位 ] (盃) 明朝体の糞をする [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 1 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 7 | ヴァギマ 6 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 6] [計47点] [笑率78] コメント:[ ] [ 31位 ] 理事長 毒杯を飲んで死んだ [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 1 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 2 | デカ丸 10 | 草食 5 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 7 | 赤Qチップ 5] [計47点] [笑率78] コメント:[ ] [ 31位 ] ひつじ雲 湧き出る共産思想 [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 9 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 5] [計47点] [笑率78] コメント:[ ] [ 31位 ] ぽんで 「ええ、今は工夫してこうやって地上でも暮らしていける訳です・・・うぅ・・・あ・・すいません・・・私に向かって唾吐いてもらえますか・・・?」 [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 7 | 芭蕉 6 | デカ丸 4 | 草食 3 | ヴァギマ 6 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 7] [計47点] [笑率78] コメント:[ ] [ 31位 ] ED 金曜日に噴火する [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 2 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 3 | 芭蕉 6 | デカ丸 10 | 草食 5 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 5] [計47点] [笑率78] コメント:[ 金しか繋がってねぇ~ ] [ 31位 ] ネコキチ 彼のメガネを拭く為の金魚が4~5匹ついてくる [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 6 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 8] [計47点] [笑率78] コメント:[ ] [ 38位 ] うさぎ◆jP.GP 人妻の残り湯を要求してくる [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 4 | ヴァギマ 6 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 8] [計46点] [笑率77] コメント:[ ] [ 38位 ] ちんこ カップラーメンのフタを押さえるのに使われる [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 7 | 芭蕉 4 | デカ丸 6 | 草食 4 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 7 | 赤Qチップ 6] [計46点] [笑率77] コメント:[ ] [ 38位 ] ドラゴンシュート 糞でテトリス [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 3 | 芭蕉 6 | デカ丸 6 | 草食 6 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 6 | 赤Qチップ 4] [計46点] [笑率77] コメント:[ ] [ 38位 ] 鬼のよう ぶり会長とコネがある。 [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 8 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 3 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 7] [計46点] [笑率77] コメント:[ ] [ 42位 ] 孑孑 配偶者の出目金に遺産を残すためアイバンクに登録している [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 4 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 8 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 4] [計45点] [笑率75] コメント:[ ] [ 42位 ] かつお たぶんスプーンぐらいなら曲がる [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 6 | デカ丸 4 | 草食 7 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 3] [計45点] [笑率75] コメント:[ ] [ 42位 ] くす玉を割る日々 キンタマを使って浮上、潜水、藻で刺激 「ほ~らエサだよ~」 飛び出すしらうおで緊急浮上 [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 4 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 8 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 4 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 8] [計45点] [笑率75] コメント:[ ] [ 42位 ] 呼称まみれ 背景が金魚色になる [辞めたハバデブ 6 | 虎ぽん 4 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 4 | デカ丸 8 | 草食 6 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 4] [計45点] [笑率75] コメント:[ ] [ 42位 ] 夕焼けの丘 スポーツの後でも脇の下のヒレが全然臭くない [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 2 | デカ丸 6 | 草食 6 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 6] [計45点] [笑率75] コメント:[ ] [ 47位 ] ハレー彗星560 ヒレをペロッと舐めてから札束を勘定する [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 4 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 4 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 7 | 赤Qチップ 6] [計44点] [笑率73] コメント:[ ] [ 47位 ] 経理コロンボ ピューリッツア賞受賞の戦場カメラマンを引きつけてやまない口パク [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 7] [計44点] [笑率73] コメント:[ ] [ 47位 ] 祐美 みのもんたがファイナルアンサーと言うと 「どうせCMなんだろ?」的な呆れ顔で水草の陰に糞をしに行く [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 3 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 4] [計44点] [笑率73] コメント:[ ] [ 47位 ] 駄美手 ひよこの性別を見分けることが出来る [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 9 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 7] [計44点] [笑率73] コメント:[ ] [ 47位 ] singasong 海水中の塩をよける [辞めたハバデブ 2 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 10 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 5] [計44点] [笑率73] コメント:[ 面白い 草@特上 ] [ 47位 ] ファザーマッカー エラにクレジットカードを通すとスキミングできる。 [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 6 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 6] [計44点] [笑率73] コメント:[ ] [ 47位 ] Kagem 金魚「ふむ」 東芝の技術者「ふむじゃなくて」 金魚「なんだよ」 東芝の技術者「どこが駄目なんですか?」 金魚「もういいよ、帰れよ」 東芝の技術者「具体的にお願いしますよ」 藤村俊二「どうしたんですか」 金魚「おまえ関係ねぇよ」 藤村俊二「やはり」 東芝の技術者「待ってください、なにかアドバイスを」 藤村俊二「わたしですか?」 金魚「やっぱりおまえ誰でもいいんだろ」 藤村俊二「むずかしいことはわかりませんねぇ」 金魚「そうだろうよ」 東芝の技術者「やっぱりあなたの意見が聞きたい」 金魚「だから何もかもが駄目なんだよ、作り直せよ」 東芝の技術者「でも」 ベースの「うだうだ言ってンなよ、駄目なんだろ」 東芝の技術者「なんですか、ベースの」 ベースの「魂が足りてねぇンだよ」 東芝の技術者「ベースばかに言われたくないです」 ベースの「んだと」 金魚「おい、誰だこいつ」 東芝の技術者「知らない人です」 金魚「知らねぇのかよ」 金魚「おい、じいさんどこ行った?」 東芝の技術者「藤村さんなら帰りました」 金魚「そうか」 藤村俊二「まだいますよ」 金魚「いるじゃねぇか」 [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 1 | 耳鳴り豆腐館 5 | ゴーヤベイベー 2 | 芭蕉 6 | デカ丸 8 | 草食 3 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 7] [計44点] [笑率73] コメント:[ 今日は今市 ] [ 54位 ] 菊リップ IQ250以上のバクテリアを常に従えている。 [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 4 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 8 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 5] [計43点] [笑率72] コメント:[ ] [ 54位 ] 烈太 足が生えてきた場合に備えて既に平泳ぎをマスターしている [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 9 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 4] [計43点] [笑率72] コメント:[ ] [ 54位 ] 馬鹿男 生まれて第一声が「……ちっ、このボディかよ…」。 [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 8 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 6 | 草食 5 | ヴァギマ 6 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 4] [計43点] [笑率72] コメント:[ ] [ 54位 ] マキロン クルクル泳いで渦を起こし餌を一気に食べる [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 6] [計43点] [笑率72] コメント:[ ] [ 54位 ] えびはら 「両生類」化を常に考えている。 [辞めたハバデブ 7 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 4] [計43点] [笑率72] コメント:[ ] [ 54位 ] 畳くん 夜明けを待ち一番電車で生まれた水槽を捨てた [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 3 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 8] [計43点] [笑率72] コメント:[ 月夜はおよしよ素直になりすぎる ヴ ] [ 54位 ] おかのん 自分は目玉の役になって、他の小さい魚達と集まって「僕達はこんなに大きいんだぞー」と言って大きい魚を退治する。 この時のポジション取りがキッカケで貧富の差が生まれる。 [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 7] [計43点] [笑率72] コメント:[ ] [ 54位 ] 瓜 フェラーリのドアを開閉させるようなエラ呼吸 [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 4 | デカ丸 6 | 草食 4 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 6] [計43点] [笑率72] コメント:[ ] [ 54位 ] 吉兆 NOVAで働く彼のもとに週一で通えば、 半年でエラ呼吸がペッラペラに [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 8 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 6] [計43点] [笑率72] コメント:[ ] [ 63位 ] 草食 平和な顔して環境汚染を考えている [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 9 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 5] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] ロバァート アロワナの餌として食べられても想定の範囲内 [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 6] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] 運命ボート わたがし食べたり、ヨーヨー取ったり、お面買ったり 祭りを充分楽しんでから水中にスタンバイする [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 6] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] 別段の定め 水槽の水の取替え時期になるとちんどん屋を呼んで来る [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 6] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] ハルキックレイジー 飼い主が彼女にふられてしまった夜には、うろこをすでに2、3枚脱いだ金魚が水槽の中で指をくわえて待っていた [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 5] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] 虎ぽん フンがくっつかない方法をしっている [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 4 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 3 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 6] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] 九十九 金魚すくいの時にプロファイリングで捕まえようとしてくる。 [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 7] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] 合田 ドリームキャストからプレイステーション2に活躍の場を移れる [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 7 | 草食 4 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 4] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] 菅家 吐き出すあぶくはモーツアルト、バッハ、ベートーヴェンの音程(ホルストの「惑星」がお気に入り) [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 6] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] 黒船 クレー射撃の達人が狙ってない時に水面を跳ねる [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 2 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 6] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] 製鉄所 苦悩の末、やがて満ち足りてゆく [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 4 | デカ丸 6 | 草食 4 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 5] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] ベロニカ 模様がロココ調 [辞めたハバデブ 8 | 虎ぽん 1 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 3] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] 人造ワカメ君 この医学書の貸し出しカードにもフンがついていた [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 6 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 7] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] コティヤール 水槽にコーラの素を入れて、さわやかになる [辞めたハバデブ 7 | 虎ぽん 4 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 7 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 4 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 4] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] ryo フリスクを食べさせたら夏祭り会場の水槽から来年の夏祭り会場の水槽に飛び移る [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 5 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 2 | デカ丸 6 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 4] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] やんな くるくるくるくる米研ぎまくり [辞めたハバデブ 6 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 3 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 5] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 63位 ] 芭蕉 白子まみれよ、のう [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 3 | デカ丸 6 | 草食 4 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 4] [計42点] [笑率70] コメント:[ ] [ 80位 ] めいぷる 水1l当たり3mlのロマネコンティ添加を要求。 [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 4] [計41点] [笑率68] コメント:[ ] [ 80位 ] 劔 Mr.マリックにはハンドパワーなんかないのに空気で合わせる [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 4 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 6 | デカ丸 4 | 草食 3 | ヴァギマ 5 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 4] [計41点] [笑率68] コメント:[ ] [ 80位 ] 魔少年D.T 自分がいかに無力な存在か知り絶望する… [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 8 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 4 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 4] [計41点] [笑率68] コメント:[ ] [ 80位 ] KYK エサはすすいでからたべる [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 2 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 6 | 赤Qチップ 4] [計41点] [笑率68] コメント:[ つねにすすがれている ] [ 80位 ] ユリ・ゲラーJr. 何しろスイミーの人 [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 7 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 3 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 4 | ヴァギマ 7 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 3] [計41点] [笑率68] コメント:[ ] [ 80位 ] 田中にゃんこ 三平方の定理をくつがえした [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 4 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 2 | デカ丸 6 | 草食 6 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 6 | 赤Qチップ 4] [計41点] [笑率68] コメント:[ ] [ 80位 ] タカ ウロコをいくらめくっても当たりが出ないようにするので、産んだ卵を他の魚に食べられないですむ。 [辞めたハバデブ 6 | 虎ぽん 6 | 耳鳴り豆腐館 2 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 3 | 赤Qチップ 6] [計41点] [笑率68] コメント:[ ] [ 80位 ] おにぎり小僧 SEXの後、相手にいくら払うかをすばやく計算できる [辞めたハバデブ 6 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 1 | ゴーヤベイベー 7 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 3 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 5] [計41点] [笑率68] コメント:[ ] [ 80位 ] 佐々木ヒデタカ 踊ることが大好き、でもぷよぷよはちょっと苦手 [辞めたハバデブ 5 | 虎ぽん 8 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 5 | ヴァギマ 2 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 4] [計41点] [笑率68] コメント:[ ] [ 80位 ] 虹色の瞳 おじさんにお腹の中から指令をだす [辞めたハバデブ 3 | 虎ぽん 3 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 6 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 4 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 8 | 赤Qチップ 5] [計41点] [笑率68] コメント:[ ] [ 80位 ] 藻 餌を撒く人によって空気を読む。 [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 8 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 2 | デカ丸 4 | 草食 4 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 4] [計41点] [笑率68] コメント:[ ] [ 80位 ] 煩悩ジプシー 今日も飼い主様を喜ばせるわ わたし踊る! ハッ、尾びれ背びれ♪ ハッ、尾びれ背びれ♪ 所詮水商売よね・・ [辞めたハバデブ 1 | 虎ぽん 1 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 2 | デカ丸 10 | 草食 5 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 5 | 赤Qチップ 5] [計41点] [笑率68] コメント:[ かわいいね ] [ 80位 ] ハサマレムシ 仲間が死んだときに遺産のことでもめる [辞めたハバデブ 4 | 虎ぽん 2 | 耳鳴り豆腐館 4 | ゴーヤベイベー 4 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 3 | ヴァギマ 3 | 喫茶ロケット 7 | 赤Qチップ 6] [計41点] [笑率68] コメント:[ ] [ 80位 ] 地下鉄サム 送る事ができずにいる犯行予告状が水槽内にたまっている [辞めたハバデブ 2 | 虎ぽん 2 | 耳鳴り豆腐館 3 | ゴーヤベイベー 5 | 芭蕉 4 | デカ丸 4 | 草食 8 | ヴァギマ 4 | 喫茶ロケット 4 | 赤Qチップ 5] [計41点] [笑率68] コメント:[ 上手いことは言ってる ]
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/129.html
なぜなにこちむい!! からだのヒミツ Ⅱ 全裸のぼくをあっという間に応接テーブルにくくりつけるリナ様。ご主人様は自分の寝室兼、 作業室から怪しげな測定器具を用意してくる。ユナ様も部屋から飛び出て自室からなにやら 小さな箱を抱えて持ってくる。ご主人様の部屋の怪しげな機械がぼくの領域のはずの手狭な 応接室に侵食してきて怖気をふるうぼく。 「やあっ!! は、離してくださいっ!! 恥ずかしいですっ!」 足をバタつかせようにもその足をしっかりとロープで括ったのは縛縄術も堪能なリナ様なので まったく動かせず、かつ手足の血流も止まってない。 「まずは脳波計を付けとくにゃあ、おまえの感度がばっちりわかるようにと・・・それと、後で 愉しむため・・・じゃなかった、目隠しして余計な感覚をカットしておくにゃ・・・」 とぼくの頭に新興宗教っぽいコードのついたバンダナをおでこに巻くご主人様。そして取って つけたような理由でアイマスクも付ける。自分の身に起きた不幸と不安にその時ご主人様がした ユナ様へのかすかな目配せに気がつかず、ご主人様に抗議するぼく。 「ご、ご主人様。ぼく、今なら怒りませんからこんなバカなことしてないでロープを解いて ください・・・ねっ、借金なんて地道に生きていけば返せますよ・・・」 目隠しされたぼくの視界でご主人様が思わせぶりに言った声が横から聞こえた。 「にゃふ・・・本当に怒らにゃいにゃ・・・?本当かにゃ?」 「・・・へ?ほ、本当ですよっ!! べ、別にこれからご飯のおかずを毎日鰹節にしようとか、 お城の化粧料の受け取りをご主人様じゃなくてぼくにするとか、そんなこと全然考えて ませんよ~・・・」 『ピ――!ピ――!ピ――!』 とたんに召使いの動揺を読み取り、鳴り響く脳波計のアラーム。さらりと言うご主人様。 「にゃふ、さすがわたしの開発した脳波計、ウソ発見器としても使えるみたいにゃ・・・」 「え、あっ!? そんなずるいっ! ご主人様っ、ウソです!違うんです~!! 」 と、元々ウソの付けない召使いに引導を渡してからマナはモニターの用意を始める。また 機械の横ではユナが後日、召使いの痴態を反芻するため、三脚にとっておきの落ち物である 『はんでぃかむ』を設置している。カメラは700グラム程度なのにマナが作った『魔滉⇔電気』 変換装置は重さ40キロ、大きさは灯油のポリタンクほどあって本体の『はんでぃかむ』とは 名ばかりの物体と化している。もともと魔洸そのものが精密機械や火薬などと相性が悪いため、 ネコの国のように魔洸濃度の濃い場所で精密機器をまともに使おうとするとこのような大きさになる。 ちなみに関係のない話になるが、フローラの特許技術は機械の不確実な部分を魔洸で補うハイブリッド であり、マナの発明のコンセプトは強引に魔洸が影響する中で普通に機械を使うという強引な システムである。マナの名誉のために言えばここだけの話、このバッテリー破格に小型化に 成功している。 電源稼働時間に限りがあるので急いでモニターを始めようとマナは召使いの横に立ち戻って言う。 「にゃふ・・・ほら、この製品を試すにはアソコが元気にならにゃいとはじめられにゃいんにゃ」 シャフトをツンツンとつつくマナ。召使いは不意の刺激にビクンと身を震わせると不機嫌に言う。 「その怪しげな石油化学製品ぽいのが何かは知りませんけど、勝手なこと言わないで下さい!! 」 全裸で縛られているどころか、目隠しのせいでその姿を録画されてしまっているのに気がつかない 無防備な召使い。部屋のネコ娘たちはそんな何も知らない少年召使いをだましてビデオ撮影を しているという暗い愉悦に誰もが体の内側から上気させ、確実に室温を1、2度ほど上げている。 「まあ強がってるのも今のうちにゃあ、この頃モノ作りに追われてしばらくシテにゃかったから きっとお前も溜まってるにゃ・・・それにお前はビンカンだしにゃあ・・・」 ふいにマナが身をかがめ『ふっ』と目隠しをされた召使いの耳元に息を吹きかける。すると 電気を流したように召使いの細い体がビクンとはねた。 「そっ、そんなことしたってぼ、ぼくには無駄なんですからねっ!! 」 『ピ――!ピ――!ピ――!』 マナはそのアラーム音を聞きながらにまっと目を細めるのであった・・・ 「・・・?」 『ふかっ・・・』 目隠しの闇の中、柔らかあったかいものに包まれるぼくの顔。ご主人様の耳元でご主人様の声がする。 「ほ~ら、おっぱいにゃよ・・・」 「えっ!! えっ!? ・・・」 あわあわとうろたえるぼく。肌触りのいい布越しにふんわりしっとりみっちりした感触が頬に伝わる。 ぷにぷにと絶妙な感触で押し付けられるとついつい眠くなるほどうっとりしてしまうが・・・ 「あっ・・・いまピクンっていったですの――っ!! 」 「にゃふ、コイツは巨乳フェチなんにゃ」 「ち、ちっ、ちっ、違いますってばぁ!! 」 『ピ――!ピ――!ピ――!ピ――!ピ――!』 「あわわわ・・・ふえええん・・・」 ユナ様がクスクスと笑う声が聞こえて、たぶん耳どころか首まで真っ赤になってしまう。ぷよっ、 ぷよんっと柔らかい双丘を人前で押し付けられ、ぼくは恥ずかしさに泣きそうになりながら言う。 「ご、ご主人様・・・離してくださいよう」 「なに言ってるにゃ・・・別にわたしが押し付けてるなんて言ってにゃいにゃよ」 「・・・え・・・ご主人様じゃない?」 そ、そういえば何か匂いが違うような・・・すごく甘ったるい香水の匂いが鼻腔をくすぐっている・・・。 ぼくが言うと喉元に熱い吐息とともに声。 「は・ず・れ・・・ざぁんねん、マナ姫でなくてよぉ・・・うふふ、それじゃ罰ゲームね・・・」 「えっ!! そんな・・・ふぁむっ!? 」 トロンとした声で店長さんの声。 「て、店長さん・・・な、なんで・・・」 『シュッ』とスニーカーの紐を引き抜くような音。もしかして・・・ドレスの胸元のストリングスを 引き抜く音?ぼくの記憶力と想像力は店長さんが着ていた元々露出の激しいドレスの胸元にあしらって あったストリングスを引き抜いてる姿をありありと想像してしまう。そして次には熟れきった双乳が 胸元から開放され、一気に、あふれるようにまろび出る『たゆん』と重く揺れる音にならない音も 頭の中で再生してしまう。 『・・・・・・!!!はぷっ!? 』 口元をいきなりぴったりしっとりしたものに覆われ驚愕するぼく。息継ぎをしようと慌てて首を 振るがうまくいかない。ぶんぶんと大きく顔を左右に振ってやっと息をつく。甘くミルク臭い香りが 脳の奥をガンガンと叩いた。 「あらぁ、苦しかった?ごめんなさいねぇ。もぅ・・・ぼくがおっぱいぐりぐりするから少し 感じちゃったあ・・・わかるかなぁ~・・・」 店長さんがしゃべりながらぼくの両頬に押し付けられるおっぱい・・・ご主人様やリナ様より ふんわりほろほろとした感触・・・時折耳たぶにに触れる恐らくコリコリっとした先っぽの部分は 『感じちゃった』という言葉が全然ウソでないのを証明しているようで・・・ 「え、あ・・・うわ・・・」 ぼくは店長さんの胸の谷間の中、甘ったるい空気を胸いっぱいにして陶然となってしまう。 「ふふ・・・どうかしら?お肌は若いお姫様たちには負けちゃうけど、ネコ娘のお味は このぐらいの歳が一番いいのよ」 店長さんはわざとフルフルと胸を僕の顔の上で揺らしてからぼくに言う。たわわな果実が滑らかに 緩やかに頬にぴとんぺとんと交互にぶつかる。ぼくの耳に流し込むように店長さんは続ける。 「どう?ぼくはこの胸の先っぽ、チュパチュパ吸ってみたぁい?それとももう一回この胸で 息できなくなるほど『ぎゅ~』って押しつぶされたぁい?」 胸がひんやり感じるのはぼくが相当頬を熱くしているからだろう・・・ 「あわわわ・・・ぼく、ぼく・・・」 そのとき欲情に燃える雌ネコ達の後ろから小さな悲鳴が聞こえた。 硬直してそっぽを向いていたはずの借金取りが指の隙間から召使いの下半身を見て驚愕している。 「な、なんやねん!ごっつ勢いで、オチ・・・あわわ、ア、アレが凶暴に!」 むくむくと屹立していくマナの召使いのシャフト。 「ああっ・・・そんな、ウソです、ちがいますぅ・・・」 『ピ――!ピ――!ピ――!』 目隠しされた召使いは自分の節操のなさにしょげるが、健康な少年の下半身は別人格、見る間に 体積を増していく。 「おお、ずいぶん元気になるのが早いな・・・ちょっと妬けるぞ・・・ふっ」 「ひあっ!? 」 足元のリナが目の前を通過するシャフトをピンとはじく。それにしおたれることなく 元気いっぱいにシャフトはヒクンと震え、力を漲らせ、そのまま召使いの下腹部をぺちんと たたくように勢いよく上を向いて・・・この場合は召使いの顎を指すように倒れこむ。 胸を召使いの頭側から押し付けている店長はほとんど鼻先に風を感じるほどシャフトの 先端を突きつけられ熱い溜息を吐いて言う。 「す・て・き・・・八寸胴返し?・・・ウワサ通りねぇ、いえ、ウワサ以上ねぇ・・・うれしいわぁ・・・ わたしみたいなオバサンのおっぱいに欲情してくれて・・・」 「お、オバサンなんて・・・そんなことないですっ!!・・・ぼ、ぼく本当に・・・ぁうう・・・な、 なんでもありません・・・」 「あら・・・」 召使いの意外なフェミストチックな発言に押し付けていた身を起す店長。脳波計兼ウソ発見器の アラームを横目で見て全く鳴らないのを確認すると、いい年こいて80歳近い年下に対して急に顔を 赤らめてもじもじする。 「や、やぁだ!! ・・・ちょっとぼくはこんなオバサン捕まえて、もうっだめよぉ~、えい!えい!」 と、イヤイヤをするように両脇を締め、たわわな乳房をさらに強調させ、召使いの顔を押しつぶす 店長。テーブルに固定されたあげく窒息寸前に追い込まれているのも気づかず、びくびくと震える 少年の若鮎のような感触を上半身をフルに使って楽しむ・・・一方、三姉妹といえば・・・ 「八寸胴返しってなんですの――っ?」 「約25cmある訳じゃにゃくて、まあ『グレート』という称号だと思えばいいにゃ」 「むぅ・・・召使くんは『グレートちんちん』の持ち主なのか?・・・まあ、依存はないが・・・」 阿呆なことを話す三姉妹をよそにさらにヒートアップする店長。胸の谷間で召使いを押さえ込みつつ ゆっとりと両手を伸ばし華奢な胸板を撫でる。 「ひゃんっ・・・!! つ、冷たっ・・・あっ・・・」 「うふふ・・・手の冷たい女の情は深いのよぉ・・・あら、胸感じるの?ご主人様にイケナイ調教 されちゃったのぉ?ほら・・・ピンクの先っぽピンピンってはじくと・・・」 「ひゃんっ!! そ、そんな・・・ぼくオトコのコです!! 感じてなんか・・・あっ、あっ、あ――っ・・・」 『ピ――!ピ――!ピ――!』 「ふぅ~・・・ぼく・・・相当ウソつけない性格なのねぇ・・・うふふ、この無垢な少年らしいすとんとしてて 肌触りのいいお腹のラインが最高なのよねぇ・・・」 ため息といっしょに哀れむようにいう店長。毒々しいほど真っ赤に塗ったマニキュアの爪で 召使いの胸やお腹を軽く引っかきながら撫で回す。しかしすっかりエンジンの掛かった店長はさらに 行動をエスカレートさせんと、召使いの片方の乳首を存分に虐めつつ、もう一方の冷たい手を愛撫を 加えつつ下へと移動させ、ますます猛る召使いのシャフトに手を伸ばす・・・が・・・ 『ガッ!』 「にゃっ、ストップ!そこまでにゃ、メインはこっちのはずにゃ・・・」 いたいけな召使いをつまみ食いしようと舌なめずりしてる店長の愛撫をとめるマナ。手の石油化学製品 もどきナマコを指差して言う。興ざめし、肩をすくめた店長は不満げだったが、マナの顔を覗き込むと あっさりとあっさり引き下がり、召使いの体から身を起こし借金取りの横にボスンと腰を下ろした。 少し羨ましそうに小さくつぶやく。 「・・・あら残念、けっこう大事にされてるのねぇ・・・もう・・・そんな怒ることないじゃなぁい・・・」 顔にあたる熟れた胸の刺激がなくなり、ほっと息をつく召使い。たわわな胸の攻撃に酸欠になったのか、 荒く息をつく。目隠しで不安なのか、はたまた恥ずかしいのか、必死で体を丸め横を向こうとし、 手足を縛るロープに邪魔され、白い体をくねらせる。その動きがさらにこの場の雌ネコたちの欲情を あおっているとも知らずに・・・ 「うううぅ・・・くすんくすん・・・」 「なに泣いてるにゃ、さ~て、いくにゃよ~!」 嬉々として召使い命名の『石油化学ナマコ』を手に取るマナ。片手に持ったビンのふたを歯で器用に開ける。 「こうやってトローリとローション入れてぇ・・・」 「・・・いったい何を?」 「まったく、解ってるクセに、カマトトぶるにゃあ・・・こうやってこれをお前のアレにかぶせて つかうにゃぁ~!」 マナはナマコをひっくり返すとローションをこぼさないよう、すばやく召使いのシャフトに押し付けた。 目隠しをされているせいで反応がいちいち激しくて、それもまたネコ娘たちを愉しませてくれる。 「へっ!? うわっ・・・ひゅああああっ!つ、冷たいっ!? 」 小さな入り口に抵抗があったのもつかの間。それは意外な収縮を見せてぼくのシャフトの張り出した 部分を飲み込む。あらかじめ仕込んであったローションのせいでニュルニュルっと一気に根元近くまで ぼくのシャフトが納まった。ヒヤリとした感触が脊椎を駆け巡りのけぞるぼく。 「冷たいのは初めだけにゃあ・・・じきにというか、もういきなりイクなってくるにゃあ・・・」 ゆったりと握りなおすとナマコを上下にシェイクしだすご主人様。 「ひくっ!! あっ、ふあああああぁああっ・・・」 爆発的な快楽が腰椎を走る。そのぷにぷにのナマコのなかは鋭角なトゲトゲやボコボコとした突起物が あってぼくのシャフトを責める。でもその恐ろしげな突起を激しく擦りつけられているけど、石油化学 ナマコの異様に柔らかい材質とローションのせいでまったく痛くない・・・ 「ひんっ、トゲトゲがプチプチがあっ!そこダメっ、ダメなのっ、あひぁっ!あっ、あっ!」 やがてシャフトに馴染んで空気が抜けたのかピッタリとそれは張り付いてぼくのシャフトをみっちりと 巻きつくように絡みつく。 「ふあああっ!! ああっ!! だめっ、なにこれ、なにこれっ!? ご主人さまだめっ!! ・・・ ひゅあああっ!ぼくおかしくっ!おかしくなっちゃうううっ!!!」 ぼくの痴態に会心の笑みを浮かべたご主人様はそのまま耳に口を寄せてぼくに囁く。 「ほ~らどうにゃ~・・・このオナホール、実際に私のアソコで型取りしてるんにゃあ・・・お前なら わかるにゃ・・・いつものわたしの、オ・マ・○・コのカタチ・・・」 舌も触れんばかりの距離で卑猥なことを囁くご主人様。その衝撃の事実と目隠しのせいで全意識が シャフトに集中してしまう。確かに入り口で締まって、しばらく行くと狭くなった感じがして、行き止まりに ぶつかると全部がギュッと締まって・・・流石に中にトゲトゲやプチプチはないけども・・・。しかしその意外な 事実から生み出された快楽は、目隠しのせいでさらにリアルさを増し脊椎を一気に貫通し、ぼくの脳を白く染め フレアとなって爆発し始める・・・ 『にゅくにゅくチュプチュプ』といういやらしい粘液音と喘ぎ声が二重奏となって部屋に響く。 「そ、そんなっ・・・ご主人様の、ご主人様のっ・・・ひっ!! あふっ!あ、あっ、ひゃふっ!! やああああ・・・・・・!!!」 ビクビクとテーブルの上で反り返る召使い。アイマスクの下の頬は快楽の色に染まったか、ほんのりと 赤く火照る。いきなり初体験の淫具で責められる少年は切羽詰った喘ぎをあげる。そのときに口端から チロチロとのぞく、唾液でたっぷりとぬめ光る召使いの舌先が別の生き物のように艶かしく見えた。 「うわ・・・わっ・・・そ、そんな・・・」 借金取りは始めこそふて腐れたしぐさでそっぽを向いていたのだが、つい悲鳴につられて一旦視線を 向けてしまうと、責められている召使に張り付いたように視線が離せなくなってしまう。 その体格には不似合いなほどの立派なシャフトをイワシ姫が『二チュ!ヌチュ!』と情け容赦なく自作の アダルトグッズで責めたてる。しばらく・・・いや瞬きを5回もしないうちに動きに合わせるよう、少年召使の ボーイソプラノが切迫した響きを帯びてくる。そして召使の人種にしては抜けるように白い肌の腰が徐々に せりあがって行く。召使いの快楽パルスにあわせ『ピーピー』と鳴っていたアラームはもうすっかり 上昇したまま戻らず、『ピ―――――』という大きな連続音と化している。 『にゃふ・・・もうイキそうにゃ・・・』と脳波計とにらめっこしつつ、言葉通り舌なめずりしたイワシ姫は 更に容赦なくそのピストン運動をさらに早め、二人の妹姫たちも囃し立てる。 「おおっ、召使い君もう限界が近いのだな」 「だって、キュキュってタマタマが上がってきてるですの――っ!! 」 「にゃふふ・・・快感のせいで下半身の表在反射が勝手にでてるにゃ、始めはお尻の穴がヒクヒクして次に タマタマを吊り下げてる筋肉が意思と関係なく勝手にキュンキュン縮まるにゃぁ、要するにタマタマは 筋肉でぶら下がってるだけにゃあ、だから老人になるとタマタマがびろーんてなるにゃあ、まさしく 老いは罪にゃあよ・・・」 などと叫んで悦に入っているネコ姉妹達をよそに借金取りは顔の赤さが目にも溶け出したように視界は ピンクに染まったようになってしまって・・・無意識になんどもキッチリとした黒スーツに包まれた太ももを すり合わせる・・・尻尾の付け根も敏感になってしまって何度も落ち着きなく粗末なソファに座りなおす。 『なんやねん・・・こんなん・・・こんなんコト、本とかハナシとか全然ちがうやん・・・』 目の前で繰り広げられる、自分の思ってた常識のはるか上空を突き抜ける出来事に泣きそうになりながら 目が離せない借金取り。昨日少しドキドキしながら購入したレディコミなど今、眼前の出来事に比べれば 『玉子倶楽部、ヒヨコ倶楽部』のようなものである。部屋を飛び出さないのは隣のソファで平気な顔を してる傘下のアダルトグッズ店の店長に対する本社勤務の自分、という見栄だけだったりする・・・ そしてついに召使いの細身の体が反り返り『グググッ』とブリッジすると狭い部屋いっぱいに切ない 悲鳴を上げる。安物とはいえしっかりとした造りの応接テーブルが召使いの激しい動きに合わせて ギシギシと鳴るのがその快楽の巨大さを表しているようだ。さっきまで喘ぎ声の合間に時折聞こえていた 『やめて』とか『ゆるして』とか言うセリフはもう出ず、甘くも短く激しい息遣いのような喘ぎになり、 そしてその間隔は短くなり・・・ 「ほら、イッちゃえ、イッちゃえにゃっ!! 」 額に汗を浮かせて召使のシャフトをしごくマナ。亀頭部分に来たとき『ぎゅむ』と絞るようにオナホールを 握る。乱暴な扱いだが、どんなに強く握ってもマナ自らが能力の限りを振り絞り合成した柔らかなシリコン風 魔洸樹脂が力を分散、それが絶妙な快楽に変換され召使いを攻め立てる。もう召使いのシャフトの根元は 先走りかローションの成れの果ての白く泡立ったモノが溢れかえっている。そして血管の浮いた逞しい シャフトの根元に白いこってりとした卑猥なリングが出来ている。淫靡な音が煽りたてるのか、さらに 召使いは喘ぎ声を高まらせる。マナは商売相手のアダルトショップの店長に聞かせるように言う。 「にゃふ、いつもはもうちょっと長持ちするコイツがあっという間に絶頂にゃあ!ちなみに本体が クリアボディだから、シャセイするところがまるわかりにゃあ!! 」 「なるほどですの!いつもどんなふうに中出しされてるのか解るですの――っ!! 」 「むむっ、実に興味深いな、口やアソコの感触では判らない部分があるからな・・・」 興味津々で下半身に集中する視線。 「やだぁっ!! 見ないでっ、見ないでぇっ!! 」 半べそで目隠しされた顔を打ち振るぼく。全員の視線は突き刺さるようにぼくに集中しているのが目隠しを していてもわかるほど・・・ 「うるさいにゃあ、製品の宣伝のためにもとっとと派手にイクにゃぁ!」 『ぎゅい!』ご主人様は開いた片手でぼくの胸に手を伸ばすと思い切り先っぽを扱きあげた・・・と、いっても ご主人様の指はローションまみれなので『にゅくくっ』と指がもどかしいように逃げるだけだが、その強烈な 刺激はぼくの最後のなけなしの我慢を突き崩すのには十分・・・ 「あっ!! ひゅあああっ!ひんんんんっ!!」 熱いものがイッキにせり上がり瞳に白い火花を散らす。我慢に我慢を重ねた射精感はすさまじく、何度も まな板の海老のようにかってに体が跳ね上げる。その絶頂の脈動を数えることができたのは5回ほどで、あとは つかの間意識が飛んだ・・・ 経験からか、射精のまさに寸前で3分の1ほどオナホールを抜き、よく観察できるようにして待ち構える マナ。すかさず召使いの絶頂を捉えようと『はんでぃかむ』をアップにするユナ。 『びゅくっ!』 「ひゅああああああっ!!!!」 一際大きな絶叫と共に召使が白濁をぶちまける。そしてゼリーのような白濁が『バチッ!』と音がしそうな ほどの勢いで透明なオナホールの突き当たりにぶつかる。反動で抜けてしまうのでは?と感じるほどの勢いに 思わず驚くマナ。 「にゃにゃっ!」 「おおぅ・・・・・・」 「でっ、ですのぉ~」 同じくのけぞる妹たち。だが、驚くべきことはこれではなく、瞬く間に白いマグマは凄まじい速度で透明な ボディを一気に内側から白く染め上げた。更に白濁は次々と撃ち出され、分厚いはずのシリコン樹脂風の オナホールを白濁の圧力で逆に中から膨らませるほどパンパンにしてしまう。 のけぞったまま妹二人がおずおずと言う。 「い、いつもこんな風に中出しされてたのか・・・な、なんと危険な・・・」 「あんな勢い良く・・・たくさん・・・いつもユナのお腹、苦しいぐらいパンパンにされちゃってたん ですの――っ!! 」 部屋に響く嬌声が急に止んだので、静寂がかえって強く感じられた。意識が戻ったのか目隠しの下、 薄目を開けた召使の、熱で浮かされたような熱い息遣いだけがリビングに響く。 「にゃふふ・・・」 ご主人様がぼくのシャフトに刺さったままの石油化学ナマコを抜こうとする。 「ひっ!! ひゅあっ!」 白濁をこぼさないように入り口を握り締めながら慎重に抜くのでイッたばかりのぼくは敏感になった部分を 更にナマコ内部の緩やかな突起にズリズリとこすられて悲鳴をあげてしまう。 「にゃあ、た~っぷり出たにゃあ・・・」 ずっしりと白濁の詰まった石油化学ナマコを指で摘むとぼくの目の前でぷらぷらと揺らし、ペタペタと 目隠しをしているぼくの頬にあてながら言うご主人さま。どのくらい出たのかは判らないけど、たっぷり 出したに違いないはずだ。 「だ、だって、だって・・・あうぅ・・・」 本当のエッチと違って情け容赦なく最後の一滴まで責められるのでいつもより二割り増しぐらいで たくさん出ちゃった・・・なんてこと、恥ずかしくてとても言えず首を打ち振るぼく。 「さてと、まだカタイうちににゃ・・・こうやって・・・ここに出したヤツを・・・」 ご主人様はまだ硬度を失っていないぼくのシャフトの根元を握り固定する・・・ 「ふあっ!? 熱っ・・・ご主人様、いったい?」 不意にシャフトに熱いほどの感触。おそらくナマコを傾けてトロトロと白濁をシャフトの先端に垂らして いるのだろう。ぼくのシャフトは自分の放出したものであっという間に白くデコレーションされていく。 「・・・な、なんですか?もう終わりじゃないんですか?」 自分の出した白濁の意外な温かさに驚きながらもおずおずと聞くぼく。ご主人様の代わりに答えたのはユナ様。 「ローションの代わりですの、次はこの『おねだりよがり姫「ゆな」オマセな13歳(仮)』ですの――っ!! 」 「ひいいいいっ!! そんなっ!ひ、1つだけなんじゃないんですか~っ!! 」 「べつに『1つだけモニターしろ』とも言った覚えはないにゃあ!」 「がんばるのだぞ召使君!! つ、次はこ、この『おかわりよがり姫「りな」ドキドキ14歳(仮)』 もあるからな・・・」 「うわああああ~ん!! ご主人様たちなんてだいっ嫌いですぅ!年齢もサバ読んでるし~!! 」 悲鳴をよそにまたも召使い自身の白濁でデコレーションされた下半身に群がる三姉妹。召使いの抗議の声も 始めうちだけでそれは一分も立たずに快楽の喘ぎ声と卑猥な水音にとって変わられるのであった・・・ そんなサバトのような出来事を見せつけられてる後ろのソファの二人といえば・・・ 「あわわわわわ・・・そ、そんな・・・昔、お城の姫さまつうたら非道な盗賊を退治してくれたり、幼稚園に絵本を 読みに来てくれはったりしたのに・・・」 「うふふ、そんな神様みたいな人間、逆に信じられないわ・・・仕事は仕事、アソビはアソビなのよ・・・あなた 街で『お城の秘め事』のお話し、聞いたことないの?あの酒場の吟遊詩人のファブリオって本当だったのね・・・ 平民のわたしが実際この目で見られるとは思わなかったわぁ・・・でもきっとまだまだ序の口なんだわ、あなたも そう思いますでしょ?」 弱みを見せたくない借金取りは慌てて強がって言う。 「なっ!まっ、ま、まだエスカレートする・・・あわわ、そ、そうやな!これからや!! し、借金払えんムスメの 方がもっとすごいことされてん・・・たぶん・・・ごにょごにょ・・・」 最後の小さい言葉のほうはもう店長は聞いていなく、目を輝かせて目の前のショーを見物していた。本当は 逃げ出したい借金取りだったが、ここで飛び出したら、密かに計画しているやんごとなきお方のための今日の 計画がパーになってしまう。なにせとんでもないやんごとなきお方が絡んでいるのでヘタを打つと自分の命が あっさりなくなる。一瞬だけ気合を入れなおし強がって視線をテーブル方面に向けるも、刺激の強すぎる光景が 否応なしに目に飛び込んでくる。借金取りは大きく深呼吸をするがそれは熱い吐息にしかならなかった・・・ それは男の子のぼくが輪姦されている様・・・三女のユナ姫は商売人であり、医療人なせいで現実的だ。それが 影響しているのか、まさに情け容赦なく石油化学ナマコでぼくのシャフトを責めてくる。 「ああああっ!! ひゅあああっ!! ユナ様っ!だめえっ!! ぼく、ぼく、イッたばかりでまだ敏感でえっ、 ふきゅああああっ、じゅぽじゅぽやめてえええっ!!!!らめっ、らめ――っ!!!!」 「ほらほら、イクですの――っ!! どうです?ユナモデルが一番キツキツですの――っ!ほら、それに 『マナ12歳』と違って貫通式だからこんなことも出来るですの――っ!」 と小刻みにシェイクしながらチクワの反対側からはみだした桃色に色づいたスモモのようなぼくのシャフトの 先端を小さな口で咥えるユナ様。いきなり小さな舌でパンパンに張ったぼくの亀頭をクルクル舐めまわしながら 強烈に吸いたてる。カリの部分をキュッと唇で絞られて、吸いたてつつ意地悪するように尖った犬歯でチクチクと 先っぽを甘く愛撫されると、その危うい快感に本当に女の子みたいな声が出てしまう。目隠しをされている ぼくは全てのアプローチに対しての心の準備が全くできなくて・・・。このユナ様の攻撃も無防備な状態でまともに 喰らってしまう。凄まじい快感は脳を経由することなく電撃のように体を打ちのめしてからぼくの脳をキックして なんども突き上げてくるのだ。 「あっ、あっ!すごい、ひゅごいっ!おかしく、ぼくおかしくなっちゃ・・・もうやめて、ひゃめてぇ・・・」 「なに言ってるですの――っ!! もっともっと感じるですの、もう自分からいやらしく腰動かしてる ですの――っ!! 」 裏筋を硬くした舌先でぞろりと舐め上げてから意地悪にからかうユナ様。その間もナマコはぼくのシャフトに 巻きつき激しくピストン運動されている。 「ひぇ?・・・うそ・・・あっ、あっ・・・あひゅあああっ!!!」 目が見えないと不安だ。快楽で思考も感覚もおぼつかない。つい、目隠しの裏側で腰椎をあさましくクイクイと 動かすはしたない自分を想像してしまう。いや、それは想像じゃなくてぼくの欲求なのかもしれない。ぼくの妄想の 腰の動きにシンクロさせてユナ様は両手で持ったナマコをぼくにぶつけるようにシェイクしているようで・・・きっと ぼくの腰は勝手に踊るように動いてて・・・。ぼくはこんなにエッチじゃないのに・・・追い込むようにご主人様が 耳元で囁く。 「にゃふ、もう観念して『気持ちいい』って言うにゃ・・・その方が早~く、終わって楽ににゃるにゃよ・・・」 「ひょ、ひょんな・・・ぼく、ぼくぅ・・・あひっ!! 」 「お前一人でかっこつけることにゃいにゃあ・・・毎晩、最後は泣きわめきにゃがら『イクイク』ってわたしに すがり付いてたっぷり濃くて白いのでわたしをべたべたにするクセに・・・」 濡れた言葉を耳元に流し込み、耳朶をネットリと舐め上げられる。ユナ様もガンガンと石油化学ナマコをピストン しつつ、ナマコから顔を出したぼくの裏筋をピラピラと舌をひらめかせ舐める。飢えたご主人様にたっぷりと 真夜中の寝室でいじめられてる時のエッチなぼくの記憶がフラッシュバックして来て・・・。 「あっ・・・うっ・・・くはぁっ!・・・ぃぃ・・・ですぅ・・・」 すんすんと鼻を鳴らせて観念するぼく。ご主人様はぼくの震える唇に軽くキスして舌で口唇をねぶりながら とても優しく、すごくネットリと言う。 「ほら、いいにゃよ。いつもみたいにおっきな声でたくさん気持ちいくなるにゃ・・・」 マナの舌にわなわなと召使いの唇が震える感触が伝わる。そして・・・ 「あっ、ひゅあああああああっ!!!!!イクっ!またイッちゃう!二回目なのに、他の人がいるのにぃ~っ! んああああああっ!!!!!」 『びゅくっ!びゅくっ!』 ユナの手を振り払うほど激しくシャフトは脈動し、白い白濁をリビングの空中高く撒き散らし、落ちた残滓は 汗まみれでわななく召使いの白い肌を同系色でデコレーションしていく。部屋のネコ娘は一様にその軌跡を追うため、 頭上を見上げ熱い溜息をつく。 「ほら、ぜ~んぶ出すですの~っ!ほら、ほらっ、ぴゅっ、ぴゅ――っですのぉ・・・はふぅ・・・」 慌ててシャフトに巻きついたままのオナホールを握りなおすと射精にあわせて強めにしごきたてる。そのたびに 召使いは絶叫と共に何度も天井に向かって白い白濁を吹き上げる。確実に三射目まで天井のシャンデリアに命中し、 部屋内の柔らかな室内照明にまだらの影の部分を作り出した。 「すごいわ・・・一回目と同じぐらい濃くて、あんなに高く打ち上げて・・・ヒト召使いってみんなあんなに 凄いのかしら?」 やっと脳波形のアラーム音が下火になったところで隣の借金取りに上気した顔で聞く店長。少し声が上ずっている。 「・・・・・・・・・」 しかし、黒のソフトをアミダにかぶり、足を組んでもの静かに端座している借金取り。その落ち着いた様子を 見て少し悔しげに我に返る店長。 「・・・わかったわよ、ちょっと興奮しすぎたわ。ちょっとぐらい愉しんでもいいじゃない・・・もう、本社の人間って 真面目すぎのところがきらいよぉ・・・」 店長はドレスにしまったはずの胸が興奮のあまり半分はみ出てしまっているのに初めて気がつき、それを慌てて 直しながら視線をかぶりつきのステージ・・・もとい応接テーブルにやる。もちろん店長は借金取りが城下町の場末の ストリップ劇場でやる下世話なショー以上の出し物に半分失神しているということは夢にも思っていなかったりする・・・ 濃密なオスの薫りただよう室内に召使いの荒い呼吸が響く。涙でグショグショになってしまった目隠しが 痛々しくも発情した雌ネコたちの加虐心を煽りたてる。真っ昼間というのにこの部屋だけは真夜中のアンニュイな 雰囲気が漂う。ソラヤや文緒に比べると美少年でないはずのマナの召使いだがイクたびに不思議とどんどん 艶めいてくるような気がした。 召使いの強烈な快楽にあわせうるさいほど鳴っていた脳波計のアラームがやっと気にならない程度に 音量を落し始める。すると満を持して一際肉厚の大きなオナホールを持った三つ子の次女の赤毛のネコ姫が いそいそと立ち上がる。 「・・・やっと私の番が、きょうも二人の熱いプレイを・・・むむっ!! 召使い君、元気がないぞ・・・」 力を失ったシャフトを見て、愕然とするリナ。焦れて半萎えになったシャフトをしごくものの、それは一向に 力を取り戻さない。 「う、ううっ・・・!! きっと召使い君は私の事をオンナとして見ていないのだ・・・きっと姉上やユナと違って 『原始ネコ』とか『脳筋女』とか思っているんだ――っ!! 」 と、きわめて妥当かつ真っ当な事を嘆くリナなのだが、人のいい召使いは息も絶え絶えなのに本気かつ でオートマチックでフォローしてしまう。 「ち、違いますってば!! す、少し休めば・・・ちょっと待ってください、お願いしますから・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」 『もう出来ません』と突っぱねればいいのに、何度も唾を飲み、息を整えながらこんなことを言ってしまう 馬鹿正直な召使い。 『なんでエレクチオンしないの――ッ!! 』と頭を抱え嘆くリナが自分の部屋の調度に八つ当たりし始めないうちに マナが立ち上がる。 「リナ、泣くにゃ・・・わたしが手伝ってやるにゃあ・・・」 「あ、姉上・・・」 美しい姉妹愛。しかし召使いは嫌な予感全開で全身を総毛立たせるのであった・・・ 「ちゃらららっちゃら~!『なぜなにこちむい』今日は使い物にならない召使いに再度の気合を入れる方法を お前たちに教えるにゃ!」 学習番組のお姉さんみたいなノリで姉妹とクライアントの4人に言うごマナ。召使いはこれから自分の身に 降りかかる想像も付かない出来事に手足をバタつかせるがロープは全く緩まない。 「さあ、どうするか判る人はいるかにゃ?」 「は――い、ですの――っ!! 」 ユナが元気良く手を上げる。 「知ってるですの、また棒で召使いくんの尿道責めですの――っ!! 」 「ひいいいいいいいっ!」 昔のトラウマに激しく暴れる召使い。マナがびしりとユナを指差して言う。 「甘いにゃっ!同じ事をやってたら読者に見放されるにゃ・・・それに今日は幸運にもコレがあるし・・・」 二マリと笑うとローションのビンを手に取るマナ。トロリと透明な粘液を指に這わせる。がたがた震え ながら召使いは言う。 「も、もしかして・・・」 「今日は前立腺責めにゃあ・・・今日はお前の全てを行き着くトコまでわたしのモノにするにゃあ・・・」 「ご主人様っ!! そ、それだけはっ!ぼく、本気で・・・むぐっ・・・む~む~っ!! 」 「リナ、ユナ」 ご主人様が短く言うと、手早く二人の妹姫がぼくに破ったシャツの切れ端でさるぐつわを噛ませ・・・ようと するがすかさず店長さんが「ウチの製品なの、エイディア様にも卸してるのよ」とボールギャグを出してきて それをぼくは噛まされる。だんだん店長さんまでご主人様に毒されて来ているのが恐ろしい。 「ほら、あんまり動くと中の粘膜を傷付けちゃうにゃよ」 ローションに塗れた指がぼくの下のトコロを小さく指で円を描くようにしてアプローチする。 「ひゅぶっ!? んむ――っ!! 」 体をよじるが応接テーブルの天板を足の間にうまく噛ませてあって足が閉じない。『助けて!! 』と 目で訴え見物人たちの方を見やるが、目隠しをされては効果も半減だ。逆にそのみんなの視線が欲望に 染まってぼくを視姦するのが痛いほどわかる。 「ほら、初めてでもにゃいクセにカマトトぶるにゃ!」 ご主人様の指に『くっ』と僅かに力が入ると、ぬめるご主人様の指先がぼくの中に侵入してくる。 「ひゅっ!くゅふふあああぁぁ!! 」 ボールギャグのせいで悲鳴はくもぐり、球体に開いた無数の穴から唾液が溢れ、だらしなくぼくの口元に 伝うのが判る。そんな姿を見られてると思うと羞恥で全身を火で炙られたように更に身をよじってしまう。 冷たい汗がどっと体に溢れ一気に体中がテラテラと光る。 「んっ、うぶっ、くっふぁ、あっ、おっ・・・」 異物感に冷たい汗がでる。第一関節が埋まるとご主人様は小さく笑い小さく指を蠢かせぼくの反応を楽しむ、 ご主人様の指が締め付けるリングをよじらせるようにするたびにぼくは悲鳴を上げてしまう。何度も何度も 声を上げ悲鳴と共に許しを請う・・・だって早くしないと、早くしないとぼくが気持ちいくなってしまいそうで・・・。 ぼくがどう反応するか判っているご主人様はリズミカルに指でぼくの後ろに振動を与えて来る。 「うっ、んっ、あっ、ああっ・・・」 『・・・ピ、・・・ピー・・・ピピ、ピー・・・』 ぼくはどこかで小さくアラームが途切れ途切れに鳴り出したのを感じたけど、トロトロになってしまった 思考のせいでそれが何を意味するのかよく思い出せない・・・
https://w.atwiki.jp/schwarze-katze/pages/315.html
なぜなにこちむい!! からだのヒミツ Ⅱ 全裸のぼくをあっという間に応接テーブルにくくりつけるリナ様。ご主人様は自分の寝室兼、 作業室から怪しげな測定器具を用意してくる。ユナ様も部屋から飛び出て自室からなにやら 小さな箱を抱えて持ってくる。ご主人様の部屋の怪しげな機械がぼくの領域のはずの手狭な 応接室に侵食してきて怖気をふるうぼく。 「やあっ!! は、離してくださいっ!! 恥ずかしいですっ!」 足をバタつかせようにもその足をしっかりとロープで括ったのは縛縄術も堪能なリナ様なので まったく動かせず、かつ手足の血流も止まってない。 「まずは脳波計を付けとくにゃあ、おまえの感度がばっちりわかるようにと・・・それと、後で 愉しむため・・・じゃなかった、目隠しして余計な感覚をカットしておくにゃ・・・」 とぼくの頭に新興宗教っぽいコードのついたバンダナをおでこに巻くご主人様。そして取って つけたような理由でアイマスクも付ける。自分の身に起きた不幸と不安にその時ご主人様がした ユナ様へのかすかな目配せに気がつかず、ご主人様に抗議するぼく。 「ご、ご主人様。ぼく、今なら怒りませんからこんなバカなことしてないでロープを解いて ください・・・ねっ、借金なんて地道に生きていけば返せますよ・・・」 目隠しされたぼくの視界でご主人様が思わせぶりに言った声が横から聞こえた。 「にゃふ・・・本当に怒らにゃいにゃ・・・?本当かにゃ?」 「・・・へ?ほ、本当ですよっ!! べ、別にこれからご飯のおかずを毎日鰹節にしようとか、 お城の化粧料の受け取りをご主人様じゃなくてぼくにするとか、そんなこと全然考えて ませんよ~・・・」 『ピ――!ピ――!ピ――!』 とたんに召使いの動揺を読み取り、鳴り響く脳波計のアラーム。さらりと言うご主人様。 「にゃふ、さすがわたしの開発した脳波計、ウソ発見器としても使えるみたいにゃ・・・」 「え、あっ!? そんなずるいっ! ご主人様っ、ウソです!違うんです~!! 」 と、元々ウソの付けない召使いに引導を渡してからマナはモニターの用意を始める。また 機械の横ではユナが後日、召使いの痴態を反芻するため、三脚にとっておきの落ち物である 『はんでぃかむ』を設置している。カメラは700グラム程度なのにマナが作った『魔滉⇔電気』 変換装置は重さ40キロ、大きさは灯油のポリタンクほどあって本体の『はんでぃかむ』とは 名ばかりの物体と化している。もともと魔洸そのものが精密機械や火薬などと相性が悪いため、 ネコの国のように魔洸濃度の濃い場所で精密機器をまともに使おうとするとこのような大きさになる。 ちなみに関係のない話になるが、フローラの特許技術は機械の不確実な部分を魔洸で補うハイブリッド であり、マナの発明のコンセプトは強引に魔洸が影響する中で普通に機械を使うという強引な システムである。マナの名誉のために言えばここだけの話、このバッテリー破格に小型化に 成功している。 電源稼働時間に限りがあるので急いでモニターを始めようとマナは召使いの横に立ち戻って言う。 「にゃふ・・・ほら、この製品を試すにはアソコが元気にならにゃいとはじめられにゃいんにゃ」 シャフトをツンツンとつつくマナ。召使いは不意の刺激にビクンと身を震わせると不機嫌に言う。 「その怪しげな石油化学製品ぽいのが何かは知りませんけど、勝手なこと言わないで下さい!! 」 全裸で縛られているどころか、目隠しのせいでその姿を録画されてしまっているのに気がつかない 無防備な召使い。部屋のネコ娘たちはそんな何も知らない少年召使いをだましてビデオ撮影を しているという暗い愉悦に誰もが体の内側から上気させ、確実に室温を1、2度ほど上げている。 「まあ強がってるのも今のうちにゃあ、この頃モノ作りに追われてしばらくシテにゃかったから きっとお前も溜まってるにゃ・・・それにお前はビンカンだしにゃあ・・・」 ふいにマナが身をかがめ『ふっ』と目隠しをされた召使いの耳元に息を吹きかける。すると 電気を流したように召使いの細い体がビクンとはねた。 「そっ、そんなことしたってぼ、ぼくには無駄なんですからねっ!! 」 『ピ――!ピ――!ピ――!』 マナはそのアラーム音を聞きながらにまっと目を細めるのであった・・・ 「・・・?」 『ふかっ・・・』 目隠しの闇の中、柔らかあったかいものに包まれるぼくの顔。ご主人様の耳元でご主人様の声がする。 「ほ~ら、おっぱいにゃよ・・・」 「えっ!! えっ!? ・・・」 あわあわとうろたえるぼく。肌触りのいい布越しにふんわりしっとりみっちりした感触が頬に伝わる。 ぷにぷにと絶妙な感触で押し付けられるとついつい眠くなるほどうっとりしてしまうが・・・ 「あっ・・・いまピクンっていったですの――っ!! 」 「にゃふ、コイツは巨乳フェチなんにゃ」 「ち、ちっ、ちっ、違いますってばぁ!! 」 『ピ――!ピ――!ピ――!ピ――!ピ――!』 「あわわわ・・・ふえええん・・・」 ユナ様がクスクスと笑う声が聞こえて、たぶん耳どころか首まで真っ赤になってしまう。ぷよっ、 ぷよんっと柔らかい双丘を人前で押し付けられ、ぼくは恥ずかしさに泣きそうになりながら言う。 「ご、ご主人様・・・離してくださいよう」 「なに言ってるにゃ・・・別にわたしが押し付けてるなんて言ってにゃいにゃよ」 「・・・え・・・ご主人様じゃない?」 そ、そういえば何か匂いが違うような・・・すごく甘ったるい香水の匂いが鼻腔をくすぐっている・・・。 ぼくが言うと喉元に熱い吐息とともに声。 「は・ず・れ・・・ざぁんねん、マナ姫でなくてよぉ・・・うふふ、それじゃ罰ゲームね・・・」 「えっ!! そんな・・・ふぁむっ!? 」 トロンとした声で店長さんの声。 「て、店長さん・・・な、なんで・・・」 『シュッ』とスニーカーの紐を引き抜くような音。もしかして・・・ドレスの胸元のストリングスを 引き抜く音?ぼくの記憶力と想像力は店長さんが着ていた元々露出の激しいドレスの胸元にあしらって あったストリングスを引き抜いてる姿をありありと想像してしまう。そして次には熟れきった双乳が 胸元から開放され、一気に、あふれるようにまろび出る『たゆん』と重く揺れる音にならない音も 頭の中で再生してしまう。 『・・・・・・!!!はぷっ!? 』 口元をいきなりぴったりしっとりしたものに覆われ驚愕するぼく。息継ぎをしようと慌てて首を 振るがうまくいかない。ぶんぶんと大きく顔を左右に振ってやっと息をつく。甘くミルク臭い香りが 脳の奥をガンガンと叩いた。 「あらぁ、苦しかった?ごめんなさいねぇ。もぅ・・・ぼくがおっぱいぐりぐりするから少し 感じちゃったあ・・・わかるかなぁ~・・・」 店長さんがしゃべりながらぼくの両頬に押し付けられるおっぱい・・・ご主人様やリナ様より ふんわりほろほろとした感触・・・時折耳たぶにに触れる恐らくコリコリっとした先っぽの部分は 『感じちゃった』という言葉が全然ウソでないのを証明しているようで・・・ 「え、あ・・・うわ・・・」 ぼくは店長さんの胸の谷間の中、甘ったるい空気を胸いっぱいにして陶然となってしまう。 「ふふ・・・どうかしら?お肌は若いお姫様たちには負けちゃうけど、ネコ娘のお味は このぐらいの歳が一番いいのよ」 店長さんはわざとフルフルと胸を僕の顔の上で揺らしてからぼくに言う。たわわな果実が滑らかに 緩やかに頬にぴとんぺとんと交互にぶつかる。ぼくの耳に流し込むように店長さんは続ける。 「どう?ぼくはこの胸の先っぽ、チュパチュパ吸ってみたぁい?それとももう一回この胸で 息できなくなるほど『ぎゅ~』って押しつぶされたぁい?」 胸がひんやり感じるのはぼくが相当頬を熱くしているからだろう・・・ 「あわわわ・・・ぼく、ぼく・・・」 そのとき欲情に燃える雌ネコ達の後ろから小さな悲鳴が聞こえた。 硬直してそっぽを向いていたはずの借金取りが指の隙間から召使いの下半身を見て驚愕している。 「な、なんやねん!ごっつ勢いで、オチ・・・あわわ、ア、アレが凶暴に!」 むくむくと屹立していくマナの召使いのシャフト。 「ああっ・・・そんな、ウソです、ちがいますぅ・・・」 『ピ――!ピ――!ピ――!』 目隠しされた召使いは自分の節操のなさにしょげるが、健康な少年の下半身は別人格、見る間に 体積を増していく。 「おお、ずいぶん元気になるのが早いな・・・ちょっと妬けるぞ・・・ふっ」 「ひあっ!? 」 足元のリナが目の前を通過するシャフトをピンとはじく。それにしおたれることなく 元気いっぱいにシャフトはヒクンと震え、力を漲らせ、そのまま召使いの下腹部をぺちんと たたくように勢いよく上を向いて・・・この場合は召使いの顎を指すように倒れこむ。 胸を召使いの頭側から押し付けている店長はほとんど鼻先に風を感じるほどシャフトの 先端を突きつけられ熱い溜息を吐いて言う。 「す・て・き・・・八寸胴返し?・・・ウワサ通りねぇ、いえ、ウワサ以上ねぇ・・・うれしいわぁ・・・ わたしみたいなオバサンのおっぱいに欲情してくれて・・・」 「お、オバサンなんて・・・そんなことないですっ!!・・・ぼ、ぼく本当に・・・ぁうう・・・な、 なんでもありません・・・」 「あら・・・」 召使いの意外なフェミストチックな発言に押し付けていた身を起す店長。脳波計兼ウソ発見器の アラームを横目で見て全く鳴らないのを確認すると、いい年こいて80歳近い年下に対して急に顔を 赤らめてもじもじする。 「や、やぁだ!! ・・・ちょっとぼくはこんなオバサン捕まえて、もうっだめよぉ~、えい!えい!」 と、イヤイヤをするように両脇を締め、たわわな乳房をさらに強調させ、召使いの顔を押しつぶす 店長。テーブルに固定されたあげく窒息寸前に追い込まれているのも気づかず、びくびくと震える 少年の若鮎のような感触を上半身をフルに使って楽しむ・・・一方、三姉妹といえば・・・ 「八寸胴返しってなんですの――っ?」 「約25cmある訳じゃにゃくて、まあ『グレート』という称号だと思えばいいにゃ」 「むぅ・・・召使くんは『グレートちんちん』の持ち主なのか?・・・まあ、依存はないが・・・」 阿呆なことを話す三姉妹をよそにさらにヒートアップする店長。胸の谷間で召使いを押さえ込みつつ ゆっとりと両手を伸ばし華奢な胸板を撫でる。 「ひゃんっ・・・!! つ、冷たっ・・・あっ・・・」 「うふふ・・・手の冷たい女の情は深いのよぉ・・・あら、胸感じるの?ご主人様にイケナイ調教 されちゃったのぉ?ほら・・・ピンクの先っぽピンピンってはじくと・・・」 「ひゃんっ!! そ、そんな・・・ぼくオトコのコです!! 感じてなんか・・・あっ、あっ、あ――っ・・・」 『ピ――!ピ――!ピ――!』 「ふぅ~・・・ぼく・・・相当ウソつけない性格なのねぇ・・・うふふ、この無垢な少年らしいすとんとしてて 肌触りのいいお腹のラインが最高なのよねぇ・・・」 ため息といっしょに哀れむようにいう店長。毒々しいほど真っ赤に塗ったマニキュアの爪で 召使いの胸やお腹を軽く引っかきながら撫で回す。しかしすっかりエンジンの掛かった店長はさらに 行動をエスカレートさせんと、召使いの片方の乳首を存分に虐めつつ、もう一方の冷たい手を愛撫を 加えつつ下へと移動させ、ますます猛る召使いのシャフトに手を伸ばす・・・が・・・ 『ガッ!』 「にゃっ、ストップ!そこまでにゃ、メインはこっちのはずにゃ・・・」 いたいけな召使いをつまみ食いしようと舌なめずりしてる店長の愛撫をとめるマナ。手の石油化学製品 もどきナマコを指差して言う。興ざめし、肩をすくめた店長は不満げだったが、マナの顔を覗き込むと あっさりとあっさり引き下がり、召使いの体から身を起こし借金取りの横にボスンと腰を下ろした。 少し羨ましそうに小さくつぶやく。 「・・・あら残念、けっこう大事にされてるのねぇ・・・もう・・・そんな怒ることないじゃなぁい・・・」 顔にあたる熟れた胸の刺激がなくなり、ほっと息をつく召使い。たわわな胸の攻撃に酸欠になったのか、 荒く息をつく。目隠しで不安なのか、はたまた恥ずかしいのか、必死で体を丸め横を向こうとし、 手足を縛るロープに邪魔され、白い体をくねらせる。その動きがさらにこの場の雌ネコたちの欲情を あおっているとも知らずに・・・ 「うううぅ・・・くすんくすん・・・」 「なに泣いてるにゃ、さ~て、いくにゃよ~!」 嬉々として召使い命名の『石油化学ナマコ』を手に取るマナ。片手に持ったビンのふたを歯で器用に開ける。 「こうやってトローリとローション入れてぇ・・・」 「・・・いったい何を?」 「まったく、解ってるクセに、カマトトぶるにゃあ・・・こうやってこれをお前のアレにかぶせて つかうにゃぁ~!」 マナはナマコをひっくり返すとローションをこぼさないよう、すばやく召使いのシャフトに押し付けた。 目隠しをされているせいで反応がいちいち激しくて、それもまたネコ娘たちを愉しませてくれる。 「へっ!? うわっ・・・ひゅああああっ!つ、冷たいっ!? 」 小さな入り口に抵抗があったのもつかの間。それは意外な収縮を見せてぼくのシャフトの張り出した 部分を飲み込む。あらかじめ仕込んであったローションのせいでニュルニュルっと一気に根元近くまで ぼくのシャフトが納まった。ヒヤリとした感触が脊椎を駆け巡りのけぞるぼく。 「冷たいのは初めだけにゃあ・・・じきにというか、もういきなりイクなってくるにゃあ・・・」 ゆったりと握りなおすとナマコを上下にシェイクしだすご主人様。 「ひくっ!! あっ、ふあああああぁああっ・・・」 爆発的な快楽が腰椎を走る。そのぷにぷにのナマコのなかは鋭角なトゲトゲやボコボコとした突起物が あってぼくのシャフトを責める。でもその恐ろしげな突起を激しく擦りつけられているけど、石油化学 ナマコの異様に柔らかい材質とローションのせいでまったく痛くない・・・ 「ひんっ、トゲトゲがプチプチがあっ!そこダメっ、ダメなのっ、あひぁっ!あっ、あっ!」 やがてシャフトに馴染んで空気が抜けたのかピッタリとそれは張り付いてぼくのシャフトをみっちりと 巻きつくように絡みつく。 「ふあああっ!! ああっ!! だめっ、なにこれ、なにこれっ!? ご主人さまだめっ!! ・・・ ひゅあああっ!ぼくおかしくっ!おかしくなっちゃうううっ!!!」 ぼくの痴態に会心の笑みを浮かべたご主人様はそのまま耳に口を寄せてぼくに囁く。 「ほ~らどうにゃ~・・・このオナホール、実際に私のアソコで型取りしてるんにゃあ・・・お前なら わかるにゃ・・・いつものわたしの、オ・マ・○・コのカタチ・・・」 舌も触れんばかりの距離で卑猥なことを囁くご主人様。その衝撃の事実と目隠しのせいで全意識が シャフトに集中してしまう。確かに入り口で締まって、しばらく行くと狭くなった感じがして、行き止まりに ぶつかると全部がギュッと締まって・・・流石に中にトゲトゲやプチプチはないけども・・・。しかしその意外な 事実から生み出された快楽は、目隠しのせいでさらにリアルさを増し脊椎を一気に貫通し、ぼくの脳を白く染め フレアとなって爆発し始める・・・ 『にゅくにゅくチュプチュプ』といういやらしい粘液音と喘ぎ声が二重奏となって部屋に響く。 「そ、そんなっ・・・ご主人様の、ご主人様のっ・・・ひっ!! あふっ!あ、あっ、ひゃふっ!! やああああ・・・・・・!!!」 ビクビクとテーブルの上で反り返る召使い。アイマスクの下の頬は快楽の色に染まったか、ほんのりと 赤く火照る。いきなり初体験の淫具で責められる少年は切羽詰った喘ぎをあげる。そのときに口端から チロチロとのぞく、唾液でたっぷりとぬめ光る召使いの舌先が別の生き物のように艶かしく見えた。 「うわ・・・わっ・・・そ、そんな・・・」 借金取りは始めこそふて腐れたしぐさでそっぽを向いていたのだが、つい悲鳴につられて一旦視線を 向けてしまうと、責められている召使に張り付いたように視線が離せなくなってしまう。 その体格には不似合いなほどの立派なシャフトをイワシ姫が『二チュ!ヌチュ!』と情け容赦なく自作の アダルトグッズで責めたてる。しばらく・・・いや瞬きを5回もしないうちに動きに合わせるよう、少年召使の ボーイソプラノが切迫した響きを帯びてくる。そして召使の人種にしては抜けるように白い肌の腰が徐々に せりあがって行く。召使いの快楽パルスにあわせ『ピーピー』と鳴っていたアラームはもうすっかり 上昇したまま戻らず、『ピ―――――』という大きな連続音と化している。 『にゃふ・・・もうイキそうにゃ・・・』と脳波計とにらめっこしつつ、言葉通り舌なめずりしたイワシ姫は 更に容赦なくそのピストン運動をさらに早め、二人の妹姫たちも囃し立てる。 「おおっ、召使い君もう限界が近いのだな」 「だって、キュキュってタマタマが上がってきてるですの――っ!! 」 「にゃふふ・・・快感のせいで下半身の表在反射が勝手にでてるにゃ、始めはお尻の穴がヒクヒクして次に タマタマを吊り下げてる筋肉が意思と関係なく勝手にキュンキュン縮まるにゃぁ、要するにタマタマは 筋肉でぶら下がってるだけにゃあ、だから老人になるとタマタマがびろーんてなるにゃあ、まさしく 老いは罪にゃあよ・・・」 などと叫んで悦に入っているネコ姉妹達をよそに借金取りは顔の赤さが目にも溶け出したように視界は ピンクに染まったようになってしまって・・・無意識になんどもキッチリとした黒スーツに包まれた太ももを すり合わせる・・・尻尾の付け根も敏感になってしまって何度も落ち着きなく粗末なソファに座りなおす。 『なんやねん・・・こんなん・・・こんなんコト、本とかハナシとか全然ちがうやん・・・』 目の前で繰り広げられる、自分の思ってた常識のはるか上空を突き抜ける出来事に泣きそうになりながら 目が離せない借金取り。昨日少しドキドキしながら購入したレディコミなど今、眼前の出来事に比べれば 『玉子倶楽部、ヒヨコ倶楽部』のようなものである。部屋を飛び出さないのは隣のソファで平気な顔を してる傘下のアダルトグッズ店の店長に対する本社勤務の自分、という見栄だけだったりする・・・ そしてついに召使いの細身の体が反り返り『グググッ』とブリッジすると狭い部屋いっぱいに切ない 悲鳴を上げる。安物とはいえしっかりとした造りの応接テーブルが召使いの激しい動きに合わせて ギシギシと鳴るのがその快楽の巨大さを表しているようだ。さっきまで喘ぎ声の合間に時折聞こえていた 『やめて』とか『ゆるして』とか言うセリフはもう出ず、甘くも短く激しい息遣いのような喘ぎになり、 そしてその間隔は短くなり・・・ 「ほら、イッちゃえ、イッちゃえにゃっ!! 」 額に汗を浮かせて召使のシャフトをしごくマナ。亀頭部分に来たとき『ぎゅむ』と絞るようにオナホールを 握る。乱暴な扱いだが、どんなに強く握ってもマナ自らが能力の限りを振り絞り合成した柔らかなシリコン風 魔洸樹脂が力を分散、それが絶妙な快楽に変換され召使いを攻め立てる。もう召使いのシャフトの根元は 先走りかローションの成れの果ての白く泡立ったモノが溢れかえっている。そして血管の浮いた逞しい シャフトの根元に白いこってりとした卑猥なリングが出来ている。淫靡な音が煽りたてるのか、さらに 召使いは喘ぎ声を高まらせる。マナは商売相手のアダルトショップの店長に聞かせるように言う。 「にゃふ、いつもはもうちょっと長持ちするコイツがあっという間に絶頂にゃあ!ちなみに本体が クリアボディだから、シャセイするところがまるわかりにゃあ!! 」 「なるほどですの!いつもどんなふうに中出しされてるのか解るですの――っ!! 」 「むむっ、実に興味深いな、口やアソコの感触では判らない部分があるからな・・・」 興味津々で下半身に集中する視線。 「やだぁっ!! 見ないでっ、見ないでぇっ!! 」 半べそで目隠しされた顔を打ち振るぼく。全員の視線は突き刺さるようにぼくに集中しているのが目隠しを していてもわかるほど・・・ 「うるさいにゃあ、製品の宣伝のためにもとっとと派手にイクにゃぁ!」 『ぎゅい!』ご主人様は開いた片手でぼくの胸に手を伸ばすと思い切り先っぽを扱きあげた・・・と、いっても ご主人様の指はローションまみれなので『にゅくくっ』と指がもどかしいように逃げるだけだが、その強烈な 刺激はぼくの最後のなけなしの我慢を突き崩すのには十分・・・ 「あっ!! ひゅあああっ!ひんんんんっ!!」 熱いものがイッキにせり上がり瞳に白い火花を散らす。我慢に我慢を重ねた射精感はすさまじく、何度も まな板の海老のようにかってに体が跳ね上げる。その絶頂の脈動を数えることができたのは5回ほどで、あとは つかの間意識が飛んだ・・・ 経験からか、射精のまさに寸前で3分の1ほどオナホールを抜き、よく観察できるようにして待ち構える マナ。すかさず召使いの絶頂を捉えようと『はんでぃかむ』をアップにするユナ。 『びゅくっ!』 「ひゅああああああっ!!!!」 一際大きな絶叫と共に召使が白濁をぶちまける。そしてゼリーのような白濁が『バチッ!』と音がしそうな ほどの勢いで透明なオナホールの突き当たりにぶつかる。反動で抜けてしまうのでは?と感じるほどの勢いに 思わず驚くマナ。 「にゃにゃっ!」 「おおぅ・・・・・・」 「でっ、ですのぉ~」 同じくのけぞる妹たち。だが、驚くべきことはこれではなく、瞬く間に白いマグマは凄まじい速度で透明な ボディを一気に内側から白く染め上げた。更に白濁は次々と撃ち出され、分厚いはずのシリコン樹脂風の オナホールを白濁の圧力で逆に中から膨らませるほどパンパンにしてしまう。 のけぞったまま妹二人がおずおずと言う。 「い、いつもこんな風に中出しされてたのか・・・な、なんと危険な・・・」 「あんな勢い良く・・・たくさん・・・いつもユナのお腹、苦しいぐらいパンパンにされちゃってたん ですの――っ!! 」 部屋に響く嬌声が急に止んだので、静寂がかえって強く感じられた。意識が戻ったのか目隠しの下、 薄目を開けた召使の、熱で浮かされたような熱い息遣いだけがリビングに響く。 「にゃふふ・・・」 ご主人様がぼくのシャフトに刺さったままの石油化学ナマコを抜こうとする。 「ひっ!! ひゅあっ!」 白濁をこぼさないように入り口を握り締めながら慎重に抜くのでイッたばかりのぼくは敏感になった部分を 更にナマコ内部の緩やかな突起にズリズリとこすられて悲鳴をあげてしまう。 「にゃあ、た~っぷり出たにゃあ・・・」 ずっしりと白濁の詰まった石油化学ナマコを指で摘むとぼくの目の前でぷらぷらと揺らし、ペタペタと 目隠しをしているぼくの頬にあてながら言うご主人さま。どのくらい出たのかは判らないけど、たっぷり 出したに違いないはずだ。 「だ、だって、だって・・・あうぅ・・・」 本当のエッチと違って情け容赦なく最後の一滴まで責められるのでいつもより二割り増しぐらいで たくさん出ちゃった・・・なんてこと、恥ずかしくてとても言えず首を打ち振るぼく。 「さてと、まだカタイうちににゃ・・・こうやって・・・ここに出したヤツを・・・」 ご主人様はまだ硬度を失っていないぼくのシャフトの根元を握り固定する・・・ 「ふあっ!? 熱っ・・・ご主人様、いったい?」 不意にシャフトに熱いほどの感触。おそらくナマコを傾けてトロトロと白濁をシャフトの先端に垂らして いるのだろう。ぼくのシャフトは自分の放出したものであっという間に白くデコレーションされていく。 「・・・な、なんですか?もう終わりじゃないんですか?」 自分の出した白濁の意外な温かさに驚きながらもおずおずと聞くぼく。ご主人様の代わりに答えたのはユナ様。 「ローションの代わりですの、次はこの『おねだりよがり姫「ゆな」オマセな13歳(仮)』ですの――っ!! 」 「ひいいいいっ!! そんなっ!ひ、1つだけなんじゃないんですか~っ!! 」 「べつに『1つだけモニターしろ』とも言った覚えはないにゃあ!」 「がんばるのだぞ召使君!! つ、次はこ、この『おかわりよがり姫「りな」ドキドキ14歳(仮)』 もあるからな・・・」 「うわああああ~ん!! ご主人様たちなんてだいっ嫌いですぅ!年齢もサバ読んでるし~!! 」 悲鳴をよそにまたも召使い自身の白濁でデコレーションされた下半身に群がる三姉妹。召使いの抗議の声も 始めうちだけでそれは一分も立たずに快楽の喘ぎ声と卑猥な水音にとって変わられるのであった・・・ そんなサバトのような出来事を見せつけられてる後ろのソファの二人といえば・・・ 「あわわわわわ・・・そ、そんな・・・昔、お城の姫さまつうたら非道な盗賊を退治してくれたり、幼稚園に絵本を 読みに来てくれはったりしたのに・・・」 「うふふ、そんな神様みたいな人間、逆に信じられないわ・・・仕事は仕事、アソビはアソビなのよ・・・あなた 街で『お城の秘め事』のお話し、聞いたことないの?あの酒場の吟遊詩人のファブリオって本当だったのね・・・ 平民のわたしが実際この目で見られるとは思わなかったわぁ・・・でもきっとまだまだ序の口なんだわ、あなたも そう思いますでしょ?」 弱みを見せたくない借金取りは慌てて強がって言う。 「なっ!まっ、ま、まだエスカレートする・・・あわわ、そ、そうやな!これからや!! し、借金払えんムスメの 方がもっとすごいことされてん・・・たぶん・・・ごにょごにょ・・・」 最後の小さい言葉のほうはもう店長は聞いていなく、目を輝かせて目の前のショーを見物していた。本当は 逃げ出したい借金取りだったが、ここで飛び出したら、密かに計画しているやんごとなきお方のための今日の 計画がパーになってしまう。なにせとんでもないやんごとなきお方が絡んでいるのでヘタを打つと自分の命が あっさりなくなる。一瞬だけ気合を入れなおし強がって視線をテーブル方面に向けるも、刺激の強すぎる光景が 否応なしに目に飛び込んでくる。借金取りは大きく深呼吸をするがそれは熱い吐息にしかならなかった・・・ それは男の子のぼくが輪姦されている様・・・三女のユナ姫は商売人であり、医療人なせいで現実的だ。それが 影響しているのか、まさに情け容赦なく石油化学ナマコでぼくのシャフトを責めてくる。 「ああああっ!! ひゅあああっ!! ユナ様っ!だめえっ!! ぼく、ぼく、イッたばかりでまだ敏感でえっ、 ふきゅああああっ、じゅぽじゅぽやめてえええっ!!!!らめっ、らめ――っ!!!!」 「ほらほら、イクですの――っ!! どうです?ユナモデルが一番キツキツですの――っ!ほら、それに 『マナ12歳』と違って貫通式だからこんなことも出来るですの――っ!」 と小刻みにシェイクしながらチクワの反対側からはみだした桃色に色づいたスモモのようなぼくのシャフトの 先端を小さな口で咥えるユナ様。いきなり小さな舌でパンパンに張ったぼくの亀頭をクルクル舐めまわしながら 強烈に吸いたてる。カリの部分をキュッと唇で絞られて、吸いたてつつ意地悪するように尖った犬歯でチクチクと 先っぽを甘く愛撫されると、その危うい快感に本当に女の子みたいな声が出てしまう。目隠しをされている ぼくは全てのアプローチに対しての心の準備が全くできなくて・・・。このユナ様の攻撃も無防備な状態でまともに 喰らってしまう。凄まじい快感は脳を経由することなく電撃のように体を打ちのめしてからぼくの脳をキックして なんども突き上げてくるのだ。 「あっ、あっ!すごい、ひゅごいっ!おかしく、ぼくおかしくなっちゃ・・・もうやめて、ひゃめてぇ・・・」 「なに言ってるですの――っ!! もっともっと感じるですの、もう自分からいやらしく腰動かしてる ですの――っ!! 」 裏筋を硬くした舌先でぞろりと舐め上げてから意地悪にからかうユナ様。その間もナマコはぼくのシャフトに 巻きつき激しくピストン運動されている。 「ひぇ?・・・うそ・・・あっ、あっ・・・あひゅあああっ!!!」 目が見えないと不安だ。快楽で思考も感覚もおぼつかない。つい、目隠しの裏側で腰椎をあさましくクイクイと 動かすはしたない自分を想像してしまう。いや、それは想像じゃなくてぼくの欲求なのかもしれない。ぼくの妄想の 腰の動きにシンクロさせてユナ様は両手で持ったナマコをぼくにぶつけるようにシェイクしているようで・・・きっと ぼくの腰は勝手に踊るように動いてて・・・。ぼくはこんなにエッチじゃないのに・・・追い込むようにご主人様が 耳元で囁く。 「にゃふ、もう観念して『気持ちいい』って言うにゃ・・・その方が早~く、終わって楽ににゃるにゃよ・・・」 「ひょ、ひょんな・・・ぼく、ぼくぅ・・・あひっ!! 」 「お前一人でかっこつけることにゃいにゃあ・・・毎晩、最後は泣きわめきにゃがら『イクイク』ってわたしに すがり付いてたっぷり濃くて白いのでわたしをべたべたにするクセに・・・」 濡れた言葉を耳元に流し込み、耳朶をネットリと舐め上げられる。ユナ様もガンガンと石油化学ナマコをピストン しつつ、ナマコから顔を出したぼくの裏筋をピラピラと舌をひらめかせ舐める。飢えたご主人様にたっぷりと 真夜中の寝室でいじめられてる時のエッチなぼくの記憶がフラッシュバックして来て・・・。 「あっ・・・うっ・・・くはぁっ!・・・ぃぃ・・・ですぅ・・・」 すんすんと鼻を鳴らせて観念するぼく。ご主人様はぼくの震える唇に軽くキスして舌で口唇をねぶりながら とても優しく、すごくネットリと言う。 「ほら、いいにゃよ。いつもみたいにおっきな声でたくさん気持ちいくなるにゃ・・・」 マナの舌にわなわなと召使いの唇が震える感触が伝わる。そして・・・ 「あっ、ひゅあああああああっ!!!!!イクっ!またイッちゃう!二回目なのに、他の人がいるのにぃ~っ! んああああああっ!!!!!」 『びゅくっ!びゅくっ!』 ユナの手を振り払うほど激しくシャフトは脈動し、白い白濁をリビングの空中高く撒き散らし、落ちた残滓は 汗まみれでわななく召使いの白い肌を同系色でデコレーションしていく。部屋のネコ娘は一様にその軌跡を追うため、 頭上を見上げ熱い溜息をつく。 「ほら、ぜ~んぶ出すですの~っ!ほら、ほらっ、ぴゅっ、ぴゅ――っですのぉ・・・はふぅ・・・」 慌ててシャフトに巻きついたままのオナホールを握りなおすと射精にあわせて強めにしごきたてる。そのたびに 召使いは絶叫と共に何度も天井に向かって白い白濁を吹き上げる。確実に三射目まで天井のシャンデリアに命中し、 部屋内の柔らかな室内照明にまだらの影の部分を作り出した。 「すごいわ・・・一回目と同じぐらい濃くて、あんなに高く打ち上げて・・・ヒト召使いってみんなあんなに 凄いのかしら?」 やっと脳波形のアラーム音が下火になったところで隣の借金取りに上気した顔で聞く店長。少し声が上ずっている。 「・・・・・・・・・」 しかし、黒のソフトをアミダにかぶり、足を組んでもの静かに端座している借金取り。その落ち着いた様子を 見て少し悔しげに我に返る店長。 「・・・わかったわよ、ちょっと興奮しすぎたわ。ちょっとぐらい愉しんでもいいじゃない・・・もう、本社の人間って 真面目すぎのところがきらいよぉ・・・」 店長はドレスにしまったはずの胸が興奮のあまり半分はみ出てしまっているのに初めて気がつき、それを慌てて 直しながら視線をかぶりつきのステージ・・・もとい応接テーブルにやる。もちろん店長は借金取りが城下町の場末の ストリップ劇場でやる下世話なショー以上の出し物に半分失神しているということは夢にも思っていなかったりする・・・ 濃密なオスの薫りただよう室内に召使いの荒い呼吸が響く。涙でグショグショになってしまった目隠しが 痛々しくも発情した雌ネコたちの加虐心を煽りたてる。真っ昼間というのにこの部屋だけは真夜中のアンニュイな 雰囲気が漂う。ソラヤや文緒に比べると美少年でないはずのマナの召使いだがイクたびに不思議とどんどん 艶めいてくるような気がした。 召使いの強烈な快楽にあわせうるさいほど鳴っていた脳波計のアラームがやっと気にならない程度に 音量を落し始める。すると満を持して一際肉厚の大きなオナホールを持った三つ子の次女の赤毛のネコ姫が いそいそと立ち上がる。 「・・・やっと私の番が、きょうも二人の熱いプレイを・・・むむっ!! 召使い君、元気がないぞ・・・」 力を失ったシャフトを見て、愕然とするリナ。焦れて半萎えになったシャフトをしごくものの、それは一向に 力を取り戻さない。 「う、ううっ・・・!! きっと召使い君は私の事をオンナとして見ていないのだ・・・きっと姉上やユナと違って 『原始ネコ』とか『脳筋女』とか思っているんだ――っ!! 」 と、きわめて妥当かつ真っ当な事を嘆くリナなのだが、人のいい召使いは息も絶え絶えなのに本気かつ でオートマチックでフォローしてしまう。 「ち、違いますってば!! す、少し休めば・・・ちょっと待ってください、お願いしますから・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」 『もう出来ません』と突っぱねればいいのに、何度も唾を飲み、息を整えながらこんなことを言ってしまう 馬鹿正直な召使い。 『なんでエレクチオンしないの――ッ!! 』と頭を抱え嘆くリナが自分の部屋の調度に八つ当たりし始めないうちに マナが立ち上がる。 「リナ、泣くにゃ・・・わたしが手伝ってやるにゃあ・・・」 「あ、姉上・・・」 美しい姉妹愛。しかし召使いは嫌な予感全開で全身を総毛立たせるのであった・・・ 「ちゃらららっちゃら~!『なぜなにこちむい』今日は使い物にならない召使いに再度の気合を入れる方法を お前たちに教えるにゃ!」 学習番組のお姉さんみたいなノリで姉妹とクライアントの4人に言うごマナ。召使いはこれから自分の身に 降りかかる想像も付かない出来事に手足をバタつかせるがロープは全く緩まない。 「さあ、どうするか判る人はいるかにゃ?」 「は――い、ですの――っ!! 」 ユナが元気良く手を上げる。 「知ってるですの、また棒で召使いくんの尿道責めですの――っ!! 」 「ひいいいいいいいっ!」 昔のトラウマに激しく暴れる召使い。マナがびしりとユナを指差して言う。 「甘いにゃっ!同じ事をやってたら読者に見放されるにゃ・・・それに今日は幸運にもコレがあるし・・・」 二マリと笑うとローションのビンを手に取るマナ。トロリと透明な粘液を指に這わせる。がたがた震え ながら召使いは言う。 「も、もしかして・・・」 「今日は前立腺責めにゃあ・・・今日はお前の全てを行き着くトコまでわたしのモノにするにゃあ・・・」 「ご主人様っ!! そ、それだけはっ!ぼく、本気で・・・むぐっ・・・む~む~っ!! 」 「リナ、ユナ」 ご主人様が短く言うと、手早く二人の妹姫がぼくに破ったシャツの切れ端でさるぐつわを噛ませ・・・ようと するがすかさず店長さんが「ウチの製品なの、エイディア様にも卸してるのよ」とボールギャグを出してきて それをぼくは噛まされる。だんだん店長さんまでご主人様に毒されて来ているのが恐ろしい。 「ほら、あんまり動くと中の粘膜を傷付けちゃうにゃよ」 ローションに塗れた指がぼくの下のトコロを小さく指で円を描くようにしてアプローチする。 「ひゅぶっ!? んむ――っ!! 」 体をよじるが応接テーブルの天板を足の間にうまく噛ませてあって足が閉じない。『助けて!! 』と 目で訴え見物人たちの方を見やるが、目隠しをされては効果も半減だ。逆にそのみんなの視線が欲望に 染まってぼくを視姦するのが痛いほどわかる。 「ほら、初めてでもにゃいクセにカマトトぶるにゃ!」 ご主人様の指に『くっ』と僅かに力が入ると、ぬめるご主人様の指先がぼくの中に侵入してくる。 「ひゅっ!くゅふふあああぁぁ!! 」 ボールギャグのせいで悲鳴はくもぐり、球体に開いた無数の穴から唾液が溢れ、だらしなくぼくの口元に 伝うのが判る。そんな姿を見られてると思うと羞恥で全身を火で炙られたように更に身をよじってしまう。 冷たい汗がどっと体に溢れ一気に体中がテラテラと光る。 「んっ、うぶっ、くっふぁ、あっ、おっ・・・」 異物感に冷たい汗がでる。第一関節が埋まるとご主人様は小さく笑い小さく指を蠢かせぼくの反応を楽しむ、 ご主人様の指が締め付けるリングをよじらせるようにするたびにぼくは悲鳴を上げてしまう。何度も何度も 声を上げ悲鳴と共に許しを請う・・・だって早くしないと、早くしないとぼくが気持ちいくなってしまいそうで・・・。 ぼくがどう反応するか判っているご主人様はリズミカルに指でぼくの後ろに振動を与えて来る。 「うっ、んっ、あっ、ああっ・・・」 『・・・ピ、・・・ピー・・・ピピ、ピー・・・』 ぼくはどこかで小さくアラームが途切れ途切れに鳴り出したのを感じたけど、トロトロになってしまった 思考のせいでそれが何を意味するのかよく思い出せない・・・
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/828.html
月刊「正論」2006年11月号 『妄説に断!渡嘉敷島集団自決に軍命令はなかった』 { 元琉球政府職員の証言が明らかにした真実と、 それを封じ込めてきた戦後沖縄の現実} 水島総(日本文化チャンネル桜社長)&同局取材班(井上和彦・仙頭直子) http //www.ch-sakura.jp/mailmagazine/224.html http //www.ch-sakura.jp/mailmagazine/225.html 『妄説に断!渡嘉敷島集団自決に軍命令はなかった』戦後日本の「踏絵」とは何か 金城武徳氏の証言 混乱のなかで自決を呼びかけた村の幹部と村民の意志が招いた 照屋昇雄氏の証言 「蘇鉄(そてつ)地獄」を何とかしたい それに応えてくれた赤松隊長 電話が鳴ると心臓が縮む 真実語った照屋さんの今 戦後日本の「踏絵」とは何か 自分は今、自分の生涯の中で最も美しいと思ってきたもの、最も聖らかと信じたもの、最も人間の理想と夢にみたされたものを踏む。この足の痛み。その時、踏むがいいと銅版のあの人は司祭にむかって言った。踏むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番よく知っている。踏むがいい。私はお前たちに踏まれるため、この世に生まれ、お前達の痛さを分かつため十字架を背負ったのだ。 遠藤周作「沈黙」より 私が渡嘉敷島集団自決の取材を決めた時、思い浮かべたのは遠藤周作 の代表作「沈黙」だった。激烈なキリシタン弾圧の下、拷問や殺戮に殉教していく日本人信徒たちのうめきに何も反応せぬ神の「沈黙」、苦悩した 司祭が背教の「踏絵」に向かうという小説である。読後、思ったのは私達日本人の戦後だった。戦後日本の「踏み絵」とは何だったのか、「沈黙」し続けているものとは何なのか、もし、私達日本人が「踏絵」を踏んだとしたら、一体、何を得て、何を喪ったのか。渡嘉敷島集団自決の取材は、そんな思いから開始された。 今年五月、私が政策提言委員をしている日本戦略研究フォーラムのパーティーのことだった。参加している人々をかき分けるようにして、その人は私に近づいて来て、私を抱くようにして叫んだ。「社長!証言する人、いましたよ。証言するって言ってます、沖縄の、渡嘉敷の、軍命令じゃなかったって、集団自決の証人ですよ!」 彼は沖縄在住の元海上自衛隊員で奥茂治氏である。衛星放送「日本文化チャンネル桜」の熱心な視聴者であり、現在も予備自衛官として毎年の訓練を欠かしたことがない。奥氏によると、大東亜戦争中、沖縄・渡嘉敷島で起きた住民の集団自決について、テレビカメラの前で真実を証言するという人が出たとのことだった。 その人は、那覇市に住む照屋昇雄さん(八十二歳)で、戦後、琉球政府で軍人・軍属や遺族の調査や援護業務に携わった経歴を持つ。渡嘉敷の島民が貧窮に苦しんでいる状況を調査し、「戦傷病者戦没者遺族等援護法」の適用によって援護金が下りるように、当時の渡嘉敷村長玉井喜八氏と共に、集団自決を軍命令ということにして、厚生省への申請書類を作成したというのである。また、当時の調査では、集団自決を軍命令だとする住民は一人もいなかったという。戦後六十一年を経て、その人物が、新たな証言をするというのである。 以前、この問題を取り上げた曽野綾子氏の著書「ある神話の背景」を読み、私はノンフィクション本としては、完璧ともいえる取材と分析、そして深い人間観に裏打ちされた文章に感銘を受けていた。特に、大学時代ドイツ文学を専攻した私にとって、卒論の対象とした作家トーマス・マンの「非政治的人間の考察」の文章が、引用されていたのは嬉しかった。そして、この本こそ、私自身、「戦後思想」を疑い、脱却するきっかけとなった一冊でもあった。 私は「ある神話の背景」で、既に全てが語られていると思っていた。ドキュメントとしても、これ以上のものは無いと思っていた。間違いなく、集団自決に軍命令はなかったと証明されているのではないかと考えていた。 しかし、現実は、全く異なっていた。トーマス・マンや曽野綾子さんとは、文学的にも、政治的にも極北に位置するだろうノーベル賞作家の主張が、現実の壁となり、慶良間諸島の集団自決は軍命令だったと一般に流布されたままになっていたのである。 この集団自決については、「沖縄集団自決冤罪訴訟」として、現在、裁判となっている。平成十七年、慶良間諸島の海上挺身隊戦隊長だった元将校やその遺族が、大江健三郎氏の著書「沖縄ノート」(岩波新書)について、岩波書店と著者を相手取り、損害賠償と出版・販売 の差し止めと謝罪広告を求めて訴えを起こしている。 「沖縄ノート」は、集団自決を軍命令と断定し、渡嘉敷島の「守備隊長」 (赤松嘉次大尉の実名は書かれていない)を「戦争犯罪者」、「屠殺者」と中傷表現で指弾し、「慶良間の集団自決の責任者も、そのような自己欺瞞と他者への瞞着の試みを、たえずくりかえしてきたことであろう。人間としてそれをつぐなうには、あまりに巨きい罪の巨塊のまえで、かれはなんとか正気で生き伸びたいとねがう」とまで痛罵し、「かれはじつ のところ、イスラエル法廷におけるアイヒマンのように、沖縄法廷で裁かれてしかるべきであった」とナチスのユダヤ人虐殺責任者とも同列視している。 大江氏は、現地を丹念に取材した曽野綾子さんとは異なり、渡嘉敷や座間味島に全く現地取材せぬまま、伝聞と「鉄の暴風雨」等の書物に拠って書いている。そんな本が既に五十刷を重ね、約三十万部も売れているらしい。その影響なのか、中学高校の歴史教科書には、未だ軍命令による集団自決があったものとして記述されたものも多い。「犠牲者のなかには、慶良間諸島の渡嘉敷島のように、日本軍によって『集団自決』を強要された住民や虐殺された住民も含まれており」(三省堂高校日本史A)、「軍は民間人の降伏も許さず、手榴弾をくばるなどして集団的な自殺を強制した」(日本書籍新社 中学公教科書)等である。 この新証人と証言によって、次の教科書検定で歴史教科書の記述を全て書き換えることが出来るかもしれない、私は内心そう思った。琉球政府の当事者が実名を出して証言するのは初めてであり、これまでの「軍命令説」を完全に葬るための決定的な証言になりそうだと思われた。 沖縄の現状は、一言で言えば、未だ大江健三郎の世界であり、戦後日本のあり方を極端化した形で現しているーそんな実感を私は抱いていた。反戦平和を常に叫び、戦争と基地の被害者として自己主張し、直裁に言えば、それによって毎年一兆円と言われる国家予算を引き出す、人口百数十万の沖縄県の「利権構造」こそ、戦後日本の極端化した姿そのものではないのか。集団自決の評価も、これと通底するものがあるのではないか。 沖縄戦で戦死された大田實海軍中将の「沖縄県民かく戦えり。県民に対し後世特別の御高配を賜らんことを」の有名な言葉は、沖縄県民が戦争の被害者だから、特別の御高配をと述べたわけではない。誇り高く、戦い、倒れた、日本人の鑑として、軍民とも英雄、英霊の島として、発せられた言葉ではなかったのか。慶良間諸島の集団自決も、その延長線上にあったのではないのか。六十一年間の「沈黙」を探るべく、私は社内に特別チームを作り、沖縄に現地取材をすることに決めた。 金城武徳氏の証言 五月十七日、私達取材チームは、那覇に向かい、現地で奥茂治氏と沖 縄技術スタッフと合流し、七月、九月と三回にわたる沖縄(渡嘉敷・座間味)取材を開始した。チャンネル桜のキャスターでジャーナリストの井上和彦氏も同行してくれた。証言をしてくれる照屋氏は、当時の公文書を那覇の陸上自衛隊広報室に預けていたが、そこも訪問し、広報室長の国場三等陸佐にお会いして、撮影協力の快諾を得た。 翌朝、私達はフェリー「けらま」で那覇泊港から渡嘉敷島へ向かった。照屋氏に会う前に、何とか、島民の証言を撮れないかと考えたからだ。アポイントも何も無かったが、とにかく現地へ行く、ドキュメンタリーの監督をしてきたこれまでの私のやり方である。集団自決の場所や島全体の様子など、撮影だけでなく見て、空気を味わい、感じておきたかった。天候は曇りで時々思い出したように晴れ間が見えた。 一時間近く過ぎて、船上から渡嘉敷島が見えてきた。思ったよりずっと小さな島だった。米軍の上陸部隊も、こうしてこの島を眺めたのかと考えながら、どんよりとした空と海に浮かぶ渡嘉敷島を撮影した。 渡嘉敷港に着くと、私達はバン形式の観光タクシーを雇った。戦跡を撮影したいとの目的を告げると、中年の運転手は、慣れているのか簡単に肯き、直ぐに車をスタートさせた。島の北側の山上にある「集団自決跡地碑」、戦死者や集団自決者の遺骨を納め、祀った「白玉之塔」、「戦跡碑」、そして、赤松大尉らが海上特攻を目指して準備した「特攻艇秘匿壕」、島にいた朝鮮人工夫や慰安婦を記念し韓国人が作ったという「アリランの碑」なども回った。「アリランの碑」は、随分、大掛かりに作られたモニュメントだったが、訪れる人もないらしく、入り口の看板が朽ちて地面に落ちていた。 「集団自決跡地碑」付近には、誰もいなかった。風が強く、石碑の周りを囲む低い木々が、音を立ててざわめいていた。ここで三百人以上の人々が自決したのである。案内してくれた運転手が、手馴れた様子で入り口のゲートを開けてくれた。私達は碑のまわりにあったゴミを片付け、献花し二礼、二拍手、一礼の参拝をした。私はその後、般若心経を奉唱した。私達の思いが伝わったのか運転手は急に親切になり、親しさを見せるようになった。撮影機材の持ち運びなども手伝ってくれた。 撮影が一巡した後、遅い昼食をとりながら、私は運転手に、集団自決について証言してくれる人がいないか相談した。少しためらった後、彼は承知してくれ、島にいるお年寄りを訪ねることになった。しかし、何軒もの民家を訪ね回ったが、留守だったり、居留守のようだったり、断られたりと、中々、見つからなかった。「これが渡嘉敷か…」と運転手が本当は証言者を紹介したくないのではないかという疑念がよぎったものの、彼は「金城さんなら話してくれると思う」と言い、その家に私達を連れて行った。 金城武徳氏は、『ある神話の背景』にも出てくる人である。最初、金城氏は私達のことが良く分からぬまま、「家を撮影するな」「カメラを回すな」と厳しい調子で、我々に対応した。しかし、運転手の話や私の説明を聞く内、態度を和らげ、集団自決跡地碑の前なら話してもいいと、撮影に応じてくれることになった。私達は再び「集団自決跡地碑」に向かった。碑の前に立った金城氏は、碑の後方にある低い木々の密生する場所を指差し、ここを訪れる霊感の強い人は、今でも叫び声を聞いたり、きれいな女の人が立っている姿を見るのだと話した。以下が、金城武徳氏の証言の核心部分である。 混乱のなかで自決を呼びかけた村の幹部と村民の意志が招いた 「終戦直後から、沖縄のマスコミは日本軍を悪く書こうとするクセがあった。渡嘉敷の集団自決も赤松が命令してるんだ、こう言いよったんですが、赤松大尉は集団自決命令はしていないんです。保証人は、渡嘉敷の住人全部です。(昭和二十年)三月二十三日から空襲がはじまって、四日間空襲されたんですよ。島の周囲は二十キロの小さな島、その時の人口は一千五百名ほどでした。空襲を避けるためには、自分たちの家から近いところに、防空壕を掘って、そしてそこで空襲を避けておったわけですよ。空襲警報が鳴ったら、そこに駆け込んで。そしてまた、長期戦にそなえて、そして自分たちの勝手のいいところで、畑とかあるところに小屋を作ってあるんです。そこに食料品、玄米とか黒砂糖、鰹節なんかを貯蔵してあったんです。 しかし、空襲がすんだから、次は上陸だとその小屋に来てたら、伝令の島の青年が各避難小屋をめぐって、部隊の裏の、盆地に避難しないといけないらしいですよ、と言ったんです。その時は大雨でした。大雨の中、赤ちゃんなんかも、年寄りなんかも雨にぬれて着いた。この谷間とあの谷間に分かれて避難してるんですが、三月二十八日の午後三時ごろから、迫撃砲飛んで来たんです。したらもう村の幹部が騒いでしまって、来たるべきものが来たんだと思ったんでしょう、両方の谷間に避難してるのを集めて、当時の村長(古波蔵惟好氏)が訓示して、天皇陛下万歳三唱して、どこからもってきたのか十~二十名に一、二個ずつ配られている手榴弾を突いた訳です。それが爆発した人は死んでるんですが、我々は爆発しなかったもんだから生きていたわけです。 飛んできた迫撃砲も当たってくれないし、結局、我々は生き残って、六百名ほど、軍の部隊本部に行って機関銃で殺してもらおうと移動したんです。却って怒られた。「軍人が戦(いくさ)をするんだ、なんでこんな早まったことをしたのか。生きられる限り生きるのが住民じゃない か。」ということで怒られた。そこに残っていた人は、主に阿波連(アハレン)の人なんです。その人たちが殺し合いして、おじいさんもおばあさんも手にかけたと言ってるんですよ。そこで死んだ人で、意気地のいい女の人なんか、自分で首つっている。 僕らのところには、昔、軍人の短剣、ごぼう剣いうのがありまして、何処から持ってきたのか、死にきれない女の人たちは、それで左の胸の下が心臓だからといって、これで刺したらしい。僕はその時数えで十五歳でした。お前も生きてるし、(家族を)殺した人も生きているんだから、このことはお母さんも話さないほうが(いい)といって、マスコミなんかに聞こえたら大変なことになるよと、しかし、渡嘉敷村史にぴしゃっと書いてあります。 「では集団自決は、軍の命令じゃないんですか?」 はい、違います。これは軍の命令ではないです。これはですね、自分たちで、やっぱり普段からそういう教育しかされてないもんだから、鬼畜米英に捕らわれたら、女はどんな辱めをうける(かわからない)。男はドラム缶に入れて丸焼きにされる。だから早く死んどかんといけないと いう教育だけしか、小さいときからされてないから、皆が同意でやった。しかし、マスコミとかが言いたい放題で、軍の命令で集団自決しているんだ、ということを言うんです。軍の命令ではないです。僕はこちらから(自決場)は早く逃げているから、後のことはわからないが、こちらで三百十五名の人が亡くなっています。今日明日のことは、夕方忘れても、六十年前の戦争のことは、一つも忘れません。全部覚えています。とにかくどうせ死ぬんだから、一人一人殺し合いした。お父さんお母さん殺すということは、愛ということでしかならない。」 金城氏の証言から、浮かび上がってくるのは、島民同士、家族同士が互いに殺し合う状況が、軍による強制的な自決命令ではなく、村長をはじめとする村の幹部の自決への呼びかけと村民自身の意志によって、ごく自然に行われたことである。後述するが、彼らはサイパン玉砕や隣の座間味島の集団自決を既に聞いており、それに続いたのである。 金城武徳氏は、七月二十三日、再度、私達取材班が渡嘉敷島取材を行った渡嘉敷村歴史民俗資料館(村営)でも、インタビューに応じてくれ、赤松大尉率いる赤松隊歌を歌ってくれた。当時そういう歌まであったのである。 一、不壊神州に敵迫り 陸海空のつわものは清き歴史を守らんと 鍛えに鍛えし血の結晶今ぞ東亜の風雲期 勇躍立てりて若人は 新鋭集う赤松隊 二、ああ 南海は夜の星 珊瑚輝く行き帰り 烈風すさぶ黒潮も 大和桜と散りて咲け今ぞ東亜の風雲期 撃ちてしやまん心持て 孤高たるかな赤松隊 村営渡嘉敷村歴史民俗資料館には、赤松大尉の軍刀や恩賜の銀時計、軍隊手帳などが、きちんと展示されていた。大江氏が「沖縄ノート」で書いたような「戦争犯罪者」、「屠殺者」だったら、村役場も村人も展示などするはずがない。隠されてきた村人の「沈黙」、その本意が垣間見られるような展示だった。 照屋昇雄氏の証言 渡嘉敷島から戻った翌日、那覇市のホテルで、私達は、照屋昇雄氏のインタビューを行った。三欣会という沖縄保守系の人々の勉強会に参加する形で、照屋氏は仲間と共に私達を待っていた。だいぶ緊張した様子で、ご自身もそう話されていた。以下のインタビューは、五月と七月、九月に照屋氏からお聞きした話の核心部分である。 「ずっと沖縄本島にいらっしゃったのですか?那覇市に?」 那覇市にいるんですよ。小さい時はクニガミのモトグというところ。 「沖縄戦は体験されてるのですか?」 体験しておりますよ。僕は重砲七連隊。僕はその時少年兵だから。捕虜になりましたかね、一年八ヶ月だったかな。ハワイ(の収容所)で二十一歳の誕生日、戦後戻って、あれやこれやして新聞社に入ったりしてね、食うためにいろんな思いして。 「その中で援護局の職員として採用されたということですね」 そうですね。琉球政府社会局援護課調査係、調査係の旧軍人軍属資格審査委員です。政府関係者から『援護法ができて、軍人関係の調査を行うからこないか』と言われ審査委員になりました。私は、島民にアンケートを出したり、直接聞き取り調査を行うことで、援護法の適用を受ける資格があるかどうかを調べたりしました。各市町村をかけずりまわって調査をするのは、南西諸島に対する旧軍人軍属に対する日本政府からの恩給、沖縄戦で亡くなった人にはお金をあげましょうということで、沖縄戦について、戦闘状況を調べてくれと。いつどこで戦死したかなど調査して、記録簿を作って、厚生省に援護金をもらうために、私が審査員になったんです。 「なぜ今六十一年経って、当時のことを話すことを決心されたのですか」 私はね、本当、今までね、口をね、何十年間 全部封鎖しておりましたよ。で、渡嘉敷村のこと、座間味村のことが嘘で報道されて、嘘、言ってるんですよね。赤松隊長や座間味にいた梅澤隊長、少佐ですね、あの人は。この方なんかにすまない、すまないと思いながら、今まで、もう歯くいしばって、あっちの村の人も、全部心ひとつにしてね、誰が来ても、誰にもそのこと、言わないといってね。何故、今ごろ私がね、その話をするかといいますと、大きな理由があるんですよ。 赤松隊長が、自決命令を出して、住民をね、谷底のところ、全部で三百十五名、自決させたんだと、大きく報道しているのは、(沖縄)タイムスですよ、真実性が欠けてるんです。それはもう惨たらしい自決のやり方だったんです。もう本当にね、一緒に調査した南方連絡事務所から来られたマブチさんていう方がおりましたが、なんとか助けられんかというわけで、援護法上、自分で死んだものは、自決は援護法に該当しないんです。この戦争で、満州や南方全部、たくさんの人が自決してるんですね。 それを沖縄だけね、格別にできないということでね、絶対にそれはできないということだったんですよ。村長さんの玉井喜八さんと二人でね、五十五年だったかなあ、自決は軍の命令だったと嘘言って、文章書いて、書類作って、援護金もらったなんて言えなかったし、それは責任問われたら大変だし、今まで全部口を封じておりました。渡嘉敷島の人も、援護局の書類を書いた人の小峰さん、誰も言わない、言ってはいけない、ということで隠し通していた。 玉井村長さんが死んで、あの人の慰霊をするために真実を明かすときが来たんじゃないかという事で、奥茂治さんたちからもお話があって、正しいものを、後世に伝えなければいけないと思って、もう新聞に叩かれようが何しようが、もう真実を述べてね、いいんじゃないかと思ったんですよ。今まで、隠し通して、僕らももう年だし、いつ死ぬかわからんから、真実をね、もうハッキリしようじゃないかと、僕自身で決めたんですよ。 「渡嘉敷島ではどれぐらい聞き取り調査をしましたか」 渡嘉敷村の場合は、あっちに約一週間くらいいましたね。いちいち、何か調査するには、そんなくらいに長くかかるんですよ。要するに援護金の該当するのは全部なんです。だからだいたいの嘘はわかりますってね。 「その時は、関係者の方、何人くらいから話しを聞いたのですか?」 そうだなあ、女の方から大方聞いてるからね、百から二百名…一日書いて、夜はまた整理せんといかんですね、たくさんの人の証言をまとめることは難しいんですね 「その百名以上の方の中に、集団自決が軍の命令だと証言した住民はいましたか」 一人もいないですよ。一人もいない。これは断言します。女も男も全部集めて調査しましたよ。だって無いのに。軍の命令があったっていうのは、僕は、沖縄タイムスの記者が自決のあったサイパンかどこかの記事を引用してね、書いたんじゃないかと思いますよ。自決命令したとかなんとか言うのは、サイパン帰りがおりましてね、サイパンでは隊長命令で自決したってね、それを沖縄に適用して真似てね、隊長命令と書いたんじゃないかと。 「蘇鉄(そてつ)地獄」を何とかしたい それに応えてくれた赤松隊長 「なぜ集団自決をしたのでしょうか」 沖縄での自決の実態を僕ら掌握してみたらね、沖縄のね、文化、風習っていうかな、沖縄の墓は、外国で死のうと、どこで死のうと、全部こちらに、大きな墓に祀るという昔からの文化があります。家族が全部集まる。その文化があるので、あちこち死ぬよりも、家族一緒に死のう。そしたら誰か墓に祀るだろう。 それと、当時の教育思想関係からして、国に減私奉公しようという気持ちで死んだんです。撃ちてしやまん、アメリカにあれするより、一人でも殺して死のうといって。 それと集団自決は、座間味が先なんですよ、二十六日。二十八日が渡嘉敷。あっちの村長さん、農業組合長、校長先生ね、非常に熱血で誇り高い人でね、最初、校長先生が切腹してね、自決し始めたらしいよ。もうぼんぼんアメリカ軍が上陸してるもんだから、じゃあ死んでいこう。その村長さんと校長先生が死にはりまして、そしたら座間味の人は、こっちからこちらへ伝えられましてね、僕らも死のうかといってね、三十二名ぐらいかな、自決して死んだ、もう米軍に上陸されて混乱しているですよ。僕は死なないと言ってこっちの島に逃げてた者が、もう大変だ、もう住民全部死んだ、全部自決したって。それを聞いて、こっちからこっちに大きな噂が流れてね。 どうしようかこうしようか言う時にね、古波蔵っていう村長さんが、あの人、村からね、信用無いんですよ。だって住民集めて、演説もしてるんです。全部死ぬと言ってね、アメリカの捕虜になって女はアメリカのおもちゃになってとか、何とかかんとか言ってからね、もう自決やりましょうって手榴弾持ってね、あの、赤松隊長が渡したってあれも嘘ですよ。防衛隊って言ってね、一般の人がすぐ召集されて、何でもない兵隊も軍だかわからないものを、鉄砲もつけたし、全部、手榴弾渡してあったのよ。一人くらい撃ち殺せって、戦車をね、ぶっ壊せって。防衛隊の人たちがね、逃げてきてね、村の人たちの中に入って、これを爆発させてるんですよ。もう全員死ぬという噂が、流れ流れて渡嘉敷村の愛着を持っている人は、集まって自決した。これが理由です。聞いた範囲は、これであります。 「集団自決を軍命令とした経緯はどうなんですか」 援護金の調査しているとき、1ヶ月間、アメリカから食糧の配給がストップされ、その時に蘇鉄を食って死んだ人がいる。「蘇鉄地獄」と言ってね、その時にね、援護法ができてるからなんとかしてみようと、あまりに惨たらしい死に方だから、かわいそうだというふうで、東京の(南方同胞)援護会なんかも掛け合って、援護法の適用って出来ないかってことになって、南方連絡所のマブチさんという人が、もう泣くぐらいに懇願した。なんとか助ける方法がないかって言ってね。審査委員会というのがありましてね、東京で。その時にはね、何回言っても、ノー!駄目って。日本国中ではそういう人たくさんいるからね、駄目だって言って、ああやこうやしてるうちにね、その規定の中に、隊長の命令、もしくは、隊長の命令による銃殺、もしくはスパイ行為とかで、援護法の適用法律がある。 その中に「隊長の命令によって死んだ場合は、お金をあげましょう」という条文があるんだが、実際に隊長の命令で自決したという人はいなかった。そしたらね、誰なのかわからんが、誰かがその当時の隊長さんたちにね、お願いして、とにかく、自決命令を出したと言ってくれ、そうすれば(政府から)お金が出るからと言ってね、しかし、誰もならない、馬鹿じゃない限り、あんた、自分で自分を、縄で首しめる隊長はいないですよ、そして十二月頃かな、最後の東京の会議がありましてね、私は参加しておりませんが、渡嘉敷の玉井喜八村長さんが、参加したらしい。 その時に、厚生省の課長さんかな、なんか、赤松さんがね、村を助けるために十字架を背負いますと、言いよったよということなんです。村長さんは早速、赤松隊長に、自宅に会いに行ったの。兵庫県かどこか関西の方…そこへ行ってですね、隊長命令だったという命令書を書くということになっているそうですが、ということを話したらね、お前ら書いてこい、お前らが書ければサインして判子を押しましょうということになったんです。 村長さん大喜びしてね、二十五日頃帰ってきましたよ。書類と資料提出が、翌月の十五日か十六日までに間に合わして、その隊長さんの命令って書くんだから、二人で、大晦日だったなあ、二人夜通しで作って、大晦日という、書き終わってね、二人で一杯飲みながら、もう夜明けで…。 「それは命令書なんですか?」 あれはね、命令じゃなかったな。渡嘉敷住民へ告ぐと書いてある。玉井村長と二人でね、赤松隊長の身になって書いたからね、何年何月何日、渡嘉志久から米軍が上陸して、もはや村の役所の前にきてる、国のために降伏せず、一人でもアメリカ人をやっつけて、というよう内容だったはず、住民もね、死して国のためにご奉公せよとか沢山書いて、自決せよとかそんな命令じゃないんですよ、教育じみてるのが命令書となってるんです。 「それは、赤松隊長には見せたんですか?」 サインして(判子を)押して、(翌年)一月十五日だったかな、閣議に出さなければ間に合わないということで、十五日までに、間に合わすよう、村長さん持っていったの。サインと判子を宜しく貰って、喜んでね、間にあったと言って、二人でまた飲み屋で一杯飲んで。私はあとから、南方事務所のマブチさんという人に「赤松隊長、どうして、お願い聞いてくれたのかね?」と聞いたら、「照屋君、あの人は、沖縄病といわれるくらい沖縄にかかっている偉いい方から、何とか沖縄を救えないかと耳打されたという話があるんだが、だからあんなに一生懸命になっているんだよ」と。 本当か、真実はわかりませんよ。赤松隊長が、私が命令したということにしようと十字架を背負ってくれた。赤松隊長さんは、村民からは、神様みたいな方だった。非常にいい人、私も、会ってみてそう思います。 「住民は、赤松さんがそうやってくれらから援護金が出たことを知っているのですか?」 わかってる。だから、いかにどんな人が来てもね、口をつぐんでいる。唇寒しでね、絶対言いませんよ。向こうの住民は、絶対に、 「援護担当だったコミネさんは喋ってくれないのですか?」 言わない。あの 村のね、援護係してたのは小峯幸信。まず言わないでしょう。五十年くらい前よ、絶対言ってならん、死んでも言ってならん、これ言ったら、大変になるよつって、玉井村長と小峯さん、この僕と三人で誓いを立てたんです。村民はね、これを聞いてね 全部わかるわけです。絶対言わない、座間味も同じ。 「あらためて、お聞きしますが、なぜ、今証言すると決めたんですか」 深い理由があるんですよ。赤松隊長はね、余命三ヶ月、ガンで亡くなったらしいんですがね、電話でね、私は命が三ヶ月しかありません、だから、玉井村長、村史から私が自決命令をしたと、あれをね、削除して、その訂正文をはさんでくれんかと何回もきた。何回もね。そうしたら村長さんはね、赤松隊長はもう病気だし、照屋くん、どうしたらいいか、恩はあるし、村史からこれ消したらいけないし、僕はもう寝ても起きてもできないよってね、どうしたらいいのって言ってね、いろいろ弁護士とかね、いろいろ調べたらね、ああもいかない、こうもいかない、もう、心配して眠ることもできないんですよ。 そしてどうしようかって二人とも夜通し酒飲んで、帰ってきても、また電話きてね 照屋くん、僕、ウィスキー飲んでも、睡眠薬飲んでも眠れんつって。僕は慰めてね、宥めながら何回も呼ばれ、やけ酒飲みました。そして赤松隊長が亡くなったら、玉井村長、あの人は、ああも出来ない、こうも出来ないと毎日心労してね 病気して、間もなくして死にましたよ。あの人はこれで死んだんですよ。 考えてみんさいよ、どこの隊長がね、学識ある人がよ、例え命令したと言ってもね、命令しなかったと突っぱねるのが普通ですよ。悪いことを僕が引き受けましょうって、いかに善い人であるかね、本当に十字架を背負ってね、僕らは毎日手を合わせておりましたよ。だってこの人に責任負わせて苦しめているでしょ、新聞に赤松隊長の悪口見たりするとね、心が張り裂ける思い。胸に短刀裂かれる思いしよった。あんないい人をね、だから私もね、真実を言ってね、もう隠すもんじゃない、言うべきとこは言っておこうと、もう寿命しれてるからって言ってね、生きてるうちにはっきりしたことを申し上げようと思って今、申し上げてるんですよ。あの人のね、御霊をね、安らかにするために、私は真実を言わなければいけないんです。 インタビューを終えた照屋氏は、長く苦しかった「沈黙」から解き放たれたせいか、疲れてはいたが、ほっとした様子とすべきことをした誇りに満ちた表情を浮かべていた。インタビューの途中では、何度も声を詰まらせ、涙を流した。その涙が、凍結されたままだった「沈黙」を一筋づつ溶かしていくように思われた。男の涙はいいものだと思った。 電話が鳴ると心臓が縮む 真実語った照屋さんの今 さて、二人のインタビューでも指摘されていない一つの「沈黙」について、私はあえて述べておきたいと思う。慶良間諸島の皆さんの「沈黙」は、ただ、援護金をもらうために自決を軍命令にしたという理由だけではないということである。 それは、もし、軍の自決命令が無く、戦前の日本の「軍人勅諭」的な価値観を採らず、戦後の価値観で考えてみると、集団自決は大規模な無理心中殺人事件であり、当時残っていた法律の「尊属殺人罪」の適用も考えられなくはなかったのである。情状酌量の余地は勿論あるが、少なくとも戦後的価値観で見れば、特殊な状況下における殺人事件と見られても仕方ない。 だからこそ、どんなことがあっても、軍命令としたかった要素もあったのではないか。戦前までの日本において、自決は自らの誇りと武勇、栄光を体現するものだった。慶良間の集団自決もそんな流れの中に起きた。集団自決で散華なさった皆さんを軍国主義に騙された戦争被害者として片付ける戦後日本と沖縄に、私は怒りすら覚えるのである。 私達は、この照屋昇雄氏と金城武徳氏に対して五月に行ったインタビュー内容を文字メディアで取り上げてもらおうと、テープと企画書を産経新聞社に持ち込んだ。産経はこれまでも集団自決問題について積極的に報道、論評してきたが、今回も記者が沖縄まで取材に飛んでくれた。それが八月二十八日付けで、同紙一面(東京版)に掲載された記事である。 私達も衛星放送「日本文化チャンネル桜」(CH767)として、八月十五日、「沖縄集団自決の真実」として特別番組で放送した。この反響は大きかった。インターネットの2ちゃんねるでは、投稿数が一万を超える大きな反応を呼んだ。照屋さんの勇気を称える投稿がほとんどだった。 これに対して、沖縄ではどうだったのか。集団自決は軍命令だったとする主張の大本となった「鉄の暴風」の出版元で現地の新聞社「沖縄タイムス」は、冷たい黙殺を続け、沖縄タイムスと並ぶもう一つの現地新聞社琉球新報は、早速文化欄で、「集団自決訴訟 問われる沖縄戦観」と題して訴訟被告側の岩波書店編集局副部長のインタビュー記事を掲載した。その見出しは「軍の残虐性否定が目的 沖縄の人々への挑戦」という刺激的なものだった。 九月初め、私たちは再び座間味島取材のため、沖縄を訪れ、照屋さんに話をうかがった。新報の記事が出ても、その決意は全く揺ぎ無いものだったが、電話が鳴ると心臓が縮むような思いがすると話していた。琉球新報も、その後はインターネット上の反応に恐れをなしたか、沖縄タイムス同様、沈黙を続けている。この両新聞を読んでいると、朝日新聞が保守新聞に思えてくると言っていた沖縄の知人が、曽野綾子氏さんの『沖縄戦・渡嘉敷 島集団自決真実』(絶版になっていた『ある神話の背景』をWAC出版が今年五月に文庫として復刻)那覇市内の書店の店頭には並らんでいないと連絡して来た。これが戦後沖縄の現実なのだろう。 そういえば、大江健三郎氏が、九月になって五回目の中国訪問をしたという報道があった。大江氏は、南京市内にある「南京大虐殺記念館」を初めて訪れ、「館内には展示品がたくさんあるが、大江氏は一つひとつに丁重に頭を下げていた」「頭を下げた回数は全部で100回を超えているだろう」(九月十三日付、中国紙「現代快報」)「大江氏は日本人の鑑だ」(同紙十四日付)などと現地メディアに報じられた。このノーベル賞作家の中国での神妙な平和の使徒のごとき表情を想像すると、私は笑うに笑えず、得体の知れない私達人間への「沈黙」を余儀なくされるのである。 取材スタッフ 井上和彦・仙頭直子 取材協力 奥茂治(南西諸島安全保障研究所) 産経新聞記者 豊吉広英 (おわり)
https://w.atwiki.jp/namatokaityou/pages/30.html
452 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 13 58 49.61 ID WXkirdmgO 会長「ダメだダメだダメだダメだ!お前たちは全然ダメだ! 何がダメかも解ってないからダメだ! お前たちの脳みそはまるでおはぎの様だよ!これっぽっちも役に立たないデッドウェイトだよ! お前たちみたいな下らない人間が欲求の赴くままにセックスセックス! 無尽蔵に増えやがるから地球はダメになるんだ!おしまいだ!」 書記「また中二病か」 副会長「はあ…いつものやつお願い」 会長「滅びろ人類!地球を食い荒らすウジ虫!死ね!死ね!死ね! 地獄の業火に焼かれて踊れ!」 書記「せーの!」 会長「糞ったれ穀潰しのおたんこなすのあんぽんたんのちy ゴギン 会長「あれー?今私何してたっけ?」 副会長「会議ですよ、会議」 会議「そっかー」 [たまに殴って治す] 455 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 14 22 23.74 ID bfxoQSEKO 副会長「では、今日の会議はこの辺にしましょう。夏休みの暑い中ご苦労さまでした」 会計「副会長、ついでに古文の宿題のこの問題教えて!」 書記「やべ、すっかり忘れてた!副会長、数学のワーク見せてくんない?」 副会長「まったく、みんな慌ててだらしないわね。会長みたいに落ち着けないの?」 会長「まったくね。…で、宿題なんてあったっけ?」 書記「おまえはもう少し慌てろよ!」 457 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 14 30 25.04 ID VUGb9XjyO 副会長「さあ会長、今日は校庭で草むしりのボランティアですよ。早くジャージに着替えて下さい」 会長「え~?今日暑いからやだよぉ~」 副会長「文句言ってないで早く」 会長「はーい、わかりましたよー」 ガサゴソ 副会長「それじゃ行きましょうか」 ガラガラ 書記「ういーす」 副会長「あ、書記くん。私達は今から校庭に行ってきますから留守番お願いしますね」 書記「把握した」 会長「いってきまーす」 ガラガラ、ピシャン 書記「ふぅ…今日も暑いな。ってこれは!か、会長の制服!!」 書記「………………」 書記「…会長の匂いがする…」 ガラガラ 書記「びくっ!!」 会計「…………………」 書記「あ、あのな、勘違いすんなよ?これは制服が床に落ちてたから拾っただけで…」 会計「…ニヤッ」 ダッ、タッタッタッタッ… 書記「ちょwwwwwwwwwwオワタ\(^o^)/」 458 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 14 31 29.70 ID BWhSXQDDO 会「(黙々…)」 副「(珍しく一生懸命仕事をしてる…感心だわ)」 会「できたっ!」 副「よく頑張りましたね」 会「このクロスワード難しいわー」 副「さて…仕事仕事。」 462 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 14 42 24.28 ID q24cKnjY0 ことわざゲーム 書記「馬」 会長「馬・・・の目にも涙!」 書記「はずれ、豚」 会長「豚・・・に小判!」 書記「はずれ、猫」 会長「猫・・・に真珠!」 書記「・・・言うと思ったよ馬鹿」 会長「馬鹿・・・につける薬はない!」 書記「!?」 465 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 14 48 23.16 ID VUGb9XjyO 会計「これ、やっといてちょうだい…」 書記「はい…」 会長「なんだか最近書記が会計にじゅうじゅんだね。書記って会計のしたぼく?」 副会長「会長、したぼくではなくて下僕(げぼく)では…」 会長「おほんおほん!ま、まあそれは置いといて、なんかあったの?」 会計「うふふ…実はね…」 書記「ぶるああああああああああああああああああああ!!!!!」 会長・副会長「!!??」 会計「…なんでもないの。さ、お仕事しましょ…。うふふ…」 466 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 14 53 31.50 ID u6Q6A6WjO ガチャ 会長「すいませ~ん。遅刻しました。」 副会長「またですか、一体何度言えば…」 会長「はい。」 副会長「なんですか、これ?」 会長「副会長への誕生日プレゼントです。」 副会長「え…」 会長「ハッピバースデイ・トゥ・ユー。ハッピバースデイ・トゥ・ユー」 副会長「ありがとう。会長(私の誕生日、明日だけどね…でも、嬉しい。)」 壁 書記「本当は僕の誕生日なのに…」 471 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 15 22 27.19 ID VUGb9XjyO 司会「えー、では次は生徒会長からです。どうぞ」 壇上に上がる会長 会長「(壇上から)見ろ!人がゴミのようd ゴツンッ 副会長「次いって下さい」 477 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 15 36 39.82 ID r962kwaA0 会長「厚いねー…」 書記「『暑』な。まあ同意だが……」 副会長「クーラーが欲しいという会長の気持ちもわからなくもないですね……」 会長「じゃあs」 副会長「ダメです」 会長「……扇風機は?」 副会長「……それもダメです。必要性がありません」 会長「えー……必要だよー……冷たい風が当たったら気持ち良いよー?」 書記「だから必要性を証明しろって」 会長「……ふーっ ふーっ(副会長と書記の耳元に息を)」 副会長「ふあぁあんっ!?」 書記「えひゃぁぁい!?」 会長「どう? 気持ちよくない?」 478 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 15 40 04.92 ID VUGb9XjyO 副会長「さあ、今日も草むしりのボランティアですよ。着替えて下さい」 会長「はいはい」 副会長「はいは一回です」 ガサゴソ 会長「さてと、行きますかね」 ガラガラ 書記「ういーす」 副会長「あ、書記くん。私達今日も外に行ってくるので。留守番をよろしくお願いしますね。」 書記「りょーかい」 会長「いてきまー」 ガラガラ、ピシャン 書記「疲れた~…、ってまた会長の制服が…。ちゃんとしまえよ…」 書記「………………」 会長「暑かった~、疲れた~」 副会長「お疲れ様です」 会長「あ~、ちょっとトイレ行ってくる」 副会長「それでは私は先に生徒会室に戻っていますね」 ガラガラ 副会長「誰もいない…。!あれは会長の制服…!」 副会長「………………」 副会長「…!!」 ガラガラ 書記「お、副会長帰ってきてたのか」 副会長「…書記くん?」 書記「ん?なに?」 副会長「会長の制服から会長以外の匂いが…あなたの匂いがしました。……着ましたね?」 書記「!!!!!!!!!!!!」 479 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 15 41 22.80 ID r962kwaA0 478 書記「……か、嗅いだのか?」 副会長「!!!!!!!!」 480 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 15 50 58.16 ID VUGb9XjyO 479 副会長「………………」 書記「………………」 副会長「このことは…」 書記「お互い秘密ってことで…」 483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 16 03 53.46 ID bfxoQSEKO 480 副会長「このことは…」 書記「お互い秘密ってことで…」 会計「ニヤニヤ」 副会&書記「!!!」 481 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 15 59 24.59 ID VUGb9XjyO 会長「あーん、書類終わらないよ~!書記これやってよ~」 書記「そういうのは自分でやれよな。ま、まあお前がどうしてもって言うならやってやらないこともな 副会長「会長、私がやりましょうか?」 書記「ちょwwwwwwwwww」 会長「やったー!副会長ありがとー!だから副会長は大好きなんだよー!」 副会長「(書記をちらりと見て)…フッ」 書記「!!」 482 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 15 59 25.91 ID r962kwaA0 副会長「そういえば球技大会は何に出るんでしたっけ?」 会長「えーと……セクロス」 会計「え!? ちょ、ちょ、ちょ、何言ってるんですか!///」 書記「ハハハ。ラクロスだろ?」 会長「あ、そうか」 副会長「相変わらずですねえ会長は」 会計「……え? あ、あのちょっと! 今の聞いてて何も思わないんですか?」 書記「……何でだ? ファミコンのゲームだよな?」 副会長「セクロスに何か他の意味が?」 会計「(……あらやだ! 2ch用語だわ!)」 486 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 16 19 37.40 ID QyWbzASsO 会長「……うぅ~」 書記「そんなに具合悪いなら保健室行ったらどうですか」 会長「うぅ~、副会長が保健室と絵を書く部屋とおやつくれる部屋は変態のすくつだから行っちゃ駄目だってー」 書記「横で唸られても、気になるんですけど……お茶でも淹れましょうか?」 会長「おかしちょうだい」 書記「具合悪い時ぐらい自重して下さい」 会長「じゃあ、おなかさすって~」 書記「!!!」 492 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 16 39 05.54 ID BWhSXQDDO 会「副会長~、ババ抜きしよ~」 副「先ほど頼んだ仕事は終わらせてくれましたか?」 会「まだっす」 副「まずはそれを終わらせください」 会「はぁ…仕方ない。刺身の上にタンポポのせる仕事に戻るか…。」 副「そんな仕事は頼んでません」 496 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 16 51 57.29 ID ED/vLK4N0 会長「うぅ…寒ぅ~」 書記「おっ、なんなら俺のマフラーを貸そうか?」 会長「ありがと~書記君だいすき」 書記「え、あ、馬鹿野郎うっせえわ!」 タッタッタッタッタッタ 次の日 書記「あ~会長のつけたマフラーだぁ、(´Д`)ハァハァ」 副会長「書記君、そのマフラー貸してくれないかしら?」 書記「ミテタノ?ヤダヨカサナイ」 副会長「あっそ・・・(書記のくせに会長にぃー」 499 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 17 01 04.81 ID VUGb9XjyO 副会長「うう、お腹が痛い…生理痛はキツい」 会長「おや、副会長どったの?なんか苦しそうだけど」 副会長「いえ、生理痛がひどくてですね…」 会長「生理痛ってなに?」 副会長「…!(もしかして会長、まだ…!?)」 500 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 17 04 33.42 ID 3dXOqjTKO 会長「書記~! いっしょに帰ろー!!」 書記「お…おう」 副会「だめです。書記にはまだ仕事が残っています」 書記「はあ? 今終わらせただろーが」 副会「だめったらだめなんです」 書記「………」 会長「いいよ、会長特権で今日の生徒会は終わり! 副会長もいっしょに帰ろっ」 副会「……はい」 書記(チッ…。会長独り占め計画が……) 会長「よし、決まり~!」 副会「………ばかっ」 書記「え…?」 会計「…………私は?」 510 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2007/06/12(火) 17 18 20.77 ID q49OrLfX0 副会長「それでは来週のフィールドワークの打ち合わせを始めます」 ガサガサガサ・・・ 副会長「それでは地図で担当する区域の確認を・・・会長どうしたんですか?」 会長 「ねぇねぇ、地図で北ってどっちだっけ?」 副会長「・・・・・・上です」 会長 「あ、そっかド忘れしてたw うえね、う~え!」 副会長「あの、会長。天井眺めてどうするんですか?」 会長 「へ?」 副会長&書記「(あ~もう、可愛いな///)」 512 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 17 33 21.45 ID VUGb9XjyO 会長「ソローリ」 (後ろから)ガバッ 書記「ひっ!?ちょ、会長あんたなにしてんだ!?」 会長「ちょっくら身体検査をね~。もみもみ。む、意外と大きい…」 書記「ば、ばか!やめろ!揉むな!触るな!」 会長「にゅふふー、でも体は正直だぞ~」 書記「くっ、や、やめ…んっ、やめてよ…!」 会長「ほらほら~。ここか?ここがええんか!?」 副会長「いい加減にしなさい!」 ぺしっ 会長「あいたっ」 副会長「生徒会室でそういうことはやめて下さい」 会長「鼻血だらだら垂らしながら言われても説得力ないんだけど」 522 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 17 45 23.19 ID 6HpHOrEaO 会長「ほら、あれ、なんつったっけ・・・」 会長「一念~一念~」 会長「あ、一念勃起だ」 副会長「最低・・・」 524 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 17 52 44.13 ID xk0UX+LGO 会長「…騙された」 書記「何食べてるんだ?」 会長「…この夏流行るっていう新しいかき氷」 書記「…上に乗ってるの鰹節か?」 猫雪女「タッハーたまんない…ニャ」 会長「口の中がエグエグする…」 525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 17 53 01.85 ID wLVruLGu0 会長「副会長 副会長」 副 「はいなんですか、会長?」 会長「・・・私ってなんの会長だっけ?」 526 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 17 53 18.31 ID VUGb9XjyO 会長「いつも思うんだけどさ、チョコ味のソフトクリームってうんk 副会長「会長、自重して下さい」 527 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 17 55 06.71 ID xk0UX+LGO 会長「氷レモン」 副会長「?」 会長「冬と言えば氷レモンだよね?」 副会長「こたつで、ですか?」 会長「ううん、おんもで」 副会長「?」 会計「あら書記くん鼻血?」 531 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 18 01 44.41 ID VUGb9XjyO 会長「ひゃく…ごう…?」 副会長「会長、それは『ゆり』と読むんですよ」 会長「し、知ってたもん!副会長がちゃんと間違いに気付くか試しただけだもん!」 532 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 18 07 20.18 ID wLVruLGu0 副会長「『薔薇』」 会長 「びーえる?」 副会長「え?」 会長 「じゃなくてー・・ホモ?」 副会長「会長・・・」 534 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 18 10 53.46 ID VUGb9XjyO 会長「副会長ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!好きだあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 副会長「な!なんですか突然!?」 会長「私のクラスメートのまねしてみたんだ~」 副会長「そ、そうですか」 538 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 18 16 05.82 ID 9NF6ir/oO 男子「ひぐっ…ぐすっ…」 会長「ん?どうしたの?男子くん」 男子「お…お金…取られて…」 会長「え?誰に?」 男子「………」 会長「言えないの?」 男子「………(こく)」 会長「なんで?」 男子「い…言ったら…また殴られるから…」 会長「言ってよ。私は先生に言わず聞くだけでいいから」 男子「………」 会長「なら…当ててあげる。問題のヤン3人組かな?」 男子「!」 会長「当たった!なるほど…」 男子「い…言わないよね…」 会長「さっきも言ったじゃん言わないよ。絶対!」 男子「お金取られて帰れない…僕…電車通勤だから…」 会長「定期は?」 男子「運が悪く。今日で期限切れ…」 会長「そう…」 548 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 18 26 47.70 ID 9NF6ir/oO 538 会長「しょうがないな!私が貸してあげるよ!」 男子「え?いいよ…悪いし…」 会長「だってこのままじゃ。学校に泊まり決定だよ!」 男子「それは…やだ…夜怖いから…」 会長「でしょ!ほら!」 男子「500円…」 会長「親切な会長に感謝しなさいよ!」 男子「あ…ありがとう。じゃあ、帰るね…」 会長「うん!明日も元気に登校するんだぞ!」 男子「はい…」 会長「うむうむよしよし!」 男子「………」 副会長「男子さん…」 男子「はい…」 副会長「すいません。さっき盗み見してました」 男子「はい…」 副会長「調べたんですが…。帰りの切符代が足りませんよね」 男子「そうです…。でも言えなかったです」 副会長「ではこれを」 男子「このお金は…」 副会長「私からです。もちろん貸しですけどね」 552 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 18 41 11.27 ID 9NF6ir/oO 548 男子「重ね重ねすいません…」 副会長「いえ、貴方が謝る事はないですよ。謝るのはお金を取った方じゃないですか」 男子「やっぱり言うですね…」 副会長「すいません。やはり学校の風紀を乱す者には罰を与えないと」 男子「でも…また…殴られる…」 副会長「平気です。力関係は書記におまかせです。あの人はかなり強いんですよ」 男子「………」 副会長「それに貴方も強くならなくてはいけません…。すぐじゃなく。ちょっとでも少しでもね」 男子「はい…」 副会長「さあ、そろそろ辺りが暗くなってしまいますよ。早く帰らないと」 男子「はい、さよなら…ありがとう…」 副会長「はい、さようなら」 男子「あの…」 副会長「はい」 男子「この生徒会が永遠に続くといいですね…」 副会長「そうですね。そうなりたいいや、そうして見せますよ」 男子「そうして下さいね。ではまた…」 副会長「はい、お気をつけて」 557 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 18 52 20.07 ID 9NF6ir/oO 552 副会長「会長」 会長「ん?」 副会長「改めて貴方が会長で良かったと思いますよ」 会長「何の話?」 副会長「いえ、なんでもないですよ」 会長「そう。副会長頼むがあるんだけど」 副会長「はい?」 会長「電車賃貸して」 副会長「………」 会長「駄目?」 副会長「いいですよ」 会長「あれ?いつもは拒否するのに」 副会長「たまにはいいじゃないですか」 会長「?、まあいいわ。帰ろ!」 副会長「はい」 会長「よし帰ろ帰ろ♪」 副会長「会長」 会長「ん?何?」 副会長「生徒会は不滅ですよ」 会長「え?」 副会長「いえ、言ってみただけです」 会長「そう…。じゃあ帰りますかー!」 副会長「そしてまた明日、生徒会を始めましょ!」 会長「うん!」 終わり 553 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 18 41 30.50 ID VUGb9XjyO 書記「のど渇いたな…ジュースでも買ってくるか」 会長「あ、私の分も買ってきて!」 書記「しかたねーな。ちゃんと後で金払えよ?」 会長「わかってるって!」 書記「ただいま。会長コーラでいいか?」 会長「ありがとー!お金そこに置いといたから!」 プシュッ ブシャアアアアアアア 会長「ひゃあああああ!?」 書記「うはwwwwwwwwww大成功wwwwwwwwwwwwwwwwwww」 会長「あーん、ひどいよー!びちょびちょだよー!べたべたするー!」 書記「(会長の困った顔と濡れた制服…たまんねえwwwwwwwwww)」 556 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 18 52 08.32 ID wLVruLGu0 会長「えー来年度から本校の女子生徒の制服は変更になることが決定されました」 ざわ・・ざわ・・・ 会長 「えっとー・・。(スク水にセーラー服)です!」 副会長「ちょ・・それ・・」 会長 「デザインも結構かわいいと思います☆」 校長・教頭「パチパチパチ(ニコニコ)」 559 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 19 00 05.04 ID VUGb9XjyO 会長「あっつーい…ジュースジュースっと」 ゴクゴク 会長「ぷはーっ!生き返る!この一杯のために生きてるんだよね!」 書記「お前は親父か」 副会長「会長、今から先生に書類を提出しに行くのでついてきて下さい」 会長「へーいへい」 ガラガラ、ピシャン 書記「…あいつ、ジュース置いてった…。まだ入ってる…」 書記「………………」 会長「ふぃー、暑い~。ん?ジュースちょっと減ってる」 書記「こ、この暑さだからな、蒸発したんじゃないか?」 会長「蒸発かぁ~。この暑さならしかたないよね」 書記「………………」 561 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 19 03 05.08 ID Hu/tQRbIO 会長「せんぷーきー!!せんぷーきー!!あーつーいー!!」 書記「無理だって。予算無いし、んなもん買ったたら教室にもって言われるだろうし」 会長「ならちょっと耳貸してー。ゴショゴショ……ヒソヒソが見れるかもしれないよ?」 書記「………確かに……副会長!!是非生徒会室に扇風機を!!」 副会長「全く、会長はそういう事だけは頭働くんだから……書記、ちょっと来なさい」 書記「な、なんスか?」 副会長「ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ………って事もあるけど、それでも扇風機が良いなら考えなくもないけど?」 書記妄想中 書記「ブフッ………そ、そうだよな、会計が大変だもんな!!」 会長「えー」 会計「鼻血出しながら私に責任を押し付けられても……」 565 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 19 08 41.31 ID D/ZEPks70 副会長「・・・スイカ?」 書記「ま~たハズレ、正解は柿だ!!」 副会長「夏の果物が・・・・・柿・・・だと!?!?」 会長「なにしてんのー?」 書記「ん、まあちょっとしたクイズだ。よしよし、お前にも出してやろうw トラックに茄子、トマト、スイカが乗っていました。急カーブで落ちたのh」 会長「スピードかなー」 書記&副会長「!!!」 会計「カリカリ・・・(皆真面目に仕事しないのかなあ・・・)」 567 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 19 19 16.78 ID VUGb9XjyO 書記「なんで生徒会がプール掃除なんかしなきゃならないんだよ」 副会長「文句言わないで下さい。会長が楽しそうだからと言って引き受けてしまったんですから」 書記「…あいつらしいな」 副会長「会長ー、ホースはしっかり持ってますかー?」 会長「ばっちりっすよー!」 副会長「それじゃ会計、水を出して下さい」 会計「はい…」 キュッ ブシャアアアアアアア! 会長「うひゃああああ!い、勢い強くて抑えられないよー!?」 ブシャアアアアアアア 会長「きゃー!びしょびしょ~!!」 会計「す、すみません!ひねりすぎちゃいました…!」 副会長・書記「(か、会長の服が濡れて透けている…!)会計!」 会計「は、はい!?」 副会長・書記「グッジョブ!!」 会計「え…?」 570 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 19 26 23.49 ID wLVruLGu0 会長 「おはよー」 (パクパクパク) 副会長「会長?それはなんですか?」 会長 「これ? プッチャン☆」 副会長「次元の区別がついてない・・・」 576 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 19 33 54.10 ID PoLnHe900 会長「たのもー!」 副会長「はいはい、うちは道場破りはお断りですよ。てかあなたが主でしょうが」 会長「??副会長たんなにいってんの?」 書記「そうだよ。ただ会長はたのもーって言っただけなのになんで道場破りなんだよ」 副会長「し、しかしたのもーといえば道場破りの典型パターンでは…?」 会長「えぇー、そんな典型パターンしらないよぅ!」 書記「そうだそうだwどういう典型なんだよw」 副会長「//////・・・と、とにかく道場破りと言えばたのもーなのですっ!!もう、知りません!!」 会長「へんなのー」 書記「wwwwwww」 副会長「/////////」 579 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 19 38 52.83 ID bfxoQSEKO アンケート『幸せとはなんですか?』 副会長「会長といるとき」 会計「手首を切っ」 書記「勉強がないこと」 会長「辛せ…ってどういう意味ですか?」 581 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 19 45 48.04 ID PoLnHe900 副会長「ふう、今日も一日頑張るか…あ、ユンケルのも…」 ごくごくっ・・・とてとてとて・・・ 副会長「ん?・・・この足音は、後ろから会長が走ってくる音…」 会長「おーーい!!フック会長!!」 副会長「はいはい、私は全日本フック教会の会長では…(くるっ)…ぶっ!!…ど、ど、ど、どうしたんですか!!その格好!!」 会長「えぇー!!何いってんの副会長!!今日はプールだよー!!あっ!!もしかして水着忘れちゃったとか!!」 副会長「水着はちゃんとこのバックに入ってます!!そ、それよりもなんで水着で登校してるんですか!?」 会長「ふぇ?だってプールだもん水着でしょ?」 副会長「じゃあ、プールからあがって濡れたままでいるつもりですか!?てか、他の授業も…てか…はぁ」 会長「??どうしたの副会長?風邪?」 副会長「…いえ、あっまりにも馬鹿馬鹿しすぎてつっこむ気が失せました。もういいです学校に行きましょう」 会長「うん!!」 582 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 19 49 39.37 ID VbWXj1Sa0 会「いや~、やっぱりJojoはおもしろいですなぁ~」 副「何がやっぱりなのか分かりませんが仕事してしださい、それ以前に慢画を持ち込まないで下さいよ」 会「そうだ!Jojoごっこしよう!」 副「今時少学生でもしませんよ・・・、ジョジョを知ってる少学生もそういないと思いますけど」 会「んじゃ、副会長は私のスタンドやってね。私は・・・」 ガサゴソ 副(一体何を・・・?) 会「(黒い水泳帽を被り、スター夕一をかまえながら)ミスタやるから、ちゃんとはじいてね」 副「え・・・(も、もしかして・・・) 会「セックス・ピストルズ!!」 (パーン) 書「何だ・・・?今の音は・・・、何だか嫌な予感するぜ・・・、急ごう!」 583 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2007/06/12(火) 19 55 33.83 ID q49OrLfX0 会計「それでは予算会議を始めます」 会長「ヤダぁー、ねむーいぃ。もぉ帰る~ぅ」 副会長「会長が不在でどうするんですか? 頼みますから大人しく座っててください」 会長「ちぇ~」 運動部代表「・・・ということで、速やかに買い換えが必要なんです。 今回はなんとか予算の都合をつけて頂きたいのですが・・・・・・。」 会計「なるほど。会長いかがですか?ここは計上するべきかと」 会長「ダメぇー、この予算は屋上に遊園地つくろうよ計画に使うのぉ。 それにウチの弱小運動部に金なんか使って何になるのよぉ。うぅ~」 副会長「会長。それは言い過ぎでは」 運動部代表「・・・・・・こちらが下手に出ていれば調子に乗りやがる。 グダグダぬかさずに話を聞け 生徒会のメス豚共!!」 副会長&会計「メス豚!?」 副会長「貴様は私の主をメス豚と呼んだ。 おまえ 生きて生徒会室から帰れると思うなよ。 ぶち●すぞ筋肉馬鹿(マッチョマン)!!」 運動部代表「おお恐ろしい恐ろしい。あんなに恐ろしいボディーガードに 定規を突きつけられては話もできんな。 拮抗状態を作るとしよう。 RRuggbyyy Boooooooo!!」 ラグビー部「♪Mama Papa were Laing in bed~♪」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ 教頭「あら、今年の予算会議も荒れ模様ねw」 会長「Zzzzzz・・・」 585 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 19 58 29.65 ID Hu/tQRbIO 題 好きな人 副会長「会長以外居る訳が無いじゃないですか」 書記「会長……いや副会長も………会計も何気に健気なんだよな……いやまて俺!!血迷うな!!ただ単に一緒に居る時間が長いだけだ!!」 会計「…ナイフ、カッター……人?刃物を買ってくれる人……それよりも一緒に死んでくれる人……かな……」 会長「私はねぇ、三人居るよー」 書記「意外と優柔不断なんだな」 副会長「安心して下さい。直ぐに三人とも消しますから」 会長「消しちゃダメー!!皆好きなの!」 副会長「……わかりました」 書記「んで誰なんだ?その三人は」 会長「うーんとねぇ、副会長と書記と会計!あ、そうだ!クラスの皆もみーんな大好き!」 副会長「……」 書記「ホラ、わかってた事なんだからそんなに落ち込むなよ」 586 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 19 59 32.25 ID VUGb9XjyO 会長「ねえねえ、副会長って好きな男子いないの?」 副会長「あいにくですがいません。学生の本分は勉学ですから」 会長「なんだ。つまんないの」 副会長「で、ですが、ずっと一緒にいたいと思う方はいて、えと、その方は私の目の前にいr 会長「ねえねえ、書記ってさあ…」 副会長「聞いてませんでしたか…orz」 588 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 20 13 04.64 ID VUGb9XjyO カサカサ 副会長「ん?」 カサカサ 副会長「き、きゃーっ!」 書記「どうした副会長!」 副会長「ご、ゴキが…」 書記「なに!?やつが…Gがでただと!?」 カサカサ…ブーン 書記「ああっ、飛んだ!会計危ない!!」 会計「………」 ガタッ(イスから立つ音) 会計「…私の前に現われたことを後悔なさい…」 ヒュッ 会計「またつまらぬものを斬ってしまったわ…」 書記「カッターで一刀両断…かっけー!!」 副会長「あ、ありがとう会計さん…」 会長「じゃあこの残骸捨てとくね」 ほうきとチリトリを取り出す会長 書記「お前意外とびびらないのな…。もっと意外なのは…」 副会長「こ、腰が抜けて立てません…」 594 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2007/06/12(火) 20 30 07.45 ID q49OrLfX0 会長「わたしが生徒会最高権力者の生徒会長様である 話しかけられたとき以外は口を開くな 口でクソたれる前と後に“サー”と言え 分かったか、ウヂ虫ども! 」 新人役員「さぁ~いぇっさ~」 会長「ふざけるな! 大声だせ! タ●落としたか! 」 新人役員「サーイェッサー!」 会長「貴様ら雌豚どもが訓練に生き残れたら―――」 副会長「ど・・・どうしちまったんだ?会長」 会計「昨日、フルメタル・ジャケットを観たそうです」 副会長「・・・・・・。」 会長「上出来だ、頭が死ぬほどフ●ックするまでシゴいてやる! ※でミルクを飲むようになるまでシゴき倒す!」 副会長「・・・・・・い、意味・・・わかって言ってんのかな・・・」 書記(物陰から)「(か、会長ぉぉぅ!もっと!もっとぉ~!!あ~)」 597 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 20 34 19.04 ID VUGb9XjyO 副会長「会長、暇ならちょっと買い出しに行ってきてくれませんか?」 会長「いいよー」 副会長「それではこのメモに書いてあるものを買ってきて下さい。お金はこれを。領収書を忘れずに」 会長「あいあいさー。いってきまーす」 書記「会長遅いな」 会計「どこかで迷子になってたりして…」 副会長「ちょっと調べてみるわ。発信機によると…校門の近くね。もうすぐ帰ってきますよ」 書記「ちょwwwwwwwwww発信機ってwwwwwwwwww」 599 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 20 37 45.59 ID BWhSXQDDO 副「…何ですかこれは?」 会「ネコ耳。」 副「それはわかりますが何故私の頭に」 会「かわいいじゃん♪」 副「…取りますね」 会「ちょい待ち!その前に一つ頼みが」 副「何です?」 会「“私は副会長ですにゃ~♪”って言ってみて?」 副「お断りします」 会「真面目に仕事するから!」 副「…私は副会長ですにゃー。」 会「や~んかわいー♪ よちよち、会長さんの膝の上においで~♪」 副「(無言で外す)」 会「嫌かい!」 601 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 20 40 44.68 ID tftDQNJH0 599 そこは 会「や~んかわいー♪ よちよち、会長さんの膝の上においで~♪」 副「///(無言で外す)」 会「照れなくていいじゃ~ん」 副「て、照れてませんよ!」 だろ 603 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/12(火) 20 44 41.17 ID 6yLGlXJO0 601 副「チャンスだったのに・・・バカバカ」 母「あなた、最近 娘の様子が・・・」 父「明日、担任に聞いてくるよ(知っているけど、いえないよな)」 だろ