約 3,702,826 件
https://w.atwiki.jp/casterchronicle/pages/52.html
魔法少女名 魔法少女名公式Twitterより キャラクター紹介 カードリスト 関連項目 公式Twitterより twitter_widget3プラグインエラー:正しいhtmlタグを入力してください。 キャラクター紹介 名前 本名(ふりがな) 属性 Y星 クラス 組 血液型 誕生日 好きなこと (秘) 公式ホームページ 『暁の星学園49回生生徒名簿』より カードリスト 取得中です。 関連項目 魔法少女
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3762.html
翌朝、佐藤がバイトに行くと、キッチン担当の相馬博臣と出くわした。にこにこと笑顔を絶やさない取り分け特徴のない男だが、この笑顔が曲者だ。 「おはよう、佐藤君。今日はお疲れみたいだね」 「まあ、ちょっとな」 ユーノからおおよその説明を聞き、ぽぷらはなのはに協力すると約束した。佐藤は面倒くさいと思ったが、さすがに人や町に被害が出るかもと言われて反対するわけにもいかない。 「へえ、もしかして変な宝石でも拾った? それとも不思議な女の子に会ったとか?」 「てめえ、どこまで知ってる?」 「何のこと? 俺は冗談を言っただけなんどけど……」 佐藤が胸ぐらをつかむと、相馬はだらだらと脂汗を流す。 相馬の情報網は凄まじく、他人の秘密をことごとく知っている。相馬なら昨日のことを察知していてもおかしくない。本当に油断のならない男だった。 「俺は何も知らないよ! まだ!」 まだと言うあたりに本音が混じっている。さすがに考え過ぎだったかと佐藤は、相馬を解放する。 相馬は襟元を直しながら、話を変えた。 「そういえば、新人さん、今日からだよね。どんな人たちか楽しみだな」 噂をすればなんとやら、そこに高町兄妹がやってきた。恭也も美由希も浮かない顔をしている。 「おはようございます」 たった一人、なのはだけが元気に挨拶する。恭也と美由希が来なくていいと説得したのだが、どうしても手伝うと譲らなかったのだ。恭也たちは小鳥遊になるべく近づかないという条件で渋々承諾するしかなかった。 なのはが手伝いにこだわった理由はぽぷらだった。一応封印を施したが、ジュエルシード暴走の危険性がなくなったわけではない。念の為、なるべくぽぷらの側にいるようユーノから言われているのだ。 「おはよう。俺は相馬博臣。よろしくね、なのはちゃん。それに高町恭也君と美由希さんだよね」 「よろしくお願いします」 ようやくまともそうな人に会えたと、恭也は少しほっとする。 「こいつは人の秘密を握って脅迫してくるからな。気をつける」 佐藤が忠告する。 「やだなぁ、人聞きの悪い。俺が知ってるのはせいぜい……高町恭也、大学一年生。父親から幼い頃より御神流の 剣術を習う。恋人の名前は月村忍。夏休みのデートの約束断るの、大変だったんだってね。それから……」 「相馬、もういい」 「痛いよ、佐藤君!」 佐藤に引っ張られて相馬が厨房へと姿を消す。 「……恭ちゃん、私たち忍さんの話なんてしてないよね?」 恭也は無言で首肯する。こちらの個人情報をどこまで知っているのか。得体の知れない相手だ。 「あれ? 今相馬さんの声がしませんでしたか?」 「うわ!」 突然、天井が開き、梯子が下りてくる。そこから滑るように長い黒髪の女の子が下りてきた。フロアスタッフの格好をしているので、ワグナリアの店員だろう。どうやらここに住んでいるらしい。 「おや、あなたたちはどちら様ですか? あっ、わかりました。あなたたちが新人さんですね。私は山田葵。わからないことがあったら何でも聞いて下さい!」 女の子は胸を張って威張りだす。しかし、そのエプロンには研修中のバッチが取り付けられていた。 「ええと、山田さん?」 恭也が名前を呼ぶが、山田は不思議そうに首を傾げる 「山田さん?」 「はっ。そうでした。私、山田でした!」 (偽名!?) 偽名を使い、ここに住んでいるとなると、家出少女だろうか。 ワグナリアには、変人しかいないのかと恭也と美由希は頭を抱えた。 メンバーに不安を抱えたまま開店したが、仕事は滞りなく進んで行く。どうやら能力は案外高いらしい。 「高町さん。洗い物が重くて持てないのでお願いします」 「はい」 「美由希ちゃん。高くて届かないので、コップをお願いします」 「……はい」 ぽぷらに仕事をちょくちょく頼まれるが、これくらいならご愛嬌だろう。後、たまに山田が皿を割っているが、それも多分きっとご愛嬌だろう。 客の入りも思ったより激しくなく、店内はどこかゆったりと時間が過ぎていく。 (そうなんだ。なのはちゃんには敵がいるんだ) (敵……なのかな? とにかくその子もジュエルシードを狙ってるの) ぽぷらとなのはは並んでお皿を吹きながら、念話で会話する。服に隠れて見えないが、ジュエルシードは細い紐で、ぽぷらの首から下げられている。変身を解除したら自然とこの形に変わったのだ。 (多分悪い子じゃないと思うんだけど……) (どうして?) (……その子、とっても寂しくて綺麗な目をしているの。それに私を倒した時に、ごめんねって呟いたんだ。何か理由があるんだと思う) (そうなんだ) (おい、7卓の料理できたぞ) 「はーい」 突然割り込んできた佐藤に、ぽぷらは返事をする。 「佐藤さん。横着しないで、ちゃんと口で言ってよ」 「これ便利だな」 「もう!」 ぽぷらは料理を運んでいく。ぽぷらが一定範囲内にいれば、佐藤も念話が可能だった。 (じゃあ、バイトが終わったら、ジュエルシード集めだね。今日から頑張ろう。なのはちゃん) (うん。頑張ろうね。ぽぷらちゃん) (次の料理もそろそろできるぞ。種島) 「さとーさーん!」 ぽぷらの文句もどこ吹く風で、佐藤は淡々と仕事をこなしていた。 「高町さん。ちょっと野菜を持ってきてもらっていいですか?」 「わかりました」 八千代に言われ、恭也は裏に向かう。そこで従業員用入口から入ってきた高校生の女の子と出くわした。 オレンジっぽい茶髪をショートカットにし、ヘアピンをつけた、スレンダーな体系の女の子だった。 「あ、君もバイトの……」 「いやああああああ!」 恭也が口を開くなり、女の子は悲鳴を上げ、すくい上げるようなボディブローをお見舞いしてきた。 「!?」 恭也は咄嗟に腕で防御するが、あまりの威力に腕がしびれ、体がかすかに宙に浮く。 「恭ちゃん!?」 悲鳴を聞きつけ、フロアの女の子たちが駆けつける。 「伊波ちゃん、ストップ!」 ぽぷらが恭也と女の子の間に割って入る。 八千代とぽぷらの二人になだめられ、伊波と呼ばれた女の子は落ち着こうと深呼吸している。 「恭ちゃん、この子に何したの?」 美由希が目を釣り上げて詰問してくる。明らかに誤解している。 「違う。俺は何もしていない」 「何もしていないのに、女の子が悲鳴を上げるわけないでしょう。事と次第によっては忍さんに……」 「いきなり殴られて、訳がわからないのは俺の方だ!」 「違うんです。美由希さん」 遅ればせながら小鳥遊と杏子がやってくる。同情するような眼差しを恭也に向けていた。 「あの人は伊波まひるさん。極度の男性恐怖症で、怖さのあまり男と見れば見境なく襲いかかってくるんです」 「ごめんなさい! どうしても男の人が怖いんです!」 (どっちがだ!) 恭也は心の中で叫ぶ。伊波の一撃はとても重く、受け止めた場所は確実に痣になっているだろう。力だけなら、恭也すら凌ぐ。 「最近、少しは男に慣れてきたと思ったんですが、やっぱり初対面の人だと駄目ですね」 「小鳥遊君。もしかして、君は伊波さんに……」 「ええ。シフトが同じだと、日に四回は殴られてます」 恭也はさすがに小鳥遊に同情した。よく生きていられるものだ。 小鳥遊は振り返って杏子を見た。 「店長、またシフト間違えましたね? 駄目じゃないですか、男の人と伊波さんを一緒にしたら」 「間違えてない。こいつの親父が、高町兄なら殴られても防御できると言ったんだ」 杏子がしれっと言った。 それなら事前に教えて欲しかったと恭也は思う。 「……お互い、殺されないように頑張りましょう」 小鳥遊がしみじみと言った。恭也は返事をすることができなかった。 夜、ワグナリアになのはとぽぷらたちは集合していた。 店内の明かりは消え、周囲に人の気配はない。屋根裏には山田がいるはずだが、今の時間に外には出てこない。 「なのは、早速ジュエルシードの反応だ!」 「レイジングハート、お願い」 『Set up』 なのはがバリアジャケットを装着する。 「ポプランポプラン、ランラララン!」 「それ、必ず唱えないといけないのか?」 ぽぷらが元気に、佐藤がげんなりと光に包まれる。ぽぷらはセーラー服に木の枝、佐藤はキッチンの制服を着て、手の平サイズまで縮んでいる。 「魔法少女ぽぷら参上!」 「……ま、魔法少女リリカルなのは見参!」 二人並んでポーズを決める。 「なのは、別に付き合う必要はないんじゃ?」 「にゃはは。つい」 なのはたちは星の瞬く夜空を飛行する。 反応があった場所は、ワグナリアからそれほど離れていない路地だった。 なのはたちは地面に下り立ち目を丸くする。 マントを羽織った小鳥遊が、黒衣の魔法少女、大型の狼と一緒にいた。ユーノが感知したのは、小鳥遊のジュエルシードだったのだ。 時間は少し前にさかのぼる。 バイトを終えて帰路についた小鳥遊は悩んでいた。 「高町さんも美由希さんも、絶対俺のことロリコンだと思ってるよな」 兄と姉の鉄壁のブロックに、小鳥遊は今日一度もなのはと会話できなかった。 「せっかく先輩以外の心のオアシスができたのに、酷い!」 どうにか誤解を解かねばならないが、小鳥遊の問題はそれだけではない。 「それにしても、これ、どうしよう?」 小鳥遊は首から下げていたジュエルシードを取り出す。 昨日はやけにテンションが上がって気にならなかったが、現実にはあり得ないことの大連発だった。 魔法の使い手となり、同じ魔法使いの女の子と戦った。しかも狼女まで現れた。普通なら夢だと思うところだが、この宝石が確かな証拠だ。 この宝石を使えば小鳥遊の夢は叶うかもしれない。だが、冷静になった今では得体の知れない力に頼る気にもなれない。 「こんなこと、誰にも相談できないし」 その時、電信柱の裏で影が動いた。 「猫? 犬?」 覗きこむと、昨日出会った女の子がいた。今日は黒い普通の服を着ている。寄りそうように狼形態のアルフもいた。 「私の名はフェイト・テスタロッサ」 「小鳥遊宗太です」 名乗られて、反射的にこちらも名乗る。 「今日はあなたにお願いがあって来ました」 フェイトがおずおずと言う。人にどう接したらいいかわからない。そんな戸惑いが伝わってくる。 「喜んで!」 小鳥遊は鼻息荒く頷いた。 「……まだ何も言ってない」 「どんなお願いだって聞きます!」 詰め寄ってくる小鳥遊に、フェイトは若干後ずさりする。 アルフが小鳥遊とフェイトの間に強引に体を割り込ませ、毛を逆立てて威嚇する。しかし、小鳥遊の視界にアルフは入っていない。小鳥遊の趣味からすると、狼アルフは大型過ぎる。 フェイトは小鳥遊から少し距離を取り、ジュエルシードと小鳥遊に起きた変化について説明をし、最後にこう付け加えた。 「私はジュエルシードを回収しています。あなたにもそれを手伝って欲しいんです」 昨日のプレシアの指示は、小鳥遊の手を借りろというものだった。 それを聞いた時、アルフは最初耳を疑った。 普段、プレシアは母親でありながら、フェイトに冷たい。それなのに、協力者を指示するなんて珍しいこともあるものだ。 (まあ、あの女なりに、娘を心配していたということか) アルフは少しだけプレシアを見直した。小鳥遊の性格はかなり変だが、実力は折り紙つきだ。後は、自分がなるべくフェイトに近づけないようにすればいい。 「はい。わかりました!」 フェイトの頼みを小鳥遊は快諾する。 「あの、集めている理由を訊かないんですか?」 「必要ありません!」 小鳥遊の胸のジュエルシードが光り輝き、魔王へと変貌する。 その直後、なのはとぽぷらが現れた。 フェイトが無言でバルディッシュを構える。 「……もしかしてあの人たちって、フェイトちゃんの敵?」 だらだらと脂汗を流しながら、小鳥遊が訊く。 「うん。右の子は初めて見るけど」 「……俺の知り合いなんだけど、戦わないといけないんだよね?」 「そうだよ。協力するって言ったんだ。手伝ってもらうよ」 アルフが牙をむき出して前に出る。 フェイトたちを前に、ぽぷらが右肩の佐藤に話しかける。 「ねえ、佐藤さん。あの人、かたなし君だよね?」 「間違いない。あいつもジュエルシードを拾ったか」 さすがのぽぷらも、今回は他人の空似とは思わなかったようだ。 「小鳥遊さん。あの子もジュエルシードを持ってる」 「え、じゃあ……」 「うん。早く回収しないと」 ぽぷらも小鳥遊も、互いにジュエルシードに取り込まれていると誤解していた。 「~~~~先輩、なのはちゃん、ごめんなさい!」 小鳥遊が両手をかざす。 危険を察知して、なのはとぽぷらが左右に跳ぶ。背後の塀が縮んでいく。 「縮小魔法? なのは、気をつけて!」 ユーノが広域結界を展開する。 「ぽぷらちゃん、一気に封印行くよ!」 「うん!」 「ディバインバスター!」 「必殺ぽぷらビーム!」 二人の放つ光線が小鳥遊に迫る。 「縮め!」 細く小さくなった光線を、タカナシは肉体で受ける。小さくなったとはいえ、まだそれなりの威力を維持していたはずだが、びくともしていない。 「ぽぷら、上!」 「ジュエルシード封印」 フェイトがバルディッシュを振り上げていた。 ぽぷらは咄嗟に木の棒で受け止める。 「きゃー! きゃー!」 木の枝が折れそうで、ぽぷらが半狂乱で泣き喚く。 「嘘」 フェイトは唖然としていた。 火花を上げながら、木の枝はバルディッシュの刃と拮抗している。これもジュエルシードのなせる業か。 「撃て!」 「ぽぷらビーム!」 無理な体勢から、ぽぷらがビームを撃つ。フェイトは横に移動するが、マントの端がビームに消滅させられる。尋常な威力ではなかった。 「フェイトちゃん! 邪魔しないで、なのはちゃん!」 小鳥遊がなのはの攻撃を受けながらも、フェイトの加勢に行こうとする。 「もしかして……」 「この子……」 小鳥遊とぽぷらの表情を見て、なのはとフェイトが同時に言った。 「「ジュエルシードに取り込まれていない?」」 「「へっ?」」 全員が動きを止めた。 とりあえず一時休戦となり、互いの変化について説明しあう。 フェイトとアルフは遠くから話し合いを見守っていた。話し合いなどするつもりはなかったのだが、小鳥遊が頼んでどうにか武器を納めてもらっていた。 「なるほど、小鳥遊はそっち側に付いたか」 「はい。すいません。約束してしまったので……」 正座した小鳥遊が、佐藤にそっと手を伸ばす。 「どさくさにまぎれて撫でるな」 佐藤が小鳥遊の手を叩き落とす。小鳥遊は悲しげに手を引っ込めた。 「でも、まさかジュエルシードと共生できる人がいるなんて」 ユーノは興味深そうに小鳥遊を観察する。どれだけ強い願望を持っているのか、計り知れない。 「ところで提案なんだが、この休戦もうしばらく続けないか?」 佐藤がフェイトとアルフにも聞こえるように言った。 「俺たちは互いにジュエルシードを集めている。それなら、まずはジュエルシード集めに専念し、集め終わったら、それを賭けて勝負すればいい」 「同時に見つけた場合は?」 「じゃんけんでいいんじゃないか?」 「ふざけるな。こっちは遊びでやってんじゃないんだよ!」 アルフが激昂する。 「ジュエルシードを一刻も早く集めたい。そこまでは一致しているはずだ。いちいち戦っていたら、時間と労力のロスだ」 そう言われると、アルフは反論できない。 手分けして探索した方がより早く終わるが、さすがにそこまで慣れ合う必要もあるまい。 「ねえ、そうしようよ、フェイトちゃん」 なのはも必死に呼びかける。 「目的があれば、ぶつかり合うのは仕方のないことかもしれないけど、何度も何度もフェイトちゃんたちと戦うなんて、私、やだよ」 「…………」 「お願いします!」 小鳥遊が頭を下げる。バイトの同僚と険悪にならないためには、これが最善の策だった。 「……わかった。それでいい」 「フェイト?」 「早く集められるならその方がいい。平気だよ。私は強いから」 フェイトが優しくアルフの頭を撫でる。 「決まりだな」 話し合いが終わるなり、フェイトとアルフは夜の闇に消えていく。 「ありがとう。佐藤さん。おかげで初めてフェイトちゃんと話し合いができました」 無邪気に喜ぶなのはに、佐藤は微妙な表情を浮かべた。 まさか、変身していると煙草が吸えないので、早く解決したいとは口が裂けても言えなかった。 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3773.html
自分がプレシアの娘の紛い物であり、母親から全く愛されていなかったことを知らされ、フェイトが放心状態で崩れ落ちる。それをアルフが抱きとめ、慌てて医務室へと運んでいく。 アースラブリッジは、一気に騒然となる。 時の庭園から膨大な次元エネルギーが放射されている。このままでは大規模な次元震が起きるのは時間の問題だ。 さらに庭園内には八十体以上の傀儡兵が出現し、送り込んだ部隊を足止めしていた。 「僕が行きます」 「クロノ、その体じゃ無理よ」 「部隊の指揮くらいなら執れます。行かせてください」 クロノは強い決意を込めて言った。とても止められそうな雰囲気ではない。 「わかりました。出撃を許可します。ただし無茶をしたら駄目ですよ」 クロノが頷き、時の庭園へと転送されていく。 「私たちも行かせてください」 「かたなし君を助けないと」 なのはとぽぷらが名乗りを上げる。魔力は回復してもらったが、疲労や負荷は残っている。万全の状態には程遠い。 「エイミィ。彼女たちを投入した場合の作戦成功率は?」 「好意的に見積もっても二十パーセントもありません」 「駄目です。そんな危険な作戦に、あなたたちを投入するわけにはいきません」 リンディは首を振る。 クロノの弱体化がここでも影響していた。本来のクロノならば一部隊に匹敵する働きができるのに。 「せめて、後一部隊あれば……」 「何とかなるかもしれません」 発言したのはユーノだった。 「どういうこと?」 ユーノは空中にワグナリア近辺の地図と、ジュエルシードが発見された位置を投影する。 「前から疑問に思っていたんです。どうしてジュエルシードはワグナリアに引き寄せられたのか」 「それは小鳥遊さんに引き寄せられたって……」 「それだと辻褄が合わないんです」 夏休みの今、小鳥遊が一番長い時間過ごす場所は自宅だ。なのに、小鳥遊家に引き寄せられているジュエルシードはない。 「つまりワグナリアには小鳥遊さん以外にも引き寄せる要因があったんです」 「あっ」 ぽぷらがあることを思い出した。ユーノが頷く。 「確証はありませんし、かなりの危険を伴います。でも、鍵はワグナリアにいます」 ユーノは地図上のワグナリアを指差した。 時の庭園内に、ワグナリアの制服を着た女が転送されてくる。赤縁の眼鏡に激しくカールした前髪、松本麻耶だった。何故か荒縄で拘束されている。 「って、ここどこなのよー!」 松本は混乱した様子で叫ぶ。 通路はところどころ壊れて赤い空間がのぞいている。おどろおどろしい赤色は、まるで怪物の口の中のようで不気味だった。全ての魔法がキャンセルされる虚数空間と呼ばれる場所で、落ちれば重力の底まで真っ逆さまだ。 残された床には、西洋の甲冑に似たデザインの傀儡兵が徘徊していた。 「落ち着け、松本」 「佐藤さん、いきなりこんなとこに連れてきて――!」 松本は縄の先を握る佐藤を見て、絶句する。セーラー服を着たぽぷらの肩に、手の平サイズの佐藤が乗っていた。 松本たちを発見した傀儡兵が襲いかかってくる。 「必殺ぽぷらビーム!」 ぽぷらが木の枝から光線を放ち、傀儡兵たちを倒していく。 松本は頭を抱えてしゃがみこんだ。 (違う。こんなこと現実にあり得るわけがない。そう、これは夢よ!) 人間が小さくなったり、木の枝から光線が発射されたり、ロボットが歩いていたり、全部夢だと思えば納得できる。 「…………って、納得できるかー!」 松本が一転して怒りの咆哮を上げた。 「普通な私の夢が、こんな普通じゃないはずがない! 私の夢なら、もっと普通になりなさいよ!」 佐藤が松本の巻き毛にジュエルシードを差しこむ。その瞬間、不可視の領域が松本を中心に発生した。 傀儡兵の動きが格段に鈍くなり、ぽぷらと佐藤の変身が解ける。 「成功だよ、佐藤さん!」 「さすがだ。普通少女麻耶」 ぽぷらのハイタッチを受けながら、佐藤が感心したように呟く。 佐藤が松本から回収したあの日、ジュエルシードはすでに発動していた。松本の能力は普通フィールドの展開。その領域内では、あらゆる魔法、超常現象が無効化される。 佐藤たちは知らずに普通フィールドに踏み込み変身を解除されたのであって、ぽぷらが気をきかせたわけではない。 ジュエルシードをワグナリアに引き寄せていたもう一つの要因は松本だった。小鳥遊同様、松本の普通じゃないほど普通を願う気持ちがジュエルシードを上回ったのだ。 ロストロギアを超える欲望を持つ人間が二人もいるとは、さすがにワグナリアは変態の巣窟だ。案外、探せば他にもいるのかもしれない。 しかし、さすがに傀儡兵の存在自体は消滅させられないし、普通フィールド内では味方も魔法を使えない。 「出番だぞ」 佐藤の言葉に反応するように、釘バットが手近にいた傀儡兵を屠る。魔法防御がなくなり、関節部分がかなり脆くなっている。これなら普通の人間でも倒せるだろう。 「こいつらか。うちのバイトを誘拐した不届きな連中は」 残骸をハイヒールで踏みつけ、白藤杏子が釘バットを肩に担ぐ。 「そうだ。救出を手伝ってくれたら、一カ月間、好きな時に飯を作ってやる」 「その約束忘れるなよ、佐藤」 真横から傀儡兵が槍で杏子を狙う。しかし、槍が届く寸前で胴体を両断される。 「ふふふふ。杏子さんに手を出す輩は、全て八千代が抹殺いたします」 危険な妖気を漂わせ、八千代が日本刀を構えていた。 杏子も八千代も、怪しげなロボットたちが動き回るこの状況にまったく違和感を抱いていない。杏子は細かいことに拘らない性質の上、ご飯が一番大事だし、八千代にとっては杏子の敵を倒すことだけが重要なのだ。 「もう少し時間があれば、陽平と美月も呼んだんだがな」 杏子が軽く舌打ちする。杏子の舎弟たちの名前だ。 「ね、ねえ、種島さん、こいつら何なの!?」 伊波がおろおろと周囲を見渡す。伊波は前の二人のようにはいかなかったようだ。 「かたなし君を助けるためだよ。伊波ちゃん頑張って!」 「む、無理だよ。こんなのと戦うなんて……」 佐藤は伊波からなるべく距離を取り、メガホンを口に当て、決定的な一言を放った。 「伊波、あいつら、全部男だぞ」 「いやあああああああああああああ!」 伊波の拳がまるでブルドーザーのように傀儡兵を粉砕していく。 伊波の横では酒瓶を抱えた女が泥酔状態で戦っていた。小鳥遊梢だ。 「また振られたー!」 梢は泣き喚きながら、繰り出される武器を千鳥足でかわしながら近づいていく。梢は傀儡兵をつかむと、頭を、腕を捻じ切っていく。合気道講師らしいが、酔拳使いにしか見えない。 「こうなったら、とことん暴れてやるー! 後、宗太にお酒いっぱい買ってもらうー!」 松本と一緒に、店にいた腕の立つ連中を集めてきたのだが、思った以上の大活躍だった。できれば、恭也と美由希も連れて来たかったのだが、残念ながらまだ店に来ていなかった。 あっという間に、通路にいた傀儡兵たちはすべて残骸に変わっていた。 「じゃあ、後は任せた」 いつでも連絡が取れるよう通信機を杏子に渡す。ここから先、佐藤とぽぷらは別行動だ。 奥から、新たな傀儡兵の軍団がやってくる。 「よし、お前ら、行くぞ!」 明日のご飯の為、杏子は釘バットを振りかざして敵に挑んで行った。 チーム・ワグナリアの破竹の快進撃を、ブリッジでリンディが呆れたように眺めていた。傀儡兵の掃討は、彼らとクロノたちに任せていいようだ。 「なのはさん、出撃の準備をして」 「はい」 リンディに言われ、なのはとユーノが転送装置へと向かう。 情けない話だが、現在のアースラの戦力でプレシア捕縛の可能性があるのは、なのはたちくらいだろう。もしもの場合は、リンディがバックアップするつもりでいる。 「待って。私も行く」 フェイトがアルフを連れてブリッジに入ってくる。放心状態で医務室に運ばれたはずだが、瞳に強い意志の輝きが戻ってきている。 「フェイト、いいのかい?」 アルフが心配そうに尋ねる。フェイトが行けば、プレシアと対峙することは避けられない。アルフはこれ以上、フェイトに辛い思いをして欲しくなかった。 「うん。宗太さんを……みんなを助けたい。なのはたちの……友達の力になりたい。それに、母さんともう一度会わないといけないから」 この世界で出会った人たちの顔を一人一人思い出す。変わった人が多かったが、誰もがフェイトに優しくしてくれた。このまま次元震が起これば、小鳥遊家やワグナリアのみんなまで死んでしまう。そんな結末は絶対に嫌だった。 「上手くできるかわからないけど」 フェイトがバルディッシュに魔力を注ぎ込むと、破損していた個所が修復されていく。 「フェイトが行くなら、もちろんあたしも行くよ。あの男には色々借りもあるしね」 アルフが指をパキパキと鳴らす。 「行こう、みんな」 バリアジャケットを装着し、フェイトはなのはたちを振り返る。 「よーし! 伊波ちゃん以来の共同戦線だね」 ぽぷらが張り切ってポーズを決める。 「ポプランポプランランラララン、魔法少女ぽぷら参上!」 「魔法少女リリカルなのは見参!」 「……フェ、フェイト・テスタロッサです」 ノリノリでポーズを決める二人の横で、フェイトがぺこりとお辞儀をする。 「フェイト。付き合わなくていいよ」 「えっと、そうしなきゃいけないのかと思って」 頭痛を堪えるアルフに、フェイトは照れながら弁解する。 佐藤が全員を見回して宣言した。 「さあ、選ばれし三人の魔法少女たちよ。今こそ魔王を倒し世界を救うのだ!」 「佐藤さん、ちょっと違うよ!?」 ぽぷらがつっこむ。むしろ魔王の救出が目的のはずだが。 「とりあえず出発しましょうか」 間抜けなやり取りに脱力しながら、ユーノが時の庭園へと転送魔法を発動させた。 時の庭園で激戦が繰り広げられている中、もう一つの戦場が地上にあった。 「8卓、カレーとチキンドリア、お子様ランチです!」 切羽唾待った様子で美由希が相馬に告げる。 「高町君、次は肉とキャベツ切って。千切りね!」 相馬が二つの鍋を火にかけながら叫ぶ。 「なずなちゃん、ラーメン、2卓へ」 「山田さん、パフェ三つお願いしますね!」 料理を運ぶ途中で、なずなが山田に言う。 「山田は、山田は混乱しています!」 山田が生クリームとアイスの箱を持ちながら右往左往する。 主なメンバーが不在の今日に限って、ワグナリアは満席だった。しかも注文も時間がかかるものばかりだ。 恭也はまだ一人で料理が作れるほど習熟しておらず、相馬は丁寧に調理をするので、あまり速い方ではない。手際のいい佐藤の不在が特に痛かった。 「相馬さん、他のスタッフの電話番号知らないんですか?」 「もちろん知ってるけど、俺の権限で呼べるわけないよ!」 「相馬さんの役立たず!」 山田は半泣きで喚く。泣きたいのは相馬も同じだった。 「とにかく、もう少しだけ辛抱して!」 「まずいよ、お客さん、だいぶ怒ってるよ」 美由希が客席を眺めながら言った。長時間待たされて爆発寸前のお客さんがちらほら見受けられる。美由希となずなの二人でどうにか抑えてきたが、さすがにこれ以上は難しい。 クレームが来た場合、店長かチーフが応対するのが常だが、今は誰もいない。ばれたら、店の存続に関わるかもしれない。 その時、従業員入口を通って、一人の男性が入ってきた。山田の顔が歓喜に輝く。 「音尾さん!」 「よかった、間に合った!」 「ちょうど近くを旅していてよかったよ。相馬君、苦労をかけたね」 ネクタイを締めて髪をオールバックにした穏やかな風貌の男性だった。この店のマネージャー、音尾兵悟だ。佐藤が杏子たちを連れて行った時に、念のため連絡しておいたのが功を奏したようだ。 「とりあえず呼べるだけの人員を集めてきたから」 どやどやと制服に着替えたスタッフが入ってくる。旅行や遊びから帰ってきたばかりのパートのおばさんと他のバイトたちだ。 「でも、お客さんが……」 「僕に任せて」 音尾は客席へと歩いて行き、一人一人に料理が遅れていることを謝罪していく。中には食ってかかる客もいたが、音尾の穏やかさと誠実さに、店内の雰囲気が徐々に落ち着いていく。 「すごい」 恭也と美由希が感嘆する。店をほったらかしにする無責任な男と思い込んでいたが、仕事はかなりできるようだ。 「どうです。山田のお父さん(予定)はすごいでしょう!」 山田が鼻息も荒く威張り散らす。予定とはどういう意味か問い詰めたい気もしたが、もはや恭也には気力が残っていなかった。 仕事が一段落し、キッチンもフロアも落ち着きを取り戻していく。 相馬たちは仕事をパートの人たちに任せ、休憩に取ることにした。山田は休憩室に入るなり机に突っ伏して眠ってしまう。よほど疲れたのだろう。 「山田さん、仮眠取るなら屋根裏に行った方がいいよ。山田さん?」 相馬が揺するが、山田はすでに夢の世界へと旅立っていた。 そこに音尾がやってくる。 「相馬君、本当に大変だったね」 「はい。それで店長のことなんですが……」 「言わなくていいよ。白藤さんのことは信じてるから。どうしても店を空けなければならない理由があったんでしょ?」 音尾が仏のような笑顔を浮かべる。あまりの眩しさに相馬は少しめまいを感じていた。 十個のジュエルシードが膨大なエネルギーを放っている。中心には、小鳥遊がはりつけにされていた。 「もう少しよ。待っていて、アリシア」 アリシアの入ったポッドに愛おしげになでながら、プレシアは小鳥遊に目をやる。 暴走させたエネルギーを小鳥遊に注ぎ込み結集させて撃ち出す。これで次元に穴を開け、アルハザードへの道を作ることができるはずだ。 エネルギーの充填はもうじき終わる。 プレシアが激しく咳き込んだ。 「こんな時に……」 体から力が抜けていく。いつもの発作の比ではない。足から力が抜け、ポッドに寄りかかるようにずるずると崩れ落ちていく。 「私はまだ死ねない。死ねないのよ」 しかし、咳は止まらず、大量に喀血する。プレシアはジュエルシードに手を伸ばし、そこで意識を失った。 通路を埋め尽くす傀儡兵たちをユーノとアルフのバインドが拘束する。 「必殺ぽぷらビーム!」 「ディバインバスター!」 二条の光線が傀儡兵たちを消し飛ばす。 「なのは、大丈夫?」 片膝をついたなのはを、ユーノが気遣う。連戦に次ぐ連戦に、なのはの疲労は極限に達しようとしていた。 「こっちは一目瞭然だな」 と、佐藤。 ぽぷらの身長は普段の三分の一になっていた。行使できる魔法も後わずかだ。 クロノが率いる局員たちは暴走している駆動露の鎮圧へ、チーム・ワグナリアは傀儡兵との戦闘を続けている。 『敵、増援!』 エイミィの切羽詰まった声、 通路に新たな一団が押し寄せてくる。 「どれだけいるんだ」 佐藤が舌打ちする。 「なのは、みんな、伏せて。サンダースマッシャー!」 巨大な稲妻が、なのはたちの頭上を通り過ぎ傀儡兵をなぎ倒す。 プレシアの待つ中枢部は目と鼻の先だ。壁をぶち破り、なのはたちはプレシアの部屋へと突入する。 プレシアがポッドに寄り掛かるように倒れていた。 「母さん!」 駆け寄ったフェイトが抱き起こすと、プレシアは浅い呼吸を繰り返していた。まだかろうじて息がある。 『次元エネルギー、さらに増大!』 エイミィが悲鳴を上げる。リンディまで出撃し次元エネルギーを抑えているが、もういつ次元震が発生してもおかしくない。 プレシアの制御を失い、ジュエルシードの暴走は手がつけられない状態になっていた。 「フェイトちゃん、封印を!」 「わかった!」 なのはとフェイトが近づこうとすると、発生したエネルギー障壁にはね返される。 「なら、大威力魔法で」 なのはがカノンモードを、フェイトがグレイヴフォームを起動させる。 しかし、 『『Empty』』 二つのデバイスが無情に告げる。ここに辿り着くまでに二人とも魔力を使い切っていた。アルフとユーノも似たり寄ったりの状況だ。 「それなら、スターライトブレイカーを」 大気中に残存する魔力を集めるスターライトブレイカーならば、チャージに時間さえかければまだ撃てる。 「駄目だ、なのは」 ユーノがレイジングハートを押さえる。 「でも」 「これ以上、負担の大きいあの技を使っちゃ駄目だ。残念だけど、スターライトブレイカーでもあの障壁は破れないよ」 「そんな」 なのはががっくりと膝をつく。 スターライトブレイカーが通用しないのなら、ぽぷらビームも同様だろう。 万策は尽きたかに思える。しかし、ユーノの顔に絶望の色はなかった。 「諦めるのはまだ早いよ。大丈夫、僕たちにはまだ最後の希望が残っている」 ユーノがぽぷらを振り返る。 「そうか」 佐藤がユーノの言わんとするところを理解する。ぽぷらが何を代償に魔法を使っていたのか。 「身長だ」 「佐藤さん、了解だよ!」 ぽぷらが木の枝を構える。佐藤がぽぷらの手に手を添える。そして、なのはが、フェイトが、ユーノが、アルフがぽぷらたちの背に手を置いた。 「みんな、みんなの身長を私に分けて!」 全員の身長を魔力に変換し、これまでとは段違いの膨大な魔力が木の枝に集中する。 「超必殺、ぽぷらブレイカー!」 時の庭園を揺るがすような巨大な光線がジュエルシードへと放たれる。しかし、ジュエルシードの障壁を打ち破るには至らない。 「撃ち続けろ!」 全員が凄まじい勢いで縮んでいき、とうとう親指サイズにまでなってしまう。 「とーどーけー!」 ぽぷらが叫ぶ。 その時、エネルギー障壁がわずかに出力を弱めた。ぽぷらブレイカーが障壁を粉砕する。 なのはとフェイトがデバイスを突き出す。 「リリカルマジカル」 「ジュエルシード」 「「封印!」」 ジュエルシードが二つのデバイスへと吸い込まれていき、時の庭園が静寂に包まれる。 『……次元エネルギー反応消失。作戦成功です!』 静寂を破るように、アースラからエイミィと局員たちの喝采の声が届く。 なのはたちはへなへなとその場にへたり込む。もはや立ち上がる気力も残っていなかった。 ふらつくぽぷらを、佐藤が抱きとめた。 「佐藤さん」 「なんだ?」 ぽぷらは佐藤に寄りかかったまま話しかける。 「私ね、ジュエルシードに感謝してるんだ」 「変わった奴だな。これだけ面倒事に巻き込まれたのにか?」 「うん。だってジュエルシードは私の願いを二つも叶えてくれたから」 「二つ?」 おっきくなる以外のぽぷらの願いなど、佐藤には見当もつかなかった。しかもジュエルシードはそれすら叶えていない。 「佐藤さん、私のこと、名前で呼んでくれたでしょ。それから、ほら」 今の状態で、ぽぷらが背伸びすると、佐藤の顔の高さと大体同じになる。ぽぷらは照れたように笑う。 「佐藤さんとつりあう背になること。これが私の願い」 思い切って気持ちを伝えると、佐藤が顔を背けた。 (やっぱり駄目か) ぽぷらは寂しげに目を伏せる。こうなることはわかっていた。ならば、せめてもう少しこのままでいたかった。 「……今度」 佐藤がぽつりと言った。 「…………休みが重なったら、遊園地でも行くか」 激しい懊悩を隠すように、佐藤は手で顔を押さえていた。指の隙間から真っ赤になった顔が覗いている。 「お子様とのデートは遊園地が相場だからな」 「私、子供じゃない……!?」 反射的に叫び返そうとし、佐藤の言葉の意味に気がつく。佐藤につられて、ぽぷらの顔まで赤く染まる。 「さ……」 「何も言うな」 佐藤がつっけんどんに言う。照れ隠しだろう。 「……三つ目の願いまで叶っちゃった」 ぽぷらは心から幸せそうに笑った。 アルフが盛大に咳払いをする。 「いちゃつくのはいいけどね、ここにはお子様がたくさんいるってことを忘れないで欲しいね」 周囲を見渡すと、みんなが赤い顔でこちらを注視していた。 『ごめーん。通信回線も開いたままなんだ』 エイミィが申し訳なさそうに、だが、楽しそうに言った。画面の向こうから局員たちの冷やかす声が聞こえてくる。 「もおおおおおおお! 佐藤さん、時と場所を考えてよ!」 「最初に言ったのはお前だろうが。お前のせいだ」 「二人とも……」 なだめようとするフェイトを、なのはが止める。 「いいの、いいの。これがいつもの二人なんだから」 なのはは心の中でぽぷらたちを祝福する。 時の庭園に、二人の言い合う声がいつまでも響き渡っていた。 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1295.html
魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ 第十三話「第六天魔王VS究極戦国最強」 「ヴィヴィオ…ヴィヴィオ…!」 「こないで…!」 「!」 忠勝がチンクと戦っている間、こちらの戦いも決着がついていた。 スターライトブレイカーを撃ったことにより部屋の中には大きなクレーターができていた。真ん中に倒れているのは少女の姿へと戻ったヴィヴィオ。 「う…く…一人で…立てるよ…強くなるって……約束したから…。」 よろめきながら、それでも確かに立ち、なのはの元へと歩むヴィヴィオ。なのはの頭にはヴィヴィオとの思い出が廻る。 その光景になのはの目には涙が溜り、溢れる。なのははヴィヴィオに駆け寄り、もう離すまいと必死の想いで抱きしめた。 突然サイレンが鳴り出すと同時に駆けつけたはやて。ゆりかご内に響くアナウンス。 『聖王陛下、反応ロスト システムダウン。全ての魔力リンクをキャンセルします。』 「うっ!?」 部屋全体が桃色に染まり、なのはの足元に浮いていた羽をはじめ、魔力はすべて消された。 「どうするなのはちゃん!?徒歩で脱出するのは…!」 「くっ…どうしよう…。」 その瞬間、壁が爆発して中から白銀の巨人、本多忠勝が現れた。肩には結局ほおっておけず、連れてきた傷だらけのチンクが乗っている。 他の戦闘機人は他の管理局員が捕まえたらしい。手を伸ばしてこちらに来るように指示をする忠勝。 近づくと身をかがめ背中を指差す。乗れ、ということらしい。 「そうか!忠勝さんなら…いける!!」 そういえば忠勝は全身質量兵器。だとしたら魔力を使わないで一気に脱出できる。 なのはとはやては忠勝の肩に捕まる。全員乗せたと確認すると忠勝は機動形態を発動。 槍を前に突き出して鉄の鎧を纏っていたときとは比べ物にならない速度でゆりかごの中を駆け抜ける。 「!!」 肩に捕まっている全員に風圧がかかる。生身で受けているからそれはものすごいものであった。 しかしこの速度でやらなければ自分達もゆりかごの墜落に巻き込まれてしまう。壁が見えるが忠勝は速度を緩めない。 チンクがナイフを投げてランブルデトネイターを発動。爆発が起こる。 「伏せろ!!」 チンクがそう叫ぶと皆頭を伏せ、なるべく瓦礫に当たらないように身を掲げる。 ついに壁に激突。それでも忠勝は止まることはなく、ロケットを最大出力で点火。ランブルデトネイターの爆発でもろくなっていた壁を突き抜けていく。 刹那、視界に光が差した。目を開けると果てしない青空。雲ひとつない晴天。脱出は成功したのだ。ある程度離れてからゆっくりと地面に降りていく忠勝。 着地すると皆を降ろした。目の前にはスバル達フォワード陣や蒼い騎士甲冑に炎の翼という容姿になっているシグナム。瓦礫に腰掛けている元親と秀吉。 大怪我を途中で負いながらもなんとか意識を取り戻しているヴィータ。スバルとの戦いでベットに担架の上で寝ているギンガ。何より驚いたのは幸村や政宗の存在。 忠勝はどことなく安心したようで歩み出した。 直後に響く銃声。 気付くと自分の左肩の装甲が完全に壊れている。後ろを向くと辺りを己の邪気で染めながら歩み寄る魔王、織田信長。 「うつけが……貴様等の罪、万死に値する。」 皆が構えるが信長は両手を広げ、邪気を飛ばす。その邪気に纏われた瞬間次々と倒れていく。 これは確か、信長だからこそできる業。 死ニ至ル病。 この技を発動させている最中に信長の邪気を吸うと体にかなりの重力が襲い、胸がひどく締め付けられるような苦痛が襲う。 あたかも相手を病に罹っている状態にさせることから先ほどのような名がついた。 技を防ぐ方法は以外にも簡単。邪気を吸わなければいいのだ。だが皆吸ってしまっている。 つまり動けるのは機械だから呼吸を必要としない本多忠勝、ただ一人。 槍を振り下ろすが刀で軽くあしらわれ、顔面にショットガンの弾丸を受ける。左目の光が消える。見えなくなったという証拠だ。 ボコボコになった顔面の左半分。だがまだ右目がある。見えないわけじゃない。再び向くとショットガンをリロードもなしに五発連続で胴体に放つ。 胴体から流れ出るオイル。これは人間にとっての血液。 「戦国最強…片腹痛し。滅せよ。」 マントを翻し、忠勝に当てる。マントのはずなのに鋼鉄で殴られたような衝撃が襲う。 忠勝はまた立ち上がる。 (何百回…いや、何万回倒されても…負けない!!) 目は赤く光り、まだ自分に戦意はあるということを示している。 信長はその戦意をあざ笑うかの如く、マントを翻してそこから何本もの針を生み出して忠勝に容赦なく突き刺していく。 そして忠勝は槍を地面に刺す。いきなりの衝撃に浮く信長の体。紋章から飛び出す漢字の描かれた円陣。 少し浮き、大の字に。円陣に描かれた漢字が一文字ずつ光り出す。 本多忠勝、バサラ技発動。 天空から降り注ぐ何本もの蒼白い光の柱は信長を襲い、鎧を砕いていく。 数秒、その光景が続き、終わった。動きを止めた忠勝。 しかし信長はまだ、立ち上がる。目は黒みを帯びた赤に染まり邪気は増す。 「うつけがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 刀を逆手に持ってマントと刀の連続攻撃を繰出していく。攻撃がひどく重く、速い。信長もバサラ技を発動したようだ。 吹き飛んでもまだ接近してマントを何度も翻し、装甲を砕いていく。 最後に邪気をショットガンにこめて放つと忠勝の胸を貫通。忠勝は膝を突いて首をガクン、と下ろす。皆が自分の名前を呼ぶ。だが暗くなっていく視界。 まだ、相手を倒していない。もしここで倒れたら後ろにいる皆はどうなるのだ。倒れるべきではないのに、薄れていく意識。 「立ってぇぇぇ!!!」 頭と耳に響く幼い少女、ヴィヴィオの声。ふと見ると体には虹色のオーラが浮かんでいる。 「今戦えるのは…忠勝さん!貴方だけなんや!」 「戦って…そして…勝って!!」 「私達の魔力を貴方に…!!」 「貴方は、わたし達の居場所を!」 「大切な人たちを!!」 「命をかけて守ってくれた!!」 「だから今度は私達が貴方のために命をかける番です!!」 続いて流れてくるのは自分を想う皆の声と、力と。自分は機械のはずなのに、胸が熱くなる。ボロボロになったはずなのに、まだ立てる。 そうだ、自分はまだ立てる。戦える。皆がいるから。 ブーストを最大出力。信長はショットガンを撃ち、忠勝の装甲を撃ち抜き、傷つけているが止まらない。むしろ速度は速まっていく。 「ぐぬぉっ!?」 「!!!」 信長の首を掴んで上空へと舞い上がる。まだ飛んでいるゆりかごへと突っ込んでいく。 何個もの床や天井をぶち抜いていく忠勝。まだ残っていた動力炉だったクリスタルの残骸に信長を叩きつける。 忠勝はまだ使ってなかった赤色の宝石を取り出して具現化を始める。現れたのは予想通りなのはのレイジングハートに似た杖。 だとしたら使い方は同じなはず。先端に神経を集中。溜まったのはプラズマではなく自分の周りに浮かぶ虹色の魔力。それでもいい。忠勝は溜まった特大の魔力を放つ。 体を揺るがすほどの衝撃。反動で今までぶち抜いてきた床を通り過ぎて外に投げ出される。自分の放った魔力はゆりかごを見事貫通していた。 しかし、信長は生きている。鎧は打ち砕けて直撃したはずなのになんという生命力だ。 「ぶるぅおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」 向けた銃口からはおびただしい量の赤い邪気。邪気は自分の身を包み、地面に衝突。 ぽっかりと空いたクレーター。だか忠勝は立ち上がる。間接はガタガタ、でもまだ、戦える。槍を再び構えて、祈る。 (力だ…。この魔王を打ち破る程の力だ!!) 槍に自分の纏っていた虹色の魔力を全て流し込む。槍のドリルの部分が魔力で巨大化。まだだ、これだけじゃ足りない。 その時だった。桃色、金色、白色、それだけじゃない。さまざまな色の魔力や気が忠勝の槍に集まっていく。 (ありがとう…。) 槍はいつの間にか自分の身の丈を超えるほど巨大になっていた。信長が落下してくる方向に巨大な槍を向ける。魔力で巨大になった先端が回転。魔力が螺旋状に形を変えた。 ブーストを再び点火。それだけじゃない。背中に鳳凰の如く美しく、雄雄しき翼が舞う。 名付けて、戦国最強本多忠勝、究極形態。 放ってくる邪気を切り裂いて忠勝は飛ぶ。魔王を貫き、戦いを終わらせるために。 「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 皆の雄叫びが響く。その声を背に受け、目が赤く光り輝いた。 溢れんばかりの邪気で突撃が遮られる。だが、今の自分達の想いに貫けないものはない。 空かないはずの忠勝の口が開き、咆哮にもよく似た鋼を唸らせる音が響く。次第に邪気に穴が開く。 「ウゴアァァァァァァァァァァァァァ…!!」 「ぶるあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ…!!」 響く究極戦国最強の咆哮、響く第六天魔王の絶叫。音を立てて邪気は割れる。眩い光が魔王を滅するべく身を包む。 皆の想いを乗せた巨大な槍は信長どころか、聖王のゆりかごまでをも巻き込み、爆発。 爆発は広がることはなく一点に集中。一本の光の柱となって天を突く。空に落下してくる魔王の姿は、ない。 静寂。勝利したのにその場の支配していたのは静寂だった。忠勝は心配そうに見つめる皆のほうへ向き、拳を天に掲げる。 直後、割れんばかりの歓声が響き渡る。体が思うように動かないが自分はちゃんと、生き残った。 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/akisuteno/pages/64.html
高町なのは 【人物】 魔法少女リリカルなのはシリーズの主人公 時空管理局機動六課に所属し、スターズ分隊の隊長を務める若きエース。 魔導師としては天才的な素質を持ち、魔導師ランクは空戦S+(普段はAAまでリミッターが掛けられている)である。 温厚な性格で面倒見がよく、さまざまな人物から信頼されている。 砲撃戦を主体とし、高い防御力と強力な一撃による重装甲タイプの魔導師である。 幼少時から正式な訓練ではなく実践を重ねたことから、単独で戦える砲撃魔導師としてのスタイルが確定した。 Strikersでは本人曰く、ティアナと同じ(後方からの援護射撃)ポジションとのこと。 【別称】 エース オブ エース 【登場時間軸】 機動六課の襲撃の後、ヴィヴィオのぬいぐるみを発見し、精神的な動揺が見られた後にした。 【支給品】 レナの手作り弁当@ひぐらしのなく頃に解 【本作での動向】 魔力限定のレベルは80% このロワイアルの設定と時間軸から、最初の動揺が少し激しいキャラクターにしている。 しかし決意を胸に秘めた後は、プロジェクトの打破と他の参加者の為に行動するキャラクターに復帰した。 早乙女アルトと接触し、ランカの為に行動する彼を放っておけず、半ば無理矢理彼と共に行動する。
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/261.html
【名前】ティアナ・ランスター 【出典】リリカル遊戯王GX 【声優】中原麻衣(「魔法少女リリカルなのはStrikerS」のラグナ・グランセニック、メガーヌ・アルピーノ) 【種族】人間 【性別】女性 【年齢】17歳 【外見】オレンジ色のツインテール、細身 【性格】 初対面や目上の人間への礼儀は忘れないしっかり者、逆に友人などには素直になれない面も見受けられる 【原作での設定】 機動六課フォワードの一人、スバルと共にスターズ分隊として前線に出ることが多い。 兄の死、そしてその死への周りからの反応が心に傷を作っており、それ故に暴走してしまうこともあった。 その傷を克服した後はフォワードメンバーの司令塔として成長した。 【『リリカル遊戯王GX』での設定】 本編終了後から数年、執務官補佐としてフェイトの下についている。 スバルとの新たなクロスシフト「クロスファイアバスター」を習得。 【面識のある参加者】 名前 呼び名 関係 高町なのは(sts) なのはさん かつての上司であり恩師 フェイト・T・ハラオウン(sts) フェイトさん 現在の直属の上司 八神はやて(sts) 八神捜査官 元機動六課の部隊長 ヴィータ ヴィータ副隊長 かつての上司 シャマル シャマル先生 管理局の医務官 ザフィーラ ザフィーラ はやての守護騎士の一人 スバル・ナカジマ スバル 士官学校以来の親友。 エリオ・モンディアル エリオ かつての同僚であり友人 キャロ・ル・ルシエ キャロ かつての同僚であり友人 ギンガ・ナカジマ ギンガさん スバルの姉 【技能・能力】 能力名 内容 魔法 自分の魔力を用いて起こす技能。特に幻術、魔力弾操作系に優れる。 デバイス操作 デバイスを扱う技能。特にクロスミラージュの扱いに優れる。
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/676.html
Uを目指して/世界が終わる前に ◆gFOqjEuBs6 カブトの破壊剣と、クワガタの双剣が激突した。 お互いの腕と、踏ん張る脚に振動が響き渡って、溜まらず数歩後退。 突き刺す様な視線を交差させて、黄金の仮面の下でキングが嘯いた。 「ねえギラファ、もう止めようよ。僕達が戦う事に何の意味があるのさ」 何を抜け抜けと、と金居は思う。 自分達はアンデッドだ。戦わないアンデッドに存在意義などない。 最後の勝者になって初めて、アンデッドとしての存在意義を証明出来るのだ。 にも関わらず、このスペードのキングには戦う意思がないと言う。 金居にはそれが理解出来なかったし、理解するつもりも無かった。 故に、無言のうちに双剣を振りかざし、再びキングに肉薄する。 「シェアッ!」 だが、コーカサスは微動だにしない。 ギラファが振り下ろしたヘルターは、コーカサスに触れる前に盾に阻まれた。 ならばとばかりに、矢継ぎ早にスケルターを振り上げるが、それも通りはしない。 繰り出した攻撃は尽くコーカサスの盾に阻まれ、無駄に火花を散らすだけだった。 「はぁ……僕達に戦う意味がないって言ったのは、ギラファじゃないか」 「ああそうだ……確かにあの時点では俺たちに戦う意味など無かった……!」 「今だって無いよ。だって、そもそも僕に君と戦う意思がないんだもん」 ギラファの剣を盾で弾き返して、コーカサスが告げた。 「戦う気が無いならそれまでだ。この場で俺が封印してやる」 そう、あの時は確かに自分に他のアンデッドを封印する術は無かった。 故にライダーシステムに頼るしか無かったし、アンデッド同士は結託するのが得策かと思えた。 だけど、今は違う。今は、この会場の中に居る限り、この男を封印する術が、自分にはある。 この場で力でねじ伏せれば、それだけでキングを封印する事が出来るのだ。 だからこそ、金居はこの場で何としてもキングを封印する。 その為に剣を振り続けるのだが―― 「別にいいよ。ギラファが僕を封印したいなら」 「何……?」 予想外の言葉に、振り下ろす双剣が止まる。 封印された時点で、アンデッドとしては死んだも同然。 確かに封印された後も何らかの形で現実世界に干渉する事は可能だ。 だが、それでも封印前と比べれば殆どの行動が制限されるし、封印されるメリットなど無い。 故にキングの言葉を戯れ言と切り捨てようとした、その瞬間だった。 おもむろにデイバッグに手を突っ込んで―― 「ほら、これあげるよ」 「これは――!!」 三枚のカードを、ギラファに向かって乱暴に投げつけた。 それらは全てギラファの黄金の胸板に当たって、はらはらと舞い落ちる。 落ちたカードを手にとり、その絵柄を確認した所で、ギラファは驚愕した。 それはギラファも良く知る、自分達を封印する為のラウズカード。 鎖だけが描かれた、何も封印されていない状態のそれの名は。 「これは……プロパーブランクのカード……! 何故貴様がこれを!?」 「ボーナス支給品って奴だろうね。別にいらないから、ギラファにあげるよ」 仮面ライダー達はこのカードを使い、アンデッドを封印し続けて来た。 それが何を意味するのか――つまりは、このカードさえ持って居れば、金居もライダーと同じ様に戦えるという事。 といっても、今手元にあるプロパーブランクに対応しているのは、三体のアンデッドだけのみ。 それぞれのカードに記された記号は、スペードのK、ダイアのK、コモンブランクで計三枚。 そう、この会場で殺し合いに参加させられていた三体のアンデッドに対応しているのだ。 故に、この瞬間から金居は、元の世界に戻ってからでも、キングを封印出来るのだ。 「これで俺はいつでもお前を封印出来る。お前は何が望みなんだ?」 「別に何も。僕は楽しければそれでいいからさ」 嘲笑う様に告げて、キングの装甲が音を立てて消失した。 そこに居るのは、最強のアンデッドなどでは無く、只の一人の少年。 煩わしそうに黒の仮面とマントをその場に脱ぎ捨てて、髪の毛をかき上げる。 微かに日が昇り始めた雑木林の中で、風に靡く赤いジャケットは酷く浮いて見えた。 ともあれ、変身制限が掛けられたこの会場で、自ら変身を解除するのは、自殺行為。 この場でキングを殺せば、ブランクを持った金居に敗北はあり得ない。 「僕はバトルファイトなんてどうだっていい。だから別に封印されたって構わない」 「解せないな。なら、お前は何のために今まで戦い続けて来た」 「だ、か、ら、言っただろ? 楽しければそれでいいってさ」 呆れた様に笑いながら、キングがのたまった。 プロパーブランクのカードを矯めつ眇めつして、考える。 こいつは本気で自分と戦う気など皆無なのではないか、と。 もっと別な何かを考えて、その上で金居に協力を持ちかけているのではないか。 少しでも情報を得たい現状、キングを信じて、話を聞くくらいはしてやってもいいのではないか。 「いいだろう。お前の考えを聞いてやる」 そこまで考えて、ギラファアンデッドは黄金の装甲を解除した。 それから一時間足らず。 二人は現状の情報交換を行った。 といっても、この会場で起こった出来事にそれ程興味は無い。 二人が今何よりも優先して行わなければならない情報は、主催についてだった。 金居がこれまで主催側とコンタクトを取っていたという事実を知って、キングは神妙に頷いた。 「なるほどね。実は僕もプレシアから情報を与えられてたんだ」 「情報、だと……?」 「ま、簡単に言うと参加者全員の詳細情報って所かな」 だから金居がワームのボスの時間停止に負けた事も知っている、と続けた。 それを知っているという事は、キングの時間停止を利用しようとしていた事も知られているのだろう。 となれば、キングに対してこの会場に来る前の出来事を隠し通す事はほぼ不可能と考えていいだろう。 だが、何故カテゴリーキングの二人にだけ主催側とのパイプが用意されていたのか。 今度はそんな疑問が残る。 「もしかしたら、プレシアは僕達をジョーカーとして利用しようとしてたのかも知れないね」 「やめてくれないか。仮にそうだとしても他の言葉を使って貰いたいな」 「あっはっは、そっか! ギラファはジョーカーと因縁があるんだっけ!」 キングの言うジョーカーとは、奴――相川始――の事では無い。 そうと分かってはいるのに、金居の中で言い様の無い嫌悪感が湧き起こる。 全ての生命を滅ぼす奴を、自分達の存在意義を無にする奴を、金居は認めたくはなかった。 冗談であったとしても、全ての生命の宿敵と同じ名前として利用されるなど考えたくもない。 「とにかく、そこまで殺し合いを促進させておいて、この終盤でこうも簡単に首輪を解除させるのが解せない」 「それなんだけどさ、多分プレシア死んじゃったんじゃないかなって僕は思うんだけど」 「お前もそう思うか」 それに関しては、どうやらキングも同じ見解らしかった。 プレシア死亡に至るまでの考察は、今まで何度も考えた通りだ。 定時放送が不自然に10分送れた事。首輪が突然解除された事。 それらから考えるに、少なくともプレシアの身に何も起こっていないとは考え難い。 「プレシア自身も、多分48時間くらいがタイムリミットだと思ってたんじゃないかな。 でもそのタイムリミットが来る前に、この殺し合いは誰かに乗っ取られちゃった。 なら、この殺し合いはどうなるのかな? 次の放送はあるのか、それとも……」 「下手をすれば俺達はこのまま、この世界ごと捨てられる可能性もある」 「ははっ、相変わらず察しがいいね、ギラファ」 首輪が無い意味、もう何を話そうが盗聴される恐れは無い。 二人は堂々と各々の見解を語り合い、一つの答えへと結び付けて行く。 カテゴリーキングの二人の考察はだいたい同じで、自分達が危機的状況にある事に繋がってゆく。 「だとすれば……拙いな。この世界と心中だけは避けたいが……」 「ギラファ、一つ聞かせて欲しいんだけど、君はこの戦いで何を求めていたのさ? まさか何も考えずに殺し合いに乗ったら元の世界に帰れるなんて馬鹿な事考えてた訳でもないだろ?」 当然だ。 ギラファの目的は、二度とこんな殺し合いに巻き込まれない様にする事。 その為に主催であるプレシアに従ったフリをしながら、最終的にはプレシアを殺す。 主催側を完全に叩き潰して、完全にこんな殺し合いからはおさらばする。 それが目的だったのに、当面の敵が見えなくなってしまった。 それを告げると、キングは愉快そうに笑って、嘯いた。 「やっぱり僕の思った通りだ! ギラファならそういう事考えてると思ってたよ!」 「だが、今となってはもう、それを考えた所でどうしようもない」 「どうかな? まだ出来る事はあるかも知れないよ」 「何……?」 不敵に笑うキング。 それからキングの主導で、もう一度二人の行動を洗い直した。 二人の行動に共通していたのは、この会場の中央部へ赴いた事。 場所は違えども、二人は共通した魔法陣を目撃し、それで移動を行った。 キングが知っている魔法陣は、確かに地上本部の頂上にあった筈だ。 なのに、地上本部倒壊後には地下へと転移していた。 「プレシア達は、どうしても魔法陣が必要だったのかな?」 「そうだとして、それが何になる? この世界が放棄されれば魔法陣など関係ないだろう」 「うーん、それはそうなんだけど、どうしても気になるんだよね」 わざとらしく顎に手を添えて、考える素振りを見せるキング。 魔法陣がどうなろうと、今更そんな事は大した問題では無い。 今はどうやってここから脱出するか、が重要なのだ。 「もしかしたらさ、その魔法陣、逆転の切り札になるかも知れないよ」 「何……どれはどういう事だ?」 「だって、どうしてもその魔法陣が必要だったとするなら、何の為に必要だったと思う?」 「知るか。この殺し合いの裏方の都合など……」 「なら、なんで必要な魔法陣を作りなおした直後に、あそこを禁止エリアになんてしたんだと思う?」 金居の中で、確かな疑問が芽吹いてゆく。 キングの言う通りだ。どうしても必要で魔法陣を作ったのだとしたら、そこを禁止エリアにする理由は何だ? どうせ禁止エリアにするつもりなのなら、魔法陣など作らずともそのまま捨て置けばいいのではないか? ならば、何故だ。何故奴らはもう一度魔法陣を作り直したのだ。 殺し合いを続ける上で、どうしても必要だったから? 「どうせ首輪ももう無いんだ、ここでじっとしてるくらいなら、ちょっと行ってみない? 気になるんだよね、どうしても」 「構わないが……お前はそこへ行ってから、どうするんだ」 それだけが気掛かりだった。 キングは殺し合いには興味がないから、封印されても構わないとのたまう。 だけれど、地上本部に向かった後どうするのか、明確なビジョンは未だ見えない。 だから不安要素を今のうちに消しておくためにも、金居はキングに質問した。 「そうだなぁ……仮に魔法陣が必要だったとして、ギラファは何の為に必要だったと思う?」 「具体的にはわからないが、会場と主催側を繋ぐ何らかのパイプとして必要だった……とか、そんな所じゃないか」 「ま、そうなるだろうね。もしもそれで主催側の本拠地に乗り込めたなら、さ」 口角を吊り上げて、心底楽しそうに続ける。 「僕は、プレシアの力が、欲しい」 「何だと……?」 それは、キングが初めて告げた、「楽しむ」以外の欲望。 否。それも元を辿れば、楽しむ為の過程に過ぎないのかも知れない。 金居の神妙な視線と、キングの愉快気な視線が交差して、キングは語り出した。 「だって凄いじゃないか。プレシアはこんなにも沢山の世界に干渉する力を持ってる 考えてもみなよ。その力と比べれば、僕達の世界のバトルファイトなんて取るに足らない。 無数に存在する世界を全部、自分の自由に出来るとしたら、こんなに素敵な事は無いよ!」 「お前は、バトルファイトで優勝する事よりも、その力を望むのか……?」 「当然さ。だって馬鹿馬鹿しいんだよね。あんなちっぽけな世界で争い続けたって、僕は満足しない。 ワームや人間達に邪魔されながらも頑張って戦い抜いて、世界を作り変えて、自分だけの楽園を創る? ……馬鹿馬鹿しいよ。そんな事をするくらいなら、まだ何が起こるか分からない理想郷に、僕は賭けたいんだ」 それがキングの考えだった。 思えば、この男は初めて出会った時にもそんな事を言って居た気がする。 この男は、際限なく戦い続け、勝者を決めるだけのこの戦いに嫌気が刺していたのだろう。 だから、「楽しむ」為に他者を利用し、全てをブチ壊して、何もかもを破滅させようとしていた。 そんなキングに舞い込んだチャンス。全ての世界を自由に出来るという、途方も無い程の力。 仮にそれが得られなくとも、それに賭けて動いてみるのは、十分楽しいゲームなのだろう。 だからキングは、この新しいゲームを攻略する為に、金居に話を持ちかけた。 そこまで分かって、金居はキングに向き直った。 「いいだろう……確かに、世界が無数にあるなら、どちらかの勝者を決める必要などない」 「そうそう。きっと僕達二人でだって持て余すくらい、世界は沢山あるんだ。 なら元の世界のバトルファイトにこだわる必要なんてない。君があの世界にこだわるなら、君の好きにすればいい。 仮にもしも僕の憶測が外れて、他の世界を手に入れられなかったとしても、それは単に僕がゲームオーバーってだけ。 その時は、君が僕を封印して、元の世界に帰ってくれればいい。君にとって、デメリットはないだろ?」 確かに、キングの言う通りだった。 基本的にキングは、自分の封印に関しては元々こだわっていない様子だった。 となれば、ブランクのカードを持っている今、この男を封印する事はそれ程難しい事では無い。 それよりも寧ろ、キングの話に乗って、何らかの時間停止に対抗する手段を得た方が得策だと思える。 ワームのボスにリベンジを果たした上で、金居は自分のバトルファイトで優勝する。 それさえ出来ればいいのだから、二人の利害は一致している。 「分かった……次の放送まで時間もそれ程残されてはいない。とっとと地上本部跡地へ向かおうか」 「あっ……ちょっと待って」 不意に、キングが神妙な面持ちで金居を遮った。 次の放送があるかどうかも分からない今、ここでじっとしていたくは無い。 少しでも可能性があるなら、一刻も早く行動に出たかったのだが――。 「あれ、見てよ」 キングが指差したのは、彼方の空。 普通の人間よりも圧倒的に強力な視力を持った金居には、それが見えた。 日が昇り始めた空を駆け抜ける、一台の巨大マシンと、一匹の巨大な竜。 それから魔法で空を飛ぶ女が一人と、竜の背には点々と人間の影も見えた。 そして、奴らが向かっている方向は、恐らくは会場の中央方面。 「ほう……どうやら奴らも考える事は同じだったようだな」 「はは、ギラファ、これで尚更行く用事が出来たね」 生き残った参加者達が、こぞって地上本部に向かっている。 このまま先を越されて、奴らだけ脱出などされては、堪ったものではない。 また、一緒に脱出したとしても、元の世界に帰れば、高確率で仮面ライダーは敵になる。 ならばこの会場が朽ち果てる前に、奴らをこの手で倒しておくのも悪くは無い。 「これが、この場での最後の戦いになるか……?」 「さあ、どうだろうね。ここまで来たら流石の僕にもわかんないや」 恐らく、嘘は言って居ないのだろう。 地上本部に何があるのかは分からないが故に、キングにも今後の想像は出来ない。 当然の事だ。だけれど、キングの性格を考えれば、奴らと一緒に脱出など考えている訳も無い。 こいつの事だ。どうせ最後のお楽しみとか何とか言って、あの参加者共で遊ぶつもりなのだろう。 それを止めるつもりも、邪魔するつもりもない。奴らがどうなろうが知った事は無いからだ。 「だが、どうやって向かう? 徒歩じゃ追い付けないぜ」 「大丈夫だよ。移動手段なら、ある」 いいながら、デイバッグを逆さにした。 ぐぐっと、口を前回まで広げて、そこから何かを取り出そうとする。 このデイバッグには、質量などという物は関係ない。何だって収納できる、魔法の鞄だった。 どんな原理か想像も出来ない鞄の中から、金色の何かが音を立てて落下を始める。 「これは……」 それから間も無くして、それは完全に姿を現した。 金色と黒のボディを輝かせて、どすんっ! と音を立てて現れたのは、一台のバイク。 SMART BRAINのロゴを輝かせて、特徴的なフォルムを見せつけるそれは、仮面ライダーの乗り物だ。 金居は見た事がなかったが、左側にサイドカーを装着したそのバイクの名は、サイドバッシャー。 それをどうしてキングが持っているのか。そんな疑問を口にする前に、荷物の整理をしていたキングが口を開いた。 「ボーナス支給品、って奴だろうね。多分クアットロを殺した時の奴。 ずっと気付いてたんだけど、使い道がないからそのままスルーしてたんだよ」 「まさかこんな所で役に立つとは……とんだご都合主義だな」 呆れたように笑って見せるが、これ程の僥倖は無い。 仮面ライダーのマシンを使えば、圧倒的なまでの加速が可能だ。 これを使えば恐らくは、奴らに追い付く事だって可能。 「さあ、準備完了。運転は僕に任せてよ」 邪魔な荷物を全てその場に置き去りにして、キングが運転席に跨る。 ならば自分もとばかりに、自分の持つ余計な荷物を全てその場に捨て置いた。 思えば自分も余計な荷物を持ち過ぎて、やたらとデイバッグの中がごちゃごちゃしていた様に思う。 「俺の方も準備は出来たぜ」 それからややあって、金居もサイドカーに乗り込んだ。 それを確認したキングは、サイドバッシャーにエンジンをかける。 ドルルルル! と轟音を響かせて、サイドバッシャーのライトに眩い明かりが灯った。 ライトの光に照らされた一本の道。それは、これから二人が歩むたった一つの道のりだ。 この先に、果たして何が待って居るのか。 最後の戦いか。はたまたそれ以外の結末か。 全ての世界を手にするか、何も得られずに終わるか。 終わる世界を前に、二人の道化は最後の戦場へと赴く。 まだ見ぬ理想郷を目指して――。 【2日目 早朝】 【現在地 D-9 雑木林】 【キング@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】健康 【装備】サイドバッシャー@魔法少女リリカルなのは マスカレード、キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式、ハンドグレネード×4@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ラウズカード(ハートのA、3~10)、 RPG-7+各種弾頭(照明弾2/スモーク弾2)@ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL、爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸 【思考】 基本:この戦いを全て無茶苦茶にし、主催を乗っ取る。 1.地上本部へ向かい、魔法陣を調べる。 2.地上本部に集まった参加者達で何か遊んでみる……? 3.楽しむ事が出来たなら、最終的に金居に封印されても構わない。 【備考】 ※キングの携帯電話には『相川始がカリスに変身する瞬間の動画』『八神はやて(StS)がギルモンを刺殺する瞬間の画像』『高町なのはと天道総司の偽装死体の画像』『C.C.とシェルビー・M・ペンウッドが死ぬ瞬間の画像』が記録されています。 ※全参加者の性格と大まかな戦闘スタイルを把握しています。特に天道総司を念入りに調べています。 ※十分だけ放送の時間が遅れた事に気付き、疑問を抱いています。 ※首輪が外れたので、制限からある程度解放されました。 ※キングが邪魔だと判断した支給品は全て捨てました。 【金居@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状況】健康 【装備】バベルのハンマー@仮面ライダークウガA’s ~おかえり~ 【道具】支給品一式、砂糖1kg×5、イカリクラッシャー@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER、デザートイーグル(4/7)@オリジナル ラウズカード(ハートのJ、Q、K、クラブのK、ダイアKのブランク、スペードKのブランク、コモンブランク)@魔法少女リリカルなのは マスカレード ランダム支給品(ザフィーラ:1~3)、マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS ジェネシスの剣@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、クレイモア地雷×3@リリカル・パニック 【思考】 基本:ゲームからの脱出、もしくは主催の乗っ取り。 1.地上本部へ向かい、魔法陣を調べる。 2.地上本部に集まった参加者に利用価値がないなら容赦なく殺す。 3.最終的にキングが自分にとって邪魔になるなら、自分の手で封印する。 【備考】 ※放送の遅れから主催側で内乱、最悪プレシアが退場した可能性を考えています。 ※首輪が爆発しなかったことから、主催側が自分達を切り捨てようとしている可能性を考えています。 ※最早プレシアのいいなりに戦う事は無意味だと判断しました。 ※首輪を外したので、制限からある程度解放されました。 ※金居が邪魔だと判断した支給品は全て捨てました。 【全体の備考】 ※以下の支給品をD-9 雑木林に放置しました。 ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル、ゼロの衣装(予備)@【ナイトメア・オブ・リリカル】白き魔女と黒き魔法と魔法少女たち おにぎり×10、菓子セット@L change the world after story、『SEAL―封印―』『CONTRACT―契約―』@仮面ライダーリリカル龍騎 いにしえの秘薬(空)@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER、顔写真一覧表@オリジナル、ガムテープ@オリジナル トランシーバー×2@オリジナル、トランプ@なの魂、正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪探知機(電源が切れたため使用不能)@オリジナル 首輪の考察に関するメモ、レリック(刻印ナンバーⅥ、幻術魔法で花に偽装中)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪(アグモン、アーカード、シグナム) かいふくのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、デイバッグ×8 Back Revolution 時系列順で読む Next Round ZERO~AMBITION SECRET(前編) Back Revolution 投下順で読む Next Round ZERO~AMBITION SECRET(前編) Back Masquerade キング Next Round ZERO~AMBITION SECRET(前編) Back Masquerade 金居 Next Round ZERO~AMBITION SECRET(前編)
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2161.html
魔法帝王リリカルネロス クロス元:超人機メタルダー 第1話「それは不思議な出会い!急げ!百鬼魔界へ」 第2話「翔く魔導師!娘よ、母の願いを!」 第3話「主よ生きて!哀しみの女使い魔アルフ」 第4話「守れ! 秘密基地」 拍手感想レス TOPページへ このページの先頭へ
https://w.atwiki.jp/tennsigame/pages/15.html
キャラクター紹介 楠木絵里 大学一年。教育学部 家族構成に父、母がいる 性格は真面目。久とは長い付き合いで、地元も同じ。家族ぐるみの 付き合いもある。 実は数年前に病気を患っており、入院、治療を受けた過去がある。 久との縁はそこから。 特技は料理で、父が板前なこともありその腕は相当なもの。 上条綾香 フリーター。バイトというバイトをハシゴ 家族構成は母のみ。 いつも眠そうにしており、やや無口。バイト中に眠ることもしばしば。 女手ひとつで育ててくれた母を尊敬している。 母は現在入院している。 長岡白音 ニート。別名浪人 家族構成に父、母、兄がいる 兄の執拗なスキンシップに悩まされている苦労人。 特にアパートに引っ越す必要はなかったのだが、破格の家賃なのと身の回りの環境を変えたいという思いから野上荘に来た。 頭は良い方なのだが一流大学に入ることにかなりこだわっており 落ちた後も目標を変える気はないようだ。 かといって勉強の虫というわけでもなく、久とゲームしている こともたびたび見かける。 明確な夢があるわけではないが、稼げる職業に就くのが夢。 金銭が絡むことにはややシビアになる。 野上真琴 大学一年。主人公と同じ大学に通っている 家は資産家。 家族構成に祖母が一人 物語の舞台の一つとなるアパートの管理人をしている。 久とは幼少のころから縁があり、今回久が大学に入学するにあたって 下宿先を探していたところこの場所を紹介したことから数年ぶりの 再会となった。 久をいじるのが趣味。 長岡久 本作主人公。大学一年。白音の兄。 思ったことはすぐに行動するタイプで脳に5割ほど思考を通して 残りは脊髄反射で行動する。 他人との関わりを大切にし、人を助けるのが大好き。 今まで生きてきて一度も風邪をひいたことがないのが自慢。 小さい頃に原因不明の記憶喪失に陥り、言語障害等はおこさなかった がそれ以前の記憶が全て無くなった。お陰で他ヒロインより歳が少々上である。 真琴と同じ大学に通っている。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3556.html
クラナガンの街を巨大なガジェットⅣ型が襲撃した。ガジェットⅣ型は名称でこそ四番目扱いにされているが 実際はガジェットⅠ~Ⅲの基となった物であり、古代ベルカ…下手をすればアルハザードの技術が関わっている かもしれない非常に強力な代物であった。しかしそれもあくまで人間と同じ位の大きさである。 だが、今クラナガンを襲うガジェットⅣ型は数十メートル級の巨大サイズであり、しかもガジェットⅣ型の 特徴である魔力探知さえ防ぐ強力なステルス機能と巨体から繰り出される強力な破壊力によって管理局を翻弄していた。 「無限書庫のユーノ=スクライア先生が探して来た文献によると、敵の名は巨大ガジェットⅣ型と言うそうです。」 「そのまんまだな。」 「何でも古代ベルカの時代にガジェットⅣ型をそのまま巨大化して作れば強力な戦力になるのでは? と考えた者がおり、安易な発想ながらに実際に作ってしまった代物なのだそうです。」 「うん。そのまんまで安易過ぎるな。」 「ですが強力な敵である事に変わりありません。」 現場で事を対処していた武装局員達がその様な事を言い合っている間にも、巨大ガジェットⅣ型が 姿を消した状態で街を斬り崩して行く。それ故にぱっと見だけなら大規模ポルターガイスト現象にしか見えず その不気味さも相まって現場の士気は落ちていた。 「このままじゃいけない…。」 あんまり現場の局員が不甲斐ないので、助っ人として前線に駆り出された高町なのは一等空尉の姿が ちゃっかり存在した。彼女は最前線で勇猛に戦う振りをして、こっそりと建物の陰に隠れた。 そして周囲を見渡し、誰も見ていない事を確認するなり服の中から小型懐中電灯の様な怪しげな 機械を取り出し、空中にかざしつつスイッチを入れた。 その直後だった。眩い光がなのはの全身を包み、次の瞬間その身体を銀色の巨人へと姿を変えていた。 「あ! リリカルマンだ!」 「おお! リリカルマンが来てくれたぞ!」 銀色の肌に赤い模様、胸部にはクリスタル状の物が付いた異様な巨人。眩い輝きと共に街中に突如姿を 現した巨人に対し人々は恐れを抱くどころかむしろ誰もが歓迎していた。そして巨人は構える。 巨大ガジェットⅣ型に戦いを挑むつもりであった。 『ヘアァ!』 「リリカルマーン! 頑張ってー!」 さっきまで巨大ガジェットⅣ型に果敢に攻撃していた局員も戦闘を中止し、巨人と巨大ガジェットⅣ型の 対決に観戦を決め込む始末。おまいら働けと。しかし、巨大ガジェットⅣ型は依然姿を消したままであり 巨人も戦い難そうであった。 『ジェァ! ジュァァァ!』 巨大ガジェットⅣ型の鋭く巨大な鎌が巨人の背中に直撃した、忽ち巨人の背中から火花が散り 思わず巨人も悶えてしまう…が…その身体を切り裂かれるには至らない。ビルも容易く切断する威力を持つ 巨大ガジェットⅣ型の鎌をモロに受けているのにも関わらずにである。何と強固な身体であろうか。 『ヘァ!』 体勢を立て直した巨人は目から光を放つ。その直後だった。先程まで完全に姿を消していた巨大ガジェットⅣ型が 姿を現したのである。巨人の目から放たれる光線にはステルスを無効化する力があるのだろうか? いずれにせよ 姿を現した時点で巨大ガジェットも単なる巨大メカとなってしまう。巨人は巨大ガジェットⅣ型に掴みかかり… 『ジェアアアア!!』 甲高い雄叫びと勢い良く持ち上げ、地面に投げ落としていた。この激しい投げ技の前には重金属の塊である 巨大ガジェットⅣ型も忽ちひしゃげ、内部メカがショートしていく。そして巨人は巨大ガジェットⅣ型から 一歩下がると共に腕を十字に組んだ。 『ジュア!』 巨人の十字に組んだ手から眩い光線が放たれた! 光線は巨大ガジェットⅣ型を跡形も無く吹飛ばしていたのである。 恐るべき威力。勝利が決すると共に巨人は飛び上がり、天高く去って行った。 『シュワッチ!』 「リリカルマーン! ありがとー!」 「よし! 撤収!」 巨大ガジェットⅣ型は巨人の力によって倒され、武装局員達が撤収して行く中、何食わぬ顔で一緒に撤収して行く なのはの姿がそこにあった。 この巨人とは? リリカルマンとは? 一体高町なのはの身に一体何が起こってしまったのだろうか? 事は数ヶ月前に遡る事になる。 リリカルマン・出会い編へ続く