約 1,797,077 件
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/6844.html
5 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/01/10(火) 11 51 24.64 ID ??? 困とはちょっと違うかもしれんが PL3人が3人とも地蔵だった事がある。 じゃあ酒場で集合した位から始めっか、とスタート切ったら 「あ……どうも」「よろ」「ういっす」だけで数分無言。 これはヤバイと店員になって話を振りまくるも はい、とか、そうですね、とか相槌だけで進まねぇ。 すまん、何かまずかったか、俺悪いことしちゃったかと ぶっちゃけて聞いてみたら 無口キャラなんです、という解答が三つ。 急遽、話を振る役担当の一般人NPC付き護衛任務に切り替えて 終了まで頑張った。 6 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/01/10(火) 12 26 41.89 ID ??? 1乙 5 ひどいキャラかぶりだ 数分無言って、無口キャラなのはプレイヤー本人のほうだよな?それ 7 名前:NPCさん[] 投稿日:2012/01/10(火) 12 41 11.15 ID aceho+I4 何で卓ゲーは、そういう不適合なヤツらがやりたがるのかな。 8 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2012/01/10(火) 12 43 13.26 ID ??? 無口キャラやるならモノローグガンガン入れるか幻蔵ムーブにしないと スレ306
https://w.atwiki.jp/tdkm/pages/328.html
使い方 数字は全角でお願いします。 その案件があてはまるものをコピー&ペーストして、裁定番号(藩国番号-拾い上げ箇所記号-拾い上げ箇所ごとの藩国内の案件番号)と、法官が把握した内容(どんなミスがどこで起きたかの要約)だけ埋めていけばOKです。(自首ありとなしを準備してあります、相談所から拾い上げた場合は自首ありです) 拾い上げ箇所記号 相談所: S /財務: Z /紋章: M 裁定番号の記入実例:06-S-01 頻出ミス用裁定書式 資源犬士・猫士は連合国に対しても現在派遣が禁じられている -裁定番号:-- -罰則用基準:01-05:資源~士の派遣:罰則対象:藩国 -法官が把握した内容: -罰則の理由:チェックが困難になったりゲーム結果に影響が出ることもあります。エントリーは藩国責任です。 -軽減発生の有無:なし -罰則:-10億×匹 -再発防止に向けて:必ず複数名で最終チェックをする習慣をつけてください。 -裁定番号:-- -罰則用基準:01-05:資源~士の派遣:罰則対象:藩国 -法官が把握した内容: -罰則の理由:チェックが困難になったりゲーム結果に影響が出ることもあります。エントリーは藩国責任です。 -軽減発生の有無:自首成立 -罰則:-5億×匹 -再発防止に向けて:必ず複数名で最終チェックをする習慣をつけてください。
https://w.atwiki.jp/nolnol/pages/7277.html
巣板砥石 (スイタトイシ) 相場 買値/売値:文/25文 備考 陰陽師・僧の材料採集之ににより入手可能 性能 分類 価値 重量 特殊効果 材料 1 0.8 なし 主な用途 職 技能 製品 僧 僧家具之ち 丸型墓石 神職 宝飾之と ねじ 釘 宝飾之り 座鋲 目貫 宝飾之る 飾り目貫 銀製飾り 鋼製しころ 宝飾之を 金製飾り 飾り留め金 宝飾之わ 飾り口金 当世しころ 神主家具之ろ 座り地蔵 神主家具之ほ 地蔵 神主家具之と 石碑 神主家具之ち 石灯篭 忍者 忍具作成之を 黒糸威忍者鎧 忍具作成之わ 忍者打刀 鍛冶屋 棍棒作成之に 釘棍棒 打棒作成之に 鉄如意 鍛冶之に 鋼鋲 鋼やじり 板札鉄製鎧板 飾り鍔 鍛冶之ほ 縁頭 上板札鋼製鎧板 剛鋼板 鍛冶家具之い 粗末な鍬 鍛冶家具之ろ 壁掛け鎌 鍛冶家具之は 質素なかまど 五つ寄せ敷石 鍛冶家具之に 五右衛門風呂 壁掛け刀 鍛冶家具之ほ 稲荷像 鍛冶家具之へ 槍立台 鍛冶家具之と 刀立て 五つ三連敷石 鍛冶家具之ち 立派な手水鉢 傾奇者 装飾之ほ 玉製飾り玉
https://w.atwiki.jp/harukaze_lab/pages/205.html
平安喜遊集 地蔵 山本周五郎 ------------------------------------------------------- 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)五百夜《いおよ》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)供|騙《だま》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (例)かつえ[#「かつえ」に傍点] ------------------------------------------------------- [#6字下げ]一[#「一」は中見出し] 「鬼もこそ聞け、こうみえてもおらあただの女じゃねえ」と女が云った、「――五百夜《いおよ》の濃萱《こすげ》といって、洛中洛外にかくれもねえ女宰領《おんなさいりょう》だよ、わかってるのかい」 「あい」と手白《てじろ》は頷《うなず》いた。 「おらのことを日に三十里も歩けるくせに五里しか歩かねえ怠け者だと云っている牛飼いの十喜《とおき》じじいでも」と脛黒《すねぐろ》が云った、「――それを疑いはしめえと思う」 「こちたきことよ」と女は土器《かわらけ》の盃《さかずき》で酒を呷《あお》り、大きなおくびをし、あぐらをかいたままで片方の裾を捲《まく》りあげ、ほっとりと柔らかそうな、白い太腿《ふともも》を叩きながら訊《き》き返した、「――じじいがなにを疑わねえんだ」 手白は眼をまるくして女の太腿を見た。 「おめえさまのことをよ」と脛黒は答えた、「おめえさまが五百夜の濃萱といって、洛中洛外にかくれのねえ女宰領だということをよ」 「あい」と手白が云った。 「あざあざし」女は瓶子《へいし》から酒を注《つ》いで、大きく呷ってから手の甲で唇を拭き、その手でひたひたと裸の太腿を叩きながら云った、「――それがわかっているんなら、おれの云ったとおり仕事をすぐに始めろ」 手白はじっと女の太腿をみつめていた。 「おらのことを二十五になってもうぬの母親が本当にうぬの母親かどうかさえたやすくは信じねえほど疑いぶかい人間だと二条院の堀さらいをする瘤八《こぶはち》が云ったもんだが」と脛黒は答えた、「――その仕事は考えものだ」 「かしがまし」と女が云った、「なにが考えものだ」 女がもっと裾を捲りあげたので、手白の眼はとびだしそうになった。 「おらのことを」 「かしがまし」と女がとなった、「そのどこかのじじいだの瘤八だのに口をきかせるな、てめえの云いてえことだけをてめえの口で云え、うるせえ」 「これは枕詞《まくらことば》なんだが」 「それがなんだと」 「枕詞よ」と脛黒は答えた、「おめえさまは、人間はみやびやかでなければいけねえと云われた、ことにおらたちのように品《しな》よく世渡りをする者は、世間からおくゆかしい人間だと思われるのが肝心だ、それにはものを云うときに枕詞の一つも付けるくれえの心掛けがなければだめだと」 「この蛙っ食いめ」と女が遮《さえぎ》って喚いた、「この蛭《ひる》ったかりの臍《へそ》つぶれめ、よく聞けよ、枕詞とは五文字か七文字、それもあとに続く文句とつながりがなくっちゃならねえもんだ、こう」と女はそこで声にあやを付けた、「――あまのはら、とか、みすずかる、とか、あおによし、とか、こういったものが枕詞だ、てめえのは牛追いのじじいだの」 「牛飼いなんだが」 「うるせえ」と女はどなりつけた、「追うも飼うもおらの知ったことか、枕詞を付けるんならおらのように付けろって云うだ、この、かいかい病みの犬っぱらみめ」 「おらのことを頭にできた疣《いぼ》が」 「かしがましかしがまし、うるせえったらうるせえぞ」と女はもの凄《すご》く頭を振って、もう一と声きめつけた、「わかったかい」 「あい」と手白がいそいで眼をそらしながら答えた。 「黙んな手白」と女が睨《にら》みつけ、「おめえはここを見てえればいいんだ、ここをよ」と太腿を叩いて云った、「おらそういう眼で躯《からだ》を見られんのが好きだ、いま都にどれほど男がいるか知らねえが、おめえのようにあけすけな眼つきで見てえ物を虚心にみつめるほど勇気のある者はありあしねえ、それだけがおめえの取得だ、それだけがだ、忘れるんじゃねえぞ、手白」 「あい」と手白は頷き、こんどは眼をほそめて、覗《のぞ》きこむようにその部分を凝視した。 「それ、もっとこうしたらどうだ」女はさらに裾をたくしあげた、「こうしたら」 手白は口をあき、長い舌を垂らした。 「この覗き狸め」女は手白の頬に平手打ちをくれ、裾をおろしてどなった、「二人とも立って支度をしろ、こういう仕事はほかにも思いつくやつがあるかもしれねえ、こういう仕事は先に手をつけた者の勝ちだ。支度をしてすぐに始めろ」 「おらは考えもんだと思うがな」脛黒はぐずぐずと立ちながら云った、「越《こし》のくにから京へ来て三年と八十二日になるが、おらあものごとをひろい眼で見るようにしているだ、仮に小さな石がそこに一つあるとする、人はその石だけを見てなんだとかかんだとか云う、だがおらあそうじゃねえ、その石がどうしてそこにあるか、石の下は土か砂か、それとも草っ原かどうか、その石はそこにじっとしているつもりか、それとも転げだすつもりでいるかどうか、また、その石は」 脛黒はひらっと、いかにもそこに石があるように手を振り、すると女がその手をすばやく掴《つか》んで引き、脛黒はのめって膝《ひざ》を突いた。女は掴んだ脛黒の手を床板へ押しつけ、片手で彼の顔を逆に撫《な》でた。 「あかねさす、眼をさませ脛黒」と女は云った、「いいか、物は衣笠道《きぬがさみち》にある、仁和寺の東を衣笠山のふところへはいる山道だ、いいか、三段ばかりゆくと左に杉林があって、そのいちばん大きい杉の樹のうしろの藪《やぶ》の中にある、いいかい、使うところは六条坊門を東へいって、五つめの辻《つじ》だ、辻の向う角に築地塀《ついじべい》の壊れた無住の第《だい》がある、もと久我大納言が住んでおられたのだが、陰陽師《おんみょうじ》なにがしに方位の難を告げられて四条へ移られ、それ以来ずっと荒れ放題になってるんだ、使う場所はそこの床下だ、わかったか」 「あい」と手白が云った。 「脛黒はどうだ」 「おらあ考えてみるに」云いかけて脛黒は眉をしかめた、「手が痛え」 「痛ければ返辞をしろ、いやか、おうか」 「おう」と脛黒が答えた。 「はしけやし」と云って女は掴んでいる脛黒の手で床板を叩かせた、「そのつまらねえ石を拾ってさっさと支度にかかれ」 「石だって、どこの」 「てめえがいま捻《ひね》りだした石よ」と女は手を放してやった、「することはよくのみこんだろうな、物は衣笠道だぞ、使う場所はとこだ」 「おめえさまの云わしゃったには」と脛黒が立ちながら云った、「六条坊門を東へへえって、五つめの辻の向う角にある無住の第さ」 「はしけやし」と女は云って、盃の酒をうまそうに飲みほした、「この仕事が当ったら、こんどこそおめえらと夫婦になってやるぞ、いいか、もしまた仕損じたときには、二人とも生《いき》皮をひん剥《む》いて牝犬の腹巻にしてくれるからな、わかったか」 「あい」と手白が云った。 [#6字下げ]二[#「二」は中見出し] 「このとおり、仁和寺のほうへ向って歩きながら」と脛黒が云った、「みなさんに申上げたいのだが」 手白がけげんそうに脛黒を見た。 「歩けよ、おめえじゃねえ、おらあ木や草や土や、空の雲なんかに話してるだ、おめえは黙ってな」と脛黒は歩きながら云った、「――おらは越のくに松生《まつお》というところのおん百姓で、三年と八十二日めえに年貢を持ってこの京へ来た者です、松生というところは隆家卿の領分で、年貢は云うまでもなく卿の倉庫へ納めました、納めたは納めたものの、くにへ帰ることができません」 「あい」と手白が云った。 「このとおり」と脛黒は手白を指さした、「この男もおらと同じ身の上なのです、年貢は納めたがくにへは帰れない、おらは三年と八十二日ですが、この手白という男は」 「七年十二日」と手白が云った。 「七年と十二日」と云って脛黒は片方の手を意味ありげに振った、「――むかし、寧楽《なら》朝とかいったころにも、諸国から京へ年貢を納めに来た者は、くにへ帰ることができないため、そのまま浮浪者か乞食か強盗《がんどう》になったそうです、それは未開のむかし語り、といまの大臣《おとど》たちは申される、いまこの平安の時代にさような暴政はゆるされない、民を肥やし、国のもとを確立するのが、まつりごとを預かる者の第一のつとめである、ありがたしおん百姓ども、年貢が高いなどということは気にするな、おまえらは死ぬまで働くために生れてきた、たとえ働き死にに死ぬるとも、おまえらが納めた年貢はむだにはならない、国の守り、都の美観、宮廷貴人の威勢は保たれ、まつりごとは正しく行われる、――そうです、いまは未開の時代ではない、大臣がたはおらたちのような者にまで、大蔵卿の切下文《きりくだしぶみ》をもってかように懇切に宣告されるのです、なんの不服がありますか」彼は両手をひろげた、「おらは年貢を納めに来た、そうしてくにへは帰れない、おらもこの手白も、おらたちのほかの何百何千という者も帰れない、けれどもそれについて些《いささ》かの不平不服はありません」 「あい」と手白が云った。 「くにへは帰れないが都を見ることができました」と脛黒はまた続けた、「天皇のみゆきのこの世ならぬ荘厳さと華麗さ、貴人公子の邸宅や社寺の輪奐《りんかん》たる眺め、すなわち、くにの栄えというものをこの眼で見ることができたし、それらがおらたちの年貢によって賄われていると思うと、ただもう感動の涙にくれるばかりであります、つまり、おん百姓としての感動なのでありますが、ここに一つ困ったことは、くにでこそ耕す田や畑はあれ、この都ではどうして生きてゆくかわからない、知れたこと、おらは途方にくれはてました」 「七年十二日」と手白が云った。 「七年と十二日」脛黒は手白のほうへ頭をかしげてみせた、 「この男は七年と十二日も都にいて、かつえ[#「かつえ」に傍点]どおしにかつえ[#「かつえ」に傍点]ていました、おらがこの手白に初めて会ったのは四条河原ですが、そのとき彼は河原の石を拾っては舐《な》め、拾っては舐めしていた、おらがなにをしているかと訊くと、彼はめし[#「めし」に傍点]を喰《た》べていると云う、河原の石には水苔《みずごけ》が付いているし、水苔は栄養分があって充分めし[#「めし」に傍点]の代りになる、おぬしもやってみろというわけです」 「あい」と手白が云った。 「おらも腹がへってたからためしてみようとした、すると手白が云うには、石にも味のよしあしがある、不味《まず》い石はよけて、美味《うま》い石を選ぶのがこつ[#「こつ」に傍点]だというのです」脛黒はゆっくりと肩をすくめた、「――そこで美味い石を覘《ねら》ってはやってみたのですが、こつ[#「こつ」に傍点]を覚えるまえに、おらは胃のさしこみ[#「さしこみ」に傍点]を起こしてぶっ倒れてしまいました」 手白は「あい」と云いかけたが、慌てて口をつぐみ、渋い顔をしながら眼をそむけた。 「おらのことを頭にできた疣がどれほどまで大きくなるかと気を病んでばかりいるため躯に肉の付くせきのねえ男だと、くにの水守りの眉太《まぶと》じじいが云ったもんだが」と脛黒は歩き続けながら云った、「――おらは疣のことは承知しているだ、この頭にできている疣はたとえどれほど大きくなろうとも、しょせん頭よりでかくなる筈はねえ、もしまた、この頭よりもでっかくなるとすればしめたもんで、そうすれば見世物か因果ものとしてめしのたねになりますからな、そうでしょう」 「はは」と手白が云った。 「そのとおり」脛黒は手白に頷いた、「おらどものような者には、そんな幸運もこぼれては来ない、その代りに五百夜の濃萱という女宰領につかまったのです」 「かくれなき女宰領」と云って手白は脛黒を見た、「女宰領た、なんだ」 「よくは知らないが、あんなにいばってるところをみるとたぶん女の大将とでもいうところだろう、――で、みなさん」と脛黒は話を続けた、「濃萱というあのあねえは、おらと手白に仕事をあてがってくれたのです、みんな辻に立つか、家の門に立つしょうばいで、ずいぶんいろいろなことをやりました、あねえは品よき世渡りだと云うけれども、おらが考えるにはどうもうろん[#「うろん」に傍点]なことばかりだったと思う、なにしろいつも使庁の役人が来はしないかと、あたりに気を配りながらやらなければならないし、また、その役人に追っかけられない日のほうが稀《まれ》なくらいなんだから、――それだからおらあなにをやってもすぐ忘れることにしているし、あねえも二度と思いださせるようなことは云わない、そうさ、一つだけうまく当りかけたことがあったっけな」 「犬のい[#「い」に傍点]」と手白が云った。 「しっ、くまのいだ」と脛黒は手を振って制止し、それから云った、「もちろんみなさんには正直に申しましょう、犬の肝を抜いて干し固め、それを熊胆《くまのい》といって売ったのです、これはもうたいそう繁昌して、このままゆけば東山を含めて京の半分を買うこともできようと、おらばかりでなく、あねえまでが気をよくしたものです」 「あい」と手白が云った。 「ところがいけなかった、因はこの手白なんで、この男はごらんのとおりずぬけて口がへたです」と脛黒は云った、「だからしょうばいの口上はおらがやるときめてありました、これはもう検非《けび》の庁宣のように堅いものだったのですが、或るとき、さよう、薬王院の門前の市で売っていたところ、常にない繁昌で客がひしひしと詰めかけ、おら独りの口上では隅まで届かなかったんでしょう、或る心のねじくれたような客が手白をつかまえて、この熊胆を取った熊はどんな毛並であるかと訊いた、手白はいつもの伝であい[#「あい」に傍点]とだけ答えたが、客はなお羆《ひぐま》か月の輪かと問い詰めた、するとこの男は、いや白と黒の斑《ぶち》だったと答えました、白黒の斑、――は」脛黒は右手をひらっと振った、「しかもそれだけではない、心のねじくれたような客はすかさず、鳴き声はどんなだと訊きました、それで一遍に御破算です、この男は白黒斑の鳴きまねをしてみせ、取巻いていた客たちはげらげらと笑いだし、やがて石を投げ始めました、いま考えてみても、よくまあ生きて逃げられたものだと、われながら訝《いぶか》しく思うほど猛烈な、恐ろしい石つぶてだったのです」 「瘤」と云って手白は自分の頭を指さした。 「それ以来」と脛黒は手白には眼もくれずに続けた、「おらたちは暫く鳴《なり》をしずめていました、おらとこの手白の顔を、世間の者が見おぼえているうちは危ないというわけです、このあいだに、あねえはこんどの仕事を考えていたんですな、なにしろ女宰領というくらいだから、頭のめぐりのいいことにはかなわない、おらとしてはこの仕事は気乗りがしないのです、これまでやって来たどんな仕事よりも子供|騙《だま》しで、とうてい世間は信じないだろう、ことに都の人間はわる賢くって狡猾《こうかつ》で、おらたちは幾たび死ぬようなめ[#「め」に傍点]にあわされたかしれないのですから、――だがやむを得ません、おらは濃萱のあねえのあの白い腿が忘れられねえだし、この仕事がうまく当れば夫婦になってやるというわけですからな」 「おらもだ」と手白が力んで云った、「もう三年もだぞ」 「三年はお互いさまだ」と脛黒が云った、「おらかおめえか、どっちと夫婦になるかはあねえのきめることよ、熱くなるな」 「あい」と手白は頷いた。 「それ仁和寺へ来た」脛黒はそう云って向うを指さした、「あの道をはいるだぞ」 [#6字下げ]三[#「三」は中見出し] 「これがあねえの云った杉林で」と脛黒が云った、「あれが中での大杉だな」 「思いだした」 「この大杉のうしろの藪か」 「おら、やっと思いだしたぞ」 「黙ってろ」と云って脛黒は藪の中へはいっていった、「へいへい、見ろや手白、あねえの云ったとおり、ちゃんとここに地蔵さまがあったぞ」 「捨て物だ」と手白が云った、「ずっとめえ、微妙院のいざり[#「いざり」に傍点]が捨てたもんだ」 「いざり[#「いざり」に傍点]だって、――乞食か」 「微妙院のおしょうにんだ」 「それじゃ阿闍梨《あざり》だろう」 「その人が地蔵を作らせた」と云って手白は藪の中に転げている石の仏像を指さした、「出来あがったとき、論が起こった、洛中洛外、河内や大和、叡山《えいざん》や高野などの寺々から、たくさんのひじり[#「ひじり」に傍点]やいざり[#「いざり」に傍点]や、いや、――なんだっけ」 「あざり、阿闍梨っていうんだ」 「そのざり[#「ざり」に傍点]だ」と手白は頷いた、「それらの衆が集まって来て、三十七日と三十七夜のあいだ論判した」 「なにがいけなかった」 「その手だ、地蔵の手がごたごたのもとだ、よく見てみろ」手白は石の仏像の右手を指さした、「この手は輪を作っているが、この輪になったところは錫杖《しゃくじょう》を入れるだ、左手には宝珠を持ってるが、これが誤りだという、錫杖を右手に持たせたら、左手は施無畏《せむい》の印を結んでいなければなんねえ、左手に宝珠を持ったなら右手は甘露印を結ぶだという、どの経文にはかくかく、あの経文にはしかじか、古法だとか俗説だとか、並んだ坊主あたまが火を噴くような騒ぎよ」 「ふうん」と脛黒は頭を振って感嘆した、「そう聞いてみると、地蔵なんぞといってもこれ、おいそれとばかにはできねえもんだな」 「論は尽きねえ」と手白は続けた、「どのひじり[#「ひじり」に傍点]もあざり[#「あざり」に傍点]もあとへひかねえだ、しめえにはみんなくたびれはてて、こんなおかしな物あもう見たくもねえって、叡山の坊主は叡山へ帰るし、大和の坊主は大和へ、河内の坊主は河内へ、高野の坊主は」 「わかった、その先は云うな」 「なぜ」と手白が問い返した。 「なぜだって」脛黒はふんと鼻を鳴らした、「きまったはなし、高野の坊主は高野へ帰ったんだろうが、え」 「死んだだ」と手白は云った。 「死んだ、どうして」脛黒は気をわるくして反問した、「どうしてまた高野の坊主だけ死なせるんだ」 「微妙院のあざり[#「あざり」に傍点]も死んだだ」 脛黒は眼を剥いた。 「その二人がいちばん激しく論判した」と手白は云った、「それで脾臓《ひぞう》をやぶっちまったっていうだ、それで、高野の坊主は高野へ立つ日に死んだし、微妙院のあざり[#「あざり」に傍点]は十日おくれて死んじまっただ」 「おめえはさっき」と脛黒が訊いた、「この地蔵は微妙院のあざり[#「あざり」に傍点]」が捨てたと云ったぞ」 「死ぬめえだ、死ぬ二日めえに、こんな縁起でもねえ物は捨てちまえって、念を押して遺言さしゃったってえことだ」 脛黒は腕組みをし、その縁起でもない物をみつめて、首を振ったり、唸ったりしながら、よくよく思案を練るようであった。 「あれがこうで、これがああで」と脛黒は咳《づぶや》き、片手で顎《あご》を掴んだ、「あの手はうめえ、錫杖を入れる穴がぴったりだ、しかし待て、まあ待て、おらあどうもこの仕事には気乗りがしねえ、ま、もうちっと考えてみよう」 手白は草の上へ腰をおろした。脛黒は地蔵の顔を覗きこみ、像の頭や肩や手などから、松やその他の落葉を払いおとし、輪にしている右手の穴へ指を入れてみたりした。 「よかんべ、やってくれよう」とやがて脛黒が云った、「日が昏れたら担ぎだすべや」 そして手白の脇へ腰をおろした。 [#6字下げ]四[#「四」は中見出し] 「まっ暗だな」と脛黒が云った、「――おらたちは六条坊門を東へへえって来た、それから五つめの辻の、ここが向う角だ、なあ」 「あい」と手白が答えた、「おら肩の骨が折れそうだ」 「しっかり担げ」と脛黒が云った、「するとこの築地塀の中が無住の第だろう、足もとに気をつけろ、この塀の崩れたところからへえるだ、それっ、気をつけろよ」 暗闇のどこかで朽ちた木を踏み折るような音がし、ずしんと、なにか重量のある物が、地面に落ちた。手白が呻《うめ》き声をあげ、脛黒が制止し、二人いっしょに激しく喘《あえ》いだ。 「静かにしろ」と脛黒が云った、「無住だとは聞いたが、どこに誰がいるか知れたもんではねえ、――どうした」 「おら、くにへ帰りてえ」と手白が泣き声で云った、「おら、こんな仕事は性に合わねえだよ、おらくにへ帰っておん百姓をやりてえだ、頼むからおらのことをくにへ伴《つ》れて帰ってくれな、なあ脛黒、頼むからよ」 「まあおちつけ、ここへ掛けようぜ、手白」と脛黒がなだめにかかった、「今夜は月も星さえもない、どっちを見てもまっ暗だしどっちになにがあるか見当もつかない、こんな晩は誰しも陰気になるもんだ、いまをときめく藤原どの御一門や、貴人長者などはそうじゃない、この暗闇をよそに燭台《しょくだい》を列ね、くにぐにの珍味を盛った台盤を前に、酒を飲みながら踊ったりうたったりしている、酔い潰《つぶ》れれば美女を抱いてとのごもり[#「とのごもり」に傍点]、暑さも知らず、ひもじさ悲しさ苦しさも知らない、だが手白、これはおらたちがさせてやっていることだぞ、おらたちが死ぬほど働いて年貢を納めればこそ、あの衆たちは苦労知らずにやっていられるんだ、なあ、そう考えればはればれとした気分になるじゃないか」 「どうしてはればれするんだ」 「だっておめえ、あの衆たちにあれだけ贅沢《ぜいたく》をさせてやっているのが、このおらたちだと思えばはればれするだろうじゃねえか」と脛黒は保護者の誇りをみせて云った、「――あの衆たちはそこに気がつかねえ、口ではおん百姓こそ国の宝だなんて云ってるが、自分らは自分らのちからでやってると思ってる、無邪気なもんよ、可愛いもんさ」そしてまた付け加えた、「まるっきり子供みてえだ」 「おめえはすぐに感動したりはればれした気分になるが、おらあうちしおれるばかりだ」と手白は溜息をついた、「おらあ五つくれえのときから今日まで、しょっちゅううちしおれてばかりいるだ」 「濃萱あねえの内腿を見てもか」脛黒は誘惑するように云った、「あのまっ白で、柔らかくあたたかそうで、たっぷり脂の乗ったあの太腿を見てもかい」 「見ているうちはいいが」手白は唾をのみこんで、それから弱よわしく首を振った、「――そのあとでは倍増しいけなくなっちまうだ」 「おらが考えるに」と暫く黙っていたあとで脛黒が静かに云った、「それはおめえが眼の前のことだけ見ているからだと思う、人間はもっとひろい眼で見、ひろい心で考えなくっちゃならない、たとえば或るとし大|饑饉《ききん》があったとする、おめえはそこでうちしおれるだろう、が、それは間違いだ、どんなにずぬけた大饑饉でも、人間が死に絶えたためしは一度もねえし、そのあとには豊作ってものが来るだ、いつかあねえと夫婦になれると思えばこそ、こんな仕事でもはげみが出る、つまり、眼の前のことばかり苦に病まねえで、もっとひろい眼とひろい心を持つことが肝心だ、そうは思わねえか」 「くにへ帰りてえ」と手白は云った、「おらもうくにへ帰りてえだけだ」 「さあさあ、元気をだせよ」脛黒は陽気な声で云った、「この仕事はうまくいきそうだし、うまく当れば濃萱あねえと夫婦になれる、三年も待ったあねえといっしょになれるんだぜ手白、おめえこれがうれしくはねえのか」 手白は闇の中でじっと眼を凝らしていた。 「おめえ」とやがて手白が云った、「濃萱っていう名の出どこを知ってるか」 「聞いたこともねえ」 「おら見た」手白はひそめた声で、歌でもよむように云った、「――ころも干すまた野の奥にむら立ちて萱こそ茂れ濃黒にぞ見ゆ」 「寐《ね》べえ」と脛黒が云った、「夜が明けたら仕事だぞ」 彼は横になって肱枕《ひじまくら》をし、寐ぐあいをよくして長い溜息《ためいき》をついた。それからいまが四月であって、こんなふうに寐ても寒くないことを感謝し、もういちど溜息をついて眼をつむったが、暫くすると急に起き直った。 「おい手白」と彼は吃驚《びっくり》したような声で訊いた、「いまのはほんとか」 「あい」と手白が答えた。 「おめえそれを見たのか」 「あい」と手白は答えた。 脛黒は闇の一点をじっと睨んでいたが、やがて首を振り、横になりながら唸った。 「寐べえ」と彼は云った、「仕事が先だ」 [#6字下げ]五[#「五」は中見出し] 「どうしたことだ、誰もとおらねえ」脛黒は頭を掻いた、「夜は明けきったし、おてんとさまも昇ったし、こんないい日和《ひより》だってえのに、ええ、これはどうしたわけだ」 彼は辻に立って四方を眺めまわした。南の微風《そよかぜ》があるため、明るい朝日をあびて乾いた道には、ときどき薄く土埃《つちぼこり》が舞いあがった。その辺は西の京でもはずれに近く、縦横にきちんと道割りこそできているが、家屋敷はごくまばらにしか建っていない。官有地だから田も畑も作れず、空地は草や灌木《かんぼく》の茂みで蔽《おお》われ、その茂みの中には、野鼠や兎などが草や木の根を噛《か》んだり、はしゃいで跳ねまわったりしていた。 「おーい」と手白の叫ぶのが聞えた、「まだかよ、おら腕が痺《しび》れちまうだよ」 脛黒は振向いて歩きだすと、築地塀の崩れたところを跨《また》いで庭へはいった。その無住のやしきは形容しようもないほど荒れはて、ぶっ毀《こわ》れて、元なにがしの第であったなどとは、想像もつかぬくらいみじめなありさまになっていた。――手白はその廃屋の一つの床下に坐っていた。それはたぶん寝殿作りの対屋《たいのや》だったのだろう、ほかの建物はみな倒れたり崩れたりしているが、それだけは穴だらけだが屋根もあるし、柱や廂《ひさし》や廊下なども、危なっかしくはあるが残っていた。 「どうしただ」と手白が呼びかけた、「まだ人は来ねえか」 「そうせっつくな」と脛黒が答えた、「まだ時刻が早すぎるんだろ、人らしい人はみえねえが、もうそろそろのたくりだすじぶんだ」 「この縄、ちっと緩めちゃだめか」 手白は縛られている両手を出してみせた。細くよった苧《お》の縄で、両方の手首がきっちり縛ってあり、その縄の端は延びて、傍《かたわ》らにある石地蔵の手に握られていた。もちろん石の地蔵にそんなことができる道理はない、右の手は錫杖を差込むために輪を作っていて、その輪にした穴へ縄が巻かれてあるのだ。手白は床下の支柱に背を凭《もた》せ、両足を投げだして坐ったまま、哀願するように脛黒を見あげた。 「考えもんだな、そいつは」と脛黒は用心ぶかく云った、「そんなふうにしたら、つまり、痛くねえようにかげんして縛ってあるとしたら、――都の人間どもはこすっからいうえに疑いぶけえからな、おらたちのせっかくのこんたん[#「こんたん」に傍点]を嗅ぎつけるかもしれねえ」 「ほんの少しでいいんだが」 「それは気のもんだな、うん」ちょっと考えてから脛黒が云った、「おらのくにに修験者《しゅげんじゃ》がいたっけ、名は忘れたが横鬢《よこびん》たにこんなでっけえ瘤《こぶ》があって、その修験者が剣の刃渡りをやってみせるだ、両刃のよく切れる剣の刃を、素足でもって踏み渡るだが、それでおめえ足の裏には毛筋ほどの傷もできねえ、どうしてだかと思うと、それが気のもんだっていう、神経をそっぽへ向けちまうだな、瘤の修験者は酔っぱらったとき云ってただが、その、――まず美しい女を素っ裸にすることを考えるだってよ、着物を上から順にぬいでいって、素っ裸にして、それからその、――いろいろとやって、寐るとこまでのことをじっと考えるだって、そうするとな、躯じゅうの神経が一つところへ集まるから痛さも痒《かゆ》さも感じねえ、足の裏の神経だってそっちへいっちまうもの、剣を踏んでも痛かったり切れたりするわけがねえって云うだ」 手白は沈黙し、眼で宙の一点をみつめながら、じっとなにかに神経を集中した。 「事のついでだから云うが」と脛黒は続けて云った、「あの衆がおらたちおん百姓を国の宝だって云うことを、おらが信じてると思うかい。とんでもねえ、死ぬほど働いたものを年貢だと云ってごっそり取りあげられ、また死ぬほど働かされていて国の宝、――小わらべだってそんなことに騙《だま》されるもんじゃねえ、だがな、それだからと云っておらたちがあの衆ととっ替ることもできねえ、つき詰めて考えればいっそ死んじめえたくなるだろう、そこでおらあ神経をそらすことにしただ」 「その裾をもちっと」手白は宙の一点を凝視したまま、口の中で呟いていた、「もうちっと上へ、もうちっと」 「あの衆はおらたちが養ってやってるんだ、おらたちがいなければ、かわいやあの衆は食うすべも知らねえだってよ、すると気持がらくになって」そこまで云って脛黒は手白のようすに気がつき、囁《ささや》き声で「おい」と呼びかけてみ、それから肩をすくめた、「神経がそれきっただな、うん」 そのときえ手白がだらっと舌を出したので、脛黒は一と足とびしさった。 「おい、よせ手白、その辺でやめろ」と脛黒が云った、「それ以上はゆきすぎだぞ」 午《うま》の刻さがり、――その、もと久我大納言の第であったという荒れ屋敷の庭は、二十人ほどの男女が集まってい、なお辻の四方から、ぞくぞく駆けつけて来る者があり、その数はふえるばかりであつた。崩れた築地塀の外には、牛や馬が繋《つな》がれてい、藁《わら》や籠を乗せた荷車が幾台も置かれてあった。――人垣の中では脛黒が話していた。彼の顔には敬虔《けいけん》な畏怖《いふ》と、信仰の、深いおどろきとが、誰にも疑う余地のないほど明確に、はっきりと刻みつけられていた。 「さあ、うしろの方たちと入れ替って下さい」脛黒は合掌しながら云った、「このような奇蹟《きせき》、この世に又とない不可思議な、そしてみほとけの無辺際な力を示された奇蹟は、できるだけ多くの方がたに見ていただかなければなりません、どうか一つ前の方はうしろの方と入れ替って下さい、どうかお願いします」 人垣は崩れ、前列の人たちは後列の人たちに場を譲った。場所は入れ替ったが、そこを去る者はなかった。かれらは二人三人とかたまって、いま現に自分たちの眼で見、耳で聞いたことの神秘さと、動かしがたい不思議さを語りあい、それが事実であることを慥《たし》かめあい、お互いの驚愕《きょうがく》と畏敬《いけい》の気持を告白しあった。 「あの男が地蔵さまに縛られていたのを見たな」と中年の男が去った、「手首をこうしてきりきり縛りあげられていた」 「そしてその縄の端を」と白髪の老人がふるえ声で続けた、「地蔵尊が右手でしっかりと握ってござっただ、しっかりとな、ああ南無仏、南無大慈大悲の地蔵尊」 「あの男は強盗《がんどう》だと云ったわ」とこちらでは痩《や》せた中年増《ちゅうどしま》の女房が云っていた、「強盗にはいろうと思ったって、誰が自分で自分を強盗だなんて云うかしら、人間は誰しも自分を正直者にみせたがるものよ、正直で働き者だというふうにね、それが人情というもんでしょ」 「それをあの人は、おれは強盗だとりっぱに云ったわ、どうしましょう」と二十二、三の娘が云った、「あの人はみほとけのお力を見て悔悟したのよ、ああどうしましょう、あたしふるえが止らないわ」 「いきなり首ねっこを掴まれたって」とこちらで若者の一人が仕方ばなしをしていた、「まっ暗がりの道でよ、これからどこかの屋敷へ強盗に押し込もうと思って歩いてるところをよ、こう、――がっちりと首ねっこを掴まれ、叩き伏せられ、あっというまに縛りあげられたって、これは帝釈天《たいしゃくてん》か摩利支天《まりしてん》でもあらわれたんじゃねえかと思ったって」 「それが気がついて見たら地蔵さまだったってな」とべつの若者が付け加えた、「化かされたんじゃねえ、あのとおり地蔵さまが縄尻をしっかと握ってるぜ」 「あれはただの地蔵尊ではねえ」とべつのところで老婆が杖《つえ》にしがみついたまま、片手で眼をぬぐいながら云っていた、「生きているうちにこんな有難い霊験をおがめたっちゅうことも、極楽往生のできる証拠でしょう、わたしゃうちへ帰ってお布施《ふせ》を取って来ますよ」 「わたしはもうお賽銭《さいせん》はあげました」とべつの老婆が云った、「これからもわたしにできる限りは奉謝につくつもりですよ、ねえ、こんな有難い地蔵さまのためなら、裸になっても果報と云わなければなりませんからね」 「みんな自分らの罪障を思え」と一人の巨漢が絶叫した、「みほとけの力がどんなに広大無限であるか、人間の心に起こる悪徳邪欲がいかにみとおしであるかは、いまみんなが見たとおりだ、おれたちは自分を恥じ、自分を戒め、自分のなして来た罪障の赦しを乞わなければならない、さあ、この地蔵尊のために浄財を献納しよう」 「おらは背負って来た焚木《たきぎ》を寄進する」と一人の男が手をあげて叫んだ、「おらは愛宕山の奥から来た者だが、伜《せがれ》二人と焚木を六十把背負って来た、六十日がかりで束に作ったもので、帰りには女こどもの着物や帯を買ってゆくつもりだった、なにしろ二十年このかた一枚も買ったことがねえで、みんな木の葉を綴くったような物を着ているだ、けれども、おらはいますっぱりと悟っただ、そんなこの世の欲は捨てちまえ、現にこうして有難えみほとけのあらっしゃることをおがんだ以上、この世の暑さ寒さ、苦労や心配なんぞくそくらえ、枯れっ葉を綴くったような物でも着物は着物だし、粟と稗《ひえ》を食っても死ぬまでは生きられる、おらあこの六十把の焚木をそっくり寄進するだ」 「待って下さい、みなさん待って下さい」と一人の小柄で貧相な躯つきの、そして懐疑論者ふうな顔つきをした青年が、両手を高くあげて叫んでいた、「――騙されてはいけません、冷静になって下さい、この出来事にはなにかわるだくみがある、仏教というものはこんな現象的なものではありません、よく見てごらんなさい、地蔵といってもあれは石を彫った物で、人間の手で作った単なる物質にすぎません、哲学的には地蔵という概念をもっているが、実在としては唯の石です、その生命なき石に、人間を捕えたり両手を縛るなどという、物理的なことができると思いますか」 「きさまの口を塞《ふさ》げ」と痩《や》せた白髪の老人が拳を振りあげながら喚いた、「きさまはその臭い口でみほとけを汚し奉っているぞ」 「私は真理を説いているのです」と青年は叫び続けた、「私は大学寮の少属で算法を教えている者ですが、これは明らかにぺてんであり詐欺であります、なぜなら」 「そいつを黙らせろ」という絶叫が聞えた、「そいつにそれ以上しゃべらせると、みほとけはわれわれをみすててしまうぞ」 わっと人垣がどよめき、土が崩れでもするように、その青年をめがけて群衆が殺到し、たちまち青年の姿は見えなくなってしまった。――そのとき、一人の美服をまとった尊大な人物が、庭子とおぼしき若者たちを供にあらわれ、庭子の一人が東大寺の巨鐘のような声で「道をあけろ」とどなった。 「市町の長者、金住肥太《かなずみこえた》さまだ」と若者はもっと声をはりあげた、「地蔵尊のあらたかな霊験を聞かれ、勧進に付くとの仰せでまいられた、おのれらその道をあけろ」 [#6字下げ]六[#「六」は中見出し] 「夢みてえだ、これはそっくり夢みてえだ」と脛黒が云った、「金住長者のおかげて、こんな立派なお堂も建ち堂守り小屋も建った、おらたちがもし夢をみているんでなければ、こいつは恐ろしいほどでかく当てたぞ」 「むれ烏《う》なく、うるさいぞ」と濃萱が云った、「ちっと静かにしろ脛黒、そうやかましく饒舌《しゃべ》ってばかりいられては、銭勘定もできやしねえぞ」 「おらは信じねえ」と手白がうちしおれた声で云った、「まるでこれは話だ、こんなことが本当にあるもんじゃねえ、こんなことは一日も早くよさなくちゃいけねえ」 「おらのことを一生涯かかっても藁小屋《わらごや》ひとつ建てることができねえと思って生れて来たことを悔んでいるような能のない男だってくにの蟹目《かにめ》ばあさまが云ったもんだが」と脛黒は揉《も》み手をしながら云った、「みろ、おらはでかしたぞ」 「その袋をよこせ、手白」と女が云った、「銭を入れるんだからよ、おめえはそっちの山を入れろ、手っとり早くしろってばね」 「はずみ[#「はずみ」に傍点]だな、うん、すべてものごとにははずみ[#「はずみ」に傍点]ってものがある」と脛黒は首を左にかしげ右にかしげして云った。「こんどのことがうまくいったのは、あの学者づらをした大学寮とかの痩せっぽちだ、あの男が物質だとか実在とかぺてんだなんて云いだしたとき、――あのとき正直に云うとおらあ逃げだそうかと思ったもんだが、――それがおめえはずみになった、三分の二がところ疑っていた者まで、あの理屈を聞いてのぼせあがった、は、人間なんておっかしなもんよ、てめえで信じようかどうしたものかと迷ってるとき、信じちゃいけねえそれはぺてんだ、などと脇から云われると、てめえがお人好しだと云われたように思ってかっとなるらしい、あの学者づらをした痩せっぽちがどなりだしたとたん、集まっていた者ぜんぶが頭から火を噴くようにのぼせあがって、痩せっぽちを死ぬようなめ[#「め」に傍点]にあわせたし、地蔵の霊験を鵜呑《うの》みに信じこんじまった、なあ」彼はまた揉み手をした、「考えてみるに、あの男はおらたちの恩人だぞ」 「おらくにへ帰りてえ」と手白が云った。 「雁わたる、泣くんじゃないよ」と女が云った、「ようやく仕事のめど[#「めど」に傍点]がついたばかりじゃないか、ついでに脛黒に云っとくけどね、あの大学寮の少属はゆだんがならないよ」 「どうしてだね」 「あいつは毎日ここへ来るんだ、そして参詣人《さんけいにん》のうしろにたって、じっとこの地蔵堂を睨《にら》んでいるんだよ、知らねえのかい」 「知らなかった」脛黒は不安を感じたように、ぼりぼりとうしろ首を掻いた、「――本当とは思えねえがな」 「あやにかも、おめえはどう思いもしねえさ、ただ女の参詣人にみとれてるだけじゃねえか」と女宰領が云った、「あの男はいつも来ているし、なにをやりだすか知れたもんじゃねえ、なんとか考えなくっちゃいけねえよ」 「あの男はいちど死ぬようなめ[#「め」に傍点]にあわされた、あの男は懲りた筈だ」 「じゃなんのために来るのさ」 「そうさな」脛黒は暫く考えてから、「――くにの菩提寺《ぼだいじ》にいる目赤っていう坊主は、おらのことを石から蜻蛉《かげろう》が飛び立つのを見て」 「枕詞はぬきにして話せ」と女は遮った、「あの男がなぜ毎日やってくると思うんだ」 「信心だな」と脛黒は確信なげに云った、「でなければ、信心すべえかどうかって、迷って来るのかもしれねえ」 「ほんとにそう思うのかい」女は錐《きり》のような眼つきで彼をねめつけた、「大学寮なんていかがわしいところにいる人間は、そこらの百姓や人足とは違うんだよ、おめえも聞いたろうが、なにかってえば概念が滑ったとか実在が転んだとか、わけの知れねえ禁呪《まじない》みてえなことをぬかして、いちどこうと思いこんだが最後、挺《てこ》でも動かねえようながんがち頭をしているんだ、あいつが地蔵の霊験をぺてんだと思った以上、たとえ死ぬようなめ[#「め」に傍点]にあわされても、いや、ひどいめ[#「め」に傍点]にあわされればあわされるほど、もっと執念ぶかく、きちがいみたように自分の云い分をとおそうとするもんだ」 「あのちっぽけな、痩せっぽちがかね」 「でなくってなんのために毎日やって来るんだい、知れたことさ、あいつはこれがぺてんだっていう証拠を押えようとしているんだ、あいつの眼を見ればわかるよ」そして女はまた云った、「もしこの仕事にけち[#「けち」に傍点]がつくとすれば、それはあの男のためだということを覚えておきな、かまえて、あの男にゆだんするんじゃないよ、わかったかい」 脛黒は顎を摘んで、女の言葉をよく吟味するかのように、ひどくしかんだ顔つきで沈黙した。 「どうしたのさ、おれの云ったことがわからないのかい」 「云いだしたもんかどうか、さっきから踏ん切がつかねえでいるんだが」と脛黒は顎を摘んだままで云った、「それってえのがさ、あねさんはいつかこの仕事が当ったら、おらたちのどっちかと夫婦になるって」 女宰領である濃萱が眼を吊《つ》りあげて叫びだした。それはどんなに兇悪な山賊《やまだち》でもちぢみあがるだろうような、毒どくしく辛辣《しんらつ》を極めた悪罵《あくば》であったが、幸いにも脛黒や手白には言葉の意味がよく理解できないため、ちぢみあがるほどの恐怖は感じないで済んだ。 「いいから、まあいいから」と脛黒はあねさまをなだめた、「おらたちもべつにせっついてるわけじゃねえ、あねさんが忘れていせえしなけれあいいだから」 「仕事はまだめど[#「めど」に傍点]がついたばかりだ」と女は二つの袋を引寄せて云った、「当るか当らねえかはこれからのこった、おれと夫婦になりたかったらよそ見をしねえで、この仕事がおしゃかにならねえようにもっと精を出せ、仮にもおれと寐ることなんぞ考えるんじゃねえ、わかったかい」 「あい」と手白が云った。 「じゃあおらあ帰るからな」女は苧縄《おなわ》の両端で二つの袋の口を括《くく》りながら云った、「いつまで起きてねえで早く寐るんだよ、油がもってえねえから、――手白、いっておれの草履を直しな」 手白は「あい」と云って立ちあがった。濃萱は苧縄を肩に掛け、よいしょと力んで腰をあげた。二つの袋は躯の前後にずっしりとさがり、よほど重いのであろう、女の顔は血がのぼって赤くなった。 「ないしょだがね、脛黒」と女はいきんだ声をひそめて囁いた、「おれは夫婦になるならおめえだと、とっくに心できめているんだよ」 脛黒の下顎が静かに、だらっとさがった。 「ないしょだよ」と女は念を押した、「手白に云うんじゃないよ、いいね」 脛黒は声が出ないとみえ、口をあけたままで二度、三度と大きく頷いた。女は少しよろめきながら、出ていった。 [#6字下げ]七[#「七」は中見出し] 「はあー」と手白が云った、「おらどうしてもくにへ帰りてえ」 「堀へ酒飲みにいくべえ、なあ」と脛黒が云った、「賽銭の中からくすねておいただ、堀へいって一と遊びやらかして来へえ」 「酒を飲ませるとこなんかあるのかい」 「くぐつ女《め》がいるだ、知らねえのか」と脛黒が云った、「銭を持ってけば酒を飲んで、うめえ物を喰べて、きれえな女と遊べるだよ、なあ手白、二人でちょっといって来べえよ」 「だめだ、すぐあねえに勘づかれるだ」 「大丈夫だってば」 「だめだ」と溜息をついて手白は云った、「あねえはここにいなくても、おらたちの云うことすることが見とおしらしい、おらこうやってても、あねえの眼がおれのことをじっと見てい、あねえの耳がおらの云うことを聞いてるのが、ちゃんとわかるだ、おらにゃそれがちゃんと感じられるだよ」 脛黒は疑わしげに手白の顔をみつめた。 「ほれ」と云って手白は眼をつむり、漠然と空間のそこらを手で撫でた、「ここにあねえの眼が届いてる、な、ほれ、耳はここらまで来ている、それからあねえの手は」 「よせ、眼をあけろ」と脛黒は慌てて遮った、「眼をつぶってあねえのことを考えるな、おめえはともすると考えがゆきすぎる、あねえのことで頭がいっぺえだから、そんなありもしねえことを感じるんだ、おらたちもちっとは自分てものを思わなくちゃいけねえ、仕事はこんなにうまくいってるんだぜ」 「おらは信じねえ」と手白は悲しげに首を振った、「こんなことが本当にあるもんじゃねえ、こんな話が長く続くわけはねえだよ」 「そんならいっそくにへ帰れな」と云ってから、脛黒は自分の言葉のよき意味に気づき、にわかに熱のこもった調子になった、「――なあ、その、手白」と彼は唇を舐めて云った、「おめえの云うことをだんだん聞いてみると、本当にこの仕事は危なっかしいし、うっかりするととんでもねえことになりそうな気がし始めた、うん、本当のところこれは、いまのうちにくにへ帰るほうがいい分別かもしれねえぞ」 「あい、あい」と手白はうれしそうに膝をすすめた、「おめえがそう思ってくれるなら相談がしやすいだ、ひとつおらの考えを聞いてくれるか」 「おうよ、おめえがくにへ帰るんなら、なんでも相談にのるぜ」 「こうだ」手白は左手を上に向けて出し、右手の食指でその掌を突きながら云った、「おらたちは道理に合った別れかたをしなくちゃなんねえ、これが第一だ、承知か」 「文句はねえな」 「第二は儲《もう》けの分けかただが、この仕事でいちばん割の悪い役をやったのはおらだ、ぎりぎり巻きに縛りあげられ、強盗だといって人まえに恥をさらし、それでもって地蔵の霊験てえことをでっちあげた、な」 「それはわが田へ水を引きすぎるようだが、まあまるっきり理屈がねえわけでもねえかしれねえ、で、どう分ける」 「袋にした数をちゃんとかぞえといたが、銭二貫匁の袋が三百、粒銀と砂金は、十両包にした袋でそれぞれ二十五袋、米麦、豆などを売った分がおよそ五十貫匁か、な」と手白は云った、「これだけを道理に合った分けかたにすると、おらが全部を二つに分けた半分」 「おめえが全体の半分だって」 「残りの半分をあねえとおめえで分けるだ、おらそれだけの骨折りをしたし、道理に合わねえことはしねえだ、な、承知か」 「こいつは口べただと思ったら」と脛黒は脇へ向いてそっと呟いた、「どうして、とんでもねえほど達者なやつじゃねえか、こいつはよっぽど用心してかからねえと、頭の疣まで掠《さら》っていかれちまうかもしれねえぞ」それから声に出して云った、「――それはまあおめえの考えとして、第三のほうを聞くとしよう」 「それがちょっと云いにくいんだが」手白は少し羞《はにか》んで云った、「おら、くにへ帰るときに、なんだ、その、あねえをいっしょに伴れてゆくつもりで」 脛黒は片手をあげて「あ、あ、あ」と手白の言葉を押し止めた。 「そらあだめだ、その考えだけは頭の中からひん抜いて捨てるがいいだよ」 「なぜ」と手白は不審そうに眼をほそめた。 「こうなったら云っちまうが、あねえはおらと夫婦になるだ」 「おめえ知らねえだな」 「知らねえのはおめえだ」 「おめえ知らねえだ」と手白が云った、「ずっとめえにあねえは、おらと夫婦になるって約束かためてあっただよ」 脛黒は笑いだした。 「あい」と手白は云った、「あねえに訊いてみればわかるだよ」 脛黒はもっと高笑いをし、片手で手白を指さしながら「騙されてるだ」と云い、笑いの止らない苦しさのため、その手で床板を叩いてひいひいと悲鳴をあげた。しかし、やがてその笑いが切って落したように止り、口をあいたままで、じっと空間の一点を見まもった。 「そうか」と脛黒は呟いた、「ありそうなこったぞ、うん、おらにした約束を手白にしねえと考えるのは甘すぎる、これあ二人ともやられたぞ」 「二人ともなんだって」 「あねえにやられただ」と脛黒が云った、「二人ともいいようにしゃぶられただよ」 そのとき外から妻戸をけたたましく叩く者があり、「ここをあけろ」と叫ぶ声がした。 「検非違使《けびいし》の庁の者だ」とその声は云った、「ここをあけろ、すぐにあけぬと踏みやぶってくれるぞ」 「やられただな、みい」と手白が云った、「おめえの云うとおり、二人ともうまくやられたようだ」 脛黒は黙ったまま肩をすくめてみせた。 [#6字下げ]八[#「八」は中見出し] 「使庁のお役人で坂中と仰しゃれば」と女が云った、「いまをときめく佐《すけ》の殿でいらっしゃいますね」 「いや、まだ判官《ほうがん》だ」と坂中判官は云った、「佐と云ってくれてもさして間違いはない、いずれ近いうちにそうなる筈だが、いまはまだ残念ながら使庁の大尉《だいじょう》、判官にすぎない」 「お人柄ですぐにわかりますわ」女は瓶子の酒を注いでやりながら、あでやかに頬笑みかけた、「それに判官さまは坂上、中原の御両家が世襲で勤めていらしったのでしょう、あなたは御両家の姓を一つに合わせた坂中さま、お名まえの縁起も上々でございますわ」 「わたしは」と云って判官は髭を捻《ひね》った、それはまだ髭というには遠く、生毛のようなものが疎《まば》らにうっすりと伸びかかっているだけだが、彼の自負心や満足感を表明する心理的役割ははたしているようであった、「――ああ、わたしとしては」と判官は続けた、「検非違使の庁に全生涯を捧げるというつもりて、本姓の蛭田を廃し、あえて坂中を名のったようなしだいであるが、これを坂上、中原の両家に対するへつらいである、などと中傷する者があるのはまことに心外に耐えない」 「召上れな」と女はまた酒を注いだ、「世間にはろくな出世のできない人間がうようよいて、ちょっとでも才能のある人を見ると、蔭でこそこそ悪口を云うものですよ、ことにあなたのような輝かしい将来を約束された方には、中傷や蔭口が集まるのは当然ですわ、出る棒杭《ぼうぐい》は打たれる、ね、そうでしょう」 「その譬《たと》えは当っているかもしれぬ、なるほど、出る棒杭は打たれるか、――供の者はどうした」 「お供の方たちはあちらで召上ってますわ」女は酒を注ごうとして躯の重心が狂い、片手で判官の膝へ凭れかかった、「あら失礼、ごめんあそばせ」 「よしよし、あやまるには及ばぬ、柔らかい手だな」 「まあ恥ずかしい、こんな汚ない手を、どうしましょう」 「これが汚ない手なら、女御上臈《にょうごじょうろう》たちの手は百姓女のようだと云わなければなるまい、このすべすべとした肌、柔らかにすんなりと長く、青柳のように撓《しな》う指の美しさ」 「まあお上手なお口」女は判官の膝へ半身で凭れかかり、たっぷりと媚《こび》をきかせた眼で斜めに相手を見あげた、「嘘でもそんなふうに仰しゃられると、骨まで溶けてしまいそうになりますわ」 「嘘どころか、本心も本心、――供の者はどうしているか」 「さあ召上れ」女は凭れかかったままで巧みに酒を注いだ、「出世をなさる方はお酒の飲みっぷりも違いますのね、おみごとだわ」 「使庁の判官として、理由のない馳走は受けられないのだが」と云ってから、判官は急に眼がさめでもしたように、身を反《そ》らせて女を見た、「――はて、わたしはどうしてここにいるのだ」 「わたくしがお招き申したのですわ」 「招いたって、――ここはどこだ、そしてそなたはどういう身分の者だ」 「あらいやだ、またお忘れになったんですか」女は嬌《なま》めかしく睨んだ、「ここは三条西の京、紙屋川の側で、わたくしはこの家の女あるじ濃萱、もう二度も申上げましたわ」 「ふむ」判官は手の甲で横鬢《よごびん》を打った、「なるほど、濃萱というと、――思いだした、あの脛黒手白の二人と関係がある者だったな」 「それも違いました」と女は云った、「関係があるのはあの二人ではなく、坂中の判官さま、あなたとですわ」 「そなたと」と判官は女を指さし、次に自分を指さしながら反問した、「このおれとがか」 「召上れよ」女は酒を注いでやった、「気持よくお酔いになれば思いだすでしょ、あなたとわたくしはもう約束が済んでいるんですから」 「おれは棒杭であるか知れぬ」判官は腑《ふ》に落ちないというふうに頭を振った、「――棒杭であって少しつん出たがために打たれて、それで忘れっぽくなったのか知れぬ、どんな約束だっけ」 「あの地蔵さまで儲ける話よ」 「あれはぺてんだ、あれは愚民を惑わす詐欺だ、脛黒も手白もすっかり白状したぞ」 「いいじゃありませんか、いつの世だって愚民はなにか信仰せずにはいられないものですわ」と女はあまったるい声で云った、「山をおがむ者もあれば御神木だなどと云って木をおがむ者もあり、厠《かわや》にまで神さまがいるって、有難がっておがむ者さえあるんですもの、いくら愚民賤民だって、信仰の自由くらい与えてやるがいいじゃありませんか、そこまで、干渉するのは民を憐《あわ》れむお役柄にも似あわないと思いますわ」 「それは一面の理屈ではあろうが、しかしだ、明らかにぺてんだとわかっているのに」 「この世にぺてんでないものがありまして」と女は肩で判官の肩を小突いた、「道鏡禅師が太政大臣になったのはどうしてでしょう、忠仁公が親の威光なしで太政大臣になれたでしょうか、近ごろの大臣や数の外《ほか》の大臣たちで、ぺてんなしに任命された人がいくたりいると思いますか」 「慥かに、官界は腐りかけておるか知れぬ」 「あなたほど才能のあるお方が、まだ佐の殿にもなれないのはなぜでしょう」女は話をやんわりと主題へ導入した、「それは蛭田という御本姓が邪魔をしているからです、これは痛いところでしょうが、まず痛いところをはっきりさせましょう、ようございますね」 「わたしはなんにでも慣れたいと思う」 「そこで本題にはいりましょう、氏姓などというばかなことにこだわる人たちの腰を折り、あなたの前にある障害を除くには、どういう手を打ったらいいでしょうか」女はそこで声をひそめ、判官に向って暗示的に囁いた、「それはお金です」 判官はまじまじと濃萱の顔を見た。 「そう、お金ですべてが解決するのよ」と女はゆっくり頷いた、「たとえばあなたが、使庁の別当に黄金五百両を贈るとします、それで佐の殿に任命されることは間違いないでしょう」 「黄金、五百両」判官は喉《のど》を鳴らした、「それは任官はされるだろうが、わたしは判官になるために持ち銀はすっかりはたいてしまったから」 「そこで地蔵さまを使うのよ」と女はまた肩で判官の肩を小突いた、「あなたがあの二人のうすのろを出して下されば、百日と経たないうちにそれだけのお金を作ってみせますわ」 「あの二人を、牢舎《ろうや》から出すって」 「番人付きでね」と女が云った、「夜が明けたら牢から出し、日が昏れたら牢へ戻す、つまりそのあいだ二人に働かせるんですよ」 「話がそう混みいってくると頭の中で風車が廻るようなこころもちになるんだが」と判官は云った、「もう少し酒を貰おうかな」 「召上れ」と女は瓶子を持った、「どうしたらいいかは、もうちゃんと筋書ができてるの、あなたはいい気持に酔ってらっしゃればいいのよ、わかって」 「わたしはこれがぺてんの二枚がさね[#「がさね」に傍点]でなければいいがと思うだけだな」判官は片手で女を抱きながら云った、「なんてまた柔らかくって温かい肩だろう、ええ、ぺてんなんぞくそくらえだ」 [#6字下げ]九[#「九」は中見出し] 「おい、どうだこの景気は」と脛黒は犇《ひし》めいている群衆を見ながら、手白に囁いた、「ざっとめのこ算をしただけでも、四五百はくだらねえようだぞ」 「やつらは面白がっているんだ、おらは恥ずかしい」手白はきれいに剃《そ》られた坊主頭を撫で、着ている法衣の衿《えり》を掻き合せた、「この恰好を見てくれ」 「それはおらも同じことだ」脛黒もまた坊主頭を撫で、法衣の袖《そで》を直した、「どっちにしてもあねえの知恵にあかなわねえだし、現に毎日の寄進やお布施はべらぼうに殖えてるだからな、恥ずかしいぐれえは辛抱するだ」 「あれだけの人数がみんなで、おらのやりもしねえ罪業をたのしみに聞きたがってるかと思うと、あのときなぜさっさとくにへ帰らなかったか、自分で自分が悔まれてなんねえだよ」 「これ、泣き言を申すな」と壇の下から使庁の看督長《かどのおさ》が叱った、「参詣人は出揃《でそろ》ったぞ、早く始めろ」 「ただいま、ただいま」と答え、脛黒は壇の上で坐り直した、「みなさん、ようお集まり下さいました、今日もまたこの地蔵尊のありがたい霊験についてお話を致します」 「前置きはぬきだ」と群衆の中から喚く声が聞えた、「白坊主の罪の話をしろ、ぐっと面白いところを頼むぞ」 するとそれに応じて、幾十人もの男や女が騒ぎだし、使庁の役人たちが「しずまれ、しずまれ」と制止した。 「おのれらなにを騒ぐ」と看督長が壇の脇へ登って大喝した、「かたじけなくも地蔵尊の霊験について、現の証人がざんげをしようというのに、その不謹慎なざまはなにごとだ、もしまた騒ぐ者があればぶち殺すぞ」 「おい手白」と脛黒が囁いた、「あそこに例の大学寮の若い教官が来ているぞ」 「知ってる、おらあの男の眼が気にいらねえだ」と手白は囁き返した、「あの眼つきは尋常ではねえ、いまにおらたちの化けの皮をひっ剥ぐべえと思って、ひっしに隙を覘ってる眼だ」 「そう云えばおっかねえ眼つきだな」と脛黒が首をちぢめた、「ぎらぎら光ってるだぞ」 「よろしい」と看督長は群衆に向って満足そうに頷いた、「そのとおり静かに聞くんだ、いいな、――ああそれから、ざんげを聞いたら必ず寄進を忘れるなよ、寄進を忘れたようなふりをして帰るようなやつがあれば、仏罰を待つまでもなく、このおれがぶち殺してくれるぞ、わかったか」 そして脛黒に手を振ってみせ、彼は壇からおりた。脛黒は二度、三度と咳をした。 「それではお好みによって」と彼はおもむろに語りだした、「前置きはぬきにしてはじめます、この白坊主、――と申しても、かくべつ躯が白いわけではなく、手白という名の一字を取ったので、私の黒坊主も同じ趣向なのでありますが、ごらんのとおり、白坊主はいま哀れなほど従順であり温良な人間になっております、もちろんこれは地蔵尊の」と云って彼はうやうやしく合掌した、「――いやちこな霊験に浴したからであります、現に、私がこんなふうにしても怒りません」 脛黒は指で手白の頭を小突いた、「こうしても怒りません」彼は手白の耳を引張った、「また、こんなにしても怒りません、こう、こうしてもです」 「かげんしろ」と手白がむっとしたように囁いた、「痛えぞ」 「がまんしろ」と囁き返して、脛黒は手白の片腕をねじあげた、「こうしても怒らないところか顔色も変えないのです、このまえなどは裸にして鬼念仏を踊らせましたところ、一と言の反抗もせず、それはもう面白おかしく踊ったくらいてす、もしもいまみなさんが」 「よせ」と手白が吃驚して囁いた、「ばかもほどほどにぬ かせ、おら踊りなんかてんで知りもしねえぞ」 「なぜ白坊主がこんなになったか」脛黒は声を張りあげて云い、合掌した、「それはいま申したとおり地蔵尊の御加護によるものです、彼は丹波のくに狼谷という村里で生れたが、生れながらの極悪人であって、三歳のときもう実のおふくろさまをかっちゃぶきました」手白が眼を剥き、彼は続けた、「なぜかというと、乳があがってしまったので、乳の出なくなった女はもう母親ではない、というわけです、おふくろさまは仰天して、かっちゃぶかれた躯の部分を拾い集めるなり、ただ走りに走って伯耆《ほうき》の大山《だいせん》まで、息もつかずに逃げのびたということです」 群衆はふるえあがり、女性たちはみな人の背中へ隠れて、熱心に唱名念仏をした。 「五つのとしには一郷の馬を盗みました」と脛黒は続けた、「数は二百頭あまりだったが、白坊主はそれを京まで追って来て売りとばし、堀川に館を構えるやら、白拍子を八人も抱えるやら、朝から酒浸りで踊れうたえと」 「幾つだって」と群衆の一人が問いかけた、「はっきり云ってくれ、それは幾つのとしだ」 「おらは質問には答えない」脛黒は昂然《こうぜん》と云い返した、「いまは法論をしているのではなく、一人の人間にあらわれた奇蹟について語っているのだから」 「慥かにそれは奇蹟だ」と群衆の中の他の一人が喚いた、「僅か五歳のわっぱで二百頭もの馬を盗んだり、館を構えて白拍子を抱いたりするなんて、おまけに朝から酒浸りだなんて」 「黙れ、ほざくな」と看督長がまた壇の脇へとびあがって叫んだ、「おのれらはろくな布施もあげぬくせに文句ばかりぬかす、いまほざいたのはといつだ、ここへ出て来い、手足をぶち折ったうえ背中へ鉛の熱湯を注ぎこんでくれるぞ、これへ出て来い」 群衆はひっそりとなり、賽督長は脛黒に頷いて、壇の下へとおりた。 「さていま申したとおり」と脛黒は話を続けた、「そんなにも小さいとき、すでに極悪人の本性をあらわしたのだから、その後どのような悪事をかさねたかは、みなさんにも想像がつくことであろう、強盗、放火、殺人、かどわかし、ぺてん、人買い、およそ罪という罪で彼の犯さないものはこの世に一つもない、と云ってもいいでしょう、――これを詳しく話せばさぞかしみなさんを満足させ、昂奮と感動のあまり踊りだしたくなるだろうと思う、けれどもそれはまたのたのしみとして、いまは地蔵尊の霊現について話すことにする」 「さあ、文句のあるやつは云え」と看督長が機先を制して絶叫した、「うっ[#「うっ」に傍点]とでも云ってみろ、おれはきさまたちの誰かをぶち殺したくって、この腕がむずむずしているんだ、この螻蛄《けら》食いの賤民ども、さあ、うっ[#「うっ」に傍点]とでもかあ[#「かあ」に傍点]とでもほざいてみろ」 群衆はしんとしていた。 「ではいよいよ奇蹟について申上げるが、そのまえにみなさんで合掌念仏をとなえていただきたい」と脛黒は合掌しながら云った、「南無仏、一切衆生発菩提心」 群衆は云われるとおりにし、念仏の声が賑《にぎ》やかにわき起こった。 「よろしい、御信心のほどがよくあらわれていた」と脛黒が云った、「では去る四月の或る夜、ここでいかなる奇蹟が起こったか、地蔵尊のあらたかな霊験によって、一人の極悪人がいかに改悛《かいしゅん》し、いかにうるわしく生れ変ったか、という事実を申し述べましょう、さあ、うしろの方はずっと前へお詰め下さい、――では始めますぞ」 [#6字下げ]十[#「十」は中見出し] 「おめえに訊くがな、手白」と脛黒が云った、「おらたちあ人間か、それとも猿か」 「もう壇へあがるじぶんだと思うだ」 「よく聞け」脛黒は声をひそめた、「もういちど訊くがな、おらたちは人間か猿か、どっちだ」 手白は考えぶかく頭を捻った。 「おめえそれくらいのことがわからねえだか」と脛黒はひそめた声でどなった、「自分が人間か猿かという区別さえわからなくなったのか」 「あい」と手白は慎重に答えた、「おらもう、なにを信じていいか見当もつかねえだよ」 「おらたちあ人間だ」と脛黒は云った、「毛物のように這《は》いもしねえ、手に箸《はし》を持ってめしを食うし着物も着る、ものごとを考えることもできるし口もきける、泣いたり怒ったり笑ったりもする、なあ、こうかぞえてみれば歴とした人間にまちげえはねえ、そうだろう」 「あい」手白は確信なげに答えた、「おめえがそう云うなら、おらさからおうとは思わねえ、それならそうとしとくがいいだ、おらの知ったこっちゃねえだからな」 「眼をさませ」と脛黒は喉声で云った、「人間なら自分でものにめざめなくちゃいけねえ、自分がなに者であるか、いまどんなふうに生きているか、ゆくさきどう生きたらいいか、生きることに満足し幸福を感じているかどうか、なあ、人間ならこういう問題をしんけんに考えなくちゃいけねえ、そうでねえものは人間とは云えねえだよ」 「おらに、――考えろってかい」 「まず訊くが、おらたちはなにをしている」 「なにって」手白は当惑し、片手で幕の向うにある壇のほ うへ手を振った、「――だろうがよ」 「くぐつ[#「くぐつ」に傍点]に飼われてる猿だ」と脛黒は手白のその手を押えつけて云った、「おらもおめえも牢舎へ繋《つな》がれてる、よしか、夜があけると曳《ひ》き出され、ここへ伴れて来られる、よしか、そうして二人であの壇の上へ登って、地蔵さまの霊験についてざんげ[#「ざんげ」に傍点]話をする、よしか」 「おらにゃおふくろさまをかっちゃぶいた覚えはねえ」 「眼がさめかかったな、そうだとも、おめえはおふくろもかうちゃぶかねえし牛を盗んだこともねえ、極悪人どころか、おめえは天下一のお人好しだし、蟻《あり》も殺せねえほど臆病な人間だ」 「あい、おらどうやら眼がさめかかったようだ」と手白が云った、「おらあ極悪人じゃねえ」 「とんでもねえ話よ」 「だがそう云ったのはおめえだぞ」 「おらの口から出ただけさ」と脛黒はいそいで云った、「筋書はあねえが拵《こしら》え、おらはその筋書どおりに云ったまでだ、おめえもそのことは承知の筈じゃねえか」 手白はよく考えてから「あい」と頷いた。脛黒は幕の隙間から外を覗いて見、唇を舐めた。 「さあそこだ」と彼は云った、「そうやっておらたちは一日じゅうざんげ[#「ざんげ」に傍点]をして、日が昏れるとまた牢舎へ戻して繋がれる、これがおらたちのやって来たことだ、おらとおめえとで、この七十日あまりというもの、現実にここでやって来たことなんだぞ」 手白は自分の外側へぬけだして、そこから自分を眺める、といったふうな表情をした。 「それから次には参詣人だ」と脛黒は続けた、「あの大勢の参詣人たちはなにも知らず、おらとおめえのざんげ[#「ざんげ」に傍点]を鵜呑みにして、地蔵さまの功徳《くどく》に涙をながし、不相応な賽銭や供物を捧げている、ありもしねえ利生を頼みにしてよ、そうじゃねえか」 「――あい」と手白はゆっくり答えた。 「おらとおめえはこういうひどいめにあってるし、参詣人たちはなけなしの銭や供物をかたり取られている」脛黒は両手を前へ出して云った、「それで儲けてるのは誰だ」 手白は用心ぶかく黙っていた。 「おらたちと参詣人のあいだで、うまくふところを肥やしているのは誰だ」 手白はなお黙っていた。 「眼をさませ手白」と脛黒が云った、「あねえは使庁の坂中という判官とつるんでる、判官はあねえの家で毎晩のように酔いつぶれ、毎晩のようにあねえと寐ているだぞ」 手白は眼をほそめ、呼吸を止めて、脛黒の言葉の意味を理解しようとした。そしてやがて、口をそろそろとあけ、しだいに大きく眼をみひらきながら、脛黒の顔をみつめた。 「あねえが、誰と寐るだって」 「使庁の判官とよ」 「おめえでもおらでもなくかえ」 「坂中っていう判官とだ」脛黒は唆《け》しかけるように云った、「だからこそ、おらたちは牢舎から出されるだし、用が済めば伴れ戻されて繋がれるだ、あねえと判官がつるんだんでなければ、こんな芸当ができる筈はねえ、おら昨日の晩、使庁の下部《しもべ》たちが話してるのを聞いただ、あねえと判官のことを知らねえのは、おらたち二人と参指の衆だけだとよ」 「おめえ」と手白が云った、「おらのこと、騙すんじゃねえかい」 「騙されてるんだ、おらもおめえもけろっと騙されちまったんだ、いいか」と脛黒はじれったそうに云った、「いいかよく聞け、おらたちは牢舎から出され、ざんげ[#「ざんげ」に傍点]をしてまた牢舎へ戻される、――そうだ、おめえ毎日あがるあの賽銭や供物のことを考えてみろ、あの莫大《ばくだい》な寄進はいったい誰のふところへへえると思う、おらか、おめえか」 手白の眼が動かなくなり、まもなく顔ぜんたいに歪《ゆが》みがあらわれた。 「あねえの家だ」と手白は呻くように、口の中で云った、「袋にして積んだ銭も、粒銀も砂金も、なにもかも濃萱あねえの家にあるだ」 「そしてあねえは誰と寐るだ」 「判官だ、なんとかいう使庁の判官だ」 「おめえそれとわかって満足か、おめえいま幸福な気分か」 「いつだったか、おらひどく腹の立ったことがあった」と手白は云った、「古いことでよくは覚えていねえだが、ひどく腹が立ってどうにもなんねえ、もうがまんが切れたもんだから、裏へいって二十貫石を持ちあげただ」 「それをどうした」 「どうしたっておめえ、おらに二十貫石が持ちあがるわけがねえ、汗みずくになってやってみたが石は動きもしねえ、おらなおさら腹が立って肝が煮えくり返るようだから、うちへへえって寐ちまっただ」と手白はそのときを思いだすように云った、「――ふんとうに、おらがあんなに腹あ立ったのは生れてから初めてだっけだ」 「おめえ」と脛黒がさぐりを入れるように訊いた、「いまはその、どんなこころもちだ」 「そうさな」手白は片手で胸を押えてから、よく考えてみて云った、「おめえを威かすつもりはねえが、いまは三十貫石を持ちあげてえような気持らしいだ」 「おめえは眼ざめただ、それでこそおめえは人間として眼ざめただよ」と脛黒は頷いた、「大事なのはここだ、おめえははじめのころ、こんな話が本当にあるもんじゃねえ、と云った、そのとおり、これは初めからぺてんであり企んだ仕事だ、おらたちは食うためと、いつかあねえと夫婦になるのをたのしみに、今日が日まで辛抱に辛抱をかさねて来た、だがいまといういま、おらもおめえも眼ざめただ、なあ」 「あい」と手白がいさましく答えた。 「おらたちはずいぶん長いことめくらだった」と脛黒は太息《といき》をついて云った、「のちの世になってこの話を聞く者は、あんまり諄《くど》くってだらしがねえことに怒るかもしれねえ、だが、おらたちはついにしんじつに眼ざめただ、大事なのはそこよ、どんなに賢くって頭のめぐりがよくって、知恵がまわるために長者になったり、大将や大臣になる人があっても、しんじつに眼ざめなけれあ本当の人間たあ云えねえ、それはただ大臣、ただ長者、ただ大将というだけのことだ、それに比べれば、おらたちがばかみたように長い時をかけたことも、決してむだだったとは云えねえ、半刻で眼ざめるやつもあれば二十年めに眼ざめるやつもみるだろう、それにかけた時間は問題じゃねえ、人間としてしんじつに眼ざめることができるかどうか、それがなにより大事なことだ」 「あい」と手白は頷き、自分たちがしんじつ眼ざめたことの偉大さに胸をわくわくさせながら、訊いた、「それでどうするだえ」 「おらのことを死に死にかつえ[#「かつえ」に傍点]ているときでもそれを人にわかるように話すことのできねえほど理のとおらねえ口をきく男だとくにの郡院《ぐういん》の案主《あんじゅ》が云ったっけだが」と脛黒は云った、「おらあの衆にぶちまけるだよ」 「あの衆とは?」 「集まっている参詣人の衆によ」 「なにをね」 「しんじつをよ」と云って脛黒は立ちあがった、――このぺてんの初めから終りまでを残らずぶちまけて、あの衆たちにもしんじつに眼ざめるようにしてやるだ、立て手白」 そのとき看督長がはいって来た。片手の拳を頭の上で振り廻しながら、ひどくよろめき、幾たびも酒臭いおくびをした。 「こいつら、なにをしておるし看督長はもつれる舌でどなった、「参詣人どもは集まっとるぞ、この螻蛄《けら》食いの、どぶ狐の、豆ぬすっとめ、出ていって白痴《こけ》説法をぶちまくれ、はは」彼はどしんと尻もちをつき、また片手の拳で頭の上へ輪を描いた、「ははは」と彼は空虚に笑った、「白坊主に黒坊主か、うぬれどもの命もあと僅かだ、五六十日もすれば、――それも参詣人がそれまで続いてのはなしだが、それでもせえぜえ五六十日もすればこれだ」彼は片手で自分の首を叩いてみせた、「五条河原へ曳き出されて、その首をばっさり斬られるんだ、うぬれらは極悪人で、地蔵野郎のれんげえ[#「れんげえ」に傍点]は受けられるかもしれねえが、法の裁きからつん逃げるわけにあいかねえ、そんなことをすれば使庁の威勢てえものがなくなるし、われもわれもと地蔵野郎を担ぎだすやつがあらわれて、都の大路小路は地蔵だらけになっちまうだろう、とんでもねえ、そもそも検非違使の庁というものは、そういうすっとぼけたことのねえように、そんなことで万民の生命財産が損害を受けねえように、ゆだんなくこう眼をかっぴらいているのが役目だ」彼はげっぷうをし、片手を大きくひらっと振り、「はははは」と笑い、「さあ出ろ」と云った、「――出ていって地蔵野郎のれんがえ[#「れんがえ」に傍点]説法をぶちまくれ、判官どのは判官どの、おれはおれで役得を握るさ、さればこそ、賤民どもをぶち殺すと威すわけだし、おれが威せばこそれんぎい[#「れんぎい」に傍点]説法もやれるという順だ、はは」看督長はそこで仰向けにぶっ倒れた、「さあやっつけろ、あと五六十日だぞ、その首が胴に付いているうちに稼げ、説法をぶっくらわせて絞れるだけ賽銭を絞れ、あとは判官どのやおれが引受ける、心配することはねえからずでかい[#「ずでかい」に傍点]説法でぶちのめしてやれ、はは、おれはいいこころもちだ」と彼は四肢を大の字に伸ばして喚いた、「おれはすばらしくいいこころもちだ、極楽だぞ」 [#6字下げ]十一[#「十一」は中見出し] 「みなさん」と脛黒は両手をあげ、「みなさんよく聞いて下さい」と云った、「今日という今日、おらはすべての偽りやごまかしを捨てて、――ちょうどこの坊主頭と法衣をぬぎ捨てるように、すっ裸になってしんじつを話すことにしました」 「裸踊りか」と群衆の中からどなる声が聞えた、「どうせなら二人でやれ」 「念仏踊りでねえのをな」と他の声が喚きたてた、「いろっぽいのを頼むぞ」 「静かに、お静かに」脛黒は両手をあげ、厳粛に制止して云った、「これは踊りではねえです、また、裸になると云ったはこの法衣をぬぐことではなく、この」と彼は自分の胸へ手を当てた、「――この心に偽りの衣を着せねえ、つまりなにもかも隠さずに、あったことをあったままに申上げるというわけで」 「つまんねえ」と叫ぶ声がした、「いつもの極悪人をやれ、人殺し強盗、火つけかどわかし、それよりもっとあく[#「あく」に傍点]の強いところをたっぷりやれ、あったことをあったままだなんてつまんねえこったぞ」 「つまんねえ、つまんねえ」 「眼をさませ」脛黒は両手をもっと高くあげ、群衆の喚声をきびしく制止した、「人間はいつまで盲目であってはなんねえ、おらはみなの衆に眼ざめてもらいてえだ、そのためにおら今日ここに立っただ」 「おれは眼をさましてるぞ」という声が聞えた、「これ以上どう眼をさますんだ」 「この白坊主を見て下さい」脛黒は手白を指さして云った、「これまでおらは、この男を極悪人だと話して来た、だがそれは根も葉もない、まるっきりの嘘っぱちだ、ということをまず申上げたいのです」 群衆はううううと唸《うな》り、呶声《どせい》をあげ、不満と怒りのためにどよめいた。 「眼ざめなさい」脛黒はそのどよめきを凌《しの》ぐ声で叫んだ、「しんじつに眼をみひらきなさい、この地蔵さま、この石で彫った地蔵はただ石で彫った地蔵というだけにすぎねえです、そこにいるおめえさまがおめえさまであり、そっちにいるおめえさまがおめえさま自身であり、こっちにいるそこのばあさまがばあさまであるように、この地蔵も石の地蔵だというほかになんの意味もねえし、霊現なんてことは嘘にもできやしねえです」 「やい黙れ」と群衆の中から叫び声が起こった、「てめえなにを云いだすんだ」 「しんじつをです」脛黒は叫び返した、「おらたちは騙され、ぺてんにかけられてるだ、この白坊主を縛ったのは地蔵じゃねえ、このおらがやったことです、濃萱という女宰領に唆されて、おらが白坊主を縛り、そして地蔵の霊験ばなしをでっちあげただ、これが正真正銘、嘘偽りのねえしんじつだっただ」 「それは嘘だ」と叫んで前へとびだして来た青年があった、「きさまは地蔵尊の霊験というおごそかな事実を潰し、自分自身を地獄の火で焼こうとしているんだぞ」 「あれ、おめえは」脛黒は眼を剥いた、「おめえさまはいつかの、あの大学寮の」 「いかにも、大学寮の少属で算法を教えている者だ」とその青年は云った、「私は初めは疑っていた、実在としては石にすぎない物が、霊験などという奇蹟を行えるわけはない、すべてごまかしでありぺてんだと云った、だが毎日かよって来ているうちに、私の考えが誤りであることを悟ったのだ、南無仏」青年は合掌三拝をして続けた、「――どう誤っていたか、それは私の悟性が足らなかったからである、物質とはいったいなんであるか、われわれ人間は物質ではないのか、実在として石であることと、哲学的概念としての地蔵とをどこで分離するか、血と肉と骨で成り立っている人間を、血と肉と骨との集合体にすぎないと云えるか、集合体にすぎないから物理的な能力はないと立証できるか」 「そいつもぺてん師だ」と群衆が喚きだした、「白坊主黒坊主と組んで地蔵さまに悪口をついてるだ、三人ともやっつけろ」 「待て、私はいま、痛い」青年は頭を押えながらきいきい声で叫んだ、「石などを投げないで聞いて下さい、私はいまみなさんに代って、霊験の哲学的意義を、痛い」 「おらはしんじつを」 「逃げるだ」手白が脛黒の腕を引きながら云った、「早く逃げるだ」 「あの衆を眼ざめさせねえでか」 「殺されちまうぞ」手白は脛黒を抱えるようにして壇からとびおりた、「こっちがいい、いそげ」 「おちついて下さい」と青年は叫んでいた、「私は地蔵尊のいやちこな霊験を、痛い、なにをする、袖を引張るな、私は、こ、押すな」 「そのぺてん師をやっつけろ」群衆は雪崩のように襲いかかった、「白坊主と黒坊主が逃げたぞ、ひっ捉まえて三人とも木の股《また》へ吊しあげろ、八つ裂きにしてしまえ」 「よせ、私はみんなの味方だ」群衆の揉みあう中から青年の悲鳴が聞えた、「私はいま死ぬようなめにあわされてる、助けてくれ」 [#6字下げ]十二[#「十二」は中見出し] 「もう大丈夫だろう、少し休もう」と脛黒が云った、「おめえけが[#「けが」に傍点]はなかったか」 「あい」手白は喘いだ、「くたびれた」 「ここへ掛けよう、ああ、ひでえめにあったな、心の臓がこんなだ」と脛黒が喘ぎながら云った、「なんていうきちげえどもだろう」 「おら殺されるかと思った」 「なんていうばか者だろう」と云って脛黒は唸った、「あいつらの頭の中がどんなからくりになってるか、いっぺん見てみてえくらいだ」 「おらくにへ帰りてえ」 「おらのことを親だからといってどうして伜が孝行しなけれあなんねえかっていうことさえわからねえほど理にうとい[#「うとい」に傍点]人間だってくにの新家のばあさまが云ったっけだが」と脛黒が云った、「そのとおりだな」 手白が「あい」と云った。 「おらみんなのためにしんじつを話した」と脛黒は続けた、「するとあいつらは怒りだした、なあ、あいつらは怒りだしただ、そこがおらにゃわからねえ」 「あの大学寮の人もな、あい」 「あの大学寮の人もよ」と脛黒は頷いた、「おらたちが霊験だあ奇蹟だあって、嘘で固めたことを饒舌ってるうちは、あいつらは手を合わせて拝んだり、有難がって泣いたり、そうしてありもしねえ物を根こそぎ寄進したりした、なあ、そのときこそあいつらは怒ってもよし、石を投げつけてもいい筈だ、どんなにされてもおらたちとしちゃ文句のつけようがねえところだ、そうじゃねえか」 「あい」と手白は確信なげに頷いた。 「それをおめえ、――あの大学寮の人がなにを云ったかはてんでわからねえ、神さまでもわかるめえと思うだが、――それをおめえ、おらが本当のことをぶちまけ、なにもかもぺてんで嘘っぱちだと話したらあの騒ぎだ」 「大学寮の人が先達《せんだつ》よ」 「わかんねえ」と脛黒は考え深く首を振った、「やつらはあの人のこともやっつけた、そうしてみるとあの人も、あの人の流儀でしんじつに眼ざめたのかもしれねえ」 「あい」と手白が云った、「眼ざめるってことは危ねえもんだ」 「もう一つ解《げ》せねえのは濃萱だ」と脛黒は話をそらした、「これまでやって来たどの仕事も、張本人はあねえだった」 「あい」と云って手白は眼をつむった、「あのあねえ」 「それなのにあねえは追われも打ち打擲《ちょうちゃく》もされず、おらたちばかりが難儀なめにあわされた、番たびがそうだった」脛黒は拳で自分の膝を殴った、「これはどういうことだ」 「ああ」と眼をつむったままで、うっとりと手白は呟いていた、「あの柔らかく、あたたかそうな肌」 「こんども同じ伝だ」と脛黒は続けた、「おらたちはこんなめにあわされたが、あねえはいまごろ判官をまるめてよろしくやってるだろう、儲けた銭金を積みあげて、美味《うま》い物を喰べ放題、飲みてえだけ酒をくらい酔って、――おい手白、あれを聞け」 「黙っててくれ」と手白は恍惚《こうこつ》の中で微笑した、「ああ見えるぞ、――ころも干すまた野の奥にむら立ちて」 「よせ、眼をあけろ」脛黒は手白を見て、吃驚してどなった、「そんな物を見るな、眼をあけろ、眼をつむったままであねえのことを考えるな、ゆきすぎになるぞ」 「あい」と手白は眼をあけて云った、「おら京へ戻る」 「あの声を聞け、こっちへ来る」脛黒は足踏みをした、「追手だぞ」 「おら都へ戻る、あねえが判官とうまくやってるなんて思うと」 「判官はうまくやれやしねえ、あねえにうまくやられるだ」と脛黒は叫んだ、「おらたちの代りに、こんどは判官がうまくやられるだよ」 「じゃあ、おらたちはどうする」 「逃げてっからのこった」脛黒は手白を力ずくで立たせた、「捉まると五条河原で首をやられるだ、みろ、やつらは近づいて来るぞ」 「おらあねえに気が残るだ」 「逃げるだ、逃げるだ、逃げるだ」 「萱こそ茂れ」と手白が云った、「おらああれが恨みだ」 そして二人は走りだした。 底本:「山本周五郎全集第十三巻 彦左衛門外記・平安喜遊集」新潮社 1983(昭和58)年3月25日 発行 底本の親本:「別冊文藝春秋」 1961(昭和36)年3月 初出:「別冊文藝春秋」 1961(昭和36)年3月 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
https://w.atwiki.jp/tdkm/pages/163.html
使い方 数字は全角でお願いします。 その案件があてはまるものをコピー&ペーストして、裁定番号(藩国番号-拾い上げ箇所記号-拾い上げ箇所ごとの藩国内の案件番号)と、法官が把握した内容(どんなミスがどこで起きたかの要約)だけ埋めていけばOKです。(自首ありとなしを準備してあります、相談所から拾い上げた場合は自首ありです) 拾い上げ箇所記号 相談所: S /財務: Z /紋章: M 裁定番号の記入実例:06-S-01 頻出ミス用裁定書式 -裁定番号:-- -罰則用基準:01-02:二重エントリー:対象:戦団の担当 -法官が把握した内容: -罰則の理由:ゲーム結果に影響してしまいます。編成時のミスは戦団の担当責任です。 -軽減発生の有無:なし -罰則:-8億 -再発防止に向けて:必ず複数名で最終チェックをする習慣をつけてください。 -裁定番号:-- -罰則用基準:01-02:二重エントリー:対象:戦団の担当 -法官が把握した内容: -罰則の理由:ゲーム結果に影響してしまいます。編成時のミスは戦団の担当責任です。 -軽減発生の有無:自首成立 -罰則:-4億 -再発防止に向けて:必ず複数名で最終チェックをする習慣をつけてください。
https://w.atwiki.jp/shuinn/pages/2915.html
地蔵寺 愛知県大府市、知多四国八十八ヶ所霊場第5番・地蔵寺の御朱印「延命地蔵菩薩」です。 知多四国の専用納経帳にいただいた御朱印です。平成26年は弘法大師知多巡錫1200年、平成30年は知多四国開創210年の記念印をいただくことができました。 大府七福神で「毘沙門尊天」をまつっています。 ★住所 愛知県大府市長草町本郷40 -
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/2614.html
マスターだけが大荷物 トド子 噂が立つどころか… えらそうな態度 姫以外にも派閥争い 勘違いリアルストーカー ガルマオタPLとシャアオタGM MKP その他のガンダム話 ダイス振り地蔵 セクハラ赤褌付喪神 カオスも危険だがロウも難しい 俺ファリス主義者の殺人 嫌韓厨 荒らし発生。MKP PC間バトルロワイヤル アウシュビッツ 腹の調子が悪かったから
https://w.atwiki.jp/gods/pages/33513.html
シバシン(柴神) 日本の民間信仰の神。 峠や山道の入口に祀られる旅の安全の守り神。 別名: シバオリガミ (柴折神) トウゲガミ (峠神) アシガルサマ (足軽様) オシオリサマ オクヨサマ(お供養様) シオリ (柴折) シオタテ シバオリジゾウ (柴折り地蔵) シバオリカンノン (柴折り観音) シバオリヤクシ (柴折り薬師)
https://w.atwiki.jp/tdkm/pages/619.html
T10自首裁定:芥辺境藩国 罰金総額:-80億 裁定番号:30-S-01 罰則用基準:01-06:エントリー評価値ミス:罰則対象:藩国 法官が把握した内容: アイドレス未購入によるエントリーミス。評価値にも差が出るため評価値ミスを採用する。 【自首】 お世話になっております。芥辺境藩国です。 「まきの誕生日作戦」におきまして、3000585:小鳥遊の着用アイドレスにミスがございました。 ※エントリーで3000585:小鳥遊が職4ゲーマーを着ておりましたが、小鳥遊は職4ゲーマー未取得でした。 お忙しい中大変恐縮ですが、裁定を宜しくお願いいたします。 エントリー:(参照url:http //www.meta-arcana.com/wforum/wforum.cgi?mode=allread no=571 page=0#593) 罰則の理由:チェックが困難になったりゲーム結果に影響が出ることにもつながります。エントリーは藩国責任です。 軽減発生の有無:自首あり 罰則:-10億 再発防止に向けて:必ず複数名で最終チェックをする習慣をつけてください。 裁定番号:30-S-02 罰則用基準:02-06:戦時消費ミス:罰則対象:藩国 法官が把握した内容:物資を必要量より少なく消費申告していた 総資産消費の消費燃料を14万t少なく計算しています。 罰則の理由:ゲーム処理はその都度正しく行われないとどんどん支障が広がります。 軽減発生の有無:自首あり 罰則:不足1万tにつき-10億×14/2=-70億 再発防止に向けて:参加した戦闘ごとに消費や分担をまとめておくと間違えにくくなります。
https://w.atwiki.jp/trebor/pages/424.html
霊場会 霊場会の名称 遠州茶論(えんしゅうさろん)お地蔵さま御朱印帳事務局 霊場会サイト 事務局所在地 静岡県袋井市袋井186-1 事務局TEL 0538-42-4050 そ の 他 気になること スペック 開 創 不詳(2006年?) 専用納経帳 あり 納 経 料 不詳 対応時間 不詳 注意事項 札所一覧 札番 寺社名 所在地 電話番号 霊場本尊 宗派 納経所 第2番 長命寺 第3番 全海寺 第5番 円通山観音寺 静岡県磐田市福田688-1 0538-55-2309 延命地蔵菩薩 曹洞宗 第9番 八幡山法雲寺 静岡県 磐田市 向笠西374 0538-38-0432 曹洞宗 第13番 実谷山極楽寺 静岡県周智郡森町一宮5709 0538-89-7407 子安延命地蔵尊 曹洞宗 第15番 蓮華寺 静岡県周智郡森町大門2144 0538-85-5374 第17番 谷脇山萬松寺 延命地蔵菩薩 第19番 正瑞山永住寺 第28番 袋井山観福寺 第29番 城龍山萬願寺 名前 コメント