約 7,335 件
https://w.atwiki.jp/civilization/pages/2076.html
←後編 楽園の午睡 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (katra.jpg)「姉様、起きてください、姉様!#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (terraza.jpg)「…おはようございます。カトラ、メーニャ。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (megna.jpg)「全然お早くないよ。 テラザ「良い夢を見ていました。2人が私のために働いてくれていました。 メーニャ「普段と同じじゃないか。 カトラ「普段の生活も夢のようだ、と言う事でしょうか。 テラザ「その間に私も2人のために働いていたのです。それにメーニャが私に甘えてくれました。 メーニャ「…な、なんだいそりゃ。それの何が良いのさ? テラザ「3人で仲良く力を合わせていく事が、私の人生の楽しみなのです。これからも仲良くしてくださいね、2人とも。 カトラ「あ、はい… メーニャ「調子狂うねえ。 戦績 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (million0155_R.jpg) #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (damien.jpg)「うわあ、中学生の数学みたいだ。これ僕の苦手分野なんだ。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (million0156_R.jpg) 75万。何も言う事はない。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (million0159_R.jpg)#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (damien.jpg)「100万どころか20億いるよおねえさん!#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (terraza.jpg)「数字には疎いのです。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (damien.jpg)「しかも平均寿命2歳って、これカブトムシか何かでしょおねえさん! #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (terraza.jpg)「違います、進化した人間の形です。或いはカフカ。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (million0160_R.jpg) 偉大な商人37 偉大な技師4 偉大な預言者6 偉大な賢者3 偉大な指揮官1 偉大な吟遊詩人1 計52人 感想のようなもの サッサカサーのつもりでしたが、サッサカサッサッサーくらいになっちゃいました。 後半の戦争はほとんど書いてないですが、至高の聖職者をドルイドにして輝きの宝冠を使えるようにしたら、宝冠とスケルトンの感染拡大だけでどんなスタックもイチコロだからです。 その証拠に基本戦闘力1のダミアンが教練Ⅳを覚えるくらい育ってしまいましたよ。 うっかり病気を治してしまった時は削除しようかと思いましたが、いるだけでも役に立つものだ。 奴隷取引を開始し、カースト制と奨学制を導入した時点でスコアはぶっちぎりになるので、後は戦争なんかする必要もありません。 首都が手持ち無沙汰になったら国家ユニットでも作ってれば、まず負ける事はないでしょう。 その後は人口2000人でも100万人でも気が済むまで増やせばよろしい。 平均寿命1歳の昆虫国家を目指せばよろしい。 ちなみに500人時点でゴールドを貯め始めると259Tで自由の女神象勝利になりました。 何人時点が最速になるのかわかりませんが、概算だと250人くらいで止めるのが一番早そうでした。 細かい事は誰か実践して確かめてください。いや、やっぱ確かめなくてもいいかな。 mパッチはまだそれほどやってないとは言え、jパッチよりだいぶマシになった気がします。 少なくとも普通に遊ぶことは出来そうな。 アケロン都市が凶悪化してますが、ギボンで誘拐作戦は誰かやってみてください。 炎の精霊をかいぐくって隣接さえ出来れば、大魔道工場になりそうな気がひしひしとします。 ではお付き合いありがとうございました。 誰か僕の代わりに、たまにはカトラさんも使ってあげてください。 おまけ #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (million0157_R.jpg) 千人都市で研究力を重視してみた。 未来技術だって1Tで研究してみせらあ! でも停滞だけはカンベンな! おつかれさまでした マンモスマンション…愉悦の塔と屍霊の塔ですかね。屍霊の塔の方は名前からしていわく付き物件なので家賃は安め。 -- 筆者 預言者+神託+深海創始で夢オチか?とは思ったけど、ここまでデタラメやってストーリーに纏められるのは素晴らしいな。ペディアとか書いて欲しい・・・ -- 20億人で平均寿命2歳だと、およそ1秒に63人が同じ街の中で死に続けるカオス都市。 -- 違った32人だ。そして1日に11万5千人が死ぬ。 -- 問題ない。半分はゾンビになってかえって人口が増える。 -- ペディア書くのは良いんですが、統合・orbis AC・NC・orbis NC+ACとあるので配布するのが無理すぎる…バニラ限定か派生元の統合MODに最初から混入するかしないと、テキスト覗いておしまい、になりそうです。 -- 筆者 メモ帳に書いてあげてくれればコピペで導入できる……かも。テラザのペディアは元の文明説明からのコピペだからちょっと寂しいですしね( A`) -- ( A`)統合の中の人 2歳って成人までの成長はやぇ~、住民は犬猫昆虫の類なんじゃwもしくは死人同士でも子がなせる!? -- 一部の超長寿+奴隷÷2=2歳のゾンビ -- もう何処に突っ込めば良いのか…ギボンの精神集中3は、削られてしまったんですってね -- 名前
https://w.atwiki.jp/yugio/pages/4377.html
効果:「神光の宣告者」の降臨に必要。手札・自分フィールド上から、レベルの合計が6になるようにモンスターをリリースしなければならない。このカードの効果によって「神光の宣告者」の儀式召喚に成功した時、自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、その儀式召喚のためにリリースしたモンスター1体を選択し、自分の墓地から手札に戻す。 備考:儀式魔法カード 儀式 墓地再利用 魔法 魔法除外
https://w.atwiki.jp/euphshaker/pages/86.html
「それじゃ、T……ん、ティファリス。 適当に頑張って来なさいな」 「はい、テーナ様も気を付けて」 広大な庭を抜けた先――彼女達の家に面した通りに、ティファリス(T4)は立っていた。 “テーナ”が町中で“フェイク”と名乗るように、T4もまた町中で呼ばれる為の名前――ティファリス・ラックコール――を持っており、彼女達はその名前を使い分ける境界の上で、それを確かめるように言葉を重ねていた。 「……ティファリス。 いつも言っているけれど、“様”は止しなさいって」 「はい、テーナ様」 「……もう」 そして私は、玄関先で繰り広げられている漫才染みた二人の会話をぼうっと眺めながら――頭の中は、先程頂いたスープの事で一杯になっていた。 ――あんなに美味しいものがこの世にあるなんて……。 テーナは普通の人間でもある事から、人と変わらない食事を定期的に摂る必要があるのだが――身体を構成しているものがゾイドコアに近い生体物質である事もまた事実であり、身体を維持する為にはレッケルの方が効率が良いらしい。 だがしかし、レッケルは不味い――というか、味がしない。 レッケルそのものが鉱物に分類される為にそれは当然といえば当然の事なのだが、彼女はそんなジレンマを打開する為に10年程試行錯誤を繰り返し、あのスープを創り上げたらしい。 そしてその十年の証として開発されたそれは、レッケルや重金属の粉末等が入っている為に人間の食べ物では無くなってしまったが――私達にとっては麻薬じみた感覚を与える代物に昇華されており、その威力は私の理性をいとも簡単に緩ませていた。 「さて、アルフィ。 流石にT4がアリスの為に買い込んでいた服だと色々と合わない所もあるだろうから、私達も貴方の服を買いに出るけれど……大丈夫?」 私の意識が次に現実に戻ってきた時――何時の間にかT4の姿は無く、テーナがこちらに向けて何かを言っていた。 「はぁい……」 何を言っているかは理解できないが、とりあえず言葉を振られていたようなので応えを返す。 「刺激が強すぎたみたいね……ま、その内しっかりするでしょう」 そう言って彼女は若干呆れたような表情を私に送り、私の手を取って門の外に出る。 ――……あれ? 外は何か危なかったような……。 手を引かれ、敷地の外へと歩き出した瞬間、そんな瑣末が頭を過ぎったが、引かれるままに私達も敷地の外へと出た。 ――――そうして、次に意識がハッキリした時、目の前に見た事の無い“自分”が居た。 「…………は?」 今、私が立っている場所は――狭い。 左右は至近に在る壁によって区切られ、後ろにはカーテン、正面に鏡がある所に私は立っているのだが――現状に困惑すると、鏡に映る自分らしきソレの表情も困惑に変わる。 ――……私? テーナとT4(彼女ら)の家で着させられた服とは全く違う設え――丈の長い白のワンピースに鮮やかな赤の肩掛けと赤(同色)の腕等のリボン(アクセント)、そして見掛けも然る事ながら肌に感じる質感は先程の服よりも更に滑らかで軽い。 首から上が私である事を考えなければ、その姿は何処かで見かけた事のある、高家の令嬢のような風体であり――正直、何故自分がそんな格好をしているのかが理解できない。 「あ、気が付いたみたいね」 感極まった混乱に静止する事十数秒、その沈黙は後ろのカーテンが開いた事によって打ち破られ、テーナ――いや、髪の色が違うからフェイク――が顔を出す。 そしてその顔を見た瞬間、今まで“されていた”事が思考に浮かび上がってくる。 「――――!」 「はい、これで全身隈なく私コーディネート」 そんな言葉と共に、フェイクは持っていた帽子――来ている服装と同じ二色(色彩)の綺麗な布地を折り重ねる事で構成された高そうな物――を私の頭に乗せる。 「変装もこれで完了。 それじゃ、行きましょうか」 “全身隈なく”。 その言葉が意味する事は正しくその通りであり、下着やその先まで――まるで着せ替え人形のように遊ばれていた今までの事が一気に甦ってくる。 ――まぁ、要約すれば……。 余す事無く、全部しっかり見られた。 「……こ、こんな派手な格好じゃすぐにバレるだろうがっ!」 言いたい事だけ言って店の端へと向かったあいつを追って、初めて押し込められた(使った)試着室と呼ばれる場所から飛び出し、抗議の声を上げるが――。 「大丈夫よ。 エクスリックスにはちょっと変った風習……というか、名物があった所為で、高貴そうで派手な格好をしていると重要な立場に居る人間だと思われて検問とか職質を無条件突破できたりするのよ」 そんな魂からの叫びはあっさりと流され、彼女はそのまま若干驚いている店の人間との会話に戻る。 「800イズ? ミレトスだと幾ら? わぉ、換金率……殆ど一緒なんだ」 「最近はイズ高が急速な勢いで進んでいますので……」 「それでノスとかの低額硬貨が発行された訳ね……。 じゃ、支払いはそのままイズで」 「かしこまりました」 ちなみに金には疎いとしか言えない私だが――確か、1イズでまともな食事一回分位の価値があった筈。 だが、そんな深く考えれば驚愕な事実も、今の私にとっては興味の対象外であり――先程までの仕打ちに更なる抗議を上げようとした瞬間、 「可愛いわよ、アルフィ」 「――――」 そんな真っ直ぐで飾らない言葉に、意識が凍り付いてしまった。
https://w.atwiki.jp/euphshaker/pages/27.html
「……今度はヘビ、か!」 後方から三機、ステルスバイパー。速度負けしている以上、追いつかれるのは必然。 「だったら……」 自動操縦プログラムを立ち上げて、設定。「とにかく走れ」。 キャノピーを開けて、外に。 「舌かむなよ!」 未だぐるぐる巻き状態のシエナに言い残して、私は飛び出す。 「……どこの誰だか知らないけどっ!」 標的はどうやら私だったらしく、ステルスバイパーは三機全てが、私に狙いをつけた。 側頭部のヘビーマシンガンが火を噴く。人間ならかすっただけで致命傷だが、生憎私は人間じゃない。直撃さえ食らわなければ問題ない。 先頭のバイパーに接近する。私の攻撃手段は、前腕のレーザーカッターのみ。狙いはコクピット。 バイパーの低い姿勢が、私にとって幸い、敵にとって災いした。簡単に飛びついて、キャノピーを砕く。 「……動いたら殺すよ?」 乗っていたのは、共和国帝国どちらのものでもないデザインのパイロット服を着た男だった。どこの組織か、考えるのは後。 「借りるよ!」 男を突き飛ばし、シートに座る。 『くそ、ロディの機体が乗っ取られたか!』 繋ぎっぱなしの回線から、敵らしき連中の声。丁度いい。 「何の目的か知らないけど、今すぐ手を引きなさい。でないと、死ぬよ」 警告。だが、向こうは二機。未だ有利と思っているのか、じりじりと距離を詰めてくる。 「……はあ、仕方ないね」 左の機体に銃撃。すかさず、右から反撃が来る。予想通り。上半身(?)を思い切りのけぞらせてかわす。 そのまま、頭を全力で振り下ろす。狙うのは一点、コクピットのみ。こっちの得物は、ヘビーマシンガンの「銃口」。 鈍い音と、手ごたえ。下向きにしたマシンガンが、見事にコクピットを「パイロットごと」刺し貫いている。これで終わっただろうが、ダメ押しで発砲。バイパーの頭部が砕け散った。 「口は無くとも牙は有り……ってね」 ついでに言うなら、銃弾は毒か。 『……馬鹿な』 呆然とした声が、通信機から聞こえる。貫通して抜けなくなった左のヘビーマシンガンをパージして、残りの一機に振り向く。 「最後に聞く。こうやって死ぬか、逃げるか、どっちがいい?」 ロディとかいう最初に私が落としたバイパーのパイロットを拾うと、最後の一機は背を向け、退いていった。 それが返答だったようだ。 その後窪地に戻り、ロナルド達と合流して、置いてきたプテラスでグスタフを追っかけることに(ちなみに私は竜形態で飛んだ)。 発見して止めて、シエナに絡んだ糸をどうにかする頃にはもう日も暮れかかり、夜が近づいていた。 「にしても……、一体何だったんだ、あれは」 「さあね。私には心当たり無いけど」 あの後ステルスバイパーを調べたが、結局手がかりは無し。 「だけど、君を狙っていたのは確かなんだろう?」 「……みたいだけどね」 それも不可解な話だった。狙われるような理由は思いつかない。 「とにかく、本局の指示を仰ごう。話はそれからだ」 そんなこんなで、私達は宿のある町に着いた。 「ふ~……」 久しぶりの布団に転がりながら、私は息をついた。 「にしても、災難だったね」 「あ、いえ……はい」 同じ部屋のシエナに声を掛ける。リルガにぐるぐる巻きにされるなど、一生でも滅多に無い、かつされたくない体験だろう。つーか私も嫌だ。 「ところでさ。本局の指示を仰ぐって言ってたけど、すぐに?」 「いえ、多分、結構かかると思います。報告書が上に届くのに数日、返ってくるのにこれまた数日……」 「……なんじゃそりゃ」 なかなかに気の遠くなる話だな、それは。 「現場は不満たらたらですよ。ウェンさんとか、いつも上層部の悪口言ってますから」 どこの世界も、大きくなりすぎた組織は小回りがきかないらしい。 「それじゃ、私は早めにおさらばしたほうがいいかな」 「え?」 「向こうの狙いが私なら、一緒にいると危険だ」 当然の理屈。近くにいてシエナ達に何らかの危害が加わるのも寝覚めが悪いし、こういう言い方は何だが、彼女らの存在が枷にもなりかねない。 というわけで、さっさとお暇しようかと思っていたのだけれど。 「……そ、そんなことないですよ」 「はい?」 「危ないことも今日が初めてじゃないですし、それに……」 どうやらこの娘は、私を引き止めておきたいらしい。 「……わかった。本局とやらの指示が来るまでは、君たちと一緒にいるよ」 言葉の裏の、理由について少し考える。シエナが嘱託であること、管理局という組織、彼らの私についての理解、諸々合わせても、細かい裏は無いと思った。 夜半、シエナが寝たのを確認して、階下のラウンジに降りる。 「……お前か」 降りたそばから、ウェンが私を見つけてきた。 「何してるの?」 「報告書だ。こいつを書かにゃ、上の指示が出てこん」 意外なことに、このガタイでデスクワークもやるらしい。 「お前は現地の協力者ってことにしとくが、構わんか?」 「うん」 素性を説明していないんだから、そうとしか書きようがないとは思うが。 「……シエナに引き止められたか?」 不意に、そんなことを聞いてきた。 「そうだけど……、何で?」 「この仕事で同世代の女の子と会うなんて、滅多に無いことだからな。仲良くしてやってくれないか?」 同世代……か? とういか、私って何歳なんだ? 自分に対する疑問はさておき、ウェンの言っていることは理解できる。彼女がなぜあの歳で管理局の嘱託をやっているのかは知らない(戦争も理由の一つだろう)が、周囲には大人しかいないのだろう。 「……ほら、子供は寝る時間だ」 「子供……、ね」 「子供だろう。シエナより小さいじゃないか」 周りから見れば、私も立派な子供のようだ。何がどうして、こんな未成熟な身体になってしまったのやら。 階段を上りながら、そんなことを考えた。
https://w.atwiki.jp/euphshaker/pages/7.html
動画(youtube) @wikiのwikiモードでは #video(動画のURL) と入力することで、動画を貼り付けることが出来ます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_209_ja.html また動画のURLはYoutubeのURLをご利用ください。 =>http //www.youtube.com/ たとえば、#video(http //youtube.com/watch?v=kTV1CcS53JQ)と入力すると以下のように表示されます。
https://w.atwiki.jp/euphshaker/pages/90.html
「西方大陸の一都市に、特異な感覚が感じられます」 私が行動を起した切っ掛けは、友人のそんな言葉だった。 何気ない会話の中の一幕だったような気がするが、次に行く当ての無かった私はその一言に飛び付き、久しぶりに再会した片腕――今は五体満足な旧知のレドラーに乗せてもらい、その地を目指した。 ――当然の事だが、通常のレドラーの航続距離ではトローヤから『エクスリックス』と呼ばれるその町にはまったく足が足りないのだが、その辺の事象は私の力によって捻じ伏せ、私達は西方大陸まで辿り着いた。 ちなみに、ついさっきまでは片腕のメモリーにあったお気に入りの場所が、友人の言っていた其処と同じだった事などから、どんな場所なのだろうかと思いを加速させていたのだが――。 『こちらは西方大陸都市国家連合特務実証リバイン・アルバのシンシア・アドイドだ』 その道中――遥か下の地上で起こりつつあった物騒な事に遭遇してしまった。 『お前達はエクスリックスの主権領域を侵犯している。 ――速やかに退去しろ、さもなければ実力で排除する』 私と片腕が進んでいる方向と同じ向きを向いている五十余りゾイド群――機種やサイズも無秩序なそれらの行く手を、僅か3機の見知らぬ白い竜型の大型ゾイドが立ち塞がっている。 『っは! 依頼主から聞いてるぜ……お前達の主力部隊はニクシー基地に出張っているんだろ?』 『たった3機で何言っていやがる』 『その機体は希少品だからな、貴重な戦利品にしてやるよ』 状況を見れば虚勢としか思えないような白竜側の凛と響く女性の声による警告と、絶対的な数的優位から来る慢心を帯びた傭兵側の嘲笑。 だが――。 『……そうか。 では、帝国の甘言に乗せられた自らを恨め』 最初と同じ凛と響くような女性の声による最後通牒により、戦いの火蓋が切って落とされた。 ――――いや、それは戦闘と呼ぶのもおこがましい、虐殺だった。 『っ! 効いているのか…!?』 『スプリットアーマーだ! まずはスプリッドアーマーを減衰させるんだ!』 『くそ! 帝国め……話が違うじゃないか……!』 ライガーゼロ・パンツァーや重装備を施したジェノザウラーを筆頭に、白竜と相対する者達は百以上の砲火から無数の火線を放つが、白竜はそれを弾き、何でもない事のように翼で虚空を叩き、ほぼ一瞬で相対する連中の前衛部隊に取り付き、 『早い……!』 『ぐわっ!』 『っ、くそ! なんだ、あれは……!』 統制が全く取れていない傭兵が乗るゾイド達をその強靭な爪で切り裂き、鈍器のような足で粉砕し――異様な瞬発力で次の獲物に取り付き、時折至近距離で放たれる荷電粒子砲や大口径キャノン砲を弾き散し、反撃も逃走も許さずに、猛然とした勢いで蹂躙していく。 ――なんだ、アレは……? 常軌を逸したその動き――見た事なんてある筈の無い一連の動作に目を奪われ、離脱する事も忘れて凝視していたその時。 3機の白竜の内の1機が十数機のゾイドが纏まっている中心に圧し入り――。 「……っ!」 黒き閃光と、ここまで届く筈の無い擦過音――幻聴――が白竜の周囲に響き渡り――ソレが晴れた後、白竜の周囲には“何も無かった”。 それは、白竜が今も続けている“ただ”の異常な光景の一幕。 その筈なのだが――。 「なに、これ……」 体が、震えていた。 まるで、それを以前に味わった事があるように、その恐怖に震えるように――今の光景とその残滓から目が離せなかった。 「……! やばい!」 そうして、次に気が付いた時――あれほど居た傭兵側のゾイド群は一体としてまともな姿をしたものが居なくなっており、その光景に驚くのと同時に――、 ――……目が、合った。 その直感を感じ、片腕を雲の中へと退避させる。 彼我の間に広がる間合いは、距離にして400キロメートル。 視力を能力で補強している私だから見えるのであって、地上に居る白竜からは見える筈も無い、判る筈も無い距離だというのに、 『重度オーガノイドシステム搭載機……!?』 最初に聞いた声――あの白竜のパイロットと思われる女性の声がオープンチャンネルの通信帯に響き渡り、自分の直感が正しかった事を知るのと同時に3機の白竜の内の1機が外装の一部を切り離して空へと飛び上がる。 「――っ!?」 当然戦いに来た訳ではない私は、姿を隠す為に無推力滑空させていた片腕の翼に電力を印加させ、逃げの一手を取る為に機体を加速させる。 ――アレは凄く拙い……! あの白竜は見た事も聞いた事も無いゾイドの筈なのだが、その存在、その力がまるで手に取るように判り、取り付かれたら絶対助からないと確信出来る自分が居る。 『なぜ、レドラー如きにそんな物が積まれているのかは知らぬが……堕させて貰うぞ』 その一言から、投降し誤解を解く事も脳裏に過ぎったが――何故か、彼らに捕まったらとても厄介な事になるような気がして片腕を更に加速させる。 ――しかし、あの白竜の巨体は、片腕のすぐ後ろにまで迫っていた。
https://w.atwiki.jp/euphshaker/pages/22.html
行く当てもなく、砂漠を歩いていた。何も持たず、ぼろきれのような服と日除け代わりのマントを羽織って、ただ前に。 私の後ろを、一機のゴドスがついて来る。少し前に出会った野良ゾイドで、おそらく十年前の戦争で打ち捨てられ、野性化した子だろう。 「……ついて来るなってば」 振り返って、言ってやった。人間の体の歩くペースに合わせて、わざわざゆっくりついて来る必要もなければ、そもそも私について来る必要自体がない。そんなわけで最初は一時間ごと、やがて30分ごと、そして今は5分ごとに「ついて来るな」と言っているのだが。 ふと、音が聞こえた。グスタフの走行音。あっという間に近づいてきて、私の目の前で止まった。コクピットが開く。中年の男性が、顔を見せた。 「何やってんだお嬢ちゃん? ゾイドにも乗らないで……」 確かに傍から見れば、妙な状況ではあるのだろう。ゾイドを連れているにもかかわらずそれに乗らず、わざわざ砂漠を歩くなど、伊達や酔狂でもやる事じゃない。 「……とりあえず乗りな。そのまま歩いてたら死ぬぞ」 別に死ぬことはないのだが、暑さにうんざりしていたのもまた事実。乗せてもらうことにした。 「あのゾイドはどうするんだ?」 放っておいても大丈夫……なのだろうが、結局ついて来そうな感じだったから、無言でグスタフの引くトレーラーに視線を送る。私の意図を汲んでか、ゴドスはおとなしくそれに乗った。 私もコクピットに収まる。直後エンジンを響かせ、グスタフが走り出した。 「しっかし、無茶もいいとこだぞ。水も持たんで、歩いてこのグレイラストを渡ろうなんざ」 隣から、水の入ったボトルが差し出される。受け取るだけ受け取って、視線を外す。 「……で、どこに行こうとしてたんだ?」 「別に決めてない。歩くだけ歩いて、歩けなくなったらそのまま行き倒れ」 横の男の顔が若干引きつった。 「……ま、出来ないんだけど」 「そ、そうだろうな、はは」 そう、出来ない。おそらくこの男が想像しているのとはかけ離れた理由で、私は死ぬことが出来ない。私がこの世界から意識を手放したとして、その先はあの永遠の虚無。覚めない夢。何も無い、何も感じない世界。 あの日、あんな形で私が目覚めるまで居た世界。 「……気のせいか? なんかお嬢ちゃんが乗ってから、コイツの調子がいいんだが」 コンソールパネルを小突きながら、男が言った。 気のせいではない。間違いなく、私が乗ったことでこのグスタフのゾイドコアは活性化しているだろう。 オーガノイドシステムという、ゾイドコアを異常活性化させるシステムがある。おそらく今このグスタフのコアは、それを搭載されたのと同じ状況にある。違いがあるとすれば、この子の感情だろう。けっして凶暴になることも、破壊衝動を覚えることも無いはずだ。 なぜならば、オーガノイドの使い方が違うからだ。 かつて私は、オーガノイドシステム搭載機であるジェノザウラーを「不完全なシロモノ」と形容したことがある。あれは、ただ人間がオーガノイドの力を誤解して使用しただけ。 「お嬢ちゃん、名前は?」 「……アルフィ」 本名ではない。私の名前など、本来は無い。この名を得るまで、ずっと名無し。 アルフィという名前は、はるか過去に私が呼ばれた異名にちなんで、私自身でつけた。 Al fine(アルフィーネ)。終焉へ。 長ったらしいから、少し縮めた。後ろを切ったのは、前を切るとヤバい気がしたから。主に平行世界的な意味で。 終焉に導くもの。それが私。 そう、かつて真オーガノイドと、デススティンガーと呼ばれたもの。 それが、私。
https://w.atwiki.jp/euphshaker/pages/69.html
「凄い……、この機体」 白き虎が、その橙色の双眸が、隔壁をへこませ蹲る赤い竜を見据える。そのコクピットで、リエル・フィアットは驚愕していた。 何もかもが違う。この白い虎から感じる生命力、無造作な一撃で竜を吹き飛ばしたパワー。その全てが、数瞬前まで操っていた狼の身体とは比べ物にならないほど強化されていた。 「……いける、これなら!」 赤い竜が、攻撃を再開した。先ほどと同じ、両前脚からの雷撃。反射的に、リエルは操縦桿を横に倒し 「――……っう!?」 た瞬間、側頭部を思いっきり殴られたような衝撃。リエルの操縦に『忠実に』反応したワイツタイガーが凄まじいまでの瞬発力でサイドステップを繰り出し、それにより発生したGがリエルをモロに襲ったのだ。 (……前言撤回、何この暴れ馬!?) 歪む視界を必死に保ち、リエルは竜との距離を詰める。ついさっきあれほど苦しめられた雷撃が、今はかすりもしない。 「はぁっ!!」 懐に飛び込み、爪を叩き込む。竜が仰け反った。間髪入れず逆の爪。竜の巨体が浮き上がる。 「っでえい!!」 頭を下に潜り込ませ、そのまま振り上げる。赤い竜が宙を舞った。 「……何だ、アイツ……?」 サビンガを運び、今は整備員達と共に退避シェルターに入っているリオーネ・フィンチは、ワイツタイガーと赤い竜の戦闘に違和感を覚えた。 ワイツタイガーと、竜の間の戦力差は歴然だ。圧倒的と言ってもいい。にもかかわらず、竜は撤退する事も捨て身の攻勢に出ることも無く、ただワイツタイガーを引き付けるように戦っている。確かにワイツタイガーを奪う事が目的ならば、下手な攻勢に出て破壊してしまうのはまずいだろう。しかし、それならば他にも方法はあるはず。 (……裏がある? あるとすれば何だ?) Zi-ARMSが欲しがっているのは、古代種のコアそのものか? それとも、もし既に奴らも古代種を手に入れているとしたら、必要なものは? 「……まさか」 結論に思い至った時、思わず口をついて言葉が漏れた。リオーネは踵を返し、退避シェルターから再び管制室へ戻る。 管制室では、未だ続くワイツタイガーと赤い竜との戦闘の分析が行われていた。目に入ってくる数値はかなり非常識な値を叩き出していたが、とりあえずそれは脇に置いておく。リエルなら耐えられるだろう、根拠は無いが。 目当ての人物を探すが、室内には居ない。手近なオペレーターに問いかける。 「お嬢さ……いえ、主任でしたら奥のシェルターに避難されました」 恐らくあのSP二人も一緒なのだろう。だが、嫌な予感が消えない。それどころか大きくなっている。 「シェルターの場所は?」 場所と道のりを聞き出し、リオーネは走り出す。 「――! あれは……」 シェルター近くに、黒服の男が倒れている。間違いない、エクステリアのSPだ。 「おい、しっかりしろ! 何があった!?」 二人のうち、髪をオールバックにした方を揺り起こす。呻き声をあげ、SPは目を覚ました。 「う……、お嬢様は……?」 「わからん。だが、あんたらがこのザマって事は大丈夫じゃない気がする」 「……くそ、何者だったんだ、あの娘は……」 話を聞くに、侵入者に気付き迎撃に向かったは良いものの、その侵入者が年端も行かない少女だったため隙を突かれて昏倒させられたらしい。 「すまん、お嬢様の安否を……確かめてくれ」 リオーネは奥のシェルターを確認する。だが予想の、それも最悪の予想の通り、そこはもぬけの殻だった。 「……はぁ、はぁ……、まだ、続けるつもりなの?」 赤い竜を見据え、リエルが毒づく。恐ろしくピーキーな機体特性に加え、先ほどからコクピット内の温度が次第に上昇していた。現時点で、摂氏39度。人間の平均体温を超えているこの空間に、長時間居座る自信はリエルにも無い。 「……っ、え!?」 だが、まるでその愚痴に答えたかのように竜がワイツタイガーに背を向けた。自身がブチ開けた隔壁の穴を、そのまま逆に疾駆して行く。 「ま、待て……っ!?」 追おうとしたリエル、だがワイツタイガーはそれに応えてくれなかった。 「ちょ、ちょ……! ヤバい、マジでヤバいってこれ!!」 大慌てで機体を停止させ、使える限りの冷却システムを作動させる。ついでコクピットハッチを開け、飛び降りた。 「うわ……」 改めて確認し、リエルは顔を顰めた。そりゃ暑くなるわけだ、と。 機体が胸部から腹部にかけて、原型をとどめないほどに溶解していたからだ。 「リエル!」 そこに、リオーネが走り寄る。 「あ、リオーネ。ねえ、コレどう思う?」 「それはそれで大変だが、いいかよく聞けリエル・フィアット」 溶けたワイツタイガーを指差すリエルに、リオーネが言う。フルネーム呼びをするのは、決まって大事な話の時だ。 「エクステリア・アーネが誘拐された」 「……う、うん……?」 目を覚ましたエクステリアが見上げていたのは、いつもの見慣れた天井では無かった。鉄骨が剥き出しで、粗末な蛍光灯が幾つか吊るされている。それに、ひどく寒い。 「こ、ここは……?」 起き上がろうとするが、腕が上手く動かない。脚も、何故か自由に動かす事が出来なかった。これではまるで、手足を縛られているようだ。自由に動く首と視線を巡らせて、何とか状況を確認する。 ……手足を縛られ、転がされていた。それも、薄暗い物置のような部屋で。 状況が理解出来ない。エクステリアは芋虫のように悶えるが、手足を縛める結束帯は鎖のように強固だった。 「ど、どうなっているの? たしか、私は……」 ワイツウルフの……正確にはワイツタイガーの起動実験に、二人の猟兵による立会いを依頼した。その後どうなった? そう、確か実験場が襲撃され、シェルターにSPと共に避難して……。 「――……っ!!」 そこで、黒髪の少女に気絶させられた。 確か少女は、『依頼に基づき、貴女を拘束する』と言っていた。つまり自分は、何者かの依頼によりここに連れ込まれたという事になる。 その『何者か』は、考えるまでも無い。Zi-ARMSだ。 「状況は理解出来たかい、お嬢さん?」 ギリギリと建て付けの悪い音を響かせ、扉が開き三人の男が入って来た。ラフな格好をした、少なくともまともな社会人ではない風体の連中だ。 「な、何が目的です!? 身代金でしたら、私もお父様も脅しには屈しません!」 「おうおう気丈なことで。だがあんたもわかってるはずだ。俺達が依頼されてるのは、あんたからある事を聞き出すだけだ」 ブラフ……と言うより、無意識にそうであって欲しいと思った内容はすぐに打ち破られた。となれば、こいつらの目的は一つしかない。 「古代種コアの、制御システムについてだ。代謝抑制のパターンがどうしてもわからんらしくてな」 「おとなしく教えてくれれば痛い目には遭わせない。だが、俺達はこの通り紳士じゃないんでな、反抗したらどうなるか、わかるよなぁ?」 無力な鼠をいたぶる猫のように、男たちは楽しげに言う。代謝抑制パターンは八桁の数字だ。いっそこの際教えてしまうか、あるいは出鱈目な数字で誤魔化しこの場を凌ぐか、エクステリアは必死に考える。 「……おい、聞いてるのか!?」 顎に鋭い痛みを感じた。首にも痛みが走る。蹴られたと気付いたのは、男の振り上げられた脚を見てからだった。 「っ……!」 「女に暴力振るうのは好きじゃねえんだ……、早く吐いちまいな」 涙目で見上げるエクステリアに、男は冷たく吐き捨てた。痛みと恐怖心が邪魔をして、エクステリアは何も言う事が出来ない。 「……だんまりか? おい、アレ持って来い」 それを黙秘と解釈したのか、リーダー格の男が指示を出す。程なくして戻ってきた男が手にするバケツの中身が、エクステリアに容赦なくぶちまけられた。 「きゃああっ!!」 ただでさえ寒さと冷たい床に辟易していた所に、さらに冷水。エクステリアの身体が体温を求めて震えだす。 「さあ、早く喋った方が身のためだぜ?」 冷たい水を被ったからか、少しだけ頭が冷えた。考えてみるに、仮に正しい数字を喋ったとしてもその後の命の保証は無い。殺されないにしても、解放されることはまず無いだろう。エクステリアを人質とすれば、Zi-ARMSはZOITECに対してより強気に出られる。 震えながら、エクステリアは恐怖し身を縮ませた。 「アーネさんの居場所がわかったって?」 ZOITEC本社。本来、門外不出の機密であるワイツウルフおよびサビンガを緊急時とはいえ操縦したという理由で拘束されていたリエルとリオーネは、エクステリアのSPからその話を聞いた。 「はい。お嬢様の身に着けている発信機の電波を追った結果、ここに連れ去られたとわかりました」 オールバックのSP……ボブが、手にした端末に映像を出し二人に見せる。 「当社の哨戒機が捉えた映像です」 「ホエールキング、ね……」 全長225メートルの、空飛ぶ移動要塞。 「役員会ではお嬢様の救出のため、レイズタイガーの起動を決定しました」 もう一人、黒い髪を七三分けにした男性……ダグラスが言う。 「つきましては、そのパイロットを貴方がたにお願いしたい」 「……理由は?」 「正直に話します。まず一点、貴方がたが当社の人間ではない事。万が一責任を追及された場合に、蜥蜴の尻尾に出来るという理由です」 「ふん、妥当だね。次は?」 「……貴女が、凄腕の猟兵だからです」 ダグラスは二人ではなく、リエル個人に向けて言い放った。 「まさか。あたしは只の貧乏猟兵だよ?」 「只の猟兵に、ワイツタイガーを操縦出来るとは思えません」 そう言って、ダグラスはサングラスを外す。その視線は、真っ直ぐにリエルに向けられている。 「そしてフィンチ氏、貴方もです」 「俺が?」 「作戦の上で、二人のチームワークが必要になります。それもゾイド戦と対人戦という、まったく別の行動をしながら確実な連携を取らなければならない。我々はお嬢様からお話を受けた際、可能な限り貴方がたについて調べさせて頂きました。その上で言います。それが可能なのは、貴方達二人しか居ないのです……」 リオーネは少し考え込む。が、それを遮ってリエルが発言した。 「わかった、あたし達でやる」 「よ、よろしいのですか?」 あまりにあっさり依頼を受けたためか、ボブがどもりながら確認する。 「ここまで首突っ込んじゃったら、引っ込みつかないよ。ね、リオーネ?」 「……まあ、そうなるな」 依頼の妥当性、成功率、かかる手間。諸々の内容を考えようとしたが、リオーネはスッパリ諦めた。リエルが『やる』と言ったら、もうやめさせられない。そしてその依頼は、必ず成功させられる。今までもそうして来た。 リエルの直感は、いつもリオーネの上を行く。 「よし、早速準備に入ろう」 そうして大急ぎで準備を進め、リエルとリオーネは現在空を飛んでいた。虎が空を飛ぶとは、なかなか滑稽な光景だとリエルは思う。 「目標まで距離8000……、そろそろお迎えが来るかな」 『なあリエル。聞いていいか?』 「何を?」 『お前、空中戦の経験あるのか?』 「……人生いつもぶっつけ本番!」 『おい』 実際問題、シャレにならない話だとリエルも思う。だが、何故かやれる気がする。根拠は無いが、何となくこの感覚を身体が覚えている気がするのだ。脳内麻薬がそう思わせているだけかも知れないが。 レイズタイガーは、ZOITECが保有する二機目の古代種コアを搭載したゾイドだった。ワイツタイガーが制御システムをサビンガに搭載し安全装置としていたのに対し、この機体は始めから一機の虎型ゾイドとして完成している。 それが空を飛んでいるのは、サポート用に開発されたブロックス、プテロレイズを飛行ユニットとして装備しているからだ。現在、リオーネはこちらに搭乗している。 レイズタイガーとプテロレイズの合体形態は、ジェットレイズタイガーと呼称されていた。 「さあ、来るよリオーネ」 『わかった、落ちるなよ!』 「落とされなければねっ!」 レーダーが、ホエールキングから飛来する機影を捉えた。映像が出る。間違いない、あの赤い竜……デカルトドラゴンと言うらしい竜が、翼を広げ迫る。 「先手必勝!」 ジェットレイズタイガーが、両肩からレーザーを放つ。デカルトドラゴンが鋭く旋回する、だがレーザーの光条はそれを追うように、不規則な軌道を描き空を奔る。 しかし、決め手にはならない。多くはかわされ、一発二発は当たるがデカルトドラゴンの多面体装甲に弾かれ、ソレを破るには至らない。 レーザーの雨が止み、攻守が逆転する。今度はデカルトドラゴンが、脚部から雷撃を釣瓶打ちに放つ。 「おっと!」 やや危なげにそれをかわす、しかしジェットレイズはその行動により、デカルトドラゴンの真正面におびき出されていた。 それを待っていた、そう言わんばかりに、デカルトドラゴンの胸部砲塔が眩しい光を放つ。 ジェットレイズは、それに臆することなく突っ込む。それはまるで、自殺覚悟の特攻のように見えた。 デカルトドラゴンの放った激しい光が、ジェットレイズを飲み込む。 ――勝った。デカルトドラゴンのパイロットは勝利を確信する。 だが、その光を切り裂きレイズタイガーが飛び出した。装甲表面が、まるでデカルトドラゴンの光を吸収したかのように眩しく輝く。 集光パネル。古くは凱龍輝に装備された、光学兵器による攻撃を吸収し自機のエネルギーとする機構だ。 レイズタイガーの制御システムには、この技術を応用したものが使用されている。副次的に、レイズタイガーにも集光パネルが装備される事となったのだ。 「突っ込むよ!!」 予想外の光景に動きの止まったデカルトドラゴンに、レイズタイガーが組み付く。首筋に喰らいつき、牙が装甲を突き破った。 「……弾けろォ!!」 自身のエネルギー、そして先ほど得たデカルトドラゴンのエネルギーが、牙を通してデカルトドラゴンの内部に叩き込まれる。蛇が毒を送り込むがごとく、膨大な熱量がデカルトドラゴンを内側から焼き尽くした。
https://w.atwiki.jp/euphshaker/pages/52.html
『この世界は是正される。ノイズを出すだけの異物も、不協和音を奏でる同族も、この世界には必要ない』 違う。 『あり得ない。異物との共存など、不協和音でしかない』 違う。 『……やはり理解不能だ。我の因子によって心をねじ曲げられてまで、何故異物に与(くみ)するか』 それは違う。 「……違う」 記憶領域で向き合った相手……、アルフィーネと名乗る私じゃない私。 人間を「異物」と言い切るこの存在は、何かが違う。 「アルフィ、大丈夫か?」 ……リッツの声。不意に、意識が現実に引き戻された。 少しだけ、胸のモヤモヤした感覚が薄れてきた。あと少し、もう少しで、奥にある何かが見える気がする。 その、あと少しに必要なもの……。 「……リッツ、それとルイゼ。私と戦って」 「何……?」 突拍子もない(と思っただろう、実際)私の申し出に、リッツが疑問に満ちた声で答える。 「私がこの姿でいる理由が、今ならわかるかも知れない。だから……」 「……保障は出来ない。それでもいいなら」 色々とぼかした答えだけど、了承はしてくれた。 「それと、先生立会いの下で、だ」 診療所から少しの場所にある、開けた場所。そこで、私は彼らと対峙している。 目の前に立つジェノブレイカーから感じる威圧感は、半端じゃなかった。 (……機体そのものは、もうボロボロなのに) 片側のシールドは根元から折れ、カメラアイも砕けている。装甲のあちこちに傷が走り、ひしゃげている。 にも関わらず、相対した時のプレッシャーが凄まじい。 『……何度も言うが、保障は出来ない。それでもいいんだな?』 外部スピーカーからの、リッツの声。 「うん」 空気が固まる。今まで感じたことのない、人とゾイド、その二つが混じり合う、混然とした威圧。 これを、待っていた。 「……どう見る、イリアス?」 「諸々の事情を考慮から外し、純然とした勝負で見るなら、リッツさんが勝ちます」 「ほう」 「アルフィさんにアドバンテージがあるとすれば、小回りと身体の小ささ。それを活かして死角を攻めれば勝機はあるでしょうが……」 最初に動いたのは、リッツ。一直線に突っ込んで来る。 当然、私は避ける。ジェノブレイカーの死角、足元側面。シールドを失った左側なら攻撃もしやすい。 けど、 「当たり前のように、リッツさんもそれを読みます」 「うっ!?」 『見え見えだぞ、アルフィ……!』 回頭が速い。ジェノブレイカー……ルイゼが屈みこみ、爪を振るう。喰らったら終わり、けれど私にとっては好機でもある。 横に飛んでかわし、そのまま腕に飛びつく。 「そしてアルフィさんの有効な攻撃は、『関節外し』ですが」 肘の関節サーボモーターを狙い、手を伸ばす。 あと少し、届けば関節を外せる。だが、 『……それも読める!』 腕ごと激しく振り回され、飛ばされる。 「リッツさんの直感なら、それをさせる事も無い」 「ふむ……」 距離をとっても意味は無い。すぐもう一度、距離を詰める。今度は左側に見せて、右に回る。 「これが繰り返されれば、先に限界を迎えるのはアルフィさんです」 攻めようとして攻めきれず、逃げようにも逃げられる戦いではない。 そんな戦いの中で、どんどん高まる自分を感じる。 「だが……、あの娘、笑っているな」 「掴みかけているんでしょう、彼女なりに」 もっと強く在りたい。もっと強く生きたい。 人と共に在った彼女たちのように、もっと強く。 「……これだ、これだよ、リッツ」 思わず、口にしてしまう。 「私はもっと知りたい……、知りたかったんだ、君たちを!」 人とゾイド。異なる存在であるはずの彼らが、思いを重ねて戦う姿。 人の存在が、人の思いが、彼女らを……ルイゼを、そしてあのブレードライガーを強くした。 人とは何か? 私はそれが知りたかった。知ろうとした。 「その形が、私だ!」 叫ぶ。思いの丈を乗せて。 「……思うにですね、ドクトル」 「む?」 「この星が……分不相応な、地球という星からの技術を得てなお存続している理由は、人とゾイドが別の存在だからなのではないでしょうか?」 「……ふむ」 「発達した技術をその身に宿してなお、ゾイドはゾイドで在ろうとする。そんなゾイドと人が思いを重ねられるのならば、同じ人同士、分かり合えないはずがない……」 人としての感情。生命としての本能。理性と野性、思考と反射。 それらが共にあるから、彼女らは強い。 それらを共に出来るから、彼らは強い。 「それを知りたい」 だから私は、この姿を得た。 「それが……、今の私がここに在る理由だ!」 動きを止める。合わせて、リッツもルイゼを止めた。 『……これでいいんだな?』 「うん」 人とは何か、知りたかった。例えそれが生存本能から来る思いだったとしても、今の私は明確にそれを思っている。 それに従ってはいけない理由など、どこにもない。 たとえ自分が何者であろうとも、生きればいい。 そして、出来る事をすればいい。 それが、今の私が得た答え。 「……だからこそ、お互いが近付き過ぎた時、破滅は起こるのかも知れません。あるいは、どちらかがどちらかを必要としなくなった時……、いえ、独り言です。何でもありませんよ」
https://w.atwiki.jp/euphshaker/pages/35.html
黒獅子の願い、あるいはある男の末路 NG集そのいち