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雨が降る。 雨の音、水溜まりのできる様、それは彼女の心を強く惹き付けた。 それは彼女が水の巫女故に他ならない。 現在アモスと行動を共にしているエリアだったが、 誰かと一緒にいるというのは少なからず彼女に冷静な思考の時間、そして何よりも心を与えた。 酒場の窓から雨が降るのを見ながら、エリアは精神を集中した。 雑念はない。今までとは違う。 死の恐怖に怯えていることを認めないで、気丈に、とにかくがむしゃらに進んでいた、 つい先刻までの自分とは違うのだ。 今なら受け入れられる。自分自身を。恐怖を。 傍には、頼りになる人がいる。 ――感じる。 この感触に、エリア自身驚嘆した。 それはとても懐かしい、もう二度と触れることのできない感覚だと思っていたから。 だが、たしかに感じる。 ――クリスタルの、光が・・・。近くに火、北に水、南に風、東に土・・・ 信じられないが、クリスタルに導かれた光の戦士のそれに違いなかったのだ。 彼女の心は高揚した。 ――彼らが、今、ここにいる・・・? 火はファリス、水はレナ、風はバッツ、そして土が導師を示すものだったが、 彼女はそのことを知っている筈はなく、 当然思い浮かべたのはかつての四人の少年であった。 もっとも、その中の1人はたしかにここにいるのだが・・・。 気が付いたら、彼女は駆けだしていた。 四人の場所は手に取るようにわかる。興奮を抑えきれない。 そして少なくともこの近くに、火のクリスタルに導かれし戦士がいる。 会いたい、今は唯それだけが彼女の願い。 彼らに会えばなんとかなるのではないか、なんの根拠もない希望。 しかしそれが彼女を強く突き動かしていた。 「・・・何をしている!?」 エリアの異変に気づいたアモスの制止も彼女の耳には届いていない。 酒場を飛び出していった彼女に、仕方なくアモスも後に続いた。 【エリア 所持品:ミスリルナイフ 加速装置 第一行動方針:火のクリスタルの戦士に会う。興奮のあまり直情的に動いている。 第二行動方針:ロック、ファリスとの合流 基本行動方針:できることをやる】 【アモス 所持品:妖剣かまいたち 水1,5リットル 小型のミスリルシールド 第一行動方針:エリアを追う 第二行動方針:ロック、ファリスとの合流】 【現在位置:ベクタ酒場→街中へ】 ←PREV INDEX NEXT→ ←PREV エリア NEXT→ ←PREV アモス NEXT→
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このページはこちらに移転しました 雨が降れば 作詞/ものぐさ大臣 蛇の目でお迎え 嬉しいな 小さい頃は 意味が分からないから 荒んだ家庭で 育ってる そう思い込んで 生きてきたんだから 毎日が罰ゲーム 雨が降れば母さんが 蛇の目で迎えに来るんだと 信じて生きてきたけど 蛇の目でお迎え 嬉しいな 嬉しい理由が 分からなかった 蛇の目で 追いかけてきたら 怖いだけだと 思ってたよ
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あらすじ 不器用すぎる三人の高校生、彼らにはわからないことが多すぎる。 友達の作り方、互いの距離感、それから自分の気持ち。 曇り空の六月、夕立はそこまで来ている。 登場人物 結局、雨が降る:登場人物まとめ 本編 結局、雨が降る#01:鳴海延明には傘が無い 結局、雨が降る#02:静島修吾はプリンセスからの長い恋文を待つ 結局、雨が降る#03:大島大河が君によせる愛はジェラシー 結局、雨が降る#04:ダンスはうまく踊れない ギャラリー ※■をクリックすると画像が表示されます。 ■一番最初に描いた落書き、このころには名前が無い ■たまたまなんとなくこういうシチュエーションが描きたかった落書き。マッチョとデブのカッポーに光を。 ■んで雨降っちゃった。こういうかっこいいことができる男子になりなさい。 ■そしてこうやって拭かれてるとかわいいという神のお告げによりヒートアップしこの二人には名前がついた。光あれ。 ■鳴海延明はプロレスがわからない。 ■そして絵物語はこれで終わるんだけどもう我慢できなくなってテキストになった。光あれ。 ■あいつから最近別の誰かのにおいがする ■海を越えたら上海 ■魚の目で見る星空は ■らくがき。丸い方のノッブの口は意外にも大きい ■上皿天秤の分銅はピンセットで扱いましょう ■らくがき。三話にてノブ洗われる。 ■ガタンガタン ■八月は夢花火 ■先生はこんな感じだろうか ※以下には四話以降のネタバレが含まれます。 クリックして表示 ■病室のノブ
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米国:白リン弾、無差別使用疑惑 イラク・ファルージャ「炎の雨が降ってきた」 (いくつかのWEBサイトから復刻) ◇骨まで焼き尽くす残虐兵器 米国が昨年、イラク中部ファルージャでの武装勢力との攻防の際、民間人に対し残虐兵器である白リン弾を使用した疑惑が浮上している。イタリア国営テレビが報じたのがきっかけだ。白リン弾は照明弾や煙幕に使われ、人体に触れると燃焼時の高熱で「骨まで焼き尽くす」といわれる兵器。米国防総省は「民間人への使用はない」との立場だが、「使用が妥当だったか調査すべきだ」と指摘する専門家もいる。【ワシントン和田浩明】 焼けただれ、溶けたような子供の顔。イタリアの国営ニュース専門チャンネル「RAIニュース24」は、11月8日、米、イラク両軍が昨年行ったファルージャ制圧戦で死亡した住民の衝撃的な映像を放映した。 ◇民間に多数の犠牲 ファルージャでは、昨年3月に米軍雇用の民間人4人が武装勢力に惨殺された。怒った米軍は翌月、最初の大規模掃討作戦に乗り出したがイラク民間人にも多数の犠牲が出たため、国際社会からの非難を浴びて撤退。米軍は11月になって作戦を再開し、全市を制圧した。米軍の死者は同月だけでイラク戦争開戦以来最高の136人になったほど攻防戦は激しかった。 RAIによると、遺体の映像は現地で医師や住民が記録したもの。番組は、「炎の雨が降ってきた」といった住民の証言や、同作戦に参加した元米兵への取材を元に、米軍が無差別に白リン弾を使用し民間人が犠牲になったと告発した。 白リンは空気中の酸素と反応して激しく燃焼する。発生する熱は2500度を超え、大量の煙が出るため、照明弾や煙幕として長年戦闘に使われてきた。第2次大戦末期の沖縄戦では、米軍が洞くつ内の日本兵の追い出しにも使用した。 米国防総省はRAIの放送後「白リン弾は使用が禁止されている化学兵器ではない。ファルージャではあくまで照明、煙幕用に使用した」と説明。番組が白リン弾を化学兵器としたこともあり、同省は「イラク駐留米軍を不当に非難するプロパガンダだ」と反発した。 だが、今春、ファルージャ戦を特集した出版物の中で、米陸軍が、市内に立てこもる武装勢力を対象にした攻撃に白リン弾を使用したと指摘していたことが判明した。その中で陸軍は、「ざんごうなどにこもる敵に対して強力な心理効果を持つ非常に有効な兵器だ」などとした。 ◇「武装勢力が標的」 これに対し、欧州のメディアから、「人に対して使用したことを隠ぺいしようとした」と非難が上がり、同省は武装勢力に対し使用したことを認めたが、民間人への使用は否定している。ペース統合参謀本部議長は11月29日の定例会見で、「国際条約が禁ずる焼夷(しょうい)兵器ではない。民間の被害が出ないよう注意を払っている」と説明した。 白リン弾は04年4月の掃討作戦でも使用されたことがわかっているが、同作戦に従軍取材した米カリフォルニア州の地元紙記者は「白リン弾を迫撃砲で市内に撃ち込んでいる米兵らは、標的が何なのか知らない」と報告し、白リン弾の無差別使用を示唆した。 米軍備管理協会のダリル・キンボール事務局長は「国防総省がきちんと調査することで、米軍に対する疑念を解くことができる」と指摘する。しかし、同省は毎日新聞の取材に「調査は考えていない」と回答している。(毎日新聞 2005/12/01)
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劇団しろちゃん S1シアターin北大12 ☆ブラメザメラブ☆公演 「雨が降る」 脚本・演出 河内博貴(村八ブランシュ)二年目 2011年6月4日(金)・5日(土)全5ステージ あらすじ 舞台は大正時代。 改装中の洋食店はオープンまであと6日。 終わらない工事。ドロンした役者たち。・・・ヒマ。 富山から上京してきた絵美子は大忙しの店内に転がり込んだ。 そんなドタバタコメディー! しろちゃん初となる400人動員を達成。 大正時代の米騒動をテーマにした舞台。
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所属事務所 https //tandeco.jp/performance/2016年業務実績/ 提供リスト 2016年8月3日 僕はいない(NMB48 15th single) 作曲 空から愛が降って来る T E Corporation
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霧雨が降る森 part70-90~94 90 霧雨が降る森 2016/07/27(水) 21 38 45.53 ID ub/8YfJV0 未解決一覧にあったので、フリーゲームの霧雨が降る森。間違っている所があったら指摘してください 神崎シオリは大学生になったばかりの少女。両親が誕生日の日に事故死、親戚がおらず孤独の身となった。 一人寝ていると誰かが呼ぶ声がする。起きると壊れた時計が鳴っていた。 止めようと調べると、中には写真があった。両親と祖父が写った写真、裏には阿座河(あざかわ)村と書かれていた。 住所も書いてあったため、シオリは夏休みにその場所に向かった。 電車で向かう、駅前でバスを待つがすでに廃路で夜になってもこない。その事を知らせた見回り中の警官に、送ってもらう。 住所の屋敷は、現在は阿座河村の資料館になっている。懐かしさを覚えつつ探索すると、そこである絵本を見つけた。 この村には昔、次々と男を騙す悪女がおり、罰として森に追いやられた。 その悪女は幽霊となり、森を訪れた子供を攫い殺す「ことりおばけ」という幽霊になった。 ある雨の日、森の中から村にことりおばけが訪れる。そこにある男が現れ、光る石を使った。 するとことりおばけは森の中に帰って行った。それ以来、男はオガミ様と呼ばれた。 真っ暗の中、さら探索していると閉じ込められた女の子がいた。部屋に隠れていたら外から鍵をかけられたらしい。 鍵を事務所から勝手に借りて、扉を開けて中学生の少女の佐久間美夜子に会う。話しているうちに玄関の音。 向かうと玄関の鍵をかけられていた。別の場所から出ようと別れる。 管理人と呼ばれた青年は、黒い服を着て帯刀していた。美夜子が捕まる。 シオリは隠れて移動するが、追い詰められ、そして「閉館時間です、警察を呼びました」と書かれた紙を見せられた。 刀は模造刀で、男はここの管理人だった。 送ってくれた警官の望月洋介が来る。美夜子は家や学校になじめず、よく家出してここに来ていた。 シオリはここは両親の故郷であり、ここは祖父が住んでいた。どんな所だったか知りたいと答えた。 だが管理人である須賀孝太郎はそれを断り、すぐに帰れとメモを見せる。須賀はしゃべる事が出来ない。 何度も頼むが帰れというメモばかり見せられるシオリ。とりあえず泊まる場所がないので、ここに泊めてもらう。 朝、外には雨が降っている。調べ物を続けるシオリ、須賀がスペアキーを貸してくれる。 屋敷内の文献などを調べて行く。子供の行方不明が多かった事、夜光石には霊能の効果、その他に忘却の効果もあるとの事。 役人が訪れて、ここの取り壊しの話をしている。失礼な態度に怒ったシオリは、ここは祖父の場所であった。 そして孫として売却などはしないと拒絶した、役人は捨て台詞を吐いて去って行く。 勝手な事を言ってと謝るシオリに、須賀は礼を言い、昼ご飯を一緒にした。 91 霧雨が降る森 2016/07/27(水) 21 40 35.62 ID ub/8YfJV0 雨が強くなる中、美夜子がまた家出していなくなったと望月が尋ねる。須賀もこの辺りを探す。 一緒に探すと言うシオリだったが、断られる。しかし頼むと屋敷の裏の森にはいかない事を条件に、認められた。 またお守りとして、夜光石が三つ嵌ったネックレスを貰う。 屋敷の中を探すシオリ、様々な部屋に入るたびに誰かの呼ぶ声が聞こえる。 そしてようやく美夜子を発見する。だが美夜子はシオリを見ずに、突然、屋敷の外へと走り出した。 須賀や望月はどこにもいない、一人、美夜子を追いかける。そして屋敷の裏の森の中へと入っていった。 森の出入り口には橋と、巨大な夜光石の原石があった。 森の中へと入ると、子供の幽霊が現れ一緒に行こうと言ってシオリを追いかける。 触れるとペンダントの夜光石が一つ砕け、幽霊も消える。これ以降、あと二回まで触れても大丈夫。。 そして森の中には建物があり、内部は牢獄のような場所。中は血で汚れ、髑髏などが転がっていた。 ここにも子供の幽霊たちがいる、避けつつ中のいくつかギミックを解いていく。 途中である女の思念が頭の中に入ってくる。 夫と子供がいて、次の赤ん坊がお腹の中にいた。幸せの中にいた女性は、もうすぐ会えるとお腹の赤子に囁いていた。 しかしある日、罪人として捕まる。村の掟で男と子は死罪に、女はここに捕らえられ凌辱され、お腹の中の赤子も流された。 それ以来、幽霊となってお腹の中の赤子を求め、子供を攫って殺すことりお化けになった。 建物を出て美夜子を見つける。美夜子はシオリが昔、ことりお化けと約束したと言う。憑りつかれたからわかるのだと。 記憶にないシオリだが、早く逃げなければという事はわかり、森から脱出するため入り口に向かう。 自分が森の中に入らなければと謝る美夜子、自分の意志でここに来たから一緒に謝ろうと答えるシオリ。 途中で分かれ道があった、シオリはなぜか出口への道を覚えていた。 だが森の出口まで行くと、外へと出る梯子が壊れていた。他の出口を探しに行こうとする。 しかし行く途中、大きな岩の蔦に絡まれ、捕まる美夜子。蔦は固く外す事が出来ない。早く逃げてと言って、気絶した。 自分の力では無理だと途中で拾った夜光石を美夜子に預け、助けを呼びに行くシオリ、だが途中でことりお化けに遭遇する。 追いかけられるが、途中の分かれ道の先にあった洞窟前に供えられた夜光石により、ことりお化けはこれ以上すすめない。 地下水路の洞窟の中に逃げ込む。探索すると屋敷裏手の井戸が通じていた。 助けを求めると、たまたまその辺りを探していた望月がその声を聞く。ロープを垂らして、降りてきた。 望月と共に美夜子を助けに戻るシオリ。しかし蔦は固く、銃弾でも壊れなかった。 そこに須賀が現れ、刀を一閃、蔦が切れる。模造刀じゃなかったのかと驚く望月だが、黙認する。 望月が背負い、屋敷に戻ろうとする。だが道の途中に、地面から無数の触手が現れ、シオリが引きずり込まれた。 92 霧雨が降る森 2016/07/27(水) 21 43 02.01 ID ub/8YfJV0 シオリは暗闇の中、過去の記憶を思い出させられる。自分は子供の頃、ここに住んでいた事。 そこにいた少年と仲が良く、一緒に遊んでいた事。その少年は母親がおらず根暗で周りの子供からいじめられていた。 よくシオリが助けていた事。少年が泣いていた頃に守ってあげると約束した事。 祖父がいた屋敷は代々、オガミさんを受け継いでおり、ことりお化けを見張っていた事。 もしことりお化けと約束したら、祖父や父でも守れない。もし約束したら忘れる事で逃れるが、思い出させて来る事。 ある日、仲の良かった男子の父親が事故で死んだ。幽霊のいる森に少年は会えるかもと、行ってしまった。 そこでことりお化けに会った少年。そのまま殺されそうになるが、シオリが助けに入り、自分が身代わりになると約束。 シオリを連れて行こうとしたことりお化けを少年が止める、猶予を与える代わりに、声を奪われた。 約束は覚えていなければ履行されない。夜光石の力でシオリは過去をすべて忘れ、両親と共に村を離れた。 そして忘れる前に、少年の須賀は「しいちゃんはぼくがまもるよ」と最後に約束した。 美夜子を背負った望月と別れ、シオリを助けに向かう須賀。その途中で母に会いたいと言う子供の霊が現れ消える。 そしてこの先に行く前に、君が作った石を見つけてと言って消える。(取りに行く事で、エンディング分岐)。 森の奥に行くとたくさんの子供の幽霊。須賀に怖いから来るなと、お母さんの邪魔をするなとその身で邪魔をする。 子供の幽霊にためらう須賀、しかし気を取り直し、まとわりつく子供の幽霊を全て夜光石の刀で切り裂き進む。 そして倒れたシオリをようやく見つける。シオリは全ての記憶を思い出していた。 涙を流す須賀に、相変わらず泣き虫だなぁ須賀君は、とシオリは言った。 二人で雨の降る森を逃げだす。途中で話をすると、夜光石には幽霊を撃退する力があるが、限界もある。 ネックレスが壊れたように、刀ももうすぐ限界。途中で喉が痛む須賀、姿は見えないがことりお化けが追いかけている様だ。 井戸に繋がっている地下道へと向かう、地下道の前の供えられた夜光石も朽ちかけていた。 地下道を進み、井戸の下に行くが途中から浸水していて進めない。雨の為に水かさが増えたようだ。 別の道に探す。取り付けられていた梯子を外し、向こうの道にわたり先を進む。 そこには鍵のかかった部屋、そして別の扉の先には台座、その奥はたくさんの書物がある部屋だった。 この書物の部屋は屋敷の地下。しかし屋敷に上る為の階段は壊れて上から塞がれ、こちらからでは通る事が出来ない。 93 霧雨が降る森 2016/07/27(水) 21 47 12.52 ID ub/8YfJV0 (エンディング分岐) ●ED5 破られた約束、果たされた約束 屋敷に向かって助けを求め大声を出すシオリ。しかし、助けが来るよりも早く、ことりお化け達の気配が迫っていた。 部屋の外に行き迎撃しに行く須賀。止めに行くも、部屋の外から鍵をかけられ出られない。 このままじゃ須賀君が死んでしまうと、助けを叫び続けるシオリ。そしてようやく望月の返事がした。 蓋を外し、ロープを下げて救助される。 シオリは救助されるも、その後、須賀は見つからなかった。そしてシオリは、美夜子に村に二度と来ないように言われる。 今もことりお化けはシオリを狙っている、そして夜光石も壊れてしまった。だが、その事を電話で伝えられてもすでに遅い。 シオリは阿座河村に向かっていた。母に呼ばれ、須賀君もいるだろう、おぞましく温かいあの場所を目指して。 ●ED4 彼が守った約束 須賀がシオリを助けに行く前に行ける、森の橋の近くに隠し通路があり、その先には夜光石を加工する小さな工場がある。 そこで須賀が最後に作った、夜光石の宝玉を入手しておく。その状態で最後の書物の部屋に行く。 須賀が夜光石の宝珠をシオリに渡す。シオリはそれを受け取るが、必ず一緒にいてとお願いする。 そこにことりお化け達の気配が外からする。須賀は微笑むと、部屋の外へと走って行った。 追いかけるシオリだが、部屋の外から鍵をかけられ出られない。 このままじゃ須賀君が死んでしまうと、助けを叫び続けるシオリ。そしてようやく望月の返事がした。 すぐに須賀の死体は見つかった。死体が残った状態は珍しいと葬式で村の人が言っていた。 村を離れ家に一人戻ったシオリ。その夜光石には須賀の想いが込められていると美夜子に言われた。 誰かが呼ぶ声が聞こえる度に、夜光石を握る事で、その声が消える。今も須賀にシオリは守られていた。 ●ED2 消えた約束 須賀から夜光石の宝玉を、シオリが受け取らない。 それを受け取ったら一人で行くつもりでしょうと見抜き、夜光石を受け取らないシオリ。 そこにことりお化け達の気配。二人とも生きようと、須賀は迎え打ちに、シオリも助けを呼び続ける。 望月が救助に来た。須賀もまた宝玉の力で生きて戻ってこれた。 なんとか難を逃れた二人。早く村を離れるようにと美夜子に言われるが、シオリは残される須賀を思うと離れられない。 「森が落ち着いたら呼ぶ」とメモを見せる須賀に、シオリは一度、家に帰る事にした。 駅でまた会おうと別れを告げるシオリ。それに須賀は微笑み、最後に夜光石を見せた。 電車に一人揺られるシオリ。何故、電車に乗っているのかが自分でもわからない。とりあえず家に帰る事にする。 また両親の墓参りに行かなきゃと考えるシオリ、なぜか涙が頬を伝った。 94 霧雨が降る森 2016/07/27(水) 21 51 22.42 ID ub/8YfJV0 ●ED3 約束の番人 助けを呼ぶ前に、書物を調べていく。それはことりお化け、そしてオガミ様に関する調査の書類。 ある一人の男が、妻の身だった女に横恋慕した。狂気的な執着は、女に濡れ衣を着せて、夫と子を死罪に、女を凌辱させる。 その後、幽霊となった女をこの地に留める為に、胎児の幽霊をここに封じた。 女の霊は胎児の霊を求め、この地をさまよう。会わせないように男は自分の感情を込めた石で女を退ける。 夜光石は決して神聖なものではなく、男の感情が込められた石であった。その男こそオガミ様である。 先祖のオガミ様の罪を償う為に、ここでことりお化けを見張り、胎児の骨を探しているが、その欠片が見つからない。 その骨の欠片を見つけ、清めて胎児の棺桶に戻して、ことりお化けに会わせれば、成仏する。 森の建物内部で乳白色の欠片を手に入れ、夜光石の宝玉を手に入れていない。 書物を何度も調べると鍵が手に入るので、地下道の別の扉の鍵を開けると、そこに棺桶がある。乳白色の欠片を戻す。 すると胎児の幽霊が母親と合わせてほしいと言うので、書物の部屋の前の台座にその棺桶を持っていく。 ことりお化けが二人の前に現れる。そこに胎児の幽霊が現れ、やっと会えたとことりお化けが言った。 これで良かったとシオリは安心する。だがそこにたくさんの子供達の幽霊が現れた。 それは今までことりお化けが殺してきた子供達。僕達の母親、成仏させてたまるかと、集団でまとわりついた。 呆然とするシオリ、早く逃げてと胎児の幽霊が言う。須賀はシオリを連れて逃げだした。 シオリを追いかけてくる子供の幽霊を、須賀が切り殺す。怖い怖い邪魔だ邪魔だと子供の幽霊達は騒ぎ立てた。 ことりお化けとの約束はもう大丈夫だが、今度は子供達の幽霊がシオリを狙っている。お姉さんがほしいと呼んでいる。 ここにいては守れないからと、一人村を離れたシオリ。二度と村には近寄らないと須賀と約束させられた。 子供達の幽霊は須賀を怖がっているため、見張られている限りシオリの元にはいけない。 昔からやってきた事だと須賀はメモを見せる。それっきりシオリの言葉に須賀は何も答えなくなった。 虚しさとやり切れなさを胸に帰宅するシオリ。須賀君が穏やかな人生を送れることを、ただ願うだけだった。 ●ED1 二人の約束 乳白色の欠片と夜光石の宝玉を手に入れていて、扉の鍵を手に入れて胎児の棺桶を台座に持ってくる。 胎児の幽霊とことりお化けを会わせる。すると子供のお化け達がまとわりつき、成仏させない。 須賀が切り捨てようとするが、刀が限界を迎え折れる。もうどうしようもないと思った時、胎児が夜光石の宝玉を欲しがる。 夜光石は思いを込める石。須賀の気持ちが石から幽霊に伝わる。君はもう許されたと胎児の幽霊は告げる。 幽霊達が全部消える。須賀が涙を流し、シオリが慰める。胎児の遺骨もまた無くなっていた。 二人を助け上げ、屋敷で待っていた望月巡査と美夜子。不思議な事ばかりで、適当な調書を作ると言う望月。 美夜子を家に送ると言う望月。一緒に行く前に、もう幽霊達は全員成仏したと、美夜子は二人に言った。 二人になったシオリと須賀。目的も果たし、もう約束も終わり、須賀君もここに縛られる理由は無くなったとシオリは言う。 迷惑かけてごめんなさいと、ありがとうとシオリ。調書とかが終わったら家に帰ると須賀に行って去ろうとする。 「しぃ、ちゃん」と須賀は口にする。声が治ったのと「なぁに、須賀君?」と聞くが、赤くなりまたメモになる。 話したい事がたくさんあるとメモを見せる須賀に、私も沢山あるとシオリは答えた。
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霧雨が降る森 part70-90~94 90 霧雨が降る森 2016/07/27(水) 21 38 45.53 ID ub/8YfJV0 未解決一覧にあったので、フリーゲームの霧雨が降る森。間違っている所があったら指摘してください 神崎シオリは大学生になったばかりの少女。両親が誕生日の日に事故死、親戚がおらず孤独の身となった。 一人寝ていると誰かが呼ぶ声がする。起きると壊れた時計が鳴っていた。 止めようと調べると、中には写真があった。両親と祖父が写った写真、裏には阿座河(あざかわ)村と書かれていた。 住所も書いてあったため、シオリは夏休みにその場所に向かった。 電車で向かう、駅前でバスを待つがすでに廃路で夜になってもこない。その事を知らせた見回り中の警官に、送ってもらう。 住所の屋敷は、現在は阿座河村の資料館になっている。懐かしさを覚えつつ探索すると、そこである絵本を見つけた。 この村には昔、次々と男を騙す悪女がおり、罰として森に追いやられた。 その悪女は幽霊となり、森を訪れた子供を攫い殺す「ことりおばけ」という幽霊になった。 ある雨の日、森の中から村にことりおばけが訪れる。そこにある男が現れ、光る石を使った。 するとことりおばけは森の中に帰って行った。それ以来、男はオガミ様と呼ばれた。 真っ暗の中、さら探索していると閉じ込められた女の子がいた。部屋に隠れていたら外から鍵をかけられたらしい。 鍵を事務所から勝手に借りて、扉を開けて中学生の少女の佐久間美夜子に会う。話しているうちに玄関の音。 向かうと玄関の鍵をかけられていた。別の場所から出ようと別れる。 管理人と呼ばれた青年は、黒い服を着て帯刀していた。美夜子が捕まる。 シオリは隠れて移動するが、追い詰められ、そして「閉館時間です、警察を呼びました」と書かれた紙を見せられた。 刀は模造刀で、男はここの管理人だった。 送ってくれた警官の望月洋介が来る。美夜子は家や学校になじめず、よく家出してここに来ていた。 シオリはここは両親の故郷であり、ここは祖父が住んでいた。どんな所だったか知りたいと答えた。 だが管理人である須賀孝太郎はそれを断り、すぐに帰れとメモを見せる。須賀はしゃべる事が出来ない。 何度も頼むが帰れというメモばかり見せられるシオリ。とりあえず泊まる場所がないので、ここに泊めてもらう。 朝、外には雨が降っている。調べ物を続けるシオリ、須賀がスペアキーを貸してくれる。 屋敷内の文献などを調べて行く。子供の行方不明が多かった事、夜光石には霊能の効果、その他に忘却の効果もあるとの事。 役人が訪れて、ここの取り壊しの話をしている。失礼な態度に怒ったシオリは、ここは祖父の場所であった。 そして孫として売却などはしないと拒絶した、役人は捨て台詞を吐いて去って行く。 勝手な事を言ってと謝るシオリに、須賀は礼を言い、昼ご飯を一緒にした。 91 霧雨が降る森 2016/07/27(水) 21 40 35.62 ID ub/8YfJV0 雨が強くなる中、美夜子がまた家出していなくなったと望月が尋ねる。須賀もこの辺りを探す。 一緒に探すと言うシオリだったが、断られる。しかし頼むと屋敷の裏の森にはいかない事を条件に、認められた。 またお守りとして、夜光石が三つ嵌ったネックレスを貰う。 屋敷の中を探すシオリ、様々な部屋に入るたびに誰かの呼ぶ声が聞こえる。 そしてようやく美夜子を発見する。だが美夜子はシオリを見ずに、突然、屋敷の外へと走り出した。 須賀や望月はどこにもいない、一人、美夜子を追いかける。そして屋敷の裏の森の中へと入っていった。 森の出入り口には橋と、巨大な夜光石の原石があった。 森の中へと入ると、子供の幽霊が現れ一緒に行こうと言ってシオリを追いかける。 触れるとペンダントの夜光石が一つ砕け、幽霊も消える。これ以降、あと二回まで触れても大丈夫。。 そして森の中には建物があり、内部は牢獄のような場所。中は血で汚れ、髑髏などが転がっていた。 ここにも子供の幽霊たちがいる、避けつつ中のいくつかギミックを解いていく。 途中である女の思念が頭の中に入ってくる。 夫と子供がいて、次の赤ん坊がお腹の中にいた。幸せの中にいた女性は、もうすぐ会えるとお腹の赤子に囁いていた。 しかしある日、罪人として捕まる。村の掟で男と子は死罪に、女はここに捕らえられ凌辱され、お腹の中の赤子も流された。 それ以来、幽霊となってお腹の中の赤子を求め、子供を攫って殺すことりお化けになった。 建物を出て美夜子を見つける。美夜子はシオリが昔、ことりお化けと約束したと言う。憑りつかれたからわかるのだと。 記憶にないシオリだが、早く逃げなければという事はわかり、森から脱出するため入り口に向かう。 自分が森の中に入らなければと謝る美夜子、自分の意志でここに来たから一緒に謝ろうと答えるシオリ。 途中で分かれ道があった、シオリはなぜか出口への道を覚えていた。 だが森の出口まで行くと、外へと出る梯子が壊れていた。他の出口を探しに行こうとする。 しかし行く途中、大きな岩の蔦に絡まれ、捕まる美夜子。蔦は固く外す事が出来ない。早く逃げてと言って、気絶した。 自分の力では無理だと途中で拾った夜光石を美夜子に預け、助けを呼びに行くシオリ、だが途中でことりお化けに遭遇する。 追いかけられるが、途中の分かれ道の先にあった洞窟前に供えられた夜光石により、ことりお化けはこれ以上すすめない。 地下水路の洞窟の中に逃げ込む。探索すると屋敷裏手の井戸が通じていた。 助けを求めると、たまたまその辺りを探していた望月がその声を聞く。ロープを垂らして、降りてきた。 望月と共に美夜子を助けに戻るシオリ。しかし蔦は固く、銃弾でも壊れなかった。 そこに須賀が現れ、刀を一閃、蔦が切れる。模造刀じゃなかったのかと驚く望月だが、黙認する。 望月が背負い、屋敷に戻ろうとする。だが道の途中に、地面から無数の触手が現れ、シオリが引きずり込まれた。 92 霧雨が降る森 2016/07/27(水) 21 43 02.01 ID ub/8YfJV0 シオリは暗闇の中、過去の記憶を思い出させられる。自分は子供の頃、ここに住んでいた事。 そこにいた少年と仲が良く、一緒に遊んでいた事。その少年は母親がおらず根暗で周りの子供からいじめられていた。 よくシオリが助けていた事。少年が泣いていた頃に守ってあげると約束した事。 祖父がいた屋敷は代々、オガミさんを受け継いでおり、ことりお化けを見張っていた事。 もしことりお化けと約束したら、祖父や父でも守れない。もし約束したら忘れる事で逃れるが、思い出させて来る事。 ある日、仲の良かった男子の父親が事故で死んだ。幽霊のいる森に少年は会えるかもと、行ってしまった。 そこでことりお化けに会った少年。そのまま殺されそうになるが、シオリが助けに入り、自分が身代わりになると約束。 シオリを連れて行こうとしたことりお化けを少年が止める、猶予を与える代わりに、声を奪われた。 約束は覚えていなければ履行されない。夜光石の力でシオリは過去をすべて忘れ、両親と共に村を離れた。 そして忘れる前に、少年の須賀は「しいちゃんはぼくがまもるよ」と最後に約束した。 美夜子を背負った望月と別れ、シオリを助けに向かう須賀。その途中で母に会いたいと言う子供の霊が現れ消える。 そしてこの先に行く前に、君が作った石を見つけてと言って消える。(取りに行く事で、エンディング分岐)。 森の奥に行くとたくさんの子供の幽霊。須賀に怖いから来るなと、お母さんの邪魔をするなとその身で邪魔をする。 子供の幽霊にためらう須賀、しかし気を取り直し、まとわりつく子供の幽霊を全て夜光石の刀で切り裂き進む。 そして倒れたシオリをようやく見つける。シオリは全ての記憶を思い出していた。 涙を流す須賀に、相変わらず泣き虫だなぁ須賀君は、とシオリは言った。 二人で雨の降る森を逃げだす。途中で話をすると、夜光石には幽霊を撃退する力があるが、限界もある。 ネックレスが壊れたように、刀ももうすぐ限界。途中で喉が痛む須賀、姿は見えないがことりお化けが追いかけている様だ。 井戸に繋がっている地下道へと向かう、地下道の前の供えられた夜光石も朽ちかけていた。 地下道を進み、井戸の下に行くが途中から浸水していて進めない。雨の為に水かさが増えたようだ。 別の道に探す。取り付けられていた梯子を外し、向こうの道にわたり先を進む。 そこには鍵のかかった部屋、そして別の扉の先には台座、その奥はたくさんの書物がある部屋だった。 この書物の部屋は屋敷の地下。しかし屋敷に上る為の階段は壊れて上から塞がれ、こちらからでは通る事が出来ない。 93 霧雨が降る森 2016/07/27(水) 21 47 12.52 ID ub/8YfJV0 (エンディング分岐) ●ED5 破られた約束、果たされた約束 屋敷に向かって助けを求め大声を出すシオリ。しかし、助けが来るよりも早く、ことりお化け達の気配が迫っていた。 部屋の外に行き迎撃しに行く須賀。止めに行くも、部屋の外から鍵をかけられ出られない。 このままじゃ須賀君が死んでしまうと、助けを叫び続けるシオリ。そしてようやく望月の返事がした。 蓋を外し、ロープを下げて救助される。 シオリは救助されるも、その後、須賀は見つからなかった。そしてシオリは、美夜子に村に二度と来ないように言われる。 今もことりお化けはシオリを狙っている、そして夜光石も壊れてしまった。だが、その事を電話で伝えられてもすでに遅い。 シオリは阿座河村に向かっていた。母に呼ばれ、須賀君もいるだろう、おぞましく温かいあの場所を目指して。 ●ED4 彼が守った約束 須賀がシオリを助けに行く前に行ける、森の橋の近くに隠し通路があり、その先には夜光石を加工する小さな工場がある。 そこで須賀が最後に作った、夜光石の宝玉を入手しておく。その状態で最後の書物の部屋に行く。 須賀が夜光石の宝珠をシオリに渡す。シオリはそれを受け取るが、必ず一緒にいてとお願いする。 そこにことりお化け達の気配が外からする。須賀は微笑むと、部屋の外へと走って行った。 追いかけるシオリだが、部屋の外から鍵をかけられ出られない。 このままじゃ須賀君が死んでしまうと、助けを叫び続けるシオリ。そしてようやく望月の返事がした。 すぐに須賀の死体は見つかった。死体が残った状態は珍しいと葬式で村の人が言っていた。 村を離れ家に一人戻ったシオリ。その夜光石には須賀の想いが込められていると美夜子に言われた。 誰かが呼ぶ声が聞こえる度に、夜光石を握る事で、その声が消える。今も須賀にシオリは守られていた。 ●ED2 消えた約束 須賀から夜光石の宝玉を、シオリが受け取らない。 それを受け取ったら一人で行くつもりでしょうと見抜き、夜光石を受け取らないシオリ。 そこにことりお化け達の気配。二人とも生きようと、須賀は迎え打ちに、シオリも助けを呼び続ける。 望月が救助に来た。須賀もまた宝玉の力で生きて戻ってこれた。 なんとか難を逃れた二人。早く村を離れるようにと美夜子に言われるが、シオリは残される須賀を思うと離れられない。 「森が落ち着いたら呼ぶ」とメモを見せる須賀に、シオリは一度、家に帰る事にした。 駅でまた会おうと別れを告げるシオリ。それに須賀は微笑み、最後に夜光石を見せた。 電車に一人揺られるシオリ。何故、電車に乗っているのかが自分でもわからない。とりあえず家に帰る事にする。 また両親の墓参りに行かなきゃと考えるシオリ、なぜか涙が頬を伝った。 94 霧雨が降る森 2016/07/27(水) 21 51 22.42 ID ub/8YfJV0 ●ED3 約束の番人 助けを呼ぶ前に、書物を調べていく。それはことりお化け、そしてオガミ様に関する調査の書類。 ある一人の男が、妻の身だった女に横恋慕した。狂気的な執着は、女に濡れ衣を着せて、夫と子を死罪に、女を凌辱させる。 その後、幽霊となった女をこの地に留める為に、胎児の幽霊をここに封じた。 女の霊は胎児の霊を求め、この地をさまよう。会わせないように男は自分の感情を込めた石で女を退ける。 夜光石は決して神聖なものではなく、男の感情が込められた石であった。その男こそオガミ様である。 先祖のオガミ様の罪を償う為に、ここでことりお化けを見張り、胎児の骨を探しているが、その欠片が見つからない。 その骨の欠片を見つけ、清めて胎児の棺桶に戻して、ことりお化けに会わせれば、成仏する。 森の建物内部で乳白色の欠片を手に入れ、夜光石の宝玉を手に入れていない。 書物を何度も調べると鍵が手に入るので、地下道の別の扉の鍵を開けると、そこに棺桶がある。乳白色の欠片を戻す。 すると胎児の幽霊が母親と合わせてほしいと言うので、書物の部屋の前の台座にその棺桶を持っていく。 ことりお化けが二人の前に現れる。そこに胎児の幽霊が現れ、やっと会えたとことりお化けが言った。 これで良かったとシオリは安心する。だがそこにたくさんの子供達の幽霊が現れた。 それは今までことりお化けが殺してきた子供達。僕達の母親、成仏させてたまるかと、集団でまとわりついた。 呆然とするシオリ、早く逃げてと胎児の幽霊が言う。須賀はシオリを連れて逃げだした。 シオリを追いかけてくる子供の幽霊を、須賀が切り殺す。怖い怖い邪魔だ邪魔だと子供の幽霊達は騒ぎ立てた。 ことりお化けとの約束はもう大丈夫だが、今度は子供達の幽霊がシオリを狙っている。お姉さんがほしいと呼んでいる。 ここにいては守れないからと、一人村を離れたシオリ。二度と村には近寄らないと須賀と約束させられた。 子供達の幽霊は須賀を怖がっているため、見張られている限りシオリの元にはいけない。 昔からやってきた事だと須賀はメモを見せる。それっきりシオリの言葉に須賀は何も答えなくなった。 虚しさとやり切れなさを胸に帰宅するシオリ。須賀君が穏やかな人生を送れることを、ただ願うだけだった。 ●ED1 二人の約束 乳白色の欠片と夜光石の宝玉を手に入れていて、扉の鍵を手に入れて胎児の棺桶を台座に持ってくる。 胎児の幽霊とことりお化けを会わせる。すると子供のお化け達がまとわりつき、成仏させない。 須賀が切り捨てようとするが、刀が限界を迎え折れる。もうどうしようもないと思った時、胎児が夜光石の宝玉を欲しがる。 夜光石は思いを込める石。須賀の気持ちが石から幽霊に伝わる。君はもう許されたと胎児の幽霊は告げる。 幽霊達が全部消える。須賀が涙を流し、シオリが慰める。胎児の遺骨もまた無くなっていた。 二人を助け上げ、屋敷で待っていた望月巡査と美夜子。不思議な事ばかりで、適当な調書を作ると言う望月。 美夜子を家に送ると言う望月。一緒に行く前に、もう幽霊達は全員成仏したと、美夜子は二人に言った。 二人になったシオリと須賀。目的も果たし、もう約束も終わり、須賀君もここに縛られる理由は無くなったとシオリは言う。 迷惑かけてごめんなさいと、ありがとうとシオリ。調書とかが終わったら家に帰ると須賀に行って去ろうとする。 「しぃ、ちゃん」と須賀は口にする。声が治ったのと「なぁに、須賀君?」と聞くが、赤くなりまたメモになる。 話したい事がたくさんあるとメモを見せる須賀に、私も沢山あるとシオリは答えた。
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今でもその日の事は昨日の事のように思い出せる。 酷い豪雨の日だった。その記録的な降水は周囲を走る車の音すらかき消して、その一帯を雨の音で埋め尽くす程だった。 外に出た人が傘もなしでは目を開いて歩くことすら適わないと言う。 そんな日にとある病院の中で雨に負けない程大きな声を産声をあげたものがいた。 分娩台の上で母親は、泣きじゃくる赤子を抱える。 生まれたばかりの子供は弱い力で母に触れ、己の存在を示すかのように泣き叫んだ。 それは生まれてきた事に対する歓喜の叫びとも生きることへの恐怖への嘆きとも取れる声だった。 母は赤子を落とさないように包むようにして抱える。 少しでも力を緩めたら落としてしまいそうに思えたからだ。 「大丈夫、大丈夫だよ」 痛みを与えず、安心出来るように自らの子の生を祝福する。 赤子は落ち着き、泣くのをやめる。 その姿を見て私は思ったなんと赤子とは弱いものだろうか…。 ほんの小さな悪意、それからも身を守る手段を持たない。誰かが守ってあげなければ、すぐにでも生まれたばかりの命は尽きてしまうのだ。 少し落ち着きを取り戻し眠りに付く自分の子を見て母は愛おしく思った。 これが罪の始まり…。 愛する事が子のためだと信じた贖いきれない罪の始まり。 私達はあの目の存在を知らないから生きていられる。 あの目の存在を知ってしまったらきっと私達は生きている事ができなくなる。 何故、私はあの目を見てしまったのだろう。何故、私は目を調べようとしてしまったのだろう。 目だ、目がこちらを見ている。目が…目が…。 史竹幸三郎『遺書』最後の1文。 CR 5章 『その日は雨が降っていた』 -1- 第三の騎士 「S-22メインシステムスタンバイモードからアクティブモードに移行。再度システムチェック。」 秋常譲二はS-22ドライリッター胴部にある人が一人やっと入れるほどの狭い操縦ブロックの中でそうメインシステムに向けて音声入力を行う。 譲二のつけるゴーグルに走る文字列はS-22の各部に問題がない事を報告する。 それを確認した後、一息を吐いた後スピーカーから男の声が出力される。 「こちらCMBU司令部からドライリッターへ、聞こえているか?秋常譲二?」 「こちらドライリッター、聞こえている。機体のチェックも終了、問題はない、もうじきシステムも完全に再起動する筈だ。」 「そうかそれは僥倖だ、さて、作戦を始める前にセレーネ女史から君に直接激励の言伝をしたいと承っているのだが受けてくれるのかね?」 「セレーネが?」 譲二は顔をしかめた。 そして、少し考えた後諦めたように言う。 「作戦前だ。手短に頼むと伝えてくれ。」 「了解した、今つなぐ。」 電子的な雑音が発生し、その後、スピーカーから先ほどとは違う女性の声が盛れる。 「あーあー、聞こえてる?聞こえてるかな?譲二?」 「ああ、聞こえてるよ、セレーネ、今作戦前だが何のようだ?」 ぶっきら棒に答える譲二にセレーネ・リア・ファルシルは少し関しそうな声色で、 「何のようだ?ってそれはないんじゃないかね、仮にも君のフィアンセである事の私に向かって…。」 むくれたようにして言うセレーネに譲二はため息を吐く。 「別にあんたとそういう約束をした覚えはない。そういう話をしたいなら、帰ってからで充分だろう?」 「そうすると君はすぐ逃げるじゃないか、今が千載一遇のチャンスなのだよ。」 「――――セレーネ。」 頭に手を当てて咎めるようにして言う譲二。 それに対して笑うセレーネ。 「すまなかった、少し弄ってみたくなったんだ。それでは本題に入ろうか…。」 「作戦開始10分前だ、手短に頼む。」 「秋常譲二、君はこの1戦にどれほどの意味があるのか正しく理解しているかね?」 そう問いかけるセレーネに譲二は黙り込んだ。 「沈黙もまた答えだ。そう、この作戦の失敗は許されない。何故ならば、この1戦がこれから人類が奴らUHと戦えるかどうかの試金石となる戦いだからだ。我々は奴らに勝つ為に採算を度外視して今君の乗っているS-22ドライリッターを作り上げた。その機体にはありとあらゆる最新鋭の技術がつぎ込まれており、それがもしあの鋼獣に対処できないのであれば、もはや我々は両手をあげて奴らに投降すること他ない。もはや我々にはあのイレギュラーな黒い機体すらないのだ。」 「――――っ。」 黒い機体その言葉に譲二は苦いものが口に広がるのを感じた。 脳裏をかすめるのは漆黒の巨体に正体不明の紅の光を纏う悪魔のような鋼機だった。 それはそれまで鋼獣に対抗できる唯一であり、そして譲二からしてみれば羨望の対象だった。 「ただ勝つためだけでは駄目だ、これならば人類は奴らに対抗出来るそう思わせる説得力のある勝ち方を選ばなけばならない。いいか?今君の両肩に乗っているものは重い。」 「―――――ああ、わかってる。」 強く噛みしめるようにして頷く。 レバーを握る手に力が入る。 それに呼応するようにしてS-22ドライリッターの起動が完了する。 「だから、圧勝したまえ、君とドライリッターならば出来る筈だ。時間だ行け、英雄よ!」 譲二のゴーグルに文字列が表示される。 それにはこう書かれていた。 Anlock S-22 Takeoff. 大きな金属音が鳴り、機体は宙に放り出された。 ゴーグルがS-22のアイカメラから捕らえた映像を映す。 そこに瞳で全貌を捉えれるほど小さくなった木々や、山々、建築物などが見える。 風切音が鳴り、視界に移る風景は徐々に拡大されていく。そうS-22ドライリッターは高度1万m上空から機体ごと放り出されたのである。 譲二は落下位置の微調整をするために機体の重心を操作する。 今回の作戦では敵鋼獣が3機いるド真ん中に降下し一機で強襲をかける事になっていた。 緊張か、譲二はレバーを何度も握り直すようにしていじっていた。 一瞬の判断が全てを決めるその場へとまた足を踏み入れる。 そのことに少しの恐怖と少しの感慨が譲二にはあった。 高度が下がり、風景が狭く鮮明になる。 落下予定地点の高原では大きな火花と煙がのぼっているのを確認出来た。 敵鋼獣は犬型が3機、CMBUが率いる鋼機部隊と交戦しているのだ。 手に持ったアサルトライフルを鋼獣に向けて打つ鋼機達。 だが、その攻撃の全ては鋼獣の装甲ナノイーターで無力化され、無残にも1機、また1機とその凶牙に貫かれて破壊されていく。 その光景を目の当たりにして譲二から感じていた恐怖がなくなり別の感情が浮かび上がる。 燃え上がるような熱、全てを焼きつくす炎、人の最も強き原動力、怒りだった。 S-22ドライリッターはパラシュートを傘下させて交戦区域へと乱入する為に減速する。 そしてその真白色の機体は降下予定地に降下する。 譲二はレバー上部のアタッチメントを開きその中にあるスイッチを押した。 機体内でアラームが鳴り響く。 ――――ディールダイン炉加圧開始――全オーバーラインの接続――全駆動系供給150%――制限時間を15秒に設定 ――――『Polar Acceleration Mechanism』起動 S-22ドライリッターの額に3つ目の瞳を開き、肩部と胸部が展開する。 3体の内1体が鋼獣は急に戦場に現れた白い鋼機に気付き、すぐにその牙をもって征そうと走る。 1体がその鋭利な牙でドライリッターの鋼の体を貫こうと飛びかかる。 ドライリッターは腰にあった電装刀を抜き、それに立ち向かった。 交錯する2機、お互いが背中越しに静止する。 どちらにもダメージらしいダメージは見られずお互いの攻撃は当たらなかったかのように見えた。 鋼獣は振り返り、ドライリッターに再び攻撃をしかけようとする。 その時、鋼獣に異常が起こった。 鋼獣の視界が90度ひっくり返り、その鋼の巨体が思うように動かなくなる。 鋼獣は何が起こったのか理解できず困惑する。 それもその筈である。鋼獣の体は横一文字に切断され、上半分が大地に突き刺さるようにして落ちていたのだから…。 譲二はすぐさま残る2機の鋼獣の位置を確認する。 1機は自分に気づき迫り、1機は戦闘中であった味方の鋼機に襲いかかろうとしている。 襲われている鋼機は既に右腕と左脚を欠損しており、とても戦える状況ではない。 しかし、それを助けにいこうとすれば敵に背後を取られる事になりこちらの不利は否めない。 自身の生存を優先するならば、今迫る敵を排除した後、襲われている仲間を助けにいくとするのが正しい判断だろう。 もっとも、仲間を助けられる確率は格段に下がるのは自明の理だった。 それを認識し、 「――――決まってる!」 そう自分を鼓舞するように叫び、譲二は行動を即決する。 PAMの残り時間10秒。 ドライリッターは迫り来る敵に背を向け走り、アサルトライフルの銃口を向ける。 友軍機に牙を突き立てようとする鋼獣の顔面に弾丸の嵐が叩きつけられる。 物理攻撃を食らう特殊装甲ナノイーターがあるがゆえに鋼獣には銃弾による攻撃の効果は薄い。 だが、ドライリッターの左手に持つアサルトライフルは通常の鋼機用のものより口径が大きく、かつ対ナノイーター用の特殊弾である。 それは鋼獣に致命的な打撃を与えるほどのものではないが、その衝撃は確実に襲い姿勢を崩させた。 その間にドライリッターは接敵、即座に右手に持つ電装刀で一閃、真っ二つに叩き斬った。 PAMの残り時間4秒。 だが、それと同時に背後から飛びかかる最後の一匹。 救援に回ったがために、先手を奪われる。鋼獣の牙が迫る。 もはや振り向く時間すらない。ならばこそ、譲二は針の穴に糸を通すような集中力で、肘を後方に打ち付けた。 肘が鋼獣の顎と衝突し、その衝撃で鋼獣は吹き飛ばされた。 PAM残り時間2秒。 既に一息ほどの時間しか残っていない中でドライリッターは身を翻し疾風の如く駆ける。 鋼獣は倒れた体を起き上がらせながら敵を見る。 しかし、立ち上がった時既に眼前にギロチンを振り下ろす処刑人のようにドライリッターが電装刀を上段に構え立っていた。 そしてギロチンの刃が振り下ろされる。 鋼獣はその頭部から縦に真っ二つに切断された。 戦闘終了。 それと同時にPAMの時間が切れ、ドライリッターの全身の冷却装置が起動し上記が各部から吹き出す。 譲二はまだ隠れている敵がいないか索敵を行った後、自分の近くで倒れている鋼機に通信をつなぐ。 「―――生きているか?」 「あ、あぁ…。」 そう声が帰ってくる事を聞いて一息吐いた。 「あ、あんたは一体、それにその機体は鋼機なのか?」 「ああ、自分は、CMBU特務部隊所属の者だ。この機体はS-22ドライリッター。」 「S-22!じゃあ、噂の対鋼獣戦用の鋼機がついに完成したのか!」 驚きと少しの喜びを孕んだ声で半壊した鋼機の操縦者が言う。 鋼機は鋼獣に単騎で勝つことは出来ない。それは今、鋼獣と戦う兵士達にとっては絶対の常識であり、絶望であった。 その絶望を単騎で複数の鋼獣を破壊する事で覆した者がいる。その事実を飲み込み、つい声に喜びと期待の色が出ているかのようだった。 「ああ、そうだな。」 その歓喜の思いを消させないように譲二は笑顔を作って返事をする。 事実この成果は脅威の成果といえる。未発表ながら鋼獣を鋼機が倒すという偉業は既にイーグル鋼機部隊の隊長を務めるシャーリー・時峰の手によってなされているが、それは機体がボロボロになる状況で九死に一生を得ての勝利だった。 だが、今回は違う。単騎で完膚なきまでに敵を圧倒したのだ。 この事実は絶望にくれていた人々の心に大きな希望を宿すだろう。だが、それを成し、本来誇るべきである筈の秋常譲二の表情は晴れない。 頭に思い浮かぶのは一つの戦景だった。 あの最強とも思えた不可思議な鋼機リベジオンを圧倒した白い機体。 UHの首領格とも目されるその機体が起こした超常の数々は衛星映像で譲二も確認した。 その後で、何度も譲二はドライリッターであの機体で挑むシミュレーションを行った。 結果、得られたのは0%という可能性のない数字だけ…。 「ちくしょうっ…。」 誰にも聞こえないほど小さな声で譲二は感情を吐き出す。 結局、例え今人類が鋼獣に対抗する力を得たとしてもあれ1機でその微かな勝機の全てが覆されてしまう。 歓喜に盛り上がり兵たちが凱歌をあげる戦場の中で譲二は一人だけ己の無力さを呪った。 ―2― 混迷の世界 世界政府鋼獣対策本部会議室。 統制庁3階にある会議室の中で円卓を囲むようにして座る人間が5名。 イーグル総司令、秋常貞夫。 その副官である琴峰雫。 イーグル鋼機部隊隊長を務めるシャーリー時峰。 第六機関の長にしてCMBU顧問を務めるセレーネ・リア・ファルシル。 その秘書であるネミリア・バルサス。 イーグルの中心を締める3人を機関長特権を使ってセレーネ・リア・ファルシルが呼び出したのである。 「まずは希望はつながったと見るべきなのかね。」 円卓中央にあるディスプレイには人類の反撃の狼煙ともいえる戦果の光景が映し出されている。 それを見て眉を潜めて言うのは『イーグル』司令である秋常貞夫だった。 彼の率いる『イーグル』は鋼獣と先頭に戦った最大の組織であり、鋼機で数機の鋼獣を破壊した実績がある組織だ。 「不本意そうですね。司令。ご子息のご活躍というのはやはり複雑なのでしょうか?」 その様子を眺めて貞夫の副官である琴峰雫は言う。 貞夫は何か言いたそうに顔を上げるが顎に手を当てて、押し黙った。 「あら、あなた達親子って仲がこじれてるの?」 来賓の一人である第六機関の長でありCMBUの責任者であるセレーネ・リア・ファルシルはくすりと笑う。 未来予知じみた先見の明で第六機関統括区域の全てを立て直した『鉄の処女』が興味深そうに貞夫を見つめる。 「なに、ただの一家庭の事情ですよ、この会議には関係がない。」 貞夫はそう極めて静かにそういった。 その事については語りたくないというニュアンス、それを受け取ってセレーネは頷いた。 「ま、大した問題ではないですか。それに今私達が抱えている問題の方がずっと大きな問題だ。そしてイーグルの方々を今回お招きしたのはその問題について語り合いたいと思ったからですし。」 「抱えている問題?」 シャーリー・時峰は首をかしげる。 彼女は非公開ながらS-21のカスタム機で鋼機を2機破壊するという偉業を成し遂げた兵士である。 現在世界最強の鋼機乗りとしてかの『味方殺し』グレイブ・スクワーマーと双璧をなす者として見られるようになっている。 「ええ、そうです。我々は確かに鋼獣に対する力を得ました。S-22ドライリッターの量産体制が整えば今いる鋼獣との戦闘の勝率は格段に跳ね上がります。」 「S-22か…PAMだったか?ディールダイン炉を大きく加圧する事によってディールダインのエネルギー増幅の効率を上昇させ、それによって生まれたエネルギーを機体全体に循環させスペックを通常の1.5倍ほどに引き上げるシステム。」 「流石、シャーリー・時峰。よくご存知で…。」 「なに、私もCMBU製の鋼機に乗っているんだ。噂ぐらいは聞くさ。確かにあれを使っている時の機体の動きは異常だなまるで鋼獣のようだったよ。だが、あのシステム恐らくは問題がある。」 そう考察するようにディスプレイの中で回収されるドライリッターを見ながらシャーリーは言う。 ドライリッターの各部から蒸気のようなものが吹き出していた。 「ええ、確かにPolar Acceleraion Mechanismには問題があります。エネルギー増幅作用がある物質ディールダインに圧力を加えるとエネルギー増幅効率が跳ね上がる事は4年ほど前から判明していました。」 「では何故実用にこれほどの時間を?」 尋ねる雫。4年ほど前に完成していたのならば、S-21アインツヴァインが開発されていた時点で導入する事が出来たのではないか? そういった疑問が雫の脳裏に走る。 「ええ、問題はこのディールダインは圧がかかるとエネルギーを増幅しすぎるという点が問題だったんです。」 「しすぎる?」 「ええ、おおよそ70倍ほどになります。」 「70!?」 予想以上の数字に声を上げる貞夫。 「ネミリア彼らに資料を配ってくれ…。」 ネミリアと呼ばれたセレーネの秘書官にあたる女性が円卓から立ち上がり、周りの人間に資料を配る。 面々は資料に目を通しはじめた。 「今、お渡ししたのはS-22のスペックの要点をまとめたものだ。なにか質問はありますでしょうか?」 そう尋ねられ、シャーリーは考えこむようにしている。 「ふむ、このオーバーラインと呼ばれる物に加圧時だけディールダイン炉と直結させてエネルギーを循環させると…。しかし、これは…。」 「ああ、稼働し続ければ機体が持たん。」 「機体がもたないというのはどういう意味かね?」 「文字通りの意味だ、秋常司令。臨界点を超えるエネルギーを出し続ければ機体はすぐに爆発する。」 「だが、さっきの戦闘では――――」 「ああ、そうだ。さっきの戦闘では機体が爆発しなかった、それが肝なんだ。S-22はPAMを使うために開発された鋼機でな、基本的なカタログスペックはS-21と比較して頂いてもそれほど大きな差はない。だが、我々が開発したオーバーラインと呼ばれる特殊なラインを通し機体の全身に巡らせる事で臨界点に突入するまでの時間を遅らせる事が出来る。そして臨界点に突入するまでの間、鋼機は鋼獣に匹敵するスペックを有する事になる。それがPAMの概要だよ。」 「時間はどの程度?」 尋ねたのはシャーリーだった。 鋼機を扱う者として興味深くあったのだろう。 「おおよそ15秒。それ以上は危険だと実験結果が出ているのでな、緊急停止プログラムが作動するようになっている。その後に機体に緊急冷却をかけている為、オーバーラインの冷却終了までおおよそ5分その間PAMは使えない。また、オーバーラインへの負担も大きくてな、2回使用すればオーバーライン自体を交換しなければならない。」 「ふむ。」 頷き思案にふけるシャーリー。 リスクは高い、欠点も多い、だがこの機体は鋼獣に対抗するにたる戦力になるのも確かだ。 この機体があれば鋼獣を倒す事は出来るのかもしれない。 だが、ここで誰もの脳裏をよぎる一つの事実があり、その場の全員が沈痛な面持ちでいた。 「S-22の完成によって鋼獣に対抗する手段は得た、だがしかし、あの白い鋼機に勝つことは出来るのだろうか?きっと皆さんはそう考えていらっしゃるのでしょう?」 セレーネは笑っていう。 「ええ、そうですね、あれは我々にとって絶望的な光景でした。まさに――――」 「――――さっさと本題に入らないか?セレーネ・リア・ファルシル。」 セレーネの言葉を遮ったのは貞夫だった。 「本題?」 「ああ、そうだ『鉄の処女』よ、裏のメンバーの一人であるお前がこの状況を想定していなかったわけがないだろう?」 そう告げる。 『裏』、この世界を裏から動かす5人の黒幕。セレーネをその内の一人だと貞夫は言ったのだ。 セレーネは唇に一刺し指を当てて笑う。 「あら、何のことでしょう?」 その言葉に琴峰雫は呆れたように肩をすくめた。 「そもそもその猿芝居を続ける必要があるかすら疑問なのですが、我々が掴んでいる『裏』のメンバー5名の通称は『現実主義者』、『皮肉屋』、『貴婦人』、『道化師』、そして『鉄の処女』。あのですね…もうちょっと正体を隠す努力をした方がいいと思いますよ、あなた。」 その突っ込みに会議室に静寂が訪れる。 そして少しの時間がたった後、くつくつとしたセレーネの声小さく漏れ始める。 「ふふ、あはは、あはははは、よくわかったわね!この私が『裏』の一員だなんて!」 そう先ほどまでの冷静かつ厳格な物言いはなりを潜め、やたらとテンションの高い声でセレーネが言う。 その光景に貞夫とシャーリーは引きつった顔で見つめた。 「いえ、だからあなた隠す気あんまりなかったでしょ…。」 「だって、隠す必要ないんだもの、裏の名簿なんて裏の人間の誰かが横流ししない限り漏れないものだったし…。ま、正体バレてる前提で呼び出したんだけどね。」 快活に答えるセレーネ。 「キャラが違うぞ、こいつ…。」 貞夫はセレーネに聞こえないように雫に耳打ちする。 「あー、一応、私には人を率いてる立場があるからね、あれ、肩凝るのよ結構。ふふ、私が役者としてデビューすればすぐに実力派役者として大成する自信があるわ…流石私、やっぱり私凄い、とっても凄い。」 「うざ…。」 雫は率直な感想を漏らした。 「あー酷いうざいだなんて、そんなの自覚してるけど!でもうざいだなんて酷い!いいもん、私には譲二くんがいるもん!それだけで満足だもん!アイラブ譲二。」 「何を言っている…。」 「え、譲二くんラブという事だけですよ、その為に色々下準備をね…。」 「――――貴様ら、あいつを利用して何をするつもりだ!!」 激昂する貞夫。その眼からは殺意が放たれ、胸から銃を取り出してその銃口をセレーネに向けた。 「司令!」 慌てて静止の言葉をかける雫とシャーリー。 しかし、それに構わず引き金に指をかける貞夫。 「言え!そもそもおかしいと思っていたんだ。あいつのトラウマを考えれば、S-22の操縦者として選ばれる筈などないと…だが、何故かあいつが選ばれた。兵士として欠陥のあるあいつが…その理由はなんだ?『鉄の処女』?」 「あら、冷めてるって聞いてたけど、お父さんの方はなんだかんだで息子の事を心配してるのね。ちょっと良かったなーなんだかんだで親子の不仲って悲しいじゃない?私には両親がいなかったけど、だからこそ、そういう家族愛っていうのに憧れちゃうのよね。」 「答えろ!!」 自分の命が握られているという事実に構わず変わらず笑顔を浮かべるセレーネ。 通常、銃口を向けられた人間というのは何らかの緊張が表情に出るものである。 だが、セレーネにはそれがない。 まるで自分がそれでは死なないとでも思っているかのように…。 「先に1つだけ誤解を解いておきたいんだけど、私達『裏』は別に全員で何かを成そうとしているわけじゃないの。」 「どういう意味だ…。」 「つまりは『裏』っていうのはそれぞれ別の目的の持った烏合の衆だという事よ。それが偶然、目的に到達するまでの道中が途中まで一緒だったから、一緒に協力しあっていたというだけ…。でも、この間のメタトロニウス・アークの覚醒で、ついに私達の道は別れてしまった。実質的な話を言えばもうあなた達の言う『裏』という組織は解体されたも同然ということよ。」 「譲二を巻き込んだのは、そのうちの一人の思惑だと言いたいのか?」 「そ、ま、私なんだけどね。私が見たいのは英雄の誕生。昔からね、私は英雄って存在に憧れていたの…窮地に陥った人々の前に颯爽と現れて悪を挫いていく存在。そんなものが見てみたかった。けれど実際そういう人間を探してみると案外いないものなのよ。ある意味、時峰九条はそうとも言える人間なのかもしれないけど、まーあいつは見ての通りしわくちゃのババアだしねぇ?やっぱりちょっとは顔にもコダワリたかったのよ。」 「それで譲二を選んだということか!」 「そうね、彼は壊れているわ。傷ついていく人が、見ず知らずの者であろうと誰かが死んでしまう事が許せない。例えそれが間違っていると知っていても誰かを助けるために行動をしてしまう。兵士としては欠陥品もいいところね。けどだからこそ彼は英雄の資格がある。」 「英雄?この状況で確かに鋼獣を倒せばあいつは英雄ともてはやされるかもしれん…だがあの白い機体を倒せなければ、結局それも意味がないだろう。」 「そう、そうなのよ。結局の問題はね…。私も黒峰咲があそこまでやるなんて想定外だった。『ダグザの大釜』はね、至宝の中でも最も扱いが難しい至宝なの…なんでも作ることが出来るという事はそれだけ人の脳与える負荷も大きいのよ。あー至宝って言ってもわからないんだっけ、あのなんか不可思議な現象を起こすものね。あなた達と協力関係であった黒峰潤也も使っていた奴。」 貞夫達はリベジオンと呼ばれた機体が持つ黒槍を思い出す。 あの黒槍で突かれたものはありとあらゆるものが塵と化す。 そのメカニズムはまるで解明できずまるで超常現象のようだと思えていた。 「今回、あなた方を呼び出したのはこのままだと秋常譲二は英雄になる事ができなくなってしまう。私のシナリオではS-22だけでもこの逆境に対抗できる筈だったのよ…。でも出来なくなった。だからあなた方を呼び出したの…私の正体を知っているだろうあなた方を…。」 そう真剣に語るセレーナに貞夫は反吐が出そうな気持ちになった。 他の2人も同様だろう。 おそらくは『裏』がいくら関与しているこの事態に自分では収拾がつかなくなったからイーグルにコンタクトを取りに来たと彼女は言っているのだ。 唾棄すべき事である。 (だが、しかし―――) そう貞夫は考え銃をおろし、怒りを沈めるようにして一呼吸した。 「あなたは今人類が置かれているこの状況を人類側にいい形で終わらせたい、そう考えているのだな?」 「理解が出来る人で助かるわ、脳みそまで筋肉な人間だとここで話はご破算だったから…。」 「あなた方は私達に何をさせたい?」 「そうね、その前に一人ゲストを読んでもいいかしら、私よりも胡散臭い男だけど私よりも現状に詳しいわ…。」 「ゲスト?」 怪訝そうにする雫とシャーリー。 「どうぞ、入って…。」 その声と共に扉のノブが回り戸が開く…。 そして、その中から現れたのはこの場にいる一同の全員が知っている顔の男だった。 蓄えられた顎鬚に伸びきった長髪、だらけた着こなしのTシャツに塞がった片目。 面識はない、しかし、この世界に生きるものならばそのほとんどがその顔を知っている。 「初めましてかな?秋常貞夫、シャーリー・時峰、琴峰雫。私の名前は木崎剣之助、人は私のことを―――」 男は笑顔で誇示するように言う。 「―――『現実主義者』または、スーパーニート木崎と呼ぶ!!!」 部屋にいた全員に悪寒が走った。 ―3― 空がない日、染みる痛み 電子音が一定の周期で鳴っている。 ゆっくりとそれでいて断続的に聞こえるその音は寝台で寝ている男を不快にさせた。 「……くそ」 寝台で寝ている男、黒峰潤也は電子音の不快さに舌打ちして寝返りをうつ。 頭になにかがぶつかる痛み。金属の冷たさと硬さが軽い痛みとなって潤也に響く。 寝返りをうった時にベットの柵に頭をぶつけたようだ。 「くそ…。」 瞳が闇しか映さなくなってから既に何日目だろうか…。 外が夜なのか昼なのか視認できなくなった時点で、既に時間の感覚などほとんどなくて、メトロノームのようになる電子音だけが時が進んでいるのを潤也に示している。 右手を握る。 歯車が回るような音だけなるが、右腕の感覚はない。 試しに腹に手のひらを触るようにしてみたら、腹に冷たい感覚した。 搬送された病院で付けられた義手の感覚。 思うように動いてはくれているようだが、感覚が無いため違和感が強い。 試しに体を立てようとする潤也。 全身からきしむような痛みが走り、その激痛に顔を歪めた。 「あらあら、まだ無理はするもんじゃないよ。」 戸が開く音と共に誰かの声が潤也に聞こえた。 その声は聞き親しんだというわけではないが、ここ数日よく聞いてきた声だ。 「ばあさん…か…。」 声の主、時峰九条は潤也の元に近づきまだ生身である左手を握る。 潤也の左手をしわだらけだが、温かい手が包んだ。 「そうさ、あんたの味方の九条婆ちゃんだよ。」 「いつからあんたは味方になった…。」 力なく毒づく潤也。 時峰九条、おおよそ2週間、潤也たちのお目付け役としてイーグルから派遣されてきた老婆だ。 枯れていて今にも折れ曲がってしまいそうな老婆だが、その実、世界最強の名を欲しいままにする程の武芸者でもあり、イーグルの副司令の立場にあるらしい。 実際、人造人間であり、人を超えた能力を持つ藍が手も足も出なかったと藍本人から潤也は聞いている。 「あたしゃ、いつだってつらい目にあってる子の味方さ。ほら、あたしお婆ちゃんだからね、お節介なのさ。」 そういって九条は笑う。 その悪気のない言葉に潤也は感じていた苛立ちが萎える。 怒鳴ろうとした自分が馬鹿らしくなったのだ。 「そうかい…それで何のようだ?」 そうぶっきらぼうに聞く潤也。 九条は驚いたようにし目を開いて 「何って、勿論お見舞いだよ、それなりに付き合いがある仲だしねぇ…。」 「二週間ばかりでそんな大きい縁はなかっただろう?」 「何を悲しい事を言うんだい、偶然どこかで出会って話してみたら意気投合してメールアドレスを交換する事だってだろう?縁は時間じゃないのさ。」 「だからって、そもそも俺はあんたと仲良くやってたつもりは無かったんだがな…。」 事実、潤也はイーグルから監視役でついてきた九条を何度か置き去りにしてその場から去った事がある。 その度に、九条は次の目的地に先回りしてたどり着いていたのだが…。 「あたしが仲良くやってたと思ってたんだから仲良くやってたんだよ。」 「酷い暴論だな、それ。」 「あら、世の中言ったもん勝ちだっていうよ?」 「ああ、わかったよ。それで見舞いにきた?ならこの様だよ。全身ボロボロで目もまともに見えない。右腕に関しては吹っ飛んじまって、今じゃ機械仕掛けの腕にたよる始末だ。」 潤也はそう投げやりに言う。 「ああ、その事で1つあんたには謝らないといけないと思った事がある。」 「謝る?」 「あんたの右腕をふっ飛ばしたのはこのあたしだ。」 「――――っ。」 予想していなかった言葉に詰まる。 「あんたの右腕に貞夫から送られた発信機とか言われていた腕輪があっただろう?まあ、あんたも察してたとは思うがあれは発信機だけじゃなくてね、もしもあんたが人類の敵に回った時に使う為の爆弾も仕込まれてたんだ。そしてそれの起爆装置をあたしは渡されていた有事の時に起爆できるようにね。」 「―――それで暴走状態にあった俺を殺すために起爆したというわけか…。」 「いーや、それは違うよ、それなら致死に至らしめるような爆弾を仕込むさ、あんたが付けられたのは綺麗に右腕だけを吹っ飛ばす爆弾さ、正気を失ってありとあらゆる薬物投与も効かないあんたを操縦を不能にする。つまりは完全にあんたが怨念に取り込まれた時にあんたをこちらの世界に引き戻す為のジョーカーだったというわけさ。」 「―――なるほど、俺が今こうやってあんたとまともに話してられるのはあんた達のおかげって事か…。」 黒峰咲との戦い。あの戦いで勝つために確かに潤也は怨念に取り込ませて戦うという選択をした。 本来ならばその時点で黒峰潤也は黒峰潤也という人格を失い怨念の代弁者と化していた筈である。 しかし、それをすんでのところで右腕を吹き飛ばすという荒業で発する痛みが黒峰潤也を正気に戻したのである。 結果、黒峰潤也は黒峰潤也としての自我を持った状態で今ここにいる。 (けど、どうせなら―――) ふと潤也の頭に暗い考えがよぎる。 九条はそれを察して、 「なんだい、どうせなら自分を殺してくれればよかったのに…あれで死ねたらよかったのに…なんて思っているのかい?」 潤也は口には出さなかった思いを言い当てられ表情を曇らせた。 「まったく、坊やはわかりやすいんだよ。なんだい、あんた死にたかったのかい?」 「さあな、ただ、もう疲れていたのは確かだ…。」 「疲れていた?」 「ああ、あくる日もあくる日も怨念共に精神を蝕まれながら戦い続けてきた。いつか黒峰咲を倒してあいつを止められる。そう信じて色んな苦痛にも耐えてきた。」 「そうだろうね。」 「地獄だったよ…。家族の仇を取るために戦っていたら実はその原因が妹だって知らされて、妹が訳の分からない理想で世界を滅ぼそうとしていて、それを止めないといけなくて…自分を咲に対する呪詛と憎悪で固めて戦ったんだ。そうしなければならないと思ったから…。」 もはや戦う力を失ったからだろうか、潤也は今まで誰にも言うことがなかった思いが口から漏れだしているのに苦笑した。 そして今までせき止めていた思いは防波堤を壊し、止まらずに流れ出る。 「辛かったんだ。苦しかったんだ。なんで俺があいつを殺さないといけない。なんで俺だけしかその力を持っていない。誰かに変わって欲しかった。例えそれが正しい事だとしても俺に咲を殺すなんて宿行背負いたくなんてなかった。納得なんて出来ない。けれどやらなきゃいけない。だから必死に必死に必死に憎んで、あいつを憎む自分を作り上げて戦ったんだ。」 「だから死にたかった?責任を全て放棄したかった?」 「ああ、生きてる限り、あいつが人殺しを続ける限り俺はあいつに相対しなきゃいけない。そして、どうも俺はそれから目と耳を閉じる事も出来ない人間だったんだよ。だから終わりを望んでいた。誰かにこの戦いから解放して欲しかった。」 その声は悲痛という他なかった。黒峰潤也は元々ただの一般人だ。両親は軍事研究者であったが、潤也は両親が何をしていたかなんて、アテルラナにハナバラで知らされるまで知らなかった。 だが、その真実を知らされた時、潤也は変わらざるを得なかった。 世界の為などといった大義で戦う事は出来ない。 大義で戦うという事は、圧倒的多数の世界を守るという事だ。 それはつまり、怨念達につけ込まれる隙になる。ゆえにあくまでたった一人の意志で戦う強い覚悟が必要だった。 その為に選んだ手段が復讐。両親を殺した事実、それを持って咲を両親の仇だと見定めて潤也は復讐者として己を塗り固めたのである。 だが、黒峰潤也という人間の本質は、多大な期待を抱いてそれに応える英雄でもなければ、ありとあらゆるものを蹂躙し、支配する魔王でもない。 「俺は弱いんだよ。そうやって自分を塗り固めていないとすぐにも覚悟が瓦解してしまいそうで、婆さんみたいに強くもないし、藍に尊敬されるような人間でもない。軽蔑するかい?」 そう自分を責めるようにして左腕を右手の義手で握る。その頬には涙が垂れている。 老婆はその義手を握って腕から離して 「そんなわけないじゃないか。坊やがやってきた事は想像を絶するようなことばかりだ。それに耐えて今まで戦って生きている。そんなあんたをどうして軽蔑するっていうのさ…。」 老婆は優しく諭すように潤也にいう。 「―――。」 黙る潤也。 「不満そうだね、けれどこれは本心だよ、坊や。いいかい?この世の誰が責めようと、この時峰九条は必ずあんたの味方でいてあげるよ。たとえ世界を敵に回したってあたしはあんたの味方でいてあげる。けどね―――」 続けようとする言葉に詰まる九条。 これから続ける言葉を続けていいものだろうかと悩む。 九条は病室の窓から外を見た。 外は土砂降りの雨で、窓に雨が滝を作っている。 老婆のその光景を見て胸中にくるのはなにか…。 老婆は自分の指をかざすように見て、意を決するようにして口を開く。 「あんたは1つだけ聞いておかないといけない事がある。」 「―――何をだ…。」 尋ねる潤也。 「あんたにまだ戦う気があるのかっていう事さ…。」 そう静かに九条は言った。 少しの静寂が部屋を支配する。 「――――――言うんだ…」 潤也は俯いて小さな声でぼそりと続けて言う。 「なんで、そんな事を言うんだ…。あんたは…あんたは!俺に一体何を期待しているっていうんだよ!」 「何も期待しちゃいないさ、ただ、どうしたいのかそれだけを知っておきたくね。」 「もう、目は見えない!片手だってなくした!肝心のリベジオンは修復不能な状態まで破壊されて、唯一の対抗手段だった至宝までもを奪われた!!!!あんたは!あんたは俺の何処に戦う力が残っていると思っているんだ!!!」 怒りを露わにして叫ぶ潤也。それに九条は冷静に答える。 「ないだろうね。誰がどうみたって戦える体じゃないし、戦う力だってない。けどね、坊や。それでも戦うという事を諦めるか諦めないかを決めるのはあんただけなんだよ。」 「俺は頑張った…頑張ったんだ!!こんな体になるまで頑張ったんだ…これ以上、俺に何をしろっていうんだ…。そもそも俺は本当は黒峰咲(あいつ)を殺すなんて事したくないんだ!!!」 「そうだね、頑張ったさ。ここで折れたってあたしゃあんたを軽蔑しない。あんたはそれだけの事をしてきたと思うからね。けれどあんたは本当にここで折れてしまっていいのかい?それであんたは本当に納得がいくのかい?」 「いかなかったからなんだって言うんだ!さっきも言ったしあんたも認めただろう、俺はもう戦える力が残っていない。戦う事なんてできない。そんな俺に一体どうしろっていうんだ!」 そう叫ぶ潤也に老婆は優しく諭すようにいう。 「坊やそれは違うよ。あんたは戦う力を確かに失った。けれどあんたは戦う事自体は失っていない。いいかい、坊や、よく聞きな。人はね、どれだけ追い詰められようといつだって戦うことはだけは出来るんだ。それが勝てるか負けるかなんて話は外に置いておいてね。確かにあんたは戦う力を失った、けれどそれで本当に戦う事自体を諦めるのかい?そうあたしは聞いているんだよ。」 「そんなの――――詭弁だ。」 「そうかもね、でもあんたはこれを今決めないとどっちに転ぼうと必ず後悔する事になる。他の人に任せて世界の行く末をその暗闇の中で待ち続けるのもいい。それとも暗闇の中を自分の足で下唇を噛み締めながら歩いてがむしゃらに前を進んでもいい。どちらをいっても地獄だろうさ、だけれどここに停滞し続けるよりはずっといい。だからあんたはそれでも戦うのか戦わないのかそれだけは決めておかないといけない。」 「そんなの―――――」 続けようとする言葉が出ない。 答えなんて決まっている。そう思う潤也だったが、そこから言葉を続ける事ができなかった。 九条はそれを見つめた後、少し悲しそうに笑って席を立つ。 「また聞きにくるよ、今度会う時にまで決めておいてくれ。」 「ばあさん、俺は―――」 そう続けようとした矢先に扉がしまる音が聞こえた。 既に老婆この部屋を発った事を意味する。 「くそっ!!!」 潤也は右手でベットを八つ当たりに殴りつける。痛みは帰ってこない。 それに言葉に出来ないものを感じ頭を抱える。 「くそ…。」 そう力なくいう潤也の頬に一筋の雫が流れていた。
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このページはこちらに移転しました 雨が降るから 作詞/447スレ56 作曲/せきゆ 青い空を埋めるような 低い雲がうごめいてる 赤い傘を回しながら 朝の街を散歩しよう 雨が降るから君と外に出よう 雨の中でも君と共にいよう 音源 雨が降るから