約 481 件
https://w.atwiki.jp/jaeger/pages/105.html
第5章 敵はジャングル 「たんご」の作戦指揮室には、陸海空の高級指揮官が全員集合していた。連隊本部員やオペレーターなどのスタッフ以外は、完全にシャットアウトされている。 陸海空の指揮官はU字型の会議テーブルに着席し、前方の巨大なカラーデータ・スクリーンに見入っていた。スクリーンには、OH-1から送られてくるライブ映像に加え、データ処理された艦隊の現在状況も映し出されていた。 「壮観だな」 丸ノ内が薄暗い室内を見回して呟いた。不審船事件や大災害などが起こるたびにIT化や情報伝達の遅れを指摘されてきた自衛隊だけあって、思わず感心したのであった。 「行動中の各隊に異状ないか?」 彼は、プログラマーや通信員が詰めている室内後方に声を掛けた。 「ありません。全て順調です」 ヘッドセットに耳を傾けながら、連隊本部付通信士官の青山三尉が顔を上げて答えた。 「日頃の訓練の成果を、ここでゆっくりお手並み拝見というわけか」 艦隊幕僚の1人が漏らした。 「だがジャングル内を捜索するのに普通科小隊1個とは、やはり少な過ぎたかもしれんな。やはり、大隊を構成する2個中隊のうち1個を丸ごと投入すべきだったのではないのか? 田中川二佐」 丸ノ内が田中川に言った。 「その必要はありません」 スクリーンの映像から視線を逸らさぬまま、彼は口を開いた。 「身動きの取りにくいジャングルで、中隊規模の兵員をろくな間隔も空けずに動かすのは危険です。敵に襲撃された際、同士討ちの恐れもある」 「なら、せめて精鋭のレンジャー隊員を選抜して部隊を編成すべきだったと思うが」 田中川がレンジャー資格を持つ隊員を極めて重く見ており、その中で特に能力の優れた者に特別訓練を受けさせているのは丸ノ内も知っていた。 「彼らは不測の事態に備えるために残留させます。一般の隊員も、レンジャーに劣ることなく鍛えたつもりですが」 「私は二佐を信頼するよ」 二佐の実戦経験を信頼してな、という言葉を口から出かかったところで呑み込み、丸ノ内は視線をスクリーンに戻した。 鳥谷は、ヘリを海岸上空100メートルでホバリングさせ、センサーサイトを起動した。 「海岸に障害物及び移動物体は皆無。着陸も揚陸も可能です」 モニター画面を覗いた観測員が言った。 「ワッチウインドよりビッグ並びにLCACへ。各自、ランディング及びビーチングに入られたし」 「ビッグ了解」 「1号艇了解」 「2号艇了解」 連絡を入れた鳥谷のイヤホンに、それぞれの返信が届いた。 まずLCACが、発進してから1分足らずで砂浜に乗り上げ、そのまま数十メートル突き進んで停止した。次にエアクッションの空気を抜いて船体を地面に接地させると、前後のゲートを開き、偵察車両を順次上陸させていった。 揚陸作業が完了すると、白い砂塵を轟々と巻き上げながらチヌークが着陸した。 「周囲を確認! 降下っ!」 後部ドアが開かれ、嘉城以下37名の普通科小隊がアメリカ海兵隊式の全周警戒をしながら、素早く展開した。全員の降着が終了すると、チヌークはすぐに離陸した。 「ジャングルの切れ目まで同行する。着いたら俺の小隊は外側から偵察するから、あんたらはそのままジャングルの中に入ってくれ、嘉城二尉。何かあったら、すぐ支援に向かいますぜ」 87式偵察警戒車の砲塔ハッチから顔を出しながら、斉木が言った。 「分かりました」 嘉城は答えると手招きで通信士を呼び、背負い式野戦通信機の受話器を手にした。回線は「たんご」艦内の作戦指揮室に通じている。 「普通科小隊より連隊本部へ。ただ今より行動開始する。送れ」 「了解。直ちに行動開始されたし」 青山の凛とした声が返ってきた。 「小隊、縦一列。前へ!」 大きく左手を振って小隊員に命令を伝えると、嘉城は先頭に立って歩き始めた。狙撃用スコープを取り付けた64式7.62ミリ小銃を脇に抱え、周りを見渡しつつゆっくりと歩いた。 「偵察小隊、前進! 普通科隊を護衛せよ」 斉木は車両で嘉城の小隊を囲むように隊形を組み、徒歩に合わせた徐行運転で走らせた。 (このままずっと静かならいいんだけどな) タイヤと半長靴が濡れた砂を踏み鳴らす音と、エンジン音だけが響く海岸を歩きながら、嘉城はそう思った。 「尾川、行軍中まで世話焼かすなよ。分かったな」 カール・グスタフ84ミリ無反動砲を重そうに担ぎながら、小野寺は前を歩く尾川に声を掛けた。 「……へい」 陰湿な声で尾川が返事した。先程殴られた左頬は、まだ赤く腫れ上がったままだ。 (オタクのくせに上官らしく殴ったり命令しやがって、この野郎。面倒見のいい先輩でなけりゃ、立ち小便してるところを後ろから撃ってやるんだけどな……) 彼は、手にした89式小銃をチンチンと指で叩いた。 「歩きながら各自、顔に迷彩ドーランを塗れ」 嘉城の命令を聞くと、小隊員はズボンのポケットからカモフラージュセットを取り出し、慌ただしく顔に迷彩化粧を施し始めた。偵察小隊の隊員らもまた同様だった。 部隊がジャングルの端に着くには、5分と掛からなかった。 「普通科小隊よりワッチウインドへ」 嘉城は、肩掛け式携帯無線機のトークボタンを押し、リップマイクを口に近付けた。 「これよりジャングル内の捜索活動に入る。上空からの監視を厳重に願う。以上」 「ワッチウインド了解」 上空のOH-1が、嘉城らの頭上高くでホバリングした。 「偵察小隊は装甲車班とジープ班、バイク班とに分かれて活動せよ。散開!」 斉木も自分の部下に命令を出した。 作戦指揮室のカラーデータ・スクリーンには、2つの地上小隊からの映像が新たに加えられていた。ビデオカメラで撮影された映像を、無線機で中継して受信しているのである。 「始まったな」 梨林が緊張した声で言った。 「とにかく私は、安達原の説が間違っていることを祈りますよ。自動小銃は猛獣狩り用の大口径ライフルやら大型散弾銃とは違いますからね。ロケットランチャーや無反動砲もあるにはありますが、隊員の全員が持っているわけはありませんし」 丸ノ内は彼の言葉に相槌を打った。 「俺も虎なら倒したことがあるが、さすがに恐竜はまだだな」 ボソリと田中川が言ったのを、丸ノ内は聞き逃さなかった。そっと耳打ちした。 「虎を倒したって……銃でか?」 「いえ。最初は撃ちましたが、途中で弾が切れたのでナイフで首を。7年前、フィリピンでのことでしたがね」 彼は田中川の経歴の噂について、もはや疑いを持とうと思わなかった。 最初は力強く足を踏み出していた隊員も、すさまじい湿気と高温と息苦しさとですぐに体力を奪われていった。また、周囲に生い茂る自分達の背丈ほどもある雑草は、彼らの精神をさらに疲労困憊させた。 「隊長、全部の班が間隔を空けるどころか、バラバラになってます。一時、停止させませんと」 江見原が肩で息をし、額から汗をダラダラ流しながら嘉城に言った。 「みんな、ばててるか?」 「ばててます。気息奄々という言葉がぴったりです」 嘉城自身、足を引きずるようにして歩いていたのだった。腕時計を見てみると、ジャングルに進入してからまだ10分も経っていないことが判り、自ずと溜め息が出た。 「各班長へ、こちら小隊長。ここで小休止する。歩哨を交代で立たせろ。以上」 命令を無線で伝えると、彼はその場にへたり込んだ。防弾チョッキも戦闘服も下着も、全て水を被ったかのように汗でぐっしょり濡れていた。 嘉城は防大から幹部候補生学校を経た後、地元の沖縄に駐屯する第1混成団に籍を置いていたことがある。暑いには暑かったが、住み慣れていたためにさほどの苦にはならなかった。さらに、治安維持と災害救援を主任務とするこの部隊では、野外行軍訓練も少なかった。その後志願して入った第1危機即応連隊では、ゲリラの侵入に備えるために野戦訓練を嫌なほどやらされたが、これほど劣悪な環境下で行ったことはなかった。 (やっぱり、黒崎と一緒に幹部レンジャー訓練受けとけばよかったかな……) 嘉城はそう感想を持った。 「くそっ、どこのどいつがこんな欠陥防弾チョッキなんか作ったんだ。重くてムンムン暑苦しいくせして、ろくにライフル弾も防げないのによ」 ない方がましだと言わんばかりに、小野寺が防弾チョッキの前を乱暴に開いた。 「小野寺よ、ぜいたく言うな。砲弾の破片や拳銃弾くらいはこれでもストップできるぜ。コンバットナイフとか恐竜の爪なんかも、ある程度は大丈夫なはずだ。それにレンジャー訓練じゃなあ、数十キロの重さの装備を背負って夜通し山ん中を歩き回るんだ。それに比べりゃ、こんなのはまだ楽な方さ。不快指数が高いのと、息苦しいのを除けばな」 同じように防弾チョッキの前を開けた島崎の左胸には、ダイヤモンドに月桂樹の葉をあしらった名誉あるレンジャー徽章が輝いていた。 「班長はいつレンジャー訓練をやったんです?」 「10年前、陸士長から試験で三等陸曹に昇進したすぐ後だ。ちょうど今のお前と同じくらいの歳だったな」 「それにしても、何でこんなに息が苦しいんですか?」 巨大なヤシの木の根本に腰を下ろしていた尾川が訊いた。 「炭酸ガス濃度が高いからなんだとさ。多分近くに火山脈があって、地面の割れ目からガスが吹き出てるんだろうよ」 小野寺がタオルで首周りを拭きながら、だるそうに答えた。 「お前達、今のうちに水分とミネラルの補給はしっかりやっとけよ。熱射病でくたばっちまうぞ」 島崎は食塩の錠剤を口に放り込むと、スポーツドリンクが入った水筒をあおった。 「やっぱり普通に大学に上がればよかった……」 遠い目をしながら尾川が言ったその時、ブツリという音を立ててサッカーボール大の腐ったココナッツが枝から落下し、彼の頭をヘルメット越しにゴーンと直撃した。 「うっうわぁぁぁぁぁぁぁ!!」 突如として脳天に強烈な衝撃を食らった尾川は、一瞬でパニックに陥った。反射的に自動小銃のセレクターを安全装置から連射モードに切り替えた。薬室には、すでに初弾が装填してあった。頭上に向かって引き金を引いた。鉛の弾頭を銅で被甲したフルメタル・ジャケット弾30発が、木の幹にブスブスと食い込んだ。 「何だ何だ今のはァ!」 「敵襲、敵襲、敵襲ー!!」 「総員戦闘配置に就けぇ!!」 「敵はどこだ!?」 銃声を耳にした小隊員は、大急ぎで臨戦態勢を整えた。 「尾川、何があったんだ!」 島崎が62式機関銃を構えながら怒鳴った。しかし、尾川は眼を血走らせ、荒い息をしながら、弾が尽きた小銃の引き金をガチガチと引き続けるだけだった。 「島崎班、何があった! 至急状況を知らせ!」 島崎のトランシーバーのイヤホンから、嘉城の大声が聞こえてきた。慌ててリップマイクに向かって喋ろうとした時、何かがポトリポトリと隊員達目掛けて落ちてきた。 「何だあ?」 「ぐわぁー、ヒルだあぁぁぁ!」 木の枝の上にいた吸血ヒルが、銃撃のショックで一斉に落下したのだった。演習場の林の中にいるような小さなものではなく、南米や東南アジアにすら生息していないであろうワラジほどの巨大なヒルだった。 「は、早く払い落とすんだ!」 「逃げろぉぉぉ!!」 「走れえー!!」 装備を抱え、火器を引きずり、彼らはジャングルを走り回った。 ようやくヒルの大群を振り切った時には、小隊全員が死んだようにグッタリしながら木陰や草むらに寝転がっていた。尾川は恐怖と情けなさで、うずくまりながら身をブルブル震わすことしかできなかった。 鳥谷の偵察ヘリから通信が入った。 「ワッチウインドより普通科小隊! 何があった! さっきの銃声は何だ? 応答せよ! 応答せよ!!」 嘉城はいまいましげに通信機を引っ張り、トークボタンを押した。 「こちら普通科小隊。ヒルに襲われただけだ。以上」 尾川を横目で睨みながら、つっけんどんに言ってのけた。 隊員のほとんどがヒルに血を吸われてしまっていた。その症状は出血が止まりにくく、痛がゆい感覚が続くのが特徴である。彼らは傷口にかゆみ止めの軟膏を塗り、絆創膏を貼るだけで精一杯だった。 「くそっ、ここも見通しが悪いな」 周りを見渡し、嘉城は毒づいた。 「ワッチウインドへ。シダや雑草の背が比較的低い場所は近くにないか。送れ」 「3時方向に100メートルほど進んだところに空き地がある。そこへ向かえ」 「了解」 通信機を肩に掛け直すと、彼は手信号で前進の合図を送った。 「いつまでも休んでる場合じゃないだろ」 小野寺が尾川の尻を軽く蹴飛ばした。怯えたように頷くと、尾川は重い腰を上げて歩き始めた。 (何で俺がこんな目に……しかも小隊のみんなにまで迷惑掛けるなんて……クソッ……クソッ……) 彼の心の中には、自責と後悔の念が渦を巻いていた。 少し歩いたところに、1メートル強ほどの土山がそびえ立っていた。尾川は、思い切り半長靴で蹴り崩した。それを破壊することによって、少しでもストレスを発散しようと考えたのだった。結果、その目的はある程度達せられた。 ところが、奇怪なことが起こった。崩れた土がモゾモゾと動き、足に這い上がってきたのである。 「な、何だよこれ」 尾川は慌てた。手で取り除こうとしたが、土は上半身まで上がってきた。 「うっうわあぁー!!」 土の正体は真っ黒な大アリであった。またもや絶叫を放った。 「この大馬鹿野郎が! アリ塚をぶっ壊しやがって!!」 後ろで小野寺がわめいた。アリの大群は、一瞬のうちに小隊を内側から包囲してしまった。 「くそっ、噛まれた! 痛い!」 「銃の中に入らすな、故障するぞ!」 「早く叩けえ!!」 「逃げろぉー!!」 小隊員は、息絶え絶えになりながらも再び全力疾走しなければならなかった。 「………」 丸ノ内を始めとする陸自の指揮官は面目を丸潰れにされ、ただただ沈黙していた。ヒルとアリに襲撃され逃げ惑う自分の部下らの姿を、地上と上空からの中継でスクリーンに音声ごと流されてしまったからだ。 丸ノ内は恐る恐る、海空の幕僚や後方に詰めている本部スタッフを見てみた。笑いを必死で我慢している者もいれば、呆けた表情で固まっている者もいる。わずかながら、抱腹絶倒の爆笑を響かせている者もあった。 「一応訊くが」 ドスの利いた重い声で言った。 「あれがレンジャーに劣らず鍛え上げられた隊員のさらす醜態か」 田中川はスクリーンを見たまま、答えなかった。 「いや、何でもない」 根掘り葉掘り質問することによって恥の上塗りをすることを恐れた丸ノ内は、それ以上何も言わずにスクリーンの方に向き直った。 36名の隊員が、地面に這いつくばった尾川を見下ろしていた。全員が例外なく軽蔑と憎悪の視線を彼に向けていた。 「も、も、も」 尾川は冷や汗を顔から吹き出しながら、激しくどもった。 「申しわけありません!!」 言って、湿った土に顔をこすり付けた。土下座であった。小隊を混乱に陥れたことに対する懲罰としては、これでもまだ軽い方だと言わざるを得なかった。 「もういい、立て」 嘉城が言った。 「尾川二士、今度だけは勘弁してやる。だがな、次に何かやったら置いてけぼりにするから、そのつもりでいろ」 「は、はいっ!!」 尾川は思わず背筋を正した。罵詈雑言こそ浴びせないものの、この温和な小隊長が本気で怒っているのが彼には分かった。 「小野寺士長もな、もう些細なことでいちいち後輩を殴るのはやめろ。少しは指揮官の身にもなってくれよな」 「は、はっ!」 小野寺も大声で応じた。 「ところで尾川、そりゃ何だ?」 後ろから島崎が指差した。 「はい?」 「お前が立ってる地面だよ。よく見ろ」 視線を落とすと、3つに枝分かれした数十センチほどの大きさの窪みがあった。 「こ、これって……恐竜の足跡じゃねえのか」 隊員の1人が呟いた。 「多分な。よし、これを辿ってみよう。ワッチウインド応答せよ、送れ」 「こちらワッチウインド」 「恐竜の痕跡らしきものを発見した。捜索を続行する」 「了解した。慎重に頼む」 交信を終えると、小隊は行軍を再開した。 1人の男が、木々の間を驚くべき速さで疾走していた。小枝を多数縫い付けた黒尽くめの服を着込み、腰にはナイフを下げ、裾を細縄で縛った革靴を履いていた。 男は、同じ格好をした仲間が集まっている岩陰へと走り込んだ。 「どうであったか?」 リーダー格の屈強な男が訊いた。 「はい。全員が、草むらに入れば見分けられないようなまだら模様の服を着ていました。しかも、何とも不思議な武器を持っております」 息を全く乱さず、部下の男ははっきりと答えた。 「つまり、強敵ということか……」 「いえ。道具が優れていても、兵は驚くほど間抜けな者共です。森の何たるかを知らないうつけ者の集団かと」 「ふん、そうか。どこの連中かは知らんが、あのまま進めばじきに奴らとぶつかる。鉢合わせして慌てているところを、せいぜい一緒に片付けてやれ」 リーダーの顔に、残忍な笑みが宿った。 前項 表紙 次項
https://w.atwiki.jp/jfsdf/pages/1467.html
第2部 第2話 雲一つない抜けるような青空の下を、津軽フェリー所属〈第5たなぶ〉が航行している。海は鏡のように穏やかだ。〈第5たなぶ〉のランプドア付きの船首が力強く白波を立てている。 〈第5たなぶ〉は総トン数347トン、全長約50メートル。主に瀬戸内海などで重宝される双頭型フェリーである。最下層に車両甲板を備え、その上に乗客キャビンがあり、最上階は操舵室になっている。 推進装置が前後に装備されている双頭型フェリーは、出入港時に船首を回す必要がない。360度全周を見渡せる構造の操舵室で船長が操舵コンソールをひょいと移動すれば良かった。狭い港湾などでの取り回しが容易なことから、内海フェリー航路で重宝されている。 「船長、1番ブイを通過しました。あと5海里です」 海図台に広げた、先日海上保安庁が発行したばかりの海図を睨みながら、まだ若い船員が緊張した声で報告した。〈第5たなぶ〉のすぐ左側を真新しい塗装の航路ブイが過ぎ去っていく。 最近ではマナティよりもめずらしく貴重な存在になってしまっている若い船員が、生真面目に仕事をこなしていることを好ましく感じながら、船長の五郎丸次郎(ごろうまる・じろう)は、はげ上がった頭にじっとりと浮いた汗をタオルで拭った。 「おーう、もうすぐか。しかし、やっぱり暑いのぉ」 五郎丸がさっきまで着込んでいたボア付きの作業ジャンパーは、操舵コンソール横のフックにぶら下げられ、彼はTシャツ一枚になっている。彼お気に入りのティアドロップタイプのサングラスが、海面に反射した陽光を受けてギラギラと光っていた。 〈第5たなぶ〉の白い船体に降り注ぐ陽光は、とても1月のものとは思えない。車両甲板にぎっしりと積まれたトラックやタンクローリーを覆っていた雪は、あっという間に溶けて消え失せていた。 あと30分もすれば港の入口に到着する。五郎丸は、入港手続きと荷下ろし作業の確認を部下に命じた。 「そろそろじゃの」五郎丸はそう言って無線機に手を伸ばす。彼は大きく息を吸うと酒と潮風に焼けたダミ声でマイクの向こうを呼び出した。 「ラーイド港龍見崎信号所、こちら〈第5たなぶ〉。本船間もなくラーイド港に入港する。感度いかが──」 ラーイド港 ブンガ・マス・リマ 2013年 1月25日 11時23分 『1145に〈第6あき丸〉が出港予定です。貴船はそのあとに西埠頭浮桟橋に入港してください』 「〈第5たなぶ〉了解した。しかし、ここはくるたびに賑やかくなっちょる気がするのぉ」 五郎丸は辺りを見渡した。ラーイド港内は大小無数の船が行き来し、そこかしこから様々な音が響いていた。 赤く染めあげた帆を張った木造船が、滑るように港外へむかっている。その直前を小さな漁船が横切った。危うくぶつかりそうになる。両船の船員が怒鳴り合うすぐそばを、〈第5たなぶ〉が通過する。 「「!!!」」 引き波にあおられ頭から水をかぶった二隻の船員は、先ほどまでの仲違いを忘れることにしたようだ。揃って拳を突き上げ、〈第5たなぶ〉を罵った。 『この港は毎日どんどん大きくなっていますからね──航路右側は浚渫作業中です。貴船はパイロットボートの誘導に従ってください。さようなら』 海保のオペレーターが明るい声で答えた。多忙さを楽しんでいるようだ。五郎丸にもその気分は理解できる。 ラーイド港は、自衛隊の出撃策源地としての所要を満たすため、猛烈な勢いで人とモノが投入され、ありとあらゆる設備が建設されている最中なのだった。 新規開拓された航路(しかもそこは異世界である)と毎日目覚ましい成長を続ける港。増大する船舶交通。そこを任されてやりがいが無いはずがない。 五郎丸がそんなことを考えているうちに、帆柱にパイロットが乗船していることを示す紋章旗を掲げた手漕ぎのカッターが、するすると〈第5たなぶ〉に近寄ってきているのが見えた。 五郎丸はジャコップを降ろすよう科員に指示を出した。 「また、入ってきたぜ」同僚の呆れたような声がした。 「俺はとっくの昔に数えるのをやめたよ」 ラーイド港の警備を担当する邏卒長は、腰に左手を当て右手を顔の横でブラブラさせた。 軽装の革鎧に身を包んだ彼らが見守る岸壁の目の前を、小山のような船が驚くべき速さで通り過ぎていく。船体は漆喰を塗ったかのように真っ白だ。帆も櫂もない船がどうして走るのか、ニホン人に尋ねてもさっぱり理解できなかった。 「また、腹の中に山ほど『とらっく』を積み込んでいるな。ニホン人はブンガ・マス・リマを〈とらっく〉で埋め尽くすつもりらしい」 「〈とらっく〉ってのは馬無しで動く馬車みたいなもんなんだろ? それをあんなに集めて、連中は百万の軍勢を動かすつもりだとでもいうのかい?」 「あの鉄の魔獣どもはよほど大食らいなんだろうよ」 「違いない」 二人がそうしているうちに、船はニホン人が港に持ち込んだ馬鹿みたいに巨大な浮き桟橋に頭をつけると、鯨よりも大きな口を開いた。彼らにもそれが荷物を降ろすための道板であることは理解できるのだが、その大きさには何度見ても慣れない。 ラーイド港西港区には、毎日入港する〈ニホン〉の箱船から、数え切れないほどの鉄の魔獣が陸に揚げられていた。 最初に揚がってきたものは、異形としか言えないモノたちだった。竜のように長大な鎌首をもたげたモノ。巨大な爪の着いた籠を備えたモノ。千年の巨木の切り株程もある円柱で、全てを押し潰さんとするモノ。 轟々という吠え声を鳴らし、臭い息を吐きながら草色の巨体が辺りを走り回る様に、新しもの好きの市民達ですら流石に得体の知れない恐怖を感じたのは、仕方のないことだろう。 だが、鉄の魔獣たちは市民の予想外の行動を見せた。敵を殺戮するために生まれてきたとしか思えない外見に反して、彼らは港を作り始めたのだ。巨大な爪で地面を掘り返し、背中いっぱいに運んできた石を敷き詰め、巨体を用いて平らにする。 人の手なら半年や一年はかかる普請を、巨獣を使役するニホン人たちはあっという間に終わらせてしまう。ブンガ・マス・リマの人々はその勢いに感嘆し、いつの間にか見物人が港に溢れるようになっていた。 一方、素直な反応だけでは終わらなかった者たちもいる。 兵を預かる武人たちは、建設機械の群れをどうにかして戦に用いることができないだろうかと考えた。その多くは戦象的な使い方に留まったが、一部には築城や兵站に活用することを思いついた者もいた。 商人たちは、巨獣の群れを使役するニホン人の〈力〉に絶望的な差を感じ取っていた。あれだけの船と鉄の魔獣を維持するには一体どれほどの財が必要なのか。少なくとも、自分たちのやり方では生涯かけても到底不可能であることは間違いなかった。 だが、彼らは商人である。ほんの少しの間脱力したあと、どうにかして食い込める儲け話はないだろうかと、己の身代に見合った分野で動き始めていた。 「このところは手配師と物売りの連中は、えらく景気が良いみたいだぜ」 そう言って同僚が指差した先では、たくさんの人足たちが鍬を振るっていた。ブンガ・マス・リマの商人たちが「一口かませろ」とニホン人にねじ込んだ結果である。彼らの多くは焼け出された市民たちだった。 その向こうには色とりどりの天幕が立ち並び、飲み物や軽い食べ物を売る屋台、雑貨屋や鍛冶屋、薬師に按摩師と、人足の財布を当てにした商人たちが店を広げている。夜になれば少々怪しげな店も商売を始めるそうだ。 邏卒長にとってみれば、面倒事を山ほど持ち込んでくる連中だと言えたが、彼の表情は不思議と柔らかい。 「賑やかなのはいいな」 萎れた連中ばかりで仕事が暇よりは、派手に喧嘩がある方が張り合いがあるからなぁ。 邏卒長は、そんなことを考えながら巡回に戻っていった。 ラーイド港西地区 自衛隊物資集積所 2013年 1月26日 14時15分 建設現場特有の埃っぽい空気が辺りを満たしている。タブレット端末を片手に構えた補給幹部が、目の前の景色を虚ろな目で眺めている。 「概ね順調に進捗しています」 目の下にどす黒い隈を作った彼の言葉に、戦闘団第4科長の石田治(いしだ・おさむ)二等陸佐は秀でた額にしわを寄せ、鋭く聞き返した。 「概ね?」 上司の甲高い声に胃酸が分泌されるのを感じながら、補給幹部はタブレット端末に状況を表示した。 「物資集積状況はこの通りです。計画に遅れはありません。ただし、港湾整備と平行して作業していますから、混乱はあります。全て許容範囲内ですが、私は寝る間もありません」 軽い冗談のつもりで最後の言葉を口にした彼は、石田二佐の表情を見てがっかりした。 『俺も寝ていないがそれがどうかしたか?』 そう言わんばかりの鉄面皮だったのだ。 「戦闘団が一週間戦えるだけの物資はすでに集積を完了しています。しかし、これ以上は岸壁が整備されないとどうにもなりません」 補給幹部はタブレットを小脇に抱えると、突貫工事の進む岸壁に目をやった。 アラム・マルノーヴに本格介入を決めた日本政府と自衛隊が最初に直面した最も手強い敵は、有翼蛇でも人喰鬼でもなかった。 一個普通科戦闘団を中核とした戦闘部隊を戦わせ続けるための『兵站』の構築である。 ブンガ・マス・リマ防衛だけを考えるのであればさほどの苦労は無かったのだが、内陸部に進撃して敵を撃退するとなれば話は異なる。 隊員一名が1日に必要とする物資の量は概算で約100キログラム。第5連隊戦闘団3000名を支えるためには毎日300トンの物資を供給しなければならない。損耗分と支援部隊を含めれば500トンは必要だろう。 その内訳も多岐に渡る。武器弾薬、燃料に補修部品類、糧食や飲料水、電子部品、各種消耗品に建築資材。そのサイズも手のひらに乗る単4電池からヘリのローターブレードに至るまで大小様々である。 さらにこれらの物資は、集積所に野積された状態では無価値だ。必要な場所に必要なタイミングで、必要なだけ存在していなければならない。それを可能にするためには膨大な作業が待っている。 恐ろしいことに、異世界アラム・マルノーヴにおいては、利用できるインフラがほぼ存在しない。それは地上だけに限らない。例えばGPSは当然使えない。イラクや南スーダンにおいてさえ存在していた現地の受け入れ組織や設備が無いのだ。 当然である。いくら荒廃していても現代文明が及ぶ地球とは異なり、ここは概念からして異なる異世界なのだから。 命令を受けた東北補給処長と東北方面後方支援隊隊長は一晩中呻吟し、次の日主要幹部を集めると温泉旅館を借り切った大宴会を開き(当然自腹である)、その席で「皆の命を俺にくれ」と涙ながらに叫んだという。 とにかくまずは物資を運び込まなければならない。幸い〈門〉がむつ湾に開いているため、積み出しは海路を利用できた。しかし、それを陸揚げする時点で問題が生じた。 戦闘車両──戦車や装甲車、火砲の類は海上自衛隊の輸送艦とLCACが活躍し、ブンガ・マス・リマ東方の砂浜に比較的短時間で揚陸を完了、集結地に前進した。 だか、トラックやタンクローリーなどの車両や数万トンに上るであろう物資の陸揚げをまかなうだけの船腹は自衛隊に存在しない。民間のフェリーやコンテナ船が必要である。 「あと、1週間はかかりますね。ただゼロからでないのが救いです。現地の大商人様々ですよ」 マルノーヴの商船は木造帆船が主流である。当然岸壁もそれに見合ったものでしかなく、木製の桟橋に係留することも多い。そんなところに数万トンの大型コンテナ船を繋いだら、ボラードが地面から引っこ抜かれ、岸壁が崩壊してしまう。 日本政府は、港湾の浚渫と共に基礎工事から岸壁を造成する必要があった。 「あの石の岸壁をバハル家が作ってくれていて良かったな。あれがなければ工事は間に合っていない」 石田二佐は鼻を鳴らした。 ブンガ・マス・リマの豪商バハル家は、西方航路で財をなした海商である。大型帆船を複数擁するバハル家が威信と実利をかけてラーイド港西地区に作ったのが、全長100メートルに及ぶ石造りの大岸壁である。 『これなら、ポンツーン(浮桟橋)を支える強度がありますよ!』 技術者が太鼓判を押すと、海自が翌日には多用途支援艦で浮桟橋を曳航してきて、たちまちのうちに工事を進めてしまった。 『うちの岸壁になにをする! ニホン人は仁義もしらないのか!』 『まぁまぁ、我々はバハル家の大岸壁を少々拝借したいのです。それでもってこの区画にこういう岸壁をですね──』 『なんと! この街の商人全ての財貨を費やしても購えぬほどの大普請!』 『で、賃貸料がこれくらいで──』 『ぬ! いや、しかし……』 『実は工事に人手が要りましてね。どこか口入れ屋さんを紹介してもらえませんかね?』 『我が商会は人足の手配も行っておる。だが、この大岸壁は我らの誇りでもあるし……』 『そうそう。この度の戦争には糧秣が沢山必要でして、調達してくれる商会を探しているのですよ。ご存知ありませんか?』 『……』 翌日。バハル家の大岸壁に取り付けられた浮桟橋からは、双頭型フェリーで運ばれたトラックや小型重機が次々と陸揚げされ、300メートル級のコンクリート岸壁の造成が開始された。 石田二佐の眼前で、大型の浚渫船が港湾を掘り下げ、建設機械が岸壁を走り回っている。係船用のボラードが等間隔で並び、夜間作業用の簡易照明装置と発電機が試験運転を始めていた。 海からやや離れた場所には管理施設のプレハブが建てられ、現地民が手作業で工事を行っている箇所もある。 整地された広大な土地には、土ぼこりを巻き上げながら輸送用のトラックが整列し、パレットが物資の山を作っていた。 それらは1時間に1隻の割合で港に入る双頭型フェリーのランプから陸揚げされている。警務隊の警笛がけたたましく鳴り響き、それに負けないほどの大きさで、ロバに行く手を塞がれたドライバーが怒鳴り声をあげていた。 「ここからだ。来週にはバラ積み貨物船と、RoRo船が荷下ろし可能になる。1ヶ月後にはコンテナヤードを立ち上げるぞ」 石田二佐がこぶしを握る。 「できますかね」補給幹部は弱気だった。 「やるんだよ! 物資集積で終わりじゃないぞ! 物資情報管理センターに、整備処、車両運行計画立案に地理情報収集、そもそも道路を作らないとダメだ。過去誰もやったことのない大仕事だ」 「自衛隊は外征を考えていませんでしたからね……しかも、上は南瞑同盟会議軍の兵站まで面倒を見るつもりなんですよね」 「補給処や弾薬支処から作るんだ。これはオレにしか出来ない仕事だ。現地人とも密に協力しないと──」 石田二佐の声が激しく熱を帯び始めた時、サイレンを鳴らしながら救急車が目の前を走り去っていった。 何があった? と怪訝な顔の石田二佐の横で、補給幹部が衛生科の陸曹を捕まえて問いただす。 「どうも、ガソリンを飲んでひっくり返った騎士とその愛馬がいたようです」 「……なんでそんな真似をしたんだ?」 「鉄の巨獣──バックホーやブルドーザーのことですが。あれの姿に驚いた挙げ句、『力の源は何だ?』と聞いてきたそうで。で、隊員が『ガソリンで動きます』と答えちゃったそうで」 「飲んだのか?」 「あれだけの力が得られるなら、と」 「……」 作戦の開始は2月半ばに予定されている。 あと、2週間。石田二佐は、前途に待ち受ける困難に武者震いを覚えた。 あとがき 以上です。戦闘はありませんすみません。あまりにも間が空いてしまったのでどんな話だったか忘れた方も多いかと思います。 今回の話は1月後半、プロローグの2月14日、作戦開始から約2週間と少し前です。 作戦発動に備えた準備が進んでいます。 戦闘前にどうしても書かなければと思ったのですが、地味な話の上に知識が足りませんでした。 御意見御質問御感想お待ちしております。 次回は重囲下にあるルルェドの様子と自衛隊の動きの一部が書けるといいなと思います。 早めに。 リレー小説読むのが楽しみなので、みなさまよろしくお願いします。
https://w.atwiki.jp/jfsdf/pages/786.html
西暦2020年8月3日 03:09 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中 エルフ第二氏族の村 「これは、返してもらうよ」 縛り上げられた最先任軍曹エルフに言いつつ、原田三尉は装具を身につけている。 周囲では海兵隊の人間が遠慮のない視線を向けており、部下たちが彼と同じように手早く戦闘準備を整えている。 海兵隊の支援を得た彼らは、大して苦労する事もなく装備を取り返す事に成功していた。 「特になくなったものはないようですね」 どうやったのか戦闘準備を完成している陸曹が報告する。 「それはいい事だ。国民の血税で購入した物をなくすわけにはいかないからな」 89式小銃を装填し、腰に挿した拳銃の安全装置を確認する。 周囲ではヘリコプターの立てる爆音が響いている。 「貴様、どうするつもりだ」 床に転がされたエルフが尋ねる。 どうするって?決まっているじゃないか、害獣を駆除するんだよ。 俺の部下たちが死んで、お前らみたいな存在が生き残っていていいわけがないだろう。 小屋の中まで差し込んでくる照明弾の明かりの中で、原田は完全に狂った笑みを浮かべ、小銃を構えた。 「原田三尉、気持ちはわかるが弾薬の浪費はよせ」 いつの間にか、戸口のところに佐藤が現れていた。 その隣には、こちらに向けて小銃を構えた二曹の姿もある。 「佐藤一尉?」 「救出が遅れて申し訳ないな。今回の作戦にはマスコミや外務省の人間も来ている。 悪いが、エルフたちの身柄は預からせてもらうよ」 佐藤の隣をすり抜け、次々と陸士たちが突入してくる。 原田が止める間もなく、室内に転がされていたエルフたちは連行されていった。 「判断能力を持っているウチはいいが、あまりにもおいたが過ぎるようだと後送するぞ」 「気をつけます。ヘリはどれに乗ればいいのでしょうか?」 「二曹に案内させる。後始末は任せておけ」 未だに小銃を手放さない二曹に案内されつつ、原田たちは捕虜生活に別れを告げた。 既に周辺の征圧は完了しており、散発的に聞こえていた銃声も途絶えている。 上空を見れば、非武装の民間機らしいヘリが一機、着陸態勢に入っている。 「外務省の鈴木か、まったく、こんな最前線までご苦労な事だ」 一応、地上部隊の指揮官とされている佐藤は、出迎えのために着陸地点へと向かった。 「お疲れ様です、外務省の鈴木です。 お元気そうで何よりですね佐藤一尉」 「遠路はるばるお疲れ様です。早速会談ですか?」 挨拶もそこそこに、佐藤は本題に入った。 「ええ、先方に余り損害は出ていませんよね?」 「事前に徹底されましたからね。ご案内します。こちらへどうぞ」 早くも降下した部隊が撤収を始める中、佐藤と鈴木は連れ立って村の中を歩いていく。 あちこちに負傷し、武装解除されたエルフたちの姿がある。 遅れて到着した衛生が、診療所を開いてそれを治療している。 「いやいや、今回の作戦は良いプロモーションになりますよ。 勇猛果敢で慈悲の心を忘れない我が自衛隊員。 映像効果と合わせて、きっと国民の心に焼きつくでしょう」 「まあ、映像効果のために大軍を動員できたというのは嬉しい話です。 国内世論に遠慮して少数精鋭で突入するよりは遥かにマシですからね」 上空を飛び回るヘリコプターの集団を見上げつつ佐藤が言う。 「その国内世論とやらを作るための作戦ですからね、少数精鋭で地味に行うわけにはいきませんよ」 「それはありがたい事です。映画とは違い、小規模な部隊では行える事に限界がありますからね」 会話を交わしつつ、彼らはこの村の代表が捕らえられている小屋へと足を進めた。 西暦2020年8月3日 03:12 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中 エルフ第二氏族の村 「それでは、皆さんは我々と敵対する道を歩むというのですね?」 先方の主張を聞き終えた鈴木は、静かに言った。 室内は静まり返っている。 「顔を殴られた後に喜んでケツを差し出すようなバカに私が見えるとでも言うのか?」 縄を解かれた先任軍曹エルフは、怒りに燃える目を鈴木に向けている。 この状況でここまで敵意をむき出しに出来るというのは感動すら覚えるな。 第三者の視点でそれを眺めつつ、佐藤は内心で呟いた。 「そちらが先に手を出したという事を忘れないで頂きたい」 「それは貴様らの兵士が我々の住処に近づいたのが原因だと言っただろう!」 「ならば、その前にそちらに手を出しているグレザール帝国に手を出さない理由はなんなのでしょうな?」 にやけた表情で鈴木が尋ねる。 理由は既にわかっている。 グレザール帝国は五つの軍団のうち、一つをこの大陸に派遣している。 軍団といえば名前は立派だが、その数は一個師団に辛うじて手が届く数だ。 しかし、数は揃えられても組織立った行動が苦手なこの世界では、訓練の行き届いた一個師団と言うのは驚異的な存在であるといえる。 大方、その武力を恐れて沈黙していたのだろう。 「我々の戦力を、ここに展開している程度の小規模な部隊だけだと思わないほうがいいですよ」 「どういう意味だ?」 「言葉通りの意味ですよ。我々は二十万以上の軍隊を持っています。 もちろん、保有する兵器も、剣だの弓矢だのといったチャチなものではありません。 それを扱う隊員たちも、高度に訓練されています。ああ、これは皆さんもよくご存知ですな」 チラリと皮肉を混ぜる。 「後でわかる事ですが、今回我々がそちらのお仲間を余り死なせなかったのは、殺せなかったからではありません。 殺すだけならば、我々はもっとスマートに、そして完璧に行えます。 いいですか?我々は、あえて、殺さなかっただけなんです」 鈴木の言葉に、相手は沈黙を保っている。 見たところ、怯えているわけでも、怒りを堪えているわけでもないようだ。 まあそうだろうな。 やはり第三者的な視点のまま、佐藤はその原因を考察した。 この村は、グレザール帝国と旧連合王国、さらにはエルフの第一、第三氏族に挟まれる位置に存在している。 そこで、強力な人間側にも、同族であるエルフたちにも組することなく、最低限の損害で独立を維持するという事は難しい。 それなりの政治的センスを持っているからこそ、目の前のエルフはこの村を残す事ができたのだろう。 「何が目的だ?」 長い沈黙の後に、彼女はようやくそう言った。 鈴木の表情が、満足げに緩んだ。 西暦2020年8月2日 02:59 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 森の中 エルフ第二氏族の村近郊 「それで、結局のところ君はこう言いたいんだな?」 長々とした鈴木の演説を遮り、統幕長は言った。 「ただの人質救出作戦ではなく、出来るだけ派手なショーにしたいと言いたいんだな?」 「まさにその通りです閣下」 鈴木は愉快そうに言った。 「ここの所、情勢が安定しているために国民は飽きています。ただの戦闘では足りない。 かといって吐き気を催すような凄惨な殺し合いも勘弁です」 「内陸部が舞台では、我々は余り出番はないな」 海将が腕を組んで言う。 空将と陸将が、親の敵を睨むような視線を向ける。 「陸上自衛隊は、近隣の部隊から習志野の空挺まで、なんでもお出ししますよ。 必要ならば大陸に展開しているヘリもありますしね」 「大陸は歩くには距離がありすぎるでしょう。どうです?どうせならば派手に空挺降下を決めては? 近接航空支援も目標が更地になるまでやりますよ」 口々に二人は提案する。 次の戦争が始まるまでに、彼らは出来るだけ予算と発言権を確保しておく必要があった。 何しろ次の戦争は、恐らく長く続く。 そこでは、制海権の確保と通商破壊が必要不可欠である。 グレザール帝国を屈服させるには、海上自衛隊の大規模な拡大は避けては通れない道である。 活躍せねばならない。 活躍し、国民の脳裏に焼き付けなくてはならない。 そうしなければ、不十分な人員と予算で次の戦争を戦わなくてはならなくなる。 陸将も空将も、必死だった。 鈴木の提案は、そんな彼らにとって魅力的だった。 何しろ、人気取りが出来るような作戦を、是非とも派手にやってくれと言うのだ。 断る理由はない。 「航空自衛隊には何と言っても空挺降下の支援と、あとは照明さんを担当していただきましょう」 なにやら考え込みつつ、鈴木は言った。 彼の頭の中では、次々とプランが策定されているようだ。 「照明?」 「照明弾を、短時間で出来るだけ大量に落としましょう。 夜闇の中で行えば、さぞかし綺麗な光景になるでしょう」 「ライトアップされた夜の中、勇猛果敢に空挺降下する我が自衛隊員。絵になる光景ではあるな」 他人事のように海将が言う。 「もちろんの事、救出が目的である事は忘れていません。 せっかくこの世界に溶け込んでくれているようですが、海兵隊の偵察に協力していただきましょう」 つい先ほど、航空攻撃で更地にしましょうと言っていた空将が、しれっと言う。 陸将が内心でよく言うよと呟く。 「城塞都市ダルコニアにいる海兵隊の偵察ですか。 もったいなくはありますが、しょうがないですね」 仕方なさそうに鈴木が言う。 正体を偽ってこの世界に潜入した海兵隊の偵察班は、その少なからぬ数が任務に失敗し、撤退するか殺されるかしていた。 手駒として気軽に動かすべき存在ではないが、自衛隊員が捕虜になっているとなれば、渋るわけにもいかない。 「外から目をひきつける空自と、周辺を征圧する陸自。 先発し、捕虜の安全を確保する海兵隊としましょう。 詳細は皆さんに立てていただくとして、私は私なりに行動させていただきます」 「だがちょっと待ってほしい」 場の空気が動き出した時、文部科学省の代表が口を開いた。 「前任者では思いつかなかったような、なにか有益な対案があるのでしょうか?」 下らない事を言うのならば摘み出すぞと言外に言いつつ、鈴木は尋ねた。 「いや、戦闘を派手にやるという事自体に問題はない様に私個人は感じた」 「では何か?」 「できれば、余り相手を殺さない様にはできないだろうか? いや、南京大虐殺を繰り返すつもりか、とか、戦中の軍国主義がどうのとか、下らない事を言うつもりはない。 ただ、国民の戦意を高揚させつつも、邪魔者は殺す、という論調を何とか出来ないかと思ってね」 その後、長々と説明は続いたが、彼が言いたいのはこうだった。 国家の敵は殺すという論調は、今の世代に限って言えば、大いに効果がある。 別の世界に放り出されたという絶望感。 日々目減りする資源、食料、統制される生活。 国民には、何らかの形で娯楽を提供し、士気を維持する必要がある。 しかし、その次に続く世代には、ある程度抑えた情報を与える必要がある。 大人から入ってくる情報が壊す殺す踏み潰すでは、情操教育としてあまりにもよろしくない。 選択肢が戦争しか思いつかないような世代を、出来れば作りたくはない。 「なるほど、確かに将来を見据えれば、そういった考えも重要ではありますね」 自分が外務省の要職についた後に、戦争だけを声高に叫ぶ部下たちが入省してくる姿を想像しつつ、鈴木は言った。 「ならばできるだけ、殺す事を控える方向で考えていただけませんか?」 陸将を見つつ、彼は続けた。 「もちろん、自衛官に損害が出ない範囲で、です」 当然のように付け加える。 軍人に手かせ足かせをつけても、自己満足以外は得られない事を、鈴木も文部科学省の男も歴史から学んでいた。 「そういうお話であれば、できるできないではありません。 現場と話し合いつつ、最善を尽くしましょう」 陸将は頷き、席を立った。 空将も当然のように立ち上がる。 「詳細は出次第ご報告します。 それでは自分たちはこれにて失礼します」 「よろしく頼む。他の者も何か提案があった場合には速やかに申し出て欲しい。 我々は会議をするためにこの場にいるのであって、椅子を暖めるためにきている訳ではないからな」 統幕長が締めくくり、会議は閉会した。 文部科学省の前の担当者が更迭されて以来、粛々と進行していたこの会議は、この日を境に活発的な討議の場所へと戻った。
https://w.atwiki.jp/rozensenkiact1/pages/126.html
フォワードスターズ分隊高町なのは ヴィータ スバル・ナカジマ ティアナ・ランスター ライトニング分隊フェイト・T・ハラオウン シグナム エリオ・モンディアル キャロ・ル・ルシエ 出向メンバーギンガ・ナカジマ バックアップロングアーチ八神はやて リインフォースⅡ シャマル ザフィーラ キョウスケ・ナンブ エクセレン・ブロウニング 正式名称は時空管理局古代遺物管理部機動六課。 組織したのは部隊長でもある八神はやて。行動の遅い時空管理局本局に対するはやての不満と、管理局システムの崩壊が預言されたためにそれに対処する部隊として創設された。 構成員が軒並みチートスペックで、ティアナは「無敵を通り越して異常」と評した。 メンバーはゲーム中では常にバリアジャケット姿だが、原作では特に戦闘がなければきちんと管理局の制服を着ているシーンが多い。そうなったのはグラがnふかーい理由があるらしい。 フォワード スターズ分隊 高町なのは スターズ隊の隊長。詳しくはなのはの項目を参照 ヴィータ CV / 真田アサミ スターズ隊の副隊長。階級は三等空尉で、魔導師ランクはAAA+ 副隊長としてなのはを補佐し、部下の教育(戦技だけでなく、デスクワークの教育なども)行う。 デバイスは、巨大化したりドリルを生やしたりする、実に漢らしいゲートボールのスティックハンマー型のデバイス、くろがねの鉄槌「グラーフアイゼン」。八神はやての守護騎士『ヴォルケンリッター』の一人で、『鉄槌の騎士』『紅の鉄騎』の異名を持つ。 + 原作ネタバレ 前作、A'sから登場。 ヴォルケンリッターは『夜天の書』と呼ばれるデータベースを守護するプログラムであり、歳を取ることがなく、Strikersでなのはたちが9歳のころから大きくデザインが変わったのに対し、彼女は前作の10歳程度の外見から変わっていない。 喧嘩っ早く直情的で言動も粗暴だが、人一倍仲間や部下思い。シグナムから、「過保護」と言われたこともある。 A'sでは主である。八神はやてを救うため、彼女を蝕む『闇の書』を完成させ、はやての負担を無くすために奔走。そのために、魔導師たちを次々と襲い、なのはたちと敵対することになる。 初登場でなのはを圧倒する活躍を見せるが、復活&パワーアップしたなのはに惨敗。ボロボロになりながらも、はやてを助けるためという目的を頑なに話そうとしないため、ヴィータ達がそんな風になってまで戦う理由をどうしても知りたいなのはとの三度目の対決の際、 ヴィータ「悪魔め…」 なのは「悪魔でいいよ。悪魔らしいやり方で、話を聞いてもらうから」 の名シーンを残す(誤解のないように言っておくと、ヴィータ達の行動は、(本人たちは知らないが)はやてを破滅させることになるため、それを知っているなのはは、ヴィータ達を『止めるため』『間違っていることを教えるため』に戦っている) その後、消されたり復活したりと色々あったが、最終的に八神家の一員として落ち着くこととなる。 Strikersでは準レギュラー。要所要所で活躍はするが、全体的に影が薄い。ただし、なのはとはA'sのとき以上に遥かに深い絆で結ばれているが、それは本編を参照。 最終決戦でのはやてとのやりとりは、ヴィータ、はやての両ファン必見。 + ゲームネタバレ 六課キャラの会話の中には何度か登場するが、今のところ出番があるのはリミッター解除試験2での戦闘のみ。 原作Sts最大の見せ場であるゆりかご駆動炉での激闘は、ウォーダンがその役目を引き継いだため、今後の活躍もあまり期待できそうにない。 ちなみに、声優がローゼンメイデンの桜田ジュン役の真田アサミであり、イメージカラーが真紅と同じ赤のため、試験の時にそれをネタにした会話が見られる。 スバル・ナカジマ スターズ分隊の隊員。詳しくはスバル・ナカジマの項目を参照 ティアナ・ランスター スターズ分隊の隊員。詳しくはティアナ・ランスターの項目を参照 ライトニング分隊 フェイト・T・ハラオウン ライトニング分隊隊長。詳しくはフェイト・T・ハラオウンの項目を参照 シグナム CV / 清水香里 ライトニング分隊副隊長。階級は二等空尉で、魔導師ランクはS-。 フェイトの副官だが、ライトニング隊のメンバーの教育にはあまり関わっていないようだ。と言うか、メインメンバーの中で普段何しているのかが一番分からない人 ヴィータと同じヴォルケンリッターの一人にして、リーダー格。おっぱい魔人『烈火の将』『剣の騎士』の二つ名を持つ。 デバイスは蛇腹剣にもなる長剣型デバイス、炎の魔剣「レヴァンティン」。 + 原作ネタバレ 前作A'sより登場。一見クールだが、かなり熱くなりやすい。責任感も強く、よく言えば真面目な、悪く言えば融通の利かない性格。ただ、固いだけではなく、仲良くなった相手には人をからかうのが好きなフランクな一面も覗かせる。 A'sに置いて、主はやてを救うため奔走する中、なのはやフェイトと対立。幾度となくフェイトと衝突し、友情を深める。 二人とも腕試しが大好きなため、ヴィータからは「バトルマニア」と呼ばれたこともある。 Strikersでは準レギュラー。クールだが熱しやすい性格は相変わらずで、子供染みた理屈でなのはに食って掛かるティアナに鉄拳制裁を喰らわせたのは彼女である(詳細はなのはの項参照) 活躍の場はあまりないが、最終決戦において新キャラ「アギト」(念のために言っておくが仮面ライダーではない)の主となり融合。無数のガジェットドローンを一瞬にして葬り去った。 また、その少し前のエピソードで、既に死に際にあったとはいえ、ゼスト・グランガイツという人物を「殺して」いる。リリカルなのはという作品の主人公側で、唯一人を殺めた人物である。 余談だが、Strikers漫画版での「悲しい過去があろうと、消せない傷痕があろうと、生きる意味を見失わなければ人は強く生きていけるもの」という言葉は、リリカルなのはという作品を象徴していると言える。 + 最新作では Asでの仮面の男や、Strikersでのゼスト・グランガイツのころからその傾向はあったが、連載中の漫画、魔法戦記リリカルなのはForceでは、実力では圧倒したものの、敵の特殊能力のすごさを見せつける役…すなわちかませ犬となってしまった。 なのは、フェイト、はやてら主役3人と実力伯仲かつ、準主役という立場上、こうなるのは必然だったのかもしれない…(後にバッチリリベンジはするが…) + ゲームネタバレ ヴィータ同様、リミッター解除試験2での戦闘のみで登場。ローゼンメイデンと関係のある部分が皆無なキャラのためか、これといったネタも無い(一応、ゼンガーとの掛け合いはある) 以前作者がブログで、雛苺のミーディアムの候補だったと発言していたハズ。後は、マイリストコメによると仮面ライダーアギトとユニゾンしてシャイニングフォームになるというネタがあったとか。 いずれにせよ、このゲームでは今のところ活躍はほぼ無い。 エリオ・モンディアル CV / 井上麻里奈 ライトニング分隊の隊員で、クロノに代わりショタ前衛担当。 このゲームでは、六課隊舎でまったりしている。一応、蒼星石を保護したのは彼らしい。 共通ルートではあまり出番はないが… + 原作ネタバレ フェイトと同じ生まれを持っており、管理局に保護される際両親から見捨てられ荒れまくっていたが、保護者になってくれたフェイトの優しさに触れ、落ち着いた。 + ゲームネタバレ 分岐のスカリエッティ逮捕ルートで、彼を保護したフェイトとの絆と、活躍シーンを見ることができる。もっともその縁はDVD等で見ないといけないが。 キャロ・ル・ルシエ CV / 高橋美佳子 ライトニング分隊の隊員。「竜使役」と呼ばれる特殊技能の持ち主で、その技能の名前の通り竜を召喚して使役することができるが、その能力を恐れられ幼くして部族を追放されていたところを管理局に拾われ、フェイトに保護されるようになっている。 このゲームでは、今のところ活躍はほとんどない(アリスイベントにつながる情報を教えてくれる位)。 + ゲームネタバレ 分岐のスカリエッティ逮捕ルートで、彼女を保護したフェイトとの絆を見ることができるのだが、それですらもエリオに出番を奪われ気味である。 出向メンバー ギンガ・ナカジマ CV / 木川絵理子 スバルの姉にあたる(つまりスバル同様の戦闘機人である)人物で、時空管理局陸士108部隊所属の陸曹だったが、機動六課に出向してきた。 スバル同様の格闘戦士型。原作での実力はスバルの一枚上手。六課フォワードと共に活動していたが、ライトニング、スターズ分隊所属と言う訳ではない。 + ゲームネタバレ 地上攻撃部隊制圧ルートで登場。ゼロと戦って負傷、戦線離脱を余儀なくされるが、その際に自分のリボルバーナックルをスバルに託す。 バックアップ ロングアーチ 八神はやて CV / 植田佳奈 機動六課の部隊長にして、魔導師ランク総合SSを誇る魔導騎士(なのは、フェイトでさえ空戦S+である)。シグナムたちヴォルケンリッターの主でもある。 高速戦闘などは苦手とし、足を止めて広範囲に大火力の魔法をブチ込むという、マップ兵器のような魔法運用を得意とする。 + 原作ネタバレ シグナム達同様、A'sから登場。 架空都市とはいえ、現代日本が舞台の世界で、半身不随の8歳の少女が、バリアフリーでない家で一人暮らしをしていたという、いくらなんでもあり得ない設定があったりする。(劇場版2ndA’sではバリアフリー対応の家にはなっていたが、相変わらず一人暮らし) 9歳の誕生日を迎えた日、闇の書から生まれてきた夜天の騎士たちと出会う。 いわゆる京風関西弁をしゃべる穏やかな性格の少女で、やさぐれていたヴォルケンリッターたちの心を解し、最終的にはA'sの大ボスに名前を与え、説得、改心させるという、某初代手強いシミュレーションの王女様もびっくりなことをやってのけた。 明らかに主人公より大きな役目を果たした(なのはとフェイト二人がかりでも大ボスに大苦戦していた)ため、A'sの真の主人公ははやてとする意見もちらほら。 Strikersでは、管理局入隊後数々の事件を解決したが、その管理局の体質に不満を持つ。ミッドチルダ大火災の後、局の体質を変えるため行動を起こす決意をし、紆余曲折を経て機動六課を設立。部隊長として就任する。 辛さを内に抱え込む癖があり、A'sでの事件の当事者としてその罪を背負って生きていく姿から、親友から「生き急いでいる」と評された。 上記の広域に大火力の魔法を撃つというスタイルで、中盤で活躍するが、それ以外では裏方としての活躍の方が多く、エリオにすらある変身シーンがない。そもそも本人はガチンコバトルは苦手と漏らしている。 最終決戦でのヴィータとのやり取りは、両者のファンなら必見。 + ゲームネタバレ 原作最大の見せ場がよりにもよって変態に奪われるという、とんでもなく不遇な扱いを受ける。 他にも部隊長としての苦悩をうかがわせる発言が多い。 仲間にもならないが、一応、なのはとフェイトの合体技、トリプルブレイカーのアニメーションの中には登場する。フェイトを仲間にしていればいつでもトリプルブレイカーが使用可能なのだが、いつの間に来るのか、ついてきているのか、はたまた異次元から魔法をぶっ放しているのかは不明のままだ。 リインフォースⅡ CV / ゆかな ロングアーチ所属の空曹長。ゲーム中では分からないが、実際は手のひらサイズである。 Ⅱは「ツヴァイ」と読む。(ドイツ語で「2」の意)。なぜⅡなのかは、アニメ本編を参照。 ゲーム内ではオペレーター役として敵の戦力を報告する役割で地味に出番が多いのだが、印象のあるシーンが特にないせいか、最初にこのページで名前がはぶられていた。 なぜか普段はアニメではなくギャグ絵使用のため、空気を読んで出番を抑えている。 ちなみに翠星石とは「です仲間」である。 シャマル CV / 柚木涼香 機動六課の医務官。魔導師ランクAA+。 元々はヴォルケンリッターの参謀役で二つ名は「湖の騎士」「風の癒し手」。 デバイスは指輪型の「クラールヴィント」。 戦闘に出ることはほとんどなく、医師としての活躍が多いが、戦闘時に後方から指揮をすることも。 + 原作ネタバレ 前作A'sより登場。 騎士ではあるが性格やしぐさも女性らしく、はやての生活面の面倒を見たりするシーンが多かった。 回復役や補助役としてはかなり有能で、高町なのはのリンカーコアをぶち抜いて無力化したという凶悪な前科大きな戦果も見せている。 しかし、ドジっ子属性も多数見せる。彼女のドジをたくさん知りたい方はサウンドステージを聞いてね。 Strikersではその能力を生かして医務官となり、訓練その他で生傷の絶えない六課メンバーの治療役を担う。 六課襲撃事件で負傷するが、その後も戦闘機人ナンバーズの一人、オットーを捕捉、逮捕するなど地味に活躍している。 + ゲームネタバレ ゲーム内では、メンバーの治療役や診断役に徹している。六課の中で彼女の世話になる人も少なくないはず。 ウォーダン戦ではターンが終わると戦闘メンバー全員のHPをある程度回復してくれることがある。 リミッター解除試験2でも戦闘キャラとしてではないが出演している。 どう考えてもシグナムやヴィータより活躍しているのに六課ページが作られても個人記事が最初なかったのは、後方支援型の宿命か ザフィーラ CV / 一条和矢 ヴォルケンリッターの一人にして、青一点。「盾の守護獣」の二つ名を持つ。 灰色の髪の大柄な男の姿と、青い毛並みの犬狼の姿の二つの姿を取ることができる。 魔導師ランクはAA相当で、格闘戦の他、結界や防御魔法、相手を束縛するという、非常に役に立つが地味な魔法などを得意とする。 + 原作ネタバレ A′sより登場。数少ない男性キャラだがあまり目立つことはなく、仲間の補助に徹していた。様々な局面で地味に活躍はするが、印象に残るシーンは少ない。一応、フェイトの使い魔、アルフ(記事未作成というか本作品に未だ出番なし)とライバル的な位置なのだが、A′sではそのアルフがあまり目立っていない。 Strikersでは、六課に所属。特定の役職を持たず、状況に応じて隊員やヴィヴィオ(記事未作成)の護衛を行うという六課の中でも特に柔軟に行動するためのポジションにいた。役職からして地味であり、口数が少ないどころかほとんどしゃべらず、7話で言葉を発した際、エリオやキャロたちに驚かれていた。その上、終盤まではろくな活躍が無いので、ペットと思っても問題ない スカリエッティによる六課襲撃の際、シャマルとともにナンバーズのディエチやディードと交戦。多数のガジェットドローンがいる上、AMF状況下であり、非戦闘員を守りながらの戦いのためか、実力設定では格下の相手に敗北。 病院で目を覚ました後は、Strikers終盤で地味に活躍する男、ヴァイス(エクセレンではない)を結果的に奮い立たせることになる。戦闘機人の一人をシャマルと二人がかりで確保するなど、あいかわらず地味に活躍する。 まさにいぶし銀。縁の下の力持ちのような空気地味な男である。 + しかし… PSPで発売された、なのはゲーの一作目では、その男気溢れるセリフの数々でプレイヤーを魅了し、劇場版2ndA’sのラストバトルでは2パンでラスボスのバリアを破壊するなどの大活躍を見せてくれた。 + ゲームネタバレ リミッター解除試験2のときに、一言だけしゃべる 一応、直前になのはたちにかけられた防御魔法は彼のものだと思われるが、地味を通り越して空気。 六課記事作成から一週間の間彼の名前が書かれなかったのも仕方のない話である… と言うかザフィーラが書かれるならもっと書かれていい奴もたくさんいるような キョウスケ・ナンブ スーパーロボット大戦(IMPACT&OGシリーズ)の登場人物だが、相方のエクセレンと共に、なのは世界の機動六課でオペレーターをやっている。 なのは世界に紛れ込んできたわけではなく、かつて地球でなのはたちと共に闘い、六課設立の際にスカウトされてやってきたらしい。 スパロボでの愛機は『アルトアイゼン』。略称はアルト。 リリカルなのはStrikersのサブキャラに、アルトという人物がいるため、その名前ネタのために参戦したと思われる。 エクセレン・ブロウニング キョウスケ同様、スーパーロボット大戦の登場人物。ロム兄さんと面識があるのでIMPACTの設定だろう。 かつて地球で、なのはたちと共に戦ったらしい。ゆりかご内でのなのはの台詞から、なのはが9歳のころから時空管理局に入隊するまでの間に出会い、スーパーロボット大戦の世界(?)で共に戦ったことが分かる。 なのはは11歳で管理局に入っているため、共闘したのはStrikersより8~10年前ということになる。 そして、エクセレンはスパロボIMPACTの段階で23歳。 つまり、ゲーム中のエクセレンの年齢はさんj…おっと、こんな時間に誰か来たようだ。 つかみどころのない性格は原作のままで、初対面で水銀燈に「エクセお姉さまと呼んで」などと言っている。その通りに呼んでいる水銀燈も水銀燈だが… スパロボでの愛機は『ヴァイスリッター』。愛称はヴァイス。 これまたリリカルなのはStrikersのサブキャラに同名の人物がいるため、その名前ネタで登場した可能性が高い。
https://w.atwiki.jp/jfsdf/pages/766.html
西暦2020年1月30日 07:41 連合王国王都内 王城まで2km 上空を攻撃機が通過する。 随分と速度を出していたところを見ると、どうやら敵の航空部隊をまた見つけたようだ。 「進むぞ」 短く海兵隊大尉が命じ、直ぐに一等陸尉も同意する。 海岸線で一度交戦した後、敵らしい敵とは遭遇していなかった。 まあ、時折炎の塊や矢が飛んでくる事があるにはあった。 しかし、前衛を勤めるレンジャーや海兵隊にとって、姿を晒すローブの男女やライフルよりよほど目立つ弓矢など、脅威のうちには入らなかった。 「前進だ、腰を上げろ」 「MoveMove!」 上陸時と同じように、陸曹と軍曹は仲良く号令を下し、そして兵士たちは前進を開始した。 彼らがのんびりと休憩を楽しんでいたのには、当然ながら理由があった。 今は辛うじて市街地だが、ここを抜けると王城まで遮蔽物のない道が続くのだ。 狙撃や砲撃があるとは思えないが、だからといって気持ちよく休息できる場所ではない。 そして、敵の司令部は昔ながらの城砦にある。 空爆や砲撃には無力だが、歩兵による突撃には十分すぎる防御力を有している。 「まったく、面倒な話だ」 日本語に明るい海兵隊大尉は、そう呟くと煙草を咥えた。 こちらには史上最強の艦隊があるんだ。 日本本土には空軍の空爆部隊も展開している。 ちょっとあの城まで行ってきて、血みどろの戦いをする必要なんてないのだ。 「そうぼやかないで下さいよ大尉」 苦笑しつつ一尉は煙草に火をつけた。 彼もあの城まで突撃するという名誉は辞退したい心境だったが、爆撃で何もかもを吹き飛ばす事のまずさはわかっていた。 敵の王に生きていられては困るのだ。 どこかに落ち延び、徹底抗戦など唱えられては困るのだ。 国家を、軍隊を動かす諸侯ともども必ず捕らえ、確認を行った上で全員を始末する必要がある。 日本にも在日米軍にも、第二第三のイラクを楽しむ余裕はないのだ。 「わかっているよ一尉。さあ前進しよう」 ブツクサと呟いている上官たちに呆れた表情を浮かべている下士官に押し出されるように、彼らは歩き出した。 目標は敵司令部、ロマンチックに表現するのならば、圧制と貧困の原因が巣食う悪の本拠地である。 あちこちから銃声が響いている。 時折聞こえる鈍い音は、近くに矢が突き刺さる音か。 「撃ぇ!」 号令と共に轟音が響き渡り、オレンジ色の何かが塔へと突き進む。 一瞬の後に矢を無限に吐き出していた塔は消し飛び、悲鳴と警告の叫びが敵陣より聞こえてくる。 「航空支援はまだか!?」 「敵航空部隊と交戦中との事!片付けてから来るそうです!」 まったく、何が敵航空部隊だ。 せいぜいがセスナ並みの速度しか出せないドラゴンとペガサスの集団だろうが。 とはいえまあ、頭上から火炎や石材を投下されてはたまらない。 駆除してくれるのはありがたいことなんだろうな。 目の前のこいつらは、手元の戦力でどうにかするしかないか。 「艦隊より砲撃警報!ミサイル来ます!!」 「まてまてまてまてぇ!!退避だ!何でもいいから遮蔽物の陰に隠れろ!」 我慢の限界に達した艦隊からミサイルの支援が来たらしい。 頼むからあの立派な城には当てないでくれよ。 瓦礫の中から目標の人物を探すってのは面倒すぎるからな。 大尉の祈りは天に、というか対地ミサイルのシーカーに届き、ミサイルは頑丈そうな正門に飛び込み、それを一撃で粉砕した。 凄まじい、という他に表現の仕様がない爆発が発生し、砕かれた石材や人体の残骸が舞い上がるのが視界に入る。 「大尉!危険だから下がって!下がれ!!」 その様子を満足そうに眺めていた大尉を一尉が引っ張り、そのまま物陰へと押し倒す。 次の瞬間には人間サイズの岩石が二人のいた場所を通過し、その後ろにあった木に激突する。 「悪いな一尉」「そう思うのならちゃんと伏せてください」 粉塵と号令、悲鳴が飛び交う中で暢気に会話する二人の前に、飛ばされてきたらしい敵兵が落下した。 重そうな鎧を身につけた彼は、地面に叩きつけられ、肉体構造が衝撃に耐え切れず崩壊し、もちろん耐えられなかった鎧と共によくわからない物体へと変化した。 盛大に血を浴びた二人は、悲鳴を上げるわけでも激昂するわけでもなく立ち上がった。 「軍曹、負傷者はいるか?」 「一曹、ウチはどうだ?」 二人は奇妙なほどに冷静な口調で下士官に尋ねた。 「はい、ご安心下さい。誰一人欠けることなく戦闘続行可能であります」 「なんとか全員生きています。まだ行けますよ」 二つの軍隊の下士官は、次々と入る部下たちからの報告をまとめて伝えた。 結構な爆発ではあったが、奇跡的に死者は無し。 敵軍は頼みの綱であった城門を失い大混乱。 「よろしい、ならば前進だ。敵に立ち直る時間を与えるな。行くぞ!」 「我々も前進する。海兵隊に遅れを取るな」 武器を構えた兵士たちは前進を開始した。 破壊された門からは、いち早く立ち直れた古兵たちが飛び出してくる。 的確に状況を判断し、瓦礫を避けつつこちらへ向けて突撃を開始する。 遥かな昔ならば、ここで目を背けたくなるような凄惨な戦いが繰り広げられたであろう。 ところが、そこで起きたのは、極めて事務的に行われた現代の戦闘だった。 前進していた兵士たちは、上官の命令を待たずに遮蔽物へと隠れ、発砲を開始。 自動小銃と軽機関銃が唸りを上げ、敵兵たちは回避行動すら取らずに殲滅された。 「前進再開!城門を超えるぞ!!」 辛うじて生き残った数名が退避していくのを見つつ、一尉は命令した。 周囲には燃え盛る残骸と舞い上がる粉塵、BGMは悲鳴と絶叫。 その中を、陸上自衛隊とアメリカ合衆国海兵隊は突き進んでいった。 目指すは謁見の間。 現地民からの情報によると、敵の国家元首はそこで軍議を開いているらしい。 城内に突入すれば、そこまでは階段を二回登ればいいだけという情報だ。 「気合を入れろ!あと一息だ!!」 一尉の叫びに、全ての兵士たちは足を速めた。 西暦2020年1月30日 08:32 連合王国王都郊外 王城の北西2km 「突入した部隊は敵の司令部を制圧したそうです」 草が突然喋った。 よく見ると、そこから何か、細長いものが伸びている。 「敵の国王はやはり逃亡した後のようです。 敵軍司令部は壊滅、現在首都内では勧告に応じない相手に掃討戦が行われているようです」 「周辺に異常なし」 「情報どおりならばここに来るはずだ。見逃すなよ」 「了解しました」 いくつかの草が動き、そして再びその場は静かになった。 「周辺に異常な・・・前方250、数16」 何か金属が擦れる音がかすかに聞こえる。 そして、その場は静かになった。 やがて、大地を力強く踏みしめる音が連続して聞こえてくる。 現れたのは、豪華な馬車を二台連れた、騎兵の集団だった。 先頭を突き進んでいた数頭の馬が戸惑ったように立ち止まり、そこに乗っていた男たちは剣を抜いた。 豪華な馬車が止まり、そこからも剣を持った男たちが出てくる。 馬車を囲むようにして進んでいた騎兵たちも停止し、やはり剣を抜く。 周囲は静かだった。 命令も、怒号も、鳥の声も、足音も、何も聞こえなかった。 そこは、静か過ぎた。 「何者かは知らんが、姿を見せよ!我らは栄光ある連合王国近衛騎士団である! 素直に下れば命は助けよう!下らぬのであれば、討つ!」 大声で警告を発したのは、近衛騎士団21代目騎士団長である。 彼は幾多の反乱で常に最前線を駆け抜け、連合王国で最も強く、勇敢な男である事で有名だった。 ボンクラ揃いで有名な貴族の子の中で、唯一といってよい、有能な上級士官だった。 彼は公平で、勇敢だった。 指示に従わぬ有力貴族の子の首を跳ね、手柄を立てた平民の兵士に惜しげなく金貨を与えた。 そのような上官の下に、無能な、あるいは臆病な部下がいるはずもなかった。 数代前までは弱兵の代名詞だった近衛騎士団は、生還率と任務達成率の高さで知られる精鋭部隊だった。 普通の敵ならば、名前を聞いただけでも逃げ出すであろう。 飛んでくる矢を切り落とす騎士、ファイヤーボールが飛んでくるのを確認してからでも対応できる魔術師。 命令が下ればゴーレム相手にでも突撃できる勇敢な兵士たち。 近衛騎士団とは、そのような集団なのだ。 だが、相手が悪かった。 そこに展開していたのは逃亡兵狩りを楽しむ盗賊団でも、新たな支配者に寝返ろうとする裏切り者の集まりでもなかった。 世界最強のアメリカ合衆国軍特殊部隊だった。 電波で命令が下され、そして銃撃が始まった。 何かが破裂するような音が連続して聞こえ、音の速度を超えて飛来した銃弾が騎士団長に命中した。 命中弾は五発、頭部に一発、胸部に二発、下腹部に二発である。 脳を含む重要な臓器を一瞬で破壊された騎士団長は、32年4ヶ月の命を散らせた。 「騎士団長!」 騎士団長は、巨大な見えない手で殴り飛ばされたかのように馬上から吹き飛ばされた。 大声を上げて彼に駆け寄ろうとした臨時団長補佐は、急激に体が重くなっていく感触に気づいた。 それは、重力を操る魔法ではなく、彼の手に命中した銃弾が動脈を吹き飛ばした事が原因だった。 そのまま彼は、地面に向けて勢い良く突撃した。 起き上がる事は、二度となかった。 部隊を率いる二人が一瞬で戦死したが、残された騎士たちに、それを慌てる時間的余裕は与えられなかった。 発砲は繰り返され、その度に騎士たちは頭部に、腹部に重大な損害を受けて地面へと倒れ伏した。 この豪華な馬車を護衛していた全ての人間が打ち倒されるまでにかかった時間は、3分である。 西暦2020年1月30日 08:36 連合王国王都郊外 王城の北西2km 「馬車の中にいる奴!出て来い!ゆっくりとだ!!」 護衛部隊は視界に入る範囲内では全て射殺を確認している。 あとはこの馬車の中にいるのが誰なのかを確認し、そして射殺すれば終了だ。 さて、迎えのヘリを早く要請しよう、銃声を聞きつけて敵が集まってきたら面倒な事になる。 叫びつつ別のことを考えるという器用な事をする隊長の前で、馬車の扉がゆっくりと開かれた。 最初に出てきたのはアキハバラにいるような扇情的な格好ではなく、ヴィクトリア王朝時代のようなきちんとした格好のメイドだった。 完全に怯えきっており、瞳には涙を溜めている。 彼女は周囲に散らばる護衛の死体に目を留め、そして勢い良く嘔吐し始めた。 ふむ、これは脅威にはならなそうだが。 自分の娘ほどの少女を射殺する事に罪悪感を感じつつも彼は小銃を構えた。 「待ちなさい!」 凛とした声が拡声器を使ったわけでもないのに周囲に響き渡った。 次に馬車から出てきたのは、見事なプロポーションの女性だった。 それも、コルセットで無理やり腰を締めているようなものではなく、あくまでも自然体のである。 だが、それを見ても隊長はなんとも思わなかった。 強いて言えば、彼女を大地の肥やしにしてしまうことをもったいなく思うくらいである。 「馬車から離れろ。両手は上に挙げて、ゆっくりと歩け」 周囲から部下たちが銃を構えて近づいてくる。 国王の娘なのか奥方なのかは知らんが、彼女は毅然とした態度を崩さずに両手を挙げた。 「よーし、他にはいないのか?」 「この馬車にはいないようです!」 「聞こえているだろう!早く出て来い!!」 二台目の馬車に向かった連中が賑やかだ。 どうやら、向こうが本命のようだな。 視線を向けた隊長の視界に、馬車から引きずり出される太った男が入った。 兵士に髪を掴まれ、地面に引き倒されているのは、どうやら話に聞いていた国王で間違いないようだ。 「でかしたぞ」 隊長は笑顔を浮かべつつ国王らしい男に歩み寄った。 兵士の手を払いのけ、男を立ち上がらせる。 「失礼しました国王陛下、お怪我はありませんでしょうか?」 「な、なにものだ貴様ら、私に手を上げてただで済むと思うなよ!」 勇敢な事に、男は大声で隊長を怒鳴りつけた。 だが、言い終えると同時に周囲に倒れる近衛騎士団が視界に入ったらしく、顔を青ざめさせて黙り込んだ。 「それで?あなたは連合王国国王陛下で間違いありませんな?影武者や他の人間ではありませんな?」 隊長はあくまでも冷静に尋ねた。 尋ねられた国王は不思議だった。 目の前の男は何をそんなに確認したがっているのだろう? 自分が国王以外の何者でもないことぐらい、考えずともわかるだろうに。 「貴様は何を聞いているのだ?この私が連合王国国王以外の何者だというのだ?」 完全に混乱していた彼は、不幸な事にその回答と周囲の状況から導き出される結論に気づかなかった。 まあ、死の恐怖を感じることなく死ねるというのは、それなりに幸福ではあったかもしれないが。 乾いた銃声と女性の悲鳴が周囲に響き渡り、そしてそこは再び静かになった。 死体が散らばるそこに輸送ヘリコプターが飛来したのはそれから一時間後だった。 栄華を誇った連合王国は、日米合同攻撃隊の襲撃に、一時間三十六分しか耐えられなかった。
https://w.atwiki.jp/sinkiwiki/pages/11.html
プラモデル関係は種類が増えてきたので別ページにて紹介。 コトブキヤ モデリング・サポート・グッズ 通称M.S.G.関連はこちらで紹介。 ジャンル別武器表はこちら 武器 総合 剣、刀 銃火器 その他 総合 モンスターハンター 狩猟道具収集生活 基本的にそのまま持たせられる。 金属部品を使用しているので大型のものは重く、自立しにくい。 種類によっては素体の軟質部品が重量に負けて変形することがあるので注意。 一部グリップが太く握り手がゆるくなる恐れあり。 ボウガンはもちろん握り不可。両腕で抱えるしかない。 ドラゴンクエストアイテムズギャラリーの武具 こんぼうや魔神の斧といった、柄の太い一部の武器を除いて装備可能。 やはりというかなんというか、サイフォスとの相性が非常に良い。 神姫に持たせると片手剣でも大剣クラス。盾と両方持たせたいという人は、見た目のバランスに注意。 デュエルメイドシリーズに付属の武器類 特殊な物を除き、そのまま持たせることが可能ですが、武器の方が若干細い為に緩い場合があります。 海洋堂 リボルテック シリーズ 神姫より同サイズ~やや小さいので流用可能。しかし、ロボ系の武器はグリップが太いものがあるので注意。 figma 神姫とほぼ同サイズなので銃、剣以外にも魔法の杖やギター、金属バットまで流用可能。 その他食玩の武具 身長が10センチ前後のフィギュアに付属している武器・防具は簡単な加工で持たせやすいです。 例:イース、シャイニングウィンド、ヘルシング、テイルズオブシリーズ 1/6サイズフィギュアの小物 アクションフィギュアの標準サイズである1/6(12インチ)用は製造しているメーカーが多く種類も豊富ですが 1/6(12インチ)用は神姫には巨大なので(黒子のサブアーム用には使える。ムルメルティアのサブアーム用ならさらに合わせやすい)間違えて買わないように。 大抵のコレクショントイ(BOX物)も1/6です。 それに対して1/12(6インチ)用の物が神姫には使えますが出しているメーカも種類も少なく限られています。 剣、刀 ワンピーススタイリング・ロロノアゾロの日本刀 ワンピースのトレフィグです。ゾロの日本刀が良い感じとの事。 EVA特務指令#2・3(セガ・プライス) #2:くのいちをモチーフにしたシリーズで、忍者刀(短刀で直刃)、手裏剣、苦無、鎖鎌(鎖は固定)等が入手可能です。忍者モチーフのフブキさんにピッタリのアイテムです。 #3:ローマ時代の闘士をモチーフにしたシリーズで、マゴロクソードや量産機が持っていた両刃剣をモデルにした大剣、盾などファンタジー色の強いアイテムが入手できます。またレイの腰布も装備できます。 武シリーズ(武、武外伝新撰組、武外伝源平絵巻) 1/6と1/10の2種類の縮尺があります。 当初の武シリーズは1/10でしたが、シリーズ3以降(外伝含む)は1/6になっています。 いずれも柄の新造が必要で、刃の部分が金属製なので、柄に差し込む穴の加工が困難です。 差し込む金属の板状になっているため、単にピンバイス等で穴を開けるだけでは上手く固定できません。 例として、エバーグリーン社製のコの字型棒を上手く組み合わせて自作すると、プラ版のみより比較的容易で強度も保てますが、上級者向きです。 銃火器 アムドライバー(ジャケット付属の武器、強化武器) ピン径がほぼ共通ということもあり、各部や拡張スペーサーの穴に取り付けられる。 携行武器(リインフォースソード、ハンドガンetc)はグリップがかなり太め(約4mm) 装着装備(スパイラルバンカー、バリブルランチャーの胴体装着部etc)の利用はほぼ不可(自作ジョイントを作るかガトリングブレードのジョイントを使えば接続可能) 足回りの装備(初期ジャケットの脚部アーマーetc)や前腕部の装備(初期ジャケットの前腕アーマーetc)の利用は不可能(ただしティグリース・ウィトゥルースなど足裏にジョイント穴がある神姫はターボブーツが装備でき、前のピンを切り取れば兎ブーツにも接続可能)。 U.C. ARMS GALLERY 宇宙世紀に登場する武器のトレフィグ。 たいだい無加工で持たせられるようです。 海洋堂 リボルテック シリーズ EVANGELION 零・初・弐号機 付属武器はサイズ的にはほぼ適合しますが、全体的にグリップは太め。 特に銃器類はグリップを削らないと持てません。 スマッシュホークやマゴロクソードなど刀剣類はほぼそのままで持てました。 セイバー&オルタ カリバーン・エクスカリバー共グリップは細めで神姫手首に優しい。 ミニチュア ヱヴァンゲリヲン新劇場版武器セット ポジトロンライフルVer.とESVシールドVer.の2種存在し、従来品より小型のリボルテックミニチュア専用のためグリップが細く神姫の手にジャストサイズ。 ホビーショップ限定流通。 プロテクト・ギア「紅い眼鏡」版 付属武器がそのまま神姫サイズの実銃モデルとなる。グリップもピッタリ。 MG34、FG42、モーゼルミリタリーC96といったケレン味たっぷりののラインナップは圧巻。 EVA特務指令#1 / 1.1 特殊工作員がモチーフで、銃器は拳銃、サブマシンガン、メインウェポンがセットになっています。 メインウェポンは各々2種あり、 レイ(#1):RPG7、MP5F(フランス向け仕様)、AK47スペツナズ(東京マルイが電動ガンとして出した物。実銃は無い)、シグ ザウエル P226 レイ(#1.1):MG42、ステアーACR、AK47スペツナズ(東京マルイが電動ガンとして出した物。実銃は無い) アスカ(#1):M4A1、SPAS12(ストック無し)、MP5K、ベレッタM92F アスカ(#1.1):PTRS1941(シモノフ対戦車ライフル)、MP5F なお、グリップ、または手の加工が必要。 McFARLANES MILITARY アクセサリーパック 固定フィギュアで、米兵の戦闘シーンを再現したもの。8種類セット。 米軍の現用正式兵器が入手可能(M249、M4A1(?)、MP5A3、MP5SD3、AK74、AK74S、M21(?)、M24(?)) M21,M24はグリップ形状から持たせるのが難しい(SOL付属の特殊手首で対応可能?)。 また、たまにアクセサリーとして、ポーチやヘルメットが使えそうな場合もあるが、接着材で硬く固定されているので、根気よく分離する必要があ ります。 主にライフル、拳銃が入手できますが、拳銃はない場合もあります また、同名でさらに小さいフィギュア(1/24相当)もでているので、ネット購入の際は、サイズ等くれぐれも注意してください。 なお、グリップ、または手の加工が必要。 ダイソー ポリスフォース&バッドガイズ 基本的にバッドガイズの方に素敵なウエポンが多い傾向にある。 ダイソーの商品であるが一個400円(税込420円)と高額商品のため 置いてある店が少ない(と思う) FineMolds(ファインモールド)1/12?WorldFighterCollection 鳥山明デザインのデフォルメフィギュアに実銃が1丁ついている。(そのため1/12?) 装備品は1/12なので無改造でOK。 プラモデルなので当然自分で組んで塗装する。 1993-1996にかけて発売された、正直あまり見かけない。 全7種 各1800円(税抜)と銃1丁には厳しい価格。 ラインナップ ルドルフ突撃兵・ZB26(チェコの機関銃) ロジャース軍曹・トンプソンM1A1(米) 大清水一等兵・三八式歩兵銃(日本) ターニャ伍長・PPSh1941(ソ連) サンディ新兵・M16A2(米) マイヤー上等兵・MG34(独) 雲谷三等陸曹・64式小銃(日本・自衛隊) おそらく1番人気となるであろう雲谷三曹はファインモールド自社通販でも在庫なし。 2007/05/26現在一部の通販で取り扱っている。 ソリッドワークコレクションDXガンスリンガーガール 神姫サイズの実銃モデルが揃い踏み。 「武器が本体でフィギュアがおまけ」と言われるほど、フィギュアの造形に比べた銃器のこだわりようが半端でない。 ラインナップの半分がシグザウエルの拳銃である。 ライフル系はグリップ部分に小加工が必要。(ドラグノフは前後幅を切り詰め、AUGはハンドガードの下部分を切り取り) ラインナップ(フィギュアの色違いなど、銃器の種類がかぶっているものは除く) ヘンリエッタ(シグザウエルP239) トリエラ(シグザウエルP230SL) リコ(SVドラグノフ) クラエス(H&K VP70) アンジェリカ(ステアーAUG) エルザ(シグザウエルP228)※シークレット ORE-GUN 砲子さんやゼルのんと同じ柳瀬氏がデザインしている銃なのでしっくり来ます。一部の武器にはグリップの加工が必要です。 フルメタル・パニック?ふもっふ Moving 約12cmの可動フィギュアに銃火器が一丁付属。税込\945。 ブラインド販売なので、銃器目当てで買ったらハリセンが出てきてorzということも。 ラインナップ 千鳥かなめ(M136 AT-4歩兵携行対戦車ロケットランチャー or ハリセン) テレサ・テスタロッサ(FN P90 or M249MINIMI軽機関銃) 常盤恭子(ベネリM3スーパー90) 美樹原蓮(S W M49ボディガード+ドス) 佐伯恵那(レミントン・M870ソウドオフ) 稲葉瑞樹(パンツァーファウスト3対戦車ロケットランチャー) McFARLANE HALO フィギュアシリーズ 神姫とほぼ同サイズのフィギュアに武器が1~3個付属 武器に生えている、背中や太ももに装着するための棒はHALO3仕様ハンドガン以外は取り外し可能、太さは神姫には0.2ミリほど細いので木工用ボンド等で太らせる必要あり 人類側の武装は神姫の手にはサイズぴったりだが、ハンドガンとスパルタンレーザーはハンドガード部分が邪魔でやや持たせにくい(保持自体は可能) コヴナント(エイリアン)側の武器は全体的にグリップが太いので確実にひぎぃするので、持たせる場合は別売り素体の手で持たせることを強く推奨。 ロッドガン(黄色い肩担ぎ式ランチャー)とグラビティハンマーはサイズと重量とグリップ太さが尋常じゃないので神姫には担ぐどころか保持すらできないため改造必須、というか、本来の持ち主のスパルタンでも保持できない謎仕様。 ストラーフやムルメルティアの副腕に持たせようにもサイズは1/12相当なので持たせると小さく感じるサイズ比な上に副腕に持たせるにはグリップが細い、REACH仕様は軽くなったがデザインを忠実に再現したせいでグリップ回りのゴチャゴチャした装飾のせいで握れない、いう困った仕様。 ANNIVERSARY仕様のロッドガンは重量が軽くなったため、神姫でも担げるようになったが、グリップ太さは変わらずひぎぃサイズ。 同じHALOでもHALO REACH以降とそれ以前のHALO3とHALO WARSフィギュアの2世代があり、REACH版はそれ以前のHALOフィギュアよりサイズがやや大きめで、それに伴い武器サイズ(特にグリップ径)もやや変更されているので注意。ANNIVERSARY仕様は武器だけならHALO3とほぼ同じ仕様。 主要な武器だけを集めたHALO WARS WEAPONS PACKとスパルタン(人類側兵士)のお着替えセットが一式詰まったARMER PACK(全3種)というのがあるが、どちらも品薄。。(どちらもREACH以前仕様の神姫にぴったりサイズ) さらにREACH版のアーマーパックも順次発売しており、REACH仕様のウェポンセットも発売予定。入手難度はこちらの方が低い。 ANNIVERSARY仕様のアービターとコルタナに付属している、エンブレム用の大剣は神姫には大きいがストラーフmk.2等の副腕なら持てる。ただし大剣のグリップは副腕にはやや小さい。 スクエニからプレイアーツ改として出ているHALOフィギュアは、サイズが1/6(12インチ)用なので間違って購入しないように 表の記号 ○=無改造でそのまま問題なく持てる △=持てるがひぎぃする ▲=平手で挟んでごまかすか、グリップを細くする改造を要す ×=保持不能 ?=未確認 武器名 適正 付属フィギュア名 ハンドガン ○ キャット、REACH仕様ODST、各種アーマーパック等 サイレンサー付きハンドガン ▲ デア フォージ専用ハンドガン ○ フォージ サブマシンガン ○ マスターチーフ、ウェポンセット等 サイレンサー付きサブマシンガン ▲ ルーキー、デア アサルトライフル ○ UNSCトルーパーパック、ノーブルシックス等 DMR ▲ カーター、REACH仕様スパルタン・ODST等 バトルライフル ○ 3仕様ODST、エリート・アサルト、ANNIVERSARY仕様ODST等 ショットガン ○ エミール、スパルタン・スカウト(シアン)、UNSCトルーパーパック等 フォージ専用ショットガン ○ フォージ グレネードランチャー △ REACH仕様スパルタン・CQC スナイパーライフル ○ マスターチーフ、ジュン、スパルタン・ローグ(ブルー)、等 ロケットランチャー ○ スパルタン・EVA、スパルタン・グングニール(Olive/Tan)等 スパルタンレーザー ○ ジョンソン、ダッチ、HALO WARSウェポンセット,スパルタン・オペレーター(Team Red)等 ハチェットナイフ ▲ エミール ヘヴィーマシンガン ○ ジョージ プラズマガン △ ドローン、3仕様グラント・マイナー等 プラズマライフル △ 3仕様エリートマイナー、エリート・ウルトラ等 ブルートプラズマライフル △ マスターチーフ等 プラズマリピーター ? エリート・レンジャー(金色) ニードラー ▲ REACH仕様グラント・マイナー、REACH仕様エリート・マイナー等 ニードラライフル ▲ スカーミシャ・マイナー、REACH版ウェポンセット コンカッションライフル ▲ エリート・オフィサー、エリート・ゼロット、REACH版ウェポンセット等 コヴナントカービン △ 3仕様エリート・マイナー(TAN) ビームライフル ○ ジャッカル・スナイパー、エリート・フライト フォーカスライフル ▲ エリート・レンジャー ロッドガン 3仕様は×、REACH仕様とANNIVERSARY仕様は▲ ブルート・ウォーチーフテン、スパルタン・ハヤブサ、エリート・ジェネラル、ANNIVERSARY仕様グラント、COVENANT SPEC OPS 2-Pack等 エナジーソード 3仕様とANNIVERSARY仕様は▲、REACH仕様は○ 3仕様アービター、ANNIVERSARY仕様アービター、シップマスター、エリートSPEC OPS、インフェクション スパルタンODSTvsゾンビスパルタンズ 刀身無しエナジーソード ○ ANNIVERSARY仕様スパルタン・リーコン リパ・モラメ専用エナジーソード × アービターリパ・モラメ(HALO WARS仕様アービター) モーラー ▲ スパルタン・セキュリティ等 スパイカー ▲ ブルート・ストーカー、エリート・アセティック、ブルート・ジャンプジェット、REACH仕様ブルート・マイナー等 ブルートショット ○ スパルタン・ローグ(オリーブグリーン)等 グラビティハンマー × ブルート・チーフテン タルタロス専用グラビティハンマー × タルタロス UNIMAX TOYS CRYSIS2フィギュアシリーズ 3rdsmall素体より頭一つ分小さい1/18スケールのフィギュアに銃器類が3~5種類付属 銃はそのまま神姫に持たせられる ちゃんと引き金部分に神姫の指がフィットするので見栄えがいいが、1/18スケールなので細く感じる。人によっては小さすぎてまるで使えないレベル。 エイリアン側の武装を流用する場合は、ストーカーの武器腕は接続軸を太らせる、グラントとヘヴィーの武器腕は接続軸を削る、各種触手は接続軸を削る必要がある。 エイリアン側の着脱パーツは背中の触手×3のみ。 塗装してからパーツの切り分けをしたらしく、ランナー切断面が真っ白な成型色むき出しになっているので、塗装に腕の自信がある人は手直し推奨。 。・まだ日本では正式に発売していないらしく、アメトイ専門店でないとまず見かけない。(※2011年5月時点での話) メーカーがUNIMAX TOYSではない方のCRYSIS2のフィギュアは1/6サイズなので間違って購入しないように注意。 フィギュア名 付属武器名 備考 ALCATRAS Hammer ハンドガン SCAR アサルトライフル Jackal ショットガン DSG-1 スナイパーライフル JAW ロケットランチャー NOMAD Hammer ハンドガン Grendel アサルトライフル M2014 Gauss スナイパーライフル HMG 三脚付き重機関銃 C.E.L.L. Hammer ハンドガン MK.60 MOD 0 軽機関銃 M17Fグレネード 手榴弾 C4 爆弾 L-TAG 三脚付きグレネードランチャー その他 バンダイ EXMIAストライクノワール 背部拡張ハンガーにノワールストライカーを無加工で取り付けることが可能。 そのピッタリ具合は最強。色合い的に黒子か黒白子が最適。 (接続穴は四角だが、軟質素材のため拡張ハンガーの穴にすっぽりと入る。) ビームライフルショーティーやフラガラッハもグリップが細いので神姫の手に優しい。 また膝関節を取った後の足首部分のジョイントに 神姫軸(5弾・リペのジョイントパーツ外周のランナーを使おう。) を入れることで神姫の足首ユニットとしても使える まさに神姫にとっていたれりつくせりな一品。 改造のポイント 柄の自作 リューター 3ミリ丸プラ棒が挟めるリューターがあると便利です。 柄尻に向かって軽く円錐形になるように削ると、塗膜により太くなって も差し込みやすく、鍔や刃の根元のところで固定しやすくなります。 ピンバイスと1mm真鍮線 1mm径なら、柄の部分に容易に差し込めます。 1mm真鍮線を分断した柄の部分のつなぎに使うと、比較的丈夫に接合 できます。 コメント リボルテックゲッター1のトマホークは何とか持てるレベル。ブラゲのシキシマSPも行けるっぽい -- (名無しさん) 2007-09-23 16 16 28 ちょっと懐かしい所でORE-GUNシリーズなんてどうなんでしょ?アムドにはジャストだったように記憶してるのだけど。 -- (名無しさん) 2007-11-26 03 10 55 ORE-GUNは持てる奴と持てない奴がある。 -- (名無しさん) 2007-11-27 18 11 00 MGネモのビームサーベル刃が(標準のよりちょっと長いけど),黒白子のライトセイバーの柄に無改造でつけれる。 -- (名無しさん) 2009-02-17 02 39 32 ボーダーブレイクの武器を持たせる事も可能。流石はコトブキヤ、変態企業と言われる事だけはあるな。 -- (名無しさん) 2010-11-02 03 00 47 クーガーS型 Sクラスカラーの電磁加速砲・紫電は、片方を平手にすると劇中同様の持ち方に出来ます。 SP-ペネトレーターは両手とも握り手にしないと持てません。 -- (名無しさん) 2010-11-23 14 56 48 フリースタイル系ウェポンセットを購入したので、今夜神姫に適合するかどうか検証してみます。 -- (名無しさん) 2010-11-30 16 41 06 MSGウェポンユニットセットのフリースタイル・ガンとフリースタイル・バズーカは組み替えで様々な武器に組み替えられますが、握り手が太めで、更に重い為神姫が前に傾きます。また、フリースタイル・シールドはフル装備だと重過ぎる為、やっぱり前に傾きます。 -- (名無しさん) 2010-12-05 17 55 35 プラモデル系を別ページに移動、 -- (名無しさん) 2011-02-03 23 09 44 トミーテックのリトルアーモリーが使えるか試し中。出来たら記事に載せたい。 -- (名無しさん) 2014-05-25 21 31 16 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/nandayo/pages/430.html
FEATO式世界線におけるソ連境界戦争組織 「ソビエト連邦の境界戦戦力はアメリカ、およびNATO諸国の境界戦争戦力を凌駕しており我々は魔術格差(マジック・ギャップ)に立たされている」 ―――197■年度のCIA報告書 基本情報 ここではFEATO式世界線におけるソビエト連邦の境界戦争組織について取り上げる。ソビエト連邦における、界異の祓滅を主目的としているいわゆる祓魔組織は祓魔組織(F式ソ連)を参照のこと。 略称 戦略魔導軍・SVU等 代表者 ソ連閣僚評議会(~1990)ソ連大統領(1990~1991) 規模 とてもおおきい 本部 ソ連国防省 境界戦争とは 冷戦期以降に取り上げられることの多い概念。厳密には第一次世界大戦期から多く語られるようになってきた戦争理論であり、その端緒は1879年ズールー戦争にまで遡る事が出来る。 そもそも祓魔師、ひいては非化学的行為能力者(*1)の戦闘行為への従事はヨーロッパ世界において一般的なものではなかった。(*2)即ち唯物史観的な解釈において農村社会が封建社会化するにあたっての分業化が非化学的行為能力者の軍事的動員を妨げていたのである。(*3)ヨーロッパ世界においては19世紀までに一般化されつつあった政教分離の原則も相まって(*4)、近代社会とは「祓魔師など専門的かつ少数の宗教事業者の軍事的動員を拒絶する」ものであった。(*5) その中で西洋諸国は未開の地域との戦争において、未開地域における非化学的行為能力者との戦闘を経験する事となる。当然ながら中世期以前のヨーロッパ世界においては非化学的行為能力者の軍役は存在したものの、近代においてはあくまで軍人による戦闘が主であった。その結果としてズールー戦争において近代的なはずのイギリス軍は未開の蛮族に過ぎないズールー族のシャーマンらと交戦し、史上まれにみる長期化を招く。 一応はこれに勝利する事が出来たイギリスであるが、以後非西洋社会の見直し――ひいては祓魔師を動員した軍事利用の萌芽となる。(*6) この後の20-30年の間において社会構造自体は大きく変わることが無かったものの、第一次世界大戦の勃発とそれに伴う総力戦体制の出現により、宗教事業者のみが軍事的動員を免れる事は不可能となった。これは近視的には戦場で発生した穢れおよび界異の祓滅を担当する事であり、遠視的には「祓魔術や呪具の専門的な運用による敵国家と人民への直接加害」を意味することとなる。 第一次世界大戦においてイギリス等連合国側で用いられたとされる無号級界異“ホムンクルス”は、その最初期の例である。縁起として飼いならされた界異を改良し、より安全な形で戦地において大量に戦死した兵員を補充するために製造される“ホムンクルス”は戦後イギリスにおける戦死者を一部代替するに至った。(*7) 戦間期から第二次世界大戦期において、各国はこぞってクラシカル祓魔師の軍事利用および呪具・祭具の研究とそれの軍事利用について研究を進めていく事となる。ナチス・ドイツにおけるアーネンエルベをはじめとして、イギリスにおける王立魔術師協会、大日本帝国におけるミワシ部隊の設立などが主な例として挙げられる。 1917年のロシア十月革命において成立した社会主義国家、ソヴィエト連邦においてもその潮流は顕著であった。 しかし共産主義の是として無神論を謳う都合上、既存宗教に立脚したクラシカル祓魔師は駆逐される運命にあった。(*8)そこでソ連の共産主義者は「加護によって成立する現世でも、穢れによって成立する幽世でもない、労働者の為の新たな天地」――即ち“第三の幽世”概念を成立させ、科学的なアプローチでの祓魔術成立を目指していく。 ソ連の転換期でもあった大祖国戦争と大粛清期においては、伝統的なクラシカル祓魔師の撲滅と共産主義的祓魔術――規格化術式の発展が両立する時期である。同じく穢晶など霊素の分析と化学的利用法も研究され、1960年代前後までソ連はタクティカル祓魔の最先端を行く国家でもあった。 しかし第二次世界大戦の終結とともに、各国の祓魔事情は一変する。ドイツを含めヨーロッパ諸国に存在した祭具はアメリカやソ連によって収奪され(*9)、敗戦国である日本や国共内戦を経て成立した中国などにおいても呪具の散逸や界異の跳梁跋扈(*10)が発生。各国間の祓魔的バランスが大きく崩れ、東西冷戦という時代の流れの中で両陣営での祓魔戦力の拡充が取り上げられるようになる。 ここにおいて現実化したのが、「全面境界戦争」の脅威である。 通常の原爆よりも致死性の高い穢晶爆弾や結界工事などに伴う防穢装備の全面運用は言わずもがな、非化学的な行為を用いる祓魔師や祓魔術、呪具や界異――縁起に至るまで、ありとあらゆる祓魔分野の戦力を持って敵陣営を殲滅するという狂った戦争遂行戦略に基づき、米ソ両国の祓魔軍拡競争は加速する。 五号級界異や四号級界異を用いて敵国を直接攻撃し、また高度な呪具や儀式によって敵軍を撃滅、或いはその術者を撃退するための対抗術式の考案がなして、天災にも匹敵する界異を呼び出し、或いは迎撃し、恐るべき呪具を用いて儀式を為し、穢れを纏った爆弾によって汚染した土地を進む軍隊を保護するために祓魔師の結界を用いて、互いのカードを削り合いながら世界よりも一歩だけ早く敵国を亡ぼすという狂気の末――――ソ連の崩壊によって、この軍拡競争は幕を閉じた。 ……はずであった。 2022年のロシア・ウクライナ戦争で、202■年の台湾海峡国際紛争で、当事国同士が界異や呪具の軍事利用を行うまでは。 要約版 Q.つまり? A.縁起や呪具や祓魔術など、祓魔的サムシングを全面的に使った戦争。 F式世界線において祓魔師や祓魔術といった存在は基本的に一般社会に公開されていないが、各国指導部においては祓魔術をフルに使った大戦争とその戦略を大真面目に考案していた。 なお境界戦争という語彙自体は一般においても知られている。以下、語義を紹介する。 境界戦争(1) 穢れや加護などを使った戦争。単純に黒不浄弾や黒不浄爆弾、戦略霊子力潜水艦などを用いるものであり、穢れの致死性や穢染の永続性と合わせて1960年代以降全世界の一般市民にもこの恐怖は知られることとなった。 境界兵器規制条約(1978年)や特定有穢性兵器禁止条約(2002年)などによって規制が進みつつある。 境界戦争(2) 黒不浄爆弾などに加え、祓魔術や呪具や界異・縁起の類まで用いる絶滅戦争。カミサマから聖遺物までなんでもありな単純明快なチキンレース。一般的には知られていないが、各国指導部や祓魔師たちはこの概念を知っている。 非三次元戦とも。 組織 戦略魔導軍は西側がつけた呼称であり、実際には国防省特殊戦争総局およびソビエト連邦軍・KGBの境界戦部隊から構成される。 ソ連国防省特殊戦争総局 特殊戦争総局(英 Special Warfare Directorate, 露 Специальное Военное Управление, 略 SVU)とは、 参謀本部非化学戦総局 ソ連地上軍ならびに航空軍 1980年代のソ連地上軍は境界戦争兵力として2個非化学戦師団と5個非化学戦旅団を保有していた。これらは駐独ソ連軍司令部あるいは軍管区の直轄として配備されていた。 部隊 配置 備考 第343非化学戦旅団 ヴィリニュス,リトアニアSSR,バルト軍管区 第345親衛非化学戦旅団 ナロ=フォミンスク,モスクワ州,レーニン勲章モスクワ軍管区 軍管区統合により西部軍管区に移動 第349非化学戦旅団 ムカチェヴォ,ザカルパチア州,赤旗勲章沿カルパチア軍管区 第358非化学戦旅団 ソヴィエツク,カリーニングラード州,バルト軍管区 第374非化学戦旅団 シンフェロポリ,クリミア州,オデッサ軍管区 ソ連崩壊後はウクライナ軍に所属 第376赤旗勲章非化学戦師団 エーベルスヴァルデ,東ドイツ,駐独ソ連軍 1990年に廃止され第489師団に統合 第489非化学戦師団 エカテリノスラフカ,アムール州,極東軍管区 ソ連崩壊後,376師団と統合縮小され,第489赤旗勲章非化学戦旅団となる ソ連空挺軍 1980年代のソ連空挺軍においては、儀体化狙撃兵と称される義体兵が存在した。 本来はソ連の核戦略ドクトリンに従い敵後方への縦深浸透攻撃を担っていた(*11)ソ連空挺軍内の祓魔部隊であったが、アフガン侵攻を期に空挺軍部隊の敵後方浸透能力の更なる見直し(*12)と陸海空軍に頼らない空挺軍単独での作戦能力保持のため独自の境界戦力を保持するに至る。 ここで挙げられる儀体化狙撃兵(кластрелковые войска)とはクラデニェッツ(*13)によって武装し、また身体をこれらで置換したサイボーグのこと。その任務の特性上クビンカに集中配備され、およそ1個小隊、33名程度が存在すると言われる。 1978年頃から生産が進められたこれらは1号級界異“ホムンクルス”を素体として作成された人造人間であり、同時に革命の前衛として霊体器官(*14)を保持するように設計されたデザイナーベイビーである。その性質上軍隊の兵科・兵種にちなんだ千差万別の固有術式を保持しており、その戦闘力は1個分隊10名弱で4-5号級界異を撃退可能であるともされる。 命名規則は基本的に「ロシア語の人名」+「ソ連邦政府を父とする(父姓)」+「番号(奇数を――а、偶数を――ева、10の位をそのままで統一する)」となる。 人名 階級 霊体器官、職分 霊体器官の特徴 アレクサンドラ・ヴラディミロヴナ・イリュムジーノヴァ 少尉 無し?、小隊長 術理が言語化出来るものを他者に“教育”できる マリア・サユーセヴナ・アジーナ 兵卒 『歩兵』、小隊付 特徴無し歩兵として天才的な才覚を発揮する歩兵として……とは…………? リュドミラ・サユーセヴナ・ドーヴァ 伍長 『狙撃兵』、第1分隊選抜射手 狙撃兵として天才的な才覚を発揮する現実的には不可能な位置からの狙撃が出来る アリョーシャ・サユーセヴナ・トゥラヤ 伍長 『特技兵』、第1分隊分隊長 特技兵として天才的な才覚を発揮する実は儀体化狙撃兵小隊の中では最強 パーシャ・サユーセヴナ・チィトゥリェヴァ 軍曹 『砲兵』、第1分隊小銃擲弾射手 砲兵として天才的な才覚を発揮する砲爆撃を祓魔術によって実行できる タチアナ・サユーセヴナ・ピャーチナ 上等兵 『工兵』、第1分隊擲弾弾薬手 工兵として天才的な才覚を発揮する野戦築城などを祓魔術によって実行する エリザヴェータ・サユーセヴナ・シャスチェヴァ 曹長 『指揮官』、第2分隊長・小隊陸曹 指揮官として天才的な才覚を発揮する指揮官が出来る事を祓魔術によって実行する クリアーナ・サユーセヴナ・スェーミナ 『輜重兵』、第1分隊歩兵戦闘車乗員・操縦手 輜重兵として天才的な才覚を発揮する足りないものを補充できる ソフィア・サユーセヴナ・ヴォスィミェヴァ 一等兵 『軍楽兵』、第1分隊対戦車擲弾射手・小隊付ラッパ手 軍楽兵として天才的な才覚を発揮するバフが無茶苦茶得意 プリへーリヤ・サユーセヴナ・ジェーヴィチナ 『擲弾兵』、第2分隊小銃擲弾射手 擲弾兵として天才的な才覚を発揮する単純に強い オリガ・サユーセヴナ・ジェーシチ 『屯田兵』、第1分隊歩兵戦闘車乗員・砲手 屯田兵として天才的な才覚を発揮する侵略した地域の霊脈を乗っ取れる アレフティナ・サユーセヴナ・アジーンナッツァーチナ 『偵察兵』、第1分隊機関銃手 偵察兵として天才的な才覚を発揮するバレにくい グラフィラ・サユーセヴナ・ドーヴァーナッツァーチェヴァ 『管制官』、第1分隊歩兵戦闘車乗員・車長 管制官として天才的な才覚を発揮する脳内に直接情報共有とかが出来る オクチャブリーナ・サユーセヴナ・トゥリーナッツァーチナ 『整備兵』、第1分隊衛生兵 整備兵として天才的な才覚を発揮するなんでも直せる ユナ・サユーセヴナ・チィトゥルナッツァーチェヴァ 『便衣兵』、第2分隊選抜射手 便衣兵として天才的な才覚を発揮する変装が無茶苦茶得意 ナタリア・サユーセヴナ・ピェトゥナッツァーチナ 『衛生兵』、第2分隊衛生兵 工兵として天才的な才覚を発揮するなんでも治せる カミラ・サユーセヴナ・シャスナッツァーチェヴァ 『戦車兵』、第2分隊歩兵戦闘車乗員・操縦手 戦車兵として天才的な才覚を発揮する空気を固めて非実体式の戦車を作れる アントニーナ・サユーセヴナ・スェームナッツァーチナ 『跨乗兵』、第2分隊機関銃手 跨乗兵として天才的な才覚を発揮する乗り物から振り落とされない アリサ・サユーセヴナ・ヴォスィムナッツァーチェヴァ 『突撃兵』、第3分隊小銃擲弾射手 突撃兵として天才的な才覚を発揮する プリスコヴァ・サユーセヴナ・ジェーヴィトナッツァーチナ 『通信兵』、第2分隊歩兵戦闘車乗員・車長 通信兵として天才的な才覚を発揮する色んなところと通信が出来る イヴェット・サユーセヴナ・ドーヴァーツァーチ 『憲兵』、第3分隊分隊長 憲兵として天才的な才覚を発揮する色んな人を捕まえることが出来る エカチェリーナ・サユーセヴナ・ドーヴァーツァーチアジーナ 軍曹 『訓練幹部』、第3分隊歩兵戦闘車乗員・車長 部隊の訓練幹部として天才的な才覚を発揮する部隊員の成長度合いが無茶苦茶高くなる ルシア・サユーセヴナ・ドーヴァーツァーチドーヴァ 『猟兵』、第2分隊対戦車擲弾射手 猟兵として天才的な才覚を発揮する手にした銃火器を高練度で扱える ロクサーヌ・サユーセヴナ・ドーヴァーツァーチトゥリナ 『防空兵』、第2分隊歩兵戦闘車乗員・砲手 防空兵として天才的な才覚を発揮する非実体式の対空ミサイルや対空砲を制御できる テレサ・サユーセヴナ・ドーヴァーツァーチチィトゥリェヴァ 『法務官』、第3分隊歩兵戦闘車乗員・砲手 法務官として天才的な才覚を発揮する結界構築が無茶苦茶上手くなる イリーナ・サユーセヴナ・ドーヴァーツァーチピャーチナ 『空挺兵』、第3分隊機関銃手 空挺兵として天才的な才覚を発揮する自由落下ではダメージを受けない スヴェトラーナ・サユーセヴナ・ドーヴァーツァーチシャスチェヴァ 『電波技術兵』、第2分隊擲弾弾薬手 電波技術兵として天才的な才覚を発揮するレーダー的な事が出来る。電子攻撃も出来る アンジェラ・サユーセヴナ・ドーヴァーツァーチスェーミナ 『騎兵』、第3分隊歩兵戦闘車乗員・操縦手 騎兵として天才的な才覚を発揮する非実体式の騎兵を制御できる。ちなみにヘリも騎兵 セーミャ・サユーセヴナ・ドーヴァーツァーチヴォスィミェヴァ 『脱走兵』、第3分隊衛生兵 脱走兵として天才的な才覚を発揮するどんなところからでも逃げられる クリスティーナ・サユーセヴナ・ドーヴァーツァーチジェーヴィチナ 『情報兵』、第3分隊選抜射手 情報兵として天才的な才覚を発揮する情報の収奪や分析がとてもうまくなる エヴゲーニャ・サユーセヴナ・トゥリチャーチ 『火箭兵』、第3分隊対戦車擲弾射手 戦略ロケット兵として天才的な才覚を発揮する非実体式のロケット/ミサイルを制御できる ポリーナ・サユーセヴナ・トゥリチャーチアジーナ 『航空兵』、第3分隊擲弾弾薬手 航空兵として天才的な才覚を発揮する非実体式の航空機を制御できる ニーナ・サユーセヴナ・トゥリチャーチドーヴァ 『政治将校』、副小隊長 政治将校として天才的な才覚を発揮する視界の範囲内に居る全ての対象に“逃亡できない”という条件を課す ソ連海軍 KGB 1954年のKGB成立より前からソ連で活動する祓魔師。 所謂タクティカル祓魔師による国内祓滅の他、KGB議長直属の祓魔師『連邦少女』が存在する。もともとは内務人民委員会の部隊であったが、KGBの成立に伴い合流した。 各共和国および連邦KGBに各数名~100名の単位で部隊が配備されており、総兵力はおよそ500名弱となる。以下、詳細。 部隊名 配置都市、管轄組織、管轄地域 備考 マルチャニエ部隊 モスクワ,CCCPKGB第二総局,ソビエト社会主義共和国連邦(CCCP) 各共和国KGBから選抜された精鋭で構成される。崩壊後はロシアに合流 ミチェーリ部隊 モスクワ,RSFSRKGB第二総局,ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国(RSFSR) 1965年以降はCCCPKGBの指揮下に、1991年に再度RSFSRKGBに復帰。崩壊後はロシアに合流 ラーイカ部隊 キエフ,UkSSRKGB第二総局,ウクライナ・ソビエト社会主義共和国(UkSSR) マルチャニエ部隊によって接収が試みらられるもラーイカ部隊が拒否、崩壊後はウクライナに合流 ラヴィエーツ部隊 ミンスク,BSSRKGB第二総局,白ロシア・ソビエト社会主義共和国(BSSR) ロシアと委譲協定を結び、ベラルーシに合流 ブリャ部隊 タシュケント,UzSSRKGB第二総局,ウズベク・ソビエト社会主義共和国(UzSSR) 崩壊時にミチェーリ部隊によって接収され、崩壊後ロシアに合流 ミェーチ部隊 アルマ • アタ,KASSRKGB第二総局,カザフ・ソビエト社会主義共和国(KASSR) ロシアと委譲協定を結び、カザフスタンに合流 ヴォーク部隊 トビリシ,GSSRKGB第二総局,グルジア・ソビエト社会主義共和国(GSSR) 崩壊時にGSSRKGBから離反し、ロシアに合流 ロージナ部隊 バクー,AzSSRKGB第二総局,アゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国(AzSSR) 崩壊時にミチェーリ部隊によって接収され、崩壊後ロシアに合流 ピエールイ部隊 ヴィリニュス,LSSRKGB第二総局,リトアニア・ソビエト社会主義共和国(LSSR) 崩壊時にマルチャニエ部隊によって接収され、崩壊後ロシアに合流 ソコール部隊 キシナウ,MSSRKGB第二総局,モルダヴィア・ソビエト社会主義共和国(MSSR) 崩壊後は沿ドニエストル共和国に合流 クラースヌイ部隊 リガ,LaSSRKGB第二総局,ラトビア・ソビエト社会主義共和国(LaSSR) 崩壊時にマルチャニエ部隊によって接収され、崩壊後ロシアに合流 チェーニ部隊 フルンゼ,KiSSRKGB第二総局,キルギス・ソビエト社会主義共和国(KiSSR) 崩壊時にミチェーリ部隊によって接収され、崩壊後ロシアに合流 イネイ部隊 ドゥジャンベ,TSSRKGB第二総局,タジク・ソビエト社会主義共和国(TSSR) 崩壊時にミチェーリ部隊によって接収され、崩壊後ロシアに合流 ザーリャ部隊 エレヴァン,ASSRKGB第二総局,アルメニア・ソビエト社会主義共和国(ASSR) ロシアと委譲協定を結び、アルメニアに合流 シチト部隊 アシガバート,TuSSRKGB第二総局,トルクメン・ソビエト社会主義共和国(TuSSR) 崩壊時にミチェーリ部隊によって接収され、崩壊後ロシアに合流 シーニー部隊 タリン,ESSRKGB第二総局,エストニア・ソビエト社会主義共和国(ESSR) 崩壊時にマルチャニエ部隊によって接収され、崩壊後ロシアに合流
https://w.atwiki.jp/jfsdf/pages/781.html
西暦2020年7月21日 21:31 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 ゴルシアの街 近郊 「ねえ」 邪悪な笑みを浮かべた佐藤に声をかけたのは、ここまで同行していた先ほどの女性だった。 「手短に頼むよ」 「そういえば、どうして私に気がついたのさ?」 彼女は、裏の世界でも名の通った盗賊だった。 それが、ただ中庭を歩いていただけで拘束されたのだ。 不思議に思っても無理はない。 「あなたは、私たちのことを怖いと思いますか?特に、この三尉を」 塗料を塗りたくり、小銃を片手に待機している三尉を示しつつ、佐藤は尋ねた。 「あのねぇ、こう見えても、アタシは名の通った盗賊だよ? 気合の入った兵隊を見て怯えてるようじゃあ手下がついてこないじゃないさね」 「それが答えですよ。 あの城では、誰もがこいつらに怯えていた。 まぁ、突然やってきた新たの領主の、それも尋常ではない様子の兵隊ですから、無理もない事ですがね。 その隣を、美人なのに見覚えがないメイドが平然と歩いていたら、それは誰だって不審に思うでしょう」 後半はやや呆れたような発音で佐藤が言う。 「まいったねぇ、アタシとした事が、そんな下らない事でバレるとはね」 「さあ、納得してくれたところで静かにして下さい、始めますからね」 佐藤は女性を黙らせ、前方の村を睨んだ。 所々から酒を飲んでいるらしい男たちの歌声や歓声が聞こえてくる。 どうやら、こちらの接近は気づかれていないらしい。 しかし、こんな無用心な連中の存在に気づかないとは、俺も弛んでいたんだな。 「一尉殿、攻撃を始めないんですか?」 陸曹を従えた三尉が尋ねた。 佐藤に声をかけてはいるが、その視線は村へと向かっている。 「始めるぞ」 佐藤は襟元の送信機に向かい、小声で呟いた。 「撃ち方はじめ」 夜の闇を切り裂いて、無数の銃火が現れた。 連続して銃声が鳴り響き、そして村の中から悲鳴が溢れ出す。 「出来るだけ逃がすな。連中に立ち直る余裕を与えるなよ」 直ぐ隣で部下たちに命令を下している三尉に命じつつ、佐藤は視界に広がる地獄を見た。 いくつもの建物に分譲しているらしい敵軍は、控えめに言って大混乱だった。 彼らは、完全な奇襲を受けていた。 それもそのはず、この村は少なくとも一個小隊規模の歩哨によって警戒されていたのだ。 通常ならば、それらに発見される事なくこのような奇襲が起こる事はありえないだろう。 だが、佐藤たちにはそれが可能だった。 数名の盗賊と、無数のレンジャー資格者がそれを可能にしていた。 「左!弓兵だぞ!撃てぇ!」 佐藤の命令が下り、銃声がそれに答える。 大地に足を踏ん張り、今まさに弓を放とうとしていた敵兵たちは、全身を引き裂かれて壊滅した。 「一尉、敵が逃げます」 三尉の言葉に夜間双眼鏡を覗くと、剣を手にした男たちは、大慌てで森に逃げ込もうとしているのが見えた。 ふむ、あの太った男が指揮官か? 「逃がすなよ三尉」 「わかっております」 素早く小銃を構えた彼は、男たちに向けて短い連射を叩き込んだ。 佐藤の視界では、太った男の頭部が消え去り、周囲の男たちの胴体から何かが飛び散る情景が広がっていた。 「双眼鏡でわざわざ観察するものじゃないな」 不快そうに言いつつ、村へと視線を移す。 敵軍は相変わらず統制を取り戻していなかった。 続々と建物の中から剣を持った男たちが飛び出しては来るが、彼らは周囲から鳴り響く銃声に驚き、仲間の死体に怯え、そして銃弾で死んでいった。 「圧倒的じゃないか、我が軍は」 愉快そうに彼は呟き、敵兵の数をざっと数えた。 百人いるかいないかか? 残りはどこへ行ったんだ? 「二曹」 「敵は大半をどこかへやったようですね。まずい事になりました」 「城は無事か?」 「今のところ襲撃を受けたという報告は入っていません」 「ふむ」 銃声の鳴り響く中、佐藤は残りの二百人の行方を考えた。 この周辺で奇襲の準備をしているのか? いや、さすがにそれだけの人数を見落とすほどこっちは無能じゃない。 では、まだ建物の中にいる? いや、○ナバ物置じゃあるまいし、そこまでの人数が入るとは思えない。 いや、イ○バ物置は百人入ってもではなく、乗っても大丈夫だったか。 いや、そんな事を考えている場合ではない。 「周辺警戒を怠るな。どこへ行ったと思う?」 「もちろん命じてあります。 敵の兵站部隊のルートを辿るべきかと。恐らくはその先に」 一個中隊を養える兵站ルート。 その先には、当たり前の事だが物資集積所か何かがあるはずだ。 そして、そこに物資を集めるための組織がある。 武力による徴発だけで、物資を集め続ける事などできるのか? 「三尉」 「はっ」 いつの間にか長距離行軍の準備を整えた三尉が、一個分隊と共に現れた。 「ん、よろしい、一個分隊を率いて撤退する敵軍を追尾しろ。 敵の兵站拠点を発見次第連絡だ」 「了解しました」 「攻撃はもう直ぐ終わる。そしたら頼むぞ」 命令を伝え終わると、佐藤は村へと視線を戻した。 戦闘は終わろうとしていた。 敵軍はとうとうこちらを認識せずに、撤退を決意したらしい。 男たちの集団が、銃弾によって削り取られつつも村から離れつつある。 「行きます」 佐藤の隣を三尉率いる偵察班が駆け抜け、集団の後を追って村から離れていった。 「前進する!生存者に気をつけろ!!」 彼は声を挙げ、前進を開始した。 眼前に広がる村では、銃弾を受けた男たちの呻き声が絶えず聞こえていた。 西暦2020年7月21日 21:42 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 ゴルシアの街 近郊 「うわぁ、こいつはひでぇな」 自分の命令で発生した地獄の中で、佐藤は他人事のようなコメントを発した。 「生存者に気をつけろ!」 口々に警告の言葉を発しつつ、前進を続ける部下たちを眺める。 死体を蹴り飛ばし、様子がおかしいものには容赦なく銃剣を突き立てる。 今のところ、三人ほど死んだ振りをしていた敵兵を殺害しているが、こちらに損害は発生していない。 「弱すぎますね」 佐藤の隣で小銃を構えつつ警戒していた二曹が言った。 確かに、敵はあまりにも弱すぎた。 奇襲をかけ、さらに夜闇から自動小銃や機関銃で攻撃を仕掛けたのだから一方的になるのはわかる。 しかし、それにしても敵は弱すぎた。 「何かあるな・・・ん?」 「どうされました?」 「見てみろ」 並べられた死体を指す。 「なんですか?ああ、これは」 二曹は納得したらしい。 そこには、兵隊といわれて思い浮かぶような男たちの姿はなかった。 どれも年配の、この世界ならば老人と呼んでも差し支えのない年代の男性しかいなかった。 「予備役か?」 「この世界の軍隊制度から考えると、徴兵された村人かなにかかと」 「ふーむ、それならば弱さも理解できるか」 納得しつつ、一際大きな建物に視線が向く。 あの中では、強制的な奉仕活動に従事させられていた女性たちを衛生科が治療しているはずだ。 何かに違和感を覚える。 建物は普通だ。 ならばなんだ? 死体もいい、それはそこらじゅうにある。 違う、血飛沫のかかった壁、そこにある国旗。 それは、見た事もない国旗だった。 「おい、ありゃあどこの国旗だ?」 「え?ああ、確かに見た事がありませんね」 二曹も見覚えがないらしい。 「あれはグレザール帝国の国旗じゃないか」 二人に女性が声をかけた。 見ると、手下を連れた女性が、死体の山に顔を顰めつつこちらへ歩いてくるところだった。 「連合王国の国旗がないところを見ると、この連中、グレザール帝国の軍隊だね」 「帝国の?うーん、それはまずいねぇ」 見る見るうちに憂鬱そうな表情になる佐藤。 旧連合王国領の統治すら完成していないのに、また新しい戦争が出来るわけがない。 それなのに、俺たちは盛大に始めてしまった。 司令部にどう報告したらいいものか。 「焼いちまおう」 「は?一尉、いまなんと?」 「なんでもない。民間人を保護し、撤退する。急げ!」 西暦2020年7月23日 13:00 ゴルソン大陸 日本国西方管理地域 ゴルシアの街 陸上自衛隊ゴルソン方面隊ゴルシア駐屯地 「はい、そうです一佐殿」 通信機に向かった佐藤が恐縮した様子で話す。 基地に帰還した後、佐藤と二曹はなかった事にするか、それとも事実を偽造するかで盛大に衝突した。 だが、いずれはバレるであろうという判断と、これが悪しき前例になる事を考え、正直に司令部に報告する事になった。 指揮権剥奪の上待命を申し付けられるか、はたまた銃弾をもう一発だけ使用して現世逃避するように命じられるか? 佐藤の内心は憂鬱さと恐怖で一杯だった。 <まずい事をしてくれたな一尉。と言いたい所だが、まあいい> しかし、通信機から流れ出た言葉は、彼の想定の範囲外にあった。 「は?」 <まあいいと言ったんだ。こちらの所属はバレていないな? 武士みたいにやあやあ我こそは陸上自衛隊一等陸尉であるとか言っていないな?> 「ああ、それは大丈夫です。先ほど報告したように、闇夜に乗じての十字砲火ですから。 連中、こちらの存在すらきちんと視認しているかどうか」 <・・・はい?わかりました。一尉、外務省の鈴木さんと変わる> ごそごそと人が動く音が聞こえ、聞き覚えのある役人の声が通信機から流れ出した。 <聞こえますか?外務省の鈴木です。お久しぶりですね> 「お久しぶりです、それでご用件はなんでしょうか?」 <グレザール帝国軍と交戦したという事ですが、敵軍は連合王国と大差のない存在で間違いありませんね?> 「ええ、あれが標準だとすれば、連合王国と変わりません」 おいおい、まさかこの男、また戦争する気かよ。 答えつつ、佐藤はこの先自分が見舞われる運命が、なんとなく予測できた。 <こちらで掴んでいる情報でも同様です。 ご安心下さい、万が一、連中と戦争になったとしても我が国が敗北する事もないでしょう。 彼らの戦術面ではどうでしたか?> 「戦術面はわかりませんな、何しろこっちの奇襲から立ち直ることなく壊走していきましたから。 ああ、つまり大した事がないってことか」 勘弁してくれよ。 佐藤の心の中は、その一言で埋め尽くされていた。 チートコードを入力したら物資が無限に沸いてくるわけじゃないんだぞ。 <ご安心下さい、勝手気ままに戦線を拡大するつもりも余裕も、まだ日本にはありませんよ> 「まだ?」 <覇権国家同士は、いずれ衝突する運命にあると考えて当然でしょう?> 「日本はこの世界において覇を唱えると?」 <当たり前でしょう?> 鈴木は呆れたような声を出した。 <我々日本人が元の生活水準を取り戻すには、拡大は避けては通れない道です。 そして、剣と魔法の世界で拡大を行うには、信頼と友情よりも重視すべきものがあります> 「リアルシヴィライゼーションでもしているつもりか?」 <私はね、佐藤さん。 高給が欲しくて外務省に入ったんじゃない。 世界のみんなと仲良くしたいんです、などと小学生みたいな目的でもない。 外交という道具を駆使して、日本国をより一層発展させ、世界一の超大国にするために外務省に入ったんです。 その為に戦争が必要ならば、躊躇する必要はない。 そう判断したからこそ、連合王国を滅ぼし、グレザール帝国との戦争も止むなしと考えているに過ぎません> 「なるほどねぇ」 佐藤は納得した。 少なくとも危険な男ではなさそうだ。 公共の利益と合致する自身の目的のために、必要と判断した行動を取る。 公務員として、恥ずべき行動ではない。 「それで、自分たちはどうすればいいのでしょうか?」 <時期が来るまでは情報収集に当たってください。 貴方の担当している地域は、非常に重要な意味を持つ可能性があります。 こちらの情報が漏れない範囲で、可能な限りグレザール帝国の情報を集めてください> 「僅か一個中隊で?」 <必要な人材、機材などは、自衛隊の上の方で回すでしょう。 そこは私が口を挟める事ではないからわかりかねますが、救国防衛会議は、可能な限りご協力しますよ> それじゃあ日本の総力を挙げてのバックアップがあるという事じゃないか。 おいおい、俺はそんな重大な任務を取り仕切るような人間じゃないぞ。 「わかりました。微力を尽くします」 <尽くしてください。少なくとも俸給に見合った額はね。 それでは一佐殿に代わります> 公務員としては信頼できるが、人間としては好きになれそうもない奴だな。 そんな事を思いつつ、佐藤は一佐に必要と思われる物資や支援を要請した。
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/1021.html
前ページ次ページなのはクロスの作品集 はやて編3話『争いは混沌の果てに・・・後編』 注:これはあくまでヒロイン争奪サバイバルゲームです。まじめに見ると馬鹿を見るので 肩の力を抜いて、シンが頑張ってんのにお前等何やってんの! と言う気持ちで見てください 元第一地上前線本部 なのはとティアナ達の死闘が始まってから既に三十分。 そこは生命の息吹など微塵も感じられない荒野となっていた。 テントや資材は跡形もなく吹き飛び、ついさっきまで平坦だった大地は人が通ることすら困難なほどにクレーターだらけになっている。 ぺんぺん草どころか微生物すら蒸発している大地に、ボロボロになった三人の少女が横たわっていた。 スバル「・・・つ、よい」 ティア「・・・・こんなの、悪魔なんて表現じゃ・・・生ぬるいでしょ」 ギンガ「三人がかりでも・・まるで歯が立たないなんて・・・」 ところどころ擦り切れたバリアジャケットと、彼女達の憔悴しきった姿が痛々しい。 体につけてある風船もティアナ達が合計しても五つなのに対して、なのはは未だ三つのままだ。 なのは「私言ったよね? 勝てるなんて幻想だって・・・。 Aランク魔導師が三人集まったくらいでどうにかなると思ってたの? あはははっ!! 私の言ったことそんなに間違ってるかなぁ?」 精神のたががはずれヤンデレ化した『ナノハサン』は、通常の三倍の壊れっぷりでティアナ達を圧倒していた。 まさに『白い悪魔』だ。気のせいか目も赤く光っている気がするし、台詞回しといい強さといいまんまラスボスである。 ティア「・・・スバル、あんただけでも逃げなさい。ここは私とギンガさんがなんとしても持たせるから・・・」 始まってから幾度砲撃を受けただろうか。 どれだけ撃っても尽きることのないなのはの圧倒的な魔力量は、確実に彼女らの戦う意思を奪い取っていた。 ギンガ「ええ、現状ではそれが最善の手だわ」 ギンガさんもそれに同意する。 なのはの無傷の風船三つに対し、自分達はすでに二つ。 残りの体力も考えると、落とされることあっても全員無事に逃げ切れる可能性は低い。 それならば指揮官として最善の方法を取るべきだとティアナは判断を下す。 ティア「新式のシフトDも通用しなかったし、くやしいけど、このまま全滅するくらいなら・・・」 自分とギンガが囮となりスバルを逃がす。それならば最低一人は生き残れる。 ティア「あたしが合図したら本部に真っ直ぐ向かうの。いいわね、スバル」 スバル「そんなのいやだよ!」 ティア「いいから行きなさい! このまま意味もなく全滅したら、あたしの指揮能力が疑われちゃうでしょ!」 スバル「・・・でも、ティア、ギン姉・・・」 ギンガ「そんな顔しないの。これはゲームなんだから死ぬことはないわ」 そのとき、今まで一言も発さなかった彼女達のデバイスが戦いが初めて話しかけてきた。 (判りにくいので和訳) ブリッツキャリバー『まってください、マスター』 マッハキャリバー 『私達はまだ戦えます。それなのに諦めるつもりですか?』 クロスミラージュ 『何もできずに負けてしまっては、あれから何も成長していない ことになります。あなたはそれでも良いのですか?』 彼らだけは気付いていたのだ。 今の自分達の状態で敵に背を向ければ全滅は免れないことを。 そして、まさに冥王と化した『ナノハサン』を倒せる唯一の方法に! ティア「無理言わないで。あんた達だって見てたでしょ。いくら攻撃したって、あの鉄壁の防御力の前じゃ無意味よ。 ギンガさんの全力の一撃が片手で受け止められたのよ」 マッハキャリバー『触ることすらできなくても、風船をやれば彼女は脱落します。その方法ならあるはずですよ』 ギンガ「触らなくても・・・そうか! 『振動破砕』!」 ギンガの答えに三体は満足そうに点滅した。 いくらナノハサンでも一応人間だ(たぶん)。 バリアブレイクと一撃必殺の威力をもつ「振動破砕」を二つ同時に打ち込めば、 いくらナノハサンでもひとたまりもない・・かもしれない。 ティア「・・・やってみる価値はあるわね。でも、あの人は機動性も伊達じゃないわ。 一瞬でウイングロードの届かない上空まで逃げられたらやりようがないわよ」 ギンガ「動きを止めて、なおかつ必殺の一撃を食らわせられる技といえば。 ・・・・スバル、アレを使うわよ!」 スバル「アレって・・・まさかアニメで見たアレのこと!?」 ティア「ちょっと、何の話? ぜんぜん読めないんだけど!」 ギンガ「たった一つだけ方法があるの。だからお願い。二人とも力を貸して!」 なのは「おかしいな。皆もっと手ごわかったはずなのに・・・。どうしちゃったのかな。 ああ、今日は魔力リミッター解除してたんだっけ。じゃあ、最後のお話も終わったみたいだし、そろそろ再開しようか」 自分の勝利を信じているのか、なのはは余裕の表情だ。 だが、古来より言われているように余裕は慢心を生み、慢心は隙を生む。 そして、相手が命を懸けて向かってくる戦場では一瞬の隙が命取りになるのだ・・・・ってどこかで誰かが言っていた。 ティア「(全員の余力をかんがみても、これが本当に最後の一撃。必ず決めないと・・・) はあぁぁぁぁっ!!! ファントム・・・ブレイザァアアアアーーーーッ!!!」 なのは「そんなものが今更・・・」 ティアナの全力の必殺技はなのはのディバインバスターの前にあっけなくかき消される。 ティア「引っ掛かった! 今よ、スバル、ギンガさん!」 初めから暴走ナノハサンにこの程度の技(ティアナにとっては必殺技なのだが)が通用するなんて思っていない。 これは作り上げた煙幕によって隙を作り・・・。 スバル「取った! ダブル・・・・」 ギンガ「行けぇ! リボルバー・・・・」 ――――――両側から姉妹同時攻撃を決めるための布石! なのは「その程度の手が見抜けないとでも思ったの? アクセルシューター、打ち落として!」 なのははありえないほどのスピードでアクセルシューターを周囲に展開した。 その数は優に三十を超えている。 そして、それらは一目散にギンガとスバルに向かっていった。 ギンガ「! きゃああああ!」 爆煙に包まれギンガが落ちていく。 ギンガの二つ目の風船が割れたことで彼女の残りの風船は一つ。 あの体制からなら、こちらへの追撃は不可能だろう。 もうすぐスバルもおちる。二十発近くのアクセルシューターを全て避けきれるほど、彼女は回避がうまくない。 なのは「いい手だったね。煙幕にまぎれての左右同時攻撃。でも、これで終わり・・・」 だが、スバルのほうに打ち込んだはずのアクセルシューターはすり抜けていった。 これでお終いと油断していたなのはは、このタイミングでの幻影の使い方に意表を疲れる。 なのは「えっ! スバルは幻影?」 ギンガ「・・・・後は任せたわよ、スバル」 ティア(おそらく、普通に隙を作ろうとしても通用しないわ。だから、最後に懇親の力で攻撃すると見せかける。 頼むわよ、スバル) 自分を倒せるとしたらISの超振動による合体攻撃しかないはずだ。 何故このタイミングでティアナ達の方からそれをはずしたのか、なのはは冷静に分析する。 答えはごくシンプルだ。 彼女達には『それ以上の切り札がある』! スバル「ありがとう、ティア、ギン姐。おかげで・・・完成したよ。この必殺技が!」 ギンガ「ええ、上出来よスバル」 なのはは落ちていくギンガの方を見てみて驚いた。 彼女は最初から左手のリボルバーナックルを装備していなかったのだ。 全てはスバルに力を集中させるためのフェイク。 なのはを落とすために三人が編み出した最後の奇襲。 なのは「リボルバーナックルが両手に!じゃあ、ギンガさえ囮!」 ギンガ「これが勝利の鍵よ!」 スバル「はあああああああ!」 突如、ウイングロードを覆い隠していた煙の中から、魔力を帯びた巨大な風の渦が生まれ なのはを渦の中に閉じ込めた。 スバルは最初からギンガの後ろにぴったりと付いて隠れていたのだ。 アクセルシューターをくらい、大げさに下に落ちる振りをしてみたのも展開しっぱなしのウイングロードから目を逸らすためだ。 なのは(この風圧じゃうまく動きが取れない! 突破できないことはないけど、 一瞬でも隙を見せれば・・・!) スバルの両腕に装着されたリボルバーナックルが超回転することによって、加熱した空気が渦を巻き、敵の動きを渦の中に閉じ込める。 スバル「なのはさん、覚悟!」 なのはの力量なら周りを取り囲む渦を抜けることも不可能ではない。 だが、この渦に巻き込まれ、僅かでも体制が崩れればスバルの強烈な一撃は防ぎきれなくなる。 超振動を一撃でも貰えば、自分と違って柔らかく何の防御能力も持たない風船は簡単に割れてしまう。 だったら・・・。 なのは「打たれる前に撃て! レイジングハート! エクセリオンモード ドライブ」 ――――――『IGNITION』 なのは「アクセルチャージャー起動、ストライクフレーム」 ――――――『OPEN』 なのは「エクセリオンバスター ACS ドライブ!」 ウイングロードが真っ直ぐになのはの元へと伸びていく。 スバル「いくよ、マッハキャリバー!」 ――――――『はい、相棒』 スバルは一瞬だけ、自分の『相棒』に微笑みかけるとスバル「フルドライブ」 ――――――『IGNITION』 スバル「ギア・エクセリオン!!!」 ――――――『A.C.S. STANBY.』 スバル「いきます、なのはさん!」 なのは「遊んであげる。おいで、鉄女」 レイジングハートとダブルリボルバーナックルが組んだ拳と槍と化した巨砲が激しくぶつかり合い 凄まじい光と轟音があたりに響く。 なのは「強くなったね、スバル。でも、これで終わりだよ。・・・ブレイク!」 ティア「まさか、なのはさんはあの体制からでも討てるの!スバル、逃げて!」 ほぼゼロ距離からの砲撃にスバルはかわす術を持たない! スバル「くっ・・・!」 なのは「シュート!」 掛け声にあわせて発射された『高速突撃砲エクセリオンバスターA.C.S』はほとんど真正面からスバルに直撃した。 ティア「スバルーーーッ!!!」 ティアナの絶叫が荒野(になった草原)に響く。 なのは「ほぼゼロ距離で、全力全壊のエクセリオンバスターの直撃。 よっぽどのことがない限りはこれで落ちるはず。そう、リインフォースでもない限りは・・・」 リインフォースの名を思い出して、なのはの心が僅かに疼く。 目の前で苦しんでいた彼女に何もできなかった事実はいまでも彼女たちの胸に暗い影を落としている。 後悔や無念・・・些細なきっかけで蘇った苦い記憶は、瞬く間になのはの心を蝕んでいく。 分にも満たない気の迷いだったが、刹那の判断が生死を分ける戦場において、その時間はあまりに長すぎた。 スバル「まだまだぁ!!!! 」 直撃を貰いながらもスバルは止まらない。 振動拳を前に向かって展開することで、偶然にも魔力素の大半を弾いていたらしい。 なのは「・・・しまった!」 とっさにレイジングハートの柄で攻撃を受け止めるが、スバルの「振動拳」は防御そのものを受け付けない。 レイジングハートはなのはの両手ごと上方に弾かれてしまう。 スバルはそれを見て、技を完成させるため両腕を胸の前で組みなのはに向けてかかげた。 スバル「一撃・・・・必倒!」 魔力を片手で練り上げ、前方にそれぞれ一つずつ魔力スフィアを形成し、 それを維持した状態で両手を組むことで、二つの魔力スフィアは一つとなる。 そして両手を組んだまま、相手に向かって数倍に威力が膨れ上がったディバインバスターを打ち出す。 辛く厳しい訓練の中で編み出したスバルの最終必殺技が、ついになのはに向け放たれた。 スバル「ツイン・・・ディバイン・・・バスター!」 ティア「これ、まんまヘルアンド○ブンじゃ・・・」 ギンガ「勝つのは勇気あるものよ」 ティア(このサイボーグ姉妹相手にわたし一人じゃ突込みが足りないわ・・・orz) フェイト「そうだね♪ 何とかしないとね♡」 ギンガ「い、いつの間に隣に!」 ティア「って人の心を読まないでください!」 ツインディバインバスターの輝きが消える。 そこには、ほぼゼロ距離で魔法を打ち返され動きを止めたなのはと追いすがるスバルの姿があった。 なのは「ぐ、このくらいなら・・・」 なのは自身にはダメージはほとんどないようだ。直前でシールドを何十にも張ったのはさすがというべきだろう。 だが、衝撃で三つの風船の内一つはバラバラになっていた。 なのはの体制が崩れた千載一遇のチャンス。ティアナ達が追撃しないはずがない。 スバル「ギン姉! 受け取って!!」 この隙に、ギンガはウイングロードで一気に飛び上がりスバルから左手のリボルバーナックルを 受け取ると落下しかけたなのはに強襲を掛けた。 ギンガ「今よ! 合わせなさい、スバル!!」 スバル「ナノハサン、覚悟! 疾風! 三・連・撃!! 」 (注:回転しているのは腕のデバイスだけです) ギンガ「 旋風! 回・転・脚!! 」 (注:足は回転していません) ナノハサンが体勢を立て直せない隙に、姉妹の息のあったコンビネーションがこれでもかというくらい気持ちよく決まっていく。 卑怯かもしれないが、戦いは非情なのだ。 実際問題、ナノハサンの戦闘力のほうが卑怯です、ホント。 スバ・ギン「とどめ、疾風!! 双 連 撃!!!」 なのは「きゃああああああっ」 止めの一撃も見事に決まりナノハサンはそのまま干上がっていなかった湖まで吹き飛ばされ,水柱と共に水底に消えていった。 バリアジャケットがあるため死にはすまい。 だが、かなり効いたはずだ。 戦略的に考えるなら、前線隊長の戦闘力を奪うだけでも十分こちらの勝ちと言えるだろう。 スバル「はぁはぁ、・・・・やった?」 ギンガ「・・・・たぶん、ね。二人ともお疲れ様」 スバル「やったよ、ティア~! 私達とうとう勝ったんだよ♪ あのナノハサンに!」 ティア「こら引っ付くな! ・・・そうね、あんたにしてはいい動きだったわ (ホント、今度ばかりはよくやったわよ)」 ギンガ「でも、最後のアレはもう駄目かと思ったわね」 スバル「えへへー」 ティア「さ、時間もないし早く後方の部隊と合流しましょ。」 ――――――勝手に終わらせないでくれるかな ・・・何が起こったの? わからない。 何か聞こえたかと思うと、気が付けばみんな地面に突っ伏していた。 そうだ、声の方向に振り向いたら、いきなりピンク色の魔力光が目の前に迫ってきて・・・。 なのは「あ~あ、風船が残り一個になっちゃった」 ティア「あ・・あああ・・」 信じられなかった。信じたくなかった。 あれだけ頑張ったのに。アレだけ努力したのに。この人はいつもそこに平然と立っている。 ――――――ホントに人間なの? なのは「誤算だったなぁ。三人がこんなに強くなってるなんて・・・。でも、残念。あと一歩がんばりが足りなかったね」 体ももう動かない、逃げる術もない、救援も来ない。 ギンガ「・・・・万事休す・・・ね」 チャージを済ませたレイジングハートが自分達に向けられ、三人は今度こそ覚悟を決めた。 パアンッ! ティア「・・・ひっ! 」 しかし、幾ら待とうと何も起こらない。 テ・ス・ギ「・・・・・・・・・?」 不思議に思って恐る恐る目を開けてみる。 普段なら開けた瞬間、撃ってくるなどといった鬼畜的所業はとてもしないだろうが、 今はなのはさんではなくナノハサンだ。わかるものか・・・。 スバルティア「え!?」 ギンガ「・・・・・なんで」 目を開けたティアナたちは驚愕した。 なのは「・・・なんで、私の風船が・・・?」 割れた風船はティアナたちのものではなくナノハの風船だった。 しかし、何故? どうして? 周りに味方がいないのは魔力反応を見ても明らかだったはず。 おまけにここら一体は荒野と化したため、潜む場所など存在しない。 ならば、誰にも気付かれないまま誰がどうやってなのはの風船を割ったと言うのか? いや、それを成せる人間が機動六課に一人だけいた。 ??『どうやら、射撃の腕前は落ちてねぇようだな。毎日覗きで鍛えてただけはあるぜ』 テ・ス・ギ「「「 ヴァイス陸曹!!! 」」」 ヴァイス「やばそうだったんで手を加えさせてもらった。どうだ、当たったか?」 通信機から入ってきた音声に目を丸くするティアナたち。 なのは「ホント・・・誤算・・・」 注意深く探れば見つかったかもしれない。 二次の方向に微かに見える魔力反応を。 戦闘開始から今まで一度も動くことなくなのはを見つめ続けてきた男の存在を。 穏健派射撃部隊筆頭ヴァイス・グランセニック。 男達は言う、彼のスコープに捉えられない女性はいない・・・と。 なのは「三キロ先からの超精密射撃。うかつ・・・だったね。一番厄介な伏兵を忘れてたなんて」 なのはは最後にそう言い残して『敗者隔離ゾーン』に転送されていった。 ティアナ「・・・今度こそ終わったのね」 スバル「ティア、あたしたちもっともっと強くなろう! そして今度こそ・・・」 ギンガ「私達だけの力でなのはさんに勝ちましょう、絶対に!」 こうして、彼女達の因縁の対決は第三者の横槍が入ったことであっけなく終了してしまった。 次は負けないという彼女達の強い決意を残して・・・。 前線戦闘指揮官補佐 高町 なのは ・・・・・戦線離脱 ヴァイス(ふ、決まった。これで俺の株も急上昇! シンがいない間に高感度を挙げておく策は大成功だぜ!) ギンガ「・・・・ところで『覗き』ってなんのことですか?」 スバル「詳しい話が聞きたいんですけど・・・」 ティアナ「ちょっと、ご同行願いましょうか」 ヴァイス(高感度アッ・・・・・あれ?) 戦いは最終局面へ。 NGシーン ナノハサンはそのまま湖まで吹き飛ばされ水柱と共に水底に消えていった。 乙樽「ふ、貴様等には水底が似合いだ」 ティアナ「・・・・・あんた誰?」 乙樽「私はランク1位、オッツダ・・・・」 ナノハサン「駄目じゃない、あなたが出てきちゃ・・・」 乙樽「ば、馬鹿な!!」 ナノハサン「作者はACFAやってないんだよ? MAD素材だけで補完しようなんておこがましいよね。 私の言ってること間違ってるかな?」 乙樽「こんなものが私の最後か・・・」 ナノハサン「ちょっと・・・頭冷やそうか・・・」 乙樽「認めん、認められるか、こんな(ry」 ウィン・D「人類など(機動六課には)どこにもいないさ、水没王子」 フェイト「そうだね。どこにもいないね」 ティアナ「だから、どこから出てくるのこの人たち!」 前ページ次ページなのはクロスの作品集
https://w.atwiki.jp/clownofaria/pages/41.html
第一部 第十二話『病院。林檎と一時の休息』⑤ 廊下で車椅子を押す幽霧にスバルが尋ねる。 「大丈夫? 手伝おうか?」 「いえ……大丈夫です」 廊下を歩く幽霧の足はおぼつかない。 明らかに大丈夫ではない幽霧を助けられない事にスバルは歯がゆさを感じた。 スバル自身は疲弊している幽霧を助けてあげたいが、当の本人はそれを拒否している。 緊急時でもないのに、無理やり助ける事は要らぬお節介というものだ。 助けたいけど、助けられない。そんなジレンマに悩まされながらスバルは幽霧についていく。 しばらく歩いていると、スバルの前方を歩いていた幽霧の体が揺らぐ。そしてそのまま倒れこみ、床に身体が打ちつけられる。 「幽霧!?」 慌てて幽霧に駆け寄り、抱き起こすスバル。 顔は生気がないかのように白く、額には大粒の汗が浮かんでいる。 スバルは緊急事態だと判断し、幽霧を担ぐ。そして車椅子を放置して走りだした。 廊下を走るスバルから放たれる気迫に圧された医者や患者が慌てて道をあける。 公共施設の中で走る事はマナーに反している事はスバルも分かっていた。しかしこれは人の生死に関わるかも知れない緊急事態。 幽霧を助ける事だけでスバルは頭が一杯だった。 医務官のいる階までたどり着くと、スバルは診察してくれそうな医務官を探す。 どの医務官も外来患者や入院患者の診察で忙しそうであった。 時間が経つにつれ、幽霧の呼吸が弱くなっていく。 スバルの顔にも焦りが見え始めた。周囲を見回したその時、シャマル医務官という見覚えのある名前の札が横に掛けられたスライドドアを見つけた。 なりふりを構ってはいられないと思い、スバルはそのスライドドアを壊すような勢いで開けた。 部屋の中にいたシャマルと銀髪の医務官。そして一人の患者は状況が上手く掴めないらしく、呆然としながらスバルを見た。 「どうしたんですか?」 状況が掴めない事態にシャマルは困惑しながらもスバルに尋ねる。 「幽霧が……」 シャマルはスバルに担がれた幽霧を見る。 スバルの背中で幽霧はぐったりとしていた。息も絶え絶えであった。 「まず慎重にこのベッドに降ろして下さい」 状況を判断したシャマルは冷静に指示を出す。そしてクラールヴィントを起動し、幽霧の額に手を置く。 シャマルの指にはめられた指輪が微かに発光する。 幽霧の額に手を置きながらシャマルは診断を下した。 「原因は過労と栄養失調ですが、魔力の消費がひどいです」 魔力の消費がひどいという言葉でスバルは原因が分かった。 きっと病み上がりの身体で聖鎧布を発動したからだ。 治りきっていない幽霧の身体は聖鎧布の負荷に耐えきれないで倒れたのだろう。 スバルは申し訳なさを感じた。 「ちょっと点滴を打っておけば大丈夫でしょう。スフィーダさん、すみませんが点滴の準備をして頂けませんか?」 「……分かりました」 シャマルの頼みにスフィーダは了解し、部屋の奥へと消える。 「さて。魔力の欠乏は点滴では治せないので、私がしないといけませんね」 幽霧の胸部にクラールヴィントをはめた手を当てるシャマル。そして魔法の呪文が紡ぎ出された。 「静かなる風よ、癒しの恵みを運んで」 金の円環にはめ込まれた蒼と翠の石が発光する。 シャマルは短い詠唱を紡ぎ、魔法の名を紡ぐことで魔法を完成させた。 「………静かなる癒し」 クラールヴィントをはめたシャマルの手を起点にして、幽霧の身体に回復魔法が広がっていく。 徐々に幽霧の頬に赤みが差してくる。 「これで大丈夫。後は、点滴を打つだけね」 「ありがとうございます!」 スバルはシャマルに頭を下げた。 「ん……」 ゆっくりと瞼を開ける幽霧。目の前には見覚えのある天井が広がっていた。 状況を判断する為に幽霧は身体を起こし、周囲を見回す。そこは幽霧の見覚えが無い部屋であった。 腕に微かな痛みを感じ、幽霧は自身の腕を見る。腕には針が刺さり、上には空になったボトルが吊られている。 どうやらベッドに寝かせられながら、点滴を打たれていたらしい。 しかし幽霧は自身が見知らぬ部屋にいる理由も、点滴を打たれていた理由も分からなかった。 足を動かそうとした時、幽霧は足に妙な重みを感じた。視線を動かすとスバルが幽霧の足に頭を乗せながら眠っていた。 もしかしたらスバルがココまで運んでくれたのかもしれない。 幽霧は小さく笑い、スバルの頭に手を伸ばす。そしてスバルの頭を撫でる。 スバルの髪は少し癖があったが、綺麗な髪だと幽霧は思った。 その髪の色はスバルの魔力光と同じ鮮やかな青色だ。 「…んっ……」 眠っているスバルは身じろぎをする。その顔はかなり緩んでいた。 スバルの緩んだ顔に幽霧は苦笑する。 「時々、入院するのも良いんじゃないですか?」 茶化すような声に幽霧は久しぶりに驚く。 そこにはシャマルが悪戯っぽく楽しそうに笑っていた。 周囲が騒がしくなってきたからか、スバルは身体を起こす。 寝ぼけまなこでスバルは周囲を見る。 悪戯っぽい笑みを浮かべるシャマルを見、無表情な顔をする幽霧を見る。 徐々にスバルの顔が真っ赤になっていく。 やっぱりスバルも女性だから、寝顔を見られるのは恥ずかしいのだろう。 シャマルは悪戯っぽく笑いながら、幽霧の腕に刺さっている点滴針を抜く。 「もう良いですよ」 幽霧の腕に出来た注射痕にガーゼとテープを貼る。 「ありがとうございます」 そう言って幽霧がベッドから降りようとする。その時、幽霧の身体が揺らぐ。 「あぶないっ!」 スバルは慌てて幽霧を抱きとめる。 幽霧を抱きとめながらスバルは尋ねた。 「大丈夫?」 「……大丈夫です」 シャマルの目には抱き合っているようにしか見えないらしく、ニヤニヤと笑いながら二人を見ている。 ニヤニヤと笑うシャマルに気づいた二人は弾かれたかのように離れた。 「まるで恋人同士みたいですね」 「違います。スバルさんが可愛そうですよ」 楽しそうなシャマルに幽霧は返す。 シャマルは幽霧の言葉が謙遜や冗談に聞こえたらしく、更に笑みを深める。 「はい。はい。分かりましたから、早く106号室に戻って下さいね」 「それでは失礼します」 幽霧はシャマルの言葉をあっさりと聞き流す。 スバルと共に近くのスライドドアから廊下に出た瞬間、幽霧は片膝を突く。 「幽霧!?」 スバルは慌てて幽霧に駆け寄る。。 「まだ……本調子じゃないようです」 「分かったから……。ほら、私の背中に乗って」 そういって、スバルは幽霧に背中を差し出す。 幽霧は申し訳なさを感じながらもスバルの背中に乗る。 「そんじゃあ。いこっか」 スバルは幽霧を乗せて歩き出す。 「えっと……重くないですか……?」 心配そうな幽霧の声にスバルは笑みをこぼし、安心させるように答える。 「私は軽いと思うよ。むしろ、どうしたらそうなるか聞きたいかな」 不思議そうな幽霧を見るスバル。 どう答えれば良いか分からない幽霧は返答に困る。その時、幽霧のお腹が鳴る。 恥ずかしそうに顔を赤らめる幽霧にスバルは苦笑する。 「部屋に戻る前にご飯でも食べよっか」 「……はい」 スバルは106号室から食堂へ行き先を変える。 まだお昼時だからか、窓から差す日差しは暖かい。 微かに揺れるスバルの背中は温かく、心地よいからか幽霧は睡魔に誘われていた。 「ねえ。幽霧」 スバルの声で幽霧は眠気から覚める。 「強くなるって、どういう事なんだろうね」 「……強くなるですか?」 「うん」 揺れるスバルの背中で幽霧は考える。 「どんな形であれ、人を支えられる事ではないでしょうか?」 「支える?」 不思議そうなスバルに幽霧は答えた。 「例え、人を倒せるような戦闘力を持っていたとしても……大切な人を一人でも支えることが出来なければ、何をしても意味は無いと思います」 「そっか……」 幽霧の言葉に少なからず納得したらしく、スバルの口元には微かに笑みが浮かぶ。 しばらく歩くと、スバルは食堂にたどり着く。 「もう良いですよ。ナカジマ一等陸士」 スバルの背中から降りる幽霧。 「幽霧。本当に大丈夫?」 いきなり倒れた事もあり、スバルは心配する。 「大丈夫です」 そう言って幽霧はスバルを置いて歩き出す。 スバルは慌てて幽霧を追う。 幽霧が立ち止まった場所ではアイスが売っていた。 「ナカジマ一等陸士は何にしますか?」 手作りアイスが入ったケースを眺めながら幽霧は尋ねる。 「……えっ?」 「おごりますよ」 幽霧の言葉にスバルの顔が明るくなる。 「じゃあ。このにんじんアイスと! ゴーヤアイスと……このメロンアイスも!」 「はいはい……。じゃあ、自分は林檎シャーベットでも」 スバルの三つを合わせて、幽霧は計四つのアイスを購入した。 「えへへ……」 頬を緩ませながらスバルは近くの椅子に座る。 「じゃあ……どうぞ」 「いただきま~す♪」 幽霧は嬉しそうにアイスを食べるスバルを眺めながら、自身も購入した林檎シャーベットを口に運ぶ。 シャーベットの冷たさと林檎の甘さが口一杯に広がる。 「美味しい~♪」 目をキラキラさせながらスバルは夢中でアイスを食す。 「そうですね」 ゆっくりとシャーベットを口に運びながら幽霧も同意する。 「ここにピーマンアイスって売ってないのかな……」 「……何故、ピーマンなのですか?」 ピーマンのアイスを作るのは難しいだろうと思いながらも幽霧は尋ねる。 苦笑しながら、スバルは幽霧の問いに答える。 「ヴィヴィオはピーマンが苦手なんだよ。ちなみにキャロが苦手なのは、にんじん」 「……基本的に小さい子は味が強い野菜全般が苦手だと思いますよ。それに……ピーマンのアイスクリームは無茶がありますよ」 「なるほど~。私も想像できないや」 幽霧の突っ込みにスバルは豪快に笑う。 その時、一人の女性が二人に声を掛ける。 「相席よろしいかしら?」 「あっ。恭耶さん」 女性に見覚えがあるらしく、スバルは声を上げた。 「お知り合いですか?」 幽霧はスバルに尋ねる。 スバルが答える前に女性が自己紹介をする。 「はじめまして。時空管理局第21特殊編隊所属の恭耶陸曹長です」 「護衛専門で有名な恭耶陸曹長でしたか」 自己紹介と共に差し出した恭耶の手を握る幽霧。 「有名なのですか?」 幽霧の手を握りながら恭耶は首をかしげる。 「ええ。隠れファンが多く、バレンタインデーは恭耶陸曹長のチョコを巡って血で血を洗うような事が秘密裏で起きている事でも有名ですが」 淡々と言う幽霧に恭耶の口元が引きつる。 しかしその顔はすぐに笑顔に戻った。 幽霧は恭耶に席を勧めた。 「どうぞ」 「あっ! 失礼します」 恭耶はすこしおどおどしながら勧められた席に座る。 ぼんやりと恭耶を眺めながら幽霧は尋ねた。 「何か御用ですか?」 無表情な顔を含め、幽霧からは全く表情が読めない。しかし放たれる気配は尋常ではない。 まるで全ての地獄を見通した上で全ての事象を拒絶する様な冷たい気配。 それが露骨に放たれていると言う事は、幽霧が恭耶を疑っている。 諜報部は様々の部署から嫌われている。近づいてきたとしても、何か狙いがあるとしか思えない。 スバルやはやてなどは何の打算が無い笑顔を向けてくるが、それはすごく珍しい事だ。 恭耶は疑念を抱いている幽霧に対して、単刀直入に言った。 「私に貴女の使う魔法の一つ。聖鎧布について教えて欲しい」 「聖鎧布ですか?」 幽霧の身体から放たれていた気配が少しだけ柔らかくなる。 「和泉アサギ戦技教導官からちらりと話を聞いたので……教えられる限りで良いのでお願いします」 真摯な目で恭耶は幽霧を見つめる。 幽霧はまだ未完成の魔法を他人に教えて良いのか迷っていた。 未完成の魔法で目の前にいる人が自分の様な状態に陥らないとも限らない。 迷う幽霧にスバルは言った。 「私も教えて欲しいな」 流石に自身の様な無茶をしないと思ったのだろう。幽霧は溜め息をつく。 そして説明書を読み上げるように幽霧は二人に説明を始めた。 「聖鎧布は原始レベルで防御魔法と強化魔法を組み込む事によって、擬似的に自身の身体を魔法とします。要するに、五体の武器化です」 恭耶は納得しているようだが、スバルには難しいらしく首を傾げている。 しかし幽霧は説明を続けた。 「更に詳しく説明すると、完全なる強化の為に自己ブーストによる肉体の限界突破と魔力付与による能力強化の両方を行います」 スバルにとっては詳しい説明の方が分かりやすかったらしく、納得したような顔をしていた。 しかし幽霧のまだ終わっていなかった。自身を実験体にして行った中で起きた失敗や結果を織り交ぜて注意する。 「ただし、デバイスではなく人体に魔力を通すので、魔力制御が得意ではない人が使用するのは危険です。失敗すると魔力爆発によって、身体の一部が破裂する危険性があります」 実体験が含まれた幽霧の注意には二人の顔が引きつっていた。 「……こんな感じでよろしいのでしょうか?」 幽霧の問いに二人は静かに頷いた。 「ありがとうございます。参考になりました」 そう言って恭耶は席を立った。 「……それは良かったです」 相変わらず、幽霧の声は単調で感情の起伏が無かった。 恭耶は幽霧とスバルに背を向け、歩いていってしまった。 「さて。私たちも戻ろうか」 アイスを食べ終えたスバルは幽霧に言う。 幽霧は溶けて液体と化した林檎シャーベットを飲み干し、スバルにうなずいた。 立ち上がった途端、幽霧の身体がよろめく。 「本当に大丈夫?」 「……大丈夫です」 幽霧はよろよろと歩く。余程の事が無い限り、他人の手を借りようとしないらしい。 そんな幽霧にスバルは苦笑するが、無理矢理にでも助ける事はしなかった。 ただ幽霧が途中で倒れないように見守るだけであった。 106号室に着く頃には幽霧の額から大粒の汗が流れていた。 アルフィトルテは出て行ったときと変わらず、ベッドの上で眠っている。 「じゃあ。そろそろ行くね。今日は楽しかったよ」 スバルは106号室の窓を開けて飛び降りる。 まさか窓から飛び降りるとは思っていなかった幽霧は驚く。 飛び降りると同時にスバルはマッハキャリバーを起動し、オートでウィングロードを展開。 魔力で出来た青色の道が空中に生まれる。 幽霧が窓から乗り出した頃には、バリアジャケットを纏ったスバルがウィングロードに乗って移動していた。 楽しそうにスバルは手を振り、幽霧も小さく手を振り返した。 スバルの姿が見えなくなった事を確認すると、幽霧は着ていたパジャマを脱ぐ。 その白い肌には微かに紅い線が入っていた。よく見るとそれは一種の魔法陣であった。 幽霧は全く気をとめず、タオルで汗を拭った。 そして新しい下着とパジャマを着用し、眠りに着いた。 「うっ……くっ……」 幽霧は啜り泣きで目を覚ました。 近くに置いてある時計は十時十五分をさしていた。 スバルと別れてからずっと寝ていたから、軽く十二時間以上寝ていたという事になる。 眠りすぎで気だるい身体を起こすと、向かいにあるベッドの上で包帯の塊が呻いていた。 「どうしたのですか?」 話しかけないといけないだろうと思い、幽霧は話しかける。 包帯の塊は涙声で話す。 「ううっ……聞いて下さいよ……俺……明日陽に振られてしまった……」 どうやら包帯の塊はレンらしい。構って欲しいのか、幽霧に近づいてくる。 包帯でぐるぐる巻きなので怪しい事、極まりない。 幽霧は無表情だが、微かにひいている。 「明日陽に振られたら……俺……どうすればいいんですか……」 「そんなに近づいてこないで下さい……レン・ジオレンス陸曹長……」 そろそろ何かの危機を感じたのか、近づいてくるレンを押しのけようとする。 しかし力が入らず、レンを押しのけることが出来ない。 その時、部屋のスライドドアが開く。 「幽霧さん……お見舞い……に……」 入ってきた赤髪の少年は硬直する。少年の目には包帯の塊が幽霧に覆いかぶさろうとしているように見えたのだだ。 とっさに少年は専用の槍型デバイスを起動。カートリッジを全てロードする。 「(ぼくの)幽霧さんに……」 槍についている噴射口から膨大な魔力が放出された。 「何してんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 少年は槍の噴射口から放出される魔力を推進力にして、包帯の塊と化しているレンに突撃する。 穂先の先端に半実体化された魔力刃はレンの頬にめり込む。 そして窓を突き破って、レンとエリオが外に飛んでいってしまった。 「……」 幽霧は唖然としながら、窓の残骸を見る。これは誰が弁償しないといけないのだろうか。 しばらくして、何か固い物体で物を殴る音が聞こえてきた。 時折、呻き声も聞こえてくる。 しかし幽霧は何が起こっているか確かめようとは思わなかった。 「ちゃんと生きてるか? 幽霧」 茶髪の青年が窓の方を見る幽霧に話し掛ける。 「ヴァイス陸曹」 「ちゃんと養生しているようで何よりだ」 にやりとヴァイスは幽霧に笑いかける。 「こんにちは!」 「……こんにちは」 スライドドアの影から桃色の髪をした少女と紫色の髪をした少女が顔を出す。 「キャロ・ル・ルシエ二等陸士。それにルーテシア・アルピーノさん。お久しぶりです」 幽霧は二人に頭を下げる。 「お見舞い……」 ルーテシアは幽霧に歩み寄り、花束を渡す。 「……ありがとうございます」 他人から物を持って行かれることが多く、物を貰うということが無い幽霧は少しだけ驚いてしまう。 そのせいか、花束を受け取る幽霧のしぐさはすごくぎこちない。 「うにゅぅ……」 うるさかったのか、アルフィトルテは目を覚ます。 「アルちゃんもおはよう」 キャロは眠気まなこのアルフィトルテに笑いかける。 しかしアルフィトルテはキャロたちに見向きもせず、幽霧の腰に腕を回す。そしてネコの様に幽霧のパジャマに顔をこすり付ける。 幽霧は苦笑しながらアルフィトルテの頭を撫でる。 「やっぱり幽霧さんは、アルちゃんのお母さんみたいですね。はい、ミラさんが勧めてくれたお菓子屋さんのプリンです。美味しいんですよ」 困った顔をする幽霧にキャロは楽しそうに笑いながら紙の箱をベッドに備えつけのテーブルに置く。 「俺からはこれだ」 ヴァイスは紙袋を幽霧に渡す。中身は冊子の様だが、妙に厚くて重い。 恐る恐る、幽霧は渡された紙袋を開ける。 「……」 幽霧だけではなく、キャロとルーテシアまで凍りついた。 なんと紙袋の中に入っていたのは、幽霧霞総受け集と書かれた冊子。 「すまん。これはレンに頼まれたやつだった」 ヴァイスは幽霧から冊子を取り上げ、別の紙袋を渡す。 幽霧は幽霧霞総受け集という物が存在する事にも驚いたが、まさか同室のレンが購入しているとは思わなかった。 また変なものが入っていないだろうかと思いながらも、幽霧は紙袋を開ける。 中に入っていたのは如月弥生著の羞恥地獄という本であった。 キャロは幽霧の受け取った紙袋から出てきた羞恥地獄に驚いた。 「如月弥生さんの書いた羞恥地獄って、ミッドチルダでベストセラーの小説なんですよ」 「……すごい」 ルーテシアも少なからず驚いている。 自慢げにヴァイスは言う。 「買う為に並んだんだからな」 「そんなに人気なんですか……」 しかし幽霧は知らなかったらしく、キャロやルーテシアとは違う意味で驚いていた。 「買ったプリンがぬるくなる前に食べませんか?」 しげしげと羞恥地獄を眺める幽霧にキャロは提案する。 「そうですね」 幽霧はキャロの意見に同意する。 今もなお、幽霧の腰に顔をこすり付けるアルフィトルテにキャロは言う。 「アルちゃんもプリン食べよっか」 キャロの言葉で顔を起こすアルフィトルテ。幽霧の腰に回していた腕を放す。 「出してあげるからね~」 キャロは紙製の箱を開け、中に入っているプリンの容器をテーブルの上に並べる。 「こんにちはだ~。おっ! 今日はお客さんが多いんだな~。幽霧」 アサギとアキが挨拶と共に106号室に入ってきた。手には大きな紙袋を持っている。 「おはようございます。アサギさん。アキさん」 「おはようだ~」 アサギの視線がテーブルの上に乗った箱に行く。そして表情が明るくなる。 「テーブルの上にあるのは、萌紫堂の極上なめらかプリンではないか~」 「こんにちは。アサギさんも食べますか?」 プリンの入っていた紙製の箱をたたみながらアサギに尋ねるキャロ。 「こんにちはだ~。じゃあ、私とアキが買ってきたゴーズエルベのケーキをご馳走しよう」 笑顔で言うアサギにキャロの顔も明るくなる。 「ゴーズエルベって、あの有名人も御用達のあのゴーズエルベですか!?」 「それもカリム・グラシアさんお勧めのベリーベリーショートだ」 アキはにやりと笑い、紙袋に入っていた紙製の箱を置く。 「一度でもいいから食べてみたかったんですよ……」 キャロの顔はすごく明るく、今にも踊り始めそうな感じであった。 「そういえば……」 アサギは何か思い出したらしく、ベッドの幽霧に尋ねる。 「エリオ・モンディアルが何かに取り憑かれたかの様に、デバイスの石突で包帯の塊を殴っていたのだが……何かあったのか?」 「……分かりません」 不思議そうな顔をするアサギに、幽霧はそう答えることしか出来なかった。 一瞬だけ赤い髪が見えたような気がしたが、まさかエリオだとは思っていなかったからだ。 もしエリオだとしても、保護者であるフェイト・T・ハラオウンの部下を攻撃する理由がない。 困惑している幽霧にこれ以上聞いてもしょうがないと思ったのか、アサギはテーブルの上にあるプリンへと視線を移す。 「じゃあ。食べようではないか~。萌紫堂の極上なめらかプリンもゴーズエルベのベリーベリーショートも美味しいんだぞ~」 アサギはそう言って、紙製の箱を開ける。中には苺などのベリーが宝石のように乗せられていた。 幽霧は膝の上にアルフィトルテを乗せ、指でその紅い髪を撫でながら尋ねる。 「アルフィトルテはどれが良い?」 「ケーキ!」 楽しそうな声でアルフィトルテは答える。。 「はい。アルちゃん」 キャロはベリーベリーショートを切り分け、紙皿に乗せて差し出す。 ケーキを貰ったアルフィトルテは幽霧の膝の上で食べ始めた。 幽霧はアルフィトルテの髪が鼻にかかり、ちょっとくすぐったかった。しかしその髪からは良い匂いがした。 「美味しい?」 アルフィトルテの髪に顔を少しだけ埋めながら尋ねる。 「うんっ!」 頬にクリームをつけながらアルフィトルテは無邪気に答えた。 「良かったね」 幽霧は苦笑しながらアルフィトルテの頬についたクリームを指で取って舐め、もう片方の手でアルフィトルテの頭を撫でる。 アルフィトルテは少しだけくすぐったそうな顔をするが、嬉しそうであった。 「やっぱり幽霧さんはアルフィトルテのお母さんみたいですね……」 二人の様子を見ながらキャロは呟く。その声は妙に寂しそうであった。 「ママ~」 「ん? どうしたの。アルフィトルテ」 アルフィトルテの方を見る幽霧。 「おねえちゃんたちの頭も撫でてあげよう?」 幽霧はアルフィトルテの意図が全く分からないが、実行することにした。 「キャロ・ル・ルシエ二等陸士。ルーテシア・アルピーノさん」 手招きをしながら二人を呼ぶ幽霧。 二人は微かに首を傾げながらも幽霧に近づく。 「お見舞いに来てくれてありがとう」 そう言って、幽霧は笑顔でキャロとルーテシアの頭を撫でる。その手は優しく、笑顔はとても温かい。 キャロとルーテシアも最初は驚いていたが、徐々に幽霧の手を受け入れていった。 ルーテシアは気持ち良さそうに瞼を閉じているが、キャロの顔は徐々に歪んでいく。 「うっ……くっ……」 そして遂には泣き出してしまった。 泣き出したキャロに幽霧は困り、撫でていた手を止めてしまう。 「ごめんなさい。嫌だった様ですね」 そして幽霧がキャロとルーテシアの頭から手を離したその時。 キャロが幽霧の胸に飛び込む。 「……ルシエさん?」 「……止めないで下さい」 困惑する幽霧の胸に顔を埋めながらキャロはか細い声で言った。 「フェイトさんにも余り頭を撫でられたことが無くて……」 キャロの言葉に幽霧は優しげな笑顔を浮かべる。そしてルーテシアを手招きする。 ルーテシアは幽霧の意図を察したらしく、無言で近づいてきた。 幽霧は一気にアルフィトルテを含めた三人を抱きしめ、囁く。 「こんな自分で良ければ、頭を撫でてあげますし、いつでも抱きしめてあげますよ」 「……ゆうぎり……さん……」 キャロは幽霧の背中に腕を回す。幽霧から鼻腔を優しくくすぐる様な匂いがした。 「ぎゅ~」 「……ぎゅっ」 アルフィトルテとルーテシアはキャロと同じように幽霧の身体に腕を回す。 幽霧は抱きしめてくる三人の力が少し痛かったが、優しく三人の背中を撫でた。 キャロの力が緩んでくるのと同時に幽霧は三人の身体から腕を離した。 「……落ち着きましたか?」 「はい……」 泣き笑いのような表情を浮かべながらキャロは頷く。アルフィトルテとルーテシアは少しだけ物足りなさそうだった。 「さて。お茶を煎れますね」 幽霧は近くにあったポットにお茶の葉を入れ、ゆっくりとお湯を入れ始める。 「あっ! 私が煎れます!」 キャロは入院している幽霧にお茶を煎れさせてはいけないと思い、名乗りを上げた。 しかしそこで極上なめらかプリンを食べていたアサギが口出しをする。 「幽霧はお茶を煎れるのが上手いんだ~。やりたい様にやらせてやってくれ~」 「でも……」 困るキャロに幽霧は煎れたばっかりの紅茶が入ったカップを差し出す。 「どうぞ」 「……いただきます」 キャロは幽霧の煎れた紅茶を飲み、その味に驚く。 香りが良く、味が奥深いのだ。アクセント程度にしか渋みが無く、かぐわしい香りが口いっぱいに広がる。 驚くキャロを尻目に、アサギとアキはニヤニヤと笑いながら幽霧の煎れた紅茶を飲む。 「相変わらず幽霧の煎れる紅茶は美味い。それにしても……お前は年下に甘いんだな」 「そうでしょうか?」 幽霧は不思議そうに首を傾げる。 苦笑しながらアサギはプリンの入った紙製の箱を差し出す。 「お前は十分年下に甘いさ。さあ、糖分を取りたまえ~」 「……いただきます」 幽霧は紙製の箱から容器を取り出し、プリンを食べ始める。 そのプリンは甘く、生クリームの様になめらかであった。 プリンをゆっくり食べる幽霧にキャロが話しかける。 「幽霧さん……お願いがあるのですが」 「何でしょうか?」 幽霧はプリンを口に運ぶ手を止め、首を傾げる。 「おねえさんって呼んで良いですか……?」 キャロの言葉に幽霧は凍りついた。 まさか、性別を知っているキャロにそんな事を言われるとは思っていなかったようだ。 「ダメでしょうか……?」 「……どうぞ」 上目遣いで心配そうに見てくるキャロに幽霧は溜め息をつきながら了承した。 その顔は既に何かを諦めてしまった様な顔であった。 ヴァイスとアキは幽霧に対して同情してしまったのは言うまでもない。 男なのにお姉さんと呼ばれるという現状にヘコみながらプリンを食べる幽霧。 その時、スライドドアの向こうから赤髪の少年が現れる。 「エリオ・モンディアル二等陸士」 「こんにちは……幽霧さん」 幽霧にエリオは頭を下げる。 「服や顔に血が付いてますが、何かあったのですか?」 「えっと……ここに来る前に暴漢に襲われそうな人に会ったので……」 まさかレン・ジオレンスをリンチにしていたとは言えないエリオは言葉を濁す。 ちなみにリンチされたレンはシャマルとスフィーダの所に運ばれたが、いつもの痴話げんかと処理された。 「そうですか。ご苦労様です」 言葉を濁すエリオを幽霧は深く詮索せず、そのまま頭を撫でた。 幽霧に頭を撫でられているエリオは顔を髪の色と同じくらい赤くしていた。 「エリオ・モンディアル二等陸士はプリン……食べますか?」 「はいっ! いただきます」 いつにも増して緊張した様子でエリオは答える。その顔は妙に嬉しそうだ。 「でも、その前に……」 幽霧は持っていた無地のハンカチでエリオの顔についた血を拭う。 「ゆっ! ゆうぎりさん!?」 「何でしょうか?」 顔を真っ赤にするエリオに幽霧は首を傾げる。 小さく首を傾げる幽霧が可愛かったらしく、エリオは顔を紅潮させながら俯く。 「は……恥ずかしいです……」 「そうですか」 エリオの言葉など全く気にせず、幽霧はエリオの顔についた血を丹念に拭う。 そんな事をされるのは恥ずかしいからか、エリオは俯いたままであった。