約 24,297 件
https://w.atwiki.jp/gogoanison/pages/971.html
一覧に戻る 21 03 04 谷口(CV 白石稔) - 人生の主役コール! 21 03 47 川田まみ - masterpiece 21 08 23 キョン(CV 杉田智和) - だがそれだけじゃない 21 12 15 インデックス(井口裕香) - “ありがと”の経験値 21 16 48 癒月 - you 21 20 26 イカ娘(金元寿子) - これが海への愛じゃなイカ! 21 23 49 涼宮ハルヒ(CV 平野綾)、長門有希(CV 茅原実里)、朝比奈みくる(CV 後藤邑子) - 最終未来を見せて! 21 27 41 田井中律(CV 佐藤聡美) - Girly Storm 疾走 Stick 21 31 12 涼宮ハルヒ(CV 平野綾)、長門有希(CV 茅原実里)、朝比奈みくる(CV 後藤邑子) - 止マレ! 21 35 11 涼宮ハルヒ(CV 平野綾)、長門有希(CV 茅原実里)、朝比奈みくる(CV 後藤邑子) - Wonder trip 21 38 52 Girls Dead Monster - Answer Song 21 44 27 Rita - Alicemagic 21 49 04 和田光司 - ターゲット~赤い衝撃~ 21 53 32 汐宮栞 starring 花澤香菜 - 口笛ジェット 21 57 52 fripSide - LEVEL5-judgelight- 22 02 22 リトルバスターズ! - Sha la la ecstasy 22 03 52 水樹奈々 - PHANTOM MINDS 22 07 22 川田まみ - No buts! 22 10 52 放課後ティータイム - Honey sweet tea time 22 15 22 涼宮ハルヒ(CV 平野綾)、長門有希(CV 茅原実里)、朝比奈みくる(CV 後藤邑子) - 運命的事件の幸福 22 19 52 桜高軽音部 - ふわふわ時間 22 23 53 朝比奈みくる(CV 後藤邑子) - 恋のミクル伝説 22 26 53 Lia - 時を刻む唄 22 31 53 Lia - 絆-kizunairo-色 22 36 23 麻枝准 - 渚 22 40 23 黒崎真音 - Magic∞world 22 44 53 神のみぞ知り隊 - コイノシルシ feat.高原歩美 22 48 53 谷口(CV 白石稔) - 友達としてはソレが 22 52 53 ICHIKO - YOU RE THE ONE 22 57 23 Lia - 夏影 23 02 53 FLOW - GO!! 23 06 53 古泉一樹(CV 小野大輔) - 「つまらない話ですよ」と僕は言う 23 11 23 Veil - I miss you 23 14 53 栗林みな実 - STRAIGHT JET 23 19 23 高原歩美 starring 竹達彩奈 - Wonder Chance 23 22 53 メリー・ナイトメア(佐倉綾音) - ユメとキボーとアシタのアタシ 23 26 53 福山芳樹 - 真赤な誓い 23 30 53 Rita - Little Busters! 23 35 23 古泉一樹(CV 小野大輔) - ハレ晴レユカイ ~Ver.古泉一樹~ 23 40 53 karuta - 一番の宝物(Original Version) 23 46 23 神原駿河(沢城みゆき) - Ambivalent World 23 50 53 古河渚 - だんご だんご だんご 23 52 53 水谷瑠奈 - 闇の彼方へ 23 57 53 小宮真央 - ちっぱいぱん 24 01 53 彩菜 - Last regrets 次の配信者へ 戻る
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2722.html
橘「やったわね、藤原! これで私たちも大金持ちだわ!」 藤原「あの大会社の一人娘をつかまえたんだ。身代金は1千万でも2千万でも出るに違いないぜ」 橘「この娘にはずっと目をつけてたんだもの。ここのところ邪魔な男が一緒にいてなかなかチャンスがなかったけど、ようやく計画を実行に移せたわ」 藤原「予定以上に順調だ。有希嬢ちゃんもあっさり捕まってくれたしな」 橘「丁重にお預かりしないとね」 藤原「ああ。何せ、金のなる木だもんな」 橘「この後は予定通り、あそこへ一時隠れてヘマをしないように計画を進めましょう」 藤原「もう高飛び用のチケットも手に入れてるんだ。ヘマする気は毛頭ないぜ」 今が朝で助かったよ。いやあ、本当助かった。今の時間帯は国道も県道も、出勤途中の社会人たちの車でつまってるんだ。何者か知らないが、誘拐犯が車である以上、途中で渋滞につかまっているはずだ。 俺は機動性にすぐれた250ccバイク。渋滞したって脇をすりぬけて行くことができるんだ。400ccにするか250ccにするか、バイクを買うときに悩んだものだが、車検がかからない上に重量税も安い250ccを買ったんだ。今はその判断が正しかったと感じられるね。 片道1車線の県道をしばらく走ると、やはり渋滞につかまっているワゴン車が見つかった。いた、あれに違いない。ライトグリーンなんてカラーリング、犯人たちの車かKAWASAKIのバイクくらいだ。 颯爽とワゴン車の横まで車体をよせ、さあこれからどうするかと考えをめぐらせながら、車のドアを開けようと試みてみた。ダメか。鍵がかかっていてあけられない。 窓に貼られた黒い遮光テープごしに、ワゴン車の中で長門がわめいているのが見える。なんか変な女に押さえつけられているようだ。見たところ、犯人は男女が1人づつの2人組ってところか。 車の中の犯人2人組がギョッとした表情で俺の方に視線をむけた。よせよ、俺は照れ屋さんなんだ。そんなに凝視してくれるな。 ワゴン車は盛大にエンジンをふかし、真っ黒な排気ガスを残して県道から脇道へ進路を変えた。対向車がきていたにも関わらず反対車線側へロケットダッシュだ。 しかし俺だって負けてらんないぜ。ローギアの発進から、一気にセカンド、サードへとギアチェンジし、発車5秒でトップギアまで持っていく。いくら普及率では負けてるとはいえ、やっぱATよりはMTだよな! ほぼ一定の車間距離を保ったまま、誰もいない山道をワゴン車と250ccバイクが疾走していく。来月からまたガソリン代が値上がりするって聞いたから、ガソリン換えたばかりなんだ。あと350kmは走れるぜ。 でもまあ、あと10kmも走らずにこのカーチェイスは終わりを迎えるだろう。この先にはプラネタリウム館があるだけで、あとはなにもない断崖絶壁になってるんだ。ボタン一つで車の横に翼でも生えない限り、逃げ切れないね。 プラネタリウム館に到着すると、車の中にいた2人組が駐車場の真ん中にワゴン車を乗り捨て、いやがる長門を押さえつけヤイノヤイノやってるところだった。女の子を力づくでどうこうしようという根性が気にいらないね。 仮面ライダーよろしくバイクに乗って現れた正義の味方の姿を見た時の2人の顔。傑作だったよ。まさに恐れおののく悪の手先のザコAとBそのものだ。イーとかキーとか言ってくれないものかね。 犯人2人組はとうとう言うことをきかない長門をその場に放り出し、2人してプラネタリウム館の中に逃げ込んで行った。 俺はその後姿を眺めつつ、地面にへたりこむ長門の元へ急いだ。 大丈夫か? 暴行されたりしなかったか? 「………大丈夫。ありがとう」 無事でよかった。まったく。ブルジョア階級ってのも困りものだね。身柄を狙われるなんて。 「………なんで、追ってきてくれたの?」 なんでって言われてもな。 バスの停留所でネスカフェゴールドブレンドを飲んだ後、このプラネタリウム館へくるのが俺の朝の散歩コースなんだ。知らなかった? 「………ふふ、変な散歩コース」 何がおかしいんだよ。でも、初めて見せてくれたな。笑顔。 ほどなくして、坂の下からけたたましいサイレンと共に現れた警察の手によって、誘拐犯2人組はあえなく御用となった。ついてないね。俺さえいなければ身代金がもらえてたかもしれないのに。そうは問屋がおろさないってことなのかな。 しかしこの騒ぎでもう一人、問屋におろしてもらえなかった人物がいる。長門有希だ。 長門は現在、パトカーの中で警察に取調べを受けているところだ。まあ長門は100%被害者なんだから事件の当事者としての状況を訊かれているだけだと思うが。 それでも、これだけの騒ぎになったんだ。保護者に連絡をしないわけにも行くまい。長門有希の逃避行も、これまでってこった。 親父さんに電話して事の概要を話したところ、今から速攻で飛んで来ると言っていた。1時間ほどで到着するらしい。 その間、長門有希だけじゃなく事件関係者である俺もここに逗留しないといけないようだ。やれやれ。 プラネタリウムを長門は見たことがないと言うので、この機会に入ってみることになった。プラネタリウムなんて見たってつまらないだけだぜ。あれはゆるやかに催眠音波を脳内へ送り込んでくる、大掛かりな睡眠装置にすぎないんだ。 それでも見てみたいという長門有希につれられ、俺は不承不承館内へ入っていった。プラネタリウムなんてガキの頃以来だ。見ろ、俺たち以外に客なんていやしない。 長門有希は薄暗い館内の中ごろの座席に腰をかけた。暑苦しい外で待ってるよりはマシだ。俺もその隣へ腰かけた。 「………宇宙って、いいよね」 そうだな。まだまだ人類が及びもつかない世界なんだ。タコ型宇宙人なんてのが本当にいたら、ロマンチックだよな。 「………宇宙には、何があるか分からない。宇宙人がいるって言う人もいれば、いないって言う人もいる。でも実際のところどうかなんて誰にも分からない。そうだよね。人類が到着することができたのは、月くらいなんだし。火星人が本当にいたって、地球人に見つからないように隠れてるだけなのかも知れない」 可能性の話をし始めたらキリがないぜ。ま、それが宇宙のいいところなんだが。 「………宇宙では何が起こるかわからない。何が起こっても不思議じゃない。それって、素敵なことよね。何ものにもとらわれず、自分の思ったままの世界が反映されるんだもの。だから私はSF小説が好き。一体なにが起きるか分からないことの連続で、どきどきするような世界を見ていると、現実をすこしの間でも忘れていられる」 あのな。長門。お前が小説を現実逃避の道具みたいに思っていようがいまいがそれは勝手だが、最低限は現実を見据えてた方がいいぜ。 「………アポロって、すごいと思う」 アポロ? ああ。俺も好きだぜ。あの上のイチゴ味の部分としたの黒いチョコの部分の組み合わせがなんとも言えずマッチするんだよな。だが敢えてそこを、別々に噛み砕いて食べてみたり 「………お菓子の話じゃない。宇宙船のアポロ。初めて月面着陸を果たしたロケットのこと」 そっちのことだったのか。 「………アポロは、私たちが生まれるずっと昔から、夢物語だと思われていた宇宙への進出を実現させた。今の時代でこそ特別すごいことだとは思われないかもしれないけど、その当時の人たちにしてみれば、やっぱり世界がひっくりかえるくらいの出来事だったんじゃないかと思う」 世界はひっくり返らないだろうが、衝撃だったことは事実だろうな。 「………宇宙船だけじゃない。飛行機も車も、船だって。できたばかりのころは皆驚いていたんだろうな」 そりゃそうだ。車なんて最初は木炭で走ってたんだものな。エコロジーカーだよ。 「………誰もが夢だ幻だ、無理だと最初から決め付けてなにもしなければ、飛行機も車もアポロもできなかった、それらを完成させようという熱意と努力があったからこそ、それらは日の目を見ることができた」 そりゃそうだろうよ。紙飛行機でさえ微調整を繰り返さないとうまく飛ばないもんだ。飛行機つくるなんて一朝一夕にはいかないだろう。ライト兄弟は歴史に名を残すべくして残した偉人なんだろうね。 「………思えば私も今まで、努力らしい努力をしてきたためしがなかった。シンデレラになりたい教師になりたい小説家になりたいと口先で言っても、それに向けての行動を起こしたことはなかった」 え、なに? キミってあれ? スケールの大きいことを考えてちっぽけな自分を慰めるタイプ? 「………よくよく考えてみたら、自分の言うことを聞いてもらえなかったことを全て父のせいにして、どうせ話したってろくに聞いてもらえやしないと決めつけて家を飛び出すなんて。ただ逃げてるだけ」 私、父とじっくり話し合ってみようと思います。考えてみたら今まで父は忙しい人だと思ってろくに話をしたこともなかったし。そう言って、長門有希は席を立ち上がった。 「………ありがとうございました、谷口さん。私、今気づきました。自分に足りないものが何だったのか。父だって、十分話し合えばきっと分かってくれるはずだもの。私、父と話をしてみます。その上で自分のしたいことを認めてもらって、それから立派な小説家になりたいと思います」 何も言わない俺をおいてけぼりにして、長門はプラネタリウムの空を見上げた。 「………あの大きい星。なんて言う星なのかな」 M78雲星だよ。 俺と長門有希のやりとりを見てもらえればご理解いただけただろう。結局、長門有希はプラネタリウムを眺めていると自分の頭の中で啓発的な何かがひらめいて、アポロだ飛行機だと言って勝手に自己完結して帰ってしまった。 俺としては無事依頼を終えることができて一安心といったところだけどさ。 俺の出番、一切なしかよ。なんという電波少女。 例の誘拐事件があって、一週間が過ぎた。まあ誘拐事件っていうか間抜けな未遂事件だったわけだが。 今の俺は特別なにか生活が変わったわけでもなく、扇風機の風を流しながらイスに座ってボーっとしていた。 長門有希の親父さんは大層俺に感謝していた。誘拐事件を誘拐未遂事件にとどまらせた功績があるからな。その喜びようったらもう。本当に子離れできていない家庭的な意味でダメな大人の見本といういう感じだったね。 本当に長門有希のことを大事に思っているがゆえのダメさ加減だろうが。 その後のことは知らない。長門有希は親父とサシで向き合って小説家になる道を閉ざさないよう一生懸命話をすると言っていたが、どうなったんだろう。気にならないわけでもないが、他人の俺が口をはさむ余地はあるまい。 俺はただこうして、日陰に引きこもってジリジリと照りつける夏の太陽から逃れ続けるだけさ。 「………こんにちは」 長門有希じゃないか。久しぶりだな。元気してた? 「………これ」 アイスじゃないの。くれるの? ありがとな。そういやこないだ借りた80円、まだ返してなかったな。 それで、どうなったんだ。親父さんとは話を済ませたか? 「………ええ。最初は父も、やはり会社を継いでもらいたいの一点張りだったけれど、それは予想していた反応だったから。粘り強く説得した結果、最後には父も折れてくれた」 へえ。やるじゃないか。やっぱプラネタリウム効果がプラスにはたらいた結果なのかな。 「………本気で夢を叶えようと思うなら、並大抵の努力ではいけないと覚悟していたから。3日3晩にわたり説得を続け、父の会社にも赴き、仕事の合間に話し合いの席を設けてもらった」 ……家を出た時から思ってたけどさ、お前すごいよね。行動力が。 「………熱意の勝利」 そりゃこんな暑苦しい夏のさなかに、そんな熱意みせられたらね。お前の父ちゃんじゃなくても折れるって。熱さで。 「………だから私はこれから、アメリカへ行く」 は? 「………世界中を見て回り、さまざまな体験を重ね、説得力のある小説を書いていきたいと思う」 唐突だな。行動力があるなんてレベルじゃないな。よくもまあそこまでできるもんだ。ブルジョアの思考ってのは分からないね。 しかしいろんな体験を積むことは大事だと思うよ。執筆のためだけじゃなく、人生をおくる上でもな。たとえばバイクに半袖で乗ってたら風で腕毛が絶えず振動するんだが、バイクを停めて風がやんでも毛がゆれてるような感じがして腕がムズムズする、なんてことは実際にバイクに乗ってみないと分からないことだし。 「………それは、不要な知識」 不要な知識なんてものはないさ。どんな知識でも何かの役には立つもんだぜ、意外と。 「………そろそろ行かないと」 もう行くのか。そうか。頑張れよ。期待して待ってるぜ、お前さんの小説を読める日を。是非、椎名誠ばりの探検エッセイを書いてくれ。 「………あの日、あなたに会えて、本当によかった。それじゃ」 それだけ言うと、長門有希は少しほほえんで、部屋から出て行った。 ちっこいくせに、よくやるよ。まあ、頑張れ。心から応援するよ。俺は夢をおいかけるやつの姿が大好きなんだ。 また来いよ。今度は俺が、ネスカフェをおごるぜ。 ~完~ <次回予告> 谷口「こうして未来の文壇作家、長門有希はアラスカへ旅立った」 長門「………アメリカ」 谷口「しばらくは暑さのせいかと思っていたが、最近どうもおかしい。仕事がこない。そりゃ確かに探偵なんて水商売だから客足が多いときもあれば少ないときもある。しかし今回は無さすぎる! なにかあったのか?」 長門「………世の中が、平和ということ」 谷口「そんなある日、俺の前に見覚えのある男が現れる! ええと…、こいつ見覚えはあるんだが……、名前はなんだったっけ」 長門「………曖昧」 谷口「そうだ、キョンだ! 専門学校で同期だった、韓国からの留学生、金。通称キョンだ!」 谷口「キョンは言った。この町に2人も探偵はいらない、と。まさか、お前もこの町で探偵業を始めたのか!?」 長門「………探偵ってもうかるの?」 谷口「キョンは言った。勝負をして勝った方がこの町の唯一の探偵だと。おもしろいじゃないか、キョン。やってやんよ!」 長門「………安請け合い…」 谷口「たとえ不条理だと分かっていても、男にはやらなきゃいけないこともあるのさ!」 谷口「次回、ライバル探偵、谷口! ~宿命のアップデート~」 谷口「フェ──────ド!」 長門「………イン?」 谷口「アウト!」 長門「………消えちゃダメ」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5501.html
緊急脱出プログラム設置の真相 朝比奈みくると長門有希は、顔をつきあわせながら、ある計画の検討作業にあたっていた。 過去の長門有希のあの12月18日の暴走から端を発する一連の世界改変を正常化するために、朝比奈みくるが立案した時間工作計画であった。 「大枠はこれでよいと思う。ただし、一点だけ問題がある」 「何でしょうか?」 「あのときの私が実行しようとしていた世界改変内容と、実際に行なわれたそれとの間には差異がある」 情報通信デバイスを通じて、長門有希から朝比奈みくるに情報が送信された。 「これは……」 朝比奈みくるは、絶句した。 涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、鶴屋、佐々木の存在そのものの消去。キョンの記憶改変。そして、規定事項に反して、緊急脱出プログラムは設置しない。 あのとき長門有希がやろうとしていた世界改変は、そういうものだった。 「あのときの私は、エラーに見舞われていたとはいえ、目的を遂行するための手段を判断する能力には支障はなかった。そして、目的は、彼の恋人、そして将来的には配偶者としての立場の確保。そのために支障となりうる要素を徹底的に排除しようとしていた」 「でも、実際にはそうはなりませんでしたよね?」 「何者かの介入で、世界改変の内容が修正されたと考えるのが妥当」 「長門さんに対抗できる存在は限られてます。喜緑さんのようなTFEIか、あるいは情報統合思念体か」 「そのどちらでもない。あのときの私は、その両者を真っ先に消去している」 「じゃあ、あれからちょっと未来の長門さんですか? お宮参りのあとで、いっしょに12月18日に遡行しましたよね?」 「それも違う。お宮参りのあとの私が、12月18日に遡行したときには、所定の修正は既に終わっていた。それは、あのときに、STCデータを全量走査して確認している」 「では、いったい誰ですか?」 「修正作業にかけられる時間は、0.153秒。自分自身をも改変するために最後のその時間だけ自動実行プログラムにしていたから。介入の機会はそこしかない」 「それだけで既に人間技ではないですね」 「そして、あのときの私が行おうとしていた改変内容と、それに対して修正すべき内容を完璧に把握し、かつ、あのときの私と同等以上に涼宮ハルヒの力を借用する能力をもつ者でなくてはならない」 「ならば、私が思い当たる存在はただ一人です。私の目の前にいる長門さん以外にはありえません」 「正解。今回は、私が直接介入を行なう」 「でも大丈夫ですか? 長門さんが動けば、それだけで目立ちますよ」 「あのときの三年前の7月7日からあなたと彼が時間移動してくる、それと同時に私も当該時間平面に遡行する。あなたがたの時間移動による時間平面破砕震動にまぎれて、私の時間移動は気づかれないはず。少なくても、あのときの私と、あそこで待機中の朝倉涼子には」 「でも、時間移動やTFEIとしての情報操作能力の行使は、どうしてもSTCデータ上にその痕跡が残ります。それが組織にばれるのはまずいのではありませんか?」 組織内で、長門有希の正体を知る者は朝比奈みくるしかいない。それは二人だけの秘密なのだ。 「その痕跡を観測しても、認識さえしなければ、それは観測しなかったことと同じ。組織の人間の認識能力にそのような制限をかけることは容易。私がこの組織内で情報操作能力を用いるときは、常にそうしている」 「なるほど。それなら問題ありませんね」 「そう」 「でも、いいんですか? あれはあのときの長門さんが心の底から望んでいたことなのに。それを阻止してしまうなんて」 「あれは、いわゆる若気の至りというもの。そのために生じた被害を最小限に食い止めるのが、大人の役目であろう」 「達観していらっしゃるのですね」 「二百年も生きていれば自然とそうなる」 「二百年ですか……。想像もつきませんね」 終わり
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4254.html
1.プロローグ 2月上旬のある日のこと。 それは、SOS団団員にして文芸部長兼コンピ研部長たる長門有希の唐突な宣言から始まった。 「あなたがたに勝負を申し込みたい」 唖然とする俺たちに対して、長門は淡々と説明した。 長門を含むコンピ研 vs 長門を除くSOS団(名誉顧問を加えてもよいとのことだった)。勝負は、去年やった宇宙戦闘ゲーム The Day of Sagittarius 3 を大幅に改良した The Day of Sagittarius 4 で行なわれる。 賭けるものも指定してきた。 コンピ研側が勝った場合には指定する日に一日限定でSOS団団長権限を長門に委譲、SOS団側が勝った場合にはデスクトップパソコンを一台進呈する、とのことだった。 堂々たる果たし状であり、こうまで言われて、ハルヒが応じないはずもない。 「相手が有希だからって、容赦しないわよ!」 「望むところ」 長門もやる気満々のようだ。 こいつもすっかり人間らしくなって結構なことだが、よりによってハルヒに喧嘩をふっかけることはないと思うのだが……。 そうはいっても二人ともやる気満々では、もはや止めようもなく、一週間後に勝負が行なわれることは規定事項となった。 その後一週間、長門を除き名誉顧問を加えたSOS団の面々は、放課後にゲームの練習にいそしんだ。 朝比奈さんも鶴屋さんも受験の真っ只中というのに、まことに申し訳ない。 俺が謝ると、 「気にしない、気にしない。たまの息抜きにはちょうどいいさっ!」 鶴屋さんは笑ってそうおっしゃってくださった。 本当に心の広いお方だ。 で、勝負を賭ける The Day of Sagittarius 4 だが、前作との変更点がいくつかあった。 完全3D化された三次元空間での戦闘。索敵艇の設定は廃止され、マップ全体が最初から見える状態。前回のコンピ研側のインチキであるワープはなし。 パラメータ100を攻撃、スピード、防御に振り分ける設定はそのままだが、ゲームの途中でも任意にパラメータ配分を変更可能。前回長門がコンピ研を苦しめた分艦隊モードも健在だ。艦隊は双方5個ずつで、全滅するか総旗艦を撃破された方が負け。 取扱説明書には他にもいろいろと書いてあったが、主なところはこんなもんだろう。 そして、一週間はあっという間に過ぎ去った。 2.決戦 勝負の日の放課後。 戦いの舞台は、整えられていた。 コンピ研帝国連合艦隊は、総旗艦を有する「ユキ総統閣下艦隊」を筆頭に、「総統閣下の下僕A艦隊」、「総統閣下の下僕B艦隊」、「総統閣下の下僕C艦隊」、「総統閣下の下僕D艦隊」。ネーミングセンスについては、とやかくいうまい。 対するSOS帝国連合艦隊は、総旗艦を有する「ハルヒ皇帝陛下艦隊」を筆頭に、「名誉顧問閣下艦隊」、「古泉くん艦隊」、「みくるちゃん艦隊」、「雑用係艦隊」。なんか俺の扱いが前回よりも悪いような気がするんだが、気のせいか? 戦闘意欲満々のハルヒの横顔を眺めている俺の耳に、開戦のファンファーレが鳴り響いた。 さて、どうなることやら……。 コンピ研部室……。 「各艦隊、制御キーを総旗艦に委譲せよ」 長門有希は開戦と同時にそう命じた。 「「「「了解!」」」」 4人の下僕たちは、すぐさま命令に従った。 長門有希は、制御キーの委譲を確認すると、猛烈な勢いでキーボードを叩き始めた。 彼女は、たった一人で5個艦隊を操ろうとしていた。 文芸部室……。 開戦と同時に、敵艦隊は連携のとれた積極的な機動で、SOS帝国連合艦隊を翻弄した。 「敵は、こちらを分散させて各個撃退する作戦のようですね」 古泉が敵の動きをそう分析した。 「この動きは人間技じゃねぇぞ」 「長門さんが全艦隊を一人で制御しているのかもしれません」 「そんなことが可能なのか?」 「ええ、取説にも書いてありました。各艦隊が制御キーを総旗艦に委譲すれば、総旗艦から全艦隊の直接制御が可能となります。前回の分艦隊モードの拡大版といったところですか」 「長門なら、それぐらいはやりそうだな」 画面を見ると、敵の思惑どおりというべきか、SOS帝国連合艦隊は、各艦隊がバラバラに分散しつつあった。 コンピ研部室……。 長門有希は、敵艦隊を意図通りに分散させたことを確認すると、キーパンチのペースを緩めずに、淡々と命令を下した。 「制御キーを各艦隊に返還した。各艦隊は、各個、対面する敵艦隊を殲滅せよ」 「「「「了解!」」」」 文芸部室……。 戦況を簡単に述べれば、広大な宇宙空間の5箇所において、それぞれ一対一の殴り合いが行なわれているといったところだった。それぞれの戦場の間には距離があって、相互支援ができるような状態にはない。 俺の雑用係艦隊は、目前の敵D艦隊を相手にするのが手一杯で、他に手が回らない。 「手ごわいですね」 古泉はいつものスマイルを浮かべたままそんなことをつぶやいていた。 善戦はしているようだが、敵B艦隊を相手にじりじりと残艦を減らしている。 「はわわわ……」 朝比奈さんは、残艦が急激に減っていく様子にただおろおろとするばかり。 「有希っこは容赦ないね。燃えてくるさっ!」 鶴屋さんは、敵A艦隊を相手に大立ち回りを演じている。 この人は、何をやらせてもすごい人だな。 「さすが有希ね! 正々堂々と勝負よ!」 ハルヒ皇帝陛下艦隊の状況を画面で確認する。 ユキ総統閣下艦隊は分艦隊モードで20個に分裂し、ハルヒ皇帝陛下艦隊を袋叩きにしていた。 そして、長門の総旗艦がハルヒの総旗艦めがけてぐんぐんと距離を縮めていた。 長門は、総旗艦同士の一騎打ちで一気に片をつけてしまう気だ。 ビーム砲の射程に入ってしまったら、ハルヒの総旗艦は、長門の精密な射撃であっという間に撃破されてしまうだろう。 俺は、雑用係艦隊のパラメータ配分を変更した。攻撃0、スピード100、防御0。 そして、旗艦を先頭に、ハルヒ皇帝陛下艦隊とユキ総統閣下艦隊が戦う戦場へと、猛突進を開始した。 今から思えば、なぜそんなことをしようと考えたのか、よく分からない。 コンピ研部室……。 「D艦隊、敵雑用係艦隊の動きを阻止せよ」 「駄目です! 振り切られました! 追いつけません!」 D艦隊は、敵雑用係艦隊を半分まで減らしたところで、完全に振り切られた。 敵雑用係艦隊のスピードは100。D艦隊のスピードを今から100に上げたところで、永久に追いつけない。 それが、あなたの気持ちか……。 長門有希は、心の中でそうつぶやきつつ、自艦隊のパラメータを変更した。攻撃10、スピード70、防御20。 敵総旗艦を撃破する前にやられてしまっては元も子もないので、それがギリギリの数字だった。 果たして、間に合うか? 文芸部室……。 間に合えぇー! 俺の心の叫びは、どうやら天に通じたようだ。 敵総旗艦がハルヒの総旗艦を射程に収める直前に、敵総旗艦に俺の雑用係艦隊旗艦が突っ込んだ。 盛大に衝突する。 これじゃ、まるで昔の神風特攻だな。 「ハルヒ、俺に構うな! 撃て!」 「えっ!? でも……」 こんなときに限って躊躇するなよ。らしくもない。 結局攻撃したのは、いつの間にかこの戦場に到達した古泉の艦隊だった。 俺の旗艦が突き刺さったまま身動きがとれない敵総旗艦は、ビーム砲を雨あられと浴びせられ、撃破された。 You! Win! そう表示されて、画面がブラックアウトした。 俺は古泉の方を向き、 「おまえ、いつの間に」 「あなたの動きを見て、すぐに意図を察しましてね。速度優先にパラメータを変更して、馳せ参じたというわけです」 古泉は、何かいいたげなニヤケ顔でそう答えた。 そのニヤケ顔はなんかむかつくからやめろ。 コンピ研部室……。 「このたびの敗戦の責任はすべて指揮官である私にある。よって、献上するパソコンの費用は私が出す」 長門有希は、淡々とそう宣言した。 「そんな! 何も部長ばかりが悪いわけじゃありません! 俺たちがもっとしっかりしていれば……」 副部長の言葉を、彼女はさえぎった。 「いい。あなたたちには、私のわがままに付き合わせてしまった。申し訳ない」 彼女はそういい残すと、部室を去っていった。 その後姿があまりにも寂しそうで、誰も声をかけることができなかった。 3.エピローグ あれから数日後、俺と古泉は、部室でオセロ対戦をしていた。 女子団員三人は、先に帰った。長門の部屋で明日の準備をするそうだ。 明日は、2月14日。 今年は、どこの山をほじくり返すことになるのやら。あるいは、マリアナ海溝にでも潜らされるハメになるのかもしれん。 「ところで、先日のゲーム対戦、あなたの最後のあの行動ですが。どうして、あんなことをしようと思ったんです?」 古泉が唐突にそんなことを聞いてきた。 「ゲームに負けてハルヒの機嫌が悪くなったら、いろいろと都合が悪いだろうが。おまえだって、例の灰色空間に行かずにすんだんだから、感謝の言葉ぐらいほしいところだな」 「ええ、その点については感謝しておりますよ。でも、理由はそれだけですか?」 「何がいいたい?」 「あのような事態がゲームではなく現実の世界で起きた場合でも、あなたは同じような行動をとったのではないかと思ったものでね」 「おいおい、勘弁してくれよ。あれはゲームだったからだ。現実では絶対やらんぞ。俺だって命は惜しいぜ」 「まあ、そういうことにしておきましょうか。それにしても、長門さんは一日団長になって何をしたかったんでしょうね?」 「さぁな。いつも団長様の理不尽な命令に従わされてばかりだから、たまには命令してみたくなったんじゃないのか?」 一方、三人娘は、長門有希の部屋でチョコレート作りに励んでいた。 「ねぇ、有希」 「なに?」 「有希さ、一日団長になって何がしたかったの?」 長門有希は、長い沈黙のあと、ぽつりともらした。 「…………団員その一」 涼宮ハルヒは思わず顔をあげて、長門有希を見る。 「……彼と明日一日をともにすごしたかった」 涼宮ハルヒは、唖然としたまま固まった。 朝比奈みくるも、目を見開いて驚いている。 「私は負けた。だから、その願いはもうかなわない」 「で、でも! そんなチャンスなんて何回だってあるわよ! 有希はいい子なんだし、あいつだって!」 涼宮ハルヒは内心の動揺を隠すようにそう叫んだ。 「あなたも、そろそろ正直になるべき」 長門有希はあくまで淡々と、核心を突くセリフを吐いた。 「……」 「大丈夫。あのゲーム対戦での彼の最後の行動。あれは、紛れもなく、彼のあなたへの気持ちそのもの」 「有希……」 「女子団員三人が共同して男子団員二人にチョコレートを贈呈するのは、今年を最後とすべき。来年は、あなたが彼にあげればいい」 翌日、男子団員二人がどれだけ苦労して、チョコレートを探し当てたかという詳細については省略する。 一連のイベントが終わったあと、長門有希は、北高の部室棟にいた。 文芸部室の前を通り過ぎ、コンピ研部室に入る。 手にしていた大量の手作りチョコをテーブルの上においた。 部員たちの視線が集中する。 そして、ぽつりと一言。 「あげる」 しばし唖然としていた部員たちは、ハッと気が付くと、全員が一斉に最敬礼し、学校中に響き渡らんばかりの大声で叫んだ。 「ありがとうございます!!!」 昨年までバレンタインデーなど無縁であった男子部員たちは、感涙にむせび泣きながら、チョコレートを味わった。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/5052.html
エピローグ その後の話 その後のことを少しだけ語ることにする。世界改変事件以来、特に変わったこともなく、初詣に行ったり、豆まきをしたり、宝探しをしたりと、古泉一樹の言葉を借りれば『健全な高校生らしい日常』を送っている。 変わったといえば、あれ以来、彼のわたしに対する態度に少し変化があったと思う。ちなみに、雪山の事件以来、涼宮ハルヒも時折わたしを心配そうな目で見ることがある。なぜだろう。あのとき倒れたことで病弱だと思われたからだろうか。 一方、変わらないのは喜緑江美里で、世界改変前に生徒会長とお付き合いをしていると語っていたが、そのような事実はなかった。それどころか、いわゆる趣味というものがないらしく、わたしが本を読むように、情報統合思念体からの指令以外で人間的な行動をすることはせず、淡々と任務を遂行している。ただ、彼女の心の内がブラックボックスであることは間違いなく、情報統合思念体の指令をうっとうしいと感じることがあるのかどうかは、定かではないが。 そうそう、もう一つ報告がある。彼ともう一度、図書館に行くことになりそうだ。 というのは昨日、彼から電話が入りSOS団恒例不思議探索で、彼とわたしが一緒になるようにしてほしいと言われた。 どんな服を着ていくべきか迷ったが、いつも制服なのに急に私服でいけば涼宮ハルヒに変に勘ぐられそうなので、やはり制服で行くことにした。もし、過去のわたしと同期化する機会があれば、第1回不思議探索から制服ではなく私服で参加するようにと言うことにしよう。 ◇◇◇◇ そういうわけで、不思議探索当日、わたしと彼は一緒に行動することになった。行き先はやはり図書館だった。以前、わたしが「また図書館に」とメッセージを送ったことを覚えていてくれたのか、世界改変のときわたしが図書館の話をしたからなのかはわからないが、いずれにしろわたしは彼と図書館に行くことを待ち望んでいたし、彼も心なしか嬉しそうにみえた。 駅前広場から図書館までの道のりを2人並んで歩く。いつも通る道だが、こうして彼と歩くと、辺りの景色も違って見えてくる。春に初めて図書館に行ったときのことが懐かしい。あのときはしばらくこの近辺を宛もなく歩き、それから、彼が図書館に行くことを提案したんだっけ。歩いているときに、特に会話はないが、改変した世界の文芸部と違い、この沈黙に焦りは感じない。沈黙が続いても、それが心地よいと思える関係は貴重だと思う。 彼と並んで本を読むのは、初めて図書館に来たとき以来で、改変された世界でも彼と一緒に本を読むことは実現しなかった。図書館に着き、さて何の本を読むべきかと思った矢先、カウンターのすぐ横にあるソファーに朝比奈みくるの異時間同位体が座っているのが目に入った。 「キョンくん。……あ。と、長門さん……」 朝比奈みくるは口の前に手を当てて小さな声で言った。朝比奈みくるがここにいることは偶然ではなく必然であることは考えるまでもなく、わたしは思わずため息をついた。なんでも未来からの重要な指令があるらしく、彼は朝比奈みくるとどこかへ行ってしまい、わたしは1人残された。帰ってきたら、何考えてるの? と怒鳴ってやりたいと思ったが、そんなことはわたしにはできそうもない。一度固定化してしまったことは、そう簡単に変えられないものである。 まあ、彼らしいと言えば彼らしいか…… わたしは苦笑に近い笑みを浮かべ、本棚に向かった。 ここでいう笑みという言葉が比喩表現でないということはわたしだけの秘密なのだが。 ~おわり~
https://w.atwiki.jp/mousouwiki/pages/77.html
作品概要 舞台はカントルィーヌ女学院。 この女学院には、『クリスマスの夜、女神の像の前で想い人に告白すると必ず結ばれる』という伝説があった。 主人公、真澄桃子もその伝説を信じる一人。 プレイヤーは桃子となって、破天荒な同級生、個性豊かな先輩に囲まれながらも、充実した一年を過ごします。 そして聖夜、貴方の想いを―――――。 今、最高の恋愛が始まる。 キャラクター 真澄桃子(ますみももこ) 主人公。カントルィーヌ女学院一年生。 栗色のショートヘアに、中学生のような童顔が特徴。 性格は極めて温厚、地味で目立たない。 口癖は「ケツの穴に剣山入れられてぇかッ!?」 今泉いずみ(いまいずみいずみ) 女学院三年生。ツンデレ生徒会長。 口は悪いが、根は優しい。 猿の絵をリアルに描ける。 長門有希(ながとゆき) 宇宙人。対有機生命体なんとか。 長門有希(ながとゆき) 俺の嫁。 長門有希(ながとゆき) 無口。 峰幸子(みねこうこ) 女学院三年生。フランクな性格。 バスケットボール並みにデカイリボンをつけている。 前世厨。 伯方乃潮(はかたのしお) 女学院二年生。始終塩を舐めている。 笑い方は「エフッwwwwwエフフwwwwwww」 外道畜生丸(げどうちくしょうまる) 女学院二年生。可憐で優しいお嬢様。 ハーフで、ふんわりとしたパツキンロングヘア。 バレエや乗馬が趣味。 実は、自分の家を継ぎたくないと思っていて・・・。 vipper(びっぱー) 常に笑いを探求し続ける人達。 遠山海(とおやまうみ) 女学院一年生。悪徳高利貸し。 稼いだ資金を競馬やパチンコにつぎ込んでいる。 学院内で彼女の悪口を言った者は、次のカモにされる。 - 人がこの妄想を観覧しましたぬるぽ この妄想に対してのコメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3925.html
涼宮ハルヒの経営I -目次 --[[プロローグ 涼宮ハルヒの経営I プロローグ]] --[[1 章 涼宮ハルヒの経営I 1章]] --[[2 章 涼宮ハルヒの経営I 2章]] --[[3 章 涼宮ハルヒの経営I 3章]] --[[【仮説1】その1 涼宮ハルヒの経営I 【仮説1】その1]] --[[【仮説1】その2 涼宮ハルヒの経営I 【仮説1】その2]] --[[【仮説2】その1 涼宮ハルヒの経営I 【仮説2】その1]] --[[【仮説2】その2 涼宮ハルヒの経営I 【仮説2】その2]] --[[【仮説3】その1 涼宮ハルヒの経営I 【仮説3】その1]] --[[【仮説3】その2 涼宮ハルヒの経営I 【仮説3】その2]] --[[【仮説4】その1 涼宮ハルヒの経営I 【仮説4】その1]] --[[【仮説4】その2 涼宮ハルヒの経営I 【仮説4】その2]] --[[【仮説4】その3 涼宮ハルヒの経営I 【仮説4】その3]] --[[【仮説4】その4 涼宮ハルヒの経営I 【仮説4】その4]] --[[【仮説5】その1 涼宮ハルヒの経営I 【仮説5】その1]] --[[【仮説5】その2 涼宮ハルヒの経営I 【仮説5】その2]] --[[4 章 涼宮ハルヒの経営I 4章]] --[[5 章 涼宮ハルヒの経営I 5章]] --[[6 章 涼宮ハルヒの経営I 6章]] --[[エピローグ 涼宮ハルヒの経営I エピローグ]] --[[おまけ 涼宮ハルヒの経営I おまけ]] -- blanklink(未公開シーン(外部リンク)){http //www22.atwiki.jp/hiroki2008/pages/53.html} -関連作品(時系列順) --[[長門有希の憂鬱Ⅰ http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2553.html]] --[[長門有希の憂鬱II http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2940.html]] --[[長門有希の憂鬱III http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2999.html]] --涼宮ハルヒの経営I --[[涼宮ハルヒの常駐(◆eHA9wZFEww氏による外伝) http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3025.html]] --[[涼宮ハルヒの経営Ⅱ(外部サイトへ) https //kakuyomu.jp/works/1177354054886703189]] --[[古泉一樹の誤算 http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4501.html]] --[[長門有希の憂鬱IV http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4908.html]] -共著:◆kisekig7LI ◆nomad3yzec -イラスト:どこここ Special thanks to どこここ -データそのほか --[[青空文庫版 http //www22.atwiki.jp/hiroki2008/pub/archives/haruhikeiei1_aozora_200802042244.zip]] --[[元テキスト http //www22.atwiki.jp/hiroki2008/pub/archives/haruhikeiei1_plot_200802042244.zip]]( blanklink(Nami2000){http //www.vector.co.jp/soft/win95/writing/se101660.html}データ形式) ----
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/1401.html
私が目を覚ますと住宅街のど真ん中で寝ていた。 何があったのか。私、長門有希は記憶を検索してみた。 確か新入社員の歓迎会があったはず。 その新入社員は私。朝倉さんの夫として結婚し一家を支える身になった私は 学校を中退し職に就いた。何故都合よく就けたのかはTルートを参考に。 その歓迎会で私は酒をたくさん飲まされた気がする。 そこから私の記憶は途切れていた。 ああ、そうか。私は酔いつぶれて帰る途中で寝転がってしまったのだろう。 実際頭がふらふらする。 私のすることは決まった。家に帰ろう… 家に帰る途中で「らんらんる~♪」とか変なことを言うピエロが襲い掛かってきたので 軽く捻ってやった。仮に死んだとしても正当防衛が適用されると思われる。 しばらくすると「むーん」とか言っている変な頭をした生物が6体くらい襲い掛かってきた。 手元にあったバットで全部殴り倒した。最近の日本は犯罪が増えていると聞く。 警察もちゃんとしてほしい。そいつのせいでいくつか損傷した。 しばらくすると「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」と叫ぶ奴が襲い掛かってきた。 邪魔をするな。私は家に帰るんだ。そいつは少々手強く、左腕が逝ったりしたが、 存在自体を消滅させた。 しばらくすると男子高校生と女子高生が人気がどうとか、キャラソンがどうとか言って襲い掛かってきた。 仕方がないので返り討ちにする。今日はやたら通り魔が多いな。 私は千切れそうな足を引き摺りながら、悲鳴を上げる身体を無理にでも動かしながら家に帰った。 そしてようやく私はズタボロになりながらも家に着いた。家に帰れば朝倉が笑顔で迎えてくれるはずだ。 私はドアを開ける。すると力が抜けたのか玄関先で仰向けに私は倒れてしまった。 すると倒れている私に誰かが近づいてきた。朝倉か? 私はお腹から絞り出すように必死に声を出した。 「た……だ…いま……」 そう言えば、朝倉に言いたいことがあった。朝倉が身篭った子供の名前だ。 仕事中に考えた私達の子の名前…聞いてほしい…それは… …眠くなってきた。朝倉さんすまない。それは私が起きてからにしよう… 世界で殺し合いが行われていることを最後まで知らないまま、 サラリーマン長門有希は永遠の眠りについた 長門有希に止めを刺した岩崎みなみは家を去っていった 【一日目・午前2時20分/日本、長門の家】 【岩崎みなみ@らき☆すた】 [状態]:病んでる [装備] スタンガン、包丁、バット [道具] 支給品一式 [思考]基本:6/奉仕 1:5期で6/がみなみの死を感じたように6/の死をみなみは感じました 【ドナルド@CM 死亡確認】 【ムーンフェイス×5@武装錬金 死亡確認】 【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 死亡確認】 【白石みのる@らき☆すた 死亡確認】 【らき☆すたのピンク@らき☆すた 死亡確認】 死因:長門に殺される 【長門有希@ハルヒシリーズ 死亡確認】 死因:岩崎みなみに殺される
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3080.html
暴走端末のその後 長門有希は団活を終えて自宅に帰ったところだった。 「あら、今日は遅かったわね、長門さん」 部屋には誰もいなかったが、聞こえてきた声は空耳ではない。 「なぜここにいるの? あなたには、天蓋領域のインターフェースを観測する任務があるはず」 「だって、あの九曜って娘、全然動きがないんだもん。つまんないわよ」 「任務を怠っていては、有機身体の再構成の許可も期待できないものと思われる」 「分かってるわよ。でも、同じく暴走したのに、私は有機情報連結を解除されて再構成されず、長門さんはそのまんまなんて、不公平だと思わない?」 「私も、あなたの再構成については何度も申請している。しかし、許可が下りない。単純に主流派と急進派の勢力の差に起因するものと思われる」 「全く気に入らないわね。もう一回暴走しちゃおうかしら」 「再度暴走すれば、喜緑江美里が今度こそ黙ってはいない。私がいくらかばっても、あなたは情報生命構成を消去されて『死ぬ』ことになる。そもそも、あのときだって、私が彼女の侵入をブロックしてなければ、確実にそうなっていた。穏健派は、主流派や急進派と比べて、暴走に対しては寛容ではない」 「はいはい。分かってるわよ。じゃあ、退屈な九曜ちゃんの観測に戻るわ」 朝倉涼子が「出ていく」気配を感じて、長門有希は素早く付け加えた。 「天蓋領域の出方によっては、あなたの戦闘能力が必要になる可能性もある。そのときがあなたが再構成される可能性が最も高いときかもしれない」 「期待しないで待ってるわ」 朝倉涼子は、そういい残して「去って」いった。 期待しないで待っているわ──その言葉の意味を、長門有希も充分に理解していた。 朝倉涼子の戦闘能力が必要になる事態というのは、自分にとっても、情報統合思念体にとっても、そして、SOS団にとっても、決していいことではない。 そんな事態は発生しないに越したことはないのだ。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4731.html
第4章 3日目 彼とナツが印刷されたわら半紙を大量に持って帰ってきた。 「こうしてみるとすごい量だな」 「何言ってるの。これぐらいすぐにさばけるわ。増版が必要なんじゃないかしら」 2人は山積みになった紙を見て満足げだった。 機関誌といっても業者に発注し製本する予算などあるわけなく、2つ折りにした紙をホッチキスで留め、本にする。これが予想以上に面倒な作業で、100部すべて製本するのに3日を要した。 機関誌の表紙はナツが絵を描き、裏表紙には『北高生が好きな小説ランキング』が載っている。その次からランクインした小説の解説と書評が書かれている。また、文芸部オススメ本も何冊か紹介した。たとえ1人でもこの機関誌がきっかけで本が好きな人が増えたらどんなにうれしいことだろう。機関誌を初めて手に取った時、私は少なからず気持ちが高揚した。 私たちはさっそく部室の入り口に机を置きそこに機関誌を平積みした。 次の日、学校に来ていの一番で、部室に向かい機関誌の売れ行きをチェックした……が結果はさんざん、機関誌の積まれた高さは昨日と変わっていなかった。 昼休みに部室に行っても状況は変わっていない。 私は落胆し、といっても何かできるわけでもなく、憂鬱な気分になるだけだった。私は気を紛らわすため、コミカルな本を選び読むことにした。私1人しかいない部室は静かで読書には最適な環境だ。彼は今頃ナツと学食にでも行っているのだろうか。1人は慣れている……はずだった。でも何かが違った。なんだか部室が私の居場所じゃなくなった気がした。 ◆◆◆◆ 書けない。ペンが重い。文章の流れも悪い。 そして何よりこの続きがどうしても納得いかない。この話はあと原稿用紙1枚で完結する。でも、最後の1枚に書いた結末が、何か違う気がする。ずっと原稿を睨んでいたが気づけばもう朝だ。 わたしはその最後のページをくしゃくしゃに丸めて床に放り投げた。学校から帰ってからラストを書き直そう。そう思い、学校に行く準備をしようとした時、呼び鈴がなった。 それは朝倉さんだった。わたしはリビングの隅に積んである本の山に原稿用紙を隠し、床に転がっていた原稿用紙のボールを拾い、とっさに鞄の中に詰め込んでから玄関のドアを開けた。 「おはよう」 わたしはできるだけ元気な声で言うが 「長門さん。寝てないでしょ」 簡単に見透かされた。 「また小説?」 わたしは曖昧に返事をしながら、急いで学校の支度をした。わたしの支度を待つ間、朝倉さんは玄関で待ってくれた。 「小説は書けたの」 「うまく書けない。一応最後まで書いてみたけど、わたしの書きたかった話と違う気がして……どうしても結末が書けない」 「うまく書けないのは自分が心の奥底で書きたくないって思っているからじゃないかしら」 「どういうこと?」 「えーとね。たとえば、2人は愛し合っているんだけど、2人は結ばれないって話を書くとするじゃない。作者は書いているうちに感情移入しちゃって、2人には幸せになって欲しいって願っていても、ストーリーははじめから決まっているから変えられない。そういうときって、文章が書けなくなると思うの。長門さんも書きたい話と書かなければいけない話が一致してないから書けないんじゃないかしら」 確かにわたしが書こうとしている話はハッピーエンドではない。 でも、単純に2人が結ばれて幸せになりましたという話を書きたいとは思わない。 わたしが書きたい話は……なんだろう? 放課後、わたしは部室で彼を待った。しかし、彼は一向に来なかった。部室は沈黙が覆い、わたしは落ち着いていられなくなった。ふと鞄の中に入っていた原稿用紙に気づいた。わたしは気を紛らわすため、くしゃくしゃに丸まった紙をもう一度広げて、もう1度読み直した。 ◆◆◆◆ 昼休み、私が1人で本を読んでいたとき扉が開いた。彼が来たのではと期待したが、意外にも来たのはナツだった。 「どうしたの」 「ねえ。ユキはどうして文芸部に入ろうと思ったの?」 その問いかけは日常会話の延長線上にあるものでなく、私に真剣な答えを求めたもののように思い、私は少し戸惑った。 「……本が好きだったから」 「そう。私は、はじめから文芸部に入ろうと思ってここに来た訳じゃなかったわ。私がここにはじめて来たとき、それほど文芸部に期待はしてなかった」 ナツの声はいつもより3割ほど控えめで、少し様子が違うように感じる。 「実は、私はすべてのクラブに仮入部したの。どこのクラブもつまらないところばかり。入りたいクラブは1つもなかったわ。 『君は筋がいいからエースになれる』 『部員不足だったから来てくれてよかった』 どこのクラブもそんな台詞ばかり。誰も私自身を見てはくれなかった。でも、文芸部だけは違ったわ。ちゃんと私を見て、受け入れてくれた。この部室にいるときが、一番私らしい気がするの」 ナツは一つ一つの言葉を選びながら、ゆっくりと語った。 その表情は普段決して見せないような穏やかなものだった。彼女が語る言葉は、数少ない本音だと思う。 「ユキ。私、文芸部に正式に入部しようと思う」 その言葉を訊いた私はとっさに自分でも驚くようなことを言ってしまった。 「断る」 「え……」 ナツは固まってしまった。 私はナツに追い打ちをかけるようにこう言った。 「文芸部は定員割れで廃部が決まっているの。機関誌を配り宣伝して、新入部員が入ればいいと思ったけど何の成果もなし。悪いけど入部を認めることはできない」 「どうして! 廃部の話があるのは知ってるけどまだ諦めるのは」 「うるさい。あなたは本に興味あるの。いつも彼と雑談してばかり。文芸部は本を読むクラブなの。なりふり構わず部員を集めて、お遊びクラブにするつもりはない」 私は叫ぶように言い放った。 「……わかった」 ナツはそう言うと部室を出て行った。 ナツがいなくなった後、自分がしたことを思い返し身震いがした。取り返しのつかないことをしてしまった。 放課後、部室に彼が来た。 「よう」 私は会釈をした。 「ナツは体調が悪いとかで先に帰ったよ」 「そう」 うつむいていた私は向き直り彼を見た。 「ねえ」 「ん? なんだ」 「文芸部を廃部にしようと思う。もう部員が増える見込みはないわ。私たちはがんばった。けど結局、部員を増やせなかった。最初から無理だったのよ。こんな陰気なクラブに誰も来るはずないか」 気づけば目に涙があふれていた。 これでいいんだ。これですべて終わり。もう文芸部は私の居場所じゃない。 そこは教室と同じ孤独を感じる空間だった。私の好きだった文芸部はもうとっくにない。 どうせ文芸部は廃部になる運命だ。ちょうどいい機会じゃないか。 こころの中で彼に言う。さようなら。今まで楽しかったよ。 私は涙をぬぐいめいいっぱいの笑顔を作った。 「今までありがとう」 ◆◆◆◆ わたしはクライマックスまで読み切り、背中を反り天井を見上げた。後味が悪い。わたしが書きたかったのはこんな話だったのだろうか。 外を見るともう日が沈みかけている。下校時間だった。彼はもう来ないのだろうか。窓辺に立ち静けさに抱かれながら、彼を待っていた。 コンコン 沈黙を破るノックの音に振り向く。 「よう、長門」 「あ……」 彼を見て安堵し、思わず息を吐いた……のだが、彼の後にポニーテールの女の子が立っていた。だけではなかった。 その女の子はさらに別の女の子を抱え、その後には真冬にも関わらず半袖短パンの体操服姿の男の子がいる。この集団はなんなのだろう。 「こんにちは」 その女の子は笑顔を振りまきながら、部室に入ってきた。 「そっちの眼鏡っ娘が長門さん? よろしく! あたし涼宮ハルヒ! こっちの体操服が古泉くんで、この胸だけデカい小さい娘が朝比奈さん。で、そいつは知ってるわよね? ジョン・スミスよ」 「ジョン・スミス……?」 彼の新しいニックネームだろうか。彼は私を見て肩をすくめていた。 「ふーん、ここがそうなの。SOS団か。何にもないけどいい部屋だわ。いろいろ持ち込み甲斐がありそう」 え? 彼女は文芸部に入部するつもりなのか。 「でさ、これからどうする? この部屋を拠点にするのはあたしとしても賛成だけど、交通が不便だわ。そうだ、時間を決めて駅前の喫茶店に集合ってことでどう?」 いったい彼女は何者なのだろうか。私の頭の上にはハテナマークが回り続けた。 その時!! ピポ 突然、パソコンが電子音を発した。 部室にいた全員がパソコンに注目した。 彼はものすごいスピードでパソコンに飛んでいき、画面にしがみつく。 真っ暗な画面に白い文字が映し出されている。 Y U K I .N このメッセージが表示されたということは、そこにはあなた、私、涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、古泉一樹が存在しているはずである。それが鍵。あなたは解答を見つけ出した。 「何? スイッチも押してないのに、びっくりするじゃないの」 「タイマーがセットされていたのでしょうか」 女の子と体操服な男の子がパソコンに寄り画面を覗き見ている。 「どういう意味? なんの仕掛けなの? ジョン、あんたやっぱりあたしをからかっているだけなの? 説明してよ」 しかし、彼はその人たちすべてを無視して私に言った。 「長門、これに心当たりはないか?」 画面にはこう書かれていた。 Y U K I .N これは緊急脱出プログラムである。起動させる場合はエンターキーを、そうでない場合はそれ以外のキーを選択せよ。起動させた場合、あなたは時空修正の機会を得る。ただし成功は保証できない。また帰還の保証もできない。このプログラムが起動するのは一度きりである。実行ののち、消去される。非実行が選択された場合は起動せずに消去される。Ready? 何のことかさっぱりわからない。 「……ない」 「本当にないのか?」 前にも同じようなことがあった。不思議なメッセージが書いていた栞。あの時も私に覚えがあるか、と聞いてきた。 「どうして?」 彼は私に何か言おうとしたが、何も言わずパソコンに向き直った。顔は真剣だった。 「ねえ、ジョン。どうしたの? また変な顔してるわよ」 「ちょっと黙っててくれ。今、考えをまとめてるんだ」 彼は目をつぶり、深呼吸する。 そして、目を見開き 「すまない、長門。これは返すよ」 入部届けだった。 何も書かれていないその紙は、さよならを意味した。 「そう……」 闇に射すひとすじの光が消えた。 「だがな。実を言うと俺は最初からこの部屋の住人だったんだ。わざわざ文芸部に入部するまでもないんだ。なぜなら俺は、SOS団の団員その一だからだ」 彼はパソコンのキーボードに指を伸ばし、エンターキーを押した。 その直後――。 「うわっ?」 彼は悲鳴を上げ、その場で崩れ落ちた。 「キョン!」 私は叫び、駆け寄り、彼を支える。 その瞬間、強烈な閃光で前が見えなくなった。 「え!」 手の感覚がおかしくなる。 よく見ると、彼の肩をつかんでいるはずの私の手は何もつかんでいなかった。 誰もが絶句した。 彼が消えていた。 その時、わたしの頭はぐるりと宙を回った。 SOS団? 涼宮ハルヒ? 朝比奈みくる? 古泉一樹? 記憶が走馬燈のように駆け巡る。それは3年前突然彼がわたしのマンションを訪ねてきてから始まった。それが彼との出会い。そう彼との出会いは図書館じゃない! 情報統合思念体。情報爆発。観察者。ヒューマノイドインターフェイス……朝倉涼子の暴走。閉鎖空間の発生。終わらない夏休み。コンピュータ研との対戦。3年間の記憶がフラッシュバックし、わたしが何者なのかはっきりわかった。しかし――この世界には情報統合思念体はなかった。 わたしは世界改変後すぐに再改変が起こると考えていた。あるいは、彼が改変された世界を選び、再改変は起きず、私は普通の人間として生きていくかもしれないと。しかし、わたしが今いる世界はそのどちらでもなかった。彼が世界再改変をするためには、緊急脱出プログラムを起動させる歴史が必要だった。つまり、世界改変を行ったことで世界が分岐してしまった。一方は、再改変が起こる世界。もう一方は緊急脱出プログラムを起動させるためだけに創られ、彼が無事、元の世界に帰還すればなんの意味もなさない世界。つまり今だ。わたしはなんて愚かなのだろうか。こういう状況になるとは考えてもみなかった。 彼に愛されたい。そう願った。彼に振り向いてもらおうと必死だった。だから世界を創り変えた。しかし、そこにあったのは彼のいない世界だった。 まさか彼を失うなんて考えてもいなかった。彼だけじゃない。希望も、生きる目的も、何もかも失った。わたしはこれからどうすればいいのだろう。今のわたしに何の力も残っていない。涼宮ハルヒもただの人間だ。この世界では、未来永劫タイムマシンが開発されることも、宇宙人がやってくることも絶対に起こらない。 唯一の脱出手段、緊急脱出プログラムも一回限り。もう使えない。わたしがそう創ったから。 彼はもう戻ってこない…… わたしは彼が好きだった。しかし、彼は涼宮ハルヒのことを想っていた。わたしは涼宮ハルヒに嫉妬し、記憶を操作し別の高校に入学させた。SOS団もなくした。 だが、そんな偽りの世界を彼は否定し、いなくなってしまった。 偽りで塗り固められた世界。わたしの願望だけを反映させた世界。誰もこんな世界に住みたいと思わない。 わたしはバカだ。大バカ者だ。そんなことも気づかないなんて。 彼のことなんてなんにも考えていなかった。自分のことしか考えていない。 だからこんな小説を書いてしまうんだ。こんな世界を創ってしまうんだ。 もしも願いが叶うなら、彼に謝りたい。一度でいい。彼に会って謝りたい。 しかし、それはかなえられない夢だった。 わたしの目から、ゆるやかに落ちた。水じゃなくてもっと寂しい粒が 第5章へつづく