約 24,297 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1243.html
Extra.5 涼宮ハルヒの戦後 わたしは喜緑江美里から、涼宮ハルヒと朝比奈みくるが戦闘を開始したという連絡を受けると、『彼』と古泉一樹を先に帰した。 「今日の活動は無くなったと言われた。」 「そうか。ほな、先に帰るわ。また明日な。」 【そうか。じゃあ、先に帰るぞ。また明日な。】 「ほんなら、お先に帰らしてもらいますよって。」 【それじゃあ、お先に失礼いたします。】 そう言うと、二人は帰途につく。それからしばらくして、 『終わりましたよ。』 江美里から連絡が入った。 『部室の中は凄まじい有様ですね。二人もぼろぼろです。』 『余り大規模な情報改変は推奨できない。』 『分かってますよ。致命的な損傷や損壊だけ修復して、後はそのままにします。』 しばし間。 『二人を保健室に連れて行きます。あなたはどうしますか? 長門さん。』 『わたしも保健室に向かう。』 わたしは、保健室に向かった。扉を開けると、二人が治療を受けている最中だった。保険医は不在。 「あれ、有希!? 何で保健室に!?」 「あなた達が騒ぎを起こして保健室に行ったと聞いた。」 「うっ! 騒ぎて……別に、大したことないんやって。」 【うっ! 騒ぎって……別に、大したことないんだって。】 手をひらひら振りながら彼女は言う。鼻血の跡も生々しく、あざだらけの顔で。 「そんなことを言うのはこの口ですか~? わたしも生徒会の人間ですよ~?」 江美里は涼宮ハルヒの両頬をつねりながら言った。 「いひゃひゃひゃひゃ、いひゃいって、もうちょっと怪我人には優しくしてぇや……」 【痛たたた、痛いって、もうちょっと怪我人には優しくてよぉ……】 涙目になりながら、彼女は抗議の声を上げた。 「さっきも言(ゆ)うた通り、みくるちゃんと友情を深め合ってたんやって!」 【さっきも言った通り、みくるちゃんと友情を深め合ってたんだって!】 「拳で語り合って、ですか?」 「そう、これもスキンシップの一環! ねっ! みくるちゃんっ!!」 「ひゃいっ!? あ、ふ、ふぁぃ、そうです……」 彼女はみくるを抱き寄せると、 「あたし達、こ~んな仲良しやもんな~?」 と言って、胸を揉みだした。 「あへぁ!? すっ、涼宮さん! こんな、人前でっ!?」 彼女の胸の揉み方が変化している。これまでの荒々しい掴み方とは明らかに異なる、『悦ばせる』揉み方。見る見るみくるの顔が上気し、嬌声を上げだした。 「あっ、そ、そんな、そんなとこ、はぁっ、だ、だめ……」 彼女は、わたしとの行為で、『何か』に目覚めたのかもしれない。そう考えると、わたしと行為をする前の彼女も、その片鱗を見せていたのかもしれない。みくるの服を脱がせたり、抱きついて耳を甘噛みしたり。 「いくら同性とはいえ、人が見てる前でいちゃつくのはいかがなものかと思いますね。」 そう言って江美里はわたしの方を向いて、言った。 「ほら、長門さんなんか、鼻血出しちゃってますよ。刺激が強すぎたんですかね。」 ……わたしは鼻血を出していた。こんなことは、『彼』の犬耳姿を『妄想』した時以来。わたしは江美里に、親指大の脱脂綿を鼻の穴へ詰め込まれた。 「下を向いて、血が止まるまで鼻をつまんでてください。」 「ふ~ん。一体『何』を思い出したんかな~?」 【ふ~ん。一体『何』を思い出したのかな~?】 彼女がニヤニヤしながら聞いてくる。わたしは酷く赤面した。表情には出ないが気持ちとして。 「まあ、本人達が合意してるようですので、今回の件は何も聞かなかったことにしますけどね。」 江美里は人差し指を立てて言った。 「生徒会の人間としては、余り揉め事を起こさないでいただきたいですね。」 『はぁい。』 彼女達の声が見事に揃う。 「とにかく、手当てしてしまいしょう。」 彼女達の怪我は、間接の損傷など致命的なものは二人の意識が戻る前に江美里が治療しているので、主に外傷の処置が中心となる。 まず、みくる。ハルヒに噛み付かれた傷をよく洗浄した後、ワセリンを塗ってラップフィルムを被せ、テープで留める。決して消毒薬は使用しない。閉鎖湿潤療法。 「この療法は、ある漫画にも登場していた。」 「あー、なんか、前に読んだ事あるかも! えっと、『トッキュー』とか『ゴッドハンドなんとか』ってやつ!」 他は、顔等体中のあざ。これはどうしようもない。 続いてハルヒ。彼女の膝靭帯損傷と中手根骨骨折は、共に膝と手首の捻挫に変更されている。彼女は勘が鋭いので、あまり大幅なダメージの軽減は行わなかったと思われる。賢明な判断。 氷でよく冷やした後、テーピングを施す。他の無数のあざは、やはりどうしようもない。 「処置完了。」 「……やっぱり、有希はお医者さんみたいやな。今度、白衣着てみぃひん?」 【……やっぱり、有希はお医者さんみたいね。今度、白衣着てみない?】 彼女はそう言って、笑った。 「有希が着たら、何(なん)か化学者みたいになりそうやけど。」 【有希が着たら、何(なん)か化学者みたいになりそうだけど。】 その時には、眼鏡も掛けた方が良いだろうか。そんなことを考えた。 「あなたはわたしが送って行く。保健室の松葉杖を借りて帰る。」 「うん、頼むわ。」 「では、あなたはわたしが送って行きますね。」 「あ、はい、お願いします。」 こうしてわたし達は、それぞれ帰途についた。 部室の片付けはどうしようか。……明日で良い。彼ら、少なくとも『彼』は、彼女達の姿を見て、何が起きたのか知りたがるだろう。それなら現場を見せた方が話が早い。片付けも団員の手で行ったことにすれば、記憶との整合性も保てる。 「じゃあ、あたし達はこっちですから。」 とみくる。 「ほな、また明日な、みくるちゃん!」 【じゃあ、また明日ね、みくるちゃん!】 「お二人とも、気を付けて帰ってくださいね。」 「…………」 遠ざかっていく二人の背中を見送りながら、わたしは呟いた。 「また明日。」 わたし達も歩き出す。 「悪いな、有希。手間掛けさせてもぉて。」 【悪いわね、有希。手間掛けさせちゃって。】 「いい。」 わたしは、彼女の分の鞄を肩に掛け直して言った。 「それで彼女との絆が深まったのなら。」 「うん、確かにみくるちゃんとは、より深い仲になれそうな気がするわ。」 そう言うと彼女は、はっとしたようにわたしを見て、 「あ、もちろん、有希とも深い仲やで!? 別に浮気違(ちゃ)うで!?」 【あ、もちろん、有希とも深い仲よ!? 別に浮気じゃないわよ!?】 慌てたように言った。 「…………」 「あ、信じてへんな、その目は!?」 【あ、信じてないな、その目は!?】 彼女はわたしの肩に腕を回して引き寄せた。 「あたしは怪我人なんやから、肩貸してもらうし!」 【あたしは怪我人なんだから、肩貸してもらうわ!】 そして、小声でこう付け加えた。 「……こんなこと頼めんの、あんただけなんやから。」 【……こんなこと頼めるの、あんただけなんだから。】 わたしは、何も言わず、彼女の腰に手を回した。 空はすっかり茜色の時間を過ぎて、紫から藍色に変わりつつあった。二人、肩を抱き合いながら帰る道。彼女の足元はやや覚束ない。 今わたしの横にいる彼女が願ったのは、こんな風景だったのだろうか。 事の発端となった広域体宇宙存在は、今回の件で一体何を観測したのだろうか。 そんなことをぼんやりと考えていた。 |←Extra.4|
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3915.html
https://w.atwiki.jp/haruhi_sm/pages/59.html
https://w.atwiki.jp/yukipo/pages/30.html
842 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 22 25 11.60 ID 1.jppLoo 642 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk[]投稿日:2006/12/28(木) 20 18 21.26 ID 4Ev791Io ちゅるやが家来た 2時間か・・・ これはもうだめかも分からんね そしてなんだかんだで3時間経過 939 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/28(木)23 28 39.25 ID 4Ev791Io おまいらただいま・・・ 943 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 29 22.44 ID .pIRvvM0 おかえりーーーーーーーーー!!11 948 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 30 30.08 ID k.qUpE.0 なにがあった!!!? 950 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/28(木)23 30 46.75 ID 4Ev791Io どこから話せばいい・・・ 955 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 31 28.02 ID 77fAXoUo 950 ちゅるやが来たとこから、今起こったことをありのまま話すんだ 956 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 31 33.26 ID DgvyQAoo 約二時間半にいったい何があったというのか…… 961 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/28(木)23 33 03.88 ID 4Ev791Io 産業で書くと 泣きつかれた 抱きつかれた 俺疲れた 963 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 33 24.48 ID We5CwAAo 長門を探しに職員室に行ったアスパラ → ちゅるや訪問の謎 979 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 35 29.54 ID 5kETs9oo 泣ーかした泣ーかした 983 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/28(木)23 36 20.87 ID 4Ev791Io いやセクロスはないぜ・・・ 今日ほど疲れたことはない 眠い、眠いよパトラッシュ・・・・ 985 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 36 34.68 ID UThTmNkO 正直展開早すぎて飲み込めないの俺だけ? 986 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 36 40.42 ID 9Q98KCYo やっぱりちゅるやさんはアスパラに恋を・・・ 38 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/28(木)23 44 26.94 ID 4Ev791Io 家の場所の件は今日の午前中の影響かと思われ・・・ まさか今日来るとは思わな・・・ 46 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 45 30.63 ID 5kETs9oo 38 ではそちらを先に述べられよ 47 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 45 37.23 ID 77fAXoUo 38 つーことはさっきの部活の続きから話したほうがいいんでないかい 50 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/28(木)23 46 24.63 ID 4Ev791Io とりあえず順番通りにいく ちょっと思い出す、待ってくれ 68 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/28(木)23 51 50.76 ID 4Ev791Io みのを振り払い階段を上る俺 何処に居る長門似 すると上から聞き慣れた太い声が聞こえてきた トロンボーンを持った長門似と笑ってる福 ここにいたのか・・・ 俺「はぁ・・・」 長門似「あ」 福「おっ」 はぁおっ・・・じゃねーぞ 俺「見っけた・・・」 長門似「ごめん」 申し訳なさそうな長門似 いや別にいいけどさ 福「じゃあ鍵預かっとくなー」 お前が一番空気嫁 70 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 52 29.36 ID DgvyQAoo 68 福キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚)━(゚∀゚)━━━!!!!! 76 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 53 07.90 ID DJ.X86k0 福空気嫁wwwwww 77 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/28(木) 23 53 08.79 ID 7LTElSg0 ついに全ての真相が明らかになるときが・・・ でも、今は素直に長門似に萌えていよう 83 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/28(木)23 57 18.97 ID 4Ev791Io 福は廊下を歩いていく 音楽室前で残された俺と長門似 まだ2年は来ない 長門似「・・・大丈夫?」 俺「うん・・・大丈夫・・・」 長門似がドアをゆっくり開ける 音をたてないように、それぐらい静かに開ける 俺の息は荒い 長門似「・・・大丈夫?」 俺「おkおk・・・」 長門似「うん」 94 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 00 40.46 ID tM5/IJEo 大丈夫じゃねえ・・・これ以上萌えるとどうなるかわからねえ・・・ 103 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 02 36.13 ID NHR5Hrso 長門似「・・・」 俺「・・・」 のそのそ音楽室に入る 音楽室の木の臭いと埃っぽい臭い 相変わらずベートーベンは俺を睨んでる からから、とドアが閉まる えっ、閉めちゃっていいんですか 俺「あ・・・」 長門似「鍵開けてくれたから」 ちょっと小走りで音楽準備室の前に立ち ドアを開ける長門 長門似「こっち」 110 名前:ベース :2006/12/29(金) 00 04 34.74ID gyp6KcUo こっちてどっちだよおおお1!!1 俺もそっちに行きたいいいいいい!!!111 111 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 04 47.73 ID 3Ee7ZBAO もうこの長門煮のかまたりは一体なにもんだよ… マジで宇宙人だろ長門煮のかまたり… 123 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 08 01.54 ID NHR5Hrso ちょっと寒い準備室 茶色のケース、布をかぶったティンパニ? 一つケースから出ている楽器があった ちゅるやが使ってたホルンだ あいつが使ってた奴か? 俺「ホルン・・・」 長門似「え」 俺「それ・・・」 長門似「あっ・・・」 急いでケースに戻す長門似 ちゅるやが借りてたってこれのことか・・・ 126 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 08 43.25 ID JB130hUo 123 よくわからんけどせつねえええええええええええええ 130 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 09 18.15 ID /jcfisAo 123 ホルンだけは吹いちゃいけねーぜ! ちゅるやフラグの臭いがビンビンだからな!! 135 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 10 52.92 ID rhRjeY20 >急いでケースに戻す長門似 妄想して和んだ。 132 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 10 01.12 ID tM5/IJEo 間接キッスが恥ずかしいのか・・・そうなのか・・・ 133 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 10 15.91 ID Shse13Ao これは長門似がちゅるやさんのホルンをアスパラが吹いて間接キスをさせないために棚…… つまり嫉妬してるんだよっ!!!!!!!!!!!!! 137 名前:ケーキ :2006/12/29(金) 00 11 31.46ID Z8t0q6Io 133 マウスピースは各自で用意と予想 144 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 13 48.89 ID 8anAUi.o だれか長門似をzipでくれ 145 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 13 52.06 ID NHR5Hrso 長門似「これ」 長門似が差し出すのはさっきまで持ってた 俺に渡す、これが想像してたより結構重い 俺「トロンボーンだな」 長門似「うん、そこの部分が取れるから」 これも知っていた ちゅるやが実際に俺に見せてくれた 俺がきゅぽっ、と取る、マウスピースだ 長門似「あれ・・・」 俺「ん?」 長門似「詳しいの?」 しまった 156 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 15 41.84 ID J7l8TJco アスパラは「何でその置物がライターだって知ってたんですか?」って名探偵にバレるタイプだな 162 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 17 04.23 ID tM5/IJEo 勉強が仇となったwwwwwwwwww 166 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 18 17.39 ID Shse13Ao アスパラ全身黒タイツ想像しちまったwwwwwwww 167 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 18 21.21 ID NHR5Hrso 俺「う、お、けっこう調べたぞ」 嘘 長門似「すごいね」 俺「うん・・・」 まさか長門似に嘘をつくなんて 自分が許せない 長門似は構わずポケットから小さいケースを出す 予備のマウスピースだろう 俺「あ・・・マウスピース・・」 しまった 長門似「あ・・」 170 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 19 01.83 ID Shse13Ao でもマウスピースぐらいはしってるだろ? 173 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 19 44.14 ID R.yJeAAo 167 墓穴掘りすぎwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww 174 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 19 55.41 ID JB130hUo おけつ掘りすぎwwwwwwwwwwwwwwww 177 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 20 44.38 ID NHR5Hrso 長門似「予習したの?」 長門似は俺に今までにないくらい 明るい顔で聞いてきた 素直に喜べない俺 俺「へ・・・まあ・・・」 長門似「すごいよ」 俺「うん・・・」 最低だ、俺って いや、冗談抜きで最低だ 179 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 21 11.11 ID 8anAUi.o クオリティが不足してるぞ!! 180 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 21 16.97 ID 3Ee7ZBAO 174 アナルだけは!アナルだけは! マッガーレ 182 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 21 50.37 ID JB130hUo 長門似が純粋に喜んでるのに・・・・・・・彼女の気持ちを弄びやがってえええええええええ!! 194 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 23 42.55 ID NHR5Hrso 長門似「じゃあ吹けるね」 長門似が口に当てて音を出す ピュー、いい音だった 俺「・・・えっと」 長門似「ちゃんと洗ってるから」 正直叫びたい、関節キスだ だが音が出せない 204 名前:ケーキ :2006/12/29(金) 00 26 42.77ID Z8t0q6Io 間接キスならそんなに気にならないだろ・・・ だが長門似となら話は別だ 205 名前:ベース友達(仮) :2006/12/29(金) 00 26 57.95ID CvD0Wu2O 長門似と間接キs・・・ よく死ななかったなアスパラ・・・ 207 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 27 26.49 ID NHR5Hrso 俺「・・・」 どうする これじゃ間接キスを嫌がっている様にも見える でも吹けないとおかしいだろ・・・常識的に考えて この状況が素直に喜べない俺 長門似「・・・?」 そんな目で俺を見ないでくれ なんでそんなにかわいい目をしてるんだ 当たってくだけろ 俺「・・・っふ・・・・・」 思いっきり吹いた 案の定音は出ない 208 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 27 28.27 ID 3Ee7ZBAO まぁアスパラも不意なとこを突かれたからとっさに出た嘘だろうし、そこまででかい嘘じゃないからまだマシかな それにしても間接キスは無いわ 萌え死ぬ 227 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 32 10.75 ID NHR5Hrso 「フシュ」とか変な音だったと思う 俺「・・・」 長門似「・・・」 俺「あ・・・・」 長門似がクスクス笑ってる 笑いを堪えている様にも見える 長門似「ふ・・・できてないよ」 こんなに笑ってる長門似を見たのは初めてだった 俺「はっ、へ・・・」 243 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 34 14.63 ID BFeFTFwo こんなに可愛い子に彼氏がいないのが不思議でしょうがない 244 名前:ベース友達(仮) :2006/12/29(金) 00 34 19.18ID ryCO1q6O 元吹奏楽部なのに間接しなかった俺は負け組・・・ ( A`) 264 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 37 54.89 ID NHR5Hrso その後も個人レッスンは続く、どうしても近づく距離 ちょっと手が触れると俺がビクッとしてしまう 楽器のパーツや独特な音の説明 ほとんど興奮で覚えていない 20分ぐらいだっただろうか 後輩が来ない理由を聞いてみたところ 「まずはジョギングとストレッチから始めるから」 と言っていた、肺活量の問題だろうか 時間は流れるように過ぎていく なんて綺麗事を言う暇もなかった 280 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 40 03.95 ID 3Ee7ZBAO もう限界だ アスパラは贅沢すぎ俺と代われマジで 289 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 42 25.28 ID NHR5Hrso 長門似「もう吹ける?」 俺「うん・・・」 汚くもない、綺麗でもない そんな音 長門似「うん、できてる」 俺「・・・あー、できた」 長門似「おつかれさま」 俺「うん・・・」 長門似がコツを教えてくれた時の唇 なぜかちゅるやが重なってた 291 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 42 50.42 ID Shse13Ao 289 アスパラ…… 293 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 43 02.80 ID /jcfisAo 289 何かいやな予感がする!!!!11 294 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 43 04.96 ID cWMpudEo 289 アスパラ… 295 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 43 06.41 ID tM5/IJEo 甘酸っぱさ満開すぎるなwwwwwwww 296 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 43 15.33 ID J7l8TJco アスパラが一発で音が出して 「あなたは優秀・・・」って展開もあったかも 326 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 49 18.34 ID NHR5Hrso 5分も経った後 長門似は後輩を呼んでくるらしいので 俺は一言「ありがとう」と言った 校舎入口までの廊下と階段の会話 冬なのに暖かい 長門似「楽器まで選べなかったね」 俺「うん、いいよ、マウスピース吹けたし」 長門似「うん」 俺「・・・」 長門似「帰る?」 俺「そうだな・・・」 長門似「・・・」 俺「・・・」 329 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 49 56.84 ID /jcfisAo 326 一緒に下校フラグ? それともここでちゅるや現る!!!? 341 名前:アスパラ ◆EP8hjaCnRk :2006/12/29(金)00 52 40.77 ID NHR5Hrso 校舎入口に着いた 2年がぞろぞろ入ってくるのがわかった 長門似「じゃあ」 いつものように軽く手を振る長門似 俺「ああ」 喜べよ、喜ぶ所だろ俺 元気に手を振ればよかった 俺「今日はありがとうな」 長門似「こちらこそ」 342 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 53 03.90 ID JB130hUo 長門似かわいいよおおおおおおおおおおおおお 343 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 53 21.05 ID 8anAUi.o 341 えええええええええ一緒に帰らないのかよ!!!!!!! 354 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 54 20.43 ID 6IcOPZc0 341 部活が始まった直後に帰ったってことか? じゃあ今まで何を・・・ 355 名前:ベース :2006/12/29(金) 00 54 29.66ID gyp6KcUo そしてちゅるや編へ・・・・ 367 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします:2006/12/29(金) 00 56 53.79 ID BFeFTFwo 勘違い→関西の流れ?
https://w.atwiki.jp/crossnovel/pages/48.html
涼宮ハルヒシリーズと帰ってきたウルトラマン第33話「怪獣使いと少年」のクロス 何時もの様に学校の授業を終え、SOS団の部室にいたキョン・長門・みくる・古泉の四人だったが そんな時に突然勢い良くドアを開けてハルヒが入って来た。 「今日は川原へ行くわよー!!」 「なっ何だいきなり! 川原で何があるってんだよ!」 いきなり川原に行くと言われて戸惑うキョンだったが、ハルヒの勢いは止まらない。 「何でも近くの川原に宇宙人がいるらしいのよ。今からそれを調べに行くわよ!!」 「はぁ? 宇宙人?」 一体何処から仕入れて来たのかは知らないが、ハルヒのその情報にキョンはやや呆れた。 別に宇宙人の存在自体は身近にそれっぽいのがいるから否定はしない。しかし近く川原にいて、 ハルヒでもその情報を仕入れる事が出来る位にオープンな宇宙人等いるのだろうか…? 「何? キョン、私の言う事が信じられないって言うの!? とにかく行くわよ! 出発!」 「わっこら! 引張るな! 分かったよ! 分かったからそんな強く引張るな!」 と言う事で宇宙人がいるとの噂の川原へ向かったSOS団であったが特にそれらしい物は見当たらない。 至って普通の川原であったし、まあある物を言えばオンボロな掘っ立て小屋程度。 「で、この川原の何処に宇宙人がいるってんだ?」 「だからそれをこれから探して確かめるんじゃない!」 「は~………。」 やはり川原に宇宙人なんてデマなんだろうとキョンは呆れていたし、ハルヒも少々焦り気味だったのだが、 そんな時に川原で中学生と思しき三人の少年が一人の子供の首から下を穴に埋めているのが見えた。 「あっ! 何やってんだ!? 幾らなんでも酷く無いか!?」 三人の少年は、一人の子供の首から下を穴に埋めるのみならず、泥水をぶっかけたりとやりたい放題。 これは流石に見て見ぬ振りは出来ないとキョンが思った時には既にハルヒが飛び出していた。 「ちょっとあんた達何やってんのよ!!」 「何って…コイツが宇宙人だからに決まってるだろ!? だからやっつけてるんだ!」 どうやら今穴に埋められている一人の少年が噂の川原の宇宙人だと言うのだが… とてもその様には見えない。至って普通の少年だ。 「馬鹿じゃないの!? ただの子供じゃない!」 「そこれがこれから怖い宇宙人に変身すんだよ! コイツを放っとくと今に俺達がやられてしまうんだぞ!」 「だから馬鹿って言ってるの分からないの!? ただも子供を相手に宇宙人なんて…馬鹿馬鹿しい!!」 せっかく川原で宇宙人に会えると楽しみにしていたらただの子供だった。ハルヒのショックは相当だったらしく、 その憂さを晴らすかの様に三人の少年達にぶつけ、あっという間に追い払ってしまった。 「うわーんあの姉ちゃん怖いよー!」 「ちっくしょー! 宇宙人を庇うなんて今に見てろよー!!」 「まったく…こんなただの子供を宇宙人なんて…あんた大丈夫? こらキョン! 何ボサッとしてるの!? さっさとこの子を掘り出しなさい!!」 結局子供を穴から掘り出すのはキョンがやらされたわけだが、子供は軽く礼を言いつつ 川原にポツンと建つ掘っ立て小屋へ走っていた。 「ありがとう! 僕は宇宙人何かじゃない! 僕が生まれた所は北海道、僕は日本人さ!」 「まったく…あんなただの子供を宇宙人なんて…本当馬鹿馬鹿しい…。とんだデマ情報ね! さっさと帰るわよ!!」 川原へ行くのも強引だったが、そこから帰るのもまた強引だった。恐らく今日の事でまたハルヒは 閉鎖空間を作って古泉達は大騒ぎなんて事もありそうな気もしない事も無かったが……… 「……………………。」 「長門、どうしたんだ?」 ただ一人、長門だけは何故か掘っ立て小屋の方をじっと見つめていた。 それから数日、未だ無くならない川原の宇宙人の噂に関して、ハルヒはすっかり興味を無くしてしまっていたが、 長門は何故か気になる所があった様で、再び川原へやって来ていた。その川原には子供が掘ったと思しき 大きな穴がポッカリと開いている事くらいしか変な所は無い。 「あ、いましたいました。ここにいたんですね?」 そこへやって来たのが古泉。そして彼はポケットの中からメモ帳を取り出していた。 「実は機関の方で調べてもらったのですが、彼は間違いなくただの人間です。名前は佐久間良。 母は死亡、父は出稼ぎに行ったまま蒸発。そして彼もまた行方不明と言う事になってますが…。 恐らく父親を追ってここまで来たのでしょうね。」 「そう………。」 「その良君がこの川原の掘っ立て小屋に住んでいると言う事は、その掘っ立て小屋の中で 父親に代わる存在を見付けたのでしょうね。もし仮に彼が宇宙人呼ばわりされる原因に その父親代わりの何者かが関係しているとしたら……後は長門さんに任せます。」 「………………。」 と、古泉は結局情報を伝えるだけ伝えて帰って行ったが、長門は構わずに川原の掘っ立て小屋へ歩み寄った。 長門が掘っ立て小屋の中へ入り、奥へ進むとそこには良少年の姿があった。 「あっ! どうして勝手に上がったんだ! 出て行け! 出て行け!」 「やめなさい…彼女は良いんだ…。」 長門を突き飛ばそうとする良少年だが、そんな時に一人の老人が現れた。 「貴方は…メイツ星人…。」 「え? おじさんまさか…。」 「そう…私とは違うが…この人も…。」 良少年は古泉が調べて来た通りにただの人間であるが、一緒に共同生活を送っていたこの老人が… メイツ星と言う所から来て、地球で金山と名乗って暮らしていた宇宙人だった。そしてメイツ星人金山の 言葉から長門も同じく地球の者では無いと悟った良少年は大人しくなる。 「でも一つ分からない事がある…。表の穴は何? 何故穴を掘っている?」 良少年と共に暮らすメイツ星人=金山の存在が分かった以上、次に問題にするのはそこだった。 掘っ立て小屋の外を見れば分かる通り、良少年は川原でひたすら穴を掘り続けていた。 彼を宇宙人と疑惑を持っていた三人の少年に埋められた時もその穴が使われた位。 だが…一体何故…あんな穴を…? 「それは私が話そう…。」 「おじさん止めた方が良い! 他人に知られたら宇宙に帰れなくなるよ!」 長門をまだ完全に信用しきっていなかった良少年は言うが、金山は首を横に振った。 「どうせ…長くは無い命だ…。」 「おじさん…。」 「それは…一年前の雨の強い日だった…。私は地球の風土気候を調べる為に表の川原に着陸した…。」 そう。金山は地球に来た際、地震の超能力を使って宇宙船を川原の地下深くへ埋めていたのである。 「その地球人の少年は…。恐怖と…寒さと…餓えの為に…殆ど死に掛けていた。それ以来… 良とはまるで親子の様に暮らして来た…。私はこのまま地球に住み着いても良いとすら思いました…。 しかし…秋が来て…枯葉が散る様に…私の肉体も…汚れた空気に蝕まれて…朽ち果てて行く…… あの車も…あの煙突も…シロアリの様に…私の肉体を………。」 「早くしないと…おじさんは…死んでしまうんだ…。」 「理解した…。宇宙船をあの一帯に隠したと言うのなら…探すのを手伝いたい…。」 これで謎は解けた。良少年がひたすら川原で穴を掘っていたのは金山の宇宙船を掘り当てる事。 本来ならば最初地球に来た時に金山自身が超能力で宇宙船を川原の地下深くに隠した様に 同じく超能力で地下から出す事も可能だったのだが…地球の環境によって大きく衰弱した今の金山には それが出来ない。そしてこのまま地球にい続けていては命にも関わる。だからこそ宇宙船を掘り当てて メイツ星に帰るしか助かる道は無いと言う事なのだろう。 そして、川原で良少年と共にスコップを握って穴を掘る長門の姿があった。 「父親は見付かった?」 「父ちゃんなんかいらないよ! 僕、おじさんと行くんだ! メイツ星へ…。」 「この星を捨てるつもり?」 「地球は今に人間が住めなくなるんだ。その前にさよならをするのさ!」 良少年の言葉…そして金山の身体を蝕んだ元凶、川原の近くに見える工業地帯や高速道路から 発せられる多量の排ガスを見つめ、長門は無表情の中に微妙な面持ちを感じていた…。 目的こそ違えど彼女もまた宇宙の彼方から地球へ派遣された存在。だからこそ…今の金山と その金山と共に地球を去りたい良少年の考えは他人事とは思えなかった…。 「あの高速道路の向こうに、怪獣が閉じ込められているんだよ。」 「怪獣?」 「おじさんが念動力でやったんだ。凄いだろう!」 まるで自分の事のように自慢をしながら、なおも穴を掘り続けていた良少年であったが…そんな時だった。 多数の人々のざわめきが響き渡ると共に沢山の人々がこちらへ殺到してきていたのである。 「呆れたもんだ! 誰だか知らないが宇宙人と仲良くしてる奴がいるなんてな!」 「お前の為に街が大騒ぎになったんだぞ!!」 それは近所の街に住まう市民。良少年を宇宙人と信じる彼等はその宇宙人を退治する為に 徒党を組んで川原に殺到して来ていたのだ。 「大勢で一体何を…。」 「その子が宇宙人である事が分かった! だから俺達が退治するんだ!」 暴徒と化した市民は長門を押し退け良少年へ寄って集り、一斉に手に持っていた棒で叩き始めた。 「何をするんだ! 僕が何をしたって言うんだ!」 呆れる事に暴徒の中には現職の警官が数人含まれていた。そして必死に抵抗する良少年を拘束し、 何処へ連行しようとしていたのである。長門も何とか良少年を救おうとするが、数人がかりで 押さえ込まれてどうにもならない。流石に一般人の目の前で情報操作を行うわけにも行かないし… 「おじさーん! 助けてくれー!」 「待ってくれー……ま…待ってくれー………。」 「おじさーん!」 そこへ良少年の危機に我慢出来なくなったのか…自身の弱った体に鞭打って金山さんが 掘っ立て小屋の中から現れ、ヨロヨロと近付いて来たのである。 「おじさーん! 助けてー! おじさーん!」 「宇宙人は私だー!」 「あっ! おじさん!」 一度倒れ込む金山だが、手に持っていた杖で必死に身体を支え起き上がり必死に叫んだ。 「良君はただ私を守ってくれていただけだ! 宇宙人じゃない!」 「おじさーん! おじさーん! 助けてー!」 「さぁ…良君を自由にしてやってくれ!」 金山の姿に驚いた暴徒の手が緩み、脱出に成功した良少年が金山に走り寄り抱き付いた。 「どうして出て来ちゃったんだよ~!」 「もう良いんだよ…。」 「みんな! コイツを生かしておくと何を仕出かすか分からないぞ! 何しろ宇宙人だ!!」 暴徒と化した市民は情け容赦無く良少年と金山に石を投げ、罵声を浴びせ、一斉に飛びかかる。 長門も何とか庇おうとするが、暴徒の数は半端では無く守りきれない。 「やめて。この人はただ宇宙に帰りたがっているだけ。」 「おじさんに酷い事をすると大変な事になっちゃうよー!」 多数の暴徒に一斉に揉みくちゃにされる金山と良少年だったが…次の瞬間…一人の警官の 放った銃弾が…金山へ撃ち込まれた。 「うあぁ!!」 「!!」 金山が撃たれ、良少年の口が大きく開いた…。しかし金山は真っ赤な血を吹きながら歩み寄る。 「殺すなら…私を殺せ!」 次の瞬間…二射目の銃弾が撃ち込まれ…金山は倒れた。それに伴い暴徒達は下がって行くが… 金山を守りきれなかったショックなのか…長門はその場で膝を付いていた……。 「おじさーん! おじさーん…。おじさーん…。うああああああああああん!」 良少年の呼びかけも空しく金山は息絶え、真っ赤だった血が忽ち緑色へ変色して行く…。 次の瞬間だった! 金山の死によって、高速道路に封じ込められていた怪獣…巨大魚怪獣ムルチが蘇ったのだ! 「うああああああ!! 助けてぇぇぇぇ!!」 大雨が降り注ぐ中、高速道路を破壊し、本能に身を任せて当たり次第暴れ始めたムルチに暴徒と 化した市民は散り散りになって逃げて行く。 「うあああ!! 助けてくれぇぇぇ!!」 「勝手な事は言わない方が良い…。あの巨大特殊生命体を蘇らせたのは貴方達…。まるで金山の怒りが 乗り移っている様…。」 暴れ続けるムルチと逃げ惑う市民。しかし長門は一人ただ呆然と見送るのみだった。 そしてムルチが川原を越え、街へ向かおうとも…長門は何もする事は無かった。 そんな時である。雨が降りしきる中その場に立ち尽くす長門の所へ一人のお坊さんが歩み寄っていたのである。 「長門…街が大変な事になっているんだぞ。」 それはキョンだった。何故彼がお坊さんの姿をしているのかは不明だが…間違いなくキョン。 そして街ではムルチの暴れによって炎の海と化して行く…。 「長門! 分からないのか!?」 「!」 キョンに諭され、長門は走り始めた。ムルチは金山が封じ込めた怪獣だ。いかに暴徒に非があろうとも ムルチをこのままにしているのは金山の想いを裏切る事になる。代わりに何とかしなければ……… その長門の姿を見送ったキョンは一種にニヤリと微笑むが… 「で、古泉よ、何故態々俺がこうして坊さんの格好をせにゃならんかったのだ?」 「その方がムードが出るじゃありませんか。」 ムルチの侵攻をこれ以上阻止するべく走った長門は自身の情報操作能力を駆使し、ムルチの周囲を 異空間化させた。こうすれば周囲の破壊を気にする事無くムルチと戦える。大雨が降り注ぎ、 何故かワンダバダワンダバダなBGMが流れる中長門とムルチの戦いが始まったのである。 情報操作によって自身の周囲の物理法則を書き換えながら戦う長門であるが、彼女が巨大特殊生命体と 呼んだ通り、ムルチはただ巨大なだけな生物では無く苦戦を強いられる。 それでも何とかムルチを押さえ込み、吹き上がる炎の中へ投げ落とすと共に自身の情報操作によって 産み出した高エネルギー光線を撃ち当て……ムルチを倒した………。 雨が止んだ後…川原で再び穴を掘り始める良少年の姿があった…。 「おじさんは死んだんじゃないんだ…。メイツ星に帰ったんだよ…。おじさん…僕が付いたら 迎えてくれよ…。きっとだよ…。」 目から涙を流しながらひたすらに穴を掘り続ける良少年の姿は…痛々しかった……。 「一体何時まで掘り続けるつもりなんだろうな…。」 「宇宙船を見付けるまでは止めないと思う。彼はこの星にサヨナラが言いたいらしい…。」 遠くからキョンと長門の二人が見つめる中、良少年は金山の遺した宇宙船を掘り当てる為…延々と穴を掘り続けていた…。 END
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/212.html
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3205.html
第3章 明らかになる力と敵。 そして目的 戦うことを否定しない長門の決意。 物語は中盤へ ドガァ!チュンチュン!バーン 状況を説明しよう。幼稚な擬音で始まったのは、今攻撃されているからだ。 地球が見えてきたとき、ダース・モールを乗せていると思われる宇宙船が砲撃をしてきたのだ。 オビワンは地球にいるクワイガンに連絡をしている。 古泉「大変なのことになりましたね」 キョン「そのわりには落ち着いているじゃないか」 古泉「まさか、この状況で落ち着いてなどいられませんよ。」 みくる「キョンくんも古泉くんも怖くないんですかぁ?」ブルブル キョン「怖いですよ。もしかしたら、宇宙で死んじゃいますから」 オビワン「みんなすまない。まさか、やつにこんな場所で会うとは思いもしなかった」 古泉「これからどうするんですか?」 オビワン「首都惑星コルサントへ向かいたいと思う」 みくる「ああ、あのー地球には帰れないんですか?」 オビワン「帰れなくはない。ただ、今地球に行ったら必ず被害が出る。別の銀河惑星を巻き込むわけにはいかない。」 長門「・・・・・・・」 キョン「その首都へ行ったら今の状態は…」 オビワン「間違いなく打破できる。たくさんのジェダイがいるからさすがに単体では来ないだろう」 キョン「助かるならお願いします」 オビワン「すまない。」そういって長門にお礼をした時のような、お辞儀をした。 相手は行く先を悟ったのか、ギリギリまで攻撃していたがどこかへと消えていった。 オビワンの言ったとおり、この惑星を警戒しているみたいだな。 それにしても、この流れも朝比奈さんは知っているのだろうか? キョン「朝比奈さん、ちょっといいですか?」 みくる「なんですか?」 キョン「これも、朝比奈さんの知っている話とおりですか?」 みくる「微妙に違います。クワイガンさんも敵とは少ししか戦わず、すぐ船に戻ってました」 つまり、登場するものは同じだが、ストーリーは別なのか。 先が見えない分怖いな。ん?朝比奈さんが何か言いたそうにしてる キョン「どうしました?」 みくる「いい・・・いえ。ななんでもないです」 オビワン「大気圏に突入するぞ。」 ~そのころ地球 クワイ「参った。まさか、宇宙で仕掛けられるとは・・撤退はフェイントだったのか・・・」 私は、クワイ=ガン・ジン。フォースを操るジェダイマスターのひとり。 新たな仲間を守るため一人敵へと向かったのだが・・・ 今は「地球」という星で孤立してしまっている。これからどうしよう。 ちなみに、私が地球に来てから一夜が明けている。この広場のイスで寝て起きたところだ。 「あの、おじさんなにをしてるんですか?」 女性が話しかけてきた。イスに座って下を向いている私を心配してくれたのか。 クワイ「ちょっと、仲間と離れてしまってね。」 「そうなの…」少し悲しげな顔をしてくれている。 「私は涼宮ハルヒ。いいわ、おじさんの仲間探してあげる。」 彼女はスズミヤと言うのか。私も自己紹介せねば クワイ「私はクワイ=ガン・ジン。」 ハルヒ「あら、あなた外国の人なの。」 クワイ「あぁ、詳しくは言えないが、この星のものではない。」 ハルヒ「え!?じゃああなた異世界人なの!?」 彼女はとても明るい笑顔で聞いている。驚きではない。希望に満ちている顔だ。 ハルヒ「どうりで変な服着ていると思ったわ」はは、変な服か… クワイ「実は仲間のいる場所は分かっているんだ。」 ハルヒ「あら、じゃあ行きましょ。私に異世界人の仲間を紹介してほしいわ」 クワイ「今は宇宙にいてな、会いに行く手段がないのだよ。」 彼女は驚いた表情で固まっている。少し話をしすぎただろうか。 そもそも、彼女から見れば年老いている私のような者が 宇宙だの異世界人だの言ったら変な風に思われるにきまっている。 ハルヒ「あなた最高ね!とても気に入ったわ」 どうやら彼女も少し変な人らしいな。さて、どうしようか ~首都惑星コルサント オビワン「さぁ、着いたぞ」 俺の目の前には信じられない光景が広がっている。 宙を飛ぶ乗り物に、下がかすんで見える建物がたくさん。 ビルの間をすごいスピードで乗り物が通っている。落ちたら即死だな。 キョン「朝比奈さんのいた時代もこんな感じですうか?」 みくる「いえ、さすがにここまで…」 地球の技術レベルじゃここまではできていないのか ぜひ、技術者を持ち帰りたいものだ。 古泉「ここが首都ですか・・?」 長門「・・・ユニーク」 オビワン「君らの世界とは全然違うだろう。この銀河の中心がここさ」 キョン「銀河の中心?他の惑星には中心地がないのですか?」 オビワン「あることにはあるが、治めてるのはここなんだ。」 すごい広大な話だ。簡単に言えば、東京がアメリカも中国も治めているようなことだろう。 みくる「ふわぁ~」朝比奈さんが口を隠しながらあくびをした そういえば、俺も眠いな。 オビワン「君らの国の時間で言うと、私と会ってから35時間が経つ。ベッドを用意したから休むといい」 俺たちが案内されたのは、この惑星の中心の建物らしい。 オビワン「彼らに部屋を」 オビワンの一言で、女性が部屋を案内してくれた。 とてもシンプルだが、もちろん自動ドア。ベットが4つ用意されている。 女性「こちらへどうぞ。オビワンからの通信が入るまでお休みください。」 ~ジェダイ評議会 「では、今ほど連れてきたのは地球から反応があったフォース使いか?オビ=ワン・ケノービよ」 オビワン「えぇ、マスター・ヨーダ。ライトセーバーの扱い、身のこなし。共に実力を認めていいレベルかと」 「だが、別の銀河系の人間。しかも女性であろう。過大評価ではないのか?」 オビワン「マスター・ウィンドウ。ぜひ、見てもらえれば納得できるかと。ナガトの才能は素晴らしい」 ヨーダ「ふむ、そこまでいうか。オビワンよ。」 ウィンドウ「ところで、お前のマスター。クワイ=ガンはどうした?」 オビワン「地球で敵の襲撃にあい、マスターが食い止めてくれたのですが・・・」 ヨーダ「今は孤立しているのだな?」 オビワン「その通りです。至急迎えを送ろうと思います」 ヨーダ「ふむ、敵の襲撃を気をつけるよう言っておくぞ。お前も休みなさい。」 オビワン「お言葉に甘えさせていただきます」 どのくらい眠っただろうか。先ほどの女性が来て起こしてくれた。 食べ物も持ってきてくれている。こいつはありがたい。 女性「オビワンからの通信が入っています。表示します」 女性がボタンを操作すると立体映像が出てきた。 オビワン「ゆっくり休んでもらえたかな?この建物内を出歩くときは彼女に世話をしてもらいなさい。」 この人がお世話係か。見知らぬ土地で俺らだけじゃ心細いからよかった。 オビワン「それと、ナガト。用が終わったら私の部屋へ来てほしい。」 立体映像が消えた。 女性「建物内を歩かれますか?」 二つ返事ではいと言い、女性の後をついて歩く キョン「この建物内は安全ですよね?」 女性「もちろんです。襲撃等大変でしたね。」 キョン「ええ、まぁ」 なぜ、俺がこんなこと聞いたかというと この建物内。あからさまに宇宙人のような人とすれ違う。 朝比奈さんは目に涙をためブルブル震えながら俺にくっついている。 女性「多少見慣れない人がいるかと思いますが敵性はないので」 長門「・・・・オビワンはどこ」 キョン「建物の中案内してもらわないのか?」 長門「わたしが優先すべき行動は、オビワンに会うこと・地球への帰還」 俺は長門の言葉を聞いてはっとした。 ここで楽しんでる暇はないんだ。早く帰らないと キョン「すいません、オビワンさんの部屋へ」 女性「わかりました。案内します。」 数分歩き、オビワンの部屋についたようだ。 女性「客を連れてきました。」 中から声がする オビワン「入ってくれ」 ドアを開くとそこには、オビワンと黒人男性。 それと、俺の膝元の身長くらいしかない、宇宙人が立っていた。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2716.html
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3104.html
A new romance 翌朝、まるで誰かが意図したかのような雲ひとつない快晴だった。 俺は待ち合わせより三十分も早く駅に着いた。長門のマンションはすぐそこなんでドアまで迎えに行ってもいいんだが、押しかけるのも野暮なので待つことにした。長門も女だ、身支度には時間かかるだろう。 十五分くらいして長門がやってきた。いつものように制服を着てくるものと思っていたので、向こうからやってくる小さな女の子の姿がそれだと分かるのにしばらくかかった。渋めの濃いグリーンと新緑の明るいグリーンの、ツートンカラーのワンピースだった。胸元に大きなリボンがついている。足元を見ると、濃いグリーンの、かかとの低いパンプスを履いていた。 俺は手を振った。長門はじっとこっちを見つめたまま歩き、俺のそばにやってくるまでずっと目をそらさなかった。俺もじっと長門を見つめていた。なぜだか目をそらしてはいけないような気がして。 「に、似合ってるよ長門」 「……ありがとう」 そこではじめて俺から視線を離した。俺の感想を待っていたのか。 「それ、はじめて見る服だな。自分で買いに行ったのか」 「……それは、秘密」 また秘密か。どうも誰かの仕込みが入ってるような気がするんだが。 「今日はあちこち行ってみようと思うんだが、いいか?」 「……いい」 とりあえず本を返しに中央図書館に行くことにした。電車で二つ目の駅で降りた。ここからなら、今が満開の桜並木の祝川公園も近いんだが、あの辺は知り合いと遭遇しそうなのでやめといた。今ごろハルヒと古泉は市内不思議パトロールでうろうろしているに違いない。って、あいつら二人きりでパトロールになるのか。 図書館に着くと、いつもと同じように長門は本の群れの中へ消えてゆき、俺は座って居眠りをした。目を覚ますと隣のシートに長門が座っていて、本を読んでいた。四十分くらい眠っていたようだ。 「これからどこに行こう。まだ昼飯には早いな」 「……あなたに任せる」 デートにはありきたりかもしれんが、水族館にでも行ってみるか。ジンベイザメもいるし。中学生の頃一度見に行ったが、あれからどうなったか知らない。まだ生きてるとは思うが。 二人は図書館を後にした。その前に携帯を買わないとな。 「長門、携帯買わないか。なにかと連絡しやすいし」 「……」 長門はなにを思ったか、俺から十メートルくらい離れて人差し指を上に向けた。その途端、俺の携帯が鳴った。俺はなにごとが起ったのか分からず、携帯を開いた。 「はい、もしもし」 「……もしもし。わたしは、長門有希」 長門のほうを見ると口をパクパクやっていた。な、なにやってんだ。 「……端末がなくても、連絡は可能」 「すげえ、電話機なしで回線に割り込んでるのか」 「……電磁波は、単なる空間の歪み」アインシュタインだっけそれ。 携帯の電波はある意味暗号化されているはずで、直に通話できるってのはかなりすごいと思うぞ。 「ということはこれ、無料通話?」 「……そう」 某電話会社の家族タダよりすごいんじゃないか。基本料金もないし。 「思ったんだが、これだと俺からかけることができないよな」 「……それもそう」 「やっぱ番号付きで電話があったほうがいい。メールもやりとりできるし」 「……それなら、購入する」 携帯端末もコンピュータと相性がいい長門ならきっと気に入るはず。なんなら好きに改造してもいい。とりあえず登りの終点まで電車に乗り、安売り家電店に行くことにした。 俺との通話が多いだろうから同じキャリアがいいだろう。俺の携帯は去年出たやつで、すでに型落ちになってしまっている。最近は流行の回転が速い。 最新機種を買ってもすぐ型落ちして値下がりするので、ひとつ前くらいのがいいと勧めたのだが、長門はカタログを熱心に読んでいた。やっぱり機能重視か。 「未成年は親権者同意書ってのがいるんだが、どうする?」 「……情報操作は、得意」 長門はカタログの最後にある白紙の同意書をさらりとなでた。自分の名前、親の名前、空欄が丁寧な明朝体で書かれ、印鑑まで押されている。なるほど、簡単でいいな。情報操作というより有印紙偽造に近いが。 あれこれ試していたが、結局最新モデルの、テレビやらGPSやらお財布機能やらがついた重装備のやつにした。 「……負けて」 店員の目をじっと見つめる漆黒の瞳。値札二万円くらいだったのを、ねちねちと値切り五千円にまで負けさせた。最後には店員が涙ぐんでいた。これから家電の買い物には長門を連れてくることにしよう。 店を出てからずっと、長門は説明書を読んでいた。 「長門、そんなん読まなくても使ってるうちに分かるようになるって」 「……でも、すべてを知りたい」 まあそれもいいか。誰からも読まれないより、一字一句読まれたほうが分厚い取説も嬉しいに決まっている。 二人でスタバに入り、長門が読み終わるまでコーヒーをすすっていた。三十分くらいして長門が説明書をパタリと閉じた。 「……把握した」 それからおもむろに着メロやらメールアドレスやらを設定している。ピコピコ入力していたが、やたら早い。親指の動きが早くて見えない。俺の携帯が鳴った。長門からのメール第一報は「こんにちは、世界」だった。 「これで好きなときに連絡取れるな」 「……そう」 携帯を持たせたかったのは、ほんとは俺とだけじゃなくてクラスメイトとかとコミュニケーションを取ってほしいと考えたからなのだが。 スタバを出て地下鉄に乗り水族館に向かった。土曜日だけあって車両には人が多い。二本乗り継ぎ、一時間と少ししてやっと到着した。 ここは世界最大級を謳うだけあって、水槽が広く数も多い。下から水槽を見上げるトンネルやら、熱帯雨林やら、南極大陸やらを再現した水槽なんかがある。ジンベイザメもまだご健在だった。広すぎて、よく迷子になった子供が係員のお姉さんに手を引かれている風景を見かけるのもまた一興だ。あんなきれいなお姉さんなら俺も迷子になってみたい。 南極大陸のコーナーに子供が群れていた。この水槽には雪と氷が降る仕掛けがあるらしい。ペンギンは人気あるようだ。子供の頃から不思議だったんだが、ペンギンが全員が上を向いているのはなぜなんだろう。かつて空を飛んだ太古の記憶を思い出そうとしているのか。 振り向くと、後ろについてきていたはずの長門がいない。戻ってみると、タスマン海の水槽でガラス越しにじっと何かを見つめている。 「長門、どうした?」 「……イルカと話している」 「なにを話してるんだ?」 「……近年の海洋汚染における水棲生物の減少について」 環境問題か。いきなりシビアだな。俺はてっきり、狭いからここから出せとでも言っているのかと思った。こういう場所に来るとどうも閉じ込めている感じがしてならない。 「……外海の生息環境は厳しいらしい。ここは適当に遊んでいれば魚をもらえるので気に入ってると言っている」 そういうものなのか。 長門は口を開いてピーともキーともつかない甲高い声を出していた。それ、超音波だよな。イルカがときどきうなずいたり、コツコツ音を出したりしている。 「長門、ちょっとここで待ってろ。すぐ戻る」 俺は水族館の係員を探した。事務所を教えてもらい、イルカを世話している担当の人に会った。 「すいません、イルカと話したいんですが会わせてもらえませんか」 きっと、こいつは唐突になにを言い出すんだと思ったことだろう。飼育担当のお姉さんの表情は、『は?』だった。 最初は信じてもらえなかったが、ガラス越しに話をしている長門の様子を後ろから見せると驚いた。 「あの子、何者?」担当のお姉さんが目を丸くしていた。 「ええと、子供の頃イルカが好きで、毎日会ってるうちに話ができるようになったんだとか」 そんなデタラメとても信じられないだろうが、実は宇宙人なんですというよりは説得力があると思った。ちょうどショーの合間の休憩なので、と、五分だけ会わせてもらえることになった。 「長門、来いよ。イルカに直接触らせてくれるって」 「……」 長門は突然の招待にびっくりしたようだった。ガラス越しになにごとか呟くと、イルカは泳いで上に消えた。 「……水面で待つ、らしい」 いつもなら客は立ち入り禁止の、イルカのショーを見せるプールサイドに案内された。足元が水を被るので、長靴を借りた。 長門が水に近寄ると、イルカが鼻先を持ち上げた。ケロケロと蛙のような声を出した。長門はそっとなで、喉モトから妙な音を出している。それ、イルカ語なのか。担当のお姉さんは、そんな長門とイルカの対面を口をあけて見ていた。 「不思議な子ね。初対面の人には触らせないんだけど」 「あいつはちょっと変わってまして。動物には好かれるんです」 これはでまかせではない。うちのシャミも阪中んちのルソーも、長門にはなつく。 長門とイルカは、たまにうなずきあったり、首をかしげたり、クケケケと笑ったりしていた。イルカは一度だけ、水面からジャンプしてくれた。俺は拍手した。イルカ語を理解しない俺には、こういう芸のほうが分かりやすい。 そろそろショーが始まるというので、お姉さんにお礼を言ってプールを離れた。 観客席は満員だった。拍手喝采でショーがはじまった。 イルカは四頭いた。並んだまま、すいすいとナイフが水を切るように泳ぐ。水面から勢いよく飛び出し、滑らかな流線型の体が弧を描いてジャンプした。四頭が並び、尾びれで水の上に立ち上がって後ろ向きに泳ぐ。泳ぐというより水面を走るという感じか。 胸ビレだけを水面から出して振っていた。観客の笑いを誘った。 ジャンプしたイルカが黄色いボールを突いた。ボールの位置を少しずつ高くし、水面から五メートルくらいのところまでジャンプを繰り返した。ときどき魚をもらっていたが、鰯だけであんな芸をしてくれるなんてもったいない、マグロや鯛をやってもいいくらいだ。 弧を描いて輪をくぐると、流れるラインの飛跡に沿って、光る水玉がいくつも浮かんだ。そのうちの一頭が長門を見ていた気がする。やさしい目だ。 「……美しい」 ずっと無言で見ていた長門が呟いた。 ショーが終わってから長門に聞いてみた。 「ほかになにを話してたんだ?」 「……なぜ、陸上型から水棲型へと戻ったのか」 そんなこと本人に聞いても分からんだろう。人間になんで木から降りたんだと聞いてるようなもんだ。 「……後退とも思える進化のきっかけを知りたい」 なるほどな。自律進化の閉塞状態を打開するヒントってやつか。 「それで、理由はなんだって?」 「……彼らの中でも諸説あり、食料となる豊富なタンパク源、重力、陸地と海の比率などが挙げられる」 水の中のほうが生活が楽だろうしな。雨も降らないし。 「……最も有力な説は、ただの気まぐれ、らしい」 そうなのか。人が立って歩き始めたのも、案外そういう理由かもしれんな。すげえ俺二足歩行できるじゃん、みたいな。 「……それから、あなたのことを聞かれた」 「俺のこと?何だって?」 「あなたはわたしの配偶者かと聞かれた」 「そ、そうなのか。まさかイルカにナンパされてたんじゃないだろうな」 ちょっとだけ焦った。 「……あなたは、嫉妬している」 そんなはずがあるか。俺がイルカに嫉妬するなんて絶対ない。 俺を見る長門の表情は少し緩んでいた。まったく、人に色目を使うなんて近頃のイルカは油断がならん。 「……また来ると、約束した」 そうか。じゃあそのうちまた来よう。地球に住む、人以外の知的生命体にいい友達ができたな。 俺と長門は次のコーナーへ進んだ。ジンベイザメが悠然と泳いでいる長さ三十四メートルの巨大水槽に来たあたりで、長門がちらちらと後ろを振り返るようになった。 「なんだ?」 まさかタコとかカニと話したりしないだろうな。 「……なんでもない」 そういえばさっきから誰かの視線を感じる。俺は長門の手を引いて通路を曲がるふりをして後ろを見た。あわてて物陰にひっこむ二つの陰。そういうことか。 「おい、そこの二人。隠れてないで出てこいよ」 ハルヒと古泉だった。 「えへへ。バレてたのね」 「すいません。邪推だからとお止めしたんですが」 「なに言ってるの、古泉君も乗り気だったじゃない」 スパイが仲間割れかよ。まあいい。後ろでちょろちょろされるより堂々と監視されたほうが気にならない。 「今朝、北口駅前で待ち合わせてるとき、あんたたちの後をつけようって思い立ったのよ」 「僕も最初からそのつもりでした」 「だってそのほうが面白いじゃない」 ハルヒは長門を上から下まで眺めた。 「有希、それ似合ってるわ。あたしが見立てただけのことはあるわ」 「……それは、内緒だったはず」 「あら……そうだったわね」 ハルヒはキヒヒと笑った。やっぱりこいつの仕込みか。 「だって初デートなのに北高の制服じゃムードないでしょ。昨日の夜慌ててサイズ聞いて店を回ったんだから」 確かに、いい見立てだ。ハルヒはこういうことには身銭を惜しまない。高かったろうに。 「そういうわけだから、あんた、お昼ご飯おごりなさい」 結局それかよ。 二人きりでデートのはずが、結局いつものメンバーで賑やかに昼メシを食うことになった。 「で、で、その後どうなのよあんたたち。キスとかしたの?」 週明け、部室に入ると開口一句。ハルヒの質問攻めだった。唐突だったので赤面する暇もない。窓際で本を読んでいた長門がピクリと反応したように見えたが、気のせいか。 「土曜はお前と古泉も一緒にいただろうが」 しかも、こそこそ隠れて跡をつけるとは暇人にもほどがある。 「あんたたち見てると味気ないのよねぇ。もっとこう、惚れた腫れたとか、ドロドロの恋愛を期待してたのに。ロミオとジュリエットみたいな」 「メロドラマの見すぎだ」俺はヨン様じゃないぞ。 「キョン、ちゃんと愛情表現してるの?」 俺はここではじめて顔が赤くなっている。 「愛情表現って、いきなり露骨なやつだな」 「たいていの男はね、告白してOKもらうととたんに愛想が悪くなるものよ。世間ではそういうのをね、釣った魚にはエサをやらないっていうのよ」 他人の色恋沙汰の詮索が好きなおばちゃんの話を聞いてるような気分だ。 「ちょっと有希、こっち来て」 長門は本を閉じ、椅子から立ち上がって歩み寄った。いったいなにをさせるつもりなんだ。 「キョン、そこでやってみなさい」 「な、なにをやれっていうんだ」 「だから、愛の告白よ」 「こ、ここでか。お前の目の前でか」かんべんしろ。 「それができないんじゃ、あんたたちも破局が見えてるわねぇ」 ハルヒが頬杖をついてニヤリと笑った。まだ一度デートしたくらいなのに不吉な予言をするんじゃない。長門がじっと俺を見つめている。どうやらこの“ハルヒの恋愛講座”とやらに乗り気なようだ。 「本気か」 「あったりまえじゃない。さっさとやんなさい」 野球で使ったメガホンをポンポン叩いて、何度もリテイクしたがる映画監督のように叫んだ。しょうがない、付き合ってやるか。俺はいやいや腰を上げて長門の正面に立った。 「な、長門」 「……なに」 「好きだ」ほとんど棒読みだ。 「あー!だめだめ!全然感情がこもってないじゃないの」 「そう言われてもなぁ。やったことないんでな」 「もう、ちょっと貸しなさい」 ハルヒは俺から長門を奪った。そんな貸してとか、猫みたいに。 「こうよ、見てなさい」 ハルヒは長門の両肩を掴み、まっすぐ目を見つめ、そして手を離し、横を向いてうつむき、呟いた。 「……有希、オレ以外に好きなやつがいるなら、オレは消えるぜ」 「……」 「だがもし、オマエがオレを選んでくれるなら、一生オマエを離さない」 「……」 長門、ハルヒ相手にぼうっとしてるんじゃない。 「なんだそりゃ。映画のワンシーンかよ」 韓流メロドラマでもそんなんやらんぞ。 「これくらいやらないと気持ちが伝わらないの。そうよね、有希」 「……そう」 長門はほうっとため息をついた。なんだその、たった今ヒトメボレしましたみたいな目は。 「そうだわ。ちょっと待ってて」 ハルヒはビデオカメラを取り出した。嘘だろおい、こんな恥ずかしいシーンを映像として後世に残すのかよ。 「いくわよ。告白シーン、テイクワン。スタート」 こっちをじっと見ている黒いレンズに俺が躊躇していると、ハルヒがメガホンを振り回して怒鳴った。 「なにやってんのよキョン!真剣にやんなさい」 「わ、分かったよ」 「もう一度、カメラスタート!」 俺は深呼吸して長門の目を見つめた。 「有希さん」 なぜかサン付けしちゃったよ。 「……なに」 「最近眠れなくてな。お前のことが頭から離れないんだ」 俺は手を額にあてて頭痛に悩む仕草をした。 「……なぜ」 俺は長門の目を数秒見つめ、ため息をついた。 「俺にも分からん。……ずっと前からお前が」 「……」じっと俺を見つめる漆黒の瞳。 「うまく言えないけど、たぶん、お前のことが好きなんだと思う」 「……わたしも」長門が腕を閉じて俺の胸に寄り添った。「……大好き」 微妙に震える手で長門の背中に腕を回した。心拍数がいつもの五割増くらいに跳ね上がった。ハルヒのOKが出なければ俺は心臓発作で倒れていたことだろう。 「はいオッケー!!くーっ!やっぱ恋する二人はいいわねぇ。火傷しちゃいそうなくらいよ」 お前だけ楽しそうだな。 「皆様、おはようございます」 ちょうど俺と長門が抱き合ってるところを、ドアを開けた古泉に見られた。 「うわ、失礼しました。まさか白昼の部室でラブシーンをなさっているとは」 違う違う。とんでもない誤解だ。 「キョンがあんまりウブなんで、愛情表現を指導していたところよ」 「そうだったんですか。僕も見学していていいですか、向学のために」 そんなところばかり学習意欲を旺盛にすんな。 「有希、もう離れていいわよ。今の演技最高」 ハルヒが親指を立ててウインクしてみせると、長門はゆっくりと俺から離れた。心なしか上気しているようだ。頬が少しだけ染まっている。やれやれ。 「そうだ、思いついたわ!」 「またか。今度はなんだ」 「次の映画のシナリオよ。完結編はやっぱりラブロマンスよね」 前回ので終わったんじゃなかったのかよ。 「やっぱり長門ユキのラブストーリーで締めくくるべきね。みくるちゃんがいなくなっちゃったから、誰をヒロインにしようか迷っていたところよ」 「素晴らしいアイデアですね。傑作になりそうだ」 「でしょでしょ。ちょっとキョン、さっきのセリフを古泉イツキに変えてやってみて」 「またやんのかよ。って、その役は古泉だろう」 「カメリハよ、カメリハ。古泉君、レフお願いね」 「かしこまりました」 笑ってないで止めろよ。って長門も目をキラキラさせてんじゃない。 それから屋上と体育館、まだ今年使われていないプールにロケーションを移して予備撮影をした。受験を控えた高校三年生のやってることとはとても思えない、やたら体力を使う暇人の遊びだった。 「発表するわ。SOS団自主製作映画、次期タイトルは『新たなるロマンス Episode_00』。決まりねっ」 ハルヒの脳裏には、どっかの超有名スペースオペラ映画のテーマ曲が鳴り響いていたに違いない。 どうやら当面は、俺たちはハルヒのいいおもちゃにされそうだ。 The ecstasy of Yuki Nagatoへ 脚注:大阪の某水族館には実際にはイルカショーはありません
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2937.html
エピローグ Illustration どこここ 話はまだ終わらないんだ。 三月といえばどこの学校でも恒例の行事がある。最近の流行らしく、卒業式は今年から私服でもOKになった。無論男子はスーツだが。まかり間違って紋付ハカマなんて着てくるやつがいるかもしれない。 俺はハルヒを誘って朝比奈さんに会いに行った。三年生の教室に行く途中で鶴屋さんに遭遇した。 「これはこれは、キョン君とハルにゃんじゃないのさ。みくるに用かいっ?」 「ご卒業、おめでとうございます鶴屋さん。似合ってますよ」 「鶴ちゃんおめでとう!着物がきれいね」 「あはは~っ。おばあちゃんのお下がりにちょいとショールを羽織っただけなんだけどね」 ピンクに桜の柄がよくお似合いですよ。短く結い上げた髪も美しい。 「あら、キョン君と涼宮さん」 二尺袖にハカマの朝比奈さんを見るのははじめてだった。赤い花の髪飾りが揺れた。 「みくるちゃん、ハカマも似合うわね。あたしとしたことが気が付かなかったわ」 「巫女姿もよかったですけど、実によく似合ってますよ」 「これ、借りたの」 ちょっと頬を赤くした朝比奈さんはかわいい。 「キョン君、こんにちわ」 呼ばれて振り返ると、清楚な喜緑江美里さんがすらりとした姿で立っていた。純和服だった。 「ご卒業おめでとうございます。キモノがお似合いですね」 「ありがとうございます。和服ははじめてなので、着付けがうまくできてるかどうか」 薄い藤色の生地に白抜きの花模様だった。髪のウェーブをうまく結い上げて、おっとり感を出している。ほかの三年生よりずっと大人の感じがした。 「喜緑さんは進学されたんですか」 「ええ」 喜緑さんはにっこり笑って、意味ありげにハルヒを見た。ハルヒの進学先に先回りして入ったのかもしれない。 俺はハルヒの命令で、美しいやまとなでしこ三人と、どうでもいいセーラー服のハルヒを横に並べて写真を撮った。それからハルヒにカメラを持たせ、俺も並んで撮ってもらった。 俺たち一般生徒は卒業式の会場には入らなかった。在校生は一部だけ出席、あとはPTAやら来賓やらで埋め尽くされた。俺は出る幕じゃない。教師とクラス委員の一部がいない教室で、俺はぼんやり窓の外を見ていた。 「来年は俺たちの番だよな」 そんな言葉がつい口をついて出た。 「そうね」 後ろでハルヒが答えた。たぶん俺と同じく、SOS団の残りのメンツの卒業シーンを妄想しているのだろう。 式が終わったらしく、俺たちは正門で卒業生が出てくるのを待った。ハルヒがどこからか花束を持ってきた。 「キョン、これみくるちゃんに渡して。あたしは鶴ちゃんに渡すから」 どこに隠してたんだ、こんな大きな花束。できれば喜緑さんの分もほしいんだがなと思っていると、長門が花束を抱えて持ってきた。 ぞろぞろと歩いてくる卒業生の列から、卒業証書の丸筒を持った朝比奈さんが現れた。 「朝比奈さん、三年間、ごくろうさまでした」 俺は花束を渡した。 「ありがとう。キョン君……もう会えないんですね」 「きっとまた会えますよ」 同じ大学受けるんだし。 「ううん、違うの。私は未来に帰るの」 「え、そうなんですか」 突然の引退宣言に俺は驚いた。いつかこの日がやってくるとは思っていたが。 「私の任務は高校生までなの」 「でも、ときどきは会えますよね」 朝比奈さん(大)になって。 「分かりません……」 朝比奈さんは声に詰まって顔を押さえた。押さえた指の間から涙が伝っていく。人前で女の子に泣かれたことがない俺は、どうしたらいいのか分からずただオロオロしてるだけだった。 「ちょっとキョン、なにぼーっとつったってんのよ!。こういうときは抱きしめてあげなさい」 「な……」 俺はドンと背中を押されて、おずおずと朝比奈さんの肩を抱いた。鶴屋さんがニヤニヤ笑っている。見ていた男子生徒に囃し立てられたが、不思議と気にはならなかった。だってこれがあの、全校の男子生徒の憧れだった朝比奈さんだからな。夢にまで見た瞬間が実現し、今このときになって俺は実感が湧かずぼーっとしていた。部室で朝比奈さん(大)に抱きつかれたときも、気絶した朝比奈さん(小)に寄りかかられたときも、指一本触れなかった俺が。 俺は気が付いた。そう、この人への気持ちは憧れだったんだな。小刻みに震える朝比奈さんをなでながら、それが分かった。 「キョン、いつまで抱いてんのよ。湿っぽいのはもう終わりにしなさい」 ハッと我に返ってあわてて手を解いて、ポケットからハンカチを出して渡した。 「キョン君、ありがとう」 朝比奈さんが下を向いたまま呟いた。 「いえいえ。こんなことしかできませんが」 俺はいつまでもガキのままだな。 「そうだわ。今日みくるちゃんの卒業パーティをしましょう」 「そんな……いいですよ、私なんかのために」 「いいからいいから。有希と古泉君は買い物についてきて。キョン、あんたは場所を確保」 「いくらなんでも急すぎんだろ!」 いや、急でもないのか。確かに言われていた。こういうときは古泉に頼んで、機関の財力でなんとかしてもらおうか。俺は新川執事と森メイドによるケイタリングを妄想した。古泉を見ると、いつでもどうぞ、と余裕のポーズを取った。こいつに頼むのもなんだか癪だな。 ええと、主賓は朝比奈さん、鶴屋さん、喜緑さんだな。それからSOS団の四人と、この際谷口と国木田も呼んでやる。ついでだから部長氏とコンピ研の連中も呼んでやるか。うちの妹も行くと言い出すかもしれんな。今から頼んで場所を貸してくれそうな店は……と。って、近隣の高校の卒業式が重なる当日に、団体席を確保できるような庶民的値段な店があったら教えてくれ。 「……うちでやればいい」 長門が俺の袖を引いて言った。そうだな。それが手っ取り早くていい。妹をこきつかって部屋の飾り付けをさせよう。七夕みたいになるだろうが。 まだ肌寒い季節の風が卒業生たちの髪をなびかせた。朝比奈さんがほつれた髪をなで上げた。その仕草に朝比奈さん(大)の面影を感じ、俺は思った。この二年間は彼女にとってサナギのような季節だったのだろう。やがてそれが羽化し、羽を広げ、大人の朝比奈さんになる。時空を超えて飛び回るクジャクチョウのように。 朝比奈さんは校門で幾度も振り返りながら頭を下げた。俺たちはそのたびに手を振った。俺の心をかすめ去るように時間平面を通り過ぎていったこの小さな天使は、もう二度と戻ってこない。朝比奈さんの後姿は、季節には少し早い、ゆるやかに散っていく桜の花びらと共にゆっくりと消えていった。 END 目次に戻る