約 344,706 件
https://w.atwiki.jp/talesofdic/pages/19300.html
獅子葬裂刃(ししそうれつじん) + 目次 概要 登場作品レイズ 関連リンク派生技 関連技 ネタ 概要 獅子葬裂刃とは、突進してから、獅子の闘気を敵に叩きつけ神速の居合術で敵を葬る秘技 初出はレイズのアスベル。 ▲ 登場作品 レイズ 習得者 アスベル・ラント 突進してから、獅子の闘気を敵に叩きつけ神速の居合術で敵を葬る秘技 分類 秘技 属性 地・闇 HIT数 消費CC 17 性質 打 基礎威力 1235 詠唱時間 習得条件 バーストリミッツ鏡装「領主の着こなし アスベル」を入手 秘技 6連携目以降に獅子裂吼を発動すると変化 強化1 敵の鋼体を2発分追加で削る 強化2 敵の鋼体を2発分追加で削る 強化3 敵の鋼体を2発分追加で削る 強化4 消費CC-1 強化5 のけぞり軽減無効 強化6 与えたダメージの12%HP回復 獅子裂吼に加えて、葬刃が追加された秘技。活かすことはないだろうが葬刃部分は無限射程。 秘技で威力が上がったことで回復手段としてより有用になった上に、闇秘技であるためFG回収も可能と心流・葬刃と充分使い分けが出来る性能となっている。 台詞 獅子葬裂刃!散れ! ▲ 関連リンク 派生技 ▲ 関連技 裂震虎砲 ▲ ネタ ▲
https://w.atwiki.jp/goldenlowe/pages/105.html
「Amor torpe」Ⅰ その日の目覚めは今までにない最悪だった。 延髄から後頭部に掛けて締め付けられるような痛みと、表現し難い胸焼けと共にケンケーンは目を覚ました。 窓から差し込む朝日、いや太陽の上り具合から見ると昼前の日差しから逃げ出すように身を捻ると、精気の感じられない体はゆっくりとベッドの縁から転がり落ちた。 つくづく最悪な目覚めだ。 鉛の板を巻きつけたのかと思うほど鈍く動かない体を起こし、天を突かんばかりの寝癖頭を掻き毟る。 半年振りにセビリアへと戻ってきたその足で船員達と酒場へ向かったのが、今ある事態の元凶だった。 久方ぶりに心が躍ったのか『少しだけ』と言って入ったはずが、気付けば深酒にはまり結局は看板の時間まで居座っていた。 腫れぼったい目をようやく開けて、部屋の中を見渡す。 見覚えのある部屋、定宿の1室らしい。 どうやってここまで辿りついたのか、軋む頭で昨晩の事を反芻しようとするが正気のまま揺れるような感覚にあっさりと諦めた。 言う事を聞かない体をどうにかベッドへと押し戻す。 目に痛い日差しを手で遮る。 この調子だと今日一日は満足に動けそうにもない。 「それも良いか。」 昨日の今日で大して予定も入っていない。 このまま自堕落な一日を送っても良いだろうと諦めの思考を過らせる。 今のケンケーンには、そんな簡単な回答が精一杯だった。 まだ頭の中で響く酒の余韻がケンケーンの行動全てを制圧しているようだった。 結論を出してさえ横になることもしないまま、時間が過ぎてゆく。 そんな中、部屋の扉を開けて誰かが入ってくる。 厚ぼったい瞼を堪えて開き、開いた扉へと視線を向けると、その人物は見たことも無い若い女だった。 予期もせず入室者と視線が合う。 女もまさか人が居るとも思っていなかったのか、部屋の入口でどうすれば良いものか戸惑っている。 「お部屋のお掃除に…。」 その言葉は北部訛りのある声だった。 歳の頃は20代前半といったところか、都会の洗練された女性と比べ素朴な感じが拭いきれてない所が初々しい。 女の様子に、いつ久しく忘れていた清涼さを感じる。 欲を言えば、こうやって二日酔いの時ではなく素面のときにこそ似合う初対面であって欲しかったと昨日の暴挙を今更ながらに悔やむ。 「あ、あの…。」 仕事をし始めて間もないのか、このような事態の対処をしあぐねている。 入口に突っ立ったまま、怯えるような瞳がケンケーンの顔を窺っている。 出来るなら放っていて欲しいが、困惑する給仕を見るにその言葉を口に出すことは憚れた。 「(やれやれ…)」 目覚めから何一つロクな事が起こらない今の状況に思わず天井を仰ぐ。 「あぁ、部屋の掃除か。」 独り言のような返事を零す。 まだ寝ることに対し未練が残っているのか、次の言葉が思い浮かばないでいる。 寝癖の頭を2・3度櫛上げて、部屋を見渡す。 給仕はまだ部屋の入口に立っている。 ただ、入ってきた時とは違い、今度はケンケーンと目をあわそうとしない。 じっと俯いたままで何かを待っている。 (早く出て行けと無言の催促か) 一瞬、邪推が脳裏を過ったが、与えられた仕事を精一杯こなそうとしているのだと、漸く動き始めた頭が思考を入れ替えた。 そろそろ動かなければと重い体を動かそうとした時に今度は給仕が口を開いた。 「あ、あのっ。」 顔はまだ床を向いたままだったが、何かを焦った声だった。 その声にベッドを降りる事を中断される。 「何か…お召し物を…。」 ケンケーンは自らの姿を確認する。 言われて気付くが、上半身は何も着てない状態だ。 もっとも、布団に隠れている下半身は昨晩の服を着たままであったが、給仕からみると何も纏っていないかも知れないと想像させるには充分な格好だった。 なるほど先ほどから俯いていたのはそういう理由だったかとケンケーンは納得する。 そして再び視線を給仕へと戻すと給仕は耳まで真っ赤に染め上げている。 その仕草が何より純朴だった。 「脱いでるのは上だけだ、安心しろ。」 ベッドの傍らに脱ぎ捨ててある服を掴み肩にかけたまま扉まで進む。 入口に固まっていた給仕が慌てて道を空ける。 顔の紅潮はまだ収まっていないようで、まだ耳は真っ赤なままだ。 ずっと下を向いたままでケンケーンが出て行くのを待っている。 「お仕事ご苦労様。待たせて悪かったね。」 恐縮する給仕の肩を軽く叩き、ケンケーンは部屋を出た。 「まだ、香水をつけるというお洒落を知らんのやな…。」 そのままの足で食事処を兼ねる1階へと向かう。 昼食前の時間でまだ客の入りは疎らに席が埋まっている程度だった。 そんな店内を真っ直ぐに進み、客の入りを待つカウンター椅子の1つに腰を掛ける。 「おや、ケン坊。早い目覚めだね。」 昼用の仕込みに追われる女将が声をかける。 「ケン坊はよしてくれ。それより新しい娘を雇ったんやな。」 「ニュンの事かい。最近、何かと仕込みが忙しくてね。」 「そうなんや。世間擦れしてなくて良い娘やね。」 「ウチは枕やってないからね、手をつけないでおくれよ。」 痛い先手を打たれて返す言葉もなかった。 差し出されたエーテルに口をつける。 ただ、慣れない迎え酒の味はいつもより苦く感じた。 「ところでさ。ニュンって言ったっけ。彼女はどこの出身だい。」 「手をつけるなと言ったはずだよ。」 「いやさ、北っぽ言葉遣いだったからな。」 客が増えいよいよ忙しさの本番を迎えている。 「ニュンはそっちの出身だけど、これ以上は教えられないよ。」 女将は調理と配膳の手を休める事無く質問に答えている。 忙しそうなカウンターとは逆に、全く手持ち無沙汰な1人客はおまけで出されたパスタを頬張る。 ただ、暴飲のツケは全身の倦怠感だけでなく、味覚までどこかにしまいこんでしまっているらしく、折角の料理もまるで味がしなかった。 さらに言えばもう1つ。 好意に出されたが故に無理に押し込んだ先の胃までも本来の役割を果たすことを忘れているようだった。 まさに四重苦を強いられる昨晩の代償を払いつつ、なんとか全てを平らげた。 部屋の掃除はもう終わっただろうか、一度戻って当初の案どおりに過ごそうかと思ったが、新米給仕ニュンの仕事なだけに期待はできないだろうと、諦めて席を立った。 「ごちそうさん。」 「出かけるのかい。」 「あぁ、久々のセビリアやし、のんびり過ごすよ。」 「そうかい。二日酔いのアンタには贅沢な日和だ。精々、酔いを醒ましてくるんだね。」 ちくりちくりと痛い言葉を言う女将だ。 それでも歯に衣を着せるような物言いをされるよりずっとマシだ。 頑丈だが安物の椅子から離れ、へいへいと返事をしながら外へと向かった。 数ヶ月ぶりのセビリアは特に何かが変わったという訳でもなく、いつもどおりの賑わいを見せている。 唯一変わったと思うのは、出航した時より季節が変わっているというぐらいで、何か新しいものは何も見つけられなかった。 何の思惑も無いままに街の中心から少し離れた大きな広場に着くと、木陰になるベンチへ無造作に横になる。 目覚めから頭の中で聞こえていた鈍い鐘の音は幾分収まってはきているが、時折訪れる雑踏との交響曲が神経を苛立たせる。 ただ、先ほど押し込んだ朝食とも昼食とも言えるパスタが頭痛の先にある満腹中枢を刺激し始めている。 木陰の涼しさと相俟ってゆっくりと眠気が訪れる。 「場所は違うが、まぁええか…。」 来訪者に抗う事無く目を閉じる。 幾許の時間を置かずして静かな寝息を立てていた。 宿の1階にある食堂の賑わいは今が最高潮となっている。 周りに目ぼしい食事処がない立地条件の為か食事時はいつも混雑を極めていた。 もっとも本来は宿屋の看板を上げているのだが、そちらの方の客入りは芳しいといえるものではなかった。 それも店が港から離れていることの立地条件によるものだったが、主人夫婦は頑なに宿屋の看板を変える事無く経営を続けている。 まさに今は昼食時に目が回らんばかりに客が出入りし、新米のニュンも部屋の掃除が終わってからは、そちらの手伝いに回っている。 足が縺れそうなぐらいの混雑の中を右へ左へと忙しく動き回っている。 「ニュン!奥テーブルの料理あがったよ、持ってっておくれ。」 「おねーちゃん。注文取ってくれ。」 次から次へと押し寄せる注文と配膳の声に若いニュンの声が辛うじて反応している。 この宿で働くようになってから2ヶ月が過ぎたが、この忙しさにはまだ慣れないでいた。 さらに客の中にはニュンの手を止めてちょっかいを出す者もいて、そういったものも慣れない原因の1つでもあった。 ただ、忙し過ぎる時間はニュンにとって悪い意味だけではなかった。 この町に来てまだ日の浅い彼女には、この宿の主人夫婦以外に頼れる人もおらず、同世代の友人も居ない。 忙しさはそんな心細さを忘れさせてくれる貴重な時間だった。 息をするのさえ忘れそうになる時間帯をどうにか切り抜け、店内には空席がみえはじめている。 それに伴ってニュンも手を止めて待つ時間がゆっくりと増えてきた。 「どうやら一波終わったみたいだね。ニュン、もうここは良いから買い物へ言ってきてくれないかい。」 注文が一区切りついたのを見計らって奥の厨房から女将がカウンターへとやってきた。 「これに品物とお店を書いてるから、頼むわね。」 大きな買い物袋とメモを受け取る。 「それと、ついでに外でご飯でも食べておいで、いつもの賄いじゃ飽きちゃうだろうから。」 そう言って女将は買い物用の代金とは別に少々の小遣いを手渡した。 「はい、ありがとうございます。」 ニュンの声はまだ元気さが残っていた。 「元気ねぇ。若い証拠かしらね。さ、行ってらっしゃい。」 女将の見送りを受けてまだ数人の客が残る店内を抜けて昼下がりの街中へ歩き出した。 昼休憩を過ぎた町の中は忙しさを取り戻していた。 あちこちから聞こえる荷車を引く音や、仕事の為に通りを行き来する人も数を増やしている。 とりあえずは自分の遅い昼食を探さねばと大きな通りへと出る。 この町に来てまだ数ヶ月の為、小さな路地を自由に活用する高等な真似は出来ないため、何をするにしてもまずこの大通りを基準に行動していた。 今歩いている大通りには大小様々な店が様々な内容で軒を連ねている。 その中の1軒、いつもは素通りする瀟洒なカフェのテーブルへ腰を下ろす。 店員から渡されるメニューから適当なものを注文し漸く一息つくことが出来た。 季節の野菜をふんだんに使ったパスタを美味しく頬張りながら手元のメモに目を通す。 最近になって買出しを任されるようになった。 まだまだセビリアの街中は不案内な所が多いものの、新しい仕入先の場合はいつもメモと一緒に簡単な地図が添えられていて、女将の気遣いが窺われる。 「あれ…。」 メモの内容を1つずつ確認していた中に今まで立ち寄ったことの無い店の名前が書かれている。 しかし、今日に限ってその店への地図が添えられていない。 もしかすると自分が受け取り損じたのかと、宿を出る前にカウンター越しに女将と話しをした時の記憶を辿ってみる。 何度繰り返しても預かったメモは1枚だけだった。 手の中でフォークをくるくると遊ばせながらどのようにするべきかと思索をめぐらせる。 「どうしよう、一度戻ろうかな。でも、そうすると夕刻までに戻れなくなりそうだし。」 パスタの最後の一口を頬張る。 「うん。戻るより他の店で道を聞いてみよう。」 メモをポケットへとしまいこみ、勢い良く席を立つ。 「御代、ここへ置いときまーす。」 木漏れ日の角度が少しだけ西からに向きを傾けた頃、広場のベンチに横たわるケンケーンは目を覚ました。 「本日2度目の目覚めか…。」 数多くの往来ある広場にも関わらずすっかり熟睡していた為か数時間前に感じた鈍さは幾分和らいでいる。 周りを見渡し、凡その時刻を測りながら今時刻までの自分の活動が褒められるものではないと字図からに笑いを浮かべる。 首や腰を軽くストレッチしながら頭の中のぼんやり感を吹き払っていく。 「さて、少しは仕事でもするか。」 まだ少しだけ軋み音のする体を引っ張り上げながら数時間ほど世話になった寝床を後に、その足は港へと歩いていく。 朝から昼にかけて行われる荷揚げを終えた港は、どことなく寂しさが漂い、その数十メートル手間に位置する市場とは相対を成しているように感じられる。 買出しの時間と重なったこの時間は買い物客と立ち話に熱中する人とで相応の混雑具合を見せている。 そんな二極性を持つ港周辺の隅に独特の雰囲気を盛った場所がある。 そこは一般の買い物客の姿はなく代わって店頭に並ぶのは何かがびっしりと書き込まれた紙が貼り付けられた掲示板である。 それらの一軒一軒の掲示板をさっと流し見し、時折メモを取りつつケンケーンはとある一軒の店へと入っていく。 「いらっしゃい。おや、あんたか。今日は何を持ってきたんだい?」 店の奥で商売仲間とゲームに興じていた店主が来店したケンケーンに挨拶する。 「ピリッと刺激的なものを持ってきたんだが、なんとも芳しくなさそうやな。」 期待はしていなかったものの悲しい予想が当った事に思わずも表情が険しく曇る。 「そうだな、ちょうど先週大きな入荷があったからな。どこもそれなりの在庫は抱えてるはずだな。」 野太い声店主は自慢の顎鬚に手を当てながら近況を語る。 もっとも頭の中は中断させてきた店奥のゲームの事で一杯なようで、話しの途中も再開を待たせている奥のテーブルに何度も目をやっている。 「先週か。ちょっとの差だったな。」 ぼりぼりと頭を掻き毟りながら、今日はなにをやってもツキの無い日だとぼやく。 「相場は海みたいなもんだ。」 「なんだそれを言うなら『生きモンみたい』ってヤツちゃうんか。」 「変動するには間違いないがな。」 再び顎鬚に手をやる店主はどこかしら自慢に満ちた顔で言葉を続ける。 「寄せて引いての繰り返しのようみ見えて、たまにやってくる大波を掴んだものが一躍のお立ち台ってやつだ。」 決め台詞を言い放ち店主は会心の面持ちだった。 ただ、その言葉の内容は一般的に面白くなく一端の交易者なら軽く一蹴するだろう物であることが悲しい現実であり、この店主の困ったクセであった。 「間違いない、反論の余地はなさそうやな。で、ここら辺の具合はどうなってん。」 ただでさえ体に力の入らない状態に追い討ちを掛けられ、肩をがっくりと落としながら近隣の街情報へと話題を変える。 自らの台詞に酔ったのか少し鼻息の荒い店主は上機嫌のまま再び話し始めた。 小一時間ほど店内で話しこんだ後、ケンケーンは再び街中へ戻る道を歩いていた。 本日唯一つの仕事もカラブリに終わってしまい手持ち無沙汰なまま、街中を歩き続ける。 もうすぐ夕暮れを迎えようとしている。 買い物客の足はさらに増して、目に映る風景のどれにも時刻に追われる人々で埋まっている。 このまま何もする事無く軽き続ける時間がいたずらに増えるのも精神衛生上良くないと、町の中央にある広場kあら見て西にある地位さな路地へと入っていく。 目当てはこの暫く先にある小さなカフェだ。 そこは値段や品揃えが優れている訳でもなかったが、その店から見える街並のそれがどことなく気に入ってから、数年来の贔屓にしていた。 歩きなれた道順を追って、そろそろ店の看板が見えようとしていた時だった。 数少ない人影の中に居並ぶ看板の1つ1つを注意深く確認するように歩く姿が目に映る。 「おや、あれは。」 その姿はごく最近、しかも身近なところで見覚えたものだった。 視線の先の女性は自分に気付いている人が居るとは知らず、ただ必死に何かを探しているふうだった。 「こんな所で何してん。」 はじめその問いかけが自分に向けられているとは気付かず、上を向いたままのニュンは目当ての店を探し続けている。 「無視すんなって。」 「え。あ、今朝の…。すみません。」 「買出しかい。それにしては時間が微妙だが…。」 買い物袋を提げるニュンの姿に連想を働かせるが、彼女が世話になっている宿屋の事を知るケンケーンにとっては、手伝いである彼女がこの時間にこの場所へ居る事が何か理由を秘めていると想像させた。 ケンケーンの登場はニュンにとって願っても無い助け舟に感じられた。 しかし、それと同時に昼間に見た部屋での出来事も瞬時に思い出してしまい、表現できない恥ずかしさが込み上げてきて思わず言葉をどもらせてしまう。 「買出しなんですけど、道に迷ってしまって。いえ、何度も聞いたんです。…はい、でもなかなか見つけられなくて。」 その声はかすかに震えていた。 手に持っていたメモを恐る恐るケンケーンへと見せる。 何度も読み直したのだろう、メモはすっかり草臥れてしまっている。 「どれ…。この店は反対側だな。この近くにも似た名前の店があるんだが、そこは関係ないだろうな。」 ニュンにとってそれは最も聞きたくない言葉の1つだった。 今まで必死に探していたのは何だったのだろうかと、肩が崩れる。 「そうですか…。」 先ほどにもまして声が小さくなったニュンの姿を目の当たりにする。 「ま、この店は見つけ辛いからな。この時間だと大分遅れてるんやろ、案内したろ。」 そう言ってケンケーンは今来た道を戻り始めた。 畏まっていたニュンは急いでその後姿についてゆく。 「はい、ありがとうございます。」 幾分元気さを取り戻した声だった。 それとは反対にケンケーンの呟きにはどこにも覇気が感じられない。 「それにしても、今日はなにもかもが上手くいかんな…」 口から出るのは小さな溜息と愚痴だった。 「あの、案内いただけるのは嬉しいのですが。ご迷惑でなかったでしょうか。」 雰囲気を察してか否かニュンはケンケーンの心情を窺っている。 (こんな娘っ子にこれだけ心配されりゃ世話ないな…。) ケンケーンの足取りは思惑が外れたにおいを漂わせていた。 宿へ戻ると女将の小さな叱責とねぎらいの言葉が待っていた。 あれからずっと同行して宿まで送り届けたケンケーンは巻き添え食らった挙句に、個別に小言を聞かされている。 「あんた、何もしてないだろうね。」 それが言わば窮地を救った人物への言葉なのかと耳を疑う。 先ほどまでとは違って女将の心配は別方向へ向いているようだが、その真剣さは戻ってきた時の声色とは違ってどこか感謝の意味合いを込めたようにも取れた。 「そこまで日照りやないで。もっとも女将さんの子なら尚更や。」 長々と聞かされる小言にうんざりしながらどうにか会話を途切れさせられないかと適当な相槌を打っている。 女将の姿の奥では宿の仕事手伝いに戻ったニュンが忙しそうに動き回っている。 その表情は生気を取り戻していて、しっかりと看板娘のような顔になっている。 (よー働くなぁ…) 今日1日の自分と比較するには相手にならないほどの元気さに溢れている。 「ところでケン坊、今日は食べていくのかい。」 長い長い女将の小言がようやく終わりそうな気配を見せた。 「また出るんやが。とりあえず1杯貰おうかな。」 「そうかい。送ってくれたお礼にその1杯はタダにしてあげるよ。」 そう行って女将は厨房へと向かった。 1階の食堂は徐々に客の顔が増え始め、夕飯の時刻を迎え始めた事を告げいてる。 朝と同じカウンターの椅子に座ると、1杯のブランデーと鶏肉オリーブ油炒めが出てくる。 時折、近くを通る女将やニュンと会話を混ぜつつ、結局それから3杯のグラスを空にしていた。 宵を迎え、食堂の賑々しさが増した頃、ケンケーンは宿を出て夜の道を歩いていた。 辺りはまだ今日一日の勤めをねぎらう楽しげな声が響いていて、行き交う人々の表情もどこか明るい。 通りを吹き抜ける風はどこか生暖かくて暑くなく寒くなく過ごしやすい。 中央広場の手前で何度か路地を曲がり、彼が雇う船員達が集まる酒場へと到着する。 古ぼけた安っぽい扉を開けると、先ほどの宿とは違った趣を見せる店内へと入っていく。 ちょうど通りかかった看板娘がいらっしゃいと声を掛けてくる。 特筆するほどの美人ではないが、酒場娘独特の愛嬌がある。 ぐるりと店内を見渡し空席を探す酒場娘だったが、それより早く船員達の座る席を見つけたケンケーンは軽い挨拶と酒を1杯注文して盛り上がっている店中へと入っていく。 「おやっ。提督、ここへ来られるなんざ珍しいですね。」 すでに出来上がっている船員の1人が早速ケンケーンを見つけた。 鼻の頭を真っ赤に染めて、相応の酒をこなしているのが容易に見て取れる。 それにテーブルの上をみれば彼等がどれだけ飲んでいるか大よその察しがつくほど見事な散乱ぶりだった。 「だいぶ心地よくやっとるやないか。」 届いたばかりの酒に口をつけながらケンケーンは彼等の戦っぷりを皮肉った。 「同じ酒でも、陸で飲むとまた違った味がするんですよ。」 少々呂律の怪しい1人が自信気に語っている。 その言葉に何人かが深く頷き同調するような声を出している。 「確かにしみったれたお前等と飲む船酒よりこの酒の方が万倍も美味い気がするな。」 再び何名かが頷いている。 「そりゃひでぇ話じゃないですか。俺ぁ提督と飲む酒は大好きですぜ。」 「俺の財布はお前等が嫌いと言ってるが。」 「見抜かれてやしたか。」 またテーブルに爆笑が湧き起こる。 「ところで、ここに来たのはどんな用件で。」 しっかりとグラスを握り、顔の赤くなり始めた副官が提督の用向きを聞く。 それが何杯目かは知る由もないが、最初の1杯でないという事だけはその顔を見て分かる。 「波が少々穏やか過ぎなんや。投げるにはちょいと厳しそうでな。」 「下がり傾向ですか。」 「底は打ってる話やが、上がるまではそれなりにかかるやろうな。」 副官は少し頷くと陽気に飲んでいる船員達に問いかける。 「土産についてなんか良い話聞いてないか。」 各自、他の船で世話になっている同業者から仕入れた話を思い出す素振りをする船員達。 その中の1人、先ほどの呂律が怪しい船員が何かを思い出したように口を開く。 「そういえば、ジェノヴァ帰りの船員に聞いた話ですが。あっちは最近船の入りが少ないそうで。上手く投げられたと聞きましたぜ。」 そのほかにも口を開いた船員が何名かいたが、どれも良い感触を得られるものではなく、興味深い話はその船員が発したものだけだった。 結論としては西地中海の相場はどこも芳しくないのが大体だった。 全ての情報が出尽くすと、ケンケーンはぐいっとグラスの酒を喉の奥へと流し込んだ。 「どうなされます。」 タイミングを計るように副官が問うた。 それに対しケンケーンは少し考えていた。 一同は酒を飲みながらも耳を向ける。 元々、相場には大きな期待を寄せていなかったが、予想よりも下を行く相場での荷降ろしは交易所の親父が嬉しがるだけであり、赤字にはならなくとも、それはそれで何か引っかかるものを感じてしまう。 そう考えると出てくる答えは1つだった。 「週末までやな。」 そう答えると更にもう1杯の酒を注文した。 「来週頭に出るということですね。」 副官が念を押すように質問する。 その通りと返事をすると、運ばれてきた酒に手を伸ばす。 「折角のセビリアやし。もうちょい遊びたいやろ。」 船員達は大いに頷き、その通りだと口をそろえた。 「それに、俺もお前等の顔見続ける生活はもうちょい後でええわ。」 「提督、そりゃひでぇ。」 再びテーブルに男達の笑い声が戻ってきた。 「そういう事で後は頼んだで。俺は戻って寝る。」 「おや、提督。もうお終いですかぃ。」 席を立とうとした所に声が掛かる。 ケンケーンとしては、いい具合に酒も飲み、伝えたいこと聞きたい事も終わって居座る理由もなかったが、船員達にはそうはいかなかった。 「もうちょっと飲んでいきやしょうや。」 「おいおい。昨日の酒抜くのに1日掛かった、今日はゆっくりするわ。」 そう言ってけん卿はテーブルに自身の飲み代を置いた。 どうにか繋ぎ止めたい船員達は副官の方を見る。 視線を感じた副官はぐるりと船員達を見渡すと、はぁと溜息をついて口を開いた。 「お前等、提督はこうみえて忙しい身なのだ。特に、宿に待たせている時ならそこらの気遣いを忘れてはダメだ。」 副官の台詞に一度は浮かしたケンケーンの腰が再びどっかりと椅子に納まった。 「提督、どうかお気になさらず。どうぞ。」 底意地の悪さを隠すような笑みを浮かべた副官がそこに居た。 「いつからそんな性格になったんや。」 「いえいぇ。裏表のない気遣いで。」 「これじゃ押しても引いても俺が悪者やんか。あぁ分かった、ここが俺の席やなっ。」 「よろしいので。」 副官は先ほどの笑顔を再び作っている。 「えーから酒注文せい。」 船員達がどっと沸きあがった。 これで今日は飲み代を気にすることなくなった。 ケンケーンは得意満面の副官を横目に残っていた酒を一気に飲み干した。 その姿を見た船員達はどっと沸きあがる。 「おい、姉ちゃん。酒、じゃんじゃん持ってこい。」 そのテーブルが静かになるのはそれから数時間後の事で、店が看板を迎える時刻だった。 (続く)
https://w.atwiki.jp/forceofwill/pages/254.html
飛びかかる獅子 [[光属性]] [[リゾネイター:獅子]] (光)(2)/ATK 600/DEF 100 【指定攻撃】 【先制攻撃】 [[【ブレイク】]]このリゾネイターをあなたの場に召喚する ヴァルハラの戦乱で登場した光属性 獅子のリゾネイター。 収録パック等 ヴァルハラの戦乱 2-012 R
https://w.atwiki.jp/goldenlowe/pages/43.html
大阪遊楽記 その2 とりあえず食事場所へと移動しようとテクテクと歩き出す。 今回は中華料理…楽しみやねぇ~♪ 歓楽街と言うか飲み屋街アーケードと言うのか煌びやかなネオンや看板や引き込みが雑多する道を 蟻の這い出る隙間もないぐらいに敷き詰め動く人の流れに身を任せながら移動する…なんとなくウンザリだw でも、それがあるからこそ晩餐会の一杯目が美味いのだと、名幹事サマのお手並みは意見と言わんばかりに最後尾を歩きつつ入店する。 地下のBOX席っぽい所へ案内されて、いざ座ろうかと思えば席順を言われ 「折角アンレさんは遠路から来たんやから、上へ~」と薦められるままに上座へ…フフフ 席順は以下のように… ○ (閣下) ○(れんれん嬢) ○(ひろっち卿) ○(けんけーん卿) ○(こうひえ卿) ┌──────────────────────────────────── │テーブル └──────────────────────────────────── ○(ウチ) ○(ライラ姫) ○(SEIJI卿) ○(レナータ嬢) 喫煙チームと非喫煙チームに体よく分けられたようにも見えなくもないような…まぁ、良しw。 飲み放題、食べ放題と言うことで鬼のタイムアタックが開始された… れんれん嬢がぐんぐんその数を伸ばす…ひろっち卿も隠れて強い♪ SEIJI卿:「アンレさん、食べてくださいよ」 ウチ:「ん?」 ライラ:「皿が綺麗なでw」 ウチ:「ハハハ、スデに割り箸すら割ってないゾ」 ライラ:「なんでw」 ウチ:「いぁ~どこまで割れずにいけるかな~っと」 SEIJI卿:「割ってないw」 レナータ嬢:「(笑)」 焼き奉行をしなくて良いSEIJI卿は手持ち無沙汰なのか、片付けるスピードと食事するスピードがスバラシイ(≧∇≦)b ウチはやっぱり隅っこでスピードについて行けずにチマチマやってるだけ♪ お酒が入ると饒舌になるのは酒の利点と言うところか 一見して静かそうに見えるひろっち卿も実は良くお話してくれるし、れんれん嬢は関西なノリでお話してる。 閣下も姫もいつも通り♪SEIJI卿は気遣いながら食べてるし、レナータ嬢はやはり笑ってた♪ 時間の都合もついてこうひえ卿が参陣、実はこうひえ卿はウチと出身県が同じ♪ いぁ~こんな異郷の街で同郷の方と会えるとは僥倖としか思えないねぇ♪ が、こうひえ卿…隠れて酒強いw 半ば強制的にウチと閣下の間に呼び寄せて職務質問ならぬ歓談する席を作っちゃう♪ 最初は緊張した面持ちで丁寧な口調…「こんな席で緊張なんて無駄な体力の浪費よw」と支離滅裂な言葉をかけつつ 時間がアッというまに21時30分を迎える。 けん卿に促されて電話参加するというクラ卿にメールを送る。 実はウチ等が飲んでる地下は各種携帯メーカーことごとく「圏外」というスバラシイお店だったので 苛め抜かれているこうひえ卿を慮ってかけんけーん卿が体よくウチを外へ放り出した。 クラ卿からの連絡を待つウチ、都合よく店の前にベンチがあったので、返事を待つものの…来ない。 「さては…まだ忙しいんかのぅ。」と思いつつ2通目のメールを作成中に着信がっっ! ウチ:「もしもーし」 クラ卿:「ああああ、どもークラですー。はははは」 ウチ:「おぅ、アンレじゃ。今大丈夫なんか~」 クラ卿:「いあー、まだ仕事中なんですよー」 都会の喧騒は携帯電話もろくっすぽに話さしてくれんらしい、喧騒を拾って「聞こえるけど言葉が届かない」状況に苛々する。 クラ卿:「飲み会はどーですかー?」 ウチ:「あとは卿が来たら言うことなしじゃ」 クラ卿:「えーっとですねー。下っ端なんで休めないんですよー。」 ウチ:「はははは、大変だのぅ」 クラ卿:「また電話しますね。仕事してきます」 ウチ:「がんばってねー」 うーん、良い声だ。良いキャラだ…会ってみたいのう♪ 少しだけ残念な結果に終わってしまった報を持って席へと戻る。 すると目の前に見慣れない杯が置いてある… 「ん?」 「それアンレさんのやで~」 確かれんれん嬢が言うたと思うが、薦められたらヤらずにおられまい♪ くいくいくいっと飲む…ん~実にフルーティーな「お冷や」だことw 皆が笑っているが…まぁ正体は何あれ感覚てきには日本酒の冷酒に近かったかなw っと、名残惜しいように正体不明の酒の余韻を楽しんでいると。 ウチの取り皿に食物がっ…およ?w どうやられんれん嬢が見かねて入れてくれたらしいw いぁ、ホンマにお気遣いありがとうです…(ノ_ 。) (結局食べたのは餃子1個、ニラ玉1口、サラダ1口、酢豚に入ってた赤ピーマン1片ぐらい。酒は生1、ジントニック1、ジンロック2、謎のお冷や2デシタ♪) どんな意図があるにせよ、姫が隣だとDOLとは違い姫も饒舌なもんで会話が進む。 こうひえ卿と話つつもナイスタイミングなツッコミが隣からガンガン飛んでくるwww 閣下:「な、コイツらオモロイやろ。『№2№3』ってコンビ名や」 なんともやはりキタッ!前回のOFF会で頂戴した(?)モノがいまだ健在とはっ♪ しかも誰も否定しない…うそーんw 前回、前々回を踏まえて時間を多く取ろうと企画した今回のOFF会も20:20~23:00までがアッと言う間に過ぎてしまい 「しゃーない出るか~」と物足りなさを感じて店を出る。 クラ卿からの連絡がまだと言うこともあり「アンレの宿まで行くか~」っと歩き始めてスグにその電話は掛かってきた。 クラ卿:「もしもしー。クラですー、やっとですねー仕事終わったんですよー」 ん~、先ほどと変わらない口調…ま、当たり前か♪ ウチのケータイを回しつつ、ようやくこれで全員が参加♪ しかし、誰もが「こんばんは、SEIJIですー」と挨拶するのは当のクラ卿も何が何だか分からんかったやろな~。 閣下から始まりレナータ嬢→SEIJI卿→けん卿→こうひえ卿→ひろっち卿→れんれん嬢(多分合ってると思うw)とまわり どこまで分かったかは不メインなものの「皆さんとお話できて感無量でしたー」とクラ卿との電話が終了しGL1周年記念OFF会は無事に終了しました。 皆様オツカレサマでした♪今回もデジカメを持参したにも関わらず食事中1枚も写真を撮りませんでしたw(そんな暇ないよw) んで、宿の前で解散したOFF会メンバー…を他所にウチはそのまま再び繰り出しまして。まだイケそうな居酒屋へこっそりと1人で入店…♪ 適当に肴を注文して焼酎「山猿」と泡盛「於茂登」をロックでグィッグィッと一気飲み♪ その時思ったコトは、意外とこの近辺の居酒屋ってメニュー数少ないんよね…食べるもんに微妙に困ったりw 今回の宿は正面にコンビニがあり、夜食と朝食とヴォ●ビックを2本購入し部屋へと戻る。…ん~今回も楽しかった♪ *************************************** 大阪遊楽記(番外記) 翌日、西明石に住む学生時代からの友人を呼び出し、大阪を遊んでみる。 元々はウチの実兄(DOL内ではZEP鯖ルカ・トニ)からお使いを頼まれていたモノを探す為だ。 とは言うもののホテルは掃除の為に10時には出なきゃならんw 「さて、困ったぞ…」 友人と会う約束をしてるのは昼前… どうしたものかと思案しても仕方ないのでホテルに常備していた梅田マップなるモンを手に「1人」でLoftを目指そうと決意する… 以前に2度ほどその友人の先導で行ったのみ…不安がよぎる…ま、良いっかw 地図を片手に人の流れに身を任せるを半分、直感がその半分、残りを地図頼りにテクテク歩いてみると…スバラシイ!迷わずに到着した。 「本日の開店時間は10:30です」 …店内に見える不穏な看板、現時刻10:10…うひぃorz まぁ、他に寄る場所もないし、安売り500mlペットボトル麦茶を購入し開店を待つ。 都会の人はスゴイと思う…ウチが到着した頃は疎らだった往来も、開店間際になると合わせたように集まってきた♪ Loft開店…なだれ込むまでも行かないが多くの人を飲み込んでいく。無論、ウチもその1人♪ 1人で周る店内は想像以上に楽しい。が、やはり歩きの後遺症として朝だと言うのに腰に違和感が。 「ヤヴァっ!」 店内商品の家具の座り心地を試すフリをしながら所かしこでインターバルを得ながら少しでも腰を労わりながら時間を潰すw 11:20に友人と合流し昼食をとる。 「昨日飲みすぎたから、コッテリとして胃に優しいヤツ!」という注文に彼は「カレー」を選んでくれました…フフフ (美味いには美味かったんですよ♪) 食事を終えて、Loft近辺をウロウロしてみたんやが探し物は見つからず場所をアメ村と呼ばれる場所へと移す。えぇ、もちろん230円切符を購入しましたよ♪ 数え切れないほどに居並ぶショップを巡りながらようやくハケーン♪クエ完了♪ そーなるとウチの目当ては日本橋…PCパーツショップを冷やかしまくる。途中HDDを買おうかどうしようかと悩んだが結局手を出さず仕舞いw OFF会へ向かう前「メイド喫茶なるもんに行って見たい」と公言していたが、この酷暑でどこも満席…悔しいやらホッとしたやら♪ 何か越えてはならない一線がそこにあるようね。 パーツショップを巡って、ノーマルな喫茶店で休憩を入れつつそのまま飲みに♪さすがの連荘で飲みはキビシイので胃腸薬を途中購入し。 店員:「お飲み物は何になさいますか?」 ウチ:「お冷や2つとグレープフルーツサワーとピーチサワー」 無論、お冷やは胃薬用♪ OFF会の時とは違うアフォ話を繰り広げた後、お決まりのコンビニで水、麦茶、菓子、おにぎり、調理パンを購入し宿へ戻る。大阪のTVを堪能しつつそのまま轟沈… 翌日、「起きた時間が帰省時間」という行動パターンなウチが目を覚ましたのは6:40! ん~、事前に調べてなかったんだけど、先月に新神戸8:47発新幹線に乗った記憶が蘇る。 「新神戸―新大阪は1駅20分、逆算して…時間20分ごとに1本あるかな…」 もちろん7:20代の電車に乗ることはムリなので8時20ごろの新幹線狙いでホテルを後にする。「みどりの窓口」で喫煙席希望を告げると「グリーン車」になるとの言。 ま、指定席で帰れるなら問題ナシ♪少々お高いがええじゃろw 新大阪駅でガッポリと土産を買い込み、帰途につく。 が、ここでも田舎モン丸出しなトンチンカンをしてしまう。今の時代「グリーン●●●」と付いてたら環境の何かを考えて禁煙だと思ってたら 電車のグリーン車って「ちょっとリッチな車輌」だったのねw 周りはプカプカと煙草吸ってる…くそぅ、知らんかったorz 11:37に駅到着、タクシーに乗り込み正午前には無事帰宅♪さすが盆!家は夜勤に入る兄しかいなかった… そして、軽く昼食を作って食べて、PC電源をポチッ♪早速DOLへONしてこの文章を書き始める…さて終了時間は……えぇ時間やねw (おわり)
https://w.atwiki.jp/goldenlowe/pages/8.html
西風に吹かれて 商会メンバー ライラさんのBlog (旧) 藻屑のささやき (新) 藻屑のささやきⅡ 商会メンバー アンレーデさんのBlog かぼちゃ王子とピザ屋さん 商会メンバー SEIJIさんのBlog AtoZ 商会メンバー ハガルさんのHP ゑろす商会 ゑろす商会さんのHP(Zephyrosサーバーにて活動中) Chatuuのなにかしてみる? 商会メンバー ChantuuさんのHP Jack of all trades 商会メンバー アムスさんのBlog AirBBS
https://w.atwiki.jp/goldenlowe/pages/49.html
「航跡の価値 Ⅵ」 男性とすれ違う度に彼らの視線が思わず振り返る。その視線に気づいているか否かは定かでないものの脇目も振らずに足は郊外へと向かっている。風に誘われるままに踊る淑やかな髪がセビリアの日差しを受けて絹糸のように輝く。華奢に見えるその体で人ごみの中を軽く縫うように進みながら、やがて発展した街の風景を通りこし、所かしこに田畑が覗きだした頃、彼女が目指す一軒家があった。目に映る田畑は冬支度を整え、かつて青々とした生命感がひしめいていた季節など微塵も感じさせないほどに土景色が広がり、踏みしめる道の感触も寒さに凍えているのか味気もなく冷たい。乾燥した足音をざりざりと置き去りにしながら特筆するような特徴のない建物の前までたどり着くと一見して生活感のないその佇まいに躊躇させられる。手元のメモに書き写した住所をよくよく確かめながら付近にそれらしい建物がない事を確認するとその女性は敷地内へと足を踏み入れた。きいと鳴く少し錆付いた門をくぐり最小限に手入れされてりる玄関までの数メートルのアプローチを本当にここが目的の場所なのかという疑心を抱きつつゆっくりと歩く。大きめの一枚板で作られている玄関ドアの前で周りを見渡した、庭木はある程度の手入れが成されているもののそれもここ最近に手を入れたようには見えない、相変わらず無機質に思えるほどに存在する建屋に視線を戻すとドアをノックする。1回、2回とノックしても返事は返って来ない、掲示板の内容が誤っていたのか、自らの転記ミスかはたまた掲示内容が古かったのか、複雑な心境でメモを眺めながら、これが最後のノックだとノブに手を伸ばしたとき、彼女の耳に建物内から発せられた生活音が聞こえる。耳を疑うように静まり返った中でじっと耳を澄ませて様子を伺う。確かに誰かが中に居る、確信を得た彼女は3度目のノックに力を込める。 「はいはい。」 落ち着いた声の返事と蝶番の軋み音を共にしてドアが開かれる。真っ白なシャツの袖を捲り上げ、いかにも掃除中でしたと推測できる格好の男が現れる。 玄関で待ちわびた来客は被っていたピューリタンハットを脱ぎ、恭しくお辞儀するとこう口にした。 「シンシア・フーバーと申します。街の掲示板を見て訪ねさせていただきました。」 街の中心部にある連絡用掲示板、今や設置された当初の目的を失いそうなほどに節操を選ばない様々な掲示物で埋め尽くされている。そんな中の一点を見つめる女性が一人居た。隅から隅まで掲示板の内容を1つずつ確認すると、再び同じ箇所へ戻って内容をメモしている。そして手帳への記入が終わるとその足で酒場へと向かった。情報を得るならどこよりも船乗りに聞くのが一番確実で、船乗り同士の情報網は正確かつ迅速だった。 ちょうど表通りに面した酒場、潮風に吹き晒されて心許なく揺れる看板が充足を求める船乗り達を招いているように目に映る。ドアの外からも重く響く船乗りたちの声が聞こえてくる。船の上では多忙な彼らも陸ではやる事など高が知れている、女を抱くか酒をあおるかに大別される、そんな後者をいつでも抱え込んでくれるのは彼らの懐を狙って商売するこんな酒場だった。 「『ゴールデン・ルーヴェ』?最近、耳にするようになったな。」 良い具合に出来上がった船乗りは傾けた頭から尋ねられたキーワードを探すように宙を彷徨いながら回答を紡いでいる。 「商会長をトーレスとか言ったかな、あれは良い男だ。国のために良くやってくれてるよ。」 少し呂律の回っていないスペイン語に聞き取りづらいところも合ったが満足できる回答だった。偶然にも尋ねた相手がイスパニアの人間だったのが幸いに一介の船乗りまでに名前が売れている人物が商会長を務めているという情報は十分に納得できるものだった。一杯分の金貨をテーブルに置き席を離れる。 ごった返す酒場で聞きまわる中には決して良くない情報も混じっていたが、なかなかに評判は悪くない、確かに商会管理局での資料を見る限りもまずまずの評価だなと自分を納得させるには十分なだけの情報を得ていた。ただ、決意を固めるにはあと少しの何かが欲しいとも言う気持ちがわずかに残っている。 あと一歩の踏ん切りがつかないままに数日が過ぎてしまった、定宿の一室で掲示板から写し取ったメモを眺めてはそれを机の上で遊んでいる、その他にも数枚のメモが並べられているがどれも決定打に欠けると天井を仰ぐ。 「もう一押しするようなきっかけが欲しいな…」 手の中で遊ぶペンの行き先が定まらずに中を舞う。どこでも良いと言えばそれまでの決断になってしまう、しかし、この身を預ける先に妥協する事は、これから先にある有意義な時間を無意味に変えてしまうのではないかと踏みとどまってしまう程に重要なものではないかと候補となるメモに視線を戻す。 あとどれくらい悩めばこの鬱積した感情が好転するのだろうと、シンシアの葛藤は続いている。考えることを考えているような思考の迷宮に陥りながら、自らが立っている状況が最も招きたくない状況と気づくまでの時間は本人の思惑以上に経過していた。 このままでは埒も明かないと時折冒険者ギルドへ顔を出しては近海の依頼でその気を紛らわせてみる。 「こうやって海に出ているときには何もかもが許容されるわね…」 緩やかに揺れる船中で変哲のない窓外の海だけを眺めている事は彼女にとってなんの苦痛にもならない時間だった。なにも考えなくても刻々と変わりゆく水面の表情を見つめることでシンシアは陸上であれこれと考えすぎて溜め込んでいた心理的な疲労が逓減していくのを自覚できるほどに落ち着いている。 地中海の入り口付近で軽く地形調査を試みる、まだ熟練した段取りとまではいかないもののよく効率的に測量をしている。ジブラルタル海峡付近はその独特の地形から船同士の間隔が外洋のそれより狭い為に行き交う船の邪魔にならないよう測量を続けなければならない、それに加え思わぬところに遠浅の隠れ瀬があるために往来と座礁に注意しなければ思わぬ失敗を招きかねなかった。船内は妙な雰囲気に包まれながら淡々と測量作業を続けている、忙中にあっては悩んでいた事をすっぱりと忘れることができ身体的な疲労が彼女の精神を癒すような作用をもたらしている。日和的にはそれほどにも感じない中にも彼女にはじっくりと日の光を照り返すものが額に浮かんでいる、そしてそれこそが彼女の内面鏡の埃をさっぱりと洗い流すように日を経るにつれシンシアの表情にはみるからに生気を取り戻している。 「ふぅ…」 何かに取り付かれたように測量へ没頭した疲労感が支配する体を自室のベッドに放り投げてようやく彼女の緊張が解ける。見つめる先の天井はこの船に初めて乗った時となんら変わりがなくいつもの木目がその瞳に映っている。この船に乗り込む全てにおいて唯一自分だけが見つめることが許されているこの模様を何度見つめたのだろうかと覚束ない思考の中で疑問があれこれを浮かんでは今までの経験の断片が一片二片と思い出される。 「今までも楽しかったな。」 そう呟くと、枕元にあった資料を手に取る。知人が参考にと写してくれたある論文だった。 『美術とはその顕す内面性になにかしらの意図を常に感じなければならない。そのなにかとはその土地に根付く人々の生活や信仰を深く練りこんだ作者の意思そのものである。』 ふうんとシンシアはその一文を読んで思わず感嘆の声を漏らす。自分もこんな事を堂々と述べられる日が来るのだろうか?この筆者は何を見て何を感じそしてこの結論に至ったのだろうか?そしてその歳月はいかほどだったのだろう?そんな新たなる疑問が彼女の視線をその論文から離れなくしてしまっていた。 『美術とは人々に感動を与え続ける。美しきその姿を作り、美しいと感じる事は主が我々に与え給うた様々な能力の中で最も主に尊敬を抱かされる事である。その感動は我々の想像を越える生活を送る者達の美を目の当たりにしたときでさえ変わらずに純粋に美しいと感嘆の声を上げる事ができるが、前述したようにその土地についての理解を深めなければ目の前にある真実をみすみす見逃してしまうのである。』 セビリアを出港する前とは違ってシンシアの瞳がきらきらと輝いている。船員が食事を知らせに来た事にも返事をしたのかどうかも分からないほど彼女はその論文に魅入られている。体の内から焚き起こる情熱が鬱積した様々な疲労感を昇華させるように彼女は論文を読む手を止めることが出来ずに居る。随所に語られる筆者の言葉にうんうんと頷き、時にその難しい表現に繭を顰め、そして未だ観ぬ美術品を想像しては口が綻んでいる。彼女が書きとめたメモはいつの間にか数枚にも及んでいる。勤務交代を告げる鐘がの音にようやく現実に戻ったシンシアはいつの間にかこんなにも時間が経過してしまっていた事に気づく。 「すごい内容…。感謝しなくっちゃね。輻輳論的に捉えていてその理論には頷かされることが多すぎる。」 一息入れると今まで緊張していた腹筋が緩んだのか、急に空腹感を覚える。船員の皆はとっくに食事を済ませているだろう時間に食堂へと向かう。陸に居るときよりその足取りははるかに軽く、自身もそれを体感できていた。食堂では自分用にと1皿分がカウンターに置かれている。慣れた様子でそれを左手で、右手にワインとグラスを持ちテーブルへ移動する。出来たてなら有無を言わさぬ美味い食事だったろうが今は冷たく幾分本来の旨みが抜けてしまっているようにも感じる。いつもよりワインの量も増えるが昂ぶった感情を抑える面で言えばその2つは十分に役割を果たしたといえた。他に話す相手も居ない食事は簡単に短時間で終了し、厨房内で片付けるとシンシアは足早に部屋へと戻ると再び今の自分にはこれが何よりの発奮材料だといわんばかりに続きを読み始めた。相部屋の船員達は提督が行き来する靴音に今日の提督はどうしたのかあれこれと要らぬ噂で盛り上がっていた。 シンシアはそれからというもの昼は測量をし夜を論文を読む生活に変わった。特に論文は数ページ進んではまた読み返しを行い、一言一句まで理解するようなほどの熱の入れようだった。 そして数日後、依頼されていた測量の内容も完遂しゆっくりとセビリアへの帰途についていた船中で彼女の読む論文が最後のページを迎えていた。日が経つにつれて机の上にはメモが散乱し、磨り減った羽ペンがくず籠の中に数えるのが嫌になるほど捨てられている。 そして最後のページを読み終えると大きく胸を膨らませゆっくりと吐き出す。体中の凝りを解すように背伸びを繰り返す、充足感が指先にまで伝わるように脈動を感じる。これほどまでに夢中になれるもなのだとかなりくたびれ感の出てきた論文を頬杖ついてぼんやりと眺める。 「誰が書いたのかな……ライラって人か…」 シンシアは椅子に深く腰を掛けなおすと腕組みしながら自らの記憶の糸を細く辿る。この名前はどこかで見た記憶がある。それは特に重要な項目として確認したことではなかったためかすぐに思い出せなかったが確か商会管理局で確かに見たと思い出した。どの商会だったかまでは性格には映像で出てこなかったが机の引き出しからセビリアで頭を悩ませていたメモを取り出す。 「確かこのなかのどれかだったよね。」 彼女の中で不思議なつながりが生まれていた。この論文を読むことでシンシアは筆者にかなりの尊敬と親近感を持つようになっていた。見解の同調というものか彼女の今の状態は論文に感化され筆者に近づきたいという念が湧き、億劫にも思えたセビリアへの航路が急に意味をもつようになっていた。 セビリアの中央広場から少し西へと移動した先に彼女が目指す商会管理局がある。ギルドと同じようにいつも何かしらの人だかりが出来ているのが彼女にとって不思議な光景だった。お気に入りのピューリタンハットが人ごみに落とされないよう目深に被り建物の中へと入っていく。 「ライラ…ライラ…っと」 職員から貸し出された商会一覧の綴りを1ページずつ丁寧に捲りながらライラという名前を見逃さぬように確認していく。 「…La…Layla…ライラ。あった!」 商会名:ゴールデン・ルーヴェ 発足 :・・年7月13日 代表 :F・トーレス 副代表:ライラ….. 確かにシンシアの探す名前がそこにあった。自らが書きとめた中にあるゴールデン・ルーヴェ商会の募集に関してのメモと照らし合わせてみる。確かに同じ商会だった。 「うん、ここにしよう。もう悩む必要はないわ。」 商会管理局の建物を出たシンシアは手に握るメモを再び確認する、今彼等が活動している拠点はこの郊外にある1軒の家らしい。今は煩わしい依頼の報告書を纏め上げなければならないが、どうせ手続きに多少の時間はかかるだろうしと彼女は一度船へと足を向ける。 「最初っからあれを読んでいれば無駄に悩む必要もなかったわね。」 順序の前後で無駄に心労を重ねた事を彼女は笑っていた、しかし、石畳を叩く彼女の靴は海に出る前とは想像も付かないほど軽やかに船へと消えていく。 「解決するときなんてこんなもんよね。」 緩やかに緩む口元がそんな言葉を街中に捨て去って行く、雑踏は彼女がたどり着いたそんな一つの真理の言葉を飲み込みながら冷め止まぬ人の活動を誇示するように町全体を包み込んでいた。 「なるほど、掲示板を見てこられたのですか。まま、中へお入りください。」 玄関で対応した男はこの建物を訪れたシンシア・フーバーと名乗る女性を中へと招き入れる。中は外見と同じくして驚くほどに生活感が感じられず、所々には掃除が行き届いていない様子で調度品に埃の薄化粧をしている。 「いやはや、ここも集会所みたいなもんだから。たまに寄ればこの通りですよ。」 シンシアの思うところを察したのか、前を行く男は自分も呆れるよと言わんばかりの身振りで歩を進める。そして、リビングらしきところへと通されると掃除したてなのか先ほどとは違って綺麗に片付いている。 「ようこそゴールデン・ルーヴェへ」 先ほど先導していた男が飲み物と共に再び現れる。 席を勧められて互いに椅子へと腰掛ける。 「これしか見当たる飲み物がなかったので口に合いますかどうか。」 っと無駄のない手つきで紅茶を注ぐと男はシンシアに差し出す。 「ありがとうございます。」 緊張の為かひどく喉が渇いている、ゆっくりとカップを手に取り口へと運ぶ。 「わぁ…凄く美味しい…」 予想以上の味にシンシアは躊躇なく驚いている。そんな彼女の様子に動じることもなく男はまだ袖捲くりをしたままで自分の淹れた紅茶を楽しみ、そして一息つくと口を開いた。 「私はヒロッチといいます。久々にここに来てみれば、やはりな状況で掃除してましてね。対応が遅れまして申し訳なかったです。」 「いえ。こちらこそ突然に押しかけまして…」 「商会に興味が?」 「興味っていうより、もう手続きをしてきたのですが。」 「そうでしたか、まだ局からの連絡が届いていないようなので存じ上げませんでした。」 「これからお世話になります。ところでこの紅茶はヒロッチさんが?」 何の話かと不思議な顔をヒロッチは見せる。 「その。余りにも上手で…」 「ああ。これは紅茶の淹れ方にうるさい人が居てね。」 ヒロッチはそれが商会の偉い人だよという事をなんとなく伝えるようなそぶりを見せる。「あはは、どこも一緒なんですね。」 「そんなもんだよ。さて、折角お越し頂いたんだし商会の説明でもさせてもらおうかな。」 そう言うとヒロッチは分厚い資料を持ち出してくる。いつの間にやらこんな資料も出来てたんだよと、面白おかしく説明を始めた。彼の説明は要点を突き聞く側にとっては実に理解が容易くしかも時折ジョークにも取れる商会での笑い話を織り交ぜながら手元の資料にある説明しなければならない事項について立て板に水を流すよう滔々と進んでいく。そもそもゴールデン・ルーヴェには小難しい規約は殆ど無かった、しかし、商会として存在する以上は何かしらの縛りや規則が発生し、条件を満たさない場合は管理局から商会としての立場を剥奪されることもあったため、説明の内容はもっぱらそれらを回避するためのものが大半を占めていた。 数杯の紅茶と途中休憩を挟みヒロッチの説明は日が暮れるまで続いた。 「さて、これで終了です。まだ覚えきれないでしょうが、少しずつ覚えてください。」 そう言いながら資料を閉じるとヒロッチは少し残っていた紅茶を飲み干した。 「あの、この商会ってヒロッチさんのような方ばかりなのですか?」 「っと言いますと?」 シンシアはヒロッチの説明を聞き、終始丁寧な態度に感心していた。人に何かを説明するということは、その内容をしっかりと把握し簡潔な言葉でどれだけ纏められるかという点に尽きる。彼女はそれをしっかりと体現するヒロッチの言葉に多くの教養と知識が詰め込まれている事を感じ取っていた。もし、目の前に居るヒロッチのような人物が集まる商会であれば自分は疎外感を感じ得ないだろう。そんな不安が彼女の脳裏を掠めた。そう言えば、自分がゴールデン・ルーヴェに入ろうとしたきっかけはあの難しい論文を読んだからではなかったか。あの論文を書いた人物が副代表を務め、さらには先ほどから説明をしてくれたヒロッチの事も合わせて考えると、とても自分に似合った商会ではなかったかもしれないと今更に後悔の念を抱かざるを得なかった。 「私、この論文を読んで…」 彼女は船中で夢中になったライラが書いた論文を見せる。 「あぁ、ライラさんの論文だね。」 「私のような者が入っても大丈夫なのでしょうか?」 ヒロッチはその問いの真意と彼女が抱いた疑念をすぐに悟った。 「ゴールデン・ルーヴェは誰でも入会を歓迎しますよ。『皆で楽しく』がモットーだし、片意地張るような事もないよ。」 「そうなんですか?」 「それに、ウチの偉い人の中には変わった人が居てね。1年中ふらふら何か動物を追いかけてるかと思えば、やれ紅茶の淹れ方だ、酒の銘柄はどこが良いとか言ったりね。」 肩をすくめるよう見せながら態とおどけてみせる。 「あはは、ヒロッチさんてお話が上手いんですね…」 「それほどでもないですがね…」 ここでヒロッチは玄関から聞こえる物音に気づく。そしてシンシアに口を開かぬように合図する。 「誰か居るの?」 聞き覚えのある声が聞こえてくる。声からして女性のようだ。しんと静まり返る室内にその歩み寄る音がどんどんと大きくなってくる。喋らないだけなのにじっと身を硬くしている2人の影がランプの明かりに照らされて細かく壁に踊っている。口を噤む事がこれほど1秒を長く感じさせるのかと2人の視線が入り口へと突き刺さっている。 「珍しく人が居るのね…ってヒロッチじゃない。」 「アンレさん、お久しぶり。」 部屋に入ってきたのはアンレーデだった。いつものように脇に多くの書類を抱え、反対側には今日の食事らしきものが提げられている。部屋に入ってきた彼女はざっと状況を考えているようだ。ヒロッチはそんなアンレーデを影で指差しながらそれがこの人なんだよとシンシアに無言で伝えている。 シンシアは、話を聞くだけでその主が男性だと思い込んでいたらしく、いきなりに現れた当事者との誤差に自分の中で消化しきれずに目を丸くしているようだ。 「ええっと、大人時間だったかしら。お邪魔しちゃ悪かったわね…さっさと退散するから気にせず続きをどうぞ…」 とりあえずの答えを導き出したアンレーデは精一杯の気遣いを見せながら部屋を出ようとする。 「アンレさん、ちょっと待った!大人時間は何か知らないけど、このシンシアさんは新しく入会された方だよ。」 「入会?…あぁ、さっき局で申請があったみたいだからサインしてきたんだけど…」 脇に抱えている書類の束からそれと分かる封書を取り出す。これが手続き完了を告げる内容の封書だとアンレーデは告げた。 「そう、その申請した方がこの人…シンシア・フーバーさん」 「あらっ、そうだったのね。シンシアさん副代表をしているアンレーデです。よろしくね」 互いに挨拶を交わし。アンレーデも空いている席へと腰を下ろす。そしてコレまでの顛末をヒロッチから告げられると2・3度頷いてもう自分が説明することもないので食事でもと2人を誘う。もっとも、これから作る事になるのだがと持って帰ってきたもう一つの大荷物を指差して笑った。ヒロッチは再び袖を捲し上げると自分が作ってくると厨房へむかった。 「そういえば、ライラの論文を読んでとか言ってわね。」 「はい、これです…」 「私も読んだけど、これに感化されたとは凄い感性ね…私には難し過ぎたわ。」 「いや…あの…」 「緊張しなくても良いわよ。私は副代表なんて偉そうな肩書きだけど何もやってない役立たずなんだし。」 そう言って笑うアンレーデはシンシアの持っていたライラの論文をペラペラと捲っている。 「でも、こうやって人の心を突き動かす事を出来るって素晴らしい事ね。」 ランプの淡い光が楽しげなアンレーデの横顔を薄っすらと憂い顔に染める。 「分野は違っても同じ学者としての生業を立てる者同士として羨ましいわ、私達は自らの探究心を満たすため、そしてなにより生きる為に海を渡っていくけれど、その成果が1人の女性の心を突き動かす原動力になるなんて、強ち徒労で終わらないのかもしれないわね。」 まるで独り言のようなアンレーデの言葉にシンシアは沈黙で答えるしかなかった。 「もっとも、私の場合はこんな素晴らしい作品を残す事をしないから無理でしょうけど。」 うって変わって目を細めて笑うアンレーデ。対するシンシアはその不思議な感情の移り変わりに意表を突かれるようにしてどう反応して良いのか分からずに硬直している。 「アンレさーん、シンシアさーん、できたよー」 遠くからヒロッチの声が聞こえる。 「さてとっ。難しい話は終わりにしましょう。」 セビリアの郊外にある1軒の建物。いつもは人影すら見えないその建物に今日は珍しく灯が点っている、そして賑やかな声の会話が絶え間なく続いている。時折吹く風の音もどこか乾いていて寒さを伝えている。そんな事も構わずに3人の夜は明るく更けていくのだった。 (航跡の価値 終わり)
https://w.atwiki.jp/goldenlowe/pages/21.html
寝落ちめも 寝落ちとは 他に何がしかの活動をしている最中に、睡眠状態に陥ってしまうこと。 主に、ネットゲーム中やチャット中に寝てしまう事を指して使われることが多い。要するに睡魔に負けて睡眠状態に陥り一切の反応を示す事が出来なくなる現象を云う。 寝落ち発動の前兆現象 寝落ち発動前は静かになる。 チャットの内容を理解してるのか怪しくなる ある時、プツンと動かなくなる←この時点で発動 寝落ち発生条件 寝落ち発生の条件としては様々な状況が想定できるが、主に以下の条件の場合寝落ち発生、つまり寝落ちスキルが発動するとされている。 1.適度の眠気 寝落ち発生に最も大きく関係する要素である。やはり眠気がなければ寝落ちは発生しない。もちろん眠気が強烈であればあるほど寝落ち発生率は高くなるが、強烈な眠気の時のみ寝落ちが発生するとは限らない。 2.疲労度 寝落ちの発生に大きくかかわる要素である。人間疲れてくると疲れを癒そうとする機能が働くもの。疲れを癒すこと、即ち寝ることである。よって疲れると自然に眠くなってくるもの。それは肉体的な疲れだけでなく脳の疲れによるものもある。クリックだけの操作が続いた時に眠くなるのは単純な動作に脳が疲れてくることにより眠くなるものである。 3.心の隙 心の隙、つまり油断である。 寝落ちというのはふとした瞬間に発生するもので、例えばちょっと疲れたと横になってそのまま寝てしまう。本人は寝るつもりがなくても潜在意識のどこかでまぁいいか、寝てしまおうという意識が働くのである。 大まかなメカニズムは次の通りとなる。 「絶対に寝落ちしないぞ」 → 「ちょっと疲れた、休憩がてら横になろう」 → 「寝落ちしてはいけない・・・しかし・・・Zzz」 というメカニズムになっている。 当商会に於ける寝落ちについての位置づけ 寝落ちという行為そのものは一般的なMMOにおいてはあまり歓迎されていない場合が多い。PT行動にて寝落ちしてしまった場合、後日謝罪をするのが礼儀である。ただし状況によっては話のネタになるが謝罪は必須である。 当商会では寝落ちという行為に対しては比較的寛容である。むしろ寝落ちという行為が商会全体の雰囲気を和ませる役割を果たすこともある。 当商会で寝落ちが注目されるようになったのはアンレーデが2005年7月21日に記録した寝落ちがきっかけである。 アンレーデが残した「私の意識は遥か遠く煩悩世界に吸い込まれていった」は伝説の名言となっている。 今では煩悩世界=寝落ちと言う図式が成り立っている。 寝落ち道場 当商会では寝落ち道場を開いており、初代道場主アンレーデ、二代目道場主けんけーん、3代目くらぷりんと脈々とその伝統が受け継がれている(注釈:SEIJI) 寝落ち道場はスキル制となっており寝落ちの頻度、インパクト等の角度から判断しランク付けされている。(寝落ちスキルの項目参照のこと) 寝落ちスキル 各個人が有する隠しスキルの中で寝落ちスキルは当商会において最高のスキルとされている。 寝落ちスキル取得の条件は至って簡単で、寝落ちの事実を自己申告するか商会メンバーに寝落ちが確認されればスキル取得となる。一旦スキルを習得すると一生忘却できないとされている。 寝落ちスキル認定書は寝落ち道場の道場主又は道場主経験者より発行され、それ以外の人物が発行した認定書については全て無効と見做される。 寝落ちスキルにはランクが設定されており、一定の条件を満たした後ランクが上がっていく仕組みとなる。スキルランクの認定も道場主の判断で認定される。 各商会員のランクは次のとおり(2009.4.5現在) バーグ・・・∞-1 (顧問) くらぷりん・・・寝落ちマイスター=R15(三代目道場主) アンレーデ・・・寝落ちマイスター(=R15)(初代道場主) けんけーん・・・寝落ち神(二代目道場主) Terpsichore(=すずめ)・・・R15 寝落ちの女神 こうひえ・・・R10 だーす・・・R8 Chantuu・・・R7 erupepe・・・R6(エース) 筑豊・・・R6 アイメル・・・R5 ハオ・・・R3 ☆ゆきんこ☆…R3 魔女3級・・・R3 シナティ・ジェーン・・・R3 ランゼ・・・R3 ライラ・・・R2 シンシア・フーバー・・・R2 サビオラ・・・R2 レナータ・・・R2 ラルファ・・・R2 Wol・・・R2 アムス・・・R1 SEIJI・・・R1 レッド・ナタル・・・R1 とろこ・・・R1
https://w.atwiki.jp/goldenlowe/pages/36.html
大阪激闘録(3) ようやく今回のOFF会メンバーが勢ぞろいした所で1件の炭火焼のお店へ… 肉ですよ、肉!しかも七輪焼きデスヨ♪ しかし、レナータ嬢とSEIJI卿が着席後に最初にとった行動がウチに日本酒・焼酎のメニューを渡すこと… これは、どーゆー意味ですか~?( ̄□ ̄; にこやかに最初は生中を注文してこれからマッタリ、のんびり酒でも傾けつつ… ウチを除く他5名!喰う、飲む、話す全部速っ!( ̄□ ̄; そんな一場面 姫:「うわっ、このキムチ辛いっ」 閣下:「ぅあ、ホンマやな。辛いダケやな」 SEIJI卿:「ソウですか?美味しいですよ♪」 ウチ:「どれどれ、おっ、このキムチは食えるな」 姫:「これ辛いダケや」 ウチ:「ウチ、キムチ食われへんのよ」 姫:「食ってるやん」 ウチ:「いぁ~、辛いダケなら食えるねん。最初に食ったんが酸っぱいヤツでね」 姫:「まぁ、普通はそうやな」 ウチ:「ウチ、酸っぱいモノ、アカンねん」 姫:「そうなん?」 ウチ:「酸っぱいもの、酢とか全くダメやわ」 姫:「酸っぱい思い出がか?」 ウチ:「そうやな、酸いも甘いもな~」 姫:「甘いこと有るんかい♪」 ウチ:「酸いがあれば甘いもあるやろ」 他一同:「おもろ過ぎや、ネタあわせしたん?(大笑)」 ネタ合わせってナニよ!( ̄□ ̄; 焼肉はどんどん進んでいくって言うか、ウチ以外の胃袋へと消えていく… なんちゅ~速さや!( ̄□ ̄; 「アンレさんが遅すぎ!」 さすがに1vs5では反論しようとも分が悪い…しかし…速いヨ>< ビールで少々満腹気味のウチの前に新たなる敵が現れる「白米」だ! えぇ~~~~~~~~、なんで出てくるの~>< 酒に米って炭水化物過量摂取やん!!! なんで皆はニコニコしながら食べてるの?( ̄□ ̄; 結局、最後まで白米は1箸も付けられずに終わりました。(他の人は白米完食) 話の内容はゴールデン・ルーヴェ黎明期の話から今後の発展先やらウチへの攻撃(口撃)やら ウチへの無理難題な注文やら… って、ウチっていつの間に弄られ役?( ̄□ ̄; こう、真摯で、寡黙で、真面目でチョット近寄りがたい雰囲気を醸し出す生物学者サマだったのに… どこで歯車が狂ったのやら…orz 知らない人(?)同士が並んで食事をするという事はいくらOFF会とは言っても自然にリアルな話になるのは当たり前。 そんな1場面 けん卿:「ライラって通勤遠いん?」 姫:「毎朝早くに起きてるよ」 けん卿:「遠いんやな」 ウチ:「ウチも田舎やから時間かかるで」 姫:「田舎やのに時間かかるんかいな」 ウチ:「田舎やから時間かかるんや」 姫:「遠いんかいな?」 ウチ:「いぁ、距離的には近いで」 姫:「んじゃ、時間かからんやんか」 ウチ:「ちゃう、田舎やから自動車通勤率が高いからな」 姫:「田舎って信号ないから渋滞もないやろ」 ウチ:「田舎でも信号有るわい!」 姫:「田舎は信号無いやろ」 ウチ:「国道も横切るのに信号長いねん」 姫:「田舎に国道なんかないやろ」 ウチ:「国道ぐらいあるがな!」 姫:「田舎に国道ないで」 ウチ:「あるわ、でも他の道は狭いから自然と渋滞になんねん」 姫:「道狭くても、信号無いから速いやろ?」 ウチ:「車狭いけど…ちゃう、道狭いけどな、信号がっ」 姫:「車狭いってなんや!」 ウチ:「ああーーー!もぅ!」 他一同:「2人おもろ過ぎや、コンビ名考えなw」 ウチ:「コンビってなんやw」 閣下:「コンビ名は中華!これや」 けん卿:「いぁ、オレは違うね。アンレは今日、中華時間で大阪着たらしいから3号と名づけた」 SEIJI卿:「じゃ、『2号3号』でwww」 ウチ:「なんやねんそれはっ!」 姫:「ふふふ」 おーい、姫~にこやかに笑ってる場合ちゃうで~w コース料理も次から次へと肉がやってくる…キャベツないのか… それより、ビール飽きたから日本酒を燗をくれ~♪ ……燗はナイとな?…うぅ、ウチの楽しみが orz 仕方なく竹酒という冷いヤツを頂くコトに…甘口やな剣菱を持ってこーい!>< えっと、酔いでかなり記憶が曖昧なんやが。カシスオレンジ、生中、ワイン、竹酒他色んな酒が飛び交いながらOFF会は4時間という前回を凌ぐ長さでしたが あっと言う間にお開きと相成りました。 最後に、店を出て この日のためだけに買ってきたデジカメで3枚の写真を撮りました。 お座敷形式な場所ならもっと活躍できたでしょうが 今回は他のお客様に迷惑をかけてはならないと思い自重しました。 次回3回目があれば活躍させたいと思います♪ 一行は店を出て、SEIJI卿の車の有る駐車場まで歩く。 そこで閣下、SEIJI卿、レナータ嬢と別れ、電車組は大阪駅へ…そして名残惜しくも今回のOFF会は大開となりました。 無論、ホテルに戻って床につくと、荒れる胃と脱水症状と酒で上がった体温とでその日は全く寝れませんでした♪ 今回、ウチの勝手な来阪に付き合ってくれた閣下、姫、けんけーん卿、SEIJI卿、レナータ嬢 そして、大海戦で忙しい中電話参加してくれたジョルジュ・剛田卿~ほんとにお疲れ様でした^^ノ 何泊するか決めていなかったウチは翌日、友人を呼び出して日本橋を半日かけて遊びました。 いやぁ~~~大阪って良い所ですね~ リアルで寄生させてくれる人が居れば、マジで住みたい街ですね~ 何より何でも揃う街ってのが羨ましいデス。 ウチの街はPCのメモリー探すのに往復100kmですよ…orz ウチの寄生先募集ちぅ~~~。グータラを住まわせてくれる人居ませんか~?www ○ 今回の発見○ けんけーん卿は思った以上に紳士っぽい 姫は意外と饒舌でプラチナの肝臓を持っている 大阪に熱燗はない! SEIJI卿の焼肉奉行はお見事(次回は酒飲ますっ!) レナータ嬢いつもニコニコ(次回はもっと飲ます!) 日本橋は良い所~♪
https://w.atwiki.jp/goldenlowe/pages/25.html
全米が泣いた! (テスト投稿です) -- (けん) 2006-01-12 20 36 41 「世界が・・・その時・・・魂が震えた!」~映画化未定!!途中にスナップがあると、躍動感がwしかし・・・さすがじゃの(^^ -- (らいら局長) 2006-01-13 18 34 10 スナップも入れたいケド・・・そんな時間ありませーん♪イラストレーター募集ちぅ??? -- (アンレーデ) 2006-01-13 20 43 20 ぬがっ!今回誤字だらけ・・・○| ̄|_ -- (アンレーデ) 2006-01-13 21 53 26 続き読みました・・・。古参のおっちゃんいいねぇ~w-- (らいら局長) 2006-01-14 18 25 18 同じく、続き読みました。いや~、映画って本当にいいもんですねぇ(違 -- (けん) 2006-01-14 19 22 40 意外と続いてるな・・・( ̄- ̄; -- (アンレーデ) 2006-01-25 23 59 05 面白いです~♪そっと影から読んでますよ~(ぇ -- (ハガル) 2006-01-31 22 42 21 イラストレーターにハガル。どうだろう・・ -- (けんけーん) 2006-02-04 18 29 46 僕は構わないですけどアンレさんにも訊かないと…てゆか背景下手かも知れませぬヨ -- (ハガル) 2006-02-07 13 10 05 イラストレーターはハガル卿に決定! -- (アンレーデ) 2006-02-10 18 55 48 Σうおっ、決定してた!とりあえず少しずつ描いていってみます~ -- (ハガル) 2006-02-12 01 15 21 こっそり読んでます。続き楽しみにしてまふ^^ -- (wol) 2006-02-14 23 20 11 8話! -- (アンレ) 2006-05-18 22 51 03 外伝UP。第18~20話 -- (アンレ) 2006-06-26 23 01 25 うーん。外伝実にいいねぇ^^ -- (wol) 2006-06-26 23 24 10 あとがきを書くツモリだったのに忘れちゃったからここへw今回、ひょんな事からアムス嬢の祝い事に立ち会う事が出来ました。その日はアデンで遊ぶつもりだったんですが何気なく欧州へ戻ってフラフラしてたんです。そして夜になると、BIGイベントが待ってましてこの感動を忘れないようにと文章にしてみました。普段はあとがきを書かないんですがアムス嬢への恩返しとしてこのあとがきを添えさせていただきます。 -- (アンレ) 2006-06-26 23 50 32 か・・・感動で涙が・・・・・(イッヒヒヒ -- (kuragroove) 2006-06-27 03 56 10 遅くなりましたが、外伝、拝見しました。実際よりカッコイイ人物像になってて恥ずかしい(笑その時その時で感じてた事が、見事に再現されてて凄く嬉しいです。読み進むにつれて4ヶ月半の思い出が蘇り、懐かしさと切なさで一杯になりました。DOLを1年遊んだけど、GLでの日々が一番楽しかった。数々の思い出を小説という形で、あの時の想いと共に残してくれたアンレさんに感謝します。本当にありがとう。P.S. 恩返しされるようなコト、私してないですよ(笑 -- (アムス) 2006-07-07 02 52 11 アムス嬢や時間ができたらまた遊びにおいで♪ -- (アンレ) 2006-07-08 17 03 26 【募集】誰か・・・挿絵描いて・・・orz -- (アンレ) 2006-08-15 23 00 36 今回は10話のみUP♪ -- (あんれ) 2006-09-23 22 55 57 今回はってことは、近いうちに次回UPがあるのかなぁ。期待して待っとこ^^ -- (けんけーん) 2006-09-24 18 58 37 11話あーーーーっぷ -- (あんれ) 2006-10-19 23 39 16 今回はとある部分にちょっぴり恥ずかしさを感じたかも^^自分の生活を完全に見抜かれてるような気がしたので。 -- (けんけーん) 2006-10-21 06 44 55 駄文強化月間推進中(13話前半UP) -- (あんれ) 2006-12-09 14 54 08 航跡の価値Ⅲ後半UP -- (あんれ) 2006-12-11 20 43 13 15話前半UP -- (あんれ) 2006-12-27 21 20 25 17話UP -- (あんれ) 2007-04-22 12 05 20 18話書いた -- (あんれ) 2007-05-26 00 18 47 17話・18話読みました。3姉妹物語、うまく纏まってますね次の話も楽しみです^^ -- (アイメル) 2007-06-15 16 37 09 新テーマ開始 -- (あんれ) 2007-07-18 00 06 30 感動で涙が・・・・・・ 次回も楽しみです!! -- (kuragroove) 2007-10-24 01 14 33 外伝あっぷ -- (あんれ) 2009-12-31 00 42 02 外伝、早速読ませていただきました。 無理を言ってアンレを随分悩ませてしまったという申し訳なさを感じてしまいましたが、 見事に書き上げてくれたこと。感謝します。 ストーリーを読んでいると実際の状況とシンクロする所が多く、すごく懐かしさを感じ何度も読み返してしまいました。 本当に見事な外伝ありがとう! -- (けん) 2010-01-01 08 24 53
https://w.atwiki.jp/goldenlowe/pages/53.html
「その手に掴むもの」Ⅰ ヴェネツィアの街は過去数年に見ない騒動に包まれている。 街にいる誰もが口を閉ざすことを忘れ、各々に勝手な憶測を捲くし立てている。 ヴェニエルを総督とする中央政府は軍司令官や元老院議員が連日連夜に及ぶ議会を開きながらも、喧々囂々とすることに意味を求めるような堂々巡りに陥り何一つとして前進する素振りを見せていない。 市井はそんな煮え切らない政府の様子を更に自らを混乱へと陥れる材料として受け入れ、この街が直面している本題が何であるかを脇道の論議へ移してしまっているようだった。 「数日にはこの街が地図から消える」 そんな突拍子もない事を発言する者も現れたが、現実味に耐えない言葉はごく自然に淘汰されていた。 「おぃ、また船が出て行くぜ。」 港からは檄文を携えた特使が各国へ向けて出航していく。 群集は規制されたギリギリの範囲に集まり、その為出入りが許された者にも影響が少なからず出ていた。 街の物好きな連中は出入りが激しくなった港の風景を肴として世間話に花を咲かせている。 そんな人種は自分達に迫っている事の重大さの価値を測り違えている者が大半だった。 しかし、逆に事を重く勘違いしている者よりかは周囲に与える影響は無いに等しく、凡そ世間で騒いでいる者は情報に踊らされている感を否めなくもない。 「お。あれは…」 そんな港に屯する群集の誰かがアドリア海の彼方から向かってくる船影を指している。 「見た事ない紋章だな。」 「どこかの特使か?」 「さぁな。どんなヤツが出てくるか楽しみだな…」 暢気にざわめく港の様子を余所目にその船はゆっくりとヴェネツィアの港へと近づいてくる。 がやがやと治まりが着かない群衆の中で無意味に足止めを喰らった人物が1人、その人ごみを押し分けるように港へと向かう。 「すいませーん。通してくださーい。」 大声を張りながら前へと進もうとするものの行く手を阻む群集は目の前に繰り広げられているお国事情への興味が強く易々とは道を開けられずにいる。 ようやく最前列へと進んだ女性を今度は警備兵が引き止める。 「ここから先は定められた証明書を持つ者以外は立ち入り禁止となっている。」 港は各国からの要人が来航する準備とかで政府により立ち入りが規制され、ギルドの証明など確実に身分を証明する物がなければ出入りする事ができないようになっている。 「あ、コレ証明書。通って良いかしら?」 内ポケットから取り出した一巻の書面を警備兵へと手渡す。 「ふむ…暫し待たれよ。」 群集の最前列で待たされるようになった女性は何も言わずにその場で待機する。 「おぃ…あいつ許可あるらしいぞ。」 「こんな時に中へ入れるなんて羨ましいな。」 女性の周りでは声を殺したような会話がひそひそと囁かれている。 どんな小声でも規制線に密集する中では聞かれずに済まずにはいられないが、当の本人は聞こえているだろうが平然と警備兵が歩いていった先を見つめて待機している。 「お待たせしました。この許可書は確かに有効なのですが、これから極めて重要な方が入港される為、港への出入りは控えていただきたいとの事です。」 「あら…それって誰?」 「お答えできません。どうかお引取りを…」 「ちょっと船へ物を取りに行くだけなんだけど。」 自らの用向きを伝えるが首を横に振られるだけでにべもなく断られるのが関の山だった。 ふてくされた表情と共に再び人の群れの中へと戻っていく。 憮然とした表情で大通りを足早に歩く。 「群れるのが好きだったら軍に入れば良いのに…」 本人の意識しない所での苛立ちが彼女の歩幅を大きく取っている。 門前払いを喰らった事よりも屯していた連中に怒りの矛先を向けている。 歩きなれた石畳をカツカツと大きな音を立てて宿へと向かう。 その道中、遠目に知る顔が往来をゆっくりと歩いている姿が目に入る。 「こんにちは、ミヤさん。」 呼びかけに振り向くミヤ、向かってくる人物の顔をじっと見つめている。 「えっと。アンタ、確かライラんとこのちっちゃい子…確かレナータって言ったよね。」 ガクっと膝が抜けるような台詞に眉間に刻まれていた皺が消えていた。 「はい。ミヤさんに覚えていただいてて光栄です。」 「髪型変わったから分からなかったわ。くりくりのフリフリは止めたのね。」 「気分転換です。変ですか?」 「さっぱりして爛漫さが出てるわ。」 少し照れくさい表情のレナータ。 「髪は良いけど仏頂面で歩くってのは頂けないわね。眉間に皺の痕ができてるわよ。」 ミヤはどこまでも優しい口調で話している。 それに対しレナータはその原因がさっき港で遭遇した事の経緯を述べた。 「なるほどね。タイミングが悪かったみたいね。」 「道は混んでるし、港へ入るのも駄目だ駄目だの一点張りですよ。」 ミヤに賛同を得ようとする訳でもないが、この理不尽さを誰かに言って溜まった何かを吐き出したいという気持ちがレナータの語気を強くしている。 「相手が悪かったわね。」 「っと言うと?」 「今、港へ向かってくる船。あれはローマ教皇からの書簡を携えた偉い船なのよ。」 レナータの目が驚きの表情を表している。 「素直な子だね。まぁ書簡持ってくるだけに枢機卿クラスがやってくるのも大概な話だけどね。」 どこで仕入れた情報なのだろうかと自分には全く初耳な内容にレナータも無意識に口を噤む。 「枢機卿が来るとなれば余程の事態なんだね。」 話している内容が深刻な割りにはミヤの口調は変わらない。 「そんなに悪いんですか?」 「聞いた話だけどね。アンタ達の商会では情報出てない?」 「『忙しくなるからシラクサへ来い』とだけ…」 「あははは。らしいねぇ。」 「ミヤさんはここで何を?」 「戻って来いと言われて大急ぎで戻ってきたんだけど、お偉方があの調子で身動き取れずって感じかな。」 「大変ですねぇ」 レナータの言葉にミヤは少し微笑んで返すだけだった。 「どうにかしてシラクサへ行ってみます。ミヤさんまたお会いしましょう。」 「元気でね。」 軽く手を振り合って2人は分かれる。ミヤはてくてくと歩いてゆくレナータの後姿を少し目で追いながら言葉を零す。 「きっと次は海の上よ。挨拶を交わす間もないぐらいの状況でしょうね。」 街風に流れる髪を手櫛で掻き揚げる。 いたずらな風は折角に直した髪をすぐに宙へと舞い上がらせる。 「ヤな風ね…」 そっと風上へと顔を向ける。その表情から笑みは消えていた。 これから近い未来に迎えるだろう史潮に疑念を向けているような眼差しは流されまいと決意するに足りるほど英気に満ちたものだった。 定宿のロビーにある椅子に勢い良く体を沈める。 まだ港での出来事が思考の中で尾を引いている。 「首尾は芳しくなかった様子ですね。」 通り掛った宿の2代目がレナータのそんな様子を見て紅茶の差し入れを持ってきた。 「ご明察ぅ。」 煎れたての紅茶をそっと口へ運ぶ。 「そんなに大事なんですかねぇ。入港制限もぼつぼつと宿帳に空きを見せ始めてきたので歓迎しないんですよね。」 自分ではお手上げだと言う風に両の手を天に向けるような仕草とともに作った困り顔をレナータに見せる。 「あははは。しっかりここの仕事に染まってるね。」 この若主人、元は木屑に埋もれる造船技師の釜の飯を食う職人だった。しかし、約半年前ひょんなことからこの宿の主人が目に入れても痛くないほど溺愛していた一人娘と良い関係になり、そのまま造船技師の道を捨ててここへ来るようになっていた。 いつも比較対照にされていたレナータにとっては久しぶりのヴェネツィアだったが、お国事情よりもそれが最も驚きを感じた事だった。 「まだまだ下働きの身分ですがね、宿は繁盛する方が嬉しいもんです。」 そう言われてみれば宿の活気もどことなく失せているように感じる。 「枯れ木も山の賑わいとは言うけど、街の賑々しさを分けてもらえば?」 「謝肉祭の賑わいなら歓迎ですけどね、今の騒動じゃ宿代を踏み倒されかねない厄介事になりそうなんで勘弁ですね。」 「あははは、私もそうやって逃げようっかな。」 一瞬目を合わせたままに黙り込む両者。 が、互いに我慢できないように笑い出す。 「いけね、お義父さんが来たよ…。では、ごゆっくり。」 宿の若者は足早に消えていった。 「大変だぁ…」 レナータはその後姿を見送ると、ぽんと両膝を叩いて立ち上がる。 「さて、できる範囲で準備を整えるかな。」 街は更に物々しくなっていた。 ローマ教皇からの使いが来たという情報はどこから漏れたのか瞬く間に市井の知るところとなり、いよいよ事態が押し迫っている混乱の上乗せを招いている。 街角のいたる所で神妙な面持ちで立ち話をしている人の数が増えているようにも見える。 見慣れた町の風景が通りを行き過ぎる度に全く知らない町のように変わる様が今のレナータには可笑しいと感じている。 「本当に危機感があるのかな…」 もし自分が同じ立場ならこの町から離れる事を含めて何かしらの行動を取っているだろうと足を止めることなく進む中の思考が口をついて呟いている。 この町が過去に培った歴史の教訓が活かされているようにはレナータの目には映りこんでいない。レナータの眉間には再び小さな皺が寄せられている。 宿と港の間にある冒険者ギルド、いつもは国籍を問わないその種の人間で混みあっている建物が今はその内容を少し変えている。 多少なりとも危機を抱いた民間人や海事ギルドで溢れたであろう身形の良い人種の使いらしき人物が護衛依頼へと窓口に押しかけている。 さらに建物の外にはギルドを通さずに直接依頼を申し込もうとしている輩がギルドを目指そうとする専門職の人物を待ち受けている。 物陰には今まさに交渉中の人影も見て取れる。 「うぁ…これはこれで大変だ。」 自らの予想を超えていた状況に建物の手前で足が止まった。 港の状況を鑑み、早く出航できるようにとの便宜を図ってもらおうとギルドのつてを頼ろうとしたが、目の前の光景はそれを許してくれる雰囲気には見えなかった。仮にもし自分の依頼が通ったとしても混雑に紛れるのは予想するに容易い。それにあの建物へ近づくと抱え込みたくない厄介ごとが降りかかってくることが分かりきっている。 「自ら虎口に飛び込むほど聖人でもないし。」 あっさり踵を返すと再び宿の方向へと歩き出した。 しかし、何事も各国からの要人・国賓が優先される隙間をついて物資の調達を行うことは独力で出きる事に限界もあった。 まるで八方塞な手詰まり感を少し覚えながらレナータはまだ何かできるだろうかと足音高く歩きながら思案している。 濃い栗色の髪がふわふわと歩調に合わせて揺れている。 「シラクサが遠いぞ…」 街角のざわめきは治まる気配も見せず先ほどと同じ顔ぶれが同じような顔つきで止まぬ口を動かしている。 ただその光景にも大きな荷物をもって動いている人が見え始めていた。 「しかし、どこからどうやって動くのかが問題なんだよね。」 すれ違う人々を横目に見ながらギルドの状況を思い出していた。 「親父さーん。軽い食事とワイン。」 宿へ戻ったレナータ。 結局、足が棒になるほどに歩き回った労も報われず出航する目処を立てるまでに至らないでいた。 芯まで疲れた体を古ぼけた椅子へ預ける。 「その様子じゃ今日も駄目だった様子だな。」 宿の主人はレナータのくたびれた格好に今日の結果を察しながら料理を届けにくる。 茹でた野菜に塩とオリーブオイルをかけただけのサラダと野兎の香草焼き、そして主人が見立てたワインが運ばれてくる。 ガラスのグラスに紅玉色のワインが注がれる。ランタンの光がグラスを通り越して机に美しい幾何学模様を成している。 自然の恵みと人間の汗と神の気まぐれが生み出したワインは飲む宝石とも呼ばれ、長い時間に多く創意工夫を得て様々な味が生み出され、どの世代・階層にも無くてはならない味わいになっている。 レナータはヴェネツィアンガラスに注がれた英知の結晶を乾いた喉へ流し込むとゆっくりとサラダへ手をつける。 「どこへ行っても今はそれどころじゃないだろう?」 まだレナータ以外の客がいないことに主人もレナータから町の様子を聞こうと話しを切り出した。 「うん、出なきゃならないけど。どこもかしこも慌てる事で精一杯みたい。」 「はっはっは。なるほどなー、うまい事言うじゃないか。」 レナータの一言は主人のツボを抑えたらしく大きな笑い声が宿の中に響く。 「国のお偉方がまとまって居ないんじゃぁ、動けるものも動けないな。」 「うん、それでも私はどうにか出たいんだけど。」 空腹を満たすための手は休めずにレナータは町の様子を主人に話す。 「なるほどな…」 その話を聞いて主人は腕を組んで何か考えている。秒を追うごとに眉間に皺が刻まれていたが1分としないうちにポンと手を叩き閉じていた瞼を開いた。 「レナータ。どうしてもシラクサへ行かねばならんのだな?」 2度首を縦に振り応えるレナータ。 「よーし。ワシがこの町を出させてやろうじゃないか。」 「えっ?」 驚くレナータに比べ、主人は確信に満ちた顔を浮かべている。 「でも、大丈夫なの?」 「長生きしているだけ回る知恵もある。なに、ワシに任せて今晩はゆっくりしていきなさい。」 「う、うん…」 「そうとなれば、今晩はゆっくり休むと良い。今日の料理は良いメニューだたんと食べてくれ。」 そう言うと主人は店の奥へと入っていく。 「おぃ!役立たずの娘婿はどこだ!」 「は、はいー」 「ちょっとお父さん!なにその言い方!」 「おぉ、居ったんか…」 まるで芝居でも聞いているかのような会話が宿の奥から聞こえてくる。 「こっちの抗争は暫く続きそう…」 レナータは香草焼きされた野兎の肉を口へ運ぶ、香りが指先までに染み渡るようなほど口の中に香草の風味が広がる、それによって肉の旨みが十二分に引き出されている。 「あー、やっぱり美味しいな…忘れがたきは故郷の味ってね。」 店の奥で繰り広げらている複雑な人間模様に気を止めることを止め、レナータは目の前にある料理を堪能している。 いよいよ宿が混み始めた頃にはすでにレナータは食事を終え、部屋へと戻っていた。 まだ夜も明けきらぬ時間にドアをノックする音が静かに聞こえる。 「レナータさん、レナータさん…」 他の泊り客を配慮した小さな声が聞こえてくる。 「はい、どうぞ。」 しっかりと身支度を整えたレナータは声の主を部屋へ招き入れる。 まがりなりにも女性が宿泊する部屋へと入る為かおもむろに緊張したような表情の若主人が静かに顔を見せる。 「ご用意のほどは?」 「いつでも大丈夫です。」 「他の方々は?」 「それも大丈夫…のはず。」 若主人はコクリと頷くと港へ行くように促す。 港は昼間の喧騒とは違って静まり返っている。 しかし、昼夜を問わずに来航する要人の為にか警備の体制は昼夜を問わず敷かれているが、それに混じって届く各地からの食材や鮮魚を乗せた船が多く入ってきている為に商いの賑わいがそこかしこから聞こえてくる。そしてその中に見覚えのある顔が混じっている。 「おぉ、来たか。」 宿屋の主人はレナータの姿を見ると駆け寄ってくる。 「物資の方は手配してあるからな。それとこれが出航に必要な書類だ。」 無造作に書類をレナータへ投げ渡す。 「これでも顔が利く所もあるんでな。」 「え?」 「ウチの娘婿も使える時は使えるもんだ。」 主人の言葉にレナータは首を傾げる。 「これからベンガジへ造船建材を届ける船が出る。」 「えっと…それに付いていくのかな?」 「いぁ、アドリア海を抜けたらそのままシラクサへ向かって良いように口を利いてある。」 「良いの?」 「顔が利くと言っただろ、安心して出航しろ。」 「ありがとう。」 レナータは主人に深々と頭を下げた。 「はっはっは。礼なんて要らんわぃ。」 少し照れくさそうな主人はレナータを追い払うように出港準備へと向かわせる。 レナータは何度もお辞儀した後、港へと掛けていく。途中、警備兵に止められるも主人の用意した書類を見せると何を審査するまでもなく通り抜ける事ができた。 そんなレナータの後姿を見守りながら主人は再び宿へと戻っていく。 「お義父さん、どうやって許可を取り付けたんですか?」 後ろに続く若主人はどんな方法を使ったのかを主人に問うている。 「なぁに、ワシも長くここで商売やってんだ。貸しの1つや2つはあるもんだ、それに…」 「それに?」 「ワシが若い頃はお前以上にやんちゃしてたしな。」 そう言うと宿屋の主人には不釣合いな力瘤を作ってみせる。 「さて、久しぶりに早起きしたから眠いな。おぃ、しっかりと働けよ!」 後ろを付いてくる若主人に見えるようわざとらしく大きな動きで欠伸の振りをする。 「はいっ!」 若く元気な声が宿へ続く道に響く。 「馬鹿たれ!近所に迷惑だろうが!ちったー考えやがれっ!」 レナータが船に到着した時には船員によって出港準備は完了していた。 「準備は?」 「宿の親父さんの手配で万端です。」 さすがの手配にレナータは小さく感嘆の声を上げる。 「それじゃ、打ち合わせしてくるから。」 レナータは一度船を下りて船団の長の元へと向かう。 「あぁ、レナータってのはアンタか。」 提督は少し南方訛りのあるイタリア語の人物だった。歳は50代手前で蓄えた髭に少し白髪が混じっている。いかにも軍隊経験の雰囲気を持つ体つきをしているが軍人独特のクセは微塵も感じられない。 「すいみません、なにか都合の良いように使ってしまったようで。」 「なに気にするな。軍は動いてくれないし形だけでも多く見せられれば効果あるかも知れんしな。」 「そう言って頂けると幸いです。ところで…」 レナータは聞きづらい事を切り出してみた。 「宿の親父さんの口利きでご一緒させて貰うのですが…」 「ん?あぁ、知っての通りベンガジは今昼夜を問わずの大忙しでな。船の建材運びなら殆ど無条件で出る事ができる。そこら辺は造船組合の力だな。」 「なるほど…」 「俺は組合専属の運び屋でな、役人から何から殆ど顔で通る事ができる。アンタ1人一緒させる事ぐらい造作も無いことさ。」 レナータはようやく事態を飲み込むことができた。 「それにアイツにはでっかい借りがあってな。ま、アンタはシラクサへ行くことだけ考えてれば良いのさ。」 「すみません、お気遣い頂いて。」 レナータは再び大きく頭を下げる。 「加えてアンタみたいに綺麗な子が危険に晒されるのは忍びないからな。見た所航海者のようだがシラクサも危ないがそれで良いのかい?」 「はい、そこで仲間と会う事になってるので。」 そうかそうかと髭の提督は頷いた。 「アンタは若い、知っての通りこれからここらは危なくなるからな遠くへ行くのが一番だ。」 そこへ船団の各船から準備が整ったという知らせが届く、髭の提督は出航が近いことをレナータへ告げ船へ戻るように告げる。 「あのお日様が姿を現したら出航だ。遅れるなよ。」 「はい。」 レナータは再び自船へと駆けて行く。 「もうすぐ出るよ。各員持ち場へっ!」 低い声の返事が重なって返ってくる。 じっと水平線を見つめる、ゆっくりとヴェネツィア前の海を金色に染め上げる太陽がその大きな姿を現そうとしている。 この平和そうな海も近い将来確実に人の手によって騒乱が招かれる事が決定付けられている。赤色の旗の元に産まれ育ったレナータにとって、それは何よりも耐え難い行為だった。 「何があっても守ってみせる。」 いよいよその姿を顕にした太陽の光を全身に受け止めながらレナータは大きく声をだした。 「シラクサへ!」 (つづく)