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遠い海から来たCOO キャラクター コメント 景山民夫による小説。雑誌『野性時代』にて1987年6月号から1988年2月号まで連載され、単行本は1988年3月刊行。第99回直木賞受賞作品。1992年に角川文庫から文庫化。1993年に日本テレビ開局40周年記念作品としてアニメ映画化、NHK-FM放送のラジオ番組『青春アドベンチャー』でラジオドラマ(オーディオドラマ)化、前田真宏による漫画化がなされている。 キャラクター ラプラス:クー コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 草案 キャラクター フタチマル:小畑洋介 ダイケンキ:小畑徹郎 ボスゴドラ:ルースラン艦長 フシギバナ:トンベルア酋長 ムーランド:アマク老人 カイオーガ:マクドネル船長 リザードン:赤帽 ブラッキーorゼクロム:黒帽 フーディン:Dr.ダヴァル -- (ユリス) 2013-02-20 19 40 28
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ここを編集 1993年12月公開。 監督 今沢哲男 原作 景山民夫 脚本 岡本喜八 キャラクター設計 大倉雅彦 作画監督 大倉雅彦、濱洲英喜 作画監督補佐 松本淳、細田守 美術監督 山本二三 美術監督補佐 谷口淳一、千田国広 ハーモニー 吉池隆司、大原盛仁 色彩設計 辻田邦夫 撮影監督 細田民男 編集 花井正明 編集補佐 西山茂 編集助手 後藤正浩 ネガ編集 麻生芳弘、津留洋子 音響監督 本田保則 録音 波多野勲、鈴木義和 音響効果 今野康之 記録 原芳子 音楽 ニック・ウッド 助監督 廣嶋秀樹、渡邉正彦 制作進行 境宗久 アニメーション制作 東映動画 ■関連タイトル VHS Coo 遠い海から来たクー Coo 遠い海から来たクー オリジナル・サウンドトラック ニュータイプ100%コミックス 前田真宏 遠い海から来たCOO 上 Newtype garden stories COO―遠い海から来たクー 原作小説 景山民夫/遠い海から来たCOO 角川文庫 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Blu-ray 魔女見習いをさがして Blu-ray「どうにかなる日々」Blu-ray Happy-Go-Lucky Edition 初回限定生産 Blu-rayDisc付き 『ラブライブ! スーパースター!!』「始まりは君の空」【みんなで叶える物語盤】 BEM~BECOME HUMAN~豪華版Blu-ray Blu-ray 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 10th Anniversary Compact Collection Blu-ray ぐらぶるっ! Blu-ray 映画クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者 Blu-ray CHRONO CROSS 20th Anniversary Live Tour 2019 RADICAL DREAMERS Yasunori Mitsuda Millennial Fair FINAL at NAKANO SUNPLAZA 2020 ゴブリンスレイヤー Blu-ray BOX 初回生産限定 グリザイア ファントムトリガー THE ANIMATION 03[Blu-ray] 特装版 ラブライブ! サンシャイン!! Saint Snow 1st GIG 〜Welcome to Dazzling White Town〜 Blu-ray Memorial BOX ゾンビランドサガ Blu-ray BOX 初回生産限定盤 Blu-ray 思い、思われ、ふり、ふられ 完全生産限定版 Blu-ray Fate/Grand Carnival 1st Season 完全生産限定版 Blu-ray Fate/Grand Carnival 2nd Season 完全生産限定版 Blu-ray ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIII OVA Blu-ray 映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日 BD特装版 Blu-ray アズールレーン 三笠大先輩と学ぶ世界の艦船 ぶるーれい Blu-ray 水瀬いのり Inori Minase 5th ANNIVERSARY LIVE Starry Wishes かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 22 OVA同梱版 呪術廻戦 公式ファンブック よつばと! 15 監修 庵野秀明・樋口真嗣など 夢のかけら 東宝特撮映画篇 パラレルパラダイス 13 特装版 アイドルマスター ミリオンライブ! Blooming Clover 9 オリジナルCD付き限定版 美樹本晴彦マクロス画集 軌 わだち― 夜ノみつき 10th EUSHULLY WORKS しらこ画集 ILLUSTRATION MAKING VISUAL BOOK カズアキ画集 Kazuaki game artworks ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~ 公式ビジュアルコレクション ぼくたちは勉強ができない 第21巻 音声ドラマ ミニ画集付き同梱版 あいきょう 荻pote作品集 ヒョーゴノスケ流 イラストの描き方 TVアニメ『くまクマ熊ベアー』オフィシャルファンブック 押井守原作・総監督 西村純二監督作品 『ぶらどらぶ』 解体新書公式コンプリートガイド OCTOPATH TRAVELER Design Works THE ART OF OCTOPATH 2016-2020 おそ松さん 3rd season SPECIAL BOOK 描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方 YMO1978-2043 「小冊子・YMO全トラックリスト2021 Amazon限定表紙版」付き To LOVEる -とらぶる- ダークネス FIGURE PHOTOGRAPHY COLLECTION 斉藤朱夏 CALENDAR 2021.4-2022.3 ラブライブ! サンシャイン!! Aqours DOME TOUR COMIC ILLUSTRATION BOOK ラブライブ! サンシャイン!! Aqours COMIC ILLUSTRATION BOOK 2020 Winter イジらないで、長瀞さん 10 特装版 「はたらく細胞」公式アニメ完全ガイド リスアニ! Vol.43.2「アイドルマスター」音楽大全 永久保存版VII アイドルマスター シャイニーカラーズ 3 CD付き特装版 ウルトラマンマックス 15年目の証言録 ウルトラマンZ特写写真集 じじぃ 人生は深いな 冴えない彼女の育てかた 深崎暮人画集 上 Flat. ぷよぷよ アートワークコレクション 古谷静佳1st写真集 re START THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER COLLABORATION! Great Journey ウルトラマンゼロ Blu-ray BOX クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 Blu-ray BOX 初回生産限定版 小林さんちのメイドラゴンBlu-ray BOX ゆゆ式Blu-ray BOX スペシャルプライス版 とーとつにエジプト神 Blu-ray 直球表題ロボットアニメ 全話いっき見ブルーレイ 未来ロボ ダルタニアス 一挙見Blu-ray VOL.1 シュヴァルツェスマーケン 全話見Blu-ray ワールドトリガー一挙見Blu‐ray VOL.1 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術 魔王プレイボックス 初回生産限定 トータル・イクリプス 全話見Blu-ray Blu-ray Cutie Honey Universe Complete Edition 夜ノヤッターマン 全話いっき見ブルーレイ こみっくがーるず Blu-ray BOX 初回生産限定 Blu-ray 幼女社長 むじなカンパニーセット 初回生産限定 ログ・ホライズン 円卓崩壊 Blu-ray BOX 七つの大罪 憤怒の審判 Blu-ray BOX I Blu-ray 水樹奈々 NANA ACOUSTIC ONLINE 『Dr.STONE』2nd SEASON Blu-ray BOX【初回生産限定版】 魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編 Blu‐ray BOX 今井麻美 Winter Live「Flow of time」 - 2019.12.26 at EX THEATER ROPPONGI - Blu-ray盤 Blu-ray 仮面ライダーゼロワン ショートアニメ EVERYONE'S DAILY LIFE 仮面ライダー一挙見Blu-ray 1号 2号・V3編 仮面ライダー一挙見Blu-ray X・アマゾン・ストロンガー編 スーパー戦隊一挙見Blu-ray 1975-1981 スーパー戦隊一挙見Blu-ray 1982-1986 半妖の夜叉姫 Blu-ray Disc BOX 1 完全生産限定版 裏世界ピクニック Blu-ray BOX上巻 初回生産限定 Levius レビウス Blu-ray BOX【期間限定版】 スーパー戦隊 学研の図鑑 江口寿史美人画集 彼女 アニメディスクガイド80's レコード針の音が聴こえる necomi画集 PHONOGRAPHIC フルーツバスケット アニメ2nd season 高屋奈月 Illustrations 2 彼女、お借りします TVアニメ第1期 公式設定資料集 ドラゴンボール 超戦士シールウエハースZ 超シールガイド ガンダムアーカイヴス『ガンダムビルドシリーズ』編 Angel Beats! 天使画集 Angel Diary PANZER FRAULEIN 野上武志画集 【陸編】 Angel's cage るび様画集 Sweet Dream はすね画集 画集 制服Girl's▼コレクション もりょ作品集 異世界ファンタジーのキャラクターコレクション 劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」公式ビジュアルBOOK アイドルマスター シャイニーカラーズ イラストレーション ワークス VOL.2 Blu-rayDisc付き 八十亀ちゃんかんさつにっき 10 特装版 あんさんぶるスターズ! Ready For Star 2巻 缶バッジ付 Switch エーペックスレジェンズ チャンピオンエディション New ポケモンスナップ -Switch 【PS4】BIOHAZARD VILLAGE PLAMAX 聖戦士ダンバイン サーバイン ノンスケール PS製 組み立て式プラスチックモデル スーパーミニプラ 無敵ロボ トライダーG7 3個入りBOX 魔道祖師 前塵編 完全生産限定版 HGUC 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ Ξガンダム MG 機動戦士ガンダムSEED モビルジン 1/100スケール カンチ 青 ノンスケール ABS&ダイキャスト製 塗装済み完成品 ☆赤ver 魔女の旅々17 ドラマCD付き特装版 クリストファー・ノーランの世界 メイキング・オブ・インターステラー BEYOND TIME AND SPACE 時空を超えて るるぶアズールレーン からかい上手の高木さん15からかいカレンダーカード付き特別版 「武装神姫」原案イラスト集 ALLSTARS 機動戦士ガンダム サンダーボルト 17 キャラクターブック付き限定版 とある科学の超電磁砲T OFFICIAL VISUAL BOOK Aqours 5周年記念アニメーションPV付きシングル「smile smile ship Start!」【BD付】
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【TOP】【←prev】【SEGA SATURN】【next→】 TILK 青い海から来た少女 タイトル TILK 青い海から来た少女 ティルク 機種 セガサターン 型番 T-32508G ジャンル RPG 発売元 TGL 発売日 1997-12-23 価格 6800円(税別) 駿河屋で購入 セガサターン
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今日 - 合計 - TILK 青い海から来た少女の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 16時41分52秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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TILK 青い海から来た少女 (SLRPG) http //www.nicovideo.jp/watch/sm2081193
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【TOP】【←prev】【PlayStation】【next→】 TILK 青い海から来た少女 タイトル TILK 青い海から来た少女 ティルク 機種 プレイステーション 型番 SLPS-00717 ジャンル RPG 発売元 TGL 発売日 1997-4-25 価格 5800円(税別) 駿河屋で購入 プレイステーション
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登録日:2010/07/19 Mon 10 51 22 更新日:2023/09/12 Tue 05 11 53NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 ホモ ヤマジュン 君にニャンニャン 山川純一 新たな一歩を踏み出すホモ漫画 映画化 海から来た男 漫画 純愛 薔薇族 閲覧注意 ※WARNING※ この項目はホモエロネタです。 耐性のない方、18歳未満の方、ノンケの方はこの夏海に行く気が失せる可能性があるので今すぐブラウザバックしてください。 山川純一のホモ漫画。初出は『薔薇族』1984年12月号。 単行本『君にニャンニャン』に収録。後に復刻された『ウホッ!! いい男たち~ヤマジュン・パーフェクト』にも収録されている。 1991年には映画化もされたが、こちらは若干別物。 ■あらすじ 女の体に魅力を感じなくなった男・平山は、妻と子に見捨てられてしまった事に絶望し、とある人気のない海岸で海を眺めていた。 以前にこの海岸で起きた自殺記事に惹かれ、この海岸で入水自殺を試みるが、海からどこかで見覚えのある青年が現れる。 青年は突然ウェットスーツを脱いで全裸になり平山のブツをしゃぶると、「入れてください」と誘った。 平山は青年とのセックスに新しい世界を見出し、果ててしまう。 快感に意識を失っていた平山だったが、海から来たその青年が、幽霊の類で存在しないのではないかという現実に対する恐怖心から、目を覚ますのに躊躇する。 しかし目を開けると、彼はそこにしっかりと実在した。 そして自らを小津と名乗り、身の上を語り出す。 彼は同性愛者で、以前この海岸で自殺した新聞記事の男は自分の恋人だったという。 恋人は人生に疑問を持ち、小津を忘れないという遺書を残して自殺した。 小津も自殺を試みようとしていたが、平山となら人生をやり直せるのではと直感的に思い、誘ったと語る。 平山もまた、小津と共に人生をやり直す決意をするのだった。 ■登場人物 平山(ひらやま) 熟年男性。妻子持ちだったが、何時からか妻の身体に魅力を感じなくなり、彼女に見捨てられる。 自殺のために訪れた海岸で出会った小津に誘われるままホイホイとセックスして目覚め、彼を生涯の伴侶とする。 【名セリフ】 「君と出会って私の生きる道がはっきりした。私のほうこそ君と一緒の人生を歩かせてくれないか?」 「こうして私は苦悩の中、幸運にも生涯の伴侶を得た。世間の評価がどうであれ、二人が幸せならばいいではないか?」 小津(おづ) 人気のない海岸でサーフィンに興じていた青年。 同性愛者であり、大学時代から共に暮らしていた恋人が人生に疑問を持ち自殺。 小津も彼を追おうとしたが、平山とならやり直せると直感し、ホモセックスに誘った。 小津の恋人の自殺が小津と平山を結び付けたと考えると、人の運命の数奇さを感じてしまう。 【名セリフ】 「い、いやだなじっと見て……。顔になにかついてます?ザーメンとか…」 「あなたに会ってこの人となら人生をやり直せるんじゃないか…。そんな気がしてあなたに賭けてみたんです」 平山の妻 平山とのセックスレスから関係がぎくしゃくし、本編の3日前に娘を連れて家を出て行った。 抱いてくれない平山に怒りをぶつけたり、別れ際の表情から平山には未練があった様子。 【名セリフ】 「何よ、女に恥をかかせて!!」 「あなたなんか男と結婚すればよかったのよ!」 追記・修正は生涯の伴侶を海岸で見つけた人にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] いいのかい、ホイホイ実写化しちまって。wiki篭りはゲイ作品でも構わずネタにしちまうんだぜ? -- 名無しさん (2014-08-25 14 49 51) ↑いいんです。こんなネタ…好きだから… -- 名無しさん (2014-09-16 22 54 18) 結局、平山さんは元からホモだったのに気づいてなかっただけなのか、それとも小津によってホモに覚醒させられたのかどっち? -- 名無しさん (2015-05-11 23 33 16) イイハナシダナー -- 名無しさん (2020-02-28 16 56 09) ↑2 潜在的にはゲイ寄りだったが、無自覚のバイだったため自身の同性愛嗜好が性欲が衰え出すまで自覚できていなかったとか……? -- 名無しさん (2021-12-05 05 26 24) 自分がそうだと気付かずに一生を終える人も多いからな。平山はたまたま気付いてしまったんだろう -- 名無しさん (2021-12-05 05 43 18) 妻が女の勘で言い当ててるな -- 名無しさん (2022-05-01 21 31 55) 名前 コメント
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今日 - 合計 - TILK~青い海から来た少女~の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 15時01分34秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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『遠い海から来たゆっくり 彼方からの海流 修正版』 37KB 越冬 群れ 自然界 幻想郷 独自設定 うんしー ぺにまむ 遠い海から~完結です ※「遠い海から来たゆっくり 異郷にて」 「遠い海から来たゆっくり 冬、来たり」 「遠い海から来たゆっくり 蠢動と停止」 「遠い海から来たゆっくり 猛る母性」の続きになります。 遠い海から来たゆっくりシリーズの完結編です。 『遠い海から来たゆっくり 彼方からの海流』 母れいむが、外でやまめと戦ってから十日近くが過ぎた。だんだんと暖かい日が多くなり、どこからか強烈な土の臭いが漂ってくる日もあった。北国の春というのは、穏やかなものではない。粗暴で荒々しい一面を持っている。土臭い臭いと溶ける雪の臭いは、まるで強烈なリズムと熱狂的な音楽で彩られた春の祭典だ。 南国生まれの母れいむは、細かいことは分からなかったが、春が近づいている、すぐそこまで来ている、そのことは空気の臭いと肌触りからなんとなく感じ取れた。 「おきゃーしゃん! またまりしゃにお話してほしいんだじぇ! あったかい海さんの話がいいんだじぇ!」 お話をせがんできたのは、かつてやまめに噛まれて麻痺していた、あの子まりさだった。子まりさは、母れいむの献身的な看護と栄養たっぷりの食糧をたくさんむ~しゃむ~しゃさせてもらったことで、毒は抜け、すっかり元気になっていた。 「ゆゆ~、おちびちゃんは本当に海さんのお話が好きなんだね! いいよ、何度でも海さんのお話をしてあげるよ!」 「海さんのお話はとってもゆっきゅりできるんだじぇ! いつかまりしゃも、海さんを渡っておきゃーしゃんをうまれこきょーさんに連れてってあげるだじぇ!!」 そんなことを言う子まりさに、ゆふふと、母れいむは慈愛に満ちた笑顔を向ける。 そのおうちの隅には、備蓄庫から持ってきたものの、結局食べられなかったオニグルミが転がっている。オニグルミは濃厚な味わいを持っているがとにかく堅く、人間でも熱を通したり、ハンマーとノミで叩き割ることで、やっと中身を食べることが出来るくらいだ。とてもではないが、ゆっくりに噛み砕けるものではない。ここのゆっくり達も、堅果類が全体的に不作の中、ついオニグルミまで拾ってきたものの、食糧として持て余していたというのが正直なところであった。 「くるみさん、みんなのあいどるれいみゅと遊んでね!!」 「ゆっくり! ゆっくりころがるみょん!!」 オニグルミは今ではすっかり、子ゆっくり達の玩具になっていた。こんな無駄な食糧があっても今のところ生き延びられているのは、第一にもみじ達が食糧事情の悪い中、必死に食糧を集めて回ったこと、第二に、南の島から来たまりさによって、海藻が保存食のレパートリーに加わったことが大きかった。 「ゆふふ……れいむのおちびちゃん達、とってもゆっくりしているよ……」 母れいむはオニグルミをボールのようにして遊ぶ、我が子達に目を細めた。寒いが安全な洞窟の中で、母れいむの子ゆっくり達は皆顔色も良く、とてもゆっくりしたゆっくりに育っていた。彼らが遊んでゆっくりしている姿を見るだけで、母れいむはまるで天使に抱擁されているような、ゆっくりした気分になることが出来た。 思えば苦労の連続だった。人間さんによって見ず知らずの寒い土地に連れて来られ、その後、番のまりさには見捨てられた。母れいむを支えてくれるはずの番のゆっくりは、次々と永遠にゆっくりしてしまい、母れいむは自分で「狩り」もしなければならなかった。さなえややまめのような、ゆっくりしていないゆっくりとも戦った。 今、目の前にいるのは、そんなれいむの汗と涙の結晶だった。母れいむは感慨深そうに笑みを作った。 かつて、まだ南の島でゆっくりしていた頃、母れいむが子ゆっくりだった頃、群れの賢者のぱちゅりーから聞いた話を思い出していた。人間さんは、自分の力でゆっくりできる未来を獲得することを「自己実現」と呼ぶらしい。 きっとれいむは、この異郷の地で「じこじつげん」を成し遂げることが出来たのだ。 母れいむは自分のゆん生を誇らしく思うようになりつつあった。だが、満面の笑みを浮かべていた母れいむが、ふと、何か思い出したかのようにしかめっ面を作る。 「ゆぶぅ……れいむは背中がかゆくてゆっぐりできないよ……」 母れいむはごーしごーしと背中をこすり付ける。やまめに刺された部位が痒みを持っているのだ。しかしこすり付けると今度はひりひりと痛み、どうにもやりきれない傷にい~らい~らだけがつのっていった。 同じくやまめにやられた子まりさの傷はすっかり回復していたのだが、子供と成体の差であろうか? れいむの傷はなかなか治らず、打ち込まれた毒が抜けていないのか、時折なんとも言えぬ痛みや虚脱感に襲われることすらあった。 「……れいむのおちびちゃん達はみんな元気だよ……」 ひょっとしたら、自分の寿命がゆっくりと近づいているのかもしれない。それならそれでいいと思った。誰の助けもない中で、自分の手でここまでおちびちゃん達をゆっくりさせてきたのだから。 でも、できることならば、おちびちゃん達が誰か素敵なゆっくりと、ずっとゆっくりしようと決めて独り立ちするまで、彼らの成長をゆっくり見守ってみたかった。 「ゆぅ……今日はもう眠いよ……」 母れいむはまだ昼間だと言うのに眠くなって来てしまった。最近、疲れが溜まりやすくなった気がする。ただし、食欲だけは旺盛だった。 「おちびちゃん! お母さんはちょっと疲れたからす~やす~やするね! おうちからは出ないでゆっくりしてね!」 「「ゆっくり理解したよっ!!」」 「お母さん、みんなとちゃんとゆっくりするから、ゆっくり休んでね!」 今日はしっかり者の長女れいむが冬眠から目覚めていた。またすぐ眠ってしまうかもしれないが、母れいむがまた起きるまでこの子に任せておけば大丈夫だろう。 「ゆっきゃああああ!! おかーしゃん! あいどるれいみゅはおなきゃすいちゃあああああああっ!! あまあまさんをむ~しゃむ~しゃちたいよぉ!!」 「みょんもおなかすいちゃみょおおおおん!!」 「ごはんしゃん! ごはんしゃん!」 「ゆゆ! まりさがあいどるいもうちょのためにごはんさんもっちぇくるんだじぇ!!」 「まりさもゆっくりしてね! おねえちゃんがやるよ!!」 母れいむの頬が自然と緩む。今、母れいむは最高にゆっくりしていた。ゆっくりできなかった思い出は、みんな忘却の彼方に忘れてしまえそうなくらい。 次にもみじが起きたのは、それから一週間後だった。かつては二週間に一度起きるペースだったが、春が近づいてきているせいだろう。少しずつ、一回辺りの冬眠の間隔が短くなってきていた。 「む~しゃむ~しゃ……しあわせですぅ~っ! わふっ!!」 もみじはどんぐりと干したきのこをむ~しゃむ~しゃした。 栄養を補充したもみじの尻尾がぴーんと立つ。寝ぼけていた意識が目覚め、頭がしゃきっとした証拠だ。 「今度こそ、みんなが永遠にゆっくりしてしまった原因を突き止めます! それがりーだーの役目ですから!」 もみじはまだ眠っている番のちぇんに小さく「行ってきます」とささやくと、早速行動を開始した。まず、群れの食糧備蓄庫へと向かった。前回起きて、みょんやさなえの死体を調べたとき、所々にうんうんが散らばっているのが気になっていた。恐らくは南の島から来たれいむとまりさのうんうんなのだろうが、あれだけうんうんがあるということは、それだけむ~しゃむ~しゃしたということである。 「嫌な予感が……します」 本当は前回起きたときに調べたかったのだが、思いのほか死体の調査に手間取ってしまった。さなえの死体などすりつぶすかのようにバラバラに潰され、お飾りの破片しか見つからなかったくらいだ。臭いに敏感なもみじ種でなければ、ゴミにしか思わなかっただろう。 もみじは食糧備蓄庫まで跳ねてきた。 「なんなの……これは……?」 そして絶句した。 あれだけたくさん蓄えておいたどんぐりが、干した海藻やきのこ類、ヤマブドウが、生きたまま長期間保存できる食糧として重宝なミノムシが、みんなみんななくなっていた。中途半端に食い散らかされたものもあった。きすめは髪の毛が全て毟り取られ、その半分の個体が永遠にゆっくりしていた。まだ息がある個体も「息も絶え絶え」な状態である。 「きすめぇ!! きすめぇ!! どぼじだんですかぁぁぁっ!? なんでみんな、こんな!?」 「……もみじぃ……れいむが、れいむがみんなむ~……しちゃったよ……」 「!?」 きすめによれば、南の島から来たれいむが来て、数日できすめの髪を全てむ~しゃむ~しゃしてしまったとのことだった。 その後、もみじは、ごはんさんもそのれいむが全部む~しゃむ~しゃしてしまったのか、と尋ねたが、きすめは当初備蓄庫隅の日当たりの良い場所に固着していたため、視界の関係上分からないとのことだった。ただ、聞こえてきた声から、れいむがかなりむ~しゃむ~しゃしてしまったのではないか、とのことであった。 「誰も、誰も気付かなかったのですか……」 もみじは一人つぶやいた。 実を言えば、冬眠中、食糧備蓄庫に顔を出すゆっくりは決して多くなかった。なぜならば、皆自前で越冬に十分な食糧は用意するのが基本であり、それができていなかった家庭には、もみじが食糧を配布したからだ。中には自分の大好物を求めて備蓄庫を訪れたゆっくりもいるにはいたが、眠気で頭が回っていなかったり、食糧の減り具合にびっくりしても、どうしていいか分からないうちに寒さで眠くなってしまい、騒ぎにまで発展しなかったのである。 そもそも、この備蓄の半分くらいは越冬のためではない。越冬後、暖かくなって冬眠できなくなったものの、雪解けが遅かったり、植物の生育が悪かったりといった理由で満足に食糧を収集できない時のための予備なのだ。 ふと、もみじは備蓄庫の隅に枯れ木が積み重なっているのを発見した。越冬するゆっくりは、適当な枯れ木を保存し、中にいるカミキリムシの幼虫や集団越冬しているテントウムシを食べるのだ。もっとも、テントウムシの方は苦いので、本当に困窮した時しか食用にしないが。 これが残っているということは、やはり南の島から来たゆっくりが、食糧の大部分をむ~しゃむ~しゃしてしまったのだろう。この地で生まれ育ったゆっくりならば、いつ木片から出て行ってしまうか分からない、このような食糧を最後まで取っておくことはしないからだ。恐らく、この食糧の激減とたくさんのゆっくりが永遠にゆっくりしてしまったことには関連があるのだろう。れいぽぅによって生まれた赤ゆっくりを世話しているのかもしれない、もみじはそう考えた。 だが気になる点もあった。永遠にゆっくりしたゆっくり達の中には、赤ゆっくりを蔓に宿したまま死んでいたり、あるいは母体の近くに赤ゆのお飾りが散らばった状態のものが観察された。 いずれも死体はほとんど残っていなかったが、そのお飾りから、すっきりしたのは永遠にゆっくりしてしまった個体とれいむであることが見て取れた。 なぜ、れいむだけすっきりしていたのだろう? 果たして、自分の番にだけ好きにすっきりさせるゆっくりなどいるのだろうか? それも自分とは違う相手に。 そのような倒錯的な性癖を持つゆっくりも探せばいるのだろうが、それは、もみじの記憶に残っているまりさのイメージとは重ならなかった。 「ゆ~……だとすると、れいむがみんなをれいぽぅして、そのおちびちゃんとご飯さんをたくさんむ~しゃむ~しゃしてしまったのでしょうか……」 まりさとれいむに直接会わなければならなかった。また夕闇が辺りを包み、冬眠モードに体が移行してしまう前に。 「起きてますかー! もみじですよー! 起きてたらゆっくりしないで集まってください!」 もみじは群れの幹部達、警邏隊のゆっくり達のおうちを回り、起きているゆっくり達に協力を呼びかけた。 このもみじ率いる群れは大規模な争いは経験していないため、組織的に動く兵ゆっくり、と呼ぶほどのものは持っていない。そもそも子供も含めて四十~五十匹程度の群れでは、陣形を組んでの戦闘などできたものではない。この群れは少数精鋭をモットーとしているのだ。 その代わり、捕食種との戦いや野良ゆっくりへの牽制のために、ゆっくり警邏隊「しんせんぐみ」を組織していた(内部抗争ででっぷりしたみょん一派を粛清済み)。全部で六匹の元気、つまり新鮮なみょん種によって構成され、水色のリボンが目印となっていた。いずれも剣(と呼んでる棒切れ)の達人であり、「がとゆ」という良く分からない技を習得していた。「がとゆ」には零~二式まであるとか、百八式まであるとか、アバンゆトラッシュもできるとかいろいろ言われていたが、詳しいことはもみじも分からなかった。 もみじはたまたま起きていた幹部の変態てんこ、「しんせんぐみ」に属するみょん姉妹に声をかけると、まりさとれいむのおうちへと向かった。もみじ自身も、おうちから「刀」と思い込んでいる安い土産品のペーパーナイフを持って来ていた。 だが、その途中で異変が起きた。 「ゆぼァァァァァァァァっ!!」 もみじ達が振り返ると、そこには、ぎざぎざに尖った石の上でのたうちまわるてんこの姿があった。どうやって、あの上に乗ったのか分からないが、エライ事態だった。 「てんこ! 大丈夫ですかっ!!」 「すごいわぁぁぁぁぁっ!! あうぅっ! もう信じられないっ!! ナニコレ、ぎもぢいいいいいいいいいっ!!」 お得意のMプレイだった。がっくりと肩を落としたもみじは、押し寄せる言いようのない疲れに苦しみながらも、みょん姉妹に制裁を促した。もうまりさとれいむのおうちは近い。このままここで騒がれて、二匹に逃げ出されては面倒だった。 もみじの視線に応えたのは、姉妹の姉の方のみょんだった。 「ゆっふっふ……がとゆには三つの型があるみょん……」 そう言って、べろで棒切れを構える。てんこは何も気付かずに……ナニかやっていた。 「やヴぁい! やヴぁいわぁぁぁぁっ!! しんじゃうぅぅぅぅっ!! んっほぉぉぉぉぉっ!!」 みょんは棒切れの切っ先をてんこに向ける。 「ぺにぺにを狙う一式……まむまむ粉砕用の二式……そして……」 みょんが狙いを定め、その目をギラリと光らせる。 「あにゃるを貫く! がとゆ零式っ!!」 姉みょんは、ゆっくりにしては目にも留まらぬ速さで突進し、その棒切れをてんこのあにゃるに深々とと突き刺した。容赦も遠慮もなかった。 「ゆ♪ ほっほっほほおおおおおおおおおっ!! あにゃるぜろしき来たぁぁぁぁぁぁっ!!!」 てんこは絶叫と共に絶頂を迎えて倒れた。 「死んではいないみょん……またつまらぬものを貫いてしまったみょん……くさっ!!」 みょんは棒切れの先に付着した何かの臭いに顔をしかめた。 「わふぅ……てんこには困ったものです……」 もみじはため息を一つつくと、ある程度の距離かられいむのおうちを探った。臭いによって中に誰がいるかくらい、分かることもあるのだ。 「すんすん……すんすん……」 もみじは周囲の臭いから空気の流れを敏感に感じ取り、れいむとまりさのおうちの臭いが漂ってくるであろう風下で鼻を澄ませた。まりさとれいむのおうちから、れいむのものらしき奇声が聞こえてきたのはその時だった。 「びっぐ・べん・あたぁぁぁぁぁっくっ!!」 続いて形容するのもはばかられる下痢便の音、そしてその臭いは風下で待ち受けていたもみじの敏感な鼻を直撃した。 「すんすん……!! ふべんヴぁべろべるォォォォォォォっ!?」 なまじ鼻が効く分、もみじは強い臭いには滅法弱かった。もし、この臭いを至近距離で嗅いでいたら失神してしまっていただろう。 「ゆっ!! 誰かいるのっ!!」 もみじの声に気がついて、おうちから出てきたのは、長女れいむだった。 「だれ! ここはれいむ達のゆっくりぷれいすだよっ! ゆっくりできないゆっくりは、ゆっくりしないで出て行ってね!」 母れいむの子供達は、洞窟に他のゆっくりが住んでいることは知っていたが、もみじがそのりーだーであることは知らなかった。いきなり武器を持ってやって来たゆっくり、それはれいむ達のゆっくりぷれいすに侵入を試みるゆっくりできないゆっくりにしか見えなかった。 「ここはまりしゃ達のゆっくりぷれいすなんだじぇ!!」 「入りたかったらあまあまを持ってくるみょん! たっくさんでいいみょん!」 「ちぇんのあにゃるにきすするといいんだねー!!」 好き放題に罵詈雑言を上げる子ゆを無視して、もみじとみょん姉妹はうんうんの臭い溢れる、れいむのおうちへとあんよを踏み入れた。 「ゆゆ? 久しぶりだね、もみじ……ゆっくり……何か用なの?」 「ゆっくりこんにちはれいむ……ゆっくりしていますか?」 そこにいたのはすっかり衰弱しきった母れいむだった。体こそ大きく、でっぷりしていたが、その表情に覇気はなく、起きているのも辛そうだった。周囲には下痢の後が飛び散っており、それを長女れいむをはじめ、年長の子ゆっくり達が必死に掃除している有様だった。 やまめに刺された毒のせいなのか、そこから雑菌やカビの類が入って傷口から感染したのか、連日のように下痢が襲い、母れいむの体力を奪っていっていたのだ。 れいむはもみじ達に自分の症状を伝えると、ゆっくり懇願した。 「もみじ……お願いがあるよ、れいむに人間の町からゆっくりしないでお薬さんを取ってきて欲しいよ! あと、ゆっくりしないでごはんさんを取って来てね! もうごはんさんがほとんどないよ! くるみさんはむ~しゃむ~しゃできないし、ぱさぱさのふーどさんはもう飽きたよ!! おちびちゃん達がおなかを空かせてるんだよ!」 「おかーしゃんゆっくり! ゆっくりしてぇぇぇぇっ!!」 「ゆえええん! おきゃーしゃん早くゆっくり元気になって欲しいみょん!!」 「れいむはお母さんのうんうんを捨ててくるよ!……ゆげぇっ!! お゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛……」 もみじは必死に懇願するれいむと、ぴーぴー騒ぐ子ゆっくり達を交互に眺めた後、有無を言わせぬ口調にれいむに問いかけた。 「……そうですか、れいむ、お大事に。でもその前に聴きたいことがあります! ゆっくり聞いてください! まりさは、まりさはどこにいますか? もみじはまりさとも話さないといけません、ゆっくりしないで教えてください」 母れいむの脳裏で、まりさのゆっくりできない凶行が蘇る。 「知らないよあんなやつ!! まりさはれいむをゆっくりさぜでぐれなかったんだよ!! そのうえ、れいむのとてもゆっぐりじだおさげさんもむしったんだよ!!」 それまで衰弱しきっていたのが嘘のように母れいむの顔が怒りに歪む。 「れいむはむ~しゃむ~しゃして、すっきりして、おちびちゃんとゆっぐりしだがっただけなのに、まりさは嫌だって言ったんだよ!! もうずっと前にごはんさんを取ってくるとか言って出て行ったっきりだよっ!!」 もみじはびっくりした。冬に巣の外に出て行くなんて。 だが、もみじが驚いているのも気にせず、母れいむは堰を切ったかのように番であったまりさへの怒りを噴出し続けた。 「ゆぎぎぎっ!! 思い出しただけでも腹が立って来たよ! まりさは帰ってこなかったからきっと永遠にゆっくりしたよ!! いいザマだよ! れいむはこんなにゆっぐりじでるのに!! たくっさんの美ゆっくりとすっきりして、れいむに似たたくっさんのゆっくりできるおちびちゃんに囲まれてるよ!! れいむはゆっくりしあわせ~! ゆっくりふしあわせ~なまりさザマァッ!!」 もみじは怒り狂う母れいむを冷めた目で見ていた。 「……れいむはたくさんのゆっくりとすっきりして、ゆっくりしたんですね……まりさはすっきりしなかったんですか?」 「だから言ったでしょおおおおっ!! まりさはゆっくりできなかったって! その上、れいむを置いてきっと逃げたんだよ!! りこんっだよ! だかられいむはみんなとすっきりしたんだよっ!!」 もみじはまりさが無罪なのか有罪なのか確認したかった。だが、どうやらみょん達がれいぽぅされて永遠にゆっくりした件には関わっていないようだった。 「ゆゆ~ん、それでこんなに可愛いおちびちゃんをたくさん授かったんだよ!! れいむのおちびちゃんはとってもゆっくりしているよ!!……!! ゆっぎゃああああっ!! いじゃいいいいっ!! れいむのおなかがいじゃいよぉぉぉっ!!」 これもやまめの毒のせいなのだろうか、母れいむは腹痛を訴え苦しみ始めた。だが、そんなれいむには目もくれず、もみじは物思いに耽っていた。 冬に巣の外へ出て、ずっと帰ってきていないということは、生きているにしろ、永遠にゆっくりしたにしろ、あのまりさはもう帰って来ないだろう。 まりさも群れの食料を食い荒らしたのだろうか? なぜ、あんなにたくさんむ~しゃむ~しゃしてしまったのだろうか? 眠れなかったのだろうか? そんなことが有り得るのだろうか? 考えてみても始まらなかった。ごはんさんを取りに外へ出かけた、ということは、む~しゃむ~しゃしてしまったごはんさんを返そうとしたのかもしれない。 義理堅いまりさならありそうな話だが、もう真実を確認する術はなかった。目の前の案件を処理しなければいけなかった。 「単刀直入に聞きます」 もみじは母れいむは落ち着いたのを見計らって声をかけた。 新鮮組のみょん姉妹が「刀」と自称する棒切れを握りしめ、母れいむをにらみつける。 暖かい春風が洞窟の中に吹き込んでくる。しかし、この場所にいるゆっくり達は誰一人、春風の暖かさも、雪が溶ける臭いも感じていないかのようだった。 「みょんが、ちぇんが、てかてかのまりさが何者かにれいぽぅされて永遠にゆっくりしてしまいました。ありすは大きなおなかを抱えたまま永遠にゆっくりしていました……」 それは質問というよりも確認だった。 みょん姉妹が、れいむのおうちを塞ぐようにして陣取る。 「みょんとずっと一緒にゆっくりしていたさなえは、何者かに潰されて永遠にゆっくりしていました」 みょん姉妹ともみじがじりじりとベッドの上の母れいむへと近づいていく。長女れいむをはじめ子ゆっくりの何匹かが母れいむを後ろにして、三匹の前に立ちはだかる。子供なりにゆっくりできない空気を感じ取ったのだろう。 「こないじぇね!! ゆっくりしてないゆっくりはおかーさんに近づかないでね!!」 「まりしゃは! まりしゃはやるときはやるんだじぇっ! 近づかないのがみのためなんだじぇ!」 もみじは子ゆっくり達の臭いから、その子達が母れいむと永遠にゆっくりしたゆっくりのうち三匹との間に生まれた子供であることを感知した。おそらく、この子達は母れいむから生まれたため、今日まで生きて来られたのだろう。疑念は全て確信へと変わり、もみじの眼に迷いはなかった。 「れいぽぅされたゆっくり達はみんなれいむの赤ちゃんを産んでました。れいむと同じ臭いのする赤ゆっくりでしたよ! そして、赤ちゃんもみんな永遠にゆっくりしてました……」 もみじの冷めた視線と母れいむの相手を抉りこむような視線が正面からぶつかり合う。 「れいむが……れいむがみんなをれいぽぅしたんですか? そして永遠にゆっくりさせたんですか?」 「違うよ! 全然違うよ!」 母れいむはもみじの問いかけを否定し、反撃するかのようにまくし立てた。 「だいたい、なんでれいぽぅしたとかされたとかゆっくりできないことを言うの? すっきりはゆっくりできるおちびちゃんを授かるためにするんだよ!! これはれいむとすっきり相手の問題でしょおおおっ!! もみじはほっといて欲しいよっ!!」 「もみじはみんなのことを良く知っていますよ! 冬眠してる最中にすっきりするゆっくりなんて、この群れにはいません! 」 もみじは断固とした態度で母れいむの言を否定した。 「ごーいのうえだったに決まってるでしょおおおおっ!! みんなれいむに夢中だったんだよおおおおっ!! れいむがみんなをゆっぐりざぜであげだんだよぉぉぉっ!! ゆっくり理解……」 「できません!! れいぱーは軽くてもぺにぺに切断の上追放です、ゆっくり殺しは死刑です!」 死刑という言葉を受けて、母れいむはぶち切れた。 「おぢびぢゃんだち!! こんなゆっぐりじでないくそどものいう事を真に受けじゃだめだよ!! このぐぞどもはれいむ達のゆっぐりを奪おうとしてるんだよっ!!」 「おきゃーしゃんをいじめるやつは許さないよ!!」 「まりしゃがおかーさんを守るんだじぇっ!!」 「おかーさんはとってもゆっくりしてるんだよ! 分かってねー!!」 「おきゃーしゃんをゆっきゅりさえないのはせいっさいみょん!!」 母れいむに続いて、母れいむの子ゆっくり達が一斉にもみじ達三匹へ非難の言葉を投げつける。 この母れいむ、母性だけはしっかりしたものであり、子ゆっくりへの愛情と世話は決して偽者ではなかった。そのため、子ゆっくり達は、もみじではなく、母れいむをこそ信じていたのだ。 「……」 もみじとみょん姉妹は武器を握りなおすと、一斉に地面に叩きつけた。 どんっという音が響き渡り、さっきまで威勢よく騒いでいた子ゆっくり達がびくっと跳ね、動きを止める。 「これは大人の問題みょん、しーしーくさいガキは黙ってるみょん!」 どすの利いた口調で姉みょんが一喝した。 母れいむの子供達が沈黙したのを確認すると、もみじは再び視線を母れいむへと向ける。 「れいむは! れいむはざびじがったんだよぉぉぉぉぉっ!! まりさは群れのことばっかりで全然れいむとゆっくりしてくれなかったよ!! れいむはもっとゆっぐりじだがったんだよっ!! 誰もれいむを助けてぐれながったんだよぉぉぉぉぉ!!」 れいむは泣きながら必死に我が身の不運を訴えた。事実、まりさはこの地に来てからと言うもの、群れのゆっくりの顔色ばかりうかがい、れいむのことを放置している、れいむはずっとそう感じていたのだ。 「そうですね、みょんもさなえも……れいむにれいぽぅされたゆっくりは誰も助けてもらえませんでした。今、そのけじめをつけないといけないですね!」 だが、母れいむの身の不運はもみじには関係のないことだった。 「ゆっげぇぇぇぇっ!! うるざいよ! みんなじねぇぇぇぇっ!! れいむをゆっぐりざぜろ! れいむのおちびぢゃんをゆっぐりざせろっ!! 家族がゆっぐりじでるのを邪魔するどが、ひじょーしきにもほどがあるよっ!! ごのぐぞ!!」 「その家族のゆっくりを一体いくつ奪ったと思ってるんです!!」 怒ったと思えば、今度は涙目で訴える。 「誰もいないんだよ……ごはんさんはあったけど、誰もいないんだよ、いなかったんだよ……れいむはゆっくりするためにどうしたらいいのか……」 「事情があったとしても、ここまでです。せいっさいっします!!」 母れいむの必死の抵抗は、何一つもみじ達には届かなかった。 異変が起きたのはその時だった。 「れいぶは! れいぶのおぢびぢゃぢゃぢゃぢゃ……ゆっぎ!? ……どぼじ? ……ゆっぎいいいっ!?」 怒りに震えていたれいむの目玉がぐるんと回転する。右目と左目の焦点は合っておらず、口からは泡を吹き出した。母れいむの様子は明らかに異常だった。 「!!」 もみじ達は、母れいむの異常を見て、一斉に飛び退いた。 母れいむのまむまむが裏返ってぺにぺにになり、大きく膨れ上がってきたからだ。信じられないことに、あにゃるも同様に張り出していた。 「ゆぎょ!? ゆっぎょおおおおおっ! やべで! いじゃいよぉぉぉぉっ!! れいぶのがらだ、れいぶのがらだどうなっぢゃ……ゆぶぶぶぶぶぶぅ……」 母れいむは泡を吹き出しながらのたうちまわる。 「ゆっきゃぁぁぁぁぁっ!! おきゃーしゃんがゆっくりできにゃいぃぃぃぃぃっ!!」 「おかーさん! ゆっくり! ゆっくりぃ!!」 「ふらんくふるとっ!?」 母れいむの子供達も、母を心配するもの、その異常さに恐怖するもの、何がなんだか分からず泣き喚くもの、大騒ぎになっていた。 「ゆっぎょおおおおおおっ!! れいぶのれいぶのまむまむざんがぁぁぁぁっ!! あにゃるざんがぁぁぁぁっ!! うぎゃあああああああああっ!!?」 母れいむの「ぺにぺに」とあにゃるが一斉に破裂した。そして、 「しゅぱいやーま!!」 「や~まみぇぇぇぇっ!!」 「やー! やー!」 中から湧いて出てきたのは、丸々と太った赤やまめ達だった。 「ゆべぇぇぇぇぇぇっ!? れいぶのがらだがっ! れいぶのゆっぐりじだがらだがぁぁぁぁっ!! どぼじで!? どぼじでやまめがぁぁぁぁっ! ゆひっ! ゆひっ! ゆぎゃぁぁぁぁぁっ!! だずげでぇぇぇぇぇっ!!」 母れいむはやまめの毒にやられたのではなかった。やまめはその牙に麻痺毒を持っているが、お尻に毒腺・毒針はなかった。そこにあるのは産ゆ管だったのだ。餌資源の少ない厳しい季節には、時折、やまめは安全で「食糧」も豊富な他のゆっくりの体内に赤ゆを産み付けることが報告されている。母れいむは体内に赤やまめを直に産み付けられ、中枢餡を避けるようにして体内を文字通り「侵食」されていたのだ。 「ゆっぎゃぁぁぁぁっ!! おぎゃーじゃんがばげものおおおおおっ!!」 「たじゅげでぇぇぇぇっ!! きゃわいいれいみゅだけはたちゅけてぇぇぇっ!!」 「やーまみぇーっ!!」」 「ゆっぎゃああああああっ!! ごないでぇぇぇっ!! まりじゃの方にごないでぇぇぇぇぇっ!!」 辺りはパニックになっていた。 「みょん! いきます!」 「「合点承知!」」 一刻も早く、赤やまめを叩き潰す必要性があった。洞窟奥でひっそりと潜伏でもされたら、ここは安全なゆっくりぷれいすではなくなってしまう。 新鮮組のみょん姉妹は手当たり次第に赤やまめ達をぶった切っていく。いくら捕食種やまめとは言え、このサイズであれば武器を手にしたみょん種の敵ではなかった。 「ゆげえええええええ゛っ!! だじゅげろおおおおおっ!! れいぶをだずげぼぉぉぉぉぉっ!!」 痛みと恐怖で泣き喚く母れいむ。 だが、それに構っている余裕はもみじ達にも、子供達にもなかった。 「いそいでにげりゅゆっくり! しゅぱいやーまっ!!」 二匹の赤やまめはもみじに狙いを定めて、れいむのおうちからの突破を試みた。 「来ますか!? 赤ゆっくりと言えどもやまめ、油断も容赦もしません!! ここはやまめ達がゆっくりする場所じゃありません!」 もみじはそのふさふさした尻尾を叩きつけ、巧みに牽制し、赤やまめを近づけさせなかった。その隙にペーパーナイフを構えなおし、反撃のタイミングを見定める。 「今です! 咲く場所を間違えた花は散るのが定め!!」 雪のように白い尻尾を巧みに操って敵の視界を攪乱し、ペーパーナイフで三日月形の軌道に切り裂き、敵の餡子を花のように咲かせる。 「乱れ雪月花っ!!」 もみじ必殺の一撃である。尻尾での攪乱牽制をうまくやれば、一対多もこなせる攻撃法であった。なお、似て非なる技に、涎をばらまく涎雪月花もあるという。 「おいいいいいいいっ!! なんでれいぶをだじゅげないんだぁぁぁぁっ!! なんでもいいがらはやぐだじゅげろっ!! ゆっぐりできなびぃぃぃっ!?」 「すべてを食い破るゆっくち! しゅぱいやーまっ!」 「れいぶのおべべがぁぁぁぁぁっ!!」 今度は母れいむの右の眼球を食い破って赤やまめが出てきたのだ。 「みょん! ……母体を……いやっ!」 もみじは母れいむに向かって跳ねた。母れいむの体内にまだ赤やまめがいるのかいないのか、もみじには分からなかった。そして、群れの安全のためにはやらなければならないことだった。 「だじゅげろぉぉぉぉっ!! れいぶをだじゅげろ! ゆっぐり、ゆっぐぢざぜろぉぉぉっ!!」 「乱れ雪月花っ!!」 尻尾で母れいむの視界を封じた後、ペーパーナイフが容赦なく振り下ろされた。 「ゆごぶばぁっ!?」 「やヴぁっ!?」 もみじは母れいむの顔ごと、赤やまめを切り裂いた。そして、そのまま母れいむの体をペーパーナイフでざくざくと突き刺し、細切れにしていく。体外に出てきた赤やまめを始末し終えたみょん姉妹もそれに加わった。 「ゆべっ!? やべじぇ!! れいぶをっ!! れいぶをごろばばいでぇぇぇっ!! ばぶっ!! ゆっぐりごろじはゆっぐりでぎないっで! ゆべっ!! いま! じぶんでっ!! ゆ゛っ!!」 もみじもみょんも容赦しなかった。本当はもっと静かに永遠にゆっくりさせるつもりではあったが、やまめに赤ゆを産みつけられていた以上、細かく切り刻むか、水に叩き落す以外、方法はなかった。 「ゆびっ!! おぢびっ!! ゆ゛!! ゆ゛!! ゆばぁっ!! ぢゃんっ!! ゆ゛……ゆ゛……ゆ゛……」 母れいむは沈黙し、最早原型が何か分からないほど切断され、潰された。その死体は餡子と生キャラメルが混ざっていた。まだ体内に何匹か赤やまめが残っていたのだろう。 もし、まりさが寂しがっていたれいむをうまくケアしていれば…… もし、れいむがもっと「冬眠」について理解できる機会があれば…… 仮定はいくらでもできるが、今、ここに残ったのはたくさんの子ゆっくりとぐちゃぐちゃの死体、それだけだった。しばらくすると、強い強い春風が、乾ききった母れいむの死体を吹き飛ばしていった。 春一番がこの地に吹いてから、春はあっという間に到来した。山岳部にはまだ雪が残っているところもあったが、少し前まで雪化粧をしていた大地は真っ黒な地肌を曝していた。そして、そこから力強く、新しい緑が芽を出している。川は上流部からの雪解け水を受け、どうどうと流れる清涼な水であふれていた。 南の島からやって来たれいむとまりさは、この春の光を、そして春の臭いを浴びることも出来ず、永遠にゆっくりした。 れいむの遺餡子は少しだけこの北の大地のゆっくりに受け継がれ、まりさの知識と技術は少しだけここの群れに受け継がれた。 だが、残された子供達にゆっくりした日々は来なかった。 もみじは、子供達までせいっさいっするつもりはなかったが、群れで育むつもりもなかった。 もみじをはじめ、林の群れのゆっくり達は越冬自体はできたものの、越冬後、植物が十分に繁茂し、昆虫が眠りから本格的に覚めるまでの食糧を失った。そのため、それを補填しようと毎日のように野を駆け回っていた。それは危険な行為だった。なぜならば、眠りから覚めた動物達が一斉に餌資源を求めて徘徊し、また冬を耐え抜いた捕食者も、やっと動き出した餌生物を前に活発に活動する季節だったからだ。 一匹、また一匹と狩りの最中に永遠にゆっくりするゆっくりは増えていった。この群れでは事例が少なかった餓死者も出た。もみじはゆん口が半分以下に減った群れをなんとかしようと、あちこちを駆け回っていた。 町の野良ゆっくりとの物々交換、海辺の餌資源の積極的な開拓、そして今までむ~しゃむ~しゃしていなかった、まずい食糧の利用……もみじに、林の群れに、残された母れいむの遺児の面倒を見る余裕はなかった。 冬を越した十二匹の子ゆっくりは、洞窟から雀の涙ほどの食糧を「お情け」として持たされて追い出された。十二姉妹は食糧を求めて人間の町に向かった。 冬眠する個体としない個体がいるせいで、その成長段階もバラバラだった。しっかりものとして将来を期待されていた長女れいむは、冬眠を行う遺餡子を持っていたがために、自分よりもたくさんむ~しゃむ~しゃして、冬の間に成長した妹達の面倒をも見なければいけなかった。 「おねーちゃん、おなかすいたみょん!!」 「くそばばぁ!! はやくれいみゅにごはんしゃんもってきょい!! それでもおねーちゃんなの? れいみゅはずかちーよ!!」 「ゆわぁん! ゆわぁん! おきゃーしゃーんっ!!」 だが、みんな、子供故に母れいむがなんでも面倒見てくれる、そんな世界しか知らなかった。 ある子まりさは野良ありすにれいぽぅされて永遠にゆっくりし、ある子れいむは車に引かれて永遠にゆっくりした。 ある子みょんは人間の子供の玩具にされて永遠にゆっくりし、ある子ちぇんは「ゆっくりさせてくれない!」とありったけの罵詈雑言を長女れいむに浴びせた後、二度と帰って来なかった。 最後に残ったのは、しっかりものの長女れいむと、好奇心旺盛な、あのやまめに噛まれたこともある子まりさの二匹だけだった。 「ゆぅ……今日もごはんさんこれだけだよ……」 「まりさはこれだけなのじぇ……ゆっくりできないのじぇ……」 二匹は海岸近くの野原に捨てられて錆びついた廃車の下で生活していた。二匹が今日一日必死に集めた食糧は、小さなバッタが一匹に、道路で車に轢かれて死んでいたシデムシの死骸、そしておなかを膨らませるための苦い雑草、それだけだった。 親から狩りの指導を受ける機会もなかった二匹は、狩りも下手だったのだ。 既にしあわせ~!な味を忘れて久しく、お飾りもくたびれていた。 「む~しゃむ~しゃ……ふしあわせぇ~……」 「む~しゃむ~しゃ……ゆげぇ! 草さん苦くてゆっくりできないのじぇ!!」 子まりさが、長女れいむにある提案をしたのは、その侘しい夕食の後だった。 「おねーちゃん、ゆっくり聞いて欲しいんだじぇ! まりさはおかーさんがゆっくりしていた、海さんの向こうのゆっくりぷれいすにでかけることに決めたんだじぇ! おねーちゃんにもゆっくりついてきて欲しいんだじぇ! 一緒にゆっくりぷれいすでゆっくりしたいんだじぇ!!」 子まりさは、母れいむがしてくれる南の島の話が大好きだった。そして、好奇心旺盛な子まりさは、いつしか海を渡って南の島へ行けばゆっくりできる、と考えるようになっていたのだ。 「分かったよ! おかあさんのゆっくりしたふるさとに、れいむも行って見たいよ!」 洞窟の中でのしあわせ~な生活と比べて、あまりに辛い現状に精神をすり減らしていた長女れいむは、子まりさの提案に簡単に賛成した。 翌日は穏やかな日だった。空にはのんびりとした雲が浮かび、風がないために海は鏡のように凪いでいた。 二匹は廃車の近くにあった廃港に捨ててあったカップ麺の容器を浮かべ、ここから出発することにした。 「海さんとってもゆっくりしているんだじぇ! きっとまりさ達を歓迎してくれてるんだじぇ!」 「ゆゆ~ん! おかあさんのふるさと、ゆっくり楽しみだね!」 子まりさは穏やかな陽光に照らされる海面に目を細めながら、ゆっくり、ゆっくりと櫂を漕いで行った。二匹のゆっくりを乗せたカップ麺の容器は、これまたゆっくり、ゆっくりと海を進んでいく。 子まりさは南の島がどこにあるのか、どれくらいの距離にあるのかなどと、考えたことはなかった。ただ、海を進めばゆっくりできる、そう信じていたのだ。 「きゅーそくふじょーっ!! こんにちは、まりさとれいむ! ゆっくりしていってね!」 その時、一匹のむらさが水中から浮上し、顔を出した。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆゆ!? 見たことないゆっくりだじぇ!」 子まりさも長女れいむも初めて見るゆっくりだった。 「むらさはむらさだよ! よーそろー! まりさとれいむは何してるの?」 「まりさはこれからこの海さんを渡って、とってもゆっくりしたゆっくりぷれいすに行くんだじぇ!!」 子まりさはむらさの問いかけに対して、誇らしげに答えた。そこへ、もう一匹のむらさが浮上してきた。最初の個体よりも大きな個体だった。 「よーそろーっ!! 海を渡って、ゆっくりぷれいす、ね……」 「!!」 子まりさと長女れいむはその大きなゆっくりの姿にびっくりした。その大きなゆっくりは片方の目に黒い眼帯をしており、そのぼろぼろの水兵帽に引っ掛けるようにして所持しているあんかーには、死臭がべっとりと染み付いた大小様々な水兵帽の切れ端が結び付けられていた。とてもゆっくりできないゆっくりだった。 「シブイねぇ……まったくまりさはシブイよ!」 二匹の乗るカップ麺容器の前に、黒い眼帯をしたむらさは移動した。それは、以前、南の島から来たまりさや林の群れの面々が浮き桟橋で戦ったむらさ……あのときのリーダー格、きゃぷてんと呼ばれていたむらさだった。 「「ずちゃ、ずっちゃちゃちゃ♪ ずっちゃっちゃ♪ ずっちゃっちゃっちゃ♪ (某海賊映画のテーマらしきもの)」」 なにやら勇ましいテーマ曲を口ずさみながら、十匹前後のむらさが一斉に浮上してきた。そのほとんどの個体が、頬をちぎられていたり、水兵帽がぼろぼろであったり、片目がなかったりと、とてもゆっくりできないゆっくりで占められていた。 「ゆ!? む、むらさはなんなんだじぇ!? なんだかゆっくりできてないんだじぇ! ゆっくりしないでどっかに行って欲しいんだじぇ!!」 警戒した子まりさが怯えた声を上げる。その後ろで長女れいむは緊張した面持ちで、きゃぷてんむらさをにらみつけていた。 そんな二匹の様子をあざ笑うかのように、きゃぷてんむらさは重々しく口を開いた。 「ここはゆっくりできない海……むらさによって呪われた海だよ、よーそろー! この海にあんよを踏み入れたゆっくりはみんなゆっくり沈んで行くんだよ、よーそろー! ……あきらめてね」 「何言ってるの! なんのけんりがあってそんなこと言ってるの!! れいむもまりさもそんなの知らないよ! 勝手なこと言わないでね!!」 むらさの一方的な悪意に対して、れいむが怒りに満ちた声で抗議する。それに対して、きゃぷてんむらさはからからと笑うような声で答えた。 「そんなの知らないよ!! むらさの友達も、おちびちゃんも、赤ちゃんも、みんなみんな永遠にゆっくりしちゃったよっ!! 許さないよ! 」 「何言ってるんだじぇ? まりさ達はなんのことか分からないんだじぇ!!」 きゃぷてんむらさは、ゆふふと笑った。 「だーくぶるーむーん!」 むらさ達が、子まりさと長女れいむの乗ったカップ麺容器前方に三日月型に展開する。だーくぶるーむーんは、むらさ達が自分より大きな敵に対して、三日月の延びた両翼から牽制と攻撃を同時に行う陣形であり、戦法であった。 「ゆっくり沈め! よーそろー!」 子まりさと長女れいむが、何がなんだか分からず戸惑っていると、一匹のむらさが左からカップ麺容器に攻撃を仕掛けてきた。石灰質のあんかーがざくりと容器の底を削り、小さな切れ目を作り出す。 「やべでねっ!! なにずるのっ!! れいむはむらさに何も悪いことしでないよっ!! ゆっくりしないでやめでねっ!!」 「やめるんだじぇええええっ!! こんなのゆっぐりじでないんだじぇえええっ!!」 「むらさがゆっくりしてないって? 別にいいよ! むらさはゆっくりしたいわけじゃないよ! ただ……」 二匹目、三匹目と、カップ麺容器の左右からむらさが別々に突っ込んできて、同じように穴を開けていく。海水がカップ麺容器に浸入し、子まりさと長女れいむのあんよを濡らし始めた。 「ただ、むらさのおちびちゃんよりも苦しんで沈んでね! むらさの友達よりも惨めに死んでね! むらさの妹よりも汚ない死体になってね! むらさはそれだけが望みだよっ!! よーそろーっ!!」 高らかに笑うきゃぷてんむらさの宣言も、子まりさと長女れいむの耳には届かない。二匹は海水を口に含んで外に捨てようと必死だった。 「ゆわあああああっ!! まりさは水さんを外へぴゅーっするんだじぇ……ゆっげぇぇぇっ!! じょっぱい! ゆっぐりできないんだじぇぇぇっ!!」 「れいむの妹! まりさしっかりしてね! おねーちゃんに任せてね、ゆっくり……ゆげぇぇっ!! じょっぱいっ! ゆ゛……お゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛ろ゛……」 二匹が泣いたり、吐いたりしている間にも海水はみるみる侵入して来る。そして、むらさの攻撃もやむことはなかった。 「やじゃよおおお!! やじゃよおおお!! 海さんをわだれば! れいむはゆっぐり、ゆっぐりできるんだよぉぉぉっ!!」 「ゆっびゃあああっ!! ゆ? こうなったらまりさだけでもお帽子に乗って逃げるんだじぇ!!」 ここに来て自分の帽子があることを思い出した子まりさは、沈み行く容器を見捨てて、帽子で脱出しようとした。 「まりじゃああっ!! おねえじゃんもだじゅげでぇぇぇっ!! ゆびっ!?」 必死に子まりさの帽子に乗り込もうとする長女れいむを、子まりさは櫂で押し返した。 「だめだじぇ!! これはまりさの帽子だじぇ!! お姉ちゃんも助けたら二人とも永遠にゆっくりしちゃんだじぇ!!……ゆ?」 だが、子まりさの帽子の先端も、むらさによってあっという間に齧り取られ、浸水が始まっていた。 「まりじゃあああ!! おねえじゃんを! おねえじゃんをだじゅげでぇぇっ!! ゆぼっ!?」 「どぼじでまりじゃのおぼうじじゃんあながあいでるのおおおおっ!! ゆんやぁぁぁっ!! おねえじゃんだじゅっ!! ゆぴぴっ!?」 帽子から再びカップ麺容器に逃げようとした子まりさと、現状把握できずになんとか子まりさの帽子に乗ろうとした長女れいむは、絡まるようにして、海に落ちた。むらさ達はその様子を見届けた後、静かに海中に去って行った。 沈んでゆくまりさの餡子をついばむ魚がいた。 南方から海流に流れてやって来て、帰ることも、新たなる生を育むこともできず、ただ異郷で最期まで必死に死を待つだけの魚。 死滅回遊魚。 ~ 遠い海から来たゆっくり 完 ~ 作:神奈子さまの一信徒 お帰りなさいと声をかけていただいた方、わざわざ感想を書いてくださった方、ありがとうございました。 久しぶりに書いてみたくなったので、リハビリのつもりで一作書いてみた次第です。 少しでもゆっくりしていただけたのでしたら、幸いです。 最後まで読んでくださった皆様、素敵な作品を投稿してくださっている絵師・作者の皆様、餡庫、wikiなどの管理をしてくださっている皆様にゆっくりした感謝を。
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『遠い海から来たゆっくり 冬、来たり』 35KB 群れ 自然界 現代 独自設定 うんしー ぺにまむ 異郷にての続きです 「遠い海から来たゆっくり 異郷にて」の続きです。まだここでは完結しませんのでご注意ください。 『遠い海から来たゆっくり 冬、来たり』 南の島からやって来たまりさによって、貝類の取り方・食べ方が伝授されて以降、もみじ率いる林の群れにとって廃港は一つの大切な餌場となった。翌日も、翌々日も、群れから何匹かのゆっくりが廃港を訪れ、イガイやカキをたらふく食べた。 「まりさはほんとうにゆっくりしているよっ!!」 「まりさのおかげでご飯さんが増えたよ! ゆっくりありがとう!!」 「ごはんさんの採り方を教えてくれたまりさに、都会派な木の実をあげるわ! ゆっくり味わってね!」 「ゆふふ……まりさはそんな……」 貝の味が合わないゆっくりもいたが、合うゆっくりもいたのである。貝を気に入ったゆっくり達は、南の島から来たまりさに惜しみのない賞賛の声を挙げた。まりさは、生まれて初めてのゆっくりした賞賛の嵐に、困惑した。 「ゆゆ~ん! そんなに褒めてもなんにも出ないよ!」 自己評価の低いまりさではあったが、この地には、番のれいむを除けばまりさが南の島で、目立たない平凡なゆっくりであったことを知るものはいない。 「みんなに貝さんのむ~しゃむ~しゃの仕方を教えてくれてゆっくりありがとう! もみじからも群れの長として感謝の言葉とちょっとしたごはんさんを送りますよー!」 ひょっとしたら、ここからまりさのもっと楽しいゆん生が始まるのではないか? まりさはそんなことを思ったが、すぐに首を振った。期待のし過ぎは失望を深くするだけなのだ。でも、今はちょっとだけ期待してみたかった。 貝類をむ~しゃむ~しゃすることに慣れてきた個体の中は、南の島から来たまりさと一緒でなくとも、一人で貝や海藻を取れるようになった要領のいいゆっくりもいた。そして、帽子やどこかで拾ったゆっくりの洋服の中にしまい込み、たくさんの貝類を巣へと持ち帰るのだ。 「れいむはたくさん貝さんを拾ったよ! これからおうちに帰ってゆっくり食べるよ!……」 このれいむはこの北の大地で生まれた土着のゆっくりであったが、すっかり貝の味にはまったゆっくりだった。今日はたくさんの貝を縞模様のパンツならぬ洋服の中に挟むようにしまい込み、巣へと向かっていた。 バキッ! ぐじゃあ…… 「……ゆ?」 しまい込んだ場所が悪かったのだろう、あるいは跳ねているうちに、貝が洋服の中で下方にずれて行ったのだろう。アスファルトの上で数回跳ねた後、縞パンれいむの体重によって貝は割れてしまった。小さなイガイなどは殻が薄いのだ。 「ゆっぎゃあああ!!! いじゃいよおおおっ! どぼじでごはんさんがれいむの絹のようになべらがなあんよにささってるのおおおっ!!? ゆっぐりでぎないでじょおおおおっ!!?」 おまけに割れた貝殻の破片があんよに刺さってしまったようだ。 「ゆぎっ!……ゆぎいいいっ!!」 縞パンれいむは縞模様のパンツ……ゆっくりの洋服を脱いで刺さった破片を取り除こうとしたが、破片が洋服にひっかかってしまって脱げない。 「ゆひぃっ! ゆひぃっ! ようふぐさん、ゆっぐりしないでぬぎぬぎさせてね! たしがにれいむがようふぐさん脱ぐのははんざいてきにせくしぃだけど、今はしかたないんだよ!」 だが、脱げない。なんとか脱ごうと転がりながらもがくと、今度は破片が地面に当たり、よりぐっさりと縞パンれいむのあんよに突き刺さる。 「ゆびぃぃぃっ!!?」 縞パンれいむはなおも暴れまわった。だが、港のような開けた場所で、暴れまわることは危険でもある。 「やべでね! どぼじでれいむにひどいごとずるのっ!? れいむは、れいむは群れのひろいんなんだよ!!……あぎゃああっ!!」 「うにゅぅぅぅぅぅぅ……」 上空から一匹のゆっくりが急降下してきた。うつほである。冬直前に、少しでもたくさんの食糧を摂取しておこうと目論んでいるのは、通常種と呼ばれるゆっくり達に限った話ではないのだ。 「うにゅ! よく肥えたれいむだよ! これならさとり様も喜んでくれるよ! うにゅ! うつほのこと、いいこいいこしてくれるよ!」ぱくっと、縞パンれいむをくわえる。 「ゆっぎゃあああっ! やべでね! れいむに何するの!この鳥あたま! ばーきゃばーきゃ!! れいむに何かあったらみんながタダじゃおかないんだよ!」 縞パンれいむの抗議を受けて、うつほが鬱陶しいとでも言いたげな表情をする。 「これ邪魔だよ!」 うつほは、縞パンれいむの履いている縞々パンツ、ゆっくりの洋服をう脱がしにかかる。 「やべで! れいむのおよーふぐぬがさないで! れいぶにひどいことする気でしょ!! えろどーじんみだいにっ!!」 「動かないでね! じゃまだよ!!」 「やべでぇぇぇっ!! れいむのまむまむざんは愛ずるてかてかまりさのものなんだよぉぉぉっ!!」 ぷりんっと洋服を脱がされる。ばらばらと中に入っていた貝が撒き散らされ、イガイの貝殻で傷ついた縞パンれいむ下腹部が露になる。 「ゆんやぁぁぁぁっ!! れいぶの貞操がぁぁぁぁっ!!」 うつほは喚き散らす縞パンれいむの頭をかぷりと噛むと、そのまま地面に叩きつけた。 「ゆぶっ!? やべっ! ぐべぇっ!!」 一回、二回、三回と叩きつけるとさすがに縞パンれいむもぐったりして動かなくなる。 「いろいろごはんさん持ってるれいむを捕まえるなんて、うつほらっきーだよ!!」 うつほは、縞パンれいむの洋服から零れ落ちた貝を集めると、そのまま一緒にうつほの巣へと連れ去って行った。 一方その頃、南の島から来たまりさや、一緒に廃港に来た群れのゆっくり達も、他のゆっくりに遭遇し、どう対処したものか困惑していた。まりさ達は貝を集めるために、廃港の浮き桟橋に向かって跳ねていたのだが、そこには別のゆっくりがいたのだ。 「上陸開始! よーそろー!」 「海の外でもむらむらっするよっ!」 「よーちょろー! よーちょろー!」 水兵帽を被った黒髪のゆっくりが、あんかーを使って、あるいは飛び跳ねるようにして浮き桟橋の上に次々と上陸してくる。むらさ種である。 この辺りの海域は、晩秋が近くなるとミズダコの個体群が餌生物を求めて移動してくる。ミズダコはタコの中でも大型の種であり、その集団は海底の軟体動物や甲殻類を次から次へと捕食……いや、海底を蹂躙していくとでも言った方がいいだろう。 むらさ種は成体になるとかなりの遊泳力を発揮できるようになるが、それでも餌生物の関係上、生活の中心は浅海域の海底付近となる。そのため、ミズダコの群れと生活空間がバッティングしてしまうこの時期は、頻繁に上陸してミズダコの群れを回避するのである。当然ミズダコをはじめ、捕食者は浅海域や港湾内にもいるが、それでも沖合いのそれよりは小さな個体である場合が多く、まだ比較的安全である。そして、むらさ達は沿岸域の海岸で食糧を探したり、ゆっくりしたりするのである。気温や積雪量の違いなのか、地域によっては港湾施設や河川敷、沿岸林で半陸上生活を送るグループも存在するらしい。 「みんな! まずはごはんさんを食べてね! ここまではタコさんも来ないから安全だよ!」 りーだー格らしいむらさが、浮き桟橋に上陸したむらさ達の指揮を取っている。 「きゃぷてん! むらさは、タコさんの触手ぷれいもきらいじゃないよ! よーそろー!」 「変態さんは黙っててね、よーそろー!」 どっと笑い声が溢れる。 「おなかいっぱいになったら、ゆっくりできる場所を探すよ! タコさんがいなくなるまでゆっくりするよ! ゆっくり理解してね!」 「「あいあい、きゃぷてん! よーそろー!」」 そして、むらさ達はせっせと岸壁からイガイやカキを採集すると、帽子の中に隠したあんかーによってかち割り、む~しゃむ~しゃタイムを堪能し始めた。 それを見て驚き、そして憤ったのは、あの南の島から来たまりさである。 「ちょっと待ってね! そこのごはんさんはまりさが見つけたんだよ! 分けてあげるから、勝手にむ~しゃむ~しゃしないでね!」 まりさは心から憤慨した。ここは、みんなのためにまりさが何日も費やして見つけた餌場だった。そして、む~しゃむ~しゃのための時間だった。 「なんで勝手にみょん達のごはんさん食べてるみょん!」 「泥棒さんなんてとかいはじゃないわ!」 「ゆゆ!?」 南の島から来たまりさをはじめ、群れのゆっくり達はせっかく新規開拓した餌場にむらさが侵入したことで激昂した。 「な、なに言ってるの!? ここはずっとむらさ達がごはんさん集めてきたんだよ! ゆっくり理解するのはそっちの方だよ!」 だが、むらさ達にしてみれば、毎年利用してきた場所の所有権を、いきなり見たことも無いゆっくりから突きつけられたに過ぎなかった。長く、この廃港に近づくゆっくりは少なく、今の世代のむらさは知らなかったが、この廃港が廃港となる以前からむらさの生活圏に入っていたのである。 そのため、むらさ達にしてみれば、当然自分達の餌場であり、上陸地点だと認識していた。海中は広く、海岸線も広い。しかし、食糧資源の確保、人間の活動や捕食者の活動の回避、秋に生まれた子むらさのために波や強い潮流のない場所……より良い場所を求めようとすれば、自ずと制限が生じてしまうのである。そして、干潮時というのは、大型魚類などが浅海域に来れない時間帯であり(当然例外や、魚以外の捕食者もいるのだが)、上陸や遊泳中の安全を図るには都合の良い時間帯であった。 「むらさ達はさーち・あんど・ですとろいだよ! 挑まれたら全力で戦うよ!」 「海兵隊は最強っだよ! よーそろー! ゆっくり理解してね!」 「ちがうよ! むらさ達は海軍陸戦隊だよっ! よーそろーっ!」 むらさ達は海へと逃げ込まず、桟橋上であんかーを構えた。成体になったむらさは、陸上においてもその機動力や頑丈さは普通種に決して劣るものではないが、逆に言えば、その程度とも言うことができた。 「ゆがぁぁぁぁぁぁっ!! ここは、まりさがっ! まりさがぁぁぁっ!!!」 南の島から来たまりさは勇敢にも先陣を切って跳ねた。せっかく自分の力を認めてくれたゆっくり達を、そして信用を失いたくなかった。 「陸の上でれいむ達に勝てると思ってるの? バカでしょ? ゆっくりしないで死んでね!」 「……ごはんさんのためみょん……悪く思わないで欲しいみょん……」 続いて林の群れのゆっくり達も、我先にと階段を跳ね降り、むらさ達と対峙した。 「ゆっくり死ねー!」 「全速前進! よーそろーっ!」 むらさ達は自慢のあんかーを振るって戦うが、群れのゆっくり達も貝を取るために持ってきた釘だの棒だので応戦する。 両者が遭遇した時のタイミングが悪かった。冬眠直前の食糧収集にピリピリした時期でなければ、むらさ種の繁殖シーズン直後でなければ、また違った結果になっていたかもしれない。むらさ種は水棲ゆっくりである。通常は水の下の餌を食べており、当然岸壁の貝類以外にも餌資源はいろいろあるし、満潮時なら陸棲ゆっくりに邪魔されることなく、水面下に沈んだ岸壁の貝類を食べることが出来る。 しかし、今は沖合いのミズダコの回遊から逃げるために上陸しに来た。そして、上陸のタイミングとして、海が退いて水面が海藻の生い茂る辺りまで下がってくる干潮時は、視界の関係上、捕食者を回避するために有効なタイミングだった。 南の島から来たまりさも、普段自己評価が低いがゆえに、返って今回の貝類資源の開拓には、みんなのために頑張ることができたという強い自負があった。それもまた、好戦的な態度につながったのかもしれない。 いずれにせよ、所用で遅れてきた長もみじが廃港に到着したとき、そこは既に修羅場と化していた。 「わふっ!? みんな何してるんですか!?」 「ゆっぎぃいい!? どぼじで! どぼじでおべべが見えないのぼぼぼ……」 「むらさは……もっどむらむら……」 既に双方ともに死傷者が発生しており、このまま仲直りは有り得ない状況だった。 優勢なのは林の群れの側であった。むらさ達はまだまだ幼い赤むらさや子むらさを連れており、それを守りながら戦わなくてはならなかったからだ。脆弱な赤ゆ、子ゆは、海中に逃げさせ、成体だけで戦えばいいものを、むらさ達はそれができなかった。第一に、子供たちは好奇心旺盛であり、戦闘中にどこかに行ってしまう危険性があること、第二に、港の中にはアイナメやギンポが多数生息しており、親から離れての行動は死を意味すると言っても過言ではないからである。 「むぅぅぅ……このままじゃ、みんなやられちゃうよ……みんなでむらむら出来なくなっちゃうよ……!」 むらさ達のりーだーは、数匹のむらさと共に海に飛び込んだ。 「やったよ! まりさ達の勝利だよ!」 敵が逃げたと勘違いした南の島から来たまりさが、勝利の雄たけびを挙げる。まりさにとっては、初めてまともに戦った戦いであり、勝利であった。林の群れのゆっくり達もそれに続く。 「ゆふーん! あれきさんだー大王よりも偉大なまりさ様の力を思い知らせてやったんだぜ! たいしたことなかったんだぜ! まりさ様のうんうんを煎じて飲むといいんだぜ!」 「おちびちゃんを残して逃げるなんてさいっていっの親だみょん! 敵ながら情けないみょん!」 敵のりーだーの逃亡に、林の群れのまりさ「様」とみょんは、一斉に罵詈雑言を浴びせかけた。だが、むらさ達は逃げたわけではなかった。 海中に飛び込んだむらさ達は浮き桟橋横の水面に一列横隊を組む。 「目標敵ゆっくり! ぎょーかく、いい感じ! 斉射で行くよ!」 「「よーそろーっ!」」 合図と共に、むらさ達は一斉に海水を口に含んだ。 「てー!」 むらさ達は口をすぼめ、海面から一斉に水鉄砲を放つ。それは、夏に水浴びなどで通常種がよくやるそれとは、威力も精度も段違いであった。 「ゆっぎゃあああああっ! しみるぜえええっ! までぃざのおべべにしみるんだぜえええっ!」 「ゆべべべぇ! やめるみょん! しょっぱいみょん!」 たった数匹のむらさによる「艦砲射撃」であったが、それでも海水に無縁だった林の群れのゆっくり達には有効だった。 「みんな慌てないでね! ゆっくり逃げてね! お水さんはゆっくりできないけど、みんながゆっくりできないともっともっとゆっくりできなくなるよ!」 南の島から来たまりさは、必死にみんなを宥め、落ち着かせ、一度階段から撤退させようとした。だが、場は混乱していた。 「ゆぎぃぃぃぃ!! れいむをゆっくりさせないゆっくりはじねええ!!」 「いやぁぁぁぁ、ありすのびはだがぁぁぁぁぁっ!! ゆべっ!?」 林の群れのゆっくり達が海水に怯んだ隙を見計らって、桟橋上に残っていた他のむらさ達が反撃に転ずる。むらさ達にしてみれば、海水の水鉄砲に巻き込まれたところで、そよ風に吹かれたようなものであった。中には集中砲火ならぬ放水を浴びて、あんよが崩れてしまったゆっくりも出始めた。 「どぼじでぇ! どぼじでまりさ様のたくましすぎるあんよさん動かないんだぜぇぇ!? いじわるはよすんだぜ! はやく動くんだぜ、このくそあんよっ!!」 「よーそろー!」 そこへ一匹のむらさが襲い掛かる。 「ゆわああああ! はやくしないとまりさ様がやられちゃうんだぜ! それはせかいてきそんしつなんだぜ! うごくんだぜ、いい加減にするんだぜ!! むきいいいいいい! バカなの、このあんよ!? まりさ様を怒らせるとどうなるがぶふっ!?……どぼじでなんだ……ぜ……なんでまり……様がこんなところで……」 むらさの石灰質のあんかーがまりさ「様」の頭部に深々と打ち込まれる。 「ゆぎゃああああっ! ゆべべ!? ばっびぶっべぼぅっ!!?」 何事が奇声のような悲鳴を挙げながら、まりさ「様」は必死におさげをぷるぷると振り回した。むらさは第二撃をくわえるため、一度あんかーをまりさ「様」の頭から離す。そのとき、まりさ「様」の金髪がぶちぶちとあんかーに絡まって引きちぎられた。 「までぃざざまのこむぎばたげのようなきんいろのかびざんがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」 まりさ「様」は自慢のさらさらへあ~が餡まみれになり、その一部をちぎられたことで戦意を喪失した。逃亡をはかったのである。 「ゆがああああああっ!! どぼじでまりざざまがごんなめにあわなぎゃいげないのぉぉぉぉっ!? かみざまはなにじでるの!? ばがなの!?」 だが、戦場で敵に背を向けることが意味することは一つだった。 「逃がさないよ! けつあんかーっ!!」 「あっぎゃああああああああああああああああああっ!! まりざざまのへぶんずげーとがぁぁぁぁぁぁっ!!?」 まりさ「様」のあにゃる深くに打ち込まれたあんかーは、まりさ「様」が暴れることによって同時にあんよをも破壊した。もうまりさ「様」は逃げることも出来ない。 「ゆぶぶぶぶびびびびび!!? いじゃいいよおおおおおっ! ぐっぎぃぃぃぃ!! なんでなんでこんなべにぃぃぃぃぃっ!?」 しかし、このむらさはあんかーをまりさ「様」のあにゃるから引き抜くと、次の敵と戦うために動いた。もう戦闘能力を喪失したまりさ「様」を振り返ることはなかった。まりさ「様」はとどめもさされず、もう少し苦しみ続けることになったのである。 「わふっ? どうしましょう、このままじゃみんな永遠にゆっくりしてしまいます……く~ん、こうなったら!!」 ここに来て、林の群れの長もみじは、傍観者ではなく、全体の指揮を取る事にした。過程はどうあれ、争いになってしまった以上、みんなの命を守らなければならない。 もみじはみんなに、浮き桟橋から、階段を通じて上方に逃げるよう指示を出すと、周囲にいたゆっくりに石やアスファルト片を集めさせた。ここは廃港、アスファルトはあちこちで割れている。上から落とすものなどいくらでもあった。 「敵を潰します! せーの、で落としてください! 行きますよ! せーのっ!」 「「せーの! ゆっくり死ねぇぇぇっ!」」 一斉に岸壁上から石やアスファルト片が落とされる。アスファルト片は下方にいるむらさの頭を、眼を、水兵帽を、次々と打ち砕き、潰していった。 「ゆべぇっ!!?」 「ゆっがあああああっ!? むらさのむらむらするほっぺたがああ!? ぶっばっ!?」 「あ゛あ゛あ゛……目がぁぁぁ……目がぁぁぁっ!」 「いじゃいいい! いじゃいいい! なんいもびえない……だじゅげでぇぇぇぇ!! もっともっとむらむらじだいいいいい!!!」 上方からの落石攻撃の前には、浮き桟橋の上にいようと、海水表面にいようと変わりはなかった。違いがあるとすれば、浮き桟橋の上にいたむらさは、べっとりとした花を咲かせて死んでいく、それだけのことだった。咄嗟の判断で海中深くに逃げられたものだけが助かり、他はあたふたするので精一杯だった。 「わおおおん! 第二陣行って下さい!」 さらに落石攻撃が続行される。 「ゆっひいいいいい!! むらさのおおうなばらをきりさくあんよがぁぁぁぁっ!! やべでぇぇぇ!! とんとんとんつーつーつーとんとんとんだよぉぉぉゆべっ!?」 「ゆぎ! ゆぎぎぎぎぎ! いい気味だよ! まりさ様をこんな目に合わせたぐずどもはじねぇ! みんなみんなつぶれでじんでじまべっ!?」 負傷により逃げ遅れたまりさ「様」も落石の被弾を受け、とどめをさされたが、誰も気付かなかった。 「無駄な抵抗はやめていなくなってね~、分かってね~!」 「じゃおおおん!」 「落とすものがないから、れいむのうんうんをあげるね、ゆっくり味わってね!」 ぶりゅ、ぶりゅりゅりゅりゅ…… 「つむりはしーしーするよ! ゆっくりしてないむらさはこれでもくらうといいよ!」 じょんじょろりん…… 中には落とすものがなかったのか、うんうんやしーしーをするものもいた。 「ゆんやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!? これしーしーだぁぁぁぁぁぁっ! くざいよっ! くさやよりもくっさいよぉぉぉぉっ!!」 「あぎゃあああああ!! むらさの!? むらさのかいようしんそうすいで磨かれたたまのおはだがぁぁぁぁぁっ!!!」 階段を上って反撃しようにも、そこには林の群れのゆっくりが待ち構えている。ここに来て、りーだーむらさは逃亡を選択せざるを得なかった。 顔にぶつけられたうんうんをぺっぺっと吐き出しながら、きゃぷてんむらさは命令を叫ぶ。その片目は既に、石で潰されてどろりとしたものが付着していた。 「おちびちゃん達、早く海に入ってね! 生き残りのむらさはおちびちゃんを守ってね! とりあえず港から出るよ! 撤退だよ!」 「「よ、よーそろ~!!」」 「「よ~ちょろ~っ!」」 次々と海中へと撤退するむらさ、その音に反応してきた魚から赤むらさ、子むらさを守るように球形陣を組もうとする。しかしながら、既に元気に動ける成体の数は減っており、負傷者や幼いむらさなど、脱落者を次々と出しながら、必死にどこかへと逃げて行った。 「ここまでです! 無駄な追撃はしないでください! ごはんさんを取ったら、速やかにおうちに帰りますよ! 負傷者はこっちに……」 その後、長もみじの指揮の下、貝類や海藻を採集すると、林の群れのゆっくり達は巣へと帰って行った。南の島から来たまりさも、いくつか小さな傷を負ったものの、元気に巣で待つれいむのもとへと帰って行った。 この地に初雪が降ったのは、それから一週間後のことだった。 「ゆわぁん! とっても冷たいよ! でもとってもゆっくりしていて綺麗だよっ!」 「まりざーっ! この白いのあまあまじゃないよぉぉぉぉっ!!」 南の島から来た二匹が生まれてはじめてみる雪だった。 北の大地の晩秋が終わり、冬が到来するのはあっとう間だった。ゆっくり達は知る由もなかったが、今は人間の暦で十一月、これから早くても二月、遅ければ三月くらいまで冬眠しなければならない。 ぎりぎりまで食糧を集めようと粘るゆっくりも少なくなかったが、大地が真っ白に雪化粧する日が増えるに連れて、日陰の霜柱が恒常的なものになるに連れて、ゆっくりは動くことすら億劫になっていた。気温の低下と共に、ゆっくりの体も冬眠モードに入りつつあったのだ。 だが、冬の眠りにつく前に、その億劫な体に鞭打ってやらなければならないことがあった。巣の入り口の封印、食糧の分配、水源の確保である。まず行うのは、食糧の配布である。この群れのりーだーである長もみじが、各家庭を見て周り、不足している家庭に食糧を群れの備蓄から分け与えるのである。 「ここは、さなえとみょんのおうちですね! こんにちは、もみじですよ! ゆっくりしてますか?」 長の呼びかけに、枯れ草のベッドで談笑していたさなえ、みょん夫婦がいそいそと顔を出す。 「こんにちは、りーだー! みょんたちはゆっくりしているみょん!」 「こんにちは! もみじはいつもゆっくりしてますね! とってももふもふです!」 「ここのごはんさんはどうですか? たくさんありますか?」 「大丈夫っだみょん! さなえがたくっさんっ集めてくれたから、きっと冬さんをゆっくり過ごせるみょん!」 長もみじはちらりとおうちの隅に集められている食糧の山をのぞき、みょんの言葉が偽りや驕りではないことを確認した。 「本当ですね! みょんとありすはゆっくりできてますね!」 長もみじは二言、三言挨拶を交わすと次のおうちへと跳ねていった。 このような群れの備蓄食糧の分配時において、遊びほうけていた家庭が爪弾きにあったり、のさばっているゆっくりが自分の分を多めに確保するのは、ゆっくりの群れにおいて日常茶飯事であるが、幸い、この群れは皆一生懸命食糧を集めてきた。そのため、再配布において、不平云々が持ち上がるような事態にはならずに済んだ。 次にもみじがやってきたのは、あの南の島から来たまりさとれいむのおうちだった。だが、まりさは群れの作業に従事していたため留守であった。おうちの中にいたのは、パンツと形容される、ゆっくりの洋服を着こんで丸まっているれいむだった。南方生まれのれいむにはここの冬は寒いのだろう、もみじが訪ねていっても、応対するその動きは緩慢なものであった。 「大丈夫ですか、れいむ? 寒いのですか?」 長もみじが心配そうに声をかける。 「さ……さ……さぶ……さぶぶ……」 「え? なんですか? 良く聞こえません……さぶちゃん?」 「さぶいにぎまっでるでじょおおおおおおっ!! あと、れいむは鼻めどそんなにおおぎくないでじょおおおおっ!!」 あまりの迫力に、思わずもみじは後ろに飛び退いてしまう。それを見てれいむもはっと気がついたような表情をした。 「ああ、ゆっくりごめんね、もみじ! ちょっとさぶがったからい~らい~らしてただけだよ! ゆっくり気にしないでね!」 「は、はあ……」 もみじは南国出身のまりさとれいむのために、おうちの位置、ゆっくりの洋服などいろいろと便宜を図ってきたが、それでもやはり気候が違いすぎるため寒いらしい。それでもなお、群れのために動いているまりさの根性こそ賞賛されるべきであろうか? とりあえず、もみじはここに来た目的を果たすことにした。食糧備蓄状況のチェックである。 「ゆぅ? ちょっと少ないですね……」 長もみじはまりさが必死にごはんさんを集めていたを知っていた。れいむもおうちを暖かくすべく、枯れ葉をせっせと持ち込んでは敷き詰めたり、敷物を作ったりしていたのを知っていた。 だが、やはり異郷のゆっくりである。集めているごはんさんのほとんどは、水気の多い木の実や小型のバッタなどばかりであった。この群れでは、この時期、長期保存できるごはんさん、即ち堅果類やミノムシなどを蓄え、準備のいいゆっくりは前持ってヤマブドウを干しておいたり、越冬昆虫がぎっしり詰まった木片を蓄えていた。 長もみじは、群れの食糧倉庫から、堅果類をどさりとれいむのもとに運ばせておいた。もみじの経験に照らし合わせると、この堅果類と、南の島から来たまりさが自力で集めたごはんさんをあわせれば、ゆっくり二匹どころか、三、四匹は越冬できるはずだった。 「とりあえず、これだけあればきっと冬さんをゆっくり越せますよ! 食べすぎには注意してくださいね!」 「ゆあああああああああっ!! すごいよっ! ありがとうもみじ! もみじはとてもゆっくりしてるよ!」 長もみじはてきぱきと各おうちを回り、食糧配給を済ませると、もう一つの作業の様子を見に行くことにした。南の島から来たまりさもその作業を手伝っているはずだが、あのれいむの様子から見て大丈夫だろうか? 何せこちらの作業は、この北の大地で生まれ育ったゆっくりでもつらいものだから。 「ゆええええ!! ちべたいいいいい!!」 「まりしゃのべろさん、にゃにもかんじないよぉぉぉぉぉっ! まりしゃのべろさんゆっきゅり! ゆっきゅりしてね~!」 「それくらいで泣いちゃ駄目だよ、おちびちゃん! おちびちゃんはもうあだるとさんなんだよ!」 それは、雪の運搬である。 この洞窟奥には地下水が湧いている地点が何点かあったが、そこまでゆっくりの移動力で行くのは、至難とは言わずともかなり大変なことであった。おまけに、ここは洞窟である。入り口を塞いでしまえば、明かりは天井に空いた幾つかの小さな穴からしか入り込まない。一部にはヒカリゴケの類が棲息しているものの、ヒカリゴケはそれ自体が光を放っているわけではなく、反射によって光っている。よって、冬眠期間中に洞窟奥まで行くのは、ゆっくりの視力と入り口封鎖時の明るさからほぼ不可能であった。 この群れの越冬準備においては、雪を洞窟内に溜め込むことこそが水源の確保なのだ。雪の塊を洞窟内の大きな窪みや各おうちにある小さな窪みに運び込み、溜め池を作るのである。洞窟内は寒いとは言え、入り口を封鎖すれば外気温よりも高くなり、気温の変動も抑制できる(明かりが漏れてくる小さな穴が幾つかあるので、完全に抑制できるわけではないが)。 万が一、雪が溶けなくても、それを少量ずつ口の中に放り込んで、そっとぺーろぺーろすれば、越冬中ののどの乾きを癒すぐらいのことは十分にできるのだ。 「まりさは誰よりもたくさん運べるゆっくりなんだぜっ! まりさのこと、もっともっとりすぺくとしていいんだぜ! ゆんしょ! ゆんしょ!……ゆヴぇえええ!! まりさのお帽子がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! マルイのてんいんさんも、ゆっくり似合ってるって言ってくれたのにぃぃぃぃ! ぺ~ろぺ~ろ……お帽子さんゆっくりなおるんだぜ!……ぺ~ろぺ~……ゆっひいいい! つめたくてゆっくりできないんだぜぇぇぇぇ!!」 ちなみに雪の運搬は、お飾りなどに雪を積み込んで持ち込むことになり、作業の性質上、大きな帽子を持ったまりさ種やちぇん種が総動員される。まれに器用なありす種が、枯れ葉などで袋状のものを作り上げて参加することもある。 南の島から来たまりさの姿も、作業に従事するゆっくりの中にあった。 「ず~りず~り……ず~りず~り……ゆふぅ……まりさ疲れちゃったよ……」 南の島でも帽子にモノを入れて運ぶことはあった。……というよりも、まりさ種にしてみれば帽子にモノ、主に食糧や赤ゆを入れて運ぶことは珍しいことではない。 しかし、雪を入れた場合、冷たさと重量から、いつものようにモノを入れたまま帽子を頭に被る、という芸当ができない。口を使ってずりずりと引っ張るしかないのだ。これは慣れない作業だった。その上、帽子に穴が開かないか心配でもある。 「もう少しだよ! ゆぎっ!? ゆ~……まりさのお帽子さんにまりさの歯型がついちゃったよ!……ゆぅ……まりさのお帽子さん……」 事実この群れでは、ほかの群れに比べて帽子がなんらかの形で破損している個体が多かった。そして、その破損の大部分はこの作業によるものだった。そのため、この群れではお飾りの破損には寛容であり、作業中の破損は名誉の負傷のように扱っていた。 この、南の島から来たまりさも、自分の帽子に歯型をつけてしまったことで落ち込んだが、諦めたのか、しばらくうなだれた後に作業を再開した。ただし、帽子を引っ張るために噛み付く部位は変えて。 「わふ! 大丈夫ですか、まりさ?」 「ゆゆ? まりさの……おぼうじぃ……」 まりさの帽子はもみじから見ても危なかった。全体が濡れてぐずぐずになっており、このまま堅い地面を引きずったり、小石や枝にひっかかるようなことがあれば、そのまま千切れてしまいそうだった。 「それは雪さんの詰め込みすぎです! 少し減らしましょう! 一度にたくさんやるよりも、何度もちょっとずつ運んだほうがゆっくりできますよ!」 もみじは、まりさが運んでいた雪の量を半分に減らさせ、持ち込むようアドバイスした。その半分も持っていければいいのだろうが、お飾りが小さいもみじ種では雪の運搬は不可能に近いのだ。 「でも、でもそれじゃせっかくのお水さんのもとが……」 自分でひどい目にあっていながらごねるまりさ、そんなまりさを諭すようにもみじはゆっくり語りかけた。 「大丈夫です。ひとりだけで無理しなくても、みんながちょっとずつ頑張ってくれれば群れはゆっくりできます! みんなでゆっくりできるんですよ!」 「ゆぅ、ゆっくりわかったよ……でもまりさはみんなのためにもっとゆっくり頑張りたかったよ!」 「まりさのその気持ちはとってもゆっくりしていますよ! ですから、まりさがゆっくりできるよう頑張ってくれれば、きっとみんなゆっくりできますよ!」 まりさは薄々自分の心に感づいていた。 とっくの昔に自分の才能、未来に諦念を抱いていたまりさは、この別天地にて、ゆん生をやり直そうという気持ちが強くなっていた。南の島では平凡なゆっくりに過ぎなかったまりさも、ここでなら、ほかのゆっくりが持たない知識、技術を持っているゆっくりでいられる。今度こそみんなに認められる存在になれるのではないかと、その餡子の中に燃え上がる野心を再点火させようとしていた。 まりさはこの長もみじを素晴らしいゆっくりだと思っていた。人徳ならぬゆん徳とでも言うべきだろうか? 特に厳しい規律があるわけでもなく、強力な親衛隊に守られているわけでもない。それなのに、皆、もみじの指示に異議すら出さずにせっせと群れのために動いている、そして十二分にゆっくりしているのだ。まりさは、そんなもみじにこそ、自分のことを認めてもらいたかった。それは、友情と憧憬と羨望と虚栄心、そしてスパイシーな嫉妬の混じった感情だった。 その翌々日、巣の入り口は、枯れ葉、枝、小石などをゆっくりの唾液で固めたものによって塞がれた。光は、ただ数条が天井にある幾つかの小さな穴から差し込むだけだった。所々に生えたヒカリゴケがその光を反射するが、それでも洞窟内は薄暗く、ゆっくり達はかなり近づかなければ、相手の顔も判別できなかった。 これから数ヶ月は、ゆっくり達はこの薄暗い洞窟内で、貯蓄された水、食糧だけで生きていかなければならなかった。 南の島から来たまりさとれいむは、長もみじから、これからの冬の過ごし方について簡単なレクチャーを受けていた。 「ごはんさんは一日にこれくらい食べてくださいね!」 そう言ってもみじは、一枚の葉っぱの上にどんぐりを盛って見せた。それは明らかに一日分としては少ない量だった。 「ゆゆ!? そんなにちょっとじゃ全然ゆっくりできないよ!」 「もみじは、一回のごはんさんと一日のごはんさんを間違えたんだよね? ゆっくりまりさに教えてね!」 まりさは、もみじが一食分と一日分とを間違えたのではないか、と考えたようだ。だが、もみじは穏やかに首(?)を振った。 「もみじは間違えていませんよ! これが一日分のごはんさんです! 大丈夫ですよ、冬さんになるとみんなごはんさんをたくさん食べなくてもゆっくりできるようになるんです!」 もみじは冬の間、越冬中は春、夏、秋のようにがつがつ食べなくても、すぐにおなかがいっぱいになってゆっくりできる、少ないごはんさんでもゆっくりできると説明した。 まりさとれいむの二匹は納得がいかないようだったが、とりあえず、経験者の言を信じるしかなかった。 「もみじ、ゆっくり聞いてね? もみじ達は冬さんの間、ゆっくりゆっくりす~やす~やしてるって言うけど、本当なの? まりさがゆっくりしていた場所では、みんながす~やす~やしてたのは、冬さんでも夜だけだったよ?」 まりさは不安だった。そもそも冬眠などしたことも見たこともないのだから。 「大丈夫ですよ、ここではみんなそうやってゆっくりしてるんです! まりさとれいむもきっとゆっくりす~やす~やできますよ!」 一方のもみじにしてみれば、冬にゆっくり眠らないゆっくりなど見たことも聞いたこともなかった。寒くなれば、自然とそうなるものだった。 巣の入り口、崩れかけた洞窟の入り口を枯れ葉と枝で塞いでから三日後、既に何匹かのゆっくりは巣で眠りについていた。 南の島から来たまりさは、番のれいむと共に洞窟奥の広場で他のゆっくりと共に談笑していた。 ここは、普段居住区として利用している部分よりも、やや奥まったところにあり、天井も高く、広い空間になっている。天井には、幾つか小さな割れ目があり、そこから日光がうっすらと差し込んでいた。既に入り口を塞いだ居住区画はほとんど光が入り込まず、歓談などには適していないのだ。 冬眠は孤独だ。おまけに誰もが眠ろうとしてすぐ眠れるわけではない。無事冬眠後目覚められるかどうかも分からない。有り得るかどうかはともかく、洞窟の崩壊、食糧不足、捕食者の侵入……春を待たず永遠にゆっくりする「可能性」はいくらでもある。だから、最後の別れを惜しむかのように、本格的に眠くなるぎりぎりまで、ゆっくり達はこの広場でむ~しゃむ~しゃをし、語り合うのだ。 どうせ、ここまで気温が低下した時点で、ゆっくり達の代謝はかなり下がっている。む~しゃむ~しゃすると言ってもドカ食いなどできない。巣の入り口を閉め、広場に集まった当初はそれなりにむ~しゃむ~しゃできるが、次第にみんなおなかがすかなくなり、動くのも、しゃべるのも億劫になっていく。それが冬眠の合図だ。冬眠の合図に気がついたゆっくりは自らのそのそと巣に戻り、長い眠りにつくのである。 ゆっくり達は、越冬用の保存食ではなく、この「最後の晩餐」のために用意しておいた昆虫だの瑞々しい木の実だのを持ち寄って来た。まりさの知識と技術がこの群れに新しい味覚を開拓させたのだろう、中には何種類もの海藻を持って来たゆっくりもいた。 それらをむ~しゃむ~しゃしながら、ゆっくり達は個別に小グループに分かれて談笑していた。 個別での挨拶と談笑が一通り済むと、一匹の帽子も顔もてかてかしたまりさが、石ころの上に飛び乗り、皆の注意を喚起した。 「れでーす・あーんど・じぇんとるめーん! 今夜はこのまりさ様のほっとでわいるどなお話を聞かせてやるのぜ!」 てかてかまりさの声に呼応するかのように、あちこちから叫び声、というよりも野次が帰ってくる。 「引っ込め変態!」 「種馬さん乙!」 このてかてかまりさは、この群れ一のぷれいぼ~ゆなのだ。この群れは老若合わせても、全部で十数家族と十匹前後の独身ゆっくりで構成されており、全個体数は四十~五十匹の範囲内で前後してきたのだが、てかてかまりさは今年だけでも十匹以上のゆっくりとすっきりをしたという。どうも町の飼いゆや野良ゆにまで手を出しているようだった。 「……というわけで、最後にはまりさ様を野生のゆっくりとして見下していた、野良のれいむも、まりさ様のぺにぺになしでは生きていけない体になったんだぜ! ゆふふ! これもまりさ様の魅力ゆえなんだぜ! 次にまりさ様は飼いゆっくりの美ぱちゅりーのあにゃるを……」 なんだか疲れたような眠たいような笑い声とともに、からかうような罵声が飛び交う。 「ぺにぺにもげてしまえ!」 「えっちなのはいけないと思います」 「ただのすっきりまんじゅうはゆっくりできないよっ! わかってねー!」 次に話をする担当になったのは、一匹のてんこだった。 「てんこはね、発見したの! いがぐりさんにあんよを押し付けるようにしてごろごろすると、とってもすっきりできるのっ! 気分はとってもでぃすかばりー!」 「「……」」 てんこは延々と、今年あった「ナニコレ気持ちいいっ! 死んじゃうぅぅっ!」なことについて話していく。 相変わらずからかい半分に罵声を浴びせるもの、ゆっくり笑い転げているものもいたが、三分の一くらいが明らかにドン引きしていた。 「ここよ! てんこのここにとげとげさんをぶっさすと、ぎもじいいっのぉぉぉ!! ああっ! もう神様! この気持ちよさ信じられないっ!」 途中からなぜか公開XXXX(自主規制)になってしまい、てんこは強制退場させられた。次に話し手として選ばれたのは、南の島から来たまりさだった。 「ゆぅ? まりさはなにを話していいかなんて分からないよ!」 その上、てんこのせいでとても自分の話を朗々と語りかける空気ではなくなっていた。 「もみじは、まりさがゆっくりしていた、あったかい島の話が聞きたいです! どんなところでしたか? どんなものをむ~しゃむ~しゃしてましたか? どんなゆっくりがゆっくりしていましたか? ゆっくり聞かせてくれませんか?」 もみじが音頭を取って、なんとか場の空気を修復しようとする。 「ゆぅ……」 ちらりと周囲を一瞥する。勝手に近くのゆっくりと話し込んでいるゆっくりもいたが、期待を込めた目でこちらを見ているゆっくりも少なくなかった。 「じゃあ、ゆっくり話すよ……」 まりさはみんなに話して聞かせた。自分の生まれ故郷、南の島に伝わるゆっくりのお話を。 青い碧い海の話、夏の雨さんが大暴れする時期のこと、白くて熱い夏の砂浜、色とりどりの花と甘い蜜、ゆっくりの世界を蹂躙する大きなヤシガニさん…… 「ゆゆ!? 何言ってるの! 海さんは灰色がぐんじょー色なんだよ! こばるとぶるーさんなんて意味不明っだよ! サンゴなんて知らないよ!」 「なんでそんなに雨さんが降るのぉぉぉぉっ! そんなに強い雨さんが降ったらゆっくりできないでしょぉぉぉぉぉっ!!」 「ありすもそのさとうきびさんをむ~しゃむ~しゃしてみたいわ! きっととかいはな味ね!」 まりさの話が一段落すると、みんな勝手な感想を喚き始めた。 次にまりさが話したのは、かつて、まりさの両親が暮らしていたという群れに伝わるお話の数々だった。 キングベヒんもスとの死闘、勇敢なまりさの冒険譚、海岸の賢者の奮闘記、ネズミの王様の伝説…… 「ネズミの王様にはおちびちゃんとかいなかったの? そんなに偉かったのなら、きっとたくさんすっきりして、たくさんのおちびちゃんとゆっくりしたよ!」 「トラさんに育てられて、島の外へでかけていったと聞いてるよ! まりさのおとーさんおかーさんも、そのネズミの王子様と一緒にまりさがゆっくりしていた島に引越ししたって聞いてるよ! でもその後どうなったかは知らないよ! まりさはネズミの王様も王子様も見たことなかったよ!」 自分達の群れの出自や、まりさが生まれた島にどうやって来たのか、来てからどうやって今までゆっくりして来たのか……まりさはもっとお父さんに聞いておけばよかったと思った。 そんなことを考えていたら、ふと忘れていた南の島の臭いがふわっと蘇った気がした。帰りたかった。あの暖かく、眩しい島へ。 甘い甘い花の香り、派手で元気な植物の臭い、強烈なスコールの飛沫、その後の清々しいまでに突き抜けた空、むわっとした熱気に包まれて見上げるお星様の群れ、粘っこい森の空気とどこからかこちらを見つめる眼…… 恐怖ですら懐かしかった。そんなまりさの回想に小石を投じたのはぱちゅりーの一言だった。 「ふわぁぁぁ……ゆぅ、ぱちぇは眠くなってきたわ……また春になったらゆっくりおしゃべりでもしましょう……おやすみ、まりさ、みんなゆっくり良い冬を……」 ぱちゅりーは最早跳ねる気力もなかったのか、ずりずりと気だるそうに体を引きずりながら、薄暗い空間を巣へ向かって這って行った。 それが合図であったかのように、一匹、また一匹と楽しい歓談の場を後にし、長い眠りへとついていく。 「まりさのお話すごかったわ! 春になったら続きをてんこにもっともっと聞かせてね!」 「ゆゆ? 了解っだよっ! てんこもゆっくり眠ってね! 春さんになったらまた会おうね!」 「ちぇんも眠るんだね~……春さんが来たら、またゆっくりお話したいんだね~……じゃあね、りーだー、ちぇんは眠るんだね~」 「おやすみなさい、ちぇん! もみじはまたちぇんと一緒に狩りができるのを楽しみにしていますよ!」 それからもまったりとした空気で宴会は続けられたが、翌日になる頃には、半分以上が冬眠のために自分のおうちへと帰ってしまっていた。 そして、次に大あくびをしたのは、長であるもみじだった。 「ゆゆ!? もみじももうゆっくり眠っちゃうんだね……」 正直、まりさは寂しかった。これから数ヶ月、番のれいむとしか会えないのがたまらなく寂しかった(元々、番に、れいむにそういう面では何も求めていなかったのもあるが)。 「まりさ、冬さんが終わったら無事帰れるといいですね! でも、まりさがその気なら、ここでずっとゆっくりしてもいいですよ! もみじはまりさみたいなゆっくり、嫌いじゃないですから! またゆっくり狩りでもしましょう!」 そう言ってもみじも自分のおうちへと跳ねていってしまった。 「ゆっくり、おやすみ……もみじ……」 まりさは不安だった。初めての「冬眠」を無事行うことができるのか? まりさは寂しかった。せっかく馴染んできたゆっくり達ともっともっと話したいのに、みんなは眠らなければならなかった。 数時間後、そして誰もいなくなった。残ったのは、南の島から来たまりさとれいむだけだった。 「れいむ、みんなゆっくり眠っちゃったから、まりさ達もおうちでゆっくり眠ろうか?」 「冬さんまでずっとゆっくりしてていいなんて、とってもゆっくりしてるよ!」 れいむは初めての冬眠に対する不安などないようだった。 「れいむ? 大丈夫、寒くない?」 「寒いよ……でもたくさんごはんさんをむ~ゃむ~しゃしたから平気だよ……」 賑やかな宴会が終わってみると、洞窟の寒さが身に染みてきた。これでも外よりは暖かい、ともみじ達は言っていたが、ゆっくりの洋服を着てベッドに潜り込んでないと、お世辞にも暖かいとは感じられなかった。 そんな話をしていたが、数時間もすると話すネタなどなくなってしまった。そうこうしているうちにまりさは眠くなってきた。 れいむの方を見ると、れいむはベッドですやすやと寝息を立てているようだった。 これが、冬さんになれば自然と眠くなる、というやつだったのだろうか? まりさはそんなことを思いながら、ゆっくりとまどろみの螺旋の中へ落ちて行った。 つづく 作:神奈子さまの一信徒