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政治体制 資本主義、民主主義、二院制を採用 公用語 日本語、カザフスタン語、ロシア語 国家元首 ハサン・ラ・ヘアポル 各国務大臣 外務大臣アポナルオ・マルコス 国防大臣山本五十郎 農林水産大臣エモマリ・カリーモフ 国土開発保全大臣レフ・カチンスキー 国家特殊公安局長ヨーラン・パッション 首都 タシケント 最大都市 アシガバード 滅亡の歴史 突如崩壊したアオテアロアに軍を派遣することを同国崩壊直後に表明。 この表明により桔梗国との間にアオテアロア危機(ニュージーランド危機)が発生。 この危機は中亜軍の撤退表明により解決した。 しかし、それと同時にアジアの共産国家、ソビエト連邦社会主義共和国との戦争が勃発。 同盟国であるインド=イスラーム帝国とカナダの支援により善戦するも、NATO軍参戦とほぼ同時に中華人民共和国より宣戦を布告されその後、 数ターンで野戦軍沈黙。全土を共産国軍により制圧される。
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代表 モンテ・クリスト伯 概要 小さな諸島が密集した海洋国家 発達した操船技術で古くから世界中と交易をおこなっている商業国家 略称:(株)連合国
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第97話 連合国首脳会談 1483年12月18日 午前8時 バルランド王国ヴィルフレイング その日、バルランド王国国王、アルマンツ・ヴォイゼは、数人の側近と共に、馬車でヴィルフレイング港の桟橋に向かっていた。 「それにしても、アメリカ側は会場選びが上手いものだな。」 ヴォイゼ国王は、反対側で対面するように座っているファリンベ元帥に言った。 「ええ。その通りですな。」 ファリンベ元帥も、苦笑しながら呟いた。 「会場選びは、アメリカ側が決めると言っておりましたので、我々は任せたままにしたのですが。」 ファリンベ元帥は、馬車の窓に顔を向けた。 宿営地から港までは10分ほどの距離である。その10分の間、馬車の右の窓枠からヴィルフレイング港が見渡せられる。 ファリンベ元帥は、窓から見える軍港を見ながら、やや呆れたような口調で言葉を紡いだ。 「まさか、戦艦の中で、重要な会議を開くとは。」 「だが、これほど安全な会場は他にあるまい。」 ヴォイゼ国王もまた、苦笑しながらファリンベに返事する。 首脳会談の開始日程が決まったのは、1週間前の事である。 連合国各国に派遣されているアメリカ側の親善大使と協議した結果、首脳会談の開始は12月18日に行われる事になった。 各国の首脳は、12月17日までには、バルランド王国の港であるヴィルフレイングに向かい、アメリカ大統領の到着を待った。 ヴォイゼ国王は、17日の午後1時に、馬車でヴィルフレイング入りした。 ヴィルフレイング入りした彼はまず、港を視察した。 港の視察には、アメリカ側から南西太平洋軍司令官のドワイト・アイゼンハワー大将と、南太平洋部隊司令官のチェスター・ニミッツ中将が同行した。 ヴォイゼ国王がまず驚いたのは、あの死の町と呼ばれたヴィルフレイングが、今では首都に勝るとも劣らぬ都市に変貌していた事であった。 ヴォイゼが、最後にヴィルフレイングを見たのは5年前である。 当時のヴィルフレイングは、見渡すところ空き地ばかりで、家も少なく、住民達もまた、元気のある者は少なかった。 その時は、住民の誰もが“呪われた死の町”に住んでいる事に、大きく影響されていた。 暗いという文字しか当てはまらなかったヴィルフレイングが、今では活気に満ち溢れている。 空き地ばかりだった港町は、今や多くの建物が建てられ、どこぞから入り込んできた行商人が快活よく商売を行っている。 目線を港に向ければ、そこにはかなりの数の船が停泊している。 昔は、ただ広いだけの寂しい港であったはずが、今では何百隻以上はあろうかという大型船によって埋め尽くされている。 特に、ヴィルフレイングを根拠地とするアメリカ海軍の艦船は相当数おり、広報紙でしか見た事のなかった大型空母や戦艦等の大型艦群が、何隻も 港の桟橋に並んでいる姿は、アメリカという国の底力を如実に表しているかのようだ。 ただの暗い寒村でしか無かったヴィルフレイングが、たった2、3年で首都とほぼ同等、いや、部分的には勝るほどまでに成長させたアメリカの国力に、 ヴォイゼらはその日1日、驚き通しであった。 その興奮に満ちた1日が終わり、今日、いよいよ、アメリカの大統領と直接対面する。 「陛下、間も無く桟橋に到着致します。」 「分かった。」 ヴォイゼは、やや硬い口調で御者に返事する。 ヴォイゼらを乗せた馬車は、内火艇が待つ桟橋に到着した。 馬車から降りた一行は、2分ほど歩いてから内火艇に乗り移った。 内火艇は20分ほど航行した後、首脳会談の“会場”に到着した。 ヴォイゼらは、目の前にある会場に圧倒されていた。 「これが・・・・首脳会談の会場か。」 ファリンベ元帥が言う。緊張と興奮で、口調がやや上ついている。 アメリカ側が選定した会場。戦艦アイオワが、今、目と鼻の先にある。 巨大な3連装砲塔。その後方にある大きな艦橋、そして、尖塔のように聳え立つ艦上構造物。 その後ろには、2本の煙突がある。後部には小さめの艦橋と、主砲塔がある。 艦上には、連装式の副砲らしきものや、機銃がびっしりと並んでいる。 全体的には、どっしりとした感じがあるが、それと同時に優美さも感じられる。 「美しい船だな。」 ヴォイゼは、正直にそう思った。 内火艇は、アイオワの左舷中央部側に掛けられている階段に接舷した。 「国王陛下。会場に到着致しました。」 純白の軍服に身を包んだ内火艇の艇長が、慇懃な口調でヴォイゼに言った。 「ありがとう。」 ヴォイゼはただ一言そう言うと、内火艇から降り、ゆっくりとした足取りで階段を上る。 階段を上りきり、甲板に立つ。甲板上では、白い軍服に身を包んだ乗員が、直立不動の態勢で立っていた。 階段の前には、赤い絨毯が敷かれており、その両脇にはライフルを持った海兵隊員が捧げ筒の態勢で立っている。 その奥から、2人の士官が現れた。 「国王陛下、よくぞお越しいただきました。私はアメリカ合衆国海軍作戦部長を務めます、アーネスト・キングと申します。 こちらは、戦艦アイオワの艦長を務めます、ブルース・メイヤー大佐です。」 「ブルース・メイヤー大佐です。よろしくお願いします。」 「初めまして、キング提督。それにメイヤー艦長。お目にかかれて光栄です。」 ヴォイゼ国王は、出迎えた2人に微笑みながら、握手を交わす。 その後、ヴォイゼらは若い士官に先導されながら、アイオワ艦内に入って行った。 3分ほどアイオワの艦内を歩いた後、彼らは会談場所となる部屋に辿り着いた。 案内してくれた士官が、ドアを開けてくれた。 「ありがとう。」 ヴォイゼは、ドアを開けてくれた士官に一言礼を言った後、部屋の中に足を踏み入れた。 部屋の中には、白い布が敷かれた長テーブルが置かれ、その左端に1人の初老の男が座っていた。 「ようこそ、戦艦アイオワへ。」 その眼鏡を掛けた男は、にこやかな笑みを浮かべながら、ヴォイゼに話しかけてきた。 「初めまして。私はアメリカ合衆国大統領、フランクリン・ルーズベルトと申します。」 初老の男は、やや低いながらも、快活のある声音で自己紹介を行った。 「私は、バルランド王国国王、アルマンツ・ヴォイゼと申し上げます。大統領閣下、偉大なるアメリカの指導者であるあなたに会えて、光栄に思います。」 「私も、南大陸のリーダーを務める陛下に会えて光栄です。立ち話も何ですし、どうぞおかけ下さい。」 ルーズベルトは、自分のすぐ左斜めにある椅子に手を差した。 ヴォイゼは恐縮そうな顔を浮かべつつも、一礼してからルーズベルトのすぐ左斜めの席に座った。 この時、ヴォイゼはとる部分に注目した。 (?) どういう訳か、ルーズベルトが座る椅子だけ、他の椅子とは違う。 (なぜ、ルーズベルト大統領の座る椅子だけ、車輪がついているのだろうか?) ヴォイゼはふと、そう思った。 そのヴォイゼに、ルーズベルトは心中を見透かしたかのように語りかけた。 「私の椅子が気になりますかな?」 「は・・・・あ、いえ。」 「そうですか。まあ、私の特注の椅子については、後でお話しましょう。」 ルーズベルトは、子供が浮かべるような邪気の無い笑みを浮かべる。 その後、5分間の間に各国の首脳達が次々と、会談場所にやって来た。 僅か数分の間に、残りの連合国首脳は会議室に集まってきた。 最後の1人である、カレアント公国国王のレミナ・カンレアクが席に座った時、ルーズベルトは各国首脳の顔を見渡した。 ルーズベルトは、長テーブルの左端に座っている。 彼から見て右斜めには、グレンキア王国国王のシュナルク・トレウク、その隣にはカレアント公国国王のレミナ・カンレアクが座っている。 左斜めには、バルランド国王のアルマンツ・ヴォイゼと、その隣にミスリアル王国国王リクレア・ヒューリック、そしてレースベルン公国の トロア・レースベルン国王が座っている。 南大陸には、この5カ国の他に、ヴェリンス共和国と、ウェンステル王国の南部がある。 ヴェリンス共和国は、シホールアンル軍の奇襲攻撃時に、首都に侵入したシホールアンル軍特殊部隊によって首脳部を殺害されており、 今は新しい首脳部の選定や国の復興等に忙殺されていて、首脳会談には参加できない。 ウェンステル王国は、国王や王族等が殺害されるか、あるいは北大陸で軟禁状態にあるため、これたま参加できない。 会議は、ルーズベルトと、この5人の首脳と共に行われる。 ルーズベルトが最初に意外と思った事は、連合国首脳が思ったより若い事と、女性の首脳が居た事である。 (グレンキア国王は、40代後半と言った辺りだが・・・・残りは20代か、30代ぐらいの年齢だな。しかも、ミスリアルとカレアントの首脳は 女性だ。この世界では、女性の社会進出がかなり進んでいるようだな。エレノアにこの首脳達を見せたら喜びそうだ。) ルーズベルトは、内心で冗談を交えながら思った。 「皆さん。忙しい中、よくお越しいただきました。」 彼は気持ちを切り替えてから、話を切り出した。 「本日の連合国首脳会談に参加していただいた、各国の首脳の方々には、心から感謝いたします。」 ルーズベルトは、慇懃な口調で最初の挨拶を行う。それを聞いた各国の首脳達は、ルーズベルトに向けて首を縦に振った。 この時、不意に振動が伝わってきた。首脳達は、突然船が動き始めた事に、やや戸惑いの表情を見せるが、すぐに元の表情に戻る。 「今回、皆様にお集まり頂いたのは、今後のシホールアンル軍に対する対応、又は近いうちに起こりうるであろう、北大陸解放を目的とした 連合国の方針を決める事であります。話の本題に入る前に、私から首脳会談の選定について、皆様に苦労をお掛けした事に関してここでお詫びを申し上げます。」 ルーズベルトは、首脳達に対してまず頭を下げた。 彼は間髪入れず、次の言葉を発する。 「今回、首脳会談の会場を、この戦艦アイオワの艦内で執り行う事を決めましたのは、シホールアンルシンパのテロを考えての事です。現在、南大陸には 数万以上のシホールアンル側協力者がいると伝えられています。この戦争で、シホールアンル軍は様々な方法で我々連合軍を苦しめてきました。 シホールアンル軍がもし、この連合国首脳会談の情報を嗅ぎ付ければ、何らかの行動を起こす可能性があります。私としましては、最も攻めにくく、 かつ、頑丈な場所で首脳会談を行いたいと思いました。」 ルーズベルトは一旦言葉を切ってから、室内をゆっくりと見渡す。 5秒ほど間を開けてから、ルーズベルトは話を続けた。 「それが、この戦艦アイオワなのです。皆様方の中には、何故このような軍艦で首脳会談をするのか、疑問に思った方もおりますでしょう。 何故なら、このアイオワが、攻めにくく、とても頑丈であるという条件を満たしているからです。」 「大統領閣下のおっしゃる通りですな。」 グレンキア国王であるシュナルク・トレウクが納得したように相槌を打つ。 堀の深い顔立ちに、右頬に痛々しい傷が付いている。体つきは痩せていて、黒髪が四角状に整えられている。 後ろから見れば、どこか暗そうな感じを受ける姿だが、正面から見ればそうでもない。 逆に、優しげな目付きのお陰で温厚そうなイメージが強く滲み出ている。 実際、シュナルクは24歳で国王になってから20年経った今日まで、善政を敷いてきており、国民は暗黒時代であったグレンキアを見事に再生させた 英雄として、彼を尊敬している。 「私は、これほどの巨艦に乗ったのは生まれて初めてですが、この逞しい軍艦で会議を行うならば、安全に話は進みます。」 「私もそう思います。」 レースベルン公国国王のトロア・レースベルンも頷いた。 外見は理知的な感じのある青年で、年は28歳と若い。 10年前にレースベルン公国の国王に就任してからは、大胆な改革を行って見事に国を発展させた。 彼の改革が順調に行き始めてからは、レースベルン公国の経済成長は弾みがつき、今では小国にも関わらず、バルランドやカレアント等の 大国と同等の発言力を得ている。 「この戦艦なら、どんな敵でも恐れを成して逃げてしまうでしょう。」 「私も同感です!」 カレアント公国国王のミレナ・カンレアクも、やや大きめの声で賛同する。 「グレンキア代表の言われる通り、この軍艦なら確かに安全です。それに、この艦はとても凄い砲を装備しています!大統領閣下! あんな凄い大砲を搭載する艦を何隻も作るとは・・・・あなた方の国の力は底無しですか!」 どういう訳か、カレアント代表は興奮しながら喋っている。 ふと、隣の部屋で誰かが唸るような声がした。 (なんか、頭を抱えながら唸っているようだな) ルーズベルトは、直感でそう思った。 カレアント公国の女王であるミレナ・カンレアクは年齢が20歳と、この中で一番若い。 色はやや浅黒く、髪は茶色、頭にはネコ科系動物のもの(トラと似ている)耳を生やしており、顔立ちはまだあどけなさが残るが、それでいて 王者に相応しい精悍な顔つきをしている。 カレアント公国では、王族であるカンレアクの王位継承者の中で1番であった人物であり、カレアント公国が侵攻された時は彼女が女王に就任して 間もない頃であったが、劣勢ながらも国軍を巧みに指揮して、南大陸軍の増援部隊到着まで時間を稼いでいる。 この他にも、カレアント公国侵攻時に、首都に襲って来たシホールアンル軍特殊部隊と正面切って戦い、2人を殺害し、3人を負傷させるという武勇伝も持っている。 この事からして、彼女が非凡な能力を持つ人物である事が分かる。 欠点としては、興奮すると誰彼構わず、自分の思った事を相手に言う事である。 「いや、底無しではないのですが。」 ルーズベルトは苦笑しながら、カレアントの女王に言い返す。 「カンレアク陛下、まずは落ち着きましょう。ルーズベルト大統領がお困りになりますよ。」 「あ・・・すいません。ちょっと、いつもの癖が出てしまって。」 カンレアク女王はヴォイゼの言葉を聞くと、すまなさそうな表情になってからルーズベルトに謝った。 「いや、大丈夫ですよ。むしろ、戦艦を見て興奮するというのは当然ですよ。戦艦というものは、そう言う物ですからな。」 ルーズベルトは柔らかい口調で、カンレアク女王に語った。 「話は少しずれましたが、先にも申したとおり、この艦を会談場所に選んだ理由は安全面を考えての事です。そして、我々が気兼ねなく、 相手と腹を割って話しする事でもあります。」 ルーズベルトは、両肘をテーブルに乗せてから、各国首脳の顔を見回す。 「まず、最初にお話しする事は、今後のシホールアンル帝国の出方に関する事です。シホールアンル帝国は現在、我が連合国によって、 南大陸から駆逐されました。シホールアンルを北大陸に追い出した事は、我々連合国にとって大きな勝利と言えるでしょう。」 ルーズベルトの言葉に、だれもが深く頷いた。 シホールアンル軍が南大陸に侵攻してから早2年。 一時は南大陸の半分近くまで攻め込んだシホールアンル軍だが、アメリカの連合国参加によって、流れは徐々に変わった。 そして、つい先日。シホールアンル軍は南大陸から完全に撤退して行った。 この事は、打倒シホールアンルを目標に掲げていた各国にとって大きな一歩となった。 「ですが、果たして。シホールアンル帝国がこのまま引き下がると思うでしょうか?」 ルーズベルトは、最初の疑問を各国の首脳達に言った。 「思えません。」 やや冷たそうな口調で、返事が発せられた。 真っ先に言ったのは、ミスリアル王国国王のリクレア・ヒューリック女王である。 外見的には、20代後半の女性に見える。しかし、実際には48歳のようだ。 肌はやや浅黒く、目付きはきりっとしていてどこか冷たそうな感じがある。 このダークエルフの女王は、感情を感じさせにくい印象があるが、実際はかなり礼儀正しい。 このアイオワに乗艦し、ルーズベルトに出会った時は、挨拶の後に去年10月に起きたミスリアル王国の一連の戦闘の事で、何度も礼を言った。 「あなた方アメリカの素早い対応が無ければ、多くの民が笑って今日という日を遅れなかった事でしょう。私達ミスリアルの民は、アメリカの事を 今や兄弟同然に思っています。」 リクレア女王から直接聞いたこの言葉に、さしものルーズベルトも熱いものがこみ上げた。 (リップサービスも幾らか含まれているだろうが、それを除いても、ミスリアル王国はアメリカを信頼している) ルーズベルトはその時、大きな満足感を得ていた。 「シホールアンル帝国皇帝、オールフェス・リリスレイの願う事は、シホールアンルの南北統治による平和です。シホールアンル帝国は、 彼が国の舵取りを担っている限り、この方針をやり遂げようとするでしょう。」 「私もそう思います!」 リクレア女王の意見に、ミレナ女王も当然と言わんばかりに賛成する。 「シホールアンルは、常に何を考えているか分からない。あの国が行動に移せば、徹底的にやってくる。北大陸やヴェリンス、カレアントで 開戦初日から国の首脳部暗殺を実行してくるほどの国です。彼らが立ち直れば、再び軍を南大陸に進めてくるはずです。」 「果たして、そうですかな?」 シホールアンルが出てくると言った2人に対し、シュナルク国王が違う意見を唱えた。 「今と昔では、情勢は大きく変わっています。もし、アメリカを召喚せぬまま、シホールアンル軍を北大陸に押し返しておれば、そのような 危惧を抱くのは当然の事でしょう。しかし、今はアメリカという強力な国が敵に回っています。アメリカは、シホールアンルが保有する兵器と 互角以上か、上回る兵器ばかりを装備しています。過去に行われた海空戦、陸上戦では、シホールアンル軍は負けを重ねています。今、再び 南大陸へ侵攻しても、アメリカ軍の反撃で頓挫する事は、火を見るより明らかです。」 シュナルク国王は、ルーズベルトに視線を送りながら、2人に語る。 「私もシュナルク陛下の言われる意見と同じ考えです。」 今度はトロア国王が口を開いた。 「シホールアンル軍の執拗さは常に有名ですが、それは勝てる見込みがあればこそです。今の情勢で、シホールアンル軍が南大陸侵攻を再開しても、 洋上には強力な大艦隊。陸地にはあれほど悪戦苦闘した陸軍部隊が待ち構えている。もはや、シホールアンルにとって、南大陸侵攻を再開する事は、 現地点では無きに等しいと思われます。」 「レースベルン国王や、グレンキア国王の言われるとおりです。」 ルーズベルトは、トロア国王とシュナルク国王に頷きながら、口を開く。 「南大陸には、太平洋艦隊の主力艦群は勿論、先の南大陸戦でも活躍した陸軍部隊が多数駐屯しています。現在、このヴィルフレイングと、 ミスリアル王国のエスピリットゥサントには海軍の高速空母部隊が配備され、北大陸のシホールアンル艦隊並びに、シホールアンル陸軍に対して 睨みを利かせています。もし、敵が南大陸侵攻を再開すれば、まず海軍の空母部隊から発艦した艦載機、そして陸軍機の攻撃を受けます。 太平洋艦隊は、12月現在で19隻の高速空母を保有しており、艦載機の総数は1600機以上です。それに加え、陸軍航空隊も相当数の 航空兵力を有しております。この情報は、当然シホールアンル側も把握している筈です。」 「確かに、あなた方アメリカ側の航空兵力は強力な物があります。」 ミレナ女王は頷きながらそう呟いた。 「ですが、シホールアンル軍は考える軍隊でもあります。航空兵力は、昼間では威力を発揮しますが、悪天候時や、夜間では大きく行動を制限されます。 シホールアンル軍がそれを利用して、侵攻を強行する可能性は無いとは言い切れません。」 「なるほど。シホールアンルは時に常識を無視した戦法を使いますからな。」 ルーズベルトは納得した。 「しかし、それが出来ても、後が続かぬかと思います。確かに侵攻を強行し、作戦が成功したとしても、それは一時しのぎに過ぎません。その後は、 先の南大陸戦でも行われたように補給切れで撤退を待つだけです。」 「恐らく、シホールアンル軍は南大陸へ来ないでしょう。」 ヴォイゼ国王も言う。 「彼らは補給が断たれれば、どれほど恐ろしい事になるか身を持って知ったばかりです。先の南大陸戦で、膨大な兵員と大量の物資を失った シホールアンルには、南大陸侵攻を再開できるほどの余裕も、やる気も無いと、我が国は考えています。」 「・・・・そうですか。」 リクレア女王は納得したのだろう、小さく頷く。 ミレナ女王も渋々と言った表情を浮かべつつも、頭を何度か頷かせる。 「結論からして、現状ではシホールアンル側が南大陸に再侵攻を行う余裕は無いと考えられます。しばらくは、北大陸に引き篭もる事になるでしょう。しかし、」 ルーズベルトは途中で語調を変えた。 「北大陸には、不本意ながらもシホールアンルの統治下に置かれた国が幾つもあります。今の所、シホールアンル側は占領地に対して善政を 敷いておるようですが、我々が南大陸で足踏みしている間、この被占領国がいつまでも健在であるという保障はありません。」 「大統領閣下。では、我々はこの被占領国も解放するため、北大陸にも攻め込むと言うのでしょうか?」 ヴォイゼ国王の言葉に、ルーズベルトは深く頷いた。 「その通りです。確かに南大陸は完全に解放され、シホールアンルはしばらくは出て来れない。ですが、数年後もシホールアンルが出て来ない、 という保障はありません。あなた方も知っている筈です。シホールアンル帝国は武器の開発能力に長けています。もしかしたら、シホールアンルは 我々アメリカ軍の装備と互角か、最悪の場合、上回る兵器を前線に投入して来る可能性があります。勿論、そうなっても我々アメリカは負ける事は 無いでしょう。しかし、負けぬとは言えど、前線で散る将兵はより多くなっていく。その苦境を味わうのは、我々アメリカのみならず、あなた方が 指導する南大陸各国も同じです。」 「要するに、最悪の事態を迎える前に、シホールアンルに立ち直る余裕を与えず、次々と攻めて行く。そうですね?」 ミレナ女王が不敵な笑みを浮かべながら、ルーズベルトに質問してきた。 「その通りです。我々は待つ必要は無いのです。この機会に、自らを強しと思い上がるシホールアンルに渇を入れてやるのです。」 ルーズベルトは話を中断させると、顔を下にうつむかせる。 「既に、我々は北大陸侵攻作戦の準備を進めつつあります。」 「準備ですか・・・・それは、マルヒナス運河北岸に対する侵攻作戦の事ですな。」 シュナルク国王は確信した。 しかし、ルーズベルトの返事は、彼の確信を揺さぶる物であった。 「いや。その後に行われる侵攻作戦です。」 「その後・・・・?」 「正確には上陸作戦です。それも、今までの規模とは比べ物にならぬほど、遥かに強大な物です。」 シュナルク国王は、ルーズベルトの返事に困惑した表情を浮かべる。 「大統領閣下、北大陸への入り口はマルヒナス運河があります。そこから北上していけば、いずれはシホールアンル本土に入れますが。」 「確かにそうでしょう。ですが、戦争と言う物は常に相手の裏を取るものです。」 「相手の裏を取るもの・・・・・大統領閣下。あなたは・・・・」 リクレア女王は、ルーズベルトの言わんとしている事がわかった。 「察しが良いですな。」 ルーズベルトは彼女に微笑みかけた。 「皆様にお伝えします。我々アメリカ合衆国は、北大陸中西部地方への上陸作戦を計画しています。」 その瞬間、南大陸各国首脳は体に電撃が走った。 「北大陸中西部・・・・・正確にはどの地方へ侵攻を行うのですか?」 「統合参謀本部の検討によりますと、我々はジャスオ領への上陸作戦を考えております。本土では既に軍の編成、並びに輸送船の 確保が進められています。この席上で申し上げますが、我々アメリカ合衆国としては、あなた方南大陸の軍にも、この上陸作戦の 参加を要請したいと思います。」 「大統領閣下、それは本当なのですか?」 ミレナ女王が、苦笑を交えながら聞いてくる。 「アメリカは、レーフェイル方面にも数十万の軍を動員するようですが、それ以上にもまだ余裕があるのですか?」 「はい。」 ルーズベルトは即答する。 「であるがゆえに、我々は北大陸中西部への上陸作戦を計画しているのです。」 「予定人員はどれぐらいになるのでしょうか?」 ヴォイゼ国王が恐る恐るといった口調で聞いてくる。 「予定としましては、50万を見込んでいます。後方支援部隊や輸送船、艦艇乗員も含めれば、80万は越えるでしょう。」 「80万・・・・・!」 南大陸各国首脳は、先よりも顔を強張らせた。ミレナ女王に至っては顔を真っ青に染めている。 自分達の国でさえ、良くて3、40万、多ければ70万程度の軍勢を確保するのが精一杯なのに、アメリカはシホールアンルとの戦いに 100万以上の兵力を派遣できる。 先の話でも出て来た北大陸中西部上陸作戦では、途方も無い数の輸送船が必要になるであろう。 それだけでも驚きなのに、アメリカはシホールアンルだけでなく、レーフェイルのマオンドに対しても侵攻作戦を開始しようとしている。 マオンドに対する侵攻作戦でも、相当数の船舶、物資が用意されるのであろう。 (まさに、底無しの国だ) 偶然にも、南大陸各国首脳は、心中で全く同じ言葉を呟いていた。 「マルヒナス運河北岸への上陸も、重要な物です。しかし、シホールアンル本土に至るまでは、敵の膨大な野戦軍と、いくつもの縦進陣地が てぐすね引いて待ち構えているでしょう。それを少しでも和らげるために、北大陸中西部上陸作戦は必要不可欠です。返事は今すぐに、 と言う訳ではありません。あなた方各国首脳も、それぞれ事情があるはずです。私はそれを踏まえて、この上陸作戦の参加か、否かのお返事をお待ちします。」 「強制・・・・・ではないのですね?」 ヴォイゼ国王はルーズベルトに聞いた。 「勿論です。いくら国力が優れているとはいえ、アメリカは他の国と同様、世界を構成する一国家に過ぎません。まあ、この世界に来てからは まだ2年に程度しか経たんので新人同様でしょうが。とにかく、私は対等な立場にあるあなた方に命令する事はできません。出来るとしたら、 ただの提案ぐらいのものです。」 そう言って、ルーズベルトは苦笑した。 「では、回答は今すぐ、と言う訳ではないのですね。」 リクレア女王が質問する。 「はい。参加する、しないは自由です。もし参加するのならば、お国の閣僚と協議を重ねてからにしてもらいます。」 ルーズベルトの言葉に、リクレア女王はやや間を置いてから頷いた。 それから1時間ほど協議が続いた。 「皆さん、少し休憩にしましょうか?」 ルーズベルトは、やや疲れた表情になった各国首脳の顔を見渡しながら提案する。 「ええ。気分転換にも丁度よろしいでしょう。」 リクレア女王が賛成の声を上げる。 「私も同感です!難しい話ばかりして頭が煮詰まりそうです。」 ミレナ女王が苦笑しながら賛成の意を伝えてきた。他の首脳もルーズベルトの提案に賛成のようだ。 「では、30分ほど休憩を取りましょう。休憩を取る場所はここでも良いですが、この艦の艦橋で休憩を取るのもよろしいですよ。」 「艦橋ですか?」 ヴォイゼの言葉に、ルーズベルトは頷く。 「ええ。見晴らしがとても良く、心地よい風が吹いています。気分転換には持って来いの場所ですよ。それでは、これから30分ほど休憩に入りたいと思います。」 ルーズベルトの最後の一言で、休憩時間に入った。 各国首脳は席を立ってから、別室に移動して行く。やがて、部屋には誰もいなくなった。 「大統領閣下、お疲れ様です。」 1人の男が、各国首脳と入れ替わりに部屋に入ってきた。 「やあハリー。」 ルーズベルトは破顔して、陽気な声で話しかけた。 「南大陸の首脳達は、なかなかの猛者揃いだ。流石に長い間、戦乱を潜り抜けただけあって相手との話し合い方を心得ている。」 「そりゃそうでしょうな。何せ、話し方ひとつで国の行き先が変わるのです。話が上手くなければ国のトップにはなれないでしょう。」 その男、ルーズベルトの補佐官を勤めるハリー・ホプキンスはたおやかな口調で語った。 「君の言う通りだ。」 ルーズベルトはそう言ってから、ハハハと笑った。 「ハリー、艦橋までちょいと押してくれんかね?いつもの場所だよ。」 彼は、ホプキンスに頼み込んだ。 「よろしいのですか?車椅子姿をあの首脳達に見られますぞ。」 「構わんさ。むしろ、見せた方がインパクトを与えられるだろう。私個人のみならず、アメリカという国のな。」 ルーズベルトは悪戯小僧のような笑みを浮かべた。 「分かりました。」 ホプキンスも止む無く了解し、車椅子を押して部屋から出て行った。 2分後、ルーズベルトの姿はアイオワの露天艦橋にあった。 「いつ見ても素晴らしい。」 彼は満面の笑みを浮かべていた。 よく晴れた空に美しい海。吹いてくる風は冷たく、やや強いが、ルーズベルトにとっては涼しいそよ風に過ぎなかった。 「大統領閣下はこの場所がお気に入りになりましたな。」 「たった2度ほどしかここには来ていないが、私は好きなんだよ。ここから見える風景が。」 ルーズベルトはそう言った後、しばらく前方の海を眺めていた。 5分ほどそのまま見入っていると、いきなりホプキンスが肩を叩いてきた。 「閣下。」 「どうしたハリー。何を慌てている?」 「バルランド王国のヴォイゼ陛下と、ミスリアル王国のヒューリック陛下がお見えになっています。」 ホプキンスのやや慌てた口調を聞いた後、彼は後ろを振り返った。 「これはこれは。ようこそ、本艦の展望台へ。ささ、どうぞこちらに。」 ルーズベルトは2人の首脳を、自分の側に来るように手招きした。 「大統領閣下。その椅子は・・・・・」 ヴォイゼが、ルーズベルトの右隣に来てから質問してきた。 「これですかな?」 彼は笑みを絶やさないまま、車椅子を手で叩いた。 「私の特注の車椅子ですよ。私はこれが無いと、外に出れない物でね。」 「もしや、閣下は足が・・・・」 リクレア女王がルーズベルトに言おうとしたが、彼女は最後まで話さなかった。 彼女としては、このような質問をするのは悪いと思ったため、最後まで言う事を躊躇った。 だが、ルーズベルトは彼女の聞きたい事を喋った。 「ええ。昔、重病を患ったせいで足が不自由になりましてね。お陰で、今ではこの有様ですよ。」 「病を患ったのですか。」 「はい。足がこのようになった時は、もはや誰にも見られたくない思いで一杯でしたな。つい最近まで、私は側近にしかこのような姿を見せていません。」 「では、何故閣下自ら、首脳会談を開こうと思われたのですか?」 「必要と感じたからです。」 リクレアの問いに、ルーズベルトはきっぱりと答えた。 「転移してから丸2年近く、私はあなた方と直接話し合ったことはありませんでした。私としては、転移した直後から、すぐにこのような 会談を行うべきと考えておりました。ですが、国際情勢の変化や、私の国内での政務が多忙なために長い間、機会が巡って来ませんでした。 しかし、ようやくあなた方と腹を割って話せた事に、私はとても嬉しく思います。」 「閣下、私は改めてアメリカが凄い国であると思いました。」 ヴォイゼは改まった口調でルーズベルトに言って来た。 「ほう、それはどうしてですか?このような、巨大な戦艦を作れるからでしょうか?」 「それもあります。ですが、私が改めてアメリカが凄いと思ったのは、閣下の姿を見てからです。」 「私の姿・・・ですか?」 ルーズベルトは怪訝な表情を浮かべた。 「はい。我々の世界では、体に障害を負った国王は、王として見受けられません。王は常に健全たるべきで、体の不自由な王などは存在するべきではない と言われているのです。」 「ふむ。なかなかに厳しいですな。体が不自由な王はどうなるのです?」 「王位を失い、屋敷で軟禁されます。民に王家の恥を晒さぬために・・・・・」 ヴォイゼは、話の途中から険しい表情になった。 「・・・・・陛下。つかぬ事をお聞きしますが、あなたの知り合いに、そのようにされた方がいらっしゃるのですかな?」 「はい。私の妹がそうなっています。10年前に、事故で足が不自由になって以来、屋敷で満足に外に出れぬまま過ごし続けています。」 「閣下、このような事は、バルランドのみならず、他の国でも同様です。私の国も・・・・」 リクレア女王もまた、表情を曇らせながらルーズベルトに言う。 「・・・・・・王族の威信を考えれば、それも致し方ないのでしょう。ヴォイゼ陛下、あなたはそれを考えた上で、私の事、 ひいてはアメリカが凄いと思われたのですね?」 「そうです。健全たるものがしか手に入れる事が出来ない国の王という物を、アメリカは閣下のような方でも一国の王に任命する。 私は、アメリカのその柔軟さに感嘆したのです。」 ヴォイゼは心からそう思っていた。 未だに、古い体制から抜けきれないこの世界。力を見せ付けるには、それを保持する者もその象徴とならざるを得ない。 いくら有能であろうとも、四肢のどれかひとつが欠け、動かなければ決してなれない。 だが、アメリカは決して健全な体とはいえぬルーズベルトを国の主にした。 それはひとえに、ルーズベルトが有能である事もあるが、それを成し得たのはアメリカの柔軟さにあると、ヴォイゼは確信していた。 「私が理想としているのは、あなた方アメリカのような国を作る事なのです。勿論、アメリカにも裏表ある事は、留学生達の報告で 分かっています。ですが、それを差し引いてもアメリカが我々の理想である事は変わりません。」 「いやあ、そこまで言われると照れてしまいますな。」 ルーズベルトはヴォイゼに対して、照れ臭そうに返事する。 「陛下のお言葉を聞いていると、私もアメリカ合衆国大統領になれて良かったと思います。正直言って、今のアメリカにはまだまだ 課題が山積みとなっています。私が在任中に全てが解決できるとは限らないでしょうが、陛下の言われるような真の理想国家になるために、 これからも努力を続けていきます。」 ルーズベルトは、柔らかいながらも、芯の通った口調でヴォイゼに語った。 「話は変わるのですが。」 ヴォイゼは、視線を一旦前方に向ける。 視線の先には、巨大な17インチ3連装砲2基が見える。その先にある艦首は、時折海水を吹き上げている。 視線を回りに向ける。アイオワの右舷や左舷には、ボルチモア級重巡洋艦とクリーブランド級軽巡洋艦が各2隻ずつ配置されている。 ヴォイゼのいる艦橋からは見えなかったが、アイオワの後方には、エセックス級空母とインディペンデンス級軽空母が1隻ずつ布陣していた。 この他にも、輪形陣の外周部には、フレッチャー級駆逐艦や、今年から配備の始まったアレン・M・サムナー級駆逐艦ががっちり固めている。 上空に視線を向ければ、絶えず10機以上の航空機が、編隊を組みながら艦隊上空を旋回している。 (たのもしい護衛が付いているな) ヴォイゼは心中でそう思いながらも、視線を再び艦首に向ける。 「この船は大分早い速度で進んでいるようですが、今はどれぐらいの速さで航行しているのですか?」 「少しばかりお待ちを。」 ルーズベルトはそう言うと、その場にいた水兵(持ち場にいきなり大統領と、南大陸の首脳が来ているからかなり緊張している)に聞いた。 30秒ほどしてから、ルーズベルトはヴォイゼに答えた。 「今は24ノットのスピードで航行しています。あなた達の単位で表せば、12リンルと言った所ですな。」 「12リンル・・・・・この大きさで。」 ヴォイゼは驚いたような表情を浮かべた。 「このような巨艦で、12リンルもの高速を出せるとは。」 「我々としては、12リンルでは高速とは言えませんよ。」 「では、もっと早いスピードを出せるのですか?」 「はい。正確にはお教え出来ませんが、この戦艦の高速性能は従来の戦艦より優秀ですよ。だから、味方がピンチな時にはすぐに現場へ駆けつけられます。」 「大統領閣下、このアイオワと同じ戦艦は、今後も作られるのでしょうか?」 「はい。再来年の3月までには、同型艦6隻が艦隊に配備される予定です。」 ルーズベルトはさりげない口調で言ったが、ヴォイゼは唖然とした表情を浮かべていた。 それに対して、リクレア女王もやや驚いてはいたが、彼女は比較的冷静であった。 「搭載している兵器はともかく、このような大型船をより遠く、より早く動けるように建造するアメリカから、これから多くを学べると思うと 今後が楽しみになりますね。」 逆に、彼女は笑みを交えながら、ルーズベルトに返事した。 午前10時。休憩時間を追えた各国首脳は、再び会議室に集まった。 「では、次の議題に移りたいと思います。」 ルーズベルトは早速、協議を再開した。 「次なる議題は、今後の北大陸解放の際の、我々連合国の方針についてです。我々連合国は、近いうちに北大陸へ侵攻いたします。この北大陸侵攻は、 シホールアンル帝国の現政権を打ち倒す事、そして、北大陸の被占領国を解放する事を目的に行いますが、作戦中は敵シホールアンル軍の戦時捕虜が 多数出る事が予想されます。また、戦地で家や財産を失った北大陸住人も少なからず出てくる事でしょう。この捕虜と、被災民の対応について、 我々連合国は改めて、方針を決めねばなりません。」 ルーズベルトは一呼吸置いてから、話を続けた。 「先の南大陸戦で、我々は多数のシホールアンル軍将兵を捕虜にしました。しかし、残念な事に、最近この捕虜に対して扱いの良くない部隊が 出ているとの報告があります。ある部隊の報告では、連合国の将兵が収容所の独房に乱入して捕虜に乱暴を働いていると言う物もあります。」 「そのような報告は、私も耳にしています。」 ミレナ女王がルーズベルトに言う。 口調がどこか硬い。表情は、少しだけムスっとした顔つきだ。 (先ほど、別室で何か言い争ってたな。あの女王が臣下から何か注意されていたようだが、彼女にはあまり気に入らない内容だったらしいな) ルーズベルトは、先ほどの休憩時間の際に聞こえた、言い争いなのか、掛け合い漫才なのか分からぬ喧嘩を聞いた。 その事を不審に思ったルーズベルトは、ヴォイゼ国王に聞いたが、 「ミレナ女王はいつもああですよ。まあ、喧嘩するほど仲が良いと言うではありませんか。」 彼は苦笑しながら返事した。彼はさほど気にしていないようであった。 「捕虜に対する不祥事が、我が軍に最も多い事は、私としても、とても恥ずべき事だと思います。」 順調に推移していった南大陸戦で、連合軍は10万以上のシホールアンル軍捕虜を得ている。 アメリカ軍の場合、捕虜や現地人に対して犯罪行為を行った場合は軍刑法に則って厳罰に処すと、予め伝えておいたせいか、戦いの最中では いかなる弱敵でも全く容赦しなかったが、相手が降伏した場合、アメリカ軍は紳士的な態度で捕虜に接していた。 流石にゼロとまでは行かなかったものの、事件の発生件数はかなり少なく、(イチョンツの虐殺事件が明らかなった後も、アメリカ兵による 事件の発生件数はほんの僅かであった)南西太平洋軍司令部を安堵させていた。 だが、問題は他の連合軍にあった。 連合軍には、これまで仲間をシホールアンルによって奪われた恨みがあった。 イチョンツの虐殺事件が起こった後は、連合軍将兵による捕虜虐待などの犯罪行為は増え、11月22日には小規模の簡易収容所に殴り込んだ カレアント軍の歩兵小隊が、収容されていたシホールアンル軍捕虜男女38名を暴行後、虐殺すると言う痛ましい事件が起きた。 102件起きた事件のうち、57件はカレアント軍の部隊が起こした物であり、南西太平洋軍司令部は事前の命令遵守を怠ったカレアント軍総司令部に 対して、異例の抗議文を送りつけたほどであった。 「今後は軍に対し、捕虜に対する処遇の行い方を、より徹底して教育していきます。」 「分かりました。」 詫びるミレナ女王に対して、ルーズベルトは頷きながらそう言った。 「このように、捕虜に対する不祥事が幾つも起きていますが、我々連合国としては今後の事も考えて、捕虜に対する不祥事を減らさなければなりません。 この戦争は、国同士の戦争でもありますが、同時に、現地住民に対していかに好印象を与えるかの勝負でもあります。」 「いわば、現地民の支持を得たほうが、戦争もやり易くなる、という事ですな?」 シュナルク国王の言葉に、ルーズベルトは頷いた。 「その通りです。北大陸の住民は、恐らく我々の到着を待ち望んでいるはずです。その待ち望んでいた解放軍が、抵抗もしない捕虜を面白がって叩きのめし、 しまいには殺してしまう。それを見た北大陸の住人は、どう思います?」 「シホールアンルと同じような事をしている。そう思われてしまうでしょうね。」 リクレア女王が、冷たい口調で相槌を打つ。 「そう。我々がシホールアンルと同じと思われてしまうと行けないのです。確かに敵を殺すのも良い。それが戦争です。ただし、殺してばかりでは どうにもならない。降参した敵には情けを与え、そして受け止める事で寛大さを思い知らせる。その事を、他の占領地でも知らしめ、シホールアンル への忠誠心を薄れさせる。こうするのもまた、戦争なのです。」 「一種の情報戦のようなものですね。」 ヴォイゼが納得したように言った。 「この方法はかなり効果があるでしょう。シホールアンルが恐れるのは、このような事かもしれません。」 トロアもまた、ルーズベルトの言葉に頷いた。 「はい。これからの戦争では、相手にどのような印象を与えるかで、流れは決まるでしょう。無論、時には鬼、悪魔と罵られるような事を するかもしれないでしょう。ですが、それも時期や場所等を考えてやらねばなりません。」 「大統領閣下。お言葉ですが、私としてはそれはいささか、理想の範疇にあるかと思われるのですが。」 ミレナ女王が、ルーズベルトに言い返してきた。 「確かに、現地民や敵に対する受けを良くするためには、閣下の言われる事も必要でしょう。しかし、シホールアンルはどのような手を使ってでも 相手に損害を与えようと考えています。そのシホールアンルが、閣下の考えた策につけ込んで、何かしでかす事は充分に考えられます。 はっきり申しまして、私は甘い、と思います。」 ミレナ女王は、きつい口調で自らの真意を語った。 それを聞いたルーズベルトは、腕組みしてしばらく黙り込む。 「・・・・・確かに。確かに、私の考えは甘いでしょう。私がこうやって、敵に情けを掛けろというのは容易い。しかし、敵と常に命のやりとりを する前線の将兵には、私の考えは甘い、と思われるでしょう。」 ルーズベルトはふと、何かを思い出した。その後、彼は苦笑した。 「いやはや、陛下と同じような事を、私は大分前に言われましたな。」 彼は苦笑したまま、目の前に置かれている紅茶を一口すすった。 「陛下。あなたの言わんとしている事はよく分かりました。ところで陛下。あなたはもし、敵と安心して戦うのならば、どちらをお選びいたしますか? 相手は2種類の敵がいます。1つは、戦闘中も、戦闘後も容赦の無い敵。この敵は、こちらが降参すればそれを受け入れる。だが、その後は相手に散々罵倒され、 強制労働に付かせたり、運が悪ければ気分次第であっさり殺される。恐らく、降伏しなければ良かったと思うほど、酷い事をさせるでしょう。 もう1つは、戦闘中は本当に容赦が無い。降伏しなければ殺される。だが、降伏した後は、一生懸命戦った相手として敬意を払ってくれる。囚われの身と なっても、その間は別にきつい労働を課される事も無く、戦争が終わって祖国に帰れるまでは、しっかり面倒を見てくれる。この2つの敵のうち、 本当に安心して戦える相手は、どちらだと思いますか?」 ルーズベルトの質問に、ミレナ女王はしばらく考えた。 2分ほど考えた後、彼女は答えた。 「戦士として戦うのならば、相手も敬意を払ってくれる方に戦います。いざ負けても、自分の誇りを汚さぬのなら、私は後者を選びます。」 「そうですか。」 ミレナの回答に、ルーズベルトは頷いた。 「あなたのおっしゃった回答は、同時に敵味方が抱く思いでもあるのです。確かに、自分の命を投げ出そうとする者は少なからず居る事でしょう。 ですが、我々も、そして、シホールアンルも人の子です。彼らの中には、あなたと同じ思いを抱くものは大勢いるでしょう。現に、この南大陸戦での 結果が、その事を如実に物語っています。」 「大統領閣下のおっしゃる事はよく分かります。」 リクレア女王が彼に相槌を打った。 「そもそも、この世界の戦争は相手を完全に死滅させる意味での全滅戦でした。相手に負けたら自分達は皆殺しに合う。ならば、逆に自分達が 相手を皆殺しにすればいい。このような思いで、我々は今まで争ってきました。ミスリアルでもそうでした。その結果、生まれるのは復讐、 絶滅戦の繰り返しと言う負の連鎖ばかり。昔の戦争は、強迫観念に駆られて行われた戦争と言えます。しかし、その強迫観念を本格的に取り払ったのが、 あなた方アメリカ合衆国です。アメリカ軍の行った、捕虜を取った後は収容所に送るだけで何もしないと言う行動は、シホールアンル軍にかなりの衝撃を 与えています。その結果、今までは文字通り、全滅するまで戦う事で知られるシホールアンル軍も、先の反攻作戦では相当数の捕虜を出しています。 これもひとえに、閣下の方針のお陰であると、私は思います。」 「ありがとうございます。」 ルーズベルトは、リクレア女王に感謝の言葉を述べた。 「大統領閣下、私もその意見に賛成です。今まで、シホールアンル軍は捕虜に対しても厳しい対応を施してきましたが、我々は降参した敵にも 情けを与える。我々はそうする事によって、北大陸の住民にシホールアンル軍が“未開で野蛮な軍隊”という印象を植え付けられるでしょう。」 「なるほど。」 シュナルク国王の言葉に、ミレナ女王が納得したように呟いた。 「あのシホールアンルが“未開な野蛮人”そして、私達が“紳士で進んだ軍隊”になると言うのですね。これは面白い。」 彼女は愉快そうな表情を浮かべた。 「では、北大陸侵攻時には、捕虜に対する処遇は出来るだけ紳士的、と言う事でよろしいのですね?」 ヴォイゼ国王が纏めるような口調で、ルーズベルトに聞いた。 「そうです。我々連合国は、今後は敵軍の捕虜に対して寛大な措置を取るという方針で行きましょう。我々は、『進んだ軍隊』になるのです。」 その後、1時間半ほど首脳会談は続いた。 午前11時40分。連合国首脳会談は無事閉幕し。各国首脳は共同宣言を発表した。 後にヴィルフレイング宣言と呼ばれる共同宣言の内容は以下の通りである。 1 連合国は、シホールアンル帝国が不必要な領地の保有、または膨張主義を廃するまで戦いを止めない。 2 連合国はシホールアンル帝国の被占領地で甚大な損害を負った地域に対して、出来る限りの支援を行う。 3 連合国はシホールアンル側の戦争犯罪人を法廷で裁き、真実を国民に知らせる。 4 連合国側は、降伏する敵に対して寛大な対応を行う事を約束する。 5 シホールアンル帝国は、被占領地に対して賠償金を支払う義務がある。 6 シホールアンル帝国が不当に支配する占領地並びに膨張主義を放棄する意志があれば、連合国は停戦会談に応じる。 この6つの共同宣言は全世界に発信された。 後にヴィルフレイング会談と呼ばれたこの日の首脳会談は、シホールアンル帝国首脳に大きな衝撃を与える事になった。
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(投稿者:捜査官候補生) 概要 楼蘭皇国の南下に位置するスタリア諸島とその付近の小国で作られた連合の国。 スタリア諸島以外の地域の国はそもそも、国として成り立っていないのが現状である。 軍隊は海軍のみであるが全員が海戦メードにあたる。 関連項目 海戦メード 蒼の大三角計画
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895: ホワイトベアー :2020/11/08(日) 12 34 53 HOST om126212166037.14.openmobile.ne.jp アメリカ連合国強化プラン 戦車編 《M1 ジャクソン》中戦車 全長:8.19m 全幅:3.15 m 全高:2.88 m 重量:35t 乗員:4名 主砲 :50口径90mm戦車砲×1門 副武装 :12.7mm重機関銃×1丁 :7.62mm軽機関銃×1丁 装甲 :鋳造鋼 :圧延防弾鋼 エンジン :4ストロークV型12気筒水冷ディーゼル M1 ジャクソンは1940年にアメリカ連合国陸軍が主力戦車として導入した準国産中戦車である。開発は三菱重工の技術支援の下にアメリカ連合国陸軍技術研究部が担当し、生産は陸軍兵器廠とアメリカ連合国有数の自動車メーカーであったゼネラル・アラモが担当した。 愛称のジャクソンは南北戦争時にロバート・E・リーの片腕として活躍しストーンウォールジャクソンの名で敵味方に知れ渡ったトーマス・ジョナサン・ジャクソン将軍を由来とする。 車両の基本構造は鋳造の丸型砲塔と鋼板溶接の箱型車体と言う日英の新型戦車に倣った車体の組み合わせをしている。車体、砲塔共に避弾経始の優れた傾斜装甲を採用しており、その防御力は史実第1世代戦車相当の能力を有していると開発に携わった一部の転生車からは称されている。 アメリカ連合国陸軍の戦車戦力は史実イギリスのように重装甲かつ重武装で歩兵に随伴し敵防衛線の突破や逆に自軍の防衛線の防衛を担う中戦車と軽量で、装甲は薄い代わりに高速性を確保し機動力による突破や追撃、機動防衛、偵察などを目的とした軽戦車の2種の整備を行っていた。 しかし、技術の発展により中型戦車においても機動力も重視することになったこと、アメリカ合衆国陸軍の機甲戦力や対戦車兵器の発展により軽戦車の性能に疑問符がついたことから開発されたのが本戦車である。 初期型生産型は開発の遅れから陳腐化していた52口径76.2mm戦車砲を搭載しているが、本格生産型であるA1型以降は合衆国陸軍の重戦車や中戦車の撃破を目的とし、日本よりライセンス権を受け取り生産していたM2 90mm高射砲を戦車砲として改修したT10 90mm戦車砲を主砲として搭載している。 エンジンには三菱製の4ストロークV型12気筒水冷ディーゼルを採用している。これは史実におけるV-44型エンジンを基に開発された高性能ディーゼルエンジンであり、重量と比例しておきる速度の低下と言う問題を解決させるには十分な馬力を得れた。 その他の特殊装備として、本戦車はアメリカ連合国ではじめて生物・化学兵器に対する生残性を向上させるためこれらの有害物質を除去するフィルターを換気装置に装備されており、化学兵器が使用される戦場においても一定以上のパフォーマンスを発揮可能であった。 当初は歩兵師団、機甲師団問わず全ての師団に配備される予定であったが、開発の遅延や調達コストの高騰から歩兵師団への配備は諦められ、第1騎兵師団などの機甲部隊に集中配備されていった。 第二次世界大戦においては序盤での国境の戦いなどの本土防衛戦において機動防御の中核戦力として、その強大な火力と装甲を活かし迫り来る米合軍の機甲戦力や機動部隊を逆に蹂躙し、日英連合軍本隊の到着までの貴重な時間を稼ぎ、中盤以降も南部戦線では機動戦力の中心として獅子奮迅の活躍を見せる。 896: ホワイトベアー :2020/11/08(日) 12 35 48 HOST om126212166037.14.openmobile.ne.jp 《M28 アシュビー》軽戦車 全長:6.2m 全幅:3m 全高:2.54m 重量:20t 乗員:5名 主砲 :52口径76.2mm戦車砲×1門 副武装 :12.7mm重機関銃×1丁 :7.62mm軽機関銃×1丁 装甲 :鋳造鋼 :圧延防弾鋼 エンジン :4ストローク水平対向6気筒空冷スーパーチャージド・ガソリンエンジン M28 アシュビーはアメリカ連合国陸軍が1932年よりアメリカ連合国に採用された軽戦車であり、大日本帝国陸軍が友好国への供与用に開発した軽戦車である二八式軽戦車を母体としてアメリカ連合国陸軍が開発した戦車である。 愛称は南北戦争でストーンウォール・ジャクソンの下で騎兵隊指揮官として活躍したターナー・アシュビー・ジュニア将軍からつけられている。 もともと二八式軽戦車は史実M24を参考に開発されており、軽戦車でありながら高い防御力と攻撃力を有する優秀な戦車であり、二八式軽戦車のバリエーションとも言える。本車もその特性受け継いでいる。 M1 ジャクソンが鋳造の丸型砲塔と鋼板溶接の箱型車体と言う構成をしていたのに対して本車は車体、砲塔共に鋳造製で製造されており、生産性はこちらの方が高い。また、二八式軽戦車を参考としたため砲塔・車体共に良好な避弾経始を有している。 エンジンは領土内に大規模な油田を抱えている事からガソリンエンジンを搭載しており、主砲には装甲貫徹力に優れる長砲身砲である52口径76.2mm戦車砲を搭載している。これにより、本戦車はスペック上は軽戦車でありながら高い機動力と砲撃能力を有し中戦車と戦闘を行うことも可能としていた。 砲弾にはタングステン鋼芯入りの高速徹甲弾と被帽付徹甲弾、成形炸薬弾、榴弾の4種類が当初用意されていたが、対備品戦闘能力に疑問符がついたため、追加でキャニスター弾も開発され配備された。 M28 アシュビーは当初、偵察兼歩兵支援用軽戦車として配備が進められていったが、中型戦車の後継であったM1ジャクソンの開発遅延と調達コストの高騰による調達数の削減を受け、各師団・旅団棟の機甲偵察部隊に配備されるだけでなく、歩兵師団や歩兵旅団では中型戦車の後継として戦車部隊にも配備されることのなった。 その為、第二次世界大戦中は米連合陸軍では高性能だが高価なジャクソンと相対的には安価な本戦車での「ハイ・ロー・ミックス」運用が行われることになり、第二次世界大戦中にアメリカ連合国陸軍が保有する戦車の過半数を本車が占めることになる。 897: ホワイトベアー :2020/11/08(日) 12 36 28 HOST om126212166037.14.openmobile.ne.jp M118《ジョンストン》軽戦車 全長:6.2m 全幅:3m 全高:2.54m 重量:21t 乗員:5名 主砲 :30mm機関砲×2門 :26口径106mm無反動砲×4門(1941年まで) :MGM-21対戦車ミサイル×4基(1941年より) 副武装 :12.7mm重機関銃×1丁 :7.62mm軽機関銃×1丁 :30mm自動擲弾銃×1丁 装甲 :鋳造鋼 :圧延防弾鋼 エンジン :4ストローク水平対向6気筒空冷スーパーチャージド・ガソリンエンジン アメリカ連合国陸軍が戦車の支援用に開発した軽戦車。M28 アシュビーの車体を流用して開発されており、姉妹とも言える関係である。本車両は戦車部隊に随伴して敵歩兵による対戦車攻撃から戦車を援護するための車両として開発されている。 愛称の《ジョンストン》は南北戦争時にアメリカ連合国陸軍の将軍であった《ジョセフ・ジョンストン》将軍からつけられている。 本車は《戦車に随伴して敵歩兵による対戦車攻撃から戦車を援護するための機動車両》と《敵歩兵部隊の飽和攻撃を圧倒的な火力で粉砕する移動トーチカ》と言う全く異なるコンセプトを纏めた車両であり、その設計背景にはケンタッキー決戦で北軍が採用し、南軍および幕府軍に大きな衝撃を与え、南軍のトラウマとなった死兵を使った人海戦術による飽和攻撃が深く関わっていた。 この護るべき女子供すら動員した攻撃はその後のアメリカ合衆国の備品政策も合わさって南軍、ひいていはアメリカ連合国に大きな衝撃とトラウマとなっており、このような歩兵攻撃戦闘車とも言える戦車を産み出した。 車体はコスト圧縮もかねてM28 アシュビーの車体を流用しているが、砲塔は主砲である76.2mm戦車砲の換わりに30mm機関砲を連装で装備し、さらに砲塔側面左右には対戦車・対装甲車両用にそれぞれ2基の106mm無反動砲を装備した新型砲塔に換装されており、高い火力と一定以上の対戦車用能力を有している。 また、車体中央部の左右には30mm自動擲弾銃を1丁搭載した装甲箱が装備されているなど車体にも改造が加えられている。なお、無反動砲には自動装填装置などは備えておらず、砲弾の再装填には、乗員が車外に出る必要があった事から1940年に日本で史実SS.10掃討の対戦車ミサイルが開発されると無反動砲を取り外し、MGM-21Aとして採用した本対戦車ミサイルを装備させる改修が全車に行われた。この改修が行われた車両はM118A1と呼称される。 本車はその搭載兵装の取れる射角の広さと対人能力の高さから第二次世界大戦においては米合本土での要塞都市攻略戦では歩兵支援車両として、市街戦における対人掃討戦闘に活用されていき、30mm機関砲および機銃、擲弾銃による圧倒的な火力で制圧射撃や近接制圧をかけ敵歩兵を掃討しする事からアメリカ合衆国軍からは《ディキシーのミンチメーカー》と恐れられ、M28 アシュビーやM1 ジャクソンよりも高い驚異度が設定された。 その汎用性の高さから機甲部隊のみならず多くの歩兵部隊に配備ることになり、結果として母体となったM28 アシュビーより多くの車両が実戦に投入されることになった。 899: ホワイトベアー :2020/11/08(日) 12 44 30 HOST om126212166037.14.openmobile.ne.jp 以上になります。wiki掲載は火葬仕様なのでご遠慮ください。 私の枕元に金髪のバラのように美しい少女が降り立ち、姉の魔の手から父を護りたいと言って来たので力を貸してあげました。
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【法案提出にあたり公表された、同進会会長李鶴来さんのコメント】 <コメント> 「特定連合国裁判被拘禁者等に対する特別給付金支給法案」の提出について 本日(5月29日)衆議院に「特定連合国裁判被拘禁者等に対する特別給付金の支給に関する法律案」が提出されました。 戦後63年、1955年4月に私どもが同進会を結成して運動を始めてからも53年の長い時間が経過しましたが、日本の国会が私どもの訴えを受け止めて、初めて韓国・朝鮮および台湾人のBC級戦犯者問題に向き合い、象徴的な補償を行うための法律案が提出されたことに深い感銘を受けました。 東南アジア各地で処刑された仲間や「スガモ・プリズン」から仮釈放された後の長い戦後の闘いの中でこの世を去っていった多くの仲間のことを想い浮かべ、ようやく日本国による公式の対応実施に向けて動き出したことを評価し、感謝申し上げます。 これまで法案提出のためにお骨折りいただいた、松井孝治民主党NC内閣部門担当大臣、泉健太衆議院議員、円より子民主党副代表、石毛えい子前衆議院議員ら関係議員の皆様のご尽力に、心よりお礼申し上げます。 提出された法案の内容については、第1条(趣旨)に記されている「特別の事情等」などについてもうすこし分かりやすく丁寧に書き込んでいただきたいとの希望を当事者としては持っています。今後の審議の過程で、できれば当事者の元戦犯や遺族が陳述する機会も設けていただき、そうした気持を直接にお聞き届けいただけますよう要望します。 当事者はいずれも高齢に達し、病床に伏している者も少なくありません。この法案が早期に審議され、広く各党・各議員のご理解と支持を得て、一刻も早く可決・成立されますよう切望しています。 2008年5月29日 韓国・朝鮮人元BC級戦犯者・同進会 会長 李 鶴 来 (1927年4月5日生・81歳)
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水鏡連合(№1)→http //www.freepe.com/ii.cgi?tashiken555
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一応なんですが… - 名無し (2023-09-08 12 00 37) 11はオーヴァーロード作戦12は沖縄戦でした - 名無し (2023-09-08 12 01 08) 情報提供ありがたい でもよくハスキー作戦クリアできましたね - しーえす (2023-09-11 17 09 46) 将軍つきの船を湾岸砲破壊しつつパルマに近づけて敵を引き寄せてから将軍つきの戦車隊を無理矢理上陸させて安全な位置を確保した後歩兵とかロケット砲を上陸させて強引に突破していきました。 - 名無し (2023-09-12 21 22 13)
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チャット>http //chat3.whocares.jp/chat/cr.jsp?rn=tashi76
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連合国軍最高司令官総司令部(れんごうこくぐんさいこうしれいかんそうしれいぶ、聯合国軍最高司令官総司令部)とは、第二次世界大戦終結に際してポツダム宣言の執行のために日本を占領し、間接統治を行なった連合国軍の日本における司令本部である。日本では「GHQ」という通称が用いられた。連合国軍総数は20万人、うち12万人が横浜市に上陸した。 名称 英語の General Headquarters/ Supreme Commander for the Allied Powers の日本語訳。「総司令部/ 聯合国軍最高司令官」が正式名称となるが、この記事名のほか、「軍」という語を使わずに連合国最高司令官総司令部、これを略して連合国総司令部としたり、軍を含めて連合国軍最高司令部日本教育制度ニ対スル管理政策(昭和二十年十月二十二日連合国軍最高司令部ヨリ終戦連絡中央事務局経由日本帝国政府ニ対スル覚書)、教育及ビ教育関係官ノ調査、除外、認可ニ関スル件(昭和二十年十月三十日連合国軍最高司令部ヨリ終戦連絡中央事務局経由日本帝国政府ニ対スル覚書)等で使用されている。 、又は連合国軍総司令部とする場合もある。また、 General Headquarters/ Supreme Commander for the Allied Powers の略語であるGHQ/SCAP(ジー・エイチ・キュー・スキャップ)が用いられることもある。なお、日本では一般に、SCAPを省きGHQ(ジー・エイチ・キュー)と呼ぶことが多いが、GHQは単に総司令部(General Headquarters)を意味するので、日本以外でGHQと言った場合、必ずしも「連合国軍最高司令官総司令部」を意味するわけではない。 基本情報 thumb|300px|right|[[ダグラス・マッカーサー|マッカーサーを訪問した昭和天皇(1945年9月27日撮影した3枚のうち9月29日に公開された1枚)]] 日本がポツダム宣言を受諾した1945年(昭和20年)9月から1952年(昭和27年)4月28日の日本国との平和条約発効までおよそ6年9ヶ月の間、日本占領に当たる連合国軍(イギリス、アメリカ、中華民国、ソビエト連邦、カナダなど各国軍から最大43万人)を統括し、日本の間接統治権を与えられた。最高司令官は連合国の構成国の1国であるアメリカ陸軍のダグラス・マッカーサー元帥。1951年(昭和26年)4月16日より同国のマシュー・リッジウェイ中将(就任直後に大将に昇進)。 連合国軍最高司令官総司令部の統治は、日本の政治機構をそのまま利用し、日本政府に指示・命令する間接統治であった。連合国軍の命令の多くは1945年(昭和20年)9月20日の勅令「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件」に基づいていわゆるポツダム命令(ポツダム勅令。新憲法施行後はポツダム政令)などの形で公布・施行され、日本政府にとっては絶対的・超法規的な性格をもっていた。1946年(昭和21年)2月には政策決定の最高機関として各国代表による極東委員会が、4月には最高司令官の諮問機関として対日理事会が設置されたが、実質は最大の占領軍を派遣し、また最高司令官を出していたアメリカによる間接統治という性格は変わらなかった。 日本はまず軍事機構と国家警察を解体され、続いて政治の民主化と政教分離、財閥解体、農地解放を行い、国家を完全に改造した。この間、日本の内政は連合国軍の影響下に置かれながらも日本政府が担ったものの、外交権は無かった。「敗戦国を戦勝国が完全に支配下に置き、統治を行うことは近代国家の時代に入ってからはなかったことである」とマッカーサーは述懐している。 機構 thumb|right|300px|接収された[[第一生命保険|第一生命ビル。現「第一生命館」。(手前は皇居の外堀。後ろの高層部分は後に増築したもの。現在は外壁も含めほとんど改築され、マッカーサー執務室も再現である。)]] 総司令部本部は接収した第一生命相互ビルに置かれた。皇居を見下ろす形で堀沿いに建てられた第一生命ビルに本部を置くことは、連合国軍が天皇のさらに上に君臨するという政治的意図が込められている(実際にはその立地上、連合国軍による本社ビル接収を免れないことを承知していた第一生命が、総司令部に利用されれば丁寧に使われ、将来の接収解除後にも建物をそのまま利用できるという目論見から、積極的に総司令部として利用して欲しいと差し出したという記録がある)。実は東京大学(本郷キャンパス)が司令部として接収されかけたが、時の内田祥三総長が抵抗してやめさせた(「文藝春秋」より)。 なお、当時の日本政府及び日本の報道機関は連合国軍を「進駐軍(しんちゅうぐん)」と呼ばせられ、占領に対する否定的なイメージの払拭に努めさせられた プレスコードによるダブルスピーク。連合国軍将兵の犯罪についても“大男”などと報じざるを得なかった。。 連合国軍とはいっても、その多くの職員はアメリカ合衆国軍人とアメリカの民間人で構成されていた。連合国軍最高司令官総司令部は、軍事部門である参謀部と専門部局である幕僚部から組織された。 参謀部 第1部(G1 人事担当) 第2部(G2 情報担当)プレスコードの実施を担当 第3部(G3 作戦担当) 第4部(G4 後方担当) ※特に諜報・保安・検閲を任務とする第2部(G2)が大きな発言権をもっていた。占領中に起きた数々の怪事件は、G2とその下にあったいくつもの特務機関(キャノン機関など)が関与したとも囁かれている。 幕僚部 民政局(GS Government Section 政治行政) 経済科学局(ESS Economic Scientific Section 財閥解体など) 民間情報教育局(CIE Civil Information Educational Section 教育改革など) 天然資源局(NRS Natural Resources Section 農地改革など) ※特に民政局(GS)が「非軍事化・民主化」政策の主導権をもっていたが、GSにはルーズベルト政権下でニューディール政策に携わっていた者が多数配属されており、日本の機構改造のために活動した。上記は中枢部分で、1946年1月段階では11部局、最終的には14部局まで拡大している。また、GSとG2が日本の運営を巡って対立。GSが片山・芦田両内閣を、G2が吉田内閣を支えており、政権交代や昭和電工事件の要因にはGSとG2の闘争があったとも言われる。 政策 総司令部の最大の目標は、世界の脅威となる日本の軍事力を解体することであり、軍国主義を廃した民主的な国家を作ることにあった。マッカーサーはこれを『上からの革命』と称した。また、マッカーサーは後に、当初は日本を工業国から農業小国に転換し、アメリカの市場とするつもりだったと述べているTemplate 要出典?。 戦争犯罪人の逮捕 連合国軍は占領直後から、日本の戦争指導者の検挙に取り掛かかり、東條英機元首相を含む数十名を逮捕した。彼等はいわゆるA級戦犯として極東国際軍事法廷(東京裁判)により国際法に違反した事後法による裁判により判決を言い渡され、東條以下7名を絞首刑による処刑、多数を禁固刑などに処した。平和条約により日本はその判決を受諾(ただし裁判自体は受諾していない)した。 公職追放 軍人ほか、戦時中に軍に協力的であったと認定された政治家、思想家など個人20万人がこれを理由に職を解かれて公職追放され、思想面での統制が行われた。また、戦争犯罪人や大政翼賛会に関与していたと見なされた者は、政府機関の職に就くことを禁止された。戦意高揚映画を製作した東宝など、映画界にもこれは及んだ。 情報統制 総司令部が政策として最初に行ったことは検閲である。1945年(昭和20年)9月に発した「プレスコード」によって、軍国主義的なもの、戦前・戦中の日本を肯定するもの、連合国軍の行為を批判するもの、原子爆弾や無差別空襲の被害について知らせるものなどについて、ラジオ・新聞・雑誌他、一般市民発行の本に至るまで厳しく取り締まりこれら検閲物は、GHQで文官として任に当たっていたプランゲ博士によってその後米国メリーランド大学へ移管され、プランゲ文庫として公開されている。、情報を統制した。プレスコード通達直前には「言論及び新聞の自由に関する覚書」(SCAPIN-16)を発し、言論の自由の制限は最小限度に止める、GHQ及び連合国批判にならずまた世界の平和愛好的なるものは奨励とされたが、これに違反したとして朝日新聞社は二日間の業務停止命令を受けた。 非軍事化 『国民主権』、『基本的人権の尊重』という民主主義の基本をそなえると共に、『戦争放棄』をうたった憲法(日本国憲法)を製作し、日本政府に与えた(日本の戦争放棄は幣原喜重郎首相も考えていたと、マッカーサーは記録している。また、幣原喜重郎首相は自らの著である『幣原喜重郎―外交五十年』のなかで、戦争放棄や軍事力の解体を考えていた事を明らかにしている。また、天皇・皇室の神聖性の除去、国家神道の廃止、軍国主義教育の廃止を行い、明治からの社会思想を解体した。 その矛先は、映画界にまで及び、戦闘心を煽るとして、見当はずれなチャンバラ映画の禁止が行われ、時代劇スターが仕事を失うという珍事をもたらした。 民主化 民主国家にするための国民の改造として、「婦人参政権」「労働組合法の制定」「教育制度改革」「圧政的な法制度の撤廃」「経済の民主化」の5大改革指令を発し、日本政府に実行させた。労働組合はすぐに解禁され、男女同権論に基づく婦人参政権は直後の衆議院選挙から実行された。圧政的といわれた治安維持法と特別高等警察は廃止され、戦時中にこれら罪状で逮捕・服役していた政治犯を釈放した。 経済界においては、経済民主化のため、三井・安田・住友・三菱の4大財閥を解体した(財閥解体)。さらに、地方自治法が制定され、都道府県知事は選挙によって選出されるようにしたことで、中央集権から緩い地方分権へと移行させた。警察も、それまでの国家警察から、地方自治体の影響下に置かれた地方警察へ組み替えられた。一方で民主主義に不可欠とされる、言論の自由は弾圧していた。 農政 農地改革によって大地主から強制的に土地を買い上げて小作人に分配した。これは、大地主に経済的に隷属する状況から小作人を解放し、民主主義を根付かせることに寄与した一方、自作農となった農民を保守化させる結果となり、農村は保守勢力の牙城となったTemplate 要出典?。また、北海道を除いて大規模農業事業を難しくさせ、農業の国際競争力は戦前と比べても極度に低下しTemplate 要出典?、以後の食料自給率低下に拍車をかけ現在に至っている。なお、全ての小作地が農地改革の対象になったわけではなく、実態には地域によりばらつきがあった。 教育改革 教育方針は連合国側で矯正させ、教育基本法を制定させて、6・3・3・4の学校制度を新設し、複線教育と全体主義の根本とされた教育勅語は廃止させた。教育使節団が2次に亘って来日し、これらの事業を完成させた。(アメリカ教育使節団報告書)。新制中学校による義務教育の延長など、教育の民主化に寄与する反面、旧制高等学校の廃止などが国力の漸減を意図したものだと指摘されてもいるTemplate 誰?。 非共産化と再軍備 国内経済の疲弊から社会主義が流行し、労働運動は非常に盛り上がったが、アメリカやイギリスなどの民主主義国とソビエト連邦との対立、いわゆる冷戦が激しさを増すと、共産党の勢力拡大が恐れられた為、対日政策の方針転換が行われて、日本列島を『反共の防波堤』にする計画が進み、共産主義者の追放(レッドパージ)を極秘裏に行った。同時に軍国主義・超国家主義者などの公職追放を解除することで、ある程度の右派勢力を回復し、左傾化した世論のバランスを取ろうとした。いわゆる「逆コース」である。 また、工業の早期回復による経済的自立が求められた。朝鮮戦争勃発によって連合国軍の一部が朝鮮半島に移ると、日本国内の軍事的空白を埋める為、警察予備隊の創設と海上保安庁の強化を実施して、日本の再軍備を行った。これらによって、日本との早期講和を行い、主権回復させて自力で防衛させることとなり、日本国との平和条約および日米安全保障条約の発効に至った。 GHQ/SCAPによるこれらの政策は、後に良くも悪くも論じられるが、日本が主権回復した後も、日本の国家の形態や日本人の精神・思想に多大な影響を及ぼし続けていると考えられている。 「慰安所」の設置 終戦直後の8月18日に、内務省は全国の警察に対して慰安所の設置を指令し、8月20日には近衛文麿国務相が特殊慰安施設協会(RAA)の設置を決めた。このような日本政府による「良家の子女を守るため」という大義名分を基に日本各地に慰安所が設置された。多数のアメリカ兵が利用したが、アメリカ兵による性犯罪も多発し、犯罪防止の効果は不明である。 対日講和 日本政府は終戦によって軍人や強硬派政治家・官僚が失脚し、吉田茂(外務大臣、後首相)など国際協調派が主導権を握った。吉田らは健全な戦後復興のために、高額賠償金の支払いや領土分割を回避する「寛大な講和」を勝ち取ることを考え、日本政府が「よき敗者」として振舞うことに注力し、非軍事民主国家建設によって国際的な評価を得るべく、連合国軍の政策はほぼ忠実に実行した。また、イタリアなどの枢軸諸国が早期講和によって賠償や領土割譲を要求されたことから、講和を急ぐことは「寛大」を勝ち得ないと判断し、占領期間を引き延ばしながら、連合国に対して日本が有利になる時期を見計らった。 一方、冷戦の激化により、日本との講和もアメリカやイギリスなど自由主義陣営とソ連などの社会主義陣営の間で、主導権をめぐる駆け引きの対象となり、同時に非武装を国是とした日本の防衛をどうするかが大きな課題となった。米国内では、国防省は日本への軍の継続駐留を企図して、国務省主導の講和計画に反対した。日本政府は米国に対し、米軍の継続駐留・将来の日本の再武装を確認する取り決めを行い、見返りに米国の信託統治(後の分離独立を企図)下にある沖縄・奄美・小笠原に対する日本の潜在的主権を認め、「賠償請求権の放棄」「領土保全」「日本防衛の日米協力」を柱とした米国主導による「対日講和7原則」が決定した。 1951年(昭和26年)の講和会議には英仏蘭の要求によって、各国の旧植民地も参加した一方、内戦で立場が微妙な「中国」(中華民国)と「朝鮮」(大韓民国或いは朝鮮民主主義人民共和国)は招かれず、ソ連は米国主導・中国(中華人民共和国)不参加に不満を持ち、講和阻止の活動を行った。また、旧植民地の東南アジア数カ国は、独立後の財源を確保するべく、「日本による侵略の被害者」を訴えて、賠償権放棄に反対したため、日本は2国間交渉によって賠償に応じ、国際社会に謙虚さをアピールした。 これらの結果、講和条約には会議参加52カ国の内、調印式典をボイコットしたソ連など3国を除く49カ国が調印し、対日国交回復した。条約により、日本は朝鮮半島の独立を承認、台湾・澎湖諸島の放棄、樺太・千島列島の放棄、沖縄・奄美・小笠原・南洋諸島のアメリカによる信託統治の承認、東京裁判の結果の承認を行った。同時に日米安全保障条約に調印してアメリカ軍の国内駐留を承認し、台湾島に拠点を移した中華民国の中国国民党政府を承認する日華条約を締結することで反共の姿勢を打ち出し、正式に西側陣営に組み込まれた。 主権回復した日本は、国際連合に加盟する為、ソ連との国交回復を1956年(昭和31年)11月に実現させ、ソ連の承認を受けて同年12月18日に国際連合に加盟、国際社会へ復帰した。その後は軍事的な対米従属の下で経済的繁栄を目指し、1970年代には主要先進国の一つとなった。同じく占領され、同時期に経済的繁栄を手にした西ドイツの主権回復は1955年、ソ連との和解は1970年、国連加盟は1973年であり、また講和会議は行われていない。 日本語のローマ字化(断念) Template See also? 日本の教育状況と日本語に対する無知と偏見から、若い将校の発案で「日本語は文字が多いために覚えるのが難しく識字率が上がりにくい」とし、日本語をローマ字表記にしようとした。しかし、老若男女を対象とした全国試験調査の結果、日本人の識字率が90パーセントを超えるという結果が出たTemplate 要出典?。世界的に見ても、これは例を見ないレベルでありTemplate 要出典?、日本語のローマ字化は撤回された。 年表 1945年(昭和20年) 8月15日 終戦。昭和天皇による国民に向けての玉音放送。鈴木貫太郎内閣総辞職。 8月17日 東久邇宮稔彦王内閣成立。 8月28日 テンチアメリカ陸軍大佐以下150名が横浜に初上陸し、連合国軍本部を設置。 9月2日 日本政府が戦艦ミズーリで降伏文書調印。GHQ指令第一号(陸海軍解体、軍需生産の全面停止等)が出る。 9月8日 連合国軍、東京を占領する。以後、都内の建物600箇所以上を接収。 9月10日 「言論及ビ新聞ノ自由ニ関スル覚書」発令。政府に代わり連合国軍が検閲を始める。 9月15日 東京・日比谷の第一生命相互ビル(現、DNタワー21、第一・農中ビル)を接収。 9月16日 連合国軍本部が横浜から第一生命相互ビルに移転。 9月17日 マッカーサー、東京の本部に入る。 9月19日 言論統制のためのプレスコードが出される。 9月27日 昭和天皇、マッカーサーを訪問。 10月2日 連合国軍最高司令官総本部(GHQ/SCAP)設置。一般命令第四号「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」を発するが、日本側には知らせず(命令の存否について議論あり)。 10月4日 自由の指令(「政治的、公民的及び宗教的自由に対する制限の除去の件(覚書)」、「政治警察廃止に関する覚書」)発令。 10月9日 東久邇宮稔彦王内閣総辞職し、幣原内閣が成立。 10月11日 女性の解放と参政権の授与、労働組合組織化の奨励と児童労働の廃止、学校教育の自由化、秘密警察制度と思想統制の廃止、経済の集中排除と経済制度の民主化を指示。 10月15日 治安維持法の廃止。国内の日本軍、武装解除を完了。 11月18日 皇族資産凍結の指令。 12月6日 近衛文麿や木戸幸一など民間人9人の逮捕を命令。 12月7日 いわゆる農地解放指令(農地の小作人への分配)。 12月9日 農地改革を指示。 12月15日 神道指令を指示(政教分離)。外部リンク国家神道、神社神道に対する政府の保証、支援、保全、監督並に弘布の廃止に関する件 1946年(昭和21年) 1月4日 軍人・戦犯・軍国主義者及び同傾向政治家などの公職追放を指示。 2月3日 マッカーサー、民政局長コートニー・ホイットニーに自作の憲法案のメモを渡し、憲法モデルを作成するよう命じる。 2月13日 ホイットニー局長、新憲法モデル文章を吉田茂らに見せる。 3月6日 日本政府、「憲法改正草案要綱」(戦争の放棄、象徴天皇、主権在民)を公表。 5月3日 極東国際軍事裁判(東京裁判)開廷。 11月3日 日本国憲法公布。 12月18日 ワシントンの極東委員会、日本の労働運動16原則を決定(占領目的を阻害する労働運動の禁止)。 1947年(昭和22年) 1月31日 マッカーサー、二・一ゼネスト中止命令。伊井、NHKでスト中止を発表(後に占領政策違反で逮捕)。 5月 総司令部内に賠償局を設置。 5月 GHQ、日本政府に対し「帝国」の語の使用を禁じる。 5月3日 日本国憲法施行。 7月11日 マッカーサーの進言により、米国政府が連合国に対し、対日講和会議の開催を提案。 7月22日 ソ連が米国提案の対日講和会議に反対。 1948年(昭和23年) 11月12日 東京裁判がA級戦犯25人に有罪判決。うち板垣征四郎、木村兵太郎、土肥原賢二、東條英機、広田弘毅、武藤章、松井石根に死刑判決。 11月30日 政令201を受け国家公務員法改正。公務員の団体行動権を否定(労働基本権)。 12月8日 民政局次長チャールズ・ケーディス大佐が対日政策転換を阻止するため帰国(昭電事件の余波から逃れる為と噂される)。 12月18日 GHQ/SCAP、対日自立復興の9原則を発表(対日政策転換する)。 12月23日 東条英機ら旧指導者7人に死刑執行。 1949年(昭和24年) 3月1日 GHQ/SCAP経済顧問ジョゼフ・ドッジ、超均衡予算、補助金全廃、復興金融金庫の貸出禁止など、収支均衡予算の編成を指示(ドッジ・ライン)。 9月15日 シャウプ税制使節団、税制の抜本的改編を発表。(詳細はシャウプ勧告を参照) 10月4日 プレスコード撤廃。 11月1日 米国務省、「対日講和条約について検討中」と声明。講和案に賠償・領土割譲が無いことが報道される。これ以降、国内では西側との「単独講和論」と東側を含めた「全面講和論」が対立(世論調査では全面講和が優位)。 1950年(昭和25年) 6月6日 マッカーサー、日本共産党中央委員24名を公職追放。 6月25日 朝鮮戦争勃発(- 1953年)。在日占領軍が大韓民国を支援するため出動し、日本が前線基地となる。 7月8日 マッカーサー、吉田首相に警察力強化(警察予備隊7万5000名の創設と海上保安庁8000名増員)を求める書簡を送る。 7月24日 GHQ/SCAP、日本共産党幹部逮捕と日本新聞協会代表に共産党員の追放を勧告(レッドパージ)。 8月10日 警察予備隊令を公布。総理府の機関として、警察予備隊が置かれる。 8月27日 第2次アメリカ教育使節団来日。 9月14日 米トルーマン大統領、対日講和と日米安全保障条約締結交渉の開始を指令。 11月24日 米国政府、「対日講和7原則」を発表。日本への請求権放棄と、日本防衛を日米共同で行う旨を明記。 1951年(昭和26年) 1月 マッカーサー、日本政府に再軍備の必要性を説く。 4月11日 マッカーサー、朝鮮戦争で中国東北部空爆を巡りトルーマン大統領と対立し更迭される。 4月16日 マッカーサー、アメリカへ帰国。マシュー・リッジウェイ中将が第二代最高司令官に就任(就任後に大将へ昇進)。 9月8日 サンフランシスコ講和会議で日本国との平和条約を調印。続いて日米安全保障条約に調印。ソ連は不参加。 1952年(昭和27年) 2月28日 日米行政協定締結。 4月28日 日本国との平和条約が発効、日本の主権回復。GHQ/SCAPの占領が終わる。 脚注 参考文献 天川晃 監修、荒敬 編集・解説『GHQトップ・シ-クレット文書集成』(柏書房、1993年〜1996年) 第I期 ISBN 4-7601-1028-3、第I期インデックス ISBN 4-7601-1125-5、第II期 ISBN 4-7601-1197-2、第II期インデックス ISBN 4-7601-1370-3 荒敬・内海愛子・林博史 編『国立国会図書館所蔵 GHQ/SCAP文書目録』(蒼天社出版、2005年) ISBN 4-901916-12-2 竹前栄治・中村隆英 監修、天川晃ほか 編『GHQ日本占領史』全55巻・別巻1(日本図書センター、1996〜2000年) 竹前栄治『戦後労働改革 GHQ労働政策史』(東京大学出版会、1982年) ISBN 4-13-051020-7 櫻井よしこ『GHQ作成の情報操作書 「眞相箱」の呪縛を解く』(小学館文庫、2002年) ISBN 4-09-402886-2 甲斐 弦『GHQ検閲官』(葦書房、1995年) ISBN 4-7512-0604-4 占領史研究会 編著『GHQに没収された本 総目録』(サワズ出版、2005年) ISBN 4-87902-023-0 関連項目 Template Commonscat? 連合国軍占領期の日本 極東国際軍事裁判 占領行政 憲法改正 日本国憲法 労働組合 連合軍専用列車 アメリカ教育使節団報告書 冷戦 白洲次郎 マッカーサー・ライン 天皇制廃止論 プレスコード ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム (イラク戦争における)連合国暫定当局 極東委員会 赤線 日本における検閲 外部リンク 国立国会図書館・テーマ別調べ方案内:連合国最高司令官総司令部 出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』_2008年11月11日 (火) 16 58。