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結論から言えば―――私達四人は、地下ダンジョンを制覇してしまった。 新しくパーティに加入した兄弟が、想像以上にダンジョンに精通していたのだ。 調子に乗って記念写真を撮り始めた三人に冷ややかな視線を向けながら、私はぼそりと呟く。 「………本気で何やってるんだろう、私」 私は何度も止めたのだ。私達の目的は、ダンジョンの制覇では無いと。 しかし、一度乗り気になってしまったDIO様を私一人で止められるはずもなく、結果としてダンジョンの最下層、地下99階までずるずると来てしまった。 「ム………? リン、あれを見ろ」 「こんな時になんですか………ってアレは………」 こんな時にくだらない事を言うようなら、主従など関係無しに殴ってやるところだったが、どうやら違ったようだ。 そこにあったのは旅の扉―――ドラクエでお馴染の、アレである。なんでそんなものがここに? 「ふむ………おそらく、アレがこのダンジョンをクリアしたボーナスのようなものなのだろう」 「ボーナス………ですか………?」 どちらかと言えば、罠の可能性の方が高い気がするが。 「DIO様………わかってますね、ここは慎重にいきましょう」 DIO様の―――吸血鬼の、唯一にして絶対の弱点が、日の光だ。 日の光に当たった途端、DIO様は一瞬で死んでしまう。 「ですから、これがどこに通じているのかをよく調べてから………ってもういないし!?」 死にたいんですかDIO様!? せめて、私かそこの兄弟を先に突入させて様子を見ましょうよ! そんなんだから、ジョジョスレで三部DIOは愛すべき馬鹿とかそんなこと言われちゃうんですよ! ええい。正直に言うとあまり気は進まないけれど、DIO様は私の主人だ! 部下である私が、主人を放っておくわけにはいかない! 「南無三!!」 おおよそ少女らしく無い掛け声を上げながら、私は旅の扉へ突入した。 ◆ 旅の扉を抜ける。 ふう、危惧していたように、屋外では無くて一安心だ。 というかここは………お城? 「どうやら、ここが織田信長の本拠地らしいな」 「あ、DIO様。良かった、生きていたんですね」 「勝手に殺すな」 「殺すといえば、その足下に転がっている死体はDIO様が殺ったんですか?」 DIO様の足下、よく磨かれた廊下には、首が切断されたちょんまげの着物姿の男の死体があった。 首の断面から血がまだ流れ出ているところを見るに、殺されてからそう時間は経っていないようだ。 「ああ。いきなり『信長様の城に侵入した賊め! 拙者がたたっ切ってくれる!』とか言って襲いかかって来たのでな。 戯れにちょっと首を突いたら、首が飛んでしまった」 「吸血鬼のスペックを考えないとダメですよ、DIO様。 で、これからどうするんですか? ここが織田信長の城ってことは………」 「ああ。織田信長を倒せば、世界はそっくりそのまま私のものだ。今から我々は身を潜めつつ天守閣へ向かい、信長を殺す」 やっと普通のDIO様に戻ったようだ。 しかし、潜入かあ………KAITO兄さんと一緒にメタルギアをやってから、ずっと憧れてたんだよなあ………。 「敵に遭遇した場合は、私がザ・ワールドを発動して時を止め、その間に仕留める。 迷宮兄弟は、そのダンジョンに関する知識をフルに活かして、最適なルートを判断してほしい」 「はっ!」 「で、リンだが」 「はい!」 うん、やっぱりDIO様はこうでこそ。 ああ、私は何をすればいいんだろうか。 「ただしリン、お前は駄目だ!」 「ええええっ!?」 ずっこけた。 思いきり、ずっこけた。 私はすぐさま、DIO様に抗議の声を上げる。 「なんでですか! なんで私だけ駄目なんですか!?」 「いや、私の頭脳でも敵地でリンをどう扱えばいいのかわからないのだ………。 特に戦闘能力があるわけでも無く、歌を歌えても特に意味は無い………。なんで私はお前を部下にしたのだろう」 「こっちが聞きたいですよ!」 「まあ、そういうことだからリンはここで待っていろ。ほら、アメちゃんあげるから」 「いりませんよ!?」 ◆ 「DIO様」 「………なんだ」 城内をしばらく進んだところで、迷に声をかけられる。 考えてみると、こいつから私に話しかけてくるのは中々珍しい。 「いえ………リンを安全な場所に置いていくとは、DIO様も意外とお優しい所があると思いまして」 「フン………利用価値が無いから、放置してきたまでだ」 「そうでしょうか。リンを囮として、またはいざと言う時の盾として使う、という手もあったかと思いましたが」 「………口を慎め、迷」 命令通りに迷は口を閉じた、が………。 ええい、口元に笑みを浮かべているのが癪に障る。 フン………別に、リンを思ってのことでは無い。 そんな事をして部下を失っても、意味が無いだけだ。 私は信長を抹殺した後、世界を統治するという仕事が残っている。 信長を倒せば、今まで信長を倒そうとしていた連中の矛先は、私へと向かう。 その際に、まだ残っているリンの兄弟を相手にする時、リンは実に有効なカードとなるだろう。 そう―――ただそれだけの、つまらない理由だ。 リンを生かしておくのに、それ以外の理由など、何一つ存在しない。 「―――だからそのニヤケ面をなんとかしろ、迷!!」 【名も無き武将A 死亡確認】 【12時30分/信長の居城】 【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】 【状態】健康 【装備】皮の盾+2 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】 1:カオスロワの混乱に乗じて、世界を制覇する。 2:信長の元へ向かい、信長を殺す。 【迷宮兄弟・迷@遊☆戯☆王】 【状態】肉の芽 【装備】 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】 1:DIOに従う 【迷宮兄弟・宮@遊☆戯☆王】 【状態】肉の芽 【装備】 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】 1:DIOに従う ◆ 「あーあ、暇だなー」 DIO様がどこかから見つけてきたダンボール(スネークおすすめの一品)に身を潜ませながら、私は独り言つ。 私だって、何かの役には立てると思うのに………あんなにはっきり言うなんて………。 あーあ、そういえばレンは今頃何してるかなあ………。 現在、丁度十二時半。私、鏡音リンの退屈は、まだ終わりそうにない。 【12時30分/信長の居城】 【鏡音リン@ボーカロイド】 【状態】肉の芽 【装備】デリンジャー、ダンボール 【道具】支給品一式 【思考】 1:DIOに従う 【ダンボール】 高いステルス性を備えた、スネークおすすめの品。 攻撃を防ぐのならばイナバ物置、身を隠すのならばダンボールと使い分けが大切。
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メロンの退屈日記@ SLE患者
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作品情報 作品タイトル 柊蓮司と退屈なお茶会(A Mad Tea-Party) クロス元 AQUA、ARIA 作者 7-56 エピソード一覧 /ハンドアウト? /Scene01?:“Down the Rabbit-Hole”(ウサギの穴に落ちて) /Scene02?:白猫、不幸な男を送り込む “The Cat Sends Unhappy Man” /Scene03?:鏡の向こうの家 “Looking-glass house” /Scene04?:生きた花の庭 “The Garden of Live Flowers” 解説 PC4 シナリオコネクション:アリシア=フローレンス 推奨キャラクター:ポーリィ=フェノール キミは相変わらず女三人で旅を続けていた。いつものように世界を救ったあと宿屋に泊まり眠っていた。夢の中でキミは大きな黒い猫に出会う。その猫に導かれるようにしてキミは異世界へと辿り着く。そこで出会ったのはかつての仲間、柊蓮司だった。 実はナイトメアはNPCだという罠。 一応キャラ紹介を。 ポーリィ=フェノール クラス ウォーリア / ヘビーアームズ / ライトアームズ 属性 森 /氷 ナイトウィザード&セブンフォートレスリプレイ「フレイスの炎砦」のPC。柊が初めて異世界に飛ばされた際の仲間。十六という年齢にくらべ子供っぽい性格。趣味は人にたかることで、柊によくたかっていた。光の剣ゴル…じゃなくて「スヴェルヴェン=クレア」を持つ。 アリア・ポコテン クラス 大いなる者 スタイルクラス キャスター 属性 水/冥 火星猫。元々は野良猫で、は少なくとも年齢は二十歳以上。若干太り気味で、性格は子供っぽい。ドジかつ不器用なのに、玉乗りがうまい。よそのトイレには一人で入れなかったり、注射器の前では動けなくなるなど、少し怖がり。~ アリス・キャロル クラス 夢使い スタイルクラス ヒーラー 属性 天/水 オレンジぷらねっとに勤めるウンディーネ。14歳。ゴンドラ部の活動実績を買われ、異例の入社を果たした。無口かつ無愛想で人付き合いが苦手。謎のキャラ「ムッくん」が好き。お世辞が言えない性格で、同僚に尊敬されているがゆえに敬遠されている。
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(退屈だな……) 窓から差す真夏の陽光に目を細め、わたしは気だるげにため息を付いた。 (かといって、外に出るような陽気でもないし) 陽光だけに限らず、窓を通して聞こえる蝉の大合唱もまた、否応無しに外の暑さを感じさせてくれる。クーラーの効いた部屋もその声だけで、温度が一、二度上がる気さえした。 (憂や純も旅行で家を空けているみたいだし) そうなるとわたしは退屈を潰す手がない。 あーあ、去年の夏はこんな退屈を味わう事なんて事なかったのにな。 (寂しい……な) 先輩達と毎日のように練習?した去年の夏を思い出す。暑くて暑くて仕方ないのに唯先輩がベタベタとくっついてきて迷惑したり、律先輩が部活と称してプールに行くのを提案したり、澪先輩が……。 思い出すと楽しい反面、寂しさが大きくなった。もう去年のような夏は二度と送れないのだ。先輩達は受験が終わったら卒業してしまう。 先輩達を抜くと実質けいおん部はわたし一人。わたし一人じゃ部活もできないし、来年はどうなっちゃうんだろ。 (宿題でもしようかな) 考え出すと気が沈むばかりだから、夏休みの宿題に手を伸ばす。人目でやる気を削がすような数字の羅列に、思わずまたため息が漏れてしまう。う……ダメだ、わたし完全になまってる…… そういえば、唯先輩はしっかり勉強しているのかな。この暑さだし、ただでさえ回らない頭がますます回らなくなってるんじゃないか、と少し心配になる。 『勉強捗ってますか? 暑いからって怠けないでくださいね』 すぐに返信。 『おはよう、あずにゃん。失敗しちゃったよー』 添付して送られてくるのは、何やら黒い物体。真ん中が盛り上がってるとこから……め、目玉焼き? そういえば、今日は憂がいないんだっけ。だから、普段しない料理なんかして……この様なのかな。 『目玉焼き作るコツってあるのかなぁ』 『ふつうに焼けば良いんじゃないですか』 『普通にって何、わかんないよ~』 これではお昼ご飯も思いやられる。 『お昼はどうするんですか?』 『出前でも取るよ~』 『夕ご飯は?』 『出前でも取るよ~』 『……夕飯だけでもうちに来ますか?』 『え? いいの? あずにゃん』 こうして唯先輩がうちに来ることになった。 空が赤色に染まる頃、階下でチャイムが鳴った。 「こんばんわ、唯先輩」 「おじゃましまーす。暑かったよぅ」 扉を開けた瞬間、ムッとした熱気が部屋に入り込む。夕方とはいえ、外はまだ暑さが和らぐ兆しはないようだ。 「あずにゃんの家、何か可愛いね」 家に可愛いも何もあるんだろうか。 「ささ、こっちです。まずはわたしの部屋で勉強しましょう」 「えー、勉強。せっかく遊びに来たんだからゲームしようよ、ゲーム」 口を尖らせて、唯先輩は不平を漏らす。 「ダメです。受験生なんですから勉強してください」 「うー」 なおも唯先輩は口を尖らせる。 「唯先輩が勉強している間、わたしがご飯作ってきますから。しっかりやっててください」 「ご飯!?」 その言葉一つで唯先輩の表情が変わる。そんなに期待されても困るのだけれど。 まあ、ろくなご飯を取れなかったからお腹が減っているのだろう。 「何か希望とかありますか?」 希望に添えるほどのレパートリーがあるわけじゃないけれど、つい見栄を張ってしまう。 「うーんと、うーん……あずにゃんが作ってくれるものなら何でも良いや」 ふふふー、ととても幸せそうな笑顔。わたしは自分の顔が、少し熱を持つのを感じた。 唯先輩のこの笑顔を見ると、いつもこうだ。胸の奥がむずかゆくなる。気持ちが良いような、ちょっと苦しいような、自分でもよくわからなくて、持て余してしまうそんな気持ち。 「じゃ、じゃあっ 勝手に作ります!」 だからぶっきらぼうにそんなことを言ってしまう。 (実際、唯先輩と会うのも久しぶりなんだよな……) 去年はほとんど毎日のように、部活で顔を会わせていたのに不思議なものだ。何だかんだ言っても唯先輩も受験生なのだ。 (でも、唯先輩は相変わらず) クスリと笑って窓を見ると、真っ暗な窓に写るニヤケ顔のわたしと目があった。何でわたしはこんなにうれしそうな顔してるんだろう。何だか妙に恥ずかしい。 (嬉しいのかな、わたし) 唯先輩に会えて……。 唯先輩は憂達とどこか違う。先輩後輩だからとかじゃなく、わたしの中の意識から違うのだ。上手く言えないけれど、わたしの中で唯先輩は『特別』なのだ。 だから余計に嬉しい、のかな。 (な、何考えてんの、わたし) さっき以上に頬が熱くなるのを感じる。これではまるで、まるで……。 でも、その好意はきっとあっちゃいけないものだ。 女の子同士だし、きっと唯先輩は迷惑するし……でも、もし迷惑しなかったら? そしたらわたしはどうするんだろう? ぶんぶんと私は首を振る。迷惑するしないじゃない。女の子同士だからおかしいんだ。迷惑するしないとかそういう問題じゃない。恋愛は男の人と女の人がするもんなんだから。 (唯先輩もいつか男の人を好きになるのかな) キュゥと何かに胸が締め付けられる。息が苦しくて、胸がズキズキと痛む。 男の人と手を繋ぐ唯先輩の姿、キスをする唯先輩の姿、……する唯先輩の姿。 男の人と幸せそうに歩く唯先輩の姿。わたしには見せてくれない笑顔で微笑む唯先輩の姿。 (ダメだ、許せない) そんなの許せない。耐えられない。 でも……先輩は卒業してしまう。大学には男の人がいっぱいいるだろう。その中の誰かと恋に落ちるかもしれない。 そしたら、そしたらわたしは……。 (寂しい……な) 今以上に会えなくなって、わたしのことは過去のことになってしまう。もうわたしに抱きついたりしなくなる。あずにゃん、あずにゃんってわたしの事を呼んでくれなくなる。そうして、わたしのことなんてどうだってよくなるんだ、きっと。 視界がぼやける。そんなの嫌だった。でも、どうしようもない…… 「あずにゃんの料理可愛いね」 「…………」 「どうしたの? あずにゃん」 「え? あ、どうかしましたか唯先輩。おかわりですか?」 「ううん、何か元気ないなって思って」 心配そうに唯先輩はわたしの顔を覗き込む。 唯先輩の丸っこくて無垢な瞳を、今はどうしてもまっすぐに見ることができなかった。 「何だかいつもより静かだし」 「別に何でもないです……」 「顔上げて喋らないし」 「別になんでもないです」 「目も赤いし」 「別に何でもないですって!」 つい声を荒げてしまう。唯先輩はまったく悪くないのに。勝手に泣いて落ち込んでいるのはわたしなのに。 「ごめんね、あずにゃん」 「謝らないでください」 悪いのはわたしだ。唯先輩が謝る必要なんて微塵もない。 「……ねぇ、あずにゃん。寂しかった?」 「さ、寂しくなんかないですよ。憂も純もいるんですもん。唯先輩と会わなくたって、別に寂しくなんか……」 「そっか、よかった。あずにゃんには憂達がいるもんね。わたしはね、あずにゃん。寂しかったよ」 「え?」 「ずっと会いたいって思ってた。和ちゃんと勉強してる時も、りっちゃん達と夏期講習受けに行っている時もずっと。何だか、あずにゃんはみんなと違うんだよね」 唯先輩がわたしと同じ事思ってる。わたしを特別だって、唯先輩が。 「みんなといると楽しくて、あずにゃんといると嬉しいんだ」 へへっ、とはにかむように笑う唯先輩の顔は、珍しくちょっと紅かった。 「わたしも……寂しかったです」 「え?」 「ずっとずっと寂しかった。メールもいつもより少ないし、電話もあんまりしてくれないし、やっぱりわたしより受験のが大事なんだ、って思ってずっとずっと寂しかった」 堰を切ったように言葉が溢れ出る。もうわたしの意思じゃ止められない、止まらない。 「でも、でも、もっと寂しいのは、先輩が卒業しちゃうことです! 卒業したら今以上に先輩と会えなくなるし、彼氏ができたらきっとわたしの事なんて忘れちゃうし、もうギュッとしてくれな……」 ギュッ。 唯先輩の柔らかい胸がわたしの顔を包み込む。わたしの大好きな感触……。 「会いたくなったら言えば良いよ。会いたい、って」 「そんなワガママを言う権利わたしにはないです。ただの後輩ですから」 わたしは男の人じゃないから唯先輩の恋人には成れなくて、恋人じゃないから会いたいなんて言えない。そういう権利は恋人だけが持つものだから。 「ううん。あずにゃんにはワガママを言う権利があるよ。だって、わたしあずにゃんの事大好きだもん」 「え?」 わたしは顔を上げた。唯先輩が頬を赤らめながら微笑んでいた。 それはわたしが初めて見る唯先輩の表情だった。 「わたしも……大好きです」 わたしはそう言って初めて唯先輩とキスをした。脳裏にわたしと幸せそうに歩く唯先輩の姿と、わたしにしか見せてくれない笑顔で微笑む唯先輩の姿を浮かべながら…… 良きかな -- (名無しさん) 2015-02-07 12 20 24 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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メタリックガーディアン「電脳に潜む“退屈”」 レギュレーション 使用ルールブック:基本+デジタルフロント(それ以外は応相談) 追加経験点:なし 特殊レギュレーション このシナリオのPCは、望むなら経験点の消費なく≪イデアインスタンスガーディアン≫を取得することができる。 セッショントレーラー 教室の窓から見上げる。 いつもの青い空だ。 遠くに、飛び立つ戦闘機やガーディアンが見える。 違った世界。遠い世界。 ――でも、もしかしたら。 破れる窓。 現れる“ヒカリ”。 「目を覚ませ」 メタリックガーディアン「電脳に潜む“退屈”」 僕らの世界が何者かに侵略されている! PC1ハンドアウト コネクション:“閃光” 関係:(良いものであればなんでもいい) コンストラクション:特になし カヴァー:高校生 君は鳳高校に通う高校生だ。 特別何かが起こるわけではない、普通の生活だ。 ニュースで流れる、正体不明の“敵”との戦いも、 多くの人々が遊んでいるネットゲームも、 君にとっては遠い話だ。 特に不満はない。 ただ、一つ言うとすれば。 「何も起こらないこと」。 ――それが、不満なのかもしれない。 PC2ハンドアウト コネクション:“敵(エネミー)” 関係:敵対 コンストラクション:特になし カヴァー:高校生 君は、鳳市に拠点を置くリンケージだ。 この街は、すごしやすくていい街だ。 しかし、この街に今危機が迫っている。 正体不明、規模不明、もちろん目的不明。 わからないことだらけの“敵(エネミー)”が、この街を襲っているのだ。 対抗できるのは、君を含めたリンケージだけだ。 君は、この街を――そして、そこにある(いる)何かを――守るために、出撃する。 PC3ハンドアウト コネクション:(自分のガーディアン) 関係:信頼 コンストラクション:特になし カヴァー:オンラインゲーマー(高校生) 君は、M-DIVEゲームを遊ぶ高校生だ。 君の実力は、プロ級かもしれないし、いわゆる“エンジョイ勢”かもしれない。 いろんなゲームを遊んできたが、君はいつも同じようなコンセプトの機体を使う。 そして、いつも同じ名前をつける。 いつしか君は、自分の使う機体に「信頼」にも似たような感じを覚える。 もしかしたら、いつか“これ”が、――。 そんなたわいもない空想をしながら、君は今日もM-DIVEゲームを遊ぶ。 PC4ハンドアウト コネクション:自由 関係:自由 コンストラクション:特になし カヴァー:自由 君は鳳市に拠点を置く(もしくは滞在している)リンケージだ。 何の因果か。 君はこのシナリオに参加することになった。 どうやって遊ぼうか。 どうせなら好き放題やろう。 そういうことになった。 君の【使命】は「このシナリオをみんなと楽しむ」ことだ。
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■エルヴァルの退屈しのぎII 世界樹の迷宮3のクエスト。 資産家エルヴァルの主催の海底神殿での採集大会。 ゴファーマー採集舞台の晴れ舞台。とりあえずもうこれ以上取れない状態まで採集すれば優勝。 流石というべきか、あのペイルホースが優勝候補となっている。 ↑↑カバン「ら、らめぇ///そんなに入らないよぉ」 カバン「あっあっアイテム...できちゃうぅぅぅっ!」 クエスト開始時点で採集アイテムを持っている場合もクリアになる。限定のテキストも存在する。 ↑アンソロジーの漫画のネタにもなってたよね。自分もその方法でやってみたw 大会には退屈しのぎではない目的があるのだが、最終目的と採集は一見無関係のように思える。だが採集は魔物の徘徊する迷宮内で行われ、当然戦闘も頻発せざるを得ない。さらに採集した素材と大会の報酬も加わり参加ギルドは強化される。きわめて合理的なクエストなのである。 ↑そんな思惑の中、優勝したのは耳年増(?)で戦闘経験も全く無いのにモンスターと会わない術を持った農夫達であった クラーケンを探させる目的もあったんじゃないかなぁと思ったり 1位を取る条件は採集アイテム45個。アイテム数上限60が重くのしかかるクエストである。 採集大会参加後ラスボスを撃破して帰ってきても平然と集計を始める。ラスボス撃破は勘定には入れてもらえない。世知辛い。 本クエストは前回の 魔物討伐大会にて好成績を 収めたギルドに依頼されている。 。ペイルホース討伐大会に出てたの!? ペイルホースの他には「ウォーハーベスト」なる謎のギルドが上位につける。こちらもファーマーズっぽい名前 でもウォーって付いてるし奴等よりかは戦えそう。…にしてもこの項目、無機物が欲情し過ぎである コメント
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7話 涼宮ハルヒの退屈 Watch suzumiya haruhi no yuutsu 8 in åç» | View More Free Videos Online at Veoh.com 涼宮ハルヒの憂鬱 無料動画@Wiki
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若葉萌ゆる春という表現がぴったりのうららかな休日の朝、汗まみれの俺は駅へと急いでいた。 うららかだろうが、冷ややかだろうが全力で自転車を漕げば誰だって汗をかく。 しかし、このままだと最後に到着するのはいつものこととして、ハルヒが一方的に「映画の予告を取るから、九時に集合よ」と言った時刻に遅れてしまう。 それもこれもビデオカメラのバッテリーを我が家の愚猫がどこかへ隠してくれたおかげだ。 てめえカリカリはしばらくやらん。ついでに帰ったら風呂にぶち込んでやる。 と、自転車の籠のキャリーボックスで撮影の小道具にされる予定のシャミセンに悪態をついた。 自転車を有料駐輪場に止めて荷物とシャミセンを持って、やっと仁王立ちのハルヒを先頭とした非常識なやつらの前に到着した。 時刻は九時ジャスト。 「遅い! 最後に来るなんていつものことだから万歩譲って許してあげるわ。だけど、遅刻は許さないわよ」 だから九時ジャストだろうが。 俺は息も絶え絶えに言った。 「三秒の遅刻よ。言い訳するし、反省の色はないわね。キョン、今度みんなにお昼奢りなさい」 もう何も言う気が失せた。 「はい。これどうぞ」 そんな俺に、天使かと見紛うばかりに可愛らしい朝比奈さんが水筒から汲んだお茶を手渡した。 これが沸点ギリギリを保ったままの煎茶でなければ、彼女を抱きしめていたところだった。 「遅かったですね。なにかあったんですか?」 ニヤけた面で尋ねる古泉に、キャリーボックスの中で無言の長門と見つめ合うシャミセンを示した。 あれが、カメラのバッテリーを隠匿しやがったんだ。 「主人を行かせまいとしてやった行動かも知れませんよ。よく飛行機事故を運良くキャンセルして免れたときの話なんかに出てくるような」 不吉なことを言うな。 「まあ、そうならないことを祈りましょう」 古泉は肩をすくめた。 「今日は鶴屋さんも来るから、喫茶店に入って待ってましょ」 そう言ってハルヒはいつもの喫茶店へ入っていった。 今になって気付いたがハルヒがやたらと大きなバッグを背負っている。 また、朝比奈さんの“変身コスチューム”なんだろうか。次はなんだ? そう思いながら後に続いこうとしたが、いかんせん片手は荷物、もう片手は朝比奈さんのお茶が握られている。 シャミセンはどうしたもんか。蹴りながらいってもいいな。 そう思っていたら、長門がひょいとキャリーボックスを持ち上げてハルヒについていった。 店に入り、席についた所で各々好き勝手に注文する。 どうせ俺の払いだから気楽だよな。 どうでもいいが、朝比奈さんの煎茶がまだ冷えないのは未来的な技術かなんかだろうか。 お冷やで割って一気に飲み干した。 捨てるなんて考えは毛頭ないからな。俺にとっては朝比奈さんのお茶はRPGで言う重要アイテムと同義だ。 おお、それを捨てるなんてとんでもない。 長門に見つめられたシャミセンも静かにしているし、まあ店も目をつむってくれるだろう。 ハルヒがさっそく届いた紅茶を啜りながら、 「今日はね。鶴屋さん家が車で送ってくれるのよ」 どこへ行く気だ? 「前にも行った神社よ」 俺の脳裏に、真っ白いインクをぶちまけたようなハトが浮かんだ。あと、お情けで焼けた鉄板の上を裸足で踊り狂うような神主さんの姿も。 あそこは不味いんじゃないか? 「大丈夫よ。鶴屋一族がなんかあの神社立てるときにお布施を一杯出したみたいだし」 それとこれとは別問題な気がするが。まあそれはいいとして、なにを撮るんだ? 「ヒ・ミ・ツよ。極秘、いえ絶秘ね。余所に撮られたらたまったもんじゃないわ」 頭の湧いたことをほざきながら、ハルヒは大事そうに小脇に抱えたバッグを持った。 なんだ、朝比奈さんの次の衣装は水着かなんかか? ぽろりもあるのかどうかは知らんが、なんとしても阻止する必要があるな。 そう固く決心をしたところで、店の入口に見慣れた顔がひょっこり現れた。 SOS団名誉顧問の鶴屋さんは、唇の前に人差し指を当てるジェスチャーをする。 静かにってことか。 そのまま、そろりそろりと歩を進める先には憂鬱げに溜め息をつく朝比奈さんがいる。 「みっくるー!」 「わひゃぁ!」 鶴屋さんにいきなり後ろから抱きつかれた朝比奈さんは悲鳴を上げる。 「おっはよ。ハルにゃんにみんなぁ」 朝比奈さんに抱きついたまま、鶴屋さんが言った。 「おはよう。じゃあ役者も揃ったし、出ましょう」 ハルヒはそう言って伝票を俺に滑らせた。 へいへい。もう慣れたよ。 一々反応してやるのもしゃくなので、荷物とシャミセンを持って会計に行こうとしたところ、 「私が持ちたい」 いつの間にかソーダ水を飲み干していた長門がそう言った。 「なら頼む」 こくんと二ミクロンほどうなづいて、外へと出ていった。 荷物は少ない方がいいからな。 会計で胃痛持ちの先生を二枚生け贄に捧げた俺もあとに続くと、黒くて長い車がどーんと店の前に止まっていた。 リムジンと言うんだろうか、やたらと長いタイプのいかにも金持ちが乗ってそうな奴だ。普通車を二台縦に繋げたらこうなるのだろうか。 「ささ。キョン君も乗った!乗った!」 バイタリティー溢れる鶴屋さんに押されて中へ入ると、予想を裏切らない豪華な車内だった。 六人と一匹に大荷物を積み込んでも、まだまだ余りある。 「ねえ、クイズしましょうよ。クイズ」 静かに発進したリムジンの中でハルヒが提案した。 「やろー、やろー!」 鶴屋さんもとても乗り気だ。 「じゃ、あたしからね。全部で四つあるわ。第一問、冷蔵庫に一頭のキリンを入れます。さあどうやって入れましょう?」 鶴屋さんは上を見上げてぺろりと舌を出す某菓子メーカーのマスコットキャラのような顔をする。やはり、考えているのだろうな。 みな考える中で長門だけが、キャリーボックスから出したシャミセンを抱えて見つめあっていた。 「ぷっ、ぷっ、ぷー。はい、時間よ。じゃあ、みくるちゃんから答えて」 朝比奈さんはしばらく考えて、 「……無理ですよね?」 と九官鳥のように首をかしげた。 「ブッブー」 ハルヒ的には不正解だろうと、俺的には正解だ。 「じゃあ次、古泉君!」 「身体の中で水分の割合は七十パーセントですので、水を飛ばします。つまりはキリンにはミイラになって貰います。そしてあの長い首も邪魔ですから、粉末にでもしましょう。これなら恐らく入りますよね?」 そう自信たっぷりな古泉だが、 「ブッブー。それにキリンが可哀相でしょ!」 ハルヒにしては極正論のような気がする。まあ、冷蔵庫に入れるのがどうかは別としてだが。 古泉の妄想の中で虐殺されたキリンに線香の一つでもやりたい気分だ。 「じゃあ、鶴屋さん」 「私もやっぱり古泉君と一緒かな」 あんな可愛い顔をしながら、そんなこと考えてたのか。 本日二頭目の犠牲となったキリンに黙祷を捧げる。 「キョンは?」 分からん。 「そりゃそっか。じゃあユキ」 くそっ。なんか腹立たしい。 長門はシャミセンの方から視線をハルヒに移して、 「ただ入れればいい」 「なんで?」 「大きさは指定されていない」 「正解よ! 流石ユキね。これは物事を必要以上に複雑に考える傾向があるかのテストよ」 なんだそりゃ。下らん。 ハルヒは白けきった場のムードなど気にせず、 「第二問、では象を冷蔵庫に入れるには?」 考える必要もない。普通に入れればいいだろ。 無言の長門意外、みな賛同した。 「ブッブー!」 えっ?なんでだ? 「まだよ。ユキは分かった?」 長門ならばと思っていたが、呆気なくわずかに首が左右にふられた。 ハルヒはにやりと笑みを浮かべた。 「正解はね、“キリンを冷蔵庫から出して入れる”よ」 これには一同、負けた気がした。屁理屈もここまでくると天晴れだ。 「第三問、ライオンの王様が会議を開きました。来なかったのはだれ?」 ふむ、と俺は首を捻った。 しかし、しばらく考えていたが、まったく分からんかった。 どんな屁理屈があるんだ。 「あっ」 鶴屋さんがそんな声を上げた。 「分かった、分かった。答えは象ね」 「正解!」 なんでだ? 「キョン君、象はまだ冷蔵庫の中だよ!」 「流石、鶴屋さんね。これは記憶力を問う問題よ」 くそっ。ほんとに腹立つ。 「じゃあ、ラスト! 第四問。ワニがいるという川を渡らなければなりません。さあ、どうやって渡る? この問題は分かった人からあたしに言いなさい」 鶴屋さんと古泉はすぐに分かったようでハルヒの耳元でこしょこしょと言った。 「正解! ちょっと簡単過ぎたわね」 いらいらと考えていた俺に天啓が舞い降りた。 「分かった!」 「言いなさい。不正解なら罰金よ」 普通に渡ればいいんだ。ワニは動物会議とやらに行っている。 「正解。それにしても遅かったわね。それじゃ、SOS団の団員一の名が廃るわ」 ハルヒはぷんと横を向いた。 この怒りどこに向けてたもうぞ、と俺がいらいらとしていると、 「僕も出題していいでしょうか?」 ニヤけフェイスがしゃしゃり出てきた。 「いいわ。古泉君、いきなさい!」 「では、皆さんこれを」 そう言って、何の用途で持ってきたのか分からんがマッチを皆に六本手渡した。 「問題です。これを用いて正三角形を四つ作って下さい」 ハルヒは古泉が言い終るやいなやがちゃがちゃとマッチをいじり始めた。 鶴屋さんは相変わらず、あのふざけた名前のマスコットキャラの顔になる。 彼女は俺を笑わせたいのだろうか。 俺も適当にいじっていると、案外簡単に出来上がった。 「古泉、これが正解だろ?」 四本のマッチで四角を作り、残りでバッテンを作ったような形だ。 「残念、不正解です」 なんでだ?正三角形だろ? 「いえ、このマッチを1とすれば、その半分ですから、二分の一です。対してこのバッテンの辺は√2の半分だから二分の√2です。よって不正解と言えます」 わけが分からん。簡単に言え。 すると古泉は残念な奴を見る顔をして、 「つまり、これは二等辺三角形です」 肩をすくめるな。 SOS団の半分は腹立たしさで出来ているんじゃないだろうか。残りは可愛らしさと優しさと無感情でバランスが取れてるかも知らんが。 「できた!」 ハルヒがべきべきと折ったマッチを持って叫んだ。 「言い忘れてましたが、マッチは折らないで下さい」 古泉は苦い顔をして言った。 「最初に言ってよね」 とぶつくさ言いながら新なマッチを受け取ったハルヒは、再び猛烈な勢いで形を作り出した。 「分かったあ!」 ずっと舌を出しっ放しで乾かないかと心配していた鶴屋さんがハルヒに負けない声で叫んだ。 「はい、鶴屋さん」 「正解は三角錐でしょ?」 「正解です」「あっ、なるほど!」 ハルヒも気付いたようだった。 試しに俺は三角錐の形にマッチを組んでみた。 なるほど。たしかに正三角形が四つある。 「これは涼宮さんの問題と似たような物です。マッチのせいで誰しも勝手に二次元的に考えてしまいますからね」 勝手に解説を始める奴を余所に、やられっぱなしの俺も問題を出すことにした。 「夜になると腹が減り、朝になると腹が一杯になるものってなんだ?」 気持ちいいくらいの正当派である。 ハルヒはいらいらと、古泉はにやにやと、鶴屋さんは某キャラクターの顔で思案を始めた。 だから、俺を笑わせたいのか! 着くまでがリミットだな。 後三分ってとこか。 …………。 ……。 。 「残念!アウトだ」 積年の恨みをかえしてやって俺の胸は雨後の空のようにすっきりした。 「答えは? つまらなかったら罰よ!」 答えは、押し入れだ。夜は布団を出すから減るし、朝になったら畳んで入れるだろ。 「なるほどねー」 うんうんとうなづく鶴屋さんを余所にハルヒは朝比奈さんを引っ掴んで出ていった。 ひぃだのひぇだの森で向かれる朝比奈さんの悲鳴が児玉する。 しばらくして、目を赤く濡らしたウェイトレス姿の朝比奈さんと憮然とした顔のハルヒが登場した。 あれ? あの衣装は? 「後で使うのよ。あとで」 相当際どい衣装なんだろうか、鶴屋さんに写真を撮られる朝比奈さんが不憫でならないと同時に少しみたい気がしないでもなくない。 なにはともあれ、無事かどうかもあやふやだが朝比奈ミクルの冒険のコマーシャルのため、朝比奈ミクルこと朝比奈さんは飛んだり跳ねたり、対する魔女っ娘長門も肩にシャミセンを乗せて飛んだり跳ねたりして昼食となった。 朝比奈さんお手製のお弁当とやはり、何かしらの未来技術の介入が怪しまれる沸点ギリギリのお茶が振る舞われた。 分け前にありついたシャミセンにはもったいないくらいだ。 それからしばしの歓談のあと、第二部に入った所でハルヒがとんでもないことを言い出した。 「キョン、古泉君。これ来て」 ハルヒが例のバッグから取り出したのはゴーグル付ヘルメット、グローブ、アームガード、レガース、剣道の胴のようなやつ。白黒各一組み。 何をさせる気だ。 「バトルシーンよ、バトルシーン! CG抜きのガチンコバトルよ。観客は興奮の坩堝に引き込まれるわ。でも、怪我はやっぱり心配だから用意したの」 ハルヒにしては凄い心配りだ。明日はスイカ大の雹が降るんじゃなかろうか。 それにしても、 「古泉がコレ着たらエスパー少年じゃねえだろ」 これを着たとして、ぱっと見日曜の朝にやってる特撮ものになっちまう。 「そうね……だったら次の映画は古泉イツキが悪の組織に囚われて、改造人間にされたってことにしましょう!」 次の悪の組織は長門だけじゃないんだな。 誰だ。その不幸な貧乏クジを引くやつは。今から同情する。 「さっさと来て着なさい。時間はないのよ」 仕方なく俺と古泉は連立って、少し離れた茂みで着替えだした。 「これは涼宮さんにしたら、凄い進歩ですよ」 古泉はレガースをつけながら呟いた。 そうだろうか。 「昔ならこれを与えられずにビルから飛び降りるスタントをやらされていましたよ」 たしかにな。そう言われればればそうだな。 「もう、急ぎなさい!」 ハルヒの大声に急かされるまま、藪からはい出た。 当然と言えば当然か。ヒーロー役の古泉が白、謎の悪役の俺が黒だ。 なんかこんな格好していると、強くなった気がする。 「じゃあ撮るよー」 いつの間にか鶴屋さんがカメラマンになっているのはいいとして、朝比奈さんとなぜか長門までが明らかに俺にガスガンの銃口を向けているのはなんでだろう。 あの読めます? 人に向けるなって。 「なんのための防具だと思ってるの? 装備しなきゃいけないのは当たり前だけど、使わなくちゃもっと意味がないわ。ユキいきなさい!」 パンと小気味よい音がして俺の胴当てに軽い衝撃が走った。 ポロッと白い玉がこぼれ落ちる。 やっぱり明日にスイカ大の雹が振るってのは嘘だな。ちゃんと快晴だ。あいつはなんら変わってない。 「ひぇぇ……キョン君ごめんなさい!」 そう言って撃つ朝比奈さんの玉はほとんど当たらないし、 「…………」 無表情で撃つ長門の玉は正確に防具に当る。 つうか長門と朝比奈さんは共闘するのか。宇宙の果てまで吹き飛ばされたくせに。 どんだけ人がいい宇宙人なんだよ。 そんなことを考えているうちに、用意した玉がなくなったのかカットになった。 ハルヒは鶴屋カメラマンによる映像――後で見せてもらったのだが、まったくブレずに素晴らしいカメラワークで撮られていた。ほんとにこの人は不得意なことがあるんだろうか――をチェックして、満足したようにうなづいた。 「じゃあ次は、古泉君とキョンのバトルね!」 特撮ヒーローの格好でレフ板を持っていた古泉にも役目がきたらしい。 「んー……じゃ、とりあえず殴り合いなさい!」 殴り合えと言われてはい、そうですかと言う奴がいるのか? 「演技よ、演技。軽くでいいけど本気でやりなさい!」 どっちだよ。 「いや、まさかこんなことになるとは思いませんでしたね」 こいつはヘルメットの下でいつものニヤけた顔をしてるに違いない。なんならかけてもいいぜ。 「お手柔らかにお願いします。では」 古泉は右の拳を振り上げて力強く殴ってきた。 ヘルメット越しとはいえ、中々の衝撃が走る。 てめえ、やる気か。 お返しとばかりに俺はミドルキックを放つ。 「胴あてのない所を蹴らないで下さい!」 ばごんと左のフックが飛んできた。 顎はねえだろ、顎は! 古泉の肩につるべ打ちの所謂デンプシーロールを食らわせる。 「いだだだだ。だから防具のない所は狙わない!」 とか、言いながら古泉も俺の内腿にローキックをかます。 いだっ! そこはレガースがねえんだよ。 チョップを喉にお見舞いしてやる。 「ぐぇ! 殺す気ですか? ならば戦争だ!」 強烈な前蹴りが俺のみぞおちにクリティカルした。 胃の内容物(朝比奈弁当)が軽く込み上げてきた。 ゆるさねえ。 俺のトゥキックが古泉の足首を襲う。 「いだぁ!くるぶし、いだぁ!」 「ちょっとアンタたち。ほんきで喧嘩してどうすんの!」 見兼ねたハルヒが飛び込んできた。 「いやあ、久しぶりに熱くなっちゃいまして」 そうだよな。 「ほんと? まあ、いいわ。次行くわよ!」 この場面の映像をあとで見たのだが、勇ましい格好をした野郎二人が執拗に防具のない所を狙っているだけだったのは言うまでもない。 「次は、キョン。アンタと古泉君がもつれ合いながら階段を転げ落ちるシーンよ」 そう言いながらハルヒが示す先には五段くらいのおまけみたいな階段があった。 転げ落ちるも糞もないと思うんだが? 「何回か切って繋げればそれらしくなるわよ。感謝してよね。ほんとはあっちでやりたいのに妥協したんだから」 ハルヒの指差す方向には約百段、傾斜角が五十度くらいある階段があった。 むこうで落ちたら髭の親父がステージから落ちるくらいの確実性をもって死ぬこと請け合いである。 ここは感謝すべきだろうかと一瞬思ってしまったが、そんなはずはない。 「さあ、切って繋げるんだから三十、いえ五十は転びなさい!」 そんなことを全く意に介さない超監督の命令により、俺と古泉は階段の前に立った。 おまけみたいとは言ったが、実際に立つとかなり高いように思える。 古泉も同意見のようで、 「ちょっと高いですね……そうだ、こうしませんか?」 簡単に説明すると、古泉が俺を殴り俺が倒れる。古泉はその上に乗りかかってゴロゴロと転げていく。 中々、いい案のようだが修正すべき所がある。 それは、 「殴る役は俺にやらせろ」 「お断りします。また、どうせ防具のない所を殴るんですから」 古泉はそう言って喉を押さえた。 お前だってやたらと強打する気だろうが。 「では、一回交代でどうですか?」 まあ、それならいいだろう。 厳正なるジャンケンの結果、古泉先攻となった。 「スタート!」 ハルヒ超監督の叫び声とともに、正義役の古泉は階段際でたたずむ俺の顎に思いっきりフックを打ちやがった。 俺は冗談でなく、半分ノックアウトして膝をつく。 古泉がその上に乗りかかって、俺とともに階段からゴロゴロと転げ落ちた。 次は俺の番だ。 階段際に古泉を立たせて、両手で首筋にチョップを叩き込む。 頸動脈に流れる血流が一旦ストップして、古泉は呆気なく失神した。 その上に乗っかって惰性で階段を転がる。 「意識がなくなりましたよ。覚悟して下さいね」 そう言って、助走をつけて飛んだ古泉の片足が俺の首筋に直撃する。 おまけで階段を転がっていく。 延髄切りは禁止だろうが。 「そんなローカルルールは知りませんよ」 そうきたか。 延々と殴り合いながら、転がること数十回。 飽きたらしいハルヒは今日の撮影終了を告げた。 もう俺たちは立ってるのもやっとだった。 各種装備品を外すと、あざやら血が浮かんでいた。 「こんなにやったのは久しぶりですよ」 古泉が爽やかな笑顔で言った。 「俺もだ」 「いつか貴方に言いましたよね。僕がいつか、あなたと敬語抜きで話したいと」 「案外その日も近いかもしれません」 いまいち予想がつかないが、クイズやったり、ボードゲームやったりするよりはいくらか楽しいかも知れんな。 車で帰る道すがら、ハルヒや長門や朝比奈さんや鶴屋さんや古泉といろんな話をした。 下らないかも知れないけれどそれが日常である、ハルヒだってこんな日常なら退屈や憂鬱や溜め息なんてないだろう?