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山片蟠桃について この懐徳堂のお催しとして、大阪出身の勝れた人々について講演をするということでございます。それで、私は妙な縁故からして、山片蟠桃《やまがたばんと う》について調べたというほどに調べておりませぬが、少し関係がありますところから、私に蟠桃のお話をいたせということでありました。ちょうど十日ほど前 に風を引きまして、声が低くてお聴き取りにくかろうと存じますが、どうか悪しからず御承知を願います。 今申しましたとおり、山片蟠桃のことにつきましては、私はいっこう詳しく調べておらぬので分からぬのであります。しかしこの人について注意をし、またそ の著書を読んだことはずいぶん古いほうであると思います。この人の著書の有名な『夢《ゆめ》の代《しろ》』というのは、「日本経済叢書」に載っております から、多数の方は御覧になっておられると存じます。その中に「無鬼」という篇がありますが、明治二十五年に内藤|恥叟《ちそう》という先生――私と同姓で ありますが、私の親戚でもなんでもない方であります、水戸の学者で東京の内務省に出られた、その方が編纂された「日本文庫」という叢書の中に、この「無 鬼」という分だけが出ました。しかしその時分はもちろん私の少壮のころで、ろくに注意をして読んでおりませんでしたが、その翌年かと思います、内藤先生に お目にかかったときに『夢の代』はえらい本だということを承った。内藤先生がいわれるには、徳川時代にはずいぶんたくさん儒者の著述もあるが、おおかたは 人の焼直しが多かったので、自分の創見を書いたものはいたって少いものである。しかしその中に富永仲基――やはり大阪の人でありますが富永仲基という人の 『出定後語』と、三浦梅園の「三語」――これは『玄語』・『贅語』・『敢語』と三つありますが、その「三語」というものと、それからこの山片蟠桃の『夢の 代』この三つの本は、どこまでも自分の見識で、自分の考えで書いたものであって、少しも人の考えを頼らずに書いたえらいものだということを話された。その お話を承ったのは、ちょうど私が富永仲基の『出定後語』をしきりに感心して読んでおった時分であります。その年と思いますが、私は富永仲基の『出定後語』 のことを書きたいと思いまして、今の『日本及日本人』という雑誌の先代の雑誌で、そのころ『亜細亜《アジヤ》』というておりましたが、それに『出定後語』 のことを書くときに、内藤先生のお話をそのまま書きました。それがまあ私と『夢の代』という本の関係の初めであります。その後、私は朝日新聞社におります ころ、明治二十九年に「関西文運論」というものを書いたことがありますが、そのときにも同じことをそのままちょっと書き入れておきました。ずいぶんこの 『夢の代』という本に関しては古くから注意をしております。内藤先生から承ってから間もなしに、鹿田君の家からその本を買いまして、そうして読みました。 それが明治二十六年ごろであったと思います。その本を一遍火災に遭って焼きまして、今日私の持っている本はそれから後買いました本でありますが、この本は たまにしかない本で、よほど得がたかった。今日は「経済叢書」に出ましたから、誰でも見られるようになっております。しかし私はその後あまり山片蟠桃の伝 記などについて研究しませんでおったところが、この『大阪市史』の編纂というものが始まって、私の友人の幸田成友《こうだしげとも》君がそれに関係するこ とになりましてから、成友君は本好きでありますから、蟠桃についてよほど詮索をせられて、明治四十三年の正月の十三日、十四日の『朝日新聞』に書かれたの が、山片蟠桃の伝記が世の中に現われた初めであろうと思います。近年「経済叢書」ができるようになっても、その『夢の代』の解題の中の蟠桃の伝記に関する ことの大部分は、やはり幸田成友君の書かれたのによっておる。それを御覧になると蟠桃の伝記は分かるのでありますが、今そこにいろいろ蟠桃に関する書籍な どが展覧されておるのを見ると、一昨年あたりに、故郷のほうで蟠桃に関する伝記を出版された方があるので、それにはだいぶん詳しく出ているようでありま す。そういうことは、私はここに来てはじめて拝見して分かったくらいであります。 まあともかく長く蟠桃には注意をいたしておったのでありますが、ここに興味のあることのできましたのは、偶然蟠桃の遺稿であるところの詩文集を手に入れ ることができたのであります。これも鹿田君の家から出たのでありますが、この本は三冊ありますが、これが最初一遍に出てきたんでない、最初第一冊だけが出 てきました。それからつい近ごろ、先月初めであったが、鹿田君から他の二冊も出たからというので持ってきました。初めの一冊が出ましたのは大正五年であり まして、私はいつでも何か鹿田君の目録が出れば、てくてく行って本を探すのでありますが、そのときに『朝日新聞』の中尾国太郎君という人が居られまして、 私と並んで本を見ておられたが、この本を見ておられた。「何です」というと「こんな本です」という。山片蟠桃らしいので、見ると中に「蟠桃軒図書」という 印《いん》がある。どうもそれらしい。中尾君が「あなた要るか」というから「要る」というわけで、私が手に入れたわけであります。ところがこれを見ます と、目録には六巻になっておる、そうしてこの本は一冊の中にはわずかに三巻までしかない。これは後があるものに相違ないということで、その後が出まいもの でもないから気をつけてもらいたいということを鹿田君にいっておきました。それから五年も経ちましたのですが、鹿田君が偶然、しかもそれを御自分の庫《く ら》の中から発見されたんです。なにか庫を普請をなさるんで、庫を浚《さら》えにかかって、だんだんいろんなものを出された。ところがその中から本が二冊 出てきた。その二冊で四巻、五巻、六巻あります。そういうことで偶然にもこの本が完備したものになりました。その初めて出たときには、どういう人が写した ものか分かりませんでしたが、後になって、それを今、永田|有翠《ゆうすい》君のもっておられる『夢の代』の最初の稿本「宰我《さいが》の償《つぐの い》」と引き合わせる機会に遭ったときに見ると、どうしても同じ人が書いたものである。「宰我の償」は『夢の代』の今日のようにならない前の、まだ完備し ない稿本でありまして、蟠桃の自筆であるらしいということになっております。もとは幸田君がもっておったのを永田君に譲られた。それで私のこの本も自筆で 書いたのであるまいかと思います。私は蟠桃の筆蹟を鑑定するについては、格別の能力をもっておりませぬが、まずそういうふうなお話に従っておくほうが何や らもったいがついてよさそうであるから、その説に従っておる。そういう縁故で偶然にも私の手に遺稿がはいる、ずいぶん二十六、七年も注意して敬服しておっ た人の遺稿がはいったから、私にとっては今年の正月の中のもっとも嬉しいことの一つであります。なにか機会があればこの人を表彰したいと話しておったが、 偶然にも懐徳堂のほうで大阪の先哲のことを表彰されるお企てがあるということで、喜んで進んでお受けをした次第であります。 じつは前に申しました富永仲基のことなども、一遍はどうかしてこれを表彰したいという考えをもっておるのであります。幸田君が『朝日新聞』に山片蟠桃の ことを書かれた際にも、そのころ富永のことを『朝日新聞』に書いたのを引いておられますが、その新聞は今どこにやったかもっておりませぬが、久しぶりに見 ると私が書いておったようであります。それでこの際富永のことも、もう少し調べて、その学問の偉いことを表彰したいと思います。しかしこれについては、私 に一つの志願があって、その志願の成し遂げられるのを待っておる。富永の著述の中に『翁の文』という本があるということは一般に知られております。その序 文は大阪の国学者萩原広道という人の『近世名家遺文集覧』という本に載っております。この『翁の文』という本ももうないものと久しく断念しておったところ が、近年になってそれがどうやら有りうる見込みが出てきた。それでそれの出るのを待ちたいと思っておるのであります。じつは富永仲基のことは、『出定後 語』だけでお話をしても、もしそれを噛み砕いていろいろお話をすると、十日や二十日講釈ができる。ただ二巻であるが、内容の充実した本でありまして、噛み 砕いてお話をすると非常に立派な講演ができるくらいである。『翁の文』がなくてもよいのでありますが、そういう引っかかりがあるので、今しばらく志願の立 つ時期を待ってみたいと思っております。この二人は大阪の学者で、私はもっとも久しく敬服しておったのでありますが、近年「日本経済叢書」が出てみると、 ちょうど山片蟠桃と同時に草間直方という学者があって、山片より五つぐらい年下であった。 鴻池《こうのいけ》の丁稚《でっち》から別家になった人で、鴻池の伊助という。例の『三貨図彙《さんかずい》』という、日本の貨幣史として非常に立派な著 述がある。その人のことなどを見ると、蟠桃などと同じ径路をとっておって、その履歴も似ておれば、また着眼なども類しておる、えらい人でありますが、これ は誰かそのほうの専門の方にお願いしたほうがよろしかろうと思っております。 でまずだいたい蟠桃と私との因縁はそんなようなものであります。そこでちょっとお断りをしておきたいのは、幸田君の書かれた蟠桃の伝記であります。これ はたいへん詳しくよく調べてあります。蟠桃の本家と称する、いわば主人のお家の末孫で、今日もお見えになっておる山片平右衛門さんという方からいろいろの 材料を拝借して書かれたんで、よほど詳しく書いてあるようであります。ただごく微細な点においてわずか間違いがありますようですが、その主なることは蟠桃 の生れ年であります。幸田君の書かれた伝記には延享三年に生まれたとしてありますが、その中にはまた文政二年に七十二であったということを書いてあるん で、文政二年七十二というと、延享三年は生まれる前二年に当たる。その点が喰い合わない、なにか間違いがあろうと思っておったんであります。別にたいした ことでありませぬけれども、ちょっと気になっておったところが、そんなのは今の詩文集の草稿によってどちらが正しいか分かります。詩文集の詩の中に庚子元 日の詩があります、その題の下に、自分は今年三十三になると書いてある。それで勘定すると、文政二年七十二ということは確かであるが、延享三年に生まれた というのは間違いである。生まれたのは寛延元年で二年後であります。そういうことはちょっとしたことでありますが、遺稿が出たために明らかになりました。 そのほか活字の間違いであろうと思うところが一箇所ありますが、それはたいしたことでありませぬ。じつは『大阪市史』の中にも蟠桃の伝がありますので、そ れによっていくらかそういうことの訂正ができるかと思いましたところが、それには訂正のできるようなものがありませぬ。『大阪市史』に載っておりますとこ ろの伝記も、今ここで拝見しますと、私が前に挙げました学者の創見発明のものは富永仲基・三浦梅園・山片蟠桃の三人であるということを引用されて書いてあ るようです。そういうわけで、つまり伝記のほうは、まあ『朝日新聞』を御覧になるのはたいへんでありますから、だいたい「経済叢書」の解題を御覧くださっ て、今私が申したような誤りを正せば分かろうと思います。 それで、この人は伝記に載ってありますとおり、播州で生まれた人でありまして、そうして大阪に来たのは丁稚奉公に来た。子供のときから本が好きであっ て、丁稚奉公をしておる間でもときどき主人の用事を欠くことがあった。それでその最初の主人は少々持て余しておるところへ、今の山片平右衛門さんの家の二 代目の人が、そいつは面白い男だから俺が引き取ってやろうというので引き取った。山片平右衛門という方は懐徳堂に縁故のあった人で、懐徳堂で学ばれた人で あるそうです。つまり学問好きの旦那衆であったのであります。そこでそういう丁稚は面白かろうと引き取って世話をせられたのが、とうとうこんなえらい人を 出かしたんであります。 この『夢の代』というのは、その自叙や跋文《ばつぶん》などにもありますとおり、最初享和年間に筆を起こしたようでありますが、それはつまり著者の五十 台のことで、それでだんだん忙しいことがあってそのままに捨てておいたが、晩年になって隠居されてから書き直された。書き加えたところは、すでに盲目に なっておったので、子供に筆記させたようであります。でこの著述は十二巻になっておりますが、これは仮名まじりに書いてありますけれども、これを支那の書 籍の体裁で論ずると、やはり諸子の体裁であります。『荀子《じゆんし》』とか『墨子』とかいう諸子の体裁でありまして、ことに漢から以後|六朝《りくちよ う》ごろの諸子の体裁であります。たとえば儒家の経論とかなんとかいうようないろいろの部類を分けて、部類によって自分の考えたことを類別して書いた著述 であります。仮名まじりであるが、その中に含まれておる見識というものは、決して支那の漢から六朝ごろの諸子類に劣るはずのものでないのであって、ことに 支那でも唐・宋以後はそういう諸子の体裁のものはあまり著述にはいらないが、この人のが諸子に似ておるのはえらい。漢から六朝ごろの著述は、おおかた自分 の創見があって、その創見を書くために著述をしておるので、単に普通の人が詩文集を遺すような意味でない、単に偶然にできた著述でなしに、初めから部類を 分けて見識を書いていくものである。それが漢から以後六朝ごろの体裁でありますが、『夢の代』の自然にこれに適《かな》っておるのは、この人が何かにつけ て創見のことを書く見識があって、いろいろの標題を設けて、それに関する見識を表明するために書いたものと思います。その点が自然よほどこの人の頭のえら いことを表わしております。標題というのはいかなるものかというと、天文・地理・神代・歴代・制度・経済・経論・雑書・異端・無鬼上下・雑論、この十二篇 に分けられておる。 それで、この天文・地理に関係したことは、――いったいこの人は学問の創見があるには違いないが、しかしその当時みな自分が発明したかというに決してそ うでない。その当時の偉い学者についていろいろのことを研究せられたので、そのうち、天文・地理、ことに天文に関係したことは、やはり大阪で立派な学者で あった麻田|剛立《ごうりゆう》について稽古をした。また地理のことは当時この人は蘭学をせられたんで、蘭書から得た知識らしい。また中にときどき医術に 関することがありますが、医術に関することも蘭学から得た知識であるらしい。そのほか、支那の学問のことは中井竹山・履軒両先生の説が多いようでありま す。それで何もかも自分が発明したことばかりというわけではありませぬが、最後の判断は自分の見識で判断してあるところが偉いのであります。天文・地理の ことを書いたところなども、今日から申せば、当時は思想の混雑した時代でありますから、いろいろの知識が載せてあるが、その中でもっとも新しい知識と申せ ば蘭学の知識で、この人がそのほうからして天文・地理をやっておるのは当時新しい学問に相違ありませぬ。学問として一種の新しい創見の学者であったに相違 ないが、一方には――これも天文のところに載せておるのでありますが――国学者が考えた天地のことなどは、途方もないことを言ってあったんで、本居宣長の 『古事記伝』の中に、本居の門人|服部中庸《はつとりなかつね》という人の天地に関する考えが載せてあるが、よほど変てこなものであります。その昔世界が 混沌《こんとん》としておったところから天・地・黄泉《よみ》が分かれてくる次第を図に書いてある、それが『占事記伝』の十七巻に載せてあって、当時の知 識の発達の程度として、途轍《とてつ》もないおかしげなことが書いてありますが、そういうことも伊勢あたりでは、それを道理らしく説法すると、それを道理 らしく聞いておる人もあったと見えて、ともかく程度の違った知識が同じ時代に混雑しておった。それは今日ではそうでないかというと、今日でもじつはありま す。一方には非常にやかましい新しい議論があるかと思うと、一方には大本教などがあって騒動を起こしたりするようなことで、いつの時代でもありますが、ず いぶんこの時代は混雑しておった時代であります。そういうことに対してこの人はじつに明快な常識をもっておった。もちろん大阪のごとき大都会に生まれたか ら、常識が非常に発達しておったためでもありましょうが、しかし当時大阪に住居しておった人でも、いろんな信仰もありましょうが、この人の常識はじつに明 快である、明快な頭をもっておりました。天文・地理のようなことも、その当時の最新の学説である蘭学を信じておる。医術に対してもそのとおり、漢方の説な どは信じない、蘭方の説を信じておるんで、そこらがこの人の進歩した点であろうと思います。神代とか歴代とかいうようなことの歴史上の判断でも、常識的の 判断でもって、すべて怪しいことは信じない。そのもっとも著しい点がすなわち無鬼論というものに現われたのでありまして、それを内藤先生が感心して、その 集めた叢書の中にそのことだけを採られた。とにかくこの人はあらゆる怪しいことをいっさい信じない。その点になると、ー-いつでも自分の考えは儒教から来 ていることを断っておるが、儒教のほうに来てほとんど衝突しやすまいか、儒教の天道を祭ることと衝突しないかと思われる程度にまで鬼神を信じない。よほど 当時において明快な知識をもっておったようであります。 私の若いときに読んで大いに感心したのは、経書《けいしよ》とか雑書とかいう、書籍に対する判断であります。とにかくこれが非常に明快にできておる。 もっとも大部分は中井竹山・履軒両先生の説によってやったことは明らかなことであって、もちろん中井履軒先生の経学の考えは、当時日本でもっとも進歩した 考えをもっておられたんで、山片蟠桃が感服したのは、当時の支那の学問としてもっとも進歩した学者であると感服したのに間違いない。その中でここに私の特 別の恩恵を受けている関係をお話しいたしますと、第八巻の「雑書」というところに書いてあることでありますが、私はこの本を読んだ当時、それにたいへん感 服いたしました。それはもちろん山片蟠桃の発明の説でありませぬが、その中に『老子』に関係したことを書いてある。それは伊藤|蘭嵎《らんぐう》京都の伊 藤東涯の弟の蘭嵎の説を引いてある。伊藤蘭嵎は日本で『老子』の本に疑問を挟《さしはさ》んだ第一番の人というてもよい。日本で『老子』に疑問を挟む人は いろいろありましたんで、その中で、九州の帆足万里という人も『老子』というものは後からできたんで、『荘子』の中から逆に引っこ抜いて『老子』を作った とか、極端な説を出した。伊勢の斎藤拙堂は、孔子は老子の弟子でないという説を出したが、その元祖たる伊藤蘭嵎の文集というものは、世の中に出版されてい ないので容易に見られるものでないが、どういうことで見られたのか、――この『夢の代』には引用書目を挙げてありますが、それにはどうも蘭嵎の『老子』の ことを書いた文が載っている本が有りそうに考えられないのですが、iちゃんと原文を大部分そのまま引いて載せてあります。それを見ますというと、老子とい う人は無いという議論であって、いろいろその証拠を挙げておる。そうして『老子』の中の文句からも、『老子』という本が存外新しい本だということの証拠を 挙げております。私は後に京都に行ってから、伊藤家の本によって蘭嵎の文集を見ました。その全文を見ることは見たが、最初は伊藤蘭嵎の文を見たのは『夢の 代』によって見た。この蘭嵎の説などは当時の漢学の考えとして非常に新しいもので、非常に鋭利な頭であった。結論の善《よ》し悪《あ》しはしばらく別であ りますが、――それは懐徳堂の武内君は非常に『老子』について詳しく調べられておって、日本でこれほど詳しく調べた人はおらんので、その結論は武内君に聞 かんと分からぬが、しかしともかくもっとも新しい善い頭の説である。それがこの『夢の代』という本に載ってある。面白いことだと思って、当時私の頭を刺戟 《しげき》したのでありますが、そういうことをともかく採用するだけの頭のあることが非常に偉いと思う。それもこの人が学問を商売にしておるんであれば いっこう不思議はない。今の丁稚上りの、山片平右衛門の番頭さん、それが当時の学問の最上の位置にあるところの理解をもっておった、その点が普通の人より 偉いということを現わしております。 さてこの人は学者の言うことを感服する人かというにそうでない、もっと鋭い頭をもっておった。学者というものは役に立たないということを承知しておる。 どうも今の世の中の学者で、諸侯の公卿大夫《こうけいたいふ》となって実際の政治をやる人はないと書いておる。その点は、学問がどれぐらいの値打ちのある ものかということを自分は知っておる。そうしてまた一方学者の考えたことのもっとも新しいもっとも好い点を理解して、それを自分の著書に収めるくらいの能 力をもっておったんである。こういうことはよほどその人の頭のえらいことを証明するものだと思います。もちろんこの人は自分の商売のほうからいえば、経済 とかなんとかいうことが主なことでありましょう。この本の中にも経済論があるから噛経済叢書」に採られたのでしょうが、「経済」という篇もあり、制度に関 する篇もあります。この人の経済に関する論は、なかなか単に商売人として、商売のほうから考えたんでない。やはり自分の学問を根柢にして、学問と実際と両 方から考えたのでありまして、商売人の言うような経済論でない。その当時の大名の公卿大夫なり実際の政治家の考えるようなことをよほどよく考えておりま す。そういう見方でありまして、その当時ではじつに立派な頭をもっておった人だということが分かります。 この本を読みますというと、じつにいろいろな知識を得ますもので、私は若いころ愛読したのでありますが、学問のほうからの知識も得らるれば、実際の知識 も得られる本であります。もちろん今日の学問なり実際なりから考えては、かならずしもいちいちこのとおりいけるものかどうか疑問であって、そうはいかんと 思いますが、その当時として考えてみたならば、よほど偉い人だということが分かります。で、ずいぶんその時分からしていろいろの学者たちもこの人に感服し ておったものでありましょう。当時大阪で第一流の人物というと、誰でもこの人を指さしたということで、世の中に擢《ぬきん》でておった人に違いない。じつ はまだこの本について私はもっといろいろゆっくりと研究してみたいと思っておる。この本の中にときどき批評の文などがはいっておりますが、誰が批評したか 分からぬ点がある。その批評の文にはこの人と違った意見を書いておる点もありまして、それらはよほどまた研究に価するところもあります。今日は単に御紹介 をするだけでありまして、そうしてなお研究は機会があったら続けてみたいと思っておるのであります。以上はだいたい『夢の代』の御紹介を申した次第であり ます。 それからこの詩文集に関しましては、これもよほど本式に学問を稽古したことを現わしておる。詩の出来ばえなどは、良くできたのはその当時の作家というて よいくらいできておる。良い詩がざらにあるかというとそうでない、十首の中に一首ぐらいしかないが、良くできたのは学者並みには立派に作れたものと思いま す。それからいろいろ詩の題などを見ますというと、初めの間は真面目に、漢学者が稽古するように稽古したのであります。先生が月々詩の題を出す、その題に ついて一生懸命に作っておる。漢文も先生の出された題によって、いろいろな漢文を稽古しておったらしい。両替屋の番頭さんだから忙しいに違いないが、その 間に普通の書生さんが稽古をすると同じく、本気になって稽古しておる。学問の根柢のしっかりしたゆえんであろうと思います。そうしてずいぶんこの人の境遇 上、またよほど当時のえらい人と交際しておるようであります。もう少し先に申しますことですが、この人は山片平右衛門の家の番頭をしておる際に、仙台藩の 財政を立て直したことが非常に偉いことである。それがために仙台に行ったときの詩もあって、松島などを歩いたときの詩などもあります。そういうことで仙台 の立派なえらい侍などに附き合っておったらしいが、それからまた大阪に来る当時のいろいろの書生などとか、中井家の関係から交際をしておったのもあるらし い。『夢の代』の最後のところには、そのころ流浪をしておった阿波|公方《くぼう》――足利家の末流で代々阿波の平島におって平島公方という、その末流、 これは蜂須賀の領分の中でありますが、蜂須賀の家来でない家筋である――その人などとやはり中井家の関係で交際をして、詩を贈ったり、和韻の詩を贈られた りしたことが、『夢の代』のいちばんおしまいになっておりますが、そういうものは詩文集の中にたくさんあります。当時の立派な侍、上流の人々と始終交際が あって、その際にそういう人の学問のある人と詩文の応対をしたりするだけの才があった。この人がいちばん嫌いなのは仏教であります。仏教が非常に嫌いで、 少しおかしいくらいである。立場が儒教であるためでもありますが、仏教.嫌いで、日本の祖師たちに対してはあらゆる罵倒をしておる。前に申した無鬼論の大 部分にも仏教の攻撃がありますが、それと同じようなことが文集の中に載っております。それは――今度も懐徳堂の今井理事が骨折られて蟠桃の郷里まで人を 遣ったそうであります、郷里の覚正寺という寺に、蟠桃が贈って遺しておる杯があるのであって、それを借りられることはできなかったそうでありますが、向う に陳列してある墓標の拓本だけができましたが、その覚正寺が郷里の檀那《だんな》寺であって、その住職とはよほど懇意なのに違いない。蟠桃が晩年に幕府か ら銀を賜わったときに、いろいろ郷里に贈物をしましたが、そのときにこの郷里の寺にも、自分の記念として立派な金|蒔絵《まきえ》の杯を贈ったそうであり ますが、その住職に与えた手紙が二通文集に遺っておる。それはちょうど今の『夢の代』に書いてあることと同じようなことで、始めから終りまで仏教の悪囗を 書いてある。それに対してなにか覚正寺の坊さんから反駁が来たものと見えて、また言うてやったものと見える。仏教は根柢から嫌いであります。そういうこと も、決して今日からいって名文ということはできませんけれども、その当時の坊さんと漢文をもって立派に応答して議論をし喧嘩をするだけの力があったことを 示しておる。その点からしてもこの人の学問の力というものが、真に諄々《じゆんじゆん》として書生のごとき学問をして、そうしてこれだけに仕上げたもの で、商売の片手間の仕事として半端にやったんでない、真に本当の学問をしたものであるということが分かる。そういうことが詩文集から分かるのであります。 この人の一生の間の事業については、それはどうも『夢の代』にもなんにも出ておらぬ。詩文集のほうでもいろいろの関係が分かりますが、どういう事柄か分 からぬ。近年幸いに「経済叢書」の中に出た他の人の著述でそれが分かる。海保青陵《かいぼせいりよう》という人の『経済談』というものが「経済叢書」の中 に載っておることは御承知である。『経済談』はみな海保青陵が話をしたもので、誰が筆記したのか分からぬが、真に口で言うたような書き方であります。まっ たくの口語体ではありませぬが、口語体と同じような体裁である。その中に「升小談」というのがあります。山片蟠桃は升屋小右衛門と申しましたから、その升 屋小右衛門に関係したことを書いたんで「升小談」とした。升小に関することを話したのですが、それは升屋小右衛門蟠桃の履歴を書くためでない。ただ海保青 陵が蟠桃の話を種にして一種の経済政策を述べたものであって、中には蟠桃に関係のないことも書いてあるが、それによってともかく蟠桃のやったことが一段の 大事業であったことが分かる。この人は仙台藩の財政を立て直した。そのことについてよほど詳しくこみ入ったことを書いております。だいたいは自分の主人た る升屋平右衛門の家の財産を根柢として仙台の財政を直したのでありますが、当時仙台は- どこの国でも寛政以後の諸藩はすべて経済が苦しいのであった が、ー-よほど苦しんでおる。東京の店、大阪の方々の店に借りができて財政に窮乏しておった。そこでこの人は一種の経済政策を立てて仙台の財政を持ち直し た。もちろん主人の家の繁昌するように仕組んだのであります。そのやり方はどうかというと、仙台に米札を発行した、つまり米引当ての紙幣を発行さした。そ うしてその米を引き取って廻すことと、米札を発行して仙台ではその国内にあるところの金を仙台藩に集めさして、それを大阪に持ってきて大阪で金を廻して利 息を作ることをやった。仙台はなんぼ大国でも、仙台藩の内だけでは何も利息の方法がない。大国で米があっても、仙台藩でもって売っても何にもならない。そ こで江戸とか大阪に米を廻すことは、各藩の政策でありますが、そのやり方が悪かったために、年々金主も迷惑をし、自分も困っておった。それを財政の立て直 しをしてやったのであります。米札の発行、それが根本のやり方でありますが、それを海保が批評的に書いておる。なるほどこのやり方は役には立つが、しかし ただ仙台藩が仙台で米札を発行して金を蒐集《しゆうしゆう》したところが、それは何にもならぬ。仙台でやったところで、人民は仙台藩の紙幣を信用して通用 しやせぬ。――やはりその時分の各藩は今日の支那の政府のようであったように見える。今日の支那でも、支那政府のものは信用せられぬが、外国人が居ると信 用ができるんであります。それと同じで、各藩は支那の国のようで、大阪がまあ今日の英国とか米国とかないし日本とかいうような信用経済上の信用の中心で あったごとく見える。そこで升屋小右衛門が集めた金を大阪に廻す。升屋が財政を預かっておるからというので、仙台で米札発行の財政策が効力があるんだとい うことを、海保がよほど際どいところまで書いて批評をしておる。仙台の金が大阪に来ると、いろいろのことに廻されて利息ができる。その利息で広い大阪の金 を廻していく。大阪の各方面にも仙台の信用が回復する。廻しておる間に、もちろん山片平右衛門が両替屋であるから、つまり今日の銀行であるから、その間に 主人の家も繁昌した。そのことが当時えらいことであって、大阪でも評判になったものと見える。海保が大阪に来て、――海保先生はずいぶん方々歩いておった 人であるが、――一生の間に二度ぐらい大阪に来て、大阪がたいへんに変わったことを言うておる。そうしてこの節えらい評判の一つになっておるのは、升屋小 右衛門というものが出て、仙台の財政を改正した大豪傑だということをうんと賞めておる。その当時、元来江戸には仙台の財政の元方をする家があったんで、家 の名前は書いてないが、伊勢町・本船町というところに仙台の米を預かって廻す家があった。それらはみな馬鹿なためにすっかり升屋小右衛門に自分のほうへ仙 台の財政を取り上げられた。江戸のやつらが馬鹿なことをやっておると、江戸と大阪の比較を詳しく論じておるが、ともかくこれによって、蟠桃のどういうやり 方で仙台の財政を回復したかということが分かるのであります。 それからもう一つは、やはりその当時大阪で評判であったと見える、海保は、升屋小右衛門が主人の山片平右衛門の家の憲法を立てた、これがえらいことだと 書いておる。単に憲法を立てたというのがえらいばかりでなく、鴻池・加島屋でもその真似をして憲法を立てて、大阪の大きな店がちゃんと引き立つようにした ということを書いてある。家憲はそこらじゅうにできるものでありますから、智慧《ちえ》のないやつでも作るが、その家憲の作り方に感服をしておる。これな どはまったく政治家の伎倆《ぎりよう》であります、立派な政治家の伎倆として褒めてある。家憲の作り方、法の作り方がきわめて良い、誰でも守られるような 法であるが、法を執行するときになると厳しい、少しも容赦をせぬ、これが非常にえらいところだと書いてある。作った人もえらいが、批評家もなかなかえら い。それでそのやり方の例も書いてありますが、番頭・手代はみな一月《ひと》に三日は墓参りといって暇をやる、朝から晩までどこへ行って遊ぼうと勝手次第 である、しかし夜の四つ時――午後の十時には帰ってこなければならぬ。非常に簡単なやり方である、誰もそれを背くものはない、背いたときには誰でも容赦せ ぬということを書いてある。それで法は易く作って、そうして執行者は厳しいのがそれが善政。法というものは執行が悪いのは決して善政でない、法は厳しくな いのが善政。それらは批評家もえらいが、もちろん山片蟠桃も注意した点が見える。初めから法を厳しくし、法の箇条をたくさんにすると、執行のほうの人はこ れはあまり法が厳しいからと手加減をして、法の手心をするようになる。その癖がつくと、こういうことぐらいは勘弁されるだろうというので法が弛《ゆる》ん でくる、そうすると法が行われぬということになる。しかるに升屋小右衛門の法は、法はきわめて寛《ゆる》やかで誰でも守られるものでありますが、破ったも のは容赦せずに処分する。それからもう一つ善いことは、執法者すなわち目附役が独立しておることであると書いてある。どこの店でもあることで、大きな店で は目附は他の職務があって片手間にやる。他の職を兼ねておりますから目附役を兼職としてある。それで本気にならんために自然に法が崩れていく。升屋の家で は目附役の者は何もしない、純粋に目附役だけが職務、目附役をしなければ職務が行われんから法は厳しく行う。今日の考えから言えば司法権を分離するという 意味を、当時において考えたといってよい。よほど立法者としての頭をもっておる、それを見抜いた海保も遣り手でありますが、ともかくそういうところがえら い.、それで毎晩かならず店じゅうの手代は目附の前へ行って印を捺《お》す、そういう極《き》めになっておる。それに間違えばつまり法に触れるということ で、目附役の前に行くということでそのたびに記憶を呼び起こさせるということを書いてある。 つまり海保という人が山片蟠桃に関して申したことはだいたいこの二つのことで、それを拡めて書いてありますが、だいたいは二つのことを主として書いてあ る。単に二つのことだけでありましても、この山片蟠桃の経済上の能力、政治家としての能力というものは、これを一軒の中に行なったものであるとしたところ が、その精神としては、どこの国に行っても、大国にでも持っていかれるものであるということを考えましたことが分かりますので、海保の書いたのはわずかで ありますが、幸いにこれによってこの人の実際的方面に偉い力を発揮しておることを知ることができるのはたいへんしあわせである。「経済叢書」編纂者の滝本 君にこれは感謝をしなければならぬ。これは単に山片蟠桃という人を世の中に出したぼかりでなく、その当時の大阪のもっとも発達した時代において、政治の方 面でも経済の方面でも、そういうふうなもっとも進歩した政治・経済をやる人ができてきたことが分かるのであります。今日ではこの本は誰にでも見られる本で あるから、どうぞこの山片蟠桃のことを御覧になるという方は、いちおう御覧を願いたいと思うのであります。 私は別にそのほかについて、今までの人のやったことのほかに何も蟠桃に関した詳しいことを研究しておるわけではありませぬ。ただつまりこれまで、その人 からしてどういう点において感化を受けたか、どういうことからしてこの人に注意をするようになったかということを今日お話し申して、それによってまた蟠桃 に関することをいろいろ研究せられる方が出てくればしあわせと思うのであります。滝本君が解題の中に書いておられるが、蟠桃には『大知弁』という書物が あって、米価および一般の物価を論じたものであるということであります。経済上の救済事業、食糧問題に関することなどについても『夢の代』には注意をして おる。なかなか奇抜な議論があります。その当時もだいぶん米の不足であったことがある、米が高いと困るという議論であったが、この人はそれは差支えないと いう議論で、なかなか奇抜な議論もあります。太閤様とか松平伊豆守が、米がなくて困るというときに、米をむやみに高い値で買い上げさしたという例を出しま して、太閤様は飢饉のときに米を買い上げさしたが、ーーその時分はもっとも地方と大阪といろいろの関係から、地方と都との関係で直接に米を出したこともあ りましょう――高いというのでたくさん米が出てきたのを買い上げて、米が不足ができた後に売り出した、高いというので米を倹約さしたんで、翌年の米ができ るまで喰《く》い繋《つな》ぎができたことがある。食糧問題に関して貴重なものです。ところが『大知弁』は某大家にあるが見られぬ。そういうものは世の中 に現われずにあるから、そういうものも多数の研究者の目で探せば自然出てきて、この人の偉い点がはっきりするかもしれぬことと思う。とにかく私が知ってお る一斑を申し上げて、そうしてこの講演を終わろうと思います。 (大正十年二月講演)
https://w.atwiki.jp/houji/pages/59.html
■2011-11-30 bookmark_hatena 更新 漢字のページに敝 帚 [[ ■2011-11-29 bookmark_hatena 更新 漢字のページに韜 晦 迹を追加。 「晦」は「大晦日(おおみそか)」でよく見る字ですね。 大晦日は別の名を「大晦(おおつごもり)」と言います。 「つごもり」の語源は、月の末日、すなわち月が隠れることを表す 「つきごもり(月隠)」に由来する説があるそうです。 最近、漢字を調べるついでに語源まで調べるのが習慣になってます(^^; 手元に一冊、語源辞典がほしいなー。 クイズ解答 Q.次の内、「かかわる」と読めないものはどれでしょう?(難易度:1級) (干わる,拘わる,携わる,渉わる) A.「携わる」 残念ながら今回は正解者0でした!(><; ひっかけが酷かったかも(^^; では、解説に参りましょう。 「干」は「干戈(カンカ)」などの熟語もあるように武器の「ほこ」を表します。 また、ほこを持って突き進むことから転じて、 他者の領域にまで入り込む意、すなわち「かかわる」の意が生じました。 「渉」は「跋渉(バッショウ)」などの熟語もあるように 「水のあるところをわたる」「各方面にわたって見聞する」という意味があります。 これが転じて「離れている先方にまで関係をもってやりとりする」、 すなわち「かかわる」の意が生じました。 上記2つを合わせると「干渉」でまさに相手にかかわることになりますね。 さて、次に「拘」。 「拘わる」を「こだわる」と考えて選んだ方も多いはず。 しかし、それこそがこの問題のひっかけなのでした(^^; 「こだわる」の送りがなは「拘る」なのです。 「こだわる」とは別に、「拘わる」と書いて「かかわる」と読めるのです。 「拘」は「拘泥(コウデイ)」などの熟語もあるように、 「せまいわくに縛られる」「とらわれる」という意味があります。 ここから「こだわる」の意が生じます。 そして「かかわる」という言葉には、第二義に「こだわる」の意味があります。 ですから、「拘わる」と書いて「かかわる」と読めるのです。 最後に残った「携わる」はもちろん「たずさわる」です。 まぁ、「たずさわる」とはある物事に関係を持つことですから、 「かかわる」と読めてもよさそうなものですが、 今回は漢検基準に準拠したため、これを正解としました。 クイズ Q.元素にはそれぞれに一字の漢字が存在しています。 では「セシウム」を表す漢字は次のどれでしょう?(難易度:漢検配当外) 選択肢 選択 銫 (6) 鈾 (1) 鈈 (4) 鉀 (0) 4つとも元素を表しています。 比較的、元素名を意識した漢字のようにも思えますがはてさて。 解答はまた明日ー。 名前 コメント すべてのコメントを見る ←他の漢検ブログもチェック! ■2011-11-28 bookmark_hatena 更新 四字熟語のページに南橘北枳を追加。 ちょっと時間無いので縮小更新です。 漢検1級受験結果 平成23年度第2回試験の結果通知が届きました。 得点は140点!自己採点よりさらに下がってしまいました(ーー; 合格まであと20点ですね。 この20点が非常に分厚い壁のように思えますが、 高い壁ほど挑戦しがいもあるので、次回の試験に向けて頑張ります(^^) クイズ解答 Q.次の内、常用漢字表に記載されている漢字はどれでしょう?(難易度:2級) (佳、桂、蛙、鮭) A.「佳」 初めて4人の方から解答を頂いて少し嬉しいです(^^ では、解説に参りましょう。 「桂(かつら)」は人名用漢字ですが、常用漢字ではありません。 人名以外での用例も、馴染みのある言葉はあまりありませんしね。 すぐ思いつくのは「月桂冠」「桂馬」ぐらいでしょうか。 「蛙(かえる)」は、新聞や本などで、かな表記されることが多いですから、 なんとなく常用外だろうと感じられますよね。 「鮭(さけ)」よく見かける漢字ですが、常用漢字には入っていません。 なんと、魚編を持つ常用漢字は「鯨」と「鮮」だけのようです。少なっ! というわけで、「佳作」「佳人」「佳境」など色々な熟語がある「佳」が正解でした。 クイズ Q.次の内、「かかわる」と読めないものはどれでしょう?(難易度:1級) 選択肢 選択 干わる (3) 拘わる (2) 携わる (1) 渉わる (1) 意味さえ通ればどのように読んでも訓読みと言えるとは思いますが、 ここでは漢検漢和字典に準拠するものとします。 解答はまた明日ー。 名前 コメント すべてのコメントを見る ←他の漢検ブログもチェック! ■2011-11-26 bookmark_hatena 更新 四字熟語のページに魯魚亥豕 甘井先竭 異聞奇譚を追加。 魯魚亥豕って類義語多すぎ!!Σ(・□・; ざっとならべてみましょう。 「烏/焉/馬」「魯/魚」「虎/虚/帝」「三/己」「豕/亥」「章/草」「陶/陰」 …絶対間違えないよ!特に「帝」!!似ても似つかないよ!(><; もしかして、行書や草書で書いたら区別が付きにくくなるのかもしれませんが。 もっと間違えやすい漢字なんて他にあるでしょうにねぇ。 「崇/祟」とか「哀/衰」とか。 あと、日本で定番なのは「相撲/相模」ですかね。 誰しもが一度は間違うでしょう(笑) クイズ解答 Q.「爛古」または「爛振」を訓読みすると和歌の枕詞になります。 さて、何と読むでしょう? A.「ちはやぶる」 解答して下さった方、お見事!大正解です!(^□^ どういう考えで解答を選んだのか少し気になってしまいますが、 とりあえず解説いってみましょう。 「爛」には「非常に」という意味があります。 ですから「爛古」は「大昔」、すなわち神代のことを指します。 これが転じて「神」の意になったそうです。 【ちはやぶる(千早振る/繁やふる/幸やふる)】の訓が当てられるのは、 この言葉が神にかかる枕詞だからです。 ちなみに、「ちはやぶる」は「ちはやふ」という語の連体形です。 「ちはやふ」とは「ちはふ(幸ふ)」「ちふ(繁ふ)」から派生した語で、 「高まる・勢い付く・沸き立つ・栄る・優れる・熟成する・至る」など、 ものごとが上向くイメージを包括しているようです。 こういうことを知ると「千早」という名前がすごくいい名前に思えてきますね。 まぁ、身近にはいないんですけど(^^; クイズ Q.次の内、常用漢字表に記載されている漢字はどれでしょう?(難易度:2級) 選択肢 選択 佳 (2) 桂 (0) 蛙 (0) 鮭 (2) 準一級や一級の漢字に慣れてしまった人ほど難しいかもしれません。。。 実は2級の問題を考えるのが一番悩みます(笑) あんまり考え込まずに簡単な問題でも出せばいいんでしょうけど、 ついつい、面白いネタはないものかと探してしまうのでした。 そうそう、明日は更新をおやすみします。 解答はまた明後日にー。 名前 コメント すべてのコメントを見る ←他の漢検ブログもチェック! ■2011-11-25 bookmark_hatena 更新 四字熟語のページに漱石枕流 薤露蒿里 三世一爨を追加。 「漱石枕流」は、「夏目漱石」や「流石」の語源となった言葉なんですね。 夏目漱石はとても漢籍に造詣が深かったらしく、 日常的に漢詩を詠んだりしていたのだとか。 日々の弛まぬ努力の中で、漢語に対する感性が磨かれていったのでしょうね。 詠むとまではいいませんが、 私もいつか漢詩を味わえるようになりたいです(^^ クイズ解答 Q.次の鳥の名前の内、「1級配当漢字」かつ「一字」で書いた場合、 一番画数が多くなるのはどれでしょう?(難易度:1級) (ひよどり,うずら,つぐみ,かわせみ) A.「かわせみ(鷸)」 画数が少ない順番に並べると以下の通りです。 鶉(うずら :19画) 鵯(ひよどり:19画 許容字体の「卑+鳥」は20画) 鶫(つぐみ :20画 許容字体の鶇は19画) 鷸(かわせみ:23画 「しぎ」とも読む) ちなみに、他の表記も見てみましょう。 痺(うずら:雄のうずら) 白頭鳥(ひよどり) 翡・翠・翡翠・川蝉(かわせみ) 痺(しび)れるという字に、うずらの意味があるのは意外です(・・; 1級必携にも載ってるので、ひょっとすると出題されるかも? クイズ Q.「爛古」または「爛振」を訓読みすると和歌の枕詞になります。 さて、何と読むでしょう?(難易度:漢検配当外) 選択肢 選択 やくもたつ (0) あをによし (0) ちはやぶる (2) あかねさす (0) 分かる人なんていないと思うので山勘でどうぞ(笑) 屡ツッコんで申し訳ないのですが、「鶇」は許容字体ではなく中国字で、「鶫」は国字じゃなかったでしょうか?尤も辞書にもよるのかもしれませんが、「漢字必携」には確かそうあったような・・・。 僕にも間違いいっぱいあると思うので、思う存分ツッコんでくださいな♪ -- (漢字皇子) 2011-11-26 14 39 26 ご指摘ありがとうございます。 ほんとだ!よく確認せずに無条件に許容字体だと思ってました(^^; 「鶫」は「鶇」に似せて作った国字だったのですね。 またひとつ勉強になりました(^^ 記事を修正してしておきますねー。 -- (ホウジ) 2011-11-28 00 57 52 名前 コメント すべてのコメントを見る ←他の漢検ブログもチェック! ■2011-11-24 bookmark_hatena 更新 四字熟語のページに韜光晦迹 敝帚千金 叱咤激励を追加。 四字熟語を身につけるのって大変ですよね。 1級配当のものだけでも1057語もあるそうな。 さらに、1級試験で出題される問題は準1級以下のものも含まれるので、 結局、漢検四字熟語辞典に掲載されているすべての熟語が出題範囲になるのです。 そんな膨大な四字熟語と向き合うには、やはりコツが要ると思います。 私は、四字熟語学習の際には以下の点を意識しています。 何回か音読して音のリズムをつかむこと 可能な限り書き下し文にして訓読すること どういう場面で使えるか想像してみること そして、何よりも大切なのはやはり継続。 1日1語でも、着実に覚えていけば、いずれ豊かな語彙が身につくはず! 四字熟語で言えば「積羽沈舟」「叢軽折軸」ですね(^^ クイズ解答 Q.「陵」を常用漢字表内で訓読みすると、なんと読むでしょう?(難易度:2級) A.「みささぎ」 流石は漢字に造詣の深い皆様。全員正解です!(^^ 「みささぎ」は古くは「みさざき」といい、皇族の墓所を指す言葉。 いかにも大和言葉っぽい響きだったので語源を調べたら、 「 小松格の『日本史の謎』に迫る 」のサイトに一説が記されていました。 なるほど、鳥の古名である「さざき」が関係しているのかー。 「さざき」は現在でも「鷦鷯(みそさざい)」「鵲(かささぎ)」などに名残がありますね。 ちなみに、ハズレ選択肢の意味は次の通りです。 みたまや:御霊をしずめまつる所。「寝」「廟」「禰」「祢」と書く。 とのもり:乗り物・雨蓋・食事・風呂・灯油・火燭・薪炭を司る下級官人。「主殿」と書く。 おくつき:墓所。「奥都城」「奥津城」「奥つ城」「奧城」と書く。 クイズ Q.次の鳥の名前の内、「1級配当漢字」かつ「一字」で書いた場合、 一番画数が多くなるのはどれでしょう?(難易度:1級) 選択肢 選択 ひよどり (1) うずら (0) つぐみ (0) かわせみ (0) 読める人はそれなりに多いだろうけど、 全部書ける人ってなかなかいないかも(^^; というわけで、解答はまた明日ー。 名前 コメント すべてのコメントを見る おぉ、「翠」一字でも「かわせみ」と読めるのですね。 知らなかったです。 1級配当漢字だと「鷸」なんですが、 「しぎ」と読む方が一般的だったかも(^^; -- (ホウジ) 2011-11-24 23 26 06 「爰に全部書ける乃公が…」と言いたかったのですが、「翠」は準1級でしたか。残念orz 「つぐみ」は19画バージョンもありますyo(負け惜しみ)。。 -- (漢字皇子) 2011-11-24 06 51 04 ←他の漢検ブログもチェック! ■2011-11-23 bookmark_hatena 更新 漢字のページに褫 靉 靆を追加。 漢検問題のページに四字熟語の問題を追加。 「靉靆」について色々調べてみたら「曖曃(アイタイ)」という同義語があることがわかりました。 「靉」「靆」は、雲の行く手がさえぎられて進みかねること。 「曖」「曃」は、日が雲にさえぎられて進みかねること。 [愛]はとまどって進みかねる意、[逮]はさえぎられて進みかねる意。 どれも似たような字義の漢字ですが、それぞれ微妙にニュアンスが異なるのですねぇ。 ちなみに「曖」は日がさえぎられることから 「暗くてはっきりせずぼんやりしている」の意を持ちます。 「曖昧(アイマイ)」という熟語にぴったりな漢字ですね(^^ クイズ解答 Q.「京魚」と書いてなんと読むでしょう?(難易度:漢検配当外) A.「くじら」 「鱆(たこ)」が「章魚」、「鯊(はぜ)」が「沙魚」と書かれるように、 「鯨(くじら)」もまた「京魚」と書かれるのです。 「京」には「みやこ」という読みがあり、 「高い」「明るい」「大きい」の意が含まれます。 名は体を表すといいますが、「京魚」は鯨の巨体にふさわしい表記だと思いました(^^ クイズ Q.「陵」を常用漢字表内で訓読みすると、なんと読むでしょう?(難易度:2級) 選択肢 選択 みささぎ (11) みたまや (0) とのもり (1) おくつき (1) この読みって常用漢字表内なんですね。意外だなぁ(・・; というわけで、解答はまた明日ー。 名前 コメント すべてのコメントを見る ←他の漢検ブログもチェック! ■2011-11-22 bookmark_hatena 更新 漢字のページに霑 恙 閨を追加。 現在、1級配当漢字が59文字。1級配当約3000字の内、2%ですね。 300字を超えたぐらいになれば部首ごとに整理しようと思います。 漢検過去問 昨日に引き続き、 漢検公式HPの過去問 の1級の問題をやってみました。 結果は156点。惜しい! 書き問題で、たくさん書き間違いをしてしまったことが敗因です。 書かずに見て覚える勉強スタイルなのがボトルネックなのかもしれない(--; クイズ解答 Q.「涯」の部首は以下のどれでしょう? A.「氵」(さんずい) 「厂」と解答なさった方は私と同じで深読みしすぎかもしれません。(笑) 「涯」の字は「生涯」「境涯」「天涯孤独」などで見かけますが、 漢字単独での字義はあまり知られてないですよね。 かくいう私も知りませんでした^^; 辞書を引いてみると、 ①みぎわ。きし。水ぎわ。きりたったきし。 ②かぎり。はて。地のはて。のび広がっているもののいちばんんはじ。おわり。 とありました。 第一義が、切り立った水辺の岸壁を表すので「氵」が部首となるのでしょう。 地の果てが水際になっているというのは、世界が円盤のような形をしていると 思われていたころのイメージでしょうか。 また、第二義から考えて「生涯」は「生命の果てまで」 「天涯」は「天の果てまで」という意味になるのでしょうね。 ちなみに「境涯」は日本のみで通用する言葉のようで、漢語ではないそうです。 クイズ Q.「京魚」と書いてなんと読むでしょう?(難易度:漢検配当外) 選択肢 選択 さめ (0) くじら (0) こい (0) ぼら (0) 意外と単純?それともひっかけ? さてさて、解答はまた明日ー。 名前 コメント すべてのコメントを見る ←他の漢検ブログもチェック! ■2011-11-21 bookmark_hatena 更新 漢検問題 のページに 「語選択 書き取り」の問題と閨秀 褫奪 靉靆の解答を追加。 「靉靆」って中国における眼鏡の古称なんですねぇ。 「留青日札」という中国の古い本には以下のような記述があるようです。 提學副使潮陽林公有二物,大如錢形,質薄而透明,如硝子石,如琉璃,色如雲母。每看文章,目力昏倦,不辨細書,以此掩目,精神不散,筆畫倍明。中用綾絹聯之,縛於腦後。人皆不識,舉以問余。余曰「此靉靆也」 フィーリングで翻訳してみるとこんな感じでしょうか。 『潮陽に住む林さんは学習の際にそえて使う2つの物を持っている。 形は銭のように大きく、質は薄く透明でガラスや瑠璃(るり)に似ているし、色は雲母のようだ。 普通は文章を見るごとに、目は疲れ、細かい文字をみわけにくくなるが、 これで目をおおえば気は散らないし、筆画が2倍ほど鮮明に見える。 これを使うときには、絹のひもをかけて頭の後ろで縛る。 人は皆、これをしらずこぞって私に問いかける。 私は答える。「これは靉靆というものだ。」』 当時の眼鏡の物珍しさがありありと伺えますねぇ。 よほど珍妙な逸品だったのでしょう(^^ 漢検過去問 漢検公式HPの過去問 が、別の問題に差し替えられたので 2級と準1級の問題をやってみました。 結果は2級が188点、準1級が186点。 準1級の学習から離れて半年が経つのですが、ブランクがないようで一安心です。 それよりも、2級で「癒」「逓」の字を書き間違えたことの方が深刻だ。(--; 明日は1級問題をやってみようっと。 クイズ解答 Q.「乒乓」という熟語は、あるスポーツを意味するのですが、 それは以下のどれでしょう?(難易度:漢検配当外) A.「卓球」 解答してくださった方々、大正解です!(^^ しかし、こんなマニアックな問題に平然と答える皆様って一体・・・(汗) 世の中、凄い方がたくさんいらっしゃるなぁ、と関心しつつ解説。 「乒乓」は現在の中国語で使う熟語で「ピンポン」と読みます。 ちなみに「乒乓」「ping-pong」「ピンポン」は卓球用品の登録商標だったそうで、 それが世界中で圧倒的に普及したため、いつのまにか卓球そのものを表すようになったそうです。 漢字単独では、「乒(ピン)」は炸裂する音の擬音語、 「乓(ポン)」は銃声、ドアの閉まる音、物の割れる音などの擬音語だそうです。 クイズ Q.「涯」の部首は以下のどれでしょう?(難易度:2級) 選択肢 選択 氵 (2) 厂 (1) 土 (1) 圭 (0) 実は、2級問題を解いていて間違えた問題だったりします(^^; 解答はまた明日ー。 名前 コメント すべてのコメントを見る ←他の漢検ブログもチェック! ■2011-11-20 bookmark_hatena 更新 漢検問題 のページに 「語選択 書き取り」の問題と均霑 微恙の解答を追加。 漢字ページに蟎 簓を追加。 蟎って、国字と考えるには無理があるらしい。 和製異体字と考えるのが自然なんだとか。 クイズ解答 Q.葬式で包む「香典」。当用漢字表が制定される前は、 どのように書かれていたでしょう?(難易度:1級レベル) A.「香奠」 解答してくださった方、ご名答です!(^^ 【奠】は「酋(さけつぼ)+丌(台)」で、 「そなえもの」「そなえものをしてまつる」という字義があります。 ですから「香奠」は「仏前に安置するお供え物」という意味になります。 他に「奠」の字を用いる言葉に「乞巧奠(キコウデン/キッコウデン)」があります。 これは、供え物をして牽牛星・織女星をまつり、 女子が手芸に巧みになることを乞(こ)う中国の行事のこと。 牽牛星といえば日本でいう彦星(ひこぼし)。織女星は織姫星(おりひめぼし)。 つまり、乞巧奠とは現在でいう七夕のことですね。 以上、七夕の発祥は中国由来だという豆知識でした。 クイズ Q.「乒乓」という熟語は、あるスポーツを意味するのですが、 それは以下のどれでしょう?(難易度:漢検配当外) 選択肢 選択 乗馬 (0) マラソン (0) カヌー (0) 卓球 (3) 「乒」と「乓」のように、一部欠損したような漢字って意外と多いです。 「孒」とか「步」とか。 もちろん、ふざけてるわけではなく、どれも歴(れっき)とした字なんですよ。 名前 コメント すべてのコメントを見る ←他の漢検ブログもチェック! ■2011-11-19 bookmark_hatena 更新 漢字ページに弖 怺 噸を追加。 国字に突入。といっても5問しかないので、明日には終わりますが。 あとは、地味にレイアウトを変更。 解像度低いPCでも崩れずに見られるようにしました。 CSSの知識があまりないので、調整に苦労します(^^; クイズ Q.葬式で包む「香典」。当用漢字表が制定される前は、 どのように書かれていたでしょう?(難易度:1級レベル) 選択肢 選択 香撚 (0) 香奠 (1) 勾典 (0) 薨典 (0) 当用漢字表が制定された時に、表外の漢字を含む熟語は、 平易な字で書けるように置き換えられちゃったんですよねー。 個人的にはとても残念な漢字政策だったと思います。 置き換える前の方が熟語に味があるんですよね。 「奇跡」より「奇蹟」、「知恵」より「智慧」、 「更生」より「甦生」、「日食」より「日蝕」、 いずれも後者の方がしっくりくると思いませんか? 本来の字義を知れば知るほど、現在の置き換えられている字に 違和感を抱いてしまうのでした。 名前 コメント すべてのコメントを見る お世話になっております(ついったーで) 僕も代用字の領域、大好きです。 -- (漢字皇子) 2011-11-20 21 27 07 漢字皇子さん、コメントありがとうございます!(^^ ☆漢字検定1級合格!☆ブログ、いつも楽しく拝読しております。 代用字が作られたのは残念ですが、 元の字を辿る楽しみが生まれたことで、 漢字を味わう機会が増えたとも捉えられますね。 今後も代用字ネタを色々とりあげて行きたいと思います(^^ -- (ホウジ) 2011-11-21 00 58 31 ■2011-11-18 bookmark_hatena 更新 漢字ページに齲 蹤 僭を追加。 むしば、あしあと、おごる。 一応読めるのだけど、熟語が出てこなかったり、他の訓読みを知らなかったり。 「僭(ひところ)ふ」なんて言葉は初めて聞いた。 クイズ解答 Q.『「牢」の訓読みとして誤っているものはどれ?』 A.おおべや 解答して下さった、残念!(><; ちょっと難しかったですかね。 「牢」は「宀」+「牛」。すなわち、家畜をとじこめて囲う小屋。 そこから転じて、罪人をとじこめる牢屋の意を持つようになりました。 「ひとや」は牢屋を意味する和語。 漢字で書くと「人屋」「獄」「囚獄」などとも書きます。 また、閉じ込めた家畜を祭礼の犠牲として供えたことから、 「いけにえ」の意を持つようになりました。 さらに、供えものは牛、羊、豕(ぶた)などの肉であるため、 「ごちそう」の意まで生じました。 ちなみに、ことわざに 「藜羹(レイコウ)を食らう者は大牢(タイロウ)の滋味(ジミ)を知らず」 という物があります。 「藜羹」とは「藜(あかざ)の羹(あつもの)」、すなわち粗食のこと。 「大牢」とは「牛、羊、豕などの一級品のごちそう」のこと。 すなわち、「粗食に慣れた者にはごちそうの味がわからない」という意味。 つまらない人間には高尚なことや重大なことは理解できないことのたとえに用いられます。 「大牢の滋味」は準1級で出題されるかもしれないので、 覚えておくとよいかもしれませんね。(^^ 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-17 bookmark_hatena 更新 漢字ページに檻 峙 蠱を追加。 「檻」ってよく見るけど1級配当なんだね。 もっとも「てすり」とか「いたがこい」などとはあまり読まないけど。 クイズ解答 Q.『「塗」の部首は?』 A.土 解答頂いたお二方、正解でございます!(^^ 「塗(ぬ)る」と書けば、なんとなく液体っぽいので「氵」が部首かと思いがち。 しかしこの字は「泥をのばしてぬる」という字義なのです。 「壁を塗る」といえばイメージしやすいでしょうか。 また、「塗」そのものに「どろ」という読みがあったり、 そのどろを伸ばして作るものとして「みち」という読みがあったりします。 全般的に「どろ」のような土に関するイメージが強いので、 部首は「土」となるわけです。 クイズ Q.「牢」の訓読みとして誤っているものはどれ?(難易度:準1級) 選択肢 選択 いけにえ (0) おおべや (0) ごちそう (2) ひとや (0) ひっかけの選択肢を作るのって難しいかもしれない(^^; 正解はまた明日ー。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-16 bookmark_hatena 更新 いよいよ国字!と思ったのだけど、まだ書き取りの個別の漢字が残ってました。 漢字ページに褥 蓐 鼎を追加。 鼎って、異体字がたくさんあるんだねぇ。 クイズ解答 『「天主国」とはどの国を指した言葉でしょう?』という問題でしたね。 やはり難しすぎたのか、解答して頂いた方も1名のみでした。 そして、解答頂いた方、残念!(><; 正解は「 天主国=イタリア 」でした! 「天主」とはラテン語「Deus(デウス)」を漢訳した言葉。 すなわち、キリスト教のカトリックにおける三位一体の神のこと。 「天主教」とはローマ‐カトリック教会のこと。 「天主国」とは「天主教」のある国。すなわちイタリア、となるわけです。 ちなみに、「カトリック」は漢字で「加特力」と書きます。 知らないと読めない当て字の1つですね(^^; クイズ 今日は2級レベルで出題。 Q.「塗」の部首は次の内、どれでしょう? 選択肢 投票 (0) (氵[0], ■2011-11-15 bookmark_hatena 更新 漢検問題の解答僭称 購 贖を追加。 書き取りも終わったので、明日からは国字! あ、そうそう。背景画像を追加しました。 サイト名に肖って、「青海波(せいがいは)」と呼ばれる和式文様で飾ってみました。 青海波、とっても綺麗だよー。 いっぱいあってどれにしようか迷ったぐらい。 青海波に限らず、和式文様ってどれも素敵。 画像検索:青海波 本日の発見 【賣】(バイ)と html( font size="6" 【 ■2011-11-14 bookmark_hatena 更新 漢検問題の解答癇 齲歯 先蹤を追加。 クイズ(解答) 昨日は外出して家に帰らなかったので更新できず、お待たせしました。 「数」「暫」「屢」「亟」の内、「しばしば」と読めないものはどれでしょう? という問題でしたが、投票では「暫」に3票。 投票してくれた方、全員正解です!! このサイトを見てる人は皆漢字に興味を持ってらっしゃる方でしょうから、 さすがにこのぐらいは楽勝なのですかね。。。 さて、解答の解説を致しましょう。 まず、正解の「暫」は「暫(しば)し」とは読めますが「しばしば」とは読めません。 頻度を表す語ではなく、時間の長さを表す語なのです。 「暫時(しばしの時間)」などからも分かる通りですね。 次に「数」と「屢」。 「数」の旧字体は數で、屢での中と同じです。 この共通部「婁(ル)」は「母+中+女」の会意文字で、 女性をとらえて数珠つなぎにすることを示している。 そこから、「連なって起こること」=「しばしば」となります。 最後に「亟」。 この字は、上下の2本の線の間に、人が立っている姿を描き、 それに動作を表す「口」と「又(手)」を加え、 からだの端から端までを緊張させて動作することを表します。 そのことから、「たるまない」「すぐに」の意を生じ、また、 くりかえされる動作の間が短いことから「しばしば」の意を生じたそうです。 以上、解説終わり。 明日はもっと難しい問題出してみよっと。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-12 bookmark_hatena 更新 漢検問題の解答似非 論 蠱惑を追加。 このサイト作り始めてのはじめての熟字訓。 熟字訓は大好きなので、いつか特集やりたいな。 クイズ ちょっとお試しで投票機能を用いてクイズを出してみる。 機能テストも兼ねてるので、奮ってご解答願います。 次の内、「しばしば」と読めないものはどれでしょう? 選択肢 投票 数 (0) 暫 (4) 屢 (0) 亟 (0) 答えはまた明日。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-11 bookmark_hatena 更新 漢検問題の解答拗 縢 傅を追加。 これら3字は訓読みが多いのが印象的。 ちなみに、試験では「縢る」が書けなかった。 誤って「攣る」と書いたんだけど、 これだと「攣(か)かる」だから全然違う。 他サイト紹介 ☆漢字検定1級合格!☆ 様のサイトで、 1級修錬問題が上がってたので解いてみた。 成績は23問中12問正解。 なんとか5割は解けたけど、まだまだ精進しなきゃね。 間違った問題を取り上げてみる。 「澎然」→×ぼうぜん ○ほうぜん 「膨大」から連想して読んでしまい、間違い。 「澎湃(ホウハイ)」を先に連想していれば間違えなかった。 「聖霊にヒギする」→ ×?? ○比擬 「ヒギ」で思い浮かぶ言葉が「秘技」しかない程度の語彙力。 「比擬」は比べて擬(なぞら)えること。すなわち、似せること。 「ケイチツを迎える」→×啓贄 ○啓蟄 「虫」が入ることが思い出せず。 「貝」を入れてごまかしてみたけどやはり違っていた。 「啓蟄」は二十四節気の一つ。太陽暦の3月5日頃。 「カイレイ(逆らい背くこと)」→×?戻 ○乖戻 「そむく」から「戻(もと)る」を連想できたのは良かったが、 「乖」を連想できず。もう少しじっくり考えればよかった。 「少しもクットウする所なし」→×屈? ○屈撓 自分の語彙に「クットウ」の語が無かった。 「屈撓」はかがみたわむこと。 「屈」は「クッ」と読む語の「屈折」「屈託」などから連想。 「次第に木曾のスイビに近づけり」→×衰微 ○翠眉 これも語彙力不足。「翠眉」は遠山が薄緑に見えるさま。 「翠黛」は知ってたので、そこを足がかりに連想できれば。。。 とは言え、そう簡単に連想できるものではない。やはり難しい。 「ノウテイ余す無きの零財」→×?? ○嚢底 もしかして「嚢底」とか書けば当たるかな?と思ったけど消してしまった。 語彙に無いと自信が持てない。 「嚢底」はふくろの底。特に財布の底。 「不定シュウソ」→×?? ○愁訴 「不定愁訴」とは、明白な器質的疾患が見られないのに、 さまざまな自覚症状を訴える状態。 そんな言葉聞いたこともないよ。。。 「トセツ蛇行」→×途折 ○斗折 北斗七星のように曲がりくねって行くこと。 これは以前に準1級の勉強をしていて見たことがあった。不覚。 「金声ギョクシン」→×玉心 ○玉振 才知や人徳が調和して、よく備わっているたとえ。 「金・玉」の対応は分かりやすいけど、「声・振」の対応は分からなかった。 「左提ユウケツ」→×右結 ○右挈 左右の手でたずさえること。互いに助けあうこと。 「提」も「挈」も「ひっさげる」と読めるけど、 これは連想できなかった・・・。 知らない言葉も一杯出てきて勉強になった。 やっぱり、問題を解くのって楽しいねぇ。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-10 bookmark_hatena 更新 漢検問題の解答病褥 折檻 鼎峙を追加。 「折檻」は故事成語。なので、筆をふるって故事を紹介してみた。 1つ1つ紹介してる内に、人名もたくさん覚えられるといいな。 クイズ(解答) 昨日のクイズの答えのページを作ったのでリンク先で答え合わせをどうぞー。 杼 枋 栩 栲 槐 独り言 他サイトの記事を取り上げて話題にしたいと思ったのだけど、 トラックバックの方法が分からずに断念。 @wikiから他のブログサイトにトラックバックを送信ってできないのかなぁ。 他のブログサイトから@wikiのページに送信することはできるっぽいんだけど。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-09 bookmark_hatena 更新 漢字ページ驩 燠 掀を追加。 漢検問題のページに、書き取りの問題を追加。 やっと読み問題終わった! このペースじゃ、全部終わるまでに次の試験が始まりそうだ。(^^; クイズ 手元に「漢字必携1級」があるので、木偏のページから読み問題を5問ほど。 樹木の名前で訓読みしてください。いずれも1級配当なので、難しいですよー。 杼 枋 栩 栲 槐 解答は明日にでも。。。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-08 bookmark_hatena 更新 漢字ページ孚 鏨 訐を追加。 PCが壊れたと思ったのだけど、BIOS画面で5分ほど放置してたら普通に動いた。 寿命が近そうだからバックアップとらないと。 そういえば、漢検生涯学習ネットワークから会員通信が来てた。 自分にとって思ってもみない案内があったので、今から楽しみ。 そういえば、ようやく漢字のページが30個を突破。 漢検1級配当漢字の1%を取り上げたことになるのだね。 千里の道も一歩から。この調子で進めていこうっと。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-07 bookmark_hatena 更新 漢字ページ鸛 攫 憖を追加。 PCが壊れてしまったので、次回更新は少し先になるかも。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-06 bookmark_hatena 更新 漢字ページ栩 暾 暾を追加。 漢字クイズ(解答) 「挑げる、掀げる、搴げる、撥げる、榜げる、騫げる。」 これらはすべて「かかげる」と読みます。 分かりやすいのは「榜げる」でしょうか。 「標榜」とは「標をかかげる」こと。 あとは、「挑撥(現代表記では挑発)」なども 相手をかかげて刺激することを指しますが、、、 挑発から「かかげる」という言葉を連想するのは難しいですね。 搴げる、騫げるはつまんで持ち上げること。 搴裳、騫衣は衣服をつまんで持ち上げること。 また、ちょくちょくクイズ出してみようっと。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-05 bookmark_hatena 更新 漢字ページ胙 哂 杲を追加。 漢字クイズ 「挑げる、掀げる、搴げる、撥げる、榜げる、騫げる。」 全部同じ訓読み。さて、なんと読むでしょう? 「掀げる」は前回の1級試験にも出ていたから、受験した人には簡単かな? 正解は明日。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-04 bookmark_hatena 更新 漢字ページ闃 懌 甄を追加。 昨日は記事書く前に尽瘁して就枕してしまった。 まぁ、そんな日もあるさ。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-03 bookmark_hatena 更新 漢字ページ楔 蓖 翕を追加。 今日は本屋に行って以下の2冊を購入。 漢文―句形整理 (基礎からわかる) これから漢文を読む機会が増えそうなので、 これを機にちゃんと勉強してみようと思い購入。 訓読み検定 (光文社知恵の森文庫) 訓読みをテーマにした難読語紹介本。 ぱらぱらめくってると、大抵読めてしまうのだけど、 一部読めないものがあったり、難読語の成り立ちとか紹介してたりしたので勢いで購入。 先週に買った下の本を読み終えぬ内から次々と本を買ってしまう。 うーん、積ん読にならないように頑張って読まねば。 日本の漢字 1600年の歴史 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-02 bookmark_hatena 更新 漢字ページ迪 贅 肬を追加。 今日は1級読み問題の「夫婦驩ばざるを得ず。」の元ネタを探ってみた。 禮之於正國家也,如權衡之於輕重也,如繩墨之於曲直也。故人無禮不生,事無禮不成,國家無禮不寧。君臣不得不尊,父子不得不親,兄弟不得不順,夫婦不得不驩,少者以長,老者以養。故天地生之,聖人成之。 荀子 大略篇第二十七より抜粋 (自力翻訳) 礼とは正しき国家に対する、權衡(はかり)の軽重や、縄墨(すみなわ)の曲直のようなものだ。 友人は礼が無ければ生まれない。 事は礼が無ければ成就しない。 国家は礼がなければ安らかにはならない。 君臣は尊ばざるを得ない。 父子は親しまざるを得ない。 兄弟はしたがわざるを得ない。 夫婦はよろこばざるを得ない。 そうして年少者は成長し、老年者は下の世代を育てる。 かくして、世界は生まれ、聖人が誕生する。 自力で漢文を本格的に解読したのは初めてなので間違ってるかも。 いずれはすらすら読めるようになりたい。 漢文の文法、少しずつ覚えて行こうっと。 そういえば「權(権)衡」って、前回の1級試験の文章題にも出てきてた熟語だな。 先にこの文章を読んでおけば解答できたかもしれないなぁ。 名前 コメント すべてのコメントを見る ■2011-11-01 bookmark_hatena 更新 漢字ページ芟 戡 餉 冢 塋を追加。 辞書引いてたら「熒」という漢字に出会った。火がいっぱい。 「火×3+冂」。[冂]は「遠くをとりまく境界」の意。 光の環にかこまれた小さなともしび、という意味らしい。 この「熒」を略して「
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三戦英雄傅 第二十八回~霊帝裸照事件に英断を下し、◆W0wczkw01 はリンリン大友を調教す~ さてさて、前回窮地に立たされた小銀玉皇后と小魔玉ですが、 いったい、霊帝はどのような判断を下したのでしょうか。 趙忠:「陛下、ご決断はお早いほうが宜しいかと」 霊帝:「むぅうう」 中野区民憲章 :「ホホホ、陛下は筋金入りのMですな」 張譲:「おお、中野区民憲章!」 中野区民憲章の登場に張譲をはじめ、十常侍たちは顔色を明るくしました。 身の丈八尺もある大男。中野区民憲章、都・洛陽生まれの洛陽育ちのこの男、史学に明るく とりわけ文語や繁体字に詳しいことで名を馳せていた学者でありました。 一介の学者・中野区民憲章もまた、十常侍の権力の駒として、 どMの霊帝を満足させるための駒として宮中に召しだされたのでした。 当初は、小銀玉皇后の美貌と毒舌に未練を持っていた霊帝も、 中野区民憲章の巨躯から繰り出される罵倒と暴力の迫力に骨抜きと なり、「中野区民憲章を知らなかった朕の半生は、なんだったのであろう」と 感嘆したとも伝えられております。 口語・簡体字を得意とする小柄な女性の小銀玉皇后に比べ、文語・繁体字を得意とした 中野区民憲章。その与える迫力たるや、歴然としたものでございました。 霊帝が小銀玉皇后に飽き、中野区民憲章が寵愛を欲しいままにしていた ちょうど、今、裸照事件が勃発したのでございます。 何進:(ま、まずいではないか。妹の小銀玉の不始末は、儂の責任問題まで問われる。 このまましがない肉屋に元通りか? いや、元部下の袁紹が相国となっておった。ここは、 袁紹の地位と名門・袁家の力に頼るほかあるまい) 機を見るに敏な何進は、さっそく配下の(・×・)AaAを晋国に走らせました。 さすがは、元、商人。何進は、妹・小銀玉という商品の価値を見捨ててはおりませんでした。 曹操:「なんだ。この可愛い顔文字の男は」 袁術:「小動物顔よのお。これ、もそっとこちらへ」 (・×・)AaA:「ええい!! 触るな! 俺は何進大将軍の使者だぞ」 袁紹:「何? 大将軍の、とな?」 (・×・)AaA:「名門・袁家の力もありながら、貴殿が今の地位におられるのは何故か考えたことが おありか?」 袁術:「何を言う。本初兄さんの実力に決まっているだろうが」 魔法剣士情熱的:「そうだ。そうだ。そうに決まっている」 タケノコ萌え:「ちょっと、魔法剣士情熱的、あなた何言っているのよ。相手は都の大将軍からの ご使者よ。つまり、大将軍の代理でいらしたのよ。何か、事情があるに違いないわ。 御頭も、名族らしく冷静になってください」 魔法剣士情熱的:「すみませんねぇ。オイラ、向こうで待機しています」 魔法剣士情熱的は、ようやく出番らしい出番が来たというのに、しょんぼりと肩を落とし席を外しました。 袁紹:「して、ご使者の目的は?」 (・×・)AaA:「取り繕っても仕方無いので、率直に言う。何進大将軍の危機を助けて欲しい」 果物キラー:「ほお、大将軍の危機と」 世事に目が無い果物キラーは、身を乗り出して、会話に参加しようとしました。 (・×・)AaA:「実は、何進大将軍の妹御・小銀玉皇后の不祥事が宮中にて発覚し、 大将軍までもが責任を問われそうなのだ」 無双ファン:「皇后の不祥事とは、これのことですか?」 無双ファンは、少年らしい素早さで父親である果物キラーの胸元を開けました。 果物キラー:「こ、これ、何をする!! 私には近親相姦や男色の趣味は無い!!」 息子の突然の行動に果物キラーは、頬を赤らめ、激しく動揺を見せました。 ひょーりみ:「息子に興奮する果物キラー、きめえ」 荀イク:「こ、これ、ひょーりみ殿。古来より、変態と文才とは比例するものなのです」 荀イクのとりなしに、一同の視線は陳琳と曹操に集中しました。 許攸:「ちっ、なんだよ。孟徳……もう少し早く気が付いておれば儂が相手してやったものを」 袁術:(許攸……名を口にするのもおぞましい。貪婪淫蕩にして不純の人物よ) 荀イク:(許攸の貪欲で身持ちが修まらないのは、変わらぬことよ) 曹操:「わ、儂は変態では無い。断じて、誓って正常な人間だ」 学徒出陣:「果物キラー殿、きめぇは、ひょーりみ殿の挨拶ゆえ、真に受けるでないぞ」 学徒出陣が、果物キラーを慰めようと果物キラーの肩を叩くと、果物キラーの肌蹴た胸元より 大量の紙が流れるように床上に落ちました。 学徒出陣:「うおっ、なんじゃ、これは」 魯粛:「なんと破廉恥な。春画を隠し持ち出勤とは」 奇矯屋onぷらっと:「息子に春画を見つけられるなんて。マヌケが。普通は立場が逆 ではないか」 果物キラー:「こ、これは袁家十人衆の職務で……」 タケノコ萌え:「嘘よ! 袁紹様の統治する、この晋国では、そんな卑猥な任務は無いはずだわ!」 袁術:「お主らしくも無いな。果物キラーよ。よりによって袁家十人衆の職務だと 偽るとは。息子に春画の隠し場所が見つかったのは、堪えたのか」 陳琳:「この勢いなら、言える。私の文学の師匠は、団鬼六先生だ!」 袁紹:「……果物キラー、お主、妻帯者であるというに」 漢朝を思いながらも行動に移すことのできぬ日頃の鬱憤が溜まっていたのでしょうか、晋国の者たちは口々に 果物キラーを批難しました。 無双ファン:「お止め下さい。人の父親を悪く言うのはよしてくださいよ」 荀イク:「しかし、無双ファン殿が、お父上の春画を」 許攸:「俺は実はショタなんだ。孟徳の血を引き、文才豊かな曹丕でもイケるぞ」 曹丕:「寄るな、ケダモノ!!」 ひょーりみ:「許攸きめぇ」 学徒出陣:「前言撤回。許攸に対しては、挨拶ではないぞ」 正史『晋史』許攸傅には、この時の許攸の一言に対する袁術と荀イクの 許攸に対する人物評が今も残っております。許攸の劣情の標的とされた曹操の 子息の名は、曹丕と言いまして、小銀玉皇后と大尉・小魔玉の間にできた 徽皇子の一つ年下の少年でありました。 曹丕は、曹操に似て詩の才能を持っておりました。 無双ファン:「よく見てください。春画の中身を」 ひょーりみ:「これは、小魔玉の兄上!」 果物キラーが隠し持っていたのは、裸照事件で流出した小魔玉の春画でございました。 一時は兄と慕った小魔玉の絵姿を前に、ひょーりみは涙を浮かべ、春画を握り締めました。 ひょーりみ:「小魔玉の兄上は、医師として成功し、幸せな家庭も持っていた。なのに、 今や民から憎まれる暴虐大尉だ。それも、これも、あの女狐のせいだ」 田豊:「ひょーりみ殿、それは違いますぞ」 ひょーりみ:「どこがどう違うのだ。田豊殿、説明されよ」 荀イク:「確かに、小銀玉皇后も無関係ではありますまい。しかし、拷問にかけたわけでもなく、 脅されたわけでも無い。行動したのは、暴虐大尉への道を選択したのは、当の大尉なのです」 田豊:「さすがは、荀子様の子孫ですな」 荀イクに誤りを指摘され、ひょーりみは、男ながらに嗚咽を漏らし、号泣しました。 ひょーりみ:「俺だって、薄々気が付いていたさ。小魔玉の兄貴は、純粋なだけで 、欲望に弱いだけだって。だけど、どうしようも無いだろう? だから、俺は兄貴の 存在自体を消し去るために晋国へ来たのだ」 ひょーりみの泣き声に袁紹の息子たちは、唖然と口を開いておりました。 袁譚:「なんだ? あの熱い奴は。これだから庶民は」 袁尚:「全くだ。血の繋がっておらぬ義兄弟のために、危険な橋を選ぶなんて」 荀攸:(ひょーりみ、奴も博打の神に魅入られた者に違いない) 暴走しつつある各人の感情を一つにしたのは、(・×・)AaAの一言でございました。 (・×・)AaA:「この春画が、大将軍の窮地の発端でございます」 (・×・)AaAの差し出した一枚の春画には、小銀玉と小魔玉の絡み合う様子が 詳細に描かれておりました。 (・×・)AaA:「ただの醜聞ではありませぬ。これを描いた絵師は宮中の画家でも無く、 市井の正規の絵師ではないのです」 袁紹:「しかし、絵師は高祖の代より登録した正規の絵師しか用いてはならぬという 法があるではないか。それに、この卓越した技術、これが正規の絵師でなくして 誰が描いたというのだ?」 (・×・)AaA:「高祖は、正規の絵師の職権と収入を危ぶみ、今日の法を制定された わけですが、この法を犯した小銀玉皇后はすなわち、高祖と漢室への反逆罪を 働いたという解釈をする法律家もいるわけです」 荀攸:「さもあらん」 (・×・)AaA:「さらに、これらの春画を描きし絵師集団は『憂い似ー』と申しまして、 馬元義なる黄巾賊の幹部が率いております」 勇魚:「馬元義、聖天使ザビエルの腹心と言われる男だ」 (・×・)AaA:「法と不貞を犯した小銀玉皇后をどMの陛下がお許しになったとしても、 他の者は黙っておかないでしょう。妲妃が処刑を免れなかったように」 袁術:「なるほど。我が袁家の力を頼みに、来たというわけだな」 (・×・)AaA:「宮中の恥を打ち明けるようだが、そうだ」 袁紹:「うむ。公路よ。お前は袁家十人衆を発足させて以来、全ての者を使いこなせては いなかったな。ここは、名門袁家の名を世に知らしめる絶好の機会。袁家の人材の 豊かさを洛陽に見せ付けてやるが良い」 袁術:「承知」 (・×・)AaA:「ありがたい。この御恩、必ずやお返ししますぞ」 袁家の思わぬ加勢が得られると知り、(・×・)AaAは普段の毒舌も忘れ、 袁紹へ拱手しました。 袁術は兄の手前、大人ぶって見せましたが、実は何の策も持ち合わせていませんでした。 袁術:「ここで手柄を立てねば、ピンハネした袁家十人衆の俸禄の行方が 露見してしまうな」 経理に明るい一方でお金に汚い袁術は、密かに己の配下の給料を ピンハネしていたのでした。困り果てた袁術は、袁家十人衆を招集し、緊急軍議を開きました。 袁術:「お前たちに集まってもらったのは、他でも無い。都・洛陽の何進大将軍の危機を 救う策を出してもらいたいからだ。何進大将軍は、元は平民の出とは言え、我が兄 袁本初の上司でもあられたお方。無碍に断ることもできまい。誰か、我こそはと思う 策士はおらぬか?」 魔法剣士情熱的:「あのー、御頭」 袁術:「おお、魔法剣士情熱的。何か策があるのか」 魔法剣士情熱的:「オイラも軍議に参加してもいいんでしょうか」 袁術:「聞くまでも無いわ」 魔法剣士情熱的:「ほほお。ふんふん。なるほどねー」 曹洪:(魔法剣士情熱的、味方をも惑わす男だ)「御頭、魔法剣士情熱的は外して軍議の続きを」 袁術:「そうじゃな」 荀イク:「御頭、ここは晋国一の知恵の持ち主、丁原殿のお言葉をいただきましょう」 袁術:「丁原か。背に腹は変えられぬな」 荀イクの進言により、丁原が袁術に呼び出されました。 丁原:「丁原、只今参上いたしました」 袁術:「丁原、時間も無いので単刀直入に聞く。お主、此度の裸照事件を何と考えておるのだ」 丁原:「はっ。大将軍兄妹には悪いですが……ここは、我等が晋国台頭の機会かと」 荀イク:「機はまだ熟しておりません。大将軍は、我が殿の恩人。今回だけ お助けしませんか」 丁原:「ほお。あの肉屋を。皆さん、随分と人が良い」 袁術:「兄上の命なのだ」 丁原:「では、一言だけ。小銀玉皇后に代わり、陛下の寵愛を受ける者の背後を 探れば面白いことが出てくるでしょう」 荀イク:「中野区民憲章のことですか?」 丁原:「ええ。後は、某にこの件、一任していただきたい」 袁術:「よし、丁原、お主に裸照事件関係の御頭代行を命ずる」 丁原:「はっ」 こうして、丁原は裸照事件解決の任務中は袁家十人衆を束ねる『御頭代行』と なりました。丁原に任を任せ、袁術が安堵の息を吐いている頃、 夜の闇に紛れ、噂の中野区民憲章の部屋を訪ねる者がおりました。 中野区民憲章:「誰かと思えば、お主か。まあ、入るがいい」 中野区民憲章の前に現れました一人の男、名を蕎序と言いまして、宮中に 仕える宦官でありました。 蕎序:「我等が偉大なる指導者、馬元義様万歳!!」 中野区民憲章:「うむ。馬元義様への変わらぬ忠誠心、お主のことはよしなに伝えておこう」 蕎序:「ははー」 中野区民憲章:「これ、畏まるでない。黄巾党へ男根をも捧げたお主の忠義、誰が疑おうか。 ところで、敵はいかがいたしておるのだ」 蕎序:「敵は、もはや戦意を喪失し、日の光も浴びず、塞ぎがちの日々でございます。 食うものも食わず、もはや、衰弱死も時間の問題かと。もとより帝に何の情も持たぬ小銀玉。 あの女が欲しているのは小魔玉のみでございますれば…兄の何進が妙な動きを見せておりますが、 なに、肉屋の悪あがきなど恐れるに足りませぬ」 中野区民憲章:「ほほお。なるほど、の。やはり、お主が小銀玉付きになったのが、小銀玉の運の尽きよ」 蕎序:「その、仲介者の十常侍も、用が済みましたら」 蕎序と中野区民憲章は、互いの首を切り裂く真似をして、腹を抱えながら笑いあいました。自分たちの 思い通りに動かぬ小銀玉皇后に業を煮やした十常侍たちは、小銀玉皇后失脚の種を探し出すために、 新人宦官の蕎序を小銀玉皇后付きにし、朝から晩まで監視させていたのでした。 中野区民憲章:「愚かな、愚かな奴らよのお。利用しているつもりで、おのれ等が我等に利用されているとも 知らずに」 中野区民憲章は、笑いが止まらないらしく、顔を真っ赤にさせながら、身を捩じらせました。 蕎序:「小銀玉を消したなら、自然、小魔玉も失脚する……後は小魔玉の地位に中野区民憲章様が 座るだけ……」 中野区民憲章:「一介の学者では、食っていけぬ。金も権力もいくらあって困るものではないからの。 小銀玉も、清流派の奴らを敵に回さねば良かったものを」 蕎序:「左様、あの陳家を敵に回したのは痛手でしたな。しかし、陳家は、いつまでも我等と 同盟を組んでいるでしょうか」 中野区民憲章:「陳家当主のまあcは、煮ても焼いても食えぬ男。しかし、まあcには選民志向の強い 孫の陳羣がおる。この陳羣の自尊心ある限り、我等には刃向かうまいて。陳羣は小魔玉派の中山幸盛を 嫌いぬいておる。ムコーニンの後釜に中山幸盛を置いたのが、小銀玉と小魔玉の誤算」 蕎序:「共通の邪魔者の小銀玉、小魔玉を消した後もでしょうか」 蕎序の問いに中野区民憲章は、瞬時、笑うのを止め、真顔になりました。 中野区民憲章:「さあなあ。まあ、その時はその時でまあc諸共、陳家も消せば良いではないか」 蕎序:「中野区民憲章様には敵いませぬなあ。黄巾党もいずれ、暗愚で絵を描くしか能の無い聖天使ザビエルに 代わり、馬元義様が党首となられまする」 中野区民憲章:「俺様は二番手が好きなのだ。責任を持たなくて美味しいからな」 蕎序:「おお、恐ろしい方……私めを消さないでくださいよ」 蕎序は、さぞ恐ろしそうに身を屈めて見せました。中野区民憲章は愉快そうに声を上げました。 どうやら、宗教という名の下に固い結束を誇っていた黄巾族にも、少しずつ亀裂が生じてきたようで ございます。 さて、中野区民憲章に権力の座を狙われている小魔玉はどうしていたのでしょうか。 愛妻の失踪に、後ろ盾の小銀玉の失脚の危機……小魔玉はいつになく、元気を無くし、 得意のゲラゲラという笑い声も忘れたようでした。 小魔玉:「ううむ。今回の危機を脱しても所詮は女衒のようなもの。女の容色は 一般には儚きもの。また、いつ、このような危機が訪れるかもわからんなあ。 息子のリンリン大友には、安泰な生活を送らせたいものだが」 八戸のぶなが:「いずれ、坊ちゃまに後を継がせ、王允の座を宇喜多直家信者にでも継がせ、 三公の座を坊ちゃま、中山幸盛、宇喜多直家信者で占めますれば安泰、かと」 小魔玉:「だが、宇喜多直家信者は有能な男……権力を手にしたなら、オイラの傀儡となることを 良しとはすまい。それに、蛮族より己の愛する女を取り返し、さっさと職を辞するかもしれん」 リンリン大友:「じゃあさー、その女の子には、ずっと僻地にいてもらえばいいじゃない」 八戸のぶなが:「ぼ、坊ちゃま!?」 小魔玉:「( ^∀^)ゲラゲラ さすがは、オイラの息子。そうだな。蔡文姫には、ずっと蛮族の慰み者になってもらおうな。 蔡文姫は、宇喜多直家信者をオイラの派閥に引き止める大事な人質だから、な」 リンリン大友:「うん。パパ。それがいいよ」 八戸のぶなが:(やはり、血というものは恐ろしいな) 小魔玉、八戸のぶなが、リンリン大友ら三人が密談を交わす中、壁に耳を当て じっと話に耳を傾ける一人の男の影がありました。中山幸盛でございます。 中山幸盛:(なるほど。私とていつまでも大尉の言うなりになるものか。しかし、大尉の派閥が ある限り私が小魔玉の操り人形にすぎぬことには変わりない。この情報、有事の際の 切り札として保管しておこう) 中山幸盛は居住まいを正すと、たった今駆けつけたようにして小魔玉たちの前に現れました。 中山幸盛:「大尉、お待ちかねの◆W0wczkw01o先生とご一門の皆様が参られました」 小魔玉:「おお、早速、◆W0wczkw01o先生が参られたか( ^∀^)ゲラゲラ」 八戸のぶなが:「◆W0wczkw01o? 画数からして只者では無い様子」 小魔玉:「マイサンのリンリン大友は心優しき男ゆえ、海千山千の怪物の揃った 官界で生き残れるかわからん。そこで、帝王学のスペシャリストの◆W0wczkw01o先生を お呼びしたのだ( ^∀^)ゲラゲラ 」 中山幸盛は下男に合図し、下男は大勢の男たちを連れてきました。 ◆W0wczkw01o ◆qUIfQkCOxU ◆XHM5n0AhgA ◆CacGXD0FKI ◆lbIsa2rJ5Q ◆V36cWqp0eU ◆GMrZMmzGQc ◆2kZfsB3zEM ◆LxSV7uHYW2 ◆BZrd3B1Wik ◆5YQBmVKvH6 ◆nWw0W5nmsw ◆djEqiNhyy6 ◆VW4DVz8L/I ◆l85rok8gH2 ◆iKAYKg5HNU ◆hQ1LxqOh/M ◆a2zaRUzq5s ◆HXSFLmSu0E ◆ZxRtOOqa0o ◆Jp.0ALKWiA ◆IHLbs/YhoA ◆aAl6AhJvIQ ◆mOHDmJVkCs ◆FnxQt5yWLc ◆0YkG3stEww ◆1U9JL5jhKE ◆5XL7iN0bZI ◆cdQK4UPUDc ◆U4UzUJJI72 ◆jkC1OwM5Cw ◆b5Gs5wVIZg ◆x3FivyITlE ◆x3FivyITlE ◆sSE3CM45MY ◆9h6VlcPpu6 ◆RevGiOKgRo ◆ZxRtOOqa0o ◆nLuYlA0ILc ◆Z9tyqRxd0w ◆6RtkJ3whC6 ◆EvsXfLRe6w ◆.Nq/MuDJ.. ◆7o284zZ/mw ◆KeZ3j8GUj2 ◆1JWhQ8i8mY ◆.CYVsNBIpc ◆Go367gl8cU ◆W80/99IO1E ◆ScK3nvuiRA 一同:「ザワザワ、ガヤガヤ」 八戸のぶなが:(いったい、何人いるのだ。これだけの集団を束ねる◆W0wczkw01oなる 男。末恐ろしい男だ。必ずや、この中華に名を残すに違いない) 八戸のぶながは、◆W0wczkw01o一門の醸し出す異様な雰囲気に圧倒されました。 すると集団の中より一人の若い男が現れ、小魔玉に向かい拱手しました。 ◆W0wczkw01o:「坊ちゃまの教育係に任命いただき、ありがたき幸せ。 俺が◆W0wczkw01o一門当主、◆W0wczkw01oだ」 リンリン大友:「パパあ、こいつなんか生意気じゃない? 後漢の大尉に向かって タメ口利いてるよお」 ◆W0wczkw01oが思ったよりも遥かに若いこともあり、リンリン大友は不満を口にしました。 ムコーニンより洗脳を受けて以来、リンリン大友は漫然とし、増長しておりました。 すると、一門の男たちがすかさずリンリン大友を取り囲み、口々に罵りました。 名無し1:「あ? 誰に向かって口利いてるんだ?」 名無し2:「そんな口を利くのは、この口か? この口なのか?」 リンリン大友:「ぐふぅううううぅ!?」 名無し2は、リンリン大友の両頬に往復ビンタを食らわせました。 リンリン大友:「酷い!! パパにでさえ殴られたことはないのにぃいいい!!!」 名無し3:「勝手に黙喚いてろ空気息子が^^」 リンリン大友:「誰? 誰? 今、空気って言ったのは!! 気にしてるのにぃいいいい!!!」 名無し4:「童貞が。ネトラジでもやってろ」 名無し5:「ネトラジやるには、童貞の資格が必要だからな」 中山幸盛:「童貞と言うな!! 綺麗な体と言え!!この不浄な輩め!!!」 名無し6:「何こいつ反応してるの?」 名無し7:「こいつ童貞なんじゃね?」 中山幸盛:「くっ……」 小魔玉:「中山幸盛、何を荒らしに負けておるのだ? 荒らしに乗せられているようでは お主も官界生活が不安だな( ^∀^)ゲラゲラ」 ◆W0wczkw01o:「俺は童貞だ^^」 ◆U4UzUJJI72:「ここまでは俺の自演だ」 ◆.CYVsNBIpc :「いいや、俺の自演だ」 ◆5YQBmVKvH6:「黙れカス」 ◆lbIsa2rJ5Q :「◆XHM5n0AhgAは自称法大OBってあたりで クソコテとしてはたかが知れている^^」 ◆W0wczkw01o:「お前ら自演もいい加減にしておけ^^」 小魔玉:「( ^∀^)ゲラゲラ、さすがは天下に名の知られた◆W0wczkw01o先生。 我が愚息の教育、頼みましたぞ」 ◆W0wczkw01o:「ははっ! お任せあれ」 こうして◆W0wczkw01oはリンリン大友に帝王学を教えることとなりました。 ◆W0wczkw01oがリンリン大友の教育係になった翌日、小銀玉皇后を 廃し、幽閉するという霊帝の決断が公布されました。 中野区民憲章:「さすがは帝、ご英断にございます」 霊帝:「な、中野区…中野区民憲章、そ、そろそろ焦らすのは」 中野区民憲章:「よし、上手く俺様の靴の裏を舐めることができたら 考えてやる」 霊帝:「は、はい」 もはや、霊帝は中野区民憲章の言いなりでございました。 何進:「遅かったか……」 (・×・)AaA :「いえ、晋国には優れた英知が結集しております。今少し、様子を 見ましょう」 何進:「帰ってきたか。(・×・)AaA。済まぬな。儂のような上司を持ったばかり お前にも不自由をかけてな」 (・×・)AaA:「まだ、勝負は終わってはおりませぬ。この首皮の繋がっている限り、 負けではありませぬぞ!」 晋国より帰還した(・×・)AaAは、何進を鼓舞しました。しかし、霊帝は 中野区民憲章の思うがまま。中野区民憲章は小銀玉を消そうとしております。 どう見ても、小銀玉、何進、小魔玉たちの戦況は不利だと思うのですが。 何か、秘策は残っているのでしょうか。 三戦英雄傅、気になるつづきは、また、次回までのお楽しみに。 三戦英雄傅 第二十九回~小魔玉、再起の策を書状より見つけ出し、小銀玉に献策せんとする~ 小銀玉皇后を廃するとの霊帝の意思は、美貌を活かし宮女に変装し、 宮中に潜伏していた荀彧によりただちに晋国にも伝えられました。 荀彧:「何大将軍の妹君は廃されるとのこと。それから、小魔玉には 代行の書状を無事届けて参りました。小魔玉が目を通すか否か、は小魔玉 次第ですが」 袁紹:「公路よ。どういうことだ? 何大将軍をお助けしろと言ったはずだが」 兄・袁紹のいつになく険しい目に、袁術は必死に言い訳を考えておりました。 そこへ丁原が現れました。それにしても、丁原は荀彧にどのような手紙を渡したのでしょうか。 丁原:「いえ。小魔玉には書状にて生き残りの術を伝えておきました。 荀彧の言うとおり、目を通すか、実行に移すか否か、これで小魔玉と皇后の命運は決まるわけです」 袁術:「その策を実行せねば、小魔玉と皇后は死ぬのか?」 丁原:「ええ。官界からも、この世からも」 袁紹:「その内容とは、如何なるものだ」 丁原:「易牙になれとだけ書きました。小魔玉も医師ながら、故事に強い男。 それだけで十分に伝わるでしょう」 袁紹:「己の子を殺し蒸し焼きにし、主君に食わせた、あの易牙のことか?」 丁原:「左様。小魔玉は生き残るために、我が子を殺さざるを得ないでしょう。 そして、我が子を殺すことでしか己の生き残る道は無いのです。 我が子を殺すのが嫌ならば己が死ぬだけのこと。大漢を蝕む逆賊にも肉親の愛情は 残っているか否か、興味深いではございませぬか」 丁原は、何の感情も見せず、滔滔と意見を述べるだけでありました。 曹操:「軍師殿。お主、小魔玉の妻であった身であろう。たとえ不本意なことであろうと、 共に寝起きした情というものは無いのか? それに小魔玉の息子というのは リンリン大友のことであろう。一時は、己を母と慕った青年ではないか」 丁原:「情? 情など斯様なものとうの昔に捨てました。あるのは、復讐心のみ。 情などに動かされるようでは軍師など務まりませぬ。 小魔玉の息子、とだけ書いたのです。貴公はご存知でしょうが、世に小魔玉の 子息はリンリン大友だけに非ず」 丁原の一言に晋国の重臣たちに動揺が小波の如く走りました。 無双ファン:「どういうことですか? 軍師殿。小魔玉に他に息子がいるとでも」 丁原:「ええ。その息子とは、徽皇子のことでございます」 学徒出陣:「いろんな物を受け入れすぎだろう。皇后は」 ひょーりみ:「小魔玉の兄上が女狐との間に子を?」 魔法剣士情熱的:「うへぇ…皇后と小魔玉って、そんな昔からそういう関係だったわけ?」 果物キラー:「あれだけイイ女だもんな。わかります」 荀攸:「まさか、子まで生していたとは。なるほど、皇后の弁皇子への風当たりが 厳しいのはそこであったか」 動揺を隠せぬ群臣たちを尻目に、袁紹、袁術の兄弟と曹操は下唇を噛み締め、 何か感情をやり過ごしているようでした。 無双ファン:「どうなさいました? 殿も、袁術様も曹操様も」 荀攸:(この重大事実に動揺を見せぬとは。恐らく殿と袁術と曹操は、この事実を 前もって知っておったのだろうか。それとも、何か他に関連する事実があるのか。 それも、皆には知られたくない、隠蔽しておきたい事実が) 袁紹:「いや、何でもない。我等、晋国としては可能な限りの手助けをした故、 大将軍の恩には十分報いたであろう」 荀攸:(今日の殿は、やけにあっさりしているな) 荀攸は、勝負師の勘で小魔玉と袁家と曹家の間に、何か因縁めいたものを 感じたようでございます。 勝負師の勘、というものは果たして信用できるものなのでしょうか。 丁原:「徽皇子は、元より、人道に反し生まれた不義の子。しかし、その不義の子 一人の命で小銀玉皇后も何大将軍も、小魔玉も元の椅子に座ることができるのです。 これほどの良策はございますまい」 果物キラー:「いくら罪のもとに生まれた子と言えど、子供に罪はないだろう。 見損なったぞ。丁原!!」 感受性が強く、子供好きの果物キラーは、侮蔑の表情を丁原と床に叩きつけ場を去りました。 丁原:「無双ファン殿。追わないのですか? あなたとお父上の絆の強さは、国内でも 知らぬ者はいないというほどのもの」 無双ファン:「父と私は別個の生き物ですから」 無双ファンは、感情を乱す様子を見せることなく、丁原を見据えて答えました。 無双ファンの答えに、丁原は僅かに柳眉を上げ「ほお」と洩らしました。 洛陽では、宮女に扮した荀彧より受け取った書状を小魔玉が握り締め、 貧乏ゆすりをしておりました。さすがの小魔玉も霊帝の勅命と、後ろ盾の 権力が失墜した今となっては、万策尽きたようでございます。 小魔玉:「心残りは、我が子・リンリン大友のことだけ。さて、どうしたものか」 八戸のぶなが:「大尉、まだ恋文ですか。大尉は女性からの誘いが絶えませぬな」 小魔玉:「まあな。あの宮女、媚嬢とは違う美しさのある女だった。味見で終わらすには 勿体無い女だな」 八戸のぶなが:「それほどまでの上玉で?」 小魔玉は八戸のぶながの問いに、卑猥な笑みで答え、荀彧からの書状を開きました。 八戸のぶなが:「大尉、して内容は」 小魔玉は書状を食い入るように見つめています。 八戸のぶなが:「お聞かせくださいよ。大尉に心を寄せる娘の初々しい恋文を」 小魔玉は、八戸のぶながの再三の要求にも気付かぬ様子。ようやく、顔を上げた 小魔玉の顔色は血の気を失い、唇は紫色にさえ見えました。 八戸のぶなが:「大尉? お顔色が優れぬご様子ですが」 小魔玉:「いや、オイラは、いつもと変わらぬ。これより参内する。護衛の呂布を呼べい」 八戸のぶなが:「しかし、今、宮中に行かれては」 小魔玉:「くどいぞ。八戸。この事はリンリン大友にも、中山幸盛にも、宇喜多直家信者にも 口外するでないぞ。お前とオイラしか知らぬこと」 八戸のぶなが:「は、はあ」 小魔玉は護衛の呂布ただ一人を供に、宮中へと向かいました。 小魔玉が行き着いた生死を賭けた策とは、「易牙になれ」という丁原の手紙が 今後後漢に何を齎すのか。果たして、策は小銀玉皇后に受け入れられるものなのか。 三戦英雄傅、気になる続きは、また次回。 三戦英雄傅 第三十回~訶梨帝母の目にも涙、我が子を贄とし小銀玉と小魔玉の野望の炎が蘇る~ 呂布ただ一人を供に従え、宮中に入りたるは、大尉・小魔玉。 宮中の警備の者共も、呂布が相手とあらば無闇に手出しもできず、二人の行く末を阻む 護衛はおりませんでした。 小魔玉:「小銀玉ちゃん、いや、小銀玉皇后」 扉を開けると、廃人のように寝巻きを着たままの小銀玉皇后が床に座り込んでおりました。 小銀玉皇后も、一人の女性。いくら毒舌と言えども、愛する小魔玉と遭うこともままならぬ 生活を迎えるなど想像しただけで、苦しさにに押しつぶされてしまったのでしょう。 振り返った小銀玉皇后の目の周り赤く腫れ、目やにのようなものさえ確認できます。 小銀玉:「小魔玉…さん」 小魔玉:「小銀玉ちゃん、オイラが小銀玉ちゃんを助けに来たよ」 小銀玉:「小魔玉さん、本当に小魔玉さんなのか? いつものゲラゲラはどうしたのか」 小魔玉:「オイラだって、ゲラゲラできない気分のときはある。いいかい、時間が無い。 これから言うことを実行したなら、小銀玉ちゃんとオイラは、また元の通り会うこともできるようになる」 小銀玉:「漏れ、小魔玉さんのいない人生なんて考えられん。何でも聞くから言ってくれ」 目にした小魔玉の姿と声により、小銀玉の顔に生気が戻りました。 小魔玉:「何でも、そう、何でも、犠牲にしなくてはオイラたちのこれからは無いのだ」 小銀玉:「金か? 今なら兄さんに頼めば金なら大丈夫だ。まだ財産も没収されていないはずだ」 小魔玉:「一人の人の命が必要なのだ」 小銀玉:「人の命? 誰の。早く言ってくれ。たった一人の人の命で漏れと小魔玉さんが助かるなら安いものではないか」 小銀玉の言葉に、小魔玉は面を上げてしっかりとした声で言いました。 小魔玉:「そうだよ。小銀玉ちゃん。たった一人の命でオイラ達は中央に返り咲くことができるんだ。 だから、躊躇してはいけない。オイラが欲しいもの、それは徽皇子の命」 あまりに唐突な小魔玉の申し出に小銀玉は、憔悴した目をしばしばと瞬かせ、小魔玉の真意を 読み取ろうと小魔玉に駆け寄りました。 小銀玉:「な、何を言ってるんだ。小魔玉しゃん。徽皇子は、漏れと小魔玉しゃんの愛の結晶ではないか。 徽が皇帝になれば、漏れも皇太后に、小魔玉しゃんも皇帝の父親に」 小魔玉:「ならん!!」 小銀玉の声を小魔玉が一喝しました。小銀玉皇后は、小魔玉の怒鳴り声に、身を縮めました。 小魔玉:「いいかい。小銀玉ちゃん、現実をよく見るんだ。今のままでは、徽皇子が王座に着くことはなく、 小銀玉ちゃんも一生幽閉されたままだ。いや、仮に徽皇子が皇帝になっても、側近たちの手により 小銀玉ちゃんは暗殺されてしまうだろう。漢の武帝の故事はわかるかい? 昭帝が何故、帝位に就くことが できたかわかるかい? 呂氏の専横の二の舞を恐れた武帝が昭帝の生母・趙氏に自害を命じたからだ。 小銀玉ちゃんは、趙氏になりたいのかい」 小銀玉:「い、やだ。漏れは、趙氏などのように大人しく死ぬものか!! 幽鬼になっても呪い殺し、屍になっても 蘇って肉を喰らってやる」 小魔玉:「そうだろう。死んだら御終いなのだ。人間は、生きていなくてはいかない。人間の生死を 決めることができるのは天のみなのだ。だから、自害を企んでも死ねる者もあれば、死なぬ者もいる。 帝の寵愛は確かに中野区民憲章に移ってしまった。中野区民憲章はオイラ達を疎んじている。 だが、肉親の情というものは切れぬもの。霊帝も、徽皇子への愛情は残っているだろう」 小銀玉:「その徽を殺してしまっては元も子も無いではないか」 小魔玉:「これから、オイラの言うとおりにするんだ。いいね」 小魔玉は、地獄の鬼のような形相をして、小銀玉の細い両肩を揺らしました。小銀玉は、ただ、頷く だけでした。 小魔玉と小銀玉が再会した翌日、栄安二年七月十八日。 霊帝は、いつものように中野区民憲章と供に、布団の中で朝のまどろみを感じておりました。 霊帝:「なにやら、外が騒がしいの。どうも、鳥の囀りなどという爽やかなものではない。なんだか懐かしい 声じゃのお。それにしても、中野区民憲章。寝顔の迫力も大したものよの」 霊帝は隣で地響きのような鼾をかく中野区民憲章に目を細め、昨晩の営みを回想しているようでございます。 蕎序:「こ、皇后、あなた様は、既に幽閉された身。陛下にお目どおりなど叶いませぬ」 小銀玉:「いいや、会わせてもらう。漏れと陛下の愛の結晶の徽皇子が病を得てしまい危ないのだ。 せめて最後に父親に会わせたいというのが、母としての愛情だろうが」 趙忠:「こ、これ、肉屋の娘…いや、小銀玉様。あなた様は、一生穴倉のような場所で罪を 悔いつつ天寿を全うすることが帝により命じられているのですぞ」 張譲:「勅命に背いて、ここまで来るとは、いやはや、やはり育ちですか」 小銀玉:「何とでも言え、帝に会わせろ!!」 皇帝の寝所の前で騒いでいるのは幽閉されていた小銀玉皇后でございました。 霊帝:「おお、そうじゃった。あの声は皇后の声じゃ。徽がどうのこうの喚いているようだが… 懐かしいし、顔だけでも見てやるかの」 霊帝は中野区民憲章を布団の中に置き去りにし、寝所の扉を開けました。 扉を開けると、綺麗な衣装に身を包んだ小銀玉皇后とぐったりした我が幼子が目に入りました。 小銀玉皇后は看病に疲れたのでしょうか。美しい顔には暗い隈が影を落とし、唇は 紫色にさえ見えました。 霊帝:「徽! 皇后! いったいどうしたというのじゃ」 霊帝は徽皇子のただならぬ様子に仰天し、小銀玉皇后に詰め寄りました。 小銀玉皇后:「漏れが、漏れがいけないのです。幽閉された身では徽と面会するのも一日に 限られた回数のみ。乳母に預けても他人では、病の一つ見つけることは適わず…病に罹り気が付けば 虫の息。どうか、どうか最後だけは陛下の腕の中で眠らせてやってくださいませ」 小銀玉は普段の毒舌もどこへやら、すっかり美女の様子で霊帝に懇願しました。 霊帝:「おお、徽よ。何と言う。これも朕がそなたを母から離した所為だというのか。 許せ、徽よ。この愚かな父を許してくれ。誰か、医師を、医師を呼べい!!」 小魔玉:「陛下、この小魔玉、元は医師でございますれば」 霊帝:「小魔玉、お前、皇后を寝取った身で何と言う……」 小魔玉:「人命と私怨、どちらが大切なのですか」 霊帝:「小魔玉、お主も名医・吉平の弟子。徽を診立ててやってくれ」 小魔玉:「はっ」 小魔玉は、徽皇子の脈を診たり、瞼を裏返したり、舌を診たりしましたが、 表情が優れません。 小魔玉:「恐れながら、陛下、最早、手遅れかと」 霊帝:「なんと、天下の名医・吉平の弟子のお主までも見捨てるというのか」 小魔玉:「皇后の仰るとおりに最後だけは、陛下の腕の中で」 霊帝:「徽よ、徽よ。朕は皇后の弁に対する冷たい仕打ちから、弁にばかり同情を 寄せ、お前のことは皇后任せにしておった。冷たい父と恨むであろうな。 天よ。どうか朕の命は取り上げても構わぬから、この幼子の命を救いたまえ!」 霊帝の叫びも空しく、霊帝の腕の中、徽皇子は見る見る間に体温を失っていきました。 己の腕の中で死んでいく徽皇子。霊帝の悲しみたるや、想像にあまるものでございました。 徽皇子の死より一月、霊帝は宦官以外誰とも会うことはせず、小銀玉皇后の部屋で 過ごしました。息子を亡くした父と母が寄り添うように生活し、小銀玉皇后は霊帝の 寵愛を再び得ることに成功したのでございます。 栄安二年八月二十七日。小銀玉皇后は、皇后の座に返り咲き、小魔玉も大尉を続投することに なりました。全ては、何進と小魔玉と小銀玉の思うように進んだのでございます。一人の幼子の 命を犠牲にして。 小銀玉皇后は、真っ赤な衣装に身を包み、豪華な宝石をしゃなりしゃなりと鳴らし、玉座の隣に 座りました。自分を幽閉に追いやることを進言した宦官たち、自分を快く思わぬ官吏たち、 自分から霊帝の寵愛を奪った中野区民憲章、さまざまな顔を見渡すことができました。 小銀玉:(なんと、ちっぽけで空しいものか。こんなものの為に、皆、人を陥れ、欺き、 殺しているのか。それでも、これらの者は『権力』というものを欲しがる……漏れは 実の子を、愛する小魔玉さんとの間にできた実の子を殺し、また皇后になった。 我が子の命と引き換えに権力を握るとは、何と因果なものか…) 小銀玉は、小魔玉が呂布を引き連れて来た日に小魔玉が口にした献策を反芻しておりました。 「いいかい。小銀玉ちゃん、ここに一瓶の薬がある。劇薬というものだよ。一度 口にすると二刻ばかり仮死状態になることができる。ただ、仮ではなく、本当の死を迎える可能性も 大きい。徽皇子は幼い。薬がどのように反応するか保証はできない。オイラも仮で済むように調合したつもりだ。 我が子が自分の腕の中で行き絶えていく、これほど残酷なことはないだろう。ここで徽皇子が息を 吹き返すのがオイラの狙いだが、そのまま冥土に旅立つ可能性もある。これは、賭け。 天に全てを委ねよう。我が子の死と生還、これを共有した霊帝は小銀玉ちゃんを絶対に 手放さなくなるはずだ。二人の間には、大きな喪失感という絆ができる」と。 霊帝:「いかが致した? 皇后」 霊帝は傍らの小銀玉皇后に声をお掛けになりました。見ると、小銀玉皇后の白い頬には 一筋の涙が流れていました。 霊帝:「泣いているのか。まだ、徽のことを」 小銀玉:「恐れ多いことでございます」 小銀玉は、霊帝の問いには答えず、顔を袖で拭い、きっと群臣を睨みつけました。 小銀玉:(劇薬は徽に耐え切れず、徽は事切れた。無くして初めてわかるものがあると書物で読んだことはあったが、 まさか漏れも経験するとは。待っておれ、漢室に巣食う老害ども、お前らの思い通りにはさせん。 漢は盛れと小魔玉さんのものにしてくれる。漢の妲己、呂后、結構。ただの粛清など 手ぬるいわ) さてさて、再び皇后となった小銀玉の恨みを買った清流派と十常侍、中野区民憲章。 彼らの運命と、晋国の忠臣たち、黄巾賊の内紛、乱心の演技を続ける弁皇子の 運命は。 三戦英雄傅、気になる続きは、また次回。
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発言者:ルシード・グランセニック 対象者:クリストファー・ヴァルゼライド ページ名はルシードの台詞であるが、これ以前にもミリアルテ・ブランシェがほぼ同じことを英雄に面と向かって発言している。 誰かのために、誰かのために。 そう言い続けるヴァルゼライドだが、その“誰か”とは一体“誰”なのか。 顔も知らない帝国民、不特定多数の弱者、救済を求めて喘ぐどこかの誰か。 そんなものを掬い上げるというその理想は尊いものだが、そんな“誰か”はどこにもいない。 説明すれば賛同は得られるだろうし、ヴァルゼライドを犠牲にしてでも繁栄が欲しいと願う人も当然いるだろう。 しかしそれを口にしていない以上、問題は賛否を問う以前のことである。 英雄のやっていることは一方的な奉仕に過ぎず、知らない者が欲しがったりねだったりすることなど、誰にもできるわけがない。 少なくともミリィには、そんなことを頼んだ覚えはない。 個人よりも全体幸福を念頭に置いてしまうヴァルゼライドの歪み。 戦い続けるルシードを突き動かしているものに理解と納得は示せても、共感に至ることは永劫にできない。 “誰か”ではなく“彼女”を愛する想いの力、あんたが一生得られない感情だとルシードが言っても、 (不特定多数への)愛情くらいは持っていると的外れであるという他ない返答を返す。 大義や正しさしか愛せない、ひとりぼっちの雄々(かな)しい男、クリストファー・ヴァルゼライドの切なさである。 以下本編より抜粋1 「教えてください、ヴァルゼライド総統閣下。 誰かのためにと仰る言葉は、いったい“誰”のためなんですか・・・・・・?」 「“誰”が、あなたの勝利を心待ちにしていますか? 誰にも明かしていないような、あなただけが目指した未来を」 以下本編より抜粋2 「誰かのために? 何かのために? それって“誰”だよ……馬ッ鹿じゃないのか? ちゃんと名前を口にしろよ。大切だって叫んでやれよ。 おまえのために頑張ってると、胸を張って自慢してやれ。……それだけのことはしてるじゃないか」 「そんなことも出来ないくせに、“他人のために生きてます”とか・・・・・・ 訳わかんないことを何故言えるんだ! たった一人で生きれる奴が、軽々しく使っていい言葉じゃないだろ。 誰かのためって心はさぁ・・・・・・ッ」 「僕は違う────愛しているんだ、“誰か”じゃなくて彼女のことを。 この世に生きる誰よりも、比べるものが無いほどに!」 総統みたいな超人には普通の奴の苦しみや涙とかはどうやっても分からないんだよなあ -- 名無しさん (2015-09-05 17 15 30) 総統閣下は悔しいとか想うより鍛錬しまくって追いつくって思考だろうしなあ -- 名無しさん (2015-09-05 21 24 39) 誰かのため(自分のためじゃないとはいってない -- 名無しさん (2015-09-06 10 55 26) この名も知れない誰かがアッシュみたいな人を指すなら総統が報われた気がしないでもない -- 名無しさん (2016-11-29 02 27 22) アッシュ君の怖いところはルートにさえ入ればこの質問にもちゃんと答えられる点だよな -- 名無しさん (2016-11-29 08 58 06) 真面目な話、理想より愛を優先するようになったらなったで、君を守り抜いて死ねるなら本望って感じに笑顔で燃え尽きて行きそうだしあいつ... -- 名無しさん (2016-11-29 09 34 41) まあトリニティってそういう男の意地とふざけないでこっちは貴方犠牲に助かっても全然嬉しくないのよっていう女の意地の激突感あるからなぁ -- 名無しさん (2016-11-29 10 00 03) というより現時点で明確に思い出せてないだけで、特定個人への償いが行動の根底にあるわけだしなぁ... -- 名無しさん (2016-11-29 10 27 19) 目標と根底がズレてるから、総統と違って違う道に至ることもあるけど、どっちにしろ自分が勘定に入ってない以上碌なことにならなさそう -- 名無しさん (2016-11-29 15 13 05) でも、「誰か助けて」という声に応えるのが総統なんだよなぁ。ゼファーさんやルシードは真摯に助けを求める声には応えない。トリニティのアッシュの回想みてそう思った -- 名無しさん (2016-12-01 21 14 07) ↑ 遠くで災害が起こったら復興支援ボランティアに行くのが総統、買い物の時あたりが半端な額なら募金しようかな?ってなるのがゼファーさんなイメージ -- 名無しさん (2016-12-01 21 26 47) ↑いや、間違いなくゼファーさんは募金はしないだろ。むしろ銭持ってないだろ。ゼファーさんはたぶん知り合いで気に入った人しか助けないと思う。 -- 名無しさん (2016-12-01 21 33 56) 余裕があるならするだろうが、余裕があるゼファーさんなどゼファーさんではないしな -- 名無しさん (2016-12-01 21 37 42) 大切な人の為なら全力だけど、そうでない人まで助ける程余裕の無い人がゼファーさんか。でも、それが普通と言えば普通だよね -- 名無しさん (2016-12-01 21 41 36) 助けてと願う人に応える総統はやっぱり英雄なんだよなぁ。だから皆憧れる。普通の人には誰も憧れんよ、普通なんだから -- 名無しさん (2016-12-01 21 44 36) ゼファーさんも総統の滅私の精神までは否定してないしな、単に行きすぎ&総統の理想の直接の被害者だからブチギレただけで -- 名無しさん (2016-12-01 21 48 06) 英雄は格好いいし素晴らしい。ただし自分がなりたいかとなると別だしね -- 名無しさん (2016-12-01 21 49 18) 総統も死なせてしまった犠牲者ではなく、生贄とした少女であるマイナにだけは思うところが強かったしな。ゼファーとヴェンデッタ(マイナ)には総統に逆襲していい権利がある -- 名無しさん (2016-12-01 22 05 37) 英雄譚へと巻き込まれた犠牲者で更には生贄とされたアッシュとレインがたどり着く答えとは如何に、こうご期待ってところやな -- 名無しさん (2016-12-01 22 07 17) あの2人と合わせたらこれ以上ないほどに表情固まりそうだな総統... -- 名無しさん (2016-12-01 23 45 27) アッシュに憧れの人として尊敬されるほどに自己評価が更に下がって行きだからこそ報いねばならんと雄々しき決意を固めそう -- 名無しさん (2016-12-02 00 13 40) アッシュ「お前の為に頑張ってると叫んだら、そんな言葉聞きたくなかった、忘れてくれてよかったって泣かれました。どうしたらいいでしょうか」 -- 名無しさん (2016-12-02 01 03 11) ↑総統閣下「愚問。相手にとって要か不要かなどどうでもよい。決めたからこそ、果て無く征くのだ!」 -- 名無しさん (2016-12-02 01 09 20) ↑1,2 おお、もう・・・ -- 名無しさん (2016-12-02 01 42 36) どこかの誰かはどこかの誰かが救ってくれるさ -- 名無しさん (2016-12-02 08 06 46) ↑総統なら俺が誰かを救う誰かになるんだよと叫びそう。 -- 名無しさん (2016-12-02 08 28 42) 「誰かがやらねばならん、ならば俺がそうなろう。そう決めたのだ」が総統の思考だからな -- 名無しさん (2016-12-02 13 18 04) 総統思考って考えれば考えるほど恐ろしいんが・・・ -- 名無しさん (2016-12-02 18 11 33) ↑4どこかの誰かは俺が救う!な英雄思考の相手の地雷思いっきり踏んでるなこのセリフ... -- 名無しさん (2016-12-02 18 26 44) レインちゃん、もう君わざとやっていないレベルでアッシュの地雷踏みすぎ -- 名無しさん (2016-12-02 18 29 47) お前頭英雄かよ -- 名無しさん (2016-12-02 18 30 26) ↑2 そんな地雷踏みまくるレインちゃんも可愛いから許す -- 名無しさん (2016-12-02 18 31 08) レイン「地雷は全部踏まないと除去できないだろ!(逆切れ)」スマートに取り除くのは不可能な模様 -- 名無しさん (2016-12-02 18 33 50) これでアヤちゃんルートとか、ミステルさんルートで綺麗に除去できたらレインちゃんに対して涙不可避 -- 名無しさん (2016-12-02 18 36 25) ↑2 アッシュ「そうか!地雷を除去するには全部踏み抜けば良いのか!」とか素直に感心しそう、お似合いだね(白目) -- 名無しさん (2016-12-02 18 39 42) アッシュの覚醒を一番止めようと頑張ってるのに、一番覚醒の後押しをしてしまうという...プロローグのあの場面ってレインルートらしいし、あそこに至るまで色んなことがあったのだろうなぁ(白目) -- 名無しさん (2016-12-02 18 43 11) 英雄譚における障害はより英雄を強くするカンフル剤だからねしょうがないね。 -- 名無しさん (2016-12-02 18 54 51) なんかもうレインがアッシュの為に一番取るべき行動って、距離を置くことな気がしてきた -- 名無しさん (2016-12-02 19 31 41) 実際比較的距離を置くことになるであろう自分以外のルートだとそこまで覚醒しなさそうなあたりあながち間違いともいえない気がする -- 名無しさん (2016-12-02 19 36 36) レイン「 (/_ 。)ビェェン 」 ケルベロス「ちょっと!お前らが散々言うからウチの子泣いちゃったでしょ!?」 -- 名無しさん (2016-12-02 21 20 49) 今度こそ君を守り抜く為にってアッシュは言ってるけれど、その君と関わらないのが一番幸せな人生送れるっぽいのがなんかもう酷い -- 名無しさん (2016-12-02 23 25 21) レインちゃんのボロカスないわれように涙出ますよ……でも同意できてしまう -- 名無しさん (2016-12-02 23 35 39) ずっと↑ 災害発生時には復興ボランティアに行く、と聞いて真っ先に思いついたのがエガちゃんだった。「いやいや」とセルフツッコミしたが、考えてみるとエガちゃんと総統は実は近しいのではなかろうか。強過ぎる信念でひたすら自分の路を貫いてしまうところとか、それに誰もついてこれないところとか、自分の人間的幸福を信念の薪木にしてしまうとことか。 -- 名無しさん (2016-12-03 10 11 11) 幼馴染を守れなかったことを悔いてる男にあの日のあなたでよかった。英雄を尊敬する男に英雄なんてロクデナシ。君を守りたいと願う男に対して自分がお前を守る。どれも相手のことを想っているから出た発言なのが辛い。 -- 名無しさん (2016-12-03 11 18 13) 実際あの発言は英雄の身内の本音って感じで好きだわ。 -- 名無しさん (2016-12-03 11 35 10) ぶっちゃけ前作の構成見るに他二人の√だとアッシュには対症療法にしかならん気がするのよなー。アッシュの根治にはやっぱりレインと向き合う必要がありそうだし…… -- 名無しさん (2016-12-03 13 26 19) でもちょっとゲスイ物言いだけど、この台詞もスラムの悲惨さを知らないからこそ吐ける言葉だと思った。スラム出身の総統は、最底辺の者ほど英雄が与えてくれる救いを求めることを知ってる -- 名無しさん (2016-12-05 20 16 48) ↑富裕層出身の2人が言っても響かないが、同じ最底辺出身のゼファーとマイナの「お前たちは迷惑だ」という糾弾だからこそ逆襲となったと言える -- 名無しさん (2016-12-05 20 25 06) 誰かの為とか言いつつ、結局は自分がそれをしたいからで動いてるからなぁ、総統...実際総統犠牲にしてこれ以上の繁栄欲しい?って聞かれたら反対する国民多そう -- 名無しさん (2016-12-07 17 05 09) ↑東京が一回壊滅するが、それを復興する負担はなく、所得が2倍になると言われてNoといえる国民が果たして日本にどれだけいるんだろうな -- 名無しさん (2016-12-07 17 41 21) ↑発想がずれてるぞそれ。総統が無理しないで長く統治してくれたほうがいいと思う国民は多いだろ -- 名無しさん (2016-12-07 17 44 19) 総統という優秀な指導者の死と、帝都壊滅の危機。普通は総ツッコミ食らうわこれ -- 名無しさん (2016-12-07 17 48 16) ↑そもそも平時の無能と、戦時の英雄を比べること自体がナンセンス -- 名無しさん (2016-12-07 17 49 14) 総統があの性格だからこそ、黄金期がやってきた。あの性格じゃなかったらカグツチにも見出されずに、腐ったアドラーが続く・・・・・・ ままならんもんだ -- 名無しさん (2016-12-07 18 02 02) 総統の場合はお前と戦う為だ!ってカグツチさんに言いそう。 -- 名無しさん (2016-12-07 18 54 22) ↑それ逆や、カグツチさんのほうが「お前と戦うためだ我が英雄よ!! -- 名無しさん (2016-12-07 18 59 32) アルバートのおっちゃんの言う通りアドラー国民にしてみれば現状で十分な黄金時代だがそれで満足する人ならそもそもカグヅチに見出されていないというね -- 名無しさん (2016-12-07 19 03 47) 誰かの為とは言うが聖戦を望んでいるのは実質総統とカグツチさんの2人だけ...そして総統は自分以外の誰かの為に...繋がった!♂ -- 名無しさん (2016-12-08 10 44 58) でもローマの統一にしても天下布武にしても、望んだのはカエサルうあ信長本人だけだけど、それが新しい世界をもたらした。そして大衆迎合に堕ちた国家は常に…… 英雄の独創と独走は常に世界を発展させるよ(犠牲もあるけど) -- 名無しさん (2016-12-08 13 19 45) そして独走した英雄は志半ばで倒れるが、後継者が英雄の発想を万人向けに修正してくれる。アウグストゥスしかり家康しかり -- 名無しさん (2016-12-08 13 21 38) さっきからお前は何を言ってるんだ?書き込む記事間違えてないか? -- 名無しさん (2016-12-08 13 29 54) ↑話の流れ的にはおかしくなくね? 誰も望んでなくて本人がやりたいだけでも、良い方向に回る例ってことだと思われる -- 名無しさん (2016-12-08 13 37 55) まぁ、いい方向に回ることもあるっていうか、総統自体自分のやりたいようにやってたら上手く回ったって感じだし。この場合はそもそも「誰か」に望まれたかなように語ってるけれど、結局聖戦望んでるやつなんててめーら自身以外存在してねーだろってツッコミだし -- 名無しさん (2016-12-08 13 44 16) 総統本人自分のためって自覚あるけどね。誰かのために自分がしたいからそうしてる。自覚あるから尚更たちが悪いんだよなぁ -- 名無しさん (2016-12-08 14 04 10) そうそう、総統は自分のエゴだということを自覚してるから、チトセの行動やゼファーのことも非難しない。↑4のようにアッシュ君が総統の理想をマイルドにしてくれればいいんだが -- 名無しさん (2016-12-08 15 04 43) まぁ、総統はやり過ぎただけで、理想を目指してる努力すること自体は正しいってゼファーさんたちも言ってるからな。 -- 名無しさん (2016-12-08 15 06 58) 結局どこまでも自己完結しちゃうというか、出来ちゃうのが総統の悲劇だったんだろうなって。だからこそ英雄なんていう茨の道を突き進んで最後は破滅してしまった。アッシュは同じ道を歩まずに進んで欲しい。 -- 名無しさん (2016-12-08 16 08 17) でもぶっちゃけ、国家元首が特定の個人のために行動してたら、そっちのほうが問題だよね -- 名無しさん (2016-12-09 06 42 06) ある意味これが特定個人(自分とカグツチ)の為の行動になっちゃってるのがな... -- 名無しさん (2016-12-09 07 06 14) んなこと言ったらどの話のどのキャラ探しても、自分の為の行動しないやつなんかいないわ -- 名無しさん (2016-12-09 08 05 40) ↑2他人から見た場合だろ? 総統本人は本当にアドラーのためにやってるぞ? カグツチさんは日本のためで -- 名無しさん (2016-12-09 08 07 50) 総統が誰か特定の個人の名前あげて、そいつのためだって言ったら、それはそれで非難されるんだろうな -- 名無しさん (2016-12-09 08 30 32) 結局己自身の意志、私情が混ざらないなんてあり得ないし、どんなことやっても文句はつけられるんだから後は如何に貫くかよ。 -- 名無しさん (2016-12-09 09 23 45) 誰かの為(自分の脳内国民が望んだから)よりは、特定の誰かの名前言われた方が人としては共感出来るし、好感持てそう。 -- 名無しさん (2016-12-09 09 29 54) 別に総統みたいな立派な人間が「愛する妻の為に」って宣言しても国民にそうそう嫌われないどころか好感は得られるだろうし、「国の為なら妻も切り捨てます」とか平然と言ったら立場的に正しい云々以前に人間性とか疑われて逆に批難されるものだ -- 名無しさん (2016-12-09 09 43 50) 個人以前に不特定多数の人間相手にすら碌に宣言せず、相手の反応も見てないから、周りが総統の事を微妙に誤認したり、誰も求めてない聖戦に突っ走ることになった感じ -- 名無しさん (2016-12-09 09 51 56) ↑2米の国の大統領とかがそんなこと言った日には大バッシングの嵐が目に見えるけどな -- 名無しさん (2016-12-09 14 10 21) 人間としては立派と言われるが、総統職は辞任しろとは言われるだろうな。国家の発展のために総統を支持したのに、それが特定個人のために動かれたら -- 名無しさん (2016-12-09 14 15 53) まあ正しいけど人間としてなんかおかしくね?がこのラインの超人観だからな。 -- 名無しさん (2016-12-09 14 45 48) 凌駕なんか、全方位から見ても「正しい」人間なのに、それこそが究極の異端ってわけだもんな -- 名無しさん (2016-12-09 14 48 59) ...まさかとは思うがあの日の「君」がザビーズのごとく三分割してレイン、アヤ、ミステルになったってのはねえよな...? -- 名無しさん (2016-12-21 19 09 10) レイン「それって誰なのよ!?」アッシュ「君の事だ!!」つまりもうどうしようもありませんね -- 名無しさん (2016-12-22 17 16 53) ルシード「ちゃんとお前のためだって胸を張って言ってやれよ!それだけの事はしているじゃないか!!!」アッシュ「今度こそ、君を護り抜くために」レイン「うるさいうるさいうるさーい!違うのよ!聞きたくなかったそんな言葉!!!あなたは私なんか見捨ててくれて良かったのに!!忘れてくれて良かったのに!!!」 -- 名無しさん (2016-12-23 08 04 44) ↑マジでどうしようもないな、コイツら -- 名無しさん (2016-12-23 08 57 03) いいよね...変わり果てて燃え尽きようとしている幼馴染の行動原理が、実は昔の変わらず自分を救う為だと知って曇る女の子...いいよね... -- 名無しさん (2016-12-23 10 57 20) 高濱ァ!お前はやれば出来る子だって信じていたぞぉ!!! -- 名無しさん (2016-12-23 11 06 12) やっぱり守りたい誰かって必要なんやなって(聖戦の顛末を見ながら) -- 名無しさん (2017-02-10 14 40 34) それってマジで誰だよォ! -- 名無しさん (2017-02-10 14 42 57) ↑6今思えばアッシュ君に私の事なんか忘れてくれて良かったのにとか無理な話だよな、あんだけ頭弄られて記憶の端に残ってるんだぜ?すげぇよアッシュは -- 名無しさん (2017-02-10 15 10 31) あれだけ歪ませれていても残っていたって辺り、本当に大切だったんだろうなって...そしてその約束をしっかり果たして見せたアッシュマジヒーロー -- 名無しさん (2017-02-10 15 11 57) 糞眼鏡と欲竜おじさんなら総統閣下と即答しそうなあたりやっぱり閣下には及ばないんだなって(白目) -- 名無しさん (2017-02-10 21 26 53) ↑2アッシュにとってナギサを守ることがそれだけ重い決意であった証明だな。だからこそグランドで一方的に守るのではなく相互に守りあうという答えが出せたのは感慨深いもの -- 名無しさん (2017-02-10 23 39 48) ミステルさんルートでもグレイとアヤが大切だから巻き込めないとなったりグランドだとナギサちゃんの抱え込み癖がヘリオスさんに指摘されたけどアッシュも大概ではあったからな -- 名無しさん (2017-02-10 23 45 41) 何というか本当に面倒臭い似た者同士だなと。双方トンチキ入っていたとはいえ、最初の殺し合いの自分が守るんだ!って意地を張ってる辺りはどちらも本当に願っていたことなんだろうな -- 名無しさん (2017-02-10 23 47 55) 仕方ない、二人にとって「相手を守る」という行為はあの時点では何よりも優先すべき至上命題も同然だからな -- 名無しさん (2017-02-10 23 52 49) 総統スラム出身ってことは捨て子だったんだろうね。もしも真っ当な親に育てられてただのクリストファー・ヴァルぜライドとして愛されていれば英雄にならなかったのだろうか。それともやっぱり生まれた時点で既に英雄になると定められていたのか。どちらにしてもこれほど親の顔が見てみたいと思ったキャラはいないわw -- 名無しさん (2017-02-11 12 09 14) マルスみたいに何の前兆も無く生まれ持ってしまった性故が濃厚な気がする。そうだとするならマルスは同族嫌悪も抱いてたのか? -- 名無しさん (2017-02-11 12 30 32) ↑2幼馴染が生きていてもそんなことより帝国無双だになっていたらしい辺りもう完全なまでに先天的な怪物なんだろう。環境が邪悪に対する強い憤怒を抱かせた部分はあるだろうけど -- 名無しさん (2017-02-11 12 59 47) ミリィにこれを問われた際のヴァルゼライドの苦々しさと諦めがない交ぜになってる返答はグッとくる。善悪は横に置いといてそりゃ眩しいわ閣下 -- 名無しさん (2017-02-21 01 48 55) 総統は破綻してる自覚はあるからな。だからミリィやルシードを前にしても道を変えることがないんだけども。 -- 名無しさん (2017-03-20 08 24 41) しあkし、明確な「誰か」を見つけ出しても良い結果になるとはいえないことも明らかとなった(眼鏡2号を見ながら) -- 名無しさん (2017-03-20 10 28 57) 「誰かしか」愛さないのはそりゃ病気みたいなものだからなぁ。元カノさんとパチモン以外のアマツは以外とその辺りしっかりしていたけれども -- 名無しさん (2017-03-20 11 02 57) やはり、総統とって誰かとはあくまでも「誰か」であったから良かったのかもしれないな -- 名無しさん (2017-05-20 08 07 37) でもさ、正直総統閣下の誰かが殺された幼馴染で彼女のような被害者が生まれない国にするためだったら。ルシード戦で覚醒して覚醒して能力封じ出来なくてそのまま聖戦に行きそう -- 名無しさん (2017-05-29 00 29 42) ルシード「誰かのために? 何かのために? それって“誰”だよ……」カグツチ「己だ!ヴァルゼライドは己との聖戦のために戦っているのだ!」ヴァルゼライド「そうか…そうだったのか…(真理覚醒」 -- 名無しさん (2017-05-29 00 41 30) ↑ホモォ... -- 名無しさん (2017-05-29 00 45 50) 神「私だ」神「お前だったのか…」 -- 名無しさん (2017-06-04 21 43 53) 水銀「名前だけ聞いている、顔も知らないどこかの誰か。そんな程度の認識しか君には無く、特にこれといった感慨も無い相手だろう」「そんな者らは居ないと同じ」…感慨が無いって以外は閣下に刺さりそう -- 名無しさん (2017-07-27 12 22 06) ある意味究極の身内主義な練炭とは真逆だからなぁ、閣下... -- 名無しさん (2017-07-27 12 24 34) 「聞きたいかね。それは(以下全アドラー臣民の個人情報を暗唱)」 -- 名無しさん (2017-10-03 12 31 07) オルフィレウスと違って科学力でナラカセンサーに引っかからないから神座にブチ込みやすい英雄 -- 名無しさん (2017-10-03 18 31 30) ↑センサーに引っかかった時にはもうすでに遅いな -- 名無しさん (2017-10-03 22 41 57) この「それって“誰”だよ」が一番直撃しそうなのセージなんじゃないかな。 -- 名無しさん (2017-11-28 10 54 44) ↑物部黄泉が邯鄲法を誤り死亡した事やくらなくんがそこから他者を轢殺しても生き残った事、セージはどっちも考慮や評価してなかったよね。 -- 名無しさん (2017-11-28 10 56 50) ↑7そういう顔も知らない相手に感慨抱けて突き進めてしまうのが英雄だから、刺さるどころか何言ってんだこいつみたいにかみ合わないに1ペリカ -- 名無しさん (2017-11-28 10 58 35) ホモニティの皆さんよりは顔も知らない民に感慨抱く方がええやろ。 -- 名無しさん (2017-11-28 12 08 41) 総統閣下「それは誰を想定した疑問なのだ?」 -- 名無しさん (2017-12-28 22 42 26) 個人的に悪は超絶身内主義、ってイメージもってるせいか、誰かの所はちょっと疑問符だったなあ。全体見るとわかるけれども。 -- 名無しさん (2017-12-28 23 55 28) ↑今思ったんだが、「それって“誰”だよ」が一番ぴったり嵌るのは阿片おじさんなんじゃないだろうか。 -- 名無しさん (2018-08-27 16 13 23) ↑ヴァルゼライド⇔ゼファー(喧騒と咆哮)錦龍⇔四四八(喧騒と咆哮)融合知性群体⇔直(・・・・・・) -- 名無しさん (2018-08-27 16 18 07) ↑顔も知らない誰か云々以前に融合しまくる群体ぇ・・・・・・ -- 名無しさん (2018-08-27 16 19 15) (∴)誰かもわからないを人を救っているとかただの自己満足だろ -- 名無しさん (2018-10-21 23 48 50) 一応これ聖戦についてある程度予想立ててたギルベルトは閣下の勝利期待してるよな。 -- 名無しさん (2018-11-04 00 24 40) ギルベルトの「閣下なら出来たぞ?」の部分に、「幼馴染の少女を強姦に惨めにも殺された」ってあったから、閣下の誰か基準って、その「幼馴染の少女」じゃないかね? とは思うけどね。ただ、何らかの要因でその基準が完全に閣下から抜けているのでは?と思うんだが··· -- 名無しさん (2020-05-01 11 44 36) ↑アル曰くヴァルゼライドは昔から何一つ変わってないらしいからたぶんその少女も無辜の民の1人にしか過ぎないよ -- 名無しさん (2020-05-01 11 58 59) ↑ アルバートが閣下に出会ったのはその少女が殺された後の可能性もある -- 名無しさん (2020-05-01 14 21 17) 閣下と幼馴染の女の子の出会いと死別までの物語は是非見てみたい -- 名無しさん (2020-05-01 14 23 18) ↑4ギルベルトにその話したのヴァルゼライド閣下だからその少女のこともしっかり覚えてるだろ。悪の排他性は上がったかもしれないけど誰かの為に死んでいくのはヴァルゼライド閣下生まれながらの破綻だと思う -- 名無しさん (2020-05-01 14 29 14) 仮にヴァルゼライド閣下に元々ブレーキがあったとしたらそれがぶっ壊れたのがその幼馴染みを惨殺された時かもしれん -- 名無しさん (2020-05-01 14 34 47) 閣下が生まれながら光の奴隷だったのは間違いないと思うけど悪の敵という方向性に振り切ったのは幼馴染の少女の死がきっかけだった可能性はあるよね -- 名無しさん (2020-05-01 14 37 26) 幼馴染の少女をレ○プして殺した悪漢相手に人生初まだだ決めた可能性もある -- 名無しさん (2020-05-01 14 41 46) というか幼馴染みが大切だったこととはじめからああだったことは矛盾しないし良いんじゃね?明らかにアルはヴァルゼライドにとって特別枠だけどそれはそれとして進み続けるのがヴァルゼライドだし -- 名無しさん (2020-05-01 14 43 46) ヴァルゼライド総統閣下とカグツチ以外の光は一応救いたい対象がはっきりしてるよね。ギルベルト→ヴァルゼライド、ナギサ→アッシュ、ジェイス→笑顔の少女、ヘリオス→全人類、ラグナ→ミサキ -- 名無しさん (2020-05-01 15 13 38) ヘリオス→全人類がありなら閣下→帝国民、カグツチ→日本国民もありだろ -- 名無しさん (2020-05-01 18 17 22) というか一番ヘリオスが救いたい対象はっきりしてないだろ 全人類とかアバウト過ぎるわ 次点で糞眼鏡(救いたいのは「報われない強者」という閣下以外に何処に居るのかも分からない存在) -- 名無しさん (2020-05-01 18 22 04) もし幼馴染の少女が生きていたら閣下もラグナやジェイスのように光でありながら特定の個人(というか異性)を愛する事が出来る殉教者になれたのかな -- 名無しさん (2020-05-01 20 26 00) ↑A そ ん な こ と よ り 帝 国 無 双 だ -- 名無しさん (2020-05-01 20 30 17) げっちゅやの質問コーナーでも言われてたけど幼なじみが生きていようが死んでいようがヴァルゼライドは変わらず鋼の英雄なんだよね… -- 名無しさん (2020-05-01 20 37 29) 帝国の擬人化帝国ちゃんならヴァルゼライド総統閣下も初めて個人を明確に守りたいと思うかもしれない -- 名無しさん (2020-05-01 20 39 09) というか、ヘリオスが救いたいのは、アッシュみたいな理不尽な目に遭っている弱者であって、その弱者を知るために、全人類に取り敢えず語り掛けようって感じじゃないの -- 名無しさん (2020-05-01 20 44 07) ↑いや、ヘリオスは全人類愛してるから例えば確立した能力や地位を得つつ、そのうえで目標や情熱の向ける先を見つけられない人生の迷子的存在にも話を聞きたがるし救いたがると思うぞ。まあそういう精神的弱者も太陽に直接語りかけられれば焼け死ぬだろうけど -- 名無しさん (2020-05-01 21 13 11) 閣下 ジェイスさん「『それって誰だよ』だと?勿論アドラー国民だが?」 -- 名無しさん (2020-05-11 14 20 50) 「それって誰だよ」に対して「帝国民を守りたい」と答えるまでは同じだけど、閣下の場合は特定個人の名前は一切出てこないけどジェイスは妻と子供に部下や同僚、そして花をくれたあの少女みたいな特定個人を挙げられるところが違いかな? -- 名無しさん (2020-05-11 14 24 30) 花をくれた少女はあくまでその子個人として認識してるんじゃなくて「無垢で善良なアドラー国民代表」だろうからジェイスも奥さんと子供以外は守るべきアドラー国民っていう大雑把な括りになってると思うよ -- 名無しさん (2020-05-11 14 37 30) ぶっちゃけ誰かの内容を具体的に言えてしまうと一国の指導者としてちょっとまずいものがあるよね実際 -- 名無しさん (2020-05-11 14 40 01) まあ全体奉仕に心から尽くしてくれる方が理想ではあるかもしれないけど普通は特定個人への愛を持っているものでは? -- 名無しさん (2020-05-11 14 50 29) まぁ閣下の場合帝国民で自分しか助けられなくて善良な無辜の民っていういるかもわからん存在を助けたいって言ってるからルシードの発言も当たってるところはあるよ -- 名無しさん (2020-05-11 15 02 38) ↑2 おっちゃんへの態度を見れば分かるが特定個人への「親愛」は持ってるんだ 異性への愛情を持ち合わせてないだけで -- 名無しさん (2020-05-11 15 11 43) まぁ確かに閣下が「お前のために頑張ってる」とか言い出したら解釈違いになってしまうかもしれんな…… -- 名無しさん (2020-05-11 16 02 14) ↑そのお前って誰だよ案件だもんねカグツチがアルバートかアオイぐらいしか候補がいない -- 名無しさん (2020-05-11 16 10 05) 上の方でゼファーさんやルシードは真摯に助けを求める声には応えないって書いてあるけど、流石にそこまで薄情じゃないだろ -- 名無しさん (2021-09-13 22 28 23) 色んな話聞いてこれどういう意味だったのかやっと分かった。総統はカグツチ以外に「共感出来ない」んだな -- 名無しさん (2022-02-08 04 58 33) これ本質的には「カグツチの為」になってるんだよな 総統は自覚してないが -- 名無しさん (2022-02-10 02 07 48) なってないぞ。ガグっちゃんとヴァルぜライドは敵意と敬意で両方スフィアを掲げる例外として扱われてるし報いたい相手は宿敵の神星じゃないし -- 名無しさん (2022-02-10 07 27 56) ↑いやなってる。総統はカグツチ以外と「共感して」「価値観を揃えられない」んだ。この直後の天奏爆誕はある意味「たった二人の共同体」の完成の構図なんだわ。 -- 名無しさん (2022-02-10 08 18 17) 総統とカグツチが天奏を作れた理由って「自分の祖国を繁栄させる」って想いを揃えられたからだけど「何で」繁栄させるのかの部分を合わせられるのがカグツチだけなんだ……。カグツチと総統は祖国に大切な人が居るからとか多数決で決まったからとかじゃなくて「自分がそう決めたから」なんだ】… -- 名無しさん (2022-02-10 08 28 33) ↑この「自分がそう決めたから」はみんなそうじゃね?って思うかもしれんが他の人は基本的に「祖国だから」じゃなくて「国に大切な人、家族等が居るから」 -- 名無しさん (2022-02-10 08 30 34) なんだ……。もしくは「金が欲しい」とか「地位が欲しい」とか。総統とカグツチだけ「自国を繁栄させる理由が無い」 お互い出会ってからは「そう決めたから繁栄させる」って価値観で二人は繋がってる -- 名無しさん (2022-02-10 08 33 30) 天奏のマニフェストは「祖国を繁栄させる」のが至上命題でその構成員の祖国が別なのは良いのかってなるけど大事なのは「祖国を(自分が決めたから)繁栄させる」って想いを共有してることなんだよね…… -- 名無しさん (2022-02-10 08 38 00) 他者と共感できない筈だった孤独な英雄と機械人形が「自分がそう決めたから/そう生まれたから自分の全てを捧げて祖国を繁栄させる」って同類に出会ってしまったんだなこれ -- 名無しさん (2022-02-10 08 41 41) 総統もカグツチもお互いに出会えるまで凄い苦しかったと思う 価値観が通じない人間の中に一人居るのって精神的に物凄く辛い -- 名無しさん (2022-02-10 08 52 00) 正確には天奏誕生直前までは自覚してないからどこかの誰かの為に戦ってるって言って良いんじゃないかな。天奏誕生以後は「二人で」決めたからになってるけど -- 名無しさん (2022-02-10 09 31 44) 考えてみると誰かの中身を言えないキャラって確かに総統とカグツチしか居ないかもしれない -- 名無しさん (2022-02-10 10 18 24) 「自分が所属する共同体のみんな」と違う価値観を持っててその上でみんなに共感できないって純粋に辛いよね…… -- 名無しさん (2022-02-10 11 19 04) 悲しいがおっちゃんやアオイちゃん達だと絶対に総統の孤独を埋められないんだよね 「価値観が合わない」 -- 名無しさん (2022-02-10 12 21 58) 聖戦やる理由はともかくカグツチ、総統ともども報いたいやつ誰?に対する回答は「頭の中で想像したいるかどうかはわからない帝国(アマテラス)の中の不幸で清廉で苦しんでる人間だ -- 名無しさん (2022-02-10 15 14 06) まぁ実際問題不幸な人間は必ずいるし神祖から先見性があると評価される様に総統閣下の考える民草の幸福の形は大体一致してるので好き勝手やってるだけだがアドラーの国民の大半からは歓迎される。カグツチも何だかんだとヤマトの国民の中にも歓迎する人達は一定数はいると思う。カグツチはともかく総統は必ず不幸にした人間の数よりも幸福にする人間の数の方が上回るから聖戦起こしても善神として扱われる。 -- 名無しさん (2022-02-12 15 15 23) ぶっちゃけ総統とカグツチは精神的には既にそれぞれの祖国の中に居ないんだよ たった二人の共同体になってる こいつら本質的には共同体の外から共同体の利益を与える存在、要するにそれぞれの祖国の「神」になってる -- 名無しさん (2022-02-12 18 35 52) 本質的には二人ともアドラー人でも日本人でもない「天奏人」とでも言うべき共同体の中に居るからねこの二人 -- 名無しさん (2022-02-12 18 38 21) ↑神様は人間とは別の価値観で生きてるから任せきりには出来ない的な意味でもね(聖戦ルート) -- 名無しさん (2022-02-12 18 43 01) ヒッドイ言い方するとこの「それって誰だよ」って「テメーみてーな人間に共感も出来ないみんなと違う価値観で生きるバケモノが人間みたいな口利いてんじゃねえ」って言ってんだよね -- 名無しさん (2022-02-12 18 58 41) 総統を単なる上から恵みをくれる神様と見てれば総統は最高の指導者だけど総統は共同体の中に馴染めないんだよね -- 名無しさん (2022-02-12 19 00 36) 総統はワルフラーンだった……!? -- 名無しさん (2022-02-12 19 02 25) ワルフラーンは総統やカグツチから更に上っ面の綺麗事だけ参照してる人外だから -- 名無しさん (2022-02-12 19 18 58) みんなと価値観共有する努力をしてるだけマシだから(震え声) なおその手段 -- 名無しさん (2022-02-12 20 18 26) これ1歩間違えば総統は国民の名前全部羅列し始めてたのでは・・・? -- 名無しさん (2022-06-05 18 25 21) 価値観共有できなくても、民を想う気持ちは本物なら、特に問題無いのでは…。 -- 名無しさん (2022-06-05 18 59 47) まぁ総統閣下の民を想う気持ち自体は無限だけどそのせいで誰からも求められなくても必ず光を齎す(聖戦続行)とかなってるし。何よりカグツチと共に行ってのけたオレらの英雄譚は俺らのモンだから発言は究極的には頭の中の民にしか仕えてない化け物でしかないし。実際ゼファーに殺されなきゃ邪竜じゃないが地球ぶっ壊してたし -- 名無しさん (2022-06-06 15 21 01) ある意味究極の自己愛に近いよね。自分のそうしたいっていう欲望に直進してる訳だから。だって聖戦とか真面目に考えたらアドラー滅ぶのにやっちゃうんだもん -- 名無しさん (2022-06-08 22 57 32) ↑3価値観を共有出来ない異物に社会を任せるって日本神話とか見てても分かるがマジで倫理的ルールが違う生き物に社会を任せるってことだからな? 祟られない様に祀って遠ざけるのが最適よ -- 名無しさん (2022-06-09 00 47 33) 総統の「愛国心」という価値観は生きていく上で構築されたって話だが周りに共感できないから周りが従ってる倫理観を丸呑みして生きるための指針にするしかなかったんだろうな…。ワルフラーンもそうだけど。 -- 名無しさん (2022-06-09 00 50 24) だからカグツチとの戦いは絶対に外せないんだよね カグツチは唯一総統が価値観を共有出来た「仲間」だから 祖国が違うだけで -- 名無しさん (2022-06-09 01 16 28) 黄金の獣「愚問なり、私は総てを愛している!」 -- 名無しさん (2022-08-05 11 21 28) ↑×2 なら、カグツチはマグサリオンか。ヘリオスやジェイスの例を見るに、基準としての「誰か」はいるわけで。⋯⋯なんか、幼馴染の少女はアフラ・マズダなのか?と思い始めたぞ -- 名無しさん (2022-10-02 02 01 53) 完全に的外れな批判なんだけどそれが分からないのが光と闇の断絶なのかなってポジティブに解釈してる -- 名無しさん (2022-10-03 12 30 23) ↑言い方悪いけど、所詮はルシードの主観。閣下の立場を考慮するなら、人前で泣く=部下の士気に関わる行為だからね。何より、本当の所は分からない。それに、これはあくまで個人的な感覚でしかないけど、閣下の言う「誰かのために」は強迫観念に近いものを感じる時があるよ -- 名無しさん (2022-10-06 18 41 20) ↑3 いやカグツチもある意味ワルフラーンというかワルフラーンには居なかった「その社会での価値観に馴染めない人外の化物なまま共感し合えてしまえる仲間」だな -- 名無しさん (2022-10-10 15 42 48) ワルフラーンは最後にはみんなの輪の中に入れたが総統は天空にカグツチと二人だけの輪を作って二人だけの共同体になってしまったからなぁ…… -- 名無しさん (2022-10-10 18 27 05) 総統閣下が周りに共感できんのはあくまで負の感情(嫉妬、怠惰etc)だけじゃなかったっけ -- 名無しさん (2022-10-10 19 27 29) 個人の延長として為政者だったり愛国心だったりに普通は繋がるが総統は違うからね。上で立場がどうこうって話あるけど普通は飽くまで為政者としてのあるべき姿は仮面というか個人として幸せになるためだったり家族だったりを守るために都合良いからやってるだけなんだが総統の愛国心には総統個人の悪く言えば私欲が延長線上にない。これ「光」って言われてる中でも異端でこの境地は「初めからそう産まれた」カグツチとヘリオスくらいしか居ない -- 名無しさん (2022-10-10 20 14 17) ↑現実でも兵隊が国家の為に戦う時は横に居る戦友の為だったり銃後の家族の為に戦うって良く言うね -- 名無しさん (2022-10-10 20 17 04) 光だの闇だのって言うけど本質的にはシルヴァリオシリーズって隣人愛の話だよね 隣人愛を守るための社会正義に傾注し過ぎた怪物達を隣人愛でぶん殴る話 -- 名無しさん (2022-10-10 20 19 32) 愛国心や社会正義は自分の日常や隣人を守る為に言い方悪いが「都合が良い」から従うもんだからねぇ…… -- 名無しさん (2022-10-10 20 22 38) え?そうしなければいてもたってもいられなくから行うんじゃなくって? -- 名無しさん (2022-10-11 20 04 12) ↑ そう教えられてきて生きてきたから大抵はいてもたっても要られなくなるのよ その共同体の正義とされてる規範に人間は沿うように動いてる -- 名無しさん (2022-10-11 21 54 02) そういう教えられる正義に従うメリットが無ければ普通は人はその正義に従わないもんね -- 名無しさん (2022-10-11 22 02 28) 孟子と荀子みたいな話か -- 名無しさん (2022-10-13 07 11 16) なるほどなぁ。上のコメント見てて、そういう意味だとチトセ√のヴァルゼライドが1番ワルフラーンに近いのかもな。だって、人として皆と同じ輪に入れたんだもんな、最後の最期で。確かに、そう考えると雄々しいけど悲しい存在だわな、英雄閣下って⋯ -- 名無しさん (2022-10-14 17 31 38) ワルフラーンもだけれどこの台詞ってお隣のマリーやラインハルト、後は盧生も刺さるよな。そして軒並み認めた上では大真面目かつ真摯に己を謳い上げるんだろうが -- 名無しさん (2022-10-14 20 44 19) いやそれが刺さらんのよ アイツらは何だかんだ博愛を超えた「特別な仲間」が居るんで -- 名無しさん (2022-10-15 06 18 02) マリィ、四四八には刺さらないね 博愛主義者に見えるが何だかんだ順番として自分の周りの仲間をまず優先させるからアイツら -- 名無しさん (2022-10-15 06 21 15) 448に関してはこの台詞を投げ掛けられると状況次第では正妻戦争が勃発する可能性はある -- 名無しさん (2022-10-15 07 50 54) 第二次世界大戦食い止めた大英雄だぞ?ハーレム作っても許されるだろ。どこかで誰かは腹を切るかもしれんが -- 名無しさん (2022-10-15 10 35 43) 大正なら妾を囲っても別に問題は無いか…彼には是非とも南天と幸せになっていただきたい。でもそうか、それだとアッシュも一々名前を挙げて熱い思いと想いを叫ばなきゃいけなくなるか -- 名無しさん (2022-10-15 16 30 13) ↑3 し、史実の甘粕は32歳時点で婚約者おるし、結婚もしとるから(震え声) -- 名無しさん (2022-10-17 04 17 51) じゃあ聞くがラインハルトも妻帯しちゃあいるが向ける破壊愛に他との差はあるか?そしてそんな英雄譚へのカンフル剤をぶち込まれたならば聖戦やグラズヘイムやぱらいぞはどうなる? -- 名無しさん (2022-10-19 10 37 50) ↑2年前のコメに失礼するけど、ないね。だからこそ、怜愛√のイザークが成立するのだし。セージに対する甘粕もそう。ただヘリオスやジェイスの例を考えると、閣下にも幼馴染の少女が生きていたら⋯⋯って可能性が0ではないだけで -- 名無しさん (2024-03-04 22 27 49) 名前 コメント
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○{ラス・メニーナス、ブレダの開城、鏡のヴィーナス}、×{キオス島の虐殺、内乱の予感、ゲルニカ、我が子を食らうサトゥルヌス、夜警} アステカ神話の神 ○{テスカトリポカ、ミキストリ、ケツァルコアトル}、×{ベルダンディー、パールヴァティー、ヘイムダル、アスクレピオス、グラシャラボラス} アメリカの作家ジョン・アーヴィングの作品 ○{未亡人の一年、ガープの世界、ホテル・ニューハンプシャー}、×{土曜の夜と日曜の朝、本当の戦争の話をしよう、華麗なるギャツビー、ロリータ、アロウスミスの生涯} ドイツの小説家ギュンター・グラスの「ダンツィヒ三部作」 ○{猫と鼠、犬の年、ブリキの太鼓}、×{蝸牛の日記から、はてしなき荒野、黒猫、女ねずみ、蟹の横歩き} かつてモロッコに存在した王朝 ○{ムラービト朝、ムワッヒド朝、イドリース朝}、×{セルジューク朝、アケメネス朝、パフレヴィー朝、ヴァロワ朝、サファヴィー朝} 奈良時代から平安時代にかけて成立した「六国史」と呼ばれる歴史書 ○{日本書紀、続日本紀、日本後紀、続日本後紀、日本文徳天皇実録、日本三代実録}、×{続日本三代実録、日本霊異記、懐風藻、文華秀麗集、古事記} オーストリアの画家 ○{エゴン・シーレ、グスタフ・クリムト、オスカー・ココシュカ}、×{エドワード・ホッパー、ロイ・リキテンスタイン、マックス・エルンスト、アメデオ・モディリアニ、ルネ・マグリット} 古代ギリシャの悲劇作家・アイスキュロスの「オレステイア」三部作にあたるもの ○{アガメムノーン、供養する女たち、慈しみの女神たち}、×{メデイア、エレクトラ、アンドロマケ、オイディプス王、アンティゴネー} 1桁の数字を表すイタリア語 ○{due、uno、tre、quattro、cinque、sei、sette、otto、nove}、×{deux、acht、zwei、vier、quatre} フランス出身の彫刻家 ○{オーギュスト・ロダン、カミーユ・クローデル、アントワーヌ・ブールデル}、×{ブランクーシ、アルベルト・ジャコメッティ、ヘンリー・ムーア、オシップ・ザッキン、フンデルトワッサー} 江戸時代に「国学の四大人」と呼ばれた人物 ○{荷田春満、賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤}、×{佐藤信淵、塙保己一、北村季吟、村田春海} 江戸時代に「江戸の華」といわれたもの ○{喧嘩、火事}、×{花火、博打、芝居、相撲} ギリシャ神話に登場するゴルゴン三姉妹 ○{ステノ、エウリュアレ、メドゥーサ}、×{ティシポネ、ベルダンディー、アレクト、ラキシス、アトロポス} 1846年に勃発した米墨戦争で戦った国 ○{メキシコ、アメリカ}、×{フランス、ブラジル、オランダ、スペイン} 百人一首で1字決まりの歌を詠んでいる歌人 ○{藤原敏行朝臣、文屋康秀、紫式部、崇徳院、良選法師、後徳大寺左大臣、寂蓮法師}、×{和泉式部、紀友則、紀貫之、壬生忠見、僧正遍昭} かつてフランスに存在した王朝 ○{ブルボン朝、カペー朝、ヴァロワ朝}、×{テューダー朝、プトレマイオス朝、ノルマン朝、ハノーバー朝、プランタジネット朝} 一つの事が二つの成果を生むという意味 ○{一挙両得、一石二鳥}、×{一期一会、一意専心、一字千金、一蓮托生} 実際に存在した天皇 ○{後土御門天皇、中御門天皇、土御門天皇}、×{前御門天皇、後御門天皇、下御門天皇、山御門天皇、上御門天皇} ポーランドにある美術館 ○{ワルシャワ国立美術館、チャルトリスキ美術館}、×{クレラー・ミュラー美術館、シュテーデル美術館、ボルゲーゼ美術館、マウリッツハイス美術館} 人間の臓器を意味する英単語 ○{liver、heart、stomach}、×{waist、navel、marrow、joint、shoulder} 1954年のディエンビエンフーの戦いで戦った国 ○{ベトナム、フランス}、×{インド、スペイン、ドイツ、ロシア} 歴代天皇 ○{一条天皇、二条天皇、三条天皇、四条天皇、六条天皇}、×{五条天皇、七条天皇、八条天皇、九条天皇、十条天皇} 「すもう」と読む漢字 ○{角力、相撲}、×{角丸、角宿、相模、相人} 織田四天王と呼ばれた織田信長の家臣 ○{丹羽長秀、滝川一益、明智光秀、柴田勝家}、×{前田利家、佐々成政、九鬼嘉隆、羽柴秀吉} かつてエジプトに存在した王朝 ○{プトレマイオス朝、マムルーク朝、アイユーブ朝}、×{サーマーン朝、アユタヤ王朝、グプタ朝、パガン王朝、ムラービト朝} 北欧神話に登場する武器 ○{グングニル、ミョルニル、ミスティルティン}、×{エクスカリバー、スレイブニル、ヘイムダル、ビフロスト、ユグドラシル} 三島由紀夫の遺作となった小説「豊饒の海」四部作 ○{天人五衰、暁の寺、奔馬、春の雪}、×{夜会服、憂国、禁色、美しい星} フランスの哲学者アンリ=ルイ・ベルクソンの著者 ○{時間と自由、創造的進化、物質と記憶}、×{存在と時間、一般言語学講義、悲しき熱帯、存在と無、大衆の反逆} 「幕末の三剣士」と呼ばれた剣豪 ○{男谷信友、島田虎之助、大石進}、×{河上彦斎、桐野利秋、岡田以蔵、山岡鉄舟、斎藤一、渡辺篤} 薩摩藩出身の幕末の志士 ○{西郷隆盛、黒田清隆、大久保利通}、×{福沢諭吉、ジョン万次郎、高杉晋作、大村益次郎、沖田総司} 戦いなどに際して気持ちを奮い立たせる意味で用いる熟語 ○{叱咤、督戦}、×{断腸、酣戦、雀躍、研鑽} 現在のメキシコで栄えた文明 ○{マヤ文明、アステカ帝国、サポテカ文明、テオティワカン文明、オルメカ文明、トルテカ文明}、×{ナスカ文明、ミノア文明、インダス文明、ミケーネ文明、インカ文明、メソポタミア文明、チャビン文明、キクラデス文明} 南米出身の作家 ○{バルガス・リョサ、マヌエル・ブイグ、ガブリエラ・ミストラル}、×{ウォーレ・ショインカ、オクタビオ・パス、ミゲル・アストゥリアス、ナギブ・マフフーズ、ナディン・ゴーディマ} 文房四宝と呼ばれるもの ○{墨、硯、筆、紙}、×{写、鍾、心、本} 第2回三頭政治を行った古代ローマの政治家 ○{アントニウス、レピドゥス、オクタビアヌス}、×{スパルタクス、リキニウス、セクスティス、カエサル、ホルテンシウス} お金がないという意味で用いる言葉 ○{おけら、素寒貧、手元不如意}、×{朴念仁、刀圭家、不肖の身、不定の雲、守銭奴} これまでにロシアで起きた歴史上の出来事 ○{デカブリストの乱、プガチョフの乱、二月革命、血の日曜日事件、戦艦ポチョムキン号の反乱、ステンカ・ラージンの乱}、×{戦艦バウンティ号の反乱、セポイの乱、コシャマインの乱、ジャックリーの乱、ワット・タイラーの乱、フロンドの乱、サラエボ事件} 三島由紀夫の小説 ○{金閣寺、潮騒、宴のあと、憂国}、×{戯作三昧、文づかひ、倫敦塔、高瀬舟、地獄変、斜陽} 明治の文豪森鴎外のドイツ三部作 ○{文づかひ、舞姫、うたかたの記}、×{山椒太夫、高瀬舟、阿部一族、雁、ヰタ・セクスアリス} 森鴎外の小説 ○{文づかひ、山椒太夫、舞姫}、×{行人、潮騒、人間失格、杜子春、奉教人の死} アメリカの劇作家テネシー・ウィリアムズの戯曲 ○{熱いトタン屋根の猫、ガラスの動物、欲望という名の電車}、×{ピクニック、セールスマンの死、埋められた子供、君が人生の時、楡の木陰の欲望} 和歌の枕詞「あかねさす」がかかる語 ○{紫、日、昼、君}、×{夜、富士、衣、雷} シェークスピアの戯曲 ○{真夏の夜の夢、ハムレット、マクベス、ロミオとジュリエット}、×{ユリシーズ、ゴドーを待ちながら、ピグマリオン、三文オペラ、デカメロン、ワーニャ伯父さん} 劇作家シェークスピアの「四大悲劇」と呼ばれる戯曲 ○{オセロ、ハムレット、リア王、マクベス}、×{真夏の夜の夢、ロミオとジュリエット、ベニスの商人、テンペスト、じゃじゃ馬ならし} シェークスピアの戯曲「真夏の夜の夢」に登場する妖精 ○{パック、オベロン、ティタニア}、×{オフィーリア、ゴネリル、イアーゴ、デズデモーナ、キャシオ} シェークスピアの戯曲「ハムレット」の登場人物 ○{オフィーリア、ガートルード、ポローニアス}、×{オベロン、イアーゴ、マクダフ、パック、シャイロック、ポーシャ} フランスの劇作家ボーマルシェが書いた「フィガロ三部作」 ○{フィガロの結婚、罪ある母、セビリアの理髪師}、×{後宮からの誘拐、ウィリアム・テル、魔笛、だまされた花嫁、ドン・ジョバンニ} スウィフトの小説「ガリバー旅行記」でガリバーが訪れた国 ○{ラピュタ、リリパット、ブロブディンナグ}、×{オラーシャ、ベルベチア、アノポペイ、ユートピア、ビッグブラザー} 「幕末の三筆」と呼ばれた書家 ○{市河米庵、貫名菘翁、巻菱湖}、×{近衛信尹、中林梧竹、巌谷一六、日下部鳴鶴、本阿弥光悦} 紀行文「奥の細道」の旅に出た江戸時代の俳人 ○{松尾芭蕉、河合曾良}、×{宝井其角、各務支考、杉山杉風、向井去来} 江戸時代の俳人・松尾芭蕉の作品 ○{旅に病で夢は枯野をかけ廻る、閑さや岩にしみ入蝉の声、古池や蛙飛びこむ水の音、秋深き隣は何をする人ぞ、夏草や兵どもが夢の跡、荒海や佐渡によこたふ天河、物いへば唇寒し秋の風}、×{花の雲鐘は上野か浅草か、咳をしても一人、我と来て遊べや親のない雀、春の海終日のたりのたりかな、五月雨や大河を前に家二軒、菜の花や月は東に日は西に、柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺、やせ蛙まけるな一茶是に有り} 正岡子規の俳句 ○{柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺、松山や秋より高き天主閣、春や昔十五万石の城下哉}、×{花の雲鐘は上野か浅草か、菜の花や月は東に日は西に、我と来て遊べや親のない雀、梅一輪一輪ほどのあたたかさ、古池や蛙飛びこむ水の音、夏草や兵どもが夢の跡} 小林一茶の俳句 ○{我と来て遊べや親のない雀、やせ蛙まけるな一茶是に有り、これがまあ終の栖か雪五尺}、×{菜の花や月は東に日は西に、梅一輪一輪ほどのあたたかさ、柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺、春の海終日のたりのたりかな、花の雲鐘は上野か浅草か、秋深き隣は何をする人ぞ} 与謝蕪村の俳句 ○{春の海終日のたりのたりかな、菜の花や月は東に日は西に、五月雨や大河を前に家二軒}、×{我と来て遊べや親のない雀、梅一輪一輪ほどのあたたかさ、花の雲鐘は上野か浅草か、夏草や兵どもが夢の跡、柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺、荒海や佐渡によこたふ天河、古池や蛙飛びこむ水の音} 1600年の関ヶ原の戦いで東軍についた武将 ○{徳川家康、池田輝政、藤堂高虎}、×{真田昌幸、毛利輝元、石田三成、宇喜多秀家、長宗我部盛親} 昭和初期に「四S」と称された俳人 ○{山口誓子、水原秋桜子、阿波野青畝、高野素十}、×{荻原井泉水、西東三鬼、山口青邨、種田山頭火} 1898年に勃発した米西戦争で戦った国 ○{アメリカ、スペイン}、×{オランダ、ブラジル、イギリス、フランス、メキシコ} 1221年の承久の乱に参加した人物 ○{後鳥羽上皇、北条泰時}、×{源頼朝、平維盛、後醍醐天皇、北条時宗} 「月とすっぽん」と同じ意味のことわざ ○{駿河の富士と一里塚、提灯に釣鐘、雪と墨}、×{雪隠で饅頭、蝙蝠も鳥のうち、猫も杓子も、亀の甲より年の功、鬼も十八番茶も出花} 奈良時代の出来事 ○{長屋王の変、「日本書紀」が完成する、唐から鑑真が来日、道鏡が法王になる}、×{空海が金剛峯寺を建てる、保元の乱、遣唐使が廃止される、「古今和歌集」が完成する、国風文化が起こる} 平安時代の保元の乱で対立した人物 ○{後白河天皇、崇徳上皇}、×{文徳天皇、清和天皇、宇多天皇、後醍醐天皇} 1721年にニスタット条約を結んだ国 ○{ロシア、スウェーデン}、×{イタリア、スペイン、イギリス、フランス} 「時間が経つのがはやい」という意味のことわざ ○{月日に関守なし、光陰矢の如し、歳月人を待たず}、×{一将功成りて万骨枯る、挨拶は時の氏神、水清ければ月宿る、金の光は阿弥陀ほど、時は得難く失い易し} 和歌の枕詞「しろたへの」がかかる語 ○{雲、雪、衣}、×{君、春、世、天、命} 重箱読みをする熟語 ○{台所、反物、番組}、×{夕刊、野宿、朝晩、株券、血肉} 紀行文「おくのほそ道」の旅に出た江戸時代の俳人 ○{河合曾良、松尾芭蕉}、×{越智越人、服部嵐雪、各務支考、森川許六、宝井其角} 1914年のタンネンベルクの戦いで戦った国 ○{ドイツ、ロシア}、×{イタリア、オランダ、イギリス、フランス} 「ようかい」と読む漢字 ○{容喙、洋灰、溶解}、×{容貌、幼妹、杳靄、熔滓、要諦} 中国で発見された化石人類 ○{上洞人、北京原人}、×{港川人、牛川人、明石原人、三ヶ日人} 国際連盟発足時に常任理事国を務めた国 ○{イタリア、フランス、イギリス、日本}、×{中国、ドイツ、アメリカ、ソ連} イタリアの画家レオナルド・ダ・ビンチの作品 ○{ブノワの聖母、モナリザ、最後の晩餐}、×{ゲルニカ、ブレダの開城、医者ガシェの肖像、裸のマハ、アルルの跳ね橋} ルネサンス期に活躍したイタリアの芸術家 ○{フィリッポ・リッピ、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ}、×{エル・グレコ、パブロ・ピカソ、モーリス・ユトリロ、ヒエロニムス・ボス、サルバドール・ダリ} 「小倉百人一首」に和歌が収められている人物 ○{素性法師、天智天皇、持統天皇、慈円、和泉式部}、×{与謝野晶子、鴨長明、阿仏尼、山上憶良、推古天皇} 1337年に勃発した百年戦争で戦った国 ○{イギリス、フランス}、×{ロシア、イタリア、アメリカ、モンゴル帝国} 1982年のキューバ危機で一触即発の状態になった国 ○{アメリカ、ソ連}、×{中国、フランス、ドイツ、イギリス} 平安時代成立の歴史書「日本三代実録」に描かれている時代の天皇 ○{清和天皇、陽成天皇、光孝天皇}、×{嵯峨天皇、文徳天皇、醍醐天皇、桓武天皇、平城天皇} 豊臣秀吉がおこなった朝鮮出兵の戦い ○{文禄の役、慶長の役}、×{文永の役、文保の役、弘安の役、永仁の役} 鎌倉時代に元が日本に侵攻した事件 ○{文永の役、弘安の役}、×{文禄の役、慶長の役、正中の役、文保の役} 萩原朔太郎の詩集 ○{月に吠える、青猫}、×{山羊の歌、道程、一握の砂、智恵子抄} 石川啄木の歌集 ○{悲しき玩具、一握の砂}、×{若菜集、春と修羅、月に吠える、青猫、道程、智恵子抄、在りし日の歌} 長州藩出身の幕末の志士 ○{吉田松陰、伊藤博文、井上馨、高杉晋作、木戸孝允}、×{松平春嶽、坂本龍馬、山内容堂、大隈重信、勝海舟、大久保利通、近藤勇} 「いそがしい」という意味の言葉 ○{きりきり舞いする、寧日がない}、×{退っ引きならない、左前になる、埒が明かない、抜き差しならない} 1848年に「共産党宣言」を発表した人物 ○{エンゲルス、マルクス}、×{マルサス、グレシャム、ウェーバー、マキャベリ} 隠れた本性が出てしまうという意味の慣用句 ○{地金が出る、馬脚を露す、尻尾を出す}、×{甲羅を経る、初日が出る、威儀を正す、歯節へ出す、肺肝を出す} 「降参する」という意味の言葉 ○{兜を脱ぐ、軍門に降る}、×{水杯を交わす、ふんどしを締め直す、兜の緒を締める、度を失う} 「あわてふためく」という意味がある熟語 ○{周章、狼狽、動転}、×{逆上、引導、断腸、傾国、掣肘} 鎌倉幕府の歴代執権 ○{北条時頼、北条時政、北条経時}、×{北条宗政、北条時兼、北条時氏、北条顕時、北条為時} 「戦争三部作」と呼ばれる山崎豊子の小説 ○{二つの祖国、大地の子、不毛地帯}、×{沈まぬ太陽、華麗なる一族、花のれん、運命の人、白い巨塔} ベトナム戦争で戦った国 ○{アメリカ、ベトナム}、×{日本、スペイン、ドイツ、イタリア、アルゼンチン} フランスの哲学者 ○{ミシェル・フーコー、ジャック・ラカン、ジル・ドゥルーズ}、×{カール・ヤスパース、フリードリヒ・ニーチェ、ジェレミ・ベンサム、セーレン・キェルケゴール、チャールズ・パース} ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの著書 ○{ツァラトゥストラはこう語った、善悪の彼岸、悲劇の誕生}、×{シシュポスの神話、第二の性、悪の起源について、あれか、これか、現代の精神的状況} 高村光太郎の詩集 ○{智恵子抄、道程}、×{月に吠える、山羊の歌、青猫、春と修羅、悲しき玩具、若菜集} 「ばね」と読む漢字 ○{弾機、発条}、×{棘条、弾帯、柳条、護謨} 「勇気」という意味がある英単語 ○{courage、bravery}、×{confidence、honesty、popularity、sincerity} 「しゅうきょく」と読む漢字 ○{褶曲、皺曲}、×{彎曲、箏曲、婉曲、夷曲} 江戸時代に「江戸四宿」と呼ばれた宿場 ○{千住宿、板橋宿、内藤新宿、品川宿}、×{草加宿、大宮宿、高井戸宿、神奈川宿} 女性が書いた文学作品 ○{十六夜日記、源氏物語、枕草子、蜻蛉日記、みだれ髪}、×{太閤記、徒然草、方丈記、風姿花伝、走れメロス、愚管抄、暗夜行路、土佐日記} 女性である歴史上の人物 ○{江青、楊貴妃、西太后、則天武后、ジャンヌ・ダルク、推古天皇}、×{始皇帝、項羽、孔子、孫文、毛沢東、諸葛亮、ツタンカーメン、ナポレオン、光武帝、孔子、小野妹子} 女性の芸術家 ○{マリー・ローランサン、アリス・プラン、フリーダ・カーロ}、×{ジョアン・ミロ、アンドリュー・ワイエス、マン・レイ、ジュール・パスキン、オシップ・ザッキン} 儒教における四書五経の「四書」 ○{論語、中庸、孟子、大学}、×{荀子、書経、孔子、春秋、礼記} 儒教における四書五経の「五経」 ○{詩経、書経、礼経、易経、春秋、礼記}、×{論語、孟子、大学、中庸、儒経、道経} 豊臣秀吉政権下において「五大老」と呼ばれた大名 ○{毛利輝元、前田利家、宇喜多秀家、徳川家康、上杉景勝、小早川隆景}、×{増田長盛、長束正家、片桐且元、石田三成、浅野長政} 平安時代に「三蹟」と呼ばれた書家 ○{小野道風、藤原佐理、藤原行成}、×{藤原定家、嵯峨天皇、橘逸勢、在原業平、藤原敏行} アメリカ先住民の言語 ○{チェロキー語、ナバホ語、ズニ語}、×{ヴォラピューク語、ディベヒ語、ワロン語、グジャラート語、ゲール語} 1941年12月の日本による真珠湾攻撃で沈没したアメリカの戦艦 ○{オクラホマ、アリゾナ}、×{アラバマ、ネバダ、ミズーリ、サウスダコタ} 日本語の指示語 ○{ああ、こちら、あんな、どう、どいつ}、×{あら、もう、かつら、こりゃ、よう、あきな} 19世紀末にイギリスが取った「3C政策」の「3C」が指す都市 ○{カルカッタ、カイロ、ケープタウン}、×{カンヌ、ケンブリッジ、キャンベラ、ケルン、ストラスブール、シカゴ、カルタゴ、ケープタウン} 19世紀末にドイツが取った「3B政策」の「3B」が指す都市 ○{ベルリン、バグダッド、ビザンチウム}、×{ブエノスアイレス、ボンベイ、ビクトリア、ボストン、ブラチスラバ} 太宰治の小説 ○{人間失格、走れメロス、道化の華、二十世紀旗手、ヴィヨンの妻}、×{杜子春、虞美人草、潮騒、宴のあと、山椒太夫、地獄変、仮面の告白} 七福神に数えられる神様 ○{恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、布袋}、×{増長天、持国天、弁天小僧、怒髪天、弁慶、牛若丸} 第二次世界大戦時に日本に対して「ABCD包囲陣」を敷いた国 ○{アメリカ、イギリス、中国、オランダ}、×{イタリア、フランス、ドイツ、ロシア} 仏教用語に由来する四字熟語 ○{四苦八苦、言語道断、以心伝心、他力本願}、×{晴耕雨読、四面楚歌、朝三暮四、不倶戴天、一期一会、七転八起} インドの二大叙事詩と呼ばれている文学作品 ○{ラーマーヤナ、マハーバーラタ}、×{パンチャタントラ、カーマスートラ、シャクンタラー、メーガドゥータ} ムガル帝国の皇帝 ○{アウラングゼーブ、シャー・ジャハーン1世、バーブル、フマーユーン}、×{ハトシェプスト、アメンホテプ4世、ダレイオス1世、ラムセス2世、カリギュラ} 形容詞に分類されることば ○{美しい、強い、はかない、重い}、×{しかも、堂々と、あらいざらい、特に、たくさん、まさか} インド神話の三大神 ○{シヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマー}、×{ガネーシャ、アフラマズダ、インドラ、アーリマン、ガルーダ、クリシュナ、カーリー} ロシアの作家が書いた文学作品 ○{スペードの女王、罪と罰、収容所群島、死せる魂、ワーニャ伯父さん、アンナ・カレーニナ}、×{ガルガンチュワ物語、ロミオとジュリエット、レ・ミゼラブル、トム・ソーヤーの冒険、ガリバー旅行記、風と共に去りぬ、武器よさらば、アンクル・トムの小屋} ロシアの作家ドストエフスキーの小説 ○{カラマーゾフの兄弟、白痴、罪と罰}、×{検察官、死せる魂、復活、戦争と平和、桜の園} ロシアの作家ゴーゴリの作品 ○{検察官、狂人日記、死せる魂}、×{ドクトル・ジバゴ、アンナ・カレーニナ、カラマーゾフの兄弟、復活、戦争と平和} ロシアの作家チェーホフの作品 ○{三人姉妹、桜の園、ワーニャ伯父さん}、×{父と子、戦争と平和、検察官、どん底、罪と罰} ロシアの作家チェーホフの戯曲「三人姉妹」に登場する三人姉妹 ○{オリガ、マーシャ、イリーナ}、×{ナターシャ、コーデリア、ラーラ、アンナ、ゴネリル} 旧約聖書「創世記」に登場する天からの硫黄と火によって滅ぼされたとされる都市 ○{ソドム、ゴモラ}、×{ゴルゴタ、ラピュタ、カナン、エデン、メギド} 昭和時代の出来事 ○{二・二六事件、帝人事件、盧溝橋事件}、×{大逆事件、普通選挙法の成立、虎の門事件、下関条約、日英同盟の成立} 1895年に下関条約を結んだ国 ○{日本、清}、×{フランス、オランダ、明、スペイン} オランダ出身の画家 ○{デ・クーニング、ゴッホ、レンブラント、フェルメール}、×{デ・キリコ、マティス、セザンヌ、ゴーギャン、ロートレック、ピカソ、ムンク、ダリ} ら抜き言葉 ○{食べれる、起きれる、生きれる、来れる、見れる、決めれる、寝れる、逃げれる}、×{取れる、しゃべれる、読める、忘れる、滑れる、回れる、蹴れる} 「三すくみ」という言葉の元となった故事に登場する生物 ○{カエル、ナメクジ、ヘビ}、×{メダカ、セミ、シギ、ナマズ、トンボ} 俳句における「切れ字」 ○{かな、じ、けり、ぞ、ぬ}、×{なくに、んとす、まで、つつ、ぬる、かも、とは、すれ} 江戸幕府における「三奉行」 ○{寺社奉行、勘定奉行、町奉行}、×{伏見奉行、大名奉行、山田奉行、道中奉行、遠国奉行} 江戸時代の徳川御三家 ○{尾張家、水戸家、紀伊家}、×{近衛家、九条家、清水家、田安家、一橋家、鷹司家} 江戸時代の元号 ○{天保、天和、天明}、×{天平、天暦、天正、天文、天慶} フランスの画家ジャン・フランソワ・ミレーの作品 ○{落穂拾い、晩鐘、種まく人}、×{最後の晩餐、草上の昼食、モナリザ、ゲルニカ、アルルの跳ね橋、ブレダの開城、裸のマハ} フランスの画家ミレーの絵画「種まく人」を所蔵している美術館 ○{ボストン美術館、山梨県立美術館}、×{ニューヨーク近代美術館、大原美術館、メトロポリタン美術館、オランジュリー美術館} 日本の歴史上実在した幕府 ○{鎌倉幕府、江戸幕府、室町幕府}、×{広島幕府、長崎幕府、薩長幕府、平安幕府、大阪幕府} 鎌倉幕府の役職・機関 ○{執権、侍所、連署、問注所}、×{関東管領、老中、大老、若年寄、奥州探題、京都所司代} 鎌倉幕府の将軍 ○{源頼朝、源実朝、源頼家}、×{源義仲、源為朝、源順、源義経、源範頼} 1805年のトラファルガーの海戦で戦った国 ○{フランス、イギリス、スペイン}、×{オランダ、アメリカ、ドイツ、イタリア、ロシア} 第二次世界大戦中の1945年に行われたヤルタ会談に出席した首脳 ○{F・ルーズベルト、チャーチル、スターリン}、×{トルーマン、アトリー、蒋介石、毛沢東、レーニン} 世界四大文明 ○{メソポタミア文明、インダス文明、黄河文明、エジプト文明}、×{アンデス文明、エーゲ文明、マヤ文明、インカ文明} 中国の歴史書・三国志の「三国」に含まれる国 ○{蜀、呉、魏}、×{夏、金、新、明、清、宋、唐} 「中国四大奇書」と呼ばれる文学作品 ○{水滸伝、三国志演義、金瓶梅、西遊記}、×{紅楼夢、荘子、阿Q正伝、論語、大学} アメリカの南北戦争で南北各軍の総司令官を務めた人物 ○{リー将軍、グラント将軍}、×{カーツ大佐、レビル将軍、カダフィー大佐、ルチ将軍、コーウェン将軍} 古代ギリシャの哲学者エンペドクレスが四大元素としたもの ○{水、土、火、空気}、×{光、音、風、原子} ルネサンスの三大発明 ○{羅針盤、活版印刷術、火薬}、×{蒸気機関、望遠鏡、電話、電球、無線通信} 魚の名前に由来する言葉 ○{とどのつまり、いなせ}、×{けんもほろろ、べらぼう、ちんけ、ぴんきり} 英文法の「5W1H」に含まれる疑問詞 ○{who、what、when、where、why、how}、×{howmany、whom、however、whatever、whose} 「とうかん」と読む漢字 ○{投函、灯竿}、×{当為、盗撮、冬瓜、島嶼} 「大事なことは意外と近くにある」という意味のことわざ ○{灯台下暗し、秘事は睫}、×{雪隠で饅頭、闇夜の鉄砲、弁慶に薙刀、瓢箪から駒が出る} 平安時代に成立した文学作品 ○{とりかへばや物語、源氏物語、更級日記}、×{懐風藻、古事記、日本書紀、太平記、万葉集} 平安時代に「奥州藤原氏」と呼ばれた藤原氏の人物 ○{藤原清衡、藤原秀衡、藤原基衡、藤原泰衡}、×{藤原道長、藤原鎌足、藤原定家、藤原不比等} 「新古今和歌集」収録の「三夕の歌」の作者 ○{藤原定家、寂蓮法師、西行法師}、×{紀貫之、藤原俊成、壬生忠岑、在原業平、大伴家持} 「古今和歌集」の仮名序で「歌聖」とされている歌人 ○{山部赤人、柿本人麻呂}、×{在原業平、大伴家持、山上憶良、阿倍仲麻呂} 「古今和歌集」の撰者 ○{壬生忠岑、凡河内躬恒、紀友則、紀貫之}、×{大伴黒主、壬生忠見、藤原俊成、在原業平} 「大地の家三部作」と呼ばれるパール・バックの小説 ○{大地、息子たち、分裂せる家}、×{日陰の花、この心の誇り、母、支那の空、若き革命家} 共著によって「アンチ・オイディプス」などを世に送り出した思想家 ○{ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ}、×{ジャン=ポール・サルトル、ジャック・ラカン、ジュリア・クリステヴァ、ミシェル・フーコー} 「東」「西」「南」「北」いずれかの意味がある英単語 ○{east、west、south、north}、×{nose、yeast、sauna、wastem、waist、ninth} 「猫に小判」と同じ意味のことわざ ○{雀に鞠、豚に真珠、犬に論語}、×{虎に翼、鹿に煎餅、象に蜂、犬に御飯、天に唾} 1895年に日本に三国干渉をおこなった国 ○{ドイツ、ロシア、フランス}、×{スペイン、オランダ、イタリア、オーストリア、イギリス} オスマン・トルコの皇帝 ○{メフメト2世、バヤジット1世、スレイマン1世}、×{クセルクセス1世、ホスロー1世、シャープール1世、アルデシール1世、ダレイオス1世} 732年のトゥール・ポワティエ間の戦いで戦った国 ○{ウマイヤ朝、フランク王国}、×{セルジューク朝、神聖ローマ帝国、オスマン帝国、モンゴル帝国} 宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」の登場人物 ○{カムパネルラ、ブルカニロ博士、ジョバンニ}、×{ガートルード、エリス、サムソン、ザネリ、アーノルド、シャイロック、アモナズロ} 「と(戸)」が部首の漢字 ○{扇、戻、房、所}、×{啓、枦、肩、顧、雇} ことわざで「千に一つも仇はない」といわれるもの ○{茄子の花、親の意見}、×{子の泣き声、竹馬の友、柿の種、林檎の花} 芥川龍之介の小説 ○{鼻、地獄変、羅生門、芋粥、奉教人の死、杜子春}、×{幻影の盾、雁、斜陽、夢十夜、高瀬舟、倫敦塔、人間失格、金閣寺} 古代エジプトのファラオ ○{ラムセス2世、クセルクセス1世、トトメス3世、アメンホテプ4世、プトレマイオス1世、ダレイオス1世}、×{ウルバヌス2世、メフメト2世、ホスロー1世、シャープール1世、ネブカドネザル1世、フィリッポス2世、バヤジット1世、ボニファティウス8世} フェニキア人が建設した都市 ○{アラドゥス、カルタゴ、ティルス}、×{マルセイユ、コンスタンティノープル、テーベ、コリント、モヘンジョダロ} 和歌の枕詞「あらたまの」がかかる語 ○{年、月、日、春}、×{世、天、光、袖} 「た(田)」が部首の漢字 ○{由、男、申}、×{暢、蓄、思、塁、毘} 1882年に三国同盟を結んだ国 ○{オーストリア、イタリア、ドイツ}、×{フランス、ロシア、日本、イギリス、オランダ} 三国同盟に対抗して1894年に三国協商を結んだ国 ○{イギリス、フランス、ロシア}、×{オランダ、オーストリア、ドイツ、イタリア、日本} 1940年に三国同盟を結んだ国 ○{日本、ドイツ、イタリア}、×{ロシア、オランダ、オーストリア、フランス、イギリス} ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」でゴドーを待ち続ける人物 ○{ウラジミール、エストラゴン}、×{ジェイコブ、クリスチャン、ペテロ、フランシス} 正しい四字熟語 ○{清廉潔白、意志堅固、右顧左眄、豪放磊落、欣喜雀躍、佳人薄命}、×{興味深々、危機一発、快刀乱魔、大義名文、意味伸張、孤立無縁、短刀直入、厚顔無知} 「実体のないもの」をたとえる四字熟語 ○{蜃楼海市、空中楼閣}、×{色即是空、薬石無効、洛陽紙価、生々流転} 江戸時代に行われた「享保の改革」で実施されたもの ○{目安箱の設置、上米の令、公事方御定書}、×{七分金積立、囲米の制度、人足寄場の設置、人返しの法、株仲間の解散} 江戸幕府の三大改革の中心となった人物 ○{松平定信、水野忠邦、徳川吉宗}、×{徳川家光、金地院崇伝、鳥居耀蔵、井伊直弼、新井白石} 江戸三大改革と呼ばれる改革が起こった元号 ○{天保、寛政、享保}、×{嘉永、天明、化政、慶応、元禄} 江戸三大飢饉と呼ばれる飢饉が起こった元号 ○{享保、天明、天保}、×{元禄、嘉永、寛政、慶応、化政} 日本の元号にあるもの ○{天保、建武、安政、平成、慶応}、×{照英、早稲田、天才、武蔵、立教、太正、安全} 「幕末の四賢侯」と呼ばれた幕末の大名 ○{松平春嶽、伊達宗城、山内容堂、島津斉彬}、×{松平容保、細川護久、毛利敬親、徳川昭武} 幕末三大道場と呼ばれた道場を開いた剣豪 ○{桃井春蔵、千葉周作、斎藤弥九郎}、×{平手造酒、藤田東湖、中村半次郎、河上彦斎、清河八郎、清水一学、田中新兵衛} 「幕末四大人斬り」と呼ばれた人物 ○{河上彦斎、中村半次郎、田中新兵衛、岡田以蔵}、×{桃井春蔵、清水一学、平手造酒、清河八郎} 室町時代に「四職」と呼ばれた守護大名 ○{京極氏、赤松氏、山名氏、一色氏}、×{畠山氏、斯波氏、細川氏、足利氏} 1789年に始まるフランス革命の期間中に起きた出来事 ○{マリー・アントワネット処刑、ジャコバン派の独裁、ヴァレンヌ事件}、×{フロンドの乱、ルイ18世の処刑、アンドレ・グランディエ戦死、ジャックリーの乱、アミアンの和約} 1802年にアミアンの和約を結んだ国 ○{フランス、イギリス}、×{ドイツ、オランダ、ロシア、スペイン} 1842年に南京条約を結んだ国 ○{清、イギリス}、×{ロシア、明、フランス、スペイン} ノーベル文学賞を受賞した作家 ○{ヘミングウェイ、タゴール、キップリング}、×{サン=テグジュペリ、アップダイク、カポーティ、スウィフト、セルバンテス} アメリカの作家トルーマン・カポーティの作品 ○{ティファニーで朝食を、遠い声、遠い部屋、冷血、草の竪琴}、×{本町通り、天使よ故郷を見よ、響きと怒り、走れウサギ、二十日鼠と人間、ガープの世界} 第一次世界大戦後に連合国と敗戦国が結んだ条約 ○{ヌイイ条約、ベルサイユ条約、セーブル条約}、×{サン・ステファノ条約、キャフタ条約、ニスタット条約、ロカルノ条約、ロンドン条約} 第一次世界大戦の最中に起きた出来事 ○{ロシア革命、ツィンメルマン電報事件、ルシタニア号事件、タンネンベルクの戦い}、×{ノルマンディー上陸作戦、盧溝橋事件、カサブランカ会談、バトル・オブ・ブリテン、マーケット・ガーデン作戦、カチンの森事件、バルジの戦い} アメリカが参戦した戦争 ○{湾岸戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、アメリカ独立戦争、ベトナム戦争}、×{クリミア戦争、ポエニ戦争、百年戦争、三十年戦争、アヘン戦争、薔薇戦争、ボーア戦争} 日本が参戦した戦争 ○{日清戦争、日露戦争、第二次世界大戦、第一次世界大戦}、×{百年戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、三十年戦争、薔薇戦争、アヘン戦争} 1880年に勃発したボーア戦争で戦った国 ○{イギリス、トランスバール共和国}、×{ドイツ、スペイン、ロシア、ナタール共和国} 紀元前264年に勃発したポエニ戦争で戦った国 ○{共和政ローマ、カルタゴ}、×{アテナイ、ミュケナイ、スパルタ、アケメネス朝ペルシア} 1945年に軍艦ミズーリ号で太平洋戦争の降伏文書に調印した人物 ○{重光葵、梅津美治郎}、×{阿南惟幾、広田弘毅、米内光政、鈴木貫太郎} 大正・昭和期の社会運動家・賀川豊彦の小説 ○{死線を越えて、太陽を射るもの、壁の声をきく時}、×{廃虚から、不毛地帯、恩讐の彼方に、哀しき父、奉教人の死、子を連れて、壊滅の序曲} 1905年にポーツマス条約を結んだ国 ○{日本、ロシア}、×{清、オランダ、イギリス、スペイン、フランス、イタリア} ナポレオン1世の妻となった人物 ○{マリー・ルイーズ、ジョセフィーヌ}、×{マリー・アントワネット、ウージェニー、マリア・テレジア、キャサリン・オブ・アラゴン} 平安・室町時代に成立した「四鏡」と呼ばれる歴史書 ○{大鏡、今鏡、水鏡、増鏡}、×{宮鏡、夢鏡、行鏡、小鏡} 「突然のことに驚く」という意味のことわざ ○{足下から鳥が立つ、寝耳に擂粉木、寝耳に水}、×{飛ぶ鳥の献立、飛ぶ鳥も落ちる、擂粉木で重箱洗う、蛙の面に水、擂粉木を食わぬ者なし、立て板に水} 「踵」という漢字の読みにあるもの ○{かかと、きびす}、×{ほぞ、こむら、くるぶし、おとがい} 「笑う」という意味の英単語 ○{smile、giggle、laugh}、×{spoil、sleep、learn、whisper、realize} 聖書の「創世記」でエデンの園を追放された人間 ○{アダム、イブ}、×{アベル、カイン、ノア、ロト} 新約聖書の四大福音書 ○{マタイ、マルコ、ヨハネ、ルカ}、×{ヤペテ、シモン、ヤコブ、カイン} 聖書の中の記述に由来する言葉 ○{豚に真珠、狭き門、笛吹けども踊らず、目からうろこ}、×{血は水よりも濃い、火中の栗を拾う、手の内、白羽の矢、幸運の女神には前髪しかない、一炊の夢、ローマは一日にしてならず} 1815年のワーテルローの戦いで戦った国 ○{イギリス、フランス、オランダ}、×{イタリア、スペイン、ポルトガル、ロシア、アメリカ} 1860年に日米修好通商条約の批准書交換のためにアメリカに渡った人物 ○{福沢諭吉、勝海舟、ジョン万次郎}、×{大久保利通、坂本龍馬、中岡慎太郎、伊藤博文、木戸孝允} 1241年のワールシュタットの戦いで戦った国 ○{モンゴル帝国、ポーランド王国、神聖ローマ帝国}、×{ロシア、イギリス、オスマン帝国、ハンガリー王国、オランダ} 西暦1000年までに起こった出来事 ○{遣唐使の廃止、フランク王国が分裂、安史の乱、アッバース朝が建国、煬帝が大運河を建設、西ローマ帝国が滅亡}、×{カノッサの屈辱、ハンザ同盟が成立、コンスタンツ公会議、レパントの海戦、ワールシュタットの戦い、教皇のバビロン捕囚、チンギス・ハンが即位} 1571年のレパントの海戦で戦った国 ○{オスマン帝国、スペイン}、×{ハンガリー王国、イギリス、オランダ、ロシア、神聖ローマ帝国} 口語の動詞の活用形に実際にあるもの ○{終止形、連体形、未然形、連用形、仮定形、命令形}、×{已然形、使役系、名詞形、自然系、連絡系} 口語における動詞の活用の種類にあるもの ○{サ行変格活用、五段活用、カ行変格活用、上一段活用、下一段活用}、×{ラ行変格活用、ナ行変格活用、上二段活用、下二段活用、四段活用} 文語においてラ行変格活用をする動詞 ○{いまそかり、有り、居り、侍り}、×{足り、蹴り、成り、はばかり、張り、掘り} 文語における動詞の活用の種類にあるもの ○{カ行変格活用、四段活用、ナ行変格活用、ラ行変格活用、サ行変格活用}、×{ハ行変格活用、マ行変格活用、ア行変格活用、ヤ行変格活用、タ行変格活用} ヘミングウェイの小説「武器よさらば」の登場人物 ○{キャサリン・バークレイ、フレデリック・ヘンリー}、×{ハリー・ストリート、ジェイク・バーンズ、ブレット・アシュレー、ロバート・ジョーダン} アメリカの作家ヘミングウェイの小説 ○{武器よさらば、老人と海、春の奔流、キリマンジャロの雪}、×{最後の一葉、怒りの葡萄、エデンの東、二十日鼠と人間、トム・ソーヤーの冒険、アンクル・トムの小屋} アメリカの作家ウィリアム・フォークナーの作品 ○{響きと怒り、サンクチュアリ、八月の光、アブサロム、アブサロム!}、×{怒りをこめてふりかえれ、長距離ランナーの孤独、ホテル・ニューハンプシャー、サイラス・マーナー、ラスト・タイクーン、北回帰線、アロウスミスの生涯、遠い声、遠い部屋} かつて中国の大半を支配した王朝 ○{秦、唐、元}、×{蘭、露、米、仏、英} かつてミャンマーに存在した王朝 ○{パガン朝、アラウンパヤー朝、タウングー王朝}、×{カージャール朝、スコータイ朝、グプタ朝、アユタヤ朝、ヤゲロー朝、クシャーナ朝} 1526年のモハーチの戦いで戦った国 ○{オスマン帝国、ハンガリー王国}、×{オランダ、イギリス、ロシア、モンゴル帝国} 慣用句「おとがいが落ちる」の意味として正しいもの ○{とても美味しい、寒くて震える}、×{人の暮らしを助ける、後悔する、身動きがとれない、体力が落ちる} 1755年に勃発したフレンチ・インディアン戦争で戦った国 ○{イギリス、フランス、スペイン}、×{ポルトガル、イタリア、オランダ、ロシア、ドイツ} 「枕草子」で「すさまじきもの」として挙げられているもの ○{牛死にたる牛飼、春の網代、昼ほゆる犬}、×{季節外れの虫、枯れたる葵、騒ぎたる下人、返事なき恋文、冬の団扇} 紫式部が書いた物語文学「源氏物語」の巻名にあるもの ○{澪標、夕顔、桐壷、蛍、松風、少女}、×{秋風、楓、蝉、女郎花、少年、陽炎} 江戸時代の出来事 ○{紫衣事件、桜田門外の変、生麦事件、禁門の変}、×{二・二六事件、建武の新政、西南戦争、大逆事件、鹿ヶ谷の陰謀、応天門の変、長篠の戦い} 「自由」という意味がある英単語 ○{liberty、freedom}、×{freak、fragile、lightly、liability} 「六歌仙」と呼ばれる平安時代の歌人 ○{僧正遍昭、在原業平、文屋康秀、喜撰法師、小野小町、大伴黒主}、×{紀貫之、在原行平、兼好法師、藤原定家、和泉式部} 和歌の六歌仙 ○{文屋康秀、喜撰法師、小野小町}、×{藤原定家、和泉式部、兼好法師、在原行平、赤染衛門} 坂本龍馬が結成した海援隊(亀山社中)の隊士 ○{池内蔵太、陸奥宗光、長岡謙吉、高松太郎、沢村惣之丞}、×{小曽根英四郎、ジョン万次郎、岡田以蔵、後藤象二郎、望月亀弥太、中岡慎太郎、岩崎弥太郎、平井収二郎} 1807年にティルジット条約を結んだ国 ○{フランス、ロシア、プロイセン}、×{スウェーデン、オランダ、イギリス、スペイン、イタリア} 夏目漱石の小説 ○{明暗、行人、吾輩は猫である}、×{腕くらべ、暗夜行路、金色夜叉、斜陽、高瀬舟} 夏目漱石の小説「こころ」を構成する三部 ○{両親と私、先生と私、先生と遺書}、×{妻と私、両親と遺書、先生と両親、私と遺書、遺書と私} 夏目漱石の前期三部作と呼ばれる小説 ○{門、三四郎、それから}、×{坊っちゃん、明暗、こころ、吾輩は猫である、行人} 夏目漱石の小説「坊っちゃん」の登場人物の愛称 ○{狸、うらなり、赤シャツ}、×{乙女、ジーパン、メガネ、又三郎、スケバン} 1414年から1418年にかけて開かれたコンスタンツ公会議で有罪となった人物 ○{ヤン・フス、ジョン・ウィクリフ}、×{マルティン・ルター、ジョン・ボール、サヴォナローラ、ジョルダーノ・ブルーノ} 1946年から1954年までのインドシナ戦争で戦った国 ○{ベトナム、フランス}、×{ドイツ、タイ、フィリピン、イラン} 歳時記における夏の季語 ○{やませ、夕焼け、白南風}、×{八十八夜、燕の巣、茶摘み、海女、菜種梅雨} 歳時記における秋の季語 ○{野分、新酒、花園}、×{蒲団、隙間風、焚火、木枯らし、綿帽子} 戦国時代に日本で活躍したイエズス会の宣教師 ○{フランシスコ・ザビエル、ヴァリニャーノ、オルガンティノ、ルイス・フロイス}、×{ボスコヴィッチ、アダム・シャール、キャンピオン、フェルビースト、マテオ・リッチ、イグナチウス・ロヨラ} 1578年の耳川の戦いに参加した武将 ○{島津義久、大友宗麟}、×{伊達政宗、上杉謙信、織田信長、長宗我部友親} 1573年の三方ヶ原の戦いに参加した武将 ○{武田信玄、徳川家康}、×{北条氏康、上杉謙信、羽柴秀吉、石田三成} 戦国時代の人物 ○{豊臣秀吉、上杉謙信、徳川家康}、×{吉田茂、聖徳太子、藤原道長、源頼朝、平将門} 戦国時代に川中島の戦いで戦った武将 ○{武田信玄、上杉謙信}、×{徳川家康、伊達政宗、織田信長、羽柴秀吉、柴田勝家} 戦国武将・武田信玄が参加した戦い ○{三方ヶ原の戦い、川中島の戦い}、×{賤ヶ岳の戦い、長篠の戦い、桶狭間の戦い、姉川の戦い、山崎の戦い} 1582年に本能寺の変に参加した武将 ○{織田信長、明智光秀}、×{羽柴秀吉、柴田勝家、徳川家康、前田利家} 1560年の桶狭間の戦いに参加した武将 ○{今川義元、織田信長}、×{毛利元就、上杉謙信、北条氏康、伊達政宗、武田勝頼} 戦国武将・織田信長が参加した戦い ○{桶狭間の戦い、姉川の戦い、三方ヶ原の戦い、長篠の戦い}、×{賤ヶ岳の戦い、小牧・長久手の戦い、川中島の戦い、山崎の戦い、耳川の戦い} 詩人ダンテの「神曲」に描かれている3つの舞台 ○{煉獄、地獄、天国}、×{戦場、現世、青春、監獄、辺獄} 鳥の名前に由来する言葉 ○{うのみ、めじろおし}、×{ぼんくら、あんぽんたん、からくさ、つるべうち} ルーブル美術館に所蔵されている絵画 ○{モナリザ、キオス島の虐殺、真珠の女}、×{ヴィーナスの誕生、ゲルニカ、記憶の固執、アルルの跳ね橋、我が子を食らうサトゥルヌス} ドイツにある美術館 ○{ドレスデン美術館、ムゼウムスインゼル、ライプチヒ美術館}、×{グッゲンハイム美術館、ルーブル美術館、ウフィッツィ美術館、エルミタージュ美術館、プラド美術館} ササン朝ペルシアの皇帝 ○{ホスロー1世、シャープール1世、アルデシール1世}、×{スレイマン1世、ダレイオス1世、ラムセス2世、クセルクセス1世、バヤジット2世、バヤジット1世} 社会哲学のフランクフルト学派を代表する人物 ○{マックス・ホルクハイマー、エーリヒ・フロム、ヘルベルト・マルクーゼ}、×{パウル・ナトルプ、ヴィルヘルム・ディルタイ、ヘルマン・コーエン、エルンスト・カッシーラー、ハンス・ゲオルク・ガダマー} 1914年のタンネンベルクの戦いで戦った国 ○{ドイツ、ロシア}、×{スペイン、イタリア、イギリス、フランス} コロンブスが新大陸発見の航海において率いた船 ○{ピンタ号、サンタマリア号、ニーニャ号}、×{トリニダッド号、サスケハナ号、エンデバー号、エンタープライズ号、ゴールデンハインド号} 謙譲語 ○{お目にかかる、頂戴する、申し上げる、うかがう、受領いたす}、×{おっしゃる、召し上がる、いらっしゃる、お尋ねになる、お聞きになる、来られる、ご覧になる} 1797年にカンポ・フォルミオ条約を結んだ国 ○{オーストリア、フランス}、×{イギリス、イタリア、ロシア、オランダ、スペイン} 672年の壬申の乱に参加した人物 ○{大海人皇子、大友皇子}、×{中大兄皇子、高市皇子、草壁皇子、忍壁皇子} 猿が出てくる故事成語 ○{朝三暮四、断腸の思い}、×{守株、杞憂、管鮑の交わり、完璧、三顧の礼} 豊臣秀吉政権下において「五奉行」と呼ばれた大名 ○{浅野長政、石田三成、増田長盛、長束正家、前田玄以}、×{毛利輝元、徳川家康、前田利家、上杉景勝、宇喜多秀家、小早川隆景} ローマ帝国で「五賢帝」と呼ばれた皇帝 ○{ネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウス、マルクス・アウレリウス}、×{ドミティアヌス、コンスタンティヌス、ティトゥス、マクシミヌス・トラクス、アウグストゥス} 江戸時代に関所で厳しく取り締まられたもの ○{出女、入り鉄砲}、×{上州男、津軽女、入り鎧、水戸納豆} ここを編集
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危険は形而上学の欺瞞的な性格の中にある。それは、実際には何らの知識をも与えないのに、知識であるかのような幻想を与える。我々が形而上学を排撃する理由はここにある。・・・(中略)・・・哲学の唯一の仕事は論理的分析 logical analysis である。 ~ R. カルナップ(論理実証主義に立つ哲学者集団「ウィーン学団」のリーダー的学者) 要旨■「平和憲法」「占領憲法」などのレッテル貼りに終始するのではなく、①憲法とはそもそも何か(法概念論)、②憲法の保障すべき価値は何か(法価値論)、③そうした価値を如何に実現するか(法学的方法論)、という憲法問題の課題を一つづつ分析し検証していくことが重要である。 ※本ページが難しい方は、日本国憲法改正問題(初級編)を先ずご覧下さい。 <目次> ■1.はじめに◆1.基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学) ◆2.問題状況整理表 ■2.憲法とは何か(法概念論)◆1.憲法(constitution)の定義◇1.実質憲法(国制)と形式憲法(憲法典)の区別 ◇2.法概念論(憲法とは何か)と法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の区別 ◇3.二つの憲法概念から考える国家の在り方(伝統国家・革命国家・新興国家) ◆2.法体系の2つの捉え方◇1.ケルゼンおよび修正自然法論者による法段階説(半世紀前の法学パラダイム) ◇2.ハートによる社会的ルール説(現代の世界標準の法学パラダイム) ■3.憲法の保障すべき価値、理念・目的は何か(法価値論)◆1.法価値(=正義)一般と、「法の支配」◇1.参考ページ ◇2.「正義」「法の支配」まとめ ◆2.「立憲主義」の定義◇1.各論者による説明 ◇2.参考ページ ◆3.憲法に特有の法価値論+法解釈論 - 整理図◇1.参考ページ ■4.そうした価値、理念・目的を如何に実現するか(法学的方法論)◆1.現行憲法典の解釈論◇1.左翼的(全体主義的)解釈vs.保守的(自由主義的)解釈 ◇2.日本の代表的な憲法論 - 内容紹介・評価 ◆2.憲法典の改廃論 ◆3.憲法典改正案◇1.現在提案されている種々の改憲案 ◇2.日本国憲法の構成と、保守的スタンスから見た改正の要否 ◇3.改憲案の具体例(自民党・憲法改正草案(2012年版)+中川八洋草案) ■5.ご意見、情報提供 ■1.はじめに 憲法問題となると、たちまち「平和憲法を守れ」とか「占領憲法を破棄せよ」といった、左右両極端の立場からのイデオロギッシュなアジテーション・罵倒合戦に終始してしまう現象が頻繁に観測される。(※なお、経済問題に関しても類似した現象がしばしば観測される ⇒ ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 参照)。 確かに、現実妥当性に目を瞑って現行憲法典の前文・第9条を厳密に文理解釈すれば、お花畑的な(つまりネガティヴな)意味で「平和憲法」と云えなくもないし、また制定過程を見ればGHQ草案をほぼそのまま翻訳した「占領憲法」と呼ばれるのも致し方ないことではあるが、ここでは、そうした扇動的・プロパガンダ的方向にばかり走り易い言説を避けて、努めて論理的・概念分析的な姿勢を守りつつ憲法問題の整理・解明を目指したい。 そのために、 1 まず、基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学)を区別して、憲法問題の位置づけを明確にし、 2 次に、基礎法学の主要3分野(①法概念論・②法価値論・③法学的方法論)各々について、実用法学の一分野である憲法学(憲法論)の課題を対応させた問題状況整理表を作成し、 3 そして、上流から順に(つまり①法概念論→②法価値論→③法学的方法論の順に)これらの課題を一つづつ分析し整理していく。 ◆1.基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学) きそほうがく【基礎法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より 実用法学に対して、少なくとも直接的には法的な諸事象の純粋に理論的な認識・解明を目的とする法学。理論法学ともいう。基礎医学という用語にならって第二次世界大戦後の日本で使われるようになった。法社会学、法史学、比較法学、法哲学がこれに属する。 じつようほうがく【実用法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より 司法、行政、立法などの実用目的に奉仕する法学。法解釈学と立法学がこれに属する。基礎法学と対置されるが、現代の実用法学は基礎法学の成果を積極的に活用して法の合目的的な形成と運用を図る応用科学としての性格を強めつつある。 ほうかいしゃくがく【法解釈学】 Rechtsdogmatik ※日本語版ブリタニカ百科事典より 解釈法学ともいう。実定法の規範的意味内容を体系的・合理的に解明し、裁判における法の適用に影響を与えることを目的とする実用法学。実定法を構成する文字および文章の多義的な規範的意味内容を明確かつ一義的に確定していく作業が法の解釈であるが、この作業には、①文理解釈、②論理解釈、③縮小解釈、④目的論的解釈、⑤反対解釈、⑥勿論解釈、⑦類推解釈などと呼ばれるものがある。法解釈学は古代ローマで成立して以来、現代まで法学の中心的位置を占めているが、時代の変遷によって力点の変化がみられる。自由法論以後の法解釈学は人間や社会に関する経験科学的認識を取り入れた応用科学としての性格を強めている。第二次世界大戦後の日本の法学界における「法解釈学論争」では、法解釈学の実践的性格が強調された。法解釈学は、その対象となる実定法の分野によって、憲法学、行政法学、刑法学、民法学、商法学、労働法学、国際法学、国際私法学などに分れる。 けんぽうがく【憲法学】 ※広辞苑より 法学の一部門。憲法および憲法上の諸現象を研究の対象とする学問。国法学。 ◆2.問題状況整理表 基礎法学(理論法学)の主要3分野 憲法学(応用法学)の課題 (1) 法概念論(法とは何か) 1 憲法とは何か(憲法の定義) ⇒(a)実質憲法(国制)と、(b)形式憲法(憲法典)、の区別が重要。 2 法体系の中での憲法の位置づけ ⇒①法段階説(主権者意思[命令]説・・・ケルゼン及び修正自然法論者の法理解)と、②社会的ルール説(ハートの法理解であり、ハイエクの自生的秩序論と親和的)、の区別・評価が重要 (2) 法価値論(法の保障すべき価値は何か)※正義論ともいう(*注1)※法理念論、法目的論ともいう 《1》 法価値全般 1 法価値(正義)一般と「法の支配」論 ※法価値論は、専ら、(a)実質憲法(国制)の在り方に関する分野である。⇒①左翼的・全体主義的価値観と、②保守的・自由主義的価値観、の区別・評価が重要。 2 「立憲主義」論 《2》 個別的法価値 1 主権論(憲法は特定の主権者を規定すべきか) ※主権論について詳細ページ⇒政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 2 人権論(憲法の基礎的な保護領域は何か) ※人権論について詳細ページ⇒「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 3 平和論(奴隷の平和か正戦を肯定するか) (3) 法学的方法論(法価値を如何に実現するか) 前提条件 価値論の把握 1 憲法典(形式憲法)の解釈論 ※法学的方法論は、専ら、(b)形式憲法(憲法典)の解釈・運用に関わる分野であり、具体的な条規について(2)法価値論《2》の 1 ~ 3 の課題に対応した法解釈の対立が見られる。⇒①左翼的・全体主義的解釈と、②保守的・自由主義的解釈、の区別・評価が重要。 2 憲法典(形式憲法)の改廃論 ⇒①護憲論、②改憲論、および③破棄論、の比較・評価が重要。 3 憲法典(形式憲法)案の内容評価 ⇒各々の草案について、(2)法価値論《2》の 1 ~ 3 の課題への対応方針に留意しながら個別に評価していくことが重要。 (*注1)法的な価値は、伝統的に「正義(justice)」という言葉で表現されてきたため、法価値論を正義論ともいう。 ■2.憲法とは何か(法概念論) ◆1.憲法(constitution)の定義 ◇1.実質憲法(国制)と形式憲法(憲法典)の区別 けんぽう【憲法】 constitution ※日本語版ブリタニカ百科事典より 憲法の語には、(1)およそ法ないし掟の意味と、(2)国の根本秩序に関する法規範の意味、の2義があり、聖徳太子の「十七条憲法」は(1)前者の例であるが、今日一般には(2)後者の意味で用いられる。 (2)後者の意味での憲法は、凡そ国家のあるところに存在するが(実質憲法)、近代国家の登場とともにかかる法規範を1つの法典(憲法典)として制定することが一般的となり(形式憲法)、しかもフランス人権宣言16条に謳われているように、①国民の権利を保障し、②権力分立制を定める憲法のみを憲法と観念する傾向が生まれた(近代的意味の憲法)。 1 17世紀以降この近代的憲法原理の確立過程は政治闘争の歴史であった。憲法の制定・変革という重大な憲法現象が政治そのものである。比較的安定した憲法体制にあっても、①社会的諸勢力の利害や、②階級の対立は、[1]重大な憲法解釈の対立とともに、[2]政治的・イデオロギー的対立を必然的に伴っている。 従って、憲法は (a) 政治の基本的ルールを定めるものであるとともに、 (b) 社会的諸勢力の経済的・政治的・イデオロギー的闘争によって維持・発展・変革されていく、・・・という二重の構造を持っている。 2 憲法の改正が、通常の立法手続でできるか否かにより、軟性憲法と硬性憲法との区別が生まれるが、今日ではほとんどが硬性憲法である。 近代的意味での成文の硬性憲法は、 ① 国の法規範創設の最終的源である(授権規範性)とともに、 ② 法規範創設を内容的に枠づける(制限規範性)という特性を持ち、かつ ③ 一国の法規範秩序の中で最高の形式的効力を持つ(最高法規性)。 日本国憲法98条1項は、憲法の③最高法規性を明記するが、日本国憲法が硬性憲法である(96条参照)以上当然の帰結である。今日、③最高法規性を確保するため、何らかの形で違憲審査制を導入する国が増えてきている。 なお、憲法は、①制定の権威の所在如何により、欽定・民定・協約・条約(国約)憲法の区別が、②歴史的内容により、ブルジョア憲法と社会主義憲法、あるいは、近代憲法(自由権中心の憲法)と現代憲法(社会権を導入するに至った憲法)といった区別がなされる。 なお、下位規範による憲法規範の簒奪を防止し、憲法の最高法規性を確保することを、憲法の保障という。 (⇒憲法の変動、⇒成文憲法、⇒不文憲法) 上記のように、憲法(constitution)という概念には、 ① 実質的意味の憲法 (=国制、国体法 constititional law) ⇒本質主義(essentialism)による定義 と、 ② 形式的意味の憲法 (=憲法典 constitutional code) ⇒名目主義(nominalism)による定義 の2つのレベルがあり、 両者を区別しつつ総合的に考察していく必要がある。 そして、これに対応して、憲法論にも、 ① 実質的意味の憲法論 (法価値論=憲法の保障すべき価値は何かを考察する価値論であり、それを具体化すると立法論になる) と、 ② 形式的意味の憲法論 (法解釈論=既に成文化された憲法典の解釈論) の2つの段階があり、 この両者もまた確り区別して考察していく必要がある。 ★補足説明★「実質的意味の憲法」「国体法」「国制」 たとえば「民法」という概念には、①実質的意味の民法(=民法典に限らず「総体としての民法 civil law」を指す)と、②形式的意味の民法(=民法典 civil code という具体的な法律)の二つの意味があり、また「刑法」という概念にも同じく、①実質的意味の刑法(criminal law)と、②形式的意味の刑法(=刑法典 criminal code という具体的な法律)の二つの意味がある。これらから類推されるように、当然「憲法」という概念にも、①実質的意味の憲法(constitutional law)と、②形式的意味の憲法(=憲法典 constitutional code という具体的な法律)の二つの意味があり、これらは確りと区別されて論じられるべきであるが、明治期に constitution(英語)ないし Verfassung(ドイツ語)という概念を日本に導入する際に、専ら②形式的意味の憲法(憲法典)という意味で「憲法」という言葉が用いられてしまったために、現在の日本では、憲法とは専ら②憲法典である、とする理解(すなわち、①の意味を見落とした状態での理解)が一般的となってしまっている。 これに関しては、戦前の日本では、①実質的意味の憲法(国制)を意味する言葉として、明治以前から「国体」という用語が普及していたという裏の事情がある。この「国体」という用語は、昭和初期に濫用されて右翼的イデオロギーの色彩を強く帯びてしまったことから、戦後はこの用語の使用自体がタブー視される状態となってしまい、なおさら現在の日本人が、①実質的意味の憲法、を考えることを困難にしている。(※「国体」については⇒国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)参照) こうした①実質的意味の憲法 constitutional law を素直に翻訳すれば「国体法」となるが、ここでは主に、よりイデオロギー色の薄い「国制」という訳語を用いることとする。(※なお、アリストテレス著として伝わる『アテナイ人の国制』の英語版書名は 『The Athenian Constitution』であり、①の意味での constitution の訳語として「国制」が現時点ではやはり一番適切である。) ◇2.法概念論(憲法とは何か)と法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の区別 左派及び右派から、しばしば繰り返される「憲法の定義」として、次のようなものがある。 (1) 憲法とは、政治権力者を拘束し国民を守るための法規範であり、それに反するものは憲法ではない。 (主に左派から) (2) 憲法とは、国の歴史を踏まえた国体を成文化した法規範であり、それに反するものは憲法ではない。 (主に右派から) 確かに、正当な憲法典には、(1)および(2)のそれぞれの要素が認められるべきであるが、結論から先にいえば、それらは、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)のカテゴリーであって、「憲法の定義」すなわち①法概念論(憲法とは何か)のカテゴリーではない。 このようなカテゴリー・ミスを避ける意味でも、当ページで薦めているような、①法概念論⇒②法価値論⇒③法学的方法論、という順序を踏まえた憲法問題の検討が肝要である。 因みに、(1)政治権力者をほとんど拘束できない憲法典や、(2)自国の歴史やこれまでに培ってきた伝統的な国体を全く反映せず、むしろそれらの積極的な破壊を目的とした憲法典も、世界には幾つも存在したし、現在でも存在しており、それらを「憲法と認めない」とするのは単なる個人的な価値観の表明でしかなく、何ら憲法問題の分析・明晰化に役立たない。 それよりも先ずは「憲法」という概念を、 1 実質憲法(国制、国体法)と 2 形式憲法(憲法典)に確り区別して、この両者の関係から、(a)国家の在り方(=伝統国家/革命国家/新興国家)、(b)憲法典の在り方(保守型/革命型/創成型)を考察していく方が遥かに有意義である。 ◇3.二つの憲法概念から考える国家の在り方(伝統国家・革命国家・新興国家) ※サイズが合わない場合は こちら をクリック。 ※■3.- ◆3.の憲法論の二段構造(整理表)で詳述するように、日本国憲法に関しては、 (1) 左翼側(主に憲法学者)は、これを「八月革命」の結果成立した革命型憲法と捉え、戦前の国制を積極的に否定・破壊する方向への解釈・運用を強く要求してきたが、 (2) 保守側(主に日本政府)は、そのようなフィクションを認めず、日本国憲法はあくまで大日本帝国憲法の改正憲法典として成立したものとして保守的解釈・運用を図ってきており、 戦後の日本では、(a)国家の在り方(=伝統国家か革命国家か)、(b)憲法典の在り方(=保守的解釈が正当かそれとも左翼的解釈が正当か)を巡って、左翼側・保守側の激しい対立が継続されてきた。 こうけんてきかいしゃく【公権的解釈】※日本語版ブリタニカ百科事典より 権限のある国家機関によって行われる法の解釈。有権解釈ともいう。これによって解釈が公定されるという点で、法学者や私人の解釈よりも重要な意味をもつ。公権的解釈には、法律によるもの(立法解釈)、行政機関によるもの(行政解釈)、裁判所によるもの(司法解釈)がある。 ※つまり、左翼的な憲法学者がどれほど「これは憲法学界の通説である(例:八月革命は憲法学界の通説であるetc.)」と唱えようと、日本政府がこれまでに表明してきた見解(例:国体は戦前/戦後で一貫しているetc.)が効力を持ったオフィシャルな解釈(=公権的解釈・有権解釈)なのだから、我々が戦後の日本を伝統国家と認め、日本国憲法を保守的に解釈することには正当な理由があるのだが、それ以外にも、下記◆2.に示すように、戦後日本の左翼的憲法学には論理面から致命的な欠陥が指摘可能である。 ◆2.法体系の2つの捉え方 ◇1.ケルゼンおよび修正自然法論者による法段階説(半世紀前の法学パラダイム) ※図が見づらい場合⇒ こちら を参照 ※①宮澤俊義(ケルゼン主義者)・②芦部信喜(修正自然法論者)に代表される戦後日本の左翼的憲法学は「実定法を根拠づける“根本規範”あるいは“自然法”」を仮設ないし想定するところからその理論の総てが始まるが、そのようなア・プリオリ(先験的)な前提から始まる論説は、20世紀後半以降に英米圏で主流となった分析哲学(形而上学的な特定観念の刷り込みに終始するのではなく緻密な概念分析を重視する哲学潮流)を反映した法理学/法哲学(基礎法学)分野では、とっくの昔に排撃されており、日本でも“自然法”を想定する法理学者/法哲学者は最早、笹倉秀夫(丸山眞男門下)など一部の化石化した確信犯的な左翼しか残っていない。このように基礎法学(理論法学)分野でほぼ一掃された論説を、応用法学(実定法学)分野である憲法学で未だに前提として理論を展開し続けるのはナンセンスであるばかりか知的誠実さを疑われても仕方がない行いであり、日本の憲法学の早急な正常化が待たれる。(※なお、近年の左翼憲法論をリードし「護憲派最終防御ライン」と呼ばれている長谷部恭男は、芦部門下であるが、ハートの法概念論を正当と認めて、芦部説にある自然法・根本規範・制憲権といった超越的概念を明確に否定するに至っている。) ◇2.ハートによる社会的ルール説(現代の世界標準の法学パラダイム) ※サイズが画面に合わない場合は こちら 及び こちら をクリック願います。 ※上記のように、ハートの法=社会的ルール説は、現実の法現象について詳細で明晰な分析モデルを提供しており、特定の価値観・政治的イデオロギーに基づく概念ピラミッドに過ぎない法=主権者意思[命令]説の法体系モデルを、その説得力において大幅に凌駕している。 ※上図について、詳細な解説は法と権利の本質に関する2つの考え方へ。 ※このように、①法概念論(憲法とは何か)の段階で、既に左翼的憲法論はハッキリと論理破綻しているのであるが、以下更に、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の段階での 左翼的スタンス vs. 保守的スタンス 両者の憲法に求める価値(理念・目的)を対比して、寛容で価値多元的な自由主義社会を支え得る法価値は保守的スタンスのものであることを説明していく。 ■3.憲法の保障すべき価値、理念・目的は何か(法価値論) → 主として、実質憲法(国制)に関する議論領域 (1) ここでは、まず、法価値(=正義)一般について、それと密接に関連した「法の支配」理念と関連づけて整理・明晰化し、 (2) 次に、「法の支配」理念から発展した「立憲主義」理念について整理・明晰化し、 (3) さらに、憲法に特有の法価値論(①主権論、②人権論、③平和論)について、法解釈論と関連づけて整理・明晰化していく。 ※ポイントは、「正義」概念・「法の支配」理念・「立憲主義」理念や、①主権論・②人権論・③平和論に関しても、自由概念のケース(※リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜参照)と同様に、 1 保守的(自由主義的=価値多元的)スタンスによる理解と、 2 左翼的(全体主義的=価値一元的)スタンスによる理解とが、鋭く対立しているという基本構図を正しく把握することである。 ◆1.法価値(=正義)一般と、「法の支配」 ほうかちろん【法価値論】legal axiology 日本語版ブリタニカ 法的な価値について考察する研究分野。法的な価値は正義という言葉で表現されることが多いから、正義論といってもよい。 古代ギリシア以来、法哲学の主要分野をなしてきたが、最近は、①規範的倫理学と、②分析的倫理学の区別に対応して、①規範的法価値論と②分析的法価値論(メタ法価値論)とが明確に区別されるようになった。 せいぎ【正義】 広辞苑 ① [荀子(正名)]正しいすじみち、人がふみ行うべき正しい道。「-を貫く」 ② [漢書(律暦志上)]正しい意義または注解。「尚書-」 ③ (justice) (ア) 社会全体の幸福を保障する秩序を実現し維持すること。プラトンは国家の各成員がそれぞれの責務を果たし、国家全体として調和があることを正義とし、アリストテレスは能力に応じた公平な分配を正義とした。近代では社会の成員の自由と平等が正義の観念の中心となり、自由主義的民主主義社会は各人の法的な平等を実現した。 これを単に形式的なものと見るマルキシズムは、真の正義は社会主義によって初めて実現されると主張するが、現在ではイデオロギーを超えた正義が模索されている。 (イ) 社会の正義に適った行為をなしうるような個人の徳性。 せいぎ【正義】justice 日本語版ブリタニカ 人間の社会的関係において実現されるべき究極的な価値。 . 善(※注: agothos, bonum, good)と同義に用いられることもあるが、 (1) 善が、主として人間の個人的態度にかかわる道徳的な価値を指すのに対して、 (2) 正義は、人間の対他的関係の規律にかかわる法的な価値を指す。 . 正義とは何か、という問題については、古来さまざまな解答が示されてきたが、一般的な価値ないし価値基準に関する見解と同様に 1 正義を客観的な実在と考える客観主義的・絶対主義的正義論と、 2 正義を主観的な確信と考える主観主義的・相対主義的正義論とに大別できよう。 法思想の領域では、だいたいにおいて、自然法論が 1 前者に、法実証主義が 2 後者に、属する。 . 従来の正義論のうちでは、アリストテレスやキケロの見解が名高く、与えた影響も大きい。 (ア) アリストテレスは、道徳と区別される正義(特殊的正義)について、①配分的正義と、②交換的正義(平均的正義、調整的正義とも訳される)とを区別し、 ① 前者は、公民としての各人の価値・功績に応じて、名誉や財貨を配分することにおいて成立し、 ② 後者は、私人としての各人の相互交渉から生じる利害を平均・調整することにおいて成立する、とした。 (イ) キケロは、この①配分的正義と同様な内容を、「各人に彼のものを」という公式で表現した。 ほう-の-しはい【法の支配】 (rule of law) 広辞苑 イギリスの法律家コークが、国王は神と法の下にあるべきである、として、ジェームズ1世の王権を抑制して以来、「人の支配」に対抗して認められるようになった近代の政治原理。コークのいう法は、イギリスの判例法で、立法権をも抑制する点で、法治主義とは異なるが、後に法治主義と同義に用いることもある。 政治思想・政治哲学の根本的価値が「自由(freedom/liberty)」という言葉で表現されるように、 法思想・法哲学の根本的価値は「正義(justice)」という言葉で伝統的に表現されてきた。 ここで「正義」概念を概括するとともに「法の支配」理念との関係についても整理する。 ※サイズが合わない場合は こちら をクリック。 この「正義」概念に基く法理念・法思想を、一般に「法の支配(rule of law)」と呼んでいる。 ここで「法の支配」理念について整理する。 ※サイズが合わない場合は こちら をクリック。 ◇1.参考ページ 法価値論(正義論)まとめページ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 「法の支配」理念のまとめページ 「法の支配(rule of law)」とは何か 「自由」概念のまとめページ リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ◇2.「正義」「法の支配」まとめ 以上のように、「正義」概念・「法の支配」理念に関して、主に形式的・手続的正義論に依拠する 1 保守的スタンスによる理解と、実質的正義論に依拠する 2 左翼的スタンスによる理解が対立するが、1960年代以降、英米圏で主流となっている理解は明らかに 1 の側であり、それを反映して、元々は故・芦部信喜教授の門下であった長谷部恭男・東大法学部教授は近年、ドイツ法学に由来する師の論を完全に否定する次のような見解を打ち出すに至っている。 長谷部恭男『 法とは何か 』(2011年刊) p.148-9 法の支配という概念もいろいろな意味で使われます。ときには、人権の保障や民主主義の実現など、あるべき政治体制が備えるべき徳目のすべてを意味する理念として用いられることもありますが、こうした濃厚な意味合いで使ってしまうと、「法の支配」を独立の議論の対象とする意味が失われます。 法の支配は人の支配と対比されます。ある特定の人(々)の恣意的な支配ではなく、法に則った支配が存在するためには、そこで言う「法」が人々の従うことの可能な法でなければなりません。そのために法が満たすべき条件として、次のようないくつかの条件が挙げられてきました。・・・(中略)・・・。こうした、法の公開性、明確性、一般性、安定性、無矛盾性、不遡及性、実行可能性などの要請が、法の支配の要請と言われるものです。 日本の憲法の教科書類を見ると、「法の支配」の名の下に、人権の保障や民主主義、権力分立など、望ましい政治体制が備えるべきあらゆる徳目が並べられていることが少なくありません。しかし、ここまで濃厚な意味で「法の支配」を理解してしまうと、法の支配を独立して検討の対象とする意味はほとんどないように思われます。・・・(中略)・・・。こうした「法の支配」ということばの使い方の背景には、善いことである以上は、そのすべてが予定調和して100パーセント実現できるはずだというバラ色の想定があるのではないでしょうか。私としては・・・限定的な意味での「法の支配」を議論の対象とする方が、学問のあり方としても生産的だし、こうした意味を前提としてもっぱら議論をしている諸外国の研究者と議論するときも、誤解が少なくて善いのではないかと考えます。 ⇒長谷部教授は憲法改正に反対する護憲論者であるが、こうした左派の憲法学者であっても、英米圏でとっくの昔に標準となった法学パラダイム(ハートの法=社会的ルール説)に基づく憲法論議に追いついていこうとするだけの学問的誠実さのある者は、「正義」概念・「法の支配」理念に関しては既に 1 保守的(自由主義的=価値多元的)スタンスによる理解が正解であることをはっきりと認めている。 これに対して、故・芦部信喜教授の憲法論の継承者である高橋和之教授を初めとする多くの左派憲法学者は残念ながら、未だに半世紀以上前(1961年のH.L.A.ハート『法の概念』刊行以前)のドイツ法学系パラダイム(法段階説・法=主権者意思説)に依拠する日本ローカルの憲法学の殻に閉じ籠ったままであるが、こうしたガラパゴス状態も長谷部教授などの貢献により今後は徐々に正常化に向かっていくものと思われる。 ※以下、「法の支配」理念から発展した「立憲主義」理念について整理します。 ◆2.「立憲主義」の定義 日本の憲法の教科書では「法の支配」の名の下に“人権の保障や民主主義、権力分立など、望ましい政治体制が備えるべきあらゆる徳目が並べられている”という上記の長谷部教授の批判は、「立憲主義」に関してもそっくりそのまま当て嵌まる。 ⇒「法の支配」の意味を限定すべきであるのと同様に、「立憲主義」という言葉の意味も限定すべきである(すなわち、下記の阪本昌成氏や長谷部恭男氏の論が正解となる)。 ◇1.各論者による説明 政治的スタンス 論者 内容 (1) 保守主義 百地章 「立憲主義とは、国家の統治が憲法にもとづいて行われることである。」(『憲法の常識 常識の憲法』p.32) (2) リベラル右派 阪本昌成 (1) 立憲主義の意義先の [1] で私は、《統治とは、国家機関を通して為す、一元的・統一的な権力支配だ》と述べた。統治は、限られたリソースを巡る利害の対立を調整しながら、その配分のあり方を権力的に決定する恒常的かつ永続的な国家作用である。この権力的、永続的な統治活動の牙を抜いて正当な枠に閉じ込めようとするにが、規範的意味での国制の役割である。統治を、流動的で恣意的な政治に委ねることなく、国制のもとに規律し安定化させる思考を「立憲主義 constitutionalism」という。近代国家が規範的意味での国制によって統制されるに至った段階のものは、「近代立憲主義国家」といわれる。これは、国家という強制の機構から各人の「自由」を擁護する、統治上のルールとしての憲法をもっている国家のことである。(『憲法1 国制クラシック』p.26) (2) 立憲主義の展開(中略)自然権の保全と権力分立という二つの要素を憲法の必須要素だと明言したのが、フランス人権宣言16条の「権利の保障が確保されておらず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法を持たない」という有名なフレーズである。この二つの要素を満たす憲法を「立憲主義的憲法」と一般にいわれることがある。つまり、《憲法とは、人権宣言と権力分立を含む成文の法文章だ》、 《この法文章は、国家樹立の際の社会契約および憲法協約を成文化したものであるから、主権者をも統制する法力をもっている》という思想である。 今日、立憲主義を想起する場合、人々の脳裏に浮かぶのは、一般にこのタイプである。が、フランス人権宣言とその16条は近代立憲主義のモデルではなく、「このタイプだ」と簡単に片付けることは正確でない。フランス的立憲主義とアメリカ的立憲主義は、憲法に関する見方を大きく異にしているのだ。 〔D〕近代立憲主義の枝分かれフランス型は、憲法をあるべき国家の最適モデルに適合させようとする理論に従って設計しようとした。なかでも、憲法を制定する力を民主的に創造するための人為的理論が最重要視された。これが、後の [39] でふれる憲法制定権力の理論である。人権も、まったく新たに創設され、最適規範に相応しい内容を人為的に持たされた。人権は、人が精神的にも物質的にも、あるべき姿となるための規範だった。こうした憲法のモデルが理論通りには運ばないと判明したときには、また別の理論に従って人為的に憲法が制定された。フランスの憲法は、何度も何度も制定されては軌道修正された。そして、結局のところ、自由の構成(constitution)に失敗したのだった。これに対してアメリカ型は、経験と伝統とを基礎とする憲法制定の道を辿った。理論的な最適規範を設計したところで、上手く定着することはない、と建国の父たちは知り尽くしていた。それと同時に、憲法制定会議を頻繁に開設して討議を繰り返すと、統治力学の振り子が大きく揺れ過ぎることも予知していた。建国の父たちは、モンテスキューが理想としていた「中庸な統治体制=混合政体」から多くを学んだ(合衆国憲法はJ. ロック(1632~1704年)の影響を受けて制定された、といわれることがあるが、これは誤診だと私は考えている)。合衆国憲法が、House of the Senates(通常、「上院」と訳される元老院=貴族政的要素+連邦制)と House of the Representatives(通常、「下院」と訳される庶民院=民主政的要素)という権力分立、さらには、大統領という「民主化された君主」を置いたのは、そのためだった。また、アメリカ建国の父たちは、人間の理性・知性の限界を知っていた。人間は、有徳の存在ではなく、権力欲に満ちており、私利を追求するにあたって公共の利益を口にすること等々を建国の父たちは知っていた。合衆国憲法は、人権保障にあたっても、“自然権を実定化する”とは考えなかった。権利章典(Bill of rights)は、歴史的・経験的に徐々に姿を現してきた人の権利を確認するものだった(*注1)。 (*注1) アメリカ合衆国憲法における権利章典について 合衆国憲法にみられる「個人の自由と権利」は、自然権思想の影響をさほど受けてはいない。そこでのカタログは、歴史的にそれまで存在してきた権益を確認したものである。『憲法2 基本権クラシック』 11頁を参照願う。 (3) 立憲主義のふたつのモデル - 法の支配か民主主義か以上のように、一言で「近代立憲主義」という場合でも、一方には純粋理論型または超越型があり、他方には経験型・伝統重視型がある。見方を換えていえば、フランス型は 民意を統治過程に統合するなかで同時に自由を作り出すための憲法構造を理論的に追究したのに対して、アメリカ型は 多元的な民意を統治過程に多元的に反映させる憲法構造を伝統のなかから発見しようとしたのだった。アメリカ型立憲主義は、《個人の権利自由を擁護するための制度的装置として権力分立制を用意する》とよくいわれる。他方、憲法の民主化を重視するフランスにあっては、議会に反映される一般意思のもとに行政と司法を置くことが、その眼目であると考えられた。J. ルソー(1712~1778年)の影響だろう。そのために、議会中心の統治が理想とされた。これに対して、合衆国憲法は、モンテスキューの理論モデルを参考としながら、民主主義を万能としない権力分立制を導入した。アメリカ憲法は、「立憲主義=法の支配=権力分立」という等式を基礎として制定されたのである。 立憲主義のモデルをアメリカに求める人物は、《立憲主義とは、法の支配と同義であり、それは民主主義の行き過ぎに歯止めをかける思想でもある》と考える傾向にある。これに対して、立憲主義モデルをフランスに求める人は、「立憲民主主義」という言葉を多用する傾向がある。後者は、「立憲」の中に権力分立と人権尊重の精神を含め、「民主主義」の中に、「国民主権」と議会政を含めているようである(民主主義の中に人権尊重を忍び込ませる論者もいる)。が、それらの一貫した関連性をそこに見て取ることは困難であるように私にはみえる(自由主義と民主主義との異同については、後の [26] でふれる)。 私は、《立憲主義とは、誰が主権者であっても、また、統治権がいかに民主的に発動されている場合であっても、主権者の意思または民主的意思を法のもとに置こうとする思想だ》と考えている。 本書が「立憲民主主義」という言葉を決して用いないのは、そのためである。(『憲法1 国制クラシック』p.31) (3) リベラル左派 長谷部恭男 近代以降の立憲主義とそれ以前の立憲主義との間には大きな断絶がある。近代立憲主義は、価値観・世界観の多元性を前提とし、さまざまな価値観・世界観を抱く人々の公平な共存をはかることを目的とする。それ以前の立憲主義は、価値観・世界観の多元性を前提としていない。むしろ、人としての正しい生き方はただ一つ、教会の教えるそれに決まっているという前提をとっていた。正しい価値観・世界観が決まっている以上、公と私を区別する必要もなければ、信仰の自由や思想の自由を認める必要もない。(長谷部恭男『憲法とは何か』p.69) ・・・近代ヨーロッパで立憲主義が成立する経験においては、宗教戦争や大航海を通じて、この世には比較不能な多様な価値観が存在すること、そして、そうした多様な価値観を抱く人々が、それにもかかえわらず公平に社会生活の便宜とコストを分かち合う社会の枠組みを構築しなければならないこと、これらが人々の共通の認識となっていったことが決定的な意味を持っている。立憲主義を理解する際には、…制度的な徴表のみにとらわれず、多様な価値観の公平な共存という、その背後にある目的に着目する必要がある。(長谷部恭男『憲法とは何か』p.71) ヨーロッパでの成立の経緯に照らしてみればわかるように、立憲主義は、多様な価値観を抱く人々が、それでも協働して、社会生活の便益とコストを公正に分かち合って生きるために必要な、基本的枠組みを定める理念である。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.178) そのためには、生活領域を公と私とに人為的に区別すること、社会全体の利益を考える公の領域には、自分が一番大切だと考える価値観は持ち込まないよう、自制することが求められる。・・・そうした自制がないかぎり、比較不能な価値観の対立は、「万人の万人に対する闘争」を引き起こす。・・・(中略)・・・。立憲主義はたしかに西欧起源の思想である。しかし、それは、多様な価値観の公正な共存を目指そうとするかぎり、地域や民族にかかわりなく、頼らざるをえない考え方である。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.178) 立憲主義にもとづく憲法・・・は、人の生きるべき道や、善い生き方について教えてくれるわけではない。それは、個々人が自ら考え、選びとるべきものである。憲法が教えるのは、多様な生き方が世の中にあるとき、どうすれば、それらの間の平和な共存関係を保つことができるかである。憲法は宗教の代わりにはならない。「人権」や「個人の尊重」もそうである。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.179) 立憲主義は現実を見るように要求する。世の中には、あなたと違う価値観を持ち、それをとても大切にして生きている人がたくさんいるのだという現実を見るように要求する。このため、立憲主義と両立しうる平和主義にも、おのずと限度がある。現実の世界でどれほど平和の実現に貢献することになるかにかかわりなく、ともかく軍備を放棄せよという考え方は、「善き生き方」を教える信仰ではありえても、立憲主義と両立しうる平和主義ではない。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.179) 「立憲主義ということばには、広狭二通りの意味がある。本書で「立憲主義」ということばが使われるときに言及されているのは、このうち狭い意味の立憲主義である。広義の立憲主義とは、政治権力あるいは国家権力を制限する思考あるいは仕組みを一般的に指す。「人の支配」ではなく「法の支配」という考え方は広義の立憲主義に含まれる。古代ギリシャや中世ヨーロッパにも立憲主義があったといわれる際に言及されているのも広義の立憲主義である。他方、狭義では、立憲主義は、近代国家の権力を制約する思想あるいは仕組みを指す。この意味の立憲主義は近代立憲主義ともいわれ、私的・社会的領域と公的・政治的領域との区別を前提として、個人の自由と公共的な政治の審議と決定とを両立させようとする考え方と密接に結びつく。二つの領域の区分は、古代や中世のヨーロッパでは知られていなかったものである。」(『憲法とは何か』p.68) (4) 左翼 芦部信喜 ※芦部は「近代立憲主義(あるいは現代立憲主義)は~という性質を持っている」とその属性を述べるものの、「立憲主義とは何か」という肝心の概念論・理念論に関しては慎重に口を閉ざしている。これは芦部の憲法論が英米圏で主流となっている「立憲主義」や「法の支配」の概念・理念理解とは実は無縁の古いドイツ系法学に依拠していることに原因がある。⇒芦部の後継者である高橋和之も同様。 (5) 中間 佐藤幸治 ※佐藤も芦部と同様に、「近代立憲主義」と「現代立憲主義」を対比して言及するものの、立憲主義そのものの概念・理念の説明はない。つまり芦部や佐藤の世代ではベースがまだドイツ系法学であったために、英米系の「立憲主義」「法の支配」といった概念・理念を英米圏の用法の通りに消化できていないのである。 ◇2.参考ページ 「立憲主義」理念のまとめページ 立憲主義とは何か ※以上で法価値全般に関わる事項の説明を終わり、憲法に特有の法価値に関する検討に移ります。 ◆3.憲法に特有の法価値論+法解釈論 - 整理図 ※サイズが合わない場合は こちら をクリック ◇1.参考ページ 「法の支配」と国民主権の関係 リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 国民の権利・自由と人権の関係 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 芦部信喜・佐藤幸治・阪本昌成・中川八洋etc.の「国民主権論」比較と評価 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 関連用語集 【用語集】主権論・国民主権等 ※このように、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の段階で、(1)左翼的スタンスによる理解と(2)保守的スタンスによる理解とが激しく対立するが、 寛容で自由な価値多元的な社会を保障するのは、二つの自由論の場合と同じく、(2)保守的スタンスによる理解の方である。 ※なお、ここで一つ留意事項として、上図には表記がないが、(1)(2)の他にもう一つ、(3)右翼的スタンスによる理解というものが想定可能である。この(3)右翼的スタンスは、(1)左翼的スタンスの場合と同じく全体主義的であって、寛容で自由な社会に相応しくない理解である。(この(3)右翼的スタンスと(2)保守的スタンスとの区別は、■4.-◆1.-◇2.の中段で図解する) ■4.そうした価値、理念・目的を如何に実現するか(法学的方法論) → 主として、形式憲法(憲法典)に関する議論領域 ◆1.現行憲法典の解釈論 ◇1.左翼的(全体主義的)解釈vs.保守的(自由主義的)解釈 ※■3.- ◆3.の 整理表下段(形式的憲法論の欄) を参照 ◇2.日本の代表的な憲法論 - 内容紹介・評価 日本の様々な憲法論を政治的スタンスに当て嵌めて概括すると下表のようになる。 ※サイズが画面に合わない場合は こちら をクリック願います。 政治的スタンス 代表的論者 ベースとなる思想家/思想 補足説明 詳細内容 (1) 極左 伊藤真など護憲論者 J.-J.ルソーの社会契約論からさらに、アトム的個人主義と集産主義の結合形態(=左翼的全体主義)※説明に接近 「人権」「平和」を過度に強調し絶対視する共産党・社民党・民主党左派系の法曹に多い憲法論でありイデオロギー色が濃く法理論というよりは左翼思想のプロパガンダである(左の全体主義) (2) 左翼 芦部信喜高橋和之 修正自然法論(法=主権者意思[命令]説に自然法を折衷)+J.-J.ルソーの社会契約論 宮沢俊義→芦部信喜と続く戦後日本の憲法学の最有力説であり通説※宮沢は有名なケルゼニアン(ケルゼン主義者)。芦部は自然法論者だが人権保障をア・プリオリ(先験的)な「根本規範」と位置づけており、その表面的な米国判例理論の紹介はポーズに過ぎず、実際には依然ケルゼン/ラートブルフ等ドイツ系法学の影響が強い よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) (3) リベラル左派 長谷部恭男 H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)を一部独自解釈※なお長谷部は社会契約論に依拠しているのか曖昧でハートの法概念論と辻褄が合うはずのハイエクの自由論は故意に無視している 近年の左派系憲法論(護憲論)をリードしている長谷部は芦部門下であるが、師のようなドイツ系法学パラダイムはもはや世界の憲法学の潮流からは通用しないことを認識しており、師の憲法論の中核である、①根本規範を頂点とした法段階説+②制憲権(憲法制定権力)説、を明確に否定して、英米系法学パラダイムへの接近を図っている。(※但しハートまでは受容しながらもハイエクを拒否している長谷部の憲法論は中途半端の誹りを免れず、これを一通り学んだ後は、より整合性のとれた阪本昌成の憲法論へと進むべきである) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) (4) 中間 佐藤幸治 人格的自律権に限定して自然法を認める独自説+J.ロックの社会契約論 芦部説の次に有力な憲法論であり、芦部説よりも現実妥当性が高いので重宝されるが(佐藤は佐々木惣一から大石義雄へと続く京都学派憲法学の系統)、法理論としては妥協的でチグハグと呼ばざるを得ない 佐藤幸治『憲法 第三版』抜粋 (5) リベラル右派 阪本昌成、※ H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)+F.A.ハイエクの自由論 20世紀後半以降の分析哲学の発展を反映した英米法理論に基礎を置く憲法論であり、法理論としての完成度/説得力が最も高いが、日本では残念ながら非常に少数派 阪本昌成『憲法1 国制クラシック』 (6) 保守主義 中川八洋日本会議 E.コークの「法の支配」論+E.バークの国体論 日本会議・チャンネル桜系の憲法論も基本的にこちらに該当する。法理論というより「国民の常識」論であり、心情面からの説得力が高いが、(5)の法理論を一通り押えた上でこの立場を取らないと、いつの間にか(7)に堕する危険があるので注意。 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 (7) 右翼・極右 いわゆる無効論者 ヘーゲルの法概念論・共同体論およびそれに類似した全体主義的論調 「伝統」「国体」などを過度に強調し絶対視して「右の全体主義」化した憲法論(左翼憲法論の裏返しであり、左翼からの転向者が嵌り易い。法理論というより右翼イデオロギーのプロパガンダ色が濃い) ※政治的スタンス5分類・8分類+円環図 -... ※サイズが合わない場合は こちら をクリック ⇒上図の詳しい説明は、政治の基礎知識、政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 参照。 政治的スタンス毎の憲法論の違いは、①「人権」と②「国民主権」の捉え方に顕著に現れる。このうち、①「人権」に関しては、「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のためにを参照。政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価では、(2)~(6)の各々の政治的スタンスの代表的な②「国民主権」論を列記したのち、総括する。 ◆2.憲法典の改廃論 憲法典の改廃論 内容 参考ページ (1) 改憲論 ① 保守的改憲論 保守主義的・自由主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 ② 左翼的改憲論 左翼的・全体主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 ③ 中間的改憲論 それほど明確なポリシーがあるわけではない(=保守主義的とも左翼的とも言い難い)が、一応は憲法9条の改正など最低限の提言内容は持つ改憲論 (2) 護憲論 ① 左翼的護憲論1(芦部信喜説準拠) 「人権」「平和」理念を絶対視して、彼らがその理念を体現すると考える現行の憲法典の絶対的維持を訴える論。しかし、■2.で説明したように、芦部説などのベースとなっている法概念理解は実際には単なる左翼イデオロギーの刷り込みでしかなく「自由で寛容な価値多元的な社会を支える憲法構想」としては完全に破綻している。 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) ② 左翼的護憲論2(長谷部恭男説準拠) 自衛隊の存在などは「憲法の変遷」があった(=条文の変化はないが、その解釈が変化したことにより合憲となった)として現状追認する一方で、現行憲法典の条文自体には「世界平和の希求」「人権価値実現の目標プログラム」など将来に向けての積極的価値を認めて、改憲に反対する論 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ③ いわゆる真正護憲論(新無効論) この論の当否についてはネットなどで各自チェックするのが望ましい。一つ指摘事項を書くとすれば、この論のベースとなる法概念理解は、実は芦部信喜に代表される①左翼的護憲論1の法段階説(根本規範・自然法論などを強調するドイツ法学系の法概念理解)と同じ(=左翼的護憲論が「人権」「平和」を絶対視するところを、この論では彼らの考える「国体」を絶対視している、という違いがあるだけ)であり、①左翼的護憲論1と同じく、現代の法学パラダイムから全く落伍した時代遅れの論である、ということである。そのほか、この論には法的議論として様々な無理があり、 一定の法学知識のある層からは全く相手にされていない が、一般向けのプロパガンダとしては中々人気のある論となっている。 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) (3) 破棄論 ① 占領憲法失効・破棄論(菅原裕説が代表的) 主権回復(1952.4.28)直後には一定の説得力と賛同者をもっていた論であったが、現在では最早現実妥当性がない無責任な論である。1950年代前半迄であれば、現行憲法を破棄・失効させ明治憲法を復活させてそのまま運用することは何とかギリギリで可能だったかも知れないが、戦後日本社会の様相を反映した複雑・多様な法制度が整備された現在では、代替案も示せずに「現行憲法を破棄・失効せよ」とだけ強弁するだけでは済まされない。 ◆3.憲法典改正案 ◇1.現在提案されている種々の改憲案 ① 中川八洋草案 保守的改憲案の代表例 ② 日本会議の提言 保守的改憲案の代表例 ③ 産経新聞案(2013年) 「国民の憲法」要綱 ④ 読売新聞案(2004年) 読売新聞社・憲法改正2004年試案 ⑤ 自民党案(2012年) 現行憲法-自民党草案-中川草案(対照表) ⑥ 国立国会図書館編・改憲案一覧(2005年) 主な日本国憲法改正試案及び提言 ◇2.日本国憲法の構成と、保守的スタンスから見た改正の要否 憲法典の構成 保守的スタンスから見た改正の要否、改正内容 前文 抜本的な書換が必要 自虐的文言・空想的国際協調主義などの全面的排除 憲法の基本理念や解釈基準を明記する部分だが、現状は占領軍のポジション・トークに過ぎない部分が目立ち、抜本的な書換が必要である。 本文 (1) 固有規定1 1 第一章(天皇) 要検討 具体的な改正内容は慎重な検討を要する 国の在り方や国政の基本方針を明記する部分だが、文理解釈のままでは実質憲法(国制)とズレが生じるために、現状では相当に苦しい目的論的解釈が必要となっている箇所が多く、大幅な書換が必要である。 2 第ニ章(戦争の放棄) 抜本的な書換が必要 正当な戦力の保持・行使の明記etc. (2) 権利章典 1 第三章(国民の権利及び義務) 小規模な修正 普遍的人権ではなく国民の自由・権利の保障etc. 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 (3) 統治機構 1 第四章(国会) 小規模な修正 参議院の在り方etc. 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 2 第五章(内閣) 内閣権限の強化、国家安全保障の不備対応etc. 3 第六章(司法) 国民審査制度の不備対応etc. 4 第七章(財政) 5 第八章(地方自治) (4) 固有規定2 1 第九章(改正) 要検討 96条の2/3条項については賛否両論あり 要検討。 2 第十章(最高法規) 中規模の修正 人権の過度の強調の排除、最高法規性の定義再検討etc. (5) 経過規定 1 第十一章(補則) - 新たな経過規定が必要 本文ではなく附則とするのが合理的である。 ◇3.改憲案の具体例(自民党・憲法改正草案(2012年版)+中川八洋草案) 1 自民党 憲法改正草案(2012年版) (※中川八洋『 国民の憲法改正 』の指摘事項を付記) 現行憲法-自民党草案-中川草案(対照表) を参照 ■5.ご意見、情報提供 ページ内容向上のためのご意見・情報提供を歓迎します。 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 保守主義的な憲法論・参考サイト http //blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/aa74d73e62cc74859dbc4e4a1a3e1f83 -- 名無しさん (2013-08-04 15 44 52) 憲法は全文変えていいよ。大日本帝国憲法を再発行で。左翼は韓国と中国に強制送還で。 - 匿名 2016-11-23 03 40 17 以下は最新コメント表示 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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危険は形而上学の欺瞞的な性格の中にある。それは、実際には何らの知識をも与えないのに、知識であるかのような幻想を与える。我々が形而上学を排撃する理由はここにある。・・・(中略)・・・哲学の唯一の仕事は論理的分析 logical analysis である。 ~ R. カルナップ(論理実証主義に立つ哲学者集団「ウィーン学団」のリーダー的学者) 要旨■「平和憲法」「占領憲法」などのレッテル貼りに終始するのではなく、①憲法とはそもそも何か(法概念論)、②憲法の保障すべき価値は何か(法価値論)、③そうした価値を如何に実現するか(法学的方法論)、という憲法問題の課題を一つづつ分析し検証していくことが重要である。 ※本ページが難しい方は、日本国憲法改正問題(初級編)を先ずご覧下さい。 <目次> ■1.はじめに◆1.基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学) ◆2.問題状況整理表 ■2.憲法とは何か(法概念論)◆1.憲法(constitution)の定義◇1.実質憲法(国制)と形式憲法(憲法典)の区別 ◇2.法概念論(憲法とは何か)と法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の区別 ◇3.二つの憲法概念から考える国家の在り方(伝統国家・革命国家・新興国家) ◆2.法体系の2つの捉え方◇1.ケルゼンおよび修正自然法論者による法段階説(半世紀前の法学パラダイム) ◇2.ハートによる社会的ルール説(現代の世界標準の法学パラダイム) ■3.憲法の保障すべき価値、理念・目的は何か(法価値論)◆1.法価値(=正義)一般と、「法の支配」◇1.参考ページ ◇2.「正義」「法の支配」まとめ ◆2.「立憲主義」の定義◇1.各論者による説明 ◇2.参考ページ ◆3.憲法に特有の法価値論+法解釈論 - 整理図◇1.参考ページ ■4.そうした価値、理念・目的を如何に実現するか(法学的方法論)◆1.現行憲法典の解釈論◇1.左翼的(全体主義的)解釈vs.保守的(自由主義的)解釈 ◇2.日本の代表的な憲法論 - 内容紹介・評価 ◆2.憲法典の改廃論 ◆3.憲法典改正案◇1.現在提案されている種々の改憲案 ◇2.日本国憲法の構成と、保守的スタンスから見た改正の要否 ◇3.改憲案の具体例(自民党・憲法改正草案(2012年版)+中川八洋草案) ■5.ご意見、情報提供 ■1.はじめに 憲法問題となると、たちまち「平和憲法を守れ」とか「占領憲法を破棄せよ」といった、左右両極端の立場からのイデオロギッシュなアジテーション・罵倒合戦に終始してしまう現象が頻繁に観測される。(※なお、経済問題に関しても類似した現象がしばしば観測される ⇒ ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 参照)。 確かに、現実妥当性に目を瞑って現行憲法典の前文・第9条を厳密に文理解釈すれば、お花畑的な(つまりネガティヴな)意味で「平和憲法」と云えなくもないし、また制定過程を見ればGHQ草案をほぼそのまま翻訳した「占領憲法」と呼ばれるのも致し方ないことではあるが、ここでは、そうした扇動的・プロパガンダ的方向にばかり走り易い言説を避けて、努めて論理的・概念分析的な姿勢を守りつつ憲法問題の整理・解明を目指したい。 そのために、 1 まず、基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学)を区別して、憲法問題の位置づけを明確にし、 2 次に、基礎法学の主要3分野(①法概念論・②法価値論・③法学的方法論)各々について、実用法学の一分野である憲法学(憲法論)の課題を対応させた問題状況整理表を作成し、 3 そして、上流から順に(つまり①法概念論→②法価値論→③法学的方法論の順に)これらの課題を一つづつ分析し整理していく。 ◆1.基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学) きそほうがく【基礎法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より 実用法学に対して、少なくとも直接的には法的な諸事象の純粋に理論的な認識・解明を目的とする法学。理論法学ともいう。基礎医学という用語にならって第二次世界大戦後の日本で使われるようになった。法社会学、法史学、比較法学、法哲学がこれに属する。 じつようほうがく【実用法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より 司法、行政、立法などの実用目的に奉仕する法学。法解釈学と立法学がこれに属する。基礎法学と対置されるが、現代の実用法学は基礎法学の成果を積極的に活用して法の合目的的な形成と運用を図る応用科学としての性格を強めつつある。 ほうかいしゃくがく【法解釈学】 Rechtsdogmatik ※日本語版ブリタニカ百科事典より 解釈法学ともいう。実定法の規範的意味内容を体系的・合理的に解明し、裁判における法の適用に影響を与えることを目的とする実用法学。実定法を構成する文字および文章の多義的な規範的意味内容を明確かつ一義的に確定していく作業が法の解釈であるが、この作業には、①文理解釈、②論理解釈、③縮小解釈、④目的論的解釈、⑤反対解釈、⑥勿論解釈、⑦類推解釈などと呼ばれるものがある。法解釈学は古代ローマで成立して以来、現代まで法学の中心的位置を占めているが、時代の変遷によって力点の変化がみられる。自由法論以後の法解釈学は人間や社会に関する経験科学的認識を取り入れた応用科学としての性格を強めている。第二次世界大戦後の日本の法学界における「法解釈学論争」では、法解釈学の実践的性格が強調された。法解釈学は、その対象となる実定法の分野によって、憲法学、行政法学、刑法学、民法学、商法学、労働法学、国際法学、国際私法学などに分れる。 けんぽうがく【憲法学】 ※広辞苑より 法学の一部門。憲法および憲法上の諸現象を研究の対象とする学問。国法学。 ◆2.問題状況整理表 基礎法学(理論法学)の主要3分野 憲法学(応用法学)の課題 (1) 法概念論(法とは何か) 1 憲法とは何か(憲法の定義) ⇒(a)実質憲法(国制)と、(b)形式憲法(憲法典)、の区別が重要。 2 法体系の中での憲法の位置づけ ⇒①法段階説(主権者意思[命令]説・・・ケルゼン及び修正自然法論者の法理解)と、②社会的ルール説(ハートの法理解であり、ハイエクの自生的秩序論と親和的)、の区別・評価が重要 (2) 法価値論(法の保障すべき価値は何か)※正義論ともいう(*注1)※法理念論、法目的論ともいう 《1》 法価値全般 1 法価値(正義)一般と「法の支配」論 ※法価値論は、専ら、(a)実質憲法(国制)の在り方に関する分野である。⇒①左翼的・全体主義的価値観と、②保守的・自由主義的価値観、の区別・評価が重要。 2 「立憲主義」論 《2》 個別的法価値 1 主権論(憲法は特定の主権者を規定すべきか) ※主権論について詳細ページ⇒政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 2 人権論(憲法の基礎的な保護領域は何か) ※人権論について詳細ページ⇒「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 3 平和論(奴隷の平和か正戦を肯定するか) (3) 法学的方法論(法価値を如何に実現するか) 前提条件 価値論の把握 1 憲法典(形式憲法)の解釈論 ※法学的方法論は、専ら、(b)形式憲法(憲法典)の解釈・運用に関わる分野であり、具体的な条規について(2)法価値論《2》の 1 ~ 3 の課題に対応した法解釈の対立が見られる。⇒①左翼的・全体主義的解釈と、②保守的・自由主義的解釈、の区別・評価が重要。 2 憲法典(形式憲法)の改廃論 ⇒①護憲論、②改憲論、および③破棄論、の比較・評価が重要。 3 憲法典(形式憲法)案の内容評価 ⇒各々の草案について、(2)法価値論《2》の 1 ~ 3 の課題への対応方針に留意しながら個別に評価していくことが重要。 (*注1)法的な価値は、伝統的に「正義(justice)」という言葉で表現されてきたため、法価値論を正義論ともいう。 ■2.憲法とは何か(法概念論) ◆1.憲法(constitution)の定義 ◇1.実質憲法(国制)と形式憲法(憲法典)の区別 けんぽう【憲法】 constitution ※日本語版ブリタニカ百科事典より 憲法の語には、(1)およそ法ないし掟の意味と、(2)国の根本秩序に関する法規範の意味、の2義があり、聖徳太子の「十七条憲法」は(1)前者の例であるが、今日一般には(2)後者の意味で用いられる。 (2)後者の意味での憲法は、凡そ国家のあるところに存在するが(実質憲法)、近代国家の登場とともにかかる法規範を1つの法典(憲法典)として制定することが一般的となり(形式憲法)、しかもフランス人権宣言16条に謳われているように、①国民の権利を保障し、②権力分立制を定める憲法のみを憲法と観念する傾向が生まれた(近代的意味の憲法)。 1 17世紀以降この近代的憲法原理の確立過程は政治闘争の歴史であった。憲法の制定・変革という重大な憲法現象が政治そのものである。比較的安定した憲法体制にあっても、①社会的諸勢力の利害や、②階級の対立は、[1]重大な憲法解釈の対立とともに、[2]政治的・イデオロギー的対立を必然的に伴っている。 従って、憲法は (a) 政治の基本的ルールを定めるものであるとともに、 (b) 社会的諸勢力の経済的・政治的・イデオロギー的闘争によって維持・発展・変革されていく、・・・という二重の構造を持っている。 2 憲法の改正が、通常の立法手続でできるか否かにより、軟性憲法と硬性憲法との区別が生まれるが、今日ではほとんどが硬性憲法である。 近代的意味での成文の硬性憲法は、 ① 国の法規範創設の最終的源である(授権規範性)とともに、 ② 法規範創設を内容的に枠づける(制限規範性)という特性を持ち、かつ ③ 一国の法規範秩序の中で最高の形式的効力を持つ(最高法規性)。 日本国憲法98条1項は、憲法の③最高法規性を明記するが、日本国憲法が硬性憲法である(96条参照)以上当然の帰結である。今日、③最高法規性を確保するため、何らかの形で違憲審査制を導入する国が増えてきている。 なお、憲法は、①制定の権威の所在如何により、欽定・民定・協約・条約(国約)憲法の区別が、②歴史的内容により、ブルジョア憲法と社会主義憲法、あるいは、近代憲法(自由権中心の憲法)と現代憲法(社会権を導入するに至った憲法)といった区別がなされる。 なお、下位規範による憲法規範の簒奪を防止し、憲法の最高法規性を確保することを、憲法の保障という。 (⇒憲法の変動、⇒成文憲法、⇒不文憲法) 上記のように、憲法(constitution)という概念には、 ① 実質的意味の憲法 (=国制、国体法 constititional law) ⇒本質主義(essentialism)による定義 と、 ② 形式的意味の憲法 (=憲法典 constitutional code) ⇒名目主義(nominalism)による定義 の2つのレベルがあり、 両者を区別しつつ総合的に考察していく必要がある。 そして、これに対応して、憲法論にも、 ① 実質的意味の憲法論 (法価値論=憲法の保障すべき価値は何かを考察する価値論であり、それを具体化すると立法論になる) と、 ② 形式的意味の憲法論 (法解釈論=既に成文化された憲法典の解釈論) の2つの段階があり、 この両者もまた確り区別して考察していく必要がある。 ★補足説明★「実質的意味の憲法」「国体法」「国制」 たとえば「民法」という概念には、①実質的意味の民法(=民法典に限らず「総体としての民法 civil law」を指す)と、②形式的意味の民法(=民法典 civil code という具体的な法律)の二つの意味があり、また「刑法」という概念にも同じく、①実質的意味の刑法(criminal law)と、②形式的意味の刑法(=刑法典 criminal code という具体的な法律)の二つの意味がある。これらから類推されるように、当然「憲法」という概念にも、①実質的意味の憲法(constitutional law)と、②形式的意味の憲法(=憲法典 constitutional code という具体的な法律)の二つの意味があり、これらは確りと区別されて論じられるべきであるが、明治期に constitution(英語)ないし Verfassung(ドイツ語)という概念を日本に導入する際に、専ら②形式的意味の憲法(憲法典)という意味で「憲法」という言葉が用いられてしまったために、現在の日本では、憲法とは専ら②憲法典である、とする理解(すなわち、①の意味を見落とした状態での理解)が一般的となってしまっている。 これに関しては、戦前の日本では、①実質的意味の憲法(国制)を意味する言葉として、明治以前から「国体」という用語が普及していたという裏の事情がある。この「国体」という用語は、昭和初期に濫用されて右翼的イデオロギーの色彩を強く帯びてしまったことから、戦後はこの用語の使用自体がタブー視される状態となってしまい、なおさら現在の日本人が、①実質的意味の憲法、を考えることを困難にしている。(※「国体」については⇒国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)参照) こうした①実質的意味の憲法 constitutional law を素直に翻訳すれば「国体法」となるが、ここでは主に、よりイデオロギー色の薄い「国制」という訳語を用いることとする。(※なお、アリストテレス著として伝わる『アテナイ人の国制』の英語版書名は 『The Athenian Constitution』であり、①の意味での constitution の訳語として「国制」が現時点ではやはり一番適切である。) ◇2.法概念論(憲法とは何か)と法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の区別 左派及び右派から、しばしば繰り返される「憲法の定義」として、次のようなものがある。 (1) 憲法とは、政治権力者を拘束し国民を守るための法規範であり、それに反するものは憲法ではない。 (主に左派から) (2) 憲法とは、国の歴史を踏まえた国体を成文化した法規範であり、それに反するものは憲法ではない。 (主に右派から) 確かに、正当な憲法典には、(1)および(2)のそれぞれの要素が認められるべきであるが、結論から先にいえば、それらは、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)のカテゴリーであって、「憲法の定義」すなわち①法概念論(憲法とは何か)のカテゴリーではない。 このようなカテゴリー・ミスを避ける意味でも、当ページで薦めているような、①法概念論⇒②法価値論⇒③法学的方法論、という順序を踏まえた憲法問題の検討が肝要である。 因みに、(1)政治権力者をほとんど拘束できない憲法典や、(2)自国の歴史やこれまでに培ってきた伝統的な国体を全く反映せず、むしろそれらの積極的な破壊を目的とした憲法典も、世界には幾つも存在したし、現在でも存在しており、それらを「憲法と認めない」とするのは単なる個人的な価値観の表明でしかなく、何ら憲法問題の分析・明晰化に役立たない。 それよりも先ずは「憲法」という概念を、 1 実質憲法(国制、国体法)と 2 形式憲法(憲法典)に確り区別して、この両者の関係から、(a)国家の在り方(=伝統国家/革命国家/新興国家)、(b)憲法典の在り方(保守型/革命型/創成型)を考察していく方が遥かに有意義である。 ◇3.二つの憲法概念から考える国家の在り方(伝統国家・革命国家・新興国家) ※サイズが合わない場合は こちら をクリック。 ※■3.- ◆3.の憲法論の二段構造(整理表)で詳述するように、日本国憲法に関しては、 (1) 左翼側(主に憲法学者)は、これを「八月革命」の結果成立した革命型憲法と捉え、戦前の国制を積極的に否定・破壊する方向への解釈・運用を強く要求してきたが、 (2) 保守側(主に日本政府)は、そのようなフィクションを認めず、日本国憲法はあくまで大日本帝国憲法の改正憲法典として成立したものとして保守的解釈・運用を図ってきており、 戦後の日本では、(a)国家の在り方(=伝統国家か革命国家か)、(b)憲法典の在り方(=保守的解釈が正当かそれとも左翼的解釈が正当か)を巡って、左翼側・保守側の激しい対立が継続されてきた。 こうけんてきかいしゃく【公権的解釈】※日本語版ブリタニカ百科事典より 権限のある国家機関によって行われる法の解釈。有権解釈ともいう。これによって解釈が公定されるという点で、法学者や私人の解釈よりも重要な意味をもつ。公権的解釈には、法律によるもの(立法解釈)、行政機関によるもの(行政解釈)、裁判所によるもの(司法解釈)がある。 ※つまり、左翼的な憲法学者がどれほど「これは憲法学界の通説である(例:八月革命は憲法学界の通説であるetc.)」と唱えようと、日本政府がこれまでに表明してきた見解(例:国体は戦前/戦後で一貫しているetc.)が効力を持ったオフィシャルな解釈(=公権的解釈・有権解釈)なのだから、我々が戦後の日本を伝統国家と認め、日本国憲法を保守的に解釈することには正当な理由があるのだが、それ以外にも、下記◆2.に示すように、戦後日本の左翼的憲法学には論理面から致命的な欠陥が指摘可能である。 ◆2.法体系の2つの捉え方 ◇1.ケルゼンおよび修正自然法論者による法段階説(半世紀前の法学パラダイム) ※図が見づらい場合⇒ こちら を参照 ※①宮澤俊義(ケルゼン主義者)・②芦部信喜(修正自然法論者)に代表される戦後日本の左翼的憲法学は「実定法を根拠づける“根本規範”あるいは“自然法”」を仮設ないし想定するところからその理論の総てが始まるが、そのようなア・プリオリ(先験的)な前提から始まる論説は、20世紀後半以降に英米圏で主流となった分析哲学(形而上学的な特定観念の刷り込みに終始するのではなく緻密な概念分析を重視する哲学潮流)を反映した法理学/法哲学(基礎法学)分野では、とっくの昔に排撃されており、日本でも“自然法”を想定する法理学者/法哲学者は最早、笹倉秀夫(丸山眞男門下)など一部の化石化した確信犯的な左翼しか残っていない。このように基礎法学(理論法学)分野でほぼ一掃された論説を、応用法学(実定法学)分野である憲法学で未だに前提として理論を展開し続けるのはナンセンスであるばかりか知的誠実さを疑われても仕方がない行いであり、日本の憲法学の早急な正常化が待たれる。(※なお、近年の左翼憲法論をリードし「護憲派最終防御ライン」と呼ばれている長谷部恭男は、芦部門下であるが、ハートの法概念論を正当と認めて、芦部説にある自然法・根本規範・制憲権といった超越的概念を明確に否定するに至っている。) ◇2.ハートによる社会的ルール説(現代の世界標準の法学パラダイム) ※サイズが画面に合わない場合は こちら 及び こちら をクリック願います。 ※上記のように、ハートの法=社会的ルール説は、現実の法現象について詳細で明晰な分析モデルを提供しており、特定の価値観・政治的イデオロギーに基づく概念ピラミッドに過ぎない法=主権者意思[命令]説の法体系モデルを、その説得力において大幅に凌駕している。 ※上図について、詳細な解説は法と権利の本質に関する2つの考え方へ。 ※このように、①法概念論(憲法とは何か)の段階で、既に左翼的憲法論はハッキリと論理破綻しているのであるが、以下更に、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の段階での 左翼的スタンス vs. 保守的スタンス 両者の憲法に求める価値(理念・目的)を対比して、寛容で価値多元的な自由主義社会を支え得る法価値は保守的スタンスのものであることを説明していく。 ■3.憲法の保障すべき価値、理念・目的は何か(法価値論) → 主として、実質憲法(国制)に関する議論領域 (1) ここでは、まず、法価値(=正義)一般について、それと密接に関連した「法の支配」理念と関連づけて整理・明晰化し、 (2) 次に、「法の支配」理念から発展した「立憲主義」理念について整理・明晰化し、 (3) さらに、憲法に特有の法価値論(①主権論、②人権論、③平和論)について、法解釈論と関連づけて整理・明晰化していく。 ※ポイントは、「正義」概念・「法の支配」理念・「立憲主義」理念や、①主権論・②人権論・③平和論に関しても、自由概念のケース(※リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜参照)と同様に、 1 保守的(自由主義的=価値多元的)スタンスによる理解と、 2 左翼的(全体主義的=価値一元的)スタンスによる理解とが、鋭く対立しているという基本構図を正しく把握することである。 ◆1.法価値(=正義)一般と、「法の支配」 ほうかちろん【法価値論】legal axiology 日本語版ブリタニカ 法的な価値について考察する研究分野。法的な価値は正義という言葉で表現されることが多いから、正義論といってもよい。 古代ギリシア以来、法哲学の主要分野をなしてきたが、最近は、①規範的倫理学と、②分析的倫理学の区別に対応して、①規範的法価値論と②分析的法価値論(メタ法価値論)とが明確に区別されるようになった。 せいぎ【正義】 広辞苑 ① [荀子(正名)]正しいすじみち、人がふみ行うべき正しい道。「-を貫く」 ② [漢書(律暦志上)]正しい意義または注解。「尚書-」 ③ (justice) (ア) 社会全体の幸福を保障する秩序を実現し維持すること。プラトンは国家の各成員がそれぞれの責務を果たし、国家全体として調和があることを正義とし、アリストテレスは能力に応じた公平な分配を正義とした。近代では社会の成員の自由と平等が正義の観念の中心となり、自由主義的民主主義社会は各人の法的な平等を実現した。 これを単に形式的なものと見るマルキシズムは、真の正義は社会主義によって初めて実現されると主張するが、現在ではイデオロギーを超えた正義が模索されている。 (イ) 社会の正義に適った行為をなしうるような個人の徳性。 せいぎ【正義】justice 日本語版ブリタニカ 人間の社会的関係において実現されるべき究極的な価値。 . 善(※注: agothos, bonum, good)と同義に用いられることもあるが、 (1) 善が、主として人間の個人的態度にかかわる道徳的な価値を指すのに対して、 (2) 正義は、人間の対他的関係の規律にかかわる法的な価値を指す。 . 正義とは何か、という問題については、古来さまざまな解答が示されてきたが、一般的な価値ないし価値基準に関する見解と同様に 1 正義を客観的な実在と考える客観主義的・絶対主義的正義論と、 2 正義を主観的な確信と考える主観主義的・相対主義的正義論とに大別できよう。 法思想の領域では、だいたいにおいて、自然法論が 1 前者に、法実証主義が 2 後者に、属する。 . 従来の正義論のうちでは、アリストテレスやキケロの見解が名高く、与えた影響も大きい。 (ア) アリストテレスは、道徳と区別される正義(特殊的正義)について、①配分的正義と、②交換的正義(平均的正義、調整的正義とも訳される)とを区別し、 ① 前者は、公民としての各人の価値・功績に応じて、名誉や財貨を配分することにおいて成立し、 ② 後者は、私人としての各人の相互交渉から生じる利害を平均・調整することにおいて成立する、とした。 (イ) キケロは、この①配分的正義と同様な内容を、「各人に彼のものを」という公式で表現した。 ほう-の-しはい【法の支配】 (rule of law) 広辞苑 イギリスの法律家コークが、国王は神と法の下にあるべきである、として、ジェームズ1世の王権を抑制して以来、「人の支配」に対抗して認められるようになった近代の政治原理。コークのいう法は、イギリスの判例法で、立法権をも抑制する点で、法治主義とは異なるが、後に法治主義と同義に用いることもある。 政治思想・政治哲学の根本的価値が「自由(freedom/liberty)」という言葉で表現されるように、 法思想・法哲学の根本的価値は「正義(justice)」という言葉で伝統的に表現されてきた。 ここで「正義」概念を概括するとともに「法の支配」理念との関係についても整理する。 ※サイズが合わない場合は こちら をクリック。 この「正義」概念に基く法理念・法思想を、一般に「法の支配(rule of law)」と呼んでいる。 ここで「法の支配」理念について整理する。 ※サイズが合わない場合は こちら をクリック。 ◇1.参考ページ 法価値論(正義論)まとめページ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 「法の支配」理念のまとめページ 「法の支配(rule of law)」とは何か 「自由」概念のまとめページ リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ◇2.「正義」「法の支配」まとめ 以上のように、「正義」概念・「法の支配」理念に関して、主に形式的・手続的正義論に依拠する 1 保守的スタンスによる理解と、実質的正義論に依拠する 2 左翼的スタンスによる理解が対立するが、1960年代以降、英米圏で主流となっている理解は明らかに 1 の側であり、それを反映して、元々は故・芦部信喜教授の門下であった長谷部恭男・東大法学部教授は近年、ドイツ法学に由来する師の論を完全に否定する次のような見解を打ち出すに至っている。 長谷部恭男『 法とは何か 』(2011年刊) p.148-9 法の支配という概念もいろいろな意味で使われます。ときには、人権の保障や民主主義の実現など、あるべき政治体制が備えるべき徳目のすべてを意味する理念として用いられることもありますが、こうした濃厚な意味合いで使ってしまうと、「法の支配」を独立の議論の対象とする意味が失われます。 法の支配は人の支配と対比されます。ある特定の人(々)の恣意的な支配ではなく、法に則った支配が存在するためには、そこで言う「法」が人々の従うことの可能な法でなければなりません。そのために法が満たすべき条件として、次のようないくつかの条件が挙げられてきました。・・・(中略)・・・。こうした、法の公開性、明確性、一般性、安定性、無矛盾性、不遡及性、実行可能性などの要請が、法の支配の要請と言われるものです。 日本の憲法の教科書類を見ると、「法の支配」の名の下に、人権の保障や民主主義、権力分立など、望ましい政治体制が備えるべきあらゆる徳目が並べられていることが少なくありません。しかし、ここまで濃厚な意味で「法の支配」を理解してしまうと、法の支配を独立して検討の対象とする意味はほとんどないように思われます。・・・(中略)・・・。こうした「法の支配」ということばの使い方の背景には、善いことである以上は、そのすべてが予定調和して100パーセント実現できるはずだというバラ色の想定があるのではないでしょうか。私としては・・・限定的な意味での「法の支配」を議論の対象とする方が、学問のあり方としても生産的だし、こうした意味を前提としてもっぱら議論をしている諸外国の研究者と議論するときも、誤解が少なくて善いのではないかと考えます。 ⇒長谷部教授は憲法改正に反対する護憲論者であるが、こうした左派の憲法学者であっても、英米圏でとっくの昔に標準となった法学パラダイム(ハートの法=社会的ルール説)に基づく憲法論議に追いついていこうとするだけの学問的誠実さのある者は、「正義」概念・「法の支配」理念に関しては既に 1 保守的(自由主義的=価値多元的)スタンスによる理解が正解であることをはっきりと認めている。 これに対して、故・芦部信喜教授の憲法論の継承者である高橋和之教授を初めとする多くの左派憲法学者は残念ながら、未だに半世紀以上前(1961年のH.L.A.ハート『法の概念』刊行以前)のドイツ法学系パラダイム(法段階説・法=主権者意思説)に依拠する日本ローカルの憲法学の殻に閉じ籠ったままであるが、こうしたガラパゴス状態も長谷部教授などの貢献により今後は徐々に正常化に向かっていくものと思われる。 ※以下、「法の支配」理念から発展した「立憲主義」理念について整理します。 ◆2.「立憲主義」の定義 日本の憲法の教科書では「法の支配」の名の下に“人権の保障や民主主義、権力分立など、望ましい政治体制が備えるべきあらゆる徳目が並べられている”という上記の長谷部教授の批判は、「立憲主義」に関してもそっくりそのまま当て嵌まる。 ⇒「法の支配」の意味を限定すべきであるのと同様に、「立憲主義」という言葉の意味も限定すべきである(すなわち、下記の阪本昌成氏や長谷部恭男氏の論が正解となる)。 ◇1.各論者による説明 政治的スタンス 論者 内容 (1) 保守主義 百地章 「立憲主義とは、国家の統治が憲法にもとづいて行われることである。」(『憲法の常識 常識の憲法』p.32) (2) リベラル右派 阪本昌成 (1) 立憲主義の意義先の [1] で私は、《統治とは、国家機関を通して為す、一元的・統一的な権力支配だ》と述べた。統治は、限られたリソースを巡る利害の対立を調整しながら、その配分のあり方を権力的に決定する恒常的かつ永続的な国家作用である。この権力的、永続的な統治活動の牙を抜いて正当な枠に閉じ込めようとするにが、規範的意味での国制の役割である。統治を、流動的で恣意的な政治に委ねることなく、国制のもとに規律し安定化させる思考を「立憲主義 constitutionalism」という。近代国家が規範的意味での国制によって統制されるに至った段階のものは、「近代立憲主義国家」といわれる。これは、国家という強制の機構から各人の「自由」を擁護する、統治上のルールとしての憲法をもっている国家のことである。(『憲法1 国制クラシック』p.26) (2) 立憲主義の展開(中略)自然権の保全と権力分立という二つの要素を憲法の必須要素だと明言したのが、フランス人権宣言16条の「権利の保障が確保されておらず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法を持たない」という有名なフレーズである。この二つの要素を満たす憲法を「立憲主義的憲法」と一般にいわれることがある。つまり、《憲法とは、人権宣言と権力分立を含む成文の法文章だ》、 《この法文章は、国家樹立の際の社会契約および憲法協約を成文化したものであるから、主権者をも統制する法力をもっている》という思想である。 今日、立憲主義を想起する場合、人々の脳裏に浮かぶのは、一般にこのタイプである。が、フランス人権宣言とその16条は近代立憲主義のモデルではなく、「このタイプだ」と簡単に片付けることは正確でない。フランス的立憲主義とアメリカ的立憲主義は、憲法に関する見方を大きく異にしているのだ。 〔D〕近代立憲主義の枝分かれフランス型は、憲法をあるべき国家の最適モデルに適合させようとする理論に従って設計しようとした。なかでも、憲法を制定する力を民主的に創造するための人為的理論が最重要視された。これが、後の [39] でふれる憲法制定権力の理論である。人権も、まったく新たに創設され、最適規範に相応しい内容を人為的に持たされた。人権は、人が精神的にも物質的にも、あるべき姿となるための規範だった。こうした憲法のモデルが理論通りには運ばないと判明したときには、また別の理論に従って人為的に憲法が制定された。フランスの憲法は、何度も何度も制定されては軌道修正された。そして、結局のところ、自由の構成(constitution)に失敗したのだった。これに対してアメリカ型は、経験と伝統とを基礎とする憲法制定の道を辿った。理論的な最適規範を設計したところで、上手く定着することはない、と建国の父たちは知り尽くしていた。それと同時に、憲法制定会議を頻繁に開設して討議を繰り返すと、統治力学の振り子が大きく揺れ過ぎることも予知していた。建国の父たちは、モンテスキューが理想としていた「中庸な統治体制=混合政体」から多くを学んだ(合衆国憲法はJ. ロック(1632~1704年)の影響を受けて制定された、といわれることがあるが、これは誤診だと私は考えている)。合衆国憲法が、House of the Senates(通常、「上院」と訳される元老院=貴族政的要素+連邦制)と House of the Representatives(通常、「下院」と訳される庶民院=民主政的要素)という権力分立、さらには、大統領という「民主化された君主」を置いたのは、そのためだった。また、アメリカ建国の父たちは、人間の理性・知性の限界を知っていた。人間は、有徳の存在ではなく、権力欲に満ちており、私利を追求するにあたって公共の利益を口にすること等々を建国の父たちは知っていた。合衆国憲法は、人権保障にあたっても、“自然権を実定化する”とは考えなかった。権利章典(Bill of rights)は、歴史的・経験的に徐々に姿を現してきた人の権利を確認するものだった(*注1)。 (*注1) アメリカ合衆国憲法における権利章典について 合衆国憲法にみられる「個人の自由と権利」は、自然権思想の影響をさほど受けてはいない。そこでのカタログは、歴史的にそれまで存在してきた権益を確認したものである。『憲法2 基本権クラシック』 11頁を参照願う。 (3) 立憲主義のふたつのモデル - 法の支配か民主主義か以上のように、一言で「近代立憲主義」という場合でも、一方には純粋理論型または超越型があり、他方には経験型・伝統重視型がある。見方を換えていえば、フランス型は 民意を統治過程に統合するなかで同時に自由を作り出すための憲法構造を理論的に追究したのに対して、アメリカ型は 多元的な民意を統治過程に多元的に反映させる憲法構造を伝統のなかから発見しようとしたのだった。アメリカ型立憲主義は、《個人の権利自由を擁護するための制度的装置として権力分立制を用意する》とよくいわれる。他方、憲法の民主化を重視するフランスにあっては、議会に反映される一般意思のもとに行政と司法を置くことが、その眼目であると考えられた。J. ルソー(1712~1778年)の影響だろう。そのために、議会中心の統治が理想とされた。これに対して、合衆国憲法は、モンテスキューの理論モデルを参考としながら、民主主義を万能としない権力分立制を導入した。アメリカ憲法は、「立憲主義=法の支配=権力分立」という等式を基礎として制定されたのである。 立憲主義のモデルをアメリカに求める人物は、《立憲主義とは、法の支配と同義であり、それは民主主義の行き過ぎに歯止めをかける思想でもある》と考える傾向にある。これに対して、立憲主義モデルをフランスに求める人は、「立憲民主主義」という言葉を多用する傾向がある。後者は、「立憲」の中に権力分立と人権尊重の精神を含め、「民主主義」の中に、「国民主権」と議会政を含めているようである(民主主義の中に人権尊重を忍び込ませる論者もいる)。が、それらの一貫した関連性をそこに見て取ることは困難であるように私にはみえる(自由主義と民主主義との異同については、後の [26] でふれる)。 私は、《立憲主義とは、誰が主権者であっても、また、統治権がいかに民主的に発動されている場合であっても、主権者の意思または民主的意思を法のもとに置こうとする思想だ》と考えている。 本書が「立憲民主主義」という言葉を決して用いないのは、そのためである。(『憲法1 国制クラシック』p.31) (3) リベラル左派 長谷部恭男 近代以降の立憲主義とそれ以前の立憲主義との間には大きな断絶がある。近代立憲主義は、価値観・世界観の多元性を前提とし、さまざまな価値観・世界観を抱く人々の公平な共存をはかることを目的とする。それ以前の立憲主義は、価値観・世界観の多元性を前提としていない。むしろ、人としての正しい生き方はただ一つ、教会の教えるそれに決まっているという前提をとっていた。正しい価値観・世界観が決まっている以上、公と私を区別する必要もなければ、信仰の自由や思想の自由を認める必要もない。(長谷部恭男『憲法とは何か』p.69) ・・・近代ヨーロッパで立憲主義が成立する経験においては、宗教戦争や大航海を通じて、この世には比較不能な多様な価値観が存在すること、そして、そうした多様な価値観を抱く人々が、それにもかかえわらず公平に社会生活の便宜とコストを分かち合う社会の枠組みを構築しなければならないこと、これらが人々の共通の認識となっていったことが決定的な意味を持っている。立憲主義を理解する際には、…制度的な徴表のみにとらわれず、多様な価値観の公平な共存という、その背後にある目的に着目する必要がある。(長谷部恭男『憲法とは何か』p.71) ヨーロッパでの成立の経緯に照らしてみればわかるように、立憲主義は、多様な価値観を抱く人々が、それでも協働して、社会生活の便益とコストを公正に分かち合って生きるために必要な、基本的枠組みを定める理念である。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.178) そのためには、生活領域を公と私とに人為的に区別すること、社会全体の利益を考える公の領域には、自分が一番大切だと考える価値観は持ち込まないよう、自制することが求められる。・・・そうした自制がないかぎり、比較不能な価値観の対立は、「万人の万人に対する闘争」を引き起こす。・・・(中略)・・・。立憲主義はたしかに西欧起源の思想である。しかし、それは、多様な価値観の公正な共存を目指そうとするかぎり、地域や民族にかかわりなく、頼らざるをえない考え方である。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.178) 立憲主義にもとづく憲法・・・は、人の生きるべき道や、善い生き方について教えてくれるわけではない。それは、個々人が自ら考え、選びとるべきものである。憲法が教えるのは、多様な生き方が世の中にあるとき、どうすれば、それらの間の平和な共存関係を保つことができるかである。憲法は宗教の代わりにはならない。「人権」や「個人の尊重」もそうである。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.179) 立憲主義は現実を見るように要求する。世の中には、あなたと違う価値観を持ち、それをとても大切にして生きている人がたくさんいるのだという現実を見るように要求する。このため、立憲主義と両立しうる平和主義にも、おのずと限度がある。現実の世界でどれほど平和の実現に貢献することになるかにかかわりなく、ともかく軍備を放棄せよという考え方は、「善き生き方」を教える信仰ではありえても、立憲主義と両立しうる平和主義ではない。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.179) 「立憲主義ということばには、広狭二通りの意味がある。本書で「立憲主義」ということばが使われるときに言及されているのは、このうち狭い意味の立憲主義である。広義の立憲主義とは、政治権力あるいは国家権力を制限する思考あるいは仕組みを一般的に指す。「人の支配」ではなく「法の支配」という考え方は広義の立憲主義に含まれる。古代ギリシャや中世ヨーロッパにも立憲主義があったといわれる際に言及されているのも広義の立憲主義である。他方、狭義では、立憲主義は、近代国家の権力を制約する思想あるいは仕組みを指す。この意味の立憲主義は近代立憲主義ともいわれ、私的・社会的領域と公的・政治的領域との区別を前提として、個人の自由と公共的な政治の審議と決定とを両立させようとする考え方と密接に結びつく。二つの領域の区分は、古代や中世のヨーロッパでは知られていなかったものである。」(『憲法とは何か』p.68) (4) 左翼 芦部信喜 ※芦部は「近代立憲主義(あるいは現代立憲主義)は~という性質を持っている」とその属性を述べるものの、「立憲主義とは何か」という肝心の概念論・理念論に関しては慎重に口を閉ざしている。これは芦部の憲法論が英米圏で主流となっている「立憲主義」や「法の支配」の概念・理念理解とは実は無縁の古いドイツ系法学に依拠していることに原因がある。⇒芦部の後継者である高橋和之も同様。 (5) 中間 佐藤幸治 ※佐藤も芦部と同様に、「近代立憲主義」と「現代立憲主義」を対比して言及するものの、立憲主義そのものの概念・理念の説明はない。つまり芦部や佐藤の世代ではベースがまだドイツ系法学であったために、英米系の「立憲主義」「法の支配」といった概念・理念を英米圏の用法の通りに消化できていないのである。 ◇2.参考ページ 「立憲主義」理念のまとめページ 立憲主義とは何か ※以上で法価値全般に関わる事項の説明を終わり、憲法に特有の法価値に関する検討に移ります。 ◆3.憲法に特有の法価値論+法解釈論 - 整理図 ※サイズが合わない場合は こちら をクリック ◇1.参考ページ 「法の支配」と国民主権の関係 リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 国民の権利・自由と人権の関係 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 芦部信喜・佐藤幸治・阪本昌成・中川八洋etc.の「国民主権論」比較と評価 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 関連用語集 【用語集】主権論・国民主権等 ※このように、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の段階で、(1)左翼的スタンスによる理解と(2)保守的スタンスによる理解とが激しく対立するが、 寛容で自由な価値多元的な社会を保障するのは、二つの自由論の場合と同じく、(2)保守的スタンスによる理解の方である。 ※なお、ここで一つ留意事項として、上図には表記がないが、(1)(2)の他にもう一つ、(3)右翼的スタンスによる理解というものが想定可能である。この(3)右翼的スタンスは、(1)左翼的スタンスの場合と同じく全体主義的であって、寛容で自由な社会に相応しくない理解である。(この(3)右翼的スタンスと(2)保守的スタンスとの区別は、■4.-◆1.-◇2.の中段で図解する) ■4.そうした価値、理念・目的を如何に実現するか(法学的方法論) → 主として、形式憲法(憲法典)に関する議論領域 ◆1.現行憲法典の解釈論 ◇1.左翼的(全体主義的)解釈vs.保守的(自由主義的)解釈 ※■3.- ◆3.の 整理表下段(形式的憲法論の欄) を参照 ◇2.日本の代表的な憲法論 - 内容紹介・評価 日本の様々な憲法論を政治的スタンスに当て嵌めて概括すると下表のようになる。 ※サイズが画面に合わない場合は こちら をクリック願います。 政治的スタンス 代表的論者 ベースとなる思想家/思想 補足説明 詳細内容 (1) 極左 伊藤真など護憲論者 J.-J.ルソーの社会契約論からさらに、アトム的個人主義と集産主義の結合形態(=左翼的全体主義)※説明に接近 「人権」「平和」を過度に強調し絶対視する共産党・社民党・民主党左派系の法曹に多い憲法論でありイデオロギー色が濃く法理論というよりは左翼思想のプロパガンダである(左の全体主義) (2) 左翼 芦部信喜高橋和之 修正自然法論(法=主権者意思[命令]説に自然法を折衷)+J.-J.ルソーの社会契約論 宮沢俊義→芦部信喜と続く戦後日本の憲法学の最有力説であり通説※宮沢は有名なケルゼニアン(ケルゼン主義者)。芦部は自然法論者だが人権保障をア・プリオリ(先験的)な「根本規範」と位置づけており、その表面的な米国判例理論の紹介はポーズに過ぎず、実際には依然ケルゼン/ラートブルフ等ドイツ系法学の影響が強い よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) (3) リベラル左派 長谷部恭男 H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)を一部独自解釈※なお長谷部は社会契約論に依拠しているのか曖昧でハートの法概念論と辻褄が合うはずのハイエクの自由論は故意に無視している 近年の左派系憲法論(護憲論)をリードしている長谷部は芦部門下であるが、師のようなドイツ系法学パラダイムはもはや世界の憲法学の潮流からは通用しないことを認識しており、師の憲法論の中核である、①根本規範を頂点とした法段階説+②制憲権(憲法制定権力)説、を明確に否定して、英米系法学パラダイムへの接近を図っている。(※但しハートまでは受容しながらもハイエクを拒否している長谷部の憲法論は中途半端の誹りを免れず、これを一通り学んだ後は、より整合性のとれた阪本昌成の憲法論へと進むべきである) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) (4) 中間 佐藤幸治 人格的自律権に限定して自然法を認める独自説+J.ロックの社会契約論 芦部説の次に有力な憲法論であり、芦部説よりも現実妥当性が高いので重宝されるが(佐藤は佐々木惣一から大石義雄へと続く京都学派憲法学の系統)、法理論としては妥協的でチグハグと呼ばざるを得ない 佐藤幸治『憲法 第三版』抜粋 (5) リベラル右派 阪本昌成、※ H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)+F.A.ハイエクの自由論 20世紀後半以降の分析哲学の発展を反映した英米法理論に基礎を置く憲法論であり、法理論としての完成度/説得力が最も高いが、日本では残念ながら非常に少数派 阪本昌成『憲法1 国制クラシック』 (6) 保守主義 中川八洋日本会議 E.コークの「法の支配」論+E.バークの国体論 日本会議・チャンネル桜系の憲法論も基本的にこちらに該当する。法理論というより「国民の常識」論であり、心情面からの説得力が高いが、(5)の法理論を一通り押えた上でこの立場を取らないと、いつの間にか(7)に堕する危険があるので注意。 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 (7) 右翼・極右 いわゆる無効論者 ヘーゲルの法概念論・共同体論およびそれに類似した全体主義的論調 「伝統」「国体」などを過度に強調し絶対視して「右の全体主義」化した憲法論(左翼憲法論の裏返しであり、左翼からの転向者が嵌り易い。法理論というより右翼イデオロギーのプロパガンダ色が濃い) ※政治的スタンス5分類・8分類+円環図 -... ※サイズが合わない場合は こちら をクリック ⇒上図の詳しい説明は、政治の基礎知識、政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 参照。 政治的スタンス毎の憲法論の違いは、①「人権」と②「国民主権」の捉え方に顕著に現れる。このうち、①「人権」に関しては、「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のためにを参照。政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価では、(2)~(6)の各々の政治的スタンスの代表的な②「国民主権」論を列記したのち、総括する。 ◆2.憲法典の改廃論 憲法典の改廃論 内容 参考ページ (1) 改憲論 ① 保守的改憲論 保守主義的・自由主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 ② 左翼的改憲論 左翼的・全体主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 ③ 中間的改憲論 それほど明確なポリシーがあるわけではない(=保守主義的とも左翼的とも言い難い)が、一応は憲法9条の改正など最低限の提言内容は持つ改憲論 (2) 護憲論 ① 左翼的護憲論1(芦部信喜説準拠) 「人権」「平和」理念を絶対視して、彼らがその理念を体現すると考える現行の憲法典の絶対的維持を訴える論。しかし、■2.で説明したように、芦部説などのベースとなっている法概念理解は実際には単なる左翼イデオロギーの刷り込みでしかなく「自由で寛容な価値多元的な社会を支える憲法構想」としては完全に破綻している。 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) ② 左翼的護憲論2(長谷部恭男説準拠) 自衛隊の存在などは「憲法の変遷」があった(=条文の変化はないが、その解釈が変化したことにより合憲となった)として現状追認する一方で、現行憲法典の条文自体には「世界平和の希求」「人権価値実現の目標プログラム」など将来に向けての積極的価値を認めて、改憲に反対する論 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ③ いわゆる真正護憲論(新無効論) この論の当否についてはネットなどで各自チェックするのが望ましい。一つ指摘事項を書くとすれば、この論のベースとなる法概念理解は、実は芦部信喜に代表される①左翼的護憲論1の法段階説(根本規範・自然法論などを強調するドイツ法学系の法概念理解)と同じ(=左翼的護憲論が「人権」「平和」を絶対視するところを、この論では彼らの考える「国体」を絶対視している、という違いがあるだけ)であり、①左翼的護憲論1と同じく、現代の法学パラダイムから全く落伍した時代遅れの論である、ということである。そのほか、この論には法的議論として様々な無理があり、 一定の法学知識のある層からは全く相手にされていない が、一般向けのプロパガンダとしては中々人気のある論となっている。 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) (3) 破棄論 ① 占領憲法失効・破棄論(菅原裕説が代表的) 主権回復(1952.4.28)直後には一定の説得力と賛同者をもっていた論であったが、現在では最早現実妥当性がない無責任な論である。1950年代前半迄であれば、現行憲法を破棄・失効させ明治憲法を復活させてそのまま運用することは何とかギリギリで可能だったかも知れないが、戦後日本社会の様相を反映した複雑・多様な法制度が整備された現在では、代替案も示せずに「現行憲法を破棄・失効せよ」とだけ強弁するだけでは済まされない。 ◆3.憲法典改正案 ◇1.現在提案されている種々の改憲案 ① 中川八洋草案 保守的改憲案の代表例 ② 日本会議の提言 保守的改憲案の代表例 ③ 産経新聞案(2013年) 「国民の憲法」要綱 ④ 読売新聞案(2004年) 読売新聞社・憲法改正2004年試案 ⑤ 自民党案(2012年) 現行憲法-自民党草案-中川草案(対照表) ⑥ 国立国会図書館編・改憲案一覧(2005年) 主な日本国憲法改正試案及び提言 ◇2.日本国憲法の構成と、保守的スタンスから見た改正の要否 憲法典の構成 保守的スタンスから見た改正の要否、改正内容 前文 抜本的な書換が必要 自虐的文言・空想的国際協調主義などの全面的排除 憲法の基本理念や解釈基準を明記する部分だが、現状は占領軍のポジション・トークに過ぎない部分が目立ち、抜本的な書換が必要である。 本文 (1) 固有規定1 1 第一章(天皇) 要検討 具体的な改正内容は慎重な検討を要する 国の在り方や国政の基本方針を明記する部分だが、文理解釈のままでは実質憲法(国制)とズレが生じるために、現状では相当に苦しい目的論的解釈が必要となっている箇所が多く、大幅な書換が必要である。 2 第ニ章(戦争の放棄) 抜本的な書換が必要 正当な戦力の保持・行使の明記etc. (2) 権利章典 1 第三章(国民の権利及び義務) 小規模な修正 普遍的人権ではなく国民の自由・権利の保障etc. 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 (3) 統治機構 1 第四章(国会) 小規模な修正 参議院の在り方etc. 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 2 第五章(内閣) 内閣権限の強化、国家安全保障の不備対応etc. 3 第六章(司法) 国民審査制度の不備対応etc. 4 第七章(財政) 5 第八章(地方自治) (4) 固有規定2 1 第九章(改正) 要検討 96条の2/3条項については賛否両論あり 要検討。 2 第十章(最高法規) 中規模の修正 人権の過度の強調の排除、最高法規性の定義再検討etc. (5) 経過規定 1 第十一章(補則) - 新たな経過規定が必要 本文ではなく附則とするのが合理的である。 ◇3.改憲案の具体例(自民党・憲法改正草案(2012年版)+中川八洋草案) 1 自民党 憲法改正草案(2012年版) (※中川八洋『 国民の憲法改正 』の指摘事項を付記) 現行憲法-自民党草案-中川草案(対照表) を参照 ■5.ご意見、情報提供 ページ内容向上のためのご意見・情報提供を歓迎します。 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 保守主義的な憲法論・参考サイト http //blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/aa74d73e62cc74859dbc4e4a1a3e1f83 -- 名無しさん (2013-08-04 15 44 52) 憲法は全文変えていいよ。大日本帝国憲法を再発行で。左翼は韓国と中国に強制送還で。 - 匿名 2016-11-23 03 40 17 以下は最新コメント表示 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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危険は形而上学の欺瞞的な性格の中にある。それは、実際には何らの知識をも与えないのに、知識であるかのような幻想を与える。我々が形而上学を排撃する理由はここにある。・・・(中略)・・・哲学の唯一の仕事は論理的分析 logical analysis である。 ~ R. カルナップ(論理実証主義に立つ哲学者集団「ウィーン学団」のリーダー的学者) 要旨■「平和憲法」「占領憲法」などのレッテル貼りに終始するのではなく、①憲法とはそもそも何か(法概念論)、②憲法の保障すべき価値は何か(法価値論)、③そうした価値を如何に実現するか(法学的方法論)、という憲法問題の課題を一つづつ分析し検証していくことが重要である。 ※本ページが難しい方は、日本国憲法改正問題(初級編)をご覧下さい。 <目次> ■1.はじめに◆1.基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学) ◆2.問題状況整理表 ■2.憲法とは何か(法概念論)◆1.憲法(constitution)の定義◇1.実質憲法(国制)と形式憲法(憲法典)の区別 ◇2.法概念論(憲法とは何か)と法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の区別 ◇3.二つの憲法概念から考える国家の在り方(伝統国家・革命国家・新興国家) ◆2.法体系の2つの捉え方◇1.ケルゼンおよび修正自然法論者による法段階説(半世紀前の法学パラダイム) ◇2.ハートによる社会的ルール説(現代の世界標準の法学パラダイム) ■3.憲法の保障すべき価値、理念・目的は何か(法価値論)◆1.法価値(=正義)一般と、「法の支配」◇1.参考ページ ◇2.「正義」「法の支配」まとめ ◆2.「立憲主義」の定義◇1.各論者による説明 ◇2.参考ページ ◆3.憲法に特有の法価値論+法解釈論 - 整理図◇1.参考ページ ■4.そうした価値、理念・目的を如何に実現するか(法学的方法論)◆1.現行憲法典の解釈論◇1.左翼的(全体主義的)解釈vs.保守的(自由主義的)解釈 ◇2.日本の代表的な憲法論 - 内容紹介・評価 ◆2.憲法典の改廃論 ◆3.憲法典改正案◇1.現在提案されている種々の改憲案 ◇2.日本国憲法の構成と、保守的スタンスから見た改正の要否 ◇3.改憲案の具体例(自民党・憲法改正草案(2012年版)+中川八洋草案) ■5.ご意見、情報提供 ■1.はじめに 憲法問題となると、たちまち「平和憲法を守れ」とか「占領憲法を破棄せよ」といった、左右両極端の立場からのイデオロギッシュなアジテーション・罵倒合戦に終始してしまう現象が頻繁に観測される。(※なお、経済問題に関しても類似した現象がしばしば観測される ⇒ ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 参照)。 確かに、現実妥当性に目を瞑って現行憲法典の前文・第9条を厳密に文理解釈すれば、お花畑的な(つまりネガティヴな)意味で「平和憲法」と云えなくもないし、また制定過程を見ればGHQ草案をほぼそのまま翻訳した「占領憲法」と呼ばれるのも致し方ないことではあるが、ここでは、そうした扇動的・プロパガンダ的方向にばかり走り易い言説を避けて、努めて論理的・概念分析的な姿勢を守りつつ憲法問題の整理・解明を目指したい。 そのために、 1 まず、基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学)を区別して、憲法問題の位置づけを明確にし、 2 次に、基礎法学の主要3分野(①法概念論・②法価値論・③法学的方法論)各々について、実用法学の一分野である憲法学(憲法論)の課題を対応させた問題状況整理表を作成し、 3 そして、上流から順に(つまり①法概念論→②法価値論→③法学的方法論の順に)これらの課題を一つづつ分析し整理していく。 ◆1.基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学) きそほうがく【基礎法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より 実用法学に対して、少なくとも直接的には法的な諸事象の純粋に理論的な認識・解明を目的とする法学。理論法学ともいう。基礎医学という用語にならって第二次世界大戦後の日本で使われるようになった。法社会学、法史学、比較法学、法哲学がこれに属する。 じつようほうがく【実用法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より 司法、行政、立法などの実用目的に奉仕する法学。法解釈学と立法学がこれに属する。基礎法学と対置されるが、現代の実用法学は基礎法学の成果を積極的に活用して法の合目的的な形成と運用を図る応用科学としての性格を強めつつある。 ほうかいしゃくがく【法解釈学】 Rechtsdogmatik ※日本語版ブリタニカ百科事典より 解釈法学ともいう。実定法の規範的意味内容を体系的・合理的に解明し、裁判における法の適用に影響を与えることを目的とする実用法学。実定法を構成する文字および文章の多義的な規範的意味内容を明確かつ一義的に確定していく作業が法の解釈であるが、この作業には、①文理解釈、②論理解釈、③縮小解釈、④目的論的解釈、⑤反対解釈、⑥勿論解釈、⑦類推解釈などと呼ばれるものがある。法解釈学は古代ローマで成立して以来、現代まで法学の中心的位置を占めているが、時代の変遷によって力点の変化がみられる。自由法論以後の法解釈学は人間や社会に関する経験科学的認識を取り入れた応用科学としての性格を強めている。第二次世界大戦後の日本の法学界における「法解釈学論争」では、法解釈学の実践的性格が強調された。法解釈学は、その対象となる実定法の分野によって、憲法学、行政法学、刑法学、民法学、商法学、労働法学、国際法学、国際私法学などに分れる。 けんぽうがく【憲法学】 ※広辞苑より 法学の一部門。憲法および憲法上の諸現象を研究の対象とする学問。国法学。 ◆2.問題状況整理表 基礎法学(理論法学)の主要3分野 憲法学(応用法学)の課題 (1) 法概念論(法とは何か) 1 憲法とは何か(憲法の定義) ⇒(a)実質憲法(国制)と、(b)形式憲法(憲法典)、の区別が重要。 2 法体系の中での憲法の位置づけ ⇒①法段階説(主権者意思[命令]説・・・ケルゼン及び修正自然法論者の法理解)と、②社会的ルール説(ハートの法理解であり、ハイエクの自生的秩序論と親和的)、の区別・評価が重要 (2) 法価値論(法の保障すべき価値は何か)※正義論ともいう(*注1)※法理念論、法目的論ともいう 《1》 法価値全般 1 法価値(正義)一般と「法の支配」論 ※法価値論は、専ら、(a)実質憲法(国制)の在り方に関する分野である。⇒①左翼的・全体主義的価値観と、②保守的・自由主義的価値観、の区別・評価が重要。 2 「立憲主義」論 《2》 個別的法価値 1 主権論(憲法は特定の主権者を規定すべきか) ※主権論について詳細ページ⇒政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 2 人権論(憲法の基礎的な保護領域は何か) ※人権論について詳細ページ⇒「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 3 平和論(奴隷の平和か正戦を肯定するか) (3) 法学的方法論(法価値を如何に実現するか) 前提条件 価値論の把握 1 憲法典(形式憲法)の解釈論 ※法学的方法論は、専ら、(b)形式憲法(憲法典)の解釈・運用に関わる分野であり、具体的な条規について(2)法価値論《2》の 1 ~ 3 の課題に対応した法解釈の対立が見られる。⇒①左翼的・全体主義的解釈と、②保守的・自由主義的解釈、の区別・評価が重要。 2 憲法典(形式憲法)の改廃論 ⇒①護憲論、②改憲論、および③破棄論、の比較・評価が重要。 3 憲法典(形式憲法)案の内容評価 ⇒各々の草案について、(2)法価値論《2》の 1 ~ 3 の課題への対応方針に留意しながら個別に評価していくことが重要。 (*注1)法的な価値は、伝統的に「正義(justice)」という言葉で表現されてきたため、法価値論を正義論ともいう。 ■2.憲法とは何か(法概念論) ◆1.憲法(constitution)の定義 ◇1.実質憲法(国制)と形式憲法(憲法典)の区別 けんぽう【憲法】 constitution ※日本語版ブリタニカ百科事典より 憲法の語には、(1)およそ法ないし掟の意味と、(2)国の根本秩序に関する法規範の意味、の2義があり、聖徳太子の「十七条憲法」は(1)前者の例であるが、今日一般には(2)後者の意味で用いられる。 (2)後者の意味での憲法は、凡そ国家のあるところに存在するが(実質憲法)、近代国家の登場とともにかかる法規範を1つの法典(憲法典)として制定することが一般的となり(形式憲法)、しかもフランス人権宣言16条に謳われているように、①国民の権利を保障し、②権力分立制を定める憲法のみを憲法と観念する傾向が生まれた(近代的意味の憲法)。 1 17世紀以降この近代的憲法原理の確立過程は政治闘争の歴史であった。憲法の制定・変革という重大な憲法現象が政治そのものである。比較的安定した憲法体制にあっても、①社会的諸勢力の利害や、②階級の対立は、[1]重大な憲法解釈の対立とともに、[2]政治的・イデオロギー的対立を必然的に伴っている。 従って、憲法は (a) 政治の基本的ルールを定めるものであるとともに、 (b) 社会的諸勢力の経済的・政治的・イデオロギー的闘争によって維持・発展・変革されていく、・・・という二重の構造を持っている。 2 憲法の改正が、通常の立法手続でできるか否かにより、軟性憲法と硬性憲法との区別が生まれるが、今日ではほとんどが硬性憲法である。 近代的意味での成文の硬性憲法は、 ① 国の法規範創設の最終的源である(授権規範性)とともに、 ② 法規範創設を内容的に枠づける(制限規範性)という特性を持ち、かつ ③ 一国の法規範秩序の中で最高の形式的効力を持つ(最高法規性)。 日本国憲法98条1項は、憲法の③最高法規性を明記するが、日本国憲法が硬性憲法である(96条参照)以上当然の帰結である。今日、③最高法規性を確保するため、何らかの形で違憲審査制を導入する国が増えてきている。 なお、憲法は、①制定の権威の所在如何により、欽定・民定・協約・条約(国約)憲法の区別が、②歴史的内容により、ブルジョア憲法と社会主義憲法、あるいは、近代憲法(自由権中心の憲法)と現代憲法(社会権を導入するに至った憲法)といった区別がなされる。 なお、下位規範による憲法規範の簒奪を防止し、憲法の最高法規性を確保することを、憲法の保障という。 (⇒憲法の変動、⇒成文憲法、⇒不文憲法) 上記のように、憲法(constitution)という概念には、 ① 実質的意味の憲法 (=国制、国体法 constititional law) ⇒本質主義(essentialism)による定義 と、 ② 形式的意味の憲法 (=憲法典 constitutional code) ⇒名目主義(nominalism)による定義 の2つのレベルがあり、 両者を区別しつつ総合的に考察していく必要がある。 そして、これに対応して、憲法論にも、 ① 実質的意味の憲法論 (法価値論=憲法の保障すべき価値は何かを考察する価値論であり、それを具体化すると立法論になる) と、 ② 形式的意味の憲法論 (法解釈論=既に成文化された憲法典の解釈論) の2つの段階があり、 この両者もまた確り区別して考察していく必要がある。 ★補足説明★「実質的意味の憲法」「国体法」「国制」 たとえば「民法」という概念には、①実質的意味の民法(=民法典に限らず「総体としての民法 civil law」を指す)と、②形式的意味の民法(=民法典 civil code という具体的な法律)の二つの意味があり、また「刑法」という概念にも同じく、①実質的意味の刑法(criminal law)と、②形式的意味の刑法(=刑法典 criminal code という具体的な法律)の二つの意味がある。これらから類推されるように、当然「憲法」という概念にも、①実質的意味の憲法(constitutional law)と、②形式的意味の憲法(=憲法典 constitutional code という具体的な法律)の二つの意味があり、これらは確りと区別されて論じられるべきであるが、明治期に constitution(英語)ないし Verfassung(ドイツ語)という概念を日本に導入する際に、専ら②形式的意味の憲法(憲法典)という意味で「憲法」という言葉が用いられてしまったために、現在の日本では、憲法とは専ら②憲法典である、とする理解(すなわち、①の意味を見落とした状態での理解)が一般的となってしまっている。 これに関しては、戦前の日本では、①実質的意味の憲法(国制)を意味する言葉として、明治以前から「国体」という用語が普及していたという裏の事情がある。この「国体」という用語は、昭和初期に濫用されて右翼的イデオロギーの色彩を強く帯びてしまったことから、戦後はこの用語の使用自体がタブー視される状態となってしまい、なおさら現在の日本人が、①実質的意味の憲法、を考えることを困難にしている。(※「国体」については⇒国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)参照) こうした①実質的意味の憲法 constitutional law を素直に翻訳すれば「国体法」となるが、ここでは主に、よりイデオロギー色の薄い「国制」という訳語を用いることとする。(※なお、アリストテレス著として伝わる『アテナイ人の国制』の英語版書名は 『The Athenian Constitution』であり、①の意味での constitution の訳語として「国制」が現時点ではやはり一番適切である。) ◇2.法概念論(憲法とは何か)と法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の区別 左派及び右派から、しばしば繰り返される「憲法の定義」として、次のようなものがある。 (1) 憲法とは、政治権力者を拘束し国民を守るための法規範であり、それに反するものは憲法ではない。 (主に左派から) (2) 憲法とは、国の歴史を踏まえた国体を成文化した法規範であり、それに反するものは憲法ではない。 (主に右派から) 確かに、正当な憲法典には、(1)および(2)のそれぞれの要素が認められるべきであるが、結論から先にいえば、それらは、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)のカテゴリーであって、「憲法の定義」すなわち①法概念論(憲法とは何か)のカテゴリーではない。 このようなカテゴリー・ミスを避ける意味でも、当ページで薦めているような、①法概念論⇒②法価値論⇒③法学的方法論、という順序を踏まえた憲法問題の検討が肝要である。 因みに、(1)政治権力者をほとんど拘束できない憲法典や、(2)自国の歴史やこれまでに培ってきた伝統的な国体を全く反映せず、むしろそれらの積極的な破壊を目的とした憲法典も、世界には幾つも存在したし、現在でも存在しており、それらを「憲法と認めない」とするのは単なる個人的な価値観の表明でしかなく、何ら憲法問題の分析・明晰化に役立たない。 それよりも先ずは「憲法」という概念を、 1 実質憲法(国制、国体法)と 2 形式憲法(憲法典)に確り区別して、この両者の関係から、(a)国家の在り方(=伝統国家/革命国家/新興国家)、(b)憲法典の在り方(保守型/革命型/創成型)を考察していく方が遥かに有意義である。 ◇3.二つの憲法概念から考える国家の在り方(伝統国家・革命国家・新興国家) ※■3.- ◆2.の整理図 で詳述するように、日本国憲法に関しては、 (1) 左翼側(主に憲法学者)は、これを「八月革命」の結果成立した革命型憲法と捉え、戦前の国制を積極的に否定・破壊する方向への解釈・運用を強く要求してきたが、 (2) 保守側(主に日本政府)は、そのようなフィクションを認めず、日本国憲法はあくまで大日本帝国憲法の改正憲法典として成立したものとして保守的解釈・運用を図ってきており、 戦後の日本では、(a)国家の在り方(=伝統国家か革命国家か)、(b)憲法典の在り方(=保守的解釈が正当かそれとも左翼的解釈が正当か)を巡って、左翼側・保守側の激しい対立が継続されてきた。 こうけんてきかいしゃく【公権的解釈】※日本語版ブリタニカ百科事典より 権限のある国家機関によって行われる法の解釈。有権解釈ともいう。これによって解釈が公定されるという点で、法学者や私人の解釈よりも重要な意味をもつ。公権的解釈には、法律によるもの(立法解釈)、行政機関によるもの(行政解釈)、裁判所によるもの(司法解釈)がある。 ※つまり、左翼的な憲法学者がどれほど「これは憲法学界の通説である(例:八月革命は憲法学界の通説であるetc.)」と唱えようと、日本政府がこれまでに表明してきた見解(例:国体は戦前/戦後で一貫しているetc.)が効力を持ったオフィシャルな解釈(=公権的解釈・有権解釈)なのだから、我々が戦後の日本を伝統国家と認め、日本国憲法を保守的に解釈することには正当な理由があるのだが、それ以外にも、下記◆2.に示すように、戦後日本の左翼的憲法学には論理面から致命的な欠陥が指摘可能である。 ◆2.法体系の2つの捉え方 ◇1.ケルゼンおよび修正自然法論者による法段階説(半世紀前の法学パラダイム) ※図が見づらい場合⇒こちら を参照 ※①宮澤俊義(ケルゼン主義者)・②芦部信喜(修正自然法論者)に代表される戦後日本の左翼的憲法学は「実定法を根拠づける“根本規範”あるいは“自然法”」を仮設ないし想定するところからその理論の総てが始まるが、そのようなア・プリオリ(先験的)な前提から始まる論説は、20世紀後半以降に英米圏で主流となった分析哲学(形而上学的な特定観念の刷り込みに終始するのではなく緻密な概念分析を重視する哲学潮流)を反映した法理学/法哲学(基礎法学)分野では、とっくの昔に排撃されており、日本でも“自然法”を想定する法理学者/法哲学者は最早、笹倉秀夫(丸山眞男門下)など一部の化石化した確信犯的な左翼しか残っていない。このように基礎法学(理論法学)分野でほぼ一掃された論説を、応用法学(実定法学)分野である憲法学で未だに前提として理論を展開し続けるのはナンセンスであるばかりか知的誠実さを疑われても仕方がない行いであり、日本の憲法学の早急な正常化が待たれる。(※なお、近年の左翼憲法論をリードし「護憲派最終防御ライン」と呼ばれている長谷部恭男は、芦部門下であるが、ハートの法概念論 を正当と認めて、芦部説にある自然法・根本規範・制憲権といった超越的概念を明確に否定するに至っている。) ◇2.ハートによる社会的ルール説(現代の世界標準の法学パラダイム) ※上記のように、ハートの法=社会的ルール説は、現実の法現象について詳細で明晰な分析モデルを提供しており、特定の価値観・政治的イデオロギーに基づく概念ピラミッドに過ぎない法=主権者意思[命令]説の法体系モデルを、その説得力において大幅に凌駕している。 ※上図について、詳細な解説は法と権利の本質に関する2つの考え方 へ。 ※このように、①法概念論(憲法とは何か)の段階で、既に左翼的憲法論はハッキリと論理破綻しているのであるが、以下更に、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の段階での 左翼的スタンス vs. 保守的スタンス 両者の憲法に求める価値(理念・目的)を対比して、寛容で価値多元的な自由主義社会を支え得る法価値は保守的スタンスのものであることを説明していく。 ■3.憲法の保障すべき価値、理念・目的は何か(法価値論) → 主として、実質憲法(国制)に関する議論領域 (1) ここでは、まず、法価値(=正義)一般について、それと密接に関連した「法の支配」理念と関連づけて整理・明晰化し、 (2) 次に、「法の支配」理念から発展した「立憲主義」理念について整理・明晰化し、 (3) さらに、憲法に特有の法価値論(①主権論、②人権論、③平和論)について、法解釈論と関連づけて整理・明晰化していく。 ※ポイントは、「正義」概念・「法の支配」理念・「立憲主義」理念や、①主権論・②人権論・③平和論に関しても、自由概念のケース(※リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜参照)と同様に、 1 保守的(自由主義的=価値多元的)スタンスによる理解と、 2 左翼的(全体主義的=価値一元的)スタンスによる理解とが、鋭く対立しているという基本構図を正しく把握することである。 ◆1.法価値(=正義)一般と、「法の支配」 ほうかちろん【法価値論】legal axiology 日本語版ブリタニカ 法的な価値について考察する研究分野。法的な価値は正義という言葉で表現されることが多いから、正義論といってもよい。 古代ギリシア以来、法哲学の主要分野をなしてきたが、最近は、①規範的倫理学と、②分析的倫理学の区別に対応して、①規範的法価値論と②分析的法価値論(メタ法価値論)とが明確に区別されるようになった。 せいぎ【正義】 広辞苑 ① [荀子(正名)]正しいすじみち、人がふみ行うべき正しい道。「-を貫く」 ② [漢書(律暦志上)]正しい意義または注解。「尚書-」 ③ (justice) (ア) 社会全体の幸福を保障する秩序を実現し維持すること。プラトンは国家の各成員がそれぞれの責務を果たし、国家全体として調和があることを正義とし、アリストテレスは能力に応じた公平な分配を正義とした。近代では社会の成員の自由と平等が正義の観念の中心となり、自由主義的民主主義社会は各人の法的な平等を実現した。 これを単に形式的なものと見るマルキシズムは、真の正義は社会主義によって初めて実現されると主張するが、現在ではイデオロギーを超えた正義が模索されている。 (イ) 社会の正義に適った行為をなしうるような個人の徳性。 せいぎ【正義】justice 日本語版ブリタニカ 人間の社会的関係において実現されるべき究極的な価値。 . 善(※注: agothos, bonum, good)と同義に用いられることもあるが、 (1) 善が、主として人間の個人的態度にかかわる道徳的な価値を指すのに対して、 (2) 正義は、人間の対他的関係の規律にかかわる法的な価値を指す。 . 正義とは何か、という問題については、古来さまざまな解答が示されてきたが、一般的な価値ないし価値基準に関する見解と同様に 1 正義を客観的な実在と考える客観主義的・絶対主義的正義論と、 2 正義を主観的な確信と考える主観主義的・相対主義的正義論とに大別できよう。 法思想の領域では、だいたいにおいて、自然法論が 1 前者に、法実証主義が 2 後者に、属する。 . 従来の正義論のうちでは、アリストテレスやキケロの見解が名高く、与えた影響も大きい。 (ア) アリストテレスは、道徳と区別される正義(特殊的正義)について、①配分的正義と、②交換的正義(平均的正義、調整的正義とも訳される)とを区別し、 ① 前者は、公民としての各人の価値・功績に応じて、名誉や財貨を配分することにおいて成立し、 ② 後者は、私人としての各人の相互交渉から生じる利害を平均・調整することにおいて成立する、とした。 (イ) キケロは、この①配分的正義と同様な内容を、「各人に彼のものを」という公式で表現した。 ほう-の-しはい【法の支配】 (rule of law) 広辞苑 イギリスの法律家コークが、国王は神と法の下にあるべきである、として、ジェームズ1世の王権を抑制して以来、「人の支配」に対抗して認められるようになった近代の政治原理。コークのいう法は、イギリスの判例法で、立法権をも抑制する点で、法治主義とは異なるが、後に法治主義と同義に用いることもある。 政治思想・政治哲学の根本的価値が「自由(freedom/liberty)」という言葉で表現されるように、 法思想・法哲学の根本的価値は「正義(justice)」という言葉で伝統的に表現されてきた。 ここで「正義」概念を概括するとともに「法の支配」理念との関係についても整理する。 ※サイズが画面に合わない場合はこちら 参照。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (with) この「正義」概念に基く法理念・法思想を、一般に「法の支配(rule of law)」と呼んでいる。 ここで「法の支配」理念について整理する。 ※サイズが画面に合わない場合はこちら をクリック願います。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (with) ◇1.参考ページ 法価値論(正義論)まとめページ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 「法の支配」理念のまとめページ 「法の支配(rule of law)」とは何か 「自由」概念のまとめページ リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ◇2.「正義」「法の支配」まとめ 以上のように、「正義」概念・「法の支配」理念に関して、主に形式的・手続的正義論に依拠する 1 保守的スタンスによる理解と、実質的正義論に依拠する 2 左翼的スタンスによる理解が対立するが、1960年代以降、英米圏で主流となっている理解は明らかに 1 の側であり、それを反映して、元々は故・芦部信喜教授の門下であった長谷部恭男・東大法学部教授は近年、ドイツ法学に由来する師の論を完全に否定する次のような見解を打ち出すに至っている。 長谷部恭男『法とは何か 』(2011年刊) p.148-9 法の支配という概念もいろいろな意味で使われます。ときには、人権の保障や民主主義の実現など、あるべき政治体制が備えるべき徳目のすべてを意味する理念として用いられることもありますが、こうした濃厚な意味合いで使ってしまうと、「法の支配」を独立の議論の対象とする意味が失われます。 法の支配は人の支配と対比されます。ある特定の人(々)の恣意的な支配ではなく、法に則った支配が存在するためには、そこで言う「法」が人々の従うことの可能な法でなければなりません。そのために法が満たすべき条件として、次のようないくつかの条件が挙げられてきました。・・・(中略)・・・。こうした、法の公開性、明確性、一般性、安定性、無矛盾性、不遡及性、実行可能性などの要請が、法の支配の要請と言われるものです。 日本の憲法の教科書類を見ると、「法の支配」の名の下に、人権の保障や民主主義、権力分立など、望ましい政治体制が備えるべきあらゆる徳目が並べられていることが少なくありません。しかし、ここまで濃厚な意味で「法の支配」を理解してしまうと、法の支配を独立して検討の対象とする意味はほとんどないように思われます。・・・(中略)・・・。こうした「法の支配」ということばの使い方の背景には、善いことである以上は、そのすべてが予定調和して100パーセント実現できるはずだというバラ色の想定があるのではないでしょうか。私としては・・・限定的な意味での「法の支配」を議論の対象とする方が、学問のあり方としても生産的だし、こうした意味を前提としてもっぱら議論をしている諸外国の研究者と議論するときも、誤解が少なくて善いのではないかと考えます。 ⇒長谷部教授は憲法改正に反対する護憲論者であるが、こうした左派の憲法学者であっても、英米圏でとっくの昔に標準となった法学パラダイム(ハートの法=社会的ルール説)に基づく憲法論議に追いついていこうとするだけの学問的誠実さのある者は、「正義」概念・「法の支配」理念に関しては既に 1 保守的(自由主義的=価値多元的)スタンスによる理解が正解であることをはっきりと認めている。 これに対して、故・芦部信喜教授の憲法論の継承者である高橋和之教授を初めとする多くの左派憲法学者は残念ながら、未だに半世紀以上前(1961年のH.L.A.ハート『法の概念』刊行以前)のドイツ法学系パラダイム(法段階説・法=主権者意思説)に依拠する日本ローカルの憲法学の殻に閉じ籠ったままであるが、こうしたガラパゴス状態も長谷部教授などの貢献により今後は徐々に正常化に向かっていくものと思われる。 ※以下、「法の支配」理念から発展した「立憲主義」理念について整理します。 ◆2.「立憲主義」の定義 日本の憲法の教科書では「法の支配」の名の下に“人権の保障や民主主義、権力分立など、望ましい政治体制が備えるべきあらゆる徳目が並べられている”という上記の長谷部教授の批判は、「立憲主義」に関してもそっくりそのまま当て嵌まる。 ⇒「法の支配」の意味を限定すべきであるのと同様に、「立憲主義」という言葉の意味も限定すべきである(すなわち、下記の阪本昌成氏や長谷部恭男氏の論が正解となる)。 ◇1.各論者による説明 政治的スタンス 論者 内容 (1) 保守主義 百地章 「立憲主義とは、国家の統治が憲法にもとづいて行われることである。」(『憲法の常識 常識の憲法』p.32) (2) リベラル右派 阪本昌成 (1) 立憲主義の意義先の [1] で私は、《統治とは、国家機関を通して為す、一元的・統一的な権力支配だ》と述べた。統治は、限られたリソースを巡る利害の対立を調整しながら、その配分のあり方を権力的に決定する恒常的かつ永続的な国家作用である。この権力的、永続的な統治活動の牙を抜いて正当な枠に閉じ込めようとするにが、規範的意味での国制の役割である。統治を、流動的で恣意的な政治に委ねることなく、国制のもとに規律し安定化させる思考を「立憲主義 constitutionalism」という。近代国家が規範的意味での国制によって統制されるに至った段階のものは、「近代立憲主義国家」といわれる。これは、国家という強制の機構から各人の「自由」を擁護する、統治上のルールとしての憲法をもっている国家のことである。(『憲法1 国制クラシック』p.26) (2) 立憲主義の展開(中略)自然権の保全と権力分立という二つの要素を憲法の必須要素だと明言したのが、フランス人権宣言16条の「権利の保障が確保されておらず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法を持たない」という有名なフレーズである。この二つの要素を満たす憲法を「立憲主義的憲法」と一般にいわれることがある。つまり、《憲法とは、人権宣言と権力分立を含む成文の法文章だ》、 《この法文章は、国家樹立の際の社会契約および憲法協約を成文化したものであるから、主権者をも統制する法力をもっている》という思想である。 今日、立憲主義を想起する場合、人々の脳裏に浮かぶのは、一般にこのタイプである。が、フランス人権宣言とその16条は近代立憲主義のモデルではなく、「このタイプだ」と簡単に片付けることは正確でない。フランス的立憲主義とアメリカ的立憲主義は、憲法に関する見方を大きく異にしているのだ。 〔D〕近代立憲主義の枝分かれフランス型は、憲法をあるべき国家の最適モデルに適合させようとする理論に従って設計しようとした。なかでも、憲法を制定する力を民主的に創造するための人為的理論が最重要視された。これが、後の [39] でふれる憲法制定権力の理論である。人権も、まったく新たに創設され、最適規範に相応しい内容を人為的に持たされた。人権は、人が精神的にも物質的にも、あるべき姿となるための規範だった。こうした憲法のモデルが理論通りには運ばないと判明したときには、また別の理論に従って人為的に憲法が制定された。フランスの憲法は、何度も何度も制定されては軌道修正された。そして、結局のところ、自由の構成(constitution)に失敗したのだった。これに対してアメリカ型は、経験と伝統とを基礎とする憲法制定の道を辿った。理論的な最適規範を設計したところで、上手く定着することはない、と建国の父たちは知り尽くしていた。それと同時に、憲法制定会議を頻繁に開設して討議を繰り返すと、統治力学の振り子が大きく揺れ過ぎることも予知していた。建国の父たちは、モンテスキューが理想としていた「中庸な統治体制=混合政体」から多くを学んだ(合衆国憲法はJ. ロック(1632~1704年)の影響を受けて制定された、といわれることがあるが、これは誤診だと私は考えている)。合衆国憲法が、House of the Senates(通常、「上院」と訳される元老院=貴族政的要素+連邦制)と House of the Representatives(通常、「下院」と訳される庶民院=民主政的要素)という権力分立、さらには、大統領という「民主化された君主」を置いたのは、そのためだった。また、アメリカ建国の父たちは、人間の理性・知性の限界を知っていた。人間は、有徳の存在ではなく、権力欲に満ちており、私利を追求するにあたって公共の利益を口にすること等々を建国の父たちは知っていた。合衆国憲法は、人権保障にあたっても、“自然権を実定化する”とは考えなかった。権利章典(Bill of rights)は、歴史的・経験的に徐々に姿を現してきた人の権利を確認するものだった(*注1)。 (*注1) アメリカ合衆国憲法における権利章典について 合衆国憲法にみられる「個人の自由と権利」は、自然権思想の影響をさほど受けてはいない。そこでのカタログは、歴史的にそれまで存在してきた権益を確認したものである。『憲法2 基本権クラシック』 11頁を参照願う。 (3) 立憲主義のふたつのモデル - 法の支配か民主主義か以上のように、一言で「近代立憲主義」という場合でも、一方には純粋理論型または超越型があり、他方には経験型・伝統重視型がある。見方を換えていえば、フランス型は 民意を統治過程に統合するなかで同時に自由を作り出すための憲法構造を理論的に追究したのに対して、アメリカ型は 多元的な民意を統治過程に多元的に反映させる憲法構造を伝統のなかから発見しようとしたのだった。アメリカ型立憲主義は、《個人の権利自由を擁護するための制度的装置として権力分立制を用意する》とよくいわれる。他方、憲法の民主化を重視するフランスにあっては、議会に反映される一般意思のもとに行政と司法を置くことが、その眼目であると考えられた。J. ルソー(1712~1778年)の影響だろう。そのために、議会中心の統治が理想とされた。これに対して、合衆国憲法は、モンテスキューの理論モデルを参考としながら、民主主義を万能としない権力分立制を導入した。アメリカ憲法は、「立憲主義=法の支配=権力分立」という等式を基礎として制定されたのである。 立憲主義のモデルをアメリカに求める人物は、《立憲主義とは、法の支配と同義であり、それは民主主義の行き過ぎに歯止めをかける思想でもある》と考える傾向にある。これに対して、立憲主義モデルをフランスに求める人は、「立憲民主主義」という言葉を多用する傾向がある。後者は、「立憲」の中に権力分立と人権尊重の精神を含め、「民主主義」の中に、「国民主権」と議会政を含めているようである(民主主義の中に人権尊重を忍び込ませる論者もいる)。が、それらの一貫した関連性をそこに見て取ることは困難であるように私にはみえる(自由主義と民主主義との異同については、後の [26] でふれる)。 私は、《立憲主義とは、誰が主権者であっても、また、統治権がいかに民主的に発動されている場合であっても、主権者の意思または民主的意思を法のもとに置こうとする思想だ》と考えている。 本書が「立憲民主主義」という言葉を決して用いないのは、そのためである。(『憲法1 国制クラシック』p.31) (3) リベラル左派 長谷部恭男 近代以降の立憲主義とそれ以前の立憲主義との間には大きな断絶がある。近代立憲主義は、価値観・世界観の多元性を前提とし、さまざまな価値観・世界観を抱く人々の公平な共存をはかることを目的とする。それ以前の立憲主義は、価値観・世界観の多元性を前提としていない。むしろ、人としての正しい生き方はただ一つ、教会の教えるそれに決まっているという前提をとっていた。正しい価値観・世界観が決まっている以上、公と私を区別する必要もなければ、信仰の自由や思想の自由を認める必要もない。(長谷部恭男『憲法とは何か』p.69) ・・・近代ヨーロッパで立憲主義が成立する経験においては、宗教戦争や大航海を通じて、この世には比較不能な多様な価値観が存在すること、そして、そうした多様な価値観を抱く人々が、それにもかかえわらず公平に社会生活の便宜とコストを分かち合う社会の枠組みを構築しなければならないこと、これらが人々の共通の認識となっていったことが決定的な意味を持っている。立憲主義を理解する際には、…制度的な徴表のみにとらわれず、多様な価値観の公平な共存という、その背後にある目的に着目する必要がある。(長谷部恭男『憲法とは何か』p.71) ヨーロッパでの成立の経緯に照らしてみればわかるように、立憲主義は、多様な価値観を抱く人々が、それでも協働して、社会生活の便益とコストを公正に分かち合って生きるために必要な、基本的枠組みを定める理念である。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.178) そのためには、生活領域を公と私とに人為的に区別すること、社会全体の利益を考える公の領域には、自分が一番大切だと考える価値観は持ち込まないよう、自制することが求められる。・・・そうした自制がないかぎり、比較不能な価値観の対立は、「万人の万人に対する闘争」を引き起こす。・・・(中略)・・・。立憲主義はたしかに西欧起源の思想である。しかし、それは、多様な価値観の公正な共存を目指そうとするかぎり、地域や民族にかかわりなく、頼らざるをえない考え方である。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.178) 立憲主義にもとづく憲法・・・は、人の生きるべき道や、善い生き方について教えてくれるわけではない。それは、個々人が自ら考え、選びとるべきものである。憲法が教えるのは、多様な生き方が世の中にあるとき、どうすれば、それらの間の平和な共存関係を保つことができるかである。憲法は宗教の代わりにはならない。「人権」や「個人の尊重」もそうである。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.179) 立憲主義は現実を見るように要求する。世の中には、あなたと違う価値観を持ち、それをとても大切にして生きている人がたくさんいるのだという現実を見るように要求する。このため、立憲主義と両立しうる平和主義にも、おのずと限度がある。現実の世界でどれほど平和の実現に貢献することになるかにかかわりなく、ともかく軍備を放棄せよという考え方は、「善き生き方」を教える信仰ではありえても、立憲主義と両立しうる平和主義ではない。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.179) 「立憲主義ということばには、広狭二通りの意味がある。本書で「立憲主義」ということばが使われるときに言及されているのは、このうち狭い意味の立憲主義である。広義の立憲主義とは、政治権力あるいは国家権力を制限する思考あるいは仕組みを一般的に指す。「人の支配」ではなく「法の支配」という考え方は広義の立憲主義に含まれる。古代ギリシャや中世ヨーロッパにも立憲主義があったといわれる際に言及されているのも広義の立憲主義である。他方、狭義では、立憲主義は、近代国家の権力を制約する思想あるいは仕組みを指す。この意味の立憲主義は近代立憲主義ともいわれ、私的・社会的領域と公的・政治的領域との区別を前提として、個人の自由と公共的な政治の審議と決定とを両立させようとする考え方と密接に結びつく。二つの領域の区分は、古代や中世のヨーロッパでは知られていなかったものである。」(『憲法とは何か』p.68) (4) 左翼 芦部信喜 ※芦部は「近代立憲主義(あるいは現代立憲主義)は~という性質を持っている」とその属性を述べるものの、「立憲主義とは何か」という肝心の概念論・理念論に関しては慎重に口を閉ざしている。これは芦部の憲法論が英米圏で主流となっている「立憲主義」や「法の支配」の概念・理念理解とは実は無縁の古いドイツ系法学に依拠していることに原因がある。⇒芦部の後継者である高橋和之も同様。 (5) 中間 佐藤幸治 ※佐藤も芦部と同様に、「近代立憲主義」と「現代立憲主義」を対比して言及するものの、立憲主義そのものの概念・理念の説明はない。つまり芦部や佐藤の世代ではベースがまだドイツ系法学であったために、英米系の「立憲主義」「法の支配」といった概念・理念を英米圏の用法の通りに消化できていないのである。 ◇2.参考ページ 「立憲主義」理念のまとめページ 立憲主義とは何か ※以上で法価値全般に関わる事項の説明を終わり、憲法に特有の法価値に関する検討に移ります。 ◆3.憲法に特有の法価値論+法解釈論 - 整理図 ※サイズが画面に合わない場合はこちら をクリック願います。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (with) ◇1.参考ページ 「法の支配」と国民主権の関係 リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 国民の権利・自由と人権の関係 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 芦部信喜・佐藤幸治・阪本昌成・中川八洋etc.の「国民主権論」比較と評価 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 関連用語集 【用語集】主権論・国民主権等 ※このように、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の段階で、(1)左翼的スタンスによる理解と(2)保守的スタンスによる理解とが激しく対立するが、 寛容で自由な価値多元的な社会を保障するのは、二つの自由論の場合と同じく、(2)保守的スタンスによる理解の方である。 ※なお、ここで一つ留意事項として、上図には表記がないが、(1)(2)の他にもう一つ、(3)右翼的スタンスによる理解というものが想定可能である。この(3)右翼的スタンスは、(1)左翼的スタンスの場合と同じく全体主義的であって、寛容で自由な社会に相応しくない理解である。(この(3)右翼的スタンスと(2)保守的スタンスとの区別は、■4.-◆1.-◇2.で図解する) ■4.そうした価値、理念・目的を如何に実現するか(法学的方法論) → 主として、形式憲法(憲法典)に関する議論領域 ◆1.現行憲法典の解釈論 ◇1.左翼的(全体主義的)解釈vs.保守的(自由主義的)解釈 ※■3.- ◆2.の整理表下段(形式的憲法論の欄) を参照 ◇2.日本の代表的な憲法論 - 内容紹介・評価 日本の様々な憲法論を政治的スタンスに当て嵌めて概括すると下表のようになる。 ※サイズが画面に合わない場合はこちら をクリック願います。 政治的スタンス 代表的論者 ベースとなる思想家/思想 補足説明 詳細内容 (1) 極左 伊藤真など護憲論者 J.-J.ルソーの社会契約論からさらに、アトム的個人主義と集産主義の結合形態(=左翼的全体主義)※説明に接近 「人権」「平和」を過度に強調し絶対視する共産党・社民党・民主党左派系の法曹に多い憲法論でありイデオロギー色が濃く法理論というよりは左翼思想のプロパガンダである(左の全体主義) (2) 左翼 芦部信喜高橋和之 修正自然法論(法=主権者意思[命令]説に自然法を折衷)+J.-J.ルソーの社会契約論 宮沢俊義→芦部信喜と続く戦後日本の憲法学の最有力説であり通説※宮沢は有名なケルゼニアン(ケルゼン主義者)。芦部は自然法論者だが人権保障をア・プリオリ(先験的)な「根本規範」と位置づけており、その表面的な米国判例理論の紹介はポーズに過ぎず、実際には依然ケルゼン/ラートブルフ等ドイツ系法学の影響が強い よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) (3) リベラル左派 長谷部恭男 H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)を一部独自解釈※なお長谷部は社会契約論に依拠しているのか曖昧でハートの法概念論と辻褄が合うはずのハイエクの自由論は故意に無視している 近年の左派系憲法論(護憲論)をリードしている長谷部は芦部門下であるが、師のようなドイツ系法学パラダイムはもはや世界の憲法学の潮流からは通用しないことを認識しており、師の憲法論の中核である、①根本規範を頂点とした法段階説+②制憲権(憲法制定権力)説、を明確に否定して、英米系法学パラダイムへの接近を図っている。(※但しハートまでは受容しながらもハイエクを拒否している長谷部の憲法論は中途半端の誹りを免れず、これを一通り学んだ後は、より整合性のとれた阪本昌成の憲法論へと進むべきである) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) (4) 中間 佐藤幸治 人格的自律権に限定して自然法を認める独自説+J.ロックの社会契約論 芦部説の次に有力な憲法論であり、芦部説よりも現実妥当性が高いので重宝されるが(佐藤は佐々木惣一から大石義雄へと続く京都学派憲法学の系統)、法理論としては妥協的でチグハグと呼ばざるを得ない 佐藤幸治『憲法 第三版』抜粋 (5) リベラル右派 阪本昌成、※ H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)+F.A.ハイエクの自由論 20世紀後半以降の分析哲学の発展を反映した英米法理論に基礎を置く憲法論であり、法理論としての完成度/説得力が最も高いが、日本では残念ながら非常に少数派 阪本昌成『憲法1 国制クラシック』 (6) 保守主義 中川八洋日本会議 E.コークの「法の支配」論+E.バークの国体論 日本会議・チャンネル桜系の憲法論も基本的にこちらに該当する。法理論というより「国民の常識」論であり、心情面からの説得力が高いが、(5)の法理論を一通り押えた上でこの立場を取らないと、いつの間にか(7)に堕する危険があるので注意。 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 (7) 右翼・極右 いわゆる無効論者 ヘーゲルの法概念論・共同体論およびそれに類似した全体主義的論調 「伝統」「国体」などを過度に強調し絶対視して「右の全体主義」化した憲法論(左翼憲法論の裏返しであり、左翼からの転向者が嵌り易い。法理論というより右翼イデオロギーのプロパガンダ色が濃い) ※政治的スタンス5分類・8分類+円環図 -... ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ⇒上図の詳しい説明は、政治の基礎知識、政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 参照。 政治的スタンス毎の憲法論の違いは、①「人権」と②「国民主権」の捉え方に顕著に現れる。このうち、①「人権」に関しては、「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のためにを参照。政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価では、(2)~(6)の各々の政治的スタンスの代表的な②「国民主権」論を列記したのち、総括する。 ◆2.憲法典の改廃論 憲法典の改廃論 内容 参考ページ (1) 改憲論 ① 保守的改憲論 保守主義的・自由主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 ② 左翼的改憲論 左翼的・全体主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 ③ 中間的改憲論 それほど明確なポリシーがあるわけではない(=保守主義的とも左翼的とも言い難い)が、一応は憲法9条の改正など最低限の提言内容は持つ改憲論 (2) 護憲論 ① 左翼的護憲論1(芦部信喜説準拠) 「人権」「平和」理念を絶対視して、彼らがその理念を体現すると考える現行の憲法典の絶対的維持を訴える論。しかし、■2.で説明したように、芦部説などのベースとなっている法概念理解は実際には単なる左翼イデオロギーの刷り込みでしかなく「自由で寛容な価値多元的な社会を支える憲法構想」としては完全に破綻している。 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) ② 左翼的護憲論2(長谷部恭男説準拠) 自衛隊の存在などは「憲法の変遷」があった(=条文の変化はないが、その解釈が変化したことにより合憲となった)として現状追認する一方で、現行憲法典の条文自体には「世界平和の希求」「人権価値実現の目標プログラム」など将来に向けての積極的価値を認めて、改憲に反対する論 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ③ いわゆる真正護憲論(新無効論) この論の当否についてはネットなどで各自チェックするのが望ましい。一つ指摘事項を書くとすれば、この論のベースとなる法概念理解は、実は芦部信喜に代表される①左翼的護憲論1の法段階説(根本規範・自然法論などを強調するドイツ法学系の法概念理解)と同じ(=左翼的護憲論が「人権」「平和」を絶対視するところを、この論では彼らの考える「国体」を絶対視している、という違いがあるだけ)であり、①左翼的護憲論1と同じく、現代の法学パラダイムから全く落伍した時代遅れの論である、ということである。そのほか、この論には法的議論として様々な無理があり、一定の法学知識のある層からは全く相手にされていない が、一般向けのプロパガンダとしては中々人気のある論となっている。 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) (3) 破棄論 ① 占領憲法失効・破棄論(菅原裕説が代表的) 主権回復(1952.4.28)直後には一定の説得力と賛同者をもっていた論であったが、現在では最早現実妥当性がない無責任な論である。1950年代前半迄であれば、現行憲法を破棄・失効させ明治憲法を復活させてそのまま運用することは何とかギリギリで可能だったかも知れないが、戦後日本社会の様相を反映した複雑・多様な法制度が整備された現在では、代替案も示せずに「現行憲法を破棄・失効せよ」とだけ強弁するだけでは済まされない。 ◆3.憲法典改正案 ◇1.現在提案されている種々の改憲案 ① 中川八洋草案 保守的改憲案の代表例 ② 日本会議の提言 保守的改憲案の代表例 ③ 産経新聞案(2013年) 「国民の憲法」要綱 ④ 読売新聞案(2004年) 読売新聞社・憲法改正2004年試案 ⑤ 自民党案(2012年) 現行憲法・自民党改憲案(対照表) ⑥ 国立国会図書館編・改憲案一覧(2005年) 主な日本国憲法改正試案及び提言 ◇2.日本国憲法の構成と、保守的スタンスから見た改正の要否 憲法典の構成 保守的スタンスから見た改正の要否、改正内容 前文 抜本的な書換が必要 自虐的文言・空想的国際協調主義などの全面的排除 憲法の基本理念や解釈基準を明記する部分だが、現状は占領軍のポジション・トークに過ぎない部分が目立ち、抜本的な書換が必要である。 本文 (1) 固有規定1 1 第一章(天皇) 要検討 具体的な改正内容は慎重な検討を要する 国の在り方や国政の基本方針を明記する部分だが、文理解釈のままでは実質憲法(国制)とズレが生じるために、現状では相当に苦しい目的論的解釈が必要となっている箇所が多く、大幅な書換が必要である。 2 第ニ章(戦争の放棄) 抜本的な書換が必要 正当な戦力の保持・行使の明記etc. (2) 権利章典 1 第三章(国民の権利及び義務) 小規模な修正 普遍的人権ではなく国民の自由・権利の保障etc. 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 (3) 統治機構 1 第四章(国会) 小規模な修正 参議院の在り方etc. 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 2 第五章(内閣) 内閣権限の強化、国家安全保障の不備対応etc. 3 第六章(司法) 国民審査制度の不備対応etc. 4 第七章(財政) 5 第八章(地方自治) (4) 固有規定2 1 第九章(改正) 要検討 96条の2/3条項については賛否両論あり 要検討。 2 第十章(最高法規) 中規模の修正 人権の過度の強調の排除、最高法規性の定義再検討etc. (5) 経過規定 1 第十一章(補則) - 新たな経過規定が必要 本文ではなく附則とするのが合理的である。 ◇3.改憲案の具体例(自民党・憲法改正草案(2012年版)+中川八洋草案) 1 自民党 憲法改正草案(2012年版) (※中川八洋『国民の憲法改正 』の指摘事項を付記) 現行憲法-自民党草案-中川草案(対照表) を参照 ■5.ご意見、情報提供 ページ内容向上のためのご意見・情報提供を歓迎します。 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 保守主義的な憲法論・参考サイト http //blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/aa74d73e62cc74859dbc4e4a1a3e1f83 -- 名無しさん (2013-08-04 15 44 52) 憲法は全文変えていいよ。大日本帝国憲法を再発行で。左翼は韓国と中国に強制送還で。 - 匿名 2016-11-23 03 40 17 以下は最新コメント表示 保守主義的な憲法論・参考サイト http //blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/aa74d73e62cc74859dbc4e4a1a3e1f83 -- 名無しさん (2013-08-04 15 44 52) 憲法は全文変えていいよ。大日本帝国憲法を再発行で。左翼は韓国と中国に強制送還で。 - 匿名 2016-11-23 03 40 17 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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危険は形而上学の欺瞞的な性格の中にある。それは、実際には何らの知識をも与えないのに、知識であるかのような幻想を与える。我々が形而上学を排撃する理由はここにある。・・・(中略)・・・哲学の唯一の仕事は論理的分析 logical analysis である。 ~ R. カルナップ(論理実証主義に立つ哲学者集団「ウィーン学団」のリーダー的学者) 要旨■「平和憲法」「占領憲法」などのレッテル貼りに終始するのではなく、①憲法とはそもそも何か(法概念論)、②憲法の保障すべき価値は何か(法価値論)、③そうした価値を如何に実現するか(法学的方法論)、という憲法問題の課題を一つづつ分析し検証していくことが重要である。 ※本ページが難しい方は、日本国憲法改正問題(初級編)をご覧下さい。 <目次> ■1.はじめに◆1.基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学) ◆2.問題状況整理表 ■2.憲法とは何か(法概念論)◆1.憲法(constitution)の定義◇1.実質憲法(国制)と形式憲法(憲法典)の区別 ◇2.法概念論(憲法とは何か)と法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の区別 ◇3.二つの憲法概念から考える国家の在り方(伝統国家・革命国家・新興国家) ◆2.法体系の2つの捉え方◇1.ケルゼンおよび修正自然法論者による法段階説(半世紀前の法学パラダイム) ◇2.ハートによる社会的ルール説(現代の世界標準の法学パラダイム) ■3.憲法の保障すべき価値、理念・目的は何か(法価値論)◆1.法価値(=正義)一般と、「法の支配」◇1.参考ページ ◇2.「正義」「法の支配」まとめ ◆2.「立憲主義」の定義◇1.各論者による説明 ◇2.参考ページ ◆3.憲法に特有の法価値論+法解釈論 - 整理図◇1.参考ページ ■4.そうした価値、理念・目的を如何に実現するか(法学的方法論)◆1.現行憲法典の解釈論◇1.左翼的(全体主義的)解釈vs.保守的(自由主義的)解釈 ◇2.日本の代表的な憲法論 - 内容紹介・評価 ◆2.憲法典の改廃論 ◆3.憲法典改正案◇1.現在提案されている種々の改憲案 ◇2.日本国憲法の構成と、保守的スタンスから見た改正の要否 ◇3.改憲案の具体例(自民党・憲法改正草案(2012年版)+中川八洋草案) ■5.ご意見、情報提供 ■1.はじめに 憲法問題となると、たちまち「平和憲法を守れ」とか「占領憲法を破棄せよ」といった、左右両極端の立場からのイデオロギッシュなアジテーション・罵倒合戦に終始してしまう現象が頻繁に観測される。(※なお、経済問題に関しても類似した現象がしばしば観測される ⇒ ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 参照)。 確かに、現実妥当性に目を瞑って現行憲法典の前文・第9条を厳密に文理解釈すれば、お花畑的な(つまりネガティヴな)意味で「平和憲法」と云えなくもないし、また制定過程を見ればGHQ草案をほぼそのまま翻訳した「占領憲法」と呼ばれるのも致し方ないことではあるが、ここでは、そうした扇動的・プロパガンダ的方向にばかり走り易い言説を避けて、努めて論理的・概念分析的な姿勢を守りつつ憲法問題の整理・解明を目指したい。 そのために、 1 まず、基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学)を区別して、憲法問題の位置づけを明確にし、 2 次に、基礎法学の主要3分野(①法概念論・②法価値論・③法学的方法論)各々について、実用法学の一分野である憲法学(憲法論)の課題を対応させた問題状況整理表を作成し、 3 そして、上流から順に(つまり①法概念論→②法価値論→③法学的方法論の順に)これらの課題を一つづつ分析し整理していく。 ◆1.基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学) きそほうがく【基礎法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より 実用法学に対して、少なくとも直接的には法的な諸事象の純粋に理論的な認識・解明を目的とする法学。理論法学ともいう。基礎医学という用語にならって第二次世界大戦後の日本で使われるようになった。法社会学、法史学、比較法学、法哲学がこれに属する。 じつようほうがく【実用法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より 司法、行政、立法などの実用目的に奉仕する法学。法解釈学と立法学がこれに属する。基礎法学と対置されるが、現代の実用法学は基礎法学の成果を積極的に活用して法の合目的的な形成と運用を図る応用科学としての性格を強めつつある。 ほうかいしゃくがく【法解釈学】 Rechtsdogmatik ※日本語版ブリタニカ百科事典より 解釈法学ともいう。実定法の規範的意味内容を体系的・合理的に解明し、裁判における法の適用に影響を与えることを目的とする実用法学。実定法を構成する文字および文章の多義的な規範的意味内容を明確かつ一義的に確定していく作業が法の解釈であるが、この作業には、①文理解釈、②論理解釈、③縮小解釈、④目的論的解釈、⑤反対解釈、⑥勿論解釈、⑦類推解釈などと呼ばれるものがある。法解釈学は古代ローマで成立して以来、現代まで法学の中心的位置を占めているが、時代の変遷によって力点の変化がみられる。自由法論以後の法解釈学は人間や社会に関する経験科学的認識を取り入れた応用科学としての性格を強めている。第二次世界大戦後の日本の法学界における「法解釈学論争」では、法解釈学の実践的性格が強調された。法解釈学は、その対象となる実定法の分野によって、憲法学、行政法学、刑法学、民法学、商法学、労働法学、国際法学、国際私法学などに分れる。 けんぽうがく【憲法学】 ※広辞苑より 法学の一部門。憲法および憲法上の諸現象を研究の対象とする学問。国法学。 ◆2.問題状況整理表 基礎法学(理論法学)の主要3分野 憲法学(応用法学)の課題 (1) 法概念論(法とは何か) 1 憲法とは何か(憲法の定義) ⇒(a)実質憲法(国制)と、(b)形式憲法(憲法典)、の区別が重要。 2 法体系の中での憲法の位置づけ ⇒①法段階説(主権者意思[命令]説・・・ケルゼン及び修正自然法論者の法理解)と、②社会的ルール説(ハートの法理解であり、ハイエクの自生的秩序論と親和的)、の区別・評価が重要 (2) 法価値論(法の保障すべき価値は何か)※正義論ともいう(*注1)※法理念論、法目的論ともいう 《1》 法価値全般 1 法価値(正義)一般と「法の支配」論 ※法価値論は、専ら、(a)実質憲法(国制)の在り方に関する分野である。⇒①左翼的・全体主義的価値観と、②保守的・自由主義的価値観、の区別・評価が重要。 2 「立憲主義」論 《2》 個別的法価値 1 主権論(憲法は特定の主権者を規定すべきか) ※主権論について詳細ページ⇒政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 2 人権論(憲法の基礎的な保護領域は何か) ※人権論について詳細ページ⇒「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 3 平和論(奴隷の平和か正戦を肯定するか) (3) 法学的方法論(法価値を如何に実現するか) 前提条件 価値論の把握 1 憲法典(形式憲法)の解釈論 ※法学的方法論は、専ら、(b)形式憲法(憲法典)の解釈・運用に関わる分野であり、具体的な条規について(2)法価値論《2》の 1 ~ 3 の課題に対応した法解釈の対立が見られる。⇒①左翼的・全体主義的解釈と、②保守的・自由主義的解釈、の区別・評価が重要。 2 憲法典(形式憲法)の改廃論 ⇒①護憲論、②改憲論、および③破棄論、の比較・評価が重要。 3 憲法典(形式憲法)案の内容評価 ⇒各々の草案について、(2)法価値論《2》の 1 ~ 3 の課題への対応方針に留意しながら個別に評価していくことが重要。 (*注1)法的な価値は、伝統的に「正義(justice)」という言葉で表現されてきたため、法価値論を正義論ともいう。 ■2.憲法とは何か(法概念論) ◆1.憲法(constitution)の定義 ◇1.実質憲法(国制)と形式憲法(憲法典)の区別 けんぽう【憲法】 constitution ※日本語版ブリタニカ百科事典より 憲法の語には、(1)およそ法ないし掟の意味と、(2)国の根本秩序に関する法規範の意味、の2義があり、聖徳太子の「十七条憲法」は(1)前者の例であるが、今日一般には(2)後者の意味で用いられる。 (2)後者の意味での憲法は、凡そ国家のあるところに存在するが(実質憲法)、近代国家の登場とともにかかる法規範を1つの法典(憲法典)として制定することが一般的となり(形式憲法)、しかもフランス人権宣言16条に謳われているように、①国民の権利を保障し、②権力分立制を定める憲法のみを憲法と観念する傾向が生まれた(近代的意味の憲法)。 1 17世紀以降この近代的憲法原理の確立過程は政治闘争の歴史であった。憲法の制定・変革という重大な憲法現象が政治そのものである。比較的安定した憲法体制にあっても、①社会的諸勢力の利害や、②階級の対立は、[1]重大な憲法解釈の対立とともに、[2]政治的・イデオロギー的対立を必然的に伴っている。 従って、憲法は (a) 政治の基本的ルールを定めるものであるとともに、 (b) 社会的諸勢力の経済的・政治的・イデオロギー的闘争によって維持・発展・変革されていく、・・・という二重の構造を持っている。 2 憲法の改正が、通常の立法手続でできるか否かにより、軟性憲法と硬性憲法との区別が生まれるが、今日ではほとんどが硬性憲法である。 近代的意味での成文の硬性憲法は、 ① 国の法規範創設の最終的源である(授権規範性)とともに、 ② 法規範創設を内容的に枠づける(制限規範性)という特性を持ち、かつ ③ 一国の法規範秩序の中で最高の形式的効力を持つ(最高法規性)。 日本国憲法98条1項は、憲法の③最高法規性を明記するが、日本国憲法が硬性憲法である(96条参照)以上当然の帰結である。今日、③最高法規性を確保するため、何らかの形で違憲審査制を導入する国が増えてきている。 なお、憲法は、①制定の権威の所在如何により、欽定・民定・協約・条約(国約)憲法の区別が、②歴史的内容により、ブルジョア憲法と社会主義憲法、あるいは、近代憲法(自由権中心の憲法)と現代憲法(社会権を導入するに至った憲法)といった区別がなされる。 なお、下位規範による憲法規範の簒奪を防止し、憲法の最高法規性を確保することを、憲法の保障という。 (⇒憲法の変動、⇒成文憲法、⇒不文憲法) 上記のように、憲法(constitution)という概念には、 ① 実質的意味の憲法 (=国制、国体法 constititional law) ⇒本質主義(essentialism)による定義 と、 ② 形式的意味の憲法 (=憲法典 constitutional code) ⇒名目主義(nominalism)による定義 の2つのレベルがあり、 両者を区別しつつ総合的に考察していく必要がある。 そして、これに対応して、憲法論にも、 ① 実質的意味の憲法論 (法価値論=憲法の保障すべき価値は何かを考察する価値論であり、それを具体化すると立法論になる) と、 ② 形式的意味の憲法論 (法解釈論=既に成文化された憲法典の解釈論) の2つの段階があり、 この両者もまた確り区別して考察していく必要がある。 ★補足説明★「実質的意味の憲法」「国体法」「国制」 たとえば「民法」という概念には、①実質的意味の民法(=民法典に限らず「総体としての民法 civil law」を指す)と、②形式的意味の民法(=民法典 civil code という具体的な法律)の二つの意味があり、また「刑法」という概念にも同じく、①実質的意味の刑法(criminal law)と、②形式的意味の刑法(=刑法典 criminal code という具体的な法律)の二つの意味がある。これらから類推されるように、当然「憲法」という概念にも、①実質的意味の憲法(constitutional law)と、②形式的意味の憲法(=憲法典 constitutional code という具体的な法律)の二つの意味があり、これらは確りと区別されて論じられるべきであるが、明治期に constitution(英語)ないし Verfassung(ドイツ語)という概念を日本に導入する際に、専ら②形式的意味の憲法(憲法典)という意味で「憲法」という言葉が用いられてしまったために、現在の日本では、憲法とは専ら②憲法典である、とする理解(すなわち、①の意味を見落とした状態での理解)が一般的となってしまっている。 これに関しては、戦前の日本では、①実質的意味の憲法(国制)を意味する言葉として、明治以前から「国体」という用語が普及していたという裏の事情がある。この「国体」という用語は、昭和初期に濫用されて右翼的イデオロギーの色彩を強く帯びてしまったことから、戦後はこの用語の使用自体がタブー視される状態となってしまい、なおさら現在の日本人が、①実質的意味の憲法、を考えることを困難にしている。(※「国体」については⇒国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)参照) こうした①実質的意味の憲法 constitutional law を素直に翻訳すれば「国体法」となるが、ここでは主に、よりイデオロギー色の薄い「国制」という訳語を用いることとする。(※なお、アリストテレス著として伝わる『アテナイ人の国制』の英語版書名は 『The Athenian Constitution』であり、①の意味での constitution の訳語として「国制」が現時点ではやはり一番適切である。) ◇2.法概念論(憲法とは何か)と法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の区別 左派及び右派から、しばしば繰り返される「憲法の定義」として、次のようなものがある。 (1) 憲法とは、政治権力者を拘束し国民を守るための法規範であり、それに反するものは憲法ではない。 (主に左派から) (2) 憲法とは、国の歴史を踏まえた国体を成文化した法規範であり、それに反するものは憲法ではない。 (主に右派から) 確かに、正当な憲法典には、(1)および(2)のそれぞれの要素が認められるべきであるが、結論から先にいえば、それらは、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)のカテゴリーであって、「憲法の定義」すなわち①法概念論(憲法とは何か)のカテゴリーではない。 このようなカテゴリー・ミスを避ける意味でも、当ページで薦めているような、①法概念論⇒②法価値論⇒③法学的方法論、という順序を踏まえた憲法問題の検討が肝要である。 因みに、(1)政治権力者をほとんど拘束できない憲法典や、(2)自国の歴史やこれまでに培ってきた伝統的な国体を全く反映せず、むしろそれらの積極的な破壊を目的とした憲法典も、世界には幾つも存在したし、現在でも存在しており、それらを「憲法と認めない」とするのは単なる個人的な価値観の表明でしかなく、何ら憲法問題の分析・明晰化に役立たない。 それよりも先ずは「憲法」という概念を、 1 実質憲法(国制、国体法)と 2 形式憲法(憲法典)に確り区別して、この両者の関係から、(a)国家の在り方(=伝統国家/革命国家/新興国家)、(b)憲法典の在り方(保守型/革命型/創成型)を考察していく方が遥かに有意義である。 ◇3.二つの憲法概念から考える国家の在り方(伝統国家・革命国家・新興国家) ※■3.- ◆2.の整理図 で詳述するように、日本国憲法に関しては、 (1) 左翼側(主に憲法学者)は、これを「八月革命」の結果成立した革命型憲法と捉え、戦前の国制を積極的に否定・破壊する方向への解釈・運用を強く要求してきたが、 (2) 保守側(主に日本政府)は、そのようなフィクションを認めず、日本国憲法はあくまで大日本帝国憲法の改正憲法典として成立したものとして保守的解釈・運用を図ってきており、 戦後の日本では、(a)国家の在り方(=伝統国家か革命国家か)、(b)憲法典の在り方(=保守的解釈が正当かそれとも左翼的解釈が正当か)を巡って、左翼側・保守側の激しい対立が継続されてきた。 こうけんてきかいしゃく【公権的解釈】※日本語版ブリタニカ百科事典より 権限のある国家機関によって行われる法の解釈。有権解釈ともいう。これによって解釈が公定されるという点で、法学者や私人の解釈よりも重要な意味をもつ。公権的解釈には、法律によるもの(立法解釈)、行政機関によるもの(行政解釈)、裁判所によるもの(司法解釈)がある。 ※つまり、左翼的な憲法学者がどれほど「これは憲法学界の通説である(例:八月革命は憲法学界の通説であるetc.)」と唱えようと、日本政府がこれまでに表明してきた見解(例:国体は戦前/戦後で一貫しているetc.)が効力を持ったオフィシャルな解釈(=公権的解釈・有権解釈)なのだから、我々が戦後の日本を伝統国家と認め、日本国憲法を保守的に解釈することには正当な理由があるのだが、それ以外にも、下記◆2.に示すように、戦後日本の左翼的憲法学には論理面から致命的な欠陥が指摘可能である。 ◆2.法体系の2つの捉え方 ◇1.ケルゼンおよび修正自然法論者による法段階説(半世紀前の法学パラダイム) ※図が見づらい場合⇒こちら を参照 ※①宮澤俊義(ケルゼン主義者)・②芦部信喜(修正自然法論者)に代表される戦後日本の左翼的憲法学は「実定法を根拠づける“根本規範”あるいは“自然法”」を仮設ないし想定するところからその理論の総てが始まるが、そのようなア・プリオリ(先験的)な前提から始まる論説は、20世紀後半以降に英米圏で主流となった分析哲学(形而上学的な特定観念の刷り込みに終始するのではなく緻密な概念分析を重視する哲学潮流)を反映した法理学/法哲学(基礎法学)分野では、とっくの昔に排撃されており、日本でも“自然法”を想定する法理学者/法哲学者は最早、笹倉秀夫(丸山眞男門下)など一部の化石化した確信犯的な左翼しか残っていない。このように基礎法学(理論法学)分野でほぼ一掃された論説を、応用法学(実定法学)分野である憲法学で未だに前提として理論を展開し続けるのはナンセンスであるばかりか知的誠実さを疑われても仕方がない行いであり、日本の憲法学の早急な正常化が待たれる。(※なお、近年の左翼憲法論をリードし「護憲派最終防御ライン」と呼ばれている長谷部恭男は、芦部門下であるが、ハートの法概念論 を正当と認めて、芦部説にある自然法・根本規範・制憲権といった超越的概念を明確に否定するに至っている。) ◇2.ハートによる社会的ルール説(現代の世界標準の法学パラダイム) ※上記のように、ハートの法=社会的ルール説は、現実の法現象について詳細で明晰な分析モデルを提供しており、特定の価値観・政治的イデオロギーに基づく概念ピラミッドに過ぎない法=主権者意思[命令]説の法体系モデルを、その説得力において大幅に凌駕している。 ※上図について、詳細な解説は法と権利の本質に関する2つの考え方 へ。 ※このように、①法概念論(憲法とは何か)の段階で、既に左翼的憲法論はハッキリと論理破綻しているのであるが、以下更に、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の段階での 左翼的スタンス vs. 保守的スタンス 両者の憲法に求める価値(理念・目的)を対比して、寛容で価値多元的な自由主義社会を支え得る法価値は保守的スタンスのものであることを説明していく。 ■3.憲法の保障すべき価値、理念・目的は何か(法価値論) → 主として、実質憲法(国制)に関する議論領域 (1) ここでは、まず、法価値(=正義)一般について、それと密接に関連した「法の支配」理念と関連づけて整理・明晰化し、 (2) 次に、「法の支配」理念から発展した「立憲主義」理念について整理・明晰化し、 (3) さらに、憲法に特有の法価値論(①主権論、②人権論、③平和論)について、法解釈論と関連づけて整理・明晰化していく。 ※ポイントは、「正義」概念・「法の支配」理念・「立憲主義」理念や、①主権論・②人権論・③平和論に関しても、自由概念のケース(※リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜参照)と同様に、 1 保守的(自由主義的=価値多元的)スタンスによる理解と、 2 左翼的(全体主義的=価値一元的)スタンスによる理解とが、鋭く対立しているという基本構図を正しく把握することである。 ◆1.法価値(=正義)一般と、「法の支配」 ほうかちろん【法価値論】legal axiology 日本語版ブリタニカ 法的な価値について考察する研究分野。法的な価値は正義という言葉で表現されることが多いから、正義論といってもよい。 古代ギリシア以来、法哲学の主要分野をなしてきたが、最近は、①規範的倫理学と、②分析的倫理学の区別に対応して、①規範的法価値論と②分析的法価値論(メタ法価値論)とが明確に区別されるようになった。 せいぎ【正義】 広辞苑 ① [荀子(正名)]正しいすじみち、人がふみ行うべき正しい道。「-を貫く」 ② [漢書(律暦志上)]正しい意義または注解。「尚書-」 ③ (justice) (ア) 社会全体の幸福を保障する秩序を実現し維持すること。プラトンは国家の各成員がそれぞれの責務を果たし、国家全体として調和があることを正義とし、アリストテレスは能力に応じた公平な分配を正義とした。近代では社会の成員の自由と平等が正義の観念の中心となり、自由主義的民主主義社会は各人の法的な平等を実現した。 これを単に形式的なものと見るマルキシズムは、真の正義は社会主義によって初めて実現されると主張するが、現在ではイデオロギーを超えた正義が模索されている。 (イ) 社会の正義に適った行為をなしうるような個人の徳性。 せいぎ【正義】justice 日本語版ブリタニカ 人間の社会的関係において実現されるべき究極的な価値。 . 善(※注: agothos, bonum, good)と同義に用いられることもあるが、 (1) 善が、主として人間の個人的態度にかかわる道徳的な価値を指すのに対して、 (2) 正義は、人間の対他的関係の規律にかかわる法的な価値を指す。 . 正義とは何か、という問題については、古来さまざまな解答が示されてきたが、一般的な価値ないし価値基準に関する見解と同様に 1 正義を客観的な実在と考える客観主義的・絶対主義的正義論と、 2 正義を主観的な確信と考える主観主義的・相対主義的正義論とに大別できよう。 法思想の領域では、だいたいにおいて、自然法論が 1 前者に、法実証主義が 2 後者に、属する。 . 従来の正義論のうちでは、アリストテレスやキケロの見解が名高く、与えた影響も大きい。 (ア) アリストテレスは、道徳と区別される正義(特殊的正義)について、①配分的正義と、②交換的正義(平均的正義、調整的正義とも訳される)とを区別し、 ① 前者は、公民としての各人の価値・功績に応じて、名誉や財貨を配分することにおいて成立し、 ② 後者は、私人としての各人の相互交渉から生じる利害を平均・調整することにおいて成立する、とした。 (イ) キケロは、この①配分的正義と同様な内容を、「各人に彼のものを」という公式で表現した。 ほう-の-しはい【法の支配】 (rule of law) 広辞苑 イギリスの法律家コークが、国王は神と法の下にあるべきである、として、ジェームズ1世の王権を抑制して以来、「人の支配」に対抗して認められるようになった近代の政治原理。コークのいう法は、イギリスの判例法で、立法権をも抑制する点で、法治主義とは異なるが、後に法治主義と同義に用いることもある。 政治思想・政治哲学の根本的価値が「自由(freedom/liberty)」という言葉で表現されるように、 法思想・法哲学の根本的価値は「正義(justice)」という言葉で伝統的に表現されてきた。 ここで「正義」概念を概括するとともに「法の支配」理念との関係についても整理する。 ※サイズが画面に合わない場合はこちら 参照。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (with) この「正義」概念に基く法理念・法思想を、一般に「法の支配(rule of law)」と呼んでいる。 ここで「法の支配」理念について整理する。 ※サイズが画面に合わない場合はこちら をクリック願います。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (with) ◇1.参考ページ 法価値論(正義論)まとめページ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 「法の支配」理念のまとめページ 「法の支配(rule of law)」とは何か 「自由」概念のまとめページ リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ◇2.「正義」「法の支配」まとめ 以上のように、「正義」概念・「法の支配」理念に関して、主に形式的・手続的正義論に依拠する 1 保守的スタンスによる理解と、実質的正義論に依拠する 2 左翼的スタンスによる理解が対立するが、1960年代以降、英米圏で主流となっている理解は明らかに 1 の側であり、それを反映して、元々は故・芦部信喜教授の門下であった長谷部恭男・東大法学部教授は近年、ドイツ法学に由来する師の論を完全に否定する次のような見解を打ち出すに至っている。 長谷部恭男『法とは何か 』(2011年刊) p.148-9 法の支配という概念もいろいろな意味で使われます。ときには、人権の保障や民主主義の実現など、あるべき政治体制が備えるべき徳目のすべてを意味する理念として用いられることもありますが、こうした濃厚な意味合いで使ってしまうと、「法の支配」を独立の議論の対象とする意味が失われます。 法の支配は人の支配と対比されます。ある特定の人(々)の恣意的な支配ではなく、法に則った支配が存在するためには、そこで言う「法」が人々の従うことの可能な法でなければなりません。そのために法が満たすべき条件として、次のようないくつかの条件が挙げられてきました。・・・(中略)・・・。こうした、法の公開性、明確性、一般性、安定性、無矛盾性、不遡及性、実行可能性などの要請が、法の支配の要請と言われるものです。 日本の憲法の教科書類を見ると、「法の支配」の名の下に、人権の保障や民主主義、権力分立など、望ましい政治体制が備えるべきあらゆる徳目が並べられていることが少なくありません。しかし、ここまで濃厚な意味で「法の支配」を理解してしまうと、法の支配を独立して検討の対象とする意味はほとんどないように思われます。・・・(中略)・・・。こうした「法の支配」ということばの使い方の背景には、善いことである以上は、そのすべてが予定調和して100パーセント実現できるはずだというバラ色の想定があるのではないでしょうか。私としては・・・限定的な意味での「法の支配」を議論の対象とする方が、学問のあり方としても生産的だし、こうした意味を前提としてもっぱら議論をしている諸外国の研究者と議論するときも、誤解が少なくて善いのではないかと考えます。 ⇒長谷部教授は憲法改正に反対する護憲論者であるが、こうした左派の憲法学者であっても、英米圏でとっくの昔に標準となった法学パラダイム(ハートの法=社会的ルール説)に基づく憲法論議に追いついていこうとするだけの学問的誠実さのある者は、「正義」概念・「法の支配」理念に関しては既に 1 保守的(自由主義的=価値多元的)スタンスによる理解が正解であることをはっきりと認めている。 これに対して、故・芦部信喜教授の憲法論の継承者である高橋和之教授を初めとする多くの左派憲法学者は残念ながら、未だに半世紀以上前(1961年のH.L.A.ハート『法の概念』刊行以前)のドイツ法学系パラダイム(法段階説・法=主権者意思説)に依拠する日本ローカルの憲法学の殻に閉じ籠ったままであるが、こうしたガラパゴス状態も長谷部教授などの貢献により今後は徐々に正常化に向かっていくものと思われる。 ※以下、「法の支配」理念から発展した「立憲主義」理念について整理します。 ◆2.「立憲主義」の定義 日本の憲法の教科書では「法の支配」の名の下に“人権の保障や民主主義、権力分立など、望ましい政治体制が備えるべきあらゆる徳目が並べられている”という上記の長谷部教授の批判は、「立憲主義」に関してもそっくりそのまま当て嵌まる。 ⇒「法の支配」の意味を限定すべきであるのと同様に、「立憲主義」という言葉の意味も限定すべきである(すなわち、下記の阪本昌成氏や長谷部恭男氏の論が正解となる)。 ◇1.各論者による説明 政治的スタンス 論者 内容 (1) 保守主義 百地章 「立憲主義とは、国家の統治が憲法にもとづいて行われることである。」(『憲法の常識 常識の憲法』p.32) (2) リベラル右派 阪本昌成 (1) 立憲主義の意義先の [1] で私は、《統治とは、国家機関を通して為す、一元的・統一的な権力支配だ》と述べた。統治は、限られたリソースを巡る利害の対立を調整しながら、その配分のあり方を権力的に決定する恒常的かつ永続的な国家作用である。この権力的、永続的な統治活動の牙を抜いて正当な枠に閉じ込めようとするにが、規範的意味での国制の役割である。統治を、流動的で恣意的な政治に委ねることなく、国制のもとに規律し安定化させる思考を「立憲主義 constitutionalism」という。近代国家が規範的意味での国制によって統制されるに至った段階のものは、「近代立憲主義国家」といわれる。これは、国家という強制の機構から各人の「自由」を擁護する、統治上のルールとしての憲法をもっている国家のことである。(『憲法1 国制クラシック』p.26) (2) 立憲主義の展開(中略)自然権の保全と権力分立という二つの要素を憲法の必須要素だと明言したのが、フランス人権宣言16条の「権利の保障が確保されておらず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法を持たない」という有名なフレーズである。この二つの要素を満たす憲法を「立憲主義的憲法」と一般にいわれることがある。つまり、《憲法とは、人権宣言と権力分立を含む成文の法文章だ》、 《この法文章は、国家樹立の際の社会契約および憲法協約を成文化したものであるから、主権者をも統制する法力をもっている》という思想である。 今日、立憲主義を想起する場合、人々の脳裏に浮かぶのは、一般にこのタイプである。が、フランス人権宣言とその16条は近代立憲主義のモデルではなく、「このタイプだ」と簡単に片付けることは正確でない。フランス的立憲主義とアメリカ的立憲主義は、憲法に関する見方を大きく異にしているのだ。 〔D〕近代立憲主義の枝分かれフランス型は、憲法をあるべき国家の最適モデルに適合させようとする理論に従って設計しようとした。なかでも、憲法を制定する力を民主的に創造するための人為的理論が最重要視された。これが、後の [39] でふれる憲法制定権力の理論である。人権も、まったく新たに創設され、最適規範に相応しい内容を人為的に持たされた。人権は、人が精神的にも物質的にも、あるべき姿となるための規範だった。こうした憲法のモデルが理論通りには運ばないと判明したときには、また別の理論に従って人為的に憲法が制定された。フランスの憲法は、何度も何度も制定されては軌道修正された。そして、結局のところ、自由の構成(constitution)に失敗したのだった。これに対してアメリカ型は、経験と伝統とを基礎とする憲法制定の道を辿った。理論的な最適規範を設計したところで、上手く定着することはない、と建国の父たちは知り尽くしていた。それと同時に、憲法制定会議を頻繁に開設して討議を繰り返すと、統治力学の振り子が大きく揺れ過ぎることも予知していた。建国の父たちは、モンテスキューが理想としていた「中庸な統治体制=混合政体」から多くを学んだ(合衆国憲法はJ. ロック(1632~1704年)の影響を受けて制定された、といわれることがあるが、これは誤診だと私は考えている)。合衆国憲法が、House of the Senates(通常、「上院」と訳される元老院=貴族政的要素+連邦制)と House of the Representatives(通常、「下院」と訳される庶民院=民主政的要素)という権力分立、さらには、大統領という「民主化された君主」を置いたのは、そのためだった。また、アメリカ建国の父たちは、人間の理性・知性の限界を知っていた。人間は、有徳の存在ではなく、権力欲に満ちており、私利を追求するにあたって公共の利益を口にすること等々を建国の父たちは知っていた。合衆国憲法は、人権保障にあたっても、“自然権を実定化する”とは考えなかった。権利章典(Bill of rights)は、歴史的・経験的に徐々に姿を現してきた人の権利を確認するものだった(*注1)。 (*注1) アメリカ合衆国憲法における権利章典について 合衆国憲法にみられる「個人の自由と権利」は、自然権思想の影響をさほど受けてはいない。そこでのカタログは、歴史的にそれまで存在してきた権益を確認したものである。『憲法2 基本権クラシック』 11頁を参照願う。 (3) 立憲主義のふたつのモデル - 法の支配か民主主義か以上のように、一言で「近代立憲主義」という場合でも、一方には純粋理論型または超越型があり、他方には経験型・伝統重視型がある。見方を換えていえば、フランス型は 民意を統治過程に統合するなかで同時に自由を作り出すための憲法構造を理論的に追究したのに対して、アメリカ型は 多元的な民意を統治過程に多元的に反映させる憲法構造を伝統のなかから発見しようとしたのだった。アメリカ型立憲主義は、《個人の権利自由を擁護するための制度的装置として権力分立制を用意する》とよくいわれる。他方、憲法の民主化を重視するフランスにあっては、議会に反映される一般意思のもとに行政と司法を置くことが、その眼目であると考えられた。J. ルソー(1712~1778年)の影響だろう。そのために、議会中心の統治が理想とされた。これに対して、合衆国憲法は、モンテスキューの理論モデルを参考としながら、民主主義を万能としない権力分立制を導入した。アメリカ憲法は、「立憲主義=法の支配=権力分立」という等式を基礎として制定されたのである。 立憲主義のモデルをアメリカに求める人物は、《立憲主義とは、法の支配と同義であり、それは民主主義の行き過ぎに歯止めをかける思想でもある》と考える傾向にある。これに対して、立憲主義モデルをフランスに求める人は、「立憲民主主義」という言葉を多用する傾向がある。後者は、「立憲」の中に権力分立と人権尊重の精神を含め、「民主主義」の中に、「国民主権」と議会政を含めているようである(民主主義の中に人権尊重を忍び込ませる論者もいる)。が、それらの一貫した関連性をそこに見て取ることは困難であるように私にはみえる(自由主義と民主主義との異同については、後の [26] でふれる)。 私は、《立憲主義とは、誰が主権者であっても、また、統治権がいかに民主的に発動されている場合であっても、主権者の意思または民主的意思を法のもとに置こうとする思想だ》と考えている。 本書が「立憲民主主義」という言葉を決して用いないのは、そのためである。(『憲法1 国制クラシック』p.31) (3) リベラル左派 長谷部恭男 近代以降の立憲主義とそれ以前の立憲主義との間には大きな断絶がある。近代立憲主義は、価値観・世界観の多元性を前提とし、さまざまな価値観・世界観を抱く人々の公平な共存をはかることを目的とする。それ以前の立憲主義は、価値観・世界観の多元性を前提としていない。むしろ、人としての正しい生き方はただ一つ、教会の教えるそれに決まっているという前提をとっていた。正しい価値観・世界観が決まっている以上、公と私を区別する必要もなければ、信仰の自由や思想の自由を認める必要もない。(長谷部恭男『憲法とは何か』p.69) ・・・近代ヨーロッパで立憲主義が成立する経験においては、宗教戦争や大航海を通じて、この世には比較不能な多様な価値観が存在すること、そして、そうした多様な価値観を抱く人々が、それにもかかえわらず公平に社会生活の便宜とコストを分かち合う社会の枠組みを構築しなければならないこと、これらが人々の共通の認識となっていったことが決定的な意味を持っている。立憲主義を理解する際には、…制度的な徴表のみにとらわれず、多様な価値観の公平な共存という、その背後にある目的に着目する必要がある。(長谷部恭男『憲法とは何か』p.71) ヨーロッパでの成立の経緯に照らしてみればわかるように、立憲主義は、多様な価値観を抱く人々が、それでも協働して、社会生活の便益とコストを公正に分かち合って生きるために必要な、基本的枠組みを定める理念である。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.178) そのためには、生活領域を公と私とに人為的に区別すること、社会全体の利益を考える公の領域には、自分が一番大切だと考える価値観は持ち込まないよう、自制することが求められる。・・・そうした自制がないかぎり、比較不能な価値観の対立は、「万人の万人に対する闘争」を引き起こす。・・・(中略)・・・。立憲主義はたしかに西欧起源の思想である。しかし、それは、多様な価値観の公正な共存を目指そうとするかぎり、地域や民族にかかわりなく、頼らざるをえない考え方である。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.178) 立憲主義にもとづく憲法・・・は、人の生きるべき道や、善い生き方について教えてくれるわけではない。それは、個々人が自ら考え、選びとるべきものである。憲法が教えるのは、多様な生き方が世の中にあるとき、どうすれば、それらの間の平和な共存関係を保つことができるかである。憲法は宗教の代わりにはならない。「人権」や「個人の尊重」もそうである。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.179) 立憲主義は現実を見るように要求する。世の中には、あなたと違う価値観を持ち、それをとても大切にして生きている人がたくさんいるのだという現実を見るように要求する。このため、立憲主義と両立しうる平和主義にも、おのずと限度がある。現実の世界でどれほど平和の実現に貢献することになるかにかかわりなく、ともかく軍備を放棄せよという考え方は、「善き生き方」を教える信仰ではありえても、立憲主義と両立しうる平和主義ではない。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.179) 「立憲主義ということばには、広狭二通りの意味がある。本書で「立憲主義」ということばが使われるときに言及されているのは、このうち狭い意味の立憲主義である。広義の立憲主義とは、政治権力あるいは国家権力を制限する思考あるいは仕組みを一般的に指す。「人の支配」ではなく「法の支配」という考え方は広義の立憲主義に含まれる。古代ギリシャや中世ヨーロッパにも立憲主義があったといわれる際に言及されているのも広義の立憲主義である。他方、狭義では、立憲主義は、近代国家の権力を制約する思想あるいは仕組みを指す。この意味の立憲主義は近代立憲主義ともいわれ、私的・社会的領域と公的・政治的領域との区別を前提として、個人の自由と公共的な政治の審議と決定とを両立させようとする考え方と密接に結びつく。二つの領域の区分は、古代や中世のヨーロッパでは知られていなかったものである。」(『憲法とは何か』p.68) (4) 左翼 芦部信喜 ※芦部は「近代立憲主義(あるいは現代立憲主義)は~という性質を持っている」とその属性を述べるものの、「立憲主義とは何か」という肝心の概念論・理念論に関しては慎重に口を閉ざしている。これは芦部の憲法論が英米圏で主流となっている「立憲主義」や「法の支配」の概念・理念理解とは実は無縁の古いドイツ系法学に依拠していることに原因がある。⇒芦部の後継者である高橋和之も同様。 (5) 中間 佐藤幸治 ※佐藤も芦部と同様に、「近代立憲主義」と「現代立憲主義」を対比して言及するものの、立憲主義そのものの概念・理念の説明はない。つまり芦部や佐藤の世代ではベースがまだドイツ系法学であったために、英米系の「立憲主義」「法の支配」といった概念・理念を英米圏の用法の通りに消化できていないのである。 ◇2.参考ページ 「立憲主義」理念のまとめページ 立憲主義とは何か ※以上で法価値全般に関わる事項の説明を終わり、憲法に特有の法価値に関する検討に移ります。 ◆3.憲法に特有の法価値論+法解釈論 - 整理図 ※サイズが画面に合わない場合はこちら をクリック願います。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (with) ◇1.参考ページ 「法の支配」と国民主権の関係 リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 国民の権利・自由と人権の関係 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 芦部信喜・佐藤幸治・阪本昌成・中川八洋etc.の「国民主権論」比較と評価 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 関連用語集 【用語集】主権論・国民主権等 ※このように、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の段階で、(1)左翼的スタンスによる理解と(2)保守的スタンスによる理解とが激しく対立するが、 寛容で自由な価値多元的な社会を保障するのは、二つの自由論の場合と同じく、(2)保守的スタンスによる理解の方である。 ※なお、ここで一つ留意事項として、上図には表記がないが、(1)(2)の他にもう一つ、(3)右翼的スタンスによる理解というものが想定可能である。この(3)右翼的スタンスは、(1)左翼的スタンスの場合と同じく全体主義的であって、寛容で自由な社会に相応しくない理解である。(この(3)右翼的スタンスと(2)保守的スタンスとの区別は、■4.-◆1.-◇2.で図解する) ■4.そうした価値、理念・目的を如何に実現するか(法学的方法論) → 主として、形式憲法(憲法典)に関する議論領域 ◆1.現行憲法典の解釈論 ◇1.左翼的(全体主義的)解釈vs.保守的(自由主義的)解釈 ※■3.- ◆2.の整理表下段(形式的憲法論の欄) を参照 ◇2.日本の代表的な憲法論 - 内容紹介・評価 日本の様々な憲法論を政治的スタンスに当て嵌めて概括すると下表のようになる。 ※サイズが画面に合わない場合はこちら をクリック願います。 政治的スタンス 代表的論者 ベースとなる思想家/思想 補足説明 詳細内容 (1) 極左 伊藤真など護憲論者 J.-J.ルソーの社会契約論からさらに、アトム的個人主義と集産主義の結合形態(=左翼的全体主義)※説明に接近 「人権」「平和」を過度に強調し絶対視する共産党・社民党・民主党左派系の法曹に多い憲法論でありイデオロギー色が濃く法理論というよりは左翼思想のプロパガンダである(左の全体主義) (2) 左翼 芦部信喜高橋和之 修正自然法論(法=主権者意思[命令]説に自然法を折衷)+J.-J.ルソーの社会契約論 宮沢俊義→芦部信喜と続く戦後日本の憲法学の最有力説であり通説※宮沢は有名なケルゼニアン(ケルゼン主義者)。芦部は自然法論者だが人権保障をア・プリオリ(先験的)な「根本規範」と位置づけており、その表面的な米国判例理論の紹介はポーズに過ぎず、実際には依然ケルゼン/ラートブルフ等ドイツ系法学の影響が強い よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) (3) リベラル左派 長谷部恭男 H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)を一部独自解釈※なお長谷部は社会契約論に依拠しているのか曖昧でハートの法概念論と辻褄が合うはずのハイエクの自由論は故意に無視している 近年の左派系憲法論(護憲論)をリードしている長谷部は芦部門下であるが、師のようなドイツ系法学パラダイムはもはや世界の憲法学の潮流からは通用しないことを認識しており、師の憲法論の中核である、①根本規範を頂点とした法段階説+②制憲権(憲法制定権力)説、を明確に否定して、英米系法学パラダイムへの接近を図っている。(※但しハートまでは受容しながらもハイエクを拒否している長谷部の憲法論は中途半端の誹りを免れず、これを一通り学んだ後は、より整合性のとれた阪本昌成の憲法論へと進むべきである) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) (4) 中間 佐藤幸治 人格的自律権に限定して自然法を認める独自説+J.ロックの社会契約論 芦部説の次に有力な憲法論であり、芦部説よりも現実妥当性が高いので重宝されるが(佐藤は佐々木惣一から大石義雄へと続く京都学派憲法学の系統)、法理論としては妥協的でチグハグと呼ばざるを得ない 佐藤幸治『憲法 第三版』抜粋 (5) リベラル右派 阪本昌成、※ H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)+F.A.ハイエクの自由論 20世紀後半以降の分析哲学の発展を反映した英米法理論に基礎を置く憲法論であり、法理論としての完成度/説得力が最も高いが、日本では残念ながら非常に少数派 阪本昌成『憲法1 国制クラシック』 (6) 保守主義 中川八洋日本会議 E.コークの「法の支配」論+E.バークの国体論 日本会議・チャンネル桜系の憲法論も基本的にこちらに該当する。法理論というより「国民の常識」論であり、心情面からの説得力が高いが、(5)の法理論を一通り押えた上でこの立場を取らないと、いつの間にか(7)に堕する危険があるので注意。 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 (7) 右翼・極右 いわゆる無効論者 ヘーゲルの法概念論・共同体論およびそれに類似した全体主義的論調 「伝統」「国体」などを過度に強調し絶対視して「右の全体主義」化した憲法論(左翼憲法論の裏返しであり、左翼からの転向者が嵌り易い。法理論というより右翼イデオロギーのプロパガンダ色が濃い) ※政治的スタンス5分類・8分類+円環図 -... ※サイズが合わない場合はこちら をクリック ⇒上図の詳しい説明は、政治の基礎知識、政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 参照。 政治的スタンス毎の憲法論の違いは、①「人権」と②「国民主権」の捉え方に顕著に現れる。このうち、①「人権」に関しては、「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のためにを参照。政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価では、(2)~(6)の各々の政治的スタンスの代表的な②「国民主権」論を列記したのち、総括する。 ◆2.憲法典の改廃論 憲法典の改廃論 内容 参考ページ (1) 改憲論 ① 保守的改憲論 保守主義的・自由主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 ② 左翼的改憲論 左翼的・全体主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 ③ 中間的改憲論 それほど明確なポリシーがあるわけではない(=保守主義的とも左翼的とも言い難い)が、一応は憲法9条の改正など最低限の提言内容は持つ改憲論 (2) 護憲論 ① 左翼的護憲論1(芦部信喜説準拠) 「人権」「平和」理念を絶対視して、彼らがその理念を体現すると考える現行の憲法典の絶対的維持を訴える論。しかし、■2.で説明したように、芦部説などのベースとなっている法概念理解は実際には単なる左翼イデオロギーの刷り込みでしかなく「自由で寛容な価値多元的な社会を支える憲法構想」としては完全に破綻している。 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) ② 左翼的護憲論2(長谷部恭男説準拠) 自衛隊の存在などは「憲法の変遷」があった(=条文の変化はないが、その解釈が変化したことにより合憲となった)として現状追認する一方で、現行憲法典の条文自体には「世界平和の希求」「人権価値実現の目標プログラム」など将来に向けての積極的価値を認めて、改憲に反対する論 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ③ いわゆる真正護憲論(新無効論) この論の当否についてはネットなどで各自チェックするのが望ましい。一つ指摘事項を書くとすれば、この論のベースとなる法概念理解は、実は芦部信喜に代表される①左翼的護憲論1の法段階説(根本規範・自然法論などを強調するドイツ法学系の法概念理解)と同じ(=左翼的護憲論が「人権」「平和」を絶対視するところを、この論では彼らの考える「国体」を絶対視している、という違いがあるだけ)であり、①左翼的護憲論1と同じく、現代の法学パラダイムから全く落伍した時代遅れの論である、ということである。そのほか、この論には法的議論として様々な無理があり、一定の法学知識のある層からは全く相手にされていない が、一般向けのプロパガンダとしては中々人気のある論となっている。 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) (3) 破棄論 ① 占領憲法失効・破棄論(菅原裕説が代表的) 主権回復(1952.4.28)直後には一定の説得力と賛同者をもっていた論であったが、現在では最早現実妥当性がない無責任な論である。1950年代前半迄であれば、現行憲法を破棄・失効させ明治憲法を復活させてそのまま運用することは何とかギリギリで可能だったかも知れないが、戦後日本社会の様相を反映した複雑・多様な法制度が整備された現在では、代替案も示せずに「現行憲法を破棄・失効せよ」とだけ強弁するだけでは済まされない。 ◆3.憲法典改正案 ◇1.現在提案されている種々の改憲案 ① 中川八洋草案 保守的改憲案の代表例 ② 日本会議の提言 保守的改憲案の代表例 ③ 産経新聞案(2013年) 「国民の憲法」要綱 ④ 読売新聞案(2004年) 読売新聞社・憲法改正2004年試案 ⑤ 自民党案(2012年) 現行憲法・自民党改憲案(対照表) ⑥ 国立国会図書館編・改憲案一覧(2005年) 主な日本国憲法改正試案及び提言 ◇2.日本国憲法の構成と、保守的スタンスから見た改正の要否 憲法典の構成 保守的スタンスから見た改正の要否、改正内容 前文 抜本的な書換が必要 自虐的文言・空想的国際協調主義などの全面的排除 憲法の基本理念や解釈基準を明記する部分だが、現状は占領軍のポジション・トークに過ぎない部分が目立ち、抜本的な書換が必要である。 本文 (1) 固有規定1 1 第一章(天皇) 要検討 具体的な改正内容は慎重な検討を要する 国の在り方や国政の基本方針を明記する部分だが、文理解釈のままでは実質憲法(国制)とズレが生じるために、現状では相当に苦しい目的論的解釈が必要となっている箇所が多く、大幅な書換が必要である。 2 第ニ章(戦争の放棄) 抜本的な書換が必要 正当な戦力の保持・行使の明記etc. (2) 権利章典 1 第三章(国民の権利及び義務) 小規模な修正 普遍的人権ではなく国民の自由・権利の保障etc. 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 (3) 統治機構 1 第四章(国会) 小規模な修正 参議院の在り方etc. 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 2 第五章(内閣) 内閣権限の強化、国家安全保障の不備対応etc. 3 第六章(司法) 国民審査制度の不備対応etc. 4 第七章(財政) 5 第八章(地方自治) (4) 固有規定2 1 第九章(改正) 要検討 96条の2/3条項については賛否両論あり 要検討。 2 第十章(最高法規) 中規模の修正 人権の過度の強調の排除、最高法規性の定義再検討etc. (5) 経過規定 1 第十一章(補則) - 新たな経過規定が必要 本文ではなく附則とするのが合理的である。 ◇3.改憲案の具体例(自民党・憲法改正草案(2012年版)+中川八洋草案) 1 自民党 憲法改正草案(2012年版) (※中川八洋『国民の憲法改正 』の指摘事項を付記) 現行憲法-自民党草案-中川草案(対照表) を参照 ■5.ご意見、情報提供 ページ内容向上のためのご意見・情報提供を歓迎します。 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 保守主義的な憲法論・参考サイト http //blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/aa74d73e62cc74859dbc4e4a1a3e1f83 -- 名無しさん (2013-08-04 15 44 52) 憲法は全文変えていいよ。大日本帝国憲法を再発行で。左翼は韓国と中国に強制送還で。 - 匿名 2016-11-23 03 40 17 以下は最新コメント表示 保守主義的な憲法論・参考サイト http //blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/aa74d73e62cc74859dbc4e4a1a3e1f83 -- 名無しさん (2013-08-04 15 44 52) 憲法は全文変えていいよ。大日本帝国憲法を再発行で。左翼は韓国と中国に強制送還で。 - 匿名 2016-11-23 03 40 17 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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危険は形而上学の欺瞞的な性格の中にある。それは、実際には何らの知識をも与えないのに、知識であるかのような幻想を与える。我々が形而上学を排撃する理由はここにある。・・・(中略)・・・哲学の唯一の仕事は論理的分析 logical analysis である。 ~ R. カルナップ(論理実証主義に立つ哲学者集団「ウィーン学団」のリーダー的学者) 要旨■「平和憲法」「占領憲法」などのレッテル貼りに終始するのではなく、①憲法とはそもそも何か(法概念論)、②憲法の保障すべき価値は何か(法価値論)、③そうした価値を如何に実現するか(法学的方法論)、という憲法問題の課題を一つづつ分析し検証していくことが重要である。 ※本ページが難しい方は、日本国憲法改正問題(初級編)を先ずご覧下さい。 <目次> ■1.はじめに◆1.基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学) ◆2.問題状況整理表 ■2.憲法とは何か(法概念論)◆1.憲法(constitution)の定義◇1.実質憲法(国制)と形式憲法(憲法典)の区別 ◇2.法概念論(憲法とは何か)と法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の区別 ◇3.二つの憲法概念から考える国家の在り方(伝統国家・革命国家・新興国家) ◆2.法体系の2つの捉え方◇1.ケルゼンおよび修正自然法論者による法段階説(半世紀前の法学パラダイム) ◇2.ハートによる社会的ルール説(現代の世界標準の法学パラダイム) ■3.憲法の保障すべき価値、理念・目的は何か(法価値論)◆1.法価値(=正義)一般と、「法の支配」◇1.参考ページ ◇2.「正義」「法の支配」まとめ ◆2.「立憲主義」の定義◇1.各論者による説明 ◇2.参考ページ ◆3.憲法に特有の法価値論+法解釈論 - 整理図◇1.参考ページ ■4.そうした価値、理念・目的を如何に実現するか(法学的方法論)◆1.現行憲法典の解釈論◇1.左翼的(全体主義的)解釈vs.保守的(自由主義的)解釈 ◇2.日本の代表的な憲法論 - 内容紹介・評価 ◆2.憲法典の改廃論 ◆3.憲法典改正案◇1.現在提案されている種々の改憲案 ◇2.日本国憲法の構成と、保守的スタンスから見た改正の要否 ◇3.改憲案の具体例(自民党・憲法改正草案(2012年版)+中川八洋草案) ■5.ご意見、情報提供 ■1.はじめに 憲法問題となると、たちまち「平和憲法を守れ」とか「占領憲法を破棄せよ」といった、左右両極端の立場からのイデオロギッシュなアジテーション・罵倒合戦に終始してしまう現象が頻繁に観測される。(※なお、経済問題に関しても類似した現象がしばしば観測される ⇒ ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 参照)。 確かに、現実妥当性に目を瞑って現行憲法典の前文・第9条を厳密に文理解釈すれば、お花畑的な(つまりネガティヴな)意味で「平和憲法」と云えなくもないし、また制定過程を見ればGHQ草案をほぼそのまま翻訳した「占領憲法」と呼ばれるのも致し方ないことではあるが、ここでは、そうした扇動的・プロパガンダ的方向にばかり走り易い言説を避けて、努めて論理的・概念分析的な姿勢を守りつつ憲法問題の整理・解明を目指したい。 そのために、 1 まず、基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学)を区別して、憲法問題の位置づけを明確にし、 2 次に、基礎法学の主要3分野(①法概念論・②法価値論・③法学的方法論)各々について、実用法学の一分野である憲法学(憲法論)の課題を対応させた問題状況整理表を作成し、 3 そして、上流から順に(つまり①法概念論→②法価値論→③法学的方法論の順に)これらの課題を一つづつ分析し整理していく。 ◆1.基礎法学(理論法学)と実用法学(応用法学) きそほうがく【基礎法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より 実用法学に対して、少なくとも直接的には法的な諸事象の純粋に理論的な認識・解明を目的とする法学。理論法学ともいう。基礎医学という用語にならって第二次世界大戦後の日本で使われるようになった。法社会学、法史学、比較法学、法哲学がこれに属する。 じつようほうがく【実用法学】 ※日本語版ブリタニカ百科事典より 司法、行政、立法などの実用目的に奉仕する法学。法解釈学と立法学がこれに属する。基礎法学と対置されるが、現代の実用法学は基礎法学の成果を積極的に活用して法の合目的的な形成と運用を図る応用科学としての性格を強めつつある。 ほうかいしゃくがく【法解釈学】 Rechtsdogmatik ※日本語版ブリタニカ百科事典より 解釈法学ともいう。実定法の規範的意味内容を体系的・合理的に解明し、裁判における法の適用に影響を与えることを目的とする実用法学。実定法を構成する文字および文章の多義的な規範的意味内容を明確かつ一義的に確定していく作業が法の解釈であるが、この作業には、①文理解釈、②論理解釈、③縮小解釈、④目的論的解釈、⑤反対解釈、⑥勿論解釈、⑦類推解釈などと呼ばれるものがある。法解釈学は古代ローマで成立して以来、現代まで法学の中心的位置を占めているが、時代の変遷によって力点の変化がみられる。自由法論以後の法解釈学は人間や社会に関する経験科学的認識を取り入れた応用科学としての性格を強めている。第二次世界大戦後の日本の法学界における「法解釈学論争」では、法解釈学の実践的性格が強調された。法解釈学は、その対象となる実定法の分野によって、憲法学、行政法学、刑法学、民法学、商法学、労働法学、国際法学、国際私法学などに分れる。 けんぽうがく【憲法学】 ※広辞苑より 法学の一部門。憲法および憲法上の諸現象を研究の対象とする学問。国法学。 ◆2.問題状況整理表 基礎法学(理論法学)の主要3分野 憲法学(応用法学)の課題 (1) 法概念論(法とは何か) 1 憲法とは何か(憲法の定義) ⇒(a)実質憲法(国制)と、(b)形式憲法(憲法典)、の区別が重要。 2 法体系の中での憲法の位置づけ ⇒①法段階説(主権者意思[命令]説・・・ケルゼン及び修正自然法論者の法理解)と、②社会的ルール説(ハートの法理解であり、ハイエクの自生的秩序論と親和的)、の区別・評価が重要 (2) 法価値論(法の保障すべき価値は何か)※正義論ともいう(*注1)※法理念論、法目的論ともいう 《1》 法価値全般 1 法価値(正義)一般と「法の支配」論 ※法価値論は、専ら、(a)実質憲法(国制)の在り方に関する分野である。⇒①左翼的・全体主義的価値観と、②保守的・自由主義的価値観、の区別・評価が重要。 2 「立憲主義」論 《2》 個別的法価値 1 主権論(憲法は特定の主権者を規定すべきか) ※主権論について詳細ページ⇒政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 2 人権論(憲法の基礎的な保護領域は何か) ※人権論について詳細ページ⇒「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 3 平和論(奴隷の平和か正戦を肯定するか) (3) 法学的方法論(法価値を如何に実現するか) 前提条件 価値論の把握 1 憲法典(形式憲法)の解釈論 ※法学的方法論は、専ら、(b)形式憲法(憲法典)の解釈・運用に関わる分野であり、具体的な条規について(2)法価値論《2》の 1 ~ 3 の課題に対応した法解釈の対立が見られる。⇒①左翼的・全体主義的解釈と、②保守的・自由主義的解釈、の区別・評価が重要。 2 憲法典(形式憲法)の改廃論 ⇒①護憲論、②改憲論、および③破棄論、の比較・評価が重要。 3 憲法典(形式憲法)案の内容評価 ⇒各々の草案について、(2)法価値論《2》の 1 ~ 3 の課題への対応方針に留意しながら個別に評価していくことが重要。 (*注1)法的な価値は、伝統的に「正義(justice)」という言葉で表現されてきたため、法価値論を正義論ともいう。 ■2.憲法とは何か(法概念論) ◆1.憲法(constitution)の定義 ◇1.実質憲法(国制)と形式憲法(憲法典)の区別 けんぽう【憲法】 constitution ※日本語版ブリタニカ百科事典より 憲法の語には、(1)およそ法ないし掟の意味と、(2)国の根本秩序に関する法規範の意味、の2義があり、聖徳太子の「十七条憲法」は(1)前者の例であるが、今日一般には(2)後者の意味で用いられる。 (2)後者の意味での憲法は、凡そ国家のあるところに存在するが(実質憲法)、近代国家の登場とともにかかる法規範を1つの法典(憲法典)として制定することが一般的となり(形式憲法)、しかもフランス人権宣言16条に謳われているように、①国民の権利を保障し、②権力分立制を定める憲法のみを憲法と観念する傾向が生まれた(近代的意味の憲法)。 1 17世紀以降この近代的憲法原理の確立過程は政治闘争の歴史であった。憲法の制定・変革という重大な憲法現象が政治そのものである。比較的安定した憲法体制にあっても、①社会的諸勢力の利害や、②階級の対立は、[1]重大な憲法解釈の対立とともに、[2]政治的・イデオロギー的対立を必然的に伴っている。 従って、憲法は (a) 政治の基本的ルールを定めるものであるとともに、 (b) 社会的諸勢力の経済的・政治的・イデオロギー的闘争によって維持・発展・変革されていく、・・・という二重の構造を持っている。 2 憲法の改正が、通常の立法手続でできるか否かにより、軟性憲法と硬性憲法との区別が生まれるが、今日ではほとんどが硬性憲法である。 近代的意味での成文の硬性憲法は、 ① 国の法規範創設の最終的源である(授権規範性)とともに、 ② 法規範創設を内容的に枠づける(制限規範性)という特性を持ち、かつ ③ 一国の法規範秩序の中で最高の形式的効力を持つ(最高法規性)。 日本国憲法98条1項は、憲法の③最高法規性を明記するが、日本国憲法が硬性憲法である(96条参照)以上当然の帰結である。今日、③最高法規性を確保するため、何らかの形で違憲審査制を導入する国が増えてきている。 なお、憲法は、①制定の権威の所在如何により、欽定・民定・協約・条約(国約)憲法の区別が、②歴史的内容により、ブルジョア憲法と社会主義憲法、あるいは、近代憲法(自由権中心の憲法)と現代憲法(社会権を導入するに至った憲法)といった区別がなされる。 なお、下位規範による憲法規範の簒奪を防止し、憲法の最高法規性を確保することを、憲法の保障という。 (⇒憲法の変動、⇒成文憲法、⇒不文憲法) 上記のように、憲法(constitution)という概念には、 ① 実質的意味の憲法 (=国制、国体法 constititional law) ⇒本質主義(essentialism)による定義 と、 ② 形式的意味の憲法 (=憲法典 constitutional code) ⇒名目主義(nominalism)による定義 の2つのレベルがあり、 両者を区別しつつ総合的に考察していく必要がある。 そして、これに対応して、憲法論にも、 ① 実質的意味の憲法論 (法価値論=憲法の保障すべき価値は何かを考察する価値論であり、それを具体化すると立法論になる) と、 ② 形式的意味の憲法論 (法解釈論=既に成文化された憲法典の解釈論) の2つの段階があり、 この両者もまた確り区別して考察していく必要がある。 ★補足説明★「実質的意味の憲法」「国体法」「国制」 たとえば「民法」という概念には、①実質的意味の民法(=民法典に限らず「総体としての民法 civil law」を指す)と、②形式的意味の民法(=民法典 civil code という具体的な法律)の二つの意味があり、また「刑法」という概念にも同じく、①実質的意味の刑法(criminal law)と、②形式的意味の刑法(=刑法典 criminal code という具体的な法律)の二つの意味がある。これらから類推されるように、当然「憲法」という概念にも、①実質的意味の憲法(constitutional law)と、②形式的意味の憲法(=憲法典 constitutional code という具体的な法律)の二つの意味があり、これらは確りと区別されて論じられるべきであるが、明治期に constitution(英語)ないし Verfassung(ドイツ語)という概念を日本に導入する際に、専ら②形式的意味の憲法(憲法典)という意味で「憲法」という言葉が用いられてしまったために、現在の日本では、憲法とは専ら②憲法典である、とする理解(すなわち、①の意味を見落とした状態での理解)が一般的となってしまっている。 これに関しては、戦前の日本では、①実質的意味の憲法(国制)を意味する言葉として、明治以前から「国体」という用語が普及していたという裏の事情がある。この「国体」という用語は、昭和初期に濫用されて右翼的イデオロギーの色彩を強く帯びてしまったことから、戦後はこの用語の使用自体がタブー視される状態となってしまい、なおさら現在の日本人が、①実質的意味の憲法、を考えることを困難にしている。(※「国体」については⇒国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)参照) こうした①実質的意味の憲法 constitutional law を素直に翻訳すれば「国体法」となるが、ここでは主に、よりイデオロギー色の薄い「国制」という訳語を用いることとする。(※なお、アリストテレス著として伝わる『アテナイ人の国制』の英語版書名は 『The Athenian Constitution』であり、①の意味での constitution の訳語として「国制」が現時点ではやはり一番適切である。) ◇2.法概念論(憲法とは何か)と法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の区別 左派及び右派から、しばしば繰り返される「憲法の定義」として、次のようなものがある。 (1) 憲法とは、政治権力者を拘束し国民を守るための法規範であり、それに反するものは憲法ではない。 (主に左派から) (2) 憲法とは、国の歴史を踏まえた国体を成文化した法規範であり、それに反するものは憲法ではない。 (主に右派から) 確かに、正当な憲法典には、(1)および(2)のそれぞれの要素が認められるべきであるが、結論から先にいえば、それらは、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)のカテゴリーであって、「憲法の定義」すなわち①法概念論(憲法とは何か)のカテゴリーではない。 このようなカテゴリー・ミスを避ける意味でも、当ページで薦めているような、①法概念論⇒②法価値論⇒③法学的方法論、という順序を踏まえた憲法問題の検討が肝要である。 因みに、(1)政治権力者をほとんど拘束できない憲法典や、(2)自国の歴史やこれまでに培ってきた伝統的な国体を全く反映せず、むしろそれらの積極的な破壊を目的とした憲法典も、世界には幾つも存在したし、現在でも存在しており、それらを「憲法と認めない」とするのは単なる個人的な価値観の表明でしかなく、何ら憲法問題の分析・明晰化に役立たない。 それよりも先ずは「憲法」という概念を、 1 実質憲法(国制、国体法)と 2 形式憲法(憲法典)に確り区別して、この両者の関係から、(a)国家の在り方(=伝統国家/革命国家/新興国家)、(b)憲法典の在り方(保守型/革命型/創成型)を考察していく方が遥かに有意義である。 ◇3.二つの憲法概念から考える国家の在り方(伝統国家・革命国家・新興国家) ※サイズが合わない場合はこちらをクリック。 ※■3.- ◆3.の憲法論の二段構造(整理表)で詳述するように、日本国憲法に関しては、 (1) 左翼側(主に憲法学者)は、これを「八月革命」の結果成立した革命型憲法と捉え、戦前の国制を積極的に否定・破壊する方向への解釈・運用を強く要求してきたが、 (2) 保守側(主に日本政府)は、そのようなフィクションを認めず、日本国憲法はあくまで大日本帝国憲法の改正憲法典として成立したものとして保守的解釈・運用を図ってきており、 戦後の日本では、(a)国家の在り方(=伝統国家か革命国家か)、(b)憲法典の在り方(=保守的解釈が正当かそれとも左翼的解釈が正当か)を巡って、左翼側・保守側の激しい対立が継続されてきた。 こうけんてきかいしゃく【公権的解釈】※日本語版ブリタニカ百科事典より 権限のある国家機関によって行われる法の解釈。有権解釈ともいう。これによって解釈が公定されるという点で、法学者や私人の解釈よりも重要な意味をもつ。公権的解釈には、法律によるもの(立法解釈)、行政機関によるもの(行政解釈)、裁判所によるもの(司法解釈)がある。 ※つまり、左翼的な憲法学者がどれほど「これは憲法学界の通説である(例:八月革命は憲法学界の通説であるetc.)」と唱えようと、日本政府がこれまでに表明してきた見解(例:国体は戦前/戦後で一貫しているetc.)が効力を持ったオフィシャルな解釈(=公権的解釈・有権解釈)なのだから、我々が戦後の日本を伝統国家と認め、日本国憲法を保守的に解釈することには正当な理由があるのだが、それ以外にも、下記◆2.に示すように、戦後日本の左翼的憲法学には論理面から致命的な欠陥が指摘可能である。 ◆2.法体系の2つの捉え方 ◇1.ケルゼンおよび修正自然法論者による法段階説(半世紀前の法学パラダイム) ※図が見づらい場合⇒こちらを参照 ※①宮澤俊義(ケルゼン主義者)・②芦部信喜(修正自然法論者)に代表される戦後日本の左翼的憲法学は「実定法を根拠づける“根本規範”あるいは“自然法”」を仮設ないし想定するところからその理論の総てが始まるが、そのようなア・プリオリ(先験的)な前提から始まる論説は、20世紀後半以降に英米圏で主流となった分析哲学(形而上学的な特定観念の刷り込みに終始するのではなく緻密な概念分析を重視する哲学潮流)を反映した法理学/法哲学(基礎法学)分野では、とっくの昔に排撃されており、日本でも“自然法”を想定する法理学者/法哲学者は最早、笹倉秀夫(丸山眞男門下)など一部の化石化した確信犯的な左翼しか残っていない。このように基礎法学(理論法学)分野でほぼ一掃された論説を、応用法学(実定法学)分野である憲法学で未だに前提として理論を展開し続けるのはナンセンスであるばかりか知的誠実さを疑われても仕方がない行いであり、日本の憲法学の早急な正常化が待たれる。(※なお、近年の左翼憲法論をリードし「護憲派最終防御ライン」と呼ばれている長谷部恭男は、芦部門下であるが、ハートの法概念論を正当と認めて、芦部説にある自然法・根本規範・制憲権といった超越的概念を明確に否定するに至っている。) ◇2.ハートによる社会的ルール説(現代の世界標準の法学パラダイム) ※サイズが画面に合わない場合はこちら及びこちらをクリック願います。 ※上記のように、ハートの法=社会的ルール説は、現実の法現象について詳細で明晰な分析モデルを提供しており、特定の価値観・政治的イデオロギーに基づく概念ピラミッドに過ぎない法=主権者意思[命令]説の法体系モデルを、その説得力において大幅に凌駕している。 ※上図について、詳細な解説は法と権利の本質に関する2つの考え方へ。 ※このように、①法概念論(憲法とは何か)の段階で、既に左翼的憲法論はハッキリと論理破綻しているのであるが、以下更に、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の段階での 左翼的スタンス vs. 保守的スタンス 両者の憲法に求める価値(理念・目的)を対比して、寛容で価値多元的な自由主義社会を支え得る法価値は保守的スタンスのものであることを説明していく。 ■3.憲法の保障すべき価値、理念・目的は何か(法価値論) → 主として、実質憲法(国制)に関する議論領域 (1) ここでは、まず、法価値(=正義)一般について、それと密接に関連した「法の支配」理念と関連づけて整理・明晰化し、 (2) 次に、「法の支配」理念から発展した「立憲主義」理念について整理・明晰化し、 (3) さらに、憲法に特有の法価値論(①主権論、②人権論、③平和論)について、法解釈論と関連づけて整理・明晰化していく。 ※ポイントは、「正義」概念・「法の支配」理念・「立憲主義」理念や、①主権論・②人権論・③平和論に関しても、自由概念のケース(※リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜参照)と同様に、 1 保守的(自由主義的=価値多元的)スタンスによる理解と、 2 左翼的(全体主義的=価値一元的)スタンスによる理解とが、鋭く対立しているという基本構図を正しく把握することである。 ◆1.法価値(=正義)一般と、「法の支配」 ほうかちろん【法価値論】legal axiology 日本語版ブリタニカ 法的な価値について考察する研究分野。法的な価値は正義という言葉で表現されることが多いから、正義論といってもよい。 古代ギリシア以来、法哲学の主要分野をなしてきたが、最近は、①規範的倫理学と、②分析的倫理学の区別に対応して、①規範的法価値論と②分析的法価値論(メタ法価値論)とが明確に区別されるようになった。 せいぎ【正義】 広辞苑 ① [荀子(正名)]正しいすじみち、人がふみ行うべき正しい道。「-を貫く」 ② [漢書(律暦志上)]正しい意義または注解。「尚書-」 ③ (justice) (ア) 社会全体の幸福を保障する秩序を実現し維持すること。プラトンは国家の各成員がそれぞれの責務を果たし、国家全体として調和があることを正義とし、アリストテレスは能力に応じた公平な分配を正義とした。近代では社会の成員の自由と平等が正義の観念の中心となり、自由主義的民主主義社会は各人の法的な平等を実現した。 これを単に形式的なものと見るマルキシズムは、真の正義は社会主義によって初めて実現されると主張するが、現在ではイデオロギーを超えた正義が模索されている。 (イ) 社会の正義に適った行為をなしうるような個人の徳性。 せいぎ【正義】justice 日本語版ブリタニカ 人間の社会的関係において実現されるべき究極的な価値。 . 善(※注: agothos, bonum, good)と同義に用いられることもあるが、 (1) 善が、主として人間の個人的態度にかかわる道徳的な価値を指すのに対して、 (2) 正義は、人間の対他的関係の規律にかかわる法的な価値を指す。 . 正義とは何か、という問題については、古来さまざまな解答が示されてきたが、一般的な価値ないし価値基準に関する見解と同様に 1 正義を客観的な実在と考える客観主義的・絶対主義的正義論と、 2 正義を主観的な確信と考える主観主義的・相対主義的正義論とに大別できよう。 法思想の領域では、だいたいにおいて、自然法論が 1 前者に、法実証主義が 2 後者に、属する。 . 従来の正義論のうちでは、アリストテレスやキケロの見解が名高く、与えた影響も大きい。 (ア) アリストテレスは、道徳と区別される正義(特殊的正義)について、①配分的正義と、②交換的正義(平均的正義、調整的正義とも訳される)とを区別し、 ① 前者は、公民としての各人の価値・功績に応じて、名誉や財貨を配分することにおいて成立し、 ② 後者は、私人としての各人の相互交渉から生じる利害を平均・調整することにおいて成立する、とした。 (イ) キケロは、この①配分的正義と同様な内容を、「各人に彼のものを」という公式で表現した。 ほう-の-しはい【法の支配】 (rule of law) 広辞苑 イギリスの法律家コークが、国王は神と法の下にあるべきである、として、ジェームズ1世の王権を抑制して以来、「人の支配」に対抗して認められるようになった近代の政治原理。コークのいう法は、イギリスの判例法で、立法権をも抑制する点で、法治主義とは異なるが、後に法治主義と同義に用いることもある。 政治思想・政治哲学の根本的価値が「自由(freedom/liberty)」という言葉で表現されるように、 法思想・法哲学の根本的価値は「正義(justice)」という言葉で伝統的に表現されてきた。 ここで「正義」概念を概括するとともに「法の支配」理念との関係についても整理する。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック。 この「正義」概念に基く法理念・法思想を、一般に「法の支配(rule of law)」と呼んでいる。 ここで「法の支配」理念について整理する。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック。 ◇1.参考ページ 法価値論(正義論)まとめページ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 「法の支配」理念のまとめページ 「法の支配(rule of law)」とは何か 「自由」概念のまとめページ リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ◇2.「正義」「法の支配」まとめ 以上のように、「正義」概念・「法の支配」理念に関して、主に形式的・手続的正義論に依拠する 1 保守的スタンスによる理解と、実質的正義論に依拠する 2 左翼的スタンスによる理解が対立するが、1960年代以降、英米圏で主流となっている理解は明らかに 1 の側であり、それを反映して、元々は故・芦部信喜教授の門下であった長谷部恭男・東大法学部教授は近年、ドイツ法学に由来する師の論を完全に否定する次のような見解を打ち出すに至っている。 長谷部恭男『法とは何か』(2011年刊) p.148-9 法の支配という概念もいろいろな意味で使われます。ときには、人権の保障や民主主義の実現など、あるべき政治体制が備えるべき徳目のすべてを意味する理念として用いられることもありますが、こうした濃厚な意味合いで使ってしまうと、「法の支配」を独立の議論の対象とする意味が失われます。 法の支配は人の支配と対比されます。ある特定の人(々)の恣意的な支配ではなく、法に則った支配が存在するためには、そこで言う「法」が人々の従うことの可能な法でなければなりません。そのために法が満たすべき条件として、次のようないくつかの条件が挙げられてきました。・・・(中略)・・・。こうした、法の公開性、明確性、一般性、安定性、無矛盾性、不遡及性、実行可能性などの要請が、法の支配の要請と言われるものです。 日本の憲法の教科書類を見ると、「法の支配」の名の下に、人権の保障や民主主義、権力分立など、望ましい政治体制が備えるべきあらゆる徳目が並べられていることが少なくありません。しかし、ここまで濃厚な意味で「法の支配」を理解してしまうと、法の支配を独立して検討の対象とする意味はほとんどないように思われます。・・・(中略)・・・。こうした「法の支配」ということばの使い方の背景には、善いことである以上は、そのすべてが予定調和して100パーセント実現できるはずだというバラ色の想定があるのではないでしょうか。私としては・・・限定的な意味での「法の支配」を議論の対象とする方が、学問のあり方としても生産的だし、こうした意味を前提としてもっぱら議論をしている諸外国の研究者と議論するときも、誤解が少なくて善いのではないかと考えます。 ⇒長谷部教授は憲法改正に反対する護憲論者であるが、こうした左派の憲法学者であっても、英米圏でとっくの昔に標準となった法学パラダイム(ハートの法=社会的ルール説)に基づく憲法論議に追いついていこうとするだけの学問的誠実さのある者は、「正義」概念・「法の支配」理念に関しては既に 1 保守的(自由主義的=価値多元的)スタンスによる理解が正解であることをはっきりと認めている。 これに対して、故・芦部信喜教授の憲法論の継承者である高橋和之教授を初めとする多くの左派憲法学者は残念ながら、未だに半世紀以上前(1961年のH.L.A.ハート『法の概念』刊行以前)のドイツ法学系パラダイム(法段階説・法=主権者意思説)に依拠する日本ローカルの憲法学の殻に閉じ籠ったままであるが、こうしたガラパゴス状態も長谷部教授などの貢献により今後は徐々に正常化に向かっていくものと思われる。 ※以下、「法の支配」理念から発展した「立憲主義」理念について整理します。 ◆2.「立憲主義」の定義 日本の憲法の教科書では「法の支配」の名の下に“人権の保障や民主主義、権力分立など、望ましい政治体制が備えるべきあらゆる徳目が並べられている”という上記の長谷部教授の批判は、「立憲主義」に関してもそっくりそのまま当て嵌まる。 ⇒「法の支配」の意味を限定すべきであるのと同様に、「立憲主義」という言葉の意味も限定すべきである(すなわち、下記の阪本昌成氏や長谷部恭男氏の論が正解となる)。 ◇1.各論者による説明 政治的スタンス 論者 内容 (1) 保守主義 百地章 「立憲主義とは、国家の統治が憲法にもとづいて行われることである。」(『憲法の常識 常識の憲法』p.32) (2) リベラル右派 阪本昌成 (1) 立憲主義の意義先の [1] で私は、《統治とは、国家機関を通して為す、一元的・統一的な権力支配だ》と述べた。統治は、限られたリソースを巡る利害の対立を調整しながら、その配分のあり方を権力的に決定する恒常的かつ永続的な国家作用である。この権力的、永続的な統治活動の牙を抜いて正当な枠に閉じ込めようとするにが、規範的意味での国制の役割である。統治を、流動的で恣意的な政治に委ねることなく、国制のもとに規律し安定化させる思考を「立憲主義 constitutionalism」という。近代国家が規範的意味での国制によって統制されるに至った段階のものは、「近代立憲主義国家」といわれる。これは、国家という強制の機構から各人の「自由」を擁護する、統治上のルールとしての憲法をもっている国家のことである。(『憲法1 国制クラシック』p.26) (2) 立憲主義の展開(中略)自然権の保全と権力分立という二つの要素を憲法の必須要素だと明言したのが、フランス人権宣言16条の「権利の保障が確保されておらず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法を持たない」という有名なフレーズである。この二つの要素を満たす憲法を「立憲主義的憲法」と一般にいわれることがある。つまり、《憲法とは、人権宣言と権力分立を含む成文の法文章だ》、 《この法文章は、国家樹立の際の社会契約および憲法協約を成文化したものであるから、主権者をも統制する法力をもっている》という思想である。 今日、立憲主義を想起する場合、人々の脳裏に浮かぶのは、一般にこのタイプである。が、フランス人権宣言とその16条は近代立憲主義のモデルではなく、「このタイプだ」と簡単に片付けることは正確でない。フランス的立憲主義とアメリカ的立憲主義は、憲法に関する見方を大きく異にしているのだ。 〔D〕近代立憲主義の枝分かれフランス型は、憲法をあるべき国家の最適モデルに適合させようとする理論に従って設計しようとした。なかでも、憲法を制定する力を民主的に創造するための人為的理論が最重要視された。これが、後の [39] でふれる憲法制定権力の理論である。人権も、まったく新たに創設され、最適規範に相応しい内容を人為的に持たされた。人権は、人が精神的にも物質的にも、あるべき姿となるための規範だった。こうした憲法のモデルが理論通りには運ばないと判明したときには、また別の理論に従って人為的に憲法が制定された。フランスの憲法は、何度も何度も制定されては軌道修正された。そして、結局のところ、自由の構成(constitution)に失敗したのだった。これに対してアメリカ型は、経験と伝統とを基礎とする憲法制定の道を辿った。理論的な最適規範を設計したところで、上手く定着することはない、と建国の父たちは知り尽くしていた。それと同時に、憲法制定会議を頻繁に開設して討議を繰り返すと、統治力学の振り子が大きく揺れ過ぎることも予知していた。建国の父たちは、モンテスキューが理想としていた「中庸な統治体制=混合政体」から多くを学んだ(合衆国憲法はJ. ロック(1632~1704年)の影響を受けて制定された、といわれることがあるが、これは誤診だと私は考えている)。合衆国憲法が、House of the Senates(通常、「上院」と訳される元老院=貴族政的要素+連邦制)と House of the Representatives(通常、「下院」と訳される庶民院=民主政的要素)という権力分立、さらには、大統領という「民主化された君主」を置いたのは、そのためだった。また、アメリカ建国の父たちは、人間の理性・知性の限界を知っていた。人間は、有徳の存在ではなく、権力欲に満ちており、私利を追求するにあたって公共の利益を口にすること等々を建国の父たちは知っていた。合衆国憲法は、人権保障にあたっても、“自然権を実定化する”とは考えなかった。権利章典(Bill of rights)は、歴史的・経験的に徐々に姿を現してきた人の権利を確認するものだった(*注1)。 (*注1) アメリカ合衆国憲法における権利章典について 合衆国憲法にみられる「個人の自由と権利」は、自然権思想の影響をさほど受けてはいない。そこでのカタログは、歴史的にそれまで存在してきた権益を確認したものである。『憲法2 基本権クラシック』 11頁を参照願う。 (3) 立憲主義のふたつのモデル - 法の支配か民主主義か以上のように、一言で「近代立憲主義」という場合でも、一方には純粋理論型または超越型があり、他方には経験型・伝統重視型がある。見方を換えていえば、フランス型は 民意を統治過程に統合するなかで同時に自由を作り出すための憲法構造を理論的に追究したのに対して、アメリカ型は 多元的な民意を統治過程に多元的に反映させる憲法構造を伝統のなかから発見しようとしたのだった。アメリカ型立憲主義は、《個人の権利自由を擁護するための制度的装置として権力分立制を用意する》とよくいわれる。他方、憲法の民主化を重視するフランスにあっては、議会に反映される一般意思のもとに行政と司法を置くことが、その眼目であると考えられた。J. ルソー(1712~1778年)の影響だろう。そのために、議会中心の統治が理想とされた。これに対して、合衆国憲法は、モンテスキューの理論モデルを参考としながら、民主主義を万能としない権力分立制を導入した。アメリカ憲法は、「立憲主義=法の支配=権力分立」という等式を基礎として制定されたのである。 立憲主義のモデルをアメリカに求める人物は、《立憲主義とは、法の支配と同義であり、それは民主主義の行き過ぎに歯止めをかける思想でもある》と考える傾向にある。これに対して、立憲主義モデルをフランスに求める人は、「立憲民主主義」という言葉を多用する傾向がある。後者は、「立憲」の中に権力分立と人権尊重の精神を含め、「民主主義」の中に、「国民主権」と議会政を含めているようである(民主主義の中に人権尊重を忍び込ませる論者もいる)。が、それらの一貫した関連性をそこに見て取ることは困難であるように私にはみえる(自由主義と民主主義との異同については、後の [26] でふれる)。 私は、《立憲主義とは、誰が主権者であっても、また、統治権がいかに民主的に発動されている場合であっても、主権者の意思または民主的意思を法のもとに置こうとする思想だ》と考えている。 本書が「立憲民主主義」という言葉を決して用いないのは、そのためである。(『憲法1 国制クラシック』p.31) (3) リベラル左派 長谷部恭男 近代以降の立憲主義とそれ以前の立憲主義との間には大きな断絶がある。近代立憲主義は、価値観・世界観の多元性を前提とし、さまざまな価値観・世界観を抱く人々の公平な共存をはかることを目的とする。それ以前の立憲主義は、価値観・世界観の多元性を前提としていない。むしろ、人としての正しい生き方はただ一つ、教会の教えるそれに決まっているという前提をとっていた。正しい価値観・世界観が決まっている以上、公と私を区別する必要もなければ、信仰の自由や思想の自由を認める必要もない。(長谷部恭男『憲法とは何か』p.69) ・・・近代ヨーロッパで立憲主義が成立する経験においては、宗教戦争や大航海を通じて、この世には比較不能な多様な価値観が存在すること、そして、そうした多様な価値観を抱く人々が、それにもかかえわらず公平に社会生活の便宜とコストを分かち合う社会の枠組みを構築しなければならないこと、これらが人々の共通の認識となっていったことが決定的な意味を持っている。立憲主義を理解する際には、…制度的な徴表のみにとらわれず、多様な価値観の公平な共存という、その背後にある目的に着目する必要がある。(長谷部恭男『憲法とは何か』p.71) ヨーロッパでの成立の経緯に照らしてみればわかるように、立憲主義は、多様な価値観を抱く人々が、それでも協働して、社会生活の便益とコストを公正に分かち合って生きるために必要な、基本的枠組みを定める理念である。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.178) そのためには、生活領域を公と私とに人為的に区別すること、社会全体の利益を考える公の領域には、自分が一番大切だと考える価値観は持ち込まないよう、自制することが求められる。・・・そうした自制がないかぎり、比較不能な価値観の対立は、「万人の万人に対する闘争」を引き起こす。・・・(中略)・・・。立憲主義はたしかに西欧起源の思想である。しかし、それは、多様な価値観の公正な共存を目指そうとするかぎり、地域や民族にかかわりなく、頼らざるをえない考え方である。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.178) 立憲主義にもとづく憲法・・・は、人の生きるべき道や、善い生き方について教えてくれるわけではない。それは、個々人が自ら考え、選びとるべきものである。憲法が教えるのは、多様な生き方が世の中にあるとき、どうすれば、それらの間の平和な共存関係を保つことができるかである。憲法は宗教の代わりにはならない。「人権」や「個人の尊重」もそうである。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.179) 立憲主義は現実を見るように要求する。世の中には、あなたと違う価値観を持ち、それをとても大切にして生きている人がたくさんいるのだという現実を見るように要求する。このため、立憲主義と両立しうる平和主義にも、おのずと限度がある。現実の世界でどれほど平和の実現に貢献することになるかにかかわりなく、ともかく軍備を放棄せよという考え方は、「善き生き方」を教える信仰ではありえても、立憲主義と両立しうる平和主義ではない。(長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』p.179) 「立憲主義ということばには、広狭二通りの意味がある。本書で「立憲主義」ということばが使われるときに言及されているのは、このうち狭い意味の立憲主義である。広義の立憲主義とは、政治権力あるいは国家権力を制限する思考あるいは仕組みを一般的に指す。「人の支配」ではなく「法の支配」という考え方は広義の立憲主義に含まれる。古代ギリシャや中世ヨーロッパにも立憲主義があったといわれる際に言及されているのも広義の立憲主義である。他方、狭義では、立憲主義は、近代国家の権力を制約する思想あるいは仕組みを指す。この意味の立憲主義は近代立憲主義ともいわれ、私的・社会的領域と公的・政治的領域との区別を前提として、個人の自由と公共的な政治の審議と決定とを両立させようとする考え方と密接に結びつく。二つの領域の区分は、古代や中世のヨーロッパでは知られていなかったものである。」(『憲法とは何か』p.68) (4) 左翼 芦部信喜 ※芦部は「近代立憲主義(あるいは現代立憲主義)は~という性質を持っている」とその属性を述べるものの、「立憲主義とは何か」という肝心の概念論・理念論に関しては慎重に口を閉ざしている。これは芦部の憲法論が英米圏で主流となっている「立憲主義」や「法の支配」の概念・理念理解とは実は無縁の古いドイツ系法学に依拠していることに原因がある。⇒芦部の後継者である高橋和之も同様。 (5) 中間 佐藤幸治 ※佐藤も芦部と同様に、「近代立憲主義」と「現代立憲主義」を対比して言及するものの、立憲主義そのものの概念・理念の説明はない。つまり芦部や佐藤の世代ではベースがまだドイツ系法学であったために、英米系の「立憲主義」「法の支配」といった概念・理念を英米圏の用法の通りに消化できていないのである。 ◇2.参考ページ 「立憲主義」理念のまとめページ 立憲主義とは何か ※以上で法価値全般に関わる事項の説明を終わり、憲法に特有の法価値に関する検討に移ります。 ◆3.憲法に特有の法価値論+法解釈論 - 整理図 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ◇1.参考ページ 「法の支配」と国民主権の関係 リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 国民の権利・自由と人権の関係 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 芦部信喜・佐藤幸治・阪本昌成・中川八洋etc.の「国民主権論」比較と評価 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 関連用語集 【用語集】主権論・国民主権等 ※このように、②法価値論(憲法の保障すべき価値は何か)の段階で、(1)左翼的スタンスによる理解と(2)保守的スタンスによる理解とが激しく対立するが、 寛容で自由な価値多元的な社会を保障するのは、二つの自由論の場合と同じく、(2)保守的スタンスによる理解の方である。 ※なお、ここで一つ留意事項として、上図には表記がないが、(1)(2)の他にもう一つ、(3)右翼的スタンスによる理解というものが想定可能である。この(3)右翼的スタンスは、(1)左翼的スタンスの場合と同じく全体主義的であって、寛容で自由な社会に相応しくない理解である。(この(3)右翼的スタンスと(2)保守的スタンスとの区別は、■4.-◆1.-◇2.の中段で図解する) ■4.そうした価値、理念・目的を如何に実現するか(法学的方法論) → 主として、形式憲法(憲法典)に関する議論領域 ◆1.現行憲法典の解釈論 ◇1.左翼的(全体主義的)解釈vs.保守的(自由主義的)解釈 ※■3.- ◆3.の整理表下段(形式的憲法論の欄)を参照 ◇2.日本の代表的な憲法論 - 内容紹介・評価 日本の様々な憲法論を政治的スタンスに当て嵌めて概括すると下表のようになる。 ※サイズが画面に合わない場合はこちらをクリック願います。 政治的スタンス 代表的論者 ベースとなる思想家/思想 補足説明 詳細内容 (1) 極左 伊藤真など護憲論者 J.-J.ルソーの社会契約論からさらに、アトム的個人主義と集産主義の結合形態(=左翼的全体主義)※説明に接近 「人権」「平和」を過度に強調し絶対視する共産党・社民党・民主党左派系の法曹に多い憲法論でありイデオロギー色が濃く法理論というよりは左翼思想のプロパガンダである(左の全体主義) (2) 左翼 芦部信喜高橋和之 修正自然法論(法=主権者意思[命令]説に自然法を折衷)+J.-J.ルソーの社会契約論 宮沢俊義→芦部信喜と続く戦後日本の憲法学の最有力説であり通説※宮沢は有名なケルゼニアン(ケルゼン主義者)。芦部は自然法論者だが人権保障をア・プリオリ(先験的)な「根本規範」と位置づけており、その表面的な米国判例理論の紹介はポーズに過ぎず、実際には依然ケルゼン/ラートブルフ等ドイツ系法学の影響が強い よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) (3) リベラル左派 長谷部恭男 H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)を一部独自解釈※なお長谷部は社会契約論に依拠しているのか曖昧でハートの法概念論と辻褄が合うはずのハイエクの自由論は故意に無視している 近年の左派系憲法論(護憲論)をリードしている長谷部は芦部門下であるが、師のようなドイツ系法学パラダイムはもはや世界の憲法学の潮流からは通用しないことを認識しており、師の憲法論の中核である、①根本規範を頂点とした法段階説+②制憲権(憲法制定権力)説、を明確に否定して、英米系法学パラダイムへの接近を図っている。(※但しハートまでは受容しながらもハイエクを拒否している長谷部の憲法論は中途半端の誹りを免れず、これを一通り学んだ後は、より整合性のとれた阪本昌成の憲法論へと進むべきである) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) (4) 中間 佐藤幸治 人格的自律権に限定して自然法を認める独自説+J.ロックの社会契約論 芦部説の次に有力な憲法論であり、芦部説よりも現実妥当性が高いので重宝されるが(佐藤は佐々木惣一から大石義雄へと続く京都学派憲法学の系統)、法理論としては妥協的でチグハグと呼ばざるを得ない 佐藤幸治『憲法 第三版』抜粋 (5) リベラル右派 阪本昌成、※ H.L.A.ハートの法概念論(法=社会的ルール説)+F.A.ハイエクの自由論 20世紀後半以降の分析哲学の発展を反映した英米法理論に基礎を置く憲法論であり、法理論としての完成度/説得力が最も高いが、日本では残念ながら非常に少数派 阪本昌成『憲法1 国制クラシック』 (6) 保守主義 中川八洋日本会議 E.コークの「法の支配」論+E.バークの国体論 日本会議・チャンネル桜系の憲法論も基本的にこちらに該当する。法理論というより「国民の常識」論であり、心情面からの説得力が高いが、(5)の法理論を一通り押えた上でこの立場を取らないと、いつの間にか(7)に堕する危険があるので注意。 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 (7) 右翼・極右 いわゆる無効論者 ヘーゲルの法概念論・共同体論およびそれに類似した全体主義的論調 「伝統」「国体」などを過度に強調し絶対視して「右の全体主義」化した憲法論(左翼憲法論の裏返しであり、左翼からの転向者が嵌り易い。法理論というより右翼イデオロギーのプロパガンダ色が濃い) ※政治的スタンス5分類・8分類+円環図 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ⇒上図の詳しい説明は、政治の基礎知識、政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 参照。 政治的スタンス毎の憲法論の違いは、①「人権」と②「国民主権」の捉え方に顕著に現れる。このうち、①「人権」に関しては、「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のためにを参照。政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価では、(2)~(6)の各々の政治的スタンスの代表的な②「国民主権」論を列記したのち、総括する。 ◆2.憲法典の改廃論 憲法典の改廃論 内容 参考ページ (1) 改憲論 ① 保守的改憲論 保守主義的・自由主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 中川八洋『国民の憲法改正』抜粋 ② 左翼的改憲論 左翼的・全体主義的な法価値(理念/目的)の、より確実な実現を目指す改憲論 ③ 中間的改憲論 それほど明確なポリシーがあるわけではない(=保守主義的とも左翼的とも言い難い)が、一応は憲法9条の改正など最低限の提言内容は持つ改憲論 (2) 護憲論 ① 左翼的護憲論1(芦部信喜説準拠) 「人権」「平和」理念を絶対視して、彼らがその理念を体現すると考える現行の憲法典の絶対的維持を訴える論。しかし、■2.で説明したように、芦部説などのベースとなっている法概念理解は実際には単なる左翼イデオロギーの刷り込みでしかなく「自由で寛容な価値多元的な社会を支える憲法構想」としては完全に破綻している。 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) ② 左翼的護憲論2(長谷部恭男説準拠) 自衛隊の存在などは「憲法の変遷」があった(=条文の変化はないが、その解釈が変化したことにより合憲となった)として現状追認する一方で、現行憲法典の条文自体には「世界平和の希求」「人権価値実現の目標プログラム」など将来に向けての積極的価値を認めて、改憲に反対する論 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ③ いわゆる真正護憲論(新無効論) この論の当否についてはネットなどで各自チェックするのが望ましい。一つ指摘事項を書くとすれば、この論のベースとなる法概念理解は、実は芦部信喜に代表される①左翼的護憲論1の法段階説(根本規範・自然法論などを強調するドイツ法学系の法概念理解)と同じ(=左翼的護憲論が「人権」「平和」を絶対視するところを、この論では彼らの考える「国体」を絶対視している、という違いがあるだけ)であり、①左翼的護憲論1と同じく、現代の法学パラダイムから全く落伍した時代遅れの論である、ということである。そのほか、この論には法的議論として様々な無理があり、一定の法学知識のある層からは全く相手にされていないが、一般向けのプロパガンダとしては中々人気のある論となっている。 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) (3) 破棄論 ① 占領憲法失効・破棄論(菅原裕説が代表的) 主権回復(1952.4.28)直後には一定の説得力と賛同者をもっていた論であったが、現在では最早現実妥当性がない無責任な論である。1950年代前半迄であれば、現行憲法を破棄・失効させ明治憲法を復活させてそのまま運用することは何とかギリギリで可能だったかも知れないが、戦後日本社会の様相を反映した複雑・多様な法制度が整備された現在では、代替案も示せずに「現行憲法を破棄・失効せよ」とだけ強弁するだけでは済まされない。 ◆3.憲法典改正案 ◇1.現在提案されている種々の改憲案 ① 中川八洋草案 保守的改憲案の代表例 ② 日本会議の提言 保守的改憲案の代表例 ③ 産経新聞案(2013年) 「国民の憲法」要綱 ④ 読売新聞案(2004年) 読売新聞社・憲法改正2004年試案 ⑤ 自民党案(2012年) 現行憲法・自民党改憲案(対照表) ⑥ 国立国会図書館編・改憲案一覧(2005年) 主な日本国憲法改正試案及び提言 ◇2.日本国憲法の構成と、保守的スタンスから見た改正の要否 憲法典の構成 保守的スタンスから見た改正の要否、改正内容 前文 抜本的な書換が必要 自虐的文言・空想的国際協調主義などの全面的排除 憲法の基本理念や解釈基準を明記する部分だが、現状は占領軍のポジション・トークに過ぎない部分が目立ち、抜本的な書換が必要である。 本文 (1) 固有規定1 1 第一章(天皇) 要検討 具体的な改正内容は慎重な検討を要する 国の在り方や国政の基本方針を明記する部分だが、文理解釈のままでは実質憲法(国制)とズレが生じるために、現状では相当に苦しい目的論的解釈が必要となっている箇所が多く、大幅な書換が必要である。 2 第ニ章(戦争の放棄) 抜本的な書換が必要 正当な戦力の保持・行使の明記etc. (2) 権利章典 1 第三章(国民の権利及び義務) 小規模な修正 普遍的人権ではなく国民の自由・権利の保障etc. 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 (3) 統治機構 1 第四章(国会) 小規模な修正 参議院の在り方etc. 規定内容は実はかなり優秀であり、現在の基本線を外した修正は不要と思われる。 2 第五章(内閣) 内閣権限の強化、国家安全保障の不備対応etc. 3 第六章(司法) 国民審査制度の不備対応etc. 4 第七章(財政) 5 第八章(地方自治) (4) 固有規定2 1 第九章(改正) 要検討 96条の2/3条項については賛否両論あり 要検討。 2 第十章(最高法規) 中規模の修正 人権の過度の強調の排除、最高法規性の定義再検討etc. (5) 経過規定 1 第十一章(補則) - 新たな経過規定が必要 本文ではなく附則とするのが合理的である。 ◇3.改憲案の具体例(自民党・憲法改正草案(2012年版)+中川八洋草案) 1 自民党 憲法改正草案(2012年版) (※中川八洋『国民の憲法改正』の指摘事項を付記) 現行憲法-自民党草案-中川草案(対照表) を参照 ■5.ご意見、情報提供 ページ内容向上のためのご意見・情報提供を歓迎します。 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 保守主義的な憲法論・参考サイト http //blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/aa74d73e62cc74859dbc4e4a1a3e1f83 -- 名無しさん (2013-08-04 15 44 52) 憲法は全文変えていいよ。大日本帝国憲法を再発行で。左翼は韓国と中国に強制送還で。 - 匿名 2016-11-23 03 40 17 以下は最新コメント表示 保守主義的な憲法論・参考サイト http //blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/aa74d73e62cc74859dbc4e4a1a3e1f83 -- 名無しさん (2013-08-04 15 44 52) 憲法は全文変えていいよ。大日本帝国憲法を再発行で。左翼は韓国と中国に強制送還で。 - 匿名 2016-11-23 03 40 17 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ