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フィネア地方は、レーゼルドーン大陸西端部に残された人族の生存領域です。 概要 歴史ダーレスブルク公国による開拓【資料】ピオニエ・デ・フィネア:フィネア開拓記 フィネア侯爵領レシトリア【団体】レシトリア侯国騎士団 レシトリア民主革命 〈大破局〉とレシトリア帝国 レシトリア帝国の封建化 経済農林水産業農業部門 林業 水産業 工業部門紡績業 鉄鋼業・鍛治 魔動機産業 薬品化学産業 商業部門レシトリア帝国商会 交易促進会議所 政治 学術分野 概要 テラスティア大陸で蛮族大陸と語られているレーゼルドーン大陸にも、人族がかろうじて生き残っている地域があった。 フィネア地方は〈大破局〉後に強大な軍事力を背景に生存領域を確保した唯一の地域である。 他の地域との連絡が断たれていることもあり、地域全体はただならぬ緊張感に包まれている。 歴史 開拓歴 帝国歴 出来事 場所 前3年 ダーレスルブルク公国による開拓 現・帝都レシトリア 元年 フィネア侯爵領レシトリアの発足 現・帝都レシトリア 2年 討伐戦争の終結と魔剣クラウ・ソラスの返還 現・ユークライント密林 1148年 レシトリア民主革命の勃発 現・帝都レシトリア 1150年 レシトリア民主共和国の建国 現・帝都レシトリア 1160年 〈大破局〉の始まり ユークライント密林 1161年 首都レシトリアの失陥 現・帝都レシトリア 1162年 元年 レシトリア帝国の発足 ムートランド 1162年 元年 レシトリア奪還戦 帝都レシトリア 1178年 17年 南西地域の回復 ベルティンドット 1184年 23年 凍土地帯決戦で人族が勝利 現・北レシトリア 1189年 28年 初代皇帝崩御 帝都レシトリア 1363年 202年 ダインハイト地域の奪還 現・ダインハイト要塞 1422年 261年 ダインハイト公国の独立 ダインハイト要塞 1427年 266年 北レシトリア国の独立 北レシトリア 1443年 282年 反抗要塞ダインハイトの完成 ダインハイト要塞 1460年 299年 先帝崩御・ロンバルトの帝位継承 帝都レシトリア 1464年 303年 3月事件 ダインハイト要塞東部 1465年 304年 現在 ダーレスブルク公国による開拓 魔動機文明時代にレーゼルドーン大陸に進出したダーレスブルク公国が配下のメリーチカ・ド・フィネアに開拓を命じた。 フィネアはこのとき公王から委ねられた〈静謐の魔剣クラウ・ソラス〉を駆使して蛮族と戦ったとされる。 当時のダーレスブルク公国の最西端にあたり、険しい山脈を超える必要があったことから、補給路の確保に苦戦。開拓は困難を極めた。 【資料】ピオニエ・デ・フィネア:フィネア開拓記 フィネア侯爵による戦いの歴史は、伝説の魔剣クラウ・ソラスの力とともに「フィネア開拓記」として語り継がれている。 この地域の住民たちはこの伝説が大好きで、クラウ・ソラスを携えた英雄の到来をいまでも待ち望んでいる。 →フィネア開拓記を参照 フィネア侯爵領レシトリア フィネア侯爵が開拓に成功したのち、フィネア侯爵はこの地域をレシトリアと命名して統治を開始した。 開拓記によると、このときに役割を終えた魔剣クラウ・ソラスはダーレスブルク公王に返還されたという。 しかしレシトリア侯国の統治はそう順調なものではなかった。 北方に広がる凍土の荒野に潜む蛮族に長期にわたって苦しめられたのである。 魔剣クラウ・ソラスの返還によって損なわれた軍事力を支えるべく、レシトリア侯国は軍事国家として発達する。 【団体】レシトリア侯国騎士団 侯国騎士団はのちの〈大破局〉において重要な役割を果たした。 当時最強のスカイバイク銃騎兵団で、恐ろしい練度を誇っていた。 現在のレシトリア帝国騎士団は侯国騎士団から続く長い歴史を持っている。 レシトリア民主革命 23代目フィネア侯爵タルドの暴政に不満を持った市民による民主革命によって崩壊する。 このとき侯国騎士団は侯爵から離反。内政問題としてダーレスブルク公国の介入を退けた。 一方のダーレスブルク公国側でも公王の急死による政変が発生しており、対応が遅れたのである。 結果としてレシトリア民主共和国が建国されることになる。 しかし民主共和国は建国後10年で〈大破局〉を迎えることとなる。 〈大破局〉とレシトリア帝国 〈大破局〉に際して蛮族の大攻勢が発生し、レシトリア民主共和国はその版図を次々に喪失した。 この事態を受けて意思決定の高速化が必要と判断。共和国議会は戦時大権を議長に付与した(事実上の帝政の幕開け)。 レシトリア議長は軍事上の才覚が欠けていたため統帥権を放棄。旧侯国騎士団団長に対蛮族戦争を一任する。 騎士団長は戦時動員の必要性を主張し、蛮族と人族の総力戦に発展した。 版図の3/4を喪失し、首都も失陥したレシトリア民主共和国は騎士団長が残存兵力を結集して帝国化。 首都奪還作戦を強行したところ〈奇跡〉が発生してこの戦いに勝利した。この勝利には魔剣クラウ・ソラスが関わっていたとされる。 以降レシトリア帝国は蛮族との戦争を継続し、現在も帝政を継続している。 この特異な成り立ちから、皇帝は騎士団長が担うことが伝統となっており世襲制を採用していないという特徴を持つ。 レシトリア帝国の封建化 〈大破局〉の危機を乗り越えたレシトリア帝国は、以降200年ほどの間蛮族との全面戦争を続けた。 結果として領土の半分までを奪還したレシトリア帝国は、二つの方面軍に軍備を集中する。 レブダ山脈を睨む東部軍と、凍結の地グラン・イチを睨む北方軍である。 結果として、中央の統帥権は方面軍に漸次的に移譲され、封建国家として事実上独立することになった。 東部軍を率いていたダインハイト公爵は、43年前にダインハイト公国を樹立。 北部軍を率いていたスレイン公爵もこれに続き、38年前に北レシトリア国を樹立した。 両国はレシトリア帝国に恭順の姿勢を貫いている。 しかし5年前に先帝が崩御したのを境に、帝国側の姿勢が硬化。 蛮族の攻勢が小康状態にあることも手伝って、皇帝による軍事的再統合の圧力が高まっている。 →帝国統合論参照 経済 農林水産業 +... 農業部門 首都レシトリアの西にあるムートランドは、〈大破局〉による破壊を受けておらず、現在でもフィネア地方全体の人口を支える一大農耕地として機能している。→ムートランド魔動機農場 豊かな生産力に下支えされたフィネア地方は、対蛮族戦争に光明が見えてきたことも手伝って人口が増加傾向にある。 現在帝国東部のアイラット村周辺の開発を推進しており、次の食料生産拠点として期待されている。→アイラット開拓計画 また、ダインハイト公国領内では屯田制によって食料確保を行う政策を実施してきた。 これによってレシトリア帝国の食料負担を軽減すると同時に独立した領土保持力を持ち、勢力拡大の兆しを見せていた。 食料生産力の低い北の凍土を治める北レシトリア国とはこの点で対照をなしている。 林業 建築目的の材木の確保はフィネア地方では最大の課題として知られている。 〈大破局〉に際して、林業拠点だったレブダ山脈の麓の地域を蛮族に収奪されたことがその原因である。 真っ当な生産力をもった造成林はダインハイト公国南部のユークライント密林の一部にとどまる。 しかしこの密林でもたえず害獣による事故が発生し、なんらかの対策が求められている。 水産業 フィネア地方南部は湾になっている。波は穏やかだが、湾内には巨大な幻獣の存在が報告されている。 このため人族・蛮族双方にとってこの内海は防壁の役割を果たしている。 豊かな海産物が獲れる漁場でもあるのだが、帝国政府によって現在船の出港は禁止されている。 そのため陸地から釣り上げられるわずかな魚が食用に供されている状況だ。 工業部門 +... 紡績業 魔動機文明が一部残存したこの地域では、布製品は魔動機によって生産されている。 レシトリア帝国西部ムートランド地域の街カッセルは紡績業の拠点として知られている。 衣類生産は潤沢で、人々はファッションを楽しむ余裕すらある。 ムートランドでの最新のトレンドは露出が多めのクラシック魔動機文明時代ファッションだ。 鉄鋼業・鍛治 レブダ山脈の鉱山を失ったレシトリアでは慢性的な鉄不足に悩まされている。 このため現在でも金属鎧の価格は高騰しており、一部では魔動機の金属を鎧用に再利用する必要も訴えられている。 現在、質の良い金属鎧の生産は騎士団が独占しており、なんらかの裏ルートを通さなければ購入が難しい。 →特殊ルール参照 魔動機産業 未だに魔動機産業の大規模な生産工場を保有している希少な土地である。しかしそれも、慢性的金属不足から稼働率は低い。 現在、騎士団がドゥームタイプの戦闘兵器生産に力を入れており、レブダ山脈の鉱山奪還作戦への投入が期待されている。 そういった事情から、市民が利用する魔動機の生産は一時的に打ち切られ、総動員体制が敷かれている。 薬品化学産業 フィネア地方の平原は豊かな薬草の産地であった。 そもそもダーレスブルク公国がこの地域の支配を試みたのは、この豊かな薬草が目当てだったとも言われている。 それゆえこの地域では長い歴史を持った老舗の調合店や薬師が多く活動しており、薬師たちの間での技術競争も盛んだ。 商業部門 +... レシトリア帝国商会 帝国騎士団の庇護のもとで商業を行う商会組織。現在この地域で最有力の団体である。 騎士団との通商はもちろん、市場の大部分を支配しており、その影響力は帝国政府にも及んでいる。 騎士団員の中には商会に借金を負っているものもいるらしい。 交易促進会議所 帝国が3つに分離独立すると同時に、各地方出身者が新たな商会を設立したもの。 北レシトリアとダインハイト公国の商人が連盟した組織で、帝国商会と対等な交易を実現しようと努力している。 政治 レシトリア帝国の封建化以降、生産と指揮を担う帝国と、戦争を担う二つの封建国家として役割を分担してきた。 しかし近年、ダインハイト公国の前線が資源地帯に到達しつつあり、情勢に緊張が走っている。 初代ダインハイト公王が病床に伏していることもあり、その死に乗じてレシトリア帝国騎士団が進駐するのではないかと噂されている。 次期公王の指名を受けたノイル・フォン・ダインハイトは策謀家として知られていることも、この危惧を後押しする。 ダインハイト公国は帝国を追われて危険な前線での農業生産に従事させられた市民の国であり、両国市民の間の歴史的対立の溝は深い。 一方の北レシトリアは独自の人口保持力を持たないために、従属主義が主流である。 凍結の地グラン・イチの制圧というレシトリア開拓以来の悲願を達成するために、人族同士の諍いは棚に上げている。 学術分野 魔動機文明時代の都市がまるまる一つ生存したとはいえ、首都失陥によって多くの技術が失われている。 現在帝国騎兵団の主力をなすスカイバイクの生産技術も失われた技術の一つである。 それゆえ、スカイバイクは最も有能な戦士だけが騎乗を許されている。 また、冒険者を雇用しての遺跡探索も積極的に行われている。 魔動機文明時代の都市があった位置は正確に記録されており、これまでの300年をかけてあらかた探索が終了している。 しかしダインハイト公国によって前線が押し上げられることで、新たな遺跡が探索可能になり、冒険者が派遣され続けている。 特にこの地域では歴史研究が盛んで、魔剣クラウ・ソラスの伝承を中心に、蛮族を退ける最終兵器の存在が主要な調査テーマになっている。
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設定 東京 おそらく作品公開時、2016年頃の姿にほぼ忠実 2021年シーンでも東京五輪の影響は見られない 瀧の住所は千代田区 瀧の高校は「都立神宮高校」 糸守 岐阜県Z郡糸守町(飛騨地方) 人口およそ1500人 地区:門入、坂上、宮守、親沢、ほか 【施設】 <絵として登場> 町役場 糸守小学校 糸守高校 宮水神社 中川精肉店 有坂電機製作所 門入橋 スナック マザー スナック 割愛 コンビニ アイショップ 中部電力糸守変電所 <話上・地図上に登場> 旧高山本線 モデル 糸守 町役場:和歌山県かつらぎ町役場 宮水神社:岐阜県飛騨東照宮? 中川精肉店:千葉県佐原市 コンビニ アイショップ:種子島のアイショップ 糸守周辺 岐阜県飛騨市(旧吉城郡古川町周辺) 瀧たちが記事を調べる古川図書館:飛騨市図書館 瀧たちが下りる駅:飛騨古川駅 瀧たちがタクシーに聞き込みする駅前:飛騨古川駅前 瀧が「やっぱ無理か…」と落ち込むバス停:落合バス停 三葉の最寄り駅:秋田内陸縦貫鉄道南前田駅 東京 瀧の最寄り駅:四谷駅 三葉in瀧の通学:新宿駅南口 瀧の高校内装:広島市立基町高校 天井の木組みがいいカフェ: 瀧のバイト先: 瀧の通学路: 瀧のマンション前の道:信濃町駅周辺 デート集合場所:四谷駅 デートスポット:六本木ヒルズ デートランチ:国立新美術館 デート後の歩道橋:信濃町南側の歩道橋 飛騨へ向かう駅:東京駅 その他 新幹線から見える車窓のビルと風車:豊橋駅付近 乗り換える駅:名古屋駅 乗る特急:ひだ5号
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LIVE FOR YOU (舞台) 9 ・◆・◆・◆・ 「まずは目の前の敵に専念するんだ!! 無理に祭壇に近づこうと思わないで! 桂ちゃんッ」 「は、はいっ」 「君は接近戦に弱い柚明ちゃんの護衛を! 柚明ちゃんは極力桂ちゃんから離れないで!」 「わ……わかったわ!」 那岐は的確に指示を出してゆく。 接近戦の桂。 中距離からの牽制と攻撃の那岐。 遠距離からの支援攻撃の柚明。 特に柚明は攻撃速度が遅いため桂の護衛は欠かせない。 那岐も鬼道を使う戦法のため、接近戦よりも中距離戦に長けている。 このメンバーでは前衛が不足しているのだ。 「こっのおおおおおおおおおお!!!」 桂は手にした九七式自動砲を敵の大群に向けて連射する。 大口径の対物ライフルでありながらセミオート。 つまり普通の自動拳銃のように引き金を引くだけで弾が放たれる。 螺旋状に回転する弾丸がオーファンに、アンドロイドに突き刺さる。 オーファンは一瞬のうちに光の粒子に還元され、アンドロイドの上半身がバラバラに砕かれる。 相手が人間でないのが唯一の救いだ。 カチッカチッ。 「もう弾切れ!?」 装填された7発を全て撃ち尽くす桂。 だが再装填する暇は存在しない。 「桂ちゃん! 上からオーファンが!」 那岐の声に見上げると狼のような姿のオーファンが三体。桂に飛び掛かり、爪を振り下ろしてきた。 「――ッ!?」 銃を捨て刀に持ち代えるもわずかに相手のほうがタイミングが早い。 しかし――! 宙に現れた無骨な直剣がオーファンを次々と刺し貫く。 そして次の瞬間、一斉に剣が爆発。オーファンは粒子となって四散した。 「桂ちゃん大丈夫!?」 「ありがとう柚明お姉ちゃん!」 柚明の周りに浮かぶ無数の剣。 柚明は剣の誘導制御を全てOFFにし、ただ直進のみにして術式を構築する。 誘導に回す魔力のリソースを全て剣の爆発力に注ぎ込む。 事前に飲んだ贄の血のおかげで、柚明に刻まれた魔術回路はスムーズに動き出す。 「桂ちゃんには指一本触れさせない……ッ!」 剣の七本同時発射。 ミサイルの様に剣が敵群に突き刺さる。 そして―― 「解放 ブレイク !!」 剣に込められた魔力を一気に解放する。 解放された魔力による小爆発がつぎつぎに巻き起こり、周りのオーファンやアンドロイド巻き添えにしてゆく。 「さっすが柚明ちゃんえげつない弾幕だねえ~、んじゃ僕も弾幕勝負と行くとしますか。桂ちゃん、ほんの少しでいいから僕の援護を!」 「わかったよ!」 那岐は攻撃の手を止め、術の詠唱に入る。 柚明の弾幕に阻まれた敵はここぞとばかりに那岐へと狙いを変えた。 踊りだす無数のアンドロイド、しかしそこに日本刀を携えた桂が割って入る。 桂に向けて銃を放つアンドロイド。しかし撃った瞬間には桂の姿はそこにいない。 超人的な脚力と銃口の向きによる着弾地点の予測。回避し、そして、 「はああああああああああ!!!」 横に縦にと薙ぎ払われる一撃にアンドロイドらは活動を停止する。 これだけのオーファンやアンドロイドを切り捨てても小烏丸は歯こぼれ一つせずに切れ味を誇っていた。 「うん、いい感じだね!」 刀を振るうたびに洗練されてゆく桂の太刀筋。 相変わらず身体能力に頼った強引な振りではあるが徐々に戦闘技術が蓄積された戦い方となってきている。 数日前とは比べ物にならない鋭さ。鬼になったとはいえ、元はただの女子高生がここまで短時間で上達するものだろうか? それは特訓に参加したアルも同じ感想を抱いていた。 これらは彼女の母親に起因する。 一ヶ月と少し前に彼女の母親が亡くなった。死因は過労が祟ってのこと。 母親の名前は羽藤真弓。旧姓――千羽真弓。 かつて十代にして千羽妙見流の全ての奥義を会得し、歴代最強とも称された鬼切り役。 その実力は現鬼切り役である烏月を、そして先代鬼切り役である烏月の兄である明良ですらも凌ぐ実力だったとされる。 それが桂の母親だったのだ。 真弓はその後、桂の父親と半ば駆け落ち同然に千羽党を抜け出し結婚したそうである。 桂を産んでからも彼女は翻訳業を営む傍らで鬼切りの副業をしていたのだとか。 もちろん桂は母親の素性は知らない。 しかし桂の中に眠る千羽の血は確かに存在する。 それがサクヤの血を受け入れたせいで目覚めたとして、何が不思議であろうか。 「桂ちゃん! 撃ち漏らしたオーファンがそっちに!」 柚明の声。 頭上からさっき相手した狼型よりもずっと大型の虎型のオーファンが咽喉笛を噛み千切ろうと桂に襲い来る。 桂は足元に放置してあった九七式自動砲の端っこを足で踏みつけた。 柚明の弾幕で敵が怯んでいる内に弾の再装填は済ませてある。 バンっと跳ね上がった銃が空を舞い桂の右手に握られた。 そして……長大な銃身を大口を開けて飛び掛る虎の口内に直接捻じ込み――引き金を引いた。 ボッ! オーファンの体内で弾丸が爆ぜる。 虎はなすすべもなく爆散し、光の粒子に還元される。 だがまだ一息つけない、桂の攻撃後に生じた隙を狙って今度はアンドロイドが飛び出してきた。 「この……っ」 銃から右手を離し、そのまま左手に添えられた刀を握り締め、左斜め下から右斜め上に逆袈裟に斬り上げる。 そのまま手首を返し再び袈裟懸けに斬り下ろす。 高速の二段斬りにあっというまにスクラップと化すアンドロイド。 だが力任せに振るった動きのせいで体制を崩す桂。 それを見逃さない敵。 さらに数対のオーファンが桂に迫る……! 「しまっ――」 柚明は目前の敵の対処ためにこちらの援護は出来ない。 思わず目を閉じる。 その瞬間、爆音と共にオーファンが消し飛んだ。 「な、何……?」 さらに一発、二発。 桂の後方から何かが凄まじい勢いで飛んでくる。 それは柚明の剣とは比べ物にならない弾速で飛来しオーファンを消滅させる。 その弾丸はあまりのスピードのために着弾してもそのまま敵を貫通し、後方の敵群すらも蹴散らしていった。 「ふう、危なかったね桂ちゃん。僕のほうは準備完了だよ。お疲れ様」 「那岐君……?」 振り向いた桂の視線の先には那岐が笑顔で立っていた。 そしてよく見ると那岐の全身から青白い放電現象が見え隠れしている。 パチパチと音を立てて、その余波がまるで電気風呂のように桂の身体にまで伝わっていた。 「電気……?」 「そう、僕の鬼道は雷も操れる。それの応用かな。ホテルに置いてあった小説を参考にした技なんだよね」 「へー……」 「さて取り出したるはカジノのメダル。タネも仕掛けもございません」 懐から取り出したメダルを親指ってピンと跳ね上げてキャッチする。 「ちょいとばかりマッハ以上の速度で飛んでいくけどね――!」 するとみるみるうちに那岐の右手のメダルに向かって放電が集中し、眩い光が放たれる。 「――名づけて 超電磁砲《レールガン》 なんてね」 一瞬のうちに音速の数倍に加速されたメダルが敵の大群に吸い込まれる。 そして衝撃と共に吹き飛ばされるアンドロイドの残骸。 「すっ……すごい、那岐君……」 「まだまだ行くよ!」 さらにメダルを連続して射出する那岐。 そして柚明から放たれる無数の剣戟。 爆発と衝撃が洞窟を揺らす。 二人から放たれる弾幕は見る見るうちに敵の数を減らしてゆく。 時折、弾幕を掻い潜った敵もいたがことごとく桂によって迎撃された。 そして敵の残りもわずかとなった時、 剣を射出する柚明の背後に忍び寄る影がいた。 「危ない柚明お姉ちゃん!」 桂は一気に距離を詰め、襲撃者に向けて袈裟懸けに刀を振り下ろした。 少し、変な感触だとその時は思った。 オーファンとも、アンドロイドとも違う感触が手に伝う。 「え……?」 ずるりと、袈裟懸けに斬られたそれの上半分が地面にどさりと崩れ落ちる。 斬った瞬間、生温かい液体が顔にかかっていた。 鉄の臭いと海の潮の香りを混ぜたような嫌な臭い。 この島で何度も嗅いだことのある嫌な臭い。 崩れ落ちた上半分と下半分から流れ出す液体は地面に大きな染みを作っている。 赤い、赤い、水溜り。 刃こぼれ一つしていない刀にねっとりと付着するモノ。 血。 血。 血。 人間の血―― わたしが斬ったのはオーファンでもアンドロイドなく―― 生きた人――間―― 「あっ……ああああ……わたし……わたし……ひ、人を……!」 カランと桂の手から刀が滑り落ちる。 膝がガクガクと振るえまともに立つのも苦しくなってくる。 「桂ちゃんしっかりして! ……!! オーファンが消えて……どうして!?」 オーファンだけではない、アンドロイド達も祭壇の奥の通路へ退いてゆく。 代わりに現れたのは一番地の戦闘員達。 だが戦闘員達は銃やナイフを構えているだけでこちらを攻撃をしようとはしない。 「チッ……そういうことか……神崎君も鬼畜な手を使うねえ……反吐が出る」 舌打ちし苛立つ那岐。 いつになくその嫌悪感を露にした表情を柚明は心配そうに覗き込む。 「どういう……ことなの……?」 「おそらく神崎君は祭壇を放棄した。残存するアンドロイドを撤退させたのが証拠さ」 「じゃあこの戦闘員達は……」 「皆と合流したければこの戦闘員を倒して行けってことさ、自分からは攻撃しない近づいた者だけ反撃せよという言霊付きでね」 「そ、そんな……! 言霊を解除する方法は……」 「残念だけど、無い。気絶させてやり過ごす方法も無理だね。痛覚が麻痺させられている。腕が折れようと足が砕けようとも向かってくる」 柚明はぎりっと拳を握りしめる。 ここにいる人間は哀れにも言霊によって操られた被害者。 組織に忠誠を誓う者ならある種の割り切りを持って対峙できるのだが 自らの意に反して戦わさせられる者達をを殺すことは―― 「明らか桂ちゃんを狙った揺さぶりだね。僕や柚明ちゃんだって殺すことに躊躇いがあるんだ。ましてや桂ちゃんは……」 桂を一瞥する那岐。 桂は突き立った刀を杖代わりにして項垂れている。 初めて人を殺したショックは計り知れないだろう。 「桂ちゃん……後は僕達が……」 「大……丈夫だよ、那岐君」 刀を抜いてゆらりと前方を見やる。 すっかり憔悴しきった表情だった。 そして―― 桂は刀を構えその身を翻すと、戦闘員に向かって一気に跳躍した。 「桂ちゃん!?」 桂の行動に驚愕する柚明と那岐。 戦闘員は銃で反撃を試みようとするも圧倒的に桂のほうが速い。 「逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ……うっ……うああああああああああああああああああ!!」 いつかの玲二とファルの言葉がフラッシュバックする。 彼らの言葉を否定したくて、でもそんなものは生半可な覚悟で出来ることじゃないくせに、桂の絶叫と共に刀が横薙ぎに振るわれる。 白い閃光が戦闘員の身体を通り過ぎた瞬間、戦闘員の首が胴体から落ちた。 吹き上がる鮮血、その飛沫を受けながらも桂は次の目標へ。 縦に一閃、唐竹割りに左右に分割される身体。 横に一閃、吹き飛ぶ手足。 それでも戦闘員達は恐怖に慄くことも恐慌状態で逃げ出すこともなく無表情のまま反撃をしようとする。 しかしそれも暴風と化した桂の前では無意味な行為だった。 「なんで……どうして逃げないのっ!? 逃げないと死ぬんだよっ! わたしに殺されちゃうんだよ……! だから……早く逃げてよぉぉぉぉ!!」 残酷な死が目の前で幾度と繰り返されても逃げ出そうとしない戦闘員。 それを次々と斬り捨てていく桂の刃。 「わたしから逃げないと死んじゃうんだよ……! お願いだから逃げて……逃げてよぉ……」 ただただ一方的な虐殺が繰り広げられている。 桂の絶叫が洞窟に延々と響き渡ったまま。 その光景をどうすることもできず見守る柚明と那岐だった。 「やめて……もうやめてよ……もうこれ以上わたしに人を殺させないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 ・◆・◆・◆・ 立ち込める死の香り。むせ返るような血の臭い。 三十人近くいた戦闘員達はすべてもの言わぬ肉の塊と化している。 桂は祭壇の上で嗚咽を漏らしていた。 誰も悪くないのに、彼らは言霊で操られていただけなのに無残にも殺された。 その全てが桂によって殺されてしまった。 祭壇の上にいた陰陽師達はすでに全員が死んでいた。 アンドロイド達が撤退した時に自決を図ったのだろう。 もちろん自らの意志ではなく言霊によって―― 「バカだよね……勝手に飛び出して……結局みんなわたしが殺した。わたしが……!」 傍らに立つ柚明と那岐は桂にかける言葉が見つからない。 ただ自嘲めいた声で呟く桂の声を聞いてるだけだった。 「五人目ぐらいからね……まるでゲームみたいに感じてくるの。そんなこと……そんなこと感じたら駄目なのに……! 怖さも哀しさも麻痺してきてただ目の前のモノを斬ってるだけに感じてきて……それがすごく怖かった。 一人斬るごとに自分の心が死んでいくみたいだった。だから必死に来ないで逃げてと叫んで。 あはは……ならわたしが逃げればいいのに、戦わなければいいのに、殺さなければいいのに……っ……しなかった」 たった一振りで死んでいく人間を見て、桂はサクヤから受け継いだ力を思い知らされる。 そして何よりも自らを嫌悪しているのは、圧倒的な力をもって弱者を嬲ることに快感を感じていたこと。それを否定できないこと。 本当に嫌なら戦いをやめることが出来たはずなのに、出来なかった。 ――わたしは、誰も殺したく無い… 殺しあうのが、法律なら、そんなもの壊してしまえばいい。 人を殺すよりも、ほかほかのご飯を食べることの方が嬉しいもん。 以前、玲二に向けて言った言葉が脳裏に浮かぶ。 今となってはひどく滑稽な言葉だった。 平和な所からしか物事を見てなくて、自分が他者を殺すことなんて考えもしていなかった。 アルは言った。桂はもはやこちら側の人間である。此岸から彼岸へ身を投じてしまった。 そこに此岸の倫理は通用しなかった。生きるために他者を傷つけ、殺さなければならない。それを身をもって思い知らされた。 玲二のように完全に割り切れたらどんなに楽であろうか。 ただ敵を殺すだけの戦闘機械と成り果てたらこんなに苦しい思いをしなくて済むのに。だがそうなるためにはあまりにも桂は心優しすぎた。 此岸と彼岸の境界を身を置いて、生きるために他者の命を奪うたびに心が傷ついてゆくのが桂に課せられた試練だった。 「わかってたの……いつかこうしなきゃいけないことが来る。 これがわたしの得た力の『代償』なんだって、ずっとそれと向き合うことから逃げてきたんだもん……」 「桂ちゃん……」 柚明は一言だけ桂の名を呼んで彼女を優しく抱きとめた。 傷ついた彼女の心。しかしそうなることを選んだのは彼女自身の選択だった。 戦うことから逃げなかった彼女の意志を尊重したい。自分は傷ついた彼女が翼を休める場所でいい、静かに見守ることでいい。 「柚明お姉ちゃん……うぐっ……ううっうぁぁぁぁぁぁあああああああ……」 柚明の胸の中で桂は泣いた。 溜まった物を洗い流すように赤子のように泣き続けた。 ・◆・◆・◆・ 「ありがとう……柚明お姉ちゃん」 「桂ちゃん……もういいの?」 「うん、泣いてちょっとすっきりしたよ」 さんざん泣きつくしたため、桂の目は赤く腫れている。 「桂ちゃん……本当はね、僕は君に人を殺す覚悟なんてしてほしくなかった。後悔はしてない?」 「正直に言うと……殺したくない。戦わなくて済むならそのほうがいい」 「そりゃそうだ。僕だって好き好んで人を殺したくないんだからさ」 那岐は肩をすくめて笑う。 「(なるほど……そりゃアルちゃんが入れ込む理由もわかるよ)」 彼女は大丈夫だ。手に入れた力に溺れるようなことはないだろう。 さすがアルのお墨付きを与えられた娘だった。 桂の優しさ、桂の強さは長い時を生きてきた那岐にとってとても魅力的なものだった。 「わたしは……わたしはもう逃げない。 何のためにここにいるのか……その答えを自分で見つけるために……! そして大切な仲間達を守るために……!」 桂の金色の眼差しは曇り一つなく前を向いていた。 柚明は安心とほんの少しの寂しさを感じて桂を見る。 もう桂は守られる存在じゃないなんてとっくにわかっているけれど――。 「さてと、僕はここで少しやることがあるから二人は先に行ってくれないかな?」 そう言って那岐は祭壇の中心に立つ。 祭壇の床には円形の魔法陣が描かれている。 ルーン文字や漢字が書き綴られた複雑な魔法陣だった。 「これからこの島に張り巡らされた地脈を乗っ取る。うまく行けばオーファンをこちらの制御下に置けるからね」 「一人で大丈夫なの? わたし達も残って――」 「いや、ちょっと時間掛かりそうだからね。君達は先に行ってみんなと合流するんだ」 那岐の言葉に桂はこくんと頷く。 桂と柚明は仲間との合流を。 那岐は地脈の制御を。 言葉はいらない、今は課せられた役目を各々が果たす時。 だから―― 「行こう! 柚明お姉ちゃん!」 「ええ!」 頷きあう桂と柚明。 「那岐君……必ず生きて帰ろうね! 絶対……絶対だよ!」 「ほんっと桂ちゃんは優しい子だなぁ~。ほんと……好意に値するよ」 「コウイ?」 「好きってことさ」 「えっ……えーーーーーーっっ!!??」 面と向かって異性に「好き」などと言われてぽっとゆでダコのように染まる桂の顔。 それを見て那岐はくすくすと笑みを漏らす。 「あははっ冗談だよ冗談。でも桂ちゃんは僕の大切な『仲間』だよ。それに……いつか桂ちゃんにもお似合いの異性が現れるかもねっ」 「う、うん……」 「あー、でも最近は異性でなくてもいいのかな~? 弥生時代生まれの僕には21世紀の恋愛事情には疎くてねー……うふっ」 「???」 何やら思わせぶりなセリフだが桂の頭の上にはクエスチョンマークが浮かぶだけ。 どうやら本当に自覚はないのだろうか……? 「(うへぇ……あれを全部天然でやってるならとんでもない大物だよ……)」 少し柚明が不憫に感じる那岐だった。 「それじゃあ……わたし達行くよ。またね那岐君」 「またね、桂ちゃん」 再会を誓いあう三人。 桂と柚明は祭壇奥の通路に向かって走り出して行った。 ・◆・◆・◆・ ひゅんと音を立てて一条の線が空を疾走してゆく。 まるで、視界のその上に直接線を引いてゆくように、そして自身の上に線を引かれた者はことごとく血を吹いてその場に崩れ落ちた。 「はっ!」 掛け声ひとつでトーニャは跳躍。浴びせかけられる銃弾を回避すると、吹き抜けからそのまま上階へと飛び移った。 着地すると同時にアンドロイドが彼女めがけて狭い通路を突進してくる。 片手には分厚いブレード。人外の力で振るわれるあれを受け止める術はトーニャの中にはない。なので発砲した。 武器は多いにこしたことはないと、サブウェポンとして携帯してきた拳銃である。 しかしながら、ファントムでもないトーニャの放った弾丸は何もない場所を通り抜け命中しない。 アンドロイドは先のトーニャの様にそれを跳躍して回避し、勢いを殺すことなく空中を彼女へと向け突進してくる。 「パターン読め読めですよ!」 それを、一条の線――キキーモラが捕らえた。先の兵士達と同じく、線を引かれたアンドロイドは空中で無残を曝す。 無表情のバラバラ死体が、吹き抜けから下にばら撒かれ、床の上で派手な音を立てた。 結局の所。あの落とし穴による分断より2時間ほど経ったわけだが、未だにトーニャは誰とも合流できないでいた。 一度見失ったやよいはもうレーダーの中に入ってくることはなく、美希やファルも先ほど姿を消してそのままだ。 その他に関して言えば影も形も、である。彼女の持つレーダーはただ沈黙していた。故障や電池切れという訳でもない。 「さて、どうしたものか……」 彼女の立っている位置は突入地点である学園地下より、1kmと半分。一番地本拠地ももう目前というところである。 まばらだった襲撃も断続的に続くようになり、そろそろレーダーを確認している余裕もなくなってきたというところだ。 先に進めば、神崎が座する部屋まではそうもない。攻撃は牽制のそれから排除のものと変じ、僅かな余裕も失われるだろう。 「進むか、戻るか、はたまた待つか?」 それが悩ましい。果たして仲間達は皆どこにいるのか? 先へともう進んでいるのか。それとも、後に置き去りになっているのか、それとも今こちらへと向かっているのか。 わからなければ、進むことも戻ることも待つこともできない。そして指標であるはずのレーダーが今は役に立っていない。 「……いっそ、特攻覚悟で進みますか? いえ、短慮はいけません。時間をかけずに、けどよく考えませんと――と?」 役立たずだと断じ、もう鞄に仕舞ってしまおうかとそう思った時、レーダーが久しぶりに音を鳴らした。 映ったのは誰なのか? トーニャはすぐにそれを確認する。 「桂に、柚明……この位置は……?」 探知圏内の端っこを一瞬何者かが通り抜けた。見間違えでなければ桂と柚明。あの仲のいい2人である。 位置はトーニャがいる基地内の通路よりかはかなり遠い。また向かった方角もかなりずれていた。 「なるほど、川に落ちて……回り込んで、……ふむふむ」 再びトーニャは通路を駆け出した。向かう先は勿論、主催の中枢、番地本拠地である。 何も深く考える必要はなかったのだ。 最初のやよいだってそうだったし、美希もファルもそうで、桂や柚明も変わらない。皆、先へと進んでいる。 引き返そうなんて者は仲間のうちにひとりもいない。それが信じられるのなら、最初から考える必要はどこにも存在しなかった。 「ふふ。一番乗りはこのアントニーナ・アントーノヴナ・二キーチナがいただいちゃいます。同士諸君。あしからず」 駆けて、駆けて、そして銀狐は門を潜り抜け、18の仲間。その中で一番乗りを果たした。 LIVE FOR YOU (舞台) 8 <前 後> LIVE FOR YOU (舞台) 10
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LIVE FOR YOU (舞台) 2 ◆Live4Uyua6 ・◆・◆・◆・ ホテルより出立してより程なく。 朝日を受けてきらめく海面を右手に風を切って飛翔していた九郎とアルは、その目に目的地であるツインタワーを捉えた。 「油断をするな九郎。これからは敵地にあるぞ」 「合点!」 まだ1キロメートルと少しほど先に聳える双子のビルは、ケーキの上に立てる蝋燭ほどの大きさにしか見えない。 それを九郎は見る。否、九郎は――”視る”。 彼の全身を包む黒い表皮の上に刻まれた無数の神秘文字がちかちかと発光し、呪文を生み出し魔法陣を形作る。 術者の望むものを読み取り、膨大な魔術記録を検索し、該当するものが見つかれば”表皮”がそれを自動で”唱え”魔術を発動する。 それが魔術師と魔導書――”人書一体”であるということで、それは通常の魔術の道理を遥かに超越していた。 最早こうなれば、ただひとりの魔術師よりも、ただ一冊の魔導書よりも彼らは強力無比なのである。 「相手側も妾らがこちらから向かうと予測しておったか」 「けど、アンドロイドばっかりだぜ」 「ふむ。気兼ねなく鉄屑へと片してしまえるな」 応。と、九郎は翼で風を叩き加速する。 魔術師の眼で視る先。ツインタワーの中腹あたりにはデータで見たアンドロイド達が銃火器を構えて結集していた。 10……20……30……少なくともそれぐらいは、もしかすれば、いやおそらくはそれ以上の数がそこに並び、そして潜んでいるだろう。 聞いた限りではあの深優と同等かそれに近い性能を持っているという。ブラックロッジのやられ役とは訳が違うということだ。 だがしかし、彼らの言葉の通りにそれは難敵ではない。 人でないというならば魔術の力を全力で振るうことに気兼ねはなく、そして全力ならば――敵ではないからだ。 「――来るぞっ!」 後500メートルほどというところで、アンドロイド達の持つ銃火器が一斉に火を噴いた。 次の瞬間。横殴りに鉄礫の雨霰が九郎へと降り注ぐ。彼がただの人間であればこの次の瞬間にはこの世界より姿を消してしただろう。 ――『バルザイの偃月刀』 発声とともに手の内に現れた刀を九郎は振りかぶり、そして”空を切った”。 次の瞬間。殺到していた熱き弾雨はまるで見えない傘の上を滑るように九郎を”避けて”通りすぎる。 刀を振った時に発生させた極小規模の因果操作を行う防御呪文の効果である。 「あれみたくマシンガン一辺倒っていうなら、楽勝なんだけど――っと!」 物理的干渉を回避するはずの防御呪文の上で青白い火花が激しくほとばしる。 効果薄と見たのか、ツインタワーから九郎を狙うアンドロイド達は手にした銃器をより強力なものにしたらしい。 「たわけが! 油断するでない。いくら”制限”が緩くなったといっても完全になくなったわけではないぞ。 見誤れば死はすぐ其処にあると知れっ!」 首の横から九郎と一体化していたアルがミニマムな姿で顔を覗かせ、直接に九郎の耳へと苦言を叩きつけた。 九郎はアルに謝り、再び翼を強く叩きつけて高く上昇する。 弾雨から逃れ、さてならばどう上手くあのビルに接近できるのか、それを考えようとして九郎は地を爆走してくるそれに気付いた。 「アイム! ロッキンロオオオォォォオオオオオオォォォオオオオオオゥゥゥウウウウウウ――ルッ!!」 ギャギャギャ、ドッギャァ――――ァァアン! ペレロペロペロポロリロリ~~~~ンンンン! ギュゥ――ンンッ!! 「ひゃ――はっはっはっ! 遂に来たのであーる。この時が! クエスチョン! さて、どの時であるか? 回答までの猶予時間はナッシイイイイイイイイイイン……グッ! 我輩が答えまで言っちゃうもんね。 はい、ドクター・ウェスト君。答えは何であるかな? もっとも君ほどの頭脳を持ってすればお茶の子さいさいだろうがね。 おほほほほ、そんなことあるのであ~る! 答えは頭脳明晰単純明快安心会計家内安全――ずばり、我輩の時代が来たのであ~~~~~る!!!」 地を暴音爆走疾風怒濤にフィーバーしながらかっ飛ばすドクター・ウェストとそのマシーン達。 先頭からミニマム破壊ロボに、機関車、ショベルカー、ファイアーボンバー号と相変わらず奇麗に整列しながらの無謀運転。 誰が止められようか? 誰が止めようか? 如何にして止めようか? ……上空の九郎達は顔を覆って諦めていた。 「イッツ! スーパーウェストタ――イム! 合体承認! 今こそ我輩の真の実力を全力で披露する時であーる!」 ウェストの掛け声とスピーカーから発せられる合体のテーマに合わせ、縦列走行していた車両達が隊列を組み替えてゆく。 「さぁ、合体するであーる! ジャンジャンジャジャーン! レ――ッツ、コンバイ~~~ンッド! 天・才・合・体!」 破壊ロボを自ら操縦するウェストと、各機の操縦席に収まっていたブラックロッジ戦闘員らがペダルを踏むタイミングを合わせる。 その瞬間。背景はなにやらキラキラを輝く不思議時空と化し、火も噴いてないのに各機がロケットの様に舞い上がった。 見る見る間にガッコンギッコンと変形してゆくマシン達。 いささか質量保存の法則に抵触しているようなそうでないような、しかしこまけぇことは(ryと言わんばかりにダイナミックに。 小さな破壊ロボを核として2つに割れたトミーがボディとして覆いかぶさり、下半身からにょっきりと足が伸びる。 更には肩口にあたる部分にけろぴーが取り付き、アームをグイングインと振り回しながら一体化した。 そして、一塊の箱と化したファイアーボンバー号が背中へとぴたりとひっつき、ぶにょっと出てきたノズルから火を噴く。 加えて、一体化したマシンのいたるところからニョキニョキ生えたり引っ込んだり、ガッキンドッキンしたりして―― ――爆発炎上した。 「……あいつは本当に馬鹿か」 「知っておろうに……」 九郎と肩から顔を出している小さなアルの見下ろす先。そこからもうもうと黒煙が立ち上っていた。 合体に失敗したからではない。ドクター・ウェストは馬鹿であるがやはり天才でもある。そのような過ちを犯したりはしない。 ただ、至極単純な話として、ツインタワーの方よりロケット弾が撃ち込まれたのだ。 正義の味方?が変形合体してる最中に攻撃をしかけあまつさえ命中させてしまうのはタブーっぽくはあるが文句は言えないだろう。 何せ、互いの全存在を賭けた一大決戦なのである。戦場に奇麗も汚いもないということだ。 「けど……、これであいつがくたばるなら俺達はあんな苦労してないよなぁ」 「全くだのう」 九郎達が頷きあった次の瞬間。爆心地より旋風が巻き起こり、そこに黄金の破壊ロボ(勿論ノーマルサイズ)が姿を現した。 「うわはははははは! うひゃあ~~~、はっはっはっ! 絶好調であ~~~~る!」 全く無傷。完全にして黄金に輝く破壊ロボよりウェストの高揚した声が響き渡る。 ドリルを基本としてハンドやらミサイルやらなにやらを備えた幾本ものアームをわきわきといやらしく動かすとズンと一歩踏み出した。 それを合図にか、再びロケット弾が破壊ロボへと撃ち込まれ――次いで爆音……が、しかし――やはり無傷! 「ぶっひゃははははは! きかんきかんきかんであるなぁ~~~きかんしゃぽっぽー! 我輩の作ったロボは化物か?(疑問系)」 耳を澄ませば、ごうごうと風が轟くような音が破壊ロボの内側から聞こえてくる。 そして、ロボの装甲の表面を縦横無尽に流れる赤いエネルギーライン。 これらが、この”ドクター・ウェスト式ドリームクロス合体・G(何の略かはないしょ♪)破壊ロボ・おかわり3杯”が無敵である理由だった。 「ぐわはははっ! 我輩の最新でモードな破壊ロボに内臓した黄金動力・天地乖離す開闢のタービンの調子は陽あたり良好! だいたい無限大動力より供給されるオレ様バリアは、某配管工がラッキースターを獲得したが如くに無敵三昧。 つまるに、ここから先は我輩オンステージ! 我輩が勝ち。我輩が勝ち。そして我輩が勝つ。つまり、我輩の我輩による我輩の為のハッピーエンドにゴートゥー!」 では、シャイニングフィンガーを使うのあーる! という掛け声と共に突進してゆく黄金に輝くスーパーモードなG破壊ロボ。 浴びせられる鉛弾の雨も、火を噴くロケット弾も、対物ライフルも熱線もなんのその、彼の生き様のようにロボは驀進邁進してゆく。 「……色んな意味で負けちゃいられないな」 「ふむ。ここからは見せ場の奪い合いとなる。この勝負で先日の借りを返すぞ九郎!」 バルザイの偃月刀を構えなおすと、一際大きく翼で空を打ち、九郎達もドクター・ウェストに負けじとツインタワーへと突進を始めた。 ・◆・◆・◆・ 出発地点であった歓楽街のあるリゾートエリアより島の南西をぐるりと周り、数十分ほど。 恋人を背にスポーツバイクを駆るなつきの目に映る風景は一変していた。 歓楽街にあったような派手な看板や電飾の類。モダンアートのオブジェや配色のエキセントリックな建物などはもう無く、 今視界の中を流れるのは、石畳の灰色や煉瓦のくすんだ赤色。年季を感じさせる上品な建物の数々だ。 そして、通りから大きな広場へと出たところでなつきはそれに気付いた。 「…………!」 ”大聖堂”と地図上に記されている建物で、名前どおりに荘厳で、なつきにとってそこは印象深い場所であった。 思い浮かべるのは4日前。皆が集った教会からホテルへと向かう途中のこと。 あの中で、クリスは唯湖を想い、聞いているだろうと語りかけ、彼女のために彼自身が書いた曲を演奏して贈った。 そして、なつきは彼の真摯な想いを理解し、その一助となろうと彼の背を抱きながら決心をしたのだ。 今からそれを行うこと。来ヶ谷唯湖を救いに行くことに関して、もうなんらわだかまりは無い。 思念だけの存在となり残された想いを伝えてくれた棗恭介のこともあり、それは今やなつき自身の目的ともなっている。 なので、そこに不安や迷いはない。それなのに、あの大聖堂を見るとなつきの心はひどくざわついた。 ”クリス……死なないよな? ……ここにいるよな” あの時の問いに、クリスは確かな答えを返してはくれなかった。 それが、たった一言だけもらえなかったそれが、その空白がなつきの心をひどく不安にさせる。 近づきあい、触れあい、言葉を交わし、想いを交わして彼への理解を深めれば深めるほど、 あの時のあの一言の不在がまるで白いキャンバスに落とした一点の黒のように、浮かび上がり無視できないものへとなってゆく。 背中に彼の体温を感じる。確かに繋がっていると信じることができる。 けど、このまま離れずにずっと一緒でいられるのだろうか。 「(クリスは死なない。……死なせはしない。今も、これからも、ずっと――)」 なつきは首からかけたペンダント――錠と鍵が確かにそこにあることを確かめると、広場を渡り次の通りへと入った。 少しして、風景から街並みも消えなつきを先頭とした一行は山林の中へと入ってゆく。 申し訳程度に整えられた山道を、事故を起こさないようにと丁寧に右へ左へ、道の先を注視しなつきはバイクを進める。 その先に、玲二と彼のバイクの姿はない。後ろを振り返ったとしてもそこにも彼はいない。 彼はすでに歓楽街を抜けたところで別行動をとっている。そして―― 「深優ちゃん、がんばってねー!」 ――深優もまた今、愕天王から飛び降り、山の中へと姿を消した。 彼も彼女もここからは単独行動だ。 九郎達が北のツインタワーへと向かったように、彼らにもそれぞれ目的地となる別々の突入地点がある。 そして―― 「スピードをあげるぞ。クリス!」 ――なつきを先頭とする残りの面々が向かうのは、彼女にとっては因縁浅からぬ風華学園。 山道を抜け、再び市街へと出たところで彼女はアクセルを捻り再びスピードをあげた。 クリスの温かさを背に、決着の瞬間へと向けて自分と彼とを加速させてゆく――。 ・◆・◆・◆・ 赤。白。黄色。青と緑とそれ以外も、無数に無量に存在する華々しい光景。 風に吹かれ揺蕩う花弁の大海。その波の中を七色の波飛沫を巻き上げながら疾走するひとつの鉄騎があった。 モトクロスバイクに跨り、一路、南端の発電所を目指す玲二である。 色彩鮮やかな光景に決してそれだけ以上の気をとられることなく、油断の無い仕事人の姿勢を維持し彼は駆ける。 陽光を背に相貌を影と隠し、まるで場違いな亡霊かの様に、そしてそうだとしても亡霊の様に、彼は行く。 しかし、彼が行く島の南西は、花畑も向かう発電所も、もうすでに禁止エリアと指定されていたはずだ。 なのにどうして彼に嵌められた首輪は爆発せず、その首を跳ね飛ばしてしまわないのか? その理由は難しくない。答えは彼が殺害した最後の男。そして先日、霊となり再び合間見えたあの往生際の悪い男にある。 棗恭介――彼が持っていた携帯電話。彼から奪ったあれを、玲二が今持っていると、ただそれだけのことであった。 その携帯電話に内臓されていた特殊なアプリ――”禁止エリア進入機能”により、彼は禁止エリアの中を進む。 本来ならば参加者は進行できないはずのルート。 もしかすれば、相手側が事前には想定していなかったかもしれないルートからの奇襲。 それが最後のファントムである玲二に課せられた任務であった。 作戦を立案した九条により玲二に与えられた役割。それはただ彼がファントムとして、最後までそれを徹すること。 誰からの支援も無く、ただ孤独に任務に殉じ、最も危険な場所へと潜り込み、亡霊として標的の命を掠め取る。 彼はそれを望まれ、そして彼自身もそうすることを望んだ。 ファントム・ツヴァイへのミッションは――神崎黎人の暗殺。 玲二は往く。誰からも見えない亡霊の様に。 今はただの一発の弾丸の様に、標的である神崎黎人の心臓をめがけ、それを撃ち抜く為、ただ真っ直ぐと花畑を渡る。 命を刈るように花弁を散らし、亡霊は往く――。 ・◆・◆・◆・ ふと、深優は自らの肌着に掛けた手を止めた。 山頂の湖にほど近い、既に訪れる人もない神社。 いや、予定通りに事が進むのならば、もう人の訪れる事のない場所。 既に敵も味方も、誰一人この場を訪れる理由など無い。 (それは、そうなのですが…) わずかな躊躇の後、下着が半ば見える位置まで持ち上げられた肌着の裾から手を離す。 柔らかな布が肌を撫で、すべらかな腹を、臍を覆い隠し、スカートの上に重なる。 「…………」 理由は、無い。 これから少しの後、深優は湖底まで潜り、そこから主催者たちの本拠地に突入する予定だ。 なのだから、その為に潜水に適した装備を纏わなくてはいけない。 そして、その為のウェットスーツは既にデイパックから出してある。 だから、後はそれに着替えるだけでいい、のだけれど。 「…………」 ふたたび肌着に触れた手は動かず、逆にキュッ、と無意識に裾を握りしめる。 今、この場所に人気は無い。 太陽は眩しく、空は青く、気候は穏やか。 仮に周囲から誰か近づいてきたとしても、身を隠す場所も無い。 ただ、それは逆に言うなら、深優自身の身を隠すものも何も無い、ということ。 「…………」 無表情な深優の頬が、僅かに桃色に染まる。 見るものも無いのだから、気にする理由もない。 むしろ、こうして考えている時間が、逆に危険かもしれない。 篭城を決め込んでいるとはいえ主催側が気紛れを起こさないとも限らないし、あるいは暴発的に動くこともあり得る、のだけれど。 それでも、ほんの少し、ほんの少しだけ、羞恥を。 無防備に裸身をさらす事に、恥ずかしさ、という心を感じた。 そして、傍らに畳んであった服を再び手に取り、それを羽織る。 肌着のまま動く、というのも世間的にははしたない行為なのだから。 「別に、普段から何も無い所で脱ぐような事は、ありません……」 誰に対してでもない言い訳の言葉が、無意識に唇から零れる。 一般的なTPOは備えている。無論、人前で肌を晒す事も無い。 ただ、言い訳をするなら、今この場所には、誰も居ないのだ。 人に見られる恐れが無い場所なのだから、ただ適当に、最短距離の途中にあって、警戒しやすい場所を選んだ、それだけのこと。 その判断自体は、間違いでは無いと思う。 間違いは無い、と思うのだが……。 「…………」 無言で、木々の陰に荷物を降ろす。 本殿に入って着替える事も考えたけれど、建物の中には監視の目が光っている可能性が高いので、やめた。 敵とはいえ、不特定多数の相手に見せたいものでもないのだから。 丁寧に畳みながら服を脱ぎ、デイバックにしまっておいた大きめのバスタオルを、体に巻く。 (そういえば……) せめて下に着る水着くらいは、ホテルで着てきても良かったのかもしれない。 隠しているとはいえ、屋外で下着まで外すことは、多少恥ずかしい。 「碧……感謝します」 ダイビングスーツを用意した際に、下に着る水着を荷物に加えた杉浦碧の行動に、深優は人知れず謝意を示す。 同時に、余分になる訳でも無いのだけれど、どうしても必要というわけもない荷物まで揃える気にはならなかった過去の自分を恥じる。 機能的にはワンピースタイプの方が適している筈なのに、ビキニタイプを推した理由までは、図れなかったが。 ジ・ジ・ジと固めの音を立てながら、ファスナーを閉じる。 既に着替えは終わり、荷物もこうしてダイビングバッグに収めた。 手元にあるのは足ヒレとシュノーケル、エアは最低限の量しか用意していないけど、問題は無い。 訓練も無しの潜行も、それによる急速な圧力の変化といった人体の構造上の無理が多い行動も、私には何の問題も無い。 外見的には人と何も変わらないけれど、私の身体は人のそれよりも遥かに頑丈に出来ているのだから。 無論人としての機能も一通り揃ってはいるのけれど、それでも人とは明らかに違う。 人を模して作られた、ツクリモノノカラダ 「……っ!」 そのことに、不満を感じた事は無い。 感じる理由など、何一つ無かったのだから。 アリッサ様の為に作られ、その為に機能し続ける事に、不安すら感じた事はなかった。 不安を感じるという機構が、心という機能があることさえ、想像すらしなかったのに。 「アリッサ様……」 思い返すと、胸に痛みを覚える。 これが、心の作用なのだと、なんとなく理解している。 何度か、考えたことがあった。作り物の身体にも、心は宿るのかと。 心は、確かにここにある。 私は、私。 私は、アリッサ様の為に戦う。誰でも無い、私自身の心に従って。 たとえ最初は役割としてあった事でも、それは間違いなく私の望みに他ならない。 そして、もう1つ。 「玲二……」 心が、惹かれている。 適うことなど無いのに、惹かれている。 人間ですら無い、人に作られた私が、人を、感じている。 幼い日の人間が翼を夢想するように、私は人を夢想する。 例え私の身体が普通の人間と同じであったとしても、何も変わらないと理解していても、望んでしまう。 人である事を、アリッサ様と同じ存在になる得る事を。 人として、玲二の傍らに居られる事を。 私は、どれだけの期間、稼動し続けられるのだろう? 普通の人のように老いるのか、アル・アジフのように長い時を生きるのか、それともあと数年もすれば停止してしまうのか。 人と、皆と同じように、人でありたいと、そんな心を、感じる。 これは、私が人では無いからこそ、感じる痛みなのだろうか。 作られた私が、人を想うのは間違いでは無いだろうか。 アリッサ様の為に戦うというこの感情は、人として自然なものなのか。 碧が言ったように、遠くから思い続けるという事では耐えられないと感じるのは、私が人ではないからだろうか。 「わかりません……、私は……」 私自身の心が、判らない。 私自身の事が、まるで判らない。 判らない 判らない 「判らない、ですが……」 人間とは明らかに異なる私の身体。 けれど、だからこそ、今出来る事がある。 皆と、玲二と、……アリッサ様の為に戦うことが出来る。 それは、今ここにある深優・グリーアにしかできない事なのだから。 「そう、だから……」 今は、この身体に感謝しよう。 たとえその先に、さらなる苦しみが待っていたとしても。 ・◆・◆・◆・ 「おや、反応がひとつ足りないロボ。 これは壊れているのではないかマスター? なんならエルザが叩いて直してやってもいいロボよ?」 ふらりとモニターの前にやって来ては、そんなことを言うエルザ。そんな彼女の言葉にマスターである神崎はくすりと息を漏らした。 彼女は人造人間である。つまりは作られた存在であるわけだが、創造主がどう思ったかはともかくとして 彼女のセンスは中々にユーモアに溢れており、この状況だとそれも存外悪くないものだと神埼はそんなふうに思う。 「それは違うよエルザ。モニターは壊れてはいない」 「じゃあ、エルザの目がおかしくなってしまったロボか? だったら、至急直してもらわないと……あの、えーと……誰だったかロボか……?」 ふむと、目の前でぐるぐると頭を回し始めたエルザに神崎はひとつ溜息をついた。 自身のボディーガードとして常に帯同させてはいるが、元々が無理をしているせいかその分綻びがよく見えるようになってきている。 「それよりもエルザ。ひとつお茶を持ってきてくれないかな? 緊張すると喉も渇くものでね」 「最優先でそのコマンドを実行するロボ。……マスターは熱々の番茶がよかったロボ?」 紅茶だよ。と、そう言って神埼はエルザを一時下がらせる。 そして、周りが静かになると再びその双眸をモニターの方へと向けなおした。 「吾妻玲二……ファントム・ツヴァイか」 確かに、エルザが指摘したとおりモニターからは参加者の反応がひとつ消えていた。消えているのは吾妻玲二の反応。 もうすでに彼は退場してしまった――という訳ではない。島中に設置された監視カメラには彼の姿は捉えられている。 花畑を疾走する亡霊の姿はそろそろ発電所に到着するだろうと、そんな所にあった。 彼の反応がモニターに出ないのは、彼が”禁止エリア進入機能”を使用しているからだ。 単純な話で、その機能は禁止エリアに引っかからなくするために首輪から電波を発するのを停止させる。 故にモニターにも一時的ではあるが映らなくなるというわけである。 これでこちら側の虚を突けるかというと、そんなことは全く無い。実際に、彼の姿は監視カメラで捕らえられているからだ。 「――とはいえ、基地の中に入ってこられちゃあ困る。わよねぇ?」 「ええ、ですから”アレ”らを手配したわけですが。首尾はいかがでしょうか?」 ゆらりと現れた警備本部長の声に驚くでもなく、神崎は対応が済んでいるのかだけを簡潔に聞き返す。 彼女の言の通り、地下の基地内部にまで侵入されると彼を補足するのは難しくなる。 元々参加者らが行き交うステージであった地上とは違い、地下の基地内には監視カメラなどはほとんど存在しないからだ。 ならば、どうするか? 答えは難しくはない。 「発電所の地下へと”アレ”らを向かわせたわ。 元々こっちには深優ちゃんが来るかと想定してたけど、……まぁ、おあつらえ向きになったという形かしらね」 そう。進入口で待ち構えればいいのである。 いかに彼がファントムであろうとも、事実として地下への入り口がそこには一箇所しかない以上、通る場所は決まっているからだ。 ならば、そこに精鋭を送り込み見失ってしまう前に打ち落とす。それが神埼と一番地のとった策であった。 「もっとも、彼もわかってて飛び込んでくるんだろうからそうそう簡単には終わらないでしょうけれどもねぇ……」 どこか気だるげで、しかし隙を見せない表情でそんなことを言うと警備本部長はモニターの中の別の位置へと視線をずらした。 先ほど名前を口に出した、深優・グリーアの反応にである。彼女もまた玲二と同じように単独で行動している。 西側の街を抜けてより山の中へと入り、今は頂上に近い位置にある神社の傍にその反応があった。 無論、監視カメラでも彼女の姿は捉えられており、着替えの一部始終と新しい装備についてももれなく把握できている。 「まぁ、見ればわかるけど……山頂の湖から進入してくるつもりらしいわね。あの子」 「その可能性は低いと検討していましたが、彼女はあのルートをとった」 「湖はこの”本丸”の直上。つまり、進入さえできれば最短のコースとなる……できればの話になるけれども」 「できると判断したのでしょう。僕も可能だと思いますよ。彼女ならば」 山頂に大きくかまえたカルデラ湖。その湖底にはこの基地で使用する水を取り入れる取水口が存在する。 そこを潜れば基地内部への侵入は容易だ。 ただし、浅くはない湖を潜行し、すでに閉じられている取水口の隔壁をクリアする必要がある。 だがしかし、彼女はクリアするのだろう。彼女が人間でないゆえに。 「先程、取水口からのラインを停止しましたが……」 「白衣の連中が顔を真っ赤にしている姿が目に浮かぶわね。 湖からの取り入れている水って、ほとんどはシアーズのプラントで使用する冷却水用でしょう?」 「ええ。彼らのこちら側に対する感情はもう最悪です。全ての実験を停止させてしまいましたからね」 黒曜の君と警備本部長。互いに顔を合わせて笑いあう。 何がおかしいのか、そして笑っている場合なのか、それはわからなかったが、ただこの時は愉快な気持ちに身を任せていた。 LIVE FOR YOU (舞台) 1 <前 後> LIVE FOR YOU (舞台) 3
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LIVE FOR YOU (舞台) 2 ◆Live4Uyua6 ・◆・◆・◆・ ホテルより出立してより程なく。 朝日を受けてきらめく海面を右手に風を切って飛翔していた九郎とアルは、その目に目的地であるツインタワーを捉えた。 「油断をするな九郎。これからは敵地にあるぞ」 「合点!」 まだ1キロメートルと少しほど先に聳える双子のビルは、ケーキの上に立てる蝋燭ほどの大きさにしか見えない。 それを九郎は見る。否、九郎は――”視る”。 彼の全身を包む黒い表皮の上に刻まれた無数の神秘文字がちかちかと発光し、呪文を生み出し魔法陣を形作る。 術者の望むものを読み取り、膨大な魔術記録を検索し、該当するものが見つかれば”表皮”がそれを自動で”唱え”魔術を発動する。 それが魔術師と魔導書――”人書一体”であるということで、それは通常の魔術の道理を遥かに超越していた。 最早こうなれば、ただひとりの魔術師よりも、ただ一冊の魔導書よりも彼らは強力無比なのである。 「相手側も妾らがこちらから向かうと予測しておったか」 「けど、アンドロイドばっかりだぜ」 「ふむ。気兼ねなく鉄屑へと片してしまえるな」 応。と、九郎は翼で風を叩き加速する。 魔術師の眼で視る先。ツインタワーの中腹あたりにはデータで見たアンドロイド達が銃火器を構えて結集していた。 10……20……30……少なくともそれぐらいは、もしかすれば、いやおそらくはそれ以上の数がそこに並び、そして潜んでいるだろう。 聞いた限りではあの深優と同等かそれに近い性能を持っているという。ブラックロッジのやられ役とは訳が違うということだ。 だがしかし、彼らの言葉の通りにそれは難敵ではない。 人でないというならば魔術の力を全力で振るうことに気兼ねはなく、そして全力ならば――敵ではないからだ。 「――来るぞっ!」 後500メートルほどというところで、アンドロイド達の持つ銃火器が一斉に火を噴いた。 次の瞬間。横殴りに鉄礫の雨霰が九郎へと降り注ぐ。彼がただの人間であればこの次の瞬間にはこの世界より姿を消してしただろう。 ――『バルザイの偃月刀』 発声とともに手の内に現れた刀を九郎は振りかぶり、そして”空を切った”。 次の瞬間。殺到していた熱き弾雨はまるで見えない傘の上を滑るように九郎を”避けて”通りすぎる。 刀を振った時に発生させた極小規模の因果操作を行う防御呪文の効果である。 「あれみたくマシンガン一辺倒っていうなら、楽勝なんだけど――っと!」 物理的干渉を回避するはずの防御呪文の上で青白い火花が激しくほとばしる。 効果薄と見たのか、ツインタワーから九郎を狙うアンドロイド達は手にした銃器をより強力なものにしたらしい。 「たわけが! 油断するでない。いくら”制限”が緩くなったといっても完全になくなったわけではないぞ。 見誤れば死はすぐ其処にあると知れっ!」 首の横から九郎と一体化していたアルがミニマムな姿で顔を覗かせ、直接に九郎の耳へと苦言を叩きつけた。 九郎はアルに謝り、再び翼を強く叩きつけて高く上昇する。 弾雨から逃れ、さてならばどう上手くあのビルに接近できるのか、それを考えようとして九郎は地を爆走してくるそれに気付いた。 「アイム! ロッキンロオオオォォォオオオオオオォォォオオオオオオゥゥゥウウウウウウ――ルッ!!」 ギャギャギャ、ドッギャァ――――ァァアン! ペレロペロペロポロリロリ~~~~ンンンン! ギュゥ――ンンッ!! 「ひゃ――はっはっはっ! 遂に来たのであーる。この時が! クエスチョン! さて、どの時であるか? 回答までの猶予時間はナッシイイイイイイイイイイン……グッ! 我輩が答えまで言っちゃうもんね。 はい、ドクター・ウェスト君。答えは何であるかな? もっとも君ほどの頭脳を持ってすればお茶の子さいさいだろうがね。 おほほほほ、そんなことあるのであ~る! 答えは頭脳明晰単純明快安心会計家内安全――ずばり、我輩の時代が来たのであ~~~~~る!!!」 地を暴音爆走疾風怒濤にフィーバーしながらかっ飛ばすドクター・ウェストとそのマシーン達。 先頭からミニマム破壊ロボに、機関車、ショベルカー、ファイアーボンバー号と相変わらず奇麗に整列しながらの無謀運転。 誰が止められようか? 誰が止めようか? 如何にして止めようか? ……上空の九郎達は顔を覆って諦めていた。 「イッツ! スーパーウェストタ――イム! 合体承認! 今こそ我輩の真の実力を全力で披露する時であーる!」 ウェストの掛け声とスピーカーから発せられる合体のテーマに合わせ、縦列走行していた車両達が隊列を組み替えてゆく。 「さぁ、合体するであーる! ジャンジャンジャジャーン! レ――ッツ、コンバイ~~~ンッド! 天・才・合・体!」 破壊ロボを自ら操縦するウェストと、各機の操縦席に収まっていたブラックロッジ戦闘員らがペダルを踏むタイミングを合わせる。 その瞬間。背景はなにやらキラキラを輝く不思議時空と化し、火も噴いてないのに各機がロケットの様に舞い上がった。 見る見る間にガッコンギッコンと変形してゆくマシン達。 いささか質量保存の法則に抵触しているようなそうでないような、しかしこまけぇことは(ryと言わんばかりにダイナミックに。 小さな破壊ロボを核として2つに割れたトミーがボディとして覆いかぶさり、下半身からにょっきりと足が伸びる。 更には肩口にあたる部分にけろぴーが取り付き、アームをグイングインと振り回しながら一体化した。 そして、一塊の箱と化したファイアーボンバー号が背中へとぴたりとひっつき、ぶにょっと出てきたノズルから火を噴く。 加えて、一体化したマシンのいたるところからニョキニョキ生えたり引っ込んだり、ガッキンドッキンしたりして―― ――爆発炎上した。 「……あいつは本当に馬鹿か」 「知っておろうに……」 九郎と肩から顔を出している小さなアルの見下ろす先。そこからもうもうと黒煙が立ち上っていた。 合体に失敗したからではない。ドクター・ウェストは馬鹿であるがやはり天才でもある。そのような過ちを犯したりはしない。 ただ、至極単純な話として、ツインタワーの方よりロケット弾が撃ち込まれたのだ。 正義の味方?が変形合体してる最中に攻撃をしかけあまつさえ命中させてしまうのはタブーっぽくはあるが文句は言えないだろう。 何せ、互いの全存在を賭けた一大決戦なのである。戦場に奇麗も汚いもないということだ。 「けど……、これであいつがくたばるなら俺達はあんな苦労してないよなぁ」 「全くだのう」 九郎達が頷きあった次の瞬間。爆心地より旋風が巻き起こり、そこに黄金の破壊ロボ(勿論ノーマルサイズ)が姿を現した。 「うわはははははは! うひゃあ~~~、はっはっはっ! 絶好調であ~~~~る!」 全く無傷。完全にして黄金に輝く破壊ロボよりウェストの高揚した声が響き渡る。 ドリルを基本としてハンドやらミサイルやらなにやらを備えた幾本ものアームをわきわきといやらしく動かすとズンと一歩踏み出した。 それを合図にか、再びロケット弾が破壊ロボへと撃ち込まれ――次いで爆音……が、しかし――やはり無傷! 「ぶっひゃははははは! きかんきかんきかんであるなぁ~~~きかんしゃぽっぽー! 我輩の作ったロボは化物か?(疑問系)」 耳を澄ませば、ごうごうと風が轟くような音が破壊ロボの内側から聞こえてくる。 そして、ロボの装甲の表面を縦横無尽に流れる赤いエネルギーライン。 これらが、この”ドクター・ウェスト式ドリームクロス合体・G(何の略かはないしょ♪)破壊ロボ・おかわり3杯”が無敵である理由だった。 「ぐわはははっ! 我輩の最新でモードな破壊ロボに内臓した黄金動力・天地乖離す開闢のタービンの調子は陽あたり良好! だいたい無限大動力より供給されるオレ様バリアは、某配管工がラッキースターを獲得したが如くに無敵三昧。 つまるに、ここから先は我輩オンステージ! 我輩が勝ち。我輩が勝ち。そして我輩が勝つ。つまり、我輩の我輩による我輩の為のハッピーエンドにゴートゥー!」 では、シャイニングフィンガーを使うのあーる! という掛け声と共に突進してゆく黄金に輝くスーパーモードなG破壊ロボ。 浴びせられる鉛弾の雨も、火を噴くロケット弾も、対物ライフルも熱線もなんのその、彼の生き様のようにロボは驀進邁進してゆく。 「……色んな意味で負けちゃいられないな」 「ふむ。ここからは見せ場の奪い合いとなる。この勝負で先日の借りを返すぞ九郎!」 バルザイの偃月刀を構えなおすと、一際大きく翼で空を打ち、九郎達もドクター・ウェストに負けじとツインタワーへと突進を始めた。 ・◆・◆・◆・ 出発地点であった歓楽街のあるリゾートエリアより島の南西をぐるりと周り、数十分ほど。 恋人を背にスポーツバイクを駆るなつきの目に映る風景は一変していた。 歓楽街にあったような派手な看板や電飾の類。モダンアートのオブジェや配色のエキセントリックな建物などはもう無く、 今視界の中を流れるのは、石畳の灰色や煉瓦のくすんだ赤色。年季を感じさせる上品な建物の数々だ。 そして、通りから大きな広場へと出たところでなつきはそれに気付いた。 「…………!」 ”大聖堂”と地図上に記されている建物で、名前どおりに荘厳で、なつきにとってそこは印象深い場所であった。 思い浮かべるのは4日前。皆が集った教会からホテルへと向かう途中のこと。 あの中で、クリスは唯湖を想い、聞いているだろうと語りかけ、彼女のために彼自身が書いた曲を演奏して贈った。 そして、なつきは彼の真摯な想いを理解し、その一助となろうと彼の背を抱きながら決心をしたのだ。 今からそれを行うこと。来ヶ谷唯湖を救いに行くことに関して、もうなんらわだかまりは無い。 思念だけの存在となり残された想いを伝えてくれた棗恭介のこともあり、それは今やなつき自身の目的ともなっている。 なので、そこに不安や迷いはない。それなのに、あの大聖堂を見るとなつきの心はひどくざわついた。 ”クリス……死なないよな? ……ここにいるよな” あの時の問いに、クリスは確かな答えを返してはくれなかった。 それが、たった一言だけもらえなかったそれが、その空白がなつきの心をひどく不安にさせる。 近づきあい、触れあい、言葉を交わし、想いを交わして彼への理解を深めれば深めるほど、 あの時のあの一言の不在がまるで白いキャンバスに落とした一点の黒のように、浮かび上がり無視できないものへとなってゆく。 背中に彼の体温を感じる。確かに繋がっていると信じることができる。 けど、このまま離れずにずっと一緒でいられるのだろうか。 「(クリスは死なない。……死なせはしない。今も、これからも、ずっと――)」 なつきは首からかけたペンダント――錠と鍵が確かにそこにあることを確かめると、広場を渡り次の通りへと入った。 少しして、風景から街並みも消えなつきを先頭とした一行は山林の中へと入ってゆく。 申し訳程度に整えられた山道を、事故を起こさないようにと丁寧に右へ左へ、道の先を注視しなつきはバイクを進める。 その先に、玲二と彼のバイクの姿はない。後ろを振り返ったとしてもそこにも彼はいない。 彼はすでに歓楽街を抜けたところで別行動をとっている。そして―― 「深優ちゃん、がんばってねー!」 ――深優もまた今、愕天王から飛び降り、山の中へと姿を消した。 彼も彼女もここからは単独行動だ。 九郎達が北のツインタワーへと向かったように、彼らにもそれぞれ目的地となる別々の突入地点がある。 そして―― 「スピードをあげるぞ。クリス!」 ――なつきを先頭とする残りの面々が向かうのは、彼女にとっては因縁浅からぬ風華学園。 山道を抜け、再び市街へと出たところで彼女はアクセルを捻り再びスピードをあげた。 クリスの温かさを背に、決着の瞬間へと向けて自分と彼とを加速させてゆく――。 ・◆・◆・◆・ 赤。白。黄色。青と緑とそれ以外も、無数に無量に存在する華々しい光景。 風に吹かれ揺蕩う花弁の大海。その波の中を七色の波飛沫を巻き上げながら疾走するひとつの鉄騎があった。 モトクロスバイクに跨り、一路、南端の発電所を目指す玲二である。 色彩鮮やかな光景に決してそれだけ以上の気をとられることなく、油断の無い仕事人の姿勢を維持し彼は駆ける。 陽光を背に相貌を影と隠し、まるで場違いな亡霊かの様に、そしてそうだとしても亡霊の様に、彼は行く。 しかし、彼が行く島の南西は、花畑も向かう発電所も、もうすでに禁止エリアと指定されていたはずだ。 なのにどうして彼に嵌められた首輪は爆発せず、その首を跳ね飛ばしてしまわないのか? その理由は難しくない。答えは彼が殺害した最後の男。そして先日、霊となり再び合間見えたあの往生際の悪い男にある。 棗恭介――彼が持っていた携帯電話。彼から奪ったあれを、玲二が今持っていると、ただそれだけのことであった。 その携帯電話に内臓されていた特殊なアプリ――”禁止エリア進入機能”により、彼は禁止エリアの中を進む。 本来ならば参加者は進行できないはずのルート。 もしかすれば、相手側が事前には想定していなかったかもしれないルートからの奇襲。 それが最後のファントムである玲二に課せられた任務であった。 作戦を立案した九条により玲二に与えられた役割。それはただ彼がファントムとして、最後までそれを徹すること。 誰からの支援も無く、ただ孤独に任務に殉じ、最も危険な場所へと潜り込み、亡霊として標的の命を掠め取る。 彼はそれを望まれ、そして彼自身もそうすることを望んだ。 ファントム・ツヴァイへのミッションは――神崎黎人の暗殺。 玲二は往く。誰からも見えない亡霊の様に。 今はただの一発の弾丸の様に、標的である神崎黎人の心臓をめがけ、それを撃ち抜く為、ただ真っ直ぐと花畑を渡る。 命を刈るように花弁を散らし、亡霊は往く――。 ・◆・◆・◆・ ふと、深優は自らの肌着に掛けた手を止めた。 山頂の湖にほど近い、既に訪れる人もない神社。 いや、予定通りに事が進むのならば、もう人の訪れる事のない場所。 既に敵も味方も、誰一人この場を訪れる理由など無い。 (それは、そうなのですが…) わずかな躊躇の後、下着が半ば見える位置まで持ち上げられた肌着の裾から手を離す。 柔らかな布が肌を撫で、すべらかな腹を、臍を覆い隠し、スカートの上に重なる。 「…………」 理由は、無い。 これから少しの後、深優は湖底まで潜り、そこから主催者たちの本拠地に突入する予定だ。 なのだから、その為に潜水に適した装備を纏わなくてはいけない。 そして、その為のウェットスーツは既にデイパックから出してある。 だから、後はそれに着替えるだけでいい、のだけれど。 「…………」 ふたたび肌着に触れた手は動かず、逆にキュッ、と無意識に裾を握りしめる。 今、この場所に人気は無い。 太陽は眩しく、空は青く、気候は穏やか。 仮に周囲から誰か近づいてきたとしても、身を隠す場所も無い。 ただ、それは逆に言うなら、深優自身の身を隠すものも何も無い、ということ。 「…………」 無表情な深優の頬が、僅かに桃色に染まる。 見るものも無いのだから、気にする理由もない。 むしろ、こうして考えている時間が、逆に危険かもしれない。 篭城を決め込んでいるとはいえ主催側が気紛れを起こさないとも限らないし、あるいは暴発的に動くこともあり得る、のだけれど。 それでも、ほんの少し、ほんの少しだけ、羞恥を。 無防備に裸身をさらす事に、恥ずかしさ、という心を感じた。 そして、傍らに畳んであった服を再び手に取り、それを羽織る。 肌着のまま動く、というのも世間的にははしたない行為なのだから。 「別に、普段から何も無い所で脱ぐような事は、ありません……」 誰に対してでもない言い訳の言葉が、無意識に唇から零れる。 一般的なTPOは備えている。無論、人前で肌を晒す事も無い。 ただ、言い訳をするなら、今この場所には、誰も居ないのだ。 人に見られる恐れが無い場所なのだから、ただ適当に、最短距離の途中にあって、警戒しやすい場所を選んだ、それだけのこと。 その判断自体は、間違いでは無いと思う。 間違いは無い、と思うのだが……。 「…………」 無言で、木々の陰に荷物を降ろす。 本殿に入って着替える事も考えたけれど、建物の中には監視の目が光っている可能性が高いので、やめた。 敵とはいえ、不特定多数の相手に見せたいものでもないのだから。 丁寧に畳みながら服を脱ぎ、デイバックにしまっておいた大きめのバスタオルを、体に巻く。 (そういえば……) せめて下に着る水着くらいは、ホテルで着てきても良かったのかもしれない。 隠しているとはいえ、屋外で下着まで外すことは、多少恥ずかしい。 「碧……感謝します」 ダイビングスーツを用意した際に、下に着る水着を荷物に加えた杉浦碧の行動に、深優は人知れず謝意を示す。 同時に、余分になる訳でも無いのだけれど、どうしても必要というわけもない荷物まで揃える気にはならなかった過去の自分を恥じる。 機能的にはワンピースタイプの方が適している筈なのに、ビキニタイプを推した理由までは、図れなかったが。 ジ・ジ・ジと固めの音を立てながら、ファスナーを閉じる。 既に着替えは終わり、荷物もこうしてダイビングバッグに収めた。 手元にあるのは足ヒレとシュノーケル、エアは最低限の量しか用意していないけど、問題は無い。 訓練も無しの潜行も、それによる急速な圧力の変化といった人体の構造上の無理が多い行動も、私には何の問題も無い。 外見的には人と何も変わらないけれど、私の身体は人のそれよりも遥かに頑丈に出来ているのだから。 無論人としての機能も一通り揃ってはいるのけれど、それでも人とは明らかに違う。 人を模して作られた、ツクリモノノカラダ 「……っ!」 そのことに、不満を感じた事は無い。 感じる理由など、何一つ無かったのだから。 アリッサ様の為に作られ、その為に機能し続ける事に、不安すら感じた事はなかった。 不安を感じるという機構が、心という機能があることさえ、想像すらしなかったのに。 「アリッサ様……」 思い返すと、胸に痛みを覚える。 これが、心の作用なのだと、なんとなく理解している。 何度か、考えたことがあった。作り物の身体にも、心は宿るのかと。 心は、確かにここにある。 私は、私。 私は、アリッサ様の為に戦う。誰でも無い、私自身の心に従って。 たとえ最初は役割としてあった事でも、それは間違いなく私の望みに他ならない。 そして、もう1つ。 「玲二……」 心が、惹かれている。 適うことなど無いのに、惹かれている。 人間ですら無い、人に作られた私が、人を、感じている。 幼い日の人間が翼を夢想するように、私は人を夢想する。 例え私の身体が普通の人間と同じであったとしても、何も変わらないと理解していても、望んでしまう。 人である事を、アリッサ様と同じ存在になる得る事を。 人として、玲二の傍らに居られる事を。 私は、どれだけの期間、稼動し続けられるのだろう? 普通の人のように老いるのか、アル・アジフのように長い時を生きるのか、それともあと数年もすれば停止してしまうのか。 人と、皆と同じように、人でありたいと、そんな心を、感じる。 これは、私が人では無いからこそ、感じる痛みなのだろうか。 作られた私が、人を想うのは間違いでは無いだろうか。 アリッサ様の為に戦うというこの感情は、人として自然なものなのか。 碧が言ったように、遠くから思い続けるという事では耐えられないと感じるのは、私が人ではないからだろうか。 「わかりません……、私は……」 私自身の心が、判らない。 私自身の事が、まるで判らない。 判らない 判らない 「判らない、ですが……」 人間とは明らかに異なる私の身体。 けれど、だからこそ、今出来る事がある。 皆と、玲二と、……アリッサ様の為に戦うことが出来る。 それは、今ここにある深優・グリーアにしかできない事なのだから。 「そう、だから……」 今は、この身体に感謝しよう。 たとえその先に、さらなる苦しみが待っていたとしても。 ・◆・◆・◆・ 「おや、反応がひとつ足りないロボ。 これは壊れているのではないかマスター? なんならエルザが叩いて直してやってもいいロボよ?」 ふらりとモニターの前にやって来ては、そんなことを言うエルザ。そんな彼女の言葉にマスターである神崎はくすりと息を漏らした。 彼女は人造人間である。つまりは作られた存在であるわけだが、創造主がどう思ったかはともかくとして 彼女のセンスは中々にユーモアに溢れており、この状況だとそれも存外悪くないものだと神埼はそんなふうに思う。 「それは違うよエルザ。モニターは壊れてはいない」 「じゃあ、エルザの目がおかしくなってしまったロボか? だったら、至急直してもらわないと……あの、えーと……誰だったかロボか……?」 ふむと、目の前でぐるぐると頭を回し始めたエルザに神崎はひとつ溜息をついた。 自身のボディーガードとして常に帯同させてはいるが、元々が無理をしているせいかその分綻びがよく見えるようになってきている。 「それよりもエルザ。ひとつお茶を持ってきてくれないかな? 緊張すると喉も渇くものでね」 「最優先でそのコマンドを実行するロボ。……マスターは熱々の番茶がよかったロボ?」 紅茶だよ。と、そう言って神埼はエルザを一時下がらせる。 そして、周りが静かになると再びその双眸をモニターの方へと向けなおした。 「吾妻玲二……ファントム・ツヴァイか」 確かに、エルザが指摘したとおりモニターからは参加者の反応がひとつ消えていた。消えているのは吾妻玲二の反応。 もうすでに彼は退場してしまった――という訳ではない。島中に設置された監視カメラには彼の姿は捉えられている。 花畑を疾走する亡霊の姿はそろそろ発電所に到着するだろうと、そんな所にあった。 彼の反応がモニターに出ないのは、彼が”禁止エリア進入機能”を使用しているからだ。 単純な話で、その機能は禁止エリアに引っかからなくするために首輪から電波を発するのを停止させる。 故にモニターにも一時的ではあるが映らなくなるというわけである。 これでこちら側の虚を突けるかというと、そんなことは全く無い。実際に、彼の姿は監視カメラで捕らえられているからだ。 「――とはいえ、基地の中に入ってこられちゃあ困る。わよねぇ?」 「ええ、ですから”アレ”らを手配したわけですが。首尾はいかがでしょうか?」 ゆらりと現れた警備本部長の声に驚くでもなく、神崎は対応が済んでいるのかだけを簡潔に聞き返す。 彼女の言の通り、地下の基地内部にまで侵入されると彼を補足するのは難しくなる。 元々参加者らが行き交うステージであった地上とは違い、地下の基地内には監視カメラなどはほとんど存在しないからだ。 ならば、どうするか? 答えは難しくはない。 「発電所の地下へと”アレ”らを向かわせたわ。 元々こっちには深優ちゃんが来るかと想定してたけど、……まぁ、おあつらえ向きになったという形かしらね」 そう。進入口で待ち構えればいいのである。 いかに彼がファントムであろうとも、事実として地下への入り口がそこには一箇所しかない以上、通る場所は決まっているからだ。 ならば、そこに精鋭を送り込み見失ってしまう前に打ち落とす。それが神埼と一番地のとった策であった。 「もっとも、彼もわかってて飛び込んでくるんだろうからそうそう簡単には終わらないでしょうけれどもねぇ……」 どこか気だるげで、しかし隙を見せない表情でそんなことを言うと警備本部長はモニターの中の別の位置へと視線をずらした。 先ほど名前を口に出した、深優・グリーアの反応にである。彼女もまた玲二と同じように単独で行動している。 西側の街を抜けてより山の中へと入り、今は頂上に近い位置にある神社の傍にその反応があった。 無論、監視カメラでも彼女の姿は捉えられており、着替えの一部始終と新しい装備についてももれなく把握できている。 「まぁ、見ればわかるけど……山頂の湖から進入してくるつもりらしいわね。あの子」 「その可能性は低いと検討していましたが、彼女はあのルートをとった」 「湖はこの”本丸”の直上。つまり、進入さえできれば最短のコースとなる……できればの話になるけれども」 「できると判断したのでしょう。僕も可能だと思いますよ。彼女ならば」 山頂に大きくかまえたカルデラ湖。その湖底にはこの基地で使用する水を取り入れる取水口が存在する。 そこを潜れば基地内部への侵入は容易だ。 ただし、浅くはない湖を潜行し、すでに閉じられている取水口の隔壁をクリアする必要がある。 だがしかし、彼女はクリアするのだろう。彼女が人間でないゆえに。 「先程、取水口からのラインを停止しましたが……」 「白衣の連中が顔を真っ赤にしている姿が目に浮かぶわね。 湖からの取り入れている水って、ほとんどはシアーズのプラントで使用する冷却水用でしょう?」 「ええ。彼らのこちら側に対する感情はもう最悪です。全ての実験を停止させてしまいましたからね」 黒曜の君と警備本部長。互いに顔を合わせて笑いあう。 何がおかしいのか、そして笑っている場合なのか、それはわからなかったが、ただこの時は愉快な気持ちに身を任せていた。 LIVE FOR YOU (舞台) 1 <前 後> LIVE FOR YOU (舞台) 3
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出演 デーモン閣下/白石隼也/福士蒼汰/高橋龍輝/清水富美加/吉沢亮 奥仲麻琴/戸塚純貴/高山侑子/入来茉里/足立梨花/坂本浩一監督 開催 2012年12月08日(土) 埼玉 MOVIXさいたま 12/08 (土) 1 09 00 (上映前) 東京 丸の内TOEI 12/08 (土) 2 09 00 (上映後) 新宿バルト9 12/08 (土) 3 13 00 (上映前) シネマサンシャイン池袋 12/08 (土) 4 12 30 (上映後) 渋谷TOEI 12/08 (土) 5 12 55 (上映後) チケット 公式サイト 関連商品 DVD コレクターズパックに公開初日舞台挨拶を収録 Blu-ray コレクターズパックに公開初日舞台挨拶を収録 LINK De☆View やっぱり太ももが満載!?『仮面ライダー』初日舞台挨拶 マイナビニュース デーモン閣下「ライダーのバイクも車検に通している」-映画 仮面ライダー MANTAN WEB 白石隼也:フォーゼ福士蒼汰の「キターッ!」にザキヤマネタで対抗 「ウィザードがクル~」 シネマトゥデイ デーモン閣下が「仮面ライダー」に素朴な疑問!バイクにナンバープレートがあるのはなぜ? 映画.com デーモン閣下、ライダーバイクに苦言!?「ナンバー外せないの?」 MEMO 2020-10-08 22 59 23 (Thu)
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舞台「アサルトリリィ・御台場女学校-The Singular Ability-」 舞台「アサルトリリィ・御台場女学校編」の第1弾。 メインビジュアル あらすじ(*1) LGロネスネス隊長船田純と初の船田姉妹、純を姉と慕う司馬燈、LGヘオロットセインツ副隊長川村楪の4人が外征からガーデンへ帰還中、御台場女学校の守備範囲でケイブが起こった。 LGロネスネスの残存メンバーと駆けつけたヘオロットセインツの菱田治、横山梓、河鍋薺、鈴木因が奮戦したが、治の様子がおかしくなる。 ケイブは収まったものの、このケイブの起き方が御台場迎撃戦の時と似ていることに違和感を覚えるリリィ達。 治は迎撃戦のある出来事により亡くなった幼少期からの親友、今村咲魅と交わした約束を思い出し、暴走してしまったのだった。 そんな治の前に咲魅が現れて…。 特異点リリィの集まる御台場女学校で起こる不可解なケイブ。 この裏にあるものは…。 ※ 舞台「アサルトリリィ The Fateful Gift」の後の物語となる。(*2) 公演情報 日程:2021年8月20日(金)~8月29日(日) 会場:紀伊國屋ホール CAST キャラクター キャスト ビジュアル 使用CHARM 【LGロネスネス】 船田純 石井陽菜 📷 フルンティング 船田初 西葉瑞希 📷 ネイリング 司馬燈 野元空 📷 ヴィンセツ・リーリエ 長沢雪 長谷川里桃 📷 ヤールングレイプル 井草昴 海乃るり ヒルドル 今村紫 高辻麗 ケラウノス 藤田槿 春咲暖 📷 グラーシーザ 川端蛍 広沢麻衣 📷 ベアグノズサクス 梢・ウェスト 有沢澪風 📷 フェイルノート 【LGヘオロットセインツ】 川村楪 あわつまい 📷 フロッティ 菱田治 林田真尋 📷 カラドボルグガラテイア 横山梓 野本ほたる 📷 ティルフィングR型 河鍋薺 河内美里 📷 ブリューナク 鈴木因 白石まゆみ 📷 クルッジ 【その他】 ????(今村咲魅) 柴田茉莉 📷 - 中原・メアリィ・倫夜 小野瀬みらい 📷 - スタッフ 原案:尾花沢軒栄(acus) 脚本:桜木さやか(ルドビコ★) 演出:佐野瑞樹 楽曲:谷ナオキ(HANO) アクション監督:加藤学 アクション指導:船木政秀 ダンス振り付け:藤堂光結(ToDo) 舞台監督:伊藤清一(a58b)/尾花宏行(a58b) 演出部:佐藤あやの/藤村嘉忠 舞台装置:石倉研史郎(a58b) 照明プランナー:樋口かほる(六工房) 照明オペレーター:大塚栞(六工房) ピンオペレーター:岩間愛美(六工房)/中村優陽 音響:長柄篤弘(ステージオフィス)/齋藤正樹(ステージオフィス) PAオペレーター:岡田悠(One-Space) WLケア:高島斎(ステージオフィス) サンプラー:早川迪(ステージオフィス) 衣装製作:車杏里/平野萌香 衣装進行:庭山美保/柴田あずさ/maigo ヘアメイク:工藤聡美 ヘアメイク現場進行:黒田はるな/木戸望/muu 演出助手:小林賢祐/内藤恵 武器製作:藤好信暁(セレソンアート工房)/柘植綾子(セレソンアート工房)/湯田商店(湯田昌次/上島純也/園田玲欧奈) 映像製作:坂内友樹/汐風有華 映像技術:釣田勇弥 配信:murasaki(AgGraph) 映像収録:渡邉和弘/安田慎/田中亮平 声の出演:田上真理奈 アンダーキャスト:一之瀬花音 トレーナー:木村剛人(ファミリー接骨院) スチール:小池博 宣伝美術:SE_TSU DESIGN 現場制作:池田千穂(High-position)/足立裕里 制作協力:MIMOZA 当日運営:大森晴香/小泉沙百合/田中翔太(企画演劇集団ボクラ団義)/飯島佳夏美(LUCKUP) アシスタントプロデューサー:高久健太 アソシエイトプロデューサー:中川秀平(アゾンインターナショナル) プロデューサー:林修司(ピウス)/早園正(アゾンインターナショナル) 企画・製作:ピウス 主催:ピウス/アゾンインターナショナル/acus 楽曲 オープニング主題歌 「背中を合わせて」 作詞・作曲・編曲:谷ナオキ エンディング主題歌 「蝶よ花よじゃいられない」 作詞・作曲・編曲:谷ナオキ 関連商品 映像ソフト 御台場女学校編「The Singular Ability」Blu-ray 購入はこちら サウンドトラック 御台場女学校編「The Singular Ability」オリジナルサウンドトラック 購入はこちら
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ソムリエ様、お願いします。 旧日本軍、若しくはそれに近い軍隊モノを探しています。 媒体は小説、漫画、アニメ。 SF、ファンタジーでもOK。 軍服に萌えます。 キャラに妻子があってもOKですが、作品中に女性があまり出ないものがいいです。 好きな作品は「ジパング(アニメ)」「皇国の守護者(漫画)」です。 かわぐちかいじ作品は今後読む予定なので、それ以外で 何かオススメがありましたら教えてください。 よろしくお願いします。 浅田次郎の小説、「歩兵の領分」をおすすめします。 自衛隊もので、日本軍のようなストイックさは薄いですが それぞれ違った境遇から集まってきたはみ出し者の隊員たちが 極限状態で信頼関係を作っていく、というあたりは萌えます。 戦う敵がいない、疑似軍隊であるなど(そこが物語の重要な部分でもありますが) お求めのものと若干ずれるような気がして迷ったのですが、レスがないようなので。 小説「終戦のローレライ」はいかがでしょう。 ちょっとSF要素アリの旧日本海軍ものです。 かわぐちさんがお好きなら多分福井さんもいけるかと。 悪役将校と彼を追う同期とのやりとりや ナチ軍服美青年が武骨な潜水艦乗り達に段々心を開いていく様に萌えます。 ただし、大戦末期が舞台だけあって、ざくざく人は死にますが……。 ちなみに自衛隊ものになりますが、同作者の「亡国のイージス」も燃え&萌えます。
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“視聴率女”泰葉に弟・いっ平、初主演舞台への来場拒否 1月6日18時11分配信 オリコン 落語家・林家いっ平が6日(火)、東京・銀座の博品館劇場でこの日初日を迎える初主演舞台『すいとんメモリーズ』の公開リハ後に報道陣の取材に応じ、観覧を予告している姉・泰葉について「来なくていい!」と一蹴した。いっ平は「今度は我々が舞台というリングで頑張らねば…」と昨年末にリングデビューした泰葉に引っ掛けてコメント。ただ、最後には「(観客は)姉の観覧を楽しみに来てください!」と支離滅裂にアピールした。 お正月3が日も稽古に励んだといういっ平は「泰葉が来たら、こっちが『どうもすみません!』ですよ!」と亡き父・林家三平の名ギャグを見せながら苦笑い。先月31日にテレビ東京系で放送された『ハッスル・マニア2008』で瞬間的ながら10%台の数字をたたき出した“視聴率女”の泰葉に渡辺正行は「今、彼女は数字を取る人だから! ああいうことを含めて、海老名家全体を盛り上げようとしている」とフォローしたが、今月8日に東京・新宿で開催されるいっ平の独演会で彼女が歌唱することには「僕は用事があるので…」といっ平の熱烈なお誘いにも及び腰だった。 最近は、連日メールで泰葉と連絡を取り合っているといういっ平だが「向こうからは私への励ましはなく『私は最高だ!』『これだけやってるんだ!』という内容ばかり。エールも何もなく自分が偉いという感じですよ…」と新年になってもその“暴走っぷり”が止まっていないことを明かし、報道陣をあ然とさせていた。 いっ平の二代目林家三平襲名記念公演の同舞台は今月18日(日)まで同所で、23日(金)~25日(日)に大阪・厚生年金会館芸術ホールにて上演。 “視聴率女”泰葉に弟・いっ平、初主演舞台への来場拒否(Yahoo!ヘッドライン(オリコン)) http //headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090106-00000006-oric-ent タグ:これだけやってるんだ! すいとんメモリーズ 来なくていい 林家いっ平 私は最高だ! 視聴率女 観覧 total view count - today s view count -