約 2,014 件
https://w.atwiki.jp/trpgmerulys/pages/126.html
GM:「これは必要なこと」とシィカを言いくるめて、首都に来ました。 帰りもまた戻してくれます エルヴィカ:(ネロに)人がたくさんいるから、迷子にならないように手をつなぎましょうね ネロ:ん。 (きょろきょろ)(うずうず)(きょろきょろ) エルヴィカ:ネロはこういう街は初めてかしら。 ネロ:ニンゲンがいっぱいで、ぎゅうぎゅう! ちょいってしたら、転びそうなやつたくさんいるよ(*^▽^*) エルヴィカ:(しーってしながらひそひそ)ちょいって出来るのは、はここでは内緒ね。 ひみつの方がかっこいいから。 ネロ:わかった!ヒミツにする! ヒミツでちょいってしていい? エルヴィカ:うーん、「ヒミツでちょいっ」も楽しいかもしれないけど、今日はネロが今まで知らなかった楽しいことを探す日にしない? ネロ:知らなかったことを探す…。おもしろそうー! エルヴィカ:1D100 =50 ハーブ買い物 交渉 Cthulhu (1D100 =50) → 64 → 失敗 GM:それでは通常金額で…ハーブ1個くらいはおまけしてくれたかと。 エルヴィカ:ありがとうございます。ではハーブ11個とリラックハーブを10個増やします。 エルヴィカ:(ネロに)お買い物に付き合ってくれてありがとう(^^) お礼に何かご馳走するわ。 ネロ:ごちそう!? ごちそうってなに!?(目キラキラ) エルヴィカ:串焼き肉とか、腸づめ肉とかどう? ネロ:…?どんなの? エルヴィカ:あら、串焼き知らない?(お肉系の屋台を探します。知覚ふったほうがいいですか?) GM:ふつうに視認できるものはふらなくていいですし、名店を見つけたければふってもOkです エルヴィカ:1D100 =120 名店いいですね Cthulhu (1D100 =120) → 3 → 決定的成功/スペシャル GM:すげえw では、「夜になったら高級料理店の厨房にいる渋いおじさまの串焼き屋台」発見w エルヴィカプレイヤー:サイドビジネスなのだろうか GM:儲け度外視の趣味で、高級料理には使えない端肉使ってるんでは エルヴィカ:あ、あのお店美味しそうよ。 ネロ:くんくん…すっごくいいにおい…(じゅる) エルヴィカ:おいしそうね(^^)2本いただける? 屋台のおじさま:1本1G。 ネロ:おおきいお肉!!Σ(◎△◎;) ←子猫の頃は細切れしか貰ったことない 屋台のおじさま:子供には食べにくいか? ネロ:ボク子供じゃないぞー!食べるぞ-!がぶっといくぞー!! エルヴィカ:(さすがに2Gを値切るのもなんなので、普通に払います(笑) ネロにふーふーして、ちょっと冷ましてから、渡します) 熱いから気を付けてね。 ネロ:(真似してふーふー)あむ!……うまーーー!!!(☆▽☆) うま!これうま、あむあむあむ(口と手がべとべと) エルヴィカ:(一口食べて)あら、ほんと、美味しいわね!(^^) ネロ:おかわり!(≧▽≦) エルヴィカ:(一口食べて)あら、ほんと、美味しいわね!(^^) 気に入った?(オジサマに)お兄さん、もう1本いただける?(1G払う) GM:気づいたら串も食べている…。何も残ってない…。 エルヴィカプレイヤー:串にも匂いとか肉汁とかしみてそうだしなあ。 まあ、木か竹の棒ですよね。ネロならお腹壊しはしないだろう…。 GM:神だし(笑)石食べてもお腹壊さない! 屋台のおじさま:さっきとは別の肉だ。こっちもうまいぞ。ほら。 エルヴィカ:ネロにこっそり)この持つ棒は食べないで残すのよ。 ネロ:え?なんで?棒残すの?? GM:エルヴィカさんのぶんまで2本くれますよ。1Gで。 エルヴィカ:ありがとう(^_-)-☆ 屋台のおじさま:(特に反応なし) ネロ:あむ!…あつー!?!?Σ(◎△◎;) 棒を食べたら、次はきっとあつくなるんだ…!(←ふーふーしてない) エルヴィカプレイヤー:「棒を食べたら次は熱くなる」発想かわいい。 GM:子供の発想、突飛ですからw エルヴィカ:(ネロにコソコソ)人間にはこの棒、固いのよ。 今日は人間のふりごっこ…みたいな感じだから真似っこ遊び、かな。 ネロ:そうなの?ん、わかった!(*^▽^*) 耳も尻尾も出さない? エルヴィカ:そうね。(一口次のを食べて半分残ってるのを)気に入ったなら、私の分も食べる? ネロ:うん!!(遠慮ゼロ) たべる、たべるー!おいしい、これ、すっごくおいしいー!! エルヴィカ:(ふーってしてから渡して)はい、どうぞ。ネロが喜んでくれて嬉しいわ。 GM:エルヴィカさんの味覚が、「これ、高級店の肉っぽい良さがあるから、きっとそうだろうな」と感じています。 今後、普通の肉食べさせたら「おいしくなーい」て言っちゃうかも。 エルヴィカプレイヤー:いきなりネロの舌が肥えましたな(笑) ネロ:にんげんごっこ、楽しくておいしくておもしろいね!(大声) エルヴィカ:うふふ、楽しんでもらえたらよかったわ。 ネロ:次はなにして遊ぶ? エルヴィカ:ごっこ中なら、甘い物もおいしいと思うかしら?お菓子の屋台とか。 ネロ:甘いもの?ボクのお菓子よりおいしい?(首かしげ) エルヴィカ:ネロのお菓子はそれはそれは美味しいけれど! 人に作ってもらうのを食べるのもたまには楽しいかなと思って。 ネロ:うん!じゃあ、エルのおいしいって思ったのが欲しい! エルヴィカ:分かったわ。(それっぽい所へ移動) ネロ:わくわく、わくわく~♪(歌ってる) GM:そんなに高級ではないけど、たまに贅沢したくなる程度のおいしいお菓子の店へ到着。 エルヴィカ:ここ、時々来るけど、見た目もかわいいのよ。 ネロ:どんなのかな?なにがあるかな?(おめめきらきら) GM:どういうものがあるかは、エルヴィカさんのイメージで。 エルヴィカプレイヤー:飴細工とか、ジンジャーブレッドボーイ的なやつとか、でしょうか。 ネロ:(飴細工をじっと見ている)宝石?きれい…。 エルヴィカ:それ、お砂糖で出来てるのよ。 ネロ:!!! お砂糖…。 白くない! (手にとって袋をあけてしまう) エルヴィカ:あ、だめだめ。それはね、お金を払ってからなのよ。 ネロ:あとからじゃだめなの? エルヴィカ:先に払ってからっていう、お約束になってるのよ。 気になったのなら、買いましょう。 ネロ:ん。あけてみたかっただけなんだけどなあー エルヴィカ:知らなかったから、仕方ないわ。今度から気を付けてね。 他に何か気になるのはある? (お店の人に)ごめんなさい、これ買いますね。 お菓子屋さん:いえいえ、子どものすることですから(^_^;) わしづかんで食べちゃう子もいるんですよ。 ネロ:ボク、子どもじゃないぞー!! お菓子屋さん:あら、ごめんなさい。 だったら、お金を払ってお菓子を食べるのが大人の男の子よ?(にこ) ネロ:うっ…。 エルヴィカ:(お店の人に、ですよねーと思いつつ)ありがとうございます ネロ:ボク、お金払う…大人だもん…。 エルヴィカ:1つ勉強になったわね。ネロはえらい、えらい(^^)(いいこいいこ、なでなで) ネロ:えへへ! ねえ、エル。ボク、これほしい。この、女の子のカタチした宝石みたいな飴。 お菓子屋さん:ああ、天使モチーフですね。 ネロ:メルにあげるの!(*^▽^*) エルヴィカ:それはいい考えね(^^)きっと喜ぶでしょう。 エルヴィカプレイヤー:飴はナマモノですか? GM:ナマモノですが、あげて悪くはないかと。融合しちゃうだけです。 エルヴィカプレイヤー:あ、融合するだけで持ってはいけるんですね(^^) ネロ:お金はどうやってはらうの? エルヴィカ:(お財布からお金を出して)これでください、って言うのよ。 ネロ:うん! (お金を差し出して)このきれいなのをください! お菓子屋さん:はい、よくできました。 じゃあ、よくできたから、この一粒キャンディも2個つけちゃいましょう。 GM:いちごとレモンの一粒飴です。 ネロ:(おつりをもらわず)できたー!! お菓子屋さん:お、おつり…(^_^;) エルヴィカ:(お店の人に)ありがとう(^^) ネロ、良かったわね。 GM:代金は4Gでした。あけちゃった別のキャンディ袋は2Gでした。 ネロ:もう、あけていい? エルヴィカ:開けてもいいけど、かわいい包装のままメルに渡さなくていいの? ネロ:いいの。このままだとだめなの。 GM:店の外で開けましょうw エルヴィカ:他の人たちにも買うから少し待ってね。お店の外に行ったら開けてもいいわよ。 ネロ:うん! エルヴィカ:他の皆さんにもお土産買います。 GM:飴細工かわいいので、それぞれ「こういうの買った」的なのを選んでいいですよ。 ネロ:(ぴょこぴょこついて回る) エルヴィカプレイヤー:アニマルズが6、エティック、あとPC、NPCで6で合計13? GM:いっぱい買いますね(笑) 形は自由に選んでください。 エルヴィカプレイヤー:剣のモチーフに近いやつ? GM:モチーフは、ちょっと難しいのもあるなあ…それぞれのアニマル姿はいかが? 少年の飴細工とかもあるし。 エルヴィカプレイヤー:じゃあそっちで。2個ずつ。エティックは少年で。 ネロ:みんなの姿だね!せいぞろい♪ エルヴィカプレイヤー:みんなにお土産よ♪ ネロ:うん! ねえ、あけたい、あけたい~ エルヴィカ:(お金払って外に出る) お菓子屋さん:ありがとうございました! エルヴィカ:もう開けてもいいわよ。どうぞ。 ネロ:(包み紙をばりばりはがす) (何の迷いもなく、天使のモチーフの飴から、羽部分をばきっばきっと折り取る) エルヴィカ:羽はメルっぽくないから、かしら? ネロ:ん。エルにあげる。(羽を片方差し出す) ネロ:メルには羽はないの。あるのはカスケだから、これ、いらない。 それに、あったら飛んでっていなくなっちゃうからだめなの。 エルヴィカ:(羽をうけとって)ありがとう。 なるほど、そうしたかったのね。包装、し直してあげましょうか? ネロ:また包む?うん、そうする! エルヴィカ:(自分の分の猫飴の包装を再利用しましょう) 羽はね、エルがいっこ、ボクがいっこ食べるの。 そしたら、一緒にとべるよ!(*^▽^*) エルヴィカ:わあ、一つくれるの?ありがとう(^^)わけっこ、嬉しいわ。 空も飛べるようになったらすごいわね。楽しそう(^^) ネロ:ボクは、空を飛ぶチカラはないけど、強引にどうにかして飛べないかな~? あいぼうは、わけっこするんだよ! ふたりでひとつなんだって、ブルーに教えてもらった! エルヴィカ:まあ!ネロ、大好きよ!(むぎゅー) ネロ:ボクもエルが大好き!(ぎゅーーー) エルヴィカプレイヤー:かわいいなあ。ホント、うちの甥っこ世界一。 GM:めちゃめちゃ懐いてくれる、生意気盛りのかわいい甥っこですね! 他に行きたいところはありますか? エルヴィカプレイヤー:あとは、人形劇とか紙芝居とか大道芸とかあれば見せてあげたいなと思ってました。 GM:首都ならストリートで見れそうですね。 一個ずつやるとそれこそ夜が明けるので、見入ったり、耳が出ちゃったり、感動して泣いちゃったり、嬉しくてジャンプしたり、満面の笑顔を見せてくれたということで、見せた、と言うことでいきましょう。 エルヴィカプレイヤー:はい、街とか行ったことないかなと思って、楽しんでもらえたらよかったなと。 GM:そして疲れて寝る。寝るときは猫です。 ネロ:すやすや…。 エルヴィカプレイヤー:寝てる間にカード作ります(笑) GM:では、楽しい首都巡りツアーでした! エルヴィカプレイヤー:ありがとうございました。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/11334.html
登録日:2012/04/12(木) 23 48 28 更新日:2024/07/29 Mon 20 39 07 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 かつ丼 ご飯 ファストフード 丼 丼もの 料理 日本食 牛丼 独身男性の味方 粗野にして美味 腹が減る項目 豚丼 食べ物 丼ものとは丼容器、もしくは普通の飯茶碗に具材を乗せた料理。 様々な種類があり大抵は「○○丼」と呼称される。 歴史に初めて「丼」という呼び名が登場するのは江戸時代。 現在で言うファストフード的な飲食店だった「一杯飯屋」・「一膳飯屋」という店があり、 そこではその名の通り基本的に飯のお代わりを認めず、茶碗一杯のみの飯でオカズを食べなければならなかったと言う。 これを不満に思った客達の要望により、茶碗一杯辺りを大きくしたと言う。 この一杯飯屋は、お代わりを認めないことから、「つっけんどん(ケチ)屋」と呼ばれており、そのでかい茶碗は「つっけんどん振り茶碗」と呼ばれていた。 これが段々と縮まり、「どんぶり」になったのだとされる。 その後、鰻の蒲焼きを載せた鰻丼が誕生すると、「どんぶり」とはすなわち「鰻丼」だとする風潮が広まった。 だが、明治時代になってから牛鍋の残りを卵でとじて乗せた、牛丼の原型となる「開化丼」の誕生を皮切りに、おなじく卵とじからの派生である親子丼、カツ丼が登場するなどして、やがて丼のバリエーションは日本中で発生するに至ったのだった。 「米の飯の上に食材をのせた料理」はアジア各国に存在するが、それらと丼とは大きな違いがある。それは「かき混ぜない」こと。 元来、飯にオカズを載せることを下品な行為と見なしていた日本人は、更にそれを「かき混ぜる」行為には自然と抵抗があったのだ。 が、諸外国においてはそういった概念が無いため、むしろかき混ぜることが前提の味付けをされている点が、日本の丼との大きな違いなのだ。 機会があれば、日本人以外のアジア人に丼料理をごちそうしよう。 何も教えなければ高確率でかき混ぜ始める筈だ。 アジア人以外にヨーロッパ系の人たちにも丼料理をごちそうしよう。 こちらはほとんどの確率で上の具を全部食べてから、下のご飯を食べる筈だ。 ちなみに「~丼」だと「どん」と読むのが基本的だが、「丼」(どんぶり)自体は「どん」とは本来は読まない。 まぁ、最近混ざっている気もするが、「丼ぶり」の使用はさすがにやめておいた方がいいと思う。 ■種類 ◆鰻丼 蒲焼きした鰻を載せた、丼のパイオニア。 関東と関西で作り方が違い、前者は一旦焼いた鰻を蒸し、皮と脂のトロリととろける感触が味わえる。 後者はそのまま焼くので、パリッとした焼き魚の風情が楽しめる。 ◆親子丼 ダシ醤油で煮込んだ鶏肉を卵とじにしたもの。 また、鮭といくらを用いたものも「海鮮親子丼」などという呼び名で供される。 詳しくは項目参照。 ◆カツ丼 切り分けた豚カツを出汁と卵でとじたしたものが一般的だが、ソース味などバリエーション豊富。 詳しくは項目参照。 ◆牛丼 甘辛いツユに牛肉、玉ねぎの組み合わせが定番。すき焼き丼は亜種。 詳しくは項目参照。 ◆豚丼 一時期は牛丼の豚肉版だったが、北海道版の甘辛く焼いた豚肉をご飯に乗せたタイプも有名になりつつある。 北海道では市販のタレも多く、シンプルさ故に家庭料理クラスに普及しているが、店の炭火で焼いた分厚い肉も否定できない魅力を放つ。 ◆ウニ丼 北海道発祥だが、ウニが獲れる地域なら全国で食べられる。 生ウニをたっぷり載せ、あとは海苔が少しあるくらいで、白米とウニのみをたっぷり味わうのが本道。 ウニをケチらないのが通だが、それを味わいたけれは是非生産地へ行こう。それなりに金もかかるが、見合うだけの美味しさがそこにある。 ◆海鮮丼 たまに海鮮ちらしと同一視されるが、飯が酢飯ではないのが海鮮丼。 シャケやマグロ、タイ、ホタテや甘エビなどの刺身を豪快にのせ、醤油をつけながらワサビと共に飯ごとかきこもう。 ◆天丼 海老や穴子、野菜の天ぷらをツユにからめてご飯にのせたもの。 カラッと揚がった天ぷらに濃い天つゆ。この濃厚さがたまらない。 海老や穴子などの単体天丼もうまーいが、かき揚げを乗せたかき揚げ丼も絶品。 ◆カレー丼 ダシをきかせたカレーを丼にかけたもの。 詳しくは項目参照。 ◆木の葉丼 かまぼこを卵とじした丼。 ごちそうを食べた胃にもすんなり入る優しい味わいである。 ◆深川丼 東京都発祥。飯の上にアサリなどの貝類の味噌汁をぶっかけたもの。 貝の苦味を伴った深い味に味噌の旨味が加わり、サラサラと手軽に食べられるながらも高貴な美味しさ。 ◆中華丼 中華料理の八宝菜をのせた丼。 詳しくは項目参照。 ◆三色丼 挽き肉そぼろ+卵そぼろ+桜でんぷのコラボが嬉しい一品。 何でもない日でもなんだかめでたい気分になる。 三色を別の食材で表現した丼も少なくない。 ◆麻婆丼 麻婆肉のトロミを優しく包む豆腐、そして白いご飯の仄かな甘さが引き立てる香辛料の風味が最高である。 ◆ステーキ丼 できるだけ良い牛のステーキを、焼きたてのまま飯に直行。 霜降と赤身のジューシーさを内封した肉汁がご飯にからむ。 洋風仕立てにするならホースラディッシュ、あるいは和風に行くならワサビや大根おろしをのせても美味。 主にハラミを使用したものが屋台飯としてお祭りなどで出されることもある。 ◆照り焼き丼 甘辛い照り焼きを豚でも鶏でも良いから美味しく仕上げてご飯へ。 甘辛い照り焼きタレがご飯に染みる。 マヨネーズをかけて更に濃厚トロリにしても良し。 ◆鉄火丼 真っ赤なマグロのお刺身を醤油でヅケにし、熱いご飯と共に。ワサビはお好みで。 なお、トロ鉄火も美味いが江戸っ子にとっては邪道らしい。 ◆目玉焼き丼 あつあつの半熟目玉焼きをフライパンから直接丼飯へ。 白身の上に黄身を広げ、醤油をかけて。 温められた黄身は旨味が活性化し醤油のうまさ、飯のうまさと相まって手軽ながら味わいは至高の一品。 別名ハチクマ丼。かつて食堂車の従業員向けにまかない飯として出されていた。 ◆開花丼 ※どっからどう見ても豚肉です 親子丼の豚肉バージョン。 他人丼とも言う。 鶏肉とはまた違った食感で美味だがマイナーなため取り扱っている店を探すのは一苦労。 (他人丼は地方によっては、牛肉を玉子でとじる場合もある) ◆焼き鳥丼 焼き鳥を串から外し、ご飯の上に。 焼き鳥の種類は色々とあるが、やはり基本となるモモ肉が多いだろうか? 真っ白なご飯に絡む甘辛いタレとパリパリふわふわな鶏肉の食感は絶品の一言。 刻み海苔やネギを乗せれば、その旨味を何倍にも引き立ててくれる。 ◆玉子丼 簡単に言えば、親子丼の鶏肉無しバージョン。 親子丼より安価に作れるため、親子丼よりこちらを好む人も。 「肉無し親子丼」と侮ることなかれ。 トロトロ半熟の卵と味わい深い出し汁、シャキシャキ新鮮な野菜の組み合わせは時に親子丼を凌駕する美味さを我々に与えてくれる。 ◆たぬき丼 天かすを卵とじしたもの。たぬきの置物で有名な信楽が名物とした。 意外にコクがあって美味。家庭でも簡単にできるぞ。 ◆きつね丼 関東では馴染みが無いが、関西ではたまに食卓に並ぶ。甘辛く味付けた油揚げを卵とじにしたもの。 ◆いくら丼 イクラオンリー。 プチプチとした触感がたまらない。海苔をのせる人もいるが、無い方が多分美味しい。 家で作る場合はイクラで買うよりも筋子から処理して作ったほうが沢山安価で買えておいしい。 ◆ロコモコ ご飯の上にハンバーグと目玉焼きを乗せ、更にその上からグレイビーソースをかけた、ハワイ州の郷土料理。 日本でもロコモコ丼と呼ばれ、親しまれている。 詳しくは項目参照。 ◆すた丼 東京のローカル料理。 ニンニクを強く効かせた醤油だれで甘辛く味付けした薄切りの豚焼肉をご飯に乗せたもの。この上にネギを散らし、更に生卵を乗せるのが基本となる。 元々肉体労働者向けに作られた料理であるためかなり味が濃く、ニンニクの風味も強烈に香る。 人によってはお好みで更におろしニンニクや、他にチーズやキムチなんかを追加してもよい。 卵を載せない選択肢もあるが、生卵を乗せてやっと味がマイルドになる計算の味付けであるため、無いとかなり濃ゆい味になる。 追記修正は、丼を掻っ込んでからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] やっぱり私の中では「親子丼」が珠玉!! -- 名無しさん (2014-02-14 21 07 19) 昔、NHKでわいわいドンブリって特撮あったな~。 -- 名無しさん (2014-02-14 21 39 23) 汁かけ飯・おじや・茶漬けは普通にあるのに、丼物をかき混ぜるのが下品という不思議 -- 名無しさん (2014-02-15 12 49 16) そもそも丼ものは上品な食べ物って感じは無いだろう。かき混ぜて下品…なのか? -- 名無しさん (2014-02-15 14 06 13) かき混ぜる行為自体が下品なのであって、かき混ぜることが下品ってわけじゃないしな -- 名無しさん (2014-02-15 17 29 42) 家は「たま丼」(親子丼の鶏肉抜き)を良く食べる。 -- 名無しさん (2014-05-26 09 00 59) でもバクダン丼とかは混ぜるよね。 -- 名無しさん (2014-07-30 00 53 11) 自分もネギトロ丼とかは混ぜるけど、御飯があったかい場合は混ぜないな -- 名無しさん (2014-07-30 01 14 26) 空想科学読本で、銀魂の宇治銀時丼1と土方のマヨネーズ丼はどっちが不健康か検証した事があったんだが…さてその結果は? -- 名無しさん (2015-05-06 19 56 59) ↑不健康の方向性が違うって結論だった気がする -- 名無しさん (2015-05-10 19 32 02) チャーシュー丼がない・・・だと? -- 名無しさん (2015-06-15 04 51 56) すき焼き丼は究極の食べ物だと個人的に思っている -- 名無しさん (2015-08-19 22 01 39) かき混ぜるのって下品だったのか。今までずっとかき混ぜて食ってたわ。その方がタレが飯に絡んで旨かったから -- 名無しさん (2015-08-19 22 18 20) 北海道豚丼もけっこう奥が深い、タレとか香辛料をいれる手順だけでも案外変わる -- 名無しさん (2015-11-14 20 44 02) 俺も結構かき混ぜてたなあ。天津飯あたりは特に -- 名無しさん (2016-06-21 11 24 44) かき混ぜずに、味の濃い部分と白飯の部分を同時に味わえるようにしてます。混ぜた場合は、それを白飯にかけます! -- 名無しさん (2021-06-09 17 22 20) まあ…温かいところに細長い棒を突っ込んでぐちゃぐちゃにするのは…下品…かもな -- 名無しさん (2021-06-09 17 49 44) ↑戦前生まれ、ガチお嬢様だった祖母は「丼ものは下賤な食べ物」と言って決して食べなかったのでそうなんだろう。とはいえ、それは昔の価値観でもある。 -- 名無しさん (2021-06-10 08 41 04) 山口県某所の道の駅で海鮮丼を頼んだら、酢飯の丼ものが出てきた。酢飯がダメなワタシには厳しかった…そうならそうと言ってくれよ -- 名無しさん (2021-06-10 13 27 53) なんで牛丼の項目が凍結されてるの…? -- 名無しさん (2024-07-29 20 39 07) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/terrachaosgaiden/pages/263.html
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ KAITO「今日も頑張ったなぁ・・・・・・アイスアイスっと」 ???「YAーHAー!」 KAITO「誰!?」 信長「信長だけど。 ここ(タンス)さ、タイムマシンの出口になってんだよ」 KAITO「はぃ!?」 信長「今何年?」 KAITO「2011年・・・・・・」 信長「おおやったー未来じゃん。 未来人? ははははー。 何ぼっとしてんの~? 茶でも入れてよ」 ~間~ 『pipipi、お湯が沸きました』 信長「うわぁ、しゃべったしゃべった! 何これ?」 KAITO「ピピ○とコンロです・・・・・・」 『ご飯が、炊けました』 信長「いいなんだよ~、そうだ利休呼んでいい?」 KAITO「利休?」 千利休「呼んだ?」 ガスでパっと明るくチョっといい未来 ガスp(ry ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「というのがワシとKAITOの出会いなんだ」 「はぁ・・・・・・」 私の名前はリン。 ちょっと変わってる(と言われる)6人兄弟の末っ子だ。 そんな私は、今、変なおじさんと食卓で話をしている。 流石に面と向かって言うことはできないけど、どう考えても変だから思うぐらいは許して欲しい。 21世紀という時代なのに髷を結い、戦国風の鎧を着て、あまつさえ歴史の偉人の『織田信長』を名乗っているのだ。 「ちなみにお主達のマスターとの出会いはな~」 聞いてもいないのにまた思い出話をし始める。 なんでもおじさんの話によると、私達兄弟は全員『VOCALOID』というロボットで、 親戚のネルお姉ちゃんは私とお兄ちゃんのマスター・・・・・・パートナーだということだ。 もちろん私も家族も人間だし、物心ついた時からの思い出もある。 双子の兄を始めとする兄弟の成長も、しっかり脳裏に焼き付けてある。 だからはっきり言って、私はこの人を言う事を話半分程度にしか聞いていなかった。 (胡散臭いなぁ・・・・・・) おじさんの話を聞き流しながら、彼の作った『信長風気まぐれ炒め』を口に運ぶ。 甘酢ダレが味覚を刺激し、たまらず具材を噛み締める。 手のひらでなんとか包み込める程度の大きさの肉は、驚くほどあっさり潰されて、中からエキスが溢れ出す。 口内を侵食した肉汁はまたたく間に食道を通り、胃に達したところで空腹が消えていくことを感じた。 (あ、これおいしい) だがそれは満腹にするには及ばず、まだ肉が口の中に残っているのにも関わらず箸を動かさせる。 脂身は、既にパイナップルを始めとする果実の酸味により洗い流されており、油料理特有のベタつきは一切無い。 だからいくらでも口に放り込む気になれる。 気まぐれに選んだ食材がここまで調和するものなのか。 白ご飯が無いことが実に惜しい。 まあ結局はただの酢豚なのだが。 (でもこれからどうしよう) 酢豚の品評を終えたところで、今後の動向について考え始める。 この殺し合いから生還するには主催の提示した条件、つまり自分以外の参加者が死ななければならないが・・・・・・ だからと言って殺し合いに乗る、これは愚考だ。 使える支給品はあったが、私一人で全ての参加者を殺害できるとは考えていない。 もしも優勝するとしても、参加者が少なくなるまで逃げ隠れながら武器を集め漁夫の利を狙うぐらいしかないだろう。 しかしそこまで事がうまく進むとは思えないし、何より14年間生きてきた上で積み重ねてきた倫理観がそれをさせようとしない。 よってこの選択肢は、初めから除外される。 (お兄ちゃん達だっているんだよね) 国会議事堂には私の兄の姿があった。 だが、そう都合よく私たち双子だけが呼び出されたとは思えない。 家族全員が呼び出されている可能性だってあるのだから、最悪の結末さえ予想しなくてはならない。 長兄と三女はとても優しい性格だ。 それ故に、お人よしな彼らは悪漢に騙されてしまうのかも知れない。 長女も長女で人が良いので、彼ら同様余り長生きできるタイプではないだろう。 次女の姿は見かけなかったが、そっちはいたとしても尻を叩くように要求している姿しか想像できない。 一応心配ではあるが。 一番心配なのは、次男であり双子の兄のレンお兄ちゃんである。 同じ双子なのに私よりも歌がうまい尊敬の兄だが、 臆病で、頼りなくて、卑屈で、綺麗な女の人に目がなくて、身内にすら顔を赤くする、 色んな意味でほっとけない兄だ。 今頃一人で膝小僧抱えて泣いているのではないだろうか。 妹として、今すぐにでも駆けつけたい衝動に駆られる。 「顔色悪いじゃん、どうしたの?」 俯いていたせいか、おじさんが顔を覗かせてきた。 おどけた態度は崩さないが、顔色が強張ってこちらの様子を伺っていることがわかる。 直後、何かを閃いたのか目と口を大きく開けた。 「わかったー パプリカが食べられないんだー! ダメだよVOCALOIDとはいえ好き嫌いしちゃ」 そして皿の上のパプリカを指差して見当違いの答えを出す、と同時私もため息を吐いた。 VOCALOIDというのはご飯も食べられるのだろうか。 普通ロボットなら、電気とかガソリンとかなんかその辺のもんで動くのではないだろうか。 未来から来たネコ型ロボットでもあるまいし、食物から機械に必要なエネルギーを生成するなんてありえるはずがない。 しかし、それを今訪ねたところで無駄である。 「それともどこか故障したのか? 残念ながらワシは自転車すら修理したことがないぞ」 いくら違うと否定したって、そう思い込んでしまっている相手には届かない。 私が彼を『私を信長だと言っている変わったおじさん』と見ているように、 彼の中では私は『VOCALOIDというロボットの鏡音リン』でしかないのだ。 水掛論を続けるつもりはないので、ここは流し、そして話を変えるように促した。 「違います、家族のことが心配になっただけです」 またからかいの種にされないようにと、今度はパプリカを食べながら受け答えをする。 すると、またもおじさんの顔が変化した。 神妙な顔立ちに右手を顎に添え、沈黙すること僅か数秒。 「まあKAITOのやつは堅物じゃが大丈夫だろ。 他のやつだってきっと大丈夫さ、な!」 数秒後、やはり元の笑顔に戻って両手で私の肩を叩いた。 はっきり言って私は、この人がどうしてここまで楽観的になれるのかがわからない。 相当腕っ節に自信があるのか、今この場で彼はとても無防備に感じられる。 大体、話に持ち出している家族達は今は別の所にいるのだ。 この状況でどうして彼らが危険に瀕していると想像できないのだろうか。 どうして襲われていると、殺されかけていると想像できないのだろうか。 それが不思議で堪らない。 不満が表情に表れていたのか、おじさんはやや眉を顰めさせて言った。 「うーん、ワシだってそりゃ少しは心配だよ? でもだからって、ここでうじうじ考え込んだってしょうがないじゃん。 それよりこれからどうするか考えようよー」 おじさんは立ち上がって今にも外に飛び出さんとするために、準備体操を始める。 この悪趣味な企画で、ここまで明るく振舞えるのはこの人ぐらいではないだろうか。 この前向きさだけは見習いたいものだ。 「・・・・・・わかりました、ではまずは今後のことについて話し合いましょう」 これ以上は時間が惜しいので、本題に移るとしよう。 今こうしている間にも家族が危機に瀕しているかも知れないのだ。 時間を無駄にしないためには、ここで当面の目的を設定しておくべきであろう。 まずは現状を確認するべく、足元に置いてあったデイバッグに手を伸ばした。 「おーし、まずはKAITOのやつから迎えにいくぞー!」 「KAITOお兄ちゃんがいるかどうかはわからないんだけど・・・・・・」 話し合いが終わった矢先におじさんは民家を飛び出した。 最低限の行動方針は決定したため、これ以上篭城を続けるのは時間が勿体無いと判断したのだろう。 私は、殺し合いから脱出するために、首輪の解除を提案した。 これさえ外せば主催から逃げられる可能性が0ではなくなるし、複数人での生還も可能だからだ。 (主催者の目的は私達を殺すわけじゃない・・・・・・) 国会議事堂内では主催らしき人物に下手なことはするなと釘を刺されたが、 これをはったり以上のものだと考えはしなかった。 殺すことが目的であればとっくの昔に自分は死体となっている。 なのに態々このような催しを開くのは、殺し合いそのものに興味があるのだと思う。 (目的が『観察』なら、殺し合いを阻害するようなことをしなければ問題ない。 だからうまく主催の目を掻い潜れば・・・・・・) 脱出も可能なはず。 そう考えると、何も見えなかったはずの暗闇の中に一筋の明かりを見つけられたような気がした。 もちろん首輪を解除できるものが出回っているとは思えないし、解除できる技術を持つ人間がそう都合よく 参加させられているとは思えないだろう。 でも、だからと言って答えがないとは限らないのだ。 もしかしたら主催の気づかぬ穴がどこかに存在するかも知れない。 その暗闇こそ自分達にとっての希望の光なのだ。 果てなく辛い道のりになりそうだが、家族全員が揃って歩くことはできるはず。 そしておじさんみたいな他の参加者達とも・・・・・・ってあれ? 「えーと新宿区はこっちでいいかな?」 「ちょ、おじさん!」 間の抜けた声が後ろの方角から聞こえてくる。 人の集まる新宿区へ向かおうとしていたのだが、あろうことか目的地と真逆の方向で歩いていたのだ。 いつのまにか彼は信号の向こうの交差点の前に立っており、今にも視界から離れそうな所にいた。 「おじさんそっち違う方角だよ!」 「おおリン、そんなところにいないで早くこっちこーい!」 腹の底からボイストレーニングの要領で思いっきり声を出すが、返事はやはり検討外れなものだ。 こちらの気持ちを知らずに、暢気に手を振っている。 あの人も、お兄ちゃん達同様やっぱりどこか変わっている。 「だから違うってばー!!」 声をかけているのではあるが、おじさんは未だに交差点から動こうとしないため、 仕方なく迎えにいってやることにした。 正直後先不安である。 【杉並区・住宅地/1日目・日中】 【織田信長@実在の人物】 [状態]健康 [装備]なし [道具]基本支給品、不明支給品1~3 [思考] 基本:KAITO達を救い、主催を討つ。 1:リンと行動する。 2:KAITOとその家族とそいつらのマスターを探す。 3:リンのやつ少しおかしいなー 【備考】 ※KAITOと同じ世界(=VOCALOIDはロボット)から参戦です。 ※KAITOのマスターで、他のVOCALOIDとそのマスターのことも知っています。 ※鏡音リンのことを、自分のいた世界と同一人物だと思っています。 【鏡音リン@VOCALOID】 【状態】 健康 【装備】 なし 【道具】 基本支給品、不明支給品1~3 【思考】 基本:家族と共に生還する 1:信長と行動する。 2:家族を探す。 3:信長に疑念・・・・・・だが善人らしいので今は適当に流しておく。 4:首輪を外す手がかりを見つける。 【備考】 ※鏡音レンと同じ世界から参戦です(=ただの人間) ※名字は『鏡音』ではありません(=KAITO達全員が家族で同じ名字のため、『初音』等は芸名) ※織田信長のことは、『ちょっと変わったおじさん』程度にしか思っていません。 ※鏡音レンの参加を確認済みです。 ※二人で新宿区を目指しています。 018:いくつものIを重ねて/もってけ!運命のガイアメモリ! 投下順 020:ASH TO ASH 018:いくつものIを重ねて/もってけ!運命のガイアメモリ! 時系列順 020:ASH TO ASH 初登場! 織田信長 059:マシンでつきぬけろ! 初登場! 鏡音リン 059:マシンでつきぬけろ!
https://w.atwiki.jp/trashpanda-araisan/pages/769.html
908 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 21 19 57.77 ID 8dzdt39D0 オーナーはエンジンを止め、車から降りてボンネットを開けた。 すると、そこには… アライちゃん「ぴぎいぃぃーーーっ!!いぢゃいいぃっ!だぢゅげでえーーっ!!」ビエエエン …エンジンの回転部品に下半身が巻き込まれ、挟まっているアライちゃんがいた。 肉が焼ける焦げ臭いニオイがする。 肉料理屋店主「あー最悪だ…掃除しねえと…」ガシィ オーナーは軍手をつけて、機械に挟まったアライちゃんのお腹を握った。 アライちゃん「うぎゅうぅ!!ぐゆじぃいい!!」ジタバタ オーナー「うい…しょっとッ!!」グイイイイイイイイイイイイイッ アライちゃん「がびゃあぎゃあああああああああああああああっ!!!」ブヂブヂブヂブシュウウゥゥッ なんと、オーナーはアライちゃんを機械から引っこ抜いた。 しかし、力づくで無理矢理引っこ抜いたせいか… アライちゃん「あ…ぎゃ…が…い…ぢゃい…」ビクビク …下半身が千切れ、臓物や背骨が断面から突き出ている。 肉料理屋店主「クソが」ポイッ アライちゃん「びぎっ」ベチャア 上半身だけとなったアライちゃんは、その辺にポイっと投げ捨てられた。 アライちゃん「い…ぢゃい…じに…だぐない…だぢゅげ…で…」ピクピク …絶望的で素敵な顔だ。 肉料理屋店主「おいバイト、エンジンの掃除手伝ってくれ」 承知です。 私はオーナーと一緒に、エンジンの機械に挟まった肉片やズタズタの尻尾、 血痕と30分ほど格闘した。 909 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 21 26 57.72 ID 8dzdt39D0 エンジンを掃除している間、後ろの方から『たしゅ…けて…』などと聞こえてきたが、 無視していたらそのうち声はしなくなった。 肉料理屋店主「まーこんなもんだろ…。よし、あいつら迎えに行くぞ」ガチャッ オーナーは車に乗った。 私は、さっきのアライちゃんをちらっと見た。 アライちゃん「」 …あれから上半身だけでこっちへ這って近づいていたようだ。 移動した後に血痕が残り、腸が伸びている。 私は木の枝でアライちゃんをつっついてみた。 アライちゃん「」 反応はない。 肉料理屋店主「どうした?何見てるんだ?」スタスタ あ…いや、何でもないです。 肉料理屋店主「それはさすがに食えねえぞ…」 分かってますよ。 私は車に乗り、他三人を迎えに行った。 そして宿泊施設へ向かった。 911 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 21 43 50.57 ID M+D1zxpeO ~キャンプ場~ 私達は、各々収穫した食材で料理を始めた。 肉料理屋店主「さて。やるぜ」 作りましょう。アライさんジビエ料理。 どんなのにするんですか? 肉料理屋店主「ガキ共は煮込む。大きい奴は焼く。って感じかな」 ほうほう。一緒にやりましょう。 バラエモン「はじめての共同作業かしら?」 肉料理屋店主「店でいつもやってるよ!」 えーと。どうすればいいんです? 肉料理屋店主「そうだな。まずは皮を剥くか」 私達は、アライちゃんやアライさんの皮を剥いた。 耳と尻尾を取られ、皮を剥かれたアライさんの肉は… ギョエモン「うっわ…」 バラエモン「きっついわね…」 ムシエモン「虫は食えても、これはキツイぞ…」 …ほぼ人間の女性の皮剥ぎ死体そのものであった。 肉料理屋店主「あんまこっち見んな」テキパキ ギョエモン「…よくそんなの料理できるね…血の気が引くよ…」 ですよね…。 912 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 21 55 58.33 ID M+D1zxpeO アライちゃんは、全身をバラバラに切って、原型が分からないようにした。 手や足の末端は捨てた。 頭も、脳ミソだけ取り出して捨てた。 ほとんど捨てちゃうんですね…。 肉料理屋店主「人っぽいとこが残ってると食欲減退だろうしな」グツグツ 鍋見てますよ。 オーナーは親の方の調理進めててください。 肉料理屋店主「サンキュ、助かるぜ」スタスタ 私はアライちゃん達が煮込まれている鍋を覗き込んでみた。 …アライちゃんの原型は全く残っていないな…。 913 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 22 02 55.60 ID M+D1zxpeO 肉料理屋店主「さてと。こっちもやりますか」ザグンザグン オーナーは、アライさん二匹をざくざくと切って解体している。 あの大きさの動物を解体できるのは、オーナーのマッシブな腕力あってこそのものであろう。 肉料理屋店主「肉を削いで、切って…と」ザクザ ふぅ、だいぶ鍋のアライちゃん肉もトロトロになって来ましたね…。 バラエモン「へぇ、美味しそうじゃない。私が採ったキノコ入れてみない?」スタスタ だそうですが、どうですかオーナー? 肉料理屋店主「キノコか!いいぞ!」ザクザク ムシエモン「ボクが獲った蜂の子入れてみない?」 蜂の子「」ウジャウジャ だそうですが、どうですかオーナー? 肉料理屋店主「虫は入れんじゃねえ!」ザクザク 914 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/15(月) 22 05 20.78 ID ehfF2DUXO 昆虫食はいやーきついっす 915 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 22 07 43.32 ID M+D1zxpeO そうして、料理は出来上がった。 ムシエモン「イナゴの佃煮!そして蜂の子の甘露煮だぞー」 蜂の子って…蜂獲ったんですか!? 刺されませんでした!? ムシエモン「刺されない刺されない…クロスズメバチの巣くらい余裕だぞ…地面を掘ってザクザクと」 スズメバチぃ!? 食べて大丈夫なんですか! 肉料理屋店主「クロスズメバチは昆虫食界ではメジャーな方だぜ」 そ、そうなんですか… 916 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 22 16 49.58 ID M+D1zxpeO ギョエモン「こっちは川エビの唐揚げだよ。魚は…残念ながらいなかった」 わ。美味しそうですね。 ギョエモン「ザリガニもあるよ」 う、それは… ムシエモン「ザリガニ!?た食べるぞ!」 食い付きいいですね!? ムシエモン「ザリガニは…どっちだ?昆虫じゃないけど…」 …昆虫食でいいんじゃないですか。 バラエモンさんはどうでしたか?…って、わあ! 果物がありますよ! バラエモン「それはアケビね。採れたのはオニグルミとか、セリとか…タマゴタケがあったわね。炒め物にしたわ」 肉料理屋店主「タマゴタケ?…ベニテングタケじゃないだろうな?」 バラエモン「失礼ね。間違えないわよ、今度は」 今度は…って何ですか? 918 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 22 24 26.33 ID M+D1zxpeO ギョエモン「それで、ジビエモンは…」 肉料理屋店主「アライさんのステーキと」 アライちゃんの煮込みデミグラスシチューです。 肉料理屋店主「アライさん二匹はさすがに量が多かったんで、片方はいま燻製にしてるぜ」 ムシエモン「アライさんの原型ないな…」 バラエモン「原型あったら食えたもんじゃないわね…」 肉料理屋店主「さて、それじゃあ皆、食うか!」 \いただきまーす!/ さて、まずはアライさんステーキですね。 はむ…もぐもぐ… 肉料理屋店主「どうだ?」 お…美味しい! 脂が少なくて、肉にコクのある味がついてますね! ギョエモン「お、美味いな!牛肉とはまた違った味だ…」モグモグ 肉料理屋店主「いつ食っても最高だぜ」モグモグ …オーナー、実はけっこう食べてました? 肉料理屋店主「…ちょくちょく捕まえてた」モグモグ ジャンキーですかね。 919 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 22 29 47.57 ID M+D1zxpeO 次はアライちゃん煮込みデミグラスシチュー。 …肉に骨がついたままなんですね。 肉料理屋店主「ああ。骨ごといってみ」 では。もぐもぐ… …!ふほぉ!柔らかくてとろっとしてて美味しいですねぇ! バラエモン「骨も軟骨みたいで、ポリポリしてて美味しいじゃないの!んん!」モグモグ 肉料理屋店主「アライさんやアライちゃんは森の中の奴に限るぜ」モグモグ ムシエモン「アライさんジビエ…恐るべし。こんな美味かったとは…」モグモグ ギョエモン「これだけ美味しいなら、動物園で集めたり、ペットフードの原料になるのも頷けるね」モグモグ 920 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 22 39 10.68 ID M+D1zxpeO ギョエモン「ん!美味い!なんだこれ?」モグモグ 肉料理屋店主「それは脳だな。肝臓とかも煮込んであるぜ。…アライさんは、脳が一番美味えんだ」 脳が一番美味しい動物って珍しいですね。 ムシエモン「一説には、アライさんの脳には未知の物質も含まれてるとか」モグモグ バラエモン「内臓も料理したの?」モグモグ 肉料理屋店主「ああ。傷みやすい内臓も、獲ったその日のうちなら美味しくいただけるってわけだ。野食会の醍醐味だぜ」モグモグ ギョエモン「おかわり、もう一杯!あと、ブログに載せる写真撮らないとね」 肉料理屋店主「あ!忘れてたな。まあ、料理はまだあるし。一旦撮影するか」 921 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 22 40 26.30 ID M+D1zxpeO 写真撮影の後も、私達はお互いが作った料理を食べ合った。 ギョエモンさんの海老の唐揚げ。 バラエモンさんの野草炒め。 ムシエモンさんのイナゴの佃煮。(蜂の子は無理でした) 本職のシェフ達が、新鮮な食材で作った野食料理は、どれもとても美味しかった。 肉料理屋店主「どうだ、バイト。これが野食会だぜ」 野食、さいこー! ムシエモン ギョエモン バラエモン「「「野食サイコー!」」」 肉料理屋店主「喜んで貰えてよかったぜ!」 922 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 22 46 12.10 ID M+D1zxpeO そうだ、オーナー。 アライさんのくず肉って余ってます? 切れ端みたいのでいいです。 肉料理屋店主「ああ、たっぷりあるぜ」 それ、いくつか貰って冷蔵庫で冷やしといていいですか? 肉料理屋店主「いいけど、何するんだ?まさか刺身にでもするのか?」 それもいいかもしれませんが… 明日のためにとっておきたいんです。 肉料理屋店主「…なるほどな。いくらでも取ってけ」 はい! …私は、アライさんのくず肉を削ぎ、器に貯めて冷蔵庫で冷やした。 血や肉汁へ漬け込んで…。 そして私達は食べ終わり、後片付けをした。 アライさんの使わなかった部位は、キャンプファイヤーで火葬した。 一同「「山の恵みに感謝!ご馳走さまでした!」」 923 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/01/15(月) 22 46 38.86 ID M+D1zxpeO 一旦ここまで 927 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 00 38 05.34 ID QLnhwXv+0 アラジビはこっちでも流行りそうですね 928 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 06 23 31.72 ID kFWYfdm7O ジャンや美味しんぼでも脳ミソ食ってたな 930 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 11 13 03.47 ID JZLfLzZs0 乙です ここからアラジビが拡がって行くのか? 野食会合宿(二日目突入)・その5 パート1へ戻る
https://w.atwiki.jp/dngssc3/pages/162.html
第2ラウンドSS・軍用施設その2 ■■■■■ 「……つまんないなあ」 マンションの一室で、そう呟いたのは部屋の主・支倉饗子。 「つまんない、実につまんない。ちいっとも面白くない」 ベットの上で気だるげに手足を投げ出し、何をするでもなく、まんじりと天井を眺める。 彼女がこうなってしまったのは、先日のDSSバトルが原因だった。 数日前の戦い。支倉は恋語ななせという女学生と戦っていた。そして、彼女は勝った。 ……否、それは戦いなどではなかった。 それは支倉にとっていつも通りの『食事』だった。支倉が食べられ、食べた者が支倉になる。普段と何ら変わらない生活の営み。 試合内容もなにもなく、最初から最後まで、恋語が支倉の手のひらの上で踊っていただけ。 そういうものに見慣れていない視聴者にはエキサイティングに見えたのだろう。 だが、支倉にとっては違う。ただの日常だ。 意外性もなにもあったものではない、これならフードファイトでもやった方が楽しかっただろう。 さらに言えば、それが起こした結果も彼女にとっては面白くない。 確かに支倉は食べられた。『イート・ライク・ユー』も発動した。 ……しかし、恋語ななせには彼女が期待したような変化はなかった。 VRという状況もあり、もしかして私が増えちゃったりするのかな?となんとなく期待していたのだが、結果は知ってのとおり。 期待外れも甚だしい。これなら増えたほうが楽しかった。そうしないと決めたやつはあほだ、と彼女は思った。 「はあーあ、なんかもうやんなっちゃったな……」 ようするに、期待外れに期待外れを重ねられたことにより、現在の支倉饗子にはDSSバトルへのモチベーションがこれっぽっちも残っていないのだった。 そもそもとして、彼女にはDSSバトルに参加する理由はない。 カードを手に入れた経緯は既に他人事であるし、一回戦はなんとなく面白そうだからやってみたものの結果はあのザマ。 一応ファイトマネーは貰ったものの、それをモチベーションにするのも無理だ。 彼女には以前の『自分』の遺産があり、お金には困っていない。運営から貰った額など、はっきり言ってはした金である。 そういう事で、彼女にはもう続ける意思も、戦う理由も何ひとつ存在しなかった。 「やめちゃおうかな……私も暇じゃあないし……」 もはやリタイア待ったなし。 こうしてDSSバトルから参加者が減っていくのであった……。 いずれは参加者現象に歯止めがきかなくなり人口減少、生産性低下、租税乱造されるSSキャンペーン……焦った運営は労働力を賄うためにレプリカントを創造し、使役し、そして反乱されるだろう。 逃げるハリソン・フォード、追うライアン・ゴズリング……AR表示されるラブプラスは、全人類をフヌケにする……人間とは、人間らしさとは何なのか……ブレードランナー2049、絶賛公開中……。 ぴんぽーん! その時、どこからともなく音が響いた。 それは……何を隠そう、玄関のチャイムの音である。 「うん?なんだろ、宅配便かな」 弛緩していた四肢の筋肉に力を入れ、支倉はがばりと身体を起こした。 ベットの脇に脱ぎ捨てられたスリッパを履きなおし、玄関にむかってぱたぱたと足音を立てながら向かう。 「はーい、どちら様ですかー?」 そう言いつつ、扉を開ける。 するとそこには、一人の少女が立っていた。 それは。 「ああ、うん……あれ?なんで?」 混乱する支倉。 それもそのはず。そこに居たのは、そこに居るはずのない人間だった。 「こんにちは、『私』。入ってもいい?」 少女……『支倉饗子』は、扉を開けた支倉饗子にそう言った。 ■■■■■ 「……つまんないなあ」 病院の一室で、そう呟いたのは部屋の主・進道ソラ。 「つまんない、実につまんない。ちいっとも面白くない」 ベットの上で気だるげに手足を投げ出し、何をするでもなく、まんじりと天井を眺める。 彼女がこうなってしまったのは、先日のDSSバトルが原因だった。 数日前。彼女は今と同じ病室で、ある試合を視聴していた。 彼女の能力『Cinderella-Eater』の効果は『物語を食べること』。彼女はその日もその能力を使ってDSSバトルを食べ、味わう事で喪われた味覚の代償行為をしていた。 そして運が悪いことに、その試合に出ていた選手の能力は『食べられることで自己を上書きすること』だった。 試合結果はその選手の勝利。すこし変則的だったが、それ自体は何の問題でもない。 ……問題なのは、ソラがその選手を、『物語ごと食べてしまった』事だった。 その結果、互いの能力が複雑に作用しあい、新道ソラの人格は『支倉饗子』に上書きされてしまったのだ。 ここで読者の方々は「それは負けた試合の内容だから正史にはならないんじゃないか」と思うかもしれない。たしかにそうだ。それが書かれた試合はネットの闇に消えた。 だが、聡明な読者なら気づくはずだ。つまり『ソラが試合を食べるのはどんな正史でも変わらない』、そして『ソラが求める限り進道美樹は試合を食べさせる』。 つまり、支倉饗子が本戦に残ってしまった以上、こうなることはどうあっても避けられなかったのである。 たとえこのSSが再びネットの闇に消えたとしても、その結果だけは変えることが出来ないだろう……。 一方、当の本人はさきほどからずっと天井を見続けていた。 つまらない、と言ったのはDSSバトルについてではない。 『支倉饗子』はDSSバトルに興味などない。彼女の興味は食べる事にのみ向いている。 だが、現在彼女はその『食べる事』が出来なくなっていた。 正確には、味わうことが出来なくなっている。新道ソラには味覚がないからだ。 元の人格は能力で補っていたのだが、それは上書きされることによって消えてしまった。彼女は今、完全に味を感じられなくなったのである。 「はあーあーあーあー……なんでこうなっちゃったかなあ、もう」 口をついて出てくるのは溜め息ばかり。それも無理はない、彼女は生きがいを喪ったのだ。 一応、まだ『次の自分に食べられる』という目的はあるものの、現在の進道ソラの肉体は美味しそうからは程遠い。 ろくに食べていなかったのだろう、肉が薄い上に運動不足で締まりがない。怪我はともかくこんなに不味そうなのはいただけない。食べる方にも失礼というものだ。 これを食べるのに適した体に作り替えるには、並々ならぬ努力が必要とされることが予想される。そして、それに伴うストレスも並大抵のものではないことは明らかだ。 だが、今の彼女にはストレスを食事で発散できない。健康のために食べるには食べるが、味がないのではいまいち気が乗らない。そも食べ過ぎはよくない。 運動で発散してもいいが、しかしやりすぎて身体を壊しては元も子もない。今の身体は虚弱で、長時間の運動はまだ早いだろう。 「うーん、どうしたもんか」 乗っ取った相手の健康を気遣う、という変な状況になっているが、彼女はいたって真面目である。 せめて食事に彩りでもあれば、と考えるもののうまい方法は思いつかない。 こんな事では、いずれストレスでご飯が喉を通らなくなってしまうだろう……そうなれば日本のお米消費量は激減し、コメ農家は廃業、国内のお米産業は大打撃を受けるだろう。 そうなれば外国からの輸入米が蔓延り、それに反発したレジスタンスが徹底抗戦……帝国は新しいデス・スターを建造……逃げるマーク・ハミル、追うアダム・ドライバー……ジェダイ……シス……宇宙のバランス……スター・ウォーズ/最後のジェダイ、12月15日公開……。 味覚がないのが、こんなにつらいなんて。 出来る事なら誰かに変わってもらいたいが、そもそも変わった結果がこれである。じゃあ私の代わりは誰が……。 「ん、代わり?」 そこで、彼女は閃いた。 発想を逆転させよう。私が味わえないのなら、誰かが代わりに味わってくれればいいのだ。 そして、味覚のない私でではない、味覚のある『私』に味わってもらえば、それは私が味わっているのと変わらないのではないだろうか、と。 自分の代理に自分を立てるのは簡単。きっと向こうも納得してくれるはず。 だって他ならぬ私のお願いだもんね! そうと決まれば話は早い。ソラは自分の思いつきを叶えるべく、彼女の『お姉ちゃん』、DSSバトルの運営を一手に引き受けている魔人・進道美樹を呼び出すのだった。 ■■■■■ VR空間。地形は『軍用施設』。 そこでは今、史上最大・空前絶後の戦いが始まろうとしていた。 目撃者は言うだろう、あんな戦い見たことがない、と。 参加者は言うだろう、この戦列に加われたことすら光栄の極みだ。と。 運営者は言うだろう、なんでこんな戦いをするかになったかはノーコメントで、と。 そう、これこそは二十一世紀を代表することになるだろう大戦争。 その名も……。 【腹ペコ魔人大激突!チキチキ・フードファイト帝王決定戦!】 「なんでさーーーーーーーー!!!???」 軍用施設内・特設ステージにてそう叫んだのは変幻怪盗ニャルラトポテト(本名・鳴神ヒカリ)。 彼の困惑も無理はない。試合開始五分前にいきなり「今回はちょっとルールを変えることになりました」と言われ、詳しい説明を聞く間もなくVR空間に送り込まれてみればこんな状況である。むしろ困惑で済んでいるのは驚異的な環境適応能力というしかない。 もしここにいるのが他の参加者であれば、怒ったり泣いたり喚いたり、運営に苦情のリプライを送ってブロックされたりしたのだろうが、変幻怪盗ニャルラトポテト(本名・鳴神ヒカリ)はそうはしない。 なぜならば、彼女(彼)は開始前の運営からの報告に際し、一つの手紙を受け取っているからである。 その手紙は……ファンレター、それも進道ソラからのものだ。 内容は「美味しいごはんがんばってください!ファイトです!」の一文のみ。 だが彼女(彼)にとってはそれで十分! むしろ今では、この訳の分からないルールをわざわざ忠告してくれた(ように読める)というだけで、彼の心は温かいものに満たされ、明らかな異常を受け入れてしまったのだ。ちょろい。 実際のところ、手紙はフードファイト参加者全員に送られた汎用レターなのだが、まあ知らぬが仏である。 もちろん、こんな頭の変な状況になったのには理由がある。裏から進道ソラが手を回したである。 具体的には『お姉ちゃん』を呼び出し「この試合のルールをフードファイトにして」とお願いしたのだ。精一杯の可愛い声で。 お姉ちゃん・進道美樹はそれに応えた。 むしろ応え過ぎた。妹可愛さにやりすぎた。 彼女は戦場セッティングプログラマや各種企業、世界各地の闇フードファイト連盟などあちらこちらに手を回しまくって、ひとつの試合を世界的な一大フードファイト大会に変えてしまったのだ。 本来ストップをかけるはずの社長が、『露出卿』の無修正放送の件で事情聴取を受けていたため不在だったのも大きかっただろう。 社長がいなければ美樹が実質トップ、止められる者など誰もいなかったのである。 様々な思いと困惑、ソラの暗躍と美樹の暴走、そして今はいない社長の胃痛を乗せて、今世紀最高のフードファイト大会は始まろうとしていた……! ■■■■■ (全選手入場と紹介・割愛) ■■■■■ ステージ上、所定された席に座った怪盗ニャルラトポテト(本名・鳴神ヒカリ)は周囲を見渡す。 隣には、彼が座ったような席が何個もつながっている。その数、およそ五十席。 今回の戦いはフードファイト大会、つまり一対一ではなく大人数で行われ、その中から優勝者が決められるのだ。 残りの席にも、先ほど紹介されたフードファイターや運営に用意されたNPCフードファイター、VR八兵衛などが座っている。誰もが歴戦のつわものといった面構え。油断ならぬ強敵どもだ。 だが、彼らの事は置いておいても構わないだろうとニャルラトポテト(本名・鳴神ヒカリ)は考える。 なぜならば、自分が勝つべきなのはあくまでDSSバトルであって、フードファイト大会ではないからだ。 最初の衝撃から一息おいて冷静になった彼は、VR空間内にいた運営関係者を相手にルール確認(と言う名の尋問)をおこなった。すると、ある事実が判明した。 すなわち、DSSバトル自体のルールは変更されておらず、フードファイト大会はあくまでVR戦場内で行われるイベントに過ぎない、という事だ。 なぜそうなったかと言えば理由は簡単であり、もともとDSSバトル用に組み上げられたプログラムをフードファイト用に組み直すには時間が足りなかったからである。 門外漢のニャルポテト(本名・鳴神ヒカリ)にはよく分からないが、プログラミングはそんなに便利なものではないらしい。 そのため一応フードファイト大会の体は成しているものの、DSSバトルの勝敗には関係がないということだった。 勝つためには従来通りの方法で勝てばいいのである。 そういう事で、ニャルポテ(本名・鳴神ヒカリ)の狙いはフードファイト大会優勝ではなく、会場に居るであろう対戦者・支倉饗子をどさくさに紛れて倒すことなのだった。 「ヤンス!絶対優勝してみせるでヤンス~!」 左の席に座ったVR八兵衛の声を聴き、ニャルポ(本名・鳴神ヒカリ)は我に返った。もうすぐフードファイトが始まる時間だ。 見れば選手はほとんど席についている。だが、その中に支倉饗子の姿はない。 (どこだ、どこにいる……まさか、観客側に?) そう思い、観客席を見る。しかし人でごったがえすその中から個人を見つけるのは至難の業だろう。 なにより彼は支倉の顔を直接見たことはない。前回の試合の放送を見たきりである。 そう、前回の試合。支倉饗子は対戦相手の少女に『食われた』。 そのことにより能力の概要は分かったが、その戦闘能力についてはまったく不明のままだ。 もしかしたら彼よりも強いかもしれない。なにか隠された技能を持っている可能性もある。 つまり、何をしてくるのかわからない。そこが不気味だった。 「すみません、遅れました」 その時。ニャポ(本名・鳴神ヒカリ)の右の席に、彼女が現れた。 『おおっと、ここで最後の選手が入場だ―ーー!!!』ワーワー 「な、」 煽る司会者。騒ぐ観衆。彼らは皆、最後の入場者に期待を込めて注目する。 だが、鳴神ヒカリの反応は違った。 『最後の入場者、栄えある帝王決定戦の参加者の名前はーーー!!!』ワーワー 「な、なんで」 上がりに上がった会場のボルテージに応えるように、司会者は彼女の名を高らかに謳いあげる。 そしてヒカリも、彼女の名を叫んだ。 『支倉ッッ饗子だァァァァァァァァァァアアアッッッ!!!!!』 「なんで君がいるんだ、進道ソラッッッ!!!?」 現れた少女……進道ソラは歓声に沸く観客に手を振ると、隣に座る彼の顔を見て、そして微笑みながら言った。 「今日はよろしくね、『変幻怪盗ニャルラトポテト』さん?」 ■■■■■ 「も、もう食えないでヤンス……ガクッ」 大健闘を見せたVR八兵衛がついに倒れ、残るフードファイターは片手で数えるばかりとなった。 そしてもちろん、鳴神ヒカリと進道ソラは、その中に残っていた。 ヒカリは目の前に置かれた厚切りステーキにナイフを突き立てつつ、隣に座った少女を盗み見る。その眼付は険しかった。 ここに至るまで、彼らは厳しいフードファイトを潜り抜けてきた。 ある時は極寒の海中に潜り、ある時は大気圏スレスレの空を飛び、またある時は軍用施設に隠された核搭載二足歩行兵器と戦いながら、厚切りステーキを食べ続けた。 そしてその中で、ヒカリはある事実を認めざるを得なくなった。 すなわち、いまの『進道ソラ』が『支倉饗子』だという事を。 認めたくはない。あの病室で、自分が感じたあの温かさが永遠に消え去ったなどと、断じて認めたくはなかった。 だが、軍用施設から現れた無数のミュータントどもを駆逐しつつステーキを食べる最中、彼は『TRPG』によってソラをトレースせざるを得なくなり、そしてその中身を垣間見てしまった。 筆者と読者の発狂を避けるため詳しい描写は省くが、その瞬間に彼は一度壊れた。壊れ、そして自らの能力によって、かろうじて自我を再建したのだ。 一歩間違えば二度と戻ること話できない危ない賭けだったが、彼はそれに勝利し、そして悲しい現実に打ち付けられたのだった。 そして今。彼らは並んでステーキを食べている。もはやこれ以上の妨害が入ることはないだろう、あとはただ食べるのみ、だ。 だが、実際のところ食べる必要はない。 お忘れの読者もいるかもしれないが、これはDSSバトルである。なにもフードファイトで決着をつけなくとも、ヒカリが支倉饗子を殺せば、この無益な戦いは終わるのだ。 かつてのアイドルならいず知らず、現在の進道ソラの肉体に戦闘能力はない。ヒカリであれば軽くひねるだけで殺すことが可能だろう。 ……だが、今の今まで彼はそれができなかった。 すぐ隣、手が届くところに居るにも関わらず、である。 何故か? 決まっている。かつて見惚れた女が、味覚がなく飯も満足に食わなかったような女が、笑顔でステーキを頬張っているのだ。幸せそうに、顔をほころばせて。それも、自分の隣で。 たとえその人格がかつての彼女のものではなかったとしても、彼女の幸せを願う以上、その邪魔をすることだけはできない。 もしできる奴がいるとすれば、そんな奴は男でなければ怪盗でもない、ただの屑だ。 「……」 「もぐ、むぐ、もぐ」 ソラの持つナイフが肉を切り分け、まだ赤い断面から透明な肉汁が溢れ出る。 ステーキソースと混ざったそれを、丁寧に肉に絡め、口に運ぶ。 唇が肉をはむ。舌が迎え入れ、歯が噛みしめる。 肉の脂が口内の熱で溶け、柔らかな筋肉繊維がほろりと解ける。 「んっ、むぐ、ふう」 ソラは肉を呑み込むと、また次の肉を切り分けにかかる。 ヒカリは、その様子をまじまじと見つめる自分に気づいた。 だが、それを止めようとは、微塵も思わなかった。 彼が思うのは、ただただ『美味しそうだ』という事だけだった。 ナイフが肉を切り分ける。おいしそうだ。 赤い断面から肉汁が溢れる。おいしそうだ。 肉汁とソースが混ざる。おいしそうだ。 肉にソースが絡む。おいしそうだ。 唇がはむ。おいしそうだ。 舌が。おいしそうだ。 歯。おいしそうだ。 おいしそうだ。 おいしそうだ。 おいしそうだ。 彼女は、とてもおいしそうだ。 「……ぐ、が、ァ」 倒れ伏す進道ソラの喉に、ナイフが突き刺さっていた。 それを実行し、そして倒れた被害者を見下ろすのは、『変幻怪盗ニャルラトポテト』。 鳴神ヒカリではない、変幻怪盗ニャルラトポテトである。 彼女は冷え切った目を進道ソラに向けた。 怪盗にとってそれはただの敵だ。どんな状況でも、倒すことを躊躇することはない。 怪盗にとってそれはただの敵だ。どんな状況でも、食べることなど考えはしない。 『それ』が初めから鳴神ヒカリの内側に居たのか、それとも『TRPG』を重ねる中で徐々に形作られていったのか、それは誰にもわからないだろう。 だが、はっきり言えることは、『それ』が『鳴神ヒカリ』の代わりに、主人格に収まったということである。 もともと彼は『TRPG』の多用によって不安定になっていたし、それは彼自身も自覚があった。ゆえにこうならないよう自我を保つよう努力していた。 だが今回の事件により『鳴神ヒカリ』の人格は一度完全に破壊され、能力で無理やり再建したものも精神汚染によって溶けて消えた。 そして、空いた場所に『それ』が入った。もう跡形もない彼の代わりに。 「ぐ、あ、う、」 「……」 ニャルラトポテトは敵の側にかがみこむと、刺さったナイフに手をかけ、引き抜いた。 「ぐあ、っ!」 「……」 「ぎゃ、ッぁ!」 そして刺した。もう一度。今度は胸に。 「がッ、」 また引き抜く。 「ーッ、ぁ」 また刺す。 「ぅ、あ」 また引き抜く。 「ッぅ」 また刺す。 「ぁ」 抜く。 「…」 刺す。 「…」 抜く。 刺す。 抜く。 刺す・ そうして敵が動かなくなるまで、抜いて刺すことを繰り返した。 静寂。 そして。 『ザッケンナコラー!』『スッゾコラー!』『チャルワレッケオラー!』 アブナイ!暴動だ! フードファイトを楽しく観戦していた観客たちが、突然の殺人事件発生と、それに伴うフードファイト大会中止に怒ったのだ! 観客たちはパイプ椅子や鉄パイプやちょっと長めのパイプを掲げ、ステージに殺到する。目標は大会中止の原因、変幻怪盗ニャルラトポテト! 「ザッケンナコラー!」 刺す。 「グワーッ!」 抜く。 「スッゾコラー!」 刺す。 「アバーッ!」 抜く。 「ドグサレッガー!」 刺す。 「グワーッ!」 抜く。 「テメッコラー!」 きりがない! なんたるフードファイト大会の人気と観客動員数を逆手に取った人海戦術か! 「チャルワレッケオラー!ガガガガガ!」 「っ!?」 軍用施設の倉庫からガトリング砲を持ち出した、暴動ガトリング観客だ! いかに変幻怪盗ニャルラトポテトであっても、ガトリング砲の前ではハリケーンの前のハツカネズミと同じ。銃弾が飛び交う中、慌てて身を隠す! 「ガガガガガ!ワメッコラー!」 「シャ……ッ!!」 「ガガガグワーッ!」 暴動ガトリング観客の喉にナイフが突き刺さる。ニャルラトポテトが投擲したのだ!命中精度! だが、これで終わりではない。ガトリングは悪夢の始まりにすぎなかったのだ……! 「ゴーメ―スー」 なんということか、量産型ゴメスパロボだ! それはなんだかんだで量産計画が進んだものの、開発途中で「あっこれ駄目だ兵器向きじゃねえな」と軍用施設にて死蔵されていたものである。観客はそんなものまで使えるのか!? 「ゴーメース―」 「ゴーメース―」 しかも三体! いかに変幻怪盗ニャルラトポテトと言ってもこれでは苦しい戦いになることは必至! 「……くるなら、来いッ!」 だが、彼女は引かない! 彼女が変幻怪盗である限り、その辞書には撤退の文字はないのだ! ……それに、DSSバトルに決着がついた以上、そろそろ現実に戻れるはずだからだ。 「ゴーメース―」 「ゴーメース―」 「ゴーメース―」 だが。 「……戻れない?」 いつまで経っても、彼女が現実世界へ戻る気配は、なかった。 なぜ。たしかに敵にはとどめを刺したはず。でも、戻れない? ニャルラトポテトの脳内で疑念が膨れ上がる。 クエスチョンマークが頭の中をグルグルの回るが、しかし答えは出ない。 そうしている間にも、量産型ゴメスパロボたちが迫る! 「ゴメスマッシュ!」 「ゴメスライダー!」 「ゴメスイーツ!」 パイロット観客たちが思い思いのスイッチを押す! そして! 「あ、間違えた」 そして腹ペコ魔人大激突!チキチキ・フードファイト帝王決定戦は崩壊した。 ■■■■■ ニャルラトポテトが目を覚ますと、そこはまだVR空間の中だった。 「う……ぐッ」 身体を起こそうとするが、激痛が走るだけでまったく動かない。 それでもしばらくは動こうとしていたが、痛いだけだとわかると、彼女は諦めた。 「……ッ、はぁ、ふぅー」 次は声を出そうとしてみる。しかし口から出るのは言葉にならない吐息だけ。 動くことも、喋ることもできない。 赤ん坊だってもっと活発的だろう、と彼女は自らの状態を嘲った。 その時、近くで物音をするのを、彼女の耳は捉えた。 なにかが滴る音。 なにかが千切れる音。 なにかが潰れる音。 なにかが折れる音。 正体は分からないが、あの大破壊を経てもなお動くものがいるらしい。 そちらを見ようとしてみたが、もはや首すら動かなかった。 観客であればニャルラトポテトを殺すだろう。 だが、もはや彼女には抵抗するすべはない。 なるようになれ。彼女は心の中でそう叫んだ。 そしてしばらくして、音の主がニャルラトポテトに気づいた。 「あら、あなたは……たしか、宅配便の」 「……」 「あはは、冗談よ。知ってる。ニャルラトポテトさんでしょう?」 その女は、そこに居るはずのない人物。 だが、ニャルラトポテトは彼女を知っていた。 何故か? なんのことはない、全選手入場の時に名前を聞いていたのだ。 鳴神ヒカリは支倉饗子にしか気を配っていなかったから、その女がいる不自然さに気づけなかった。 だが変幻怪盗たる彼女は、その存在に気づいていた。その不自然さに気づいていた。 しかし、それが意味することにまでは気づいていなかった。 その女は、恋語ななせだった。 ■■■■■ 試合前。 突然現れた恋語ななせ、恋語ななせの顔をした『支倉饗子』を、支倉饗子は自室に迎え入れていた。 「いやー、まさかそんな風に『成って』いるとは……」 「驚いたでしょ、私も我ながらびっくりだもん」 小さなテーブルを挟んで談笑する二人。他人が見れば、二人の細かい仕草がまったく同じだという事に気づけるだろう。 何を隠そう、今の恋語ななせの人格は『支倉饗子』である。 ななせ本人は、VR空間内での出来事のため、精神汚染がフィードバックされなかったと信じているが、しかし現実はそう甘くない。 魔人能力は一種のミーム汚染である。魔人という個人が抱いた妄想を他者に押し付け、共有することで能力が発動する。 であれば、実際に食べたかどうかは関係がない。本人が『食べた』と認識したのなら、『支倉饗子』は発動する。たとえそれが『物語ごと食べた』などという抽象的なモノであってもだ。 だがしかし、今回はいささか事例が特殊過ぎた。 恋語ななせは実際に『食べた』と認識しているが、一方でVRゆえに『食べてない』とも認識している。 結果、彼女の脳内では支倉饗子を食べた『支倉饗子』と、支倉饗子を食べていない『恋語ななせ』が同時に存在している状態になってしまった。 ……ようするに、二重人格と化してしまったのだ。 「難儀な能力をしてるね、私って」 「本当にね」 うふふあははと笑い合う二人。仲のいい姉妹に見えなくもない。 「今はどんな状態なの?」 「んーとね、ななせちゃんが寝ていたり、VRに入っていたり……とにかく意識がない間は私が出てこれる感じ」 「ふむふむ」 「たぶん起きてる間は『僕は人食いなんてしてないー!』って思い続けてるからなんだろうけど、寝ると忘れちゃうのかしらね?」 「なるほどー」 つまり日中はあまり活動できないらしい。 実際、いまも時刻は深夜を回った頃である。 おそらく、ななせは自宅で寝ているつもりなのだろう。 「それで、なんでウチに?ご飯ならあるけど」 「そうじゃなくってね、その、頼みづらいんだけど……」 「そんなこと、自分相手なんだから気兼ねなく言ってよー」 「それじゃあ言うけど……そっちの身体、食べさせてくれない?もうちょっと食べたら人格もちゃんとする気がするの」 まるでお昼代を借りるがごとく、気軽に「食われてくれ」と頼む恋語。だが。 「えー、やだ」 「そんな!」 支倉の答えは否だった。 「どうして!?」 「だって、同じ人に食べられたら食べられ損じゃん……他にもいい人はいそうだし……」 「ぐぬぬ、自分の事だから言いたいことは分かるし納得できちゃう……」 それは共感というにはあまりに奇妙だったが、しかし意思伝達はスムーズだった。 もっとも恋語の言う通り食べたとしても、人格統合が果たされるかどうかは不明なのだが。 「じゃあ代案。こっちなら聞いてもらえると思う」 「ほう、なになに」 代案と聞いて支倉は姿勢を直す。 「えっとね、DSSのカードを譲って」 「オーケー、はいコレ。頑張ってね!」 「早い!もう飽きてるとは思ったけど!」 恋語が代案を言い終える前に、支倉はカードを投げてよこしたのだった。 ■■■■■ 「そういうわけで、今回からは支倉饗子に代わって私・支倉饗子が試合をすることになったのでしたー、わーぱちぱち」 「……」 ニャルラトポテトは生まれて初めて眩暈を覚えた。 つまり、自分が殺したあの女は、ただのフードファイト参加者だったということなのか。 頭痛がした。もし腕が無事なら頭を抱えていたことだろう。 原状、ニャルラトポテトは身動き一つとれない。 対して『支倉饗子』はというと、おそらく五体満足である。 戦力差など考えるだけおこがましい。彼女はまな板の上の鯉だった。 彼女は観念してとどめの一撃を待つことにした。 怪盗は泣きも喚きもしない、最後まで誇り高いのだ、とかつての鳴神ヒカリは考えていたし、今の彼女も同じ気持ちだった。 ……だが、いくら待っても、とどめの一撃はやってこなかった。 代わりにあるのは、先ほどと同じ、なにかが壊れる音。 彼女はそれをしばらく聞いていたが、少し考えるとその正体は明らかだった。 血液が滴る音。 筋肉が千切れる音。 内臓が潰れる音。 骨が折れる音。 ……つまり、食べる音だ。 『支倉饗子』が『支倉饗子』を食べる音だったのだ。 はあー、と溜め息をつく。 気づいてしまったのだ。アレは変幻怪盗ニャルラトポテトになど興味はない。 自分を食べること以外に、興味などないのだろう。 なら、とどめを刺しに来るはずもない。待つだけ無駄だ。 そして、変幻怪盗ニャルラトポテト、かつて鳴神ヒカリだった彼女は、考えるのを止めた。 ■■■■■ 『試合が終わりました。VR空間を解除します』 「んむ、あむ、そっか、試合だったっけ」 アナウンスの音声を聞き、恋語ななせは食事を止め顔をあげた。 足元には進道ソラの亡骸。血液を飲まれ、筋肉を齧られ、内臓を喰われ、骨髄を啜られたソレを彼女は一瞥する。 なぜこんなところに自分がいるのか、少し不思議だったが、そんなことには興味がない。 食べる理由はなかったし、そもそも食べるところの少ない身体だ。 だが、食べた。食べたらきっと、人格の調子がよくなる気がして。 ……いや、そんな理由も後付けなのかもしれない。とにかく、食べたかったのだ。 「はー、つかれた」 血に濡れた手で、肩をとんとんと叩く。 服が汚れるがどうせVRだ。気にすることもない。 ついでに汚れを服で拭き、綺麗になった自分の手をじっと見つめる。 血色もいいし、肉付きも悪くない。うん、美味しそうだ。 ……でも、最近少しやつれたような気がする。 きっと『恋』というやつが原因なのだろう、と食人鬼は考える。 思えば、恋語ななせの『恋』を台無しにしたのは、何者でもない自分である。 悪いことをしたなあ、とちょっぴり思う。 だって、それで体を壊したら、せっかくの美味しさが落ちてしまう。 自分が美味しい方が私はうれしいし、きっと『僕』もうれしいはずだ。 だから、私が新しい恋を見つけてあげよう。 『僕』が立ち直れるように。『僕』が美味しくなれるように。 新しい恋があれば、きっと『僕』はもっと美味しくなれるだろう。 DSSはそのための手段。 白衣の自分に言った通り、今の私は『僕』が眠っている間しか動けない。 でも、それは現実での話だ。 私が『僕』がVRにいる時には出られるように、『僕』が外にいる時は、私はVRの中に存在できる。私たちは表裏一体なのだ。 そしてVRの中なら、現実で会うよりもたくさんの人に出会える。その中に新しい恋もあるかもしれない。 いや、きっとある。見つけてみせる。他ならぬ『僕』のために。 「待っててね、『僕』。きっと、新しい恋を見つけてあげるから」 恋語ななせはそう呟くと、美味しそうな手で、自分の顔をなでた。 【勝者・支倉饗子(恋語ななせ)】 【変幻怪盗ニャルラトポテト:主人格変更】 【支倉饗子:戦線離脱】 【恋語ななせ:二重参加】 ■■■■■ 進道美樹は、病院の廊下で頭を抱えていた。 (なんであんな事しちゃったんだろう……) 考えるのは、例のフードファイト大会の事である。 あの後、結局大会そのものはお流れになってしまい、残ったのは無理を言ったあちらこちらへの多大な借りと、闇フードファイト連盟との確執だけだった。 冷静になって考えてみると、あの時の自分は頭がどうにかしていたとしか思えない。 いくら妹の頼みだからってDSSバトルの戦場に勝手に手を加え、さらに妹本人を戦場に観戦に行かせるなど。 まあ観戦については、直前になってソラが「ヒャアがまんできねえフードファイトだ!」と言い出し、無理やり飛び込んだのが原因なのだが。 しかもそれらを社長の留守中にしでかしたのだ。何と言われるか分かったものではない。 最悪、クビになってしまうかもしれない。 だがそれだけは、なんとしても避けなければならない。ソラの生きがいたるDSSバトルが出来なくなってしまえば、妹は悲しむだろう。そんな事にはしたくない。 そこまで考えて、思考は妹の事にシフトする。 最近のソラは、以前に比べて明るくなった。 むやみやたらとモノにあたらなくなったし、ご飯も食べるようになった。聞く話によるとリハビリも再開したらしい。確実に彼女は美味しくなっている。 少し前に雰囲気が変わって以来、なにか違和感を感じていたが、しかしそれはよくなる前兆のようなものだったのかもしれない。 そう考えると、少しだけ元気が出てきた。ぱんっ、と両の頬を叩いて気合を入れ直す。 (それじゃあ、会いに行こうかな) 美樹は廊下を進む。目指すは、妹の病室だ。 元気そうな顔を一目見れば、これから起こる事へのやる気も湧いてくるだろう。 だが、待っていたのは、想像していたよりももっと悪い事態だった。 「困るんだよねェ、ああいう勝手をされるとさァ……!」 妹の病室からは、語気の荒れた男の声が響いていた。 その声は間違えるはずもない、C3ステーション社長・鷹岡集一郎のそれである。 だが、なぜ彼が妹に詰め寄っているのか。美樹にはわからなかった。 「言う通りにしないなら、君のお姉さんが困るんだよゥ……それでもいいのかいィ?」 美樹には話している内容は分からなかったが、社長がなにかおかしいのは分かった。特に語尾が。 きっと留置場生活で精神をやられてしまったのだろう、かわいそうに。 すこし沈痛な気持ちになったが、しかしそんな人を放っておくわけにもいかない。彼女は覚悟を決めると、妹の病室に踏み込んだ。 「社長、失礼しま」 「もう我慢の限界だァ!食うゥ!お前を食ってやるゥ!!!」 「ワーッ!!?」 そこに居たのは全裸中年男性!滝のような涎を垂らし、今にもソラに襲い掛かろうとしている! 「ヒャーッ!!?」 「ギョーッ!!?」 「ウワーーッ!!?」 「ギャーーッ!!?」 驚く美樹!もっと驚く全裸中年男性!つられて叫ぶ美樹!もっと叫ぶ全裸中年男性! 「ハッ!!?これは!!」 美樹が鞄にしまっていた出刃包丁(刃渡り180mm)の存在に気づく!とっさに構え、突撃! 「くらえーーーッ!!!」 「グワァー――ッ!!?」 出刃包丁は全裸中年男性の急所(詳細は省略)に命中!全裸中年男性はサシミになった! 「だ、大丈夫、ソラ!?怪我してない!」 「え、あ、うん。だいじょうぶ、かな」 出刃包丁を投げ捨て、ソラに駆け寄る美樹。 一方のソラはというと、目の前で起こったことのあまりのあまりさに、なかば放心していた。食人鬼すら放心するほどの緊急事態だったのだ。 「ああ、よかった……私、あなたに何かあったらどうしようかって、それだけが心配で」 「あ、ありがとうお姉ちゃん……でも、よかったの?」 「ソラが無事ならなんだっていいの!」 「そ、そう?でもあれ、社長さんなんじゃ……」 「……え?」 そう言われ、美樹はもう一度全裸中年男性、その亡骸を見る。 よく見てみると、確かに社長みたいな目をしているし、よく見なくとも社長みたいな鼻をしているし、どう見ても社長みたいな口をしている。 確かにそれは、服を着ていないこと以外は、社長に似ていた。 「というか社長だ……」 なぜ社長が死んでいるのだろう。美樹は疑問を覚えた。 だがそれは今はどうでもいい。肝心なのは、ソラが無事だったという事だけだ。 「ああ、よかった……私、あなたに何かあったらどうしようかって、それだけが心配で」 「えっそれまた言うの」 「ソラが無事ならなんたっていいの!」 「えっ怖……」 妹が無事。ただその喜びだけが美樹の脳内を満たしていた。 そして、なぜ社長が妹に襲い掛かったのか、なぜ自分は社長と同じように涎を垂らしているのか、なぜ自分が出刃包丁を鞄に忍ばせていたのかという疑問は、あっという間に霧散してしまったのだった。 【つづく】
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2901.html
『アイドルのオシゴト』 人知らぬ森の中。 獣道を、1匹の胴有りゆっくりれみりゃが歩いていた。 「だっどぉーぅ♪ だっどぉーぅ♪」 希望に満ちた笑顔を浮かべる下膨れ顔。 リズムを刻んで元気よく振るふくよかな腕。 よたよただばだば歩みを進める足に、左右にフリフリ揺らす尻。 それらはいずれも、普通のれみりゃと比べておよそ1.5倍はふとましい。 中身のギッチリ詰まった重量級の体からは、 ステップを踏む度に黄色いガスが「ばぶーっ! ばぶーっ!」と漏れだしている。 「てぇれびだどぉ~♪ しゅ~やくだっどぉ~♪ うぁうぁ☆うっう~~♪」 このれみりゃは、駆けだしの"アイドル"だった。 今日は、これから初めての"てれび"の仕事に向かうところだ。 しかも、マネージャーによれば主役らしい。 御機嫌にならないはずがない。 「えびりゃってばぁ~☆かわいすぎてごめんねぇ~ん♪ だっどぉ~~ぅ♪」 下膨れた頬を抱えて、幸せを体現する、れみりゃ。 この実にゆっくりしたふとましい体、たっぷりした下膨れは、れみりゃの自慢だった。 自分をこんなに可愛くえれがんとに育ててくれた親達のことを思い出し、感傷にふけるれみりゃ。 最初、アイドルになりたいと言った時、親からは"おぜうさまらしくないどぉー! はしたないどぉー!"と猛反対を受けた。 だが、れみりゃは知っている……なんだかんだ言いつつも自分を支え応援してくれたことを。 今日てれびに出るとことをうーぱっくで伝えた時も、誰より喜んでくれたことを。 「こーまかんのまんまぁーたちも、きっとたのしみにしてるどぉー♪ えびりゃがんばるどぉー♪」 そんなれみりゃの後ろから、ゆっくりさくやが跳ねてくる。 このさくやは、れみりゃファンクラブ会長にしてマネージャーでもあった。 「さようですわ、おぜうさまぁー! ふぁいとですぅー!」 「うっふ~~ん♪ えびりゃにおまかせしてねぇ~~ん♪」 れみりゃは気合いを入れて、うぁうぁ☆ぐるぐる腕を振り回す。 ぶぅーぶぅー漏れるガスを効果音にして、栄光のロードを歩いていくれみりゃ。 そうこうしているうちに、れみりゃとさくやは現場の屋外スタジオに到着した。 そこには、既に他のスタッフ達が集まっていた。 「ゆゆっ! れみりゃがきたよ!」 「むきゅ~ん! れみぃーちゃんはいりましたぁ~!」 「ゆっくりおつかれさまだよ! きょうはよろしくおねがいしますだよ!」 れみりゃを囲み、挨拶するスタッフ達。 れいむ、ぱちゅりー、まりさ、ありすにちぇんにめーりんもいる。 現場に集まったスタッフ達もまた、全員ゆっくりであった。 どこから手に入れたのか、ゆっくり達はカメラや機材を揃えていた。 どれも旧式でアナログなものだったが、ゆっくり達は口を器用に使って、おぼつかないながらもそれらを使いこなしていた。 「ゆっ! それじゃさっそくほんばんはじめるよ!」 そう言って、カチンコを咥えるまりさ。 れみりゃは、カメラの正面、書き割りのセットへ上がり鼓動を高鳴らせる。 「うーうー♪ これできょうからえびりゃも"かりしゅま☆すたぁー"だどぉー♪」 「ゆぅ~~~い………あくしょん!」 カチン! まりさの咥えたカチンコが渇いた気持の良い音をたてた。 照明が舞台上のれみりゃにスポットしていき、ベータのビデオカメラが回りはじめる。 たくさんのゆっくりが緊張した面持ちを作る中、収録は開始された。 (まんまぁ~♪ しゃくやぁ~♪ えびりゃをみまもっててねぇ~ん♪) れみりゃは、カメラに向かって今日のために必死に練習した"のうさつ☆だんす"を踊り出す。 尻を突き出すように左右に振って、ぶぅーぶぅー生理現象の伴奏を奏でていく。 「うっうー♪ えびりゃのぷりてぃー☆ひっぷにぃー♪ め~ろめろ~になるんだどぉ~~♪」 照明の熱量は相当なものだ。 れみりゃは、額に肉汁を浮かべながらも渾身のダンスをおどりきる。 「えび☆りゃ☆う〜☆にっぱぁ~~♪」 決まった! 心の中で声を揃える、れみりゃとさくや。 しかし、他のスタッフ達から"カット"の声は聞こえない。 舞台上で頭上に「?」マークを浮かべる、れみりゃ。 その直後、スタッフの一人が口に咥えた紙をれみりゃに見せた。 そこには歪な平仮名で「あしすたんとの"ふーちゃん"せんたーへ」と書かれていた。 「うぁ?」 ふーちゃんとは誰のことなのか。 れみりゃが疑問に思っていると、上空からその横にゆっくりフランが降り立った。 「ぷぅー☆ゆっくりしね」 「う、うぁぁー! ふりゃんだどぉーー!?」 本番中であるにも関わらず、れみりゃは恐怖の叫びをあげる。 森で一人暮らしを始めてからというもの、れみりゃは何度もフランに虐められていた。 「う~~! でぃれくたぁー! じゃーまねぇー! ふりゃんやだどぉーー!!」 れみりゃは涙ぐみ、へなへなと腰から崩れ落ちてしまう。 しかし、そんなれみりゃと"ふーちゃん"ことゆっくりフランへ出されたカンペには、こう書かれていた。 "ちょうりすたーと" 「ぷぅー☆おりょうり☆おりょうりー」 「うっ!? な、なにするんだどぉー!?」 カンペを読むや否や、フランはれみりゃを押し倒し、その服と帽子を無理矢理剥ぎ取っていく。 「や、やべでぇー! やべるんだっどぉー!」 「ぷーぷー☆ぱっぽぉー♪ これきたないー☆おじゃま☆じゃまー」 「ぶ、ぶっぎゃぁぁぁーーー! えびりゃのだいじだいじがぁーーー!!?」 れみりゃは為す術無く、あっという間にドロワーズ1枚の姿にさせられてしまう。 「えびりゃは"せいじゅんは"あいどるなんだどぉー! ぬぐなんてきいてないどぉー!」 「ぷぅ~~~! うるさい~~~!」 フランは、びよ〜んびよ〜んとれみりゃの頬を左右に引っ張っていく。 そしてカメラの真正面にアップになるよう、れみりゃの体を持ち上げた。 「おもしろいかおー☆ぶさいくなかおー☆」 「うびぃーーーー! うびぃーーーーー!」 れみりゃの下膨れで楽しそうに遊ぶフラン。 その間に、スタッフ達がテキパキとセットを入れ替え、道具を搬入していく。 れみりゃとフランの前には、2つのプールと1つの巨大な鍋が並べられた。 プールの一つには生卵が、一つにはパン粉が、そして火にかけられた鍋には油が熱せられている。 やがて、フランは準備が整ったと見計って、れみりゃを生卵のプールに突き落とした。 「まずは~ひたひたにする~~☆」 「う~~~~~っ!」 フランは、起きあがろうとするれみりゃを無理矢理押し倒し、生卵まみれにしていく。 顔を押さえつけられ、危うく生卵のプールで溺れそうになる、れみりゃ。 「つぎは~こうやってまぶす~☆」 「うぁぁぁぁぁーーーー!」 次にフランは、れみりゃをパン粉のプールに投げ入れる。 頭からパン粉にダイブし、思い切り顔を打ってしまうれみりゃ。 「うぁぁぁーーー! えびりゃのびゅーてぃふぉーなおかおがぁぁぁーーー!!」 泣き叫ぶ、れみりゃ。 そんなれみりゃの声など素知らぬ風に、フランはテキパキ作業を進めていく。 生卵で濡れているれみりゃの体をパン粉のプールで転がしていき、パン粉の服を着せていく。 「さいごは~ゆっくりあげる~☆」 フランはにっこり微笑むと、息も絶え絶えでピクピクしているれみりゃを抱えて浮かび上がる。 そのまま熱々の鍋の上まで移動するフラン。 パチパチ跳ねる油の滴があたり、ハッとするれみりゃ。 呆然自失としながらも、恐怖でひきつった顔に精一杯のスマイルを浮かべる。 「……そ、そうだどぉー♪ これはどっきりなんだどぉー♪ えびりゃってば、うっかりだまされちゃったどぉ~~♪」 れみりゃは、ドッキリが終わる瞬間を心待ちにして、周囲へ視線を送る。 だが、スタッフはみな至って真剣に仕事をしており、マネージャーのさくやも熱い期待の視線をれみりゃに送っていた。 「う、うぁ?」 「ぷぅ~~☆くりゃえ~~☆」 れみりゃが観念するより早く、フランはれみりゃを油鍋の中へ叩き落とした。 ジュワジュワパチパチ、衣を纏ったれみりゃは揚げられていく。 「ざぐやぁぁぁーーー! だずげでぇぇーーー!! まんまぁぁーーーー!!!」 「きつねいろになったら~かんせい~☆」 フランは"れーばてぃん"と呼ばれる金属の棒を取り出すと、それで油の中のれみりゃを引き上げる。 引き上げられたれみりゃは、大事なおべべの代わりに、サクサク狐色の衣を着込んでいた。 フランは、ぐったりして気を失ったれみりゃを、スタッフが用意した大皿に乗せる。 山盛りのキャベツをベッドにして、れみりゃは無意識に嗚咽を漏らす。 「ぅ~~~っ……」 「ぷっぷ~☆ぷぁぷぁ~」 盛りつけられたれみりゃを見て、フランは楽しそうに歌を口ずさんだ。 「きょうのしゅやく~☆かりかり"えびふりゃー☆"かーんせぇー」 センターカメラに向かって、微笑むフラン。 その数秒後、まりさの「かっとぉー!」という叫びが響き、現場の緊張した空気はようやく弛緩するのだった……。 * * * 数日後、今日も適度に平穏な紅魔館。 そのパーティールームに、館の住人達とゲストが集まっていた。 「う~~! しゃくやぁ~はやくぅ~はやくぅ~! はじまっちゃうどぉ~~!」 「……ということです。さっさと準備してください」 居候のゆっくりれみりゃに急かされた咲夜は、ナイフを片手に持って河童に告げた。 ビクッと体を震わせて、目の前の四角い箱と格闘する河童。 しかし、河童の焦りとは裏腹に、四角い箱は何の反応も示さない。 その時、今日のために紅魔館を訪れた珍客……緑髪の巫女がしずしずと黒い箱の前に歩み出た。 「あの……ちょっといいですか?」 緑髪の巫女は、古めかしい四角い箱を見てから溜め息をつき、片手を思い切り振り上げる。 「こういう時はですね……えいっ!」 ベチンと、平手で箱を叩く巫女。 すると、周囲が唖然とする中、箱の前面に映像が映り始めた。 「うぁーうぁー♪ てれびじょんだどぉー♪ えれがんとなおぜうさまにふさわしいぃ~どぉ~♪」 興奮する、れみりゃ。 「さすが最近外の世界から来ただけはあるわね……」 「興味深いわね……どいういう仕組みなのかしら?」 初めて目にするテレビに、各々興味を示す一同。 やがて、テレビにはこの日の目的のプログラムが流れ始める。 「う~~どきどきわくわくだどぉ~~♪ あかちゃんのはれぶたいだどぉ~~♪」 れみりゃは、咲夜の膝の上に座り優しく抱かれながらテレビに釘付けになっている。 咲夜はといえば、興奮するれみりゃの頭ををなだめるように撫でながらも、鼻からはうっすら赤いものが垂れ始めている。 「あっ、はじまるみたいですよ!」 ノイズ混じりの画面に、森の片隅に組み立てられたセットらしきものが映し出される。 そうして、手ぶれならぬ口ぶれののひどい映像に、番組のタイトルが表示された。 "ゆっくり3分調理クッキング えびふりゃー編" 「うぁ~うぁ~☆しゅっごいどぉ~~♪ れみりゃのあかちゃ~ん☆かぁ~わいいどぉ~~♪」 目をキラキラ輝かせ、同時に溺愛するわが子の姿を見てうっすら涙さえ浮かべる、れみりゃ。 だが、3分後。 "れみりゃのぷりてぃーなあかぢゃんがぁぁーー!!" という絶叫を紅魔館に響かせて、れみりゃは泡を吹いて倒れてしまうのだった……。 * * * 「いだいぃーー! いだいどぉーーー! ざぐやぁーーー!!」 大木の根元の洞の中、敷き詰めた藁の上で、れみりゃが悶え苦しんでいる。 自慢のたっぷりふとましい体は全身火傷で、平時と比べてさらに3割増し水膨れていた。 「おぜうさましっかりしてくださいまし! あしたはしゅうろくのひですよ!」 「うっびぃーーー! もぉーやだぁどぉーーー! まんまぁーーえびりゃおうちがえりだいどぉぉーーー!!」 新人編・了 作者当ての時に途中まで書いたのを、勢いで最後まで。 細かい部分は後で修正するかもしれません。 いろいろ考えていることはあっても、 それを実行にうつせる時間が無いのが呪わしいですorz by ティガれみりゃの人
https://w.atwiki.jp/kuragemaru/pages/41.html
足早にスーパーへと向かっていたあたしは、路地裏で意外な人物と出会っていた。 「あ、ハルにゃーん」 「あら、妹ちゃんじゃないの。どうしたのこんな所で」 ニコニコと嬉しそうにあたしにまとわりついてくる妹ちゃん。この子ってばなんてかわいいのかしら。 「今までお友達と遊んでたの。おうちに帰る前におやつ買おうと思って」 「なるほどね。ちょうどいいわ、あたしと行きましょう。ふふっ、今日はあたしがごはん作ったげるわよ」 あたしの言葉を聞いて目を丸くする妹ちゃん。そして満面の笑みを浮かべてあたしに抱きついてきた。 「さあ、いきましょう。キョンが変な物を作る前に急いで行かなきゃね」 「キョン君のお料理おいしいよ?」 首を傾げて不思議そうにあたしを見る妹ちゃん。 「そうなんだ、意外ね。あいつの事だからレトルトかなんかで済ますのかと思ってたわ」 「そんな事ないよ、あんまりたくさんお料理はできないけど、とってもおいしいの」 「へえ、どんなのができるのあいつは」 妹ちゃんは両手を挙げてブンブン振りながら、あたしに答える。あたしが言うのもなんだけどハイテンションね。 「んとね、カニカマ入りのチャーハンでしょ。それとカレーライス、タコさんウインナーが入ってるの」 あいつがタコさんねえ。なんだかイメージがわかないわね。 「それとオムライス。とーってもおいしいんだよ」 まるで自分の事の様に話すのね。歳の離れた兄妹ってみんなこんな感じなのかしら。 「ふふっ、そんなにおいしいんだ」 「あたしがね、テレビで見たオムライス食べたいって言ったら、キョン君が練習して作ってくれたの」 ふーん。あいつがねぇ。でも妹ちゃんたらほんとに嬉しそうに話すわねぇ。 「妹ちゃんはキョンの事大好きなのね」 あたしの言葉を聞いた妹ちゃんは、お日さまの様な笑顔で「うん」と力いっぱい返事をしてきたわ。 「じゃあ、あたしとキョンのどっちがおいしいか、妹ちゃんに審査してもらわなきゃね」 あたしは妹ちゃんの手を取り、スーパーへと入っていった。 煮込みを開始した鍋を横目にして、俺はウインナーをタコさんにすべく切込みを入れていた。 妹と長門の分で、そうだな8個もあればいいか。いささか危なっかしい手つきで切り込みをいれる。 「長門、もうあとは煮込むだけだからリビングで待っててくれ」 「了解した」 音も無くリビングに消える長門。さてもう一仕事するかね。俺は灰汁取りのおたまを手に取った。 それから30分程経過、いい感じに煮込まれた具材を確認して、俺は火を止めた。 ルーを鍋に投入してしばしかき混ぜる。カレーのスパイシーな香りがあたりに漂う。 「さてと、後はもう少し煮込んでフィニッシュだな。っと、その前に少し味見をするか」 最初の頃は水の量もいいかげんで、お世辞にも美味いとは言えん物ができたりしたよなあ。 過去の思い出に浸りながら、小皿にカレーを取りスプーンで口へ運ぶ。うん、わりといい出来だな。 「ずるい」 何事かと振り向くと、リビングにいたはずの長門が俺をじっと睨んでいる、様に見える。多分な。 「長門、ずるいって何がだ。俺が何かしたってのか」 長門は無言で指を指す。味見の為の小皿をだ。 「あなただけ先にカレーを楽しんでいる」 いや、長門よ。これは味見と言ってだな、料理の際に調理をする者がするべきテストなんだ。 これをしないで敗れていったキッチンファイター達は、数知れずって程に重要な事なんだ。 「決してつまみ食いではないぞ」 「そう」 長門は納得したのか、またもや多分であるが、表情を柔らかくして小皿を見つめている。 「わたしも味見をする。許可を」 こんな時まで『許可を』かよ。相変わらずだな長門は。 「いいぜ、この後もたっぷり食べてもらうつもりだが、お気に召すかわからんもんな」 俺の言葉を受け、こくりと頷いた長門はゆっくりと瞼を閉じて、それと同時にゆっくりと口をあけた。 何だこれ? 味見をするんだよな、長門よ。目を閉じた長門の手はきっちりと両腰辺りにあり、どう見ても自らの手を 使う気が無い様に見える。 「長門?」 「あーん」 問いかけようと名を呼んだ俺を制するかの様に、長門は擬音を口にした。 いや、落ち着け俺。長門がどうにかなったわけじゃないだろうし、何よりここには俺と長門しか居ない。 他人に見られる危険は無いわけで、それならば珍しい姿を見せた長門の要望を叶えてやるべきではないのか? はたしてどれ位考えていたのであろうか、恐らくは1秒にも満たない時間だとは思う。 何か言葉を吐き出す前に俺の体は自然と動いていた。スプーンにカレールーとじゃがいものかけらを乗せて、 そろそろと長門の口に運び込む。 理由はわからんが、心臓がフル回転でポンピングしているのを感じる。 スプーンは無事に長門の口に到着し、長門は閉じていた目を開きそのくりくりとした瞳で俺を見ている。 見つめられている俺はと言えば、閉じられた長門の口を凝視し、金縛りにでもなったのか身動き一つしていなかった。 「あー、有希ちゃんがいるー。ねえねえキョン君、どうして有希ちゃんがいるの?」 突然の妹の登場に、俺の心臓はそれまでの暴れっぷりから急転直下、活動を停止したね、0.1秒程。マジで。 「キョン君、有希ちゃんにあーんしてるよ、ハルにゃーん」 妹の背後、にこやかに笑うハルヒは何故か眉間に皺をよせている。器用な奴だな。 「て言うか、なんでお前がここにいる」 「あんた、有希を連れ込んで何してるのよ」 質問を質問で返すな。ただの味見だよ、そんなに騒ぐもんでもなかろうに。 「ふーん、味見ねぇ」 相変わらずにこやかに、それでいて俺を睨みながら近づいてくるハルヒ。俺、死ぬのかな。 「あーん」 はい? 何してんですかハルヒさん。死を覚悟した俺が見たものは、長門と同様に目を閉じ口をあけているハルヒ。 何かがおかしい。長門といいハルヒといい、俺をおちょくって楽しんでいるのか。 いささかネガティブな思考が頭をよぎったが、俺は長門の時と同じ様に、ごく自然に身体を動かしていた。 「ほれ」 口を閉じカレーを味わうハルヒ。さて、判定や如何にって感じだな。 「いいじゃない。妹ちゃんが褒めるだけはあるわ」 なんだそりゃ。俺の居ない所で何を吹聴しているんだ、わが妹よ。まあ、俺の料理を褒めてるってのは嬉しいがな。 「メインのカレーは準備オッケーね。あんたは食器とか用意しなさい」 すっかり場を仕切ってるが、お前は何しに来たんだ。 「……あんたにから揚げ作ってあげるわ」 少しばかり顔を背けて、口をとんがらせてハルヒは呟く。 「覚えててくれたのか、すまんな」 「ふん、借りを返さずにいるなんて、SOS団団長たるこのあたしにはありえない事よ」 ハルヒは俺に背を向け、調理に取り掛かる。俺は邪魔にならないよう、カレー皿を取り出し食卓へと向かった。 そこにはスプーンを手にし、待機している長門と妹がちんまりと座っていた。 そんなわけで食卓には俺作製のカレーと、ハルヒ謹製のから揚げ 長門の手によるキャベツの千切りが並んでいる。 「キョン君、おいしそうだね」 スプーンをぶんぶんと振る妹。こら、行儀が悪いぞ。 「えへへ、ごめんなさぁい」 俺は皿にご飯とカレーをよそって、タコさんウインナーを2匹乗せ、妹の前に置く。 同じ様に長門の分とハルヒの分を置き、最後に自分の皿を置く。準備完了だ。 「妹ちゃんと有希のはタコのウインナーだけど、あたしとあんたのは……これ何?」 「ああ、豚バラのブロックを薄めに切ったもんだ。薄めでも1cmはあるがな」 「へぇ、変わったもん使うのね」 角煮なんかに使う肉だが、カレーに入れてもうまい。脂身が多いから一緒に煮込まず、別に焼いてある。 脂がきついのは妹が苦手で、それでタコのウインナーが代わりと言うわけだ。 「少ない」 今度は長門か。それも言われるとは思ってたが、家のカレーは少量よそって、冷めないうちに完食するんだ。 大量によそうと最初はいいが食べ終わる頃には、ライスもカレーも冷めちまってあまりうまくないだろ。 でだ、熱々のうちに食べきれる量を何杯も食べるってわけだ。 「……納得した。おかわり」 「あたしもよ、キョン」 お前ら早いな、こりゃ気持ち多めにするか。言った事をいきなり翻すのも、どうかとは思うが調整は必要だもんな。 「タコさん」 長門、お前のには豚バラも入れといたからな。 「感謝する」 さて、俺もいただくとするか。ハルヒのから揚げからいこう、なんてったって出来たてを所望したのは俺だしな。 よく見ると2種類のから揚げのようだな。衣の厚い奴とそうでない奴だ。 「気が付いたわねキョン。あたし特製の2種のから揚げよ、たっぷりと味わいなさい」 では、さっそく。まずは衣の厚いほうからいこう。ざっくりとした衣の感触が歯から伝わってくる。 中のモモ肉はしっかりと下味が染み込み、さらに肉汁とタレが合わさった物が肉の間から溢れてくる。 「あっついな。でもこれはうまいぞ、ハルヒ」 「ふふん、ウチのお母さん直伝よ」 こんなうまいから揚げを伝授した、お前の母親に俺は感謝したい。 「次はそっちを食べてみなさいよ」 ハルヒの解説によると、最初に食べたのは水で解いた粉をたっぷり付けて揚げて、食感も楽しめる物だそうだ。 そして、今俺が箸でつまんでいるのは粉をまぶして揚げた方だ。 一口かじると、あっさりめのむね肉を使っているのがわかる。しかし舌に刺激を感じるぞ。 「それは花椒塩よ。これは中華風のから揚げなのよ」 なるほどねぇ。こっちは揚げてからさらに、熱した中華なべに放り込んで油を飛ばしつつ、花椒塩とやらをまぶす んだそうだ。この短時間でよくやるな、こいつは。 そんなわけで俺達が用意したカレーとから揚げは、きれいさっぱり食卓から姿を消した。 「ハルヒ、から揚げうまかったよ。ごちそうさん」 「何よ、あんたらしくないわね」 俺はうまいもんを食べて、素直に礼を言わないほど、ひねくれた人間じゃないと自負しているんだがな。 「そ、そう」 長門じゃあるまいし、お前こそらしくないな。そう思う俺の顔は多分にやけていたんだと思う。 「あんた、何で顔が緩んでるのよ。いやらしい」 人を変態みたいに言わんでくれ。誤解されたらどうするんだ。 「うるさい、バカキョン」 ハルヒは皿を持って、不機嫌そうにキッチンへ消えた。いったい何なんだあいつは。 ふとリビングに目をやると、長門が妹とゲームに興じている。なんだか楽しそうだな。 しかし、その楽しげな場に行くわけにもいくまい。そう、俺には片付けという仕事が残っているのだ。 俺がテーブルに残された食器を重ねて、キッチンへと向かうと何やら聞えてくる。 何かと思えば、ハルヒが食器を洗いながら鼻歌を歌っている。さっきの不機嫌さは何処に行ったんだよ。 「もう、やっと持ってきたわね。ここに置いて、洗うから」 「そういうわけにいくか。俺が洗うからいい」 ハルヒは俺の眼をじっと見て、くすくすと笑う。 「バカね。もう洗い始めちゃったんだからいいわよ。あんたはそっちの洗い終わったのを拭いてなさい」 と、これまた上機嫌で、水切りの…何て言うんだカゴだか何かを指差す。 俺と並んで食器を洗うハルヒ。やはり先程と違って何やら嬉しそうだ。 女心と何とやらって奴かねぇ。俺には何が何だかさっぱりだがな。 「キョンくーん。あたしと有希ちゃんお風呂入っちゃうね」 「おう」 ……長門と風呂だと? 今日は晩飯食べて終わりじゃなかったのか。 つづく コメント のんびり進行。この後何かあるかというと何も無いですけど。
https://w.atwiki.jp/hosyoku/pages/267.html
俺は人間からは魔獣と呼ばれる存在だ。 人間たちは俺たちのことを、野蛮で文化のかけらも無い存在だと 思ってるようだが、実はそんなことは無いんだぜ。 俺には友達だっているし、趣味のグルメだって楽しむ。 魔獣の生活は思っている以上に充実しているんだぜ。 そうそう、今日は虎獣人のやつに食事に招待されたんだ。 俺はいわゆる狼獣人と呼ばれる種族だな。 どうだい、種族が違えど俺たちは仲良くやっているんだぜ。 同種族で殺しあう人間がよくぞ俺たちのことを 野蛮などといっていられるもんだ。 まあそんなことはいいんだ。どうやら奴は今回は特別の ご馳走を用意してくれてるらしい。俺はわくわくしながら あえて3日飯を抜いてきたんだ。空腹は最大の調味料だというだろう? せっかく用意してくれたご馳走、美味しく食べなくちゃな。 ということで、俺は天気のいい月夜の晩、あいつの家にでかけたんだ。 虎のやつの家は気持ちのいい洞窟の中にある。 カビと泥の香りに包まれた、ところどころに白骨の散らばった なかなかおしゃれな家だ。 おおいたいた。相変わらず元気そうだ。こいつはグルメ仲間で いい食材があったらお互い分けたり美味しく食べる方法を 話し合ったりしてる。いい関係だ。 「おお、よく来たな。まあ座ってくれよ」 虎の家の食卓は洞窟の広い部屋にある、特別なホールだ。やはりこだわってるな。 ジビカリゴケで明るく、真ん中には大きな岩のテーブルが置いてある。 「わざわざ呼んでくれてありがとうな。ご馳走を分けてくれて嬉しいぜ」 「ご馳走は二人で食べてこそ美味しいだろう?お前がこの前もって着てくれた 火竜の尾もなかなかの珍味だった」 一つのご馳走をわざわざ呼んでまで分け合う。俺たち仲が良いだろう? だからこそいろんな美味しいものを味わうことができるんだ。協力って奴だね。 「早速だけど食事にしてくれよ。俺はもう3日飯を抜いているんでぺこぺこなんだ。」 「奇遇だな、俺もそうしてるんだ。早速つれてくるから待っててくれよ」 つれて来るということは、生きているというわけだ。やはり生きたまま食うのが 最高だね。 そう言って虎のやつが奥から連れてきたのは、ニンゲンの少女だった。 「あう… あう…」と言葉にならない声を上げながら涙目でおびえる姿、そそるねえ。 いいね。俺もニンゲンの肉は大好物だ。しかも女で子供となるとまさに最高級だ。 「どうだい美味そうだろ。貴族の馬車を襲ったときに捕まえたんだ」 そのニンゲンは貴族という奴なのだろう。よく手入れされた長い亜麻色の髪がさらさらと綺麗で、 労働をしていない手足がやわらかくすべすべなままだ。 そして一番の特徴は、まだ胸が膨らみかけるかどうかという歳に見えるのに、乳房はよく発達して 大人のニンゲンでもめったなことじゃ見ないだろうという肉付きになっている。 おそらく、虎の魔術で育てたのだろう。虎のやつは見た目と違い意外とそういう魔術の 使える変わったやつなのだ。 ご馳走をテーブルに正座させ、それを向かい合ってはさむ形で座る。 本当に美味そうな娘だ。ニンゲンの子供は美味いのだが食べるところが少ない。 せいぜい食べ応えのあるのは柔らかい尻肉だが、それでも満足とまでは行かない。 だからといってただ太らせたのでは味が落ちてしまうのだ。 だからこそ魔術で育てるというこの考えだったのだろう。 尻にもよく脂の乗った大人の女みたいにぷりっとしてるし、 メスの頭より大きくなった乳肉も十分にかぶりつけるほどの 大きさがある。おお、見ているだけで涎が零れてきた。 零れた涎が石のテーブルにぽたぽたと染みを作る。向かい側のあいつも同じのようだ。 その日は町に買い物に行く帰りの馬車。少女は街での買い物の帰りだった。 突然従者は殺され、馬車の扉はこじ開けられた。そこには2メートルを超える恐ろしい二本足の 虎がいた。魔獣がこの世に居ることは聞いていたけれど、まさかこんな街の近くで 襲われるなんて…! それも狙いは金品でもなく、その少女の体そのものであったのだ。 洞窟の奥に閉じ込められ、日に日に膨らんでいく自分の体を見て、少女は魔物の目的に 絶望し戦慄するしかなかったのだ。 そして今食卓に乗せられ、左右にはさんだ魔獣が自分を見て涎をたらしている。 その事実に足は固まり、体は震え、涙が溢れ声も言葉にならなかった。 「ひ、ひっく パ…パパに言えば お金とか なんでも用意してくれるから…」 「なんでもしますから…!え、えっぐお願いですこ、殺さないで 食べないで…」 「そうだなあ、お前が食料以上の価値が有るっていうんなら考えてやらなくもないぞ」 虎の奴が心にもないことを言う。いじわるなやつだとは思ったが余興も面白いな。 「そうだな、踊りを見せてみろ」 そう虎のやつが命令すると、ニンゲンはふるえる脚で食卓の上で踊りだす。 貴族の嗜みというやつなのか?胸は重そうだし裸だがその踊りには何処か上品ってやつだ。 だがそんなものを見たって面白くもなんともねえ。 「そんな上品に踊ったっておもしろくもねえ、オラっもっと腰を突き出せ!胸をゆらせ!」 そんな下品な踊りなど踊ったことないだろう、ニンゲンは無理やり 半泣きになりながらくねくねと動く。 上半身が激しく動く度、たっぷりとした乳肉が左右にプルンプルンと揺れ、 その肌のはりと肉の柔らかさを主張する。 脚を開いて動けばしみの無い綺麗な肌と むちむちとむしゃぶりつきたくなるような内ももを見せつける。 小さいながらも脂の乗った尻を鼻先で振りまわす。うひょお、齧り付きてえ。 なるほど、虎の奴、肉自身に食欲を煽らせるなんて面白い事を考えやがる。 もしかしたら自分の魔術の出来をアピールさせたかったのかもしれないが、 その効果はてきめんだ。俺も眺めているうちに思わず目の前で揺れる美味そうな肉に 涎がついついたれてきてしまった。 「座れ!」 虎の一声にびくっとすると、「ごめんなさい…ごめんなさい…」と小さい声でつぶやきながら へなへなと食卓の上に座る。 俺と虎のやつが同時に舌なめずりをする。言葉をかわさずとも、最初に食べるところは 決まったようだ。 俺は片手でその乳房を掴むと、改めて柔らかさを確認する。 程よい肌のハリに爪を立てたら気持ちよさそうだが、そこは我慢して口に咥える。 まだ牙は立てずにむしゃぶりつく。むちむちとした若い肌から、 激しく踊ったせいだろう、舌にわずかに汗の味がしみる。 俺の口は結構大きい方だと思っていたのだが、それでもこの乳は口に入り切らない。 乳の大きい、大人の人間の女も何回か食ったことがあるが、それでもここまでは大きくはなかった。 「あ…あ…あぅ…」人間がなにか喋ろうとするがもう言葉にならない。 目の前の同じ様に口に乳を含んだ虎のやつと目が合う。 にまあっとヤツの目が笑ったその時、俺たちは一緒に顎に力を込めた。 鋭い牙に柔らかい肉球が形を変え、限界まで潰れると、あっという間に牙の形に 肉はかじり取られた。 俺は乳首まわりを、虎のやつは横からかじりとっている。 ぐちゃぐちゃと音を立てながら口の中の肉を咀嚼する。 美味い。今まで食べたことのない旨さに正直驚いた。 これだけ肉付きのいい若い肉は魔術だからこそ出せる味だろう。 舌の上でとろける旨味脂が、空腹な胃に染み渡るととても幸せだ。 俺は夢中になって残りの乳肉にむしゃぶりつく。 目の前の虎も美味そうに、ぐちゃぐちゃと下品な音を立てながら、口を血と脂に まみれさせながら夢中でかじりついている。 悲鳴は聞こえたかは覚えていない。 大きな肉玉も、二人がかりで食ったもんだからあっという間になくなってしまった。 胸が平らになった人間の娘が泣きながら放心している。 胸骨まで見えているんだがあまり血を失ってるようには見えない。 これも虎の魔術だろうか。痛みも抑えているのかどうかはわからねえ。 「も、もうたべない…で…」 「そうだなあ、じゃあ尻をこっちに向けろ」 どう見てもそれは食ってくれと言わんばかりの行為だが、 今の人間の娘には逆らうという選択肢はない。 「は、はぃ…」 娘は四つん這いになると尻をこっちに向ける。 さすがに尻は人間の歳相応レベルと大差はないが、 それでもなかなか脂がのって肉々しい。 尻肉の真ん中にある性器もぷりっと膨らんでいて、 舌触りがよさそうだ。毛もなく、爪の先で柔らかい肉餅を広げると 内蔵のようなピンク色がなんとも食欲をそそる。 「これも半分ずつだぞ」 「わかってるって、」 このままでは食べにくいので、二人で足首を掴み 脚をひろげさせる。 あぁ~…などとニンゲンが声にならない叫びを上げる。 さすがに尻だとお互いの顔がくっついてしまうので、 先に虎の方から片方の尻にかぶりついた。ぷるんと震え綺麗な形をした肉が抉り取られる。 続いて俺も食いつく。柔らかいので 顎の力だけで食いちぎることができる。 咀嚼すると、先ほどの乳肉と違ってほどよい顎への抵抗がある。 程良くついた木目やかな筋肉が肉の旨味を出したと思えば たっぷりとジューシーな肉汁が口の中に広がる。 ああうめえ。こいつはたまらねえ旨さだ。 隣の虎はもう尻肉を堪能し終えたようで、脚を味わおうと根元から引き抜きにかかっていた。 「よう虎、お前は乳と尻どっちが美味かったよお」 「甲乙付けがたいぜ。どっちもいい旨さがある。だがこの洗練された乳房の脂肪の甘みと 肉の柔らかさはニンゲンのメスならではだな」 「そうか。俺はこの尻も素晴らしい。こんな丸くてでっぷりとした肉の形だなんて まるで俺達に食ってくれと言わんばかりだ。見た目の旨さも味も最高さ」 ぼきりと脚をもいだ虎が、フライドチキンにかぶり付くように太腿に牙を立てる。 「この脚も美味いぜ。むちむちと牙を押し返す食感がとてもいい」 むしゃりと虎が太腿から大きな肉の塊を食いちぎると、大腿骨が顕になった。 その頃にはニンゲンは生きているのか死んでいるのかはわからないが大人しくなっていた。 その後俺たちは脚の肉も平らげ、デザートに性器周りの肉も半分こして食べた。 下腹部のつるりとした肉はまるで刺身のように味わい深かったし、 まるで餅のような大陰唇の肉は舌の上で震えるような弾力があって、十分に舌触りを 楽しんでから楽しく噛み潰した。 ここらで俺達も満腹になったので、 残った上半身の肉と内蔵もろもろは明日食うことにする。 内蔵はまた違った旨みがあるから、今度は俺の魔術で料理してみるのもいいな。 「うまかったなあ虎よ。お前の魔術の使い方は最高だぜ。こんな肉を食える俺は幸せだ。」 「おお、またいろんな人間を捕まえてこようぜ。」 …翌日、狼のやつは魔術でニンゲンの残りを素晴らしい料理にしてくれた。 これがあるから狼のやつを呼ぶ価値があるってものだ。 二人で満足すると、再度の食事を約束し、狼は帰っていった。 「実はもう一匹捕まえてきてるんだがな…」 狼のやつには黙ってたが、ニンゲンのクルマにはもう一人美味そうな奴が乗っていた。 まだ毛も生えていないオスガキだ。あのメスガキと姉弟か双子かだったのだろうか。 狼奴はどういうわけか人間のオスの肉は嫌うんだ。 このオスもじっくりと魔術での改造を終わらせてある。 「雌獅子の奴がたしかオスガキが好物だとか言っていたな… あいつも確か面白い魔術を使えるらしい。こんどはヤツを食事に誘ってみるか」 次の食事会も楽しみだぜ。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1860.html
『アイドルのオシゴト』 人知らぬ森の中。 獣道を、1匹の胴有りゆっくりれみりゃが歩いていた。 「だっどぉーぅ♪ だっどぉーぅ♪」 希望に満ちた笑顔を浮かべる下膨れ顔。 リズムを刻んで元気よく振るふくよかな腕。 よたよただばだば歩みを進める足に、左右にフリフリ揺らす尻。 それらはいずれも、普通のれみりゃと比べておよそ1.5倍はふとましい。 中身のギッチリ詰まった重量級の体からは、 ステップを踏む度に黄色いガスが「ばぶーっ! ばぶーっ!」と漏れだしている。 「てぇれびだどぉ~♪ しゅ~やくだっどぉ~♪ うぁうぁ☆うっう~~♪」 このれみりゃは、駆けだしの"アイドル"だった。 今日は、これから初めての"てれび"の仕事に向かうところだ。 しかも、マネージャーによれば主役らしい。 御機嫌にならないはずがない。 「えびりゃってばぁ~☆かわいすぎてごめんねぇ~ん♪ だっどぉ~~ぅ♪」 下膨れた頬を抱えて、幸せを体現する、れみりゃ。 この実にゆっくりしたふとましい体、たっぷりした下膨れは、れみりゃの自慢だった。 自分をこんなに可愛くえれがんとに育ててくれた親達のことを思い出し、感傷にふけるれみりゃ。 最初、アイドルになりたいと言った時、親からは"おぜうさまらしくないどぉー! はしたないどぉー!"と猛反対を受けた。 だが、れみりゃは知っている……なんだかんだ言いつつも自分を支え応援してくれたことを。 今日てれびに出るとことをうーぱっくで伝えた時も、誰より喜んでくれたことを。 「こーまかんのまんまぁーたちも、きっとたのしみにしてるどぉー♪ えびりゃがんばるどぉー♪」 そんなれみりゃの後ろから、ゆっくりさくやが跳ねてくる。 このさくやは、れみりゃファンクラブ会長にしてマネージャーでもあった。 「さようですわ、おぜうさまぁー! ふぁいとですぅー!」 「うっふ~~ん♪ えびりゃにおまかせしてねぇ~~ん♪」 れみりゃは気合いを入れて、うぁうぁ☆ぐるぐる腕を振り回す。 ぶぅーぶぅー漏れるガスを効果音にして、栄光のロードを歩いていくれみりゃ。 そうこうしているうちに、れみりゃとさくやは現場の屋外スタジオに到着した。 そこには、既に他のスタッフ達が集まっていた。 「ゆゆっ! れみりゃがきたよ!」 「むきゅ~ん! れみぃーちゃんはいりましたぁ~!」 「ゆっくりおつかれさまだよ! きょうはよろしくおねがいしますだよ!」 れみりゃを囲み、挨拶するスタッフ達。 れいむ、ぱちゅりー、まりさ、ありすにちぇんにめーりんもいる。 現場に集まったスタッフ達もまた、全員ゆっくりであった。 どこから手に入れたのか、ゆっくり達はカメラや機材を揃えていた。 どれも旧式でアナログなものだったが、ゆっくり達は口を器用に使って、おぼつかないながらもそれらを使いこなしていた。 「ゆっ! それじゃさっそくほんばんはじめるよ!」 そう言って、カチンコを咥えるまりさ。 れみりゃは、カメラの正面、書き割りのセットへ上がり鼓動を高鳴らせる。 「うーうー♪ これできょうからえびりゃも"かりしゅま☆すたぁー"だどぉー♪」 「ゆぅ~~~い………あくしょん!」 カチン! まりさの咥えたカチンコが渇いた気持の良い音をたてた。 照明が舞台上のれみりゃにスポットしていき、ベータのビデオカメラが回りはじめる。 たくさんのゆっくりが緊張した面持ちを作る中、収録は開始された。 (まんまぁ~♪ しゃくやぁ~♪ えびりゃをみまもっててねぇ~ん♪) れみりゃは、カメラに向かって今日のために必死に練習した"のうさつ☆だんす"を踊り出す。 尻を突き出すように左右に振って、ぶぅーぶぅー生理現象の伴奏を奏でていく。 「うっうー♪ えびりゃのぷりてぃー☆ひっぷにぃー♪ め~ろめろ~になるんだどぉ~~♪」 照明の熱量は相当なものだ。 れみりゃは、額に肉汁を浮かべながらも渾身のダンスをおどりきる。 「えび☆りゃ☆う〜☆にっぱぁ~~♪」 決まった! 心の中で声を揃える、れみりゃとさくや。 しかし、他のスタッフ達から"カット"の声は聞こえない。 舞台上で頭上に「?」マークを浮かべる、れみりゃ。 その直後、スタッフの一人が口に咥えた紙をれみりゃに見せた。 そこには歪な平仮名で「あしすたんとの"ふーちゃん"せんたーへ」と書かれていた。 「うぁ?」 ふーちゃんとは誰のことなのか。 れみりゃが疑問に思っていると、上空からその横にゆっくりフランが降り立った。 「ぷぅー☆ゆっくりしね」 「う、うぁぁー! ふりゃんだどぉーー!?」 本番中であるにも関わらず、れみりゃは恐怖の叫びをあげる。 森で一人暮らしを始めてからというもの、れみりゃは何度もフランに虐められていた。 「う~~! でぃれくたぁー! じゃーまねぇー! ふりゃんやだどぉーー!!」 れみりゃは涙ぐみ、へなへなと腰から崩れ落ちてしまう。 しかし、そんなれみりゃと"ふーちゃん"ことゆっくりフランへ出されたカンペには、こう書かれていた。 "ちょうりすたーと" 「ぷぅー☆おりょうり☆おりょうりー」 「うっ!? な、なにするんだどぉー!?」 カンペを読むや否や、フランはれみりゃを押し倒し、その服と帽子を無理矢理剥ぎ取っていく。 「や、やべでぇー! やべるんだっどぉー!」 「ぷーぷー☆ぱっぽぉー♪ これきたないー☆おじゃま☆じゃまー」 「ぶ、ぶっぎゃぁぁぁーーー! えびりゃのだいじだいじがぁーーー!!?」 れみりゃは為す術無く、あっという間にドロワーズ1枚の姿にさせられてしまう。 「えびりゃは"せいじゅんは"あいどるなんだどぉー! ぬぐなんてきいてないどぉー!」 「ぷぅ~~~! うるさい~~~!」 フランは、びよ〜んびよ〜んとれみりゃの頬を左右に引っ張っていく。 そしてカメラの真正面にアップになるよう、れみりゃの体を持ち上げた。 「おもしろいかおー☆ぶさいくなかおー☆」 「うびぃーーーー! うびぃーーーーー!」 れみりゃの下膨れで楽しそうに遊ぶフラン。 その間に、スタッフ達がテキパキとセットを入れ替え、道具を搬入していく。 れみりゃとフランの前には、2つのプールと1つの巨大な鍋が並べられた。 プールの一つには生卵が、一つにはパン粉が、そして火にかけられた鍋には油が熱せられている。 やがて、フランは準備が整ったと見計って、れみりゃを生卵のプールに突き落とした。 「まずは~ひたひたにする~~☆」 「う~~~~~っ!」 フランは、起きあがろうとするれみりゃを無理矢理押し倒し、生卵まみれにしていく。 顔を押さえつけられ、危うく生卵のプールで溺れそうになる、れみりゃ。 「つぎは~こうやってまぶす~☆」 「うぁぁぁぁぁーーーー!」 次にフランは、れみりゃをパン粉のプールに投げ入れる。 頭からパン粉にダイブし、思い切り顔を打ってしまうれみりゃ。 「うぁぁぁーーー! えびりゃのびゅーてぃふぉーなおかおがぁぁぁーーー!!」 泣き叫ぶ、れみりゃ。 そんなれみりゃの声など素知らぬ風に、フランはテキパキ作業を進めていく。 生卵で濡れているれみりゃの体をパン粉のプールで転がしていき、パン粉の服を着せていく。 「さいごは~ゆっくりあげる~☆」 フランはにっこり微笑むと、息も絶え絶えでピクピクしているれみりゃを抱えて浮かび上がる。 そのまま熱々の鍋の上まで移動するフラン。 パチパチ跳ねる油の滴があたり、ハッとするれみりゃ。 呆然自失としながらも、恐怖でひきつった顔に精一杯のスマイルを浮かべる。 「……そ、そうだどぉー♪ これはどっきりなんだどぉー♪ えびりゃってば、うっかりだまされちゃったどぉ~~♪」 れみりゃは、ドッキリが終わる瞬間を心待ちにして、周囲へ視線を送る。 だが、スタッフはみな至って真剣に仕事をしており、マネージャーのさくやも熱い期待の視線をれみりゃに送っていた。 「う、うぁ?」 「ぷぅ~~☆くりゃえ~~☆」 れみりゃが観念するより早く、フランはれみりゃを油鍋の中へ叩き落とした。 ジュワジュワパチパチ、衣を纏ったれみりゃは揚げられていく。 「ざぐやぁぁぁーーー! だずげでぇぇーーー!! まんまぁぁーーーー!!!」 「きつねいろになったら~かんせい~☆」 フランは"れーばてぃん"と呼ばれる金属の棒を取り出すと、それで油の中のれみりゃを引き上げる。 引き上げられたれみりゃは、大事なおべべの代わりに、サクサク狐色の衣を着込んでいた。 フランは、ぐったりして気を失ったれみりゃを、スタッフが用意した大皿に乗せる。 山盛りのキャベツをベッドにして、れみりゃは無意識に嗚咽を漏らす。 「ぅ~~~っ……」 「ぷっぷ~☆ぷぁぷぁ~」 盛りつけられたれみりゃを見て、フランは楽しそうに歌を口ずさんだ。 「きょうのしゅやく~☆かりかり"えびふりゃー☆"かーんせぇー」 センターカメラに向かって、微笑むフラン。 その数秒後、まりさの「かっとぉー!」という叫びが響き、現場の緊張した空気はようやく弛緩するのだった……。 * * * 数日後、今日も適度に平穏な紅魔館。 そのパーティールームに、館の住人達とゲストが集まっていた。 「う~~! しゃくやぁ~はやくぅ~はやくぅ~! はじまっちゃうどぉ~~!」 「……ということです。さっさと準備してください」 居候のゆっくりれみりゃに急かされた咲夜は、ナイフを片手に持って河童に告げた。 ビクッと体を震わせて、目の前の四角い箱と格闘する河童。 しかし、河童の焦りとは裏腹に、四角い箱は何の反応も示さない。 その時、今日のために紅魔館を訪れた珍客……緑髪の巫女がしずしずと黒い箱の前に歩み出た。 「あの……ちょっといいですか?」 緑髪の巫女は、古めかしい四角い箱を見てから溜め息をつき、片手を思い切り振り上げる。 「こういう時はですね……えいっ!」 ベチンと、平手で箱を叩く巫女。 すると、周囲が唖然とする中、箱の前面に映像が映り始めた。 「うぁーうぁー♪ てれびじょんだどぉー♪ えれがんとなおぜうさまにふさわしいぃ~どぉ~♪」 興奮する、れみりゃ。 「さすが最近外の世界から来ただけはあるわね……」 「興味深いわね……どいういう仕組みなのかしら?」 初めて目にするテレビに、各々興味を示す一同。 やがて、テレビにはこの日の目的のプログラムが流れ始める。 「う~~どきどきわくわくだどぉ~~♪ あかちゃんのはれぶたいだどぉ~~♪」 れみりゃは、咲夜の膝の上に座り優しく抱かれながらテレビに釘付けになっている。 咲夜はといえば、興奮するれみりゃの頭ををなだめるように撫でながらも、鼻からはうっすら赤いものが垂れ始めている。 「あっ、はじまるみたいですよ!」 ノイズ混じりの画面に、森の片隅に組み立てられたセットらしきものが映し出される。 そうして、手ぶれならぬ口ぶれののひどい映像に、番組のタイトルが表示された。 "ゆっくり3分調理クッキング えびふりゃー編" 「うぁ~うぁ~☆しゅっごいどぉ~~♪ れみりゃのあかちゃ~ん☆かぁ~わいいどぉ~~♪」 目をキラキラ輝かせ、同時に溺愛するわが子の姿を見てうっすら涙さえ浮かべる、れみりゃ。 だが、3分後。 "れみりゃのぷりてぃーなあかぢゃんがぁぁーー!!" という絶叫を紅魔館に響かせて、れみりゃは泡を吹いて倒れてしまうのだった……。 * * * 「いだいぃーー! いだいどぉーーー! ざぐやぁーーー!!」 大木の根元の洞の中、敷き詰めた藁の上で、れみりゃが悶え苦しんでいる。 自慢のたっぷりふとましい体は全身火傷で、平時と比べてさらに3割増し水膨れていた。 「おぜうさましっかりしてくださいまし! あしたはしゅうろくのひですよ!」 「うっびぃーーー! もぉーやだぁどぉーーー! まんまぁーーえびりゃおうちがえりだいどぉぉーーー!!」 新人編・了 作者当ての時に途中まで書いたのを、勢いで最後まで。 細かい部分は後で修正するかもしれません。 いろいろ考えていることはあっても、 それを実行にうつせる時間が無いのが呪わしいですorz by ティガれみりゃの人
https://w.atwiki.jp/marcher/pages/268.html
←back …来るぞ。 獣化したジュンジュンが来るぞ。 パンダという愛らしい響きとは名ばかり。 黒と白。 陰と陽。 闇と光。 己の中の闇の獣性を白く輝く理性で抑えた大熊猫が襲ってくるぞ。 爪で切り裂かれ、牙で噛みつかれる。 早く戦闘態勢をとらなければと思うが、眼前の魔女は何の命令も下さない。 このままじゃやられちまう。 だが、しかし、それはそれでよいのではないか。 パンダの姿とはいえジュンジュンの素手で、ジュンジュンの口で己が体を責め苛まれるならばそれはそれでよいのではないか。 日本男子として生まれた本懐をここに遂げるのではないか。 よしっ、判ったジュンジュン。 おいで、優しくしてなんて言わないよ。 激しく責めておくれ。 そして、オジサンを食べて。 戦闘員のキモ過ぎる妄想は魔女の声で破られた。 「おい、お前どうしたんだ」 ジュンジュンの嗚咽が聞こえる。 「変われない。 獣化できない。お腹が空いたんだ。 このスーパーで夕食代わりに何か買って帰ろうと思ってたんだ。 それなにのお前らが」 クシュン、という可愛らしい音がした。 「あわわ、待ってろ。 今何か力が付くもの持って来てやるからな」 そう言い捨てると魔女はその場を後にしようとした。 だが何か思い出したのか、黒タイツの円陣に向かって声をかけた。 「判ってるとは思うが、テメーら絶対に振り返るんじゃないぞ。 もし振り返ったら…判ってるな。 アタシの拳は痛いぞ、とてつもなく痛いぞ。 それとお前、中国。 お前強いから大丈夫だとは思うけど、もしもこいつら三級戦闘員どもが変な真似をしたらアタシに言うんだ」 判ったな、と円陣の内外に声を駆けて足早に去っていく。 判ってはいる。 あの魔女の拳がとてつもなく判ってる。 リゾナンターとの戦いに敗れた八つ当たりで何回殴られたことか。 粛清に名を借りた私的制裁を何回喰らったことか。 判ってる、あの女の拳の痛さは身にしみて判ってる。 だが、しかしここで大人しく魔女の命令を守ってジュンジュンの裸身を人目に触れないように守り続けていていいのか。 俺は一体何の為に悪の組織に身を投じたのか。 いいのか、俺。 世の中の常識とかルールとか壊したいから悪の組織に入ったんじゃないのか、俺。 なのに今こうして組織の中の秩序を守らされて、そんなんでいいのか、俺。 あの時に抱いた志は何処に行ったんだ俺。 三級戦闘員ッたって、悪は悪。 見ちゃえよ。 魔女の言うことなんか無視して見ちゃえよ、俺。 わかるもんか、ちょっとぐらい。 どうせ黒タイツに紛れて誰が見たのか判りはしないんだ。 だから、見ちゃうよ、俺。 ジュンジュンの裸を見ちゃうよ、俺。 戦闘員の一人が悪魔の囁きに負け振り返ろうとした。 しかし次の瞬間、彼の心臓は止まった。 「フーン、アタシの命令を無視するなんてお前いい根性してるな」 魔女が立っていた。 バナナの房を抱えた魔女がそこに立っていた。 走ってきたのか、息を切らしている。 「いえ、あの、そのこれはですねえ。 命令を無視したのではなくてあの、その」 不埒な戦闘員は必死で弁解しようとするも、魔女の鉄拳制裁に恐れをなして、言葉にならなかった。 「…まあ、いい。 未遂に終わったから許してやる。 但し今回だけだけどな」 戦闘員に拳を食らわして、ジュンジュンが人目に触れることを防いでいる円陣が崩壊することを恐れたミティは穏便に済ませた。 そして、ほらよっとバナナをエンジンの中に投げ入れる。 「これで力つけてさっさと獣化しな。 そしてさっさと終わらせようぜ」 激励の言葉をかけたが、反応は返って来なかった。 「おい、どうしたんだ、おい。 中国、どうしたんだ」 「中国言うな」 ジュンジュンの声が漸く聞こえた。 「お前の気持ちはありがたい。 本当に嬉しい。 でも…」 「でも、何だ。 言ってみろ。 お姉さんに言ってみろ」 口ごもったジュンジュンにその先を促がした。 「ジュンジュン、バナナはそんなに好きじゃない」 「えぇぇぇっ」 予想だにしなかった言葉にミティが驚きの声を漏らす。 「いや、好きじゃないというのは違うな。 確かに前はとっても好きだったし。 いっぺんに七本ぐらい平気で食べてたし。 今でも好きダ。 でもそこまでバナナ、バナナっていうほど好きじゃない」 真実を吐露するジュンジュンに悪の天才科学者が賛同の意を示す。 「そうよねえ。 一度パブリックイメージが付いちゃうと中々そこから抜け出せないのよねえ。 私だって、そんなにお芋、お芋ってがっついてるわけじゃないし」 「お前は芋掘りでもしとけ」 訳知り顔の科学者を一喝した魔女は、ジュンジュンに尋ねた。 「なら、お前今何が一番食いたいんだ。 何食えば獣化できるんだ」 「いや、折角お前が買ってきてくれたんだ。 何とかこれを喰って頑張ってみるダ」 ミティの好意を無にしまいと、皮をむいたバナナを口に入れていくジュンジュンだったが、あまり食は進まないようだ。 「老婆心ながら、科学的見地から意見を言わせて貰おうか」 白衣のポケットに右手を突っ込み、出来る女を気取ったマルシェが話し始めた。 「確かに美貴ちゃんが持ってきたバナナ。 これには吸収されやすくエネルギー源になるブドウ糖が含まれている。 だからエネルギー源の補給としては申し分ない。 だけど今ジュンジュンが獣化できないのはむしろ動物性たんぱく質が足りていないからじゃないかな」 「動物性たんぱく質って肉のことか」 訝しげな表情で問い返すミティに頷きながら、マルシェは続ける。 「人間の姿のジュンジュンとパンダ態のジュンジュン。 この二つは同一のものだ。 なのに容積は明らかに違う。 これはパンダ態のジュンジュンが人間の姿に戻る際に、その筋肉や骨格を凝縮してるからだと思うんだ。 だけど… 」 「要するに、今ジュンジュンに獣化させるのに一番良い食い物は肉だってことだな」 長々と学術的な講釈を聞かされては大変だとばかりに結論を求めるミティ。 自分の見せ場を奪われたマルシェは不満そうな様子だ。 「ああ、だけどこれはあくまで一つの仮説であって…」 「ちょーお前とお前とお前、アタシについて来い」 ジュンジュンを囲む戦闘員の人垣の中で分厚い部分から三人ばかりを抜き出した。 そして彼らを誘って店内のある場所に向かった。 そこは冷凍食品売り場だった。 肉売り場に直行することも考えた魔女だったが、敢えて冷凍食品売り場に向かったのは、セコいからではない。 …やっぱりあった。 冷凍食品売り場にはワゴンが並べられ、その上に置かれたホットプレートの上では試食用に様々な冷凍食品が調理されていた。 …生肉食わすわけにはいかねえしな。 それに腹を膨らますには冷凍食品で十分だ。 ホットプレートで調理してるパートの女性に向かってミティは言った。 「この棚の商品はアタシが貰ったよ」 恰幅のいいパートの女性は、突然の成り行きに戸惑いながらも、毎度ありがとうございますと言った。 営業スマイルも欠かさない。 ミティはというと山盛りになったカートをレジまで運ぶよう戦闘員二名に命じた。 支払い用にゴールドカードを手渡す。 レジを通したらこっちまで戻って来るんだと念を押しながら。 そして、試食担当のパート社員に確認した。 「今そこに置いてある開けかけのパッケージ。 それは試食用だな」 ワゴンの上には解凍用のレンジや湯を張った容器に混じって、様々な商品が置いてあった。 パートの女性が、ええと頷くと間髪入れずに言った。 「あれだけの商品を買ったんだ。 そいつもアタシが貰うぜ。 それとさっきの商品もこっちで焼かせてもらうから」 言うなり開きかけのデミグラスハンバーグやサイコロステーキをホットプレートの上にぶちまけようとした。 しかしそれを阻むものがあった。 それは怒りに打ち震えたパートの女性の腕だった。 「ちょっと、お客様。 勝手な真似をされては困ります」 客に対する礼儀をわきまえながらも、無法は絶対に許さないという強い意志を覗かせていた。 「いいじゃんかよ。 いっぺんにあれだけの商品を買ってやったんだからケチケチすんなよ」 「それはまことにありがとうございます。 でも困るんです」 「それはレジを通したモノをもう一度店内に持ち込んで焼くのはマズイかもしんない。 でも腹を空かせて動けないヤツがいるんだ」 「それも確かに困りますが、ちゃんとレジを通していただいたのなら目を瞑ってここをお貸しします。 私が言ってるのは今あなたがなさろうとしていることでございます」 「なさろうって、アタシはただ肉を焼こうとしてるだけじゃないかよ」 融通の利かないババア!!という思いを視線に込めて視殺しようとしたミティだったが、そこは海千山千のパートのオバハン。 全く動じることがなかった。 「よく見てください。 そのホットプレート。 商品ごとに使うものが決まってるんですよ」 確かに何台かのワゴンの上には全部で三つのホットプレートが載せられていた。 よく見ると鉄板の形状も平坦なものや、溝つきのものがある。 その上で調理されている商品も違うようだった。 「いいじゃんか、そんなに細かいこと言わなくたってよぉ。 どうせ肉なんて焼いて食っちゃえば同じヒィィィィ」 気がつけばパートの女性の掌がミティの頬を打っていた。 「な、何すんだ、オバハヒィィィ」 「何すんだって? それは私のセリフだよ。 あんた、一体何て言った」 「だから肉なんて焼いて食っちゃえば同じヒィィィィ」 「それは違う。 あんたとんでもない思い違いをしてるよ」 怒りのあまり語気を乱しながら、それでも懸命に冷静さを取り戻そうと努めている。 そして深く息を吸い込むと話し始めた。 「あんたそもそも牛や豚や鶏は人間に食べられる為に生まれてきたと思ってるんじゃないか」 いえ、流石にそこまではと反論しようとしたミティだったが、女性の腕がビクっと動いたのを見て反射的に黙ってしまった。 「それは確かに食肉用の家畜として育てられている動物が私たちの口に入る。 それは事実だよ。 でもね、そうして育てられている牛や豚や鶏が自分たちは人間に食べられるのが一番の幸せだなんて思ってると思ってるのかい、あんた」 「ええとですね、それはやっぱり」 慎重に言葉を選んで返事しようとしたミティの気持ちを知ってか知らずか、パートの女性は話し出した。 「それは私だって牛や豚としゃべれなんかしない。 だから牛たちの本当の気持ちなんかわからないよ」 だったら長々と言うなよ、オバハンと知らず知らずのうちに呟いていたようだ。 女性の顔が再び険しくなっている。 ミティは慌てた。 「そうでしょうとも、そうでしょうとも」 女性の機嫌をとろうと無意識の内に揉み手まで始めている。 気を良くしたのか女性は話を続ける。 「でもね、肉牛だって生き物なんだ。 養鶏場の鶏だって生き物なんだ。 みんな生きたいって思ってる筈なんだ。 いや家畜たちはそんなことは思ってはいないかもしれない。 ただ生存本能に従って生きているだけなのかもしれない。 そんな動物たちを食べて私たちは生きている。 私たちは動物の命を頂いて生きてるんだ。 罪深いことにね。 だったら私たちは出来るだけ無駄なく命を頂かなくてはいけないんだ。 できるだけ美味しくいただかなきゃいけないんだ」 これは拷問だ。 早く解放されたいと思っていたミティは、そうだろうと同意を求めるパートの女性に頷いていた。 「ええ、そうですね」 「だったらこのホットプレートをご覧。 ハンバーグみたいにソースを素材に浸み込ませるのが目的のもの。 サイコロステーキのように肉の香りを出切るだけそのまま生かしたいもの。 その商品ごとに使い分けてるんだ、それをアンタは…」 「すいません、すいません」 ここは取り合えず頭を下げといたほうが勝ちだ。 そんなミティを見つめながらパートの女性は頭に乗せていた紙製のキャップを外し、エプロンの紐を解いた。 ??狐につままれたような思いで女性を見つめるミティ。 女性は寂しげに笑うと話し出した。 その声は先ほどまでとは違って、消え入りそうなぐらいにか細かった。 「…でもあんたたちジャンクフード世代にはこんなオバサンの考えは古すぎるよね」 慌てて首を振るミティの手を自分の手で包みながら話しかける。 「頬をぶってゴメンよ。 お客様に手を上げるなんて販売員失格だね。 でも、私の言ったこと覚えていてくれると嬉しいな。 そしていつかあんたが結婚して旦那さんの為に、子どもさんの為に料理を作るときに思い出しておくれ」 言い終わると背を向けて去ろうとする。 「ちょっと、ちょっと何処へ行くのさ」 「老兵は死なず、ただ去り行くのみってね。 そのホットプレートはあんたに譲るよ。 あんたの好きなように使いな」 「悪かった。 アタシが悪かった。 だから考え直してくれ。 去るとかそんな寂しいことは言わないでくれ」 気がつけば周りの目も気にせず、床に膝をつき土下座をしていた。 「でも、私はあんたを殴ってしまった。 お客様に手を上げてしまった。 そんな私がこのまま」 「有りがたかったよ。 まるで母ちゃんや祖母ちゃんに説教されてるみたいで、身に染みたよ。 だから止めるなんて言わないでくれったら」 ミティの懇願を聞いた女性はニコっと笑った。 その口には金歯が光っていた。 そして紙のキャップとエプロンを付け直すと、服の袖を捲り上げて気合を入れた。 女性の二の腕は、ミティの胴体と同じくらいの太さだった。 「何を焼けばいいんだい。 オバさんが腕によりをかけて焼いてやるよ」 数十分後、調理されたハンバーグやサイコロステーキで満たされたトレイを持ったミティの姿があった。 商品の解凍や調理を手伝った為に、自慢の漆黒のドレスは湯せん用の湯や肉汁で濡れていたが、そんなことは気にもならなかった。 あいつら、マルシェやジュンジュン、戦闘員どもは何処に行ったんだ。 彼らが待っているはずの場所には誰もいなかったのだ。 まさか、帰っちまったってことは無いだろうが。 そう思いながらそれなりに広い店内を探索したミティは見覚えのある黒タイツの集団を見つけた。 奴等は弁当や寿司の販売コーナーの前に群がっていた。 カッとなったミティは罵声を浴びせながら、そちらに向かった。 「テメーら、勝手に姿を消しやがってどういう了見だ、一体。 マルシェや中国はどこに行った」 戦闘員は黙ってある方向を指差した。 弁当コーナーの奥には厨房があって、ガラス越しに見えるような構造になっている。 その厨房の中にジュンジュンとマルシェがいた。 何やら楽しげに話している。 あいつら、人が散々…。 腹立たしく思いながら厨房への入り口を探したミティは金属製で観音開きのドアを蹴り開けた。 !!そこには肉の壁が立っていた。 「お、お前は一体」 「お客様、困りますね。 厨房への立ち入りは禁止させていただいてるんですが」 調理用の白衣を身に着けた男が目の前に立ちはだかっていた。 その横幅はミティの視界の半ばを隠すぐらいに広かった。 要するにデブっていた。 「中にアタシの連れがいるんだ。 だから行かせろよ」 腕がトレイで塞がっていなければ、こんなうすらデブ吹っ飛ばしてやるんだけどな。 先刻からの受難の数々がミティの視線を狂犬のそれにしていた。 しかし、当の白衣の男はといえば、勇敢なのか鈍感なのか、ミティの要求を鼻で笑った。 「ああ、あの人たちね。 マルシェさんはフランス人。 ジュンジュンさんは中国の方。 詳しい事情は知らないが、当店の厨房を見学されたいとおっしゃってね。 二人とも礼儀をわきまえた人だよ」 あんたみたいなアバズレとは違ってなという侮蔑を言外に滲ませている。 「だ~か~ら、アタシはあの二人に用があるんだって。 だから行かせろよ」 このアタシに何度同じこと言わせるんだ。 声も険しいものになっている。 「この厨房に入るには衛生管理の為に従ってもらわなければならない規則があるんだ」 男が指差した壁を見ると、そこには手洗いから始まって、異物混入防止用の粘着ローラーの使用や靴の履き替えなど様々な事項が並んでい た。 「マルシェさんは最初から白衣を持参してこられたし、ジュンジュンさんには見学者用の使い捨てのコートを着てもらっている。 二人の頭には髪の毛混入帽子の為のヘアキャップまで付けてもらった。 厨房に入るにはそこまでしてもらわなきゃね」 理不尽な怒りがミティを侵し始めていた。 しかしそれでも必死に堪えて、男に言った。 「だったら、ヘアキャップと見学者用のコートを出せよ。 着てやるから」 このア・タ・シ・がな!! 「それが生憎と見学者用のコートの在庫は切れちゃっていてね」 ブチッと何かが切れる音がした。 「最後に確認しておく。 このアタシをどうあっても厨房の中へは行かせないっていうんだな」 「くどいな、あんたも。 例え誰でも衛生規則は守ってもらう。 いやっ」 男の様子が少しだけ変わった。 「いやっ、一人だけ例外がいるな。 そんなことは有り得ないけど、もしあんたがまゆゆだったらノーチェックで厨房に入ってもいいよ。 だって、だって、まゆゆは人間じゃなくてCGなんだから。 あのカワイさ現実なんかじゃありえな~~い」 ミティの右足が躍った。 後頭部を刈られた男はそのまま前のめりに倒れた。 腹がクッションになって幸いにも頭が床に直撃するという事態は避けられた。 「地下に戻りやがれ、このアケカスヲタが!!」 失神した男に吐き捨てると、厨房のへの二重扉を蹴破ろうとした。 しかしその努力は空振りに終わった。 扉が向こうから勢いよく開かれたからだ。 「おわっ」 飛びずさって扉の直撃は避けたものの、手にしたトレイからダメ押しとばかりに肉汁を浴びてしまった。 怒る気力もなく扉を開いた方を見やると、そこにはやがりというべきか満面の笑みを浮かべたマルシェがいた。 「オメーな・・」 力なく話しかけるミティに対して、マルシェは上機嫌そのものだった。 「美貴ちゃん、遅かったねえ。 一体何処へ行っていたのさ」 「そういうお前こそ…」 「あんまり美貴ちゃんが戻ってこないから、ジュンジュンに餃子の包み方を教わっちゃったよ」 「へっ」 あまりのことに気が抜けてしまったミティが二重扉のガラス窓越しに厨房の中を眺めたら、餃子を並べているジュンジュンの姿が目に入った。 「いやあ、流石にジュンジュンは本場仕込みだねえ。 手際が違うねえ。 たかが餃子つくりとはいえ奥が深いねえ」 そんな言葉を口にしながら、マルシェの手は餃子の餡を皮で包む作業を再現している。 「有意義な時間だった。 この餃子の包み作業を機械でどこまで再現できるか。 これは実にやりがいのある研究テーマだねえ」 「お前、ジュンジュンの毛皮でもふもふはどうな…」 「ああそういえばそんなことも言ったっけね。 でも残念ながら新しい研究テーマが出来たことだし、暫くは研究室に泊り込みだから」 だから、もふもふはお預けだね、と言いながら足早にマルシェは去っていった。 少しでも早く研究室に戻りたいようだ。 「どうすんだよ。 こんなに焼いちまったのによ」 頼りない足取りで厨房に入っミティにジュンジュンは優しく微笑んだ。 「悪かったな。 でも早く餃子を作ってリゾナントに持って行ってやりたかったから。 ところで私たち…」 戦うのか、というジュンジュンの言葉にミティは力なく首を振った。 「とてもじゃないが、そんな気にはなれないし。 こっちの方こそ悪かったな。 足止めしちゃってよ」 「いや、リゾナントの皆とは違うけど、騒がしくてたのしかったぞ」 「…ならいいんだけど、な」 力なく調理済みの冷凍食品が山積みのトレイを調理台に置いた。 「それ、そんなにどうしたんダ」 「まあ、色々とあってな」 と言いながらジュンジュンの前に押しやる。 「良けりゃこれ持って帰るか」 「ありがたい、でも餃子も調子に乗ってたくさん作ったしこんなには持って帰れないな」 ああ…と力なく呟くミティを見ながらジュンジュンは言った。 「私にいい考えがある。 こんな時はわけわけするんだ」 そう言いながら菜箸を使って、ハンバーグや唐揚げ、サイコロステーキに餃子を器用に取り分けていく。 「私の餃子は美味しい。 自分で言うのもなんだけどな。 でもリゾナントには肉好きがそろってる。 餃子ばかりでも飽きられる。 だからこの料理みんな喜ぶと思う」 ありがとう、と言いながら持参のタッパーに取り分けた料理を入れるとその一つをミティに差し出した。 「ほら、フライパンぐらいあるんだろ。 少しぐらい焦げたって上手いぞ」 「えっ」 ジュンジュンの好意に驚いてしまった。 「でも不思議だな」 帰り支度を整えながらジュンジュンは話しかける。 「わたし日本に来たばかりのころ、だれかと何かを分けたりだれかに何かをおくったりすることなんて頭になかった。 自分のものは自分のもの。 そう思ってた。 だからバナナとか、ペットボトルとかリゾナントの冷蔵庫に入れさせてもらう時自分の名前を書いてた」 恥ずかしげな笑みを浮かべている。 「ある日冷蔵庫に入れてたわたしのバナナが無くなったことがあったんだ。 許せなかった。 人のものを盗むなんて泥棒だ。 そんなやつは仲間じゃないと思った。 でもわたし違ってた。 わたしのバナナを盗ったのは光井さんだった。 でもそれはわたしの誕生日にバナナケーキを作ってくれるためだったんだ。 手作りのケーキなんて初めてプレゼントに貰ったよ。 とても美味しかったし嬉しかった。 そのときからわたし少しずつ変わってった」 「おい…」 ジュンジュンの思いがけない独白は魔女を戸惑わせてしまう。 これ以上聞いてはいけないんじゃないかと。 「うれしいな。 だれかに何かをあげるの。 その人が笑ってくれるのがとても幸せなんだ。私の作った餃子を美味しいと言ってくれる。 とても幸せだ。 8つの笑顔は何よりも大切な宝物。 いや、知らない間に笑ってる私の顔も入れたら9つの宝物」 荷物をまとめたジュンジュンはミティに頭を下げた。 「だから今日もこんな風にわけわけできたの、ジュンジュンとても幸せダ」 「なあ、おい」 厨房を後にしようとするジュンジュンを呼び止めた。 「悪の組織の人間がこんなことを言うのはおかしいが…」 言葉が続かない。 ジュンジュンは黙ってミティの口元を見つめる。 これ以上足止めするわけにはいかない。 言葉を振り絞る。 「氷の魔女と呼ばれたアタシが言えた義理じゃないけど、良いお年を」 ジュンジュンの顔がほころんだ。 「ああ、あんたもな」 ジュンジュンは去っていった。 どっと疲れが来たミティは近くにあったパイプ椅子に腰を下ろした。 何か疲れたねえ、一人たそがれているとガヤガヤと騒がしい声がする。 「イ、イィィー(ミティ様、第二弾焼けました)」 「イィィー(第三弾も間もなく)」 あちゃー、思わず額を押さえてしまった。 大量に買い占めた冷凍食品を一度に調理することは出来なかったのだ。 だからとりあえず第一弾を自分が持ってきて、後は追々戦闘員たちに持ってくるよう命じていたのだった。 今更返品するってわけにはいかないしねえ。 人のよさそうな販売員のオバハンの顔が思い浮かぶ。 「そいつは持って帰ってお前らが食っていい。 ここにジュンジュンの手作りの餃子もある」 冷酷な魔女から飛び出した予想外な言葉に驚いたのか戦闘員たちが固まってしまっている。 え、ここ感激するところじゃないの。 何この戦闘員たちバカなの。 テメーらという罵声が口をつきそうになるが、今しがたジュンジュンの言ったことを思い出した。 「アタシのおごりだ。 ビールも買ってけや。 しけたアジトでしけた顔ぶれで新年会としゃれ込もうや」 但し、ビールは最初の一本だけで後は発泡酒な、という魔女の念押しは戦闘員の歓声にかき消された。 「イーーーッ!!(ミティ様万歳!!)」 「キィィーーッ(ミティ様に幸あれ)」 「イィィーー!(ミティ様は巨乳!)」 口々に囃し立てて料理を掲げて去っていった。 ミティはというと一人寒々とした厨房に残っている。 なあジュンジュン、いや李純さんよお。 テメーの言ったことはとんだ嘘っぱちじゃねえか。 あいつらにくれてやったって、アタシ何にも嬉しくないんですけど。 そう呟くミティの顔には何ともいえない笑みが浮かんでいた。 まあこれにて一件落着ってことで、と厨房を後にしようとしたミティだが、足元を何かにすくわれてつんのめってしまった。 転倒は避けたものの、カッとしたミティの目の先には肉の塊りがいた。 「許せな~い。 何であんなにカワイイまゆゆが5位なんだ。 大手プロダクションの陰謀だ。 許せない」 ミティに衛生管理を説いた白衣の男がそこにいた。 手には異物混入防止用の粘着ローラーを手にしていた。 「オメー」 噛み付こうとしたミティだったが、男の只ならぬ様子に言葉を失ってしまった。 そんなミティに男が迫る。 粘着ローラーを手に男が迫る。 「許せないんだ。 衛生管理の規則を破っていけないんだ」 ブヨブヨに膨れあがった身体だ。 「この粘着ローラーでコロコロしなくちゃいけないんだ」 戦えば勝つことは判りきっている。 「コロコロするのは僕の役目なんだよ」 でもアタシの腹の底から湧きあがってくるもの、それは 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 何年ぶりか、あるいは生まれて初めての悲鳴を上げたミティが過去最大の危機をどうやって逃れたかはまた別の話だ。 戦闘員に預けたゴールドカードで散在をされてしまったミティがその支払い金額に目を剥いたのは少し後の話になる。