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キズナのキセキ ACT1-14「謝ることさえ許されない」 ■ また。 また視界に映るすべてのものが灰色に見える。 わたしの目の前には、大きな鉄の扉。 人間の大人が一人で開けるのも大変そうな、重い扉。 その一番上にランプが赤く光っていて、それだけがわたしの目に色づいて見える。 ランプは文字を表示している。 『手術中』 ……マスターはさっき、この扉の奥へ連れ込まれた。 港の倉庫街での一戦の後。 すぐに救急車が呼ばれた。 大城さんがマスターについて救急車に乗ってくれて、わたしを病院まで一緒に連れて来てくれた。 病院に着いて、お医者様の診察を受け、間をおかずに手術することになった。 当然だった。 救急車の中でうつぶせにされたマスターの、傷ついた背中。そして左手。 わたしが見たって、普通じゃない傷つき方。 救急隊員の人たちが言ってた。 命に関わる、って。 すぐに治療が必要だ、って。 マスターとわたしたちが乗った救急車は、大きな総合病院にやってきた。 到着してすぐ、マスターは準備された手術室に入り、わたしたちは閉め出された。 この分厚い扉の向こう。 マスターが今どんな様子なのか、わたしには知る由もない。 わたしは力なく、そびえ立つ鉄の扉に触れる。 わたしはレッグパーツを装着したままで、左の足首は壊れたまま。 レッグパーツを治してくれる手は……マスターの手は傷ついていて……もしかして、もう治すことはかなわなかも知れない。 「……いや……」 それどころか、この鉄の扉の向こうから、マスターが無事に戻ってこないことだって……あるかも知れない。 だって、命に関わるって、言っていた。 そうしたら、どうなってしまうだろう? わたしはもうマスターの声を聞くことも、あの大好きな笑顔を見ることも出来ないままで。 ただ電池切れの時を待つだけ? それとも誰か他のマスターの神姫になってしまう? あるいはまたお店に戻されてしまう? いずれにしても、もうマスターに会えないのだとしたら。 「……いやです……マスター……」 わたしにとって、マスターは『世界』そのものだった。 マスターがいてくれたから、世界に色が付いた。 マスターがいてくれたから、絆を紡ぐことができた。 マスターがいてくれたから、わたしは……幸せだった。 その幸せを手放さなくてはならない。 不意に、その想像がリアルに胸に迫った。 灰色に染まった視界の影が濃くなったように思える。 心が何かに掴まれて、ぎゅっと握られたように、苦しく、痛い。 マスターがいなくなる。わたしにとって、この上ない恐怖だった。 「いやだあああぁぁ……!」 なぜあのとき、わたしは動かなかったの。 ストラーフの爪を、この身体が裂かれても、止めればよかった。 マグダレーナのミサイルを、脚が砕けても、身を呈して防げばよかった。 そうすれば、マスターが傷つくこともなかったのに! でも、そんな風に思ってももう遅い。マスターは大けがを負い、わたしはこうして不安に泣き叫ぶことしかできないでいる。 ◆ 「なんでこんなことになっちまうんだよ……」 泣き崩れるティアの肩を抱きながら、虎実は悔しげに呟く。 虎実には何も出来なかった。 現場に着いたときには、すべて終わっていたのだ。 虎実が見たのは、遠野がゆっくりと倒れるところだった。 その後、救急車が来るまでの間、半狂乱になったティアを抱きとめていた。 救急車の中で、遠野の胸ポケットにミスティがいることに気付いたのも虎実だった。 ミスティはずっと、電池切れのように眠ったまま動かなかった。ミスティが意識を取り戻したのは、遠野が手術室に入った後のことだ。 虎実は無力感に苛まれる。 ティアもミスティも、一番の友達であり、ライバルだと思っていた。 その友人たちが大ピンチの時に、虎実は何もしてやれなかった。 いま泣き続けるティアの肩を抱いているだけが精一杯。 もう、彼女の涙なんて見たくないというのに。 なんでティアはまた泣かなくてはならないのか。 「なんで、アタシは……こんなに役立たずなんだよ……!」 肝心なときに、いつも、何の役にも立てない。虎実にはそれが泣きたくなるほど悔しかった。 ティアの肩を抱きながら、唇を噛みしめる。 そんな虎実とティアを見て、ミスティもまた無力感に苛まれる。 貴樹の左手のケガは、ミスティに原因がある。 貴樹の胸ポケットにミスティがいなければ、貴樹自身が狙われることもなかったのだ。 親友であるティアにとって、マスターの貴樹がどんなに大切か、どんなに依存しているのか、よく知っている。 だからこそ、自分のせいで貴樹が傷ついたことに、責任を深く感じていた。 しかも、そのケガは、自分のマスターが別の神姫に命じて負わせた……いや、正確には、ミスティを破壊しようと攻撃してきたのだ。 神姫が自らのマスターに命を狙われる。 その事実はあまりにも悲しい。 自らの深い悲しみと重い責任の板挟みになり、ミスティは寄り添うティアと虎実を見ながら立ち尽くす。 「……ナナコ……どうすればいいっていうのよぉ……」 いつも自信たっぷりなミスティの、それは初めて口にした泣き言だった。 ◆ 悲嘆にくれる神姫たちを、大城大介は直視できずにいた。 ティアの泣き声、虎実の呟き、ミスティの嘆き。それらに耳をふさぐこともできず、ただ、手術室前の簡素なソファに腰掛けてうつむき、ただただ、手術が終わるのを待つしかなかった。 あのとき、パトカーを引き連れてきた大城は、予定の時間を大幅に超過していた。 理由は単純で、警察の説得に難儀したのである。 大城は、やんちゃはやめたと嘯いてはいるが、見た目はまったくヤンキーと変わらない。 時間を見計らい、近所の警察署のMMS犯罪担当のところにタレコミに行ったはいいが、逆に裏バトルの主催とのつながりを疑われ、弁明に時間を費やした。 なんとか警察を説得して、パトカーを出してもらったときには、すでに遠野との約束の時間をオーバーしていた。 現地に着くまで、遠野たちが無茶をしていないか心配していた。 心配は的中し、大城の予想を超える事態になっていた。 大急ぎで救急車を呼び、ティアとミスティを回収、遠野について救急車に乗り、病院へ向かう。 茫然自失になっている菜々子も心配ではあったが、そちらは彼女の祖母がいたので、全面的に任せることにした。 彼女たちは警察に連れて行かれたらしい。 病院に着くと、遠野はすぐに救急治療室に運ばれ、そしてすぐさま手術室に移された。 そして今、大城は手術室の前で、まんじりともせずに待っているというわけだった。 あのとき、一体何があったのか。 その場に居合わせた人物たちも神姫たちも、語る状況にない。 だから彼は、自分で見た状況で判断するしかなかった。 大城は大きな疑問を抱いている。 いくらリアルバトルだからといって、遠野が瀕死の重傷を負うなんて、おかしくはないか? バトルロンドは確かに面白くて奥深く、真剣に遊ぶゲームだ。 だが、所詮ゲームなのだ。 なぜそこにマスターの命のやりとりが加わってくるのか。 大城はどうしても納得できない。 (遠野が死んじまったら……俺は菜々子ちゃんを許せないかもしんねぇ……) 最後にはそんなところまで、考えが行き着いてしまう。 大城は暗い瞳のまま、悶々と考えを巡らせ続けていた。 そこに、足音が一つ聞こえてきた。 規則正しい靴音は、迷わず真っ直ぐに、この行き止まりの手術室前へと向かっている。 足音が大城のすぐそばで止まった。 うつむいた大城の視界に黒い革靴が目に入った。ビジネス向けの革靴とスラックスの裾。大人の男と思われるが、今こんなところに現れる人物に心当たりがない。 大城はゆっくりと顔を上げる。 暗い目で無愛想な表情をした大城は、さぞかしおっかない顔をしていたであろう。 しかし、その男性は少し眉をひそめただけだった。 「貴樹の友人にしては珍しいタイプのようだが……君は貴樹の友達かね?」 「……え?……ああ、奴とはマブダチだけどよ……あんたは?」 初対面の相手に随分と失礼な物言いだ。大城の返事も、ついぞんざいな口調になる。 スーツをきっちり着こなした、大人の男だった。年の頃は四○歳を越えているだろうか。ここにいるにはあまりに場違いな人物のように、大城には思えた。 いぶかしげな大城の視線を受け流し、男性は短く答えた。 「父親だ」 その答えに、大城は世にも間抜けな表情を返してしまった。 ◆ 倉庫街のリアルバトルから一晩が明け、昼近くなってようやく解放された。 久住菜々子は茫然自失の状態のままで、取り調べはもっぱら久住頼子が答えていた。 頼子は事件の詳細を適当にでっち上げた。 頼子と菜々子、遠野の三人で倉庫街を歩いていたところを、目出し帽をかぶった人物に襲われた。相手は神姫マスターで、武装神姫をけしかけてきた。 身の危険を感じ、仕方なく応戦した。 結果、神姫たちの被害は甚大、もうだめかと思ったその時、遠野が連絡した友人の大城が、警察を連れて来てくれたのだ。 相手の神姫マスターは泡を食って逃走した。 その神姫マスターに、頼子は面識がない。おそらく、菜々子も遠野も大城もないだろう。 単なる通り魔の神姫だったのだ。 あきらかに適当な作り話だったが、こちらは被害者だという主張を押し通した。 取り調べの刑事たちは当然疑っていた。 朝になって再開された取り調べの際に、頼子は仕方なく切り札を切った。 知り合いの刑事に連絡を入れたのだ。かつてMMSがらみの事件に首を突っ込んだときに、担当だった刑事は本庁のMMS公安勤務だった。 彼は快く身元引受人を引き受けてくれ、すぐに頼子が留置されている所轄の警察署までやってきてくれた。 すると、取り調べていた刑事たちは手のひらを返すような態度となり、頼子と菜々子は早々に釈放されたのだった。 「あんまり無茶言わんでください。こっちも忙しいんですよ」 「でも、これであのときの貸し借りはチャラってことでいいでしょ? たっちゃん」 「……これでチャラなら、お安いご用ですが、ね」 頼子は隣で缶コーヒーをすする、年若い刑事に微笑んだ。 地走達人は苦笑しながら首を振る。彼は警視庁MMS犯罪担当三課所属の刑事で、日々MMS関連の凶悪事件を追っている。 頼子と地走は、とある武装神姫がらみの事件で知り合った。ファーストリーグも二桁ランクの神姫マスターともなれば、事件の一つや二つ、巻き込まれるものである。 その時に頼子と三冬が活躍し、事件を解決した。地走とはその時以来の付き合いである。 「その呼び方をするのは、神姫屋やってる古い友人と、あなたくらいですよ」 「その堅い表情やめるといいわ。そしたら、たっちゃんて呼び名も似合うし、もてるから」 「やめてください」 地走刑事は苦笑した。 出会った頃から、頼子はこんな調子である。にこやかに笑いながら、難局を切り抜けるような女性だった。 その彼女が自分に助けを求めて来るというのは、よほどに差し迫った事態なのだろう。 まさか警察のやっかいになっているとは思わなかったが。 それでも、頼子が道にはずれることをするはずがない。地走にそう信じさせるほど、頼子への信頼は深かった。 だからこそ、彼女の「別のお願い」も素直に聞き届けてしまう。 しかし、一警察官として、堂々と機密情報を漏らすわけにはいかない。 「まあ、これは独り言なんですがね……」 地走刑事はとってつけたような前置きをして、話し出す。 「あの神姫……『狂乱の聖女』を秘密裏に追っかけてる組織があるんですよ」 「組織?」 「ええ。あんまり大手なもんで、そこが動くときには、うちもマークしてるんですが……」 「どこなの?」 「亀丸重工」 さすがの頼子も絶句する。 それは、国内でも屈指の財閥グループの、中心企業の名前だった。 ◆ 夕方。 菜々子は病院にいた。心療内科での診察が終わり、待合室のソファに所在なく座っている。 ここ数日の記憶は曖昧だった。 昨日の夕方、倉庫街でリアルバトルした理由も思い出せない。 はっきり覚えているのは、機械の目だけが露出したのっぺらぼうの神姫をなぜかミスティと思いこんでいたことだけ。 耳元で貴樹が叫んでくれたから、そこは覚えていた。 だが、その後のことはやはりよく覚えていない。 気が付いたときには取調室のドアが開いて、頼子さんが迎えに来てくれた。 そして、自分が今どこにいるかも分からぬまま、病院に連れてこられて、問診を受けていた。 一体、自分はどうしてしまったというのか。この数日、特に昨日の夕方、何があったのか。 ミスティはどうしているだろう? お姉さまは、貴樹は、今どうしているだろうか? チームのみんなや、『ポーラスター』の仲間たちは? 菜々子は漠然とそんなことを考えながら、夕暮れの赤い日差しの中で佇んでいた。 「……菜々子ちゃん、か……?」 野太い声が、菜々子の耳に届いた。 菜々子はゆっくりと声のした方に顔を上げる。 「……大城くん……みんな……」 菜々子はゆっくりと立ち上がる。 菜々子の視線の先で、大城は複雑な表情をしていた。 それから大城の背後には、シスターズの四人と、安藤智也の姿も見えた。 八重樫美緒は花束を抱いている。 誰かのお見舞い、だろうか。 そう思ったとき。 チームメイトの一団から、蓼科涼子が素早く抜け出した。 菜々子に向かって駆けてくる。 前に来た、と思った瞬間、菜々子の身体は衝撃を受けて、床に倒されていた。 右頬に熱い痛みがある。口の中に鉄の味が広がった。 「涼子!?」 「ちょっ……やめろ、蓼科っ!」 緊迫した声。 菜々子は振り向いて見上げる。 まるで鬼のような形相をした涼子を、安藤と大城が両脇から羽交い締めにしている。 菜々子は涼子に殴られた。武道をやっている涼子の打撃だ。一発殴られただけで転ばされるほどの威力があった。 だが、涼子はそれでもまだ納得が行かないようで、転んでいる菜々子にさらに襲いかかろうとして、仲間に押さえられている。 ……なぜ涼子ちゃんは、こんなに怒っているんだろう。 菜々子は漠然と思う。 涼子が辺りもはばからずに大声で怒鳴りつけた。 「あんた……なんてことしてくれたのよ! あの人の手はね! ティアのレッグパーツを作った手なのよ!? 涼姫の装備を作ってくれた手なのよ!? それを……リアルバトルで神姫けしかけて大ケガさせるなんて……腕が動かなくなるかも知れないのよ!? 信じられない!」 涼子の言葉に、菜々子は愕然とする。 思い出した。 あの時何をしたのか。 耳から聞こえる声に導かれて、ストラーフに抜き手を打たせた。 ミスティを破壊するために。 もし、遠野の左手がそれを阻んでいなければ。 ミスティもろとも、彼の心臓まで貫いていたはず。 つまり……自分の神姫と一緒に、愛する人の命さえ奪おうとした! いま初めて認識する事実は、菜々子にはあまりに重く、そして痛い。 うなだれて表情を見せない菜々子に、有紀が追い打ちをかける。 「なんでだよ……遠野さんは恋人だろ?……なのになんで、あんな女のいいなりになって……大事な人を傷つけて……あの女が、そんなに……わたしたちより大事かよ!」 違う。 菜々子は頭の中で否定する。 誰かより誰かの方が大事だなんて、ない。 お姉さまとチームのみんな、どっちが大切かなんて、比べられない。 菜々子にとっては、両方とも大切だった。 だが、それを言葉にできなかった。 いま、菜々子が何を言っても、嘘になってしまうから。 「……憧れてたのに!」 有紀が怒りに悲しみをにじませながら叫ぶ。 「尊敬していたのに……好きだったのに! 神姫を使って、好きな人を傷つけるなんて……最低だっ!」 有紀の言葉一つ一つが菜々子の心に突き刺さる。 有紀も涼子も、菜々子を慕ってくれるチームメイトだった。 菜々子は神姫マスターとしてもっともやってはならないことをしてしまったのだ。 彼女たちが裏切られたと思うのも当然だった。 「ご……ごめ……」 「謝らないで!」 反射的に口をついた謝罪は、涼子の怒声に遮られ、菜々子はびくり、と肩を震わせた。 涼子の声は、地の底から聞こえる呪詛のように響く。 「謝ったって許さない……絶対に許さない!!」 「ーーーーーっ!」 その言葉は菜々子の心を折るのに十分だった。 もう顔を上げることも、声を上げることさえ出来ない。 菜々子は床にはいつくばる以外に何も出来ない。 チームのみんなが、横を通り過ぎていく気配。 誰も声をかける者はいない。 ただ、背中に投げかけられる視線を感じた。 侮蔑、戸惑い、怒り。そうした感情がこもった視線が一瞬、菜々子の背中に突き刺さり、消えた。 足音が遠ざかる。 しかし、菜々子は、足音が消え去った後も、身じろぎ一つ出来なかった。 ◆ 夜の病院の待合室は静謐だった。 最小限の照明で薄暗く、ときどき、職員や見舞い客の気配がする。 昼間の活気は遠く、今は静かで穏やかで少し寒い。 その待合室の奥の隅。 菜々子はいつの間にか、奥まって目立たない位置にあった椅子に座り、身を隠すように背を丸めていた。 うつろな瞳からは、流れた雫の跡が頬へと続いている。 菜々子は思う。 わたしは間違っていたのだろうか。 だとしたら、何が間違っていたのか。 菜々子にとって、何が一番大切かと問われれば、それは「仲間」だった。 武装神姫を共に楽しむ仲間たち。 かつての『七星』、今のチーム・アクセルのメンバー、そして、遠征を続ける中で出会った神姫マスターたち。 菜々子にとって、誰も失いたくない、かけがえのない仲間だった。 その仲間たちの大切さ、仲間とともにいることの楽しさやかけがえのなさは、あおいが教えてくれたことだ。 だからこそ、菜々子は今も、あおいに仲間の輪の中にいてほしいと願う。 だが、仲間たちでそれを理解してくれる人はいない。 今の仲間と桐島あおい、どちらが大切なのか。 その問いを菜々子に投げかけたのは、先ほどの有紀だけではない。 『ポーラスター』の仲間たちにも、幾度となく尋ねられてきた。 その都度、菜々子は答える。 どちらも大切で比べようもない、と。ただ、あおいお姉さまが昔のように一緒にいてくれればいい、と。 それが菜々子の本心だった。 それは、とんでもないわがままだろうか? 途方もない高望みだろうか? そもそも、仲間か憧れの人か、どちらかを選び、片方を切り捨てなければならないものなのだろうか? だが、どちらも切り捨てられずにいるうちに、菜々子はどちらも失うことになってしまった。 どちらも大切にしてきたはずなのに、どうしてお姉さまも今の仲間たちも、そして愛する神姫さえも、わたしの元から去ってしまうのだろう? 愛した人さえも傷つけてしまうのだろう? わからない。 わたしは何か間違っていた? だとしたらどこで間違ったの? 何が間違っていたの? 結論のでない問いがループする。 暗い思考のループは、やがて渦を巻き、菜々子の心を少しずつ飲み込んでゆく。 開かれた瞳は何も見ておらず、光は徐々に失われてゆく。 ……もう、このまま死んでしまえばいい。 そんな言葉が心に浮かび始めた頃。 「……菜々子! こんなところにいたの? 捜したわよ」 聞き慣れた声が近寄ってくる。 頼子さん。ぼやけた意識の中で、祖母の名前を呼ぶ。 頼子は菜々子の隣に腰掛けた。 菜々子は、呟くように、言う。 「頼子さん……わたしは、まちがっていたの……?」 「え?」 「みんな……みんな……たいせつだったのに……わたしからはなれていくよ……」 「菜々子……」 頼子は菜々子の頭に腕を回し、そっと抱き寄せた。 菜々子は力なく、頼子の肩にもたれかかる。 「なんで……? わたしはだれもきずつけたくないのに……みんなでいっしょにいたいだけなのに……なんできずつくの? なんでいなくなってしまうの? いつも、いつも……」 修学旅行から帰った後も、あの暑い夏の公園でも、そして今も。 求め、手に入れたと思っても、菜々子の手から滑り落ちてしまう、かけがえのない宝物。 「菜々子は間違ってなんかいないわ」 その時の頼子の声は、限りなく優しかった。 「わたしは、菜々子を信じている。他の人がどんなに菜々子を責めても、わたしはあなたの味方よ」 「……どうして?」 「家族だから」 頼子は即答した。 菜々子の肩を掴む手に力がこもる。 「あなたはわたしの、たった一人の家族だから。 あなたがいてくれて、今日までどんなに心強かったことか……。 菜々子の両親が……雅人と早苗が亡くなったとき、わたしも悲しくて悲しくて……もう立ち直れないと思った。もう死んでもいいかも、って思ったの。 でもね、あなたがいたから、わたしは死ぬわけにはいかなかった。忘れ形見のこの子を守り、育てなくちゃって。しっかりしなくちゃって、ね。 菜々子がいてくれて、本当に嬉しかった。家族がいてくれて、本当にありがたい、そう思ったの。 だから、助けてくれたあなたを、わたしは決して見捨てたりしない。わたしはずっと、あなたのそばにいるわ」 頼子さんは知らない。 菜々子が、たとえわざとでないにしても、遠野の命を奪おうとしたことを。 それを知っても、頼子は菜々子を許せるだろうか。 でも今は、頼子の温もりが何よりも暖かくて。 「……よりこさん……ありがと……」 菜々子の礼は弱々しかった。 だが、頼子さんの言葉で、暗い思考の渦を止めることは出来た。 菜々子はまた立たなくてはならない。この後、どんなことが待っているとしても、ずっとここで、うずくまっているわけにはいかないのだ。 ほんの少しだけ、気力を取り戻せた。 頼子は優しく微笑むと、不意に立ち上がる。 「それじゃあ、行きましょう」 「……どこへ?」 「あなたを待っている人がいるのよ」 頼子に手を引かれ、菜々子はよろけるように立ち上がった。 思考も身体も、まだぎこちない。縮こまっていたせいか、節々が鈍く痛む。 菜々子はふらつきながら、頼子の後を追う。 エレベーターに乗り、長い廊下を歩いていくと、個室の病棟に入った。 扉のいくつかを通り過ぎ、たどりついた個室。 代わり映えのしない扉の前で、菜々子は立ちすくんだ。 さっき、頼子さんが言っていたことは、嘘だ。 味方なんかじゃない。 なぜ、いま、この時に、わたしをここに連れてくるの。 菜々子は恐怖に身をすくませ、顔を凍り付かせた。 扉の横、患者の名前の表札。 『遠野 貴樹』 と書かれていた。 次へ> Topに戻る>
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24代目スレ 2008/06/22(日) クラスの男の子たちの話題といえば、なんとかいうカードゲームのことばかりです。 ああ、くだらない。バカバカしい。子供っぽくて見ていられない。 校門をくぐってから出るまで、またほとんど誰とも言葉を交わさずに過ごしました。 ああ、今日は天気がいい。 天気がいいから、チェーンソーを担いでお出かけをしよう。 ▽ ラーナ・モントーヤ。中学二年生。背は低くて痩せっぽち。胸はぺったんこで、緑がかった ような色の髪を短く切りそろえています。そういう外見だから、スカートをはいていないと、 ほぼ確実に男の子に間違われます。 自分の部屋の姿見に映るわたしの姿は、地味でつまらない中学生そのものです。 わたしは制服を脱ぎ捨てました。代わりに水玉ドット柄のシフォンワンピースを頭からかぶります。 ラズベリーピンク色をしたセルフレームのオシャレ眼鏡を低い鼻の上にちょこんと載せて、 幅がわたしの手の平ほどもある工具ベルトをウェストにぐるりと巻き付けます。各種ドライバ ー、ペンチ、スパナ、ドリル。愛用の工具の数々を念入りに磨き上げて、ひとつひとつベルト に納めていきます。 そうしているうちに、わたしという存在がだんだんとただの中学生とは別のものに組み変わ っていくのがわかります。 家を出る前に何十秒かお父さんの部屋に入るのがわたしの儀式です。 お父さんは遠くの研究所に出向していて、家にはあまり帰ってきません。だからお父さんの 部屋はいつも雨戸が閉め切られていて、しんと静まりかえっています。本棚にはたくさんの専 門書、ラックの中には古い音楽ディスク、床のあちこちにはわけのわからないガラクタが転が っていて、デスクの上にはスペアの眼鏡が置き忘れてあって、ゴミ箱の中ではずっと前の晩ご 飯に出たのをこっそり捨てたセロリがぱりぱりに乾燥しています。 お父さんの匂いに包まれていると、ふつふつと湧き起こるものがあります。 わたしのお父さんは研究者です。でも、わたしはお父さん似の娘ではありません。この部屋 にある専門書の半分も理解することができません。 かといって、お母さんに似ているわけでもありません。お母さんはロボットに乗ってレスキ ュー業務などをしていますが、わたしにはロボットを運転することはできません。やってみれ ば真似事くらいはできると思いますけれど、お母さんもお父さんもラウル叔父さんもミズホ叔 母さんもデスピニスさんも、頑としてわたしをコックピットに近づけようとはしません。 「子供の乗るものじゃないわよ」 もらう言葉はいつもおなじです。 「行ってまいります」 ズック靴を突っかけて、チェーンソーをぶら下げて、私は家から出ました。 ▽ 『バランガ』という表札のかかった家のインターホンを鳴らすと、おっぱいの大きなお姉さん がばたばたと足音をさせて出てきました。 「どうも、こんにちは」 「あら、あなた」 ゼラド・バランガさん。この町ではちょっとした有名人です。銀色の髪をしたキレイなお兄 さんや、前髪のうっとうしいお兄さんや、いつもウェストのあたりをさすっているお姉さんや、 大声でゲラゲラ笑うヘンなお兄さんに囲まれて、いつもわいわいと楽しそうにしている姿をよ く見かけます。 「なにかご用?」 「ええと、ここに、おっぱいが大きくてエロくて、 もち肌が淫猥で、黒々とした髪が淫らで、白いエプロンが逆に背徳的で、下唇が悩ましくて、 くるぶしがどこか卑猥で、歩き方からしてほんのり猥褻で、細い指先にふしだらな空気をまとわせていて、、 かっちり着込んだメイド服が不思議としどけない感じに見える、 ひと言で言い表すならエッチなメイドさんがいると思うんですけれど」 「お姉ちゃーん、お客さーん」 「通じたんですか、いまので」 どうやら、通じたようです。件の背徳的なおっぱいの持ち主がスカートの端をつまみ上げて ぱたぱたとやって来ました。 「あら、この間の」 このメイドさんとは、以前道ばたで会ったことがあります。大きなおっぱいをしているのに、 あまりブラジャーをしない主義なのだそうです。なかなか倒錯した思想の持ち主です。 「こんにちは。幽霊退治をしに行くので、手伝ってください。ギャランティは支払います」 「ええと」 簡潔に用件を伝えたわたしの前で、メイドさんは細い眉毛を八の字に曲げました。 「幽霊ビルの解体依頼が来たのでロボくんのとこに行ったら、じゃぁここを訪ねた方がいいと 勧められました」 ロボくんというのは、いつのころからかこの町に住み着くようになった、正真正銘のロボッ トです。上半身は10歳くらいの男の子なのですが、下半身はといえば機械丸出しの四本脚です。 名前はマーズというそうなのですが、あだ名で呼ばれていることの方が多いようです。実年齢 は三歳に満たないというのに、怪しげな商売ばかりしている、妙なロボットです。 わたしがあのロボットに抱いている感情は、憧れというのとは違うでしょう。コンプレックス の一種に近いと思います。わたしよりもずっと幼いのに、広い世界を飛び回っている姿に、 妬みのような感情すら覚えます。 「ええと、ラーナちゃん? どうして幽霊物件ばっかり扱うの?」 わたしは以前にも幽霊物件を扱って、ニセ札製造犯に遭遇したことがあります。 「わたしは幽霊とか見たことありません。見たことないものは見てみたいです」 「お姉ちゃん、見せてあげられないの?」 「そういわれても」 メイドさんが困った顔をします。 「メイドさんは、なんですか、いわゆる、霊感の強いひとなんですか?」 「霊感が強いっていうか、あのね、うちのお姉ちゃん、実は人型機動兵器で、 悪霊をエネルギー源にして動いてるんだよ」 なにをいっているのかわかりません。 「悪霊をエネルギー源って、それどういうことなんでしょうか」 「そういえば、どういうことなの、お姉ちゃん」 「そういえば、どういうことなのかしら」 ゼラド・バランガさんの質問に、メイドさんは首を傾げます。 「胸の中でちっちゃい悪霊さんが歯車をまわしているんじゃないかしら」 「そんなに働き者なのだったら、すでに悪霊ではないのではないでしょうか」 「働き者でもなんでも、悪霊は悪霊ですから」 「働き者に悪いひとはいません」 メイドさんは感心したように桃色吐息を漏らします。 「手伝ってはあげたいんですけど、わたし、これから晩ご飯の支度が」 「行ってあげたらいいんじゃないの。 お姉ちゃん、お料理しようとしてもまな板刻んじゃうだけだし」 ゼラド・バランガさんの笑顔に、メイドさんが泣きそうな顔をしました。 ▽ わたしの両親と叔父夫婦が経営しているL&Eという会社は、本来解体業者ではありません。 お嬢ちゃん、ちょっとやってみるかい。1年ほど前のことでしょうか、お父さんたちにくっ付 いて行った現場で、客先のおじさんがからかい半分にそんなことをいいました。その目の前で、 わたしは人型機動兵器を丸々一体解体して見せました。以来、ちらほらと解体の依頼が舞い込 むようになりました。 わたしは解体という作業が好きです。小さなころから着せ替え人形などにはまったく興味が なく、目覚まし時計やラジコンカーを解体してばかりいました。 「あなた、ラーナ・モントーヤちゃんていうんでしたよね?」 OG町から少し離れた、山の中です。まぁるいお尻を振りながらわたしの前を歩いていたメ イドさんがためらいがちに口を開きました。 「お父さんの名前は、ラージ・モントーヤさん?」 「そうです」 「あー」 昔から、お父さんの名前を聞くとこういう反応を見せるひとがちらほらいます。 この、「あー」の意味が、わたしにはわかりません。たしかにお父さんはちょっと変人です。 でも、優秀な研究者が少しヘンなのは珍しくありません。ロボットオタクのロバート・H・オ オミヤ博士、異様な改造機ばかり作るマリオン・ラドム博士、不治の病に冒されているくせに 一向に死ぬ気配がないフィリオ・プレスティ博士、三輪車愛好家のジョナサン・カザハラ博士。 お父さんと同程度かそれ以上におかしな研究者はいくらでもいます。 なぜわたしのお父さんだけが、「あー」といわれるのでしょうか。 「お父さんのことをわたしに聞いてもムダです。わたしはなにも知りません」 「あぁ、そうなの」 「お父さんは昔、なにかすごい発明をしたそうです」 「えっ?」 「でもそれがなんなのか、わたしは知りません。誰に訊いても教えてくれません。 お母さんたちが使っているネオ・エクサランスも、 ネオというからにはプロトタイプがあるはずなんでしょうが、 なんの記録も残っていません。 お母さんに訊いたって、カッコいいからネオって付けてるだけで大した意味はないって笑うだけです」 「じゃ、あなた、なにも知らないんですか?」 「なにも知りません」 「その、あなたのお父さんたちが前の戦争で戦ったことは」 「巻き込まれただけだと聞いています。お父さんたちはあまり話したがりません。 もともとレスキュー用ロボットを開発していたそうですから、 戦争に参加してしまったことが不本意だったからだと思います」 「デスピニスさんというひとは」 デスピニスさんとは、忙しい両親に代わってわたしと従兄の面倒を見てくれていた女性です。 見た目はおっとりした美人なのに、コロニー格闘技のファイターと互角に渡り合えるほど不自 然に強いことで有名です。そういえば、どこかこのメイドさんに似ているような気がします。 「お母さんたちの、遠い親戚だと聞いています。 たぶん、戦災孤児かなにかだったのでしょう」 「そう」 「わたしはなにも知りません、聞かされていません。 わたしは出来の悪い娘だから、お父さんたちに信頼されていないんです」 「ラーナちゃん、それはね」 まろやかな弾力のあるお尻がわたしの顔にぶつかりました。メイドさんが突然立ち止まったのです。 「下がっていて」 メイドさんが声を潜ませます。 木々に囲まれて、灰色をしたビルがひとつ、ぽつんと建っています。今回解体を依頼された 物件がこれです。もとはホテルだったといいますが、観光地でもない山奥にどうしてホテルが 建っているのかはわかりません。解体したあとも、やっぱりホテルが建てられるそうです。大 人の考えることはよくわかりません。 もとは駐車スペースだったのであろうひび割れたアスファルトの上に、潰れた空き缶がいく つも転がっていました。そして、空き缶と同程度に潰れた顔をした男のひとが三人、地べたに しゃがみ込んでいました。 「なんじゃぁ、おんしら」 「このホテルは解体されることが決まっています。危険ですから離れてください」 わたしはメイドさんの前に進み出ました。 「解体だ?」 男たちが立ち上がり、よたよたとわたしに近づいてきます。野良犬並の知性も感じられない 目が、ぎらぎらと獰猛に光っています。 「なんの権限があって、そんなことするんじゃ」 「権限のあるひとから依頼されたからです」 「ここがのぅなったら、ワシら、どこに行ったらいいんじゃ」 「コンビニの前とかの方が快適なんじゃないでしょうか」 「去ね。ここぁ、幽霊が出おるぞ」 「いるんですか、幽霊が」 「おるわけないじゃろう!」 「どっちですか」 「おう!」 男がベルトに手を回しました。現れたものを見て、わたしはガッカリしました。なんだつま らない。スタンガンなら10歳ぐらいのときにほとんどのメーカーのものを解体しています。 「横着しないでください。怠け者に善人はいません」 わたしは工具ベルトからドライバーを一本抜き出しました。何秒もかかりません。スタンガ ンはプラスチックと基板とバッテリーに分解されて、バラバラと地面に落ちました。 「直せませんよ。わたしにできるのは解体だけです」 「てめえ!」 男が銅鑼声を張り上げます。 「やめなさい!」 メイドさんがわたしを押しのけて前に進み出ます。 男たちが黙り込みました。たがいに顔を合わせてなにかヒソヒソと話し始めます。おい、 あれ。ああ、バランガ家のメイドだ。やばいな。エロいな。いや、やらしいな。やらしいという か、もう卑猥だな。卑猥というより、むしろ淫蕩じゃねえか。メイド服が、匂い立つほどに淫らだぜ。 「やめてください! 私はエロくありません! 清純です! 清純派なんです!」 メイドさんの声に、男たちはわっと逃げ出していきました。 「ダメです。あんな、挑発するようなこといったら」 「申し訳ありませんでした。わたしのために、あんなウソまでいわせてしまって」 「ウソはいってませんから! 私、エロくありませんから! ほんとに清純派ですから!」 それでもメイドさんの声には淫水じみた潤いがあって、言葉にはまったく説得力がありませんでした。 ▽ 廃ホテルの中は、かすかなホコリとシンナーの匂いがしていました。 窓ガラスは一枚残らず割られていて、壁紙が剥がされて剥き出しされたコンクリートはスプ レーを吹き付けたラクガキで埋め尽くされています。床の上は、ガラスの破片や空き缶、スナ ック菓子の袋、カップラーメンの容器、得体の知れないソフビ人形などがうずたかく積み上げ られていました。 どうやらこの廃ホテルは、先ほどのようなダメなひとたちのたまり場になっているようです。 「もう、こんな場所の解体を女子中学生に依頼するなんて!」 メイドさんが憤りの声を漏らします。 「依頼を出したのはホワイトカラーのおじさんです。 現場の状態なんかわかっているはずがありません」 ガラクタをズック靴でかき分けながら、わたしは廃ホテルの中に踏み行っていきました。 建築物の解体自体は、ほぼ一瞬で終わります。爆破解体なら、時間も人件費もかかりません。 ただしその前に、いくつかの手順があります。中に危険物が残留していないことを確認し、構 造を把握し、主要な柱や鉄筋を切断しておかなければなりません。 「いないみたいですね、幽霊」 「あのね、ラーナちゃん、さっきの話だけど」 「エロいか清純派かという話だったら、やっぱりエロいと思います」 「そうじゃなくて、その前の」 なにか異様な気配を感じて、わたしはその場から飛び退きました。思わずメイドさんに飛び つきます。ふかふかした胸に顔を埋める形になりました。わたしは息を呑みました。この世に は、なんてふかふかした物体があるのでしょう。少なくとも、我が家にはこんなもの一欠片だ ってありません。 「あっ、ちょっと、なにしてるの」 「ふかふかしてます、ふかふかしてます、クセになるほどふかふかしてます!」 「ふかふかのことじゃなくて」 「そこに、そこに!」 わたしはふかふかした胸から顔を外し、ロビーの隅を指差しました。 暗がりの中に、ぼんやりと浮かび上がっているものがあります。深く考えるまでもありませ ん。あれは幽霊です。あんなものが、生きているはずがありません。 幽霊は女の人でした。顔はぼんやりしていて、見ることが出来ません。長い髪を顔の前に垂 らして、口を大きな楕円形に開いていました。 「オー、オー、オー」 すすり泣くような声が絶え間なく続いています。 「あれはね、悪霊よ」 メイドさんがわたしの頭を抱えました。 「悪霊だったら、大丈夫じゃないのじゃないですか」 「悪い感情から産み出されたものを悪霊というんです。 彼女そのものは、まったく悪くないのに」 メイドさんがなにをいっているのか、よくわかりませんでした。 「彼女は、72時間かけて殺されました」 幽霊には脚が付いていました。ただし、アキレス腱を切断されています。赤黒い傷口が、悲 鳴をあげるようにぱくぱくと開いたり閉じたりを繰り返していました。 ちゅるんと、おかしな音がしました。 「もう大丈夫」 メイドさんがわたしの頭を撫でます。 幽霊の姿は、完全に消えていました。 「なにをしたんですか」 「食べました」 「食べちゃったって、誰が」 「はい、私が」 メイドさんは平然としています。 このメイドさんは、いったいどういうひとなのでしょうか。悪霊は悪いものではないといっ た直後に悪霊を食べるなんて、なにを考えているのでしょうか。そもそも悪霊を「食べる」と は、どういった意味なのでしょうか。 ガシャーンという音がしたのは、そのときでした。入り口のシャッターが下ろされています。 シャッター越しに、ガチャガチャと鍵をかける音がしていました。 横殴りの衝撃がやって来ます。老朽化したコンクリートに亀裂が入り、あっという間にくずれおちます。 土煙を上げながら現れたのは、一台のショベルカーでした。近くの工事現場で使われていた ものを引っ張ってきたのでしょうか。 「見つけたかッ! 見つけたかッ! 見つけちまったかぁッ!」 運転席に座っているのは、先ほどのくだらないひとたちのひとりでした。口から白い泡を飛 ばしています。なにか、ろくでもないものでも摂取したのでしょう。 どうやら、あの幽霊を殺したのは、あの男たちだったようです。幽霊話を流したのも、威嚇 するような目をして廃ホテルのまわりにたむろしていてのも、人払いをするためでしょうか。 とてもシンプルなお話です。 「ああ、バカバカしい」 シリンダーをギシギシと軋ませながら、ショベルカーがバケットを振り上げます。充分なメ ンテナンスもしていなければ、習熟した運転技術も持っていないことは明らかでした。 「頭の悪い使い方をしてあげないでください。機械がかわいそうです」 バケットが落ちてきてコンクリートを破壊します。破片がぴしぴしと顔に当たります。 工具ベルトに手をまわしつつ、わたしはバケットに飛び乗りました。 「解きはなってあげます」 ドライバーとレンチ。それだけで充分です。持ち上がるアームの先にはなにもありません。 バケットは地面に置き去りにされたままです。わたしは止まりません。アームの上に飛び移り、 工具を次々と持ち替えました。3段からなるアームが2段になり1段になり、とうとう完全に消えました。 車体に辿り着くなり、わたしはチェーンソーを起動させました。高速で回転する刃を外装に 突き立てます。激しい火花があたりの光景を明滅させました。露わになったコード群を引き抜 き手の平に絡ませて、点火プラグを抜き取りフィルターを外しストレーナーをつかみます。完 全に沈黙した重機から、屋根を、外装を、メーターを、ざくざくざくざくと外して進みます。 飛び散る火花を、宙を踊るナットを、舞いくるうボトルを、わたしは全身で浴びました。オ イルの香りが嗅覚を満たしてくれます。 痺れに似た甘い感覚がわたしの全身を駆け抜けていきました。この瞬間です。ボルトひとつ、 シャフトひとつ、あらゆる部品のひとつひとつに至るまで、この機械はわたしの手中にある。 これに勝る充足感を、わたしは知りません。 わたしは陶然と微笑みを浮かべました。 「気持ちいい」 「なんなんだ、このガキはぁっ!?」 「お父さんの真似をして、お母さんの真似をして、そうしているうちに、 どういうわけかこういうことばかりできるようになりました」 シートだけになってしまった運転席の中で男が目をひん剥いています。 わたしは荒い息を吐きながら男を見下ろし、チェーンソーを持ち上げました。 「できるのはこれだけです。出来の悪い娘なので」 チェーンソーの唸る声が、ひどくやかましいと思いました。 「そこまでだぁっ!」 背後から、声。見ると、バカバカしいひとたちのひとりがメイドさんを後ろから羽交い締め にしていました。 「それ以上やりやがると」 「やってみればいいんです」 男が放心したような顔をしました。 「やれば、あなたは人質というアドバンテージを失います。 わたしにはなんのためらいもなくなります。わかりますか」 「そういうこと、いったらダメです」 メイドさんの声は静かでした。 「ラーナちゃん」 「こいつ、動くんじゃねぇッ!」 「目を、つむっていてください」 メイドさんの言葉に従うまでもありませんでした。 真っ白にも真っ黒にも見える、異様としかいいようのない閃光がわたしの視界を塗り潰しました。 なにも見えなくなりました。なにも聞こえなくなりました。わけもわからず叫びたいような 衝動で胸がいっぱいになります。 いったい、なにが起こっているのでしょうか。 とてつもなく大きくて、とてつもなく恐ろしいなにかがわたしの前に現れている。それだけ が、震えるほど確信できました。 「非業の死を遂げた魂は、安らぐことがありません」 これは、メイドさんの声なのでしょうか。台風が起こす唸り声にも似ています。 「72時間分の苦痛です。あなた方が産み出した苦痛です。あなた方が引き受けなさい」 耳を覆うばかりの絶叫が轟きました。 ▽ コンクリートが詰められたドラム缶にノミを当てて、げんのうを打ち下ろしました。 バラバラと崩れ落ちた破片の中には、荒れに荒れた黒髪と白骨が混じっています。わたしは しゃがみこんで、骨片をひとつひとつ丁寧に拾い集めました。 ゴミが散乱した床の上には、3人の男が転がっていました。口から泡を吹きながら、わけの わからないことを呻いています。 「彼らは」 「悪夢を背負いながら生きることは、とてもつらいことなんです」 ぼうと、わたしたちの頭上で乳白色の輝きが灯りました。 髪の長い女の人が浮かんでいました。あれは、あの悪霊と同一人物なのでしょうか。姿形は まったく変わっていないのに、怖いとはまったく感じませんでした。 女の人はぺこりと頭を下げました。それっきり、フッと消えてしまいました。 「彼女は」 「成仏って、いうんでしょうか。 ほんとのところどうなるのかは、見たことないからわからないんですけど」 「あれは、悪霊じゃなかったんでしょうか」 「もう悪霊じゃありません。悪い部分は、私が食べちゃいました」 「あなたは、どういうメイドさんなんですか?」 「ねえラーナちゃん」 メイドさんはにっこりと笑いました。わたしは、その下にあるおっぱいのふかふか具合を思 い出しました。 「あなたのご両親があなたになにも話さないのは、 べつにあなたのことを認めていないからじゃないんですよ。 話す必要がないと思ったから、話していないだけなんです。 それは決して悪い感情じゃないんです」 「そういうことを聞いても、わたしの中学生特有の感情は消えないと思います」 わたしは地面に置いてあったチェーンソーを拾いました。 ▽ スイッチひとつで爆発は始まりました。上階から下階へ、破壊は連鎖的に続き、廃ホテルは 内側に折り重なるようにして形を失っていきました。 破片が飛び散るようなヘマはしていません。それでも爆風は起こります。 「きゃ」 メイドさんが舞い上がるスカートを押さえました。 結局、わたしは明日もチェーンソーを担いで外に出かけるでしょう。なにも知らないまま、 なにもわからないままです。 ただ、ひとつだけわかったことがあります。 あまりブラジャーをしない主義のメイドさんは、どうやらパンツもはかない主義のようです。
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2009年01月17日 (土) 10時19分38秒 合計: - 人 今日: - 人 昨日: - 人 近影撮影 ペット皆での集合写真ぇ 自己紹介 最近は、新垢のPCを養殖中 ◎ファースト◎ 名前:オルノード 種族:エミル 性別:♂ 職業:ギャンブラー LV:Base99-JOB-E50-T44(2008年8月1日現在) リザーブスキル:バッグマスタリー・コネクション・ウェイトコントロール・ファーストエイド・ビートスマッシュ もはや、遺跡開け用のキャラ、最近LV上げしてないz ◎セカンド◎ 名前:ベルクルス 種族:タイタニア 性別:♂ 職業:ブラックスミス LV:Base92-JOB-E38-T40(2008年8月1日現在) リザーブスキル:パイロットマスタリー・機械知識・機械組み立て・機械修理キット作成 99武器入手~でも、1月16日のUPデートで爪の位置変わって違和感バリバリ ◎サード◎ 名前:ディスネル 種族:ドミニオン 性別:♂ 職業:アサシン LV:Base95-JOB-E50-T36(2009年1月17日現在) リザーブ:人間系回避率上昇・羽交い絞め・体術マスタリー 他、サード以降はそのうち更新予定 事の始まり 前にやっていた、MMOに嫌気が差し様々なMMO及びMOを試しにやってみた中でも、 世界観やゲーム性に感動したECOに2006年6月の中旬にやって来た。 (今更だけど、絵師が変ってもあんまりショック受けなかったのはECOのゲーム性のお陰かと) 近状報告 本当は全部新規の予定だったけど、ディスだけぇー 1月16日のUPデートで攻防戦の登録人数が500→600に これで、作業オンラインがマッハで進むんだが 先送りじゃなくて、根からの解決方法考えてほしいとオモタ 攻防戦中にCPクエ受けれるようにしたら、随分違うだろうに、、、 コメント ドミ男朝とかカッコヨス(*´□`)-3はぁはぁ -- (りく) 2008-02-24 19 40 53 なんか75装備見ると昔のディスさん思い出した(*´艸`) -- (りく) 2008-03-18 20 35 12 やっとこさ、前のディスに戻りつつあるからの~ -- (DIS) 2008-03-19 11 12 51 就活ガンガ(* □ )/ -- (りく) 2008-05-26 02 20 00 無事内定もろうたよ~応援あり~ -- (DIS) 2008-06-07 19 44 13 おめでと~っ -- (ふぇる) 2008-06-08 09 06 46 名前 コメント すべてのコメントを見る
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youtubeで見る 主な登場人物 泉研 泉キャロン バリカン 女グレイ 垂れ乳ゾンビ ジュラル星人 あらすじ 野原で遊んでいたバリカンに、一体の女性型ロボットが話しかけてきた。「チャージマン研の相談役バリカン大先生」として「ロボット仲間の中で人気ナンバーワン」のバリカンに、研をロボットクラブに連れて来て欲しいというのだ。ロボットクラブとは、ロボット同士がチェスやダンスをたしなむ憩いの場だという。女性型ロボの魅力にメロメロになったバリカンは後日研とキャロンを連れて、渡された地図の場所へ。だが、そこにあったのはいかめしい門をもつ墓地だった。そこに姿を現した女性型ロボを追いかけた3人は、落とし穴にはまり棺が並ぶ地下の洞窟に落とされてしまう。女グレイの正体を現した女性型ロボの声を受けて棺から這い出るゾンビたち。 垂れ乳ゾンビが研を羽交い絞めにするなど健闘するも、洞窟を照らすランプの光を受けて変装したチャージマンの敵ではなかった。 ジュラル星人の正体を現したゾンビ一同も「正面から突進→アルファガン」の定番負け。その隙をついて女グレイがアルファガンを叩き落すが、こちらはビジュームベルトで倒された。 概要 研相手に2度のハニートラップ作戦を敢行したものの、いずれもバリカンの手によって失敗したジュラル星人が、バリカン本人をターゲットに3度目の正直をしかける、というチャー研にしては珍しいストーリーのつながりを感じさせる回。だが、わざわざゾンビに変身して棺の中で待機し、それっぽい小芝居までやるジュラル星人はやっぱり回りくどい。道のド真ん中に入り口の穴があったということは、地下洞窟もジュラル星人が掘ったのだろうか。だとすればチャージマン攻撃班が戦いやすいようにと設置した照明も、彼らが研を倒したあと地上に上がるために用意した階段も、全部研に逆手に取られてしまったのは皮肉なことだ。 ちなみに研は、人間相手にはチャージマンの武器を使わない主義を持っているが、垂れ乳ゾンビ相手には正体がジュラル星人だと断定できる前にアルファガンを発砲している。正当防衛なら躊躇はしないようだ。 なお研とバリカンは 「変なロボットには、気をつけろよ」 「あんまりべっぴんさんだったもんで、つい……」 などというやりとりをしているが、わずか2話後にはまた家族ぐるみで「べっぴんさん」に騙されかけている。学習しない一家である。
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「腕が上がらないのに、僕ちゃんお手上げ~ベル~…」 【名前】 ダンベルバンキ 【読み方】 だんべるばんき 【声】 岸祐二 【登場作品】 炎神戦隊ゴーオンジャー 【登場話】 GP-46「家出ボンパー」 【所属】 蛮機族ガイアーク 【分類】 害気目蛮機獣 【作製者】 害気大臣キタネイダス 【作製モデル】 ダンベル 【その他のモチーフ】 エキスパンダー 【口癖】 「~ベル」 【詳細】 キタネイダスが「ダンベル」をモデルとして製作した害気目蛮機獣。 両腕に特製の超巨大ダンベルを持ち、これを振り回しての攻撃を行う。 更に激しい運動を繰り返す事で身体を鍛えながら高濃度の有害二酸化炭素を吐きまくり、周囲を汚染する事ができるが、両手のダンベルが重すぎる為に両腕が上がらず、器用なウガッツR&Lにそれぞれの腕を担当させ、付属のリモコンで操作しなければならない。 街中で運動をしながら二酸化炭素を撒き散らしている最中、ゴーオンウイングスが駆け付ける。 途中で両腕を動かす役目のウガッツR Lが急に姿を眩ました為に撤退を余儀なくされ、見つかるまでの間に代わりとなる蛮機兵ウガッツを探したり、キタネイダスとケガレシアが動かそうとしたりするも失敗に終わる。 その後、キタネイダスとケガレシアに自分達の要求を飲ませる事で戦線に復帰したウガッツR Lのリモコン操作によって真の力を発揮する。 その力でゴーオンジャーとゴーオンウイングスをあと一歩まで追い詰めるが、連と早輝の説得で一同の元に駆け付けたボンパーにウガッツR Lを倒されてしまい、不利な状況になったところをスーパーハイウェイバスターとブースターフライトを同時に受け敗北。 その直後、ビックリウムエナジーによって産業革命を起こして巨大化する。 両腕が上がらない状況は変わらず、胸部からの超ダンベルミサイルで自暴自棄に応戦するが、ゴローダーGTに圧倒されると羽交い絞めにされ、最期はセイクウオーのセイクウインパルスを受け爆散した(上記の台詞はその際のもの)。 【余談】 作製モデルとなっている「ダンベル」は鉄棒の両端に重りを付け、身体を鍛える為の道具である。 本編において最後の害気目蛮機獣となった。 声を演じる岸氏は『激走戦隊カーレンジャー』でレッドレーサー/陣内恭介役として主演している。 前々作でも終盤に登場する怪人の声を演じ、更にシリーズ第25作目でも欠陥を抱えた怪人(所属組織の怪人も器物がモチーフになっている)の声を演じているが、こちらは最終的に解消されている。
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「もうヤダこの子達」 (‘_L’)「ナナシ」 【基本データ】 年齢:三十代~? 選考基準:「基礎体力や経歴を中心に」 選んだ参加者:ブーン、参道静路、高天ヶ原檸檬(暫定的)、ハルトシュラー=ハニャーン(暫定的) 名前の由来:名無しの権兵衛 【容姿】 オートクチュールの黒いスーツ。 黒い革靴。 個性という個性を人間から剥ぎ取ったような顔立ち。 身長百七十センチ程度。 一人称は私、二人称は「◯◯様」が主。 「~~ございます」というような丁寧な口調。 【人物】 八名存在するナビゲーターの一人。八名の中では最もよく登場する。 美少女に殴られるわ、美少女に変なアダ名で呼ばれるわ、美少女に追い掛け回されるわ、美少女に羽交い絞めされるわ災難な人物(これだけ聞くと少し羨ましい)。 本来的には不気味なくらいに淡々とした厳格でクールな感じの審判役なのだが、それらは天使と悪魔の所為で台無しである。 ジョルジュ曰く「道を歩いている途中で猛獣と目が合ってしまった一般人のような悲惨さと悲哀が滲んでいる」。 参加者はそれぞれに事情を抱えているが、実は作中で最も同情されるべきなのは彼ではないだろうか。 基本的には中立ポジションであり、参加者にも過度に深入りはしない。 あくまで自分の利益の為にやっている感じ。 ナビゲーターの中では比較的花子と仲が良い。 【余談】 レモナとハルトシュラーには必ずおかしな名前で呼ばれている彼であるが、その元ネタを紹介しておこう。 どれも「バトルロイヤル系作品に登場した」あるいは「主人公達の水先案内人を務めた」キャラクターから取られている。 「真坂木」……「C -THE MONEY OF SOUL AND POSSIBILITY CONTROL-」の同名キャラクターから。共通点は主人公を勧誘した点。 「キュゥべえ」……「魔法少女まどか☆マギカ」の同名キャラクターから。共通点は主人公と契約しようとした点。 「クマ」……「ペルソナ4」の同名キャラクターから。共通点は異世界で初めて出会い、説明を行った点。 「小林先生」……「うえきの法則」の同名キャラクターから。共通点は担当した人間が勝ち抜けば利益になる点。 「茅場晶彦」……「ソードアート・オンライン」の同名キャラクターから。共通点は一応黒幕という点。
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■行動内容 誰でもいいのでその場にいる誰かと戦う。シスターマリーかラクティパルプあたりがいたら戦いたい。転校生とは戦わない。 HPが30切るまで連戦する。転校生は断固拒否する。 【SS・はじめてのおけしょう】 「お化粧しましょう」 「やだ」 化粧をさせようと兵香の前に立つ操女の手には高級アイブロウが握られている。 兵香は部屋の中を逃げ回っている。 そもそものきっかけは、ファンから化粧品が送られてきたことである。 それを見た操女が、今まで化粧をしたことがないという兵香に対して、では自分が化粧をさせてみようと考えたのだ。 「何がダメなんですか!?理由を言ってください!」 「校則違反だから」 そもそも学校では委員長をしている兵香はそういうことをしている人間を注意する側である。 化粧などしようと思ったこともない。 「学校じゃないんですから、校則もなにもないですよ」 「そうだけどさ。でも、どうせ似合わないからいいよ」 なんとしても拒む体制だ。 「何を言ってるんですか?あれだけの人気なんですよ」 兵香の態度に憤った様子で部屋に山積みになったファンからの贈り物を指差して言った。 ファンからの贈り物が順調に増えている。中身も高級な化粧品からメガネまで多岐にわたっている。 合法薬物とか送ってくるのはどうかと思わないでもないが、おかしなファンが増えるのも人気の表れか。 「というわけですから、化粧一つぐらい覚えましょう。ファンのためです」 「いや、いいから」 なんとかその場から逃げ出そうとする兵香。 「待ちなさい!」 それを追い掛け回す。操女。 「どうしたんですか?」 缶ジュースを持った讓が部屋に入ってくる。 「いいところに来ましたね、ゆず、逃さないように抑えて!」 「は、はい!」 そばの机に缶ジュースを置くと讓が後ろから羽交い絞めにする。 「おい、こらゆず、やめろ!離せ!離せ!」 力は兵香の方が強いが二人がかりだ。必死で抵抗も虚しく着々と作業が進んでいく。 <そして数分後> 「これがボク…」 鏡に映る自分の姿に戸惑いを隠せない兵香。 「ほら、悪くないでしょう」 「綺麗です」 「う…うん」 まだ呆けたような表情で鏡を見つめている。 「さて、もう試合に行きますよ」 「えっ、えっちょっと心の準備が…」 強引に腕を引っ張って部屋から連れ出す操女 讓もすぐにそのあとを追いかける。
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ラプラス「ん?」 トイレから帰ってくると机の上に何か封筒のようなものが置いてあった ラプラス「なんだこの封筒?」 そう言いながら開けてみると、中には手紙が入ってるようだ。 どれどれと手紙を取り出し、読むラプラス。顔がかなりにやけているのは きのせいだろうか? ラプラス「ふふふふ。やっとやっと僕の時代ですか。」 そう言いながらニヤニヤするラプラス。 その日一日中顔がにやけていたという。 そして放課後。手紙の指示通り、校舎裏に行くラプラス。 そこには薔薇水晶がまっていた。 ラプラス「どうしたんです?呼び出したりして?」 にやけるのを抑えているつもりだろうが顔は一目でわかるくらいニヤニヤしていた。 薔薇水晶「・・・・えっと。」 そういいながら手を上にあげる薔薇水晶。 次の瞬間ラプラスは雪華綺晶 に羽交い絞めにされていた。 ラプラス「えっ?」 困惑を隠せないラプラスを無言で二人はロープで縛り上げていく。 ラプラス「な・・・なにをするんですか!!」 当然の反応をするラプラスそこに意外な返答が帰ってきた。 薔薇水晶「・・・うさぎって食べれるのかなと思って。」 あっけにとられるラプラス。 ラプラス「じょ・・・冗談ですよね?」 が、それが冗談ではないことは一目で分かった。 薔薇水晶の後ろをよくみると薪がうず高く積まれ、ノコギリも置いてあった。 雪華綺晶の手にはナイフとフォークが握られている。 (こ・・・殺される。) そう思い顔が引きつるラプラス。 そんなラプラスの前に涎を垂らしながら立つ雪華綺晶。 ラプラス「お助けええええ。」 そうラプラスが叫ぶと同時に、体が自由になった。 ラプラス「え?」 状況が飲み込めないラプラス。縄が解かれたのである。 薔薇水晶「・・・・・冗談です。」 いつのまにかラプラスの後ろに回っていた薔薇水晶がロープをもって薄笑いを 浮かべていた。 ラプラス「そ・・そうですか。もうこんなことはやめてください。」 そういうと走り去っていくラプラス。よほど怖かったのだろう、まさに 脱兎の如く逃げ出していた。 雪華綺晶「なんであそこで逃がしたのばらしー?」 薔薇水晶「・・・・あれ以上やったらかわいそうかなって。」 そしてしばらくの沈黙。 雪華綺晶「・・・まあ兎食べるなら丸焼きだしね。」 そう言いながら二人はその場を去っていった。
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44話「嬉しさ噛み締める」 「うっひゃー過激~。気持ち良さそう…エヘへ」 ニヤケ顔をしながら私が見ているのは狐獣人の女性のみを扱ったエロ本。 内容はあんまり詳しくは言えないけど、どれもこれも興奮モノ。いいねぇ。 ああこれこれ、うひゃあ~~これはもう実況不可能でしょ~うへぇ~~やりたいな~。 もちろん章高の奴をこんなプレイで干からびさせたいねぇ。 今私――費覧がいるのはエリアE-4にあるエロ本屋。 実を言うと最初、スタート地点から始まって最初の一人を殺してからほとんど移動してない。 まあ何故かって言うとこのエロ本屋を見付けてしまったからなんだけども。 店員なんている訳無いしビニールの包装破いて見放題なのは良い。 暗いからちょっと読みにくいけどそこは我慢。 私はこの殺し合い、乗る気でいる。 殺し自体は全然平気だしね。見た目はピチピチの狐娘だけど、伊達ににひゃ、ゲフンゲフン! ……伊達に長生きはしてない。殺してきた動物、人の数は少なくとも100を超える。 知り合いかつ私の玩具、章高も参加している。 もし見つけたらとっ捕まえて誰にも邪魔されない場所でたっぷり性的な意味で弄んでから、食い殺してあげよう。 章高の恐怖に引き攣る顔が目に浮かぶなあ。ウフフ。 そして、最後には私をいきなり殺し合いなんかに連れて来たあのセイファートも殺すつもり。 見た感じ結構イイ身体してたから、やっぱりたっぷり弄んでから残酷に、惨たらしく、殺す。 さてと、気に入ったエロ本をデイパックの中に入れまして…そろそろ獲物探しに本格的に動く事にしますか。 今私が持っている武器は自分の支給武器、ルガーP08と鹵獲したコルトM1917。 ルガーの方が装弾数が多いから、ルガーの方を主力にしよう。 少し装弾方法が面倒だけど、添付の説明書を熟読して何とか理解した。 M1917はリボルバーだから説明書見るまでも無いね。 「ふう、それにしても…治りが悪いなあ」 私の自慢の乳房、身体。だけど…左側の乳房とお腹に、銃で撃たれた穴が空いている。 もう血は止まったけど、おかしいなあ、いつもなら早く治癒するはずなんだけど、何だか治りが遅い。 ……主催者が何か仕掛けてるんだろうなきっと。 となれば余り無茶な行為は避けるべきね。普段みたいにわざと猟師に撃たれて不意討ち、みたいな戦法も、 この状況では難しいかな。はあ、面倒ね……。 さて…荷物をまとめてそろそろ出るとしようかな。 「はい止まって」 「いっ…?」 出た瞬間、学生服姿の茶髪セミロングの女の子と鉢合わせになった。 女の子も銃を持っていて、私の姿を確認した瞬間、構えようとしたけど、 私が女の子の頭に向けてルガーを構える方が早かった。 女の子は私を睨み付けているけども、見動きは取れないよね。 「何か言い残す事ある?」 「……出会い頭に銃を向けて、開口一番それですかそうですか」 「今から死ぬんだよ? 怖く無い?」 「……とりあえず、私は北沢樹里。アンタは? 狐さん」 あら、何故に自己紹介? まあ、いいか。名前ぐらいは名乗ってあげよう。 「私は費覧。見ての通り可愛い狐娘ちゃんです」 「自分で可愛いとか言うな」 「うっさいわね。いいでしょ別に、じゃあ、そう言う事で、何か言い残す事あるー?」 「……」 次の瞬間、樹里と名乗った女の子は私の胴体に強烈なタックルを食らわせてきた。 「ぐえ!?」 衝撃で思わずルガーを空に向けて発砲し、私は後ろへ大きく吹き飛ばされた。 そしてエロ本屋のガラス扉に盛大に突っ込む。 派手な音を立ててガラスが割れ、そして。 ザクッ 「ぎゃっ、いっ、たあああ……」 ガラス片で首筋を、頸動脈を思い切り、掻き切ってしまった。 生温かい血液が私の首筋からどんどん流れ落ち、たちまち私の黄色と白の毛皮に覆われた身体は血塗れ、 床にも大きな血溜まりが広がる。 妖狐である私は死ぬ事は無い、けど、一気に大量の血が無くなって頭がクラクラする。 「アンタ、よくもっ……あれ?」 首を押さえながら樹里の方を向いた――けど、そこにはもう誰もいなかった。 だけどよく見れば、西の方角に猛スピードで走り去っていく人影が。 「は、早………」 凄い俊足……あの子、陸上部かマラソン選手か何か? いや、そんな事はこの際どうでも、いいか……それより、ああ、やばい、意識が飛びそう。 しばらく、動けそうに無いな、これ……ああもう、あの小娘めええ! 今度……会ったら………絶対…………こ………ろ………………。 ………………。 ◆◆◆ 「ハァ……ハァ……ハァ……」 久々に走ったから…ちょっと、体力が落ちてるし、足も鈍ってるかな。 でも……でも……。 「嬉しい…本当に…また、走れるようになったんだ」 前回の殺し合いで愛餓夫の奴に奪われた私の足。 もう県大に出れない、いや、両親のようなプロの選手にもなれないって、 絶望して、心の底から絶望して――。 でも、今、こうして走れるようになった。なったんだ……! 「……ぐすっ……」 改めて走れるという事を実感した私の目から涙が溢れる。 正に嬉し涙って奴ね…でも、まだ泣くのは早い。 制服の裾で涙を拭い、走って来た道を振り向く。追ってくる影は見当たらない。 さっき、突然狐族の女(何故全裸だったのかは気にはなったけど聞かなかった)と遭遇して、 おまけに拳銃を頭に向けられた時は表面上は出来るだけ冷静を装っていたけど、 内心ではかなり焦ったわ。 でも何とか隙を突いて費覧と名乗った狐女に思い切りタックル食らわせて何だかいかがわしい店のガラス戸にぶち込んでやった。 そして費覧がガラス片で首を切って大量出血して呻いているその隙に、全力疾走で逃げてきた訳。 どうなったかな費覧、死んでるならいいけど、何だか、死んで無いような気がするのは何故…? 【一日目/黎明/E-4市街地】 【費覧@オリキャラ】 [状態]:頸動脈断裂、失血、仮死状態、胸と腹に貫通銃創(治癒中)、返り血(中) [装備]:ルガーP08(2/8) [所持品]:基本支給品一式、ルガーP08の予備マガジン(5)、コルトM1917(1/6)、 45ACPリムド弾(30)、 エロ本(5冊、調達品) [思考・行動]: 0:(仮死状態) [備考]: ※仮死状態です。見た目には死んでいるようにしか見えませんが、 死亡扱いにはなりません。また、いつ頃目覚めるのかは不明です。 【一日目/黎明/E-4とE-3の境界線付近】 【北沢樹里@自作キャラでバトルロワイアル】 [状態]:肉体的疲労(中) [装備]:カーマインエッジ@オリジナル(8/14) [所持品]:基本支給品一式、カーマインエッジの予備マガジン(5)、 二十六年式拳銃@SIREN(4/6)、ルミーア・ホワイトのデイパック [思考・行動]: 0:殺し合いに乗り、優勝を目指す。 1:回収したデイパックの中身の確認をしたい。 2:クラスメイトとは出来れば会いたくは無い。 3:足、元に戻って嬉しいな。 [備考]: ※本編死亡後からの参戦です。 ※E-4一帯に銃声が響きました。 BACK 病院/3時33分33秒 時系列順 NEXT ぱらいぞうにまうづ BACK 病院/3時33分33秒 投下順 NEXT ぱらいぞうにまうづ BACK 妖艶淫狐降臨ノ巻 費覧 NEXT 二人の悪女狐、その行動 BACK 修羅道を駆ける少女 北沢樹里 NEXT さあそろそろ本気を出そうか
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タイムパラドクスゴーストライターのキャラクターについて解説! そこに付随する用語はタイムパラドクスゴーストライター用語集を参考に! タイムパラドクスゴーストライターは週刊少年ジャンプで連載の漫画だよ! 主役 佐々木哲平37歳(初登場24歳→中間25歳→ジャンプ未収録最終回時37歳) 岐阜育ちで子供のころから憧れ続けた週刊少年ジャンプの星を掴む。 新人賞を受賞して東京へ、担当に菊瀬がなる。 新人賞を突破したら次は読切に掲載するか否か担当の審査がある。 これを突破してさらに審査してやっと連載されるのだ。 しかし菊瀬はクセのあるやつ、ダメ出しされ哲平は 失意の どん底にいた。 そこへ電子レンジに落雷。電子レンジから ほかほかのジャンプがでてきた。それも10年くらい向こう未来の。そこに掲載されているアイノイツキ作ホワイトナイトを読み感動した。だが、ジャンプは読むと少し目を離したすきに消える。それでも毎週10年くらい未来のジャンプがでて来るのであった。哲平はホワイトナイトで連載する権利を勝ち取った。哲平はチートレンジを手に入れた。 目を離した隙に消えたジャンプを幻覚や夢と判断した鉄平は夢の中に出てきたアイデアと解釈し執筆に取り組んだ。 一見すると盗作にも見えるが、まず盗作は10年向こうの新連載であること、もう1つ哲平自身は丸写しでなく自作を工夫していたこと、そしてシナリオをつくったとされる伊月からパクった明確な証拠がないことなどから哲平の試作を盗作扱いするのは困難であろう。 しかし鉄平は そんなことつゆ知らず夢に出てきたアイデアをもとに其れ相応に描いていて、読切で省かれがちな要素を削るなど工夫をしている、まぎれもなく実力。しかも原稿丸コピでなく自らの画力で描いた作品。 完全な盗作ではない。いやむしろ10年向こうの万人誰も聞いたこともない漫画を丸コピしたとしてもパクりにはならない。むしろホワイトナイトを描いたとされるアイノイツキより先に発表したので今更アイノイツキがホワイトナイトを発表してもアイノイツキが盗作扱いされるのだ。 で、ホワイトナイトの大ヒットで今まで散々鉄平を見下してきた菊瀬も視点を見直す結果となった。 東京にあるアパートへ戻った鉄平は未来のジャンプが夢でなかったことを知る。 しかも!留守中も電子レンジから出続けていることに驚愕。 夢でなかったため、自分は盗作してしまったのかと自問自答自責の念にとらわれる。 そもそも10年向こうのジャンプだからパクりなのか?いやそんな!そんな葛藤にかられていた鉄平だ。 ついに自分は空っぽの人間だと思い込み苦渋の決断で電子レンジのコードをハサミで切ろうとした。たが、そこへ宗岡からの着信でとどまる。 ホワイトナイトが未来の漫画だなんて信じてもらえないと思いながら鉄平は試行錯誤で思いついた言葉でなんとかホワイトナイトは描かない旨を伝えようとする。だがホワイトナイトは今や編集部満場一致の大人気作品、案の定 宗岡にWhy的な反応されてしまう。さらに偶然持参したファンレターを鬼のようにバラまいて説得押しされ、やめるにやめられなくなってしまう。結局ホワイトナイトは断れず集英社を後にする。 打ち合わせに集英社へ行って終わって出たところにアイノイツキがいた。 ネームを差し出して内容を見てびっくり!未来のジャンプで見た内容と全く同じではないか!哲平は思わず、あばあばあばあばあばアバレンジャーあばあばばばばと動揺しGペンもった藍野伊月を名乗る女に襲撃される。殺されると思った哲平は罪を被せにゃあかんと逃亡。 追ってくるアイノィヅティーンは追ってくる。 ついに羽交い締めにされGペン突き立てられ絶対絶命だった。 空っぽの人間、20歳のとき月例賞の佳作をとったときの評価。 例えば、七篠先生講評は、王道な少年漫画で良かったですが逆に言うと個性をあまり感じられなく物足りない印象だったのが残念です。 他にも、総合力は高いが小さくまとまっている印象。自分にしか描けないというオリジナリティを見つけて欲しいという評価もあったことを思い出す。 小学生三年生のとき、今思うと支離滅裂で下手くそすぎる漫画とも呼べないような漫画を描いた。キャラは人気漫画の丸パクリだ、それでもみんなが喜んでくれた。中学にあがって本格的に漫画を描き始めた。それも今思えば好きな漫画の寄せ集めだった。 高校の時、持ち込みに行って、オリジナリティがないと一蹴された。 漫画学校でも散々だ。そして必殺『俺にしか描けないものはない!』を発動。アイノイツキは手のひら返すように明るい表情になり、酷似した作品を先出しされたマヌケを自覚したイツキ、そしてホワイトナイトを哲平に託し後にしたのだった。連載をするにあたり作家1人週1で描き上げるのは殆んど困難なことから宗岡編集の紹介でアシスタントをやとうことになった。みんなでやれば早い! だが、哲平は納得のできない様子だ。宗岡から紹介されたアシスタントとは顔合わせだけで済ませ、一旦解散。10年向こうなアイノイツキの100倍画力と精巧に真似しようとしても偽物感が出てしまう違和感に苛まれ、ホワイトナイトが自身に務まるか自己疑念。原稿を丸めて藍野が真相を知っても10年向こうの自身模写読切だけ読んだ上で続きは今の藍野が描くのかどちらも望まなかったらそれこそ無意味に傷つけるだけじゃまいか結局謝りたい気持ちはエゴでしかない。結局さいごまで責任をもって この世界の読者へできる限り本物に近いホワイトナイトを届けることにした。それから熱中して1話目〆切まであと19日の3週間にアシスタントの次郎肇伊月元気が来るまでエアコンつけるのを忘れていたので室温が高くなり、アイスが一瞬で溶けた。よく熱中症にならなかったな。哲平は耐熱体質になったのだろう。次郎は連絡したようだが、哲平によると携帯電話はバッテリーが切れていて音信不通状態で連絡がとれない状態だったとか。どのみち絵描きに熱中してとるひまなかっただろう。伊月は とっさにエアコンのリモコンを手にとり冷房を入れた。 実は長時間原稿をボーと眺めていただけで肝心の原稿はまだ1ページもできていない。1回54ページも描き上げたが納得のいかない様子で、その納得がいかない原稿は床にちらばっていて、それを見た元気と次郎には画力などを賞賛されるが、納得がいかない哲平。 元気は『妥協を許さない作家魂』として感動。みんならの協力もあり10日で原稿は完成した。 でも、赤石元気山根次郎五十嵐肇がボロボロに汚れているのに、なんで藍野伊月は綺麗なんだ? ともかく、完成した原稿を赤石山根五十嵐は超絶スーパーイイグレードアップ神漫画爆誕と賞賛した。哲平はアイノイツキの絵に少しでも本物に近い絵という確実良くなっている原稿に確信をもって未来のホワイトナイト原作家であろう藍野にも意見を聞こうとする。すると藍野伊月は笑顔で賞賛する。それを見た哲平は完成した原稿を千切ってしまう。伊月の反応が気に食わなかったのだろう。唖然としたアシスタントメンバーは また1から描き直すハメになる。そのときの伊月は?なんかショックそうだったな。賞賛したのに破り捨てれたんだからな。どうでもいいけど、ともかく〆切まで、あと9日なかなか原稿が完成しない。なんやかんやで納得のいく試作が完成。世紀の名作を代筆する重責、凡人としての葛藤、週刊連載という過酷な環境。押し潰されそうな極限状態で連載は1話目から修羅場に!フューチャーくぅんロボットから来た未来のジャンプ21号でアイノイツキの訃報を知りロボットの後押しイツキチャンの新作が始まるからイツキチャンに勝て、あなたの敗北は彼の死と伝えられアイノイツキになりきる事を決意した。もともと空っぽの人間だった哲平、これ以降は別名に佐々木カン十郎となる。過去の話になるが、あの日 雷が落ちなかった元の世界線では結局就職したが漫画描くことは諦めなかった。そして8年経った頃、週刊少年ジャンプ本誌に読切を載せることになる。それを読んだことで伊月はスランプを克服し書き溜めたホワイトナイトのネームを持ち込みにいく決断をすることができたのだという。伊月が言ったとおり哲平と伊月は確かに根本で通じ合っている同類だったのだとフューチャーくぅんロボットは語る。全てフューチャーくぅんロボットが仕組んだことだったのだ。単行本2巻記載のジャンプ未収録によると哲平はホワイトナイトを完結させる。しかし次回作以降は独創的な内容から読者がついていけず短期打ち切りばかり繰り返すようになり皆から心配されるもなんとか生き残っているがな。なんとか面白い哲平オリジナルを創り出すのだがな。 集英社関係者諸君 菊瀬編集 ジャンプ編集部の上から目線な編集社員だ。連載当初は哲平の担当をしていた。 しかし哲平の試作にダメ出しするばかりか全否定の上から目線だ。 クズ中のクズでありましょう。まあ新人賞を受けたやつとはいえあまりにも期待外れで失望したなかで、挙げ句の果てにアポ無しで会社に乗り込んできた哲平が しつこいからついカッとなった経緯があるんだろうか。 どちらにしろアポ無し出来た哲平にしつこく審査を要求されるも、ついカッとなり原稿を跳ね散らかして、スッと現れた編集長には皮肉を込めて賞賛され、カッとなったときに担当やめるみたいなことを言ってしまったがため、編集長に哲平の担当から外され宗岡に取られた。のちに菊瀬は哲平を見直し今までの仕打ちを詫びた。 まあでもこれでよかったのだ。あれだけ哲平にボロクソ言ったんだから当面哲平の担当から外れて他作家の担当を受けた方が思考が整理されて良いのだ。 のちに集英社のトイレにて37歳になった哲平と再会、短期打ち切りを繰り返す哲平に相変わらずのイヤミな罵りをかけるが、哲平は昔と違い手慣れたように軽くあしらったんだ。 宗岡編集 ジャンプ編集部の編集社員。哲平と伊月の担当をしていたが『ひとりでできるもん』みたいなことを言った伊月の要望で担当から外されて今は伊月の担当でない。菊瀬が担当降りるみたいなことを聞いていた編集長に哲平の新たな担当へ任命される。 哲平からホワイトナイトを描けませんという発言を受けたときは、もったいないよなどと反発して偶然持ち合わせた哲平へのファンレターを広げながら力説したんだ。まあ宗岡は もちろん、誰も哲平が未来の漫画をパクったことなど知らん。むしろ哲平はホワイトナイトを自身が考えた作品でないことを知り深い罪悪感に苛まれていたので、ホワイトナイトを取り下げたい気持ちがあったのだろう。しかしそんな経緯も知るよしない宗岡に切り出せるわけなく結局ホワイトナイトは続投した。 のちに3話目の原稿を見た宗岡は椅子からひっくり返り酷く感動していた。たぶん涙もろいんだろう。泣上戸か知らんけど。ホワイトナイト連載にあたりインターネットのアシスタントできるサイトで募集をかける。これに最近便利だねなどと賞賛する。何かと差し入れをもってくる気の利いたやつ。伊月が手塚賞入選したことを伝え、次郎の提案で焼肉屋で打ち上げ会する。作家に食事会をする場合、経費は落ちるようだ。ちなみにむかし作家との打ち合わせと偽り社員の飲み会した事件があったらしいが済んだことだから忘れましょう。 さて、哲平が持ち込んだホワイトナイト45話の原稿を見て相変わらず感激する一方、46話は全然よかったし合格点ではあるが、いつものホワイトナイトらしい切れ味が無いというか予想を大きく超えてくる面白さがない感じて哲平に伝える。 それもそのはず、哲平が先に出した45話はアイノイツキ最期の原稿、46話は哲平の考えたシナリオ、つまりテッペイオリジナルなのだからな。 有澤編集 ジャンプ編集部の大柄な編集社員。編集長から哲平の原稿コピーを頼まれる。以来、出番はない。 とてもおおらかな編集長 週刊少年ジャンプの編集部で最高位。アポ無しで来た哲平を丁重に注意する 一方、哲平の試作・原稿を跳ね除けた菊瀬とは見る目が違う。哲平が新人賞を取った4年昔の作品を覚えていたようだ。 アポ無しで来たことは悪いこととしながらも、作品には罪がないと言い、腰をおろし床に座りあぐらをかいて読む。 そして、増刊号には載せられないとしながらも、おもむろに立ち上がり、本誌(ジャンプ)に載せるべきだと主張して他の編集者からは驚かれ、部下の有澤に原稿のコピーを頼む。勝手に。 原稿を見た他の編集者に好評なのを見て連載会議するまでもないと判断し、まずは読切で載せることにしたようだな。 ちなみに、この編集長は編集部で20年やってるんだけど、菊瀬が哲平の試作を才能がないどと見ずに散らかしたことに、『見ないで才能がないかあるかどうかわかる』と皮肉を込めて讃えているんだな。 あと菊瀬は あれだけ駄作を連発した哲平が突然に面白い作品をつくったので疑うように 戸惑っているようだった。 集英社の警備員 集英社の入り口で警備する人だ。 アポ無しで ふらっと来た哲平に入社証を求めるが聞こえていないようだから制止しようとするも編集部まで追わなかったあたり見失ったんだろう。 哲平の知り合いども 元クラスメイター岡野 哲平の同級生らしい。漫画家。哲平と2人の違いが差に見えた。 哲平にフューチャーくんを与えた。ホワイトナイトで成功した哲平が帰省してきてフューチャーくんをボヤしたと伝えられると、不満気に切り出すも無事だったことに免じて許したようだな。 哲平の師匠・七篠権兵衛 ビタミンマンの原作者だ。道で絡んで来たチンピラを背負い投げするような性格らしい。 ペンネームの由来は名無しのごんべいかい! 彼は哲平の師匠であり、哲平は彼のもとでアシスタントを経験していた。 のだが、ホワイトナイトを発表するまで哲平が菊瀬にダメ出しされ続けたあたり彼の技術を学ばなかったのか、修行が未熟だったのか定かでないんだ。 しかし七篠権兵衛はいなかった⁉︎ 外見は長髪のロングヘアーな女であることが判明し、37歳になった哲平を励ます。 哲平アトリエのアシスタントども 熱い赤石元気(19) 赤塚賞準入選受賞者。つまり未デビュー。 ホワイトナイトが偶然超絶ファンだったのでアシスタントになれたことが光栄だというサンシャイン池崎と松岡修造を加えたようなキャラクターだ。 極度の哲平ファンなので、まあ何かと伊月と言い争うよ。なんと語尾にッスを付けるぞ!夏のアイスはガリガリ君とかスイカバーとか伊月と言い争い。肇は あずきバー 一択。数年経って、いつの間にやら伊月とー仲良くなったようだ。 ほっこり山根次郎(35) プロアシスタントだからチーフアシスタントとかの経験。のちに様々な提案して役立つ。普段の宗岡みたいなやつ。 メガネ五十嵐肇(23) 月齢賞佳作受賞者読切デビューメガネ。元気と伊月が夏のアイスで言い争っているなか、ひそかにあずきバー 一択を支持する。かつて、一度漫画を諦めたことがあって、子供の頃から夢で賞もとってデビューもできたが 以来、会議に落ち続け自分自身何が面白い漫画なのか分からなくなり、ある日突然何もかけなくなった。もう諦めるしかない、そう思っていたとき、ホワイトナイトを読んで衝撃を受けた。それは新しくも王道で、何より圧倒的に面白かった。純粋に漫画を面白いと思える感覚を取り戻し、それ以来再びネームが描けるようになった。 緑丘公園な不思議な老いぼれ ジャンプを創刊号から持っていて何故か人気のない公園で毎日買い手を探していた。 ジャンプというコレクションと宝物を託して去った。 創刊号から持っていて、それは1トン以上にもなるという。 高校2年・藍野伊月17歳(人例齢34歳)/アイノイツキ/あいの月ないとホワイト 2030年のホワイトナイトの自称作家。ペンネームはアイノイツキ。もともと高知県に住んでいた不登校な引きこもりー。あいの伊月。 ホワイトナイトという漫画を考えていたらしい。別名、あいの月ないと純白。連載開始時2020年で17歳なので計算上2003年生まれだ。 あれはまだ小学生、見知らぬ老いぼれと出会い、全人類が楽しめる漫画を描く決意をする。 引きこもりーで漫画を描いていてスランプ、哲平の読切を読みスランプ克服し、ホワイトナイト持ち込みを決意する。 なぜかジャンプに自身の作品ホワイトナイトが載っていることに疑問を抱き、まだ会ったこともない鉄平を盗作扱いする。 しかし2020年の今、哲平の参考にした漫画は2030年のもの。そんな漫画をどうやってパクろうというのかね?理由どうあれ証拠がないから、むしろ伊月のが盗作扱いになるだろう。皮肉といえば皮肉。でも伊月は肉といえば肉。素足履きであることが判明だ!足裏ベトベトしてそう。 自身の漫画をパクられたと思った伊月。ついに引きこもりの殻を破り、久々に外出。 集英社へ出向き、玄関で自身の漫画をパクったとされる佐々木鉄平を待ち構える。 哲平にGペンを向け襲撃するも、哲平の必殺技を喰らい、酷似した作品を先出しされたマヌケを自覚、ホワイトナイトを哲平に託し後にし雑魚キャラのように去っていったのだった。というかわざわざ高知から東京まで来たの?引きこもりなのに金あるな。盗作疑惑を持ったときは夜這い忍び込んでネタを盗んだなどと被害妄想を表したよ。仮にそうだとしてもその頃はずっと東京にいたから所要時間等から考えても不可能なので哲平のアリバイ成立。 ホワイトナイトを託すと嵐のように去っていったイツキは のちに宗岡編集が哲平のアシスタントを募集し応募。 高知に帰らず哲平のアシスタントになったのだ。そのときは素足でなくソックスなようだな。 しかし元引きこもり学校も行かずアシスタントとは?コロナウイルスで休校か?アシスタントなのに学生服だが、どうせ不登校だからと学校辞めて東京に来たらしい。2030年には27歳、つまり64歳の高齢者と同年齢だ。自己紹介で偶然同じホワイトナイトを描いていたというと、次郎に二次創作かどうか疑問がられ、元気過ぎる元気には全否定され、一時的に火花をちらすのだった。以降は赤石元気と何かあるごとに張り合う犬猿仲となる。で、とても社交的で引きこもりだったとは思えないほど性格急変しているゾ。逆にいえば哲平がホワイトナイトを発表したことで引きこもりから脱却したキッカケになったといえよう。 いつものように哲平のアシスタントをした2020年12月、差し入れに来た宗岡から手塚賞入選受賞が伝えられる。しかも準入選受賞の元気よりも先に。なんの手塚賞かは不明。激励した哲平に対しては すぐ追いついてみせますからねと宣戦布告を突きつけたのだった。 次郎の提案でお祝いに焼肉パーティが開催され、肉なのに肉好きが判明する。雑食か!しかも元気の焼いた肉を横取りして文句言われ、「も」しか言わないので何言ってんのか突っ込まれる始末だ。彗星のごとく現れたスーパールーキー!の異名。 一方、10年未来の令和13年4月6日に伊月ことアイノイツキは亡くなられることになっている。 佐々木哲平にホワイトナイトを描くように仕向けたのは、アイノイツキの死を回避するため、未来からのSOSとされている。 もしかするとアイノイツキがホワイトナイトを描き続けることで死を招いたのか、はたまたアイノイツキの死により、未来のホワイトナイトが中途半端に終わったので、どんな形であれホワイトナイトを継続させたい何者かの切なる願いなのか定かではない。境遇は藤原ここあと近いが伊月のモデルかどうかは不明。 ともあれホワイトナイトがダブった伊月は新たにANIMA連載に向け構想練り始め半年で連載準備のため独立し、哲平のアシスタント離れた。あーあこれからはライバルかあ。漫画家を志すようになったのは幼少期に公園でジャンプばかり売る不思議な老いぼれとの出会いANIMAの連載が決まる。当初はアシスタントを付けていたが、いつしか取り払い不眠不休で描くようになる。そのことを宗岡に心配されるが、やり続け過労死した、らしい。 宗岡さんは その詳細を教えてくれた。 アイノイツキこと藍野伊月はANIMAが始まって以降しばらくしてネームから仕上げまで手がけるワンマン化した。それ以来、宗岡と会わなくなり、電話すらもでなくなった。さらに打ち合わせさえもしなくなり原稿が完成したら郵送してくるだけになったという。 ただ〆切はきっちり守ってくれているし集中したいからって言ってて、それでも心配だから電話をかけたりしたら伊月の要望で担当を交代させられたという。このとき宗岡は伊月を信用せず、しつこく心配した自身がいけなかったと語っていた。伊月の結末を知っている哲平からも電話をかけられるが元気を振舞っていた。最初のあたりから足を露出していたが、最終的にミニスカートな露出狂へと進化した。 桃園恋子(42) ペンネームは七篠権兵衛。原作はビタミンマンらしい。 あの道で絡んで来たチンピラを背負い投げするような性格らしい。 ペンネームの由来は名無しのごんべいかい! 彼は哲平の師匠であり、哲平は彼のもとでアシスタントを経験していた。 のだが、ホワイトナイトを発表するまで哲平が菊瀬にダメ出しされ続けたあたり彼の技術を学ばなかったのか、修行が未熟だったのか定かでないんだ。 哲平と再会したときは無いものを生み出そうと窶れた哲平にアドバイスる。 謎の存在 フューチャーくぅんロボット 全てを仕組んだ黒幕的存在。週刊連載に向けて東京れ移住した哲平のアパートにある冷蔵庫とそこに偶然置かれたフューチャーくぅんロボットに落雷が落ちて誕生。伊月の『全人類が楽しめる漫画を描く』という夢に心底取り憑かれているから救うために挫折させ夢を諦めさせる計画で哲平に盗作を仕向けた。 伊月の夢を破壊することを計画していて、哲平を見込んで仕向けたわけだが、ある種のナイトメア・ウィザードといったところだ。 だが実は伊月に漫画を描くキッカケを作った老いぼれの亡霊ではないかと囁かれている。 しかし結局その正体を明かさぬまま この漫画は打ち切りになってしまい多くの謎を残した。 このキャラクターは連載開始から、ただの物として扱ってきたが、晴れてキャラクター化した。 詳しくはタイムパラドクスゴーストライター用語集をクリック!