約 297 件
https://w.atwiki.jp/hanrei/pages/211.html
判 決 主 文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事 実 及 び 理 由 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨 (1) 被告は,原告に対し644万5560円及びこれに対する平成16年2月4日から支払済みに至るまで年6分の割合による金員 を支払え。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 (3) 仮執行宣言 2 請求の趣旨に対する答弁 (1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 (3) 仮執行免脱宣言 第2 当事者の主張 1 請求原因 (1) 被告は,損害保険等を業とする株式会社である。 (2) 原告は,平成15年4月5日,別紙1物件目録(省略)記載1の自動車(以下「アルファード」という。)を516万5560円で購入(但し,訴外Fのローンを利用したことから,所有者は訴外Fで原告は使用者である。)し,同年10月30日,別紙1物件目録(省略)記載2の自動車(以下「ファンカーゴ」という。)を代金128万円で購入した。【争点】 (争点に関する主張) アルファードの購入代金は,車両本体価格のほか,同時に車両の付属品であるサンルーフ,カーナビゲーション,モニターカメラ,パワードアなどの特別仕様の購入代金(合計約200万円)を合わせたものである。原告は,損害保険契約締結の際に特別仕様を含めた購入価格を損害保険契約の対象としたものであって,被告との間の保険契約に適用される自動車保険普通約款(以下「約款」という。)においても付属品に対して保険金が支払われること(約款第5章第1条2項)からすれば問題はなく,アルファードの購入代金が車両本体価格より高額であることを指摘する被告の主張は失当である。また,ファンカーゴについては,車両購入価格と保険に表示された車両の価格に107万円余りの差があるが,これはファンカーゴを購入した訴外Aとは別の会社に依頼して装着したカーナビゲーション,タイヤ,フロントスポイラー,サイドステップなどの付属品にかかったものであるから本件では請求をしていない。被告は弁護士会からAへの照会に対するAの従業員の訴外Bの回答が不自然であるとするが,弁護士会からの照会にどのような形で回答するかはその会社に任されるべきで,不自然とまではいえない。 (3) 原告と被告は,アルファード及びファンカーゴに偶然発生した事故によって生じる損害を填補することを目的とする以下の内容の損害保険契約を締結した。 ア アルファード分 (契 約 日)平成15年9月11日 (保険の種類)自動車総合保険(SAP) (証券番号)(省略) (保険期間)平成15年9月15日午後4時から平成16年9月15日午後4時までの1年間 (保険金額)車両保険金額520万円,新車価格相当額530万円 イ ファンカーゴ分 (契 約 日)平成15年11月13日 (保険の種類)自動車総合保険(SAP) (証券番号)(省略) (保険期間)平成15年11月13日午後1時から平成16年11月13日午後4時までの1年間 (保険金額)車両保険金額235万円,新車価格相当額235万円 (4) アルファード及びファンカーゴは,平成15年12月22日午前2時ころから同日午後2時ころまでの間に,何者かによって,原告宅に併設された駐車場(以下「本件駐車場」という。)から窃取された(以下「本件盗難」という。)。【争点】 (争点に関する主張) この点,被告は,本件盗難には偶然性がない,すなわち,本件盗難は偽装のものである可能性が高い旨主張する が,以下の点を総合的に勘案すれば,本件盗難が偶然発生したものであることは明らかというべきである。 まず,原告が本件盗難当時に生活費等の金銭に窮していた事実がないことに加え,盗難届を提出し,捜査の結果盗難の偽装が発覚すれば刑事責任を問われる一方,その結果得られる報酬は大した金額ではないことからすれば,原告が本件盗難を偽装する動機はないというべきである。次に,アルファードには盗難防止のイモビライザーが装着されているとはいえ,レッカー車により牽引をする方法で窃取することが物理的に可能であることは被告提出の鑑定書からも明らかであり,牽引作業及びその準備作業に伴う騒音を原告はもちろん近隣住民が目を覚まさない程度で抑えながら作業をすることは十分あり得るというべきであるし,そのほか,窃盗手段としてイモビライザーそのものを切断する方法もある以上,鍵の所持者である原告の関与が本件盗難に必要とはいえない。また,本件盗難を当日中に訴外Cが知らなかったのは原告との付き合いが金銭の貸し借りにとどまるものであったからで,原告の妻である訴外Dが本件盗難のあった日の夕方の行動を覚えていないのは単に記憶の減退によるものであって,被告が指摘する事実が本件盗難の偶然性について影響しないことは明らかである。 (5) 原告は,平成16年1月5日,被告に対し,本件盗難により,約款第5章第5条1項により定められる保険価格であるアルファード及びファンカーゴの価格の支払いを求めるため,保険証券に添えて自動車保険金請求書等を提出し,本件盗難の日の翌日である平成15年12月23日から60日以内に約款第6章第20条2項所定の手続を履践した。 (6) よって,原告は,被告に対し,損害保険契約に基づく保険金及びこれに対する遅延損害金の支払を請求するものである。 2 請求原因に対する認否等 (1) 請求原因(1),(3)及び(5)の各事実はいずれも認める。 (2) 請求原因(2)の事実のうち,アルファード及びファンカーゴの購入価格がそれぞれ516万5560円と128万円であることは不知。【争点】 なお,被告はその余の事実について明確に争わず,金額を除く売買の事実等について弁論の全趣旨から争ったとまでは認められないから自白したものと見なす。 (争点に関する反論) アルファードという車種の車両の新車価格は320万円であり,ファンカーゴという車種の車両のそれは124万円である。これに比べて原告が主張するアルファードの購入価格は極めて高額であるし,アルファード及びファンカーゴの売買に関与したAの従業員Bは,調査会社による調査に対し,アルファードの価格は490万5930円でローンを組む方法で,ファンカーゴの価格は167万4080円で即時現金払する方法で,支払ってもらったと口頭で供述していたが,弁護士会からの照会に対しては,Aに対する照会であるにもかかわらず代表者ではないB個人がこれに回答するという形式的に不自然な行為があることは当然,内容についても,新車注文書とともに送付された車両入金日報にはアルファードの支払と思われる入金は450万円,ファンカーゴの支払と思われる入金は128万円(但し手数料210円を含む。)にすぎないなど書類との不一致,著しい変遷をしており,更には,いずれの代金額も結局は保険契約の際に表示された新車相当価額とは異なるものであるから,売買契約の代金にかかる原告の主張は信用できないものである。 (3) 請求原因(4)の事実は否認する。 (争点に関する反論) アルファードという車種の車両にはイモビライザーが標準装備されている。イモビライザーを装着した車両を他人に悟られることなく運転して窃取するためには,イモビライザーの防犯性能からすれば,実際のところは正規の鍵を使用するしかないというべきである。また,原告は,アルファードをレッカー車で牽引して本件駐車場から離れた安全な場所まで持ち去った上でイモビライザーを切ったと推測できる旨主張するが,本件駐車場は,車両を2台入れる程度のスペースしかない上,屋根が低く,また前面道路も幅員が約4mしかないため,車高が高く車長の長いレッカー車を用いてアルファードを移動することは不可能であるか可能であっても著しく困難を伴うものであるし,また,原告宅は住宅街にあるから,夜間にそのような作業を行えば,その物音で原告宅や付近の住民に気付かれる恐れが高く,その上車庫には2基の防犯用ライトが設置されており,そのライトに照射されながら敢えて本件車両の窃取作業を行うことは犯罪をする者にとって極めて危険な行為である。更には,イモビライザーを装着した車両を窃取しても,それを通常の使用に供するためには,イモビライザーを解除しうる電気抵抗を持つキーを何らかの方法で作成又は調達するか,又は,イモビライザーのシステム全体を載せ替えるかの方法によらなくてはならない。このような困難を承知でレッカー移動を行うことは通常考えることはできず,結果,本件盗難が偶然のものであることに疑問を挟むには十分である。 第3 当裁判所の判断 1 請求原因(1),(3)及び(5)は当事者間に争いがない。 2 請求原因(4)について (1) 証拠によれば,請求原因(4)に関連して以下の事実が認められる。 ア 原告宅及びその周囲の状況について (ア) 本件駐車場及びこれに接する原告宅西側の道路の平成15年12月22日当時の状態は,別紙2の図面(省略)記載のとおりである。本件駐車場は,原告宅の方から道路に向かって緩やかに下り勾配となっており,上にはアーチ型の屋根がかけられているほか,原告宅西側壁面に防犯用照明器具(100w電球2つが120度の範囲(駐車スペースの大部分がその対象範囲となる。)で人などの動きを検知して点灯するもの。)が設置されている。また,本件駐車場と別紙2の図面(省略)に「U字溝上蓋」と記載された部分との境目には55mmないし61mmの段差があり,本件駐車場の方が道路よりも高い位置にある。この段差についてスロープ等の設置はない。 原告宅のある地域は,一戸建てや集合住宅がある住宅街であると同時に,多数の駐車場が点在する。 (イ) 原告及びDは,本件盗難当時,同人らの子1名とともに原告宅に居住していた。原告らが当時就寝していた場所は,原告宅の2階の東側で本件駐車場の直近というわけではないが,本件駐車場付近での車両のエンジン音や本件駐車場に止めていた車両が出発する際に前記した道路と本件駐車場の境にある段差を通過する際に発生する音などを十分に聞くことができる位置関係にはある。 (ウ) 原告は,平成15年12月22日午前2時ころ,アルファードを運転して原告宅に戻った。その際,ファンカーゴは本件駐車場の北側に先頭部分を原告宅に向けた状態で駐車されており,原告は,アルファードを先頭部分がファンカーゴ同様原告宅に向いた状態で本件駐車場の南側に駐車しし,原告宅に入った。 イ アルファード及びファンカーゴについて (ア) アルファードは,全長4800mm,全幅1805mm,全高1935mm,エンジン排気量2.99l,車両総重量2275kgの車で,平成15年4月初年度登録されたものである。アルファードという車種の新車購入価格は320万円であり,標準装備されている鍵は3枚ある。また,盗難防止装置としてイモビライザーが標準装備されている。 (イ) ファンカーゴは、全長3880mm,全幅1660mm,全高1700mm,エンジン排気量1.29l,車両総重量1315kgの車で,平成15年10月初年度登録されたものである。イモビライザーが装備されていた事実はない。ファンカーゴという車種の車両の新車購入価格は124万円であり,標準装備されている鍵は2枚ある。 ウ イモビライザーについて イモビライザーとは,登録されたエンジンキー以外でエンジンを始動させようとしたときには,エンジンの点火,燃料噴出を禁止してその車を動かない(始動できない)ようにする高度な盗難防止システムである。原理は,エンジンキーのグリップに小型の通信チップ(トランスポンダー)を内蔵し,アンテナコイルでキーに登録されたIDコードを読み取り,エンジンコントロールコンピューター内部に予め登録されたIDコードを照合し,一致した場合のみエンジンを点火,燃料噴出可能状態とする。キーに登録されたコードは車ごとに異なるものになっている。 一般に,イモビライザーを装備した車両を窃取する方法としては,イモビライザーの解除が可能な鍵を用いる方法,イモビライザーを解除しないままレッカー車で牽引して持ち去る方法,イモビライザーのシステム一式の交換や手を加える方法で元々の鍵でなくともエンジンが始動する状態を作出する方法などがあるが,鍵を用いない窃取方法として最も容易なのは牽引による方法で,その他の方法は相当程度の専門知識を要する。 エ 原告の被害申告等について (ア) 原告は,平成15年12月22日午後2時ころ,本件駐車場内にある郵便ポストを見た直後に,Dに対し,アルファードとファンカーゴが本件駐車場から無くなったと本件盗難の事実を告げた。その後,原告から保険金の支払請求を受けた被告は,調査会社に本件盗難の調査を依頼した。調査会社は,本件駐車場の状況等についての調査を実施したが,その際にもアルファード及びファンカーゴは目撃はされていない(なお,原告がファンカーゴと同じ車種の車両を購入したことから,その車が本件駐車場に駐められてはいる。)。 (イ) 原告は,本件盗難の事実を認識して約3時間経過した午後5時30分ころ,E警察署にアルファード及びファンカーゴが窃取されたとして窃盗事件として被害届を提出した。被害届の内容は以下のとおりである。 (被害日時)平成15年12月22日午前2時ころから午後2時ころまでの間 (被害場所)松山市a町b丁目c番d号駐車場 (被害金品)アルファード及びファンカーゴ (ウ) 原告は,被告から残っている鍵の提出を求められたことから,ファンカーゴの鍵1枚,アルファードの鍵2枚を被告に交付し,被告はこれを受領した。 (エ) 本件盗難の際,原告の生活が経済的に苦しいものであった事実はない。 オ 調査会社が録取した原告,B,D及びCの各供述は以下のとおりである。 (ア) 原告(平成15年12月24日録取) アルファードの鍵はリモコン付が1枚,ノーマルが2枚で,ファンカーゴはリモコン付が2枚である。 (イ) 原告(平成15年12月25日録取) アルファードの鍵は2枚,ファンカーゴの鍵は1枚で,ファンカーゴの鍵1枚はアルファードの中に入れてあるのでない。 (ウ) B(平成15年12月25日録取) ファンカーゴの購入価格は167万4080円で現金での支払を受けた。アルファードはFでローンを組んだ。 なお,この際,調査同日付けの見積書が提出され,それによれば,アルファードは販売価格は490万5930円とされ(特別仕様,付属品価格として109万9000円が計上されている。なお値引きはない。),ファンカーゴは販売価格合計167万4080円,うち車両価格は値引きなしの126万円,特別仕様に14万2000円余りとされている。 (エ) D(平成15年12月29日録取) 本件盗難の日には用事(用事の内容は思い出せない。)があってインスパイアーを使用すると私が原告に言っていたので,原告は,原告の友人に電話をかけたのだろうと思う。原告の友人が原告を迎えに来たが,私は,その人の名前も顔も知らなかった。私は,午後5時ころに出掛け,午後6時には帰宅したが,帰宅した際に家にG保険事務所の人が来ていた。 (オ) C(平成15年12月29日録取) アルファードとファンカーゴが盗難にあったことは今聞かされて知った。原告が何処に住んでいるのか知らない。Dとは平成15年12月22日午後6時ころに黒のインスパイアーで原告と一緒に来店した時に初めて会った。 (2) 以上の認定事実のうち,エ記載の各事実からすれば,アルファード及びファンカーゴは原告の知らないところで,すなわち偶然の事情で,氏名不詳の第三者によって窃取されたことの立証は十分であるかのようである。 しかしながら,その他の事実に照らせば,以下に説示するように,本件盗難が偶然に発生したといえないばかりか,むしろ行方の知れない鍵について合理的な説明ができない原告による何らかの関与があったと考えるのが合理的ともいえ,偶然性の立証は不十分であるというべきである。 第1に,イモビライザーを解除する能力をもった鍵(以下「適合鍵」という。)で解錠する以外の方法でアルファードを本件駐車場から持ち去る具体的な方法を想定することは極めて困難というべきである。イモビライザー装備車両を適合鍵なしで窃取することは,当該車両をレッカー車で牽引する方法によれば可能であり,この点で原告の主張は正しいものというべきではあるが,本件駐車場の具体的状況,すなわち,夜間の住宅街で防犯灯の明るい光線に照らされながら作業し,かつ,作業の音を原告はもとより原告宅周辺住民に一切気付かれないようにすることは,窃盗を実施する者にとって客観的に実現可能性の低い他人に発見される危険を伴う行為というほかないし,本件駐車場に設置された屋根の形状とアルファードの車両の大きさ,接面道路の幅員などの条件下では,牽引作業そのものにも困難が伴うことは明らかである(なお本件駐車場でイモビライザーシステムに改造を加えればレッカー車を用いることなく窃取することは可能であるが,部品交換に騒音を伴いながら作業に1時間近く要し,かつ,その間中防犯灯に照らされ続けるのであってレッカー車による牽引以上に非現実的である。)。また,仮にそのような方法で窃取しても,アルファードを運転の用に供するためには,適合鍵が入手できなければイモビライザーシステム一式の交換が必要で,そのためには専門知識と金銭的負担が伴うことから,一般に窃取対象がそれなりの高級車でないと割に合わない行為というほかない。以上のとおり,窃盗そのものに相当な困難さを伴い,そのような困難な行為であるにもかかわらず,それを敢行するだけの利益が認められない。 なお,ファンカーゴについては,イモビライザーが装着されていたわけではないが,防犯灯による窃盗の困難性のほか,鍵を使用せずにエンジンを始動させたのであればその作業や運転に関する音が発生し,レッカー車を使用したのであればアルファード同様の作業音や,作業の困難性が伴い,そのほかアルファードと同時期に窃取された事情に鑑みれば,アルファードと同時に窃取されたと考える方が自然であって,その際の作業の困難さや発見可能性はアルファードにおけるそれとともに高まるものであって,盗難の困難さが認められる一方,アルファード以上にその利益は小さいというほかない。 第2に,アルファード及びファンカーゴの鍵の管理についての原告の供述内容が客観的事実などと比較して不自然である。原告は,残された鍵としてファンカーゴ分1枚,アルファード分2枚の鍵を被告に提出しているが,そもそもアルファードに標準装備されている鍵は3枚なのであって,1枚の所在が何らの合理的説明もなく行方がわからない。この点,原告は,原告本人尋問の際には,アルファードの鍵が2枚であったことを断言しているが,同尋問で原告が聴取内容に間違いがないと供述した調査会社の聴取書では,アルファードの鍵は3枚と明確に回答しているが,そのように変遷する理由についても何らの合理的説明をすることができない。また,ファンカーゴについては標準装備される鍵は2枚であるが,原告はうち1枚はアルファードの車内であると述べるにすぎず,アルファードについて上記してきた事情がある以上,鍵が1枚ないことについては合理的説明がないと評価しうるものである。 第3に,保険の前提となる車両購入価額に不自然というほかない事情が認められる。この点原告は,付属品による価格の上昇であるから問題がないかのように主張するが,車両の価格については,Aの担当店員であるBの回答が調査会社に対するものと弁護士照会で回答されたものとで変遷し,その根拠の書類そのものも見積りの日付等不自然な点が散見されるほか,付属品と称するものについてもその明細は存在しておらず(原告は尋問中でアルファードやファンカーゴに載せていたとするが,上記した車両の存在に関する不自然さからすればこれを全面的に信用はできない。)不自然というほかない。また,アルファードは8か月,ファンカーゴは2か月という購入後極めて短期間の間に窃取されている。 第4に,原告の本件盗難の発見直後の行動であるが,平成15年12月22日午後2時ないし2時30分ころ本件盗難の事実を知り,かつ,派出所まで被害申告をしに行った,すなわち直ぐにでも被害申告をしようとしたとしながら,以降,E警察署に被害届を出しに行くまで約3時間もの間隔があることに加え,その際及びこれ以降の原告の行動は,原告と何らの利害対立のないD,Cの供述内容と食い違いがあったり,一致があっても同人らの調査会社への陳述内容(なお,D,Cとも調査会社の聴取内容は原告代理人から示されて内容を確認し,誤りがないと証言した。)との間で記憶の減退で説明できない齟齬があるなどしており,不自然というほかない。 (3) よって,請求原因(4)は認められない。 3 以上のとおりであるから,その他の事実について判断するまでもなく,請求原因は理由がない。 第4 結語 したがって,原告の請求は理由がないから棄却し,訴訟費用の負担については民事訴訟法61条を適用して原告の負担とすることとし,主文のとおり判決する。 (口頭弁論終結の日・平成17年8月9日) 松山地方裁判所民事第1部 裁 判 官 竹 尾 信 道
https://w.atwiki.jp/hanrei/pages/153.html
判 決 主 文 1 被告は原告に対し113万4000円とこれに対する平成17年4月12日から支払いずみまで年5%の割合による金員を支払え。 2 原告のそのほかの請求を棄却する。 3 訴訟費用は20%を原告の80%を被告の負担とする。 4 この判決は第1項にかぎり仮執行をすることができる。 事実および理由 第1 請求 被告は原告に対し141万7500円とこれに対する平成17年4月12日から支払いずみまで年5%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 基本的事実関係(当事者間に争いがないか,かっこ内の証拠等により認める) (1) 当事者 原告は,建設コンサルタント,測量調査土木建築設計監理等を目的とする株式会社である。 原告は,昭和53年にAが中心となって同族会社として設立した会社であり,その当時の代表取締役はAであった。現在の原告の代表取締役はBであり,AとBの間には原告の経営権をめぐって紛争が存在する。(甲5,乙7) 被告は信用金庫である。 (2) 普通預金口座の存在 原告は,平成14年2月5日,被告北支店に普通預金口座を開設した(以下「本件口座」という)。原告はまた,同年6月10日,同支店に公共工事前払金専用の普通預金口座を開設した。いずれも開設の手続をしたのはBであり,通帳には「株式会社浅川工営代表取締役B様」と印字されている(甲1の1・2)。 (3) 出金禁止 平成16年2月23日,原告会長の肩書きのある名刺をもったAが,原告取締役の名刺をもったCとともに被告北支店を訪れ,原告において「株主の偽造」が発覚したなどとして,原告の普通預金口座からの払戻しを停止するよう要請した。Aが持参した同月16日付けの原告の株式会社登記履歴事項全部証明書の役員欄にはAでなくBが代表取締役と記載されていたが,北支店職員はAの申出に応じ,本件口座を出金禁止とした。なお,この出金禁止は,自動振替契約がされている公共料金等の出金やインターネットバンキングによる出金には及ばない。(甲7,乙1,2,3の1・2,4の1・2,16,弁論の全趣旨) Bは,3月1日,本件口座から払戻しをしようとしたができなかった。北支店職員に問い合わせ,Aの要請により出金禁止となったことを知った。 (4) Aから被告へのはたらきかけ(乙5,6,弁論の全趣旨) AとCは,3月10日にも被告北支店を訪れ,役員欄に代表取締役A,取締役Cとの記載のある同日付けの原告の株式会社登記現在事項全部証明書を示して,原告の普通預金口座からの預金の払戻しを求めた。Aは3月15日にも北支店を訪れて同様の要請をした。北支店職員は,通帳と届出印の持参がないこと,原告に内部紛争が生じていることを理由にいずれもこれを拒絶した。 (5) 仮処分決定(乙7) Bは,「Bは原告の議決権を有する唯一の株主であるが,Bの関与しないところで,平成16年2月23日に臨時株主総会,取締役会が開催されたことを前提に原告の株式会社登記簿の役員欄が変更された」などと主張して,原告を債権者,Aほか2名を債務者とする仮処分命令を甲府地方裁判所に申し立てた。Aとともに債務者とされたのはDとCであり,いずれもその当時原告の株式会社登記簿上取締役となっていた。その申立ての趣旨は,Aが原告の代表取締役の地位にないこと,DとCが原告の取締役の地位にないことを仮に定める,Aらは原告の代表取締役,取締役を称するなどして原告の業務を妨害してはならない,というものであった。 甲府地方裁判所は,4月16日,原告の申立てをいずれも却下するとの決定をした。 (6) 入金禁止(乙7,弁論の全趣旨) Aは,甲府地方裁判所の仮処分決定が出た後の4月19日,被告北支店を訪れ,仮処分決定正本を示して,原告の代表者をAに変更する手続をするよう求めた。被告は,検討の結果,同月22日,Aを原告の正当な代表者とあつかうものとし,ただ当面預金取引は新しい口座を開設して行い,既存口座の代表者変更手続については仮処分決定の抗告審の結果にしたがうこととして,それまでの間,既存口座の入出金を禁止することを決め,ただちに実行した。 (7) 本件口座への振込みと返金(甲2,乙14の2,15の1) 山梨県は,4月27日,同県富士北麓・東部振興局大月林務環境部から原告に対する測量設計業務委託料の支払いとして,141万7500円を本件口座に振り込んだ(仕向銀行は山梨中央銀行)(以下「本件振込金」という)。被告は,本件口座につき入金禁止の措置をとっていたため,本件振込金をいったん別段預金口座に入金したが,同日中に仕向銀行である山梨中央銀行に返却した。 (8) 供託とAへの払渡し(甲3,4) 山梨県(富士北麓・東部振興局)は,4月30日,「原告に対して141万7500円を弁済しようとしたが,指定口座であった本件口座が原告の都合により入金不能となっており,原告はこれを受領することができない」として,甲府地方法務局に対し,原告を被供託者として141万7500円を弁済供託した(以下この供託金を「本件供託金」という)。同地方法務局は同日,原告に宛てて供託通知書を発送し,Bはまもなくこれを受領した。 Aは,本件振込金が返却された顛末を被告職員から聞き,5月6日,甲府地方法務局を訪れ,原告の代表取締役として本件供託金の還付請求をした。ただし,Aは供託通知書を入手できなかったので,「供託通知書が紛失したため添付することができない」と虚偽の申告をし,供託規則22条2項7号,30条の定める催告払い(※)によることを請求した。同地方法務局では,催告払いの手続をとったうえ,同月24日,本件供託金を原告代表取締役としてのAに払い渡した。 ※ 供託規則30条の定める催告払いの手続は次のとおりである。 供託官は,利害関係人に対し,供託物の払渡しに異議があればその理由を記載した異議申立書を一定期間内に提出すべきことを通知する。ただし,利害関係人が知れないときまたは利害関係人に対して通知をすることができないときは,通知に代えて,そのことを公告する。 供託官は,異議申立書の提出がないときまたは異議の申立てを理由がないと認めるときは,供託物の払渡しの手続をする。 (9) 仮処分決定に対する抗告とその結果(甲5,6,14,19,弁論の全趣旨) Bは甲府地方裁判所の仮処分却下決定に対して原告として抗告するとともに,申立ての趣旨を追加,特定した。 抗告を受けた東京高等裁判所は,10月13日,次のとおり決定した(原文どおり)。 1 原決定を取り消す。 2 本案確定に至るまで,次のとおり仮に定める。 (1) 申立外Bが抗告人の代表取締役の地位にあること (2) 申立外B及び同Eが抗告人の取締役の地位にあること (3) 相手方Aが抗告人の代表取締役の地位にないこと (4) 相手方A及び同Dが抗告人の取締役の地位にないこと (5) 相手方Cが,平成16年2月23日に開催されたとされる臨時株主総会において,取締役に選任されたことによる抗告人の取締役の地位にないこと 3 相手方らは,抗告人の代表取締役や取締役を称するなどして,抗告人の業務を妨害してはならない。 4 申立費用は,原審,抗告審とも相手方らの負担とする。 Aらはこれを不服として特別抗告をしたが,最高裁判所は12月13日,抗告を棄却する決定をした。 Bは,10月13日,甲府地方法務局に対し,抗告審決定のとおりに原告の株式会社登記簿の役員欄の抹消登記をすること(※)を申請し,同地方法務局登記官は同月18日,そのとおりの登記をした。 ※ 正確にいうと,平成16年2月26日に登記された下記の就任登記の抹消と下記の退任登記の抹消 取締役C,A,D 代表取締役A 取締役B,E,C 代表取締役B 2 原告の主張 原告は被告に対し,債務不履行または不法行為に基づき,141万7500円の損害賠償とこれに対する訴状送達の翌日である平成17年4月12日から支払いずみまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払いを求める。この請求の根拠としては次のことがあげられる。 被告北支店の職員は,平成16年2月23日,原告の金融情報(被告北支店に原告の普通預金口座が開設されていること,その口座番号と残高,原告のすべての売掛金はこの口座に入金されることなど)をAに漏らした。被告の協力を得たAは,原告の金銭をだましとるという目的で同月26日に原告の株式会社登記簿役員欄を改変した。被告はさらに,本件振込金をAが取得できるようにするため,本件口座に入金禁止措置をとったという理由でこれを仕向銀行に返却した。その結果Aは本件供託金の払渡しを受けた。 本件振込金は平成16年4月27日に原告の預金として有効に成立している。 被告は,本件振込金の振込みがあったこと,これを仕向銀行に返却したことを,Aには伝えたがBには伝えなかった。 ④ 被告は,本件口座を出金禁止,入金禁止にしたことをBに通知しなかった。 被告の主張する事実関係を前提にしても,本件口座を出金禁止にするだけならまだしも,入金禁止にする理由はない。 平成16年5月当時,原告の株式会社登記簿上はAが代表取締役でBは取締役ですらなかったから,Bには,Aが本件供託金の払渡しを受けるのを阻止する手段がなく,原告には過失がない。 3 被告の主張 (1) 入出金禁止措置についての正当な事由の存在 ア 被告が本件口座に入出金禁止の措置をとった平成16年4月22日当時,以下の事実があった。 原告の株式会社登記簿上はAが代表取締役とされており,被告はこれを了知していた。 平成16年3月22日,被告北支店の原告の前払金専用口座に,山梨県(峡北地域振興局)から341万円の振込みがあった。被告は,事前に通知を受けていたため,前払金保証をしていた東日本建設業保証株式会社とあらかじめ協議し,さらに同社とBが協議した結果,振込みがあった後ただちにBが払戻しを受け,これを同社に振り込むという手続をとることにした。そして,3月22日,Bはこのとおりの手続をし,この振込金について実質的な組戻しが行われた。したがって,B自身,原告の代表者の地位をめぐる紛争中に原告口座への振込みがある場合,被告北支店に入金される以前の段階で支払元との話しあいにより処理すべきであること,少なくとも紛争発生前のように当然には入出金ができない状況にあることを認識していた。 平成16年4月16日,甲府地方裁判所はBが原告としてした仮処分命令の申立てを却下し,同月19日に被告はこれを了知した。 ④ Aは従前から被告に対し本件口座からの払戻しを要求していた。 イ 甲府地裁の仮処分却下決定が出たことにより,本件口座が真に原告の口座であるという前提は崩れており,客観的にはこれが「原告ことB」個人の口座になっている可能性もあった。一方,本件振込金が法人としての原告に宛てられたものであることは従前の経緯や為替発信票から明らかであった。この場合,被告が漫然と本件口座への入金を許し,Bからの払戻請求に応じれば,その後Aを代表取締役とする原告からも請求を受け,二重の支払いを強いられる危険がある。このような二重払いの危険から自己防衛をするための手段のひとつとして,金融機関である被告は,信義則上,本件口座に入出金禁止の措置をとり,まずもって預金債権を成立させないようにすることができる。これは,普通預金契約約款11(2)の事由のうち「(この)預金口座 の名義人の意思によらずに開設されたことが明らかになった場合」に準じるものとして理由づけることができる(※)。 ※ 本件口座の預金取引に適用される普通預金契約約款(乙8)11(2)は次のとおり定めている。「次の各号の一にでも該当した場合には,当金庫はこの預金取引を停止しまたは預金者に通知することによりこの預金口座を解約することができるものとします。(中略) この預金口座の名義人が存在しないことが明らかになった場合または預金口座の名義人の意思によらずに開設されたことが明らかになった場合」 さらに,振込取引において,被仕向銀行たる被告は,委任契約の受任者として,委任者たる仕向銀行に対し,善良な管理者の注意をもって振込事務を処理する義務を負っている。仕向銀行およびこれに振込を委託した依頼人の意思が法人たる原告に本件振込金を交付することであることが明らかな以上,被告が上記各事情を認識しながら漫然とこれを本件口座に入金し,Bからの払戻請求に応じることは,この善管注意義務に違反する。入出金禁止の措置はこの善管注意義務に基づくものである。 ウ 以上のとおり,被告のした入出金禁止の措置は正当であり,被告は原告に対して損害賠償義務を負わない。 (2) 仕向銀行の追認による組戻し 被告は本件振込金を直接Aに交付しておらず,Aの口座に入金してもいない。仕向銀行に返却したのであり,仕向銀行および振込依頼人である山梨県も,あらためて被告に資金の受入れを求めることなく,その返却を受けた。したがって仕向銀行の追認による組戻しが成立したと評価することができる。山梨県の供託の理由も「被供託者の都合により入金不能となって(いる)」ということであり,被告の入出金措置を問題にするものではない。 (3) 因果関係の不存在または過失相殺 Bは,本件供託金の存在を知りながら,20日あまりの間何の手段も講じずいたずらにAへの払渡しを許し,みずから原告の損害を招いた。万一被告のあつかいに過失があったとしても,これと原告の損害との間には因果関係がない。少なくとも相当程度の過失相殺をすべきである。 第3 当裁判所の判断 1 前提となる事実 法律上の問題を検討するに先立ち,当裁判所は以下の事実を前提事実として認定する(基本的事実関係として摘示した事実のほか,かっこ内の証拠等による)。 (1) 原告の内部事情 ア Bは,平成13年11月までに原告の株主となり,以後,原告の議決権を有する唯一の株主かつ代表取締役として原告の経営にあたってきている(甲5,乙2)。 イ 平成16年2月23日当時,原告の取締役はB,E,Cの3人であり,代表取締役はBのみであった(甲5,乙2)。 ウ Aは,平成16年2月23日に原告の臨時株主総会と取締役会が開催され,B,E,Cが取締役を退任し,A,D,Cが新たに取締役に選任され,Aが代表取締役に選任されたとする書類をBに無断で作成し,これを使って登記申請をした。その結果,同月26日,この書類どおりに原告の株式会社登記簿役員欄が変更された。(甲5,乙2,5) エ Bは3月1日以降このことを知り,甲府地裁に対して原告を債権者として仮処分命令を申し立てた。甲府地裁は申立てを却下したが,抗告審である東京高裁は10月13日,Bの言い分を全面的に採用して申立てを認容する決定をした。 オ Bは同日この決定を添付して登記抹消申請をし,2月26日にされた原告の株式会社登記簿役員欄の登記は抹消された。 (2) 本件口座の帰属 本件口座は,平成14年2月,原告の代表取締役であるBが原告のために開設した口座であり,普通預金契約は原告と被告の間で成立しており,この口座の預金債権は原告に帰属する。 (3) 被告の認識 ア 被告北支店職員は,平成16年2月23日,原告の経営権をめぐってBとAの間に紛争が存在することを知った。 イ Bは,3月1日,本件口座が出金禁止となったことを被告北支店職員から説明されると,これに対し,Aがした登記は不実の登記であり,近いうちに甲府地裁に仮処分命令の申立てをするので,被告がAの利益を図り原告に損害を与えた場合は被告を訴えるという趣旨の話をした(争いがない)。 ウ 被告北支店職員は,本件口座の通帳と届出印を所持しこれを管理しているのはBであると認識していた。しかし,入金禁止の措置をとったことをBには伝えなかった。(弁論の全趣旨) エ 4月27日に本件振込金が着金した後,被告北支店職員はただちにAに連絡し,新口座を開設して振込先をそちらに変更する手続をとるよう伝えた。Aからは,山梨県は従前の指定口座以外の口座には振り込めないとの返答があった。同支店のF支店長は,山梨県土木総務課に電話してそのことを確認した後,本件振込金を仕向銀行である山梨中央銀行に返却した。山梨県富士北麓・東部振興局大月林務環境部の職員から入金不能の理由につき問い合わせの電話があったため,F支店長は経緯を説明した。(弁論の全趣旨) 翌28日,山梨県出納局職員から被告北支店に電話があり,県としては,供託をするか戻入事故繰越により処理するとのことだった。以後県からの連絡はなかった。(弁論の全趣旨) 被告北支店職員は,本件振込金を返却したことをAには伝えたがBには伝えなかった(弁論の全趣旨)。 2 被告の債務不履行について (1)「入出金禁止」の意味 原告が問題とするのは被告が本件振込金を本件口座に入金しなかったことである。本件口座の預金取引に適用される普通預金契約約款3(1)は,「この預金口座には,為替による振込金を受入れます」と定めている(乙8)。一方,同約款11は,被告が「預金取引を停止(すること)」ができる場合を定めている。ここに「預金取引の停止」とは,被告が普通預金契約上の諸債務の履行から一時的に解放されることをいうものと解される。普通預金契約は,金銭消費寄託を中心とする役務の提供を目的とする期間の定めのない継続的契約であり,この契約に基づく個別取引(預入れ,証券類の取立てなど)を行うための枠組みを設定する「枠契約」とみることができるから,「取引停止」も,枠契約としての普通預金契約上の債務についての停止と,すでに発 生した普通預金債権の弁済の停止に分けて考えることができる。前者を「口座利用の停止」,後者を「払戻しの停止」と呼ぶことにする(以上につき中田裕康「銀行による普通預金の取引停止・口座解約」金融法務事情1746号16頁参照)。本件において被告のいう出金禁止は「払戻しの停止」に,入出金禁止は「口座利用の停止」に該当するということができ,本件で問題となるのは,払戻しの停止ではなく口座利用の停止である。 被告の主張は,本件では約款11(2)の「(この)預金口座の名義人の意思によらずに開設されたことが明らかになった場合」に準じる事由が存在するから,口座利用の停止をする要件がそなわっており,本件振込金を本件口座に入金しなくても債務不履行にはならないというものである。普通預金口座が各種取引に利用されていることからすると,口座利用の停止がその預金者に重大な経済的不利益を生じさせることは十分考えられるのであり,これを発動するためには,約款11(2)に明確に該当する事由か,これに準じるやむをえない事由が存在することが必要であると解すべきである。以下,この観点から検討する。 (2) 口座利用を停止する理由の有無 平成16年4月22日に被告が本件口座の口座利用を停止した際,被告は, 原告の株式会社登記簿上Aが代表取締役となっておりBは取締役にすらなっていないこと, Bが原告を債権者として申し立てた仮処分命令の申立てが甲府地裁で却下されたことを知っていた。被告の主張の根拠はおもにこの2点にあると解される。しかし,基本的事実関係として摘示した事実と上記1の事実によれば次のことを指摘することができる。 本件口座はBが原告のために開設したものであり,その管理もずっとBが行ってきた。そして,平成16年2月23日にAが持参した原告の株式会社登記履歴事項全部証明書でも,原告の代表取締役はBであった。したがって,少なくとも平成16年2月以前の段階では,本件口座が法人としての原告に帰属することに疑いを抱く事情はなかったのである。Aはこれを全面的に否定する主張をしたかもしれないが,一方,Bも,3月1日,被告職員に対して自己の立場の正当性を主張し,仮処分等の法的手段によってその主張を貫くことを宣言していたのであり,それまでの預金取引の実績も考慮すれば,Bの主張を軽くあつかうことはできなかったというべきである。Aはその後役員欄が変更された株式会社登記現在事項全部証明書を被告に示しているが, 登記が真実を反映しない場合のあることは被告も承知していたはずである。したがって,Aが代表取締役となった登記が存在するということだけでは,Aの主張の正当性を認めるには不十分である。ましてや,本件口座がその開設当初から法人としての原告に帰属しないものだったと断定することはとうていできない。むしろ,上に述べたような事情によれば,本件口座は真に原告の口座として開設されたが,その後BとAの間で紛争が生じたと考えるのが自然である。そうであれば,それは原告の内部で紛争が生じたというにすぎず,これを「(この)預金口座の名義人の意思によらずに開設されたことが明らかになった場合」に準じるものと評価することはできない。 甲府地裁が仮処分命令の申立てを却下したことは,たしかにBの立場を弱めるものであったが,地裁の決定ですべてが決まるのではなく抗告審の審理の結果これがくつがえされる可能性があることは被告も当然承知すべきことである。したがって,甲府地裁の仮処分却下決定の存在も,本件口座が法人としての原告に帰属するか否かを判断する決め手にはならない。 被告は二重払いの危険を指摘するが,二重払いの危険を避けるためには払戻しの停止をすれば足りる。口座利用の停止までする必要はない。被告の主張の真意は,いったん本件振込金が本件口座に入金されてしまえば,払戻しを停止しているため,BもAも払戻しをすることができず,その結果,原告の正当な代表取締役であると主張するAから被告が非難される危険がある,ということなのかもしれない。しかし,本件口座が山梨県からの支払いの振込口座に指定されたのは原告側の事情であり,BとAの間で紛争が生じたのも原告側の事情である。本件振込金を本件口座に入金したことをもって被告が原告を名乗る者から非難されるいわれはない。被告の主張する二重払いの危険によって口座利用の停止を正当化することはできない。 (3) 被告のその他の主張について 被告の主張するその他の正当化事由については次のとおり判断する。 被告は,Bは平成16年3月の段階でAとの紛争発生前のように当然には本件口座に入出金できない状況にあることを認識していたと主張するが,3月当時はまだ口座利用の停止までは行われていなかったのであり,Bがそのことを知ったということもないから,この主張は理由がない。 被告は,仕向銀行に対する善管注意義務からも本件振込金を本件口座に入金しなかったことを正当化できると主張するが,振込取引における被告の義務をいうならば,依頼どおりの口座に入金するのがその中心的な義務というべきだから,この主張も理由がない。 被告はまた,本件振込金については仕向銀行の追認により組戻しが成立したと評価できることをもって原告に対する義務違反はないとも主張する。たしかに仕向銀行との間で被告の行為が不当と評価されることはないかもしれないが,本件で問題となっているのは原告と被告の間の預金契約上の義務であり,仕向銀行との関係とは異なるから,この被告の主張も理由がない。 (4) まとめ 上に述べたところによれば,本件において約款11(2)に明確に該当する事由が存在しないことは明らかであるし,これに準じるやむをえない事由があったということもできない。被告が本件口座について口座利用を停止し,本件振込金を本件口座に入金しなかったことを正当化することはできない。したがって被告が本件振込金を本件口座に入金せずに返却したことは原告に対する債務不履行になる。 3 損害と過失相殺 (1) 損害 Aは,原告の真の代表取締役であるBに無断で,原告を名乗って本件供託金の払渡しを受けた。その結果,原告は,本来取得できたはずの本件供託金を取得することができなくなり,この金額に相当する損害を被った。 山梨県が弁済供託をしたのは,被告が本件振込金を返却したためである。この山梨県のとった行動は,債務を弁済しようとする者の行動として通常ありうる行動であり,被告はこのことを当然予測することができた。また,被告は,それまでのAとのやりとりの中で,Aが本件振込金を取得したいという希望を有していたことを承知していたはずであり,本件振込金を返却した場合,Aがそれを取得するための行動にでるであろうことも当然予測できた。したがって,原告に生じた損害は被告が予見することができたものであるから,被告は債務不履行に基づきこの損害を賠償する義務を負う。 (2) 過失相殺 Bの行動については,以下の点を指摘することができる(上記認定事実のほか,原告代表者Bの尋問結果により認める)。 ア Bは,平成16年4月22日すぎ頃,山梨県(富士北麓・東部振興局)からの通知により,山梨県から本件口座に対して本件振込金が振り込まれることを知った。 イ Bは,そのときまでに,Aが2月下旬以降被告北支店に対して預金払戻要求をするなど本件口座に入金される資金を取得しようとして種々画策していること,原告の株式会社登記簿が勝手に変更されたこと,原告を債権者とする仮処分命令の申立てが甲府地裁で却下されたことを知っていたが,本件振込金について被告北支店に対し何らかの行動を起こすことはしなかった。 ウ Bは,5月初め,供託通知書を受領し,山梨県が甲府地方法務局に本件供託金を弁済供託したことを知ったが,同地方法務局に対して何らかの行動を起こすことはしなかった。 もし,Bが,4月22日の直後に被告北支店を訪れていれば,被告が本件口座について口座利用の停止をしたことを知ることができたのだから,すぐに山梨県(富士北麓・東部振興局)に対してはたらきかけをするなどして,本件振込金の返却,その後の弁済供託という事態にいたることを防止できた可能性がある。また,Aは供託通知書を入手することができなかったため,本件供託金の還付請求をするに際し,催告払いの請求をし,同地方法務局はこれに応じて催告払いの手続をしている。そのため,Aが還付請求をしたのは5月6日であるのに,実際に払渡しがされたのは同月24日になったのである。もし,Bが同地方法務局に出頭し,供託通知書を示して,仮処分の手続をしていることなどの事情を説明していれば,Bは利害関係人としてあつかわ れ,催告払いの手続において異議申立書を提出することができたはずである。そうすれば,本件供託金がAに払い渡されることはなかったであろう。このような事情を前提にすると,損害の発生についてはBの側にも落ち度があったといわざるをえず,Bは原告の代表取締役であるから,このBの落ち度は原告の過失と評価される。 一方,被告は,本件口座の管理をBがしていることを知りながら,本件口座について口座利用の停止をしたことも,本件振込金を返却したことも,すぐにはBに伝えなかった。被告がこれらを伝えていれば,Bの行動もまた違ったものになった可能性がある。 これらの事情を総合的に考慮し,原告に生じた損害について20%の過失相殺をする。 (3) まとめ 被告の債務不履行により原告には141万7500円の損害が発生した。これに20%の過失相殺をすると113万4000円である。原告は被告に対し債務不履行に基づきこの金額とこれに対する請求(訴状送達)の翌日である平成17年4月12日から支払いずみまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金を請求することができる。原告の請求はこの限度で理由がある。 甲府地方裁判所民事部 裁判官 倉 地 康 弘
https://w.atwiki.jp/hanrei/pages/178.html
建築請負契約の締結に際し仲裁契約がなされた事案において,建設工事紛争審査会による仲裁が訴訟に比較して消費者保護に欠けることはない等として,不法行為又は請負人の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求の訴えを却下した事案 主 文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事 実 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨 (1) 被告は,原告に対し,5238万5185円及びこれに対する平成14年2月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は,被告の負担とする。 2 請求の趣旨に対する答弁(本案前の答弁) 主文同旨。 第2 当事者の主張 1 本案前の主張 (1) 被告の主張 ア 仲裁合意(妨訴抗弁) 原告と被告は,後記2「本案についての主張」(1)ア(ア)の請負契約(以下「本件請負契約」という。)の締結に際し,同請負契約に関して紛争が生じた場合には,民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款第34条(2)の規定に基づき,B建設工事紛争審査会の仲裁に付し,その仲裁判断に服することを合意した(以下「本件仲裁合意」という。)。よって,本件訴えは訴訟要件を欠き,不適法である。 イ 錯誤無効関係 (ア) 錯誤無効に対して(否認) 被告の担当者Aは,原告に対し,仲裁合意の説明をしている。 また,本件仲裁合意書の裏面には,仲裁合意の説明が記載されているところ,原告は,仲裁合意書の綴じられた請負契約書を預かって検討していたものである。 したがって,原告は仲裁合意について理解していた。 (イ) 原告の重過失(再々抗弁) 仮に,原告が,本件仲裁合意書に署名する際に,裏面の説明を全く読んでいなかったというのであれば,原告には重過失があるというべきであり,原告は仲裁合意の錯誤無効を主張できない。 (ウ) 追認(再々抗弁) 被告は,平成14年8月6日,B建設工事紛争審査会に対し,請負代金の支払いを求める仲裁申請を行い,平成14年10月23日,第1回仲裁期日が開かれているところ,その際,原告は,仲裁委員から仲裁制度の説明を受けている。その後,原告は,同審査会に対し,建物の取り壊し,請負代金の返還等を求める仲裁の申請をしている。 遅くとも原告の上記申請の段階では,原告は仲裁の意味・効力を理解していた筈であるから,この段階で仲裁合意について原告の追認があったというべきである。 (エ) 信義則違反(再々抗弁) 上記(ウ)のとおり,原告は,被告の仲裁申請に対し,却下を求めるどころか,仲裁合意の成立を前提に,建物の取り壊し,請負代金の返還等を求める仲裁の申請をしている。また,被告が仲裁を申し立てた平成14年8月6日以降,平成16年8月26日までの間に,計7回の仲裁期日が開かれているところ,原告から仲裁合意が無効であるという異議は一切出されなかった。 したがって,本件仲裁合意が無効であるという原告の主張は,原告の従前の行動と矛盾するものであり,信義則に反する。 (2) 原告の主張 ア 仲裁合意に対して(否認) 原告は,本件請負契約締結の際,契約書に2か所の署名・押印を求められ,言われるままに署名・押印したに過ぎず,被告から仲裁合意についての説明などを受けておらず,仲裁合意書の存在すら意識していなかった。 原告が仲裁の意義及び仲裁合意の法的効果を認識しないで,仲裁合意書に署名した以上,仲裁合意は成立していない。 イ 錯誤無効関係 (ア) 錯誤無効(妨訴抗弁に対する再抗弁) 一般に,消費者は建築業者が契約書どおりの瑕疵のない建物を建てる良質な業者であろうとの期待のもとに建築請負契約を締結するのであり,消費者である原告が,建築業者との紛争を予期した上で,仲裁の意義,法的効果を正確に理解し,仲裁を紛争処理手段として選択する意思の下,仲裁合意書に署名押印することなどあり得ない。 通常取引における一般消費者が「仲裁合意の成立によって裁判所への訴訟提起ができなくなる」という法的効果を正確に知っていたのであれば,かかる仲裁合意書に署名することはあり得ないから,原告の意思表示は「要素の錯誤」に該当する。 (イ) 重過失に対して(否認) 原告は本件仲裁合意書の裏面を読んでいないが,社会通念上,消費者としての注意義務を尽くしていたものであり,仲裁合意書に署名・押印するに際して,重過失はない。 (ウ) 信義則違反に対して(再々々抗弁) 以下の諸事情に照らすと,原告が本件仲裁合意が無効である旨主張することは,信義則に反しない。 a 平成16年3月1日に施行された仲裁法が,その附則により,仲裁合意をした消費者に,同合意の無理由解除権を与えた趣旨(附則3条2項)は,訴訟による解決が出来なくなるという仲裁の意義を理解している消費者が少ないことなどに照らし,将来生じる紛争を対象とする仲裁合意をした場合でも,現実に紛争が発生した時点で,紛争解決手段として仲裁又は訴訟その他の手段のいずれによるかを選択する権限と機会を認めようとしたことにある。 本件仲裁合意は,仲裁法の施行前になされたものであるが,消費者が仲裁の意義を理解していない点は,本件の原告にもそのまま当てはまるものであり,仲裁法附則3条2項の趣旨に照らして,仲裁合意の効果を排除すべきである。 b 本件請負契約により建築された建物(以下「本件建物」という。)に関する瑕疵は,仲裁委員も訴訟で解決することを提案した経緯さえある程の重大な紛争であるところ,原告はこのような事態が生ずるとは予想すらしなかった。 このような場合に,訴訟による解決が図れなくなることは極めて理不尽である。 c 原告は,被告から仲裁申請をされたから,同じ手続での対抗手段として仲裁申請をしたのであり,仲裁合意書にしたがって申請をしたものではない。原告は,仲裁申請以外に訴訟提起もできると考えていた。 2 本案についての主張 (1) 請求原因 ア 請負契約の成立と被告の設計及び施工 (ア) 原告は,被告との間で,平成13年9月20日,原告を施主,被告を請負人として,以下のとおり,原告宅新築工事建築の請負契約を締結した。 工事場所 名古屋市a区b町c-d 請負代金 4420万円(うち消費税210万4761円) (イ) 被告が本件建物の建築施工をし,被告代表者のCが本件建物の設計及び監理並びに建築確認申請の代理を行った。 イ 建築確認の虚偽申請 本件建物の軒高実測は9.5メートルであり,D建設一級建築士事務所作成の鉄骨詳細図にも軒高9.5メートルとされているところ,Cは,関連法令上,軒高が9メートルを超えない建物につき,構造計算書等の添付及び鉄骨製作に関する受入れ検査等が免除されることを逆手に取り,建築確認申請書に軒高9メートルと虚偽の申請をした。 ウ 本件建物の瑕疵 本件建物には,以下の(ア)ないし(エ)をはじめとして,それ以外にも建築基準法及び同法施行令に違反する瑕疵が多々ある。 (ア) 柱耐力が梁耐力の1.5倍以上を満足しないこと (イ) 1階鉄骨柱脚につき,アンカーボルト下端のかぶり厚さが全く確保されていないなどの欠陥があること (ウ) 柱梁接合につき,内蔵ダイヤフラムが入れられていないなどの欠陥があること (エ) マット基礎につき,コンクリート強度が不足しているなどの欠陥があること エ 原告の損害 (ア) 取り壊し・建て替え費用 本件建物を法令に適合するように修補するためには,本件建物を一旦取り壊して,建物を建て替えるほかないところ,建物取り壊し,再築に要する費用は以下のとおりである。 ① 本件建物の取り壊し費用 729万8340円 ② 本件建物新築費用 4420万円 (イ) 仮住まい費用 本件建物の取り壊し・建て替えに要する工事期間は,約8か月間であるところ,本件建物相当の床面積を持つ賃貸住宅を借りる必要がある。 同期間の賃料相当損害金の合計は,158万円である。 (ウ) 犬の保管費用 原告は,グレートデン(犬)を飼っているところ,同犬を飼うことができる賃貸住宅はないので,専門の施設に管理を委ねる必要がある。 8か月間の管理費用として,少なくとも90万円を要する。 (エ) 引越費用等相当損害金 上記(イ)の仮住まいのため,家財道具の移転等,引越をしなければならないところ,これに要する費用は以下のとおりである。 ① 搬出費用 397万2150円 ② 搬入費用 99万4000円 (オ) 登記費用 16万3927円 (カ) 不動産取得税 81万5100円 (キ) 照明器具・換気扇 本件建物の建て替えにより,本件建物用に購入して据え付けた器具等が使用不可能となるところ,これらの時価相当額は以下のとおりである。 ① 照明器具・換気扇 130万3008円 ② ロールスクリーン 1万4000円 (ク) 一級建築士へ依頼した調査費用 本件建物の瑕疵については,通常人が容易に認識しうるものではなく,専門家の調査によらなければ,その有無・程度を知ることができないところ,同調査費用として,既に87万8760円を支出している。 (ケ) 慰謝料 原告は,妻,子供6人とともに本件建物に住んでいるが,建物基礎や建物構造上の欠陥の判明によって,建物の安全性に不安を抱き,常に建物崩壊のおそれと背中合わせに日々の暮らしを送らなければならず,現に,原告ら家族は,本件が解決するまでの間,別に住居を借りて仮住まいをするか否か検討しているほどである。 欠陥住宅被害は,財産的損害であることは勿論のこととして,本来心安らげて落ち着けるはずの場所である生活の本拠に,建物倒壊等による自らの生命,身体の安全に対する懸念を持ち込んでいるという点で,居住者の精神的損害は相当なものがある。 本件においても,原告の被った損害は,財産的側面にとどまらず,精神的損害にも及んでおり,これに対する慰謝料は,少なくても500万円を下らない。 (コ) 弁護士費用 本件訴訟が,高度に技術的・専門的訴訟追行能力を要することはいうまでもなく,本件訴訟提起及びその追行のためには弁護士への委任が必要不可欠であった。 そのための費用として,被告が負担すべきは600万円である。 オ 被告の責任原因 (ア) 建設業法25条の25第1項は,建設業者は,施工技術の確保に努めなければならない旨定めるところ,建築基準法に定める基準は,建築物の敷地,構造及び建築設備に関する「最低の基準」であって,同法に定める基準は,建築業者たるものが守らなければならない最低限度のものである。したがって,建築基準法令に違反した建物を建築した場合には,私法上も不法行為を構成する。 特に本件建物の建築に当たっては,上記イのとおり,Cが虚偽申請をしており,意図的かつ悪質な手抜きであり,故意による不法行為である。 (イ) 被告は,本件建物の請負人として,民法634条2項所定の瑕疵修補に代わる損害賠償責任を負う。 カ よって,原告は,被告に対し,不法行為又は請負人の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権7311万9285円から未払請負金2073万4100円を控除した5238万5185円及びこれに対する本件建物の引渡が終わったことが明らかな平成14年2月2日から前記損害賠償金の支払済みまで,民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 (2) 請求原因に対する認否 なし 理 由 1 被告は,本案前の抗弁として,本件請負契約においては原告と被告との間に本件仲裁合意が存在するから,本件訴えは訴訟要件を欠く不適法なものであると主張する。以下,本案前の抗弁について判断する。 2 前提事実 証拠(甲2,5の1,2,乙1,2,3,4,5,6,証人A,原告本人及び被告代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 被告担当者Aは,平成13年2月ころから,実家建物を二世帯住宅に建て替えることを検討していた原告に対し,建物新築工事の営業活動を行い,平成13年9月20日乃至10月ころ,原告と被告との間で,代金額4420万円(消費税込み)の請負契約(以下「本件請負契約」という。)が成立した。すなわち,上記契約は,工事請負契約書,仲裁合意書,民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款,見積書,図面類が一体として綴じられた書類を2部作成し(甲5の1,2,乙6),原告と被告が各1部を保有する方式でなされているところ(争いがない),工事請負契約書に記入されている日付けは平成13年9月20日であり,Aも同日に原告と被告代表者の署名がなされた旨証言するものの,見積書の日付は同年10月23日であり,原告が「実際に署名したのは10月に入ってからだと思う」旨供述していること,この点に関するAの記憶は明確でなく,ワープロミスを可能性として挙げるに止まるから,契約書の作成日,すなわち契約の成立日は判然としない。 (2) 仲裁合意書(以下「本件仲裁合意書」という。)の表面には,「裏面参照のうえ建設工事紛争審査会の仲裁に付することに合意する場合に使用する。」との説明書に続き,「仲裁合意書」という表題,「工事名 E邸新築工事」,「工事場所 名古屋市a区b町c-d」との記載があり,本文として「平成13年9月20日締結した上記建設工事の請負契約に関し紛争が生じた場合は,民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款第34条(2)の規定にもとづき,建設業法により定められた下記の建設工事紛争審査会の仲裁に付し,その仲裁判断に服する。」と,さらに管轄審査会名として「B建設工事紛争審査会」と明記されている。裏面には,「仲裁合意書について」との表題のもと,大要,(1)建設工事紛争審査会は,建設業法にもとづき設置され,建設工事の請負契約に関する紛争の解決を図るため,斡旋・調停及び仲裁を行っていること。裁判所の訴訟に代えて審査会の仲裁に付するためには,当事者の合意が必要であるので,仲裁合意書が添付されたものであること。(2)適法になされた審査会の仲裁判断は,裁判所の確定判決と同一の効力を有し,たとえその仲裁判断の内容に不服があっても裁判所で争うことができなくなること。建設工事紛争審査会の仲裁制度はいわゆる一審制であることなど,仲裁制度に関する説明が14行の文章でなされている(乙1)。 (3) 被告は,平成14年2月1日,本件建物を原告に引き渡したが,原告が建物の瑕疵を理由に既払い額2346万5900円の残額2073万4100円の支払いを留保していることから,同年8月6日,本件仲裁合意書の規定に基づき,B建設工事紛争審査会(以下「本件審査会」という。)に対し,仲裁の申請をした(乙4参照)。 同年10月23日,第1回仲裁期日が開かれたところ(争いがない),第1回仲裁調書には,「審査会が,申請人(被告)・被申請人(原告)双方に仲裁について説明した」旨の記載がある(乙5)。 原告は,同年11月27日,被告を被申請人として,本件審査会に対し,本件建物の取り壊し,請負代金の返還等を求める仲裁の申請をした(争いがない,乙4)。 仲裁廷は,その後の仲裁期日において,当事者双方に対し,仲裁は施工ミスが中心で,設計ミスの審理に適さないから,裁判でやったらどうかというアドバイスを行っているところ,被告は即座に異議を述べたのに対し,原告は同アドバイスに従い,平成16年7月16日,本件訴えを提起した。 本件仲裁手続は,同年8月26日,第7回の仲裁期日が開かれて以来,事実上中断している。 3 仲裁合意の成立について (1) 本件仲裁合意書には,原告及び被告代表者の署名押印があり(甲2,乙1,2,3,証人A,原告本人及び被告代表者本人),真正に成立したものと推定される。 また,証拠(乙1,2,3,5,証人A及び被告代表者本人)によれば,本件請負契約を締結する際,Aが原告に本件仲裁合意書の表面を示して,その本文を読み上げたか,少なくとも「紛争が発生した場合,裁判ではなく仲裁という規定があるので,こちらの方で解決させてもらっています」という程度の説明をしたこと,その後,紛争が発生し,被告の申請により第1回仲裁期日が開かれた際,仲裁委員から仲裁制度につき「一審制で仲裁の判断は最高裁判所の判決と同一の効力がある。仲裁の効力を他で争うことができない」旨の説明があり,これに対し,原告は何らの異議を唱えなかったことが認められる。 (2) これに対し,原告は,本件仲裁合意書について,A又はCから,何らの説明を受けておらず,同文書の存在すら意識せずに署名捺印したものであるから,本件仲裁合意は不成立である旨主張し,その主張に沿う供述をする(甲1,原告本人)。 しかしながら,本件仲裁合意書はその表面を一読すれば,原告と被告間の本件請負契約に関して紛争が生じた場合,仲裁に付し,その判断に従うことを合意する文書であることは容易に知ることができるものであって,被告において,原告に同文書の存在を意識させることなく,原告の署名捺印をさせることはそもそも困難である。また,原告は,第1回仲裁期日の仲裁委員からの説明すら「仲裁制度について説明はあったと思うが,内容は全く覚えていない」と著しく曖昧かつ乙5の記載にも反する不自然な供述をしており,かかる供述態度に照らすと,本件仲裁合意に関する原告の供述も採用することができない。 4 錯誤無効関係 前提事実(2)及び前記3(1)で認定したAの説明内容に照らせば,原告の本件仲裁合意書による意思表示が,錯誤によりなされたものと認めることはできない。 5 信義則違反関係 被告は第2「当事者の主張」1(1)イ(エ)のとおり,原告の錯誤無効の主張に対し信義則違反の主張をし,原告は同主張に対し信義則違反の評価障害事由の主張をするところ,原告の主張の内容は被告の本案前の抗弁に対する予備的な再抗弁とも位置づけることができるので,念のため,この点について判断する。 (1)ア まず,仲裁法附則3条2項の趣旨についてみるに,原告が主張するとおり,仲裁合意により,その対象となる紛争につき訴訟による解決が出来なくなるという重大な効果が生ずるが,消費者が紛争の発生前に,仲裁の意義を十分に理解した上で仲裁を解決手段として選択するケースが稀であること,仮に消費者が仲裁の意義を理解したとしても,事業者との交渉力の格差から,仲裁合意の内容の変更のための交渉をしたり,契約の締結を断念したりすることは期待できないことなどの事情から,消費者が事業者との間で将来生じる紛争を対象として行う仲裁合意(以下「消費者仲裁合意」という。附則3条1項参照)について,消費者に無理由解除権を与え,もって,消費者が,紛争発生後において,紛争解決手段として仲裁又は訴訟その他の手段のいずれによるかを選択する権限と機会を付与したものと解される。 ところで,仲裁法附則3条が予定する消費者及び事業者の種類は様々であるところ,仲裁法が,仲裁人の数(同法16条1項),仲裁人の選任手続(同法17条1項),仲裁廷が従うべき仲裁手続の準則(同法26条1項)などについて当事者の合意により定めると規定していることもあって,消費者仲裁合意の内容はなおのこと様々であり,上記附則3条2項等の規定により消費者を保護すべき必要性が高い。これに対し,建設工事紛争審査会が行う仲裁は,仲裁法(仲裁法施行以前は,公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律)を一般規定としつつも,建設工事紛争の特殊性に配慮し建設業法に特別規定がおかれている結果,その他の消費者仲裁合意と比較すれば,事業者と消費者の力関係等が反映されにくい,換言すれば,適正かつ公平な制度が保障されている。すなわち,建設工事紛争審査会は,国土交通省及び各都道府県に設置されていること(建設業法25条3項),仲裁委員の選定母体となる委員及び特別委員は,国土交通大臣又は都道府県知事が,人格が高潔で識見の高い者のうちから任命するものとされていること(同法25条の2第2項,25条の7第1項,第3項,25条の16第2項),仲裁委員は3人とされ,うち少なくとも1名は弁護士となる資格を有する者でなければならないこと(同法25条の16第1項,3項)などの規定が置かれている。 そもそも,建設工事紛争審査会は,①建設工事をめぐる紛争が,技術的な専門性をもつ分野であり,紛争を解決する側にもそれに関する専門的知識が必要なこと,②請負契約には特別な慣行が伴う場合があり,その知識も要求されること,③瑕疵の主張は一般に多岐にわたりがちであり,また,追加変更合意の有無を巡る争いも頻発しがちであるところ,これを厳格・慎重な手続である訴訟で解決するとなると,裁判官は建築の専門家ではないこともあり,解決に時間を要することなどの実態を踏まえ,建築に関する知識と経験のある専門家が関与する準司法機関として昭和31年に創設されたものである。この点,原告の引用する文献「建築請負・建築瑕疵の法律実務<建築紛争解決の手引>横浜弁護士会編」(甲1)にも,原告の引用部分(第2「当事者の主張」1(2)イ(ウ)a参照)に続いて,「この点,法案の審議過程においては消費者仲裁合意を一律に無効とするとの意見もあったが,建設工事紛争審査会など特定の紛争分野では,仲裁合意に基づいて消費者と事業者間の仲裁も現に相当数行われており,消費者が仲裁を申し立てる例も少なくない。したがって,将来の消費者仲裁合意を一律無効とすることは,これまで消費者が利用できた仲裁を制限することになり,かえって,消費者の利益にならない場合があると考えられるため,利用するか否かの選択権を消費者に与えたものである」旨記載され,その有用性が評価されているところであり,適正,公平かつ迅速な紛争処理を期待したいわゆるADRの代表格である建設工事紛争審査会による仲裁が,訴訟に比較し,消費者保護に欠けるということにはならない。 イ 次に,附則3条の趣旨を,仲裁合意の方式の点から考察するに,仲裁法13条3項に「書面によってされた契約において,仲裁合意を内容とする条項が記載された文書が当該契約の一部を構成するものとして引用されているときは,その仲裁合意は,書面によってされたものとする」と規定されているところ,仲裁法施行以前は,消費者が約款等の仲裁条項の存在を意識していなかったとの理由により,約款等を引用する方式での仲裁合意の成立を否定し,消費者保護を図ることができたのに対し,仲裁法施行により,かかる救済がなし得なくなり,かえって,消費者保護に欠ける事態が生じうることに配慮して,附則3条2項の無理由解除権を始めとする消費者保護規定を置いたものと解される。 本件仲裁合意は,単に約款中の仲裁条項を引用して合意されたものではなく,前記認定のとおり,仲裁合意書という独立した文書によって合意されたものであるから,この点でも附則3条の趣旨を及ぼす実益に乏しい。 (2) 原告は,仲裁委員が,原告・被告双方に対し,訴訟による解決を勧めたのであるから,訴訟への途を閉ざすことは極めて理不尽である旨主張する。 そこで検討するに,「仲裁廷は,仲裁手続を続行する必要がなく,又は仲裁手続を続行することが不可能であると認めたときは,仲裁手続の終了決定をしなければならない」旨規定されているところ(仲裁法40条2項4号),本件紛争を担当する仲裁廷が同決定をしていない以上,原告の主張する事由のみでは仲裁法14条1項2号の「仲裁合意に基づく仲裁手続を行うことができないとき」に当たるということができず,原告の主張は採用できない。 6 以上の次第で,被告の本案前の抗弁は理由がある。 7 よって,原告の訴えは訴訟要件を欠くことになるから,本件訴えを却下することとし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第6部 裁 判 官 安 田 大 二 郎
https://w.atwiki.jp/supergirl121/pages/153.html
突然の連絡を受け、夫の入院する病院にタクシーで急いだ、、 ・・・・・突然ですが、ご主人が亡くなられました。。 なぜ?? 主人は胃潰瘍で入院していただけなのに、、何が起こったの? 病院に着くと、いきなり霊安室に通された。 「お顔はこのとおり、安らかです。しかし、、からだは、、うん、その、 亡くなられてから、まだ何ら処置をしていません。ご覧にならないほうがよろしいかと、、」 主治医を制して、毛布をどけると、夫の変わり果てた姿に、思わず目を背けてしまった。 全体が大きくひしゃげた胸。 肋骨のほとんどが折れ、ぺしゃんこに潰れている。 大きなくぼみが二つならんでおり、胸全体がどす黒く変色している。 下半身は、まるで電柱に挟まれたように、腰から太ももにかけて、たすき形に潰されている。 一番つぶれたお尻あたりは、5センチほどの高さしか残されていない。 その後、応接室に案内された。 ソファーには、院長と一人の若い女性が座っていた。 驚いたのはその女性の格好だ。 黄色地に赤の「S」のロゴが入った青いレオタードに、赤いミニスカートとブーツ。 「このたびは、まことに申し訳ありません。」 「いったい、主人に何が起こったのですが、明日、退院だったはずでは、、、 まるで機械挟まれたよう、医療機器の事故か何かですか。説明してください。」 「いえ、なんというか、患者の取り違えによる医療事故、です。」 と話をはじめた。院長によると、 この病院では、先月から末期がん患者を対象に、家族と本人の希望を踏まえ、安楽死処置をはじめた。 その方法は、麻酔で痛みを感じようないようにして、彼女、そうスーパーガールの怪力でもって患者を抱き潰すというもの。 人生の最後は、美しく若い女性に抱きしめながら昇天させるという考え方ではじめたものらしい。 「え、それじゃあ、彼女が主人を、、」 「はい、そのとおりです。看護婦が、カルテと患者を間違えて麻酔注射をしたあと、彼女に、、」 「なんて、、こと、、」 「間違いに気付いた看護婦が病室の戻ったときには、残念ながら既にご主人は、、、、」 黙って聞いていた、スーパーガールも頭を下げた。 「いつもなら、最後の確認をするのですが、あまりにもよくお休みになっておられ、 わたしも私用があり急いでいました。ですからご主人をそのまま抱きしめてしまいした。」 と、ぺこりと頭をさげた。 「ほんとに、あなたがやったの?」 許せないというより、まだ信じられなかった。 18、9の少女にしか見えない、 グラマーではあるが、こんな細身の女性が、抱きしめただけです?って? 学生時代は水泳で国体にまで出場した主人をあんな姿にできるの? 院長が口をはさんだ。 「はい。信じられないでしょうが、彼女はクリプトン星生まれの地球外生命体です。 医学的にいえば、骨や筋肉といった体組織の組成が全くわれわれと異なっています。 分かりやすく言えば、地球人の数千倍の筋力を発揮できるということです。」 その後、裁判で彼女の責任を問おうとしたが、 裁判所の判断は、スーパーガールは地球外生命体であり、裁判の対象ではなく、 刑事上と民事上の責任を負えないということだった。 さらに、主人の生命保険会社からも地球外生命体による死亡は約款により免責らしい!? (おしまい)
https://w.atwiki.jp/trivia-mike/pages/2125.html
先日私が女性専用車に乗車していたところ、通りすがりの強面の男性が「ここは女性専用車や」と言いました。 私は「男性も乗れることを知らないんですか」と言うとその男性はしつこく「ここは女性専用車や」と言ってきました。 私は「あんまりしつこいと強要罪で訴えますよ」と言うと、その男性はぶつぶつ言いながら逃げていきました。 このように法律は女性専用車に乗車する男性に味方してくれます。 なので賛成派がなんか言ってきたら現実に起こっていることを話してやればいいと思いますよ。 真実を突きつけると賛成派は論理的な反論ができませんので・・・ まず女性専用車は混雑差を生み出し専用車に女性が多い分ほかの車両は男性が多くなります。 痴漢は善良な男性に紛れて犯罪を行いますので、他の車両では混雑する分痴漢が狙い易くなります。 おまけに専用車以外の車両は何の対策もなされていないので痴漢は専用車ができる前より痴漢をしやすい環境になっています。 専用車以外に乗る女性はどうなってもいいのですかと賛成派には言いたいですね。 それにこれではとても痴漢対策とは言えません。 おまけに賛成派は冤罪対策になると言っていますが、専用車以外の車両の男女比が男性が多くなるため犯人の特定が難しくなります。(つまり間違えて逮捕される確率が増えます) なので冤罪対策にもなりません。 他にも鉄道会社が痴漢対策として効果のない女性専用車を推奨する理由は、埼京線などで6割も痴漢が減った防犯カメラなどの効果的な対策をするとお金がかかるのと、女性専用広告で通常より高額の広告料を取りお金儲けができるからです。 こんな理由で男性に協力を呼び掛けているのですからばからしいですね。 法律的なことを言えば女性専用車は法律上も運送約款(’鉄道営業規則)上も存在しません。 存在しないものに対して賛成も反対もないと思いますが・・・^^; 逆に専用車から男性を無理やりおろすと刑法223条の強要罪や208条の暴行罪で警察に捕まります。 女性専用車が法律上作れないのは憲法14条の法の下の平等があるからです。 なので男性だからとか黒人だからとかそういう理由で公共交通機関から降ろすことはできないのです。 (女性専用車が本当だったらアパルトヘイトとやっていることは同じになります。なので憲法でこのような行為は認められないのです。 ちなみに鉄道営業法34条で「女性のために設けた車室にむやみに立ち入ってはいけない」という法律はありますが、これは明治33年にできた法律ですし、今とは時代背景が違います。 しかも憲法98条に「この憲法に反するあらゆる法律や条文などは効力を有しない」とあります。 なので憲法14条に違反するこの法律を適用することはできないのです。 ちなみに当然ながら国交省も適用しないと言っています。 賛成派ではこの法律を持ち出す方もおられますので・・・ 他にいろいろありますが、こういった正しい知識を持っていれば賛成派は反論できなくなりますので・・・ 最後に、これらの理由により痴漢は賛成派だと思いますよ。 女性専用車ができて痴漢がやりやすくなったのをわざわざ防犯カメラなどでやりにくくしたくはないでしょうからね。
https://w.atwiki.jp/dc_joshua/pages/18.html
joshua氏の主張するように、運営が民事・刑事上の責任を負うことになるのでしょうか。 この点について、法律上の正確な議論が行われていないように思われますので、一稿させていただきます。 余計なことでしたらページごと削除していただいてかまいません。 また、私は学生の身ですので、正確でない点が多いと思いますが、責任は持てません。 joshua氏に対する運営の対処 joshua氏に対して、運営がしたとしてjoshua氏が糾弾しているのは、次の点です。 ダイヤ課金後のアカウント停止 合理的理由のない急なアカウント停止 また、仮に問題になるとすれば、次の点もあげられます。 joshua氏のたてたスレッドの削除 問題のもみ消し 後半についての詳説は、次項に譲ります。 一般論 法律上、責任追及には民事・刑事・行政の三通りの方法があります。 このうち、joshua氏の主張する「詐欺」は、刑事法上では、詐欺罪を構成し、犯罪になります。 また、民事上では、詐欺である事を理由として契約を取消し、原状回復を求めることになると思われます。 (この場合、クレジットカード決済であれば、信販法などの適用がありますから、本気で訴訟をするのであれば、joshua氏は早めに信販会社に連絡するのがいいと思います。) なお、刑事事件では、起訴されて裁判になった場合に、一定の条件を満たせば、被害者の損害賠償の裁判を刑事事件と一緒にやってもらえる場合があります。 その場合をのぞいては、joshua氏が直接救済される(返金など)ことはありません。 一方、民事事件では、勝訴すれば返金を受けることができると思います。 使った分についてどうなるかは、もっと詳しい人に聞かないとわかりません。 なお、刑法上の詐欺に該当するような詐欺行為があったと言えた場合、民法上の不法行為にも該当しえ、その場合は損害賠償を請求できます。 また、行政上の責任追及としては、消費者庁とかそのあたりの行政機関による、運営に対する行政指導などを求めていくことになりますが、これによって直接被害者の救済をすることは難しいと思います。 消費者保護の為の法律としては「消費者契約法」がありますが、これは、消費者と事業者についていえば、民事上・行政上の責任について規定してあります。 (罰則規定は、消費者団体に対してしかありません。) joshua氏のいう「強行規定」は、これに反すると犯罪であるという意味ではなく、当事者の合意によって内容を変えることが出来ないという意味です。 たとえば、「損害が生じても一切請求しません」と契約書に書いてあっても、8条1号に反するので無効となり、損害賠償を請求できるようになります。 ダイヤ課金後のアカウント停止措置 joshua氏は、ダイヤ課金後のアカウント停止措置が、詐欺的であるという主張をされています。 あまり細かく議論してもしかたないと思いますので、民事・刑事ひっくるめてかきたいと思います。 まず、法律上の詐欺とはどのような意味でしょうか。 「Aだと知っていたらBしなかった」のに、「Aでないと思わされたのでBしてしまった」ことを言います。 今回の事件では、joshua氏は、「すぐにアカウント停止になると知っていたら、課金しなかった」わけです。 しかし、法律上運営が責任を負うのは、そのような状況になることを運営が知っていたり(故意)、知るべきだった(過失)場合です。 特に、刑事上の責任を負う場合は、詐欺罪には過失犯処罰規定がありませんから、故意があることが必要です。 つまり、今回の事件で運営が責任を負うのは 「すぐにアカウント停止になると知っていたら、課金しなかったのに、すぐにはアカウント停止しないかのように見せかけて、joshua氏に課金させた」 場合です。 (絶対に借金を返すからといって、連帯保証人になってくれるよう頼んだが、結局破産してしまった場合に、いちいち犯罪者にはならないのと同じことです。しかし、元々返す当てがないのにお金を貸してくれというのは犯罪になりえます。分かりにくいでしょうか?) 今回の事件の経過の詳細が分からないのでなんともいえませんが、joshua氏をアカウント停止にすることが運営内部で何日も前から決っていたけれども課金するまで待ってから処分したとかってことが立証できれば(相当難しいと思いますが)joshua氏の主張が認められないこともないこともないようなきがしなくもないと思います。 合理的理由のない急なアカウント停止 いわゆる「10分」問題についてです。 これについては、刑事上の問題はないと思われますので、民事上の問題について検討します。 アカウント停止自体について問題になるとすれば、債務不履行の問題です。 つまり、ゲームで遊べるようにしておくという契約上の義務があるにもかかわらず、これをしていない、というわけです。 しかし、これには大きな問題があります。 すなわち、joshua氏が規約違反などをしたという疑いがあること。 joshua氏が規約違反をしていれば、債権者に過失があることになりますから、運営に損害賠償義務が生じません。 この場合、そもそも運営には、規約違反をしたユーザーにサービスを提供する義務がなくなるため、債務不履行が観念できないともいえます。 猶予期間や、手続き的な担保のない一方的な処分であるという点、また課金直後という点を重視して、民法上の不法行為責任を追及することも考えられなくもないですが、アカウント削除ではなく、停止としており、一応事前に警告メールを発送している点を考えると、難しいと思います。 民法上の議論で、約款理論というものがあります。 ざっくりいうと明文の約款があり、内容が合理的であれば当事者を拘束するというものです。 今回で言えば、規約違反などがあればアカウント停止にできる旨の利用規約があり、規約の内容や当該措置自体が合理的なものであれば、アカウント停止処分は契約上も有効ということになります。 この「合理的」かどうかについて、一方的な不利益を課すのに手続きがきちんとしていなくていいのかとか、ゲーム自体の批判をしたり世界観を壊して他のプレイヤーの邪魔をしているというjoshua氏の非などを総合的に考慮しなければならないので、人によって判断が分かれうると思います。 joshua氏の運営に対してしたこと joshua氏は、運営を糾弾するために、公式掲示板利用者に不快な思いをさせているようです。 そこで、joshua氏の行為は法に触れないのか検討したいと思います。 joshua氏のした行為で問題になるとすれば次の行為があると思われます。 ギルド紹介文等において、「サクラを使っている」旨書く 公式掲示板で運営を批判するスレッドを乱立する 公式掲示板で荒らし行為をする 運営?管理?について「Eランク」「バイト君」と言う 名誉毀損や、侮辱罪については、法人の名誉も保護されるかは争いのあるところですので、検討は避けます。 「Eランク」「バイト君」というのは、どちらかというと実際に働いている人に対して抽象的な侮辱をしているように思えますので、侮辱罪が考えられます。 この類の犯罪は、親告罪ですから、運営が警察に届けないと立件はされません。 そのほかの点については、業務妨害罪が成立しそうです。 特に、掲示板の荒らしについて威力業務妨害を成立させた判例があったような気がしますし、「サクラ」については信用毀損罪もありえます。 これは本当に個人的な意見ですが、掲示板のスレ内の荒らしよりも、スレッド乱立のほうが故意(法的な意味ではなく)にやっている場合は業務妨害が成立しやすいように思います。 有用なスレが下がってしまいますし、その話題に興味のない人の目にもつきやすくなりますし、影響が大きいのではないでしょうか。 「ある事をしなければ、訴えるぞ。」と言う事も、その態様によっては、たとえ正当な権利行使であっても強要罪や恐喝罪に当たる可能性がありますから、できるだけ穏便な方法で解決を図っていただければと思います。 誤字・脱字・内容の誤りが多いと思いますが、ご容赦ください。 当ページの最終更新2009-06-15
https://w.atwiki.jp/kokkai/pages/29.html
このwikiについての説明を必ずご覧ください。 2008年05月01日~05月09日 (以下、国立印刷局ホームページから転載(主に単語の抜粋)) 05/09(05/13のに記載) 衆議院 法律公布奏上通知書受領 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律 議案提出(議員より) 宇宙基本法案 石綿による健康被害の救済に関する法律の一部 改正 議案通知 農業者戸別所得補償法案 議案通知書受領 略 議案撤回 宇宙基本法案 質問書提出(議員より) 防衛省における裏金組織 北方領土返還についての民間団体の方針と政府方針との相違 答弁書受領(内閣より) 後期高齢者医療制度の人間ドック補助 参議院 議事日程 道路整備費の財源等の特例に関する法律の一部改正 議決通知 略 通知書受領 略 議案撤回通知書受領 略 質問主意書提出(議員より) 保険約款に対する監督における具体的判断基準 法律公布奏上及び通知 略 報告書提出 略 05/08(05/12のに記載) 衆議院 質問書提出(議員より) 民法第七六六条及び第八一九条、ならびに、非親権者と子の面接交流 改正建築基準法 一九九九年のキルギスにおける日本人誘拐事件の際に支払われたとされる身代金 国後島北方海域での日本船拿捕事件等をめぐる外務省の国民への情報開示 後期高齢者医療制度の保険料と自己負担額の本 人通知 後期高齢者医療制度に係る保険料の見通し 後期高齢者医療制度に係る保険料の実態調査 05/07(05/09のに記載) 衆議院 質問書提出(議員より) サイクロンにより多数の死者を出したミャンマーへの人道支援 北方少数民族の戦時徴用に対する政府の補償問題 参議院 議案付託 介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善(厚生労働委員会へ) 地域再生法の一部改正(内閣委員会へ) 構造改革特別区域法の一部改正(内閣委員会へ) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部改正(外交防衛委員会へ) 介護保険法及び老人福祉法の一部改正(厚生労働委員会へ) 質問主意書転送 航空自衛隊のイラク派遣 「奈良盆地東縁断層帯」及び「生駒断層帯」の位置の特定 05/02(05/08のに記載) 衆議院 質問書提出(議員より) 後期高齢者医療制度の問題点の点検並びに実態調査 後期高齢者医療制度の支援金 平成二十年四月十七日の名古屋高等裁判所確定判決 ロシア政府による北方領土におけるレーダー誘導装置 志布志事件を担当した鹿児島県警警察官に対する表彰についての警察庁の対応及び認識 05/01(05/07のに記載) 衆議院 質問書提出(議員より) 国土交通省所管の財団法人「公共用地補償機構」における職員旅行の費用 物価高騰を「しょうがない」とした内閣総理大臣の発言 自衛隊員の自殺防止に向けた防衛省の取り組み並びに組織のあり方に対する同省の認識 北京五輪開会式への内閣総理大臣の出席 山口県各市等の自治体における後期高齢者医療制度と今年三月までの旧制度との保険料の比較 後期高齢者医療制度と今年三月までの旧制度との保険料の比較 肝炎四一八リスト実態調査 参議院 質問主意書提出(議員より) 「奈良盆地東縁断層帯」及び「生駒断層帯」の位置の特定 (以上、国立印刷局ホームページから転載(主に単語の抜粋)) アクセス 昨日: - 今日: - 合計: -
https://w.atwiki.jp/hanrei/pages/193.html
平成17年(ヘ)第238号 公示催告申立事件 決 定 主 文 1 別紙目録記載の証券にかかる本件公示催告の申立てを却下する。 2 本件手続費用は申立人の負担とする。 理 由 第1 申立て 申立人は,平成17年7月27日,別紙目録記載の証券について公示催告のうえ除権決定を求めるとの申立てをした。申立ての理由は,申立人は別紙目録記載の証券(以下本件証券という)の喪失当時における所持人(保管者)であるが,下記の事由により本件証券を喪失し,現在に至るも発見できない。よって公示催告の申立てをし,本件証券につき無効を宣言する除権決定を求めるというものである。 記 1 喪失年月日 2005年4月29日頃から同年5月6日までの間 2 喪失場所 東京都千代田区神田錦町 ○○ビル ○○株式会社航空貨物事業部 3 喪失事由 紛失 第2 当裁判所の判断 1 まず,本件証券が非訟事件手続法(以下非訟法という)第4編公示催告事件に規定する公示催告・除権決定の対象となる有価証券であるかにつき検討する。 公示催告手続の対象となるのは,法律により公示催告手続によって無効とすることができると定められている有価証券であり(非訟法156条),その根拠規定となる民法施行法57条が定める証券又はこれを準用する証券に限られる。 一件記録によれば,本件証券は,海上物品運送契約に基づく運送品の受取りを証明し,かつ,その引渡請求権を表章する有価証券で,国際海上物品運送法による船荷証券であると認められる。同法上の船荷証券は,同法10条により商法573条から575条,584条,770条から775条が準用されているので,民法施行法57条に該当する証券であると認められる。そうすると滅失・喪失の場合,公示催告・除権決定手続によって証券の無効宣言を求めることができるものである。 2 次に管轄について検討する。 (1) 非訟法157条1項前段には,有価証券無効宣言公示催告の申立ては,その有価証券に表示されている義務履行地を管轄する簡易裁判所が管轄する,と定められている。内国で流通する商法767条から776条に規定する船荷証券にあっては,義務履行地は,証券上の権利たる運送品の引渡請求権が行使されるべき陸揚港(商法769条7号)がそれであり,証券を喪失した場合の公示催告の申立ては,陸揚港の所在地を管轄する簡易裁判所が管轄権を有すると解される。 (2) ところで,本件証券には陸揚港が台湾キールンと表示されている。 これにつき申立人は,本件証券上の陸揚港は台湾キールンとされているが,本件証券は東京港区に本店を有する日本法人により発行され,荷送人を介して荷受人に引き渡されるところ,荷受人に引き渡す以前に申立人が東京の事務所内で紛失したものであって,陸揚港である台湾において本件証券が転々流通し,証券上の権利が行使される可能性は低い。したがって義務履行地が証券に表示されていないとき(非訟法157条1項後段)に準じて,発行人の普通裁判籍を有する地の裁判所(旧「公示催告手続ニ関スル法律」779条1項後段。非訟法の改正により廃止)である当庁に管轄権がある旨主張する。 (3) 本件証券は有価証券の発生及びその流通が国内に止まらず外国との交渉を有するいわゆる渉外的有価証券である。かかる渉外的関係を有する有価証券が喪失又は滅失した場合に,喪失者の保護のためにとられるべき救済の方法は,どこの国の法に準拠すべきかがまず問題になる。 渉外的有価証券が喪失・滅失した場合,そこに表章されている権利を行使するためには,公示催告・除権決定を受けるべきか,或いは他の方法によるべきかはその権利行使の,従ってそれに対応する義務履行の方法,態様の問題とも密接に関係する。その準拠法によれば公示催告・除権決定のような国家機関が関与する手続によって救済が行われることになっているときには,何国の機関にその管轄権があるかを決定しなければならない。 本件運送契約に関する準拠法に関しては,一件記録中の資料にある証券の裏面約款と同内容の約款によれば,第4条に,本件証券に含まれる契約については原則として日本法に準拠し,運送人に対する訴訟は東京地方裁判所に提起する旨の定めがある。しかし,証券を喪失・滅失した場合の公示催告手続は,対象となった権利の存否・帰属等を実体的に確定する訴訟手続ではなく,権利関係の安定をはかるために一定の法律状態を形成する手続であり,その性質は国家機関が関与する非訟事件である。 渉外的有価証券に関する証券の無効宣言のための公示催告手続の裁判管轄権の決定については,国際民事訴訟法(国際非訟事件手続法)の観点から考える必要がある。 (4) 有価証券が喪失・滅失した場合における権利の行使について,必要な手続が公示催告・除権決定のような方法によるべきことになっている場合,その手続について,いずれの国の裁判所に管轄権が認められるべきか。これは国際民事訴訟法ないし国際手続法上の問題であるが,これについては国際慣習法も国際条約上の法則も確立されておらず,各国の国内法に委ねられている。わが国にはこれに関する成文規定はなく,条理によって決するほかない。そこで,どのような関係のある国で手続を行うことが,公示催告・除権決定という制度の趣旨に照らして,適正,公平,能率的であるか等を考えて,決定すべきことになろう。これについては,証券上の権利の行使の方法・態様,権利の行使さるべき地すなわち履行地と密接な関係があり,利害関係人の関心や便宜,除権決定の実効性の確保等々を考えると,義務履行地のある国で手続が行われることが最も妥当である。そうすると,義務履行地の属する国以外の国では,この手続を行うことはできず,管轄権がないものと考えるべきである。 (5) 公示催告・除権決定の手続の管轄権を義務履行地を基準として定めることは,わが国でも採用されているが(旧民訴法・旧公示法779条,現非訟法157条),この規定を直ちに国際的関係に類推することには,やや問題がある(国内民事訴訟法の規定と国際的な管轄権の決定の問題)。しかし仮に非訟法157条の規定を類推するとしても,本件の場合証券に表示されている履行地=陸揚港が日本にないので,わが国において公示催告・除権決定の手続をすべき法的根拠がないことになる。 尤も,わが国の昭和34年から37年頃の船荷証券に対する除権判決の中には,日本の会社が日本で発行した外国を陸揚港とする船荷証券について日本法によって失権を認めたとみられる事例がいくつか見受けられるが,いずれもその理由は明らかでない。これらの先例は,旧民訴法779条に掲げる裁判籍が日本国内にあるときは,国際的な意味においてもわが国の管轄権を認めるべきであるとし,しかも陸揚港が日本にない場合を証書に履行地を表示しない場合と同視して,発行人の普通裁判籍が日本にあるときにはわが国の管轄権を認めるということであろうか。申立人の主張も同様の趣旨と解されるが,しかしこのような立場は妥当でなく,当裁判所はこの考えは採用しない。 社債券に関してであるが,大審院昭和6年7月25日民4部決定(公示催告申立却下ノ決定ニ対スル抗告事件民集10巻603頁)は,ニューヨ-ク市又はロンドン市を履行地と表示した日本会社の社債券の無効宣言のためになす公示催告手続について,日本の裁判管轄権を否定している。 義務履行地である外国に公示催告・除権決定の制度がないときはこの手続がとれず,喪失者の保護に欠けるおそれがある(前掲大審院決定事件上告理由参照)としても,当該履行地国には相当の救済制度が存するものと思われ,そのことを以て直ちにわが国の管轄権を肯定する理由にはならない。 因みに,手形・小切手については,喪失・盗難の場合の手続に関する準拠法があり,その場合の手続は支払地の属する国の法律に依る旨定められている(手形法94条,小切手法80条8号)。支払地が外国であるときはその国の法律に依るので,日本の裁判所には管轄権がないとされることも,参考になろう。 結局,本件においては,義務履行地は陸揚港キールン(台湾)であり,このように義務履行地が日本にない場合は,わが国に裁判管轄権はないものと解すべきである。 3 以上の次第で,本件申立てについては,公示催告開始決定の前提たる裁判管轄権がわが国にはないと解されるので,その余の申立人の適格性ほかについて判断するまでもなく,申立ては不適法と認められる。よって,本件申立てを却下することとし(非訟法143条1項,2項),主文のとおり決定する。 平成17年10月20日 東京簡易裁判所民事第8室 裁判官 島田充子 (別紙) 目 録 船荷証券(英文) 船荷証券番号 TWP0000-000 荷送人 ○○電機株式会社 荷受人 ○○バンクの指図人 船積港 日本国横浜 陸揚港 台湾キールン 船舶名 ○○号 航海番号 16 S 17 運送品の種類・重量・容積 ○○ブランド・ケーブルコネクタ 74,030ピース,665.00㎏,5.269? 荷造の個数 板紙製パレット6個 発行者 ○○株式会社 発行地 日本国東京 発行日 2005年4月26日 発行通数 3通
https://w.atwiki.jp/highspeedrailway/pages/121.html
東京高速交通 東京高速交通株式会社(とうきょうこうそくこうつう、TOKYO EXPRESS Corporation)は、東鷹快速グループのタクシー会社。東京都23区・多摩地区を営業区域とする。 前身は東京都新宿区の新宿交通・杉並区の帝京自動車など。 現在は"TOKYO EXPRESS"のブランドを推し出しており、タクシーやハイヤーでのCIロゴに使用している。 日本交通グループの流れを汲んでおり、東京四社営業委員会統一色に類似した塗装を採用。 配車無線は独自のカーナビゲーション連動GPS-AVM無線システム(HG-AVM-TER)を導入している。 「ハイグレード車専門」が売りで、スタンダードグレード車は提携各社を含め存在しない。各種広告においても"ハイグレード専用配車無線"として売り出している。 また、高速域での安定感を重視した車種・グレード選定も行っており、高速道路を使用した速達性を求められるシチュエーションにおいても高い実力を発揮する。実際、ふわわkm/h以上の走行でも安定したトラクションと乗り心地を持った車両を使用しており、国土交通省や警視庁などから目を付けられているとかいないとか。 法令化以前から、乗客も含めた禁煙タクシーの運行を開始した。喫煙者は乗車拒否も運送約款で可能。 Suica・PASMO等交通系ICカードの対応に積極的である。 東京4社や東京無線、チェッカー等各社のチケット・プリペイドカードの利用も可能である。 会社概要 タクシー・ハイヤー事業営業所 提携会社 車両無線番号 使用車種 会社概要 社名 東京高速交通株式会社 種類 株式会社 本社所在地 東京都新宿区西新宿 設立 19xx年4月1日 業種 陸運業 事業内容 一般乗用旅客自動車運送事業一般貸切旅客自動車運送事業自動車運行管理事業 主要株主 東鷹快速鉄道株式会社 31.2%東京急行電鉄株式会社 10.1%日本交通株式会社 26.3% 代表者 代表取締役社長 東横ような タクシー・ハイヤー事業 営業所 東京本店(新宿区西新宿) 三鷹営業所(三鷹市下連雀) 東京中央営業所(杉並区阿佐谷) 東京南営業所(渋谷区笹塚) 渋谷支店(渋谷区南平台) 提携会社 東京タクシー(太田) エスコート交通(練馬・三鷹) ハロー・トーキョー(深川) 車両 無線番号 無線番号の付番は下記の法則による。 千の位:メーカー 1…日産 2…トヨタ 3…日産 4~その他 百の位:用途 1~3…黒塗りハイグレード車 4~5…一般色ハイグレード車 6~8…一般車 十・一の位:導入順の連番 ※黒塗りではなく濃紺等の車両も1~3に入る。 「ハイグレード車」の基準は、クラウンセダンはスーパーデラックスGパッケージ以上、セドリックはクラシックSV以上となる。 使用車種 主力車両はクラウンコンフォート・クラウンセダンだが、タクシーではあまり採用例のないスポーツセダンも所有する。特にスポーツグレードを好んで採用している。 豪華装備の車両を多数所有しているが、塗装は一般的なハイグレードタクシーの「黒タク」の他にも濃紺・濃緑・マルーン等多少色味のある暗色の車両もある。 希望ナンバー制度が普及してからはナンバープレートをコールサインに合わせた希望ナンバーで取得するようになった。 ハイブリッド車はクラウン・ハイブリッドやクラウンセダン・マイルドハイブリッドを所有。 その他コンフォートなどではアイドリングストップ機能を活用するなど環境に配慮した営業を行っている。 現行車両一覧 小型タクシー コンフォート SG カローラ 1.8 ラグゼール ブルーバードシルフィ ブロアム インプレッサアネシス 2.0i-S 中型タクシー タクシー車両(クラウンセダン スーパーサルーン) クラウンセダン スーパーデラックスGパッケージ クラウンセダン スーパーサルーン クラウン アスリート クラウン ロイヤルサルーン クラウン ハイブリッド ブレビス Ai250プレミアム プログレ NC250 iRバージョン セドリック ブロアム セドリック クラシックSVプレミアム フーガ 350XV VIP グロリア 300アルティマ ティアナ 230JK-Mコレクション クールモダン ローレル 25メダリスト セフィーロ オーテック シーマ 30TL ハイヤー ハイヤー車両(クラウン・ロイヤルサルーンG) クラウン ロイヤルサルーンG クラウンマジェスタ Cタイプ レクサス LS600hL レクサス IS-F ティアナ 350JM フーガ 450GT typeP VIP セドリック 300LV VIP シーマ 450XV VIP プレジデント ソブリン
https://w.atwiki.jp/rokurokubi/pages/24.html
医療行為は侵襲的行為であり、不作為が重大な結果を招くと予想される場合にのみ実施されべきであるということは大前提と考えます。そして、本来は患者さんの状態、これから予想される事態、医療行為による改善の見込みと避け得ない合併症の確率から判断されるべきものに、その行為を失敗したときに生じる法的責任要素が判断に入ってくることは一概に望ましいとは言えないと思われます。自身の技量では法的責任を取れないと感じ、他医への紹介という結果になり専門医の下でうまく治療されたという場合は、法的責任がよく機能したものと思われます。しかし、緊急時で時間の余裕がない、あるいはそれ以上の専門医はいないという状況の場合、法的責任を考えすぎるあまり不作為を生じる危険が増大するとの議論も成り立ちます。 時代はEBM(根拠に基づいた医療)からすでにJBM(司法判断に基づく医療)ですか。その判断も医学的視点で明確な基準が定めてもらえると言うならまだ対処のしようもあろうというものですが現状では到底。 たいへん古い話で恐縮ですが、有名な話です。昭和38年、名医との誉れ高い、東大医学部第三内科の沖中教授が退官される際、その記念講演で「私の誤診率は17%であった。」と述べられたそうです。その時、医療関係者は「さすが沖中先生、誤診率が10%台とはすばらしい。」と驚き、世間の人々は逆に「沖中先生でさえ、誤診率が17%もあったのか。」と驚嘆したそうです。医療機器の発達につれ、診断技術は飛躍的に進歩していますが、最終的には人が判断することであり、また人の能力・知能は医療機器とは異なり、当時と比べて飛躍的に発達しているわけではないと思われます。 従来であれば、診療契約書が無くても、不確実で危険を伴う性質の医療行為を行なうに際して、医師の知見と経験と勘をもとにした専門技術的裁量が尊重されていたので、医療過誤とされることは稀であった。しかしながら、最高裁判例による行為規範創出の潮流の中では、逆に、診療契約書の不存在が医師の専門技術的裁量の剥奪へと向かう根本原因となっている。したがって、医師・医療機関の責任が広く認定されるようになってしまった現在においては、個々の医師・医療機関において診療契約書及び約款の作成が是非とも必要である。ただ、診療契約の文書化のためには、当該医療機関の特性・専門技術性との整合だけでは足りず、応招義務・保険診療・賠償保険その他法的関連諸分野との調整が必須の要件になるので、専門の法律家・法律事務所との提携が必要となるであろう。 『知見の普及は、医学雑誌への論文の登載、学会や研究会での発表、一般のマスコミによる報道等によってなされ、また、当該疾病を専門分野とする医師に伝達され、次第に関連分野を専門とする医師に伝達されるものであって、その伝達に要する時間は比較的短い』これは平成7年6月9日の最高裁判決の文面からです。しかし、「医学雑誌への論文の登載、学会や研究会での発表、一般のマスコミによる報道等によってなされ」た段階ではその治療法もしくは医療技術は未完成のものが多く、データや論理が積み重なってふるい落とされておくものが多いのです。 医療を締め上げるほど、過失の少ない萎縮医療を選択する医師が増えたり、根本的に選択を迫られない立場に逃げる医師が増えることでしょう 医療側にとって、民事訴訟の増加は、防御医療の傾向を否応なく強め、特定診療科の医師不足など医療崩壊をもたらす大きな要因のひとつである。つまり、法的解決というものが、たとえ法的観点からみていくら適正なものであっても、実際に、医療や社会に及ぼす影響を考えたときに、もはや受忍しがたい否定的効果をもってしまっているというのが、現在の動きの出発点にある。