約 1,857,957 件
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/89.html
総括所見:インド(第1回・2000年) 第2回(2004年)/第3回・第4回(2014年)OPAC(2014年)/OPSC(2014年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.115(2000年2月23日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.子どもの権利委員会は、2000年1月11日および12日に開かれた第589回~第591回会合(CRC/C/SR.589-591参照)において、1997年3月19日に提出されたインドの第1回報告書(CRC/C/28/Add.10)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。 (注)2000年1月28日に開かれた第615回会合において。 A.序 2.委員会は、委員会のガイドラインにしたがった報告書について評価の意を表する。委員会は、事前質問リスト(CRC/C/Q/IND.1)に対する詳細かつ有益な文書回答に留意するものである。委員会は、時間の制約により、締約国の代表団が出された質問のすべてに答えられなかったことを遺憾に思う。にもかかわらず、委員会は、行なわれた対話が開かれた性質のものであったことを評価するものである。委員会は、締約国が提供した追加の文書回答を評価する。 B.積極的な側面 3.委員会は、人権および子どもの権利の保護を目的とした広範な憲法上および立法上の規定および諸制度(たとえば国家人権委員会、国家女性委員会および指定カースト・指定部族委員会)が存在することを心強く思う。さらに、委員会は、裁判所、とくに最高裁判所が国際人権文書の規定を頻繁に参照していることを歓迎するものである。 4.委員会は、人権の保護を伸長するための活動に、「公益訴訟」を通じてのものも含めてNGOその他の草の根組織がますます関与するようになっていることを歓迎する。 5.委員会は、教育識字庁の設置を歓迎し、かつ、万人を対象とした無償のかつ義務的な初等教育を達成することに対して締約国が表明している決意に留意する。 6.委員会は、インドにおける子どもの健康および児童労働の問題に対応するために締約国が行なっている努力、および国際機関および非政府組織との協力に留意する。 C.条約の実施を阻害する要因および困難 7.インドの子どもの人数が世界の子ども人口の膨大な割合を占めていることを考慮にいれ、委員会は、その管轄下にあるすべての子どものニーズを満たすにあたってインドが直面している課題が、とくに経済的および社会的分野において膨大な難問を提示するものであることに留意する。委員会はまた、高い人口増加率により必要な資源の維持が困難になっていることにも留意するものである。 8.委員会は、インドの人口の相当部分に影響を与えている極度の貧困、構造調整の影響および自然災害が、条約にもとづく締約国の義務のすべてを履行するうえで深刻な困難となる要因であることに留意する。 9.社会がこれほど多様かつ多文化的であることを踏まえ、委員会はさらに、伝統的な慣習(たとえばカースト制度)および社会的態度(たとえば部族集団に対する)の存在が、差別と闘う努力の障害となっており、かつとくに貧困、非識字、児童労働、子どもの性的搾取ならびに路上で生活しかつ(または)働く子ども〔の現象〕を悪化させていることに留意する。 D.主要な懸念事項および委員会の勧告 D.1 実施に関する一般的措置 立法 10.条約第4条に照らし、委員会は、国内法の枠組みにおける条約の地位が不明確であることに留意し、かつ、現行の連邦法、州法および民事的地位法を条約に全面的に一致させるためにとられた措置が不十分であることを懸念する。 11.委員会は、締約国が、条約の一般原則を正当に考慮しながら、国内法が条約と全面的に両立することを確保するための努力を追求するよう勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、子ども法の採択を検討するよう奨励するものである。 12.委員会は、立法、および裁判所および諸委員会(すなわち国家人権委員会、国家女性委員会および指定カースト・指定部族委員会)の決定を実施し、かつ子どもの権利に関わるそのような機関の活動を容易にするために行なわれた努力が不十分であることに留意する。 13.委員会は、締約国が、現行法の効果的実施を確保および強化するため、必要な資源(すなわち人的資源および財源)の配分も含むあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、国家人権委員会、国家女性委員会および指定カースト・指定部族委員会を含む国内人権機関の能力および効果を強化するため、十分な資源を提供することその他のあらゆる必要な措置をとるよう勧告するものである。 調整 14.連邦制の統治構造をとっていることから連邦と州のレベル間の責任分担に関して複雑な状況が生じていることに留意し、委員会は、行政上の調整および協力が不十分であることが条約実施において深刻な問題となっているように思えることを、懸念する。 15.委員会は、締約国が、条約を実施するための包括的な国内行動計画を、子どもの権利アプローチにもとづいて採択するよう勧告する。委員会は、中央、州および自治体の各統治レベルにおける、および当該各統治レベル間の、部門間の調整および協力に注意を向けるよう勧告するものである。締約国は、能力構築を含む条約実施のための支援を地方行政機関に提供するよう奨励される。 独立機構/監視体制 16.委員会は、条約が対象とするあらゆる領域に関して、もっとも傷つきやすい立場に置かれたグループ(すなわちスラムで生活する子ども、各種のカーストおよび部族集団に属する子ども、農村部で生活する子ども、障害をもった子ども、路上で生活しおよび(または)働く子ども、武力紛争の影響を受けている子どもおよび難民の子ども)を含む18歳未満のすべての者の細分化されたデータを収集および分析する効果的な機構が存在しないことを懸念する。 17.委員会は、締約国が、子どもの権利の実現に関して達成された進展を評価し、かつ条約実施のためにとるべき政策の立案に役立てる目的で、細分化されたデータを収集するための包括的なシステムを発展させるよう勧告する。 18.委員会は、締約国が子どものための国家委員会を設置する意思を有していることを歓迎する。 19.委員会は、締約国に対し、とくに連邦、州および地方の各レベルで条約実施における進展を恒常的に監視および評価することを権限とする、法律にもとづきかつ独立した子どものための国家委員会を設置するよう奨励する。さらに、当該委員会は、治安部隊に関するものも含む子どもの権利侵害の苦情を受理しかつそれに対応する権能を与えられるべきである。 予算資源の配分(第4条) 20.委員会は、教育への予算配分を国家予算の4%から6%に増加させようという締約国の決意を歓迎する。しかしながら、委員会は、子どもの経済的、社会的および文化的権利を「利用可能な手段を最大限に用いて」実施することに関して条約第4条に払われている注意が不十分であることを、懸念するものである。 21.委員会は、締約国が、予算配分が子どもの権利の実施に与える影響の体系的評価を確立し、かつこの点に関する情報を収集および普及する方法を発展させるよう勧告する。委員会はまた、締約国が、中央、州および地方の各レベルにおいて、かつ必要な場合には国際協力の枠組みのなかで資源の適切な配分を確保するようにも勧告するものである。 NGOとの協力 22.委員会は、報告書の作成を含む条約実施における非政府組織との協力が依然として限られていることに留意する。 23.委員会は、締約国に対し、政策立案を含む条約実施の全段階を通じてNGOおよび市民社会一般を関与させるための体系的アプローチを検討するよう奨励する。 研修/条約の普及(第42条) 24.第42条に照らし、委員会は、子どもを含む公衆一般および子どもとともに働く専門家の間で条約に関する意識水準が低いことに留意する。委員会は、締約国が、体系的かつ対象を明確にした方法で十分な普及活動および意識啓発活動を行なっていないことを懸念するものである。 25.これとの関連で、委員会は、締約国が、条約実施に関わる情報を子どもおよび親、市民社会ならびにあらゆる部門および段階の政府の間で普及するための継続的プログラムを発展させるよう勧告する。委員会は、締約国に対し、非識字であるまたは正規の教育を受けていない傷つきやすい立場に置かれたグループを対象とするためのとりくみも含め、同国における子どもの権利教育を促進するための努力を追求するよう奨励するものである。さらに、委員会は、締約国が、子どもとともに働くすべての専門家集団(すなわち裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方政府職員、子どものための施設および拘禁場所で働く職員、教員、心理学者を含む保健従事者ならびにソーシャルワーカー)を対象とした、条約の規定に関する体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させるよう勧告する。委員会は、締約国に対し、この点に関してとくにユニセフの援助を求めるよう奨励するものである。 D.2 子どもの定義 26.第1条に照らし、委員会は、法律により定められたさまざまな年齢制限が条約の一般原則その他の規定にしたがっていないことを懸念する。委員会がとりわけ懸念するのは、刑法にもとづく刑事責任年齢が7歳と定められておりきわめて低いこと、および、16~18歳の男子が成人として審理される可能性があることである。委員会は、性的同意に関する最低年齢が男子について定められていないことを懸念する。委員会はさらに、最低年齢基準の執行が不完全であること(たとえば1929年の児童婚姻禁止法)を懸念するものである。 27.委員会は、年齢制限が条約の原則および規定に一致することを確保するために締約国が国内法の見直しを行なうこと、および、このような最低年齢要件を執行するためにいっそうの努力を行なうことを勧告する。 D.3 一般原則 差別の禁止への権利(第2条) 28.条約第2条に照らし、委員会は、異なる州に住んでいる子ども、農村部で生活している子ども、スラムで生活している子どもならびにさまざまなカースト、部族集団および先住民族集団に属している子どもによる条約上の権利の享受の水準が著しく異なることを深く懸念する。 29.委員会は、もっとも脆弱な立場に置かれた集団を対象としたプログラムのための予算供与を増加させることも含む政策の見直しおよび方向転換を通じて社会的不平等に対応するため、あらゆるレベルで調和のとれた努力を行なうよう勧告する。 30.条約第2条に照らし、委員会は、カーストにもとづく差別および部族集団に対する差別が、このような刊行が法律で禁じられているにもかかわらず存在していることを懸念する。 31.憲法第17条および条約第2条にしたがって、委員会は、締約国が、州が「不可触性」の差別的慣行を廃止することを確保し、カーストおよび部族を動機とした虐待を防止し、かつそのような慣行または虐待を行なった国または民間の行為者を訴追するための措置をとるよう勧告する。さらに、憲法第46条にしたがい、締約国は、とくにこのような集団を保護しかつその地位を高めるための積極的措置を実施するよう奨励されるところである。委員会は、1989年指定カースト・指定部族(残虐行為防止)法、1995年指定カースト・指定部族(残虐行為防止)規則および1993年清掃肉体労働者雇用法の全面的実施を勧告する。委員会は、締約国に対し、カーストにもとづく差別を防止しかつそれと闘うための包括的な公衆教育キャンペーンを遂行する努力を、引き続き行なうよう奨励するものである。人種差別撤廃委員会(CERD/C/304/Add.13)にならい、委員会は、このようなグループの構成員が、保健、教育、労働、ならびに井戸のような公共の場所およびサービスへのアクセスを含む条約上の権利を平等に享受することの重要性を強調する。 32.委員会は、女子に対する差別的な社会の態度および有害な伝統的慣行が根強く残っていることに留意する。これには、女児の嬰児殺、選択的中絶、低い就学率および高い中退率、若年婚および強制婚のほか、婚姻、離婚、乳児の監護および後見ならびに相続のような分野でジェンダーに基づく不平等を固定化させている、宗教に基づく民事的地位法が含まれる。 33.条約第2条に照らし、委員会は、締約国に対し、保護法の執行を確保するよう奨励する。委員会は、締約国に対し、とくに家庭におけるジェンダー差別を防止しかつそれと闘うための包括的な公衆教育キャンペーンを遂行する努力を継続するよう奨励するものである。このような努力を援助するため、女子を差別する伝統的な慣行および態度を根絶する努力を支援する目的で政治的、宗教的および地域共同体の指導者が動員されるべきである。 子どもの意見の尊重(第12条) 34.第12条に照らし、委員会は、とくに家庭、学校、ケアのための施設、裁判所および少年司法制度において、子どもの意見が不十分にしか重視されていないことに留意する。 35.委員会は、締約国に対し、条約第12条にしたがって、自己に影響を与えるあらゆる事柄における子どもの意見の尊重および子どもの参加を、家庭、学校、ケアのための施設、裁判所および少年司法制度において促進しかつ容易にするよう奨励する。これとの関連で、委員会は、子どもが十分な情報を得たうえで決定およびその表明を行ない、かつその意見を考慮されることを援助するにあたり、教員、ソーシャルワーカーおよび地方行政職員を対象とした、地域共同体におけるスキル訓練プログラムを発展させるよう勧告するものである。 D.4 市民的権利および自由 名前および国籍(第7条) 36.時宜を得た出生登録が行なわれないことが基本的権利および自由の子どもによる全面的享受に好ましくない結果をもたらす可能性があることを踏まえ、委員会は、条約第7条に照らし、インドのきわめて多数の子どもの出生が登録されていないことを懸念する。 37.委員会は、締約国が、条約第7条にしたがってすべての出生が時宜を得た形で登録されることを確保するためにいっそうの努力を行ない、かつ、農村部において登録に関わる研修および意識啓発の措置をとるよう勧告する。委員会は、移動登録所ならびに学校および保健施設における登録係の設置のような措置を奨励するものである。 拷問または他の残酷な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰を受けない権利(第37条(a)) 38.条約第37条(a)に関して、委員会は、拘禁施設における子どもの日常的な不当な取扱い、体罰、拷問および性的虐待の報告が多数存在し、かつ、路上で生活しかつ(または)働く子どもの殺害が法執行官によって行なわれているという主張があることを懸念する。 39.委員会は、警察署に連れてこられた子どもひとりひとりの登録を拘禁の日時および理由も含めて義務的なものとすること、および、そのような拘禁を判事による頻繁な義務的審査の対象とすることを勧告する。委員会は、締約国に対し、刑事訴訟法第53条および第54条を改正することにより、拘禁の時点における、および定期的な間隔を置いた健康診断(年齢の確認も含む)を義務的なものとするよう奨励するものである。 40.委員会は、警察の拘禁下にある者の強姦、死亡または負傷の疑いがある事件について司法審問を義務的なものとすること、調査機関を設置すること、および拘禁下の虐待の被害者に対して賠償金を支払うことをとくに求めた、国家警察委員会による1980年の勧告および議会委員会による1996年の勧告を締約国が実施するよう勧告する。拘禁下における子どもの虐待の事件に関する苦情申立ておよび訴追の機構を整備するため、少年法の改正が勧告されるところである。加えて、委員会は、刑事訴訟法第197条(拘禁下の虐待または不法な拘禁の苦情が申し立てられた場合に法執行官を訴追するにあたり、政府の承認を要件とするもの)および警察法第43条を改正することにより、不法な拘禁または拘禁下の虐待の事件において警察が令状執行中の行動に関する免責を主張できないようにすることを勧告する。 41.委員会は、締約国に対し、同国が1997年に署名した拷問および他の残酷な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは刑罰を禁止する条約を批准するよう奨励する。 D.5 家庭環境および代替的養護 養子縁組(第21条) 42.条約第21条および第25条に照らし、委員会は、インドにおいて統一の養子縁組法が存在しないこと、ならびに、締約国内外の措置を監視しかつフォローアップするための効果的な措置がとられていないことを懸念する。 43.委員会は、締約国に対し、国内外の養子縁組に関する法的枠組みを見直すよう勧告する。委員会は、締約国が、国際養子縁組における子どもの保護および協力に関する1993年のハーグ条約の加盟国となるよう勧告するものである。 暴力/虐待/放任/不当な取扱い(第19条) 44.条約第19条および第39条に照らし、委員会は、インドにおいて、学校およびケアのための施設のみならず家庭においても子どもの不当な取扱いが広がっていることを懸念する。 45.委員会は、締約国が、家庭、学校およびケアのための施設における子どもの体罰および性的虐待を含むあらゆる形態の身体的および精神的暴力を禁止するために立法上の措置をとるよう勧告する。委員会は、このような措置とあわせて、子どもの不当な取扱いの好ましくない結果に関する公衆教育キャンペーンを行なうよう勧告するものである。委員会は、締約国が、とくに家庭および学校において、体罰に代わる手段として積極的かつ非暴力的な形態のしつけおよび規律の維持を促進するよう勧告する。虐待された子どものリハビリテーションおよび再統合のためのプログラムを強化すること、および、不当な取扱いの苦情を受理し、そのような取扱いの発生を監視し、調査しかつ訴追するための十分な手続および機構を設置することが必要である。 D.6 基礎保健および福祉 障害のある子ども(第23条) 46.1995年障害者(機会均等、権利保護および完全参加)法には留意しながらも、委員会は、障害児、とくに農村部で生活する障害児のケアの水準およびケアへのアクセスがきわめて貧弱であること、および障害児のケアに責任をもつ者に援助が提供されていないことを懸念する。条約第23条に照らし、委員会は、精神的および身体的障害をもった子どもの権利を保障し、かつそのような子どもの社会への全面的インクルージョンを促進する政策およびプログラムの実施を確保する必要があることを強調するものである。 47.障害者の機会均等化に関する基準規則(総会決議48/96)および「障害のある子ども」に関する一般的討議の日に採択された委員会の勧告(CRC/C/69)に照らし、委員会は、締約国が、障害をもった子どものリハビリテーション施設の定員を増加させ、かつ、農村部で生活する障害児のサービスへのアクセスを向上させるよう勧告する。予防、インクルーシブな教育、家庭におけるケアおよび障害児の権利の促進に焦点を当てた意識啓発キャンペーンを行なうことが必要である。障害児とともに働く者が十分な研修を受けられるようにすることも求められる。委員会は、締約国に対し、必要な資源が利用できるようにするためにいっそうの努力を行ない、かつ、とくにユニセフ、WHOおよび関連のNGOの援助を求めるよう奨励するものである。 健康および保健サービスへの権利(第24条) 48.条約第24条に照らし、委員会は、締約国が、若干の国家プログラムを設置することにより、すでに主要な健康問題に焦点を当てかつ優先順位を置いていることに留意する。にもかかわらず、委員会は、妊産婦死亡率が高いこと、および、子どもの低体重出生および栄養不良(微量栄養素欠乏症を含む)の水準が高いことを懸念するものである。このような現象は、出生前ケアへのアクセスが欠けていること、ならびに、より一般的には、質の高い公共保健施設へのアクセスが限られていること、資格のあるヘルスワーカーの人数が不十分であること、健康教育が貧弱であること、安全な飲料水へのアクセスが不十分であること、および環境衛生が貧弱であることとつながっている。このような状況を悪化させているのは、女性および女子がとくに農村部において直面している極端な格差である。 49.委員会は、締約国が、児童期疾病統合管理戦略を採用、拡大および実施し、かつもっとも傷つきやすい立場に置かれたグループ層に特段の注意を払うためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、締約国が、女児の嬰児殺および選択的中絶のような慣行につながる社会文化的要因を見定め、かつそのような要因に対応する戦略を策定するための研究を行なうようにも勧告するものである。委員会は、社会の最貧層にひきつづき資源を配分すること、および、とくにWHO、ユニセフ、世界食糧計画および市民社会との協力およびそこからの技術的援助を継続することを勧告する。 50.委員会は、たとえば女子の健康に悪影響を与える若年婚の割合がきわめて高いことを踏まえ、青少年、とくに女子の健康がなおざりにされていることを懸念する。青少年、とくに女子の自殺、および子どもへのHIV/エイズの影響は委員会にとって深刻な懸念の対象である。 51.委員会は、締約国が、もっとも傷つきやすいグループ層を対象とした、リプロダクティブ・ヘルスおよび子どもの健康に関する現行の国家プログラムを強化するよう勧告する。委員会は、締約国が、公衆およびとくに保健専門職を対象とした意識啓発および感受性増進プログラムを強化することにより、HIV/エイズの影響を受けた者への差別と闘うよう勧告するものである。委員会は、社会の最貧層にひきつづき資源を配分すること、および、とくにWHO、ユニセフ、UNAIDS〔国連エイズ合同計画〕および市民社会との協力およびそこからの技術的援助を継続することを勧告する。 十分な生活水準への権利(第27条) 52.委員会は、スラムを含む不十分な居住環境で生活している子どもの割合が高いこと、および、そのような子どもの栄養状態、および安全な飲料水および衛生へのアクセスが不十分であることを懸念する。委員会は、構造調整プロジェクトが家庭および子どもの権利に与える悪影響を懸念するものである。 53.条約第27条に照らし、委員会は、締約国が、1996年の第2回ハビタット〔国連人間居住会議〕で子どもの居住へのアクセスに関して表明した決意を実施するために適切な措置をとるよう勧告する。強制退去に関する人権委員会決議1993/77に照らし、委員会は、締約国に対し、強制的な居住地移動、避難およびその他のタイプの非自発的な人口移動の発生を防止するよう奨励するものである。委員会は、再定住のための手続およびプログラムにおいて登録が含められ、包括的な家族リハビリテーションの便宜が図られ、かつ基本的サービスへのアクセスが確保されるよう勧告する。 54.委員会は、路上で生活しかつ(または)働く子どもの人数が多くかつ増加していることを懸念する。このような子どもたちは、インドにおいてもっとも周縁に追いやられた子どもグループのひとつである。 55.委員会は、締約国が、このような子どもが身分証明書類、栄養、衣服および住居を提供されることを確保するための機構を設置するよう勧告する。さらに、締約国は、このような子どもが保健、身体的および性的虐待ならびに有害物質濫用に関するリハビリテーション・サービス、家族との和解のためのサービス、職業訓練およびライフスキル訓練を含む教育、および法律扶助にアクセスできることを確保するべきである。委員会は、締約国が、この点に関して市民社会と協力し、かつ国の努力を市民社会と調整するよう勧告する。 D.7 教育、余暇および文化的活動 教育の権利および目的(第28条および第29条) 56.教育への基本的権利に関する第83次憲法改正法案を歓迎しながらも、委員会は、教育との関連で締約国に蔓延している貧弱な状況に懸念を表明する。この状況を特徴づけているのは、インフラストラクチャー、便益および設備が全般的に欠けていること、資格のある教員の人数が不十分であること、および、教科書その他の関連する学習教材が徹底的に不足していることである。さまざまな州の間、農村部と都市部との間、男女間、富裕層と貧困層との間、および指定カーストおよび指定部族に属する子どもの間で、教育へのアクセス、初等段階および中等段階における通学および中退率に関して著しい格差が存在することに関わって、深刻な懸念が存在する。委員会は、とくにさまざまな懸念(女子の状況、および児童労働の発生の削減を含む)に対応するうえで有益となる可能性があることにかんがみて、教育の提供および質を向上させることに重点的な注意を向けることの重要性を強調するものである。 57.委員会は、締約国に対し、第83次憲法改正法案を成立させるよう奨励する。1993年および1996年の最高裁判所決定(それぞれウンニ・クリシュナン事件およびM・C・メフタ対タミールナドゥ州他事件)にならい、委員会は、締約国が、14歳未満のすべての子どもを対象とする無償の義務教育を義務づけた憲法第45条を遵守するための措置を実施するよう勧告するものである。 58.委員会は、締約国が、教育へのアクセスに関して蔓延している格差に関する研究を行ない、かつ、そのような格差に対応するための措置、教員養成プログラムおよび学校環境の質を向上させるための措置、および、ノンフォーマル教育計画の質が監視および保証され、かつ当該計画に参加する働く子どもその他の子どもがメインストリーム教育に統合されることを確保するための措置を発展させるよう勧告する。委員会は、締約国が、もっとも傷つきやすい立場に置かれたグループの子どもが中等教育に進学する機会を確保および促進するよう勧告するものである。 59.委員会は、締約国が、すべての諸人民、民族的、国民的および宗教的集団ならびに先住民の間の寛容ならびに性の平等および友好を含む、条約第29条に掲げられた教育の目的を正当に考慮するよう勧告する。委員会は、締約国が、条約を含む人権問題を学校カリキュラムに導入することを検討するよう勧告するものである。 60.委員会は、締約国に対し、必要な資源を利用可能とし、かつとくにユニセフ、ユネスコおよび関連のNGOの援助を求めるよう奨励する。 D.8 特別な保護措置 保護者のいない子ども、庇護希望者である子どもおよび難民である子ども(第22条) 61.全体として国際難民法の原則にしたがった行政上の方針がとられていることを歓迎しながらも、委員会は、法律が存在しないことにより、子どもの庇護申請者および難民が条約で規定された保護および援助を確実に得られるという保証が依然として存在しないことを懸念する。委員会は、難民の親から生まれた子どもが無国籍となる可能性があること、家族の再統合に対応するための十分な法制度が存在しないこと、および、難民の子どもが事実上通学しているとはいえ、このような子どもに教育への権利を認めた法律が存在しないことを、懸念するものである。 62.委員会は、難民および庇護申請中の子どもの十分な保護(身体的安全、健康、教育および社会福祉の分野におけるものを含む)を確保し、かつ家族の再統合を促進するための包括的な立法を採択するよう勧告する。難民の子どもの保護を促進するため、委員会は、締約国に対し、1951年の難民の地位に関する条約および1967年のその議定書、1954年の無国籍者の地位に関する条約、ならびに1961年の無国籍の削減に関する条約の批准を検討するよう奨励するものである。 子どもと武力紛争および子どもの回復(第38条および第39条) 63.委員会は、紛争地域、とくにジャンムー・カシミール州および東北部諸州における状況が子ども、とくに生命、生存および発達に対する子どもの権利(条約第6条)に深刻な影響を与えていることを懸念する。条約第38条および第39条に照らし、委員会は、子どもがこのような紛争に関与し、かつその犠牲になっているという報告があることにきわめて深刻な懸念を表明するものである。さらに、委員会は、このような紛争地域における子どもの失踪に治安部隊が関与しているという報告があることを懸念する。 64.委員会は、締約国が、武力紛争における子どもの保護およびケアを目的とした人権法および人道法の尊重をいかなるときにも確保するよう勧告する。委員会は、締約国に対し、子どもに対して権利侵害が行なわれた場合に公正かつ徹底的な調査が行なわれ、かつ責任者が迅速に訴追されること、ならびに被害者に対して公正かつ十分な補償を行なうことを確保するよう、求めるものである。委員会は、治安部隊の構成員が行なったとされる虐待の究明を国家人権委員会が行なうことを可能にするため、人権保護法第19条を廃止するよう勧告する。自由権規約委員会の勧告(CCPR/C/79/Add.81)にならい、委員会は、治安部隊の構成員に対する刑事訴追または民事手続には政府の許可が必要とされるという要件を廃止するよう勧告するものである。 経済的搾取(第32条) 65.委員会は、インドが、ILO-IPECプログラムを実施するためILOとの了解覚書に署名した(1992年)最初の国であることに留意する。委員会はさらに、1986年児童労働(禁止および規制)法の別表が改訂されたことにも留意するものである。にもかかわらず、委員会は、とくにインフォーマル部門、家内制企業、家事労働および農業において、債務労働を含む児童労働に携わっている子どもが多いことを懸念する。そのような子どもの多くは危険な条件下で働いている。委員会は、雇用に関する最低年齢基準がほとんど執行されておらず、かつ、使用者が法律を遵守することを確保するための適切な処罰および制裁が科されていないことを懸念するものである。 66.委員会は、締約国に対し、条約第32条に関わる宣言を撤回するよう奨励する。当該宣言は、児童労働に対応するため締約国が行なっている努力に照らして不必要であるためである。委員会は、締約国が、1986年児童労働(禁止および規制)法、1976年債務労働(制度廃止)法および1993年清掃肉体労働者雇用法の全面的実施を確保するよう勧告する。 67.委員会は、1986年児童労働法を改正し、家内制企業ならびに政府の学校および訓練センターが子どもの雇用の禁止から除外されないようにすること、および、農業その他のインフォーマル部門を含めるため対象を拡大することを、勧告する。工場法は、児童労働を使用するすべての工場または工房を対象とするために改正されるべきである。ビーディ〔タバコ〕法は、家内生産の免除を撤廃するために改正されるべきである。使用者は、その施設で働くすべての子どもの年齢の証拠書類を備え、かつ要求に応じて提出することを義務づけられるべきである。 68.委員会は、とくに児童労働者のための補償基金に関する最高裁判所の決定(M・C・メフタ対タミールナドゥ州事件およびM・C・メフタ対インド連邦事件)に照らし、締約国が、法律により刑事上および民事上の救済が規定されることを確保するよう勧告する。委員会は、適切な、時宜を得たかつ子どもに優しい対応が行なわれるよう裁判手続を簡素化すること、および最低年齢基準の執行を精力的に追求することを勧告するものである。 69.委員会は、締約国が、州および地区に対し、児童労働監視委員会を設置および監督し、かつ、十分な人数の労働監察官に対してその業務を効果的に遂行するのに十分な資源が提供されることを確保するよう奨励することを勧告する。州および地方のレベルにおける基準の実施を監視する国家機構が設置されるべきであり、かつ、当該機関に対し、違反の苦情を受理しかつ対応する権限および1次情報報告書を提出する権限が与えられるべきである。 70.委員会は、締約国が児童労働の性質および規模に関する国家的な研究を行なうこと、および、措置の立案および進展の評価の基盤とするため違反を含む細分化されたデータを収集および更新することを勧告する。委員会はさらに、締約国が、労働上の危険に関して公衆一般、とくに親および子どもに情報を提供しかつその感受性を増進するためのキャンペーンを遂行する努力、および、使用者団体、労働者団体および市民組織、労働監察官および法執行官のような政府職員ならびにその他の関連の専門家を関与させかつ訓練するための努力をひきつづき行なうよう勧告するものである。 71.委員会は、締約国に対し、権限ある諸公的機関が教育およびリハビリテーション・プログラムなどに関して協力しかつその活動の調整を行なうこと、および、締約国と関連の国際連合機関(ILOおよびユニセフなど)およびNGOとの間で現在行なわれている協力が拡大されることを確保するよう、求める。委員会は、締約国が、就労のための最低年齢に関するILO第138号条約ならびに最悪の形態の児童労働の禁止および撲滅のための即時的行動に関するILO第182号条約を批准するよう勧告するものである。 薬物濫用(第33条) 72.第33条に照らし、委員会は、とくにムンバイ、ニューデリー、バンガロールおよびカルカッタの大都市中心部において不法な薬物の使用および取引が増加していること、および、18歳未満の者、とくに女子の間でタバコの使用が増えていることを懸念する。 73.委員会は、締約国が、国際連合薬物統制計画(UNDCP)の指導を得て国家薬物統制計画または総合基本計画を策定するよう勧告する。委員会は、締約国に対し、タバコの使用を含む有害物質の使用について子どもに正確かつ客観的な情報を提供するための努力、および、タバコ広告の包括的制限を通じ、誤った有害な情報から子どもを保護するための努力をひきつづき行なうよう奨励するものである。委員会は、WHOおよびユニセフから協力および援助を得るよう勧告する。委員会はさらに、締約国が、有害物質の濫用の被害を受けた子どものためのリハビリテーション・サービスを発展させるよう勧告するものである。 性的搾取および性的虐待(第34条) 74.委員会は、女性および子どもの売買および商業的性的搾取と闘うための行動計画に留意する。しかしながら、問題の規模にかんがみ、委員会は、子ども、とくに底辺カーストに属する子ども、および都市部の貧困地域および農村部の子どもの性的虐待および性的搾取について懸念するものである。このような搾取および虐待は、宗教的および伝統的文化、子どもの家事労働、路上で生活しかつ(または)働く子ども、地域における暴力および民族紛争、ジャンムー・カシミール州のような紛争地域における治安部隊による虐待、ならびに、近隣諸国(とくにネパール)からのとくに女子の売買および商業的搾取を背景として生じている。委員会はまた、このような現象と闘うために十分な措置がとられていないこと、およびリハビリテーションのための十分な措置が存在しないことも懸念するものである。 75.委員会は、締約国が、法律により子どもの性的搾取が犯罪とされ、かつ、国民か外国人かを問わず関係したすべての犯罪者が処罰対象とされることを、このような慣行の被害を受けた子どもが処罰されないことを同時に確保しながら確保するよう、勧告する。デーヴァダーシーが法律で禁じられていることには留意しながらも、委員会は、締約国が、この慣行を撲滅するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告するものである。商業的性的目的のものを含む子どもの売買と闘うため、誘拐を禁じる規定が刑法に置かれるべきである。委員会は、締約国が、子どもの性的搾取に関わる法律がジェンダーに中立であることを確保すること、違反の場合に民事上の救済を提供すること、適切な、時宜を得た、子どもに優しい、かつ被害者に配慮した対応が行なわれるよう裁判手続が簡素化されることを確保すること、侵害の対象とされた者を差別および報復から保護するための規定を含めること、および執行を精力的に追求することを、勧告する。 76.委員会は、実施を監視するための国家機構が、苦情申立て手続およびヘルプラインとともに設置されるべきことを勧告する。性的虐待および性的搾取の被害を受けた子どもを対象として、リハビリテーション・プログラムおよびシェルターが設置されるべきである。 77.委員会は、締約国が子どもの性的虐待および性的搾取の性質および規模に関する国家的な研究を行なうこと、および、措置の立案および進展の評価の基盤とするため細分化されたデータを収集および更新することを勧告する。委員会は、締約国が、児童婚姻および儀式としての売買春のような有害な伝統的慣行と闘うため徹底的なキャンペーンを遂行する努力、および、身体的および精神的不可侵性に対する子どもの権利および性的搾取からの安全に関して公衆一般への情報提供、その感受性の増進および動員を行なう努力をひきつづき行なうよう勧告するものである。 78.委員会は、とくに西ベンガル、オリッサおよびアンドラプラデールの諸州の東部国境地帯に沿って、近隣諸国の国境警察隊との協力をともなう2国間および地域間の協力を強化するよう勧告する。締約国は、権限のある公的機関が協力しかつその活動を調整すること、および、締約国ととくにユニセフとのあいだで現在行なわれている協力が拡大されることを、確保するべきである。 少年司法の運営(第37条、第40条および第39条) 79.委員会は、インドにおける少年司法の運営をめぐって、かつそれが条約第37条、第40条および第39条ならびに他の関連の国際基準と両立していないことをめぐって、懸念を覚える。委員会はまた、刑事責任年齢がきわめて低いこと(7歳)、および、16~18歳の男子が成人として審理される可能性があることも懸念するものである。18歳以上の者には死刑が事実上適用されないことには留意しながらも、委員会は、法律上はその可能性が存在することをきわめて懸念する。委員会はさらに、成人との拘禁を含む子どもの拘禁が過密かつ不衛生な環境下で行なわれていること、司法職員、弁護士および法執行官を含む専門家を対象として条約、その他の現行国際基準および1986年少年法に関する研修が行なわれていないこと、および、これらの規定に違反した職員を訴追するための措置およびその執行が存在しないことを懸念するものである。 80.委員会は、法律が条約、とくに第37条、第40条および第39条、ならびに少年司法の運営に関する国際連合最低基準規則(北京規則)、少年非行の防止に関する国際連合指針(リャド・ガイドライン)、自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則および刑事司法制度における子どもについての措置に関するウィーン指針のような他の関連の国際基準にしたがうことを確保するため、締約国が少年司法の運営に関わる法律を見直すよう勧告する。 81.委員会は、締約国が、18歳未満の者に対して死刑を科すことを法律で廃止するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、刑事責任年齢の引上げを検討し、かつ18歳未満の者が成人として審理されないことを確保するようにも勧告するものである。条約第2条に掲げられた差別の禁止の原則にしたがい、委員会は、1986年少年法第2条(h)を改正し、18歳未満の男子が女子と同様に少年の定義に含まれることを確保するよう勧告する。委員会は、1986年少年法を全面的に執行すること、および、司法職員および弁護士に研修を施しかつ同法について承知させることを、勧告するものである。委員会はさらに、過密状態を軽減し、迅速な審理に付すことができない者を釈放し、かつ刑務施設を可能なかぎり早急に改善するための措置をとるよう勧告する。委員会は、締約国が、罪を犯した少年のための施設の定期的な、頻繁なかつ独立した監視を確保するよう勧告するものである。 82.委員会はさらに、締約国が、少年司法調整委員会を通じ、とくに国際連合人権高等弁務官事務所、国際犯罪防止センター、少年司法国際ネットワークおよびユニセフの技術的援助を求めることを検討するよう提案する。 D.9 報告書の普及 83.最後に、委員会は、条約第44条6項にしたがって、締約国が提出した第1回報告書を公衆一般が広く入手できるようにし、かつ、委員会が提示した事前質問票への文書回答、関連の議事要録、および報告書の検討後に委員会が採択した総括所見ともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。そのような文書は、政府、議会および関心ある非政府組織を含む公衆一般の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。 更新履歴:ページ作成(2011年10月2日)。/前編・後編を統合(2012年10月20日)。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/103.html
保育所における保護者に対する支援の基本の第1 番目にあげられている「子どもの最善の利益」については、第1章(総則)に記されているように、児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)に明記されています。 保護者に対する支援に当たっては、イギリスの児童法(1989 年)第1条第3項の「子の福祉」の判断基準を参考にすることができるでしょう。 コラム: 子どもの最善の利益を考慮する基準例 イギリスの児童法(1989 年)第1条第3項の「子の福祉」の判断基準を参考にして考慮すべき内容を例にあげると、以下の通りです。 「子どもの年齢、性別、背景その他の特徴」、「子どもの確かめ得る意見と感情」、「子どもの身体的、心理的、教育的及び社会的ニーズ」、「保護者支援のために子どもに対してとられた決定の結果、子どもを支援することとなる者(保護者や保育士等の専門職など)が、子どものニーズを満たすことのできる可能性」「保護者に対してとられた支援の結果、子どもの状況の変化が子どもに及ぼす影響」
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/181.html
総括所見:アイスランド(OPAC・2006年) 第1回(1996年)/第2回(2003年)/第3回・第4回(2011年)OPSC(2006年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/ISL/CO/1 and CRC/C/OPAC/ISL/CO/1/Corr.1(2006年6月1日)※日本語訳には正誤表による訂正を反映させた。 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2006年5月26日に開かれた第1146回会合(CRC/C/SR.1146参照)においてアイスランドの第1回報告書(CRC/C/OPAC/ISL/1)を検討し、2006年6月2日に開かれた第1157回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、締約国の第1回報告書の提出および事前質問事項(CRC/C/OPAC/ISL/Q/1)に対する文書回答の提出を歓迎する。委員会は、ハイレベルな代表団との間に持たれた率直かつ建設的な対話を評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2003年1月31日に採択され、かつCRC/C/15/Add.203に掲げられた、委員会の以前の総括所見とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.積極的側面 4.委員会は、武力紛争への子どもの関与を防止するために締約国が行なっている二国間のおよび国際的な技術的協力活動に、評価の意とともに留意する。 5.委員会はまた、締約国が、国際刑事裁判所ローマ規程を2000年5月25日に、かつ最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関する国際労働機関(ILO)第182号条約を2000年5月29日に批准したことにも留意する。 C.主要な懸念領域および勧告 立法 6.委員会は、締約国が軍隊を有しておらず、そのため志願入隊または義務的徴募について法的規制が行なわれていないことに留意する。しかしながら、軍隊が存在しないからといって、個人または集団が外国の軍隊または武装集団のために子どもを徴募しようとする可能性が排除されるわけではなく、委員会は、子どもの徴募が締約国の刑法で明示的に犯罪とされていないことを懸念するものである。 7.軍隊または武装集団のための子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国内的および国際的措置を強化するため、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 15歳未満の子どもを軍隊/武装集団に徴募すること、および、このような子どもが敵対行為に直接参加することを、法律で明示的に禁止すること。 (b) 子どもの徴募および敵対行為への関与に関する選択議定書の規定に違反することを、法律で明示的に禁止すること。 (c) これらの犯罪について、当該犯罪が締約国の市民である者もしくは締約国と他のつながりを有する者によってまたはこれらの者に対して行なわれた場合の域外裁判権を設定すること。 (d) 軍の要員は、選択議定書に掲げられた権利を侵害するいかなる行為も、その旨のいかなる軍令の存在にも関わらず行なうべきではない旨を、明示的に規定すること。 身体的および心理的回復のための援助 8.委員会は、子どもの難民に対する特別な援助ならびに心理的および社会的支援について締約国報告書に記載された情報に留意する。しかしながら委員会は、子どもの難民、庇護希望者および移住者であって武力紛争に関与したことがある者の心理的および身体的回復ならびに社会的再統合についての情報が存在しないことを、遺憾に思うものである。 9.委員会は、締約国に対し、上述のサービスをアイスランド内外で継続し、かつ必要なときは強化するよう奨励する。委員会は、締約国が、次回の報告書において、その管轄内にある子どもの難民、庇護希望者および移民であって母国で敵対行為に関与した可能性のある者、ならびに、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のために提供される援助についての情報を提供するよう、要請するものである。 10.委員会はまた、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(CRC/GC/2005/6)に留意するよう勧告する。 財政援助その他の援助 11.委員会は、武力紛争における子どもの問題に対応するために締約国が多国間レベルで行なっている協力(国連専門機関に対する財政的支援も含む)に、評価の意とともに留意する。委員会はまた、締約国が現場で行なっている二国間の活動も心強く思うものである。委員会は、締約国が、とくに防止活動に焦点を当てながら、武力紛争への子どもの関与に関する問題に対応するための二国間および多国間の活動を引き続き強化するよう、勧告する。 文書の普及 12.選択議定書第6条2項にしたがい、委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびに委員会が採択した総括所見を公衆一般が広く入手できるようにすることを勧告する。 D.次回報告書 13.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の(第3回・第4回)定期報告書(提出期限2008年5月26日)に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2012年4月2日)。
https://w.atwiki.jp/jobmemo/pages/44.html
(1)保育所は、子どもの人権に十分配慮するとともに、子ども一人一人の人格を尊重して保育を行わなければならない。保育士等は、保育という営みが、子どもの人権を守るために、法的・制度的に裏付けられていることを認識し、「憲法」、「児童福祉法」、「児童憲章」、「児童の権利に関する条約」などにおける子どもの人権等について理解することが必要です。 また、子どもの発達や経験の個人差等にも留意し、国籍や文化の違いを認め合い、互いに尊重する心を育て、子どもの人権に配慮した保育となっているか、常に職員全体で確認することが必要です。体罰や言葉の暴力はもちろん、日常の保育の中で、子どもに身体的、精神的苦痛を与え、その人格を辱めることが決してないよう、子どもの人格を尊重して保育に当たらなければなりません。保育士等の言動は子どもに大きな影響を与えます。幼い子どもは、身近な保育士等の姿や言動を敏感に受け止めています。そのため、保育士等は常に、自らの人間性や専門性の向上に努めるとともに、豊かな感性と愛情を持って子どもと関わり、信頼関係を築いていかなければなりません。 さらに、子どもが健やかに育つ環境を醸成し、子どもや子育てを大切にする文化を紡ぎ出していくことも、保育所の社会的責任といえるのではないでしょうか。
https://w.atwiki.jp/kodomonomachi/pages/17.html
こどものまち●●●●●● 「こどものまち●●●●●●」は、●●市で年に●回行われている「まち」を模した遊びのプログラム。●●市における子ども達のためのプログラムの一つで、●●●●支援団体や●●●●団体、●●●●等が実施主体となって●●●●達の準備により、実行されている。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●という特徴を持つ。 目次 1概要 2歴史 3仕事ブース 4大人の会議(例) 5子どもの会議(例) 6話題(例) 6.1(始まりの頃の特筆すべき点) 6.2(現在の特筆すべき点) 6.3(外部の協力者) 7参考文献 8関連項目 9外部リンク 概要 当市のこどものまち「●●●●●●」は●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●という特徴を持つ。 歴史 ●●●●年:●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●が行われる。 ●●●●年:●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●が行われる。 ●●●●年:●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●が行われる。 ●●●●年:●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●が行われる。 ●●●●年:●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●が行われる。 ●●●●年:●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●が行われる。 仕事ブース 当市のこどものまちの仕事ブースは●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●という特徴を持つ。 例年用意される、または少数回でも特徴的に設置された仕事ブースは、次の通り。 銀行 職業安定所(ハローワーク、ジョブセンター) 市役所 清掃局 警察 新聞社 放送局 病院 図書館 学校 裂き織り工房 看板屋 食堂 おにぎり屋 飲みもの屋 綿あめ デパート タクシー 大人の会議(例) こどものまちを主催する大人による会議は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 ●●月 ●●●●●●として開催 ●●月 ●●●●●●として開催 ●●月 ●●●●●●として開催 子どもの会議(例) こどものまちの主役である子どもによる会議は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 ●●月 ●●●●●●として開催 ●●月 ●●●●●●として開催 ●●月 ●●●●●●として開催 話題 (始まりの頃の特筆すべき点) ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 (現在の特筆すべき点) ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 (外部の協力者) ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 主催団体 ●●●●●●●●●●●●●●●●● 〒●●●●●●● ●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●● 参考文献 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 関連項目 ●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/103.html
総括所見:モンゴル(OPSC・2010年) 第1回(1996年)/第2回(2005年)/第3回・第4回(2010年)OPAC(2010年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/MNG/CO/1(2010年3月3日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2010年1月12日および13日に開かれた第1458回および第1460回会合(CRC/C/SR.1458およびCRC/C/SR.1460参照)においてモンゴルの第1回報告書(CRC/C/OPSC/MNG/1)を検討し、2010年1月29日に開かれた第1501回会合において以下の総括所見を採択した。 序 2.委員会は、締約国の第1回報告書および委員会の事前質問事項(CRC/C/OPSC/MNG/Q/1 and Add.1)に応じて提供された回答の提出を歓迎する。委員会はまた、代表団との間に持たれた率直かつ建設的な対話についても評価の意を表明するものである。しかしながら委員会は、締約国の報告書が、選択議定書に基づく報告に関する改訂ガイドラインにしたがっていなかったこと、および、代表団に司法省の職員が含まれていなかったことを遺憾に思う。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第3回・第4回統合定期報告書の検討後、2010年1月29日に採択された総括所見(CRC/C/MNG/CO/3-4)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 I.一般的所見 積極的側面 4.委員会は、報告書の作成に際し、市民社会組織および子どもたちを含む関係者が協議の対象とされたことに、評価の意とともに留意する。 5.委員会はまた、締約国が以下の文書に加入しまたはこれを批准したことも称賛する。 (a) 武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書(2006年)。 (b) 最悪の形態の児童労働の禁止および撲滅のための即時的行動に関する国際労働機関(ILO)第182号条約(1999年)(2001年)。 (c) 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2008年)。 II.データ データ収集 6.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する統計データおよび調査研究が限られていることに、懸念とともに留意する。 7.委員会は、締約国が、議定書が対象とする問題に関して調査研究が実施されること、ならびに、データがとくに年齢、性別、社会経済的背景および地理的集団およびマイノリティ集団ごとに細分化されること、および、データが体系的に収集されかつ分析されることを確保するよう、勧告する。このようなデータは政策の実施状況を測定するために必要不可欠な手段だからである。締約国は、この点に関して、国連児童基金(ユニセフ)を含む国連の機関および計画の援助を求めるべきである。 III.実施に関する一般的措置 立法 8.委員会は、選択議定書に掲げられた規定の一部がすでにモンゴル法に編入されている旨の情報を歓迎する。しかしながら委員会は、精確な定義が定められていないこと、および、選択議定書上のすべての犯罪が編入されているわけではないことに、懸念を表明するものである。 9.委員会は、締約国が、選択議定書の原則および規定に国内法を調和させるプロセスを継続しかつ完了させるよう勧告する。 国家的行動計画 10.性的搾取を目的とする子どもおよび女性の人身売買からの保護に関する国家計画(2005年)が採択されたことには留意しながらも、委員会は、同計画において選択議定書のすべての規定の違反が網羅されているわけではないことを懸念する。 11.委員会は、締約国が、性的搾取を目的とする子どもおよび女性の人身売買からの保護に関する国家計画を効果的に実施するとともに、十分な人的資源および財源の裏づけを得ながら選択議定書の規定のあらゆる違反に対処する目的で、同計画の拡大を検討するよう勧告する。 調整および評価 12.委員会は、性的搾取を目的とする子どもおよび女性の人身売買からの保護に関する国家計画の実施を国家評議会が担当していることに留意する。しかしながら委員会は、同評議会の実績について体系的評価が行なわれていないことを懸念するものである。 13.委員会は、国家評議会がその任務を効果的に遂行し、かつ同評議会に十分な人的資源および財源が提供されることを確保するため、締約国があらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 普及および研修 14.委員会は、研修プログラム、人身取引に関するおよび性的搾取からの子どもの保護に関する本および広報資料の刊行等を通じ、選択議定書の促進に関して締約国が非政府組織(NGO)と連携しながら行なっている努力を評価する。しかしながら委員会は、そのような努力を締約国全域で強化しかつ体系化する必要があることに留意するものである。 15.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) あらゆる関連の専門家集団を対象として、選択議定書の規定に関する体系的な教育および訓練を継続しかつ強化すること。 (b) とりわけ学校カリキュラムおよび子ども向けにとくに立案された適切な資料を活用することにより、住民、とくに子どもおよび親の間で選択議定書の規定を普及するための措置を強化すること。 (c) 選択議定書第9条2項に照らし、かつ市民社会と協力しながら、あらゆる適当な手段による情報伝達、教育および研修を通じ、選択議定書に掲げられたすべての犯罪の防止措置および有害な影響に関する意識を公衆一般、とくに子どもたちの間で促進すること。そのための手段として、とりわけ、そのような情報伝達、教育および研修のためのプログラムへの、コミュニティならびにとくに両性の子どもおよび被害を受けた子どもの参加を奨励すること。 資源配分 16.委員会は、選択議定書の実施のための予算配分額に関して提供された情報を歓迎する。しかしながら委員会は、配分された予算が十分ではなく、かつ選択議定書のすべての分野が網羅されていないことを、依然として懸念するものである。 17.委員会は、締約国が、条約第4条に関する2007年の一般的討議を受けた委員会の勧告を正当に考慮しながら、選択議定書のすべての分野を網羅する目的で国および地方のレベルにおける予算配分額を増加させるよう勧告する。とくに、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 防止、被害者の保護、身体的および心理的回復ならびに社会的再統合ならびに選択議定書が対象とする犯罪の訴追を目的とする、とくに地方レベルにおける計画およびプロジェクトの策定および実施のため、必要な人的資源および財源を提供すること。 (b) 人権アプローチを採用するとともに、委員会の総括所見(CRC/C/MNG/CO/3-4、パラ18)に示された予算策定手法を導入すること。 独立機関 18.委員会は、国家人権委員会が国内のすべての子どもにとってアクセス可能または利用可能となっていないことを懸念する。委員会はさらに、子どもが自ら苦情を申し立てられないことを懸念するものである。 19.委員会は、締約国が、すべての子どもが自己の権利(選択議定書で対象とされているものを含む)のいずれかの侵害について主張を行なう目的で国家人権委員会に容易にアクセスできることを確保するための努力を強化するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、国家人権委員会が子ども自身による苦情を受理する権限および能力を有することを確保するよう、勧告するものである。 IV.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止 20.委員会は、貧困および子どもの性的虐待の増加が締約国における商業的性的搾取の増加に関して重要な役割を果たしている旨の情報について、深い懸念を覚える。 21.委員会は、売買、買春、ポルノグラフィーおよびセックス・ツーリズムに対する子どもの脆弱性を助長する根本的原因(貧困、低開発および文化的態度など)に対処することを目的としたプロジェクトに対し、締約国が引き続き十分な注意(人的資源および財源の配分を含む)を払うよう勧告する。委員会はまた、締約国が、この分野における、とくに近隣諸国との国際協力を強化する努力を増強させることも勧告するものである。 V.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止ならびに関連の事項 現行刑事法令 22.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの禁止が、選択議定書第2条および第3条にしたがって締約国の国内法に明示的に掲げられていないことを懸念する。とくに委員会は、選択議定書にしたがった児童買春の明確な定義が存在しないことにより、多くの事案について十分な対応が妨げられていることを懸念するものである。 23.委員会は、国内法体系と選択議定書との間の不一致および乖離を明らかにするため法的研究を行なうとともに、ユニセフその他の関連の国際機関の援助を求めるよう、勧告する。委員会はさらに、選択議定書第2条および第3条にしたがってあらゆる目的および形態の子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春を全面的に対象とする目的で国内法の規定を改正するため、締約国があらゆる措置をとるよう勧告するものである。 裁判権 24.委員会は、選択議定書第4条にしたがって締約国が裁判権を行使できることは歓迎しながらも、選択議定書が対象とするすべての犯罪に対処するために用いられている手続についての詳細な情報がないことを、依然として懸念する。 25.委員会は、締約国が、国内法において選択議定書第4条に全面的に一致する形で域外裁判権が定められることを確保するため、必要な立法上の措置をとるよう勧告する。 VI.被害を受けた子どもの権利の保護 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 26.委員会は、選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どもが、選択議定書第8条で定められているとおり常に被害者と見なされかつそのように扱われているわけではない可能性があることを、懸念する。委員会はまた、女性および女子の人身取引および搾取の発生件数が増加していることならびに訴追率が低いことについて2008年11月に女性差別撤廃委員会が提起した懸念(CEDAW/C/MNG/CO/7、パラ27および28)と見解を一にするものである。委員会はさらに、被害を受けた子どもが社会的再統合ならびに身体的および心理社会的回復のための措置をほとんど利用できないことに、懸念とともに留意する。 27.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書第8条にしたがい、被害を受けた子どもが刑事司法手続のすべての段階で現行法による保護の対象とされること、および、子どもの最善の利益が第一次的に考慮されることを確保すること。これとの関連で、締約国は、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての国連指針(国連経済社会理事会決議2005/20付属文書)を指針とするべきである。 (b) 被害を受けた子どもの法的代理を向上させる目的で十分な人的資源および財源が配分されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとること。 (c) 選択議定書上のいずれかの犯罪の被害者である子どもがそのこと自体を理由として犯罪者にも処罰の対象にもされないこと、および、このような子どもがスティグマを付与されかつ社会的に周縁化されることのないようあらゆる可能な措置がとられることを確保すること。 (d) 選択議定書第9条3項にしたがい、被害を受けた男女双方の子どもが十分なサービス(全面的な社会的再統合ならびに全面的な身体的および心理的回復のためのサービスを含む)を利用できることを確保すること。 28.委員会はさらに、法制度および社会制度の障壁を特定し、かつ研究の成果を効果的かつ包括的な政策の策定および実施のために活用する目的で、子どもの売買、児童買春および児童ポルノの被害を受けた子どもが通過するプロセス(被害者が司法制度の対象となった時点から警察段階を経てリハビリテーションの段階に至るまで)についての研究を実施するよう、勧告する。 29.委員会は、締約国が、被害を受けた子どもを援助するためのさまざまなチャイルドラインへのアクセスを引き続き確保するよう勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が、子どもがヘルプラインについて知り、かつこれにアクセスできること確保するとともに、ヘルプラインと、子どもに焦点を当てて活動しているNGOおよび警察ならびにヘルスワーカーおよびソーシャルワーカーとの連携を促進するよう、勧告するものである。 被害者の回復および再統合 30.委員会は、もっとも脆弱な立場に置かれた子ども(選択議定書上の犯罪の被害者も含む)に対してケア、支援および保護を提供するうえで市民社会組織が行なっている称賛すべき活動についての情報を歓迎する。しかしながら委員会は、被害を受けた子どもの権利およびニーズにいっそう包括的なかつ調整のとれたやり方で対応できる、体系的なかつ調整のとれた機構が州およびコミュニティのレベルに存在しないことを懸念するものである。 31.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書第8条4項にしたがい、選択議定書で禁じられた犯罪の被害者とともに働く者を対象とした適切な研修、とくに法律面および心理面の研修を確保するための措置をとること。 (b) 選択議定書第9条4項にしたがい、選択議定書に掲げられた犯罪の被害を受けたすべての子どもが、法的責任を有する者に対する損害賠償を差別なく求めるための十分な法的手続にアクセスできることを確保すること。 VII.国際的な援助および協力 多国間、地域的および二国間協定 32.委員会は、締約国に対し、子どもの売買、児童買春、児童ポルノおよび児童セックス・ツーリズムに対する子どもの脆弱性を助長する根本的原因(貧困および低開発など)に対処する目的で、国連の専門機関および計画ならびに市民社会組織との協力を継続し、かつ二国間協定を通じての協力も引き続き行なうよう、奨励する。 法執行 33.委員会は、締約国に対し、子どもの売買、児童買春および児童ポルノを防止しかつこれと闘う目的で、他の国々との地域的および国際的な司法共助、捜査共助および被害者中心の協力の活動を行なうとともに、条約に基づく次回の定期報告書でより詳細な情報を提供するよう、奨励する。 VIII.フォローアップおよび普及 フォローアップ 34.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、最高人民会議および地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 35.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、メディアおよび専門家グループならびに子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 IX.次回報告書 36、第12条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2011年10月14日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/306.html
総括所見:ベルギー(第2回・2002年) 第1回(1995年)/第3回・第4回(2010年)OPAC(2006年)/OPSC(2010年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.178(2002年6月13日)/第30会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2002年5月23日に開かれた第782回および第783回会合(CRC/C/SR.782-783参照)においてベルギーの第2回定期報告書(CRC/C/83/Add.2)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。 (注)2002年6月7日に開かれた第804回会合において。 A.序 2.委員会は、報告書が報告ガイドラインにしたがっていることに評価の意とともに留意する。委員会は、報告書が時宜を得て提出され、また包括的かつ自己批判的な性格のものであったことおよび事前質問事項(CRC/C/Q/BELG/2)に対する文書回答も同様であったことに留意するとともに、付属文書で提供された追加情報を歓迎する。委員会の従前の勧告のフォローアップについて報告書に記載されていた議論は、とりわけ評価されるところである。委員会はまた、ハイレベルな代表団の出席が、開かれた対話およびベルギーにおける条約の実施に関する理解の向上に寄与したことにも、評価の意とともに留意する。 B.締約国によってとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は以下のことを歓迎する。 子どもの保護に関する憲法第22条bisが採択されたこと。 締約国が、子どもの保護、児童労働、後見および家族調停に関する諸新法を採択したこと。 人身取引および子どもの性的搾取と闘うために多数の取り組みが行なわれていること。とくに、ユーロポール条約に基づく共同行動が導入されたこと、子どもの性的搾取について研究する国家専門家委員会が設置されたこと、行方不明の子どもおよび搾取された子どもに関する欧州センター「チャイルドフォーカス」が設置されたこと、1995年に性的搾取と闘うための法律が3本採択されたこと、ならびに、刑法改正が行なわれたこと。 武力紛争への子どもの関与に関する条約の選択議定書が批准されたこと。 最悪の形態の児童労働に関するILO第182号条約が批准されたこと。 C.主要な懸念事項および勧告 委員会の前回の勧告 4.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/11/Add.4)の検討後に委員会が行なった懸念表明および勧告(CRC/C/15/Add.38)の一部、とくにパラ8、9、11および13~16に掲げられたものへの対応が不十分であることを遺憾に思う。これらの懸念および勧告はこの文書においてあらためて繰り返されているところである。 5.委員会は、締約国に対し、前回の勧告のうちまだ実施されていないものおよびこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。 1.実施に関する一般的措置 留保および宣言 6.委員会は、締約国が、前回の総括所見にしたがい、条約第2条に関して行なった宣言および第40条第2項(v)に付した留保〔訳者注/解釈宣言。以下同〕を再検討したことを評価する。にもかかわらず、委員会は、締約国に当該宣言および留保の撤回の意思がないことを懸念するものである。第2条に関して、委員会は、条約に定められた差別の禁止の一般原則によって、恣意的であって客観的に正当化できない事由(国籍を含む)による異なる取扱いが禁じられていることに留意しつつ、第2条に関する宣言によって、ベルギーにいる子どもであってベルギー国民ではない者による条約に掲げられた権利の享受が制限される可能性があることを懸念する。委員会は、条約における差別の禁止の保障は「(締約国の)管轄内にある子ども1人ひとり」に適用されることを強調するものである。第40条に付された留保に関して、委員会は、陪審裁判所(第1審および最終審を兼ねる裁判所)によって言い渡された判決および措置について破棄院に上告できるのは法律上の論点がある場合に厳格に限定されていることから、被告人が自己の主張に関して上級裁判所による全面的審理を受けられなくなることを懸念する。このことは、陪審裁判所がもっとも深刻な事件を扱い、かつ相対的に重い刑を言い渡していることから、なおさら重要である。 7.委員会は、締約国に対し、自国の宣言および留保を、ウィーン世界人権会議(1993年)の宣言および行動計画にしたがって撤回する方向で見直すよう奨励する。 立法 8.委員会は、子どもの権利に関連する諸法案(養子縁組、保護者のいない未成年者の後見、裁判所へのアクセスおよび適正手続の保障に関するものを含む)について締約国から提供された情報を歓迎する。 9.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) これらの法案を厳密に再検討するとともに、これらの法案および子どもに関連する他の法律ならびに行政規則が権利を基盤としており、かつ条約を含む国際人権基準に一致していることを確保すること。 (b) これらの法律の効果的実施のための十分な対応(予算の配分を含む)がとられることを確保すること。 (c) これらの法案の迅速な公布を確保すること。 調整 10.委員会は、第1回報告書の検討以降、「子どもの権利の保護に関する省庁間会議」が設置され、かつ、国家子どもの権利委員会の創設について合意がなされたことに留意する。しかしながら委員会は、子どもの権利に関する総合的ビジョンおよびそれを国家的行動計画の形で具体化したものが存在しないこと、異なる行政管轄区を異なる法律が規律しているため、締約国全体で子どもの権利の享受における差別が生じる可能性があること、および、ベルギーにおける条約の実施を調整する中央機構が存在しないため、子どもの権利政策の包括性および一貫性を達成しにくくなっていることを、依然として懸念するものである。 11.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 国家子どもの権利委員会を設置するため、前述の合意の正式な承認および全面的実施を速やかに進めるとともに、同委員会に対して十分な人的役務および財政的役務を提供すること。 (b) 可視性が高く、容易に特定可能であり、かつ十分な任務および十分な資源を与えられた常設機関を、条約の実施の調整機関に指定すること。 (c) もっとも被害を受けやすい集団に属する子ども(たとえば貧困世帯、庇護希望者)に特段の注意を払いながら、開かれた、建設的なかつ参加型のプロセスを通じて、条約の実施のための包括的な国家的行動計画を作成しかつ実施すること。 (d) 予算および政策の立案において、子ども影響評価の活用を継続しかつ拡大すること。 監視機構 12.委員会は、第1回報告書の検討以降、フラマン語共同体で子どもの権利コミッショナーが設置されたことに留意する。委員会は、フランス語共同体の子どもの権利総監の活動および機会均等・人種主義反対センターの活動を認知するものである。しかしながら委員会は、ドイツ語共同体においても連邦レベルでも、条約の実施を監視するための、かつ子どもの苦情を受理しかつこれに対応する権限を有する独立の機構が存在しないことを懸念する。 13.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約の実施における進展の監視および評価を目的として、パリ原則(総会決議48/134)にしたがい、ドイツ語共同体および連邦レベルで独立の人権機関を設置すること。これらの機関は、子どもにとってアクセスしやすいものであるとともに、子どもの権利の侵害に関する苦情を子どもに配慮したやり方で受理しかつ調査し、かつこれに効果的に対応する権限を与えられるべきである。 (b) すべての人権機関がそれぞれの立法機関に対して正式な諮問機関としての機能を果たし、かつこれらの人権機関同士が相互に正式な関係を確立することを確保すること。 データ収集 14.委員会は、事前質問事項〔への回答〕とともに付属資料として提供された統計を歓迎し、庇護申請を処理している部局でデータ収集を向上させるための措置が進行中であることに留意し、かつ、少年司法に関する全国研究フォーラム内に統計に関する作業部会が設けられる旨の情報を歓迎する。にもかかわらず、委員会はなお、前回の総括所見を参照しながら、条約で対象とされている分野についてのデータを収集しかつ分析する全国的機構が設置されていないことを懸念するものである。 15.委員会は、締約国が、条約で対象とされているすべての分野について、もっとも被害を受けやすい状況に置かれた集団(たとえば国民でない者、障害のある子ども、経済的に不利な立場に置かれた世帯の子ども、法律に抵触した子ども等)を含む18歳未満のすべての者に関する細分化されたデータが収集される全国的システムを確立するとともに、これらのデータを、進展の評価のためおよび条約実施を目的とする政策の立案のために活用するよう勧告する。 研修/条約の普及 16.委員会は、締約国が、第1回報告書、同報告書についての討議が行なわれた会合の議事要録および委員会の総括所見をまとめた資料を利用可能とした旨の情報を歓迎する。委員会はまた、障害のある子どものための特別出版物に関する情報も歓迎するものである。しかしながら委員会は、締約国が、条約に関する十分な普及、意識啓発および研修のための活動を、組織的なかつ対象を明確にしたやり方で実施していないことを懸念する。 17.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約に関する情報を普及するためのプログラム、および、子どもたちおよびその親、市民社会ならびにあらゆる部門および段階の統治機関の間におけるその実施(新規移住者など、被害を受けやすい状況に置かれた集団に情報を届けるための取り組みを含む)を強化しかつ継続すること。 (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(たとえば裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方政府職員、子どものための施設および拘禁場所で働く職員、教員ならびに保健従事者)を対象とした、子どもの権利を含む人権についての体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させること。 2.一般原則 差別の禁止に対する権利 18.委員会は、2000年3月の政令によって機会均等・人種主義反対センターの任務が拡大され、ジェンダー、性的指向出生、民事上の地位、健康障害、年齢および障害を理由とするものを含むあらゆる形態の差別が含まれるようになったことを歓迎する。委員会は、マイノリティに対する人種主義的事件が発生していることとともに、貧しい子ども、ベルギー国籍を有さない子ども(保護者のいない未成年者を含む)および障害のある子どもが、経済的および社会的権利(とくに保健および教育)の享受に際して格差を経験していることを懸念するものである。 19.条約第2条にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 否定的な社会的態度を防止しかつこれと闘うため、包括的な公衆教育キャンペーンなどのあらゆる適切な措置をとるとともに、人種差別撤廃委員会の勧告(2002年3月)を実施すること。 (b) 自国の管轄内にあるすべての子どもが、条約に定められたすべての権利を差別なく享受できることを確保するためにあらゆる必要な措置をとること。 (c) 引き続き、もっとも被害を受けやすい状況に置かれた集団に属する子どもに優先的に対応し、かつ資源および社会サービスをこれらの子どもにとくに振り向けること。 (d) 障害者の機会均等化に関する基準規則(総会決議48/96)および障害のある子どもに関する一般的討議において採択された委員会の勧告(CRC/C/69参照)を正当に顧慮しながら、障害のある子どもに関する現行の政策および実務(法律案を含む)を見直すこと。 20.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置およびプログラムのうち子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条第1項(教育の目的)に関する一般的意見1号も考慮に入れながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 子どもの意見の尊重 21.委員会は、締約国の支援を得て、子どもが自分たちの意見を知らしめることのできる機構がいくつか設置された旨の情報を歓迎する。これには、会議、子どもの権利に関する講座、学校およびコミュニティにおける評議会ならびに「あなたはどう思う?」プロジェクトが含まれる。しかしながら委員会は、子どもが、自分たちに影響を与える政策についてどのように意見を述べられるのかについても、意見を求められた後にそれがどのように考慮されるのかについても十分に情報を提供されておらず、かつ、初等中等学校の児童生徒による学校運営への参加(校則および規律管理等の分野におけるものを含む)に対して十分な注意が向けられていないことを懸念するものである。子どもに影響を与える裁判手続または行政手続に関して、委員会は、裁判法第931条に基づき、意見を聴かれる権利がもっぱら裁量的なものであり、かつ子どもに対して十分に保障されていないことを懸念する。委員会は、この点に関する法案についての情報を歓迎するものである。 22.委員会は、締約国が、第12条にしたがい、子どもが社会(学校を含む)に意味のある形で参加することを促進しかつその便宜を図るためにさらなる措置をとるよう勧告する。さらに委員会は、裁判所における手続および行政手続について定めた法律で、自己の意見を形成する力のある子どもが意見表明権を有することおよびその意見が正当に重視されることを確保するよう勧告するものである。 3.市民的権利および自由 暴力/虐待/ネグレクト/不当な取扱い 23.委員会は、未成年者刑事保護法(2000年11月28日)、刑法改正、および、子どもの道徳的、身体的および性的不可侵性の保護に関する憲法第22条bisの採択など、子どもの虐待(性的虐待を含む)の分野で進められてきた多数の取り組みに、満足感とともに留意する。しかしながら委員会は、体罰が法律で明示的に禁じられていないことを依然として懸念するものである。 24.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 家庭、学校および施設における子どもの体罰を禁止するための立法措置をとること。 (b) 引き続き、体罰の悪影響に関する公衆教育キャンペーンを実施し、かつ積極的な非暴力的形態のしつけおよび規律を促進すること。 (c) 苦情を受理し、監視しかつ調査するための効果的な手続および機構を確立するとともに、必要に応じて介入を行なうこと。 (d) 虐待された子どもが法的手続において被害を受けず、かつそのプライバシーが保護されることを確保しながら、不当な取扱いの事件について訴追を行なうこと。 (e) 被害者のケア、回復および再統合のための対応をとること。 (f) 虐待された子どもに秘密を守りながら対応するセンターを全面的に支援することを通じて通報制度を強化するとともに、教員、法執行官、ケアワーカー、裁判官および保健専門家を対象として、不当な取扱いの事案の特定、通報および管理に関する研修を実施すること。 人権教育 25.委員会は、条約第29条に掲げられた教育の目的(人権、寛容、両性の平等ならびに宗教的および民族的マイノリティの平等の尊重の発展を含む)が、締約国全域のカリキュラムの一部であると明示されていないことを懸念する。 26.委員会は、締約国が、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号を考慮に入れ、子どもの権利を含む人権を、とくに人権、寛容、両性の平等ならびに宗教的および民族的マイノリティの平等の尊重の発展との関連で、すべての初等中等学校のカリキュラムに含めるよう勧告する。 4.特別な保護措置 保護者のいない未成年者 27.委員会は、保護者のいない未成年者の滞在申請を取り扱うために、外国人局内にこれらの未成年者のための特別部署が創設されたことを歓迎する。委員会はまた、その他の多数の活動(とくに、保護者のいない未成年者を対象とする特別受け入れセンターの設置、ならびに、保護者のいない未成年者に関する規定も掲げた、後見制度の創設、教育へのアクセスおよび行方不明者に関する法案に関する活動)にも留意するものである。しかし、政府も認めるように、保護者のいない未成年者(庇護を希望しているか否かは問わない)に関する具体的規則はまだ定められていない。 28.条約の原則および規定(とくに第2条、第3条および第22条)にしたがい、かつ保護者のいない18歳未満の未成年者との関連で、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 人身取引および(または)性的搾取の被害を受けた未成年者に特段の注意を払いながら、保護者のいない未成年者を対象とする特別受け入れセンターを設置する努力を速やかに進めること。 (b) これらのセンターでの滞在が可能なもっとも短い期間に留められ、かつ、受け入れセンターでの滞在中および滞在終了後に教育および保健へのアクセスが保障されることを確保すること。 (c) 保護者のいない未成年者に対し、庇護手続の開始時から、かつその後も必要があるかぎり後見人が任命されることを確保するため、後見制度の創設に関する法案を可能なかぎり早期に承認するとともに、同制度が全面的に独立したものとなり、当該未成年者の最善の利益にかなうと後見人が考えるいかなる対応もとれるようにすること。 (d) 保護者のいない未成年者が、自己の権利について告知され、かつ庇護手続において代理人弁護士にアクセスできることを確保すること。 (e) 外国人局および他の関連の公的機関、警察、審判所、受け入れセンターならびにNGOを含むあらゆる関係者の協力および情報交換を向上させること。 (f) 家族再統合が実施されるときは、それが子どもの最善の利益にかなう形で行なわれることを確保すること。 (g) 保護者のいない未成年者であって送還された者のフォローアップを拡大しかつ向上させること。 性的搾取および人身取引 29.委員会は、子どもの性的搾取および人身取引と闘うために締約国がとった多数の措置への満足感をあらためて表明する。にもかかわらず、委員会は、性的その他の搾取を目的とする人身取引がいまなお問題となっていることを懸念するものである。 30.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 国家専門家委員会の勧告を全面的に実施すること。 (b) 1996年および2001年の子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバルコミットメントにしたがった政策およびプログラムを引き続き実施すること。 (c) 売春の仕事をしている外国人の女子および女性との意思疎通および接触を改善するため、女性警察官を引き続き採用すること。 (d) この分野の政策およびプログラムに対して十分な資源(人的資源および財源)が配分されることを確保すること。 (e) 出身国における意識啓発キャンペーンを引き続き行なうこと。 (f) 出身国および通過国との協力を拡大すること。 (g) 国際移住機関と引き続き協力すること。 少年司法の運営 31.委員会は、第1回報告書の検討以降に受け取った、死刑が1996年に廃止された旨の情報、最高15日の未決拘禁を定めていた1965年青年保護法第53条が廃止された旨の情報、および、全国少年司法研究フォーラム(統計に関する作業部会を含む)が設置された旨の情報を歓迎する。しかしながら委員会は、非行少年の一時拘禁およびエーフェルベルグ〔一時拘禁〕センターの創設に関する2002年3月1日の暫定法(2002年10月31日失効)により、1965年法第53条に代わって、より制限的ではないにしても同様の制度が導入されたことを懸念するものである。さらに委員会は、1965年法第38条に基づき、18歳未満の者が成人として審理される場合があることを依然として懸念する。全体として、委員会は、条約で唱道されている、少年犯罪の問題への対応に関するホリスティックなアプローチが、防止、手続および制裁との関連も含め、締約国によって十分に考慮されてこなかったことを懸念するものである。 32.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約の規定(とくに第37条、第39条および第40条)、ならびに、北京規則、リャド・ガイドライン、自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則および刑事司法制度における子どもについての行動に関するウィーン指針などのこの分野における他の関連の国際基準を法律および実務に全面的に統合した少年司法制度を確立すること。 (b) 18歳未満の者が成人として審理されないことを確保すること。 (c) 2002年3月の法律および2002年10月に行なわれるその見直しに関して、条約第37条にしたがい、自由の剥奪が最後の手段として、可能なもっとも短い期間でのみ用いられること、適正手続の保障が全面的に尊重されること、および、18歳未満の者が成人とともに拘禁されないことを確保すること。 5.選択議定書 33.委員会は、締約国に対し、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の両選択議定書を批准するよう奨励する。 6.報告書の普及 34.最後に委員会は、条約第44条第6項に照らし、締約国が提出した第2回報告書を公衆一般が広く入手できるようにするとともに、委員会が提起した事前質問事項に対する文書回答、関連の討議の要録、および、報告書の検討後に委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のある非政府組織を含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布することが求められる。 更新履歴:ページ作成(2017年3月31日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/207.html
総括所見:オーストラリア(OPAC・2012年) 第1回(1997年)/第2回・第3回(2005年)/第4回(2012年)OPSC(2012年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/AUS/CO/1(2012年7月11日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2012年6月5日に開かれた第1709回会合(CRC/C/SR.1709参照)においてオーストラリアの第1回報告書(CRC/C/OPAC/AUS/1)を検討し、2012年6月15日に開かれた第1725回会合(CRC/C/SR.1725参照)において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、選択議定書に基づく締約国の第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPAC/THA/Q/Add.1)の提出を歓迎するとともに、多部門から構成される締約国代表団との間に持たれた前向きな対話を評価する。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、条約に基づく締約国の第4回定期報告書に関して採択された総括所見(CRC/C/AUS/CO/4)および子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく第1回報告書に関して採択された総括所見(CRC/C/OPSC/AUS/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。委員会は、締約国報告書が改訂報告ガイドラインにしたがっていなかったことを遺憾に思うものである。 II.一般的所見 積極的側面 4.委員会は、18歳未満のオーストラリア国防軍(ADF)隊員に適用される、2005年および2008年の国防軍訓令(通則)PERS 33-4の法改正を、積極的対応として歓迎する。 III.実施に関する一般的措置 法的地位 5.委員会は、締約国が、選択議定書の規定を国内法に編入するための十分な措置をとっていないことを懸念する。 6.選択議定書第6条にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の規定を国内法に全面的に編入する目的で、国内法の見直しを行なうよう促す。 調整 7.委員会は、軍への徴募の実務および研修プログラムについてはオーストラリア国防軍(ADF)が責任を負う旨の、締約国から受領した情報に留意する。しかしながら委員会は、同国全域(州および準州の段階を含む)における選択議定書の包括的かつ効果的な実施を調整する任務を委ねられた機関が設けられていないことを、懸念するものである。 8.委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施について全般的責任を負う政府機関を指定するとともに、選択議定書の実施に関わって省庁その他の政府機関間で効果的調整が行なわれるようにするための制度的機構を設置するよう、促す。 研修 9.委員会は、軍の構成員および子どもに対応する関連の専門家集団を対象とする研修プログラムで選択議定書の規定が取り上げられていないことを遺憾に思う。 10.委員会は、締約国に対し、軍のすべての構成員(とくに国際的作戦に従事する者)および子どもに対応するその他の要員(とくに、子どもの庇護希望者および難民のためにおよびこのような子どもとともに働く公的機関の職員、警察官、弁護士、裁判官、軍事裁判所裁判官、医療専門家、ソーシャルワーカーおよびジャーナリスト)を対象として、選択議定書に関する研修を実施するよう奨励する。 データ 11.軍学校プログラムに参加している子どもの人数について提供された統計に留意する。しかしながら委員会は、締約国が、これらの子どもについて性別、年齢別、農村部/都市部の出身別および民族別に細分化されたデータを収集していないことを遺憾に思うものである。加えて、委員会は、子どもの難民および庇護希望者のうち、子どもが徴募されまたは武力紛争および(もしくは)敵対行為で使用されている可能性のある国出身の者に関するデータおよび統計が存在しないことを懸念する。 12.委員会は、締約国が、ADFおよび軍学校プログラムに入隊している志願隊員についての性別および民族別に細分化されたデータが公的に利用可能とされることを確保するよう、勧告する。さらに委員会は、締約国が、自国の管轄内にある子どもの難民、庇護希望者および移民であって、徴募されまたは武力紛争および(もしくは)敵対行為で使用された可能性のある者についてのデータを体系的に収集するよう、勧告するものである。 IV.防止 直接の参加 13.委員会は、国防軍訓令(2008年)が、18歳未満の子どもについて、作戦遂行に悪影響を与えない限度においてのみ敵対行為に参加させてはならないと定めていることを、深く懸念する。委員会は、この規定の適用により、18歳未満の子どもが敵対行為に直接参加することにつながる可能性があることに、懸念とともに留意するものである。 14.委員会は、選択議定書第1条にしたがって18歳未満の軍隊構成員が敵対行為に直接参加しないことを確保するため、締約国が国内法および軍の手続を見直すよう勧告する。これとの関連で、委員会はさらに、締約国が関連の国内法で「直接参加」および「敵対行為」の概念の定義を定めるよう、勧告するものである。 15.委員会は、締約国が、国防軍訓令(2008年)で注意義務方針を採用したことに留意する。しかしながら委員会は、この政策の実施に関する情報がないことを遺憾に思うものである。 16.委員会は、締約国が、注意義務方針の実施および有効性に関する詳細な情報を次回の定期報告書に記載するよう、勧告する。 志願入隊 17.委員会は、ADFへの志願入隊年齢が17歳であることに留意する。 18.全般的により高い法的基準を通じて子どもの保護を促進しかつ強化する目的で、委員会は、締約国に対し、ADFへの志願入隊に関する最低年齢を見直し、かつ18歳に引き上げるよう奨励する。 軍学校制度 19.オーストラリア国防軍学校の隊員がADFの構成員ではないことは認識しながらも、委員会は、軍学校制度のもと、子どもが若年段階から軍隊的訓練活動(演習、儀式的行進および火器の使用を含む)を受けさせられることに、懸念とともに留意する。さらに委員会は、ADFが「就労体験プログラム」を通じて学校を対象とする隊員募集を積極的に行なっていることにより、とくに周縁化された人口層出身の若者および言語的背景が異なる若者に対し、十分な情報に基づく完全な同意なしに、志願するよう不当な圧力がかけられる可能性があることを懸念するものである。 20.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 軍学校プログラムにおける活動が、とくに軍隊的活動との関連で年齢にふさわしいものであることを確保する目的で軍学校制度の運営を見直すとともに、このような活動が子どもに及ぼす精神的および身体的影響を正当に考慮しながら、このような活動に関する年齢要件についての明確な指針を定めること。 (b) 軍学校部隊に編入された子どもの権利および福祉を保護するため、軍学校制度が効果的にかつ独立の立場から監視されることを確保するとともに、子ども、親その他の集団が、隊員募集手続について十分な情報を提供され、かつ懸念または苦情を提出できることを確保すること。 (c) 選択議定書の精神にしたがい、18歳未満のすべての子どもについて火器その他の爆発物の操作および使用を禁止すること。 (d) 言語的背景が異なる若者および(または)周縁化された人口層出身の若者が過度に隊員募集の対象とされないことを確保するとともに、十分な情報に基づく同意のための措置を整えること。 (e) 軍学校部隊の活動が、条約第29条および教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)で認められている教育の目的にどのように適合するかについての情報を〔次回の定期報告書に〕記載すること。 V.禁止および関連の事項 現行刑事法令 21.委員会は、国内法において、18歳未満のすべての子どもについて武装集団または準軍事集団による徴募が犯罪とされていることに、評価の意とともに留意する。にもかかわらず、委員会は、国内法において、軍隊への徴募については15歳未満の子どもの場合しか犯罪とされていないことに、懸念とともに留意するものである。さらに委員会は、そこで禁じられている行為が犯罪となるのは武力紛争の文脈で徴募が行なわれた場合に限られ、平時にはこれが適用されないことを懸念する。 22.委員会は、民間軍事保安企業の使用およびこれらの企業による子どもの使用について締約国から送付された追加的情報を評価する。 23.選択議定書上の犯罪の防止をさらに強化する目的で、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 刑法を改正し、軍隊および武装集団による18歳未満の子どもの徴募および使用を明示的に禁止しかつ犯罪とすること。 (b) 刑法の規定を強化し、軍隊および武装集団による子どもの不法な徴募の罪名が平時および戦時のいずれにおいても適用されることを確保すること。 (c) 子どもに影響を与えるすべての法律を包括的に再検討するとともに、国内法および国内政策(2008年の国防軍訓令を含む)を選択議定書の原則および規定と全面的に調和させるためにあらゆる必要な措置をとること。 (d) 民間軍事保安企業の監督および責任について国内法による規制が行なわれることを確保するとともに、締約国がとった措置についての情報を次回の定期報告書で提供すること。 VI.保護、回復および再統合 被害を受けた子どもの権利を保護するためにとられた措置 24.未成年者の拘禁は最後の手段としてのみ行なわれるべきである旨を定めた締約国の移民改革法改正には積極的措置として留意しながらも、委員会は、子どもの庇護希望者および難民(徴募されまたは敵対行為で使用された可能性がある者を含む)が当たり前のように入国管理センターに収容される状況が続いており、かつ、しばしば収容が長期にわたりかつ司法審査の対象ともされていないことに、依然として重大な懸念を覚える。委員会はまた、締約国にいる子どもの庇護希望者および難民についての公式な統計およびデータが存在せず、かつ選択議定書上の犯罪の被害者を特定するための手続も設けられていないことを、深刻に懸念するものである。 25.選択議定書第7条に基づく義務に照らし、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 自国の管轄下にある子どもの庇護希望者および難民全員に関する、全国的なデータ収集・登録システムを設けること。 (b) 国外で武力紛争に関与したまたはその可能性がある子ども(子どもの庇護希望者および難民を含む)を特定するための機構を設置するとともに、当該特定を担当する要員が子どもの権利、子どもの保護および子どもにやさしい事情聴取技法について訓練されることを確保すること。 (c) 武力紛争に関与したまたはその可能性がある子どもに対し、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための適切な援助を提供すること。 VII.国際的な援助および協力 26.委員会は、アジア太平洋地域およびアフリカで武力紛争の被害を受けた子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のためのプロジェクトに対する締約国の貢献を歓迎する。さらに委員会は、武力紛争の悪影響を受けた子どもを対象とする、子どもの保護の分野における国連児童基金(ユニセフ)の活動への財政支援を評価するものである。 武器輸出 27.委員会は、オーストラリアが、子どもが徴募されもしくは武力紛争および(または)敵対行為で使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国に対して小型武器および軽兵器を含む武器を積極的に輸出していることに、懸念とともに留意する。委員会は、締約国が、このような国への武器の販売を制限するいかなる具体的法律も定めていないことを遺憾に思うものである。 28.委員会は、締約国が、子どもが徴募されもしくは武力紛争および(または)敵対行為で使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国への武器(小型武器および軽兵器を含む)の販売をとくに禁止する法律を導入するよう、勧告する。 29.委員会は、締約国が、刑法改正(クラスター弾の禁止)法案を2010年11月に上院に提出したことに留意する。クラスター弾に関する条約の批准および実施について締約国が行なっている努力は評価しながらも、委員会は、提案されている法案において、クラスター弾に関する条約で禁じられている活動へのオーストラリア軍の援助が容認されており、かつ、軍事同盟国がオーストラリア領域でクラスター弾を貯蔵しかつ委譲することが明示的に認められていることを、懸念するものである。さらに委員会は、同法案において、クラスター弾の開発または製造への直接間接の投資が明示的に禁じられていないことを懸念する。 30.委員会は、締約国に対し、クラスター弾に関する条約で禁じられている活動にオーストラリア軍が(合同軍事作戦中においても)従事しないことを確保するため、提案されている法案を修正するよう強く促す。委員会はさらに、提案されている法律を改正してクラスター弾の開発または製造への投資を禁止するよう勧告するものである。 VIII.フォローアップおよび普及 31.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を締約国におけるあらゆる関連の主体(国家元首、国防省、オーストラリア国防軍、連邦議会、オーストラリア国防軍学校、移民・市民権省および保健・高齢化省を含む)に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 32.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 IX.次回報告書 33.第8条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書およびこの総括所見の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2012年10月23日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/215.html
総括所見:イタリア(OPAC・2006年) 第1回(1995年)/第2回(2003年)/第3回・第4回(2011年)OPSC(2006年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/ITA/CO/1 and CRC/C/OPAC/ITA/CO/Corr.1(2006年6月23日) 原文:英語(平野裕二仮訳) ※日本語訳には正誤表による訂正を反映させた。 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2006年5月16日に開かれた第1215回および第1127回会合(CRC/C/SR.1125 and SR.1127)においてイタリアの第1回報告書(CRC/C/OPAC/ITA/1)を検討し、2006年6月2日に開かれた第1157回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、選択議定書の実施に関する詳細な情報を提供してくれた、締約国の包括的な報告書の提出を歓迎する。委員会は、代表団との間に持たれた率直かつ建設的な対話を評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2003年3月18日〔ママ〕に採択され、CRC/C/15/Add.198に掲げられた委員会の前回の総括所見とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.積極的側面 4.委員会は、軍隊への義務的徴募に関する締約国の法律が、選択議定書の規定を反映させる目的で2001年に改正されたことに、評価の意とともに留意する。 5.委員会は、武力紛争への子どもの関与を防止し、かつ武力紛争の被害を受けた子どもおよび子どもの戦闘員の回復を援助する目的で締約国が行なっている、国際的なおよび二国間の技術的協力活動および財政援助を歓迎する。 6.委員会はまた、締約国が、欧州連合総務・対外関係理事会が2003年12月に採択した子どもと武力紛争に関する指針の実施に貢献していることにも、評価の意とともに留意する。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 議定書の実施の調整および評価 7.条約に基づく締約国の第2回定期報告書に関して2003年に採択された総括所見(CRC/C/15/Add.198)のパラ11を参照しつつ、委員会は、締約国が、選択議定書の実施の適切かつ効果的な調整および定期的な評価を確保するよう、勧告する。 国家的行動計画 8.委員会は、締約国が、2002年5月の国連総会子ども特別会期で採択された成果文書「子どもにふさわしい世界」で要請されているように、子どものための国家的行動計画を完成させかつ採択する過程にあることに留意する。 9.委員会は、締約国が、市民社会を含む関連のパートナーと協議しかつ協力しながら、子どものための国家的行動計画を策定し、採択しかつ実施するための努力を強化するとともに、当該計画の全面的実施のために具体的予算配分を行ないかつ十分なフォローアップ機構を用意するよう、勧告する。委員会は、締約国が、国家的行動計画において、武力紛争の影響を受けている子どもの保護の問題に注意を払うよう勧告するものである。 立法 10.委員会は、18歳未満の者が敵対行為に参加することを禁じた2001年1月8日の法律第2号の採択、および、武力紛争への後者〔18歳未満の者〕の「直接参加」の意味について締約国報告書に記された解釈を歓迎する。しかしながら委員会は、「直接参加」の概念およびこれにともなう諸活動の明示的定義が締約国の法律で定められていないことを懸念するものである。 11.委員会は、締約国が、武力紛争への18歳未満の者の「直接参加」の概念およびこれにともなう諸活動の定義を法律に含めるよう、勧告する。当該定義は、締約国報告書に記された幅広い解釈にしたがったものであるべきである。 12.軍隊または武装集団のための子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国内的および国際的措置を強化するため、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 15歳未満の子どもを軍隊/武装集団に徴募すること、および、このような子どもが敵対行為に直接参加することを、法律で明示的に禁止すること。 (b) 子どもの徴募および敵対行為への関与に関する選択議定書の規定に違反することを、法律で明示的に禁止すること。 (c) これらの犯罪について、当該犯罪が締約国の市民である者もしくは締約国と他のつながりを有する者によってまたはこれらの者に対して行なわれた場合の域外裁判権を設定すること。 (d) 軍の要員は、選択議定書に掲げられた権利を侵害するいかなる行為も、その旨のいかなる軍令の存在にも関わらず行なうべきではない旨を、明示的に規定すること。 2.子どもの採用 志願入隊 13.委員会は、選択議定書の批准時に締約国が行なった宣言で、志願入隊に関する最低年齢が17歳とされていることに留意する。 14.委員会は、締約国が、志願入隊に関する最低年齢を18歳に引き上げる可能性について検討するよう、勧告する。 軍学校の役割 15.委員会は、15~17歳の生徒を対象として中等教育および軍事訓練を組み合わせて提供する3つの軍学校がミラノ、ナポリおよびベネチアに設置されていることに留意する。委員会は、16歳に達した生徒が「3年間の志願入隊」を申請しなければ学業の修了を認められず、それを怠った生徒は軍学校を退学させられることを、懸念するものである。 16.委員会は、締約国に対し、次回の報告書で以下の点に関するさらなる情報を提供するよう慫慂する。 (a) 軍学校に通う子どもの地位(とくに、このような子どもは単に軍学校の文民生徒と見なされているのかまたはすでに軍の新隊員と見なされているのか)。 (b) 選択議定書第3条3項に掲げられた原則にしたがい、18歳に満たない段階での国軍への志願入隊が「真に自発的」なものであることを確保するためにとった措置。 (c) 軍学校に入学した18歳未満の者に関する、年齢、宗教、農村部/都市部の別および社会的背景等によって細分化されたデータ。 (d) 軍学校におけるカリキュラムが条約第28条および第29条ならびに教育の目的に関する委員会の一般的意見1号をどの程度遵守しているか。 3.国際的な援助および協力 被害者の保護 17.新たな兵器貿易統制規則を導入した法律第185/90号には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、18歳に満たない者が敵対行為に直接参加している国への小型武器および軽兵器の犯罪を禁ずる規定が設けられていないことを懸念する。 18.委員会は、締約国が、18歳に満たない者が軍隊または国の軍隊とは異なる武装集団のいずれかの構成員として敵対行為に直接参加している国との小型武器および軽兵器の貿易を禁止する目的で、国内法を見直すよう勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が、法律第185/90号を運用した結果として停止された販売件数を次回の報告書で明らかにするよう、勧告するものである。委員会はさらに、締約国が、18歳未満の者が敵対行為に参加している国との小型武器および軽兵器の取引を犯罪とする規定を刑法に含めるよう、勧告する。 4.武装解除、動員解除および社会的再統合に関してとられた措置 回復および社会的再統合の措置 19.委員会は、元子ども兵士の統合のための具体的なプログラムまたは活動が存在せず、かつ、武力紛争の影響を受けた18歳未満の庇護希望者に関する体系的データ収集も行なわれていないことを遺憾に思う。 20.委員会は、締約国が、以下の努力を強化することにより、イタリアにいる子どもの庇護希望者、難民および移住者であって武力紛争の影響を受けた可能性がある子どもの脆弱性に注意を払うよう、勧告する。 (a) これらの子どもを可能なもっとも早い段階で特定すること。 (b) これらの子どもに対し、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための、文化的に配慮した学際的援助を提供すること。 (c) 自国の管轄内にある子どもの難民、庇護希望者および移住者であって母国で敵対行為に関与した可能性のある子どもに関するデータを体系的に収集すること。 (d) 母国で敵対行為に関与した可能性のある子どもの庇護希望者および移住者のためにおよびこれらの子どもとともに活動する公的機関を対象として、定期的研修を行なうこと。 21.委員会はまた、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(CRC/GC/2005/6)を考慮することも勧告するとともに、締約国に対し、社会的再統合プログラムに関する情報を次回の定期報告書で提供するよう慫慂する。 5.フォローアップおよび普及 22.委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じ、選択議定書を一般公衆ならびにとくに子どもおよびその親に対して広く知らせるよう、勧告するものである。 23.加えて、選択議定書第6条2項に照らし、委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を公衆一般が広く入手できるようにすることを勧告する。 D.次回報告書 24.選択議定書第8条2項にしたがい、委員会は、締約国が、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく第3回・第4回統合定期報告書(提出期限2008年10月4日)に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2012年11月17日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/250.html
総括所見:ドイツ(OPSC) 第1回(1995年)/第2回(2004年)/第3回・第4回(2014年)OPAC(2008年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/DEU/CO/1(2014年2月24日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2014年1月27日および28日に開かれた第1867回および第1868回会合(CRC/C/SR.1867およびCRC/C/SR.1868参照)においてドイツの第1回報告書(CRC/C/OPSC/DEU/1)を検討し、2014年1月31日に開かれた第1875回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPSC/DEU/Q/1/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、ハイレベルなかつ多部門型の代表団との間に持たれた建設的対話を評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、子どもの権利条約に基づく締約国の第3回・第4回統合定期報告書に関する総括所見(2014年1月31日採択、CRC/C/DEU/CO/3-4)および武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく第1回報告書についての総括所見(2008年2月1日採択、CRC/C/OPAC/DEU/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 II.一般的所見 積極的側面 4.委員会は、選択議定書の実施に関連する分野で締約国がとった、以下のものを含むさまざまな措置を歓迎する。 (a) 性的虐待被害者の権利を強化する2013年6月26日の法律。 (b) 手続のすべての段階で証人の陳述をビデオに録画すること、ならびに、公判における証人の陳述に代えて当該録画を用いることおよび(または)視聴覚的手段により証人の陳述を同時送信することを可能にするための刑事訴訟法改正。 5.委員会はさらに、締約国による以下の条約の批准にも評価の意とともに留意する。 (a) 通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書(2013年2月)。 (b) 人身取引と闘うための行動に関する欧州評議会条約(2012年12月)。 6.委員会はさらに、選択議定書の実施を促進する、以下のものを含む制度の創設ならびに計画およびプログラムの採択に関して達成された進展を歓迎する。 (a) 性暴力および性的搾取から子どもおよび10代を保護するための連邦政府行動計画(2011年)。 (b) 子どもの性的虐待問題に関する独立コミッショナーの設置(2010年)。 (c) 観光における性的搾取から子どもを保護するためにドイツ、オーストリアおよびスイスで2010年に開始された合同教育キャンペーン。 III.データ データ収集 7.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノのあらゆる側面(児童セックス・ツーリズムを含む)を網羅した全国的なデータ収集システムが存在しないことを遺憾に思う。委員会はまた、選択議定書上の犯罪に関する比較可能なデータが連邦レベルで存在しないこと、および、すべての州を対象とする共通の指標が定められていないことにも、懸念とともに留意するものである。 8.委員会は、締約国に対し、選択議定書が包含するあらゆる分野を網羅した、データ収集、分析、監視および影響評価のための包括的かつ体系的な機構を発展させかつ実施するよう促す。これとの関連で、委員会は、とくに以下のことを勧告するものである。 (a) データが、もっとも被害を受けやすい立場におかれた集団の子どもに特段の注意を払いつつ、とくに性別、年齢、国民的および民族的出身、地理的所在ならびに社会経済的背景ごとに細分化されるべきこと。 (b) 選択議定書上の犯罪に関する訴追および有罪判決についてのデータが収集され、かつ犯罪の性質ごとに細分化されるべきこと。 (c) 締約国が、さまざまな州についてのデータを収集する際の共通指標システムを確立すべきこと。 (d) 締約国が、選択議定書上のすべての犯罪の根本的原因および広がり、ならびに、これらの犯罪に対応するために実施されている政策および提供されているサービスの効果についての、質的および量的な研究および分析を実施すること。 IV.一般的実施措置 立法 9.選択議定書のさまざまな規定を締約国の法律に統合しようとする努力は歓迎しながらも、委員会は、締約国の焦点が人身取引、児童買春および児童ポルノにほぼ限られていることを懸念する。委員会はまた、現行法において、選択議定書で対象とされているすべての犯罪、とくに子どもの売買(人身取引に似てはいるものの同一ではない概念)が取り上げられているわけではないことも懸念するものである。 10.委員会は、締約国が、選択議定書の規定が国内法体系に全面的に編入されることを確保するためにあらゆる必要な立法上の措置をとるよう、勧告する。 国家的行動計画 11.性暴力および性的虐待から子どもおよび青少年を保護することを目的とした締約国の国家的行動計画は歓迎しながらも、委員会は、選択議定書で取り上げられているすべての問題に対処する包括的な戦略または国家的行動計画が定められていないことを遺憾に思う。 12.委員会は、締約国が、選択議定書で取り上げられているすべての問題を対象とする包括的な戦略または国家的行動計画を採択するとともに、その実施のために十分な人的資源、技術的資源および財源を提供するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、当該戦略または計画について事前事後の定期的な評価が実施されることを確保するようにも奨励する。防止ならびに被害を受けた子どもの保護、身体的および心理的回復ならびに社会的再統合に、特段の焦点が当てられるべきである。 調整および評価 13.委員会は、締約国が連邦国家であることおよび州に対して自治が認められていることを認識する。しかしながら委員会は、締約国が、連邦、州およびコミュニティのレベルにおける選択議定書の全般的調整、監視、評価および実施のための中央機関を有していないことに、懸念とともに留意するものである。 14.条約の実施に関する締約国の第3回・第4回統合定期報告書についての総括所見に掲げた勧告(CRC/C/DEU/CO/3-4、パラ14)を参照しつつ、委員会は、締約国が、選択議定書の実施を効果的に調整する全面的な任務、能力および権限ならびに十分な人的資源、技術的資源および財源を有する、十分なかつ常設の連邦機関を指定するよう勧告する。 普及および意識啓発 15.性的虐待の問題に関する意識啓発を目的とした複数の全国的な取り組みおよびキャンペーンは歓迎しながらも、委員会は、子ども、親または法定保護者ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家の間で選択議定書のないように関する意識が低いままであることを懸念する。 16.委員会は、締約国が、子どもともにまたは子どものために働くすべての専門家ならびに子ども(とくに、被害を受けやすい状況にある子どもおよびその家族)および公衆一般の間で選択議定書の規定を広く知らせるため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。そのための手段には、適切なメディアの活用、ならびに、防止措置に関する、かつ選択議定書上のすべての犯罪の有害な影響に関する長期的な意識啓発キャンペーンおよび教育プログラム(学校カリキュラムを含む)の開発および実施も含まれる。 研修 17.委員会は、選択議定書関連の問題についての研修プログラムを実施するために行なっている努力に関して、対話の際に締約国から提供された情報を歓迎する。しかしながら委員会は、研修活動において、選択議定書のすべての規定に十分に焦点が当てられているわけではなく、かつ、子どもとともにおよび子どものために働く関連の専門家(とくに司法関係者)への対応が適切に行なわれているわけではないことを懸念するものである。 18.委員会は、締約国が、研修活動を強化するとともに、選択議定書の実施に関与するすべての専門家(裁判官、検察官、警察官、ソーシャルワーカー、保健ケア従事者ならびに子どもとともに及び子どものために働くその他の職種の専門家を含む)を対象とした、選択議定書で取り上げられているすべての分野についての体系的な研修プログラムの開発のために質量ともに十分な人的資源、技術的資源および財源を配分するよう、勧告する。 V.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止(第9条第1項および第2項) 選択議定書で禁じられた犯罪を防止するためにとられた措置 19.委員会は、子どもが選択議定書上の犯罪の被害者となる危険性を高める根本的原因(子どもの貧困、ならびに、マイノリティ集団に属する子どもならびに保護者のいない子どもの移住者および庇護希望者に対する差別など)に取り組むための締約国の努力が不十分であることを遺憾に思う。 20.委員会は、締約国が、子どもの貧困および被害を受けやすい立場におかれた集団に属する子どもに対する差別に取り組むため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。これとの関連で、委員会はまた、締約国に対し、選択議定書上の犯罪の被害者になる危険性が高い子どもの特定およびモニタリング、ならびに、これらの子どもを対象とした心理社会的支援および意識啓発プログラムの実施を目的とする機構を設置することも、奨励するものである。 児童セックス・ツーリズム 21.委員会は、観光における性的搾取から子どもを保護するために締約国、オーストリアおよびスイスが開始した合同教育キャンペーン、および、行動規範の策定のような、児童セックス・ツーリズムを防止するために締約国がとった措置を歓迎する。しかしながら委員会は、児童セックス・ツーリズムを防止するための政策(とくに行動規範)の実施、および、観光業界が子どもを被害者となることから保護することを確保するためにとられた措置についての情報がないことを遺憾に思うものである。委員会はまた、児童セックス・ツーリズムについて締約国で行なわれた訴追に関するデータがないことも遺憾に思う。 22.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう促す。 (a) 児童セックス・ツーリズムを防止しかつ撤廃する目的で、効果的な規制枠組みを確立しおよび実施し、ならびに、あらゆる必要な立法上、行政上、社会上その他の措置をとること。 (b) 児童セックス・ツーリズムの防止および撤廃を目的とする多国間、地域間および二国間の取り決めを通じた国際協力を強化すること。 (c) 児童セックス・ツーリズムの有害な影響に関する観光業界への働きかけを強化し、かつ、旅行代理店および観光業者の間で世界観光倫理規範を広く普及すること。 (d) 旅行業者に対し、旅行・観光業における性的搾取から子どもを保護するための行動規範への署名を奨励すること。 VI.子どもの売買、児童ポルノおよび児童買春の禁止ならびに関連の事項(第3条、第4条第2項および3項、第5条、第6条ならびに第7条) 現行刑事法令 23.選択議定書上の犯罪を刑法に含めるために締約国が行なった努力は歓迎しながらも、委員会は、選択議定書第2条で定められた子どもの売買の定義が刑法に反映されていないこと、および、子どもが性的搾取、利得を目的とした臓器移植、強制労働への従事および不法な養子縁組の被害者となる事案が選択議定書第3条で要求されているように子どもの売買との関係で犯罪化されていないことを、依然として懸念する。 24.委員会は、締約国が、刑法その他の関連の法律を、選択議定書第2条および第3条と完全に一致させる目的で引き続き改正するよう勧告する。とくに、締約国は、選択議定書にしたがって子どもの売買(とくに、選択議定書第3条第1項および第5項にしたがって、性的搾取、利得目的の臓器移植、強制労働に従事させることおよび不法な養子縁組を目的とする子どもの売買)を定義しかつ犯罪化するべきである。 25.委員会はまた、選択議定書上の犯罪(とくに児童ポルノ9を処罰する刑法の一部の規定で子どもが14歳までしか保護の対象とされていないことにも、懸念とともに留意する。 26.委員会は、締約国が、18歳未満のすべての子どもが全面的に保護されることを確保するよう勧告する。 不処罰 27.委員会は、選択議定書上のすべての犯罪の実行犯の捜査、訴追および処罰に関する情報がないことを懸念する。 28.委員会は、締約国に対し、選択議定書上の犯罪が捜査されること、および、実行犯とされる者が訴追されかつ適正な制裁を受けることを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう、促す。委員会は、締約国が、選択議定書上の犯罪の実行犯の捜査、訴追および処罰に関する詳細な情報を次回の定期報告書で提供するよう、勧告するものである。 域外裁判権および犯罪人引渡し 29.委員会は、締約国の法律において、選択議定書第4条第2項に挙げられているすべての事件についての域外裁判権が明示的に認められているわけではないことを遺憾に思う。委員会はまた、選択議定書上の犯罪についての裁判権に関して双方可罰性が必要とされていることも遺憾に思うものである。 30.委員会は、締約国が、国内法によって、選択議定書上の犯罪について域外裁判権(双方可罰性の基準を満たさない場合の域外裁判権を含む)を設定しおよび行使し、ならびに、必要なときは選択議定書第5条にしたがって選択議定書を犯罪人引渡しの法的根拠として用いることができることを確保するための措置をとるよう、勧告する。 VII.被害を受けた子どもの権利の保護(第8条ならびに第9条第3項および第4項) 被害を受けた子どもの権利を保護するためにとられた措置 31.委員会は、選択議定書の被害を受けた子どもであって、国外出身であり、かつ常に被害者と認められるわけではなく犯罪者とみなされる可能性もある者を対象とする証人保護プログラムが不十分であることを懸念する。委員会はまた、選択議定書上の犯罪の被害者となった子どもであって非正規な移住状況にありまたは在留資格が不明確な者が、選択議定書の保護体制の利益を十分に享受できていないことにも、懸念とともに留意するものである。 32.委員会は、締約国が、選択議定書上のいかなる犯罪の被害を受けた子どもも刑罰の対象とされず、かつ被害者とみなされることを確保するよう勧告する。選択議定書第9条第3項に照らし、委員会はまた、選択議定書の被害者となったすべての子どもが保護体制への平等なアクセスを認められること、および、選択議定書第8条第3項にしたがって子どもの最善の利益が常に第一次的に考慮されることを確保するため、締約国があらゆる必要な立法措置をとることも勧告するものである。 刑事司法制度における保護措置 33.被害者および証人である子どもの保護を確保するために締約国がとった立法措置は歓迎しながらも、委員会は、被害者および証人である子どもがしばしば自己の手続的権利についての十分な情報を受け取っていないことに、懸念とともに留意する。委員会はまた、証人による陳述の視聴覚的記録を用いることができるようになったことは歓迎しながらも、当該技術の利用が限定されていることも懸念するものである。 34.選択議定書第8条第1項に照らし、委員会は、締約国が、刑事司法手続のあらゆる段階で被害者および証人である子どもの保護を確保するよう勧告する。締約国は、この点に関し、経済社会理事会が決議2005/2で採択した「子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての指針」を指針とするべきである。委員会は、その際、締約国が、とりわけ同指針の第7章および第11章をとくに重視するとともに、情報を受ける権利および司法手続中に苦痛から保護される権利の効果的かつ徹底的な実施を確保する目的で、質量ともに十分な人的資源、技術的資源および財源を配分するためにあらゆる努力を行なうよう勧告する。 被害者の回復および再統合 35.委員会は、選択議定書上のあらゆる犯罪の被害者の回復および再統合のための措置が、とくに男子および保護者のいない子どもについて不十分であること(児童ポルノまたは強制労働の影響を受けた子どものためのカウンセリングセンターの数が少ないことを含む)を懸念する。委員会はまた、人身取引、児童買春および児童ポルノの被害を受けた子どもの家族に対して支援が行なわれていないことにも懸念とともに留意し、かつ、選択議定書上の犯罪が関わる事件における被害者補償法の実施についての情報がないことを遺憾に思うものである。 36.委員会は、締約国が、選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どもおよびその家族が全国で適切な援助(身体的および心理的回復ならびに全面的な社会的再統合のための援助を含む)を提供されることを確保するため、あらゆる必要な措置をとるよう勧告する。これとの関連で、委員会はまた、締約国が、被害を受けた子どもの援助に責任を負う者を対象として適切な法律上および心理学上の研修が実施されること、ならびに、被害を受けた子どもを含む関係者の参加を得ながらこれらのサービスの体系的評価が行なわれることを確保するようにも勧告するものである。委員会はさらに、締約国が、被害を受けたすべての子どもが法的に責任のある者に対して差別なく被害賠償を求める十分な手続にアクセスできることを確保するよう、勧告する。 ヘルプライン 37.子どもおよび青少年を対象とするヘルプライン「悩み相談電話」(Nummer gegen Kummer)が存在することは歓迎しながらも、委員会は、同相談電話が、選択議定書の対象である集団に全面的に行き届いているわけではないことを遺憾に思う。委員会はまた、同ヘルプラインおよび子どもの性的虐待問題に関する独立コミッショナーが運営しているヘルプラインのいずれも全国的サービスまたは24時間・週7日体制で利用可能なサービスとなっていないことにも、懸念とともに留意するものである。 38.委員会は、締約国に対し、子どもヘルプラインに対する財政支援を強化するとともに、以下のことを確保する目的で人的資源、技術的資源および財源を配分することを検討するよう、奨励する。 (a) ヘルプラインのために働いている専門家が、選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どもに対してカウンセリングを行なうための訓練を受けること。 (b) 全国的に24時間・週7日体制でヘルプラインにアクセスできること。 (c) 選択議定書関連の問題についてヘルプラインに相談できることが、とくに、被害を受けやすい状況にある子どもの間で周知されること。 VIII.国際的な援助および協力(第10条) 多国間、二国間および地域間の取り決め 39.選択議定書第10条第1項に照らし、委員会は、締約国に対し、選択議定書が対象とするすべての犯罪の防止、摘発、捜査ならびに当該犯罪に責任を負う者の訴追および処罰を向上させる目的で、とくに近隣諸国との多国間、地域間および二国間の取り決めを通じ、引き続き国際協力を強化する(当該取り決めの実施を調整するための手続および機構を強化することによるものも含む)よう、奨励する。 IX.フォローアップおよび普及 フォローアップ 40.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、議会ならびに連邦、州および地方の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 総括所見の普及 41.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびにこの総括所見を、インターネット等も通じ、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 X.次回報告書 42.選択議定書第12条第2項にしたがい、委員会は、締約国が、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2014年5月6日)。