約 6,956 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5555.html
前ページ次ページランス外伝~ゼロと鬼畜な使い魔~ そんなわけでもう日が落ちて夜になっていた。 ヴァリエール家では負けた事を悟った公爵が帰ってきており。 敗戦で落ち延びた姫とマザリーニと会談している。 「なるほど…一時的にここを国とす…というわけですか。」 「はい、本当に一時期のみ、レコン・キスタを追い払う為なの。」 姫が撤退し、軍もいない国は直ぐに占領された。 姫がヴァリエール領内にいるという噂は直ぐに流され国民が1人、また1人と入ってきている。 占領軍に捕まれば何をされるか分からないのである。 「我がヴァリエール家は王家の血族、断る理由がありませぬ。」 「そうですか、国を代表して感謝します。」 「姫から感謝されるとは望外の極みですな。」 アルビオンから一番離れている領であるヴァリエール領は、占領軍が来るまで後1日掛かる。 マザリーニがその1日で国を奪還すると言うのだ。 にわかには信じがたい。 「で、マザリーニ枢機卿にはどのような策略がおありで?」 「もちろん、それなりの勝算がある策略です。ですが…裏切り者がいない事も想像し難い…ですからこの場では秘密です。」 「確かに…、それとこの屋敷には客室用の部屋以外にも沢山の部屋があります、活用してくだされ。」 マザリーニは頷くと、食堂から出て行った。 急に姫とマザリーニ枢機卿が来た為、冷静に話し合いが出来る広い場が食堂しかなかったのだ。 一時的とはいえ、本当にヴァリエール家がお城になった。 「姫様…。」 「大丈夫ですよ、ルイズ。枢機卿ならなんとかしてくれます。」 「…はい、それと聞きたい事が2・3あります。」 「…なんでしょう。」 「ワルド様は…。」 「……裏切り者でした…、私の首に杖を向けて…貴方の使い魔さん…いいえ、ランスさんが助けてくれたのです。」 「ランスが?」 「えぇ、何やら不思議な術とでも言うのでしょうか…それをワルドに当てて…それからランスさんがワルドを…。」 「そう…ですか。……で、そのランスと謙信は?」 姫が気まずそうに俯く、そしてその口から出たのは悲しい知らせであった。 「……隊の…しんがりを勤めて…。」 「え…?」 「自ら…とても勇敢でした…。」 ルイズが落胆する、やっとの苦労で呼び出した使い魔、憎たらしいけど結構頼りにはなった使い魔。 その使い魔が…と肩を落とす。 無理も無かった、しんがりを勤めるという事は、99%死ぬという事なのだから。 その言葉にもう1人が反応した。 「…ランス様が…?」 「えぇ…。」 シィルにとっては半信半疑だった、ランスがそんな事で死ぬような人ではないのだから。 マザリーニが自分に与えられた部屋の椅子に座り考える。 まず、ここでする事、民を落ち着かせること。 逃げ場が無く辛うじて生き残った諸侯軍の中にいる傭兵達を引き離さないようにする事。 後5時間で仕上げなければならない、そう明日の早朝には城を取り返しにいかなけえればならないのだ。 失敗したら次は無い、正に崖っぷち。 「傭兵達がレコン・キスタに入ってしまっては不味いのだ…さて、どうする。」 一つの案が出ては、それを破棄、また一つ、それも破棄…という状態が続く。 「やはり…金が一番か。」 そう、傭兵は金が1番命が2番。 いたってシンプルだが、結局この案を入れた、後はレコン・キスタは~~で始まる文を添えれば良い。 民を落ち着かせる事は姫に出てもらえばいい。 あと、民からも戦線に協力する物をつのれば…。 幸い逃げてきた人達も数は多い。 今諸侯軍と王軍+傭兵で数は2700、一応この数なら作戦は巧くいく。 今は一兵たりとも相手の陣列に加えてはならないのである。 考えがまとまると、枢機卿は席を立ちこの小さな城からでた。 「ようやく屋敷が見えてきたな。」 「えぇ、本当異常な領土してるわ。」 最初は速度の出ていたゴーレムだが、段々速度が落ちる。 「まずいわ…精神力が切れてきた。」 「む。」 ゴーレムが手を地面につけて、フーケが降りる。 すると、ゴーレムが土砂と化す。 「まぁ、こっから歩きならなんとかなるだろう。」 と言って歩き出そうとしたが、フーケがへたれこむ。 「疲れたからもう立てないわ、おんぶして。」 「む、分かった。」 確かに疲れてはいるが、フーケはそんな貧弱な体はしていない。 むしろ、平均女性よりもっと丈夫である、つまり、ランスにおんぶしてもらいたかっただけなのだ。 23歳の女性が22歳の男性におんぶしてもらうという行為…。 「んふふ~。」 フーケがそういいながら謙信を見る、だが謙信はまったくきにしてない。 反応を見て楽しもうとか思ったのに、これではつまらない。 その後も、色々な事を考えて実行するも、謙信は全然気にしていなかった。 「ランス達…本当に、死んじゃったのかしら。」 「いいえ、ランス様は死んでませんよ。」 ここはルイズの部屋、姫との話を済ませて、部屋に戻って落ち込んでいたのである。 「何で分かるの?」 「ランス様だからです。」 「…確かに…確かにそうよね、ランスだもんね、死ぬわけ無いわよね。」 ルイズはそうやって心に言い聞かせた、本当は死んでる…と心の奥ではいっている、だが、生きてると思い込まなければ。 諦めなのだ、諦め…ルイズが一番嫌いな事である。 「そう…絶対生きてるわ、死んでたら天国から連れ戻してやる。」 「んな無茶な…。」 「あぁ?なんか言った?」 「…いえ、にしてもルイズさん…やさしいんですね。」 「私は常に優しいわよ。」 「…。」 その頃アンリエッタは悩んでいた。 友の使い魔を、見殺しにした事を 自分は止める事も出来た…そう、止める事が出来たのだ。 「私は…可哀想な姫ではなく…ただ、ただ単に愚か者です…。」 考えて見れば、一番可哀想なのはマザリーニ枢機卿なのだ。 トリステインの政治の殆どを担わされ、40の齢とは思えないような容姿。 やりたい事なんて既にないのだろう、もう体が疲れているのだ。 だが、彼ほどの激務を担う気のある者なんて貴族の中にはいない。 正にトリステインの土台とも言っていいのに、国民は鳥の骨、国をのっとろうとした…。 こんな事を言って、マザリーニ枢機卿を愚弄する。 しかし、マザリーニ枢機卿は気にもしない、もう慣れているのだろう。 でも、私は姫、国民には人気があるほう…もちろん若輩と言う人もいる…。 けど彼の苦労よりは10倍…いや100倍楽な方である。 しかも、友を戦地に捨てるような行為…。 自国が最悪の危機に陥った時に気づく自身の鈍さ。 全てがいやになった…少しでも良い報告を聞いて気を紛らわせたい…と思ったときにヴァリエール領の兵士が飛んでくる。 あぁ、また嫌な知らせか…と、話を聞いていると。 「殿下!領内にて、怪しい者を3人発見その内1人は土くれのフーケです、現在捕縛しております。」 「そう…。」 「それで…少しおかしな事を言ってたのです。」 「なんと?」 「俺様はルイズの使い魔だー…と。」 その言葉を聴いて、耳を疑いたくなる。 だが、これは間違いなく良い事だ。 友の使い魔が無事だったのだ。 「すぐにその3人に会わせて下さい!!」 「は…はぁ。了解しました。」 そして兵が姫を誘導する、そして兵が着きましたといった場所に。 ぎゃーぎゃーと喚いている人1人とそれを宥めるフーケと静かな謙信がいた。 「おぉ、なんという事でしょう。」 「おー、アンリエッタちゃん。」 「なっ、貴様姫様を――。」 「良いのです彼等は英雄なのですから。」 「?」 「縄を解きなさい。」 「りょ、了解しました。ところで、フーケの縄は…。」 「フーケちゃんは俺等の仲間になったから解いても問題ないぞ、安心しろ。」 「ランスさんがそういうなら…。」 と、兵士が全員の縄を解く。 ランスが腕を適当に慣らし、姫と話す。 「いやー、酷い目にあったぞ。」 「どうやって逃げてきたんですか?」 「普通に。」 「普通に?」 「いやー、凄かったぜ敵の軍勢をたった2人で翻弄してるんだからよ、この戦いはこのデルフ様6000年生きて初めてだったな。」 「あら、インテリジェンスソードですね?この剣で?」 「…デルフは腰にさしてただけだ。」 「まぁ俺もこんな格好じゃなかったら使われてたんだろうけどさ。」 「で、適当にしんがりをつとめて逃げたらフーケに襲われた訳よ。」 「まぁ、土くれのフーケに…では何故フーケがここに?」 インテリジェンスソードと離す姫、とても滑稽だった。 「その後によ、フーケのゴーレムを崩して、ランスが自分の物にしたって訳だ、でその後にフーケのゴーレムでここまで来たって訳だ。」 「で、物は頼みなんだが、フーケちゃんを貴族にもどせるか?」 姫がその言葉に悩む。 今まで多くの罪を被ってきた者である。 で、今英雄がその罪多き者を貴族にもどしてやれと言う。それを許すとなると、多くの反感を買う。 そこで一つ提案をする。 「なら…トリステインの国を取り返してくれたら、名前を変えるという手段で貴族に戻しましょう。」 「む…一度犯らせてくれた女の願いは極力叶えてやるのが俺様の信念…。こうなったら犯ってやるぜ!」 「頼もしいお言葉です。」 「相棒。」 「…?」 「俺、お前に振り回されたい。」 剣としての意地なんだろうか、やはりこれほど強い剣豪には一度は使われてみたいという欲があるのだろうか。 「…考えては見る。」 「いやー俺の昔の姿はすげーよ、ぴっかぴか、まじで。」 「…そうか。」 「ん…ぴっかぴか…。……あれ、ぁーそうか。」 その単語にデルフはつっかかった。 「どうした?」 「俺をちょっと握ってくれ。」 その言葉に謙信がデルフを握ると、デルフがいきなり光りだした。 …そして、光が収まると、そこには磨かれたばかりかと思うほど綺麗な剣があった。 「いやー、やっぱ良く喋ると頭回るわ、ずっと鞘とか入れられてて考えるより寝てる方が多かったからよ、まーた思い出してきた。」 「で、今度は何思い出した。所で頭どこだ。」 「んー、柄じゃねぇかね、そう俺ねもう剣として生きるのがだるくなって錆び錆びの姿になったのよ。」 「ふーん、いつでも自分を磨けるのか、便利だな。」 「まぁ、そういうこったね、それと俺にゃ魔法を吸収する能力があるんだぜ、姫さんよ、なんか攻撃系でいいからぶつけてみな。」 「…良いのですか?」 「あぁ、どんどん来い!相棒は構えてくれ。」 そういわれて謙信が構える、アンリエッタが短い呪文を詠唱して、軽い攻撃系の魔法を出す。 水が一直線に謙信へ向かう、とても弱弱しく見えるが水の呪文自体攻撃系の魔法が少ないのだ。 水がデルフにぶち当たり、どんどん吸収していく。 「おー、よし売ろう。」 「ちょ、酷い。魔法吸い込むんだぜ?すごいぜ?」 「いや、魔法なんて謙信ちゃん受けないだろ。」 「いやいやいやーあたるかもしれんよ?保険でもっとこうや。」 「それより売った方が金になる、こんだけぴかぴかだしな。」 「相棒!相棒からもなんかいってくれよ!」 「ランス殿が言うなら…。」 「おぉおーい、そっちもランスか、ちくしょう…。」 「…でも、面白いから持っておく。」 「…む、謙信ちゃんがそういうなら仕方ないな。」 「おー相棒使ってくれるか?」 「…考えておく。」 「ちょおぉい。」 確かにデルフは便利なんだが、現状は慣れてる日本刀の方が使いやすいのだ。 謙信は守る戦はしない、ひたすら突撃のみ、だから慣れてる武器でないと手元が狂う事もある。 とはいえ、謙信は慣れてない武器でも十分強いが…。 「ふふ…面白いですね。」 「…ずっとこんなじめっとした所いたくないんだがねぇ。」 「あ、そうでしたね、こっちへ…。」 フーケにそういわれて環境に気づく、この部屋は特に使っていない地下牢じめじめして仕方ないのだ。 姫がランス一行を連れて、主人の元。そうルイズの元へ行く。 姫がドアをノックする。 「はい。」 中からはルイズが出てきた、ここはルイズの部屋だからそれ以外の人が出るのはおかしいのだが…。 そのルイズがランス達を見て目を見開く。 「あんたたち生きてたのね!」 「ランス様、おかえりなさい。」 「おぅ、シィル、ルイズちゃ…ぁ。」 「いいわ、なんて言ってくれてもかまわないわ。」 「うむ、じゃあルイズちゃん、ただいま。」 「…ただいま。」 姫がその感動の再開を目の辺りにして、微笑む。 その感動の再開をデルフが剣の如くぶった切る、まぁ剣なのだが。 「ルイズよぉ、重大な話があるんだが。」 「ふぇ?」 「あぁ、姫様も聞いて欲しい。」 「何でしょう。」 「その前に扉閉めてな。」 そして、姫がもしもの事を考えて…とディテクトマジックをかける。 掛けた後に扉を閉じ、全員がデルフに注目する。 「さっきな、この姿に変わった時にもう一つ重大な事思い出したんよ。」 「うん、何を思い出したの。」 「お前よ、全部の魔法が爆発するんだろ?」 「……えぇ、それがどうかした?」 「何でかわからねぇだろ。」 「…えぇ、どの系統にも属さない爆発の仕方だもん。」 どのメイジもただの失敗と言ってわらうが、その理由を知ってる者はゼロだった。 ただ、その魔法ができなかったんなら失敗…と、そこで考える事をしていないのだ。 「それよ…虚無の術なんだよ…確か…エクス…エクスなんだっけな。」 「虚無? …あれは御伽噺では…。」 「いんや、虚無は本当にある、ルイズがそうじゃないか、あっそうだ始祖の祈祷書持ってるかね。」 「…あるわよ…、えっと…ここらへんに…あった。」 「おう、それを持ってこっち来い。」 「でも、これ真っ白よ?贋作じゃないの?」 「いんや、そうだな、姫さんよその指に掛けてる指輪、水のルビーか?」 「…これですか?その通りですよ。」 「それを、ルイズに貸してやってはくれんかね。」 「えぇ、別にいいですよ。」 そういってアンリエッタがルイズに指輪をはめる。 お似合いよ。とアンリエッタに言われ、ルイズの頬が、少し染まる。 そして、何か本に変化が現れる、文字が浮かび上がってきたのだ。 「おー、やっぱ必要な時だったか、まぁ王家が倒れそうなんだから当たり前だよな。」 「どういう事?」 「それが本当の始祖の祈祷書なんだよ。」 「…という事は…私が虚無の担い手なの?それ本当?」 「本当だってば、それが光るって事と、使い魔がガンダールヴ。虚無じゃなかったらこれらの説明がつかねぇよ。」 「…ルイズ、すごいわルイズ!!」 「姫様!私虚無の担い手なんですって!」 「えぇ!えぇ素晴らしいわ!」 「大きい声はやめとけ、ばれる。」 ランスにそういわれて気づく。 「…すいません。」 突然、ドアがノックされる。 ルイズがまた出ると、そこには枢機卿がいた。 「…姫、やはりここでしたか…むっ何故土くれのフーケがそこに。」 「ランスさんが倒して、仲間にしたそうです、で帰りを手伝ったとか…。」 「ランス…む、お主生きて帰ってきていたのか、正に奇跡…。」 「俺様はあんな数じゃ死なん。」 「なんと頼もしい事よ、お主らがいるなら100人力以上だ。」 「がはは、期待しろ。」 「…土くれのフーケ…貴様本当に…。」 「別に私はただの元盗人さ、アルビオン派でもレコン・キスタ派でもない、条件があるだけさ、トリステイン王国を救ったら 私を貴族にもどして欲しい、それだけさ。」 確かにフーケは貴族を恨んでいるが、盗人もばれて金を稼ぐ事が出来ないんなら仕送りが出来ない。だから、地盤を固めたいだけなのだ。 「む…分かった、貢献したらだぞ。」 「あぁ、一番に貢献してやろうじゃないさ。」 「で、マザリーニ話とは?」 「後3時間後、早朝に奪還しますぞ、その作戦を伝えに来ました。」 「話してみなさい。」 「はい…まず庶民に参戦を頼んだら老若男女合わせ約7000の人が集まりました。」 「7000ですか…まぁ国の非常事態でここで奪還できなかったら何をされるか分からない…貴族も年金がもらえなくなりますからね…。」 「私も予想外の数でありました今領内にて訓練をつませております、で、作戦なのですが。まず艦隊は風石の問題で飛んで ないでしょう、ですからそこを突きます、約半分の兵を残存の竜騎士部隊を先行させ城に突破し、城制圧後各砦、街を開放します。」 そう、砦というのは外部の敵から守るというものであり、まさか守るべき対象からの攻撃も想定して作られているわけではない。 「そして、偵察によりますと城の近辺にあのレキシントン号があるんだそうです、この船を残りの部隊で叩かせましょう。」 「なるほど…大胆でありながら繊細。そしてレキシントン号さえ取ってしまえば空の脅威は全て丸のみ…さすが枢機卿。」 「誉めても何も出ませんぞ、ランス殿と謙信殿には城の制圧を頼みたい。」 「おう、分かった。」 「そして、この作戦の優位性を説明しますと、まず早朝の奇襲 この時間帯は人が寝る時間しかも相手はずっと戦闘をつづけて疲弊している兵の集まり。」 「…なるほど。」 「しかも竜騎士の高機動性に合わせて人がついて行く為、…まぁある程度遅くはしますが、最速での移動。 歩兵の安全性を確保できます。」 「おぉ、それで。」 「城は私達が篭らなかった為、砲撃はされませんでした、故にここさえ取れば私達の勝ちなのです。」 「なるほど、流石です。」 「もちろん…姫様にも参加してもらいます。」 「でないと国民の士気で差が出るのでしょう?」 「えぇ…その通り、申し訳ない…。」 「マザリーニ枢機卿は悪くありません、レコン・キスタが悪いのです。」 ルイズはそんな会話を聞いていると、自分だけ必要が無いのでは…と不安になっていた。 「その…私も、私も参加していいですか!」 「ルイズ…貴方は出なくてもよいのですよ?」 「姫が参加するのに私が参加しないなんてヴァリエール家の名が廃ります!!」 「そう…まずヴァリエール公爵に問わないと…。」 姫がそういうと、ルイズは早速姫の手を取り公爵の下へ。 その姿を見て枢機卿が微笑む。 「…若いと言うのはいい、活気がある…あの姫とルイズ殿なら…この国を導けるかもしれん。」 「爺いくつなんだ。」 「私かね…、私は40の齢を重ねておるな…。」 マザリーニが自分の細ばった指をみてため息をつく。 「全然見えんな。」 「だろうな…、自分でも見えないさ…。」 「何でそんなに年老いているのだ?」 「…仕事の辛さだろう。」 「ほー…。」 「…だが、私はその激務を嫌ってはおらんよ、むしろ好いておる…何しろ、それ以外やる事がないからな。」 「変わった奴だ。」 「そうかもしれんな、何故か知らんがランスと言ったかな?君とはとても話しやすい。」 「さぁな、自分は男となんて話したくは無いがな、多分だが、性格が真逆だからじゃないのか?」 マザリーニ枢機卿が座っていた椅子から立ち上がり、笑う。 「そうかも知れんな、私にはもう活力が無い、君ほどに行動力と力がある君には…王になる席が唯一相応しいかもしれん。」 「王なんて席は縛られるだけだろ、そんなのごめんだ。」 「そうだな、全く持ってその通り、では私には軍の管理の仕事が残っておるのでな、機会があったら…。」 「おう、もう話したくないけどな。」 「ふふ…そうか、ではまたな。」 「おいじじいはなしを――。」 マザリーニが出て行くと同時に扉が閉まる。 「ちっ…シィル、俺って思うんだがよくおっさんに話し掛けられるような気がするんだが…。」 「さぁ、気のせいなんじゃないんですか?」 実際気のせいではなく、事実である。 「まぁ、あいつは良い奴だな。」 「…駄目だ。」 「何故です父上!トリステインの国を奪還する、正に名誉の戦いですよ!」 「私が出れば事は済む。」 「ですが…私は姫と…。」 「お前が死んだらどうする、私はどうすればいい。」 「…。」 「お父上の気持ちはもっともです…ルイズはお留守番をしていてください。」 「ですが…。」 「帰るところを守るのも…貴族の務めですよ?」 「うむ、姫様の言う通りだ。」 「…。」 姫と父上に言われちゃ、手も口も出ない。 しかも味方になると思って着いて来させた姫が寝返った。 もうどうしようもない。 「…分かりました。」 「うむ、分かったならよろしい。」 「では、部屋に戻りましょう?ルイズ。」 「…はい。」 前ページ次ページランス外伝~ゼロと鬼畜な使い魔~
https://w.atwiki.jp/quizmagicianblackcat/pages/1358.html
冷酷な祈祷師 メーベル コスト 26 レベル 1 MAX 進化元 寡黙な祈祷師 メーベル (A) 進 化 素 材 天雷樹ユグドラシル (樹S) 輝眼の魔法生物ロシェ (ロシェB+) ランク A+ HP 806 1,613 進化先 壮麗なる祈祷師 メーベル・テイラー (S) 天雷樹ユグドラシル (樹S) ピカダケ・マスター (キノコA) MAX Lv 60 攻撃 657 1,731 進化費用 390,000 サンダヌキング (タヌキA) 天に祈りし神樹 (樹A+) No.0692 Aスキル クルーエル・スペル 敵単体へのダメージ大アップ 売却価格 18,300 月夜に踊るエレクフラウ (フラウA) 月光のドライアド (樹A) 編集 Sスキル 界雷神降臨 (7) 敵全体へ雷属性の大ダメージ 入手方法 進化 個別データ 備考
https://w.atwiki.jp/pleiad_tw1if/pages/363.html
鼠グドンの祈祷師 概要 分類:グドン 傾向:心重視 サイズ:小柄(0.5~1m) 説明文(公式) 祈祷師を名乗る、指導者的な立場の鼠グドンです。 グドンはアビリティを使用する事はできませんが、その何となく妖しい雰囲気と、信憑性のない占いの儀式で、手下を統率しています。 特徴(プレイヤー視点)
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/783.html
故郷! 魂の眠る場所 その① もしも運命というものがあるのなら……まさにこれは運命だった。 承太郎がなぜ、何のために、どんな理由で、ハルケギニアに召喚されたのか? それはまだ誰にも解らない、しかし――。 決まっていたのかもしれない。 承太郎がこの世界に来た瞬間から、それはめぐり合う運命だった。 承太郎が元の世界の情報を求めていたから。 コルベールが伝説や歴史を研究していたから。 シエスタがただの平民でありながら引き継いでいる他とは違う血統が。 彼等が出会ったのは偶然なのか? 彼等が引かれ合ったのは必然なのか? 偶然にしろ必然にしろ、それらはめぐり合った。めぐり合ったのだ。 重要なのはその一点。 運命に導かれた証かもしれない。 何の変哲もない一日のように思えた。 ルイズは詔を考え、キュルケはタバコの銘柄を考え、タバサはタバ茶を考える。 ギーシュはモンモランシーとよりを戻そうと必死だ。 しかし変哲をもたらす者が二人いた。 コルベールは歴史や伝説だけじゃなくエンジンをはじめとする機械の研究をしている、 しかし今日は朝から学院長室に赴き休暇届を提出していた。 シエスタは前々から休暇に帰省する話をしていて今日故郷のタルブの村に出発する。 そして承太郎に挨拶してから行こうと厨房の近くで待ち合わせている。 コルベールとシエスタ。 ハルケギニアから元の世界に帰る可能性の鍵を握っている二人が、 同じ日に行動を起こす事になったのはまさに運命とも言えよう。 「う~ん……う~ん……」 廊下を歩きながら、始祖の祈祷書を抱きしめているルイズ。 いくら考えてもいい詔を思いつけず、気分転換に歩きながら考えてみる事にした。 そして休日の学院の中を歩き回っている。 するとやけに嬉しそうなミスタ・コルベールが廊下の反対側からやって来た。 「おや、ミス・ヴァリエール。よい所で会えた」 「え? あの、何か御用でしょうか?」 詔の事について何か言われてきたらどうしよう、という心配は杞憂に終わる。 「実はジョータロー君を探しているのだよ。ぜひ彼に報告したい事があってね。 彼はミス・ヴァリエールの部屋にいるのかい? そうなら呼んできて欲しいのだが」 「いえ、ジョータローはメイドの見送りに行ってると思います」 「メイド?」 「ジョータローに毎日ご飯を食べさせてるメイドが、 休暇を利用して実家に帰るらしくて、その見送りに行ってるみたいです」 「そうか! ではさっそく会いに行くとしよう」 「あ、あの!」 意気揚々と歩き出すコルベールを、ルイズは呼び止める。 「ジョータローにいったい何の話ですか?」 「ふむ。話してもいいが、できるだけ早く知らせに行きたいのでね。 二度手間になるのも面倒だし、よかったらついてきたまえ」 「はぁ……。では、そういたします」 こうしてルイズはコルベールと一緒に廊下を歩き出した。 いったい何の話だろ? あの『えんじん』とかいう意味不明のおもちゃの話だろうか? もしくは新しい紙タバコができたとか、そんな話かな? たいした話じゃなさそうだと、ルイズは気楽に考えていた。 厨房からやや離れた洗い場のあたりで承太郎とシエスタは歓談をしていた。 「ラ・ロシェールを越えなきゃならねーのか、結構遠いな」 「でも馬で三日程度ですから。もっと遠くから奉公に来ている方もいますし。 草原がとても綺麗で、ジョータローさんにも一度見てもらいたいくらいなんですよ? それから村に伝わるシチューで、ヨシェナヴェっていうのがあるんです。 とってもおいしくて、村の名物になっているくらいなんですから」 「ほう、そいつはうまそうだ」 「帰ってきたら作って差し上げます。二人分ご用意すればいいかしら? 時々ギーシュ様もご一緒しますし……」 「故郷の名物なんだろ? だったらシエスタも一緒に食えばいい。 三人……いや、四人分用意すりゃ足りるはずだ」 「四人分、ですか?」 「……タバサがまた何か企んでくるかもしれねーからな。 あいつに料理に関して何か頼まれても、絶対に聞く耳持つなよ」 「はぁ……」 タバサを嫌っている訳ではなさそうだが、なぜそうも警戒するのか、 事情を知らないシエスタにはサッパリ解らなかった。 ――と、そこにコルベールがルイズを連れてやって来る。 「やあジョータロー君。よかった、まだいたか」 「コルベール? 何かあったのか」 ルイズが一緒にいたため、何かやっかい事でも起きたのかと承太郎は思った。 しかしコルベールが持ってきたのはやっかい事どころではなかった。 「竜だよ。君が私にエンジンや機械の話をしてくれた時の事を覚えているかい? あの『ガソリン』という血を持っていた竜の居場所を突き止めたのだよ」 「……間違いないのか?」 驚きと緊張を感じながら、承太郎は確かめるように問い返した。 「うむ、今度こそ間違いない。二匹の竜のうち、一匹が舞い降りた地を特定した」 コルベールの言葉を聞き、反応したのは二人だった。 「それはどこだ?」 「タルブの村ですか?」 一同の視線が地名を口にしたシエスタに集中する。 学院の廊下をキュルケとタバサが並んで歩き、その後ろをギーシュが歩いていた。 「お国のために決死の旅に出ていたのに、 モンモランシーは浮気旅行だと勝手に思い込んでるんだ」 「それは日頃の行いのせいじゃない?」 「だから君の口から何とか誤解を解いてもらえないか?」 「あれってアルビオンの王党派と関係あるんでしょ? 皇太子らしき人物がいたし。 正直に話したら結構ヤバいわよ、黙っといた方がいいわね。 それよりダーリンはどこかしら? タバコの銘柄の意見を聞きたいのに。 ところでタバサはどっちがいいと思う? ふたつまではしぼれたのよ。 ツェルプストー・サラマンダーか、ヘル・アンド・ヘヴンか」 「ヘル・アンド・ヘヴン」 ちょっぴり強めにタバサは答えた。どうやらそっちがお気に入りらしい。 ――後に彼女は『煙草王誕生!』という歌の作曲をする事になる。 そんな風に三人が平和を謳歌していると、承太郎の声が聞こえてきた。 「間違いないのか、シエスタ」 三人の視線が洗い場の方に向けられる。 承太郎、ルイズ、コルベール、それからメイド。 いったい何の話だろう、と三人は植木に隠れてこっそり近寄った。 シエスタは少し焦っているような承太郎に戸惑いながらも、 自分の村に伝わる――というか、自分の身内の話をしていた。 「二匹の竜ですよね? 私の村じゃ知らない人は誰一人いません。 一匹は日食の中に消えて、残ったもう一匹の竜に乗っていたのが、 私のお爺ちゃんだったそうです。私が幼い頃亡くなりましたけど」 それを聞き承太郎は珍しく戸惑いを見せた。 竜の正体はガソリンを動力に動く何かだ。 空を飛んでいたという事は飛行機の類だろう。 だが、それに乗っていた人間がこの世界で子供を残し、 そしてまさかシエスタがその血を受け継いでいるとは。 「コルベール。あんたはタルブの村に竜の調査に行くんだな?」 「あ、ああ。そのつもりだが……」 「丁度いい、三人で行こう。シエスタが村につくまでの護衛にもなるしな」 「えっ、ええ!? ジョータローさん、来るんですか? 私の家に!」 驚き喜び大混乱のシエスタ。 一方ルイズは話がハイスピードすぎていまいちついていけてなかった。 いきなり二匹の竜とか、それに人が乗っていたとか、お爺ちゃんとか。 そんな混乱中のルイズにさらに駄目押しの一言。 「という訳で、俺は二人と一緒にタルブの村に行ってくる」 「え、あ、待ちなさい! かか、勝手に出かけるなんて許さないんだから!」 「てめーが何と言おうが、俺は行くぜ」 「あ、その、そうじゃなくって、わ、私も一緒に行くって言ってるの!」 パニックになった頭で言ってから、何でこんな事をと疑問に思う。 ミスタ・コルベールはともかく、メイドと一緒に里帰りだなんて、なんか、その。 理由は解らないけどダメ! 絶対! という訳でルイズ、承太郎、コルベール、シエスタの四人は、 タルブの村へ竜の調査に向かう事となった。だが。 「ちょっと待った!」 キュルケが現れた! タバサが現れた! ギーシュが現れた! 「ダーリンが行くなら私も行くわ! 抜け駆けなんて許さないわよルイズ」 「事情はよく解らないが何やら大変な様子。友として見過ごす訳にはいかないな」 邪魔だ、と承太郎が目で語っていた。 タバサは使い魔を呼んだ! シルフィードが現れた! 「馬より速い」 馬より速いシルフィードに乗せてって上げるから一緒に連れてって、という意味。 それを理解した承太郎は、一刻も早く竜の正体を確かめたい事と、 どうせ断ってもこいつ等は勝手についてくるだろうと予測して、 だったら最初から一緒にシルフィードに乗っていった方がいいと判断した。 「やれやれ……解った。連れてってやる。四十秒で支度してきな」 「短ッ!?」 しかし特に用意する物もないのでみんな四十秒以内にとっととシルフィードに乗った。 シエスタは初めて空を飛ぶ竜に乗るという事で不安がり、 落っこちたりしないようにと承太郎の腕にしがみついていた。 その承太郎の反対側の腕には、シエスタの荷物が入った鞄が握られている。 承太郎の両手をシエスタに占領され、ルイズとキュルケはちょびっとイライラした。 こうしてシルフィードが学院を飛び立った。 が、ちょっと速度が遅い。 「重い」 タバサがシルフィードの気持ちを代弁する。 まだ幼いシルフィードには少々荷が重いようだ。 でも一応ちゃんと飛べているのでタバサは構わず「タルブの村へ」と命令。 「きゅいきゅい~!」 シルフィードの抗議の悲鳴は全員に黙殺された。 そして――タバサは承太郎に見つからないよう、小さな水筒をマントの中に隠していた。
https://w.atwiki.jp/sendemositoke/pages/22.html
キャンドルの点灯状態によって入手できない場合があります。 その場合、ストーリーを進行させる、キャンドルを消してループを発生させる、等で 入手できるようになります。 No.00118日目朝広間愛の誓いの騎士ペレデュア No.00217日目夜宰相の部屋愛の法廷 No.00327日目夜宿屋遊びと暦 No.00424日目朝宿屋遊びはステータス・シンボル No.005ジミーの夢暗黒の月曜日 No.0065日目朝庭園アンゴン No.00721日目朝婚約者客間医学 No.00820日目昼占い小屋石工 No.0097日目夜宰相の部屋弩 No.01027日目昼広間異端 No.0111日目昼詰所・城門衣服条例 No.01210日目朝妹姫の部屋衣服の社会的指示機能 No.01311日目昼妹姫の部屋印章 No.01414日目朝教会インターレグナム No.01523日目夜宰相の部屋嘘つかない王様 No.016メアリの夢乳母 No.01716日目夜詰所・城門馬と貴族 ルケス No.01815日目夜婚約者客間衛生 No.0199日目朝広間エクスカリバー No.0201日目朝詰所・城門塩税 No.02122日目朝広間円卓 No.0223日目昼テラス煙突 No.0239日目昼テラス王位継承の資格 No.02427日目朝詰所・城門王位継承の理由 No.02527日目夜妹姫の部屋黄金伝説 No.0268日目夜宰相の部屋王室御用達証 No.0275日目昼宰相の部屋王室費 No.02815日目朝広間王と王妃の寝室 No.02912日目朝妹姫の部屋王の瘰癧治療 No.03021日目朝妹姫の部屋王妃の出産 No.03114日目夜婚約者客間奥様付きメイド No.03219日目夜メイド部屋お仕着せ No.0334日目朝広間大人の遊び No.03419日目昼占い小屋ガーゴイル No.03523日目昼妹姫の部屋ガヴァネス No.0364日目夜メイド部屋賭け事への非難 No.03723日目夜メイド部屋賭けの対象 No.03811日目昼メイド部屋鍛冶屋 No.0397日目夜宿屋貨幣 No.04026日目夜妹姫の部屋かまど No.04113日目朝宿屋紙 No.04216日目昼宰相の部屋キープ No.04326日目朝詰所・城門危険の座 No.04413日目夜教会騎士位剥奪 No.04519日目朝詰所・城門騎士叙任式 No.04610日目夜宰相の部屋騎士道の掟 No.04717日目昼宿屋騎士道法廷 No.0485日目夜教会貴族院 No.04921日目昼テラス貴族階級制 No.0504日目夜教会貴族の種類 4日目にループする場合のみ発生 No.05128日目昼庭園貴族への成り上り No.05222日目昼広間祈祷書 No.05323日目朝妹姫の部屋教育 No.05428日目朝宰相の部屋饗宴の順番 No.0551日目朝広間教会の鐘 No.05621日目朝教会教会文書 No.05722日目夜宿屋狭間認可状 No.05811日目夜宰相の部屋狂気 No.05928日目夜宿屋共同君主 No.06026日目夜占い小屋ギルド(ミステリー) No.0619日目夜宿屋銀の食器 10日目にループする場合のみ発生 No.06210日目夜広間孔雀のロースト No.0633日目朝教会宮内長官 No.0648日目朝広間無先刀(クレタナ) No.06527日目朝地下牢継承権 No.06625日目夜教会ケイデンシー・マーク No.067グラントの夢毛皮 No.06824日目昼地下牢家門(ゲシュレヒト) No.06917日目夜メイドの部屋化粧 No.07010日目夜妹姫の部屋結婚年齢 No.07125日目昼地下牢決闘 No.072セレスの夢血統霊威 No.0731日目昼占い小屋地獄(ゲヘナ) No.07412日目夜宰相の部屋剣 No.07524日目昼教会公会議 No.0766日目朝妹姫の部屋ゴールのアマディス No.07710日目朝占い小屋ゴミの始末 No.07811日目朝広間最後の審判 No.07918日目夜占い小屋サイコロ遊びの仕方 No.08014日目昼宰相の部屋財産の重要性 No.08114日目昼宿屋材料と供給 No.08211日目朝庭園ザクセン法鑑 No.08324日目昼広間砂糖 No.08418日目夜教会式武官 No.08529日目地下祭壇ⅩⅢ 死神 DEATH No.0865日目朝庭園死神の姿 No.08728日目朝地下祭壇死の舞踏 No.0884日目昼宰相の部屋爵位の順列 No.08912日目昼占い小屋12世紀以前の城 No.0908日目昼宰相の部屋守備隊 No.0912日目夜宰相の部屋順位分けされた王位継承権 No.0921日目夜メイド部屋使用人事情 No.09315日目夜メイド部屋使用人との結婚 No.09419日目昼メイド部屋使用人の1日 No.09520日目夜メイド部屋使用人の給料 No.0961日目昼詰所・城門使用人の仕事場所 No.09721日目昼メイド部屋使用人の住環境 No.0988日目昼婚約者客間使用人の食事 No.0991日目夜メイド部屋使用人の人口 No.10025日目朝広間食中毒の恐怖 No.10125日目昼婚約者客間諸侯 No.10210日目朝庭園大道芸人(ジョングルール) No.10311日目夜庭園城 No.10422日目朝占い小屋城の礼拝堂 No.10518日目夜占い小屋神意 No.1066日目朝教会人口 No.10710日目朝宰相の部屋臣従礼 No.10826日目昼王子の部屋神授王権 No.10928日目昼庭園神聖ローマ帝国と皇帝選出 No.11023日目昼占い小屋スクーンの石 No.11118日目昼王子の部屋聖秘劇 No.1127日目夜宰相の部屋聖ヨハネの火 No.11326日目夜宰相の部屋政略結婚 No.114ネルズの夢誓言 No.115ネルズの夢宣言 No.116セレスの夢洗足式 No.117アイシャの夢洗濯メイド No.11811日目夜王子の部屋聖アウグスティヌスの言い伝え No.1193日目朝広間セント・ジョージ No.12015日目朝宿屋造幣 No.1212日目昼宰相の部屋租税 No.12229日目広間戴冠椅子 No.12329日目夜王子の部屋戴冠式 No.1243日目昼広間大貴族と小貴族 No.12521日目夜占い小屋大工 No.1264日目昼教会大聖堂 No.12726日目昼占い小屋大聖堂を作る材料 No.12826日目夜宰相の部屋代理結婚 No.1292日目夜メイド部屋食べ物の流用 No.1304日目朝占い小屋タロット No.1313日目夜宰相の部屋チェス No.13213日目朝地下牢地下牢 No.1336日目昼宿屋中、下層民の食糧事情 No.13416日目朝詰所・城門中世の支配 No.1352日目夜メイド部屋中世の食材 No.13615日目夜詰所・城門中世の身体観 No.13715日目昼詰所・城門中世の身分 No.13829日目宿屋定期市 No.13920日目昼教会手袋 No.14012日目夜教会典礼 No.1417日目朝妹姫の部屋トゥーニカ No.1425日目昼妹姫の部屋読書 No.14314日目夜地下牢毒の発見方法 No.1445日目朝広間トランプ No.14517日目朝宿屋ドレミファの起源 No.14626日目朝占い小屋ナイフやフォークの使用 No.14724日目朝地下牢名前 No.14819日目朝広間何歳から働くか No.1495日目夜メイド部屋ニーベルンゲンの歌 No.1506日目昼庭園人形遊び No.1512日目昼教会農民 No.15225日目昼婚約者客間ハウスキーパー No.15316日目朝広間ハウスメイド No.1546日目夜宰相の部屋麦角性壊疽【壊疽性麦角性中毒】 No.15523日目朝占い小屋記章(バッジ) No.15614日目夜宰相の部屋ハプスブルグ朝 No.15727日目朝地下牢パブリック・スクール No.1589日目朝庭園パンの皿 No.15914日目朝宿屋筆記具 No.16020日目朝王子の部屋百年戦争 No.16122日目昼王子の部屋病気に対する概念 No.16213日目夜宿屋ファミリア No.16318日目昼広間風車の羽根 No.16419日目夜宰相の部屋風味とレシピ No.16510日目朝広間船のオブジェ ネフ No.16616日目夜宿屋プリンス・コンソート(王婿殿下) No.16714日目昼婚約者客間プリンセス・ロイヤル(国王長女) No.1683日目夜妹姫の部屋プリンセスとレディの違い No.1697日目朝宰相の部屋ペスト No.17028日目夜宰相の部屋辺境領 No.1712日目夜妹姫の部屋ボウリング No.1727日目昼庭園ポーム競技 No.17319日目夜地下祭壇墓地 No.17412日目朝王子の部屋マント No.1752日目朝宰相の部屋見た目が大事 No.17621日目夜地下牢身代金 No.17724日目夜宰相の部屋メートル法以前の度量衡 No.1789日目夜メイド部屋召使いたちの退職後の生活 No.17917日目夜宿屋紋章 No.18028日目昼庭園紋章作成のルール No.18123日目夜メイド部屋一角獣(ユニコーン) No.18225日目朝メイド部屋夢 No.18326日目昼テラスヨーロッパ王室の血縁事情 No.18414日目夜宰相の部屋ヨーロッパ最古の王室 No.18514日目朝地下牢ヨーロッパ人の名前の構成 No.1865日目朝妹姫の部屋ヨーロッパのプリンセス No.18713日目昼宰相の部屋烙印 No.18813日目朝地下牢螺旋階段 No.1893日目昼婚約者客間理想の美 No.19017日目朝妹姫の部屋リトモマキア No.1917日目昼婚約者客間略字 No.19222日目昼メイド部屋領主 No.19320日目昼婚約者客間領主の判事 No.19424日目夜婚約者客間料理書の出現 No.1952日目朝妹姫の部屋料理人 No.19626日目朝宰相の部屋王室宝物(レガリア) No.1971日目夜王子の部屋煉獄 No.19812日目昼庭園ロンバルディアの鉄王冠 No.1999日目昼庭園ワイン貯蔵庫 No.20016日目昼宿屋ワインの礼儀
https://w.atwiki.jp/h_session/pages/5305.html
ナイトウィザード → NW我妻市 NIGHT WIZARD The 2nd Edition Character Sheet TXT Ver1.2 キャラクター名:河埜 ひとつ(コウノ ヒトツ) プレイヤー名:kunashi 種族:人間 ワークス:中学生 年齢/性別:13歳/女性 髪の色:赤色 瞳の色:蒼色 肌の色:白色 身長/体重:143㎝/32㎏ ウィザードクラス:強化人間 3LV(履歴:転生者Lv1) スタイルクラス:アタッカー 1LV 属性:〈風〉/〈火〉総合レベル: 5LV CF修正値:1 プラーナ 内包値:9+3 解放力:1 基本能力値 ベース 成長値 現在値 基本能力値 ベース 成長値 現在値 【筋力】 10 1 11 【知力】 6 -- 6 【器用】 12 -- 12 【信仰】 5 -- 5 【敏捷】 11 -- 11 【知覚】 8 -- 8 【精神】 6 -- 6 【幸運】 5 -- 5 戦闘値 ベース クラス修正 特殊 総合 未装備 装備 最終戦闘値 【命中】(器用+知覚)÷2 = 10 4/ 6 1 3 24 3 【命中】 27 【回避】(敏捷+知覚)÷2 = 9 2/ 1 -- -- 12 1 【回避】 13 【攻撃】(筋力+器用)÷2 = 12 4/ 4 4 1 25 17 【攻撃】 42 【防御】(筋力+信仰)÷2 = 8 2/ 2 -- -- 12 12 【防御】 24 【魔導】(精神+幸運)÷2 = 5 --/-- -- -- 5 2 【魔導】 7 【抵抗】(敏捷+幸運)÷2 = 8 --/-- -- -- 8 -2 【抵抗】 6 【魔攻】(知力+精神)÷2 = 6 --/-- -- -- 6 3 【魔攻】 9 【魔防】(知力+信仰)÷2 = 5 --/-- -1 -- 4 1 【魔防】 5 【耐久力】 = 29 5/ 5 -- -- 39 【耐久力】39 【魔法力】 = 16 2/ 2 -- 1 21 -4 【魔法力】17+10 【行動値】(筋力+敏捷+知力+信仰)÷3= 11 2/ 3 -- -- 16 -1 【行動値】15 【移動力】 ベース 特殊能力 未装備 装備 最終値 (未装備状態【行動値】)÷10+1= 2 -- -- -- 2Sq ■ライフパス 出自:魔法儀式 特徴:足掻く者/【命中】のベースを+1し、【魔防】のベースを-1する。 生活:ウィザード 特徴:世間知らず/1シナリオに1回、情報収集判定を振りなおすことができる。 コネクション /関係 緋室灯/同行者 すーちゃん/秘密 イルマ/思慕 [[芦谷 彰]]/不安 マブ/好奇心 ■特殊能力 名称 :SL: タイミング : 判定値 :難易度: 対象 : 射程 : 代償 :効果 --汎用-- 《月衣》 :-: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :所持品を隠せる。マイナーアクションで飛行できる。(代償:1D6MP) 《月匣》 :-: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :月匣を展開できる。 《伝家の宝刀》 :1: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :[100万+100×SL万]v.以下のアイテムをSL個取得。 《伝家の術式》 :1: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :[100万+100×SL万]v.以下の魔法を1個取得。 《訓練:筋力》 :1: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :【筋力】+SL。 《闘気の才》 :3: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :プラーナ内包値+SL。 --アタッカー-- 《物理攻撃UP》(自動取得):-: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :【攻撃】+[CL+3]。 《ウェポンマスタリー:銃》 :-: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :種別(銃)の【命中】+[SL+1]。 《ツインウェポン》 :1: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :重量合計「5+SL」以下の武器二刀流。 《死点撃ち:物理》 :-: Aアクション :自動成功: なし : 自身 : なし : 2HP :【命中】ジャッジC時、対象の【防御】ジャッジ達成-10。 《捨て身の一撃》 :-: メジャー :【命中】: 対抗 : 単体 : 武器 :3MP・3C:【攻撃】ジャッジ達成+10。ただし、ラウンド中リアクション達成値-3。 --転生者-- 《遺産所持》 :-: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :遺産(黄金拳銃)常備化。 《英霊特性:命中》 :-: Aアクション :自動成功: なし : 自身 : なし : 2MP :【命中】ジャッジ達成+10。1シナリオ3回。 --強化人間-- 《見切り:抵抗》 :-: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :【抵抗】ジャッジがCの場合、[絶対回避]。 《幻想舞踏》 :3: Aアクション :自動成功: なし : 自身 : なし : 1P :ジャッジ結果をCにする。1シナリオSL回。 《ディフレクション》 :-: リアクション :【命中】: 対抗 : 自身 : なし : 5MP :物理攻撃に【命中】ジャッジで回避可能。1ラウンド1回。 《フルスウィング》 :-: マイナー :自動成功: なし : 自身 : なし :3MP・2C:【攻撃】ジャッジ達成+[SL×3]。 --アイテム-- 《シャープ・シューター》 :-: Aアクション :自動成功: なし : 自身 : なし : 1P :ダメージロール直後に使用。対象の【防御】ジャッジをFにする。1シナリオ3回。 《神罰代行》 :-: メジャー :【命中】: 対抗 : 単体 : 武器 :5HP・3P:ダメージ+5。またダメージを与えると対象の【防御】【魔防】-5。1シナリオ1回。 《ストライド》 :-: マイナー :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :通常移動を飛行状態として行う。 《パワーアシスト》 :-: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :同一Sqに攻撃できない武器以外の物理ダメージ+3。 《モバイルシステム》 :-: メジャー :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :どこでもアイテム購入可能。(フォートレス以外) 《メモリ領域》 :-: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :《メモリ領域》を持つ。《データファイル》使用可能。 《禁断の知識》 :-: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :【魔法力】+10。 《アンラック》 :-: 常時 :自動成功: なし : 自身 : なし : なし :【幸運】ジャッジ-5。 ■魔法 魔法記憶容量[【知力】+総合レベル]:10 名称 :LV:種別: タイミング : 判定値 :難易度: 対象 : 射程 : 代償 :効果 オラクル :1:汎用: メジャー :自動成功: なし : 効果参照 : なし : 4MP :GMに質問。1シナリオ1回。 フェザーウォーク :1:付与: Aアクション :自動成功: なし : 自身 : なし : 2MP2C :メインプロセス中、移動力+1 : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ■武装/魔装 重量上限[【筋力】+総合レベル]:16 魔法装備可能レベル合計[【知力】+総合レベル]:10 名称 :種別:部位:重量/LV:命中:回避:攻撃:防御:魔導:抵抗:魔攻:魔防:耐久力:魔法力:行動:移動: 射程 :備考 殲銃”ばいりーや” : 銃 :片手: 2/ :+2: :+8: : : : : : : : : :2Sq: 滅銃”えんでぃーる” : 銃 :片手: 4/ :-1: :+5: :+2:+1: : : : : : :2Sq: 強化符”開門” :防具:衣服: 3/ :+1:+2: :+6:-2:-2: : : : : : : : 強化符”千里眼” :防具:頭部: 2/ :+1: : :+2: : : : : : : : : : 黒いマント :防具:上半: 4/ : :-1: :+5: : : :+3: : : : : : 黒石のペンダント :道具: 他 : 1/ : :-1: :-2:+2:-1:+3:-2: : :-1: : : : : : / : : : : : : : : : : : : : : オートフィールド :防御: : / 1: :+1: :+1: : : : : : -1: : : : ファイターレリーフ :付与: : / 2: : :+4: : : : : : : -3: : : : : : : / : : : : : : : : : : : : : : 合計 : : :16/ 3: 3: 1:17:12: 2:-2: 3: 1: : -4:-1: :2sq: 武装/魔装 ※殲銃”ばいりーや” :黄金拳銃相当 ※滅銃”えんでぃーる”:神罰銃相当 ※強化符”開門” :スターイーグル相当 ※強化符”千里眼” :スナイピングゴーグル相当 ※黒いマント :戦羽織相当 ※黒石のペンダント :外道祈祷書相当 ■所持品 月衣収納上限[【筋力】×2+GL]:27 名称 :重量:効果 スマート0-Phone : 0:高性能0-Phone MUGEN-KUN : 0:借金可能 幸運の宝石 : 1:ファンブル打ち消し効果、1シナリオ1回 安藤印の野菜 : 1:【魔法力】を5回復する。1シナリオ1回 ■経験・お金残り 経験:0 お金:10,200v. ■設定 「おなか………すきました」 「あ、魔王です。危ない………ですよ。」 赤い長髪と蒼い瞳、白い肌を持つ中学生女子。 その正体は、前世に神業とよばれた名もなきスナイパーを持つ絶滅社所属の傭兵の一人である。 あまり感情を表に出さず、口数も多くない彼女であるだけに同学年の友達も少ない。 それどころか、イノセントが居る居ないに関わらず世界の真実に関してぽろぽろと喋っているため、 電波ちゃんだと思われてもいるらしい。 ……本人に自覚はなく、気にしてもいない所が問題ではあるが。 絶滅社において現在実験中の試験体No.1でもある。 実験の内容は、単体で高い戦闘能力を有する転生者を強化人間化する、というもの。 うまくいけばあの緋室灯以上の戦闘能力を手に入れるのではないかと上層部は期待している。 戦闘スタイルはかなりのインサイドファイター。狙撃の才能を至近距離から隙間に徹すことに使っており、 敵の懐にて右手のリボルヴァー”byrja”と左手のオートマティック”endir”を乱射して敵を早期殲滅していく。 なお、ドリームマンに憧れており、特注のマントを常に所持していることは秘密にできない秘密である。 追記。 夢使いに憧れているが、適正は0だと既に申告されている。
https://w.atwiki.jp/h_session/pages/5638.html
[部分編集] キャラクター名:伊達平助(コードネーム:ダーティフェイス・K) プレイヤー名:悪魔憑き 種族:人間 ワークス:愛乃パパ 年齢/性別:30/男 髪の色:黒 瞳の色:黒 肌の色:黄 身長/体重:170㎝/60㎏ ウィザードクラス:同調者 -LV5 :大いなる者 -LV2 スタイルクラス:[[キャスター]] -LV0 属性:〈水〉/〈天〉総合レベル: -LV7 使用経験点:59 未使用経験点:59 CF修正値:4 プラーナ 内包値:5 解放力:3 基本能力値 ベース 成長値 現在値 基本能力値 ベース 成長値 現在値 【筋力】 5 -- -- 【知力】 11 -- -- 【器用】 6 -- -- 【信仰】 10 -- -- 【敏捷】 8 -- -- 【知覚】 5 -- -- 【精神】 9 -- -- 【幸運】 11 -- -- 戦闘値 ベース クラス修正 特殊 総合 未装備 装備 最終戦闘値 【命中】(器用+知覚)÷2 = 5 0/2 -- -- 7 -1 【命中】 5 【回避】(敏捷+知覚)÷2 = 6 0/0 -- -- 6 【回避】 7 【攻撃】(筋力+器用)÷2 = 5 0/2 -- -- 7 +6 【攻撃】 16 【防御】(筋力+信仰)÷2 = 7 0/0 -- -- 7 +2 【防御】 9 【魔導】(精神+幸運)÷2 = 10 3/3 -- -- 16 +6 【魔導】 22+1 【抵抗】(敏捷+幸運)÷2 = 9 2/2 -- -- 13 +1 【抵抗】 14 【魔攻】(知力+精神)÷2 = 10 4/3 +3 -- 20 +18 【魔攻】 38 【魔防】(知力+信仰)÷2 = 10 2/1 -- -- 13 +1 【魔防】 14-1 【耐久力】 = 12 2/3 +14 -- 31 +2 【耐久力】33 【魔法力】 = 17 5/4 +14 -- 40 -2 【魔法力】38 【行動値】(筋力+敏捷+知力+信仰)÷3= 11 2/2 -- +6 21 -10 【行動値】11 (耐久力・魔法力の特殊は成長分) 同調者Lv5時点のクラス修正21212121344 【移動力】 ベース 特殊能力 未装備 装備 最終値 (未装備状態【行動値】)÷10+1 = 3 -- 3 -- 3Sq ■ライフパス 出自:魔法儀式 特徴:足掻く者/【魔導】+1【魔防】-1 生活:美人の連れ合い 特徴:パートナー/相棒が居る。 コネクション/関係 TIS/忘却 ミント/相棒 フェンティア/秘密(CCによる) ニンフ/友人 ほるん/師匠 翔子/生きれ [[セルヴィス]]/不倶戴天 [[イノー]]/助けたい 愛乃/父娘 ■特殊能力 名称 :SL:タイミング: 判定値 :難易度:対象:射程: 代償 :効果 汎用 : : : : : : : : 《月衣》 :-: 常時 :自動成功:なし :自身:なし: なし :所持品を隠せる。MNで展開。 《月匣》 :-: 常時 :自動成功:なし :自身:なし: なし :月匣を展開できる。 □キャスター 《魔法攻撃力UP》 :-: 常時 :自動成功: なし ;自身:なし: なし :魔攻+3+キャスターレベル □同調者 《メディウム発現》 :-: 常時 :自動成功: なし :自身:なし: なし :≪決死圏≫選択 《サポートオーダー》 :1: メジャー :自動成功: なし :単体:2sq: 2MP :≪決死圏≫選択 《バーストオーダー》 :-: メジャー :【魔導】: 対抗 :1sq:武器: 3MP :メディウムで範囲選択攻撃。1R一回 《世界記憶Ⅴ:ラック》 :2: オート :自動成功: なし :自身:なし: なし :《ラック》 《得意能力》 :1: 常時 :自動成功: なし :自身:なし: なし :世界記憶ⅢのSL上限+1 《記憶深化》 :1: マイナー :自動成功: なし :自身:なし: 1プラーナ :世界記憶のSL+2 《世界記憶Ⅲ:英雄幻想》 :1: メジャー :【魔導】: 対抗 :単体:4sq: 5c :+4/+12ダメージ 《世界記憶Ⅳ:現の夢》 :1: イニシア :自動成功: なし :自身:なし: 1プラーナ :戦闘能力+3/+5 《世界記憶Ⅵ:刹那のチャンス》:1: オート :自動成功: なし :自身:なし: なし :1Rに一回Cでプラーナ1回復 《トリックオーダー》 :1: オート :自動成功: なし :単体:5sq: 1プラーナ : 判定をCもしくはFに変更。1シナリオ一回 □大いなる者 《小さな奇跡》 :1: メジャー :自動成功: なし :自身:なし: なし :奇跡を起こす。 《混沌の運命》 :1: 常時 :自動成功: なし :自身:なし: なし :C値F値を二つずつ設定。 《陰の気》 :1: オート :自動成功: なし :単体:2sq: 10c :常時以外の特殊能力打ち消し 《暴走》 :1: オート :自動成功: なし :自身:なし: 2HP :F発生後シーンの間達成値+2。1シーン1回。 □汎用特殊能力 《魔装カスタマイズ》 :1: 常時 :自動成功: なし :自身:なし: なし :「決死圏」[[データ]]修正(修正済み) 《魔装弾幕》 :1: マイナー :自動成功: なし :自身:なし: なし : 《伝家の宝刀》 :4: 常時 :自動成功: なし :自身:なし: なし : 《闘気の才》 :3: 常時 :自動成功: なし :自身:なし: なし :内包値+3 《超不幸》 :―: 常時 :自動成功: なし :自身:なし: なし :CF修正値+1 《訓練:幸運》 :2: 常時 :自動成功: なし :自身:なし: なし :幸運+2 ■魔法 魔法記憶容量[【知力】+総合レベル]:18 名称 :記憶:LV:種別:タイミング: 判定値 :難易度:対象:射程: 代償 :効果 オラクル : ○ :1:一般: メジャー :【魔導】: ―― :自身: : 2MP : リフレクトブースタ : ○ :3:一般: オート :自動成功: ―― :自身: : 3MP : テレポート : ○ :3:一般: オート :自動成功: ―― :自身: : 5MP,3CT : バインド : ○ :3:弱体: メジャー:【魔導】: 対抗 :単体:2sq: 5MP,2CT :対象の移動力-3 アポート : ○ :4:一般: オート :【魔導】: 対抗 :単体:3sq: 9MP,3CT :対象を同一sqまで移動させる イミューンウェイト : ○ :2:付与: メジャー :【魔導】: 13 :単体:1sq: 4MP,10CT :重量-1 ■武装/魔装 装備重量上限[【筋力】+総合レベル]: 魔法装備可能レベル合計[【知力】+総合レベル]: 名称 : 種別 :部位:重量/LV:命中:回避:攻撃:防御:魔導:抵抗:魔攻:魔防:耐久力:魔法力:行動:移動: 射程 : マジックロッド : 武器 :片手: 2/ :-1: :+2: :+1: : : : : : : : : 懐胎新書(桃剣相当品): 武器 :片手: 4/ : : :+6: :+1: : : : : : : : : 絶斗雲 : 箒 :[[その他]]: 5/ : : : : :+1:+1: :+1: : :-1: : : 魔騎士の外套 : 防具 : 肩 : 1/ : :+1: :+2: :+1: :+1: : : : : : 外道祈祷書 :その他: : 1/ : :-1: :-2:+2:-1:+3:-2: : +10 : : : : フォースシールド : 魔装 :防御: /2 : : : :+2: :-1: : : : -3 : : : : ミント(決死圏相当品): 魔装 :攻撃: /7 : : : : :+1:+1:+15: +1: +2 :-9 :-9: :5sq: : : : / : : : : : : : : : : : : : : 合計 : : : / : : : : : : : : : : : : : : 武装/魔装 ■所持品 所持重量上限[【筋力】×2+総合レベル]: 名称 :重量:効果 幸運の宝石 : : MUGEN-KUN : : スマート0-Phone : : 0-Phone : : Evil-EYE : :抵抗+2 : : : : : : ■設定 彼女募集歴=年齢のまま30歳を迎えた誕生日。 ある都市伝説のままに魔法使いになった彼は、たぎる妄想を溢れんばかりに詰め込んだ同人誌「懐胎新書」が魔導書へと昇格したため、その魔力によって 書の精霊「ミント」を呼びだし、これまでの欲望を実現するべく、ひた走る。 固有結界「月下狂人(Crazy Cryer for The Moon/C24M)」で、自分や他人のアレな妄想を実現する。 ちなみに、本名は秘密w。 なお、書の精霊ミントのイメージは以下の通り。 http //www.broccoli.co.jp/ga/materials/chara/09_mint.html 先日のT.Cグラスパ撃退時に、囚われていたイノーを救出……しかし、瀕死だった彼女を救い過去を 切り捨てるため、愛乃として新生させ、結果子持ちとなる。 履歴 第八世界高空決戦(第五ミッション):経験点10:同調者LvUp http //manbeast.sakura.ne.jp/ero-on-session/up/upfile/3589.txt 「サイバーシティ」:経験点9:同調者LvUp 「阿崖湖が赤く染まる日」:経験点10:大いなる者Lvup 成長履歴: 5レベル再構築 1レベル・《メディウム発現》《バーストオーダー》《サポートオーダー》《魔装弾幕》《魔装カスタマイズ》 2レベル・《世界記憶Ⅲ》《世界記憶Ⅳ》 3レベル・《世界記憶Ⅴ》《記憶深化》 4レベル・《世界記憶Ⅲ》SL1→2《得意能力:世界記憶Ⅲ》 5レベル・《世界進化Ⅵ》《トリックオーダー》 汎用特技《闘気の才》SL2:10点消費(内包値4) 汎用特技《伝家の宝刀》SL2:10点消費 5レベル時点で大いなるものへ:10点消費 6レベル:《混沌の運命》《小さな奇跡》 汎用特技《超不幸》:5点消費 汎用特技《伝家の宝刀》SL2→4:10点消費 7レベル:《影の気》《暴走》 汎用特技《訓練》SL2:10点消費 発動魔法「アポーツ」「バインド」「イミューンウェイト」 アイテム「スマート0-phone」「Iris用追加データカード」購入:4点消費 伝家の宝刀によるアイテム:絶斗雲・魔騎士の外套・疑似人格システムIris・増設スロット。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6721.html
前ページ次ページ毒の爪の使い魔 「「ジャンガァァァァァーーーーー!!!?」」 叫びながら、ルイズとタバサは同時に飛び起きた。 荒い呼吸を繰り返しながら、周囲を見回す。 ルイズの部屋だった…、あの血の海は影も形も無い。 だが、目の前のベッドの上には眠ったジャンガの姿が在った。 ルイズとタバサは顔を見合わせる。 ルイズが、見た? とタバサに訊ねると、彼女は頷く。 そう、とルイズは呟き、眠っているジャンガに視線を向ける。 「目が覚めたみたいだな、お二人さん。にしても…随分とまた派手に相棒の名前を叫んでたな?」 突然声を掛けられ、ルイズとタバサは顔を上げる。 辺りを見回すと、ベッドの脇に立て掛けられた鞘からデルフリンガーが顔(?)を覗かせていた。 二人は今の叫び声を聞かれた事に顔を真っ赤にする。 「あ、ああ、あんた……い、今の事…誰かに言ってみなさい…、ただじゃすまさないからね!?」 ルイズはデルフリンガーを睨み付けながら、震える声で言った。 「解ってる、解ってるって…、そう睨み付けるんじゃねぇよ」 デルフリンガーのその言葉を聞き、ルイズは視線をジャンガに戻した。 目を閉じ、静かに眠っているジャンガの全身には治療の痕である包帯が巻かれており、 ワルドによって切断された左腕も、水の秘薬を用いた王宮の水メイジの治癒で何とか繋げられている。 そんな彼の痛々しい姿を見つめていたルイズは、ふと窓の外へと目をやった。 窓の外に広がる青空を見つめながら、ルイズはあの日の事を思い返した。 ――アルビオンから命からがら帰還した日。 ルイズ達は重傷のジャンガとウェールズの治療の為、急ぎトリステインの王宮へと向かった。 王宮に着くや魔法衛士隊の一隊であるマンティコア隊に囲まれてしまったが、 その場に現れたアンリエッタのおかげで事無きをえた。 アンリエッタはウェールズとジャンガの治療を王宮の水メイジに任せ、ルイズから任務についての報告を聞いた。 ワルドが裏切り者だった事…、そのワルドは死んだが結果的に手紙は奪われてしまった事…、 死んだとばかり思っていたウェールズをジャンガが連れ出してきた事…等など。 アンリエッタはそれらの報告を聞き終えるとルイズ達に礼を述べた。 ――結局、治療の甲斐無く…ウェールズは帰らぬ人となってしまった。 だが、ジャンガの方は奇跡的に一命は取り留める事が出来た。 最愛の人を失ったアンリエッタは嘆き悲しむかと思われたが…以外にも取り乱さず、王女として気丈に振舞った。 そしてアンリエッタはタバサの母を王宮で預かる旨を伝えた。 手紙は奪われたと言うのに何故? と疑問を浮かべるルイズ達にアンリエッタは言った。 ボロボロの身体になってまで自分との約束を果たそうとしてくれたジャンガに報いる為…と。 そしてルイズ達は治療されたジャンガを連れ、魔法学院へと戻ったのだった。 そこまで思い返したルイズは思考を戻し、再度ジャンガを見つめる。 静かな寝顔であった…、静か過ぎるほどに…。 既に死んでいるのではないかと錯覚してしまうくらい、彼は静かに眠っている。 寝息の音も殆ど聞こえないのだ。 しかし、生きている証拠に呼吸音も心音も聞こえる。 ただ…目を覚まさないのだ。…もう、一週間になるだろうか? 前に召喚した際は三日三晩で起きたが、今回は既に倍の日数が経過している。 なのにまるで目を覚ます気配が無い。――そろそろ本気で心配だ。 「ねぇ…デルフ?」 「あんだね、娘っ子?」 声を掛けたルイズにデルフリンガーは返事を返す。 「こいつ…どうして目を覚まさないのかな? それにルーンも戻らないし…」 言いながらルイズは彼の左手を取った。その甲には何も無く、綺麗だった。 ルイズはこのベッドに彼を寝かせると、直ぐに『コントラクト・サーヴァント』を行った。 最初に召喚した時は口付けた後、直ぐにルーンが刻まれたのだが…、今回は違った。 何故かルーンは刻まれなかったのだ。いや、刻まれないどころか…何の変化もおきなかったのだ。 勿論、ルーンが刻まれる際の淡い輝きも無い。 どういう事だ? とルイズは悩み、もう一度コントラクト・サーヴァントを行った。 しかし、結果は同じで、やはり何も起きなかった。 原因も解らず、とりあえずはジャンガが目を覚ますのを待つ事にしたのだった。 デルフリンガーは暫く考えるように黙り、やがて口を開いた。 「正直な所…俺にも解らねぇな。何しろ相棒の…特にルーンについての事は何もかもが前代未聞だからよ。 何故コントラクト・サーヴァントが上手く行かないのか…、何故相棒が目を覚まさないのか…、何も解らないね」 ただ、とデルフリンガーは呟く。 「相棒自身が目覚める事を拒んでいる……って事も考えられるかもな」 そのデルフリンガーの言葉にルイズとタバサは呆然となった。 脳裏に今しがた夢で見た光景――血の海に沈み行くジャンガの姿がフラッシュバックする。 血の海に沈みながら自分達に礼を言う前……あいつは何と言っていた? ――…まァ…どうでもいいか…。…どの道…これで終わりだしよ…―― …確かそう言っていた。 ”ジャンガが目覚める事を拒んでいる”と言うデルフリンガーの言葉に信憑性を持たせるには十分すぎた。 ルイズは唇を噛み締めた。自然と目に涙が浮かび、視界が歪む。 ――こいつがあんなに辛い過去を抱えていたなど知らなかった。 知る機会が無かったと言えばそれまでだが……それでもやはり悲しかった。 自分の使い魔なのに、何も知らなかった事が、とても悲しかった。 ルイズは手にしている始祖の祈祷書を握り締めた。 本来ならば結婚式の場で選ばれた巫女は、それを手に詔を読み上げるべきであり、 その巫女にアンリエッタはルイズを指名するはずであった。 だから、アンリエッタは手紙を奪われたとは言え、ルイズへと始祖の祈祷書を手渡したのだった。 「ジャンガ……あんた、それでいいの? このまま…ずっと寝てるつもり? 悲しくて…、辛いからって…、それじゃ逃げてるような物じゃない? あんたがいなかったら…寂しいじゃないの。わたしもタバサも……あんたの事待ってるのよ? 早く目を覚ましなさいよ…。…シェリーさんだって、悲しむじゃない…」 そう呟くルイズの目から涙が数滴零れた。 ルイズが呟いている間、タバサもまたジャンガを静かに見つめ続けた。 最初は嫌な相手だった…、いや…事実優しさなどは無かったかもしれない。 だけど、それもある意味では仕方ない事かもしれない。…自分だって似たようなものだから、余計に解ってしまう。 それに……良く似ているのだ…、彼は”彼女”に…。 そんな彼はいつも自分を気遣かってくれていた…。 ――実家では自分の為に涙を流してくれた。 ――親友と対峙した時は自分の背中を押してくれた。 ――エルフに捕まった時は傷だらけになって自分を助けてくれた。 ――そして……アルビオンでは身を挺して自分を庇ってくれた。 テーブルの方へと目をやる。 椅子にはジャンガのコートや帽子が掛けられており、テーブルの上には大きな銃や古ぼけた小箱が乗っていた。 その古ぼけた小箱の中には無駄な装飾の無い、簡素な指輪が入っていた。 …その指輪が何か最初は解らなかったが、あの夢を見た今となっては嫌というほど良く解った。 そして、この小箱と銃が彼の命を助けた。 ワルドの『エア・ニードル』で貫かれた際、これらが急所を僅かに逸らしたようだ。 その証拠に小箱には穴が開き、銃には僅かな損傷が見られた。 それは夢の中で見たジャンガを案じていた二人の亜人が、彼を庇ったかのようにタバサには思えた。 「結局……私は足を引っ張っただけ……」 自然と涙が零れた。 ジャンガの助けになりたい……その一心で自分は彼の後を追ったのだ。 だが、結果はどうだ? 自分のミスで彼は傷を負い、こうして眠り続けている。 自分は彼の騎士になったつもりだったが……そうじゃなかった。 ――自分は彼の”お荷物”なのだ。 タバサは己の無力を心の中で嘆いた。 唐突に扉がノックされた。 その音にルイズもタバサも、ハッ! となり慌てて涙を袖で拭う。 ルイズは、誰? と扉に向かって声を掛ける。 「あたしよ。入ってもいいかしら?」 聞こえてきたのはキュルケの声だった。 「鍵は開いてるわ」 そう答えると、ガチャリ、と音がして扉が開き、キュルケが部屋に入ってきた。 後ろにはギーシュとモンモランシーの姿が在った。 「どう? 彼の様子は」 「…見ての通りよ」 キュルケはベッドに横たわるジャンガを見て、ため息を漏らした。 「そう…まだ起きないのね」 ギーシュとモンモランシーも寂しげな表情を浮かべる。 キュルケはルイズとタバサの肩に両手を乗せた。 二人が顔を上げるとキュルケが優しく微笑んでいた。 「心配しなくても大丈夫よ。こいつがそう簡単にどうにかなるわけ無いでしょ? そのうち何事も無く目を覚まして、また”バァーカ!”とか言うに決まってるわよ。 …だから、あなた達も元気を出しなさい」 その言葉に二人は笑みを浮かべると揃って頷いた。 と、再び扉がノックされた。扉が開き、中に入ってきたのはシエスタだった。 シエスタは、いつものメイド服ではない。木綿のシャツに茶色のロングスカートの私服姿だ。 その服装と手にした大き目の鞄を見て、ルイズはシエスタに尋ねた。 「あなた、何処かへ出かけるの?」 「はい、休暇を頂いたので…実家の在るタルブの村に帰ろうとしていたところで。 それで……もし、ジャンガさんが目を覚ましていたら、是非来てほしいと思ってたんですが……」 そこまで言って、シエスタはベッドの上のジャンガの姿を認め、悲しそうな表情をする。 「…まだ目を覚ましていないようですね」 「残念だったわね…」 ルイズが気の毒そうな声で答えた。 暫く意気消沈していたシエスタだったが、やがて軽く首を振るとルイズに向き直る。 「あの、ミス・ヴァリエール? もし宜しかったら…タルブの村までお越し頂けませんか? ミス・タバサも」 ルイズとタバサは目を丸くする。 「え? な、なんで?」 シエスタはルイズに歩み寄り顔を覗き込む。 「だって、ここのところお二人は、ずっと看病でジャンガさんに付き添っていたじゃないですか? 流石に疲れも溜まっていると思いましたから」 「…いいわよ、気を使わなくたって」 「わたしも遠慮する…」 ルイズとタバサは揃って申し出を断った。 そんな二人にキュルケ達が声を掛ける。 「そう言わないで行って来なさいよ。この娘の言うとおり、一週間も付きっ切りだったじゃない。 ここらで休んでおかないと身体が持たないわよ?」 「そうさ。気を張り詰めてばかりは美貌にもよくない。君達も立派なレディだからね」 「ま、細かい説明は抜きね。わたし達が代わりに彼を見ていて上げるから、二人は息抜きをしてきなさい…って事よ」 ギーシュとモンモランシーにも促され、ルイズはため息を吐いた。 「もう…あんた達もお節介ね」 そう言いながらもルイズは嬉しそうに顔を綻ばせた。 そして、それはタバサも同様だった。 そんな訳で、キュルケ達のご好意に甘えたルイズとタバサはシエスタの案内で、彼女の故郷であるタルブの村へとやって来た。 村は活気に溢れ、緑に囲まれたそこはとてものどかな印象を受けた。 ルイズとタバサはそんな村の雰囲気を気に入った。 もっとも…村までの移動にシルフィードを使ったため、一時村中が大騒ぎになったりしたが…。 騒ぎが静まり、貴族の客と言う事で挨拶に出てきた村長との会話もそこそこに、二人はシエスタの実家へと案内された。 簡素な家だった、外だけでなく中身も。少なくとも貴族の住む屋敷などとは雲泥の差だ。 しかし、何故だか心が落ち着く。素朴な感じがそう感じさせるのかもしれない。 ルイズはきょろきょろと物珍しげに辺りを見回す。 思えば平民の…こんな田舎の村の家に入る事など無かったのだから、珍しいのは当然だ。 と、キョロキョロと見回していたルイズの視界に思いもよらない物が飛び込んできた。 そして、ゆっくりと棚に歩み寄ると”それ”を手に取る。 ポケットから自分が持っている物を取り出して”それ”と見比べる。 ”それ”は自分が手にしている物と寸分違わぬ物だった。 「なんで……こんな所に有るの”これ”が?」 間違い無く、それは”ヒーローメダル”だった。 「それは、わたしのひいおじいちゃんの遺品なんです。でも、まさか王家に伝わる物と同じ物だったなんて…驚きました」 お茶を持ってきてくれたシエスタが、飾られていたヒーローメダルを見つめるルイズとタバサに説明する。 なんでも、彼女の曽祖父にあたる人物は、ある日ふらりと唐突にこの村に現れた。 何処から来たかのかは愚か…自分の名前すら覚えていないと言う記憶喪失の状態だった。 しかも、人間かと思われたその男は実は亜人だったらしい。 最初は村中の人から警戒の目で見られていたそうだったが、無理も無い事かもしれない。 だが、そんな彼も一人の女性…シエスタの曾祖母とその家族に暖かく迎えられた。 「話してみれば、ひいおじいちゃんはとても優しく明るい人だったそうです。 働き者で面倒見も良かったそうで、村の皆とも徐々に打ち解けていけたそうで。 …わたしは直接会う事は出来なかったんですけどね」 言いながらシエスタは手に持った帽子を見つめた。 それに気付いたルイズが尋ねる。 「その帽子も?」 「はい、ひいおじいちゃんのです。変わった形ですよね」 緑色の帽子は確かに見慣れないデザインではあった。 触ってみて解ったが、その素材も一般に出回っている物とは違っている。 …最早疑う余地も無い。その亜人の男はジャンガと同じ世界から来たのだろう。 改めてヒーローメダルを見つめた。 自分がアンリエッタから手渡されたそれと同じ青色をしていた。 ジャンガが言ったとおりなら、持ち主が無くなったから色も元に戻ってしまったのだろう。 ふと、ルイズは気になってシエスタに尋ねた。 「ねぇ、一つ聞いていい? あなたのひいおじいさんのこれは、最初からこの色だった?」 それを聞いたシエスタは少し考え、首を振った。 「いえ、最初は金色だったそうです、父や母も見ていたそうですし。今は何故か青色になっちゃったんですけどね」 そう、と答えルイズはため息を漏らした。 こんな田舎に金色のメダルの持ち主が居た……それが少し悔しかった。 自分が尊敬する姫さまは青色だったのに…。 そんな風に気落ちするルイズの気持ちを知ってか知らずか、シエスタが徐にルイズの手を取った。 「あの、ミス・ヴァリエール? 是非見せたい物があるんです」 「見せたい物…? …いいわ、案内して頂戴」 「ありがとうございます。…ミス・タバサもご一緒にどうですか?」 「…行く」 短くそう答えると席を立った。 シエスタに案内された二人が辿り着いたのは、村の外に何処までも広がる広い草原だった。 所々に花が咲き、山の向こうに沈み行く夕日に照らされ、とても幻想的である。 目の前に広がる光景の素晴らしさに二人は暫し言葉を失った。 こんなに綺麗なのはまだ見た事が無い。 「気に入っていただけました?」 シエスタの言葉に二人は頷いた。 それにシエスタは顔を綻ばせ……寂しげな表情で草原を見た。 「この草原とっても綺麗でしょう? …本当はこの光景、ジャンガさんに見せたかったんです」 「そう…」 「……目を覚ましますよね、ジャンガさん?」 「当然よ」 即答だった。その言葉には迷いも何も感じられない。 「あいつはわたしの使い魔なんだから、ずっと眠ったままなんて許さないんだから。 今は連日のハードなスケジュールで疲れているだろうから、特別に寝かせてあげているのよ。 目を覚ましたら溜まりに溜まった洗濯物を嫌でも押し付けてやるわ、押し付けてやるんだから!」 プンプンと起こったような調子でそう捲し立てたルイズを見て、シエスタはクスリと笑った。 「そうですね」 タバサは何も言わなかった。 翌朝。 二人は結局、シエスタの実家に一泊したのだった。 そしてタバサはルイズを学院へ送り届けた後、思い出の場所へと降り立っていた。 そこは自分が一人で最初に訪れた外の世界。 そして、自分が生きるための力を教えられた場所。 「お姉さま、こんな所に何のようなのね? ここはあんまり良くない雰囲気がするのね、きゅい」 後ろからヒョコヒョコと付いてくるシルフィードの言葉に答えず、タバサは歩を進める。 やがて、目の前に目的の物が見えてきた。 僅かに盛り上がった土の上に弓が立てられている。 弓は立派な物だったようだが、雨風に晒されて痛んでいる。 それでも元々丈夫に作られていたらしく、未だ原型を留めていた。 それが何なのかシルフィードは一瞬理解できなかった。 「お姉さま、これはなんなのね?」 「お墓」 ただそれだけ言うとタバサは片膝を付き、手を合わせる。 そして目を閉じると祈りをささげた。 墓の下に眠るのは自分にとって掛け替えの無い友人であり、恩人であり、…師でもあった。 戦いも知らずただ泣き叫ぶしかなかった無力な少女…、それを変えてくれたのが彼女だった。 生きる事の大切さ、意味、その手段、色々な事を彼女から学んだ。 今でも思う…、彼女に遇っていなかったら…今の自分はなかったはずだ。それに―― ――母さんはどうすんのさ。心を奪われてたって、まだ生きてるんだろ?―― ――母さんをほっといて死にたいだって? 親不孝もいいところじゃないか―― 彼女に言われた言葉が脳裏によみがえり、タバサは思わず笑ってしまった。 「この前…実家であなたと同じ事を言われた」 そう言って思い返されるのは実家に帰ったあの日の事。 母の部屋でジャンガに今の自分を非難された。 あの時は許せなかった…、彼女に言われた時のように…自分の領域にずかずかと踏み込んでくる彼が。 でも、その考えは直ぐに改めた。…彼は決して、自分を嘲り笑うつもりで非難した訳ではなかったからだ。 ――それによ……テメェには、まだ親が……母ちゃんがいるじゃねェか―― ――くだらねェ…、くだらねェ…、本当にくだらねェ…。テメェはバカだ、救いようの無いバカだ! 俺以上にな!! …もしかすれば、元に戻るかもしれない親が居るだけ…テメェは幸せなんじゃないのかよ!!?―― 意味合い的には全く変わらない二人の言葉にタバサはふと気が付いた。 「そういえば…似ているかな?」 思えば共通点が多いような気がした。 その生き様や性格など、似通っている所は結構思いつく。 そんな二人がもし出会ったら…、きっと気があったかもしれない…とタバサは思った。 根拠は無いが確信が持てた。 そうして暫く思い出に浸っていたタバサは、背後に広がる森を振り返る。 『ファンガスの森』…昔、貴族が建てた塔で作られた合成獣<キメラ>が徘徊する危険極まりない森。 ここで自分は彼女…ジルと出会い、そして変われた。 その森にタバサは今一度踏み入ろうとしている。 その理由は”強くなる”ただそれだけ。 もう足手纏いにはなりたくないから…、誰も傷付けたくないから…、そして…今度こそ彼の力になりたいから。 キメラドラゴンほどの個体はもういないだろうが、それでも並の幻獣よりも歯応えのある相手はいるだろう。武者修行には丁度いい。 …まさか、その場凌ぎの嘘であったのが、こうして本当に来る事になろうとは思いもよらなかったが。 タバサはシルフィードの頭を撫でながら言った。 「用が済んだら呼ぶ」 そして再び墓を振り返る。 「…強くなって戻ってくる。だから…見守っていて」 それだけを言うと、タバサは森へと歩き去っていった。 ――数週間後。 それはルイズ達がアルビオンから帰還してから約一ヵ月後の事だった。 突如としてアルビオンが新国家『レコン・キスタ』と名を変えてトリステインへと宣戦布告をしたのは…。 前ページ次ページ毒の爪の使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7360.html
その日、トリステイン魔法学院新2年生のルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはペンギンみたいな、でもどこかぬいぐるみのように作り物じみた生き物を召喚した。 それもけっこうたくさん。 彼らはどうやら『プリニー』と呼ばれる種族らしい。 曰く、元は人間である。 曰く、罪を犯して死んだ魂が中に入っている 曰く、罪を償うために働いてお金を貯めないといけない 曰く、投げると爆発する 曰く、曰く、曰く…… 色々と話を聞いたものの、どうにもルイズにはピンとこない。 というかそもそも、そんな与太話としか思えないような話を信じられるわけが無かった。 「とりあえずそんなことはどうでもいいから使い魔として働きなさい!」 「お給料くれるんならイイっスよー」 なんとものんきな返事であった。 * かくして、ルイズとプリニーたちの新しい生活が始まった。 「服。着替えさせて。そこの一番下の引き出し」 「あ、これッスね。どうぞッス」カシャ 「下着の色は白とピンクとベージュ。どれがイイっスか」カシャ 「そうね、今日はちょっと気分を変えて水色にしましょう」 「ルイズさまー。このブラウスほつれてるッスー。替えはどこッスかー?」カシャ 「あら?そっちのクローゼットに入ってない?」 「あ、コレっスねー」カシャ 「……ねぇ、さっきからなんか変な音しない?」 「「「なんのことッスかー?」」」 後日、男子生徒の間で着替え途中のルイズを鮮明に描いた絵姿が出回り、主犯である水棲鳥類っぽいものたちと、絵姿を購入した男連中がまとめて爆砕されるという事件がおきるもそれはともかく。 この頃からルイズの日常はだんだんと波乱万丈なものへと変わっていった。 二股を掛けた男子生徒をプリニーどもが総掛かりで袋叩きにしてみたり。 学院を襲撃した怪盗『土くれのフーケ』が作り出した30メイルにも及ぶゴーレムにプリニーをぶん投げて爆砕してみたり。 反乱軍レコン・キスタに壊滅させられそうな王党軍へと大使として派遣されたアルビオンにて、こっそりトリステイン王国を裏切っていたワルド子爵とウェールズ皇太子が壮絶な相討ちを繰り広げたり。 タルブ村周辺に進軍してきたレコン・キスタ軍(このころになると神聖アルビオン帝国と名乗っていた)と戦うため、タルブ村にあった竜の羽衣(プリニーの1匹、グラフィアカーネは「何でこんな所にネーベルヴィントがあるッスか!?」と騒いでいた)に乗り込み、上空で始祖の祈祷書から会得した虚無の系統魔法『エクスプロージョン』を放って戦艦の群れを薙ぎ払ってみたり…… たまには辛いことが起こったり、戦争に巻き込まれたりしつつもルイズとプリニーたちはのんびりかつちょっぴりスリリングな毎日を送っていた。 しかし……。 * それは、ルイズの幼馴染にしてトリステインの女王、アンリエッタが何者かによって王宮より誘拐された事件において。 邪悪な水の先住魔法によって操られるアンリエッタのかつての恋人、ウェールズの遺体を新たな虚無魔法『ディスペル』によって取り戻し、赤い月が昇るラグドリアン湖畔に水葬しようとしたときのこと。 「……ああ、もうそんな時期ッスかー……」 「……サウレ?どうしたの?」 「ルイズさま、今までお世話になりましたッス。どうやらお迎えが来たようッス」 「……え?」 ふと気づけば湖面に立つ怪しい人影。 『彼』をプリニーたちは『死神』と呼んだ。贖罪を終えたプリニーたちを新しい『始まり』へと連れてゆく、水先案内人だと。 「や、ちょ、待って!待ってよ!?どうして!?どうして行っちゃうの!?いいじゃない、いいじゃないのよ!ここにいれば!いなさいよ!アンタ、私の使い魔でしょう、勝手にどっかに行って良いわけ無いでしょう!?こら、光るな!浮かぶな!降りてきなさい!いいいいいい加減にしないとふふっふふ、ふ、ふっ飛ばすわよ!」 杖を振り上げ、呪文を詠唱するルイズをそっと抑える残りのプリニー。 「や、コラ!離せ!離しなさいよ!」 「やー、そんな熱心に引きとめてくれるのは嬉しいんッスけどねー」 「でもね、ルイズさまー。コレばっかりはどうしようもないんスよー」 やんわりと、しかし、はっきりとした態度で。プリニーたちは言う。 もう、サウレはここに留まってはいられないのだと。 普段はいい加減で、てきとーで、怠け者な彼ら。その彼らが初めて真面目な表情で。でもどこかうつろな瞳で。 だから、ルイズも理解した。理解せざるをえなかった。 「……ねえ、どうしても?どうしても、行かなくちゃいけないの?」 「ごめんなさいッス、ルイズさまー。みんなー、あと任せてイイっスかー?」 「しょーがないッスねー」 「メンドくさいッスけどー」 「こら、ご主人様のことをしょーがないとかメンドくさいとか言うんじゃないわよ……バカぁ……」 「や、すんませんッス。……ね、ルイズさま。オレにはこんなモンしか残してあげられないッスけど……。 がんばって、くださいッス」 そうして、サウレの体を包んでいたうすぼんやりとした光が天に輝く赤い月へと昇っていったあとには まるで中身を抜かれたぬいぐるみのようぺしゃんこになった、プリニーの皮だけが残されていた。 * それから。 事件が起こるたびに1匹、また1匹と櫛の歯が抜け落ちるようにプリニーたちは天に召されていった。 最後まで残っていた1匹、エポナも戦争で七万もの大軍を足止めするために殿としてアルビオン大陸に残り……。 トリステイン軍の撤退が完了した直後に赤い月が昇ったから、召されていったのだろう。 そうして、ルイズの傍にあれだけたくさんいたプリニーたちは1匹もいなくなってしまった。 サウレが残した皮を加工し、仕立て上げたフード付きマントを羽織ったルイズは「これでうるさいのがいなくなってせいせいしたわ!」と普段と変わりないように振舞っていたが、やはりどこか寂しげだった。 そんなルイズの感傷などお構いなしに世の中は動いていく。 ルイズと同じ虚無の担い手であり、ハルケギニア随一の大国を支配する王、ジョゼフ。 かの王の命により、北花壇騎士タバサがルイズを攫いに襲いかかってきたのだ。 * 「まてぃっ!」 トライアングルメイジたる雪風のタバサとジョゼフ王の使い魔、ミョズニトニルンのシェフィールド。 そしてシェフィールドが操るスキルニル部隊。 彼女たちによって追い詰められたルイズは苦し紛れに再びサモン・サーヴァントを唱えていた。 進級試験の時と同じように現れた、光り輝くゲート。 そこから飛び出してきたのは……。 「……プリニー?でも、色が違う……」 姿かたちは間違いなくプリニー。 しかし、ルイズが知っているプリニーは皆青かった。だが新たに現れた2匹は片方は薄い緑色、片方は黄土色をしていた。 その片割れが声を張り上げる 「かつての恩を返すため!」 「いやー、僕はそうでもないんだが」 「この身を異形の姿に変えて!」 「全力で不本意だけどね?」 「ミス・ヴァリエールの危機にはせ参じる!」 「なあ、何でそんなに熱血してるんだ?」 「プリニーウェールズ!」 「あ、プリニーワルドだ」 「ふたりはプリニー!!」 「なあ、やっぱこれ恥ずかしいって。ほら、みんな唖然としてるじゃないか」 どうやら、ルイズの知っている二人のようだった。 * 「ええぃっ、かかれスキルニル!」 「おっと、流石に数が多いな。ひい、ふう、みい…ざっと7・8体といったところか?」 「一応、失敗魔法で3体は仕留めたんですけどね」 「ほほぅ、それはそれは。やるようになったじゃないか、ルイズ。 ……うん、そうなると僕も成長した所を見せないとね」 土を蹴り上げて襲ってくるスキルニル部隊。 数を減らしたとはいえ、またタバサをプリニーウェールズが抑えているとはいえいまだ数の差は圧倒的と言える。 だがしかし、プリニーワルドはうろたえた様子も無く、まるでこの程度の数は何の障害もならないと言いたげであった。 「さてルイズ。このプリニーという種族の体は特殊な入れ物に人間の魂を詰めた……いわば動くガラス瓶のようなものでね?」 「あの、ワルド様?ちょっとのんびりしすぎじゃ……」 「まあまあ慌てない。最後まで聞きたまえ。ええと、どこまで話したっけ……そうそう、プリニーの体というものは人間に比べてはるかに構造が単純なんだ」 だから、こういうこともできる。 そう締めくくると、プリニーワルドは目にも止まらぬ速さで呪文を詠唱する。まさしく『閃光』のごとく。 そして完成するのは…… 「ユビキタス・デル・ウインデ!」 かつて、ルイズたちをさんざんに翻弄した風のスクウェア・スペル。 それはこの場においても非常に強力な魔法だった。 主に、数的な意味で 「……あのー……」 「ん、なんだいルイズ」 「この数は、流石にやりすぎじゃないでしょうか……?」 「はっはっは、そうかい?」 「やりすぎですよ!なんですか40体って!?」 「いやー、この体偏在が作り易くて」 かくして、40体の偏在プリニーワルドによってスキルニル部隊は袋叩きにされ。 残ったタバサとシェフィールドもプリニーウェールズとプリニーワルドが放ったプリニー族の固有能力『プリニー踊り』によって眠らされるか麻痺させられて捕縛(シェフィールドは毒も喰らっていた)され、ルイズはかろうじて窮地を脱したのであった。 * そうしてラ・ヴァリエール嬢誘拐未遂事件もひと段落つき、ルイズは疑問を2人(というか2匹)に投げかけた。 どうしてそのような姿をしているのか。どうして自分のところにやってきてくれたのか。 前者の答えは簡潔で『罪を犯したから、その贖罪のため』であり、後者の答えは…… 「ま、彼の粋な計らい、というやつさ」 「彼……?」 そう言ってウェールズが指し示す方を見るルイズ。そこには 「……あ、あんた……」 いつかの、ラグドリアン湖畔で初めて出会い、その後も度々顔を会わせた『彼』。 すなわち、『死神』が音も無く佇んでいた。 * かくして、ルイズとプリニーたちの新しい生活が始まった 「魔界戦記ディスガイア」からプリニーを召喚
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1484.html
早朝のヴェストリ広場、朝の霧の中を二つの影が目まぐるしく動き回る。 リゾットは土中から相手を取り囲むように刃物を出現させ、一斉に相手に向けて放つ。それに対して相手は跳躍すると同時に『レビテーション』を使って浮き上がり、刃物の囲みから抜け出した。 宙に浮いた相手に駆け寄りつつ、リゾットがなおも刃物を射出するが、出現した無数の刃物はその一つ一つが相手が飛ばした氷の矢によって撃ち落された。 朝の薄い光の中で砕けた金属と氷の欠片が乱反射し、煙幕のようにお互いの視界を遮る。 視界が晴れた時、リゾットの姿は消えていた。 きょろきょろとリゾットを探すが、その間もなく砕かれた刃物が空中で再構成され、容赦なく襲い掛かる。それらをマントや杖で叩き落し、身のこなしで回避しつつ、口元を隠し、素早く呪文を詠唱し、杖を振る。 途端に周囲の温度が下がっていく。だが、人間にすぐに害になる温度ではない。リゾットは気にせず、攻撃を続けようとした。 だが次の瞬間、そのリゾットの位置に正確に『ウィンディ・アイシクル』が叩き込まれる。 「!?」 驚愕しつつ、氷の矢をある程度、デルフリンガーで吸収し、残りを自らの剣技で切り払う。 その僅かな驚愕が作った隙に相手はリゾットの側面に回りこみ、『エア・ハンマー』を打ち込む。 「相棒、横だ!」 デルフリンガーが警告を発するが間に合わず、氷の矢の対処に気をとられたリゾットはそれを直に受け、吹っ飛んだ。倒れた拍子に霜柱が折れる音が聞こえ、リゾットは相手がどうやってこちらの位置を掴んだのかを理解した。 跳ね起きたリゾットの目に、喉元に向けてすさまじい勢いで迫る杖の先端が映る。 相手は『エア・ハンマー』を撃った直後に『フライ』を唱え、その加速を突きに利用したのだ。ただの木の杖といえど、急所に打ち込まれれば致命傷を負いかねない。 避けるのは間に合わないと判断し、リゾットは杖の先端を手で受ける。杖の先端がリゾットの手を抉るが、その勢いに逆らわず自分自身の上体を回転させ、蹴りを放つ。 小柄な身体が宙を舞った。相手は大地に打ち付けられる所で受身を取り、転がりながら立ち上がる。見ると、リゾットもデルフリンガーを構えなおしていた。 再び二人は向かい合い、視線が交錯する。が、突然、リゾットが剣を下げた。 「こんなところでいいだろう。これ以上やるとどちらかが死にかねない」 その言葉に、相手は無言で頷き、杖を収めた。 第二十章 タバサと小さなスタンド使い 「……満足したか?」 リゾットの問いに、今までリゾットと戦っていたタバサは頷いた。 何故二人がこんなところで実戦さながらの組み手をしたのかといえば、朝の訓練をするリゾットへ、タバサが組み手を申し込んだからだ。 リゾットも一人でトレーニングをするよりは、相手がいた方が訓練としての質があがるので引き受けたのだが、その理由は計りかねていた。 「よければ聞かせてくれ。なぜ俺と戦おうと思った?」 タバサは無表情にリゾットをみつめている。答えないと思ってリゾットが諦めかけたその時、不意にぽつりと呟いた。 「貴方はスタンド使い」 「……スタンド使いと戦ってみたかったのか?」 タバサは頷いた。受けてくれたのだから、一応、理由くらいは教えてもいいと思ったらしい。 「経験が必要」 DIOの館でタバサは自分自身も所属している北花壇騎士団を脱走したケニー・Gに敗北した。幸い、命は助かったが、あそこで終わっていてもおかしくなかった。 タバサは母を守るため、復讐のため、強くならねばならない。そのために知識を蓄え、魔力を得、様々なタイプの敵と戦って力を得る必要がある。 スタンド使いが叔父王の配下にいるというならば、スタンド使いとも戦わなければならない。そして手近にいたサンプルがリゾットだった、というわけだ。 リゾットはDIOの館の経験を通して、自らの母親の仇を討つ、というタバサの目的を何となく察している。自分も相手は違うものの復讐が目的であり、タバサの力になれることなら力になりたかった。 「スタンドに興味があるのか?」 タバサは頷く。リゾットはしばらく考えていたが、この機会にスタンドについては話すことに決めた。 「分かった。確かに、敵として出会う可能性も高い。今度、キュルケやルイズやフーケも交えてスタンドについてきちんと話そう」 リゾットの言葉に、タバサは頷いた。 「ところでタバサ……、髪とマントが乱れている。授業に行く前に直した方がいい」 タバサはまた頷いた。 トリステインの城下町、ブルドンネ街では派手に戦勝記念パレードが行われていた。 聖獣ユニコーンに引かれた王女アンリエッタの馬車を先頭に、高名な貴族たちの馬車が後に続く。その周りを魔法衛士隊が警護をつとめている。 狭い街路だけでなく、通り沿いの窓から、屋上から、屋根から人々はパレードを見つめ、口々に歓声を投げ掛けた。 「アンリエッタ王女万歳! トリステイン万歳!」 数で勝るアルビオン軍をタルブ草原で討ち破った王女アンリエッタは『聖女』と崇められ、今やその人気は絶頂である。 民の人気だけに留まらず、タルブ草原での戦いは政治状況を一変させていた。 この戦勝記念パレードが終わり次第、アンリエッタには戴冠式が待っている。母である大后マリアンヌから王冠を受け渡されるのだ。 当然、王になるのだから、ゲルマニアとの婚約は解消である。ゲルマニアはそれを渋々承知した。一国でアルビオンの侵攻軍を破ったトリステインに、強硬な態度が示せるはずもない。 同盟の解消など論外である。アルビオンの脅威に怯えるゲルマニアにとって、トリステインは今やなくてはならぬ強国となっていた。 賑々しい凱旋の一行を、中央広場の片隅で捕虜となったサー・ヘンリー・ボーウッドはぼんやりと見つめていた。彼は炎上したレキシントン号を不時着させるため、最後まで艦に残ったため、トリステインの捕虜となったのだった。 捕虜といっても、杖を取り上げられるだけで、縛られているわけではない。見張りこそ置かれているものの、ボーウッドを含めた貴族の捕虜たちは、広場の片隅で思い思いに突っ立っている。 貴族は捕虜となる際に捕虜宣誓を行う。その誓いを破ることは貴族として最大級の汚名であるとされ、名誉を重んじる貴族たちにとって、それを破ることは死んだも同然なのだ。 「見ろよ、ホレイショ。僕たちを負かした『聖女』のお通りだぜ」 ホレイショと呼ばれた貴族は太った身体を揺らしながら答えた。 「ふむ……、女王の即位はハルケギニアでは前例が無い。それに戦争はまだ継続中だ。大丈夫なのかね。あの年若い女王は」 「ホレイショ、君は歴史を勉強すべきだよ。かつてガリアで一例、トリステインでは二例、女王の即位があったはずだ」 ホレイショは照れ隠しに頭をかいた。 「ふむ、歴史か。してみると、我々はあの『聖女』アンリエッタの輝かしき歴史の一ページを飾るに過ぎない、リボンの一つというべきかな? 我々の艦隊を殲滅したあの光! 驚いたね」 ボーウッドは頷いた。 「奇跡の光だね。まったく……。あんな魔法は見たことも聞いたことも無い。いやはや、我が『祖国』は恐ろしい敵を相手にしたものだ」 呟きつつも、考える。あの光、そしてレキシントンに乗り込んできた謎の竜騎兵は、本当にトリステインが使用したのだろうか。 ボーウッドは捕虜として捕まった後、トリステイン側にその二つについて根掘り葉掘り聞かれていた。ボーウッドはありのままに話したが、トリステイン側が意図的に使ったなら質問されることもないはずだ。 ワルドは竜騎兵に心当たりがあったようだが、彼は行方をくらましていた。もう会うことはないだろう。 ボーウッドは手近に立っていた兵士に部下の安全と処遇を確認した。兵の捕虜は軍役、もしくは強制労働が課されるという。 それだけ確認して兵士に金貨を握らせる。兵士が一杯飲むために立ち去るのを見届けて、ボーウッドは口を開いた。 「もし、この忌々しい戦が終わって、国に帰れたらどうする? ホレイショ」 「もう軍人は廃業するよ。何なら杖を捨てたって構わない。あんな光を見てしまったあとではね」 ボーウッドは大声で笑った。 「気が合うな! 僕も同じ気持ちだよ!」 現王女、そして数時間後には女王となるアンリエッタはパレードの馬車の中でため息をついた。勝利によって自由を掴んだはずの彼女だが、その心は晴れない。 自分を玉座に持ち上げることになった勝利はアンリエッタのものではない。彼女の左の薬指に光る風のルビーの本来の持ち主であるウェールズ、経験豊かな将軍やマザリーニの機知によるものだ。自分はただ率いていたに過ぎない。 憂鬱そうなアンリエッタに、枢機卿マザリーニは口ひげをいじった後、問うた。ちなみに彼はアンリエッタの戴冠以後、相談役に退く予定である。 「ご気分が優れぬようですな。まったくこのマザリーニ、殿下の晴れ晴れとしたお顔をこの馬車の中で拝見したことがございませんわい」 「マザリーニ、私も母のように父の喪に伏し、王座を空位にすることはできないのですか?」 マザリーニは途端に顔をしかめた。 「またわがままを申される! 殿下の戴冠は御母君、臣下一同、そして民が望んだ戴冠ですぞ! 殿下のお体はもう、殿下御自身のものではありませぬ!」 マザリーニが戴冠式の手順の確認を始めた。長い儀式の最後に始祖と神に対して誓約を述べ、大后から王冠を授かるのである。 アンリエッタは心から誓約する気にはとてもなれない。 過去、アンリエッタが心から誓ったのは、ラグドリアンの湖畔で恋人のウェールズとした誓いだけだ。 もう一つあげるならば、アルビオンに赴くルイズの前で行った誓いである。 そんな風に考え始めると、偉大なる勝利も戴冠の華やかさも、アンリエッタの心を明るくはしないのだった。 アンリエッタは手元の報告書に目を落とす。 それを記したのは、捕虜たちの尋問にあたった一衛士で、ゼロ戦に撃墜された竜騎士や、『レキシントン』号の乗組員だった者たちの話が纏めてあった。 その報告書にはタルブ村に突然現れたゴーレムや、竜騎士を全滅させ、『レキシントン』号を襲った竜騎兵の存在が記されている。 ゴーレムの方は詳細は不明。捕虜たちは全くその正体を把握しておらず、タルブの村の人々からも、フードを目深に被ったメイジだった、としか証言を得られなかった。 一方、竜騎兵は敏捷に飛びまわり、竜騎士隊を全滅させた後、『レキシントン』号内で奇妙な魔法を使い、あと少しで船を落とすところだったという。当然、そのような竜騎兵はトリステインには存在しない。 調査の結果、その竜はタルブの村に伝わる『竜の羽衣』と呼ばれるマジックアイテムであることが分かった。それがマジックアイテムではなく、未知の飛行機械だったということも判明している。 タルブ村の住人の証言によると、それを引き取ったのはトリステイン魔法学院の生徒らしい。さらに、『レキシントン』号の艦長、ボーウッド他の証言により、『竜の羽衣』を操っていた者の外見特徴なども分かった。 導き出されるのはルイズの使い魔である。リゾットに関して、アンリエッタは努めて感情を殺して判断するように心がけていた。嫌悪が先に立つからだ。 使い魔がいたということは主人もどこかにいたと考えるのが自然で、実際、アルビオン艦隊を薙ぎ払った光が発生する直前、複数人の乗った所属不明の風竜が目撃されている。そしてその一人がルイズらしい、とも。 尋問に当たった衛士はあの光を発生させたのはラ・ヴァリエール嬢か、その周囲の人間ではないか? という仮説を立てていた。だが、衛士は直接の接触を彼女にしてよいものかどうか迷い、報告書はアンリエッタの裁可を待つ形で締められていた。 「あなたなの? ルイズ」 アンリエッタは呟いた。 戦勝パレードに湧くブルドンネ通りから、いくつも路地を入った裏通り、そこは社会からはじき出されたような連中の吹き溜まりだった。 狭い通りにはいつもは怪しげな露天商や盗品売り、ゴロツキ同然の傭兵が溜まる酒場などが立ち並ぶのだが、今日に限ってはパレードの警備を警戒して、人通りが多くない。 その閑散とした通りを、フーケは歩いていく。普通、フーケのような美女がこの通りを歩いていたらただではすまないのだが、杖を持つメイジとなれば話は別だ。 フーケもまたこの通りに慣れているようで、迷いのない足取りで一軒の建物の戸を開いた。 「……どちらさんだい?」 「私だよ。婆さん」 奥から聞こえたしわがれた声に答えながら、フーケは暗く、埃の臭いが店内を進んでいく。 店内は素人では何を使うか分からないような薬品や器具、鉱物などが陳列されている。見るものが見ればそれらが秘薬の材料だと理解できただろう。 ここは秘薬屋だった。といっても表通りに看板が出ているわけではない。いわゆる非合法の闇店舗というわけだ。もちろん、ご禁制の品々も扱っている。 「おや、フーケかい」 フーケの前に、ローブをまとった老人が姿を現した。腰が曲がっており、杖を突いている。この店の店主である。 「また何か盗んできたのかい?」 「婆さん、私はもう盗賊からは足を洗ったって言っただろ? ちょっとご機嫌を伺いにきただけだよ」 「おおっと、そうじゃったそうじゃった。惚れた男のために足を洗ったんじゃったな」 ひひひ、と笑いながら老婆がからかいを口にする。フーケは顔をしかめた。 「別に男のためじゃないさ。盗まなくても金が手に入るようになっただけでね」 否定の言葉を口にしつつ、フーケは自分の頬が紅潮しているのを感じた。それを自覚したことに余計に照れてしまう。 それをみて、また老婆がひひひ、と笑った。ほとんど皺と垂れ下がった眉毛に隠れているのに、目は見えているらしい。 フーケはこの老婆にどうも頭が上がらなかった。フーケ同様、貴族の身分を剥奪された者の先輩だと言うこともあるかもしれない。 メイジとしての格がフーケよりも一段階上だということもあるかもしれない。この年老いた老婆には戦う身体能力は無いだろうが、それでも秘薬を作らせればまだ天下一品だった。 フーケはため息をついて、話題を変えるべく店内を見回した。 「景気はどうだい?」 「かなりいいのぅ。何しろ最近、大きい仕事があったから」 「へぇ、誰から……って聞くのは野暮か」 「そういうことじゃな。わしの人生最後の大仕事と思って、やらせてもらったがの」 『人生最後』、という言葉に引っかかってフーケは怪訝な顔をした。 「婆さん、どこか悪いのかい?」 「いや、最近、この辺も物騒じゃてな…。……おお、そうじゃ。フーケよ、お主に餞別をやろう」 名案を思いついたように呟くと、老婆は足元にある棚の鍵を開けた。フーケはその厳重な棚にこの店でも最高価の薬品がしまわれていると知っている。が、でてきたものを見て眉をひそめた。 「何だい、私が売った惚れ薬じゃないか。そんなもん貰ってもねえ……」 「いらんのかい?」 「……いや、そんなもので相手を落としてもね。第一、相手が素直に飲んでくれるわけ無いじゃないか」 「その割には間があったのぅ。それに、わしは別に誰かに飲ませろなんていった覚えは無いがね。また売ったっていいわけじゃから」 「う……」 やられた、という顔をするフーケを見て、老婆はにたりと笑い、言葉を続ける。 「まあ、そこまで自分に夢中にさせるのがためらいがあるなら、香みたいに吸わせても若干弱いが効果はでるぞ」 「嗅がせるのかい? でもそれじゃ、自分まで影響がでるじゃないか」 何だかんだいって興味があるのか、フーケは詳しい話を聞いている。 「至近距離じゃなけりゃ大丈夫…心配なら予め解毒剤を飲んでおけばいい話じゃ。お主が欲しいなら解毒剤もつけるが……どうじゃ?」 フーケの心は揺れた。うまくやれば相手に悟られずに仕掛けられるかもしれない。あの堅物というか鉄面皮を落とすにはそれこそあらゆる努力が必要だろう。 「……本当に、ただでくれるのかい?」 「ああ、ただ。わしとお前の間柄じゃしな」 フーケは心を決め、次の言葉を言った。 「でも断る」 「なんと!?」 驚く老婆に、フーケは髪をいじりながら言葉を続ける。 「あのね、婆さん。私にだってプライドがあるのよ。そんなものに頼るのは自分自身に魅力がないと断言するようなものじゃないか。 それに、私は別にあいつに尽くしてもらいたいわけじゃないからね」 「要するに自分で飲んで素直な気持ちで相手に尽くす、と?」 フーケは頭を痛くなってきた。少しだけ老婆をにらむ。 「何でそうなるんだい。いいかい? 私は雇われちゃいるが、本質的にはあいつと対等でいたいんだよ。薬の力なんか使ったら、そのときは良くても後で対等になれないじゃないか」 それから横を向いて、もしもあいつが弱ってたら助けるけど、と付け加える。老婆は感心したように息をついた。 「なるほどのぅ……。まあ、お主がそう思うならこの話はなしにしておこうかのぅ」 「そうしてくれて構わないよ」 そこでフーケは店にある時計を見た。 「それじゃ、私はもう行くよ」 「おや、デートかの? 妙に声が弾んでおるが」 「はは、そんなんじゃないよ。ちょっと雇い主の仲間と顔合わせするだけさ」 笑ってフーケは店を出て、魔法学院を目指して移動する。それが老婆とフーケの最後の出会いだった。 さて、一方、魔法学院では戦勝に湧く城下町とは対象的に、いつもと変わらぬ日常が続いていた。 戦争といっても学び舎である学院には一応、関わりのない事件であるし、学院長のオスマンが大騒ぎすることを嫌ったからでもある。 そもそもハルケギニアは始終どこかが小競り合いを行っており、始まれば騒ぐものの、戦況が落ち着けばいつものごとくである。 ルイズたちが戦場に行ったことは彼女たちに怪我もなかったこともあり、コルベールは秘密にしていた。 リゾットが怪我をして帰ってきたことでギーシュなどは気づいたようだが、見舞いには来たものの、特に騒ぎ立てず、平穏な暮らしに戻ることが出来た。 そんな平穏な魔法学院の夜、人も少なくなった寮塔の廊下を、一つの人影が人目を忍ぶように歩いていく。 人影はローブを着込み、フードを目深に被っており、その人相は知れないが、その裾から時折のぞく白く、細い指はどうやら女のようだった。 女は音もなくある部屋の前に来ると、扉を一定のリズムにしたがって叩く。開いた扉から中へ入り、フーケはフードを取った。 「まったく、お尋ね者は辛いね。魔法学院に来るのにも一苦労だよ」 やれやれ、といった感じでフーケはため息をつくが、扉を開けたリゾットはあくまで冷静に返す。 「お前の前科は本物だからな……仕方ない。それより、もう傷はいいのか?」 「タルブの村で匿ってもらったお陰でゆっくり出来たから、それは心配しなくていいよ。治療費は高くついたけど、あんたに出してもらったしね」 「そうか…」 「そうそう、それと、さっき見たとき、ミスタ・コルベールが広場でゼロ戦をバラバラにしてたようだけど、いいのかい?」 「ああ。先生に構造の研究がてら、整備をお願いしてるところだからな」 「ちょっと、いつまで話し込んでるのよ……」 不機嫌そうな声が二人の間に割って入った。ルイズだ。 「おっと、そうだね。お待たせしちゃ悪い」 フーケは一つ咳払いをすると、柔らかな微笑を浮かべた。 「お待たせしました。皆様、そろっていらっしゃるようですので、始めましょうか」 「いきなり、ミス・ロングビルにならないで!」 いらいらとルイズは叫ぶ。 一応、リゾットから事情を聞いて納得はしたもの(『納得』までにかなりの時間を要したことは書くまでもない)の、ルイズはフーケを好きになれなかった。 殺されかけたということもあるが、それ以上に、リゾットと親しげなのが気に食わない。要するに、ルイズはフーケに嫉妬しているのだ。 そんな思いを見透かすように、キュルケがルイズをたしなめた。 「嫉妬はみっともないわよ、ルイズ」 「し、ししし嫉妬って何よ!? 誰が嫉妬してるのよ!?」 怒りと照れで顔が真っ赤になるルイズに、キュルケは指を突きつけた。 「貴方よ、貴方。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」 「嫉妬なんかしてないわ! 私は使い魔が盗賊といちゃいちゃしてるのが気に入らないだけで」 「それを嫉妬って言うのよ、ルイズ」 「違うもん! 色ボケのあんたと一緒にしないで!」 「何ですって!?」 言い合いを始めた二人を見て、フーケがクスクスと笑い出す。 「あんた達、仲良いねえ」 「「どこが!?」」 同時に同じ返事をした二人は顔を見合わせ、フーケは再び笑い始めた。傍観していたリゾットが呆れて口を出す。 「……そろそろ始めよう。この調子だと夜が明ける」 「同感」 本をめくるタバサにまで言われ、ルイズもキュルケもとりあえず矛を収める。タバサが本を閉じ、全員の視線が集まったところで、リゾットが口火を切った。 「それじゃあ、スタンドについて詳しく説明する」 まずはスタンドの基本的な能力である、一人一体の生命の像を持つ、スタンドと本体のどちらかが傷つけば一方も傷つく、像はスタンド使い以外には見えない、といったことを説明する。 そして次にリゾット自身のスタンド『メタリカ』の能力について話し始めた。 リゾットの手の中で、空中から粒子が集まるようにしてナイフが作られていく。 「これが俺のスタンド『メタリカ』だ。能力は磁力による鉄分の操作」 「ねえ、リゾット、鉄分って何? それに磁力を操るって…どうやって?」 ルイズが質問を挟んできた。一緒に聞いていた一同もイマイチ要領を得ない顔をしている。 ハルケギニアでも磁力という概念はあるものの、その特性に関してはほとんど未知の領域らしい。 「鉄分は…目に見えないくらい小さな鉄の粒だ。それがいろんな物にくっついてると思えば大体間違いない。土にも湧き水にも空気中に含まれる僅かな土埃にも人体にも含まれている」 「人間の身体にも?」 ルイズは自分の手をしげしげと見た。その中に鉄が含まれてるとは信じられないらしい。 「人体では血液に多く含まれている。血の味が錆びた鉄のような味なのは鉄が含まれているからだ。俺のスタンドはそれらの鉄分を自在に操り、増やして固めることで鉄を作ることができる」 「『錬金』の魔法みたいなもの?」 キュルケが分かりやすいように自分たちの既知の手段に置き換えて言う。 「それに近い。それだけなら汎用性の無い『錬金』だが、そこでもう一つ、磁力が関わってくる。 磁力というのは……そうだな。鉄同士を引き寄せたり弾いたりする、見えない力だと思えば大体間違いない。これを自在に操ることで、俺は金属を飛ばしたり引き寄せたりすることができる」 ナイフを宙に浮かべつつ、リゾットが簡単に解説する。 「俺の能力は以上だが、スタンド使いはそれぞれ固有の能力を持っている。幻覚を見せる、炎を操る、未来を予知する、などなどだな。 凄いのになると時間を止めたりするスタンド使いもいる。どんな能力であれ、基本的にスタンドは一人一能力だ」 例外はいつでもいるのだが、とリゾットは付け加える。現にリゾットが地球で最後に戦ったボスは、予知に加えてさらに何かの能力を持っていた。 「一つしかないんじゃ、不便だと思うんだけど、そうでもないのよね?」 「そうだな。これは地球での俺の仲間がよく言っていたことだが、どんなくだらない能力も頭の使いようだ。たった一つの能力でも発想一つで様々に変わる」 リゾットのメタリカとて、最初から様々なことが出来たわけではない。最初は使いにくいかったが、時間をかけて試行錯誤し、技を磨いてきたのだ。 そういう意味で、ホルマジオの苦労は身にしみて分かっている部分がある。 「…『治す』スタンド使いはいるの?」 今まで黙っていたタバサが急に口を開いた。 「いや、俺は知らない。だが、そういうのがいても不思議じゃないな」 「そう……」 母を救うことができるスタンド使いもいるかもしれない、という希望がタバサにはあった。異世界を行き来する目処は立っていないので、単なる可能性の一つ、程度で考えているが。 「この世界にスタンド使いはどれくらいいると思う?」 「予想もつかないが、この数ヶ月で二人に出会った。他にいるなら、また出会うことになるだろうな」 「あら? どうして?」 キュルケが不思議そうな顔をする。経験則からの仮説になるが、と前置きしてリゾットは説明を続けた。 「『スタンド使いは惹かれあう』という法則があるからな……。俺たちスタンド使いは、必ずどこかで出会う。それこそ、磁石みたいに引き合うんだ」 「ふ~ん……。しかし、みずくせえや、相棒。もっと早く話してくれりゃあ良かったのに」 不平をもらすデルフリンガーに、フーケも思い当たる点があった。 「そういえば、前に私が聞いてときも答えてくれなかったね。どういう心境の変化だい?」 「魔法と違って、汎用性がないスタンドは、自分の手の内を知られることは弱点を知られることに繋がる。だから、信頼した相手にしか明かせない」 それを聞いてルイズが不満そうに漏らした。 「ふん。もっと早く教えなさいよね。私はあんたのご主人様なんだから信頼して当然でしょ?」 「お前は気分屋だからな……」 「何よ、それ…」 ルイズはむすっとして横を向いた。秘密を明かしてくれたこと自体は嬉しいのだが、キュルケやフーケと一緒というのが気に食わないのだ。 進歩のないルイズを見てリゾットは内心、ため息をついた。こういう気難しいところがリゾットに話すのをためらわせたのだ。 「私が言うことじゃないかもしれないけど……ダーリン、フーケにまで明かしてよかったの? 一度は私たちを騙した女よ?」 キュルケはそんなことを言ってしまう。キュルケとて、嫉妬を感じないわけではないのだ。あまり表に出さないだけで。 だが指摘された当のフーケはニヤニヤしている。からかう気満点だ。 「まあ、確かに。私は金次第で転ぶかもしれないけどね」 「お前はそんな裏切りはしない。そのくらいの節度はある」 あっさり即答され、フーケは下を向いた。ぼそぼそと呟く。 「…………まったく、面白くない男だね…」 それから顔を上げた。辺りさわりのない話題に変えてみる。 「あー、と……その……そういえば、だ。今回、シエスタには教えないんだね。ちょっと意外だよ」 「彼女は戦うわけじゃないからな……。スタンド使いの存在と危険性は教えてある。それで十分だろう。むしろ詳しく知ると却って危険な可能性もある」 「じゃあ、ギーシュは?」 「あいつは……人間的に信頼はできても、口が軽いからな……。酔っ払った拍子とかで喋りそうだ…」 ああ、とキュルケは納得する。キュルケもギーシュと飲んだことがあるが、ギーシュは酒に酔うと羽目を外すタイプなのだ。 酔っ払ったところに美女が言い寄れば、簡単に口を割る可能性はある。酔ってなくてもモンモランシー辺りに乗せられれば簡単に話しそうだ。 「他には?」 タバサが続きを促す。 「後は……スタンドには射程距離というものがある。スタンドの像やその能力が有効な距離だな。 スタンドによって数メイルから数リーグまで幅広いが、本体からの距離が近いほうがパワーが強い。どのくらいの射程かはスタンド像と本体の動きで大体わかる。 近距離型は本体が姿を見せて挑まざるを得ない。つまり近づいてくるスタンド使いは大体、近距離型だ。パワーがあるから近づかれずに戦うようにすることが必要だ。 中距離型、つまり距離が10メイルから100メイル前後の場合は本体が付かず離れずの距離を保って攻撃を仕掛けてくる。俺のメタリカもこのタイプだが、像での攻撃より、能力を使ってくることが多い。 遠距離型は別名遠隔操作型。かなり遠くまでスタンド像を動かせるから、本体は姿を見せないのが一般的だ。ただ、パワーは大抵の場合、弱い。 例外として自動追跡型というのがいる。これは本体から遠く離れていても強いパワーを持っているが、特定条件に当てはまる者に近づいて攻撃、といった単純な行動しか出来ない。このタイプは像が傷ついても本体に影響がないことが多い」 「それなんだけど、スタンドってのは、本当にスタンド使い以外には見えないのかい? 遠隔操作型や自動追跡型に狙われたらほとんど対処できないんだけど」 フーケの危惧はもっともだ。遠隔操作型でも大体は、人間一人を始末するくらいの能力はある。 「……スタンド使いでなくても、才能がある人間なら見える場合もある。同じ精神力を使うメイジが該当するかどうかだな。スタンドは幽霊と同じだ。見える奴は見えるし、見えない奴は見えない……」 その瞬間、タバサの体がぴくりとゆれた。 「? どうした?」 「……何でもない」 「? そうか……」 まさかタバサが幽霊が苦手とは思わないので、リゾットは気にせず、自分のスタンドを身体の外に出す。 「今、俺のスタンドをここに出した。よく見てみろ」 全員の視線がリゾットの指先に集まる。 「何もないじゃない」 「見えないわね」 「見えないねえ……」 「………何かコツは?」 「『感覚の目』だ……。光の反射を捉えるのではなく、もっと本質的なものを捉える。言葉で言えばそういうことになる。そういうつもりで見ろ」 スタンドの中には同じスタンド使いでも気付きにくいタイプもいる。そういうスタンドを見る時のつもりでリゾットはアドバイスをした。 「気のせいっていえば気のせいのような感じだけど……」 「そういわれると…何かいるような気もするわね……」 「う~ん……像としては見えないねえ……」 「………」 どうやら『何かいる』程度には感じるものの、はっきりと像としてみたり、声を聞いたりはできないようだ。 スタンドの外見から能力をつかめるケースもあるので不利といえば不利だが、まったく感知できないよりはマシだろう。 「大体そんなところだな……。万が一スタンド使いと戦うことがあったら、パニックを起こさないことだ。一見異常な攻撃でも、何かの法則に基づいて攻撃しているはずだ。それを見極めろ」 ルイズがメタリカから顔を上げて、リゾットに視線を向けた。 「ねえ、リゾット。さっきから戦うことを前提にして話しているけど、スタンド使いってそんなに凶暴なの?」 「そういや、確かにそうだな。今まであった二人も好戦的だったし、その辺、どうなんだ、相棒?」 ルイズとデルフリンガーがそういうのも無理はない。リゾットは主にタバサに向けて話したため、どうしても戦闘が前提になってしまったのだ。 「……絶対とはいえないが、スタンド使いにはどこか社会から外れた人間が多い。何だかんだ言って自分の能力に自信を持っている連中ばかりだからな……」 実際、スタンドに目覚めた者で犯罪に一切手を出さないでいる人間というのは稀だ。 特に貧しい生まれで生まれながらのスタンド使いの場合、親も周囲も警察も恐れず、どんどん犯罪に手を出した挙句、ギャングやもっと性質の悪い組織の一員になるといったケースは珍しくない。 「まあ、貴族社会から追放されたメイジが傭兵や犯罪者になるみたいなものか」 自身を省みて、色々思うところがあるのか、フーケが少し遠い目で呟く。その目でキュルケは以前の疑問を思い出した。 「そういえば、前にも聞こうと思ったけど、貴方って何をして貴族から追放されたの?」 「ちょっと、キュルケ……」 ルイズが止めようとするが、キュルケは好奇心を抑えられない。 「別にいいじゃない。無理に話せとは言ってないし」 そういいつつ、好奇心に目を輝かせているキュルケに、フーケは呆れた。黙秘しようとも思ったが、考え直す。 「ん~……まあ、確かに一応、仲間になったことだしね。少しは教えてもいいか。王家に『あるもの』を差し出さなかったせいさ」 「『ある物』って? それに、王家ってどこの王家?」 「そいつは言えないね。……まあ、リゾットになら条件次第でもっと詳しく話してやってもいいよ」 途端にルイズがむっとする。 「何であのイカ墨に教えてそのご主人様には教えられないのよ」 「そりゃ、リゾットは私の直接の雇い主だからね。その主人様のあんたにゃ、別に雇ってもらった覚えもないし」 ルイズは悔しさのあまり、う~、と唸り始めた。タバサはそんなフーケとルイズを無表情にじっと見ている。 「フーケ……。俺をあまりルイズをからかうダシにするな……」 リゾットが口を挟むと、フーケは苦笑してリゾットに向き直った。 「別に、ダシにしてるわけじゃないよ。で、どうだい? あんたの過去を話してくれるなら、私も私の過去を話すけど、興味ない?」 口調は茶化しているが、目は真剣だった。しかし、リゾットは首を振る。 「……いや、遠慮しておこう」 リゾットとて、ある程度話しても構わないとは思うのだが、それを交換条件などの材料にはしたくなかった。お互い、教えたいなら話せばいいし、知りたいなら訊けばいいのだ。 「そうかい……。ま、仕方ないね」 フーケは落胆を隠して明るくいった。 「ふん、ご主人様にだって話さないのに、アンタになんか話すわけないでしょ!」 何故かルイズが勝ち誇って言う。実際には勝ってはいないのだが。 そんなルイズとフーケを見て、キュルケが微笑んだ。 「ダーリンを思うのって、大変ね。ライバル多くって」 「? 普通、そこは笑わねーと思うんだけど……」 不思議そうにデルフリンガーが呟く。キュルケは前髪をかきあげながら、妖艶に笑った。 「あら? だって好きな男が他人からも好かれてるなんて素敵じゃない? むしろ誇らしいし、燃えるわ」 「お、おでれーた…。すげープラス思考……」 デルフリンガーが感心していると、途端にルイズが噛み付いた。 「ちょっとキュルケ! 私はこんなイカ墨、好きじゃないわよ! 変な想像しないで!」 「あら、そうなの?」 「そうよ! ……まあ、それなりによく仕えてくれてるから、決して嫌いではないけど……」 「何だかねえ……」 フーケはこの日、何度目かになる苦笑をもらした。そこで自分の目的を思い出す。 「ところでリゾット、ついでにルイズ。話しておきたいことがあるんだけど……いいかい?」 「何だ?」 「ついでにってのがひっかかるけど……何よ?」 改まったフーケに、リゾットとルイズだけでなく、キュルケも注目する。タバサは本を読み始めた。 「タルブの村にかくまわれてる間、王宮から来たらしい連中を何度かみたよ。多分、あの竜の羽衣の出所を探ってたんじゃないか?」 「姫様かしら……」 「多分ね。あの様子だとあんたたちに辿り着くのもそんなに時間はかからないんじゃないかな。 あの『奇跡の光』のこと……詳しくは聞かないけど、誤魔化したいなら何か考えておいた方がいいよ」 フーケの言っている『奇跡の光』とはもちろん、ルイズが放ったあの『爆発』の魔法だ。それを間近で見ていたキュルケが心配げにルイズをみつめる。 「ねえ、ルイズ……。あの魔法って……?」 「ん、ごめん……。まだ、自信がないの。はっきりするまで、もう少し時間をちょうだい」 キュルケは息をついた。 「ふぅ……。まあ、いいわ。でも、あんまり溜め込まないで。せめてダーリンには相談しなさいよ」 「うん、ありがとう、キュルケ…」 何だ、素直になれるじゃないか、とフーケは妙な驚きをしてルイズを見ていたが、やがて席を立つ。 「さて、じゃあ、私はそろそろ帰るよ。連絡したいときは例の方法で」 「ああ……」 「あっと……そうそう、シエスタだけど………。まあ、これは私が言うことじゃないか」 「?」 「ま、女ってのは強いようでいて弱いものさ。弱いようで強いものでもあるがね。その辺、あんたは覚えておきなよ?」 意味深に笑って、フーケは部屋から出て行った。 「夜も遅いし、私たちも帰りましょうか、タバサ?」 タバサは頷く。二人は連れ立って廊下に出た。 自室の前で、キュルケはタバサを振り返った。 「さっきもちょっと話題に出たけど、ダーリンって元の世界で何をしてたのかしら。タバサ、知ってる?」 「……どうして私に?」 「いや、何かタバサって、ダーリンから特別に思われてるようなところがあるから」 「そう?」 タバサは2、3回瞬きを繰り返した。それから付け加える。 「彼は彼なりに私たちを信頼している。その証拠にスタンド能力についても教えてくれた。私はそれで十分」 タバサだって過去のことはどうしても知られたくないわけではないが、積極的には話したくはない。リゾットも似たようなものなのだろう、と思っていた。 「そうね……。どうしても知りたくなったら訊いてみましょうか。お休み、タバサ」 タバサは頷いて、キュルケが部屋に入るのを見届けると、自分も部屋に戻る。DIOの館以来、時折感じる奇妙な感覚に襲われながら。 ワルドがアルビオンのロンディニウムに帰還すると、早速、皇帝クロムウェルに呼び出された。 久しぶりに見るクロムウェルは、相変わらずシェフィールドを従え、いつもと変わらぬ笑みを浮かべていた。あれだけの敗戦の後にこんな笑みを浮かべられるというのは、大物なのか、馬鹿なのか、どちらか判断が付きかねた。 「トリステイン侵攻に失敗いたしました。申し訳ございません」 「おお、子爵。そのようなことは気にせずとも良い。君が今回の失敗の原因ではないのだからな。いや、君だけではない。誰の責任でもない。 あえて言えば、あのような未知の魔法の使用を予見できなかった我ら指導部にこそ、罪はある。だから、そのようにかしこまらずともよい」 クロムウェルはワルドに手を差し出した。ワルドはそこに口をつける。 「は、閣下の慈悲のお心に感謝いたします」 そういいつつ、今のワルドの心は晴れ晴れとしていた。ガンダールヴとの二度目の戦いを制し、恐怖を乗り越えたことで、ワルドは自分が成長した実感を得ていたのだ。 しかし、あのときの光は気になった。クロムウェルが言うには『虚無』は命を操るという。ならばあの光は一体なんだというのか。 「あの未知の魔法の光は『虚無』なのでございましょうか? あの光は四系統とは相容れませぬ。しかし、閣下の仰る『虚無』とも相容れませぬ」 「余とて、『虚無』の全てを理解しているとは言い切れぬ。『虚無』には謎が多すぎるのだ。歴史の闇に包まれておるからな」 「歴史。そう、余は歴史に深い興味を抱いておる。たまに書を紐解くのだ。始祖の盾、と呼ばれた聖者エイジスの伝記の一章に、次のような言葉がある。数少ない『虚無』に関する記述だ」 クロムウェルは詩を吟じるような口調で、次の言葉を口にした。 「 始祖は太陽を作り出し、あまねく地を照らし出した ……。まるであの未知の光だ。しかし謎が謎のままでは、気分がわるい。目覚めも悪い。そうだな、子爵」 「仰るとおりです」 「トリステイン軍はアンリエッタ自らが率いていたという。ひょっとするとあの姫君は『始祖の祈祷書』を用い、王室に眠る秘密をかぎ当てたのかも知れぬ」 「王室に眠りし秘密とは?」 「アルビオン、トリステイン、ガリア、それぞれの王家は元々一つ。そしてそのそれぞれに始祖の秘密が分けられた。そうだな? ミス・シェフィールド」 クロムウェルが傍らの女性を促した。 「閣下の仰るとおりですわ。アルビオン王家に残された秘法は二つ。『風のルビー』は行方知れずに、もう一つは調査が済んでおりません」 ワルドはシェフィールドを見た。深いローブで顔を隠しているが、表情は伺えない。魔力は感じないが、博識さといい、何か特殊な能力なり技能を持っているのだろう。 「今やアンリエッタは、『聖女』とあがめられ、なんと女王に即位するとか。彼女を手に入れれば、国も、王家の秘密も手に入ろうな……」 クロムウェルは笑みを浮かべた。 「ウェールズ君」 廊下から、クロムウェルによって蘇ったウェールズが、部屋に入ってきた。 「余は君の恋人……、『聖女』どのに戴冠のお祝いを言上したいと思う。我がロンディニウムの城までお越し願ってな。なに、道中、退屈だろうが、君がいれば退屈も紛れるだろう」 ウェールズは抑揚のない声で、 「かしこまりました」とだけ呟いた。 「では、子爵。ゆっくりと休養を取りたまえ。『聖女』をこのウェールズ君の手引きで無事晩餐会に招待する事ができたら、君にも出席願おう」 ワルドは頭を下げた。死人に仕事を取られるのは業腹だったが、ここはクロムウェルの手並みをみることにした。 リゾットのことをワルドは報告していない。あくまで決着は自分でつけるつもりなのだ。ウェールズ相手に倒されるなら、それも仕方ない、とは思いつつ、ワルドは退室した。 ワルドが退出した後、シェフィールドも自室に下がった。扉を閉め、周囲を見渡す。誰もいないことを確認し、椅子に腰掛けると、急に部屋の隅から声がした。 「ウェールズの同伴にスタンド使いをつけなくていいのか? ミス・シェフィールド」 先ほどまで誰もいなかったはずの部屋の中に、いつの間にか男がいた。その男を認めると、シェフィールドが不機嫌そうに鼻を鳴らした。 「ふん、お前か……。ノックくらいはしたらどう?」 「したさ。お前が気付かなかっただけだろう?」 男は平然と答える。その言葉にはどこかシェフィールドを嘲るような調子があった。 「口の利き方に気をつけるんだね。戻されたいの?」 「これは失礼を。だが、私を戻すと貴方様も困るのでは?」 シェフィールドは舌打ちした。この男、拾った当初は従順だったが、日が経つにつれ、次第に傲慢な本性をあらわし始めた。 だが、スタンド使いを束ねるのはスタンド使いでなければ勤まらない。この男ほど強力なスタンド使いは今のところ、いなかった。 「……スタンド使いね。一人でいいわ。今のところ、トリステインにスタンド使いは確認されていないからね」 「了解した。そうそう………事後承諾になるが、使えぬスタンド使いを1名、野に放った。害にならないところにな。トリステイン側にスタンド使いがいるなら、つぶしあってくれるだろう」 シェフィールドは男をにらみつけた。 「勝手な真似を!」 「そうかね? 陛下はお気になさらないと思うが。それに、アレは置いておくと、悪戯に被害が増える……」 その言葉でシェフィールドはピンと来た。 「分かったわ……。陛下には私から申し上げておく。これからは事前に報告を上げなさい、いいわね」 「仰せのままに。ミス・シェフィールド」 一礼すると、男は再び姿を消した。 その後、案の定、王宮からの使いがやってきて、ルイズはアンリエッタの元へと召しだされた。 謁見の間に通されたルイズは恭しく頭を下げた。 「ルイズ、ああ、ルイズ!」 アンリエッタは駆け寄り、ルイズを抱きしめた。頭をあげず、ルイズは呟いた。 「姫様…、いえ、もう陛下とお呼びせねばいけませんね」 「そのような他人行儀を申したら、承知しませんよ。ルイズ・フランソワーズ。貴方はわたくしから、最愛のお友達を取り上げてしまうつもりなの?」 「ならばいつものように、姫様とお呼びいたしますわ」 「そうしてちょうだい。ああルイズ、女王になんてなるんじゃなかったわ。退屈は二倍、窮屈は三倍、そして気苦労は十倍よ」 アンリエッタはつまらなそうに呟いた。気を使う客ばかりでうんざりしていたのだ。 (リゾットが聞いたら怒るでしょうね) アンリエッタの台詞に心の中で苦笑しつつ、友人の愚痴を受け止める。 わざわざ授業のある平日に自分を呼び寄せた理由はなんだろう。やはり『虚無』のことだろうか? 一応、リゾットと相談して、あの『虚無』と思しき魔法のことはリゾットがガンダールヴであることと同様、秘密にする予定ではあるが、アンリエッタがどこまで調べているか分からない。 何より、ルイズはアンリエッタに嘘をつきたくなかった。最近になるまで、アンリエッタはルイズのただ一人の友人だったからだ。 ルイズは次の言葉を待った。だがアンリエッタは自分の目を覗き込んだまま、話さない。仕方なくルイズは今回の戦の勝利の祝いをのべはじめた。 「あの勝利は貴女のおかげだものね、ルイズ」 ルイズははっとしてとぼけようとしたが、アンリエッタは微笑んで、ルイズに羊皮紙の報告書を手渡した。それを読んだ後、ルイズはため息をついた。隠し通せないと悟ったのだ。 「ここまでお調べなんですか」 「あれだけ派手な戦果をあげておいて、隠し通せるわけがないじゃないの」 「今まで隠していたこと、お許しください」 「いいのよ。でも、わたくしにまで隠し事はしなくても結構よ、ルイズ」 アンリエッタはふぅ、とため息をついた。 「多大な……、本当に大きな戦果ですわ。ルイズ・フランソワーズ。貴方と、その使い魔が成し遂げた戦果は、このトリステインはおろか、ハルケギニアの歴史の中でも類をみないほどのものです。 本来なら、ルイズ、貴方には領地どころか小国を与え、大公の位を与えてもいいくらい。そして使い魔にも特例で爵位を授けることくらいできましょう」 「わ、私は何も……、手柄を立てたのは使い魔で……」 ルイズはぼそぼそといいにくそうに呟いた。 「あの光は、貴方なのでしょう? ルイズ。城下では奇跡の光だ、などと噂されておりますが、わたくしは奇跡など信じませぬ。あの光が膨れあがった場所に、貴方たちが乗った風竜は飛んでいた。あれは貴方なのでしょ?」 ルイズはアンリエッタに見つめられ、それ以上隠し通すことができなくなった。 こうなったら仕方ない。リゾットには口止めされていたが、ルイズは「実は…」と切り出すと、始祖の祈祷書のことを語り始めた。 「始祖の祈祷書には、『虚無』の系統と書かれておりました。姫様、それは本当なのでしょうか?」 アンリエッタは目を瞑った後、ルイズの肩に手をおいた。 「ご存知、ルイズ? 始祖ブリミルは、その三人の子に王家を作らせ、それぞれに指輪と秘宝を遺したのです。トリステインに伝わるのが貴方の嵌めている『水のルビー』と始祖の祈祷書」 「ええ…」 「王家の間では、始祖の力を受け継ぐ者は王家にあらわれると言い伝えられてきました」 「私は王族ではありませんわ」 「ルイズ、何をおっしゃるの。ラ・ヴァリエール公爵家の祖は、王の庶子。なればこその、公爵家なのではありませんか」 ルイズははっとした顔になった。 「あなたも、このトリステイン王家の血をひいているのですよ。資格は十分にあるのです。それに、貴方の使い魔は『ガンダールヴ』なのでしょう?」 ルイズは頷く。オールド・オスマンやワルド、それにデルフリンガーもそのようなことを言っていた。 「では……、間違いなく私は『虚無』の担い手なのですか?」 「そう考えるのが、正しいようね」 ルイズはため息をついた。それを見ながら、アンリエッタは言葉を続ける。 「これで貴方に、勲章や恩賞を授けることができなくなった理由はわかるわね? ルイズ」 ルイズはこわばった顔で頷いた。ルイズの『虚無』が本物だった場合、下手をすればトリステインからさえ狙われる、とリゾットは指摘していた。 「だからルイズ、誰にもその力のことは話してはなりません。これはわたくしと、貴方の秘密よ」 それからルイズはしばらく考え込んでいたが……、やおら決心したように、口を開いた。 「おそれながら姫様に、私の『虚無』を捧げたいと思います」 「いえ……、いいのです。貴方はその力のことを一刻も早く忘れなさい。二度と使ってはなりませぬ」 「神は……、姫様をお助けするために、私にこの力を授けたに違いありません!」 しかし、アンリエッタは首を振る。 「母が申しておりました。過ぎたる力は人を狂わせると。『虚無』の協力を手にしたわたくしがそうならぬと、誰が言い切れるでしょうか?」 ルイズは昂然と顔を持ち上げた。自分の使命に気付いたような、そんな顔であった。しかし、その顔はどこか危うい。 リゾットがいればルイズを止めようとしただろう。秘密裏に動く特殊な能力者、などリゾットたち暗殺チームとほとんど同じ立場だからだ。だが、彼女の使い魔は今、別の部屋で待たされている。 「わたしは、姫様と祖国のために、この力と身体を捧げたいと常々考えておりました。そうしつけられ、そう信じて育って参りました。しかしながら、わたしの魔法は常に失敗しておりました。 ご存知のように、ついた二つ名は『ゼロ』。嘲りと侮蔑の中、いつも口惜しさに体を震わせておりました」 ルイズはきっぱりと言い切った。 「しかし、そんな私に神は力を与えてくださいました。私は自分が信じるもののために、この力を使いとう存じます。それでも陛下がいらぬとおっしゃるなら、杖を陛下にお返しせねばなりません」 アンリエッタはルイズのその口上に心打たれた。 「わかったわ、ルイズ。貴方は今でも……、一番の私のおともだち。ラグドリアンの湖畔でも、あなたはわたくしを助けてくれたわね。わたしくの身代わりに、ベッドに入ってくださって……」 「姫様」 ルイズとアンリエッタは、ひし、と抱き合った。完全に二人の世界である。 「これからも、わたしくの力になってくれるというのね、ルイズ」 「当然ですわ、姫様」 「ならば、あの『始祖の祈祷書』はあなたに授けましょう。しかしルイズ、これだけは約束して。決して『虚無』の使い手ということを、口外しませんように。また、みだりに使用してはなりません」 「かしこまりました」 「これから、貴方はわたくし直属の女官ということに致します」 アンリエッタは羽ペンをとると、さらさらと羊皮紙に何かしたためた。それから羽ペンを振ると、書面に花押がついた。 「これをお持ちなさい。わたくしが発行する正式な許可証です。王宮を含む、国内外へのあらゆる場所への通行と、警察権を含む公的機関の使用を認めた許可証です。自由がなければ、仕事もしにくいでしょうから」 ルイズは恭しく礼をすると、その許可証を受け取った。アンリエッタのお墨付きである。ルイズはある意味、女王の権利を行使する許可を与えられたのだった。 「あなたにしか解決できない事件がもちあがったら、必ずや相談いたします。表向きは、これまでどおり魔法学院の生徒として振舞ってちょうだい。まあ、言わずともあなたなら、きっとうまくやってくれるわね」 「はい、きっと!」 ルイズは勢い込んで答えた。 一方その頃、リゾットは特別に用意された部屋で一人、なかなか戻ってこない主人の帰りを待っていた。 リゾットは丸腰だった。デルフリンガーを含む武装の一切は城に入るときに預けている。 「…………」 敵など出ようはずもない状況なのであるが、部屋の中はまるで立会い中のように張り詰めた空気に満たされていた。 原因はリゾットではなく、柱の影から放たれる敵意にある。 「おい……、いい加減に出て来い。そんなに敵意をむき出しにして、隠れるも何もないだろう」 潜んでいた人物が無言で姿を現す。 短く切った金髪の下、青い目が覗く女性だった。本来なら澄み切っているのだろうが、今は敵意に満ちている。所々板金で保護された鎖帷子に身を包み、その腰には杖ではなく剣が下げている。 「何だ、お前は?」 リゾットの問いに答えず、女はつかつかと歩み寄ってきた。じろじろと値踏みするようにリゾットを見る。 その立ち居振る舞いには隙がない。リゾットはこの人物がスタンドを使えばともかく、丸腰で勝てる相手ではないと瞬時に悟った。 (武装は剣だけじゃないな……。銃も携帯している) 「どうやらただの馬の骨ではないようだな。私に気付かないようなら城からたたき出してやろうと思っていたが」 「…………」 女は何かの証明書らしきものを取り出してリゾットに突きつけた。断片的しか読めないが、アルビオンの時に見たアンリエッタの花押が押されている。 「女王陛下の、か?」 リゾットの呟きに、女は頷いた。 「ミス・ヴァリエールの使い魔、リゾットだな? お前に知らせることがある。ついて来い」 言うなり身を翻して部屋を出て行こうとする。女の態度に嘘は見つけられなかったが、リゾットは動かなかった。 「……お前の主人はまだ戻ってこない。さっさとしろ」 「お前の名は? 名前も分からない不審人物についていくつもりはない」 「さっきの証明書に書いてあっただろう?」 「俺はまだ人名は読めない。読み方の法則は習ってないからな」 女は舌打ちした後、名乗った。 「アニエスだ。納得したらついて来い」 頷くと、リゾットはアニエスについていった。 戻る< 目次 >続く