約 1,451 件
https://w.atwiki.jp/eva2psp/pages/13.html
庵野AIについて (2chスレ【PSP 新世紀エヴァンゲリオン2 造られしセカイ 3スレ目?】より抜粋) モード 各話の雰囲気がモードによって左右される。 具体的には、発生するイベント(後述)や、NPCの思考・行動パターン・人間関係等に影響が出る。 各モードの種類と、次の回のモード選択に影響する行動は以下の通り。 点数型 点数の合計が60点を超えることで対応するモードが選択され、次話で実行される。 選択されたモードは、次話では獲得点が半分に減少する。 ・恋愛:NPCとポジティブなコミュニケーションを取るコマンドを実行(4点) ・シリアス:ネルフの業務・機密に関するコマンドを実行(4点) 機密情報の入手(30点) ネルフ本部で時間経過(1時間につき12点) ・学生:学校生活に関するコマンドを実行(4点) 第壱中学校で時間経過(1時間につき5点) ・親子:シンジとゲンドウとの交流(4点) ・落胆:A.T.30未満で時間経過(1時間につき6点) A.T.40未満で時間経過(1時間につき3点) 入院中の人物がいる(残り入院日数×10点) 第三新東京市の破壊度(そのまま加算) 渚カヲル登場イベントが発生していない(話数×5点) ・人物:上記モードが基準点を満たせず、下記の条件型の条件を満たさない。 殆ど何もしていないうちにガギエルやJAイベントを起こすと出やすい。 条件型 モードごとの条件を満たすことで選択される。※要検証 ・高揚:戦闘時限定。戦闘時エヴァが一体のみ(100%)、仲の良いパイロットが撃破された(100%)、ジオフロントに侵入された(侵入回数×25%)、入院中から出撃(50%)、家出中から出撃(50%)、辞職中から出撃(100%)、冬月が戦闘中に「勝ったな」と言う※(低確率)の7通りで発生。 ・心理:高揚モード後※別モードの条件が満たされている場合そちらが優先される事がある。(100%)、捕食後(100%)、レリエル戦後(100%)。 ・終幕:出現可能な使徒がいないか、登場人物が8名以下になった状態でデフコン0を迎える(100%)。 庵野AIがもうやることがなくなったと判断してA-801に。ワンパターンなプレイだと早くこうなる。 このうち、親子はシンジ・ゲンドウ以外のプレイでは選ばれないし、学生はネルフスタッフやペンペンでは選ばれない。 選択モードの見極め 各話数開始時のBGMで選択されているモードが分かる。 恋愛:「Misato」(ミサトの執務室の曲) シリアス:「Rei I」(セントラルドグマの曲) 学生:「Asuka Strikes!」(学校の曲) 落胆 心理:「Hedgehog's Dillemma」(暗めの曲。加持シナリオ最初の曲と同じ) 人物:「Ritsuko」(リツコの研究室の曲) 終幕:「BORDERLINE CASE」(心の迷宮の曲) 各モードによって生じる変化 A.T.補正、インパルス回復量、感情、人物評価などに影響を及ぼす。 恋愛:全員のPCに対する関心が増加。全員のA.T.にプラス修正。時間経過ごとに全員の積極が増加。 シリアス:インパルス回復量半減。全員の、全員に対する好意が低下。最も力欲の高い人物からPCへの関心はプラスされる。時間経過ごとに全員の緊張が増加。 学生:学生同士の関心が互いに増加。時間経過ごとに全員の快適が増加。 親子:レイとリツコからシンジに対する関心が増加し、リツコからレイへの好意は減少する。 落胆:インパルス回復量倍増。全員のPCに対する関心は増加し好意は減少。全員のA.T.にマイナス補正。時間経過ごとに全員の快適が低下し、積極は大きく低下する。 人物:全員のPCに対する関心が低下。ワースト三名は逆に関心が増加する。 高揚:A.T.に大きくプラス修正。 心理:全員のPCに対する関心が増加する。時間経過ごとに全員の積極が低下。 終幕:時間経過ごとに全員の快適が大きく低下。 AIによって左右されるイベント区分 イベントは、モードや前提条件の他に、特定の時間帯に特定の場所へ行かなければ発生しないので注意。 時間帯については、大抵のイベントは朝8時以降に発生するので、早起きしてしまった場合は時間調整が必要になる。 場所については、ネルフ本部・ミサトのマンション・学校のどれかで発生する。 但し学校の場合、イベントが発生しないと強制的に授業→午後3時になってしまうので注意。 よっていろんなイベントが見たい場合は、ネルフ本部とミサトのマンションを優先的に回るのがいい。 (シンジ等、ミサトのマンションで寝起きしているキャラは、1回外に出てからマンションに入り直さないとイベントが見れない) なお、「一緒に登校」「一緒に登庁」で移動した場合、イベントは発生しない。 また、1回の話で見れるイベントは3つまで(各シナリオ独自のイベントは別カウント。下記のイベントのみが対象)。 【恋愛】 ミサト昇進(JA発生済み) アスカ来日 イスラフェル襲来(アスカ来日発生済+シンジとアスカが入院していない) (イスラフェルイベントを出すとその後恋愛関係イベは起こらないらしい) ↑いい加減な編集者により適当な事が書かれているので訂正と補足。恋愛モードで発生する他のイベントが無いだけ。(温泉旅行、結婚式は起こりました) シバムラティックバランスではアスカ来日済み、かつミサト昇進と下記3つのイベントがそもそも発生しない。 温泉旅行(サンダルフォン殲滅済み) 流星群観測(停電発生済み+ヒカリとケンスケがいる) 結婚式(停電発生済み) 【シリアス】 委員会及びゼーレ関係(1=委員会とゲンドウ、2=ダミーシステム使用後、3=捕食後、4=アラエル戦後、5=3と4発生済) ゼーレの怒り(槍・ダミーを使用した後) 処刑(ゼーレの怒り発生済+槍・ダミーの使用毎発生、対象はゲンドウの評価が最も高いNPC) 制裁(捕食(=S2機関搭載)orアラエル戦後(=槍ロスト)、対象は機密情報を知りすぎたキャラでプレイヤー含む) JA(ミサトのマンション) 加持登場 停電(加持登場発生済) イロウル襲来(停電発生済+リツコ健在) ロンギヌスの槍搬入(加持登場発生済+零号機健在) 使徒残骸見学 アメリカ支部消滅(使徒残骸見学発生済) 四号機召喚(アメリカ支部消滅+カヲル登場+カヲル説得成功) エヴァ量産機建造開始(アメリカ支部消滅発生済) 参号機到着(アメリカ支部消滅発生済+トウジのATが40から上か下かで分岐・・・上の場合:参号機が味方として加わる。下の場合:バルディエルとして使徒になる→戦闘へ、ミサトのマンション) バルディエル襲来orカビ掃除(参号機到着発生済+トウジのATが60より上か下かで分岐・・・上の場合:以後トウジのATが60以下になってもバルディエルが現れない。下の場合:バルディエルと即戦闘になる) 初号機凍結(捕食発生済み) 【学生】 チェロ弾きのシンジ(アルミサエル殲滅済) 「女子見てただろ」(ラミエル殲滅済+ヒカリ・ケンスケ健在) 学園祭(サハクィエル殲滅済) 出会い頭衝突(マトリエル殲滅済+ヒカリ・ケンスケ健在) 修学旅行に行けず(ガギエル殲滅済) 【親子】 墓参り 【落胆】 カヲル登場(エヴァパイロットが残っている) 【人物】 シンジの学校さぼり(JA発生済み) アスカに母から電話(アスカ来日発生済み) レイの部屋の置き手紙 ミサトの失語症時代(JA発生済み+リツコ健在) 初号機の前のゲンドウ(捕食もしくはレリエル戦発生済み+初号機健在) 加持のスイカ菜園(加持登場発生済) リツコの金髪の理由 冬月の入院そわそわ マヤの部屋 青葉のコバルトスカイ 日向のお見合い トウジの千羽鶴 ケンスケ、パパとレストラン ヒカリ、女子のうわさ 下三つはこの三人の個別シナリオで、シナリオ独自イベントとしても見られる 【高揚】 初号機暴走・使徒捕食 【心理】 電車内シンジ(アスカ来日+加持登場発生済、アスカ健在) 電車内アスカ(アスカ来日発生済) レイ 電車内ミサト(アスカ来日+加持登場発生済、シンジ・アスカ健在) レリエル戦後のシンジ 捕食後のシンジ 【終幕】 中学校閉鎖疎開 戦自襲来 カヲルの出し方 落胆モードにする。 話数×5点の加算は、第12話開始時点で12×5=60 翌第13話が落胆モードになる条件を満たす。 あとは、コンビニのアイテムを充分買えるなら 「愚者の石版」でA.T.を30未満にする→10時間以上維持(→賢者の贈り物でA.T.を元に戻す) で、落胆モードになる。 ただし捕食後やレリエル戦の後は必ず心理モードになるので注意。 物語後半、A.T.を下げずに落胆モードにしてカヲルを出す方法(パイロット限定?) 話開始時、適当に時間を潰す。(学校へ行き、終わったら帰ってすぐに寝る、朝まで寝続けてまた学校へ) 他のモードになりやすい行動は避ける。(MAGIにハッキング等) デフコン3つ目の時に駅の改札に行き、街から逃げ出して放浪する。(インパルス90必要) 万が一放浪中に連れ戻されてしまったらリセット&ロード。 大抵はデフコン3つ目の時であれば使徒が来るまで放浪していられる。 放浪中に使徒が来るとNERVに戻るか選択肢が出る。 NERVに戻り、使徒に勝ってから翌話を迎えるとA.T.100でも簡単に落胆モードになる。 確認したのはアスカシナリオの第11話。(他パイロット未検証) 第三新東京市の被害軽微、入院者無し、全キャラA.T.90以上維持状態で倒した使徒はラミエル、その後第12話でカヲルの出現確認。 カヲルを出すために上記の行動を心がけて、無駄な寄り道、行動、会話は一切しないぐらいの気持ちで1話を費やすと翌話で出やすい。 物語の後半、A.T.が下げられず落胆モードにできなくて詰みかけてる方はお試しあれ。 ちなみに話開始時に街から逃げ出し続けても大丈夫だが、ほぼ確実に連れ戻さること、逃げ出すのにインパルス90が必要なためデフコン3になるまでは学校へ行ってあとは自宅で寝てた方が早い。 (くじけない心があるならどちらでも良い) 処刑と制裁 ともにシリアスモードで発生するイベント。 通常のプレイでは(意図的に避けない限り)ロンギヌスの槍搬送イベントが発生しアラエル襲来→槍使用(ロスト)となるので最低それぞれ1回ずつ、計2回は発生する可能性がある。 イベント発生時、PCの白兵技能が一定以上あれば暗殺を回避可能。無ければ対象の人物が殺害される。 暗殺対象がPCの場合、暗殺を回避できないとゲームオーバー。 PC以外の場合は対象人物の白兵技能が高くても無意味。判定はあくまでPCの白兵技能で行われる。 一部のシナリオでは特定人物の生存がクリア条件に関わる。逆に死亡することで見られるイベントもある。 より詳細な条件 【処刑】 対象はゲンドウからの人物評価(関心&好意の合計)が最も高い人物。ゲンドウ本人とPCは除外。 1回目…「ゼーレの怒り」発生後 2回目以降…処刑イベント発生後に槍 or ダミープラグ使用ごと 暗殺回避に必要な白兵技能…1回目30、以降40、60、80と上がっていき、5回目以降は90必要。 最大で8回発生する。 【制裁】 対象は機密情報レベルの合計×力欲(機密情報を知りたい欲求)の最も高い人物。PCを含む。最深度情報を得ると力欲が満たされて下がるため、非公開情報を多数所持してる人物が対象になりやすい。 1回目…S2機関搭載 or ロンギヌスの槍ロスト(アラエル戦後) 2回目…1回目発生済み、かつ、S2機関搭載&槍ロストの両方を満たす 3回目…2回目発生済み 4回目…3回目発生済み&ダミープラグを使用したことがある 5回目…4回目発生済み 暗殺回避に必要な白兵技能…1回目20、以降30、40、60、80と上がっていく。 最大で5回発生する。 槍とダミープラグ使用条件 【ロンギヌスの槍】 槍搬送イベント発生後、通常戦闘で使徒がゼロエリアまで600m以内に侵入すると使用される。 イスラフェル戦では使用不可。 アラエル戦では必ず使用され、なおかつロストして以降は使用不可になる。 【ダミープラグ】 リツコがダミープラグ開発成功後、通常戦闘でパイロットのA.T.が30以下になると使用される。 イスラフェル、アラエル、タブリス戦では使用不可。 F型装備の出し方 一回目の暴走(「使徒、襲来」以外だと意識してやらないと起きにくい) 庵野AIが高揚(やり方は上記参照) ダミープラグ使っていない サキエル、シャムシエル、ラミエル、マトリエル、ゼルエル、アルミサエル戦のどれか(量産機戦でも暴走は起こるけど、F型装備入手とは無関係) の条件を満たした上で シンジのAT30以下で操縦不能 初号機の耐久度30%以下 内部電源0で攻撃を貰う のどれかが起こる。 捕食 庵野AIが高揚 「暴走」発生済み ダミープラグ使用せず、神経接続中(ミサトシナリオ) PCのATが30以上(PCがシンジの場合無関係) シンジのATが(100-使徒襲来回数×4)以上 サキエル、シャムシエル、ラミエル、マトリエル、ゼルエル、アルミサエル戦のどれか の条件を満たした上で 初号機の耐久度50%以下 内部電源0で攻撃を食らう シンジのA.T.が30以下まで低下 のいずれかが起こる。 なお、このイベント発生後はサハクィエル戦が発生しなくなってしまうため、捕食前にサハクィエルを倒しておく必要がある(サンダルフォン戦は捕食後も発生する)。 改装 話数開始時に、加持を除くネルフスタッフが全員健在、サハクィエルとサンダルフォン殲滅済みだと、庵野AIのモードに関わらずイベント開始。 ただ、初号機が凍結される(凍結されてもイスラフェル、レリエル、バルディエル、タブリスが現れるかJA暴走事故が起こると凍結が解除され復帰できる)と発生しない。たいてい捕食後はシンジは入院中なのですぐには出ない(悲しい結果だと重症で量産機戦まで使徒が入院している間に現れ続けさらに量産機戦だけになってから凍結されるとおそらくF型を見れることはなくなる)。重傷だと後半では次の回も間に合わない。だからその次の回でシリアスにしないように注意。でも下のお勧めに従ってノーダメージで捕食すれば次の回ですぐイベント発生。 おすすめ F型入手の最大のネックは「高揚」にする事。 冬月は中々「勝ったな」と言ってくれないし、「パイロットやめます」による辞職出撃もシンジの高ATが求められる捕食では出来ない(パイロットやめますは低ATでないと出来ない) 駅の改札から「町から逃げ出す」のコマンドを実行すればA.T.に関係なく家出状態にできる。 任意で戻るか黒服に連れ戻されるまで家出状態は続くので、デフコン0の直前に家出して使徒が出現したら戻ればいい。 ただし、家出中から出撃して高揚モードになる確率は2分の1。 捕食する使徒は、動きが直線的で読みやすく優先的にエヴァを攻撃してくれるサキエルかゼルエルが一番簡単。 アンビリカルケーブルを切った上で適当に相手して内蔵電源0になった後、一撃もらえば良い。 他の使徒は動きが読みにくいし、ラミエルは高破壊力で重傷を負いやすい。 アルミサエルは融合されたらアウトだが攻撃力自体は低めなので重傷を負いにくいのがメリット。 ミサト編「女の戦い」 単に出すだけなら、「女の戦い」が一番楽。というのは、ミサトシナリオの場合、パイロットが複数いる場合でも、エヴァを一機だけ出撃させる事で簡単に高揚モードを作れるから。シンジだけを使徒出現予想エリアから近からず遠からずの電源ビルに隣接しないところに配置する。 ラミエル戦を行って手に入るシールドがあれば持たせておくといい。電源が減ってきたらおもむろに使徒へ接近させ、使徒の攻撃範囲に入ったところで切れるようにする。そこで使徒から一撃をもらえば、ダメージはシールドが負ってくれるので、初号機もシンジも傷つかずに暴走・捕食する事ができる。 ミサトシナリオの場合、物語スタート時点でアスカが居ないので早めにアスカかトウジを出しておく事。 (アスカは異性NPCと話しかける恋愛モード。トウジは機密・白兵を連発のシリアスモードにしてアメリカ第二支部を消滅させた後にミサトのマンションへ入るとAT40以上で仲間になる)。 エヴァ三体が必要なサハクィエル戦が遅れてしまい、結果的にF型を拝みづらくなる事は避けたい。 初戦のサキエル戦で暴走させるのは一長一短。シールドのないこの回では確実に初号機がダメージを受けシンジが入院する。第二話は第一話の翌日から始まるので、この回の戦闘ではシンジもレイも入院中。特にシンジのATは起動ギリギリまで下がるし、命令も聞いてくれない。 ただ、「補完される心」があれば入院してようがシンジとレイのATを上げる事が出来るし、「許しの言葉」「癒しの言葉」で命令を聞かせる事も出来る。退院出撃も可能なので状況を見て判断する事。 だがミサトシナリオだと自分でF型を操作する楽しみはない。 シンジ編「でも、この世界が好き」「シバムラティックバランス」 普通にやるならば、「でも、この世界が好き」よりは「シバムラティックバランス」の方がまだしも出しやすいと思われ。ただ、捕食はできても自分が入院している間にゲームオーバーになる可能性が高い諸刃の剣。初心者には(ry しかし事前に14人以上クリアしてドーピングアイテム「補完される心」が出るくらいまでやったら「でも、この世界が好き」でも簡単にF型に出来る。 まずミサトから小遣いをせびって4万円溜めて「錬金の技法」を買ってドーピングタイム。 ここで、「達人の技法」「くじけない心」などの基本アイテムを買ったら、みんなのATを下げる「死に至る病」を使いまくる。 こうする事でアスカやレイがエヴァを動かせないようにしてから「賢者の贈り物」でシンジだけATを上げまくる事でシンジ一人しか出撃出来なくなって高揚になる。 この作業中にカヲルを出す為の落胆モードにするのも楽でいい。「死に至る病」と「補完される心」はPCにも影響が出るからだ。 他のNPCはATが絶望的になるが死にはしない。 後はシンジ一人だけで使徒と戦い、電源が切れた後に一撃もらえば簡単に暴走・捕食が出来る。中盤で行っておけば軽傷で済む事も多い。 捕食した後は「補完される心」でみんなのATを上げておこう。 尚、ドーピング出来る前にリセットでサンダルフォンとサハクィエルを倒しておこう。カヲル&4号機を仲間にしたい人はタブリス戦も忘れずに。 一方、JAイベントはF型に換装されるまでスルーした方が得。 何故ならこのイベントはF型になっても起こる上、初号機が凍結されていても解除されるイベントの一つだから。 S2機関を取り込んでる為、JAとの追いかけっこでも初号機の電源が無限になってて面白い。 注意 F型装備にした後は、タブリス戦・イスラフェル戦・レリエル戦はできないようになっている。理由はそれらに特別のグラフィックがF型装備に関しては用意されていないからw だからカヲルをパイロットにしたい人はF型入手前にしないとダメね。 これらの中には使徒全滅フラグに関わる使徒もいるが、F型入手の時点でフラグは立った扱いになるためこれが原因でクリア不可能になることはないのでご安心を。 F型装備の攻撃 ハイパーチョップ プログダガーで切る プログダガーで突く インパクトボルト(1戦闘で3発のみ) なおF型装備になるとマステマとデュアルソー、マゴロクEソードを含むすべての武器を装備することができなくなる。 マゴロクが使えなくなる事で超破壊力が失われる。つかPSP版なら普通にマゴロクを拾って突いて行った方が強いと思われる。 それでも内部兵器だけで十分強く、S2機関のおかげでアンビリカルケーブルが要らなくなる事が一番大きい。 何よりもカッコイイ。 某スパ●ロボのようにマステマ標準装備だったりインパクト・ボルトが長射程の武装でないことには注意。
https://w.atwiki.jp/earthruinfes/pages/1504.html
日記/2011年06月15日/ニュース記事 2011-06-21 <関電>核燃料税上げ、福井県と17%で合意 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース ttp //headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110615-00000010-mai-bus_all +記事コピペ収納 <関電>核燃料税上げ、福井県と17%で合意 毎日新聞 6月15日(水)2時33分配信 原子炉を設置する電力事業者に核燃料の価格に応じて課税する核燃料税について、福井県と関西電力などが、実質税率を現行の12%から17%に引き上げることで合意したことが14日分かった。当初は15%に増税する予定だったが、県によると、東京電力福島第1原発事故などの教訓から、防災道路整備など県の対策事業費がかさむのを事業者に負担させるため、特別枠として2%上積みしたという。17%は核燃料税を課している立地道県のなかでも最高税率となる。 核燃料税は原子炉設置者に対し、道県が課税している法定外普通税(地方税)で、福井県は76年に導入し、5年ごとに更新している。従来は定期点検中の燃料交換で新たな核燃料を挿入した際に、核燃料価格に応じて課税してきたが、燃料価格の低迷やトラブルによる運転停止などの影響を受け税収が安定しなかった。このため県は今回の更新で、原子炉の熱出力に応じた課税(実質8.5%)を全国に先駆けて取り入れ、長期的な原子炉停止でも税収の半分は安定的に確保する。【安藤大介】 【関連記事】 【よくわかる】福島原発図説集 <関西電力>八木社長、国に要請「原発再開に一層努力を」 【建設中の貴重な写真も】福島第1原子力発電所の歴史 <関西電力>福井県の核燃料税引き上げ容認へ <九州電力>社債発行延期へ 市場消化のめど立たず 最終更新 6月15日(水)2時33分 「福島原発のリスクを軽視している」 「安全説」山下教授に解任要求署名 (J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース ttp //headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110614-00000005-jct-soci +記事コピペ収納 「福島原発のリスクを軽視している」 「安全説」山下教授に解任要求署名 J-CASTニュース 6月14日(火)20時22分配信 福島第1原発から放射性物質が放出されて続けている問題で、一貫して「安全・安心説」を唱えていると受け止められている識者が、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一・長崎大学教授だ。1年間に許容される被曝量として「20ミリシーベルト」という数字が議論になるなか、山下氏は「100ミリシーベルト以下のリスクは分からない」との立場を崩していない。これが「リスクを軽視している」と批判を浴びており、NGOは、解任を呼びかける署名活動を始めている。 山下氏は、長崎市生まれの被曝二世。1991年から約20年間にわたって、チェルノブイリやセミパラチンスクでの被曝者治療に携わっている。05年から2年間は、世界保健機関(WHO)のジュネーブ本部で放射線プログラム専門科学官を務めている。福島県の放射線リスク管理アドバイザーには3月19日に就任し、県内の講演会で「放射能を『正しく恐れる』ことが大事」などと説いている。 ■「年間100ミリシーベルト」の評価 山下氏に対して解任要求をしているのは、FoE Japanやグリーンピース・ジャパンなどの環境NGO。6月10日に菅首相や佐藤雄平福島県知事に宛てた要請文の中で、(1)特に放射線量が高い地域において、避難・疎開・夏休みの前倒しを促進すること(2)子どもを含む県民の内部被ばく検査の実施、など4項目を要求。そのなかの一つに、山下氏の解任が入っている。要請文では、 「低線量被ばくのリスクを軽視し、『100ミリシーベルトまでは、妊婦も含めて安全』との言動を福島県内で繰り返しています」 と山下氏を批判。署名活動を7月6日まで展開するという。 山下氏の発言で主に批判が集中しているのは、「100ミリシーベルト」の評価と、住民を避難させる範囲についてだ。 例えば、5月3日に、福島第1原発から50キロ以上離れた福島県二本松市で行われた講演会では、山下氏は 「100ミリシーベルトで、5人くらいがんのリスクが上がることが、長年の調査結果で分かっている。100ミリシーベルト以下は分からない。明らかな発がんリスクは観察されていないし、これからも、それを証明することは非常に困難」 と発言。 「二本松は危険だから逃げろ」という声があることについては、 「とんでもないこと」 と反論。 「皆さん、現実、ここに住んでいるし、住み続けなければならない。広島、長崎もそうだったし、チェルノブイリもそういう状況。そういう中で、明らかな病気は、事故直後のヨウ素による子どもの甲状腺がんのみ。このような現実をもって話している。国の指針が出た段階では、国の指針に従うのが国民の義務だと思うので、そのような内容でしか答えられない」 と発言し、「国の指針に従うのが国民の義務」という発言が、さらに地域住民の反感を読んだ模様だ。 ■「30キロ圏外でも必要ならば避難させなきゃだめ」 その後も、山下氏は「100ミリシーベルト以下のリスクは確認出来ていない」との立場を崩しておらず、5月24日発売の「週刊朝日増刊 朝日ジャーナル 原発と人間」の中では、 「1回、100ミリシーベルト浴びると、例えば細胞に傷が100個できます。1ミリシーベルト受けると細胞に傷が1個できます。100個の傷にはときどきエラーが起きますが、1個の傷は体がすぐ治します。遺伝子は傷がついても治るという生物学的な生命現象が大前提としてあるので、僕は、微量の被曝には過敏になるな、と言っているんです」 と主張。「潮」11年6月号では、 「原発の放射性物質によってがんにかかりうるといっても、がんは日本人の3人に1人がかかる病気だ。確率論的に誰にでも起こりうる病気なのに、『放射線のせいでがんにかかる』と心配して生活を台無しにしても仕方がない」 とも述べている。 ただし、住民を避難させる範囲については、前出の朝日ジャーナルの中で 「僕は飯舘や浪江、川俣の一部の数値が高いのを見て、自主避難ではだめだ、きちんと命令してあげないといけないと言ってきたんです。国に対しても、30キロ圏外でも必要ならば避難させなきゃだめだとも言ってきました」 と述べており、講演会での発言との整合性を問われる可能性もある。 6月13日に行われた福島県議会の特別委員会でも、山下氏のアドバイザー解任を求める声があがっており、今後も波紋は広がりそうだ。 【関連記事】 福島原発で危険作業志願 高齢エンジニアたち「決死の覚悟」 2011/04/25 福島第1原発の深刻度「レベル5」 スリーマイル並みに引き上げ 2011/03/18 福島原発「チェルノブイリ級」か 最悪の「レベル7」へ引き上げ 2011/04/12 AKB48が「脱制服」、HPのCM発表会で魅せたモデル風衣装 2011/03/07 リスクを負わない「賃金奴隷」でいいのか 2011/06/13 最終更新 6月15日(水)2時13分 10年ぶりの長時間、今夜皆既月食 (ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト) - Yahoo!ニュース ttp //zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110615-00000000-natiogeo-int +記事コピペ収納 10年ぶりの長時間、今夜皆既月食 ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト 6月15日(水)14時34分配信 月食の間、条件によって月は明るいオレンジから濃い赤の間の色になる。 (Photograph by Patrick Seeger European Pressphoto Agency) 6月15日の夜(日本では16日未明)に皆既月食が発生する。ここ10年ほどで最も長く、そして最も暗く満月がかげる。 東半球の大部分では、月が地球の本影(地球が太陽の光を完全に遮る領域)に入り、オレンジや赤の色合いに染まる様子を2時間ほど観測できる。 カリフォルニア州オークランドにあるシャボット宇宙科学センター(Chabot Space & Science Center)の天文学者ベン・ブレス(Ben Burress)氏は、「当日の月は地球の影のほぼ中心を通るため、(月食となる)経路として最も長く、通過時間も最長になる」と説明する。「今回ほど長い月食は2000年以来で、次回は2018年までやってこない。なかなかお目にかかれない珍しい天体ショーだ」。 地球が太陽の光を完全に遮る影は円錐形になる。月の周回軌道は地球の公転軌道に対して傾いており、普段は円錐状の影領域から上下に少しずれた場所を月が通過するために月食は発生しない。しかし時折、月の軌道は地球の公転面と交差する。この時は必ず満月か新月だ。太陽、地球、月の順で一列に並ぶと月食が発生する。月が地球の影をかすめると部分月食になり、月が影の中へ完全に入ると皆既月食になる。 月が欠け始めるのは、世界時で6月15日の午後6時22分頃(日本時間16日午前3時22分頃。以下、日時は世界時、カッコ内は日本時間)。 午後7時22分(午前4時22分)に皆既月食となり、100分以上も続く。午後8時12分(午前5時12分)には、地球が投じる影の暗い中心部に月が重なり、いわゆる食の最大となる。 そして午後10時2分に月食が終わる(日本時間午前7時2分だが、既に月は沈んでいる)。 スコットランド北部およびスカンジナビア諸国を除くヨーロッパ地域の大半と、南米東部やアフリカ西部では、月の出の時間帯、つまり日没が始まる頃に皆既月食が発生する。 「観測に最も適するのは、月食の始まりから終わりまで観察できる場所だ。月の位置は天頂に近いほどいい。こうした点を考慮すると、今回の皆既月食観測に最適な場所は、アフリカ東部、中東、中央アジア、そしてオーストラリアの西端となる」とブレス氏は話す。 インドネシアからニュージーランドにかけては、月が沈む直前にゆっくりと欠け始める様子を観測できる。カナダ、メキシコ、米国の月食ファンにとっては残念なことに、北米地域では今回の天体ショーを観測できない。北米大陸西部では、12月10日に次の月食が発生する。 ブレス氏によれば、今回の月食で最も見応えがあり、また予測しにくいのは、皆既状態の月の色だという。「皆既食となった月の赤さは、地球の大気状態にある程度依存する」。なぜなら、月は自ら光るのではなく太陽の光を反射しているからだ。皆既月食の間、太陽から降り注ぐ真っ白な光を地球が遮る。しかし地球の大気を通過した間接光の一部は、かろうじて月に届く。 地球大気中の塵や成分が、太陽光の青い波長を反射したり吸収するため、通過した光は赤みがかる。そのため月食の間、月の色が輝くような銀色から、明るいオレンジ色と濃い赤色の間のいずれかに変化したように見える。「さらに、皆既月食が天球のどの位置で起きるのかも影響する。天頂から下がるにつれて、月で反射した光が観測者に届くまでに大気を通過する距離が伸び、赤みが深くなる」。 ブレス氏から天文ファンへのアドバイスは、都市の光害からできるだけ離れ、視界を遮る木や建物のない場所へ行くことだという。「月食の発生時に月がどの位置にあるのか分かったら、その方向を遮るものがなく、はっきりした視界を得られる場所を選べば、今回の天体ショーを堪能できるだろう」。 Andrew Fazekas for National Geographic News 【関連記事】 ワシントンD.C.、皆既月食 (2010年12月21日) 372年ぶり、冬至の月食 南極大陸に浮かぶ月 (写真集:月) 赤いスーパームーン、ロンドン 大みそかの夜空に輝く“ブルームーン” 最終更新 6月15日(水)14時34分 中国が日本国債「大量買い」 政治的な意図はあるのか (J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース ttp //headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110615-00000000-jct-bus_all +記事コピペ収納 中国が日本国債「大量買い」 政治的な意図はあるのか J-CASTニュース 6月15日(水)12時3分配信 中国は日本国債を買い続けるのか?(写真は、財務省の「国債に関する情報」のページ) 中国が日本国債を大量に買っている。東日本大震災のあった2011年3月が2345億円、4月はじつに1兆3300億円(いずれも、速報値)にも達した。中国が保有する日本国債の残高は4月末時点で5兆7680億円(推計)に上り、英国、米国に次ぐ第3位にある。 日本国債は、1月に米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が最上位から3番目の「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に1段階格下げした。多額の財政赤字を抱えているうえ、震災後の復興でさらに多くの資金の調達を国債に頼らざるを得ないため、国内外の投資家からの信用が揺らいでいるのだ。 ■「米国債」一辺倒からの分散投資が狙い? そういった状況にありながら、中国は2010年10月以降の半年で5730億円の日本国債を買った。それが11年4月には、一気に1兆3300億円もの買い越しとなった。震災後の「大量買い」の真意は不明だが、専門家は「米国債からの分散投資の一環だろう」と、口を揃える。 第一生命経済研究所の主席エコノミスト、嶌峰義清氏は「巨額の外貨運用を米ドルに偏れば、ドル安の影響を受けやすい。一方でユーロもギリシャの財政不安などの問題を抱えている。貿易取引額の多い主要通貨という観点から、当然、日本円も投資先に入ってくる」と話す。 また、国際アナリストの枝川二郎氏は「いまや中国は世界トップの外貨準備国ですが、保有する外貨資産は米国債がほとんど。しかし、その米国の財務状態がよくないので、リスクを分散したいことはあるでしょう」と説明する。 ポートフォリオを考えて米国債を減らし、その分を他に分散投資したいが、金や穀物などはすでに高値圏にあって下落リスクが高い。結果的に、「消去法」で日本国債が残ったということのようでもある。 ■「政治的なカードに使えるほど単純ではない」 財務省は、国の債務残高が2011年末に1000兆円を超すとみており、国民一人あたりの負担は750万円を超す。それでも「国の借金」である日本国債は、95%を日本人が保有している。 枝川氏は「いまの状態はタコが自分の足を食べているようなもので、日本にとってよくない」と指摘。日本国債は中国を含む、海外投資家にもっと保有してもらったほうがよいという。 その一方で、中国の日本国債の保有が増えると、「政治的なカード」に使われることを懸念する向きがあるが、「それを気にするほどの残高ではない」(枝川氏)。 前出の嶌峰氏も、「日本でも以前、『米国債を売りたくなる』と発言して物議を醸した首相がいたが、そのひと言で米国債が暴落して円が急騰。米国債を保有していた国内の機関投資家が含み損を抱え、また輸出企業が大きな痛手を被って、結局日本にハネ返ってきたことがあった。いまのグローバルマーケットは保有国債を政治的な駆け引きに使えるほど、そんな単純なものではない」と、一蹴する。 【関連記事】 東京電力債格下げ相次ぐ 引き金は枝野「債権放棄」発言 2011/06/08 金、NYで連日の最高値更新 インフレ懸念「まだ上がる」? 2011/04/07 日本国債格下げと円急落 背景に政府・民主党への不信感 2011/01/27 元通訳捜査官が警世の書 「日本が中国の自治区になる」 2010/07/01 次世代のリーダーは「お笑いタレント」でもいいと思う理由 2011/06/13 最終更新 6月15日(水)12時3分 「今夜はおまえらが主役だぜ!」氷室京介のチャリティーライブに11万人が集結! (webザテレビジョン) - Yahoo!ニュース ttp //zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110615-00000019-the_tv-ent +記事コピペ収納 「今夜はおまえらが主役だぜ!」氷室京介のチャリティーライブに11万人が集結! webザテレビジョン 6月15日(水)17時18分配信 東京ドームにてBOφWYの楽曲のみで構成したチャリティーライブを行った氷室京介 6月11日、12日の2日間、氷室京介が「東日本大震災復興支援チャリティライブ KYOSUKE HIMURO GIG at TOKYO DOME “We Are Down But Never Give Up!!”」を東京ドームで行った。 このライブの開催が発表された当初は、11日のみ1日限りの公演の予定だったが、氷室の思いに多くのファンが賛同し最終的には50万人を超える応募があったため、12日を追加公演として各日5万5000人、2日間で約11万人を動員した。これはチャリティーライブとしては国内史上最大規模、また、東京ドーム1日の動員数としても過去最高となった。 今回のライブは、日本のロック史上最大の伝説のバンドとして今も熱狂的なファンを持つバンド・BOφWYの楽曲で全編構成。氷室自身、BOφWYの解散ライブ“LAST GIGS”を含め、東京ドームでの公演は7年ぶり7度目で、 04年に“21st Century Boφwys VS HIMURO”と題したライブを同所で行っているが、全曲をBOφWYの楽曲で構成するライブは初めてとなる。 両日とも開演直前に観客全員が黙とうをささげた後、ライブがスタート。大歓声の中ステージに現れた氷室の「カモン! 東京ドーム! 今夜はおまえらが主役だぜ!」の言葉に続いて、1曲目「DREAMIN’」の演奏が始まると、会場はいきなり興奮のるつぼ。そのテンションのまま、曲のイントロが始まるたびに「ウォー!」という驚きと喜びの声が上がり、会場全体が一体となって共に歌い、腕を振り上げ、観客は夢のような空間に酔いしれた。氷室はほとんど休むことなく、「B.BLUE」「MARIONETTE」「ONLY YOU」などの代表曲はもちろん、BOφWY解散以降、歌うことがなかった「BAD FEELING」や、BOφWY活動当時にも数回しか演奏されていなかった「“16”」といった、レアな楽曲も約23年ぶりに披露。アンコールは「ON MY BEAT」「HONKY TONKY CRAZY」「NO.NEW YORK」の3曲で、熱い盛り上がりのままにライブは終了。氷室が去ると、震災後に書き下ろした新曲「IF YOU WANT」(CD発売は未定)が、被災地で復興に向けて活動している人々の映像と共に会場内に流れ、観客は拍手を送りながら、その映像に見入っていた。 当日、会場で販売されたグッズなどの利益を含め、本公演における収益金の全ては、東日本大震災の復興支援として被災地における救済活動、復興支援活動を行っている団体へ寄付される。なお、グッズは氷室のオフィシャルサイト(himuro.com)でも購入可能。また、17日(金)の「NEWS ZERO」(日本テレビ系)では、「氷室京介 震災復興支援ライブ&ドキュメンタリー」が特集され、同日深夜の1 53からはライブ&ドキュメンタリー番組「氷室京介×NEWS ZERO特別版『氷室京介 震災復興支援ライブ 11万人の3.11 WE ARE NEVER GIVE UP』」(日本テレビ、関東ローカルのみ)が放送される。 最終更新 6月16日(木)13時9分 名前 コメント ◇◆前へ/次へ/目次へ
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/6389.html
159: 陣龍 :2020/09/09(水) 22 17 41 HOST 124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp 帝国警備(Kaiserliche Garde)社長 アドルフ・ヒトラーの政治家転身の道 『世界大戦』と言う名の実質的独仏戦争に置いて、ドイツ第二帝国は人類史上初の総力戦に勝利した。序盤の電撃戦にてフランス共和国の首都パリを一撃で陥落させ、その後も首都陥落の混乱で援軍に来た日英軍の足並みを軒並み引っこ抜くフランスと言う大いなる敵失によりもぎ取れた半ば妥協的な日英、そして無理矢理連行されたフランスへの見舞金を引換とした領土獲得による講和、日露戦争での損害から未だ立ち直れなかったロシア帝国軍を蹂躙し続け革命を引き起こさせた上でドイツ側にウクライナ地方割譲などの圧倒的有利な講和を結べた戦果は、この戦争を勝利に導いたドイツ帝国陸軍の権威を天井知らずのモノとした。だからこそ、なのだろう。この『戦勝』後のドイツ帝国にて巻き起こった自業自得の七転八倒振りは。 敵対していた日英らと講和したとは言え、ロシアでは社会主義革命と言う異端の政府がロマノフ王朝を追い出す形でソヴィエト連邦として成立しており、当然イデオロギー的に皇帝を戴くドイツ帝国との相性は最悪である。しかも先の戦争ではロシア人を一方的に殴り倒して広大な領土、それも豊かなウクライナやベラルーシ地方をも割譲させていたのだから、余計にロシア人からの強い恨みを買っていたのは言うまでも無い。日英の後見と支援で東部に逃れた立憲君主制ロシア王国とも強烈に対立しているので若干ドイツ側に向けられている兵力は少ないが、ドイツ側としては手を抜けられる程では無かった。そもそもソヴィエト=ロシアとの国境線が長いのだ。貼り付ける兵力の要求量は必然的に多くなる。現地人兵士である程度補うにしても、ドイツ軍はどうしても必要だった。 そして首都を陥落させてその国土を日英軍とのリングとしていたフランスに関しては、ドイツ軍がフランス軍を途中から殆ど意に介していない程に叩き潰し続けてフランス軍を蹂躙しまくった事も有り、講和後も表面上以上の外交交渉が出来ていない程に激烈な敵意をフランス政府に持たれていた。正しそのフランス政府も先ずは【自国の裏切者】への摘発と粛清、そして『国土奪還』と『パリ復興』を旗印とした地方への抑圧と徴収を精力的に実行した結果、戦争での大敗による権威崩壊と合わさって猛烈な反発からの地方の武装蜂起による内戦状態へと突入しており、此方も此方で頭が痛い状況だった。フランス政府も蜂起した軍閥もドイツとは没交渉状態であり、まともな統制力の無くなったフランス軍の分裂体や残骸、民兵未満の連中はドイツ側に略奪を頻回に繰り返したりしていた。しかも間の悪い事に、先の戦時中に地方へ疎開させた工業力が相応に大事にされ生き残っていたので、ドイツ側に略奪を仕掛けて来る連中の中には武装トラックどころか、旧式戦車すら持ち込んでくる輩すら居た。当然、一般市民や警察程度では抗戦出来る筈も無い。 160: 陣龍 :2020/09/09(水) 22 20 55 HOST 124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp それぞれ方向性は違うが質の悪さは両方酷い東西の大問題に対して、これに対応すべき帝政ドイツの守護者足るドイツ軍の動きは鈍かった。 終戦で動員解除され、軍事予算も幾らか減らされたと言うのも有るが、一番の問題はこの頃のドイツ陸軍が、先の大戦で正規軍との度重なる戦闘を繰り返して戦勝へと導いた成功体験から、所謂『決戦脳』状態に陥ってしまっていた事だった。この『決戦脳』問題は日露戦争に置いてフィリピン沖海戦でロシア帝国海軍のバルチック艦隊相手に完全勝利を成し遂げた日本海軍が『海軍の仕事は艦隊決戦での勝利であり、商船護衛等はただの余芸』と言う壮絶な勘違いを一部海軍将兵がしていた事からも、鮮烈過ぎる行き過ぎた成功体験は毒にしか成らないと言う好例だろう。尚その後壮絶な勘違いをした『決戦脳』な日本海軍の一部は、徹底的なまでの『通商護衛戦』の再教育によって正気を取り戻して事なきを得ている。再教育の途中から全員目の光が消え去ったと言う複数の証言は見間違いか気のせいである(公式発表)。 『我が栄光ある独逸帝国陸軍は敵軍を華麗に撃滅するのがその任務であり、治安維持等と言う【些事】に関わって等居られない』と言う軍隊の存在意義からして本末転倒な思考と結論に凝り固まったドイツ軍に、ドイツ政府は文字通り頭を抱えた。戦勝による権威の暴騰で、陸軍視点で『非合理的』と見做された政府命令は公然と拒絶する事例が頻発し、政府高官が何度もドイツ陸軍に訪問して説得を繰り返してようやく政府の求める最低限度を、ドイツ陸軍が嫌々かつ恩着せがましく実行する事も珍しく無くなり、そして取引材料として戦費返済で逼迫する国家財政から余計に【対ソ、対仏への兵力増強】を大義名分として陸軍への軍事予算を増額要求する等、急激にドイツ陸軍が帝国の『ガン細胞』へと成り果ててしまっていた。そして国家財政的には比較的多く配分され湯水の如く使用する陸軍予算もドイツ陸軍には不満たらたらな額であり、先の戦争で余り活躍出来ずタダでさえ肩身の狭く最低限の予算しか与えられていないドイツ海軍からも上から目線で無遠慮に海軍予算を強奪しようとして海軍から本気で激怒される等、額面上の立派さと精強さとは裏腹に、ドイツ帝国軍内部では思いっ切りガタが起き始めていた。 そんな内部分裂が起き始めているドイツ上層部を他所に、勲章を授与されそれなりに有名にはなれどあくまで兵士レベルでしか無く上との繋がりは無いのでそんな事は全く知らないアドルフ・ヒトラーは、独仏国境の治安悪化にまともな対処をしないドイツ帝国軍に痺れを切らせ、ドイツ帝国の一部地方自治体や企業の後援の下に帝国警備(Kaiserliche Garde)を設立。後世で言う所のPMCの走りとも言える総合警備会社は、天性の演説の才に富み、戦時中に出来た伝手や飛び込み演説にてこの帝国警備の設立に漕ぎ付けたヒトラーを頂点として、動員解除されて故郷に戻れたは良い物の、戦後不況で仕事が無かったドイツ兵や、フランス国内の争乱に絶望し、ドイツに逃れて来た身元の確かな元フランス軍の兵士が現場の根幹を担い、中間層には『決戦脳』に冒されたドイツ軍上層部と折り合いの付かなかった元ドイツ軍の佐官や士官、そして同じく暴走して内戦を引き起こしたフランス上層部に絶望してドイツに逃げ込んだ元フランス軍や政府の中堅層が固め、極少数だが戦争中に捕虜としてだが救出された事でヒトラー個人に心酔した極めてモノ好きな人間で構成されていた。つい先日まで戦争していた者同士と言う事で仲の悪さが設立前から懸念されていたが、帝国警備の設立記念行事に行われたヒトラー社長の『我等は騎士、力無く暴力に成す術を持たぬ無辜の民を救う正義の騎士団なのだ』と言う出席した『社員』をおのずから熱狂させた激励演説に加えて、元フランス兵の大半はドイツ軍よりも無謀過ぎる戦争指導を実行したフランス軍上層部の方に敵意が向いていたので、懸念していた事は余り起きる事なく意外とすんなり『同僚』となれていた。因みに後方事務や整備業務に加えて航空機部隊に関しては、割合としては女性比率が少ないながらも男女混合である。 161: 陣龍 :2020/09/09(水) 22 22 29 HOST 124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp そしてこの帝国警備と言う名の軍からの払い下げや旧式兵器で武装し、ドイツに侵入する軍閥兵や治安悪化に便乗した重犯罪者を容赦無く機関銃や迫撃砲、戦闘機や爆撃機の銃爆撃に少数の対戦車ライフル等で排除する準軍隊とも言えるこの組織は、ドイツ陸軍が深い関心を向けない【些事】を熟していると言う事で陸軍からは『雑用係』の様な認識をされた為に会社設立から立ち上げの期間何も特に妨害する事無く見過ごされ、その間に堅実ながら立派に【業務】を果たして急速に治安を回復させた事からドイツ地方自治体や地方警察、そして民衆から大きな支持を得ていた。何度も繰り返される直接的被害を目に見える形で激減させた事に自治体や民衆が喜んだのは当然ながら、地方警察に関しても、持っているのが個人所有のモノを除けばそれこそ拳銃程度しか無いのに対して軍閥兵は軍用ライフルや装甲車、時には戦車を繰り出してくるのに、それらを相手に軍事訓練も受けていないただの警察官が市民を退避させる為に拳銃一丁で遅滞戦闘を展開すると言う地獄から解放されたのだ。喜ばない道理など何処にも無い。 独仏国境地帯での【業績】を残した帝国警備は、高まる一方の人気と共に次々と集まって来る資本金や良質な人材、ドイツ軍地企業が提供する機材にて規模を拡大、そして独仏国境地帯のみならずドイツ帝国が拡大した各地の警備依頼も多数舞いこんでくるようになり、気が付けば何時の間にか治安の悪いフランスやソ連との国境地帯への【警備業務】にも大きく参入するようになっていた。行政との繋がりが極めて強く実質的な半官半民に近い企業形態ながらも、民間企業の効率化や業務改善が行われている為に、事治安維持に関して言えばドイツ陸軍よりも割安の予算でドイツ陸軍よりも大きな功績を残せるまでに急激に成長していた。その為今更ながらにこのヒトラー率いる帝国警備を敵視したドイツ陸軍上層部が妨害活動を仕掛けようにも、既に国民や地方自治体、更には治安改善の恩恵を諸に受けたドイツ企業等の強い支持によって余り上手く行かなかった。 余談だが、『決戦脳』の陸軍上層部曰く『軍隊未満の愚連隊』と言う事で『伍長親衛隊』と言う隠語が作られたが、どう言う経路でか当の帝国警備にも伝わった際に何故かコレが従業員らにも受け、ヒトラー個人に心酔していた少人数を軸に非公式に『武装親衛隊』『一般親衛隊』なる俗称が爆誕していた。社長であるヒトラー自身は蚊帳の外で置き去りにしたまま既成事実的に。 そんな傍目から見て下らない陸軍上層部の策動を他所に、フランスではいよいよ内部分裂と軍閥化が進み過ぎて完全に内戦状態へと突入し、フランス人同士での覇権争いに忙しくなったのかドイツへの侵犯は少なくなり、そして目ざとくその事に目を付けたドイツ陸軍が『不必要な予算は削減すべし(そして陸軍に寄越せ)』と言い出してそれに地方自治体が抗議文を連名で叩き付ける等の事件が勃発した直後に、ドイツ軍の権威が爆破倒壊される大事件がウクライナにて発生する。この頃には既に帝国警備は現地自治体の悲鳴染みた依頼を受けて進出しようとしたのだが、タダでさえフランス国境地帯やポーランド等で実績を残していた帝国警備に不快な感情を抱いていたドイツ陸軍が介入し、現地自治体の依頼をその政治力で無理矢理に撤回させ、ウクライナに進出の為事前準備を行っていた帝国警備の『親衛隊』を力づくで追い出したのだ。もし追い出した後でまともにウクライナ地域の防衛をドイツ陸軍が行えていたのなら帝国警備とドイツ陸軍との関係が断絶する程度で済んだのだが、現実と言うのはとても非情なモノで、ドイツ陸軍の行動でウクライナに混乱が起きたと見たソ連軍が『領土奪還』を掲げて局地紛争を仕掛け、国境防衛に置いていた少数のドイツ軍は数に押し切られる形で揉み潰され、遅れて押っ取り刀でドイツ軍主力が現地に駆け付けた時にはウクライナ領に食い込む形でソ連軍が簡易的な野戦要塞を構築しており、ソ連軍を完全に侮ったドイツ陸軍上層部の命令で突撃したドイツ軍が逆に大敗する惨事が発生したのだ。 162: 陣龍 :2020/09/09(水) 22 24 17 HOST 124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp その後も『欧州最強のドイツ陸軍』のメンツに泥を塗られて怒髪冠を衝く上に今なおソ連軍を根本的に見下してるドイツ軍上層部の命令でソ連軍が籠る野戦要塞に攻撃を仕掛けては損害を負うループであり、しかもこの野戦要塞に注意と戦力を向けすぎた為に複数のルートからソ連軍がウクライナ奪還を掲げて大挙侵攻を始め、慌てる様に予備兵力を各地に向かわせたが広大過ぎる防衛範囲に対してドイツ陸軍の兵力だけでは不足し切っており、現地ウクライナ兵の編成もドイツ軍がソ連軍を侮り過ぎかつ自軍を強く見過ぎたせいで全然進んでおらず、当のソ連軍にそう言う意識は余り無かったのだが、結果的に長大な国境線を逆手に取った多方面飽和攻撃と言う戦略にドイツ軍は自業自得に翻弄された。もし帝国警備を追い出す事無く協調していたとすれば、この様な無様な劣勢には陥る事は無かっただろう。陸軍上層部からは『伍長の親衛隊』呼ばわりされている警備会社だが、その実態は限定的でも正規軍と殴り合える準軍隊以外の何者でも無かったのだから。 そんな劣勢な戦況の中、帝国警備はソ連軍の進撃に巻き込まれた現地ウクライナの市町村から電報や馬で駆け込んで来た人々からの救援要請を受諾し、混迷を極めるドイツ軍を横目に【警備活動】を開始。情報通信の時間差から現地の情勢を中途半端にしか理解出来ていない陸軍上層部はこの『陸軍の邪魔をする勝手な行動』に激怒したが、ソ連軍の波状攻撃に苦戦する現場としては歓呼の声を以て『戦友』を無条件で迎え入れ、途中参戦した帝国警備の『武装親衛隊』は、各地の戦闘で得られた戦訓を元に帝国警備とスポンサー企業のドイツ軍需企業の共同開発にて改良された軽装甲トラックや【軽戦車】を多数投入。多少の攻撃力よりも取り回しの良さと足の良さを重点的に置かれたこの『独自開発兵器』は、工業力が未だ貧弱で実質面で『歩兵の群れ』に過ぎなかったソ連軍を撃破。現地ウクライナ人への帝国警備による独自の慰撫工作と雇用によって現地民から様々な情報をドイツ陸軍より多数入手出来た事も有り、【侵略者ソ連軍】を撃退すべく蜂起したウクライナ人と共にウクライナ領からソ連軍を叩き出す事に成功した。無論かなり無茶な機動戦や継戦を繰り返したために損害は甚大であったが、彼らは帝国警備の設立記念行事に行われたヒトラー社長の『我等は騎士、力無く暴力に成す術を持たぬ無辜の民を救う正義の騎士団なのだ』と言う訓示を、その命を以て守り切ったのだ。 一方その頃、ウクライナの地にて『民間企業』が陸軍の命令も無く勝手に戦争に乱入したとして、陸軍上層部の手によって帝国警備社長のアドルフ・ヒトラーが半ば罪人扱いで国会へ引っ張り出されていた。ドイツ陸軍だけでは敗勢だったのをたかが『民間企業の警備会社』によって救援され、しかもその『警備会社』によってソ連軍をウクライナ領から叩き出したと言う事実は、『精強無敵のドイツ帝国陸軍』のメンツに賭けて到底認められるものでは無かった。そしてメンツを守る為には、この『対ソ連戦の劣勢の責任』を『勝手に戦場に乱入した民間警備会社の責任』とするより他無かった。やってる事が自分達が侮蔑した首都陥落後のフランス軍と殆ど同一なのだが、『決戦脳』に凝り固まり過去の栄光にしがみ付いている老人共に取っては関係の無い話であった。そして古い老人たちであるが故に、地位を笠に着て『伍長』に命令すればどうとでもなると、アドルフ・ヒトラーを余りにも甘く見過ぎていたのが唯一にして最大最悪の致命傷であった。 163: 陣龍 :2020/09/09(水) 22 26 39 HOST 124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp 陸軍によるヒトラーへの糾弾の後、弁解と言う名目でヒトラーに演説可能なフリーハンドを渡した時点で、全ての勝敗は決していた。 国会の場にいた全員が、それこそヒトラーを追い詰める側であった陸軍高官すらもヒトラーの始めた演説に完全に【呑まれ】ており、与えられた時間制限を軽く超えた事にも誰一人として気付かないままヒトラーの独壇場は一時間以上続き、演説を終えて悠然と立ち去る時には誰しもが自ら立ち上がり万雷の拍手を送ってしまっていた。当然最早ヒトラー率いる帝国警備に責任を擦り付けて糾弾する事など不可能になってしまい、しかもこの時国会にはドイツ皇帝が臨席しており、ヒトラーの演説に好意的態度を取ると言う最悪の政治的状況へと転落してしまっていた。先の戦勝により稼いだ『権威』も、長々と続いた不合理な軍政と対ソ連戦に置ける劣化著しい上層部の作戦指揮によって完全に崩壊して居た為、挽回の余地は何処にも無かった。如何に唯我独尊志向が著しく、政府や皇帝をも『陸軍有ってこその国家』として半ば下に見ていた節の有るドイツ陸軍であっても、破れかぶれのクーデターと言う選択肢も当のドイツ陸軍の実働部隊が絶対に賛同しない為、完全にチェックメイトだった。 その後は組織防衛本能を発揮したドイツ陸軍の動きは手早く、『決戦脳』に侵され帝国警備との連携や地方との防衛を軽視していた旧来の決戦派閥は、ドイツ的完璧主義通りに綺麗サッパリ一掃され、連動してプロイセン的な先軍主義もある程度は修正され、粛清された決戦派閥の穴埋めに『決戦脳』に異議を唱えて閑職送りとなっていた将官の復帰に有望な若手士官の早期昇進を行い、組織全体の新陳代謝にも成功。ヒトラー率いる帝国警備も、国会での大演説が新聞やラジオを通じてドイツ全土に流れたが為に帝国警備の株価が暴騰を起こし、そしてオマケにスポンサー企業であったドイツ軍需企業にも余波で株価が跳ね上がり社長筆頭にてんやわんやになったりもしていたが、この一件で曲がりなりにも『軍閥兵』では無い『正規軍』と立派に渡り合える事を満天下に証明した帝国警備は、将来的には兎も角現時点では現状維持とする事が決定していた。例えドイツ陸軍が理想的作戦能力を得て帝国警備が不要になったとしても、今の状況で『ドイツ陸軍下に編入』等と言い出したら今度は真面目にドイツの参謀本部に国民から火炎瓶が飛んで来かねない。それだけの人気が帝国警備には有った。帝国警備がPMCの能力を事実上不要とするのは、第二次世界大戦が終わってからさらに先の話である。 164: 陣龍 :2020/09/09(水) 22 28 01 HOST 124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp そして最後に、今回本土ベルリンで帝国警備の命運を一身に背負って大立ち回りを演じて見せた社長のアドルフ・ヒトラーだが、国会での演説で数多の政治家勧誘の話が引っ切り無しに舞い込み、始めは帝国警備の社長業務を理由に断っていたものの、元々陸軍上層部の暴走を止められなかった現在のドイツ帝国の政治家や政府に不満を抱いていた事も有り、最終的には帝国警備の社長職を辞職後に、何だか能力は極めて高いのだが心酔っぷりが少々怖い後任のドイツ人に任せて出馬を表明し、選挙区の対抗馬相手にただでさえ支持率で格差が有ったのにダメ押しのヒトラーの演説でもってドイツ政治史上空前絶後の完全勝利を飾って政治家へと転身する。 この事に遠く極東のとある超大国の要人が複数名お茶を噴き出して書類をダメにする惨事を巻き起こしていたが、そんな事は後のドイツ帝国の宰相となるアドルフ・ヒトラーが知る事は無かった。 165: 陣龍 :2020/09/09(水) 22 30 52 HOST 124-241-072-147.pool.fctv.ne.jp 以上完投に御座います。ちょっとドイツ陸軍上層部の劣化が急激過ぎる気もしますが、戦争の勝利の栄光に酔っぱらっていれば、 まぁこんなもんじゃ無いかなと。史実日本海軍の通称護衛軽視見たいなもんですしね。 後ヒトラーの演説能力が初期段階から限界突破してますが、まぁコマけぇことはきにするな(迫真)
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/982.html
「蒼穹 EX-7」 ―国王の決断― 休暇名目で、ロンドンでの数日に及ぶ会議を終えて基地に戻ると雰囲気が暗い。部屋に着替えを 放り込み、談話室に行く。 俺「ただ今戻りました。バルクホルン大尉」 バルクホルン「俺!やっと戻ったか。ちょっと大変なことになったんだ」 事情を聞く。坂本少佐の負傷。宮藤軍曹の命令違反。変なネウロイ。 ルッキーニ「こんなときにロンドンデートなんて!だめじゃん!俺!」 ハルトマン「まあ、しょうがないけど」 俺「済まなかった。電話してくれたんだよね?」 多分、電話はあったはずだ。繋がるのは情報部の該当机の電話だが・・・。誰も絶対に出ない電話。 シャーリー「ずっとコールしたんだぞ。頼むよ、全く!まあ、隊長が許可したからしょうがないけど」 俺「済まなかった。さっきのネウロイの話を詳しく聞かせてくれるか?新型かい?」 聞き終わった私は、バルクホルンに目配せをして外に連れ出す。 俺「仕事だ。すまないが少佐と面会をしたい。そのあとは軍曹と。ミーナ中佐と君に同席を願いたい」 バルクホルン「了解。少佐の病室の前で待っていてください」 数分で彼女達が来た。顔が緊張している。 ミーナ「美緒?お加減良くなったそうね。良かったわ。あ、ペリーヌさん。席を外してもらえるかしら」 ペリーヌ「はい。ミーナ中佐。少佐、後でまた参ります」 私の顔をちらりと睨んでいった。いろいろすまん。 ドアが閉まった後、バルクホルン大尉に頼んでドアを確認してもらう。廊下を確認した大尉が頷いた。 俺「ありがとう。大尉。そこでドアを押しててくれ。邪魔が入るのはちと困る。其処でも聞こえるさ」 坂本少佐の顔が不審そうな表情になっている。 俺「坂本少佐。負傷したそうだな。早く良くなってくれ」 坂本「あ・・・ああ。ありがとう?」 俺「改めて自己紹介をする。私はブリタニア海軍、俺中佐。現在はブリタニア情報部特別作戦部所属。 この部隊を保護する目的で派遣された」 坂本「え?情報部?」 一瞬、眼が見開かれたがすぐに平常に戻る。大した自制心だ。 俺「胸部の怪我だそうなので、握手は遠慮するよ。さて、君が見た宮藤軍曹に付きまとっていたネウロイ のことで聞きたい。人型だったのか?」 坂本「はい。完全な人型でした。ウィッチの飛行装備を真似ておりました。銃器はありません。耳、尻尾 それとズボンまで再現しておりました。目・鼻そして口は確認しておりません」 俺「意思は通じ合えたかな?音声以外でもいい」 坂本「いえ・・・。わたくしは別に。宮藤もそれは無かった様子です」 バルクホルン「俺中佐、失礼します。宮藤軍曹と話しましたが、宮藤は『今迄と違う何かを感じた』と 発言しております。意思の直接疎通は無かったのではないかと」 俺「ありがとう、少佐、大尉。ふん?」 ミーナ「何かご存知なのですね?宜しければお教えください。宮藤軍曹も戸惑っています」 三人の目を見る。皆同じだな。 俺「ああ。先程終えた会議で解ったこともあるんで話そう。人型ネウロイの目撃情報は真正だ。スオスム のカウハバ基地所属ウィッチが数年前に目撃している。これとは交戦・撃破に至った。噂は聞いたこと があるだろう?」 三人が頷く。人の口に戸板は立てられぬ、だな。 俺「次に、私が関わった事案でも同様の人型が。これは、ある将校に情報漏洩を強要する際にその姿で現れ、 音声ではなく、頭にじかに語りかける形でコンタクトを取ったそうだ。これは半年前から二ヶ月前」 ミーナ「宮藤軍曹を勧誘に?」 バルクホルン「なんてことだ」 俺「可能性は高い。その情報漏洩者が最後に送ろうとしていたのは、501の資料だった。この時は送信前 に阻止したが、そのときは追加情報を送ろうとしていたのかも。解るね?」 坂本「どのような資料なのですか?」 俺「君たちの全てだ。記載が無いのは心に秘めたことのみ、だな。月経周期まである、といえば想像は 付くだろう?」 三人が顔を赤らめる。ショックを受けただろうが、程度は理解できただろう。 俺「上司三人に聞きたい。宮藤軍曹の性格上の特徴を教えてくれるか?」 ミーナ「優しい子で、一途な頑張り屋さん、ですね」 バルクホルン「ああ。それに加えれば・・・頑固です」 坂本「自分で判断して答を出そうとします。教えられた答を最初から鵜呑みにしません」 俺「・・・・・なるほど。ネウロイがどのような目的であれ、コンタクトの相手に選びやすいね。私なら問答 無用で撃つからな」 笑ったのは私ただ一人。 ――――――――――― ミーナ「宮藤さん。お話があるの。入りますよ」 大尉が鍵を開けてくれた。自室禁錮だそうだ。まあ、それで済んでヨシとしろ・・・。 宮藤「ミーナさん、バルクホルンさん、俺さん?どうなさったんですか?」 俺「大尉。またお願いできるか?」 バルクホルン「はい!」 宮藤「え?あれ?どうしたんですか?」 ミーナ「宮藤さん。驚かないでね?よく話を聞いてね? ではお願いします」 俺「有難う、ミーナ中佐。さて、宮藤君。私は中尉ではないし、空軍でもない。騙して済まなかった。 ブリタニア海軍、俺中佐。所属はブリタニア情報部特別作戦部」 宮藤「え!ちゅうさ?!じょうほうぶ?」 俺「この501を護る任務で派遣された。君にも、この部隊の隊員にも危害が及ぶことは無い。解るか な?安心してくれ」 宮藤「あ、はい・・・」 俺「君が接触したネウロイのことでね。話を聞かせてくれるかな?」 ・・・・ ・・・・ 俺「そうか。ありがとう」 宮藤「あのネウロイは危険なんですか?私にはそうは思えなかったんです」 俺「常識では危険だ。威圧的に出なかったというのは興味深い。でも、君の人格を考えると、それも頷け るんだ」 宮藤「え?人格、ですか?」 俺「考える余裕無しに、答だけを渡されたら反発するだろう?そして、テーゼをそのまま受け取ることに も抵抗があるようだ。どう?」 宮藤「え、ええ、まあ」 ミーナ「やはり、その手の情報も伝わっていたのでしょうか」 俺「可能性は高いと思うな。ちゃんとアプローチを変えている」 バルクホルン「私たちには知識が無いのですが。やはり変えるものですか?」 俺「カネで頬を張ることもある。恥ずかしいプライベートを掴んで脅すこともある。同性愛とか、異常 性欲などだね。先程の話のように、目標の一番大事にしているものを殺すと脅迫することもある。その 一方で、同情・協調させて完全に仲間としてしまうやり方もある。と教わったよ」 宮藤「私の場合は、同情・協調ですか?」 俺「可能性は高いと思う。現に、君はソレに興味を持っている。だろう?」 ミーナ「敵は、最近色々と従来とやり方を変えてきています。これもその一環でしょうか」 俺「かも知れない。違うかもしれない」 バルクホルン「違うかも、とは?」 俺「敵も一枚板で無い可能性が出てきた。人間と手を結ぶ勢力があるらしい。これ以上は軍機だ。 となると、和平を望むのもいる可能性もゼロとは言えない」 中佐と大尉が絶句する。軍曹は・・・心ここにあらず、だな。 宮藤「私はどうすればいいんでしょうか」 俺「敵性だからね。コンタクトを一人で取ろうと思わないこと。和平の軍使を送るならば、一兵士と 話をしようとするものはいない。決定権が無いからだ。わかるね?最低でも、部隊指揮官が相手 となる」 宮藤「ハイ・・・」 俺「話を聞かせてくれて有難う。では――」 宮藤「もう一つお聞きしたいことがあります」 俺「なんだろう」 宮藤「さっきの・・・脅迫されて情報を漏らした人は。・・・今?」 俺「君が知る必要はない」 宮藤「情報部って・・・人を殺すところだと聞きました。もしかして、俺中佐が・・・・」 俺「知る必要はない」 宮藤「・・・・あなたはその人を殺したんですね。なぜ?酷い!」 俺「・・・」 ミーナ「止めなさい、宮藤さん!」 バルクホルン「やめるんだ、宮藤!」 宮藤「脅迫されていたんでしょう?その人も被害者じゃないですか!それなのに・・。なぜ殺したん ですか!」 俺「・・・罪から解放したんだよ。お邪魔した。失礼する」 宮藤「あなたは神様なんですか?!ただの人殺しじゃないですか!人を裁く権利があなたに―――」 ドアを締めて遮る。ああ、そうだな。もう何万回と自分で自分に問うたよ。 ―――――――――― ミーナ「俺さん。よろしいですか?」 俺「はい。お一人ですか」 宮藤軍曹の部屋から戻って自室で酒を飲んでいた。全く酔えない。 ミーナ「俺さん宛に連絡が。外線電話でした」 俺「ミーナ中佐を経由して、ですね。お手数おかけしました」 メモ用紙を見る。緊急の呼び出しだ。迎えは複座夜戦か。あと少しだな。ライターで火をつけ燃やす。 俺「有難う。滑走路の手配は?」 ミーナ「してきました。あの・・・先程は軍曹が・・・」 俺「いいんです。彼女が言ったことは真理です。あ、良ければ一杯飲みますか?」 ミーナ「許してやってください。まだ若いんです。いただきます」 予備のグラスにウィスキーを注いで机に置いた。彼女が座る。 俺「若さを忘れないというのは・・いいもんですよ。あ、ちょっと準備します。そっちを向いて 飲んでいてください。着替えをね」 時間が惜しい。海軍の制服に着替える。引き出しの奥から小型拳銃を取り出し、点検して脇に吊る。 ミーナ「危険なのですか?」 ああ、スライドの音でか。 俺「普段は使わない緊急度の連絡でしたから、念を入れます」 ミーナ「お気をつけて。外泊許可を出したことにします。四日くらいで宜しい?」 俺「ええ。助かります。私からの直接連絡が無くてそれを過ぎたときは、まあそういうことです」 彼女が黙る。 ミーナ「あの・・・先程、人類とネウロイが手を結んだとか・・・」 彼女は中佐だ。機密事項の接触資格も有るだろう。状況が何か変わったんだ。知っておくべきだ。 俺「マロニー」 ミーナ「! でも・・・彼もブリタニアの軍人です」 俺「戦争が終わった後のことを考えている、とか。カネにもなりますな」 ミーナ「・・・・信じられない・・・」 俺「信じていい人も居る。国王陛下その他。多くの人がそうだ」 ミーナ「・・・あなたもその一人」 俺「私はただの軍人。命令に従う歯車のひとつ」 ミーナ「もし・・・命令されたら?罪の無い人を、と」 俺「罪が無いなら、私は軍を辞める。そんな命令を出す組織には居ることは出来ない。辞めさせて くれないなら、実行前に自分の頭を吹き飛ばす。私は脅される材料も無いのでね」 ミーナ「あなたは優しい人ね。犬の事やいろいろ見て、解っていました」 俺「感情は捨てたよ。私はただの歯車だ。大きな歯車を護って磨耗するだけの歯車だ。ただ、今迄に 命令されたことに盲従したことはない。必ず自分で確かめた。歯車の意地だね」 ミーナ「宮藤さんと似ているわ。私は自分の直感を信じます。人を見る眼はあるつも――」 シャーリー「あ!ここに居た!ミー・・え!俺、何だい、その格好?」 俺「仮装パーティーさ。どうしたね?」 シャーリー「管制室から飛行機があと・・4分だって。それって本物だろ?海軍中佐?!」 俺「有難う。パーティーの件は他言無用だよ、シャーリー」 トレンチコートに袖を通す。ミーナ中佐が椅子から立ち上がった。俺をじっと見ている。 ミーナ「空軍の制服より、海軍のほうがお似合いね」 俺「やっと本当の自分に戻れた気がする。では、後を頼みます。シャーリー、酒がある。中佐に付き 合ってやってくれないかな」 イェーガー大尉が敬礼して見送ってくれる。苦笑いしても答えてくれず。騙していたものな・・・。 ま、もうすぐ終わる。終われば私は消えるだけ。君達からも忘れられるだけ。 雨の中、複座夜戦に乗り込んでキャノピーを閉じる。パイロットに合図。離陸準備を開始。 ふと窓を見ると、滑走路脇に出てきた人影。誰だ?こんな天気に。 中佐?どうしたんだろう。発進中止ではないな。 私を見送りに? まさか。 ――――――――― 階段を登り、一室に通された。初めてのバッキンガム宮殿。キョロキョロしないように自制力を フルに振り絞らなければならなかった。途中、近衛兵の軍曹に拳銃を預けた。 部屋には先客。押し出しの良い恰幅。咥えた葉巻。チャーチル首相だ。先程から緊張しているお陰 で驚きを顔に出さずに済んだ。 提督「首相閣下。遅くなりました。彼が俺中佐です」 首相「君が噂の。いつも有難う」 思ったより気さくな人だ。思い切り強く握手される。負けずに応える。 首相「いい目付きだ。あ、いらっしゃったぞ」 三人で直立不動でお迎え。首相はお辞儀。私達は制服なので敬礼。 国王「こんな時間に呼んで済まない。掛けて下さい。では早速はじめて貰えるかな?」 提督「では、最初は私から。事の起こりは~~~」 王女がグラスを渡してくださった。目礼する。 提督「では、現地調査結果を俺中佐から説明させます。中佐、頼む」 首相「結論で頼むよ」 俺「は。閣下。では端的に。マロニー空軍大将が独断専行をし、連合軍統率の侵犯、隷下部隊の私兵 化及び501統合戦闘航空団に対し情報を差し止めた為に当該部隊に対し人的・設備的損害を与えた。 これ等は利敵行為と看做されます」 俺「また、政府及び連合諸国からの経費支援を一部は私し、また一部を自らの発言力強化のために用い ました。これは本来ならば501隊に対し用いられるべき経費でした。 その他にも、隷下諸部隊にて同様のことをしております。概算で、横領した金額はブリタニアの本年 度の国家予算の7パーセントです。その金で、あるプロジェクトを極秘裏に発足させました。これは 国家反逆罪と看做されます。以上です」 提督「こちらがその資料です。御検分ください」 首相が青ざめている。確か、首相の推薦でマロニーは今の地位に付いた。 首相「陛下。申し訳ありません。私に責任があります。私の進退をお決めください。そして私も調査を してくださいますよう、お願いいたします」 国王「それは後で話しましょう。中佐。先程、極秘裏のプロジェクト云々を言われましたな。これを詳 しく聞かせて貰えますか?」 提督は国王を見つめている。いいんですね。 俺「は。ネウロイと通じたことが確認されました。情報提供者は外部で手配をし、露見しても自分たちに 類が及ばぬように細工をしておりました。ネウロイが欲しがる情報などを提供する代わりに、彼らの技 術を提供してもらった様子です。お手元の資料の30ページ目以降にそれに関する詳細があります」 あわただしく資料を捲り、食い入るように見る三人。この調査は別の部隊員がしてくれた。三人も犠牲 を出して・・・。 国王「・・・・・とんでもないことを・・・」 首相「なんと・・・最悪だ。人類全体に対する裏切り行為ではないか」 王女「中佐にお尋ねします。彼は一体何を望んだのでしょう。ネウロイと通じてメリットを得られるので しょうか?」 俺「『権力』ではないでしょうか?本人を尋問しないと正確には解りません」 国王「権力・・・?」 首相「陛下。私も一応は軍の出身です。それをお考え下さい」 王女「ネウロイの技術は・・・お金になりそうですね。お金があれば地位も名誉も・・・権力の座も」 国王「なるほどな。愛国心の旗の下・・・か」 首相「今すべきことは、マロニーを止める事と考えます。陛下、宜しいですね?」 提督「この時間に面会をお願いした理由ですが、マロニーが動き出した様子なのです。猶予はないと 考えます。陛下」 国王「私は・・・ここでネウロイの空襲を何度か見た。彼らの技術力は、今の私たちにはコントロール出来 るものではない。世界を人間が滅ぼすことになりかねないと考える」 ああ、そうだった。『善良王』は、疎開することも断ってここにいらっしゃるんだったな。首相と同じ 考えで。国王と王女がラジオで国民に、ロンドン市民に語りかけたことがどれだけ人心を揺さぶったか。 国王「断固たる処置を取りましょう。悪魔の技術は無用です。首相、至急彼を逮捕してください。この 研究所は封鎖。もし・・・」 言いよどんだ陛下に四人の目が集中する。 国王「もしも。彼がそれを拒む事態となった場合は、関係者・・・全員を、しかるべく『処理』してください。 責任は私が負います。国民にこのようなことが知れないよう、善処してください」 首相と提督が頷いた。 王女「よろしくお願いします。首相。提督。中佐」 三人で起立し辞した。去り際に拝したお二人の背中が小さく見えた。私個人の苦悩などと比べようも・・・。 ―――――――――― 提督と深夜のオフィスに戻る。 即、電話と取り組む。提督は、何度か首相にも電話をかける。 武装憲兵隊の派遣が指示された。順調に行けば、二時間で終わる。 提督と二人で紅茶を啜りながら、ただ待機する。 提督「やりきれんよ。私も昔のマロニーを知っている。どうしてこうなるのだろう」 俺「人は・・・変わりますよ。よくも、悪くも」 提督「そうだな。・・・・気分を変えよう。おい、お前まだ結婚しないのか?」 俺「またそれですか。まだです。私の心を満たしてくれる女性に出会っていません」 提督「ガールフレンドは山ほど居るのに。資料は見ている。皆素敵な子じゃないか。背後も確かだ」 俺「また提督の覗き趣味ですか?いい写真が有ったらくださいよ。顔を忘れてしまうんで、コレク ションがてらアルバムに張ろうかな」 提督「私が既にしておる。余裕は無いな。だれか居ないのか?501でもいいぞ?時間をおけば陛下も お許しくださるし、きっとお喜びになる」 俺「私を理解してくれる人がいると思いますか?私の本当の姿を見たら・・・」 提督「馬鹿者。お前は義務を果たしているだけだ。立派にやっている」 俺「人は結果だけ見るものです。普通の人には『人殺し』です」 宮藤軍曹の顔と声が・・・。そういうものさ。仕方がないんだ。 提督「それじゃあ、私は偏屈なのかな?お前のような息子が居たら嬉しいのに」 俺「私も偏屈なんで、提督が親父だったらうれしい、かも知れません」 提督「小僧が。じゃあ、親代わりとして言うがな。自分で決め付けるな。きっと居るさ」 黙りこんでしまった。なんと言う?返す言葉がない。 提督「そうだった。言い難いんだが・・・ライセンス持ちでブリタニアに居る者がお前だけなんだ」 俺「了解。私一人で何とかします」 ****
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/1043.html
「蒼穹 EX-7」 ―国王の決断― 休暇名目で、ロンドンでの数日に及ぶ会議を終えて基地に戻ると雰囲気が暗い。部屋に着替えを 放り込み、談話室に行く。 俺「ただ今戻りました。バルクホルン大尉」 バルクホルン「俺!やっと戻ったか。ちょっと大変なことになったんだ」 事情を聞く。坂本少佐の負傷。宮藤軍曹の命令違反。変なネウロイ。 ルッキーニ「こんなときにロンドンデートなんて!だめじゃん!俺!」 ハルトマン「まあ、しょうがないけど」 俺「済まなかった。電話してくれたんだよね?」 多分、電話はあったはずだ。繋がるのは情報部の該当机の電話だが・・・。誰も絶対に出ない電話。 シャーリー「ずっとコールしたんだぞ。頼むよ、全く!まあ、隊長が許可したからしょうがないけど」 俺「済まなかった。さっきのネウロイの話を詳しく聞かせてくれるか?新型かい?」 聞き終わった私は、バルクホルンに目配せをして外に連れ出す。 俺「仕事だ。すまないが少佐と面会をしたい。そのあとは軍曹と。ミーナ中佐と君に同席を願いたい」 バルクホルン「了解。少佐の病室の前で待っていてください」 数分で彼女達が来た。顔が緊張している。 ミーナ「美緒?お加減良くなったそうね。良かったわ。あ、ペリーヌさん。席を外してもらえるかしら」 ペリーヌ「はい。ミーナ中佐。少佐、後でまた参ります」 私の顔をちらりと睨んでいった。いろいろすまん。 ドアが閉まった後、バルクホルン大尉に頼んでドアを確認してもらう。廊下を確認した大尉が頷いた。 俺「ありがとう。大尉。そこでドアを押しててくれ。邪魔が入るのはちと困る。其処でも聞こえるさ」 坂本少佐の顔が不審そうな表情になっている。 俺「坂本少佐。負傷したそうだな。早く良くなってくれ」 坂本「あ・・・ああ。ありがとう?」 俺「改めて自己紹介をする。私はブリタニア海軍、俺中佐。現在はブリタニア情報部特別作戦部所属。 この部隊を保護する目的で派遣された」 坂本「え?情報部?」 一瞬、眼が見開かれたがすぐに平常に戻る。大した自制心だ。 俺「胸部の怪我だそうなので、握手は遠慮するよ。さて、君が見た宮藤軍曹に付きまとっていたネウロイ のことで聞きたい。人型だったのか?」 坂本「はい。完全な人型でした。ウィッチの飛行装備を真似ておりました。銃器はありません。耳、尻尾 それとズボンまで再現しておりました。目・鼻そして口は確認しておりません」 俺「意思は通じ合えたかな?音声以外でもいい」 坂本「いえ・・・。わたくしは別に。宮藤もそれは無かった様子です」 バルクホルン「俺中佐、失礼します。宮藤軍曹と話しましたが、宮藤は『今迄と違う何かを感じた』と 発言しております。意思の直接疎通は無かったのではないかと」 俺「ありがとう、少佐、大尉。ふん?」 ミーナ「何かご存知なのですね?宜しければお教えください。宮藤軍曹も戸惑っています」 三人の目を見る。皆同じだな。 俺「ああ。先程終えた会議で解ったこともあるんで話そう。人型ネウロイの目撃情報は真正だ。スオスム のカウハバ基地所属ウィッチが数年前に目撃している。これとは交戦・撃破に至った。噂は聞いたこと があるだろう?」 三人が頷く。人の口に戸板は立てられぬ、だな。 俺「次に、私が関わった事案でも同様の人型が。これは、ある将校に情報漏洩を強要する際にその姿で現れ、 音声ではなく、頭にじかに語りかける形でコンタクトを取ったそうだ。これは半年前から二ヶ月前」 ミーナ「宮藤軍曹を勧誘に?」 バルクホルン「なんてことだ」 俺「可能性は高い。その情報漏洩者が最後に送ろうとしていたのは、501の資料だった。この時は送信前 に阻止したが、そのときは追加情報を送ろうとしていたのかも。解るね?」 坂本「どのような資料なのですか?」 俺「君たちの全てだ。記載が無いのは心に秘めたことのみ、だな。月経周期まである、といえば想像は 付くだろう?」 三人が顔を赤らめる。ショックを受けただろうが、程度は理解できただろう。 俺「上司三人に聞きたい。宮藤軍曹の性格上の特徴を教えてくれるか?」 ミーナ「優しい子で、一途な頑張り屋さん、ですね」 バルクホルン「ああ。それに加えれば・・・頑固です」 坂本「自分で判断して答を出そうとします。教えられた答を最初から鵜呑みにしません」 俺「・・・・・なるほど。ネウロイがどのような目的であれ、コンタクトの相手に選びやすいね。私なら問答 無用で撃つからな」 笑ったのは私ただ一人。 ――――――――――― ミーナ「宮藤さん。お話があるの。入りますよ」 大尉が鍵を開けてくれた。自室禁錮だそうだ。まあ、それで済んでヨシとしろ・・・。 宮藤「ミーナさん、バルクホルンさん、俺さん?どうなさったんですか?」 俺「大尉。またお願いできるか?」 バルクホルン「はい!」 宮藤「え?あれ?どうしたんですか?」 ミーナ「宮藤さん。驚かないでね?よく話を聞いてね? ではお願いします」 俺「有難う、ミーナ中佐。さて、宮藤君。私は中尉ではないし、空軍でもない。騙して済まなかった。 ブリタニア海軍、俺中佐。所属はブリタニア情報部特別作戦部」 宮藤「え!ちゅうさ?!じょうほうぶ?」 俺「この501を護る任務で派遣された。君にも、この部隊の隊員にも危害が及ぶことは無い。解るか な?安心してくれ」 宮藤「あ、はい・・・」 俺「君が接触したネウロイのことでね。話を聞かせてくれるかな?」 ・・・・ ・・・・ 俺「そうか。ありがとう」 宮藤「あのネウロイは危険なんですか?私にはそうは思えなかったんです」 俺「常識では危険だ。威圧的に出なかったというのは興味深い。でも、君の人格を考えると、それも頷け るんだ」 宮藤「え?人格、ですか?」 俺「考える余裕無しに、答だけを渡されたら反発するだろう?そして、テーゼをそのまま受け取ることに も抵抗があるようだ。どう?」 宮藤「え、ええ、まあ」 ミーナ「やはり、その手の情報も伝わっていたのでしょうか」 俺「可能性は高いと思うな。ちゃんとアプローチを変えている」 バルクホルン「私たちには知識が無いのですが。やはり変えるものですか?」 俺「カネで頬を張ることもある。恥ずかしいプライベートを掴んで脅すこともある。同性愛とか、異常 性欲などだね。先程の話のように、目標の一番大事にしているものを殺すと脅迫することもある。その 一方で、同情・協調させて完全に仲間としてしまうやり方もある。と教わったよ」 宮藤「私の場合は、同情・協調ですか?」 俺「可能性は高いと思う。現に、君はソレに興味を持っている。だろう?」 ミーナ「敵は、最近色々と従来とやり方を変えてきています。これもその一環でしょうか」 俺「かも知れない。違うかもしれない」 バルクホルン「違うかも、とは?」 俺「敵も一枚板で無い可能性が出てきた。人間と手を結ぶ勢力があるらしい。これ以上は軍機だ。 となると、和平を望むのもいる可能性もゼロとは言えない」 中佐と大尉が絶句する。軍曹は・・・心ここにあらず、だな。 宮藤「私はどうすればいいんでしょうか」 俺「敵性だからね。コンタクトを一人で取ろうと思わないこと。和平の軍使を送るならば、一兵士と 話をしようとするものはいない。決定権が無いからだ。わかるね?最低でも、部隊指揮官が相手 となる」 宮藤「ハイ・・・」 俺「話を聞かせてくれて有難う。では――」 宮藤「もう一つお聞きしたいことがあります」 俺「なんだろう」 宮藤「さっきの・・・脅迫されて情報を漏らした人は。・・・今?」 俺「君が知る必要はない」 宮藤「情報部って・・・人を殺すところだと聞きました。もしかして、俺中佐が・・・・」 俺「知る必要はない」 宮藤「・・・・あなたはその人を殺したんですね。なぜ?酷い!」 俺「・・・」 ミーナ「止めなさい、宮藤さん!」 バルクホルン「やめるんだ、宮藤!」 宮藤「脅迫されていたんでしょう?その人も被害者じゃないですか!それなのに・・。なぜ殺したん ですか!」 俺「・・・罪から解放したんだよ。お邪魔した。失礼する」 宮藤「あなたは神様なんですか?!ただの人殺しじゃないですか!人を裁く権利があなたに―――」 ドアを締めて遮る。ああ、そうだな。もう何万回と自分で自分に問うたよ。 ―――――――――― ミーナ「俺さん。よろしいですか?」 俺「はい。お一人ですか」 宮藤軍曹の部屋から戻って自室で酒を飲んでいた。全く酔えない。 ミーナ「俺さん宛に連絡が。外線電話でした」 俺「ミーナ中佐を経由して、ですね。お手数おかけしました」 メモ用紙を見る。緊急の呼び出しだ。迎えは複座夜戦か。あと少しだな。ライターで火をつけ燃やす。 俺「有難う。滑走路の手配は?」 ミーナ「してきました。あの・・・先程は軍曹が・・・」 俺「いいんです。彼女が言ったことは真理です。あ、良ければ一杯飲みますか?」 ミーナ「許してやってください。まだ若いんです。いただきます」 予備のグラスにウィスキーを注いで机に置いた。彼女が座る。 俺「若さを忘れないというのは・・いいもんですよ。あ、ちょっと準備します。そっちを向いて 飲んでいてください。着替えをね」 時間が惜しい。海軍の制服に着替える。引き出しの奥から小型拳銃を取り出し、点検して脇に吊る。 ミーナ「危険なのですか?」 ああ、スライドの音でか。 俺「普段は使わない緊急度の連絡でしたから、念を入れます」 ミーナ「お気をつけて。外泊許可を出したことにします。四日くらいで宜しい?」 俺「ええ。助かります。私からの直接連絡が無くてそれを過ぎたときは、まあそういうことです」 彼女が黙る。 ミーナ「あの・・・先程、人類とネウロイが手を結んだとか・・・」 彼女は中佐だ。機密事項の接触資格も有るだろう。状況が何か変わったんだ。知っておくべきだ。 俺「マロニー」 ミーナ「! でも・・・彼もブリタニアの軍人です」 俺「戦争が終わった後のことを考えている、とか。カネにもなりますな」 ミーナ「・・・・信じられない・・・」 俺「信じていい人も居る。国王陛下その他。多くの人がそうだ」 ミーナ「・・・あなたもその一人」 俺「私はただの軍人。命令に従う歯車のひとつ」 ミーナ「もし・・・命令されたら?罪の無い人を、と」 俺「罪が無いなら、私は軍を辞める。そんな命令を出す組織には居ることは出来ない。辞めさせて くれないなら、実行前に自分の頭を吹き飛ばす。私は脅される材料も無いのでね」 ミーナ「あなたは優しい人ね。犬の事やいろいろ見て、解っていました」 俺「感情は捨てたよ。私はただの歯車だ。大きな歯車を護って磨耗するだけの歯車だ。ただ、今迄に 命令されたことに盲従したことはない。必ず自分で確かめた。歯車の意地だね」 ミーナ「宮藤さんと似ているわ。私は自分の直感を信じます。人を見る眼はあるつも――」 シャーリー「あ!ここに居た!ミー・・え!俺、何だい、その格好?」 俺「仮装パーティーさ。どうしたね?」 シャーリー「管制室から飛行機があと・・4分だって。それって本物だろ?海軍中佐?!」 俺「有難う。パーティーの件は他言無用だよ、シャーリー」 トレンチコートに袖を通す。ミーナ中佐が椅子から立ち上がった。俺をじっと見ている。 ミーナ「空軍の制服より、海軍のほうがお似合いね」 俺「やっと本当の自分に戻れた気がする。では、後を頼みます。シャーリー、酒がある。中佐に付き 合ってやってくれないかな」 イェーガー大尉が敬礼して見送ってくれる。苦笑いしても答えてくれず。騙していたものな・・・。 ま、もうすぐ終わる。終われば私は消えるだけ。君達からも忘れられるだけ。 雨の中、複座夜戦に乗り込んでキャノピーを閉じる。パイロットに合図。離陸準備を開始。 ふと窓を見ると、滑走路脇に出てきた人影。誰だ?こんな天気に。 中佐?どうしたんだろう。発進中止ではないな。 私を見送りに? まさか。 ――――――――― 階段を登り、一室に通された。初めてのバッキンガム宮殿。キョロキョロしないように自制力を フルに振り絞らなければならなかった。途中、近衛兵の軍曹に拳銃を預けた。 部屋には先客。押し出しの良い恰幅。咥えた葉巻。チャーチル首相だ。先程から緊張しているお陰 で驚きを顔に出さずに済んだ。 提督「首相閣下。遅くなりました。彼が俺中佐です」 首相「君が噂の。いつも有難う」 思ったより気さくな人だ。思い切り強く握手される。負けずに応える。 首相「いい目付きだ。あ、いらっしゃったぞ」 三人で直立不動でお迎え。首相はお辞儀。私達は制服なので敬礼。 国王「こんな時間に呼んで済まない。掛けて下さい。では早速はじめて貰えるかな?」 提督「では、最初は私から。事の起こりは~~~」 王女がグラスを渡してくださった。目礼する。 提督「では、現地調査結果を俺中佐から説明させます。中佐、頼む」 首相「結論で頼むよ」 俺「は。閣下。では端的に。マロニー空軍大将が独断専行をし、連合軍統率の侵犯、隷下部隊の私兵 化及び501統合戦闘航空団に対し情報を差し止めた為に当該部隊に対し人的・設備的損害を与えた。 これ等は利敵行為と看做されます」 俺「また、政府及び連合諸国からの経費支援を一部は私し、また一部を自らの発言力強化のために用い ました。これは本来ならば501隊に対し用いられるべき経費でした。 その他にも、隷下諸部隊にて同様のことをしております。概算で、横領した金額はブリタニアの本年 度の国家予算の7パーセントです。その金で、あるプロジェクトを極秘裏に発足させました。これは 国家反逆罪と看做されます。以上です」 提督「こちらがその資料です。御検分ください」 首相が青ざめている。確か、首相の推薦でマロニーは今の地位に付いた。 首相「陛下。申し訳ありません。私に責任があります。私の進退をお決めください。そして私も調査を してくださいますよう、お願いいたします」 国王「それは後で話しましょう。中佐。先程、極秘裏のプロジェクト云々を言われましたな。これを詳 しく聞かせて貰えますか?」 提督は国王を見つめている。いいんですね。 俺「は。ネウロイと通じたことが確認されました。情報提供者は外部で手配をし、露見しても自分たちに 類が及ばぬように細工をしておりました。ネウロイが欲しがる情報などを提供する代わりに、彼らの技 術を提供してもらった様子です。お手元の資料の30ページ目以降にそれに関する詳細があります」 あわただしく資料を捲り、食い入るように見る三人。この調査は別の部隊員がしてくれた。三人も犠牲 を出して・・・。 国王「・・・・・とんでもないことを・・・」 首相「なんと・・・最悪だ。人類全体に対する裏切り行為ではないか」 王女「中佐にお尋ねします。彼は一体何を望んだのでしょう。ネウロイと通じてメリットを得られるので しょうか?」 俺「『権力』ではないでしょうか?本人を尋問しないと正確には解りません」 国王「権力・・・?」 首相「陛下。私も一応は軍の出身です。それをお考え下さい」 王女「ネウロイの技術は・・・お金になりそうですね。お金があれば地位も名誉も・・・権力の座も」 国王「なるほどな。愛国心の旗の下・・・か」 首相「今すべきことは、マロニーを止める事と考えます。陛下、宜しいですね?」 提督「この時間に面会をお願いした理由ですが、マロニーが動き出した様子なのです。猶予はないと 考えます。陛下」 国王「私は・・・ここでネウロイの空襲を何度か見た。彼らの技術力は、今の私たちにはコントロール出来 るものではない。世界を人間が滅ぼすことになりかねないと考える」 ああ、そうだった。『善良王』は、疎開することも断ってここにいらっしゃるんだったな。首相と同じ 考えで。国王と王女がラジオで国民に、ロンドン市民に語りかけたことがどれだけ人心を揺さぶったか。 国王「断固たる処置を取りましょう。悪魔の技術は無用です。首相、至急彼を逮捕してください。この 研究所は封鎖。もし・・・」 言いよどんだ陛下に四人の目が集中する。 国王「もしも。彼がそれを拒む事態となった場合は、関係者・・・全員を、しかるべく『処理』してください。 責任は私が負います。国民にこのようなことが知れないよう、善処してください」 首相と提督が頷いた。 王女「よろしくお願いします。首相。提督。中佐」 三人で起立し辞した。去り際に拝したお二人の背中が小さく見えた。私個人の苦悩などと比べようも・・・。 ―――――――――― 提督と深夜のオフィスに戻る。 即、電話と取り組む。提督は、何度か首相にも電話をかける。 武装憲兵隊の派遣が指示された。順調に行けば、二時間で終わる。 提督と二人で紅茶を啜りながら、ただ待機する。 提督「やりきれんよ。私も昔のマロニーを知っている。どうしてこうなるのだろう」 俺「人は・・・変わりますよ。よくも、悪くも」 提督「そうだな。・・・・気分を変えよう。おい、お前まだ結婚しないのか?」 俺「またそれですか。まだです。私の心を満たしてくれる女性に出会っていません」 提督「ガールフレンドは山ほど居るのに。資料は見ている。皆素敵な子じゃないか。背後も確かだ」 俺「また提督の覗き趣味ですか?いい写真が有ったらくださいよ。顔を忘れてしまうんで、コレク ションがてらアルバムに張ろうかな」 提督「私が既にしておる。余裕は無いな。だれか居ないのか?501でもいいぞ?時間をおけば陛下も お許しくださるし、きっとお喜びになる」 俺「私を理解してくれる人がいると思いますか?私の本当の姿を見たら・・・」 提督「馬鹿者。お前は義務を果たしているだけだ。立派にやっている」 俺「人は結果だけ見るものです。普通の人には『人殺し』です」 宮藤軍曹の顔と声が・・・。そういうものさ。仕方がないんだ。 提督「それじゃあ、私は偏屈なのかな?お前のような息子が居たら嬉しいのに」 俺「私も偏屈なんで、提督が親父だったらうれしい、かも知れません」 提督「小僧が。じゃあ、親代わりとして言うがな。自分で決め付けるな。きっと居るさ」 黙りこんでしまった。なんと言う?返す言葉がない。 提督「そうだった。言い難いんだが・・・ライセンス持ちでブリタニアに居る者がお前だけなんだ」 俺「了解。私一人で何とかします」 ****
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/28999.html
登録日:2014/06/27 Fri 20 52 04 更新日:2024/02/18 Sun 22 52 43NEW! 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 FE FEエピソード項目 どうあがいても絶望 みんなのトラウマ アルヴィス シグルド ターニングポイント ドラクエではない ネタバレ項目 バッドエンド バーハラの悲劇 バーハラの戦い ファイアーエムブレム ファラフレイム メティオ ラグナロク 世代交代 全滅エンド 凱旋 失意の果て 悲劇 愛しい人 戦争の転換点 聖戦の系譜 衝撃の結末 謀略 負けイベント 運命の扉 騙し討ち 黒い任天堂 バーハラの悲劇とは、『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』5章クリア後のイベント。 多くのエムブレマーに多大な絶望を与えた、みんなのトラウマでもある。 以下、先のイベントで負ったトラウマに直接塩を抉りこむような展開につき注意。 ◇これまでのあらすじ 主人公・シグルドは、王子殺しの汚名を着せられながらも自らの無実を証明するため、 大陸最高戦力であるグランベル正規兵を相手に最後の戦いを仕掛け、父バイロンから聖剣ティルフィングを継承し、 同じ聖戦士の末裔である仇敵のランゴバルド卿、宰相レプトールに勝利する。 かつてシグルドに銀の剣を与え、レプトールとの戦いの時にも加勢してくれたアルヴィス 率いるヴェルトマー軍。 その側近であるアイーダの手筈のもと、シグルド軍は念願だったバーハラ王都への凱旋を果たす。 ここまでの道のりは決して勝利の勢いのまま進んでいたわけではなかった。シグルドは勝利の度に大きな犠牲を生んでいた。 自身にとって唯一の肉親であるバイロン卿を失い…… 共に国を担うものとしての将来を誓い合ったキュアン、さらに妹であるエスリンを失い…… 戦渦に巻き込まないために、子供のオイフェとシャナン、息子セリスを疎開させる別離…… 仲間たちも最愛の人との幸せを噛みしめつつも、悲報の数々に動揺を隠せなかった。 大切の人を想う反面、どこか不安を抱えながらもシグルドと共に王都へと向かう。 ※ここから先は悲劇が待っています。 知りたくない人、心の準備ができていない方はブラウザバックして下さい。 刺激が強すぎる恐れがあります、本当に覚悟はいいですか…? ――バーハラ王都郊外 アルヴィス率いるヴェルトマー軍は、王都郊外にてシグルド軍を迎え入れる。 シグルドは、主君であるグランベル王アズムールに戦いの真相を伝えようとするが、 国王は病気で動けず、側近であるアルヴィスが全ての代理を引き受けると言い出す。 あとで王宮で直接お詫びを申し入れようとして、そのまま凱旋式は何事もなく終わるはずだったのだが―― 「それにはおよばぬよ」 「えっ?」 アイーダより聞かされていた話から一転し、シグルドは父バイロン卿と共謀して国家転覆を企てた反逆者として処刑を宣告される。 さらに、今まで行方不明となっていた妻ディアドラと、目の前にいる首謀者の妻として再会を果たす。 しかし、彼女は全ての元凶である大司教マンフロイの術に掛かり、今までの記憶を全て失っていた。 絶望的な状況の中でも、お互い魅入るように言葉を交わすシグルドとディアドラ。 アルヴィスは、ディアドラをこれ以上シグルドに逢わせることに本能で危険を感じ、従者に命じて彼女を城内へと戻す。 そして、シグルド軍の公開処刑を全軍に告げた。 「アルヴィス……きさま!」 弁明の余地もなくアルヴィスの指揮の下、自軍の周りにいたバーハラ王国の同盟軍(緑)の色が変わり、敵軍である赤色に染め上がる。 自軍全体に降り注ぐ隕石を落とす炎魔法メティオによる殲滅戦が始まり、王都バーハラ郊外は戦渦に包まれた。 「シグルド、もはやこれまでだ」 そして、聖戦士の末裔の一人であるアルヴィスは、神の炎とも呼ばれるファラフレイムをシグルドに向けて放つ。 数々の悲劇と死闘を乗り越えて来たシグルドと聖剣ティルフィングを以てしても、完全には避けられず大きなダメージを受けてしまう。 薄れる意識の中でアルヴィスに深手を負わせるも、シグルドは複雑に感情が入り混じったまま再び炎に包まれ、聖剣を残して絶命してしまう。 その他にもチート神器フォルセティを持って挑んだレヴィンが、マンフロイに挑むも敗北している。 分断された状況で指揮系統が乱れる中でも善戦したものの、大将のシグルドが討ち取られたことでシグルド軍は敗走。 仲間達はほとんどが戦死、および生死不明となってしまう。 大陸の象徴でもあり絢爛豪華な王城の郊外を舞台に行われたこの一戦は、後にバーハラの戦いと呼ばれ、 ひとつの時代の終わりとして語り継がれることとなった……… ●プレイヤーに与えた影響 今まで苦労して育ててきたユニットが、7章で再加入するフィン以外は、全て次の章から使えなくなってしまうこと。 そのため、お気に入りやエース級だろうと強制的に物語上から離脱してしまうので、感情移入は大きくなる。 NTR、裏切り、そして全てを失ったまま主人公が死亡してしまう展開。 主人公+伝説の武器による最強の組み合わせの敗北。 まるで映画ワンシーンのように長いBGMが自動セリフに合わせて流れる演出。 赤く染まる画面とセピア色に変わる画面の色による悲劇性の強調。 それこそ、バッドエンドと見間違えるような、重苦しい展開の数々…… ちなみにこのイベントはエンディングの扱いとなるため、スタートボタンでスキップすることはできない。 ゲーム全体を通してもこれほど悲劇性を強調したイベントはそう簡単には見つからない。 このイベントは本作のテーマの一つである『戦いのむなしさと悲惨』を、今まで育ててきたユニットが物語上全滅する形で強烈に伝えている。 次の戦いからは再びレベル1から始まる子世代編に移行することも相まって、セーブデータを間接的に消去するような絶望感も同時に味わうことになる。 また、リアル世代のエムブレマーには衝撃すぎる結末に「泣いた」との報告がいろいろな場所で聞かれている。 ●物語に与えた影響 当代の聖戦士の血族が敵味方問わず、ほとんどが戦死してしまったこと。 真の謀反人であるランゴバルド、レプトールの二名もかつて世界を救うために戦った正義の聖戦士の末裔であり、 言い方を変えればライダーバトルのような戦いによって次々と倒れていったのだ。 ◇バーハラの戦いで犠牲になった聖戦士の血族 シグルド(バルド直系・聖剣ティルフィング) ブリギッド(ウル直系・聖弓イチイバル) アンドレイ(ウル傍系) レックス(ネール傍系) アゼル(ファラ傍系) ランゴバルド(ネール直系・聖斧スワンチカ) レプトール(トール直系・雷魔法トールハンマー) レヴィン(セティ直系・風魔法フォルセティ) クロード(ブラギ直系・聖杖バルキリー) ◇先の戦いで倒れた聖戦士の血族 エルトシャン(ヘズル直系・魔剣ミストルティン) エスリン(バルド傍系) キュアン(ノヴァ直系・地槍ゲイボルグ) 合計で10人もの聖戦士の血族が、そのうち神器を継承した直系に限っても8人と半分以上が戦いの中で命を落としている。 なお、形式上はアイーダに話しかけてクリアなのだが、 実はこの章の勝利条件は『バーハラ城の制圧』であるため、本当は達成できていない。 しかも、アルヴィスの治めているヴェルトマー城も制圧していない。この章は、ゲーム的に見ても本当の意味での戦いには負けているのである。 グランベル王は、仮病ではなく本当に病に伏せて動けなくなっていた。 バーハラの悲劇によって、国を治める成人の有力者がいなくなったことで数少ない生き残りであるアルヴィスが全権を握るようになった。 特にこれから総仕上げに制圧する国の大半も、シグルド軍が先に戦っていたことが仇となってしまい、 守備軍はボロボロで国力も疲弊しきっており、今や無敵のグランベル軍を止められるはずもなく制圧されてしまう。 大陸全土がグランベル軍によって統治され、王国はグランベル帝国へ名前を変えた。 そんなアルヴィスにも弱みがあり、大陸を絶望に陥れた暗黒神の末裔の血を実は引いており、そのことを世間に暴露されることを一番恐れていた。 暗黒神の秘密を握る暗黒教団を表向きでは抑えつつも、裏では完全に踊らされていたのであった。 傷ついた体でバーハラ城内に戻り、ディアドラの治療を受けるアルヴィス……。 この二人を見てほくそ笑む暗黒教団。 多くの人々は誰も気づいていなかった…悲劇の裏側では暗黒神の復活が近いことを、 そして、大陸が再び絶望の闇に包まれようとしていることも―――――― そして、光は……… … + 回避方法? 実はこのイベント、見ないで済む方法があるのはご存じだろうか。 通常、5章ではヴェルトマーがフリージを裏切って中立になり、フリージの大将レプトールを倒してアイーダに話しかけるとクリアとなり、上記の流れが綴られる。 しかし、クリアの方法は実はもう1つある。それはヴェルトマーがフリージを裏切るより前にヴェルトマー城を制圧してしまうことである。 裏切って以降はアイーダがヴェルトマー城に立つが、レプトールはヴェルトマー城には一度も立たず、フリージ軍も誰一人城周辺を塞いでいないので、 裏切る前の城はガラ空き。そのスキを突いて一気に制圧してしまうのである。 方法としては、フリージ軍の進軍開始エリアに進入したそのターンのうちにヴェルトマー城まで行き、制圧する事。 そのターンを終了するか、フリージ軍の誰かと戦闘するとヴェルトマーの裏切りのイベントが入ってしまうので、これらはNG。 レスキュー、及びレッグリング又は踊るのいずれかが必要となりハードルは高いが、これらがあれば理論上誰でも達成は可能。 この方法で制圧すると、その後のイベントが全部飛ばされ、いきなり子世代の6章の開始まですっ飛ぶ。 もちろん、この悲劇が無かった事になる訳ではないので、いきなりこの方法を取るとプレイヤー視点では話が見えなくなってしまう。 ただ、プレイ時間としては大幅の短縮が可能なので、特にRTA等をやる場合では必須のテクニックになる。覚えて損は無い。 + ... このイベント中に出てくる敵ユニットには一応内部データが設定されているのだが、あのファイアマージ軍団は実は内部データではメティオを持っていない。 あのメティオの雨は何だったんだ。 チートを使ってバーハラの戦いを戦ってみた動画でなら見ることが出来るが、ここの軍団には能力自体は設定されているがジェネラルもファイアマージもマージナイトもイベント専用ユニットなので「動く設定」が全くされておらず、序章のデータを使いまわしているアルヴィスだけが動いて襲ってくるという設定。誰が呼んだか通称ニートリッター。 所属はもちろんバーハラ軍だがロートリッター(ヴェルトマーの騎士団)である。 + シグルドがバーハラに向かう必要はあったのか? 避けようがない悲劇として語られているこのストーリー、 実はシグルドがもう少し用心深く疑う心を持っていれば、シナリオ的に回避することは可能だったはずという意見もある。 シグルドは 「シグルド様が無実であることはアルヴィス様もごぞんじなのです すべてはレプトール、ランゴバルド両公爵のはかりごとだとアルヴィス様はおっしゃっていました ただ、今までは両公爵の勢力も強く、アルヴィス様も手が出せなかったのです」 という言葉を信じてバーハラへ向かうのだが、これは普通に考えてありえないことである。 2人は自分の子供たちを遠征に出していて守りは手薄であった。それ故にシグルド軍単体でも討てたのだが、 もしもアルヴィスがこの2人を倒すつもりであったのであれば、アルヴィスが普通に出陣して打ち取ることも十分可能であった。バイロンをひそかにかくまったりグリューンリッターの全滅も防げたはず。 それ故に、もしアルヴィスがシグルドが無実で救いたいと思っているのであれば、シグルド軍とあらかじめ話し合って共同作戦で打ち取ればいいだけの話だったのである。下手したらシグルドが返り討ちに遭う危険性もあったことを考えると当然である。 それをせずに ギリギリまで待ってからわずかな軍勢で味方をするということは、 普通に考えて潰し合いを狙っていたと疑われて当然の行動であったはず。 またグランベルは各国に軍隊を派遣している。祖国を蹂躙されたに等しいジャムカやアイラなどは、まずその戦いを終えることを願い出るべき状況であった。 悠長に凱旋式などやっている場合ではない。 そもそも、シグルドは世間から「王子殺しの一味」と疑われていながら、その疑惑を晴らすための行動は何もしていない、戦争をしていただけだ。 グランベルの人々の目線に立って客観的に見れば、彼らを討とうとするランゴバルド達のほうこそ正義でさえあった。 そんな人間が凱旋式などをしては変な混乱を生む危険性がある為、騒動が収まるのを確認するまで断るのが普通であるはず。 下手をすればアルヴィスも一味の一人と疑うものが出てくる可能性もある(実際真相はそうだったのだが)。 それらを考えて、あの凱旋式はただ危険なだけで行う理由が全くない行為である。濡れ衣を着せられていた以上、断る事は失礼には当たらない。 百歩譲って、それまでの関係などからアルヴィスを信用したとしても、シグルドがこの時一番に考えねばならなかったのは「セリス達の安全」であるはず。 ランゴバルドの息子のダナンが居るイザークへ子供達だけで落ち延びている以上、いつ殺されてもおかしくない状況なのである。 この状況では式典を行うよりも、まず最初にするべきことは、イザークへ向かい息子達の安全を確保する事であるはずだ。 にもかかわらず、こうした息子や各国の動向を考えずに、のこのこ式典に向かった挙句騙し打ちに遭ったのは当然の結果ともいえ、 悲劇の原因は「シグルドの自業自得」と思われても仕方のない面も一部にはある。 追記・修正は親世代達の装備継承を吟味してからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] このイベント見た後に改めて5章のBGM聴くとホントに泣ける。辛いイベントだけど、これも含めてドラマ性とストーリーっていう点では聖戦はFE最高傑作だと思うわ。 -- 名無しさん (2014-06-27 22 30 26) アルヴィスってディアドラがシグルドの妻だって知ってたんだっけ? -- 名無しさん (2014-06-28 00 05 31) ある意味ラグナロクだよなあ -- 名無しさん (2014-06-28 12 56 23) ↑↑薄々は勘付いてたようだけど、最後のシグルドとディアドラが再会するシーンで確信したって感じだったはず。だからアルヴィスも少なからず動揺してた。 -- 名無しさん (2014-07-01 23 06 28) 推敲せずにシリアス語りゃギャグになる代表例みたいな記事 -- 名無しさん (2014-07-01 23 11 20) とりあえずこれだけは言わせてくれ。直径ってなんだ直径ってwww -- 名無しさん (2014-07-01 23 21 45) Q:このイベントで一人だけ4回焼かれてるキャラがいます それは誰でしょう -- 名無しさん (2014-07-01 23 29 29) A:アーダン……です…… -- 名無しさん (2014-10-02 23 01 18) 全ての元凶はマンフロイ含む暗黒教団。 -- 名無しさん (2014-10-30 20 20 19) 暗躍系キャラとしてはマンフロイの有能さは最高峰だな -- 名無しさん (2015-09-15 22 51 34) このイベントのために用意されたバーハラ~ヴェルトマー街道 -- 名無しさん (2015-09-15 23 00 54) ↑3 けどランゴバルドやアルヴィスの欲望は暗黒教団無関係の人間の業に過ぎないし、教団にしても王国から弾圧された恨みがあったりしたんだよな。悲劇の火種を用意したのは教団でも、人間自身にも邪悪な要素があるのだ… -- 名無しさん (2015-09-15 23 18 15) ↑ でも小説とかの後付かもしれんがロプト教団めちゃくちゃやってたしなぁ。そのころと教義変わってないんだからそりゃ迫害もされるよ -- 名無しさん (2016-12-14 09 27 43) 最初は暗黒教団自体は別に大した力を持ってなかったんだし、付け入れられて暗躍を許した連中が元凶だろ -- 名無しさん (2017-05-15 23 26 48) 大沢版ではアルヴィスがさらに卑劣になっている。しかもディアドラが記憶を取り戻したうえで目の前でシグルドを惨殺されるのでさらに悲惨に -- 名無しさん (2017-05-16 01 27 29) なお、後にマンフロイ痛恨のマヌケプレーでユリウスにバーハラで悲劇が繰り返されるのでした… -- 名無しさん (2018-04-19 21 40 52) もしは許されないがエルトシャンの死を防げてたら後の展開はもっと変わっていたかもしれない -- 名無しさん (2018-07-15 22 48 32) エルトシャン(や関係者)が暗躍してる連中のことを知らない時点で無理やろ。またすぐ別の火種が投入されるだけ -- 名無しさん (2019-05-08 13 18 12) シルヴィアやティルテュなど生き残ったキャラもいたがその後の末路は…。 -- 名無しさん (2020-01-23 22 01 12) 現在の仮面ライダーゼロワンがまさにこの路線をいってる -- 名無しさん (2020-03-30 05 30 46) レスキューの杖を使って強引にヴェルトマー城を制圧すればこのイベントをすっ飛ばして第6章を始められるけど、コレをやるとストーリーが訳わかんなくなるねw -- 名無しさん (2020-03-30 06 14 45) 起きた当時は「~の変」だったのが時代の経過によって見直されて「~の悲劇」と改題されたとかいう経緯があったりしそう -- 名無しさん (2020-03-30 06 16 45) 超豪華なやっつけ負けで納得させた -- 名無しさん (2020-07-28 20 36 11) まあ抵抗しまくって敵の7割ぐらいは殲滅したと思いたい -- 名無しさん (2020-07-29 00 01 37) ↑OPデモのレヴィン見るとかなりいいところまで反撃してたっぽい -- 名無しさん (2022-01-18 17 13 51) 普通にゲーム的に戦うとどうあがいてもシグルド軍による一方的な惨殺が待ってるだけだからね。因みにステータスで見ればティルフィングを手に入れたシグルドには普通に育ててもアルヴィスではよほど運が味方しないと先制できてもまず一騎打ちでは勝てない。 -- 名無しさん (2022-09-16 15 55 04) 「自分でシグルド軍を操作できれば負けなかったのに!」って思う人は多いと思うが、実際アルヴィスもシグルド軍の強さには最大級の警戒を払っていたと思われる だからこそ確実にシグルドを始末するために抵抗する(=プレイヤーに操作権を渡す)ことを許さずに卑劣な騙し討ちまで使う必要があったわけだ -- 名無しさん (2023-03-31 01 28 38) 何が良いかってこれが公式名称じゃなくファンによる通称だってこと -- 名無しさん (2023-12-30 10 36 40) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/maid_kikaku/pages/1588.html
(投稿者:ししゃも) 場所は、アルトメリア大陸北部に存在する田舎町の郊外。山々に囲まれた大地で、少女はGを駆逐せんために戦っていた。 彼女の周囲には、八つ裂きにされたワモンの死骸が四匹。そして少女の目の前には、こちらへ突進してくる最後のワモン級Gが居る。 腰まで届く長髪をリボンで括った少女が、身の丈サイズの大剣……大型鎖鋸剣<ミストルテイン>をGに向かって振り下ろそうとした。少女が持つミストルテインは、まるで剣とチェーンソーを合わせた様なデザインをしている。 機械的なデザインと、剣を模った中世的なデザインが二律背反を起こしているように見えた。 そして、突っ込んでくるワモン級Gにミストルテインの刃が直撃する。 刃の部分に取り付けられた紫色に輝くエッジが、コアエネルギーによって高速回転した。 「どるん♪どるんどるん♪」 ミストルテインが奏でる『駆動音』を、少女は至極愉快そうな声で真似た。そんな声真似とは裏腹に、高速回転したエッジが文字通りにワモンを切断する。切り裂かれたGは何とも形容しがたい体液と瘴気を、切断面から撒き散らした。 何かを切断する手応えを失ったのを感じた少女……アズワドは、ミストルテインに導入していたエネルギーの供給を停止した。それに同調するかのように力のない音を立てて、高速回転していたエッジの勢いが弱まる。 「どるるるるん♪お掃除完了」 アズワドは、周囲に横たわるワモンの残骸を横目に今日の仕事が終わったことを呟く。それと同時に、アズワドのコアエネルギーによって形成されていたミストルテインのエッジが消滅させた。エターナルコアの供給によって、エッジを形成していた結晶が次々に四散する。 「ほんとっ汚い」 自分が作り上げたワモンの死骸を見て、アズワドは眉をひそめる。ワモンの死骸はもちろんだったが、何より空気が淀むほどの瘴気にアズワドは苛立っていた。この一帯が、さきほどワモンによる瘴気で汚染されていたのは言うまでもあるまい。 MAIDであり、浄化の能力を持ったアズワドは、瘴気に対する耐性は既存のMAIDより強い方だと自覚している。 しかし、ワモンの色、そして瘴気の色が『黒』になっていることが許せなかった。全てを覆い尽くすような黒色がとてつもなく嫌いなアズワドは、舌打ちをした。だが彼女自身の服装が、黒色を基調とした物になっている。それは、アズワドが愛するデウスへの愛情の一貫だった。 「……早く帰りたいなぁ」 アズワドはそう言うと両手で持っていたミストルテインを軽々と片手で持ち上げ、地面に突き刺す。そして、エターナル・コアを活性化させながら、地面に腰を降ろした。彼女は両手を地面に置くと、彼女の周囲や、この地帯を覆っていた瘴気が吸い寄せられるように彼女の手の平へ凝縮される。 やがて、彼女が置いていた地面から、紫を帯びた黒色の結晶が生えてきた。まるで宝石のようなそれは、間違いなく瘴気の塊だった アズワドが持つレアスキル『瘴黒晶』は、周囲の瘴気を凝縮し、結晶化させ大地を洗浄する能力を持っていた。浄化する反作用として、このような結晶が彼女によって生み出される。 アズワドの能力によって、瘴気が浄化される。その一方で、地面から生える結晶はどんどん成長するかのように、大きくなった。 汚染された大地へ赴き、それを洗浄するのがアズワドの役目だった。今回、汚染された地域は比較的瘴気の汚染が少なく、数分ちょっとで片付けられる程度だろうか。 やがて結晶が、座っていたアズワドの顔付近まで隆起すると成長は止まった。一息ついたアズワドはゆっくりと立ち上がり、周囲を見回す。ワモンの死骸は転がっているものの、空気は瘴気によって淀んでいなかった。周辺の草木は瘴気によって枯れているものの、歳月が経てば元に戻る。もちろん、またGによる襲撃がなければ、の話だが。 「処分、処分っと」 一メートルほどの高さになった結晶を処分する為に、アズワドはまだ使っていない瘴気を身体に纏おうとした。結晶自体は頑丈でその気になれば、即席の鎧になる。 だが、その鎧は戦闘用ではなく、結晶を切削する際の防護服代わりになっていた。ミストルテインによる切削の時に、破片による損傷を防ぐ為の鎧。戦闘時にあまり用いないが、アズワドの身体能力では回避できないGの攻撃を防ぐ程度の頻度しか使わない。 アズワドの黒色のメード服を覆うかのように、瘴気の結晶が鎧を瞬時に形成する。しかしその鎧は、アズワドが結晶に取り込まれているかのような歪なデザインをしていた。 目の前に突き刺さったミストルテインを引っこ抜いたアズワドは、結晶の塊を切削しようとした。そのとき、後ろの方で物音が耳に入る。アズワドはすぐに後ろへ振り向き、ミストルテインを両手で構えた。視界に映るのは、Gの死骸と枯れた木々。もう少し進んだ先には、川にかかっている小さな橋が見える。 (G?でも、瘴気の臭いが全く感じられない) 神経と感覚を研ぎ澄まし、未知なる敵を迎え撃とうとする。それに同調して、ミストルテインのエッジが形成し、高速回転する。 しかし、妙なものがアズワドの目に映っていた。数メートル離れている枯れた木から、真っ白な手が見えた。すらりとした五本の指が、ひょっこりと木からはみ出していたのだった。直感的にそれが人間の手だと分かったアズワドは、先ほどの物音の犯人が何であるか分かった。手の位置から見て、本人は木に凭れているのだろうか。 ミストルテインに供給しているコアエネルギーを停止させる。柄の部分とは別に装着された取っ手を持って、枯れた木に向かって歩き出した。歩いている間に、瘴黒晶で形成された鎧を開放。 一瞬にしてアズワドを取り組んでいた結晶の鎧が四散し、彼女の着ていた黒色のメード服が姿を現した。 アズワドは、瘴気によって枯れた木にたどり着いた。彼女は回り込むようにして、木に凭れているのが誰か確認する。 木に凭れているのは、アズワドと同年代ぐらいの少年だった。だが、普通の少年とは少し違った外見をしていた。『真っ白』だった。 髪の毛も、眉毛も、まつ毛も。服装は地肌の上に、真っ白なシャツを。ズボンは萎びれた青色のものだった。 少年は、うなされているかのような、険しい表情で瞳を閉じていた。顔つきは中性的で、髪は耳にまでかかるほど。遠目から見れば、女の子に間違ってしまうほどの美しさだった。 アズワドはそんな少年の寝顔をじっと見ていた。彼女が愛するデウスの外見こそ違うが、まるで瓜二つのような雰囲気を少年は持っている。 「……ん?」 十分ぐらい経っただろうか。少年は険しい表情を解き、目の前で立っているアズワドに疑問の声を上げた。少年の眼は、白く染まっていた。 少年はこちらを見下ろすアズワドを見たまま、硬直する。状況を理解していないのか定かではないが、大きな剣を模った武器を手に持ったアズワドに恐怖しているかもしれない。 「大丈夫?」 沈黙を破ったのはアズワドだった。地面にミストルテインをそっと置き、少年の傍で腰を降ろす。少年は、口をぱくつかせながら、反応に困っていた。 「ああ、うん。大丈夫」 落ち着きを取り戻した少年は、ややぎこちない口調でアズワドに返事を返した。 「瘴気で気絶していたようですね。今はもう大丈夫ですが、ここ一帯は瘴気の汚染区域です。迂闊なことをしては困ります」 少年は両手を使って身体を起こし、立ち上がろうとした。だが両手を地面に滑らせ、地面に背中を打つ。気管に入ったのか、咽てしまった。そのおかげで両目に涙が溜まると、少年は両手でそれを振り払った。 「G、やっつけてくれたんだね」 少年は鼻を刺激するGの臭いを感じたのか、あるいは話題を変えようとしたのか、アズワドに問いかけた。問いかけられた彼女は無言のまま、こくりと頷く。どうして少年がここに居るのか、アズワドは理解できない。Gの侵攻は昨夜から今日の昼まで。周辺には民家や農村は存在しない。 住民たちが疎開して廃村になったところなら、川を下った先にあるはずだった。もしかすると、その廃村になったところの住民かもしれない。 「どうしてこんな所に?」 疑問に思っていたことを、アズワドは少年に問いかける。少年は仰向けのまま、空を眺めていた。雲ひとつない晴天の中、アズワドと少年の間に沈黙という壁が出来る。 「僕の村、Gでむちゃくちゃにされたから」 沈黙を破ったのはアズワドではなく、少年だった。 「遠くから、君のことを見ていた。そしたら君がGをやっつけてくれたし。それに何故か知らないけど、瘴気も除去してくれた。そのお礼が言いたかった」 「どういたしまして。立てる?」 少年の話を聞いたアズワドは呆れる反面、彼のガッツに感心した。立ち上がったアズワドは、ずっと仰向けになっている少年に右手を差し出す。少年は「ありがとう」と感謝の言葉を述べると、差し出された右手を握った。少年の繊細な指や体温が、アズワドが装着している黒い手袋越しに伝わってくる。 (感謝されたことって、デウス以外にされたことがなかった) デウスの身の回りの世話をしているアズワドにとって、感謝という言葉は彼女しか言ってくれなかった。そもそも、瘴気の浄化という特殊な状況下での作戦を主とするアズワドにとって、一般市民との交流は無きに等しい。 EARTH本部では、MAIDやMALEとしかあまり交流しない。本部委員や職員の人たちとは、職務上の会話しかしない。そんなアズワドにとって、少年に感謝されたことが嬉しかった。 「……あいつらのせいで、村は誰も居なくなった」 アズワドのおかげで立ち上がった少年は、何ともいえない表情をした。たった一言だった。少年はGに対する恨み言を吐くと、そのまま川の方へ向かって歩き出す。 アズワドは追いかけようとしたが、結晶化した瘴気の処分や別所で待機しているEARTHへの報告が残っている。しかし、少年の足取りは今でも倒れそうなぐらいにもたついており、このまま放っておくと危ないかもしれない。 十数秒考えた結果、アズワドは地面に置いていたミストルテインの取っ手を持って、少年を追いかけることにした。真っ白な髪の毛の少年を追いかけ、ちょっと走っただけで追いついた。彼の速度にあわせて、隣で歩く。 「君一人じゃ危ないから、家まで送っていく」 アズワドはそう言うと、ふらふらと歩く少年は力のない笑みを浮かべた。 各地を点々とするアズワドにとって、旅先の思い出は意味もないこと。だが自分は少年の後を追うように、ここに居る。数日も経てば別の戦場に移されるのに、とアズワドは思った。 それは、デウスのように真っ白に染まった少年のせいかもしれない。白色が大好きなアズワドにとって、まさにこの少年は白というものを体現していたのだから。 川沿いに歩く二人は下流を下り、やがて村にたどり着いた。レンガで造られた家が立ち並ぶ村だったが、誰一人居なかった。先程まで相手していたGを駆逐する前に、EARTHのブリーフィングの中でその村について少しだけ触れられたことをアズワドは思い出す。 少年の村は、Gによる瘴気によって住民が避難して、誰一人として住む人が居なくなった。つい最近の話だったそうだが、少年がまだこの村に住んでいることに驚きだった。 「ようこそ、僕の村へ。誰もいないけどね」 自嘲を込めた言葉を言った少年は、村の名前が描かれた門を潜る。アズワドは何も言わず、少年の後を追った。 「君がGをやっつけたおかげで、ここに住んでいた人が戻ってくるかもしれない。本当にありがとう」 愉快そうな口調で、少年はアズワドにお礼の言葉を言った。そんなアズワドはなぜか恥ずかしくなって、頬を赤らめる。まるで、彼女が愛するデウスに言われているような気がした。 少年は、赤みを帯びたレンガで造られた家の前で立ち止まった。ボロボロになったドアノブに手を回し、中へと入る。アズワドは彼の後を追うように家へと入った。 家の中は外の打ち果てた光景と違い、一般の家庭でよくあるような風景だった。家具もあればキッチンもある。ただ一つ違うのは、真っ白な少年だけが、誰も居ない村で生活を営んでいることだけだった。 「ここが僕の家。中々いいでしょ?」 ジロジロと部屋の隅から隅で観察するアズワドに、少年は家のことを自慢げに話す。そのまま少年は歩き出し、キッチンのすぐ隣に置かれたテーブルへ向かった。テーブルの上にはテーブルクロスしか敷かれておらず、何も置かれていない。 「ほら、遠慮しないで」 少年はそう言うと、アズワドは玄関口の壁にミストルテインを立てた。そして、少年に急かされるまま、キッチンへと向かった。一方、少年はテーブルに敷かれた椅子に座ろうとした。 だが少年は、その場で糸の切れたマリオネットのように倒れそうになった。椅子を抱きかかえるようにして、倒れるのを堪えようとするが、そのまま椅子ごと床へ倒れた。 椅子と一緒に転げ落ちた少年に、アズワドは思わず走り出した。足音と同時に床が軋む音が響く。倒れた少年の傍でアズワドは腰を降ろし、少年の無事を確かめる。 「大丈夫ですか!」 「ああ、うん。大丈夫だよ。……今日は疲れた。ベットまで……」 少年は乾いた笑いを飛ばしながら、立ち上がろうとする。しかし手が滑ってしまい、倒れてしまう。アズワドは少年に手を伸ばし、両膝と首に手をかけ、そのまま彼を持ち上げた。 お姫様だっこされた少年は、恥ずかしくなったのか頬を赤らめる。それは、アズワドも一緒だった。 「すまないね」 真っ白な頬が紅潮した少年は、照れくさそうな口調でアズワドに詫びる。だがアズワドはもっと紅潮していた。少年の肌や呼吸音が、すぐ傍で聞こえてくる。 あまり同年代の男性と交流したことがなかったアズワドにとって、何もかもが新鮮だった。少年と二人っきりで家に居ること。少年を抱きかかえたこと。しかもその少年が、自分が愛しているデウスのように純白であること……。 「い、いえ。と、とところでベッドはどっ、どちらに」 ぎこちない口調で少年を抱えたままその場で硬直するアズワド。少年は右手を震わせながら、アズワドの正面に置かれた二つのドアの右側を指した。そのままアズワドは指差されたドアに向かう。 抱えている少年の体重が軽いことに、アズワドは驚いた。ミストルテインを持つほどの筋力を得ているアズワドだが、指四本で少年を支えそうなぐらいの体重だった。 アズワドは、少年が指差したドアを開き、室内へ入る。部屋は本棚と勉強机、それにベットが置かれた狭い空間。ベットの横には、木製の椅子が置かれている。 埃が少し目立ったその部屋のベッドへアズワドは向かった。少年を介護するようにアズワドはベッドに彼を降ろす。そして彼の身体に、ベッドの上に置かれていたシーツを被せてあげた。 「本当、ごめんね。ありがとう」 ベッドへ身体へ預けた少年は、笑みを浮かべてアズワドに礼を述べる。シーツに包まった少年の笑顔に、アズワドも微笑んだ。彼女はベットの横に置かれた椅子に座り、少年の近くへ身体を寄った。 「手、握ってもいいかな?」 少年は唐突にそう言うと、自分の右手をアズワドに向けた。 アズワドは、何も言わずに右手を覆っていた黒色の手袋を外す。アズワドの真っ白な手が露になった。少年は、そんなアズワドの右手を優しく抱くように握った。 繊細な指同士が絡まりあい、やがて温かさが包み込むはずだった。だが少年の手は氷のように冷たく、まるで死人みたいだった。 「……やっぱり、僕はもう駄目みたいだね」 アズワドは首を大きく横に振って、少年の言葉を否定する。 「瘴気、吸いすぎたみたい」 やがて少年の手が、アズワドから離れた。アズワドはそれを受け止めることも出来ず、少年の顔を見つめていた。 恐らく、少年は死ぬだろう。瘴気の毒素は強く、MAIDはまだしも普通の人間が多量に吸ってしまえば死に至るほどのだから。 「君の名前は?」 精一杯の声を振り絞って、少年は椅子に座っている少女の名前を聞いた。今まで尋ねなかったのが、不思議なぐらいだった。 「……アズワド」 アズワドは自分の名前を呟く。少年は震えながら、微笑んだ。 「ありがとう、アズワド……」 お礼を言い述べたとき、少年はゆっくりと瞼を閉じた。 アズワドは、寝息を立てていない彼の寝顔を見つめていた。数分は経ったのだろうか。アズワドはふと好奇心に負けてしまい、右手を差し出した。 彼女の真っ白な右手が、少年の真っ白な頬に触れた。直に伝わる『白』という感触に、アズワドは思わず息を吐く。 「大丈夫。いつも一緒だよ」 アズワドはそう言うと、少年の頬に触れていた右手が紫色に輝いた。 「デ・ウ・ス♪お・や・す・み・な・さ・い♪」 アズワドは愛する少女の名前を囁きながら、ベットに身体を預けた。EARTH本部の、一室。自分の部屋で就寝するアズワドは、今日も何処かで戦うデウスのことを祈っていた。 そのとき、ふと自分の机に置かれた、ある一つの結晶に目を向けた。 紫色の、歪な形をした結晶。まさしくそれは、瘴黒晶によって結晶化された瘴気だった。 「……もしも、Gが居ない世界でお互い生まれていて、出会っていたら……一緒に遊びたかったなぁ」 少年と出会った日を思い出したアズワドは、結晶に向かって語りかけた。あの少年は、もうこの世に居ない。あの村に人が訪れることは、一生無いだろうとアズワドは思った。 例え自分が瘴気を浄化しても、Gがあの一帯に襲撃することはあるだろう。故郷を捨てた住民たちも、そう思っているに違いない。要するにGが死滅しない限り、あの村はずっと朽ち果てたままだろう。 「でもね、いつも私と一緒だよ」 アズワドはそう言うと、机に置かれた結晶に向かって、微笑む。 あの日、静かに死んでしまった少年の身体は瘴気で侵されていた。だがアズワドは、瘴黒晶を使って少年を結晶化した。その一部が、彼女の机で置かれていた。 誰も居なくなった村で、少年を一人ぼっちにしたくなかった彼女の気遣いだった。 むしろ、デウスを独占するかのように、白というのを体現したあの真っ白な少年をも独占したかったアズワドの支配欲かもしれない。 「おやすみなさい」 アズワドはそう言うと、瞳を閉じた。 関連 アズワド
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2702.html
絶望を視覚的に表現できるとするならば、”それ”は正しく相応しい。 巨大な銀色の体躯は、それだけで見るものに畏怖の感情を呼び起こす。周囲を取り囲む二百近い板状のものから吐き出される赤々とした光線は死角なく降り注ぎ、本体下部から生えた柱上の砲台からは緑色をした光弾が全てを蒸発させる。 現代兵器ではその装甲の一枚も貫く事も出来ず、吐き出す光線の一条も防ぐ事が叶わない。最強の矛と盾をもった存在、それは正しく絶望である。 人類全ての敵、明確で強大な悪、それは憎しみと恐れを持って星船と呼ばれた。 ささくれ立ち、瓦礫で埋め尽くされた道を狙撃銃を片手に男が走る。 疎開がなされた町はゴーストタウンとなっていた。避難する途中に落とされたのか、ビニール製の人形が道路にぽつんと横になっている様が物悲しい。 乗り捨てられた自動車が引っくり返って腹を見せ、建物という建物は殆ど薙ぎ払われている。廃墟というよりも更地。これが、ほんの数ヶ月前まで日本の首都として栄えた町などとは誰も想像できまい。 倒れたバイクを飛び越えたところで立ち止まり、後方に振り返りざまに引き金を引く。マズルフラッシュの直後、自ら射線上に飛び込むかのように銀色のガンシップが現われ銃弾の洗礼を受けた。 結果を確認する間も惜しいと走り出すと、奇跡的に残っていたビルの影に身を隠した。 わずかばかりに訪れた休息に、急いで相棒の弾倉を交換する。 対物狙撃銃、ライサンダーZ。異星人と人間の技術の合いの子は、無茶な扱いにも動作不良を起こすこと無く男に付き従ってくれている。 口径12.7mm、銃としては最大級に部類されるものではあるが、たかだか個人携帯火器レベルで戦車砲に迫る装甲貫徹力というふざけた威力は、実射したことの無い人間からすれば出鱈目を通り越して狂人の妄言に聞こえるだろう。 かくいう男自身も緒元を聞いた時には欠片すら信じていなかった一人だ。けれど今ではその言葉は真実だったと確信している。 神経をささくれ立たせる嫌な音を耳にし、忌々しげに空を振り仰ぐ。 空には先ほど撃墜したものと寸分違わぬ姿のガンシップの群れが男を捜して飛び交っている。彼らの後ろに空は見えない。ただ銀色の”星船”と呼ばれる、侵略者たちの母船がビルから見える空一杯に浮かんでいた。 直径ほぼ千m、銀色の球体は地を這う虫けらなど歯牙にもかけていないかのように、威風堂々と浮遊している。 ――そうやって、余裕ぶっているがいい。すぐに地べたに叩き落してやる。 家族を殺され、仲間を喪い、故郷を更地に変えられた。 守るべき者も、帰るべき場所も、もはや残されていなかった。 ただ心にあるのは黒々とした憎しみだけ、諦観など心に入れる隙も無い。 虎の子の防護衣はとっくにバッテリーが切れていた。眼は激しい光で半ば焼け付き、片耳は鼓膜が破れ、体中に穴を穿たれ、骨も数本イカレている。満身創痍、それでも憎悪だけを糧にしてここまで来た。 首筋にチリつくような感覚を覚えた。隠れていたビルから飛び出した直後、星船の光弾が直撃しビルが倒壊を始めた。 目標を発見したガンシップがすぐさま殺到する。 アスファルトを転がりながら不自然な姿勢で無理やり敵に照準して発砲、止まることなく転がりながら槓悍を引いて装填。一瞬前までいた場所を、光線が走り道路がめくれ上がった。 スコープを覗く暇すら惜しみ、銃を構えて撃ち、後方へ転がる。 発砲、回避、装填。 機械よりも正確に一連の動作を繰り返す。怒りは熱く身を焦がすも、動作に一切の支障をもたらさない。 光線がまたしても迫り、回避しようとしたが身体がそれを裏切った。 唐突に膝が落ち、わけも分からずに転倒した。 見れば、いつのまに攻撃を食らったのか腹に黒々とした空洞が口を広げていた。血は、流れていない。痛みすら無いがそれでも傷は確実に力を奪っていた。 せり上がる熱に、堪えられず吐血した。着衣を濡らす赤々とした鮮やかな血に今まで感じたことも無い絶望感が訪れる。 立ち上がろうと足掻くが、手足は地面を擦るだけだ。 ――ここまできて! 一瞬の内に喪った家族と仲間の顔が脳裏をよぎる。助けられなかった、助けたかったかけがえの無い者たち。 視界を敵の光弾が埋め尽くた。 異星人との戦闘で初めて恐怖した。復讐を遂げる事も無く無意味に死ぬ事が、どうしようもなく恐ろしかった。 「あ、あ゛ああああぁああっ!」 無念が口から飛び出したその時、勢いよく横に押し倒された。すぐ脇に光弾が着弾し、アスファルトにクレーターを作る。 男を押し倒した何者かは、男を引き摺るようにして崩れたビルの陰へと移動した。 「大丈夫か!?」 男をすんでの所で助けた者はこの場には似つかわしくない格好をしていた。 身軽さと、低視認性を優先した都市迷彩、灰色に化粧した顔。スカウトだ。常ならば敵をいち早く発見し、情報を司令部に渡すのが仕事の彼らがなぜ激戦の最中に居るのか。 「なにを、している?」 「なに、ちと格好をつけにな。最後の最後までケツまくってたんじゃ、あの世の娘に会わす顔がねぇからよ」 スカウトの直ぐ傍を、ビルを貫通して光線が薙いだ。 「っと、無駄話してる暇はねぇな。これ、拾った弾なんだけどよ。使えや。俺の銃じゃ使えないが、お前のなら使えるだろ?」 こんな状況だというのに、スカウトは朗らかに笑いながら弁当箱ほどの弾倉を取り出すと男に押し付けた。 「なんでお前笑ってるんだ?」 「なんでって、そりゃあお前が生きてるからだよ。聞いてるぜ、お前の噂」 まるで英雄を見るかのようなスカウトの眼に、男は居心地の悪さを感じた。 自分は、そんな大層なものではない。正義のヒーローなどではなく、ただ復讐のために戦っていただけだ。 「俺は、そんなんじゃ」 続く言葉は爆音にかき消された。 もうもうと立ち込める粉塵に手をかざした。視界が限りなく零になる。 「もうここもダメか。俺が囮になる。お前も直ぐに復帰しろよ」 「おいっ!」 「俺らの地球を頼んだぜ。うおぉおおっ!」 粉塵の晴れた先には、倒壊したビルと、星船へ向かって走って行くスカウトの姿があった。 彼に群がるガンシップ、降り注ぐ光線。すぐさまスカウトは爆発と、ガンシップの影に隠れて見えなくなった。 『ぎゃぁあああ!』 ヘッドセットから、断末魔の悲鳴が聞こえた。 「ちく、しょう」 また一人、喪った。名前も知らない奴だったが、それでも命を助けてくれた恩があった。 もう流すまいと誓った涙が、嗚咽と共に漏れた。 「畜生畜生畜生っ! これだけ殺してもまだ足りないかっ。クソッタレの異星人め! 殺してやる、殺してやるぞ!」 銃を杖代わりに無理やり立ち上がった。膝はまだ力が入らず無様に震えたが構わなかった。 襲い掛かってきたガンシップの射線上から倒れながら回避、同時に発砲。最新戦車の前面装甲すらも貫通する銃弾は、銀の体躯を容易く沈黙させた。 「弾丸の味はどうだ!」 怒号を上げながら、転がり、撃ち、吹き飛ばされた。 少し前までの機械的な正確さは望むべくもなかった。身体はスクラップ寸前で、立っていることすらままならない。槓悍を引く手すらもが覚束なかったが、それでも絶望はしない。 「俺たちに帰る場所は無い。お前らが奪ったんだ!」 一発撃つたびに光線が体の何処かを貫き、光弾が肉を抉った。 発砲の反動すらも使って回避と攻撃を繰り返す。 意識が混濁しはじめ痛覚が完全に麻痺したが、引き金を引く指だけを認識する事ができた。それだけ判れば十分だ。地面に何度も叩き付けられながらも撃ち続けた。 どれだけの時間をそうしていただろうか。 『マザーシップ大破! 墜落します!』 『総員退避せよ! マザーシップが落ちる! できるだけ遠くに逃げろ!』 久しく聞こえなかった本部からの通信が聞こえた。 敵の弱点しか見据えていなかった目を離し、星船全体を見た。 黒煙が上がっていた。巨大な船体は傾き、炎を上げてゆっくりとだがこちらに近づいてきているのが見えた。 ――ああ、終わったのか。 笑い出したい程の達成感と歓喜を感じると同時に、空虚な風が男の心に吹く。まったく異なる二つの感情を、けれども自然と男は受け入れた。理由がなんとなくわかったからだ。どれほど憎んだ相手を倒そうと、喪った者までは帰ってこない。 厳しくも優しかった父母、腕白盛りだった弟、引っ込み思案だった妹、何度も馬鹿話を肴に盛り上がった中隊の仲間たち、誰も、帰ってこない。 腹ばいになっていた体を、銃を杖がわりにして立つ。しっかりと星船が落ちる様を眼に捉えた。 船が金属の軋む音を断末魔の悲鳴のように高らかにあげた。黒煙をたなびかせながら落ちてくる様は、星が迫ってくるかのようだ。 今更逃げた所で、最前線で戦っていた自分はもう助からないだろう。もとより助かるつもりはなかった。 「皆、今、そっちに行く」 視界を埋め尽くす怨敵を眼に焼きつけて、ついに力尽きアスファルトに向かって倒れこんだ。 何故か柔らかな土の感触と草の青臭さを感じたのを最後に、暴風の中の暴風と呼ばれた男は意識を手放した。 鉄錆めいた臭いが鼻に届いて初めて、少女は己が喚び出した使い魔が人間であることに気が付いた。 喚び出された人間は、体中から血を流してボロキレのように広場の中心に倒れていた。 「なに、あれ」 「人間か?」 「おいあれ、血じゃねぇのか」 周りを取り囲んだ学生たちがざわつき始める。無理も無い。トリステイン魔法学院、いや、ハルケギニアの長い歴史を紐解いてもメイジが人間を召喚した事例など無いのだから。 呼び出した少女自身、未だに自分のなした結果を受け止めきれず呆然としていた。 突然の異常事態に誰も動けなかった中、人垣から一人の男が召喚された男に駆け寄った。素早く脈拍と呼吸の有無を確認し、 「水メイジっ、今すぐ応急処置を! それからそこの君、急いで医務室へ行って職員に有りったけの秘薬の準備と状況を説明しておいてください。手隙の者は彼にフライを。頭は動かさないように。医務室に運びます!」 学生達の硬直を解くように怒鳴った。声を聞いて、初めてその男が自分の担当教諭であるコルベールであることに気が付いた。 怒鳴り声に普段の凡庸とした雰囲気は感じられず、部下を叱咤する指揮官じみた厳しさを感じる。こんな声もだせるのだな、などと他人事のように思う。 「ミス・タバサ、行きますよ」 声と共にコルベール教諭手を引かれ、ようやく少女は忘我の淵から脱出した。頷くことで返事をすると、教諭と、幾人かの生徒と共に医務室へと向かった。 学院に常備してあるけして安くはない秘薬を幾つか使い切る事によって、怪我人は辛うじて一命を取り留めた。 術式を担当した教諭が言うには、応急処置が少しでも遅れていたら命は無かった状態だったらしい。 コルベール教諭は治療が一段落すると、他の生徒の監督があると付き合った学生を引き連れて広場へと戻っていった。 医務室付きの教諭は、自分の噂を知っているのか特に話かけることもなく黙々と今回使用した薬の事務手続きを行っている。 先ほどのまでの治療の喧騒が嘘のように医務室は静けさを取り戻していた。ベッドで昏睡する男の寝息と、羽ペンが書類の上を踊る音だけが響く。 タバサは何をするともなく、ベッド脇の椅子に座り男を眺めた。 血塗れでずたずたになった見慣れぬ衣服は脱がされており、今は簡素な麻の下着だけをつけた状態でシーツに覆われている。 横たわっている状態でもわかるほどの長身だ。2メイル近くはあるのではなかろうか。大柄なもの特有の作りの大雑把さは無く、どこか彫刻めいた均整の取れた体つきをしている。 シーツからのぞく腕と首は、鍛えられた者のそれだ。でこぼこと隆起し、けれど無駄が感じられない筋肉は荒縄を連想させた。 筋肉以上に目を引くのは、まんべんなく残された傷だ。刺し傷、裂傷、擦過傷、火傷痕、それらが新しい肉特有の桃色をのぞかせていた。古いものも合わせるともう数え切れない。 特に顔が酷い。火傷痕が右半分を覆っており、眠っている今でさえ息を呑むほどの凶相に男を貶めていた。戦に明け暮れる傭兵のほうがまだマシな面構えだ。 「よかったわね」 唐突に後ろから話しかけられた。振り返ると、見慣れた赤毛の友人が此方を見つめている。 身分を隠した亡命者として肩身の狭い思いをしている自分にとって国を捨てたもの同士、唯一心を許せる女性だ。姉がもしいたとしたらこんな感じなのかもしれない。昔共に遊んだ従姉姫は、姉というより友人であったし今では怨敵の一人娘だ。 傍らに侍らせているサラマンダーは彼女が召喚した使い魔だろう。狼よりも一回りは大きい赤々とした体躯、尻尾の先に轟々と灯る炎、サラマンダーの中でも特に立派な部類に入るだろう。 タバサとは違い、なかなかの上玉を引き当てたようだ。 「キュルケ」 「彼、助かったんだって? いくら平民を呼んじゃったって言っても目の前で死なれちゃ寝覚め悪いものね」 お喋りな口を止めることなく、よっこいせ、などと年寄りじみた掛け声を上げながら引っ張ってきた椅子に腰掛けた。 彼女はベッドの男へ視線を向けると、ヒュッと息を呑んだ。 「酷いわね」 「ええ」 男の傷のことを言っているのか、それとも顔のことか。どちらにしろ同じだ。 「どこで何をすればこんな傷こさえられるのかしらね」 半ば呆れたようにキュルケが呟いた。声には抑えきれない畏怖と好奇心が滲んでいる。 古い傷にはいくつか致命傷とわかる傷があった。だというのに男は今現在生きてここにいる。よほど優秀な水メイジが治療にあたったのだろう。騎士か、それとも名の知れた傭兵隊長だろうか。でなければこれほどの高度な治療は受けられない。 「そういえばコントラクト・サーヴァントは終わったの?」 「まだ。教諭が意識を取り戻してからにしろって」 「ふーん。ま、無難な所よね。下手に刺激したら死にそうだし、彼」 寝息を立てる男の顔をキュルケが指でなぞった。 「この傷さえなければ、そこそこ見れる顔だったろうにね。あーあ、勿体無い」 「キュルケ」 「冗談よ、冗談。いくら微熱の私でも、あんたの使い魔に手を出すほど無粋じゃないわよ」 手をぱたぱたと左右に振り、冗談よ、と繰り返す。 「そういえば、あのゼロも平民を召喚してたわよ。ま、あっちは大怪我をしてる事も無く普通の男の子だったけどね」 「そう」 「彼が目を覚ましたら会わせてあげたら? 男の子のほうはなんか随分と混乱してたみたいだから、お仲間に会わせてあげたら多少落ち着くんじゃないかしら」 「考えとく」 目でキュルケに礼をする。一年を共にした友人は、タバサの感謝を間違う事無く受け取ると軽く頷いた。 「さってと」キュルケは大儀そうに椅子から腰を上げた。 「そろそろ私部屋に戻るわ。夕食の時にでも経過を聞かせてね」 手を振りながら、来た時と同じく唐突にキュルケはサラマンダーを引き連れて帰っていった。使い魔の立派な焔が見えなくなってから、深く溜息をついた。 平民というかつてないものを引き当ててしまったことが、堪らなく憂鬱であった。当分はヴァリエール嬢と共に学院の噂の中心となるだろう。目立たないよう一年間を過ごしてきたというのに、だ。 最悪、この噂が元で捨てた母国に存在が露見してしまうかもしれない。 死。寒気を伴ったイメージにタバサは身震いした。 毒を飲み床を転がる母を心底面白そうに眺めていた伯父王の瞳を幻視する。もしばれたら、あの男は自分を今度こそ抹殺しようとするだろう。トリステインも、自分たちを見捨てる。たかだか小娘一人のために圧倒的な国力差のある国に歯向かおうなどと思う馬鹿はいない。 毒矢という下賎な手段で謀殺された父、自分の代わりに毒をあおり三日三晩熱病に苦しみ悶死した母、自分を逃がす為に一人娘をタバサの影武者にして屋敷諸共焼死した執事、一人トリステインへ亡命して来てからの復讐に身を焦がした日々。 全てがこの男の存在、いや、平民を呼んでしまったという事実で無駄に終わろうとしている。 いっそこの男を殺してしまいたかった。無意味とわかっていても、この焦燥感と怖気を払拭するのにいくらかは役に立ちそうな気がする。 ぎりし、と杖が鳴った。手が白くなるほどに杖を握りこんでいた事に気づき、慌てて自制する。 感情に流されるな。無駄なことをするな。何度も自身に言い聞かせ男への殺意を抑える。 適当な詩集でも読んで気を紛らわせよう、そう思いたちカバンへ手を伸ばしたところでぎょっとした。 男が目を覚ましている。 真白な天井を微動だにせず凝視して、ただ一言「ここは、どこだ?」と呟いた。 男の声は妙にしゃがれていて、歳経た翁のようだ。 「トリステイン魔法学院」 内心の動揺を悟られないよう、出来るだけ平坦な声で答えた。 ゆっくりと、言葉に反応して男が首を向ける。虚ろな眼がタバサを捉えた。男は自分の傍にいるメイジに驚きも、怯えもしない。ただ仮面がはりついたような無表情で、じっとタバサを見つめる。 誰何の意だと解釈し、此方から自己紹介をする事に決めた。 「タバサ」 また沈黙が降りる。今度はお前の番だ、という無言の圧力を加えたが、男は答えない。ただ虚ろに、タバサを見つめ続けるだけだ。 先に痺れを切らしたのはタバサの方だった。 「名前」 「わからない」 短すぎる問いに、内容を理解出来なかったのだろうか。もう一度、今度は少しだけ長く問う。 「自分の、名前」 「だから、わからない」 「物狂い?」 「そうかもしれない。自分の名前も、どうして此処にいるのかも、何も覚えていない」 虚偽を述べているのかと思ったが、男の瞳がそれを裏切っていた。 男の黒色の瞳は、嘘を付く者特有の焦りや打算といった色が無い。それどころか感情の欠片一つ、捕らえる事が出来なかった。 人形。幾度と無く学院で囁かれた陰口が蘇った。情動をまったく感じさせない瞳は、まるで鏡に映った自分自身のようだ。 ――なんて皮肉。 感情の無い表情というのがいかに不気味かを、初めて知った。 思考を切り替える。嘘をついているにしろ、本当に何も覚えていないにしろ、今やらねばならない事は一つだ。 コントラクト・サーヴァント、これさえ行えば主人である自分の任意で五感の共有と、意思の疎通さえ可能だ。 本来ならば言葉の通じない使い魔との為にあるの機能だ。ハルケギニア広しと言えども使い魔の言葉の真偽を計る為に使うメイジは、自分が始めてなのではないだろうか。 「貴方は使い魔」 「つかい、ま?」 「私の手足になる」 「俺は、君の使い魔、という奴だというのか」 「そう。契約する」 素早くルーンを唱え、抵抗する暇も与えずに唇を合わせた。 少し勢いを付けすぎた。歯がぶつかり合い、歯茎と唇に鋭い痛みが走る。男は僅かに片方の眉を動かした。 厳しい外見とは裏腹に、男の唇はひどく柔らかい。 お互い目を開けたままだ。情緒も何も無い、などと埒も無い事を考える。 しっかりと男の身体に紋章が刻まれるのをメイジとしての感覚で理解してから唇を離した。 男の唇には、どちらのともつかない血が滲んでいる。 ファーストキスは、血の味がした。
https://w.atwiki.jp/forsale-lawyer/pages/187.html
実説大逆事件三代記 元米国伯爵 山崎今朝弥 はしがき 大逆事件といふのは刑法第七十三条「天皇、太皇太后(天皇の祖母)皇太后(天皇の母)皇后、皇太子又ハ皇太孫ニ対シ危害ヲ加ヘ又ハ加ヘントシタル者ハ死刑ニ処ス」の犯罪で、要するにこれは皇室に対する上は爆弾、銃剣による殺傷から下は投石、鉄拳制裁の暴行乃至その既遂未遂は勿論予備陰謀、相談、協議等いやしくも網にかかるもの人の想像に浮ぶものは一律一体すべてこれに死刑を言渡すといふ真に古今に照して侮いず中外に施して恥じない広大無慈悲の犯罪をいふのである。 現行刑法は明治四十年頃制定されたものだが、明治十三年頃制定された旧刑法にもこの皇室危害罪の規定があつて、その制定委員中には、皇国で皇室に危害を加へる者の出ることは到底想像できない。この規定を設けることはかへつて皇国の体面を損ずるといふ理由でその存置に反対した者があつたが、杞憂には相違ないが皇族に対する危害罪、神宮に対する不敬罪はどうしても設けねばならず、これを設けるとなれば法律の体裁からも皇室危害罪は存置すべきだといふ論が勝つて、ついに設置することになつたとの事である。とにかくその後三朝一系大逆連綿として短期間に続出三つに及んだ事は、その当時の委員連は勿論何人といへども当時夢にも予期しなかつたところであらう。 三つの大逆事件とは 幸徳事件 明治四十三年七月検挙開始、翌年一月十九日判決、同月二十四日(幸徳以下十二名)及び二十五日(管野スガ)死刑執行の幸徳秋水等二十六名(二名は有期懲役十一名は特赦で無期)に係る、明治及び大正天皇に対する第一次大逆予備陰謀罪。 朴烈事件 大正十一年中相談開始、同十二年九月大震災検束中に拾ひ上げ、同十五年三月二十五日死刑宣告の大正及び昭和天皇に対する朴烈及び金子文子の第二次大逆陰謀相談罪。世人稍もすると朝鮮独立運動社金社変の二重橋爆弾事件(私は偶然この事件の弁護人でもあつた)とこの朴烈事件をゴツチヤにしてゐるが、この二つは全く別々で何の関係もない、只金君は死にたい主義者でないばかりに、日本の反省を促すために二重橋に爆弾を叩き付けようとしたのだ、と言抜けて大逆罪にならなかつたのである。 虎の門事件 大正十二年十二月二十七日の虎の門事件で通用する。同日現行犯逮捕、翌大正十三年十一月一日公判、同月十三日判決、翌々十五日急遽死刑執行の難波大助に係る昭和天皇に対する大逆狙撃罪である。 私はこの三つの大逆事件の真相を書くに当つて、全然無駄の事ではないと思ふから、先づ私と大逆事件との因縁関係を書いてみる。 私と大逆事件との因縁 第一次との因縁 私は明治三十八、九年頃米国桑港で初めて幸徳を知つたのであるが、懇意になつたのは二人相前後して帰国後の明治四十年からであつた。比較的短期間の交際であつたにかかわらず、幸徳から手紙端書が沢山来てゐること、まだ日の浅いの単純の交友関係に過ぎないのにヨク平民新聞などに私の事を書いたこと、身から出たサビとはいへ、私が遂に米国伯爵を通称しなければならなかつた程米国伯爵の名声を籍甚ならしめてくれたこと、等から考へると、堺利彦君がさうであつたやうに、幸徳もまた元来の世話好きの他に、同志への獲得目的があつたのかも知れない。私の処女出版であり初原稿料稼ぎであつた「粗食養生論」の小著も、幸徳が当時白柳秀湖君、安成貞雄君等の居つた本屋(多分今の星島商相が後に社長になつたことのある隆文館と思ふ)に紹介してくれたのである。(この小著時節柄見たいと思ふが多年絶版で手元に一冊もない。誰か御所持の方に譲渡又は借覧を願ひたい。尚賀川豊彦君が余り面白い本だから無断一萬部を印刷して方々へ配つたと私に語られたが、この分でも結構)ズツト後の事ではあるが、平民社の遺産分けをした時、堺君が「平民社で幸徳秋水が愛用し大算盤也」と箱書してそれを贈られた程に私と幸徳の間柄はなつてゐた。 私のメリケン友達の一人に「嗚呼わが祖国」の秘密出版一書を置土産に日本を脱走米国に出奔した厳穴赤羽一といふ新聞記者があり、この人も幸徳と前後して帰国した。思想的には当時の所謂直接行動派テロ傾向のアナキストで、往来する交友関係は自然幸徳派の者が多かつたが、失敗ばかりしてゐて余り貧乏だつたのか、幸徳が病身で営養静休を必要とし、又相当の友人が多くてその静休営養が出来た事が諒解出来なかつたのか、或は性格的であつたのか、幸徳とは合はず幸徳の生活を贅沢だと不平をツブヤキ続け余り寄り付かなかつた。赤羽は後に「農民の福音」を秘密出版し、出版法違反で捉へられ公判廷では日本革命萬歳三唱の皮切りをして入獄牢死したが、生きてる間は貧乏のし通しで、私の「疳作集弁護士大安売」の自伝中にある「明治四十年二月勢ひに乗じて錦衣帰朝、一躍直に天下の平弁護士となる・・・・・・即ち業を東京に興し」て赤坂に法律事務所を設けた時も「忽ち田舎に逃亡し」して生地信州諏訪に事務所を持った時も、永い間私の事務所にゴロゴロしてゐた。 新村忠雄が紀州大石誠之助の処からの帰りに、私の諏訪の事務所に二三泊して明科に帰つたのは、赤羽が諏訪の事務所にゴロゴロしてゐる時だつた。赤羽も新村も信州の人である。この時の新村、赤羽は諏訪境村の小池青陽といふ小百姓の主義者を呼び寄せ何かと相談した。この小池はその後間もなく秋水等の大逆事件検挙直後、「信州共産党秘密結社」で検挙され出獄後北海道に入植中百姓となり二三年前に死んだとのことだが、日本で共産党結社の走りだと云はれる近藤栄蔵君、高津正道君等大正十一年の暁民共産党より十二三年前の走りであつた。 却説新村が帰つた後の赤羽の口裏やその時の新村の話し振りから判断想像すると当時新村の逆謀はすでに成り新村は赤羽の参加を勧誘に来たが、赤羽はその企図には反対しないが参加は厭だと拒絶し、新村は仕方なく明科へ帰り宮下太吉と爆弾製造に取掛かつたものの如くであつた。幸徳事件直後に書いた前記私の自伝に「明治十年逆賊西郷隆盛の兵を西南に挙ぐるや君之れに応じて直ちに信州諏訪に生る明科を距る僅かに八里」と木に竹を接いだように逆賊や明科が飛出たのも亦所以ある哉だ。 私は当時甲府市遊郭大門前化物屋敷に事務所があつて明治四十三年中に甲州人の宮下太吉は二度私を訪問したが二度共生憎留守で私は幸ひ会へなかつた。 私が「転戦三年甲信を徇へ各地を荒し再び東京に凱旋し爾来頻りに振はず」になつたのはその年すなはち明治四十三年の秋頃、東京銀座大通りの真ん中の裏小路に小さい巣を構へたが、引越し前すでに隣家へ私の交番所が出来てゐたには聊か驚かされる。甲信中も警察の警戒は非常識に厳重だつたし、甲府検事局での信州共産党、新村忠雄、赤羽一、宮下太吉等との関係の取調べも随分執拗だつたが、懲りたことのない私には少しも響かずかへつて物足らぬ位のものであつた。しかし専属交番は近所の手前もあり不便のこともあり少し大袈裟すぎて余り気持ちよいものではなかつた。でも初めの中は大逆者少くとも幸徳と新村の弁護は進んでヤル積りヤルべきだと思つてゐたが、若しも新村が間違つた申立でもしたら?刑法七十三条は幸徳事件の判決文にもある通り「逆謀を告げらるるに会ふも敢て之れを拒まなかつた」と認定されれば成立することに想到する。官僚裁判の危険を絶対全面的に信用する私だけに、杞憂を生み大逆事件の世論評判と共に益々拡大強化したので、私は遂に来て頼む者も咎める者もないのと、天下第一最高峰の花井、今村両弁護士が弁護するのを好い事にして元気なく弁護する事を止め、何かとオヂケて傍聴にも行かなかつた。そして予期した死刑の判決をきいた時は左程でもなかつたが、死刑執行の号外を見た時はゾツとして、思はず知らずイツか掌が首に廻つてゐた。後日私が危険を犯して幸徳秋水全集六巻を私の解放社から無届出版したのは私の卑怯に対する聊かの罪亡しでもあつた。 第二次との因縁 大逆陰謀で死刑を宣告され、特赦で無期懲役となり昨秋マ司令部の指令で秋田刑務所から釈放された朴烈君から、本年一月二十五日「拝啓、厳多の候益々御清祥の段慶賀仕り候、却説過去二十四年前法廷闘争に於て誠意御尽力下され候、今尚感銘致し居候、就ては来る廿六日午後四時左記場所に於てお挨拶申上可く御招待申上候御多忙中甚だ御迷惑に御座候へ共萬障御繰合せの上何卒御来駕下され度く御願申上候、場所東京杉並区高円寺一ノ一富士料亭」との速達が届いた。明日では到底間に合ひ兼ねるので私は折返し「イカンフサン キンガシンセイトウジト フミコサントヲシノビ カンムリヨウ ダンコケントウイノル」と至急電した。 朴烈君はその昔、弁護面会の時、二三度訪問して私を知つてるといつたが私は不逞社「太い鮮人」の他朴君個人に就ては記憶がなかつた。で朴君とは弁護したので初めて関係ができたのだといへる。その弁護も妻君の金子文子さんを弁護する序でに弁護するようになつたのだ。文子さんは本郷追分町の堀新印刷所でも麹町有楽町の、おでん岩崎でも私を識つてゐると云つたが、私はおでん岩崎での他は記憶してゐない。 おでんの岩崎善右衛門君が文子さんの弁護を頼みに来た時は、荒井要太郎君と田坂貞雄君が既に官選弁護士に選任されて居り、私が兄弟の如くしてゐる親交の田坂君から、共犯二人は虚無主義者で、死刑を免がれたり弁護士を付けたりする事は望んで居らぬ、と聞いてゐたのだが、本人の希望であるから是非にと岩崎がいふので、本人の意思を確めるため兎に角と三四度面会に行きその都度朴烈君にも会ひ、協議の結果二人の弁護をする事になつたのだ。その時私の希望で、も一人弁護士を附けることにして、私は私の近くの若くて元気がよく、腰の軽い刑事々件得意の上村進君を相棒に推し官選と共に四人で弁護した。これは大正十四年末頃か十五年の正月頃のことであるが、上村君は大正十二年七月八日の高尾平兵衛社会葬に事務所を借りて以来其筋から当時の所謂赤弁護士、左傾弁護士に編入されてゐたのである。 社会葬に上村君の事務所を借りたのは、私の芝新桜田の事務所と上村君の麹町内幸町の事務所とはドブ一つの距離であるが、私の方は芝署上村君の方は丸の内署の管轄であつたから、日本最初の社会葬に対する警察の不法弾圧に備へ私方を秘密事務所、まだ注意人物でない上村君方を公表事務所として置く戦術を採つたのだ。で上村君には私の事務所は平民大学と自由法曹団と機械労働組合(総連合の前身)と対露非干渉同盟の事務所になって居り(当時日本社会主義同盟は大正十年五月二十七日付で禁止解散となり、日本フエビアン協会「大正十三年二月十七日創立」はマダ創立されず、その機関誌『社会主義研究』も『解放』もマダ発行されてゐなかつた。山川均主筆岩佐作太郎主幹平民大学発行の『社会主義研究』社会主義同盟機関誌『社会主義』は当時既に廃刊、狭くて困るから集会だけさせてくれと、ホントウのことは言はずに頼んだ。 社会主義同盟や社会葬の事を出したのは、朴烈君も文子さんも大正十年五月九日神田青年会館の社会主義同盟全国大会にも同十二年七月八日青山斎場の高尾社会葬にも参加し、大会ではいたく当局の横暴弾圧に憤慨し社会葬では非常に死に対する感激を深くし、特に文子さんは以前より高尾を識り之れに敬服してゐたとの因縁からであるが、この高尾君及び吉田一君と組み戦線同盟を代表して大正十二年六月十六日早暁、私の友人赤化防止団長米村弁護士を襲撃し目的を達したはよいが、帰途高尾を打たれ死骸を残してそのまま二人で私方へ駆け込み、相談の結果は隠れて秘かに決死の覚悟で、社会葬の準備とその日を大成功させた。長山直厚中尉だつたか、又は平岩巌君だつたか忘れた(実は平岩君と思ひ込んだ。書き終つて後訂正したので此項一貫して変んなところがある)が、その後戦線同盟の平岩君が何かで検挙されて予審中面会に行つた私に、係りの立松判事の面前で立松判事が特別に良くしてくれると感謝して語つたのに、出獄後立松判事の撮影した朴烈君文子君の写真を手にいれ(地方裁判所に於ける朴烈君等の係予審判事も立松君)内閣倒壊運動の政争用具に供したは何の因縁か。 立松君は責を負ふて辞職弁護士開業後、平岩君の事業顧問をして儲けさせて貰つとると語つたが、朴烈君は出て来て今は働きも出来ず大に貧乏してるらしい。平岩君のことだ、もし元通りの景気なら、あの写真でアラレもないデマまで飛びだした罪亡しに何か罪亡しがあるだらう。 文子さんは大正十五年七月二十六日暁方二十三歳を一期として、「私が生きて居れば朴烈にこの世に未練が残り思想に動揺を来たすから特赦を拒否して自殺する」との遺書を残し、宇都宮刑務所栃木支所で自ら縊れたとのことである。 第三次との因縁 私が昭和四年頃から数年間毎年私の解放社から発行してきた「年鑑日記」には、難波大助の虎の門事件を第二次、朴烈事件を第三次大逆事件としてあるが、これは判決又は世間公知となつた日の前後からで事柄からすれば、朴烈文子事件は大正十一年十月頃からゆへ大正十二年十二月の虎の門が第三次となる。 却説私と虎の門とは難波の友人に難波の弁護を頼まれそれを松谷与二郎弁護士に復頼みしたといふ極く稀薄の関係にすぎないが、大助大逆の動機を掘下げて見ると相当因縁の深いものがある。 月日は判然しないが大正十三年の春か夏の頃難波大助の署名で大助の弁護を相談してきた鉛筆の端書が届いた。テツキリ其筋の悪戯乃至挑発と信じた私は歯牙にもかけず屑籠に投入した。一ケ月とは経たぬ中無署名の手紙がきて、葉書より短文で私は難波大助の縁故者だが近い中に御伺するから弁護のことに就て御義侠を御願したいとの意味が書いてあつた。半信半疑の私は取りあへずその手紙を破つて屑籠に入れた。数日後に若い男が難波の友人と名乗つて来て新に大助の弁護を依頼し、尚大助は先生を知つてゐるから先生の弁護を希望してるだらうと附け加へた。結局考へて置くで別れたが、双方、私は態と、前の手紙、彼れの居所、大助との関係などには触れなかつた。 私の彼れに対する不安はまだ消へなかつたが、幸徳事件の卑怯を自己批判自己後悔してる際ではあり、難波とこそ微塵の関係もなくその点は大胆に安心だつたから、仮令彼が何者であらふと危惧することなく大逆者の弁護をしてやらうと秘かに決心した。で恰度その頃来訪した堺利彦君と橋浦時雄君に相談すると、二人は当時例の第一次共産党事件で謹慎中であつたせいか又は幸徳事件後の主義者弾圧を慮つてか、共産党事件と関係ある私が共産主義者の大逆事件を弁護する事を好まず「我々の運動と全然関係のない弁護士に弁護して貰つたらどうか」と提案した。その時は暑くて障子を明放して話したことを記憶してるから夏であつたであらう。又五色温泉の第一次共産党の検挙開始は大正十二年六月五日だつたから二人の来訪は翌十三年の保釈中だつたらう。然るに幸徳、難波両事件の弁護士だつた今村力三郎氏の写本著述「芻言」には同氏が大助の弁護士に官選されたは大正十三年二月廿二日とあり、松谷君の著述には同君が私から頼まれて難波の弁護をする事を大審院に届出てあるにかかわらず、大審院は松谷君には何の知らせもなく不意に今村、花井、岩田(前法相)の三氏のみを官選し公表したから即時大審院長に抗議したとある。夏だといふのは私の記憶違ひか或は又二月官選の公表が夏になつたのか、私が「月日は判然しない」といつたのはコレだ。 却説、社会運動に関係なくて大逆事件の弁護を喜んで引受けてくれそうな弁護士は、当時自由法曹団の松谷君か上村君の他には見当らなかつた。自由法曹団は大正十年八月十一日神戸三菱の大争議で警官に惨殺された争議団員常山俊一の団葬の際、無抵抗示威行列の指導者賀川豊彦君等数百名が検挙され、東京の弁護士数十名がその調査応援に赴いた時、海員ホームで私と故鈴木文治君と宮崎龍介君とが社会運動犠牲者救援の弁護士団を作らうと相談し、帰京後調査応援に行つた弁護士その他に呼びかけ、其月二十日、日比谷公園の松本楼に約百名が集合して喧々怒号の末、牧野充安君、宮崎龍介君の自由法曹団と命名説が勝つて誕生したものだが、当時はマダ一般帝国臣民の人権擁護が専門で労働者の味方、社会運動の支持団体には頗る遠いものであつた。 この自由法曹団の上村君とは大正初年の東京法律事務所以来別懇の間柄であつて、私として松谷君よりも頼み易いのだが、上村君は前述の通り高尾社会葬以来少くともその筋では注意弁護士になつてゐたので、堺君等の意思に副ふべく当時の小山検事総長横田大審院長及び弁護士界の大御所原嘉道博士等と特別の関係ある松谷与二郎君を頼んだ。尤も松谷君は弁護士界切つての押し切り屋であるかわりに又有名無類のヤカマシ屋であつたから、私は松谷君に『難波の友人が大助の弁護を是非松谷弁護士に頼んでくれと云つて来た、それは私にも何も聴いてくれるな、松谷弁護士にもさう頼んでくれと云つて帰つた』と話し松谷君は早速快諾してくれた。もし私の記憶に誤りがないなら私が「花井、今村、岩田の三氏が弁護士に定まり、大審院の肚は他に弁護士を附けたくないのだから、君の弁護を妨害せずに認めるかは甚だ疑問だ」とアヂリ、松谷君が必らず成功してみせると軽く引受けたのは矢張り此の時だつたと思ふ。今考へてみても、あの時あの場合、種々諸々の困難を克服して強引に弁護士となれたのは松谷君なればこそで、誰にも真似の出来る芸当ではなかつた。 難波に面会したり記録を調べたりした後の事、松谷君は「大助はおれや君を知つてるし、おれの演説を聞いた事もあるし、君の事務所も知つてるといつたが、多分自由法曹団の演説会だらう、君の事務所を知つてるのは、当日新橋駅から裏伝いに虎の門へ行つた時見たのだらう。」と語つた。しかし私はそれは違ふと思ふ。 私の判断では、難波の思想が左傾して社会主義的になつたのが大正九年九月四谷鮫ケ橋貧民館に間借生活した頃から、テロリストの出てくるを当然と考へたのが大正十年三月「改造」の河上博士断片を読んでから、自分が大逆者たらんと決心したのが大正十年四月幸徳等大逆事件の判決文を読んでから、となつて居り大正九年五月総選挙の父の立候補に憤慨して上京、大正十二年九月大震災直後まで東京市内で苦学苦労し、その間唯一可能の趣味娯楽は遠近を問はず政談演説会、思想講演会その他の集会をテクリ廻る事で、当時社会主義同盟は大正九年初夏から平民大学事払の事務所を根城に発企され党員獲得解散予防の戦術上イツでも創立準備会で進む事とし、(ところが、所謂大衆の要望に押され、結社の即時解散を承知の上で同年十二月十日創立大会を神田基督教青年会館に持たねばならなくなつた。その創立大会も開会前に集会解散になるは必定の形勢だつたので岩佐作太郎君の機智で、前夜九日の大会準備相談会を緊急創立大会として創立し同時に翌十日の大会を創立報告大会とする決議をし、その会もその決議と共に中止解散となつた。十日の大会が前夜から会場へ潜入工作してゐた高津正道君の大赤旗翩飜と開会宣言と中止、解散とが三位一体同刻同時であつたは勿論だつた。検束者は大杉栄、赤松克麿、岩佐、近藤君等数十名で、残つた十数名が監房で暴れ、警視庁破壊罪で処罰されたはこの時である。大学を開放して連日座談、討論、講演、演説等の会合を持ち、誰でもが自由に出入が出来(この会合が常に解散されたことは勿論だが)又平民大学は大正十年から十二月卅一日に「恒例平民大学徹夜放談除夜会」を開始し、入り替り毎年数百の人が元旦まで自由に出入でき(時の人今の徳田球一君も元労働農民党書記長細迫兼光君もイツからイツまでか判然覚へて居ないが当時私の事務所にゐて、徳田君はひととせこの放談会を司会してアヂリ、何かの雑誌へ、次年の運動傾向はこの放談会で予測できると書いた事を覚へてる。)だから、難波は興味を持つてこれらの会合に出席自然私の事務所を知つたものだらう。 問題の葉書と手紙及び自称友人は今以て私の疑問だが、松谷君はその自称友人は梅田与一で手紙は与一の書いたものだと判断した。梅田は難波の性格と思想を熟知する唯一の親友、彼れが杖銃を携へて上京するのを見て当事を予知危惧し難波の後を追つて兇行の翌日新橋到着、新聞で犯罪詳細を読んで驚愕所在を晦まし遂に共犯嫌疑で一時留置取調を受けた者、もし自称友人も手紙の書き主も梅田なら私にも梅田を共犯と疑へる説が沢山ある。葉書と手紙には大助の弁護を私に頼むとはハツキリ書いてなかつたから、私は投蔵して置いた屑籠から拾ひ出してこれを松谷君に渡したのである。 大杉栄虐殺のこと 難波の大逆動機には色々あるが、社会主義同盟に対する圧迫、幸徳一派の大逆判決の過酷、大震災ドサクサ紛れの労働者、主義者、朝鮮人に対する支配階級の残忍極まる大量虐殺が重なる動機の一つであり、大助は之れに激憤蹶起その復讐と意久地なき主義者達を覚醒するためと、反省なき支配階級最上乗の見せしめとして国際検事団に魁けして(圏点は筆者の註<「国際検事団に魁けして」に傍点>)最高責任者を狙つたのだと壮言豪語してゐる。この三つは何れも私と相当深い因縁関係があり前の二つは既にその概要を或は長過ぎるほど書いたから、私は最後の一つのドサクサ大虐殺に就て少し書いてみる。 難波は大正十二年九月一日大震災当時のドサクサ虐殺の例として平澤計七君、河合義虎君等八名の所謂亀井戸事件、甘粕正彦大尉、森慶次郎伍長、鴨志田利一上等兵等憲兵隊本部の大杉栄外二名虐殺の所謂憲兵隊古井戸事件、軍隊警察及びその指導保護下にあった暴力団の朝鮮人に対する日本人的暴虐即ち朝鮮人大虐殺事件を挙げてゐる。 亀井戸事件は一日の地震を待ってゐたかの如くその日より警視庁は社会運動者、主義者、朝鮮人達一切無差別至極公平に検束し東京ではその数何萬、一時は生屍室に充ち頭の上に立たせて漸く収容したと云はれたものだつた。亀井戸署には約千とかで平澤君は二日かに夜警当番中を河合君は三日かに老母看病中を検束され、四日、戒厳中の軍隊によつて暴動を起すの虞れがあつたとの口実で虐殺されたが、銃殺か刺殺か砲殺かは未だ不明だ。先死者の高尾社会葬に後れて大正十三年二月十七日漸く労働組合葬が青山斎場で挙行された。憲兵隊事件の大杉君も妻の伊藤野枝さんと大杉君の妹の橘あやめサンの子米国生れの米国人宗一(当時七歳)と三人で自警昼警中を、一寸来て下さいでダマされ、憲兵隊本部に連行され、九月十六日夜、大杉、伊藤の二人共不意に後ろから甘粕に首を締められ、宗一は伍長上等兵二人掛りで首を締められ、屍体は三人一緒に隊内平親王ゆかりの古井戸奥深く埋められた。これが十九日にバレて三人共軍事裁判に付せられたが、甘粕は酌情の余地なき三人残虐謀殺で十年、大杉、伊藤二人殺しの共犯部下森は、三年の懲役、二人がかりの宗一地蔵殺しは上官の命令なればとて無罪でケリ、大杉君の葬式はその年十二月は覚へてるが日に記憶はない。しかし骨を盗まれたはその日の朝だつた。 朝鮮人の虐殺されたのは社会主義者と共謀して大震災を起したのだといふ流言から、井戸に投毒した、火を放けた、暴動を起した、朝鮮軍が東京近く押寄せた、の蜚語まで飛んだため、日本人古来の酔風美俗が曝露されたものであるが、その数に至つては今以て私には不明だ。当時の朝鮮総督は確実の処合計二人、司法当局は取あへず、南葛を除いてザツト千人と発表し、南葛は千人とも二千人ともいはれた。慰霊祭に鄭然圭君は弔文で三千人と読み戒厳令下鮮人取締に来た習志野から帰隊した人は優に五千と告げ、生命からがら上海に逃げ帰つた人は確かに萬を越へてると云つたさうだ。兎に角当時を追想すると、血の気の多い情熱の純真な若者だつたら、難波大助君たらずとも誰でもが卑怯者でない限り正気の沙汰で狂気の行動に出でないのが不思議の位であつた。現に五十近くの老境に達し、血も熱も失せた上人一倍卑怯であつた私ですら、痛憤止み難く、当時の情勢上随分遠慮はしたが、色々の策動をしたり新聞雑誌の注文や問合せに対して雑多の小論を文したり葉書返答を出したりした。その小文が大正十三年九月十日発行の「地震憲兵火事巡査」(サブタイトル又は鉢巻タイトルは「甘粕は三人殺して仮出獄?久さん未遂で無期の懲役」)の小著に集録されてるから、私は之れをところどころ引抄してこの項の因縁記に代へる。 朝鮮人事件 地震流言火事暴徒 (前略)今度の地震は朝鮮人と主義者とが組んだ陰謀だといふ風説はこの頃地震博士等が漸く震源地は却て他にあり大島と相州との間、海底陥落の地辺ならんと発表して以来全くその跡を絶つた形跡がある。併し火事に付ては尚諸説紛々で流言蜚語が盛んにとんでる。しかし、全国の内鮮人が地震を合図に一斉蜂起し、火を放ち毒を投じ人を殺し財を掠め日本を乗取らんと企んだのだ、主義者は予め図て之を煽動したのだ、といふ点は一致してゐる。この流言蜚語当然の結果(中略)戒厳令は布かれる軍隊は出る銃丸はとぶ伝令は走る演説はやる掲示は貼る内訓は出る公報も出る自警団もできれば義勇団もできる。在郷軍人も青年団員も兇徒も暴徒も皆一斉に武器を執つた。そこで朝鮮人の大虐殺となり中国人の中虐殺となり半米人(二重国籍者宗一幼年)の小虐殺となり主義者運動者のタダの虐殺となつた。(中略)到る処巡査兵卒仲間同志の手柄話を立聴くがよい。今でも血に飢へた彼等は憚る処なく当時の猛烈なる武勇とその役得とを自慢するではないか。(中略)実に当時の戒厳令は火に油を注いだものであつた。(中略)全く軍隊や警察が、人夫、車掌、配達夫の萬分の一でも役に立つてくれたなら、騒ぎも起らず秩序も紊れず市民はどんなにか幸福であつたら、然るに(中略)輿論が頻りに戒厳令を賛美渇仰し功績を独り軍隊にのみ帰せんとするは抑も何故であるか。(中略)中には長い物には巻かれ、なく子と地頭には勝たれなかつた者も頗る多かつた。故に間もなく正気の沙汰となり軍閥に対し一斉射撃を開始する日も遠くはあるまい。(中略)僕のこの憤慨は無理だらうか、間違つてるだらうか、僕が動揺常なき確乎不動の感情に拠る正直の凡人であるから、そう思ふは当然だといふなら、朝鮮人問題に対する日本及日本人の態度をみた世界の人々が全部僕のような考へになるのも当然である。(中略)今度こそ愈々愛想もこそ尽き果て低能でバカで意久地のない日本人と主義者と国士と朝鮮人と大和魂とが、手に糞のはいた程厭になり嫌ひになつた。(中略)鮮人問題解決唯一の方法は早く個人には充分損害を払ひ、民族には直に自治なり独立なりを許し、以て誠心誠意低頭平心慰謝謝罪の意を表する以外はない。(大正一二・一二・一四日) 朝鮮問題問答集 (三)過般の震火災に際し行はれた鮮人に関する流言蜚語に就ては、実に日本人と云ふ人種はドコの成下りか知らないが、実にバカで臆病で人でなしで爪のアカほどの大和魂もない呆れた奴だと思ひました。その後の事は切歯痛憤身震ひがします。(中略)小供が鮮人ゴツコをする度に死ぬ程ヒツパタイてやります。小供がこの次には朝鮮人になつて日本人を鏖殺しにしますからと泣いて陳謝れば許してやります。 (五)(イ)朝鮮人の殺された到る処に鮮人塚を建て、永久に悔悟と謝罪の意を表し、即時独立を許すこと、然らざれば日鮮親和は到底見込なし、(ロ)憲兵隊司令官本部平親王井戸辺に宗一地蔵を建立し、幼児の冥福を祈ると共に軍部の無智無謀と残虐とを記念すること、外国の悪感情は総て之れに基因すればなり。(ハ)毎年その日にセツテンデー若くは亀井戸労働祭を挙行記念し、亀戸警察で軍隊の手に殺された多くの労働者の魂を猛烈に祭ること、噴火口を密閉したのみで安泰だと思つてるはバカの骨頂だ、イツか奮然として爆発するは当然で思ひ知ること近きにあるべし。(大正一三・八・一〇)後略。 亀戸事件 平沼司法大臣への公開状 (前略)此書は眇たる天下の一小問題亀戸虐殺事件に司法権の発動を求むるに過ぎません。が、其延て波及し影響する処は断じて軽視すべきでなく、貴下としては後日自責遂に自決消失せざるを得ざるかも知れず、私としては人間と性質と信念が激変するかも知れません。(中略)私が急に思立つたは一昨十五日文壇関係諸氏の平澤計七君追悼会で其思ひ出を新にした処へ、昨夜は筆にするに忍びない残虐を極めた平澤君等の惨殺死体、首と胴との実物写真を届けてくれた特志家があり、今日は又全く期待に反した貴下の横山勝太郎君の質問に対する答弁を読まされたからです。(実は私から其の写真を提供して横山君に質問して貰つたのだ)(中略)吾々自由法曹団の調書の一部として検事正に提出した私の始末書中の「此調書を読んで泣かない者は日本人でない人間でない・・・・・・国賊である悪党である」との一節は今も尚之を維持します。(中略)彼等犠牲者は皆別別に、就床中夜警中を抜刀士足の正服私服の憲兵巡査に襲はれたのです。(中略)殊に親思ひ兄弟思ひの川合君は、麻布より飛んで家に戻る帰途倒壊家屋中から瀕死の二幼女を救ひ出し、老母の身を案じつつ一昼夜之れを看護し漸く其幼女を隣家に渡して帰宅、一日老病母を看護したる処を急襲されたのです。(中略)亀戸署が急に遺骨発掘を拒んだは実は死体何個の実数曝露を感付いたからです。私共が全部の遺骨を受取つてもよいと申出たは、実は死体が何千あつたか、其人種別の割合、生焼半焼全焼けの比率、鉄砲か大砲か刀剣か、首があるかないか其割合は、を知りたかつたからです。(中略)然るに一昨日の新聞警察種は遺族が引取らぬから警察で埋葬すると報導し、飽くまで其の非を遂げんとします。(後略)(一二・一二・一八) 平澤計七君を憶ひて 平澤君が殺されたのは九月四日の真夜中、僕の同君を知つたは前年同月同日の真昼間、変んな因縁だ。僅か一年だが其間平澤君一家は僕の家に同居し平澤君は一家で僕の労働週報を編集し僕と共に種々の陰謀も企て、僕の看板で、「労働者法律相談所」もやつたから、短い割合には深い間柄だとも云へる。(中略)僕が労働週報を創みた時その道の玄人は皆一家で週刊の編集ができつこないと保証してくれた。しかし平澤君は編集から事務発送まで一人でヤリ遂げた。しかも後の評判では労働新聞としては週報前に週報なく週報後に週報なしとの事であつた。(中略)平澤君は熱と力と気と押と、根と理と柔とで大山公、二條公、古河、川崎、和田、大倉、浅野、大橋等大資本家大会社に対する数多の労働法律事件を見事上手に解決し死後今に至るまで未知の労働者からさへ感謝感憤の礼状を貰つてる。(中略)平澤君がこれ等大中小の芝居を味方友達仲間同志に打つことが評判を悪くし誤解を招いたらしい。しかし友愛会時代に弾劾排斥された事は全く一派の誤解若しくは陰謀で平澤君に過失はなかつたとは現総同盟主事の加藤勘十君と当時の弾劾の急先鋒高田和逸君とが僕に語つた処である。(中略)平澤君は元鍛冶屋で七等俳優で、講談もやり芝居もやり文学者もやつた人である。(中略)でも平澤君は可なり仕事もして生甲斐のあつた仲間であり其の最後も華々しく言伝へられ死甲斐もあつたから諦らめも出来ようが、なすべき多くの仕事を持つたまま同じ運命に落ちた南葛労働会の若い諸君及その氏名も知れずに終つた多くの人々の事を思ひ出すと、イクラ僕でも独り粛然として恨骨髄に徹し只血涙限りなく流るるのみで、もう冗談一つ書けなくなつた。(大正一三・五・二一日) (これは菊池寛君、下中彌三郎君の尽力で刊行された平澤君の遺署序文だ。平澤君の遺妻よしサンは私の紹介で野中誠之君と結婚、遺女和嘉子サンも私の媒酌で元警視庁の新潟県人佐藤君(入籍手続困難で和嘉子サン家に入り松本姓)と結婚一男二女を儲けた。佐藤君出征後野中松本両家終戦直前大森を疎開、佐藤君は終戦直後復員其処へ落ち着く、両家の疎開先又は現在地知りたし、私は長野県諏訪郡川岸村蛇ノ洞) ○ 憲兵隊事件 外二名及大杉君の思出 大杉君の逸話又は思出を十枚計りといふ注文に、この表題で一度原稿を書き終つたは十月七日の夜であつた。その原稿では先づ大杉君の系図を掲げ、当局があくまでかくさんとする外二名は野枝さんと半米人の幼児橘宗一であること及び陸軍が触れられては困る、大杉君が山田保永中将とは三親等前憲兵司令官現京都師団長山田良之輔中将とは四親等の血族であることを曝露せんと試みた。・・・・・・が大杉君には詳細の自叙伝もあり、長い間その日その日の生活は新聞雑誌の種になり又は大杉君の飯の足しにもなつた・・・・・・で永年深い間柄であつたのを楯に珍味新鮮の処を盛沢山に・・・・・・大杉君は確かに殺されたに相違ないがイクラ考へても本当に死んだとは思へない、宮内省の坂本といふ大杉君の柔道の先生は、大杉の腕ならイクラ欺し討でも手を縛られて居らない限り、三人や四人では到底首を締めきれるものでないと、杉浦重剛翁に話したさうだ・・・・・・大杉君と最後に別れたのは八月末・・・・・・例の三人でやつて来た時である・・・・・・妻が下へ降りると洋行の用向、秘くして行つたわけ、旅費調達の苦心、今後の運動方法などを語り出した。その間マコと堅公とは歌つたり踊つたり泣いたり笑つたり喧嘩したりバカにハシヤギ廻つてゐた。堅公は僕の独り子でもし僕と共に之れを殺しでもした者があれば僕はキツトその下手人は申すに及ばずの少しでもの関係者(殊にその上の方の関係者)は本人は勿論その九族までを皆殺しにして復讐してみせる。・・・・・・先日朝日で志賀重昻翁が、恰度百年前の九月十六日に、モルモン宗の始祖が同じく軍人に親子三人で殺された。そのためモルモン教は大成した。後世日本に赤化思想が蔓延したら、それは無智なる軍人の功績である。と諷刺したが、百年前、九月十六日、軍人に三人で・・・・・・何の因縁か・・・・・・(大正一二・一〇・一三日) ○ 一つにつき公平に二つ宛とし、も一つは甘粕事件軍法会議の判決批評も抜書する積りだつたが、これは難波の大逆動機とアヤカリも因縁付けも余りに縁遠いから止める。難波は朝鮮人および亀戸署の虐殺には大憤慨をしてるが、憲兵隊事件には余り憤慨しなかつたようで、私の書いたものも亦それに似てるが、それは当時堺君等多数の者が共産党事件で留守中、その他の同志も多数が震災で散逸中の人手不足ではじめは、私が近藤憲二君と、あやめサン相手に自由法曹団にうつたへたりして事件暴露に専念していそがしく、後には村木、和田、古田君等の復讐事件弁護の必要上、自身あまり復讐主義強調はつつしまねばならなかつたからで、大杉とは格別親しく、あやめサンの愁歎場と大杉等三人の発掘惨殺屍体とを現実にみた私としては、朝鮮人や南葛労働者虐殺と同様に、大杉等の虐殺を憤慨したのは当然である。 難波君は又幸徳や大杉の一派同士が復讐をしないことを意久地なしとして憤死したが、大杉の同志に関する限り之れは当らなかつた。村木源次郎は君よりも一層生ツ粋のテロリスト、久さん事件和田久太郎君は害悪に対しては乞食にでも生命を捧げタンクにでもタンをヒン投げるといふ徹底した君よりも純真な感激家、果して二人は君の憤慨し初めた頃から復讐を計画してゐた。一周年忌には少し早かつたが十三年八月十四日には未遂ながら当時の最高責任者福田大将一家の爆殺を謀り、記念の九月一日には大将を狙撃した。村木は松岡洋右に先例を残し、幸徳の命日を期し大正十四年一月二十四日巣鴨監獄を出て無罪で病死した。久さんは大正十四年九月十日無期懲役、特赦で有期となり秋田へ移されてから同志との約束に反し、好んで獄死した。久さんで今でも私の気にかかることは、久さんがイツモのニコニコで無雑作に、甘粕の最高責任者は誰かとの問にウツカリ、時の司令官福田大将と答へたこと、「獄窓から」の久太漫評に岩佐作太郎君の書いた、大杉の葬式を終へた直後某氏方に立ち寄ると、某氏は頗る緊張して「大杉のかたきを誰が打つだらう、かたきを取るものがないやうでは、アナキストもへちまもあるものか」と、僕を詰るやうに言つた。僕もこれには少なからず面喰つた。とある。某氏とは誰の事か、私か服部かと迷ふことである。 ○ 猫の尻尾で何の役にも立たなかつたかも知れないが、私が九月震災ドサクサ虐殺を、よくもこう長々と山鳥の尾式にかいたのは、要するに、相当思慮ある注意深い慎重居士五十男の私も、血気盛んで感激感受性多い、気違ひじみた二十五男の難波も、それに就ての気分心持は怖しいほど同じで、私が難波と共謀して書いたか、難波が私と相談して裁判陳述をしたかと疑はれるくらゐであり、全然無縁の衆生ではない、といふ事を云ひたかつたのだ。 大逆罪と天皇制 前にも書き後にも書くであらう如く、三つの大逆事件には一つの共通したものがある。それは卑俗低級無哲理のものではあらうが、復讐しなければならない。どうせ死ぬのだから、一ばん華々しい人の目に著き口の端に上る最高責任者を狙へといふ至極簡単明瞭の無鉄砲である。幸徳事件が赤旗事件の復讐である事は天下に隠れのない事実、虎の門事件又前来長過ぎる記述通り、朴烈文子事件は死滅と最高責任者強調に忙しくて、復讐の理由は軽く述べてゐるだけだが、もし九月の震災ドサクサを見た後だつたら、全く難波と同じで或は朝鮮人虐殺に付ては其れ以上であつたに相違ない。 私はなんでも民主々義第一の今日、今更圧制専制弾圧とその結果の恐怖などに就て説く愚を敢へてしないが、最後に天皇制に就て一言してみたいと思ふ。 ○ 大逆罪が最高責任者を狙ふものである限り天皇制を廃止すれば大逆罪は直になくなるが、政治上の最高地位を天皇とする天皇制の存する限り如何に刑法を改正しても、如何に憲法を粉飾しても大逆罪の発起は免れない。しかし私は老年者共通の保守消極温健同情平穏を愛好し、今急に茲で此際天皇制を廃止することは、却て混乱無秩序を来たし、何もかも制度の悪い昔の事で今は忘れて何の恨みもなく、自分に関係なく他人がヤツてくれるにしても面倒臭く、有るものを捨てるやうで惜しくもあり、天皇に気の毒のやうにも感じ、すべて私の好みに反するから賛成できない、のみならず私は故郷へ帰れば墓参りをし線香を立て茶を啜つて茶話をするため、生家に立寄るを楽しむやうに、東京へ出たら一寸寄つて会つたり拝んだり、花や庭をみたり散歩したり、を楽しみに宮城や皇室を保存したいとさへ思つてる。 こうするには天皇が最高にも最低にも責任者であつてはダメだ。それは実質上は勿論だが形式上にも責任者であつてはならない。多数バカ者の中には形式をみて実質と誤解する者多数ないとは保証できない。怖しい事だ。で真に天皇制の存続と皇室の安泰とを希ふ者こそ、天皇と政治干与とを切離し、改正憲法の所謂天皇の儀礼的大権をも極度に縮小し、使用文字で誤解を招かぬやうよく注意し、未来永劫大逆罪の原因除去を望むべきである。象徴認証ですらどうかと思へるに、これを元首裁可に変へるなど寧ろ発起奨励で、危険千萬とんでもないことである。 <以上は、山崎今朝弥氏が著作者である。> <旧仮名遣いはそのままとし、踊り字は修正した。旧漢字は適宜新漢字に直した。> <底本は、『雑誌真相復刻版(第1巻)』(三一書房、1980年)、底本の親本は、『真相』(人民社)第6号(1946年11月)3頁>
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/130.html
前ページ次ページアステカの星 173. 名無しモドキ 2011/05/01(日) 02 18 24 「アステカの星2」 −チトニア(メキシコヒマワリ)の雨に打たれて− フィアナ・ロペスは、西シエラマドレ(山脈)の麓にあるサンタバルバラ市から、西シエラマドレ(山脈)にある父親 の出身地であるマデラの叔母の元へ一年ほど前から疎開していた。彼女の父は、サンタバルバラではちょっとした薬屋を 営んでいたが、油田を国有化した左派政権のシンパであったために、アメリカ軍と、その威を借る傀儡政府の迫害を恐れ て娘を、地主の未亡人であった妹の所へ娘を逃したのだ。 今年、17歳になったフィアナは本当なら、町の社交界へデビューして、成人のお披露目を行う筈だった。ラテンアメリ カでは中産階級でも、父親は娘が生まれた時から蓄えを始めて、盛大に娘の成人を祝う。しかし、今は隠れるように叔母 の家に籠もって暮らす身であり、豪華なダンス衣装など夢のまた夢である。ただ、子供がいない叔母のロッサは、フィア ナをよく可愛いがってくれた。 傀儡政府による地主階級優遇政策は、叔母には関係なかった。兄が、反政府関係者であることもあり、当局から無視さ れたのだ。もっとも、何代も顔見知りの小作人達との関係は良好であり、小作人の多くは自分の土地も持った者が多く地 域の地縁関係を壊してまで、叔母は新たな土地を手に入れる意志などなかった。ただ、叔母に関係なく小作人のたちが持 っていた自営地は、都会からやってきた旧地主という男に接収されてしまった。困窮した小作人たちのために叔母は、小 作料を大幅に引き下げた。 「明けない夜は、ありませんよ。それまでは、精一杯自分のできることをしましょう。」叔母は口癖のように、小作人達 に、そして、ファイナに言い聞かせていた。 フィアナは、叔母の言葉からあることを思いついた。それは叔母の許可を得て、屋敷の離れに、小作人達の子供を集めて 読み書きを教えることだった。人のために、何かをしているという達成感は、怯えて暮らしていたフィアナの生活に潤いを 与えた。 フィアナが、叔母の家で暮らすようになって、一年、日米戦争が始まった。この日を境にメキシコは混乱、恐怖で、全土 が覆われる。そんなある日、サンタバルバルから逃れてきたという難民が心配な知らせを持ってきた。両親が、アメリカ軍 に収監されたというのである。詳しいことはわかないが、メキシコ全土で起きている武装蜂起の対抗策として、反乱勢力に 荷担する恐れのある、あるいはその疑いのある両親を予防拘禁したようであった。 「いずれ、ここにアメリリカ軍が来て、お前を捕まえるかもしれません。その時は覚悟しなさい。」そう言った、叔母は古 くからの伝手を頼って情報を集めた。 その結果、町の警察署長は、フィアナがこの町に居るという密告によりアメリカ軍はフィアナのことを知っていること、 アメリカ軍から、アメリカ治安部隊が近隣に展開するまで監視を要請された人物リストのなかに、フィアナの名前が入って いることを教えてくれた。 叔母は、決心をすると行動は素早い。大方の手配を町で済ませると、屋敷の屋根裏部屋を、その足で訪れた。 「ジョン、お願いがあります。」 実は、叔母とフィアナだけの秘密で、二週間ほど前から一人の男が、屋根裏部屋に隠れ住んでいる。嵐の夜 に、二人の小作人が左腕から血を流している男を両脇を抱えてきた。小作人達の話によると、傀儡政府が雇っ た土地収監のためのゴロツキが勝手に設置した検問所で通行料を要求され、収穫物を積んだ荷馬車を取られそ うになった上に、連れていた娘を置いていけと脅された。嫌がる娘は小作人の後ろに、並んでいた男に、助け を求めて駆け寄った。ゴロツキの一人が、その男を押しのけて娘を捕まえようとした時、男は、一撃のパンチ で男を倒してしまった。ゴロツキ達が男に銃を向けると、その男は、倒れた男の銃を、銃弾をよけながら横っ 飛びで拾い上げると、伏せたまま、射撃をしてゴロツキ達を射殺してしまったという。ただ、男も左手の上腕 部を打たれていたため、急いで荷馬車に乗せて村に連れて帰ったが、村ではろくな治療もできないため暗くな ってから叔母を頼って連れて来たという。 「貴方はアメリカ人?脱走兵ね。」ロッサが問うと、男は弱々しく頷いた。男は多量の出血で蒼白い顔をして いた。 「貴方方はこのことを忘れなさい。」叔母は、小作人に銀貨を与えて帰らした。そして、この屋敷で唯一の使 用人であるサムエルという五十年配の男に屋根裏部屋に運ばせた。男の上腕部は弾丸が貫通していたが、骨は 大丈夫だった。ただ、その夜から三日ほどは高熱に苦しんだ。フィアナの看病もあって男は、次第に快方へ向 かった。男は迷惑をかけられないと、出て行こうとしたのを傷がまだ癒えていないと今日まで押しとどめてい たのだ。 174. 名無しモドキ 2011/05/01(日) 02 23 40 「なんでしょう。マダム、ロッサ。」 「貴方は、メキシコでは目立ちます。どこへ逃げれば見つかりにくいかお分かりね。」 「ヨーロッパと言いたいが、現実的にはアメリカでしょうね。」 「そう、今のアメリカは混乱状態です。余計に都合がいいでしょう。しかし、国境は厳重に監視されています。」 「マダム、持って回った言い方は苦手です。・・で、わたしに頼みとは?」 「その前に見て欲しい物があります。」 ロッサは、部屋の奥にあった戸棚を開けた。その奥の壁の羽目板の一枚を外した。すると、そこには、鍵穴があった。 ロッサは、スカートから取り出した鍵で、その鍵穴を回した。 「どうぞ、中に入ったください。」ロッサが、男を招き入れると、そこは、少しかび臭いが、充分、暮らしていけそ うな程の広さの二間つづきの部屋だった。ロッサは、部屋の中にあったタンスから一枚の布のようなものを取り出し て男に渡した。 「わたしには、息子がいました。ただ、名前はいえません。死んだ主人も、フィアナも知らない息子です。わたしが 結婚する前に、私が愛した男との間に生まれた息子です。その子は、兄の知り合いに頼んで里子に出したのです。」 「誰にも言いません。しかし、何故、わたしに喋るのです?」ジョンの問に答えず、ロッサは話を続けた。 「わたしが、兄の家を訪ねる時には、会っていました。多分、いつとはなしに私が母親と気付いていたと思います。 息子は長じて、ルチャ・リブレ(メキシコプロレス)に憧れてレスラーになりました。そして、この近くで興業が行 われる時や、私がメキシコシティーに行った時は、必ずチケットを贈ってくれました。」 男が受け取った布は、マスクだった。薄い黄色の生地に、額の所に、銀色の星が入っていた。 「息子のマスクです。わたしの誕生日に贈ってくれたものです。」 「息子さんは?」 「死にました。・・・正義感の強い子でした。貴方と同じように、ヤクザ者にからまれていた女性を庇おうとして、 ナイフで刺されたのです。さあ、そのマスクを受け取って下さいな。」 「そんな大事なものを受け取れません。」 「息子はレスラーとしては死んだことは公表されていません。おかしなお願いでしょうけど、息子に似た誰かが、 それを息子のリングネームともに付けてくれたら嬉しいのです。それと、ジョン、もう、一つお願いがあります。」 「貴方の願いは大体わかります。わたしも、聞きたいことと、お願いが二つあります。」ジョンと呼ばれた男が言う。 「まず、何を聞きたいの?」 「サンドロという男と貴方の関係は?ただの雇用者じゃないようだ。」 「サンドロは、夫が軍務に就いていたと時の従卒だった男です。つまらないことで、喧嘩をして軍隊を追い出されたの で、夫が、ウチで働かないかと誘ったのです。近所の女性を世話して所帯も持たせた信用出来る男です。で、お願いとは?」 「一つは後でサンドロを呼んでください。二人で話をしたい。それと、ヤーゴという男を知ってますか。」 「ええ、この辺りの顔役よ。でも、最近は、都会からやってきたゴロツキと諍いを起こして困っているようよ。」 「詳しいんですね。」 「地主は、その土地に生きて、裏も表も知ってこその地主よ。ヤーゴとも古い知り合いだわ。貴方もヤーゴを 知ってるの?」 「貴方の知り合いなら好都合だ。最近、ヤーゴには少しばかり、貸しができたんです。彼の力を借りたい。」 ロッサは、一月ばかり前に、裏通りで、ヤーゴがゴロツキ連中に、襲われたところをアメリカ人らしい男に命 を救われたという噂を思い出した。 「理由はきかないわ。今度の話はヤーゴを通じて頼んだ話だからちょうどいいわ。」 数時間後、ジョンと呼ばれる男とフィアナ、ロッサ、三人は飛行場にいた。飛行場といっても、牧場の一角 を乱暴に整地した私設飛行場である。納屋のような建物が滑走路脇にあり中には、他に鋭い目つきの五十年配 の痩身の男と飛行服を着た貧相な男がいた。 175. 名無しモドキ 2011/05/01(日) 02 34 37 「お前さんたちのことは、そこの、ヤーゴから聞いているよ。二入だな。」飛行服の男が尋ねる。 「幾らです。」ロッサが尋ね返す。 「ああ、一人、四万ペソ。ただし、金貨か銀貨でだ。」 「いつも、その値段か?」ジョンが聞く。 「そうさ。ただ、この辺りじゃ、格安だぜ。いつもなら、座席が埋まるまで待ってもらうが今日は、二入で飛ぶぜ。」 「お願いします。」ロッサは袋に入った銀貨を男に渡した。男が銀貨を数えている間に、ジョンはヤーゴに目配せをし た。 ロッサも目だけで頷く。表では降り出した雨が、周辺で咲き誇るチトニアたちを打っている。 「さあ、出発するか。お嬢さん、チトニアの花ともしばらくお別れだ。よく見ておきな。」操縦服の男がタバコに火を つけながらフィアナをじろじろ見つめて言った。、 その日の、午後遅くに、どんよりした目つきの操縦士が、操縦するロッキード・ヴェガは雲が密集する雨の降る中、 低空でアメリカ・メキシコ国境を越えた。 「しかし、こんなご時世じゃなきゃ、おれなんぞにヴェガなんて持てなかったよ。さあ、もうすぐ、着陸だ。俺の知り 合いが迎えに来てるからお嬢ちゃんを、ご指定の所まで送ってくれる手はずだ。」操縦士はジョンに声をかけた。 ロッサは、フィアナをアメリカにいる、夫の弟の所で匿って貰うつもりだった。ジョンにアメリカ行きを示唆したよ うに「何事も灯台もと暗し」と考えたからだ。操縦士が、操縦席の下に手を入れたのをジョンは見逃さなかった。ジョン は男より先に、操縦士が探していたものを抜き取って懐にしまった。男は諦めたのか、着陸動作に入った。 飛行機は何回か大きなバウンドをくり返して、滑走路の端に止まっていたアイスクリーム販売の小型トラックと大型の シボレーの前に止まった。車の傍には、メキシコ系の男が四人立っていた。 「よう、ロドリコ、ちゃんと運んできたぜ。」操縦士は、飛行機から降り立つとリーダーらしい男に声をかけた。 「積み荷を受け取らせてもらうぜ。」リーダーらしい男は、あとの二人に命じて飛行機の荷物戸を明けると、1クォート ほどの、布製の袋をどんどん運んでアイスクリーム販売のトラックへ積み込みだした。トラックへ、飛行機にあった三分 の二ほどの袋を積むと一人の男がトラックに乗り込んで走り去った。 「コカインか。」ジョンが尋ねる。アメリカ、メキシコ両国の混乱に乗して、また、津波による治安悪化、麻薬に対する 罪悪感がまだ、低かったためと、供給量を加減して、価格を維持するマフィアなどの組織も壊滅的な被害を受けていたた め、現在のアメリカの比ではないほど、メキシコから大量のコカインが、誰にでも買え、大量使用出来るほどに安価な値段 でアメリカに流れ込んでいた。 「こいつは誰だい。」リーダー格の男が不審気に尋ねる。 「俺に騙された乗客さ。後先で悪いが、どこかに運んで、始末してくれないか。手数料はそこのお嬢ちゃんだ。ただ、上玉だ から、男の始末との差し引きで1000ドルはもらうぜ。」操縦士はにやけながら答えた。 「え、わたしたちを叔父の所へ運んでくれるんじゃ・・。」フィアナは震えながら聞いた。 「こいつは、最初からそんなつもりはなかった。」ジョンが答える。「ヤーゴの話じゃ、強欲で骨までシャブリ尽くす奴だ。 そんな奴が、座席が空いているのに、通常の値段で俺たちを乗せたのは、コカインが本当の荷物で俺たちがオマケだったからさ。 まあ、俺たち以外には重量オーバーで乗せられなかったかもな。それと、あの町に二度と戻るつもりはないんだろう。アメリカ軍 が来るからな。最後の稼ぎだから、信用なんて糞食らえだろ。」 「中々、鋭いじゃないか。今さらだがな。」操縦士はにやけながら答える。 「いや気付いてたよ。俺を殺して、フィアナを売り飛ばすこともな。国境を越えるのは何処でもってワケじゃない。幾つかある秘 密の穴みたいな空路があるはずだ。企業秘密だから、俺たちに目隠しを要求すべきところを、それもしなかった。殺すか、日の目 を見れないところに連れて行くことに決めたいたからだ。」 「ガタガタ、うるさい野郎だな。俺は残りの荷物をもう200マイルばかり先に届けなくちゃいけないんだ。そうしないと、代金を 貰えないんだよ。だから、もう、お前の話は聞きたくないぜ。」操縦士がいらつくように言った。 「俺がすぐにしゃべれなくしてやるぜ。それから、そっちのお嬢ちゃんは、俺らが味見をしたら直ぐに優しいおじさん達に売って やるよ。」リーダーはそう言うと拳銃を取り出して威嚇すると、ジョンの右足を蹴飛ばして転倒させた。 「へへ、いい女だ。兄貴、暫く奴を殺さずに見せつけてやってもいいかい。その方が、女も燃えるんだよ。」にやけた男がフィア ナの手を掴んだ 176. 名無しモドキ 2011/05/01(日) 02 42 10 auite 悲鳴を上げるフィアナ。ジョンの感情が激しく動く。フラシュバックのように蘇る記憶。愛する女が腹を撃たれて 瀕死の状態で犯される横で気がつきもせずに助けられなかった記憶が。ジョンの体に常人では考えれない大量のアド レナリンが分泌された。ジョンはこの苦痛を伴う瞬間を待っていたのだ。 ジョンは、拳銃を構えた男の足を掴んで恐ろしい力で、三ヤードほども投げ飛ばした。ジョンは手下が拳銃を向け るより早く、懐の拳銃を取り出してた。あわてて拳銃を撃とうとする男達の動きがスローモーションのように見える。 ジョンは、リーダーを含む三人の男を撃ち殺した。そして、ゆっくり、立ち上がると操縦士に拳銃を向けた。 「お前が、飛行機で探していたのはこいつだろう。」ジョンは拳銃を操縦士に見せる。 「ど0うするつもりだ。」操縦士が手を挙げながら尋ねる。 「メキシコの出発した飛行場へ帰ってもらう。フィアナとな。」ジョンは操縦士を狙いながら答えた。 「フィアナ、よく聞いてくれ。密告者はというのは身近にいるんだ。君のことを密告したのはサンドロの 奥さんだ。」 「どうして・・。」ジョンの突然の言葉にフィナナは混乱した。 「サンドロの話では、例のゴロツキ連中に驚かされたのと小金に欲がくらんだんだ。それを知ったサンド ロは、叔母さんと奥さんの間の板挟みで苦しんでいたんだ。それで、サンドロには君がアメリカに言った ともう一度、奥さんに密告してもらうように頼んだ。」 「どうして?」 「君がメキシコの叔母さんの屋敷に戻るからだ。そのことを知っているのは叔母さんとサンドロだけだ。サンドロの奥さんは知らない。 幸い屋敷には、滅多に見つからない秘密の部屋がある。暫く辛いだろうが、そこで我慢するんだ。俺の カンじゃ、隠れていなくてはならないのもそんなに長い間じゃない。」ジョンは確信を持って言った。 「あなたはどうするの?」フィアナが寂しげに聞く。 「俺はここから当てがなく、終わりのない旅をつづけるさ。」 「メキシコへいっしょにもどってくださらないの。」フィアナが嘆願するように言う。 「俺の頼まれ事は、ここまでだ。命を的にしたんだから君たちの恩に報いるには充分だろう。それに、 さっきのような芸当はいつだって出来るワケじゃないからな。」ジョンはそう言うと、飛行機から 残no インの袋を取り出すと無造作に滑走路にばらまいた。そして、操縦士とフィアナを飛行機へ入れた。 「フィアナ、君は操縦席の後の席だ。この拳銃を持て。」ジョンはフィナナに拳銃を握らせ操縦士に 言った。 「真っ直ぐへメキシコに戻るんだ。下手に秘密の空路を外れるとアメリカの戦闘機のエジキだっての はよく知っているよな。フィアナを騙して200マイル先に行っても、もう荷物はないぜ。空荷の操縦士 に寛大な相手じゃないってことも知ってるな。お前が助かる可能性があるのは、メキシコにフィアナ を連れ戻す事だけだ。」 「どうしてもわたし一人だけで。」まだ、フィアナは諦めきらない。 「コカインが散らばった中で三人の死体。警察や死体の連中の仲間が一番想定しずらいのは?すなわち 俺たち二入の安全のための最良の方法は?」ジョンが尋ねた。 「・・・わたしだけが、メキシコに戻ること。」フィアナが力なく答える。 「おい、これを見な。」ジョンは自分のバックから手榴弾を取り出して操縦士 に見せた。そうして、その手榴弾をフィナナの左手に握らせると安全ピンを抜 いてレバーを握らせた。 「飛行機をガタガタ飛ばせると、フィアナがこのレバーから手を外してしまう。 気を付けて飛びな。フィアナ、レバーのバネは俺が緩く調整して置いたから、軽 く握っているだけでいい。(もっとも火薬も抜いてあるがな)着いたらできるだ け遠くに投げるんだ。」そう言うとジョンは操縦士に離陸を指示した。飛行機が 滑走路に出て速度をあげる直前にジョンは飛び降りた。 「アディオース,セニョリータ・フィアナ」ジョンは叫んだ。そして、遠くでジョン という声が聞こえた気がした。 ジョンは滑走路に止めてあったシボレーに乗り込んだ。そして、ロッサにもらったマスクを被ってみた。リングネーム「アステカの星」、伝説のルチャ・リブレの若獅子だ。悪くはないな。しかし、あの操縦士、メキシコに着いたらヤーゴと手下が手荒く出迎えてくれるとは想像していないだろうなと考えながらジョン・ベーシロン元二等兵はシボラーを発進させた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− お わ り −−−−−−−−−−−−−−−−−− 前ページ次ページアステカの星