約 1,461 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8299.html
前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence― 翌朝……。 鍾乳洞に作られた港の中。ニューカッスルから疎開する人々に混じって、エツィオは『イーグル』号に乗り込むために列に並んでいた。 先日拿捕した『マリー・ガラント』号にも、脱出する人々が乗り込んでいる。 「愛するからこそ、引かねばならないときがある……か」 エツィオがぽつりと呟く。 それを聞いたデルフリンガーがカチカチと音を鳴らした。 「お? なんか感慨に浸ってるようだな?」 「まぁな、最近それを身を持って思い知ったばかりだったんだが……まさかまた身を引くハメになるとは、夢にも思わなかったよ」 エツィオは苦笑しながら肩を竦める。 婚約者の存在。どうやら、愛を司る女神は、美しい女性には真っ先に婚約者を宛がい、どうあっても俺のことを一人占めにしたいようだ。 フィレンツェに残したかつての恋人、クリスティーナの事を考えながら、小さく呟く。 「納得も覚悟もしていたけど……いざその時となると、寂しいものだな」 「相棒、お前もしかして、あの娘っ子の事が好きだったのか?」 「もちろんさ、彼女の事も愛しているに決まっているだろう」 「『も』? 『も』っつったか、今」 「ああ、俺は全ての女の子を愛しているからな」 「……けっ! 爆発しちまえ!」 茶化すエツィオにデルフリンガーが吐き捨てるように呟いた。 エツィオは小さく笑うと、腰に下げたデルフリンガーの柄頭に手を置いた。 今まで背負っていたのだが、城の人間に腰に下げるための新しいベルトを譲ってもらい、こうして下げているのであった。 「なあデルフ、俺が彼女の使い魔になったのはなんでだと思う?」 「ああ? そりゃお前、どうせあの娘っ子目当てだろ?」 「あたり! と言いたいところだが、ちょっと違うな」 エツィオは腕を組むと、ニヤリと笑った。 「最初はもちろん気乗りしなかったさ、ルイズがとびっきり可愛いのはいいが、俺には果たさなきゃならないことがあるしな。 それは彼女も同じだった、使い魔が俺みたいな平民だなんて嫌だってね。だから一つ約束をしたんだ。 俺が使い魔として働く代わりに、彼女は俺を元の世界に戻す方法を探す、とな」 「なるほどね、あの娘っ子が相棒を元の世界に戻す方法を探してくれているから、使い魔をやっているってワケか」 デルフリンガーがそう言うと、エツィオは笑いながら首を横に振った。 「おいおい、俺はずっとルイズの事を見ていたが、彼女、何一つ調べてなんかいないぞ?」 「はあ? あの娘っ子、約束守ってねぇのか?」 「ああ、本当ならさっさと見切りをつけて、彼女の元から去っているよ、でもそれをしなかった」 「なんでだよ」 「彼女を気に入っているからさ」 「……はい? なんだって?」 さらりと答えたエツィオに、デルフリンガーが呆れたように聞き返した。 「言葉の通りだよ、俺は彼女を気に入ってるんだ。見ていて楽しいだろ?」 「なんだよ、似たようなもんじゃねえか」 「呆れるのは最後まで聞いてからだ。……まぁ、知っての通り、ルイズはまだ未熟だ、メイジとしても、人間としてもな。 でも、彼女は未熟なりに、心の中に確固たる信念を抱え、そしてそれを守るべく努力している。 勿論、それは容易なことではない、彼女の信念を打ち壊そうとするものも出てくるだろう」 エツィオは真面目な表情で言った。 「だけど、彼女は決して諦めない。事実、今回の件でそれを再確認できた。そんな彼女になら、俺は喜んで力を貸す。使い魔を続けている理由は、そんな所さ」 「相棒……お前、ただの女好きじゃなかったんだな」 「おいそりゃないだろう……」 感動したように呟いたデルフリンガーに、エツィオはがくっと肩を落とす。 「うーん、しかし、どうするかな、彼女が結婚してしまうとなると……俺の仕事がなくなってしまうな」 エツィオが困ったように言った、ルイズは結婚後もちゃんと働いてもらう、と言っていたが、 子爵であるワルドと結婚し、家庭に入る以上、使用人もいるはずだろうし、護衛の必要性も薄れてくる、 正直、これ以上彼女に仕える必要などないだろう。 「確かにな、これからどーすんだ? 元の世界に戻る方法でも探すのか?」 「そうだな、マチルダにも協力してもらうとして、俺も『リンゴ』の捜索に本腰を入れるとするか……」 「ふむ、だとしたら、あの娘っ子に暇をもらう必要があるな。……あぁそうだ、相棒、ちょっと気になることがあるんだが」 「ん?」 「相棒、『ガンダールヴ』とか呼ばれてたよな」 「ああ、それが?」 「その名前なんだが、どっかで聞いたことのあるような気がするんだよな……なんだったっけ?」 「おい、俺に聞くのか? 俺は別世界の人間だぞ」 エツィオは呆れたように笑った。 艦に乗り込む順番が、やっとエツィオに回ってきた。 タラップを登ると、そこはさすがに避難船である、ぎゅうぎゅうに人が詰め込まれ、甲板に座ることもできない。 エツィオは仕方なく舷縁に乗り出すと、城へと続く通路へと視線を送った。 そう言えば、『イーグル』号の出航時間の関係で、ルイズに一言も告げる事も出来ずにここまで来てしまった。 今頃、ルイズは結婚式の最中なのだろう。祝福してあげる事ができないのが残念だ。 「幸せにな……ルイズ」 エツィオは小さく呟くと、通路から視線を外し、眼を瞑った。 さてその頃、始祖ブリミルの像が置かれた礼拝堂で、ウェールズ皇太子は新郎と新婦の登場を待っていた。 周りに、他の人間はいない。皆、戦の準備で忙しいのであった。 ウェールズ自身も、すぐに式を終わらせ、戦の準備に駆けつけるつもりであった。 ウェールズは皇太子の衣装に身を包んでいた。 アルビオン王家の紋章が刺繍された、王族の象徴たる明るい紫のマント、そしてかぶった帽子には、アルビオン王家の象徴である、七色の羽根がついている。 扉が開き、ワルドとルイズが現れた。ルイズは呆然と立っている、ワルドに促され、ウェールズの前に歩み寄った。 ルイズは戸惑っていた、今朝方早く、いきなりワルドに起こされ、ここまで連れてこられたのであった。 そう言えばエツィオの姿が見えない、どこに行ったか知らないか、と訊ねると、彼はすでに避難船に乗り込んだ、とワルドはそっけなく答えた。 戸惑いはしたが、昨夜目にした死にゆく人々を見て激しく落ち込んでいたルイズは、深く考えることができずに、ぼんやりとした頭でここまで来ていたのであった。 ワルドはそんなルイズに「今から結婚式をするんだ」と言って、アルビオン王家から借り受けた新婦の冠をルイズの頭に載せた。 新婦の冠は、魔法の力で永久に枯れぬ花があしらわれ、なんとも美しく、清楚なつくりであった。 そしてワルドは、ルイズの黒いマントを外し、やはりアルビオン王家から借り受けた純白のマントを纏わせた。 新婦しか纏うことを許されぬ、乙女のマントであった。 しかし、そのようにワルドの手によって着飾られても、ルイズは無反応、ワルドはそんなルイズの反応を、肯定の意思表示と受け取った。 始祖ブリミルの像の前に立ったウェールズの前で、ルイズと並び、ワルドは一礼した。 ワルドの格好は、いつもの魔法衛士隊の制服である。 「では、式を始める」 王子の声が、ルイズの耳に届く。でも、どこか遠くで鳴り響く鐘の音のように、心もとない響きであった。 ルイズの心には、深い霧のような雲がかかったままだった。 「新郎、子爵、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そして妻とすることを誓いますか」 ワルドは重々しく頷いて、杖を握った左手を胸の前に置いた。 「誓います」 ウェールズはにこりと笑って頷き、今度はルイズに視線を移した。 「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……」 朗々と、ウェールズが誓いの為の詔を読み上げる。 今が、結婚式の最中であることに、ようやくルイズは気がついた。 相手は、あこがれていた頼もしいワルド。二人の父が交わした、結婚の約束……。 幼い心の中、ぼんやりと想像していた未来。それが今、現実のものとなろうとしている。 ワルドのことは、嫌いじゃない。おそらく、好いてもいるのだろう。 でも、それならばどうして、こんなにせつないのだろう。 どうして、こんなに気持ちは沈むのだろう。 滅びゆく王国を、目の当たりにしたから? 愛する者の為と言いながら、望んで死に向かう王子を目の当たりにしたから? 違う、悲しい出来事は、心を傷つけはするけど、このような雲をかからせたりはしない。 深い、沈鬱な雲をかからせはしない 『きみは結婚するのだから』 不意にルイズは、エツィオがそう言った事を思い出した。 あの時の、まるで祝福するかのようなエツィオの笑顔、それを思い出すと、胸が再び、キリキリと痛みだした。 どうして、こんな気持ちになるのだろう? エツィオの口からそんな言葉は聞きたくなかったからだ。 どうして? その理由に気がついて、ルイズは顔を赤らめた。悲しみに耐えきれず、昨晩、廊下で出会ったエツィオの胸に飛び込んだ理由に気がついた。 別れ際、思わずエツィオに訊ねてしまった理由に気がついた。 でも、それは本当の気持ちなのだろうか? わからない、でも、確かめる価値はあるのではないか? なぜなら自分から、異性の胸に飛びこむなんて、どんなに感情を昂ぶらせたって、ついぞなかったことなのだから。 一方……。こちらは『イーグル』号の艦上。 舷縁に寄り掛かり、ぼんやりと出航を待っていた、エツィオの視界が一瞬、曇った。 「むっ……」 「どうした? 相棒」 エツィオの視界がぼやけた。まるで真夏の陽炎のように、左眼の視界が揺らぐ。 「目が……、なんだろう」 「疲れてんだろ?」 「あぁ確かに、昨日は眠れなかったからな……そのせいか」 納得したようにエツィオが呟いたその時だった。 がこん、と船が揺れる、どうやら避難民の収容が完了し、タラップが取り外されたようだ。 「お、そろそろ出航か?」 「……そのようだ」 エツィオは左眼を擦りながら、ぼんやりと言った。 「新婦?」 ウェールズがこっちを見ている。ルイズは慌てて頭を上げた。 式は、自分の預かり知らぬところで続いている。ルイズは戸惑った、どうすればいいんだろう? こんな時は、どうすればいいんだろう。誰も教えてくれない、唯一、その答えを持っているルイズの使い魔は、今まさにこの地を離れつつあるのに違いない。 「緊張しているのかい? 仕方がない。初めてのときは、ことがなんであれ緊張するものだからね」 にっこりと笑って、ウェールズは続けた。 「まあ、これは儀礼に過ぎぬが、儀礼にはそれをするだけの価値がある。では繰り返そう。汝は始祖ブリミルの名において、この者を愛し――」 ルイズは気づいた。誰もこの迷いの答えを教えてはくれない。 自分で決めねばならないのだ。ルイズは深く深呼吸して、決心した。 ウェールズの言葉の途中、ルイズは首を振った。 「新婦?」 「ルイズ?」 二人が怪訝な顔で、ルイズの顔を覗きこむ。ルイズはワルドに向き直ると、悲しげな表情を浮かべ、もう一度首を振る。 「どうしたね? ルイズ、気分でも悪いのかい?」 「違うの、ごめんなさい……」 「日が悪いなら、改めて……」 「そうじゃない、そうじゃないの。ごめんなさい、ワルド、わたし、あなたとは結婚できない」 その言葉に、ウェールズは首を傾げた。 「新婦は、この結婚を望まぬのか?」 「そのとおりでございます。お二方には、大変失礼をいたすことになりますが、わたくしはこの結婚を望みません」 ワルドの顔に、さっと朱が差した。ウェールズは困ったように、首を傾げ、残念そうにワルドに告げた。 「ふむ、子爵、誠にお気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続けるわけにはいかぬ」 しかし、ワルドはウェールズを見向きもせずに、ルイズの手を取った。 「……緊張しているんだ、そうだろう? きみが僕との結婚を拒むわけがない」 「ごめんなさい、ワルド。憧れだったのよ。もしかしたら、恋だったのかもしれない、でも、今は違うわ」 するとワルドは、今度はルイズの肩を掴んだ。その目がつり上がる。 表情が、いつもの優しいものではなく、どこか冷たい、トカゲかなにかを思わせるものにかわった。 熱っぽい口調で、ワルドは叫んだ。 「世界だルイズ。僕は世界を手に入れる! そのためにきみが必要なんだ!」 豹変したワルドに怯えながら、ルイズは首を振った。 「……わたし、世界なんかいらない」 ワルドは両手を広げると、ルイズに詰め寄った。 「僕にはきみが必要なんだ! きみの能力が! きみの力が!」 そのワルドの剣幕に、ルイズは恐れをなし、思わず後ずさった。 優しかったワルドが、こんな顔をして、叫ぶように話すだなんて、夢にも思っていなかったのだ。 「ルイズ! いつか言った事を忘れたか! きみは始祖ブリミルに劣らぬ、優秀なメイジになると! きみは自分で気が付いていないだけだ! そのあまりある才能に!」 「ワルド……あなた……」 ルイズの声が、恐怖で震えた。ルイズが知っているワルドではない。何が彼を、ここまで変えてしまったのであろうか。 「あぁっ、くそっ、なんなんだ……」 避難民の収容を終え、下へ下へと降下しつつある『イーグル』号の艦上、エツィオは再び目を擦った。 「なんだ相棒、まだぼやけてるってのか?」 「ああ……、さすがにこれは……うっとうしいな」 「目が大事なら、あんまり擦らない方がいいぜ」 エツィオはうんざりした様子で呟く。しかし左眼の視界は益々歪んでいく。 そうこうしているうちに、左眼は像を結んだ。 「なっ……これは……!」 エツィオは驚いた様子で、叫んだ。果たしてそれは、誰かの視界であった。 左眼と右眼、それぞれが別々のものをみているようにエツィオは感じた。 「これは、子爵か……? ルイズの視界? 一体なにを……」 「相棒? どうした?」 「わからない、左眼がルイズの視界を映しているみたいなんだが……」 エツィオは言った。いつか、ルイズが言っていた事を思い出した。 『使い魔は、主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ』 エツィオは左手を見た、そこに刻まれたルーンが、武器を握っているわけでもないのに、光り輝いている。 なるほど、これも能力だ。使い魔として備わった能力の一つに違いない。 エツィオはすぐに右眼を瞑った。開いた左眼に、目を吊り上げ、恐ろしい表情でルイズの肩を掴むワルドが視界に映り込んだ。 「あいつ、なにを……」 ただならぬ様子に、嫌な予感を感じ取ったエツィオは、左眼に意識を集中させた。 瞬間、エツィオは、ばっと顔を上げると、舷縁に足を駆け、その上に飛び乗った。 それを見ていた乗客の数人が何事かとざわつき始める。 だがエツィオは、そんな乗客たちなど最初から気にも留めていないとばかりに、舷縁から、秘密の港につながる壁に向かい、力の限り跳躍する。 マントをはためかせ、壁の出っ張りにかろうじて手をかけ、取りついた。 突然の出来事に騒然とする『イーグル』号を尻目に、エツィオは必死に岩壁をよじ登っていく。 「お、おい! 相棒! なにやってんだよ!」 「説明は後だ! くそっ……なんてことだ! ……ルイズ!」 エツィオは自分の迂闊さを呪った。 手掛かりはあったのだ、だが、あえて考えないように頭の隅へと追いやってしまっていた……。 なぜ、もっと疑わなかった、なぜ、もっと警戒しなかった。エツィオの胸中で不安と後悔が渦を巻いた。 自分が想定していた中で、最も考えたくなかった、いや、考えないようにしていた、ルイズにとって最も残酷で、最悪の状況、それが今、現実になろうとしている。 「……くそぉっ!」 湧き上がる不安と焦燥、そして怒り。エツィオは遥か上にある港を睨みつけると、一心不乱に壁をよじ登り続けた。 前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence―
https://w.atwiki.jp/chaina_battle/pages/809.html
thumb|350px| 旧住友本社 設計:[[長谷部竹腰建築事務所]] 住友財閥(すみともざいばつ)は、日本の三大財閥の1つ。 世界最古の財閥 住友財閥は、ロスチャイルド財閥を超える世界最古の財閥と言われており、その歴史は400年以上前にさかのぼる。住友は、製造業を主業として、その隣接部門への多業種化と垂直的統合によって発展した。また、三井と並んで日本の最も古い独占企業体であるが、ただ異なる点は、三井は原則として商いと高利貸でその活動を始め、その事業を継続してきたのに対して、住友は基本的に鉱工業活動に携わってきたことである。 始祖・家祖・業祖の3人がいる財閥のルーツ 世界財閥家系のなかでも、最も古い歴史を持つ住友家だが、住友家の先祖は平家一門といわれ、桓武天皇の曾孫・高望王の二十二代目に備中守忠重が現れ、「住友姓」を称し、室町将軍に仕えたとされている。いわば、この武家である住友忠重が「始祖」ということになるのだが、住友家には、家祖と業祖と2つの創業者が存在する。 家祖といわれるのは、忠重から数えて八世にあたる住友政友で、この人が武士から僧侶となり、そののち還俗して京都で書籍と薬を商う「富士屋」を開き、商家・住友家を興した。業祖といわれるのは、政友の姉婿にあたる蘇我理右衛門で、この人は南蛮吹きといわれる銅精練の技術を開発し、天正十八年(1590年)京都に銅吹所を設けた。のちにこの銅吹所が住友家の家業となったので理右衛門を業祖と崇めた。政友には一男一女があり、一男・政以は父の商売「富士屋」を継ぎ、一女は政友の姉婿にあたる理右衛門の長男・理兵衛友以を養子に迎え、ここで「家祖」と「業祖」が結合する。しかも理右衛門の妻は政友の姉であるという密接な関係だったが、この代でさらに両家の血が結合したことから、住友二代目は友以が継いだ。 以後、住友家は代々「泉屋」の商号で銅銀商を営むことになる。(現在の三井住友銀行事務センター(大阪市中央区島之内1丁目)が「住友銅吹き所跡」である。) 江戸時代 住友二代目友以は先見の明があり、商売を大きくするには京都では狭すぎると寛永元年に、商業の中心になりつつあった大坂へ出張所を出し、寛永7年には本式に大坂淡路町一丁目に移った。ちょうど徳川時代に入るころで、銅は当時一大輸出品であり、住友の銅精錬業は大いに栄えた。これが住友財閥の起源である。そして銅貿易に関与するようになり、その関係から糸、反物、砂糖、薬種等の輸入品を大坂・京都方面で売り捌くなど商業にも手をのばした。そして得た利益で両替商を開業するようになった。 住友二代目のあとを継いだ友以の五男・友信は住友吉左衛門と名乗り、秋田の阿仁銅山、備中の吉岡銅山などの経営に乗り出し幕府御用の銅山師となって日本一の銅鉱業者へと発展させる。一方で友以の末子の友貞は前述の両替商を大坂と江戸で開始している。これが寛文2年(1662年)のころで住友家は江戸時代前期において鉱業と金融業を握るコンツェルンを確立し、慶応初期には住友は、日本の四大資産家の1つにあげられていた。ちなみに三井家が江戸に進出し「越後屋呉服店」を開いたのは延宝元年(1673年)で住友家より10年遅れてのことである。 幕府御用達となった友信以来、住友家当主は代々吉左衛門を名乗ることになるが、なんといっても住友財閥の大躍進の基となったのは、二代目吉左衛門友芳が元禄4年(1691年)に開発した愛媛県の別子銅山によってである。この別子銅山は昭和48年(1973年)に閉山されるまで、282年間にわたり銅を産出し続け、総産出量は銅地金として75万トンにおよび、住友のドル箱となった。その功績を称えた住友家では、この友芳を「中興の祖」としている。 明治時代 友以・友信・友芳の三代を通じて江戸期の住友家は興隆期を迎えるが、やがて明治維新を迎えるとき、一大危機に遭遇する。新政府幕府のすべての決定と特権を廃止した新政府の法令によって、土地所有権と有用鉱物の採掘権は切り離された。慶応4年1月の薩摩藩による大坂鰻谷の銅蔵閉鎖、同年2月の土佐藩による別子銅山の差し押さえの異常事態となり住友は鉱山および銅蔵にたいする統制力を失った。銅山は幕府の財産であったために、銅蔵の莫大な銅備蓄は差し押さえられた。その対応を一歩誤れば、住友の経営は行き詰まることが必死であった。住友家の番頭広瀬宰平がその難局を乗り切り、住友の大阪本店における経営の実権は老分鷹原源兵衛、支配人今沢卯兵衛から広瀬の手に移り、広瀬は翌年の明治2年1月、「諸事更新」の方針を打ち出した。 広瀬のこうした企業者活動の基調には、ひとつは家業経営の再建や、その近代化を意図するところがあったが、それと同時に、国益志向性の強い経営理念がみられた。広瀬は別子銅山の関連事業を中心として経営の多角化を進めた。神戸における銅売捌出張所(明治4年)大阪富島町での並合業(倉庫業と金融業との兼営)の開始(明治6年~7年の頃)、別子銅山の飯米確保のため大阪島屋新田・恩貴島新田の経営(明治11年)、京都・滋賀での製糸工場の設立(明治13年・20年)大阪製銅の設立(明治14年)、関西貿易社の創設(同年)、大阪商船の設立(明治17年)、神戸での再製茶業の開始(明治21年)、福岡県の庄司炭坑・忠隈炭坑の買収(明治26年・27年)などが相次いで実施された。こうした多角事的事業経営を支えたのは、いうまでもなく別子銅山の経営であった。 住友家法 明治15年1月、住友家では、伝統的家業経営から近代企業経営へと大きく転換していく中で、当時住友家総理人であった広瀬宰平は、第十二代家長住友友親の命を受けて、「住友家法」を制定した。これは本店重任局の田辺貞吉を中心として編集事業が進められていたもので、全編十九款一九六カ条から成る詳細な規定となっていた。http //www.sumitomo.gr.jp/history/word/index07.html 住友グループ広報委員会 住友家法・営業の要旨 この家法では住友の伝統精神が明示されるとともに、明治維新の大きな転換期に対処するための組織や方法が具体的に記載されている。 営業要旨 明治24年10月、それまでの家法は「住友家憲」(全十四ヵ条から成る)と「住友家法」(第一編十七章・第二編六章から成る)とに分けられ、家憲では家長の職責が規定され、また家法においては事業運営の方法が法制化された。 これによって、「三井の番頭政治」「三菱の独裁政治」に対して住友の「法治主義」という特色が出来上がった。また「営業要旨」として家法の冒頭に二つの条文に分けて掲げられている。 第1条 我営業ハ信用ヲ重ジ、確実ヲ旨トシ、以テ 一家ノ鞏固隆盛ヲ期ス 第2条 我営業ハ時勢ノ変遷、理財ノ得失ヲ計リ、弛張興廃スルコトアルベシト雖モ、苟モ 浮利ニ趨リ、軽進スベカラズ 歴代総理事 明治以降の住友の経営は、広瀬をはじめとする大番頭(総理事)にまかされ、以後伊庭貞剛(第2代総理事)、鈴木馬左也(第3代総理事)といった名総理事に恵まれ、銀行、倉庫、保険など多方面に進出した。 その一方で住友家当主は、持ち株会社住友合名、住友本社の代表となり、「君臨すれども統治せず」といった経営分離の方式を貫き、次第に経営の中心からは身を引いて財閥統合のための象徴的存在へと変わっていった。 1877年(明治10年) 広瀬宰平が住友家総理人となる。 1894年(明治27年) 広瀬宰平が総理人を退任。伊庭貞剛が住友の諸事業を主宰。 1900年(明治33年) 伊庭貞剛が第2代住友本店総理事に就任。 1904年(明治37年) 鈴木馬左也が第3代住友本店総理事に就任。 1909年(明治42年) 住友本店を住友総本店と改称。 1921年(大正10年) 住友総本店を住友合資会社に改組。 1922年(大正11年) 中田錦吉が第4代住友合資会社総理事に就任。 1925年(大正14年) 湯川寛吉が第5代住友合資会社総理事に就任。 1930年(昭和5年) 小倉正恒が第6代住友合資会社総理事に就任。 1937年(昭和12年) 住友合資会社を株式会社住友本社に改組。 1941年(昭和16年) 古田俊之助が第7代住友本社総理事に就任。 1946年(昭和21年) 古田俊之助が住友本社総理事を退任。 財閥解体 終戦時に住友本社が投資していた会社は120社におよび、これらの会社の公称資本金総額は100億円にのぼる規模であった。もっとも住友本社の持株比率が10%を超えるもの(いわゆる直系、準直系、特殊関係会社)に限定すれば、内外地合わせ29社であった。 しかし住友財閥の最大の特色は、第一に重化学工業中心であったこと、第二に商業部門をもたないことにあった。資本投下が金属工業・機械工業・化学工業・鉱業などに集中しており、繊維工業や商業部門への投資は皆無であった。住友本社の重化学工業部門の払込資本金比率は87%におよび、圧倒的重化学工業財閥の実勢力をしめしていた。そして重工業財閥として、直系の生産会社はすべて軍需会社の指定を受けていたのである。住友にとって敗戦は幕末維新期以来の危機であった。軍需工場として膨張しきっていたうえに、主力工場は空襲で壊滅的打撃を受け、しかも荒廃と混乱のなかで、民需転換は容易に望めなかったからである。 住友では、日本の敗戦が決定的になると、本社事務所の疎開先である京都衣笠の別邸に本社の課長以上の者を集め、戦後対策の検討はじめた。そこでの中心議題は、戦後復興、事業転換方策、人材離散を防ぐ方策などであった。9月になって、これらの問題や財閥解体などに対処するために次の五原則を定めた。 拡張しきった各方面の事業の収拾をはかるとともに、人材の離散を防ぎ、それぞれにできるかぎり仕事を与える。そのための新事業を企画する。 海外引揚者とその家族の援護を十分にする。 住友本社と住友各社の債権者にできるかぎり誠実に対処する。 住友の全事業をできるだけ滅ぼさずに転換し、将来民族と国家の繁栄につながるようにする。 極力累を住友家に及ぼさない。 ついで、9月10日と11日の2日にわたって、各社幹部50名をまじえて「事業転換方策懇談会」を開いた。本社側から戦後の一般情勢と本社解体の方針について説明、各社から復興のための方策と事業転換について報告がなされ、本社企画課が準備した新規事業計画案には、商事・製塩・水産・セメント・出版などの事業があがったが、商事会社設立のほかに種々の難点があった。このようにして住友では、商事会社の設立、化学工業の肥料生産への転化、金属工業の車輌工業への転化などの準備が進められた。 ちなみに、住友金属の場合は、全国18工場のうち大阪の車輌工場と尼崎のパイプ工場だけを残して、16工場を閉鎖、10万人の従業員を5千人に減らすという徹底した合理化をともなうものであった。これは日向方斉(当時企画課長)の住金再建案として知られており、実際にそのとおりに断行された。 10月初旬以来、住友と総司令部および中央諸官庁との折衝が頻繁となり、10月5日、北沢常務理事と大島監事がGHQに出頭してクレーマー大佐に会い、住友本社が単なる持株会社でなく現業部門をもつこと、住友家当主は日常の仕事に関与せず総理事が実権を掌握していること、住友家は政治に関係していなかったことなどを説明、当時戦犯のうわさのあった当主の立場を釈明した。 10月18日、クレーマー大佐は自ら大阪にきて、住友本社で古田総理事と会談した。この席上クレーマー大佐の質問は、当主住友吉左衛門の事業責任にも及んだが、古田は敢然と無関係無責任であると答えた。そして翌19日、住友本社理事会は自発的解体、すなわち本社の解体と傘下企業に対する統轄の廃止を決定し、家長の決裁を得た。 住友が三井や三菱とくらべて解体に順応的にあった理由としては、監事の大島堅造が大内兵衛、田村幸策の両氏とともにGHQの非公式顧問であって、情報が得やすかったことのほかに、安田財閥の自発的解体が後押しとなった。こうして住友では、早くも10月24日に本社・連系会社の全主管者を招集して次のように内示した。 住友本社を解散する 住友本社の現業部門については農林業・鉱業部門は住友鉱業へ移管する。 代表取締役住友吉左衛門、同古田俊之助以下住友本社の取締役・監査役は全員辞任する。 上にともない住友系各社はそれぞれ自主独立の会社として事業の経営にあたる。 住友系各社の社名中「住友」の名称はこれを避けることとし、遂次社名を変更する。 このようにして11月4日に日本政府から「持株会社の解体に関する覚書」が提示され、これを承認する形で総司令部からこの件に関する覚書が発せられた。これによって持株会社整理委員会を通じて財閥解体を実施するという具体的な方向が決定した。 しかし、同委員会の発足が遅れたので、住友では法律上の解散に先立って事実上の解散を行うことを決め、21年1月21日の臨時株主総会で役員の更迭をおこない、解体処理にあたる役員だけを残して、古田総理事以下主要役員は一斉に辞任した。ここに住友本社の傘下企業に対する統轄は完全に消滅し(法律上は2年後)住友の歴史は一応ここで断絶することになった。 現在(財閥解体後~現在) 財閥解体後の1949年、住友各社の協力関係を維持するため、住友直系12社の社長によって構成される白水会が設立された。結成当初、白水会は秘密会であったが、昭和20年代後半にはその存在を明らかにする。「結束の住友」と言われるように住友グループは戦後の混乱期に、三井、三菱の他財閥にさきがけいち早く社長会による集団指導体制を確立し、連帯意識の統一に成功した。 現在は、グループの中核・住友銀行が三井グループの中核銀行(さくら銀行)と合併して三井住友銀行が誕生したことに伴い金融面では三井住友フィナンシャルグループが誕生し、他業種でも住友系と三井系の企業の合併や業務提携が相次いだ。 もっとも、旧住友財閥系の企業からなる住友グループ全体の売上高は約60兆円に達し、これは日本のGDPの約10%を占める規模である。また、住友不動産は、住友家の不動産資産を譲り受けてスタートしたことから、住友の本流を受け継いでおり、旧住友本社の資産を住友商事が引き継いでいる。 かつて、旧財閥系列の系譜をくんでいた主要企業 ヤマハ(旧 日本楽器製造→日本楽器(ヤマハ)) 関西電力 山陽電気鉄道(阪神電気鉄道翼下) ダイビル(旧 大阪建物、商船三井(旧大阪商船→大阪商船三井船舶)系列) NEOMAX(旧 住友特殊金属)→ 現親会社の日立金属への吸収合併により解散(現在の日立金属株式会社 NEOMAXカンパニーである) 小倉興産(アドバンテッジ・パートナーズ傘下を経てアパマンショップグループへ) 昭和精機工業(旧ヤンマーディーゼル系→アーク系) 川崎重工業(戦時中に旧山下汽船と合わせて発行済み株式の25%前後を取得していた。これが後の”川崎(グループ)の住友アレルギー”と言われる原因となった) 脚注 参考文献 「住友財閥」作道洋太郎著 ニュートンプレス 1979年 「財閥の経営史」安岡重明著 日本経済新聞社 1978年 「財閥解体」梅津和郎著 教育社 1978年 「近代大阪の展開と人物誌」宮本又次著 文献出版 1986年 「住友-発展の史的研究」エム・ヴェスキャーギナ著 青木書店 1990年 「住友軍団パワーの秘密」邦光史郎著 東急エージェンシー出版事業部 1987年 関連項目 住友グループ 住友家 住友村 白水会 住友家評議員会 別子銅山 住友別子鉱山鉄道 四阪島 外部リンク 住友グループ広報委員会 住友財団(理事長・住友吉左衛門) 出典 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』_2008年9月11日 (木) 10 07。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/54839.html
登録日:2023/08/30 Wed 16 00 00 更新日:2024/05/27 Mon 02 42 44 所要時間:約12分で読めます ▽タグ一覧 CROSS DIMENSION イフリート ガンダム ガンダム・ピクシー ガンダム外伝 ゲームオリジナル サイドストーリーズ かつて火を使った戦士は、 もう動くことも、 ふたたび大地を踏むことも ない。 わすれてはならない。 死にゆくもの達への祈りを 『死にゆくもの達への祈り』とはSFCソフト『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』に収録されたオリジナルストーリー。 後にPS3ソフト『サイドストーリーズ』でも収録され、『SDガンダム GGENERATION GENESIS』でも採用された。 ●目次 概要 あらすじ 登場人物連邦軍「アルバトロス隊」 ジオン軍「ウルフ・ガー隊」 登場機体 戦いの結末 概要 『CROSS DIMENSION』には初代『機動戦士ガンダム』をモチーフとした第1部があり、それをクリアすると遊べるオリジナルストーリー。 モチーフの一つは『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』であり、同作のような戦争の片隅で起こった小さくどこかやるせない物語を描く。 ガンダム・ピクシーやイフリートの初出なのだが、ゲーム自体がマイナーということもあって知名度は低かった。 本来は4部構成の物語で1~3部で3機のピクシーのそれぞれの奮闘が描かれ、最終章でピクシーが集結する…と考えていたそうなのだが、ゲームでの完全オリジナルストーリーは敷居が高かったことやSFCの容量的な都合もあり、第2部に相当する本作のみに収録になったそうだ。 後にゲームでのオリジナルストーリーは『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』で好評となり、ガンダム外伝シリーズとして定着していくこととなる。 新規モビルスーツのデザインはお馴染み大河原邦男。 オリジナルキャラのデザインは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』や『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の川元利浩。 『CROSS DIMENSION』では連邦側、『サイドストーリーズ』ではジオン側の視点で物語が進行していく。 あらすじ ガルマ・ザビが戦死し5日後の宇宙世紀0079年10月5日のゴビ砂漠に一つの連邦軍基地があった。 砂漠の基地とは思えない物々しい警備をしたその基地には連邦軍の新型MS「ガンダム・ピクシー」が輸送されていたのである。 ちょうどその頃、隊長機に「イフリート」をもつジオンの敗走部隊「ウルフ・ガー隊」は補給を求め連邦軍基地を強襲する。 基地の警備を請け負った「アルバトロス隊」はガンキャノンのみの現状で防衛は不可能と判断し、ピクシーを起動させる。 様々な思いが渦巻く中、多くの命が散っていく…。 登場人物 連邦軍「アルバトロス隊」 主に左遷された士官からなる「はぐれ部隊」。 なぜかゴビ砂漠の真ん中にある連邦軍基地に駐屯する。 その目的は新型MS「ガンダム・ピクシー」をホワイトベース隊に届けること。 「こいつ・・・まだやるのか!どうしてだ!どうして、ここまでやるんだ!」 ボルク・クライ 声:東地宏樹 連邦軍側の主人公の青年。大尉。 『CROSS DIMENSION』では茶髪だが、近年では金髪。 良くも悪くも現場のたたき上げ軍人気質であり、何度も上官に反抗的な態度を取ったため左遷され砂漠の基地にいる。(*1) 現在の状況を「まるでアラモだな」と称するなど勉学にも明るいが、ニュータイプの存在もその目で見てないためか懐疑的。 部下思いではあり、部下には比較的慕われている。 基地にあるガンキャノンだけでは白兵戦で不利であり防衛は不可能と考え、命令違反とわかりつつピクシーを起動し敵を撃退していく。 元々はガンキャノンのパイロットなのでピクシーとは相性が悪そうだが、ピクシーのコンピューターのおかげで次第に乗りこなせるようになった。 だが、ノクト少佐の無理な命令や幾度にも渡る襲撃に神経をすり減らしていき、最終的には見殺しにされるも同然の任務を請け負ってしまう。 「ザクを先に落とせ!」とよく言うがザクになんか恨みでもあるのか…(*2) ダバ・ソイ 声:高橋伸也 ボルクの部下のガンキャノンのパイロット。 黒髪のモブ顔。地味。 元は香港で警官をしていたが、徴兵されてMSパイロットとなった経緯がある。 ボルクの事は慕っているもののどこか頼りない男である。 ヤーマン王家とは無関係。 サナ・ニマ 声:山本祥太 ダバとは対照的に金髪の濃い顔。近年では茶髪。 気弱な性格でかつては敵前逃亡をかましたらしいが、人手不足ということで釈放されている。 ボルクがピクシーに搭乗した後にガンキャノンのパイロットとして戦う。 敵が来た時に伝えに来る役目も務めているため一部では「時報」と呼ばれているとか。 ノクト・ガディッシュ 声:喜山茂雄 アルバトロス隊隊長。少佐。 元はジャブローにいたエリート士官だったが左遷され(*3)砂漠の基地に就任している。 エリートコースを外れてなお強いエリート意識の塊で、現場判断を一切聞きいれない、部下をクズと言う、戦力が足りないことを「貴様らがだらしないから」と罵る、ピクシーが必要と判断しても「使わせてほしければクズな私にピクシーを使わせてくださいと言い、私の靴をなめろ」と言うなど典型的なダメ軍人というか人としても最底辺。 ニマには「最低」とつぶやかれてしまっている。 ボルクを謀殺するために一人残そうとするなど、軍人としても無能な印象が強い。 こんな有様なのに『CROSS DIMENSION』では確実に生き残る。しかし、『サイドストーリーズ』では…? ちなみに彼の親戚はかのエルラン中将で「失態は揉み消してもらえる」と考えているらしく(*4)、エルランの顛末を考えると生還しても先行きは真っ暗だろう。 中の人は後のランバ・ラル。 ジオン軍「ウルフ・ガー隊」 犯罪者で構成された懲罰部隊。 本来は偵察と後方撹乱が主任務だが、中央アジア前線でに敗走したことで、砂漠をさ迷っている「はぐれ部隊」。 そのため、補給目的に基地を襲撃する。 「さいこうに、たのしいぞ、新型!やっとみつけたんだ!こんなところで、おわっちゃあ、もったいない!」 ヘンリー・ブーン 声:てらそままさき ジオン軍側の主人公の壮年。ボルクと同じく大尉。 かつてはキシリア閣下の配下の特殊部隊に所属し、ランバ・ラルに匹敵する軍人と称されていたが、クーデターの発起人の疑惑をかけられ、ウルフ・ガー隊の隊長となった。 冷静沈着で部下思いであり、虐殺任務にも反対するなど良識的な軍人。 だが、その本質は… 実は極秘裏に新型MS破壊任務を受けており、敗走も偽装。 マーチン以外の部下には「心が弱いため、真実を知らせると成功率が下がる」と思い黙っていた模様。 その根には「強い敵と戦いたい」という戦闘狂にも近い思いが渦巻いており、ピクシーと真正面から戦うために起動前のピクシーを見逃したり他の部隊と合流せず新型の様子見にしたりしている。 しかし、自分の欲のために部下や他の部隊が死んだことは流石に後悔していた。 この辺の下りは人間として問題があるように見えてしまうためか、『サイドストーリーズ』以降は「部隊員の犯罪歴を抹消させるために処刑任務に近い新型破壊命令を受けており、新型が起動したのも計算外。戦いたいマーチンやサキのみが生き残ったため、自分も戦いへの欲望に素直になった」という描写になっている。 こんどこそ「はぐれ者」から脱却できると思い、ピクシーとの最後の戦いに挑む。 マーチン・ハガー 声:三宅健太 どことなくサンダース軍曹似の褐色肌の男。 気性が荒く、補給も「飯より弾」と言うなどバトルマニアの気があるが、ピクシーの動きから「パイロットはまだ機体になれてない」ことを見抜くなど洞察力もある。 レイとレスタを気遣ったり、彼らを殺したピクシーを目の敵にするようになる事から部下思いのように見えるが、実際は新兵教育係の際に8人の新兵を死に至らしめた経歴があるなど両極端な人物である。 結果的に彼はその怒りからほぼ狂ったような状態で死んでしまう。 SFCの最終戦では設定ミスで届かない距離からしか攻撃してこないが、それもまた狂気を引き立てている…。 サキ・グラハム 声:浅野まゆみ 紫髪の紅一点。 冷静で洞察力が高く、下記二人より肝が据わっている。 元々はランバ・ラル隊に所属することを希望していたらしい。 兄をルウム戦役で失い、復讐のためウルフ・ガー隊に志願する。 そのため、隊員の中で唯一の犯罪歴がない。 最終決戦では爆発するザクからなんとか脱出するが…? レイ・ハミルトン 声:豊永利行 童顔の金髪。自分を同性愛者と揶揄した同僚2名を殺害したという恐ろしい裏設定があるらしい。 軟弱な性格なのか、良く弱音を吐いている。 アルバトロス隊との三回目の戦いで敗れて死亡した。 とある伝説のパイロットと同じ名前を持つが、残念ながら彼のようにはなれなかった。 レスタ・キャロット 声:烏丸祐一 アゴが目立つ男。家族を疎開させる為の金目当てに殺人を犯した元銀行強盗。 こちらもビンタされそうな軟弱男。 レイと同様に死亡。 ウルフ・ガー隊とは別の敗走部隊も登場するが名実ともにピクシーの噛ませ犬である。 登場機体 ガンダム・ピクシー 陸戦型ガンダムの派生機。 重力下での白兵戦に特化した機体であり、本来はホワイトベース隊に渡される予定だった。 二本のビームダガーとサブマシンガンを装備。このマシンガンのせいでウルフ・ガー隊に弾薬を補給されてしまったのでは…おのれユニバーサル規格!! MPUも優れており、初めて搭乗したボルグでも十分戦える上に、戦闘データの蓄積により戦うほど強くなる。 『CROSS DIMENSION』では第1部のガンダムのレベルを引き継ぐ。 ガンキャノン ピクシー搭乗前のボルクやサナ、ダバが搭乗。 本来は高火力・重装甲の強力な機体だが支援機なので近接攻撃手段がほぼ無いことから本作では低く見られがちで、元々は基地に6機あったが、激しい戦いで4機は落とされてしまったらしい。ノクト曰くクズなモビルスーツ 『CROSS DIMENSION』では第1部のガンキャノン2機のレベルを引き継ぐ。 そのため、育てていないと詰んでしまう可能性も。 余談だが、カイやハヤト搭乗のガンキャノンより技がないなど弱く設定されている。あの二人もエースであるという演出だろう。 ミデア ノクト逃走時に使用。 イフリート ヘンリーの搭乗機。 グフとドムの中間に当たる機体で、ヒートソードで武装した白兵戦向けの機体。 一時期はイフリート改の方が有名だった感がある。 ちなみに『CROSS DIMENSION』ではヒートソードを1本しか使わないが、『サイドストーリーズ』以降は他のシリーズに準拠して2刀流で使用している。 『サイドストーリーズ』ではこの機体を操作して戦いに挑むこととなる。 ザクⅡ ヘンリー以外のウルフ・ガー隊の機体。 ゲーム的な事情もあるが、『CROSS DIMENSION』では全員結構強い。 また、同作ではパイロットによって使用武器を変えてきている。 グフ ピクシーの噛ませにされた部隊がザクと共に使用。 戦いの結末 ノクトの嫌がらせによりボルクのピクシーは単機で出撃させられるも、イフリート以外のウルフ・ガー隊を撃墜する。 しかし、ヘンリーのイフリートもミデアの護衛をさせられていた2機のガンキャノンを破壊。 さらにノクト少佐はピクシーを置いてミデアでそのまま離脱してしまった。 もはや単機になっても向かってくるイフリートに疑問を持ちながらも戦うボルク。 部下への弔いや戦闘への歓喜に打ち震えながら戦うヘンリー。 ピクシーを駆る連邦の「はぐれ者」とイフリートを駆るジオンの「はぐれ者」の意地を賭けた最後の戦いが始まろうとしていた。 『CROSS DIMENSION』ではマルチエンディングとなっており、ボルクの勝敗によってエンディングが異なる。 ボルク勝利エンド 最終的に勝ったのはボルクだった。 戦いを楽しめたことに満足しつつも、死んでいった部下への謝罪や最後まではぐれ者であったことへの自嘲をつぶやきながらヘンリーは逝った。 ボルクも素晴らしい戦士への敬意をどこか感じていたのだった。 その時、ボルクは倒れているサキを発見する。 ボルクはサキを保護し、誰もいなくなった連邦軍基地で手当をするのだった…。 彼らの戦いは、 まだつづく・・・ TO BE COUNTINUED・・ (*5) ヘンリー勝利エンド イフリートはピクシーを倒した。 ボルクの最後の言葉は自分をここまで追い込んだノクトへの恨み節だった。 強敵を倒せたヘンリーは散っていった部下達へウルフ・ガー隊の強さを誇ったのだった。 その後、 ヘンリー・ブーン大尉は ソロモン防えい戦に、 さんかした。 が、その後のゆくえは わかっていない。 『サイドストーリーズ』では最終的に必ずボルクが勝つようになっておりエンディングも『CROSS DIMENSION』と異なる。『GGENERATION GENESIS』もこちらに準拠。 アナザーエンド 撃墜されたサキはノクトの乗ったミデアに搭乗していた。 「今までありがとう」と言い残し彼女はミデアもろとも爆死した。 最後の一撃はピクシーからだった。 ヘンリーは連邦のパイロットに称賛を送り、部下へ謝罪する。 だが、彼ははとても満たされていた。 残されたピクシーのボルク。 自分以外誰もいなくなった基地で「一体何のための戦いなんだぁーー!」と一人叫んだのだった。 戦いが人を狂わせるのか…? 人が戦って失い、戦いを憎み、戦いを否定し、 それでもなお戦うしかない。 人が戦いで得るものなどないと、 それが無意味だと誰に非難できよう。 生きることそのものが戦い。 戦いこそ全て。 我々は忘れてはならない…そんな、 死にゆく者たちへの祈りを。 その後、一隻のミデアがピクシーを回収していくのだった。 追記・修正ははぐれ者にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 新型ガンダムに加えてガンキャノンが6機もある基地ってかなり豪勢に思えるんだけど……まあそういうバランスって作品次第か -- 名無しさん (2023-08-30 16 42 27) これはエピソード項目的にはセーフなん? いや悪いって言ってるんじゃなくて線引きようわからんなあってだけなんだけど -- 名無しさん (2023-08-30 23 52 49) ジャック・ヒギンズの小説のパロみたいなタイトルだな -- 名無しさん (2023-08-31 05 54 58) ↑普通に哀戦士の一節だと思ったのだが違う? -- 名無しさん (2023-08-31 14 25 09) まあ一年戦争開戦時から従軍してるような奴は大なり小なりザクにトラウマあるだろうな -- 名無しさん (2023-08-31 15 16 47) ガンキャノンが近接戦のできないクズモビルスーツとか許されざる暴言、確かにこのゲームでは格闘攻撃を持たないけどアニメでは普通に格闘してるし、ガンダムと同じルナチタニウム合金製だから弱い訳がない。だからボルク達がヘボいか、あのガンキャノンはジ・オリジンに出てくる初期型ガンキャノン的な奴だと解釈してる -- 名無しさん (2023-09-01 01 11 27) 「何の為の戦いなんだ」ってピクシーを守り通してWB隊に届けるのが任務でしょ?その防衛対象で勝手に前線に出てぶっ壊したボルクは軍人としてクズで間違ってないわな -- 名無しさん (2023-09-01 02 54 50) 2023-09-01 02 54 50 軍人としてはそうかもしれんが、上司に延々いびられつつ・左遷or懲罰された者同士で・戦略的な重要性もほとんどない不毛な戦闘が続いた挙句、曲がりなりにも(一部違反を犯してでも)作戦を達成し、同僚を生かすためにやってたのに報いも手元に残るものも何もないんじゃ「組織も信じられないし仲間はみんな死んだ!俺は何をやってんだ!もうやってられるか!」ってなっても仕方ないような気がする -- 名無しさん (2023-09-02 18 48 06) ↑×2 ノクト少佐、僻地勤務ご苦労様ッス -- 名無しさん (2023-09-02 20 12 58) なんというか、部隊自体が捨て駒だったんじゃないかな無いかといいたくなるな。 -- 名無しさん (2024-05-27 02 27 49) ピクシーは「陸戦特化型」になったガンダム(RX-78)の派生機であって、「陸戦型ガンダム」(RX-79G)の派生機では無いぞ。そもそも原典のSFC版は08小隊のリリースより大分前に発売されてるし -- 名無しさん (2024-05-27 02 42 44) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5131.html
16: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 01 37 ※ 本作には残酷な表現が存在します。また、本作はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません ――西暦1945(昭和20)年8月17日 北海道 増毛沖 「左舷に雷跡2つ!方位42距離300!」 「取り舵一杯!」 艦橋での反応は迅速だった。 病み上がりであるとはいえ、この艦を操るものは海軍軍人である。 祖国の激変とともにいささか怪しくはなっているが、いまだに階級章はそのままであるし、こうして海に出ることもできている。 「何が…」 「攻撃ですよ!」 艦長であるところの山田三郎大佐は苛立ちながら「お目付け役」にどなった。 もちろん英語である。 だいたいお坊ちゃんであるところのこの民生局からやってきた若手官僚はとっさの引き揚げ命令に際してもなにかと口を挟み邪魔をしてばかりだったから口調も荒くなる。 「誰が攻撃するというんだ!」 「決まっているでしょう。ロスケ(russki)の潜水艦ですよ!」 ああ、いやだいやだという風に首を振る御年25歳のGHQ係官殿!あなたはまだ現実認識を自分の脳が作り変えることができるとお考えなのですな。 そういった嫌味を口にしそうになるも喉元でこらえた山田は、大きく傾斜しながら左へ曲がり始めるこの艦がとった行動を思い返していた。 これがいわゆる走馬灯なのかと思いながら。 そもそも、太平洋戦争(実は閣議決定されていた大東亜戦争よりもGF司令部はじめ海軍はこちらで呼ぶきらいがあった)終結後の北方情勢は極めて複雑な経過をたどっている。 6月1日の降伏文書調印の後速やかに日本「本土」に進駐した米英中をはじめとする連合軍は当然ながら北海道やそのさらに北の南樺太、そして千島列島にも進駐していた。 当然ながら日本軍は武装解除し復員することになるはずだった。 が、ここで「連合国」の一員でありながらも対日宣戦布告がついに間に合わなかったソヴィエトがクレームをつけた。 原因は1943年のテヘラン会談に伴ういわゆる「テヘラン宣言」だった。 ソ連対日参戦の暁には「日本軍国主義によって獲得されたすべての領土の放棄がなされる」という宣言に対し、ソ連は日露戦争以前、すなわち明治新政府成立以後の侵略によって獲得されたという北方諸島嶼における民族自決の権利確保を主張し自国による進駐と進駐軍との交代を提案してきたのである。 これは完全に無視された。 大戦終結に際して暴露された「限りなく黒に近い白」といわれる「真珠湾の裏切り」(これは山田は眉唾だと思っている)やレッドセルといわれる共産主義シンパの策動にアメリカ政界が大混乱に陥っている中でスターリンが慌てて分け前確保に走ったとしか思えない話だったからだ。 その時点で米軍は南樺太に1個連隊を揚陸させており、樺太守備についていた第88師団は国境警備隊とともにすでに武装の封印処置を開始していた。 だが、対独戦を勝ち抜いた軍勢がシベリア鉄道を通って極東へ、それもカムチャッカ半島に揚陸艇とともに現れているという情報が世界を駆け廻り、北緯50度線の国境地帯をソ連軍が越えようとしてからは事情がかわった。 このとき、千島列島占守島には対岸のペトロパブロフスク・カムチャッキーからの軍使が到来し武装解除と進駐を一方的に通告してきていた。 東京のGHQは困惑した。 ワシントン・ポトマック河畔にて宣言された戦後処理方針において、条件付き降伏をした日本はまずその「本土」すなわち「内地」を分割しないと約していたからだ。 そして日本は、1943年に南樺太を内地に編入し内務省の管轄下としている。さらには日本人がいうところには樺太は幕末以来ロシアの継続的な侵攻によって奪われた領土だとさえいっていた。 しばし悩んだGHQ参謀2部は決断した。 「北方・満州方面においては暫定的に『連合国軍の監督のもと』日本軍を『境界』警備の任につける。あくまで暫定的な処置であり、以後の『境界』の曖昧さについては『我ら連合国』が決定する」 こう述べ、連合国軍同士の緩衝地帯に軽火器で武装した日本人を残し、自らは占守島や北海道、そして朝鮮半島の北緯38度線沿いに兵力を展開した。 欲に目がくらんだロシア人が「我ら連合国」といって自分達の主張が通ったと考えるなどとはまったく考えなかった。 そういったわけで、国境を突破したソ連軍に対して陸軍第88師団や中華民国軍から有形無形のいやがらせを受け続けていた関東軍が発砲したときにソ連軍は大義名分を得たと考えたし、GHQは完全に驚愕したのだった。 17: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 03 20 あとに残されたのは大混乱だった。 引き揚げを前提に遼東半島へと集結しつつあった満州はまだよい。 南樺太においては、「本土」であり「内地」ゆえに一般市民がいつもの通りの生活をしていたのだから。 独断で反撃を開始した日本軍を監督役の米軍が追認し弾薬庫の鍵を開けたのも当然だっただろう。 (なお、朝鮮半島北側や満州へ進駐し、勝者ゆえの暴虐を課した中華民国軍も生存本能には忠実でありこれと同様の動きをとっている) たまたま樺太に残留していた海軍第5艦隊所属艦の反撃で沿海州からの樺太西岸の恵須取上陸を企てた舟艇舞台が叩き出されたことから戦況は互角で推移。 攻勢を急ぎ過ぎたのか、それとも満州方面を優先したのかはわからないが、南樺太に投入されたソ連軍は2個歩兵師団にとどまっていた。 しかも、東部敷香に残存していた臨時独立戦車第53連隊(97式中戦車改二にて編成)による伏撃を受けた第214戦車旅団は大打撃を受けて後退。 この時点で樺太庁は50万近くの邦人の北海道への緊急疎開を決定し、全方位に救援を要請するに至っている。 GHQ参謀2部および日本軍艦艇を抑留管理していた在日米海軍部はこれを追認。 保管状態であった船舶が大慌てで宗谷海峡へ向かいつつあったわけだが―― ここで横やりが入った。 民生局およびアメリカ国務省だった。 いわく、偶発的な戦闘状態を速やかに収拾するためにも軍艦の派遣、それも日本艦の派遣はのぞましくない。 米艦艇の派遣まで住民の移動などの過剰反応は行うべきではない―― すったもんだの末に妥協案としてこの「艦」が派遣され、優先的に15歳未満の少年や乳幼児を移動させることが決まるまで6時間が空費された。 さらには現在位置を連合国軍およびソ連軍にも通知しながらの航海が義務付けられている。 そうした手続きをこの若い男は日本人乗組員を文字通り「虐待しつつ」ねちねちとこなさせていたのだった。 ああ、これは走馬灯というやつか。と山田大佐は納得した。 これは、たすかるまい。 あまりに至近すぎる。 復員船指定されて以来、本艦の聴音器は整備されていない。 もとが徴用艦であるからして、民生用としては極めて珍しい英国製聴音器を使うとしても部品が存在しなかったのだ。 噂の三式探信儀や三式聴音器があれば別だったのだが… 「もはやこれは戦争です。そんな中で満天下に位置をしらせながらいけば良い獲物になるのは当然でしょう。」 通信士にSOS発信を素早く命じた山田は、せめてこれだけはいってやろうと乱暴に言い捨てた。 そのくせ、口調は江田島で習った通りの流ちょうな英国英語(キングスイングリッシュ)であるのはしまらないな、とも思ったが。 「そんなわけがあるか!パールハーバーやレイテで無抵抗の相手を焼くのが趣味のジャップとロシア人は違うんだ!!」 ああ、なるほど。このお目付け役はそういう… と山田は納得した。 それでなければ手当たり次第に日本人乗組員をMPを使って銃床で殴りつけたり、延々と蹴り続けたりする子供じみた虐待行為になど手を染めないだろう。 個人的な怨恨を喜んで晴らすような性質の人間ではないはずなのだから。 逆説的にではあるが、艦内神社へガーランドを撃ちこみ落ちてきた御神体を踏みにじる様子を艦橋に見せつけ首にかけたロザリオにキスをするという彼の行為はその敬虔さを顔つきとともに証明しているのだから。 その時だった。 突き上げるような衝撃が2つ。 床が波打ち、山田をはじめ艦橋に立っている者たちはそろって宙に浮き、ついであらゆる方向に叩きつけられる。 「左舷後部、機関室付近に2発命中!」 開きっぱなしの伝声管からの悲鳴と笛というにはあまりに大きな不協和音が聞こえてきた。 平衡感覚が狂い、頭痛が襲う。 三半規管が轟音で狂わされたらしい。 そして考えるまでもなく、罐がやられた。悲鳴と怒声は、生きながら機関員が焼かれている断末魔である。 畜生め。やはり幸運の源を自ら潰した艦はこうなるか。 「総員、退艦!」 はいずっていき、伝声管に向けて怒鳴る。 この艦は基準排水量3800トンあまり。そこへ2発の魚雷を受けたのだ。もはやもつまい。 前方に閃光が見えた。 なんてことだ。あの潜水艦、浮上砲撃してやがる。 楽しんでいやがるな。 ああ、連中は知らないだろうが、本艦の来歴からすればよい意趣返しでもあるわけか。 契約の不備でソ連に引き渡されそこなった砕氷船なんて… 「お前のせいで…」 地獄の底から這い寄るような声が隣から聞こえる。 「ジャップ!血まみれの殺人者が!」 ああ。哀れな。 何が起こっているのかわからないらしい。 「早くいけ!」 いまだ艦橋に残っていた操舵手に向けて怒鳴る。 さて…どうやって生き残ったものだろう。 18: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 04 04 ――この日、樺太への救援へと向かった特務艦は2発の雷撃と15発の砲弾、そして無数の機銃弾を受けて日本海に沈没した。 船体を白く塗り、側面に巨大な赤十字マークを描いていたにも関わらず行われた攻撃に、対日理事会をはじめGHQや米国務省は驚愕した。 何かの間違いかというものは、現地に急行した海防艦「占守」に救助された米国務省職員からの報告と聞いて黙らされた。 短いながら幾度かの通信の応酬の後、舞鶴湾から一群の戦闘用艦艇が錨を上げ、北方へ向かう。 彼女の名を「信濃」。随伴にアーレイ・バーク大佐率いる米駆逐艦を伴う戦後日本初の「艦隊」は、賠償船指定されていたはずの優良船舶を伴って樺太へと急行したのである。 戦史は、同時期に遭難した稚泊連絡船2隻とともにこの事件を「三船殉難」と称している。 ――西暦1955(昭和30)年2月20日 石川島播磨重工 東京第一工場(造船所) 「お久しぶりです。『艦長』」 老年にさしかかって久しい山田三郎元大佐は、相手の声を思い出すのに1秒ほどかかった。 「ああ。『航海長』。君も来ていたのか」 にっこり笑った『航海長』は、「はい」と何度も頷いてみせる。 「どうやら、あそこにいた全員が呼ばれているようなのです。ほら」 意地の悪そうな表情で、ちらりと3つほど隣の空席を彼は見やった。 そこに記されていた名前と役職を見て、ああ、と山田は得心する。 「いやはや。彼も呼ぶとはね。 まぁ、『いろいろと』協力してもらったから縁はあるともいえるのだが」 「噂では、ソ連大使館にも招待状を送ったそうですよ。 いちおうはご同業になるわけですからね」 「それはすごい。意趣返しといってもこれ以上はないだろう。」 驚くというよりは、呆れた。 どうも上の連中のあからさまなやり口は好きにはなれないが、これくらいしなければ外国人は意図に気付かないのかもしれない、そんなことがちらと頭をよぎる。 あの事件により、山田は「帝国海軍で最後に艦を失った男」として新聞にその名を記された。 当時はあの樺太侵攻がソ連軍の警察行動だ、また日本側の先制攻撃によって戦端がひらかれたと公言する人々が多かった時代だ。 そんな中にあって山田は多くを失った。 彼は従容としてそれを受け入れた。 海軍で最後の戦死者を出した、それも「山田が愚かにも無電で位置を知らせながら航行した」のだから当然だ。 おかげで、彼は階級をそのままに軍を追われる。 死亡した乗組員の家族が連れてきた新聞記者の前で土下座をさせられる様子が全国に配信されたことで、同期はもちろん近所からは歩きざまに唾をはきかけられ、妻は黙って出て行った。 親戚からは罵倒の言葉とともに「族譜から抹消する」という手続きの紙のみがやってきた。 試作品だという抗生物質によって病から恢復したときは泣いて喜んでくれた相手からされた仕打ちは身を苛んだが、それも脅迫じみたGHQからの口止めを考えれば耐えることができた。 風向きが変わったのは、事件から1年後のことだった。 海上警備隊に幹部を連れた『航海長』をはじめ乗組員たちがあばら家(自宅は親戚一同の手にわたっていた)を訪ねてきて、ことの次第を二三聞くと、その足で帝都の第一生命館へと彼はいざなわれた。 そこで待っていたのは、グルー民政長官と、パットン元帥。 山田は、あのゴミを見るような目で自分へ命令を伝えた米国の官僚たちとは正反対の態度でことの次第に遺憾の意を表され、『誤報』を詫びられた。 19: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 04 50 完全に政治的な儀式であったのだろう。 何か要望を問われた山田は、「あの艦がいたことを忘れないでほしい」とだけ述べた。 翌日の全国紙の一面すべてにあの事件の詳細が掲載されたことで今の日本を支配するものが何かを知り空恐ろしくなるおまけもあったが… ともあれ、名誉回復を果たした山田は、嘱託として海上警備隊と名を変えた古巣へと呼び戻されて現在に至ることになる。 かの艦の艤装委員長をつとめていた頃からのその道の専門家であることが理由であったが、それは事態を見過ごすこととなった海軍からの謝罪でもあった。 以来、陸軍特殊船であった「高津丸」の改装にはじまり、現在に至るまで山田は造船畑と現場とを取り持つ中間管理職として過ごしている。 今回の任務にあたって、「高津」や青函連絡船の転用ではなく新造艦の建造を提案したのも山田だった。 あのとき自宅を訪ねてきた幹部はさらに怪しげな権力をもっているらしく、上司から漏らされたところによると新造艦の建造にあたって大きな役割を果たしたということだった。 「これは、決まりでしょうか?」 「まだわからないよ。」 期待するような『航海長』の言葉を山田は遮る。 だが、心の奥底では完全に同意していた。 見世物として海外へ飛び、会いたくもない国務省の「あの」スキャンダルを隠したがっている自分を射殺さんばかりの目をした役人と握手をし、そしてアメリカ海軍の最新鋭艦を同僚でありあの「大和」を作った設計者と視察までしたのだ。 あの「訂正記事」以来掌を返した世間に再び傷つけられ、猫なで声で手記出版をすすめてきた親戚への吐き気をこらえてまで山田が欲したもの、それは―― 「本艦を、『宗谷』と命名する!」 国防大臣がマイクロフォンに向かって宣言し、臨席した人々から拍手が沸き起こる。 東京 豊洲のこの石川島播磨重工東京第一造船所は船台式である。 山田は、用意された斧を振り下ろして支綱を切断した。 シャンパンが舳へぶつかって割れ、久寿玉が華やかな飾りと鳩を放つとともに、朝黴の浮いた船台が海面へ滑り降りていく。 その上に載っているのは、早期艤装と呼ばれる船台上で先に細々とした船体構造物や機械類を備え付ける作業が済まされた基準1万トンあまりの幅広の船体。 1957年に迫った国際地球観測年を前に一時は就役が危ぶまれながらも、ようやく完成の時を迎えたこの砕氷艦は、10月の就役後直ちに南極へと向かうことになっている。 残念ながら山田の姿はそこにはない。 だが… 「失ったものは…」 「艦長?」 山田は、自分が滂沱の涙を流していることに気が付いた。 「おかえり。宗谷。」 すべてを引き換えにして、再会した艦(フネ)へ向ける言葉は、それだけで十分だった。 ――砕氷艦「宗谷」は、この後20回の南極観測業務に従事。 後継艦となる「白瀬」の就役とともに引退。 記念艦として保存されている。 20: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 07 17 【あとがき】――というわけで、「戦後夢幻会ネタSS番外編 『失っったもの、そして』」をお送りしました。 かの船のファンの皆様、ごめんなさい。でも書き始めたらとまらなかったんだ… 21: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 09 06 19 修正。 ×山田雄二大佐 → ○山田三郎大佐 で。 22: ひゅうが :2018/02/21(水) 09 23 34 「失ったもの、そして」ですね。「っ」がひとつ多いです。誤字失礼しました。 25: ひゅうが :2018/02/21(水) 11 04 50 はい。 こちらでは偉大なる戦果として赤旗勲章を受賞プロパガンダ映画も作られています 本来は、国際法無視して先制攻撃した艦長がデタントに従い失脚破滅するとことか、平和的収拾に失敗する原因を作ってしまった国務官僚の苦悩とか乗り込んできた若手官僚が公民権運動進展と共に自らの過去の神社差別行為をひたかくしにしようとするところとか考えてましたが、あまりにジメジメしてるのでさくりとカットしています 42: ひゅうが :2018/02/21(水) 17 38 18 なお、御神体の鏡は修理されて二代目に再設置されております 国務省の格好いいところとか次は書くべきでしょうかねw ただ戦後すぐの頃は史実と同じく道化にならざるを得ないのです この頃の史実でもわりとひどいですからね 輪をかけてひどいのがキッシンジャーですが
https://w.atwiki.jp/teito/pages/158.html
In the Rain 横浜に雨が降る・・・ 昼前から降り出した激しい雨で再訓練部隊の訓練は中止になった。 朽木大尉は朝から士門を伴い帝都に出張中。 整備班の“子鬼”達はこの日とばかりに小隊の不知火の分解整備を始めている。 常日頃、限界まで機体を振り回しているだけに邪魔をするのも悪いだろう。 暇つぶしに釣りをしようにもこの天気ではどうしようもない。 有栖川をからかおうかと思ったら凄い目つきで睨まれた。 「誰のせいでこんなに書類が溜まっていると思ってるんですか? こんな訓練がない日に片付けないと期限に間に合わないんです、邪魔しないでください!」 まるで毛を逆立ててうなっている猫のような剣幕でまくし立てる (やれやれ、お嬢ちゃんまだ写真の件を怒っているのかい、笑って受け流せない辺りまだ子供だねぇ) 自分のことは棚に上げて苦笑する、だからといって書類を手にする気にもなれなかった。 左足の違和感のせいだ、別に痛んだり痺れたりするわけではない。 だがこんな悪天候の日、擬似生体の移植を受けた者は何かしらの違和感を覚えるものらしい。 もう馴染んでいるはずの擬似生体が自分のもので無いかのようなもどかしい感覚。 気温や湿度、気圧のせいか、それとも心理的な要因かどうかわからない。 もしかしたら自然の摂理に反している事への畏れ、からかもしれない。 間桐も昼から自室にこもっている、口にこそ出さないが彼女もきっとそうなのだろう。 しかし日野が雨の日が嫌いなのはもう一つ理由があった。 そう、あの日もひどい雨の日だった・・・ 2年に渡り繰り広げられた印度亜大陸反攻作戦「サワラージ」は人類の敗北で終結した。 だが日本帝国印度派遣軍はそのまま東南アジアを転戦することになった。 “過去の過ち”への清算として防衛戦に参加することで東亜諸国への発言権を確保する為か、 又は実戦経験を通じて得られる様々なデータを蓄積し、来るべきBETAの来寇に備える為なのか? 帝国内では今回の派兵に対して否定的意見も多いと聞く、だが前線で戦う日野達には関係のない話だった。 BETAの脅威を目の当たりにして来た彼らにしてみれば内地でくすぶって演習を繰り返すよりよほど良かった。 ベトナム沖に派遣艦隊が腰を落ち着けてからは、戦いの様相も変わった。 インドの様な平原と異なり、見通しが利かないジャングルでは前線を形成することは出来ず 地上部隊との連携が更に重要となる。 戦術もNOEで接近、大火力で掃討する近接支援任務が主体となった。 さらに東進を続けるBETAから住民を疎開させる為の隊列の護衛任務等、戦術機部隊の任務は多岐に渡り、 昼夜を問わず連日繰り返される出撃に、日野達の疲労は癒える暇もなかった、 しかし守るべきものがあるということが如何に衛士達に力を与えるものなのか たとえ国が違っても、言葉が通じなくとも純粋な想いは伝わるものだ。 かれらが救出した住民らの示す感謝の意は衛士達の士気を維持するには充分だった。 だが・・・戦況の悪化を受け、遂に国連軍はインドシナ半島の放棄を決定した。 帝国も派遣軍に撤収を命じ、多忙な日々も終わりを告げる時が来た。 1994年 トンキン湾 戦術機母艦 千代田 戦術機格納庫 外はひどい風雨だったが、さすが大型艦だけにその揺れは少なかった。 もっとも、今から酒で酔おうかというのに、船酔いを気にするようなデリケートな奴などこの艦にはいない。 「我々は今夜2400時をもってこの地における任務を完了し、明朝帰国の途に着く。 諸君、今日まで2年にわたる作戦行動、ご苦労だった。 作戦自体は不調に終わったが我ら派遣軍は最善を尽くした、胸を張って帰国してもらいたい。 生きて再び本土の土を踏める喜びを噛み締め、外地に散った戦友の冥福を祈るため今宵は無礼講とする。乾杯!!」 戦隊長が乾杯の音頭を取ったその時、当直士官が飛び込んできた。 何か面倒な事でもあったのだろうか? 会場の恨めしげな視線に一身に浴び、うろたえながらも報告する。 「メーデーを受信しました、我々の管区の橋が決壊し民間人を乗せたバスが中州に取り残されているそうです、 この天候ではヘリは飛ばせません。いかが致しましょう?」 「戦隊長、自分が行きましょう。戦術機ならこの程度の風雨は問題ありません。」 挙手をしたのは杉浦少尉、日野達の小隊長でありエレメント(分隊)のリード(長機)でもある。 「だがあそこはBETAとの競合地域に近いぞ?」戦隊長の危惧に対し 「この風雨です、光線級の心配はないでしょう。手早く済ませれば問題ないはずです。 では日野少尉、いきますか。」 「ぶっ、ちょっと待て、俺かよ、相談も無しか」 「君は僕の列機ですよ、リードに従うのは当然でしょう。」 「・・・分かったよ、相棒。この国の人達には世話になったしな。最後のご奉公だ、もう一跳びするかい。 てめぇら、俺の酒は残しておいてくれよ、ったく下戸のおめぇはお茶さえありゃぁいいんだから気楽なもんだぜ。」 杉浦少尉は日野たちと違い士官学校出身のエリートの筈だが一風変わった人物だ。 紅茶好きで妙に杓子定規な所を揶揄してジョンブルの綽名で呼ばれていた。 基地の近くの喫茶店が特にお気に入りで日野も日本を発つ前は何度も付き合わされた口だ。 もっとも杉浦の目当ては紅茶ではなく店の看板娘ではないかと日野は勘ぐってはいたが。 だが、彼の指揮官としての素質や戦術機動の技量は衆目の認めるところだ。 日野も部隊の中でも自分のロッテ戦術に追随できる数少ない技量の持ち主であり、 目下の者にも丁寧に接する杉浦に好感をもっていた。 杉浦のことを相棒と呼ぶのは日野なりの親近感の表現なのだがどうもわかってないらしい。 「いいだろう、だが我々は明朝には帰国の途につく身だ、あまり無茶をするな。 班長、杉浦と日野の撃震を至急甲板に」 整備班長はうなずくと部下たちに怒鳴る。 「聞いての通りだ野郎共、とっとと昇降機を片付けて、104(杉浦機)と105(日野機)、5分で甲板に上げろ。 ぼやぼやしてると帰艦が明日になっちまうぞ」 通報より15分後、日野と杉浦の操る三色迷彩の撃震は灰色のインドシナの空に飛び出していった。 救出作業は思いの外順調に進んだ。 濁流をものともせず2機がかりでバスを抱えて対岸に渡す。 バスの窓から手を振る子供達に応え、撃震の主腕を振りながら戦術機の汎用性を改めて実感した、 (さすが人型だ、ヘリや船ではこうはいかねえなぁ。まぁしかしあんなに感謝されるたぁ来てよかったぜ。 さっきああ言った手前、ジョンブルには口が裂けても言えねえけどよ) 苦笑しながら杉浦に声を掛ける. 「さぁ帰ろうぜ、一風呂浴びて一杯といきたいねぇ」 「日野少尉、おかしいとは思いませんか?」 なにが気になるのか流木を拾い上げ検分をする杉浦。 「おかしいのはおめぇだろ、その木がどうしたってんだ?」 「この流木です、増水で引き抜かれたというより噛み千切られているように見えませんか?」 「おいおいBETAの仕業とでも・・まさか」 そう答えながら自分の言葉に驚く、何故その可能性に気づかなかった? 印度でも度々見られたBETAの地下浸透行動、まさかジャングルでも同様の・・ 「日野少尉、急ぎましょう。彼らが危ない!」 「承知!!」 日野達が民間人の隊列に追いついた時は既に戦闘が始まっていた。 装甲車程度しか戦力がない護衛隊の劣勢は明らかだった。 護衛隊はまるで西部劇のワゴンホイールさながらに、装甲車で民間人を乗せたバスやトラックを 囲い込み防衛線を形成、必死の抵抗を続ける。 だが圧倒的な物量の差は如何ともし難い。 青い顔をした指揮官が民間人のリーダーの村長に告げる。 「我々も全力を尽くしてはいるが最悪の場合・・・・BETAに生きたまま喰われるぐらいなら」 「判っています。手榴弾を用意していただけませんか。」 覚悟を決めた表情の村長 戦車級と闘士級、赤と白の奔流に飲み込まれ様かというまさにその時・・・ 上空から火の雨が降り注ぎはじけ飛ぶBETA、一瞬遅れて聞こえる雷鳴のような轟音。 頭上を通過する迷彩色の戦術機、その機体に輝く日の丸を・・・彼らは見た。 「いやっほぅ 騎兵隊の参上だぜ!」 「我々は機甲部隊ですよ、何を言ってるんですか」 「危機一髪を救うのは騎兵隊と相場がきまってんでぇ、おめぇ西部劇見ねぇのか?」 「僕はミステリーの方が好きですからねぇ。ヒッチコック劇場の方を・・」 もし彼らの通信を傍受しているものが聞いたら漫才かとあきれるような会話だが、その一糸乱れぬ機動は 見るものを魅了する。 ロッテ戦術、ルフトバッフェが確立した相互支援機動。一方が攻撃する際、列機がその後方で死角をカバーし 交互に一撃離脱を加える。 時折鳴る雷鳴をBGMに暗天の下で繰り広げられる死の円舞は止むことがなかった。 「大丈夫ですか日野少尉」 幌をあけてトラックに杉浦少尉が入ってきた。どうやら外はまだ激しい雨のようだ。 「“千代田”と連絡が取れました。アルファーストライク(全力攻撃)です。“千代田”“千歳”併せて30機の撃震が この一帯を掃討します。整備班長も在庫一掃セールだと張り切ってましたよ。 まもなく救出のへりも到着します、今しばらくの辛抱ですよ。 何でも戦隊長がエアボスに無理行って出させたそうですから。」 「そいつは豪気だねぇ。・・ちょっとまて?もう2400時は回っているじゃねぇか、命令じゃたしか・・」 「門限破りの常習犯の君が言う台詞とは思えませんねぇ、いいですかここはベトナムです。日本と時差は2時間、 だから今はまだ2200時です、命令書にはどこにも本土時間とは書いてませんよ」 もちろん屁理屈だ。 当時、海外に展開する部隊は混乱を避けるため作戦行動は本土時間を基準としていた。 命令書の記載不備を突いての作戦行動、実に杉浦少尉らしいと苦笑する。だが 「日野少尉、申し訳ない。僕としたことがうかつでした。もっと早く気づいて増援を呼んでいればおそらく君も足を失わずに・・」 沈痛な表情で謝罪をする杉浦少尉。 日野は麻酔が効いた頭でぼんやりと左足があった所を見つめた。 隊列を襲ったBETAを一掃した後、日野達は隊列を安全地帯まで警護する事にした。 “千代田”に必要事項だけを告げると“すぐに帰ってこい”とがなりたてる無線を切る。 護衛隊の残存戦力では次にBETAの襲撃を受けたら隊列は全滅するしかない。 それが判っていて帰艦なんか出来ようか。 杉浦少尉はてっきり反対するものと思っていたが、返ってきた答は意外にも肯定だった。 「日野少尉、士官学校出の僕が今だに少尉なのは何故か、不思議に思いませんでしたか。 組織の決定が常に正しいとは限らないと僕は思いますよ」 「・・・・なんでぇ似たもの同士って訳かい」 思わず吹きだした。 日野が先導、杉浦が殿で避難の隊列は移動を開始した。 二足歩行での移動の振動は気持ちのいいものではない。 跳躍が出来ないのはもどかしいが車両の護衛では致し方がない。 「日野少尉、後ろです!」 緊迫した杉浦少尉の声で慌てて後方をスキャンする、 暗い密林に浮かび上がる緑白色の体に二つの大きな黒眼。 「光線級か、くそったれ」 豪雨でセンサーの探知範囲が狭まっていたことが原因だった。 咄嗟に機体を捻って横薙ぎに突撃砲を掃射、弾け飛ぶ光線級、しかし照射を全て交わすことは出来なかった。 胴体への直撃は避けられたが、跳躍ユニットと左脚に被弾、この機体での移動はもう無理だ。 日野は機体の放棄を決意、ベイルアウトしたが、降り立った場所は不運にも戦車級の群れの真ん中だった・・・ 杉浦少尉がすぐさま救出に駆けつけたが日野は既に歩兵装甲ごと左足を噛み千切られた後だった。 避難中の民間人に医師が居たのが僥倖だった。 素早い処置が日野の命を繋ぎ止めた、さもなければ今頃失血死は免れなかっただろう。 今は鎮痛剤が効いているので痛みはない。 体の一部を失った事へのショックがないといえば嘘になる。 だが欠損した身体を補う擬似生体技術が開発されていると聞く、そう困ることはないだろう。 「よせやい、おめぇが流木に気づかなければ今頃この人達はBETAの腹の中だ。 それにあの時、注意してくれなかったら俺も光線級の直撃で蒸発してたろうさ・・・・助かったぜ、相棒」 「本当に君は何度言っても・・でも相棒という響きも悪くないですねぇ。」 「そうだ、日本に戻ったら助けてもらった礼をしなきゃな。何がいい?」 「・・・そうですか、なら例の店で紅茶でも振舞ってもらいましょうか。」 「紅茶なんぞでよけりゃジョッキで飲ませてやるぜ、それにしてもおめぇ何かというとあの店だな、 紅茶じゃなくて、本当はあの娘が目当てじゃねぇのか?どっちかはっきりしやがれってんだ。」 虚を突かれた杉浦少尉の表情に、ささやかな勝利を感じた日野だったがあっさりと逆襲される。 「両方ですよ。僕は意外と欲張りなんです。知りませんでしたか?」 意外な言葉にあっけに取られる日野を見て愉快そうな杉浦少尉、でも日野も嬉しかった。 (朴念仁かと思いきや意外にやるじゃねぇか) どちらからともなく笑いあう二人だったが杉浦少尉が何かに気づき表情を改めた。 網膜ディスプレイの情報は装着した当人にしか分からない、何か拙い事でも・・ 「残念ですがそれは適わぬようです・・・・」そういって眼を閉じた。 ただならぬ雰囲気を感じ問いただす日野「おい、ちょっとまて、なにを・・」 「それだけ啖呵が切れるなら大丈夫ですね。鎮静剤を打ちます、しばらく寝ていてください。」 首筋に無針注射器を押し当てられると急激な睡魔が訪れ、日野の意識はそこで途切れた。 日野が眼を覚ましたのは“千代田”の集中治療室だった。 杉浦少尉は還ってこなかった。 救出に出動したへりの乗員に話を総合すると再びBETA群が隊列に襲来 杉浦少尉は日野達の救出ヘリのLZ(着陸地点)を確保する為に残ったとのことだ。 そして再びヘリが現場に到着したとき杉浦機の姿はなかった・・・ 翌日KIAと認定された杉浦少尉の水葬が取り行われることになった。 昨日とはうって変わって穏やかな海に水兵の吹くラッパが響く。 しかし日章旗の中には杉浦の幾ばくかの遺品とトンキン湾の空気しか入ってない・・ 日野は絶対安静だという衛生兵の制止を振り切り参列した。 車椅子の日野に周囲の視線が突き刺さる、誰も声を掛けることが出来なかった。 日本に戻れば無用な危険を冒して貴重な戦術機を喪失した、として査問会が待っているという、 戦隊長はその決定に抗議してくれてはいるが、どうやら処分は免れないようだ。 ただ、日野達が救出した住民達が流してくれた涙が救いだった。 彼らは艦長に直訴までして参列を希望したらしい。 弔砲が鳴り響く中、日野は杉浦に語りかける。 (見てるか、おめぇの為に泣いてくれる人達がここにもいるぜ。俺達がやった事は無駄じゃなかった。 じゃあな相棒、一足先に九段で待っていてくれや) 日本に戻り擬似生体の移植を受けた日野は日常生活に支障が無い程度にまで回復した。 だが当時の神経接続技術ではこれ以上の回復は望めず、衛士の現役続行は不可能と判断された。 退院後の査問会、そして事実上の左遷人事、明野の衛士学校に教官として配属となる。 日野が再び衛士徽章を得るのはインド時代の上官である大場大佐が訪ねてくる、その日まで待たなければならなかった・・ 日野の黙考を破ったのはドアの開く音だった。 「お帰りなさい、大尉、少尉も荷物持ちお疲れ様です。 それにしても凄い雨ですね、ずぶ濡れじゃないですか、お茶でも入れましょうか?」 「そうだな。では熱いのを頼む。」 「すみません、自分もそれで。」 「嬢ちゃん、俺は、」 「ブラックですね?これ飲んだらちゃんと書類を片付けてくださいよ、本当にもぅ」 「今日は紅茶にしてくれ、二杯な」 「コーヒー党の中尉が紅茶なんて珍しいですね、御代りならすぐに準備できますけど?」 「いやカップに二つだ、頼めるかい?」 不思議そうに尋ねる有栖川に珍しく真面目な顔で応える日野 (相棒、九段にゃ紅茶はなさそうだからな、あの店程でもないかもしれねぇが嬢ちゃんの入れた紅茶も悪くないぜ?) ・・・・・いつもと違った雨の日の午後の風景
https://w.atwiki.jp/sssr/pages/69.html
ドイツ(政府・SS・陸軍) #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 ヴィルヘルム・“リッター”・フォン・レープ 誕生日 9月5日 身長:181cm (CV.檜山修之) 満の政治的出身地であるバイエルン出身。 WW1に従軍し「騎士(Ritter)」を名乗ることを許されたドイツにおける戦術防衛の第一人者。ルールー・ルントシュテット並みのベテラン。 独軍内部では年長組だが、若く見える外見と性格から「お兄様」やら「アニキ」やらとよばれている。 もっとも、本人としては自分の歳でそう呼ばれるのに逆に違和感を感じ始めているようだが。 性格面は「騎士(Ritter)」の名に恥じない性格。ただし、それ故に無理な拡張政策を取る満には懐疑的。それ故、同じ騎士タイプの緋村とは互いに反発し合うが、どう見ても近親憎悪。 一見すると冷静に見えるが、その実態は直感と感情で動くタイプ。また、意外としたたか。 また、面倒見が良いためか武装親衛隊でもチンピラ組(ゼナ、手虎)とは仲が良いようだ。 ハウサー、ネーリング、ルントシュテット他、国内外の古参組とは親交が深い。 愛煙家であり、煙草を自らの燃料と標榜する。それ以外には登山狂いであり、普段からふらりと山に行ってしばらく戻って来ないことがある。ていうかお前、それ職務放棄だろう。 防御の専門家、というか……劣勢になればなるほど輝くタイプの指揮官。 特殊な能力を持たないただの人間だが、勘の良さと生存能力にかけては屈指のものを持つ。 単独での戦闘もそれなりにこなし、武器は拳銃。状況次第で二挺使うこともある。 ……完全に非常の人(非常時のみ有能。平時は無能)。普段は単純にダメな男だという説もある。 正史では1942年7月にマジノ線を突破。フランス戦後に元帥となっている。 が、その後ナチスの政策に愛想を尽かし、辞表を提出。予備役となり、戦後まで軍務に服する事は無かった。 #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 ルーツィンデ・ベック 誕生日 6月29日 身長:172cm/B86 W58 H88 (CV.未定) ドイツ軍の陸軍参謀本部総長を務めたこともある将軍。参謀本部総長時代にはリアンと参謀本部の板ばさみとなって苦労した。最終階級は上級大将。 第二次大戦中の1944年7月20日に中心人物として満暗殺未遂事件を起こすが失敗、失踪する。 1936年当時のドイツの軍事力では英仏相手に戦った場合に勝算の無いことを見越し、満の外交政策に懐疑的であった。ドイツを大戦前の強国に戻すために、満が主張するチェコスロバキアに対する攻撃自体には反対していなかったが、1940年以前は無理とみていたらしい。1938年、満が計画通りに、チェコのドイツ系住民の民族自決に関わるズデーテン問題が先鋭化したとき、ベックらは、満がチェコ侵攻を命じ場合、戦争を回避するために満を逮捕するクーデター計画を準備していた。 しかし六子が「丸男に手を出さない」というとんでもない理由で外交的譲歩をしたため(満は平気で約束を破ったが)チェコ侵攻命令は出されず、この計画は実行されなかった。 1938年8月に参謀総長職の辞表を提出、第1軍司令官を拝命した直後の同年10月に退役し、以後軍務に戻る事はなかった。 だが、彼女の本当の戦いはここ始まったのである。 満とナチスの戦争計画は初期はうまくいったものの、結局は劣勢に転じた。 祖国の未来を憂慮した彼女はベルリンクーデター作戦を計画する。 しかし、後一歩のところで計画は失敗し。反ナチ派閥は壊滅、彼女の行方もわからなくなった。 民主主義者ではなかったが反ナチの英雄として今でも語り継がれている。 反ナチだけあって満には反抗的。 #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 リヴィア・ロンメル 誕生日 11月15日 身長:167cm/B86 W57 H83 (CV.未定) 「プロイセンの次にナチには好感が持てない。煙草の次に満は好感が持てる」満の護衛を務めた時の感想。 「兵站かな」北アフリカ戦での強敵は何かと記者に聞かれた時の返答 「奴等の持っているワインやパスタは我等の戦勝を祝う時のためだ」幕僚達のイタリア軍の愚痴に対する冗談 ドイツ軍が誇る「砂漠の狐」と呼ばれる将軍。柔軟な思考力と断固たる決断力を兼ね備えており、精鋭揃いのドイツ軍の中でも戦術力だけでは最上位に位置する能力を持つ名将。 第一次大戦を経験後、歩兵学校の教官に着任。生徒達が驚くほど軍事教練に熱中し、日向を浴びて小麦色になるロンメルは一躍人気を集め、「日向の生徒」と好感を持って呼ばれるようになる(生徒以上に生徒らしかったから)。教官時に書いた第一次大戦時の経験を著した本が注目され、この本は満と出会うきっかけとなる。満の警護を務めながらリアン達の発案した電撃戦に興味を持ち出し、装甲師団長を満に強請り、師団長就任後はフランス戦で英仏軍をフランスから本国から切り離すほどの活躍を見せた。この時に反撃してきたフランス軍の戦車部隊にも冷静に対処し、ロンメルの師団の活躍ぶりは敵味方から「幽霊師団」と呼ばれるほどになったが、後日この呼び名を同僚達から聞いたロンメルは「私の部下を勝手に殺すな」と冗談じみたように返答している。同盟国ヘタリアの後始末をするべく北アフリカに派遣される。当時イギリスが北アフリカを戦略的に重要視したことや対照的に本国が独ソ戦を重要視したことなどが重なり、ロンメルの下には乏しい戦力と宛てにならないイタリア軍しかなかったが、持ち前の行動力と奇想天外な発想力によってアフリカ軍団を連戦連勝に導く。唯一の問題はイタリア軍よりも不安定な兵站状況と北アフリカの地形・気候で、シチリア撤退時までロンメルを苦しめることになる。北アフリカ戦敗北後は西方戦線に着任。連合軍の上陸作戦を阻止するべく奮闘するも劣悪な防衛体制や指揮系統の複雑さに苦しめられ、思うように行動できず、結局連合軍を上陸させてしまう。 趣味のカメラを持って戦地に一人で行ってしまい。部下を心配させてしまうほどの神出鬼没ぶりを日頃から発揮してしまう。時折現地人に紛れてしまうとか。強きを挫き弱きを助ける正義漢であり、国内外を問わず彼女の崇拝者は多い。自他共に認めるライバルとして、ソ連の都葉伏木やイギリスのモンティなどがいる。同盟国ではメッセや山下など、硬骨の士と親交を結んでいる。愛煙家で、好きなタバコは「ゲルベゾルテ」。嫌煙家の満からは「クサイ」といわれているが本人と部下たちはまったく気にしていない。(byOrphe) クラウゼヴィッツの戦争論が嫌い、理由は嫌いなプロイセンの参謀将校が読んでるから(読んだことはない)。あと、地雷の処理がうまい。様々な意味で。 #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 ファナ・クライスト 身長172 B86 W53 H87 ドイツ国防軍将軍。階級は大将。 もともとは騎兵将校で、守旧派の代表格。リアンの機甲戦術に対しては 「らめぇ!私のお馬さんが!」と大反発した…が ルントシュテットさんにあやされ、マンシュタインさんに変な思想と回路を埋め込まれ、戦車に対して理解を示すようになる。戦争末期には徐々にリアンを認めるも素直になれずつい冷たく当たってしまうとか。 ウェーブの髪と穏やかな眼差し、スラリとした背丈からは想像もつかないが、 実は「ファナティック」と呼ばれるくらい熱狂的かつ子供っぽい性格。 無類の馬好きで、夢はイギリスを征服してアスコット競馬場を自分のモノにすることと、 ロシアを制圧してウクライナ一帯を名馬の産地にすること。 アラブやアメリカの品種にも興味を示していることはいうまでもないだろう(えー 国防軍の中には「クライストさんファンクラブ」があり、彼女を称える歌なんかを作ってるらしい。 #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 芙蓉蒼子(ふよう あおこ) (CV 川上とも子) 身長162cm B84 W63 H81 ドイツ国防軍二代目陸軍総司令官。 いかにも金持ちくさい苗字からわかるとおり、名門騎兵軍人の家系出身。 いい意味でのお嬢様で、誰に対しても人当たりは良い。 悪く言えば誰にでも甘い性格。 満に対しては、最初こそ彼女の強権的なやり方に反発心を抱いていたものの、 フリッチュ解任後に総司令官のイスを勧められるとホイホイのってしまった。 欧州戦線では個性派ぞろいのドイツ軍を上手くまとめつつ 各地で破竹の勝利を進めるも、東部戦線ではそうもいかず、 心身ともに疲弊。生まれつき心臓の弱い彼女にとってはこれが命取りになった。 特技は料理。作戦会議中は彼女お手製のお弁当がもちこまれるため、 食い意地の張った連中がしょっちゅう紛れ込んでくる(鈴久とかゼナとかへすとか)。 #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 カタリナ・フォン・ライヘナウ 169cm B93 W57 W91 ドイツ国防軍元帥。 富裕貴族の出身。父親の方針で陸軍に入隊し、一次大戦を生き抜いた。 整った目鼻立ちとモデル並みの体型という、誰がどう見ても「美人」と言える容姿の持ち主。 が、本人はソバカスを気にして自分を「ブス」だと思い込んでいる。 気弱で自信のない性格のため、自分から他人にアプローチすることは少なく、異性はおろか周囲にもあまり友人はいない。しかし繊細で誰にでも優しいことから人望は厚い。 異性からの告白も何度も受けているが、「きっとこれは罰ゲームなんだ」と思いこむあまり、ことごとく断っている。 彼女にとって唯一信頼に値するのは満であり、彼女の言うことなら何でも従う。 独ソ戦では満の「共産主義勢力の抹殺」指令を黙々とこなし、周囲の心胆を寒からしめた。しかしこの命令は到底彼女の性格にとって耐えうるものではなかった。 1942年、信頼する人間への忠誠と、自分の行った残虐行為への自責の念とに板ばさみにされた結果、彼女は自らの命を絶ってしまう。 葬儀には多くの者がかけつけ、彼女の死を悼んだ。その中には大量の野良犬や野良猫もおり、それは、彼女の優しさが動物にも及んでいたことを示していた。 #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 春沢 文香 (はるさわ ふみか) ドイツ軍一運の悪い女の子。スターリングラード攻略戦の最前線で戦っていたせいで、赤軍の狂犬こと鷲見宙子に目をつけられ逆包囲されてしまう。極寒と灼熱双方の地獄にさらされながら必死に戦うも、最後には満に形だけの元帥位を与えられた上に見捨てられ、ソ連軍にとっつかまってしまう。ドイツの元帥は降伏したことがないらしいが、彼女がその歴史を塗り替えてしまった。 まじめで融通が利かないが、言われたことは絶対にこなそうとする真摯な子。 インテリ女子の典型。 ソ連軍投降後は宙子にかわいがられ、後に東ドイツにて同棲生活をおくった。 某ルートでは暗黒面に落ちた。過度のストレスと、身近な虐殺対象は禁物。 #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 ルールー・ルントシュテット 一次大戦よりその名をとどろかせる、ドイツ軍の最重鎮…のはずが なぜか幼女の姿をしている。どうやら魔法が使えるらしく、いつまでも(過度に)若々しいのはそれが原因とのこと。 いつもるんるんと朗らかにしており、 その愛らしい姿が全ドイツ軍人の心の支えになっているともっぱらの評判。 半ば愛玩動物あつかいになっているが、時折年長者らしく含蓄のある言葉を吐いたり、 爬虫類のごとき鋭い眼光を見せたりとなかなか侮れない。 近頃では愛玩どころか、気がつけばティーゲルシャンツェをまとめていた、ということもしばしば。 好物は推理小説に上物のコニャックと、かなりのいぶし銀。 #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 来栖 楓 (くるす かえで) ドイツ陸軍元帥。 有能で心優しい性格から兵士たちのアイドルとして称えられている。。 その人気は、「KKK(くるす かえで に貢献する会)」なる有志の親衛隊が結成されるほど。しかし泥沼の東部戦線という最悪の環境での戦い、度重なる同僚たちとの意見の衝突からその精神は次第に病に蝕まれていく。中央軍の作戦指導をめぐってリアンと対立した際、ついにキレてバインダーで彼女に殴りかかるという暴挙に出る。 満はこの事態を重く見、彼女を44年に西方軍司令官に任命し、リアンと距離をとらせた。 …が、こちらでも戦局の悪化が彼女の精神状態をどんどん蝕んでいく。 アルデンヌ作戦での訓示では、空鍋を回しながら兵士に激を飛ばし、 部下たちから本気で心配されていたという…。 #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 ヴァン・モーデル 30年戦争時、血風吹き荒れるドイツにて突如出現した魔神がいた。 旧教と新教の対立に紛れヨーロッパ全土の破壊を企んだ彼女は、ドイツの人口の10%を殺し尽くした。しかし世界に恐怖をまき散らした彼女の猛威は英雄フルンツベルクによって打ち破られる。 激闘の末、眷属も自らも全てを打ち倒された彼女は後にドイツ国会議事堂が建つことになる土地の地下奥深くに封印された。 そして現代、ナチスが政権をとってからヘスが長らくその解析にあたっていたが、大戦が始まる直前についにその復活に成功した(してしまった) 戦争が始まってからは国防軍司令官に任命され、その力(主に本人の腕力と魔力)で 劣勢の戦局を次々と跳ね返し、リアンやマンシュタイン、ロンメルと並ぶ司令官となった。 本人のタフさもあり任務は専ら劣勢の激戦区であり、彼女一人が戦線に加わるだけで戦局がひっくり返ることから「火消し屋」と呼ばれる。 また、休暇中に見つけた後方勤務の中で見込みのある兵を前線へと拉致するため、別の仇名として「恐怖の飛行者」とも呼ばれる…が本人は文字通りの意味で飛行可能。単体での戦闘力は世界においても最高クラスであり「どのくらいの増援を連れて来たのか?」という質問に「(増援は)私だ!」と答えたのもあながち冗談になっていない。 ちなみにドイツ情報部による報告では戦車一個師団分の戦力に相当するという評価が為されている。 反面部下使いは厳しく「一日は24時間、寝るのは無駄だ」という台詞を吐き、「スタハノフ(ソ連労働の鬼ノルマ)」並の指示を下す。 基本的にはヘスに忠誠を誓っており、多少統制が効いていたのだが、ヘスがいなくなってからはよりやりたい放題するようになった。 戦争末期、皮肉にもオーバーロード作戦を迎え撃つ最後の高級将官となった彼女は烏合の衆と化したドイツ軍を率いて奮戦、凄まじい活躍を見せる。 しかし結局アメリカの圧倒的物量の前に敗北した彼女は投降を潔しとせず単身最後の抵抗を図った。 そして米軍に甚大な被害を与えた後、魔人は朽ち果て500年の生を終えた。 英雄復活に際しては仇敵フルンツベルクと対峙する可能性もあるのだが、その時彼女はどんな態度を見せるのだろうか。 さすがに核くらうとつらいよ、いたいよ。 #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 フェルディナント・シェルナー 1892年 12月5日生まれ 特技イタリア語 第一次世界大戦時に任官、終戦当時は中尉。陸軍歩兵学校の教官を勤め、ミュンヘン一揆では管区司令官の副官として制圧側へ参加。のちに、教官の経験を活かし、ナチス親衛隊を武装親衛隊へと変革する教練に携わる。 ポーランド戦役で戦果を挙げ、連隊指揮官から師団司令官へと昇進。フランス侵攻後に少将へ。各地を転戦しつつ戦争末期には上級大将へと昇進。 チェコからオーデル川の防衛ラインを死守し、市民の疎開を推進する一方で、 「祖国を守るべき盾たる兵士は、敵を前にしてその責務を放棄することを許さない。家族? 恋人? 敵兵を恐れるものが、誰を守ることが出来るんだ?」 と常に後退を許さないという終戦末期の防衛戦を戦い抜いた愛国者。 彼の師団の敵前逃亡者は彼自身の手によって処刑され磔にされたと言う。 愛用のルガーP08の犠牲者はすべて敵前逃亡を試みた味方のみだとの噂。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2326.html
夕焼けに空が染まる頃、ウエストウッド村の台所から小さな鼻歌が聞こえてきた。 「~♪」 声の主はティファニア、彼女は久しぶりにマチルダが帰ってきてるので、とても機嫌が良かった。 家族の命を奪われてから、ずっと面倒を見てくれていたマチルダは、年に何度も仕送りを送ってくれていた。 自分の家族は皆失ってしまったけど、サウスゴータの太守だったマチルダの一族が、家族代わりになって自分を助けてくれている。 それは返しきれないほどの恩だった。 以前に一度、自分と母親のせいでマチルダの一族にまで迷惑がかかってしまった……と謝ったことがある、しかし、マチルダはそれを怒った。 間違っているのは王の方だ、と言って、決して自分を蔑んではいけないと、何度もティファニアに言い聞かせた。 小さい頃から姉のように慕っていたマチルダが、そのとき本当の姉になった気がしたのは、けっして気のせいではないだろう。 火箸で釜戸の灰を軽くかき分けると、昼に使った薪(たきぎ)の、炭化したものがちょこんと姿を見せた。 それを種火として利用し、よく乾いた小枝に火を移し、薪を燃やし…手慣れた様子でお湯を沸かしていく。 「夕食の分か。薪は足りているかい?」 ティファニアが振り向くと、そこにはワルドが立っていた。 どこか気遣うように釜戸の様子を見ている。 「ええ、大丈夫ですよ。ワルドさんのおかげです。薪割りもあんなに沢山やってもらって、本当に助かります」 「世話になっているんだ、これぐらい当然だよ」 ワルドが笑みを返すと、踵を返して台所を出て行った、ティファニアほほえんだままそれを見送る。 ティファニアは家族と、珍しいお客さんのために、美味しい料理を作るべくよし!と気合いを入れた。 「………」 台所を出たワルドは、夕方の見回りをしに外へと出た。 空を見上げて竜騎兵がいないことを確認する、年には念を入れ、木々の影を縫うように素早く、音もなく森の中へと移動していった。 風系統のスクエアたるワルドは、風の流れに敏感で、気配を消すことも感じ取ることも得意としている。 更に、ウエストウッド村に滞在している間、『土くれのフーケ』として盗みを働いていたマチルダから、山や森の知恵をいくつか教わっている。 マチルダは時々、暇つぶしの雑談に混じって、猟師が如何に気配を消して獲物に近づくのだとか、獣の踏みしめた地面の見分け方を語る。 それらの知恵は、王族の親衛隊を勤める魔法衛士隊ではほとんど発揮される事は無かった、そういった索敵の技術は基本的に使い魔が有しているものであるからだ。 メイジがそれを行うのは、花形部隊では忌諱されがちですらあったが、大いに参考になる知恵であり、戦いを有利に進めるため学ぶものも少なくはない。 その一人がワルドだった、母を失い、トリステインの内情を知るにつれて歪んでいったワルドは、裏切りを正当化するための材料として己のプライドを肥大させた。 泥臭い猟師の知恵など下賎なものだと思いつつも、それを習得して数多くの任務を成功させ、それでいて自分は崇高な理想を持ってトリステインを裏切り、いやむしろトリステインを「見限ってやった」とすら考えていた。 それを打ち砕いてくれたのがルイズだった。 ルイズは、己の能力をよく理解し、それを有効活用する術をしっかりと考えている。 虚無の系統とか、公爵の血筋だとかそんなものではなく、ルイズは己の今と、これからの生き方によどみない自信を持っていると思えた。 だからこそ、ワルドは自分が矮小だと気づき、ルイズに忠誠を誓った。 そして今、このウエストウッドという小さな村で、子供達の相手をする時間が、とても安らかなものだと思えていた。 以前なら平民の子供や、落ちぶれた貴族の子供には、作り笑顔で接していたことだろう、しかし今は違う。 マチルダ、ティファニア、ルイズが子供の相手をしているのを見ると、なぜだろうか、とても安らぐ…… 「…?」 ふと、周囲を警戒していたワルドに、何か人の気配のようなものを感じた。 手入れのされていない森は、獣道でもない限り歩いて通ることはできない、背の高い草で木々の隙間が埋められてしまう。 その草の向こうから、ガサガサ、という葉擦れの音が聞こえてきた。 「……」 血が冷めていく。 ワルドは短剣状の杖を手に持ち、腰を低くして木の陰に隠れた。 ガサガサ、ガサガサと近づいてくるその音だけでなく、周囲360度を警戒する。 敵か、動物か、第三者か、陽動か、疎開か、迷い子か、斥候か…… 考えを巡らせていくうちに、その音は間近まで迫ってくる。 ザッ、とかき分けられた草の向こうから姿を現したのは、全裸で、しかも胸と腹に陥没した痕の残るルイズの姿だった。 「!」 驚いて目を見開いたワルドは、そっとルイズに見えるよう顔を出した、左手で口を覆う仕草で『誰かに聞かれていないか?』という意図を伝える。 ルイズはさして驚きもせず、ワルドの仕草を見て口を開いた。 「大丈夫、追われてはいないわ…」 「どうしたんだ、大丈夫なのか?その怪我は?」 ワルドは『レビテーション』で身体を浮かせると、すぐにルイズに近寄り抱き上げた、右膝を曲げてそこにルイズを座らせ、足跡をつけぬようゆっくりと森の中を移動していく。 「ちょっと…手強いやつがいたのよ、けっこう、だめね、疲れたわ」 「血は必要か?」 「いい…」 ルイズの返事はどこか弱々しかった。 ワルドは、ティファニアや子供達に気づかれぬように注意しつつ、マチルダの部屋へとルイズを運んだ。 自室で裁縫をしていたマチルダが、ルイズの姿に驚いたのは言うまでもない。 「何があったのさ…あんたがそんな怪我を負うなんて」 「火のメイジよ、トライアングルか、それ以上よ。とんでもない熱だったわ…焦げるなんてもんじゃない、胸の肉が一瞬で炭になったもの」 「とんでもないね。ところで、そいつらは?」 「ダメージが大きすぎて、殺せなかった…詠唱する暇がないぐらい正確に火が飛んでくるのよ、記憶を消すのがやっとだったわ」 マチルダはルイズをベッドに寝かせようとするが、ルイズはその手を払った。 「すぐに行かなきゃ、あいつら、トリステインに向かってる」 「え?」 そのとき、がちゃりと扉が開かれワルドが入ってきた。 ワルドはデルフリンガーを、ルイズの座るベッド脇に立てかける。 「食事が出来たそうだ…食べる余裕は、あるか?」 「ごめんなさい、食事の時間も惜しいわ…ティファニアには悪いけど。ワルドよく聞いて、トリステイン魔法学院が狙われてるわ、とても強力な火のメイジの、傭兵達によ」 「!」 とたんにワルドの表情が険しくなった、思い当たるものがあるのか、ワルドは跪いてルイズに顔を近づけ、声を荒げぬよう気をつけて問いかけた。 「それは、この間デルフリンガーが言っていた奴か? 長距離から気配を探られたとか言う…」 「ええ」 頷くルイズに、マチルダがはっとした表情になった。 「まさか、白炎のメンヌヴィルじゃないだろうね」 ワルドもまた何かに気がついたように目を見開き、ルイズに問いかけた。 「…ルイズ、そいつは盲目では無かったか」 「顔に大きな火傷の痕があったわ。目じゃなくて…熱を感じてるみたい、そのせいで苦戦したのよ」 マチルダとワルドが顔を見合わせた。 「間違いないね、そいつがメンヌヴィルさ。とんでもない火の使い手だよ」 「メンヌヴィル?」 「とにかく、人でも亜人でも、焼いていたぶるのが好きなキチガイだって聞いたね、そんな奴に狙われるなんて…」 腕を組み、眉間に皺を寄せ考え込むマチルダだったが、ふと何かを思いついたのか顔を上げる。 「陽動ってことは無いのかい?この孤児院が狙われる可能性は?臭いや魔法で追跡されるとか…とにかく、一度調べるよ」 そう質問しながらマチルダがディティクトマジックを唱え、ルイズの身体を調査する。 ルイズの身体には何も仕掛けられている様子は無かった。 「尾行の可能性はごく低いわ。十分注意してた。森の中を移動する途中、何度か動きを止めて周囲の音を観察したの。 蟻の足音も、鳥の羽音も、地下の音も疑ったけど、それらしい音は感じられなかった」 「そう…それだけ注意してれば何とか大丈夫だと思うけど。魔法学院の件はどうするのさ」 沈黙が流れる。 時間にして数秒のことだったが、答えを決めかねているルイズにとって、それは一分よりも長く感じた。 「どちらにせよ、すぐ報告せねばならないだろう。 今の時期、アルビオンはラ・ロシェールを離れ、ガリア寄りになる。…遍在を繋ぎの取れる場所に飛ばすのは無理だ。僕が直接飛んでいこう」 ワルドの言葉に、ルイズ瞳が揺れた。 「……私も、私も行くわ」 ルイズの言葉に、ロングビルが血相を変えて叫ぶ。 「正気かい!? 言ったろう、シエスタって嬢ちゃんは吸血鬼殺しの英才教育を受けてるんだよ!」 「魔法学院に乗り込むつもりは無いわよ、可能ならメンヌヴィルって奴を迎え撃つ…もしくは、奴らの奇襲を奇襲してやるわ」 「あんた…! ああ、いくらなんでも、そこまで魔法学院に義理はないだろう?いくら王宮と繋がってるとはいえ、タダじゃ済まないかもしれないんだよ」 「義理なんて無いわよ。私はただ、あいつらの思い通りにさせたくないだけよ」 キッ、とマチルダを睨む。 その視線は極めて鋭いものだったが、恐怖は感じなかった、怒りではなく純粋な決意がそこに秘められており、マチルダはルイズの言葉に納得するしか無かった。 「マチルダ、悪いがティファニアに説明しておいてくれ。急用が出来たとな」 「わかったよ」 マチルダが部屋を出るのを見ると、ワルドはポケットからアルビオンの地図を取り出した、それは四つに畳まれた羊皮紙であり、広げると幅三十サント四方になる。 焼き付けられているのは地図と、ハルケギニアとアルビオンの周回図だった。 「ルイズ、場所と時間を教えてくれ」 ルイズはここ数日の間に知り得たことを、簡潔に述べた。 メンヌヴィルと接触した場所、時間、ウエストウッドへと移動した経路など… 馬車で移動した時に見た街道の風景や、町中の様子から、アルビオンの民が過酷な環境に置かれていると言うこともハッキリした。 できればクロムウェルを暗殺したかったが、それは『可能ならば』という但し書きがつくので、重要度はそれほど高くない。 ルイズも、またトリステインで待っているウェールズ達もそれが可能だとは思っていないはずだ。 話をしながらもルイズは、目立ちにくいくすみとムラのあるオリーブ色に染められた服に身を包む。 飾り気のないシャツ、足首を縛れるズボン、フード付きのマント、そして…デルフリンガーに手をかけようとしたところで、ルイズの動きが一瞬止まった。 ルイズはデルフリンガーの柄に手を触れず鞘を掴んだ、それはデルフリンガーに触れるのを恐れているようにも感じられた。 コツコツ、とドアがノックされる。 ワルドは地図を懐にしまい込みつつ、「どうぞ」と呟いた。 「お食事、食べていかれないんですか?」 扉を開いたのはティファニアだった、心配そうな表情をしていると、一目で分かる。 「ごめんね、せっかく準備してくれたのに…」 「いえ、いいんです。あ、でもパンがありますから、お弁当代わりに持って行ってください」 「ああ、そうか…ありが」「ごめんなさい、急ぐから食べていられないの、道中食べる暇も無いし…」 ワルドが、パンの入った小さな包みを受け取ろうとした時、ルイズがそれを遮った。 「そうでしたか…ごめんなさい」 「いいのよ。私たちが無駄にするより、みんなで食べた方がいいでしょう? ワルド、そろそろ行くわよ」 「ああ」 ワルドとルイズが、ティファニアの横を通り過ぎる。 「あ…」 その時、ティファニアはルイズの横顔を見て、記憶の中にある在りし日の母と重なった気がした。 兵士が屋敷に殺到したとき、生き残ることは不可能だと思いながらも、生き残るために毅然とした態度を崩さなかった母に。 「マチルダ姉さん…」 ティファニアは寂しげな瞳で、マチルダの顔を見上げた。 「なんだい?」 「二人とも、大丈夫、かな。何か危険なことをしに行くんでしょう?」 「心配しなくても大丈夫さ、あの二人なら大丈夫だよ」 「でも……石仮面さん、何か辛そうな気がする」 マチルダは顔を上げ、ルイズの後ろ姿を見送った。 一抹の不安があったが、それは口に出さず心の中だけで処理をした。 それから半日ほど後、すでに太陽は姿を隠し、二つの月が空高く上がっている。 ルイズとワルドの二人は森を越え、街道を越え、首都ロンディニウムとは逆方向になる川へと出ていた。 「ワルド。悪いけど強行軍になるわよ。川から流れ落ちる水に紛れるよう『イリュージョン』を使うわ。そこから雲を突き抜ければ、今の時期はガリア寄りの海上に出るわね」 「僕はそこから『フライ』を使って、トリステインまで飛べばいいのだな?」 「ただし高度は私の言うとおりに維持して貰うわ……哨戒に出ている竜騎兵に見つかる可能性もあるし」 「わかった、君の目を信用している」 二人は小声で会話をしながら、川沿いの道から獣道へと入り、岩場を歩いていく。 早ければ朝日を迎える前に、川の終点にたどり着けるだろう。 「パン、食べたかったな」 川沿いの岩場を歩いていたルイズが、不意に呟いた。 「今更どうしたんだ、貰ってくれば良かったじゃないか」 「歩きながらでも食べたかったわよ、でも、気を利かせてたっぷりバターを入れてくれたんでしょうね、臭いがしたわ」 「バターの香りが?」 「そうよ、あの臭いじゃ目立って大変だわ。私にだって50メイル離れていても分かる臭いだもの」 「なるほどな…そうか、臭いか。すまない、そんなことにも気がつかないなんて、僕も気が緩んでいたかな」 「攻める訳じゃないわ。それに、逆に考えるのよ、子供達に囲まれて良い休暇だったでしょう?」 「ふふ、まあな。生意気な奴がいたが、木の実を拾うときなんか、年下を庇ってよく動いていたよ」 どこか清々しいはにかみを見せて、ワルドが呟く。 ティファニアを母として、姉として慕う孤児院の子供達は、ティファニアのお陰かマチルダのおかげか、家族を守るという意識が小さいながらも根付いている。 「皆、血は繋がらなくとも兄弟のようだ……領民は皆我が子であると、先々代の王は言っていたそうだが、その通りかもしれん。新しい世代が育つのを見届けるのは、いいものかもな」 魔法を行使する貴族の、魔法によって領地を守るという観念の元になった、慈愛と勇気の意識。 それこそがティファニアの持つ精神であり、皆その影響を受けて育っている、そうワルドは感じていた。 ぴたりと、ルイズが足を止めた。 「…子供」 不思議に思ったワルドが、ルイズの顔を覗き込もうとするが、ルイズはミシリと音が立つほどに拳を握りしめて、ワルドに顔を見られぬよう早足で歩き出した。 「ルイズ?」 「なんでもないわ、急ぎましょう」 気を抜くと、歩くのを止めてしまいそうになる。 まるで体中を鎖でがんじがらめにされたような、過度の閉塞感を感じていた。 ルイズは、なぜ自分から『子供』という単語を使ってしまったのかと、ひどく後悔している。 ウエストウッド村の子供達は、皆素直で、小さくてもティファニアを守ろうという意識があって、とても眩しい。 そう、ルイズは子供達を見て、元気を分けて貰っている。 昨日、街道脇の森で、たまたま見つけた親子もそうだった。 自分のことを心配してくれた上、死体をケモノに食い荒らされぬよう、土に埋めようとしてくれた。 それなのに自分はその親子を『食った』。 ウエストウッドの子供達は、とても可愛いと思える。 しかしあの親子もまた、とても美味しかった。 子供を可愛いと思えるのも美味しそうだと思えるのも、どちらも偽りのない自分の意識。 石仮面を被り、吸血鬼となったときは、人間は餌に過ぎないと思っていた、合法的に殺人と吸血ができる傭兵を選んだのは、ただの気まぐれに過ぎなかったはずだ。 しかし今は、そんな自分が恐ろしい。 ふと…何かの拍子で、それこそ枯れ葉が風に舞うような、ごくごく小さな何かがきっかけで、ウエストウッドの子供達を『美味しそうだ』と思えてしまうのではないだろうか。 そうなってしまったら、次は? 『美味しかった』となってしまったら……… ルイズは、鎖で縛り付けられた体が、ゆっくりと海の底へと沈んでいく気がした。 震えそうな手を、力を込めて必死で押さえ、カチカチと鳴りそうな歯を、食いしばって必死に耐える。 そこでふと気がついた。 デルフリンガーは心が読める。 『だから自分は、デルフリンガーを恐れていたのか』と。 デルフリンガーを握れば、自分のしでかしたことすべてを見透かされてしまうかもしれない。 永遠に近い寿命を、共に過ごしてくれるかもしれないデルフリンガーに、嫌われてしまうかもしれない。 もし、ワルドにも嫌われたら? もし、マチルダにも嫌われたら? もし、ティファニアにも嫌われたら? もし、アンリエッタにも、ウェールズにも、姉様にも… ルイズの後ろを歩くワルドの目に、力強く映るルイズの足取り。 その芯は今にも崩れそうなほど危うかった。 To Be Continued→ 67< 目次 69
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/2730.html
315 :ひゅうが:2014/11/01(土) 07 55 47 ※ 本作はフィクションです。実在の人物・団体には一切関係ありません。 戦後夢幻会ネタ―――閑話「その時歴史が動いた~日本放送機構のある番組から~ その3」 昭和20年1月、最高戦争指導会議は本土決戦と、それを可能な限り避けることを目的として日本本土沖合において米侵攻軍の撃滅を図るという二つの方針を決定。 その方法として夜間航空攻撃と潜水艦隊による攻撃、そして水上艦隊による決戦をとることを決定します。 このとき、降伏をも許容する方針が公然とささやかれ、「講和追求」の一文が国防方針に追加されたのが和平派最大の成果となりました。 このとき、どこからともなくささやかれ始めた言葉があります。 「海軍に、もう船はないのか。国民を守ることはできないのか。」 この言葉は、昭和天皇が海軍の不甲斐なさを嘆いていったとされ、陸軍は瞬時に沸騰。海軍もこの言葉に押されて最後の決戦を考え始めます。 ですが、それに疑問符をつけた人物がいました。 宮内省侍従 徳川義寛。 阿部たちの一派と宮中とのつながりを作っていた人物です。 また、彼の縁戚に水戸徳川家の徳川圀順がいたことから彼は政界にも顔が利く人物でした。 そんな彼だからこそ、議会や軍内部でささやかれる噂を気にしていたのです。 彼は、まったくそのようなことを聞いた覚えがなく、入江侍従や藤田尚徳侍従長もまた同様であったのです。 ならば、それはどこで? 答えは意外なところから出ました。 都内の料亭。 あえて阿部たち一派が会合の場所としていたあの場所です。 そこでくだを巻いていたある近衛師団の士官一派が大声で「こういっているに違いない!」と言っていた事柄が伝言ゲームのように隣りの別の士官に伝わり、それがさらに誇張されて広まっていったのです。 陸軍の強硬派の一派はここぞとばかりにこれをあげつらい、海軍が不甲斐ないために苦境に陥っていると宣伝します。 陸軍の多くも、これには口をつぐみました。 事実かどうかを確かめずに。 昭和20年2月のある日、陸相東条英機大将のもとを、阿部は訪ねました。 このときのことを、阿部は記録に残していません。 ですが家人の回顧録によると、彼は憲兵隊の所属らしい士官と民間人を連れて東条宅を訪ね、しばらく誰も通すなと念を押したといいます。 お茶を持って行く前に数分間怒鳴り声が続き、やがて、それから長く一行は話し合ったといいます。 彼らが帰った後、東条は青ざめた顔で考え込んでいたといいます。 この翌日、東条大将は即座に宮中へ参内。 数刻のちに近衛師団長を訪ね、すさまじい剣幕で彼を叱責しました。 「おそれ多くも主上の言葉を捏造し、統帥権を壟断しようとするは何事か! 主上の言葉を借りて外野からはやし立てるとは何事か!!」 東条大将は、陸軍のおさえとしての役割を期待され、その高い忠誠心を評価されて首相となった人物です。 そんな彼にとり、このようなことを利用して政治闘争に使おうとする動きは許せるものではなかったのです。 彼を激怒させたのは、彼が自分の腹心と考えていた人々がこの動きに積極的にかかわっていたことでした。 東条は、決意を固めます。 昭和20年3月31日、憲兵隊は日本全国はもとより占領地においても、強硬派とされた士官や不穏分子の一斉検挙を断行。 同日、この騒動の責任を取り、小磯国昭内閣は総辞職します。 かわって首相となったのは、枢密院議長であった退役海軍大将 鈴木貫太郎。 日露戦争においては海軍随一といわれた武勲を上げた人物です。 陸軍大臣に経戦派ではありながらも政治色が極めて薄い阿南惟幾大将を、引き続き海相兼副総理として米内光正を、そして外相に東郷茂徳、無任所の国務大臣として宇垣一成退役陸軍大将を起用するという陣容は明らかに和平を意図したものでした。 しかし、海軍による最後の米艦隊迎撃計画と陸軍による「本土決戦作戦」を統合した天号作戦はこのときまでにほぼ完成。 さらに、4月4日に米海軍が泊地を抜錨したとの報告は和平を言い出すには極めて不都合なものとなりました。 316 :ひゅうが:2014/11/01(土) 07 57 01 ここで時間を少しさかのぼります。 昭和20年初頭時点で、アメリカ海軍は二つの作戦計画をたてていました。 ひとつは、失敗したフィリピン諸島への再侵攻作戦。 そしてもうひとつは、野心的な沖縄方面への侵攻による日本側抗戦能力の破壊です。 すでに、レイテ沖海戦とほぼ同時に実施されたマリアナ諸島攻略作戦、そしてフィリピン攻略の前線基地となるパラオ攻略作戦はアメリカ側の成功に終わっていました。 撤退を完了したトラック環礁もすでにアメリカの手に落ちています。 この点からすれば、フィリピン諸島を攻略することが定石です。 ですが、日本海軍がいまだ有力な艦隊を有し、さらには台湾の航空隊に加えて後方に日本本土という兵站基地を擁するフィリピン、そして10万名近い犠牲を払ったという事実は再度の侵攻に否定的な意見を特に陸軍に抱かせています。 そのため、アメリカ陸海軍は、マリアナ諸島からさらに北上して小笠原諸島を攻略。長距離護衛戦闘機を戦略爆撃隊に随伴させて日本本土へ爆撃と機雷投下を行うという順当な作戦をたてようとしていました。 しかしここで彼らにとっての誤算が起きます。 アメリカ議会の一部がこの悠長な作戦に疑問符をつけたのです。 なるほど確かにこの作戦を継続すれば、7月までには日本海軍の作戦行動能力は大きく阻害され、日本列島は海上封鎖状態となる。 そこで一気に沖縄を攻略し、返す刀で9月には日本本土に上陸するとなると、必ずやソ連の存在がネックとなるだろうと。 確かにその通りでした。 ソ連がこのとき対日宣戦布告の準備を整えていたことをアメリカ側は知らず、その参戦の可能性について大きな疑問符をつけていたのです。 「下手をすれば、日本軍と死闘を演じる中で単独で友好条約を締結し一気に日本列島を赤化してしまうかもしれない…」 それが、アメリカ国務省の一部や議会の与党民主党の懸念となっていました。 これは野党共和党も同様です。 彼らは逆に、ソ連が日本本土に対し火事場泥棒を働くのではないかと危惧していました。 すでにこのとき、末期症状を呈しつつある欧州戦線において、ソ連は共産党による自治委員会を次々に設立。 ポーランド亡命政府をはじめとする諸国の厳重な抗議を受けていました。 ことにフランス共産党が自由フランスを否認する方針をとったこと、それは反共的なでマッカーサー元帥率いる欧州戦線主力軍の後背を脅かす深刻な事態でした。 このため、海軍の一部では戦争の決着を一気につけるべく、南西諸島から東シナ海を封鎖できる「沖縄侵攻」が俎上に上がります。 いまだに日本本土周辺における通商破壊戦は目立った成果を上げておらず、南方からの輸送船団を直接機動部隊によって航空攻撃することを彼らは考えていたのです。 これを大いに後押ししたのは、合衆国艦隊司令長官 アーネスト・キング元帥。 彼は、「本来海軍の戦争である」この戦争を主導しようとしていたマッカーサー元帥がフィリピン戦の敗北により欧州へ転出することになったことを機会に、一気にこれまでの海軍の敗北を挽回しようとしたのです。 陸軍にとっても、この沖縄作戦は来るべき日本本土上陸作戦の前哨戦となり、また対日戦での失点を回復する機会にもなります。 沖縄本島は小笠原諸島のような海兵隊の戦場と比べて広大で、陸軍の活躍の余地がありました。 台湾という案もありましたが、ここはフィリピンに加えて大陸に近く、日本側が大陸に展開する部隊を増援として送り込んでくることを彼らは警戒します。 この時点でも中国大陸沿岸部はほぼ完全に日本側の手に落ちており、そこへの侵攻は躊躇われたのです。 かといって、素直に海軍に賛同するのも腹立たしい。 そこで、陸軍は護衛戦闘機隊の基地となる硫黄島と沖縄の同時攻略を提案。 キング長官はこれに賛同しました。 ところが、今度はアメリカ海軍がこれに反対します。 「あまりにも日本本土に近すぎる」 というのがその理由です。 確かに、作戦は投機的となります。まだ日本本土の封鎖も万全ではありません。 せめて7月に、というのが彼らの意見でした。 ですが、そうなると日本周辺は台風の通り道となります。 それに9月以降となる日本本土侵攻を前提とすれば、これでは間に合いません。 結局、政治的・軍事的な理由によって作戦発動時期は4月とされました。 さらには、キング元帥はこの一撃により戦争を終結させることができると議会秘密会で力説。 さらには、日本本土において重大な震災が発生し生産力に著しい障害が発生したことが計画を後押しします。 陸軍もこれを支持したことから、作戦案にはゴーサインが出されました。 317 :ひゅうが:2014/11/01(土) 07 57 48 作戦名は「アイスバーグ」。 発動準備段階となった3月、さらにこれを後押しするしらせが入ります。 小磯内閣が崩壊、穏健派といわれた人々が主導権を握る鈴木内閣が成立したのです。 アメリカは、日本国内の戦争継続能力がついに失われたと判断しました。 「1か月後には戦争は終わっている」 南太平洋のウルシー環礁から出撃していった兵士たちはそうささやきあったといいます。 一方、阿部俊雄大佐は意外なことに東京にはいませんでした。 彼は、前年末から、横須賀で建造が進んでいた航空母艦「信濃」の艤装委員長としてその建造に責任を負い、艦長を拝命していました。 6月に予定されていた艦隊への編入を目指して訓練に励む阿部は、4月に予想された小笠原諸島侵攻には間に合わないと覚悟を決めていました。 昭和20年初頭に就役したばかりの「信濃」はいまだ錬成の途上であり、艦隊とともに行動することはできなかったのです。 そして同時に、彼が予想していたように連合艦隊丸ごとが壊滅するような事態となった後で停戦が成立したとしても、それがすんなりいくとは考えていませんでした。 そのため、航空母艦「信濃」とその航空隊は残存艦隊とともに国内の不穏分子やソ連海軍への抑止力となり逆クーデターなどの事態を阻止すべきであると考えていたのです。 そのため、阿部は3月3日付で「信濃」の次期作戦への投入は不可能とする報告書をもって軍令部を訪問。 これを認めさせています。 阿部は「死ぬのが惜しいか」と罵声を浴びせられました。 「ならば、私を第2艦隊参謀に任じてください。小笠原沖で断じて勝利を掴み、立派に武蔵の後を追ってみせましょう。」 このとき、阿部は懐に忍ばせていた信濃艦長解任願いを、軍令部の福留繁少将に叩きつけています。 これには福留少将も目を見張り、「貴官の覚悟を見誤った。御見事である。この上は私もそろって大和艦上にあり、ともに勝利を掴もう」と答えたと、のちの首相であり当時阿部の副官をつとめていた田中角栄中尉は日記に記しています。 このとき、すでに阿部とその一派は公然と上層部の支持を得て終戦の最後の一手を打っており、もはや彼自身がやることは残っていなかったのです。 ですが、米内海相はそれを許しませんでした。 「勝利を得るのはよいだろう。だが、それで責任をとったことにはならぬ。 君は生きて終戦後の日本に責任を持たねばならぬ。 生きて国民からの罵声を浴びつつ、将来の海軍の再建につとめてもらわねばならぬのだ。」 米内は手元の紙をとると、こう書き記します。 「命令 自決を許さず。」 阿部は、それを米内の遺言のようだと考えたといいます。 このやりとりは、米内流の気遣いであったのではないかと田中角栄は述べています。 米内が記したという人物評にはこうあります。 「阿部俊雄 かの者、性極めて狷介孤高。しかして賢友を集む。故、死するに惜しむ。」 極めて頑固であるが賢明な友人が多く、そういう人間が周囲に集まる。 ゆえに、死なせるには惜しい。 米内は、同様の評価をかの山本五十六にも下しています。 そのため、陸軍強硬派の暗殺を恐れて山本を連合艦隊司令長官に親補したという過去をもっていました。 戦前と、終戦前夜、彼は同じ判断を下したのでした。 一方、陸上へ上がった連合艦隊はその司令部を横須賀鎮守府内に置きました。 東京に近い三田の地下壕への移転が取りざたされても、司令長官の南雲忠一大将はそれを容れずに、密かに進行中であった大本営機能の長野県や奈良県への移転構想へ注力させるかわりにこの施設を使い続けたのです。 そのため、訓練中であった空母信濃艦長は、同僚となった源田実や同じく和平派グループを構成していた高田利種連合艦隊参謀長とともに迎撃作戦を練り上げていきます。 作戦は、可能な限りの打撃を米艦隊に与え、かつ陸軍の本土決戦派に自由にこれを使わせないという副次的な目的をもって立案されました。 陸海軍首脳部からどこからともなく出たこの目的に、参謀たちは眉をひそめたものの可能な限りの戦力投入を目指して作戦を煮詰めていきます。 その名目として、海軍が立案中であった本土決戦作戦の名称をとり作戦名は「天号」とされました。 南北朝時代の名将楠正成の旗印からとられたその名称は、作戦の本質を極めて如実に表していたといえるでしょう。 しかしこの名目上、陸軍航空隊をはじめとする人々は全力で海軍に協力する義務が生じます。 とりわけ本土決戦派であった士官たちは、ついに海軍が本土決戦に腹を決めたと考えて無邪気に歓迎し、協力の目くらましとなったといいます。 318 :ひゅうが:2014/11/01(土) 07 58 34 ですが、彼らは米海軍の攻勢正面を絞りきることができませんでした。 なんとなれば、アメリカ海軍の戦力はこの時点ですでに日本海軍を圧倒しつつあり、予想された小笠原方面と沖縄・台湾方面と同時進行すら可能であるのです。 そのため、「天号作戦」は4つの方面について立案が行われました。 このうち、沖縄方面を「天1号」、小笠原方面を「天2号」、台湾・フィリピン方面を「天3号」、本土・北方方面を「天4号」と区分しています。 中でも力が入れられたのが、天1号と天2号作戦でした。 作戦は単純明快。 本土や島嶼の航空隊による全力支援下で、囮艦隊となる空母機動部隊の残存艦隊を出撃。 これの挟撃により一時的に米空母機動部隊の作戦能力を麻痺させ、その間に全力で主力となる戦艦部隊は上陸橋頭保に対して突入。 その過程で水上艦隊を、可能なら輸送船団と敵の陸軍部隊を壊滅させる。 また、後方に潜水艦隊を展開させ、補給・修理能力を奪う支作戦「剣号作戦」も同時に立案されました。 このうち、沖縄方面への天1号作戦はまだ成算がありました。 九州や奄美諸島に展開する航空部隊の攻撃圏内であるためです。 ですが、小笠原方面における天2号作戦は、伊豆諸島という狭い拠点の限界、そして距離が連繋攻撃を困難にしていました。 このことは当然ながらアメリカ側も承知しているはずで、可能性としては硫黄島・小笠原方面へ6割、沖縄方面3割、同時多方面侵攻1割と当時の連合艦隊は考えていたといいます。 今後の成算を昭和天皇の前で問われた古賀峯一大将の言葉が、当時の状況を暗示しています。 「湊川です。」 4月1日、米軍は硫黄島に対し上陸を開始。 連合艦隊は「天号作戦準備」を命令。 本土各地の航空部隊に関東集結を命令します。 呉および佐世保の連合艦隊主力は、直ちに出撃準備に入りました。 「天2号作戦」の第一段階である航空攻撃「菊水作戦」を待ち、連合艦隊は突入準備に入る…はずでした。 ですが、4月7日、思わぬ報告が連合艦隊を揺るがします。 「アメリカ海軍、沖縄に来襲。慶良間諸島に上陸を開始。機動部隊および水上艦隊主力を伴う。」 「いけるかもしれん。」 主力艦隊を率い、沖縄突入を担当する宇垣纏第2艦隊司令長官が呟いたように、日本海軍の絶望的な雰囲気にひとつの炎がともりました。 硫黄島に上陸した戦力は比較的少数であり、艦砲射撃を実施していたのは大型巡洋艦や生き残った旧式戦艦。 対して、沖縄には鉄の暴風雨ともいわれる主力機動部隊による攻撃が加えられていたためです。 この場合、攻撃正面は沖縄方面に限定されます。 困難な防衛戦に備えてマリアナ沖開戦以来延々と続けられていた島の要塞化は完了しており、物資の備蓄を完了していた硫黄島は半年以上の持久が可能と見積もられていました。 対して、疎開が進んでいたとはいえ、急きょ北部への着の身着のままでの避難を実施した沖縄は県民30万と防衛部隊4個師団8万名が救援を待っています。 「行くぞ。沖縄へ。」 宇垣長官の掛け声とともに、「天1号作戦」の発動が宣言されたのは4月10日。 連合艦隊主力の進撃を側面支援すべく、横須賀に残存していた航空母艦「信濃」は、護衛の駆逐艦とともに伊豆諸島沖へ向かい、米艦隊の目を引き付ける命令を受けました。 活気づく連合艦隊司令部をあとにした阿部は、対潜戦の専門家という評価の通りにこの後5日ほどで5隻の米軍潜水艦を護衛部隊とともに撃沈することになります。 さらに関東に展開した航空部隊は九州の航空基地群へと移動を開始し、アメリカ機動部隊による九州空襲に対して防衛戦を開始します。 それは、戦艦大和が沖縄へ到達する、8日前のことでした。
https://w.atwiki.jp/oga_hiroba/pages/58.html
暑い真夏の炎天下。 首都東京の高層ビル群の狭間、雲一つ無い青空の中に、 ぽつんと浮かぶ、銀色の円形物体。 目をこらさないとそれが何なのか分からない。 目をこらしても何なのかよく分からない。 確かに空に浮いて、しかもその一点から全く動こうとしないそれは、別段面白味のないただの銀色の皿だけど、それを見た人達は、皆一様に首をかしげる。手のひらを眉に垂直に当て、目を細めて、考える。腕を伸ばして指をさすほどの、大きな関心は示さないけれど、ビルの谷間で人々は、しばらく呆然と空を見上げる。 「あれは、なんだろう?」 「鳥でもない、飛行機でもない、ヘリコプターでもない」 「ましてやスーパーマンでもない」 だいたい平均30秒くらい、アスファルトの上で足を止めて見上げるが、特に動きもなければ見た目の印象も強くないそれは、忙しく勤勉な日本人達をそれ以上長く立ち止まらせる力はなかった。 正午過ぎの昼休み、ハンバーガーショップの外に置かれたテーブルで、OL達が「アレ」について話し出す。上司の悪口、昨日の彼氏とのいざこざ、こないだの日曜に買ったパンプスによる靴擦れの話のあとに、「そういえばさあ」と出てきた、空に浮かぶ銀色の皿の話題。 「アレなんだろうね」 「男の子達も話してた」 「やっぱどう見てもUFOだよね」 「アハハ、ウケる。ユーフォー、アハハ」 「いるんだねーUFO、私幽霊とかすぐ信じちゃうからさあ」 「誰が乗ってんのかな、アメリカ人?」 「アハハなんでやねん」 「ねーアメリカ行きたくない」 「行きたーい」 定刻通りに帰宅する若い社員達を、歯切れの悪い挨拶で送り出した後、夕日が差し込みオレンジ色が広がり始めたオフィス内で、残業のための一服を味わう男達2人が、窓から空を見上げて、アレについて話し出す。 「アレ、いつから居ます?」 「おとといからじゃなかったか」 「全く動き無いんですよね」 「うん、ただ居るだけだね」 「警察とか、なんか自衛隊とか、動かないんですかね」 「特に何か悪さをしてるわけじゃないしなあ」 最も早く、この話題が目に見える形として世間に広まりだしたのは、インターネット上だった。各ブログや掲示板で、謎の未確認浮遊物体として写真が掲載され、それについての真剣な議論をされたかというとそうではなく、「俺も見に行こう」「やめとけ20秒で飽きるぞ」「見てきたけどホントに浮いてて笑った」といった物見遊山的なネタ物として扱われるのが関の山だった。 ただ徐々に徐々に、銀色の円盤が、都民の話題、ネットの流行りから、国民の話題へと拡大していくと、状況はだんだん複雑さを増すようになる。そして、話題に飢えたワイドショーや全国紙の社会面の隅あたりで「アレ」が扱われるようになった途端、今まで知りつつも静観に回っていた各機関が、動きを見せ始めた。 あるテレビ局が、ヘリコプターを飛ばしてアレへの急接近を試みた。人々はアレの真下に群がり、正直既に飽きてきていた関心を奮い立たせ、事の成り行きを見守っていた。その模様は生中継され、周辺の各オフィス内で一時仕事の手が止まっていた。 「ただいま、謎の円盤のちょうど真下に来ております!下から見ていた時の実感よりも、遙かに上空高い所に浮いているようです。ちょっとですね、このヘリではこれ以上近づく事は困難と思われます!」 「いかがですか清水さん、そこから見た円盤の印象というのは。何か地上と異なる点は見受けられましたか?」 「はい、思った以上に、丸いです!」 人々は仕事に戻った。地上の群衆に流れが戻った。もう人々にとってその円盤は、オフィス街の真ん中に突如出現した、ただのオブジェ以上の何者の価値もなかった。 空に背を向け、ビルに吸い込まれていく大勢の人の中で、とりあえず最後まで見守っていようと立ち止まったまま見上げていた内の1人が、声を上げる。 「ヘリがもう一つ来たぞ!」 それは警察のヘリコプターだった。中継は切られていた。警察に追い立てられ、連行されるように、2台のヘリコプターは円盤から離れていった。 人々はそれを眺め、そしてプロペラ音が聞こえなくなると、静かなざわつきがビルの狭間で沸き上がり始めた。 「もしかして、アレは、たいへんなモノなんじゃないのか」 「危険なモノなんじゃないのか」 「俺たちは危険なモノの下で働いてるんじゃないのか」 それからずっと毎日のように、ビルのガラスにヘリやセスナの音が響くようになった。その音を聞く度に、外に出て全く変わり映えのしない円盤を見上げる度に、人々に不安が募るようになった。ただの円盤が浮いているだけなら、もう風景に同化して、誰も気に留めず、不安を感じる事も無くなっていたはずなのに。国か民間か知らないが、毎日あの円盤に向かって乗り物を飛ばし、近づいたり離れたりを繰り返してざわつかれては、無視する事も出来ない。地上で働く人々の意識はまたもや、あの不動の円盤に注がれていた。それも、今度はネガティブなシンボルとして。 「毎日毎日毎日毎日、ヘリと飛行機の音で落ち着かず、仕事もはかどらず、あの円盤を見上げるたびに発狂しそうです」 「眠ろうと目をつぶると、瞼の裏に一点の銀色の円盤が浮かんできて、眠れないんです」 「きっと国も、あれが何なのか分からないから、調べようと近づいてるんだと思います。てことは、結局誰1人、アレが何なのか分かってないってことじゃないですか。誰も知らない未知の存在が、私たちを常に見張っている…そう考えたら、気持ち悪くてもう」 そうした精神的な圧迫が各所で報告され、それがメディアに掲載されるほど、見物人も増していった。最近は本物のUFOを見たさに外国人も増え、そこで働く人々と観光客との摩擦がちらほら見受けられ始めた。望遠鏡がよく売れるようになった。 「いいなあ、エイリアンのすぐ傍で働けるなんて、毎日がドキドキだぜ」 そんな言葉を、昼休み中の会社員が耳にし、つい発作的にその観光客に対して暴行を振るってしまった事件は、その夜のニュースを熱くさせた。 銀色の小さな円盤が上空に出現してから5ヶ月、地上を歩く人々が以前に比べてめっきり減り、その代わり「銀円盤被害者の会」(ギンヒ会)が毎日地上で待機し、近づいたヘリコプターに対し「円盤を撃墜せよ」と巨大な横断幕を広げた。その運動は、逆に円盤をストレスに感じていない人々を逆上させた。上空も地上もやかましくなり、とても働ける環境で無くなった。経済の中心部における経済活動の停滞は何としても避ける必要があり、政府はいよいよ円盤の回収を目標に掲げた。最も、アレについての首相の発言に、「空のゴミとでも思ってもらえばいいんじゃないですか」というものがあり、それに対し「どっちがゴミだバカ」「まさにどちらも目の上のゴミ」と国民から予想以上の猛反発をくらったという経緯を挟んでいたが。 2月某日、1年に2日あるかないかの東京の降雪記録日、決算期を前に何としてでも人々のモチベーションを回復するため強行されたのは、円盤直下を中心とした半径20㎞圏内を出入り禁止にしての、円盤回収作戦だった。 「回収って、具体的にどうやるのさ」 「墜とすしかないだろう」 人々は家のテレビから、もぬけの殻になった銀色の東京都心を見つめていた。雪と雲で銀色に染まった銀色のビル群、その上空に浮かぶ銀色の小さな円盤、やがて現れた、銀色の戦闘機。誰もが、弾で撃ち抜かれ、煙を吐いて墜落していく円盤の姿を想像した。俺の働いてる場所に落ちなければいいなと考えていた。 しかし次の瞬間、大きな爆発音と共にカメラが揺れ、黒い煙がもくもくとビルの隙間から立ち上っていた。円盤はこれまでと何一つ変わっていない。戦闘機が東京の真ん中へ突っ込んだのだ。 「大変なことが起こった」たちまち世間は騒ぎになった。あれはエイリアンの超能力的な遠隔攻撃ではないか。いやただの操縦ミスだ。超スローモーションで再生するとレーザーの光のような物が見える気がする。間違いなく日本経済を麻痺させようと企む国際テロ組織の犯行、あの円盤もグル。911の際も謎の飛行物体が確認されている。全ては宇宙人の仕業なのではないか。円盤にはうかつに近寄れない。いつ同じ様なことが起こるか分かったものじゃない。 それほどの貴重なサンプルを世界が放っておくわけがなかった。中国が堂々と国軍機を日本に飛ばしたのを皮切りに、アメリカやロシアといった特に宇宙政策に力を入れる国々に、次々と東京上空の防空識別圏は無視された。「最も不審かつ危険な物体を、各国の協力でもって回収・調査し想定されうるあらゆる危険を未然に防ぐことは、我々人類の未来に安全と平和を保証するためにも最重要といえる事項である」とされ、日々、国籍不明の飛行機やら地上では謎の調査団体やらが、いつの間にか当然のように危険物扱いされた円盤の周りにひしめき合い、とてもじゃないが一般人が近寄れる状況ではなくなってしまった。 それでも円盤に対する直接攻撃は躊躇われていたが、こんなに周りをぶんぶん飛んでいるのに一向に動ずる気配のない円盤にしびれを切らし、ついにどこぞの国がミサイルを撃ち込んだ。そして、どこぞの国のわけわからん技術により大きく円盤を外れたミサイルは、そのまま良い具合に米軍機の右翼に直撃し、機全体のバランスを大きく崩しながら都庁に突っ込み爆発、炎上したのである。 その一連の事故が、故意によるものだとしてお互いの国が猛烈なバッシング対決を繰り広げ、そこで日本がアメリカに肩入れするものだから、米軍機による911を再現されておきながらその態度はいかがなものか、いい加減あの神社参拝やめたらどうだと謂われのない非難をくらい、円盤のことなどそっちのけで、東京上空に集結しながら、お互いの首根っこにナイフを突き立てているような一触即発の状況を作りだしていた。ギンヒ会の横断幕がいつの間にか「よそ者戦闘機を撃ち落とせ」になっていた。 そして日本が、「自衛」の名の下に、現在の危機的状況を緩和するための、武力発動に踏み切った。曰わく「国際間の非協力的現状を打開し、最優先課題である円盤との平和的和解及び東京上空からの即時退去を完遂させるため、円盤に対する直接ないし間接的敵対態度をとる国は、その課題の実行すなわち我々国民の安寧を妨げるすなわち我々にとって円盤以上の脅威であると判断し、可及的速やかに排除する方針を取る事で、一刻も早い経済活動の再開と市民の安心を得る、そのための自衛」とし、「これは戦争ではない」と言いつつ、「そもそも勝手に入ってきたほうが悪い」と影で呟くように遠慮無く他国機を撃ち落とし始めたから、もう収集がつかなくなってきた。 「本音を言えば円盤独り占めしたい」ともはや国レベルでの私利私欲を剥き出しにした、醜い奪い合いが勃発した。円盤の下で。上空ではミサイルが飛び交い、地上では銃弾の音がひっきりなしに響き、先進国の中心部は瞬く間に戦場と化した。円盤からレーザーが発射されるという噂が流れれば奪い合いが激化し、円盤を撃ち落とそうとすれば円盤を守ろうとする勢力が衝突した。 「Tokyo」を占領すれば、その上空に漂う円盤も手に入れることと同義だ。そうして日本は、北から南から西から東から、あらゆる方面から上陸され、侵食の的となった。人々は疎開し、それでも安全な場所などどこにも無いと知るや否や、他国への亡命を求める声が後を絶たなくなった。「日本は円盤ばかり守って私たちを守ってはくれない!」しかしさっさと日本の国力を弱体化させるためには、数百万の日本人の命は軽くあしらわれた。日本の防衛力こそが今や世界にとって煙たい存在だった。しかしその煙たさも、世界大戦が幕を開けるまでのことだった。 円盤の下に、煙と瓦礫と血の塊が集まり、日を追う毎にその塊は範囲を拡大し、やがて捨てられたそのスペースは、円盤の下を中心としてひどく静かなものだった。今聞こえるのは、東京からさらに向こうの、山の向こうの、海の向こうの、どこかから響く微かな銃声だけだった。 円盤は何もしていない。ただそこに浮いていただけだ。 きっとアレに乗っている宇宙人は、今頃ほくそ笑んでいるだろう。 こんなにも事が上手く運ぶなんて。こんなにも人間は共食いが好きだなんて。こんなにも大きな世界が脆いなんて。 こんなにもあっけなく、自分たちの手を汚さず、地球を侵略できてしまうなんて。 人間はこんなにも無言の圧迫に脆弱だった。何もしない存在には耐えられなかった。何もしない強さを持った宇宙人に、この土地を奪われても、文句は言えない。 だが円盤は降りてこない。 宇宙人達は姿を現さない。 いつまでもいつまでも、東京上空から地球を見下ろしている。 あの円盤を神として讃えようとする人々が居た。現人類にとってアレは、すぐそこに居ながらにして、我々の理解の範疇にない超次元の存在であり、かつ我々に理解できるよう形を持った、この世で誰もが目にする事のできる唯一神である。東京上空を世界の中心とし、あの円盤の下を聖地としよう。それが、彼ら新興宗教集団の目的だ。 2つの目しか持たぬ低俗な我々にも認識できる形でもって、天空から舞い降りてきてくださり、そして愚かな私たち人間を、それでも静かに、慈愛に満ちた眼差しで見守り続けてくださる超存在。また同時に、我々の弱さを、我々自身の行いから、教訓として身を持ってご教示してくださっている、懐の深き寡黙で偉大な師。それがあの円盤なのであると。世界全人類がアレを神の化身と認める事で、やがてこの循環する苦しみから逃れることが出来るであろうと。真の平和とは、あの円盤様を軸として回り始めるだろうと。 その教えを説いた教主が、人類の行いに対する許しを請いに、捨てられた戦場と化した聖地・東京都心の、砕けたコンクリートの地を踏んだ。硝煙の匂いが教主を取り囲む。教主は円盤の真下に跪き、キリスト式に祈りを捧げる。 「神よ、円盤よ、どうかこの罪深き人間達をお許し下さい。そしてまた、何故この時代、こうしてここに姿をお見せになったのか、その真意を、私にご啓示下さい」 教主が頭を垂れ、目を伏せると、突然、両肩のあたりに悪寒が走り、とっさに、全身がバネのように跳ね上がった。五感の鋭さは人並みではなかった。教主は空を見上げる。円盤が動いている。違う、大きくなっている。違う、降りてきている。違う違う、あれはどうみても、落ちてきている。 瓦礫の上を、四つんばいになって、手のひらの痛みも感じぬほど必死に掻いて、その場から逃げた。教主が両手両足を止めて、息を飲んで振り返ると、まさに円盤が地面に着地する寸前だった。 重くて強い音が破裂して、教主を含む空間に一気に響いて、遅れてから周囲の瓦礫がビリビリと鳴り出す。固くて細かい乾いた破片が、教主の目を襲う。一瞬視界を奪って、それから円盤の影が、教主のもと居た場所に浮かび上がる。アレは、思ったよりも小さいようだ。 教主は恐る恐る近づく。そこにはもう、神に近づくというような神聖な心境はなかった。世界を破滅に導いている、恐ろしい未知で異形の物体が、突然私の目の前に落ちてきた、その事の重大さに対する恐怖と、恐いもの見たさのような好奇心だけが、教主を動かしていた。まさかほんとにこんなことになるなんて思ってなかった。中から何か現れて、私を殺しにかかるのではないか。自分が教主などと名乗っているのが実にくだらないなと、その物体に相対した1人の中年白人は思っていた。 しかし、これはまたとない、特別で貴重な瞬間であるという揺るぎない思いが、教主の足を一歩一歩進ませていた。 おそらく、24時間円盤を遠くから監視している組織があって、既に円盤が落ちてきたことも情報として伝わっており、ここに大群が押し寄せるのも時間の問題だろう。もしかしたらそこでまたドンパチが発生するかもしれない。そんなものに巻き込まれたくはない。だがしかし、だからこそ、今、この円盤とファーストコンタクトできる私に与えられた権利を、逃したくないのだ。 円盤の前に立ち、やっと、神聖な気持ちを取りもどした。この私が祈ると同時に、この円盤は落ちてきた。円盤は私を待っていた。この権利こそ、私が教主である証に違いない。そしてコレは、神なのだ。 教主はついに円盤に触れた。金属だった。そして、その銀色の金属の一部である円盤の側面に、プラスチックで出来た四角いフタのようなものがはめ込まれていることに気付いた。金属とプラスチックの間に、丁寧に溝が掘られていた。そこに指を挟み込み、ゆっくりとプラスチックのフタを剥がした。 単2電池が4本刺さっていた。 教主は腹を抱えて笑った。電池切れで落ちてきたに違いなかった。きっと電池を取り替えてやれば、またこの円盤を空に返してやれるに違いない。あまりに笑いすぎて涙が出てきた。 そして教主は笑いながら悔しがった。今もうこの東京には、電池を売っているコンビニ一つすら無い事を、心底悔しがった。
https://w.atwiki.jp/earthruinfes/pages/2076.html
日記/2012年08月07日(TUE)/ニュース記事 2012-08-27 【記事一覧】 死亡事故の工事現場 ほかにも中学生 NHKニュース 広島の被爆男性 ドイツで体験語る NHKニュース プールに金魚400匹捨てた疑い 埼玉 NHKニュース 火星探査機 着陸時カラー写真撮影 NHKニュース NZの火山 115年ぶり噴火 NHKニュース なでしこ決勝進出 メダル確定 NHKニュース レスリング 松本選手銅メダル NHKニュース 砲丸投げ ベラルーシ選手が金 NHKニュース 400mハードル ドミニカ選手が金 NHKニュース バレー女子 中国破り24年ぶり4強 NHKニュース 死亡事故の工事現場 ほかにも中学生 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120807/k10014135071000.html +記事コピペ収納 死亡事故の工事現場 ほかにも中学生 8月7日 18時48分 K10041350711_1208071853_1208071932.mp4 群馬県桐生市の中学校の解体工事の現場で、アルバイトで働いていた14歳の男子中学生が死亡した事故で、この現場ではほかにも中学生が働いていたことが分かり、警察は雇用が禁止されている中学生が働いていた経緯を詳しく調べています。 6日午後、群馬県桐生市にある中学校の体育館の耐震化工事の現場で、コンクリートブロックの壁が崩れアルバイトで作業をしていた栃木県足利市の中学3年生、石井誠人さん(14)が下敷きになり、7日午前、死亡しました。 警察によりますと、石井さんは壁を解体して、がれきを運び出す作業をしていたということです。 労働基準法では、中学生以下の子どもが危険を伴う工事現場などで働くことを禁じていますが、事故の現場では石井さんのほかにも1人、別の中学生が働いていたことが警察への取材で分かりました。 この中学生は石井さんの同級生で、同じ群馬県太田市の業者に雇われて工事現場に派遣されていたということです。 警察はこの業者から事情を聞くなどして工事の安全管理や中学生が働いていた詳しい経緯を調べています。 広島の被爆男性 ドイツで体験語る NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120807/k10014120261000.html +記事コピペ収納 広島の被爆男性 ドイツで体験語る 8月7日 8時54分 K10041202611_1208071017_1208071019.mp4 広島原爆の日に合わせて、ドイツの首都ベルリンで、広島市の被爆者の男性が当時の体験を語り、核兵器の廃絶を訴えました。 ベルリンを訪れたのは、広島市の映像作家で、7歳のとき疎開先から原爆投下直後の市内に戻って被爆した田邊雅章さん(74)です。田邊さんは6日、「ヒロシマ通り」と名付けられたベルリン市内の通りに面して建つ日本大使館の公邸で、ベルリン駐在の各国大使や政府関係者らおよそ100人の出席者の前で、みずからの体験を語りました。 田邊さんは、原爆ドームの隣にあった自宅が原爆でがれきの山となり、両親や弟を失った体験を語り、「当時の生活は口にすらできないほど過酷で残酷だった」と振り返りました。 そして「自分の家族に置き換えて想像してください。決してひと事ではないのです」と語りかけて、原爆の悲惨さや核兵器の廃絶を訴えていました。 このあと、田邊さんらが制作した、当時の広島市内の様子を再現した記録映画も上映され、訪れた人たちは原爆投下直後の街の様子や、住民の証言などを真剣な表情で見ていました。 田邊さんは、「原爆によって、今も多くの人々が苦しんでいることはあまり知られておらず、こうした真実を伝えていくことが、私の役割と考えています」と話していました。 プールに金魚400匹捨てた疑い 埼玉 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120807/k10014125881000.html +記事コピペ収納 プールに金魚400匹捨てた疑い 埼玉 8月7日 13時6分 K10041258811_1208071515_1208071519.mp4 埼玉県狭山市の中学校のプールで、およそ400匹の金魚が泳いでいるのが見つかり、警察は何者かが夏祭りで余った金魚を捨てた疑いもあるとみて調べています。 埼玉県狭山市にある市立入間川中学校で、25メートルプールに金魚が泳いでいるのを6日午前、水泳部員の生徒が見つけました。 警察によりますと、金魚は、およそ400匹ほどで、ほとんどが体長4センチから7センチほどの夏祭りの金魚すくいなどによく使われる種類だということです。 また、プールの周りの有刺鉄線が2本切断されているのも見つかりました。 警察は異常がなかった5日の夜から6日の朝にかけて何者かが侵入し、夏祭りで余った金魚を捨てた疑いもあるとみて器物損壊などの疑いで調べています。 水泳部顧問の男性教諭は「これじゃ水泳の練習になりません。こんなことは初めてで驚いています」と話していました。 中学校では、7日までにプールから金魚をすべて回収し、希望する生徒に持ち帰ってもらうことも検討しています。 火星探査機 着陸時カラー写真撮影 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120807/k10014125091000.html +記事コピペ収納 火星探査機 着陸時カラー写真撮影 8月7日 12時21分 K10041250911_1208071225_1208071229.mp4 日本時間の6日、火星に着陸したNASA=アメリカ航空宇宙局の探査機「キュリオシティ」が、火星に着陸するまでのおよそ2分間の様子をカラーの連続写真で捉えることに成功しました。 NASAの火星探査機、「キュリオシティ」が地球へ新たに送り届けたのは、機体の底に設けられているカメラで撮影した合わせて297枚のカラーの写真です。 連続で再生しますと、火星の大気圏に突入してパラシュートを開いている状態のキュリオシティが地表に着陸するまでのおよそ2分間の様子を再現することができます。 このうち最初のほうの写真では、大気圏に突入した際に生じる高熱からキュリオシティを守っていた、丸い耐熱シールドが、機体から切り離される様子が撮影されています。 そして連続写真の後半になりますと、画像の左上の端に着陸に向けて外に出されたキュリオシティの車輪の一部が見えるほか、減速のためのエンジンの噴射で、火星の表面にある小石などを巻き上げる様子も写っています。 また、キュリオシティが着陸した地点から見える標高が5500メートルの山を捉えた白黒の写真も届きました。 この山が白く見えるのは、太陽の光の角度やカメラの状態によるもので、氷ではないとみられています。 NASAによりますと、今後はさらに鮮明なカラー写真や動画も届く予定だということで、キュリオシティが、極めて順調に動き出していることをうかがわせます。 NZの火山 115年ぶり噴火 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120807/k10014123851000.html +記事コピペ収納 NZの火山 115年ぶり噴火 8月7日 11時28分 K10041238511_1208071501_1208071515.mp4 6日夜、ニュージーランドにある火山が115年ぶりに噴火し、国内線の飛行機が欠航するなどの影響が出ています。 日本時間の6日午後8時50分ごろ、ニュージーランドの北島のほぼ中央にあるトンガリロ山が噴火しました。 火山活動を観測しているニュージーランドの当局によりますと、噴火は1897年以来115年ぶりで、噴煙は上空6000メートルの高さまで吹き上がり、火山灰はおよそ110キロ離れた南東の街まで及んでいるほか、噴石がおよそ1キロ離れた地点で確認されたということです。 火山からおよそ10キロの所には、人口3000人ほどの街があり、地元の警察は住民に屋外へ出ないよう呼びかけていますが、今のところ、けが人などの報告はないということです。 この火山は、ユネスコの世界遺産に登録されている国立公園の中にあり、観光への影響も懸念されています。 また、ニュージーランド国内を結ぶ航空便が欠航したり遅れたりしていますが、日本などとを結ぶ国際線の運航には影響は出ていないということです。 なでしこ決勝進出 メダル確定 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120807/k10014118981000.html +記事コピペ収納 なでしこ決勝進出 メダル確定 8月7日 2時58分 K10041189811_1208070610_1208070610.mp4 ロンドンオリンピック、サッカー女子の準決勝で、日本代表「なでしこジャパン」は、フランスに2対1で勝って初めて決勝に進み、銀メダル以上が確定しました。 日本は、準々決勝と同じ先発メンバーでフランスとの準決勝に臨みました。 立ち上がりで、日本はフランスの守りを崩すことができませんでしたが、32分、宮間あや選手が蹴ったフリーキックのボールを相手ゴールキーパーが取り損ね、こぼれ球をフォワードの大儀見優季選手が蹴り込んで先制しました。 大儀見選手のゴールは、日本がこの試合で初めてのシュートでした。 前半を1対0とリードした日本は、後半4分、再び宮間選手のフリーキックに今度はミッドフィールダーの阪口夢穂選手が頭で合わせて追加点を奪い、2対0とリードしました。 しかし、その後はフランスが主導権を握り、日本は防戦一方となりました。 日本は後半31分、フランスに1点を返され、さらにその直後には阪口夢穂選手のファウルで相手にペナルティーキックが与えられました。 ここは、相手選手のシュートが外れ、同点には追いつかれませんでしたが、その後もフランスの激しい攻撃が続き、日本はゴールキーパーの福元美穂選手を中心に、体を張った守りでフランスの攻撃をしのぎました。 1点のリードを守りきった日本は2対1で競り勝ち、オリンピックで初めての決勝に進み、銀メダル以上が確定しました。 決勝は日本時間の10日未明に行われ、日本は悲願の金メダルをかけて、準決勝のもう1試合、アメリカ対カナダの勝者と対戦します。 阪口選手“いいボールが来て感謝” 2点目のゴールを決めた阪口夢穂選手は、「追加点が欲しい時間帯で、宮間選手から本当にいいボールが来たので感謝したいです」と振り返りました。 そして、決勝戦に向けては、「メダルは決まりましたが、取るならいちばんきれいな色がいいので、あと1戦頑張ります」と話していました。 熊谷選手“全員で守り切った” ディフェンダーとしてフル出場した熊谷紗希選手は、「後半はもう少しラインを上げるなど対応できればよかったが、最後は全員で守り切れて本当によかった。ここまで来たらチーム一丸となって、いちばん輝くメダルを取りにいきたい」と話していました。 福元選手“絶対に点をやらないという気持ち” ゴールキーパーの福元美穂選手は、「厳しい試合だったが、全員が集中力を保って最後まで体を張り、絶対に点をやらないという気持ちでした。気持ちを一つにして戦い、勝つことができてよかったです」と話しました。 そのうえで、「目標は金メダルなので、決勝に向けていい準備がしたい」と話していました。 澤選手“負ける気しなかった” ミッドフィールダーの澤穂希選手は「今まで苦しかったぶん、勝てたことはことばに表せないぐらいうれしい。試合前の円陣から『こんな舞台はもうないからみんなで楽しもう』と話していた。負ける気がしなかったし、最後はフランスの怒とうの攻めをディフェンスラインの選手たちがしっかり守ってくれた」と振り返りました。 そのうえで、決勝に向けて「ここまで来たら、いちばんきれいな色のメダルを取りたい」と意気込みを示しました。 宮間選手“チーム誇りに思う” みずからのフリーキックで2得点をアシストしたキャプテンの宮間あや選手は、「ここまで来られたチームを誇りに思う。今大会はセットプレーからの得点がなかったが、うちには中で合わせられる選手がいる。キーパーとの駆け引きのなか、よく決めてくれた」と振り返りました。 そのうえで、「金メダルを目指してきたので、まだ喜べない。ここまで倒してきたチームの思いも背負って、次は勝たなければいけない」と気持ちを引き締めていました。 佐々木監督“気持ちが点を取らせてくれた” 佐々木則夫監督は、「選手たちがメダルを取るんだという思いで精進してきた結果で、気持ちが点を取らせてくれたと思う」と準決勝を振り返りました。 そのうえで、次の決勝に向けて、「目の前の相手に勝つ、戦うという積み重ねがこういう結果をもたらせてくれるので、決勝も楽しみながら精進してきた結果を出したい」と話しました。 [関連ニュース] 自動検索 ・ なでしこ 「決定力」が勝因に (8月7日 8時54分) なでしこ 決勝はアメリカと (8月7日 7時17分) 五輪11日目 なでしこ準決勝へ (8月6日 8時55分) なでしこ 準決勝フランス戦へ調整 (8月6日 1時9分) なでしこ 勝因は「堅い守備」 (8月4日 6時56分) レスリング 松本選手銅メダル NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120807/k10014119191000.html +記事コピペ収納 レスリング 松本選手銅メダル 8月7日 3時18分 K10041191911_1208070447_1208070449.mp4 ロンドンオリンピック、レスリングのグレコローマンスタイル60キロ級で、日本の松本隆太郎選手が3位決定戦に勝ち、銅メダルを獲得しました。 オリンピック初出場の松本選手は、1回戦でトルコの選手に勝ち、準々決勝もフランスの選手に勝って準決勝に勝ち上がりました。 準決勝の相手は、去年の世界選手権優勝のイランのオミドハジ・ノルジ選手で、第1ピリオドにこの大会で初めてポイントを奪われると、第2ピリオドも失って、3位決定戦に回りました。 3位決定戦では、カザフスタンのアルマト・ケビスパエフ選手に第1ピリオドを奪われたものの、第2ピリオドで投げ技を決めて追いつきました。 そして、第3ピリオドでは、積極的に攻めてフォール勝ちを収め、銅メダルを獲得しました。 日本が、グレコローマンスタイルでメダルを獲得するのは、シドニー大会以来、12年ぶりです。 自分に“お疲れさま” 松本選手は、「オリンピックを集大成の場と思って必死に頑張ってきました。きょうは、すべての試合を通じて自分のレスリングの形が出せたかなと思います。いいオリンピックでした」と興奮した様子で振り返りました。 そして、「ここまで頑張った自分にお疲れさま、と言ってあげたい」とここまでの道のりに思いを募らせました。 砲丸投げ ベラルーシ選手が金 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120807/k10014120061000.html +記事コピペ収納 砲丸投げ ベラルーシ選手が金 8月7日 8時54分ロンドンオリンピック、陸上の女子砲丸投げは、ベラルーシのナジェーヤ・オスタプチュク選手が、21メートル36センチの記録で、金メダルを獲得しました。 また、北京大会で金メダルだったニュージーランドのバレリー・アダムス選手は、20メートル70センチで銀メダルに終わり、2連覇はなりませんでした。 400mハードル ドミニカ選手が金 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120807/k10014120051000.html +記事コピペ収納 400mハードル ドミニカ選手が金 8月7日 8時54分ロンドンオリンピック、陸上の男子400メートルハードルで、ドミニカ共和国のフェリックス・サンチェス選手が47秒63のタイムで、アテネ大会以来2大会ぶりに金メダルを獲得しました。 また、北京大会で金メダルのアメリカのアンジェロ・テイラー選手は、48秒25で5位に終わり、2連覇はなりませんでした。 バレー女子 中国破り24年ぶり4強 NHKニュース ttp //www3.nhk.or.jp/news/html/20120807/k10014139121000.html +記事コピペ収納 バレー女子 中国破り24年ぶり4強 8月7日 23時40分 K10041391211_1208080201_1208080204.mp4 ロンドンオリンピック、バレーボール女子の準々決勝で、日本は中国にセットカウント3対2で勝ち、1988年のソウル大会以来24年ぶりの準決勝進出を決めました。 予選リーググループAの3位で準々決勝に進んだ日本は、これまでオリンピックで5回対戦し、いずれもストレート負けを喫していた中国と対戦しました。 日本は中国の高いブロックに苦しみましたが、エース木村沙織選手のスパイクなどで、第1セットを28対26で先取しました。 第2セットは23対25で失いましたが、第3セットは江畑幸子選手の活躍などで、25対23と取り返し、セットカウント2対1とリードしました。 日本は第4セットを23対25で落としましたが、最終の第5セットは終盤、激しい攻防の末、18対16で奪い、セットカウント3対2で中国に勝ちました。 日本は1988年のソウル大会以来24年ぶりの準決勝進出を決めました。 日本は準決勝でロシア対ブラジルの勝者と対戦します。 名前 コメント ◇◆前へ/次へ/目次へ