約 327,590 件
https://w.atwiki.jp/seitokai_ss/pages/36.html
「真冬、もう少しだけ辛抱していてくれ」 真冬からの返事はない。まだ脈はある。だからまだ助けられるはずだ。 犯人はもうわかった。 生徒会に恨みを持っている人物はあの人しか居ない。最悪会長さんも紅葉先輩、そして鍵もやられているのかもしれない。 「だった一人でもやってやる」 今からあの人がいる場所へ全速力で行って、倒して、解毒剤を奪って真冬に飲ませる。 これだけの行動に出たんだ。きっと罠を仕掛けているに違いない。 それでも間に合わせて見せる。 「900秒だ。900秒で全部終わらせてやる」 勢い良く扉を開いて踏み出した。 疲労感が体を重くする。 今思えば今まで何もしてこなかったあの学校が今日になって突然襲ってきたのはこのためなのかもしれない。 でも、そんなことは関係ない。 「教えてやるよ。椎名深夏を怒らせるってことがどれだけ恐ろしいってことかを」 廊下は走ってはいけない。そんなことぐらい分かっている。 でも今はそんな常識をあたしは消し去る。 頭の中の枷が外れた。もうあたしには一般常識なんて通用しない。 物理法則もなにもかもが今のアタシには通用しない。 世界はめまぐるしく過ぎ去っていく。 常識と日常に閉ざされた世界は、それら全てをぶっ飛ばした今のあたしには見えないものだ。 だから、常識ではないそれが目に入った。 そこは日常じゃなくて非日常だった。常識はなくて非常識な空間だった。 それは巡に似ていた。巡なのは間違いない、でも巡じゃない。 巡にとてもよく似た人は床一面に広げた紅いカーペットのようなものに横たわっていた。 でもそれも間違いだって近づいてから気づいた。 これはカーペットじゃない。ただ紅で床が染まっているだけだ。 「巡!! おい、しっかりしろ巡!!」 「深夏……ゴホッ」 「喋るな!! 傷は……あ、浅いから」 「自分の体よ、自分がいちばん分かっているから」 巡は巡だった。でも傷が深い。血が止まらない。 抱えると制服は紅く染まっていた。 「深夏、逃げて。今すぐ碧陽から逃げて」 巡はそんな事を言った。でも、そんな事出来るはずが無い。真冬の命が掛かっているんだ。 「そんなの出来ない。それにこんなことをした奴をあたしは」 「床の染みは守よ」 「!!」 「守は声も姿も必要ないからこんな目に遭ったの。だから深夏だけでも逃げて」 巡の顔色はどんどん悪くなっていく。声を出せていられるのもあと僅かだろう。 もう真冬を助けるためだけじゃない。宇宙兄弟の敵討ちだ。 「そんな事聞いて、逃げられる訳ないだろ。あたしの怒りは誰にも止められない」 「いいよ。私はあいつのこと憎んでいないから……」 「巡? おい、しっかりしろ。巡、死ぬな巡!!」 巡はあたしの腕の中で静かに息を引き取った。 泣いている場合じゃないのに、涙が流れてきた。急がなきゃいけないのに、急げない。 「巡、守、仇は必ずとるから」 涙を拭いて先に進んだ。あの人がいる場所まであと少しだ。 曲がり角を曲がれば目標はあと少しというところで、そこから先は非日常だと気づいた。 日常と非日常を分ける目印の様に彼はそこに倒れていた。 病的な白い髪は紅かった。男なのに細い腕は折れていた。 善樹だ。中目黒善樹だ。 「どうして」 彼はそう言い残して息を引き取った。 その言葉には恨みはない。疑問だけがあった。 曲がり角に人の背が見えた。 あの男が善樹や巡達を殺ったんだ。そんな確信があった。 それなのにあたしの足はここに来て男と遭遇することを怯えている。 この曲がり角を曲がればあたしに日常は永遠に崩壊する。 でも、進まなければなにも始まらない。 「今更何を怯えているんだ。あたしは椎名深夏!! こんなところで逃げたりはしない」 運命の曲がり角を曲がった。 そこにいた男の手は血で染まっていた。 予想はあった。 巡は恨んでいないと言った。 善樹はどうしてと恨みよりも疑問を優先させた。 それでも否定していたから思いつかなかった。こいつがここにいると誰よりもあたしが思いたくなかった。 「どうして……どうしてだよ。どうしてお前がっ!!」 「許してくれとも愛してくれとも言わないぜ、深夏」 「なんでお前が、お前があの三人を殺すんだよっ、鍵!!」 そこにいたのは他でもない鍵だった。 涙を流しそうなわけでもないのに、とても悲しい瞳をした鍵だった。 「答えろよ鍵!! どうしてなんだよ」 「深夏なら分かるだろう。こういう時どういう行動を取るべきか」 「あたしと戦うつもりか?」 「そうだ。安心しろ、深夏を傷つけることはしない」 「鍵、そこを今すぐどいてくれ。真冬の命が危ないんだ。あたしは藤堂先輩に会わなきゃいけない」 「分かっている。でも、だからこそ深夏を通すわけには行かない」 鍵が何を考えているのかなんて分からない。分かるのはここを通すつもりはないということだけだ。 それは真冬の命が掛かっていたとしても譲れないらしい。 鍵は悪い奴じゃない。いい奴だ。その鍵がこんな行動に出るなんてなにか理由があるんだろう。 でも、それはあたしには関係ない。 「鍵悪いがあたしは鍵を倒してでもここを進まさせてもらう」 「そうか。仕方ないな。深夏の相手は本当はしたくなかったけど」 「鍵、行くぜ。ここで決着をつける」 「ああ、来いよ深夏。相手をしてやるよ」 それは激闘だった。 四天王とか言っていた妙な連中との戦いよりも遥かに激しい激戦だった。 床には穴が開き、天井は崩れ、壁は砕け散る。割られた窓の硝子の破片が夕焼けで当たりを照らしている。 決着はついた。 「大丈夫か、深夏」 「鍵……杉崎、鍵」 あたしは床に伏して鍵を睨みつけていた。 鍵はあたしに攻撃してこなかった。徹底的にあたしの足止めに徹していた。 組合うことができれば倒せた。でも、鍵はあたしと正面からは戦わず体力を削る索に出た。 「卑怯だぞ鍵!!」 「目的が違うだろ。俺は深夏を傷つけずに終わらすこと。深夏は俺を倒すこと。その違いが深夏の不利に働いただけだぜ」 「くそっ」 鍵はあたしの戦う力を削ぐことを目的としていたみたいだ。 傷つけたくないという鍵の言葉は本当だった。でも今はその言葉がとても悔しい。 悔しいか深夏。でも、深夏の体調が万全だったら立場が逆転していただろうな。まあ、だからこその四天王なんだが」 「どういう意味だよ鍵!! まさか、あいつらは鍵が」 「……ああ、そうだよ。深夏封じのために俺が送った。そうじゃなきゃ深夏は倒せないからな」 「お前は、真冬のことがそこまで嫌いだったのか!? そんな殺したいほどに組んでいたのか!?」 「いや、真冬ちゃんは大事だ。でも、会長も大事だ」 「どういう事だ? まさか会長さんもやられたのか」 なんとか立ち上がって、鍵に尋ねた。やっぱり鍵も理由があってこんなことをしているんだ。 「話しすぎだな。まだ、立ち上がる体力が残っていたのか深夏」 「く、鍵。一緒に戦おう、そして真冬と会長さんを助けよう」 「その心配はいらないぜ深夏。会長も真冬ちゃんも深夏も俺が守るから」 「鍵、お前はどうなんだ? まさか、お前」 「……」 鍵のあんなに思いつめた表情はあの日以来だ。夏のあの日鍵に合った日以来だ。 二人を助けれなかったことで苦しんでいた頃の鍵の表情だ。 「ふざけるなッ。生徒会にはお前も必要なんだ。あたしが居て真冬がいて会長さんがいて知弦さんがいて、そしてお前が居る。それが碧陽学園生徒会だ」 「悪いな、その日常は今日限りだ。形ある物はいつか壊れるから」 「そんなことさせない!! 変わっていいものもある。だけど変わっちゃいけないものだってあるんだ」 「まだ戦えるのか。だけど無駄だ深夏。お前の動きは既に見切っている」 見切っている。鍵の言うようにあたしの攻撃は一度も鍵に当たらなかった。鍵は今までの付き合いでもうあたしの攻撃を見切っていたようだ。 全ての攻撃はさばかれてあたしは鍵に体力を消耗させられて倒された。 どれだけ素早く殴っても、どれだけ鋭く蹴っても、全て無効化される。 でも、それはさっきまでの話だ。 「さっきまでのあたしと同じと思うなよ。この怒りがあたしを強くする。もうお前にだって見切れない」 「やってみろよ。俺を倒すこともできないようだったら、真冬ちゃんを助けるなんてただの妄想だ」 「あたしのこの思いがその妄想を現実に変えてやる」 体中を感情が走る。これは怒りだけじゃない、あたしの中の仲間への強い想いと絆だ。それがあたしを次の段階へ進ませる。 あたしの体に収まりきらない力はリボンを引き裂いた。力を浴びた髪がなびく。 「なにっ、消えた!?」 「こっちだ鍵!!」 体はもうガス欠だ。でも、足りない分を補ってくれるのはあたしの仲間たちへの想いだ。だからあたしは戦える。 「これが未来へと繋がる友情の力だ。ライジングエア!!」 「ぐはっ。まさか、これほどとは」 「あたしが皆を守る。真冬も会長さんも紅葉先輩も、そして鍵!! お前があたしの事を守ろうとするようにあたしもお前を守る」 「うぅ、だけど深夏。俺は倒れるわけには行かないんだ。会長を守るためにも、真冬ちゃんを助けるためにも、お前のためにも俺はまだ倒れるわけにはいかないんだ!!」 鍵はまた立ち上がった。でも、今のあたしを倒せる力はもう残っていない。 「鍵、何度やっても同じだ。一人で全部背負い込もうとするお前が、ここに居ない仲間の力を借りて一緒に戦うあたしに敵う道理はない」 鍵はそこで両膝を突いた。その鍵にあたしは手を差し伸べた。 「何やってんだ。鍵、お前も一緒に行くぞ。真冬の解毒剤を探すんだ。そして会長を助けだすんだろ」 その手を鍵は掴んで立ち上がった。 「そうだな、俺は馬鹿だな。でもな深夏」 鍵が何かを言おうとした時だった。突然目を見開いた鍵は叫んだ。 「伏せろ!! 深夏」 でも鍵を倒したあたしの体の反応は鈍かった。そんなあたしを鍵は力づくで倒した。 ドンッ そんな音を背景にあたしの目に映ったのは衝撃を受けて、血が吹き出る鍵の姿だった。
https://w.atwiki.jp/seitokai-y/pages/23.html
『生徒会役員共』(せいとかいやくいんども)とは週刊少年マガジンで連載している氏家ト全原作の漫画。元々はマガジンSPECIALで2007年6月号から2008年7月号まで連載していたが週刊少年マガジンに移籍し、同2008年34号より連載している。 女子高だったが少子化の影響で共学になった桜才学園(男女比は男28 女524)。その生徒会を舞台とした4コマギャグ漫画。 少年誌ということで、同じく高校を舞台にした4コマ『妹は思春期』よりも下・エロネタの表現は抑え目で、非エロネタの4コマもある。 週刊少年マガジンに移籍するにあたり、萩村 スズ・七条 アリア・天草 シノの学年が1つ下げられた。 マガジン巻末にて「設定の変更は単行本で直しています」と作者がコメントしている。
https://w.atwiki.jp/openj3/pages/226.html
ヒトラー風演説ニキとは、全校生徒の前でヒトラー風演説を披露した生徒会長候補である。 概要 演説の一部始終 関連リンク コメント欄 概要 初出: 生徒会選挙でヒトラー風の演説したんやが 高校の生徒会長選挙に立候補し、全校生徒の前で演説をすることになった 1。 一留しているなど問題児であった 1は、選挙で目立つことで自身の評価を上げようと目論んだ。 そこでインパクトのある演説をしようと試行錯誤した結果、演説上手で有名なヒトラーを手本とすることに。 (第2候補にはゲッベルス(ヒトラー政権の宣伝相)と外山恒一(都知事選のネタ候補)が挙がっていた。) 演説の一部始終 名前を呼ばれて登壇 ↓ 右手を肩のところまで挙げながら壇上の机へ ↓ ナチ式敬礼 ↓ 聴衆の生徒がざわざわしているので30秒沈黙 ↓ 少しずつ生徒が静かになり ↓ 逆に教師がざわざわし始める。イギリス人の外国語教師が物凄い顔をしている。 ↓ ベルト、ネクタイに触れ、ゆっくりと口を開く 「全校生徒、教師の諸君、私は、◯◯である。公約は、校内のゴミを減らすこと、であります…」 「校内における、ゴミの散乱は、現在非常に深刻な事態になっており、我々の快適なる学園生活に、支障をきたすものとなっている」 「なぜこのようにゴミが散乱する事態になったのか。それは諸君の意識の低さである。低翼な金髪の、校内のロクデナシどもが、その意識の低さを蔓延させている」 (深く息を吸い、両手を顔の横に) 「真面目な生徒諸君。我々の学園生活が今、奴らに脅かされている。我々の快適な学園生活を奴らが蝕む!我々は徹底的に戦わなければならない」 「我々は教師に要求する!!!我々は教師にこう叫ぶ!!!ロクデナシどもを教育せよと!!!」 (右手を高らかに突き上げる) 「この学校において、非行を働くロクデナシは毎年増えている。1人、2人、3人、4人、今に至っては25名にまで至る」 (一転して落ち着く) 「私はこう考える!!!!校内のゴミはこのロクデナシどもそのものであると!!今こそ我々は立ち上がり、快適な学園生活を取り戻さねばならない!!!」 (両手を胸に当てる) 「そこで掲げるスローガンは"ゴミはゴミ箱へ!ロクデナシは生徒指導室へ!"だ!!今こそ、腐れヤンキーの終焉の時である!◯◯高校万歳!!!」 その後、ワイは降壇してすぐ駆けつけた生徒指導部長に連行された。 生徒指導部長からの第一声は「お前大丈夫か?」 当選前からスローガンを達成するという偉業を果たした。 反省文を3枚書かされるも、文の最後に小さくハーケンクロイツを書き残すなど、 今もなお反体制知識人を貫いている模様。 関連リンク ~ニキ一覧 コメント欄 ほんとすこ -- (名無しさん) 2018-03-10 18 40 14 すこ -- (名無しさん) 2019-02-21 23 52 23 さすがに草 当選前からスローガンを達成するという偉業を果たした -- (名無しさん) 2019-02-23 19 56 52 この後不登校になったんだよね… -- (名無しさん) 2019-11-12 08 22 28 かっけぇ…… -- (名無しさん) 2019-12-03 07 58 35 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/dmseitokai/pages/180.html
生徒会顧問 その名のとおり生徒会の顧問。ついている方は霧魔王様こと無名の霧さん。 生徒会の中でも(多分)頼れる人。 Nodvd化とか大抵やってくれるし、うたわれやホロウではお世話になりましたよw だが大抵見てるだけ( 移動 生徒会 無名の霧
https://w.atwiki.jp/seitokai_ss/pages/55.html
「真実は、いつも一つ!」 会長がいつものように小さな胸を張ってなにかの本の受け売りを偉そうに語っていた。 ……何かの本って言うよりは、マンガだけど。コ○ンだけど。しかも名言とかじゃなくて、決め台詞みたいなやつだけど。 他の三人に関しては、各々「そうねー」とか、「そうだなー」とか、「そうですねー」とか言って適当に流している。 仕方がないので、俺は代表して会長に訊ねる。……つまらなそうに頬杖ついてるのは、気にしない方向で。 「で、どうしたんですか? 生憎と会長が小さいのはアポト○シン4869のせいじゃないですよ」 「知ってるよ! わざわざ小さいとか言わなくていいよ! っていうか、それは元々殺すための毒薬だよ!」 「でも会長、真実なんて、人によって違うものですよ」 「あっさりと覆さないでくれる!?」 「……それに、真実なんて、知らなくていいことだって、あるんです」 「そんなシリアスめに言われたら私どうにもできないじゃない!」 「で、コ○ン一気読みしたんですよね?」 「確定済み!? わ、私はそんな単純じゃない!」 「じゃあなんでこんなこと言いだしたんですか」 俺は頬杖をついたまま会長に訊ねる。するとこの人は、自信満々に薄っぺらな胸を張って、こう告げる。 「これから生徒会室で、事件が起きます」 「何その予言!? 何が起きるか知りませんけど、確実に犯人は貴女ですよね!?」 「ちなみに殺人事件」 「物騒だ! 誰が殺されるんですか!」 「それはもちろん杉さ……、………被害者を言っちゃたら、つまらないじゃない」 「言っちゃってますよ! 俺軽く死刑宣告受けた気分ですよ!」 「大丈夫よ、杉崎。ちゃんと犯人は見つけ出すわ。じっちゃんの名にかけて!」 「それは金田一○助の台詞です」 「この生徒会には名探偵、『眠りのくりむ』がいるから大丈夫!」 「会長、それは会長が操られるだけです。誰かに眠らされてるだけです。おっちゃんのポジションです」 「昔、探偵学園にもいたもん!」 「現実に無いでしょう、あれ」 「その時は、殺人事件に何度も関わったわね、容疑者として」 「あんた何やってるんだ!」 「まったく、行く先々で事件に絡まれるのも疲れるのよ」 「名探偵と同じ病気を、容疑者側で背負ってるんですね」 「一回だけやっちゃったこともあるんだけど……、………泣き落しで、警察って騙せるみたいだよ?」 「待て待て待て待て! 前科アリ!?」 ……ヤバい、会長と一対一で、俺がツッコミにまわるこの状況はヤバい。会長は弄られるべき人材なんだ。弄る側で、あっていいわけがない。ここはなんとかして、俺が主権を握らなければ。 「かいちょ――」 「で、アカちゃん、どういうことなの?」 「うん、本当に事件が起きるわけじゃないんだけどね」 「――――」 発言の機会を逃しましたよ。反撃できずに終わりましたよ。会長ごときに、負けた気分ですよ。 床にしゃがみ込んで丸を書き始めた俺を無視したまま、知弦さんが質問を続ける。 「……つまり、どういうこと?」 知弦さんの言葉に、会長は鞄から一冊の本を取り出した。……まあ、見るからに『生徒会の一存』なんだけど。 「この『生徒会の一存』も、また新しく発売されるわ! それで今回は、『推理する生徒会』っていう話を入れようと思うの!」 『…………はい?』 会長の言葉に、疑問符が大量に浮かぶ。……待て待て、どういうことだ。 「いつも生徒会室で駄弁ってるだけでも、これだけの支持を受けてるじゃない。でもこれじゃ、そのうち読者が飽きるわ!」 「……まあ、飽きる以前にこんな本が評価されてるのが不思議なんですがね」 「たまには、空気の入れ替えみたいなことも必要なのよ! だから次の巻には、生徒会室で事件が起きて、それを解決する話を入れるわよ!」 「もう決定事項ですか。……でも、待って下さい。つまり、本当に事件が起きるとかじゃなくて、『事件が起きたかのようなストーリー』を一話だけ入れるっていう、そういうことですか」 「そういうこと!」 会長、にっこにこだった。 ただ、少し引っ掛かりがあるのか、深夏が会長に問う。 「でもよ会長さん。前に、『ありのままの私たちを描く』みたいなこと言ってなかったか?」 「うっ……。……大丈夫よ、今までちゃんとやってるんだから。一話くらい羽目を外しても、きっと大丈夫!」 「……まあ、話の最後に、『この物語はフィクションです。この本の内容も全てフィクションです』とでも書けば、大丈夫ですかね」 「大丈夫じゃないよ! 本自体はフィクションじゃないよ!」 「『会長の存在もフィクションです』」 「私架空の人物!?」 「あ、やっぱり会長はフィクションじゃないです。ちゃんと、俺のハーレムに在籍してますから」 「私、架空の人物でもいいかもしれない」 酷い言われようだった。 「……でも会長、それってつまり、俺たちで推理小説まがいのことを考えなきゃないわけですよね。……きつくないですか?」 「そ、それは………やってみなきゃ、分からないじゃない!」 「やっぱり計画性はゼロか!」 「そ、そんなことないもん!」 俺が会長とそんなやり取りをしている最中、知弦さんは会長の鞄を漁っていた。そしてそこから、恐ろしいものを見つけ出す。 「名探○コナン……」 「ちょ、知弦! 何してるのよ!」 『…………』 会長は顔を真っ赤にして叫ぶ。……計画性ゼロどころか、完全なる思いつきだったようだ。生徒会室全体から会長に白い目が向けられる。 そして俺たちは一人ずつ……会長を追い詰めていく。 「会長。……今日の名言、浅すぎます」 「うっ!」 「アカちゃん。……私は、もう少しできる子だと思っていたのに……」 「ううっ!」 「会長さん。……恥を知れ」 「うぐぐぐぐっ!」 「会長さん。……真冬は、絶望した!」 「うわあああぁぁぁああああ!!」 あ、会長が泣いた。長机に顔を伏せて泣いている。……いや、それより真冬ちゃん。今日最初の発言がネタに走るって、どうなんだ。いいんだけど。 「冗談ですよ、会長。それに、企画自体は面白そうだし、俺はノリますよ?」 会長がしゃっくりまでしながら泣いているので、俺はフォローにまわる。実際、会長の提案自体はそこまで突飛なものではなかった。上手くいけば採用できる程度には。ならば、実行してみるのが俺たちだ。 「うぅ……、ほんと……?」 「ええ、本当です」 「キー君、鼻血」 「はっ!」 あ、危ない危ない。会長の涙目&上目づかいに、思わずやられてしまっていた。 「桜野くりむ……恐ろしい子っ!」 「何で!? どこにそんな要素があったの!?」 「……こんなに会長が好きな俺は、ロリコンと呼ばれても仕方がないかもしれません」 「それは私にとって不本意なことだよ!」 「じゃあ会長、本題に入りましょう」 「私弄られるだけ弄られて終わった!」 ……ふ、それでいい。会長は、弄られるべきなんだ。会長に弄られるなど、恥ずべきことなのだ! いつものように俺が進行役を務めることになり、架空の事件の提案が始まる。 まずは、一番この手に詳しそうな知弦さんに話を振る。 「何かいい案ありますか、知弦さ………、……深夏、真冬ちゃん。何かいい案ある?」 「ちょっとキー君。どうして私を飛ばすのかしら?」 「い、いや、それは……。………ほら! 一番詳しそうな知弦さんのアイデアは、最後のお楽しみということで!」 「………そう。まあ、いいわ。……最後のお楽しみではなく、最期のお楽しみになるかもしれないけれど」 ……まずい、背筋が凍る。半端じゃなく、寒気がする。知弦さんは怪しい目つきで、口元だけ笑ったままこちらを見ている。……いや、でも! 分かるだろう、俺の気持ち! あの人に案を出させたら、ものすごく物騒なことになる! 冗談抜きで殺人事件に仕立て上げられる! そして俺が被害者になる可能性、 99.9%! でも、残念ながら死刑宣告を食らいました。死亡フラグが立ちました。俺、今日の会議で殺されます。うぅ、美少女ハーレムを、作りたかった……! 「……さあ、二人とも。さっさと案を出してくれ」 「せ、先輩? 泣いてます?」 「ふふ……、泣いてないよ、真冬ちゃん。これは、きっと、汗なんだよ」 「なんつーベタな誤魔化し方を……」 「……で、深夏。何かあるか?」 「あたしか? あたしは……」 ふっと俯き、思考する深夏。……いや、さすがに、今回は熱血アイデアはないだろう。それ系統のものが入り込む余地はない筈だ。 「推理バトルモノとか、面白そうだよな」 「バトルはいらねえよ! つーか何と戦うの!?」 「そりゃあまあ、犯人とだな」 「犯人武闘派か!」 「まずは第一話で、普通に事件を解いていく。そして証拠も提示し追い込まれた犯人は、覚醒するんだ」 「どういう世界観設定!?」 「犯人はにやりと口元を歪ませ、パンっと両手を合わせる。そしてその両手を地面に押し付けると、コンクリートは形を変え、鋭い刃となって襲いかかってくる」 「真理見たのかその犯人。小説の一節みたいに話せばいいと思ったら大間違いだぞ」 「追い詰められる主人公。武器もなく、絶望的な状況。しかしそこに一つの影が現れ、犯人はその魔の手に倒れる」 「犯人死んだ!?」 「全ての謎を解き明かした直後に犯人を殺されてしまった主人公。そして犯人を殺した影は、こう呟く。『こんなミスを犯す者は、組織には必要ない』と」 「組織って何!? 犯人何に所属してたの!?」 「その影は去り際に一度主人公の方を向き、こう告げた。『命が大事なら、これ以上我らのことを嗅ぎまわらないことだ』」 「お前は、一体何者だ!」 「『俺か? 俺は、残響死滅。この世界に革命を起こす者。そして暗殺組織、鍵盤連合の頭だ』」 「まさかの残響死滅! そしてまさかの鍵盤連合! 犯人があっさり殺されたのにも納得はいくけど!」 「『……それでも、俺を追うというのか。杉崎鍵』」 「探偵俺だった!?」 「『よかろう。ならば、俺を捕らえて見せよ』」 「無理じゃね!?」 「違えよ、鍵。今捕まえるとかじゃなくて、組織の犯罪を暴いていってみせろってことだ。主人公に戦う力はないが、推理力がある。そして武力行使に出てくる敵には、同じく武闘派の相棒がいるから、そいつが戦う」 「うん、まあなんとも少年漫画っぽい展開だな」 「どうだ?」 「……いいか、深夏。今日の企画は、生徒会内での軽いネタくらいのものだ。メインは、俺たち五人だ。……この物語を、どう作れと」 「えー。じゃあいいよ。バトルはやめるよ。こういうのはどうだ? 存在しなかった筈の証拠を突きつけて、犯人を追い詰めていく探偵が活躍するマンガ」 「……なんか、聞き覚えあるフレーズなんだが。しかもマンガってなんだ。週刊誌連載でも目指してるのか、お前」 「タイトルは、そうだな……。擬探偵T○APとか、どうだ?」 「駄目だ。それは、バク○ンの中のマンガだ」 「えー」 「えー、じゃねえよ。大体、マンガじゃ駄目だって言ってんだろ」 「分かったよ。じゃあマンガは、別な人に依頼するよ」 「……まあ、やるのは勝手だけど、いるのかよ、そんな人?」 「ああ、知り合いにな。小○健って名前だ」 「まさかの!? 今現在進行形で連載してるあの人!?」 「あいつの絵はすげえぜ」 「そりゃすげえよな! 実際にバ○マン描いてる人だもんなあ!」 「というわけで鍵。あたしは『推理バトルモノ』を推すぜ!」 「だからそれは無理だって言っただろ!」 ……ああ、分かってたよ。分かってたさ、こんな展開になることくらい! そしてこの先、俺にはツッコミ地獄が待っていることも、分かってるさ! でもなあ! 「……………」 まだ、発言してないからうずうずしてる人たちが、三人ほどいるんだよ!……これ、逃げらんないよな、俺。 「あのー、俺、ちょっと用事が……」 『駄目よ(ですよ)、杉崎(キー君・先輩)』 「やっぱり逃げ道はなかったか!」 がっくりと肩を落とす。……もう、いいよ。この状況、慣れたもの。ボク、もう辛くないよ。 「……じゃあ、次。真冬ちゃん。……あらかじめ言っておくけど、生徒会室での出来事だからね。俺たち五人以外、登場させちゃ駄目だからね」 「見事に釘を打たれましたっ!……うぅ、先輩。最近、真冬を封じ込めるのに慣れてきましたね……」 「そりゃ慣れるさ。……あれだけ、あれだとさ……」 遠い目でどこかを見つめる。……その先に浮かんできたのが、中目黒だったから怖い。真冬ちゃんに洗脳され始めているのかもしれない。……洒落にならないぞ、これ。もし俺が美少女に興味を持たなくなったらどうしてくれるんだ! 「その時は責任を取ってもらうからな!」 「何のですかっ!?」 「じゃあ次は知弦さん。どんな案あります?」 「真冬の番飛ばされたも同然ですよねえ!?」 「真冬ちゃん……」 「な、なんですか、先輩。真冬のことじっと見つめて……」 「よし、真冬ちゃんの考えは伝わった! じゃあ知弦さん、会長。何か案は……」 「ものすごい理不尽な弾かれ方ですっ!」 「大丈夫だよ真冬ちゃん。……君の気持は、言葉にしなくても伝わったから!」 「言葉にしないと伝わらないことも、あると思います」 「まあそんなこともあるよね。でもきっと言葉にしなくても、俺には伝わったから大丈夫!」 「……じゃあ先輩、真冬が何を考えていたか、当ててみてください」 真顔でじっとこちらを見つめる真冬ちゃん。……真冬ちゃんが、提案しようとしてそうなことねえ……。 「閉鎖された空間に閉じ込められた、何人もの美少年」 「!」 「ある人間はこの中に犯人がいるのではないかと疑い始め、またある人間は協力してここの脱出を試みようとする」 「…………」 「その中で芽生える友情、愛情、そして愛憎。彼らは無事脱出することができるのか!」 「限りなく真冬の考えに近いです!」 「主演、杉崎鍵・中目黒善樹」 「もうほぼ完璧ですっ!」 「犯人は……、一体誰なのか」 「映画の宣伝っぽいですね」 「犯人は、真冬ちゃんだ!」 「どういう展開ですかっ!?」 「実際、こういう展開になったとしたら犯人は高確率で君だろう」 「否定できませんっ!」 否定してほしかった。 というわけで真冬ちゃんを封じることに成功。俺はアカちゃん検定二級だけでなく、真冬ちゃん検定も二級くらい習得できるかもしれない。……被害を抑えるため、かなり自虐に走らないといけなくなるけど。喋ってる間は、少し辛いけど。気付けば真冬ちゃん以外の全員は、その勇気と根性をたたえる目で俺を見ていた。……や、実際問題、主演のところ以外は何も苦しむことなく話せたわけだけど。被害は最小限に収まった。 けど……。 「……じゃあ、知弦さん。お願いします」 「ええ」 ここにきて、さっき俺が死亡フラグ立てたことを思い出しましたよ。……俺、死ぬのかな。知弦さんの物語の中で死ぬのか、それとも現実で……。 「…………」 「どうしたの、キー君。そんなに青褪めて」 「……なんでもないです。さあ、どうぞ、知弦さん」 どうやら今の俺、相当顔色が悪いらしい。それでもなんとか話を促すと、知弦さんは話し始める。 「そうね……。参考までにということで、実際に私が関わった事件の話でもしようかしら」 「知弦さんなら、本当に殺人事件にでも関わってそうで怖いです」 「これは、そう。去年の冬のこと。私はとある離島の洋館にいたわ」 「何その推理小説にありがちな舞台!」 「船は一週間に一度しか来ない場所でね。もともと一週間はそこで過ごす予定だったのだけど……、事件が起きたわ」 「何かすごく怖いんですが」 「本来その島は、自然豊かな観光地だったのよ。そこで休養を取ろうとする人たちも多く、私たちは十人ほど、その島へ向かったわ。無人島、というわけではないのだけれど、そこに住んでいるのはたった一人。その洋館の管理者だけなのよ。 一週間に一回の船で食料は送られ、十分に蓄えてある。炊事等はその管理者がやってくれる仕組みになっていてね。私たちはその大きな洋館に泊まることになっていたの。 ……けれど、島に着いてすぐ、第一の事件が起きたわ。 その島を行き来する船は一つしかないのだけれど、その船が、爆破されたのよ。 幸いにも、全員が船から降り、船の操縦者も見送りのために船からは降りていたのだけれどね。……その船は、爆発の後炎を上げ、そして海へ沈んでいったの。死人が出なかったことが不幸中の幸いね。 おかしな爆発だったわ。燃料とかを積んでいる場所での爆発じゃない。爆発の後の炎は燃料に引火してのものだったようだけれど、爆発そのものは不自然なところから起きたの。……まるで、誰かが爆弾を仕掛けたかのような、ね。 私たちはすぐに、島の外部と連絡を取ろうとしたわ。けれどその島は、携帯の電波は入らないらしくてね。……皆、困惑していたわ。 けれどその洋館には、島にたった一つの建物には、電話があるわ。それを思い出した管理者……彼は、五十代後半くらいのお爺さんだったのだけれどね。とは言っても、若々しい方だったわ。まるで執事のようにぴしっとスーツを着て、物腰も丁寧。ええ、本当に執事のような人だったの。 それで彼が、洋館になら電話がある。そこで連絡を取ろうと提案してくれたの。誰もが安堵の息を吐き、洋館へ向かったわ。 ……でも、おかしいの。電話が、繋がらなかったのよ。 その日は雨が降っていたわ。おまけに濃い霧が島全体を包んでいた。そのせいで繋がらないんだろうということで、明日また電話をしてみるということになったの。どうせ食料はたくさんあるし、生活環境は整っていたからということでね。 私たちは、一人一室と部屋を割り当てられたわ。ベッドもある、暖炉もある。部屋にいる限りは、今日会った出来事を忘れられるほど、素敵な部屋だったわ。 夕食は、その管理人さんが作ってくれたのだけれどね。とても豪華で、おいしい料理だったわ。そして夕食の後、一晩を越したの。 ……でもその翌日。第二の事件が起きたわ。 朝食を済ませたあたりで、全員の心は少し和らいでいたわ。生活環境は十分すぎるほど整っていて、しかも今日は晴れ。電話も繋がるだろうから、心配事はもうないんじゃないか、ってね。 でもその考えは甘かったの。……電話線が、何者かの手で切られていたのよ。 昨日の時点では、電話線は切れていなかった。それは全員が確認してる。じゃあなんで切れていたのか? 何者かが、昨日のうちに切ったからよ。 その場所に来ていたのは、全部で十一人。私と管理人、そして船の操縦者を除くと八人ね。私はその中に犯人がいるのではないかと思い、調査を始めたわ。……けれどその日は、何も手掛かりを見つけられずに終わったの。 そのまま一日が過ぎ、次の朝。私たちが食堂として使っていたホールに……大量の血痕が、あったのよ。 すぐに私たちは全員、そのホールに集まったわ。そのにいたのは十人。つまり一人が足りないの。 この洋館の管理人。彼が、いなかったわ。 私たちはすぐに探し始めた。けれど彼を見つけることは出来なかった。その代わりに、違うものを見つけたの。 テーブルの下に、血文字で書かれた文章。そこには、『一人ずつ死んでいく。そして死人が送られるのは、黄泉の国か、地獄か』というものが書かれていたの。 最初は、意味が分からなかったわ。分かったのは、もう管理人はこの世にいなく、さらに、死体までもが消えたこと。ここには彼以外のだれも住んでいなかった以上、彼を殺し、死体をどこかへ消したのは犯人は、この中にいること。……そして、気付いたの。黄泉の国、つまり天国ね。天国も地獄も、私たちがいる場所からは絶対に届かない場所。 つまり。 この文は、殺しを繰り返し、その死体をも消し去るという、残虐な犯行予告だったのよ」 『…………』 気付けば全員、聴き入ってました。知弦さんの話術に、呑み込まれてました。会長に至っては、人が死んだというあたりから両腕で体を抱え、震えながら聴いていました。 少し間をおいて、再び知弦さんは話しだす。 「全員が全員、疑心暗鬼に陥ったわ。誰が犯人かもしれない。今度殺されるのは、自分かもしれない、ってね。 そうしている間にまた一日が過ぎてね。部屋には鍵がついているから、よっぽどのことがない限りは安心だったのだけれど、また被害者が出たのよ。朝ホールに集まった時に一人足りなくて、皆でその人の部屋を見に行ったの。いくら呼んでも返事がないのだけれど、鍵は内側からしまっていたのよね。それで何度呼んでも返事がないから、仕方なく私たちは扉を壊して中に入ったわ。 ……そしたら、また部屋の中は紅に染まっていたわ。ベッドに着いた血はもう乾いていて、そこ以外にも多数の血痕。……そして、またもや死体は無かったの。 高さ六階。窓からの脱出は不可能な場所での、密室殺人。しかも犯人の姿どころか、死体までもがそこにはない。 ここまでくると、常に恐怖が付き纏ってくるわよね。それでも時間は過ぎていくし、毎日きっかり一人ずつ死んでいったの。 ……気付いたら、もうその場には、私ともう一人、船の操縦者しか残っていなかった」 知弦さんが大ピンチだ! 少し青褪めた顔で、会長が知弦さんに問う。 「つまり、犯人はその船の……?」 「違うわ、アカちゃん」 「! じ、じゃあまさか、犯人は知弦……!?」 会長の言葉で、緊張に包まれる生徒会室。知弦さんはしばし無言を保っていたが、とうとうその口を開いた。 「犯人は、洋館の管理人よ」 「! ど、どういうことですか!? その人は最初に死んだ筈じゃあ……」 「違うのよ。死んだと、思い込んでいたの。考えてもみなさい、キー君? 犯人が死体を隠す意味は、どこにあったの?」 「そ、それは……」 「つまりね、カモフラージュなのよ。最初の事件での犯人からのメッセージ。そしてそれを実行したかのような痕跡。これに、騙されたのね。あのメッセージに意味はない。ただ、管理人が犯人である可能性を、いち早く潰すための仕込みだったのよ」 「そ、それで、知弦さんはどうなったんですか……?」 「ええ。私はそこにきて、ようやくこの事実に辿り着いたわ。彼が犯人なら、死体を隠す場所だって心得ているし、各部屋のマスターキーだって持っている。電話線だって簡単に切れるし、考えてみれば一番犯行を上手くやれる人間だったのよ。それが最初のあれで完全に騙されていたのだけれどね。ちなみにアカちゃん。貴女、さっき船の操縦士が犯人ではないかと言ったわよね。……あながち、間違いではないわ」 「ど、どういうこと?」 「実行犯は管理人。けれど、彼もグルだったのよ。彼らが私怨を抱く者たちをその孤島に集め、殺していく為のね。船の爆破や、被害者たちの招待は操縦士の方がやっていたのよ」 「じ、じゃあ何で知弦は無事だったの?」 「私は、招かれざる客だったのよ。彼らとの繋がりも何もなかった。偶然場に居合わせた人間。……そして、私は手に入れた真実を彼に、操縦士に突きつけた。すると彼は諦めたような顔をして、さらに、今まで隠れていた管理人も姿を現したわ。元々彼らは、この犯行後に自分たちも死んで償うつもりだったらしいのだけれど、そんなことをするくらいなら、自首をして罪を償えと、そう言ったのよ。そうしたら、彼らも改心してくれてね。実は島の裏にもう一隻船があって、私たちはそれで帰ったわ。そして彼らは警察に行った。私を巻き込むのは申し訳ないと、私が現場にいたことは伏せてくれたけれどね」 ……そうして、知弦さんの話は終わった。 「……なんて言うか、本当に推理小説みたいな話ですよね。全部、細かく聞いてみたい」 「そうね、キー君。……でも、それは無理よ」 「? どういうことです?」 俺の疑問に、知弦さんはニッコリと笑って、こう答えた。 「という、夢を見たという話だもの、これ」 『つまり嘘かあぁぁぁああああ!!』 小さい嘘のための、やたら壮大な話だった! 「それはそうよ。だって私なら、もっと早く真実を見抜いているもの」 「その自信はどこから!」 「大体、私がそんな島に行く理由はどこにあるのよ?」 「それはそうですけどねえ!」 「夢ということで、断片的な記憶しかないから、今話したことが全てよ。管理人や操縦士、被害者の名前が出てこないのもそのためね」 「筋は通ってるのになんか納得いかない!」 「あ、でも第一の被害者だけは名前が出てきたわ。杉崎鍵という名前よ」 「俺犯人に私怨抱かれてたの!? 何で!?」 「犯人は、ハーレムという言葉が嫌いだったのね」 「それって私怨に入ります!?」 ある意味、深夏や真冬ちゃんのものよりも酷い話だった! あまりに衝撃的な話だったため、一先ず俺たちは番茶で落ち着く。……あー、番茶うめぇー。 「じゃあ会長、今日はそろそろ解散ですね」 「私まだ何も提案してないじゃない!」 「だって……、………ねえ?」 「その間は何よ!」 「分かりましたよ。じゃあ提案してみて下さいよ」 ……だって、会長が、どうやって推理小説っぽい案を出すっていうんだよ。悪いけど、無理がある。 しかしあらかじめ考えていたことがあったのか、会長はすぐに発言する。 「やっぱり、犯罪組織っていいと思うの!」 「シリーズ化する気満々じゃないですか。あんたさっき一話限りって言ってたでしょう」 「組織の人間は、コードネームで呼び合うのよ!」 「だから会長。○ナンでしょう、それ」 「例えば……、ビールとか、焼酎とか!」 「完全にコナ○ですね、酒の名前って。しかもどんだけ馴染みのある酒ばっかりですか」 「たった一つの真実見抜く!」 「どれだけコ○ン好きなんですか。まさか全巻一気読みでもしました?」 「見た目は大人、頭脳も大人!」 「残念ながら、会長は見た目も頭脳も子供です」 「その名も、名探偵くりむ!」 「ここまで迷探偵って言葉がしっくりくる人、珍しいですよね」 「どう、杉崎!」 「却下です」 「なんでよ!」 なんで、ってもねえ……。 …………。 「……会長、一つ分かったことがあります」 「な、何よ」 「今日の名言、間違ってないです」 「そ、そうでしょう!」 会長は嬉しそうに胸を張っていた。 「会長、こんな提案から始まって、上手いこと会議が進んだことって、今までありました?」 「………………………………………あったわ!」 「今ものすごく必死に考えてたでしょう。残念ながら俺は記憶にないです。つまり、真実。こんな展開で始まった時は、大概ぐだぐだ会議が終わるっていう真実があるんです」 「………そうかもね」 今度はしゅんとする会長。その眼尻には薄っすらと涙が浮かんでいた。……ああ、やばい。可愛い。すっげえ抱きしめたい。 落ち込んでしまった会長に、俺は笑顔で告げる。 「でもね会長。こんな突拍子なことしなくても、読者は、生徒は面白いと思ってくれてますよ」 その言葉に、会長はきょとんとした顔をする。他の皆は、会議が始まった時とは違う自然な笑顔、自然な声で、「そうね」とか、「そうだな」とか、「そうですね」と同意してくれていた。 「俺たちは普段、生徒会室で駄弁ってばかりです。生徒会の一存だって、その様子を小説にして収めただけです。でも会長。それを面白いと言ってくれる人、結構多いでしょう?」 「……そう、ね。そうだよね! うん、そうだそうだ!」 会長はすっかり笑顔になっていた。俺たちもまた柔らかい笑顔で、会長を見つめる。 「じゃあ杉崎! そんな私たちの日常が詰まった今日の会議も、今日のうちに小説にしちゃおう!」 「え」 「うんうん、今日の会議は充実してたし、きっと面白くなるよ! ということで杉崎、任せたわよ!」 「え、あの、ちょっと……」 「じゃあ今日の会議、終わりっ! 解散っ!」 「ちょっと、待――」 …………。 ……というわけで。 ただ今、夜八時。未だに生徒会室にて、一人執筆中。 ※この物語はノンフィクションです。
https://w.atwiki.jp/kaero/pages/11.html
生徒会備品 仕事に必要なもの(関係ないものも多々あり) Nランス akatsuki号 トールハンマー いちご計画 クミン もりたな 獅子神様 田中 TOPへ
https://w.atwiki.jp/eastwich/pages/39.html
03 生徒会の困惑 こんなに憂鬱な日曜日があっていいのだろうか。今日はついに、文化祭当日である。 「絵馬くん、大丈夫?」 「だだだ大丈夫です」 舞台裏で台詞を暗唱していると、六橋さんが声を掛けてくれた。 「王子様は台詞多いから大変だよね。頑張ってね!」 そして、天使のスマイル。癒しのオーラが見えるよ。俺も微笑み返し、はい頑張りますとか言おうとした、その時だった。六橋さんの体がぐらりと揺れ、俺に向かって倒れてきた。一瞬、抱きつかれたのか思ったが、残念ながらすぐに違うと分かった。……気を失っている。辺りを見回すと、準備をしていた他のクラスメイト達も、床に倒れて気絶しているようだ。もしかして、と思い客席に出てみると、やはり集まった生徒達も、全て意識を失っている。……何だってんだよ、一体? 「絵馬!」 「ひえぇ!?」 驚いて振り返ると、そこにいたのは、えみるとリイナだった。 「これ、何がどうなってんだ?」 「分からない。私達の方でも、突然、お客様が気を失って……眠ってるみたいなんだけど……そしたら、こうなって……」 リイナは困惑した様子で壁を指す。見ると、天井も含め、体育館の壁全体が、植物の蔦のような物で覆い尽くされていた。蔦には凶悪そうな棘が生えている。これじゃあ、まるで── 「荊の城、じゃねえかよ」 誰の魔法か?そういえば弥生先輩が言ってたな、気を付けろとか、何とか。 「とりあえず生徒会室に集まれって、弥生先輩が」 今はメイド喫茶だけどな。何となく緊張感を削がれた気分で体育館を出ようとすると、後ろで、小さく叫び声がした。 「えみる?」 「絵馬、あ、足」 えみるは、怯えた表情で自分の足を示す。見ると、壁から伸びてきた蔦が、その足に絡み付いていた。それに引っ張られるように、小さな体が床に沈んでいく。 「えみる!」 「絵馬……!」 手を伸ばすが、蔦が邪魔をして届かない。あっという間に、えみるは床の中に飲み込まれてしまった。 「な、何なんだよ、これ!?」 「絵馬、うろたえてる場合じゃないみたいよ」 リイナが指さす方を見て、俺は思わず息を呑んだ。荊の蔓が、生き物のような動きでこっちに近づいて来る。おいおい、あれ相手に戦えってのか? 「任せて」 冷静に言い放つと、リイナはどこからかホイッスルを取り出し、ピイィィィ!と吹き鳴らす。その瞬間、目の前で黒い閃光が瞬いた。すると荊は次々と弾き飛ばされ、全てが片付いた後、そこに立っていたのはリエナだった。 「リイナ、無事か!?」 黒のポニーテールを振り乱し、リイナに駆け寄るリエナ。こいつ、どこから現れたんだ。召喚獣か? 「そっちはどうだった?」 「うむ、校内にいる人間は全員眠らされているようだ。外傷が無いのを見ると、おそらくは何らかの魔法、だろうな」 そう答え、表情を険しくするリエナ。どうやら、生徒会で手分けして校内を調べているらしい。 「ここでグズグズしてても仕方無いわ。とりあえず……」 「生徒会室に集まって、作戦会議だな」 俺たちは互いに頷き合い、体育館を出た。 (つづく)
https://w.atwiki.jp/seitokai_ss/pages/43.html
「音楽は聴くだけでなく、演奏してこそ価値があるものなのよ!!」 会長がいつものように小さな胸を張ってなにかの本の受け売りを偉そうに語っていた。 ―何というか、これほどまでに次の展開が読めるテーマも珍しい。 俺としてはこのまま次の展開に入るのはおもしろくないので、ちょっと反抗してみた。 「―でも会長。音楽に対する価値観なんて人それぞれ、千差万別だと思いますよ?」 「そうね――キー君の言う通りよアカちゃん」 以外にもはじめに知弦さんが乗ってきた。(いつもなら深夏あたりが最初に絡んでくるんだが) 「音楽を聴くことに価値を見い出す人もいれば、演奏することに価値を見い出す人もいる―― 演奏することによって音楽の価値が変わるかは、当人次第よ?」 うむぅ。 やはり知弦さんは言うことが違うね。 いつも、熱血方向にしか話が進まない深夏とはエライ違いだ。 当の深夏はというと――お、手で頭をわしゃわしゃしてる! ―確かに、アイツは小難しい話は苦手だもんなぁ。 許せ、深夏。 今日は、インテリ方面へ展開して出来る男をアピールすることに決めた! 俺は早速、カメラ目線になって―― 「・・・実に面白い」 (((ガリ○オ!?))) それに続き、知弦さんはにまりと微笑み― 「・・・そうね、実に興味深いわね」 「―な、何か二人とも、へ、変だよ?わたしはただ――」 「―会長。言わなくても分かっています。―あなたは試そうとしてるんですね・・・演奏する側にまわって自分の価値観がどう変化するのかを」 「―アカちゃん、素晴らしいわ・・・私たちは全力で協力するつもりよ」 「ふぇ?そ、そーなのかな・・・(なんかむつかしい話になってきたよぅ・・・)」 俺と知弦さんの狙い通り、会長は話の流れを戻すことが出来ずにオロオロしていた。 (―もう少しからかっても大丈夫ですかね(ニヤリ)) (―そうね。まだ大丈夫だと思うわ(ニヤリ)) 俺と知弦さんはアイコンタクトで確認。 「おねーちゃん、あの二人怖いです・・・」 「・・・大丈夫だ、真冬。いつものようにBL妄想少女でいれば、あの二人に相手にされることはない」 「ひ、ひどいですっ!!おねーちゃんは、いつも真冬をそんな風に見てたんですか!?」 「―え?あれ、違った?」 「心外ですっ!!真冬、会議中はトリップしないって、つい最近誓ったばかりですっ!」 「つい最近じゃねーか!」 ―何やら椎名姉妹がいつの間にかもめてるようだが、計画に支障はない! 「―そうですね・・・まずは、現状の価値観から確認しましょうか」 「現状の価値観を認識した上で、どう変化するのか分析する訳ね・・・やるわね、キー君」 「えぅ・・・(もうわけわかんないよぅ・・・)」 「―あ。おねーちゃん、会長さんが助けて欲しそうな目でこっちを見てます―」 「よせ!見るな、真冬!!巻き込まれるぞ!」 (―知弦さん、いよいよ会長が泣きそうなんですが) (そうね・・・名残惜しいけど、これまでのようね) 「「インテリモード解除」」 「「インテリモードって何だよ(ですか)!?」」 椎名姉妹が的確にツッコンでくる。 ―さすが姉妹、息がぴったりだ。 ちなみに会長は、何かが終わったと感じたらしく、 ちょっとホッとしていた。 「―インテリモードっていうのは・・・・・・説明めんどいな・・・」 「何でだよ!?さっきまでやけに饒舌だったじゃねーか!」 「そうです!先輩には説明責任があると思います!」 「・・・はぁ、しょーがねーな。インテリモードってのは、インテリジェンスモードの略。以上」 「全然、これっぽっちもわかんねーよ!!」 「先輩、さっきから何か冷たいです・・・」 「・・・ったく、ウゼぇな。”実に面白い”で発動し、”解除”まで聡明なトークが出来るモードだよ。・・・あと、副作用で解除した後、一定時間”やさぐれる”」 「副作用が最低だー!!」 「・・・うぅ・・・真冬、ウザいって言われました・・・」 「・・・ちょっと深夏、静かにしてくれないかしら。耳が腐るわ・・・」 「こっちもかあぁぁぁっー!!」 ――――― 「―お、音楽は聴くだけでなく、演奏してこそ価値があるものなのよー!!」 会長がいつものように小さな胸を張ってなにかの本の受け売りを偉そうに語っていた。(今日二回目) ―何かヤケになってるな、会長。 ちょっとからかい過ぎたようだ。 ちなみに、俺も知弦さんもさっきの”副作用”の効果は切れている。 「―会長。そもそも、楽器なんてできましたっけ?」 「出来ないよ!!」 「そんな力いっぱい否定しなくても・・・って、じゃあ演奏なんて不可能じゃないですか」 「大丈夫!ゆ○にだって出来るんだから、わたしにも絶対できるはず!!」 「け○おんの見すぎですよ!!」 「―今がチャンスなんだよ!け○おん人気に便乗して、生徒会の人気もアップ間違いなし!!」 「ええっ!?生徒会―って、俺らも参加するんですか!?」 「当然!!生徒会のイメージアップ作戦なんだから!」 「―というわけで、生徒会でバンドを組もー!!」 『ええー』 ―もう、こうなってしまっては誰も会長を止めることが出来ない・・・ 誰もがそれはわかっているようで、今さら不平不満を言う人物は誰もいなかった。 「そうと決まればまずは歌だよ!!―ふっふっふ~、実はもう用意してあるんだよ~」 会長は、カバンの中からいそいそと何かを取り出し― 「―うーんと誰がいいかな・・・じゃあ杉崎。ちょっとこの歌を歌ってみてー」 「え、俺ですか?」 会長が何やら文字の書かれたルーズリーフを手渡してきた。えーと、歌詞? 「じゃあ、ミュージックスタート!!」 どこから取り出したか、ラジカセの再生ボタンをぽちっと押す会長。 『♪~~♪~~~』 あ、音楽が流れ始めた。 ―って、どこから歌い始めるんだ? ぽちっ あ、止まった。 「杉崎~、もう始まってるでしょ!頭からよ頭から!」 んなこと言われても、わからねーし。 「もっかいいくからね!―ちょっと待って、えーと」 きゅるきゅる 巻き戻してる!! 今どきカセットテープかよっ!! 「はい、おっけー。じゃあ、改めてミュージックスタート!!」 ぽちっ えっと、頭から頭から―― 『♪~~♪~~~♪~~~』 「は~るかなせ~かいにあるという~」 ん? 何か聴いたことあるような・・・ 『♪~♪~~~♪~~~』 「こ~のよのひみつをしるという~」 『♪~♪~~~♪~』 「し~んぴのほうせき~~~」 「「「「「生徒会っ!!」」」」」 「パクりだぁああぁああっっ!!!!!」 「―む。何を言うのかな杉崎は!この歌は、わたしがちゃ~んと作曲したんだよ!!」 「何言ってるんですか、会長。まんま”新ビッ○リマン”のオープニングじゃないですか!!」 「・・・そ、それは多分・・・そっちがわたしの歌に似てるんだよ!!」 「―あと、選曲が古いっ!会長、一体いくつなんですか!?」 「そんなの知らないもん!!作者に聞いてよ!」 「作者とか言うなーっ!!」 誤解の無いように言っておくが、 作者はこの俺、生徒会副会長『杉崎鍵』だ。 決して、アラサーの社会人などではない!! 「―と、とにかく。曲が全く同じで歌詞だけを変えたものは、”替え歌”です!!」 「む~」 「しかも、”知ってるかい”を”せいとかい”に変えただけじゃないですか!!すっごい小変更っ!」 「・・・むむむ・・・む~」 「あと、ラジカセに入ってるカセット。当時のカラオケテープそのまんまでしょ!」 「―む~っ!もー、怒った!!そんなに言うなら、杉崎が作曲してみてよ!」 会長は頬をぷぅと膨らませ、無茶な要求をしてきた。 「―何でそうなるんですか!―それに、そんなにすぐに作曲できるわけが――」 「出来たぜ!」 「出来ました!」 「出来たわ」 「えええぇーっっ!?―たった今のやりとりの時間で!?・・・恐るべし、美少女スペック!!」 「―ほら、文句ばっかり言ってて、何もしてないの杉崎だけだよ!」 「・・・むぅ」 ―何で俺が責められてんだ? 「―それじゃあ、深夏からいってみよー」 「おう!―ほら、鍵。コレが歌詞だ。―ちなみに、あたしも替え歌だ」 深夏の奴がまたまたルーズリーフを俺に渡してきた。 「また俺が歌うのか・・・」 そして、ラジカセのテープを交換し―― ―っていうか、カセットテープ流行ってんの? 「―準備おっけーだ。ミュージックスタート!!」 俺の意思は全く無視され、深夏が再生ボタンを押す。 『♪♪♪♪~~♪~♪~~♪~~~』 ―おうっ!? これはまた、めちゃくちゃ有名な熱いアニソンだな。 『♪♪♪♪~~♪~♪~~♪~~~』 「だ~きしめた~こ~ころのこすも~」 『♪♪♪~~♪♪~♪~~♪♪~~~』 「あつく~もやせ~きせき~をおこせ~!」 ―むぅ・・・名曲だ。 俺は、いつの間にやらマイクを手にし、立ち上がって歌っていた! 『♪♪♪~~♪♪~♪~~♪♪~~~』 「「ぺ~がさすふぁんたじ~!そうさゆ~めだ~けは~!」」 深夏もノリノリでハモってくる―― 『♪♪♪~~♪♪~♪~~♪~♪~~』 「「せ~いんとせいや!!!しょ~おねんはみんな~!」」 『♪♪♪~~♪~♪~~♪♪~♪~~』 「「あし~たのゆうしゃ~!!お~いぇ~!!!」」 「―二人とも・・・ノリノリだね・・・」 「ほんとね・・・というかキー君の歌もかなりうまいけど、深夏のハモりも絶妙ね・・・」 「・・・なんだか息ぴったりで、ちょっと悔しいです・・・」 『♪♪♪~~♪~♪~~♪♪~♪~~♪』 「「せいんとせいや!!いまこそ!は~ば~たけ~ぇ~!!!」」 『♪♪♪~~♪~♪――ジャン、ジャジャン!』 歌が終わり―― 「「いえーーっ!!!」」 俺と深夏はハイタッチを交わし― 「―さすが鍵だぜ!!あたしの目に狂いはなかった!サイッコーに熱かったぜ!!」 「いや、深夏のハモりがあってこそだった!俺だけじゃ、これ程の感動を生まなかったはずだ――」 「―よせやい、照れるだろ~!」 上機嫌で俺の背中をバシバシ叩く深夏をふと見ると― ノリノリで歌ったためか、片方のリボンがほどけかかっていた。 「―深夏。ちょっと右向け、右」 「んぁ?―いきなり何だよ、鍵」 「いいから、向く」 「わーったよ。―こうか?」 「―逆だ逆、回れ右」 「・・・これでいいか?」 「おっけーおっけー。ちょっとそのまま動くなよ?」 俺はほどけかかったリボンをシュルリとほどくと、 すばやい手つきで結び直した。 「―ホレ。ほどけかかってたぞ、感謝しろよ?」 「―あ。お、おう。サンキュ、鍵。悪ぃな」 「「「・・・・・・・・・・・・」」」 「―さて、次は誰―――」 その時やっと、深夏以外のメンバーの様子がおかしいことに気がついた。 じとーっていう感じの目で、こちらを見てらっしゃいますよ? ―あれ?何か俺、まずった? 「―会長・・・?」 「むー、今日はもうおしまい!!―杉崎は罰として、オリジナル曲を作ってくること!!」 「―はい!?急にどうしたんですか、会長。それに――何ですか罰って!」 「―ば、罰は罰だよ!!」 「だから、何の罰――」 「―私も、アカちゃんに賛成。キー君は罰を受けるべきだわ」 「ち、知弦さんまで!?」 「真冬も賛成です!!」 「えぇーっ!?」 ―何で!? 俺は言われた通り、歌っただけなのに! 唯一何も言ってこない深夏を見ると―― 何やら満足げな表情で、俺が直した方の髪をいじっている。 ―もう、わけがわかんねーっ! 「―何の罰なのかわかんないですけど・・・わかりましたよ!!曲、作ってくればいんでしょ!」 「うっわ。杉崎逆ギレ・・・」 「あれだけイチャつきながら、自覚なしとはね・・・」 「・・・先輩、おかしなところで鈍感さんです・・・」 「その代わり、曲だけです!!作詞はしませんからね!」 「むむー、まーいっか・・・でも!ハ○晴れ○カイばりの曲を作ってこないと承知しないよ!」 「ハードルたっけぇーっ!!」 「なぞなぞぉ~みたいにぃ~」 「歌わないで下さい!!」 「・・・じゃあ私たちは、作詞をしてくればいいわけね」 「その通り!!作詞は女の仕事!」 「―真冬、頑張ります!!」 「―ん?作詞?」 ―会長が勝手に女の仕事をひとつ増やし・・・ ―真冬ちゃんが珍しくやる気を見せ・・・ ・・・深夏の奴だけが話に付いていってなかった。 「よーしっ!!そうと決まったら、解散~!!―みんな、明日は期待してるからね!」 そして― 生徒会室を後にする女性陣を見ながらふと思ったんだが・・・ 「―バンドするんなら、パート決めの方が先じゃね?」
https://w.atwiki.jp/dmseitokai/pages/182.html
生徒会書記 色々記録とかする人。担当者は天丼の人こと茶葉さん。 普通にしっかりとしていて普通に頼りになって普通に変な人。しまったこれ役職説明じゃねえじゃん( えーと……まああとだれかまかせた!( 移動 生徒会 茶葉
https://w.atwiki.jp/dmseitokai/pages/177.html
生徒会会長 この組織というかグループと言うか家族の最高責任者。着いてる人はかいちょーことしんしあさん。 一番偉い筈なんだが皆がぜんあくの人の事ばかり聞くのであまり実感がわかない。 だが皆この地位はかいちょーでないといけないと思っている(リーフ談。 なんだかんだいって愛されている事には違いない。 ↑事実なのだから仕方が無いわぁ。しんしあ談 移動 生徒会 しんしあ