約 14,196 件
https://w.atwiki.jp/clownofaria/pages/133.html
第一部 『眠れない二日間』⑬ 〈零時五十分 綺璃斗〉 神社で交戦した蒼月から命からがら逃げた綺璃斗は上空から狂気をまき散らかしていた。 狂気は下で歩いている民間人や局員がその被害をくらい、体調不良で倒れる人や狂気で狂う人が増えてきた。 狂気で開放された人たちが放つ狂気が黒き靄となって、少女の身体に吸い込まれていく。 周囲が錆びた鉄のような匂いや鼻の奥がつんと痺れるような甘ったるい奇妙な臭気が濃くなって行くにつれて少女は身体が修復されていくのを感じた。 数分前に蒼月から受けた〈参乃陣四刃 八咫の黒』の傷は既に修復され、少女の身体自体が別の物に進化していく。 吸い込んだ黒き靄で進化していく彼女ならば、並大抵の魔導師に負ける事はありえないであろう。 しかしある種のうぬぼれに酔っていたさっきとは違い、今はどんな相手にすら全力で立ち向かうだろう。 「……?」 周囲に漂う靄から少女は不自然な物の流れを感じた。 次の瞬間、少女に向かって青い光を放つ線が向かってきた。 咄嗟に少女は周囲の靄を固め、漆黒の壁を形成。 しかしその青い線はその壁を突き抜け、少女の顔面ギリギリで止まる。 遥か下を見ると、とあるビルの屋上に青い魔法陣が展開されていた。 しかし綺璃斗の視覚ではその魔法陣の中心にいる存在を確認する事は出来ない。 その間にも次々と黒い壁に青い棒が突き刺さっていく。 「―――どうにか足止めは成功かな」 クラナガンに多くある高層ビルの一つ。 その屋上で一人の女性局員が空を見つめながら呟いた。 左手に握っているのは俗にボウと呼ばれる洋弓型デバイス。 しかしリムと呼ばれる弓の返る部分とストリングが異様に長いという意味では、和弓のような形状も持ち合わせていた。 青い棒が突き刺さった黒い壁を見つめる女性に念話の連絡が入る。 [えゆ三等空尉……こちらオウル・プリヴェント。集束まで後十秒。足止めをお願いします] 「こちら、えゆ。了解です」 念話でえゆと呼ばれた女性は展開された魔法陣の中で胴造りを行い、矢も無いままで打ち起こしまで行う。 そしてカムで重さを調整する事によって多くのエネルギーを蓄えながら引き分けをする過程で魔力が集束し、長い棒状の矢を作り出す。 サイトで標準を合わせ、空間把握魔法〈アルテミス〉で対象の位置を算出。その魔法で強化された視覚で対象を睨みつける。 対象は靄を固めた壁で身を護りつつ、周囲には黒い球体を配置。 何かが近づくたびに球体は黒い針となって伸び、その針は刃となってその身を鞭のようにしならせながら近づく物に斬りかかる。 えゆは軌道操作魔法〈クイックシルバー〉を矢に組み込む事で対象物以外を回避するように設定する。 「……限定十秒 対象のみを追尾《クイックシルバー》」 発射と同時に対象が移動する可能性も考慮に入れ、軌道操作魔法〈クイックシルバー〉で追尾効果も一緒に矢へ組み込んでおく。 サイトで狙いを合わせ、えゆはある程度の魔力を溜め込んだ矢を射出。発射時の振動と衝撃はスタビライザーで殺したが、タメ撃ちによって掛かった腕の負担でえゆは顔を一瞬だけ歪ませる。 射出された矢は青い光の尾を引きながら対象へと飛んでいく。 しかしその軌道上に浅葱色の魔力光を纏わせた少年局員が割り込む。 対象以外には当たらないように設定された矢は推進力として溜め込まれた魔力を使う事で強引に軌道を変える。 強引に軌道を変えたせいで勢いが衰え、対象の壁に突き刺さるどころか途中で霧散する。 えゆは共同戦線を張っている少年局員に念話を送る。 [ミヤモトくん。先行しすぎです] えゆから念話が送られてきた少年は忌々しげな顔で軽く舌打ちをする。 そして左手に持った日本刀型デバイスへ魔力を注ぎ込みながら黒い壁へと突っ込む。 魔力の込められた居合いがたたきつけられる直前になって、その壁に変化がおきる。 壁に突き刺さった矢を構築する魔力を失う事で消滅すると同時に黒壁が靄へと戻り、少女は靄を無数の黒い飛針に再構築して射出。 射出された針にとって突っ込んでくるミヤモトは格好の獲物。 咄嗟にミヤモトはバリアを展開するが、それが完成する前に針が身体に突き刺さる方が先であった。 顔や心臓はどうにかバリアで防ぐ事は出来たが、それ以外の部分には針が余すところ無く突き刺さる。 針の突き刺さる痛みと身体に狂気が染み込む激痛がミヤモトの脳内を焼き、ほんの数秒だけ思考能力を失わせる。 少女は笑みを浮かべながら、痛みで怯んだミヤモトに突っ込んできた。 その手に握られているのはミヤモトと蒼月が使っていた得物―――刀 鞘を握るような形で握った左手で刀を入れ、右手は刀の柄を握っている。 ミヤモトが刀の射程範囲に入ったとき、少女は刀を握った右手を左から右へ振り抜いた。 「Молния в темноте」 抜刀する事で切れた傷口から出た黒い血か靄か分からない物で滑らせた刃でミヤモトを切ろうとする。 そこでミヤモトは刃が身体に触れるギリギリで強固な結界を展開する。 危機一髪で助かったとミヤモトは思っただろうが、次の瞬間にはその考えは否定される。 野太刀の奔った軌道に沿って集束した狂気が巨大な黒き刃となり、ミヤモトの展開した結界をガリガリと削っていく。 最終的に黒き刃は定規を当てたのごとく綺麗な一文字を描きながら結界を切り裂き、驚愕で顔を強張らせるミヤモトに襲い掛かる。 ミヤモトはアサギの〈ブリッツ・リヒト・シュトライヒェン〉と蒼月の〈参乃陣四刃『八咫の黒』〉を模倣した斬撃によって大きく吹き飛ばされる。 意識が飛びそうになったがミヤモトはどうにか意識を保ち、少女から離れた所で踏みとどまる。 斬られた後を見ると、左の二の腕から右の二の腕にかけて綺麗な直線が入れられていた。 しかしバリアジャケットを着ていたおかげで、薄皮を斬られた程度であった。 ミヤモトが少女から離れて数秒後にタメ撃ちされた青い矢と琥珀色の弾丸が光の尾を引きながら少女の方へ迫る。 しかし少女はそれを持っていた刀でなぎ払った。 魔力を注ぎ込む事でバリアジャケットを修復しながらミヤモトは少女を狙撃する担当をしている一等陸士と遊撃担当のえゆに向かって念話で怒鳴った。 「オウルっ! えゆさんっ! 何で撃たなかったんだ!」 ミヤモトの怒鳴り声に頭が痛くなるのを感じながら狙撃担当のオウル・プリヴェント一途陸士は返した。 「お前が被って、撃てなかったんだ」 [私の位置からだと、ミヤモトくんも巻き込まれちゃうよ] 念話からわずかに震えて聞こえる聞こえる声でオウルは、えゆが撃たなかったのではなく撃てなかったのだと思った。 えゆの位置なら対象を撃つ事も可能であったのだろう。 しかし照準やスピード―――そんな些細な力加減次第で、矢がミヤモトに当たる危険性もあった。 敵の撃墜と、ミヤモトの無事。 えゆはその二つを天秤にかけ――― 矢を撃たないでチャージする事でえゆはミヤモトの無事を取った。 ミヤモトならばちゃんと自身が出来る加減を知っていて、危なくなったらちゃんと下がる事を信じた上での行動であったのだろう。 流石にミヤモトもえゆの気持ちが分かっているだろうと、アンチマテリアル型デバイス『ブリジット』の狙撃用のサイトで対象を狙いながら考えた。 しかしミヤモトから返された念話はオウルの予想とは遥かに反している物であった。 怒りで痛みすら忘れているらしく、ミヤモトは激昂しながら叫んだ。 [うるさいっ! 撃つ事に迷うなっ!] その言い方はまるで、味方の流れ弾に絶対当たらないという絶対の自信があるようにも思えた。 気遣ったえゆにそれは無いだろうと思う一方で、オウルはミヤモトが怒る理由も分からなくはなかった。 今、オウルが狙撃用サイトから見ている少女らしき物―――対象を撃墜。または拘束するのが今回の任務だ。 ならば、ミヤモトと言う一等空士の身を危険に晒すとしても―――狙撃担当のオウル・プリヴェントと遊撃担当のえゆは対象を仕留めねばならない。 例えそれが撃墜しなければいけない対象と一緒にミヤモトを殺すという結果にたどり着くことになろうとも。 共同戦線とはそういうものだ。任務を達成するためには仲間の命―――最悪、自身を進んで犠牲にするくらいの覚悟で望まなければならない。 勝つ為ならば、一人の命など微塵の重さも無い。 全を救うためならば、躊躇わず一を殺さなければいけない。 まさかそれをこんな状況で再確認させられるとは思わなかった。 オウルは魔法陣を展開し、『ブリジット』のチャージを開始する。 自身の魔力を核にして周囲の魔力を集束。むらが出ないように分解。そしてその魔力を圧縮。 それを何度も繰り返す事で、発射された弾が相手を貫くまでのスピードを極限まで加速させる。 一点集中の魔力弾、それに籠められる威力はかなりのものである。 しかし難点は発射後の次弾装填で、リロードしてからの発射が他の銃撃型デバイスよりも遅い為に連射ができない事であった。 特殊な魔法によって照準の精度が上げられたサイトを覗きながら、『ブリジット』の銃口を対象へと向ける。 引き金を絞ろうとしたその時、バリアジャケットを修復させたミヤモトがその軌道線上に割り込んできた。 [うおぉぉぉっ! この化け物があぁぁぁぁ] 流石にマズイかもしれないとオウルは思った。 自身の使う魔法は魔力の圧縮によって弾の威力を上げている。 一点集中型の魔力弾であるから、威力は折り紙つき。きっとミヤモトの身体すら貫通し、対象に着弾するであろう。 最悪、ミヤモトを殺す事になるが対象を仕留める事が出来る。 撃つ事に迷うな―――ミヤモトはそう言って、撃つ事を躊躇った二人を一喝した。 そう言ったのだ。ギリギリで避ける位の自信はあるのだろう。 ならば―――その宣言が嘘でない事をココで証明して貰わなければならない。 軽く息を吐き出したオウルは狙撃用のサイトから対象とミヤモトを睨みつける。 ミヤモトは設置された球体の迎撃トラップと、その隙を縫って攻撃してくる対象に足止めされていた。 遊撃を担当しているえゆというと、ミヤモトが対象の攻撃を凌げるように球体を狙撃している。 しかしその迎撃トラップは矢で安易に破壊する事が出来ても、すぐに修復されてしまう。 防戦一方になっているミヤモトにも聞こえるように、オウルは念話を繋げた。 「はあ、仕方ない。当たってもしらねえぞ……ミヤモト」 オウルは『ブリジット』の引き金を引き、琥珀色の魔力弾を解き放つ。 ドンという鈍い音と共に銃口から砲撃魔法クラスの威力を孕んだ魔力弾が発射され、対象に向けて『ブリジット』を構えていたオウルに衝撃が来た。 琥珀色の魔力弾は空を翔け上がり、ミヤモトと撃墜対象へ飛んでいく。 狙撃担当のオウルが二人の動きを予想して発射した魔力弾は悪くても、ミヤモトをギリギリでかすめるような弾道で飛んでいた。 いきなりココで、対象の攻撃を凌いでいたミヤモトが位置を変える。 それはオウルの放った魔力弾がミヤモトの心臓を確実に貫く事が出来る位置。 後十秒でその弾がミヤモトの心臓を穿ち抜くだろう。 事前に念話を繋いで宣告したのだから、流石のミヤモトも対象を振り切るか何かして避けるだろうとオウルは踏んでいた。 しかしミヤモトは弾の弾道から退避しようとしない。 まさか―――ミヤモトはオウルからの念話を聞いていないのではないのか。 オウルは自身のデバイスを落とし、念話を接続したまま精一杯の声で叫んだ 「ミヤモトおぉぉぉっ!」 [追尾及び、対消滅《クイックシルバー》!] その声が念話として聞こえるのが先か、魔法が発動されるのが先か分からないが、一筋の青い光が空を翔けた。 青い光は夜空に光の尾を焼き付けながら琥珀色の魔力弾に衝突し、そのまま強引に対消滅させる。 オウルは仲間を射殺しなかったと言う結果に安心しつつも、魔法に魔法をぶつける事で対消滅させられた事にはぞっとした。 軌道操作魔法を使用しているとはいえ、衝突させて魔法を対消滅させる事は容易ではない。 百分の一のタイミングと類い稀な解析能力がないとそれを容易に起こす事は出来ないからだ。 流石、首都防衛部隊所属の三等空尉であるといえるだろう。 その時、えゆからオウルへ念話が飛んできた。 [プリヴェントくん。大丈夫?] 青い矢が空を翔けているのが肉眼で確認出来るところから、矢を撃ちながら念話をしているようだ。 「ええ。大丈夫です」 背筋の寒気が収まらなかったが、オウルは大丈夫だと肯定する。 命を賭けねばならない場所で一つの事にこだわっていたら、それが命取りになりかねない。 軽く深呼吸をして、無理にでもオウルは気を落ち着けさせた。 [なら、大丈夫ね。分析と援護をお願い] 「了解しました」 オウルは取り落とした『ブリジット』を構えなおし、再び魔力の集束開始。 それと並行して、対象の生体をチェックする魔法を起動。 外見は普通の人間のようだが、戦闘力だけは普通の魔導師を凌ぐ物がある。 魔力の暴走と考えればそれまでかもしれないが、オウルが仕事で培ってきた勘と言う物が別の何かであると告げていた。 対象がほとんど未確認生物に近い今は、できる限りの情報を調達しなければならない。 それをもとに味方へとアドバイスを送り、味方が戦いやすいように援護を行う。 それが――――アンチマテリアルライフル型デバイス『ブリジット』で射撃を行う魔導師である自身の役目だとオウルは考えていた。 対象が撃ち込んで来た漆黒の槍でミヤモトが吹き飛ばされるのを空間把握魔法で強化された視覚によって確認すると同時に、えゆは軌道操作魔法で矢に複雑な命令と膨大な魔力を組み込んでいく。 援護射撃と対象の生体解析を同時進行で行わせているからか、オウルから解析による結果はまだ出てこない。 最低限、オウルの解析が終わるまでは時間を稼ごうと考えながらえゆは対象を狙う。 「……爆砕分裂後、多角砲撃《クイックシルバー》」 [えゆさん。何で、オウルの弾を対消滅させたっ!] 対象に狙いを定めたところで、ミヤモトからの念話が割り込んできた。 どうやら、えゆがオウルの魔力弾を対消滅させた事に憤慨しているらしい。 えゆの中では今すぐ弁解したいと言う気持ちがあったが、対象を撃墜するまではそんな余裕などない。 目の前では対象がこっちの攻撃を警戒してか、巨大な盾と球体型の迎撃トラップを作り始めている。 対象の攻撃を迎撃するのであれば、できるだけ早く行わなければならない。 チームであるとはいえ、一人で突っ走るミヤモトの言葉を今だけは無視をしなければならない。 「……話は後です」 [……っ! この――] ミヤモトがまだ何か言おうとしていたが、集中力を高めるためにえゆはあえて念話を切断した。 そして十分な魔力を溜め込んだところで、えゆは矢を離す。 青い矢は光の尾を空に焼き付けながら対象の方へと翔け昇り、完成した漆黒の壁に衝突。爆発する事で迎撃トラップを破壊し、壁に幾つものヒビを入れた。 しかし爆発だけでは終わらない。矢が砕け散っても魔力は破片のような形状を取ったまま対象の近辺に存在し、周囲の魔力を集束し始める。 危険を感じたらしき対象はその破片を壊そうとするが、オウルが魔力弾でえゆの援護を行う。 そして十分な魔力を喰らった破片は青い光線となって、多角度から対象に襲い掛かる。 色んな角度から集束式の砲撃魔法を喰らう事となった対象の身体は爆発によって発生した光と霧散した濃い靄によって見えなくなる。 咄嗟にえゆは目を焼かれないように瞼を閉じた上で、右腕で目の辺りを隠す。 [えゆ三等空尉……] やったのでしょうかと念話で訊ねてきたオウルに、えゆはまだ分からないと答えた。 すこしずつ光が弱くなっていき、えゆは対象のいた位置を見る。 そこはまだ濃い靄が掛かっている性で姿を確認できない。 下手をしたらさっきの攻撃で本当に撃墜してしまい、地面に落下した危険性もある。 しかしそれは靄が晴れれば分かる事だ。風の流れで少しずつ靄が流されて消えていく。 「……えっ?」 〈アルテミス〉で視覚を強化した瞳で確認した驚くべき光景に、えゆは不意に声を上げてしまった。 少女らしき対象が左右に手を突き出した状態で、何事も無かったかのように浮かんでいる。 まるでその少女を護るように球体状で展開されているのは黒い壁ではなく、少し黒ずんだ色をしている虹色のベルカ式魔法陣。 えゆが発動した二段構えの魔法はその魔法陣の前で停止している。 魔法陣を展開した状態で対象の口がゆっくりと動く。 「……掌握支配《コンプレクティ・リアクト》」 今までは意味の分からない音の羅列であったが、今その口から紡がれた音は紛れも無く人の喋る言語であった。 その言葉に従って、魔法陣の前で停止していた青の光線がゆっくりと吸い込まれていく。 そしてそれを吸い込んだ魔法陣はゆっくりと消失して行った。 魔力によって強化された狙撃用のサイトからオウルも、えゆの魔法が対象の展開した魔法陣によって吸い込まれていくのを見ていた。 オウルも陸士部隊の仕事で色んな違法魔導師やテロリストたちと渡り合ってきたが、魔法を吸収する魔法を見た事は無かった。 目の前の光景に驚いているオウルの側で、対象の生体をチェックしていた魔法が解析結果を出した。 「っと…生体センサースキャン終了…か……? なんだこれは…」 対象は身体の体温が異常に低いだけで、生きている事には間違いない。 しかし身体の内部が解析魔法によって検出する事が出来なかったのである。 今まで確認した限りでは対象に魔力を遮断する処理がされているようには思えない。 だが、対象は生きている事以外には何も分からない。 「……奴は、一体……何なんだ?」 魔法によって出た解析結果に、オウルは困惑してしまう。 外見は人間であるのは分かるが、中身が検出されない為に何なのかいまいちわからない。 人間という生き物は思考などを臨機応変に対応するが、戦い慣れてくると仕草などで予測できるようになる。 アンドロイドの場合ならば人間のような仕草が無く心が無い為、その行動などが読めないのである。 戦場では人間や機械問わずとんでもないのが放り込まれている事もあったりするため、分析が出来ないというのは危険極まりない。 そして次に出た解析結果にオウルは再び驚いてしまった。 「!?」 [どうしたの? プリヴェントくん] 驚きが声になって伝わったのだろう。一時的に念話の回線を遮断していたえゆがオウルに話しかけてきた。 オウルは解析された結果をそのまま、えゆとミヤモトに伝える。 「解析の結果。対象が生きている事以外は確認できません。ただし……」 [ただし……なんだ?] 苛立っているミヤモトの問いに、オウルは自身でありえないだろうと思いながらもそれを伝えた。 「さっきの魔法で、いきなり対象がリンカーコアを持ちました」 [……?] [……え?] ミヤモトは意味が分かっていなさそうであったが、えゆはオウル同様に驚いている事が念話からも伝わってきた。 二人が驚いている理由が全く分かっていないミヤモトに、えゆが説明をする。 [いきなりリンカーコアの存在が確認されるのはおかしくない事です。危機的状況によって魔導師として覚醒し、リンカーコアが発生した事例は過去にも数件はあります] 「問題は……」 靄を集束させて攻撃を仕掛けようとする対象を魔法で迎撃しながら二人は話を続けた。 漆黒の槍や針は魔法で破壊する事は出来るのだが、対象になると魔法自体を吸い込まれてしまう。 解析魔法の結果によると、魔法を吸い込む事によって対象の魔力も増して来ているらしい。 [リンカーコアが発生する前は魔法ではない何かを使用していた……という事ですね] 今までの技が魔法であったのなら、魔力に限界が来るのを待つと言う戦術も存在した。他にも、念話でAMFを発生させる事が出来る物を所有する部隊に連絡し、それらが来るの時間稼ぎとして踏ん張ると言う手もある。 しかし黒い壁などが魔法によるものでないのならば、対処方法が分からなくなる。 むしろ戦況がオウルたちにとって悪くなりつつあった。 対象の行使する技は魔力とは違う物で動いているし、対象に魔法を打ち込んだらそのまま吸収されてしまう。 何事においても、いつ決着がつくか分からないと言う状態は意思を持つ存在の精神に多大な負担を掛けて行く。 いつ終わるのか分からない戦闘にオウルたちの精神がすり減らされていった。 ほとんど千日手に近い戦況に痺れを切らしたミヤモトは日本刀型デバイス『鈴音』を抜刀し、刀身に浅葱色の魔力光を纏わせながら少女の方へと飛んでいく。 「うぉおおおおおおおおおおっ!」 少女は向かってくるミヤモトに向かって針を飛ばして来た。 さっきは不意打ちを喰らっただけらしく、今は魔力を纏わせた斬撃でそれらを切り払っていく。 攻撃を捌きながら少女の方へと突っ込んでいくミヤモトにえゆの念話が飛ぶ。 [ミヤモト君。危ないから、先行しちゃ駄目です!] これは一緒に戦う者を心配する声。しかしこの化け物を倒す事にミヤモトは頭が一杯であった。 時には『鈴音』で切り払い、ギリギリで捌き、必死で回避しつつ、その声をミヤモトは一蹴した。 「ココでこの化け物を止めないとやばいんですよ! 貴女こそ分かっているんですか!」 ミヤモトが突っ込んでくる様を眺めつつ、少女は靄を集める事で小さな剃刀を形成。 その剃刀を手首に当てて、躊躇いも無く一気にその刃を引いた。 剃刀の刃は少女の肌を切り裂き、その傷から血の代わりに黒い靄が噴き出す。 「Бешеные собаки」 少女の傷口から出ていた靄が集束して犬の形を取り、ミヤモトにその牙を突き立てるために突っ込んだ。 バリアジャケットを貫いて、ミヤモトの身体に牙が食い込む。傷口から狂気が流し込み、少しずつ溶かしていく。 噛み付いてきた犬を振り払おうと足掻くたびに犬の牙がミヤモトに食い込み、身体の自由を奪っていった。 しかし少女は手首の傷口から黒い靄を噴出しながらぼんやりとミヤモトを眺めている。 見つめるその目からは感情が全く感じられなす、ただ見ているだけのような感じであった。 それでもミヤモトは、痛みに耐えながら少女の方へと進んでいく。 黒い靄の濃度がある程度まで濃くなった所で少女は口を動かした。 「Дожди преступности」 黒い靄は細い針となって、ミヤモトに喰らい付いている犬ごと刺していく。 その針がミヤモトに降り注いで刺していく勢いはまるで豪雨。 針は刺し傷から身体の中に溶けていく激痛と狂気でミヤモトを蝕んでいく。 肌は徐々に黒ずんでいき、身体も言う事を効かなくなっていく。 ミヤモトは身体を動かせないまま、降り注ぐ黒い雨と自身の身体に美味しそうに噛んでいる犬を眺めていた。 出血のせいで徐々にミヤモトの身体が冷たくなっていく。まるで雨に打たれてずぶ濡れになっていくかのように。 少しずつ意識が薄れ行く中で、ミヤモトは少女に怒鳴った。 「この化け物がっ!」 今まで何をしても反応しなかった少女が、ミヤモトの罵倒に近いその一言に反応した。 白目と黒目が反対になっていた瞳が元に戻り、身体がビクリと震えた。 「私……化けも」 それと同時に黒い犬や身体に突き刺さった針が消える。 ミヤモトは消えたその隙に前へ突っ込み、魔力を纏わせた『鈴音』で少女を斜めに斬った。 切り口からは血の代わりに黒い靄が勢いよく噴き出し、黒い大型犬となってミヤモトに襲い掛かる。 不意打ちに近い攻撃の勢いに押されるミヤモト。噛み付かれないように防戦する。 その隙を突いて、少女の身体から噴き出した靄が大きな針となってミヤモトの身体に突き刺さった。 「ぐあっ……」 そのままミヤモトはゆっくりと落ちていく。既に意識は朦朧としており、後は重力に任せて落下していくのみ。 あと数秒でミヤモトがその硬いアスファルトの地面に叩きつけられて、ただの肉塊に変わってしまう状況。 「対象を追尾。および、接触後は対象をポイントBへと強制輸送《クイックシルバぁっ》!」 青い光を放つ矢が黒い靄に覆われた夜空を駆け抜ける。 「よしっ……!」 オウルはミヤモトが対象に攻撃を加えた事に小さくガッツポーズをした。 しかし次の瞬間には犬の突進を喰らい、その隙を縫うように黒い針を喰らったミヤモトが落下していく事にギョッとする。 助けに行きたいのは山々だが、空戦の資質が余りない自分が飛行魔法でミヤモトの救援に向かう事は難しい。 出来るしたら、自身のデバイスを浮かせる事くらいだ。 どうしたものかと考えあぐねるオウルにえゆの声が念話として割り込んだ。 [対象を追尾。および、接触後は対象をポイントBへ強制輸送《クイックシルバー》!] えゆのいるポイントから青い光が夜空を翔ける。 青き光を放つ矢は落下していくミヤモトを追尾し、その先をバリアジャケットの襟に引っ掛けた。 どうにかミヤモトを何も言えぬ肉塊に変わるという事態を回避できた事に安心すると同時に、その青い矢が自身のいる場所に突っ込んで来ている事に唖然とする。 急いでオウルは『ブリジット』を地面に下ろし、矢とともに突っ込んでくるミヤモトをキャッチ出来るような体勢をとる。 切っ先にミヤモトを引っ掛けた矢はオウルの近くでゆっくりと消滅する。 矢自体は無くなっても勢いは残っているらしく、ミヤモトの身体はオウルの方に飛び込んできた。 その勢いでオウルまでもが身体を持っていかれて、屋上を転げまわる羽目になったがどうにか受け止める。 屋上の硬い地面を転がったせいで体中が無性に痛かったが、その痛みに耐えつつ『ブリジット』を置いたところまで歩く。 狙撃位置に戻ったオウルは改めて念話を繋ぎなおす。 「こちら、オウル・プリヴェント。ミヤモトの回収完了です」 [そう……了解です。多重弾殻であれば、効果があることを確認] ちゃんとミヤモトを回収された事に、念話の向こうで安心したえゆ。 その安堵は念話として声と一緒に伝わってきた。 「情報提供感謝します。こちらも多重弾殻射撃に切り替えます」 オウルは『ブリジット』に装填していたカートリッジをロード。 環状魔法陣の代わりにターゲットリングを展開。同時に展開されたレーザーサイトを使用することで命中率を高める。 自身の魔力を核にして再び魔力を集束。今回は圧縮と分解の工程を行う代わりに膜状バリアでその魔法を覆う事で多重弾殻の処理を行う。 その魔法を発動させるに十分な魔力をチャ-ジさせたオウルは、魔法で視覚強化された狙撃用サイトとレーザーサイトの併用で照準を合わせながらその魔法を紡ぎだした。 「幽玄の灯《ファントムブレイズ》」 引き金が絞られる事で開放された遠距離狙撃型砲撃魔法は琥珀色の線となって対象へと伸びていく。 対象は右手で顔を覆いながら、オウルの放った〈幽玄の灯《ファントムブレイズ》〉へと左手を突き出す。 その手には少し黒ずんだ色をしている虹色のベルカ式魔法陣が展開されている。〈掌握支配《コンプレクティ・リアクト》〉でそれを吸収しようとしているらしい。 しかし琥珀色の一閃は吸収される事はなかった。 それどころか、対象の上半身右半分が円状に抉り取った。 「……っ!」 人を殺してしまったという嫌悪感にオウルは一瞬だけ足場が揺らぐような感覚を覚えた。 時空管理局は容赦ないとは言われていても、犯人を容赦なく殺すまでには至らない。 今、対象に放った魔法も非殺傷設定で威力を抑えてある。 だから、オウル自身も威力を抑えてある魔法で対象の上半身右半分が消し飛ぶとは思わなかった。 しかし次の瞬間には周囲の靄が対象にまとわりつき、失った部分を補修する。 それには別のポイントにいたえゆだけではなく、オウルも唖然とした。 対象が自身の身体すら靄で修復できてしまう事は、オウルたちの予想を遥かに超えていたからだ。 茫然自失しているオウルの背後でミヤモトがうめき声を上げる。 「うっ……」 どうやら意識を取り戻したようだ。多重弾殻処理を行った魔力弾を出来るだけ早く叩き込みつつ、オウルはミヤモトに訊ねた。 「大丈夫ですか?」 しかしミヤモトはオウルの問いに気にも留めずに対象を睨みつける。 それはまるで対象は自身が絶対に倒さなければいけない敵であるかと言うような目であった。 そしてミヤモトは足元に浅葱色のベルカ式魔法陣を展開。 黒い針が刺さっていた部分には黒い刺青らしき物が走っていた。 またもや独断で対象を止めるつもりだと、ミヤモトの殺気走った気配からオウルは察知する。 オウルはミヤモトを引き止めるように怒鳴った。 「お前にそいつを止める力があるのか? お前一人でそいつを止められるのか?」 しかしその問いに対してミヤモトは何も言わなかった。 殺気を押し殺すどころか、むしろ叩き付けながらミヤモトは少女の方へと飛んでいく。 少女も自身の身を護るために向かってくるミヤモトを迎撃する。 黒い靄が集束し、黒い槍をいくつも作り出して射出。 ミヤモトは鞘をつけっぱなしの『鈴音』でそれを打ち落とす。 しかしそこで気を抜いてしまったのが間違いであった。 上から黒い球体が落下し、ミヤモトの頭を打つ。その球体は一瞬だけミヤモトの意識を奪い、行動を微かに鈍らせた。 ミヤモトの頭を襲った球体の落下を合図に漆黒の球体が雨のように落下して進行を阻む。 黒い球体が身体を打ち付けてくる中で、ミヤモトはとある肉弾専門の教導官の技を思い出した。 それはアキの〈星堕ちつ日《スターライトフォーリングダウン》〉。 物量と落下速度によってミヤモトの進行を滞らせる球体は少女の周囲に集まって新たな形となる。 球体が泡を立てて膨らみながら空中で回転し、黒い靄を纏う漆黒の鮫を生み出す。 そして少女はアキとアサギの合体魔法である〈破軍鮫陣《ストレイト・オーヴァ》〉を再現し、それらを広域に展開した。 横に腕を振り抜いたのを合図に、黒の鮫たちはその役割を果たすために動き出す。 半分は弾丸のように突っ込み、残りの半分はその身を跳躍させて自重で周囲を潰しにかかる。 「第一幕……剣の舞」 カートリッジロードと同時にミヤモトは居合いの如く『鈴音』を右へ振り抜く。 シャンと言う鈴のような音がなると同時に抜刀され、浅葱色の魔力を纏った刃が空を切る。 その軌線に沿って剣の形をかたどった魔力の塊が扇状に配置され、ミヤモトが刀を振りぬくと同時に射出。 ミヤモトに向かってくる黒い鮫たちの一部がそれによって削り取られた。 「第二幕! 魔王っ!」 突き出した左の手の平にミッドチルダ式の魔法陣を展開。 浅葱色の魔法陣から少女をかたどった魔力の固まりが射出され、鮫のいる方へと一直線に奔った。 その魔力に接触した鮫だけではなく、周囲にいた鮫までも一緒に爆発する。 これによって少女に配置された鮫の一群を扇状に消滅した。 [ミヤモト……ペースが速すぎだ。途中で潰れるぞ] 「……第四幕。炉心融解」 オウルの念話になど耳も貸さず、ミヤモトはカートリッジロードを行うと同時に新たなる魔法を発動。 鮫の一群の中に魔力の球体が配置され、しばらく膨張してからその固まりが爆発。 つんざくような爆音と共に、少女が配置した鮫の大体が飲み込まれた。 振り抜いた『鈴音』を納刀したミヤモトはあえて粉塵へと突っ込み、少女を確実に撃墜するために鞘を握った左手に魔力を集中させる。 [一人で先行しちゃ駄目です。やられますよ] えゆから入った念話をミヤモトはあえて無視。 沈黙を貫きながら先行する一等空士についに堪忍袋の緒が切れたらしく、えゆはその相手に怒鳴った。 [そんなに空曹長になりたいのですか!] 「俺は堕ちねぇ! 絶対になっ!」 そう言ってミヤモトはえゆとオウルに繋いでいた念話を強制的に切断。 「くたばれぇっ! この化け物がぁっ!」 広域爆発魔法〈炉心融解〉で発生した粉塵を抜けた先でミヤモトが見たのは、口に壊れた笑みを浮かべた少女の姿。 少女の背中に生えていた漆黒の翼が肥大し、水晶の刃が生えた剣山を髣髴させるような羽となって扇状に広げられる。 剣を思わせる羽の先はミヤモトの方へと伸び、その身体に突き刺さった。 「わタし……バケMOの……?」 そう呟いた少女は更に黒い羽の切っ先をミヤモトに突き刺し、上へと掲げる。 傷口から狂気が注ぎ込まれる激痛と狂気で壊されていくのを感じながら、ミヤモトは少女に侮蔑の言葉を吐きかける。 「お前は……バケモン……だ…」 「……っ!」 少女の顔が苦痛を感じているかのように歪む。 ミヤモトを突き上げていた羽に力が無くなり、ゆっくりと下に落ちていく。 それによってミヤモトの身体に突き刺さっていた羽が血のぬめりでズルリと落ち、そのまま落下する。 「対象を追尾。および、接触後は対象をポイントBへ強制輸送《クイックシルバー》!」 しかしえゆが軌道操作魔法〈クイックシルバー〉を発動し、再び矢がミヤモトをオウルのいるポイントへと持っていく。
https://w.atwiki.jp/isekaikouryu/pages/478.html
ここは延のどこかの都市の飯華街。 昼を告げる鐘が町を覆えば、ざわざわと動きを増していく。 店々真っ赤に漆喰飾って、タレや何やらの焦げた匂い漂わせ、 威勢のよい声が響く響く、 つられて俺の腹まで鳴りそうだけれど、 さて、何を食べようか 金も腹の容積にも限界があるわけで、 残念なことにアレもコレもというわけにはいかないし、 せっかく異世界くんだりまで来てしまったんだから、厳選してみたいと思うのが人情で、 鼻をひくつかせ、 狼人がウチの店が美味いと高く吠え、 きょろきょろと歩いて、 喇叭の音がまた響き、 しかし中々コレだというものには出会えない、 植木が踊るのは樹獣だからで、 あの饅頭の美味そうな匂いであること、 獣人の少年少女が駆け抜けて、 ほくほくとして、あの赤い飾りはなんだろう、 精霊がいくつも飛びかっていて、 しかし饅頭は昼飯らしくない、 狐人の団体さんが冗談を交わしながら歩き、 あの魚料理も捨てがたいなあ、 火線が走り、 巻いた葉はなんの香草だろうか、 虎人の店員が手招きし、 コゥとした香がなんともいえないが、 熱と色が喧噪で、 港町でもないし魚という気分でもないか、 狐人の舞踏家たちが光と闇とで踊り描く、 おお、あの麺の打ちようとあったら、さすが異世界、奇妙奇天烈マカ不思議、 鳥人が頭上で歌いはじめて、 だけど麺より米が食いたいんだよなぁ。 狸人の芸人が腹太鼓、 むむむ……。 困った。食えば美味いだろうが、なんとなく食う気になれない。 積みゲーを眺めている気分だ。 ああ、うだうだと歩いているうちに店が疎らになってきてしまった。 しかし、いまさら踵を返すのも決まりが悪い。 いや、誰も見ていないのだけれども、 よし、このまま前に。 いや、いっそ路地に入ってしまおう。 名店は隠れたところにあるもんだ。 そんなこんなでしばらく歩いているが、名店どころか屋台すら見えない。 ああ、昼の一つの鐘がなった。 俺は、いったいどこへ進んでいるのだろうか。 辺りは明らかに寂れた様相で、 きーきーと黒い小動物が泣いていて、 風に木板が鳴いていて、 なんだか、俺まで泣きたくなってきて、 そこで鳴いたのは腹の音で、 別の意味で泣きたくなって 昼の二つの鐘の声に至り、 なんでもいいから食べようと、 思ったその鼻先くすぐるのは腹を掴むいい匂い、 どこだ、 と探せば、 見つけたそれは民家じみた雑然で、 のれんを認めるまで店とは見えず、 くぐればバリバリと床にこびりついた油だった。 躊躇いに足を止めていると、店主から声が届いた。 「座るか、去るかにしてくんなぁよ。 立ち止まられちゃあ困るねぇ」 客らしきは俺以外いない。 混雑以上に無人は人を躊躇わせるが、 出るのもいまさらであり、 カウンター席を嫌がった俺は奥まった席に座る、 細長い顔を持つのは、きっと狐人で、 煙が見えない煙管をくわえて鍋を掻き混ぜていた。 その店主がまた口を開いて、 「何、食うかい?」 「何があるんですか?」 「クズ煮さあ」 「……じゃあ、それで」 空の大椀と匙とが渡された。 店主の煙管には溝のパターンがあり、 それで鍋をふちから擦ると、 痺れて出す音は流麗で、反響が水面に同心円を描いて、スープがどろりと鎌首持ち上げ、 水の精の力が 働いている、 ぎゆんと飛んで眼前の大椀に琥珀色が収まり、じわっと香を乗せた湯気昇らせ、 唾液を誘い、 匙で掬えば煮込まれたとろみに、 赤々と光がやわらかに照り返り、舌に乗せれば崩れた旨味が絡み付き、 ぷるぷるとした肉味の何かが弾けて、 煮込まれ切った野菜がほどける。 「……うまいな!」 「ほぅ、そいつァ運のいいこったよ、噛み締めなぁ」 「この厚手のイクラじみたの美味いじゃないですか。 これの名前、なんて言うんでしょう?」 「さァ?クズ煮はクズ煮でね。 あたしゃ一々覚えちゃおらんよ」 「はぁ、これがクズ…」 「クズに紛れ込むも、たまたま調和とるもあるってだけさぁね 言ったろう?運のいいこった、ってね」 汁を啜り、 匙をおけばカランと鳴って、 勘定を頼むと、 指が二本立ち、 銅二枚をチャリンと鳴らして、 暖簾をくぐっていった。 後日、訪れるとひどくまずかった。 何かの間違いかと思って再び訪れるとやはり美味くはない。 何度も何度も通いつめて、十回に一度の確率で美味いことを知った。 賑やかな様子が目に浮かぶ。そこから一転裏通りの…というコテコテですが異世界風に上手く仕上げられていました。クズ煮と言うのは毎回材料が違うからでしょうか -- (名無しさん) 2014-02-09 18 19 08 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/kyarakuta902/pages/29.html
⑰ヒトの吟遊詩人・ルル・エイト 性別 :女 誕生日:8月9日 年齢:19歳 種族 :ヒト 特徴 :なし(ないわけじゃなく、普通のヒトと変わらない) 特能 :ヒトの親和性 クラス:吟遊詩人(トルバドール) 生まれ:旅芸人の一座で、幼い頃から芸を仕込まれて育った 性格 :理性 □□□■□ 感情 狡猾 □□□■□ 純真 秩序 □■□□□ 自由 説得 □□□■□ 戦闘 冒険 □□□■□ 恋愛 口調 :普段は 【女性】女っぽい (わたし あなた、~さん なの、よ、なのね、なのよね?) 怒った時は 【女性】クール (私 クン ね、わ、~よ、~の?) 身長 :やや高い(165.4cm) スタイル:細身 瞳:青 髪:赤茶 肌:普通 趣味 :歌唱 楽器演奏 舞踊 キャッチフレーズ:『一発芸なら、なんでもするよ』 星座:しし座 血液型:B型 手の長さ:普通 足のサイズ:24.5cm 髪型:ロング 握力:20kg 好きな言葉:例え年をとって老人になっても、自分の生き方を見出せる人は幸いである。 嫌いな男性のタイプ:嘘をつく人 生まれ変わったら:女 好きな数字:40 得意な事:楽器演奏 苦手なもの:雨の日 利き腕:右手 平均睡眠時間:6時間 好きな動物:雑種の犬 長所:何事にも真剣になる事 短所:声のキーが低い事 カラオケの18番:平原 綾香「ジュビター」 好きな本:舞踊の本 好きな男性のタイプ:純粋な人 好きな芸能人:中川家の剛さん 好きな食べ物:おひたし 嫌いな食べ物:つけもの 好きな飲み物:日本酒 嫌いな飲み物:なし 好きな色:琥珀色 イメージカラー:ムーングレイ 好きなテレビ番組:環境番組 好きなスポーツ:ソフトボール 好きな音楽:バラード 好きな映画:いま、会いにいきます 好きな花:れんげそう 好きなブランド:可愛い系 ボケorツッコミ:ボケ 一日に読む本:4冊 バスト:86(E) ウェスト:57 ヒップ:83 誕生石:ベリドッド 部活:吹奏楽部 集めているもの:おちょこ 攻めor受け:受け デートするなら:博物館 通称:ルゥ・ルル 漢字名:琉々 イメージキャスト:福田 麻由子さん ICV:青山 ゆかりさん 武器:響きの堅琴 防具:旅人の服 盾:なし 道具:ドラゴンホイホイ・蒼の月・冒険者旅団『蒼』のピンズ・ピコピコハンマー・手貫紙・レザーサイト・退魔の護身符・水晶星座盤・学校専用バッジ 技能:ナンパ・会話術・情報検索 バトルタイプ:攻撃 成長点:954 フェイト:41.2 回避:267 能力値:体 88 技 77 心 125 攻撃力 91 鎧強度 15 イニシアチブ:59 CP 236/372 EXP:135501(次のレベルまで 8249) 修練度:870 アピリティ:眠りの歌×4・ヒーリングウェーブ奥義×6 『情報』のアルコパレーノ 力:1678840 卒業後の進路:芸能界にデビューして絵画やタレント業等マルチに活躍している。 自己紹介:かなりの緊張屋で、おどおどしているが根は優しい。キャラの中で一番、可愛がられて良い思いをしている。性格的には、そんな根暗って訳ではないが2番目に明るい方である。また、絶対音感の持ち主で、歌も上手い。(ただし、自分の声のキーが気に入らないため女性の歌が歌えない)男性関係に疎いと言うか、若干のオクテ。商店街の景色が好きで、良くいる事がある。実は、水泳も得意で数ある大会で良い成績を残すぐらいの実力者でもある。腐女子で、さすがにおばさんと言われると凹む。幼い頃から舞踊と歌を習っていて踊る事と歌にはちょっと自信がある。また、声のせいで男の人と間違われる事が多い。調理師の免許を持っていて自分の店を出すのが夢。(アビスも持っている。)工房長で、シンとキラがお笑い芸人をしている事を知っている一人でもある。掃除食事担当は火曜日で、部屋番号は500号室。きれい好きのため、お風呂は一週間に5日以上入る。召喚獣名はナイン(ナインティル)で、ジュリアの初めての人で初Hは中出しまでされた。人に見られているイメージはめっちゃ感じそうで、好き嫌いが多そうで手品が得意そう。日本名の苗字は新保(しんぽ)で、捜索班のメンバー。好きだった教科は英語で、嫌いだった教科は数学。ライのパートナーでもあり、所属旅団は冒険者旅団『蒼』。好きなゲームはモンスターハンターシリーズで、ベッド派。ちなみに、性感帯はその他である。ナマケモノだが、正義感は強い。ちなみに、大のBL好きでアビス絡み&シン絡みになるとニヤニヤする事がある。(シンに暴走女と言われることも。)
https://w.atwiki.jp/ssnet/pages/78.html
たまにいくならおいしいレストラン 第一回 #共和国12国 /帝国10国 合計22国のお店を紹介。 #皆様のご協力に感謝します 。 共和国編FEG 海法よけ藩国 鍋の国 レンジャー連邦 ジェントルラット藩国 世界忍者国 玄霧藩国 ナニワアームズ商藩国 キノウツン藩国 紅葉国 羅幻王国 芥辺境藩国 帝国編土場藩国 よんた藩国 詩歌藩国 たけきの藩国 越前藩国 神聖巫連盟 暁の円卓藩国 星鋼京 愛鳴之藩国 満天星国 共和国編 FEG 03-00565-01:那限・ソーマ=キユウ・逢真 レストラン『砂漠のオアシス』:FEG建国以前から存在する老舗レストラン。FEGの郷土料理を食べたいならココが最適。 海法よけ藩国 04:04-00096-01:夜國涼華 [造船所内カフェレストラン~メープ~]:国産食材を使用した料理が自慢!海と船を眺めながら自慢の料理を堪能ください! 鍋の国 05-00133-01:鍋@ふぁん 総合鍋料理店「FOND」 世界の鍋料理が大集合食材持込可なエキスパートレストラン! レンジャー連邦 06-00156-01:浅葱空 【Friendship&Love】 レンジャーもんじゃ激ウマ!みんなでつつくもんじゃ屋『Friendship&Love』で広げよう、愛の、輪ー! ジェントルラット藩国 08-00198-01:たらら ラーメン屋 月花:山から組んだ水で作る鼠色の麺と、看板娘が特徴のラーメン屋。珍しいが味は最高 世界忍者国 10-00214-01:優羽カヲリ 内容 青空もろこし屋台 とれたて焼きたてあつあつとうもろこしを販売しております。バター、醤油、塩、お好みでどうぞっ。 玄霧藩国 11-00232-01:雅戌 ハッピィベリー:藩国特産の、果物を主食として使った料理のお店です。 ナニワアームズ商藩国 15-00752-01:久遠寺 那由他 粉モン ドゥトンヴォリ:ナニワ名物怪獣焼きを熟練の店主が素早く美味しく焼き上げます。見学無料。 ♯怪獣焼き=タコの代わりにタコ味の怪獣が使われています。 ♯http //dorill.at.webry.info/200705/article_1.html ♯お店は共環ナニワ駅から下りてすぐ、ちかにかもーるは食い倒れストリートにあります。 ストリートに面したウィンドウで店主が怪獣タマゴサイズ(バレーボール大)を焼き上げる様は 芸術の域です。 キノウツン藩国 23:23-00438-01:浅田 和風喫茶・絹の道:家庭の味から甘味まで。夜にはお酒も。安らぎの一時を貴方に。 紅葉国 24:24-00459-01:日向美弥 リゾートホテル内カレー屋「マハラジャ」藩王自ら調合したスパイスはまさに超辛! 羅幻王国 25-00480-01:四方 無畏 マルトリ:古今東西あらゆる鳥料理を出す。ここで食えない鳥は無し! 芥辺境藩国 30-00572-01:双海環:芥辺境藩国 白熊屋:年間を通じて海の家を営んでいるお店、シロクマと地元の食材の海鮮料理がお勧め 帝国編 土場藩国 12-00258-01 弓下嵐 わんこ亭:小麦でつくられた中華そばが東国風のスープに入って出てくる店。駅内部にある。 よんた藩国 13-00278-01:雷羅来 よんた藩国で食事処といえば「北国食堂」定食からデザートまで。藩王御用達との噂も。 詩歌藩国 18-00343-01:鈴藤 瑞樹 大衆酒場「星々亭」:工場から直接届くビールが自慢 赤みがかった琥珀色のビールは見事なパーフェクトパイント たけきの藩国 26-00723-01:でいだらのっぽ 食事処「じゃがいも畑」:いつも食べてるじゃがいもの新たな魅力がここで見つかります。 越前藩国 32-00645-01 椚木閑羽 立ち呑み処 百万石:ウマい酒ならここ。酒に合わせて大将が出してくれるアテも絶品。 神聖巫連盟 36-00689-01:藻女 都忘れ 時代と共に料理は変われど変わらぬ温もり届けます 都忘れは今日も皆様の笑顔を守ります 暁の円卓藩国 38-00262-02:風杜神奈 料亭・翠恋:翠渦、縁の地にある料亭。湖で取れる新鮮な魚介類と自家栽培の野菜を使った料理が自慢。 星鋼京 42:42-00596-01:ポレポレ・キブルゥ 蕎麦処「清流庵」:自家製麺と職人の技。水の一滴まで拘ったその味は、貴方に新しい思い出を刻むでしょう。 愛鳴之藩国 43-00384-01:ミーア ママトアーサ:合併してより美味しくなったと評判のホットケーキとオムレツがオススメ 満天星国 45-00423-01:amur 住宅街にある料亭「山湊」。家族でちょいと贅沢するかという時に季節の魚が人気の店。
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/899.html
「…何だ。童のようだとでも申すか」 「違ぇよ。なんでそうなるんだ」 ああー、と元親がうつむいてガリガリと頭を掻く。右膝を立てて胡坐に座る男の考えが読めず、 元就はただ彼の次の言葉を待つしかない。元親も困る。どんな言葉ならこのちょっと感覚のずれた女に伝わるか選べない。 (大体、綺麗な服着せられて男と二人っきりになっちゃあそういうコト意識するもんじゃねぇか普通) 問題の女はきょとん、とこちらを見つめたまま。多分高確率で処女なのだろうが、それ以上に無垢な子供のようだ。 腹の底から息を吐き出して、元親は覚悟を決める。 (コドモに手ぇ出すなんざ、バカムネじゃあるまいし)しかし、どうあっても彼女が欲しい。 月光のようにに冴え冴えとした美貌と優れた知略を立てる頭脳に隠れて、あまりに幼い少女がいる。 知りたい。 太陽と月が好きだと言って、ただその光ばかり追いかけてきたような甘い蜜色の瞳。 この女には、自分の目はどのように映るのか。 まだ生温い子供時代から抜け出てきたばかりの頃の無謀さ故に無くした片方しかない目で怖がらせはしないだろうか。 本当は臆病だという女を。 知りたい。何を見てきたか。何を思ってここまで生きてきたか。 そしてこれからの思い出も記憶も、二人で作り上げて生きてゆきたい。心から溢れかえるほどならば、 全て包みこむ大きな海原に放してやればいいだけなのだから。風に乗せて。 この女が欲しい。さっき握った手首が愛おしい。もっと触れたい。 元親の脳の熱が高まる。今まで手に入れたどんな宝よりも魅惑的な琥珀色の瞳に、自分だけ映していたい。 無垢ならなおさら。このまま手放してしまったら何処のどんな男に泣かされてしまうかわかったもんじゃない。 今だって自分の仕掛けた罠にほいほい掛かってしまうくらいなのだから。 元親の心に、保護欲と独占欲が混じった感情が泥のように粘り気を持って湧き上がる。 「…ここにあるもの、何でも全部やるよ」 うつむいたまま突然訳のわからない言葉を吐く彼に元就は小首を傾げ眉を寄せる。 彼の声は、どこか思い詰めたような低い響きで、元就は少し身構える。 「俺の目ン玉もやる」 と、元就の右手を取って眼帯に触れさせる。ちょうど瞳がある場所は、何故か硬い感触がした。 疑問を浮かべる元就に答えるように、元親は眼帯と取り払い、その下の皮膚と目のある場所を晒した。 左頬から瞼を通り、額にかけて長く斬れた傷痕がある。周囲の皮膚は火傷で乾いていた。 眼窩には目が無い。代わりに、深い赤の石が嵌っていた。 (ああ、)と元就は気付く。箱に並んだ色とりどりの球体は、この男の眼球なのだ。 「怖くねぇか」 「何故…美しいと、思う」 元就は素直に感じたまま、怯えを匂わせた彼の言葉に答えた。 この男が考えていることがわからず不安には思うけれども、確かに傷と共に光る彼のもう一つの目は、 今まで歩んで来たであろう道の気配が読み取れるようで、美しいと思うのだ。 そう言う元就に安堵して元親は続ける。 「宝も、綺麗な服も何でも全部。これから俺が見る海や空の色も、全部やる。 ――だから、アンタのむかえる朝をくれ。明日も明後日も、その次もずっとだ。俺と一緒に居てくれ」 最後には強い視線で見つめてくる男に、元就は困惑を隠せない。 「何が、言いたいのだ…」 様子がおかしい彼に、それでも僅かに唇を震わせ量りきれぬ真意を問うと、元親はますます強い光を目に宿し答えた。 「アンタに、――お前に惚れた。俺の妻になれ」 予想の範囲外から投げつけられた言葉に、元就の思考が停止する。 丸く見開いた目のまま固まる元就の両手を、元親はしっかと大きな手で包み込む。 その手の熱さに我に返った元就だったが、今度はその力強さに戸惑う。 (ほれた?なに?どういう意味だ?なにを言っているのだ?) 困惑に揺れる彼女の瞳に構わず、元親は膝を進め覆い被さるように迫った。 「お前と一緒に船を出したい。――大海原に架かる虹は綺麗だ。それもお前にやろう」 ぽかんと、元就は驚いたままでいるしか出来ない。 どう答えていいのか、それ以前にまだ彼の言葉が飲み込めないのだから。 この時からそうも遠くない、けれど心が遠く離れた未来に、確かに二人は寄り添って虹を見る。 土埃と血煙の向こうに。 その虹は、――――醜く、歪んでいた。 潮の花32
https://w.atwiki.jp/dqff1st/pages/792.html
薄暗い部屋の中、荒い息遣いだけが空間を埋めていた。 ベッドに横たわっているクラウドの怪我は、ザックスの目にもここまま放っておけない程のモノだと 映っていた。 できるだけ早く、十分な治療を施さなければいけない。 上の街にある軍付属の病院までいけば十分な設備があるはずだが、そこまでクラウドの体力が持つとは思えなかったし、なにより今の状態では少しの無理もさせられなかった。 癒しの能力者か、この不良品のマテリアでも十分に力を引き出せる強い魔力を持つ人間。 なんとかしてゲームに乗っていないそういう参加者を探しだして、ここに連れてこなければならない。 心当たりは無い。限りなく危険なミッション。だが…。 「まってろクラウド。すぐに助けを呼んできてやるからな」 ザックスは剣を掴み、走り出した。 場所は変わってエアリスの家。 リノアは食器棚から取り出したカップに良い香りのする琥珀色の液体を注いだ。 自分のモノとスコールのモノ。 白い陶器と、そこに入った白い粉と銀色の小さじ。 自分のモノには少し大目の砂糖を入れ、(彼はあまり砂糖は入れなかったな)と思い、 小さじに半分位の砂糖を入れ、かき回した。 カップの底で溶けていく砂糖と、紅茶の甘い香り。スプーンがカップにあたる金属音。確かな温もり。 これまでと比べて場違いなほど平和な時間。 近いうちに訪れるであろう自分の死を覚悟してはいたが、 それでもこんな一時は乾いた心を潤してくれるし、なにより手放したくない時間だと思わせてくれる。 リノアはそっとカップを手に取り口に近づけ、一口。 「…やっちゃったかな」 リノアは砂糖が入っているはずの小壺を手に取り、中の粉を舐めてみた。 口に広がる塩の味。 軽くため息をつき、また淹れなおさないとなぁと呟いて… 「…あれ?」 不意に視界がぼやけた。続いて頬が濡れる感触。 自分が泣いているのだと、すぐには気がつけなかった。 「あれ? あれ? どうしよう、止まんない…」 吹いても拭いても涙が溢れてくる。下半身から力が抜け、リノアは床に座り込んだ。 その時になってやっと胸が苦しくなってきた。 失ってしまったはずの、もう既にあきらめていたはずの日常のかけらに触れてしまったから。 今までに無く強い気持ちで、すぐそこにあった毎日に帰りたいと思った。生きたいと思った。 だが、その願いを叶える事は彼女には許されていなかった。物理的にも、精神的にも。 いったいどのくらい泣いていたであろうか。 やっと気持ちを落ち着けたリノアは力なく立ち上がると、二階への階段を上った。 紅茶の事はとうに忘れていた。 ドアの前に立ち、2~3回ノックをした。 「スコール、入るわよ」 リノアは返事を待たず、(返事など期待できなかったが)ドアをあけた。 「…スコール?」 部屋の中には誰もいなかった。 ただ奥の開かれた窓がカーテンを揺らしているだけで…。 「ちっ…。なんであいつらがあそこにいるんだよ…」 極力音を立てないようにザックスは路地裏を走った。 ついさっきこっそり覗いたエアリスの家。そこには、あの洞窟の中にいた、クラウドを斬り付けた男の連れがいた。おそらく、すぐ近くにあの男もいるだろう。 あんな危険な奴がすぐ近くにいる。気付かれる前にクラウドを連れて遠くへ逃げなければ…。 「多少危険だがしょうがない。クラウドを連れてウォール街か7番街スラムまでいくしかないな」 ザックスはクラウドを寝かせてある民家へとたどり着くと、 周囲を注意深く見回してから、わずかに開いたドアの隙間に体を滑り込ませた。 建物の影にわだかまる闇から自分を見つめる、虚ろな瞳に気付かずに…。 【ザックス 所持品:バスターソード 「かいふく」マテリア(使用できるかは不明) 第一行動方針:クラウドを連れて逃げる 第二行動方針:エアリスの捜索 基本行動方針:非好戦的、女性に優しく。】 【クラウド(重傷) 所持品:折れた正宗 第一行動方針:?】 【現在位置:五番街スラム】 【スコール 所持品:ガンブレード 真実のオーブ 第一行動方針:ザックスの追跡 最終行動方針:リノアをゲームの勝利者にする】 【現在位置:五番街スラム】 【リノア 所持品:妖精のロッド 月の扇 ドロー:アルテマ×1 基本行動方針:スコールに着いていく】 【現在位置:エアリスの家二階、エアリスの部屋】 ←PREV INDEX NEXT→ ←PREV クラウド NEXT→ ←PREV ザックス NEXT→ ←PREV スコール NEXT→ ←PREV リノア NEXT→
https://w.atwiki.jp/loveuntouchable/pages/168.html
前へ 遼子の親を、上司を奪ったのは俺だ。遼子を守るため事件を捏造し、真実から遠ざけ続けた結果、 俺があいつに与えたのは犯罪者の妹としての汚名だけだ。 恨まれていて当然なのに、そんな俺の為に遼子は涙を流してくれた。 憐みだったのか、俺の魂を救えなかったことへの後悔なのか。 自分に破滅をもたらしたが、そんな女を憎めるはずがない。 そして忘れられるはずもない。 「でも、わたしだったら懲らしめちゃうかな。わたしがもしあなただったら、傷ついた分、相手にも傷を 負わせたいと思うもの」 軽い調子で女が言ったが、その言葉の中には鈍く光る悪意があった。 洸至は隣の女を見た。 遼子は、自分の中にある正義を信じていた。 こんな世の中で、ジャーナリストとして取材をしていれば、人間に幻滅するような事件にぶち当たるのは 一度や二度ではないはずだ。 それでも、遼子は正義を信じた。理想を失わなかった。 緋山が語る理想は、聴衆を幻惑し己の利になる様に人々を操る為の詐術だ。 だが遼子は自分の青臭い理想を純粋に信じていた。 悪意だけは形として存在しているような世の中で、まるで幻のようにおぼろげな正義を求めて遼子は記者 として戦い続けていた。 巨悪を追求し、真実を暴くことでそれを形にできると信じているように。 そんな妹の姿が洸至には眩しかった。 決して手にできない光をその中に見ていた。 そんな遼子とは違い、この女は何も信じていない。 人間など信じていない。遼子の生き映しだが、まるでコインの裏表だ。 遼子が陽の光なら、この女はその影だ。 遼子が善を信じるなら、この女はその逆。 微笑む女の口元は、闇夜をくり抜くように浮かぶ月のようだった。 「嘘ですって」 洸至の微妙な変化を読み取ったのか、女が悪戯っぽく笑った。 「変なこと言っちゃって、ごめんなさい。今日待ち合わせの人が遅れているものだから…」 「振られそうですか」 硬くなりかけた空気を和らげるように洸至が言った。 「そうかもしれませんね。もしそうだったら、今日はあなたに付き合ってもらおうかしら」 グラスを口元に運んだ洸至が手を止めた。 「相手に振られた、似た者同士って気がするし…」 女がそこで言葉を切った。店のドアが開く音がした。 息せき切って入ってきた客が、女の隣に座った。 「すいません。仕事で少し遅れました。待ちましたか」 半白の髪を撫でつけた、整った顔立ちの中年の男だった。 贅肉のないタイトなスーツ姿は中年の臭みなど感じさせず、今でも若い女を惹きつけそうだ。 「いえ…。あの方がお話相手になってくれて」 男が女越しに洸至を見て会釈した。 それから女に男は囁く。 「よければ、食事にでも行きませんか」 囁き声の中に潜む雄の本能に気付いて、洸至は心の中で笑った。 中年にもなって、この男は女の躰を待てないらしい。完全にこの女の虜と言ったところか。 「そうですね。行きましょうか」 女の中にある余裕。誰がこの関係をコントロールしているかは明らかだった。 二人が席を立った時、女が洸至を見た。 「お話できて楽しかったです。また、お会いできたらいいですね」 「ええ」 あいさつ代わりに洸至はグラスを掲げた。 女が店を出ていった後も、女がつけていた香水の残り香が漂う。 この香水はあの女には似合わない。きっと、さっきの男の好みに合わせたのだろう。 柔らかさと甘さの中に少し幼さが漂う匂い。少し野暮ったい様な、日向の香り。 ―――まるで、遼子のような匂い。 「同じものを」 バーテンダーがうなずくと、洸至のグラスに琥珀色の液体を注いだ。 洸至は、残り香に包まれながら女が呼び起こした妹の記憶と、もう少しだけ酒を飲むことにした。 お兄ちゃんmeets遼子のそっくりさん。たぶん名前はマイ(ry 自己満足でした、すいません。 現在「本誌美人記者による体験手記」お兄ちゃん篇書いてます。 仕上がったら投下します。 うおぉぉぉぉ マイ○ーさん(仮名w)キターーーーー! 素晴らしいコラボ、ありがとうございます! そして東京では、遼子が某管理官とその先輩が食事している所に 同席してしまうんですね、わかりますww 体験取材のお兄ちゃん編も、楽しみにしてます。 イイヨイイヨー(・∀・) そしてお兄ちゃんは籐カバンを持った手品師とか ジャージ着用のメガネ女教師も見かけるのですねww ん?思ったより絡みづらいな・・・
https://w.atwiki.jp/vipdetyuuni/pages/2982.html
名前 霧月 性別 女 年齢 20代前半 分類 【操作系】 誕生日 1月12日 身長 160cm 体重 ??? 好き 思慮 嫌い 喧騒 大切 髪飾り、番傘 トラウマ ??? 能力 【天地万傘】 水、花、月、風の四種類の浮世絵が描かれた番傘を操る能力者。 傘自体は何の変哲もない代物にしか見えないが、どんな扱いをしても壊れない。また能力者自身にしか扱えない。 それが何故かと問えばこの傘が魔力の籠ったものだからであり、この能力者は籠められた魔力によって戦う。 開いている状態で傘を振るうと以下の能力を使役できる。 水……絵から水を呼び出し、自由に操ることができる。精密な操作は可能。 圧縮してウォーターカッターにするもよし、叩きつけるのもよし。 しかし呼べば呼ぶほど体力を消費し、10リットルも呼び出せば体のふらつきを覚え、さらに呼び出そうものなら意識の混濁、昏倒などを引き起こす。 花……絵から花びらを生み出し、それを患部に貼り付けることによって回復ができる。 回復には数レス必要。傷が浅ければ短時間で修復できるが、重傷なら相応の時間がかかる。目安として四肢欠損なら五レス程度。 月……描かれた月から光を放ち、目眩ましが出来る。 月の大きさは直径30cm程で、放たれる光は白昼でも眩しいと感じて怯むほど。 接近して使えば一時的な失明も引き起こせるかもしれない。なお自分に影響は及ばない。 風……絵から突風を呼び出して吹き付けることが出来る。あまり細かくは操れず、精々どこに吹かせるかを操れる程度。 風速はかなり速めで、追い風にして空を飛べるほど。無論相手への妨害なども可能。 しかし一ロール中に使役できるのは二種類まで。 身体能力は低めだが、傘だけで能力を使わずにチンピラ数名は倒せる。 +【Q A】 Q. 1. 水の精密な操作というのは、雨の様に小粒にしたりも可能でしょうか 2.花びらでの回復は、他人も可能でしょうか 3.傘だけで能力を使わず… とありますが、傘による打撃攻撃等が可能という事でしょうか A. 全て可能です しかし如何せん扱う人は一般ピープルなので、(打撃攻撃の)威力はあまり望めません 傘が壊れないのとリーチの長い傘を利用した出鱈目な攻撃です 追加 Q 1.傘は壊れないとの事ですが、盾のように攻撃を受ける事は(使用者が防御時の衝撃に耐えられるかは別として)可能ですか? 2.絵から呼び出す水は、10L程度が限度なようなので極力節水したいのですが 弾丸や鋭利なものの形をとり、高速度で放つ事は可能でしょうか 可能な場合どの程度の威力が望めますか? 3.絵から呼び出す花びらは、絆創膏的扱いで譲渡可能ですか? また、時間経過による消滅がありますか? 4.絵から呼び出す風は、傘を振るった一瞬のみと考えて良いですか? ある程度吹かせ続ける事が出来るなら目安を教えていただけると幸いです 5.この番傘を日常生活で使用しても問題はありませんか? A 1.できます 2.できます、ダメージは普通の銃や針などとして考えていいです 3.できます、時間経過による消失はありませんが傷を治すと消えます 4.吹かせ続けることが可能です、目安は二、三レス程度です 5.ありません キャラの概要 ある日、ふらりとこの街へやってきた。 以前まで何処にいて、何をしていたのかを全く覚えていないが 自分の能力については把握している様だ。 +【詳細】 幼い頃、謎の能力者集団による襲撃を受け故郷と家族を失った。 その際に睡眠を操る能力を持つ者に襲われ、長い眠りに堕ちる。 十数年間眠り続け、先年漸く 当の能力者の死亡を機に目を醒ますが 襲撃時の記憶も、眠りの中にあったという認識もない為 所謂記憶喪失の状態におかれている。 実際は、十数年分の記憶が全く存在しない。 不思議な事に眠りを原因とする、身体や脳への影響は出ていない様で 現在様々な知識を吸収しながら、記憶を取り戻そうとしている。 霧月という名前は『こう呼ばれていた気がする』からで 誕生日は、彼女が目を醒ました日である。 容姿や性格 肩甲骨位までの長さの白い髪、琥珀色の眼。 いつも着物+羽織という"和"な扮装で 頭にはガラスの髪飾り(花×トンボ玉)を付けている。 儚げで物憂げ、色白で痩躯な為、病弱な印象を与えがち。 性格は温厚で大人しいが、たまにどこか子供っぽい。
https://w.atwiki.jp/trio/pages/196.html
あの時の記憶…。『黒海攻防戦』の戦闘が、今もまだ鮮明に頭を過ぎる。 自分達の不注意のせいでなってしまった事態に、琥珀、夕焼、葡萄の色をした髪の三人組は誰が言うでもなく待機室に集まっていた。 それぞれ自分達の好きな物、小説とゲーム機、音楽プレイヤーを持って。 しかし普段からお世辞でも仲が良い、とは言えない三人が集まっているせいか、無言が続いてしまっている。 重苦しい雰囲気の中、壁から離れてガラン…と音を立て琥珀の青年は自販機で缶コーヒーを買い、再び壁にもたれ掛かり、 どう話を切り出せば分からないのか、長椅子に寝転がり目を隠して音楽を聴いている葡萄と、 椅子に行儀悪く座って大きな音でゲームをしている夕焼を交互に見つめた。 そんな時、葡萄色の髪をした少し大人びている青年、シャニ・アンドラスはまるで独り言のようにこう言った。 「…でも、このままじゃダメなんじゃない?」 その台詞に余計に辺りはシン…と静まりかえる。 琥珀の青年は眉を潜ませて缶を待つ手に力を込め、夕焼の少年はギリっと力強く唇を噛みしめ腕に爪を立てて、二人とも俯いてしまう。 珍しくシャニまでもが苛付いているのか、音楽プレイヤーのリモコンで音量を最大にしてしまった。 まるで三人とも、それを思い出したくないというように。 しかし、彼らは無意識にも自分達が『オッサン』と呼んでいる人物から先程放たれた言葉を思い出していた。 『貴方達が行っても無駄です。ロアノーク大佐の体調が回復すれば、あの方が行ってくれるでしょう』 彼は自分達の、寧ろ自分の力の無さに腹が立ってしまった。 琥珀色の髪の冷静さが窺える顔立ちの青年、オルガ・サブナックは思わず右手に持っていた缶コーヒーを力強く握り潰してしまったのだ。 一口も満足に飲んでいないせいか、コーヒーが飲み口から溢れ出、 手に付いてはポタポタと床に滴り落ちる。 オルガはコーヒーが付いた手を無意識の内に、まるで血を舐めるような眼付きで舌を滑らせて沈黙を守る。 そんな二人の様子を、夕焼色の髪のまだ子供さが見える少年、クロト・ブエルは目を細めて酷く楽しそうに薄く笑みを浮かべてみせた。 そして、ワザと抑揚の無い声色で呟く。 「…捕虜になった三人が悪いんだよ。僕らは関係ない」 「…ンだと?良くそんな事が言えるな、餓鬼」 「何怒ってるんですかぁ?オルガ君?」 オルガはクロトの言葉に怒りを露わにしてしまった。 自分の出来の悪さ、それをあの男だけではなく、同僚のクロトにまでも見透かされているような気がし、 自分の言葉にクスクスと可笑しそうに笑みを零すクロトをオルガはキッと鋭く睨み付ける。 一触即発。どちらからともなく腰に掛けられた拳銃に指を掛ける二人によって、今にも戦闘が起こりそうな雰囲気になってしまう。 それを上手く壊したのは、初めに口を開いたシャニだった。 「…冷静になりなよ、二人とも。クロト、お前はからかいすぎ。オルガは心配しすぎ」 シャニが発したことは図星であり、オルガもクロトも言葉に詰まり仕方なく拳銃から指を外し、 それぞれの趣味の物をポケットに直すとシャニを見つめた。 何事にも無関心なシャニとは違い、いつも何かと喧嘩するのは妙に正義感があるオルガと神経質で変に我が儘なクロトであり、 戦闘外であれば一番冷静かつ鋭く正しいことを言うシャニに意見を聞こうと二人は思ったのであろう。 そんな二人の視線に呆れたように息を吐き、まずは目の自由を奪っているアイマスクを外す。 そして煩く音漏れをしている音楽プレイヤーを止めてイヤホンを耳から外し、首に掛ける。 その一連の動作は、彼が喋ろうとする合図だった。 「…整理すると、現在、スティング・アウル・ステラの三人はザフトのミネルバの捕虜……」 「カオスとアビスとガイア、三つの機体もだよね。盗っちゃったヤツだからヤバイなぁ…」 「…そ。でも、ミネルバにはステラを助けた…シン・アスカがいる……」 記憶力は良い方ではないのか、一つ一つの単語を思い出しいつものようにクロトに助けてもらいながら声に出してそこまで言うと、 やっとシャニは起き上がって首を回す。 そして表情の変化が少ないシャニが珍しく、笑みを顔に張り付けた。 「…シンのおかげでアイツらはまだ死なない。…と思いたいけど、ミネルバには赤いのがいるからね~……」 シャニが言った『赤いの』を思い出していた二人は軽く伸びをして立ち上がり、軍服を脱ぎ始めたシャニのすることが分かったのか、 オルガは内線に電話をし、クロトは軍服のチャックを降ろしながら二人を置いてさっさと歩き出す。 「…善は急げってね」 「ですね」 「お前ら。オッサン達からの許可が下りた。…行くぜ?」 正義のヒーローだなんて柄じゃないけど、と含み笑いを見せてクロトは後から付いてくる二人を振り返って見つめた。 すると何があったのか、珍しくシャニとオルガが喧嘩しており、思わずキョトンと首を傾げるも直ぐに楽しそうに笑った。 「シャニがオルガに反論するなんて珍しいよねー。あんなにシャニが長く喋ったのも珍しいし、何か起きるんじゃない?」 クロトがそう言った瞬間、二人は分かっていたのか次はクロトに悪態を吐いて、クロトまでも巻き込んで口喧嘩を再開させた。 言葉はいつも通りだが、表情は珍しく三人とも同じで。 「スティングもアウルもステラも、いつもは喧嘩ばかりしているあの子達に、これほどに愛されてるとは知らないんでしょうねぇ…」 『オッサン』と呼ばれているブルーコスモスの理事である、ムルタ・アズラエルは、 オルガ達の滅多に見せない楽しそうな表情がスティング達によって出されていることに、口元を手で隠して小さく呟く。 頑張ってください、という言葉とは裏腹に、掌で隠された唇は何かを企んでいるかのように微かに釣り上がっていた―――。
https://w.atwiki.jp/nouryoku/pages/1752.html
名前(ふりがな) 蛍川 翠 ほたるがわ みどり 性別 女 年齢 17歳 身長 158cm 胸 Eの中くらい 髪型・髪色 腰ほどもある赤茶色のロング 血液型 O 所属(役職) カノッサ機関No.169/Phosphorusアルバイト 趣味 殺し合い→? 得意分野 戦闘 苦手分野 道徳 + menu 人物『乱気流警報発令中』 所持品『フォローウィンド』 戦術『ウィングオブケージ』 回想『風と共に去りぬ』 人物『乱気流警報発令中』  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 【容姿】 【腰近くまである赤茶色の髪に琥珀色の瞳をしたスタイルのいい少女】 【胸が強調された真紅のミニスカートドレスを着ていて、脚はガーター付きの黒いニーソックスで覆われている】 【左腰には灰白色の鞘に収まった青白い鍔の刀を提げ、両ふとももには柄の長い刃物が各4本ホルダーに収まっている】 【それから、左人差指には翡翠の如き色合いの水晶のように透き通った指輪を嵌めている】 ちなみに邪気眼喫茶『Phosphorus』(ウェイトレス)の時は、 【腰近くまである赤茶色の髪を後ろ側でまとめ、琥珀色の瞳をしたスタイルのいい少女】 【水色と白を基調としたフリルの大量に付いたミニスカートの衣装を身に纏っている】 【他の特徴を端的にいえばウェイトレス服なのだが…多くの人はフリルが華美過ぎると感るだろう】 【また、左胸のあたりには「みどり」と書かれた名札が付いている。彼女の名前だろう】 胸がEカップなのを筆頭にかなりスタイルはいい方である 内面が残念なのと合わせて中の人の恒例パターンの始まりのような気もする ちなみにミニスカドレスは半袖のつもりだったが最近その旨を書いてないことが発覚 まぁもう秋だからいいかってなったらしい 【性格】 「基本的には」それなりに常識を備えていて、若干めんどくさがりの気はあるが気さく(?)な少女である 出自や所属の関係からか、時折ネガティブ発言や残酷な発言もさらりとすることが ちなみに敬語はほとんど使わない。上司には一応敬語だが、普段使わないので微妙に変だったりもする 一方で、精神的なリミッターが外れると、人に対して嬉々として刃を向ける危険人物と化す 何かにつけて「素敵」と言うようだったらかなりの確率でこの状態に陥っている 今は落ち着いていて、道行く人を切り刻むことは無いが、まだこの殺人衝動は消えてはいないようで・・・? 色々あってシオンにベタ惚れている 彼女との出会いがきっかけで快楽殺人者モードは鳴りを潜めるようになったと言える だが、彼女が立場上敵対するJustice所属というのもあって、精神的には自覚している以上に危うい均衡をなしていた 【素性】 ―過去に積み捨てられている物― かつて、それまで優しかった両親に殺されかけたことがあり、さらにその時逆に両親を殺した経緯がある 両親を殺したことの精神的なショックは大きく、崩れた精神の均衡を補うために前述の快楽殺人者としての人格に目覚めた 両親の死で壊れた心を、他者の死で繕っている、といった感じか ほどなくして、機関所属の戦闘員となり、No.169のナンバーズとなる 殺人衝動と日々の生活を満足させるために、機関は最も都合がよかったのだろう そんな感じで日々を過ごす最中、シオn(ほかの項目と被るので略)、人間らしい心を取り戻す もともと、機関員であることへの執着は薄く、最近は自分に合った職場探しをしているらしい そんな感じで最近Phosphorusの面接に行ったそうな だが、機関の動きがにわかに慌ただしくなったことや、機関員の特権(実際あまり使ってないようだが)もあって、 当面機関をやめるということはなさそうだ どうも最近、メイドが出来たらしいが…… ―未来に横たわっている物― 自身のあり方について迷走する最中、シオンが他に嫁を得たことを知る(シオンの方が嫁なのか?) それは多くの人間にとってはちょっと変わった、祝福するべき一幕であったのだが、 人一倍シオンの存在に依存していた翠には内心それ以上の波紋を投げかけるものであって――― そののち、ミーナにあった折に会話の中で自らの本質をえぐり出すような言葉を幾つも受けることになる そして精神的に衰弱した翠の下に、もう一人のみどりが現れ、そして――――― 所持品『フォローウィンド』  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ Accessory 指輪 エキシビジョンの参加特典。タッグを組んだチェルシーと同一のデザインにしているらしい Weapon 日本刀 文字通りの日本刀。別に名のある名刀だったりはしない。よく折れたり放り投げられたりと扱いがひどい 舞霞-弐式 八本の骨で成り、面を張られていない大き目の扇。どの骨も、先端1/3くらいの部分が刃物のようになっている魔術の媒体として高い機能を備えているようだが詳細は不明 Other 風龍玉 クエストにて入手。高い風龍の魔力が込められている 戦術『ウィングオブケージ』  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 【能力】 風を制御する能力で、特に噴射など、瞬間的な制御に長けている 高速移動や一時的な飛行、空気弾や真空刃の射出などが可能であり、 翠はこの能力と刀を使った高速戦闘を主な戦闘スタイルとしている。箇条書きにすると、 きりさく かまいたち かぜおこし こうそくいどう こんな感じである。実に単純 【魔術】 「いつの間にか?」習得していた戦闘技術。魔力は緑色で、風属性の性質が強い模様 能力だけだと、軌道が直線的、火力に欠ける、広範囲の制圧に不向きなどといった解りやすい欠点があり、 それらを補う狙いがあると思われる 回想『風と共に去りぬ』  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 日付 内容 感想 2010/05/30 羽民 蟲舶と戦闘、ついでにからかって楽しむ 路地裏はなんでも転がってるから飽きないわよねー! 2010/05/31 道鐘と戦闘、絆創膏もらった 変に律義な奴ー、ま、使えるものはいただきましょう 2010/06/03 吉咲 詩穂と遭遇、微妙な身の上話とかしたり お仕事は楽なことばかりでもないわよねー 2010/06/05 金の国でジギルティンゲン シルヘストンと戦闘、なんやかんやで森に逃げた 好き放題暴れてくれたわね、あの二人…!あー痛っ 2010/06/11 クレセントと会い、なにやらまったりと話す。仲のいい家族は羨ましいみたい 家族…くっ 2010/06/12 なんだかわかんない奴と戦闘。不完全燃焼な戦いにご立腹の様子 ロゼとか言ったっけ、アレ…なんだったのかしら 2010/06/15 雲外鏡なるものと戦闘、その後シオンの脚線美にハァハァを宿まで送り届けた なんだろう、この気持ち…もしかして(ry 2010/06/20 羽民 蟲舶とまた遭遇、やっぱりからかったりした お互い様だけど、懲りないわよねー…あ、10辛カレー食べる? 2010/06/22 路地裏でシオンに遭遇、自分の過去を告白後シオンにべったりに 彼女は…私の光なのかしら 2010/06/25 沈んでる水銀 珠音に会う、家族絡みの問題はある意味経験者な翠である 家族は解り合えないものだけど…あれは、ねぇ 2010/06/28 Phosphorusの面接、あっさり合格もらったがそれでいいのか 適当だったわねー…あの子。愛、だったっけ 2010/07/06 Phosphorusにて小鳥遊 愛ととりとめなく会話。「海に行こうぜ!」って約束した あの人はいつもテンション高いわねー…私には無理 2010/07/15 森の中で識槻 朔夜と遭遇。戦いと正義の価値観を語り合う 正義なんて綺麗事と思ったのはいつのことか…Justiceの人は意外と話せる感じで何より 2010/07/17 公園で寝ていたスペクタクラー・ミズガネ・富士山大石寺・シズクを起こす能力マジ便利とか話してビラ渡したような。ふともも見せろ 世界制服?けったいな目標を掲げてるわね… 2010/07/28 シェン・ロンドの開いた議会の会議に出席。色々と思惑が渦巻いているようだが…? あの人…なんか怖い。あれね、粘着質? 2010/07/29 名称不明≪No.42≫の水着選びに付き合った末、大量の水着を押しつけられる 明らかに着きれないので水着は邪気眼喫茶に埋めたー 2010/07/30 毒牙 巳異ヨミと遭遇、奥義「メントスコーラ」を発動する ヨミはいい子ねー、メイドってどうなのかしら…? 2010/08/10 事故ったボケナス甘党ハニーを連れてなぜか大脱走 邪気眼喫茶で和菓子作って待ってるわあとあの車のこと今度聴かせなさい 2010/08/11 森の中で貴宝院 織守の自動防御的なこん棒と戦ったりなんとなく偉そうにほめられた。私はそんなに・・・いや、もういいや 軽くて丈夫!御信用にも最適な紙の剣!…うーん自動で動くあれは羨ましいわね 2010/08/21 三(四?)度シオンに遭遇。すごく・・・なにがなんだかです・・・ やっぱりシオンは「あっち側」なのよねぇ…あと私の能力は長距離航続には向いてないからすごく疲れたわ… 2010/09/03 公園でエルフェスとまったり会話。物騒だねーとかそんなん …なんだけど、後で“データベース”見たらこいつ・・・ 2010/09/05 森で鍛錬中にジャイアンなる人物と遭遇主にはドラとかノビタとかいう人の捜索依頼をされた感じ で、その二人の片方はセクハラ魔らしいけど…靴にナイフでも仕込もうかしら 2010/09/09 邪気眼喫茶で仕事中に議員代行様が来店。機関の仕事しろって言われた 前もそうだったけど辛辣ねぇあの人このとき美鳥 菫に冗談で「メイドがほしい」って言ったら… 2010/09/23 チェルシーとタッグを組んで、シオン&ネコサバトとエキシビジョンマッチを戦う あのときの感覚は…いや、考えるのはやめましょう 2010/09/30 氷の国の鉱山で採掘中、神導 劉鶚が落ちて来た 雪の中を飛んで来るってあんたアホでしょ 2010/10/06 クエストで風龍と戦闘、他の連中と協力して撃破する参加者:ランセート=ケルセート、リロード・ザ・マジシャン、冬凪 白雪、ミーナ=ヴィリク他 風龍玉、なかなかいい輝きしてるわねー…… 2010/10/12 公園でハニー、オーベール・ブノア・リシュタンベルジェルの二人とアレ気に会話する 砂糖菓子子は優しいことでねー、もう一人はあっち行っていいよ 2010/10/20 氷の国の鉱山で作業中、ライク・ヴェルトゥスとあと吸血鬼が邪魔しいに来る 「厭姫」の作成を邪魔しないで欲しいんだけどなー 2010/12/03 シオン、無道 武美、東 銀鶏と公園でゆっくり会話あちら三人は正義絡みで何かつながってるんだって? 結婚おめでとう……おめでとう 2010/12/20 ミーナ=ヴィリクに遭遇、世間話、と思いきや……