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部族の掟(報復):B+ (イェーガン) 部族の誇りを遵守することにより効果を発揮する自戒系スキル。 ステータスの向上等に寄与するが、掟を破るような真似をすると著しく弱体化してしまう。 彼の場合は歪曲スキルを付与されたこともあり「家族を殺した異民族とその仲間を見逃すと弱体化する」 「家族を殺した異民族とその仲間を殺す度に各ステータス、宝具出力が向上する」というものになっている。
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獣耳受付嬢 種族:クリエイター 登場作品:創刻のアテリアル 解説 裏闘技場の支配人的な存在。 人間嫌いのようだが、詳細は不明。 雑感・考察 怪物属性を持つ為、おそらくはクリエイター。 闘技場で倒すと仲間に加わる様な描写があるが、その後特にイベントは存在しない。 名前
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▼ Fire and Brimstone 依頼者: ペリィ・ヴァシャイ(Perih Vashai) / ウィンダス森の区・族長の家 依頼内容: マウラへ行き、コゥ・レンバララコに会え。 彼女が、罪人の娘の行方を知っている。 ウィンダス森の区 / 族長の家 Perih Vashai 自然の王が 再び、おまえを遣わせたか……。 Perih Vashai 今、罪人の娘の死を知る者が マウラの鍛冶ギルドにいるという知らせが 入ったところだ。 Perih Vashai 罪狩りのミスラどのは、 この知らせを聞いて、マウラへと旅立った。 おまえもマウラへ向かい、その者に会って もらいたい。 Perih Vashai 頼んだぞ。 おまえに風の祝福を。 Perih Vashai 罪人の娘の死について知る者が、 マウラの鍛冶ギルドにいるということがわかった。 Perih Vashai 罪狩りのミスラどのは、 この知らせを聞いて、マウラへと旅立った。 おまえもマウラへ向かい、その者に会って もらいたい。 Muhk Johldy 20年前、本国の牢を破り、 この地へと逃げのびた罪人がいました。 Muhk Johldy その者のことを知るミスラは ウィンダスには、あまりいないと思います。 私たちには、誇れる歴史ではありませんから……。 Kapeh Myohrye あの当時のことは、 我らに尋ねても無駄だ。覚えている者は皆、 語りたがらぬことだろう。 Kapeh Myohrye 我らは、南の部族の出。 あの部族で起きたことは、忌むべきことだった。 言えるのは、それだけだ。 マウラ 通常時 +... Koh Lenbalalako こんな日は、古傷が痛みます。 年は取りたくないものですね……。 Koh Lenbalalako ああ、あなたは? Koh Lenbalalako ウィンダスにお住みの ペリィ・ヴァシャイ族長様の使いの方でしたか。 Koh Lenbalalako 先ほど、本国から 罪狩りのミスラ様がいらっしゃいました。 20年前、この地で果てた、火の部族の長と その娘さんのことで……。 Koh Lenbalalako あなたは御存知でしょうか? 南の大陸にあるミスラの部族「火の部族」のことを。 Koh Lenbalalako 30年ほど前になりますが、 その部族の族長様が、同族殺しの罪を犯した のでございます。 Koh Lenbalalako そして10年の間、 本国にて罪を償っておいででしたが……。 こちらの大陸で戦争が起きた頃、牢から逃げ、 娘さんを連れてこの地へ渡ってきたのです。 Koh Lenbalalako 私はその頃、 ジュノとウィンダスを行き来し、物資や人を 護送するという危険な仕事をしておりました。 Koh Lenbalalako ……そんなある日、 ウィンダスからジュノへと向かう一行に ミスラの親子が混じりました。 Koh Lenbalalako これが、罪人の親子でした。 しかし、私たちは彼女たちが罪人だとは気づかず、 頼まれるがままにジュノ目指して旅立ったのです。 Koh Lenbalalako しかし、事件が起きました。 私たち一行は、メリファトにてヤグードの部隊に 見つかってしまったのです。 Koh Lenbalalako 抵抗も適わず、私たちは オズトロヤ城へと連行され…… そして、牢へ入れられました……。 Koh Lenbalalako オズトロヤの牢は、 それは恐ろしいところでした。凍てつく寒さに、 私たちはただ、震えていました。 Koh Lenbalalako そのような中、時を置いて、 1人、また1人と、ヤグードたちに連れ出されて 行きました。 Koh Lenbalalako 火の族長様もまた、 娘さんを残したまま、ヤグードたちに連れ出され、 それきりとなり……。 Koh Lenbalalako ……。 Koh Lenbalalako その後、メリファトの地に 駐屯していた、ペリィ・ヴァシャイ様率いる 精鋭部隊によって、私たちは助かりました。 Koh Lenbalalako 私は、1人残された娘さんを ジュノへと連れて帰ったのですが、娘さんは 疲れと悲しみで、日に日に痩せ細っていきました。 Koh Lenbalalako ……彼女のなきがらは エルディーム古墳に、戦で死んだ他の種族たちと 共に葬られましたよ。 Koh Lenbalalako 罪人の娘は、 ミスラの地には葬れませんからね……。 Shikaree M そして、その話が本当かどうか。 これから確かめに行くところです。火の族長 ネヴ・ベフラティ(Nhev Befrathi)の娘 シウ・ベフラティ(Syu Befrathi)の死体を。 Shikaree M 今、街の人に聞いたのですが、 エルディーム古墳の奥は、とても強いモンスターが 徘徊しているそうですね。 Shikaree M 1人ではとても 進めないようなところだとか。けれども勿論、 そのようなことで追求の手を緩めはしません。 Shikaree M そう、あなた、 あなたは冒険者という人種だと言うことですね? 冒険者とは、報酬を払えば、大抵の仕事を請け 負うものだとか。 Shikaree M 私は姿を隠して、あなたの後を 追います。ですからあなたは、道を開きながら、 エルディーム古墳の奥にある墓場へ向かいなさい。 Shikaree M ……では、私は 先に行っています。急いで来なさい。 Koh Lenbalalako ウィンダス近くに住む 年老いたミスラのほとんどは、南にある 「火の部族」の出でしょう。 Koh Lenbalalako けれども、情けで 罪人をかくまったりはいたしません。 罪は償うものであり、罪から逃れる ことなど、絶対にできないのですから。 エルディーム古墳 Shikaree M [Your Name]……。 遅かったですね。まさかと思いますが、私から 逃げようかと考えていたのではありませんか? Shikaree M もしもそうならば、 無駄なあがきです。罪狩りのミスラから逃げる ことなどできません。 Shikaree M ここエルディーム古墳の奥には、 4区域に分かれた墓地があり、20年前の大戦で 死んだ者たちが葬られているそうです。 Shikaree M 誰がどこに葬られたかは、 各部屋に設置してある石碑に明記してあるとのこと。 まずは石碑を調べ、罪人の娘の名前を探しましょう。 Shikaree M さぁ、先を行きなさい。 私は姿を隠し、あなたの後をついていきます。 通常時 +... (Gravestoneを調べる) この区画に葬られた、死者の名が彫りこまれている。 (Gravestoneを調べる) 葬られた死者の名が彫りこまれている。 ……罪人の娘の名は、ないようだ。 (Gravestoneを調べる) この区画に葬られた、死者の名が彫りこまれている。 その中に、罪人の娘シウ・ベフラティ(Syu Befrathi)の名があった! Shikaree M 罪人の娘の名が、 そこにあったのですか? Shikaree M 彼女の葬られた場所へ 行ってみましょう、[Your Name]。 Shikaree M ……。 確かにここに葬られたようですね……。 Shikaree M あら、これは……。 双子石のピアス? 死んだ娘のもの……? Shikaree M さすがに死体そのものは 残っていませんが……。これで十分……。 仕方がありません、ペリィ・ヴァシャイ 族長の元へ戻りましょう。 (Gravestoneを調べる) もう、調べる必要はない。 ウィンダス森の区 Perih Vashai 帰ったか。 ……罪狩りのミスラどのも。 Shikaree M そこに罪人の娘が葬られていると聞き、 エルディーム古墳という場所へ行ってきました。 Shikaree M そこで、ある双子石のピアスを 拾いました。皆の話を総合するに、これは、 罪人の娘のものに間違いはないでしょう。 Shikaree M けれども確かめる必要があります。 この片割れはどこにあるのです? 母親が葬られた場所はどこです? Perih Vashai 母親のなきがらを 探し出すことはできなかった。 Perih Vashai しかし、オズトロヤ城の牢へ 入れられたというならば、なきがらもまた、 オズトロヤ城にあるだろう。 Perih Vashai オズトロヤの王は、最上階の広場で 捕虜を戦わせていたという話がある。その戦いで 倒れた捕虜は、大きな泉に打ち捨てられたとか。 Perih Vashai その泉をくまなく探せば、 何かが見つかるかもしれぬが……。 Shikaree M では、その役目はまた おまえに頼みます。古びたピアスを 見つけたら、すぐにここへ戻りなさい。 Perih Vashai 申し訳ない、冒険者。 我らの戦士の中から、おまえに手伝いをつけたい ところだが、天の塔の許可なしで、オズトロヤへ 踏み込むわけにはいかぬ。 Perih Vashai おまえに土の祝福を。 Perih Vashai 20年前の戦の頃、 オズトロヤに捕えられた戦士たちは、 最上階の広場で、ヤグードと戦わされた。 Perih Vashai その戦いで倒れた戦士は、 オズトロヤ城の上階にある大きな泉に 打ち捨てられたという。 Perih Vashai シウ・ベフラティの 双子石のピアスに合う古びたピアスは、 そこにあるだろうが……。探し出すには、狩人と しての力が必要になるだろう。 オズトロヤ城 ※スカベンジをする。 古びたピアスを手にいれた! 古びたピアス Rare Ex 薄汚れて傷の入ったピアス。 ウィンダス森の区 / 族長の家 (Perih Vashaiに古びたピアスをトレード) Shikaree M 見つけ出したのですか……。 確かに、シウ・ベフラティの双子石のピアスに ピタリと合いますね。 Perih Vashai 驚くべきことだ。 腕が立つ冒険者だと噂になるだけのことはある。 Shikaree M けれど、この冒険者に その作業をさせている間に、私は重要な証人に 会ってきました。 Shikaree M その者いわく、あなたが眼の光を 失ったのは、あなたが光の弓を放ったからだとか。 Shikaree M しかも、当時、牢に捕らわれた 捕虜を救ったは、ヤグードたちの目を眩ませる ほどに、まばゆき光を放つ弓矢だったとか。 それこそが光の弓。 Shikaree M 正直に申し出るべきです。 やはりあなたは、光の弓を隠していますね? あの名弓に魅入られましたか、ペリィ・ヴァシャイ。 Shikaree M 眼光を失ったあなたには、 過ぎたるものだと、既にお分かりでしょう? Perih Vashai ……。 Shikaree M いいでしょう。 あなたは逃げも隠れもしないお人と 聞いています。 Shikaree M 時間はまだ、たくさんあります。 この場はここまでにしましょう。 Shikaree M それと冒険者、 これを渡しましょう。いつでもあなたが 公平であるように願っています。 ハンターベレーを手にいれた! ハンターベレー Rare Ex 防21 HP+13 INT+3 飛攻+5 ラピッドショット発動率アップ Lv54~ 狩 Perih Vashai ……光の弓か。 あの弓が作られてから、30年が経つだろう。 しかし、あの弓が我らにもたらしたのは、 死と不幸と悲しみだけであった。 Perih Vashai それもすべて、 この大陸から始まったもの。年寄りたちが 「忌むべき陸地」と呼び、渡ることを拒んだ この地から始まったものなのだ……。 Muhk Johldy 私たちミスラは、 根ざす地の祝福を受けて、族長の弓を作ります。 Muhk Johldy ペリィ・ヴァシャイ 族長様は、この地の祝福を受けて「蒼穹の弓」を お作りになりました。 Kapeh Myohrye 「光の弓」は、南にある 火の部族の弓だと聞く。その弓から放たれる矢は 力強く、激しく、使い手の前に敵なしと言われた。 Kapeh Myohrye しかし、どのように強い弓でも、 我らの族長様が、その弓に手を出すはずがない。 それはすなわち、狩人の義に反することだからだ。 マウラ Koh Lenbalalako 罪狩りのミスラ様は、 こうまでしても、納得していただけなかった ようですね。 Koh Lenbalalako おそらく、「光の弓」の 行方を確かめなければ、あのお方は本国へと 帰ることができないのでしょう。 ▲ 罪狩り 火の部族 断ち切らん、その鎖を ■関連項目 アーティファクト関連クエスト , ウィンダス森の区 Copyright (C) 2002-2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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エレゼン~崇高なる民~ かつてエオルゼアの中原を我が物としていた遊牧民族。 痩身長躯、四肢長大を身体的特徴とする。 大挙入植を始めたヒューランのミッドランダー族に対し、 死闘を繰り広げてきた過去をもつ。その歴史的背景が、 森林を隠れ蓑に反抗闘争を続けたフォレスター族と、 洞窟に立て籠もり久しく外界との交流を断つ道を選んだ シェーダー族という、二大部族の源流となった。 フォレスター~森林の民~ 数百年もの間、うっ蒼とした森の奥深くで暮らしてきたエレゼンの一部族。 鷹の目の如き遠視を誇り、弓術に秀でている。 現在では街に順応した者や平原における遊牧生活に戻った者も少なくない。 シェーダー~黒影の民~ 数百年もの間、薄暗い鍾乳洞を拠点としてきたエレゼンの一部族。 蝙蝠の如く発達した耳は、敵の衣擦れを聞き取るほどで、自ずと格闘術に秀でている者が多い。 現代でも半ば盗賊化しつつ穴居生活を続けている者がおり、フォレスター族を裏切り者として軽蔑している。 ララフェル~機敏なる民~ 他民族の目には子供のようにも見える小柄な民族。 元々は南洋の島々に暮らしていたが、大航海時代に 作物の交易を通じてエオルゼアに進出。 他民族や異文化に順応するのが早いため、 現在では主要構成民のひとつに数えられる 国すらあるほど、各都市に定着している。 ずんぐりとした見かけにはよらず、すばしっこい者が多い。 プレーンフォーク~平原の民~ アリの巣のように地下でつながった草葺き屋根の住居を建てて暮らしていた 「平原の人びと」と呼ばれる、ララフェルの一部族。 草木と似た緑黄色や亜麻色の髪。モグラの微かな足音も聞き逃さない大耳をもつ。 デューンフォーク~沙漠の民~ 大型家畜に背負わせた移動住居に住み、砂地を移動しながら暮らしていた 「砂丘の人びと」と呼ばれる、ララフェルの一部族。 瞳孔を薄膜で被われたガラス玉のような目を特徴とし、額には宿星を表す宝珠を貼り付けている。 ヒューラン~多様なる民~ 約千年前より過去三度にわたる大移動で近隣の大陸や 島々から流入してきた、エオルゼアでもっとも人口が多い民族。 他の民族と比して中肉中背。短く丸い耳。長旅に耐える健脚などの 身体的特徴をもつ。多様なルーツから受け継がれたバラエティに 富んだ言語と文化体系を擁するが、そのぶん民族意識は低く、 個人の自由を尊ぶ気風が強い。低地に移住したミッドランダーと 高地に移住したハイランダーが知られる。 ミッドランダー~中原の民~ 人口の多いヒューランの中でも過半数を占める優勢な部族。 各地の街や村に居住し、その生業も多様性に富んでいる。 幼少より書物に慣れ親しむ風習があるため、比較的知識層が厚いようだ。 ハイランダー~高原の民~ 北部辺境の高地を領地としていた、ヒューランの中でも大柄で筋骨隆々の一部族。 彼らの都市国家アラミゴが陥落して後は、亡命した傭兵の男以外、他都市でその姿を見かけることは稀になってしまった。 ルガディン~剛胆なる民~ 針鼠の如く尖った髪、獅子の如く輝く瞳、 猩猩の如く筋張った腕をもつ、がっしりした体格の巨人。 エオルゼアでは、海賊や水兵、漁労を主な生業とする ゼーヴォルフと、衛兵や用心棒、鍛冶屋を生業とする ローエンガルデの二部族が殊に知られている。 ゼーヴォルフ~北洋の民~ 北洋から襲来する海賊「海の狼」として恐れられていたルガディンの一部族。 現在では船乗りや水兵として働く者も少なくない。 ローエンガルデ~紅焔の民~ 煉獄の門と信じられている噴火口付近に住まう「炎の衛士」と呼ばれる、ルガディンの一部族。 ルガディンの頑強な肉体だけでなく、火渡りの修業により魔力の素質も備えている。 ミコッテ~孤高なる民~ 大氷雪時代、獲物を追って氷結した海を渡ってきた狩猟民族の末裔。 鋭敏な嗅覚を誇る鼻、高い瞬発力を生む脚、優れた平衡 運動を可能とする尾等、猟人らしい身体特徴を備える。 縄張り意識が強いため、同族民とすら距離をおき、 シングルライフを営んでいる者が多い。 殊に男性は都市生活への適応に難があるため、 市街地で暮らしているミコッテは、ほとんどが女性。 サンシーカー~太陽の民~ 自らを「太陽の使人」と称する、ミコッテの一部族。 太陽神アーゼマの信徒が多く、昼間を活動時間の中心とする。 縦に細長い瞳と淡い色の虹彩の印象的な目をもつ。 ムーンキーパー~月読の民~ 自らを「月の防人」と称するミコッテの一部族。 月神メネフィナの信徒が多く、基本的に夜行性。 鮮やかな戦化粧を顔に施している者が多い。
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獣耳衆、それは学園都市で最も馬鹿な活動内容を持つ組織である。 その活動内容とは―― 獣耳衆はテロ組織 学園都市で最も馬鹿な組織の彼らも、一応周囲からはテロ組織扱いなのである。 それでもやっぱり、馬鹿なテロリスト扱いな気はするのだが。 獣耳衆と平和なメンバー 馬鹿テロ組織獣耳衆。彼らのメンバーには平和に生きる者もいる。 平和なメンバーは組織で何をしているのだろうか。 獣耳衆と風紀委員 彼らがテロ組織である以上、当然ながらそれを取り締まる者も居るのである。 そのうちの一つ、学生による自治組織たる風紀委員と獣耳衆が出会うこともまた必然であると言えよう。 獣耳衆と追跡者 延々とテロ活動を続ける獣耳衆(馬鹿組織)。 繰り返す彼らの行為によって、因縁めいた相手が生まれることもあるのである。
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超能力やら最先端科学技術やらが渦巻く科学の総本山、学園都市。 その名からも分かるように、この街の200万を超える住人の大部分は学生である。 学生である彼らは、概ね外部の同年代の者たち同様多感なお年頃であり、時にはちょっと変わった嗜好の者もいるのも変わらない。 そして、変わった嗜好を持つものは得てして同好の士を見つけ、ちょっと変わった集団を作るものなのである。 * * * * 第20学区に存在するとあるマンションの一室で、椅子に座った一人の男がコンピュータのディスプレイを見ながら何事か話している。 大柄な男だ。立ち上がれば2m近いであろう鍛えられた体躯からは、その長身に見合ったパワーを感じられる。 部屋の隅にはブレザーの制服が掛けられており、彼もこの街の学生なのだと分かる。 しかし、彼を最も特徴付けるものはその長身でも、似合わなそうな制服でもない。 勿論彼が着ている黒尽くめの私服でも、その右目に走る3本の傷跡でもない。 彼の頭には――高さにして10cmほどの猫耳が生えていた。 カチューシャなどではなく、真に生えているのである。ちなみに、彼の感情を受けてかぴこぴこぱたぱたと動いている。 また、椅子に座っている彼の腰からは、80cmほどの尻尾が生えている。こちらも同じくゆらゆらと揺れている。 「うむ、実に実りある会議であった。では次回の布教作戦に参加する者は期限までに連絡しろ。作戦内容を知らぬものには無闇に教えるなよ。以上、解散!」 彼の猫耳に装着されたイヤホンからは「了解です、頭領」「詳細は後で詰めましょうねー」等の声がする。 また、彼の視線の先にあるディスプレイには「第23回ケモミミ布教作戦概要」と書かれた文書ファイルが表示されている。 彼の名は黒井錬児。この世に存在するありとあらゆるケモミミを、とりわけ猫耳――否、ネコミミを心の底から愛する男である。 そして彼のもとにはケモミミを愛する者が集う――彼らは「獣耳衆(ケモミミスタ)」と名乗っていた。 * * * * 冒頭の会議から数日後。 獣耳衆の面々は、その拠点の一つである黒井の部屋に集まっていた。 「ふむ……、集まったようだな。それでは、本日の作戦に参加するものは以上で良いな?」 部屋を睥睨して確認を取る黒井。ちなみに彼が獣耳衆の頭領(リーダー)であり、ネコミミ派の長である。 部屋にはネコミミ、ウサミミ、イヌミミその他思い思いの獣耳をつけた少年少女が集まっている。 下は小学生から、上は高校生まで。見方によっては微笑ましいと取れなくもない光景である。 「ええ、問題無いわ錬児。参加者は全員集まってる」 それに答えたのは、頭部にキツネミミのカチューシャをつけた和装の少女。腰からは尻尾のアクセサリーが垂れている。 彼女の名は貴常野宮。獣耳衆の副頭領にしてキツネミミ派の長であり、黒井の恋人でもある。 「うむ、それなら各派の長、ないし代理人はそれぞれの派の参加者人数を報告せよ。ちなみにネコミミ派は俺と柳谷の2名だ」 獣耳衆は、それぞれの好むケモミミに合わせて派閥を作っている。 どの派閥に属しているのかは各々のつけているケモミミで分かり、黒井は当然ネコミミ派である。 なお、ネコミミとウサミミが2大派閥を形成しているが、べつに少数派閥だからと不利になることはない。 『NOケモミミ,NOライフ』『ケモミミ皆兄弟』等の標語を掲げる彼らにとって、他の派閥だからと敵視する理由はないのだ。 「ああ、俺たちウサミミ派は俺に稲葉、逆咲の3人だ」 黒井に続いて報告したのは宇佐美美兎。ウサミミ派の長であり、いつか黒井を超えようとしている自称「ウサミミの徒」である。 兎のように白い髪、赤いカラーコンタクトを付けた少年で、黒井程ではないにしろ背が高い。 「キツネミミ派は実働戦力として私が参加するわ。一応バックアップには他の子もいるけど、いつも通り参加人数には数えないわね」 続いて貴常。キツネミミ派は概ね前線に出ず、ハッキングやラジオのジャックなどに関わることが多い。 今回も長の貴常以外は後方支援に徹するようだ。 「イヌミミ派は俺と吉田の二人が参加するワン、教祖様」 そう報告したのはイヌミミ派の長、独楽田剣太だ。 金髪の強面で、着崩した制服にイヌミミ+尻尾アクセサリーという出で立ちだ。 宇佐美に負けない体格の持ち主で、黒井を教祖様と呼んで慕っている。 「ゾウミミ派は僕一人です。いつものように作戦指揮を取らせてもらいますね」 この場に集まる中で最後の長、屋布笑治が締める。 彼は異端とも呼ばれるゾウミミ派の長であり、普段はよく「えへへ~」と笑っている小柄な少年である。 作戦指揮などにおいて優れた能力を持ち、キツネミミ派と同様にゾウミミ派が頭脳担当として重用される所以でもある。 「うむ、それでは本日の参加人数は総勢9名+バックヤードとなる。総員、作戦の確認及び準備を開始せよ!」 『了解!』 部屋の空気が慌ただしくなる。 屋布ら頭脳労働担当が作った作戦の手順や資料等を確認するもの、ケモミミカチューシャを配布するもの等、それぞれが己の役割を果さんと動いていく。 * * * * 獣耳衆はテロリスト集団である。 本人達にしてみれば「失礼な話だ」と考えているだろうが、実際問題として世間からはそう見られているのである。 では何故彼らは、そのような物騒な扱いをされているのだろうか。 ――その答えは単純に、この惨状に表れている。 「ふはははは!獣耳衆推参!貴様らにこの素晴らしさを叩きこんでくれよう!」 「な、何なのよこれ……!」 「うっ、うわあ!兎の化けも……!」 「3班!3班!……応答してくれ!クソっ、ダメか!」 第六学区で行われていた集会の会場は、大混乱に包まれていた。 人々が逃げ惑い、怒号や悲鳴が飛び交う。 その場にいた警備員や風紀委員が、混乱を収束させようと懸命に指示を出す。 彼らの被害者のある者は頭をおさえ、また別の者たちは互いの様相を見て悲鳴を上げる。 彼らの頭部にはすべからく――ケモミミがついていた。 * * * * 要するに、こういうことである。 彼らの活動の一つである「ケモミミ布教作戦」。 これは、イベント会場等に乗り込んでその場に居る人々の頭部にケモミミカチューシャをつけて回るというものだ。 ただし、許可は取らず強制的に。 おまけに言えば無差別にだ。 さらにはその付け方が問題である。 例を挙げるなら、先程「兎の化物」呼ばわりされていた宇佐美。 彼の能力は「脚力強化(ラビットフッド)」。能力発動時は下半身の筋肉が著しく肥大化する。 その状態で兎のごとき4足走行モードをとって人ごみの中を駆け抜け、足を払って転ばせた相手にウサミミを装着していく。 身長180cmもある下半身が肥大化した人間が、である。襲われた側にしてみれば下手すればトラウマものだ。 それ以外にも、小動物に命じてキツネミミを付けさせる貴常や、小柄ながら優れた運動神経で次々とミミをつけ続ける吉田哀迷。 念動力によってカチューシャを飛ばす稲葉香穂に、野生の獣の如き身体能力を持って跳びかかってはミミをつけていく黒井。 極めつけは全身白タイツに招き猫の仮面、加えてネコミミカチューシャを装備した柳谷綿雄。紛うことなき不審者スタイルだ。 現場の状況を表現するなら「鳥に小動物(貴常)、人間(肉体派連中)に招き猫仮面(柳谷)にカチューシャ(稲葉)が混乱の中で飛び交っている」となる。 端的に表して大惨事であるといえよう。別に惨くはないが。 しかしながらこの街の風紀委員や警備員は優秀である。 彼らの手によって混乱は収束していき、混沌としていた場に秩序が戻ってくる。 そうなれば当然彼らが目指すことは、不埒者共を引っ捕らえることなのだが……。 「頭領ぉー風紀委員が来そうなんでお先しますねー」 「錬児、警備員も立ち直りつつあるわ」 「む、そうか。此方からも伝達しておこう――『風紀委員及び警備員が立ち直りつつある。総員、屋布らバックヤードの指示に従い撤退せよ』」 白黒ツートンカラーのウサミミパーカーを着た少女、逆咲はごろもの報告と、続く貴常の報告を聞いた黒井は獣耳衆各員に伝達する。 彼らの通信はそれぞれのケモミミアイテム(カチューシャ等。大体は脳波に連動して動く)で行われているため、動き回りながらでも連絡が可能なのだ。 「クソっ!奴ら逃げに入りやがった」 「逃がすか……って速あ!?」 「わっぷ、鳥が!猫が!」 「ふはははは!壮観かな、ケモミミが満ちているわ!」 獣耳衆には肉体面で優れた者が多い。実働部隊は特にだ。 宇佐美は自慢の脚で時速200kmを出して走っていき、黒井は運動面に劣る面子を抱えたまま平然とビル壁を駆け上がっていく。 追ってくる相手は貴常が手懐けた鳥やら猫やらが妨害する。 結局この街の秩序の番人たちは、黒井の高笑いの残響を聞きながら後片付けをするハメになったのであった。 合掌。 * * * * 「それでは、作戦の成功に乾杯!」 『乾杯!』 てんでんばらばらに散った獣耳衆メンバーが再び集合した、拠点の一つであるとあるペット可マンションの一室。 彼らはジュースやお菓子、料理に犬猫などを持ち寄って「作戦成功おめでとうパーティ」を開いていた。 ちなみにこの気が抜ける名前は、獣耳衆に所属する年少メンバーに気を使ったものである。 余談だが、獣耳衆は活動内容の割に裕福な組織であり、メンバーの家以外にも複数の拠点を持っている。 高レベルの能力者が複数所属する上に、ケモミミグッズの一般販売などで利益を上げているためだ。 「ふふふ、今日もがんがんミミつけたっスよー!」 「むう、今回もMKPは吉田となったか」 独楽田が連れてきた犬を撫でつつ喜びを表現する吉田に対し、尻尾で猫をじゃらしつつ黒井が唸る。 なお、MKPとは「もっともケモミミをつけた人」の略であり、小柄で運動神経のいい吉田は、この称号を最も多くとっている。 「この調子でイヌミミ派を盛り上げるっス!」 「その調子だワン。いずれ教祖様のネコミミ派に並ぶ程に……」 気勢を上げる吉田に対して返す独楽田は明るい未来を夢想する。 「そのためにはまず俺たちウサミミ派を超えてみるんだな。勿論その前に俺たちがケモミミの王座を頂くけどな」 「そうだよ!美兎お兄ちゃんの言うとおり、まずはボクらを超えてみろー!」 「喧嘩はしないでよぉー?」 それを聞いて真っ先に反応するウサミミ派の面々。彼らは虎視眈々とネコミミ派の王座を狙っているのだ。 「ふはは、善き哉!争いまで至らなければ競いあいは良いことだ!無論我らが王座は揺るがんがなあ!」 「その通りです、師匠!ネコミミは不滅です!」 更にノってくるネコミミ派の黒井と、それに追従する柳谷。 なにを、なんだ、と言い合いが始まる。 「そういえば頭領~、ゾウミミつけてくれました~?」 「ふはは、当然だ!無論、ネコミミを優先したがな」 「えへへ~。ありがとうございます~」 そんな中投げかけられた屋布の問いかけに、父性を刺激されてかその頭を撫でつつ答える黒井。 言い合っているメンバーも、言葉とは裏腹に楽しそうに笑っている。 その様子はまるで獣がじゃれあうかのようであり、本気で相手を攻撃する気などないのだと分かる。 斯様な変人集団といえど、これはこれで良い関係なのだろう。 「くそったれ、獣耳衆の奴ら……!今度会ったら一人残らずしょっぴいてやるからな……!」 「先輩、気持ちはわかりますが手も動かして下さい……」 ……周囲の迷惑を顧みなければ。
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くどいようだが獣耳衆はテロ組織である。 それゆえに彼らと警備員(アンチスキル)・風紀委員(ジャッジメント)との対立は避けられず、そして毎度のように衝突が起こっている。 そして繰り返される衝突・対立の結果として、時には因縁浅からぬ相手というものもできてしまうのである――あ、名無しの警備員ではなく。 * * * ある夏の日の《風紀委員》一七六支部内にて、支部長である加賀美雅は支部員たちに連絡をしていた。 「オープンイベントの警備?」 「そう!最近話題の総合レジャー施設『テラ・ステラ』のオープンイベントの警備を打診されたの!」 ぶっきらぼうに聞き返した神谷に対して、加賀美は楽しそうに告げる。 近頃盛んに宣伝されているレジャー施設の警備が楽しみで仕方ないらしい。 「当日は日曜日だから参加できない人は連絡すること。イベントの前に現地に集合して、イベントが終わった後に現地解散。詳しいことはプリントを見てね」 「それはいいんですけど、なんで俺達なんですか? それこそ警備員の人たちに任せるものだと思うんですけど」 嬉しそうに語る加賀美に対して、鳥羽帝釈が疑問を呈する。 本来、風紀委員は校内の治安維持組織である。稀に外部活動を行うことはあれど、このような大規模イベントの警備などに駆り出されることは少ない。 「同じ学区というわけでもありませんし、なにか理由があったりするんですか?」 「……あー、うん。やっぱり勢いでごまかすのは無理よね」 気まずそうに目をそらす加賀美に、支部員たちの疑いの目が強まる。 彼女は優秀なリーダーだが、やや軽いところがあるのは玉に瑕といえる。 頬をかきつつ、加賀美は口を開いた。 「えー、と。今回のイベントには、前に稜と姫ちゃんがやりあった……『獣耳衆(ケモミミスタ)』だっけ?あいつらが現れる可能性が高いらしいの。それで、なんでも彼らの対策を行ってることで有名な――」 「――そこからはワシが説明しよう」 ふと、支部の入り口の方から声が届く。 そちらを見やれば、一人の巨漢が立っていた。 身長にして一九〇センチはあろう長身と、学生服の上からでも分かるほどに鍛えあげられたことが分かる筋肉。黒い髪を角刈りにし、太い眉毛と割れたアゴが目立つその少年――「……」――何ですか姫空さん物言いたげな目をして。 「……学生?」 「うむ、高校三年で風紀委員だ。ワシの名は鬼瓦仁平。奴ら――『獣耳衆』を引っ捕らえるべく全力を尽くしている。」 姫空の訝しむような発言に対して、事も無げに答える鬼瓦。常日頃から留年疑惑を持たれているためか、普通に失礼な姫空の態度に怒るわけでもない。 「(イケメンじゃないわ……というか本当に高校生? 青髪の殿方とは大違いね)」 「(あー、確かにちょっと、いやかなり老けてますよね)」 「(鏡星さんも緋花ちゃんも、失礼ですよ)」 「はいそこ、ガールズトークはストップ。葉原ちゃんと私に余計な負担かけないでね。」 ひそひそと話してる鏡星・焔火に対し、加賀美と葉原が注意する。 他支部から来た先輩に対してあまり失礼な態度をとるのはあまりよろしくない。 「で、鬼瓦さんは獣耳衆を捕まえるのに全力……って、あいつら神出鬼没だったような気がするんですけど」 「うむ、その通り……奴らには学区も管轄も関係はない。だがそれでもワシと部下は学園都市全域で奴らを追っているのだ。あのような迷惑テロリストは一刻も早く逮捕すべきだからな」 「まったくだ。あの超傍迷惑テロリストは可能な限り迅速に務所にぶち込んでやりてえな」 加賀美の疑問に胸を張って答える鬼瓦。クビにならないのが不思議だが、おそらく彼は基本的に(獣耳衆が絡まない限りは)優秀で人望厚い風紀委員であるためだろう。 そして神谷がその発言に同意する。以前ウサミミを装着された上にネット公開されたことを根に持っているらしい。 「それで、結局なんで俺達がその警備に選出されたんだ?」 しかし本人の意思と疑問は別のようで、神谷は続けて鬼瓦に尋ねた。こちらの面子が話をかき回したのもあるが、未だに話が進んでいない。 「ああ、それは今の……神谷だったか。お前の返事が理由だ」 「返事? ……ああ、なるほど。モチベーションか」 「うむ、その通り。何しろあいつらはやってることがやってることだからな。傍から見るとドタバタ劇でしかない。実際に被害にあっていなければ大してやる気も出ず、やる気があったとしてもあの無駄に戦闘力の高い面子に対抗できる者でなくてはならない。そのために選ばれたのが――」 「――俺ってわけか。いいぜ、乗ろうじゃねえか。先だっての罪も合わせて、あいつらまとめて務所にぶち込んでやる!」 「そうだ、そのやる気を待っていた!この腕章にかけても、あいつらから学園都市の平和を守ってみせよう!」 「一応リーダーは私なんだけどなー……あ、参加する人は集まってね。ちょっと作戦会議しましょ」 「そうだな、そうしよう。ワシらはこれまでの経験から――」 「――え、それって――――だから――」 「――――」 意気投合……とは少し異なるだろうが、ともあれ目的を同一とした彼らは対獣耳衆について作戦を練りはじめる。 そこで出た案は、かの迷惑テロリストを捕らえる助けとなるだろう――――彼らのプライドと引き換えに。 * * * イベント当日。テラ・ステラ入り口からすぐのイベント広場は、イベント開始を待つ多くの人々でごった返していた。もしこの中にケモミミを隠した獣耳衆が混じっていたとしても容易に発見できないであろう。 実際、彼ら――獣耳衆はいくつかのグループに分かれて人混みや建物の上などに待機していた。 黒井は司会者を襲撃し自分たちのなを高々と伝えるために据え付けられた壇の近くに潜んでいるし、ウサミミ派実働部隊の代表コンビは人混みの中、兄妹のように仲良く話している。 その他、同じく人混みの中にイヌミミコンビが、近隣のビル屋上に待機して上空からの視界を屋布に提供する貴常とその警報装置……もとい警戒要員の逆咲、護衛の柳谷のトリオなどがバックヤードの屋布によってグループ分けされている。 そして、据え付けられた壇上に立つ司会によってオープンイベントの開始が宣言された瞬間、彼らは現れた。 人混みの中の一部が、懐からケモミミカチューシャを取り出して自分と周囲の人間に装着する。どこからともなく現れた鳥の群れが、人々にケモミミを投下する。そしてどうやって潜んでいたものか、壇の裏から飛び出す黒井。 「フハハハハハハハゲホッ、刮目せよ!しかして喜ぶがいい!ネ――ケモミミのケモミミによるケモミミのための福音を!」 『な、いやあんた誰――い、いつの間にか頭にネコミミが!? ぐわああああああ!』 「ふ、遅すぎるな……。我が名は『黒猫』!世に名高き獣耳衆の頭領にしてネコミミの王!さあ無耳達よ、ネコ――ケモミミの洗礼を受けるがいい!」 『いやあんたさっきから欲望駄々漏れじゃないっすか』 「出たな獣耳衆(テロリスト)……!」 「落ち着きなさい稜。あなたや姫ちゃんの能力使用は一般人の避難誘導が済んでからよ」 のっけから司会と漫才を繰り広げている黒猫、もとい黒井を睨みつつ神谷は棒を握る力を強める。ちなみにこの間、鳥羽のような切った張ったが苦手なタイプの風紀委員たちは別働隊として避難誘導を行なっている。 それを見て加賀美が諌めてはいるが、実際はそこまで心配していない。神谷は問題児と言えるが、そこまで見境のないタチではないからだ。 さらに言うなら、この状況は作戦通りである。敵が客に紛れ込んでいるのは確実、そして自分たちが紛れ込んでいるとバレているのもほぼ確実だ。 であるなら、自分たち戦闘向き風紀委員および変装警備員がやるべきことは、極限まで風紀委員・警備員であるということを隠し、あたりがケモミミだらけになって敵が油断したところを確実に突くこと。 そのための秘策も、風紀委員たちの懐や鞄の中に入っている。――反撃の時は近い。 「ふ、む――妙だな。いつもに比べて警備員共の動きが鈍い」 漫才を終え、その桁外れの運動能力を用いてケモミミを布教していた黒井は、あたりの様子を伺ってそう呟いた。 普段ならそろそろどっかの警備員だのアゴの割れた老け顔の風紀委員だのと妙に因縁深い連中が現れていてもおかしくないはずなのに、やけに彼らの動きが大人しいのだ。 「まあ、伝えてはおくか……『全員に伝達する。警備員たちの動きが妙だ。敵作戦の可能性を考慮して――』っ!?」 「見つけたぞ『黒猫』!逮捕だああああぁぁぁ!」 連絡を始めた矢先、聞き覚えのある声が届く。そちらに目をやれば、黒井の目の前には拳が迫っていた。 「があっ……!? 貴様……!」 為すすべなく殴られる黒井。無論彼の能力を持ってすれば生半な物理攻撃など屁でもないのだが、今の一撃は生半で済むものではなかった。 黒井の視界に映るのは、黒井自身と同程度の身長に鍛え上げられた肉体(以下描写省略)の男、つまりは鬼瓦である。 彼は黒井を睨みつけ、片手に黒井のパワーでさえも容易くは破れぬ特殊素材を用いた手錠を構えている。さっきはあれをメリケンサック代わりに殴ってきたようだ。 「……ふっ、誰かと思えばやはり貴様か鬼瓦よ。今頃のこのこと出てきて一体どういうつもりだ?」 「決まっている。ここでお前を逮捕するつもりだ、黒猫ぉ!」 互いに不要な前置きを交わし合う。彼らは相いれぬ思いを持つ敵同士であり、向き合ったからにはやることはひとつだ。 そして――緊張が最も高まっているこの瞬間こそ、秘策を使うとき! 「喰らえ黒猫!これこそワシらがこれまでの研究から編み出した秘策!」 「秘策だと? 馬鹿馬鹿しい。フィクションじゃあるまいしそんなものそうホイホイと……そ、それは!?」 「呆けたな黒猫、スキだらけだぞ!喰らえええぇぇぇ!!」 「しまっ、ぐわああぁぁぁ!!」 鬼瓦の秘策を目にした黒井が作ってしまった一瞬の忘我。当然その反応を予測していた鬼瓦が隙を見逃すはずもなく、彼の手錠パンチが黒井を殴り飛ばす。 その角刈りの頭には―――― ――――ぴんと立つ、黒いネコミミがのっていた。 * * * つまり、秘策とはこういうことである。 『奴ら獣耳衆は、「ケモミミ皆兄弟」なるスローガンを掲げている。また、ワシらのような敵にカチューシャを付けるとき、たとえ対処が容易な相手だろうと無力化してから行う。』 『その他諸々過去のデータから推測する限り、奴らは好むケモミミを着けた者とは戦えない、あるいはその気力が著しく削がれるということだ!』 『よってワシらがとるべき秘策は――「相手の目の前で相手の望むケモミミを付けることによる動揺作戦」だっ!』 ~作戦会議での鬼瓦の台詞を抜粋~ この発言に、「ホントかよ」などとつぶやいた者が居たとか居ないとか。 ともかくこの秘策は鬼瓦の読み通り、正しく作用したといえよう。 彼ら獣耳衆はその理念とか個人的感情とかそういうアレによって、自分と同じミミを着けた相手を攻撃することは好まない。 特に黒井などの派閥長はその傾向が顕著であり、彼らにとって同じミミを着けた相手は子孫や弟妹も同様である。よって、たとえ理性がどれだけ説得しようととても全力で攻撃なんてできなくなるのだ。 ※彼らの反応には個人差があります。 * * * 「おのれ、あそこまでケモミミを嫌悪していたくせに卑怯な!しかもそれ我々が販売してるケモミミではないか!」 「お前たちを逮捕するためなら、ワシらのプライドなど捨て去っても構わん!お前たちがケモミミをつけているものに攻撃し難くなるのは承知しているぞ!」 殴り合いながら――――実質鬼瓦が一方的に殴っているのだが――――言を飛ばす両者。 本来なら戦車砲の如き破壊力を持つ黒井の拳はどうしても途中で減速し、逆にその隙を狙った鬼瓦のカウンターをよけきれずに食らっている。逃げようとしても、これまでの経験を活用して絶妙に立ちまわる鬼瓦相手ではそれも容易ではない。 元々から強力な能力者である黒井と互角に渡り合える鬼瓦だ。いまのように黒井が全力を出せない状況であれば容易に戦える。 いまだ黒井が戦えているのも、身体強化(フィジカルブースト)のおかげでしかない。 そしてこのような状況は、広場の各地で起こっていた。 「さて、俺もあの黒いのといきたいところだが……まずはてめえからだ、ウサギ」 「テメエ……中々似合ってるぜ」 「さ、させないよ!美兎お兄ちゃんはボクが守る!」 「……はぁ、似合ってても嬉しくねえしやりづれぇ……」 「強面に童顔って、どうして私の相手って……イケメンは!イケメンはどこよ!」 「よくまあこんな下らない悪事をはたらくものね!無駄に人望のあるあの黒猫……だっけ? そいつごと捕まえてあげる!」 「ぐ、ぐるる……困ったワン」 「くっ……わんこの魅力で押してくるとは、中々やるっすね」 「……捕まえる」 「そうそう、さっさと片付けるわよー。そしたらこっそりもらえた優待チケットで遊びつくすんだから!」 「なんというか、あなた達も大変ね。でも、私たちは他の皆みたいにはいかないわよ?」 「その通り!あの憎き固……悪鬼をネコミミで浄化するまで、俺達は負けない!」 各所でケモミミを装着した風紀委員たちと獣耳衆たちが睨み合う。しかしこの状態は、風紀委員たちの側にこそ利すれど、獣耳衆側には殆ど利益がない。 時間がたち、増援が来ると困るのは獣耳衆側。タイムリミットは避難誘導が落ち着き、離れて警備しているであろう警備員たちがこの場に到着するまで――どれだけ長くても半時間にも満たない。 この短時間において、獣耳衆は風紀委員たちから逃れなければならないのだ。……いや、社会正義的には逃れないほうが良いのだが彼らが主人公ですし。 とにかく、各所で獣耳衆の逃亡戦が幕を上げたのだった。 * * * 現在明らかに不利な獣耳衆の面々、特に各派閥の長を務める者達は現在の状況について混乱しながらもある程度の把握を試みていた。 現在敵方は自分たちの派閥と同様のミミをつけ、こちらの戦意を削ぐ作戦に出ている。 逃げるだけなら不可能ではないかもしれないが、それも相手がミミをつけているとなると難しい。つい揺れ動くミミに目が寄ってしまい、相手の連携から抜け出し切れないのだ。 この状況を打破するためには、ひとえにあのケモミミが邪魔なのであり、そのために鍵となるのは――ビル屋上にいる貴常・柳谷のコンビだ。 ちなみに逆咲は早々に風紀委員の接近を感じて警告・逃走したが、貴常たちは自分の役割の重要性を知ってその場に留まっている。 彼女たちは、少なくとも今逃げるわけには行かないのだ。逃げている間に仲間が捕まれば意味が無いし、この状況に最も上手く対応できるのは彼女たちなのだから。 貴常の能力で手懐けた動物たちにケモミミを奪わせる、あるいは覆いかぶさるなどしてケモミミを隠しさえすれば、皆の逃亡もうまく行く可能性が高い。 さらに、彼女らの派閥は別派閥。いくら相手が二種類のミミをつけているからと言って他の面子ほど容易く崩されはしない。 そして何より――――彼女、貴常野宮の座右の銘は「ミミはシッポと組み合わさる事によって完成する」。彼女にとってミミだけでは片手落ちなのだ! ともあれ、ここまで読み切っていたのかは本人のみぞ知るが、屋布の指揮能力(?)によって最悪の事態は免れたといえよう。 しかし、ここから無事に脱出するには目の前の風紀委員……加賀美(キツネミミ)と姫空(ネコミミ)の無力化が必要だ。 加賀美の手のひらには水球が現れ、姫空はゴーグルを下ろしている。完全に戦闘態勢である。 「と、まあそういうわけで……あいつらを追っ払って皆を助けるわよ、柳谷君」 「わかりました、副頭領! ……とはいっても、あいつら……えっと、大きい方とか結構強そうですよ?」 「随分と余裕そう。私の《能力(チカラ)》を前にしても同じ事を言えれば良いのだけど」 「ほら、姫ちゃんにはまだ成長の余地があるわよ。私だって特別大きいわけじゃないし」 「それは関係ないし、今の私はそのような些事を気にはしない」 「拗ねてる……わけじゃないみたいね。なんていうか、若いっていいわねー」 「……あれは私に喧嘩売ってるのかしら?」 「副頭領もまだ女子高生じゃないですか、若さを気にする年齢じゃないでしょうに……。それにほら、大きさでは断然勝ってますよ!」 「それ、セクハラじゃない? 錬児に告げ口しちゃおうかしら」 「し、師匠に言うのは勘弁してくださ……ッ!?」 アホなことを喋っていた中、瞬時に緊張が走る。 加賀美の水使い(ウォーターマスター)の応用、手から放たれたウォーターカッターが、貴常のキツネミミを切断したのだ。 同時に放たれた光子照射(フォトンレーザー)によって、柳谷のネコミミもその片方を焼き切られている。 「さて、これで通信も出来ないわね。改めて言うけど、風紀委員(ジャッジメント)よ。テロリスト集団獣耳衆(ケモミミスタ)の構成員……招き猫と狐耳。公共物破損、傷害、その他諸々の容疑で逮捕するわ」 「油断がすぎる。素直に従うなら命だけは助けてあげ……いたっ。いきなり何をするの」 「それじゃ悪役の台詞じゃない。風紀委員なんだから言葉遣いには気をつける!……さて、それで従う気に……」 加賀美の言葉が途切れる。何の気なしに目を向けた二人の様子がおかしいのだ。ぷるぷると震える彼女らからは、何やら良からぬオ―ラが漂っている。 「ふ、ふふ……私のキツネミミ…………」 「俺のネコミミ……師匠から頂いた…………」 不気味に呟く二人を見て加賀美たちがあっけにとられていると、二人はぐるんと音がなりそうな勢いで加賀美たちの方を向く。 その顔は深い怒りに彩られており、なんかもう殺気とか殺意とかそういうものが浮かんでいるかのようだ。 『ブッ飛ばす!』 彼女たちは同時に叫び、能力を行使する。加賀美たちのレベルは4、それに対して二人のレベルは3、おまけに貴常は戦闘向きの能力者ではない。 だが、そう――彼女たちには果てしない怒りが宿っている。ケモミミをたやすく破壊する邪智暴虐の徒に対する正義の怒りが。もう正直片手落ちがどうとか言ったのなんて関係なく、今この時だけ彼女たちは同胞をも手にかけ得る修羅と化した。 ※一般的に、正義は風紀委員側にあります。 ともかく彼女の怒りに呼応して、周りに鳥達が集まってくる。彼らのほとんどは町中に住むカラスや雀といった小鳥だが、いつも餌をくれて優しくかまってくれる獣耳衆に対する恩義は深い。恩義を感じるのにも貴常の能力が必要だが。 「行きなさい!あの極悪非道な二人組を突き倒してあげるのよ!」 鳥達は貴常の命令に忠実に、時にはワシやフクロウのような天敵も追い払う集団戦術を開始する。モビングと呼ばれる行動で、多くの鳥達がよってたかって突き、ひっかき、飛び回るのである。殺傷力自体は高いものではないが、視界を塞ぎ、全周から襲いかかるこの攻撃から逃れるのは難しい。 能力を使おうにも、常に最大威力で放たれる姫空のレーザーでは余計な被害を出しかねず、かと言って加賀美の水使いで捕まえようにも常に入れ替わり立ち代り現れる鳥を狙うのは難しい。ウォータージェットで撃墜することは可能だろうが、考えなしにやればバラバラになった鳥の血肉を浴びるかもしれない。そして当然ながら鳥に対人用の格闘術が有効なわけもない。 この調子なら、加賀美たちが解決法を編み出すまでの数十秒から数分の時間は稼ぐことが可能だろう。 とはいえ、この鳥達がいないと他のケモミミをどうにかすることも出来ないので、早急に風紀委員たちを無力化しなければならない。 貴常は怒りを鎮め、自分に頭脳強化(ブレインブースト)を発動させながら考える。 (単純な力勝負ではこちらに勝ち目はない。……ゴーグルの子ならなんとかなるかもしれないけど、もう一人……水の子は厄介ね。どちらも出力から行って推定レベル4クラス、これ以上時間を与えて対処される前に一気にやるべきね) 「(柳谷君、タイミングを合わせて電撃を打ち込んで。気絶するくらいでね)」 「(ぐぬぬ、あいつら……あっ、了解です副頭領。任せてください、全力でぶち込みます)」 「(ねえ話聞いてた? 気絶するくらいの強さでよ?)」 「(大丈夫です、任せてください!)」 「(ならいいけど、失敗したらその時は――――)」 「(はい、了解です――)」 ひそひそと会話を交わす二人。その間も鳥達に囲まれた加賀美たちからは目を離さない。 可能な限り迅速に、柳谷の準備ができた瞬間を見計らって貴常は声を上げる。 「散開!柳谷!」 「了解です!食らえネコミミの仇!」 貴常の声と同時に鳥たちが散開、解放されて一息ついた風紀委員の二人めがけて、柳谷の電撃が放たれ、音を遙か超越する速度で放たれた電撃が過たず加賀美らに向かう。 だが、彼女らが大能力者(レベル4)は決して伊達ではない。鳥に巻かれた時こそ風紀委員であることと無駄に動物を殺したいわけでもない心情を突かれた故に為すがままだったが今は違う。敵の行動を十中八九招き猫(仮)による攻撃だと読んでいた加賀美は、迷わず柳谷に向けて水球を放っていた。結果として空中で水球と電撃が衝突、両者とも散ってしまう。 「(ち、マズイわね。こうなったら……逃げるわよ!鳥達は皆のとこ行って助けてあげて!)」 「(了解です)」 「あ、危なかったわ……」 「助かった。私の《能力(チカラ)》の封印をこんなところで解き放つわけにはいかない……って、敵は?」 「……あっ」 そのころ、ビルの内部には全力で走る2つの影があった。言うまでもなく貴常と柳谷である。 「全力ダッシュよ柳谷君!一応鳥達に命令は出しといたから、それが効果を発揮するまで逃げないと!」 「了解です副頭領!でも副頭領に合わせると全力なんて出せません!」 「余計なお世話よ!ああもう、こんな無駄に高いビル選ばなければ良かったわ!セキュリティだかしらないけど時々階段が別な所に設置されてるし!馬鹿じゃないの!?」 「でも高ければ高いほど良いって言ったの副頭領ですよね?」 二人は喋りながらビル内部の階段を下りていく。下りる前に一応鳥達に命令を下したものの、今度は自分たちが逃げる番となってしまった。柳谷にしろ貴常にしろ、運動能力は優秀な風紀委員と比べて高いとは言えない。というか基本的にインドア派の上に常時和装を着こんでいる貴常の場合は低いとさえ言える。故に、そんな二人が補足されるのに大した時間はかからなかった。 「はっ、はあっ、もうちょっと、運動しなきゃね」 「そうっすね、その方が師匠も喜ぶと思うっす。いろいろ引き締ま……うわっ!」 「私は十分引き締まって……きゃあっ!?」 どれだけ逃げただろうか、いい加減貴常の疲れも目立つようになってきた。そして、自棄気味に話す二人を目掛けて見慣れた水球が放たれる。とっさに柳谷が放電によって迎撃するも、やや威力を減衰させる程度だ。結果として二人は揃って吹っ飛ばされ、踊り場の壁に強かにその体を打ち付ける事になった。 「か……はっ」 「ぐうっ……」 そこに追いつく加賀美たち。当然ながら大した疲れもなく、余裕の表情だ。当然ながら先の水球も彼女の仕業である。 「いらなく梃子摺らせてくれる。さっさと捕えてあげるから無駄な抵抗はしないほうがいい」 「だからそれは悪役の台詞だってば……でもまあ、事実よね。そろそろ観念しなさい」 対する獣耳衆の二人は、当然抵抗する気満々である。であるがしかし、未だ対抗手段は来(・)て(・)い(・)な(・)い(・)。通信できない以上いつになるかは分からないが、それまでの間は時間を稼がなければならない。 「……仕方ないわね。この子は使いたくなかったのだけれど。柳谷。作戦KKHよ」 「KKH……? ふ、副頭領、まさか師匠から預かったあの子を!?」 「ええ、この場を乗り切るにはこれしか無いわ……多分」 「あれ、今多分って言いました?」 唐突に話し始める貴常と柳谷。加賀美たちはそれを訝しんでいるが、「この場を乗り切る」との表現にはさすがに黙っていられない。 「何だかわからないけど、何か策を使う暇なんて与えると思うかしら?」 「……ええ。貴女はこの策の前に敗北するわ。そしてそれを妨害する暇も無いでしょうね」 「へえ、なら試してみましょうか!その策が使えるのか!」 即座に水球を現す加賀美。電撃による不意打ちだろうと、この場で防御することは容易だ。そして貴常本体に戦闘能力は皆無であり、鳥達もいない。万が一スタングレネードのような兵器を使われてもいいように、姫空のゴーグルには今回に限り遮光機能まで付加してきたのだ。 「という訳で、あなたが今から何をしようと――「猫よ」――え? ……えーっと、何だって?」 妙な言葉を聞いた気がするなー、と言わんばかりの表情で、加賀美が聞き返す。 「私の服の中には頭領(リーダー)と連絡するための猫が入っているわ」 「……はい?いや、あなた今まで散々走ったりしてたじゃない」 「副頭領が最大限に注意を払っていたんだよ。誰かさんがふっ飛ばしたせいで今はかなり弱ってるけどな」 「うえ!? いや、でもそれは……あなたたちが悪いんじゃないの!」 「ええ、そうよ。私達が悪いわ。私たちは自分たちの正義を敢行しているけど、それが理解力に乏しい世間一般にとってはテロ扱いなのも知っている。でもそんなことは関係なく、あなたたちの行いによってこの猫は弱り切ってるわよ?」 「加賀美、わ、私の《能力(チカラ)》だと獣(ケダモノ)を癒したりはできない……」 言い合いの結果、仲間の姫空にまでチラチラ見られる加賀美。全く悪くないのに悪いことをしたようで居心地が悪い。 「ぐぬぬ……、そ、それならその猫を渡しなさい!すぐ病院とかに連れてってあげるわよ!あと姫ちゃんは呼び捨てしない!」 「嫌よ。この子は今私を守る最後の盾なのよ?そう易易と渡せるわけがないじゃない」 「副頭領、それは流石に酷いです!」 「とんだ卑怯者。哀れな小動物を盾にするなんて、血も涙もない」 柳谷にまで非難されても全く堪えていないのか、貴常は余裕の笑みを浮かべている。そして笑ったまま、戦いの終わりを告げた。 「なんとでも言いなさい。勝者こそ正義なのよ……それに、間に合ったようだしね」 「あ、そうなんですか。良かったー」 「へ? いきなり何を……っ!? これは……!」 「か、壁が……!?」 加賀美たちの言葉が聞こえたわけでは無いだろうが、轟音とともに踊り場の壁に大きな亀裂が走る。繰り返されるたびに亀裂は広がり、ついに頑丈なはずのビル壁には大穴が空く。そしてその向こうには人影――頭部にネコミミを生やし、浅黒い長身を極限まで引き絞った筋肉で覆った、野生の獣の如き肉体が映る。そう、かなりボロボロになってはいるものの、獣耳衆頭領・黒井錬児がそこにいた。 「……遅かったじゃない、錬児。どうしたのその顔。男前が台無しよ?」 「ししょおおお!待ちわびてましたあああ!」 「ふはははは、声やら匂いやらを辿って殴ってみたが、当たっていたようだな!顔に関してはじき治る、気にするな!……しかし、よくもまあうちの面子をやってくれたものだな」 貴常と柳谷は喜びを浮かべて黒井を迎え、黒井は高笑いで応じ、加賀美たちの方を見やる。 「ええ、もちろん。それが私達の仕事だし、あなた達のような迷惑テロリストを放って置くわけにはいかないわ」 「貴方達は自分の行いの罪深さを知る必要がある……あれ、あまり深くないような」 「いや、深さに関係なく罪は罪よ。ああもう、とにかく治安維持を担うものとしては、ここであなた達を見逃すようじゃダメなのよ!」 加賀美の言葉に、黒井はにやりと笑みを浮かべる。 「そうか、その意気やよし!……だがまあ、今回はその信念を曲げて見逃してもらうこととしよう。時間的に余裕が有るわけでもなし、この距離なら俺の方が圧倒的に有利だしな」 無類の身体能力を誇る黒井にとって、屋内での近距離戦闘は最も得意とするところである。近距離戦が得意な神谷や鬼瓦ならまだしも、この場の少女二人を沈めることくらいは可能だろう。彼女たちもそれは分かっているようで、口惜しそうにはしているが手を出そうとはしない。 「ではさらばだ!心こそ無いが、良きケモミミであったぞ風紀委員!だが次こそは我が手で正しくネコミ……ケモミミの良さを教えてくれよう!覚えておくことだな、はーっはっはっは!」 「あ、ちなみにKKHっていうのは『可愛い(K)子猫で(K)ハートを直撃(H)作戦』の略だ!」 「ぶっちゃけハッタリなのよー。良かったわね、かわいそうな猫は居なかったわよ?」 「ぐぬぬ……!」 「……良かった」 言い捨てながら黒井に担がれ、まとめて脱出する獣耳衆。流石にあの程度の犯罪者にレーザーやウォーターカッターを直撃させるわけにもいかず、二人は他のメンバーに連絡しつつ、ビルやら家やらの屋根を飛び移っていく後ろ姿を眺めるのであった。 「……次は絶対」 「ええ、そうね。絶対に捕まえてやるわ……でもまあ、今日は無理っぽいわねえ。皆大丈夫かしら」 「……多分」 * * * いつものように、何処ぞの学区の何処かに存在する獣耳衆活動拠点。ここで獣耳衆の面々は今回の反省会兼パーティをしていた。 「えー、そういうわけでだな。今回のような作戦をとられると我々は弱いということが判明した」 「だよなあ、ウサミミは卑怯だぜ。悪くはなかったけどよ」 「ごめんね美兎お兄ちゃん、ボク足手まといだったよね……」 「馬鹿いうな、ウサミ……ケモミミに足手まといなんていねえよ。あいつだってお前が居たから大分やりづらそうだったしな」 「なんというか、大変だったんですねー」 黒井の報告に対して話すウサミミ派の三人。宇佐美でも流石に剣神こと神谷の相手はきつかったようで、ところどころ傷つき、さらには自慢のウサミミも片方切り落とされたらしい。ひたすら回避に注力していてもこれなのだから、倒すのは難しかったといえるだろう。 「ま、あいつをやるなら不意打ちの一撃必殺を狙うべきだぜ。俺なら……俺も痛えが全力のタックルとかな」 「その時にはボクも手伝うからね!」 「俺の方も結構きつかったですよ教祖様。幸い砂も電撃も俺の水とは比較的相性良かったんですけど、流石に二人を抑えることは無理ですからワン」 「そうっスね。幸い運動なら吉田たちのほうが出来たんで、逃げるだけならそれなりに出来たんスけど。どっちも見づらいのが怖かったっス」 イヌミミコンビも答える。連れてきた犬を構いながらなので格好はつかないが。 駒田にしろ吉田にしろ、能力は敵より強いわけではないが運動神経に関しては極めて高い。かたや犬神の異名を持ち、かたや最多MKP(最もケモミミを着けた人)保持者である。 「ミミさえなければ勝負はわからなかったワン!」 「そうっス!ミミさえなければ吉田がミミをつけてやったはずっス!」 声を上げる二人をなだめつつ、黒井はいつもの様に音頭をとる。 「うむうむ、その意気だ!我々も今回の弱点を野放しにせずいずれ潰すだろうが……まあそれは後日行うとしよう。今はとにかく、第43回ケモミミ布教作戦の成功を祝って、乾杯だ!」 『乾杯!』 * * * 一方その頃、風紀委員176支部にて。 「おのれ『黒猫』、『獣耳衆』!次こそ逮捕してやるうぅ!」 「ちっ、あのウサミミ野郎ちょこまかと……」 鬼瓦たちは、今回の件で大分荒れていた。何しろ確実なチャンスを掴み、ギリギリまで追い詰めたのである。ふたりとも怪我は殆どなく、逆に相手の受けているダメージは、逮捕目前と言える状況だったはずだった。……にも関わらず、極限まで逃げまわられたせいで意識を奪うまでにはいかなかった。肉体面で優れる獣耳衆実行部隊のしぶとさによってギリギリで逃がしてしまった口惜しさは大きい。 しかし、現在そんなことを悩んでいるのは少数派だ。なにせ相手が相手だったからか、逃したことを延々と悔やむような者より次に何とかすればいいのだと考えてる者が多い。なにしろあの連中の被害によって一番ダメージを受けるのは警備員・風紀委員である。逆に言えば守るべき人々へのダメージはミミをつけられるくらいしかない。と、これらの要因もあって彼らの過半数は気楽な様子を見せている。 「いやー、それにしても楽しかったね『テラ・ステラ』!」 「この空気でそれを言うんですか加賀美先輩。そりゃまあ、確かに楽しかったですけど」 「獣耳衆にイケメンもいなかったし、もう楽しむしかないじゃない」 「……怖かった」 「あー、あの『超地球規模・衛星探査火箭列車(オーバーアース・サテライトロケットトレイン)』だっけ?最新技術を惜しみなく使用した電磁誘導式ジェットコースター。確か……『最高時速600キロオーバー!すこしでも無重力を味わえるよう足場は無し!さあ皆、宇宙を征く感覚を味わおう! ※安全だけはしっかり確保しています』とか書いてたっけ。姫っちよく乗る気になったよねー」 「ああ、獣耳衆のサブリーダーの人美しかったなあ。恋人居るらしいけど、残念だなあ」 「一色さん、またそんなこと言って」 「何を言ってるんだ鳥羽、男たるもの美しい女性に焦がれるのは当然だろ?」 「いやまあ大なり小なりそうでしょうけど、一色さんほどじゃないと思いますよ」 女子組男子組それぞれで最新のレジャー施設の感想など言いつつ、彼らは次こそ不届き者を捕えんと決意を新たにする。今回の相手のような馬鹿な連中ばかりとは限らない。守るべき人々を傷つけないために、彼らはまだまだ働かなければいけないのだ。 ともあれ、皆の夜は更けていく。
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アンケクスフェンのトーテム 一時は最難関インスタンスとして君臨していた「ラニーアイ:集会」内でのコレクション品。 Procにより、次のHealが25%もUPする。 アドーンメントをつけない限り、耳のほか、指にも装備可能。 火山崇拝のフープ 後述する「イーサノートのタリスマン」を装備すると見える、BlueShinyのコレクション品。 コレクション品とは思えないほど優秀。場合によってはブローカーで揃えてしまってもよいくらい。 イーサノートのタリスマン TSOインスタンス内でランダムで拾えるコレクション品。 BlueShinyが見れる他、能力的にも優秀。更にProcで詠唱速度が伸びるのが有り難い。 なお、ダメージProcには期待しないほうがよい。 虚無無き存在のループ 「古の者の宮殿」Named、XythusAransta のDrop。 火山崇拝のフープの上位互換と思ってよい。HPの上がり幅が多いのが魅力。 ヴァンパイアの素早きフープ 「ザーラコンの深淵なる間」Named、ZarrakonのDrop。 能力的に申し分がない上、更にProcが優秀すぎる一品。 虚無チャネリングのシグネット 「ムンゾクのマテリアル堡塁」関連クエストの報酬品。 ムンゾク攻略に必要なイアリングにHealCrit諸々の能力が付いたもの。 HPが増えないのが唯一のネック。 凍った記憶のループ 「ミラガルのプラナーシャード」1FのハードモードNamed、HaladanEnragedのDrop。 CritBonusが嬉しい上、ダメージ軽減Procまで付いてくる一品。 HealCritChanceが付いてないので、既にCritがCapに届いている人向け。 フープ・オブ・ホープ 「ミラガルのプラナーシャード」2FのNamed、QxectusQxectusのDrop。 ヒール量UPに大幅貢献してくれる一品。 これもCritChanceが付いていないので、他のアイテムで補助できる人向け。
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砂の部族 収入が200ほどの弱小勢力 ファーマーンに狙われる クラス 全部弱い 攻略 右の砂丘を攻略し探索で金策アンド後衛などを取得するしかない
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部族・種族 アントマン もょんゑ族