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12ページ目 ハムちゃんずハウス最上階――。 待ち受けるはハムちゃんずが一匹! 悪夢の案内人ねてる! 「すぴ~……」 「ね、寝てるだけ?」 「油断しちゃダメなのだ! ロコちゃん!」 ねてるは幻術を得意とする。すなわち夢の実体化! 彼は自身の夢、他者の夢を自在に操り攻撃することが出来る! 「ねてるくんを倒すにはこっちも夢の世界へ行くしかないのだ! おやすみなのだ!」 革命軍、夢の世界へ――――! 「うきゅ!」 夢の世界で待ち構えるは、ハムちゃんずが一匹。狂気の刃、ちびまる! 「まさか夢の世界で待っていたとは! さあ勝負なのだ!」 ハム太郎とちびまる、両者が同時に飛び掛る――! 一方ロコちゃんはハム太郎とは別行動で夢の核を探していた。 「核さえ壊せばねてるくんを倒せるはず……! 待っててハム太郎!」 次へ トップへ
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紀藤弁護士による被害歴 ただいま情報募集中です。
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過去に煽り君の被害に遭ったスレ(身体・健康板) 「糖尿病総合スレッドpart134」における被害(2010/10/16更新) 「糖尿病総合スレッドpart135」における被害(2010/10/8更新) 「糖尿病総合スレッドpart136」における被害(2010/10/7更新) 「糖尿病総合スレッドpart137」における被害(2010/10/7更新) 「糖尿病総合スレッドpart138」※その1における被害(2010/10/6更新) 「糖尿病総合スレッドpart138」※その2における被害(2010/10/6更新) 「糖尿病総合スレッドpart139」における被害(2010/10/6更新) 「糖尿病総合スレッドpart140」における被害(2010/10/3更新) 「糖尿病総合スレッドpart141」における被害(2010/10/2更新) 「糖尿病総合スレッドpart142」における被害(2010/10/1更新) 「糖尿病総合スレッドpart143」における被害(2010/10/1更新) 「糖尿病総合スレッドpart144」における被害(2010/9/28更新) 「糖尿病総合スレッドpart145」における被害(2010/9/22更新) 「糖尿病総合スレッドpart146」における被害(2010/9/20更新) 「糖尿病総合スレッドpart147」における被害(2010/9/19更新) 「糖尿病総合スレッド part123【診断は専門医へ】」における被害(2010/9/19更新) 「低血糖症のスレ」における被害(2010/9/6更新) ※本人申告ではないので、見落とし、誤掘りも多少含まれている場合があります。
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わかっていた わかりきっていた 自分は、失敗してしまったから 自分は、役立たずだから それが、自分の契約者にバレたら、殺される 人間の姿に変えられてもまだ、沙々耶と名付けられたその悪魔の囁きは、己の契約者の事を恐怖していた 人間になった今、その契約者とのつながりは切れている だが、それでも、いつかバレてしまうのではないかと、恐ろしくて、恐ろしくて……… 「やだー、そとはやだー」 「君は、これから人間として生きるんだぞ?篭り切りでいる訳にもいかないだろう」 「やだー。ひきこもりすねかじりのにーとでいいー。そとはやだー」 「…まったく」 外に出るのを嫌がる沙々耶の様子に、ドクターは苦笑した 優しくその手を握り、ドクターは街中を歩く 少しでも、沙々耶に人間の生活に慣れてもらいたい そんな想いからだったのだが…… この日、そんな想いは、裏目に出てしまう事になる 「………っひ」 「うん?……む、犬か」 野良犬だろうか てとてとと、尻尾を振りながら忙しなく歩いている 沙々耶は、酷く犬を怖がる それが原因で、いまだ「第三手国」日本担当の総統に会わせられずにいるくらいだ 今、目の前にいる野良犬の事も、沙々耶は酷く怖がり、ドクターの背中に隠れてしまった 「道を変えようか」 「イヌコワイイヌコワイイヌコワイイヌコワイイヌコワイイヌコワイ」 かたかたと震える沙々耶の手を引き、道を変える 「……む」 「………っ」 そこにも、犬が こちらも、首輪をつけていないところを見ると、脱走犬などではなく、野良犬だ ゴミ箱を漁っているようである 別の道に そこにも犬が 別の道に そこにも、また、犬が 「…ぁ、あ」 「そう怖がるな。偶然だ」 「ち、ちがう……ぜったい、ちがう」 完全に、怯えきってしまっている沙々耶 …これは、一度診療所に戻った方が良さそうだ ドクターは、沙々耶と共に診療所に戻ろうと… 「………!!」 「ひぃ………っ!?」 そこには、犬が たくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんのたくさんの たくさんの、野良犬達が、集まって その全てが、沙々耶を見つめていた -----ぉぉぉおん どこからか、犬の遠吠えが聞こえてくる 「ぁ……い、いや………」 じり、じり、と 包囲を狭めてくる犬達 …逃げ場は、ない 「…おかしい。どうして気づいたんだ」 「や、や………だ………」 だんっ!と 一匹が地を蹴ったのを、合図に 数十匹の犬達が、沙々耶に向かって、飛び掛る 「----い、いや、だ、わがあるじ、ころさないで……っ!!」 「く……っ」 ドクターが沙々耶を護るように抱きしめるが、犬達は構わず、飛び掛ってきて その牙が、爪が、ドクターに届こうとした、その時 「動くなっ!!!」 響き渡った、声 その声に…ぴたり 犬達が、止まった 「…総統閣下?」 「間に合ったか」 ほっと、息を吐いたのは…数匹の犬のリードを握る、総統 動きを止めた犬達は…支配がとけたのだろうか 不思議そうに首をかしげたり、人間の姿を見て、慌てたように逃げ出す 支配の上書き 総統の声により、一瞬とは言え洗脳された犬達は、自分達を操っていた何者かから、解放されたのだ 「散歩中に犬達の様子がおかしくなったのでな。話に聞いていた犬を操る能力者の仕業と見たのだが………ふむ、この子は?」 「元・悪魔の囁きです……人間になったのですから、元の契約者からは、もはや認識されないと思ったのですが…」 何故、気づいたのか もしかしたら、異常に犬を怖がる沙々耶の様子に、気付いたのかもしれないが かたかた、かたかた 沙々耶は、ドクターの腕の中で震え続けていた 「沙々耶」 「…………い」 囁くような、その声で 沙々耶は、ただ延々と呟き続ける 「わたしはなにもはなしません。あるじたちのことも、なにもかも、はなしません。あるじのじょうほうをもらしたりなんかしません。あるじのふりえきにつながることはなにもしません」 だから だから 「だから…ころさないで、しにたくない。いや、けさないで。しにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくないしにたくない………」 かたかたかたかたかたと いつまでも、いつまでも、震え続けながら ただ、沙々耶はそう呟き続けていた to be … ? 前ページ次ページ連載 - 悪意が嘲う
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0340:大型殲滅兵器“ジーニアス”による被害報告 ◆saLB77XmnM 五十パーセントといったところか。 六時間、体力の回復に努めたフレイザードのHPである。 あの忌々しいゴム人間――ルフィにやられた傷跡は決して消えることはないが、どうにか動けるまでには回復した。 砕けた岩石の肉片は、いつか果たす怨念の証。今度会った時こそ、あのゴム人間を殺す。 決意を胸に秘めたフレイザードは、なおも力を蓄える。 炎と氷、決して相容れぬこの二つの魔力を使いこなすために。 生きるためへの執念というのは凄いものである。この六時間、ひたすらに努力した結果は着々と実を結ぼうとしていた。 こちらの完成度はまだ三十パーセントといったところだろうか。 「基礎はできてるんだ……あとは安定さえすれば……あん?」 洞窟内で一人黙々と氷炎を繰るフレイザードの耳に、人の声が聞こえてきた。 近くに誰かいる。それを知らせるには、大きすぎる声量で騒いでいる輩が。 フレイザードは洞窟内から顔を出し、周囲を確認する。 洞窟の周りは深い木々で覆われていたためこちらから見つかることまずないだろうが、 もしかしたら、声の主はカモになるかもしれない。 体力の半分は回復しているのだ。やってやれないことはない。 もちろんピッコロクラスの化け物を相手にするのは無理だが、もしも雑魚だったら、軽く殺して支給品を奪うくらいは…… 「な!?」 その存在を視界に入れたフレイザードは、驚愕した。 「だぁーかぁーらぁー! いつまでもウォンチューウォンチューうるせぇんだよ! 俺の名前はボンチューだと何度言やぁ……」 大声の主である三人組の一人目は、見知らぬ若造だった。 「ふん、ならばまた助平と呼んでやろうか? 私だけでなくイヴにまで働いた狼藉、忘れてはおるまいな?」 大声の主である三人組の二人目は、北海道で殺したはずの小娘だった。 (あの小娘……生きてやがったのか!?) 「二人ともよさないか。この近くには真崎杏子という少女を殺した輩がいる可能性がある。視界が悪い場所ではあまり騒ぐな」 大声の主である三人組の三人目は、鎧を身に纏った男だった。 (あいつぁたしか……ピッコロと戦ってた野郎じゃねぇか!? あいつまで生きてやがったのか!?) ルキアと世直しマンが共にいることにも驚くべきだが、 それよりもまず、死んだと完全に思い込んでいた二人が生きていたことに驚いた。 ルキアについては確かに生死は確認しなかったが、世直しマンのほうはピッコロが確かに倒したはずだ。 こちらも確認こそしなかったものの、ピッコロが自分以外の参加者に負けるとも思えない。 その証拠に、ピッコロはまだ生きている。第四放送でも、その名前は呼ばれていない。 ということは、 (ピッコロの奴はあいつと引き分けた…… それも、あの鎧野郎のほうは見る限りピンピンしてやがる! あいつのほうが優勢だったってことか!?) だとすれば、今のピッコロは満身創痍の疲弊状態である可能性が高い。 あれほどまでに自分に煮え湯を飲ませた、あのピッコロが。 (こりゃあチャンスだぜ……ピッコロは今でも合流地点で身を休めてるに違いねぇ…… だとすれば、奴を出し抜くのは疲弊している今しかねぇ……いや、まてよ) 一瞬の間に、フレイザードは妙案を考え付く。 今は、自分とて負傷の身だ。 ダメージを負っているとはいえ、『前世の実』を隠し持っているピッコロに自分が立ち向かうのは危険。ならば、 (あの野郎にピッコロの潜んでいる場所を教えて…… 野郎はヒーローとかぬかしてたからな。是が非でもピッコロに止めをさしたがってるはずだ) 悪者らしい思考は、さらに加速する。 (問題は交渉が成立するかだな……当然俺も見逃しちゃぁもらえねぇだろうし……いっそあの二人を人質に取るってのも手か……) 「楽しそうに何を考えているんだ? フレイザード」 「――!?」 ほくそ笑みながら悪知恵を働かせるフレイザードの名を、誰かが呼んだ。 その偉そうな口調から一瞬ピッコロの顔が浮かんだが、それはありえない。この場にいるのは、フレイザードと、 「そこに隠れているのは分かっている。隠れていないで出て来い」 世直しマン――!! 気づかれた。フレイザードは身を潜めていたことを気づかれた事実より、なぜ自分の考えていることがバレたのかに疑問を持った。 だがその疑問も一瞬、フレイザードは瞬く間に立たされた窮地を自覚し、その場を立ち去る。 本当ならこの場で全員八つ裂きにしてやりたいが、今は無茶は禁物だ。 「世直しマン、フレイザードとは……」 「ルキアを襲った、炎と氷のバケモンか!?」 「ああ、間違いなく陰から私たちを監視していた。読心マシーンで読み取った思考からしても、まず間違いないだろう」 宿敵の一人が、すぐ近くに。ルキアとボンチューは、この事実に身体と心を震わせる。 「見つけてしまっては、逃す理由もないだろう……奴とて満身創痍のはず。今度こそ、とどめを刺す!」 「おお!」「うむ!」 三人は、決意を改めフレイザードを追撃する。 ふははははは~好調好調、絶好調! ――ついに宿敵、江田島平八を倒した。 ――この手で倒せなかったのは残念だったが、あれはこの天才の策略により齎された死。言うならば、作戦勝ち。 ――天才の知略が江田島に勝ったと考えれば完全勝利も同意! 江田島平八、そしては目の上のたんこぶのような存在であった拳王ラオウ。 アミバにとっての邪魔者を、二人まとめて始末することができた。 そして手に入れた新たな支給品、そしてのこのことアミバの後を追ってきた江田島の仲間。 既に奴らを葬る新たな策は考えている。あとはそれを実行するだけ。 「恐るべきは天才の知能! 恐るべきは天才の戦略! 所詮凡人が天才に勝るなど、無理なことなんだよぉ~!!」 笑いながら疾走するアミバは、どこか間抜けな姿だった。 だからだろうか。辺りが木の生い茂った森林地帯でも、簡単に見つけることが出来た。 「おい、そこのおまえ」 「――ん?」 突然、声をかけられた。 「んな!?」 振り返り、その姿を見て唖然とした。 そこにいたのは、ある意味拳王や江田島よりも威圧的な姿……身体を縦真っ二つに仕切り、炎と氷で構成された人型の化け物だった。 「な、ななななななんだ貴様はァァ!? こ、この天才になんの用だ!!?」 初めて見るモンスターの姿に戸惑いを隠せないアミバ。 それもそのはず、アミバとフレイザードの住む世界では、あまりに環境が違いすぎる。 人間が覇権を争う世界に住むアミバにとって、魔物の存在など受け入れられるはずがない。 「おおっと、あんまりビビるんじゃねぇよ。見たところてめぇも誰かに追われているようだが、ちょっくら俺様に協力してくれねぇか?」 「きょ、協力だとぉ~?」 あまりにも唐突だった。 突然現れた異形の怪物、何者かは知らないが、その形相からして只者ではあるまい。 天才とはいえ、少なからず身の危険を察知したアミバは、ある妙案を思いつく。 「……う、うむ。おもしろい。どうやらおまえも誰かに追われているようだな。 この天才に力を借りたいというのなら、喜んで協力しようじゃないか」 天才たるもの、常に臨機応変に。 アミバはとりあえず、フレイザードの話を聞いてみることにした。 この化け物、戦闘能力は高そうだが、頭の方は悪そうである。ならば、この天才が遅れをとることはない。 未だ笑みを浮かべながら、アミバはフレイザードと共に並走していく。 「ド畜生!! どこに行きやがったあの野郎ォ!?」 「撒かれちゃったのかなぁ……足はかなり速いみたいだね」 アミバを追っていた二人、桑原と翼は、標的の姿を見失ったことに怒り狂っていた。 もっとも、翼の胸中はほのかな期待感が占めていたようだが。 「熱くなりすぎだ二人とも。もっと冷静になって対処しなければ、見えるはずの敵も見えなくなるぞ」 そして、もう一人。ほぼ二人のお守り役として同行してきた、空条承太郎である。 「奴がこの近くにいることは間違いない。だとすれば、どこかで俺たちを狙い撃とうと画策しているかもしれない」 「へっ、っつっても奴の持ってた銃は弾切れだぜ。俺たちから逃げたのも、もう打つ手がねぇからだろうが」 「忘れたのか和真? 奴は江田島平八塾長の荷物を持ち去った。あの中には、高性能爆弾であるジャスタウェイが入っているはずだ。 それに弾切れの銃にしても、まだ予備の弾丸を隠し持っている可能性がある」 ホットな二人とは対照的に、唯一承太郎だけは、クールな立ち回りを見せていた。 あの手の謀略を廻らせるタイプには、冷静な対応が必要だ。この二人だけに任せては、そのうち怪我をしかねない。 いや、このゲームにおいての油断は怪我を通り越して死を招く……二人が熱ければ熱いほど、承太郎は冷静でいる必要があった。 「しかしよぉ、この暗闇じゃあ奴がどこに潜んでいるかなんて分かったもんじゃねぇぜ。 それとも、奴を追うのは諦めてここから尻尾巻いて逃げろとでも言うつもりかよ?」 三人の周囲は、現在多くの針葉樹によって覆われている。頭上あたりに位置する枝からは、梟らしき鳥類の鳴き声も聞こえる。 それに加え深夜という時間帯。深く高く聳える木々は月光を覆い隠し、視界を無力化させるほどの闇を形成していた。 正に闇討ちにはもってこいの環境といえる。そんな状況での深追いは危険だと感じつつも、桑原の気持ちは治まらなかった。 「止めても無駄だぜ、空条。俺ぁ、この手であの下衆ヤローをぶっ飛ばしてやらなきゃ気がすまねぇんだ。翼、てめぇもそうだろ?」 「うん、監督の荷物を泥棒したのはいけないことだけど……でも、彼ならきっといい選手になれると思うんだ! 健脚もさることながら、あの攻撃的なダッシュ力はフィジカル面からしてみても……」 「おめぇ……今がいったいどういう状況か分かってんのか?」 桑原と翼の会話は、微妙に噛み合っていなかった。 と、桑原が翼の言動に呆れかえっている間際。承太郎は、迫る三つの気配を察知した。 「そこにいる奴ら、俺らに用があるならとっとと出てきな」 承太郎のこの言葉で、残りの二人も一斉に顔を向ける。 集まった視線の先はやはり闇で覆い隠され、一瞥しただけでは何者なのかが判別できない。 が、今回は相手の方から積極的に接触してきたため、襲撃者であるかもしれないという心配は早々に晴らされた。 「警戒する必要はない。私たちは"ゲームに乗っていない者"だ。おまえもそうだろう?」 闇の草むらから姿を現したのは、鎧姿の男。その後方に、まだ若い男女二人が付き従うような形でこちらを警戒している。 世直しマン、ボンチュー、ルキア。承太郎、桑原、翼。 それぞれ異なった敵を追う三組は、深夜の森にて接触した。 余談だが、この時翼は警戒よりも先に、初めて見る鎧姿の男にピッタリなポジションを考えるのに悩んだという。 夜空に浮かぶ月と、それの眼下に佇む広大な植物地帯。すなわち、森である。 そこから一点、突出して盛り上がった丘が見える。 周囲に聳える木の全長を微かに上回る丘の頂上は物陰に邪魔されることなく、月から放射される光を一身に受け止めていた。 そこに、立つ姿が二つ。 「あそこにいやがるだろう? あれが俺様を追い回しやがった連中さ」 炎と氷、二つの自然物質を司る魔人――フレイザードと、 「ほう。一緒にいる残り三人はこちらに見覚えがあるぞ。思惑通り、のこのことこの天才を追ってきたようだなぁ……ククク」 世紀末に生まれし天才――アミバだった。 数分前に接触を交わしたこの二人は、フレイザードから持ちかけた同盟の話を元に、互いの標的を付け狙っていた。 両者とも追われる身であり、両者共に相手を利用してやろうという思惑があったため、こういう形になったのである。 (ふふふ……この怪物、どうやらなにか企んでいるようだが…… この天才を出し抜こうなど笑止!あの拳王をすら手駒とした我が知略に、狂いなどない!) 自ら天才を名乗るアミバは、追ってきた三人の凡才、 さらにはフレイザードとその追撃者三名をも一遍に葬り去ろうと思考をめぐらせていた。 武器ならある。策もある。だが、駒が足りない。だから、フレイザードの存在は実に都合がよかった。 この頭の悪そうな怪物を使い、皆殺しを敢行しよう。 そう考え付いたアミバだからこそ、フレイザードの協力要請にも瞬時に答えを出したのだ。 決して、決してフレイザードの異形に圧倒されたからではない。 「おまえさんの気に入らねぇ奴と、俺の敵が一緒にいるってことか。そいつぁ都合がいい。 アミバとか言ったな。ここは一つ、俺様の作戦に付き合わねぇか?」 「なに?」 二人が立つ高台の丘からは、世直しマンら六人が一同に集っている姿が確認できる。 闇を恐れたのだろう。周囲の木々を何本か切り倒し、月光を受け入れやすいよう環境を整えた場が形成されている。 その分、木よりも高地に位置するここからは丸見え。フレイザードが高台の丘に移動したのは、そういう狙いがあった。 「俺様の支給品を使えば、奴らを一網打尽にできるのよぉ……どうだ?俺に任せて協力してみねぇか?」 「……ふん、いいだろう。おまえの言う作戦とやらに乗ってやろうじゃないか」 怪物が浅知恵を……フレイザードが何かを企んでいるということは十分に感づいていたが、アミバはそれでも余裕を保っていた。 所詮、誰であろうと天才を出し抜くことは出来ないのだ。 「で、具体的にどうするというのだ?」 「こいつを使うのよぉ――」 両者共に己の内側は見せず、フレイザードは一枚のカードを取り出す。 元は大原大次郎に支給されたマジック&ウィザーズのカード、その最後の一枚である。 「――なるほど。全て合点がいった。確かにあんたらはゲームには乗っていないようだ」 世直しマンから借りた読心マシーンを返し、承太郎は一人納得した表情を浮かべる。 先刻、闇夜の森で接触を果たした三人二組。 世直しマン側は読心マシーンがあったため、相手が人畜無害な集団であるということがすぐに分かった。 しかし、承太郎側は違う。ただでさえ油断がならないこの状況、例え相手が友好的でも、警戒は必須。 その確認のためにも、承太郎は世直しマンの持つ読心マシーンを試させてもらった。 結果として、承太郎の心配は杞憂に終わったようである。 双方、敵意がないことを確認した後、揃って情報交換が行われた。 世直しマン達が追う、フレイザードなる怪人。 承太郎達が追う、アミバなる外道。 ニコ・ロビンという名の探し人。 世直しマンが、桑原の知る友情マンの仲間であるということ。 数多のキーワードから、両サイドの情報を纏めにかかる。 「しっかし、フレイザードねぇ……ピッコロの野郎、友情マンの仲間を殺しただけでなく、そんな野郎ともつるんでやがったのか」 「だが桑原の話によれば、友情マンもピッコロを追っている可能性があるな。それだけでも希望が持てた」 桑原の齎した情報によると、友情マンはピッコロと一度接触したらしい。 さしもの大魔王も、ヒーロー二人から目を付けられているとなれば、大っぴらな行動は控えるだろう。 「フレイザードもそうだが、承太郎達の話を加えると、この周囲には二人のゲームに乗った者がいることになるな」 マーダーがもう一人……この事実に、ルキアが難しい顔で唸る。 「アミバって野郎は大したことねぇさ。野郎は陰からチマチマ狙ってくるような腰抜けだ。今度見つけたら俺が直々にぶっとばして……」 「忘れたのか和真?奴は塾長の爆弾を持っていったと言っているだろう。油断は禁物だ」 味方と呼べる人間に出会ったせいだろうか。未だ敵への認識を改めない桑原に、承太郎が諭すように言った。 「けっ、へぇへぇそりゃ分かってるよ。 それでも、俺は野郎を放っとくような真似はしないぜ。もちろんそのフレイザードとかいう奴もだ」 承太郎がクールでいる一方、桑原の感情はまだまだホットだった。 ただでさえ情に厚く、気に入らない奴にはとことんまで喧嘩を売るような性格の桑原。その執念も頑なだった。 (やれやれ、ブチャラティといいこいつといい、どうにも熱い。なかなかクールな奴が揃わないな……) 心中で吐き捨てると共に、クールな仲間が欲しい承太郎は世直しマンの方に視線を向ける。 宇宙を舞台に、悪の手から人々を守るヒーロー。 肩書きは妙だが、少なくとも承太郎が今までに出会ったどの人物よりも冷静な判断が出来そうな人間に見えた。 「ったく、そうなってくるとまだまだ身体は休めそうにねぇぜ。 アミバにしてもフレイザードにしても、一体全体どこに逃げやがったんだ?」 ちょうど椅子くらいの長さに切られた切り株に腰を下ろし、桑原は愚痴をこぼす。 ちなみにこの切り株、桑原が自慢の『霊剣』で切断したもので、周囲にはその残骸と思わしき枝付きの丸太が錯乱していた。 情報を交換するなら、少しでも明るくしようと思っての配慮だった。 が、これが原因でフレイザードたちに居場所を知らせるようになったことを、桑原は知らない。 だが承太郎は違う。木を切り倒した際に起こる轟音、不自然に明るくなった一部分。 相手が馬鹿でもない限り、そこに人がいるであろうと思うのは道理。 そこが狙い。追うのではなく、今度はこちらが"誘き寄せる"。 このまま追いかけ逃げてのいたちごっこを繰り返していても埒が明かないし、 なによりあのアミバという輩は、今までの行動パターンからして既になんらかの罠を張っている可能性もある。 もちろん、相手が誘いに乗ってこないのであればそれはそれでいい。 ここにいる全員、体力的にも満足といえる状況ではないし、避けられる戦闘は避けるべきだ。 現に、休息を取りながら談笑しているように見える今でも、承太郎は警戒を解いたりなどはしていない。 それは世直しマンも同様で、さりげなく周囲の気配を探っていた。 (ざっと周囲を見渡してみたが、やはり近くにそれらしき影はないな。 俺の考えていることはちゃんと伝わっているか? 伝わっているなら、眼で合図してくれ) 声には出さず、心中で思う承太郎に対して、 (……そうか。私から見ても、なんら他者の気配は感じられない) 読心マシーンで承太郎の思考を読み取り、世直しマンはアイコンタクトを取る。 もし、近場で誰かがこの状況を見張っているとするなら、会話で作戦の打ち合わせをしては相手に警戒されてしまう。 それを危惧しての、世直しマンと承太郎だけによる読心マシーンを応用しての作戦だった。 しかし敵もこの大人数に臆したのか、なかなか気配を見せない。もしかしたら、既にこの場を離れたのだろうか。 ひとまずの安全を得た一行は、このまま情報を交換しつつしばしの休息を取ることにした。 とはいっても、近くにマーダーが潜んでいる恐れがある以上、そう易々と緊張を解けるものではない。 中でも一番ピリピリしていた桑原に翼が、 「桑原君」 「あん? なんだ翼」 「さっき木を切ったそれ、霊剣だっけ? すごいねそれ」 「お、分かるのか。この桑原様ご自慢の霊剣の凄さが……」 「でもさ」 「?」 「それ、サッカーじゃ使っちゃいけないよ。ルール違反になるから」 「…………あ、ああ」 そんなことを言いながら、翼は新たなメンバーのポジションに悩んでいた。 そういえば、これでメンバーの総数は8人。翼の目指す11人まで、いつの間にかあと3人となっていた。 (やったね。これで世直しマンたちの仲間も入れたらちょうど11人。悟空君やアミバ君が加わってくれたら控えも充実する) 膨れるドリームチームへの夢で、翼の胸は一杯になっていた。 「――――召喚」 その名を呼び、フレイザードは一枚のカードから一体のモンスターを呼び出す。 現れたのは、巨大な陸亀。身体の各所を機械で覆った、半機械の陸亀型モンスターだった。 特に背中の甲羅部分が印象的で、そこには何かを射出するための装置のようなものが備え付けられている。 「こいつの名前は大砲亀っていってよぉ」 出てきたモンスターについて、フレイザードがアミバに説明をする。 「背中の甲羅から炎の弾丸を打ち出すことができるのよぉ。その射程といったら相当のもんだ。これでここから狙い撃ちすりゃあ……」 「なるほど。これが貴様の言う作戦というやつか」 度重なる異形の出現に少々驚きながらも、アミバはフレイザードの説明を耳に入れる。 「だが一つ難点があってな。こいつを動かすには、高度な操縦技術と頭脳が必要なんだ。そこで、あんたの出番ってわけだ」 「このアミバ様に、こいつを操縦しろと?」 「天才、なんだろう?」 フレイザードとアミバ。互いが牽制するように笑い合う。 (――なるほど) その胸中で、天才アミバはフレイザードの狙いを瞬時に解析していた。 (私を利用し、この亀を動かそうという魂胆か。だが、やはり詰めが甘いな) フレイザードの狙い。それは、アミバを利用し多くの参加者を殺すこと。 (これが天才にしか動かせぬというのなら、俺様以外にこいつを動かせる奴はおらんだろうな ……面白い。ならば天才たる私が、存分に使ってやろうじゃないか) もちろん、フレイザードの思い通りになるつもりなど微塵もない。 (とくれば、試し撃ちをする必要があるな……ふ、考えるまでもないか。すぐ近くに格好の標的がいるというのに) 天才にしか動かせない大砲亀――その最初の獲物は、既に決まっている。 (やはり、こいつは凡才を通り越してただの馬鹿だな。この天才が、手厚く葬ってやるから安心しろ) 胸中では、早くもフレイザードに向けて手向けの言葉を投げかけていた。 (ふふふ……ふははははははははははははははっはははははははははっはははははははは~~~~~~~) 心の高笑いは、フレイザードには聞こえず。 「それで、こいつはどうやって操縦するんだ?」 「直接背中に乗ってくれ。そこから大砲亀に命令を下せば、とりあえずは反応してくれる」 アミバはフレイザードの言うがままに、大砲亀に跨る。すると 『オオオオオオオオオオオーン』 「うおっ!?」 大砲亀がわずかに首を上げ、静かに唸り声を上げた。 「おお、どうやら大砲亀がおめぇを主として認めたようだぜ。やっぱり天才は違うな」 「ふふふ……この天才の素晴らしさを瞬時に見抜くとは。亀のクセになかなかやるではないか」 ほくそ笑むアミバに、フレイザードがさらなる操作を促す。 「何か命令してみな。天才のおめぇなら、大砲亀はなんでも従うぜェ」 「ほう……なんでも、か。では……」 まずは、初期動作の確認から。 「大砲亀よ、あの連中を狙うのだ!」 試し撃ちの前に、大砲亀の動きを見るために承太郎たちのいる方向を促す。 しかし、大砲亀はアミバの命に反応せず、微動だにせぬまま欠伸をかくだけだった。 「う、うん? どうしたというのだ?」 単純にのろまというわけではなく、本当に1ミリも動かない。 話が違うじゃないか、と不審に思うアミバが顔を振り向けたそこに、 「――――セット」 極上の――気味が悪い――笑顔を浮かべたフレイザードがいた。 「な、な、なんだ!? か、身体が動かん!?」 その瞬間、アミバの身体が固定されたかのように動かなくなった。 否、本当に固定されたのである。 アミバが跨る、大砲亀――これはフレイザードが適当に付けた名前で、真名は『カタパルトタートル』――の甲羅の射出カタパルトに。 「おい、どういうことだこれは!?」 「あぁ?天才様はこんな簡単なこともわからねぇのか?」 焦るアミバに、フレイザードは不敵な笑みを見せる。 何かが狂いだした。それがなんなのか、自分を『天才』と誇るアミバには理解できなかった。 「この『カタパルトタートル』は俺が召喚したモンスターだ。端から俺の言うことしか聞かねーよ。ヒャハハハ」 笑い声が、狂気に変わる。何かが、起ころうとしている。 それを感じ取ったアミバは、冷や汗を流しながらフレイザードの顔を睨みつける――未だ自分がはめられたことは理解せず。 「こいつの効果は今から教えてやるよぉ……実践って形でなぁ」 アミバは、未だ状況を理解できていない。 天才が、馬鹿と思いこんでいた異形の怪物に出し抜かれたということ。 それが原因で、今現在のピンチを生んでいるということ。 天才が、よりにもよってこんな形で。 「ふ、ふざけるなぁ~! 貴様、今すぐ俺様を離せ!! 俺を誰だと思っている!? 俺は天才……」 「天才アミバ様だろ? そいつぁもう嫌ってほど聞いたんだよ。ただ、テメーが天才だってんなら俺様は……」 ニタァっと、フレイザードは口が裂けるほどの笑みを見せる。 「超天才ってところか」 「ちょ、超だって……!?」 不覚にも、アミバはその時劣等感を感じてしまった。 たかが『超』を付けただけだというのに、天才である自分が負けた気がしてしまった。 実際にはアミバの完全敗北なのだから、今更とも言えるが。 「じゃぁな、アバヨ」 「ま、待て……」 「アミバを生け贄に……」 「お、俺は……」 「カタパルトタートルの効果を発動」 「……天才、アミバ様だ」 「――発射!」 「――ぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」 アミバの最後の言葉は、カタパルトタートルの効果発動後、空中に身を投げ出されても途切れることはなかった。 その衝撃音で、六人十二の視線が一斉に同方向を向いた。 「――――!」 驚きの声を発している暇などなかった。 見えたのは、猛烈なスピードでこちらへ飛来してくる何か。 鳥か――――否!鳥よりももっと大きなもの。 銃弾か――――否!銃弾の大きさではない。 大砲か――――否!大砲の弾よりも巨大だ。 では何か―― (――――人!?) それの正体に真っ先に気づいたのは、反射的に己のスタンド、『スタープラチナ』を発現させた承太郎だった。 (――アミバ――あの丘に立っている人影は――フレイザードとかいう奴か?) その強靭な視力で敵の存在を確認、人がこちらに向かってくるという事実に驚いている暇はなく、考えるよりも先に身体を動かす。 「スタープラチ――――」 その場の何人が適切な対応を取れただろうか。 フレイザードがカタパルトタートルで撃ち出したアミバという弾丸は、標的に向けて伸び、 そして、 「うわらば―――――――!?」 爆発した。 【カタパルトタートル】 [攻撃力 1200][守備力 2000] 自軍のモンスター一体を生け贄に捧げ、相手モンスターに撃ち出す効果付きモンスター。 その攻撃力は生け贄に捧げたモンスターの二倍であり、同時に壁・砦破壊の効果も持つ。 これが、カタパルトタートルの基本能力。 仲間を犠牲にして他者を攻撃するという使いどころの難しいこのカードに、フレイザードはずっと頭を悩ませていた。 仲間といっても既に他のモンスターカードは使い果たし、 自分よりも高い戦闘能力を持ったピッコロを弾にすることなど叶うはずもなく、 かといって単に手駒として扱うには少々勿体無かった。 しかし今回、アミバという動かしやすい駒の登場により、このカードを有意義に活用することに成功した。だからこその一時的同盟。 今にして思えば、アミバの敗因はフレイザードを甘く見たという一点に限る。 その戦闘向きな体躯と怪物のような面からは想像できないが、仮にも氷炎将軍の肩書きを持つフレイザード。 その地位は、なにも戦闘能力だけを買われて手に入れたものではない。 他者を騙し利用する狡賢さと、それ相応の知略があったからこその話。 慢心した天才は、より高みを目指そうとする悪の将軍に完敗したのだった。 中編
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(投稿者:セルバンテス) 向かい側のフライ達との間合いは1分足らずで詰めて行き、チューリップは最初に目が合ったフライの首を切る。直後にこの場の大蝿達は人に恐怖を感じさせる程の機動性を有して3人を囲み、彼女達が円陣体制を取った後に、彼等はそれらを捕食すべく3人に飛びかかる。 それを目にしたチューリップは上昇し、カイアとルテーガは下降した。 多くのフライの頭が鉢合わせにあった所で、ルテーガは上から見える彼等に向けて大戦斧を投げる。ブーメランのように回転する斧の刃は未だに集合している大蝿達に触れ、彼等を薙ぎ払って行く。 斧はすぐにルテーガの手に戻った後にチューリップとその部下の二人は下方から突っ込み、攻撃を仕掛ける。 フライ達は3人の打撃を受けつつ散開、すぐに180度旋回し、空戦メード達に寄って集ろうとする。 「二人とも散開でしゅッ!」 空戦メード達はまた散らばり、それらをフライ達は追いかける。 彼女達はフライ達を集合させない為にも出来る限り引き離しつつ、数を減らして行こうと考えている。戦闘機を操縦する人間にとっては難しい機動や不可能な機動を平気でやってのける彼等に対応するには、やはりちょっとした考えが必要だ。 この状況で無闇に彼等を斬るだけでは、フライ達の機動に混乱し、何れは彼等に食われてしまう。 チューリップは後ろに振り向き、自分を狙う飛行型G達の状況を確認する。 彼等は少なからずお互いの距離が離れている。これはチャンスだ。 自分の判断を確信したチューリップは後ろに180度旋回し、背中の翼でブレーキを掛ける。そして、クリューアルファングで彼らの方に突っ込みつつも斬っていく。 しかし、斬り続けていくのも束の間。 集合しかけた別のフライ達が一斉に彼女に向かってくる。また翼でブレーキを掛け、其処から逃げ切ろうと試みるも、この間合いではタイミングが遅い。 もう駄目だと判断してチューリップが目をつぶった次の瞬間である。 この場にルテーガの大戦斧が飛び込み、この場のフライ達は一気に散らばる。チューリップはこのチャンスを逃さず、この場から離れる。 それをこの空域より下の空域から見上げるルテーガはガッツポーズ。 が、その最中に2匹のフライが彼女に背中から跳んでくる。それを羽音で気づいたルテーガは……… 「俺の後ろを飛ぶんじゃねぇッ!!」 と怒声を上げながらも後ろに振り向きつつメリケンサックで1匹目の顔面を殴り、直後に戻ってきた大戦斧を片手で受け止め、それで2匹目を薙ぎ払う。 その後で他のフライ達が寄って集り、ルテーガを貪ろうと試みが、彼女はそれを待っていたかのように、自分の斧を片手持ちから両手持ちに変え、自分との間合いが詰まった所で力任せに薙ぎ払って行く。 その一撃一撃によって寄って来るフライ達は次々と両断されていく。 が、後で斧の刃に1匹の胴体が食い込む。それを見た彼女は斧を大きく振り、食い込んだGを吹き飛ばす。一振りで斧の刃から離れたが、そのフライは飛ぶ力を失い、下へと落ちて行く。 ルテーガはそれを見ることなく、この場から距離を取る事を試みるが、フライ達は安易にそれを許してくれない。 彼女はそれでも距離を取りつつ、自分を追い詰めるGを返り討ちにするが、これでは次第に彼等に完全に追い詰められるのも時間の問題である。 が、其処にサーベルを抜いたカイアが乱入し、ルテーガを追うフライ達の間に突っ込む。突然の乱入者に慌てる彼等は二人から一旦距離を取る。カイアとルテーガもこの機会を逃さず、彼等から距離を取りつつ、気を落ち着かせるために一呼吸する。 「―――カイア、すまねぇ!」 「オイ、それはこっちの台詞だ。お前が引き付けたお陰で俺はちょっとだけ楽になれたってもんさ。」 と、短い会話の後に二人は武器を構え直すが、カイアは一旦構えを解き、自分達の目先のG達に左手で挑発を見せる。 「今、マシューが飛騎丸の援護をしているのは残念だが、アレを使うまでも無い!」 「全くだぜ!」 カイアが武器を構えなおしている頃にはフライ達との距離が次第に詰まって行き、二人はすぐに散開をしてこの場から離れた。が、フライ達も二手に分かれ、すぐにまた二人を追い詰める。 カイアは自分の追うGの数を目で数え、右に180度旋回して突っ込み、サーベルで次々と斬って行き、次に目の前を飛ぶもう1匹との間合いを詰めて行き、抜いたばかりのスローイングダガーで目の切り付けを試みる。 が、それは避けられ、直に後ろを取られる。 自分の背中に蟲の手が伸びようとしているのを振り向いて見る彼女はその場に凍りつく。 しかし、直前にルテーガが斧で薙ぎ払い、難を逃れた彼女は一息付く 「大丈夫か!?」 「ワリィ、ルテーガ。 ………って後ろからまた来るぞ!」 ルテーガが振り向くと、其処には5匹以上のフライが自分の背を目指して飛んでくるのが見えた。後に彼女はカイアを庇うような位置につく。 「ォイ、まさかこんな所で心中するつもりじゃねぇだろうな!?」 「バァカ! こんな所で誰がそんな事するか!」 二人の短いやり取りの後、ルテーガは相手を追い払うかのようにして斧を振り回し、やられる者居るものの、フライ達は一旦距離を取る。 この機に乗じて二人はお互いの背を合わせ、態勢を崩さずにサーベルとダガーを、そして斧を振って自分達に近づく物を次々と斬り落としていく。 両者の背と持つ武器は異なる物の、敵を斬る速さとスタイルは全く同じ。意気投合している。 怒声を上げつつ、二人が斬り続けている最中、チューリップがこの場に加わる。 彼女はその周辺を飛び回りつつ、自分の部下達に気を取られている蝿共を斬って行く。 「チューリップ隊長!」 「ルテーガ達のお陰もあってやっと半分まで減って来ました! このまま一気に行きましゅよ!?」 二人は眉間にしわを寄せ、「了解!」と返事を送る。 後に大蝿共を相手に繰り広げられる3人のショーは次第にペースを上げていく。 彼女達が上で戦いを繰り広げ、ワモンとウォーリアが迫る中、飛騎丸と白鳳は突っ込み、その上を飛ぶマシュー。 ハンドグラナーテを二つ取り出して投げ、ゴキブリ達の場所の一部を爆破する。 その機に乗じて飛騎丸は突っ込み、充満する煙と燃える炎の中、薙刀で切り刻んで行く。やがて彼はこの場所を聖域とし、所々見回す。長い触角を持つ彼らは皆―――武者に注目していた。 羽を広げ、ゴキブリ達は注目の対象に飛び掛るも、武者の愛馬はそれを避けべく軽く跳び上がる。先頭に立つ者達は互いの頭をぶつけ、着地する白馬に踏まれてしまう。 別の集団がもう一度飛び掛る。 飛騎丸がその場から動かずに薙刀で応戦するも、その最中にワモン達が後ろを取る。状況はまたしても蟲達に優位を取られつつある。 が、しかし……… 「マシュー、頼む!」 要請を受けたマシューはまたもグラナーテを二つ取り出し、彼の居る場所に目掛けて投げる。 最中に騎馬武者がこの場を離れ、手榴弾の爆発によって爆炎が生まれた。巻き込まれたワモンらの脚に引火して吹き飛んでいるのが分かる。 それでも数はあまり変わらず、免れた者達が二人を追い詰めるだけであった。 「マシュー、御主の手榴弾は後どれくらいある?」 「………二つ。」 マシューは普段喋る事には慣れていないのか、小声で答えた。 「今、野営地に補給車が駐車してある。エントリヒ製だが中身に予備の手榴弾が含まれている。今持っているのが尽きたら戻って補給してくれ。」 隣の武者の頼みに彼女は無言で了解した。 更に追い詰められる中、二人は其々の武器を握る力を強め、対峙する蟲達の空間の中に入り込む。 彼等が飛び掛る中、騎馬武者が薙刀を振り回し、片目に傷を帯びた空戦メードはまるで護衛するかのように彼を中心に円を描きつつ、ゴキブリ達をなぎ払って行く。 そんな中、ウォーリア1匹が飛び掛り、それに気づいたマシューは迎撃が間に合わないと判断し、自分の武器でガードする。 そこを他方に見抜かれ、彼女の方を目掛けて集団で飛び掛かる。 この瞬間に顔を凍りつかせるマシュー。 が、其処に飛騎丸が乱入し、自分の薙刀を振り回してこの場の蟲達を追い払う。この機に乗じてマシューは飛び上がり、最後の手榴弾を投げる。 爆風に乗じで騎馬武者もこの場からまた離れる。後にマシューは感謝の意を込めたような眼差しで彼を見る。 「マシュー、ムーディーに頼んで手榴弾の補充を!」 飛騎丸の頼みに戸惑いを見せるマシュー。 「爆弾や大砲の助けが無ければ、この地は拙者達にとって不利になる。頼む!」 未だに彼に対しての心配を引きずりながらも、マシューは手榴弾の補給に向かう。 が、この状況下では二人の望みは安易には行かない。 目の前の獲物が飛び去るのに気づいたウォーリア1匹は、背を向ける空戦メードに飛び掛かる。それに釣られて他のウォーリアとワモンも羽を広げ、羽音を響かせて目の前の獲物を追った。 マシューはすぐに振り向き、スピードを上げる。後に飛騎丸が蟲達の行く手を阻み、その気のおかげで彼女は逃げ切れた。 「相手を間違えおって、お主らの相手は拙者であろう!」 武者は愛馬から飛び降り、薙刀を捨て、腰の双刀を抜く。 駆け出し、向い側のウォーリアを2~3体斬り、その先に居るワモンの顔を串刺しにする。 次の瞬間、他の蟲が後ろを取る。が、飛騎丸はこれを予測していたのか、片足で支える。そして、刺したワモンから刀を抜いた後にもう片方の足で動きを抑えた相手を蹴り倒す。 それでも懲りずに後ろを取る者が見えるが、そいつに肘打ちを食らわせ、怯んだ隙をついて胴体を斬る。 同志の死に様に恐れる事無く彼等は飛び掛かる。しかし、飛騎丸も此処は敢えて立ち止まり、恐れずに精神を集中させ、刀を握る力を更に強める。 相手の集団と自分との距離とタイミングを見計らったのを目で感じ取った飛騎丸は怒声を上げ、自分の体を中心に猛回転させ、影響を受けた刀が近づくものを次々と両断していく。 が、それでも怯む姿勢を見せない蟲達。 武者は一呼吸しつつ、再び精神を集中させる。 「――――数は未だに変わらずか。 が、今ので少しは減りつつあるだろう。」 気を落ち着かせつつ刀を構え、片手で挑発する。 当たり前にも挑発に反応を見せないゴキブリ達は相変わらず突っ込む。 飛騎丸も駆け出し、後に足元の位置に入るワモンの幼体を蹴り飛ばす。その幼体がウォーリア1体の顔面に当たり、一時的に視界を奪ったこの機に乗じて両腕を斬り、次に頭を両断する。 その間に他の幼体達がへばり付こうと飛騎丸の足元に近寄る。 が、しかし彼は下の様子に気づき、幼体を次々と踏み殺しつつ、飛び掛ってくる者達を次々と斬り倒して行く。 マシューが漸く野営地に戻り、補給者の前で一旦翼を休める。 「お疲れ様です。補給でありますか?」 「あぁ、手榴弾…………あるか?」 「勿論です! エントリヒ製ではありますが、とびきり上等間違いなしであります!」 ムーディーの言葉を信じて空戦メードは補給を頼んだ。 彼は補給者のコンテナを開け、その中から手榴弾を貪る様に有りっ丈取り出し、それを前々から持参していたのか、大きめの風呂敷に包み、彼女に投げてよこす。 予想外の量に驚きと戸惑いは隠せなかった。 「彼の助けこの量以上は絶対に必要です!」 兵一人の真剣な眼差しを目の前に、迷っている暇もなく風呂敷を背負って戦場へ戻るが、マシューは手榴弾の量に疑問を抱いていた。5~6個程度なら兎も角、風呂敷に包めるくらいの量は自殺行為も良い所だ。戦場が近付くにつれ、彼女の思考は別の方へと移っていった。今は仲間を助ける事が大事だ。 現状は何とか防衛線を守りつつも、追い詰められている所だろう。 またもゴキブリ達に囲まれている飛騎丸を発見。投下範囲まで飛びつつ、風呂敷から手榴弾二つ取り出し、起爆の後にそれを投げる。 その爆発の範囲は自分のより更に広範囲に、爆破力は更に増している。が、それは不幸にも武者をも巻き込み、彼は勢い良く吹き飛ばされた。 自分の誤作動に対しての混乱を他所に飛騎丸は背中を打ち、自分の上を飛ぶ彼女を見上げる。 「す、すまない………。大丈夫、か?」 マシューは罪悪感を抱くような表情で見下ろすが、武者は怒るどころか、「良くやった」と言わんばかりに甘いマスクを浮かばせる。 「―――今のは御主か!? 期待通りの爆発だな!」 背中の痛みを表情で無視しつつ立ち上がり、大蟲達に構えをし直す。空戦メードは意外な返事を受けた為か、硬直だった体を戻し、態勢を整える。 「良いか? 拙者が合図したら、今投げた分の2倍を拙者に当てるつもりで投げてくれぬか?」 「に、2倍………!?」 「そうだ、2倍だ。さっきはタイミングを大きく見逃した為にお主に恥を晒してしまった。だが、今度は大丈夫だ。拙者を信じろ!」 不安と疑問が空戦メードの頭の中に残る中、地上戦は第2ラウンドを迎える。 ゴキブリ達は幾度と無く飛び駆るものの、武者は避ける意欲すら見せずこの場を立ち尽くし、自分の肉に牙を触れようとする物を両断する。 この繰り返しの中で時間が経つにつれ、徐々にまた武者を囲んでいく。 が、彼はこの時に焦りを見せず、むしろこの機会を待っていたと言いたいかの如く、表情に余裕を見せる。 「今だっ!!」 地上の合図を目視したマシューは目的の場所に向けて手榴弾を二つずつ投下し、飛騎丸が上に飛び跳ねた直後のタイミングでその場は大爆発を起こす。 数多くのゴキブリ達が巻き込まれ、無知にも爆炎がもたらす煙の中で他のワモンとウォーリアは混乱する。触覚から感じ取る匂いで探すも、煙の匂いが充満して思うように消えた獲物が探せない。 次の瞬間、煙の中から武者が姿を現し、同じ空間に居る大蟲達に斬撃を入れていく。後に一息入れてから、彼は自分の視界を見回す。 「さぁ、とくと味わえ。此処からが拙者の本当の舞踊だ!」 片方の刀先を彼等に向けてそう言うが、大蟲達は当たり前にもそれを無視して一斉に突っ込む。 が、最中にマシューの手榴弾が一斉に降り注ぎ、この場は火山の噴火かマグマの噴出の如く大爆発の連鎖が押し寄せる。 飛騎丸はメード特有の機動性を有して走り出して爆破を逃れつつ、この地の蟲共をなぎ倒していく。爆発に多少巻き込まれても何とかバランスを整え、華麗な着地を披露。 兜の一部分と左腕の鎧で覆われた部分に火が付き、脚の裏に煙が出ても尚、爆風が押し寄せる中で大蟲達に挑んでいく。 こんな事、生身の体しか持たない歩兵ならば当たり前にも捕食されるし、焼死は見えている。 また、普通の衣装―――或いは軍服を身に纏ったメードでも軽い火傷では済まなくなる事だってある。 よって、この戦法は防御力を武者鎧で補っている飛騎丸だからこそ成せる荒業であろう。 次の彼は両断したワモンやウォーリアの残骸から火が燃えている地で、愛馬を呼び出す。 鳴声を上げながらも主人の元に向かい、主人が乗った所で残りの蟲達が周囲を囲み、徐々に距離を詰める。 が、その最中に空戦メードから投下された数多くの手榴弾が降り注ぎ、また一斉に大爆発が起こる。巻き込まれた大蟲達が吹き飛ばされる中、武者を乗せた馬は高く跳び、この場から一旦離れる。 このコンビネーションのお陰で地上の数は大いに減ったが、この一戦で誕生した炎と煙は未だに濃く残っている。 そんな中、飛騎丸はこの場所に残るゴキブリ達の数を把握し、手持ちの武器を双刀から薙刀に戻す。 「マシュー、此処で決めるぞ。」 マシューがバトルアックスに持ち帰った後に、二人の戦人は地上戦を続ける。が、この時マシューは飛騎丸に対してこう思うのであった。 (―――ったく、無茶しやがって。本当の馬鹿なのか、それともタフなのか分からねぇな。チューリップ隊長が見たら如何思うだろうか。) 下の世界で二人が残り少ないゴキブリ達と決着をつける中、上の世界で3人もまた、ハエ共と決着をつけようとしていた。 クリューアルファングによって斬られた虫の肉片が下に落ち、彼女とその後ろを飛ぶメード達の爪は残りの虫達に向けられる。 「二人とも、此処でケリを付けましゅ!」 後ろの二人が上司に了解の返事を送り、彼女達は自分達の力で少数までに追い詰めたハエ共を更に追い詰める。 この決着はほんの数分で決まり、相手は彼女達の勝ち戦に花を添える形に終わった。 チューリップの側でカイアとルテーガが溜息をする。 「終わりましたね。」 「えぇ、後は飛騎丸さん達の援護でしゅ。」 微風が吹く中で3人が肩の力を和らげ、下に降りようとする。 が、その最中に……… 「―――!? チューリップ隊長、正面から何かデカい奴が2体飛んで来ます!!」 ルテーガの知らせに二人は和らげていた緊張を高め、高度を上げてそれに備える。 彼女達の居る場所に向かって飛んで行くそれは、フライでも羽ばたいて飛ぶウォーリアでもない。 トンボに酷似している上に巨体で、それを運んで飛ぶ大きな羽は低空であれば普通に飛ぶだけでも周辺に風が生まれるだろう。 次第に距離が狭くなっていく中で、チューリップ達はこのG2体が何者であるかを思い出す。 「ドラゴンフライだ、あのサイズで2体は厄介だぞ!?」 「二人とも、気を抜かないで!」 ←BACK NEXT→
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過去に煽り君の被害に遭ったスレ(コスプレ板) 「レイヤーが本音を暴露するスレ13」における被害(2010/10/14更新) 「カメコが本音を暴露するスレ 5」における被害(2010/10/14更新) 「レイヤーが本音を暴露するスレ14」における被害(2010/9/23更新) 「カメコが本音を暴露するスレ 3」における被害(2010/9/16更新) 「カメコが本音を暴露するスレ 4」における被害(2010/9/16更新) 「一番写真の上手いカメコ 5」における被害(2010/9/7更新) 「一番写真の上手いカメコ 4」における被害(2010/9/7更新) 「一番写真の上手いカメコ 3」における被害(2010/9/7更新) 「一番写真の上手いカメコ 2」における被害(2010/9/8更新) ※本人申告ではないので、見落とし、誤掘りも多少含まれている場合があります。
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円から僅かに欠けた月光の下 何処かの領域の深い森 そこで獣に追われる一人の男 「はぁ、はぁ、」 「畜生、あの野郎どこまで追ってく・・・」 そう呟いた途端、男の視界が大きな衝撃で揺れる。 そのままの勢いで吹き飛び木に激突する男、その目線の先には息を荒げる一匹の人狼。 「グルルル・・・」 「い、一体何なんだよ!」 そう叫びながら男はプロミネンスを発しながら立ち上がり人狼に飛び掛る。 人狼はまるで待ち侘びていたかのようにそれを迎え撃った。 「ウォォォォォォォォン」 月下に勝利の咆哮が響き渡る。 無論足元には、既に息せぬ夕闇が転がっている。 「結構出来るようになったな」 声の主は小さな使い魔、ディアスだった。 「そう思わないか?アンス」 彼が問い掛けると暗闇の中から魔獣の背に乗り、彼達の主アンスが現れる。 「おいで・・アゲル」 彼女が呼び掛けると人狼は忠犬のように主の命に従って近寄り、小さな子犬になった。 「ウンゲルもいいよ」 魔獣の背から降り、子犬を抱き上げながら彼女は魔獣に呼び掛ける。 魔獣はそれに応えるように小さな子猫になり彼女に寄り添う。 「雑魚とはいえ、ここまで出来れば上等だな」 ディアスは満足そうに問い掛ける。 「今日はこの辺にしとくか?」 少し考えた後、アンスは答える。 「・・・・もう少し・・する」 「なら、もう少し歩くとするか」 そう言って小さな主と三匹の使い魔達は暗闇の中に消えていった。
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「謙信様…」 暗い夜の中、かすがは星を見上げつつ主が戻るのを待っていた (何であの時、一緒に入ろうと…) 謙信を男だと信じているかすがは謙信の言葉が信じられなかった。異性と混浴するのは彼女には 戸惑うことだった。愛してやまない人ならばなお更である (で、でも…謙信様の体って、さぞや綺麗なんでしょうね) かすがの頭の中には裸の謙信(男)の姿が薔薇の花びらが舞うキラキラした空間に 浮かび上がり…そして… 「い、いけませんわっ! そんな事を考えるなんてっ!!」 かすがは顔を真っ赤にして大きく頭を横にぶんぶん振った 「何がいけないの?」 「ええっ! そ、それは……………って?!」 かすがの顔が急に険しくなった 「よっ! お久しぶり…って、今日で二度目だったね」 蝙蝠のように木に逆さまにぶら下がった佐助がそこにいた 「なっ、なぜ貴様がそこにいるっ!」 かすがは物凄い剣幕でとっさに巨大手裏剣を構えた 「そんな物騒なもん持っちゃって。忍び同士、ゆっくりお茶でもしようと思ったのに」 佐助も木から下りると大型手裏剣を構えた 「はっ! さては謙信様のお命を狙いに来たのだなぁ! 卑怯者め!!」 「…へ? 上杉謙信もここにいんの?」 佐助は鳩が豆鉄砲を食らったようにきょとんとした。彼はてっきり自分達の行動を嗅ぎつけて かすがが信玄を暗殺に来たのだと思っていたからだ 「呼び捨てするなっ! 覚悟しろっ!!」 かすがが飛び掛るように攻撃してきた 「おいおいおい、ま、待て! それならうちの大将…もとい、武田信玄公も温泉に入ってるぜ」 佐助はとっさに回避しつつかすがに説明した 「……なに?」 かすがの動きがピタッと止まった 「(やれやれ…)そういうこと♪ いやぁ、さっきまで戦っていた大将同士が仲良く裸の付き合いなんて面白いねぇ………え?」 佐助が軽く冗談を言いつつもかすがの物凄い殺気にビクリとした 「武田信玄と…」 「いや、うちの大将は奇襲するなんて卑怯な真似しないぜ。それに戦以外では敵にも寛大だし。 ほら、こういっちゃ難だけど戦バカ同士案外、気が合うんじゃねぇの……って駄目?」 佐助の言葉は怒りのピークに達して肩が震えているかすがには聞こえなかった 「謙信様が…謙信様が穢れてしまうっ!!!」 かすがはもの凄い勢いで温泉の方へ走って行った 「え、あ……ちょっと、待て! かすが、落ち着けって!」 かすがの勢いに気圧されつつも佐助は慌てて彼女の後を追った (信玄と一緒になんて…) 君主の心配もあるのだが、かすがの心には信玄への嫉妬心があった 謙信は常々、戦となると信玄の事をよく口にした。好敵手への強い対抗意識の表われなのだろうが 彼女にはそれが悔しくて堪らなく、そんな感情が一気に吹き出てしまった 星合の空10
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リョーコ「こちらリョーコ。基地内に進入した。」 ルリ「こちらでもシステムのハッキング終了しました。メインコンピュータールームにカトンボが居るはずですので倒してください。」 アトム「こっちだよ!」 この中では一番小さいアトムが急ぐ。 ルリ「基地内にミニ四駆反応を確認。・・・普通のサイズですね。」 基地内部のモニターが撮った映像がモニタリングされる。 そこには、長髪の少年が小さなミニ四駆と一緒に走る姿が映っていた。 ???「レイスティンガー・・・やれるな・・・!」 -メインコンピュータールーム- リョーコ「こちらリョーコ。メインコンピューターを掌握したぜ。」 ( ^ω^)『こちらブーン。基地周辺も粗方片付いたお』 ユリカ『ご苦労様です。そっちに一機ミニ四駆が近づいてるそうなんで気をつけてくださいね。』 リョーコ「たかがミニ四駆じゃねぇか!大丈夫大丈夫!」 そう言った瞬間、リョーコのエステバリスの左腕がもげた。 リョーコ「な・・・にぃ!?」 そしてミニ四駆・・・レイスティンガーが部屋に入ってきた。 ??「ZMC製の針ならばあの程度の装甲など楽勝で撃ち抜けるわ!」 もう一度レイスティンガーがリョーコ機に飛び掛ろうとした所をアトムがパンチで軌道を逸らした。 アトム「気をつけて!すごく早いよ!」 リョーコ「こーんにゃろぉぉ!」 片腕でラピッドライフルを拾い上げ狙って撃つが、カスリもしなかった。 ???「無駄!レイスティンガー!」 もう一度レイスティンガーが飛び掛る。 今度はアトムも反応できず、リョーコ機は左足を持っていかれた。 リョーコ「うあああぁっ!」 アキト「リョーコちゃん!くっそぉぉ!」 狭い室内なのでゲキガンフレアは使えない。 仕方なくイミディエットナイフを振り回すが当たらない。 ??「待てぇっ!」 部屋の中に赤のミニ四駆と青のミニ四駆が入ってくる。 烈「レイ!いい加減にあきらめるんだ!」 豪「往生際が悪いぜっ!」 アキト「君達は・・・!」 レイ「星馬兄弟・・・こんな所にまで!」 烈「あなた達は早くナデシコに戻ってください!こいつは僕達が!」 豪「かっとべ!マグナァァーム!」 サイクロンマグナムが回転しレイスティンガーへと突撃していく。 アキト「わ、わかった!」 アキトのエステバリスがリョーコのエステを抱える。 ルリ「エステバリス各機とアトム君基地から脱出しました。」 烈「レイ!レイスティンガー今日こそ倒させてもらうよ!」 レイ「(大神からはナデシコの戦力低下しか命令は受けていない・・・。ここで二人を相手にするのはキツイな。)」 レイ「ふん・・・おまえらはまた今度相手してやるさっ!」 マグナムの攻撃で傷ついたレイスティンガーを回収し、逃げる。 豪「くそっ!また逃げるのかよぉっ!」 烈「追っちゃ駄目だよ、豪。遅くなると母さんに叱られるからね。研究所に戻ろう!」 -???- ??「フン、ドクオめ。逃げたか。」 ???「元より期待などしておらぬ。それより、次は貴様だぞ。」 ( ゚д゚ )「ふん・・・任せておけ。」 ???「こっち見るな」 承太郎「これが・・・俺のエステバリスか。」 ウリバタケ「ああ、全部の武器をオミットしておまえさんの幽波紋増幅装置を組み込んだ承太郎専用エステバリスウリバタケカスタムだ!」 承太郎「やれやれ、俺がロボットに乗り込む事になるとはな。」 ウリバタケ「基本は幽波紋増幅装置だからIFS処理もいらねぇぞ。」 承太郎専用エステバリス(星の白銀) 承太郎のスタープラチナをモチーフに改造された為、頭部の形状など各部が改造されている。 単機での行動を可能にするため、動力を組み込んだのでディストーションフィールドは発生できない。 武器 スターフィンガー 2300 オラオラッシュ 3200 スタープラチナ・ザ・ワールド 4500